運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-10-27 第12回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十七日  若林義孝君が委員長に、池見茂隆君、小西英雄  君、庄司一郎君、玉置信一君、坂口主税君、受  田新吉君及び柄澤登志子君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十六年十月二十七日(土曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 小西 英雄君    理事 庄司 一郎君 理事 坂口 主税君    理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    門脇勝太郎君       佐々木秀世君    田中 啓一君       玉置  實君    中山 マサ君       福田 喜東君    南  好雄君       柳原 三郎君    今野 武雄君  出席政府委員         外務事務官         (理管局長)  倭島 英二君  委員外出席者         主  計  官 岩動 道行君     ————————————— 十月二十五日  委員鹿野彦吉君辞任につき、その補欠として高  橋權六君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  未復員者給與法に関する件  海外同胞引揚問題に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  本日は、未復員者給與法に関する件及び海外同胞引揚げ問題に関する件について議事を進めることにいたしますが、まず初めに未復員者給與法に関する件について、政府当局より説明を求むることといたします。これにつきましては各地よりの陳情もあり、当委員会としてはぜひこの改正をすべく検討中であります。現在お手元に配付してありますような要領について改正立案を急いでおる次第でございます。  では、これについて予算上の面より大蔵当局から一応の御説明を願うことにいたします。岩動主計官
  3. 岩動道行

    岩動説明員 ここに法律案の要綱として書かれてあります点につきまして、二、三の点はあらかじめ私の方でもお話を承つておる点もございますが、また一、二の点については初めてただいま拝見したような点もございます。従いまして、ここで初めての点につきましては、必ずしも御満足の行くような御説明もできかねるかと思います。  まず第一の、未復員者給與月額千円を千五百円にすることという点につきましては、大蔵当局といたしましては初めて伺うわけであります。ただこの点につきましては、私どもの方といたしましては本年度の補正予算におきまして、戰争犠牲者処遇に関する調査といたしまして、約一億円の金を計上しておるわけであります。つまりこれは傷痍軍人、それから遺家族に対する処遇をどうするかという点についての調査を早急に進めることになつておるわけでありますが、この未復員者給與、結局留守家族に対する援護と申しますか、国の処遇につきましては、その方においてとりまとめて検討して、できるだけ善処いたしたいというふうに考えて、ただいまいろいろと関係当局の間で検討をいたしておるわけであります。従いましてただいまこの未復員者給與法をただちに千円を千五百円にするというようなことをいたしませんで、将来において、傷痍軍人並びに戰歿者家族処遇と一貫した体系の中でこの問題を取扱つて行くというふうにいたしたらいかがかと考えるわけであります。  第二の、遺骨引取りの経費に関しましては、この点もただいま拝見いたしたわけでありますが、これはかねて私の方でも若干の研究をいたしておりますので、大体二千二百円を二千三百円にするということについてはさしつかえないかと思うのであります。なお詳細に運賃の値上り等検討いたしてみたいと思いますが、大体二千二百円が二千二百九十円くらいになるかと思われますので、二千三百円も妥当ではないかというふうに考えるわけであります。予算面はこの引上げによつてもなお既定の経費でまかない得ると考えられます。  第三に、療養期間延長の問題でありますが、これはかねてから問題になつてつた点でありまして、大蔵省あるいは厚生省とも十分に検討いたしてみたわけであります。また参議院の委員会におきましてもこの問題が取上げられておつたわけでありますが、ただいまのところ大蔵省といたしましては、この療養期間は三年を経過した場合に、なお引続き必要がある場合には三年間を限つて療養を継続することができるというふうにしていただいたらいかがかというふうな考えを持つておるわけであります。これは国家公務員その他一般的な取扱いにおきまして、無期限療養の給付を続けるということは、全体の調和の上からいつていささか調和の欠ける点もありはしないかという点も考慮いたしまして、一応三年、しかしながら三年を経過しても、なお療養が必要であるというような者も出て来るかと思いますが、そのときにはその状況に応じて、さらに政府といたしましては善処をして行きたいというふうに考えて、さしあたり三年という期間限つてみたいというふうに考えております。  四番目の傷害一時金を二倍にふやすことは、これはかねてからの懸案の問題でありまして、この点につきましては予算上の措置もとつて遺憾のないようにいたしたいと思つております。その他の点につきましては別に意見はございません。
  4. 庄司一郎

    庄司委員 ただいまの大蔵当局の御説明によりますと、第一項の未復員者俸給現行月額一千円を一千五百円とすることということは、まだ耳にされておらないということでございまするが、それは大蔵省当局だけがお聞きになつておらないことであるか、あるいは厚生省等より何らか具体的の御相談がなかつたものであるか、まず最初にその一点を伺つておきます。
  5. 岩動道行

    岩動説明員 大蔵省としてはまだ正式に聞いておりません。厚生省からも、正式に予算要求としては出て参つておりません。
  6. 庄司一郎

    庄司委員 現行月額一千円などというものは、まことにただいまの物価よりいえば少額過ぎるところの零細の援護資金であります。それを最小限度一千五百円にしたいという本委員会の試案といいましようか、草案といいましようか、最小限度を一千五百円に見ておるのでありまして必ずしも一千五百円にしてほしいというのではない。一千五百円というのは最小限度でありまして、中山さんなんかは現に三千円説をとられておるのであります。その他の同僚委員諸君も、相当この金額の問題については御理解のある、愛情のこもつた引上げ方をしたいという御意見でおられるように拝察をしておるのでありますが、今回の一般公務員給與引上げ一千五百円、こういうものとにらみ合せて、かつすべての物価暴騰等に順応して、でき得るだけこの俸給額を上げてやりたいというような御理解と御信念を持つて大蔵当局厚生省意見も聽取され、また国民を代表するところの、総意の集まるところの本委員会意向等もよく尊重されて、すみやかに考究善処されんことを望んでやまないのであります。やがて厚生委員会か本委員会にまわつて来ると思いまするが、全国各地より俸給額の値上げ、あるいは一般公務員がこの年末は大体約八割のボーナスがもらえるというようなことに対応して、年末の資金あるいは越冬資金意味を含んで、やはり賞與金、ボーナス的な性格をもつて最小限度八割程度の特別な給與を交付してもらいたいというような請願が本院の公報にも現われておることは、大蔵当局ごらんになつておることと思うのであります。そこで最小限度の一千五百円に対してさえもまだ耳にしておらないというようなことはまことに意外千万なことでございますが、間もなく厚生省政府委員も御出席されることでございましようから、その方面にも伺いを立ててみたいと思うのであります。とにかく一千五百円というものはこれが絶対的というものじやございませんで、最小限度であります。だんだん三千円説の御主張も同僚委員の中から現われて来ると思いまするが、できるだけ多くの給與にこれを増額してほしいということを、とくと大蔵当局にあらかじめ申し入れておきたいと思います。  それから、第二に、現行二千二百円を二千三百円にしたい。これらについては、大体それと接近した二千二百九十円の予算措置をとる旨のお答えがあられましたから、これをいま一度再検討されて、やはり最少限度が二千三百円になるように御措置をとつていただきたいということを懇請しておく次第であります。  それから第三の問題でありまするが、これは過般読売新聞を初め各新聞投書欄に、現在全国国立病院等に收容されておりまする六千六百人の患者諸君が、この年末に迫る期間の問題にえらい不安と焦慮にかられまして、陸続として各新聞投書欄を通して要請されておる問題であります。ただいまお答えによると、無期限期間延長ということは何か至難のようなお答えがあられたようでありまするが、当人達はもとよりすき好んで身体障害者あるいは病人になられたのではない。国家の要請によつて、当時天皇の命令によつて応召され、出征し、患者となつたのであります。それにある期間以後は全然国が顧みることができないというようなお言葉は、大蔵当局のあなたのお言葉であるからしばらく忍耐をするけれども、これがもし国務大臣諸君のお言葉であつたならば、その冷酷さに対してわれわれは反撃を與えざるを得ないのであります。要するに国家誠意をもつて、真心をもつてそれらの患者をいつまでも見てやる、なおしてやる、これでなければならないと思うのであります。警察予備隊その他の自衛軍のことも将来ございましようが、こういう患者諸君に対してなおるまで見てやる、こういうあたたかいヒユーマニテイのお心が政府当局より発散しなければなりません。これが国家としての当然の責務であり、当然の義務でもある、こう考えられますので、期間延長は、法律でありますから無期限という言葉を用いるわけには行かぬでしようが、時折期間がなくなれば、将来に延長してやるというような誠意だけは、われわれはこの委員会を通して、政府にも強く要請しておきたいと思うのであります。  第四の障害者の一時金、これは二倍に増額するという本委員会意向が、大体大蔵当局ではオーケーのようでありますから、この点はまことにけつこうであると存じております。
  7. 若林義孝

    若林委員長 ちよつと庄司一郎君、中山委員が十二時から何だそうですから、ちよつと間にはさましていただきたいと思います。
  8. 庄司一郎

    庄司委員 けつこうであります。委員長のお言葉の通り、中山さんにお讓り申し上げます。
  9. 中山マサ

    中山委員 私はこの第一に対しまして、庄司委員が申されましたように三千円説をとつて参つております。それには理由があるのでございます。私が国連より帰りまして、各県のお呼びによりまして歩いておりましたときに、行先々々で聞かされたことが、私がこういうことを申す根底になつておるのでございます。仙台であつたと記憶いたしておりますが、ある一婦人が申されましたが、罪人、犯人が捕えられると、その人を一箇月国が監獄に入れて、それを養つて行くには月にどんなことがあつても三千円かかります。そうすれば、みずからが犯罪を犯して、そうしてお国のごやつかいになつてすら三千円もかかるのならば、私どもの主人がお国の命令によつて出征して、そうして帰りたくも帰られないで抑留されておるのに、そういう犯人の三分の一とはどうしても納得が参りませんという言葉を、私は多くの人々から聞かされたのでございます。こういう感覚国民に與えるということは、私はよき政治とは考えられないのでございます。国に忠義を盡さんがために行つた人が、国に対しての犯人の三分の一の扱いを受けるなどということは、考えても、私は行く行く国家の治安上おもしろくないという感覚を抱くのでありまして、なるほどこうした貧乏国でございますから、私どもが申すことはあるいは無理かも存じませんけれども、三千円はできないならば、せめて二千円で私は犯人と同じように扱つていただきたい。これは海外におる犯人という感覚からごらんになりますれば、三千円くらいはやつていただいて私はしかるべきだ、こういう考えを持つて、あるいは予算上無理かもしれませんけれども、千五百円というようなことでは、どうしても私どもがお世話をしております留守家族に対して済まないような気がいたしますので、どうぞ一つぜひこの点御考慮を願いたいということをお願い申し上げる次第でございます。  それから第三点でございますが、療養所におつた人で、私が今思い出しますのは、ソ連におりまして情報機関におつたために、拷問中脊髄をなぐられまして腰が立たないようになつてしまつて、帰つて来た人が、あまりに短かい期間でございますので、これは今大阪におりますが、十分の治療ができないで、それでも出て来なければならなかつたという話を私は聞かされまして、まことにお気の毒に存じた次第でございます。願わくば、三年というお説もあるそうでございますが、そういう極端な措置によりまして、脊髄が十分でないために歩行も十分でないところで出なければならなかつた生活費をかせぐためにも非常に困難をしておられます。まことに私はお気の毒に存じておる次第でごいます。こういう点もございますので、三年と区切れば、三年いなくてもいい人でも、あるいは少しあつかましい人は三年おるかもしれないと思います。こういう住宅困難な時代でございますから、あるいはその家族が焼け出されて行く場所もないような方は、一年くらいでもいいところを、三年おられるという権利があればおる人があると思います。そういうふうなことがないように、十分な治療ができて——お医者さんのことですから、完全に治療したと認められた人は出られるようにして——これを三年と区切ると、そういう弊害も私は生れて来はしないかと、今日の家の不足の関係から考えましても思いますので、どうか完全に治療をした者は退院させるという御方針を御考慮願いたいと考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  10. 受田新吉

    受田委員 今の第三條に関係してお尋ねしたいのですが、政府職員であつた者で応召され、まだ復員をして来ていない者に対する給與は三七べース当時において押えられていると思いますが、これはいかがでしようか。
  11. 岩動道行

    岩動説明員 私、ただいま手元資料を持つておりませんのではつきり申しかねますが、たしかそのようになつておると思います。
  12. 受田新吉

    受田委員 現在こちらにおれば、たとえば政府職員のうちで課長、部長という地位に当然あるべき人が、まだこちらへ帰つていないために三七ベース当時の給與で押えられているということは非常に不合理だと思うのでありますが、未復員者給與に関連して、これはなぜその当時の給與で押えたのか、この点現在の給與は、たとい復員をしていないでも、当然その職に現在あるのですから、政府職員として同じ立場にある人と同等の待遇をすべきではないかと思うのですが、御意見を伺いたいと思います。
  13. 岩動道行

    岩動説明員 給與の点につきましては、まことに申訳ありませんが私は所管でありませんので、その点をお含みの上お聞きいただきたいのであります。ただいまのお話は一応もつともなお話だと思いますが、一方におきましてそれだけの公務と申しますか、サービスと申しますか、国に対するサービスというものをやつていないという現実の問題もまた考慮しなければならないということもありますので、できれば上げて行くべきことも考慮されるのでありますが、財政的な観点もあつて、やむを得ずそういう低いベースでとどまつているというふうに御了解いただきたいと思います。
  14. 受田新吉

    受田委員 この問題で関係担当政府委員の人はどなたですか。
  15. 若林義孝

    若林委員長 給與課長だと思います。
  16. 受田新吉

    受田委員 今の問題について、この未復員者給與法の第三條に関連する問題として、まだ復員をしていない、あるいはこちらへ帰つていないところの未帰還の政府職員に対しての給與は、三七ベース当時まではあたりまえに上つて来たが、その当時からストツプされたということに対して、関係政府職員が何人あるか、そしてその待遇を今後引上げるためにどのくらいの財政的な裏づけがいるのか、こういう問題をひとつ政府から調べていただきたいと思うのであります。今財政上の問題もあるというお説でありましたが、おそらく政府職員であつた復員者はそう多数はないと思いますので、この点は地方公務員にもやはり関連する問題でありますが、政府職員並びに地方公務員の双方からその資料を出していただいて、これに要する経費幾らいるかを調べて、三七ベースまでは全部上つて来たのに、それからは押えられて、その夫の收入で生きて来た家族人たちが非常に困窮しているのを救済しなければならないと思うのであります。また現在国家に奉仕していないというのでありますが、これはまつた考え違いじやないかと思います。国家の犯した罪によつてやむなく国家に奉仕したというような形になつたと解釈されるのでありますが、しかし事実は国家命令第一線に出されてまだ帰つていないというのは、こちらにおつて働いている以上の苦痛を感じて国家に奉仕したような形になると思うのであります。まだ帰つて来ない人は、国家に奉仕していないから待遇を下げられてもいいのだという理論は、私としては非常に残酷な理論だと思うのでありますが、今の大蔵省の方の御意見は、帰つて来ないでおる人が現在国家へ奉仕していないという結論は、今私が申し上げた意味の、やむを得ざる国家命令によつて第一線に出されて、やむなき事情に立つて奉仕できないのであつて、事実は奉仕したと同じ形になつていると私は断定をしていいと思うのであります。さらに御見解を伺いたいと思います。
  17. 岩動道行

    岩動説明員 ただいま国にサービスしていないというふうにお聞きとりいただいたかと思いますが、若干その点は訂正をさせていただきたいと思います。サービスをしていないということよりも、国に対するサービス現実程度ないし内容が異なつているというふうに御了解いただきたいと思います。
  18. 受田新吉

    受田委員 この問題は、やはり第三條に関係しておるのでありまして、未復員者俸給現行月額千円を千五百円などという、まことになまぬるい案が出されていることにもなると思うのですが、これは元々上等兵以下が四円五十銭ないし六円の安い給料で拂われたときのことが基準になつておるのであつて、現在はそうした階級的な種別をなくして、一人の国家へ奉仕する公務員としての立場でこれを見なければならぬという点に来ておるのでありますから、こういう意味からも、千五百円などでは、一箇月国家に奉仕するということは非常に不当であることははつきりしておるのであります。この点国家へ奉仕する内容がいかぬという問題についても、すでに内容においても、国家責任という立場からは、こちらへおつた人と同等に取扱うべきではないか、こう思います。従つて第三條の千五百円というような姑息な考え方でなくして——財政の許す限りというようなことは今ここでお聞きしたくありません。もうこの点については目をつぶつて増額をはかるべきときではないかという意見を持つておるのであります。この点原案を出された立場からの政府の御見解——今の国家へ奉仕する内容その他の問題として見るべきか、あるいは国家責任においていまだ帰らざる立場に立たされている人であるという観点、この大きな線でこれを見るべきかという重大な問題でありまするので、今申し上げましたように、これはおそまつな待遇を続行すべきでなく、この残された人たちの人数もそうたくさんじやないし、その給與を切りかえて三千円にしたつて、総額の上においてはごくわずかな財源で済むのですから、この際ひとつ愛情のこもつた施策をとるという意味から、勇敢に大蔵省として財源を考慮する必要がないかと思う。これは先ほどから御答弁がいろいろあつた思いますが、私の所見を申し上げておいて御無礼します。
  19. 若林義孝

    若林委員長 ちよつと御注意をしておきますが、今お手元にありますのは、政府原案ではなく、委員会原案としたいということで出しておるのです。
  20. 池見茂隆

    池見委員 これは委員会原案だということに今お話がありましたが、岩動主計官いろいろ給與その他のまとまりがついて、それを予算化するという立場にある人だと私は思うのであります。従つて給與課長がここにおられれば話はさらに進みますが、われわれの立場として考えるときにおいては、いま少しこれを増額する必要があるということが第一点であります。従つて一項の未復員者俸給という意味を解釈しますときにおいては、これは留守家族生活に直接関連しておるものである。終戦後六年間、留守家族の人は最初は身寄り、たより、あるいは親類その他の援助を受けて生活されて来られたでありましようが、長年月にわたる今日においては、留守家族独自の立場において、独立生活を営まなければならない状態であると私は考える。としたならば、こういつた復員者に対する給與そのものが、留守家族生活費基準となるものであると考えてしかるべしと私は思うのであります。千円が千五百円に——これは中山委員お話になるように、三千円程度にはぜひ増額すべきである。さらに第二項の遺骨引取費、これはたつた百円の値上りであるが、こういうことなら二千二百円でそのまますえ置いても別にさしつかえないと考える。それから療養期間の問題にしても、これは三年間という限度をきめるということになれば、今中山さんからもお話がありましたように、退院していい者が何らかの口実のもとに三年間だけはいすわる、そういつた弊害を事実私は聞いております。しかしこの條項による必要なる期間療養ということは、やはりその入院しておる人の良心と、さらにそれを治療するところの係の人も通じたる、どこどこまでもその人々に対しては手厚い看護を與え、退院せしむるという気持を持つたならば、必要なる期間の限定の要はないと考える。こういつた点より思いをいたしまして、この金額増額についてはさらによく再検討して、もつてこの原案を成立せしむるようにしたいと考える。私は岩動主計官に、この原案程度であつたならば、予算措置は可能であるかどうか、さらにわれわれの希望考えておいていただきたい。
  21. 坂口主税

    坂口委員 私も前各委員が御希望になつたのと同じ希望を持つております。しかし今日御出席になつておる方にそういうことを希望しましても、非常にけつこうですけれども、なかなか実現は困難であろうと思います。かりにこの案で行きまして、第一のことですが、ほかのは大したことはないのですが、五百円を上げた。それから中山さんが希望されました三千円というようなことで行きますと、今の未復員者給與法の適用を受けておるものについて計算すればどのくらいになるか、しかもこれは十月からということになりますと、とりあえず年度内、半年の間にどのくらいの金がいるか、お伺いいたします。
  22. 若林義孝

    若林委員長 委員長手元で出しております資料によると、未復員者俸給増額に要する予算額が一億一千四百万円、それから遺骨引取りの経費増額に要する予算額が約百四十万円、合計一億一千五百四十万円ということになつております。大体給與並び遺骨引取りは、今年度の予算額の範囲内で充当できる見込みがついてはおるわけなんです。
  23. 今野武雄

    今野委員 私もこの三條の問題が一番重要だと思うのですが、特にさつき中山委員監獄におつても三千円はかかるという話だつたのですが、今度の政府職員給與改訂に関する人事院案などを見ても、満十八歳の独身者四千二百円ということを出しておるわけです。むろん私はこの四千二百円という基準が妥当であると思つてはいないので、その内容を調べてみると、これではたとえば魚その他の蛋白を毎日々々食う量が二十何円ということになるのであつて、こんな生活は実際にはありはしないと思う。月額千円というのは一日にすれば三十三円になる。そういうもので一体現在の生活が成り立つかどうか、これは考えなくてもわかることで、そうすれば、俸給ということが全然意味をなさぬ。ただお惠み金をくれてやつているというだけの意味になつてしまうわけであります。従つて私は、こういうような原案をつくること自身が問題であつて、もうちよつとこれはかえなければならないと思うわけなんです。  大蔵省の主計局としては、千五百円出すこともすぐにはむずかしいだろうというお話ですが、三千円なり、あるいは四千円なりにする。たとえば二千円にした場合は幾ら増額を要するか、来年より補正としてはどのくらい要するか、あるいは三千円にした場合にはどのくらい増額が必要か、そういう計算は当つておられるのですか。その点ありますのですか。
  24. 岩動道行

    岩動説明員 ありません。
  25. 今野武雄

    今野委員 今の委員長の話ですと、現在のところは一億一千五百万円だというのです。これは、かりに三倍になつたところで三億なにがしです。今度の補正予算を見ると、たとえば警察予備隊の費用七百五十億ぽこんと出しているわけです。いやにあつさり百五十億出している。そういうものから見ると、これはまるで問題にならぬ金額です。しかも過去の戰争の犠牲として、実際海外にいる人もあるでしようし、あるいはこつちへ帰つて来て、未復員者の取扱いを受けている人もあるでしよう。町の人に呼びかけている姿を見ても、実にいたいたしい、実に戰争の惨害というものをそのままに感じさせるような、そういう人たちがたくさんおるわけなんです。それに対して国民としては、政府にもうちよつと考えていただく必要があるのではないか、そういう輿論を反映して、予算を組むのだとすれば、やはりそこのところは三千円とか、あるいは四千円とか、何とかもらつただけのかいのある金額を計上すべきじやないか、こういうふうに思うのですけれども、主計局としては、やはり予算を組む建前としてそういうことをやる気があるかどうか、その点をちよつとお伺いしておきたいと思うのです。
  26. 岩動道行

    岩動説明員 ただいまいろいろな金額をもとにして、どうなるかということを検討するかというお話がございましたが、私どもといたしましては、来年度の予算については、たただいまいろいろと検討を始めたところでございまして、まだ何もきまつておりません。またこの未復員者給與につきましては、先ほども申し上げましたように、戰争犠牲者の取扱いとあわせて調和をとつたものとして考慮して行きたいという気持もございまして、その点からの検討もいろいろいたしておりますので、まだ何もかたまつたものを持つておりません。
  27. 今野武雄

    今野委員 そういう調査を一億かけてやるというのですが、この調査は、いつごろまでにでき上らせるつもりなのですか。
  28. 岩動道行

    岩動説明員 調査内容につきましても、これはただいま内閣の方針で設けられました打合せ協議会におきまして、どういう事項を調査するかということについて検討を始めたばかりであります。しかも補正予算が通過したあとでなければ、実際の活動にとりかかれませんので、やはり年度内一ぱいはかかることになるのじやないかというふうに考えております。
  29. 今野武雄

    今野委員 しかし未復員者扱いをされている人たち生活の窮迫して来ていることは現実の事実なのです。従つてそういう調査ができ上るまでの、とりあえずの方法ということは考えておられないのですか。何かそういう臨時的な措置考える気はないのですか、その点をお伺いしたいと思います。
  30. 岩動道行

    岩動説明員 ただいまの臨時的な方法とおつしやる内容が具体的にわからないのでありますが、もしここの要綱に書いてあるようなことでありますれば、二とか、三とか、四といつたような点については、具体的に考慮をいたして、予算的な措置をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  31. 今野武雄

    今野委員  一については、その気が全然ないのですか。
  32. 岩動道行

    岩動説明員 一につきましては、ただいまのところ戰争犠牲者の取扱いと関連させて考慮して行きたいというふうに考えておるわけであります。
  33. 今野武雄

    今野委員 だからそれは将来の問題なのです。臨時的に措置をとる気はないかということを聞いておるのです。
  34. 岩動道行

    岩動説明員 将来の取扱いを、戰争犠牲者調和させて考えるということになる場合におきましても、どういうふうな取扱いでそれを取込むか、あるいは全然現在の通りの方法で行くかどうかという点についての見当がつきませんとすれば、早急の、今年度内の問題も解決がつかないという意味で、まだ何もかたまつていないというふうに考えております。
  35. 若林義孝

    若林委員長 この際お諮りをいたします。給與法に関しましては、いま一歩あるいは数歩深めて掘り下げて考えるべき必要があると思いますので、今日は給與法に関してはこの程度にとどめておきます。     —————————————
  36. 若林義孝

    若林委員長 次に、在外公館等借入金に対する件につきましては、重要な問題として調査を進めて参つておるのであります。今度、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案が内閣より提出されまして、現在大蔵委員会に付託されて審議されておるのであります。この法律案は当委員会として重要な関係にありますので、大蔵委員会に、この在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案について、連合審査会の申入れを行いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認め、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案について、大蔵委員会に連合審査会を申し入れることといたします。なお開会の日時等につきましては、当該委員長協議の上、公報をもつてお知らせをすることにいたします。     —————————————
  38. 若林義孝

    若林委員長 次に、海外同胞引揚問題に関する件について、ただいま外務省管理局長倭島英二君が出席になつておられますから、一応引揚げ問題に関する一般事項、またお手元に、国連における引揚げ問題に関する特別委員会の情報の資料も外務省より提出されておりますので、これらについて倭島管理局長より一応説明を聞くことにいたします。倭島管理局長。
  39. 倭島英二

    ○倭島政府委員 引揚げ関係一般の最近までの状況を御報告申し上げたいと思います。  第一には、国連の捕虜に関する特別委員会の活動状況の問題でございますが、それはお手元にその活動状況についての調書をお配りいたしておきましたので、詳しいことはそれでごらん願いたいと存じますが、一言主要な点を申し上げますと、御存じの通り、昨年の国連総会でこの特別委員会が設けられて、この特別委員会は今年の五月以降集会を催して各国から提出された引揚げ関係についての報告の審査をし、そしてそれに基いて必要な措置をとる、そしてなるべく早い機会に国際連合総会に報告をするということになつてつたわけであります。特別委員会はその組織が多少遅れまして、委員会最初に会合いたしましたのは今年の七月の三十日でありますが、それから八月の上旬にかけまして会合しておるわけであります。その国連の特別委員会の開催せられることを承知しておりましたので、日本政府からも引揚げ問題についての報告並びに日本政府希望を述べた手紙を今年の五月十四日と六月十九日付の二回にわたつて国連に送つたわけであります。引揚げ問題のわが国の見解を申し述べると同時に、特別委員会が開催せられました後において、ぜひわが国にも来ていただいて、わが国の引揚げ問題の実情、あるいは関係資料をぜひ見てもらいたいという要請を二回重ねてしたのでありますが、その引揚げ問題が八月の中旬にしばらく閉会をするということになります直前に、わが国の手紙に対する返事をよこしまして、それはこの調書にも載つておりますが、特別委員会委員長から八月の十五日付で外務大臣あてに手紙が参りまして、日本政府の二回にわたる手紙は受取つた。それから日本政府からの招待の件についても御礼を申し上げる。ただせつかくの日本政府のお招きではあるけれども、現在の段階においては、本年末に委員会が協力を要請しておることはいろいろあるのでありますが、その要請しておることについての各国の政府からの返答が来るまではこの特別委員会はしばらく活動を停止するということになつておるし、その再開せられるまでに日本にお伺いすることはしばらく見合わした方が適当だと思われるので、さよう御承知を願いたい。つまりせつかくのお招きを受けたわけであるけれども、今年末までしばらくいろいろな求めておる報告がまだ出て来ないから、その間は日本にはまだお伺いしない方がいいと思う、御了承願いたいという返事が参りまして、せつかくぜひ来てもらいたいと思つてつたのがだめになつておる状況であります。従いまして委員会は今年末まで大体休会をするということになりますので、実は国連総会は十一月の六日からパリーで開かれ、大体約一箇月間開催せられることになるだろうと思いますけれども、その委員会には現在までのところ引揚げ問題は上程せられないというような予定のようでります。われわれとしてははなはだ残念でありますけれども、国連の方の関係はそういうようなことでいつになりますか、今年末にこの特別委員会が再び開催せられるときまで、直接に引揚げの問題が上程せられないのではないかと心配をしております。  第二番目に、ソ連からの引揚げの問題でございますが、御存じの通り今年は、九月の五日に八名帰還して参りました以外は、まだ何ら帰還の模様がございません。しかしながら政府としましては、かつて今年の七月二十五日に発表しましたように、まだ相当多くの同胞がシベリアその他ソ連領域内に生きて残つておると確信をいたしておる次第でありますし、ソ連の方でも必ずいつの日かこれを帰してくれるだろうと心待ちにしておる次第であります。  中共からの引揚げの問題でありますが、今年は今日までに約三十六名帰つて来ております。これは従来中共地区におられた方々が、あるいは大部分は抑留者の関係の方でございますが、抑留関係の仕事が済み、それから金の都合がつき、向うから許可をとりつけることができて、秦皇島その他から外国船に乗つてつて来られた人たちでございます。政府といたしましては中共地区にもずいぶん多くの同胞がまだ残つておられることがわかつておりますので、中共政府を承認しておる国の政府を通じまして何とか早く集団的な引揚げをやるように話をまとめたいと思つて努力をしておりますが、残念ながらまだこの結果は出るに至つておりません。  南方方面にも、実は普通の引揚げは完了しておりますが、まだ戰争中に軍の組織を離れて逃亡してあちこちにおられる人がときどき発見されるわけであります。その数は大したことではございませんが、現在南方方面で、関係政府がこういう日本人がおるということがわかつた、その本人も帰りたい趣だということで、日本政府との間で帰還の交渉が始まつている人たちが現在十六名、捜査願いの方が二名、それから実際問題として、できるだけ早く帰つて行きたいということで、目下いろいろ交渉をしておる人たちが十四名ございます。  なおこれは直接引揚げの問題ではございませんが、南方各地——南方だけではございませんが、各方面で戰死をされた方々、戰争中なくなられた方方の遺骨をぜひ日本に持つて帰りたいということを考えておりまして、ただこの問題はまだ條約の締結以前でありますし、諸般の国際関係がまだむずかしい問題がたくさんございますので、現在一応遺骨を日本に持つて帰りたいということで政府が交渉中のところは、米国の勢力下にあるところで、硫黄島、ウエークなどにある遺骨をできるだけ早く日本に持つて帰りたいというような交渉を進めておりますが、これもまだいろいろ解決をしなければならぬ関係事項もございまして、まだ実現するまでには至つておりません。  大体引揚問題関係一般の報告を申し上げれば、以上の通りであります。
  40. 今野武雄

    今野委員 私は八月の臨時国会でもつて政務次官にいろいろと御質問申し上げたのですが、そのときに政務次官は、資料を持つていないから、後に答えるとおつしやつて、まだ答えがいただけないことがたくさんあるわけであります。今日実は議題にこれが載つていなかつたものですから、それを持つて参りませんでしたけれども、この次に答えていただけるかどうか、もし御存じなければ、会議録を見ていただけるとよろしいと思うのですが、草葉さんに質問したのですが、ぜひ答えていただくようにお願いしたいと存じます。
  41. 若林義孝

    若林委員長 ほかに御質疑はありませんか。他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会をいたします。なお次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十三分散会