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1951-11-19 第12回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十九日(月曜日)     午後二時三十三分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 原   彪君      岡村利右衞門君    黒澤富次郎君       山崎 岩男君    木下  榮君       木村 俊夫君    淺沼稻次郎君       門司  亮君    江崎 一治君       飯田 義茂君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局)   河野 通一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君  委員外出席者         議     員 小淵 光平君         大蔵事務官         (理財局返資金         課長)     大島 寛一君         運輸事務官         (自動車局業務         部貨物課長)  高橋 末吉君         運輸事務官         (自動車局整備         部登録課長)  増川 遼三君         運 輸 技 官         (鉄道監督局民         営鉄道部土木課         長)      富田 惠一君         経済安定事務官         (財政金融局産         業資金課長)  鹽谷 忠男君         専  門  員 岩村  勝君 十一月十九日  委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として  門司亮君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海運事情及び第七次造船計画に関する件   請 願  一 荒海、滝原間鉄道敷設請願菅家喜六君    紹介)(第七七号)  二 新松島、一ノ関間鉄道敷設促進請願(内    海安吉紹介)(第一〇六号)  三 国鉄計画線全通促進に関する請願辻寛一    君紹介)(第二〇三号  四 芦別、深川間鉄道敷設請願玉置信一君    紹介)(第二〇四号)  五 越美線全通促進請願岡村利右衞門君紹    介)(第三一二号)  六 宇津野、落合及び小本間鉄道敷設促進の請    願(小澤佐重喜紹介)(第三一四号)  七 大樹、浦河間鉄道敷設請願伊藤郷一君    紹介)(第三一五号)  八 三陸沿岸鉄道敷設促進請願小澤佐重喜    君紹介)(第三一六号)  九 篠川線全通促進請願有田喜一紹介)    (第四五九号) 一〇 長倉、大子間鉄道敷設促進請願外一件(    尾関義一紹介)(第四六三号) 一一 御影、富内間鉄道敷設請願伊藤郷一君    紹介)(第四六四号) 一二 隼人、大泊間鉄道敷設促進請願前田郁    君紹介)(第四六五号) 一三 三陸沿岸鉄道敷設促進請願小澤佐重喜    君紹介)(第四六六号) 一四 赤穂線敷設促進請願外二件(逢澤寛君紹    介)(第四六七号) 一五 頓別、上猿拂炭田間に鉄道敷設等請願(    佐々木秀世紹介)(第五一七号) 一六 名羽線全通促進請願佐々木秀世君外一    名紹介)(第五一八号) 一七 上川、三股間鉄道敷設促進請願高倉定    助君紹介)(第六五九号) 一八 富川、清水間鉄道敷設請願高倉定助君    紹介)(第六六〇号) 一九 遠羽線全通促進請願佐々木秀世君紹    介)(第七一六号) 二〇 左沢、荒砥間鉄道敷設促進請願牧野寛    索君紹介)(第七二〇号) 二一 宮古久慈間鉄道敷設促進請願野原正    勝君紹介)(第七四八号) 二二 日田線全通促進請願村上勇紹介)(    第八〇三号) 二三 三江線全通促進請願山水利壽紹介)    (第八〇四号) 二四 四国循環鉄道全通促進請願川端佳夫君    紹介)(第八六〇号) 二五 日の影、高森間鉄道敷設促進請願)(渕    通義紹介)(第九一〇号) 二六 下呂、飯田間鉄道敷設請願岡村利右衛    門君紹介)(第九六一号) 二七 金田一久慈間鉄道敷設請願山本猛夫    君紹介)(第九六五号) 二八 魚沼線全通促進請願田中角榮紹介)    (第一〇一六号) 二九 只見線全通促進請願田中角榮紹介)    (第一〇一七号) 三〇 美深、枝幸間鉄道敷設請願佐々木秀世    君紹介)(第一〇一九号) 三一 白棚線復活促進請願圓谷光衞紹介)    (第一〇二〇号) 三二 江差瀬棚線鉄道敷設促進請願川村善八    郎君紹介)(第一一四〇号) 三三 掛川、御前崎間鉄道設請願神田博君外    一名紹介)(第一一七五号) 三四 生橋線敷設促進請願小澤佐重喜紹介    紹介)(一二二九号) 三五 虻田、定山渓間鉄道敷設請願篠田弘作    君紹介)(第一三一四号) 三六 宮崎小林間鉄道敷設請願渕通義君紹    介)(第一三一五号) 三七 氷見羽咋間鉄道敷設促進請願南好雄君    外二名紹介)(第一三一九号) 三八 宮古久慈間鉄道敷設促進請願山本猛夫    君紹介)(第一三九〇号) 三九 音別陸別間鉄道敷設請願伊藤郷一君外    一名紹介)(第一三九三号) 四〇 矢作町に停車場設置請願三宅則義君紹    介)(第二〇六号) 四一 北塩釜信号所一般駅に昇格の請願(安部    俊吾君外一名紹介)(第三六八号) 四二 小野寺村にガソリンカー停留場設置請願    (山口好一紹介)(第四六八号) 四三 磐田駅、天龍川間に停車場設置請願(中    村幸八君外三名紹介)(第七五六号) 四四 階上、種市両駅間に角浜簡易停留所設置等    の請願野原正勝紹介)(第七五八号) 四五 川南駅移転に関する請願渕通義君外一名    紹介)(第九一一号) 四六 三河島、南千住間に三の輪橋設置請願    (野村專太郎紹介)(第九六二号) 四七 御徒町駅南口乗降場開設請願野村專太    郎君紹介)(第九六三号) 四八 金田一改築等に関する請願山本猛夫君    紹介)(第九六四号) 四九 矢作町に停車場設置請願千賀康治君紹    介)(第一〇一五号) 五〇 通町駅設置請願二階堂進君外一名紹    介)(第一〇一八号)五一 愛国、帶広間に乗降場設置請願高倉定    之助君紹介)(第一〇二一号) 五二 旧糸田駅復活等請願平井義一紹介)    (第一一三九号) 五三 中央線中野駅擴張に関する請願黒澤富次    郎君紹介)(第一二二八号) 五四 明石、姫路間電化促進請願川西清君紹    介)(第一〇七号) 五五 大宮白河間電化促進請願尾関義一君    外十五名紹介)(第一一号) 五六 我孫子成田及び千葉成田間電化促進の    請願外一件(竹尾弌君紹介)(第一九〇    号) 五七 日豊線電化促進請願佐藤重遠君外一名    紹介)(第三七〇号) 五八 常盤線電化促進請願原彪君外二名紹    介)(第五八二号) 五九 我孫子成田及び千葉成田間電化促進の    請願外三件(竹尾弌君紹介)(第一一七八    号) 六〇 福岡県下の国鉄電化促進請願平井義一    君紹介)(第一二一二号) 六一 我孫子成田及び千葉成田間電化促進の    請願外八件(竹尾弌君紹介)(第一二三二    号) 六二 大宮仙台間電化促進請願尾関義一君    外三名紹介)(第一三二〇号) 六三 常磐線電化促進請願原彪紹介)(第    一三九五号) 六四 日の影線ガソリンカー運転請願川野    芳滿君糾介)(第七九号) 六五 京都、東舞鶴間にデイーゼルカー運転の請    願(大石ヨシエ紹介)(第二〇七号) 六六 水郡線車両改善等に関する請願菅家喜    六君紹介)(第四五〇号) 六七 大阪、篠山口間にデイーゼルカー運転の請    願(有田喜一紹介)(第四六〇号) 六八 長崎、佐世保間に急行列車運転請願(本    多市郎紹介)(第七一八号) 六九 博多長崎間に急行列車増発請願(本多    市郎紹介)(第七一九号) 七〇 博多長崎間に急行列車増発請願(岡西    明貞君紹介)(第七五五号) 七一八戸、八木間にガソリンカー運転請願(野    原正勝紹介)(第七五九号) 七二 磐越東線及び水郡線に二等客車連結請願    (大内一郎紹介)(第一二三〇号) 七三 秋田、上野間に急行列車運転請願大内    一郎紹介)(第一四一二号) 七四 国有鉄道航送貨物に対する粁数計算方海の    是正並びに運賃引下げ請願辻寛一君紹    介)(第二〇二号) 七五 けい石に対する貨物運賃等級引下げに関    する請願有田喜一紹介)(第二四一    号) 七六三州かわらに対する貨物運賃割引請願(木    村公平君外一名紹介)(第六〇八号) 七七 土管に対する貨物運賃割引継続等請願(    木村公平君外一名紹介)(第六〇九号) 七八 農業関係貨物運賃割引等に関する請願(田    中啓一君紹介)(第六一〇号) 七九 木材に対する貨物運賃軽減請願岡村利    右衛門君新介)(第六五一号) 八〇 菓子に対する貨物運賃等級引下げ請願(    江崎真澄紹介)(第一〇一四号) 八一 木材に対する貨物運賃軽減請願内藤隆    君紹介)(第一一三六号) 八二 木材に対する貨物運賃軽減請願内藤友    明君紹介)(第一二六七号) 八三 唐津港石炭積出引込線高架淺橋架設請願    (保利茂君外四名紹介)(第四六二号) 八四一大蔵町地内に省線踏切設置請願川西清    君紹介)(第六一一号) 八五 角浜、玉川両地区踏切こ線橋架設請願    (野原正勝紹介)(第七六一号) 八六 上郡、三石両駅間船坂地内栗原踏切改良    工事施行請願大上司紹介)(第八〇    五号) 八七 上信鉄道鉄道敷設法別表に加入の請願(    小淵光平紹介)(第五一六号) 八八三江線敷設計画の一部変更等に関する請願(    山本利壽紹介)(第五八一号) 八九 新小岩、金町間の貨物専用線乗客輸送併    用に関する請願中島守利君外一名紹介)    (第一〇八五号) 九〇 京阪地上線延長工事地下線変更請願    (高木吉之助紹介)(第一二二七号) 九一 矢部線延長計画変更に関する請願中島茂    喜誰紹介)(第一三九一号) 九二 山田線災害復旧工事促進に関する請願(山    本猛夫紹介)(第四四九号) 九三 飯田線拂下げ反対請願勝間田清一君紹    介)(第一三一六号) 九四 仙台鉄道局厚生寮を旧所有者拂下げの請    願(三浦寅之助紹介)(第一一〇号) 九五 国鉄松任工場機関車職場新設に関する請    願(坂田英一紹介)(第一三九四号) 九六八王子に鉄道管理局設置請願栗山長次郎    君紹介)(第一二六号) 九七 同(並木芳雄紹介)(第一二六六号) 九八 同(福田篤泰紹介)(第一三一二号) 九九 道路運送法改正に関する請願木下榮君紹    介)(第二四二号) 一〇〇 自動車運送事業免許制度廃止反対に関す    る請願小淵光平紹介)(第七八号) 一〇一 同(坪川信三紹介)(第一〇八号) 一〇二 同外三件(藤枝泉介紹介)(第一〇九    号) 一〇三 同外一件(水野彦治郎紹介)(第一九    四号) 一〇四 同外一件(金子與重郎紹介)(第一九    五号) 一〇五 同外二件(増田連也君紹介)(第一九六    号) 一〇六 同外二件(小峯柳多君紹介)(第一九七    号) 一〇七 同外二件(小淵光平紹介)(第一九八    号) 一〇八 同外九件(中曽根康弘紹介)(第一九    九号) 一〇九 同外一件(勝間田清一紹介)(第二〇    〇号) 一一〇(松木弘紹介)(第三一八号) 一一一 同(畠山鶴吉紹介)(第三一九号) 一一二 同(庄司一郎紹介)(第三二〇号) 一一三 同(三浦寅之助君外三名紹介)(第三二    一号) 一一四 同(坪川信三君外二名紹介)(第三二二    号) 一一五 同外一件(神由博紹介)(第三二三    号) 一一六 同外一件(遠藤三郎紹介)(第三二四    号) 一一七 同外四件(五島秀次紹介)(第三二五    号) 一一八 同外一件(中村幸八君紹介)(第三二六    号) 一一九 同外二件(宮幡靖紹介)(第三二七    号) 一二〇 同(小松勇次紹介)(第四五一号) 一二一 同(増田連也君紹介)(第四五二号) 一二二 同(金光義邦紹介)(第四五三号) 一二三 同(苫米地英俊紹介)(第四五四号) 一二四 同(遠藤三郎紹介)(第五七六号) 一二五 同(山村新治郎君紹介)(第五七七号)一二六 同(河原伊三郎紹介)(第五七八号) 一二七 同(森曉紹介)(第五七九号) 一二八 同(苫米地英俊紹介)(第五八九号) 一二九 同(白井佐吉紹介)(第六五二号) 一三〇 同(三浦寅之助紹介)(第六五三号) 一三一 同(辻寛一紹介)(第六五四号) 一三二 同(中村幸八君紹介)(第六五五号) 一三三 同(八木一郎紹介)(第六九五号) 一三四 同(中村幸八君紹介)(第七二一号) 一三五 同(佐藤親弘君外四名紹介)(第七二二    号) 一三六 同(佐久間徹紹介)(第八〇七号) 一三七 同(澁谷雄太郎君外一名紹介)(第八〇    八号) 一三八 同(竹尾弌君紹介)(第八〇九号) 一三九 同(田中豊紹介)(第八一〇号) 一四〇 同外二件(田中彰治紹介)(第八一一    号) 一四一 同(川野芳滿紹介)(第八六一号) 一四二 同外二件(塚田十一郎紹介)(第九一    二号) 一四三 同(亘四郎紹介)(第九六六号) 一四四 同(風間啓吉紹介)(第九六七号) 一四五 同(西村直己紹介)(第九六八号) 一四六 同(大森玉木紹介)(第一〇一三号) 一四七 同(關内正一君紹介)(第一〇八四号) 一四八 同(平井義一紹介)(第一一三七号) 一四九 同(千賀康治紹介)(第一三八九号) 一五〇 同外二件(猪俣浩三紹介)(第一四二    九号) 一五一 熊田、古江間に国営自動車運輸開始の請    願(佐藤重遠君外一名紹介)(第三七一    号) 一五二 澁川、沢渡温泉間に国営自動車運輸開始    等の請願小淵光平紹介)(第六五八    号) 一五三 夏井駅、夏井間国営自動車運輸開始の請    願(野原正勝紹介)(第七五七号) 一五四 佐川、高岡間に国営自動車運輸開始の請    願(長野長廣紹介)(第一〇八一号) 一五五 長野原、花敷間国営自動車運輸開始の請    願(小淵光平紹介)(第一三九七号) 一五六八街、山室間に国営自動華運輸開始請願    (片岡伊三郎紹介)(第一三九八号) 一五七 輸入自動車割当に関する請願大石ヨシ    エ君紹介)(第五一九号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  第七次造船計画に関し議事を進めます。質疑の通告があります。これを許します。岡田委員
  3. 岡田五郎

    岡田(五)委員 運輸省政府委員の方がおいでになつておりませんので、大蔵省、安本の方々に、第七次後期造船に関する金融その他の面につきまして、御質問申し上げたいのであります。  本月の九日の閣議でございますか、さしあたり見返り資金から三十五億円を融資する、それから二十六年度中に見返り資金その他の財政資金追加融資の方法を講じて、十五万総トン造船計画を進める、こういうような閣議決定があつたかのように、私たちは新聞で拜見いたしておるのであります。この機会に、どういう閣議決定がありましたか、一応銀行局長からでもけつこうでございますが、まずお話を願いたいと思うのであります。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話の点でありますが、先般の閣議で決定されました内容について、概略御説明申し上げます。  第七次後期分造船計画につきましては、大型外航船建造について、見返り資金からさしあたり三十五億円を充当するということが第一点であります。この見返り資金融資は、次の方法によつてこれを実施する。すなわち大型貨物船につきましては総トントン当り五万円、大型タンカーにつきましては総トントン当り四万円、こういうふうな基準で見返り資金からの融資智いたすことになりまして、十五万総トン建造を第七次後期分として施行して参りたい、但し油槽船につきましては一隻当り四億八千万円を限度とするというのが第二の点であります。それから第三に、今お触れになりましたように、本会計年度内におきまして今申し上げました見返り資金三十五億円のほかに、できるだけ財政資金——そのうちにはもちろん見返り資金も入るわけでありますが、財政資金追加投資を行うことによつて、さらに船腹擴充に資して参りたい。これは将来の問題でありまして、年度内に幾らの財政資金を放出し、何トンを追加して建造するかということは、今後の財政状況あるいは金融状況等をにらみ合せて研究する、こういうふうな了解になつておるわけであります。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 一番最後の、本年度内において財政資金追加融資行つて、十五万総トン以上の一定数量トン数をふやすかふやさないかは、今後の財政資金の状態をにらみ合せて勘案考慮するのだ、こういうようなお話のように承るのでありますが、最近新聞紙上その他で拜見いたしておりますると、先ほど第一段、第二段でお話になりました貨物船一総トン当り五万円、タンカー一総トン当り四万円、見返り資金三十五億円で十五万総トンをこしらえる。結局残りの、たしか七十億になりますか、これを要するに民間融資市中融資によつて、十五万総トンをこしらえるような結果に相なると私は思考いたすのであります。これはもちろん前提といたしまして、一総トン当り建造費十四万数千円と計算して、市中融資七十億になると考えるのでありますが、新聞紙上の報ずるところによりますと、一万田日銀総裁は、この見返り資金に見返る三十五億の市中融資しかさせない、日銀ひもつきをしない、こういう談話も発表せられ、また唯一の頼みといたしておつたかと考えるのでありますが、開発銀行の二十億の現在の興銀その他に対するひもつき融資肩がわりして、この二十億を先ほど申し上げました七十億の市中融資ひもつきに振りかえる、こういう問題につきまして池田大蔵大臣談話——これはもちろん新聞で拜見いたしたのでありまして、はたして池田大蔵大臣がそういうことを放言されたかどうだか、私ははなはだ疑問に思うのでありますが、新聞紙を拜見いたしますると、池田大蔵大臣は、造船の方へはそういう開発銀行融資肩がわりはやらない、電力債の買上げにむしろ振り向けてしまうのだ、こういう談話が発表せられておるのであります。かようなことからいたしますると、十五万トン以上の船腹擴充はもつてのほかでありまして、私はおそらくこの十五万総トン擴充すら、融資の面から非常に懸念を持つておるのであります。私がこういうことを申し上げるまでもなく、銀行局長はよく御存じだと思うのでありますが、船舶に対する市中銀行融資は、むしろオーバーローンといいますか、非常な融資割合になつておるのであります。何らか財政的な援助、金融的なひもつきがない以上は、市中銀行が七十億もの融資をあえてすることは、年末金融の現在の金融界においては、とうてい期待できないと考えるのであります。ことに、これも新聞紙上で拜見したのでありますが、この造船計画が発表せられる前に、金融界では、見返り資金市中銀行フイフテイーフイフテイーという割合はけしからぬ、銀行融資サーティー程度にして、見返り資金セヴンテイー程度にしようとまで、声をあげて叫んでおつたのであります。また現在経済立国というか、貿易立国というか、船腹擴充によつて日本経済立国を目ざすことが、電力開発とともに大きな国策であると私は考えるのでありますが、かような日本経済立国基本国策である造船計画に対して、いかにも十五万総トンと名乗りはあげたが、産声があげられないような金融政策財政政策、こういうような処置を講ぜられた大蔵当局というか、銀行局長はこれをどういうようにお考えになつておるのか。その辺のところをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 まず第一に財政資金の問題であります。これは今御指摘のように、主として見返り資金が中心になるかと思いますが、今般の補正予算において三十五億を造船計画に予定いたしたのであります。これは御承知のように百億の電力と三十五億の造船と、合せて百三十五億の見返り資金運用計画擴充いたしたわけであります。この三十五億あるいは電力の百億というものが、どういう根拠で組まれたかについては、資料についていろいろ御説明申し上げる方がいいかと思うのでありますが、いずれにいたしましても百三十五億を見返り資金から追加融資するに関しましては、一方で資金運用部資金計画、また他方で一般会計資金収支、それに見返り資金収支、この三本を総合的ににらみ合せて、インフレーシヨンを押えながら、必要な長期投資の方にどの程度資金がまわせるか。こういう総合的な見地から、見返り資金について百三十五億の追加投資をやりながら、資金運用部資金については、収支見合うだけでなく、相当程度のリザーヴをとつて、来年に繰越すような操作を加えてきまつて参つたわけであります。單に見返り資金収支じりだけから、今申しました百三十五億はきまつておらなないのであります。お示しのように、銀行にはすでに造船関係資金相当負担が重くかかつてつております。現在の数字は、最近の数字ははつきり覚えておりませんが、設備資金として市中銀行から、おそらく三百億近くのものが今投資されておると思います。これはすでに現在においても、オーバーローンというか、造船関係市中銀行資金が相当片寄つて出ておる現状であるのであります。そういう状況でありますので、今後さらに追加して、市中銀行から造船の方へ資金が十分にまわつて行くということは、なかなか困難な事情があるわけであります。御説の通り市中銀行といたしましては、見返り資金市中銀行との融資割合を、見返り資金に重くして、市中銀行負担部分を軽減するように強い要望があつたわけでありまして、政府部内といたしましても、関係の各省といたしましても、この点についてはいろいろな点から検討を加えたのでありますけれども、三十五億という数字は、一般財政資金の総合的な調節の結果、そういう数字が出て参つた次第であります。しかしな政府といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、閣議において、七次後期造船計画といたしまして、十五万総トンを何とかして建造して参りたいということに相なり、市中銀行に対しましても、できるだけ今申し上げましたような計画の線に沿つて資金の放出ができることを期待しておるのであります。市中銀行資金繰りの状況あるいは融資状況にかんがみまして、どの程度までこれが実現できますか、私どもといたしましても、さらに今後の成行きを見守るよりほかないのであります。日本銀行総裁が、市中銀行融資は、見返り資金からの三十五億程度に押えたいという新聞記事が出ておつたのであります。私も拝見しておりますが、具体的にその数字について、日本銀行総裁からはつきりしたことは聞いておりません。いずれにいたしましても程度の差異はあれ、十五万総トン新造計画に対して、見返り資金三十五億のほか、大体七十億の前後になると思いますが、これを全額市中銀行融資のめんどうを見て行くことは、相当な困難があるということは、私率直に認めなければならぬと考えております。  なお開発銀行肩がわりお話が今出ましたが、この問題について若干御説明を申し上げておきたいと思います。開発銀行は、設立されました当初から、二つの大きな使命を持つて生まれて参つておる。一つは市中銀行の長期資金に対するオーバーローンと申しますか、いわば市中銀行長期投資の肩をある程度すかせるために、開発銀行においてこれらの資金肩がわりして行くというのが、一つの目的であります。もう一つの目的は、国家の要請に基く新規の長期資金の投資を、開発銀行が受持つというのであります。開発銀行の最近までの融資状況については、新規資金のほかに、肩がわりといたしまして、買船資金を約十億実施いたしております。まだ全額実行の域に達しておりませんが、大部分はすでに実行いたして参つておるのであります。今後資金の充実ができましたあかつきにおきましては、さしあたり年内くらいには二十億の肩がわりを実施いたしたいと思つております。この二十億の肩がわりは何を対象にするか。これは現在検討中でありまして、まだはつきり申し上げる段階にいたつておりませんが、市中銀行の過去の融資の中で、やはり造船関係に長期に出ております金が非常に多い関係上、おそらく大部分は造船資金、あるいは買船資金等の肩がわりということになつて出て参ろうかと思つております。肩がわりをいたしましたことによつて市中銀行の肩が若干すくわけであります。そのすきましたものをどういうふうにして使つて行くかの点は、何を肩がわりするかという問題と、また別個の立場から研究もし、検討もして参らなければならぬ点であろうと思うのであります。現在のところでは、肩がわりによつて肩がすきました分につきましては、市中銀行はまず第一は日本銀行への借入金の返済に充てるか、あるいは金融債を持つか、あるいは重要産業の社債を持つか、この三つのうちいずれかを実行してもらうつもりでおります。従いましてこれがかりに日本銀行からの借入金の返済に充てられました場合には、日本銀行は今後新しい市中への貸出しを行います場合に、これらの肩がわりされて返済になつた借入金の量とも見合いながら、今後重点的にいかなる方面の資金へこれを放出して行くかということも、検討して参ることになるかと思います。御承知のように最近市中銀行の長期貸出しについては、できるだけこれを重点化して行く、必ずしも現在急がないような方面については、これを抑制して行くという方針を私どもとつております。この政策にうらはらをなしまして、日本銀行といたしましても、今後市中銀行に対して資金の貸出しをいたします場合には、少くとも長期設備資金につきましては、今申し上げました重点産業に対してのしりを見て行くことになると思います。重点産業と申しますと、大体電力、船、鉄、石炭等を中心として考えておるのでありますが、その場合に日本銀行から新しく出して参ります資金が、電力へ幾らぐらい参り、あるいは船に幾ら参るようになるかという点も、今後個々に検討を加えて参らなければならぬと思います。俗にいわれておるように、金にしるしはないわけでありますから、日本銀行への借入金の返済に充てられた以上は、その金がひもつきで同じ方面へ出て行くことは必ずしも必要でないし、またそうすをことがよいことでもないと思いまして肩がわりによつて市中銀行に浮いて参りました約二十億程度資金日本銀行に入つて日本銀行からさらにそれを貸し出します場合に、それが必ず肩がわりをいたしました対象と同じ種類の対象、つまりここの場合で申しますと、造船等にその金が全額当然に肩がわつて行くことには相ならぬわけであります。今後具体的に、各重要産業の資金繰り、その他重要度に応じまして、どういう方面に日本銀行は貸し出しをして参るか、この点については十分な検討を加えて参らなければならぬと思います。そういう意味から申しまして、大蔵大臣の申しておられますように、必ずしも造船資金肩がわりをいたしましたしりは、造船資金に出て行くことには相ならぬ。この点については十分な検討を加えながら、実施計画を立てて行くことにいたしたいと、かように考えておるわけであります。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 日本の商船隊の擴充の重要性、また現在における造船擴充の重要性については、ここで私が喋々いたすまでもなく、われわれ日本人ばかりでなしに、日本を訪れるアメリカの経済界の方々、あるいは銀行家の方方が、日本へ来られて口を開けば、必ず電力造船擴充を発言しておられるほど、日本経済のためには先ほど申し上げましたように、基本的な重要な問題であると考えるのでありますが、かようなことはしばらくおくといたしまして、安本の資金課長にちよつとお尋ねを申し上げたいのであります。これも新聞で拜見いたしましたので、私は真相いずれにありやはよくわかりませんが、一応新聞は事実を告げるものという信念のもとにおいて、お尋ね申し上げるのであります。一時新聞を拜見いたしておりますと、第七次後期造船のために、安本の資金計画としては五十二億数千万円を一応見込んで、十五万総トンをこしらえるというような記事が、数日にわたつて掲載されたのであります。その資金計画あるいはその他の財政資金計画も、安本は経済計画庁としての性格から、相当自信を持つて正確な資料をもつてかような数字をはじき出されると考えるのでありますが、もちろん安本は計画官庁でありまして、大蔵省が実行官庁だといつてしまえばそれまででございますけれども、大蔵省のはじかれた数字と安本のはじかれた数字とに、相当の開きがあるようであります。開ききがあるところを見ると、考え方、出し方によつて十四、五億の金は出るのじやないか、かように私たちは考えるのであります。大蔵大臣がおいでになりませんから、から鉄砲になるかもしれませんが、考え方によつては出せるということなら、その出す項目について海運政策に対する大臣の考え方において、軽重強弱の差があるのじやないかと私は考えるのでありますが、私の聞きたいことは、五十二億数千万円という金が安本としては出そうなものであるかどうか、その辺のところをこの機会に承つておきたいと思います。なお大きな問題はまた機会がありましたら、安本長官なり大蔵大臣にお出まし願いまして申し上げたいと思うのでありますが、一応信ずべき新聞記事を参考といたしまして、この数字についてお尋ねを申し上げたいのであります。
  8. 鹽谷忠男

    ○鹽谷説明員 お答えいたしますただいまの御質問の要点は、要するに七次の造船後期分に対しまして、大蔵省の三十五億に対して、安本の資金計画は五十二億という支出が可能であるような記事であつたのが、どうして三十五億になつたかというような御趣旨のように拜聽いたしますが、実は見返り資金の支出の計画につきましては、従来からも財政全般にわたり均衡予算の体系をくずさないという原則のもとに、計画がつくられておるわけであります。ただいまの約十七億程度の違いが、この均衡の原則に反するかどうかということになりますと、私といたしましては、計画の立案過程におきましては、十七億を加えた五十二億が見返り資金の支出であると見ましても、全体の均衡を維持するためには、さしつかえないという考え方でおつたわけであります。これも補正予算全般の金繰りから考えまして、どうしても十七億はこの際ふやせないということがその後明らかになりました。最近では三十五億というものは、現在の全体の均衡の中にはやむを得ない数字であると信じております。従つてこの差額につきましては、見返り資金の支出が現在までのところでは考えられておらないわけでございますが、今後何らかの形におきまして、財政資金全般の兼ね合いから見て、この金額がさらに増額されることを、私たちとしては希望いたしますと同時に、この分にかわりまする市中の資金が捻出されまして、十五万トン建造量が確保されることを期待しております。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 他の委員の御質問もあるかと思いますので、私はもう一つ銀行局長の所見だけを拜聽いたしまして、質問を終りたいと思います。最近の新聞紙を見ておりますと、銀行方面あるいはその他の金融機関が、政府において見返り資金三十五億、十五万総トン、すなわち市中銀行七十億負担ということをきめた結果、非常に言葉が悪いのでありますが、反動的に出て、一万田日銀総裁お話のごとく、三十五億しか見返り資金を出さないなら、市中銀行も三十五億しか出さぬ。また融資規正委員会とかいう、多分銀行屋の会合だろうと思いますが、そういう方面から同じような声が出、銀行協会という協会の方面からも、三十五億しか出さぬというような声が、ひんぴんとして出ておるのであります。ことに先ほど銀行局長が言われたように、むしろ船舶の方へは少し貸し過ぎておるような状態にあるのであつて、それでなくても市中銀行がしり込みをしようとしておるやさきに、かような閣議決定を聞き、かような非常に市中銀行に無理をかけるようなことを発表された結果、一万田総裁のように、西下されるときに、造船に力を入れなければならぬということをしよつちゆう言つておられた人が、三十五億しか出さぬと大言されたというようなことを見ると、市中銀行造船融資に対して、感情的に非常に硬化しておるような結果を来しておるのではないかと私は懸念いたすのであります。そういう傾向が現在金融界においてみなぎつておるかどうか。またそういう傾向を銀行局長として緩和して、できるだけ七十億を出させて、十五万総トンの完全な起工といいますか、造船計画の実施に移れるように努力をされるおつもりであるのかどうか、この二点を承りたいと思います。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。先ほどから御説明申し上げましたように、市中銀行造船に対する融資は、実は銀行資金構成から見ますと、相当重くなつておることは事実であります。これは岡田さんもよく御承知のことだと思うのであります。従いまして銀行といたしましては、さらにこの上にしかも相当多額の造船関係資金が長期に固定することになり、追加されることになることにつきましては、銀行自体がすでにオーバ・ーローンになり、日本銀行から相当多額の借入れをして、金融業務を営んでおります現状にかんがみて、この点について非常に憂慮といいますか、考え方が割合に消極的になつておるということは事実であろうと思うのであります。その点がありますからこそ従来から、先ほど申し上げましたように、造船資金に対する割合をできるだけ減らしてもらいたいということを、市中銀行の方から強く要望されておつた。しかしながら今お話のように、感情的に特にどうしようとか、造船関係資金を特に軽視するとか、あるいは虐待するとかいうような感情的な問題ではないと思います。金融業務、特に預金銀行としての市中銀行の建前上、そういう金が多額に固定いたしますことを、憂えておるというようなことになつておるのであろうと思うのであります。従いましてこの点につきましてはよく実情に応じて、どの程度まで銀行造船関係資金をまわし得るかということについて、十分慎重に検討を加えて参らなければならぬと私は考えておるのであります。  次に先ほど御指摘の閣議決定でありますが、閣議決定は十五万総トンを七次後期分としてぜひつくつて参りたい、それがためには見返り資金は三十五億しか出ないので、その残りはできるだけ市中銀行なり、その他の方途によつてこれが調達されることが期待されるというふうなことになつておるのでありますが、閣議決定のうちには、別に七十数億を市中銀行に必ず融資させるということになつておらぬのであります。今後政府としてとります造船政策あるいは海運政策に順応して、今申し上げました市中銀行の置かれておる立場なり、状態から、できるだけそういう資金が確保されることが望ましいという程度になつておるわけであります。三十五億の見返り資金に対応する七十数億の市中銀行融資を確保する方法といたしましては、これは政府が強制的に融資命令を出すわけに参らないことは、皆さん御承知の通りであります。銀行等がよく日本銀行とも相談して、どの程度まで出せるかということを、個々について検討を加えて参るよりほかない。私どもといたしましてはこういう実情の上に立つて、許されるならば、十五万総トン建造の実現ができるように、市中銀行においても頭の持つて行き方を配慮していただきたいというふうには考えておりますが、現在のところは、先ほど申し上げましたように、はたして十分円滑に七十億というものが市中融資で確保できるかどうか。この点については相当困難な事情があるということを、遺憾ながら申し上げざるを得ない次第であります。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の御説明を聞いておりますと、結論的に申し上げますと、十五万総トンの実現は非常に懸念といいますか、私自身はあぶないと考えるのであります。と申しまするのは、三十五億の残りの七十億というものは、私の一応の考え方といたしましては、市中銀行にたよらなければならぬ。この市中銀行の七十億の融資については、強制融資とかその他の方法は講ぜられないから、できるだけ融資するように、慫慂するとまではおつしやいませんでしたが、銀行局長として努力をする、こういうお話のようでございますが、先ほど申し上げましたように、金融業者の間では造船融資に対して躊躇している、あるいは一部感情的にもなつておるかもしれぬ、また現状はオーバーローンになつておるということになりますと、この七十億の融資が非常に懸念せられるのであります。七十億の融資が懸念せられるとすれば、造船單価を安くしない以上は、とにかく十五万総トン擴充できない、こういう結論になると私は思うのでありますが、はたして造船單価一総トン当り十四万円というものに切詰められるかどうか。こういう両題について船舶局長にお話を承りたいのであります。  私の知つている範囲内におきましては、最近造船用鋼材は、英国とかベルギーあたりから、日本の八幡製鉄所とか富士製鉄所へ注文が来ておるので、四十数万トン近くの厚板がどんどん諸外国に流れ込む。しかも厚板はあちらでは九十ドルから百ドル近いものが百四十ドルという、日本の鉄鋼業者の採算のとれる單価で向うさんはどんどん買いとつてしまう。しかもこちらは金がなくて、必要な船もつくれない。つくろうという時分には、造船用鋼材はベルギーや英国に買い占められてしまつている。こういう金融の緊急事態が、原料の面において押し寄せて来ている日本の現在下におきまして、私は望むらくはさらにさらに政府はこの融資の面につきまして、強力な処置を講ずるにあらずんば、講じようとするときには、つくりたい船がつくれないということになりはしないかと私は懸念いたすのでありますが、この点につきましてあまり銀行局長を追究しても、銀行局長としても一応事務官僚としての御答弁しかできないことと思うのでありまして、これ以上のことは政治的な処置、すなわち大蔵大臣の一存にかかると思いますので、これ以上は追究いたしませんが、船舶局長が来ておられないなら海運局長でもけつこうですが、一総トンあたり十四万円の單価が、現在の造船工業界の実情として、切り詰められるかどうかという一点について御説明を願いたいと思います。
  12. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶局長が参つておりませんので、満足な御答弁はできかねますけれども、かわつて私からお答えいたします。一総トン当り十四万円の單価が切り下げられるかということでございますが、一総トン当り十四万円という單価を出します場合に、運輸省としては相当造船の合理化を織り込んで、普通に見ればもつとかかるであろうという価格を押えて出したものでございます。従いまして実際の画において現在の造船設備、造船のやり方では、これ以上下げることはなかなか困難な点があるだろうと思います。しかし閣議決定にあのようなことがきめられた際のいきさつといたしましては、私仄聞しておりまするに、もつと何とかいろいろやりくりをしてでも、單価下をげるべきであるという思想が非常に強く、従つてそのことが閣議了解事項として特にあげられておるわけでございまして、運輸省としてはこの上とも造船合理化による單価の切下げについて、一層の努力をしなければならぬと存じておるのでございます。閣議決定のあつた直後におきまして、造船業者に対してもこの旨特に強く言つておるのでございます。金融の面から十五万総トンが確保できるかどうか、これは金融というものが非常に弾力性のあるものでございますゆえ、今ここでいろいろ銀行側の言つておられることによつて、どうしてもできないということも言いかねると思います。といつて、それではできるのかと言われると、これもまた困難でございます。銀行の方もいろいろの立場、またお考えがあつて、特に強く言つておられるように見える点もあるわけでございます。結局今度の閣議決定は、私どもの量の要求と、一方国として出し得る見返り資金の限度という、両方の線の妥協の結果出たものでございます。それに対して一番反撃をしておられるのが金融方面でありまして、今までの造船金融という面から見て非常に無理な点はあると思いますが、しかし私どもといたしましては一応今ここで無理であるが市中銀行から出しておき、あとでこれを是正する方法は、政府としていろいろ考える方途があるのじやないかというふうな意図をもつて、決定されたのだろうと思うのであります。ともかく今の金融情勢からして少し無理であるが、ひとつ銀行方面の理解ある協力を得て、何とか十五万総トンを確保したいと考えておるのでございます。これも締切日の二十六日までに出ないじやないかということをよく言われます。しかし二十六日は一応締切りの目標でありまして、もしそれに達しない場合においては、その後は随時受付ける。いわゆる随時造船の形にかわつて来るわけでございます。金融その他関係の面も、少し時日をかけてよく海運の実情なり造船の実情を理解していただくならば、十五万総トンは確保できるのじやないかと考えておる次第でございます。
  13. 門司亮

    門司委員 ただいま岡田さんから私どもの尋ねたいことを大体聞かれておりますので、きわめて簡單に小しお聞きしてみたいと思います。  岡田委員の御質問は、九日の閣議決定以後の問題でありますが、きようは大臣がおいでになつておりませんので、大蔵当局としておわかりになるかどうかと思いますが、十六日に池田さんと一万田さんとの間に会見が行われた。そして先ほど岡田委員から言われましたようなことが、ほとんど決定づけられたようにわれわれは拜承するのでありますが、一万田総裁から三十五億しか大体の限度として、市中銀行融資は調達できない、それから開発銀行の二十億の肩がわりに全部振り向けるのだという御趣旨が話されて、池田大蔵大臣はこれを了承されておるのではないかという推測をわれわれは持つのですが、その辺のことについておわかりだつたら御説明を願いたいと思います。
  14. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答えいたします。先ほどちよつと岡田さんの御質問にお答えしたのでありますが、市中銀行からは、見返り資金の三十五億に対して、同額の三十五億より融資ができないというようなことを一万田総裁がはつきり言われたという事実は、私は承知しておりません。しかし数字は別といたしましても、先ほど来お話申し上げているように、市中銀行から金融がつくかどうかについては、相当困難があるということを一万田氏が強調しておられる点については、私承知しております。金額等についてははつきりと承知しておりません。それから開発銀行によつてある資金肩がわりした見返りの二十億を、どういう方に融資するかという点につきましても、肩がわりという性質が、少くとも市中銀行オーバーローン、ことに一方の長期の金に片寄つているところを是正しようという目的が第一でありますために、造船資金を肩がわつたら、その同額をただちに造船資金に自動的に入れて行くというふうにして行くことは、事柄の性質上困難である。結局一度日本銀行に借入金の返済という形で入れてもらつて、それから先は日本銀行の貸出し政策の一環として、どういう方面の資金の需要に向けたらいいかということを、個々的に判断をして融通して行くなり、融資しないでとめておくなりするということになつて参る。従つて二十億が当然に造船資金の方のしりを見るのでないことはもちろん、むしろ主としてその他の方向に向つて行く方が、公算は多いかと思います。しかし全額造船資金の方には全然出ないということにはなりません。肩がわりに出て来た資金は個別性はないわけでありまして、金にしるしがないわけでありますから、一般の政策として新しい貸出し政策によつて運用して参る、かようになると思います。
  15. 門司亮

    門司委員 先ほどと同じ答弁を聞いたのでありますが、私の聞いておりますのは、十六日に一万田さんと池田さんがお会いになつて、池田さんが一万田さんのお話を大体了承されたというように私仄聞しておりますので、一体こういうことを了承されたかどうかということである。この点について先ほどのお話の中では、私はよく知らないというお話でありますが、御存じでなければ御存じないでよろしいのであります。私は池田さんにここに出て来てもらつて、この辺の消息を聞きたいと考えております。それから今の御答弁の中にありました金にしるしがないというお話でありますが、あるいはひもがついてないというお話でありますが、解釈としては二十億の肩がわりのものは、あるいはほかに利用されるかもしれない、また反面、造船の方に多少は利用されるかもしれない、こういうふうに解釈してさしつかえございませんか。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 そうでございます。
  17. 門司亮

    門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、運輸省関係であります。今海運局長がおいでになつておりますが、今の大蔵省の御答弁では、肩がわりのものがどうなるかわからぬということであり、さらに全部ほかに使われてしまうようなこともあるまいという、望みのあるような、ないような、多少何とか色をつけようというような程度の御答弁でありますが、もしこの二十億も全然入つて来ないということになつて参りますと、実際第七次造船後期分というものは、九万総トンくらいしか起工できないのじやないか、こういう形が出て来ると思います。そうなつて参りますと問題になりますのは、公募の問題で、先ほど岡田さんから締切りの二十六日が多少ずれるかどうかということについては、その後でも受付けてもというお話がございましたが、こういう状態になつて参りますと、おそらく船主側の方としては、運輸省の考えておりますように、二十六日で締め切つたのではいけないという形が必然的に出て来やしないか。そうなつて参りますと、どうしても締切りの期日の延期が行われるように私はなりはしないかと思います。また締切りの期日を延ばして、その間にこの問題の融資関係をもう少しはつきりするというようなことが、運輸省としては一応考えられやしないかと思います。その点についての運輸省の側の意見を伺つておきたいと思います。
  18. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどの開発銀行肩がわりされた金が、造船の方に行くかどうかということですが、これは銀行局長の答弁の中にありましたように、金にマークがついていないから、どこに行くかわからぬという反面におきましては、その関係者の考え方によつては、造船の方へ行き得るということも言い得るのじやないか。この点私どもとしましては、日銀その他関係者の方々に、造船の方へ向け得るように一層の努力をいたしてもらわなければならない、かように考えております。  それから締切日でございますが、締切日までに来ましたものは、資産、信用力十分あるものとして、優先的に取扱うわけであります。それで締め切つてあと一切受付けないというわけではございませんで、あと金のできたもの次第、銀行からそれだけの信用力があるという確認を得た業者から受付けて処理する、こういうふうにいたしておるのでございます。別段締切日を延ばす必要はない、かように考えております。ほんとうに力のある人が金をつくる。その間において運輸省の方のいろいろの努力、関係者の理解というものが深まつて来れば、それによつて漸次金が出て来る、それを随時受付けるようにしようということでいいのじやないかと思います。
  19. 門司亮

    門司委員 私がそういう質問をいたしますのは、もし締切りが延びるというようなことになつて参りますと、本年中に起工ができないということに造船関係で出て来る。そうなると、御承知のように東重工が造船合理化というようなことで、首切りを相当数持つて来ております。年内に起工ができないということになると、各造船所にこれが波及して来て、非常に大きな問題になると実は考えますので、今お聞きしたわけでありますが、運輸省は二十六日に一応締め切つて、それから順次これをやつて行くというような御計画であるとすれば、年内に起工が絶対にできないという筋合いもないと思います。  もう一つ運輸省に聞いておきたいと思いますことは、日銀の方でこれらのものは見越すというとちよつと言葉が悪うございますが、現在の状態から考えて、融資をするにしても、各船主の事前審査というものが、やはり相当強く運輸省に要求されるのではないかということが、われわれにも考えられるのであります。運輸省としての方針は、船主を本位とするということでありますが、先ほどの御答弁の中にありましたように、船主その他が相当力のあるものとなつて参りますと、勢い大手筋だけしか許可できない。しかも聞きますと十九日——今日からと思いますが、運輸省は大体大手筋の船主関係と、何か打合せされることになりはしないか。われわれが懸念いたしますのは、こういうことになつて参りますと、運輸省があらかじめ日銀等金艘関係に対して、リストと言うと少し言い過ぎかもしれませんが、何らかの資料を提出されることになつて参りますと、造船界というものに私はまた一つの大きな波紋を投げかけるようなことがありはしないか、こういう心配をするわけであります。この辺について運輸省の御意見がおわかりでしたらお話を願いたい。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 金融界の方から、まず運輸省の方で船主をきめて、そのきめた船主に金をつけようじやないか、こういうお話が昨年のときも出たわけです。今回もまたそういう話が出ております。しかし運輸省としては、政府の立場としてなさなければならないといいますか、その権限以上のことをしなければならないということになるだろうと思います。たとえばずつと船会社を並べておいて、何もないのに一、二、三という順位をつけることは、普通の民間が商売の立場から、取引上お前の方に金を貸すのが有利だから貸してやるという立場できめるならともかく、政府として最も公正にはつきりした基準がなければ物事を処理し得ない立場にある以上、そういうことはとうていできないということを、よくお話しているわけです。昨年もそういう要請が非常に強かつたわけですが、これはお断りした。今年もそういう要請がございますが、運輸省としてはそういうことはできない。ただ運輸省が選考しているのは、金融確約書がついて、資産、信用いずれもともに見返り資金をつけてさしつかえない、こういう船会社がたくさんできて、しかも見返り資金は一定のわくがあつて、そのうち幾らか振り落さなければならないという、そういうやむを得ざる立場に追い詰められて、初めてやむを得ざるわくとしてやるというならやれるが、初めから船会社の顔を見て順位をつけるということは、運輸省としてはできないという考えを持つている次第でございます。銀行の方といいますか、日本銀行の方が、運輸省の方でまず選べという意図は、私どもとしてはよくわからない点がある。三十五億しか融資ができないというふうに言つておられながら、これは私は確かめておりませんから、日銀総裁がはたして三十五億しか出せないということをどういうところでお言いになり、またどういうふうにして制限されようとしたのか、それははつきりわかりませんけれども、かりにもしそういうことを申されたとして、しかも一方運輸省で船会社を選定してくれということことを言われている、この二つの間に矛盾がある。運輸省でやるとすれば十五万トンを選ぶ。そうするとどうしても市中融資は三十五億以上に出て来る。それをおつけになるのかという点がもう一つはつきりわからない。従つて現在のところ私どもとしては、銀行界からそういう要望があるということを聞いておりますが、それによつて運輸省で選定するということは考えておりません。
  21. 門司亮

    門司委員 考えておらないというはつきりした御答弁でございますので、私はそれでよいと思いますが、念を押すようですが、今度の問題は去年の問題と少し形がかわつておりまして、実際の問題としても、先ほどから大蔵当局が御答弁になつておりますように、またわれわれが聞いておりますように、三十五億だけは一応目安がついているが、あとのものは海のものとも山のものともついていない、こういう非常にデリケートなものを持つているわけであります。従つて金融関係としては、比較的信頼のできるというか、信用程度を見る意味で、運輸省から申請して来たものの顔ぶれを見て、融資するものなら融資するのだという、きわめてデリケートというか、ずるい考え方というか、金融界の方の腹がはつきりきまつていない。その腹をはつきりきめさせるためには、運輸省に無理にそういうものを出させるという兼ね合いがここにあるのではないかということを、私は非常に強く懸念するのであります。従つて運輸省の処置いかんが、ただちに金融関係に非常に大きな影響を持つて来るのではないかと考えられる。ところが先ほどのお話のように運輸省が今の船会社に向つて甲、乙をつけるということは、非常にむずかしい出過ぎた仕事である。政府がにくまれる仕事で、そういうことは非常にできにくいことだと思いますが、きようおいでになつている大蔵省の河野さんではおわかりにならないかとも思いますが、もしこういう点の兼ね合いが少しでもおわかりでしたら、この機会にひとつお話願いたいと思います。
  22. 河野通一

    河野(通)政府委員 先ほど来申し上げましたように、相当むずかしい問題がいろいろな点でありますが、現在具体的に日本銀行の総裁が、いろいろな観点から発言をしておられるように新聞等でも聞いております。また私ももちろん直接会つて、いろいろこの問題についても話はしておりますが、まだ具体的にどの程度まで金額が出るかという点については、今後やはり各銀行のこれに対する資金繰り、それから選択の方法等を十分検討してみないと、何とも具体的な数字は出て来ない。今検討の最中にあるという段階でありまして、それ以上のことは、ちよつと私自身としてもよく承知しておりません。大蔵大臣と日銀総裁が会われたときの話も、私は間接に大蔵大臣からは伺つておりますけれども、そう具体的なところまで話が行つておるようにも実は聞いておりません。
  23. 門司亮

    門司委員 もう一つくどいようですが、心配になるから聞いておきたいと思いますのは、先ほどから申し上げておりますように、大体船主の顔ぶれがきまつてから融資をしようという金融界の考え方だといたしますと、運輸省の方は非常に窮地に追い込まれて、お困りになるだろうと思います。従つてこの御題がスムースに行くのには、やはり大蔵省の方は、運輸省が非常に困るような、権限外のことまでしなければならないような窮地に追い込めないで、この問題を処理して行く。やはり金融界の方で先に腹をきめてもらうということでなければならぬと私は思う。まず出て来たものの顔ぶれを見て、それから腹をきめようかということでは、先ほど申し上げたようなことになる。大蔵大臣、大体われわれの推測では、日銀総裁の意向を一応了承されたかのように聞いておりますが、今の局長のお話ではよくわからないということであります。局長自身のお考えとして、一体どちらを選ぶべきであるか、また選ぶつもりであるかということの腹案でも、この際お話願えればけつこうでありますが。
  24. 河野通一

    河野(通)政府委員 これは先ほど海運局長からもお話がありましたように、長い間の問題であります。銀行の立場から言いますと、やはりある程度こういう船とこういう船をつくることが、国の政策上必要だということがわかつて来れば、そこへ重点を向けて、資金がつくかつかないかを判断して行くことの方がやりやすいということは事実であります。しかし一方で運輸省全体として、やはりそれは出過ぎたことであつて、そういうことは絶対にできないというお話であれば、さらにそれを強行して行くわけにも参りません。それで先ほども申し上げましたように金融を、非常に窮屈なところを何とかして重点的につけて行こうということのためには、できるだけしぼつたものとして、これだけしぼられたものについて金融はつかないかということになれば、重点がはつきりして来る。ところがどこまでしぼれるかわからないが、とにかくばらつと出たものを個々にやつてみて、つくとかつかないとかやつているのでは、重点がぼけるというか、金が十分にあれば問題はないのですが、資金がきゆうくつな現在におきましては、どうも重点がはつきりしない。金を重点的につけて参るという点から言いますと、純技術的にも円滑を欠くという結果になりはせぬかということは想像いたしますけれども、さればといつて銀行の要求している通りを、しやにむに運輸省に権外限のことをやつていただいて、それを強行するというような意図は、私自身としては持つておりません。
  25. 門司亮

    門司委員 今お話の通りだと考えますが、たとえば今金融関係から調査の項目で出ておりまする航路であるとか、あるいは船の型とか、速力とか、性能とか、その後における会社の採算というようなことまで、金融関係がタツチして来て、それの條件に合致すれば出してやつてもいい、それに合致しないものなら遠慮しようかというような、金融財閥がそごまで出て来るということは、非常に大きな問題でありまして、私どもは日本の産業の発展の上に、きわめて大きな問題を投げかけていると思います。金融界がこういうようなことを考えて参りますと、どうしても事業というものは伸びて来ない。こういうような船の速力とか、型とか性能、ひいては就航後における収支、ちようど一つの仕事をしておりまするときに、銀行が例のバランス・シートを各会社に持つて来い、それから各会社に金を出してやるという態度では、今日の逼迫した日本の産業は救えないと思います。同時に、日本の将来の自立経済の建前から申しましても、私はとうていそういうことはできないと思います。この点については私はこれ以上質問いたしませんが、ひとつ大蔵当局もそういう資本主義の一番悪い型をこの際やめていただいて、将来日本の自立経済の上に最も役立つ海運界の造船に対して、いま少し盡力してもらいたいということを要望いたしておきます。  次に聞いておきたいと思いますことは、買船の問題であります。これについては一体大蔵当局はどういうふうにお考えになつておりますか。去年あたりもアメリカのリバテイの古船を少し買つたらどうかという意見があつたのでありますが、今もやはり買船が行われているのでありまして、すでに御存じだと思いますが、小谷汽船が三千七百トンの米国の船を買い入れるについて、金融関係その他の書類を添付して申請しているという事実があるのですが、こういう問について大蔵当局はどういうふうに考えておられるか承りたい。
  26. 河野通一

    河野(通)政府委員 海運政策全体の立場から、国全体としての船腹の増強のために、国内における新造船と申しまするか、そういうような形で船腹の増強をはかるのがいいか、あるいは買船等によつて船腹の増強をはかるのがいいか、これについてはいろいろな議論があると思います。もつとも私はその方の専門家ではございませんので、出過ぎたことを申す資格もないのでありまするけれども、その場合、船腹擴充しなければならない時期的な緊急さの程度にもよりましよう。急ぐ場合はやはり買船で行かなければならぬという問題が起つて来るかもしれません。また一方で、国内における造船事業に対する対策という観点から考えなければならぬ問題もあるかと思います。これらのいろいろな観点から総合判断いたしまして、この際としてはこの程度の買船で行つたらいいとか、あるいはこの程度の新造船計画で行つたらいいということがきまつて来るのであろうと思います。これは運輸省でありますとか、経済安定本部等の海運政策、産業政策を担当しておる部門できまつて来ると思うのであります。しからば買船が現在どうなつておるかという点でありますが、御承知だと思いますけれども、現に今年に入りましてから着々と計画を進めて、現在でもこの計画の続行をいたしておるわけであります。資金全体の問題といたしましては、資金運用部でこの買船の関係の特別のわくとして、興銀、勧銀等の金融債を引受けることによつて、二十数億の買船資金の供給をいたしたこともあるわけであります。今後におきましても、今申し上げましたような海運政策その他産業政策全体の立場から、買船でどの程度行くか、あるいは新造船でどの程度行くかという点がきまりますに応じまして、金融の面につきましては、国の政策に応じて、できるだけその金融を確保博きるように進めて参りたいと考えております。先ほど新造船の問題でいろいろ皆様からもお小言を頂戴いたしましたように、国全体としての資金、ことに長期資金というものが非常にきゆうくつな現状におきましては、今後に起きます具体的な問題としては、そう円滑に金融が右から左へつくということは、なかなか期待できないのであります。造船政策あるいは海運政策の重要性にかんがみまして、与う限り資金計画の上において、これらの長期資金を十全に調達するように措置して参りたい、かように考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 実は今の小谷汽船から三千七百トンの船が出ておりますが、これなどにいたしましても、船は一九二三年にできた船であつて、大体十二万ポンドぐらいだろうということであります。そうしますと、船の寿命からいいますと二十数年たつておるようでありまして、使えば二十年使つた船もないわけではございませんが、大体二十五年もたてば一応寿命が来たものだと、われわれ造船関係しおつた者の観点からいえば考えるのであります。ほとんど寿命の来たような外国船を——値段からいつても実はそう安くはないわけであります。こういうことに日本資金のない資金割合に出るということよりも、総合産業の形になつております国内産業自身に対して——海運界ばかりではありません。日本の産業の全体から見ましても、造船は総合産業の一番大きなものであります。従つてこういうものに私は金融をしていただく方が、むしろ日本の将来のためにも、現在のためにも必要ではないか。外国の持つております古くて使いものにならぬ船を日本に押しつけられると、どんなことをしても日本の海運界は外国との太刀打ちができません。われわれはやはり新造計画に対して、政府は十分考えて行くべきだ、こういうふうに考えております。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、これも岡田委員の質問の中にありましたが、鋼材に対する補助金の関係であります。これは大蔵省は絶対にしないというお考えでありますかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 前者の問題はむしろ海運政策の問題でありますので、運輸省の方からお答え願つた方がいいかと思います。後者の造船の補助金と言われますのは、おそらく補給金の問題ではないかと思いますが、この問題につきましても実は私、所管外におりますので、あるいは主計局長なり大蔵大臣の方からお聞き願いたい、かように考えるのであります。
  29. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどの買船に関する御質問に、運輸省から簡單にお答え申し上げます。買船につきましては、本年初頭船復が非常に不足をいたしましたときに、これを緊急に補填するという意味におきまして、積極的に奨励したわけであります。これによつてとりあえず二十六隻の船を許しました。それに対しましては、先ほど銀行局長から話がありましたように、資金運用部資金金融債を引受けて、買船金融を円滑にするという措置を講じ、さらに最近におきまして、その金の半分を開発銀行肩がわりするという方法をとつたのであります。これは当初政府の慫慂によつて買船をした船主に対する措置であります。一応政府としてはその目的を達したわけですが、その後依然として海運市況がいいのと、また適当なる売り船がありましたがために、船主が自分で金を調達して、将来とも政府のやつかいにならないという約束で買いましたものが、その後約十七、八ぱいばかりあつて、現在まで四十二、三隻買船を決定いたしました。なお毎四半期四、五はいくらい、あるいは五、六ぱい程度の買船要求があるわけであります。これにつきましては、全然国のやつかいにならない、すべて自分の危險と負担によつてやるということを條件に、かつあらかじめ自分でその金融の見通しをはつきりとつけたものだけを許可して行くようにしたい。従つて政府はこれについては一切めんどうを見ないが、まつたくコマーシヤル・ぺースに立つて船を買うというものについてはこれを認めて行くようにしたらどうか。しかもその認めまする場合に、新造との見合いその他を考えて、日本の海運政策上、この型がほしいという型の船をまず重点的に考えて行くようにしたい、かように考えております。従つて政府金融のあつせんという面におきましては、新造とはそう競合融ないというふうに考えております。
  30. 前田郁

  31. 江崎一治

    江崎(一)委員 岡田委員並びにただいま門司委員からの質問によりまして、大体われわれの知りたいことが明らかになつたのでありますが、二、三まだ疑問の点がありますので、その点をお伺いしたいと思います。第五次船第六次船、第七次船と、いつも金融の問題が俎上に上つて参ります。またその建造トン数も、日本造船能力に比べてはるかに低い。こういう状態で、買船あるいは用船ということが片一方においては相当手広く行われておる。海運政策上の諸問題もあるでしようが、一体どちらが日本の将来のために得になるのか、そういう点について十分考慮して政策を決定しておられるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 運輸省といたしましては、将来の日本の貿易量、それから海運による外貨収入というふうな観点から一定の計画を立てて、その計画に達するような毎年の造船数量をきめようとしておるわけであります。しかしその造船を遂行いたしまする場合に、現在において一番の難点は金融面でございまして、この金融面に制約されて、その計画数量が達成できないというのは事実であります。しかし一方金融は、結局国の経済力を象徴しておるものと考えておりますが、その経済力の許し得る最大限度に、われわれは造船を遂行して行きたいというのでやつておりまするが、その経済力の判定は、経済安定本部あるい大蔵省の方に強い発言力があるわけでございまして、結局われわれの海運政策面から見た造船に対する要求数量と、一般日本の経済力から見た許容し得る限度というふうなところから、最後にその年度の造船数量というものがきめられると言つていいかと思います。
  33. 江崎一治

    江崎(一)委員 聞くところによりますと、今度の第七次造船は、大型船並びにタンカーに量点が置かれるということであります。またそれでもまだ船腹が非常に足りないので、外国から十五万総トンくらいを仕入れようという計画があるそうですが、それはほんとうですか。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 そんな話は私全然承知いたしておりません。
  35. 江崎一治

    江崎(一)委員 だたいま門司委員の質問の買船の問題について御回答がありましたが、アメリカからリバテイ型は法律上は借りられないことになつているようです。それを今までどういう形で借りておつたのですか。また今後も借りようとしているそうだけれども、そういう点について御存じありませんか。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 終戰直後に在外邦人の引揚げに使いますがために、リバテイその他約百隻ほど借りておりましたが、現有リバテイはほとんど全部返還いたしました。今上陸用LSTを多少日本側で運用しております。今後リバテイを借入れるかどうかということにつきましては、私どもとしては目下のところ全然考えておりませんし、またそういうふうなうわさがどこから出るのか、承知していないような次第であります。
  37. 江崎一治

    江崎(一)委員 聞くところによりますと、旭汽船という会社が重量トン八千六百トンのインスタン・プライド、これはどこの船だつたか知りませんが、一億五千万円で買い取つたわけです。さてこれを入手してみると、一億円以上もかけなければ実際に使えないということで、横浜につなぎつぱなしになつておるということですが、どうしてこういう不手ぎわなことになつたのか、そういう点は御存じありませんか。
  38. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私その話初めてございますが、おそらくつなぎつぱなしというよりは、あるいは修理を待つておるのじやないかと思います。買船は御承知のように汽船で二十五年あるいは三十年近いものを買い入れましたがために、買入れ船価は安いけれども、こちらへ持つて来て五千万やそこらの修繕費はかけなければ動かないものが多いかと思います。あるいはそういう金の調達のために修繕が延びているのじやないかと思いますが、古い船を買いますために、買船は非常に危險な点があるわけなのです。これは海運業者はみんな承知でやつて、る。戰前ですとロンドンとかニユーヨークに支店を持つており、あるいは連絡員がおつて、それが十分船を検査して買うというふうなことができたのですが、最近におきましてはそういう組織がありませんから、海外の業者を信頼して、見ないで船を買う。従つて中にはとんでもないものをつかむことがある。こういうことは私ども買船をやる船主に、買船の許可申請に来ました折に、その船がどういう経歴の船であるか、どの程度にその船の状態を確めておるかということをチエツクいたしまして、そうして許しておる。従いまして大体において間違いはないと思うのですが、中にはボロをつかむものも出て来るわけです。これは買船に伴うやむを得ざる危險かと思います。
  39. 江崎一治

    江崎(一)委員 これは運輸大臣でもおられないと、あるいは御回答ができないかと思いますけれども、日本造船業界が非常にやりにくいのは、一にかかつて基礎材料がべらぼうに高いことに原因すると思うのです。なぜ基礎材料が高いかというと、鉄鉱石にしても石炭にしても、アメリカから非常に高い値段で買つておる、だからこういう結果になるのであります。平和條約の批准も来春には行われまして、曲りなりにでも独立国になるというのだから、今度は一番近い東亜から安い材料を仕入れて、そうして日本造船界がりつぱに立ち行くようにする、そういう方針はお持合せがあるのかないのか、またそれだけの心づもりがあるのかどうか、その点はどうですか。
  40. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お聞きの点、ちよつと私どもにはお答えしかねる次第であります。現在の情勢におきましては、やはりアメリカ方面から鉄鉱石なり石炭を持つて来ないと、擴大する鋼材の生産にミートして行けないのではないか、かように考えます。
  41. 前田郁

    前田委員長 淺沼君。
  42. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 私は運輸大臣の出席を事務当局を通してお願いしておいたのです。きようは運輸大臣が出るというから、実は御質問申し上げたいと思つていたのであります。というのは、造船行政に対する基本的な問題を承つておきたかつたからであります。  十一月の九日の日本経済新聞でありますが、その中に「造船界の淘汰表面化」という見出しで、七次造船大手筋に集中ということが書かれておるのであります。このときには二十万トン計画が十五万トンになつたときの予想を書いてあるのでありますが、閣議決定において十五万トンになつたようであります。問題は、日本造船能力はどれだけあるかということになりまするならば、これは労働組合からも二十万トンを要請されておるようでありますが、その能力は私はあるものだと考えるのであります。戰争中日本造船能力は非常に発展をいたしまして、戰争前からもその能力は、世界においても有数なものであつたろうと私は思うのであります。ただ戰争中は材料の関係におきまして、木造船が大分行われたのであります。しかし木造船と鉄鋼船の関係から申し上げまするならば、耐久力の関係よりいたしまして、自然木造船が淘汰されて鉄鋼船が残ることは、当然だろうと思うのであります。それと同時にその鉄鋼船をつくる能力も、働きにおいては二十万トンなし得るものを持つておりまして、それを今度十五万トンに削るということは、明らかに日本造船能力は過剰であると政府は認め、またその過剰を淘汰しようという意図がこの中に含まれておるだろうと思うのですが、さような考えのもとに行われておるのですか。
  43. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十万トン建造計画を、とりあえず十五万トンでスタートいたしましたが、それに見合うべき見返り資金に十分の余裕がないというところから、そのようにトン数が減少したわけでございまして、これによつて造船所を淘汰するという考えは毛頭ございません。かりに二十万総トンを全部起工いたしたとしましても、なお造船能力に相当の余力がある。私どもとしては日本の海運政策からいたしまして、また世界の海運界の現状からいたしまして、できるだけ大量に建造したいというときに、資金の面によつて造船量が制限されるというこは、まことに遺憾しごくであると考えておる次第であります。
  44. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 しかし能力はあるけれども、現実に資金の面において制限を加えて行くということになりますれば、明らかに能力の否定になつて来よう思うのであります。目標の点から申しますならば、二十万トン以上のものを持つておる。しかし十五万トン資金の面で押えられるということは、これ以上つくれないということでありますから、結果から見れば資金の面において整理が行われておることだろうと思うのであります。しかも私はこの中に、いわば金融資本が産業を支配する形が現われて来ておると思うのであります。すなわち業界みずからの整理をやるのではなくて、金融面よりして業界に制圧を加えて行く、業界に一つの制限を加えて行く、ここにやはり私は金融資本というものが業界を制覇する形が現われて来ておると思うのであります。新聞の報ずるところによりますれば、昨年度中に自然整理の形において第一には富士銀行融資停止に端を発した内紛からの川南工業の操業難、富士銀行融資停止による日本流ドツグの佐賀造船合併(日本海重工と改称)、東日本重工の総括的企業合理化の一還としての七尾造船所の閉鎖、そのほか西日本重工の広島造船所分離説、こういうようなことが書かれております。これは明らかに金融の面からする事業に対しての制覇の形あるいけ整理の形が現われておると思うのであります。いかに海運関係において能力があつて資金のないところには融通をしないということは、私は明らかに整理の現われであると思うのであります。こういうようなことが一体日本造船行政の上によいことであるか悪いことであるかということを御判断願いますならば、やはり現在優秀であるところの日本造船能力を最高度に発揮するような操作をとるのが、私は運輸当局の務めではなかろうかと思うのであります。大蔵省の方の関係は、金がないとかいろいろな関係でとめることもあり得ると思うのでありますが、この第七次造船というものが大手筋に集中して、中小造船業者が圧迫を受けるようなことに対して、運輸大臣は大蔵省との関係において、もう少し努力が行われてよいはずだと思うのであります。重ねてお伺いいたしますが、今後こういうことから来る造船界の矛盾に対しては、どういうような対策を持つておるのでありましようか。二十万トンあるいはそれ以上の能力を持つておるものが、十五万トンしかできないということになりますならば、造船界特に中小造船業者の中には、あるいは整理をしなければならないものが出て来るであろうと思います。その整理に伴いまして、当然労働者の整理という問題が起きて来ると思うのであります。こういうような基本的な問題については、どういうようなお考えを持つておるのでありましようか。
  45. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 きようは担当の船舶局長がおりませんので、適切なお答えはいたしかねる次第でございますが、造船能力のオーバーしたものを消化いたします方法といたしましては、最近幸いにして外国から大型タンカーの注文が相当に参つております。これが日本造船余力を消化する上において大きな助けになるわけであります。しかしこれは主として大手筋の造船所に参つておるわけでありまして、中小の造船所は潤わないわけでありますが、この際中小の造船所としてはまことに苦しい立場である。ことに七次後期造船が刑の大きなものに集中するという点からいたしましても、苦しい立場に追い込まれているのでありますが、私どもとしてはこれの一つの抜け道として、海上保安庁の船の注文をとるとかいうことで、苦しいところを切抜けてもらうよりしかたがないのではないかと考えております。  次に海運界の見通しでございますが、今外航船舶の擴充に大騒ぎをいたしておりますけれども、近く内航船腹の不足が出て来るのではないか、沿岸を走つているもののほとんどは、戰時中につくりましたE型戰標船でございます。これの寿命が遠からず来るのではないか。一面日本の産業の復興に伴う年間の荷動き量の増加ということからいたしまして内航の中型、小型船腹の増強ということが遠からず起つて来る。そういたしました場合に、中小造船所の方が自然そういうものに有利であり、そちらの方に潤つて行くと考えているのでございまして、いずれにしてもここ当分は中小造船所は非常に苦しい立場に立つ、これに対して何とかしなければならないという気持があるのでございますが、政府としては目下のところ適切な方途がない、海上保安庁の船の注文その他で当分をしのいでいただきたいと考えているのであります。
  46. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 そうすると結局造船界の整理淘汰というものを、自然の成行きにまかすことになるだろうと思うのであります。せつかくある能力を最高度に発揮して、国の再建を考えて行くのが当然だと私は思うのでありますが、今のお話を伺いますならば、結果から見れば大手筋に大なる造船の注文が集まつて、中小造船業者は非常な危機に立つ、しかもそれに対する救済の見通しはない、それならば倒れて行けということであると思います。それならば労働者が失業してもしかたがないということであります。これではあまりに大産業中心主義になつて、国の政策としてはこれであつてはならぬと思います。日本の産業の特性から言えば、造船界は必ずしもそれには当てはまらぬと考えるのであります。中小企業の規模においていろいろ仕事やつているものの任務は大きなものがあろうと思うので、今からもつと造船計画的に運営いたしますならば、こういう矛盾がなくなる。大きなものは大手筋でつくる、しかし今言つたようなものは中小企業の方でつくるという計画性が現われて来れば、崩壊とか失業問題というものはなくなると思うのでありますが、造船の上にもつと計画性を持たせるお考えはないのでしようか。
  47. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま申し上げたように中型あるいは小型船舶の建造の必要性が出ました場合には、当然中小造船所は潤うわけでございますが、今日の日本の国力、経済力から言いまして、最も緊急を要する外航船腹すら、十分なる擴充ができないのでございます。それを今ただちに中型、小型にまで及ぼして、中小造船所を潤すということは、とうてい経済力の面から行きまして困難だと考えるのであります。もしその余力がありますならば、私どもとしては非常に喜ばしく、進んでそういう計画を実現に移したいと思うのでございますが、現在のところでは非常にむずかしいと考えております。
  48. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 むずかしいというのは、金融の面のことばかり言われるようであります。今のお話を伺つていますと、自然の成行きにまかせて船をつくつている形ではなかろうかと思うのであります。しかしそうでなく、大手筋からずつと下までに至る間に、大体どのような造船計画をもつて一年間やるかという造船計画性を与えれば、金融の面ばかりでなく、いろいろの矛盾もなくなるような気がいたしますが、私はしろうとでありますからわかりません。今お話を聞いておれば、金が出なければ結局できないというならば、ここに書いてある運輸省の見解として「適格船主、造船所の決定に当つて過剰造船所の整理を考慮することはこれまでと同様七次後期の場合にも困難と見られる。運輸省としては整理について積極的な態度は採れない立場にあり、自然整理に任せるほかはないが、その場合にも問題となる造船所は鋼船工場八十のうち中規模クラスの十工場定らずであろう」こういうふうに見解を述べておるが、今あなたの見解を聞いておれば、この通りということになるのですね。それでは実際つぶれて行くものはつぶれて行けということで、これは少し無理があろうと私は思います。日本の持つ造船能力、造船技術は、世界的に優秀なものであり、なおこれが日本再建の非常な基礎になるということをお考えになりまするならば、もつと積極性が持たれていいのじやないかと思います。今の成行きにまかせて行けば結局弱肉強食になつて、大手筋は行けるが、そうでないものはみんな死んでしまうということになろと思います。この点についてもう一ぺん見解を承りたいと思います。先ほど、工場を指定する場合において、余融の確約書、さらに資産その他を見はからつてということで、必然の悪としてという言葉を使いましたが、必然の悪の結果は、中小造船業者はつぶれて行けということになる。先ほど門司さんの質問に対する答弁において、あなたは必然の悪という言葉を使つておられましたが、しかし必然の悪では済まぬ大きな問題じやないかと思います。必然の悪は、どうやつたら救済できるかということが政治であり、それが政府のとるべき態度ではないかと思うのです。大蔵大臣は金は出さない出さないと言うが、この問題は、言葉は少し荒く言うようですけれども、金持は米を食つて、貧乏人は麦を食えということは、造船界に対して大手筋は米を食べろ、しかし中小企業は麦を食べろ、麦が食べられなかつたら、死んで行けということです。これはやはり大蔵大臣に出て来ていただいて、実はお話を承りたい、こう考えておるのであります。私はきようはこれ以上質問いたしませんが、何らが機会がありますならば、運輸大臣と大蔵大臣にもう少し造船行政という問題について掘り下げて伺いたい。この持つ任務というものは、私は非常に重大なものがあろうと思うのです。日本が国際場裡に出て行く場合において、船がどんなに重大な任務があるかということを考えなくてはならない。なおかつ日本が持つておる造船技術の優秀さ、能力の大きさ、しかも日本に諸外国からそれぞれ注文が殺到して来るという状況は、われわれは大いに研究しなければならない大きな問題だと思う。以上申し上げましてこれで打切ります。答弁はよろしゆうございます。
  49. 前田郁

    前田委員長 運輸大臣は、きよう午前中から出席を求めていたのですが、渉外関係できようは来られぬということでありましたから、この次の機会に出席を求めます。
  50. 江崎一治

    江崎(一)委員 ただいま淺沼委員の質問に答えまして、岡田海運局長が話しておられたのですが、将来国内の航路に対しても足りなくなるのじやないかというような言葉があつたのです。この問題は非常に重要だと思うのです。国内航路、主として機帆船その他の業者に対して、ただいま政府がやろうとしております石油製品の統制撤廃の問題が、どのように響くかということについて、海運局長としてどういう見解を持つておられるか、御意見を承りたい。
  51. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 機帆船は主として重油を使つておりますが、この重油に対する陸上の産業の需要がうんとふえて来まして、今のままの輸入数量ならば、統制が撤廃されました場合には、機帆船というものは苦しい立場に追い込まれるでありましよう。しかしその輸入数量が、為替の許し得る限度あるいは国際情勢の許し得る限度に増加されますならば、何ら心配する必要はない。結局将来どの程度に重油が輸入されるかという見通しにかかつておるだろうと思います。これにつきましては、むしろ私どもよりは経済安定本部その他から御説明を願つた方がよいと思います。もし現在のような輸入数量でそのまま統制が廃止されると、機帆船の業者は苦しいということは言えると思います。
  52. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ごく簡單に希望を申し上げ、また根本的な問題につきまして御意見を承つておきたいと思います。  まず第一に、先ほど門司委員から言われましたように、造船事業は総合工業でありまして、パーセンテージはわかりませんが、おそらく一隻の船をこしらえ上げるには、その六〇%が造船所以外の下請工業で相当の船具その他の部品がこしらえられると考えるのであります。今度の第七次造船計画を見ますと、どうも十五万トンこしらえるだけの金融がつけられそうもないし、またつけられるようでもあるし、さつぱり見当がつかないのでありますが、結局のところ船主は船をこしらえればもうかる。もうかるというところで船主はとにかく非常に無理をして、仮裝的な金融といつては言葉が悪いのですが、金融を無理して船をこしらえようとする。造船所もまた船台があきますので、従業員の首切りもできないし、仕事をとりたいというところで、これまた非常に無理をして一隻でも多くこしらえようとする。こういうことからしてやつとあるいは十五万総トンになるかもしれぬと思いますが、聞くところによると、一総トン当り船価は十五万円くらいかかるのを、運輸省が十四万一千円か二千円くらいにした。それをさらに閣議では、企業の合理化をして船価を安くするのだということになつておりますが、かれこれ勘案いたしますと、この六割の下請工業は中小企業でありまして、おそらく合理化をするにもできないほど切詰められていると思うのであります。従つて先ほど海運局長は、トン当り十四万円にして、さらに企業の合理化によつて船価を下げるべく努力をいたし、また船主及び造船所にさように指示した、かように言つておられましたが、おそらくこれは実現性がなくて、十四万円以上かかると思うのでありますが、かかつた場合において非常に心配しておりますのは、金融の実際の動きの問題であります。金の支拂いの実際の問題であります。現在におきましては、車両も造船も同じであろうと思いますが、この下請工業に対する金の支拂いの実態を見ますと、品物を買いましてから三箇月間も拂わないでおいて、三箇月後に三箇月の手形を出しているということで、実際金のまわつて来るのは六箇月くらいというようなことで、要するに下請の中小企業の圧迫によつて造船所なり船主が船をこしらえ、船を動かして行くという結果になるということを、非常におそれておるのであります。実際かようなことで中小企業にしわ寄せされる懸念が非常に大なのであります。かような懸念を私は深刻に持つておりますので、造船工業の行政監督をしておられます運輸省におきましては、実質的な指導、育成の面について、下請工業に対する悪いしわ寄せのないように、なお一段の御努力を希望いたすわけであります。  次に承りたいことは、聞くところによりますと、今年の見返り資金は運用総額千数百億になるそうであります。いろいろ運用計画がありまして、その残額が四百億くらいになるそうでありますが、そのうち百億は電力に持つて行き、三十五億は造船計画の方に持つて行つて、三百億くらいは来年度に持ち越す。数字は多少違うかもしれませんが、来年度は百億から二百億ほど見返り資金の返却がありまして、結局見返り資金が打切られた後における、二十七年度の見返り資金の運用総額は五百億近くだ。そのうち電力の方に四百億なり五百億近くを持つて行つてしまう。あとは見返り資金で運用するのは、造船面は百億足らずになるかもしれないし、あるいはなくなるかもしれない、こういう状態に追い詰められるかのように考えられるのであります。こういたしますと、見返り資金造船資金を期待することは、だんだん望みが持てないのじやないか、かように考えるのであります。一方、運輸省の説明によりますと、とにかく外国から輸出入する物資の五〇%を運ぶのにさえも百万トン足らぬ、また石油類を運ぶについても三十万トン足らぬ、とにかく何とかしてこの百万トンなり三十万トンタンカーを補充しなければいかぬ。こういうことになりますと、今後相当永年の間、計画的に日本造船計画を続けて行かなければならない。一方よるべき財政資金としての見返り資金の財源は少くなる、こういうことになりますと、ここに何らか政府において計画的な、しつかりした財政資金計画なり、造船計画なり、これに対する金融措置なりを確立しておかないと、日本造船計画はその日暮しの状態に追い込まれるのではないか。そうすると八十万トン造船能力を持つた大中小の造船所は、その日暮しに一喜一憂をしなければならぬ。従つて十数万の造船関係の従業員は、一喜一憂して、あすの日もわからぬ不安な生活を続けなければならぬ。私はかように懸念いたすのでありますが、見返り資金打切り後の、見返り資金運用総額減少後における日本造船計画に対する財政資金、また造船計画に対する政治的措置といいますか、行政的措置は、政府においてはどういうふうに考えておられるのか。ちようどいい機会でございますので、この機会に承りたいと思うのであります。運輸大臣にお尋ねする方が適当かとも思いますが、銀行局長、安本、運輸省関係政府委員も御出席でございますので、簡單でもけつこうでございますから、御意見のほどをごひろう願いたいと思います。
  53. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 来年度の造船資金の問題でございまするが、来年度におきましては、見返り資金がまだ相当ありまするので、見返り資金の中から造船の方に振り向けてもらう。もし見返り資金がそれに十分でない場合には、開発銀行その他の財政資金を使いまして運輸省としては本年同様四十万総トンの目標をもつて進みたいと考えて、目下関係省との間に打合せ中でございます。従つて現在の段階では、四十万総トンに相当する資金を全部見返り資金から出すか、あるいは一部を他に仰ぐかということは未確定でございまして、今日まだはつきりお答えできないのを残念に思う次第であります。
  54. 河野通一

    河野(通)政府委員 今海運局長からお話がありましたようなことでありまして、政府資金と申しましてもいろいろあるわけです。見返り資金も、後に詳しくは見返資金課長から数字的な御説明を申し上げていいかと思いますが、相当程度のものが来年度やはり見返り資金としてあると思います。一方に、今お話になりましたが、開発銀行の問題、あるいは間接の政府資金の放出の形として、資金運用部から金融債の引受けの形で、相当造船資金が出て参るわけであります。これらのいろいろなルートを総合的に判断いたしまして、造船とともに長期投資といたしましては、電力とか、そういうものについてもやはり相当長い計画を立てた上で、資金の面の裏づけも考えて参らなければならぬと思うのであります。現在のところでは、今海運局長お話のように、来年度四十万総トン造船計画というような点につきましては、いろいろ御意見があるようでありますが、まだ総合的な見地から四十万総トン来年度必ずつくるというところまで、政府としての意思は決定にはなつておらぬのであります。現在安定本部を中心にしていろいろ検討が加えられておるわけであります。そこでいろいろ検討の結果、組まれました造船計画に対しましては、政府資金はもちろん、市中金融につきましても、できるだけこの資金の裏づけがつくように努力はいたして参りたいと思います。政府資金につきましては、ただいま申し上げましたようなことで、必ずしも見返り資金一本にたよる必要はないと思います。いろいろな角度から、全体を合せて総合的に見て融資できるように考えてきたいと思います。
  55. 前田郁

    前田委員長 造船計画に関しましては、本日はこの程度にとどめ、近い機会に大臣の出席を求め、審議をいたしたいと存じます。     —————————————
  56. 前田郁

    前田委員長 これより請願の審議に入ります。審査方法につきましては、前回の委員会において決定したしました取扱いにて行います。  日程五八及び六三を議題といたします。紹介議員の説明を求めます。原彪君。     〔委員長退席、岡田(五)委員長代     理着席〕
  57. 原彪

    ○原(彪)委員 ただいま議題となりました常磐線電化促進請願につきましては、請願者が茨城県知事と土浦市長と二通出ておりますますので、両方をまとめまして、その趣旨を申し上げたいと存じます。  常磐線の電化につきましては、私個人としましては、第一国会以来今日まで、この電化の達成のために全力をあげてやつてつたのでありますが、ようやく松戸より我孫子、取手まで貫通いたしましたが、それだけでは地元民としても、また上野以北の者としましても満足しないところであります。この電化については当局も御承知の通りに、芦田内閣のとぎ噂したか、片山内閣のときでしたか、はつきり記憶しておりませんが、常磐線の電化五箇年計画というものをお立てになりまして、司令部の方の了解もその当時とりまして、第一期を取手まで、第二期を水戸まで、第三期を平までというような順序で、大体の年度計画をお立てになつてつたのですが、その後、その年度計画というものはとんど火の消えたようになくなつてしまつておるように思います。その必要性につきましては、私も電化の小委員会等においてるる申し述べてありますので、いまさらここで喋々と申し上げません。当局もすでに現地も御視察になつておりますし、十分御了承のことと好じます。先般も關谷政務次官が茨城県に、常磐線電化の御視察においでくださいましたときにも、地元民に対して、本年度必ず土浦まで電化をやるということを明言されておりまして、あとは予算だけの問題であるから、大蔵省方面と折衝の上で、予算さえとれるならばというような、多少予算関係で心配のようなこともつけ加えておられましたが、運輸省としては二十七年度にはおやりになる腹がきまつたようにも思われるのでありますけれども、はたして昭和二十七年度の予算にこれを載せていただけるかどうか、その点をひとつ承りたいのであります。  ここに一つ難点が横たわつておるのは、柿岡の地磁気観測所があつて、この地磁気観測所の電波でたいへん電化に支障が起るので、地磁気観測所を移転しなければならないか、あるいはこの電波の防波裝置をしなければならぬか、そういう問題があるようであります。この前大臣にお話申し上げたときにも、私的ではありますが、二十七年度に土浦まで電化するというお話も承つておるのであります。いろいろ東海道線、高崎線と着々進んでおるのに、ひとり常磐線のみ残されて、押すな押すなの列車の混雑であります。東海道線等の成績を見ますと、いまさら申し上げるまでもなく電化したために、国鉄としても非常によい黒字の採算がとれておるばかりではなく、地元民としても非常な便宜を得ておる状態でありますので、早急に二十七年度には土浦まで電化していただきたい、かように思うものであります。先ほど話の途中で申し上げましたように、大臣も政務次官も二十七年度におやりになるような話でありますが、ここではつきり御意思のほどを承りたいと存じます。
  58. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 鉄道電化につきましては、その必要性を十分痛感いたしまして、電化計画を立てて輸送力のきわめて大きな線、つまり日本の国土の上から、石炭節約上最も有効と思われる線とか、あるいは旅客混雑の特に著しい線等につきまして、どんどんと電化を進めて参りたいと考えております。問題は結局資金の点でありまして、工事資金がきわめて制限されておりますので、御期待に沿うほど進捗いたしませんことを、まことに遺憾に思つておる次第であります。常磐線につきましても、電化五箇年計画を策定いたしました際には、これも入つておつたわけで、また取手まで電化いたしましたこともお説の通りであります。この常磐線の電化を取手から、さらに土浦まで伸ばすことが、二十七年度の予算に入つておるかどうかというお尋ねでありますが、これにつきましては、目下来年度予算を折衝中でございまして、まだ何ともお答えできる段階に入つておらないものと申し上げざるを得ないのでありますが、いずれにいたしましても電化全般をできるだけ早く進めて行くという方針は、堅持して参りたいと存じておる次第でございます。常磐線の電化の障害となつております柿岡の地磁気観測所の問題につきましては、非常に技術的な問題でありますので、目下関係者と寄り寄り実験その他によつて適切な防止方法を研究いたしております。これが研究の結果に上りまして、常磐線電化の障害は除去されるという結論が出ることを期待しておる次第であります。
  59. 原彪

    ○原(彪)委員 これは請願でありますので、同僚の各位も常磐線電化達成のために、ぜひ御盡力いただきたいと存じます。また当局としても、今承りますと極力努力するというお話であります。運輸省が予算関係で最善の努力をされることはけつこうでありますが、はたして二十七年度におやりになる御意思があるかどうか、御答弁がはなはだぼやけておりますので、その熱意のあるところをひとつお示しいただきたいと思うのです。
  60. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 電化につきましては、現在高崎線をやつておりまして、今年度中に完成する予定になつております。次に東海道線の浜松、米原間の電化を計画いたしております。この浜松、米原間の電化も相当の資金を要しますので、来年度におきましてはもちろんこれが全面的に実施を見るというわけには至らないのじやないかと思うのであります。この東海道線の計画の実施状況とあわせて、関東地方における重要線、常磐線あるいは東北線というようなものについて、考えて参らなければならぬと思うのであります。ただいまお話がございましたが、私どもとしましては、電化関係にできるだけ予算をまわしていただくように努力をいたしておるのでありまして、なおこの点につきましては、安本におきましても、日本の産業開発上きわめて重要なことであるとして、同じく鉄道電化の問題を取上げておるのでございまして、運輸省だけでなくして、経済総合官庁としての経済安定本部の方にも極力協力いたしまして、電化の実現に努めて参りたいと思つております。特定のある線についての計画は、まだ実際予算がきまらないので、何とも申し上げかねるのでありますが、なるべくできるだけ御趣旨に沿うように努力するということで、ひとつお許し願いたいと思います。     —————————————
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 次に八七、一〇七、一五二及び一五五を一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。小淵光平君。
  62. 小淵光平

    小淵光平君 まず八七について説明を申し上げまして、御採択のほどをお願い申し上げたいと存じます。上越線澁川を起りとし、信越線上田を終りとするところの、淺間、白根のふもとを通つてこの両点をつなぐ、いわゆる北上州と東信州を結ぶ上信線のことについてでありますが、これは長い間地元の宿願として、今日まで運動を続けて参つたのでありますが、昭和二十年一月に澁川から長野原まで一部開通がなされたわけであります。しかしながらこの長野原線は、さらに長野原から上田に通ずる四十一キロという路線がま泥残されておりますが、この地帶は奥地山間地帶で、今はバスによつてこの間をつないでおるわけでありますけれども、この地帶は産業資源等に非常に恵まれており、観光地帶としては最も有名な地域でありまして、この地帶がまことに交通不便のために遊休状態にあつて、遺憾にたえないわけであります。この線が貫通されることが、産業経済、文化発展の上に最も大きい影響のあることは論をまたないのであります。現在このところをバスによつてつないではおりますが、これは冬期間、約四分の一以上は交通不能となつてしまうので、全然交通が杜絶してしまうわけであります。翻つて渋川町と長野原、上田を結ぶ線のことを考えますると、今日まで長い間運動を続けて来ておりますけれども、現在この地帶は非常に産業資源が埋蔵されており、なかんずく地下資源のごときは、現在鉄山は日本第二位の日本鋼管の群馬鉄山があり、硫黄は全国の約四十三、四パーセントを産するという非常に地下埋蔵の量があり、また観光地としては関東信越国立公園の指定もなされて、浅間、白根の高原地帶として有名であるわけであります。また農産物等におきましては、夏の終りから秋の初めにかけて、都会地に全然野菜類のないときに、高原野菜として出ておる浅間高原の白菜等、大量な農産物がこの地方から産出されておるのであります。この鉄道をぜひとも貫通していただきたいという熱願は地元として当然でありますが、ただいま申し上げましたような事情によつて、国家的に見ても、どうしてもこの鉄道を上田までつないでいただきたい。さらに上田から松本へ通ずるところの、いわゆる上松鉄道はすでに許可に相なりまして、近く建設されることになりますると、澁川から上田に通じ、上田から松本へ抜ける、きわめて捷径な線ができまする関係からいたしましも、交通の面に非常に利便するところが多くなつて参るわけであります。私どももこれは昨年も請願いたしまして、採択になつておるわけであります。またこの採択後、衆議院の運輸委員の方々、あるいは運輸省から政務次官一行も親しく現地においでになられて、調査をしていただいたわけでありますが、この線はまことに有力な路線であるという調査の報告も、今国会においてなされておるようであります。さらに私運輸省、国鉄に常に参りまして、いろいろお願いをいたしておりますると、調査のきわめて詳細なものができておる。すでにレールがどのように散かれるか、あるいはまくら木がどのように置かれるかというような、詳しい図面もすでにできておるのを私ども拜見をいたしておりますし、経済調査等もすでに詳しくできておつて、長い間かかつて調査済みになつておるようなことも漏れ聞いておるわけであります。私どもはこれはすでに予定線として編入されておるのだと今日まで信じ切つておりましたところ、たまたま本年になりまして長野、群馬両県の熱心な方々が陳情に参りまして、鉄道敷設法に基くところの別表にこれが載つておらないことを発見して、実は驚いたのでございます。本日私がここで説明をし、お願いをいたしたいことは、この上信鉄道を敷設法の別表へ追加いたしていただきたいということを請願いたすわけであります。どうかこれを別表に掲載するようにしていただいて、さらにこれが本筋に乗つて参りました上で、一日も早くこの鉄道が貫通できますように、特にお願いを申し上げたいと思うわけであります。本日はちようど石井部長さんもお見えでありますので、何が何でもこれを別表に載せていただくよう、特別のお願いを申し上げるわけであります。以上請願の趣旨を説明いたしたわけでありますが、何分よろしくお取上げのほどをお願いしたいと思います。
  63. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 上信鉄道を敷設法別表へ加えろという趣旨の請願でございます。これは立法事項でございまするので、私どもの方からはお答え申し上げるのもいかがかと思いまするが、目下の建設線の取扱いにつきまして、御参考までに申し上げまして、御了承いただきたいと思います。  ただいま国鉄の新線建設につきましては、新線建設審議会が設置せられまして、ここにおいて今後の新線建設の具体的な方針を御審議願つておるわけであります。ただいままでに新線建設審議会をお開きになりました御審議の様子を拜見いたしておりますと、必ずしも敷設法にとらわれておらない。敷設法に載つておらなくとも、現在の経済事情から見て必要と思われるものは、取上げて行くのだという御方針のように承知いたしております。と申しまするのは、鉄道敷設法はたしか昭和九年に改正せられたのでございますが、何分にもそういう古いものでございまするので、今日の新しい経済事情にそぐわないものがあることは認められるのでございます。そういう見地からの御検討も、十分お進めになるようでございます。ただ現在の法規の建前からいたしますと、敷設法に入らなければ、一応敷設できないということになつておりまするので、そういう見地から御検討の上、実施することが適当である場合におきましては、政府といたしましてはただちに敷設法の改正の手続をとつて、これが実施にかかるというやり方に相なると存じておる次第でございます。  ただいまお話のございました上信鉄道でございまするが、これは御説のように、敷設法には上つておらないのではございまするが、資源その他の開発上非常に必要であることは、おつしやる御趣旨の通りでございます。ただ地形上きわめて急峻なところを通りますので、工事上相当研究いたさねばならぬ点もあるかと存じております。それらの点もあわせて研究調査の上、新線建設審議会の方へ御趣旨のあるところを十分御説明申し上げて、御判断を仰ぐことにいたしたいと思つております。
  64. 小淵光平

    小淵光平君 審議の上御採択のほどをお願い申し上げたいと思います。  次に、自動車運送事業免許制度廃止反対に関する件でございます。この請願につきましては、今度の行政整理の問題が伝えられたときに、たまたま全然筋違いな自動車運送事業の免許制度を撤廃するということが伝わつて参つたわであります。私どもこれにつきましては、自動車運送事業そのものが公共性を帶びた事業であり、他人の貴重な品物を預かり、資力、信用があつて、一朝不幸な事態に処して、これら賠償の責任等が果せるだけの内容を持つておらなければならない、こうい、う事業が、いたずらに免許制度をなくしてしまつて、だれにもかれにもでき得るということになりますと、不当競争のはなはだしきものになり、進んではこれら事業が漸次脆弱性を帶びて来て、公共性に相反する結果が出るという点からいたしまして、非常に憂慮いたして参つたわけであります。この事業の本旨を無視して免許制度を撤廃し、自由に営業ができるようなことにすることは、以上申し上げましたような理由によつて当然なされ得ざることとは存じますが、これについては公安、公共の面から、どうかどこまでも免許制度を廃止するという措置は、絶対になし得ないようにおとりはからいを願いたい、かような趣旨に基いて「自動車運送事業の免許制度廃止に反対をいたしますので、これについて如上の請願を申し上げる次第でございます。
  65. 高橋末吉

    ○高橋説明員 自動車運送事業の免許制度は、この前の国会において御審議を願い、成立を見まして、目下全面的な実施を急いでおる段階であるわけでございまして、これは戰時統制的な法律とか、占領下のために特にできた法規制とかいうものとは違つた、非常に新しい法律であるわけでございます。ただいまのお話にございましたように、自動車運送事業の公共性をいろいろ分解して考えてみますと、今度の法律もその精神を貫いておるわけでありますが、荷主公衆あるいは旅客公衆に対する差別待遇の禁止、いわゆるサービスの公正なあり方ということを中心に考えておるわけでございますが、差別待遇の禁止、公正なサービスということになつて参りますと、その反面、この事業は事業としての安定した運営が常に保たれているということが、必要であると考えられるのであります。事業の運営が常に不安定でありますと、適正な公正なサービスが非常に困難になるということが、私どもの方で実際にいろいろな場合に遭遇し、承知いたしておる実情でございます。このような関係から、一般旅客、荷主の公平な取扱い、また利用する場合の安全の確保というふうな観点からいたしまして、これはやはり免許事業として、適格性を国において判定して行かなければならないものじやないかと考えているわけでございます。具体的に運賃のダンピングであるとか、あるいは不当な運賃の要求であるとか、あるいは責任事故の場合における賠償能力の問題であるとか、あるいはほかの文通機関との総合的な調整による発達とかいうふうな観点から考えましても、これはぜひ免許制度をとつて参るべきものであると考えておるわけでございます。
  66. 小淵光平

    小淵委員 一五二、一五五を一括して説明を申し上げます。まず一五二の省営バス運行についての請願でございます。これは温泉地で有名な群馬県四万温泉に、中之條までは省営の自動車が通つておるのでございますが、その中之條から四万温泉約百六十キロの間を省営自動車を運行していただきたいという請願でございます。これについては今日まで地元の人たちが、熱心な運動を続けて参つたわけでありますけれども、ここには東武の自動車が入つておりまして、競合路線になつておるわけであります。東武の方としてもできるだけサービスをするということであつたのでありますが、地元の人たちが熱心に運動して、どうしても省営の自動車に入つていただきたいということは、多少東武においても地元民の欲求する程度にはサービスができなかつたのではないかと私ども信じておるわけであります。かようなやさきに四万温泉が、日本で初めての厚生温泉というきわめて堅実な温泉に、近く厚生省から指定をされようというところまで進んで参つたわけであります。現在一番困つておる問題は、特に家庭の人あるいは学生、堅実な温泉湯治客という人々のために、どうしても省営バスにここを運行しいただかなければ、輸送力が満たせない。かような観点で、最近つとにこの区間の省営バスの運行を、ぜひやつていただきたいという強い要求が出て参つて、今回請願に及んだわけであります。どうか御審議の上採択されて、一日も早くこの路線の省営バス運行ができるように、特にお願い申し上げたいと存ずるのであります。  次に一五五は、やはり省営バス運行に関する件でございますが、これは先ほど上信鉄道で御説明申し上げました長野県から約六キロの六合村というところに、日本鋼管工業の社線があつたのでありますが、この社線が今月の十日付で、運輸大臣から国鉄編入に決定になつたわけであります。従いまして近い将来に六キロ入つた六合村という所に営業駅ができまして、ここに客車運転がりつぱに行われるということになつたわけでありますけれども、そうなりますとこの六合村、生須というところから草津温泉には、わずかに四キロ七分しかない近道になつてつて、現在省営自動車が長野原から草津まで参りますと、約五十分から一時間の時間を要するわけでありますけれども、この生須というところから草津まで運行いたしますと、わずかに十二、三分で草津温泉に到達できるという近道になつて参るわけであります。そういたしますと草津温泉という天下の名湯が、いやが上にもその度を増して参りまして、この近郊一常がいわゆる観光温泉地帶と化して参るわけであります。このときに草津に省営自動車を運行していただくことはもちろんのこと、さらに生須の駅から湯の平あるいは応徳温泉あるいは花敷温泉、約一キロくらいの間に多数の温泉があるわけであります。この温泉を全部連絡いたしまして、省営自動車の運行をしていただきたい。さらに花敷温泉という温泉のあるところまで省営自動車が参りますと、ここには千古斧鉞という国有林が、遠く新潟県に境を接して二万数千町歩という開発林の森林が、欝蒼としているわけであります。ここに省営自動車が、一面観光とはいいますけれども、動くということになりますと、当然林野庁が今計画をいたしておりますとところの森林資源の開発が、さらにその度を増して参るということになります関係から、一日も早く生須駅を起点として草津へ運行することはもちろんのこと、さらに湯の平から応徳、花敷温泉、この路線を通ずる省営バスの運行をぜひしていただきたい。この省営バス路線はいわゆる一般会社では、奥地でありますので、経営上採算が当初はなかなか困難かと存じますので、これは特に省営自動車にここのところを運行していただかなければならないのでありまして、ここに駅ができるという急変した事態に対応いたしまして、一日もすみやかにこの地区に省営営自動車の運行をお願いいたしたいというのが、請願の説明でございます。どうかこの二件を御審議の上、採択されんことをお願いいたしまして、説明にかえる次第でございます。
  67. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 渋川から沢渡あるいは四万温泉へ延びます国営バス運行の問題でございますが、ただいま御説明の中にありましたように、現在民営業者が運行しております。従いまして運輸省といたしましては、一応民営業者のサービスの充実をまつて参るのが、第一の観点かと思うのであります。この点につきましては、ただいまのお話ではなお不十分であるということでございますので、私どもといたしましてはこの点につきまして当該業者、あるいは自動車局方面と意見の一致を見ます場合におきましては、御要望に沿うように計画させて行きたいと思つているのであります。さしあたりこの点につきまして研究をいたしたいと思つております。  次に長野原と花敷温泉の間でございますが、これはただいま御説明のございましたように日本鋼管の生須線と申しますか、専用線を今般国鉄に編入いたす手続をいたしております。近い将来に列車が直通いたすことになると思うのでございます。そうしたあかつきにおきましては、当然問題となる路線であろうと思います。実はまだ具体的に詳しい調査ができておらないのであります。出須線の客車が直通いたしましたあかつきにおきましては、お話のごとくこの新しい交通状況のもとにおきまして、十分ひとつ実情を調査させまして、国鉄をしてあたうべくんば御策望に沿うように努力させたいと思います。     —————————————
  68. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それではこの際日程第九〇につきまして政府より意見を求めます。
  69. 富田惠一

    ○富田説明員 京都の京阪の三條と出町柳間を連絡いたしまして、京阪、それから京福電鉄の直通の計画を目途といたしまして、三條、出町柳間に新線を敷設する計画でございます。これを京都の観光上の見地から、風政を害しないように、なおまた加茂川の静寂境を害しないように、この線を地下線とするか、あるいはバス線にされたいという請願の御趣旨なのでございます。これに対しまして最近の事情を御説明申し上げますと、三條、出町柳間のうちの出町柳起点一・〇六五キロから、同じく一・八一〇キロまでの間の〇・七四五キロ、これに対しましては目下工事施工の認可が申請中であります。その他の区間につきましては、現在設計変更の認可が申請中でございまして、運輸省といたしまして目下これを調査中でございます。御請願の趣旨はごもつともと思われますけれども、加茂川やあるいは疏水、こういうようなものがございまして、これらの地勢上の関係から、地下線計画が可能であるかどうか、こういう点につきましては検討を要する問題でございまするし、なおまた会社の経済上、資金的な負担の限度というような点を考慮に入れなければならないのでございますので、運輸省といたしまして、この調査につきましては愼重を期したい、こう思つておる次第でございます。右のような諸点から、もし下線の計画が不可能な場合になりましても、京都の観光地区というような点並びに騒言の防止、それから交通の利便というような点につきましては、会社に対しまして適当な対策を樹立いたすように、運輸省といたしまして十分指導したいと考えておる次第でございます。     —————————————
  70. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 次に日程九九、日程一〇一ないし日程一五〇までを一括議題といたします。政府より意見を求めます。
  71. 高橋末吉

    ○高橋説明員 九九号の方に対しまして御説明いたします。この請願の趣旨は、自家用自動車の機能を圧迫しておるような状態であるから、自家用自動車も営業を自由にできるようにしてくれないか、またそれに伴つて現圧の道路送法を改正してもらいたいという趣旨でございますが、自動車運送事業の免許制度の趣旨、すなわち公共性の強いこの事業を免許制度にしておるという根本の趣旨から考えてみて、自動車としての分野において、営業自動車は営業自動車の分野におきまして、それぞれ正常な発達をすべきものというふうに考えておりますので、法律の根本の精神から考えまして、自家用自動車の営業行為を許すようなことは、絶対にとるべきものではないというふうに考えております。なお自家用自動車を活用しなければ、公共、福祉が保たれないという場合に関しましては、現行法の第百一條によりまして、自家用自動車の活用の道も開かれておりますので、道路運送法の改正の必要は少しもないというふうに考えるわけでございます。  その次の議題の方は、先ほど小淵先生の御紹介請願に対してお答えしたのと御同様でございますので、あれをもつて御説明にかえさせていただきます。     —————————————
  72. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 次に日程第一五七を議題といたします。政府より意見を求めます。
  73. 増川遼三

    ○増川説明員 第三四半期分の外国自動車の讓り受けの許可に関しましては、年内にこれを取行う予定でございますが、外国自動車の讓り受けにつきましては、外貨予算の関係上、観光民需全部に対しまして、第三・四半期分は約六百両前後の供給分しかないのでございます。それに対しまして目下のところ要望数は、一万両を突破する状況でございます。これに対しまする割当の許可方針につきましては、通産省局とも協議中でございますが、本件の申請に対しましても、他の自治体その他各種行政機関等その均衡を考慮いたしまして検討いたしました上、決定されることと存じております。
  74. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 残余の請願日程はこれを次会に延期いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十四分散会