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1951-10-17 第12回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十七日(水曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 金光 義邦君 理事 渕  通義君    理事 三宅 則義君       高橋 權六君    田中 角榮君       田中不破三君    藤枝 泉介君       山口六郎次君    畠山 重勇君  委員外出席者         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      近藤 直人君         検     事         (法務総裁官         房経理部長)  天野 武一君         大蔵事務官         (国税庁長官官         房会計課長)  天野 四郎君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      小林 義男君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大沢  実君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 十月十日  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 それではこれより会議を開きます。  御承知通り昭和二十四年度決算については、第十国会審議を始めて以来、鋭意その審査を進めて参つたのでありますが、本臨時国会におきましても、引続き審査いたして参る方針であります。よつて本日も午前中理事会を開きまして、運営方針その他に関して御協議いたした結果、大体差上げておきました印刷表のごとく決定を見たのであります。この点あらかじめ御了承を願いたいと存じます。その審議の日程は、ただいま配付いたしました通り、一週二回、水曜、金曜の午後を予定し、各省所管順に進めて参りたいと存じます。  なお私は、運営委員その他の委員も兼ねておる関係で、あるいは全部出席をいたしかねるかもしれませんので、その際は理事諸君のうちから、職務を代行していただくことに、あらかじめ御了承を願つておく次第であります。     —————————————
  3. 菅家喜六

    菅家委員長 まず国政調査承認要求の件を議題といたします。  この際お諮りいたします。第十回国会に要求し、承認を得ました調査事項は  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産に関する事項  三、政府関係機関收支に関する事項 以上三項目でありますが、今会期中も調査するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議なしと認めます。それでは調査事項は、ただいまお諮りした三項目とし、調査目的及び方法は、第十回国会通りとし、調査の期間は本会期中、以上の国政調査承認要求書を、衆議院規則第九十四條により議長まで提出するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議ないものと認めまして、さように決定いたしました。     —————————————
  6. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関收支出決算議題として、総理府所管より順次審議を進めて参りたいと思います。  決算検査報告書第三十三ページ、総理府一般会計不正行為報告番号三及び四の二件につき、総理府当局からその説明を伺いたいと思います。近藤説明員
  7. 近藤直人

    近藤説明員 私から宮内庁職員不正行為につきまして、国に損害を與えたことについて御説明申し上げます。  この件は、昭和二十四年十月から十一月の間に、宮内庁官房主計課雇員田中某によりまして、小切手用紙支出官印盗用によりまして、前後五回にわたりまして不法に小切手を振り出しまして、そのために合計十六万五千円が盗用され、費消された件でございます。この件の犯罪事実は、昭和二十四年十一月下旬、日本銀行から同年十月分の歳出金月計突合表の送達があつた際に、小切手振出済帳簿と符合しない点に対しまして調査いたしましたところ、その不正事実が発覚したのであります。従来宮内庁当局といたしましては、前例のない非常な多額な不正でございますので、非常に恐縮した次第でございます。この犯人につきましては、その後皇宮警察その他によりまして逮捕され、これは東京地方検察庁起訴になりまして、公判の結果懲役一年半の判決となりまして、これは控訴の手続なく服役しております。  被害金額につきましては、昭和二十五年十二月九日付で宮内庁長官から法務総裁あて損害賠償の請求について依頼いたしました。その取立て方に関しましては、訴訟の手続を進行中でございます。本件が発生しましたにつきまして、宮内庁官房主計課関係職員責任が、まことに重大でありますので、それぞれ上司と協議の結果、もちろん犯人田中解職になりましたが、当時の官房主計課長は戒告、課長補佐は減給、当時の皇室経済主管は退官となりましたために、これは免責になりましたが、それぞれ所定の処分をいたしたのでございます。先ほども申し上げましたように、宮内庁といたしましては、前例を見ないような不正事件でございますので、当時の上司は、この処分並びにその後の出納事務扱いにつきましては、愼重に検討いたしまして、将来再びかような事件が発生しないように抜本的な措置を講じたのでございます。さつそく小切手の振出し事務の改善、また官印保管扱い方の改革その他につきまして、新たに犯罪防止のためのいろいろな措置をとつて参つたのでございます。まことに宮内庁といたしましては、申訳ないことでございますので、ただいまでは、過去の経験にかんがみまして、その後愼重に公金の取扱いをいたしておりますし、また二度とかような間違いを引き起さないように、十分戒心いたしておる次第でございます。  簡單でございますが、一応経過を報告いたします。
  8. 菅家喜六

  9. 吉岡惠一

    吉岡説明員 私から同じく職員不正行為によつて、国に損害を與えました、全国選挙管理委員会関係事柄について御説明申し上げます。  全国選挙管理委員会事務局は、きわめて小さな組織でありまして、二課のほかに書記室というのがありましてこの書記室支出事務を扱つておるのであります。この報告書に載せてあります富岡と申しますのは、若い者でありまして、当時二十三でありましたが、組織が小さい関係上、どうしても会計事務になれた者が少いので、この富岡は約三年の経験を持つて、ほかの者に比べて相当会計事務に堪能でありましたので、小切手振出しの事務を扱わせておつたのであります。組織といたしましては、官印保管と、小切手を振り出します際に、担当者認めを押させることにしておりました。その認めはほかの者が押す仕組みにしておつたのであります。ところが、この富岡小切手振出しの職務を持つておることを利用いたしまして、一般から気づかれないように、三十三回にわたりまして相当長期間官印盗用をいたしまして、認めは、その小切手を調べてほかの人が認めを押すことをやらずに、自分の判で小切手切つてつたのでありますが、自分の判で小切手を切りましても銀行の方で拂いますので、目的を達しておつた小切手金額を超過して振り出すのもありますし、自分あて、あるいはかつて上司の者の名前自分名前使つて振り出して目的を達しておつた。これだけの六十何万円という多額金額について、そういう不正が全然、昭和二十四年の七月から二十五年の一月までの長期間にわたつて発見できなかつたということは、われわれの監督が十分でなかつたことを、深くおわびをする次第でありますが、一月ごろになりまして、どうもおかしいということで調べました結果、そういう事実を発見したのであります。会計検査院報告をいたしますとともに、検察庁の方にも話をいたしまして、司法処分を仰いだのであります。その結果、本人懲役二年の刑を言い渡されまして、それに服罪をいたしました。役所といたしましては、本人懲戒解職にいたしますと同時に、その金を使うについて、自分だけで使いませんで、ほかのもう一人のものと一緒に使つてつたのであります。従つてその者は依願免職にいたしました。この方の司法処分は不起訴になりました。  それから跡始末でございますが、跡始末につきましては、この富岡というものは父がなく、母と弟と妹の四人暮しでありまして、不動産等もなく、別に財産もありませんので、三万七千円補填できただけであります。そのほかにつきましては補填できておりません。役所監督者といたしましては直接の監督者、それから私まで訓告処分に付されました。  さらに会計経理につきましては、今後そういう事柄の起きないように、支出官等もかえまして、従来ややもすると一人で扱うために間違いが起きますので、なるべく多くの人が目を通すような仕組み改正をいたした次第であります。こういう非常に多額金額につきまして、こういう不正がありましたことにつきまして、関係者として深くおわびをする次第であります。
  10. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまの説明に対して、会計検査院側に格別の御意見でもありますれば、この際ひとつ……。
  11. 小林義男

    小林会計検査院説明員 三番、四番につきましては、ただいま両当局から説明がありました通りでありまして、会計検査院としては、ただいま特につけ加えて申し上げることはございません。
  12. 菅家喜六

    菅家委員長 ではこの際質疑を許します。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま三番、四番、宮内庁全国選挙管理委員会の両條件に対します当局説明があつたわけでありますが、私は決算委員といたしまして、政府当局並びに当事者諸君に申し上げたいと思うのであります。会計経理というものは、すべての業態の一番中心になるべきことは当然でありまして、どの官庁でも相当上の人が監督しなければならぬにもかかわりませず、二十才や二十二、三才の若年にして経験の浅い者にのみ依存することは、はなはだ穏当を欠いておると思う。でありますから、取扱いの、字を書くくらいのことは下の人にまかせましても、相当責任のある人、いわゆる官庁最高責任者が当然判を押さなければならぬ。たとえば会社におきましては、会計課員が字を書きましても、專務取締役とか、あるいは常務もしくは社長というような、最高責任ある人が判を押して、しかる後に有効になる。しかるに官庁になりますと、そういう人はむしろ目を通さない、こういうおそれがあるのでありまして、これは法律にはあるかもしれませんが、悪い法律は直しましても、ぜひ最高責任者、たとえていうと、宮内庁なら宮内庁の次長とか、会社でいうと重役、官庁でいうと最高幹部、これが捺印しなければ有効でないというふうにしなければならぬと思うが、政府当局はどうお考えになつておるか、この際承りたいと思うのであります。
  14. 近藤直人

    近藤説明員 ただいまの御意見、まことにごもつともであります。責任を重んずるという見地からいたしましても、民間で申しますれば最高幹部の者が捺印をするなり、とにかく責任の第一線に立つということは、これは当然てありまして、またさようなことは、官庁におきましてもまさにそうあらねばならぬと考えるのでございます。御趣旨の点につきましては、私も賛成でございます。何分事柄が非常に広汎にわたり、かつ種類も多岐にわかれておりまするので、国家事務に関しまして、いわゆる最高幹部の方々がすべて目を通すということは、事実問題として私は困難ではなかろうかという感じもいたすので、従つてその責任を分掌いたしまして、局長課長責任をわかつ、課長はさらに課長補佐責任をわかつというのが、ただいまの行き方ではないかと考えるのでございますが、しかしながら、責任をわかつたからと申しまして、局長責任がないというわけのものではないと思います。それはどこまでも御説の通り最高幹部責任であることには、間違いないと思うのでありますが、事実問題としてはさような方法で行かなくてはたくさんの事務の処理は困難ではないかというふうに思つております。御趣旨におきましてはまことにごもつともでございますので、われわれといたしましても、今後とも、かような不正事件の発生しないように、十分注意をいたしますとともに、かつ部下にいたしましても、事務愼重ということについて今後十分努力してもらいたいと考えております。
  15. 吉岡惠一

    吉岡説明員 私の方はこういう事件がありましてから、みな責任者をわけまして、私自身で目を通すことにいたしております。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の御説明で、やや了解いたしましたが、これはあえて総理府関係の方にのみ言うわけではないのでありまして、各官庁全部の方に申し上げたいと思うのであります。銀行にいたしましても、会社にいたしましても、支店長なら支店長、もしくは支店長代理というものが責任を持たなければ、有効になりません。いわゆる支拂いは不可能であるのです。しかるに、官庁はずつと末端の二十才や二十三才というような、ここでは雇と書いておりますが、これはほんとうの本官ではない。こういうような者に重大な責任を委任しておる事柄というものは、私はまつた監督不行届であるといわざるを得ない。先ほどの選挙管理委員会の方は、貧乏で弁償額はわずかに三万円や四万円ということでありまして、あとの何十万というもの、六十万近いものは未納である、こういうことでございます。国家であるから、大きいというような意味合いでもつて等閑に付したり、責任をだれが負うかわからないというようなことでは、はなはだもつて今後が思いやられる。ことに選挙管理委員会なんというものが中心でなければならぬと私は思うのです。これらを勘案いたしまして、今後総理府ばかりでなく、全官庁職員諸君に対して、最高責任者が十分監督する、こういう制度をもつと徹底するように、総理府あたりは各官庁に対して鞭撻してもらいたい。かように私は強く希望いたします。
  17. 菅家喜六

    菅家委員長 池に質疑はございませんか。     —————————————
  18. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは次に、法務府所管の分に移ります。すでに前会までにその説明は聽取しましたので、ただちに質疑に移ります。
  19. 田中角榮

    田中(角)委員 ちよつとその前に、私は意見を申し上げたいと思います。ただいま三宅君からいろいろ言われたのでありますが、特に一般政府機関というよりも、各種公団等事件を見ますと、ほとんどが出納官の專断によつて事件が起きておるようであります。これは特に会計検査院注意いたしたいのですが、ただ会計検査院が、会計検査院の義務を果すという意味において批難をする、こういう考え方でなく、いわゆるこういう轍を再びふまないためには、適切な処置を慫慂していただきたい。そういう意味から、三宅君が言われたように、出納官吏あり方そのものについて論議が出るということは、会計検査院自体の、まつたく怠慢とは申し上げませんが、一つの手落ちでもあると考えます。実際私たち官庁経理内容をずつと見ておりますと、戰前は大体において各官庁会計課長は、あらゆる課長の中の筆頭課長でありました。筆頭課長の中でも最も古参な、金銭出納に対しては技術的な人々をもつて任じておつたのであります。ところが終戰末に至り、いわゆる戰時経理という立場から、非常に支出がこまかく、複雑多岐になるということを條件にしまして、非常に若い人たち経理を行つた出納というものは、ほとんど局長課長稟議通つてさえおれば、金がいつ支拂われたのか、いつ支拂われるのかさえもわからないものがあります。特にそういう問題に対しては、地方庁などを見ますと、稟議はすでに一箇月も前に通つたのだから、もうとつくに拂つておるでしようというような問題があります。こういう問題をじつと調べてみますときには、出納というものに対する観念が、昔の官庁出納観念というものと全然異なつて来ておる。特に戰後できた官庁等においては、ただいま選挙管理委員会で言われたように、雇員がやつております。決裁を行うのが課長職務であつて出納に対する責任はほとんどない。ただ批難せられた場合、事件が起きた場合だけ課長責任を負うのだ。もちろん課長局長責任を負う場合は、訓告処分などでもつてできるものではありません。いわゆる大きな支出に対して、ほとんど回收が不可能であるという、出納そのものに対する責任を全面的に負うのだつたならば、法律的な責任は裁判においてその当事者が負うのでありますから、国家出納というものに対する責任は、最高責任者が負わなければなりません。その意味においては、私たちがここで立案し、審議もいたしたところの政府職員支出に対する弁償という趣旨も、長く研究せられておるのでありまして、私たちは、ただに苛酷にこれを要求するのではありません。もちろん複雑多岐にわたる支出でありますので、一々目を通せるはずはありませんが、私があとから指摘したいと思つておる公団等不正経理というものは、私がただいま申し上げた、十分手の届くところを処置しないことによつて、必然的に起るであろう。若い人たちには金銭観念がほとんどないので、金銭を持たせる場合、これはもちろん間違いが起るわけであります。もちろんこの事件を起したというだけではなく、そのような人事をあえて行つてつたという責任は、追究せられなければならないのです。私は、ただこういう批難せられておる事項一々に対して申し上げるのではありません。実際諸官庁との取引を行つておる業者とか何かの問題では、あなた方に批難せられない問題がたくさんある。いわゆる保証金をとつたり、保証金をとらなかつたり、この工事に対しては保証金を免除してやる、この工事業者が弱体だから保証金をとるべしというようなことを、あなた方だけがやつておる。上層幹部がこれを行う。但しその保管が一体どうなつておるのだろう、どこの銀行に納められておるのだろう、浮貸しはしておらぬのだろうかというような問題はたくさんあります。こういう問題に対して、今どうせ行政整理もやるのだから、首切られてもけつこうだというような観念の公務員もおります。私たちも、現実にこれを指摘することができる。だから、こういう問題に対して、私たち自身も、局長課長というような方方にも注意行つておるのですが、現実的な問題から言うとほとんどこの注意が聞かれない。こういう状態からいつて、もう終戰すでに五年、今までのようではなく、少くとも決算というものに対しては、議会翼賛議会協賛議会ではなく、議決議会になるだけに、憲法改正せられるというような場合、国会において條約が批准せられる場合は、会計検査院が出したこの決算報告は、報告書ではなく、議決案件になるという確信を持つております。新憲法建前は、当然そうなります。そういう建前から、決算委員会は今までのように、ただ議員の立場から、行政府との権限を紛淆させない点から国政調査を行うのだ、あなた方が出したものを、ただ承認か不承認かを與えるのだという立場でなく、自分たち議決をして国民にその責を負わなければならない。決算委員会立場というものは、来年の四月からは非常に強くなると私は思う。そういう前提から、現在もうすでに補正予算も出ておりますし、来年度予算も組みつつある、しかも批難せられるものは確実に年度末です。三月一日から三月三十一日まで、これを三月三十一日付で切るか、四月まで繰越すか。二十六年度には繰越しという処置認められましたが、この繰越しの処置内容をごらんになつてみれば、私が言わなくてもおわかりの通りであります。こんなものを一々会計法規でもつて批難したら、たいへんなものです。私はそういうことでなくて、抜本的な、根本的な、会計出納に対する観念を改めなければならない、こういうふうに考えておるのであります。だから、ただ小さな問題に対するものでありません。会計検査院は、このような批難に対しては、再び行えないような処置を慫慂していただきたい。一言意見だけ申し上げます。
  20. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまの御意見、まことにごもつともでございまして、拝聽いたしました。支出官責任につきましては、御承知通り予算執行職員等責任に関する法律も制定せられまして、二十五年度からは一段と支出官責任は重くなつておりますので、十二分に責任を感じ、それの監督も厳重にいたしまして、だんだん実行されつつあると信じております。従前といえども、会計検査院は、そういう不正を防止するために、十分指導いたして参り、また努力いたして参つたのでありますが、御指摘のように、その事件がなお絶えないというのは、はなはだ遺憾に存じておる次第でありまして、今後はなお一層責任の重大であることを感じるように指導いたし、なお支出官がやむを得ず部下にその職責の一部をまかすような場合におきましては、チエツクするなり、その監督ということについて十分手をいたすようにというふうに指導いたしておりますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
  21. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは次に法務府所管の分について質疑を許すことにいたします。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま問題になつておりまする登録税賦課当を得ないもの、こういうことにつきまして、先般も引続いて審議をしたのでありまするが、国会が改められましたので、多少重複いたしまするが申し上げます。  前回の審議の際、登録税は、賦課後訂正せられる権能が政府にあるかどうか、こういうことにつきまして、井之口委員から政府並びに検査院側に質問いたしましたところ、大沢会計検査院説明員は、責任をもつて答えられぬが、訂正さすことはできるのではないかと思うというように答弁しておられますし、また富田法務説明員は、担当民事局の係の者がおらないので詳細は知らないが、一度きめた登録税は、あとから更正できないというふうに聞いておると答弁せられておるのでありますが、その後政府並びに会計検査院当局においてはどういうふうになつたか、この際ひとつ承りたいと存じます。
  23. 天野武一

    天野(武)説明員 ただいま三宅委員のお尋ねの点につきましては、私どもの民事局見解といたしますと、やはり訂正はできない、法律改正を要するということになります。
  24. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 この前の国会でこの問題が御審議になりました際に、御質問がありまして、私何もよく勉強も研究もしておりませんので、とつさに責任を持つてはお答えしかねるが、できるのではないかと思うとお答えいたしたのでありますが、その後法文を読んでみますると、できるという規定も、できないという規定もないので、一体どうかということに非常に疑問を持つたのでありますが、何といいますか、普通の更正決定をするような場合は、更正決定手続なども規定されているという点から見まして、規定がなければ、ただいま天野経理部長の御説明のように、できないのではないかという——できないという民事局の方の御見解、これが正しいのではなかろうかと思います。私その程度のことしかお答えできなくて恐縮でありますが、御了承願いたいと思います。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは参考までに申し上げるのでありますが、大蔵省の関係歳入部門につきましては、一度決定いたしたものでも、場合によりましては、更正決定ということがあるわけでありまして、本件のごときも、事情が明確になり、著しく相違のあつた場合には、これを更正してもよろしいように私どもは考えるのでありますが、なおよく研究を願いたいと思うのであります。検査院は船舶公団の共有船舶明細書における当該船舶の価格に徴しまして、法務府が課税標準とした船舶価格は著しく低いというように批難しておるのに対しまして、法務府の方では、先ほど経理部長の言われたように、所在海運局から船舶価格算定標準を求め、十分検討の上価格を認定したもので、必ずしも本件賦課が不当でないように思うというように言われるわけでありまして、こういうふうに政府部内もしくは検査当局等におきまして、多少意見の相違があるようにも私どもは考えるのでありますが、これはひとつよく研究していただきまして、更正できるものなら更正してやる方が事実に即したことと思いまするが、もう一度しつこいようですが、これに対する見解を承りたいと思います。
  26. 天野武一

    天野(武)説明員 船舶登記の課税標準価格の認定につきましてお尋ねがございましたので、申し上げますが、現在登記所におきましては、課税標準価格として船舶の価格を認定する必要があるにもかかわらず、それに伴う、たとえばそれを正式にどなたかに相当の謝金を差上げて鑑定を依頼するというような予算措置もございませんし、また登記所自身の持つております資料も十分でございませんので、実を申すと、ほんとうに正確に価格を認定するというようなことは、困難な事情にあるのでございます。それでは、現在はどういう方法でこれを認定しているかということを御参考までに申し上げますると、これは各法務局、あるいは各地方法務局ごとに、船主でありまするとか、船齢等を個別にわけまして、一トン当りの価格をきめまして、これを基準とした個々の船舶の価格を認定しておるわけであります。つまり各法務局、各地方法務局ごとに多少の差があるということになるのであります。そこでそういうふうに法務局なり各地方法務局が基準を定めるにつきましては、何によつておるかということを申し上げますると、これは従来はほとんど材料簿と申しますか、登記所が船舶の取引の実例から見まして、価格認定の資料となる事項を記載しました材料簿を、ほとんど唯一といつていいような資料といたしておりました。それが最近では海運局とか造船所とか、あるいは船舶検定協会などの意見を参考としておるのでございます。従いまして昭和二十三年度以降は、各法務局あるいは地方法務局の認定基準が、従来に比べますと、だんだんと是正されつつある実情でございます。しかしながら、また当委員会においてもいろいろ御指摘のありまするように、本法務府におきましても、この法務局あるいは地方法務局におきまする船舶の評価基準がまだ一般的には低いのではないかという疑いもありまするし、また地方ごとに若干の高低の差があるということもおかしなものでありますので、昨年も、それから今年の三月にも、全国の登記課長会議を持ちました際には、適正公平な認定を行うべきものであるということを中央から申しておりますし、また特に船舶の登記と関係の深いところの法務局、たとえば神戸のごときこういうような法務局あるいは地方法務局に対しましては、ケースごとに個々に指示いたしまして、適正を期しておるわけであります。なお固定資産税の方で船舶の評価基準がまだきまつておらないように承つておりますが、もしこれがきまりますと、これをさつそく法務局、地方法務局の参考として送りまして、登録税の認定の標準にすることができるだろうということを予定しておるわけであります。そこでさしあたりの問題といたしましては、正確な認定をするためには、やはり最初に申しましたように、そのための專門的な資料と統計を收集整備する必要がありますし、適当な鑑定專門知識をお借りする必要もありますので、その方面の予算を、実は明年度予算として大蔵省に要求しておるような実情でございます。  以上簡單でございますが、お答えといたします。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの部長のお話でありますが、私はこういうふうに考えるのです。現在政府がすべての価格を算定する場合におきまして、たとえば、土地等におきましても、賃貸価格の九百倍とかなんとかいうふうに倍数ができておるわけです。もちろん今の問題に対しましても、法務当局におきまして、前の年度の倍数ができておると思いまするが、そういうような価格の算定標準ができておりますならば、この際本委員会等にも参考に出してもらつて、なるほどこれは適当であるかどうかという資料にいたしたいと思うのです。私の考えるところによりますと、ややもすると法務府の方は時代よりも遅れるということもあるわけです。むやみに暴騰しても困りますが、すべての貨幣価値、経済内容からいたしまして、相当の倍数が今日は必要であろうと、かように考えております。一体それらに対しまする算定は、どういう基準を持つておられまするか、参考に示されたい。と同時に、もう一つつけ加えて申しておきますが、こういうような問題が起ります点につきましても、今後海事に対しては相当測定するような業務もできて来るかと存じます。それらも参考にしまして、土地等におきましては測量士とかいうものもあるのでありますが、海運の方におきましては、どういうふうになつておりますか、それらの点もあわせて御答弁を要求いたします。
  28. 天野武一

    天野(武)説明員 ただいまの各法務局あるいは地方法務局における実際の認定基準があるはずだというお尋ねでございますが、それはただいま申しましたように、法務局、地方法務局で若干の基準を持つておるわけであります。そこであるいはこれを詳しく表にして差上げたら説明上よろしいかと存じまするが、いかがですか。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 それを表にしていただきたい。
  30. 天野武一

    天野(武)説明員 それではそれを表にして差上げます。
  31. 菅家喜六

    菅家委員長 他に質疑はありませんか。     —————————————
  32. 菅家喜六

    菅家委員長 では次に大蔵省所管国税庁関係の分につきまして審議いたします。  すなわち報告書の五十九ページ、予算経理報告番号二九五ないし二九七、予算の使用当を得ないもの、報告番号二九八及び二九九、未完成建物の購入費等を支出しその現金を一時流用したもの、報告番号三〇〇、建物の購入に当り処置当を得ないもの、報告書六十一ページ、工事報告番号三〇一、庁舎増築等の工事施行に当り処置等を得ないもの、以上七件を一括し、当局説明を求めます。国税庁会計課長天野説明員
  33. 天野四郎

    天野(四)説明員 まず最初の二九五ないし二九七の予算の使用当を得ないもの、これについて御答弁申し上げます。  まず最初は二九五でありますが、国税庁で、関係各国税局及び税務署に、酒類密造取締りの経費の一部を、警察に配分するよう指示いたしましたため、関係局署におきましては、自動車借上げ料といたしまして四百四十一万九千二百五十円を支拂つておりますが、実際は警察関係経費に使用したものであるという点でございます。  近年酒類の密造は、犯則者の激増とともに、悪質集団をなすものが非常に多くなつておりますために、正規の酒類の売れ行きは予想をはるかに下まわりまして、酒税確保、ひいては国政の運用に重大な支障を来すおそれのある状態に立ち至つたのでございます。このために酒類密造取締りの責任当局といたしまして、また酒税確保の責任当局といたしまして、万難を排しまして取締りを強行し、その成績は相当見るべきものがあつたのでありますけれども、悪質集団密造部落の取締りにつきましては、実際問題といたしまして、警察当局の大規模な援助がなくては、とうてい実施不可能な状態でございますし、そのために警察官の不時呼集とか、急速出動等の回数は、警察当局の予想以上に達しまして、自動車の借上げ料等その経費も莫大な額に上りました、国警当局におきましてももちろんでありますが、予算のきゆうくつな自治体警察におきましては、特に事実上行動不能な場合も発生いたしまして、やむなく取締りの実施を断念せざるを得ないこともありました。反面酒類密造取締りが、その性質上行動の迅速と企図の秘匿を必要といたしますので、会計法上の成規の手続をとることが困難でありますために、酒類密造取締りにつきましての責任当局といたしましては、やむを得ず本経費のために予算に計上されている額のうちから、ほぼ所要と認められる額の最小限度を一括警察当局に交付いたしまして、取締り計画の強力な遂行の一助としたのでありまして、そのやむを得なかつた事情もあつたとはいえ、本件予算執行上当を得なかつたこととはもちろんでございまして、その点はまことに遺憾でございますので、今後は正当支出するように努力して参りたいと思つております。  次の二九六の、国税庁で、織物消費税の特別整理に要する経費の一部を、織物査定補助員の表彰経費の一部に充てるよう指示いたしましたために、関係の税務署におきまして、織物査定場の借上げ料等といたしまして、六百三十万三百五十七円を支拂つたとしておりますが、実際は織物査定補助員の表彰等に使用したものであります。  これについて、いきさつを御説明申し上げますと、当初は織物消費税廃止後におきまする残務整理の促進をはかるために、必要経費として予算を配賦したのでありますが、織物査定事務に三十数年の久しい間献身的努力を寄せまして、この税の賦課徴收に多大の功労のありました集合査定場の査定補助員をこの際表彰いたしまして、感謝の意を表しなければ、将来の税務行政全般にも悪影響を及ぼすものと考えられ、かくては残務整理を急速円満かつ完全に終了させることが至難と認められましたので、急遽当初の方針を変更したのでありますが、これに伴う経費の支出面におきまして、必要な手続をいたします時間的余裕がなかつたために、やむを得ずそのまま実行に移したため、会計検査院検査報告通り予算執行上当を得なかつた結果となりました点はまことに遺憾でございまして、何とも陳謝の言葉はございません。  次の二九七の、名古屋国税局外六箇所で印刷製本代、自動車借上げ料等といたしまして三百七十七万九千六百八十三円を支拂つたとしてございますが、実際は食糧費、接待費等に使用したものでございます。これについては何の答弁のしようもございません、検査院御当局検査報告通りでございまして、財政法規に違背いたしましたこのような予算の使用はまことに遺憾でございます。一般に嚴重な注意を與えまして、将来この種の事故を繰返さないように、十分注意をいたしたいと思います。なお本件責任者に対しましては、必要な処分を行いました。  続いて二九八、二九九の、未完成建物の購入費等を支出しその現金を一時流用したものでございます。二九八の、関東信越国税局におきまして、昭和二十四年八月から十二月までの間に、氏家外二税務署庁舎購入代金といたしまして八百八十万円を支出しておりますが、このうち氏家外一税務署庁舎購入代金の六百四十万円は、庁舎新築工事代金の内拂いをするために、既設の建物を購入したこととして支出したものでございます。その現金を保留いたしまして、当該庁舎新築工事代金の支拂いに充てられましたほか、一部を他の宿舎の購入費に一時使用し、また鹿沼税務署庁舎購入代金として支出しました二百四十万円も、その現金を保留し、うち百七十八万円を他の庁舎及び宿舎の購入費等に一時使用していたのでございます。  これにつきまして実際を申し上げますと、本件会計検査院検査報告通りでございます。氏家税務署外二税務署新築買收にあたりまして、請負業者が中途におきまして資金難に陷リ、予定の工事竣工が危ぶまれましたためにこれを放置することができませんでしたので、やむなく未完成の建物を完成したものとして購入いたしまして、その資金を交互に一時利用し、所期の目的達成をはからざるを得なかつたのでございます。また当時税務職員の異常な増加に伴いまして、宿舎の確保が税務行政運営上、欠くことのできなかつた状況にありましたので、この資金を一時その購入費に使用したのでございますが、かような処置をとりましたことは、財政法規上当を得なかつたものでありまして、はなはだ遺憾でございます。なお責任者に対しましては、今後このようなことのないように嚴重に注意いたしました。  次に二九九の、札幌国税局で、昭和二十三年八月から二十四年八月までの間に、札幌財務局帶広地方部分室購入費外五件の代金といたしまして、八百二十二万四千八百円を支出しておりますが、購入建物に手直しを要する箇所があつたことなどのために、そのうち百五十六万七百三十三円を保留いたし、これを他の庁舎購入費等に一時使用していたものでございます。  そのいきさつは、税務機構の画期的な拡充強化に伴いまして、職員の大量増加に対処して庁舎等の施設の拡充をはかりますことは、喫緊の重要事でありましたために、庁舎の買收にあたり、計画通り実行することが必要であり、不完全な建物をも、やむを得ず購入せざるを得なかつたのであります。従つてその補修費の契約を履行させるために、保証金として一部を留保し特に緊急を要した費途に前記保留金を一時使用したのでありますが、もとよりこれは財政法上当を得ない処置でありまして、将来かかることのないように嚴重注意いたしております。  その次は三〇〇の、建物の購入にあたり処置当を得ないものでございます。これは大阪国税局で、昭和二十五年三月壽工業株式会社から旭税務署分室及び泉大津税務署分室用として、改造補修済み建物購入費として四月に二十四年度予算から二百七十一万六千三百九十二万円を支出していますが、旭税務署分室は二十五年十月末、改修工事未完成の建物でありまして、泉大津税務署分室は七月改修工事を完了し、十月移転登記を完了したものであります。  この経過でございますが、戰後の税務機構拡充によります税務職員の著しい増加に対処いたしまして、税務の適正な執行を期する建前から、庁舎の拡充は最も急を要したのでありますが、たまたま昭和二十四年度末に壽工業株式会社所有の建物で売りに出ているものがありましたので、補修工事を加えまして購入することが時宜に適した処置であると認めましたが、いろいろの事情から改造、補修工事が遅延いたしましたので、所有権移転登記及び実際の支拂いもまた遅延した次第でありまして、結果的には、年度区分を乱り、財政法規上当を得なかつたことはまことに遺憾でございました。責任者に対しましては、今後かかることのないように嚴重に注意いたしました。  それから最後の三〇一番の、庁舎増築等の工事施行にあたり、処置当を得ないものでございます。これは金沢国税局で、昭和二十四年十二月に金沢税務署庁舎を購入したものとして、株式会社辰村組に二百七十九万六千二百五十円を支出したものでありますが、実際は八月に二百三十一万二千三百円で庁舎の増築工事を前記会社に請け負わせて、別途十月に四十八万三千九百五十円で旧庁舎の模様がえ、その他附帶工事を同会社外二名に請け負わせたものであります。なお庁舎の増築工事を請け負わせるにあたりまして、予定価格を二百八十九万円として指名競争入札に付しましたところ、低入札者の入札価格二百十七万二千円は、予定価格の八〇%に達しなかつたとしてこれを排除いたしまして、二番札の二百三十一万二千三百円で契約を結びました。  これについて経過を申し上げますと、建物購入費を請負費に流用する手続を怠りまして、購入費として処理し、電燈、給水、消火栓等の工事は、増築工事に付随するものでありまして、その他の模様がえ等は、当然増築工事に伴い生ずる工事でありますために、これを合算したのでございます。なお最低入札者を排除して二番札入札者と契約を結びましたことは、工事の完全を期する目的で行つたものでありますが、会計検査院報告書通り、財政法規に違背いたしましたことはまことに遺憾でありまして、今後このようなことのないように十分注意いたします。なお責任者に対しましては、嚴重な注意をしておきました。  以上をもつて説明を終ります。
  34. 菅家喜六

    菅家委員長 右七件に関して、会計検査院側から、簡單に補足的説明を求めます。
  35. 小林義男

    小林会計検査院説明員 二九五号につきましては、本件予算は自動車借上げ料という予算であります。そしてそういうことに使つたとして証明してあるのでありますが、実際は密造取締りのために協力した警察官の報償的経費に使つたということでありまして、ただいま御当局説明もありましたが、遺憾に存じております。  二九六号は、織物消費税の織物査定場の借上げ料という予算でありまして、その支拂いに充当したと証明しておるのでありますが、実際は織物査定補助員の表彰費等に使用したものであります。これも遺憾に存じておる次第であります。  二九七号は、印刷製本代あるいは自動車借上げ料として使用したという証明でありますが、実際は食糧費なり接待費等に使用したというので、遺憾に存じております。  それから二九八号以下三〇一号までは、建物に関係する問題でありまして、二九八号で申しますと、その購入経費なりとして支出した代金の中の現金を留保いたしまして、その現金で他の建物なりの購入に流用したというのであります。その流用したということ自体が、会計経理を乱るもとになるのでありまして、その点が会計法規に反しておるという問題でございます。  二九九号も、手直しをする箇所があるために、一部の現金を留保しておいて、その金をやはり一時他に流用したという点が会計法規に違反したという問題であります。  それから三〇〇号は、まだ改修が済んでおらない建物を、改修が済んだものとして購入したという点が、会計法規に違反しているという問題でございます。
  36. 菅家喜六

    菅家委員長 小林局長、その程度の補足的の説明でしたらいいです。これを読んでみたらわかりますから……。
  37. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ではこれで終ります。
  38. 菅家喜六

    菅家委員長 右七件に対する質疑を許します。
  39. 田中角榮

    田中(角)委員 私も一つだけ会計検査院にお尋もし、意見を申し上げたいのであります。先ほどの総理府関係でもそうでございますが、これをずつと通読して行きますと、批難せられている事項は、もちろん会計法規違反という面から批難をしておられるようでありますが、私たち決算委員会立場から考えると、やはり国の予算が適切に執行せられておるかどうかという問題を考えるわけであります。もちろん予算法規は会計法規上の問題でございますから、会計法規上の違反は批難されるのが当然でありますが、会計法規の違反だけでは、これはただ会計検査院批難によつて、道義的な責任を負わされるということでありまして、国の予算の執行を怠つたということは、刑事訴追を受けるというような感覚でものを考えなければならないこういうふうに考えます。そういう意味で、たくさん各省でもつて批難されている中で、一般であつたならば刑事訴追を受けるような問題に対しては、これは深刻に処分を要求しなければならない、こういう新しい観点から、私はひとつ質問したいというわけであります。  それは、もちろん会計検査院は、憲法規定によつて会計法規の違反に対して、これを批難するということだけでありまするが、その結果、場合によつては、会計検査院も刑事訴追と同じような意味処置をとらなければならないのではないか、非常に強い要求をしなければならないのではないか。そういう強い要求をしない場合は、いくら批難せられても、人がかわり機構がかわると、そのままでもつて永久に批難事項は絶えて行かないという問題は、今の二九五からずつと出ておるところの、予算の区分を乱つたという、この問題であります。この区分を乱つた問題の中で、実際は会計法規違反であるということを、虫めがねでもつて見た場合は、当然批難されるでありましよう、また批難をしなければなりません。しかしそれよりも根本的に、承知でもつて区分を乱つておる、こういうのがこの一冊の検査報告書批難事項を通じての一つの色彩であろうと思いますが、こういうことは、どうせ国の品物をつくるのだからいいじやないか、とにかくその結果批難せられれば、戒告処分で済むのだ。またこういうことを何代もやつておる人たちが、戒告処分をやりました、やりましたということで、局長にもなり、次官にもなる、こういうことが現在の日本の行政機構の一つの欠陷であります。私はこの中で、必要に追られて酒類の密造取締りをやるために、経費の一部を警察にやつたということは、確かに区分を乱つておると思うのであります。但し、これが国家行政を行うために緊急やむを得ないものであつたならば、これは昔の裁判であれば、もちろん無罪というよりも、能吏として称せらるべき行為であつたかもわかりません。ただ、今の会計検査院立場からいえば、批難しなければならない、これはわかります。ただ普通一般の民間状態においては、承知をして、いわゆる謀議のような形において予算を他に流用した。しかもそれが自分の遊興の目的であつたり、自分の資産をふやすために流用せられたという場合には、これは刑事訴追を必ず受けるわけである。こういう問題は官庁機構の中にもあります。庁舎が、人員増加のためにやむを得ず、必要であるという場合に、庁舎購入のためにとつたいろいろな処置、しかも当時の状況として緊急やむを得ずやつた処置というものは、私たちはそれほど深刻に考えておらないのでございますが、各省の中に宿舎に流用しておる、この問題があります。もう一つは、食糧費、接待費に使つておる。接待費の必要も認めます、それもとやかく言うものではありません。ただ食糧費という中で、戰後各官庁といわず、企業形態においても、当然夜食は食うのだ。出張すれば当然飯代も宿泊料もみな会社が拂うのだ、国が拂うのだ。二等旅費でもつて出張しながら三等車に乗つて、しかも旅費は各市町村やなんかに拂わせておいて、その上になお厚生その他の名目でもつて食糧費を支出しておるというようなことが現にあります。公団などを見られれば、すぐわかる。こういうものは、批難するくらいでは絶対に許すべからざる行為であります。しかも宿舎をつくる、官舎をつくるために、庁舎の費用を流用した。官舎に入る人は、特定な利益を與えられておるわけであります。法律的に嚴密にお考えになつてみてください。この場合、ある一定の人が特定の利益を得るために国家予算を流用したという場合は、私は当然刑事的な訴追を受けなければならないような状態であると思います。こういうものが一般と同じように批難されるだけならば、この欠陷は絶対に直るわけはない。ここにもありますし、もう一つ先ほど私はこれを申し上げようと思つたのですが、法務関係にもあります。法務府あたりでもつて四十四件、数千万円に上る予算の流用を行つておる。しかも庁舎の修繕購入という名目で宿舎をつくつた。労働組合などが非常に強いときには、こういう名目でもつてどんどん各官庁は宿舎をつくつたわけです。しかしこの場合は、各官庁に奉職する公務員は、全部宿舎を必要としておるわけである。今の国税庁の方の説明では、当時増員等で、やむを得ず宿舎の必要もあつた。これはもちろんその意見を反駁するものではありません。これは個々に調べた場合、特定な者に特定の利益を與えるために宿舎を購入しておるようなものが、各官庁にあります。中には、私がはつきり申し上げると、各官庁が費目を制約せられ、相当経費節減を要求せられておるにもかかわらず、春夏秋冬年四回ぐらいしか会議に使わないような大邸宅をどうして購入したのかというものもある。こういう問題を追究して行つたならば、一片の批難会計検査院がやられるだけでもつて許すわけには相ならぬ。こういうところまで深く突き進んで行かなければならぬ。その意味において、何件かの中で宿舎費用に転用したというようなものの内容を、会計検査院は御説明できるかどうか。しかもその内容を御説明になる場合私がただいま申しておるような事情によつて特定の人が利益を受けた、場合によつては刑事的訴追をいたす。もちろん、これは承知をして、一つの官庁がこの費用の中から何百万円、何千万円は何十戸の宿舎を建てるのだということを謀議してやつたとしたならば、その最高責任者まで処罰を受けなければならぬわけであります。この程度の事情を解明しておられるかどうか。もし解明しておられるならば、それに対していかなる処置をとられたか、その御返答いかんによつては、これに関連をした、もしくは謀議をしたと証拠づけられた人たちは、今度は戒告や懲戒ぐらいでは済まないわけでありますが、これに対する御説明を願いたい。
  40. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。第一の建物の点でございますが……。
  41. 田中角榮

    田中(角)委員 一、二はいいのです。一、二じやなく、私が今発言をしましたような事態があつたか、ないのか。あつた場合、どうするかということだけお答え願えばいいのです。
  42. 小林義男

    小林会計検査院説明員 支出官予算に反して経費を使用する、あるいはその経費を一時他に流用するという問題が最近非常に多うございまして、これに対しては、検査も遺漏のないようにいたしておる次第であります。そこで、そういうような問題が起きた場合に、この責任者をどう処罰するかというようなことは、従来とも会計検査院としては、十分注意いたしておるわけでありますし、場合によりましては懲戒の処分を要求する、こういう権限が與えられております。二十五年度からは予算執行職員等の責任に関する法律によりまして、そういう問題を一つ一つ検討するということで、なお責任が重くなつておるわけでありまして、会計検査院としても、そういうことの判断を嚴重にしなければならないということで、一つ一つの案件について調査をし、また責任の要求をいたす段取りになつております。一般論としては、大体そういうことになつておるのでありますが、ただここに、ただいま議題に供せられました建物等の分については、それほどの非常な悪性があるという事態ではないのであります……。
  43. 田中角榮

    田中(角)委員 これはもう私の言うことは十分徹底しておりながら、きつと御答弁がむずかしいのだと思います。予算区分を乱つたというのは、各省ともたくさんありますが、私が公団などを特に言いますのは、予算区分を乱つたくらいでは懲戒免官にはならない、また本省に帰れるのだという気持でもつて、ほとんど謀議の形において、初めから承知をして予算区分を乱つております。これは今までの薪炭会計とか各種公団の経理の状況を見てみますと、から伝票を発行して時間外勤務のほかに休日勤務まで拂つたとかいうようなことは、完全に刑事的に訴追を受くべきことです。これは横領です。だから検察庁はこの問題を取上げておるわけであります。その意味において、今私が申し上げたのは、宿舎ということだけを限つて言いましたが、この宿舎に全部入るわけではありません、特定の人が入るのです。予算節限をやらなければならないときに、宿舎に入れなければ特定の人はとれないから、この人員増加の要求を満たすためには、庁舎を緊急やむを得ずつくらなければならないといつて、とりいい庁舎の費用で出して、しかる後にその何割かは宿舎をつくるのだ、その何割かは車を買うのだということで、国会委員長がボロ車を動かしておるときに、各省は課長が車に乗つております。のみならず、ある局長は二台持つてつて、一台は自家用に供しておる。こういう金は一体どこから出るのかということを追究して行かなければならない。そのような事態がなかつたならば、あえてわれわれは今苦しい中で行政政整理を行う必要はないのです。こういう意味から申しまして、故意に承知をして、もしくは最高責任者までが謀議をして予算区分を乱つたというようなことに対しましては、嚴重に処置をしなければならないわけであります。もちろん所長官舎をつくるというような場合は、起工式も竣工式も行つておるでありましよう。これは過失により予算区分を乱つたものではありません。これは完全に承知をして予算区分を乱つたものであつて承知をして予算区分を乱り、しかも特定な目的のために予算区分を乱つたというようなものに対しては、戒告処分などというものではなく、そこの所管者は当然懲戒の処分に甘んじなければならない、私はかように考えておるわけであります。例をあげていえば幾らでもありますが、ただ世人の疑惑の的になるという場合は、課長になれば車を使える。それから三十五、六年型でもつて議会が動いておるときに、八年、九年以上の車は官庁でなければ使えない。あの費用を一体議会認めておるのかということを言われれば、われわれは簡單にこの批難事項認めるわけにはいかない。ただこの中には幸いになかつただけでありまして、これからたくさんあります。私はそれを一々指摘をして参ります。そういう意味からいいまして、そのような場合、ただに戒告処分をし、しかも今手続中でありますというがごときことをもつて、このまま看過をするわけには行かない事項だと思います。その意味において会計検査院はそのようなる事件に対しては、一体どこまで追究するのか。  私は最後にもう一つ言つておきます。こういうものよりも、官庁が、表に出さずして事件を葬つた場合の穴埋めをしておる。俗にいうその墓場人夫に対する巨大な金額は一体どこから支拂うのか。こういう問題は、私たちが今行政整理というもので非常に大きな焦点に立つておるだけに、私たちがそれを行うという場合には、あなた方に対してもそういう意味では協力を願わなければならない。その意味でこれだけ批難せられる事項があるのですから、私も自由党議員であまり言いたくはありませんが、あなた方がそれに対してどれくらい真実を探究し、しかもどういう結論をつけようとしておるのかということだけを伺いたい、こう思うのであります。
  44. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまのお説は十分拝聽いたしました。予算の執行上、そういう責任者の官吏に不当がありました場合には、会計検査院といたしましては、その責任の追究の最高限度は懲戒免職なり、あるいはそれ以下の減俸なりという処置を要求しなければならない法律上の義務もございますから、その点は事態を十分に糾明いたしまして、御趣旨に沿うように調査をいたしておる次第でございますので、万遺漏のないようにいたす覚悟を持つております。
  45. 菅家喜六

    菅家委員長 ちよつと委員長からも小林局長にお尋ねしますが、二九七号の名古屋の国税局外六箇所で、印刷製本代、自動車借上げ料金等として食糧費と接待費をまかなつた、この内容は御承知になつておりますか。どんなふうな食糧費とどんなふうな接待費に使われたか、その一点だけ参考に聞いておきます。
  46. 小林義男

    小林会計検査院説明員 二九七号は、関係する局なり税務署なりも相当多いのでございまして、どういう人が招待されたか、あるいはどういう食糧費をどういう場合に使つたかという細目の点は、ただいま資料を持つておりません。
  47. 菅家喜六

    菅家委員長 資料はないのですか。
  48. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまは持つておりません。
  49. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいまはないが、向うに帰ればあるというお話ですね。
  50. 小林義男

    小林会計検査院説明員 これは呼んだ人から食べた人までの一人別までは調べておりません。
  51. 菅家喜六

    菅家委員長 一人別を聞いておるのではない。何年何月何日、どこに行つてどれくらい使つたか、この三百万円の金は大体こういう食糧費、こういう接待費に使つたという大ざつぱの何か調査がなければ、ただ先ほど局長説明したような説明であれば、この委員会として会計検査院の補足的説明を求める必要はない。何となれば、ここに説明書もあつてわかつておる。あなたの御説明には、われわれはもつと補足的な説明を求める。二九七号においてはこれこれの内容であつた、二九五号ではこれこれという、説明書に詳しく書けない点をこの委員会で詳しく聞いておきたい。もし今ここで御説明の資料がなければ、追つてこの一つだけでも参考に当委員会にその資料を届けてもらいたい。
  52. 小林義男

    小林会計検査院説明員 承知いたしました。
  53. 菅家喜六

    菅家委員長 もう一つ小林局長にお尋ねするが、局長は今日議題になつておるこの七件の調査内容をよく御承知になつておらないじやないですか。先ほどからの説明を聞いておると、ほかの人がやつた批難事項を、ただこれを読んで来た程度のことであつて、詳しいことをおわかりになつていないのじやないですか。われわれの最も聞きたいこと、またわれわれの主張を代表的に言われたような感のするただいまの田中委員の質問に対する説明を私聞いておつても、会計検査院としての答弁としては、まことに遺憾である。今のような御答弁であれば、今の質問に対する答弁になつておらぬと私は思う。ここでそういう答弁を聞くなら、百万言費しても、会計検査院の答弁としてはわれわれに首肯しがたい。憲法上、会計検査院にはそいうう権能が與えられておるのであるから、各官庁にそういう不正行為があつて、それに対して戒告処分なり何か処分するというだけなら、あなたの御説明を承らなくても、当然なことでわかつておることです。そういう点で田中委員局長に尋ねられておるのではない、もつと根本的なことを言つておる。これはだれが考えてみても、年々これだけの批難事項がある。今の七件を聞いてみても文書を見ても、ただ一片の注意だ。年年批難事項が多くなるだけのことで、一つも訂正されておらないじやないですか。年々同じことを繰返されておる。これはやはり、大きな問題ですから、会計検査院として、もう少し考えていただかないと困る。最近、会計検査院に対する非難の声が多い。この前の委員会においても、ある委員からいろいろな質問があつて、その中に、ある地方で会計検査院に対する非難があつたという話があつた。最近またそういう声が起きて来て、当委員会にいろいろなことを言つて来ておる人がある。われわれは、そういう地方に行つて招待されたとかなんとかいう末梢的なことは別として、会計検査院は独立機関として、もつと嚴然たる態度でやつて行かなければならぬと思う。われわれは最近多くの人から、会計検査院に対する非難の声を聞くのですが、今のようななまぬるい態度でやられると、官庁としては年々やつて来たことを、なに注意だけだ、知つていてやつても、これは大したことにはならないんだと年々繰返す。ちようど今、田中委員が言つた通りの経過をたどつて行くことになります。これはわれわれ承服できない。そういう点で、ただ委員会でまことに申訳なかつた会計検査院はこういつてこの委員会を済ませればいいのだという態度で臨まれるならば、われわれ委員会としても相当な考えをもつて運営をやつて行かなくてはならない。小林局長は、ここへ出られても、この内容をよく知つておられないのではないですか、よく知つておられるのですか。
  54. 小林義男

    小林会計検査院説明員 わかつております。
  55. 菅家喜六

    菅家委員長 それならば、資料はなくても、大体こういうものはこうだというような、補足的な説明をしていただかぬと、これは重大なことになりますよ。ただ單に一つをあげただけですけれども、それはもう田中委員の質問で、全部われわれの言わんとすることは盡きています。それはそうなければならぬのです。国家経理上の不正行為のごときは、会計検査院職務怠慢ですよ。各種公団のあの不正事件というものは、考査委員会で調べ、本委員会で調べた。あの結論は何かというと、会計検査院というものの職務上の怠慢だと私は思う。これは院長を呼んで両委員会においてみつちり言つておいたのですが、年々会計検査報告書批難事項というような、ただ一片のこういうものが出て来て、そうしてただ説明を聞いて、まことに申訳ありませんでした、会計検査院検査報告通りなどという当局説明に満足しているわけに行かない状態になつて来ている。そういうことを深く認識してもらいたい。少くともこの委員会に出て来られたならば、これこれの内容ということは、そつくり表に現われないところまで説明できるようになつて、もう少し熱意のある御答弁を願わなければならぬかと思うのです。今のに関連して一言つけ加えておきます。
  56. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいま委員長の仰せのように、説明が不十分でありました点をおわび申し上げます。  なお名古屋の分につきまして……。
  57. 菅家喜六

    菅家委員長 それは会計検査院説明がその程度であれば、まず予算経理区分を乱したことになるかならないかということをあなた方が判断されたのと、われわれの判断するのと、どこに違いがあるかということを、ここで詮議してみなければならないのですよ。
  58. 小林義男

    小林会計検査院説明員 わかりました。この支拂い先などは、大体料亭と、それから招待した人は商工会議所の人であるとか、あるいは警察関係の人であるとか、接待費などはそういうふうに使つておりまして、そのたびの金額というようなものも、実地検査に参りました分についてはわかつております。それから食糧費でありますが、これは税務署の職員が非常におそくまで仕事をいたしまして、その場合にその食糧費に使いますほかに、やはり接待費と同様なものに使つておる。
  59. 菅家喜六

    菅家委員長 宴会は……。
  60. 小林義男

    小林会計検査院説明員 宴会ですか——宴会と申しますと、非常に言い過ぎるかも存じませんが、夕食費に使うとかいう大体の実情でございます。
  61. 田中角榮

    田中(角)委員 私は一度会計検査院当局及び各省の会計課長に御出席を願つて、これは当然やらなければならぬかと思つてつたことを、きよう私は派生的にこういう質問をしたのでありますが、今自由党が米の統制解除をやる場合、絶対量がないから反対だというようなことをいつております。私は簡單に言う。これ一冊を見せればいい。こういうことを年々歳々行つておる官吏では、ものをまかせておけないのだ。しかもわれわれは今政府與党として自分責任があるのですから、ただに政府支出というものはこういうものであるということだけでなく、われわれ自身が任命しておるところの内閣をして、われわれの素志を貫かせなければならないという重責にあるのですから、われわれ自身が言うのは、会計検査院は、もちろん憲法上の規定によつてやられておるのですが、私はいつでも申し上げますように、今の会計検査院もつと毅然としてもらいたい。私は過去五年間にわたつて会計検査院の権限拡大、こういうものの立法に対しては口をすくしてあなた方と協議もし、そういう問題に対しては、原則的に無條件に賛成をしておる。ただ会計検査院があまりにも弱い。しかも会計検査院が発表するものに対しては、もちろん検査会議にかけて発表するのですから、たいへんなことはあるでしよう。しかし発表したものに対しては、政府というものと全然違う立場から検査行つておるのですから、これが発表には毅然とした態度をとつていい。しかもその会計検査院の発表というものは、ただ一片の印刷文書として配付せられることによつて除去できないところのものを、あなた方が新聞の代役をし、ほんとうの詮議をするのですから、あなた方がこの委員会で発言することによつて、各省がふるえ上つて再びさようなことが起らない、こういうようなことにしてもらわないと困る。それですから、会計検査院はうんと大きくしなさい。ただこういう問題は批難の表に出ない何百件、何千件の中から摘出せられたものです。あなた方が認定し、検査会議で完全に法律違反だというものを出したのですが、この陰に埋もれるものはたくさんあります。そういうことを考えておる場合、私たちは、ただそれが個人の信用にも関し、現存する人々がただ生のままでもつて発表したことによつて、事実審査をしてみなければ、究極にならなければ違反か違反でないかの結論も出ないというような問題に対して、あなた方は愼重であるというために、世間は会計検査院がなまぬるいとして、経済調査庁をしてやらせた方がよろしいという案が出た。私はそのときにも、当委員会において経済調査庁反対案をやつた。なぜならば、国家支出に対してはやはり会計検査も尊嚴に行わなければならない。しかもものさしの違つたしろうと考えをもつて検査行つて、それをどんどんと表へ出されたら、それは権限に関する。だから憲法の命ずるところ、会計経理検査会計検査院一本で行わなければいかぬ、そう思つておる。私たちの質問に対するあなた方の説明を一條々々私は聞いておつたが、一冊をやるにしても、これは何年もかかります。こんなことは聞きたくない。ただかかるものを、幾つかその代表的なものを出して、最後まで掘り下げて行つて、こういう問題は検察庁に渡すべきだ、こういう問題に対しては、会計検査院は法規を改正してもそうしなければならぬ。場合によつて憲法改正しても、会計検査院もつと権限を拡大しなければならぬというような問題まで、私たちは深刻に考えておる。だから、先ほども申し上げたのは、批准国会が終れば、当然検査報告も既決案件になるだろう、またしなければならないということを前提にして申上げておるのですから、私たちはとにかくこまかいことを一つ一つ全部言わなくても、この中には類似のものがたくさんあるのです。その中の代表的なものに対して掘り下げて、会計検査院はこういたしました、それではなまぬるいじやないかという論が出て来る場合においては、その事件に対してはもう少し掘り下げて処罰を要求してくださいということを申し上げるわけですから、私たちはそういう機微に触れた、そうして根本的な態度を決せられるような御説明を願いたい。こういうのですから、一つ一つに対して説明を要求しておるわけではありません。ただ一つの例を委員長があなたに申されて、こういうものに対して参考的に御説明願いたいという場合には、少くとも宴会にだれを呼んだというくらいのことはお話になつても、会計検査院の権威に関することではありません。ただあなたが御説明をしながら、宴会ですか——宴会と言うと少し言い過ぎるかもわかりません。それから、呼んだのは警察関係、商工会議所、その他であります。こういう中に、但し百回の中に、職員が運動会をやつたり夕方飲んだ金も一回だけありますというようなことがあつたら、勇敢にこれを説明してもらいたい。私たちの質問の意思というものを御存じなのですから、そういう意味で、ひとつそういうものに触れるような御説明を願えればけつこうである、こう思つております。
  62. 菅家喜六

    菅家委員長 なお参考に国税庁の天野会計課長にお尋ねします。今田中委員から委曲を盡しているようでありますが、ただいまの名古屋国税庁の方も、国税庁のものはわかつておられると思うのですが、われわれは先ほども言われた通り、接待費として使わなけばならないものをやつた場合に、必ずしもこれを責めるという意思ではないのです。だから職員が夜おそくなつて夜食を食べたものまでも、重箱のすみをようじでほじくるように、われわれの委員会で取上げようという意思ではない。しかしながら、たまたまわれわれが国政調査行つてみると、よく招待されるが、大体断つている。だけれども、地方の実情を聞くために、局長なり各所管の長が出て来るというならば、話合いくらいはしてもいいけれども、会費にしてくれということで、われわれも会費を分担して行つてみると、役所の人がたくさん来ておつて、会が終つてわれわれが帰つても、二時、三時までどんちやん騒ぎをしておる。この費用を、国会議員が来たからその費用だと書かれたのでは、行き過ぎもはなはだしい国費の濫費である。こういう経理上の不正なことをして自分たちが大勢行くのである。われわれが行つても、專門員とわれわれの分をわれわれが分担すればいいのであつて、そのとき役所から大勢出て来て、さも国会議員を待遇するような顔つきで自分たちが飲む機会をつくるというようなことが現在多い。それで聞いておきたいのだが、商工会議所、警察を呼んで夜食を食つたといつたつて、これだけの小さいところで、三百万という金を流用したということは、今田中委員が言われたように、これ一つを掘り下げてみても、大きな問題がここにあると思う。これはきようこの委員会で御説明にならなくてもいいから、資料を出していただきたい。きようここで一々こういうようなことをこまかく掘り下げで聞くという意思じやない。これを一つの参考として、われわれはここから大きな問題を全体の上に発見したいのです。そういう当委員会の各委員の質問の真意というものをよく勘案して、資料をこの次の委員会までに提出してもらえばけつこうであります。一般を論ずるための一つの例として聞くのである、こういうようにお考えおきを願いたい。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま委員長並びに田中委員から、詳細に説明があつたわけでありまして、私もまつたく同感です。本日も、実は法務府の方で五と六とを済ませて、あと七、八に行くだろうと思つてつたところが、一括して飛んでしまつたので、これは私はこの次でもけつこうでありますが、なお不足のところがありますから申し上げます。とにかく、決算委員会予算委員会と並んで、重要な国家財政を決算するところでありますから、予算委員会に各省の大臣、責任者が来なければ当然やつて行けませんと同様に、やはり決算委員会にも、大蔵省でありますならば国税庁長官であるとか、次長ぐらいは出て来て、部下にこういうような行状があつたということを、当然認識しておいて、決算委員会の空気等を参酌して改善すべきが当然であると思う。検査院も一局長のみを派遣しておいて、おれは知らぬということは不都合でありますから、こういうような重大な案件が山積しております関係上、会計検査院は必ず検査官が三人のうち一人は来ること、また各省は、大臣が出られなければ次官、あるいは局長等が数名参りまして、これらに対しての空気をよく認識せられまして、再びこういうことを繰返さないようにするのが当然であると私は思うのです。委員長からもひとつ嚴重に各省各庁に対しては責任者会計検査院検査官が来るようにということを申されんことを特に希望いたします。
  64. 菅家喜六

    菅家委員長 大体本日は質疑はこの程度にとどめておきますが、各委員からの発言等によつてみましても、この運営方法に対して、多少今臨時国会においては、今後かわつた方法によつて各省に質疑行つて行きたいと思います。いずれその具体的な方法は、理事会というようなことでなく、全委員で協議をいたしまして、しかる後各省に当委員会の意思を申し入れて、そうして委員会を運営して行きたいと思います。その適当な措置委員長に御一任願つて、なお御相談を申し上げることにいたします。  それでは、本日はこの程度にて散会いたします。     午後三時二十五分散会