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1951-10-17 第12回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十七日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 原   彪君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       畠山 鶴吉君    山崎 岩男君       木村 俊夫君    飯田 義茂君       石野 久男君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         航空庁長官   大庭 哲夫君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 十月十七日  委員江崎一治君辞任につき、その補欠として柄  澤登志子君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  国内航空に関する件  造船計画に関する件     —————————————
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長不在でありますので、私が委員長の職務を行います。  国内航空に関し、現在までの経緯につき説明を求めます。大庭航空庁長官。     〔大澤委員長代理退席委員長着席
  3. 大庭哲夫

    大庭説明員 それでは国内航空事情につきまして、現在までの過程を御説明申し上げようと思います。去る六月の終りに、政府国内航空事業につきまして、日本航空株式会社認可いたしたのでありまして、その後日本航空株式会社は、七月末日に総会を開き、八月一日から正式に会社を設立しまして、事業を開始したのでありますが、その間御承知のように運航面を扱います外国航空会社共同体であるJDAC、これがミスター・ラストン代表者に選びまして、ただいま申しました日本側日本航空株式会社ラストン氏との間に契約につきまして、またその契約のおもなる部分であるチヤーターレージの問題につきまして、折衝を重ねたのでありますが、八月七日に両者の間に大体意見一致を見まして、仮契約を結ぶ段取りにまで取運びました。従いましてJDACとしましては八月末日航空機を輸送して来、これで試験飛行慣熟飛行をやりまして、九月の初旬から航空事業を開始するという段取りに運びました。御承知のように八月の末日には飛行機が一機来まして、それによつて羽田上空、あるいは東京大阪福岡間の慣熟飛行をいたしたのでありますが、問題はその慣熟飛行の一週間くらい前から、実はJDACで内部的にいろいろ意見の相違を生じたのであります。たとえばチヤーターレージの問題、あるいは予定した航空機提供ができない、あるいはある会社によつて本国政府了解をまだとつてないというようないろいろな問題が、初めて日本側へ提示されたのであります。日本側としましても実に不信義事項たというわけで、日本航空株式会社と今のJDACとの間に強硬な交渉が開始されたのであります。JDACとしましてはたしていつから運航が開始できるのか、はつきりした確答を求めたわけですが、JDAC側回答としまして、航空機五機要求のうち、二機あるいは三機の提供はできるが、五機の提供はできない、従つて完全に運航できるのは、十月の中ごろ以後になるというような回答に接したわけであります。先ほども申しましたように、日本航空株式会社としましては、九月の一日あるいは初旬に運航が開始できるという相手契約のとりきめ上、もうすでに各地へその発表をいたしたあとであつたために、JDAC交渉いたしました結果、フイリピンのエア・ラインの方であれば飛行機提供ができるであろうから、JDACとの話が成立するまでそことの單独契約を認めてもいいというような話がありましで、日本航空株式会社はフイリツピン・エア・ラインとの間に契約を開始したわけでありますが、チヤーターレージの問題でどうしても両者の間に折合いがとれない、一致点を見出し得ないということから、まつたくデツド・ロツクに乗り上げたのであります。政府としましても過去のそれらのことを勘案しまして、JDACを対象にしていたのでは、はたしていつ運航が開始されるか、望みがもうないということに意見一致しまして、九月十一日に大臣名によりまして、政府側からGHQの方に、JDACとはどうしても成立が不可能のように思われる、従つて在現乗り入れています外国会社のどれか一つ單独契約ができるように、善処願いたいという文書を差出したところ、GHQの方といたしましては、本国意向を徴しました結果、九月二十四日にGHQ担当課でありますCTSの方からレターが参りまして、いわゆるスキヤツプ・インの広義の解釈をしてもよろしい。と申しますことは、七つ会社と單独の契約をしてもよろしい、あるいは七つのうち一社あるいは三社が寄つてつくつた一つ会社契約することもよろしい、もし日本政府がそういうことを許せば、GHQとしても許す考えであるというような通告文に接したわけであります。従いまして政府といたしましては、十月四日の閣議に諮りまして、国内航空事業会の一部を改正いたしまして、單独契約あるいは二社、三社で寄つてつくつた一社との契約をすることを許可する條文に改めたのであります。従いまして日本航空株式会社といたしましては、その意向によりまして、現在乗り入れております七つ外国会社に対して同じ條件を提示して、その回答を求めたわけであります。ノースウエスト並びにフイリピン側からは具体的な提案がありましたが、その他は大体航空機提供が相当遅れるというような回答に接したのでございます。従いましてフイリピンともう一度契約交渉をいたしましたけれども、先ほども申しましたようにチヤーターレージの件でどうしても折合いがとれない。従つてノースウエスト單独契約をするべく、契約折衝に移つたわけであります。大体十月の十一日に日本航空会社ノースウエストとの間に意見一致を見まして、仮契約の締結が終つたのでございます。従いまして日本航空会社はその仮契約によりまして、政府へ現在認可申請を提出中であります。  以上申し述べましたようなことが計画の概要でありまして、仮契約後におけるノースウエスト飛行機提供方法を一応申し上げますと、ダグラスDC4一機、それからマーチンの202三機を提供して、日本航空会社要求に応じよう。従いまして十九日にマーチンの第一機が来て、二十三日に第二機が来て、DC4が二十八日に到着しますので、日本航空会社としましては、今のスケジユールは二十二日に東京札幌間の慣熟飛行を、二十三日に東京大阪福岡間の慣熟飛行をしまして、マーチンの二機でもつて、二十五日から大体営業を開始して、ダグラスDC4が二十八日に入つて来ますから、それら三機を合せて、十一月の一日からは正常なスケジユールでもつて運航を開始したいという段取りにまで現在進んでいるのであります。大体以上が国内航空事情の概略であります。
  4. 前田郁

    前田委員長 ただいまの説明に対し御質問があれば、これを許します。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 まずお聞きいたしたいのは、日本航空会社は大体どの程度資本金であるか。どういう内容といつて、詳しく言えば限りがありませんが、日本航空会社の規模及び性格につきまして、一応簡單でけつこうでございますから御説明願いたい。  それからもう一つノースウエストチヤーターレージについて意見一致して、仮契約をされたようでありますが、どの程度チヤーターレージで仮契約になつているのか、この点まずお聞きしたい。
  6. 大庭哲夫

    大庭説明員 第一のお答えをいたします。日本航空株式会社としては資本金は一億円で、外国会社との間に契約をしまして、外約会社の方へ直接運航費チヤーターレージによりまして支拂う。残り間接費とみなしているわけであります。  第二の問題につきましては、両者間にとりかわしましたチヤーターレージは、マイル当り計算いたしまして、マーチンの202の方がマイル当り一ドル三十五セント、それからDC4はマイル当り一ドル七十五セントということになつております。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 このチヤターレージの中には、パイロツトその他の乗務員の給料その他一切合財含んで、すなわち航空といいますか、運航といいますか、これに要する経費が一切含まれていますかどうか。
  8. 大庭哲夫

    大庭説明員 直接費と申しますか、ダイレクト・コストと申しますか、航空会社運航に必要な総額が全部含まれております。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 十月二十八日から正式の運航を開始されるようでありますが、運賃率はどういうようにおきめになつておりますか。またどういうような申請をしておりまするか。ちよつとお知らせを願いたいと思います。
  10. 大庭哲夫

    大庭説明員 今会社側から申請が参つています運賃は、東京大阪間が五千円、これに通行税の二割を入れまして六千円、大阪福岡間が四千六百円、これに通行税を入れまして五千五百二十円、東京札幌間が八千五百円、これに通行税を入れまして一万二百円、東京福岡間が九千六百円、これに通行税を入れまして一万一千五百二十円、こういう金額になつております。
  11. 大澤嘉平治

    大澤委員 ちよつと伺いたいのですが、先ほど説明によりますと、資本金は一億円ということになつておるようでありますが、これは全額拂込みで、日本人としての資本金がどのくらいであるか、あるいは他の国の関係からどのくらいの資本が出ておるかということを、お伺いいたしたい。
  12. 大庭哲夫

    大庭説明員 全額拂込みでありまして、全額日本人の出資であります。
  13. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうしますと、この会社飛行機所有はしていないので、その一億円の資本飛行機運航に要する油とか、あるいは施設というようなもののために要する資本であつて、大体その方面だけに使つて行くのか、あるいは他にあるのか、そういう点をお伺いいたしたい。
  14. 大庭哲夫

    大庭説明員 今資料の持合せがないので、詳細の御説明は、まままことに申訳ありませんが、できませんが、大体会社の一億円という金のうち、現在運航します相手外国航空会社支拂回転資金というものは、大体二千万円ないし三千万円を見ておるわけであります。その他は会社事業の発足をするために、あるいは会社施設費に充当することになつております。
  15. 大澤嘉平治

    大澤委員 この会社性格は、もちろん飛行機所有というようなものは全然でき得ない立場にあると思いますが、飛行機に要する燃料その他一切、あるいは飛行機運航する従業員等も、外国会社の方から全部借り受けるというか、あるいは向うからの支給を受けるかということについてお伺いしたい。
  16. 大庭哲夫

    大庭説明員 大体外国会社が引受けるものは、航空機の運行に直接関係があるものが全部でありまして、今申されました操縦士操縦士の中にもコ・パイロツト、あるいはエンジンを直すための整備要員、あるいは運航に携わるデイスパチユアー、要するに運航主任、そういうものを全部含めて、かつまた先ほど質問のありましたガソリンその他運航に直接関係あるものは、全部チヤーターレージの中に入つております。航空機に携わる、たとえば飛行場の勤務というものは、日本航空株式会社の方でまかなつてやるわけであります。
  17. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうしますと先ほどお伺いしましたように、現在日本の一億円の会社は、一マイル当り幾らというような料金外国会社支拂えば、かりに一日三回走ろうが、あるいは五回飛ばせようが、あるいはただで乗せようが、その点は自由だ、拘束を受けないというわけでありましようか。
  18. 大庭哲夫

    大庭説明員 契約の中には、大体運航率というものをとりきめてありまして、九五%の運航率を確保するように契約條項がなつております。従つて残りの五%の天災その他やむを得ない事情以外は、九五%の運航率で就航しなければいけないことになつております。
  19. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうするとその九五%の運航率というのは、收入に対しての九五%を向うへ拂う。あと五%はこちらの会社のすべての費用なり、あるいはそれによつて利益が出れば利益になるというのでありましようか。
  20. 大庭哲夫

    大庭説明員 今の問題は、日本航空株式会社から提供しましたスケジユールによりまして、その全運航ダイヤを一〇〇%と見まして、そのうち九五%の確保をして行こう、こういうわけでありまして、料金には関係ないのであります。
  21. 大澤嘉平治

    大澤委員 それではかりに、今度の一億円の会社は、一応国内航空を業とするところの航空会社であるから、われわれこれに対しての審議をするとか、あるいは一般国民に対して安全感を与えるとかいうような意味から、一応私たちが試乗させてもらうというようなことでもある場合は、日本会社の自由にならないで、あちらの会社了解を得なければできないというようなことになるのかどうか、そういう点もお伺いしたい。
  22. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答えいたします。運航計画は全部日本航空株式会社でやるわけであります。また旅客取扱いその他営業方面につきましては、全部日本航空株式会社でやるわけであります。ただ外国株式会社は、單に日本航空株式会社要求に応じまして飛行機を飛ばすというだけでありますから、今の問題は何ら制限をされないわけであります。
  23. 岡田五郎

    岡田(五)委員 非常に簡單なことを四つ、五つお尋ねいたします。先ほど東京札幌東京大阪東京大阪福岡、こういうコースを承つたのでありますが、さしあたつてダグラスDC一機、マーチン三機、こういうものがそろいましたら、大体この区間一日三往復というダイヤになるのでありますか、それを承りたい。  次は、そのダグラスDCチヤーターレージマイル当り一ドル七十五セント、マーチンが一ドル三十五セント、こういうお話を承つたのであります。DCが六十六人乗り、マーチンが三十六人乗りという定員のようでありますが、大体これで日本航空会社がペイできるのか、また適正な利潤を獲得できるのかどうか、その辺の見通しをお聞かせ願いたいのであります。  次は、先ほど国内航空をやつている七社のうち、フイリピンノースウエストから具体的な話があつたが、他の五社からは具体的な話がないというお話でありますが、他の五社からも今後出る見通しがあるのか。現在の国際航空事情のもとにおいては、大体今年一ぱいはこの二社程度でやらなければならないのかという見通しをお聞かせ願いたい。  もう一つは、講和條約の内容を見ますと、日本航空機使用については制限がないようでありますが、講和條発効後においては、日本人パイロツトによつて日本人乗務員によつて、その飛行機が自由に運航できるのかできないのか。おそらくできると思うのでありますが、できるとすれば、私は日本航空採算制というものが出て来るように感ずるのでありますが、その辺の見通しはどうか。  もう一つは、飛行場の問題でありますが、これは現在占領治下におきまして、いろいろと制限も受けなければならない客観的情勢にあるのでありますが、講和條発効後、安全保障條約のもとにおいて、この飛行場使用についてはどういう見通しがあるのかどうか。  またもう一つは、現在制限された飛行場使用のもとにおいて、日本航空会社がどの程度日本航空会社特有の客扱い及び荷物扱い、着陸その他についての施設が行い得るのかどうか、こういう問題をお伺いしたい。  それから航空事業は、他の交通機関と同じように相当公共性があると思うのであります。ある程度また採算を度外視いたしましても、これの発展、発達をはからなければならないと思うのでありますが、かような航空事業に対する国家補助政策というものは、どういうように考えられるかどうか。  以上の点をお聞きいたしたいとともに、今ポツダム政令に多分基いたと思うのでありますが、国内航空運送事業会というようなものが出ているのであります。これはおそらく講和條発効後におきましては、他のポ勅による政令と同じように法律化されると思うのでありますが、これについての運輸省のお考え方、また二十八日から正式営業を開始せられまするが、開始せられるにあたつてこれらの政令の改正、または新しい法律の公布といいますか、これを必要とする事項があるのではないかと私は考えるのでありますが、さような事項はさしあたつて事業会で不十分ながらも行われるのであつて、その法律を必要としない、こういうようにお考えになつているかどうか。大分並べましたが、以上の諸点につきまして御説明を願いたいと思います。
  24. 大庭哲夫

    大庭説明員 御説明申し上げます。第一のダイヤにつきましては、最初の二十五日からやりますものは、大体東京大阪間一往復東京大阪福岡往復東京札幌往復ということでありますが、九月の一日からやります正式のダイヤは、東京大阪間三往復東京大阪福岡往復東京札幌往復となつております。  次に会社利潤いかんという御質問もありますが、チヤーターレージの問題、あるいは会社の支出となりますものと会社收益とは、旅客運賃あるいは郵便料あるいは貨物料、それらを全部差引勘定いたしまして、現在のチヤーターレージで行けば大体プラス九百万円くらいの計算になるわけですが、現在交渉をいたしていますガソリン消費税というものが解決を見ないで、これがもしも税がかかるということになりますと、会社といたしましては五千万百近くの赤字が出るという計算になつております。  次に、現在御説明申しました日本航空株式会社ノースウエストとの間に單独契約をいたしているわけでありますが、その他の航空会社からの希望が出るか出ないかというお話でありますが、この問題につきまして現在まで回答が参つていますところは、BOAC、QEA、パン・アメリカン、フイリピン、カナデイアンというところからでありまして、フイリピンの問題につきましては、先ほど申し上げた事情でどうしても折合いがとれない、その他につきましては希望はあるが、飛行機提供が遅れるというので一応交渉打切つた、そこで問題は起きないのじやないかと思います。  次に、講和條発効後この問題がどうなるか、この問題につきましては、ノースウエスト日本航空との間の契約事項は、一箇年ということになつているのでありまして、一箇年間における運航契約は、ノースウエストにおいて実施をするということになるのでありまして、やむを得ない事情でないかと思います。と申しますのは、ノースウエストとしましても日本へそれだけの機材、人員あるいは設備をする以上は、最短一箇年の契約要求して来た、これも万やむを得ないとして、一応一箇年の契約を認めたいと考えておる次第であります。  次に、飛行場の問題でありますが、御承知のように現在は占領下にありまして、このたび国内航空事業を始めますのにつきましても、飛行場使用極東空軍並びにGHQ認可を必要とするわけでありまして、この件について必要な飛行場につきましては、大体認可を得たわけでありまして、使用にはさしつかえないのであります。今後とも日米保障協定というものがいかような推移をとるかわかりませんけれども、日本商業航空というものにつきましては、全面的に使用してさしつかえないということは、大体現在においてはGHQで申していることであります。確たることは日米行政とりきめによりましてきまつて来る筋合いのものでないかと考えておる次第であります。  次に、会社側飛行場へ特別の施設をしたかどうかという御質問でありますが、会社側としましては、このたび運航を開始するにつきまして、会社側事務所、あるいは旅客のための待合室という、いわゆるターミナルを各飛行場に建設いたしたのであります。これによりまして会社旅客貨物取扱いを完全にできると考えているわけであります。あわせて政府側としましても、同じ建物内に政府事務所を設けて、そこで政府が担当しています航空通信、あるいは運航監督面をそこで実施して行くということになつておるのであります。  次に、公共性に対する国家補助政策はどうかという御質問でありますが、これはまつたく同感の至りでありますが、現段階におきまして航空事業につきまして、補助政策を必要とするかどうかという国家の方針をきめていないのであります。いずれこの問題につきましては、補助政策を必要とするという決定を見ました後には、それを御審議提供するということに相なると存ずるのであります。この問題については現在私としては、先ほどからいろいろ申しましたけれども、航空事業というものは、補助政策なしにはペイでき得ない、会社がいわゆる收支相償つて行かないのではないかという考えは持つていますけれども、何分にも現状において実績が現われて来ていない限り、それを実施面において検討することができないわけでありまして、今後会社実績を十分見た上において決定いたしたいと存じている次第であります。  次に、国内航空運送事業会について、今後どうするかという御質問でありましたが、講和條発効までの間は、現在ポ政今で出してあります国内航空運送事業会一本で進んで行きたいと考えております。講和條発効後の問題についでは、現在航空法を起案中でありまして、早ければ本臨時国会、おそければやむを得ず通常国会には提出する予定でありますから、十分御審議をお願いしたと考えている次第であります。従いまして現段階においては、新しい法令を出すことは考えていません。以上お答え申し上げます。
  25. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これは多少本論から離れるかもしれませんが、最近ある新聞によりますと、東京を中心として東京付近観光地に対して、ヘリコプターを利用して、空中から箱根、熱海、日光へと観光事業を始めるような会社をつくりたいというような新聞記事を実は私拝見いたしたのでありますが、このヘリコプターによる観光事業が、この航空運送事業会の適用を受けるかどうか、受けるとすれば、第二條によつて日本国内においては一つしか航空運送事業会社を許さない、こういうことになるのでありますが、はたしてヘリコプターがこれに該当するかどうか、御所見を承りたいのであります。
  26. 大庭哲夫

    大庭説明員 御説明申し上げます。ただいまの観光用ヘリコプター会社設立の機運としては、今二、三航空庁の方へ申請が参つておりますけれども、航空運送事業会というものは、御承知のように一つ会社に許すことになつておりまして、スキヤツプ・インもそういうことになつているわけであります。従いまして現段階においては、日本航空株式会社以外の会社に許す権限はないわけであります。従いまして申請は提出されましたけれども、政府としてはそれを全部返却いたしている次第でありまして、講和條発効後において、航空法によつてこれらの許認可を取扱つて行きたいと考えている次第であります。
  27. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この質問から一つほじくり出したような感じがするのでありますが、今お考え中の航空法によりますと、日本国内運送事業会社は、必ずしも現在の事業会のように、一つに限るという限定を設けないで、必要とする数は運輸大臣はどんどん認可されるおつもりであるのかどうか、その点を承りたいのであります。  もう一つは、われわれ日本国内民間航空発達希望する一員といたしましては、基幹航空はなるほど大きな会社でどんどん運ばれる必要もあると思いますが、たとえば北海道の札幌から根室、釧路へ、あるいは福岡から鹿兒島へ、あるいは東京から裏日本へというようないわゆる観光航空というものも、また将来においては起り得るのではないか、かように私は考えるのであります。これは将来の問題でありまして、航空長官もなかなか御返答はむずかしいだろうと思いますが、航空法に盛られる思想は、そういう将来性をも予想して考えておられるのかどうか、その点を承りたいと思います。  もう一つは、これも将来の問題でありますが、私が心配いたしますることは、かような航空運送会社ができましても、相当高い優秀な機体を仕入れるといたしますると、数億円あるいは数十億円の資本金がなければ、自己資本によつて十分機体を所有することはむずかしいだろうと思うのであります。従つてどうしても飛行機体を買い入れて、日本パイロツトあるいは航空従事員によつて運送を始める、こういう形になると思うのでありますが、そうなると安い、悪いといつては語弊がありますが、相当航空機としての年齢の老いたるものを買い入れて、航空運送事業を始めよう、こういう傾向になることを懸念いたすのであります。かようなことから結果といたしまして、航空の安全性を私は多少懸念いたすのでありますが、そういうことについての航空庁長官のお感じでもけつこうですから、この機会にお聞かせ願いたい。
  28. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答えいたします。航空法の中に今後盛るべきものが、一社であるかどうかという御質問でありますが、航空法には特に一社ということの制限は設けない、自由競争にまかすということを、大体今の構想といたしております。従いまして幹線あるいは支線を問わず、申請者につきましては、その需要、その他運航の安全というような多角画から、公共交通機関としての機能が十分発揮できるかいなかを審査するにとどめて、その他は自由にまかす所存であります。  次の御質問は、現在の日本の経済面から行きまして、まことに当を得た御質問と存じます。従いまして航空法の中には、現在いかに外国機のチヤーターを許すべきか、あるいは外国資本の導入をどの程度まで認めるべきかという点につきましては、愼重審議中でありまして、この問題につきましては、まだここで御回答を申し上げるまでに立ち至つておりませんで、まことに申訳ない次第と存じおります。ただいかなることが起きましようとも、その航空機の安全性という問題につきましては、技術的の問題でありまして、これにつきましては耐空証明という厳格な検査を実施いたしまして、これによつて航空機の安全を保つて行きたいと考えております。
  29. 石野久男

    ○石野委員 二、三簡単なことですが、御質問いたします。先ほど運航効率という問題が出ておりましたが、私途中から参りましたものですから、こまかいことであるいは先にお話なつたことと重複するかもわかりませんけれども、運航効率というものについては、たとえばスキヤツプ・インで示されている航路指定というものがあつて、その間その事業会社の延べ航空キロ数というものなどは、はつきり指定されておるのでございましようか。運航効率はどういうふうにして出て来るものですか、ちよつと説明していただきたいと思います。
  30. 大庭哲夫

    大庭説明員 航空路はスキヤツプ・インで示されているわけではありませんで、これは日本航空株式会社が独自に定める筋合いでありまして、日本航空株式会社としましては、旅客の需要あるいは貨物、郵便物の需要によりまして航空路を選ぶ、これはまつた日本航空株式会社の独自の企画でよろしいわけであります。従いましてノースウエストとしましては、それには関与しない。ただ今の航空路の実長の問題だと思いますが、航空路の実長は、日本航空株式会社としましては、技術的に申しますと、路線というものを選定するわけです。たとえば東京大阪福岡という路線を選定するのでありまして、それをどの航空路に沿つて飛ぶかということは、政府航空路を指定することになつております。従いまして、政府が指定した航空路の実長が明らかに出ることになつていますから、それによりまして、マイル当りの賃金がはじけることになるわけであります。
  31. 石野久男

    ○石野委員 そういうふうにして航空路の指定が行われます場合には、自然やはり運航のために必要な、特にガソリンなんかの問題が出て来ると思うのでありますが、こういう問題についての調達の方法などは、航空会社それ自体が調達するのでございますか、それともやはり政府が何らかのめんどうを見てやるというふうなことをするのでありますか、こまかい点ですが、お答え願いたいと思います。
  32. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答えいたします。このたびの国内航空ガソリンの問題ですが、これは運航を直接担当いたしますノ—ス・ウエスト、これが全部まかなうことになつているのであります。その実施面を申しますと、もうすでに飛行場には軍のガソリン・タンクがありまして、補給車も全部そろつているわけであります。従いまして実際の実施状況は、軍のガソリンを使う、従いましてその使つた量だけをノースウエストが、軍に納めているガソリン会社の方へ支拂うということになるわけであります。
  33. 石野久男

    ○石野委員 今講和後に新しく法をつくろうというふうに考えておられる航空法の想定の中には、講和後におけるところの日本の航路というものが、国内だけではなくして、おのずからやはり国外にも伸びることになるだろうと思うのでありますけれども、そういうこともあらかじめやはり規定されるような構想になつているのでございましようか。
  34. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答え申します。今私の方で草案いたしています航空法の問題ですが、講和條約でも御存じのように、今後の日本航空というものは、現在あります国際民間航空機関、それの定めました一つの基準によりましてやつて行こう、またやつて行くという一つの宣言になつていますので、航空法にはそれらの定められてあります基準を十分しんしやくいたしまして、その基準から日本の国情に沿うように、基準の範囲内で改変を一部いたしまして、航空法を草案しつつあるわけであります。従いまして航空法国内、国際を問わず、全部盛つて行く考えであります。
  35. 石野久男

    ○石野委員 航空法の中に盛られますいろいろなことの中には、先ほど岡田氏からも質問がありましたように、民間事業会社というものが一社だけではなしに、他社にもいろいろと、自由競争をさせるような内容も入つて来ると思いますが、その間政府自体としては、その航空については何ら監督権というものは持つていないと思うのでございます。自然政府航空関係の所要事項ができましたときに、この会社に対して利用をしたり何かする場合の関係については、優先的な関係を持たせるように構想されているのでございましようか。それから先ほど運航効率のうち、九五%は会社独自で使つてもいけれども、あとの五%は一応保留されているというお話がございましたが、その五%は主としてどういうところにお使いになられるかというようなことについてお伺いいたします。
  36. 大庭哲夫

    大庭説明員 今のお話は、政府が優先権があるのかどうかという御質問ですが、何ら政府に優先権を設けるような法案にはなつていません。これは機会均等にいたす所存でございます。  次に運航効率の問題ですが、この九五%というのは、会社計画しましたダイヤを全部やつた場合が一〇〇%、そのうち九五%は確保したい。あとの五%は、天災地変によつてやむを得ない欠航を生じたりする分を見たのであります。どこまでも相手会社に対しましては九五%を確保して行く。従いまして九五%にならない場合に、それがやむを得ない先ほどの五%の範囲内に入つた場合には、相手運航会社の方から補償料を支拂わすことになつております。
  37. 原彪

    ○原(彪)委員 ちよつと長官にお伺いしたい。飛行機の機体をアメリカからチヤーターするということになると、おそらく講和條約の批准が、来年の三月には向う側の批准も済むだろうと思うが、そうすると完全に日本が独立した場合に、政府としてはチヤーターの期限は一年ということでありますが、その間にどういう措置をとられるのか、それが伺いたいのであります。おそらく完全に日本が独立するまでは、日の丸のマークも機翼につけることができないと思うのですが、現在はそういう間のとりきめはどういうふうになつておるか。独立すれば当然日の丸を機翼につけることができると思うのですが、そういう点をお伺いしたい。  それからもう一点は、長官としてのお考えを承りたいのです。幸いにして講和條約の條文の中には、飛行機の製造とかあるいは制限とかいうものがうたつていないように存じます。われわれの考えとしては、文明の利器である航空事業というものを大いに発達させることが、文化国家の一使命だと思うのでありますが、今後航空機工業の発達に対して、政府としてはどういうお考えを持つておるか。  もう一つは、その飛行機に乗る搭乗員の養成ということについて、どういうお考えを持つておるか。少くとも現在は、搭乗員は全部アメリカの人が乗るということになつておる。日本には、多少操縦の技術は古いが、戰争中に操縦を習つた多数のパイロツトがおるのでありまして、そういう者をどういうふうに起用し、活用されるかということ、そういう点についてお伺いしたい。
  38. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答えいたします。第一の御質問でありますが、この問題は、このたび国内航空輸送事業を始めますにあたりまして、最初は、JDAC七つ会社がまとまつた一つ会社というものであつたわけですが、それらの希望は、七箇年ということを要求して来たのです。そうして運航の面を担当するためには、いろいろ機材整備、人間というものを、日本に固定的に置かなければならない、あるいは資本の償却を見るというためには、どうしても七箇年が心要だという要求でありましたけれども、そういうことは日本としてはとても認められないということで、最初日本政府で大体了承したのは三年ということであつた。これは前委員会におきまして、大臣がお答えになつた線だと思いますが、大体三年ということであつたのです。その後いろいろ国際情勢の変化と、かつ先ほど説明いたしましたように、日本会社相手会社單独契約ができる。従つて相手会社運航面実施する。それにも会社の準備、企画、その他いろいろ設備がいるのでありまして、相手会社といたしましては、最短一箇年の契約をどうしても実施してもらえないことには要求に応じられない。これも相当折衝をいたしたのであります、一箇年の契約は大体現状におきましてやむを得ないものでないか、従いまして両社間の一箇年の契約を、今の段階では認めようと考えておるのであります。  次に、民間航空事業の今後の発達はどうか、発展に対する政府の見方はどうかというような御質問でありますが、御承知のように戰前におきましては、日本の民間航空事業は欧米各国に劣らない水準にまで引上げられていたわけでありますが、この六箇年というブランクの時期に到達しまして、かつまた終戰直後において航空事業の完全なる撤廃が命ぜられて、今日まで航空事業にはまつたく関与して参らなかつた次第でありまして、往年のそれら経験者は、このたびの講和條約の條文によりまして、日本における航空制限は撤廃されるという事情承知いたしたのであります。すでに今日においてすら、相当の事業経営者が申請を提出している次第でありまして、今後の批准後における民間航空事業の発展は、想像に余るような状態に急速に到達するのでないかと考えられるのであります。それにつきましては、先ほどからも御質問があつたのでありますが、ある程度そこに統制をするか、これを自由競争にまかすかという問題があるわけでありますが、現段階におきましては自由競争にまかして行こう、かつまたあらゆる面におきまして、たとえば單なる定期ばかりでなしに、遊覧あるいはタクシー、あるいは魚群探検、あるいは航空写真、測量、その他の航空事業をできる限り助成発達せしめて行きたいと考えております。  もう一つの御質問の、乗員の養成を政府はどういうように考えているかという御質問でありますが、この問題につきましては、御承知のように戰前における民間航空に携わつた繰縦士は、一万時間以上を突破しているという繰縦士が、民間だけでも二十数名に及んでいるわけであります。これらが今日ただちに飛行機に乗つて繰縦できるかどうかという問題につきましては、これは不可能であります。この六年間のブランクによりまして、航空技術上の低下あるいは勘の鈍りというものがあるわけであります。これはどうしても再教育をいたしまして、元の水準にまで持ち上げなければならない、かつまた今日におきましては、飛行機を飛ばす、また飛行機の飛ぶ飛び方という問題、戰前にはなかつたもの、現在では新しいシステムというものが日本国内に全部しかれている。御承知のように連合軍が全部それをしているわけです。この新しいシステムを教育するために、一つの新しい教育をそこに施さなければならない。従いまして現在私たちが考えています乗員の再訓練というものにつきまして、繰縦士にとりましては大体三十時間飛行訓練すれば、一人前の操縦士になり得るという計画のもとに、二十七年度におきまして乗員訓練所という予算を計上してある。その施設に三箇月を要しまして、あと三箇月ごとに乗員を——大体の計画では六十名ずつ再教育を施して行こうという計画になつておるわけです。これは今後の予算折衝に移るわけであります。政府計画としましては、そういうような方向に計画を進めているわけです。大体現在民間の操縦士は、三千名ないし四千名いるわけです。その他陸海軍で操縦の経験者というものを合せますれば、相当の数に上る。これを一応四箇年のうちに荷教育を施して、その後はいわゆる新しい者の実際の教育に移りたいというように計画を進めておるわけです。
  39. 原彪

    ○原(彪)委員 政府民間航空の発展のためにお盡しになる御熱意は十分わかります。ただその方式を自由競争にするか、あるいは国家管理にするかという問題は、われわれも今後大きに研究しなければならぬ問題でありますが、私一つ伺いたいのは、向うから飛行機をチヤーターした場合には、結局占有権はこちらにあるはずです。そうすると飛行機の中の監督権もこちらにあると思うのですが、操縦士がアメリカ人である場合には、それはどちらになりますか。それからもう一つは、先ほど岡田委員が御質問になりました航空の安全性のことについて御答弁があつたのですが、ちよつと簡單で納得が行かなかつたので、もう少しこまかく、ラジオ・ビーコンをつけるとか、あるいは機の点検についてはどういう方法によつて、絶対に飛行機が落ちぬように、これだけの作業をするということをはつきりしていただく方が、国民も安心すると思いますから、それをひとつ……。
  40. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答えいたします。運航の責任の帰趨の問題ですが、批准までの間に実施いたしますものにつきましては、飛行機が離陸してから着陸するまでの安全の責任は、ノースウエストが負うことになつております。運航実施する運航の責任者は外国会社になつており、日本航空株式会社はいわゆる営業面、企画面を担当して、それの要求によりまして運航実施する。その運航の責任は外国会社が持つということに現在なつております。  それから安全の問題でありますが、この安全の問題につきましては、航空機自体の安全性と、航空機を飛ばすために地上にいかなる安全施設を設けるかという二面がある。先ほど申しましたのは航空機の安全性を確保するためにはというお答えで、航空機の安全性のためには、今航空法で草案いたしておるものは、もし航空機を新しくつくるとすれば、大体製造検査をする。その次には製造検査によりまして耐空証明を出す。この耐空証明のある航空機でなければ飛行できない。日本国籍の航空機なつた以上は、耐空証明を持たなければ乗れない、飛ばせないということになるわけで、この耐空証明を出した後におきましては、部品を交換するかあるいは部品に損傷を来したような場合には、その都度臨時検査をいたしまして、それの安全性を確保して行く。航空機の機体の安全性につきましては、耐空証明によつて確保するということが根本問題になつております。それからもう一つは地上の安全性、これは現在私の方では航空保安施設と申しておりますが、それには航空路の施設飛行場施設を問わず現段階におきましては御承知のように連合軍が占領して以来、連合軍の航空機を連合軍が安全に飛ばすために、飛行場の整備あるいは航空路の整備を、ある程度完璧なまでにして来ておるのであります、たとえば航空路におきましては、ラジオ・ビーコン、その中にもレンジ・ビーコン、ホーミング・ビーコン、オムニレンジというものがありますが、そういうものをとりつけて、いわゆる電波によりまして航空路を確保して行く。飛行場施設につきましての問題は、着陸のときのこのランデイングをいかに確保するかという問題でありまして、このアプローチに対してILS、いわゆる計器、着陸用のビーコンを発射し、そのビーコンに乗つて着陸する。あるいはレーダーを応用しましたGCA、いわゆるグランド・コントロール・アプローチと申しておりまするが、これによりまして地上操作をやる。ほど申しましたILSは、いわゆる地上で電波を出しておる。それを飛行機操縦士が計器を見まして、操縦士がその計器によつておりて来るわけですが、今のGCAは、レーダーを使つておるために、地上から航空機をさしずしながら飛行機をおろすというような設備と、この両方を再ね備えておるわけであります。かつまた夜間におきましては、滑走路及びアプローチに対しまして、完全な照明施設を施してありまして、これによりまして航空機は現段階におきしては、安全性が保たれておると考えられます。しかしながらここで一言申し上げておかなければないらないことは、今日連合軍が施設をしております飛行場あるいは航空路の施設というものは、御承知のように連合軍の作戦上の目的のためにテンポラリーにとりつけてあるものでありまして、かつまたその安全性というものにつきましては、軍の安全性というものと、民間の安全性というものには、そこに一つの差異があるのであります。従いましてもしも批准後日本政府の自主権によりまして、飛行場あるいは航空路を管理して行くということになりますと、現在の施設だけでは不十分になつて来る。先ほども申しましたように、軍の安全性と民間の安全性とはそこに差異がある。たとえば早い話が、軍では滑走路が一本しかない。しかしながら二十四時間離発着させるが、その安全を保つためにはどうしても三本、最小限度二本の滑走路を必要とするといような問題がありまして、そこに施設の増強ということが当然起きて来る。従いまして政府といたしましては、今後の問題といたしまして、民間航空機を安全に飛ばすために必要な施設の増強のための予算を提出しておる、さように御承知おき願いたいと思います。
  41. 大澤嘉平治

    大澤委員 先ほどお伺いしようと思つてつたのですが、このたびの航空会社運航は、定期航空だけであるというふうに伺つてつたのですが、実は十月の三日に栃木県のある新聞社で、航空会社から飛行機を借りて、一人一万円で栃木県と東京の間を乗せるということで、大分申込みを募つておるようでありますが、それはどうやら定期路線でなく、貸切り飛行というようなことになると思いますが、どのような関係になつておりますか、ちよつと伺つておきたいと思います。
  42. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答え申し上げます。多分今の問題は、今年の正月以来起きております新聞社その他が外国航空会社と提携をして、遊覧飛行を始めておる、その問題ではないかと想像されるのでありますが、実は御承知のようにスキヤツプ・インによりましても、日本国内航空運送事業会によりましても、日本でできる日本会社というものは一つということになつておるのでありますが、事実としまして日本航空会社の実際の運航が遅延をしたために、多々そういう希望者が起きて来た。この許可権は当然GHQにあるのでありますが、日本政府としても重大関心を持つて、その間いろいろ折衝したのでありますが、日本航空株式会社が実際運航するまでの間は、航空思想の普及あるいはその他の面におきまして一応これを許して行く。しかしながら日本航空株式会社運航実施したあかつきにおきましては、日本航空株式会社一本でそれを実施せしめたい。従いまして日本航空株式会社が必要に応じまして、他の外国会社單独契約によりまして、そういう遊覧飛行を実施することは適当と思いますが、ほかのエージエントを持つている会社が、他の外国航空会社契約してやることは、今後調整をはかりたいと思います。
  43. 大澤嘉平治

    大澤委員 そうしますと、外国航空会社との契約によつて遊覧飛行をやる場合に、かりに九州から東京までの間一人一万幾らというのが、貸切りの飛行機ならば、汽車で行つてもわずか二時間そこそこで着くところから東京の間が一万円という金で、たくさんのお客を募集して——われわれも勧誘を受けたのでありますが、そういうことが今後もあるとすれば、航空会社として非常に利益も出るでありましよう。あるいは一人三千円なり四千円なりで航空会社契約して——これは一機幾らという契約でありましようが、それを一人一万円ずつもらえば、人の飛行機で金もうけができる、ほかの人の飛行機によつて大きな仕事ができることになるのでありましよう。そういうような場合、外国航空会社の場合は、万一事故があつたとき、日本の刑法による過失致死罪とか過失傷害罪は、操縦士に対して当てはめられないと思いますが、日本航空会社でやる場合、万一飛行機の事故があつたときは、日本法律によつて操縦士を過失致死罪で起訴するかどうかわかりませんが、刑法の適用はどういうことになりますか。
  44. 大庭哲夫

    大庭説明員 お答え申し上げます。現段階におきましては、日本航空株式会社以外のところが料金をとつて営業をすることは、全面的に禁止されております。今日まで先ほど申しました日本のエージエントと外国航空会社との間の実施がありましたが、これも無料でやつて行くというように私たちは解釈をいたしている次第であります。今後は先ほど申しましたように、日本航空一本でそれを実施する。その場合に、その安全、また操縦士が過失を起した場合は、日本の刑法によつて処置を講ずることになつておる、かように御承知を願います。
  45. 原彪

    ○原(彪)委員 ただいまの刑法上の問題ですが、ちよつと御答弁に私疑義があるのです。講和條約の批准が済んで完全に独立した後には、操縦士の過失に対しては、日本の刑法によつて処罰されるであろうと思いますが、それまでは、おそらく米人でありまするから、アメリカの裁判に付するのじやないか、私はかように解釈するのです。ちよつとただいまの答弁はおかしいと思うので、もう一ぺん御答弁いただきます。
  46. 大庭哲夫

    大庭説明員 はなはだ申訳ないのですが、その点につきましてはつきり御答弁申し上げられぬ。いずれ調査をいたしまして、十分御回答を申し上げたいと思います。     —————————————
  47. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします。このたびのルース台風により九州、ことに鹿兒島、宮崎両県下の鉄道、港湾の被害は甚大でありまするので、本委員会といたしまして委員を現地に派遣し、つぶさに現地を調査し、あわせてその対策を講じたいと存じますので、委員派遣承認要求を議長に申し出たいと存じます。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 前田郁

    前田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお日時、派遣委員の指名等については、委員長に御一任願います。     —————————————
  49. 前田郁

    前田委員長 次に造船計画につき、当局より説明を求めます。岡田海運局長
  50. 岡田修一

    岡田説明員 ただいま委員長から御指示のありました造船計画につきまして御説明申し上げます。  御承知の通り昭和二十六年度の新造船計画といたしまして、運輸省といたしましては、四十万総トンを本年度内に建造着手するという方針で出発したのでございます。そのうち二十万トンは、すでに今年度の初期におきましてこれが見返り資金も決定し、それぞれ新造船種を決定いたしまして、目下建造中でございます。残りの二十万トンをいかにするかということが、目下懸案に相なつております。前半の二十万総トンのときには、一総トン当りの建造船価が十二万円でございましたが、その後鋼材価格の値上りによりまして、一面造船所の合理化、建造工程の合理化等による価格低減を見込みましても、十四万円はどうしてもかかる、かように見込んでおります。そういたしました場合に、二十万トンを建造いたしますというと、二百八十億の資金がこれに要するわけでございます。政府といたしましては、市中銀行等から、従来のように五〇%を市中銀行で引受けることがとうていできないという声がありまするけれども、一面見返り資金が非常にきゆうくつになつておりまするので、従来通りその二百八十億のうち、半額の百四十億だけを見返り資金で持つて行きたい、かように考えておるのでございます。しかし本年度内に所要となります分は、そのうちの半分の七十億であります。すなわちこれから建造に着手するといたしましても、進水は明年度に延びますので、本年度は契約のときの金並びに起工のときに要する金、合せて五割を支出するわけでございますので、百四十億のうち七十億が本年度内に必要になつて来るのであります。すなわち今懸案になつておる二十万トンの新造計画をやるがためには、どうしても七十億の見返り資金の放出が必要と相なつて参るのであります。ところで御承知のように見返り資金は、この七月以降対日援助が打切りになり、従つて見返り資金も先細りの状況であります。一面電力問題が非常にクローズ・アツプされて、それに見返り資金を相当多額放出しなければならぬというふうな状況が重なり合いまして、その七十億の見返り資金の放出が、遺憾ながら政府部内に非常な難色があるわけであります。私ども既定方針通り計画を達成すべく、鋭意折衝をいたしておるのでございますが、今日の段階におきましては、まだ目鼻がつくところまで参つておらない次第でございます。私どもといたしましてなぜさような資金のきゆうくつを押して新造を強行するかと申しますと、一応政府部内で立てております明年度の貿易数量から推定いたしまして、かりに今建造しておる船が全部来年の三月までにでき上る、さらに本年以降約四十六隻の外国船の購入を決定いたしましたが、それらの購入船が全部三月以降動き出すというように考えましても、しかもなお明年度の貿易物資の五〇%だけしか日本船で運ばないとしても、重量トンにしてなお約百万トンの不足が生ずるわけでございます。しかもこの百万トンの不足は、もつぱら遠洋方面に穴が明いているわけでございます。すなわちアメリカの東岸などから持つて参る物資に対する船が足りないという実情でございます。これに対しまして、買船をもつてこれに充ててはどうかという主張がございますが、今までの購入いたしました買船の実情を見ますと、おおむね老齢船あるいは石炭たきであるというふうな劣性能の船が多いのであります。アメリカの西海岸に、買船で可能であるという性能の船が、わずかに五、六ぱいしかない。その多くは近海方面に就航して、この方面の船腹が相当余裕を示しているという状況がございまして、とうてい買船をもつてしてはこの不足を補えないのであります。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕 どうしても新造船にたよらざるを得ない。一面日本の貿易の振興並びに外貨收入の増加、それから世界海運に太刀打ちいたしますためにも、現在日本海運のやつておりますような不定期配船では、とうていやつて行けないのでございます。どうしてもこれを定期航路化しなければならない情勢にあるわけでございます。この定期航路の整備充実という面からいたしましても、どうしても新造船によつて行かなければならない、かように確信するのでございます。  なお造船所側の実体からいたしましても、昨年度の造船計画が非常に遅れておりましたのと、さらに本年度の造船計画の初期のものが重なり合いまして、現在相当大量の造船注文を持つておりまするが、これらの注文がこの十月ごろから漸次竣工いたしまして、来年の一月以降におきましては、ほとんど全部が船台を離れるという状況に相なつております。すなわち六十総トン以上の船舶を建造し得る船台七十一のうち、十一月には使用中のものが三十一、あきますものが四十、十二月には使用中が二十、あきが五十一、一月になると使用中のものがわずかに九つ、あきまするものが六十二という状況でございまして、この造船所がアイドルになる。それから来る造船所の経済状態の悪化を防止するという点からいたしましても、後期の二十トンの造船計画をできるだけ早く決定いたさなければならない、かように大いにあせつておる次第でございまするが、一面冒頭に申し上げましたごとく、見返り次金の状況が非常にきゆうくつになつておりまするので、まだ決定に至らないという状況でございます。簡單でございますが御説明を終ります。
  51. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ただいまの海運局長説明に対して質疑はありませんか。  質疑がなければ、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会