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1951-10-19 第12回国会 衆議院 議院運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十九日(金曜日)     午後零時十三分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 福永 健司君       石田 博英君    今村 忠助君       岡延右エ門君    岡西 明貞君       押谷 富三君    川本 末治君       菅家 喜六君    倉石 忠雄君       佐々木秀世君    島田 末信君       田中  元君    田渕 光一君       柳澤 義男君    川崎 秀二君       椎熊 三郎君    園田  直君       土井 直作君    松井 政吉君       梨木作次郎君    林  百郎君       中村 寅太君  委員外出席者         議     長 林  讓治君         副  議  長 岩本 信行君         議     員 石野 久男君         議     員 小林  進君         事 務 総 長 大池  眞君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  本日の本会議の議事に関する件     —————————————
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより本日の会議を開きます。  本日の本会議の順序は大体昨日決定をいたしておりますが、もう一度事務総長からお話し願うことと、それから総理の出席問題ですが、実は特別委員会の方に予定があつて、何とか本会議の方は出席せずに御了承願いたいというお話がありましたから、どうかあしからず御了承願います。
  3. 大池眞

    大池事務総長 昨日御決定願いました本日の会議については、大蔵大臣財政演説をいたされまして、本日は承りおく、そうしてあす、あさつてと休みまして、二十二日だけで質疑を済まそう、こういう話合いになりました。その順位は、第一順位民主党荒木さん、第二順位社会党勝間田さん、第三順位が共産党の池田峯雄さん、第四順位民主党小林運美さん、それからあと第五順位に小会派代表の方が出るということになつております。その割当時間は、荒木さん並びに小林運美さん合せまして六十分、勝間田さんは一応三十五分、それから池田さんの方は二十分、小会派も二十分、こういう標準でありまして、これで質問演説が終らないような場合には、多少のところはしかるべく考慮する、こういうことになつております。
  4. 小澤佐重喜

    小澤委員長 それでは本会議の問題並びに国務大臣に対する質疑は、今事務総長報告通り御承認願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  5. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次に各常任委員会から、九州方面災害に対する調査あるいは見舞というような意味出張申出があります。内容について事務総長から御説明を申し上げます。
  6. 大池眞

    大池事務総長 今回のルース台風による被害調査等に関しまして、復旧、あるいはその他の実害の調査をいたしたいという申出常任委員会予算委員会農林委員会運輸委員会建設委員会地方行政委員会水産委員会、合計六委員会から申出があります。概括をして申し上げますれば、予算委員会からは五名の者を鹿兒島県下並びに宮崎県下に七日間、それから農林委員会は六名の方が二班にわかれまして七日間、これは九州地方に三名、中国地方に五名、それから運輸委員会からは二名の方が十日間、これは九州地方に行く。それから建設委員会からは六名の者が十日間、これは大体九州地方四国、それと中国地方、この三地区にわかれて三班になつております。それから地方行政の方は六名の方が十日間、三名ずつ九州地方中国地方に行きたい、それから水産委員会からは四名の者が十日間、これは二名ずつにわかれて九州一班、中国四国一班、こういうことになつております。合計しまして全部で二十七人でございます。
  7. 石田博英

    石田(博)委員 このたびの台風によつて被害を受けた各地方に対しては、まことに御同情にたえないのであります。従つて本院といたしましてもこれに対して万全の措置をとつて、でき得る限りの手を打たなければならないと考えることにはまつたく賛成でございますが、しかし御承知通りただいま国会開会中でありまして、被害地各位に対して本院議員が最大の援助と努力をする道は、本院にあつてその職責を全うするにあると私どもは考えておるのであります。従つてどもといたしましては、国会開会中にかくも多数の諸君出張することに対しては賛成をいたすわけには参らないのであります。これはかねてからいわれておることでありますが、こういう災害のために、実に各般にわたつて視察調査等が多くて、地方官庁はその応接に忙殺されるというような実情でありまして、そのために応接に要する費用の方が災害によつて援助を受ける費用より多くなりはしないかという憂いさえも、地方にはあるかもしれないと思うのであります。われわれは諸官庁に対しても、こういう必要以上の出費を強要するようなことについては、今後嚴重に監査をして行かなければならないと考えておるわけでありますが、その行政官庁に対してわれわれがなさなければならないことは、まずもつて本院が率先してやめなければならないことではないかと考えます。従つてどもといたしましては、これらの出張は、議会開会中でもありまするし、ただいま申し述べましたような理由に基きまして反対でございます。
  8. 中村寅太

    中村(寅)委員 全部反対ですか。
  9. 石田博英

    石田(博)委員 そうです。
  10. 中村寅太

    中村(寅)委員 私は今申出があつただけ全部ということは、今の石田君の意見と同じでありまして、そんなに大勢行くということはどうかと思いますが、国会から五名とか四名とか実情を見に行つていただくということでどうか。今回の災害のうわさを聞きますと、今までにないようなひどい様子のようでございますから、特別の対策を立ててもらわなければならないのではないかと思いますが、そういう運びにしていただいて、六委員会から申し出ておるようでありますが、二十七名というのを、各委員会一名ということにでもするか、そういうことを考えていただく必要があるのじやないかと思います。
  11. 椎熊三郎

    椎熊委員 二十七名という、こんなに委員会から大勢行くことは多少研究の余地はあると思いますが、全然行かないということもどうかと思うし、中村君が今言われたように、これをやるとするならば、各委員会から一人ないし二人ずつくらい——二人として十二名ですが、それを二班くらいにわけてやるということでどうですか。
  12. 土井直作

    土井委員 大体前々から、国会開会中は委員派遣ということはできるだけ差控えるという方針で、今石田君が述べたことは私も同感でございますが、御承知通りルース台風によつて相当方面被害を受けておる状態でございますので、人数をある程度まで制限して、各委員会がそれぞれ違つた角度調査しなければならぬという趣旨には沿いませんが、人数をなるべく縮めて、この際適当な方法でやつたらいいのじやないか。この際予算委員会ども必要ないのじやないかと私は考えておるのであります。直接関係のあるのは水産農林、それから建設という方面が主であつて運輸関係ももとより相当被害を受けておると思いますが、なるべく軽重をあんばいして、人数を制限してやるということが必要だと思います。
  13. 椎熊三郎

    椎熊委員 その通りだと思いますが委員会の今度の台風に関する重要性農林水産地方行政建設などで、運輸など特に見る必要はない。これは運輸省が調査すればよい。予算はそこまで地方のこまかいことをやらなくても、もつと大きなところで勉強してもらわなければならぬと思います。ですから農林水産地方行政建設の四つの委員会から二人くらいずつ八名、これが二班にわかれて行く、これでいいと思います。
  14. 菅家喜六

    菅家委員 地方行政委員会は、これは必要ないのじやないか。
  15. 石田博英

    石田(博)委員 今一種の妥協案のような御議論が出ておりますが、私どもはやはり院の運営というものについては、一つの基本的な態度というものをもつて運営して行かなければならないと思います。その都度その都度妥協的な処理をして行くということは、これはやはり次第々々に邪道に流れてしまう。従つてこのたびのルース台風によつて被害を受けた各位に対する同情は、これは私ども何人にも劣らないのでありますが、しかし災害復旧に対する問題だけでなく、現在中央及び地方を通じて行政上に浪費された、いわゆる公金浪費の最もはなはだしいものは、中央官庁地方に対する出張、それに応ずる地方官庁接待費、これは詳細に計算した人は何人もないと思いますが、われわれの想像するだけでも莫大な量にのぼるのではないか。現在国民相当な重税に苦しんでおるときに、公務員公金をもつて接待にあずかる、饗応にあずかるという風習は、国民代表であるわれわれといたしましては、これはどうしても断固たる処置に出なければならない。われわれとしてはできるだけすみやかにそういう処置をとらなければならない。その処置をとらなければならないときに、議員がみずから、他にわれわれの本質的な任務があるにかかわらず、議員がその本質的な本来の任務を第二にして出張するということの根本的な可否ということを私どもは考えなければならないのじやないか。われわれみずからがそのあやまちを犯しては、行政府にわれわれが自粛を迫るとしても、その力は非常に弱くなる。翻つて考えますと、いかなる方が御出張になるかわかりませんが、私ども地方に参りまして、きわめて限られた日時に、しかも専門的な知識を持たないで、手足を持たないでそれを見ても、われわれは新聞報道や、あるいは各官庁調査その他によつてわれわれが知り得る以上のことをはたして知り得るかどうか、(「同感々々」と呼ぶ者あり)おそらくこれは知り得ないのじやないかと私は思います。そのために幾ばくといえども国費浪費するということは、私どもはやめなければならぬ。それをわれわれみずからが自粛することによつて、われわれは行政官庁に対して強硬な態度に出られると私は確信いたします。そこで私は、どの委員会が適当であるかないかということを議論する前に、本質的な態度というものを考えなければならぬと思います。本質的な点について各位の御議論を願いたいと思います。
  16. 土井直作

    土井委員 ただいまの石田君の御意見は、私自身も非常に同感であります。これは私並びにその他の方々からも、人数を減らし云々という説を述べたのは、将来に対する一つのおもんばかりを考えるからであります。たとえば運営委員会が、国会開会中はいかなる理由があるといえども議員の本職が第一義的なものでなければならない、言いかえれば、国会召集中は国会にあるということが原則である、従つて地方にいろいろな事情がよしかりに将来起りましても、開会中は派遣しないという一つの鉄則をここで樹立する、運営の面でこれを確立するという、この点が確認されて行くならば、私も石田君の意見については同感であります。しかし将来そのときの情勢によつて、たとえばより大きな問題等が起つた場合に、国会開会中においても視察を許すというようなことがあり得るならば、これはいわゆる基本的な、根本的な問題がくつがえされるというおそれを感ずるのであります。單なる災害の問題でなく、将来治安上の問題などについてそういう問題が起るおそれがあつたような場合、起つた場合、これは前例もありまするが、それぞれ法務委員会などの調査国会開会中に行われる場合がしばしばあるわけであります。これも端的に言うならば、法務委員諸君調査するよりも、当局が調査する方がより専門的な立場で、またより実際的なものを把握することができるという議論が、石田君の説をもつて言わしめれば生ずるのであります。しかしながら、えてしてそういう調査の問題は、たとえば台風のごとき災害による調査というものは、それを過大に評価するというか、予算上の面からどういうふうに数字的にこれを表わすかという技術上の関係はあるが、情実的な関係はない。ところが一たびいわゆる治安上の問題のごときは、その見方あるいは取扱う当事者の主観的考え方によつて非常な相違があるわけです。そういう場合に、その調査の公正を期するというか、真偽を確かめるというために、国会がときには、いわゆる法務委員会諸君が別な角度からこれを緊急に調査しなければならぬという場合が起らないとも限らないということなのであります。私は單に法務委員出張すべき條件だけを議論するのではありませんが、その他の委員会においても、だれが見てもそういうような調査をすべきである、また出張すべきであるというような案件が起つた場合における処置をわれわれはどう取扱うのかという、これをます今からでも——仮定の上において問題を論議するということは当を得ないかもしれませんが、ある程度われわれの知識において想像し得る範囲をこの際考えておきまして、この問題の根本的なことを私は決定すべきであると考える。もし将来国会開会中は、これは原則などというのじやなくて、いかなる事態の場合でも、議員国会において職分を果すべきであつて地方出張調査するなどということは行わるべきでないという決定なら、私は本質的には石田君の意見が正しいと思いますから、私はそれならば賛成いたします。
  17. 石田博英

    石田(博)委員 私がただいま出張反対した幾つかの理由の中の一つは、議員出張して調査をいたしても、専門家でないわれわれの立場といたしまして、また手足を持たない立場として、新聞地方官庁調査した以上のものは、われわれは得られないのだ、つまりわれわれ独自の立場における調査ということはあり得ないということが一つ理由になつております。将来起り得る事態として、今土井君からのお話がありましたが、将来起り得る事態というのは、ある幾つかのカテゴリーにはめてわれわれ考えるわけには行きませんが、われわれ議員出張することによつて議員として独自の判断を持ち得るというような場合、また持たなければならないというような場合は、これはおのずから別であろうと思うのであります。それはまたおのずから別の問題であり、そこまで広範囲に考えてみる必要はないと思います。私どもはまず第一に国費浪費することを慎む、議員がみずから先に立つて慎むということが第一点であり、第二は、われわれの職分の第一のものは、院にあつて審議にあたることにあるのだということが第二点であり、第三点は、ただいまも申しましたように、この種の調査等は私どもが参りましても、独自の調査ということはなし得られないし、また期待し後られないのであります。これらの理由に基いて、私どもは現在派遣すべきでない、むしろすべて院にあつて、集まつて来る資料等に基いて、最も適切なる対策を審議することこそ、私ども国民の負託に報いるゆえんであると考えますから反対をいたすのであります。
  18. 松井政吉

    松井(政)委員 問題はこうじやないかと思うのです。石田さんの言われるところはまことにぼくも賛成です。前から主張していたところであつて、まつたく賛成であります。ただ、土井さんのただいま申し上げた事柄は、いかなる場合でも原則通りに行くのか、それとも治安上の問題あるいは今のような災害問題等が突発的に起つた場合に、その問題の種類によつては認める場合があり得るという見解の上に立つて今回の問題を論議するのか、この二つだと思う。原則については議院運営委員会は再度確認しておりますから、国会開会中に派遣しないという原則全員賛成だと思うのです。ただ特殊として扱う場合を認めて、今回の場合がその特殊の場合に当てはまるかどうかというところに集約されて結論が出るということになるのではないかと私は思います。だから原則全員大体賛成で、従来そのように運営して来たのでありますから、特別の場合を認めるとすれば、特別の場合として派遣を考慮する問題に今の問題が該当するのかしないのか、こういうことが問題になるのではないかと思います。そういうところで相談を願えば、結論は出るのではないかと私は考えます。
  19. 中村寅太

    中村(寅)委員 私は基本的には石田君の説にまつたく賛成です。ところが今度の九州地方災害というものは、今までの災害と違う甚大なものであるということが伝えられておる。ちようどこれは、たとえて申しますならば、先般の福井県あたりに起つたあの大地震の被害というような場合は、私はやはり国会から何人かの人が出かけて行つて、そうして今までの対策と違う対策を立てなければならないというようなことがあり得ると思うのです。今回の九州地方災害に対しては、今までの災害対策のわくの中での処置では満足されないのではないか、そういうきわめて悲惨な姿が九州方面に起つておると考えられるのであります。そこでやはり国会から何人か出かけていただいて、そうして技術的な調査ということでなくても災害の場合にはわかると思うのでありますから、それによつてこの際は特別の立法措置でもして、この災害地人たちの困窮を救うということが国会の責任であると私は思います。そういう意味から、人数を二十名とか三十名とかいうことは私はいらぬと思いますが、何名か最低の人たち行つてその実情をきわめて来るということは、これは私は石田君の説と一つも矛盾するものではないと思います。そういう意味から、何名か出していただくということはぜひ必要なことだと考えるのであります。
  20. 石田博英

    石田(博)委員 このたびの災害が非常に甚大な被害九州四国中国地方に与えたということは私どもも十分承知しており、冒頭にも申し上げました通り被害地各位に対しては同情を禁じ得ないのであります。しかし本年はこの災害の前に、御承知のように他の地方にも台風があつたということもありますし、また年々そういう災害があるのであります。この場合は違うのだ、あの場合は違うのだというようなことで、まあ災害性質あるいは被害の量というものはそれぞれ違うと思いますが、しかしそれをわれわれ議員が特別の手足も持たないで、特別の専門的知識も持たないで参りましても、私どもが行つたからといつて特別によくその実情をつかみ得るかどうかということになると、これは疑問だと思うのです。それはむしろ全国各地に支局を持つ新聞社報道、あるいは地方官庁調査、その方が正確であると同時に、われわれが行つたところで、その報告を收集して持つて来るにとどまる。それで後段の、これに対する善後措置を考えるということは、これは当然やらなければいけないが、その善後措置を考えることは、むしろわれわれが院にあつてやることが正しいのであつて、私どもが出かけて行くという理由にはならない。
  21. 土井直作

    土井委員 ただいま石田君から、私が先ほど申し上げました問題について言われたのは、要するに災害のごときいわゆる物理的なというか、そういうものは議員が行かなくとも、それにえこひいきとかあるいは情実とかいうものが起るものではない。ただそうでなく、いわゆる特殊な治安上の問題等についての調査内容というものは、いろいろな角度でもつてゆがめられて報告されるというような場合がなきに上もあらず、従つて議員が独自の見解の上に立つて調査をした方が正当なる調査をつかむことができるというような、いわゆる議員派遣することによつて効果的な、あるいは効率的な内容が含まれている場合ということを前提とされておりまするが、私はそういう意味合いであれば、この際一歩讓りまして、石田君の意見に賛意を表します。それで今度の派遣という問題につきましては、今度というより将来も、原則的に国会開会中は議員派遣は認めない。ただ蛇足ではありまするが、大体日本公務員あるいは議員等、これは国会においても地方自治体においてもそうでありまするが、いわゆる視察ということによつて生ずる浪費というものは非常に莫大である。こういう被害はわれわれがぜひ除去しなければならない。ことに地方自治体における議員あるいは公務員出張は役得のように考えられておる。あるいは視察という名前ではあるけれども、一種の論功行賞、慰労旅行、こういう種類のものが多分に含まれておる。国会はまず隗より始めよで、国会みずからが自粛するということは、これは当然将来の日本の貧困なる財政の上から見て、ぜひ行わなければならない。最近いわゆる社用族という言葉が使われておりますが、社用族と同じ形で、公用族のような者がおる。こういう者がおることはいかがかと考える。これはぜひそういう建前からわれわれは所信を明確にして、この問題について処理した方がよろしいと思います。そういうことでありますなら、この際私の意見を撤回して石田君の意見賛成いたします。
  22. 岡西明貞

    岡西委員 私どもの方の石田君の意見もまことに、ごもつともだと思います。ことに社会党土井君の意見についても非常にわれわれは考えさせられる点が多々あるわけであります。しかしかりに今度の災害につきまして衆議院から派遣しないとい原則を打ち立てましても、将来天災地変によつて災害等が起りました場合、必ず衆議院から派遣しなければならない事態が起り得ると私は予想するわけなんです。特に今度国会から向うに参りますれば多大なる費用の負担を地元にかけるという、これはまことにごもつともであります。しかしながら現在までの状況によりますると、天災地変災害を受けた場合に、それを放置しておいた場合には、必ず地元から陳情団が参ります。陳情団がたくさん参るということは非常な経費を使つて参るわけであります。せんだつても鉱害につきまして福岡地方から数百人の人が押しかけまして、四十日間もがんばつ国会陳情に来た実例もございます。今度の九州地区災害というのは、先ほど中村君も言いましたように、非常に甚大なものがあるわけなのであります。特に山陽線におきましては二日間も交通が杜絶したというような事態で、九州惨害は従来の惨害と比べまして問題にならぬ点が多々あるわけであります。そういう点から考えまして、すでに参議院におきましては十三名派遣決定いたしました。各行政官庁におきましてもただちに向う実情調査に行かれるという話も聞いております。われわれ何も参議院がきまつたから、あるいは行政官庁がきまつたからといつて、これにならつて衆議院から派遣することはないと思いますけれども、このまま放置しておきました場合には、必ず九州地区から何百人という陳情が押し寄せて来ると思います。そうしますと、国会開会中におきましてこれらの陳情を受付けぬというわけには参らないと思います。それならば、少くとも関係衆議院委員会におきまして一名くらいの代表者を出して、数は三名か五名かに制限して実情調査する。專門的な技能者その他についてはもちろん行く必要もないでしようけれども、この後における陳情を予想して、それを事前に調査するということにつきましては、予算の分配その他の行政上の問題につきましても大いに参考になる点が多々あると思うのでありまして、今度の災害の問題につきましては、中国九州地方災害というものは想像以上に大きいわけでありますから、私どもといたしましては、少くとも五名程度を関係委員会から選拔されて派遣されるように実はお願い申し上げたいと思います。
  23. 石田博英

    石田(博)委員 うちの党内の人の御議論ですが、視察に行くことによつて陳情が全然なくなれば別ですが、やはり陳情陳情としてあるのです。せつかく各党とも私の申し出たことについて御賛成を得たのでございますから……。岡西君のせつかくの御議論もわかりますが、それによつて陳情がとまることはない。陳情陳情として続くので、陳情費用をそれによつて節減できるという性質のものではないと思います。やはり院の運営ということは、私どもは人情や、あるいはそのときのいろいろの感情等によつて左右すべきものでなくて、やはりわれわれの立てている建前というものは醇乎として守り拔かなければならぬものがあると思いますから、この点はひとつ各位の御賛同を願いたいと思います。
  24. 中村寅太

    中村(寅)委員 石田君の御意見原則的には私も賛成であります。しかしながら石田君の説で行けば、今後は国会からいかなる場合といえども派遣する必要がないということになつて、そういうことになると……。
  25. 土井直作

    土井委員 休会中はいいんだ。
  26. 中村寅太

    中村(寅)委員 休会中といえども、やはり国会におつてわかると思います。しかしながらやはり現地に行つて見るということは、現地の被害実情によるべきであつて、今回の災害というものが今までの災害と大よそ同じようなものならば、これはやはりぜひやるべきだとはいえないのでありますが、今回の災害は今までの災害と違う非常に大きな災害であるということが地方から伝えられておるこの際、担当の委員が最低の数行つて実情を見て、その実情に合う施策を講ずるということは、国会議員の務めとしても当然なことだと私は思います。開会中といえども三名、五名の人が出ることによつて国会運営がとまるとかいうことならばともかく、三名や五名の人が行つても、それほど大きな支障は起らぬと思います。それよりもやはり現地の実情を見て来て、現地即応の方策を講ずることの方が意味があるのではないか。私は何も九州だからといつて主張するものではありませんが、そういう意味において、各委員会からも来ていると思いますから、委員長は各委員会の意向もひとつ聞いていただきたいと思います。
  27. 椎熊三郎

    椎熊委員 いろいろ御議論はありますけれども、今度のこの台風衆議院が全然傍観的——でもないかしらぬが、行かなくともいいのかどうか。ぼくは行くべきであるという意見なんです。経費を使うとか何とかいうことは第二義的なもので、こんな前例もなかつたような大災害があるのに、衆議院がまるでお前ら陳情に来るなら聞いてやるが、放つておいてよいというような態度は、私はよくないと思う。経費の点なら節減するようなやり方、方法があると思う。委員会の選び方等ももちろんあるだろうと思うが、しかし私は、今度の災害は放つておいてよい程度のものではない、衆議院地方の人とともに心配して、実情はいかにあるかというようななまなましい感覚をもつて来て、これに対する対策を考えるということが親切なやり方だと思う。そういう意味で私は先ほど申したように、委員会を選択し人員を制限して委員派遣せしめる、こういうことを主張いたします。
  28. 岩本信行

    ○岩本副議長 最近この仲間のうちでもずいぶんアメリカに行つて来られたが、アメリカの議会では、開会中には絶対派遣しない。そういう類例がない。これは先ほど石田君の述べられたような趣旨に基いているとぼくらは見て来たわけです。それから今の五人や六人がおいでになつてその実情を見て来て参考にするということも悪いことじやないけれども、要するに国会開会中は全精力をそれに注ぐという行き方をとられた方がよいのではないですか。
  29. 椎熊三郎

    椎熊委員 その原則はもうきまつているのです。
  30. 小澤佐重喜

    小澤委員長 原則にこの場合が該当するかしないかの問題です。
  31. 石田博英

    石田(博)委員 特別の場合ということは、われわれの理解するところではさつき言つたような三つの條件、つまり議員派遣することによつて公正を期せられる、あるいは議員派遣することによつて特別の効果が期せられるという場合は特別であるが、この場合は五人、三人という人数手足を持たないで出かけて行つても特別の効果があるとも思われない。これは前からの原則で、この委員会はそういう態度で臨むのだということは何回も確認されておつて議論すべきことでもないのです。台風被害が甚大だとか、特別の場合とかいうことは、われわれのしろうとの判断になるわけです。五名、三名というものをやることはいいけれども、今行政官庁が盛んにやつているあれだつて、必要程度やつているか、必要以上の経費を使つているか、われわれ嚴重に監査しなければなりませんよ。地方税、平衡交付金が足りないとか、あるいは起債のわくを広げろとかいう、これももつともだが、その半面において、私の県だけじやないと思うけれども地方議員出張というのは今驚くべきものだ。そういう点をわれわれはこれから嚴重にやつて行かなけければならない。それをわれわれ自身が乱しては、人に言えませんよ。御事情はわかるし、御同情もするけれども、実は私の党としても、これはざつくばらんにお話しますが、私は特別委員会に出ておつたから私の方の党の御相談のときに出なかつたのですけれども原則はきまつておる。この原則は毎回運営委員会でやつておる。その原則をかえるべき特別の理由があるとは考えられない。さらに議院の運営というものは、やはり醇乎として侵すべからざる一線というものを守つて行かなければならない。こういうことでして、常日ごろ小会派諸君につれないように見えるけれども、これもまたやむを得ないと思います。
  32. 小澤佐重喜

    小澤委員長 それではこの問題は採決を省略いたしまして、開会中は出張を認めないということにいたします。     —————————————
  33. 大池眞

    大池事務総長 本日の本会議開会時刻ですが、参議院の方の関係があるのですが、一時十分くらいでどうでしようか。
  34. 石田博英

    石田(博)委員 一時十五分くらいに願いましよう。
  35. 小澤佐重喜

    小澤委員長 参議院もやらなくてはなりませんから、一時十五分ということにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会