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1951-10-31 第12回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十一日(水曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 山本 利壽君       伊藤 郷一君    小川原政信君       菊池 義郎君    近藤 鶴代君       仲内 憲治君    中山 マサ君       並木 芳雄君    林  百郎君       黒田 寿男君  出席政府委員         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君  委員外出席者         外務事務官   吉岡  章君         外務事務官         (條約局国際協         力課長)    須山 達夫君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 十月二十九日  委員米原昶君辞任につき、その補欠として林百  郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十月十六日  国際小麦協定への加入について承認を求めるの  件 同月二十日  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二号)(予) 同月二十二日  国際労働機関憲章の受諾について承認を求める  の件(条約第四号) 同月二十六日  千九百二十年六月二十一日にパリで署名された  国際冷凍協会パリに創設することを目的とす  る国際条約修正する条約締結について承認  を求めるの件(条約第五号) 同月二十九日  公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾する ことについて承認を求めるの件(条約第六号) 同月三十日  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二号)(参議院送付) 同月十八日  千島列島日本復帰に関する請願(辻寛一君紹  介)(第五四号) の審査を本委員会に付託された。 十月二十二日  海外胞引揚促進に関する陳情書  (第一二一号) 同月二十九日  海外胞引揚促進に関する陳情書  (第三六二号)  在外抑留者引揚促進等に関する陳情書  (第三七二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二号)(参議院送付)  千九百二十年六月二十一日にパリで署名された  国際冷凍協会パリに創設することを目的とす  る国際条約修正する条約締結について承認  を求めるの件(条約第五号)     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、前会と同様衆議院規則第九十四條によりまして、国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じます。  まず調査する事項は一、国際政治及び経済に関する事項、二、国際情勢に関する事項。次に調査目的は一、国際政治及び経済の現状並びに動向を調査し、国民外交と国策の樹立に資する。二、国際情勢の推移を注視し、わが国政治及び経済に及ぼす影響等を検討する。調査の方法は、関係方面より意見の聴取及び資料要求調査の期間は本会期中といたしまして、ただいまの国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 守島伍郎

    ○守島委員長 御異議がなければさようとりはからいます。     —————————————
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。政府側より提案理由説明を求めます。島津政務局長
  5. 島津久大

    島津政府委員 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容を御説明いたします。  今次の改正は、さき政令設置いたしました在台北日本政府在外事務所外在外事務所法律の中に規定いたしますこと、将来在外事務所を廃止する必要が生じた場合に、これを政令で廃止することもできるようにすること、及び在外事務所権限拡大すること、の三点であります。  まず第一に、台北外箇所政令設置されております在外事務所法律の中に規定し、第二條第一項の表を改正いたしますことについて御説明いたします。  日本政府は、在外邦人の保護と通商上の利益の増進をはかるため、在外事務所のいまだ設置されておりません国にも、在外事務所設置できるよう関係諸国交渉しておりましたところ、さきに、台北、ボン、ローマ、マドリツド及びジユネーヴの五箇所に、在外事務所設置いたしますことについて関係諸国の承諾がありましたが、当時は国会閉会中であり、かつ、一日も早く設置することが希望されましたので、日本政府在外事務所設置法二條第二項に基く政令によりまして、これらを増置いたしました。そこで今回、これらの在外事務所をすでに設置されております他の在外事務所と同様、同法第二條第一項の表に追加するとともに、同表を整理いたしますのが、改正の第一点であります。  次に第二に、政令によつて在外事務所を廃止することもできるように第二條第三項を新たに追加いたしますことについて御説明いたします。  現在設置されております三十に及ぶ在外事務所は、正常なる外交関係の復活に伴いまして、大使館公使館総領事館領事館などが設置されるに従い、近い将来におきまして廃止すべき必要が生じて来るわけであります。この場合に、国会閉会中であり、かつその廃止が緊急を要します場合には、どうしても政令をもつて廃止することが必要となりますので、これを可能とするため、将来、大使館公使館総領事館または領事館設置され、その管轄区域内にある在外事務所を廃止する必要が生じた場合において、特別の事情がありますときは、これを政令で廃止することができるようにいたしますのが改正の第二点であります。この改正によりまして、在外事務所を臨機応変に正式の在外公館と切りかえて行くことができるようになるわけであります。  最後に第三に、在外事務所権限拡大について御説明いたします。  すでに御承知通り、九月下旬総司令部から、日本政府在外事務所に対して従来課せられておりましたすべての制限を撤廃し、その権限について日本政府相手国ととりきめを締結することを許可する旨の覚書受取つたのであります。これによりまして、在外事務所は、相手国とのとりきめを締結しさえすれば、外国において外務省のあらゆる所掌事務を行うことができるわけであります。そして、その可能性がきわめて大きいと思われますので、これに対処いたしますため、在外事務所所掌事務を規定しております第三條を改め、その第十五号に在外事務所外国において外務省所掌事務を行うことができるように規定いたしますのが、改正の第三点であります。もちろん相手国とのとりきめが締結されますまで、あるいは、そのとりきめの内容制限がありますような場合には、同條第二項によりまして、その範囲制限することとなるわけであります。  なお、附則におきましては、この法律施行期日を定め、さらに今回の改正によりまして、法律の中に追加されます五つの在外事務所を増置して参りました日本政府在外事務所増置令を廃止せんとする規定を設けたのであります。  以上が、この法律案を提案いたします理由及びその内容説明であります。  何とぞ慎重御審議の上、御採択あらんことをお願いいたします。     —————————————
  6. 守島伍郎

    ○守島委員長 次に千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より提案理由説明を求めます。島津政務局長
  7. 島津久大

    島津政府委員 ただいま議題となりました千九百二十年六月二十一日パリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約につきまして、提案理由を御説明いたします。  国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約は、一九二〇年六月二十一日パリで署名されましたが、この條約によつてパリ国際冷凍協会という国際機関が設立されたのであります。国際冷凍協会は、冷凍に関する科学上、技術上及び経済上の知識の国際交流目的として、爾来活動を続けて参りましたが、わが国も一九二四年三月四日この條約に対する批准書を寄託し、この協会活動に参加したのであります。ところが一九三〇年前後には国際金融界に大変動があり、そのためこの條約の定める各国分担金の表示するフランス・フランの価値もまたきわめて不安定となり、協会の運営にもさしつかえるという事態に立ち至りましたので、関係各国間に今後分担金金フランで表示しようという意見が起つたのであります。その結果この修正を主たる目的とし、他に若干の改正を加えて一九三七年五月三十一日にパリで成立いたしましたのが、本日本院の御審議に付せられることとなつ修正條約であります。  この修正條約に対しまして、わが国も当時その趣旨に賛成し、各国とともに署名いたしました。この署名に引続きまして批准が行われる段取りでありましたが、当時の欧州情勢は険悪なものがありましたので、少しく情勢の改善を見ることといたしておりました。ところが、そのうちに一九三九年には欧州大戦が勃発し、やがて太平洋戦争が始まり、遂に批准の機を得ずに今日に至つたのであります。  冷凍業わが国産業において重要な役割を果していることは、周知のことでありますが、この方面における技術及び科学の不断の向上の必要性と、さらに輸出産業としての冷凍生産物発展性を考えますとき、国際冷凍協会との協力がきわめて望ましい次第であります。  今次大戦中、わが国国際冷凍協会との関係は、とだえておりましたが、最近復活するに至りました。この間各国はいずれも国際冷凍協会との協力修正條約に基いて行つているのであります。  右の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認を与えられんことを切に希望する次第であります。     —————————————
  8. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案議題といたしまして、本案に対する質疑を許します。並木君。
  9. 並木芳雄

    並木委員 大使館公使館総領事も館、領事館などができる場合に備えて、政令によつて在外事務所を廃止するという項目が入つておりますけれども、政府としてはどういうところへ大使、公使、総領事領事を派遣する計画でありますか、その計画をまずお伺いいたします。
  10. 島津久大

    島津政府委員 條約が効力を発生しましたあかつきには、必要な箇所大使館公使館総領事館または領事館設置いたす心組みで、ただいま事務的に準備を進めておる次第でございますが、相手国の意向、また外貨の節約の見地その他よりいたしまして、今日の段階でどこどこにどういうもの置くというところまで政府部内で固まつて来ておりません。設置箇所等は、ただいまのところ申し上げる段階にまで来ておりません。
  11. 並木芳雄

    並木委員 こことここは確実につくるんだというくらいの腹案がなければならないと思うのですけれども、いかがですか。おもなところだけでもあるはずです。
  12. 島津久大

    島津政府委員 常識上主要な国に大使館ないしは公使館、こういうものが置かれることは当然だろうと思うのでございます。今日までのところは、正式にそういう話合いまで至つておらないわけでありますが、これから数箇月のうちにそういうような点について順次相手国の方からも意思表示があることと思つております。現に非公式にいろいろな話合いはもちろんあるのであります。とりまとめまして、どこどこが大使館、どこどこが行使館ということを申し上げる段階まで来ておらないわけでございます。
  13. 並木芳雄

    並木委員 英国中共との外交関係でありますけれども、英国中共における外交機関、そういうものの内容はわかつておりますか。
  14. 島津久大

    島津政府委員 ただいま資料を持つておりませんので、取調べまして後刻申し上げたいと思います。
  15. 並木芳雄

    並木委員 台北在外事務所ですけれども、台湾の地位というものは、條約が成立するまでは、まだ日本領土から離れておらないわけです。そうすると何だか自分の領土の中に在外事務所をつくつたというようで、ちよつとわかりかねるのですけれども、政府はどういうふうにその点を説明されますか。
  16. 島津久大

    島津政府委員 在外事務所性格は、御承知通り通商貿易進展に資する、また一部の在留邦人事務を取扱う、それだけの目的のために設置されましたので、政治的な問題、そういうような点に関しましては、まつたく関係がないのであります。一に通商貿易進展のために、あるいはまた在外邦人関係の一部の仕事をするというために置かれたものであります。そういう性格でございますから、台湾に置きますことも、いろいろ世間で申されておりますような政治的な関係とは、全然関係がないことになるわけでございます。
  17. 並木芳雄

    並木委員 そう言われますけれども、さつきの説明の中に、「九月下旬総司令部から日本政府在外事務所に対して、従来課せられておりましたすべての制限を撤廃し、その権限について日本政府相手国ととりきめを締結することを許可する旨の覚書受取つたのであります。」とあつたのであります。これはもちろん台北の場合にも適用されておると思うのでありますけれども、そうなると、やはりそこに一種の外交関係が出て来るのでありまして、先般来国府中共かというような問題もありましたし、この点微妙な問題でありますので、総司令部からの覚書が適用されておるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  18. 島津久大

    島津政府委員 九月下旬の覚書で、従来禁止されておりましたいろいろな項目がなくなつたわけでございます。従来の制限と申しますと、たとえば相手国政府官憲との交渉、あるいはまた宣伝活動、暗号の使用、船員の紛争事件管轄ないしは査証の付与、そういうようなことをやつていけないという制限があつたわけでございます。これが覚書で、相手国政府話合いの上で、そういう制限をとればとれるということになつたわけでございます。そういう制限がとれましても、なおかつ正式の外交関係というものはないのでありまして、今までの在外事務所権限が、非常に制限されたものでございまして、駐在国の政府あるいは地方官憲、そういうものとも直接の交渉めいたことは一切できなかつた、今後はそういうことが話合いによつてでき得るというだけの話であります。台湾につきましては、従来の在外事務所の建前で設置するという話合いができて、今回設置するわけでありまして、この拡大に関しては、何もまだ話合いをしておりません。
  19. 並木芳雄

    並木委員 在外事務所台北に設けで、通商貿易その他の事務に当らせることになりますと、政府としては、行く行くは国府というものを相手として外交を復活するのだというような印象を与えないでもないわけなんです。そのことと関係があるかどうか。つまり條約の相手として国府を行く行くは選ぶ。国府との間で外交関係に入るのだという含みがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  20. 島津久大

    島津政府委員 そういう含みはないのでございまして、先ほど来申し上げますように、台湾日本との間に相当な貿易関係も起つて参りました。今後もその点はできるだけ伸長させたい次第でございます。そういう目的在外事務所設置するわけであります。御懸念のような点はございません。  それから先ほどお答えを留保いたしました英国中国における公館でございますが、現在北京公使館を置きまして、臨時代理がおるそうであります。総領事館の数は十箇所領事館は三箇所、別に台湾に淡水と台北領事館設置しておるという実情のようであります。
  21. 並木芳雄

    並木委員 その領事館場所はわかりますか。
  22. 島津久大

    島津政府委員 総領事館は広東、重慶、昆明、廸化、北京、大連、漢口上海、天津、青島。領事館は厦門、奉天、南京であります。
  23. 並木芳雄

    並木委員 先ほどの私の質問に対して、含みがないという答弁でありましたから、私はさらにお伺いしたいのですが、そうすると、問題になつておる中共に対しても、こういうような意味での在外事務所というものは設置してさしつかえないように思われるのです。この間吉田総理参議院で、上海在外事務所を置くというような答弁をされたそうです。私もちろん聞いていませんからよく内容はわかりませんが、中共との間の在外事務所関係は、どういうふうに政府は考えておられますか。
  24. 島津久大

    島津政府委員 上海在外事務所設置云々の話は、先日総理参議院の條約の特別委員会で言われましたのでありますが、私から解釈をしてもどうかと思うのでございますが、総理の言われましたのはおそらく、在外事務所性格というものが、先ほど私が御説明申し上げましたような、何ら政治的の色彩のない、もつばら通商関係の、ほんの小さな事務所である、そういう趣旨から、中共の方でもし希望するなら、上海に置いておいてもさしつかえないというふうに答えられたと記憶しております。
  25. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、政府はやはり中共貿易関係上、上海とかあるいは香港とかその他の地に、在外事務所を設けることを考えておられるはずだと思うのですけれども、目下どういうような腹案を持つておられますか、その点お伺いしたいのであります。
  26. 島津久大

    島津政府委員 上海その他中共地区につきましては、現在現実の問題として何ら考えておらないのであります。香港お話がございましたが、香港英国政府がこれを希望し、また容認するならば、できるわけであります。これまた現在は現実の問題にはなつておりません。
  27. 並木芳雄

    並木委員 とにかくそういう事務的な通商貿易関係に資する在外事務所ですから、これは政府としても積極的にやつて行くべきだと私は考えるのです。それで中共との関係はかなり複雑でしようから、なかなかむずかしいと思いますけれども、その方面での在外事務所設置については、どういうような関係方面との手続をし、日本政府から申請をして実現の運びになるのでありますか、お伺いしたいと思います。
  28. 島津久大

    島津政府委員 ただいまも申し上げますように、中共地区については現在考慮はしていないのであります。そういうような希望先方にありますとか、あるいはそういうような事態ないしは気分になりました場合は、もちろん考えられることと思うのですが、現在ではそういう事態になつておりません。また手続について申し上げますと、直接の交渉がないわけでありますから、やはり適当な第三国を通じての話にならざるを得ないと思つております。
  29. 並木芳雄

    並木委員 台北の場合は円滑に行つたが、中共関係の場合にはなかなかむずかしい、政府としては先方から希望でも出れば考えるけれども、こちらとしては何もそういう積極的希望を持つておらないというふうに今聞いたのですが、その通りですか。
  30. 島津久大

    島津政府委員 やはりこれは在外事務所設置の経緯から申しましても、先方が快く置くということが、第一の要件になるわけであります。そういう意味から中共関係は、現案の問題になつていないと思います。
  31. 並木芳雄

    並木委員 この際お伺いしておきたいのですけれども、日本交戦関係になかつた国々、何と申しますか、中立的立場にあつた国々でしようが、それと日本との外交関係は、どういうふうに復活して行くものと政府計画しておられるかどうか。
  32. 島津久大

    島津政府委員 中立国との外交関係は、終戦の後、司令部から指令が出まして、一切の交渉を禁止せられておるのであります。この覚書はちよつとただいま手元に持つておりません。それによりまして、戦争状態になかつた国との外交関係も断たれておるわけであります。ところがその後中立国にも在外事務所が許されたところが出て参りました。その範囲ではこれは正式な外交関係とは申せませんけれども、実際上の接触は許されて来つつあるわけであります。正式の外交関係がいつ復活するかという御質問と思いますけれども、これはおそらくは平和條約が効力を発生いたしますとともに、中立国との関係も、昔の正常な外交関係に返るものだ、大体そういうふうに考えておりますし、また関係国もそういうような内意を持つておるようであります。
  33. 並木芳雄

    並木委員 よろしゆうございます。
  34. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは北澤君。
  35. 北澤直吉

    北澤委員 ただいま並木委員からもお聞きしたのですが、方式の問題として聞きたいのですが、日本がある国に在外事務所を置く場合には、その政府に対してデイフアクトーの承認を与えることになるかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
  36. 島津久大

    島津政府委員 そういうことにならないと考えます。
  37. 北澤直吉

    北澤委員 中国との関係ですが、例の降伏條項においては、国民政府中国を代表して調印しておる。従つて現在日本中国との関係は、法的には日本国民政府承認するという立場にあると思うのです。ところがそれに対して中共政府というものができておる。それは一体どういう資格になつておるか。いろいろそれは国際法的な問題があると思うのであります。もしも中共領域在外事務所を置く場合には、中共政府交渉して置くということになると、どうもそれが事実上の承認というようなことになりはせぬか。日本は無断でやることはできない、結局中共政府話合いをした上でやる、国際法規で見ても領事館を置いて、その領事官に対してその国の政府から認可状をもらう、これは黙示政府承認になる。こういうふうに国際法はなつておるのですが、中共領域在外事務所を置いて、しかも中共政府話合いをした上で置くということになると、何か事実上の承認になると思うのですが、その点をはつきりお答えを願いたい。
  38. 島津久大

    島津政府委員 在外事務所が、そういうような政治関係関係がないということは先ほど申しました通りであります。これはかりに領事館といたしましても、そういう承認云々関係にはならないと思います。先ほど申しましたように、英国領事館設置状況、これから見ましても英国は現在中共承認しておりますのですが、なお台湾にも領事館を持つておる。そういうわけでありますから、在外事務所設置は、今御指摘のような話合いの径路の問題はあるかもしれませんが、その性格からいつて承認の問題には関係なし、そういうふうに考えております。
  39. 北澤直吉

    北澤委員 台湾にあるイギリス領事館ですが、それは前からあつたのだと思うのです。従つて国民政府があそこへ行つてから特に国民政府からイグゼカツールですか、例の領事官に対する認可状を出した場合には黙示承認だということになつておるのです。中共政府や何かできる前に領事官がいて、政府ができてから新しく領事官に対して認可状を出す。もし国民政府台湾にいるイギリス領事官に対して認可状を出したということになれば、これはイギリス国民政府承認したということになりはせぬか。台湾イギリス領事官に対する国民政府認可状か出ておるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  40. 島津久大

    島津政府委員 その点はわかつておりません。
  41. 北澤直吉

    北澤委員 ですから、私から申し上げれば、結局中共地区日本在外事務所なりあるいは領事館を置くという場合には、中共との講和條約を結んで、中共政府承認したということになつてむずかしいのじやないかという意見を持つておるのです。しかしこの点はこれで打切ります。  次にお伺いしたいのは、今度のこれによつて大分方々在外事務所ができるわけですが、御承知のように日本東南アジアとの関係は、政治経済的な非常に重要な関係があつて、今後東南アジアとの関係はますます密接にしなければいかぬというわけですが、そういう点から申しますと、先ほど並木委員からお話がありました香港、フイリピンのマニラ、あるいは仏印のサイゴンとかマレーのシンガポール、こういう地点に日本在外事務所を置いて、こういう場所日本との政治経済あるいは文化、そういう方面関係をますます密接にする必要がある、こう思うのでありますが、香港仏印、フイリピン、マレー、そういう方面に対して日本在外事務所を置くことについて、これまで政府はどういうふうな手配をしたか。
  42. 島津久大

    島津政府委員 御指摘のような地域に在外事務所を置くことは、もちろん希望するところなのでございますが、やはりその地方の対日感情もございますし、関係政府の考え方もあるわけであります。たとえば香港のようなところは、大体英国政府の意向に左右されるわけであります。ところが英国政府自体も、ロンドンに日本在外事務所を置くことについて、その決定はかなり遅れたようなわけであります。従つて本国以外の地域に置くということは、第二義的に考えるというような内意であつたようであります。しかし今後とも香港、マレー方面事務所ができるように努力したいと思つております。何分それらの地域の対日感情はなかなか緩和しないようでありまして、早急にできるかどうかは何とも申し上げかねるわけであります。フイリピンについても同様であります。フイリピンの政府でこれを歓迎するということになりません以上は、なかなか置きにくいような関係であります。
  43. 北澤直吉

    北澤委員 香港やマレーにおける日本在外事務所設置については、イギリスとの関係もいろいろあるということですが、今度イギリスで選挙の結果、労働党政府がやめて、保守党の政府なつたのでありますが、ああいうイギリスにおける政府の更迭によつて、こういうふうな問題、香港なりあるいはマレーの方に日本在外事務所を置くということに対して、イギリス政府の態度が多少かわつて来る、そういうふうなことが予想せられるか、この点を伺つて私の質問を終ります。
  44. 島津久大

    島津政府委員 今度の選挙の結果によつて、ただちに在外事務所設置に関する英国政府の意向がかわるかどうかという点は、何とも私も見当がつかないのであります。しかし大勢といたしまして、條約の効力の発生も間近いことが予想されておりますので、これらの点はすみやかに改善されて来ると考えます。
  45. 守島伍郎

    ○守島委員長 林君。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど並木委員北澤委員からもいろいろ御質問があつたのでありますが、この平和條約の二十六條と今度の台北在外事務所を設けるという関係ですが、これはやはり事実上こういう既成事実をつくつて行つて中国政府の中の蒋介石政権と、何らか将来講和を結ぶというような方向へ、一つの既成事実をつくつて行くわけなんですか。それとも在外事務所台北に設けても、二十六條に基いて日本が講和を結ぶ場合の中国相手方政権に対しては、まだフリー・ハンドの立場にいるという見解なんですか。どういう意味ですか。
  47. 島津久大

    島津政府委員 今御指摘になつたあとの方の見解であります。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 あとと言うてもはつきりしない。そうするとやはり自由の立場にいるというわけですか。
  49. 島津久大

    島津政府委員 そういうわけです。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 自由の立場で、日本の国に好ましい相手方を選ぶというなら、台北とかなんとかいうところへこういうものをつくつて、具体的に関係を結んで行くことが、やはり将来、実際四億の人民の支持を得ている中華人民共和国との間に外交関係を結んで行くことに対して、一つの障害にならないかと私たち考えるのです。しかしあなたの方で、これこれこれだけの努力をしたけれども、蒋介石政権の方ではこういう好意を示してくれたが、向うの方ではそれに対して何らの反応がないということなら、それはまたお聞きしておきたいと思いますが、台北へは在外事務所を設けたようですが、こちらとしては、北京にある中国政府とは何らか交渉してみたのでしようか。たとえば上海とかその他中国領土の中に在外事務所を設けたいというようなことで交渉なすつたのですか。そつちは全然ほうつておいて、わずか台湾の蒋介石政権とだけやつているわけですか。その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  51. 島津久大

    島津政府委員 中共方面とは、今日までのところ別に話合いはございません。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 それは話合いをする意思はあるのですか、ないのですか。先ほどの局長の答弁のように、まだ日本はフリー・ハンドの立場で、日本の国の立場から最も有利な相手方と講和を結ぶ、フリー・ハンドの立場でいるのだというのですか。そうだと、だれが考えても、やはり中華人民共和国との外交関係を回復する努力はして行かなければならないと思うのですが、何かそういうことはなさつたのですか、なさらないのですか。全然ないとお聞きしておいていいのですか。日本側では何らの手も打たないということでいいですか。
  53. 島津久大

    島津政府委員 先ほど並木委員の御質問にお答えいたしましたように、在外事務所設置につきましては、もちろん日本側の希望がもとにはなりますが、相手国がこれを歓迎するかしないかということが、大部分の決定の要素になるわけであります。その辺の事情からいたしまして、大体見当をつけた上で、今日まで話合いをしておるわけであります。中共地区につきましては、そういうような見当をまだわれわれは持つていないわけです。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと声が小さくてよくわからないのですが、何かまだ持つていないということですか。あるいは折衝する意思を持つておらないというように聞いていいのかどうか。それと、それからソビエト・ロシヤ、これともやはり努力すべきだと思うのです。努力して、もし相手がこれこれこういう態度でどうしてもやむを得ないということなら、やむを得ないでけつこう。また外務省だけで、手がまわりかねるときには共産党も協力して、いくらでもお手伝いをするわけなんですが、しかしおれの方はもう自由圏諸国へ入つておるのだから、その方は全然われ関せず焉で、ほうつておく手はないと思うのです。ソビエト・ロシヤなんかと在外事務所を設けるとか、あるいは貿易の点で、こういうようなことはどうかというような話をしておるのでしようか。そういう点をお聞きしておきたいと思います。私は共産党員だから共産党圏とやれという、そういう偏狭の立場でなくて、日本の国の現在置かれておる立場からいつても、やはりそういう方面への努力も当然すべきだと考えるのです。それでやつて道の開けないことは私はないと思うのです。そういう点について——政府といつては少し大きくなりますが、外務省なんかがどういう考えを持つて、どういうような将来努力をして行こうと考えておりますか、聞いておきたいと思います。もしあなたの方で共産党にこういう点をひとつ協力してもらいたいと言うなら、いくらでもわれわれは協力を惜しまないわけです。
  55. 島津久大

    島津政府委員 外務省で力が足りなければ、援助していただけるそうであります。非常に心強く考えますが、何分ソビエト方面とは直接の話合いの径路もないわけです。総理参議院説明いたしましたように、やはり先方の気持というものが先に立つと思います。そういう次第でありますから、われわれとしては、具体的な問題として現在取上げられていないわけであります。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 相手方が希望するならという立場は、少し思い上つた立場だと思うのです。やはりこちらの方で意向を打診する努力をすべきじやないかと思います。現に、貿易の問題ですが、たとえばばソビエトとの貿易の問題でも、日本のパルプ業者などは非常にソビエトからの木材あるいはパルプの輸入を希望しております。日魯漁業あたりでも漁網と向うの何か品物とのバーターを非常に希望しております。現に参議院ではソビエトの通商代表部の方が見えて、参議院の議員諸公と懇談をしておりますし、また衆議院も明後日二日にはソ連の通商代表部が参りまして、それから衆議院の議員の中でやはり貿易関係で関心を持つている人たちと懇談をするような運びにもなつておるわけです。議長サロンをわざわざ開放してくださつてやるようになつております。快く向うの方も来て、いろいろ日ソの貿易の問題について政治的にどういうところが隘路か、どういう点が将来打開されなければならない点か、ということを話し合いたいということもあるようであります。将来中国あるいはソビエトと貿易を具体的に結ぶような場合に、一体在外事務所も何もないということになると、どういう形でこれを進めて行つたらいいか、その点を專門のあなた方からお聞きしておきたい。日本の業者の中からいろいろ希望がありまして、現に日魯漁業あたりから申請を出しているはずであります。こういうものもやはり在外事務所でもあつて、出先とこちらと両方でいろいろの手を打つと非常にやりいいのでありますが、政府がまつたく背を向けていたのでは、そういう業者の熱心な取引上の努力も、なかなか実を結ばないような状態があるわけでありますから、将来在外事務所も設けないというのなら、ソビエトあるいは中国との貿易、こういうものはどういうような方向でやつて行つたらいいか、ひとつあなた方の意見も聞いておきたいと思います。
  57. 島津久大

    島津政府委員 私はソビエトないし中国地区に在外事務所を将来も設けないということを申し上げたのではないのでございまして、現在の情勢ないしは環境からしまして、現在のところ考えていないということを申し上げただけであります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 考えていないと言うのですが、外務省としてはこういう方向に努力するつもりだとか、努力したらこういうことだつたということは何もないのですか。全然考えていないというのですか。こういう方向で努力をするつもりだとかあるいは努力したとか、やはりこういう障害があつてできなかつたとか。ことにイデオロギーとは別として、貿易関係のことはそろばんの話なのですから、日本がどういう政治的な立場にあつても、貿易というような形で外交が結ばれる可能性もあるわけなのですから、そういうことからいつて、何らかの努力をやはり中国あるいはソビエト圏に対してもしているのかどうか。全然考えていないという、木で鼻をくくつたような返答しか聞くわけに行かないのですか。行かないなら行かないでこれは自主的に国民がやるでしよう。外務省をたよるのではなくて、国民の力でこういう方面を打開して行くよりしかたがない、その点をもう一応念のためにお聞きしておきたい。
  59. 島津久大

    島津政府委員 何もこれは外務省だけで考えておるのではないのであります。先ほどお話がありましたように、業界の方でもそういう貿易の進展の上から、事務所を特定の地域に設置することを非常に希望する、また相手の方も受入れるような態勢にあるということになれば、もちろん私は話に乗つて来ると思います。今のところはそういうところまで行つていないというだけであります。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると業界の方でそういう希望があり、現に貿易の許可の申請まで出しておる。ことに日魯だとか、苫小牧の国策パルプ会社ですか、そういうところからそういう申請も現に出ておるのでありますが、外務省を動かすには、業者もまた動かさなければいけないのですか、外務省はそういう業界の動きを十分認識して動くのですか、まだ業界から外務省の方へ何の連絡もないというのですか、その点はどうですか。
  61. 島津久大

    島津政府委員 これは業界の希望だけで、在外事務所設置を考えるわけではもちろんないのでありまして、私は貿易の可能性、そういうような点から申しただけであります。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 貿易の可能性がないのですか、あるのですか。ないというあなた方の見解なら、ないということを聞かしてもらいたい。われわれとしては十分その道は開けるというふうに考えておるわけですが、現に今年十二月モスクワで開く世界経済会議には日本からもぜひ五名くらい代表を出してもらいたいという招請が来ておるのであります。アメリカでは相当な実業家が三十何名モスクワに行くことになつておるのであります。そういう関係でいろいろ糸口が開いておるのでありますが、そういうことに対して外務省は冷淡だと思う。これは吉田さんの部下であるから吉田さんがああいう態度だからあなた方はそれにならつておるのでしようが、しかしそういうことに対して全然望みがないのではなく、非常に望みの糸口が方々に開いておるのに、あなた方が全然その糸をたぐつて行かないのではないでしようか。ここであなたと私と政治論争をかわしてもしかたがありませんが、その辺もう少し国際的な、共産圏と日本との貿易の関係、あるいはいろいろな交流の関係について、せつかくの糸口ができて来たから、やはりその糸口をたぐるような努力を外務省としてはぜひやつてもらいたい。あなた方がやらなければ、われわれとしてやるよりしようがありませんが、そういうことを希望しておきたい。この問題でこれ以上あなた方と討論をかわしても、進展しないから打切りたいと思いますが、ぜひそういう点外務省の反省を促しておきたいと思います。  それから資料として配つております一九五一年九月二十八日の覚書、スキヤツピンの二一七三の第四項、  「日本政府は、それぞれの日本政府在外事務所相手国政府へ発送し又はこれから受領することあるべき外交的又は準外交的性質のすべての通信の写を連合国最高司令官総司令部外交局に提出するものとする。日本政府在外事務所によつて日本国と他の諸国との間に締結されるすべての取極は、千九百五十一年八月三十日付SCAPIN2166によつて許可された金融及び貿易取極を除き、連合国最高司令官の事前の承認を要する。」 この関係ですが、これは現在もやはりそういう状態にあるわけですか。
  63. 島津久大

    島津政府委員 現在もちろんこういうような手続になつておりまして、この権限が拡張されます前も、大体在京の連合国の使節団との話合いあるいは通信その他の写しを司令部に送付しておつたわけであります。今後在外事務所権限が拡張されましても、やはり日本が占領下にある態勢は講和條約の発効までは続くわけであります。従いまして全然自由になるといろのではなくして、通信の写しを最高司令官に提出する。また国際約束のようなものをいたす場合には、現在金融貿易のとりきめは別の取扱いをしておりますけれども、そういうような将来できますとりきめについては。事前に最高司令官の承認を得て、その上で締結する、そういうことになつております。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、やはりこれは実質的には連合国最高司令官の事前の承認と、また今後の日本外交関係は一切連合国最高司令官に報告され、一切の通信の写し本提出しなければならないということになつておるわけですが、そうなると、まだ外交の自主権が回復されたと思われないのでありますが、これはいつこういう状態から解放されるわけですか。
  65. 島津久大

    島津政府委員 平和條約の効力が発生いたしますまで、こういう関係にあると思います。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると調印はしたけれども、批准効力が発生するまでは、依然として法律的にも占領下だし、事実上も占領下で、サンフランシスコで調印したということだけでは、外交関係は実質的にはまだ自主権は回復しておらないというように解釈していいわけですね。
  67. 島津久大

    島津政府委員 その通りでありまして、正式な外交権は何ら回復していないのです。ただ実際上相手国政府在外事務所がいろいろな話合いができるということだけであります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば日本中国あるいはソビエトといろいろの交渉を現在しようとする場合も、やはり連合国最高司令官の事前の承認というものがいるわけですか。
  69. 島津久大

    島津政府委員 その通りでありまして、現在在外事務所を置いております国との話合いも、実際上制限が撤廃されたというだけの話で、ただいま問題になつておりますような最高司令官の権限、これはどこまでも従来通りあるわけであります。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 もう少し具体的にお聞きしたいのですが、この中で金融及び貿易とりきめはこの限りでないわけなんですか、スキヤツピンの二一六六というのがよくわからないのです。
  71. 島津久大

    島津政府委員 現在金融ないし貿易のとりきめを関係国と主として東京でやつておるわけであります。これにつきましては、平和條約の効力発生以前に実施するとりきめは、総司令部の名においてとりきめをしております。実際の交渉日本側と相手国がやつておるのであります。平和條約の効力発生までの分は、日本と直接ではなく、依然として司令部がやつておるわけです。ところが講和條約の効力発生以後にまでそのとりきめが継続するものについては、日本側が主体となつてつておる、そういう関係になつております。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 私しろうとでよくわからないから、少し詳しくお聞きしておきたいと思います。そうすると、日本の国の貿易というのは、効力発生までは、実質的には日本の業者と相手国の業者あるいは相手国が折衝しても、具体的な貿易は司令部と、たとえばイギリスならイギリス中国あるいはソビエトならソビエトとするという形になるわけですか。
  73. 島津久大

    島津政府委員 実際の貿易は民間貿易でどんどんやつておるわけであります。貿易の協定あるいは金融の協定というものがありまして、大体貿易の手続、方法ないしは場合によりましては大体の貿易の額、そういうものを協定するのであります。またこれについて決済の方法をどうするか、そういうような金融のとりきめ、こういうものも政府間でするわけです。それを平和條約の効力発生までは司令部がとりきめをする、そういう形になつております。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、具体的に日本の製紙会社でパルプをソビエトから輸入したい、向うではこちらから漁網を買いたいという話がありますね。その交渉がソ連の通商代表部と日本の業者の間では了解ができたという場合に、どういう手続をするわけですか。
  75. 吉岡章

    ○吉岡説明員 ただいまのところでは、今例にとられましたソビエトの場合ですと、何ら支払いあるいは貿易協定がございませんので、バーターなりあるいはドル・キヤツシユでの決済ということになると思います。但し貿易品目におきましてはいろいろ許可品目等がありまして、もし許可品目になつておりますならば、一応通産省の方で許可を得まして、その上でバーターあるいはドル決済で取引を行うことになります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 実はこの五年間ですでに二千四百五十万ドル——額にしては大したものではないのですが、日ソの間で二千四百五十万ドル貿易がとりかわされて、品物は大体私どもの方はわかつておるわけですが、通産省が認可すればいいわけですか、あとスキヤツプ関係はいろいろ考慮しなくていいのですか。
  77. 吉岡章

    ○吉岡説明員 品目によりまして貿易管理令の要許可品目になつておりますものは、通産省で許可いたすわけでありますが、許可する前に司令部の方に逐一の報告はいたしておると思います。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 それは通産省から司令部への報告だけであつて、向うから政治的な観点やいろいろな観点から、日本の通産省に対して何かのサゼスチョンなりが来る場合があるのですか。それとも通産省の要許可品目で、通産省の許可があればそれで取引はできますか。
  79. 吉岡章

    ○吉岡説明員 実際問題といたしまして、通産省と司令部とはどういう関係になつておりますか、私の方では判明いたしておりません。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 在外事務所所掌事務の中には、ちやんと貿易を促進するとか、いろいろの品物を並べてやるとか、大分いろいろなことをやるように書いてあるのですが、そんな権限ばかり広げてもそういうことを考えてくれなかつたら、ただここで月給を幾らもらうということをきめてもしようがないと思います。私は昨日時間がなかつたですが、ちよつと在外事務所設置法を読んでみました。「本邦の貿易及び商事関係法令に関する情報を提供すること。」とか「所在国の貿易及び商事関係法令に関する情報を伝達すること。」とか「所在国との間の貿易について所在国の市況及び経済事情調査すること。」とか「所在国との間の貿易の振興を図ること。」とか、ほとんど在外事務所の中心目標が私は貿易関係にあると見ていたわけです。そうするとソ連の通商代表部があさつて国会に来て、われわれと具体的に話をしようとする場合に、どういう手続でどういうことを交渉したらいいかということを外務省は知らなかつたら、どこへ行つて聞いたらよいのですか。これは将来外務省の仕事として非常に大事なことだと思います。ですから今言つたことは話しにくいこともあると思うのですが、大体日本の通産省でこういう品目は通産省の独自の判断でよい、こういう品目は向うに報告すると同時に、向うの意向に左右されるなら左右されるとか、その辺をもう少し詳しく説明できたらしてもらいたいと思います。もしこういう席で説明できないというならこれはやむを得ない。占領下にありますから、微妙な問題もあると思いますから……。
  81. 守島伍郎

    ○守島委員長 私の了解するところによりますと、そういうこまかいことは通産省の係官を呼べばすぐわかるはずです。今日は主として條約関係の人が来ていて、国際経済局の人間は来ておりませんですから……。必要がございますならば、この次の機会にお答えさすようにいたします。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 最後にもう一点だけお聞きしたいと思います。国民は調印が済むともう何か條約の効力が発生したような気がして、新聞の宣伝でも何かもう正常な外交関係が回復したような印象を非常に与えられて、大分日本の自主権が回復したように一般の国民の印象としては受取つているわけなんです。実際はわれわれがこまかく考えてみると、やはり批准をして効力が発生しなければ、正常な外交関係は発生しないと思うのですが、国民の間からはそういう印象もありますし、また政府の方も何か調印しただけで大分もう自主権が回復したような、意識的かあるいは無意識的か知りませんが、宣伝もあるようです。そこで参考までに私は聞いておきたいのですが、今アメリカからドツジさんが来て、政府と今予算の問題についていろいろ折衝しているのですが、あれはどういう資格で来て、日本政府はああいう人の意見に対してどういう拘束を受けるのか、專門の外交官の皆さんから聞いておきたいと思うのです。どういう資格でドツジさんが来られて、昭和二十七年度予算に対しての意見は、日本政府をどう拘束するのか。
  83. 島津久大

    島津政府委員 ドツジ氏の資格ないし性格につきましては、これは実は外務省関係ではないと思うのであります、総司令部関係事項でございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、総司令部関係はよくわかるのですが、総司令部のどういう資格で来た人であつて、あの人が今日本政府に与えているのはどういう性格の、あるいはアドヴアイスとかサゼスチョンという意味かどうか。そして日本政府としてはどういう拘束力を受けるのか。それは法律的には拘束力はないが、政治的に拘束力を受けると思うなら思うとか、そういう点を聞かしておいていただけば、われわれの将来の国会の中における予算の審議とか、いろいろな審議の際に非常に参考になるのです。これは專門のあなた方に聞くのが一番いいと思うのですが、どうでしよう。たとえば総司令部のどういう局の代理権限を持つて来ているとか、あるいは当局の顧問の資格で来ているなら顧問とか、従つてこういう人にはこういう権限がある、日本政府にはどういう拘束力を持つのだということを聞かしていただきたいと思うのです。
  85. 島津久大

    島津政府委員 法的にどういう関係になつておりますか、先ほど申し上げましたように総司令官の顧問的な立場に立つものであろうと私は考えておるのであります。報ぜられておりますところでは、最近の日本の実情を視察して本国に報告するということになつております。実際どういうような話合いをどういうふうに運んでおられますか、これは司令部関係ということになりますので、外務省としてはその辺の事情承知しでおりません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもしつこいのですが、(「君が一番知つてるじやないか」と呼ぶ者あり)いや、よくわからないんだ。それでは私の知つている範囲のことも率直に言います。何も苦しめるために聞いているのじやないので、常識として知つておきたいのです。だから折衝している内容は私はあなたにお聞きする必要はないと思います。これはそれぞれ政府の当該係官がやつておりますから……。すると、連合国最高司令官の顧問として日本政府にアドヴアイスをするというわけですか。助言をするという意味にとつていいわけですか。従つてそれは助言であるから、日本政府としては必ずしもそれを受入れる必要が法律的にはない、政治的にはいろいろな問題が起る、そういうふうに解釈していいわけですか。
  87. 島津久大

    島津政府委員 大体ドツジさんと日本側との話合いというものは、私はこれは正式の話合いではないと、まあ思つているのであります。すべての政策あるいは実施その他は御承知通り最高司令官の権限にあるわけでありまして、その意味でドツジさんが最高司令官に助言をされることもありますし、あるいは日本側に意見を述べられることも私はもちろんあると思うのであります。それがどのような拘束力を持つかということになりますと、私は正式にドツジさんの言われることが、すぐそのまま日本政府のやることを法律的に拘束するというような関係にはないと思います。     —————————————
  88. 守島伍郎

    ○守島委員長 ほかに御質疑がなければ、次に千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑を許します。並木君。
  89. 並木芳雄

    並木委員 私はこの冷凍ということが日本に普及されて来ますと、非常に衛生上の見地から有益だと常々考えておつた者なんです。今回はからずもこの條約締結承認の件が国会にかかりましたことは、はなはだ欣快にたえないのであります。きようは文部省の稲田大学学術局長が見えておりますから、特にお伺いしたいのですが、この国際冷凍協会というものが、戦後果しつつある事業、そういうものについて御報告願いたいと思います。そうしてこれにわが国が加入いたしましたあかつきには、日本にとつて具体的の事業としてどういうようなことが行われるであろうか、政府としてはどういうような計画を持つているか、その点をできるだけ詳しくお示し願いたいと思います。
  90. 稻田清助

    ○稻田説明員 お答え申し上げます。戦後におきまして、本年でございますが、第八回の国際冷凍会議及び国際冷凍協会の総会がロンドンで開催せられまして、これには日本から代表が参加いたしたわけであります。総会はおもに全般の政策問題でありますが、冷凍会議におきましては專門技術的に各部門にわかれまして、いろいろ研究されたわけであります。項目としてあがつておりますものは大体、低温物理と熱力学の学術上の問題、冷凍工業上の機械工業に関する問題、いたみやすい生な食品に関する冷凍の応用、それから冷凍機械、製氷工場、化学工業への応用、海上陸上の輸送、一般経済、統計、法規、こういうような問題につきまして部門別にいろいろ検討せられたわけでございます。  この国際冷凍協会に加入いたしますことによりまして、わが国の学術ないし産業がいかなる利益を受けるかという点についてでございますが、国際冷凍協会目的といたしておりますことは、冷凍科学及び技術についての研究及び調査の進歩をはかることであるのでありまして、この点からいたしまして、わが国は最近冷凍関係の学術が長足の進歩はいたしておりますけれども、なお各国と比較いたしまして、相当その間径庭のある問題もあるような次第でございますので、ここに加入いたしまして各種の情報を得ますることは、わが国産業技術の進歩の上から見まして、非常に有益だと考えられておるようなわけでございます。ことにこの冷凍の問題は、主として成立ちが食品の冷蔵という点を中心としてでありまするけれども、御承知のように低温技術の問題は、単に食品ばかりではありませんで、製鉄、石油あるいはその他繊維工業、ゴムあるいは航空機工業、あるいはペニシリン等に広く応用せられる問題でありますので、単に食品部門ばかりでなく、わが国の学術の諸方面に非常な利益を与えられておることと考えております。
  91. 並木芳雄

    並木委員 非常に利益のあるということはよくわかりましたが、これに加盟したあかつきに、さしあたり日本政府としてはどういうふうな具体的事業を進めて行くか、その計画について伺いたい。
  92. 稻田清助

    ○稻田説明員 ただいま申し上げましたように、これに加入いたすことによつて、非常に進歩いたしました情報をわが国の学界が得られます。御承知のごとく、これに関連いたしまする研究機関といたしましては、各大学の工学部の機械学科、あるいは農学部の水産学科ないし農芸化学科、あるいは水産大学、あるいは北海道には特に低温科学研究所等もございますので、これらの国設の研究機関及び民間の各研究所において、そうした最新の資料をもとといたしまして、研究の進歩が促進せられることになるわけでございます。
  93. 守島伍郎

    ○守島委員長 林君。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 私、これもしろうとなんで、聞きたいと思うのですが、今後もいろいろの国際協会へ加入して行くのでしようけれども、特にこの冷凍のこれに加盟する條約をここで結ばれるということ、これはどういう必要とどういう事情でやるようになつたのですか。
  95. 須山達夫

    ○須山説明員 お答えいたします。先ほど政務局長からお話いたしましたように、この條約は一九二〇年の條約を修正する條約でございます。修正する最も主要な目的は、初めの條約の定めている分担金では、もはや時代に適しない、つまり少な過ぎるということで、今度はお金の価値がかわらない金フランというもので、新しく分担金の額を規定したものでございます。そこで日本先ほどお話いたしましたように、当時から批准しておくべきであつたのでありますが、いろいろな事情からして遅れまして、とうとう今日まで来てしまつた。そこで各国並に国際冷凍協会協力を続けるためには、昔の條約の分担金ではもう足並が合わないということで、新しい條約を批准して、それに基いた分担金を払うというのが、今度入る趣旨でございます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、やはり分担金をもう少し多くする、それに日本が加盟するという意味で入るわけですか。
  97. 須山達夫

    ○須山説明員 修正條約の趣旨は、安定した分担金をきめておくことでありまして、初めに條約ができたときには、フランス・フランというものは、相当高い値段であつたわけでございます。従いまして今から見ますと、分担金を上げることになりますけれども、この二つの、元の條約と新しい條約ができた当時におきましては、上げるという趣旨ではなく、普通の状態に置くという趣旨の方が多かつたように思われます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私もまだよく理解が足りないので、質問が妥当でないかもしれませんが、その点は直していただきたいと思います。そうすると、この條約は、日本は正式にまだ批准しておらないと解釈していいわけですね。それで今度新しく日本が加盟する。加盟するに際しては、この條約の分担金金フランによつて、かえられて、この條約が修正されると同時に日本が正式に加盟すると解釈していいか、あるいはすでに日本が加盟しておつて、その加盟した條約の一部が分担金の問題で変更になつたから、その変更に関する部分だけ、ここで国会承認を求めるんだ、というように解釈していいのですか、その根本はどうですか。
  99. 須山達夫

    ○須山説明員 日本は一九二〇年の條約に署名し批准しておりまして、ちやんとその加盟国になつているわけでございます。そうしてそれの修正條約である今御承認を求めておりますこの條約の方には、署名しただけで批准しておらなかつたという状態が、長い間続いたわけでございます。そこで今度新しい條約に入りますと、古い方の條約は、これは特別に新しい條約に規定はございませんが、古い方の條約からは、いわば抜け出して、そうして新しい條約によつてすべてとり行つて行くというふうになるわけであります。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、古い條約と新しく加盟するこの條約との間では、今言つた金フラン分担金の問題が一番重大になるわけでしよう。そう解釈していいですか。
  101. 須山達夫

    ○須山説明員 そのほかの修正は、ごく軽微なものでありまして、これが最も重要な点であります。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで金フランがどういうふうにかわつて来て、日本分担金を幾ら納めることになるのですか。
  103. 須山達夫

    ○須山説明員 日本はもとの條約に加盟いたしまして、第二等級といたしまして、九千フランを払つて参りましたけれども……。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 円にして幾らです。
  105. 須山達夫

    ○須山説明員 それは時によつてつてしまうわけです。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 今の円にして……。
  107. 須山達夫

    ○須山説明員 それが実は今に計算してもぐあいが悪いことは、昭和二十四年度になりまして、日本はこの国際冷凍協会との関係が戦時中とだえまして、ただ分担金だけを払わなければならない義務が残るという状況になりましたので、その第二等級から一番下の第六等級の一千フランに下げるという通告をいたしたのであります。その一千フランは、また一九三〇年にもう一ぺん支払い方法について、フランス・フランをどういうふうに読みかえるかという一つの協定換算率というのがありますが、それが二・〇三七という数字でございます、この二・〇三七を一千フランにかけて、そしてそれを今度はドルに直しますと、現在のドルでは約五ドル八十二セントという金額になる。それを一年間に払うというふうなことになつて、非常に不合理な状態になつて来たわけでございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで今度新しい條約だと、年に幾ら金を納めるのですか。
  109. 須山達夫

    ○須山説明員 新しい條約でございますと、四百金フラン、約百三十一ドルに相当する金でございます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでそれだけの分担金を入れまして、そうして具体的に日本の国にはどういうような恩恵が来るわけなんですか。いろいろなやはり情報の提供だとかいうことだけですか。どうしても分担金を払つてこの際入らなければならないという、その必要性があるのなら聞かせてもらいたい。今まで講和條約がなかつた時だつて、今言つたように署名しただけで分担金も払わないでほうつておいたのですから、この際特に終戦後、たださえ一文の金も倹約したいというときに、戦争前にほつたらかした條約に、わざわざここで、しかも二十倍くらいの金を払つて入らなければならぬということは、よくわからないのですが、何かそこに必要性があるなら、これこれこういう必要性で、どうしても入らなければならぬという理由を伺いたい。
  111. 稻田清助

    ○稻田説明員 先ほどの御質問にもお答えしましたように、主としては食品関係でございまするけれども、戦時中の間隙に各国冷凍科学技術が非常に進歩いたしました。それに追いつくために、わが国の各研究者が非常に努力いたしておりまするけれども、やはり最新の科学技術の情報を得ますることが必要なわけでございます。そういう情報を得ますることと同時に、世界各国における冷凍食品の現在の状況の調査等をもこの協会から得られますし、従いまして貿易振興というような点から見ましても、非常に益するところがあつて、いわば金に換算し得ない大きな利益があると考えられております。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 それほど苦労して冷凍したまぐろが、アメリカでどういうように扱われているかということですが、たとえばことしの十月の十二日に、日本産の冷凍まぐろにトン当り六十ドルの課税を新しくするということを下院で決議をして、現在の日本のまぐろの輸出価格がシフで三百五十ドル、このうちシフですから諸掛りを差引くと、手取り大体二百十七ドル、これに六十ドルの課税をされると手取り百五十七ドルで、実際の問題としては、日本冷凍まぐろはアメリカから完全にボイコツトされているわけです。そういうようにせつかく日本冷凍技術を、なけなしの金を払つて加盟して、まぐろを冷凍してアメリカへ持つて行つたら、アメリカから総すかんを食つて日本の業者間で非常に問題になつているのです。むしろそういう関係を改善することの方が必要で、こういうように冷凍まぐろがアメリカからボイコツトされている際に、冷凍技術に関する條約に入るということはよくわからないのです。これはどういうことなのですか。
  113. 稻田清助

    ○稻田説明員 まぐろの問題は私はよく存じませんけれども、一般のカン詰、冷凍食品なり、あるいは先ほど申し上げましたように、単に食品ばかりでなく、繊維工業につきましても、あるいは製鉄、石油、ゴム、その他ペニシリンの製造、あるいは根本に関連いたしまする学術研究の基本になる問題でございまするので、そういうような点で広くお考え願つて御了解願います。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかりました。結局皆さんの方は技術者なのですから、冷凍技術水準を国際的に高めたいということはよくわかりますが、せつかく高めた冷凍技術でつくつた日本の商品が、外国でボイコツトされたのでは、皆さん方のせつかくの技術日本の国に寄与することにならないと思つたから質問したわけで、いずれこの問題は別の機会にお尋ねしたいと思います。
  115. 山本利壽

    ○山本(利)委員 関連して一つ聞いておきたいのですが、この分担金の問題で、わが国が従来第二等級になつていたのを第六等級に下げて今後扱うという、この等級を上げたり下げたりするのはどういう関係で、どういう機関できめるのですか。
  116. 須山達夫

    ○須山説明員 この冷凍協会の條約におきましては、入つている締約政府が通告することによつて、どの等級でも選択することができます、但しその選択のチヤンスは、規定の上で五年に一度しか参らないのであります。
  117. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは加盟国の意思によつて等級がきまるとすれば、その分担金の支払い方によつて、つまり等級によつて、その受ける利益と申しますか、そういうことに差異があるのでありますか。
  118. 須山達夫

    ○須山説明員 この條約におきましては、條約に規定されました冷凍協会の機関でありますところの総会、及び執行委員会における投票権が、分担金の等級に逆比例して規定されております。
  119. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それではその等級と投票権との関係をちよつと御説明願いたいと思います。逆比例する場合に、一等級はどのくらいの投票権があり、六等級はどのくらいあるということです。わずかな金、六等級であれば百三十一ドル払えば済む、金の点では非常にけつこうでありますけれども、そのことによつて日本の受ける利益といいますか、あるいは発言権というようなものに非常な差がある場合は、さらに五等級にし四等級にするということも考えられると思うわけです。
  120. 須山達夫

    ○須山説明員 この冷凍協会と申しますものは、きわめて学術的な協会でありまして、大きな発言権を持つということが国に大きな利益をもたらすというよりは、ここにおいて研究した成果を発表し、研究した成果の情報を受けるということが一番大事なことでありますので、国の経費を最も節約するという見地から、当時におきまして、六等級まで下げた次第であります。
  121. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今の点は、もしそうであれば、どこの国でも六等級に入る意思のところが多いだろうと思われるので、今の御説明では納得が行かないのですが、金がたくさんあるから自分の方はたくさん払つてやらうというわけのものですか。あるいはその国の国富であるとか、人口であるとか、いろいろな点から割出されて、どのくらいが何等級というふうに、委員会あたりできめられるのならば別でありますけれども、今の御説明によりますと、わが国が金がわずかであるから六等級に入つたということであれば、他の国がなぜこういうような等級によつて多額の金を払うことになるのか、今の御説明ではわからないのであります。
  122. 須山達夫

    ○須山説明員 日本が入りましたときに、第二等級を選んだと同じように、各国におきましては、自分のちようどいいと思われるところを選択しておる次第でございます。
  123. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは、投票権というもので、一等は一番投票権が多いわけでありますが、投票権を多く持つということと少いこととによつての差ということが御説明願えれば、今の点がはつきりするのですが、その点はわかりませんでしようか。しつこいようですけれども、まことにこれでは説明が不十分でわからないからお尋ねするのです。
  124. 須山達夫

    ○須山説明員 先ほど申し上げましたように、冷凍協会と申しますのは、学術的な協会でありまして、ここにおいて投票権数と申しますのは、第九條、條約の八ページと九ページのまん中に表がございますけれども、ここに定められておりますように、一等級であれば六つの投票権を持つ、六等級であれば一つの投票権を持つというふうに定められておりますけれども、投票権がたくさんあることによつて、その国が総会ないし執行委員会に大きな発言権を持つたとしても、それによつてこの協会目的とする学術的な研究の方では、何ら損得はないわけでございます。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 簡単に一つだけ……。お互いにしろうとであるから、ぜひ聞かしてもらいたいと思います。日本冷凍技術が戦後国際的な水準から下つているから、すみやかにこれを高めなければならないという御希望はよくわかります。それで日本が国際的な水準からいつて、戦後下つておるものはいろいろあるわけです。この冷凍だけを特にすみやかに回復して、その持つた技術を利用する面はどういう方面にとりあえず利用する必要があるのですか。こういう方面にこれこれこういうことで非常に冷凍が必要になつて来ている、日本の現状からいつて冷凍技術をどうしても世界的な水準に高めなければならぬ、従つてこの條約をただちにやつていただかなければ困るなら因るということを、ひとつ説明してもらいたいと思います。
  126. 稻田清助

    ○稻田説明員 冷凍の問題につきましては、幸いにこういう国際機関がありますので、これに加入することが利益があるわけでございますが、その他の学術部門につきましては、またそれぞれいろいろ学界等の連絡によりまして、世界の進歩に日本も歩度を合せ、さらにその上に向上を今目的としておるわけでございますが、冷凍の問題は、成立ちが大体食品工業の問題が中心でございまして、さらに先ほど申し上げました海外貿易ばかりでなく、国内の衛生というような面から見ましても、大いにカン詰ないし冷凍食品について合理化いたしますることは、経済的にもまた衛生的にも非常に利益のあることだと考えております。さらにまた製鉄、あるいは石油、あるいは繊維工業、あるいはゴム工業、あるいは最近ペニシリン方面において、いろいろ冷凍技術が各方面に応用せられておりますので、単に食品工業ばかりではないのであります。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで一等の分担金を入れておる国はどこですか、それはドルにして幾らか、聞いておきたいと思います。
  128. 須山達夫

    ○須山説明員 新しい戦後の関係につきましては、手元に資料を持つておりませんので、後刻御報告申し上げます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 金にしてどのくらいです。一等は……。
  130. 須山達夫

    ○須山説明員 ただいま申し上げました日本の額の十二倍でございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこの次にその一等級の国、議決を六つ持つている国をお知らせください。
  132. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。次会は明後十一月二日、金曜日午前十時より開会いたします。     午後零時五分散会