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1951-10-29 第12回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十九日(月曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長代理理事 三宅 則義君       大上  司君    田中 角榮君       高塩 三郎君    高橋 權六君       多武良哲三君    船越  弘君       山口六郎次君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         総理府技官         (特別調達庁業         務部長)    池口  凌君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     辻  章男君  委員外出席者         大蔵事務官   原  末一君         会計檢査院事務         官         (檢査第四局         長)      小峰 保榮君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 十月二十六日  委員高橋權六君及び田中不破三君辞任につき、  その補欠として犬養健君及び尾崎末吉君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員犬養健君及び尾崎末吉辞任につき、その  補欠として高橋權六君及び田中不破三君が議長  の指名委員に選任された。 十月二十九日  田中不破三君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算     —————————————
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより本日の決算委員会を開会いたします。  本日はまず理事補欠選任についてお諮りいたします。理事田中不破三君が去る二十六日委員辞任いたされ、理事一名の欠員となりましたので、その補欠選任をいたしたいと存じます。この際先例により、委員長から指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認めます。田中不破三君が二十七日再び本委員になられましたので、この際理事にお願いいたします。     —————————————
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関收支出決算を議題とし、前会に引続いて終戰処理費につき審議をいたしまするが、あらかじめ委員各位の御了承を得たいことは終戰処理費関係の分を本日で終る予定にいたしておりますので、なるべく御勉強をお願いいたしまして進行いたしたいと存じますから、右運営に対し絶大なる御協力をお願いいたす次第であります。  それでは報告書八十六ページ、物件報告番号四一六ないし四二九、解除物件の売渡及び管理当を得ないもの十四件につき、特別調達庁から一括説明を求めます。特別調達庁管理部長長岡政府委員
  5. 長岡伊八

    長岡政府委員 四一六号から四二九号まで一括いたしまして、一応御説明を申し上げます。  本件進駐軍に調達いたして出しました品物が、軍において不用になりまして、特別調達庁に返された品物保管売却についての問題、いわゆる解除物件保管やり方並びに、これが売却について御指摘をいただきました事件であります。あまりおじぎをいたしますと、またおしかりをこうむるかもしれませんが、実はこの四一六号から四二九号までにつきましては、会計檢査院の御指摘通りでありまして、われわれといたしましては不手ぎわなことをいたしまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。実はこの解除物件は一時に多種多様な物件が多量に解除になり、われわれ役人が処分することに相なりました。しかも解除の当時におきましては、軍の方からなかなか売却の認可が得られなかつたので、売却を始めますると非常に急速にこれが処分をする必要が起つたのであります。保管料関係もありまして、非常に急いで売却せよという命令であつたのでありますが、何分ふなれな、いわば武士の商法と申しますか、商売経験のない者が多量な物資を処分することに相なりましたので、かような問題を起すに至つたものと存ずるのであります。われわれといたしましては、いわゆる解除物件と申しましても、従来官庁不要品売却するといつたようなそまつ考え——従来ともそういうそまつ考えでおつたわけではございませんが、世間からややもしますると官庁の払下品は二束三文で売るのだというような感じを持たれておつたのでありますが、決してわれわれはそういう考えでこの解除物件を処理いたしてはおりません、一生懸命処理に努めたのでございますが、ただいま申し上げましたような理由によりまして、本件遂に会計檢査院の御指摘をいただくようなことになりまして、非常に遺憾に存ぜられます。御指摘に相なりましたこの四一六号から四二九号までの間で、四一八号、四二〇号、四二二号ないし四二七号、これにつきましては、それぞれ御指摘通り過払いになつたものも、その後の処置によりまして回收いたしております。それから四二八号につきましては、まだ全部とは申されませんが、大部分これも回收いたしております。なお四二九号につきましては、御指摘通り処分を終つております。なお四二七号につきましては関係責任者も処罰いたしておるような次第でございます。一応概括的な説明をいたしました。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 この際委員長から申し上げます。委員長からもたびたび注意をいたしておるわけでありますが、本委員会予算委員会と並んで重要なる委員会でございまするから、ぜひ政府当局最高責任者、たとえば特別調達庁においてはその長官に——次長は今日御出席でありますが——出席を願うと同時に、会計檢査院の方にも、たびたび言うことでありますが、檢査官が臨席してこの討議の状況を見ていただくということにいたしたいと思うのであります。檢査官の方も御出席を願うように、小峰さんからもよく伝達をしていただきたい。なぜならば決算委員会予算委員会と並んでおりまして予算委員会では、最高責任者がいない場合には、やらぬことになつておりますから、本委員会においても、やはりそれにならいたいと思う。それで警告を與えておきます。
  7. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 四一六号から四二九号の解除物件案件であります。ただいま政府側から概括的な御説明がありましたが、檢査院として、少し補足しておきます。  解除物件は、二十三年度から檢査報告の問題になつたのでありますが、二十三年度におきましては大きな問題が相当ございまして、世上有名になりました、たとえば二重煙突、あるいは水ドラムカンというようなものがありまして、数もまた多かつたのでありますが、二十四年度は比較的がらの小さい案件で、数も減つているわけであります。解除された物件がどのくらいというようなことは、檢査報告に出ておりますが、全体で約七十万トンが不用ということで返されております。ここに十四件ほどございますが、一つ一つ説明することは省略いたしまして、質が悪いと思うもの二件ほどを説明しておきます。  まず四一七号であります。これは水が九〇%も入つておるドラムカン入りセメント防水剤、数量にいたしまして四万四千カンというものを買つて、そのうち大部分の四万一千カン余り残つたというので批難したわけであります。約九千万円であります。これは本年度におきまして売却したわけでありますが、一カン約二千円で買つたものであります。それがここにございますように大阪特別調達局で五円で売つてしまつた。しかも随意契約であります。ものがものでありまして九〇%も水が入つておるものを長い間ほつたらかしておいたので、非常にいたんでもおりますが、よその局では百一円から二百円くらいの競争契約で売つております。それを大阪ではたつた五円で随意契約して一万九千六百九カンを売つてしまつた。いかにも安過ぎるじやないかということで、ここにあげた次第であります。それで、かりによその局の一番安い百一円で売つたといたしますと、約百九十万円の差が出て参るということになるわけであります。  もう一つ四二七について御説明申し上げます。四二七号は不正の出荷指図書を持つて参りまして、銅板百七十八枚を出荷したという案件であります。特調の職員と部外者とが共謀いたしまして、不正の出荷指図書をつくり、それを預けてある倉庫に持つて行きまして、だまして出してしまつた、こういう案件でありますが、価格は約百万四千円であります。これは預かつておる倉庫業者として、善良なる管理者注意を怠つたというわけで、時価で約百十万円というものを弁償させております。檢査報告をつくりました当時は、まだこれが徴收されておらなかつたのですが、その後これは全部徴收になつております。ちよつと珍しい案件なので御報告した次第であります。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これに対する質疑を許すわけでありますが、ひとつ委員長が先に総括的に質問をいたします。  特別調達庁につきまして、いろいろな案件がありますが、住宅等特別調達庁があつせんをいたしまして、たとえば県知事が契約者ということになつて特調がこれに携わつておるという場合があるわけであります。その場合に、進駐軍がそこに入つており、保險料を加算してやつておるわけでありますが、実際面からいたしますと、保險金等公定相場といいますか、そういうものによつて非常に安いということを聞いております。そこへ進駐軍が入つてつて火災になつたという場合においては、その安い保険金だけでおしまいになるということが、金沢市に発見されておりますが、そういうものにつきまして、市価から比べますと、格段の相違があることになつております。これまた一応契約に載つております関係上、契約書面通りであつて、実際面からいうと三倍、五倍まで損害をもらわなければ相済まぬと言つておりました。進駐軍自身もそれを承認しているが、日本政府といたしましてはその法令に基きましてそれ以上は弁償はしないというのです。二十三年、二十四年当時におきましては、経済が混乱し、秩序が整つておりませんでしたから、いろいろな悪契約と申しますか、あるいは單純契約と申しますか、その辺に差があると思いますが、これに携わつている人がありましたならば、特別調達庁の係官からお話を願いたいと思います。
  9. 長岡伊八

    長岡政府委員 お答えいたします。特調進駐軍から要求があつて提供いたしております家屋、倉庫その他いろいろなものがございますが、これに対し家賃が非常に安いという御非難を、たびたび伺つておるのであります。その安いとおつしやることはよくわかるのであります。と申しますのは、進駐軍に提供されますものは、統制令に拘束されまして、その範囲内でお払いいたしているのであります。世間一般にこれが行われますときには、また違つた契約やり方もありますので、家主さんたちに非常な御迷惑になることは、重々存じているのでありますが、これも日本再建ために、進駐軍に対するサービスをする意味におきまして、御協力を願つている次第であります。今度税務署の方で固定資産税の基礎になるために、各建物についてお調べになつたのでありますが、一般住宅につきまして、これによつてきまる家賃と、ただいま私の方で支払つております家賃と比較してみますと、あながち安いとは申されません。これはいろいろ各地の実例を徴して調べているのであります。現在のところ統制令範囲内で支払いますことになりますと、あながち安いと申されぬ実情にあります。また保険料がこの中に含まれておりますので、火災等が起りましたときに、ただいま御質問のような問題の起ることも承知いたしておりますが、これがために増額して支払うことができぬ実状にあると思います。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 質疑を許します。高橋權六君
  11. 高橋權六

    高橋(權)委員 四二五号についてお伺いいたします。この過払額は、わずか十六万一千六十五円でありますけれども、單価容積について、二重の誤りがあつたようであります。報告は、單に誤つたということになつているようでありますが、その原因と様子が不明であります。こういう事柄は、専門家でなくても、常人でもちよつと注意すれば間違いはないだろうと思うのでありますが、あまりにもこれは無責任ではないか、報告に出たものから疑われるようなかどがたくさんあると私は思います。犯罪行為でなかつたとしても、あまりにも綱紀が弛緩してはいないかと言つているのであります。その点について政府当局はその原因がどういうところにあつたか、また今後こういうことについてはどういう処置をとられるか、その御見解を伺いたいのであります。
  12. 長岡伊八

    長岡政府委員 本件は、ただいま御指摘になりました通りでありまして、たとい金額は少いにいたしましても、いわゆるケアレス・ミステークと申しますか、すぐわかるものをこういう間違いを起したということにつきましては、冒頭に申し上げました通り、まことに申訳のないことと存じておるのであります。先ほども申し上げました通り、こういうものが解除になりましたときは、たしか同時にほかに相当たくさんのものが解除になりましたように思考いたしております。これは別に会社にも悪意があつたとはその後見られないのでありますが、私の方といたしましても、十分注意すべきことであり、すぐわかることを、かように問題が簡單なものでありますために、かえつてそういうことには間違いはなかろうというように過信をいたしたもののように存じております。それがためにかような問題を起しました。たといかような事件にいたしましても、重要な問題でございますので、嚴重な戒告を與えまして将来を戒め、その後十分注意いたしておるような次第でございます。
  13. 高橋權六

    高橋(權)委員 注意は大いにしてありましようが、今新聞紙上にもよく出ますように、一家心中というようなことが、ささいな金から起つておる。このごろは税務当局も、若い人がずいぶん注意をしてやるようにはなつておりますが、納税をせしめるためには差押えをし、あるいは競売までしたというようなことが、数えるにいとまのないほどあつたのであります。一体その衝に当つた人しろうとでしたでしようか。專門家でしたでしようか。特別調達庁では減員をするとか、しないとかいうことも起つておる際であります。なれている人ですらそのくらいあやまちを束すなら、人数を減らして臨時雇でも雇つてつたら、またより以上の問題が起りはしないかという感じも、私は持つております。もう一ぺんその点の御説明を願います。
  14. 長岡伊八

    長岡政府委員 この事件取扱つたのは、くろうとか、しろうとかという御質問でございますが、私の方の機構といたしましては、各局に管財部というものを置きまして、現在ではこの解除物件仕事に專念させておりますので、全然しろうとと申し上げることはできないのであります。先ほども申し上げました通り、この仕事にずつと携わつておりますが——買う方は別でございますが、この処分をすることにつきましては、これは一種の商売みたようなものでございまして、それについての経験はなかつたもののように思つております。
  15. 高橋權六

    高橋(權)委員 私が背が高いか、低いかということがわかるように、この品物がどのくらいの長さであるか、重量がどのくらいあるかというくらいのことは、子供でもわかると思う。ましてそのために俸給を與えられてその事務に携わつている者が、商売に通じていなかつたということは、答弁にならないと思う。その点もう一ぺん御答弁願います。
  16. 池口凌

    池口政府委員 この誤りの一番の根本は、倉庫保管料單価を間違えたことです。煙突のように一フイート幾らというような長さで行くか、木材のように一才幾らというような容積で行くかという両方の考え方があるのでありますが、その標準の單価とり方を長さの百六十というのを誤つて〇・五才という單価とり方をしたのです。それで間違つたのです。この保管料のきめ方には重さでやるものもあり、値段について、この物はどれだけの値打のあるものかということできめるきめ方もあり、いろいろなやり方があります。それからトン数にいたしましても、重さのトン数もありますし、容積トン数もありますし、軍艦のような排水トン数もある。いろいろあつて、取扱い上相当経験のある者ですが、そのとり方が複雑なものでありますから、そこを不注意で間違えたのでありまして、非常に申訳ない結果になつたと思つている次第であります。
  17. 高橋權六

    高橋(權)委員 そういう場合に、なぜ上司の、あなた方のようにわかつた方に伺わなかつたかということです。今後そういう場合には、これは容積トンである、これは重さのトンである、これは何の何であるというような但書をちやんとつけて、間違いのないようにしていただきたいと思います。そうしないと、今あなたのおつしやるように、材木が一才とか專門家の言葉で言われると、われわれしろうとにはわからぬのです。酒のことならわかります。酒にどのくらい水が入つているというようなことは、酒屋は飲めばわかりますが、それと同じことだから、全国にたくさんの部下がおられるのだから、今後注意しておいていただきたいと思います。  それから四二六号について質問したいのであります。これは十五品目の物件昭和二十二年の六月亡失しているにもかかわらず、大よそ二箇年半にわたつて保管料をずつと支払つてつたということでありまして、亡失しておつたところの品物に対して、その保管料払つたというようなことは、台慢もはなはだしきものではないかと思うのであります。倉庫を持つていて保管料をとる商売人だつたら、品物があるから保管料をとるが、品物がなければ保管料はとらないことになつている。政府当局から預けられていた品物がなくなつたならば、その人は保管料をもらう必要はないし、政府支払う必要はないのです。これははなはだ無責任きわまることであると思います。私は、法理上から考えましても、その保管を委託されておつた方面から損害賠償をとつてもよいと思うのでありますが、その点については、いかなるお考えを持つていらつしやるか、答弁していただきたいのであります。
  18. 長岡伊八

    長岡政府委員 本件も御指摘通りでありまして、なくなつてつたものに保管料払つてつたという不都合な関係に、結果から見るとなつております。実は会社といたしましても、この品物盗難にあつてなくなりましたとき、その品物を何とか回收したいということに專念いたしておりまして、特別調達庁の方に対する報告が遅れております。これも今御指摘通りに、けしからぬ話であります。ただちに報告をし、善後措置を講ずべきものであるにかかわらず、單に物を回收するということに專念いたしまして報告が遅れました。また特調といたしましても、事前に十分な検査をいたしまして発見いたすべきものであつたのであります。手がまわらぬということは申開きになりませんが、その運びに至りませんで、遂に過払いという結果を生じました。会社も物を回收して返すということに一生懸命になつておりました点等から考えまして、悪意のあつたものとも認められませんので、この措置といたしまして、損害額だけを補償いたさせましたような次第であります。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げますが、なるべく簡潔に御質問願い、また御答弁を願います。
  20. 高橋權六

    高橋(權)委員 品物をなるべく見つけ出して返すように努めたと言つておりますが、会社はそういうことをいつ発見しておつたでしようか。そういうことを尋ねて、知つていらつしやいますか。
  21. 長岡伊八

    長岡政府委員 会社盗難にあいますと、ただちに警察当局に届け出まして処置しておりましたことを、承知いたしておつたのであります。
  22. 高橋權六

    高橋(權)委員 いつごろそれを発見しておつたか。警察には頼んだが、当局には報告しなかつた。これは私は責任を全うしていないと思う。それをもう一ぺん御答弁願います。
  23. 長岡伊八

    長岡政府委員 会社は二十二年の六月一日に集団強盗にあつたことを承知しております。そうしてただいま申し上げた通りに、特調に対する報告は、物を回收してからということで、遅れておつた次第でございます。
  24. 高橋權六

    高橋(權)委員 そういうことであつたらば、今まで過払いしたのみならず、相当政府に対しては損害を與えておりますから、そういうことについても、弁償の追求をしていいと思う。これは片づいたからこれでいいというようなことは、私はいけないと思う。まして警察には届けたが、その保管を依頼した方面報告しないということは、私はなつてないと思う。いかにもそういうことに対して、誠意がなかつたといわれてもしかたがない、その点について、過払いであつたこととともに、そういう方面損害をこちらから催告していただきたいというような感じも持つておる。預金すれば相当利子もつくのだから、利子のついたのはわずかであつても、今後倉庫業者にまじめになつていただく、そういうみせしめのためにも、ひとつつていただきたいと思いますが、そういうお考えはないか。
  25. 長岡伊八

    長岡政府委員 本件につきましては、ただいま申し上げました通り、二十二年六日三日に集団強盗にあいましたものが、私の方には二十五年になりまして報告して参りましたので、かようなまことに不体裁なことをいたしたのでありますが、そのものの代価は弁償いたさせまして、なお払い過ぎました保管料を返納いたさせました。この会社には爾後特別調達庁出入さしとめといつた処置をとつた次第であります。ただいま高橋委員が仰せられましたことは、当時特調といたしまして、同じことを会社嚴重に申し入れたような次第でございます。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 総括的に四、五点お尋ね申し上げたいと思います。第一番目は、解除物件売渡しにつきまして、いろいろな問題が惹起しております。特に特別調達庁に対する悪評は、どうも解除物件から来ておるというようにとられておりますので、私はこの間の事情を解明しておきたいと考えるわけであります。そうして当委員会の使命といたしましては、申し上げるまでもなくこういう批難をこれからされたくないという気持を持つておるわけでありますので、二、三ただしておきたいと思います。  解除物件売渡しにつきましては、倉庫スペース等がない、次に必要なる物件を入れなければならないというようなために、非常に早く売渡しを命ぜられるというようなことがあるようでありますが、早く売渡しを命ぜられたり、移転を命ぜられるところに問題が惹起しやすい、こういうことを考えておるのでありまして、国有財産の払下げというようなものとは、ちよつとかわつた性格を持つておるだけに、事件も起きやすい、また疑惑も起きやすい、こういうふうに考えておるのであります。批難された当時は、公売公入札といような措置をとつておられるかどうか。しかも現在の状態において、解除物件に対してはいかなる処置をとつておられるかという問題をひとつ答弁願いたい。
  27. 長岡伊八

    長岡政府委員 解除物件につきましては、ただいま田中委員から御指摘相なりました通りに、何かしら臭いものがあるように世間から見られまして、誠心誠意この解除物件を売り払いまして、完全に国務を遂行いたしたいと思つて努めている者といたしましては、はなはだ心外の至りでありますが、実は非常にたくさんの種類のものと、量が相当多かつたということに基因いたしまして、かような問題が起きたのであります。今日まで解除物件売却いたしました件数は、おそらく一万以上になつておるかと思うのであります。この多数の件数ために、中にこういう不手ぎわなものが出て来たのでありますが、売却の方法といたしましては、原則といたしまして、競争入札によつて売却いたしておる次第であります。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 第二には、物件受払いの直接の責任者は調達官であるか、それとも日本政府であるかという問題、及び單価の決定、それから予定価格の算出等の責任は一体どこにあるのか。しかもその最終的なる責任は、一体どこにあるのかという問題を明確に答弁していただきたい。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記を始めてください。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 もちろん調達物件の在庫中の責任は、私たちの通常の感覚では、日本政府にあり、特別調達庁が主管庁であると考えておるのです。その場合單価の決定、受払い、特に解除物件のみではなく、調達物件に対しても同様でありますが、受払いの現実的なる責任はいずれが持つておるのか。この問題は日米合同委員会という、いわゆる新しい状態に対しては、必然的に起る問題であつて、こういう問題は、もうすでに最終段階に来た現在においては、明確にできるのではないかと私は考えておるのでありますが、できましたならば答弁をしていただきたい。
  32. 川田三郎

    ○川田政府委員 受払いにつきましては、ただいまの解除物件のようなものが一つ。それから接收になりました建物の中にある残置物件、平たくいえば家具、什器の類であります。これが部分的に解除になりました場合にも、特調に引継がれるのであります。その際にも個々の表によりまして、接收解除の送り状をつけていただいてそれを引継ぐ。これもその接收解除の送り状に立会い調印をいたしましたときから日本政府側の責任になります。それから納品検收は、現在軍の調達受領書によりまして、その数量の確認がいたされます。その数量に対しての価格の方は、調達庁の査定官が査定をする余地がございまして、その調達受領書に載つておる金額は、最高限を意味するものでありまして、その中なら払つてよろしい。そこで、現在調達庁が取扱つております物品のいわゆる検收につきましては、予算決算及び会計令の七十五條に契約担当をしておる官吏は、一定の資格のある者によつてこれを檢收させなければならないとございます。しかし軍が現在デポーと申しております軍の倉庫において受けるものにつきましては、予決令に特例がございまして、大蔵大臣の指定する文書によつて、令第七十五條の検收調書にかえることができる、こうなつております。その大蔵大臣の指定する文書というのは、いわゆるPR——このごろRRと申しておりますが、調達受領書でございます。そうしますと特調の檢收官は、軍が出しました数量をうのみにせなければならないか、ここで思想がわかれます。——速記をとめていただきます。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 速記を始めてください。
  35. 川田三郎

    ○川田政府委員 そういうような事情から、軍の調達受領書によつて日本政府側としての物品受領の基礎にすることは、一つの線がきまつておりまして、会計法規上も支払いの根拠にする線が特例できまつております。私どもといたしましてはその調達受領書が発給されましたあとの修正ということは至難なので、これは会計検査院からも特に国内経済上御注意がありましたいわゆる検收事務を強化せよということで、今年特別に石炭につきましては、軍命によりまして日本政府側も事実的な検收をやるということになりました。他の品目につきましても、やりたいと思つたのでありますが、今回の行政整理によりまして、人員が不足で、そこまで手を広げることは、あまりに理想倒れになるということで、依然としてPRに依存する。従つて軍に対するPRの案が出ますときに、でき得る限りその実態が合理的になるように特調の係官も手伝う、この程度のことになつておりまして、依然として軍檢收の建前になつております。
  36. 高橋權六

    高橋(權)委員 ちよつと議事進行について——イングリツシユを知らない人もありますから、PRとか言わぬように、でき得る限り日本語でやるようにお願いしたいと思います。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 わかりました。
  38. 田中角榮

    田中(角)委員 私の質問の論点は、これからの予算委員会でもこの問題が非常に大きくなつて来る、こういうことで私は申し上げているのです。私がこういう質問をやつておるのがきつと二箇月、三箇月後の予算委員会——この問題はなかなか御答弁もできないでしようが、どうしてもこれを解明したいという相反した立場で討論が行われるのであります。やはり今は、こういう問題に対して相当率直な答弁をやつてもいいじやないかと私は考えている。こういう問題を解決しておかないから、共産党の諸君からなど、どうも自由党が何かしておるんじやないかということを言われるのであつて、これははつきりやつておきたいと考えている。こういうものが解決されないと、一般官庁と違つて特殊な條件に置かれておる官庁の会計決算に対する最終的な責任が明確にせられない、こういう意味で私は特別この問題には興味を持つておるし、また解明しておかなければならないと考えておるのですから、法律的な立場からも御回答を願いたい。  今第二の質問点で、納品に対する檢收は、軍が直接責任を持つておるということが、解明せられたのであります。その場合、現在の納庫中の材料の財産権というものは、どこにあるのかという問題が起きて参ります。これを将来——私は非常に近い将来だと思いますが——書類上ある形において明確にいたしまして、日本政府に一時返還の手続をとるか、もしくは日米合同委員会に引継ぐかという問題が起きて参ると思います。その場合に、現在の特別調達庁の調達機構が新しい機構にかわるときに、軍が檢收した在庫品目と、調達数量と合わない場合が起きて来る。これは各種公団を見ておつてもわかる。一万俵残つておるはずの米が、五千俵しか残つておらない。これは損害一割認めなければならないとか、いろいろなことで赤字で落して行くわけですが、特別調達の問題はどういうふうな状態で落すかということが、当然起きて来るのでございまして、実際問題でも、六年間もやつておるのでありますから、在庫する実際の数量と、あなた方が調達をして実際受払いを行つた数量というものは必ずしも合わないだろう、こういう場合を私は予想しておるのでありますが、最終整理をなさいます場合の見通しについて、公団のような出入りがあるかないか。あなた方の書類上に残つておる数量と、現実に引継ぐべき数量との間に差額があつた場合、その差額は、いかなる法規的な処置でこれを処分なさるかということも承つておきたい。
  39. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいまの御質問は、まことに私どもの事務に御理解のあることで、この際はつきり申し上げておくことが、非常に今後の御参考になると思います。軍に納めました物品——動産でありますが、これは先ほど解除物件について申し上げましたように、日本政府側にどれだけの在庫になるかという区別は、軍からのMGP7という仕切書によりまして、明確にされております。従つてこれに載つたものの集計の品目、数量は、必ずわれわれが一応物品会計官吏として管理しなければならぬ。それから軍に、調達要求書によりまして調達して納めたもの、つまり納めたんだという表現を用いますことは、その供給者自身が軍の倉庫に入れまして、軍がそれを認定して、レシートを出しますから、日本の物品会計官吏の手を経ておりません。従つて軍に納めました物品がどれだけであるかというのは、支払い実績等によつて調べればわかりますが、つまり軍用で購買した物品の在庫というものはゼロである。従つて今まで納めたものが、公団の例のように、これだけ軍に納めた、幾らつている、不足分はどうか、こういう問題は、現在のところ起らない段階であります。先ほどの御注意もありましたので、いわゆる解除物品の受払い数量の伝票につきましては、品質、数量等に明確を期したいと思います。
  40. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員諸君にお諮りしたします。ただいま私は所要のため委員長代理を他に讓りたいと思いますが、本日は他の理事諸君が欠席されておりますので、この際委員長代理委員の方にお願いいたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なきものと認めまして、委員長代理山口六郎次委員に暫時お願いいたします。     〔三宅(則)委員長代理退席、山口   (六)委員長代理着席〕
  42. 田中角榮

    田中(角)委員 ちよつと法規的に、小峰第四局長にただいまのことを承りたいのであります。納品をした数量と軍が受払いをした数量との間に、もし差額があつた場合——私はあり得ると思いますが、今後それに対して、いかなる法規的な処分をおやりになるか。
  43. 小峰保榮

    小峰説明員 先ほどから、政府側がどうも奥歯に物がはさまつたような説明をしているように伺つておりますが、実は私どもはすこぶる簡單に考えております。昨年の九月以降は、日本側にも檢收責任があるということがはつきりしております。これは前にもいろいろ議論はあつたものでありますが、事実はどう考えましても、たとえば百しか入らぬものにレシートが百十出たという場合に、百十金を払えということは、いかにいろいろな法律がありましても、これはあり得ないことであります。私どももその点で、そんなばかなことはないじやないかということで、実は長い間争つていたのであります。これは日本政府側と連合軍側とのある覚書に対する解釈の会議できまつたと承知しておりますが、レシートがかりに百出ても、実際に九十しか入らない場合には、百払つては相ならぬというふうに解釈が一定したと聞いております。それがりくつにかなうのでありまして、いかに向うの命令とはいいながら、非常に悪いものが入つたのに高い代金を払うとか、あるいは入りもしない分に対する代金を払うということは、道理上あり得ないことであります。私どもも、檢收責任は日本側にあるということを前提として、実は檢査報告にもあげている案件相当あります。これは私は当然だと思うのでありまして、解除物件の管理がどちらかというお話も出たようでありますが、解除になりましたものは、全部全責任を日本側で負うのでありまして、受払いというようなことも、当然日本側が全責任を負うことになるのであつて解除になりましたものはアメリカ側はノー・タツチになる、こういうふうに私は考えております。それで解除物件につきましては、解除になる前は、いろいろ先ほどからのお話の通り、疑問もあります。たとえばいりもしないよけいなものを山ほど買つているのであります。先ほどちよつと申し上げましたように、六十九万数千トンという莫大な数字が出ておるのでありまして、買い方が悪かつたという点については、これはアメリカ側がやつたことでありますから、私どもは一切批難すべきではない、こういう態度をとつておりますが、解除になりましたものについては、その数量の点なども日本側に全責任がある。こういう解除後の処置につきまして、昨年来ここに掲げておる次第であります。
  44. 田中角榮

    田中(角)委員 どうも私の質問も徹底しないようでありますが、私はこういうことを言つておるのです。檢收の責任は、昨年の八月までは軍にあつたが、九月からは日本政府責任もある、こういう御答弁であります、私ももちろん責任はあると思つておるのですが、現実には日本政府の檢收官が立会つておらないようです。その場合、新しい事態に直面をして、納品をした数量と実際の在庫数量——新しい機構に引継ぐ場合の実際の数量が不足しておる場合——つた場合はもちろんございません。自然消耗もあるのでありますから、大体減るのでありますが、非常に大きく不足をしておるというようなことが起きた場合、この差額は、会計法規上から見て、あなた方はどういうふうに処分をせられるのか。檢收の責任も、保管責任者特別調達庁であるという場合に、大きな欠損が出たときには、これの最終責任特別調達庁が負われるのか、もしくは別途のお考えがあるのか、これを明確にしていただきたい。
  45. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 ただいまの御質問でありますが、百買つたはずの物品が九十しかない、こういう場合だと思います。これは一応日本側に檢收責任がかりにあるといたしましても、立会いをしていない面が非常に多く、大部分はしておらぬ、こういうふうになつております。それから物品出納簿も、たしかこれはつけていないはずであります。物品会計官吏も任命されていない。こういうのが従来からのやり方でありまして、これに対しまして、さつきの例で申しまして、十の不足数量を日本側の責任に期するというのは、ちよつといかがかと思う次第であります。
  46. 田中角榮

    田中(角)委員 だんだん明確になりつつあります。その意味で今度日本政府には責任がないのでありますが、乏しい財源の中から非常に無理なお仕事を願つておる特別調達庁に対して、どういう心構えがあるかということをひとつつておきたいと思います。それは今も小峰局長が言われましたが、特殊な目的で調達されるものが非常に多いのでありまして、中には四二四のごとく、日本内地に放出をしても不適当のものがあります。こういうものは、統制経済中、一つの計画を行う場合には、やむを得ず資材の調達を先に行つてつて、その見通しがついてから工事を行うということが、長い間日本の予算執行の面にもとられて来たのでありますが、こういう特殊物件の納入にあたつては、愼重に納入をして、なるべく払下品や解除品がないことを日本人は希望しておるわけであります。しかしこれはいろいろな状態において、そうばかりは言えないのでありまして、その事情は了承するのでありますが、こういう調達要求書が出たときに、特別調達庁は何か特別なる配慮をしておられるかどうか。払下げ解除になるおそれがあるものに対しては、特別な意見具申をされたりしておるかどうか。またお互いの立場においてそういうことは不可能だから、やつておらないというのでありますか。もちろんこれによつて、大きな解除物件が出て全部スクラツプで評価をしなければならないという場合の最終の責任も、おのずから明らかになるわけでありまして、これに対する特別調達庁の御答弁をいただきたい。
  47. 川田三郎

    ○川田政府委員 調達要求の内容に対しましては、一応何らこれを批判する権能は與えられていないわけでありますが、一面におきまして調達庁というところは、国民一人々々が調達されるかわりに、物を差出すというところでありますので、むだな調達は軍需品のためにもならぬという関係もございます。それからちようど私の所管しております終戰処理費の予算の面から申しましても、日本国内の各官庁に大蔵省が予算を配賦いたしますように、総司令部の予算管理官が各部隊に配賦しております。ある部隊で非常にむだな調達をいたしました場合には、ひいては全国的に各部隊の調達を有効ならしめる結果を妨げますので、そういう面から申しまして、まず第一に米軍自体の予算の節約という観点から、むだな数量の調達は、これを意見具申をいたし、数量をとめてもらう。それから御質問にございました日本の国民経済に、将来解除になつた場合さして寄與する見込みのないものに対してどういう態度をとるかという点につきましては、将来解除されるのを予想してまでやることはございません。しかしこういうはつきりした実例はございます。ベニヤ板の発注が出ましたときに、解除物件のストツクにベニヤ板があつたので、これはある、お使いくださいということで出しました。しかし厚さが違うとか、面積が違うとかいうことで、けられた例がたくさんございます。ボイラー等につきましてもそうでありまして、DHをつくる場合には、解除物件のボイラーを使うことを要請いたしまして、これがかえつて予算節約になるということがございました。それからスチームのヒーターにつきましても、転用をいたしました。その程度の努力しかやつておりません。はなはだ微力ではございますが、そうした方向には進んでおります。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 最後に現在及び将来に対する調達庁の傾向をお聞きしておきたいのです。もちろん統制経済中、特殊な調達をやらなければならないあなた方としては、非常に御無理な状態にあると思うのでありますが、工事計画によつてあらかじめ資材を調達をしておく、そして資材の調達の見通しがついた場合工事を発注するということが、現在までとられておつたのでありますが、現在は物資もだんだん潤沢になり、その必要もなくなつたようであります。     〔山口(六)委員長代理退席、三宅(則)委員長代理着席〕 特別緊急なるものを除いては、物資もおおむね発注後でも十分調達の見込みができておりますので、将来に対しましては、私たちの国民的感覚から申しますと、表現が少しまずいかもしれませんが、なるべく再び解除物件として国内に放出せられるようなものは、調達をしないでいただければ、一番よいと考えているわけであります。非常に世の中も明るくなり、品物も潤沢になり、十分調達ができる状態になつておりますので、私が申し上げるまでもなくだんだんそういう調達方法をおとりになつていると思いますが、実際の状況はどうですか。
  49. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいまの軍の調達要求に対する内容的な檢討の問題でございますが、これは軍の設計等に関係いたしますので、技術関係の部長から、なおお答え申し上げたいと思いますが、われわれも努力いたしまして、ずいぶん設計については向うと照復を重ねて設計されるようになつております。その具体的な問題等について、技術関係からちよつとお答えいたしたいと思います。
  50. 池口凌

    ○池田政府委員 現在の物品の調達につきましての傾向を申し上げますと、工事その他のものにつきましては、現在新築等はあまりございませんので、主としてメンテナンスに必要な資材が大部分であります。ですから、新しい資材が解除になるということは、現在はほとんどございません。むしろ不用になりました、使用の不可能と申しますか、家具とか、じゆうたんとかいうものが、かなりこわれましたり汚くなりましたり、そういうような不用品になるものが、現在の解除物件の対象でありまして、資材の不用になるものはほとんどないという状態であります。
  51. 田中角榮

    田中(角)委員 これで私の大略質問は終りまして、あまり大きな問題ではなく小さな問題になり過ぎるかもしれませんが、私の希望だけ申し述べておきます。特別調達庁におきましても、長いこと公団に類似するものはまつた特別調達庁であるといわれて参つたのであつて、まことにお気の毒であるとは思つておりますが、そういう意味で一奮発するためのことを一言申し上げておきたいのであります。第四二七号、処罰軽きに失せざるやという問題だけを申し上げておきます。これは相当悪質だと思うのでありまして、これに対して昭和二十五年六月より九月まで停職処分に付し、二十五年十月十五日付依願免本官——こういうものはやはり相当事情もあり、むずかしい問題ではあろうと思いますが、処分軽きに失せざるやというようなことが出ないように、ひとつ以後はやつていただきたい。
  52. 井之口政雄

    ○井之口委員 終戰処理事業の概算払い並びに前金払いの未精算額が、約三億円見当と二十五年度ごろまでの計算になつておりますが、約三億円見当のものが報告されております。これは一番大きいものは一体どれくらいのものでありますか。ちよつとその点をお聞きしたいと思います。
  53. 川田三郎

    ○川田政府委員 御質問のうち、一番大きなものになりますのは、横浜調達局で前金払いをしております、義合祥建設株式会社の前金払い金額の二億三百八十六万円という口でございます。これは現に工事進行中でありまして、この前金払い金額以上の精算になる、いわゆる過払いは生じない見込みのものでございます。
  54. 井之口政雄

    ○井之口委員 それは前金払いしてから、それが全部過払いにならないで精算がされるまでに、何年ぐらいかかるのですか。
  55. 川田三郎

    ○川田政府委員 前金払いをしました時期が昨昭和二十五年の四月でございます。現在工期の最終が十一月の十五日になつておりますので、十一月十五日までに約一箇年で全部の精算並びに履行が完了いたします。
  56. 井之口政雄

    ○井之口委員 それが全体で約三億円ぐらいのところへ、一口で二億円ぐらいありますから、ずいぶん大きなものだと思いますが、なおそういう未精算額の部分を、大口の分だけでも、そうよけいはいりませんから、文書で出していただきとうございます。  それから四二五でありますが、この二重煙突というのは、例の足利板金会社関係した二重煙突でございますか。
  57. 川田三郎

    ○川田政府委員 お言葉の通り、足利板金工業の二重煙突であります。
  58. 井之口政雄

    ○井之口委員 またここにも大橋法務総裁の関係事項が出て来ております。これは約二万一千フイートでありまして、日本通運の水沢倉庫に寄託した部分だけになつておりますが、これは單に仙台特別調達庁だけのものでありましたか、そのほかにはないのでありますか。なおこういうものの調査については、会計検査院は非常に手不足だろうと思うのです。そこへ持つて来て、今度また会計検査院の人数を減すという行政整理の問題が出ておるようでありますが、この二つの点を会計検査院及び政府よりお答えを願いたいと思います。
  59. 川田三郎

    ○川田政府委員 この二重煙突は、仙台だけで、ほかにもないかということでありますが、ほかにはございません。仙台のこれにつきましても、特に二重煙突だけをたまたま扱つたのではございませんで、たくさんの中から偶然この二重煙突が出て来たということであります。大橋法務総裁とは何らこれは関係ございません。
  60. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 ただいまの四二五、これは昨年問題になりました二重煙突の一部でありまして、この種のものは、実に東北方面に散在しておつたので、私の方で妙だと気がついたのであります。二重煙突は、御承知の通りガス暖房に使うのであります。東北にはガス暖房の地区はないのであります。ガス暖房のない東北に、二重煙突がどこへ行つてもごろごろあるので、これはおかしいと思つたのが、この問題の端緒になつたのであります。そういう意味で水沢にも若干あつたのであります。この案はたまたま二重煙突という名前がついただけでありましで、二重煙突だろうが何だろうが、こういう二倍も保管料払つたら悪いのでありまして、これは二重という名前につられて倍数量を書いてしまつたような妙な案なのでありますが、單純な過失でありまして、これは別に先ほどお話が出た大橋総裁云々というものではございません。  それから会計檢査院が今度の行政整理でも人を減らすようだが、手不足ではないか、実は檢査というものはなかなか深いもので、やればやるほど底が知れない性質のものでありまして、現在の人数でも、決して私ども十分な檢査ができているという自信は持てないのであります。
  61. 井之口政雄

    ○井之口委員 もう一つ、二つお聞きしたいのであります。これはただいまのお答えので、足利板金の問題だとおつしやるのでありますが、そうすると、やはり参議院においで調査された、大橋法務総裁の証言によつて、間接的であろうが、とにかく関係のあつたものであろうと推察するのであります。しかしそれはそれとして、あの時分に保管料だけでも約百万円からの保管料払つたということが、会計檢査院報告に出ていたようであります。あれを見ますと單価が百六十円で、容積が二倍になつておる、こういうふうになつて来ますと、百万円の半分五十万円ぐらいが過払いのように、大ざつぱに計算されるのでありますが過払いとしてここに指摘されているのは十六万円にすぎない。これはどういうわけか。
  62. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 これは仙台の水沢で保管させた二万千何フイート——二十煙突は全部で約二十二万数千フイートだと思つておりますが、このうち五万フイートばかりのものが入らないのに、それだけ入つたということにして、十六万円だつたと記憶しておりますが、過払いになつた。これが実は参議院でも問題になりました焦点であります。これは百数十万円とさつき御指摘になりました保管料の中に、当然この十六万円が入つておるわけではありますが、この十六万円だけが倍になつたのでありまして、残りの約九十万円というものは、決して倍になつているのではないのであります。これは水沢倉庫だけのものでありまして、ほかにはこの種の誤りは一切ありません。
  63. 井之口政雄

    ○井之口委員 ほかには保管料並びに容積の算定の誤りはないということですが、ほかの倉庫をお調べになつての結論ですか。大体今の水沢倉庫にみんな保管されていたということを、先ほど御返事のようでございましたが、その辺はどうですか。
  64. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 二重煙突は、実は大きな問題になりましたので、私どもも現在残つておる分は、しらみつぶしに調べたのでありまして、保管料はそのときに一つ一つ檢討してございます。そういうことをしておりますので、比較的こまかい十六万円——問題は二重煙突でありますが、この程度のものまで実は出て来たわけであります。
  65. 井之口政雄

    ○井之口委員 四二八号を見ますと、いろいろな一ぺん納入したものが解除されて売渡しになつたものが出ております。この約三十点のものが六十六万円でありますから、一品目当り二百円ぐらいに当りますが、冷蔵庫のほかにどんなものがあつたか。かなり安いような気がしますけれども、その点はどうか。  それから特別調達庁が、アメリカの方から注文を受けて、一応納入した、または納入しない前に、それは不用であるというような向うからのさしずを受けて、納入しないにかかわらず、政府において保管されているようなものの総額は、終戰以来一体どれくらいに達しているでありましようか、この二点をお聞きしたい。
  66. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいまの三千品目の内容について今資料を見ておりますから、しばらく御猶予を願います。  それから軍に納入しなくてそのままになつているもの、これは結局取引としましては、履行されないものという計算で、業者の危険負担になつておりまして、全然政府なり、軍なりの支払いの対象にはしておりません。それで軍が発注してつくり、または納入の処理ができていないものでありまして、それが実際において業者の損害になる関係が認められました場合は、別に調達受領書とは違いました手続によりまして、損害の賠償はいたしております。
  67. 井之口政雄

    ○井之口委員 二重煙突はどうですか。
  68. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいま二重煙突はどうかというお話でございましたが、現在は当時と時代が違つております。二重煙突は、軍が一つの施設をいたします場合の準備として文書命令——レター・デイレクテイヴというものを出しまして、準備的に調達したものが、どこに使われるかまだ未確定であるが、抱括的に軍が用意をしておけという命令を出したものでございまして、従つて軍に納まらずに、調達庁の倉庫にあるという関係が起つたのでございます。
  69. 井之口政雄

    ○井之口委員 これはかんじんなことですが、会計檢査院報告によりますと、確かにあれはアメリカの占領軍からいらないという二度目のさしずが来ていた、しかるにこれを続けて注文しておつたのは不当であるという報告の内容になつてつたと思いますが、これはどうですか。
  70. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 井之口さんの御質問その通りであります。一旦LD——先ほど紹介がありました文書命令が出まして全体契約したのであります。日本中でガスの一番多い地区は代々木でありますが、代々木の住宅ができ上るころにはまだ物が入らぬ、こういうので大部分が余つてしまつた。そのときに解除すればよかつたのですが、文書命令が解除にならぬというわけで引続き発注していた。その後にもういらないという命令が出ましても、なおかつ発注していた。それでますますたまつてしまつたという次第であります。
  71. 長岡伊八

    長岡政府委員 先ほどの、三千点について、どういう品物かという御質問でありますが、あいにくこまかい資料を持ち合せませんので、詳しいことはわかりませんが、じゆうたん、じようまえ、あるいはシリンダーとか、実に種々雑多なものがまじつてつたと了解いたします。
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に移ります。報告書第九十一ページ、報告番号四三〇、物件売渡代金の徴收処置当を得ないもの及び報告番号四三一、物品の購入に当り納入経費を過大に積算したもの、右二件を一括して当局から簡單に説明を願います。財務部長川田君。
  73. 川田三郎

    ○川田政府委員 四三〇は、横浜調達局の庁舎建設にあたりまして、官給の資材を與えましたものが、建設完了後しばらく整理されず、借料の支払いの際にもその代金を徴收していないという檢査院の御指摘でありまして、まことにその事務の遅延につきましては申訳ない次第だと存じております。幸いその後の処理によりまして、ようやく資材等の数量、品質が両者の間に話合いがつきましたので、昭和二十六年の三月三十一日にこれを徴收してございます。  四三一号は、運賃の計算にあたりまして、かさ高品を誤算いたしまして、まことにこれは事務上の過誤であります。今後こういうことのないように、十分注意をいたしますが、その過払い金額につきましては、三十五年十月六日をもつて、四十八万八千九百五円を全額徴收いたしました。今後こういうことの起らないように、嚴重に一般に注意をいたすつもりであります。
  74. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 会計檢査院側に、格別御意見はありませんか。
  75. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 ただいまの二件でありますが、政府側檢査院の批難を了承されまして、今の処置をしておられますので、特に申し上げることはありませんが、四三〇は、実は私ども見ましたときは、相当くせの悪い案件ではないかと思いました。というのは、建物を建てさせまして、約千万円の官給材をやつたわけでありますが、でき上つてからそれをそのまま借りたのであります。借料の方は毎月きちんきちんと払つておるのでありますが、こちらで渡しました官給材の代金は、檢査のときまで一文もとつておらぬという案件でありまして、いかにもまずいのではないかと思つておりました。檢査報告をつくりましたときは入つていなかつたのでありますけれども、その後おとりになつておりますから、これ以上私から申し上げることはありません。
  76. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御質疑はありませんか。——それでは次に進みます。  報告書第九十二ページ、報告番号四三二ないし四三八、艦艇の解撤に関し処置当を得ないもの、七件を一括して説明を求めます。大蔵省管財局長内田君。
  77. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 いずれも終戰直後から引続いて行われました旧海軍艦艇の解撤に関して起りました問題でございます。終戰直後三百数十隻の旧海軍艦艇に対しまして、関係方面より、これが非武装化、解体を急遽命ぜられたのでありますが、この解体費等につきましては、政府として予算の準備もなかつたために、解体の業者をして行わせまして、その際に業者の負担する解体費と、解体の結果発生するスクラツプ等の価格を、業者の計算の中で相殺して、差引価値が残るものは政府に金を納めさせるという方法を、しばらくの間とつてつたようであります。しかるにさような処理につきまして、その後会計檢査院からも批難がございましたし、当決算委員会におきましても、いろいろ問題が起りました。そこで、あらためてその決算処理の取扱いをやり直すことにいたしまして、解体によつて生じた資材は、全部国有に属せしめて、これを払い下げる。そのかわり、工事費については、これは政府の歳出をもつて処理する、こういう片側交通の処理がとられることになつたようであります。しかるに、当初のやり方におきましても、またその後改めたやり方におきましても、予算に載せるか載せないかという点は違いましたけれども、海運業者、サルベージ業者等の処理の計算につきまして、ことに解撤作業費の計算につきまして、直接費、間接費等の計算の仕方について、ここに会計檢査院から御批難があるわけであります。当時政府の方では、内務省、運輸省、通産省、大蔵省の四つの部局が、戰争中以来、海運業者につきまして一つの原価計算要綱ができておつたようでありまして、艦艇解撤作業費につきましても、その原価計算要綱の経費によらしめる建前をとつたのであります。後に予算を通じて作業費を別に支払う、そのかわり生じた資材は国有にするという仕組みをとりまして、昭和二十一年にさかのぼりまして、それによつて過去の業者の計算を仕訳いたします際にも、今申し述べましたような原価計算要綱によつて精算をしたのでありますが、檢査院の御指摘によりますと、原価計算要綱を艦艇の解撤について適用すると、間接費の配賦について業者に非常に甘くなる。従つて行かないでもよい金額が業者に行つたという結果になることはまことに当を得ない、こういう御指摘であります。われわれといたしましても、その事情はよくわかるのではありますが、すでに終戰直後あのような緊急事態のもとにおいて一応原価計算要綱によらしめ、しかもその間年を経まして、艦艇解撤以外の業者、海運業者の計算におきまして、すべてお済みになつた後に、さらにそれをくつがえして解撤費の方を辛くするということができなかつたために、檢査院から御批難を受けた次第でございます。まことに遺憾なことであつたと存じます。  なおその他の事項は、今申しますように事後発生した資材は業者に売り渡す、政府が全部初めから売り渡すということにしました際に、売渡し価格についていろいろな問題を指摘されておるのでございまして、あるものは売渡し価格について控除すべからざるものを控除しておるというような事項もございますし、またあるものは公定価格よりも安い価格で売渡しをしておるというような御批難もあるのであります。檢査院の御指摘すべてごもつともでありますが、当時仕事を処理しておりますものにつきましては、また事情もあるようでございまして、たとえば公定価格よりも割引をして売り渡したということにつきましては、解撤したくず鉄等につきましても、一級品、二級品、三級品というようなそれぞれに応じての価格があるようであります。一応二級品として計算すれば、安い値段になるのでありますが、発生資材の性質によつては、むしろそれは他にそのまま転用できるという種類のものであるために、一級品に格上げして、高く踏んで評価をして業者に売り渡す、高くは売るが、そのかわりその各部分部分がさびておつたり、こわれておつたり、いろいろ補修費がいるということのために補修費を差引いて、一級品の公定価格よりも安く売つておる。もつとも安く売ります場合にも、当時本省として財務部に対する通牒がございまして、一〇%以内の割引はよろしいということは認められておつたのでございましたが、それに対して一〇%以上を実情に即して割引したのではなかろうかと思われる点があります。いずれにしましても、本省の通達である一〇%以上を割引して売つたというようなことは、これまた遺憾なことだと存じます。さらにまた公定価格がかわつたものを公定価格より安く売つたという事情につきましては、当時物価の上る時期で、公定価格もしばしばかわつたようでありますが、十数万トン以上のくず鉄がにわかに発生した。そのため手不足の財務部では契約処理が遅れた。しかし実際は業者との話合いは、すでに前の安い公定価格時代にできておつた。しかし実際契約を結んだ際は、公定価格が引上げられておつたということのために、結果から申しますと、公定価格よりは安くはなつております。また政府の原則である契約時の公定価格で売らなければならないものを、たといその実際の話合いが先にできておつたといたしましても、前の公定価格を援用して安く売つたということは、まことに申訳ないことでありますが、一面また事情もあつたようでございます。  なおまた経費の割引に関しまして、将来起るであろう経費を差引いて安く売つたというような事項もございますが、これらの一部は、現在までにその経費をとりもどして国に收納をさせて、檢査院の御批難にこたえたものもございます。たとえば第四三四号の案件、日鮮サルベージ株式会社から十八万余円というものを本年の七月十七日に收納をいたしております。  それから最後の案件、四三八号でありますが、これも同じコースのものでありまして、解撤工事費を業者に支払う際に、それから生じたスクラツプの払下げ代金を当然政府が受取る。出すものは出し、受取るものは受取るということで行くべきものでありまして、その際政府からの払下げ代金を支払わないものについては、工事費を差引いて、差額だけの代金を支払うのが当然でありますが、この件におきましては、その相殺をやらないで、政府から払うものは払つてしまつた。しかし政府から売り渡したものの代金四百五十四万八千余円が未收になつておるということは、まことに醜態でございまして、その後話合いの結果百万円だけは收納したようでありますが、なおまだ三百五十四万八千円は未收に終つて今日に至つておる。まことに申訳ないことであります。これに対しましては、現在東京財務局で、民事訴訟の手続を進めておるのでありまして、かくなりました以上は、民事訴訟によりまして国の権利を確保したい、かように存じております。
  78. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 この問題は、非常に世間にも騒がれました問題の一部でありますので、特に会計檢査院当局より意見の開陳を求めます。なるべく簡單にして要を得た開陳を望みます。
  79. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 艦艇解撤につきまして、今委員長より御注意もありしましたので、若干お時間を拝借して、経過、檢査の結果、こういうことを御説明申し上げたいと思います。  経戰後、陸海軍が全部武装解除されたわけでありますが、海軍も一切くず鉄化されたわけであります。それで終戰当時保有しておりました船は、戰艦四隻を初めといたしまして、特攻艦艇のような小さいもの、あるいは木造のもの、こういうものを合せますと五百隻を越えていたわけでありますが、そのうち特殊の用途に使われましたものを除きまして、四百六十八隻、排水トンにいたしまして六十七万七千トン、これが解撤を條件にして日本側に返還されたわけであります。これが二十四年度までに全部解体を終りまして、完全に海事は消滅したわけなのであります。この経費につきましては、先ほど委員長からも言われましたように、当初はずいぶん世間からも疑惑の目をもつて見られ、所によりましては檢察庁の手が入る、こういうようなことも実はあつたのであります。私どもの方でも、これについては詳細な檢査をいたしましたが、結局のところ、誤解に基いたものとか、あるいは担当官庁の放任の度が過ぎたと思われるようなものが多かつたようであります。これは私どもが本格的な檢査を始めましたのは二十四年の三月でありますが、当時までに大体解体作業は終つていたにもかかわらず、実はまだ金の支払いをする担当官庁などもはつきりしておらなかつたというような状態であつたのでありまして、当時業者から早く払つてくれという声も、非常に高かつたような状況でありました。覚書とかそういうものは省略いたしますが、要するに二十一年の四月に、一年以内に全部解撤せよ、解体を條件として日本政府に返還する、こういう條件で覚書が出、軍艦が返されたわけであります。これに対しまして、日本政府は二十一年の五月に、大蔵、商工、運輸、逓信、当時の関係四省の共同通牒を発しまして、その取扱い方針を定めたのでありますが、その方針によりますと、多数の民間造船業者などに、この四百数十隻という船を現状のまま——これは動ける船も若干あります。あるいは半分沈みかかつた船も相当つたわけでありますが、とにかく現在の姿のまま解撤を條件として払い下げ、その価格は解撤後にきめるということにしたのであります。ここにいろいろな問題が起きる余地があつたわけでありますが、政府はこの方針で播磨造船所ほか五十六業者に艦艇を引き渡し、業者はどんどんと解撤工事を始めるようになつたのであります。そのころ部分的に会計檢査院で檢査をしてみますと、どうもなかなか不当だと思われるような経理が、実は相当に見つかつたのであります。その結果まず会計檢査院から当局者に対しまして、艦艇の解撤は国に課せられた重大な義務である、その收支は公明を期すべきものであるから、その経費はこれを予算化すべきだ。同時に、作業の結果発生した諸資材も、国において処分するのを相当とする。こういう注意をお出ししたわけであります。同時に、昭和二十一年度の決算檢査報告にそれを書きまして、国会に御報告したわけであります。第二国会でこれが問題になりまして、そして会計檢査院の言う通りだということになつたのでありますが、一方政府では、十分に予算がないくらいでありますから、十分な経理措置もなかなか進行しない、こういう状態のところへ、国会の御決定もございました。ところが、一方業者からはやいやい金を払えというようなことも言われ、何らかの打開策を講ずる必要を生ずるに至つたのであります。結局、政府は当初の方針を全面的に変更いたしまして、二十八億二千六百万円を二十三年度終戰処理費に計上したわけであります。ここから政府の経理措置が始まるわけでありますが、二十三年度に計上しました一億数千万円、これも実はなかなか支払いが進まなかつたのであります。二十二年度以前に予算措置をしないで解撤を始めたもの、あるいは二十三年度に今の予算をとりまして後に解撤を始めたもの、この二つにわけまして、その前者、予算のないうちに解撤を始めましたものを大蔵省の国有財産局が管理する。それから二十三年度になりまして予算をとつてからやり出したものを運輸省海上保安庁があとの始末をする、こういうふうにきまりましたのが二十四年の二月ごろであります。それでこの大蔵省で取扱うことになりました、予算措置を講じないで解撤工事を始めたものは約九〇%になつております。運輸省海上保安庁で扱うものは一一%、こういうような非常に少い量だつたわけであります。そういう状態でずつと数年経過し、工事はもう済んでしまつたわけであります。どこに幾ら払つていいかということも、実は業者から請求は出ておりますが、はたしてその請求が妥当かどうか、こういう点については妥当だと言い切るだけの資料が、実は何も政府側になかつたわけであります。そこで檢査院としては、これは自分で一切檢査をしてみなければだめだ、こういうような結論を得まして、ちよつと異例でありますが、関係業者である播磨造船所ほか三十四会社を、会計檢査院法の規定によりまして直接会計檢査院で檢査する指定をしたのであります。それで当時はまだようやく二十三年度の予算を繰越すため、大部分のものが概算契約を締結した。こういう状態で、ごく一部運輸省方面で金を支払つただけで、大部分はまだ金を払つていなかつたのでありますが、そういう状態において実は檢査を始めたわけであります。先ほど申しました四百六十八隻、六十七万七千余トンのうちで、檢査をいたしましたものが三百四十九隻であります。隻数においては相当開きがございますが、排水トン数では六十五万七千余トンを檢査いたしております。結局非常に小さいものだけをやつておるところは、檢査の指定から除きましたが、鋼船、鉄船をやつておるようなところは、全部檢査の中に入れたのであります。排水トン数にいたしますと、九七%を実は檢査いたしました。これは二十四年三月に開始いたしまして二十五年の八月に完了したのであります。結局におきまして、まだ幾ら払つたらいいかということがしつかりきまらぬうちに、会計檢査を始めざるを得なかつたわけであります。会計檢査院の檢査によつて政府の方も支払額を決定する、こういうちよつと逆な結果に実はなつてしまつたのであります。私どもとしては、実はなれない方法の檢査で、相当いろいろな新しい方針もとりましてやつたわけでありますが、しかし、これは全国統一した一定の方針に従いまして、相当嚴正な檢査をしたつもりでおります。その結果出ました結論も、金額的に申しましても実は相当に大きいのでありまして、業者の工事費に対する請求額八億二千二百万円、檢査の結果減額すべきものと認めたものが一億五千六百余万円で約一九%になつております。それから発生諸資材の売払額これは業者の五億九千二百余万円に対しまして三千五百七十余万円を増額すべきもの、こういうふうに実は決定したのであります。これを政府側に示しましていろいろ御相談したのでありますが、この段階に至るまでは、実は大きな業者等には実地檢査にも参ります。私も視察に参りまして、ひざを突き合せていろいろ向うの言い分を十分聞いてここまでおちついたわけであります。相当向うの言い分を聞いて、第一回の檢査が行き過ぎた面では、われわれが修正した面もございます。ともかくもここにおちついたわけでありますが、中には間に立ちました当局者の態度の関係で、額が結局においてまとまらなかつた檢査院がこれだけは相当だというふうに申し上げたのでありますが、それが修正にならないで、そのまま業者の言い分通りに確定してしまつた、こういう案件が若干出たわけであります。その檢査院の正しいと認めた額で処置されなかつた案件が、全部実はこの四三二号から四三八号に載せたわけであります。会計檢査院の言つた通り御修正になつた額は、全然批難としては扱つておりません。それで今申し上げました一億五千六百余万円という経費の会計檢査院の不当支出と認めた中で、政府檢査院の言う通りだというのでお直しになりましたものが一億一千九百余万円であります。それから売払代も、三千五百七十余万円を増額すべきだというのに対しまして、政府がお直しになりましたものが二千二百八十余万円、こういうことになつております。差額はここに出ておりますが、修正されておりませんので、大体この直しました收入、支出合せまして一億数千万円というものはここに全然出ておりません。  大体のことを申し上げますると、先ほども申し上げましたように、業者が意識的に悪いことをしよう、政府に不当な損失を與えても自分がもうけようというようなつもりでやつたというのは、私どもが見ましたところでは、着手しました当時は、これが非常に多いのではないだろうか。世の中でも、実はこういう声が出ていたのでありますが、檢査の結果によりますと、これは案外少い、こういう結論を現在では持つておるのであります。大部分は指導方針の不徹底、監督の不行届、こういうことによるものが多いように思うのであります。中には艦艇解撤と関係のない会社国有の経費を突き合せたとか、先ほど日鮮サルベージの十八万円の二重計上という話がちよつと政府委員からありましたが、あれなどは質の悪い方と思いますが、そういうものもあります。それからわざと工事期間をひつぱつて、その間の人件費を解撤経費に持たす、こういうようなのもございましたが、大部分の批難と申しますか、会計檢査院が不当支出だと見ましたものは、たとえば労務費とか、材料費において、一応高い見込みの予算を立てまして、実績はそれほどかからなかつたのに、高い予算をそのまま政府に請求した。こういうのが割合に金額が大きかつたのであります。それから先ほど政府委員からお話がありました間接費の問題、これがここに上つておりますように、政府は最後までがんばつて御修正にならぬ。こういう案件まで生じたのでありますが、これも労務費、直接労働時間を基準にして、会社のプロパーの仕事と、艦艇解撤の間接費の二部門に全体の経費をわけたのであります。そういたしますと、大体造船をやつておる会社が多いのでありますが、造船のように、材料代が約半分、労力費が四十数パーセントというような作業と、ほとんど大部分の経費が労力費の解撤作業とは、労力費だけで按分いたしますと、非常に不公平になる。解撤は造船ではないことは明瞭で、家をこわす作業とつくる作業とのたとえ話でよくわかりますが、間接費を按分するのに、家を建てる方とこわす方を労力費だけでやつたのでは、非常な不公平になる。こういう結果で、間接費の不公平な配分を来しておるのであります。  大体そのくらいにしまして、一つ一つの案件については御質問がありましたらまた申し上げることにいたします。
  80. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは会計檢査院側の意見の開陳を終りましたが、この際運輸省から会計課長辻政府委員が来ておりますから、簡單に四三五に関して御説明を願います。
  81. 辻章男

    ○辻政府委員 四三五号につきまして、運輸省から簡單に御説明申し上げたいと思います。  大滝山丸の工事は、当初は法律第六十号に基きまして、特定契約によりまして発足いたしまして、昭和二十三年九月に工事は完了したのでございます。この六十号特定契約によります契約は、その後すべて財務局の檢査を受けまして金額を確定する建前になつておりますが、同年の十一月、大阪財務局より、さきにお話がありましたように、艦艇解撤が急がれておりました関係上、事務が輻湊をしておつた事情であろうと思いますが、財務局の檢査ができなくなつて来たという旨の通告を受けたのであります。この檢査を受けませんと、金額が確定いたしませず、支払いもできない事情になるわけでございますが、一方工事はすでに九月に完了しておりまして、業者の方といたしましては、代金の請求をして参つておりますので、海運局といたしましては、やむを得ず、大阪財務局とも相談いたしまして、法律第百七十一号によります確定契約にこれを切りかえまして、海運局において契約内容をなお十分審査して、金額を支払いしたわけでございます。ところが批難事項にございますように、多額に支出したという点でございますが、その後大阪財務局の方では、あの確定金額について、多少手がすいたから法律第六十号による檢査をしようということの申出がありまして、海運局といたしましては、ぜひそうやつていただきたいということで、法律六十号によりまする檢査を受けましたところ、百万五千円何がしが払い過ぎではないかということでございましたので、その意見に服しまして、同金額を昭和二十六年一月に岡田組より返却させております。
  82. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 以上をもちまして政府並びに会計檢査院の御意見を承りました。これより質疑を許しますが、一応総括的な質問委員長からちよつとさせていただいて、それからやります。  艦艇の解撤に関しまして処置当を得ないもののうちで、艦艇の解撤は連合軍の命令により昭和二十一年五月から施行、二十五年三月に至つて打切られたものでございますが、昭和二十四年度におきまして精算が終了しておる由でありますから、この際解撤に関して総体についてお伺いをいたしたいと思います。解撤した全部の艦艇につき種類ごとに数量あるいは所部庁ごとにこれらの解撤業者ごとに報告を承りたいと思いますが、これはできておりますか。     〔「それは不当財産に全部出したものがあるではないか」と呼ぶ者あり〕
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは出ておるそうでありますから、こちらの方にも御提出願いたいと存じます。  次に賠償等として他国に引渡した艦艇の艦種ごとに数量等をお示し願いたいと思います。
  84. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 今の賠償艦艇のお話でございますが、これは総数で隻数を申し上げますと、三十隻であります。それから明細というと——ちよつと賠償のやり方を簡單に申し上げますが、これは船で渡したのではないのでありまして、全部ほかの一般の艦艇解撤と同じように、こわしましてスクラツプ化して売払代金を渡したのであります。これは明細と仰せになりましても、一本にしてやるわけでありますから、ちよつとあれでございます。三十隻、二万九千トン余りであります。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 続いては、第三番目に現存せる艦艇について所管庁ごとに艦艇ごとにその数量等がわかりましたら、お知らせしていただきたいと思います。旧海軍の艦艇といたしまして使つたもの、そのほか沈没したものもございましようから、それらの数量も一応わかりましたらお示しいただきたいと思います。
  86. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 現存する艦艇と申しますと、先ほどちよつと一言触れましたが、特殊用途に使うものを除き、すべて解撤した、こう御説明したつもりであります。この特殊の用途というものはいろいろわかれますが、たとえば南洋のビキニの環礁にひつぱつて行かれて原子爆彈の実験に供せられた長門などもあります。それから沈船防波堤として防波堤がわりに半分沈められたものも方々にあります。それ以外に飛行機救難艇として、そういう小さいものはこわさないで、現在のまま使つてよろしいという承認を得たものが幾隻かあるわけであります。これは全体から見ますと、その数も非常に小さいものでありますし、どこへ何隻、どこへ何隻というほど申し上げるような大きいものは、実はございません。その程度でお許しを願いたいと思います。
  87. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 第四番目、以上の艦艇は国有財産台帳の上ではどういうふうになつておるか、国有財産についての整理状況を承りたいと思いますが、もしなければ資料として提出していただきたいと思います。
  88. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 国有財産台帳には旧艦艇は載せておりません。現状の取扱いはスクラツプ化したときに、国有財産法に基くものではありませんが、全部の措置としてスクラツプ台帳をつくつて、一ぺんそれに登載して、それを売り払つて記載をして代金を收納する、事実上こういう取扱いをいたしております。
  89. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 今の通りでありまして、現在の国有財産台帳というものは、終戰後につくりましたものでありまして、こういうものは一切載つていないわけであります。
  90. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次に解撤の総工事費(終戰処理費)、解撤により発生した資材の総価格、いまだ売却しない発生材がありますか。また右の売り払い総価格、未收入額はないかどうかを所管庁ごと、請負会社ごとに報告されたい。以上の詳細は即答ができなければ調書をもつて報告していただきたいと思います。
  91. 原末一

    ○原説明員 大蔵省で艦艇解撤をしまして、大蔵省で処理いたしましたものの総トン数が五十九万九千七百十一トンとなつております。そのうち発生材として処分いたしましたトン数が二十三万七百三十四トン五七六、価額にしまして五億七千六百六十九万一千四百四十一円八十五銭となつております。これは三月末までの現在でございまして、その後その当時残つております発生材の数量は八千三百三十二トン七〇八、金額にしまして九千四百七十三万四千三百二十二円七十七銭ということになつております。その後極力売払いの方を進めました結果、大部分がもうすでに売払済みになつておりますので、残つておる分はほんの三百トン内外ということに現在なつております。
  92. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 今政府側から御説明がありました五十何万トン、スクラツプが出たということは、実は初耳でありまして、何かの間違いではないかと思います。解撤によりまして発生した諸資材は二十六万八千トンであります。二十五年度末までに二十六万一千余トン処分いたしておりまして、七千トンばかり余しておつたわけであります。スクラツプは現在のような状態でありますので、大体売れたことと思います。それから二十六万八千トンというのは、先ほども申し上げましたように、実は排水トン六十七万七千トンに対する数字ではないのであります。六十七万七千トンのうちの大型の船でありますが、呉の附近に擱坐しておるのが五隻ほどあるわけであります。これは解撤しました当時の採算で行きますと、半分沈みかかつた船を引上げて解撤するというのは、実は非常に金がかかつたわけであります。それで連合軍の許可を受けまして水線から上だけを切つて、水線から下はそのまま放棄したわけでありますが、御承知のようなスクラツプ景気が出て参りまして、これを売つてくれという希望がございまして、これを全部一艦ごとに業者をかえて入札して売つたわけでございます。これをこわしまして出ましたスクラツプが九万四千トンほどあるわけであります。先ほど申し上げました二十六万八千トンに九万四千トンを足していただいた数が今までに発生しました発生材の総数量、こうお考えつていいかと思います。三十六万三千トンあまりになります。これは先ほどの排水量六十七万七千トンに見合うスクラツプでございまして、六〇%近いものが大体出ております。
  93. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 今御説明がありましたが、あとでその資料を政府側からも出していただきたいと思います。大体国有財産台帳には載つておらないが、その後スクラツプ台帳としてできておると思いますので、あとで資料を出していただきたいと思います。  次に、右のうち会計檢査院において檢査の結果、不当と認め精算にあたり是正を要求した解撤工事費の総額、または発生材売払い等の歳入額——それぞれ交渉せられて、先ほども値上げになつたということを聞いてもおりますが、また檢査院の要求に応じて、諸官庁においても是正して、これを歳出において、あるいは歳入において幾らというふうに変化がありましようか。もしこれもわかりましたら、資料として出していただきたい、かように考えます。  次に、会計檢査院の是正要求に応ぜぬものが、本報告書の四三二ないし四三八の事項であろうと思います。これらについては、政府においても相当の意見があろうと思いますが、かりに檢査院の批難の通りであるといたしますならば、右の場合において、もはや精算が終了いたしております現在におきましては、法律的には各請負会社に是正を要求することはできないのではないかと思いますが、政府の方では政府契約の特例に関する法律等を勘案いたしまして、いかようになさるつもりでありますか、これまた一つ御答弁をいただきたいと思います。
  94. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 先ほど小峰檢査官から御説明がございましたように、政府といたしましても、檢査院のお立てになつた原則を認めまして、それにより得るものはよつた。それにより得るものが大部分であつて、例外として政府がそれにより得ないものをここに指摘された、こういうお話でございます。ただいまその間の詳しい事情を私ここでつまびらかにいたしませんが、おそらく政府としても、その当時、檢査官のお話によりましても、政府にはまだ原則がなかつた、その原則に基いて政府が精算の処理をされるという——檢査院としては、若干今までの通常のやり方とは違つたやり方をやられた、こういうお話ですから、政府としてもおそらく素直に檢査院の原則を取入れて、その原則を具体的に取入れるまでは、できるだけそれによつて、なお特殊の事情等によつてどうしてもその原則通りに行かないものが若干残つた、かように考えられますので、おそらく今日の段階においては、是正を要求することは非常に困難だろうと思います。
  95. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 主税局長が来ておりませんから、内田管財局長を通じて申し上げますが、お調べの上御報告を願いたいと思います。請負業者の解撤事業によります收支に対しましては法人税を課税するが、税務署の認めた額と一致しておるかどうか。すなわち解撤の所管官庁と国税庁とは互いに連絡をいたしまして、真相を把握いたしておるかどうか、こういうことを考えておるのでありまして、解撤請負業者ごとに、解撤によります收支計算あるいは損益状況等を報告してもらつて、適当な納税をしておるかどうか、こういう点をお調べ願いたい、かように考えます。
  96. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 ごもつともでございますから、主税局長にもとくと御趣旨を伝えまして、今日その計算ができるようでありましたならば、お出しいたすようにしたいと思います。ただ、申すまでもなく会社の経理は一体でありまして、おそらく資材部とか販売部とかありますが、業種の損益計益というものが、はたして可能であるか。総係費その他の経費等の関係もございましようから、この分だけはたして突き合せられるものか、出せるかどうか、あるいは非常に困難じやないかと思いますが、一応伝えてみたいと思います。
  97. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 委員長から申し上げます。損益計算といたしましても、解散に関する事柄は、相当会社であると考えておりますから、連絡次第によりましては、ある程度までは正確にでき得るものと考えておるのでありまして、本委員会にも正確にわかるようにお示しを願いたいということを、特に委員長から嚴重に警告を発しておきます。
  98. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 今の委員長の御質問でありますが、これは実は私の方では租税担当の課に、その都度こういうものが出ますと通告しております。それで本件につきましても、大体通告が済んでいるように聞いております。それで中にはつきりと、たとえば熊谷組でありますが、四百何十万円という関係の法人税か所得税がとられているというふうに聞いておりますので、大体間違いなく課税が済んでいると思つております。
  99. 井之口政雄

    ○井之口委員 関連質問を……。ただいま委員長が非常にいい質問をしてくださいまして、それだけの資料が出て参りますれば、大体の全貌をわれわれは理解することができると思います。つきましては、全般的なことを一言お聞きしまして、大体の概念を得ておきたいと思います。  会計檢査院の方において四百六十八隻、六十七万トンが解撤されまして、そして三十何万トンのスクラツプが出た。そこでこの場合に出た資材の売上げの全額は幾らになるか。それからそれに要したところの、政府で支出したところの費用額は幾らになるか。そして純粋の利益として国庫の收納になつたものは幾らになるか、これが一つ。  それから、もし会計檢査院の算定されるところによつて、そのできた資材の評価が正しくなされ、また支出の面が正しく評価されて、そしてこれが是正された場合に、いかほどの国民の負担が軽減されるものであるか、その点簡單に総括的な結論だけお聞きしてみたいと思います。
  100. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 ただいまの御質問に対するお答えは、実はそつくり檢査報告の三十一ページに出ておりますから三十一ページをちよつとごらん願いたいと思います。三の艦艇解撤というところの文章の二行目に「二十四年度中に七億六千九百余万円をもつて精算支払を完了した」とありますが、これが政府支払額であります。それからその次に、今度は発生諸資材の売払額、うち二十六万千余屯を六億千五百余万円で解撤業者に売り渡したとありますが、これが歳入額であります。それでこれに対しまして、会計檢査院では経費一億一千九百余万円を減額させたわけであります。それから收入の方は、二千二百余万円を増額させたわけであります。先ほど簡單に申し上げましたが、ここに一応の数字が出ているわけであります。
  101. 船越弘

    ○船越委員 この四三三でございますが、四百九十三万七千円は、買受人であるところの松庫商店が負担すべき二千七百六十五トンに対する作業費であつて、国の負担する解撤工事費に加算すべきではないとの檢査院の批難に対しまして、政府説明は、作業費四百九十三万七千円は、出来高二千七百六十五トンに対する作業費でなく、佐世保工業から松庫商店が買い入れた一万三千五百トン分に対する買入れ価格、トン当り百円の値上げ分と、作業費トン当り四百円との合計額より、松庫商店の立てかえた作業費百八十一万三千円を差引いた差額であると言つておられる模様であつて檢査院の意見と違つておると思います。右は事実の問題であるので、詳細に政府並びに檢査院説明を求めたいと思います。
  102. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 今の艦艇解撤というものは、七件載つておりますが、原則的には、政府は一応会計檢査院の批難を了承されておるのであります。いろいろ條件はつけておりますが、原則的には檢査院の言う通りと、こういうふうに承服されております。ところが今御指摘の四三三だけは、会計檢査院の見解と対立しているのであります。私ども政府の弁明を拝見いたしまして非常に意外だつたので、さらに調査もいたしたのでありますが、檢査院の言つているところに間違いはございません。結局この四百九十三万七千円は、国で背負うべきものじやない。松庫商店に売つた——大割、中割、小割と申しておりますが、大ざつぱに割りまして、それをそのままで売るのが、艦艇解撤の発生材の処分方法として原則的な方法でございます。これも松庫商店に大割のまま売つたのでありますが、大割のままでは、製鋼の場合に炉に入らぬというので、中割にしてくれと、こういう注文があつたわけであります。処分するのに都合がいいようにしてくれという注文でありまして、これは当然松庫商店で中割作業費を払うのであります。これが全体で四百九十三万七千円になるのであります。これは佐世保船舶工業が、確かに受入れたという、実は証拠書類があるのでありまして、これを私ども持つて来て、この批難をしたわけであります。政府がその後、今御発言がありましたようないろいろな言い訳を、弁明でしておりますが、どういうわけか、実は私どもよくわからないのでありまして、私どもとしては、間違いない資料を持つて来た上で、ちやんと四百九十三万七千円、SSKで受取つておりますから、これは間違いないと、こういうふうに考えている次第であります。
  103. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 政府の方は何かありませんか。
  104. 原末一

    ○原説明員 その点につきまして、四百九十三万七千円というのは、最初に松庫商店と佐世保船舶工業との間で契約をしましたときの価格でありますが、その後松庫商店と佐世保船舶との間に契約の更改をやつております。その契約の更改をやつておりますときに、その中にうたつてあります金額が四百九十三万七千円という金額なのでありまして、これが作業費ということに書いてあります。ところがそれには附属書類というものがついておりまして、その附属書類を見ますと、その内訳では四百九十三万七千円というものは、これは一万トン分と三千五百トン分との溶解用の鉄くず一級品の公定価格二千百円とさらにトン当り四百円の割合で甲から乙に支払うというふうに契約を更改しているわけであります。そうしてそのうちからさらに前の契約によつて契約以外によけいな金がかかつた分の作業費百八十一万三千円というものを差引くということにして出した金が四百九十三万七千円と、こういうことになつたわけでございます。ところがこの附属書類というものが、前に調査してみますと、当時のマル公価格の二千百円というものが公定価格であるのに、さらにトン当り四百円の追加を契約しておるものですから、結局佐世保船舶の方は統制違反に問われるのじやないか、そういうような関係から、わざわざ檢査院の檢査のときに附属書類を拔いてお見せしたわけなんです。そのために作業費四百九十三万七千円というものがそつくり出てしまつたために、檢査院の方では一応一万三千五百トン分に対する作業費を全部もらつているのだから、国がさらにそれに作業費を佐世保船舶工業に支払う必要はないじやないか、こういうふうに解されたわけでございまして、檢査院の方では、二千七百六十五トン分に対する四百九十三万七千円の作業費をもらつておるのだ、こういうふうに解されたわけでございます。これは附属書類の内容を調べますと、二千七百六十五トン分に対する四百九十三万七千円の作業費ではなくして、一万三千五百トン分に対する作業費なのであります。そこでこの契約の内容に至りますと、これは二十四年三月三十一日現在において、作業費を打切つておりますので、その打切つたまでの佐世保船舶が松庫商店に出したトン数が二千七百六十五トンであつて、その後の分については、これは政府はもうあずかり知らぬということになつておるわけでございます。つまりその後の分については、作業費も支払わなければ、そのかわり大割で向うへ売つてやる、こういう結果になつておるわけであります。
  105. 船越弘

    ○船越委員 どうもただいま檢査院とそれから政府の方のお話を聞きますと、何でも附属書類があつたにもかかわらず、会計檢査院の調査の場合にはそれをはずして見せておる。そして檢査院の方ではその間において附属書類かないために、先ほど言われたような結果になつた、こういう意味のように話を聞いておるのでございますが、会計檢査院の方としては、そういう事実があつたとお考えでございますか。もしあつたとすれば、会計檢査院檢査報告に相違があると、こういうことをお考えになるのでございますか。この点について、ひとつ御意見を伺います。
  106. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 ただいまの附属書類云々、これは契約の附属書類というふうに承りました。私どもは契約書に幾らと書いてあることは、この案件では、実はあまり問題にしておりません。実際に会社幾らつたか、これを帳簿なり、ほかの証拠書類でつかんでおるのであります。それによりまして、これを批難しておるのでありまして、附属書類を見せられようが見せられまいが、それには関係がないのであります。檢査のときにそういう態度をとつたとしたならば、はなはだけしからぬわけでありますが、私どもとしては、現在この案について事実は関係ない、こう考えております。それからいろいろこまかい御説明がありましたが、何ですか、全部でおとりになつた金が四百九十三万七千円で、そのうちの幾らかが問題になるかのようにおつしやつておられます。これも非常に事実に相違しておりますから御参考までに申し上げておきますが、全部では松庫商店からとりました金は八百五十七万九千円であります。そのうち四百九十数万円というものを、私どもはとらえておるのでありまして、この差額は実は問題にしていないのであります。政府側の見解が、実はいかがかと思うのでありますが、決してこの四百九十三万七千円が全部ではございません。全部では八百数十万円、こういう金を松庫商店からおとりになつておる。  立ちましたついでに申し上げておきますが、この案件は、ごらんになると、ほとんど全部が福岡財務部に関係があるのであります。佐世保船舶は総解撤量からいいますと、そうずばぬけて多いという会社ではありません。播磨造船所などが多いのでありますが、播磨造船所と広島財務部という関係では、非常にスムーズに調整ができたのであります。福岡財務部と佐世保船舶の関係は、非常になめらかに行かなかつた。私どもに対しましては、福岡財務部では檢査院のおつしやる通りですから、直します。こういうようなことをおつしやつておりますが、あとで行つて見ると直しておらぬ、こういうようなことがありまして、福岡財務部の関係だけが、今考えましても、非常に不明朗になつてしまつたように私どもは思うのであります。一つ一つごらんになりますと、ほとんど全部が福岡財務部に関連しておるのであります。この松庫商店の問題につきましても、私どもはこの八百五十七万九千円全体が、いかぬのじやないかという強い意見も、実は持つたのでありますが、これは会社の言い分、またいろいろ聞きまして、実は四百九十万円まで讓歩して掲げたのでありまして、松庫商店に売りましたもので、会社が非常にまずい契約をしているのであります。その額を申すのは差控えますが、国は会社ために損させられておるのでありまして、その辺もいろいろいきさつがございますが、ともかくも四百九十三万円というものは、決して松庫商店に売りましたものの経費全額ではございません。八百数十万円というものがあるのでありまして、その一部を最小限度だけ私どもとしては実は批難した次第であります。
  107. 船越弘

    ○船越委員 四三七号でございますが、二十四年の六月ごろからすでに業者から売払いの申請がございまして、売払い価格についても、協議がまとまり、広島財務部の手続さえ順調に進めば、二十五年一月二十一日マル公改正前に当然売払われるはずのものでありましたが、事務担当者の手が不足のために、やむを得ず日数を重ねるうちにマル公の改正となつてしまつたのでありまして、手続は遅れたが、契約は当然マル公改正以前に結ぶべきであつたとの見解のもとに、旧マル公を適用して評価したという政府説明は、一応もつともであつて、あくまで形式論をとつて、新マル公によるべきだとするのは、取引の実情からも、かえつて不合理、公正を欠く結果になり、理論はともかく、実行にあたつては、当局のとつた措置はやむを得ないもの、むしろ妥当のものと思われますが、これに対する会計檢査院の所見はどうでございましようか。
  108. 小峰保榮

    小峰会計檢査院説明員 これは工事費の精算という関係と歩調を合せてやれ、こういう趣旨で実は批難したのでありまして、実際に精算をする時、あるいは実際に売り渡す時、この時を標準にしてやれということで、むしろ当然のことでありますが、話合いがどの程度に進んでいたというような案件になりますと、艦艇解撤は、大体その解撤をする業者に使わせる、売つてやるということで、解撤業者は優先的に扱うのでありまして、話合いというようなことを持ち出しますと、これは時期が全然不明確になつてしまうのであります。実際に精算なり売払いなり、正式にやつたときの時期を標準にするほかないのでありまして、ほかもまた現にその方法でやつております。これだけがこういう異例な扱いをしたので、批難したわけでございます。
  109. 船越弘

    ○船越委員 なお政府側にお尋ねいたしますが、本件は、手続は遅れたが、契約は当然一月二十一日のマル公改正以前に結ぶべきであつたとの見解のもとに、旧マル公を適用して評価した次第で、手続の遅延したことはまことに遺憾にたえないと言つておられますが、旧マル公の適用について、担当官に責任ありとは認めていないのであります。しからば、責任者に対して嚴重注意を與えたというのは、手続の遅延したことに対する責任を言うておられるのかと思いますが、これについては政府説明の本文の中で、何分にも広島財務部において取扱つた発生資材は、その数量十二万二千八百トンにも上る厖大なもので、事務担当者の手不足のためやむを得ず日を重ねて云々として、取扱い資材の厖大と人員の手不足であつた事実を認めておられるのであります。もし説明のごとくであるならば、当時の事情はいわば不可抗力であつて、担当者に怠慢その他責任を負わすべき事実はなかつたもののように思いますが、しかも嚴重注意処分を付しているのであります。政府は当時の責任者に対して、いかなる点に責任を認めたのであるか。また右のごとき事情下において嚴重注意を與えて、将来いかに処すべきよう要求したのであるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  110. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 四三七号に対します会計檢査院の御注意は、檢査院としては、まことにごもつともでありまして、これは法律制度の表面から取上げますならば、政府売渡し価格は、あくまでも契約でなければならないと存じます。その点、理由のいかんはともあれ、契約昭和二十四年の六月に至つておりますものを、二十五年一月以前のマル公で売り払つたということは、形式的には政府としては、檢査院に対しましても、また一般に対しましても、まことに申訳ないところでございますが、ここにも書きましたように、事情が事情でございまして、発生数量も非常に多く、当時の財務部として手不足であつたということ、いかにもこれまた無理からぬようではありますけれども、政府ことに財務当局といたしましては、あくまでも法律制度の表面に立つて事を処さなければならない、かような趣旨から、かりに財務部が旧マル公で売り払わなければならぬ場合は、本省に伺いを立てて、事情を述べて、本省の了解のもとにやられるということをとつてもらわなければ、複雑多岐にして、かつ公正な財務行政というものはできない、こういう趣旨から当事者に対しましては嚴重注意を発したわけでございます。
  111. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 それでは本日はこの程度にいたしますが、委員長からさらに政府当局並びに会計檢査院に申し上げます。特別調達庁は、御承知の通り問題の多かつたところでございますから、次会も継続してやりますが、この次には根道長官にぜひ出て来てもらいたいと思います。それから会計檢査院の方も、檢査官に必ず御出席を願いたい。その点嚴重委員長から申し上げておきます。なお明後三十一日水曜日は午後一時から開会をいたします。本日の続きをやりますから、ぜひとも両君は御出席を願います。その御出席ないときは委員会をやりません。なお文部、厚生両省所管につきましても、審議をいたす予定でございますから、何分御協力を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時二十八分散会