○倭島
政府委員 引揚げ
関係の
一般の最近までの状況を御報告申し上げたいと思います。
第一には、国連の捕虜に関する特別
委員会の活動状況の問題でございますが、それはお
手元にその活動状況についての調書をお配りいたしておきましたので、詳しいことはそれで
ごらん願いたいと存じますが、一言主要な点を申し上げますと、御存じの通り、昨年の国連総会でこの特別
委員会が設けられて、この特別
委員会は今年の五月以降集会を催して各国から提出された引揚げ
関係についての報告の審査をし、そしてそれに基いて必要な
措置をとる、そしてなるべく早い機会に国際連合総会に報告をするということにな
つてお
つたわけであります。特別
委員会はその組織が多少遅れまして、
委員会が
最初に会合いたしましたのは今年の七月の三十日でありますが、それから八月の上旬にかけまして会合しておるわけであります。その国連の特別
委員会の開催せられることを承知しておりましたので、日本
政府からも引揚げ問題についての報告並びに日本
政府の
希望を述べた手紙を今年の五月十四日と六月十九日付の二回にわた
つて国連に送
つたわけであります。引揚げ問題のわが国の
見解を申し述べると同時に、特別
委員会が開催せられました後において、ぜひわが国にも来ていただいて、わが国の引揚げ問題の実情、あるいは
関係資料をぜひ見てもらいたいという要請を二回重ねてしたのでありますが、その引揚げ問題が八月の中旬にしばらく閉会をするということになります直前に、わが国の手紙に対する返事をよこしまして、それはこの調書にも載
つておりますが、特別
委員会の
委員長から八月の十五日付で外務大臣あてに手紙が参りまして、日本
政府の二回にわたる手紙は受取
つた。それから日本
政府からの招待の件についても御礼を申し上げる。ただせつかくの日本
政府のお招きではあるけれ
ども、現在の段階においては、本年末に
委員会が協力を要請しておることはいろいろあるのでありますが、その要請しておることについての各国の
政府からの返答が来るまではこの特別
委員会はしばらく活動を停止するということにな
つておるし、その再開せられるまでに日本にお伺いすることはしばらく見合わした方が適当だと思われるので、さよう御承知を願いたい。つまりせつかくのお招きを受けたわけであるけれ
ども、今年末までしばらくいろいろな求めておる報告がまだ出て来ないから、その間は日本にはまだお伺いしない方がいいと思う、御了承願いたいという返事が参りまして、せつかくぜひ来てもらいたいと
思つてお
つたのがだめにな
つておる状況であります。従いまして
委員会は今年末まで大体休会をするということになりますので、実は国連総会は十一月の六日からパリーで開かれ、大体約一箇月間開催せられることになるだろうと思いますけれ
ども、その
委員会には現在までのところ引揚げ問題は上程せられないというような予定のようでります。われわれとしてははなはだ残念でありますけれ
ども、国連の方の
関係はそういうようなことでいつになりますか、今年末にこの特別
委員会が再び開催せられるときまで、直接に引揚げの問題が上程せられないのではないかと心配をしております。
第二番目に、ソ連からの引揚げの問題でございますが、御存じの通り今年は、九月の五日に八名帰還して参りました以外は、まだ何ら帰還の模様がございません。しかしながら
政府としましては、か
つて今年の七月二十五日に発表しましたように、まだ相当多くの同胞がシベリアその他ソ連領域内に生きて残
つておると確信をいたしておる次第でありますし、ソ連の方でも必ずいつの日かこれを帰してくれるだろうと心待ちにしておる次第であります。
中共からの引揚げの問題でありますが、今年は今日までに約三十六名帰
つて来ております。これは従来中共地区におられた方々が、あるいは大部分は抑留者の
関係の方でございますが、抑留
関係の仕事が済み、それから金の都合がつき、向うから許可をとりつけることができて、秦皇島その他から外国船に乗
つて帰
つて来られた
人たちでございます。
政府といたしましては中共地区にもずいぶん多くの同胞がまだ残
つておられることがわか
つておりますので、中共
政府を承認しておる国の
政府を通じまして何とか早く集団的な引揚げをやるように話をまとめたいと
思つて努力をしておりますが、残念ながらまだこの結果は出るに至
つておりません。
南方方面にも、実は普通の引揚げは完了しておりますが、まだ戰争中に軍の組織を離れて逃亡してあちこちにおられる人がときどき発見されるわけであります。その数は大したことではございませんが、現在南方方面で、
関係政府がこういう日本人がおるということがわか
つた、その本人も帰りたい趣だということで、日本
政府との間で帰還の交渉が始ま
つている
人たちが現在十六名、捜査願いの方が二名、それから実際問題として、できるだけ早く帰
つて行きたいということで、目下いろいろ交渉をしておる
人たちが十四名ございます。
なおこれは直接引揚げの問題ではございませんが、南方
各地区
——南方だけではございませんが、各方面で戰死をされた方々、戰争中なくなられた方方の遺骨をぜひ日本に持
つて帰りたいということを
考えておりまして、ただこの問題はまだ條約の締結以前でありますし、諸般の国際
関係がまだむずかしい問題がたくさんございますので、現在一応遺骨を日本に持
つて帰りたいということで
政府が交渉中のところは、米国の勢力下にあるところで、硫黄島、ウエークなどにある遺骨をできるだけ早く日本に持
つて帰りたいというような交渉を進めておりますが、これもまだいろいろ解決をしなければならぬ
関係事項もございまして、まだ実現するまでには至
つておりません。
大体引揚問題
関係で
一般の報告を申し上げれば、以上の通りであります。