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1951-09-27 第11回国会 参議院 労働委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月二十七日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働行政の実情に関する調査の件  (国鉄賃金調停案処理情況に関す  る件)  (行政機構改革に関する件)   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今から会議を開きます。  先日の委員会で、国有鉄道に対しまして給与ベース改訂による補正予算資料提出を求めておつたわけでありますが、本日提出になりまして、参考人として三木経理局長只今来てもらいましたので三木経理局長から説明を願います。
  3. 三木正

    参考人三木正君) 差上げました表は、調停案を実施するために要する経費補正予算に求いたしまして、その折衝の経緯を書き上げたものであります。表にあります通り最初給与総額と書いてある中に、基本給超過勤務手当特殊勤務手当寒冷地手当石炭手当、これを合計いたしましたものが当方の要求金額であります。一番上の欄が予算でございまして、その次が給与改訂による増加要求額、その次が査定大蔵省で内示された額、その 次が復活要求額、一番しまいが査定額復活要求額の比較、こういうふうに書いてございます。そうしてその内訳は基本給超過勧務手当特殊勤務手当寒冷地手当石炭手当、これが給与総額内容をなすもので、その総計を出しまして、そのほかにその他という欄は、これは基本給が上りますにつれて超過勤務でありますとか、或いは共済組合負担金増加でありますとか、そういう給与基本給増加伴つて変動する額でございます。それで一番右の合計額は、予算におきましては、一番右の上から四行目にございます通り、五百七十一億八千九百十九万三千円でございましたが、今度の調停案を実施しますために要する経費は、御承知通り損益勘定工事勘定中間勘定等でございますが、それを合計いたしまして百七十二億一千七百七十二万一千円でございますが、そのうち損益勘定が百四十億三千七百万何がしでございまして、以前百六十三億と申しておりましたものは、この百四十億にその三段目の二十六億という中間勘定の殆んど大部分が損益勘定ということになります。中間勘定は御承知通り、結局は親勘定である損益勘定とそれから資産勘定附替えになりますが、その損益勘定負担額が二十三億ばかりでございますので、これを合計いたしますと、結局終局において損益勘定としては百六十三億ということになるのでございますが、人員を三つの勘定でそれぞれ支弁いたしておりますので、その勘定ごと人員に要する経費を書上げますと、損益勘定は百四十億、工事勘定が五億、その他の中間勘定が二十六億合計百七十二億、こういうことになるのでございます。それに対しましてこの内容は申上げるまでもなく、人員を一番左の上に書いてあります通り損益三十八万、工事が一万二千、中間六万八千、合計四十六万八千の平均人員を擁するに必要な給与総額からすでに予算に計上されたものを差引きまして、これだけ追加しなければそれだけの給与が払えないという額でございます。それに対しまして、第三段の査定額と申しますのは、合計七十六億九千七百万円でございまして、その内容は千五百円を十月一日以降べース・アップして、それからそれに半ヵ月分の年末手当を支給する、こういう大蔵省考え方によつて計算されたものが七十六億九千七百万円。その次の欄の復活要求額というのは八月一日以降二千四百円をべース・アップするに要する額でございます。財源がないから八月一日からは是非べース・アップしたいということで要求した額でございます。最後の欄の三十七億八千万円いうのは大蔵省の案と私ども復活要求しました案との差額でございます。
  4. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと三木さんにお尋ねしますが、この復活要求額というのは、趣旨は査定額も含めたものなんですか。
  5. 三木正

    参考人三木正君) そうでございます。
  6. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 御質問ありませんか。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今度の調停額でもつてお聞きしたいのは、調停額従事員給与ベース考えた場合に、現在の加入に対して人件費がどれくらいの割合になるでしようか。それが年度初めに見込まれましたのとどの程度割合になるか。もう一度くだいて言いますと、今の収入決算見込額というものに対して年度初めに予算をお組になつた場合と、現在との営業収入割合はどれくらいになるかということです。その場合に年度初めの人件費営業費中に占める割合が、それが今度調停額をそのまま実施されると営業収入割合がどれくらいになつて営業費中占める人件費割合がどれくらいになつて来るか。そういう調べがあるだろうと思いますが、その点お示し願えないでしようか。
  8. 三木正

    参考人三木正君) 収支に対してでございますか。営業費中占める割合でございますか。
  9. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どつちでもあなた方のお手許にある資料でよろしいのですが、あなたの方では恐らく収入に対する営業費考えているだろうと思います。営業費中占める人件費考えておられる、こう思うから二番目にそういう数字でも結構ですと、こう申上げているのです。
  10. 三木正

    参考人三木正君) 只今計算いたしております。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それでは年度初めと比較してどうですか。
  12. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 計算中ほかに御質問があれば……。
  13. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 御計算なつたものがないですか。
  14. 三木正

    参考人三木正君) 年度初めでは四三%だつたのですが、まだ今度の分は計算しておりませんから、復活要求案を一遍計算させて頂きたいと思います。
  15. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 調停額を実施したら一体どれくらいの割合になるか。つまりあなた方のほうの営業、コーポレーションとしての管理、運営から見ますと、大体収入がどれくらいで、それに対して営業費がどれくらいだということが一つ事業判定の、基礎になるだろう。それでもつて予算というものが或る程度大枠がきめられる。併し収入見込額は変つて来ていますね、収入見込額が変つて来た。営業費の方も変つて来ているだろうと思うのです。それが変つて来た状況と、営業費中占める人件費割合でも、収入に対する割合でもよいのですが、営業費中占める割合が当初の予算においてどれくらいを予想されているか。それを現在の状況でいえば営業費中占める人件費割合がどれくらいに変つて来たか。殊に調停額を実施すればどれくらいになるか。これは当然調停額に対して大体それを呑んで行くか、行かないかというときに、経営的に見た大きな枠の判定があるはずです。そういうことは当然考えておられると思うのです。こう私は考えるので御質問したのです。
  16. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 計算以外のことで何か……。
  17. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それでは第二段に、その数字は別にお示し願うものとして、第二段に今国鉄当局としては運賃値上げをお考えになつているように聞いているわけです。そうして運賃値上げをお考えになつている場合に、この調停額を大体実施することも考えつつされているのか。で運賃値上げ割合によつて調停額を実施される意向がないのかどうか。或いは運賃値上げの率如何に関せず調停額を受理されて平均給の増額をおやりになる意思があるのかどうか、この点お聞きしたい。  それから調停額調停案によれば大体四月一日からするという考え方を一応呑まれたはずだ。それに対して今お示になつたものでは八月一日以降実施しようというお考えがあるように思う。先ほどの質問と関連して来るかも知れませんが、その八月一日以降実施されようとする考え方はどこにあるのか。これを国鉄財政上恐らく考慮されたのだろうと思うのですが、そういう点を明らかにして頂きたい。
  18. 三木正

    参考人三木正君) 物価値上りも非常に御承知通り高うございますし、同時に物価値上げに伴う生計費増加、それによつて調停案も示されたと思うのですが、そういうものを履行するためには現在の運賃を以てしてはどうしても運営収入を以て支出を賄つて行くことはできないのでございます。それで是非運賃値上げをして頂きたい、こういう何をしているのでありますが、その赤字運賃値上げによらないでも或いは政府方針によつて、或いは補給金なり或いは借入金というようなこともあり得るかと思いますが、私どもといたしましては正当な原価を償う運賃を頂きたい、運賃値上げをしてそうして正常な経営をしたいということを考えておるのでありまして、値上げにならなかつたらどうするかということは考えておりませんので、上げて頂きたいとかように考えているのであります。  それから四月一日からできればという考えを持つておりたのでありますが、運賃値上げは御承知通り法律改正をすると申しますか、いくら早い機会に御了解を得ましても或る時期でなければできない。ところが物価は四月からすでに上つております。給与も四月から上げるとしますと当然平年度コストをカバーするような運賃を頂くということにしますれば、本年はそれだけ赤字が出ることは当然でございます。それでその赤字を我々としては収入によつて経費を賄つて行きたいと考えておるのでありますが、そういう特殊な非常にコストが上つているにかかわらずそれだけの運賃が頂けなかつたことに基因する赤字は、何かの方法で政府から補填して頂くようなこともお願いしたいのでありますが、そういう点は非常に困難なお示しを受けましたので、今年の特殊事情としては四月一日まで遡らないでも、八月くらいからべース・アップすることによつて、示された調停の完全な履行ではないかも知れませんが尊重してそれが実現に努力するという御回答を申上げたことと合致しますし、それから又値上げが遅れて今年苦しい営業をしなければならん事態にあつてはそれが穏当な方策だと思うと、こういうような考えで八月一日からベースアップということで主張しているようなわけであります。
  19. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大体の方向はわかるのですが、その運賃値上げがないということは予想されておらない。運賃値上げの率というものが変り得る場合が内閣の政策としてあり得ることはお認めになつておるとこういうように考えるが、それがどういう率になろうがこの調停を実施するのはするのだという御決心かどうか。問題は、これは政務次官が今日おいでになるから、私は本年度予算のときからこの予算は実施できませんよということを申上げたのです。それに伴つて鉄道予算の変改はあり得る。政務次官の御答弁を想起すればもつと景気のいいいろいろな諸施策をおやりになることは言われておつたのです。それは今ここで繰返して言うことはしませんが、ともかくも我我が果然予想したごとき状態になつて参つたということだけは確かです。だから問題は、私がさつき率を聞いたのも、結局物価値上りその他というもののありふりで、人件費の占める割合が圧縮されて来るのじやないか。そうして運賃値上げの場合にその調整がうまく行かなければそれがやはりここへ圧縮されて来るのじやないか。そういうものを数字的に知りたかつたから御説明を願つたりであります。  重ねて最後に、余り私がしやべるのはどうかと思います。あと大きな問題がありますからこれでとどめますが。一応当局としてはこの運賃改正が意図通りできなくても、調停案の実施についての実現に努力する御決心でおられるのか、それだけお聞きしたい。
  20. 關谷勝利

    説明員關谷勝利君) 大体平年度におきましては、運賃値上げは現在考えておりまする程度のものなら十分やれるという見込を持つておりますが、今年は運賃値上げが遅れましたので、非常にそういうことが苦しいのでありますが、大体運賃値上率がどういうふうになりましても、調停案実現するための努力をいたしたいと思つております。
  21. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 重ねてお願いしておきますが、数字を見て更に御質問いたしますが、ずつと国有鉄道の最近、戦後の情勢を見て参りますと、人件費割合というものには常にしわ寄せされて参つておることは明らかな事実であります。これは数字を拾えばすぐわかる。今度の場合にもどうかお願いしておくことは、すべてのしわ寄せが人件費に参らないようになつて、初めて今政務次官が今おつしやることが事実として証明される。お口でおつしやつて数字が裏切つていればごれは別な問題になりますから、その点はぜひ私として御注意をお願いしておきたいと思います。
  22. 中村正雄

    委員長中村正雄君) その数字はできておりますか。
  23. 三木正

    参考人三木正君) 精算はいたしませんが、物価高による経費の今要求しておる額と、この人件費増加額とを元の率に加えましてやりますと、経営費の中で占める率は四〇%余りということになります。
  24. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 余り数字をお出しになりましたので、いよいよ私の言つたことが立証されたというような気がするのです。従来二十五年度予算において国有鉄道は初めての営業成績関係が黒字が出た年であります。そのときに営業費人件費占むる割合は四三・七%、そして物件費は五六・三です。そうするとこれが人件費割合が四〇%になつて参りますると、数字による比重的に見ますと人件費が一番軽くなる、こういう結果が現われるわけです。まあ精算なすつた結果によつて、それから今申上げたいろいろな指数数字の上に立つてもう一遍お聞きしなくちやならんと思いますが、今おつしやつただけで言うとそういう観点になるということを申上げるのであります。
  25. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ほかにありませんか。なければ一応委員長から御質問いたしたいと思いますが、今度の給与改訂もやはり帰するところは補正予算にかかつていると思うわけで、給与だけの補正予算では全体が睨めないのでありますが、第一次の補正要求しました場合、平年度を標準にしてなさつておるということになれば、本年度はやはりどこかに穴があるわけですが、第一次の補正要求しましたときの財源をどこにお求めになつておるか、これをお聞きしたいと思います。
  26. 三木正

    参考人三木正君) 一つは何と申しますか、インヴェントリー・プロフィットと申しますか、持越資材の喰い潰しであります。つまり百億余り資材を持つて越したわけでございますが、それは安い単価で仕入れたものでございますから、それを元の単価で払出して参りますと、そこにそれだけの、平年度より今年からはもう高いものを買つて行かなければなりませんけれども、買つたものは安いから、それを喰い潰そう。実際は併し無駄なものを持つておるわけで、ございませんから、この年末にはこれだけの品物を持とうというと、百億に相当した品物を持つためには、七割七分値上げするとしますと百七十七億の金が要るわけでございますが、この七十七億の金の出場はないわけですけれども、それをそういうものの食い潰しを一部五十億ほどいたしたいと思つております。そうしてその持越資材補填に要する金は、経営合理化によりまして、手持の資材を減すことと、更には未収金の額を減らして現金を物に換える考え方と、その二つの点を強力に遂行して何とかやつて行きたいということで五十億をそれに計上いたしております。まあこれに対しては非常に方々で異論はあるのでございますが、今年のこういう条件においてはそういうやりくりもいたし方ないのじやないかと思つております。もう一つは前年度過剰金が三十億余りございますが、実際は、それも会計学上いろいろ何はあると思いますが、とにかく資金からできる金が三十八億ございますので、本年度赤字補填に使つて行きたいと思つております。  もう一つ経費の中には減価償却に該当します特別補充取替費の財源が一部見込んでございます。その分を平年計算において平年度において、今年よりもなお七十億ほど増加したい、こういうことを考えておるわけですが、それが運賃値上げによつて半年分入りますと三十億余りになるわけですからそれを充てたい。  もう一つは上期の石炭は六千二百カロリー、三千五百七十円ばかりで大体その程度で契約して現在の炭を使つておるわけでございますが、下期はこの運賃なり、予算なりのこれまで出しました指数には、それより更に八百円値上げの四千三百七十円というので要求しておつたわけであります。だから来年もその程度になるだろうということで運賃が見てございますから、上期に使います石炭がそれだけ安く入つておることによる差額が、二百五十万トンの八百円としますと二十億ですか、十九億ほどです。そういうものを使つて行きたいと思つております。
  27. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それ以外に大本の運賃値上げがあるのじやないですか。
  28. 三木正

    参考人三木正君) それともう一つベースアップを七月一日からでなしに八月一日からにして頂くということによつて年度計算に……。
  29. 中村正雄

    委員長中村正雄君) いや、私の申上げておりますのは、昭和二十六年度補正財源ですから、今おつしやつた以外に根本の運賃値上げ財源があるのじやないですか。その見込額を聞きたい。
  30. 三木正

    参考人三木正君) 十一月から三割五分値上げして頂きますと、大体二百十二億の増収があるわけです。
  31. 中村正雄

    委員長中村正雄君) すると合計補正額というのはいくらになるのですか。最初昭和二十六年度補正として要求されました全部の補正額、いわゆる不足の額はいくらになるのですか。
  32. 三木正

    参考人三木正君) 不足額といたしましては不足額が五百六十三億。併しそれは元の予算に対しまして五百六十三億の不足ですが、原予算に対しては同時に収入の面でも増加がありましてそういうものを差引きますと四百十五億くらいの不足になる。百三十七億くらいの増収額見込まれて四百十五億くらいの不足……。
  33. 中村正雄

    委員長中村正雄君) そうしますと、第一次の補正要求しましたときは一文の借入金もなくてバランスがとれていたわけですか。
  34. 三木正

    参考人三木正君) そのほかに、それは只今申しましたのは損益勘定でありまして、補正要求いたしました当時は、先ほど申しました特別補充取替費に当てるものは工事勘定に使うように考えておつたのですが、そうしまして工事勘定のほうの増加を二百五十七億要求しまして、そのうち前年度過剰金、或いは損益勘定からの補充三十七億と、前年度過剰金三十八億と、七十億を差引きました百八十億を借入れたいというふうに考えておつたのでありますが、借入金の枠が非常に圧縮されると同時にこの二十六年度損益勘定補填額も残り薄でありましたので、そういう特別補充取替費であるとか前年度過剰金というものを全部損益勘定赤字補填に廻してしまいましたので、工事勘定としては全額を借入金によらなければいけないと、こういうことになつて来ております。
  35. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に査定額して大蔵省の第一次のが来ておりますね。それに対して八月一日から給与については二千四百円という復活要求をされましたとき、これは給与だけでなくしてすべての査定が来ておるわけですが、復活要求を出しましたときの財源と、第一次の補正要求をしましたときの財源とどういう変更があるわけですか。もつと詳細にお聞きしますと、恐らく財源の面でいろいろ査定をやられておると思うのですが、補正要求をしましたときの財源で認められなかつた財源というものはどういう点なんですか。又それに対しまして復活要求したときには、財源の面において何らかの意思表示があると思いますが、この点だけは確実だというので、恐らく財源を示しておると思うので、その点をお聞きしたい。
  36. 三木正

    参考人三木正君) 最初補正予算要求をいたしました際は、先ほど申しました通り年度剰余金並びに今年度の下半期の運賃値上げをして頂きまして、そのうちに運賃によつて回収されるべき特別補充取替費の三十七億と、前年度過剰金三十八億、こういうものを本来の性質である工事勘定に使うようにいたしておりましたために約二百十五億の不足見込まれておつたのでありますが、それをそういう七十数億の金を工事勘定資金にしないで損益勘定赤字補填に充てる、或いはベースアップの百七十二億を百十四億に、約五十億の金を浮かす、更に増収額をその後の情勢を見て更に四十億ばかりを計上する、そういうようなことを今考え折衝中であります。
  37. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 最後にお聞きしますが、復活要求をなさつておるわけなんですが、この復活要求は相当自信を持つてやられておると思いますが、これに対しまして大蔵省との交渉の経過なり、或いは財源の面及び大体の見通上等について、この委員会で御答弁願えるかどうか。都合によつて秘密会にしてもいいのですが、はつきりした肚をお聞きできるかどうか。一応お聞きしたいのです。
  38. 三木正

    参考人三木正君) 只今折衝中でありまして、見通しというようなものを申上げる域に達していないと思います。
  39. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 外にありませんか。
  40. 赤松常子

    赤松常子君 最後一つお尋ねしたいのですけれども、いろいろ運賃値上げが計画されておるようでございますが、いつ頃からどの程度に上がるのか。その準備をどの程度になされておりましようか。お伺いいたします。
  41. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 運賃値上げにつきましては、国鉄から旅客、貨物とも三割五分値上げという申請が本省に出ておるようであります。運輸省といたしましては、運輸審議会の諮問にかけまして、運輸審議会は先般九月十二日から四日間に亘つて公聴会を開催いたしまして、広く各方面意見を聞いておるのでございます。その結果に基きまして、運輸審議会は恐らくこの最近の機会運輸大臣に宛てて運賃値上げ答申をいたすと思うのでございますが、その値上率が如何ほどの答申になるかということは、これは運輸審議会の自主的な決定に待つことになつております。私どもとしましては、窺い知るわけにいかないのでありますが、併しながら勿論国鉄申請は三割五分でありますからそれをまあ妥当なりとするか、或いは多少それに査定を加えるかということで以て答申があるかと思うのでございます。この答申がございますれば、運輸省といたしましては運輸審議会答申を尊重いたしまして政府意見と一致さす、政府意見というものをきめて頂くことに相成るのであります。この政府意見をきめますのには補正予算の問題と関連いたしておりますので、それが確定いたしますのは補正予算決定いたすとほぼ同時であろうかと思うのでございます。それに基きまして運賃法改正案を作りまして所要の手続をいたしまして、国会の御審議を仰ぐわけでございます。国会におかれまして国鉄財政の緊迫を御推察願いまして、御審議を相当急いでやつて頂くことが願えれば比較的早く法案の成立を見るかと思います。法案が成立いたしさえすれば直ちに実施いたしたい。かように考えておりますが、只今のところ補正予算決定及び国会における御審議等を勘案いたしますれば、当初の予定の通り十一月一日から実施いたしますことにいたしましても相当急がなければならんかと思つております。併しながら十一月一日から実施いたさなければ又財政収入国鉄財政に穴があくわけでございまして、非常に苦慮いたしておる次第でございます。
  42. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 国鉄の賃金問題に関しましての議題はこの程度打切つて次議題に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕   —————————————
  43. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では只今から労働省機構改革並びに人員整理等に関します件を議題といたします。一応最初労働大臣から今問題になつておりまする労働省機構改革並びにこれに関しまする労働省内におきまする人員整理等に関しまする労働大臣のお考えをお聞きすることにいたします。
  44. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 只今委員長よりお話のことにつきましては、機構改革人員整理ともに目下政府全体の懸案として緊急検討を重ねておる段階でございまして、いずれも申上げるようなまだ結論は出ていないのであります。殊に機構改革については、私どもまだ何にも承知しておりませんから申上げる材料はございません。
  45. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 現在一番問題になつておりまするのが婦人少年局の廃止、労働基準局の減員、これが大きな問題になつて方面から陳情請願等も来ているわけなんですが、一応政府方針がきまつておらないということになればやむを得ませんが、労働大臣としまして、こういう現在伝えられております方向に対しまして、どういうお考えを持つておられるか、この点につきまして労働大臣としての所見をお伺いします。
  46. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 只今委員長のお話に、ございました婦人少年局の問題につきましては、先般から私当委員会におきましても申上げておりますような考えを以ちまして、婦人行政の機関はもつと充実されなければならんという考えは一貫して持つております。基準局の人員整理というお話でございますが、基準局を特にとり上げて人員整理をするというような考え方忙全然政府にはございません。
  47. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では、実は本日労働省機構改革等が問題になつておりますので、行政管理庁の次長が出席する予定になつておりますがまだ見えませんので、その前に本日御出席願いました参考人のかたにこういう問題についての御意見を聞きたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 赤松常子

    赤松常子君 ちよつとその前に行政管理庁の当局は何時頃にここへ見えるのでしようか。
  49. 中村正雄

    委員長中村正雄君) もう十分したら見えるということなんですが。
  50. 赤松常子

    赤松常子君 そのかたに参考人意見を聞いて頂きたいと思いますのでちよつと御出席を待つて頂きたいと思います。それから早く催促して頂きたいと思います。
  51. 中村正雄

    委員長中村正雄君) じや行政管理庁の次長が参りまして労働省に関係しまする機構改革等の説明を聞いた上で、参考人の御意見を聞くということに変更して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ではそれまでに労働大臣に御質問がありましたらどうぞ。発言を許します。
  53. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 時間待ちで恐縮ですが、婦人少年局のことは今大臣からお話がありまして、もつと拡充したいというお話でありますからこれはぼつぼつ伺うといたしまして基準監督署の減員について何か下準備をせいというようなことを地方の監督署に指示されたことがございますか。
  54. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私の関します限りは私は一切関知いたしません。
  55. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 大臣以外のところからそれでは役所のほうでそういうことを指示されたことはありますか。
  56. 亀井光

    説明員(亀井光君) 特別な指示は、ございません。ただ局長あたりが私どもに参りました際に、或いはそういう事態になる可能性もあるかも知れないということは申上げております。
  57. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 それでは労働省としてのきまつた意見ではなしに、ひよつとすると減らされるかも知れないから準備せい……、五割ぐらい減員する準備をしたらどうだというようなことはこれは勝手に地方が言つているのでございますね。
  58. 亀井光

    説明員(亀井光君) 五割という数字を出したことは絶対にございません。地方が恐らく新聞等で聞いた情報でしようが、とにかくそういうことで言つているのじやないかと思います。
  59. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは新聞に出ておりますと、本省のほうでお取消しになりませんと、大分地方の出先では心配をして、それでなくてさえ基準監督行政というものが予算人員のために十分定期監督さえ行われていない現状にあります。而もそういうときに本省では全然お考えになつていないとか、新聞に出るとか、或いは上京して来た場合に本省の有力な人から、それを何かほのめかすような話などを聞いて非常な不安が起つておることは、これは事実であります。でありますからこういう不安を解消する何らかの方法をおとりになる必要が、私はあるのじやないかと思うのです。今朝の新聞を見ますと、これはまだ本きまりじやないとの断わりはありますけれども労働省関係でも何か一四%くらいの減員、削減がよりより協議されているらしいのでいよいよ来たという感じを持たれて、基準監督行政というものをそのために怠るというようなことになると非常に重大だと思いますから、この機会一つ当局のお考えを承わつておきたいと思います。
  60. 亀井光

    説明員(亀井光君) この行政整理の経過におきまして、地方の職員のこれに対する危惧の念と申しまするか心配から、行政の能率の落ちますることは、我々が一番心配いたしておるところでございまして、この点につきましても、地方の局長あたりが上京しまして私お会いをするときには、常にそのことを注意をいたして参つて来ておるのでございまするが、今後まだ最終決定までの段階におきましても十分注意を促したい、かように思つておる次第であります。
  61. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 なお昨日も当委員会で、中山中労委員長もこの基準法の改悪といいますか、改悪をやるよりも基準監督官の数が減るということのほうが法律をなくするのにも等しい逆効果を生むというような証言がございました。で行政機構の改革に伴う人員整理についていろいろまあ政府ではお考えになつておるようでありますが、特にこの国際法的性格と貿易を以て将来立たなければならん日本の産業に与える影響もあつて、基準監督行政というものは甚だ重要な関係がありますから、私どもとしては意見がございますが、今政府で進められておるような機構改革及びその人員整理等についても、なお本省としてはこの基準監督行政方面については一段の御考慮を煩わしたいと思うのですが、これについて一つ大臣の御所見を承わりたい。
  62. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先ほど来の基準関係の人員整理の問題で、何か五割も減らすんじやないかというような不安が地方において持たれておるというような御指摘の点、実は私もそう感じておりました。かなりたくさんの葉書等も頂いていずれもそれは、五割整理絶対反対というようなことで、これはどうして一体そういう不安が喚び起されたのかということを考えておりますけれども、私はこの席を借りて甚だ鵯縮でございますけれども、先ほど申しますように基準行政の関係を狙い打らして、今回の行政整理に便乗して、これに狙い打ちをかけるというようなことは政府としては何も考えていない。従つて無論行政改革の全体の線の埒外に立つということは、これは困難であろうと思いますが、この以上の例外的な措置を基準関係においてとる、むしろ私は例外的には低い線をとつて参らなければならんと考えておるわけでございまして、そういうことのために只今努力いたしておるわけであります。併し何ほどかの整理は、今回の行政整理の趣意から申しましても免れ得ないと存じます。併しながらお話のようにこの基準行政というものは、今後の貿易国を推進して参ります上に非常に重大な関係を持つておることは御指摘の通りでありまして、私も十分そのことは承知をいたしておりますから、この運営の面において改善いたすべきものを改善いたして、支障のないようにやつて行かなければならない、そういう考で今後処して行きたいと思います。
  63. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この労働基準法の改正ということが問題になりまして、政令諮問委員会から答申があつたの機会にして、いろいろ国内の民主的な労働組合なりから非常な反対運動が起つて参りまして、経営者団体からもそれぞれ意見の統一をして政府への申出などもあるように聞いております。そこで政府は最近基準審議委員会に大臣から御諮問になりましたことは承知いたしましたが、何とかこういう国内に紛争を巻き起すような法律改正はあまり行わないで、実質的には基準監督官をこの機会に減員をして、実際上労働基準法というものが死文になつて行くようなことを狙つておるんじやなとかというような声さえも実は一部に聞くのであります。そういうことのないことを、今大臣の御決心を承わりまして、非常に意を強くするわけでありますが、折角まあ今後の問題でありまするから、政府部内におきまして御検討をお願いしておきます。
  64. 赤松常子

    赤松常子君 昨日中山先生から伺いましたことでございますが、今度政令諮問委員会答申の中における労働三法に関するいろいろな審議をなさつて、それをおまとめになつたそうでございますが、原案の中に労働三法を適用される側の声というものが一つも盛り込まれなかつたということを聞いて、甚だ私は残念に思つたわけでございます。そういう諮問委員会答申に則つて、労働者でいろいろと御審議をお進めになつていらつしやるそうでございますが、その御審議をお進めになる際に、今申上げましたように適用を受けている者の声というものは、どういう方法でおとり入れになるおつもりでしようか。それができてから公聴会にかけるというふうなお考えでございましようか。それをちよつとお伺いしたいと存じます。公聴会にかける前の、原素をお作りになるときに、三法を適用されておる側の声をどの程度お聞きになるつもりか、どういう御趣意があるか、それから伺いたいのです。
  65. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これは前回の労働委員会のときに、堀木委員から強い御注意を頂いておつたわけであります。この労働三法の関係につきましては、まあできるだけ早い機会に、今日におきましてはそう申上げができるだけ早い機会に、只今赤松委員の言われるような御意見に応じ得るような形を持つ審議会と申しますか、委員会と申しますか、そういうものを作りまして、そして自由に一つ議論をして頂いて適切な方途を見出してもらいたい、こういうふうに考えております。
  66. 赤松常子

    赤松常子君 そういうお考えがどの程度までおありになるのか、それをこう具体的にどういうふうになさろうとするか、もつとご意見ございませんでしようか。ただそうしたいとおつしやるだけでなく。
  67. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) でき得べくんば労使及び中立の三者構成を以て審議会を構成して参りたい。そしてこの審議会は何らの前提を置かず、併しながら前回も申上げましたように、すでに総理大臣の答申も非公式ながら出ております、例の委員会答申もございますからこれらを重要題目として御審議を願つて進めて頂いたならば然るべき一結論が出て来るのじやないか、こういうふうに考えております。
  68. 赤松常子

    赤松常子君 それから公聴会におかけになるわけですね、改めて。私はその原案をお作りになる際に勤労者側の意見を織込んで頂きたいのです。
  69. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 労働者側の意見が十分に暢達せられますように審議会の構成において十分考えて参りたい思といます。
  70. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつとお諮りしますが、委員外の発言として深川君、奥君、高田君から発言を求められておりますが許可して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では時間の関係もありますのでできるだけ簡単に、五分程度を目標にして進めて頂きたいと思います。  順序として深川君。
  72. 深川タマヱ

    ○委員外議員(深川タマヱ君) 大臣にお尋ねいたします。今朝の新聞によりますと行政整理の案は、大体今週中決定してしまうというふうに出ておりましたにもかかわらず、その衝に当つておられる大臣として、この段階に来てなお且つ日本の婦人行政の機関はもつと充実せねばならないと考えていると、こういう御答弁でございましたが、してみますと、大体日本の婦人少年局は今回の行政整理に当りましては、現状維持をするものと考えて間違い、ございませんでしようか。ちよつと意見を附加えますと、いろいろ各方面意見はあるようでございますけれども、衆議院の分野から考えてみましても、大体総理大臣が署名しておいでになりました条約の批准は通過するものと私たちは考えるのでございますけれども、その結果は当然各方面の国民の負担は膨脹いたしますので、無駄な仕事をしている人があるといたしますならば、行政整理止むを得ないと考えるのですけれども、一率ではなくやはり必要な所へは却つて増員しなければならない方面もあると考えておりますときに、丁度日本の婦人行政の機関をもつと充実させなければならないと考えておると大臣が言われますので、婦人行政に関して誠に進歩的な意見を持つていて下さることを喜んでおるけれども、元に帰りまして大体今回の行政整理では婦人少年局は現状を維持するもの或いは増員されるものと考えて間違いございませんでしようか。
  73. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先ほど来申しますように、只今全然決定に至つておりませんから、増員せられるとも減員せられるともはつきり申上げることはできません
  74. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に高田君。
  75. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) 大臣にお尋ねいたしますが、労働省機構改革についてはまだ成案が出ておらないというお話でございますが、併しこれについて相当研究検討中である、こういう御答弁であつたようでございますが、その検討或いは研究するに際しましては、何らかの基本的な構想がなければならないと私は考えるのでありますが、その機構改革に対する労働省の最も基本的な方針というものをこの際はつきりと伺つて置きたいと思うのであります。それが第一点であります。
  76. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 何か私が機構改革考えているようなお話ですけれども、私は実は労働省はもつと変えて行かなければならないという考えは実は持たないのです。でき得べくんば現状で結構だ、こう考えております。併し行政機構改革というのは今取上げておりますのは、行政管理庁でいろいろの考えを研究しておると思うのです。それもまだ併し政府全体の何と申しますか、閣議の議題になるところまで来ておらないわけでございます。従つてどういうことが考えられておるか、私は先ほども委員長に申上げましたように、何にも聞いておらないのでございますから、いろいろの何が出ております。例えば政令諮問委員会の田中試案、答申と申しますか、ああいうのでいろいろ取沙汰が行われておりますけれども、それは今日の正式の議題に私どもとして取上げていないわけでございますから、これで一つ御了解を得るほかなかろうと思います。
  77. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) 御答弁の趣旨は尤もだと思うわけでありますが、併しあなたも一国の労働大臣として全体の機構改革に対して、労働省はかくかくの主張を持つている大臣としては、この改革に対して労働省の内部においてはかくなければならないという、やはり基本的な考えを持つておられると思う。機構改革に対しては、全体の縮小ということが一応表面に浮んで来ておる以上は、やはり労働大臣としてはここの線までこうしなければならないという最後の線、そういう線はやはり私はお持ちになつていらつしやると思うのです。私はあなたが何も機構改革をなさる役人だというような考えを持つて聞いておるのではなくて、大臣としてかくなければならないというような基本的な考えを私は伺いたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  78. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 現状において結構だと考えております。
  79. 高田なほ子

    ○委員外議員(高田なほ子君) 現状の主張をお通しになる、このようなお話でございます。そうしますと、今度の婦人行政の機関については更に拡充しなければならないという、現状維持から更に一歩出た御主張を持つておられるようでございます。この点は前発言者の深川タマヱさんと同じように私も又敬意を表するものでございます。併しながら今までの婦人行政が、あなたが今日只今ここで主張なさつたごとくに熱意があるものであるとするならば、過去においては婦人少年局の廃止論というような問題は出るはずはなかつたであろうし、又国家予算においても二十五年度よりも更に二十六年度は縮小されて出て来るというようなこともなかつたであろうし、又人員がこれによつて削減されるというような附帯的な事実も出て来なかつたと思うのであります。従つて大臣は婦人行政の機関はもつと充実されなければならないというこの御主張は、過失におけるこの実際との矛盾というものをどのように一体大臣はお考えになられるか、この点を質問いたします。
  80. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 過去の婦人少年局廃止論がどういう理由で起きて来たのか私はつまびらかにいたしません。予算の問題についには前国会当時、前々国会当時に申上げました通りでございます。婦人問題を取扱う国の行政機関として現在の機構で十分であるかどうかという上に立ちますと、私はもう少し考えを改めていいじやないかと思う点がないではございません。そういう意味合におきまして、婦人全般の問題に関する行政機関として、でき得べくんば何らかもう少し充実と申しますか、大事に取扱うような形が私は欲しいと、そういう意味で今努力はいたしております。努力はいたしておりますが何しろ先ほど深川委員もお話のような事情のときでございますから、これが十分達成できますかどうか、これは無論はつきり申上げることはできませんけれども、私としては一つ力を入れてみたいと考えております。
  81. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 時間が過ぎておりますので、あとのかたが見えておりますので一応打切つてあと時間がありますれば質疑を許しますから又お願いいたします。奥君に発言を許しますが、一応時間の関係がありますので五分程度質問願いたいと思います。
  82. 奥むめお

    ○委員外議員(奥むめお君) ちよつと遅くなりましたので、前にどういう御質問が出ておりましたか存じませんのでございますが、伝えられるところによりますと、政府は今度行政整理でいろいろ機構の改革をなさいますようでございますが、その中で半数の婦人の問題、又多くの子供の問題というものは、民主社会になりましてからの新らしい日本の進み方の一番の基礎の石を築いたともいうべき仕事が婦人少年局つたと思うのでございます。で昨年もこの予算が削られまして、そしてほかの労働省関係の予算は殖えましたのにかかわらず、婦人少年局関係の予算が大幅に削られました。私ども非常にこれに対しては反対もいたしましたし誠に遺憾に思つたのでございますが、再びこの問題が今整理の対象に取上げられておるように伝えられておるのでございますが、そういう問題についての御質問はもう出尽したかと思いますが、それにつきまして今の政府の整理の在り方というものについてお伺いしたい。で、私どもから言えばどういう観点で整理をなさるか。ただ予算を削らなければならないから整理をするという考え方もありましようし、必要でないものを削る、必要であるものを活かすと、考え事がいろいろあると思うのでございますが、この婦人少年局に関連して御答弁を願いたいのは、婦人少年局の問題を取上げられていらつしやるという立場は、そういう仕事は必要でないというお見通しでおやめになるつもりであるか。又予算をお削りになる等の問題も併せて伺いたいと思います。
  83. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 今回政府の企図いたしております行政改革は、この大幅に国力が減退をして、而も困難な国民経済の前に立つて、どうして今後の日本の再建、発展を図つて行くべきかという上から、しばしば総理大臣が国会において言明になつておられますように、国の及び地方の行政事務をできるだけ一つ簡素にして、無論無用の事務というものがあろうはずはございませんけれども省けるだけ一つ省いて、そうしてその省いた陣容の上に立つて十分に検討をいたし、できる限り正面から事務の整理をいたし、それに伴い人員の整理をいたしそうして国民負担の軽減を図つて行きたい。こういう考えの上に企図せられて只今検討いたしておるわけであります。お話の婦人行政の面につきましては、私ども全く同感でございまして、できるだけ……、婦人行政の面が今日まで長い聞等閑に付されておつたということは事実でございます。今後といえどもこの婦人問題の行政というものはできるだけ充実して行く方向に向けなければならん。ただ併し全体の大きい、そういう国全体の運営の上から来ます行政の組織と申しますか、事務の上から、できるだけ事務は省いて行くようにしなければならんというこの大きな建前からは、何ほどかの犠牲と申しますか、整理と申しますか、止むを得ないと考えます。考え方としましてはともかくも、婦人、少年の問題というものは民主化を推進して参ります上から申しましても極めて大切なことであると考えます。できるだけ努力をいたしたいと思います。
  84. 奥むめお

    ○委員外議員(奥むめお君) 今大臣は国力の減退をまあ何とか強く回復しなければならん、これを強めなければならないという立場で考えて行くという御意見でございましたけれども、一番初めそうおつしやつたけれども、その国力を強くすると、予算の面からはいろいろ整理なさるという問題についてこういうあり方というものは、例えば家が大変苦しいから何とか立て直さなければならないから、成るべく食う物を減らさなければならんから、女房も離婚しようじやないか、子供も出て行つてもらおうじやないかと、こういう力というものは一番家族、家庭の再建には一番有力な力になるものなんですけれども、それをもつと強めるという立場でなしに、それを外す立場というものは私どうかと思いますが、如何でございますか。
  85. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 国力を強めるためにというのは国力にふさわしい国民負担の、国民の負担力と見合つた行政組織を持つべきではないかという考えの上に立つて、今回の行政改革というものは企図せられておる。こういうふうに申上げておるわけであります。国力を強めるということが間接にはそういうことになるか知れませんが、併し当面はとにかくここまで落ちておる国でありますから、行政組織の面においても、国力にふさわしいところに、まあ要するに貧乏世帯は貧乏世帯の恰好で行こうじやないかというところに狙いがあると思います。又そうするのが本当じやないかと思います。
  86. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 行政管理庁の大野木君が出席しましたので、労働省関係の質問はあと廻わしにいたしまして、大野木君の発言を求めたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では行政管理庁の大野木君に発言をお願いするわけですが、大体今問題になつております行政機構の改革、並びに人員整理等に関する政府方針と、それから労働省に関係いたしまする機構改革人員整理等について政府方針を発言願いたいと思います。
  88. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 今回の行政機構並びに人員の縮減の問題につきましては、その目的その他の点につきましては只今労働大臣から御説明のありました通りでございまして、事務的には先般御承知のような、普通政令諮問委員会といつております委員会のほうから行政改革に対する答申がございまして、その答申を参考といたしまして去る二十八日の閣議の決定の線によりまして、機構の面につきましては橋本国務大臣の下で、人員の点につきましては行政簡素化本部というものがこの閣議決定によつて設けられまして、その簡素化本部で只今申上げました答申を参考といたしまして案を作り、各省からそれぞれ御意見を伺つて案を練りまして、これを目下閣僚の懇談会で検討せられておるという段階でございます。機構人員ともにまだ検討中の段階でございますので、甚だ恐縮でございますけれども、今どうなつておるということを具体的に申上げる段階に至つておりません。
  89. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 大野木君に再度発言を求めたいわけですが、最後決定はできていないかもわかりませんが、新聞等にはそれぞれ発表になつておる。一応これは政府方面から何らか洩れなければ新聞にも書けないわけでありまして、従つて最後決定ではなくても現在の構想について、或いは経過について発言できる範囲内でひとつ御答弁願いたいと思います。
  90. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) ちよつと管理庁の御発言の前に、今委員長の成るほど御懸念と申しますか、お話の向き御尤もだろうと思うのでありますけれども、新聞なんかに出ておりますけれども、実際の只今の段階は正直ですね、ああいうものが一体どこから洩れるのか、私ども不審に思うのですけれども、全く今大きい部分が未決定の状態になつておりますから、この一両日、今日も午後一時から又相談をするごとになつておるわけで、実際の段階はまだ正直これはそういう段階でしかないわけですから、その点は一つ御了解の上で……。
  91. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 併しきまつてしまつてからでは困るでしようから、どうぞ大野木君発言して下さい。
  92. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) どうも只今労働大臣から御発言のありましたような段階でございまして、(笑声)本当にいろいろ案は立てますが、動きます部面も相当ございますので、今これというものを申上げる段階にないのでどうぞ御了承願いたいと思います。
  93. 中村正雄

    委員長中村正雄君) じやまあ一般的な大野木君としての発言はできなくても、各委員からそれぞれ御質問があると思いますので、御質問のときに譲るとしまして、御足労願つております参考人のかたに陳述を願いたいと思います。時間の関係もありますので一人分ぐらいを基準として陳述を願いたいと思います。最初に斎藤きえ君にお願いします。
  94. 斎藤きえ

    参考人(斎藤きえ君) 私婦人団体に属しておりますので、婦人少年局の中にございます三課の中で婦人課と一番つながりが多いのでございますので、婦人課との関係において申上げてみたいと思います。  労働省の組織規程というものの中の婦人課の任務というものを拝見いたしますと、婦人の地位の向上、婦人問題の調査及び連絡調整、それから労働者の家族の問題、それからそのためのそういう一般の婦人或いは労働者の家族を含めていろいろな啓蒙活動をすると、こういうふうに拝見いたしております。まあいわば婦人に対するサービスの機関であろうと思います。こういうような婦人少年局というものが生れましたのは、軍国日本や封建日本には見られなかつた現象でありまして、先ほど奥先生が新日本の建設の基礎工事のために生まれたのだ、こういうふうにおつしやいましたが、全く同感でございます。御承知のように私ども日本の婦人は口には一応男女平等の権利を保障されております。けれども実際にまだ非常に低いのでございまして、特に農村なんかに行つて見ますとこの感じを非常に受けるのでございます。で例えば憲法に婦人の地位が保障されておるとか、或いは曾て妻を無能力者として扱つた民法が今度は変つて新らしい民法になつたという移り変りというふうなことさえもわからないような婦人が大部分でございます。一つの例を挙げますと、東北の或る地方の一つの結婚のときの習慣でございますが、お嫁さんが婚家先の敷居を跨ぐときに、その嫁さんのこれからのお姑さんになる人がお嫁さんの振袖に鰹節を削つて少し紙に入れて袖に入れる。これはどういうことかと申しますと、結局そのお嫁さんを猫のように飼い馴らすと、こういうようなことなんであります。つまり婦人は犬猫同然にこれは扱われておる、こういうところも(笑声)これは笑いごとではないのでございます。つまり婦人少年局は婦人の地位の向上をするというふうなことで生まれたといいますのは、結局これは日本が近代国家として国際社会の仲間入りをするためにどうしてもなければならない、つまり日本の民主化のために生れるべくして必然的に生れた婦人の行政機構であるとこういうふうに私考えております。先に保利大臣が婦人行政機関は充実されなければならないとおしやいました。私どもは非常に意を強くした次第でございます。婦人少年局の第一の仕事であります啓蒙活動で最も大きなと申しますか、のは毎年四月行われております婦人週間の行事であろうと思います。勿論私ども民間の婦人団体としてもこれに提携をいたしまして日本の婦人が参政権を初めて行使した四月十日を記念してこの行事を行うわけでありますが、この婦人週間の啓蒙活動というものは相当大きな役割を日本の民主化のために果しておる、こういうふうに考えております。  それから婦人少年局が常時活動としてやつておられますスライドとか紙芝居とかいうような啓蒙用のいろいろなもの、そういうものはこれからもつともつとどんどんと必要ではないか思うのです。勿論私ども婦人団体がこういうものを作れれば作つて、小さい村や部落にまで持ち込むことができればそれに越したことはないのでありますが、御存じのように非常に民間の婦人団体は弱くてそういうことができません。こういう啓蒙活動のために婦人少年局がスライドや紙芝居の資料を提供して下さるということは非常に私ども婦人団体にとつてはありがたいことでございます。それから婦人少年局は又いろいろなリーフレット、一般婦人向のリーフレットなんか作つておいでになります。例えばつい最近地方選挙が済みましたあと、もつと婦人有権者は選びつぱなしじやいけないのだ、あと監視をする役目が残つているというようなことを非常にわかり易く説明をしたリーフレットなんかをお出しになりました。こういうものも私たち自分たちで作れませんのでそれをもらつて地方各機関に流しておる、こういうこともあります。こういうふうな啓蒙を婦人少年局はやつておいでになる。私どもはそれに刺激をされて大いに活動を促進しておるわけでありますが、こういうふうなものは中央の大都市で勿論出しただけでは駄目でございまして、なおやはり小さい都市にまでそういうふうに入つて行かなければならない。そういう場合に婦人少年局の職員室と地方職員室の任務というものは、非常に大きな役割を果しておいでになる。普通には二人、多い所でも四人というような小人数で、あれだけ大きな役割を果していらつしやるということを附加えて申上げたいと思います。それから第二の婦人少年局の仕事であります。調査活動でありますが、これも又 私ども民間団体では到底できない貴重な資料を提供して頂いて大いに利用させて頂いております。戦争前私どもの先輩の先生方がいろいろな国際的な会議においでになりましたそういうときに一番お困りになつたことは、日本の婦人の姿を的確に現すような統計資料はなかつたということで、非常に不便で、又そういう資料がないということは情ない状態でございました。こういうことも婦人少年局の調査活動によつてだんだんと補充されて来ております。婦人少年局は現在出していらつしやいますような女子供たちの実態調査とか、或いは農村婦人の調査、それから封建性についての調査とか、いろいろな私ども民間団体ではできない、例えば婦人の市民意識についての調査なんというものもございますが、そういうものを、私どもが運動する場合に、やはりこれから日本の婦人運動も的確な科学的な調査資料に基いてやらなければならないという段階に婦人少年局の果していらつしやる役割というものは非常に大きい、こういうふうに考えております。そうして又こういう調査をなさる場合にも、地方の職員室というものは非常に大きな役割を果しておいでになるということを、私どもは実際にお話を伺つてつております。それからもう一つ婦人少年局の婦人課の組織規程の中には現れておりませんが、今まで婦人少年局がやつて来られました非常に大きな役割は、国際的な連絡提携ということであろうかと思います。今年の婦人週間には、海外の婦人とのメッセージの交換をされたようでありまして、アメリカは勿論ブラジル、カナダ、デンマーク、イギリス、イタリー、韓国、オランダ、ノルウエー、スエーデン、タイというふうないろいろな国との交換をしておられます。勿論私ども民間の婦人団体の中にも国際的な繋りを持つております婦人団体はたくさんございます。例えばYWCAとか矯風会とか平和婦人会といつたような団体が、それぞれ国際的な繋りを持つておりますが、この婦人少年局は、今年の四月行われたような広汎な海外婦人との繋りというものはできるのでありまして、ここにも私ども民間団体ではできない大きな役割を婦人少年局はやつておられるように思います。特に今度の藤田局長は国際人であられますので、私どもは今後ますますこういう面にも大いに活動して頂きたいと思つております。  大体私は今婦人団体の一員として、婦人少年局が非常にありがたい存在であるということを申上げました。伝えられますように、この婦人少年局が若しも廃止されるというようなことになりました場合に、非常に私ども婦人全体にとつて大きな打撃になることは勿論でありますが、それと同時にもう一つここで皆様に訴えたいことは、この婦人少年局がなくなると困る、結局は更に大きな婦人の社会的な後退をもたらすということであろうと思います。例えば今放送局に婦人課という課がございまして、女の人が婦人課長さんとなつております。或いは又地方でも婦人課というようなものができている所もございますが、若しも中央の婦人少年局がなくなると、結局そういうものがだんだんとなくなつて、婦人の全面的な後退ということがもたらされる、私どもはこの影響も見逃がすことはできないのでございます。それから次に国際的な影響でございますが、この婦人少年局は、さつき奥先生も言われたように、日本の民主化の基礎工事として生れたのだ、このことは日本の民主化ということで海外の婦人たちが大いに見守つていてくれるところでありまして、若しもこれからなくなるということになりますと、日本の民主化に関心を持つ世界の人たちに大きな失望を與える、こういうふうに考えております。この間の講和会議でアメリカのトルーマン大統領が、日本の民主化の象徴として婦人の進出を大いに挙げて称揚しておられましたが、折も折日本の婦人少年局がなくなるという、婦人を又もとのところに押籠めるということは、私ども婦人団体としては納得の行かないところでございます。最後に申上げたいことは、婦人少年局は今までのお役所に比べて、いわゆるお役所らしくないお役所だということでありまして、いわば馬鹿正直な役所だろうと思います。九月二十日の読売新聞の編集手帳という欄をちよつと拝見いたしますと、こう書いてあります。「婦人少年局も、児童局も、机の上で書類だけをひねくりまわしている官僚にとつては一向におもしろくない、行政技術の上からいつてもうま味のあるものではないかもしれないが、国民の側から考えると大変に必要な、よい役所の部類に入る。このようなお役所は勿論賄賂を取るにしても相手が女子供では処置がないだろうし、社用の招待もないだろうが、その代り、国民の幸福に直接に結びつく仕事を持つているのだから、私たち国民はこのようなよい役所の存続を熱心に主張せざるを得ないのだ。」こういうふうに書いてございますが、私どもは、でありますから今の日本の官庁機構の中で婦人少年局のようないい役所があるということは、ほかの役所に示すいい手本になるだろうと思います。こういう意味から言いましても、私は最小限度今のような形でこの婦人少年局というものを置いて頂きたい。保利労働大臣のおつしやいますように、婦人行政の機関は充実されなければならない、私はこう思います。
  95. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に千葉千代世君にお願いいたします。
  96. 千葉千代世

    参考人(千葉千代世君) 私も又前発言者と同様に、現在の婦人少年局は絶対に必要であるし、なお拡充して行かなければならない、更に発展いたしまして、独立した国家機関さえも持ちたいと念願するものでございます。私はこの念願を更に明らかにするために、私ども労働組合の婦人部がどのように婦人少年局の労働課と接触し、或いは年少労働課とお話合いを持つて来たか、具体的についてお話したいと思います。日本の民主化のバロメーターというものは、その国の婦人の立上りにあると、これは異論のないところでございます。そこでこの本当の日本を民主化するために、私どもはいろいろの分野において最善の努力を払つて来たのでございます。それはやはり敗戦後の新らしい歴史を我々もともどもに造つて行くと、こういう責任においてでございます。そういう観点から私ども労働組合におきましては、先ず婦人部が経済の独立がなければ婦人の解放はあり得ない、いろいろの封建の鉄鎖は我々自体の手から断ち切れと、こういう二つのスローガンを掲げまして、各労働組合は闘つて参つたのでございます。その結果、私どもの組合の例をとりますというと、今までの運動なり、今までの女というものの能力、こういう点について非常に低い評価をされておつた、これを同一労働、同一賃金の原則に従いまして、全国四十六都道府県のうちですでに四十一県が男女差の撤廃を認めてございます。そういう場合になかなか県の財政、或いは周囲の封建的の事情によつてまだとり得ないという宮崎とか、滋賀とか、そういう県の実情を中央の婦人少年局から地方の職員室に連絡をとつて、そうしていろいろのお話の結果これがとれた、こういう実例があるのでございます。なお労働条件の改善につきましては、あの労働基準法の完全実施、こういう点については婦人労働課は血眼になつてつていらつしやいました。例を挙げますならば、大変恐縮ですが、谷野婦人労働課長さんなどは日曜日の日にわざわざ各地方の労働組合の講座においでになつたり、或いは地方の職員室におきましては、先般も私は滋賀県に参りましたが、あの滋賀県の延暦寺という所は女人禁制でありまして、女は穢れたものと、こういう観点からあの延暦寺に上げなかつた。併し時代の波はあすこにも押寄せまして、延暦寺の講堂には滋賀県の女のかたがどつかり坐つて、そうして新らしい時代の波を入れている。そこへ滋賀県の武部静枝さんという職員室のかたが日曜日を割いて一緒に講座にお出でになつて、ともどもによい日本を造ろうというために努力を払つていらつしやる、こういう例は鹿児島県においても、栃木県においても、埼玉県においてもたくさんの実を結ばせつつあります。ですから今回の婦人少年局廃止というような噂が拡がりますというと、各県の労働組合の婦人部のかたがたは中央に向つて、埼玉県の二万名の署名を筆頭に、電報なり或いは手紙なり続々と是非とも存置して欲しい、何故にこのような弱い婦人層にばかり整理の鉈をふるつて来るのであろうか、こういう疑問をたくさん持つているのでございます。なおこの問題につきまして私どもの立場から申しますならば、生理休暇或いは産前産後の休養、こういう点の実現を図ることが一般の婦人にどのような影響を及ぼすか、こういう点については婦人課との提携も誠に有意義なものであつたと思うのでございます。で私は中央の婦人問題の審議会の委員といたしまして、単に労働だけではなくて、多くの農村婦人の立場、こういう点を地方に廻りましたときによく見て参りました。そういうときに、現在の日教組がこの問題について要求をしてかち取ることは、結局農村の婦人の低い健康を守る観念、こういう乏しい中にある農村婦人を立上らせるきつかけを作る、こういうことを考えております。例えて申しますならば、農村に行きますというと、もう女は子供を生むもの、こういう観点から赤ちやんを生んで一週間くらいで、労働力の足りない農家の一つの大きな労働力としまして、稲束をかついでいる、或いは又生理中でも真夏の暑い日には殆んど一日も休まずに田の草を取つている、これは私どもの教える子供の母親である、こういう点から考えまするときに、労働基準法の実施されている労働組合は幾らかいいのでございますが、一般の農村婦人にはこれは適用されない、この労働基準法を適用させる御主人そのものがいたつてこれに対してうとい、今日こういう点で日本の農村或いは一般の男性の頭の切替えを百八十度に転回させない限りは、あの農村の婦人も救われないし、労働条件も改善されない、こういう点でいろいろの例があるのでございますが、十分という時間で大変残念でございます。  そうしてこの私どもの労働組合のいろいろの働きが官公労組、例えば国鉄さん、全逓さん、私ども、こういうものと民間の労組というもの、こういうものの一種の共通な点を取上げる、そういう意味で民主的な労働組合の結集体でございます労働組合総評議会の婦人対策専門委員会においては、こういう点を特に強調しているのでございます。そういう際にも中央の労働省婦人少年局の労働課あたりといろいろの点について資料を提供し合い、我々の要望も出すし、又婦人少年局としては、私どものいろいろ挙げた成果を更に一般の婦人に普及しようと、こういうふうに非常に緊密な連携を持つて参りました。それから最も私ども考えておる中で、一般の婦人もそうでございますが、我々婦人団体或いはあらゆる会、組合においても本当のデモクラシーが確立され切れない現状におきまして、先ずこの組合のデモクラシーをかち取るために私どもはいろいろの御助力を頂いておるのでございます。例えば役員の中に半数の婦人を出せとか、或いは決議機関に女が入らなければ駄目だ、こういう具体的な提携もあつたのでございます。そうして又年少者の労働問題に対しましては、審議会を中心に、街頭に花を売る子供たち、或いは靴を磨く子供たち、こういう年少の労働者を守つて、本当に健全な社会人として発足させるための努力を惜しまなかつたのでございます。これに関連いたしまして去る五月に児童憲章というものができました。私どもの念願しておりましたこの児童憲章の内容、これを本当に政治の上に反映させるために政府が十二分の努力を払つていられない、それがために大変意地悪い新聞の批評欄には、あの児童憲章は資本主義のすすり泣き、こういう皮肉があつたのでございます。私どもはこの児童憲章を十二分に実施させるための努力を払つて参りましたけれども、今度の国家予算の中には、給食費は全部削られるし、或いは教育財政の中でいろいろの子供を守る点が削られております。こういうふうに、大変言い方が失礼でありますならばお許し願いたいと思うのですが、国家の予算の編成の途上においては、最も弱いといわれる省が槍玉に上つて続々と首を切られる、こういう例がないではないということを現実に見ているのでございます。先ほど労働大臣は新聞はどこから出たか知らないと言うけれども、惜しいことに読むのは国民全体が新聞を読むのでございます。そうしてあれを大体信用する傾向がある、そうしますというと、あの今日の毎日新聞にありました労働省の地方事務官三百八十九名というこの数字は、私はどこから出たかは知らないけれども、併しながら火のない所に煙が立つはずはないと思うのです。こういう点から考えて行きますと、地方の職員室にいらつしやいますあの事務官のかたが悲痛な叫びを挙げまして、私ども地方の職場はどうなるのでしよう、こういう不安の中に毎日の仕事をしていらつしやるということについては、同じ働く私どもの立場としてはもう見逃しのできないことであるのでございます。更に最後に私はこの婦人少年局廃止という評判が拡まり拡まつてつたことが一般に及ぼす影響ということを考えるのでございます。これは今まで観念的には、憲法の上では法文上はつきりと男女の同権がございますが、これを実際の場合に当嵌めました場合にはなかなかそのようには行つていない、こういうときに婦人少年局は廃止になるのだから、これはわざわざ女のためのいろいろな係を作つたり、或いは女のための特別の便宜を図る必要はない、こういう観念で一網打尽にやられる傾向があります。徳島におきましては、徳島の知事さんが選挙公約として婦人課設置を言つた。それを実際に現わして徳島では婦人課が今度できました。ところが中央の婦人少年局はなくなるでは、今更婦人課を作つてどうするのだという気持が男の中にも先ずありました。そうすると大体人員を縮小するという気持が、中央の命令や或いは命令かのように宣伝されるあの官僚機構の中にありまして、余分なものを今更作る必要はないではないか、こういう反撃を食つて孤軍奮闘しておる県もございます。こういうふうに考えて行きました場合に、私ども婦人少年局の拡充を叫ぶと共に、この及ぼす影響を十二分に考えまして、何としても現在の国状の中において、先ほど大臣は国力にふさわしいとおつしやいました、私どもは労働法規の改悪に際しまして、中労委のかた、いろいろのかたにお話合いしますと、最後には日本の国状に即してという言葉に逃げられてしまうのでございます。正当な要望の真実を把握することなく、本当の愛情のある政治を行う意欲に欠けたかたは、往々にして国状に即さないからということの逃げ口上によつてども婦人の権利かだんだん縮小されるという傾向にあることは身を以て体験しているのでございます。  そういう観点から大変強い言葉で申上げましたが、要は少くとも中央において婦人少年局が厳然として現状のまま維持され、そうして少くとも一歩進んだ形において増員の傾向が得られるならば、これは日本の人口の半数を占める多くの婦人に対する大きな希望であり、新らしい日本の発展の上に共に新らしい歴史を作つて国力を充実して行くという一つの希望ではなかろうかと思うのでございます。大変失礼いたしました。
  97. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 一応行政管理庁の次長並びに労働大臣その他労働省関係に対しまする質問を許したいと思います。なおその中で労働基準局長は明日から基準審議会が開かれますので明日労働委員会を開きましても御出席がむずかしい、従つて労働基準法関係のものは本日中にやつて頂きたい、こういう申出もありますので、併せて御了承願いたいと思います。
  98. 原虎一

    ○原虎一君 明日やるのですか。
  99. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それはあとから御相談したいと思います。
  100. 原虎一

    ○原虎一君 まだきまつていないのですか。それでは質問しますが、先ほど保利労働大臣が答弁されましたこの機構改革と行政整理問題、二十一日の閣議決定とは何でありますか。この点を御説明願いたい。二十一日に閣議決定をやつている。
  101. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) 八月二十八日に。
  102. 原虎一

    ○原虎一君 八月二十八日ですか。
  103. 大野木克彦

    説明員(大野木克彦君) そうでございます。行政の改革に関する閣議決定がありました。その中に行政機構の簡素化並びに人員の縮減を図る等々のことが出ております。
  104. 原虎一

    ○原虎一君 労働大臣にお伺いしますが、結局まだ行政整理については確定をしていないから、報告、説明できないという御答弁のようでありまするが、お聞きしたい点は、行政整理を行われるということは、すでにこれは大勢上止むを得ないというところに政府としては来ているのじやないかと思うのであります。すでに労働大臣が一昨日の閣議で失業対策のための予算要求されている点から見ても、その行政整理を対象としてお考えになつている。ですから問題は、我々労働委員としてお聞きしたい点は、労働省に関する限りにおいてそれが及んで来ないか、要するに行政整理は労働省に行われないという点がお伺いしたいのです。その情勢はどうであるのかその点をお伺いしたい。
  105. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先ほどから申しておりましたように、今回政府が意図いたし、只今検討いたしております行政改革の対象は、全省全部局に及ぶものと考えております。従つて当然労働省にも及ぶということは避けられないと考えております。
  106. 原虎一

    ○原虎一君 先ほどの御答弁によれば、婦人少年局は国費があればもつと充実して行くというふうなお考えである、行政整理が労働省に及ぶということになれば、然らばどの部分であるか、労働大臣はどの部分をどうして行こうというお考えであるか、この点が伺いたいわけなんです。
  107. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 一番最初に申上げましたのですけれども、事務整理並びに人員整理については、只今閣議においても検討をいたしておる段階に至つております。従つてこれはおよそ私ども承知をいたしておる、併しながらまだこれは全然、先ほども申しますように、未決定の状態にあります。併しこの機構改革のほうのことにつきましては、私どもまだ何にも承知をいたしておりません。併しながら恐らくはこの事務、人員の整理と相前後して、機構改革議題に供せられて来るのじやないかというように私は予感はいたしておりますけれども、そういう状態であります。
  108. 原虎一

    ○原虎一君 私が特に労働大臣にお伺いした理由を申上げると、これは省の名前を申上げても差支えないかも知れませんが、行政整理の対象なり、行政機構改革の対象となるという予測の下に、省みずからがその存続のために運動を展開している事実がある。これはその善悪を私どもは申上げておるのじやない。その省のごときは、かくのごとく熱心である。これは労働省に関する限りにおいてはそれはいい、悪いは私は申しませんが、そういうことはないところを見まするというと、機構改革の対象には大してなつていない、人員の整理の対象にも大してなつていないで、労働大臣御安心なんじやないかと考えたからお伺いしている。他の省では非常に心配して、委員を動かし或いは委員の中から委員長を動かし、それぞれ運動が起きている。それがいいか、悪いかは別問題ですが、そういう情勢にあるからお伺いしておる。労働大臣は大して御心配がないというお考えであるようにこちらは了承してよろしうございますか、その点お伺いしておきます。(笑声)
  109. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはどうもお考えにお任せするよりほかないわけでありまして、私どもとしては、労働行政の機関としてあるべき姿になくてはならん。決してこの労働省の職員のかたがたがひとり各省と離れて成行きを傍観しておられるというようには私は感じていない。内部において相当心配をされておることは身を以て私よく承知をいたしておるわけであります。併しながら全体の国策の向うところに対して、できるだけ影響を避けられるという意味において、成行きを心配して見守つてくれているのが只今労働省の事務当局の私は姿じやないか、こう考えておる。従つて私としては、この省の廃合等については、労働省をこのまま残すのか、或いはどう変えるかというようなことは、今日では全然予測はできませんけれども、併しながら、労働行政を推進して参りますためには、少くとも今日程度のものは執行して参らなきやならんという考えは強く持つておるわけであります。
  110. 原虎一

    ○原虎一君 労働基準局長にお尋ねいたしたいのですが、基準審議会で明日も審議会を開かれるそうでありますが、これの審議状況を御説明願いたい。
  111. 亀井光

    説明員(亀井光君) 先般十一日に第一回の審議会を開きまして、そのときにおきまして労使双方から各委員の意見を取りまとめて、それを中立公益の委員に提出し、公益の委員がそれを整理をいたしまして、今後の議題をそれで見出して行くという段取りになつておるのでございます。明日の会議は、この公益側の委員だけで今後の審議会の運営につきまして労使双方から出されました意見、これを整理するための委員会でございます。なおその結果によりまして引続き審議会が続行されるという段取りであります。
  112. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、労使双方の基準法に対する態勢といいますか、そういう意見労働省に集まつておると思いますが、その資料の御提出を願えますか。
  113. 亀井光

    説明員(亀井光君) 使用者側のは出ておりますが、労働者側のほうは、実はまだ出ておらないのでございますが、出て参りまして揃いましたならば、これは一応会長の御意見も承わりまして、この委員会資料として提出することにいたしたいと思います。
  114. 原虎一

    ○原虎一君 労働者側が出なくても、現実出ているもの、それが基準審議会の審議の対象になつておりますから、当然我々に提出さるべきものだと思いますから、速かに御提出をお願いします。
  115. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後零時三十一分速記中止    —————・—————    午後零時五十八分速記開始
  116. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記を始めて本日はこれで散会いたします。    午後零時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            宮田 重文君            赤松 常子君            椿  繁夫君            早川 愼一君            岩男 仁藏君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   委員外議員            奥 むめお君            深川タマヱ君            高田なほ子君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    行政管理庁次長 大野木克彦君    運輸政務次官  關谷 勝利君    運輸省国有鉄道    部長      石井 昭正君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   参考人    日本国有鉄道経    理局長     三木  正君    日本有権者同盟 斎藤 きえ君    日本教職員組合    婦人部長    千葉千代世君