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河野(通)
政府委員 まず第一に
財政資金の問題であります。これは今御指摘のように、主として
見返り資金が中心になるかと思いますが、今般の
補正予算において三十五億を
造船計画に予定いたしたのであります。これは御承知のように百億の
電力と三十五億の
造船と、合せて百三十五億の
見返り資金の
運用計画を
擴充いたしたわけであります。この三十五億あるいは
電力の百億というものが、どういう根拠で組まれたかについては、資料についていろいろ御説明申し上げる方がいいかと思うのでありますが、いずれにいたしましても百三十五億を
見返り資金から
追加融資するに関しましては、一方で
資金運用部資金の
計画、また他方で
一般会計の
資金の
収支、それに
見返り資金の
収支、この三本を総合的ににらみ合せて、インフレーシヨンを押えながら、必要な
長期投資の方にどの
程度の
資金がまわせるか。こういう総合的な見地から、
見返り資金について百三十五億の
追加投資をやりながら、
資金運用部資金については、
収支見合うだけでなく、
相当程度のリザーヴをと
つて、来年に繰越すような操作を加えてきま
つて参つたわけであります。單に
見返り資金の
収支じりだけから、今申しました百三十五億はきま
つておらなないのであります。お示しのように、
銀行にはすでに
造船関係の
資金で
相当負担が重くかか
つて参
つております。現在の
数字は、最近の
数字ははつきり覚えておりませんが、
設備資金として
市中銀行から、おそらく三百億近くのものが今投資されておると思います。これはすでに現在においても、
オーバー・
ローンというか、
造船関係に
市中銀行の
資金が相当片寄
つて出ておる現状であるのであります。そういう
状況でありますので、今後さらに追加して、
市中銀行から
造船の方へ
資金が十分にまわ
つて行くということは、なかなか困難な
事情があるわけであります。御説の
通り市中銀行といたしましては、
見返り資金と
市中銀行との
融資割合を、
見返り資金に重くして、
市中銀行の
負担部分を軽減するように強い要望があつたわけでありまして、
政府部内といたしましても、
関係の各省といたしましても、この点についてはいろいろな点から検討を加えたのでありますけれども、三十五億という
数字は、
一般財政資金の総合的な調節の結果、そういう
数字が出て参つた次第であります。
しかしなが
政府といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、
閣議において、七次
後期の
造船計画といたしまして、十五万総
トンを何とかして
建造して参りたいということに相なり、
市中銀行に対しましても、できるだけ今申し上げましたような
計画の線に
沿つて、
資金の放出ができることを期待しておるのであります。
市中銀行の
資金繰りの
状況あるいは
融資の
状況にかんがみまして、どの
程度までこれが実現できますか、私どもといたしましても、さらに今後の成行きを見守るよりほかないのであります。
日本銀行総裁が、
市中銀行の
融資は、
見返り資金からの三十五億
程度に押えたいという
新聞記事が出てお
つたのであります。私も拝見しておりますが、具体的にその
数字について、
日本銀行総裁からはつきりしたことは聞いておりません。いずれにいたしましても
程度の差異はあれ、十五万総
トンの
新造計画に対して、
見返り資金三十五億のほか、大体七十億の前後になると思いますが、これを全額
市中銀行で
融資のめんどうを見て行くことは、相当な困難があるということは、私率直に認めなければならぬと考えております。
なお
開発銀行の
肩がわりの
お話が今出ましたが、この問題について若干御説明を申し上げておきたいと思います。
開発銀行は、設立されました当初から、二つの大きな使命を持
つて生まれて参
つておる。一つは
市中銀行の長期
資金に対する
オーバー・
ローンと申しますか、いわば
市中銀行の
長期投資の肩をある
程度すかせるために、
開発銀行においてこれらの
資金を
肩がわりして行くというのが、一つの目的であります。もう一つの目的は、国家の要請に基く新規の長期
資金の投資を、
開発銀行が受持つというのであります。
開発銀行の最近までの
融資の
状況については、新規
資金のほかに、
肩がわりといたしまして、買船
資金を約十億実施いたしております。まだ全額実行の域に達しておりませんが、大部分はすでに実行いたして参
つておるのであります。今後
資金の充実ができましたあかつきにおきましては、さしあたり年内くらいには二十億の
肩がわりを実施いたしたいと思
つております。この二十億の
肩がわりは何を対象にするか。これは現在検討中でありまして、まだはつきり申し上げる段階にいた
つておりませんが、
市中銀行の過去の
融資の中で、やはり
造船関係に長期に出ております金が非常に多い
関係上、おそらく大部分は
造船資金、あるいは買船
資金等の
肩がわりということにな
つて出て参ろうかと思
つております。
肩がわりをいたしましたことによ
つて、
市中銀行の肩が若干すくわけであります。そのすきましたものをどういうふうにして使
つて行くかの点は、何を
肩がわりするかという問題と、また別個の立場から研究もし、検討もして参らなければならぬ点であろうと思うのであります。現在のところでは、
肩がわりによ
つて肩がすきました分につきましては、
市中銀行はまず第一は
日本銀行への借入金の返済に充てるか、あるいは
金融債を持つか、あるいは重要産業の社債を持つか、この三つのうちいずれかを実行してもらうつもりでおります。従いましてこれがかりに
日本銀行からの借入金の返済に充てられました場合には、
日本銀行は今後新しい市中への貸出しを行います場合に、これらの
肩がわりされて返済になつた借入金の量とも見合いながら、今後重点的にいかなる方面の
資金へこれを放出して行くかということも、検討して参ることになるかと思います。御承知のように最近
市中銀行の長期貸出しについては、できるだけこれを重点化して行く、必ずしも現在急がないような方面については、これを抑制して行くという方針を私どもと
つております。この政策にうらはらをなしまして、
日本銀行といたしましても、今後
市中銀行に対して
資金の貸出しをいたします場合には、少くとも長期
設備資金につきましては、今申し上げました重点産業に対してのしりを見て行くことになると思います。重点産業と申しますと、大体
電力、船、鉄、石炭等を中心として考えておるのでありますが、その場合に
日本銀行から新しく出して参ります
資金が、
電力へ幾らぐらい参り、あるいは船に幾ら参るようになるかという点も、今後個々に検討を加えて参らなければならぬと思います。俗にいわれておるように、金にしるしはないわけでありますから、
日本銀行への借入金の返済に充てられた以上は、その金が
ひもつきで同じ方面へ出て行くことは必ずしも必要でないし、またそうすをことがよいことでもないと思いまして
肩がわりによ
つて、
市中銀行に浮いて参りました約二十億
程度の
資金が
日本銀行に入
つて、
日本銀行からさらにそれを貸し出します場合に、それが必ず
肩がわりをいたしました対象と同じ種類の対象、つまりここの場合で申しますと、
造船等にその金が全額当然に肩がわ
つて行くことには相ならぬわけであります。今後具体的に、各重要産業の
資金繰り、その他重要度に応じまして、どういう方面に
日本銀行は貸し出しをして参るか、この点については十分な検討を加えて参らなければならぬと思います。そういう意味から申しまして、
大蔵大臣の申しておられますように、必ずしも
造船資金の
肩がわりをいたしましたしりは、
造船資金に出て行くことには相ならぬ。この点については十分な検討を加えながら、実施
計画を立てて行くことにいたしたいと、かように考えておるわけであります。