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1951-10-26 第12回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十六日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長代理 理事 大澤嘉平治君    理事 岡田 五郎君 理事 原   彪君       江花  靜君   岡村利右衞門君       尾関 義一君    黒澤富次郎君       高田 弥市君    田中不破三君       圓谷 光衞君    畠山 鶴吉君       藤井 平治君    山崎 岩男君       淺沼稻次郎君    江崎 一治君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道経         理局長     三木  正君         日本国有鉄道営         業局長     津田 弘考君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君 十月二十六日  委員尾崎末吉君、片岡伊三郎君、坪内八郎君、  前田正男君及び滿尾君亮君辞任につき、その補  欠として田中不破三君、江花靜君、高田弥市君、  藤井平治君及び圓谷光衞君が議長の指名で委員  に選任された。     ————————————— 十月二十五日  諸寄漁港燈台設置請願有田喜一紹介)  (第二四〇号)  けい石に対する貨物運賃等級引下げに関する  請願有田喜一紹介)(第二四一号)  道路運送法改正に関する請願木下榮紹介)  (第二四二号)  船舶港拡張工事施行請願佐々木秀世君紹  介)(第二四三号)  越美線全通促進請願岡村利右衞門紹介)  (第三一二号)  金田岬航路標識設置請願佐々木秀世君紹  介)(第三一三号)  宇津野、落合及び小本間鉄道敷設促進請願(  小澤佐重喜紹介)(第三一四号)  大樹、浦河間鉄道敷設請願伊藤郷一君紹  介)(第三一五号)  三陸沿岸鉄道敷設促進請願小澤佐重喜君紹  介)(第三一六号)  潜ケ浦水路開さくに関する請願内海安吉君紹  介)(第三一七号)  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願  (松木弘紹介)(第三一八号)  同(畠山鶴吉紹介)(第三一九号)  同(庄司一郎紹介)(第三二〇号)  同(三浦寅之助君外三名紹介)(第三二一号)  同(坪川信三君外二名紹介)(第三二二号)  同外一件(神田博紹介)(第三二三号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第三二四号)  同外四件(五島秀次紹介)(第三二五号)  同外一件(中村幸八君紹介)(第三二六号)  同外二件(宮幡靖紹介)(第三二七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一号)     —————————————
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長不在でありますので、私が委員長の職務を行います。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続けます。江崎君。
  3. 江崎一治

    江崎(一)委員 この十月に国電のダイヤの改正をやつたそうでありますが、これによると乘務員勤務時間が、戰争中の東條時代と同じようになつたということを聞くのですが、その状態改正前とはどのように変化したのか、御説明を願いたい。
  4. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 鉄道職員勤務時間については、労働基準法によつても保障されておりまするし、また団体交渉の対象ともなつておるのでございますので、お尋ねのようなことはないと思います。ただいま具体的な資料を持ち合せておりませんので、調べましてお答えすることにいたしたいと思います。
  5. 江崎一治

    江崎(一)委員 われわれの調査によりますと、乘務員の乘務時間が大体二割余り増加することになつておると思うのです。乘務員体力その他から考えまして、これは無理ではないかと思いますので、その点十分御調査の上、次会に御回答願いたいと思います。  次にこれも労働強化の最もひどい例と思いますが、それは大崎の国鉄被服の工場です。これは試験的でしようが、朝に女工さんの血をとりまして血沈を調べます。それから十分に労働をさせる。また晩に血沈をとる。その血沈が少ししか下らない。もう少し使えるぞ、こういうふうに労働に耐える体力限度を調べておるようであります。そうして現場労働状態は、労働強化がますます根強くしいられて来る、こういうことが現実にあるのですが、血沈をとつてまで体力限度試験するというやり方について、総裁はどういうふうに考えておられますか。
  6. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまのお話は、私まだ就任早々でございまして、よく承知しておりませんが、科学的ないろいろな研究をすることについては、むしろそういう方向に進むべきものであつて、ただ勘であるとか何とかではなしに、科学的にやりたいと考えます。
  7. 江崎一治

    江崎(一)委員 こういう席上で、その実際をよく御存じなく、科学的だから最も合理的ではないかという議論は一応立つようでありますが、しかし実際はそういう科学的な観点から、労働者の健康を保持するために血沈試験が行われておるのではなく、どれだけ使えるか、どれだけしぼれば油が出るかという考え方からの血沈検査であるのであります。現実はそうです。だから総裁が今頭の中で考えてお答えなさつたことと事実とは、大分違うのです。これは私は念のために申し上げておきます。これもよく勉強しておいてもらいたい。  その次には、これは国鉄全体の従業員の問題ですが、御存じ通り考査制度が設けられました。考査制度によつて十分勉強させ、そのために輸送の能率や旅客の安全をはかろう、こういう御意見でありましようが、実はこれが非常に大きな従業員の、必要以上の負担になつておるのです。今申し上げたように、国鉄現業労働者労働負担はますます重くなつて来る。そこへ考査制度がありますために、もしもこの試験に落ちたら降職させられてしまう、そういうわけで、現場から解放されて家に帰つても、やはりこの試験のことが頭にこびりついて十分な休養もとれないという現状になつております。この考査制度については、理論的には非常によいように見えるのですが、実際はそういうふうな国鉄労働者諸君の健康に、非常に大きな害があるような形で現われておるということについて、われわれ非常に多方面から陳情を受けるのですが、そういう点についてはどういうふうに考えておられるか。
  8. 長崎惣之助

    長崎説明員 もしそれが非常に害があるならば、これは実際と理論とよく調和させなければならぬと思います。
  9. 江崎一治

    江崎(一)委員 たいへん簡單に答えていただくのですが、これは誠意をもつてやはり十分に勉強して検討してもらわなければいかぬ。その結果はやはり次会でもよろしいから御報告を願いたいのであります。
  10. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 運転考査お話かと思うのでありますが、これは私ども運輸省立場といたしましては、旅客生命財産を保全する意味から、ぜひ実施してもらわなければならぬと考えておるのであります。これを緩和することは思つておりません。
  11. 江崎一治

    江崎(一)委員 支配者立場になると、そういうことが平気で言い得るのである。しかしながら労働者立場から考えますと、そういうことは言えない。なるほど国民の生命財産は大切なものです。それと同様に労働者の健康ということも非常に大きな問題です。それをそう簡單に片づけては、大きな問題が起ると思う。これは警告しておきます。  その次にもう一つお伺いしたいことは、ただいま無事故月間運動を展開しておられます。この運動によつてほんとう事故がなくなつておるのかどうか、統計によりますとなくなつているようになつておりますが、実際はどうですか。
  12. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 私の承知しておりますのでは、無事故月間というようなことは、中央なり何なりの命令でやつておるということでなくして、御承知桜木町事件以来、国鉄の各現場職員が自発的に、ああいう社会的こ申訳ない事故を起した、ぜひ運転の安全を守りたいという気持から、各地区ごとに団結して、その地域の現場職員申合せでやつておるという話は聞いております。従つてその効果は相当上つておるように聞いてはおるのでございます。私どもの方で具体的に数字をもつて集計はいたしておりませんので、ただちにお答えはできませんが、非常に成績良好のように聞いておる次第であります。
  13. 江崎一治

    江崎(一)委員 ただいま御説明のように、これは当局から各現場命令したのじやありません。各現場が自発的にやつているのだという形にはなつているのです。しかしながら実際はどうかというと、当局意思従つてこれはやつておるものだとわれわれは解釈しております。この無事故月間運動は、実際に下へ行つて実情を聞いてみますと、戰慄すべき状態を現出しております。例をあげてみますと、東京機関区で、構内で働いておる従業員——これは決して乘務員じやありません。その人たちが、手不足であるために列車運転をさせられたわけです。そこで三人が機関車に乘つております。おそらく構内貨車を動かしておつたのだろうと思いますが、キヤツプリンがはずれた。それで一人が転落いたしまして、片手片足を切つてまつた。こういう事件がついこの間東京機関区においてあつた。ところがこれについては、無事故月間であるということで、これは別に指示もしない、しかもこの車は廃車である、これはかつてにやつたのだということで、この事故が公傷ということでなく、私傷という形になつてまつた。ちよつとした事故が起つても、今までだつたら事故として届けられるものが、この月間運動のために、まるく治めてしまつて表に出さない、こういう悪風が現場にある、こういう事実を皆さん御存じかどうか、その点を御存じなかつたとしたらたいへんなことだと思うのだが、その点当局はどうですか。
  14. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 無事故月間運動は、事故をなくすための運動であつて事故を隠すための運動ではない、さよう信じております。お話のような事例は、いつ何日どこで起つたのか、お知らせ願えば調査をいたしたいと思います。
  15. 江崎一治

    江崎(一)委員 今の事故は、この十月の中旬に起つたばかりです。しかも皆さんのおひざ元の東京機関区で起つたことでありますから、これは十分に御調査を願いたいと思います。次会にぜひ報告を願います。  その次に、これは問題がちよつと飛びますが、下山事件のあつた直後の話です。当時の副総裁が、制服の警官に対しては無賃乘車を許せというような通牒を出したのでありますが、これは背任行為ではないか、背任罪を構成するのではないかという疑いを持つておりますが、その点総裁はどうお考えでありましようか。
  16. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 総裁お尋ねでありますが、総裁の御就任前のことで全然御存じないことと思いますので、私からお答えいたします。これは現在でもそうでございますが、当時われわれは占領軍命令に従うという義務を持つておりましたので、その趣旨にのつとつて通牒を発した次第であります。
  17. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと、これはなるほど背任罪を構成するのだが、占領軍命令でこれをやつたのだから、いたし方ないのだという御意見ですか。
  18. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 背任罪を構成するものとは考えておりません。
  19. 江崎一治

    江崎(一)委員 今の警官無賃乘車を全部運賃をとりますと、今度の首切りを予想されているところの二万人余りの従業員を首切らないで済む。十分それくらいの財源が出るのであります。それを一片の通牒で、当時の副総裁の腹でこれを免除したということは、理由なくしてこの国鉄公社に大きな損害を與えたということになるので、これは当然背任行為であるとわれわれは考えるのですが、その点はどうですか。簡單に私はそう思いませんでは通らぬと思う。
  20. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 見解相違であると思います。
  21. 江崎一治

    江崎(一)委員 はなはだ不親切な答弁です。見解相違ということでは——これはこういう国会で言うべき言葉ではないと思う。少くとも誠実に答弁すべきこういう委員会で使うべきではない。これは答弁意思がないようだから、それくらいにしておきましよう。  次に、現在国鉄がずいぶんたくさんの下請会社に、工事を請負わしていると思いますが、現在年間どれくらいの工事を請負わしておりますか。
  22. 三木正

    三木説明員 詳しい数字は手元に持つておりませんので、後ほど調べて御報告いたしたいと思います。
  23. 江崎一治

    江崎(一)委員 経理局長が一年間にどれくらい下請を使わなければならぬかということを、今御存じないということははなはだふしぎ考えるのだが、それでは一体経理局長の職が勤まるだろうかと私考えるのですが、どうでしようか。それで務まりますか。今度の行政整理ではいの一番にやめてもらわなければならぬと思いますね。どうですか、わからぬですか。下請に出しておる仕事を全部国鉄部内でやるというと、どういう点にぐあいが悪いことができるのですか、それもわかりませんか。
  24. 三木正

    三木説明員 鉄道仕事には、修繕仕事と新しい工事をやる仕事と二種類ございます。修繕をやる仕事におきましては、大体において例年の工事量というものは、線路の増減であるとか、輸送力の非常な短縮などのない限りにおいては、一定するわけでございます。でありますから修繕に関するものにつきましては、主として直営と申しますか、自分のところの職員にやらせるのを建前にいたしております。しかしながらこれにもたくさんの例外がありまして、特に電気のように非常に便利であるけれども、施設に大きな金と資材を要するようなものにつきましては、その保守の全勢力を常に保持することが、かえつて経済のようなものもあります。でありますからそういう修繕工事でありましても、外部請負業者に請負わせる、あるいはまた戰災後修繕を要するものが非常に多い。資材資金も手当ができたという場合には外注する。たとえば電車のモーターとか、貨車客車修繕というようなものも、一部外部に出したものもございます。普通の状態になれば、原則として修繕工事自分でやりまして、例外的にテンポラリーのもの、あるいは異状なものを外注するという形になります。それから建設関係工事につきましては、その年々の事情によつて非常に違うのであります。ある年は非常に電化が多かつたり、あるいは貨車の製造が多かつたり、そのときどきの経済状態輸送状態資金状態、そういうようなものとのにらみ合せで、一方また産業経済政策的にきめられる場合も非常に多いので、これに対して十分な自営能力を持つということは、非常に不経済になります。これに対しては設計の能力あるいは工事を監督する能力、そういうものを自分で持つことにいたしまして、原則として外注をするというのが建前でございます。しかしもちろん原則はそういうふうに外注をして請負わせるのでありますが、特別の線路を敷く作業でありますとか、あるいはポイントをどうするとか、信号機をどうするとか、そういう運転安全性に非常に重要な関係を持つ設備につきましては、直営でやらなければ安心ができませんので、そういうものは直営でやるという方針でございます。もちろん大体の予定は、年度の初めにどの程度外注するということをきめまして、予算的にも科目を設けまして、外注直営というものを全部わけてあるのでありますが、とにかくそのときどきの情勢に応じて、その予算をかえてやることはやるわけであります。それでただいま明確にどれだけを外注しているか、どれだけを直営しているかということは申し上げかねる、こういうわけでございます。
  25. 江崎一治

    江崎(一)委員 これは非常に重大な問題だと思いますので、後ほど詳細な資料を出していただきたいと思います。今経理局長からいろいろ答弁していただきましたけれども、この前の青函連絡船メカニカル・ストーカーの問題、これはきのうその直接の係の人が来て話をしておりましたが、まだメカニカル・ストーカーを使用しておらぬのです。それからまた新鶴見カー・リターダーのとりつけの問題ですが、これはなるほどとりつけられました。ところが雨が降ると役に立たぬ。実際は二人で操作しておつたのが、一人少くなつたために、雨が降るとカー・リターダーはブレーキがきかない。そうして重い車になりますと、非常に苦労するのです。かえつて労働強化が起つている場合がある、こういうことでありますので、ここで説明していただいたのと実情はなかなか大きな差がある。そういう観点から申しましても、これからはこの委員会はおしやべりするところではありませんから、実際の問題をよく調べて、責任をもつて報告してもらいたいと思うのです。今の外注の問題、下請の問題など、国鉄としては非常に大きな問題であります。なぜこれはひとつ詳細な資料を出していただきたいと思うが、いつごろ出していただけますか。
  26. 三木正

    三木説明員 メカニカル・ストーカーをつけてないということは、だれが申し上げたか知りませんが、つけております。新しい旅客船にはみなつけております。しかしこれの機能が、ある特定の石炭でないとうまく行かない。ところがその石炭の配給が、このような情勢のもとではうまく参りませんので、うまく操作はいたしておりません。ただ渡島丸を改造しまして、昨年の十月であつたと思いましたが、完成しました分は、それを改良したものでありまして、これは相当うまく動いております。将来はそういうものにもつと改良を加えれば、もつとよくなるのではないかと思います。  それから新鶴見カー・リターダーにつきましては、私どもの持つております貨車は、車輪の幅の種類が非常に多いのであります。それで圧搾空気による圧力が幾分不足する。車両によつて幅の広いものは非常に早くきくし、幅の狭いものはなかなかきかぬというような関係がありますので、その点がまだ十分ではありませんが、今度吹田にとりつけることになりますれば、その点は改良して、もつといいものができるはずであります。新鶴見におきましても、非常に効率を上げておることは、動かしがたい事実だと思います。それから先ほど御要求の資料は、なるべく早く作成いたしましてお届けしたいと思います。
  27. 江崎一治

    江崎(一)委員 自由党諸君もつくづく言つておられたのですが、どうも国鉄伏魔殿のような気がするということを……(「だれがそんなことを言つた」と呼ぶ者あり)われわれもそういうような気がするのです。私ども非常に不思議に感じることは何かといいますと、国鉄赤字々々と言いながら、また総裁はサービスこれ努めると言いながら、地方の三等車はなかなかできない。ちよつと大きなシヨツクでも與えられたら、ボデイーがこわれてしまうような木造車もまだたくさんあります。それにあの国鉄の本庁は、実にりつぱになつておる。特に総裁のお部屋なんか、宮殿みたいになつている。これは一体金の使い方はどういうふうにしおるのか、はなはだわれわれはふしぎに思うのですが、この点について総裁はどうお考えになりますか。
  28. 長崎惣之助

    長崎説明員 お説のように、地方の三等車はなかなかりつぱになりません。これは戰災の結果もございまするし、それを急速にやりたいのですが、なかなか資材資金、いろいろな面で制約を受けますので、そう急速には参りません。私の部屋が非常にりつぱだと申されますが、けさ見えられました私の友人は、どうもお前の部屋は寒々として、はなはだ殺風景だ。こういうことを言われる方もございます。いずれが真なりやは、おいで願つてとくと御調査願つた方がいいかと思います。なお国有鉄道伏魔殿である、こういうお言葉は、少し私は言い過ぎではないかと思いますが、いかがでございますか。はなはだ私は遺憾に存じます。     〔「そんなことだれが言つた」「自由党諸君言つたんだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  29. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 私語を禁じます。
  30. 江崎一治

    江崎(一)委員 次は定期の割引の問題です。「国鉄運賃改正について」というパンフレツトをいただきましたが、これの二十一ページ、定期旅客は、一人キロ当り運賃收入三十一銭九厘に対し、運送原価は七十銭一厘でありまして、非常に赤字が出るような印象を與えると思うのです。この書き方自体に非常に大きなうそがある。これはほんとうですか、この点についてひとつお答え願いたいと思います。
  31. 津田弘考

    津田説明員 お答えいたします。これは最も正確な、——定期運賃定期人キロと申しまして、輸送人員輸送距離をかけて割りましたもので、数字にうそいつわりは毛頭ございません。
  32. 原彪

    ○原(彪)委員 ちよつと議事進行について。何かこの前のお話によりますと、この法案をきよう上げてしまうというお話でありますが、その前に一度理事会を開いていただくことを委員長にお願いいたします。
  33. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ただいま質問中でありますので、この質問終つてから理事会を開きたいと思います。
  34. 江崎一治

    江崎(一)委員 われわれ定期乘車券を利用する人たちは、勤め人あるいは学生という人たちに大体きまつております。この人たちが乗るのは、朝夕のラツシユのときです。だからすし詰めになつて乘つている。そうしますとから列車に対して鈴なりに乘つている電車の、どちらが一人当り原価が少くなるのか、こういう点から考えると、この数字は魔術である。実際に原価は安くなつていると考えるのですが、その点は考慮しなかつたのですか。
  35. 三木正

    三木説明員 定期のお客さんはラツシユに乘るときが多いので、非常に満員になつて乘つておるのに、原価が高くなつているのは、ちよつと奇異に思えるのですが、御承知のように定期旅客は、郊外から都心へ向つて朝はお乘りになり、晩は都心から郊外へお帰になる方が多いのでございます。それでまつたく片道輸送ということになるのでございます。しかも朝郊外から来た車を都心に置いておいて、お帰りになるときに都心から出すという設備方法でもあればいいのですが、そういう場所もないわけであります。だからから車で帰つて、またから車で迎えるということになるのであります。ほかの車両につきましてはいろいろ組合せもありますが、晝も働いている、夜も働いているという車両が多いのでございます。しかし通勤通学車両山手線のような車両は幾分違うのでございますが、東北線京浜線その他各県庁の所在地というような、都市におきまする通勤通学というような輸送は、まつたく片道輸送になりまして、しかも一時に非常にたくさんの車両を動かさなければならぬために、運転士、車掌というような従事員も、その最中には非常にたくさん置かなければならぬというようなことになりまして、私ども何度も精査いたしたのでございますが、こういう非常に高いコストがかかるのでございます。
  36. 江崎一治

    江崎(一)委員 大都市近傍の問題を取扱うとそういうことになるかもしれませんが、私滋賀県選出です。滋賀県というところは米の移出県であり、人間の移出県である。滋賀県の人はみんな京都、大阪に行つて働くのです。朝の通勤時間には、列車が二本も四本も一緒に出ます、あるいは続いて出ます。そうして帰りはやはりその車がラツシユ時に続いて帰つて来るのです。これはから車で動いておるとは考えないのです。これはこまかい問題になると思いますが、こういう点についてどうも数字が納得しかねたものですから、お伺いした次第です。  次に、今度は客車並びに貨車貨物輸送賃金の値上げをやるのですが、進駐軍関係は三箇月、ごと運賃更新契約をするということを聞いております。たしかこの十月がその更新期日だと思つておりますが、そういう点について何か、今度の運賃改正に対応したような契約改正をやられたかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  37. 津田弘考

    津田説明員 進駐軍関係運賃につきましては、一般の日本人の運賃の立て方と違つておりまして、大体輸送原価をまかなうという法則のもとに、一車一キロを走つた場合の原価がどれだけかかる、それに伴つて収入を頂戴するというような方法でやつております。従いまして運送原価がかわりますれば、これまた改訂をやらなければならないのでございまして、その準備をいたしております。
  38. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと、いつごろから改訂してもらうのですか。
  39. 津田弘考

    津田説明員 本年の三月にいたしましたので、今交渉中でございますが、はつきりした時期はまだ申しかねる段階でございます。
  40. 江崎一治

    江崎(一)委員 今度の講和に伴いまして、進駐軍関係貨車貨物の問題についても、大分大きな変動があるかもしれませんが、大体米軍関係と国内向けで、どれくらいの率で貨物貨車が動いておりますか。
  41. 津田弘考

    津田説明員 先般同じような御質問が何かの機会に、ございまして、そのときに運輸省の国鉄部長からお話申し上げましたように、目下占領下でございますので、ただいまの御質問に対しましてはお答えをいたしかねるような状況でございます点を御了承願います。
  42. 江崎一治

    江崎(一)委員 われわれ調査によりますと、近ごろ貨物の運輸効率が非常に上つたといつておりますが、大体どれくらいまで達しておりますか。
  43. 津田弘考

    津田説明員 ただいま御指摘のありましたように、最近は非常に貨車の効率を上げておりまして、大体三七%、つまり三日以内に回転するというような状況にあります。
  44. 江崎一治

    江崎(一)委員 われわれ国鉄関係の人からお話を伺いますと、大体平均二六%が限界である、これ以上はなかなかむずかしいというのだが、そういう魔術のような数字はどうして出されたのですか。
  45. 津田弘考

    津田説明員 現在はたとえば戰前と比べますと、貨車の足が非常に伸びております。一例を石灰石にとりましても、以前は四十キロぐらいの運送距離でございましたものが、現在ではその倍の七十キロから八十キロぐらいは運ばれておるような状況でありますので、ただいま私が三七%と申し上げましたのは、大体以前の貨車足に引直して修正をしてみると、こういうことになるということであります。これを生のままで伸しますと、昭和二十六年九月には運用効率が二八・九と相なつております。
  46. 江崎一治

    江崎(一)委員 二九%になんなんとする貨車の運用効率というものは、労働強化であるとか、停車時間を短くするとか、そういうちよつとしたこまかいくふうだけではちよつとむづかしい、相当な方法を講じないとできないと專門家が言つておりますが、二九%という数字は、何か特別なうまい方法があつたのですか。
  47. 津田弘考

    津田説明員 貨車の効率を上げます方法といたしましては、結局積んだりおろしたりする時間を、みんなが一生懸命働いて早く仕上げてしまうとか、あるいは現在北海道、九州の石炭輸送等において行つておる、われわれはピストン輸送と言つておるのでありますが、石炭だけ積んで機織式にやるというようなことによりまして、相当貨車効率を上げて、少い貨車で、貨車をつくつたと同じような状態を現出しておるような次第でございます。
  48. 江崎一治

    江崎(一)委員 今のお話だと、ほんとうに効率が上つたような御説明の仕方なんですけれども、われわれいろいろ話を聞きますと、なかなかずるいことをやつておるらしいです。東海道線のようないわゆるピストン輸送をやれるところはどんどんやつたでしよう。ところが貨車をそこへ集中してしまう。北海道とか僻陬の地、特に米が出まわり、農産物をどんどん運ばなければならぬ所をおつぽり出しておる。その結果、十月十四日現在では二百十四万トン、敗戰後最高レコードですが、こういうような現象を来した。従つてつまり戰略物資関係はなるほど上手に動いたかもしれないけれども、国民生活をほんとうにささえるところの農産物、その他平和工業の材料、こういうものをほうりつぱなしにしておる。この結果今言つたようなとんでもない効率、魔術のような効率が出たのだとわれわれは考えておるのですが、その点はどうですか。
  49. 津田弘考

    津田説明員 ただいまお話のございました点は、どういう点を特に具体的に御指摘になつておるのか、よくわからないのでございますが、国鉄といたしましては、民生物資の輸送につきましても、ありとあらゆる努力を拂つておるのでございまして、ただいまお話の中にございました米の輸送等につきましては、農林当局とも打合せをいたしまして、特段の手配をして、現在でも数本の米の臨時列車が走つておるような状況でございます。またこれから冬に向いますに際しまして、木炭あるいは薪炭等、そういつたようなものの民生物資の輸送につきましては、輸送力をあげて努力をいたしておるような次第でございます。
  50. 江崎一治

    江崎(一)委員 今米の特別な臨時列車を出しておるとおつしやいましたが、それについて思い当ることがあるので、一つお聞きしたいと思う。なるほど臨時列車は出しております。しかしそれに使つておる車両機関車は、一体どんなものを使つていますか。九十七台機関車を動員していますね。その機関車はDの五一型、Dの五〇型で、昔の悪いものを修理をして、非常に危險な状態で無理に動かしておる。それで乘務員がこれによつて非常に骨を折つており、ひどい目にあつておる、こういうことを御存じですか。
  51. 津田弘考

    津田説明員 国鉄職員が戰後だんだんと能率を上げまして、労働の生産性を高めて参つた事態につきましては、先日数字をあげて御説明をしたかと思うのであります。ただいま江崎委員から、非常な労働強化になつておるというようなお言葉がございましたが、これは言葉の使い方、見方でございまして、私は労働の生産性を高めてという、また江崎委員労働の強化、酷使というような表現の仕方を用いておられるのであります。しかしながら国鉄自体といたしましては、法律によつて定められました労働基準法を確実に守りまして、現在輸送業務に邁進をしておるという状況でございます。
  52. 江崎一治

    江崎(一)委員 労働強化の問題がまた俎上に上つて来たので、もう一つお伺いしておきたいと思う。それは、大体四トンくらい石炭を燃やして行かなければならぬ行程を走る機関車には、機関士が大体二名乘るのです。ところがこれを一名にさして、百五十円やるからこれだけやつて来いということで、百五十円でつつて肉体の酷使をやつておる。米の臨時列車ができてから、なおさらこういう傾向がはなはだしくなつておるのです、こういう点どう思われますか。基準法が何のかんのと、口ではうまいことを言うが、実際にはこういうように逆行しておる、その点御存じですか。
  53. 三木正

    三木説明員 御承知かも存じませんが、戰時中におきましては、四トン半を基準にしまして、それ以上を越えるものについては二人乘務というようなことをやつてつたのでございます。戰争中非常に食糧事情が悪く、また強健な者がみな兵隊に参りまして、鉄道で採用いたします職員は、非常にからだが弱いと申しますか、そういう事情もありましたので、四トン半以上を越えるものについては二人乘務にしたのであります。しかし最近におきましては、そういう事情も非常に減りましたし、その程度の作業をすることは、肉体的に悪影響を及ぼさないという確信のもとに、四トン半以上のものも一人乘務にしたい、こういうことを考えておるのであります。
  54. 江崎一治

    江崎(一)委員 最後に一つお伺いいたします。ついこの間金剛丸が座礁した。あれはたしか関釜連絡船の船だつたと思いますが、米国軍にチヤーターされている。この座礁によつて起つた損害は、一体どこが持つのか、この点を最後にお伺いしたいと思います。
  55. 三木正

    三木説明員 当時の遭難の状況等を十分精査いたしておりませんが、これを十分に精査しなければならぬと思います。そうしてその後損害の負担箇所がきまると思います。最後にどこに責任があつたかというようなことにつきましては、意見相違等がございますれば、海難審判所の判定によつて、損害の負担場所等もきまることと存じます。
  56. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に石野君に質問を許します。
  57. 石野久男

    ○石野委員 先日鉄道監督局の方から、これは多分予算委員会のときにもらつた資料だと思いますけれども、二十六年度運輸省査定日本国有鉄道收支比較表というものをいただきました。この中に、收入の増加分について、国鉄の申請しているものと運輸省の査定しているものとの比較が出ておるのでございます。ただいまも江崎委員からお話がありましたが、最近の国鉄輸送においては、相当に従業員に対する労働の強化が拡大されている、こういうことについてはおおい得ない事実であろうと私は思つております。そういう事実があつて、なおかつ国鉄から旅客運賃三割五分値上げの申請があり、それに対して運輸省では二割五分という査定をしているわけでございますが、その際に、旅客の増加人員について、大体国鉄は三十一億三千三百万人を見込んでおりまして、それに対して運輸省では三十二億六百万人という査定をし、貨物の方は、一億五千五百万トンに対して一億五千七百万トンという査定をしているわけでございます。この問題について、二つの点で運輸省の監督局長にお尋ねしたいのであります。第一に、輸送増加という問題についてでありますが、これはどういう点から輸送増加が見込まれるかという点でございます。貨物においても、旅客の面におきましても、運賃値上げを契機として、こういう輸送増加が手放しのままで行われるかということが、私どもにとつては非常に危惧されますので、これについて一応当局のお考えを承りたい。第二は、運賃値上げとは別個に、最近の輸送事情は、相当程度国鉄従業員に対する労働強化がしいられておるのでございまして、これ以上施設、あるいは貨車あるいは旅客車の増加ということが、早急に間に合いません場合に、来年の三月までの二十六年度間における輸送増加というものを、もしこのように国鉄当局よりも増大して見られるといたしますならば、それのよつて来るゆえんのものは、おそらく労働の強化に基くということを想定に置いておるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。そういたしますると両面から見まして、労働の強化が一層苛酷になるのではないか。そういう前提に基いて、この輸送増加というものを予定しておるのかどうか、こういう点について少し詳しく御説明を願いたい、こういうふうに思います。
  58. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 石野委員がただいまお話になりました数字は、その通りの数字でございます。数字の上では何ら違いはございません。国鉄の申請は、大体本年の八月下旬だつたと思いますが、運輸省に申請して参つたのであります。八月下旬でありましたので、大体本年度の運輸量の実績は、六月までのものをとつて申請して参つた、かように記憶しております。ところが私どもが査定をいたしますときは、すでに七、八月の実績がわかつておつたわけであります。そこで実は例年のいわゆる運輸量の趨勢といたしましては、旅客については七月は多少減る、貨物についても七、八月は少くなるということで、輸送が衰える。この一つの波動をやはり一応の基準にして、六月以降の推定をいたしておるわけであります。ところがこの予想に反しまして、旅客貨物輸送がきわめて好調であります。結局その差だけが伸びたということであります。従つてそれ以後の見方は、国鉄の見方も運輸省の見方も、はなはだしく食い違つてはおらないのであります。従つて特に国鉄の見方に対して、運輸省がさらにプラスして労働強化考えておるというようなことはありません。それから運輸量の増加と労働強化という考え方でございますが、労働につきましては、先ほど申し上げましたように労働時間、その他労働條件につきましては、労働基準法の線がございますし、また組合と当局側との団体交渉の対象にもなつておることでございますので、私ども労働内容の充実、生産性の増加ということはあるかと思いまするが、労働強化という言葉に該当するようなことはない、またそういうことはできないような仕組みになつておる、かように考えておる次第であります。
  59. 石野久男

    ○石野委員 国鉄当局の方では、ただいま石井部長からお話になりましたような点については、どういう御所見を持つておられるかということ、それから石井部長が今労働強化の問題については、法的関係からいつてもそれはできないのだというふうに、簡單にきめつけておりますけれども、それは非常に素朴な考え方だと私は思う。むしろ最近の当局と組合との交渉の事情から行きますと、法を巧みに隠れた労働の強化が行われておるのが事実である。これは先ほど江崎委員から言われましたように、機関士の非常な強化労働がしいられておるのと同じように、港湾労務者等におきましても、やはり二十四時間ぶつ通し作業が行われるとか、あるいは十二時間ぶつ通し作業が行われて、八時間三交替をやる場合の諸手当をひつくるめたものと考えあわせると、比較的非常に低賃金をしいられておる事実があります。これらのことはかりに労働法がありましても、あるいはまた労働関係調整法等、いろいろな問題がありましても、基準法があつてもなおかつその法の下をくぐつて行われるのが、労働強化の実態であると思いますので、これは石井部長の労働強化は絶対にできないような仕組みになつておるということは、そのまま受取れない。これはまた他日いろいろと論議する資料になるだろうと思いますけれども、その点を私ははつきり申し上げておきます。まず経理局長お尋ねいたしますが、石井部長の言われる通りでありますかどうか。
  60. 三木正

    三木説明員 石井鉄道部長からお話のあつた通りでございまして、講和会議のために池田蔵相が渡米される以前に、われわれの三割五分という運賃値上げを申請いたしました当時における運輸量は、四月、五月の実績を基礎といたしまして、それに月別波動を考慮いたして出しました数字でございます。その後政府当局において御審議中に、七月、八月の実績が出て参りまして、その実績が相当強いので、これを考慮に入れますと、同じような算式をやつても、あるいはさらにこれより四十三億の増收が見込まれる、こういうことでああいうふうな数字になつたのでございます。
  61. 石野久男

    ○石野委員 その結果に対しまして、ただいまでもそういうような見解を持つておるかどうか。特に電力事情が最近のように非常にきゆうくつになつて参りますと、安本等の算定におきましても、下期における生産が非常に減少するということがいわれております。そういたしますとおのずから輸送量の面に対しても、影響するところが大きいのじやないか、こう考えますけれども、その点についての一応の考慮はどういうふうになつているか、それをお聞かせ願いたい。
  62. 三木正

    三木説明員 仰せの通り電力事情が相当悪化して、また好転の見込みが相当困難なように見受けられますので、下期における輸送量がどうなりますか、はつきりした見通しは持たないのでございますが、大分以前から電力事情が悪くなつておりますにもかかわらず、滯貨は先ほども御指摘のありましたように二百十万トンでございまして、しかもその内容構成が農林物資がふえて、商工物資が減つておるというのでありますと、電力事情の結果だというふうに想像し得るのでありますが、ただいまの滯貨の状態を見ますると、あながちそういう傾向でもございませんので、ただいまのところではそういう趨勢で進むのじやないか。しかし電力事情がさらに悪化するような場合にどうなつて行くかは、私としてもはつきりした見通しは持つておりませんが、現状におきましてはこの数字よりもまだ強いのじやないかというような感じも持つておる次第であります。
  63. 石野久男

    ○石野委員 下期における電力事情の影響というものは、おそらく非常に大きく出るだろうということは、一般の見るところでございますし、またかりに生産がそういう形で低下いたしました場合における輸送量を、それでも現在滯貨があるからそれだけこなして行くのだ、こういうふうに私今聞き取るわけなのでございます。しかしその場合は、輸送の内容が非常に違つて来るようです。少くとも現在緊急要務として鉄道が動いている形と、それから現在滯貨がすでに二百万トンを越えておるというような実情の中には、そこにおのずから日本の運輸行政上における、一つの方向が示されているのだと思うのでございます。しかし下期において生産低下がもたらされた場合においては、運輸量の内容について政治的な方向というものが、また非常に影響して来ると思います。私は、それで運輸量をまかない得るというような形よりも、むしろそういう場合になりますと、非常に貨車が不均衡を来しまして、貨車能率が低下するという実情が来やしないか、こう思うのです。ことに私は先般貨車の一車当りトン数のことを当局お尋ねしまして、経理局長からそれの資料をいただいておるのでございますが、この資料によりますと、昭和二十五年度における一車当りトン数が十六・一トンになつているわけでございます。このトン数は大体昭和十八年度ないし十九年度のそれに匹敵するものであつて、それは戰争中における最も大きな輸送が軍需に使われておつた時期であり、しかもこの貨車トン数は、なるほど大きい方が能率がいいのだとはいいますけれども、特に十五トン以下の、十トンないし十二、三トン級の貨車を使う輸送の内容と、十六トンを越えるものの内容は非常に違う。ことにこの中には二十トン、三十トンに及ぶような大型車が相当程度含まれておることによつて、平均トン数が上つておるものと私たちは思いますが、自然そういう貨車を使うことの困難な事情が出て来るのじやないかと思います。従つてそういう意味から、貨車の効率は非常に低下するということが予想されるのでありますが、それについてはどのような御見解でございましようか。
  64. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 貨車の平均の積載トン数が最近増加しており、いわゆる貨車が大型化して来たことは事実でございますが、しかしながら本年度におきましては主として十五トン貨車を新造いたしております。今後も大体十五トンを中心に新造を進めて行くことと思います。従つてわが国の経済事情から見ましても、大体この十五トン程度の貨車が一番経済事情にも即応し、また輸送能率の上からいつてもぐあいがよろしいのじやないかと考えております。ただ大型貨車も現在では、石炭とかあるいは木材については特段に必要があるのでございまして、現状におきましても必ずしも大型貨車が余つているというようなことではないようでございます。決して御心配になるようなことはないと考えております。
  65. 石野久男

    ○石野委員 大型貨車の問題につきましては、私はもつとこまかいデータがほしいと思うのです。われわれのふだん見ておるところでは、大型貨車はほとんど軍需輸送に動いており、特に大きいものはほとんどそのように見受けられる。先ほど江崎君からも話がありましたが、今占領下であるから十分な資料を出せないという話でありましたけれども、おそらくこれは非常に大きなウエートをもつて国有鉄道の上にいろいろな影響を與えているものと考えるのであります。そこで私は運賃値上げをしたあとにおける貨車の問題について、国鉄考え方としては、特に総裁はどのように考えておるかという点で、一つ、二つお尋ねしたい。それは先ほど江崎君からも話がありましたように、現在でもまだ各所に雨漏り客車がたくさんある。これはおそらく長崎総裁御存じだと思うのでございます。すでに処理をしなければならないC、Dクラスのものをまだ持つているという事実は、サービス改善の上からいつても早急に改めなければならない。二等車や一等車を相当に増加し、あるいはその設備を増強すること以上に、国鉄運賃の大きな部分を占めておる三等旅客に対するサービスを改善されなければならぬと思う。そこで今度運賃の値上げをいたしますことと関連して、この雨漏り客車とか、あるいは非常に危險な貨車等を、年度内にどの程度更改し得る見通しを持つておるかという点でございます。予算の上ではなかなかそれを見ることができないように思いますけれども、それについてどういう意図があるかということを、はつきり総裁から聞きたい。
  66. 長崎惣之助

    長崎説明員 ローカル線などにまだ非常にひどい客車を運行しているということに対する御質問は、本委員会を通じてたびたびあつたのでございますが、これは御承知のように戰争中ずつと酷使されて来た関係もあり、あるいは戰争中には物資の不足であつた関係上、非常に簡易な設計のもとにできている客車等が相当あるのでございますが、これらのものがだんだんと壽命が盡きて、危險の一歩手前くらいのところまで来ているというものも相当ございます。その取替と申しますか、償却と申しますか、これは急を要する問題でございますが、他方資金の面その他いろいろの点に制約されて、今日まだ残つているものがある。しかし雨漏りというようなものは、ごくまれにはあるかもしれませんが、そんなにたくさんあるはずはないと思います。     〔大澤委員長代理退席、岡村委員長代理着席〕 しかしこれもむろん早急にかえなければならぬ問題で、漸次かえて行くつもりであります。それから今度の運賃の値上げに関連してというお話でございますが、これは経費の中に取替費あるいは減価償却の費用というものが見込んでありますから、運賃値上げの中にはそういう経費も含まれておるわけであります。ただこれが半年とか一年の間に一掃できるというほどにはなつておりません。そのためにはまた特別に資金も調達するか何かして、特殊なことを考えなければならぬので、それについてはいろいろ私も考えておりますが、現在の日本の経済状態から見て、資金の調達もなかなか容易なことではないと思いますので、何かうまい方法はないかと思つて、実は頭を悩ましておる次第であります。お説のようにローカル線の三等の改造ということは、一番力を入れなければならぬことと思います。
  67. 石野久男

    ○石野委員 雨漏りの客車どもうないはずだと言いますけれども、事実あるのです。ローカル線と言いますが、常磐線はローカル線の中には入つていないだろうと思う。これはおそらく本線です。この本線の中で青森まで行く列車と、平や高萩でとまる列車とは、もちろん違うかもしれない。けれども本線を走つておることに間違いないし、確かに本線を利用する方々が乘るわけです。これにはまだ雨漏り汽車はたくさんある。これは山崎運輸大臣も御存じのはずです。私はローカルはいいから本線だけをどうと言うのではない。ただいま長崎総裁お話で、一年や半年ではなかなかできないということですが、そうではなくて、二十六年度予算の中にA、B、C、Dと分類したうちの、C、Dだけは削るのだという考え方を少くとも持つていたはずだ。ところが朝鮮事変の影響を受けて、それがなかなかできないからというので、それが意図通りに行かなかつたのです。一年や半年ではとてもできないなどということを、ここで総裁から聞くのは心外である、そういうことで鉄道のサービスができるかどうか疑問である。そんなことなら二等車のああいう特別な施設は、はずしたらいい。そして三等車やその他のものをもつと整備される方がよろしいのではないか。国鉄は大衆のためのサービスということを、もつとこういう方面に考えていただくべきであつて、一等や二等の改善即サービスというような特権的考え方、ブルジヨア的な考え方は、拂拭されなければらぬと思う。総裁自身は、国民のものとしてこの鉄道総裁の任務を果すのだということをしばしば言つております、そういう点から考えるならば、もつともつとこういう点に対する積極的な意図が出なければならぬのではないかと思う。これについては総裁考え方を改めてほしいと思います。  なおいま一つだけお尋ねしておきますが、補正予算の一環としての運賃値上げは、おのずから二十七年度以降における経済事情をも含めたものとして考えられているというふうに、私たちは理解している。その建前から電化についても、当初計画したような電化の遂行を考えておられるかどうと。それをまた繰延べるとかなんとかいうような事情が出て来ておるかどうかという点についての御意見だけを、ここでお聞かせ願いたいと思います。
  68. 長崎惣之助

    長崎説明員 電化あるいは新線の建設というものは、営業の勘定でなしに、別途の資産の勘定と申しますか、そういうものでありますから、運賃値上げとは実は離して、別個に財源の調達ができますれば、これを考えるということでございます。
  69. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 一、二等車のみに集中しているというお話でございますが、三等車につきましても鋼体改造あるいは新造をやつております。御承知のように一、二等車の方は数が少うございますので、お目にとまる機会というものが非常に多い。三等車は数が多くて全国にばらまかれますので、相当新造なり、改造をしているのもお気づきにならないものがあると思うのでございまして、決して一、二等車だけに集中しているわけではございません。
  70. 石野久男

    ○石野委員 電化の工事の問題については、これは営業勘定とは違うのだということはよく承知しておりますけれども、この運賃というものは、補正予算の一環をなしているということを関連して私は聞いたわけです。ただいま石井部長から、一、二等車は数が少いから目立つのだというお話がありましたが、そんな数の少いものに対してあれだけの施設をするのだつたら、少くともC、Dクラスぐらいは排除する努力をなすつた方がいいではないかということを私は言つておる。この点については釈明ではなくして、総裁の意図を聞きたい。来年度においてどの程度確信を持つて、われわれ国民にそれを排除する約束ができるか、いま一度総裁の御意見をはつきり承りたい。
  71. 長崎惣之助

    長崎説明員 私はしばしば申し上げております通りに、三等に重点を置きます。今ここで来年度何両どうという詳細なことを申し上げるわけには参りませんが、三等に重点を置いて行く。しかもこれが客数においても一番多いのですから、これに重点を置いて行く、かように申し上げます。
  72. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  この際暫時休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時十九分開議
  73. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  委員長の手元に、岡田委員より本案に対し修正案が提出されておりますので、その提出理由の説明を求めます。岡田委員
  74. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 このたびの運賃法の一部改正政府原案によりますと、航路旅客運賃は現行に対して十割ないし五割余の値上げになつておるのであります。これは一般旅客運賃の値上げ二割五分に対しまして、非常な高率になつておるのでございまして、これを一般旅客運賃と同率の約二割五分の値上げにとどめたいというのが修正の趣旨でございます。なお今回の改正により、第六條に第二項が加えられましたので、別表第二に「第六條の規定による急行料金」とあるのを括弧いたしまして、「第六條第一項の規定による急行料金」と改める必要があるのであります。かように字句の整理をいたしまして、修正をいたしたのが修正の第二点であります。  以上簡單でございまするが、修正案の理由を御説明申し上げた次第でございます。
  75. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の通告があります。原君。
  76. 原彪

    ○原(彪)委員 私は国民民主党を代表しまして、このたびの運賃値上げ問題につきまして、反対の意向を申し述べたいと思います。  このたびの鉄道運賃値上げの根本原因は、朝鮮動乱以来の物価の騰貴によることは、当局説明理由の中にもございまするが、このことはかねてわが党が予算を採決するときにあたりまして、二十六年度予算はその内容において、この予算を採決する三月末日においても、この予算を作成する十月、十一月のころの物価を基礎としてつくつた予算であるので、すでに三月末には二割以上の値上りがあるにかかわらず、何らその修正も加えず、すなわち織り込んでない予算であるので、これは当然補正予算を出さざるを得ない運命にあることを申し上げて、この二十六年度予算には反対の意向を表明いたしましたが、はたせるかな今回政府は、補正予算を出さざるを得ない境地に相なつたのでありますが、その当時池田大蔵大臣が、二十六年度予算こそは超均衡予算であり、デイスインフレを基幹にした予算であると高言してはばからなかつたにかかわらず、はたせるかな今日のような物価の騰貴を来し、池田蔵相のいわゆるデイスインフレ政策が破綻に瀕したと言わなければならないのでありまして、この一環としての鉄道運賃の値上げでございまするので、われわれはこの意味においても反対をしなければならないのでございますが、一歩を譲りましてわが党は、理論的には予算編成の方針には反対でありましたが、現実の物価騰貴にあえぐ国鉄四十数万の従業員のことも考え国鉄の再建のことも考えた場合に、このたび政府が提出せられました貨物三割、旅客二割五分のこの賃率は、消費生活面に及ぼす影響が重大でございますので、これを貨物二割五分、旅客二割に低下する修正案を出そうと試み、その筋と目下折衝中であるにかかわらず、急遽採決を迫られたので、遺憾ながらわが党の意向がいれられないために、反対せざるを得ない境地に陷つたわけでございます。一言申し上げさしていただきたいのは、わが党の修正案によりますると、大体三十一億の不足財源がさらに生じて参りますが、この三十一億の不足財源は、いわゆる物件費が九百三十億もございまするので、この三分を削つてこれに充ててもらいたいというのでございます。なぜ物件費の三分程度を削るかと申しますると、これによつて国鉄が真に経費の節約、経営の分理化に邁進する、それを要望するための物件費の節減をいたしたのでございます。終戰六年、その間におきまして、いつも物価騰貴というような理由によりまして、今まで五回の国鉄運賃改正がなされております。その改正の場合に、いつも理由とすることは、経費の節減、経営の合理化ということを常套語のように言われておりますが、はたして国民の満足の行くような経営の合理化と経費の節減ができたか。甘い見方によれば、終戰後よくもこんなに鉄道がよくなつたと言われるかもしれませんが、われわれは国民大衆の消費生活の面を考える場合に、もつともつと経費の節減と経営の合理化をしてもらいたいために、先ほどの修正案を出したのでございます。遺憾ながら今日の段階においては、ここに提出することができないのは残念でございまするが、根本に立ち返りますると、現在の国民の消費生活の面のことを考えまする場合に、このたびの三割と二割五分の値上げは、少し過大であるとわれわれは認めざるを得ないので、反対するわけでございます。  以上をもちまして反対の理由といたします。
  77. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に岡田五郎君。
  78. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 私は自由党を代表いたしまして、このたびの国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして、希望を付しまして賛成の意を表するものであります。  国有鉄道運賃は、わが国経済の復興、国民生活の安定に重大なる関係があることは申すまでもないのであります。従いまして、鉄道運賃の値上げは、できる限り最小限度にとどむべきでありまするが、朝鮮動乱あるいは国際情勢の影響を受けまして、資材の高騰、生計費の増加による職員の給與ベースの改訂等、真にやむを得ざる経費の増加をまかなうためには、国鉄の独立採算上、今回の旅客二割五分、貨物三割の運賃値上げは、まことにやむを得ないものと私は認めるのであります。ただ政府及び国鉄当局は、経営の合理化、輸送力の増強等によりまして、極力経費の節減と收入の増加をはかつていると言明いたされておるのでありまするが、私はこれにつきましても、必ずしも満足すべき万全の状態にあるとは考えないのであります。さらに一層の徹底的な経営の合理化、輸送力の増強をはかつて、もつて国鉄財政の健全化を期すべきであろうと思うのであります。ついては輸送力の増強をすることとともに、経営の合理化の徹底をここに希望いたすのであります。  さらに今回の運賃の値上げによりまして、価格に占める運賃の割合が非常に割高になつており、負担が重いと認められる貨物が数種あるのであります。すなわち石灰石、れんたん用無煙炭、木材、畜産物及び農産関係貨物に対しましては、ぜひ運賃の割引その他適切なる措置を講じて、運賃負担の軽減をはかることが必要であると考えるのであります。  なお貨物等級につきましては、当局においては鋭意調査研究中であるそうでございますが、可及的すみやかにわが国経済の現状に即応するように、根本的に改正を行うことを希望するのであります。  さらに北海道その他の一部には、相当多量の滯貨があるのであります。政府におきましては、この滯貨一掃のために特段の措置を講ぜられるとともに、青函間におきます貨物営業キロ程につきましては、相当研究すべき余地があると考えるのでありまして、政府においては、海上運賃関係その他に深く勘案せられまして、この点につきまして十二分に御検討あらんことを希望いたしまして、私は本法案に賛成をいたすものであります。
  79. 大澤嘉平治

  80. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 ただいま議題になつておりまする国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、すなわち運賃値上げに関する法律案でありまするが、これに対しまして、運賃値上げを他の物価政策と切り離して、国鉄の再建整備並びに従業員の待遇改善、こういうような点のみについて考えてみまするならば、考慮される余地がないわけではありません。しかし運賃の値上げは、現内閣において行われている電力の値上げ、ガスの値上、米価の引上げ、さらに地方鉄道運賃の引上げ、あるいはバス、電車運賃の引上げというようなことに関連して参りまして、一般物価にはね返るという結果になつて、国民生活を破壊に導く結果を招来すると思うのであります。従いまして、物価政策全体との関連のもとにおいてなされないこの案に対しましては、反対せざるを得ません。よつて私はこの案に反対する次第であります。
  81. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に江崎一治君。
  82. 江崎一治

    江崎(一)委員 日本共産党は、ただいま上程されました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対して反対いたします。  日本国は憲法によつて明らかに戰争を放棄したのでありますが、吉田自由党政府は、国連協力といつて、好んで朝鮮戰争に介入したのであります。この一年数箇月の間、日本の大資本家は特需注文、すなわち戰略物資の生産によつて巨万の利潤を得た。反面、平和産業、特に中小企業は、資材の値上りと欠乏その他の理由によりまして、破滅的な打撃を受けたのであります。一方失業者、半失業者一千数百万が巷にあふれ、最近の新聞は、毎日のように一家心中を報道しております。今回の国鉄運賃の値上げは、朝鮮動乱に基因するものだと当局説明しておりますが、これは一パブリツク・コーポレーシヨンである国鉄だけの問題ではないのであります。これは一連の問題でありまして、国鉄運賃の値上げ、電信、電話料の値上げ、郵便料金の値上げ、電力、ガス、水道の値上げ、肥料の値上げ、主食の値上げ、これみな朝鮮戰争へ参加したために起つた現象であります。これはまつたく一国の政治の問題であります。朝鮮戰争で金持ちは幾らでももうけほうだい、そのしりぬぐいを人民に押しつける憎むべき帝国主義者に奉仕し、ますます人民の生活を窮乏に落し込むような本案に対しましては、絶対に反対の意を表する次第であります。
  83. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 石野久男君。
  84. 石野久男

    ○石野委員 私は労働者農民党を代表しまして、ただいま上程になつておりまする日本国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に反対をいたします。  今回のこの改正法案に盛られておりまする運賃値上げは、すでに政府が説明しておりまするように、昨年の朝鮮事変問題が起りまして以後の物価騰貴に基くものでありまして、それは国鉄の経営の内部的な面から来るものも多少はありましようけれども、主として朝鮮事変による物価騰貴に原因する運賃値上げであることは、はつきりしているわけであります。従つてこの点は国民の負担に帰するというよりは、むしろ政府の政治的な責任の結果として、この運賃値上げが出て来ているというふうに考えるのでございます。このような意味合いから行きましても、赤字を補填するにあたつて運賃値上げをするという道理がかなわない。のみならず日本国有鉄道の持つ公共性と、その営利性の問題は、日本国有鉄道の機構改革の問題にもからみ合せまして、われわれとしては真劍に考えなればならない問題があると思うのであります。私どもは、日本国有鉄道の持つ公共性の問題にかんがみましても、今日日本の国民経済の実態からいいましても、また国民生活の実態と照合いたしましても、この朝鮮事変に起因するところの物価の高騰による運賃値上けの要請に対して、それをそのまま運賃の値上げに持つて来る考え方については、絶対に反対なのでございます。のみならず当局説明しておりまする今日の日本の国民の運賃負担能力の問題に関しましても、政府の考え方とわれわれの考え方は、まつたく反対である。むしろ国民生活は、この運賃値上けに基いて起きて来るであろうところの、日本の経済の一層苛酷な重圧に耐えるだけの力はないと見るのが、至当であるとわれわれは思うのであります。従つて私たちとしては、こういう運賃値上げの問題について国民的な立場に立つて、特に働いておる労働者や農民、中商工業者の立場に立つて、この運賃値上げの問題の及ぼす影響を深刻に考えるものでございます。のみならず、この運賃値上げが一般経済界に及ぼす影響は、それが基幹産業であるだけに非常に重大でありまして、このことは日本経済の自主的な独立のために、非常に大きな障害となることも、また率直に認めなければならぬ点であろうと私は思うのでございます。いろいろこのように考えて参りますると、今日国有鉄道におけるところの赤字が実在しているということについては、われわれも率直にこれを認める。けれども、この赤字を処理する方法を、運賃値上げの方に持つて来ているということは、非常に論拠薄弱である。しかもそれは誤まつていると言わなければならぬのであります。これは明らかに日本国有鉄道の性格に帰する問題であり、しかもこの点はむしろ政府が一般会計において、これを処理すべき内客を持つものであるというふうに考えるのでございまして、私は今日国鉄の持つておるところの赤字を補填するために、運賃値上げをし、しかも大衆の犠牲において、これをカバーして行こうとする考え方には、絶対に反対であります。  以上のような意味から、労働者農民党は、今回の運賃値上げに対しましては、絶対に反対の意思を表明するものであります。
  85. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に飯田義茂君。
  86. 飯田義茂

    ○飯田委員 私は農民協同党を代表いたしまして、今議題になつておりまするところの国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対して、反対の意を表するものでございます。  近年たびたび運賃の値上げを行つておりますが、こういうぐあいに値上げになりますと、物価も高くなることは当然であります。また生産のコストも無論高まつて来るのであります。従いまして国民の生活は年々苦しくなることは論をまたないのであります。ことに部分的のことでありますが、青森と函館の間の連絡航送の運賃でありますが、あそこは百十三キロしかないのであります。そのキロ程に対しまして四百五十キロということで通算をして、運賃を支拂つている。それをまた国鉄は收入にしているわけであります。これは昨日もよく総裁お話を聞きますと、原価がかかるというお話であります。もとより原価は幾らかかかりましようが、陸上運賃と海上運賃を見ますと、大体海上運賃の方が安くなつているのであります。ですから、いろいろ御説明がありますけれども、船に対しての減価償却も相当見込んでいるのではないかと思うのであります。そうなりますと、国鉄の営業なるものは隧道に多く金がかかつたならば、その隧道の償却も見なくちやならぬ、あるいはここに金が多くかかつたならば、これも多額に見なければならぬ、こういうことになりますと、通算という制度はでき得ないのではないかと思います。私は一部分のことをお話するわけではありませんが、あそこは大体北海道に関係がありまして、御承知の通り北海道は、今の北海道開発法が第七国会で法律になりまして、今後狭い日本が北海道に力を入れて、北海道の生産を高めるということになつているのであります。そこへ四倍の運賃をとられる、たとえば三割上げましても、二割上げましても、やはり四倍の純益、運賃のかさが上つて来るのでありますから、これは国鉄のような大企業体として、かくのごと運賃法を出すべきものではないと思うのであります。従いまして私は本法案に対しましては、反対の意を表明する次第であります。
  87. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を採決いたします。まず岡田委員提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立]
  88. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 起立多数。よつて修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  89. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。よつて国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。  なお委員会報告については、委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十九分散会