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1951-11-06 第12回国会 衆議院 経済安定委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)     午前十一時四分開義  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 永井 英修君    理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    寺本  齋君       奈良 治二君    福井  勇君       渕  通義君    細田 榮藏君       有田 喜一君  出席政府委員         総理府事務官         (公益事業委員         会事務総長)  松田 太郎君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (産業局長)  近藤 止文君  委員外出席者         総理府技官         (公益事業委員         会技術長)   平井寛一郎君         経済安定事務官         (総裁官房経済         計画室長)   佐々木義武君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君  十一月六日委員勝間田清一君辞任につき、その  補欠として稻村順三君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 十一月二日  知床半島地域開発計画樹立に関する請願(伊  藤郷一君紹介)(第六一四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電力需給計画に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  電力需給計画に関する件を議題といたします。まず政府当局より説明を求めます。近藤政府委員
  3. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 電力需給見通しにつきまして概略御説明を申し上げますが、長期計画につきましては経済計画室長が参つておりますので、計画室長の方から御説明を申し上げることにいたしまして、さしあたり本年下期及び来年の大体の見通しにつきまして御説明を申し上げます。  御承知のように電力が最近異常な渇水のために、非常に逼迫いたしておりまして、産業にも相当重大な影響を与えておるのでございますが、この電力不足に対処いたしまして、政府におきましても各般の措置を講じておる次第でございます。しかしながら本年の湯水は、数十年来かつてない程度の深刻なものでございまして、このために上期まで相当潤沢でございました電力供給が、急激に減少いたしまして、下期の電力需給見通しはきわめて悲観的でございます。  その概要数字をもつて説明申し上げますと、お手元に下期の電力需給対照表という一表を差上げてございます。これによりますと、供給力は平常の場合におきまして、二百三億五千九百四十万キロワツト・アワーということになるのでありますが、最近の水の事情から考えますと、渇水程度が大体二割程度つまり八〇%出水という程度のところに相なろうかと思われるのでございまして、これはもちろん今後の雨のぐあいによりましていろいろ変化いたすのでございますが、電源地帯におきます水の貯蔵量等を考えてみますと、八割程度出水の場合を予想することが大体予見されるのでございまして、その場合におきましては、百七十六億キロワツト・アワー電力量になるわけでございます。需用方面につきましては次の欄に産業用、及び非産業用といたしましてここに数字を掲げてございまして、この「電灯及業務用」、「産業用」、それに「特殊電力」を加えまして、その需用量は百五十五億キロワツト・アワーという数字になるのでございます。  この供給力の方は発電端数字を掲げておりますので、最後の欄の差引計算の場合におきまして、率で申しますと一七・二%、つまり八割の出水の場合におきましては、数字にいたしまして三十六億キロワツト・アワー、比率にいたしまして、一七・二%の電力不足という状況になるのでございます。これは実は平水のとり方につきましても、いろいろ計算の基礎が違つておりまして、過去八箇年間の合計をとりました場合と、昨年のように豊水の年を一年加えまして九箇年間平均にいたしました場合で、多少その不足の率が違つておるのでございますが、この需給対照表計算いたしました数字は、昨年の分まで加えまして、九箇年の平均平水ベースをとりまして、なおかつ一七・二%という数字に相なるのでございまして、相当深刻な電力不足がうかがわれる次第でございます。  この電力需給見通しをもとにいたしまして、本年度主要物資生産見通しにつきまして一応の計算をいたしましたのを、別の二枚ずりの表にいたしまして差上げてございます。この場合に上期はすでに実績が出ておるのでございますが、下期につきましても、先ほど申し上げましたように、平水の場合と二割の渇水の場合におきまして、相当の差があるわけでありまして、下期が幸いにして平水ベースになりました場合におきましては、石炭を例にとつてみますと、生産目標の四千五百万トンというものは、簡單にこれに完遂できるという数字が出るのでございますが、かりに下期が二割渇水の場合をとつてみますと、年間といたしましては四千二百二十八万トンという石炭生産に相なるわけであります。そのほかに肥料の問題になりますと、これは下から五段目に硫安、その次に過燐酸石灰という数字が上げてございます。これは平水の場合におきましては予定通り生産を上げ得るわけでございますが、渇水になりますと、その次の欄にございますように、硫安にありましては百五十九万トン約十六万トンの生産減、過燐酸石灰でありますと、これは相当多量になるわけでありますが、三十三万トンほどの減ということに相なるようなわけであります。従いましてこういつた生産見通しをこのままでおく場合におきましては、基礎的な重要物資におきまして、相当な減産を見込まなければならぬということに相なりますので、先般閣議におきまして、大体意見の一致を見たのでございますが、下期におきましての電力を緊急に確保いたすという対策を立てまして、この対策といたしましては、第一に火力発電の最大限の動員をはかるということでございました。これには石炭を極力火力発電所に注入するということでございますが、国内における石炭のみならず、外国からも火力用石炭を購入いたしまして、これを発電所につぎ込む、また水力方面にいたしましても予定工事計画を繰上げまして、本年内に電力供給ができるような措置をとります。あるいけ重油に転換いたしまして、これによりまして石炭不足を補う、またそれに対する資金的な面といたしまして、外国為替の割当増額なり、あるいは国印における石炭増産用資金の確保をはかるというような措置を、いろいろな項目にわたつておりますが、これを決定いたしまして、これによりまして現在強力に電力不足を補うべき対策を講じつつあるわけでありまして、その対策を講ずることによりまして石炭あるいは肥料その他の重要物資につきましては、当初の年間計画を下まわらないように、できれば多少なりとも増産になりますように措置をいたしておる次第でございます。これらの措置が完全に効果が上りますと、物によりましては、年間の当初の計画通り生産を上ることができると思われるのでございますが、半面鉄鋼その他の面につきましても、これは電力不足が絶対的要件になりまして、ある程度減産はやむを得ないということになろうかと思うのでございます。ただいまの見通しで申しますと、二十六年度当初の生産見通しは、指数にいたしまして一四三程度数字を見ておつたのでございますが、二割という程度渇水の起りました場合におきましては、平均生産指数は一三六程度に落ちるのではないかというように予想されておる次第でございます。かようにいたしまして本年度は当初予想した通り生産は、大体物資によりまして、重要物質に特に重点的に生産を確保いたしますために、半面ある程度減産をいたしますものができまして、当初の見込みよりは七、八%の生産減ということは、結果的には相なるかと存ずるのであります。なお、この状態で来年度生産見通しを一応立ててみますと、来年度におきまする電力供給の増を加えまして、なおどのくらいの生産になるかということでございますが、これは大体二十六年度の当初に計画いたしました年産数量程度が、来年度におきましては生産されるのではないか、しかし場合によりまして、また豊水の期待もできないことはございませんので、来年度におきましては、あまりはつきりしんことは申し上げられませんが、大体の見通しといたしましては、二十六年どの下期の渇水状態を入れました数字よりは、ある程度上まわる数字、すなわち二十六年度の当初の生産見通し程度生産量が上げ得るものというように予想されるわけでございます。  この電力の問題につきまして、ただいま急速に、長期に、大規模電源開発する計画を、政府関係間におきましていろいろ協議をいたしておるのでございます。今後における電力増強対策見通しにつきましては、計画室長から御説明申し上げます。さしあたり本年度下期及び来年度のごく大ざつぱな電力需給及び生産見通しにつきまして簡單に御説明申し上げました。
  4. 佐々木義武

    佐々木説明員 ただいま資料が参りますまで、一応口頭で御説明申し上げまして、資料が参りましたら、あとで資料をごらん願いたいと存じます。  長期電源開発に関しましては、問題は長期でございますが、当面すぐ着手いたしませんと、将来の需要電気が追いつきませんので、結局来年度からできるだけ着手規模を拡大いたしまして、今まで遅れておりました電源開発を取返したい、こういうふうに考えまして、緊急電源開発計画要綱というものを作成いたしまして、月下各省協議中でございます。  第一の、方針といたしましては、電気が現在、民主自由国家との経済協力、あるいはわが国の経済の自立、復興のために最も隘路となつておることは申すまでもないことでございますが、このために電源を緊急に開発したいという必要性から、従来各省で、たとえて申しますと、公益事業委員会あるいは通産省、あるいは建設省、あるいは農林省、あるいは運輸省といつた各省で、それぞれ電源開発計画を持つておりまして、それぞれの分野に従いまして開発計画を推進いたしておつたのでございますが、それを調整いたし、それぞれの計画を統合いたしまして、国の資力等から考え、最も早く合理的に開発するためにはいかにしたおります電源開発をそのまま活用いたておりまして、それぞれの分野に従いまして開発計画を推進いたしておつたのでございますが、それを調整いたし、それぞれの計画を統合いたしまして、国の資力等から考え、最も早く合理的に開発するためにはいかにしたらいいだろうかというので、ここしばらくの間、各省案調整かかつてつたのでありますが、大体素案ができたのがこの要綱案でございます。この統合調整をいたしましたのに対しまして、道路あるいは森林、あるいは水利等関係と、政府の諸般の各施策をおのおの電源開発に集中して行つて電源開発を促進したらどうだろうという点も、各省から強く要望されましたので、方針にはそういう点もうたつてございます。  そこで計画の大要でございますが、電気計画はどういたしましてしも長期見通しを立てませんと、その規模なり促進度というものが明確に出て参りませんので、昭和三十年の末までを一応目標にいたしまして、産業規模を現状の未稼動設備能力フル活動、あるいは生活水準を合理的に高めろというような目標を置きまして、産業の構造をある程度想定し、それに必要な電力需要量をはかつてみたわけであります。その量は需要端で申し上げますと、四百六十億キロワツト・アワーという程度を確保するということに目標を置いております。この四百六十億キロワツト・アワーを確保するために、計画を第一期、第二期というふうにわけまして、第一期の計画といたしましては、従来継続して工事いたしておりました継続工事、並びに二十六年度及び二十七年度着工ずる分を第一期とし、それから二十八年度以降に着手するものを第二期というふうに大別いたしまして、第一期の計画としては、今も言いましたように、二十七年度までに着手が可能であつて、しかも地域その他いろいろな條件を勘案して、適当な地点を選定いたしまして、まず第一期計画の完成に当面の施策を集中するというふうに考えております。第二期の方は、まだ開発のための諸條件が整備しておりませんので、これは現実の経済推移等に応じまして、開発規模、あるいは着工地点等に対してさらに検討を深めて行く、こういうふうに二段構えの計画を考えておる次第でございます。  開発資金に関しましては、従来は公益事業委員会で所管しております電力会社——いわゆる事業用電力でございますかが、これに対しましては、見返り資金から出してございます。政府資金といたしましては、見返り資金から出し、残余は自己資金でまかなうというかつこうになつておりまして、その他日本開発銀行資金をからは、通産省で担当しております自家発電関係に出しまして、建設省関係あるいは府県でやつております治水等につながる電源開発に関しましては、公共事業費あるいは資金運用部資金等を投じまして、開発行つて来たわけでございます。今後は、その従来のコースをそのまま強化することはもちろんでございますが、それ以外に適当な方法によりまして、一般会計あるいは資金運用部資金等から資金を投入いたしまして、特に大規模な、あるいは水の総合利用の観点から必要な大規模電源開発をあわせて行いたい、こういうふうに考えまして、電源開発計画概要を一応立てたのでございます。事業用といたしましては、電気事業つまり今の電力会社、あるいは公営事業、あるいは今一応予定されております特殊法人と申しますか、そういつたものを合わせますと、出力といたしまして、第一期計画としましては三百七十万九千キロワツト所要資金が四千百六億であります。自家発電といたしましては、出力五十六万キロワツト、総所要資金三百六十九億円、合せまして出力が四百二十六万九千キロワツト、総所要資金が四千四百七十五億円であります。第二期計画としましては、自家発電は今のところまだ計画に乗つておりませんので、事業用のみを計算したのでございますが、事業用といたしましては、出力が百八十五万八千キロワツト、それから所要資金が二千七百一億円、両方合しますと、事業用といたしましては、第一期、第二期を合せまして、出力五百五十六万七千キロワツト所要資金六千八百七億円、自家発電といたしましては五十六万キロワツト、三百六十九億円でありますので、合計いたしまして六百十二万七千キロワツト、総所要資金が七千百七十六億円となつております。  そこでこういう計画をどういうふうに実現するかという問題が次の問題になりますが、措置といたしましては、第一に開発形態の問題でございますが、先ほども若干触れましたように、従来から電力開発を担当しておりました電力会社民営電気事業者並びに一般私企業によります自家発電開発計画、並びに地方公共団体等でやつております電源開発をそのまま活用いたしまして、これをさらに強化して電源開発をはかるのでございますが、特に大規模特定地点並びにその地点が、綜合開発効果が非常に大きいと思われるようなものに関しましては、従来の形態をもつてしてはなかなか開発が困難でございますので、あるいは新しく特殊法人といつたようなものを設立いたしまして、これに先ほど申しました一般会計あるいは資金運用部資金等を投入いたしまして、大規模電源開発を並行的に行つたらどうだろう、こういうふうな組立てになつております。  それからそれに対する資金対策でございますが、資金対策に関しましては、先ほども申しましたように、見返り資金、あるいは開発銀行資金、あるいは公共事業費、あるいは資金運用部資金等政府資金、並びに民間資金を活用いたしまして、これによつて電源開発を行うのでありますが、さらにこれに附加いたしまして、特殊な機関に対しましては、一般会計あるいは資金運用部等資金から、重点的に投入いたしまして、大規模電源開発をしたらどうかというように考えております。そのための主たる資金対策といたしましては、次に五項目ばかりあげてございますが、第一点といたしましては、電源開発による物価の騰貴を極力防止するために、資金の合理的な配分を行いまして、投資重点化に努めながら電源開発を行い、同時に諸物価の上昇を防止するという根本的の方針を掲げました。次には電力債発行等を考慮いたしまして、これの元利払い等に関しましては、何らかの政府保証等措置を考える必要があるのではなかろうかと考えるのでございます。次には、先ほどから繰返し申し上げました大規模電源開発に関しましては、特殊法人等を設けまして、一般会計あるいは資金運用部資金から出資したらどうだろうか。それから電源開発資金は非常に長期に、しかも継続的に供結する必要がございますので、来年度投資いたしまして、次年度からその投資が切れるということでは、電源開発ができませんので、継続的に政府資金を出資するために、今後何らかの措置を考えなければならないだろうと考えております。それから日本開発銀行資金運用に関しましては、さしあたつては従来通り自家発電に対して重点的に投資したいというふうに考えるのでございます。  そう考えました結果、六ページにございますように所要資金の内訳が出て参りまして、総所要資金といたしましては、先ほど申しましたように七千百七十六億円でございますが、これを年度割りにいたしますとその表の通りでございます。それを民間資金政府資金とに分別いたしまして、政府資金といたしましては、二十六年度は三百九十八億、来年度は七百四十七億というふうに第一期計画としては組んでございます。  次は資材対策でございますが、この資材所要量は、ごくラウンド・ナンバーではじきました関係上、あるいは精密にやりますと、もう少し上下の関係が出て来るかと思いますが、およそ毎年セメント百万トン、鋼材二十万トン電気銅——アルミによる代替も含んでおりますが、二万トン前後のものが必要でございますので、特にセメントあるいは電気銅に関しましては、何らかの対策が必要ではなかろうかというふうに考えられます。  それから最後関係機関協力の問題でございますが、水利権の共願及び水の配分管理調整を円滑にするために、必要な法的な措置を考慮するとともに、先ほど冒頭に申し上げましたように、道路計画あるいは土地改良、あるいは水没補償等につきましては、関係機関の積極的な協力によつて電源開発計画がすみやかに解決するように推進して行きたいというふうに考えておるのでございます。  おもな点を申し上げますと、緊急電源開発の大綱は以上の通りでございまして、特に問題になつております開発形態の問題、あるいは資金の問題、あるいは関係機関協力の問題、言いかえますと、水の管理問題等に関しましては、目下各省協議中でございます。
  5. 圖司安正

    圖司委員長 次に公益事業委員会説明を求めますと、平井説明員
  6. 平井寛一郎

    平井説明員 電源開発計画につきましては、公益事業委員会といたしましても、委員会設立直後におきまして、大きな問題としてこれを処理して今日に及んでおるのでありまするが、お手元印刷物で、電気事業電力開発五箇年計画というものを差上げてございます。これはことしの四、五月の交のちようど電気事業再編成のございまする前後におきまして、関係電力会社首脳部を集めましてそうして、各会社が新会社発足後においてどういうふうな需用予想がされておるか。またこれに対してどういうふうな開発計画を持つておるかということにつきまして、いろいろと会社側の原案を出させ、検討して、新会社設立後において政府がこれらを結んだものが、こういう形にでき上つておるのでありまして、その当時できましたものの印刷物なのでございます。ただいまのところ、委員会といたしましては、この春の、立案されましたものを、電気事業者の今後の開発計画規模として考えておる次第でございます。これにつきましては、いろいろと他産業との関係資金その他の面もございまするので、ただいま安定本部の方から御説明がございましたような、そういう安定本部としての案もございまするので、その間に委員会の方としましては、政府側最後目標というものが早く立つようにという意味において、熱心に、今協議をいたしておるという次第でございます。  経過的な意味におきまして、この春つくりました印刷物の、ごく概要を申し上げますると、印刷にしてございますので、詳細の説明は省略さしていただきたいと思いまするが、一番おしまいから二枚目に絵が描いてございます。これが大体この計画規模を図表に表わしたものなんで、ございまして、電力需用は、ちようどその右側に表がございまするが、需用端供給力という数字が、右の表のまん中ほどにございます通りに、五箇年後において、電気事業需要は、四百二十八億キロワツト時になるであろうという予想を組んでおるのだあります。これは現在大分電力も足りませんので、そうしたこともあわせて考えますると、そうしたものの供給を確保するまでにいたしますのには、およそ五年間水力四百二十万キロワツト火力百二十万キロワツト程度のものをつくらなければならないというような結果になつております。これらはいずれも各地方電力会社需用家からの申込み等を分析検討しまして、そうしてまた昨年から今年にかけましての需用増加の実際の趨勢等も考慮に入れました上で、会社の立案しましたものを委員会で検討し、それを集計したものなのでございます。資金資材等につきましても、この印刷物の中に詳細書いてございますので、一々の説明は省略させていただきたいと思います。
  7. 圖司安正

    圖司委員長 これにて政府当局説明は終りました。この際質疑があれば、これを許します。
  8. 有田喜一

    有田(喜)委員 きようは大臣がお見えになつておりませんから、事務的のことをついでに若干お聞きしたいと思います。  まず最初にお伺いいたしたいことは、下期の電力需給対照表というものが出ておりますが、今安本の方から御説明なつたものと、公益委員会から出ておるものとの間に、数字の違いがあるのですが、どちらがほんとうですか。また開発計画につきまして、安本から提案された案がございますが、一方また公益委員会から五箇年計画が出された、ちよつと内容も違います。ことに企業形態とかそういうような面について、相当両者に相違があるのですが、政府としては——政府というのか、とにかく現内閣としては、いずれがほんとうなのであるかということをまずお聞きしたい。
  9. 佐々木義武

    佐々木説明員 この開発計画要網をつくるにあたりまして、公益委員会あるいけ先ほど申しました通産省建設省等電源開発に関連いたします各省から、それぞれの事情をお聞きいたしまして、これを概略とりまとめたのでございますが、これがいまだ閣議決定最終決定とまでは至つておりませんので、各省全部納得の上で、この計画政府としては実施するのだという段階までは至つておりません。従いまして公益事業委員会の方でお持ちになつておる案は、調整以前の案ではございますが、その調整した案それ自体が、まだ最後決定なつておりませんので、一応未調整の案だというふうに御了解願いたいと思います。
  10. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 下期の電力需給対照表につきまして、公益事業委員会数字経済安定本部から提出いたしました数字と多少の食い違いがございます。これにつきまして御説明申し上げますと、実は経済安定本部でつくりました下期の電力需給対照表は、公益事業委員会で作成をいたしました十一月五日というごく最新の数字で、作成いたしました時期が多少ずれておりますので、その点の需用の想定等につきまして数字にわずかな違いが生じておりますのと、それからもう一つは、供給力の面は、大体安定本部数字が二百三億五千万、公益事業委員会の方は、二百四億三千万、こういう数字なつておりまして、ごくわずかな数字でございますが、この違いは下期に新しく完成いたします発電所出力を、公益事業委員会の方の数字計算に入れてございます。安定本部の方はその点を将来の数字といたしまして計算に入れておりませんので、約一億の違いが出ております。需用の面では先ほど申しましたように、数字のとり方が時期的にずれておりますので、その間に多少の違いが出まして、公益事業委員会ではマイナス五・七%、安定本部の方ではマイナス四・八%、こういう違いが出たわけでございます。
  11. 有田喜一

    有田(喜)委員 それでは需給対照の方は公益事業委員会の方を、中心としていいのでしようか。
  12. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 新らしい数字でございますから、公益事業委員会の方は。
  13. 有田喜一

    有田(喜)委員 その点は了承いたしました。  それから電源開発の方はもちろん現在案のようですから、はつきりしたことはわかりませんでしようが、大体の方向としては、この安本案の方向で進みつつある、こう了解していいのでございましようか。
  14. 佐々木義武

    佐々木説明員 この中で一番問題になる点といたしましては、開発形態の問題かと思いますが、その開発形態の中でも、特に特殊法人を新たにつくるという問題が一番議論の多い点かと思います。その点に関しましては、まだこの特殊法人なるものの具体的な機能なり、組織なりというものまで深く入つておりませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、現在のところでは、大体こういう方向で進んでおるというふうに了解なさつてけつこうかと思います。
  15. 有田喜一

    有田(喜)委員 事務当局を責めても仕方がありませんから、責めませんけれども、いやしくも委員会へ案なるものが出て来て、それをわれわれが審議する以上は、もちろんはつきりしたことは言われないにしましても、私どもとしては、公益事業委員会の案と両方出て来て迷惑でありますので、政府としては固まつておらないけれども、大体安本案というものは、いやしくも事業形態はこうして行くのだと考えられている以上は、公益事業委員会の方でも、大体それに調整せられたものとしてわれわれは考えて行きたい。何かわからぬものを出すというのでは、われわれは質問をしても、まるで空に鉄砲を撃つようなもので、事務当局を責めても仕方がないが、大体安本案をもつて政府計画として進みつつある、こう了解してようございますか。
  16. 松田太郎

    ○松田政府委員 たいへん遅れまして申訳ないのでありますが、ただいま公益事業委員会といたしましても御説明を申し上げたと思いますが、一応五箇年計画というものを立て、それからまたいろいろ開発をいたします上において、たとえば只見川でございますとか、あるいは熊野川でございますとか、そういつた大電源地帯開発計画等について、どういうような企業形態においてやつて参りますかということにつきましては、それぞれ委員会におきましても考えを持つておるのであります。しかしながら、ただいまお話のように、いずれこの問題につきましては、安定本部といわず、委員会といわず、要するに政府全体としての決定版と申しますか、そういうものをはつきりきめていただきまして、その線に沿つて、国会はもちろんのこと、官民一致の上で、あらゆる努力を傾注して行かなければならぬ、こういう事態にあるのであります。委員会としましては、そういう意味で、私どもの方の考え方は経済安定本部の方にも十分連絡をいたしております。それからまた、そういう意味安定本部の方で再三御研究になつております開発計画等につきましても、率直に申しまして、相当委員会としての従来の考え方を大幅に取入れていただいているように考えており示す。しかしながら最後の線におきましてまだ完全に一致したものとはいうことができないと思いますので、これにつきましては、近く経済閣僚懇談会を開かれるようなことになつておりまして、その際には、公益事業委員会からも、委員長あるいは委員長代理も出店いたしまして、十分そういう点について懇談的に検討しまして、そうして早く最後の線を出していただいて、それに対して必要なことがあれば、立法措置も講じて行かなくてはならぬと思つているのでありますが、今日率直に申しまして、そういう段階にあるのであります。従つてこれから御審議いただきます場合に、安本の案について御審議いだだきますこともけつこうと思いますが、それに対して委員会も満幅の賛意を現状において表しておるという前提だけは留保しておいていただきますならば、御審議の都合でどの案について御審議いただきましても私はけつこうと思うのでありまして、結論においてそう大した開きが将来も残るものではないと私は思つております。その点だけを委員会としては念のために申し上げておきたいと思います。
  17. 有田喜一

    有田(喜)委員 おそらく公益事業委員会と、政府といいますか、安本と申しますか、その方との食い違いは、企業形態、ことに電源開発公社の問題だろうと思料するのであります。今松田政府委員を責めても仕方がありませんが、公益事業委員会側が、公社案に対して反対されるというか、おそらく現在においては反対だろうと思いますが、一番大きな根拠はどういう点でしようか。
  18. 松田太郎

    ○松田政府委員 委員会といたしましては、率直に申し上げまして、電気事業再編成、この問題についても、再編成が行われますまでには、いろいろな経緯をふんだことではございますが、しかしいやしくもポツダム政令の形式によると、いなとを問わず、今日電気事業の再編成が行われまして、日本発送電というような、一種の国策会社のような形で開発を従来行つて来たところに、相当電源開発の遅れて参つておる理由も確かに私はあると思うのであります。もちろん、当時戦時中のことでもあり、資材の点、あるいは資金の点、あらゆる点で相当の制約は確かに受けたと思いますけれども、しかし実質的に考えまして、そういつたような企業形態においてしばらくの間電源開発を大幅に受持つたというところに、やはり今日電源開発が相当遅れて参つておるという事情もあると思います。実際的に申しましても、再発のできます前におきましては、水力にしましても、年三十万とか、四十万キロワツト開発をいたしておりましたのが、日発ができましてからというものは、従来の計画をそのまま継続的にやりました分については別といたしましても、新しく日発として計画された内容等から見ますと、相当そこに開きがあるように思うのであります。そういうようなこととも相まちまして、いわゆる九会社に分割をいたしまして、そうしてあくまで民有民営という形式で今後の電源開発を、最も民主的な、自由主義的な経済のもとにおいてやつて参ろうという根本の考え方が、再編成の上に出ておると思うのであります。それからまた、いろいろ国策的な会社形態として従来運営して参りましたものを考えましても、何も日発に限らぬのでありますが、大体においてその成績というものは、いわゆる民営の形でやつて参りましたのに比べて、相当予算に縛られるとか、あるいはその他臨機応変に仕事を進めて行く上に相当の支障を来すとということが、その形態上やむを得ぬ点はありますが、結局そういうような意味で、十分な実績を上げて来ていない、そういうような過去の苦い経験も考えまして、また将来外資導入等のことを考えますような場合におきましても、日本の企業形態というものが、ときどきの情勢におきまして、いろいろ変化をするというようなことにつきましては、外国の信用を得るというような上におきましてもいかがかと思われるような点もございまして、そういう意味で、どこまでも民営の線を表に出して、この問題を解決して行きたい。従つて、たとえば只見川でありますとか、熊野川でありますとか、あるいは四国の吉野川でありますとか、そういつたような大電源開発地帯を開発する上におきましては、もちろん従来の九つの電力会社でそれぞれそれを担当してもらうということはいがかと考えております。今日の電力会社として十分開発をしてもらわねばならぬ地点もたくさんあるのでありますから、そういつた場合に、大規模電源地帯開発することを兼ねてやりますことは、両方の進捗の上に相当の障害が来るであろうという意味で、ただいま只見川について申しますならば、東京とか東北の電力会社がそれぞれ出資をし、またその他民間からも出資をしてもらつて会社をつくるというような、新しい会社によつてそういつた大規模電源開発に專念して行くことは必要と思つております。しかしながら、それを一挙に公社というような形で運営して参りますことは、先ほど申しましたような線から申しまして、いかがかと考えております。もちろん今日最も開発の上で考えねばならぬ点は資金の問題でございますので、その資金を獲得するという上から申しますと、最近の情勢から申しますれば、いわゆる市中に資金の重点を置くということは、なかなか困難で、言つてもなかなか希望通り資金を集め得ない実情もございますので、どうしても国の財政資金と申しますか、いわゆる国家資金を相当注入してもらわなければならぬと思つております。そういう意味で、私どもといたしましては、そういう新会社に対して、国家資金を相当融資の形で出してもらいたいと考えておりますが、またそれがあらゆる面から見て、どうしても出資の形で出してもらわなければならぬというような事態に立ち至りましても、いわゆる新商法等にございます償還株式のような形式を伴つた形として、一時的に政府が出資をする、そうして将来あるいは外資の導入があり、その他、他の方法によつて会社資金を獲得し得る情勢になれば、政府の方に出資した分だけはお返しをするというような形にいたしまして、その間企業形態といたしましては、あるいは半官半民と申しますか、そういうような形になるかと思いますが、どこまでも運営の面から申しますならば、純然たる民営の形態においてこれを実行して行くべきであつて、公社というものにつきましても、正確にどういう組織のもとに、観念のもとに行われるかということは、まだはつきりはきまつておらぬようでありますけれども、いずれにしましても、国営ないしはこれに近いような形態において運営をして参るということは不適当ではないか。こういうような考えで、私どもの方といたしましては、少くとも民営の形態で、いわゆる会社組織で、新電源開発というものについても当つて行くべきではないか、かように考えておる次第であります。
  19. 有田喜一

    有田(喜)委員 えらい御意見を拝聴して驚いたのであります。民営々々とおつしやいますが、民営の一番長所は資金の問題です。資金ができなくて、政府のごやつかいになつて、そうして民営でやらねばならぬということに、大きな根本的な誤謬があると思う。なるほど日発は十分な運営ができなかつたであろうが、それでもあの戦時中の混乱期を、とにかく今日のような大失態を起さずして切り抜けて行つた。これは一つの日発の功績であつたと私は思う。もちろん十分な開発はできなかつたであろうが、これはどの産業を例にとりましても、戦時中のあの状態ではしかたがない。資金政府がめんどうを見て開発ができるというならば、日発でも当然それはできるだろう。民営で多少魅力があると考えられているところは、外資の導入の問題であると思う。その外資導入もはたしてできるかどうか、非常に疑問である。この電力を再編成したときに、外資導入ということが非常に大きな理由として叫ばれましたが、それは大きな甘い考えであつて、日本の電力外債というものが、まだ根本的に解決されておらないその現状において、外資が簡単に入つて来ると考えたところに大きな誤謬があつた。そんな民営としての十分の活用もできない現状においては、そう電源開発にこだわつて、民営で行かねばならぬ、公社組織ではいかぬ、あるいは国家管理的のものじやいかぬというようなことにとらわれずに、今日最も急務であるところの電源開発には、最も適当と考えるところの方法によつて、民営でできればけつこう、どんどんそれを完遂して行くということに重点を置いて進まなければならぬと私は思つておる。あまり公益委員会がさようなことにとらわれて、民営としての能力も機能も発揮できないような現状においては、民営でなければならぬ、それでなければ開発ができぬというような考えを持たれることは、そこに根本的の誤謬があると思う。  第一にお伺いしたいのは、この開発計画におきまして、一体水力キロワツト当りどのくらいの建設費になるか、またキロワツト・アワー当りの建設費がどのくらいかかるか。それが発電単価においてどの程度電力原価になるか。その電力原価と今日の既存設備の水力電気の原価との比較をしていただきたい。それから今の企業形態の問題に入つて少し検討してみたいと思います。
  20. 松田太郎

    ○松田政府委員 大体委員会といたしまして考慮いたしております線を申し上げますならば、約五箇年後あたりに、水力といたしまして六百万キロワツト程度の増加出力を考えております。なお火力につきましては百三十万キロワツトくらいを考えておりますが、これらの点につきましては、先ほどもお断りしましたように、経済安定本部の方とも十分今後打合せを遂げ、政府全体として、結論をどういうぐあいに持つて行つていただくかということは別でありますが、一応私どもの方といたしましては、草案ではありますが、そういうような考えを持つて来ております。それで大体五箇年後くらい、あるいは五箇年後以降におきまして、四百四十億から四百五十億程度キロワツト・アワーを全体として目標に置いております。なお水力にいたしましては、今後の物価の値上りその他どういうことになるかわかりませんが、大体ただいまのところといたしましては、これは地点にいたしましていろいろ違いもあると思いますが、平均ならしまして、水力にして一キロワツト十万円くらいの見当ではないかと思つております。また火力につきましては、五万円前後の単価を予想されるのではないかと思います。御承知のように従来各電力会社におきまして、再評価をいたします前の——要するに戦前と申しますか、その単価は、水力にして四百円とか四百四、五十円、あるいは火力につきましては二、三百円というような、非常に少額なものであつたのでありますが、今日資産再評価を限度一ぱいいたしましても、三万円とかその程度の評価しかできない状況でございますが、実際に新しく建設しようとしましたならば、先ほど申しましたような単価になるのではないかと考えております。
  21. 有田喜一

    有田(喜)委員 少し質問と的はずれの御答弁でありましたが、発電原価がどのくらいになるかということをあなたに聞いたのであります。それで大体今既存のものが再評価して水力が三万円、それから今からのものが十万円というようなお話でありましたから、それから発電原価はほぼ想像できるのでありますけれども、既存のものを再評価して三万円と申しましても、おそらく安本の料金の計画の上においては、償却部分は入れられるのだろうが、再評価に対する利子までもお加えになつていないのだろうと思う。そうなつて来ると、既存の水力発電原価は非常に安いもので、おそらく一円以下、計算が違うかもしれぬが、六十七、八銭くらいのものではないかと思う。ところが十万円の水力キロワツト・アワー当りの建設費は、これは何ぼになるかしらぬが、二十円くらいにつくのじやなかろうかと想像するのです。そうなつて来ると、どうしても発電原価は、山元において二円五十銭ないし三円、既存のものは六十何銭、これから見てもとても高いものになつて来る。そうすると今から水力開発するということは、料金を上げなくてはできない。ところが料金はそうなかなか簡単に上げられない。そうすると高いものをつくると電力会社は損をしてしまう。電力会社の今の経営は、あなたは民営々々とおつしやるが、民営である以上は、いかに公共事業といえども、営利ということがつきまとつて来るのです。そろばんに合わないものを、つくれつくれと何ぼしりをたたいたつて、営利会社、株式会社である以上はついて行けない。開発意欲が鈍つて来るのは当然のことなのであります。そこで政府資金とかその他のものをつつ込んで開発するよりほかに道がない。その本質を考えずに民営がいい、民営がいいと言つて、できぬことばかりやらしておつては、いつまでたつて開発はできない。あなたは戰前民営で非常に電源開発されたと言われました。なるほどその通りです。しかしあのときの電源開発の一つの目標というものは、火力発電所を建設して発電原価がどのくらいにつくか、それを目標にして開発された。あの当時の火力発電は、キロワト・アワー一銭以下のものです。それで、七、八円の電源ができるというので、みんな競つて開発して打つたものである。ところが今の火力発電所を見てごらんなさい。石灰費だけでも四円五十銭も五円もかかつて来る。そこで電力料金を上げるというのならそれは民営ででもできます。しかしそうなつては日本の産業は発展しません。日本の産業の復興はできません。それほど電力料金を上げられては、日本の経済自立はできない。そこに大きな悩みがあるのです。おそらく公益事業委員会の方では、民営の考えで、料金を上げよう上げようとしている。今の新建設費ができるところまで持つて行こうとだんだんされるであろうが、そうなつて来れば、いわゆる電気事業は基礎産業、公共事業としての使命を果すことができない。すなわちあなたたちが言われているところの低廉なる電力供給ができない。低廉にしてしかも豊富にしようと思えば、民営では本質的にできないことは明らかなのだ。今の開発の原価の一つとしてみてもはつきりしておる。それにもかかわらず、民営でなければできぬと言われる理由がわからぬ。あなたはそれとも電力料金を上げずして民営で開発できると思われておりますか。おそらく電力料金を上げないと開発できぬだろう。あなたたちは電力料金をこれからどんどん上げようとういう、考えのもとに民営々々と言われておるのじやないかと私は想像するのですが、今の原価でやりましてもさつき言いましたように、水力は山元だけで三円、需用端へ行くとその倍、六円くらいかかつているのです。既存の今の電気料金は、水力が六十何銭、それが一円何ぼということで売られて来るのでありますが、それは大きな開きがある。それを総活的な原価でやろうと言われておるが、総活原価でやると、既存のものは総括原価では高くつく。そこに民営としての魅力がない。飛びつけない。開発意欲が起らない。そこをあなたたちはよく考えて開発計画を考えてもらわなければ、かえつて開発を阻害して、日本の産業の復興を邪魔するという結果になるので、よく考えていただきたいと思います。それでもなお民営でやろうとおつしやるのか。電力料金を上げずに民営でやろうとなさるのか。それとも民営でやつて電力料金をとことんまで上げてやろうというのか、まずその基本をお伺いしたい。
  22. 松田太郎

    ○松田政府委員 今の電源開発を促進して参ります上において、そのために電気料金を改訂してまでも資金の獲得をはかるのじやないかというお話でありますが、この料金の改訂問題につきましては、今後のあらゆる情勢によりまして、種々検討しなければならぬ点も私はあると思います。しかしながらいわゆる電源開発と申しますか、資本的支出と申しますか、そういう方面にあてがう金のために電気料金を改訂して参るということは、策を得たものでもありませんし、またそうすべきものではないと私は考えております。なお先ほども一応触れましたように、しからば今日民営形態でやつて行く場合に、電力会社個々の力によつて、この莫大な資金を獲得できるかという点につきましては、率直に申しまして、少くとも現状、または現状が当分続きます上におきましては、電力会社だけの力で必要な資金を獲得することは、非常に困難である場合によつては不可能部分もあるということは、私も率直に認めておるのであります。そういう意味でその資金につきましては、何らかの形において、いわゆる国家資金によつて援助を受けなければならぬということは、私どもといたしましても十分考えております。ただその場合に、1であるからといつてこれをすぐに公社とか国営という形式によつて、言いかえれば政府が全額出資するとか、そういうような形によつて、全部国が出資の形でこの問題を解決して行く以外に道はないかということになりますと、そこは十分検討する余地もございますし、またそういう線で考えてみなくちやならぬと思うのであります。たとえば新会社がこの際電力債なら電力債を発行するとかというような場合に、国がそれを引受けてもらうということも考えられましようし、それからまたさつき申しましたような、一種の條件のものに、新会社に対して政府の方で出資してもらうということも考えられると思うのであります。しかしこの運営にあたりましてはどこまでも民主的に、しかも民営としての長所を生かして開発をして参るところに、本来の電源開発その点の問題につきまして、最も効率的に開発ができて行くところの長所が私はあると思うのです。先ほど申しましたような、いわゆる公社的な性格のもとに、いろいろな面で制限を受けなければならぬということよりも、それは民営であります以上は、多少営利ということにも力を注ぎましよう、考えましようが、しかしそういう意欲を持つて電源開発をして行くところに、本来の迅速にしてかつしつかりした開発というものができて行くのではないか、こういうぐあいに考えておりますので、何も資金の問題について、全部電力会社自身でまかなつて行くというような考えは私としても持つておりません。国によつて相当の援助なり支援なりを受けなくちやならぬということは考えておりますが、であるからといつて、ただちにそれを公社形態にしてやつて行くことがいいじやないかということにつきましては、相当慎重に考慮を要する点があるじやないか、かように考えております。
  23. 有田喜一

    有田(喜)委員 私としても公社がいいとばかり言つておるのではないのです。現在あるところの專売公社とか、鉄道公社というものは悪い点があると思う。しかし公社もいろいろ方法がありまして、会計経理をもつとビジネス・ライクにやるような方法を取入れ、そうして運営を適正にやるというような方法もある。そういう問題はいろいろ検討しなければならぬと思うがあなたはあまりにも民営ということにこだわり過ぎておる。民営の長所は確かにあると思う。けれども民営はやはりもうかつて初めて民営のいわゆる意欲が発揮される、損をするときには民営ではついて行けない。先ほど私が申しましたように、現在の料金、おそらく近く上げられるであろうが、しかし上げられてもそれほど急激な上り方はしないであろうが、その料金、今後開発するところの発電原価、それを比較すると、もうからないのです。それは総合して総活原価でやればいいとおつしやるが、その間に時間のずれがあつて、民営の意欲がそこに起つて来ない。戦争前に大いに開発できたのは、とにかく大きなもうけはなかつたが、相当の適正なる報酬が考えられ、公共事業として一割とか一割五分くらいの配当ができた。ところが今の電力会社の現状を見てごらんなさい。配当どころの騒ぎじやない、資金計画を見ましても、おそらくあなたたちの方では、増資計画というようなものを入れられておるかもしれぬけれども、今の電力会社の現状で増資なんていうことは思いもよらぬ。あの相場、株価を見てごらんなさい。五百円からのが三百何円、こんなでは増資なんかできない。増資もできないものが、どうして今後これだけ大きな厖大な資金を要するところの開発計画がやつて行けるか、そこに大いにわれもわれもは皆さんも反省してもらわなければならぬ。そこであまり民営々々ということにこだわらずに、その民営ができればいいけれども、国営で行ければそれもいい。とにかく今日の日本は、電源開発が急務中の急務なんです。これの開発ができなくては、日本の産業は興らない、復興しない、そこに思いを寄せられて、あまり公益委員会で民堂々々というようなことばかりにとらわれずに、もつと大きな視野から日本の電源開発するのだ、こういう気持になつて、大いに電源開発ということに重点を置いて進んでいただきたい、かように思います。  それからもう少し聞きたい点がありますが、これは少しこまかい問題になりまして恐縮ですが、下期の電力需用ということ、これは非常に大事なことでありますが、今までこの九月来たいへんな電力危機で、日本の産業がほとんど参つてしまつた。国民生活の上にも非常に悪影響を来して、社会不安が起つてたいへんなことになつた。最近やや落ちついたようですが、しかしこれから本格的の渇水期を控えて、この下期を切り抜けるということは非常に重大なことであります。この下期計画を見ますと平常の水量がありましてもやはり電力不足している。おそらく今度正常な水力があるはずがない、八割というようなことが想定されておりますが、おそらくそういうことになるだろうと思います。ここで石炭の問題について、この火力発電量を生かされるため、すなわち五十四億キロワツト・アワーというものを生かされるために、どのくらいの石炭予想されておるか、それをまずお伺いしたい。
  24. 松田太郎

    ○松田政府委員 この点につきましては経済安定本部の方ともいろいろ打合せをし、それからまた実施官庁としての通商産業省資源庁の方ともいろいろお話をしまして、また資源庁の方からは特に炭鉱業界の方ともいろいろ御検討を願つておるのでありますが、ただいまお話のような線を確保いたしますためには、どうしても下期におきまして、四百七十万トン程度石炭を必要とする、かように考えております。
  25. 有田喜一

    有田(喜)委員 それは外炭も入れての話でございますか。
  26. 松田太郎

    ○松田政府委員 外国炭も考えておりますし、それからまた重油への転換等も考えた数字でございます。
  27. 有田喜一

    有田(喜)委員 そこでその石炭のカロリーはどのくらいのものでしよう。
  28. 松田太郎

    ○松田政府委員 平均いたしまして大体五千八百カロリーくらいだと考えております。
  29. 有田喜一

    有田(喜)委員 五千何百カロリーでやるならば、キロワツト・アワー何キロくらい出るのですか。
  30. 松田太郎

    ○松田政府委員 〇・八六キロくらいであります。
  31. 有田喜一

    有田(喜)委員 そこで発電所は何といいますか、発電所の停止率といいますか、事故あるいは修理のために多少休まなければならぬが、その停止率はどのくらいを考えておるのですか。
  32. 松田太郎

    ○松田政府委員 相当技術的な問題になりますので、技術長からお答えさせたいと思います。
  33. 平井寛一郎

    平井説明員 数字ちよつと今見つかりませんですが、あとでわかりましたならばお答えいたします。大体日本の火力発電所は、冬場の最渇水期に全能力を発揮するような補給的な性格を持つた火力が多いのであります。大体下半期におきましては、十二月、一月、二月、最渇水期において最大能力、全能力を出すようにという意味で、春から計画的に順次にボイラーその他の点検、手入れ、改修等を続けておるわけでありまして、おおむね一、二月の候には全能力で動くというふうに計画をいたしております。この十月、十一月の候では、たとえば十月の候で百五十万キロワツト程度、大体全能力が二百万キロワツットと見ておりますが、十月が百五十万キロワツト、十一月、十二月とだんだん上りまして、そして一月に全能力を出すというふうな計画なつております。
  34. 有田喜一

    有田(喜)委員 火力発電所が今まで下期においては全能力を発揮すべき時期でありますが、ややもすると修繕を怠つたり、まあ修繕を怠るわけではないが、今まで夏の異常渇水、また秋にかけての異常渇水によつて火力を酷使しておつて、この最も大事な一、二月という月に、火力が故障を起すというようなことがよくあることなのであります。その点はよほどよく注意されて、火力発電の全能力を発揮するように、ひとつ御注意願いたいと思います。それからここに送配電のロスというのがありますが、これは二五・八ということになりまするが、私この点非常に疑問に思う。はたして二五・八まで持つて行かれるかどうかに対して、非常に疑問を持つておる。と申しますのは、最近一般電燈用、いわゆる小口のものの全需用の割合が相当多い。その方面に向くものが多いのに、二五・八まで持つて行くということに対しては、非常に疑問がある。そこで需用家の設備その他配電線なんかに対しても十分な施設がまだできていないのではないか、かように思います。ここらをよほど考えてやらないと、このくらいで規正して行くのだという方針をとられることは、それよりまだひどい規正になる。だんだんあわてて過般来のような大混乱を生ずるおそれがある。こういう点は十分の自信があるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  35. 松田太郎

    ○松田政府委員 その点は非常にこちらとしましても痛いところをつかれておるのでありまして、現状におきましては、率直に申し上げまして大体三割程度のロスがございます。そのうちいわゆる擅用と申しますか、盗用と申しますか、そういう方のロスが約五%くらい占めておると思います。従つて大体いわゆる送電ロスというものは二五%程度なつておるかと思つておりますが一われわれといたしましては一今の送電ロス、擅用盗用等も含めまして、五箇年後あたりには、戦前にほぼ近い二三%くらいにまで持つて参りたい、こういう意味で、特に送電線、配電線等につきましての修理あるいは新しく引きます線という点につきましては、いわゆる見返り資金等のうちからも、数十億の金をその方にまわすというような計画のもとに、極力送電ロスの軽減に努めておるのであります。おそらくお手元にお配りしました資料のうちにも、全部ひつくるめまして二五・何%というような数字が出ておると思いますが、これにつきましては、いろいろな方面との折衝もございまして、一つの大きな努力目標としまして、早くそういう線にとりあえず持つて参りますように、各電力会社に対して強い勧奨と申しますか、指示をいたしておるわけであります。従つて三〇%程度のロスに対して二五、六%経度のロスという計算で、一応組んでおりますので、水の出ぐあい、あるいは先ほど申しましたような石炭の確保、これと並行して、送電ロスの軽減に対する工事を、最も重点を置いたものの一つとして早くやつて参りませんと、下期におきましても、また来年度以降におきましても、需給計画の上に少からざる狂いが参るということも想像できますので、そういう意味におきましては、電力会社に対しまして極力そういう方に、ここしばらくの問題としましては相当の重点を置いて、その問題の解決をするように、われわれとしましても強く指示をいたし、要請をいたしておるような次第であります。この渇水期におきましての対策といたしましては、そういう点に力を注ぎますと同時に、それでもなおかつ不足を来しておるような場合につきましては、できるだけ各社間の融通措置もいたしまして、全体的に見て、この需給計画が一部分的な不均衡にならないように、その点は努めて参りたい、かように考えております。
  36. 有田喜一

    有田(喜)委員 今日の電力の危機は、もちろん異常渇水によることも事実でありますが、その他の面においても相当原因がある。昨年並びに一昨年の豊水期になれて、需用が相当伸びて来た。その甘い考えがあつたために、ことに新電力会社ができて、その新電力会社の成績をよくしたいという気持と相まつて需給計画が相当甘かつたことも、私はその一因だと思います。今の送電並びに配電のロスのごときも、実際よりも低く見られて需給を合わされた。そうしていよいよやりくりに困ると、そのうちに雨が降るだろう、雨が降るだろう、なるべく停電をやらないようにと、こう努められたその努力はけつこうであるが、だんだんとその日暮しになつて来て、とうとうあわてて最後の緊急停電というような、非常な大混乱を来した。それは需給計画に誤謬があつたことが一つの原因をなしておると思う。またその他にもいろいろ会社石炭手当に対する措置が悪かつたとか、その他いろいろ原因がありますが、需給計画が適当でなかつたことも一つの原因であろうと私は思います。今後この下期の電力需給ということは非常に大事なことでありますので、その辺をよく万全を期せられて、そうして今日の段階としてはどうしても電力が足らないから、足らない電力を最も合理的に、円滑に使用できるような規正方法を、まず考えるよりしかたがない。差向きの問題といたしましてはそこに重点を置かれて、そうして足らないながらも円滑に消費規正をやつていただく。同時に積極的には、当面の問題としては石炭の問題、これは十分御注意になつているだろうが、万全を期せられたいと思う。それから恒久対策としては、何といつて電源開発電源開発については、大きな見地から、ひとつ日本のために万全を期していただきたい。その他お伺いしたい点はたくさんありますが、私一人質問しておつては、他の委員方に御迷惑になりますので、他の機会に、また予算委員会その他において質問をいたしたいと思います。きようはこれで質問を打切ります。
  37. 圖司安正

    圖司委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は来る九日午後一時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十分散会