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1951-11-02 第12回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 大上  司君    理事 田中不破三君 理事 三宅 則義君       高橋 權六君    多武良哲三君       渕  通義君    船越  弘君       山口六郎次君    畠山 重勇君       井之口政雄君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         営農課長)   野田哲五郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         監査課長)   高橋  清君         農林技官         (農地局建設部         長)      櫻井 志郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大澤  實君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより本日の決算委員会を開会いたします。  委員長は都合があつて出席になりませんので、理事の私が職務の代行の御委託を受けましたから、委員長代理を行います。何とぞよろしくお願いをいたしておきます。  前会に引続き昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算を議題といたします。  前会厚生省所管に関する質疑が延期いたされておりますので、この際御質疑を願います。何かありませんか。  それでは私からお尋ねいたします。四六六の診療所ですが、この批難事項について、いろいろ厚生省から回答書が出ております。この会計検査院検査報告に対する説明書の六十六ページの最後に「なお、預入金は、国庫納入済であり、当時の責任者に対しては嚴重な注意を与えた。」このように説明をしておられるのですが、その際に、なるほど元金は国庫へ納入したでありましようが一体利子はどうなつているか。この利子の問題と、それから利子金額をひとつ御説明願いたいと思います。
  3. 太宰博邦

    太宰政府委員 ただいま御質問の、預入金とそれにつきました利子、これは預入金が二百九十六万五千百三十二円、利子が一万七千五百十七円九十四銭でございますが、両方とも全部国庫に納入いたしたのでございます。これはその間に、職員会計法規ふなれなために、日銀に入れるべきものを市中銀行に保管しておつたというだけでありまして、その金を職員が私したとかいうようなことではありませんものでございますから、ただいまのように、比較的簡單に解決をいたしてございます。
  4. 大上司

    大上委員長代理 次に四六七についてお尋ねしたいのですが、これも同じく説明書を見ておりますと、最後の方に、「事務上の齟齬により徴収決定もれを生じた次第である。」——これは厚生省のみではなく、ほかの省にもよく見られるのですが、事務上の齟齬というようなことは、いやしくも行政の実情から見て、どうもわれわれ国民としては納得しがたいのです。そこでいわゆる事務のふなれというか、齟齬というか、これはどうもわれわれには了解できない。さすれば、このふなれな人間になぜ担任させたのか。そうなると、担任を命じた上級官処分ということが当然問題になるのですが、これに対する厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  5. 太宰博邦

    太宰政府委員 これは申訳ないことでございまして、一昨日私の方から御説明申し上げます際にも、不正事項のところで申し上げたのでございますが、厚生省施設が非常に多いのでございまして、病院療養所というようなもの合せて三百以上に余る施設がございます。しかもその施設終戰後医療団から国立に転換したというような施設もございまして、そこへ従事します職員が必ずしも昔から鍛えられて来た職員ばかりでないという点も、悪い條件として重なつております。さらにまた、終戰後のあの国民的に、何と申しますか、各人の心事を失つたというような時代でございまして、若い職員がなかなか事務になれるような方面の努力ができない、それから上の方の監督者もなかなかそれに対して指導するだけの力もないというような、悪條件がいろいろ重つておる、その間隙にできたのでございまして、これに対しましては、私どもといたしましても、それでは申訳ない、またこういうようにたびたび批難事項として指摘せられますことは、行政官吏としても、良心的に考えました場合に、申訳ないことである、国民の税金でまかなつております以上は、予算をとります際には一生懸命になつて、とつたあとはもう野放図にするということであつては相ならぬと考えておりますので、先般も申しましたように、事務監査を、会計検査院検査せられますほかに、私どもの方でもいたしまして、極力その事項を少くするように努力をしております。かような不祥事件が起きました際には、それをそのままにしませんで、これを逐一検討いたしまして、どこにその欠陥があつたために、かような事故が起きたのかという点を検討いたしまして、それにこちらの方の見解をつけて、今度は全施設に流してやつて職員はそれをもつて事務に当り、監督者はそれを他山の石として、その監督の方に力を注ぐというように指導して参つておる現状でございます。  この事案につきましても、最初事後調定と申しまして、金が入つて参りますことが明らかになつてから調定するというようなことを改めまして、二十三年度からは、どこそこの患者からこれだけのものをとるべきであるということになつたときに調定をするというふうに改めたのでありますが、その前後の事務のまだすつかり軌道に乗つておらない時でありましたために、こういう決定漏れを生じたということでございます。それからもう一つ、これは一例になりますが、生活保護法該当者につきましては、本人から入院料をとらないで、関係市町村からとる、そちらへ請求する、これが建前でございますが、その際には、生活保護法該当者であるという証明をとつてから入院させますならば、請求の方も間違いなく関係市町村に出すことができるのでございますが、急に病気だから入院させてくれ、私は該当者であるが手続ちよつと遅れているからというような事態が生じて参りますと、病院といたしましても、それを入れぬわけには行かぬのでありまして、早く手続をしてください、まああなたは入院をしなさい、こういうことになる。ところが、その後の市町村との折衝が長引きましたり、あるいは最悪の場合を申しますと、市町村の方で、あれは該当者じやない、従つて本人の自費で払うべきであるというような決定になりますと、これは本人からとらなければならないということになりまして、その辺がどうも事務上の齟齬という簡單な文句で表わしておりますけれども、非常に困難なところでございます。これは今日でも指導をよくいたしませんと、間々間違いが起きまして、検査院あたりからもおしかりを受けているような状況でございます。さようなことでございまして、齟齬などを来すべき筋合いでないと言われますと、まことに申す言葉もないのでありますが、万事そのようなふなれなところに発生したこととして、御了解をお願いしたいと思うのであります。
  6. 大上司

    大上委員長代理 次にお尋ねいたしますが、四六八の補助金の交付に当り処置当を得ないもの、こう出ておりますが、この間の委員会で御説明なさつたのでは、たしか非常に緊急を要することであつた、このように説明を受けたと私は記憶しておるのです。あるいは間違いかもしれません。そこで、この国民健康保險診療所施設設置費用というものは、当然予算編成のときに予算へ入つておるように思うのです。但し、これは地方がするので、国の予算に入つておらないかとも思いますが、もしも国において予算編成のときに補助金として入れておるならば、何もこの間の説明のごとく、緊急を要するのでなしに、わかつておるはずだ。いやしくもこれだけの相当の金額を、年度内に、まだ工事契約が締結されておらぬにもかかわらず、補助金として交付したということは、これまた非常に了解に苦しむのです。もちろん説明書の中にあるように、敷地選定後に、地元において予期しない事情があつたということは認められますが、工事契約がまだ締結されておらないのに、補助金だけ先にやつてしまうということは、了解に苦しむのです。いま少し深く説明していただきたいと思います。
  7. 太宰博邦

    太宰政府委員 これは緊急というのではないのでございまして、あるいは先般の私の申し上げようが悪くて、そうとれたのかもしれませんが、もう一度そのいきさつを申し上げますと、これは愛媛県の宇和町と隣接中川石城の一町二箇村に関係するものでございまして、そこに国民健康保險直営診療所を設けたいということで、それの補助金の申請でございました。それに対しましては、その計画がどうであるかということを調べて、まあよかろうという内示をして、普通の手続で順調に進んでおりました。また地元におきましても二十四年六月にそのつもりになりまして、敷地を買収いたし、工事着工の運びというところまで行つたのでございます。ところがその後におきまして、地元宇和町の中の一部住民の間に、病院をそういう所へ建てるのは困るという者が出て参り、病院建設延期同盟というものができまして、これが非常に波及いたし、町の議会と理事者側とそれから一部町民との間に、なかなか話がまとまらなかつたのでございます。それがまた宇和町から隣接中川石城の両村にも波及いたしましたために、やむを得ず工事を一時中止せざるを得なくなつたのでございます。その後GHQの四国民事部も乗り出して来まして、それの勧告もあり、また関係者が相互に努力いたしました結果、昭和二十五年の三月になりまして事態が好転して、再び工事を具体化することができるようになつたわけでございます。しかるにその時はもう年度も末になつておりまして、純粋の会計法規手続から申しますと、その年度においてはそれが実現する見込みはないということで、繰越手続をとりましてから工事に着工すべきが筋なのでございますが、その当時の模様を聞いてみますと、当時の情勢としてなかなか繰越手続簡單に行われない、非常に複雑で、下手をするとそれで打切られるおそれがあるということと、それからせつかく民事部の協力もあつて話がそこまでまとまつて、みんながこれからやろうというときに、またそういうことでこれが延び延びになつたのでは、あとになつて、またどんな事故が起きるかわからない、それではやろうじやないかということになりまして、この会計法規に反する結果にはなつたのでありますが、遅延したままでその工事を施工した、こういうことでございます。
  8. 大上司

    大上委員長代理 それに関連してもう一つお尋ねいたします。なるほど補助金についていろいろごてごてがあつたということ、並びにこれに対して当局が非常に御苦心なさつた点は認めるのですが、繰越しが許されないからということで二、三また発言があつたのですが、結局われわれ国民が思つておるように、国の予算ですから、これは年度末までに使つてしまわなければならない、これが余つてしまつたから、やれ使え、それ使えというような非常なずさんな——もちろん本事案についての趣旨はよくわかるが、どうも予算が余つた、次は繰越しが認められないから、とにかくとりあえず工事契約は締結されておらないけれども補助金を出せ、このように受取れるのですが、そう受取つていいのですか悪いのですか、これをお尋ねいたします。
  9. 太宰博邦

    太宰政府委員 これは繰越手続が、その当時いろいろなケースにおいてなかなか困難であるというために、各省がそうせなければならない場合にあつたにかかわらず、大蔵省に持ち込まないでかようなことをしたというのでございまして、最近は勇敢に大蔵省へこれを持つて行つて、たいてい話はついているわけであります。当時そういうような考え各省が持つてつたために、こういうふうに成規手続をとれば案外行つたかもしれない、正当に繰越手続でできたかもしれないというのを、ことさらにやつたという傾向があることを私も考えております。それでこの事案につきましては、先ほど申し上げましたように、六月にすでに敷地の買収を終つて工事の方にとりかかろうとするくらいでございまして、万事好都合に行つておりました。かような事故が突発しなければ、もうその年度内りつぱにできてあつた筋合いでございますが、たまたまそういう事故が起きましたために非常に遅れた、そうして今度は三月になつてからは、せつかくここまでまとまつたものを、今何かの手続関係で遅らせるということは、どうもまた不測の事故でも起きたというようなことになつてはいかぬからというので、当事者の方で、その会計法規の不備も手伝つて、やつたと思うのでございます。
  10. 大上司

    大上委員長代理 大体わかつたようでわからぬのですが、さらにこの点については、後ほどどなたか委員長をかわつていただいて、下へおりて質問を続行したいと思いますので留保します。  その次に四六九ですが、これについてお尋ねをしたいと思います。従いまして前に私が四六八で質問したのを錯覚した点をおわびします。今の政府説明員のおつしやつた通り、四六八は緊急を要さない、御説通りです。実はこの四六九の折に御説明があつたように、今再び記憶がよみがえつたわけでございます、そこでこれの御説明について、いわゆる緊急を要することであつたのだ、こういうふうな御説明が先般あつたのですが、問題はこの予定価格最低制限価格がどうなつておるのか。もう一つは、排除された入札価格落札価格との関係はどういうようになつてつたのか。次に排除されたところの入札者ですね、この資力信用の程度はどうであつたのか、これをまずお尋ねしたいと思います。なおつけ加えれば、排除を相当と認めるほどの開きが全然ないというような場合に、なぜこの人を排除したか、これを必要としたかということをお尋ねいたします。
  11. 太宰博邦

    太宰政府委員 この事案は、先般申しましたごとく、会計法規のふなれなために、最低入札せねばならないものを、あまり予定価格よりもうんと安い値段でやつたならば、必ずや不正行為をするに違いないという錯覚を起しまして、それから大体二割ほど下つたところを最低線といたしまして、それより下のものはオミツトした、こういうところに問題が出たのでございます。予定価格は、工事国立埼玉病院世田谷病院、それから大蔵病院とございまして、大体埼玉病院で行きますと、外来診療棟の内部の模様がえ工事というのでございまして、これは予定価格が百四十六万円でございました。これを大体それの八割見当というところで、最低の線を百二十四万一千円というところに引きました。それで、普通のあの当時の常識的考えで、これより以上ならば必ず業者は損をするから、かえつて粗悪な工事をするに違いないということで、百二十四万一千円以下のものは落そうという考えでございました。この入札者が五人ございまして、一番最低が百十七万円で、その次の低いのが百三十七万円でございました。結局先ほどの百二十四万一千円以下であるというので、一番下の百十七万円のものを落しましてその次の百三十七万円のものに落札いたした次第であります。  それから二番目の国立世田谷病院におきましては、三つほど工事がございました。第一が管理室と病棟の改築でございます。これは予定価格が三百七十三万円でございました。先ほどのような考えで、最低制限価格を三百三十万八千二百円というところに置きまして入札をいたしました。そのうちで一番低いのが三百十三万五千円でございました。これはやはり除きまして、その次の価格が三百七十二万円ちようどでありましたので、この三百七十二万円のものに落札いたしたわけであります。それから世田谷病院の第二の工事は、排水工事でございまして、これは二十万円の予定価格につきまして、最低を十三万三千円に置きました。これは入札の結果一番低いのが十五万円でありましたので、この点は問題なしに一番低いのに落札した次第であります。それから世田谷病院の三番目の工事は、電気工事、これは二十二万円、その最低制限を十七万六千円というところに置きました。これは最低のものが十四万八千円、その次が十六万八千円、いずれも制限価格に達しませんものですから、これを排除いたしました。三番目の低いが十八万円ちようどでございましたので、この三番目のものに落札したわけであります、それから世田谷病院最後工事暖房工事というのがございまして、これは予定が五十万円、最低制限を四十万円においてやりました。ところがこれは入札価格が、一番低いのが四十三万二千円でございましたので、これは問題なしに一番低いのに落札したのでございます。  三番目は、国立大蔵病院でございまして、これは外来診療棟整備工事でありますが、予定価格が三十八万円、最低制限を百二十四万二千円というところに置いたわけでございます。これは入札いたしました結果、一番低いところから五番目のところに落札いたしました。一番低いのが九十八万二千円、その次が百四万円、その次が百十万六千円、その次が百十四万九千二百二十円、いずれもこれは排除せられまして、百二十四万二千八百円という五番目のものに、これを最低価格として落札したようなわけであります。  かようなことは、本来そういう懸念のある者を入札に参加させたというところに、手落ちがあつたのじやないかということに相なると思うのでございます。最初からそういう者を参加させなければよかつたじやないか、また資力調査を十分すべきではなかつたかということになると思うのでありますが、あらかじめこれを十分に審査するような余裕がございませんでしたので、ごく常識的な誤つた考えから、今のようなことで解決すると勘違いをいたして、係官間違つた措置に出たのでございます。
  12. 大上司

    大上委員長代理 そこで、同じく関連してもう一つお尋ねいたします。会計検査院も御指摘なすつておられますように、指名競争契約の実を失したということになつておるのですが、事実そうじやなかろうかとわれわれも思うのです。いやしくも政府行政面においてこういう点が出て来ると、全般的に非常に影響が大きいと思うのです。従つていかに工事が緊急を要する場合であつても、入札者を指名する場合には、十分その業者資力信用経歴等を調査して指名しなければ、実際指名競争の実益はないと思うのです。そこで結果としてこういうふうな間違いが起つて来るので、今後は十分注意をしてもらわなければいかぬと思うのです。それと同時に、この問題がもしも——これはもちろん国民に公表すべきものであろうと思いますが、こうなつた場合に非常に所管庁としてはお苦しみになると思うのですが、これについて、こういうことが厚生省所管についてはもう全然ほかにはございませんですか、またはそれに似たようなものが——これは昭和二十四年度報告書となつておりますが、五年度ももうやがて出て来ると思うのですが、ほかにあるのですか、ないのですか、それを厚生省お尋ねいたします。
  13. 太宰博邦

    太宰政府委員 これはたまたまこういう特殊の病院の特別の係官が、会計法規勘違いをいたして起きました事故でございます。私どもといたしましては、平素指導は、もちろん法規の命ずる通り指導しておりまして、ただ私ども指導の足りない点、それから関係職員がふなれなためにこういう事故を起したので、はなはだ申訳ないと存ずるのであります。二十五年度以降については、かようなことは、ただいままでのところは、私どもはないものと信じております。またさようなことがないように指導もしております。
  14. 大上司

    大上委員長代理 次にそれではもう一つお尋ねいたします。  この職員不正行為のところですが、どの役所でも、こういうふうなことは遺憾ながらあり、監督者としては、監督上、あるいは責任上、非常にお苦しみの点は十分了とするのですけれども、特に四七〇ですか、この中の北海道の旭川地方世話所ですか、これも先般御説明を受けたところによりますと、いわゆる未復員原簿をいじくつて架空人物を利用してやつたのだ、このように承つたのです。さらに私が言いたいことは、不正の期間が二十三年六月からとにかく二十五年の七月まで、相当長くこれをやつてつた。しかもこれについては会計上の誤謬がないように説明を受けておつたわけです。もちろん決算面においては、会計上の点を十分に扱うのですけれども、なぜこのような不始末が出たのか、これはどの役所にもお尋ねするのですが、大体われわれが考えて見て、いわゆる立法上の誤りか、行政上の誤りかということを各省お尋ねしたいのです。これの本当の間違いを起した点は、もちろん行政上のものであろうと私は思うのです。そこで監督者の不行届きの点から出て来たのか、またはまじめという言葉をよく説明の中に受けたのです。非常にまじめであつたということを、これではないが文部省の方から受けたように思うのですが、そのようにわれわれ国民が知らぬ間にえらいことができておる。しかもこれは国民の感覚というか、感情に非常に関係したことではないか、單なる会計上の帳簿を間違つたのとは違うような感じがするのですが、これについて、もちろん当局処分その他は、先般も説明を受けたのですが、何だかわれわれはふに落ちぬような気がする。そこでお尋ねの結論を申し上げますと、なぜこれだけ長期間ほつておいたのか。会計上の誤謬でないとするならば、一体どこに欠陷があつたのか。この二点を集約してお尋ねいたします。
  15. 太宰博邦

    太宰政府委員 これはたまたま未復員者給与法というものが二十三年度から施行になりまして、直後から起きました事案でございます。これは、その後ずつと検討してみますと、未復員者給与法施行になりました直後で、十分に未復員者の数とか、それがどこに住んでいるかというようなことをつかんでいなかつたために、架空人物を利用されましても、監督者がその発見ができなかつた。たまたまこの支払い調書をつくる人間と、その現金の出納の方と同一の人間がこれをやつてつた。これは非常な間違いでありまして、一人の人間両方仕事をやつておりますと、こういう間違いを生ずる危險性が出て来るのであります。おそらくその当時は、職員が足りないというようなことで、一人の人間にその両方事務を兼ねてさしおつたのではないか。これは私想像するのでありまするが、そういうようなために、かような事故が起きたのでございます。なお報告によりますると、この世話所におきましては、年に一回あるいは二年に一回は、中央から行つて監督をやつておるのであります。また世話課においても、毎月金庫の検査をやつておるというようなことで、やつておるのでありますが、それがやはりそこまでを見ることができなかつたということに、手落ちがあつたのだろうと考えるわけでございます。格別その職員が非常にふまじめであるということが平素状況からわかつており、危險性が非常に強いということが明らかになつておりますれば、かような仕事もさせなかつたであろうと思いますが、その当時はどうも、昔私どもが戰争前に鍛えられたやり方とは、終戰後混乱期と申しますか、その当時に入りました職員との間には、根本の心構えその他につきましても、やはり若干の違いがあるように私どもは思うのであります。それだけに上の監督者は、より以上に監督し、また訓練もしなければならないのでありますが、なかなかそれが思うように行かぬために、こういう事故ができましたことは非常に遺憾に思います。  先般も御説明の際に補足いたしましたように、厚生省関係施設が三百幾つもあり、その中には医療団から転換したような施設もございまして、なかなか職員もすつかり訓練した職員ばかりを集めるわけに行かない。また社会情勢も、どちらかと申しますと、思想的にこんとんとした時代でございまして、えてしてこういう不祥事件が起きる。事件を起しましても、さほど本人たちがそれを良心的にとがめないというような悪い時代でございました。こういう事故が出るということにつきましては、單に訓練するというだけでは事故防止はできないので、かような事故を起さないようにするためにはどうしたらいいかということに、実は悩んだのでありますが、結局結論は、この前申し上げましたように、こういう事故ができましたときには、その事故をはつきり分析いたしまして、どこに欠点があつたからこういうことになつたのかということを検討いたしまして、それを今度は全国の施設に機会をとらえて流してやりまして、どこそこでこういう事故が起きた、これはこういうところに欠点があつたのだから、お前の方でも注意せよというようなことで、具体的に事例をあげまして、地方指導するようにしてございますので、漸次少くなつて来ることと存ずるのでございます。
  16. 渕通義

    ○渕委員 ちよつと関連して——ただいまの言葉を聞いておりますと、終戰後に採用された方が、えてしてそういつたことをやつた。昔は訓練されておつたから、われわれはそういうことは絶対なかつたというふうに聞えますが、大体ここに出ている事案の担当者というものは、すべて終戰後採用された人たちですか、その点ひとつ。
  17. 太宰博邦

    太宰政府委員 私の申しようが悪かつたかもしれませんが、必ずしもここにあげられております者は、終戰後採用した者ばかりではないと思います。
  18. 渕通義

    ○渕委員 してみると、先ほどの言葉は、終戰後に採用された善良な職員に対しましては、非常に耳痛い言葉でございまして、その点は訂正願いたいと思います。こういう事件の起る原因は、そういつた終戰後に採用したとかしないとかいうような問題にあらずして、そういつた不正ができるような方向に事務自体が置かれておつたという点にあるのじやないかと思います。もし、それをやればすぐはつきりわかるという現実の問題があれば、だれもやりませんけれども、何さま架空人物をつくつてもわからぬような事務の処理状態になつておるから問題が起るのであつて、その事務の処理状態の組織を、もつと組織的にはつきり現われるようにした方が、こういう事件が起らぬのじやないか。現に多くの事件を見ますと、あまり複雑怪奇な組織のもとに行われておるから、そういう問題が起つても、どこが責任つていいかさつぱりわからなくなる。こういう結論が見出せるのではないか、こう私は思つておるのですが、この点に対する御見解を承りたいと思います。
  19. 太宰博邦

    太宰政府委員 先ほどの私の申し上げようが悪かつたと思いますので、その点は取消します。しかしながら、申すまでもなく事務は極力簡素化して、はつきりさせた方がいいのでありますが、この事案につきましても、おそらく間違いを生じました大きなポイントの一つは、同じ人間支払い調書を作成する事務と、現金出納の事務と、二つやらせておつたというところが、間違いを起す誘因になつておるのではないか。これは先ほど申し上げたのでございますが、これも実を申しますと、職員の数が足りないために、そういう者にやらせるということになつたと思うのであります。この点につきましては、職員が十分にとれるということは、もしできればけつこうでございますが、必ずしもそういうわけに行かぬ場合におきましては、とにかく経理事務においては間違いが起りやすいということを、十二分に地方に強調いたしまして、少くとも間違いの起るような、一人に幾つも事務をやらせるということだけは避けるように、というような指導を現在やつておる次第でございます。
  20. 渕通義

    ○渕委員 私はその点少し見解を異にするのです。一人の人間にやらせるから、誘惑したから事が起るということになると、今後たいへんな問題になる。一人の人間に多くのことをやらせるのが、われわれの主張する行政簡素化であります。こういうことは御訂正願わなければならぬ。問題は、監督者が盲判を押す日本の習慣があるからじやないか。おそらく役所あたりへ行きますと、たいがい失礼ながら盲判が多いのではないか。盲判を押すところの習慣をまずとつてもらう、いわゆる判を押すところの行政を改正して行くならば、こんなことは絶対に起らない。私はかつて戰時中にセレベスにおりまして、特に海軍の研究所を担当しておつたのでありますけれども、ほとんど私の恩師の薗部先生一人が判を押しまして、あとは一切判を押さない。こういうことをやつたところが、一つも犯罪が起らなかつた。あまり判が多いものだから、ぱたぱたと判を押すだけであつて、機関銃のごとく判を押して、それでもうほつたらかす。だから、結局犯罪が行われて来るのじやないか。要は一人の者にたくさんの仕事を与えるということは、敗戰によつて小さくなつた日本としては、今後当然やらなければならぬ問題である。そういうことについて、私は会計法規のことはあまり知りませんけれども、そういつた組織自体にあらずして、監督自体に大きな欠陷があるということを考えておるのですが、それに対する見解を承りたい。
  21. 太宰博邦

    太宰政府委員 まあ監督の方も、十二分にしなければならぬことはもちろんでございますが、経理事務に関しましては、やはり納入を命令する立場の者と、それを入れる立場の者とは、別にしておきませんと、どうも金銭のことはほかの仕事と違いまして、間違いが起りやすい。これはいたし方ないところではないか。従いまして、ほかの仕事についてどうこう申し上げるのではございませんが、この場合は、われわれいろいろ分析してみました結果は、やはりそういう経理事務については、極力さようにしなければ——少くとも一人の人間が金をとる書類をつくつて、金をとつてしまうまでを一人でやるということは極力避けた方がいいのじやないか、こういうように今は考えておる次第であります。
  22. 大上司

    大上委員長代理 そこで、なお私継続の関連質問があるのですが、以前も出ておりますし、この前の委員会でも御説明なさつたのですが、会計検査院が御調査になるまでに、自主的に厚生省内でいわゆる会計監督なり処置をしておるのだ、こういうふうに伺つたのです。そこで今までおやりになつたところの厚生省内部の調査概要と申しますか、その資料をひとつ要求いたしておきます。  その次に質問ですが、上級者または会計の講習のようなものをやらねばならぬ。上級の者を訓練して行く、あるいは下部の者も訓練して行くということも、たびたび発言があつたように思うのですが、それは口ではどうもぐあいが悪いので、この二十四年度に何ら拘泥はしないで、二十五年度でもけつこうですけれども、これの訓練に要したところの予算をどの程度要求なさつたか。それと同時に、この会計監督なり、またはその各役所、そのクラスクラスにおいて訓練なさつて、特にそのうち会計検査上の予算は、どれだけ要求なさつて、どれだけ認容せられて、どれだけお使いになつたか、この二つをお尋ねいたします。
  23. 太宰博邦

    太宰政府委員 第一の、会計課として、そういう内部的な監査指導をやつておるというならば、それの概要をということですか、これはあとで御提出申し上げます。  二番目の、こういう職員の訓練のために、予算をどの程度とつておるかということですが、特に今厚生省で訓練予算として内部職員のためにはとつておらぬと思います。ただ当然年に数回の講習会、それから平素事務を通じて訓練をしておるような次第でございます。
  24. 大上司

    大上委員長代理 もう一つだけ最後お尋ねいたします。文部省の不正行為は二件ですが、厚生省は案外事件が多いのです。もちろんその中には、三百幾つかの病院なりそれぞれの機関があるということは了承できるのですが、今渕委員が御質問なさつたと思うのですが、なぜ厚生省はこのように多いのか、これを総合的にお尋ねしたい。  もう一点は、あまりに事件数が多いように私は考えるのです。もちろん病院その他によつて現金を扱う面は多いと思うし、質もあると思うのですが、これは厚生省に限つたことではない、郵政省でも預金部資金を何億円と預かつておるのですが、なぜこういうふうに事件数が多かつたかということを、最後お尋ねしておきます。
  25. 太宰博邦

    太宰政府委員 こういう事件が多いことは、まことに恐縮いたしましておわび申し上げると同時に、今後について対策を講じておるということを申し上げるほかはないのであります。どうしてこんなに多く出たかということは、先ほどいろいろ申し上げましたが、私ども考えておりますところは、どうもこういうようなことが原因の一つになつているのではないか。ただ、今までそういう事故が起きました際に、ただ漫然とあとで抽象的に、しつかり指導しろとか、しつかり訓練せいというようなことでは、やはりきき目がないので、事故が起きましたならば、それはたいへん申訳ないことは申訳ないが、それはそれといたしまして、その事故あとの戒めになるようにそれを活用しなければ、申訳ないのじやないかというような気持で、現在やつておるわけであります。これはむしろ会計検査院の方から申し上げた方がよいと思うのでありますが、ただ私の方としては、申訳ないということを申し上げるだけであります。
  26. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 この事故の点に関して、会計検査院考えておるところを、かいつまんで申し上げたいと思います。  ただいまの厚生省に多いということにつきましては、私としても、的確な理由は申し上げかねるのでありますが、全般に会計職員不正行為というのが非常に多くなつておる。検査院としましても、ただこういう不正行為があつたということを報告申し上げるだけでは足りないので、それを何とかして減らすような制度的な方法を考究する必要があろうというので、いろいろと研究しているのでありますが、まず第一にいえることは、いわゆる出納官吏、現金を扱う責任者、たとえばこの例でいいますれば、大体世話所の所長とか世話課課長というのが出納官吏になつております。ところが、その所長さんというのは、いろいろ事務が繁多で、実際に現金を自分が握つて——判を押して金庫から出し入れするということはあり得ない。そうすると、勢いその下の庶務課長とか会計係長というものに実際の事務をまかせ切り、といつてはひどいのですが、おおむねその方にまかせてしまう。そうすると、会計係長とか庶務課長等の立場にある人は、いわば責任のある出納官吏でないということの気のゆるみがある。そこでつい気持のゆるみからいろいろな不正行為を起しやすい、こういう点に一つの大きな欠陷がありはせぬか。つまり実際に責任を持つて出納し得る者を出納官吏に任命して、責任を負わせるということが必要ではないか、こう考えていることが一点であります。  それからもう一つは、先ほど来お話もありましたが、いわゆる経理の上のチエツク・システムといいますか、一人の人にはまかせ切らぬ。つまり極端にいいますれば、人が多ければ、帳簿を記入する人と、現金を扱う人と、その支払いの支出伝票を発行する人と、それぞれ分担するのがいいのでありますが、人数の都合でそれまで行かなくても、少くとも幾らを支払うということを決定する方の係と、それに基いて現金を債権者に支払う係、この二人はどうしてもないとまずいのではなかろうか。これを一人にまかせておくと、先ほど来のお話もありましたように、そこが一つ不正行為の誘因になるのではなかろうか。行政整理という問題もあります場合に、こうしたことを申し上げるのはどうかと思いますが、会計という立場を考えますと、少くともチエツク・システムが必要ではなかろうかという感じがするのであります。  それからもう一つは、この前、文部省のときも少し話が出ましたが、歳入金をあらかじめ徴収決定をして、どれだけとるということを決定する。そしてそれを通知するのと、それに基いて現金をとるのと、この二段はあくまでも截然とわけて、まずとるべき現金を決定して相手方に請求する機関それからそれに基いて現金を收納する機関、これをわけておかないと、やはりそこに入つて来た金が不当に流用されるというような結果を、来すのではなかろうか。この病院収入の例によりましても、市町村国民健康保險組合とか、そうしたものから金が入つて来るのを、途中でいわば不正に領得するというような事故が長らくわからないでおるのは、結局市町村に対して請求した場合に、あらかじめ納入告知書を発行し、決算帳簿上もこれだけまだどこに取り分があるのだとはつきりしておきますと、いつまでも入つて来なければ、これは入つて来ない、どういうわけかということが帳簿上すぐわかるのでありますが、それが入つて来た分だけが整理されておりますと、入るべき分というものが帳簿上はつきりしないというような点も、将来においては改善されるべきではなかろうかと考えております。  なお、どういたしましても全般的な問題としましては、会計官吏の資質が低いということを痛感するのであります。先ほど戰後云々ということがありましたが、戰後に採用されたということではなくして、戰後の職員の気持の弛緩といいますか、それが一つの原因だろうと思うのであります。これに関しましては、会計検査院といたしましても、どうしても会計官吏の資質を向上するために、訓練機関が必要であるということを痛感いたしまして、昨年内閣総理大臣及び大蔵大臣にあてまして、会計官吏のいわゆる研修機関を設ける必要があるということを強調いたしまして、その結果は、たしか昨年からも少しは行われているのでありますが、大蔵省が中心となりまして、各省各庁の会計官吏を三箇月にわたつて訓練いたしまして、そしていわゆる会計の知識を深くたたき込むと同時に、責任観念の高揚をはかるというように、研修を設けているような次第であります。こうして制度をチエツク・システムに持つて行く、あるいは責任を持つて現金を処理し得る人間にその責任の地位を与えるような制度的な改正と、この訓練といいますか、この二つによつて、将来はだんだん減らして行くということよりしかたがないのではなかろうかと考えておる次第であります。
  27. 渕通義

    ○渕委員 今の御高説は、まつたく拜聽いたしたのでありますが、もつと根本にさかのぼつて考えてもらいたい。ということは、会社の場合の経営システム、特に会社の場合の責任所在ということは、会社におきまして、もしかりに不正事件があつた場合におきましては、株主に対して申訳ないという立場から重役が責任をとる、こういうことになりますから、われわれ重役というものは簡單に盲判を押さないという結果が生れて来る。しかるに、日本の今日までの役所のあり方を見てみますると、大体気の毒なのは、悪いことをしたのだから因果応報だといわれるかもしれませんが、その実際に行つた責任者を処罰いたしまして、それを監督いたしておるところの人は、いまだかつて処罰された例はないと思う。たとえば局長が——おそらく局長は、自分の首に関することであつたならば、夜も寝ずに勉強をし、また会計を監査して、一応未然にこういう災害を防止するだろうと思う。(「総理大臣もだ」と呼ぶ者あり)今井之口さんが言われるように、総理大臣まで責任をとるならば、これは何をかいわんやでございますが、大臣まで責任をとつてもらいますと、りつぱな社会が生れて来る。私は大臣までは要求はしませんけれども、少くとも監督者である以上は、局長さんぐらいまでは一応まくらを高くして眠れなくてもいいから、それくらいの御心配をされてこそ、初めて公僕たるの務めが果せるのではないか、私はこういうように考えておりますが、大澤局長の意見とは食い違つておりましようか。それがほんとうじやないか、いかに会計官吏の質が向上いたしましても、その人自身において責任が断絶いたしまして、上まで行かなかつたならば、これはおそらく、石川五右衞門じやないが、永久に絶えないと思われるのであります。
  28. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 先ほど現金を扱い得る人間責任を持たせると申し上げたのは、いわゆる出納官吏というものは、ほんとうの責任を持たせる場合は、実際には現金を扱う地位にある人に持たせる必要がある。ただいまのお話は、懲戒とかそういつた場合の責任の話であると思います。これは行政上の問題になりまして、会計上の問題とちよつと離れると思いますが、これはもちろん部下に一つ不正行為が起きた場合に、その所轄長が行政上の責任を問われるということは、当然ではなかろうかと思います。現実におきましても、部下に不正行為があつた場合は、その所轄長が行政上の懲戒処分を受けておられるのが、今までの例ではなかろうか。お話のようにそれが本省の局長、課長に及ぶかどうかということになりますと、私ここではちよつとその間の監督関係というものを明らかにいたしませんので、申し上げかねるのでありますが、少くとも不正行為を起した箇所の所轄長は、何らかの処分を受けておるものと思つております。
  29. 渕通義

    ○渕委員 やはり本省の局長さんまで責任をとられるような態勢に持つて行きますと、局長さんに対してははなはだ気の毒ですけれども、もう少しは明朗になりはしないか、その点の御意見はどうですか。
  30. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 その点になりますと、いわゆる会計検査院が発動するところの懲戒処分——これはまあ法律の規定がきゆうくつだといえばそれまでですが、会計官吏に対する懲戒が規定されておるのでありまして、いわゆる行政上といいますか、監督上の責任の規定がありませんので、会計検査院としての意見はちよつと申し上げかねますが、個人といたしまして、考えますれば、まあ責任の程度にもよりますが、もちろんその監督の衝に当られる方が責任を痛感されることは当然であると考えます。しかし会計検査院としては、先ほど申し上げましたように、会計上のことに対してでありますから、その点でご了承願いたいと思います。
  31. 渕通義

    ○渕委員 最近の事例を申しますと、相当大きな額、何千万円ということまでも大体新聞に報じられている。そういつた場合、何千万というのは、個人財産にとりましては大きい金ですが、国家財産にとりましては小さい金です。しかし何千万になるならば、これはやはり次官ぐらいまではきずを受けるのがいいのではないかと思つております。これで打切ります。
  32. 田中不破三

    ○田中(不)委員 簡單に大澤局長さんにお尋ねをいたします。  まず第一点は、先ほどのお話にもあります通りに、出納官吏というのは非常に重要な責任であります。これにつきまして、責任をとらすことについて、非常にきびしいのでありますが、これを遇する道を心得ていない、あるいは十分でないということにつきまして、この前の国会のときにも、幸いに検査院長が見えましたのでお尋ねしたのであります。検査院長も非常に同情を持つて、何とか遇する道を講じたいというふうな御答弁でございましたが、その間すでに数箇月を経まして、来年度予算もすでに編成されかけておりますし、あるいはほとんど編成されておりますししますが、その間にこの金銭出納官吏はもとより、あるいは出納員という名前の者もありますし、また物品関係の出納官吏、あるいはその関係者というものを遇する点において、どういうふうな方法を講ぜられたか、どういうふうな方法で他の関係省と折衝されたか、それをこの次の機会でよろしゆうございますから、検査院ならば、御答弁願うてけつこうであります。  それから次に、先ほどのお話で、今の会計を扱いますについてのやり方としまして、命令者、執行者という二つの筋から出て行くのがよかろうと思うというふうなお話がありましたが、これは私もその方法がよろしいと思います。一方に命令者があり、それを執行する者がある、これで初めて両建の出納会計というものができて来る。この点もけつこうだと思います。ただ、それにつけ加えて、今度は監査という制度、これがただいまどういうふうになつておるか、現業の会計の方面、あるいはその他の方面、いろいろとやり方が違つておるかもしれません。それを大元締めとして検査院が最後検査の仕上げをしておられるということはわかるのでありますが、その内部における監査のやり方、これがただいまどういうふうになつておるか、幸い厚生省の方がただいま見えておられますから、厚生省のやつておられる方法を、少し詳しくお話願えればけつこうであります。各省ともに、自己検査というものをどういう程度に、どういう方法でやつておられるか、この点をお尋ねしたいのであります。  その次に、この報告書を見まして全般にわたつての問題は、やはりこれを使う側、つまり予算なら予算を使う側あるいは補助を受けてその工事をする側、つまり各省なりあるいは地方庁なり、あるいはその仕事をする工事請負人、こういうふうな予算を使う側、そうしてまたそれを使うことによつて、実際に工事をする側というふうな方面で、実際に自粛をしなくてはならない。まず心の持ち方をかえるということが、一つの大きな問題であり、今までのようなやり方——まあ新聞紙上で行政監察の委員会模様を見ましても、接待だとか、あるいは饗応だとかいう方面に多額の金を使つている。従つて、勢い工事のでき模様に影響を与えて来るというふうで、非常にむだな費用が出たために、勢い全体の工事予算が不正に使用さゆる、不当に使用されるという結果が起つておるのであつて、これについては、もとより監査ということも必要であるが、一方にはそれらの当局者が自粛して行くということが必要であろうと思うのであります。幸いに仄聞しますと、あるいは建設技術協会というふうな方面でも。自粛運動を起されるやに聞いております。そうして一方に自粛運動を起されるとともに、ただいまの予算編成あるいは予算使用方法についての不当な点についてはこれを改正するように、当局者に要求したいというふうな運動を起されるやに聞いておるのでありますが、これはまことにけつこうなことでありまして、旧来のやり方に落ちずに、新しいやり方で工事あるいはその他の予算の使い方を上手にやつて行こうということについては、まことにけつこうなんでありますが、そういうふうな民間からの自発的な運動が起つて来る場合に——もつとも、ただいま民主的な時代でありますから、それを放任して民間団体にまかせておいてもいいわけでありますが、こういう機会をつかんで検査院側としてあるいは各省会計当局者として、この運動に対してどういうふうな方針を立て、助成して行くとか、助長して行くとか、後援して行くとかいうふうに、いろいろとその運動を助長する方法があると思いますが、これに対してどういうふうなお考えを持たれるか、これも大澤局長だけでは、あるいは十分な御意見をお述べになるわけにも行かぬと思いますが、これはまた後日の御答弁でけつこうであります。以上三点についてお尋ねいたします。
  33. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいまの田中議員のお尋ねに対して、私の了知しておる限りにおいてお答えいたしたいと思います。  まず第一点の、会計官吏が責任の点は追究されるが、これに伴う地位の優遇がないことに対してどうかというお尋ねであります。しごくごもつともでありまして、会計検査院といたしましても、昨年予算執行職員等の責任に関する法律が出まして、ますます会計官吏の責任が加重された。それに関しまして、会計官吏に対する何らの地位の優遇がないということは、はなはだ遺憾であります。これは検査院もそう思いますし、各省会計担当職員の方の一致した意見であります。それで、会計検査院といたしましては、もちろん自分のところでは、予算編成するというような権限は何もないのでありまして、結局政府当局に申し入れるということ以外に方法はないので、先ほどちよつと申しました昨年会計職員の研修機関を設けろという意思表示を内閣総理大臣及び大蔵大臣に対して発しましたときに、その内容におきまして、資質の向上をはかつて、その職員の、いわゆる向上された職員の地位に相当する優遇をする必要があるということを申し入れてある次第であります。それに関しましては、遺憾ながらまだ具体的な方策が講ぜられてはいないのでありますが、これからももちろん会計検査院といたしましては、会計官吏の優遇ということが必要であることを痛感しておりますので、またときに触れ、その問題が生じて来るだろうと思つております。なお私的には院長などから大蔵省主計局長その他に、そうした点の申入れも口頭ではしております。それからなお人事院の会計職の格づけというような場合にも、会計職というのは、一般の職よりも上級に置くべきではないかというような会計検査院の見解を、人事院の方にも申し入れたというふうな程度が、最近における検査院としまして会計職員の優遇に対してとつた処置であろうと記憶しております。  それから、次の内部監査の問題であります。これは会計検査院の立場から申し上げるのは、ちよつとおかしな話でありますが、最近地方検査に出ますと、監査機構が非常に重複している。何か一年中監査を受けているような感じがする、何とかならぬものだろうかという話が、ちよちよい出先で聞かれるのであります。これは御承知の通り大蔵省の財務局が会計法の四十六條でありましたかの規定によりまして、予算執行上の監査をする。それから経済調査庁がまた別の見地から監査をする、その他いろいろな監査機構が重複する、何とかならぬだろうかという話が、われわれのところへも来ておるのであります。また検査院といたしましても、これは何とかその監査機構の統一が必要ではなかろうかというので、いろいろと具体的には出ておりませんが、内部の話としましては、何とかこうした機構を統一する方策はないかという点、あるいはなければ、そのいろいろな監査機構を何とか申し入れて減らして、監査を受ける方の負担を減らす必要があるのではなかろうかというような点、こういうような点が内部的ないろいろな話題には載つておりますが、まだこれに関しまして、検査院として具体的に意思表示をしたことは、ただいままでのところはないと記憶しております。  それから第三点の、いわゆる工事費などの付掛けが多いのが、結局接待費などに流用されておる点が多い。検査しました結果の報告を見ましても、遺憾ながらそうした事実は非常に——非常にと申しましては、あるいは語弊があるかもしれませんが、間々あるのであります。一昨日でしたか、行政監察委員の方にも、検査院の第四局長が一応発表しておりますような事故もあります。その他にもあるのであります。それで検査院といたしましては、これを絶滅するにはどうするかということに関しまして、検査院の立場だと、そうしたことがあつたのをあくまで取上げて、こうした架空な支払いがあるということは妥当でない、不当であるということを検査報告に掲げまして、そうして国会の議員の皆さんの御審議を仰ぐということがどうしても先決問題でありますから、そうした事項は、いやしくもそれが個人のふところに入つたものでなくても、一応検査報告に掲げようということで現在やつております。  なお、これは私的な見解で恐縮でありますが、こうした事故が多いのは、結局ある程度の儀礼的な接待をするところの予算さえないという現在の状況が、多少は影響して来るのではなかろうか、もう一つ考えますことは、現在の公務員の旅費——旅費のみならず、給与というものが、昔のいわゆる戰前の物価に対する旅費及び給与というものに比較しまして、非常に低率になる。そのために、ややもすれば何とか国費のうちの一部を捻出して充てようというようなことになるのではなかろうかというような感じがいたします。もつとも、これは私個人の感じでありまして、検査院としてそういうことを確認したわけではありませんが、そうした気持もいたしますので、でき得ればそうした点も同じ予算の中で、全体の予算を動かさずにやるとすれば、そうした方に多少予算を増加して、しかる後に、いやしくも帳簿上の相違のあつたものは、全部現在の処置以上に強く、あるいはそうしたことをやつた者は、すべて解職するというような断固たる処置をとるようにして、まず与えるものを与えて罰すべきものを罰する、こうした方法を強硬に進める必要があるのではなかろうか。最後の点は、私の私的な見解でありまして恐縮でありますが、ただいまの御質問に対する御答弁にいたします。
  34. 田中不破三

    ○田中(不)委員 御答弁ありがとうございました。今御答弁になりましたお考え方は、われわれとしましても、いずれもけつこうだと存じます。ただ残念なことに、それがなかなか実行に移りにくうございます。これは、何もただいま初めて質問したわけではございません。長年の間決算委員会では絶えず応答が繰返されておつたものであります。そうして、いまだにまだ十分なる解決を見ずにおる問題であります。第三点につきましては、今後とも検査当局が主体となつて会計適正の立場から各省に呼びかけ、政府に呼びかけられて、十分ひとつお考えのようにぐあいよい解決を見るようにお願いをしたいと思います。これで私の質問を終ります。
  35. 高橋權六

    高橋(權)委員 今田中委員さんから、非常に熱心なお尋ねがありましたから、重複するのはやめまして、ただ不正工事についてでありますが、今後当局は、病院なんかの建築については、永久的な建物に注意して行かれる御意向があるかどうかという点。それから医は仁術をとうとぶという。今日入院している患者が、大震火災、暴風なんかで家が動いて、寢ている病人がだんだん熱が上つたというようなことがありますが、そういうようなことについても、より以上の注意を払われるかどうか。大震火災というと地震とか火事だとかのことです。鉄筋コンクリートみたいな永久建物といつたら、こんな白堊館のようなものですが、そういうことに注意をしておられるかどうか。特に今日、病院を廃止してはいけないとか、廃止するとかいうような意見が出ている際において、こういう不正行為が巷間に伝わるようになると、信用しなくなる。しかし私どもは、あくまで病院というものは多数の力、たとえて言うならば、電力を九断したためにへんてこになつていけないように、病院というものは協力でやつているのですから、機械の設備その他十分できる、そういう際において、あまり病院その他が信用のできないようなことがあると、はなはだ私は心細くなると思う。皆さんもそうだと思うが、たとえて言うならば、厚生省「コウシヨウシヨウ」と言わなければならぬのを「コウセイシヨウ」と言うから、こんなことになるのではないか。学問上から言うと「コウシヨウシヨウ」と言わなければならぬ。皆さんが「コウセイシヨウ、コウセイシヨウ」と言うから、「オイカヨサン」と同じような意味で言つているのはそういうことです。そんなことはどうでもいいが、最も大切なところの病人というものは非常に神経質になつている。一に看病、二に薬と昔から言われているが、薬よりも看病の方が、感情を高ぶらしたために熱が上つて、助かる病人が死んだということもある。そういう点についてひとつ。  それからもう一つは、会計検査院としても、先ほど田中委員からいろいろ質問されたようでありますが、そういう立ち入ることはできない、金ばかり言うのは、これはただ物質にのみ走ることで、一番大切なのは、世の中には三つの富がある。何であるかというと、物質の富——非常に大きな邸宅に入つてつて、十分な食べもの、ごちそうを食つて、下女、下男も置いて暮らしている、これが物質の富。めかけなんかを置くのは余分なものだが、とにかく子供も無事に学校に行く、これが物質の富。その次に大切なものは二つの富、すなわち兄弟故なきは幸福であるといつたような、それが第二。一番大切なものは精神の富である。精神の富があれば、あの人は物質的な担保がなくても貸してくれるというようなことになる。そういう点から、ただ金目のことのみ検査すれば検査院は足れりということでは、私はいかぬと思う。私らもそういう意味で働きたいが、会計検査院としてもそういう面に立ち入られるような方法のできることに御努力になるかどうか、その点ひとつお伺いしたいのであります。長くならぬように、ちよつとそれだけお願いいたします。
  36. 太宰博邦

    太宰政府委員 最初に私の方からお答え申し上げます。ただいまじゆんじゆんとお話ございましたが、病院の建物などがしつかりした建物になつているかどうか、そういう点の心がけはどうであるかというようなお話かと思いましたが、申すまでもなく、御説のごとく病院は患者を入院させ、そこで治療を加えて出す。その間はそこに生活を送らせるわけであります。しかも入ります人が身体に故障のある人たちでありますので、よけいその人たちに対してはあたたかい注意をしなければならぬことは申すまでもありません。従いまして、病院の建物などをつくります際に——これは何事によらず同じこととは存じますが、特に病院などにつきましては、十分にその建物の構造、それの耐強度というようなものに注意をして建てねばならぬことは、申すまでもないことであります。私どもその点については、できるだけのことを、予算の許されます範囲のところで注意をいたしております。ただ何を申しましても、現在全国に病院、療養所等三百ほどの施設がございますが、中には戰時中、軍から引継いだようなものがございます。こういうものは戰争当時に建てました建物あるいはそれ以前の古い建物でございまして、今日から見ますと、早く手入れをしなければならぬものもあるいはあろうかと存じます。皆様方御視察においでになりました際にも、そういう点を御発見になつたところもあると存じますが、ただこれもほんとうを申せば、即刻全部改めてがつちりした建物にし、安んじて入院治療してもらうということにいたすべきだと存ずるのでありますが、財政との関係もございまして、私どもの方でそれの緊急性の度合いをはかりまして、必要やむを得ざるものから優先的にこれを許しているわけであります。今後ともその方面にはさらに注意して参ろうと思つております。
  37. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいま高橋議員の御質問でありますが、御意見ごもつともと思います。要は結局会計職員の精神をゆたかにさせるという方向へ、会計検査院としても一部の力をいたすべきではなかろうか、こういうような御趣旨と思います。御説の通りに、金銭を扱つております上には、やはり心のゆたかさということが、一番不正行為を自粛するといいますか、自制する原因になりますので、お説もありましたが、また検査の上にも、いろいろな持ちかけ方としましても、そうした方面を十分留意して参りたいと思います。なおそれよりももつと根本になることは、監査に行くわれわれ検査院の職員がもつとそうした面に訓練を要するということを痛感しておりますので、その点は内部におきまして検査の上の何と言いますか、人格的な訓練ということにつきましては、十分な留意をして、たえずみんなを集めてその点は申している次第であります。
  38. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 私は四六八号に関連して、政府補助金を与えて国民保險診療所をつくつておる。その診療所がはたしてその目的通りにことごとく使われておるかどうか、もしも使われておらなかつた場合には、どういうお考えでおられるか。私ども聞くところによると、診療所ができてから、あるいはお医者さんの雇入れもできない、また雇い入れてもその経営が成り立たないので、月給も払えない。従つて、場合によつてはその診療所を売り払わなければならぬとか、あるいは村によつては他の方面に使つておるというような実情もあるように伺つております。そうした場合において、どういう処置をせられるのか。政府はここにおいて補助金の申請があつた場合は、そうしたことに対してあまり調査もせられないで、ただちにそうしたことに補助を与えておるのかどうか、こういうことについてお尋ねしてみたいと思います。
  39. 太宰博邦

    太宰政府委員 ただいまの御質問でございますが、もちろん国民保險の診療所をつくりますという申請が参りました場合には、まず地方の府県において、その現地の模様を十分に調べて参ります。こちらの方もそれと府県と連絡をとりまして、はたして必要であるかどうか、それから実現した後の見通しがついておるかどうかということまでも調べてやつておるのであります。ただ御承知の国民健康保險と申しますものが、非常に最近は財政的に苦しくなつて来ておりまして、それがために、みんなやりたいけれども、資金が続かないというようなことからして、一時休止というような悲境に陷つておるところも間々ございます。それから国民保險をやつてみたところが、お医者さんが得られなかつた、あるいはお医者さんはおつたが、あまり待遇がよくないとか何かのことで、ほかへ行つてしまつた。そのためにあとに適当な後任者が得られないというので、困つておるところもございます。私といたしましては、この国民健康保險というものが全国的に普及して行くことは、国民の保健生活上非常にプラスになる、かように信じておりますので、これが健全に発達して行くことは、非常に望ましいことであり、政府としても、そのためには極力これを応援しなければならぬ立場にあると思うのであります。それでもちろん、当初からこの保險が成り立たぬにもかかわらず、何か一つの欲望か何かでもつて申請して来たというような不純な動機のものは、認めるつもりはございませんし、またゆえなくその診療所をほかの方へ転用するというようなことは、私どもとしては認めるわけには行かないと思います。ただ向うが非常に国民保險をやりたい、地元側も熱心に努力しているにもかかわらず、いろいろな情勢からそれが思うように発展しないということは、こういう時代でございますので間々あることと思います。その場合には、十分にその相談に乗り、指導すべき点は指導して行きたいと存じております。たとえば医者が得られないという場合には、それはどういうところに間違いがあつたか。たとえばどこかの大学と話をして、そこの大学から向けてもらうようにしたらどうかというような点を、はたして考慮したことがあるかどうか。そういう点をあつせんもしてやるというようなこと。それから国民保險の財政が赤字のために一時休止するというようなことになりますれば、その原因をつまびらかにいたしまして、それは経理が悪いためかどうか、あるいはそういう方面に原因があるのではなくして、今日の情勢ではどうしても政府でもつて一部の負担ということを考えてやるほかはないのじやないかということになりますれば、そちらの方面の努力を重ねる。現在私どもは、そういうような方面に努力しておるわけであります。極力国民健康保險が健全に発達して行くという方向において、これの相談にあずかり、指導もし、また監督も加えて行きたい、こういう方針で現在やつております。
  40. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいまのお話によると、こう心得てよろしいですか。地方の実情によつて、経営が成り立たない、給与等ができ得なかつた場合には、やはり補助を出して診療所をつくつた目的を達成するために、さらに政府は何らかの方法を講じて、ぜひその目的を達成せしめるように、考慮いたしたい、こういうお気持であるようにただいま伺つたのですが、そういう御意思なのでございましようか。
  41. 太宰博邦

    太宰政府委員 大体これは財政との問題にからんで来るかと思うのでありますが、私どもといたしましては、極力国民健康保險が健全に発達して行く方向においてこれに努力して行きたい、かように思つております。
  42. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 そうすれば現在国民保險の診療所のうちで、どうしても財政が成り立たぬ、やむを得ない、別途に利用しようというようなことを申し出ても、それは考慮せられないで、あくまでも目的通りに進まれるというお気持でございますか。
  43. 太宰博邦

    太宰政府委員 その通りであります。
  44. 井之口政雄

    ○井之口委員 職員不正行為に因り国に損害を与えたものというこの項目をちよつと調べて見まするに、これは会計検査院からひとつ御返事願いたいのですが、大蔵省は何といつてもチヤンピオンだ。国税局の方で約二千二百八十万円、それから財務部でもつてこれが二百四十七万円、それから終戰処理の関係が、またこれがでかくて八百七十五万円、それから文部省関係で約四百八十六万円、厚生省関係は、むしろこれは終戰処理費のところや、特別調達庁のところよりは少うて六百七十三万円というふうになつております。しかるに、農林省の方はまだ入つておりませんが、大体これを見ますると、通産省がちよつと出ているし、あと郵政省が少し出ておるくらいでございますが、これに出ていないようなところは、会計検査院では検査されていらつしやらないのでありますか。そんなはずはないと思うのですが、これで一省当りたいがい五、六百万円見当の不正事件が出ておるようであります。これを大体年度にわけてみますると、二十二年、二十三年、二十四年というふうに、年代がたつて行くに従つて、これが増加して行つておりますか、あるいは減つて行つておりますか。またその間に起る犯罪の傾向というものは、どういう特色をもつて進んで来ておるか。会計検査院では、これを調べるのに手数が不足のような状態になつておるのじやなかろうか。これらの点についてお尋ねいたします。
  45. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいまの井之口委員の御質問でありますが、農林省はないというお話でしたが、農林省もあがつております。二件ほど、一千万円ほどあがつております。大体において傾向といたしまして、ふえておるか減つておるかというお話でありますが、終戰後二十二年、二十三年、二十四年の傾向を見ますると、二十四年度の方がふえて来ております。そして、このほかにあるのではなかろうかというお話でありますが、会計検査院検査し、あるいは了知しましたものは、それがすぐ回収されておるものは別といたしまして、大体細大漏らさずあげるという方針で行つております。これ以上あるのじやなかろうかという御質問には、こちらが全部詳細にわたつて調べたのでありませんから、ないという断言はできませんが、少くともわかつていない、判明していない、言葉はおかしいのでありますが、検査院としては了知していないというように御了承願いたいと思います。
  46. 井之口政雄

    ○井之口委員 先ほども、こうして次第に増加して行く傾向について、仕事がきつくなつて来たというふうな厚生省からの御返事もあつたようであります。それから会計検査院の方からも、質が悪くなつたために、こうした事件がふえて来ておるのじやないかというような御返事があつたようであります。してみると、これはやはり一般官庁に勤めていらつしやる方々のベースの問題と、非常に密接な関係にあるのじやなかろうか。ベースが正当な、人たるの権利が憲法によつて保障されておるにかかわらず、それがやはりなかなか困難であるような低賃金が支払われておるというような点から、教養を積むこともできず、さらに最近はアメリカ式の職階制で、ぎゆうぎゆう仕事の負担が増加されて来る結果、こうした不正が増加して来る方向へ向つて来るのではないかと思うのでありますが、そういうふうなことに対して、厚生省では、今仕事関係でどういう実例があるか、ちよつと話してもらいたいと思います
  47. 太宰博邦

    太宰政府委員 私は不正行為の項目に関しまして御説明の際に、仕事が非常にきつくなつたということを申し上げたのではございません。あるいはそういうふうにお耳に入つたかもしれませんが、それなら訂正しておきます。仕事がきついために、やむを得ず犯罪を犯したということは、申し上げたのではございません。全般的に考えまして、今の官吏の仕事がひまであるとは思いません、相当きついことはきついと思います。しかし私どもは、今日の日本の置かれております状態から考えまして、いたずらに自分の一身のことだけで議論するばかりではなしに、やはり国全体がそういう立場に陷つておるということも、考えまして、自分のできます限りは御奉公する、そうして国民の負託にこたえたい、こういう気持でやつております。ただ、たまたま大勢の職員の中のごくまれな者でございまするが、こういう事故を引起しましたことにつきましては、非常に申訳なく感じておる次第でございます。
  48. 井之口政雄

    ○井之口委員 個人としては、みながまんしているというふうにも聞えるのですが、客観的に見て、個人に与えられておる仕事の分量というものが非常に多くなつて来て、たとえば、一人でもつて金の出し入れもやらなければならぬ、記帳もやらなければならぬというふうになつて来るために、こうした不正が起るのではなかろうか。何も個人的なあなたの決心、心構えを聞いておるのでなくて、実際客観的に、仕事がそういうふうに折り重なつて来ているのではなかろうかということを聞いておるわけであります。たとえば、人事院からのいろいろな勧告が、給与の面でも出ているようでありますが、政府は人事院からの勧告通りにやられておりません。それでもあなたのお考えでは、現在の給与でりつぱだ、決してわれわれは困難していないというふうなお考えなのですか。
  49. 太宰博邦

    太宰政府委員 最初の方の、旭川の世話所事故が起きました際には、本人が徴収の決定をするような係であつて、またそれに現金も同時に扱つてつた。その御説明の際に、人数が少かたために同じ人間に二つの係をやらせておつた、こういうことも間違いの原因じやないかと反省しておるということを申し上げておつたのであります。もちろん職員の数はそう潤沢でありませんので——おそらく潤沢であつたならば、こういうふうに一人の者にさせなかつただろうと思いますが、しかし経理の事務というものについて十分考えましたならば、さような場合におきましても、やはりこの事務は二つにわけて、甲という人間と乙という人間にわけてやるべきものではなかつたろうか、そういう意味で私は言つておるのです。現にこの問題が出ましたあとは、さつそくそういうふうに改めまして、経理事務に関する限りは、少くとも一人が初めから終りまでやるということは、絶対に避けるようにということで、現在やらせておるわけでございます。  それから現在、客観的に給与が、人事院から勧告が出たにかかわらず、なかなか政府が実行しておらぬ、それでもしんぼうできるかという話だつたと思いますが、これは私どもが答弁申し上げるのもどうかと思います。これもやはり国の財政全般との関連もございますし、少くとも今日私ども官吏の心構えといたしましては、できるだけの御奉公はするつもりでおるのでございます。
  50. 井之口政雄

    ○井之口委員 厚生省ちよつとお聞きしますが、結核予防法が通過しても、ずつと地方の方をまわつてみますと、まだ適用されていないようです。なお、あの当時十三万床くらいの設備しかなかつたといわれておりましたが、そういうものはその後どんなふうに進んでおりますか。
  51. 太宰博邦

    太宰政府委員 ちよつと本日資料を持ち合せませんので、記憶のあるところでお答えいたしますが、結核予防法が先般改正になりまして、今年の四月から、医療に関する国庫負担の面は十月から適用になつております。こういう際でございますので、最初から完璧な実施というまでには、あるいは至らなかつたところもあつたかと思いますが、全般的には、大体逐次順調に行きつつあるのではないか。また私どもとしては、現在そのように指導しておるつもりであります。ベツドの数も、これは大体終局の目標は十九万床でございます。これを大体五箇年ぐらいの間に何とかして実現したいということで、現在努力しておる次第であります。
  52. 井之口政雄

    ○井之口委員 なお日本の療養所並びに病院で、朝鮮事変以来、アメリカの兵隊の収容に使用されておるものがどれくらいになつておるか。そのために日本の病院が不足しておるような結果には立ち至つておらないですか、どうですか。
  53. 太宰博邦

    太宰政府委員 現在ないそうでございます。
  54. 井之口政雄

    ○井之口委員  一つもない。
  55. 太宰博邦

    太宰政府委員 はい。
  56. 井之口政雄

    ○井之口委員 そうすると、あの使われておるのはどういうわけだ。アメリカが新築したのか。うそをついておる。
  57. 大上司

    大上委員長代理 井之口君いいですな。  これにて厚生省所管の審議は終りました。     —————————————
  58. 大上司

    大上委員長代理 次に農林省所管に進みます。  あらかじめ審議の順序を申し上げておきます。農林省当局者の出席も考慮いたします関係上、便宜批難事項を部局別にまとめまして、まず農地局、食糧庁及び林野庁関係の順に審議を進めますから御了承を願います。また政府側並びに検査当局に申し上げますが、時間の節約上、その説明検査報告書並びに説明書に記載してあることは、重複の点はこれをなるべく省略せられ、記載のないことにつき詳細にいたされんことを望んでおきます。  それでは報告書一〇九ページ、農林省関係、一般会計、未収金、報告番号四七九、農業水利費分担金の徴収処置当を得ないもの、本件につき農林当局説明を願います。
  59. 櫻井志郎

    ○櫻井説明員 批難事項の四七九番に対してお答え申し上げます。四七九番の農業水利費分担金の徴収処置当を得ないもの、そのうちの徴収決定のないものにつきましてお答え申し上げます。  本年の七月末現在の調べによりますと、調定済額が七千九百三十三万二千二百八十三円、そのうち収納済額が四千九百四十一万九千八百八十六円、収納未済額二千九百九十一万二千三百九十七円、調定未済額がなお八十万円残存いたしております。これにつきましては極力努力をいたしております。  なお徴収決定をいたしましたが、収納に至らないものという項目につきましては、調定済額が一億七千百二十五万八千三百六十五円でありますが、そのうち収納済額が八千五百五十九万九千九百十九円でございまして、七月末現在で八千五百六十五万八千四百四十六円の収納未済額を残しております。これにつきましても、目下極力努力をいたしております。今日なおこれだけ残存いたしておりますことにつきましては、まことに申訳ないと思つて極力努力を傾注いたしております。  予算の使用当を得ないものの項目で——四八〇番でございます。本水利事業は、二十三年度に国営事業として採択されたものでございますが、計画上、まことに遺憾でございますけれども、技術的に再検討を要する面がありまして、鋭意研究の結果、全体計画が確立を見ましたので本工事を実施することができるように相なりましたが、施行の遅延を来しましたことは遺憾のきわみでございました。当時の責任者に対しましてはそれぞれ嚴重な注意を与えました。  四八一——本件につきましては、二十二年九月、農番開発営団の閉鎖に伴いまして、大規模国営開墾事業として国に引継がれたものでございますが、当初計画といたしましては、開田三千町歩、開畑五百町歩、こういう計画をもちまして、この開田に要します水利を、毎秒二百立方尺を通水する断面の計画で工事をやつてつたわけでありますが、二十四年四月、計画を再検討、縮小いたしまして、開田二千町歩、開畑千町歩ということに計画を変更いたしました。従いまして通水量は百五十個をもつて足りるということに相なつた次第であります。この計画変更は、全地域七千五百余町歩に対する実地測量と、適地の嚴重な再選定と申しましようか、そういうような検討をもちまして変更いたしたわけであります。従いまして結論的に申し上げますと、設計変更後からいたしますと、不用な工事を一部やつたことに相なりまして、まことに申訳ない次第であります。言うまでもなく今後かようなことのないように十分注意いたしますとともに、当時の責任者に対しましては嚴重な注意を与えております。  四八二番——これは広島県芦田川沿岸農業水利国営事業でございます。地元の熱烈な要望によりまして計画され、国営事業として採択されたわけでございますが、その後水没予定地の住民の補償問題に関する反対等がございましたために、年次計画の内容の工事の一部の遅延及び工事箇所の変更、及び技術的に見ますと相前後したような実態を招来いたしましたことは、まことにこれも遺憾のきわみでございます。十分警告を発しまして、今後かようなことの起らないように努力をいたしております。  四八三番——同じく開発営団の閉鎖に伴いまして引継ぎました事業でございまして、立小野工区と野井倉工区とを合せまして、全体計画として施行いたしております事業でございます。当時野井倉工区は墜道の全体計画を実施するためには、予算的にも相当困難なことでございますので、その工事を重点的に施行いたしまして、一応の通水を見ましたために、その年度として計画を持つておりませんでした立小野の方に経費を流用いたしたものでございまして、御指摘のごとき結果を招来いたしましたことは、まことに遺憾でございます。十分注意をいたしたいと考えております。  次は四八五番を申し上げます。本工事の内容は、土工延長千五百十三メートル、巻立延長が同じく千五百十三メートルの土工工事とコンクリート工事を相伴うものでございますが、寒冷地帶でございますので、時期的に工事が非常に不利な状態になり、また極寒期もあえて工事を遂行いたしますことは、その工事が技術的に十分なる強度、耐久力を持ち得ない工事になるという関係上、万やむを得ず年度を越して事業を延長した次第であります。規定から見ますると、当然これは不可能でございますが、現場といたしましては、やむを得ずかような措置をとりました次第であります。かようなことが再びないように、当時それぞれ嚴重な警告を発しました。  四八六番でございますが、これは率直に申し上げまして、当時工事の直接監督をなしておつた者及び竣工検査をなした者が、ともにこの問題につきまして、その欠陷を正面に表面に出さなかつたことにつきましては、私どももまことに慚愧の至りに考えております。しかしその後当初の設計と同程度の強度を持たせる自信を持ちまして、追加補強の根固めの工事をただちに実施させたわけでありますが、いずれにいたしましても、特に本件につきましては、まことに申訳ないと存じております。当時の責任者は退職いたしました。なおそれぞれ関係者にも、嚴重な注意を与えております。
  60. 野田哲五郎

    ○野田説明員 四八七につきましては、開拓者の住宅に関します補助金を、開拓者の組織します埼玉県開拓生産農業協同組合連合会が一括受領いたしまして、それを自分の事業資金に暫時流用しておつたわけでございます。かような件を検査院から御指摘いたされまして、まことに恐縮に存じております。ただちに家はつくりまして、この処理はつけたのでございます。しかし県開連が開拓者のために補助金を代理受領いたしまして、これを事業資金に一時流用したということは、まことに遺憾でございまして、この組合の経理指導につきまして、われわれとしては十分なる監督を加えねばならない、かように思つております。また組合連合会につきましては、月々試算表をとりまして、この監督を嚴重にしておる次第であります。
  61. 大上司

    大上委員長代理 次いで報告番号五〇二、開拓者資金融通特別会計、この項につきまして御説明願います。
  62. 野田哲五郎

    ○野田説明員 この件につきまして御説明申し上げます。これは開拓者の資金の一部をもちまして、こちらの指定いたしました炭カリ、家畜、農機具等を購入いたしたのでありますが、その取扱い機関が、ただいまの埼玉県の開拓生産農業協同組合連合会でありまして、これがまた資金を受けまして、事業資金に転用しておつたという問題でございます。ここにおきましては、事業の運営が不如意でありまして、いわゆる焦げつきを来しておりますが、われわれの方で計画いたしました物資購入の事業は一応完成しておりまして、ただ業者に対します代金の支払いと、開拓者に対しまして返還すべき剰余金の支払いが遅れておるわけであります。これは現在焦げつきの状態になつておりますので、先ほど申しましたように連合会の経理の指導監督を嚴重にいたしまして、今後かようなことのないように努めつつある次第であります。
  63. 大上司

    大上委員長代理 次いで検査番号四八四、経費の年度区分をみだつたもの——これについて説明を求めます。
  64. 増田盛

    ○増田政府委員 四八四の件は、現在農林省が霞ケ関で使用しております庁舎の一部でありますが、当時庁舎が狭隘であり、他に移転する場所がないというので、二十年度末になりましてから予算の流用が起きた関係で、こういう結果になつたのであります。当時非常に期間が短かつたために、工事の完成がずれまして、経理上不適当な措置に相なつたことに関しましては、まことに遺憾に思う次第であります。
  65. 大上司

    大上委員長代理 次に食糧管理特別会計、未収金、報告番号四八八、輸入とうもろこし粉売渡代金の徴収に当り処置当を得ないもの、及び報告番号四八九、予算の使用当を得ないもの、右二件を一括して説明を求めます。
  66. 高橋清

    高橋説明員 四八八号、輸入とうもろこし粉の売渡し代金の徴収にあたりまして、旧価格と新価格との問題が提供いたされましたが、本件につきましては、取引の実態が十分に明らかになりませなかつたために、この批難が出たのでありまして、私どもが調査いたしました結果は、すでに旧価格の時代に契約が締結をいたされておりましたために、追徴金をとる必要はないと考えてこれをとらなかつたのであります。しかしながら、非常に遅れましたために御迷惑をかけまして、遺憾であると存じております。  四八九番の予算の使用当を得ないもの——これは北海道の供出の問題に関連をいたす問題でございますが、御承知のように、北海道の稻作は、非常に不適当な寒冷地帶でございますので、新しい俵をつくることが困難でございます。かつ新しいわらで俵を編むことができませんので、その俵を編みますみごなわと申しますが、先の細くなつたなわであります。そのみごなわを買いますについて、これを一部運送賃の中から出すように処置をいたしておつたのであります。これは物価庁ともいろいろ相談をしまして、北海道の俵代を特別な価格決定するという議論もありましたが、いろいろ関係するところが多いものでございますので、かような措置をいたしました。将来こういうことが起りませんように、十分に注意をいたしたいと思います。
  67. 大上司

    大上委員長代理 次に、ページが飛びますが、報告書百二十一ページ、不正行為、食糧庁関係の分を先に審議いたします。報告番号四九八について食糧庁当局説明を求めます。
  68. 高橋清

    高橋説明員 この福井県の問題は、食糧事務所の経理職員が小切手を変造いたしまして、金を銀行からとつてしまつた問題でございます。当初犯人が一人のつもりでありまして、いろいろと手配をいたしておつたのでありますが、その手配の使い走りをしました本人が共犯者でございましたので、しばらく事件が非常に逆な方にまわりまして困難をいたしましたが、その後正犯人は、一年ほどたちまして、埼玉県で写真を一枚と金を百円くらい持つてつかまりまして、ただいま公判になつております。いずれも懲戒免職処分をいたしまして、当事件を処理するようにいたしたわけであります。しかし国庫に対します損害の問題につきましては、いろいろと苦労をいたしまして、当該、直接監督責任者であります食糧事務所長を初め、職員一同が非常に良心的と申しますか、責任を感じまして、全職員が月給の一箇月分の半分を醵出いたしまして、さらに全国の食糧庁の職員が金を醵出いたしまして、犯人の拐帯をいたして国家に損害を及ぼそうといたしました金額を、犯人にかわりましてようやく完納いたしまして、一応の解決を見た事件であります。しかしながら、不正事件を起しまして多分に御心配をかけ、あるいはいろいろとめんどうなことをいたしまして相済まないと存じております。今度こういうことのないように、十分に注意をいたしたいと存じます。
  69. 大上司

    大上委員長代理 次に報告書百十五ページ、薪炭需給調節特別会計、未収金、報告番号四九〇、収納未済が多額のもの及び予算経理、報告番号四九一ないし四九五、以上六件を便宜一括して説明を願います。横川林野庁長官
  70. 横川信夫

    ○横川政府委員 四九〇につきまして説明を申し上げます。薪炭需給調節特別会計におきまして、収納未済が非常に多額に上つておるということについての御批難でありますが、当時各木炭事務所におきましては、事業分量に比較いたしまして職員が非常に不足いたしまして、常に事務が多忙をきわめておつたのでありまするが、荷さばき監督員などを置きまして、現物の確認に努力いたして参つてつたのであります。しかし事務処理が輻湊いたしまして、徴収決定が遅れまして、多額の収納未済額を生じましたことは、まことに遺憾に存じております。債務額に関します紛争も漸次解決いたしまして、債権確定の上逐次大蔵省に移管いたしまして、ただいま大蔵省において収納事務を実施中でございます。二十五年度におきましては、四億七千五百八十二万九千五百五円ほど、二十六年度の四月から八月までの間に、八千一百七十九万四千八十二円余の収納を見ておる次第であります。  次に四九一号、法律に違反して資金を借り入れたものについて御説明申し上げます。この会計におきまして認められておりまする限度を越えて資金を借り入れいたしましたことに対する御批難でございまするが、当時薪炭の供出が予定いたしておりますものよりも、予想外に多量に上りましたのと、職員が不足なために的確な数量把握に日数を要しまして、計数の整理ができませんで、予算的な措置ができなかつたのであります。また薪炭は当時統制中でございまして、供出して参りましたものは、必ず政府において購入しなければならないというような関係もございまして、御指摘のような事態となつたのであります。まことに遺憾に存ずるのでありますが、年度内におきまして予算的な措置を講じまして、債務全額の支払いを完全に終つたのであります。  次に四九二号でありますが、横持料及び手数料支払いについての御批難であります。薪炭価格の改訂の際におきましても、業者のマージンは非常に少いというような御意見が、当時御調査を願いました公正取引委員会調査部の御意見にもございましたように、やはり多少の無理があつたような状態でございます。特に二十三年の冬におきまする各大消費都市の燃料事情は、非常に逼迫しておりまして、生産地からなかなか大消費地には入らないような状態であつたのであります。需給調節の目的を達成いたしまするために、やむを得ず卸売業者に対しまして、横持料を支払うことといたしたのでありまして、これに伴いまして、同様の理由によりまして、指定業者等に対しまして、増加手数料を支払わざるを得なくなつたということは、まことに遺憾に存じております。  なおこの二つの横持料と手数料につきましては、二十四年の四月二十一日をもつて打切りといたしたのであります。  次に四九三号でありますが、三十三年の後半期におきましては、ただいま申し上げましたように、木炭の生産は非常に進んで参つたのでございまするが、品質がきわめて劣悪でありまして、品質の改良のため努力しなければならないような状態になつてつたのであります。ことに高知県におきましては、関西方面向けの大生産県でもありますし、県の主催の品評会を実施いたしたのでありまするが、その品評会の経費の五十万円、営林署におきまして借り上げておりました倉庫の修繕料二万五千三百円を、生産数量に対して搬出費の水増しを行いまして、この二つの経費を支出いたしたのであります。まことに遺憾に存じておるのであります。当時の責任者に対しましては、巖重なる注意及び勧告を与えておるのであります。  次に四九四号でありますが、手数料の支払いに当り処置当を得ないものという御批難であります。荷さばき監督員及び検収員は、大体地元の副業者を主体として使役をいたしまして、仕事の出来高に応じまして、その分量に比例して手数料を支払つてつたのでありますが、毎月の数量に相当の差がありますので、各人の収入に月によつて非常な差異を生じておつたのであります。かような状態では生活の安定も得られませんという検収員及び荷さばき監督員の要望もございまして、全体の経費を月給割にして支出をいたし、またその残額につきましては、その両者の了解を得まして、その方々の協議費等に支出をいたしたものであります。予算の経理上は、まことに不適当であるのでありまして、その点まことに遺憾に存じておるのであります。当時の責任者に対しましては、嚴重な注意を与え、その後さような取扱いはいたさぬことにいたしておつたのであります。  次に四九五号、自動車貸付料の徴収に当り処置当を得ないものという御批難であります。名古屋木炭事務所におきまして、事業の運営上、前渡資金の不足をカバーいたしまするために、自動車の貸付料を事業費に使用しておつたのでありますが、当時林野庁の元請が非常に逼迫しておりましたために、どうしても支払いをしなければならない人夫賃等に一時流用をいたしておつたのであります。また一時燃料会社に対しまして、三十万円ほどをその中から融通いたしまして、使用させたのでありますが、これは金融機関に対しまして、その会社がどうしても期限内に支払わざるを得ない三十万円が不足いたしておりましたために、その金を一時流用いたしまして、銀行に返済をさせ、その後そのことによりまして、銀行からその会社は八百九十万円の融通を受けまして、それを国庫に納入したような次第でありまして、いわば呼び水というようなことのために、三十万円の資金を流用したのであります。当時の責任者に対しましては、嚴重な注意を与えたのであります。
  71. 大上司

    大上委員長代理 次に報告書百十九ページ、物件、報告番号四九六、現物不足により国損を生じたもの、及び百二十一ページ、不正行為報告番号四九七、職員不正行為に因り国損を与えたもの、右二件につき一括説明を求めます。
  72. 横川信夫

    ○横川政府委員 四九六について御説明を申し上げます。薪炭の現品保管整理不十分のために、現物不足によつて国損を生じましたことに対する御批難であります。木炭現品の整理保管につきましては、以前から嚴重に督励をいたしておつたのでありますが、燃料事情の逼迫に伴いまして、需給の円滑を期しまするために、中間授受あるいはかま前授受というような措置を講じなければならないような事情になつてつたのであります。さらに人員の不足によりまして、一部を業者に請負わせるというようなこともしなければならないようになりましたために、現品の確保が著しく困難になり、鋭意その整理について努力いたしたのでありますが、遂に帳簿と現品の不足損を生ずる結果となりましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。現在におきましては全部一応の整理を終了いたしております。  四九七号につきましては、まことに遺憾にたえないところでありまして、巖重調査の結果、元利とも昭和二十五年一月三十一日までに収納済みでございます。当時の責任者に対しましては、巖重な注意を与えますとともに、訓告を与えておるのであります。犯人は一年半の体刑を受けております。
  73. 大上司

    大上委員長代理 次に報告書百二十一ページ、その他の事項報告番号四九九ないし五〇一、薪炭の過誤払いに関するもの三件を一括説明を求めます。
  74. 横川信夫

    ○横川政府委員 東京木炭事務所におきまして、収入確保を急いでおりましたのと、ことにロイヤル陸軍長官が来朝されますので、薪炭の滞貨を急速に整理をせよというような御要望もあり、特にかような事情で事務が輻湊いたしておりましたために、卸売業者からの請求に対しまして、その支払いにあたつて、調査粗漏のために過払いいたしましたことは、まことに遺憾であります。過払い額につきましては、昭和二十五年十一月二十七日までに全額徴収決定をいたしまして、二十六年四月に全部収納済みでございます。  五〇〇号、薪炭の輸送料を誤払いいたしましたことにつきましての御批難であります。当時盛岡木炭事務所におきまして、三十数台のトラツクの運搬をいたしておつたのでありますが、生産地から駅頭までの搬出に、業者のトラツクと営林署のトラツクと同時に輸送しておりましたために、その間の整理ができませんで、かような事態を引起しましたことは、まことに遺憾に存じておるのであります。そのうち七万円は二十六年六月二十三日に現金で収納いたしました。残りの四十四万円は和解をいたしまして、本年の十二月中に収納の予定でございます。  次に五〇一号、薪炭購入代金等を過払いしたものについての御批難であります。松江木炭事務所におきまして、日通の受領証が二重に発行されておりましたのを、事務が輻湊いたしておりましたために、そのあやまちを発見することができませんで、二重払いをしたのでありまして、まことに遺憾に考えるのでありますが、これは二十五年の二月に全額回収をいたしております。
  75. 大上司

    大上委員長代理 次に報告書百二十四頁、国有林野事業特別会計予算経理報告番号五〇三号、物品の売渡に当り処置当を得ないものを御説明を願います。
  76. 横川信夫

    ○横川政府委員 当時木材の売払いは切符制でございまして、切符を所有しております者に対しましては、どうしても売らなければならないという状態でありまして、特に木曽ひのきが非常に高価にはなつておりましたが、他のさわらなどというものは、マル公を割つてつたために、解約をされるというような事態であつたのであります。そのために契約を確実に案施させるために、また収入を確保するために、仮受金を受けておつたのでありまして、当時の事態としてはやむを得ない状態であつたのであります。なおこれを事業資金に流用いたしましたのは、支払い手続が非常に複雑でありまして、書類の整備に非常に手数を要したことと、前渡資金が非常に不足いたしまして、特に年度当初でもあり、またキテイ台風などの災害の復旧等もいたさなければならないというような事情がございまして、一時この前払い金を流用いたしまして使用したような次第であります。その措置は、当時といたしましてはやむを得なかつたのではありますけれども、かような措置をいたしましたことは、まことに遺憾に存じておるのであります。ただ二十五年度からは、かような取扱いをなし得るようなことに、御決定をいただいております。なお平営林署におきまして、木炭の代金の仮受領をいたし、これを事業資金等に流用いたしておつたことは、まことに遺憾でありますが、当時平営林署におきましては、特に土場が狭隘のために、大量に貯炭をすることも不可能でありまして、たまたま東京燃料株式会社が、二十四年の八月三十日に東京都の購入割当証明書と木炭移出指図書をもちまして、百万円の小切手を持つて、営林署に参つたのであります。営林署といたしましても、処分価格の見通し等が確実に立ち得なかつたために、収入確保上かような措置をいたしたのでありまして、その点まことに遺憾に存じておるのでありますが、関係者に対しましては嚴重な注意を与えております。
  77. 大上司

    大上委員長代理 議題とした農林省所管の批難事項に対して、会計検査院当局に格別の御意見がありましたら、とりまとめて簡單に御発言を願います。
  78. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 書類に書いてありますこと、及び御説明で、特に御意見のない点は省略いたしまして、若干補足させていただきます。  第一に、この四八〇号から四八三号に掲げました公共事業費の各方面の事業のことを、ここに例をあげてありますが、全般につきましてわれわれが考えますことは、農地の開発あるいは農業水利ということは、すべからく一日も早くその仕事の成果をあげて、食糧の増産に寄与するということが必要である。従つてできるならば重点的に一箇所を早く完成させるように予算を使用するのが、適当ではなかろうかという観点から見ますと、ここにあげました四八〇号と四八二号のように、まだ具体的な計画がはつきりしないのに、そこに予算をつけている。いわばそれだけの予算でも、他の現在やつている方へ予算をつけたならば、それだけ早く工事が進むのではなかろうかという観念がする次第であります。  それからなおもう一つは、予算がないのに仕事を先へ先へとやられる傾向がある。それがここには四八一号にありますのと、四八三号にも一部触れておりますが、いやしくも国が仕事をするのに、予算がないのにそういうことをすることは、きわめて好ましくない。それは地元の要求、あるいは施行者のお気持からしますれば、自分の仕事は早くできた方がいい。そういう気持になるのは無理からぬと思いますが、しかしながら、予算に制約されている国家経済におきましては、やはり予算の範囲内において施行すべきではなかろうか。予算のないのに先走つて工事した結果、あとから振り返つて見ると過大な工事になつてしまつたというのが、四八一号にあげてある例であります。今度はそれが崩壊してしまつたというのが四八三号にあげておる例であります。予算の使用上遺憾だという点を示したわけであります。  その他の件に関しまして、特に検査院の所見と多少異なる御説明がありましたのが百十四ページの四八八号の長崎食糧事務所の件であります。これは二十四年六月に売渡しの指令が出ておりまして、そしてその後実際に相手方が請書を提出して物を引取つたのが二十四年の十月である。会計検査院といたしましては、売渡しの指令というものは契約ではない、これは一方的に売渡すという指令であつて、やはり向うが請書を提出した日、そしてこちらが承知した日が契約の日ではなかろうか、ですから、十月になりますと、すでに価格は改訂されて値上りになつておるのだから、その値上りの値段で売り渡すべきではなかろうか、またそれを買い取つた業者は、それをもとにしてつくりましたところのみそは、当時における公定価格が上つておるのでありますから、高い値段で売れることになつておりますので、特にこれを前の値段と同じ値段で売り渡す必要はなかつたのではなかろうか、こういう見解から述べたのであります。  なおあとは御質問によりましてお答えすることにしまして、説明はこの程度にいたします。
  79. 大上司

    大上委員長代理 この際委員にお諮りいたします。農林省所管に対しては質疑も大分あると存ぜられますので、本日の審議はこの程度として、質疑は次会に延期したいと思います。御異議がないようでしたらそのようにしたいと思いますが、いかがでありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 大上司

    大上委員長代理 御異議がないようですから、そのように決しました。次会は来る七日、農林、水産、運輸各省につき審議いたす予定であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一二分散会