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1951-11-15 第12回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 並木 芳雄君    植原悦二郎君       菊池 義郎君    近藤 鶴代君       仲内 憲治君    松本 瀧藏君       山本 利壽君    林  百郎君       高倉 定助君    黒田 寿男君  出席政府委員         法務事務官         (法制意見第二         局長)     林  修三君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君  委員外出席者         外務事務官         (国際経済局第         二課長)    永井三樹三君         外務事務官         (管理局渡航局         長)      星  文七君         農林事務官         (大臣官房調査         課長)     齋藤  誠君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 十一月十三日  委員池田勇人君及び橋本龍伍君辞任につき、そ  の補欠として佐々木盛雄君及び大村清一君が議  長の指名で委員に選任された。 同月十五日  理事山本利壽君の補欠として並木芳雄君が理事  に当選した。     ————————————— 十月十三日  平和擁護に関する請願(黒田寿男君紹介)(第  一二〇六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  旅券法案内閣提出第二八号)  国際連合食糧農業機関憲章を受諾することにつ  いて承認を求めるの件(条約第七号)     —————————————
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず旅券法案議題といたします。質疑を許します。黒田君。
  3. 黒田寿男

    黒田委員 私はこの前の委員会のときに、第十三條の五号について法務関係の方に「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為」とは、具体的にはわが国のいかなる法律をさすものであるかということについて質問をしたのでありますが、そのときは具体的なお答えがありませんでしたので、その点をあらためて法務関係政府委員より、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 林修三

    林政府委員 お答えいたします。実は前会のときに出席しておりませんので、間接伺つた関係上、あるいは御質問に対するお答えが不十分な点があると存じますが、その点はもしそうでございましたら、再度御質問がありましたらお答えいたします。  この第十三條第五号の大体の立法趣旨考え方といたしましては、憲法第二十二條第二項で海外渡航等についての自由を認めております関係上、これを制限いたしますということは、やはり憲法建前からいいまして、公共福祉相当理由がある場合に限られることは申すまでもないことであります。その公共福祉相当理由のあります場合の制限規定として、ここに一号から五号まであげておりますが、その場合に旅券発給を拒否する、そういう外務大臣判断をいたします際の基準は、なるべく具体的であり、なるべく基本的人権の尊重に欠けることのないようにという意味で、この第五項もここにいろいろ修飾を加えておるわけであります。お尋ねの「著しく」というのはもちろんそういうおそれのあることが非常に顯著にわかつておる、非常に顯著であるということであります。それから「直接に」ということは、この場合拒否する理由とそのおそれがある行為との間に直接関係がある場合、間接でない、これはたとえばどうかと思いますが、風が吹けばおけ屋が繁昌するというような関係ではもちろんない。非常に直接のつながりがある。そういう場合にだけ拒否できる、そういう意味基準を厳格に書いたつもりなのでございます。大体そういう考えに基きましてこの五号を書いたわけでございますが、具体的にどういう事例ということは、もちろん個個に具体的問題に当りますと、いろいろの場合が想定せられますし、一概にこういうことであつたとも申し上げかねると思うのでありますが、要するにこの法文に書いてあります通りに、外務大臣において非常に顯著にかつ危険が直接に認められる理由相当ある、そういう場合には拒否できる、そういう判断基準をここで明らかにした、こういう趣旨でございます。一応の具体的な例につきましては、前会外務当局からも御答弁があつたかと存ずるのでありますが、一概に実は申し上げかねる点もあるかと存じます。
  5. 黒田寿男

    黒田委員 ただいまの御答弁程度のことは、実はこの前承つたのでありますが、しかしそれではきわめて抽象的な説明になりますので、私の質問に対するお答えにはならぬと思う。私は具体的にはどういう法律に当る場合が「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為」になるのか、具体的に法律示していただきたいと申したのであります。たとえば人を殺す場合、法律の上で、殺人罪という行為規定し、これを処罰する法律があるから罰せられる、その規定がなければ罰せられない、そういうふうになるのでありますから、そこでこういう抽象的には「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為」というのは、具体的にはどういう法律できめられてある行為であるか、法律がなければ、たとえばこういう行為があつても罰することはできないというのが、わが国民主主義建前である。すべてこのような行為のあつた場合において、特定の人に差別待遇を与えようとするときは、法律に基かなければならぬという建前でなければならぬと思う。具体的にお話願いたいと思う。
  6. 林修三

    林政府委員 この第十三條の第一項に基きます外務大臣処分は、これは御承知の通り行政処分でございまして刑事処分ではございません。従いまして、この場合は、ここに五号に書いてある通りに、ある程度相当そういうおそれがあるという場合に、旅券発給を不適当とする場合の基準を書いたわけでございまして、必ずしも国内法刑罰法令のどの場合に当るというだけに限るわけではないのであります。ここの第五号の判断によりまして「日本国利益又は公安を害する行為に行う虞がある」という場合には、必ずしもそれが国内刑罰法令に当る場合だけではない、かように考えております。
  7. 黒田寿男

    黒田委員 それでは国内法令に当る場合はどういう場合ですか。あなたの今おつしやつたの国内法律に該当する場合もあるし、法律に該当しない場合もある、こうおつしやつた。該当しない場合というのは私は聞いたことがありません。法律に該当する場合というのはどういう場合であるか、まずこれをお答え願いたい。
  8. 林修三

    林政府委員 これは初めにもお答えいたしました通り、実はいろいろあると思うのであります。あるいは外国為替管理法違反行為をするというような場合もございましようし、あるいは麻薬取締法違反行為をするおそれがあるという場合もありましよう。あるいは銃砲刀剣類等所持取締令違反行為をするおそれのある場合もありましようというように、例をあげればそういう場合も、あることと存じます。
  9. 黒田寿男

    黒田委員 そういうようにお答えくださればいいのです。そのぐらいなものですか、もう少しありはしませんか。政府として国民にできるだけ親切に、具体的な例を明らかにお示しになつて置く方がよい。たとえばわれわれが海外に旅行しようと思うときに、この第十三條第五号にぶつかる。われわれは法律標準にして判断するのです。法律標準にしないでは、ただ漠然と、自分のやろうとしておることが、「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する」だろうかどうかということは、われわれには判断できないのであります。その基準を示すのが法律である。その法律があることが、われわれが安心して国家生活を営むことができる基礎になつておるのでありますから、それを明らかにしてもらわなければ、われわれは判断することはできぬ。だから今示された法律のほかに、私はもつと親切にお示しを願いたいと思います。これは今後のこともありますので、この際できるだけ詳しくお話願いたいと思います。
  10. 林修三

    林政府委員 実は私の方として一々の法律をあげるのはなかなか困難であろうと思うのでございますが、この点につきましては外務当局よりもお話があろうかと思います。しかし大体の考え方といたしましては、先ほど申しましたように、外務大臣判断をいたします場合の基準を、立法技術的には相当具体的にここに書いたつもりでございまして、これだけの條件があれば、やはり相当判断は愼重を期せられますし、またこの判断に対しては異議申立ての手段もございます。またその異議裁定が違法な裁定であれば、当然訴訟の道もあるわけでございます。そういうことによつてこの十三條の運用の適正が期せられると思うのでございます。例はいろいろあるかと存ずるのでありますが、今ここで私がお答えいたしますよりは、あるいは外務当局からお答えくださつた方が適当じやないかと存じます。
  11. 黒田寿男

    黒田委員 それではこれは法務関係でも外務省でもよろしゆうございますが、日本法律に定められてない行為であつて、しかもなお日本国民として「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為」と認められるような場合は、一体どんな場合でありましようか。日本国利益を害し、あるいは公安を害するというのは、具体的にはこういう場合であると法律できめてあつて、これに当る場合に利益を害し、公安を害することになるのだ、それ以外のものは法律には触れない、すなわち「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する」行為にならぬのだ、こういう標準で私ども日本国民として生活しておるのであります。このことは皆さんにもおわかりになつておると思います。法律に定めてある以外の行為で、かつて政府行政的な認定で、「著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為」を日本国民がやつておると、行政官庁から認定せられては、国民法律生活の安定はありません。私はこれを言つておるのである。だから法律にないことで、しかもなお「日本国利益又は公安を害する行為」というのは、それではどういうことか、これを私は聞いておきたいのであります。
  12. 林修三

    林政府委員 先ほど私の言葉が足らなかつたかと存じますけれども、ここに書いてございます通りに、一応の予防的な情勢判断でございまして、その行為が実現した場合に大体刑罰法令に触れる行為、こういうふうに考えるわけでございます。必ずしもすべての刑罰法令で罰しておるわけでもございませんので、当然にその行為刑罰法令に触れなくても、それが実現性があります場合に、相当刑罰法令に触れるおそれのある行為、こういう場合にはある程度判断ができるのじやないか、かように考えておる次第であります。
  13. 黒田寿男

    黒田委員 これは外務省関係の方にお尋ねしたいと思いますが、今回の旅券法案の中に初めて第十三條のような内容を持つ條交が設けられたのではなかろうかと私は思うのでありますが、従来ありました昭和二十五年一月二十一日、政令第十一号連合国最高司令官の許可を得て海外渡航する者に対して発給する旅券に関する政令、それからもう一つ外国旅券規則昭和十年七月二十二日外務省令第八号、この政令なり規則なりには、今回の旅券法案の第十三條のようなものはなかつたと思うのであります。なぜ今回の旅券法案限つて、このような條文を設けられるようになつたのであるか。今までなくて済んでいたものを、特に今回新たに設ける意味はどこにあるか、この点をお伺いしたいと思うのです。これは先ほども法務府の方が申されましたように、元来私どもは旅行の自由というものを認められております。これは日本憲法で認められておるだけでなく、大体、世界的にどこの国の人も日本に自由に来ることができ、また日本からどこの国にでも行けるようになるというのが、理想でもありますし、またそういうように次第になりつつある。国際間の各国民の相互の出入国関係の趨勢は、そういう世界主義の方向に進んで来ておると思う。そういう全般的傾向から見まして、これに反した内容を持つような條文にこの條文がなるのではなかろうか、そういうおそれがあると思うのです。特にこの條項を設けました理由を念のためにお聞きしておきたいと思います。
  14. 倭島英二

    ○倭島政府委員 このたびの法律は、従来行われておりました政令趣旨を大体くんでおる点で、こういうような関係考えられましたのが一つと、それから従来戰争以前にありました外務省渡航関係規則にはなかつたが、これが入つたのはどういうことかという御質問でございます。従来も旅券発行については規則には書いてありませんが、大体この條文にあるようなことも含めて、ある程度旅券発行が行われておつたわけであります。それからまたほかの国の例を申しますと、国によつて旅券規則そのものにこういう規定は書いてない国がありますが、実際問題は行政措置によつていろいろその先例が設けられ、それに対しての司法的な判例もそろえまして、ここに書かれておるような一種の渡航についてのある程度制限行政上加えるということは、アメリカほか、大体そういうような先例になつておるわけでありまして、特に日本がこれについて全然そういうほかの国の例とは反したかつこうで、こういうものを設けるということではないと存じております。
  15. 黒田寿男

    黒田委員 従来の規則ではどういうところにそれが書いてありますか。ただ全般趣旨から言えばというのではよくわからぬのであります。たとえば外国旅券規則のどこにこの第十三條に当るようなものがあつたのでありますか。私はないと思いますが、あつたのでしようか。
  16. 倭島英二

    ○倭島政府委員 従来の憲法建前法律建前では、外務大臣自由裁量になつてつたわけであります。しかしながらこれに書いてありますような趣旨は、外務大臣の方でよく含んで自由裁量行つてつたわけであります。
  17. 黒田寿男

    黒田委員 そうすると規則の上にははつきりとは書いてなかつた、こういうのですか。
  18. 倭島英二

    ○倭島政府委員 戦前旅券規則には書いてございません。
  19. 黒田寿男

    黒田委員 そこで私は従前の規則には書いてなかつたのに、特に今回こういうような非常にいかめしい條文が挿入されたものですから、その理由をお聞きしてみたのであります。外国の例にあると言われましたが、これはひとつ資料としてぜひお示し願いたいと思います。
  20. 林修三

    林政府委員 従来の旅券規則になくて今度入れた理由について、今外務省の倭島管理局長から御説明がありましたが、ちよつと補足して申し上げます。  従来の憲法では、もちろんただいまの日本国憲法の第三十二條のような規定はつきりとはなかつたわけであります。従いまして当時におきましては、外務大臣のある程度裁量権が当然認められておつたわけであります。新憲法におきましてはこの二十二條規定がございます。従いまして旅券を交付する、しないということは、もちろんここでは外務大臣自由裁量をもつてやるべき行為ではございません。ある程度公共福祉に合うか合わないか、憲法二條、十三條の趣旨によつて公共福祉上の制限ができるということだと思うのであります。従いましてその公共福祉による制限がいかなる場合にできるか、こういう基準を厳格に書いたのがこの立法趣旨でございます。むしろその点は従来よりも人権の保障をはつきりさせる意味で書いたわけでございます。
  21. 黒田寿男

    黒田委員 そうしますと、ちよつと外務省の方にお伺いいたしますが、旅券規則には具体的に條文は設けてないけれども大臣自由裁量によつて、第十三條のような場合に該当したと認められたために一般旅券発給を拒否した。そういう例がありましたら、ひとつお示し願いたい。
  22. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今ここに具体的な例を持つて来ておりませんので、また適当な機会に御説明をしたいと思います。なおさつき御質問のときにありました外国の例でありますが、これもまたあとで提出したいと思いますが、米国の例を申しますと、忠誠を欠く行為のあつた者、福祉や国の政策に反する行為をする者、または国際信用を害するような者に対しては、旅券発給を拒否することができる、実際上拒否しておるというような例がございます。この関係はまたあと資料を提出したいと思います。
  23. 黒田寿男

    黒田委員 これ以上あまり長くは質問はいたしません。もう一点簡単に私の意見を申しておきます。今法務府の方が公共福祉のためにこういう條文を設けたと言われましたが、公共福祉という問題は、非常にむずかしい問題で、ある人はある行為公共福祉に反すると思うが、また別の見方からすれば、そうではないということにもなるので、公共福祉による憲法上の基本的人権制限という問題は、非常に重要な問題でありますし、また非常に議論のある問題だと考えます。そこで私どもからいえば、いいかげんに公共福祉ということを利用して法律をつくられては困ると考えております。これは抽象論でありますが、具体的にいいますと、今経済関係の一、二の法律法務関係政府委員から御説明になりましたが、まだ何かそれ以外に、特にこのような條文を設けなければならないような——公共福祉のために、特に第五号を設けなければならないような場合があるか、これについて、具体的に何か法務府の方でお考えになつておられるような点がございませんでしようか。
  24. 林修三

    林政府委員 私先ほど大体経済関係法令のことだけを申し上げまして、申し落しましたけれども、もう一つの例といたしましては、刑法の、たとえば内乱罪、国交に関する罪及び陰謀のようなことも予想されるかと思います。
  25. 黒田寿男

    黒田委員 そういうふうに具体的にいろいろとあげれば、まだいろいろあると思います。私の申したいのは、国民には抽象論ではわかりませんから、できるだけ親切に具体的に示す、かくかくの法律があるということは、それが公布せられておりますからわかつております。そこで、こういう法律に触れるようなおそれのある場合にはいけないのだぞということを、なるたけ私ははつきりと示していただきたいと思いますので、今まで御質問申し上げたのであります。  それからその次に、これは質問ではありません。先般お願いしておきましたが、第十三條の第一号に該当する外国法令、たとえばアメリカにしましても、フランスにしましても、イギリスにしましても、どういう外国人自分の国に入れない、そういう法令資料として御提出くださいますようにお願いしておきましたが、まだできておりませんでしようか。
  26. 倭島英二

    ○倭島政府委員 きようその具体的な例を持つて参りましたから、英国、ベルギー、濠洲米国、カナダ、ブラジル、メキシコ等について、現在政府の承知している関係資料として提出しておきます。
  27. 黒田寿男

    黒田委員 それをひとつ御配付願いたい。
  28. 倭島英二

    ○倭島政府委員 実はまだ少しタイプが遅れておりまして、この程度で持つて来ておりますから、これを委員会の方に提出するつもりでおります。
  29. 守島伍郎

    ○守島委員長 黒田君、もうよろしゆうございますか。
  30. 黒田寿男

    黒田委員 よろしゆうございます。
  31. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは旅券法案に関する問題は少しおきまして、次に国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件を議題といたします。質疑通告順に許します。北澤君。
  32. 北澤直吉

    北澤委員 食糧問題は日本でもきわめて重要な問題でございます。日本食糧問題は、結局、国際的な世界食糧需給と申しますか、これによつて非常に大きく影響されておるわけでありますが、先般FAOの総会に提出されました報告によりますと、世界主要穀物生産量は、戦前に比べて九%増加しておるにかかわらず、世界人口は一三%ふえており、食糧増加に比へて、人間の方がよけいふえておる、従つて食糧需給は、それだけ供給よりも需要の方が増加している、こういうような報告があるのであります。これについての今後の見通しでありますが、世界全体の食糧需給という問題につきましては、需要供給に比べてだんだんふえるというようなことになると思うのでありますが、いかがですか。
  33. 永井三樹三

    永井説明員 ただいまの御質問は、世界人口食糧との関係についての将来の見通しという点にあつたかと存じます。FAO報告におきましても、御指摘の通り、今後の人口増加食糧の増産とがつり合わない危険があることを述べておるわけでありますが、現在の世界食糧状況を見ますと、食糧全体についてそういうことが言えるわけで、これはFAOの指摘している通りであります。ただ純粋に内容をとつてみますと、たとえてみますと、小麦につきましては現在すでに需給関係が比較的バランスしつつあります。それに反して米につきましては、米食人口の増大と、米の生産回復が遅れているために、非常に緊迫した不足の状況が続いておるわけでありまして、一概には申せないのであります。その理由につきましても、人口生産関係という単純な数学的な関係のほかに、時々刻々の経済購買力生産関係が入ります。さらに生産回復しておらない事情の中には、技術的な問題のほかに、治安その他の政治的な状況もあります。食糧の将来の需給見通しというものは、世界的に見て、必ずしも簡單に一概に言い得ないと思いますが、ただ小麦については、回復の度が非常に早くバランスしつつあるように見受けられますし、米についても漸次事態は改善されつつあるようでございます。ただ全般的に常に人口食糧のバランスがとれてないという危険は、今後も世界的に見てあろうかと思つております。御質問お答えできたかどうか知りませんがこれで御了承願います。
  34. 北澤直吉

    北澤委員 ただいま御説明がありましたが、日本としては特に米の問題が最も大きいのでありまして、結局米は世界でも大体東南アジアにできる。ところが東南アジアの地方は、ただいま御説明がありましたように、治安その他の関係戦前ほどの生産に至つておらぬ。こういうことから考えますと、世界米食人口と米の生産供給というものとの間に、非常にアンバランスが出て来るというわけでありますが、世界米産地としての最も重要な地位を占めている東南アジアの米の生産状況は、一体現在どういうふうになつているか、戰前程度まで行くには大体どのくらいかかるか、そういうような見通しがありましたならば、参考までに伺いたいと思います。
  35. 永井三樹三

    永井説明員 東南アジアの米の状況は、結論的に申しますと、戰前のノーマルな時代より現在はまだはるかに以下にございます。戦前は、ごく大ざつぱに申しまして、東南アジアビルマタイ佛印の三国が主要な米の輸出国でございました。おおむねその三国でインド、マレー、日本、フイリピンその他の人口過剰な国への輸出を十分まかなつてつたの戰前状況でございます。インドシナ——現在ではヴエトナムとカンボジアでございますが、インドシナの米の生産はよくわかりませんが、輸出に向け得る数量は、戰前百万トンないし百五十万トンが平均でございましたのが、現在わずか二十万トン程度が見込まれる程度でございます。ただ戦前のレベルに達したのはタイだけであります。ビルマもその治安上、まだ戦前の半分くらいの輸出よりしかありません。今年も各地の米の情報を持ち寄つて検討する会合が、過般シンガポールで開かれました。そのときの情報によりましても、ビルマインドシナ回復はまだ非常に見込みが薄いという情報がありました。なおしばらくの間、両国の輸出回復するまでには時間がかかるのではないかと考えております。
  36. 北澤直吉

    北澤委員 ただいま御説明のように、米の生産がなかなか予想通りに進んでおらぬということになりますと、将来の世界における米の値段は一体どうなりますか。日本はどうしても相当量食糧、米を輸入しなければならぬ。従つて世界における米の値段が一体どうなるかということは、日本食糧政策に非常に重要な問題だと思います。そういうように米の供給人口に比較してだんだん少くなるということになりますと、結局世界における米の値段が上つて来るというふうなことになりまして、日本が輸入する場合に相当大きな問題になると思うのでありますが、一体将来世界における米の市場価格は、だんだん上つて来るというお見込みでありますかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  37. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 将来の米価についての見通しいかんというお尋ねでございますが、これは先ほど永井説明員からお話がありました、今後の世界需給状況のいかんということにも大きく関係しておるわけでありまして、世界全体を通ずれば、米麦を通じて戰後一時的には相当緩和するというふうな事態も生じて、そういうふうな状況におきましては、米についての不足がありましても、やはり世界全体の食糧関係から、それにつれて価格も安定して来る、こういうふうな足取りをたどつて参ります。また朝鮮動乱が起りましてからの世界的な経済的な影響をも受けました場合におきましては、価格もそれにつれて一時的に上つて来ておる。こういうふうな状況でありまして、米のみがこういう状況にあるから一方的に上るというふうには必ずしも考えられません。ただ現状においては動乱の影響を受けまして、価格もまたそれに伴つて日本に輸入するというような場合において、輸送費の増加というような影響を受けまして上りぎみになつて来る。こういう状況であります。
  38. 北澤直吉

    北澤委員 大体米その他食糧値段見通しにつきまして伺つたのでありますが、そういうふうに食糧供給人口とのアンバランスがあるわけでありまして、これは将来の世界食糧の問題に大きな影響を持つておると思います。そこで食べる方から申しますと、食糧値段が安定することが最も大事なのであります。この間もこの委員会承認した例の国際小麦協定も、結局国際的に小麦値段を安定させようという目的であると思いますが、このFAOにおきましても、世界における食糧需給調整、これと並んで農産物価格の安定、他にもいろいろの案を持つておるようでありますが、これが今日までなかなか実現しておらぬようであります。この政府説明書の中にもあるように、世界食糧局を設けるとか、あるいは基本食糧国際的割当をすることによつて食糧価格の安定、あるいは食糧需給調整をやろうというような試みを、このFAOにおいてもやつてつたようでありますが、これがなかなか今日まで実現し得ない状態にあるようであります。こういう問題にらきましては、今後FAOにおきまして本格的に取上げてやるような機運がありますかどうか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  39. 永井三樹三

    永井説明員 御指摘の通り世界食糧需給を安定させ、価格を安定させるということは、FAOの今まで一番関心を持つて来たところでございます。その具体的な提案が、御指摘の通り食糧局をつくるという提案として以前に現われたのでありますが、国際的にこういう企図を実現させることは、それぞれ生産国、輸出国、それから生産国、輸出国におきましても、いろいろ條件の違つた国々の意見をただすということは、必ずしも容易でありませんので、現在までのところ、一応の企図は実現せずに来ておりますが、需給を調整する、特に農産物は天候に左右されるために、非常に価格の変動がはげしい。これを何とか緩和するという問題、長期の安定をさせるということと、需給の面と価格の面とから安定させるということは、FAOの非常に関心を持つておるところでございますので、今後も必ずしも今まで行われたような形で実現して行くかどうかはわかりませんけれども、そういう企図はFAOとしてもあらゆる面から進めて来るものと考えております。
  40. 北澤直吉

    北澤委員 次にこれに関連して食糧対策の問題について伺いたいのでありますが、平常時においては日本における食糧の価格の方が、外国における食糧の価格よりも高いというのが現状であります。日本食糧の統制をしておる現在は、輸入食糧の方が高くて、国内食糧の方が安いのでありますが、統制がなくなれば、大体日本食糧外国食糧より高いのは当然であります。と申しますのは、御承知のように、日本の農業は非常に零細農でありまして、従つて日本におきまする農産品のコストが非常に高いということから、自然日本における食糧値段は非常に高いのであります。この日本における食糧値段が、外国における食糧値段より高いということは、結局日本の経済の根本に大きな影響があるのでありまして、結局これが将来日本外国貿易場裡に出て、外国と競争して発展をするというためには、どうしても日本品のコストを下げる必要がある。従つてコストの中で相当の部分を占めている食糧値段を下げて行くということが、将来日本が貿易を発展させる上に必要でありますから、現在の状態では、どうしても日本食糧値段は、外国食糧値段より高くなるという形勢があると思うのでありますが、一体政府日本におきまする食糧値段が、世界における値段よりもあまり高くならぬようにするために、どういうふうな方針を考えているか、この点を伺つておきたいと思います。
  41. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 ただいま、将来日本食糧の価格と輸入食糧の価格の乖離が、生ずることがあるではないかという御指摘があつたのでございますが、われわれ農業のことに携わつている者としても、その点については常に重要な関心を持つているわけでありまして、目下のところは、何よりも増産ということに重点を置いておりますけれども、常にその乖離につきましては、一面増産、一面農業経営の合理化ということを考えまして、将来これに対応する価格競争に十分たえて行くような方法をとるべき必要がある。従いまして、当面の食糧増産に、土地改良等の重点的な施策を講ずるという方法をとつておりますけれども、これはまた同時に将来に備える経営の合理化、生産費の切下げというような点を考慮した政策の一環であるわけであります。またかような方法をとりましても、たとえば麦のごときにつきまして、大量生産をやつている海外小麦が安価に入つて来るというような事態も考慮いたしまして、先般の関税法におきましては、かような事態に備えるためのある程度の保護関税を設けるような用意もされておるようなわけでありまして、そういうような事態をも考慮しつつ、常にその政策をとつて行く必要があるというふうに考えておるわけであります。
  42. 竹尾弌

    ○竹尾委員 関連して……。今生産の合理化ということを述べられましたが、生産の合理化につきましての具体的な御構想か何かございましようか。
  43. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 今申し上げましたことを敷衍することになると思いますが、結局農業の生産の合理化をはかるためには、日本のような小農経営の場合におきましては、一面、何よりも反収を増大するということと、他面に労働の合理化をはかつて行くという以外にはないわけでありますが、さしあたりの増産という面と同時に、生産のコストを引下げるという意味におきましては、反収の増大、つまり土地改良の推進ということにおのずから重点が置かれておるわけであります。しかし同時に畜産であるとか、あるいは機械の導入であるとかいつたような直接的なコストの引下げ、あるいは多角化による経営の合理化という点についても、十分考慮をいたしておるわけであります。
  44. 北澤直吉

    北澤委員 ただいま御説明がありましたように、日本における食糧の価格をなるべく下げるようにしたいということで、政府の方でもいろいろ御努力なされておることを了承したのでありますが、このFAO規定によりますと、たとえばFAOの任務としまして、天然資源の保全及び改良された農業生産の方法の採用、それからまた食糧及び農業生産物の加工、販売及び分配の改善、適当な国内的及び国際的農業信用の供与を目的とする政策の採用、こういうふうにいろいろあるのでありますが、こういうふうなことでありますと、日本は、FAOに参加しますれば国連から農業技術の改善その他についても、いろいろ援助を受けるのであるかどうか。あるいはまた、ただいまお話がありましたように、日本におきまして土地改良をするという場合、相当の金がいる。ここに書いてあるような国際的農業信用というようなことで、日本の土地改良のために、FAOのあつせんによつて外資を導入し得るものかどうか、そういう点について伺いたい。
  45. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 FAOを通じて、わが国の農業の技術的発展についての協力が得られるかどうか、という点についての御質問があつたわけでありますが、われわれとしても、もちろんFAOへの加入後におきましては、もしかような事態が生じますならば、当然これらを通じて援助を受けたいというふうに考えておるわけであります。ただわが国における農業は、東南アジアにおける農業と比べまして、比較的技術的にも進展しておるわけでありますので、今後どういうふうな技術援助を受けるかということにつきましては、一概には申せないのでありますが、ただ終戰後におきましても、司令部の好意によりまして、たとえば二四Dとか、DDTというような農薬の導入とか、個々の具体的な問題についてやはり相当の援助を受けるところがあつたわけであります。そういうような具体的な問題について、今後考えて行くということが考えられるのではないかと思うのであります。それから外資の導入についてはどうかというお話がありましたが、これについては、われわれとしては、具体的にどうだというふうなことについては考えておりませんけれども、過去の議事録等に現われた例から見ますと、たとえばオーストリアにFAOの調査団が派遣されて、その調査団の勧告に基いて、アメリカの経済協力局から融資の提供が行われたということを聞いておる程度でありまして、日本について具体的にどうかということについては、ちよつとお答えできかねます。
  46. 北澤直吉

    北澤委員 日本食糧問題というものも、これは日本だけで解決するものでなくして、結局国際的な関連において、日本食糧問題なり農村問題の解決をしなければならぬと思うのであります。そういう点から申しまして、日本は大いにFAOのような組織を利用して、国際的の関連において、日本食糧問題あるいは農村問題の解決に資してもらいたいと思うのであります。  そこでもう一点だけ伺つて私の質問を終りますが、このFAOにはたくさんの国が参加しておるわけでありまして、一九五一年六月末現在で六十六箇国入つている。そのうちでアジア関係の国が相当多い。たとえばアフガニスタン、あるいはビルマ、カンボジア、セイロン、中国、インド、インドネシア、韓国、パキスタン、フイリピン、シヤム、ヴエトナム、こういうふうに東南アジア関係の国が非常に多いのであります。もちろんこれはアジアには農業国が非常に多いわけでありますから、当然であります。こういう点から申しまして、日本東南アジアとのいろいろな経済協力の問題があるのでありますが、農業の面におきまする日本東南アジア諸国との協力ということは、相当大きな問題であろうと思うのであります。現にアメリカの後進国開発計画、あるいはイギリスのコロンボ計画というようなものを見ましても、東南アジアの農業開発については、相当のウエートを置いておるというふうにわれわれは見ておりますので、私はこういうふうな東南アジアの経済開発に関連して、日本が農業の面で、この東南アジアの経済開発に協力するということが、日本東南アジアとの善隣友好の関係を増進する上に、最も適当なことであろうと思うのであります。大ざつぱに申しまして、日本の農業技術は、東南アジアの農業の現状を見ますときに、はるかに図抜けておると思うのでありまして、こういう面におきましては、日本東南アジアの農業開発に、相当援助し得る立場にあると思うのであります。それによつて東南アジア食糧の増産をはかり、そうして日本に対する東南アジアからの食糧の輸入に寄与し得る点から申しましても、日本東南アジアの農業等の開発に大いに協力してやる必要がある。特に現在日本ではパルプが非常に欠乏しているわけでありますが、東南アジアには相当林産資源があるのであります。こういうふうな東南アジアの林産資源の開発にも、日本が協力して、これによつて林産資源の日本に対する輸入を増進するというようなことも考えられるわけであります。従いまして、私はこういうふうな農業、林業の面におきまして日本東南アジアの開発のために、英米その他と協力して積極的に努力するということが、最も時宜に適したことでないかと思うのでありますが、そういう点につきまして政府はどういう考えを持つておるか、それを伺つて私の質問を終ります。
  47. 永井三樹三

    永井説明員 ただいま御指摘の通り東南アジア諸国の経済開発に協力するという面において、農業の開発援助に大いに協力するという点はまつたく同感でございまして、FAOにおきましても、これに対して非常な協力を盡しております。日本がこれに参加いたしますれば、なお今の東南アジアの開発に、これを通じてまた一層積極的に参加し得ることとなると考えております。
  48. 守島伍郎

    ○守島委員長 竹尾君。
  49. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私はきのうちよつと関連して質問したいと思つていたのですが、その時間がありませんでしたので、簡単に一、二問お尋ねいたします。  加盟国の問題になりますけれども、昨日政務局長は、このFAOは政治的意味を含まない機関である、こういうぐあいに御答弁されております。外務当局といたしましては、そう答弁されるのがあるいは当然かと存じますが、どう考えましても、私はこの機関はやはり大きな政治的意味を持つておると思いますが、この点につきまして、もう一度お答えを願いたいと思います。
  50. 島津久大

    ○島津政府委員 私昨日申しましたのは、この機関が食糧、農業というような具体的な問題に関します専門的な機関であるという意味で、政治的なものじやないというふうな御説明を申し上げたのでございます。政治的という意味の御解釈次第と思います。全然政治と関係ないということももちろん断言できないわけでございますが、大きな国際的な協力ということが、政治的な意味があるということになりますれば、もちろんこれは政治的な意味があるわけでございます。私が申し上げましたのは、具体的な食糧や農業の部門、そういう部門の専門的な機関という意味で申し上げたわけでございます。全然政治的の意味がないということは申し上げなかつたと思います。
  51. 竹尾弌

    ○竹尾委員 この機関の中にコミンフオルムの加盟国が、全然入つていないとは申し上げられないでしようが、ほとんど入つていない。これはやはりそれに関連して入らない何か理由があるのでございましようか。  それからここでハンガリーが一九五一年一月に脱退しておる。これはどういう理由のように御解釈になりましようか、ひとつお伺いします。
  52. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいま御指摘のような国が入りません理由は、どうもはつきりわからないのでございます。これはただ私だけの想像でございますが、やはりこの機関に全面的に入つて協力するという点において、何と申しますか、積極的に協力する気持がない面があるのじやないか。一応想像でございますが、よくわかりません。
  53. 黒田寿男

    黒田委員 ちよつと政府にお尋ねいたしますが、日本はまだ国際連合に正式の加盟はいたしておりませんが、国際連合に加盟しておる国と、しからざる国との間にFAOに参加した場合に、何か権利義務の関係についての差があるのでありましようか。
  54. 島津久大

    ○島津政府委員 全然差はないと思います。
  55. 黒田寿男

    黒田委員 念のためにもう一度。このFAOの場合は、これははつきりと国際連合の専門機関ということになつております。しかし日本はまだ国際連合には参加していない。この二つの事実があることを考えに入れまして、国際連合に入つていなくても、むろんFAOには加入できますから、今日このことが問題になつていると思うのでありますが、この国際連合の専門機関は、国連との間のいろいろなとりきめをするという関係があります。そのとりきめをいたします場合には、FAOの総会でFAOともての意思を決定するわけであります。そうしますと、国際連合に加盟していない国が、国際連合の専門機関の意思決定に参加できるということになると思いますが、この点何か差別を受けるようなことはありませんでしようか。国際連合の専門機関の意思決定の場合に、国際連合加盟国でない日本が、加盟国と同じような発言権なり表決権なりを持てるか、差別待遇を受けることはないか、こういう点でありますが、これをお伺いしておきます。
  56. 島津久大

    ○島津政府委員 この機関に関する限り、何らの差別はございません。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと関連して……。竹尾委員からの質問で、社会主義国あるいは人民民主主義国がこれに全然加盟しておらない。それが加盟しておらないということは、何か協力するに都合の悪いことがあるのだろうというような、非常に抽象的な説明なのですが、どういう都合が悪い、なぜそういう意思が出て来ないとお考えになりますか。
  58. 島津久大

    ○島津政府委員 別に具体的な資料を私持つておりませんので、ただ個人の想像として申し上げたのでございまして、さしさわりがございますならば、取消しをいたします。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 取消されちや困るので、内容を聞きたいわけです。取消されたんじや、けんかにならない。ハンガリーが一九五一年一月二十六日に脱退した、この理由は何でしよう。それはお調べでしよう。
  60. 島津久大

    ○島津政府委員 判明しておりません。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 判明しておらないだけじや、どうも責任を果したことになりませんので、決して討論の材料に使うためにやるのでありませんから、率直にお答え願いたい。私はこれは討論をやらないつもりですから、安心してもう少しもしわかつた説明していただきたいと思うのです。
  62. 島津久大

    ○島津政府委員 取調べることにいたしますが、今日までこの機関から発表になつております文書には、その間の事情が記載してございませんので、わかりません。
  63. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それでついでにひとつ取調べていただきたいと思うのですが、イタリアが入つておらないようですが、これはどうなのでございましようか。
  64. 島津久大

    ○島津政府委員 イタリアは入つております。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 表決数はどうなつておりますか。これは一国一票で多数決ですか、それともやはり分担金の割合による表決数でありますか。
  66. 島津久大

    ○島津政府委員 一国一票でございます。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとどうでしようか、これはやはり一国一票としまして、大体見ますと、中国は台湾の蒋介石政権、韓国は李承晩、それからあと大体英米の支配力の及ぶような国がずつと入れられていまして、それが一国一票ということになると、その方針が非常にアメリカがイニシアを握るような会議の持ち方になる。それからその方針は、アメリカがイニシアを握るような方針がきまつてそれが遅れた農業国に適用されるようなことになりは上ないでしようか。たとえばこれを見ますと純粋に技術的という問題ばかりでなくて、この第一條の第二項の(a)には「食糧及び農業生産物の加工、販売及び分配の改善」、こうなりますと、全般的に世界的に食糧が過剰傾向になるのを、どう分配するかということになりますと、アメリカの意向が非常に強く反映して来ると思います。それから(e)の「国際的農業信用の供与」ということも、その信用がどこからどうもらえるか、その信用についてはどういう條件がつくかというような問題、それから(f)の「農業商品についての取極に関する国際政策の採用」、国際政策とありますけれども、やはり重要な農業生産国であるアメリカとか、カナダというような国の決定権が、非常な大きな力を及ぼして来るようになると思うのでありますが、そうすると、農業が非常に遅れた日本が、農業が非常に進んで、しかも量的に圧倒的に多い、それから製品の分配関係でも、決定的な力を持つているアメリカだとか、カナダだとか、こういう国の農業生産品をどういうように分配するか、そこの農業恐慌をどういうふうに切り抜けるかという、そうした方針を中心として、後進国の農業が支配されるようなことが懸念されると考えます。そういう点についてはどうお考えになりますか。
  68. 永井三樹三

    永井説明員 これは今答弁のありましたように、一国一票であります。かつこれの決定は、いわゆる勧告でございます。昨日もその性質が説明されました通り、勧告の性質を持つておりますので、この機関においてある一国の意思が他の国の意思に反して強要されるということはないと考えておりすす。
  69. 守島伍郎

    ○守島委員長 林君、あなたには並木君のあと三十分時間を差上げられますが、関連があまり長くなりますから……。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは結論を……。勧告だから拒否することができると言いますが、やはり現実の問題としては、たとえば日米の間の問題について、外貨の割当は幾らのものをどう入れるかというようなことも、ほとんどアメリカ側のイニシアで決定されて来ますから、やはり将来はこういうものへ入るごとによつてアメリカの農業政策、ことにアメリカ小麦などは非常に過剰生産になつていますが、そういう過剰生産になつている小麦を、むしろアメリカの農業政策を中心として、その一環として日本の農業政策が支配されるような形になるように私は思うのです。たとえば販売、分配というのですが、販売というと、値段はどういう値段にするかといいますと、たとえば中国とか、ソビエトだとか、そのほかのアジアの諸国から買いたくても、これに入つていると、やはりこれによる勧告を受けて、どこの国から日本が幾ら買うというような割当が来るとすれば、将来そうした農業生産品を、日本がみずからイニシアを握つて、適当な値段で良質なものを買うという自由を、かえつて失うというような危険が私はあると思うのでありますか、この販売だとか、分配だとか、こういう問題についての勧告を、日本が都合悪いという場合には、これに入つてつても、拒否する自由が十分あり得るとあなたは断言できますか。
  71. 永井三樹三

    永井説明員 その通りであります。
  72. 守島伍郎

    ○守島委員長 並木君。
  73. 並木芳雄

    並木委員 先ほどから皆さんの質問を聞いていても非常に重要な質問が多いのです。あれはやはり根本農林大臣あるいは周東安本長官から答えを得なければ、私どもは安心ができないのです。そういう見地から私は根本農林大臣か、または周東安本長官及び大橋法務総裁にぜひお尋ねしたいことがありますから、きよう御出席にならなければ、あしたでもけつこうです。
  74. 守島伍郎

    ○守島委員長 ちよつと申し上げますが、きようは多分出られぬだろうと思います。それからあしたはわかりませんけれども不確実です。一方これは早く上げなければなりませんですから、あしたにお讓りになりましても、あしたもできないかもわかりせまん。その点は御了承願います。どつちになさいます。あしたまでお待ちになりますか。
  75. 並木芳雄

    並木委員 あしたでけつこうです。どうしても政策的のことですから。
  76. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは林君。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 私もあと二、三点お聞きしたいと思いますが、具体的に連合国食糧農業会議の勧告は、どんな勧告が従来ありましたか、それをおわかりだつた説明してもらいたいと思います。     〔委員長退席、竹尾委員長代理着席〕
  78. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 昨日黒田さんから同様の御要求があつたのでございますけれども、従来われわれが手にしておつた資料は、主として会議関係に関する資料が大部分でございまして、これまでの決議あるいは議事録等につきましても、たまたま会議出席したような場合において得たようなものでありまして、その全決議の内容、勧告の内容については十分なことはわかりませんのでございます。ただ昨年度の会議に参りました人の持つてつた報告書に、こういう勧告がなされたという題目だけがわかつておりますので、それをちよつと申し上げてみます。これは一九四九、五〇年度のFAO事業報告書から得たもので、その内容については明確でないことを御了承願いたいと思います。  水産物の科学的、経済的研究に関する勧告、林業の合理化と林政の適確化のための基本的林業方法に関する勧告、欧洲における普及事業の調査の発展に関する協定締結の勧告、南米諸国における普及事業の研修に関する協定締結の勧告、それから農業協同組合の運営、金融及び事業の基本的調査に基く行政的措置に関する勧告、ハイチにおける池水の魚類養殖方法による水産増進に関する勧告、穀物の貯蔵方法及び施設の改善に対する施策促進に関する勧告、サルヴアドル国における農業金融に関する勧告、農業投資と金融の基本的調査に関する勧告、国際植物保護條約締結に関する勧告、こういうような勧告がなされたということが議事録に載つております。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その勧告で具体的に日本に影響を及ぼすような勧告がありますか。
  80. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 たとえば農業協同組合の運営、金融及び事業の基本的調査に基く行政的措置に関する勧告、これは農業協同組合の一般的な運営をどういうふうにやつたらいいかというふうなことを研究して報告をいたしておるものであります。それらの研究報告に基いて日本の現在の農業協同組合の運営状況に照し合せてみて、さらに改善するようなものがあれば、それを取入れるという程度のものでありますが、大体において現在の日本の農業協同組合の運営状況から見まして、特に積極的にこれをこうすべきだ、これをこうかえるべきであるというようなことは、ないように承知しております。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 それからきのうもこれは問題になつたのでありますが、基本食糧国際割当という問題です。これは従来国際緊急食糧委員会があつてここで割当てたのが、今度は国際小麦協定に委讓されたと解釈していいわけですか、それともこの国際連合食糧農業機関で、基本食糧国際割当というようなことまでやるわけですか。
  82. 永井三樹三

    永井説明員 国際緊急食糧割当は、戰後特殊な事情で行われまして、食糧割当は廃止になりました。従つて今ではやりません。それからFAO食糧の割当をやるかという御質問と思いますが、直接FAO食糧の割当をやるということは、多分ないと思います。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 このFAOへ入つていながら、たとえば食糧を中国だとかソビエトだとか、こういう方面は船賃がかからなくて大分安くなると思いますが、こういう方面から買うということもできるわけですか、それとも道義的にそういうことはできないのですか。
  84. 永井三樹三

    永井説明員 それはできると思います。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、FAOに入つており、国際小麦協定に入つてつても、採算が合う條件つたら、中国やソビエトから将来小麦を入れてもいいわけですね。
  86. 永井三樹三

    永井説明員 国際小麦協定は、FAOが発起をして会議を開いたというだけであつてFAOとは全然別個の協定としてできております。その小麦協定の権利義務は、すでに先般討議されましたので御承知だと思いますが、それに反しない、その義務を履行した以外の点につきましては、何らの拘束を受けるものではございません。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 それから国際商品清算所の設置の問題ですが、これは今どうなつておりますか。
  88. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 国際商品清算所につきましては、ちよつと名前を記憶しておりませんが、世界生産者団体連合というふうなところからそういう案が持ち出されまして、FAOの総会にかけられたわけでありますが、これは総会において否決されまして、その後において何らの進展を見ておりません。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 この国際商品清算所が、どこの国のどういう反対で否決されたのか。それからその後それが商品問題委員会というようにかわつて来たようですが、これはどういう機能を持つておるか、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。これは要するに、国際的な食糧の決済関係までここでやるということになりますと——、FAOへ入つて大体食糧の割当を受けて、その決済までをこの国際商品清算所あるいは商品問題委員会等で受けるということになると、食糧問題はこれに非常に拘束されて来るように考えられるのですが、その点、ひとつもう少し詳しく説明願いたい。これはどういう国が反対してできなくなつて、その後どういう経過をたどつているか。
  90. 永井三樹三

    永井説明員 国際商品清算所の案の討議のこまかい模様はわかりませんが、私どもの聞いておりますところでは、アメリカもイギリスも反対であつたと聞いております。その他どういう国が賛成し、反対したかは詳細に承知いたしません。そこで、この提案が否決されまして、その同じものが商品問題委員会で継続されたというわけではなくて、商品問題委員会では、実際食糧不足国の需要報告を検討してそれを過剰国に伝達するとか、食糧過剰国の過剰食糧処分方法を研究して、その結果政府に勧告する。要するに世界食糧情勢を見て行つて、フォローして行くというような任務を与えられてお七まして、直接商品問題委員会で取引を行うとか、そういつた具体的な権限は与えられておりませんので、御指摘のような点はないものと考えております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし商品問題委員会は、どこの国はどういう食糧が不足で、どこの国はどう余つているのだ、それをどういうように処置をしろという勧告はするのでしよう。分配問題についての勧告をするわけじやないのですか。
  92. 永井三樹三

    永井説明員 することもあるわけであります。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 することもあるということになりますと、これに入りますと、やはりその国の食糧需給関係FAOで、いろいろ拘束を受けることになるわけじやないですか、そこでお互いに勧告を受け合つても、勧告を受諾する意思がないからといつて、断るようなことができるかどうか、先ほどのあなたの言われたように、できるならば貿易決済までここでやろうというものを、どんどん断つて自分の思う採算の合うような形で、このFAOに加盟しておらない国と自由なる取引ができると言えますか、もう一度あなたにこの点を念を押しておきたいと思いますが、道義的にもそういうことができるかどうか。
  94. 永井三樹三

    永井説明員 勧告の性質は、先般来御説明申し上げた通りでございます。この商品問題委員会というものは、いわば御指摘のような何らかの取引を実施する機関ではございませんので、要するに案を作成して、各政府に勧告をするというところにとどまつております。またその勧告に対しまして討議に参加して、その国の利益に反すれば、反対することはその国の自由であります。またその勧告の性質からして、実施を強制されるということはないのが国際法の原則でございますから、御指摘のような点はないと思います。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 この国際連合食糧農業機関に加盟して、日本国内ではどういう委員会が今度できるのですか。
  96. 永井三樹三

    永井説明員 このFAOは、このFAOと連絡をとつてFAOの目的を達成することを容易ならしめるように、国内委員会というものをつくるということを勧告いたしております。あらゆる国が、必ずしも全部その国内委員会をつくつておるわけではありませんが、つくつておるものも、そうでないものも、それはあります。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 日本はつくる意思があるのですか、ないのですか。
  98. 永井三樹三

    永井説明員 目下研究中でございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 つくるとすれば、どういう機構で、どういうメンバーを入れてつくるのですか。
  100. 永井三樹三

    永井説明員 研究中でございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 研究中では、私たちこの案に対して賛否の意思を表示することができないのです。つくるとか、つくらないとか、つくるとすれば、こういうメンバーだということにならないと、この案が具体的に日本の国にどう影響して来るかということがわからなくて、法案を審議しろといつても、無理だと思うのです。たとえば農民団体の代表も入れるのか、あるいは消費者の団体の代表も入れるのか、あるいは政府の諮問機関的なものになるのか、そういうことがわからなくては、法案の審議ができないのです。——それなら私の方は保留して、明日大臣にこういう点を聞きたいと思います。
  102. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 次に高倉定助君。     〔「おりません」と呼ぶ者あり〕
  103. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 それではお諮りいたしますが、本日、理事山本利壽君が、都合によりまして理事の辞任を申し出られましたので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 御異議がございませんければ、さようとりはからいます。  なおこの際ただちに理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長より指名するに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 竹尾弌

    ○竹尾委員長代理 御異議なしと認めまして、並木芳雄君を理事に指名いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。次会は明十六日午前十時より開会いたします。     午後零時二分散会