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岡田説明員 ただいま
委員長から御指示のありました
造船計画につきまして御
説明申し上げます。
御
承知の通り昭和二十六年度の新
造船計画といたしまして、運輸省といたしましては、四十万総トンを本年度内に建造着手するという方針で出発したのでございます。そのうち二十万トンは、すでに今年度の初期におきましてこれが見返り資金も決定し、それぞれ新造船種を決定いたしまして、目下建造中でございます。
残りの二十万トンをいかにするかということが、目下懸案に相な
つております。前半の二十万総トンのときには、一総トン当りの建造船価が十二万円でございましたが、その後鋼材価格の値上りによりまして、一面造船所の合理化、建造工程の合理化等による価格低減を見込みましても、十四万円はどうしてもかかる、かように見込んでおります。そういたしました場合に、二十万トンを建造いたしますというと、二百八十億の資金がこれに要するわけでございます。
政府といたしましては、市中銀行等から、従来のように五〇%を市中銀行で引受けることがとうていできないという声がありまするけれども、一面見返り資金が非常にきゆうくつにな
つておりまするので、従来通りその二百八十億のうち、半額の百四十億だけを見返り資金で持
つて行きたい、かように
考えておるのでございます。しかし本年度内に所要となります分は、そのうちの半分の七十億であります。すなわちこれから建造に着手するといたしましても、進水は明年度に延びますので、本年度は
契約のときの金並びに起工のときに要する金、合せて五割を支出するわけでございますので、百四十億のうち七十億が本年度内に必要にな
つて来るのであります。すなわち今懸案にな
つておる二十万トンの新造
計画をやるがためには、どうしても七十億の見返り資金の放出が必要と相な
つて参るのであります。ところで御
承知のように見返り資金は、この七月以降対日援助が打切りになり、
従つて見返り資金も先細りの状況であります。一面電力問題が非常にクローズ・アツプされて、それに見返り資金を相当多額放出しなければならぬというふうな状況が重なり合いまして、その七十億の見返り資金の放出が、遺憾ながら
政府部内に非常な難色があるわけであります。私ども既定方針通り
計画を達成すべく、鋭意
折衝をいたしておるのでございますが、今日の
段階におきましては、まだ目鼻がつくところまで参
つておらない次第でございます。私どもといたしましてなぜさような資金のきゆうくつを押して新造を強行するかと申しますと、一応
政府部内で立てております明年度の貿易数量から推定いたしまして、かりに今建造しておる船が全部来年の三月までにでき上る、さらに本年以降約四十六隻の
外国船の購入を決定いたしましたが、それらの購入船が全部三月以降動き出すというように
考えましても、しかもなお明年度の貿易物資の五〇%だけしか
日本船で運ばないとしても、重量トンにしてなお約百万トンの不足が生ずるわけでございます。しかもこの百万トンの不足は、もつぱら遠洋
方面に穴が明いているわけでございます。すなわちアメリカの東岸などから持
つて参る物資に対する船が足りないという実情でございます。これに対しまして、買船をも
つてこれに充ててはどうかという主張がございますが、今までの購入いたしました買船の実情を見ますと、おおむね老齢船あるいは石炭たきであるというふうな劣性能の船が多いのであります。アメリカの西海岸に、買船で可能であるという性能の船が、わずかに五、六ぱいしかない。その多くは近海
方面に就航して、この
方面の船腹が相当余裕を示しているという状況がございまして、とうてい買船をも
つてしてはこの不足を補えないのであります。
〔
委員長退席、
大澤委員長代理着席〕
どうしても新造船にたよらざるを得ない。一面
日本の貿易の振興並びに外貨
收入の増加、それから世界海運に太刀打ちいたしますためにも、現在
日本海運のや
つておりますような不定期配船では、とうていや
つて行けないのでございます。どうしてもこれを定期航路化しなければならない情勢にあるわけでございます。この定期航路の整備充実という面からいたしましても、どうしても新造船によ
つて行かなければならない、かように確信するのでございます。
なお造船所側の実体からいたしましても、昨年度の
造船計画が非常に遅れておりましたのと、さらに本年度の
造船計画の初期のものが重なり合いまして、現在相当大量の造船注文を持
つておりまするが、これらの注文がこの十月ごろから漸次竣工いたしまして、来年の一月以降におきましては、ほとんど全部が船台を離れるという状況に相な
つております。すなわち六十総トン以上の船舶を建造し得る船台七十一のうち、十一月には
使用中のものが三十一、あきますものが四十、十二月には
使用中が二十、あきが五十一、一月になると
使用中のものがわずかに九つ、あきまするものが六十二という状況でございまして、この造船所がアイドルになる。それから来る造船所の経済状態の悪化を防止するという点からいたしましても、後期の二十トンの
造船計画をできるだけ早く決定いたさなければならない、かように大いにあせ
つておる次第でございまするが、一面冒頭に申し上げましたごとく、見返り次金の状況が非常にきゆうくつにな
つておりまするので、まだ決定に至らないという状況でございます。
簡單でございますが御
説明を終ります。