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1951-11-27 第12回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十七日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 並木 芳雄君       植原悦二郎君    小川原政信君       菊池 義郎君    栗山長次郎君       仲内 憲治君    中山 マサ君       福田 篤泰君    林  百郎君       黒田 寿男君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         特別調達庁長官 根道 廣吉君         外務政務次官  草葉 隆圓君  委員外出席者         議     員 上林榮吉君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 十一月十六日  委員近藤鶴代辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員橋本龍伍君及び福田篤泰辞任につき、そ  の補欠として近藤鶴代君及び渡邊良夫君が議長  の指名委員に選任された。 同月十九日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として福  田篤泰君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として加  藤鐐造君議長指名委員に選任された。 十一月二十一日  沖繩奄美大島及び小笠原等北緯二十九度以南  諸島日本復帰に関する請願岡田春夫君外二  各紹介)(第一四六〇号)  千島列島所属に関する請願椎熊三郎君外七名  紹介)(第一四六一号)  大島郡の日本完全復帰等に関する請願上林山  榮吉君外四名紹介)(第一四八一号)  奄美大島諸島日本復帰に関する請願石原登  君外九名紹介)(第一四八二号)  奄美大島の航行自由に関する請願上林榮吉  君外七名紹介)(第一六〇二号)  奄美大島日本間の為替送金に関する請願(石  原登君外七名紹介)(第一六〇三号)の審査を  本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会審査に関する件  国際情勢等に関する件   請 願  一 平和條締結国代表を貴賓として歓迎に関    する請願花村四郎紹介)(第二〇八    号)  二 未帰還者引揚促国民運動推進等に関する     請願坂本泰良紹介)(第一四四九    号)  三 奄美大島の航行自由に関する請願上林山    榮吉君外七名紹介)(第一六〇二号)  四 奄美大島日本間の為替送金に関する請願    (石原登君外七名紹介)(第一六〇三号)     —————————————
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず閉会審査に関する件についてお諮りいたします。当外務委員会におきましては、今会期の初めに国政調査の承認を得て、国際政治及び経済に関する事項及び国際情勢に関する事項の二項につきまして、調査研究いたして参りましたが、なお閉会中も継続して審議いたしたいと存じますので、ただいまの二項につきまして、閉会審査議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑を許します。菊池君。
  5. 菊池義郎

    菊池委員 草葉次官にお伺いいたします。賠償工場からの施設使用許可申請が、最近非常に争つて出ておるということでありますが、御承知のように、指定工場施設は、国有財産となつて管理されておる。それは三月あるいは七月ごろであつたと思うのでありますが、総司令部の覚書によりまして、ほとんど使用の禁止を解除されておるはずであります。しかるにまだ解除の申請がひんぴんとして出ておるところを見ると、まだ解除されなかつた、どうしてこういうように怠慢であつたかというように考えられるのでありますが、その辺の事情についてお伺いしたいと思います。
  6. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは主管外務省ではございませんから、この点について詳しく承知はいたしておりませんので、関係庁とよく連絡いたしまして、後刻お答えを申し上げることといたします。
  7. 菊池義郎

    菊池委員 この間大蔵大臣の発言の中に、防衛協定分担金は千億円以下で、あるというようなことが言われております。これはもちろん政府といたしましても、閣議あたりでもつて議題上つたことでありますからして、外務省あたりでも、はつきりでなくても、大体の見通しはついておられることであろうと思うのでありますが、われわれは最初分担金は二百億か三百億程度でもつて済むのではないかと考えた。以下という言葉がつくにしても、千億円というのでは、驚いてしまうのでありますが、これは一体どういうものを基準としてこういうように考えられ得るのでありますか、その点ひとつ見当で、はつきりしたことでなくてもよろしゆうございますから、お伺いしたい。
  8. 草葉隆圓

    草葉政府委員 大蔵大臣が、防衛分担金はおそらく一千億円以内であろう、というようなことを言われたようなことがあつたのではないかと、私もうすうすと記憶しておるような気もいたしますが、その真意はどこにあるか私は存じません。しかし現在の終戦処理費が一千億円程度でありますから、従いまして、一千億円の現在の終戦処理費を越すようなことは、おそらくないのではないか、むしろそれよりもずつと下まわるのではないかという意味ではないかと存じます。
  9. 菊池義郎

    菊池委員 アメリカの副大統領バークレー新聞記者団会見におきまして、日本独立後も必要であるならば、対日援助をやることはできるということをはつきり言つておりますが。われわれは賠償のことを考え、いろいろと日本の財政の困難なことを考慮いたしまして、ことに独立後の至難な日本の歩みに思い至りますときに、向うでもつてそういうことを言つているくらいならば、こちらの方からもどしどしさらに懇請して、ごやつかいにあずかつた方か、賢明な策であると思うのでありますが、この点について政府はどういうお考えを持つておられるのでありますか。
  10. 草葉隆圓

    草葉政府委員 平和條発効後の、日本経済自立という点からいたしますと、これは直接外務省関係以外の分野が多いと存じますが、しかし平和條発効後の状態考えまする場合には、結局日本自立経済は、世界経済の一環としての自立経済という立場に立つて来ると存じます。従いまして、その自立というのは、結局アメリカ等の強い支援、援助というものが、強力になされることを考えなければならないと存じますので、お話のように、バークレー大統領その他の方面から、アメリカ援助ということがたびたび言われもいたしまするし、また日本も今後経済協力という点において、両々相まちまして、その援助なり協力なりの線を進めて参るということが必要であろうと存じます。従いまして、こういう点につきましては、今後十分両国間において進められて来る問題であると存じます。
  11. 菊池義郎

    菊池委員 フィリピン選挙で、向う国民党が圧倒的の勝利を得ました。その結果対日賠償に大きな影響があるのではないかというようにわれわれ心配しておりますが、政府側見通しはどんなものでありましようか。
  12. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話のように今回の上院の選挙におきまして、また地方知事等選挙におきましてのフイリピンの選挙の結果から、ナショナリスタ党勝利を占めたようでございます。しかし日本との賠償関係におきまして、は、平和條約第十四條によりまして、方針はつきりきまつておる次第であります。ただそのやり方を今後どういうふうにしてやるかという問題でありますので、この方針のもとに、十分両国間の友好を厚くするような方向で進めて来なければならないのでありますから、この点から申しますと、たといフィリピンにおきましてこのような選挙の結果がありましても、十分今後日本との友好関係を続けながら、平和條約第十四條の精神に基いた賠償というものが今後もなされて来る、かように考えております。
  13. 菊池義郎

    菊池委員 移民の現状についてのパンフレツトが配られておりますが、私たち人口問題について深刻な悩みを感じておる一人であります。石橋湛山氏が会長で、われわれも入り、松岡駒吉君などもみな入つて各党各派の人が入つております海外移住協会というものがあります。その海外移住協会意見といたしまして最近しきりに言われておることでありますが、南方圏すなわちインドネシア共和国フィリピンビルマ等賠償の一部なりあるいは全部でもけつこうでありますが、移民賠償ということがしきりに言われておるのです。向うインドネシア共和国のごときは、もうあり余る土地でもつて、非常に日本農業技術にほれ込んでおる。戦争中にも、われわれがインドネシア共和国大統領でありましたスカルノなどにたびたび会いまして、通訳をつけて、酒を飲みながら話しましたが、日本人国籍を脱して来るならば、千万や二千万、いくらでも受ける、ことができる日本農業技術は実にすばらしい、そして日本人商売が下手だからなお頼もしい、華僑は商売が上手で、少し金をもうけると金貸しになり、いろいろな作物でも何でも抵当にとつてしまう、それで恐しがられておる、日本人はそういう悪い人がないので歓迎されておるということをしきりに言つておりました。日本から国籍を脱して向うに行くにいたしましても、また日本に帰りたくなれば、向う国籍を脱して来ればいいわけで、これは国際私法のもとで自由であつて、完全に向う国籍を獲得して向うで活躍した方が農民のためにもいいと考えておるのでありますが、そういうことについて海外移住協会、これは相当権威のある団体でありますが、この移住協会がこれから政府を激励鞭撻して、南方圏賠償国家と交渉してもらうようにしたいということを言つております。政府がやらなければ自分たちが出かけて行つてやるということを言つておりますが、もし向うからそういつたようなことを快諾し、賠償にかえるに移民でもよろしいというようなことがありましたときには、日本政府としてはこれに応ずる用意がなければならぬと思うのでありますが、この点どういうようにお考えになつておるのでありましようか、
  14. 草葉隆圓

    草葉政府委員 移民の問題は、まことに重大な問題だと存じます。従いまして外務省も先般移民に関しまする大体の経緯を発表いたした次第でございますが、従来から言われております移民という言葉は、これから受けまする感じがいろいろな意味を連想させるような感じを持つので、今後日本の人口、領土問題等からする海外発展という意味から申しまする場合には、よほどこの用語等を慎んで、従来移民によつて受けておるがごとき感情を外国に与えないような立場をとつて行かなければならないのではないか。従つて今後いわゆる日本の優秀なる民族として海外に発展いたしまする場合には、優秀なる人たち海外に出て行つて日本のためになり、同時にその国のためになるという方法をとつて行かなはればならないのではないかと考えられるのであります。今回の平和條約におきまする賠償立場から考えますと、これはいわゆる役務賠償でありまするために、いろいろと従来の賠償とはかわつた形が考えられて参ると存じますが、その中にお話のように移民賠償とでも申しますか、そういうふうなことで、国籍を脱して向う行つて向う国籍についてやるというのは、これはいわゆる賠償の形とは一応違つたものになつて来るのではないか。従いまして役務賠償の今後の行き方といたしまして、ことにお示しのインドネシア等に関しましては、インドネシア希望等を十分聞きまして、それに即応する方法をとつて行かなければならないと存じます。従いましてただちにここで現在お話のような農業技術の提供という意味における賠償は、これは役務賠償としてもあるいは検討の余地等もあると存じますが、国籍を脱したお話のような移民賠償というようなことは、慎重に取扱つて行くべきものであると存じます。
  15. 菊池義郎

    菊池委員 国籍を脱して行くにしても、向う希望であるならば、脱してもさしつかえないと思うのであります。つまり国籍を脱しないでも農業技術を提供する、労役を提供するというような場合に、この形でも相談はできると思うのでありまするが、こちらからしてそういうことを持ちかけてはどんなものかと思うのでありますが、政府としてはどういうようにお考えになつておられますか。これは向う希望なんです。
  16. 草葉隆圓

    草葉政府委員 まだ実は日本政府といたしましては、インドネシアから、そのような希望の正式の意思表示に接しておらない次第でございますが、全般的に考えます場合には、今後十分向う希望を聞きまして、これに合致するような方法をとつて参りたいと存じます。
  17. 菊池義郎

    菊池委員 講和條約の発効が来春と大体見通しがついておるようであります。この発効と同時に、日本政府国連への加入を、できると、できないとにかかわらず、一応申請することが必要であると思うのでありますが、政府はどうお考えになつておられますか。
  18. 草葉隆圓

    草葉政府委員 今回の日本との平和條約の前文にはつきりと、日本政府国連への加入申請するということを意思表示しておりますし、従つてこれに署名をいたしました四十八箇国は、これを承認いたしてくれておりますから、当然お話のように政府申請をすべきものと存じます。
  19. 菊池義郎

    菊池委員 そうするとニューヨークあたりに、講和後において、日本代理機関でも設ける意思はありませんでしようか。
  20. 草葉隆圓

    草葉政府委員 現在もアメリカの枢要な地区にはそれぞれ五箇所、ワシントン、ニューヨークその他におきまして在外事務所を設置いたしております。しかしこれはいずれ完全主権の回復後は、それぞれ在外公館としての機能を発揮するように仕向けて来なければならないと存じますが、そういう意味におきまして、日本正式公館をそれぞれの地に置きますることは、当然進めて来なければならないと思います。従いましてその中で、あるいは国連あるいはその他の国々との友好関係を進めて参るということも、これまた当然必要であると思います。
  21. 菊池義郎

    菊池委員 国連事務局内にも日本人を入れておくことが一番便利であろうと思うのであります。政府はそういうことについて何か考えておられますか。
  22. 草葉隆圓

    草葉政府委員 おそらく御質問の点は二通りあるのではないかと存じますが、国連事務職員としての場合と、国連事務局日本代表機関を設置して連絡をとるという場合と、両方あろうと思います。しかし正式加入がありません場合には、正式職員としての場合はいかがであろうかと存じております。しかし御希望のようなことが実現したらたいへん仕合せだと存じておりますが、ただ連絡機関としての機能を発揮しまするために、日本の公的な機関を何かの形において置きますることは、イタリア等先例からもこれは可能なことではないかと存じます。
  23. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは並木君。
  24. 並木芳雄

    並木委員 根道特調長官がお見えになりましたから、先日のB二九墜落事件に関連して要望的質問を申し上げたいと思います。この十八日でございました。日曜の夕方突然起りましたB二九の墜落という事件によつて、あの近辺の被害相当大きかつたのであります。私も翌朝急いで現場へかけつけてみましたけれども、想像したよりはるかに大きな被害で、びつくりして各方面に陳情して参つておるのでありますけれども、今日まで当局として調べられた被害の状況、そういうものをまづお伺いしたいと思います。
  25. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいままでわかつております不動産の損害といたしましては、焼失は四戸、大破九戸、中破九戸、小破七戸、もちろん棟数にいたしますると、物置小屋や何やら相当の数に上つております。それから一般民間人負傷者——死者はございません。重傷が一名、軽傷が七名、計八名が民間の人の被害であります。そのほか、あの横田において働いておりました政府雇用の、LSOと称するいわゆる進駐軍車員でございますが、これらの者が計六名死亡いたしました。六名のうち一名は重傷の後死亡したのだそうであります。そのほかに重傷六名、軽傷二十七名、総計三十九名になつております。
  26. 守島伍郎

    ○守島委員長 ちよつと並木君、岡崎官房長官がお見えになりましたが、お急ぎのようでありますから、今のお話は継続するそうでありますので、官房長官に先にお願いいたします。
  27. 並木芳雄

    並木委員 それでは岡崎官房長官にお聞きしておきます。今度のB二九の墜落によつて生じた被害に対する手当の問題でございます。先般来長官言明あるいは吉田首相言明などによつても、政府として力を入れてくださつおることは、われわれ間接に知つて喜んでおるわけなのですが、基地の外における被害に対する今までの手当方法が非常に手薄であつた。今後先例にとらわれず、十分な手当をしたいというような御意向であると聞いておりますけれども、今度の問題に対する手当はどういうふうに実行されておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今の手当の問題につきましては、これは厚生省主管であります。そして金を出すのが特別調達庁の方の金から出しておるので、私は直接の関係者でないのです。ただ政府全般として見まして、今のやり方ではどうも十分でないと思うので、至急内閣関係省人々を集めて、つまり厚生省特別調達庁、それから予算の関係がありとする場合がなきにしもあらずと思いますので、大蔵省等の人に集まつてもらつて、どの程度のものを出すかということを至急に相談することになつております。結論はまだ出て来ておりませんが、間もなく出るだろうと思います。それに基いて見舞を出す、こういうことになると思います。
  29. 並木芳雄

    並木委員 今度の場合には行政的措置でやられるつもりでしようか、それとも急速に法的措置を講ずるつもりでございますか、その点いかがでしようか。
  30. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまのところは法的措置というのは考えておりません。但し将来独立後においてどうするかということは、これはまた別途考えなければならぬと思います。ただいまのところはまだ占領下でありますから、法的措置よりも、今まで通り見舞金であと数箇月を行きたい、その後のことは別途に考える、こういうつもりでございます。
  31. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは、私ちよつと官房長官にお尋ねいたしますが、実は今度のような事件が過去において相当つておるのです。私の選挙あたりでも起りまして、僅少の金で半年くらい前につつぱなされたものがあるのです。それで今度お考えになる場合には遡及するものとしてお考えになるのですか、今度のこと及び将来のことだけに限られるのですか。
  32. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 この問題も今研究の対象になつておりますが、なかなかむずかしいのは、今年の一月一日までは遡及するということにすると、それでは去年の十二月三十一日に起つたのはどうするかというようなことになりまして、とにかく進駐当時からあつたのでありまして、ずつと来ておるものですから、なかなか取扱いがむずかしいと思つております。但し、今年になりましてから、やはり九州でかなりの事故があつたので、これと関連しておりますが、小さいものがたくさんある。たとえば自動車にひかれて、けがをしたとかなんとかいうのは、非常にたくさん件数があるので、どういうようにしたらいいかと思つております。とにかく今日の前に起つておるのですから、とりあえずこれを片づけまして、この基準でできるだけいろいろ考えてみたいと思つております。遡及ということになると、なかなかむずかしいと思いますが、九州の方のときは、たしか司令部からも見舞が行つたような例もあつたと思います。これはもう少し具体的に考えてみないと、はつきりしたことがわからぬと思います。今関係省人々を集めて研究中でありますから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  33. 守島伍郎

    ○守島委員長 実はこの問題は、政府に金がない、それから占領状態という特別の状態でございますが、実は非常に気の毒です。ずいぶん不当もはなはだしいと思われるようなこともございます。それで過去にさかのぼることはたいへん困難だろうと思いますけれども、よほどこの点もお考えを願わなければならぬと思います。私の申し上げるのはそれだけでございます。
  34. 竹尾弌

    竹尾委員 この種の事件は今官房長官の御説明の通りであると思いますが、過去はとにかくとして、将来こういうような事件の起つた場合は、これは当然アメリカが出すべきものだと私ども考えておりますが、やはり日本側でどうしても出さなければならぬことになりますか。
  35. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これはつまり終戦処理費で出しております。終戦処理費というのは、今までのところはこちらから出す金であるけれどもアメリカの軍隊が占領しているがゆえに必要な経費というので、向うに提供している金であります。そのうちから出すので、向う側ではおれの方の使う部分の中から出しておるのだというつもりであろうと思いますが、そんな関係で従来は来ております。独立後にはこれは別途に考えなければならぬ、こう思つて、今研究中であります。
  36. 並木芳雄

    並木委員 ですから、どうしても私はそういう見地から離れて、日本政府として、また私ども国民として、その危険を分担すべきだという見地から、急いで立法措置をしていただきたい思うのです。たまたまその基地の近くにある人は、どうしても危険にさらされる率が多うございますから、それによつて生じた被害に対しては、私たち国民として公平にその犠牲を負担すべきものであると思うのです。そういたしませんと、だんだんと反米思想というようなものもこういうところからも出て来るわけです。反対立場に立つ者は、いいときとばかり、平和條約とか、日米安全保障條約なんかに結びつけて反対の材料として取扱うわけでございますので、ぜひこの立法措置を急いでいただきたい。それと同時に、今度のケースは、特に独立を間近に控えておるときでございますから、見舞金というのではなく、実費補償という点までぜひ持つて行つていただきたいと思うのですけれども、その点長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  37. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今おつしやつた点は一々、ごもつともであります。これは国民全体として負担すべきものだという点も、ごもつともだと思います。ただ政府が出すとすれば、いずれ税金のうちから出すのでありますから、法律でそれがきまろうとも、法律でなくても、出す金は国民全体の負担したものの一部が出て行く、こういう形になるわけであります。法律でということについてはいろいろ研究を要します。法律で一体どういうふうにきめ得るか、私どもちよつと想像がつかないのでございますが、これははつきりした基準ができればいいのだろうと思う。その基準をとりあえず研究しておるような次第であります。  それから反米思想とかいうようなお話、これもごもつともでありまして、われわれもそういうふうに考えておりますからこそ、この際早く、そうして適切なものを出したいと思つておりますが、実費補償というような点になりますと、そういうむずかしいことになると、結局は裁判ざたになつて、これでは実費ではないというような議論になると思います。われわれはできるだけ円満に早くやりたいと思つておりますので、見舞金ということで満足が行くかどうかわかりませんが、われわれの考えではある程度満足の行くものをすみやかに出したい、こういう考えでございます。
  38. 竹尾弌

    竹尾委員 ただいま官房長官はこの点に関してすみやかに立法措置をお考えになるということでありますが、そういたしますと、広い意味行政協定というようなものの中に、これを入れられるというようなこともお考えになるのでありましようか。
  39. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 行政協定の点については、御承知のようにまだ内容的には話合いを進めておりませんのでわかりませんが、いずれその研究の一課題にはなるだろうと思います。それから私は今立法措置を講ずると言つたのじやなくて、立法ということになると、技術的になかなかむずかしいのじやないかということを申し上げたので、研究中ではあります。
  40. 黒田寿男

    黒田委員 ちよつと政府の御意見を承つておきたいと思います。私は国民という立場からこの問題を考えてみたいと思います。只今、この問題に対して立法措置を講ずるとかどうとかというようなお話がありましたが、一体、日本国民は他人の故意または過失によつて損害を受けたときには、損害の賠償を請求する権利がある、そう考えるべきではないでしようか。単なる見舞金という問題ではない。損害を受けた国民としてその賠償をだれに請求するか、これは、ただいま政府日本政府が負担するというようにおつしやつたと思いますけれども国民立場から考えれば、見舞金で済ませる問題ではなくて、一種の損害を受けた事件でありますから、そして、この事件は故意でなくて、過失であろうと思いますが、故意または過失によつて損害を受けたときは、損害賠償請求の権利があるのでありますから、私ども国民としてはむろん権利の問題として考えるべきである。そうしますと、見舞金というのではなく、かりにこれだけの額を要求すると被害者の方が言うて来れば、それが相当額である限り、これに応じなければならぬのではないでしようか、私はそう考えるのでありますが、政府の御意見を伺います。
  41. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 従来は見舞金でお互いに納得して済ませて来たのであります。もし満足せられない人があれば、訴訟を起すなりなんなり適当な手段はあるかと思います。
  42. 並木芳雄

    並木委員 先ほど岡崎長官に要望しました点については、長官もよく御了承くださいまして全力を尽すと言われておりますから、私どもはそれを信頼いたします。補償とかなんとかいうむずかしい文字でなくてけつこうです。実際にこれだつたらがまんができるという、要するに再興できる見舞金、名前は見舞金でけつこうです、十分にやつていただきたいと思います。  それから念のためにお聞きしておきますが、この見舞金の制度というものは、司令部のメモランダムか何かに基いて出ておるのですか、その出どころと内規を伺いたいと思います。
  43. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これは終戦当時にはいろいろ交渉をいたしたと記憶しております。結局結論的に言えば、今のような見舞金を出すということになつたと記憶しております。実際上のメモランダム等があつたかどうか、私はないのじやないかと思いますが、話はずつとして、その結果であつて司令都側とも話合いの結果、今のような形になつた、たしかメモランダム等はなかつたと思いますが、これははつきりしません。そういうような結果であります。
  44. 並木芳雄

    並木委員 それでは長官が急いでおりますから、最後に一言だけお尋ねして、あとは根道長官にお尋いたしますが、今度の行政協定の中で、ぜひこういう点をはつきりしておいていただきたいと思うのです。それは法律の形になつて出て来れば一番いいのですけれども行政協定でもつて駐留軍を日本人との間のこういう関係が的確にしてありませんと、これからいろいろ問題が起ると思うのです。ですから、ただいまも国民の権利として当然そういうことが要求できるのじやないかという声が出たほどでございますので、こういう点について日本人側の権利というものをはつきり行政協定でうたうという覚悟を持つていただきたいと思うけれども、その点について長官の所見を伺つて私の質問を終ります。
  45. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今のお話ですが、御趣旨はよくわかつております。ひとつ十分研究してみたいと思つております。
  46. 植原悦二郎

    ○植原委員 私は関連して発言したくないと思つたけれども、ものをもう少しはつきりしておかなければならないのじやないか。どうも岡崎さんのお話を聞いていると、やはり古い憲法時代の、古い官僚の取扱いのことの考えが、まだ頭の底に残つておるのじやないか、私はこういう感じがする。見舞金で取扱つたということは、その事件そのものがいずれが責任を負うかわからないような、あいまいなことがあつた場合に、訴訟ざたにしては年限もかかるし、政府もやつかいだということで、見舞金というような形をとつて来た。それから横浜の電車の問題のようなときには、はつきり政府の方の過失がわかつているけれども被害者の方から事を起されてはたまらないから、なるたけ満足するように見舞金を出して、それで訴訟ざたにしない、こういうような形だと思う。だけれども黒田さんも言われた通り、当然政府にせよ、だれにせよ、害を受けた被害者があつて、その責任がだれであるかという場合においては、当然こちらは権利として払つてもらうべきがあたりまえだし、払うべきだ、こういう建前をとるべきだと思う。ことに今日の憲法においてはそういうことがはつきり保障されておるのだから、見舞金というのはただ形の上で、実際は損害として払う。ゆうべ実は私西洋人のところに呼ばれて、西洋人と飯を食つておつた。あの事件は当然アメリカの責任だ、なぜアメリカにあの責任を持たせないかということを私質問されたのです。実は今までの慣例によると、終戦処理費で支払つているから、出るところは同じだから、責任は責任として、ただ形の上でそういう形になるだろう、だれがしてもそういう被害があつて、損失をかけたその責任は、当然責任としてはつきりしているだろう。こういう答えを私はしておいた。ただ金が終戦処理費から出るからそういう形になるのではなかろうか、こう言つておいたのですが、今ちようどお話のようなふうで、損害をかけても日本政府で支払うのだという形になると、これは国民にとんでもない誤解を招くおそれがあるから、そこらはよほど政府で注意していただきたいと思う。もう日米の間の関係は、私は将来水も漏らさない状態で行かなければならないと思つておる。アメリカ人に対して少くも誤解をさせるようなことがあれば、こちらもいけない、向うも不利だと思つている。そういう点を私は非常に慎重にお考えを願つて政府でお取扱いをしていただきたい、こういうことなんです。当然向うの責任だ、当然向うが払うべきものだ、これは払うのが当然だろう。いかなることがあろうとも、日本国民に、向うの過失によつて、——あるいはそれが不可抗力であるかいなかということが、損害の一番大きな問題になりましようけれども向うの過失によつて起つたことに対しては、向うが当然責任を負うべきものであるし、こちらは当然権利としてとるべきものだ、こういうことをはつきりしておかなければ、かえつてその害の方が多いのじやないかと思うから、私は質問というよりか、念のために将来の国民の誤解を避けるために、日米の間には努めていざこざがないように、わずかの言葉の違いからも誤解を生じて、反米的にこれを用いられるようなことのないように注意しなければいけないから、念のために私は意見だけ申し上げておくわけです。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 関連して、お忙しいと思いますから簡潔に質問します。今の終戦処理費で支払うということですが、長官も御存じの通りに、終戦処理費というのは、直接日本占領に必要な占領軍の費用を立てかえ払うのであつて、御存じの通りにあそこにいた飛行機は朝鮮事変のために、アメリカの極東軍が使つておつた飛行機によつて起きた事故でありますから、これは日本占領に必要なための費用ではなくして、やはり極東軍の戦争のために発生した事故として、向うの費用で払うべきであつて日本終戦処理費で払うべきものでないと思いますが、その点はどういうようにお考えになりますか。
  48. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 林君は非常に情報に通じておられるようですが、私は飛行機が朝鮮の軍事行動のためにやつたのかどうかということは知りません。またアメリカ側はその点は別に何も言つておりません。むろん軍事行動の点は発表しておりませんから、わかりません。われわれの方では、国内におるアメリカ軍は占領のために来ておるのであり、そのために損害を受けたと、こういうふうに考えておりますから、終戦処理費で出すことはさしつかえないという意見であります。     〔委員長退席、竹尾委員長代理着席〕
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 占領のためにB二九が必要なことは、常識的に考てもあり得ないので、和解と信頼の講和條約が調印されたのですが、それにもかかわらずまだB二九が基地にいなければならないような状態はないので、われわれは常識的に考えて、これは明らかに朝鮮の軍事的な必要のために使われるB二九だと思うわけです。それが軍事上の行動から損害が発生した場合には、これは当然アメリカの方の軍事費の中から払うべきだ、それを日本政府で一時立てかえ払いさせるということはあると思いますが、あとはやはりドルで支払つてもらわなければならないというので、お聞きしているわけで、別に特殊な情報を持つているというわけでは決してありませんから、そういうふうに聞いていただきたいと思います。  それから、かりに終戦処理費といたしましても、今年六月、一九五一年から五二年度のアメリカの予算では、終戦処理費はドル払いにして、向うが持つということにして、御存じの通り今度の補正予算では、百億の終戦処理費のための回転基金を組んで、向うが直接ドルで払つても、そのドルが日本へ来る間の回転基金として、百億の補正予算を組んでおることは長官も御存じだと思います。だからこれはかりに終戦処理費だとしても、ドルで払うべきものであつて日本政府が払つたのは、立てかえだということならわかりますが、日本政府終戦処理費として払うべきものではないと私は思う。それから終戦処理費も、今年の六月からは向うがドルで払うことにきめたはずであります。だから私は、どう考えてもこれはドルで払うべきものであつて、ただ政府が一時向う意見によつて円で立てかえ払いをしておいて、あとでドルで埋めるということなちわかりますが、この損害全部を日本で背負うということは、理論的にも私は成り立たないと思いますが、その点をお聞きしておきたいと思う。
  50. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 終戦処理費を全部ドルで払うという話は、私は聞いておりません。終戦処理費の一部をドルで払うということであつて、今度の補正予算をごらんになつても、そういうふうになつておると信じております。  それからアメリカ占領軍というものは、ここに軍隊を置きますならば、その軍隊の必要上、実弾演習もすれば、飛行機の演習もするのは当然でありまして、それが一体講和條約を調印したからもうそれはなしとかありとか、こういうことはわれわれの言うべきことでなくして、アメリカ側が必要と思うものを考えてやるだけの話ですから、その点はちよつと林君とは私は意見が違つております。
  51. 竹尾弌

    竹尾委員長代理 林君、官房長官は参議院で非常にお忙しいから、簡潔に……。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 それではその問題は、ひとつよく調査して……。それと関連して、われわれ常識的に考えて、横田の飛行場が朝鮮事変のために使われておるというように思えますし、それからこの終戦処理費のドル払いも、一部といいますが、今年度六月分までの日本で出した終戦処理費は、これはすでに日本で負担することになつて、今後はドル払いにするということであつてそのために終戦処理費が約六百億浮く。六百億がだんだん少なくなつて四百億とかいろいろな問題がでてきたはずで、アメリカの一九五一会計年度からはこれはドルで払うということにきまつておるはずだと思いますが、この点も長官はよく調べておいて理論的に正しいもの、主張し得る点は、堂々と日本政府としては主張するように心構えをして行つていただきたいと思うわけです。  もう一つ重要な問題でぜひ長官に聞いておきたいことは、十一月二十五日の読売に出ているのでありますが、韓国の外務長官から日本は共産軍との戦闘で援助するため、朝鮮に日本人部隊を派遣するという提案をして来たけれども、このような提案は、目下日韓両国間の懸案となつている諸問題が解決されない限り、受諾できないと拒否したという問題が出ておりますので、これは非常に重大な問題だと存じます。簡単にそういうことはないというように言い得るかどうか、少くとも日本の吉田政府が認めている韓国の政府の外務長官の声明でありますが、これについて日本政府の見解をお聞きしておきたいと思うわけであります。
  53. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今のお話の読売新聞の記事に林君がお目をとめられたならば、その翌日の同問題に対する読売新聞の記事もごらんになつたと思いますが、それには、政府のスポークスマンは正式にとれを否定したと出ております。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 政府はよく新聞に出ていることを、政府は言つた覚えはないということをよく言いますから、念のために国会で責任のある答弁を聞いているわけです。  そこで最後にお聞きしますが、御存じのように吉田・アチソン交換文書の中で、連合軍の名前で極東で行動する軍隊に対しては、施設並びに役務を提供する、あらゆる援助を提供する、あらゆる援助の具体的な現われとして施設及び役務並びに費用を負担すると書いて、明らかに施設のみでなくて役務も提供するということが書いてあるのでありますが、連合軍が日本の付近において行動する場合、日本国が提供する施設並びに役務の「役務」ですね、これはどういう範囲のことを今まで言つているのか。これはこれから提供するということでなくで、従来も連合国最高司令官の承認を得て提供して来たし、今後も提供するということを言われています。従つて国連軍の名において極東で行動している軍事行勅に対して日本が役務を提供して来たということは、これはもうすでに吉田・アチソン交換文書によつて認めているわけでありますから、私はこの役務というのはどの程度のものを日本政府は従来言つているのかということをお聞きしておきたい。
  55. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これは條約の関係でありまして、その主管外務省であります。ここに外務政務次官がおりますから、あとから政務次官から御答弁を願います。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 それでもけつこうです。
  57. 並木芳雄

    並木委員 それでは根道長官に、前後いたしましたが、先ほどの質問を続けることにいたします。見舞金の問題でございますけれども、全家屋を焼失した者に対する見舞金が四万円とか五万円が最高だというようなことをちよつと聞いていますけれども、実際そんな少額なものなのですか。見舞金の内容についておつしやつてもらいたいのです。
  58. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいままで見舞金として政府が出しておりましたものは、物質的損害といたしましては家屋に対するものを四万円、その他の物件に対するもの、家財とかが二万円という基準になつております。
  59. 並木芳雄

    並木委員 それは規則ですか内規ですか、正式の名前は何というものできまつているのですか、そういう見舞金の制度というものは。
  60. 根道廣吉

    根道政府委員 政府部内において事務的にきめました基準であります。
  61. 並木芳雄

    並木委員 基地内で働いておられて死亡されたり負傷されたりした人に対してもこれは適用いたしますか。
  62. 根道廣吉

    根道政府委員 基地内で働いておりますと申しますと、日本政府が雇用して軍が使用しているところの労務者に対するものですが、その場合にはいわゆる財産的損害というものはちよつと規定がないわけであります。それらに対しましては、死傷等については日本政府が雇用主の立場におきまして労働基準法を適用して、その範囲内の補償をするわけであります。
  63. 並木芳雄

    並木委員 今度の砂川地帯の西砂川ではまつたくまる焼けになつて、着るものも一つも出さずに焼け出された家もある。その家などに対しては、この四万円とか五万円という見舞金では、まつたく問題にならないのですけれども、大体どのくらいという見当だけでも、今のところついておりませんか。
  64. 根道廣吉

    根道政府委員 まことに四万円とか二万円とかいうことは、これではとうていお気の毒で問題にならぬと私も思つているわけであります。ただいま官房長官がお答え申し上げましたように、いろいろなことを勘案して、できるだけ多く出すという腹構えを持ちまして、目下関係省研究中でございます。     〔竹尾委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 並木芳雄

    並木委員 ぜひひとつ、先ほども官房長官に要望した通り、この際私は見舞金とか補償金とかいう名称にとらわれません。とにかくできるだけ実費弁償に値するもの、そうしてそれをできるだけすみやかにやつていただきたいと思う。そのことがやはり平和條約の締結をめぐつて日本のこれからの行き方に非常な影響を及ぼすと思いますので、この点特に御留意願いたいと思いますが、その決意をお伺いして私の質問を終ります。
  66. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいま並木委員の申されましたこと、まことにごもつともでございます。私どもといたしましてもそういう心構えで目下研究中であります。
  67. 守島伍郎

    ○守島委員長 黒田君。
  68. 黒田寿男

    黒田委員 私ちよつと簡単にお尋ねいたします。来年度の予算の編成が今問題となつておりますが、講和関係費用というものは、外務省の御理解になるところでは、具体的にはどういうものであるか、このことをお尋ねしてみたいと思います。
  69. 草葉隆圓

    草葉政府委員 あの中にどういうものが入つておりますかは、実は直接外務省関係承知いたしておりませんと申し上げる方が適当でございます。ただ講和関係の今後のいろいろ問題あるいは国内補償の問題、そういうふうな問題が外務省関係における仕事としては当然できて来るのじやないか。大蔵省が予算で計上しておりますのは、万端とにらみ合せて今回の補正予算に出しているだろうと思つております。
  70. 黒田寿男

    黒田委員 私のお尋ねしましたのもそこでありまして、外務省関係としてこの予算の中に、具体的に講和関係のものはどういうものが入るかということをお尋ねしているのであります。全般のことは大蔵大臣にお尋ねします。
  71. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは先般来詳細に御審議を願いました平和條約の発効に基きます問題を中心にいたしまして、時間的に本年度内に起ります問題といたしましては、あるいは平和條約効力の発生前におきまする種々な問題、あるいは後におきまする補償、賠償に関連した問題、そういうふうなものが外務省関係といたしましては、当然予算的に生じて来ると存じます。
  72. 黒田寿男

    黒田委員 もう少し具体的にお話願えませんでしようか。
  73. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はきようは、具体的資料を持つて来ておりませんので……。
  74. 黒田寿男

    黒田委員 きようお答えできなければやむを得ませんけれども、これはひとつ至急お示し願いたいと思います。  それからこれは、外務省としての解釈を承りたいと思いますけれども、近いうちに、ダレス氏がまたやつて来るということが報道せられております。そうしてその来朝の目的の一つは、安全保障條約に関する諸種の具体的内容についての話合いだというように聞いております。一体「漸増的に自ら責任を負う」ということの内容はどういうものであるか、このことを私どもは一日も早く知りたいと思いますので、この間の條約特別委員会におきまして、私は総理大臣にこの問題についてお伺いしたのでありますが、時間もございませんでしたので、十分にお答えを受けることもできませんでした。ただそのとき総理は、そのことが必ずしも再軍備を意味するものではないというようなお答えだつたと思います。再軍備を意味するものでないとすれば、他の何であるか、ということを私どもはつきり知りたいのであります。いずれにしましても、この「漸増的に自ら責任を負う」ということの具体的な内容は何か、日本政府として政府としてのお考えとして、もう具体的計画は持つておいでにならなければならぬ時期だと考えます。再軍備でないとすれば、何であるかということをお伺いしておきたいと思います。
  75. 草葉隆圓

    草葉政府委員 條約にあります漸増的にという内容ば、直接に考えますると、あるいは防衛力というような問題と関連して参ると存じますけれども、しかしこれは、そういうことを期待されてはおりますが、日本としては現在再軍備の時期ではない。それはいろいろな意味からそういう時期ではないということをるる申し上げた通りでありまして、この考え方は現在もかわつてはおりません。従いましてそのような態勢を進めて参ることが強く期待されてはおるが、その最も端的な表示としては軍事力を持つということでございましようが、それはその時期ではないというのが、ただいま申し上げているところであります。その他の態勢におきましては、これに匹敵するような具体的なものはないと存じます。ただあるいは海外からの脅威があつたり、あるいは国内的な、あの日米安全保障條約にありまするような第三国からの干渉、教唆によるような内乱等があつたような場合、こういう問題に対する国内的な整備をするということは、これは当然考えられることでありますが、しかし具体的にこの面に出ておりまする漸増的に処置して行く、それを期待されておる方法、その端的な方法としての軍事力を持つということにつきましては、あの審議中に考えております考え方と現在と何らかわらずに、政府はあのときに御答弁申し上げた、状態で、現在も進んでおりますことを御了承願いたいと思います。
  76. 黒田寿男

    黒田委員 「漸増的に自ら責任を負う」ということの内容が、間接侵略に対する責任を負うということでもあるということは、当然理解できますし、これがそういうものを含んでおるということは、これは條約の全文を見れば明らかであると思いますが、そうしますと、政府はそういう意味において、その責任を負う具体的な計画をどんどん進めておいでになる、こういうわけですね、ちよつとその点をお伺いいたします。
  77. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは自国の防衛のために「漸増的に自ら責任を負う」ことを期待されておる次第であります。しかしその期待されております点につきましては、日本としてもこれに対応した考え方を持つて来ることは、これは條約を締結いたしました以上は、当然と存じますが、しかしその漸増的に責任を持つ立場において、しからば具体的にどういう責任を持つか、最も端的な表示は軍備を持つことではないか、こういう結論になつて来る。それはただいま申し上げた通りであります。しかし独立後の日本の自衛のために、みずから自分の国を守る、しかしその守る形は軍事力をもつて守るというのではなくて——これは力がないから、またそういう考え方を今とり得ない状態であるから、国民の自衛心の高揚と申しますか、あるいはその他の方法によつてなし得る部面も相当あると存じます。従つて独立後におきまする制度の整備あるいは法律の改廃、すべての問題が関連して来る問題と存じております。
  78. 黒田寿男

    黒田委員 それでは私の方から具体的にお尋ねしますが、警察予備隊、海上保安庁等の強化、これは「漸増的に自ら責任を負う」ということの具体的内容として計画されているのではありませんでしようか、その点をお伺いいたします。
  79. 草葉隆圓

    草葉政府委員 この條約から申し上げますと、その前文にも申しておりますように、攻撃的な脅威となり、また国際連合憲章の目的なり原則に従つて、平和と安全を増進すること以外に用います軍備を持つことを常に避けながら、直接間接の侵略に対する自衛のために、漸増的に自ら責任を持つ。従つてそういう意味におきまするみずからの責任をとるために、態勢を整えて行くということは、これはかりに方的に期待がありませんでも、独立国家としては、これは当然考えて行くべき問題でありますが、ここで多く期待されておりますような、あるいは軍事力ということを考えます場合におきましては、先ほど申し上げた通りでありますが、その他の点におきましては、すべてのほかからの力による侵略なりあるいは直接間接の脅威に対しまして、これが脅威を防ぎ得る、あるいは脅威の来ないような状態になし得る程度方法を講ずることは、当然なさねばならない問題であると存じます。
  80. 黒田寿男

    黒田委員 私がお尋ねしたことに対して、具体的にお答えくださればよろしいのです。今のは抽象的な、一般的なお話でありますが、それを具体化する場合に、警察予備隊の強化ということがそれに当るのであるかどうか、こういう私の質問でありますから、そうであるかいなかということをお答えくださればいい。それからその次の問題に移ります。
  81. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話の点も当然それの一つの中に入つて来ると存じます。
  82. 黒田寿男

    黒田委員 そういたしますと、現在政府の具体的にお考えになつております防衛漸増計画の内容の、先ほども申しましたように、警察予備隊ないし海上保安庁の強化ということもその一部になるということができますが、そこで次に、これは外務次官に対してお尋ねすることが適当であるかどうかとも思いますけれども、念のためにお尋ねしてみます。もしお答えができなければ、他の閣僚に対してお尋ねしたいと思います。現在伝えられておるような装備の内容、それから訓練の方法及び将来さらにこの装備を重化しようという意図、それからまた将来警察予備隊に対して与えようとする訓練の性質というものから見ますと、どうも私ども警察予備隊は戦力に相当するのではないかと思う。軍隊ではないでしよう、軍隊とは私は申しません。けれども少くとも戦争力となる可能性を蔵するものと考えられるものになりつつある、またしようとしておる。私にはこういうような感じがするのであります。要するに戦力ではないか。こう思うので’すが、外務次官はどうお考えになりますか。私は法務総裁にももう少しつつ込んで聞いてみたいと思いますが、も参しお答えができたら……。
  83. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは外務省が答弁いたしますのはちよつと筋違いと存じます。ただ一点だけお答えいたしたいと存じますのは、実は最近の世界の情勢を見ておりますと、いわゆる警察予備隊というような形の国内の治安の維持というのは、私どもの情報を総合しますと、西ドイツ、束ドイツ、おのおのこれらの国々にも持つております。しかしこれらも、すべていわゆる軍備という範疇からは全然抜け出されて考えられておるという点は、外務省立場においてお答えできるのではないかと思います。
  84. 黒田寿男

    黒田委員 私は軍備と解釈するのはまだ無理だと思います。しかし少くとも戦力——軍備ではないけれども戦力という域には、私はもう達しておるのではないかと思う。これは私はダレス氏が日本に参りまして、あの七原則を示したその直後の国会において、実は法務総裁にいち早く質問してみた。そのときには、何とか銃という小さい銃を持つておるくらいのことだから、これは近代的戦争の観念に照応してみて、戦力と称すべきものにはまだなつていないのだというお答えであつた。しかしその後の装備の状態と訓練の性質並びに目的等を、私ども、かたわらからじつと見ておりますと、どうも私どもには戦力というものになつているような気がする。しかしこれはお答えが願えなければこれ以上質問をいたしません。また他の機会にもう少し他の政府関係者に対して質問をしてみたいと思います。一応私の質問はこれだけにしておきます。
  85. 栗山長次郎

    ○栗山委員 ただいまの黒田委員草葉政務次官の質問応答に端を発して、私どもは明らかにしておかなければならぬことがある。それは講和関係費についてはどうかと御質問であつて講和関係費という一つの漠然とした概念をここに持ち出して来た場合に、外務省考えるその内容と、世間の受けている印象はまるで違うものであるし、私どもはこの観念の混同と、呼び名のきわめてずさんなことによつて国民の種々なる誤解と、そしてまた政治を担当している責任者に大いなる迷惑と、また友邦に非常な迷惑を及ぼしておるような気がするのであります。むしろそのうちの大部分は、日本独立せんがために、光輝ある独立をせんがための経費であり、もしくは予算であつて講和関係費としてこれを用語つけるのはまことにずさん過ぎると思う。こういうような誤解を一般国民に与え、また今日こうした質問応答にもそれが出て来るということは、与党のわれわれにも責任がありますけれども政府としてはもつと観念をはつきりして、国民に混同したり、また雑然とものを考えるようなことのないような資料を提供すべきである。そういうような整理について政府の一部として努力を願いたいと思いますが、それについて御所見があれば伺いたいと思います。
  86. 草葉隆圓

    草葉政府委員 御質問の御意見よく了承いたしまして、他の機会にまたお答え申し上げたいと存じます。
  87. 守島伍郎

    ○守島委員長 林君。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど官房長官への質問に対して、外務省の責任ある人からの答弁に譲るというお話だつたのでお聞きするわけですが、韓国の外務長官の記者会見での声明というのは、これは相当影響が大きいのではないかと思うのであります。将来日朝の関係のためにも、日本がみずから進んで朝鮮の国土に軍隊を派遣して、朝鮮の諸君と戦闘を交えるというようなことがあるとすれば、これは極東における両国関係からいつても、ゆゆしい問題だと思います。従つて私はこの記事を黙視できないのでありますが、こうして日本人部隊を派遣するよう提案したというのと、それから吉田・アチソン書簡でいう「連合国最高司令官の承認を得て、日本国は、施設及び役務を国際連合加盟国でその軍隊が国際連合の行動に参加しているものの用に供することによつて、国際連合の行動に重要な援助を従来与えてきましたし、また、現に与えています。」とあり、また「将来は定まつておらず、不幸にして国際連合の行動を支持するための日本国における施設及び役務の必要が継続し、又は再び生ずるかもしれません」、その際にはあらゆる援助をするということになつておるのでありますが、この従来与えて来、現に与えておる施設及び役務の提供、これは一体どういうことなのですか、あらためてはつきり聞いておきたいと思います。
  89. 根道廣吉

    根道政府委員 ただいまのお話実は私よくはわかりません。言葉にいろいろ誤解を生ずる点があるかもわかりません。しかし日本といたしまして、米国軍に与えてきましたいろいろな協力、事実上の協力もあり、形式的に特別調達庁を通じてする協力があります。しかしそれは特別調達庁といたしましては、結果的に連合軍のためになつたかどうか別問題といたしまして、およそ特別調達庁として施行いたします場合には、これはすべて形式的には占領軍のために、占領軍が占領目的のために必要とし、日本政府に要求するところのものを調達して来ておるのである。たまたまこれがある一つの車両の修理関係でございますと、その車両を修理いたしておりますのは、いかなる方面に使われる車両であるか、これは別問題として、修理をすることがあります。たまたまそれが国内の直接の占領目的でなくて、海外において使用されるというような結果になることがあるわけであります。そういう場合におきまして、間接的に日本国連協力したということになるのであります。また日本政府が直接関係いたしませんで、いわゆるドル・パーチェスというようなことで、日本国の諸産業が米軍から直接に発注を受けて、これで向う援助を与えておるというような事実上の結果もございましよう。まあそういうことを総括して言われたことだろうかと私は想像する次第であります。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 特別調達庁政府委員の方は、調達庁関係ですから、百頭の中は占領軍の行動しかないと思います。これは草葉次官にお聞きしたいのですが、占領軍が日本の国の占領目的遂行のために必要とされた役務及び施設の提供というならわかりますが、国際連合加盟国で、その軍隊が国際連合の行動に参加しているものの用に日本施設及び役務を従来与えて来たし、また現に与えておる。これは占領軍ではなくて、国際連合の軍事行動に日本が役務及び施設を提供して来たと書いてあるわけであります。今の政府委員の方の御答弁と少し違う。これははつきり国際連合の軍事行動ですが、それは一体どういうものをさすのか、草葉政務次官に御答弁願いたいと思います。
  91. 草葉隆圓

    草葉政府委員 お話通りに吉田・アチソン交換公文によりまして、日本は従来施設及び役務を、国際連合加盟国で、その軍隊が国際連合の行動に参加しているものの用に供することによつて、国際連合の行動に重要な援助を従来与えて来た、また現に与えておる、こういう内容を交換公文で両方とりかわしておるわけであります。従いまして国際連合の行動として、国際連合軍に参加しております国際連合加盟国の行動に対しまして、具体的に申しますと、ただいまアメリカ軍の場合には、特別調達庁からの御答弁のようでありますし、その他国際連合軍として行動いたしております十数箇国の国々が日本に参りました場合におきましても、あるいは役務——私も具体的には存じませんが、おそらく場合によりますと、荷物の運搬とか船積みとかいう問題も起り得るかとも存じますが、そういう具体的な役務を従来も与えて来、現在も与えており、また不幸にしてこれが将来ともあるならば、将来とも国際連合に協力するというのが、この交換公文の趣旨であると存じております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係もありますので、この問題は重要ですから、また私はあらためてよくお聞きしたいと思います。そうしますと、たとえばアメリカの軍隊が国連軍の名のもとに、今現に朝鮮で軍事行動を起しておりますが、これに対しても従来われわれは役務及び施設を提供して来たと解釈していいですか。
  93. 草葉隆圓

    草葉政府委員 国際連合軍が朝鮮の動乱に対して国際連合軍として行動をして、それが日本国内におきまする関連のありましたものに対しましては、公文で申しておる通りであります。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 日本関係するということは、要するに国際連合軍が日本で朝鮮に軍事行動を起すいろいろな行動をした場合に、日本国内における行動については、一切の施設及び役務を提供して来たということなのですか。
  95. 草葉隆圓

    草葉政府委員 その通りであります。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、日本にいるアメリカの軍隊は、占領軍のほかに国際連合軍として、朝鮮で軍事行動を起す軍隊も日本にいて、これについてもわれわれは従来あらゆる役務及び施設を提供し、あらゆる費用を負担して来たと解釈していいですね。
  97. 草葉隆圓

    草葉政府委員 それは違うと思います。占領軍の場合におきましては、先ほど来お話のあつた通りであります。国際連合軍としては、この交換公文にありますように——この交換公文の主としてねらつておりますのは、費用の負担という点を、あとの方にあります日本施設及び役務の使用に伴う費用が現在通りに、または日本国と当該国際連合加盟国との間で別に合意される通りに負担されることを今後も確認をする。こういうのでありまして、これは国際連合軍としての場合におきましては、当該国際連合軍が負担をするという立場に立つて費用の関係を律しておる。これをこの交換公文においてうたつて来ておる次第であります。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 これはよく次官にも読んでいただきたいと思いますが、吉田・アチソン交換文書は、国際連合軍が極東で行動を起している場合に、日本はあらゆる施設及び役務を提供して来たし、日本施設及び役務の使用に伴う費用が、現在通り、または日本国と当該国際連合加盟国との間で別に合意される通りに負担されることを貴国政府によつて確認されれば幸いであるというアチソンの申出に対し、吉田総理はこれを認めているのでありますから、これは明らかに国際連合軍が国際連合の軍事行動として行動していた場合に、あらゆる施設及び役務を提供して来たし、またその費用を負担して来たのであつて、これは日本占領軍の終戦処理費とは別個だというのが、この文書を読んで当然われわれの受ける解釈なのですがね。日本側の解釈としては……。
  99. 草葉隆圓

    草葉政府委員 国際連合軍として行動をいたします国際連合加盟国の軍隊が、日本で行動をし、また日本に要請をいたしました場合におきまする施設、役務、これらの使用につきましては、占領下占領軍の場合とは違つた場合があるのであります。これも従来から御説明申し上げておる通りであります。占領軍の場合におきましては占領軍としての費用、国際連合軍としての場合におきましては国際連合軍として、ここにありまするこの合意によつてとりきめております負担、これを今後も継続して行く、ただ具体的に言つた場合に、アメリカ軍という問題が中心に考えられる場合には、アメリカ軍は一方占領軍であると同時に、朝鮮の行動に対する場合には連合軍として行動をする場合がある、こういう問題がそこに起つて来ると存じます。そのほかの国々は、一部はありましようが、その多くは日本占領軍として来ておりません。ほかの国際連合軍ははつきりしております。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから結局あなたの言うことを聞いてみても、アメリカの軍隊が、占領軍ではなくして、国際連合軍として軍事行動を起した場合の費用も、日本国が現在通り負担しておるというのだから、そういう費用も負担して来たと私は解釈せざるを得ないと思うのです。だからそれは先ほどのB二九の話もあるように、われわれはそんなアメリカの軍隊がアメリカの国策上行動する費用まで、終戦処理費という名目で負担する必要は絶対ないと思うのです。それはやはり政府が、明らかに占領に必要な行動と、アメリカ一国の国策として極東で軍事行動を起している費用とは峻別して、いやしくも国民に無用な負担をかけないように努力すべきだと私は思うわけです。その点はどうですか。
  101. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは従来から占領軍としての負担の場合と、国際連合軍としての特需関係というような場合とは、はつきりと別な取扱いをして参つておることも、おそらく御承知かと思います。ただ、たまたまさきにありました一つの事故等の場合においての問題は、先ほど官房長官が御答弁申し上げた通りでありまして、一般の費用につきましては、従来ともはつきりと特別調達庁関係あるいはその他の一般商業的な支払いと申しますか、そういう方法を区別して、はつきりなされておると存じております。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題は、またいずれ私の方で政府によくわかるように質問して、政府の答弁を聞きたいと思います。どうも政府の言うことがよくわかりませんで、ここに費用を現在通り負担するとあるのだから、負担するというのは背負つて来たと思うのですが、背負つて来ないようなことを言われますので、そこがわからない。ですから私どもは、この点は次会において十分納得するような質問をしたいと思います。  その次にお聞きしたいことは、この韓国外務長官の記者会見の談話の中にあります。目下日韓両国間の懸案となつておる諸問題が解決されない限り、受諾できない云々の言葉ですが、これは日韓の間の三者会談なども行われたようでありますし、この日韓両国の間の会談と、それから将来この間で懸案となつておる諸問題ということを言つておりますが、日本政府としては、この問題についてどういう問題が将来両国の間に懸案となり、解決しなければならない問題だと考えておりますか、時間の関係もありますから、私はなお詳しくは次会に聞きたいと思いますが、とりあえず今政府日本と朝鮮との間の問題について、どういうことを解決しなければならない問題だと考えておられるか、また日韓両国代表の間の話合いで、どういう問題が討議されたか、その問題をお聞きしたいと思います。
  103. 草葉隆圓

    草葉政府委員 日韓両国間の問題といたしましては、御承知通りに、従来までは日韓両国は同じ一国のもとにあつた次第でございます。日韓合併以前はもちろん別でありますが、日韓合併後におきましては、ずつと一緒にやつて来たのであります。今回それが独立国となつて参ります上には、従来この一つでありました日本と朝鮮とが別になります上は、いろいろな問題が起つて参ります。第一に国籍の問題も当然起つて参りましようし、経済の問題、これは條約の上にもうたわれておる問題でありますが、そのほか漁業の問題、あるいは船の問題等、さまざまな両国間において解決すべき、はつきりした方針を打立つべき問題がありますので、これらの問題を解決して行くというのが、日韓両国で話合いを進めて参るべき問題として、徐々に話合いを進めて参つて来た次第でございます。しかしそのような多くの内容を持つておる問題でございますから、なかなかこれは簡単には解決いたさない問題だと存じております。今後相当期間を要する問題であります。さらに独立後のことを考えますと、両国の通商條約等の問題も起つて参りましようし、両国間の友好的なさまざまな條約的な問題も起つて来る。従つて相当期間を要するのではないか。まずその第一歩として、下打合せを十分しながら、両方の意見を十分開陳し合つて、そしてこれらの両国間の今後解決すべき問題に資して行こうというのが、先般から日韓両国間におきまして相談を進めて参つておる点でございます。しかしただいま申し上げますように、問題が全部にわたつておりますから、従いまして具体的に実際の状況の上に立つて解決すべき問題もありますし、先般来協議を進めながら、いろいろそういう資料なりあるいは実情なりを調査したり、また検討をしたりするために、しばらくの間休んでおる次第でございます、また再びこれを開きまして、両国間でよく納得の行く方法で、一つ一つ解決して行きたい、かような方向で現在進んでおります。
  104. 守島伍郎

    ○守島委員長 林君、あとで請願を審議いたしたいと思いますから、なるべく簡単に……。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 これで打切ります。いろいろな問題が介在しておりますし、ここでこの問題を簡単に済ますわけには行きませんから、いずれ次会に譲りたいと思います。ただ一つ国籍の問題が、先ほど次官からも話が出たのでありますが、この国籍の問題というのは、韓国政府とだけの交渉で問題が解決されるかどうか、日本にいる朝鮮の諸君が朝鮮のどういう政権を支持するかということは、自由な問題だと思います。こういう問題を日本の代表と韓国の代表とだけできめ得る問題か。あるいはそうきめると、日本にいる朝鮮人諸君に強制的にそれを押しつけるという形になるのですか。その国籍の問題についての考えをお聞きしておきたい。この問題は非常に重要な問題でありますから、また次会に譲りたいと思いますが、その点だけ、とりあえずお聞きしておきたいと思います。
  106. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これはその点から申し上げますと、現実には北鮮と南鮮との両方の政府の形がとられておりますから、この国籍だけではなしに、財産の問題あるいはその他すべての問題に関係して来ると存じます。しかし現在日本が相手としておりますのは、国際連合によつて朝鮮の統一の立場から設けられました大韓民国というものを相手にして参る以外には方法がないのでありますから、従つて日本の朝鮮における相手国としては、大韓民国を相手にしながら、これらの問題を一応話合いをつけて行くという筋合いになると存じます。     —————————————
  107. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に請願審査をいたします。  まず日程第三、奄美大島の航行自由に関する請願上林榮吉君外七名紹介、第一六〇二号及び日程第四、奄美大島日本間の為替送金に関する請願石原登君外七名紹介、第一六〇三号を一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。上林榮吉君。
  108. 上林山榮吉

    上林榮吉君 まず奄美大島の航行自由に関する請願の説明から申し上げます。  鹿児島県奄美大島諸島は、昭和二十一年二月連合軍総司令官マッカーサー元帥の軍事命令で、当時北緯三十度以南の諸島は、わが国の行政権及ばずとして、日本の行政権から分離せられ、爾来六箇年間交通の自由を束縛せられ渡航がほとんど外国並となり、渡航希望者は渡航願を提出して許可を受けなければ、日本から奄美大島に行けず、また同島から日本にも渡航できず、二十二万住民はもちろん、向島出身の本土在住十八万人の奄美同胞も非常なる不便を忍んで来たのであります。渡航の許可がおりるのが、普通今まで六箇月もかかつており、長きは一箇年を要する例も珍しくないので、かくては渡航の許可が下付されたときには、すでに渡航目的が消失してしまうという悲惨なありさまであります。今や講和條約も国会の承認を受け、天皇の批准も得た今日、しかも奄美大島の主権は日本にあり、奄美大島住民の国籍日本にありと宣言せられた以上、すみやかに日本国土と奄美大島間の交通を日本内地同様自由にせられるよう格別の御配慮をいただきたいというのであります。  この自由航行の問題は、単に四十万奄美同胞の願望たるのみならず、実に八千万同胞のひとしく熱望するところであります。ここに四十万同胞は、右の目的が一日も早く達成するよう熱望しおるのであります。われわれは政府がこの問題に対して格別の御配慮をなしつつあるということを信頼はいたしておりますけれども、一日も早くこの請願の趣旨が実現するように、紹介議員としても特にこれを強調したいのであります。さらに第二の問題といたしましては、奄美大島日本間の為替送金に関する請願であります。奄美大島は元来鹿児島県大島郡として、有史以来日本固有の領土であります。しかるところ、昭和二十一年二月、連合軍総司令官マッカーサー元帥の軍事命令で、当時北緯三十度以南の諸島はわが国の行政権及ばずとして日本の行政権から分離せられ、爾来六箇年間、交通、貿易、送金、留学等その他すべて外国並に扱われ、四十万奄美同胞はもちろん、一般日本国民もひとしく極度の不便を忍んで来たのであります。奄美大島より日本に留学している学生は、僅少の官費留学生を除いて、私費留学生は送金の道なく、アルバイト等をやつて辛うじて勉学を続けておりますが、中には生活困難に陥り、遂に退学のやむなきに立ち至つた者も多数に達しており、あたら英才をむなしく挫折せしめている悲劇を繰返しております。また奄美大島への送金不能のために、郷里に在郷する父母、兄弟、子弟が病気、生活その他、必要のため送金したくてもかなわず、親子の扶養の義務も果せず、また近親者間の相互扶助の美風も中絶の状態にあるのであります。すでに対日講和條約も批准の段階にあり、主権も日本にあり、奄美大島住民の国籍日本にありと宣言せられた以上、同じ日本人として新憲法のもとに、基本的人権を保護し、かつ国民当然の権利を確保せしめるため、すみやかに奄美大島日本間相互の為替送金の自由を認めるよう、適切なる御配慮を願いたいというのが請願の趣旨であります。  本問題に対しても、政府は本国会において、これが実現を確約せられておるようでございますので、これを信頼はいたしておりますが、これまた一日も早く最後的目的を達することはもちろん、とりあえず便法をはかつていただいて、これらの解決を促進されたいと、紹介議員としても特に政府に要望する次第であります。以上説明を終ります。なおこれは適当の機会に説明をいたしますが、事きわめて重大でありますので、奄美大島日本完全復帰に関する請願についても、あらかじめ政府において、これが実現をするよう、あわせて要望いたしておきます。
  109. 守島伍郎

    ○守島委員長 これについて政府側の御発言を求めます。
  110. 草葉隆圓

    草葉政府委員 両請願の御趣旨まことにごもつともであると存じます。これらの盃美大島地域におきましては、請願にございますように、またただいま趣旨の御説明にもありましたように、昭和二十一年の行政権分離以来、航行の自由あるいは送金、貿易その他まつたく隔絶いたされております関係から、たいへんな不便ばかりではなく、その島民の方々の御心中を察しますると、まことに忍びがたいのであります、従いまして政府といたしましては、従来ともそうでございましたが、幸い平和條約におきまして、ただいまお話通りに、主権並びに国籍を認められることに相なりましたのでこれらの諸問題につきましては最善の方法を講じまして、請願の趣旨に沿うように努力をいたして参りたいと存じます。
  111. 上林山榮吉

    上林榮吉君 政府を代表して草葉政務次官から非常に熱意のある答弁を得たので、私期待をいたしておりますが、最初申し上げた通り、これは一日も早く最後の結論を得なければなりません。その結論を得るまでの間に多少の時間を要すると考えるのでありますが、とりあえず現段階においてこれらの不便をなくする処置、こういうものについては、政府はどの程度の便宜をはかり得るものかどうか、この点は私奄美大島関係者があまりにも極度の不便を忍んでおる現況を見まして、政府はこの点にも一段と御配慮願いたい、こう思いますので、あらためて政務次官の答弁を求めたいと思います。
  112. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ことにこの二十九度以南の行政権の分離されておりまする地域に対しましては、政府は従来ともすみやかに、ただいた請願にありましたような御趣旨を体するようにいたしたいと努力をいたして参つたのであります。さらにできるならば、現場に政府から参りまして、こういう点についてもいろいろとお打ち合わせ申上げたいというような意向すら持つておつたのでございます。従いましてこれは一日も早くお話通りに取急ぐべきものと存じますから、司令部等を通じますると同時に、近くそれらの機会等に十分政府の意を伝えまして、これが実現方に最善の努力をいたして参りたいと存じます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 これに関連して、上林議員のご発言を、われわれも立場は違いますが、絶対支持したいと思います。それで私の方からもやはり二十九度以南の諸島の主権が、完全に日本にすみやかに復帰するようにしてもらいたいという請願がたしか出ておると思いますが、できるならば、この場合あわせて御答弁願いたいと思う。参議院の條約委員会の速記録を読んでみますと、沖縄では戦争当時は満十五才以上の人は全部徴発された、小さい十七、八才の少女までが出かけた、この少女の人たちが軍隊の看護婦として第一線に立つて、手を焼かれ、胸を突かれて死んだ、そのなきがらを集めて今ひめ ゆりの塔というものをつくつて、当時の人たちの霊を慰めている。また小学校の小さな生徒たちが先生に引率されて、手榴弾を持つて敵のまん中に飛び込んで全部散華してしまつた。最後は小学校の生徒であつたのです。小学校の生徒までがこの郷土を守りたいということで戦つて、大きな犠牲を払つておるにもかかわらず、今これらの領土が、カイロ宣言あるいはポツダム宣言で見ましても、当然日本の完全な主権が守らるべき国であるにもかかわらず、沖縄の新聞を見ますと、この婦女の人たちが外国の軍隊から言いようのないはずかしめまで受けておるというような記事が乗つておるのでありまして、このことを考えますと、西南諸島の島民の皆様の心持というものは、言い知れぬものがあると思うのであります。しかも本年度の国家予算を見ますと、こういう西南諸島の学生で日本に来て勉強している人が、留学という形になつて、留学費として特別の費用を組んでおるのであります。われわれは今までまさかそれほどまでに行つてお るとは思わないにもかかわらず、すでに奄美大島、沖縄から日本に来て勉強することが留学であつて、特別の予算を日本の国の予算に組まなければならないという状態、またこちらから奄美大島に行くことすら、政府の許可がなければ外国の領土に行くのと同じ、あるいはそれ以上の制限を受けておる。それから沖縄あたりでは言語までが、最近では日本語ではなくして、沖縄の言語と英語をまぜたような言葉が使われておるというようなことになると、口では政府は主権は日本にあるといいますが、事実上は外国の領土であつて日本の領土ではないと思う。しかもこれは国際的な諸協定からいつても、何一つこういうことを正当づける理由がないにもかかわらず、日本政府がこういうことを許すということは、これは日本の領土の一部を外国に売ることになると思うわけです。私は党派を越えてこの問題については闘つて行きたいと思いますが、どうか政府も単に一片の口先の言訳だけでなくて、この島民の皆さんが断食までして、知事が先頭に立つて日本復帰運動をしているということをよくかみしめて、死力を尽して、この主権を完全に日本に、復帰するように努力していただきたいと思うわけでございます。このことについては私の方でもたしか請願が出ておると思いますが、本日どういうわけですか、私ども請願は御討議にならないようでありますので、いずれその際また見解を申し上げたいと思いますが、あらためて政府に私たち共産党としても、日本人である限り希望しておきたいと思います。
  114. 黒田寿男

    黒田委員 私も上林山君の御紹介になりました請願の趣旨には全幅的に賛成いたしますが、この際ちよつと政府に承つておきたいと思いますことは、先般この国会の始まる前でありましたか、始まつてからすぐでありましたか、政府が正式に星島氏ないしだれかを帰美大島その他に派遣して、事情を調査し、かつ島民諸君の現在の希望、心境というようなものをも詳しく聞いて帰る、こういうことになるのだというここが新聞で報道せられておりましたが、それがいかなる理由でありますか、今日まで実現されておりません。それにつきまして、私はこの企ては非常にいいことだと考えますが、なぜ先ほど新聞に報道せられていたようなことが、いまなお実現されていないか、その事情をちよつと承つてみたいと思います。
  115. 草葉隆圓

    草葉政府委員 これは実は従来この奄美大島、沖縄の方面から熱烈な請願と申しますか、島民の方々の意思を伝えているくな形で参つております。外務省等にも十数万の連署を持つておいでになる、またいろいろなただいま申し上げましたような方法で、現在の航行の自由、為替送金その他の点についてのことを承知をいたしておつた次第でございます。従いまして終戦後相当長い間、このような状態になつておりますので、代表者の方々とはよくお会いして、その意向等も十分承知いたしておるつもりではございますが、しかし最近政府等が考えておりますことなり、また国際情勢等についても、親しく参りましてお打合せを申し上げるような機会等もつくつたら、というような考えも実は持つておつたわけであります。それでただいまお話のありましたような、だれか向うの方に伺つてという計画も事実持つておるのでございます。しかし最近幸いに国会でも平和條約の承認をいただきまして、ようやく今明日手続が完了するという状態でございますから、もうしばらくいたしまして、もう少し固まつて行く方が——もう少し早かつたらかえつてよかつたのでございますが、今になりますと、もう少し先になりまして、内容がもうちつとはつきり固まつてから、このようなやり方をする方がいいのじやないか、かように実は考えておるのであります。
  116. 黒田寿男

    黒田委員 そうしますと、このことについていま一点だけお尋ねしますが、今日まで派遣の件延び延びになつておりますのは、わが国の事情だけでございますか、それとも占領国に何か考えがあつて、今まで実現しなかつたのであるか、その点ちよつと参考のためにお聞きしておきたい。
  117. 草葉隆圓

    草葉政府委員 こればこちらの方で、ただいま申し上げましたような事情にございますので、いわゆる主権は日本に与えられましたものの、これらの二十九度以南の地域につきましては、アメリカ政府日本とが相談し合つてきめることになつておりますので、もう少しいたしますと、だんだんその具体的な内容がはつきりいたしますし、また日本政府も十分希望を伝え得る機会もありますので、これらの問題ともあわせた方がいいのではないかというのでございます。
  118. 並木芳雄

    並木委員 この請願の趣旨に関する要請というものを、関係方面にむろん今までやつておるのだろうと思いますが、最近では、いつ、どういう方法で申し入れてありますか。
  119. 草葉隆圓

    草葉政府委員 従来ともこれらの北緯二十九度——従来は三十度でありますが、以南の地域からは熱烈なる請願が、直接外務省あるいは司令部その他関係方面にそれぞれなされておりましたので、外務省といたしましても、その意思は十分伝えて連絡をいたしております。ごく最近におきましても、熱心にあるいは文書で、あるいは直接においでになつて、これらの意思を十分承知もし、またこれらの方々が直接司令部においでになり、その事情を訴えてお進めになつておるのであります。これらの点については、外務省といたしましても連絡をとつてつておるのでございます。
  120. 並木芳雄

    並木委員 ちよつと、次官の声がだんだん蚊の鳴くような声になつてしまつて聞えなかつたのですが、政府として正式に関係方面に最近いつ申し込まれたか。文書によつてか、口頭によつてか。
  121. 草葉隆圓

    草葉政府委員 ずつと條約の協議にあたつては、吉田総理からも申し上げ達した通りに、南西諸島、南方諸島の問題及びその他の分離地区の問題につきましては、今までの話合いの間に常に政府の見解なり、熱望なりを伝えて参りましたことは、従来ともお話を申し上げ、御答弁を申し上げた通りでございます。ただいまは最近にどういう情勢であつたかというお話でございますが、その後におきましては、これらの地域から熱烈ないろいろな要望なり、請願等がございましたので、これらの点を伝えて参つておるのでございます。
  122. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまの日程第三及び第四の各請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  124. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に日程第一、平和條締結国代表を貴賓として歓迎に関する請願花村四郎紹介、第一一〇八号を議題といたします。紹介議員がお見えになりませんから、専門員よりその趣旨の説明を求めます。
  125. 村瀬忠夫

    ○村瀬専門員 本請願の要旨を簡略に申し上げますと、平和條締結国代表を貴賓として歓迎し、国民の真意を示すことは国民当然の義務でありますし、またこの外交によつて国家再建に、資する使命は重大であると思われるから、各国の講和に対する批准を待つて講和に尽された各国の代表者を東京に招き、国民感謝の意を表するとともに、親しく日本の国情を認識せしめられたいという意味のことであります。
  126. 守島伍郎

    ○守島委員長 政府側から何か御発言はございませんか。
  127. 草葉隆圓

    草葉政府委員 特別に意見を申し上げる立場ではないと存じます。いわゆる国民感情の意を表わすという御趣旨でございますから、別にかれこれ申し上げる筋合いではないと存じますが、ただ平和條約が締結されまして、今ただちにかような方法をとりますことがいいか悪いか、この請願の御心中は私どもも了解し得るのでございますが、しかしその方法なり、やり方というものは、国際的に影響する問題が多いと思いますから、ただここにありますこの精神をくんで、今後関係国間の友好を厚くして行くということには、当然努力すべきものだと思います。
  128. 並木芳雄

    並木委員 紹介議員がいないからちよつと困るのですが、非常にこれは疑問が多いのです。たとえばこれを国会で取上げ、政府として取上げるならば、貴賓とは何ぞやという問題もあるし、紹介者がいないので、これは質問ちよつとできませんので、留保したらどうですか。
  129. 守島伍郎

    ○守島委員長 これは次会まで留保いたします。     —————————————
  130. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に日程第二、未帰還者引揚促国民運動推進等に関する請願坂本泰良紹介、第一四四九号を議題といたします。紹介議員がおいでにならないようでございますから、専門員よりその趣旨の説明を求めます。
  131. 村瀬忠夫

    ○村瀬専門員 簡略に要点を申し上げますと、海外の未帰還者引揚げ促進については、そういう人たちの願望がいれられて、講和條約の中にも挿入せられたことは非常に感謝にたえないが、この際同胞愛を結集して国際信義に訴え、一日も早く海外引揚げを完了するために、強力な国民運動を推進するとともに、過去六箇年にわたる耐乏に耐えかね、前途に希望を失つている留守家族の物心両面の困窮は真に目に余るものがありますから、これに国家的な生活援護をはかるよう御措置を願いたいという請願であります。
  132. 守島伍郎

    ○守島委員長 御質疑はございませんか。
  133. 並木芳雄

    並木委員 これに関連して次官にちよつとお尋ねしておきたいと思うのです。案はフィリピン方面にはまだ未帰還者があるのでございます。これは私信でございますけれども、私のところに届いた手紙を見ますと、引揚げの一行に漏れてしまつて、ジャングルの中に残つておる、こちらから通信などが行つても、その通信が雨ざらしになつてしまつてなかなか届かない、内地の事情もさつぱりわからない、山の中へ入つたままだ、たまたまその中の一人が死を決して脱出して、最近引揚げて来てそういうような事情がわかつたのでありますけれども、こういうところには日本の方から捜索隊というようなものを派遣して、そうして山の中などに入つてつて、まだ引揚げない人を探し出すという方法はとられないかどうか。遺骨の引揚げというような問題も、たまたま話に上つておる際でございますから、国内で引揚げ促進を唱えることも大いにけつこうですけれども、この際一歩を進めて、積極的にこういうところへ捜索隊を出して、漏れなく引揚げができるようにやることも、国民運動推進の一環ではないかと思うのですが、御所見をお伺いしたいと思います。
  134. 草葉隆圓

    草葉政府委員 実はこの未帰還者の引揚げ促進と申しますものの中心は、国の力をもつて帰るべき人が帰らない状態にある場合においての未帰還者の引揚げという運動が従来の運動であつたと存じます。お話のように、そうではない地区において、国の政策としてはポツダム宣言によつて一日も早く返そうとしておる場合においても、当該者があつても、それがわからぬために、引揚げて来られない状態にあつた、——たとえばアナタハン島のような問題、その他最近ときどき情報等で、ただいまお話のようなことが、あるいは皆無ではないかも存じません。しかしこれらの場合におきましては、わかりますと当該政府と十分連絡をとりまして、引揚げ可能な状態になつて参りますから、さような情報を今後とも御入手になりましたら、政府に御連絡いただきますれば、政府から向う政府へ十分伝えて参りますと、最善な方法をもつていたしてもらえるものだと確信をいたしております。
  135. 菊池義郎

    菊池委員 ジャングルの中に入つて、そうして原住民を嫁にもらつておるのが相当あると思います。その方が彼らのために幸福なのであります。そういう連中をわざわざこちらへ呼びもどすということは、罪の深いことでもありますし、そうして生活地獄の中に送り込むことは、これは国策としてもばかばかしいことである。むしろそのままにしておいた方が国策的にもいいと私は考えます。
  136. 中山マサ

    ○中山委員 これは新聞の記事でございますから、どこまで真実性があるか、私一度引揚委員会で調査してもらいたいと思つておるのでございますが、新聞に出ましたことに、樺太から命がけで脱出して来た人が、まだ樺太には三十万おると言つておる。それから中共方面から脱出して来た人も、まだ中共には二十万おるということを申しておりますが、むろん手放しに信ずることができるかどうか存じませんけれども、脱出して来た人がそういうふうに言うのだから、まだ相当数おると信じなければならぬと思います。もう一つの問題といたしましては、この間ある未帰還者の家族の方から私の方にたよりがありましたが、この間その人のところで、ある人が殺人の容疑で監獄にほうり込まれた。ところがその人の頭が少しおかしいというので、いろいろな鑑定をいたしまして、その殺人の容疑は解けたそうです。ところがその監獄におります問に、一日二百三十円の手当をもつて、出獄するときには二百三十円の日当をつけられた。しかるに未帰還者の家族に対する手当は、この間の引揚委員会で千円を千五百円にすることすら、まだ政府考えていないというような大蔵省の方からの御答弁がありましたが、外務省にこういうことを申し上げては、あるいは筋じやないかもしれませんけれども、やはり引揚げの問題は外務省の直轄でもございますことですし、予算の面におきましても、こういうようなまことに不合理なことが行われておる。外国に抑留されておる人の家族に対する手当は薄く、国内において犯罪の容疑者には、容疑が解けたときには二百三十円の日当を出すことは、どうも自分たち留守家族としては腹にすえかねるという通信をいただいたのでありますが、外務省におきましては、樺太に三十万、中共に二十万というような、そういうことに関して、何かお聞き及びの点があるか、あるいはさつき言いました新聞をごらんになつたかどうか、そうしてそれをどうお考えになつているか、ひとつお聞きしてみたいと思います。
  137. 草葉隆圓

    草葉政府委員 情報ではただいまお話になりましたようなことを承知いたしております。しかし確実なことが実はつかみ得ないので苦慮をいたしておる次第であります。従いまして、やむを得ず国内の留守家族について調査をいたしましのが、先般発表いたしました数字でございます。おそらく実際にはその数字よりも上まわつておるのではないかと想像をいたされるのでございますけれども、現実には何ら確実な資料を持たないのでございまして、確実な資料は、留守家族について調査をいたしました資料だけでございます。なお今後留守家族の手当等の問題につきましては、お話のような、まことに不合理な点もあるのではないかと思います。これは今後財政の許す範囲におきまして方法を講ずべきものだと、外務省といたしましては考えておる次第であります。
  138. 黒田寿男

    黒田委員 私は、この問題は非常に重要で、また深刻な問題であると考えます。そこでいろいろと政府にもお尋ねしてみたいと思う点がありますし、それから私は紹介議員にもいろいろと質問したい点がございます。この問題についてはおざなりのことをやらないで、私どもこの問題の重大性を認識いたしますから、おざなりなことで、通り一片に、いいかげんに外務委員会で処置するというようなことをしないで、外務委員会といたしましても、引揚委員会の方だけにまかせておかないで、真剣にこの問題を考えてみるべきである。一体真相がどの程度わかつておるかということそれ自体が、私どもにはわかつていない。いいかげんなことに基いて対策を立てるということは、私どもにはできませんので、紹介議員の方もどの程度のこの問題に関する材料を持つておいでになり、それから国民運動というようなものが具体的にはどういう内容であるか、今までもよく国民運動ということがいわれておりますけれども、今まで行われたようなものにすぎないのであるか、それとも何か新しい国民運動の方法があるのか、何もわからないのであります。そこで問題の重要性を考えますから、私は今日採否いずれともここで簡単に決定してしまわないで、次会に留保いたしまして、紹介議員にも来ていただいて、ひとつ真剣に審議してみたいと思います。私はそういうふうに考えまする
  139. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかに御発言はありませんか。
  140. 中山マサ

    ○中山委員 今の新聞の問題でありますが、私はいずれ引揚委員会の方でこの人たちを呼び出してもらつて、その三十万、二十万ということにどこまで真実性があるか、私は聞いてみたいと考えます。今黒田委員お話もございますし、一々その切抜きを私はとつてありますから、その人々の所在地もわかつておると思いますから、ひとつそういうふうな人をここに参考人としてお呼出しくださいまして、お調べいただく御意思があるかどうか。
  141. 守島伍郎

    ○守島委員長 それではこの問題はほかの問題と一緒に次会に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時四十六分散会