○松尾
説明員 今お尋ねの対中共貿易についての
制限は、
ちよつと私の
説明が悪か
つたかもしれませんが、かなり
制限があるわけであります。ただケム・アクトとかあるいはバトル法との関係ということになりますと、御存じの
通り、ケム・アクトというものがもうすでに五一年の六月施行の法律であります。法律と申しますよりは、予算法の中の一
條文にすぎないのでありますが、これはことしの六月以降の問題であります。またバトル法の方はことしの十一月の二十五日から施行されます。これはケム・アクトというものが、最初に一九五一年の第三次追加予算法の一
條文としまして、そういう條項が入
つたのであります。その後その條項が、暫定的な性質のものであるというので、それを単独の法律にするということでバトル法が起草されたようであります。従
つてケム・アクトあるいはバトル法というものの精神とするところは、大体そういうソ連圏に対する戦略物資の輸出を
禁止するということでありまして、そういう戦略物資の輸出をする諸国に対しては、
アメリカのいろいろな援助を停止するという法律なのであります。従
つてもちろん現在の
日本の輸出貿易
管理令の運用というものは、このバトル法の精神でも
つて動いているというよりも維持をしておるわけであります。バトル法がケム・アクトよりもあとでございますが、朝鮮動乱が昨年の半ばに起りまして、中共軍が朝鮮動乱に介入された結果といたしまして、国連におきましていろいろの措置がとられた。その一環として昨年の暮れから
日本の方もおおむね国連のやり方に歩調を合せるということで、対中共輸出に非常に
統制がされるようなことにな
つたわけであります。精神とするところは大体同じような方向に動いておるわけでありますけれ
ども、今
日本の法制がバトル法なりケム・アクトによ
つて直接影響を受けているかどうかということになりますと、少し理論的にはむずかしいのであります。ただ偶然といいますか、そういうような方向にな
つているというだけであります。かなり時間的なずれもありますが、そういうような状況なのであります。
それで今お尋ねの現実の物資でございますが、輸出貿易
管理令の別表の第一に多数の許可品目を掲げておるわけであります。その許可品目には、いわゆる戦略物資といわれるものと、それから
日本側の輸出物資の価格をある程度調整をしようというふうな目的、あるいは需給の調節をしようというふうな目的でも
つて掲げておるものとが一緒にな
つて別表の中に入
つておりますので、この物資全部が中共向けに輸出を
禁止されているとか、あるいは非常に特殊な取扱いがされているというようなことは言えないのでありますけれ
ども、大きな分類にいたしまして三十二品目の輸出物資が許可を要することにな
つております。そのうちで司令部のいわゆるヴアリデーシヨンを要する品目がほんとうの戦略物資にな
つております。司令部のヴアリデーシヨンを得ない
日本政府だけで輸出許可のできる物資が若干あるわけであります。これは別段戦略物資でないわけでありますので、もしドルでも
つて買われるとか、あるいは先ほど申しましたようなバーターでも
つてある程度の輸出ができるということであります。もちろんバーターということになりますと、これはやや法律的な
説明になりますけれ
ども、標準外決済ということになりまして、その標準外決済としての許可もまた必要となるという制約はございますが、今申しましたように戦略物資以外のもの、いわゆるスキャツプのヴアリデーシヨンを得ない物資につきましては、そうむずかしい制約はないというふうに御了解願いたいと思います。