運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-27 第12回国会 衆議院 経済安定委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    寺本  齋君       奈良 治二君    渕  通義君       宮原幸三郎君    村上 清治君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         経済安定事務官         (財政金融局         長)      阪田 泰二君  委員外出席者         総理府技官   吉村 次郎君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    細田茂三郎君         経済安定事務官 榎  智達君         経済安定事務官         (産業局燃料課         長)      近藤  勝君         経済安定技官         (民生局次長) 鵜崎 多一君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件  資金計画並びに金融政策に関する件  砂糖及び飼料等需給計画に関する件   請願  一 石油統制撤廃に関する請願江崎真澄君    紹介)(第三四〇号)  二 印度洋及び東南アジア地域に関する政治経    済研究所設置請願渕通義紹介)(第    三八七号)  三 知床半島地域開発計画樹立に関する請願    (伊藤郷一君紹介)(第六一四号)  四 釧路原野未墾地利用調査に関する請願(伊    藤郷一君紹介)(第七七一号)   陳情書  一 日米経済積極的協力に関する陳情書    (第四三号)  二 大隅、熊毛地方総合開発促進に関する陳    情書    (第五九号)  三 四国西南地域国土総合開発法に基く特定    地域指定陳情書    (第九二号)  四 同(第九三号)  五 同外一件    (第九七号)  六 労務用物資対策協議会機能強化に関する    陳情書    (第一五八    号)  七 四国西南地域国土総合開発法に基く特定    地域指定陳情書    (第一八三号)  八 石油類製品輸入に関する陳情書    (第二一一号)  九 日本経済復興のための緊急金融措置に関す    る陳情書(第    二五六号) 一〇 木曽川総合開発地域国土総合開発法に基    く特定地域指定陳情書    (第二五八号) 一一 最上地域国土総合開発法に基く特定地域    に指定陳情書    (第    二七七号) 一二 四国西南地域総合開発区域指定拡張に関    する陳情書(第四    七六号) 一三 重油価格改訂に関する陳情書    (第六〇三号) 一四 講和後の経済基本政策に関する陳情書    (第六一七号) 一五 国土総合開発法に基く長崎県対馬特定地域    に対する漁港整備三箇年計画の追加に関す    る陳情書(第八    七三号) 一六 石油統制撤廃促進に関する陳情書    (第八七四号)     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きま
  3. 圖司安正

    圖司委員長 まず請願審査を行います。本会期中に付託となりました請願は、本日の日程通り四件であります。なお各請願審査の方法は、まず紹介議員説明を聴取し、次に政府所見を伺うこととし、その可否は後刻一括して決したいと存じます。  それでは請願審査に入ります。日程第一、石油統制撤廃に関する請願議題といたします。その紹介説明を求めます。渕通義君。
  4. 渕通義

    渕委員 紹介議員の御出席がありませんので、私がかわつて請願要旨を御説明申し上げます。石油統制撤廃に関する請願、第三四〇号、本請願要旨は、石油に対する統制は、現在も戦時中の統制と少しもかわることのない厳重かつ複雑なる官僚統制である。こういつた石油統制現状に即しないと思いますので、一日もすみやかに石油統制を撤廃あらんことを請願するものであります。
  5. 圖司安正

    圖司委員長 本請願に関する政府意見を求めます。
  6. 近藤勝

    近藤説明員 石油統制撤廃につきましては、本年の四月以降石油統制権わが国に移わましてから、今日までいろいろ論議されていたことでございますが、われわれ事務当局といたしましては、まず石油統制撤廃に必要な石油供給カがついているかいないかということについての、数字的な検討をいたしている次第でございます。その需給見通しについて若干御説明申し上げます。  御承知のように石油統制は、まず国内における配給統制、それから外貨統制、この二つを実施しているわけでございますが、まず国内的に各四半期に一回ずつ割当をいたしまして、その割当に基いた発券をもつて需要者供給者品物の授受をやつているわけであります。その割当数量が、われわれが推定いたしております有効需要といかなる関係に立つているかということについて比率を申し上げますと、まず十月から十二月におきまして、揮発油有効需要割当比率は七五%、燈油は九三%、軽油は八四%、重油につきましてはほとんど一〇〇%でございまして、このほかに従来まで重油割当は八五%、潤闊油はすでに統制の停止を見ているのでありますが、これは大体需給見合つている。その他パラフィンについてもほとんど需給見合つている、こういう関係に立つております。従つて石油全体を見ますと、大体八六%程度需給率を維持しているわけでございます。現在石油割当は各四半期におきまして、約その四半期の一箇月前にこれを実施しているのでありまして、まだ来年の一—三月の割当はいたしておりませんが今検討しております。需給数量をやはり比率で申し上げますと、一——三月においては揮発油は七五%、燈油は九三%、軽油は七四%、重油転換分についてはほとんど全量、従来からの割当数量有効需要に対して八五%、潤闊油はほとんど全部需給見合つていると考えられまして、石油全体ではやはり八六%程度需給率を維持し得る見込みでございます。これを外貨手当の上から申し上げますと、一・四半期飛びまして、従来十——十二月の外貨予算では、四月から六月の需給を考えての編成をいたしておる関係から、一——三の外貨はやはり来年の七——九の需給を頭において編成いたさなければならないわけでございますが、これにつきまして四月以降の需給を現在の需給率よりもさらに良好ならしめるためには、従来手当済み外貨のほかに約一千三百万ドル程度を、一——三の外貨予算で追加計上しなければならないというふうに現在考えております。この外貨折衝は、御承知のようにまだ総司令部の方との折衝が残されておるものでございますから、ただいまのところこの外貨編成が、はたしてどの程度まで実現できるかはわかりませんが、目下のところ需給関係から統制を撤廃しても、はなはだしい混乱を来さない程度に、われわれの方ではこの外貨折衝努力を傾注している次第でございます。簡単でございますが、以上お答えを申し上げておきます。     —————————————
  7. 圖司安正

    圖司委員長 次に日程第二、印度洋及び東南アジア地域に関する政治経済研究所設置請願議題といたします。その紹介説明を求めます。渕通義君。
  8. 渕通義

    渕委員 印度洋及び東南アジア地域に関する政治経済研究所設置請願につきまして御説明申し上げます。  講和条約締結後における日本経済的自立平和的発展のためには、ますます印度洋及び東南アジア国家諸領域との友好提携関係を深めて行かねばなりません。  これらの地域わが国とは、もともと民族的、歴史的に浅からぬ因縁を持つが、太平洋戦争を契機として、諸般の面において一層信頼と親密と相互依存の度合を深めるとともに、他面においては相当の誤解をも招いておるのでございます。  民族間、国家間の諸関係が最も妥当な基礎の上に成立するためには、その政治的動向経済的実態を把握することが必要であることはいうまでもないが、さらに社会的文化的性格に関する基礎的な調査研究を怠つてはならない。  戦前、これらの諸地域研究は、もつぱら政府の諸機関、あるいはいわゆる国策的調査機関がこれを担当し来つたが、戦後、これらはことごとく解散し、その所有していた貴重な資料並びに有能な研究者は、まつたく四散してしまつているのであります。  国内産業再建態勢は逐次整備せられ、経済自立前提要件たる貿易は次第に伸張し、国際収支もまた好転して来たが、その間において、印度洋並びに東南アジア地域は、わが国にとつて資源供給地商品市場として将来平和的民族発展の場として次第に一般の認識を深め、また講和条約をめぐる諸関係も複雑の度を加え来つたのであるが、対印度洋並びに東南アジア関係確立基礎を固めるための前提条件たる調査研究機関整備は、まつたく放擲して顧みられないありさまであり、依然として戦後六年の空白時代を続けているのでございまして、これに対しまして何らの手が打たれていない。われわれは国連の加入を前提といたしまする、この東南アジア開発重大使命を持つものは、日本民族であります。従つてこれらの地域国家百年の大計の立場より、根本的な、学術的な研究をなして、この遅れたる後進国家群に対する日本民族の持てる、世界において最も優秀な科学的な資料を提供する、こういうことでなければならないと思います。しかるに今日におきましては、単なる商業上の、あるいはまたその他の関係におけるところの人人が、打算的なる研究調査機関をつくつておられるにすぎないのでございまして、世界学界に出しまして、恥かしからざるところのりつぱな研究機関を設置することは、日本が将来国際社会に加入いたし、しかもまた世界を指導するいう高遠な理想の立場に立ちまするときに、最も必要であると考えまするので、こういつた機関に対しまして、政府はすべからく確固たる基礎を持つ研究所を設置いたしまして、十分の国庫補助をなされんことを請願したいという意味であります。
  9. 榎智達

    榎説明員 戦後インド洋及び東南アジア地域政治経済に関します調査機関が非常に弱体であつて、有力な研究機関の設立が要望されていることは事実でございます。しかしながらこの要望に答えまして、アジア経済調査所が本年の夏組織強化をはかつて再出発いたしましたし、また世界経済調査会におきましても、新たにアジア部会を設置しておりますし、インド洋問題研究協会日本太平洋問題研究会等、それぞれの組織整備しつつある現状でございます。さらにアジア経済調査所におきまして、これが中心となつて今まであげましたような諸機関、その他インド洋東南アジア政治経済に関します専門家連絡会をずつと開催しておりまして、これも相当な実績をあげつつあると思つております。従いまして請願趣旨のような方向に、既存の調査研究機関もすでに動きつつありますので、これらの諸機関の育成に対しまして、広く民間はもとよりのこと、政府におきましても努力することによつて、相当の成果が期待されるのではないかと思つております。     —————————————
  10. 圖司安正

    圖司委員長 次に日程第三、知床半島地域開発計画樹立に関する請願議題といたします。この紹介説明を求めます。渕通義君。
  11. 渕通義

    渕委員 紹介議員の御出席がありませんので、私からかわつて説明申し上げます。  本請願要旨は、現在、北海道総合開発国策として取上げられ、着々その実現を見つつあるが、未開発地区たる知床半島とその山系における資源開発は、わが国の人口、食糧問題の解決に寄与するところ大なるものがあります。ついては、北海道総合開発一環として、(一)知床半島両側における漁田開発漁港並びに道路の築設、(二)根北鉄道線促進、(三)地下資源調査開発、(四)奥地森林開発林道開墾、(五)未開発耕地二十万町歩開発など開発計画を樹立し、開発促進されたいというのであります。
  12. 圖司安正

    圖司委員長 右に対する政府意見を求めます。
  13. 吉村次郎

    吉村説明員 知床半島開発は、北海道総合開発一環として取上げておりまして、知床半島は未開発漁田、鉄、マンガン、硫黄の地下資源、それから未開発地の開拓というような幾多の資源がありますので、これを昭和二十七年度より調査をいたしまして総合的な開発計画を樹立するようにいたしております。     —————————————
  14. 圖司安正

    圖司委員長 日程第四、釧路原野懇地利用調査に関する請願議題といたします。その紹介説明をしていただきます。
  15. 渕通義

    渕委員 紹介議員の御出席がないので私がかわつて説明申し上げます。  請願第七七一号の釧路原野懇地利用調査に関する請願。本請願要旨は、従来悪質な泥炭湿地で手の施しようがないといわれておりました釧路原野約三万町歩開発につきましてこれが徹底的な土壌調査あるいは地理的調査等を通じましてこの釧路原野をばすみやかに開発できるような方向に持つて行きたいというのが請願趣旨でございます。
  16. 圖司安正

    圖司委員長 これに対する政府意見を求めます。
  17. 吉村次郎

    吉村説明員 釧路原野の三万町歩開発のことでありますが、これは東北海道におきまする釧路中心といたしまして、あそこにありまする七億トンの石炭、それに基く開発と、その背後地をなしまするこの三万町歩は、それに関連しましてまことに重大なる開発の意義を持つておるのでありまして、政府におきましては、昭和二十六年度よりこれが調査に着手をいたしております。ただいま釧路川並びに阿寒川の改修によりまして、その排水の可能なることが大体究明されておりますので、今後土地分類あるいは土壌調査営農類型確立というようなものを進めまして、昭和二十八年度まで約三箇年間において、これが総合開発計画を樹立するというふうにいたしております。
  18. 圖司安正

    圖司委員長 これにて各請願紹介説明及び政府所見の聴取は終りました。この際質疑があればこれを許します。
  19. 多田勇

    多田委員 石油統制撤廃の問題でございますが、先ほど来の説明を聞きますと、たとえば揮発油については、有効需要に対して七五%程度供給量があるというようなお話でございましたが、現実は一〇〇%近いものが動いておるという状態ではないかというように考えられます。たとえば自動車にしましても、ほとんどガソリンで走つておるというようなことから考えて、石油統制撤廃を一日も早くすることが必要だと考えておりますが、大体いつごろから統制撤廃をしようという見通しであるか、その点について伺いたい。
  20. 近藤勝

    近藤説明員 統制撤廃の時期につきましては、われわれ事務当局としては、今はつきり申し上げるだけの準備をいたしておらないのでございますが、われわれとしましては、先ほども申し上げましたように、一——三の外貨資金では、統制撤廃をいたしましても、さして混乱が来ない程度外貨準備をいたすつもりで努力をいたしておる次第でございます。
  21. 多田勇

    多田委員 一——三の外貨資金について非常に努力されておるというお話でございます。現在統制されておりますために、たとえば価格統制でございますが、これは十二月からマル公を改正するという予定だと聞いております。マル公引上げましても、なおかつ地域によりましては、日本に対する石油供給が非常に困難だというようなことを聞いておるのであります。たとえばシェルにしましても、新価格を、もつてしてはトン当り一千円程度欠損するというような状態で、従つて日本市場に対する石油供給が、そういつた面から非常に困難だというような状態になつておるようであります。統制を撤廃すれば、従つて石油製品も、石油も、どんどん入つて来るというように考えますが、せつかく外貨混乱しない程度に獲得しましても、統制を撤廃しない以上は、それだけの品物が入らないという危険があるのでありますが、そういつた点についての見通しお話し願いたい。
  22. 近藤勝

    近藤説明員 価格改訂問題は、原油よりも製品の方が非常に高い関係から、重油軽油製品輸入が、アメリカから引きましたCIF値段に比しまして、国内マル公が不当に低いという関係から、輸入が相当困難を予想されておるわけでございますが、これにつきましては、物価庁においてただいま改訂準備をいたしておるわけでございます。この問題が解決すれば、わが国需要数量程度のものは、国内生産増強輸入措置によりまして需給にさして緊迫が来ないように考えております。
  23. 多田勇

    多田委員 シェル見通しはどうですか。
  24. 近藤勝

    近藤説明員 スターリングの問題ですか——今のところ、スターリング地域からの製品輸入は、アバダンの問題が未解決のために相当困難に考えられておるのでございますが、先ほど申し上げました国内マル公の是正が実現できれば、シェルクォーター程度輸入は、シェルにおいて努力し、また可能であると考えます。
  25. 多田勇

    多田委員 どうも可能でないらしい。シェル日本駐在員が、シェル自体の国外に対する販売価格から考えて、改訂されるマル公をもつてしては、とうてい採算がとれないということで、日本に対する石油の輸出が非常に困難だというようなことを言つております。今の御説明だと、そう心配はないというようなお話ですが、これはそろばんの面でとうてい採算がとれないというような状態だと聞いておりますが、そういうことはないですか。
  26. 近藤勝

    近藤説明員 これは物価庁の方で今研究している価格改訂の問題でございまして、私ただいま手元に詳細な資料を持ち合せておらない関係上、ちよつとお答えしかねます。
  27. 圖司安正

    圖司委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ日程第一より日程第四までの各請願一括議題とし、その可否を決します。  本日の請願日程全部、すなわち日程第一より第四までの各請願趣旨はいずれも適当と認められますので、これを採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決します。  なおこの際、委員会報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。     —————————————
  30. 圖司安正

    圖司委員長 次に陳情書審査に移ります。本会期中に送付されました陳情書は、本日の日程通り十六件であります。これらの陳情書の内容につきましては種々問題のあるものもありますが、これらはすべて国民の偽らざる声でありますので、本委員会といたしましては、これら各陳情書趣旨を了承いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。     —————————————
  32. 圖司安正

    圖司委員長 次に資金計画並びに金融政策に関する件、砂糖及び飼料等需給計画に関する件を一括議題とし、まず政府当局よりその説明を聴取いたしたいと存じます。阪田政府委員
  33. 阪田泰二

    阪田政府委員 それでは昭和二十六年度総合資金需給実績及び見込みにつきまして、配付しました資料に基きまして、一応経済安定本部で立てた見通し等につきまして御説明申し上げたいと思います。この見通しは、実は少し早目につくりましたので、その後のいろいろの情勢変化等によりまして、多少現在再検討しておりますのとかわつて参りました点もあるわけでありますが、一応これによりまして御説明申し上げたいと思います。  大体この総合資金需給実績及び見込みというのは、資金需給状態二つ関係にわけまして、政府関係、これは一般会計特別会計も含めまして民間に対してどれだけの支払い超過になるか、引上げ超過になるか、こういつた関係、それからその次に金融機関、これは一般銀行相互銀行、信用組合、いろいろな金融機関が、こざますが、そういうような一般金融機関あるいは開発銀行等も含めました金融機関資金需給関係、つまりどれだけ預金が増加して、どれだけの貸出しが行われたか、差引足りない分は、日本銀行からの信用供与でまかなわれるという関係になつております。そのほかにその他の資金計画、これは一般金融機関に含まれておらない住宅金融公庫でありますとか、そういつた特殊のものがありますので、そのものの資金繰りがとうなつておるかというこの三つになつておりまして、それぞれの四半期におきまして、通貨が総計としてどれだけ増減するか、日銀券発行高はその期末においてどういうことになるかということの見通しを立てたのであります。  この一番上のところにありますように、政府資金の対民間収支は、第一・四半期は六百五十三億の引上げ超過、第二・四半期は四百二億の引上げ超過、第三・四半期は、見込みでありますが、千百十九億の支払い超過であります。この支払い超過見込みは、例年第三・四半期におきましては食糧特別会計支払い等によつて支払い超過になるのが例であります。ごく最近の見通しを立ててみますと、これが少し少くなりまして、九百十一億程度になるのではないかというふうに考えられるのであります。第四・四半期は三百二十六億の引上げ超過になりまして、年間を通じて政府関係においては二百六十二億の引上げ超過になるという見込みを立てておるのであります。御承知のように米の供出計画が、予算において三千万石と見通しておりましたのが、二千五百五十万石と変更されました。この見込みは、一応その当時の三千万石ということにいたしましてそれによりましてこの期間における買上げ数量を推定して出したのでありますが、それがかわつて参りましたから、その面の撒布超過額は多少減つて来るわけであります。一方から見ますと、政府撒布超過額が減るだけ、民間預金の増加にも響いて来るのではないかと思われるのでありますが、その辺のところは、この表では計画変更による変化ということはまだ一応見てないわけであります。それからこの十一月一日から日本銀行ユーザンス制度が改正されまして、書類到着後の外国為替貸付関係は、簡単に申しますと、政府勘定から日本銀行勘定に移つたような関係になつておるわけでありますが、その関係も実はこの表には見込んでありません。そういたしますと、今まで政府関係の払出しあるいは回収ということになつておりましたものが、制度変更後さしあたりは、政府関係におきましては、外国為替貸付回収が多くなりまして、日本銀行の貸出しあるいは民間金融機関の貸出しという面の貸出しがふえて来るといつたような関係で、この表の勘定と少し違つて参ります。年度末までにおきまして、大体千億程度この関係勘定が狂つて来ます。かりに千億狂うといたしますと、政府引上げ超過といたしましては、年度間に千二百六十二億円の引上げ超過という形になりまして、下り方金融機関の収入の中におきまして、日本銀行信用供与が千億ふえて千八百九十九億になる。それから金融機関の支出の部における貸出し額も、千億だけふえて七千六百七十六億になる。かりにその増額だけかわつて来るといたしますと、そういうふうな変化だけこの表では出て来るわけであります。  それから金融機関資金需給についてでありますが、これは従来大体第一・四半期、第二・四半期実績が判明しておりますので、これによりまして計算をいたしたのであります。第三・四半期以降は、今までの情勢並びに昨年の同期の季節的な状態、また政府投融資関係では、確定しておる計画等を算定して現在の見込みを立てたわけであります。この中で第三番目の政府預金、これは民間に対する預託金金融機関に対する預託金でありますが、第三・四半期におきまして百五十億の引上げという数字になつております。これは先般御承知のように一部の引上げを実行いたしましたが、相互銀行、信用金庫その他に対する分は半額を引上げまして、残りを来年にまわしました。なお災害地関係金融機関には一部再預託をいたしたので、この百五十億という金額は、実際には百四億という結果になつております。差額は大体第四・四半期引上げが行われることになつております。それで七番目の日本銀行信用供与につきましては、ここにありますように第一・四半期は六百七十三億の貸出しの増加、第二・四半期は五百二十一億、第三・四半期政府支払い超過が増加いたします関係上、日銀の信用供与額としては百六十七億の収縮になります。第四・四半期は年末に高騰いたしました分が収縮する関係上、やはり百二十八億の収縮になり、年間を通じて八百九十九億の1日銀信用供与の増加ということになるわけであります。日銀の信用供与の増加の中には、日本銀行の貸出し割引増加、そのほか国債買入れによる信用供与、その他のものが全部含まれるわけであります。それであとは、ごくわずかなものでありますが、資金繰カ等を合せますと、通貨全体としては第四の欄にありますように、第一・四半期が百十四億、第二・四半期が八十七億、第三・四半期が九百四十億、これだけの増加になります。来年になりましてからは四百五十四億収縮になります。それで当面十二月末までの日銀券発行高といたしましては、一番下の欄にありますように、第三・四半期が五千百四億というふうに、一応この表では見込んでおるわけであります。第三・四半期末というのは、十二月末の推算を含めてありまして、十二月三十日の一番高いときには五千二、三百億というような、それよりも多少高い額になるというふうに大体予想しております。それに対しまして、三月の第四・四半期末、今年度末の通貨発行高としては四千六百五十億程度におちつくであろうというふうに見込んでおるわけであります。一応の御説明を申し上げます。
  34. 圖司安正

    圖司委員長 次に細田説明員。
  35. 細田茂三郎

    ○細田説明員 それでは二十六年度砂糖需給計画を簡単に御説明いたします。二十六年度と申しますのは本会計年度でありまして今年の四月から来年の三月まで、これを一応申し上げます。  需給の方を申し上げますと、御承知のように、現在は家庭配給につきましては一人当り三百グラムという定量配給制度をとつておりますが、その他のいわゆる業務用と申します方の一般の需要に参ります砂糖は、十月以降入札制度でやつておりまして、自由になつております。そういうことで、家庭配給の方は定量でありますので、大体一・四半期八万四、五千トン程度ずつの所要量になつておりまして年間にいたしますと三十三万五千トンばかりの需要になつております。それから業務用で配給いたしますものは、従来切符配給をいたしておりましたときには、一・四半期大体二万五千トソ程度でありましたが、十月以降この量をふやしまして結局年間では十七万六千トンばかりの需要になると考えております。従いまして需要の合計は五十一万一千トン、大体本年度の需要は五十万トンがらみという見当でございます。今の有効需要としましては、これは見通しでありますのではつきりいたしませんけれども、かりに自由に砂糖が使えるということになりますならば大体において年間六十万トン程度あれば、まずまずではないかと考えられておりますが、今年度は大体においてそういう配給制度をとつて参りました関係上、五十万トンがらみの需要でとどまるということになるわけです。  これに対しまして供給関係は、国内産の北海道のてん菜糖が二万四千トンありますほかは、全部輸入に依存をいたしておるわけであります。輸入先といたしましては、三分の二程度はキューバの原料糖を輸入いたしております。その他は大体台湾の直消糖であります。直消糖というのは、御承知の京料糖を精製いたしましたそのまま食べられる砂糖でありますが、それがこの三月までに確実に輸入のできますものを推算いたしますと、十五万五千トンを政府輸入して買うことになつております。原料糖の方は三十九万一千トン輸入しております。それから今年の三月末で砂糖の配給公団がなくなつたのでありますが、公団が手持ちいたしましたものが九万六千トンありますので、今年の供給といたしましては、直消糖換算で六十三万九千トンというものがあるわけであります。差引いたしますと、来年の三月末に政府手持ちとして残ります砂糖の在庫は、十二万八千トンということになるわけであります。  そこで、砂糖につきましては先ほど申しましたように、家庭用以外は十月以降自由になるわけでありますが、さらに来年の一月からは輸入砂糖につきましても従来のように政府が買い上げるという制度はやめたいと考えておりますので、今申し上げましたのはすでに契約をしてしまつたもの、あるいは近く契約をして政府が買う約束をいたしますものについてのみ申し上げたのでありますが、一月以降民間輸入によつてさらにこれにプラス・アルフアのものが入つて来るであろうということが予想されるわけであります。それから家庭用の砂糖につきましても、大体四月以降は統制がはずされる見込みでありますので、そうなつて参りますと、二十七年度砂糖需給はまつたく自由経済になるわけでありまして、ただいま申しました十万トンばかりの政府が手持ちをしておりますもののほかは全部民間輸入され、民間で自由に取引をされるということでありますので、どういうふうになつて行くかはわかりませんけれども、先ほど申一しましたように大体自由になつた場合の有効需要としては、六十万トン程度のものであろうと思いますので、本年程度輸入が来年もできれば、砂糖需給はまずまずそうひどいことにはならないという見通しであります。簡単ですが、御説明申し上げます。
  36. 圖司安正

    圖司委員長 次に長谷川説明員。
  37. 長谷川清

    ○長谷川説明員 飼料関係について申し上げますが、御承知のように穀類油粕、糟糠類、そのほかいも類とか厨芥とかいうふうになりまして、その総需給数量を申し上げましても、実はあまりはつきりいたさないのであります。われわれが一番ねらつておりますのは、流通いたします飼料について、これの供給を確保するというようなことをやつておりますので、その面について若干数学的に申し上げて参りますと、大体月に十万トン、年間百二十万トン程度の流通飼料があれば、とにもかくにもやつて行けるのじやないだろうか、しかしそれにいたしましても、国内供給量だけでは聞に合いませんので、一部分は外国から輸入しなければならないというような考え方からいたしまして、本年度は穀類、大豆粕等を合せて、大体十五万トンの輸入計画を立ててやつておるのでありますが、すでに実績は十五万トン確保しておるような状況であります。ただ御承知のように最近冬場の時期になりました関係上、小麦粉の需要が非常に減少して参りましたために、そのうらはらであるふすまの生産量が非常に少くなりまして、最近えさの需給が相当窮屈になつて参つたような事情でありますので、特にわれわれとして食糧庁にお願いをいたしまして、食糧庁が持つておられた低質小麦を本年度二方二千トン、来年度さらに三万トン以上を放出するというようなことをやつておる次第であります。はなはだ大まかな御説明でありますが、現状は大体以上の通りでございます。
  38. 圖司安正

    圖司委員長 これにて政府当局説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。竹山祐太郎君。
  39. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 金融問題で一つ伺つておきたいのは、先ほどの御説明で、米の供出の計画が織り込んでないということでありますが、供出数量の問題よりも今一番問題なのは、年末までの供出量を幾らに考えておるのか、この米の供出代金が全体の年末金融に非常な影響があることを心配しておりますが、安本当局のそれに対する見通しを伺いたい。
  40. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいま御質問の点でありますが、大体先ほど説明申し上げたように三千万石という計画が二千五百五十石にかわつたわけであります。そのうちで年内に供出される見込みについては、一応関係方面の意向を聞き、二千万石程度が供出されるというふうに考えて、ただいまこの表を検討し直すということに考えておるわけであります。ここにお示ししました表においては、三千万石のうちの二千五百万石が供出されると考えて、一応計算いたしておつたわけでありますが、そのようなことで再検討いたしておるのであります。
  41. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 ちよつと今の答弁の中で不明瞭だつたのですが、それは年度末なのですか、年末なのですか。
  42. 阪田泰二

    阪田政府委員 説明が不明瞭でありまして失礼いたしましたが、二千五百五十万石の場合、第三・四半期におきまして、すなわち年内において二千万石、年度末までに残りを供出する、このような計算でございます。
  43. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 二千万石の供出があつた場合において、資金計画からいうと、当初立てられた予想よわは幾ら減ることになるのですか。
  44. 阪田泰二

    阪田政府委員 大体年内に二千三百万石くらい出ると見ておりましたのが二千万石程度に減るわけでありますから、それを簡単に計算いたしますと、約二百十億くらいの金額が違つて来るどいうことであります。ただ総合資金需給の面といたしましては、それによつて政府の対民間収支等において、撒布超過額が減つて参るわけでありますが、一方その撒布された金が、金融機関資金需給関係におきまして予金の増加となつてもどつて来る、こういうような金額においても影響が出て来るわけであります。全体を総合いたしまして、最後の通貨の増減なりその他の点に結果が現われて来るわけでありますから、ただいま申し上げました二百十億程度撒布超過額が減りましただけ、ただちに通貨が減つて来るというふうには考えられないわけであります。
  45. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 二千万石程度の減少であれば、年末金融についての特別の考慮を上なくても、のんびりしていいのだという結論になるのですか、そこをひとつ伺いたい。
  46. 阪田泰二

    阪田政府委員 要するに撒布額としては二百十億億程度の減少になりますが、一方それがどの程度預金になつて還流するかという問題がもう一つあるわけであります。そういう関係において、もし撒布超過額が減つただけ預金の増加がそれほどはなく、資金の収縮額としましては同じ程度になると考えますれば、この資金計画全体としては影響がないという結果になるわけであります。その辺のところは見通しを立てることが非常に困難でありますが、一応米の代金として受取りました資金のうちで、農家の経済として余裕のある資金が、今まで預金の増加となつて還流していた、こういうように考えられるわけでありますから、そういう方向の動きを示す可能性も非常に多いわけであります。この資金計画に対する見通し変化としては、二百十億の撒布超過の減ということが、ただちにそれだけ全体として金詰まりというような結果を来さないであろうと考えているということを申し上げた次第であります。
  47. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 安本はきわめて数字のりくつだけのようですが、私は率直に申し上げると、供出を少くするように言うておるのではないのですけれども、まだ地方が割当もできないという今の状態で、一体年末までに二千万石が農民の手に現金化されるという安易な考え方を安本が持つておられるということは、ふしぎでならない。そういうのんきな考え方で年末金融を十分に切り抜けられるとほ思われない。もうすでに各方面に非常な不況の波が来ておるということは、農村の購買力に十分それが反映されている。そういう点で生きた金融の立場から、大蔵省の御見解を伺つておきたい。同時に、きようは農林省がおられぬから、安本の民生局の方で、農林省との連絡において食糧の供出の年内見通しをお持ちであればあわせて伺つておきたい。
  48. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。米の供出が年内にどの程度進むかということについては、私は専門家でございませんので、一応今他の政府委員から申し上げたところで御了承いただきたいと思うのですが、金融全体といたしまして、米の供出が非常に悪かつたときにどういうことになるかという点であります。金融の動きは、これは皆様方に申し上げるのも釈迦に説法でありますが、二つのルートで資金は出て行く。一つは国庫の支出であり、一つは日本銀行の貸出し政策、あるいはその他のマーケット・オペレーション等による対市中の取引によつて出て行くわけであります。私どもは常に年末に限らず、すべての金融政策の基調といたしまして、この二つのルートから出て行く資金の間の調節をはかつて行きたいということを考えておるわけであります。国庫の支払いが進まないで、引上げが多い場合には、日本銀行は、これが市中に対する取引において相当な資金の放出をいたさなければならぬ。国庫が撒布をいたします場合には、日本銀行は対市中の取引において、資金をある程度調節をして行かなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。今後の年末の金融につきましては、いろいろな点で問題があるのでありますが、私どもは国庫の収支について今御指摘のような米の供出を通じての国庫の撒布というものが、比較的少額にとどまるという場合がかりにあるといたしますならば、これに対しては日本銀行の貸出し政策をもつて調節を加えて行く、経済界が必要といたします通貨は、何らかの方途によつてこれを確保して行くという方針をとつておるわけであります。もちろんこの意味は、野放図に必要とされる通貨を供給して行くわけではありませんで、基本的な考え方は、あくまでインフレーションを押えながら、資金の重点的かつ効率的な使用ということの原則を確保しながら、今申し上げたような金融の調節に当つて行きたい、かように考えておる次第であります。
  49. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 今の御答弁では、日銀が非常に緩和の政策をとるというふうに受取られましたが、御承知通り、関西を初め各地に破産が続出しておる。これが年末には中小企業にまで拡大しやしないかということを、関西業界は非常に心配しておる。心配ではない、実はもうつつ込んでおる。それに対して今の政府なり、日銀なりのお言葉は、決して親切に言つておるとは見ないのですが、今後はお話のように、大幅に緩和をされる政府の方針であると受取つてもよいのですか、その点を念のために伺つておきたい。
  50. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 私は今日本銀行の貸出し政策を緩和するということを申し上げておらぬのであります。基本的な考え方は、あくまでもインフレーシヨンを押えて行くという建前に立つております。そこは言葉の違いだと言われればそれまででありますが、緩和という意味ではなくて、その辺は日本銀行の貸出し政策を通じて調節を加えて行く。あまり政府が強く引上げをいたします場合には緩和をすることになりましようし、今後の撒布の状況が順調に進みますならば、そういう必要もないわけであります。今後の情勢を見てその点は調節を加えて行く、こういう意味であります。  なおお示しの、最近における各産業界、ことに貿易、繊維を中心としたいろいろ業界の波の問題でありますが、この問題につきましては、私どもは常に十分慎重なる態度で、事態の真相の把握に努めております。経済界に極端なる破綻なり、あるいは悪い影響を及ぼすようなことのないように、金融の面からの処置に万全を期して参りたい、かように考えております。ただその場合に、あらゆるものについて、金融の措置としての限界を越えて、救済的な措置をとるということはいたさないつもりであります。  なおそういうふうな関係から、結局中小企業等に対して金融の圧迫と申しますか、いわゆるしわが寄つて行くという懸念については、御説の通り確かにあるわけでありまして、年末にかけての中小金融につきましては、私どもといたしましても、極力その点についての緩和をはかつて参りたい、かように考えておるわけであります。その方法といたしまして、先般国会の御議決を得ました国民金融公庫について、相当な資金の増強の策を講じたわけであります。また中小金融を専門に取扱つておりまする金融界に対して、先ほども他の政府委員から申し上げましたように、政府指定預金を、本来ならば全額引上げるべきでありましたが、これを相当の額について年を越して残して行くということに措置いたしたわけであります。また災害関係に対しましては、政府一般会計の余裕金の再預託という措置も講じて参つたのであります。なお災害関係につきましては、目下政府部内におきましていろいろ検討を加えて、今後の処置に遺憾のないようにして行きたいということで、せつかく具体案の作成を急いでいる次第であります。
  51. 鵜崎多一

    ○鵜崎説明員 供出の問題につきましては、現状把握につきましてまだ数字的な資料を持ち合せておりませんので、はつきりした年度内の見込みということはただいま申し上げられませんが、安定本部といたしましては、昨年度末の供出率、それについての督励について十分の努力をしたいと考えております。
  52. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これに物理的に計算が立つと思うので、そういう点を念を押すわけではないのですが、米の供出が少かつた場合の金融措置というようなものを、政府が具体的に十分考えてやるのだということがあれば、全産業界に安定感が出て来るのですけれども、米が出なかつた場合にはそのときに考えるのだということを言つているが、もう幾日もない。そういう線を政府が出さぬでもいいと言うのもおかしな話でありますけれども、そこらは安本あたりがよく見通しを立てられて、物理的に一箇月にどれだけ出るということは見当がつくのですから、ひとつ金融の問題については先に手を打つ意味において、研究研究だとおつしやらないで、われわれが安心して、なるほどそれなら心配はないのだということを国民に言えるように、次の機会を待ちまして、この点はこれで打切ります。  それから飼料の問題は、政府委員の説明はきわめて漠然としておりますが、政府は今のような非常識な高い、極端なことを言えば、政府が買つた麦とふすまと同じ値だというようなことが実際に行われている。これでも政府的に何ら御反省がありませんかどうか、どこかに間違つた点があるとお考えになりませんか、お伺いいたします。
  53. 長谷川清

    ○長谷川説明員 特にふすまの値段がこの秋初めから相当値上りしましたことはお話通りでありまして、畜産局といたしましてはこのまま放任しておくわけにも参りませんので、実は政府の委託加工から出て参りますふすまにつきましては、製粉業者あるいは取扱い業者等と協議をいたしまして、できるだけ安い価格において自粛してもらうようにいろいろ対策を考えたのであります。先般新聞にも発表いたしましたように製粉工場から出まするふすまは五百円、取扱い業者の手数料は百円、結局農家に行きますところの価格を六百円程度にいたしたいということで指導しているのであります。しかし何と申しても、先ほども申しましたように冬場の時期になりますると、一般国民の小麦粉に対しまする需要が減ります関係上、ふすまの生帯量が非常に少くなりまして、その結果それが価格にも反映するというような問題もありますので、この点は食糧庁といろいろ相談をいたしまして、先ほど申し上げましたように、従来の計画以上に、普通の小麦の加工を約十五万トン程度増加をしてもらうほかに、政府の持つておりました低質小麦二万二千トンを年内に放出をする。さらに来年の春には三万トン以上の小麦を放出するということによりましてできるだけ需給の緩和をはかるということから、さらに自粛価格の維持をはかるようにいたしたいというふうに考えて、せつかく努力をしておるような状況でございます。
  54. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 簡単に伺いますが、その自粛価格というものは、実際どの程度実行されておりますか。
  55. 長谷川清

    ○長谷川説明員 これはふすまの生産せられます箇所が相当広範囲にわたつておりますので、全部について守られておるということを申し上げるだけの確信もございませんけれども、相当多量に取扱つておりますところの製粉工場から出まするふすまにつきましては、最近大体その線が守られておるというふうに考えておる次第であります。
  56. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私どうもふしぎに思うのは、麦の消費が減つたと言うけれども、今配給制度を維持しておる以上は、米と麦を半分々々に食つておるのですから、そんなに極端に減るということは考えられぬので、これは畜産局に言つてもむりかもしれませんけれども、常識的にしろうとが考えても、政府の小麦を委託製粉して、そのふすまが元の麦ほど売れて、一体その利益はどうなるかということが国民の疑惑の問題になつて来る。これが完全なる自由経済ならいざ知らず、そういう点が政府の政策に一貫性がない。統制経済をいやいやながらでも今一部やつておる以上は、そういう点についてもつと強力なる施策をやらなかつたら、国民から見てまた、ことに農民から見て——出した麦と同じ値段でふすまを配給されて、しようがないから食つておるのです。生きものだから食わなければならなぬから食つておるということは、私は政治じやないと思う。こういう点は畜産局に言うのは無理かもしれぬが、安本として全体の計画の上に考えてもらわなければならぬと思う。  それからついでに、私が最近聞いた疑惑の一つとして、この間食糧の配給価格を値上げしたときに、各団体において卸売りその他の手持ちの値上りの利益というものは莫大なものであるということを言う人があります。かつて価格差益金というものをとつた制度があつたから、そういうことの合理性は認められておつたのですが、そういうことがなくなつてから、こういう点について、きようはその方の方がおいでにならぬが、安本等で調べたことがあるかどうか、一応あわせて伺つておきたいと思います。
  57. 鵜崎多一

    ○鵜崎説明員 今のお話、さらに実情を調べまして御報告申し上げたいと思います。
  58. 多田勇

    多田委員 総合資金計画について御説明があつたのですが、この際産業資金計画の内容と、産業資金の融資の運用方針を御説明願いたいと思います。
  59. 阪田泰二

    阪田政府委員 産業資金につきましては、やはり安定本部におきまして毎年度設備資金、運転資金にわけまして、大体の需要の見通しあるいはその供給の方途というようなものの見通しを立てております。本年度分につきましても、現在までの状況並びに今後の見通し等によりまして、詳細の見込みをただいま策定中でありますが、実はいろいろの事情がありまして、まだ一応お示しできるような案ができていないわけであります。ごく大体のところを申し上げますると、産業資金供給額といたしましては、会社の利益金を社内留保いたしましたもの、あるいは減価償却によつて留保されましたものと、会社の自己蓄積資金というものに属する部分と、それから外部から取入れます資金——株式、社債発行によるもの、あるいは政府の見返り資金開発銀行資金、あるいは資金運用部の資金等から入れております。それから先ほどの総合資金需給見込みにお示しいたしました、銀行等の金融機関からの貸出しによりまして供給されるもの、こういうふうなものとにわけて考えておるわけであります。大体会社が自分で内部に留保し、あるいは減価償却によつて蓄積されます資金見込みといたしましては、いろいろ検討中でありまして、はつきりした数字がまだつかみにくいのでありますが、大体二十六年度におきましては二千八百億程度資金が内部に蓄積されるのではないか、これが設備資金あるいは運転資金に充当されるのではないかというふうに見込んでおります。  外部資金といたしましては、株式の発行によるものが大体六百二十億程度、社債の発行によるものが三百四十億程度、これは先ほどお示ししました総合資金需給実績の株式及び社債というものと多少数字が相違しておりますが、先ほど総合資金需給実績見込みの分の数字は、これは金融機関が引受けて保有する株式社債分だけになつておるわけであります。社債等におきましては、金融機関の引受ける部分が非常に多いわけでありますが、株式等については必ずしもそうではないので、その辺の金額がかわつて来るわけであります。それから見返り資金供給額といたしましては、五百四十六億というふうに大体計画ができております。それから農林金融特別会計から、土地改良その他に貸し出されます分が百二十億、開発銀行関係の本年度内の貸出額といたしましては百七十億、それから輸出銀行といたしましては、これはちよつとはつきりしませんが、大体百億、それから資金運用部関係でありますが、これは金融債の引受け等によりまして、金融機関を通じて放出されます分は、金融機関の貸出しの中に含めて考えましたもので、資金運用部から直接産業資金として出されるものといたしましては、帝都高速度交通営団に貸し出されます八億円程度だけを考えております。それに対しまして一般金融機関の貸出額が、大体先ほど総合資金計画にお示ししましたところの、六千六百七十六億というような金額になつておるわけであります。この金額も多少これから変更を見込んでおりますが、大体その程度のことを考えておるわけであります。そのほか復興金融金庫関係回収額が、大体七、八十億程度のものがあるわけであります。いろいろ総合いたしまして、本年度内の産業資金需給額といたしまして、大体一兆を越える程度の金額を考えておるわけであります。この中で、設備資金の分といたしましては、大体社内留保に減価償却等、自己蓄積によるものが約二千億程度、外部資金の取入れによりますものが、二千二百四十億程度、総計いたしまして四千二百億程度の金額になるだろう、大体こういうような見通しになつておるわけであります。
  60. 多田勇

    多田委員 御説明によりますと、設備資金が相当な額に達しておりますが、今の御説明のように、実際には設備資金供給されていないのが現状だと思います。最近設備資金に対して抑制するというような、金融上の政策が伝えられておりますが、設備資金に対する抑制をどういうような形でやるのか、どういう考え方で設備資金を抑制しようとお考えになつておりまするか、その点について御答弁を承りたいと思います。
  61. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 設備資金の抑制につきましては、先般来いろいろな措置を実は講じて参つたのでありますが、大蔵省といたしましては、二度にわたつてこの点について金融機関に対して通達をいたしておるのであります。一回は七月、二回目は十月の終りでありましたか、いたしたのであります。十月に出しました通達の趣旨は、設備資金が、ある方面におきましては、いわゆる過剰投資というようなことになつてつておる。これが経済の力なり、実態とマッチしないようなところまで、投資が伸びておるいう面が相当ある。一方におきまして、インフレーシヨンを押えながら、資金をもつと必要な方面に確保いたしますためには、勢い緊要度において若干劣る方面の資金というものは、どうしても押えて行かねばならぬという情勢が起つて参つたのであります。特に長期資金につきましては、御承知通り、この点が非常に不足いたしておりますので、この不足した資金を最も効率的に使うという観点から、ただいま申し上げましたような措置をとつたわけであります。内容につきましては、簡単に申し上げますと、電力、船、石炭のある種の資金、鉄工業に対するある種の資金、こういつたものを中心にして資金を確保して行く、その他の方面につきましては、開発銀行との供給融資であります場合、その他特別の例外の場合を除いては、抑制を加えて行くというような方針をとつたのであります。この設備資金に対する抑制の方針は、やり方といたしましてはできるだけ金融機関の自主的判断によつてこれを行つて行く、政府が直接法律に基いてこれを抑制して行くという建前でなくして行政措置としての、いわば指導として通達をいたしまして、そのあとの実際の運用は、融資自主規制委員会としての自主的な判断にまつて行くことになつております。現在金融機関といたしましては、金融界の中で最も大きい金融供給者である銀行につきましては、銀行協会の中に自主的な融資規制委員会というものが組織され、その機関中心にいたしまして、現在設備資金の抑制についての具体的な運営の方法について協議し、これを活用して参つている次第であります。この活動の結果次第によりましては、場合によつてそれがうまく行かぬというときは別の方途をとらなければならないことが起つて来るかもしれないと思います。現在の問題といたしましては、金融機関の自主的な判断によつて、今申したような目的を達成して行くという方向において指導いたして行く、かように考えている次第でございます。
  62. 多田勇

    多田委員 過剰投資とならないような考え方で設備資金を抑制され、しかもその具体的な方法として金融機関の自主的な判断によつてきめるということでありますが、実際問題となりますと、なかなかむつかしい問題になります。過剰投資かどうかという判定が非常に不明朗な点があるような問題も聞いております。政府自体がそういつたものに対して何か民主的な委員会をつくるなり、何なりして、一応設備資金に対する融資の具体的な取扱いをするようなことを、現在考えておられないかどうか。現在のように金融機関の自主的な判断にまかせるだけでさしつかえないというような判断をしておられるのかどうか、その点について御説明を願います。
  63. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 ただいま申し上げましたように、大きな推移といいますか、わくというものは、私どもの方から示してあるわけであります。その運用の細目につきましては各金融機関の自主的な判断にまつて行きたいと考えているわけであります。お話のような委員会をつくつて、設備資金についての抑制方針の運営をやつて行つたらどうかというお話でありますが、ここまで参りますと、政府といたしましては、法律に基いた従来やつておりましたような、あるいは資金調整でありますとか、あるいは融資準則というような、運用と同じ方法をやつて参らなければならぬのでありますが、そこまでは現在のところは考えておりません。ただ今設備資金の抑制と申しましても、自己資金によつてこれをまかなつて参ります場合においては、現在のところでは法的にもこれを抑制する道がない。金融機関から借り入れまして、これをまかなつたり、社債を発行したりして、それが金融機関に入つて行くという場合におきましては、今申し上げましたような抑制の対象になることに相なるわけであります。設備資金の抑制ということになりますと、これは金融という立場からだけでなく、あらゆる面から考えなければなりませんので、法的にこれを規制するということになりますと、なかなか実際の運営というか、やり方について相当むつかしい問題が起つて参る。今しばらく先ほど申し上げましたような方針でやつてみて、実績がうまく上らないというようなことになりました場合に、そういうふうな考え方をして参りたいと考えております。
  64. 多田勇

    多田委員 過剰投資の問題に関連いたしまして、最近川崎製鉄が新しい工場施設をいたしたのでありますが、それに対して日銀総裁が二重投資だということで反対をされているというような新聞記事があつたのであります。二重投資というのは、一体どういうものを指して二重投資というのか、今お話のような過剰施設という問題とも関連があると思つておりますが、新聞に伝えられるところによりますと、現在国内において施設のある、しかも遊休施設のあるものを、新しい施設をつくるということは、二重投資だという見解のように見られるのであります。たとえば現在遊んでおります溶鉱炉が相当ある。しかしその溶鉱炉自体はもう命数が来ているようなものばかりで、せつかく火入れをしても、そう長い期間使えないというような老廃施設のような場合には、これを近代化するために新しい投資をするということは、日本の今後の産業政策上、必要だと思うのでありますが、一体二重投資とはどういうものを指していうか、それについてひとつ御説明願いたいのです。
  65. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 川崎製鉄の千葉における具体的な施設の問題につきましては、私は日本銀行総裁がどういうことを言つたかよく存じませんが、そういう具体的な問題についての判断は、実は銀行でやるようにしておるわけであります。鉄鋼につきまして私の名前で通達をいたしました中には、鉄鉱業の合理化に必要な資金ということになつております。合理化ということを広くいえば、すべての施設を新しくつくることはみな合理化になるのでありますが、特に合理化と断つた趣旨は、既設の施設の機械化なりあるいは近代化をして、この能率を上げるということに重点を置いて行くという考え方になつておるわけであります。二重投資という言葉につきましては、いろいろな考え方が言えると思うのであります。まずお断りいたしておきますが、川崎製鉄の高炉の施設というものが、一体二重投資になるかならぬかという点につきましては、私からここでお答え申し上げることは差控えたいと存じます。一般論といたしましては、既設の高炉なら高炉というものが、もう命数が来て実際使えないのか使えるのかという、具体的な事実の判断の問題にかかつておると思う。私どもの承知いたしております範囲におきましては、相当老朽いたしたものもありますが、火を入れて若干の補修を加えて行くならば、まだ相当使えるものも、現在火を入れてないものがあるというふうに伺つておるのであります。そういうものがありますならば、国全体の経済からいいますと、まずそれを動かして行く、そうしてそこからできました銑鉄につきましては、国金体の経済の立場から、できるだけ公平にそれを配分して行くというような措置を講ずることによつて目的を達するのであります。一方で遊んでおる高炉が、しかもちよつと補修すれば使えるというものがあるのに、それを遊ばしておきながら、一方で新しいものをつくるということは、国全体の経済から見て、決して適当な方策でないという立場に立つて、この問題を取扱つておるわけであります。
  66. 多田勇

    多田委員 国金体の経済からして適当でないというような御見解でございました。なるほど設備だけについて考えれば、ある程度補修すれば使える高炉があるということで、御説の通りだと思うのでありますが、日本の産業が今後発展するためには、どうしても企業の近代化ということが必要になつて来ると思うのであります。老廃したものを一時的に補修して使うよりも、この際新しい設備をして、将来の日本産業の発展のために資するという考え方をとるべきだと思うのでありますが、その点についてどうお考えでございますか。
  67. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点はなかなかむづかしい問題でありまして、設備を近代化し、あるいはすべての生産能力を上げるようなことが非常にいいことだ、望ましいことだということはお説の通りと思います。しかし結局問題は、日本の経済力が耐える範囲において、どれを先にやるかということになるわけであります。たとえば個人生活からいいましても、各戸に電気冷蔵庫を持ち、あるいは電気の洗濯機を持つというようなことができれば、非常にけつこうなことであるわけであります。しかし日本の経済力自体からそういうことができないというならば、経済力の許す範囲において、何を先にやるかという問題に帰着すると思う。そういう点から、結局重点をどこに置いて、何にプライオリティをつけるかということになる。国の経済力が許せば、あれもやりこれもやる、やりたいことは実に多々ますます弁ずるほどあろうと思いますけれども、経済がそこまで力がないということでありますから、結局そこで選択をして、国の経済の許す範囲において一番必要なものから手をつける。国の経済の許す範囲というものは、一番大きな問題は、何といいましても日本の経済の一番の弱点が、やはり資本が不足しておるということでありますから、その資本を最も能率的に使うという観点に立たざるを得ない。その観点から行きますと、今申し上げましたように、何もかもやるというわけに行きませんので、この際としましては、日本の経済が再建し、また発展いたしますために、一番必要なものから手をつける。それがためには高炉もどんどん新しいものをつくつて行く、それもいいでしようけれども、この際としては、それよりも既設のものを直して使つて行くというように、国の持つておる資本力を持つて行くことが最も適当であろう、かように考える次第であります。  なお具体的な例につきましてお話がありましたが、今申し上げました資金の調節は、金融機関からの貸出しについてだけやつておるのでありまして、自己資本によつてそういうふうな施設をつくつて行かれることについては、現在のところでは、法的に規制することは考えておらないということをつけ加えておきます。
  68. 多田勇

    多田委員 そこがどうもおかしいのです。自己資本による場合は何をやつてもよろしいということになりますと、国金体の経済から考えて、相当不合理なものが生れて来る危険性があると思うのであります。今例が出ました川崎製鉄の場合でも、自己資金で相当な設備をしてしまつた。今後産業資金の導入を待たなければならないというようなところまで自己資金で設備をさしておいて、あとの金融の面については、ただいまお話のような見地から抑制しようということになりますと、せつかく今まで投資されたものがむだになつてしまう。これは単に川崎製鉄の問題だけではなしに、一般の企業にもそういう企業が相当あると思うのであります。もしそうだとすれば、自己資金でまかなう場合にも抑制すような方策をとることが、国全体の経済からして適当だと思うのでありますが、それに対する御見解を承りたい。それと同時に、ただいまお話の遊休高炉を補修することはいいかどうか、あるいは新しい施設をすることが、日本の鉄鋼産業の上に必要であるかどうかということについて、鉄鋼関係の方がお見えになつておりましたら、ひとつお示し願いたい。
  69. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点は、見方によりましてははなはだ徹底しておらないという説はお話通りだと思いますが、現在のところ私どもとしては、金融統制だけを特に全面的な統制に先走ることは、この際として適当でないと考えております。さらに金融統制を法的に強化して行くという観点に立ちますときには、あらゆる経済の各場面の調節ということも、あわせて考えられなけばならぬという問題も当然関連して来ると思います。現在のところでは今申しましたように、とりあえずの処置としては、法的な規則によらないで、自主的な行政措置、行政指導の問題として、この問題を取扱つで行きたいと考えております。今理論的にこれを割切つて考えますならば、お説のように自己資金まで統制を加えて参らなければ、徹底を期し得ないことになるということは御説の通りと思います。しかしそこまでは現在まだ進んでやつて行くという段階でないという見解を持つております。
  70. 多田勇

    多田委員 金融関係についてまだお伺いしたいことがたくさんあるのでありますが、時間もございませんので、砂糖についてひとつ御説明願いたいと思います。  ただいま二十六年度並びに二十七年度需給計画について御説明がございましたが、大体国内消費が六十万トンないし七十万トン程度で、統制をはずしても混乱しないというお見通しのもとに、統制をはずされる予定であるというお話でありますが、大体その程度統制をはずして混乱を生じないかどうか、さらに統制をいつごろはずす考えであるか、その点について御説明願いたいと思います。
  71. 細田茂三郎

    ○細田説明員 先ほども申しましたように、今甘味といたしましては御承知のように砂糖のほかに人工甘味もあるわけでありまして、砂糖以外の人工甘味として年間二十万トンくらいのものがあるというようにいわれておりますが、そうしますと砂糖が六十万トンで人工甘味二十万トン、大体砂糖換算で申しますと八十万トンくらいの供給があると思います。戦前においては大体八十万トン、多いときは百万トンというレコードもありましたけれども、そういうことから考えまして、多少有効需要が落ちておる現状においては、量的にはまずまず十分だというように考えられます。それから輸入関係も、今年の現状から考えまして、大体五十万トンくらいは期待できるのではないかと思います。そういたしますと、量的には統制をはずしても問題はないというように考えられますので、この前十月から業務用について統制をはずしました際に、政府といたしましては、家庭用につきましても大体四月ごろからははずして行きたいという含みでそういうような措置をとつたのでありまして、今後何か特別な事情の変化のない限りは、四月からは、おそらくすべての砂糖について配給統制ということをやめる段階になるだろうというふうに考えております。
  72. 多田勇

    多田委員 配給統制を四月からやめるというようなお考えのようでありますが、配給統制を廃止する場合に、ある程度混乱が起るおそれはないかどうか、現在家庭用の配給統制をいたしておりますが、現実には三月中に三月分の家庭用砂糖が完全に配給になるとは一応考えられないのではないか、たとえば十二月分の家庭用の砂糖の配給は、おそらく一月に持ち越すであろうという県が、二十県以上に及ぶというような話を聞いておりますが、三月分の家庭用の砂糖の配給が四月に持ち越された場合に、どのような措置をとるか、一方では統制をはずし、一方では家庭について三月分は配給統制をするというような場合に、現在の自由価格マル公を上まわつておる場合は問題はないと思いますが、自由価格マル公を下まわつた場合には、相当大きな問題になる危険性があるのではないかと思います。この点についてどういう措置を現在考えておられるか、御説明願いたいと思います。
  73. 細田茂三郎

    ○細田説明員 お話のように三月分のものが多少遅れるということはあり得ると思いますが、そういうものは遅れましても一応届けるものは届けるというようなことでやつて行くよりいたし方がないだろうと思います。  それから非常に混乱するのではないかとおつしやるのでありますが、量的には先ほど説明しましたように、政府は相当手持ちをすることに相なりますし、価格的にも御承知のように十月の当初入札をいたしましたときには、価格の点について非難もあつたのでありますが、十一月二回にわたつてつておりますと、漸次価格もおちついて参りまして、われわれといたしまして、今後入札を通じて三月末までには、全部はずしても大体おちつくべき価格程度に安定をした状態において、四月の自由時代に入るようにして行きたいと考えております。多田委員がおつしやるのは、取引機構等の問題についてお考えになつている点をおつしやつているのかもしれませんが、そういう意味で、砂糖取引所のごときものを整備する必要があるかもしれませんが、そういうものも必要とあらば整備することにいたしまして、まずまずそんなに混乱は起らないで済むのではないかと考えております。
  74. 多田勇

    多田委員 大体の見通しとしては、自由にした場合には現在のマル公前後だろうというような予測を持たれているようであります。従つて一方民貿のものが入つて来た場合には、現在のマル公を割るというようなおそれがなきにしもあらずと思うのであります。これは食糧庁は十分お考えになつておられると思いますけれども、そういつたことのないように御処置をお願いしたい。  次にこの表を見ますと、三月末で十二方八千トン繰越しがあるようであります。十二万八千トンの繰越しをした砂糖の処理については、一般砂糖の市価に及ぼす影響が非常に多いと思います。十二万八千トンのうち九万三千トンくらいは原料糖のようでありますが、これらの持ち越しをしました砂糖を、四月以降どういうような形で処理しようとお考えでありますか。
  75. 細田茂三郎

    ○細田説明員 持ち越ししました砂糖はそのときの需給事情とにらみまして、大体目的としましては、価格なり数量の調節に役立つような方面で処分をしたいと思います。今からこうやろうというような計画はあるわけではございませんが、見通しとしましては、月々に割りまして現在のような入札で処分をしたい、こういうことになろうかと思います。それから原料糖につきましては、政府手持ちのものはすべて現行通りの処置をして参りたい。すなわち原料糖を各工場忙売りますけれども、できましたものは一応政府が買いもとして普通の砂糖と一緒に入札の処置をして行きたいと考えております。
  76. 多田勇

    多田委員 もう一つ自由になりました場合に問題になりますのは北海道のビートであります。これに対していろいろな案があるようでありますが、大体どういつたような形で北海道の甜菜糖の処理をして行くか、お考えがあれば御説明願いたいと思います。
  77. 細田茂三郎

    ○細田説明員 甜菜糖の保護政策の問題につきましては、まだ政府としてはきまつておりません。ただ農林省としましては、北海道の甜菜糖は、砂糖需給立場からばかりでなく、北海道農業の総合的な観点から行きましても、ぜひできるだけ助長をして行きたいという熱意を持つているのでありまして、主としてこれは農政局の方面で考えらるべきことでありますけれども、たとえば農家にこの甜菜糖の消費税の一部を還元して行くという方向で、今後何らかの保護策をとつて行きたいということで研究中でありまして、まだほんとうの結論というものは出るに至つておりません。
  78. 多田勇

    多田委員 これは細田さんにお伺いするのは、その立場として無理かと思うのでありますが、一応農林省としての方針をお話願えれば幸いだと思います。最近業務用の砂糖を入札制にしまして統制からはずした。ところがたまたまある方面の要望によつて、特別な食糧庁との契約のもとに砂糖を出してもらいたいというようなことが話されているようでありますが、この際やはり食糧庁として、そういつた統制を撤廃しようという線に逆行するような形をとらないような行き方をとつていただきたい。これは食糧庁自体も当然そうお考えになつておると思うのであります。食糧庁としてのお考えを、この際お話を願えれば幸いだと思います。
  79. 細田茂三郎

    ○細田説明員 われわれの気持を率直に言えとおつしやれば、今多田先生のおつしやつた通りでありまして、漸次段階的に統制をはずして行く方向に持つて行きたいということでやつておるのでありまして、この既定方針をそのまま続行して行くことがけつこうなことだというふうに考えております。
  80. 圖司安正

    圖司委員長 この際閉会中の審査申出の件についてお諮りいたします。本国会におきまして、日本経済の自立計画並びに国土総合開発等、経済の総合的基本施策に関する事項につきまして、国政調査を行つて参つたのでありますが、いまだその調査を終了するに至らず、閉会中もなお国土総合開発に関する件について審査をいたしたいと存じますが、このような事件で閉会中の審査を申し出ることに御異議はございませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  81. 圖司安正

    圖司委員長 異議なしと認め、さよう決します。なおその手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会