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1951-09-10 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月十日(月曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件会社更生法案内閣送付) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社更生法案等に関する小委員会を開会いたします。
  3. 岡部常

    岡部常君 ちよつとお尋ねいたしますが、本法律によつて、いわゆる更生計画に関与する人間ですが、公務員と認められる人間は一体どういう人々でありますか。
  4. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 更生手続においては、種々の機関が設けられておりますが、公務員と認むべき者、これは裁判所以外にはございません。管財人もこれは刑法第七条の公務員ではないというふうに考えております。それ以外の機関も同様でございます。
  5. 岡部常

    岡部常君 三百条にいろいろ挙げてありますね、調査委員管財人審査人、これらの者は公務員ではないのでございますね。
  6. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。これは刑法の七条にいわゆる公務員ではございません。従いまして、ここに特に規定を設けまして収賄罪について規定をいたしたわけであります。
  7. 岡部常

    岡部常君 そうすると、刑法七条の仲裁人に当るものもございませんか。何か仲裁人に当るようなものがありますか。
  8. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 刑法の第七条におきましては、「本法ニ於テ公務員ト称スルハ官吏、公吏、法令ニ依リ公務従事スル議員委員其他ノ職員ヲ謂フ」とございまして、今お尋ねの仲裁人という言葉はこの七条には見あたらないように考えられるのでございますが、いれずにいたしましても、七条の公務員というものの中には入らないというふうに考えておる次第でございます。
  9. 岡部常

    岡部常君 それに関連しまして、第百七十二条に、「関係人集会の決議に関し賄ろを収受する等」となつておりますが、この賄ろというのは三百条の賄ろとは違う意味でございますか。
  10. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは三百条の賄ろの点と同じでございます。
  11. 岡部常

    岡部常君 刑法にいわゆる収賄罪のことでございますか、収受とあるのは……。
  12. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 百七十二条に謳われております議決権を有する更生債権者更生担保権者又は株主」というものは、公務員ではございませんので、刑法収賄という罪につきましては、犯罪能力がないというのですか、こういう者につきましては収賄罪或いは贈賄罪は成立いたさない。ここではただその実態といたしまして賄ろを収受するというふうな目的権利を取得するという場合には、議決権を認めないといたした次第でありまして、なおこれが三百条の第一項に該当いたします場合には、同時に三百条によりまして処罰するというふうな関係になるわけであります。
  13. 岡部常

    岡部常君 これはどうしてそういうふうに出て参りましようか。三百条に当てはまらないと私は思いますが、ちやんと、調査委員管財人と列挙してあるその他外の者には私は当らないと思いますが、そういうところまで広く解釈することがどこから出て来ましようか。
  14. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 三百条の後段のほうに更生債権者担保権者株主というものが掲げられております。こちらのほうに該当するわけであります。
  15. 岡部常

    岡部常君 その点はわかりましたが、この百七十二条は「賄ろを収受する等不当な利益を得る目的でその権利を取得したものと認めるとき」とこうなつておりますが、これは賄賂であるかないかということは裁判できまるものではないでしようか。
  16. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この百七十二条におきまして、「賄ろを収受する等不当な利益を得る目的でその権利を取得したものと認めるときは、」ということは、必ずしも、刑事判決におきまして有罪の認定を受けたというふうな場合は勿論入りますが、それのみに限らないのでありまして、実態的にそういうふうな事態があつたということが認められます場合には、これは刑事事件としてなお取上げられておらない場合でありましても、百七十二条のような処分ができるというふうに考えております。
  17. 岡部常

    岡部常君 そういう場合を予想して賄賂というのをここに例示することもどうかと思いますが、その点如何ですか。何かほかの字句を使うほうが適当ではないでしようか。
  18. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうな感じがいたすということは、或いはあるかと存ずるのでありまするが、この「不当な利益を得る目的で」という内容がまあ非常にデリケートな場合があるのです。例えば議決権が非常に賛否相伯仲しておるというふうな場合に一方の陣営議決権を他の陣営のほうに譲るというふうな場合が、まあ両者の妥協によつて有り得ると考えるわけでありまするが、そういうふうな場合に、これは常に不当な利益を得る目的であるというふうに認められるといたしますと、場合によつて非常に正当な手続進行を妨げるというようなことも考えられますので、この不当な利益を得る目的ということは相当悪質なものに限るという必要があるのではなかろうかというところから、特に典型的に悪い場合、これを例示いたしまして書きましたのが、その「賄ろを収受する等」というふうな字句になりましたのでございまして、非常に読みづらいという感じもいたすのでございますが、そういうふうな趣旨からこういうことにいたしました次第でございます。
  19. 岡部常

    岡部常君 そうすると不当な利益を得る場合の例として一番適切、又一番そういう場合が多いという考えでございましようと思いますが、何かほかに適当な語句はないでしようか。賄賂といいますと、どうも余りに犯罪と認めるという、犯罪確定し得るわけでもないのですが、この書き方では……。何かはかの表現が適当ではないかと思いますが。どんなものでしようか。
  20. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) こういうふうな議決権の多寡によりまして事態が決せられるという場合には、よく投票売買ということが行われるわけでございまするけれども、今までの例によりましても、関係人集会或いは債権者集会における投票売買というものが相当行われたものか、それに対する防止策、それの処罪規定というものが常に考えられているようでございます。この場合におきましてもそういう事例が一番典型的なものの一つじやないかと考えましてこれを取上げたわけでございますが、字句としては、やや刑事犯のような観念をそのまま持つて来たような、やや不自然な感じがないということは言えないかと思いますが、より適当なものがございますれば、これは又修正して然るべきじやないかというふうに考えます。
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に何か御質問は……。百十九条ですね、これに「会社使用人預り金及び身元保証金返還請求権も、また同様である。」とこうあるのですが、扶養手当とか退職手当、そういうものは含まないのですか。
  22. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この預り金の中には、会社からすでに従業員に支払いまして、それを便宜会社のほうで預つておるというふうな場合、即ち実体的にこの預り金性質を持つている場合におきましては、これは名義の如何を問わず預り金の中に包含しておるというふうに考えてよいと思つている次第でございます。なお退職手当につきましては、これは預り金的な性質を有するものがありますれば、こちらのほうに入りますが、それ以外のものはこれは通常更生債権というふうに考えております。
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 扶養手当は。
  24. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 扶養手当につきましては、預金の性質を有するものはこちらに入りますが、それからなお給料という部類に場合によつて入り得る場合もあるかと思いますが、そういうふうな場合はそちらに入りますが、そうでないものは例の商法会社使用人との間に生じた債権につきましては、一般的な優先権商法規定によりまして認められておりますが、それによりまして優先権のある更生債権というふうになると考えます。
  25. 伊藤修

    委員長伊藤修君) というと、御説明趣旨は、要するに手続開始決定を境としてそれまでに債務として生じたものは含むけれども、その他のものは含まない、こういう意味ですか。
  26. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 説明が不十分でございましたが、更生手続開始決定後の使用人の給与につきましては……。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、私の聞いているのは、扶養手当退職手当のことを言つているんです。
  28. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 開始決定後の扶養手当及び退職手当ででございますが、これは会社の……。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後であれば問題はなんいですよ。要するに開始決定前に退職して、いわゆる手当の額はきまつていなくとも手当の概念的な請求権がそこに発生しているわけです、そういう場合においてここにただ例示的に使用人預り金及び身元保証金とはつきりいつてしまうと、そういう退職手当金というものに入るのか入らんのかということが問題になつて来るが、それをお聞きするんです。ですからそれは何を基準にして定めるか、あなたの御説明を承わつていると、すでにそういう会社債務として認められるものは含むという先ほどの御説明の御趣旨ならば、退職したときに請求権が発生しているんですから、額がきまつていない場合においても、できるようには考えられないのですか。
  30. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 一口に退職金と申しましても、いろいろな性質があると存ずるのでありますが、従前の給料の一部を積立てたような形式にして退職の際に支払うというふうな場合もありましようし、又退職に際して贈与的な意味で相当金額与えるというような性質のものもあるのであります。前者の場合には、これは百十九条の預り金というふうな実態を持つものもあるのじやないかというふうな意味のことを先ほど申上げたのでありますが、そういうふうでなく、退職金のほう、これは通常更生債権即ち更生手続開始前に生じた財産上の請求権といたしまして成立するのでありまして、これは金額は決定いたしておりませんが、やはり条件付き一種債権といたしまして、更生手続開始決定において然るべくこれを将来退職したときにどういうふうにして払うというふうなことをきめて処理するというふうに考えております。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうのじやなく、すでに退職して、退職という事実は確定しておるわけです。退職金金額がきまらん場合、又現実に交付していない場合があるでしよう。在職中のいろいろなものを調べて置いて……、そういうのが往々ございますよ。こういう更生手続を開始されるような状態になれば、そういうのが多いのです。そうすると労働協約或いは会社の社則なりによつて退職したものに退職金を支払うということになつておるのです。債権はとにかく、債務は発生しているのです。ただその額が算定はされていない。現実に交付されていないというような状態が、それはしばしばじやない、殆んど例外なく起り得ることなのですこういう場合には……。
  32. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうな場合も大体同様な考え方でやつて行くということを考えておるのでありまして、金額規定によれば、客観的には確定し得るということになるかと思います。若し確定していないということでございますれば、これは評価によつて、或いはそういうふうな手段で調整をいたしまして、そうして計画によつてその支払いについて定めるというふうなことになると考えております。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私のお尋ねするのは、そういうような退職手当は百十九条の適用があるのかないのかということをお尋ねしているのです。
  34. 野木新一

    説明員野木新一君) 位野木参事官から御説明を申上げましたが、御質問のような退職手当が百十九条に該当し、従つて共益債権として請求できるかどうかという点につきましては、普通の場合は、これに該当しない場合が多いのじやないかと存ずるのであります。従いましてそういうものは更生手続開始前に生じた債権でありまして、従つて更生債権になるものと存じます。而してその額のまだきまつていたいものは百十七条によりましてその評価額によつて議決権等を算定する、そういうふうになるものと考えておる次第であります。ただ退職手当、或いは扶養手当でありましてもその性質が、或いは給料を払うのを少し会社が留保して積立てて置くというようなのを、一種預り金という性質に該当いたしますので、若しそういうようなものでありましたならば百十九条に該当をすると、そう考えておる次第であります。
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると原則として、結局退職手当及び扶養手当共益債権としては認められない、但しその退職手当内容給料の積立というような性質があれば、それはいわゆる共益債権として取扱う、こういうように解釈していいのですか。
  36. 野木新一

    説明員野木新一君) さようでございます。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百二十七条ですね。届出事項変更があつた場合に、百四十三条の調査期日における確定の後でもできる、若しできるとすればそれは百四十五条の債権者記載確信判決等同一効力を有する旨の規定があるのですが、それとの関係はどうなるのですか。
  38. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 責に帰することができない事由で届出事項変更するというふうな場合でございますが、これも一旦確定判決同一効力を生じてしまつた以上は、通常の訴訟の場合と同様にもはやこれは変更を許すべきじやないと考えられます。これはこういう事態はまあ非常に稀にしか起らないのではないかと考えておりますが、そういうふうな場合はこれは止むを得ないのであります。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結局できないと、そういうことになるのでございますね。
  40. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとおのずから調査期日におけるところの確定前でなければ、百二十七条にいう変更はできない、こういう制約を受けると、こういうことですね。
  42. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百二十九条の第三項の場合のその認定は誰がするのですか。
  44. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは争がある場合には裁判所が決定するのです。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百二十九条の書き方だけでそれがわかるでしようかね。ほかにこれを解釈する、裁判所がするということがどこか解釈上出て来るのですか。
  46. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは百七十条におきまして「管財人並び届出をした更生債権者更生担保権者及び株主は、更生債権者更生担保権者及び株主議決権につき異議を述べることができる。」というふうなことになつておりますので、更に百七十一条におきまして「異議のない議決権を有する更生債権者更生担保権者及び株主は、その確定額又は届出の額若しくは数に応じて議決権を行使することができる。」更に第二項におきまして「異議のある権利については、裁判所議決権を行使させるかどうか及びいかなる額又は数につき議決権を行使させるかを定める。」とありまして、争いのある場合には裁判所がきめるということがきめられております。
  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の御説明の場合は多く異議のある場合のことですね。
  48. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  49. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百二十九条の第三項の場合は、「会社破産原因たる事実があるときは、株主は、議決権を有しない。」と、これは異議を言わない場合が多いでしよう。破産原因があるなどというような、株主異議を言うような場合は恐らくあり得ないでしよう。黙つておるでしよう。
  50. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは株主異議を述べるということはございませんで、更生債権者から異議を述べるということを考えております。
  51. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 破産原因たる事実があつて議決権を行使するのですか。
  52. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうな結果になります。これはこういうふうなやり方をとらずに果して会社破産原因たる事実があるかどうかということを一般的に裁判所に決定させる手続作つてはつきりさせるかどうかという問題がございます。これも相当論議されたわけでございますが、むしろこの手続におきましてはそういうふうな会社破産原因があるかどうかということを特に取上げて、それを確定するというふうなことは好ましくないじやないか、会社に対して烙印を捺すようなことになつて好ましくないじやないかというふうなことを考えまして、むしろ議決権有無という形におきまして、而も争いのある場合にのみそれを決定するという形式とつたわけでございます。ただそういうことは債権者なるものには非常に場合によつて不利益を与えないかということを考えますが、債権者として若しそういうことがあればこれは恐らく争わないということは考えられない。まあ少くともそういう主張をしたいと考える場合は、必ずこれは主張するでありましようから、その点はこの程度で差支えないのじやなかろうかというふうなことからこういうふうにいたした次第であります。
  53. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、結局は破産原因があつて異議申立がなければ、確定後はそれが補正というか自立補正せられてもはやその破産原因を理由として議決権を否定することができんことになるわけですな。
  54. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) すでに議決権を行使されてしまえば、そういうふうなことになります。
  55. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると争う期間は、これは争うというか異議申立てる期間は、法律の許されたる期間内でなければ破産原因は指定することができないわけですか。それから後はそういう原因がだんだん進行によつて知つても、することができないということにりますわけですな。
  56. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうになりますが、ただ議決権有無は、これは最後の回の集会議決の時、初めてはつきりする必要があるし、又それをすれば足りるわけでありますから、事実におきましてはこれはそういうような不都合は余り起らないのじやないかというふうに考えております。
  57. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから私のお尋ねするのは、通常第三回の集会において議決権を行使する場合までに異議申立がないというと、その後においては、そういう原因が他の債権者若しくは担保権者知つても、これを主張することができない、こういうことになるのですね。
  58. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようであります。
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その場合において、第三項のような仮に立場になつ株主においても、その他の更生手続はできるのですか。更生計画案の作成とか案に対する意見とか……。
  60. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) できます。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) できますか……。議決権だけですね、その他のことは一切できるわけですね。
  62. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようであります。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百三十条によつて更生手続に参加しようとする株主は、現実会社株主名簿に登録されたものだけを指すのですか。或いは株式を持つておるものをも含むのですか。
  64. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは会社株主名簿に登載されていない株主でも、実質上の所有者であればよろしいということになつております。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、商法にいう会社に対する対抗要件を必要としないわけですね。
  66. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはこの更生手続におきまして、関係人異議がなければそれでよろしいわけであります。異議がありますと、自然株主名簿の登載によるということが問題になるわけであります。
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 登載されていないのは、異議申立てられると、それは除斥されるわけでありますか。
  68. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようであります。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百三十五条ですが、調査期日場所ですね、これは普通学識的には裁判所と解せられるのですが、裁判所以外によつて開くことができるのですか。例えば会社の本店で開くとか、或いは利害関係人の多い工場の所在地で開くとか、工場で開くとかいうことができるのですか。
  70. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはこの更生手続裁判所が主宰する手続であつて而関係人集会裁判所更生手続は、裁判所の主宰する手続でありまして、従いましてこの更生担保権調査期日もこれは、原則として裁判所において開くということになるわけであります。ただ裁判所規定によりまして、特に裁判所外場所において裁判をなし得る場合でありますが、そういうふうな手続をとりました場合には、それはこの以外の場所でもできるごとになります。
  71. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 原則としては裁判所で開くけれども、その他の法律手続によつて裁判所外で開くこともできる、こういう解釈ですか。
  72. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百四十三条ですが、更生債権更生担保権確定の場合において、権利について異議はないが、議決権の額につき異議のある場合があると思うのですがね。この異議申立てる議決権の額の確定を阻止することができるのでしようか。
  74. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 権利有無につきましては、争いがないが議決権のみについては争いがあるということがございますれば、議決権のみについて意見を求めるということもできると考えております。ただ事実上はそういうふうなことは余りあり得ないと考えているわけであります。
  75. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百四十五条の表の記載確定判決同一効力を有するということになつているのですが、これは確認判決をするの性質を帯びているのか、或いは給付判決性質を帯びているのか……。
  76. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは性質確認判決性質を持つていると考えております。
  77. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、これによつて強制執行はできないことになるのですね。
  78. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 強制執行効力につきましては、なお別に条文が設けられておりまして、強制執行の実施ということが特に規定されております。それは二百五十三条、及び二百九十一条、二百九十二条でありまして、いずれも更生手続終了後における強制執行を許している規定であります。而して更生手続中は特に強制執行を許さないのでありますから、執行力規定はないのであります。
  79. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると本質は給付を許すことになるという給付判決じやないのですね。
  80. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはやはり判決確定訴えとか破産法に載つておりますが、そちらでも更生債権確定訴えとして確認判決だと思います。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その条文によつて強制執行権を付与すればいい、こういう建前をとつているのですか。
  82. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これをなぜ会社に対して有効にしないのでしようね。「更生債権者更生担保権者及び株主の全員に対して確定判決同一効力を有する。」こう謳つてあるのですが、会社を除外する趣旨ちよつとわからないのです、今の百四十五条ですね。確定判決として会社にも効力を有するほうが問題の趣旨にも合致するし、又法生体便宜にも供せられると思うのですが……。
  84. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この百四十五条は更生手続がまだ認可の段階に至らないその以前の更生債権者表及び更生担保権者表記載は、更生債権者更生担保権者及び株主に対する効力について規定いたしたものでございます。これは本来ならば二百四十五条の規定がございますと、場合によつては要らないというふうな、余り実益がない規定であるというふうなことも、まあ言えないわけじやないのでございますが、併しながらそれまでにおいてもこれは確定する、そして而もその後において執行力を持つのだというふうなことを明らかにする意味で書いた規定でございまして、この更生手続のされている会社自体関係におきましては、これは特に規定するまでもなく、この確定判決同一効力を認めなくてもこの手続を進めて行くことはこれは当然として考えておる次第であります。従いましてこの点につきましては、特にそういう規定を設けなかつたのでございます。
  85. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当然ということは、あなたのほうの立案者の独断であつて、これを受けるほうの国民の側から見れば当然という結論は出て来ないのじやないか。やはり更生手続関係人である、主たる関係人たる会社のごときに対しても、やはり確定判定同一効力を持つておると規定したほうが手続進行上においてもいいのじやないのですか。進行中であるから会社を除外するという考え方はどうですか。
  86. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) それはちよつと申し落しましたが、もう一つ理由がございます。この更生手続中は管財人は関与いたしますが、会社管財人がある場合には債権確定等には関与いたさない。従いまして若しこの手続が廃止されたというふうな場合におきましては、これは更生債権者表及び更生担保権者表記載は、会社との関係におきましてはまだ確定力を持たせることは適当でない。従いまして執行力を持たせることも適当でないということから、先ほど引用いたしました二百九十一条、これでそういう場合には、会社自身が調査期日において異議を述べなかつた場合に限つて強制執行ができるというふうになつております。そういうような観点がございます。でこの先ほどのあの言葉は少し不適当であつたかと思いますが、そういうふうな点からこれが会社に対しては特に効力を認めなかつたわけであります。
  87. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又後日お伺いすることにいたしまして先に進むことにいたします。百五十一条によりますと、調査期日において異議を述べた更生債権者、同担保権者株主などが訴えを提起しない場合、異議を受けた更生債権者更生担保権者異議ないものとして確定するものと解されるのですが、この場合更生債権者表、又は更生担保権者表記載手続はどうするのですか。
  88. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは異議はすでに百四十四条におきまして記載せられておるわけであります。そのままで特に確定手続をとらなければ異議があつたものとして未確定、不確定なものとして取扱われると考えております。
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとこの訴えがない場合でも未確定ということになるのですか。
  90. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、ここにある異議者は訴訟手続によつてのみ異議を主張することができる。こう本文にあるのですが、これはそうするとその訴訟手続によらずして異議を言い放しで置けばそれで未確定のまま行くわけですか。
  92. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは失礼いたしました。少し読み方が足りませんでしたが、百五十一条の場合におきましては、異議を述べた者が一定の期間内に訴えの提起の手続をとらなけれぱその異議は無効ということになるわけです。これは記録上おのずから出て来ることでございますので、特にまあああせいこうせいというような規定は設けなかつた。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですから本条によりますれば、異議を述べた人は訴え手続によらなければその異議は完成しないことになるのですね。
  94. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  95. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから訴えもせずに異議の言い放しの人が結局異議なきものとして取扱われるのが本当じやないですか。
  96. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 異議説明ちよつと違つておるわけですね。
  98. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その場合における更生債権者表或いは又更生担保権記載というものは何もそういうことは書かんでもよろしいのですか。異議がなくつて異議訴えがなかつたと書くのですか。それとも普通異議がなかつたものとして普通の表を作ればいいのですか。
  100. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは異議がありました場合には、やはり百四十四条によりまして一応はこの異議があつたというふうなことを記載しましてその後訴えがなければこれを無視するというふうに書かれておる。
  101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前提として異議があるけれども、異議が完全な手続が遂行されていないといういことになるのですか。全然無視して異議がないものとしてこの更生債権者表若しくは更生担保権者表を作るべきか、異議のある表というようなわけには行かないと思うのですが、そこのところの作り方……。
  102. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは便宜の問題ですが、特に法律ではその点は余りはつきりいたさなかつた。
  103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) たくさんあり得るでしよう。
  104. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 便宜取扱い上…転。
  105. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 実際問題は法律に予想しないことがたくさん出て来るが、それでは取扱者が迷つてしまうと困るから……。
  106. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 便宜な方徐で……。
  107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから結局私の言うのは、本文にそういう場合の賄いをすべきじやないかとこういうことです。それはたくさんありますよ。そういう場合が異議だけは一応言つて置け、訴訟の手続は費用をかけることは、どうもならんというので、手続には及ばなかつたというものがあると思うのですが、だからそういうものの処理規定というものがここでなければならんと思うのですが……。
  108. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは従前の破産法によりましては、有名義債権につきましては同様のことがあつたもけでありますが、そのときにも特に規定はなかつたのじやないかと考えます。
  109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本法の立案は成るべくわかるようにお書きになるという御趣旨なんだから、成るべくわかるように書いてもらつたほうが、いいのじやないですかね。
  110. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 若し、これは非常に細かくなりますが、適当に補充するほうがいいということでございますれば、これは又適当に考えて行きたいと思います。
  111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百五十四条によりますと……。百四十七条によれば会社を相手方とする訴訟があれば、なぜ既判力を会社管財人に及ぼさなかつたのでしようか。
  112. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは百四十五条と併せて参ります規定でございます。それと同じ趣旨債権者担保権者及び株主に限つたのであります。
  113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちよつとわかりにくいですね。
  114. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 百四十五条……。
  115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百五十四条をお尋ねしておるのですがね。百五十四条の訴訟の中には百四十七条の訴訟もあり得ると思うのですがね。百四十七条によつて会社を相手方としての訴訟があると思うのですよ。そういう場合に既判力をなぜ会社にも及ぼさないか。百五十四条によると、会社には既判力がないことになるのですがね。
  116. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは個々の判決におきましては、原告又は被告となつたものにつきましては特に規定を待つまでもなく、既判力が及ぶという考え方であります。
  117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう少し親切に説明して下さい。
  118. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 個々の判決におきまして、原告又は被告となつた者、これは、民事訴訟法の規定によりまして、当然既判力を受けるわけでありまして、特に第百五十四条のような規定を設ける必要はないと考えます。
  119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると百五十四条の場合は、この規定が表現する範囲において賄えばいいのであつて、その他は、一般の民事訴訟法の規定に従つて行われるから、特にここに書かなかつた、こういう意味ですか。
  120. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうに考えております。
  121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百五十六条に「更生計画によつて受ける利益の予定額」とあるのですが、受ける利益の予定額というのはどういうものですか。
  122. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは、破産法破産確定の訴訟なんかの例によつたものでありまして、更生計画によつて受ける利益の予定額と申しますのは、更生手続で以て大体どの程度の権利の分け前を受けるかということを想定いたしまして、それを訴訟額とするという意味でございます。
  123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 利益という言葉は、個人の本質的な立場から立つて利益というのではなくして、更生手続から見て受くるものはすべて利益になるわけですか。例えば百万円の債権があつた、そのうち五十万円ほか弁済を受けられないといえば、債権者から見れば、百万円のところを五十万円ですから、受ける利益はありませんね、五十万円損するのですから。けれども、更生手続から見れば、減額された五十万円というのが受ける利益ということになるのですか。
  124. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百五十八条の場合、会社に対する百二十一条第一項第五号に掲げた罰金の科料の刑の判決について上訴する場合があると思うのですが、その場合に管財人が当事者適格があるのですか、どうですか。それから、本条で以て管財人に当事者適格を認めておるという意味ですか、どうですか。
  126. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 刑事訴訟における罰金の刑の言い渡しというものは、これは純粋の財産的な債務と違いますので、これは被告人以外からは不服の申立はできない。百五十九条はそういう場合をも許す趣旨ではない。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百五十八条。
  128. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 百五十八条はそういうことを許す趣旨ではないと考えております。
  129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、ここに百五十八条に、「訴訟その他不服の申立を許す処分であるときは」とある中には、刑事手続に多少本質的に考えて、入らない、こう解釈するのですか。
  130. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百六十条ですね。これは非常にむずかしい問題で、実際としてはむずかしい問題だと思うのでありますが、具体的にはどういうふうになるのですか。「残余財産の分配を受けることができない」ということが絶対的に認められる場合でしようか。一応概念的にそういうふうに考えられるという場合でしようか。これはどういうふうにして賄うおつもりでありますか。
  132. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この認定は非常に困難であります。実際問題といたしましては、これは案ができた場合に、その案を総合的に見まして、会社の財産状態と照し合しまして、これは、明らかに株主には本来もらえる分がなかつたにかかわらず、株主に何らかの利益を無償で與えるというふうな計画になつておるという場合には、その計画を不適当とするということでありまして、実際問題といたしましては、余りはつきりしないものは、可決されてしまえばそれで通るというふうなことになるかと考えております。
  133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちよつとわからないのですが、百六十条によりまして、「会社の財産を事業が経続するものとして評価して清算したものと仮定した場合において、債権の弁済又は残余財産の分配を受けることができない更生債権者又は株主は、更生計画から除外することができる。」というのでありますから、清算した場合において、それは弁済できないと認定しなくちやならんですね。その認定が絶対的なものとして認定されたのか、或いは概念的にそうした場合でも差支えないのですか。要するに会社の清算を一応してみて、そうしてそれが皆分配が廻つて行かないのだという一つの確乎たる基礎に基いてこういう手続をとるのか。裁判所若しくは管財人の一応の認定で事が済むのですか。
  134. 野木新一

    説明員野木新一君) 百六十条の規定は、御指摘のようになかなかむつかしい規定でございます。ただこの規定趣旨といたしますところは、一つはこの原因破産の場合のように、事業を解体し、或いはばらばらにしたり、或いは止まつたりしたときを基準として計算するものではなくて、事業が動いて生きて行くということを前提として評価して清算するわけでありまするから、破産の場合よりも少し額が上廻ることになるのではないかと思います。そういうように仮定的に現実に計算してしまうのでなくて、一応仮にそういうふうに評価して清算したと、そういう仮定とすれば、例えば株主には分前は行かないという場合には、その株主更生計画から除外することを認めるということでありまして、これは実際問題といたしましては、例えば管財人とか、審査人或いは株主についていいますれば、更生債権者側からもこれは株主には分前は行かんよというような申立等がありますと、それに基いて裁判所はこういうような計算をして、果してそれに該当するものと認定したならば、二項に規定するように前項に該当するものを指定しなければならないということで、指定という形式で第一項の除外が行われることになるものと考えておる次第であります。
  135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結局は、この相対的になるわけですね、絶対的なものじやないわけですね。一つの見込みによつて計算を立てるわけですから、果してそれを競売に付した場合においては一万円にしかならん、併し今活かしてこれをやつて行く場合においては、その利用価値というものが十万円に見られる場合があると、その場合にいずれを取るかという絶対的なものなら、評価委員を設けるとか、鑑定人を設けるとか、そうして今日市場取引できないための金額評価して、その下に認定しなければならないこになるのですか。あなたの今の御説明のように行けば、利用価値というものを考えて計算を組立てなければならない、その下に組立てられた数字によつても弁済ができない、分配ができないという場合においては、初めて除外されるということになつて来るわけですか。
  136. 野木新一

    説明員野木新一君) 大体同趣旨になるかと思いますが、この計算はやはり一応評価という段階がありますので、会社の事業を継続するものとして評価して、そうして清算するというのでございまするから、裁判所或いは当事者の見込みだけでなくして、或いはそこに財産の評価ということがありまして、それに基いて結局除外すべきかどうかということは決することになるかと思いますが、つまり評価の仕方が、基準が或いは会社が継続するものとして評価する、そういう意味におきましては或いは何と申しますか、相対的と申しましようか、或いはそうなろうかと思うわけであります。
  137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 言葉が悪ければ……問題は評価の問題ですが、ただ評価が一番これは大切な問題になつて来るのですが、評価をどういう基準によつてやるかということを明らかにしてもらいたいと思います。いわゆる競売をして会社を、分散するときの価値で評価をするのか、或いは会社を活かして行くかということを目安において、基準において評価するか、その点を明らかにして頂きたい。
  138. 野木新一

    説明員野木新一君) 第百六十条の趣旨とするところは、只今委員長のおつしやつた後者のほうの場合を標準とする場合であります。即ち会社がばらばらに解体するという場合の評価でなくて、事業が活きて、事業を継続して行くということを前提にして評価するわけであります。
  139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 従つてその現有財産が有すところの利用価値というものは、評価の中に算定されるという結果になると思われるのですが、そうですか。
  140. 野木新一

    説明員野木新一君) さようでございます。
  141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百九十九条で清算を内容とする計画案の作成を認められておるようですが、むしろこういう場合においては清算手続きに移行すべきじやないでしようか。
  142. 野木新一

    説明員野木新一君) この会社更生手続は、企業の維持継続ということを目的とする手続でございますから、もはやそういうことができない、単に清算だけをしようという場合には、これは本来この手続の領域外ということであります。領域外であるということができると思います。従いましてこの規定は、やや例外的なものをここに附加えたものでありまして、まあ便宜に入れたものであるということが言えるのであります。そこには併し相当の理由が考えられたわけであります。初め手続を開始した際には、なお事業の維持更生が可能であつた、ところがその後の情勢の変化によりましてもはや存続は不可能だ、単に清算を内容とする計画しか見込みがないというふうな状態なつた場合において、折角続いて来た手続きをこれを全部御破算にして、今度はもう一度破産手続なり或いは特別清算手続なりに移すかということを考えますと、これは相当手間がかかる、できればこの手続を利用して、而も同じ目的を達せれば非常に便利じやないかということを考えた。ただその性質が非常に違つておる、当事者の利害関係に非常に影響を及ぼすということでありますれば、これは避けなければなりませんが、そういう点を除去して、而も従前の手続きを利用できるということでありますれば、そのほうがやり直すよりは好ましいということが言えると思う。特にその点は両者の手続の差異ということを比較いたしましたところ、これはそれほど本質的なものは少いのでありまして、単に担保権者の保護という点が違うということを考えたわけです。担保権者につきましては、破産手続或いは特別清算手続におきましては、手続に参加しないで権利の行使が認められておるわけであります。この手続におきましては担保権者の多数決によつて拘束されるという建前になつておりますので、その点を手当いたしまして、清算を目的とする計画案につきましては担保権者は全員の同意を要するというふうにいたしましてその調整を図つた次第であります。そういうふうな手当をして置けば、これはむしろ従前の手続を利用したほうがいろいろな点で便利ではないかと考えた次第であります。
  143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この第二百五条ですが、裁判所の職権による修正を認められておりますが、これは非常に運用の仕方によつて危険ではないかと思うのですが、むしろ職権による修正というものを認めないほうがいいのではなかろうか。御説明の場合には、不適法の場合のみに限るように御説明があつたのですが、条文から言えばそういう制約は受けていないというように考えられるが、そうすると非常に幅の広いものであつて運用によつては相当危険なものだと考えられるのですがどうですか。
  144. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この二百五条によります修正命令がありましても、これが最終的な計画案にそのままなるものではございませんで、更に関係人集会の決議を経ることになつております。でございますからそういうふうな裁判所の若し行き過ぎということでありますれば、これは関係人集会において否決されるというふうな場合が多いかと思いますが、いずれにいたしましても当事者のその後の意思の反映による是正という機会もございますので、そういうふうな虞れは少ないのではないかと思います。
  145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御説明によつて、或いはそういう一つの制約する機会もあるからいいかも知れませんが、この間の御説明によれば不適法の場合にのみ限るという解釈はこの条文から出て来ないようですが、むしろそういう立法御趣旨ならその点をはつきりして置いたほうがいいのではないか。職権修正の場合ですね。
  146. 野木新一

    説明員野木新一君) 二百五条の規定は、誠に御指摘のように表現は非常に広くなつておりまして、余り大きな自由裁量権を裁判所に与えたのではないかというような御心配も或いは出て来るかとも考えられるわけであります。而してなお逐条の説明のときに不適法の場合云々と申上げましたが、実際この問題が働くのは、事案の内容に入つたものでありますと、先ほど位野木参事官も御説明いたしましたように、債権者集会等の関係がありまするので、裁判所の行き過ぎということも事前に是正と申しますか、そういう債権者集会のことを考えますと、裁判所もそういう行き過ぎるようなことはないだろうということを考えておりますし、なおこの規定自体が予想するところは、やはり自主的な修正というようなことが、むしろ債権者、そういう関係人集会という関係人のいろいろな折衝に任して、裁判所法律面からむしろコントロールするというのが狙いでありますから、大体ちよつとした違法の点だとか、そういうような点を裁判所は気がついたら是正できる。そういう道も開いておいたほうがいいという趣旨でこの条文が立案されたわけであります。運用の点でありますが、余りに裁判所が自主的に案の内容、当事者が折角きめた案の内容までも入つて行くと行き過ぎでありますので、そういうようなことを心配されますと、或いはこれをしぼつたほうがいいと思いますが、私どもの考えでは縷々申上げましたように、関係人集会等の関係も考えたらそう行き過ぎになることはないであろうという考えで一応このような表現を取つたわけでありますが、表現の点はなお研究の余地があれば御研究願つて結構であると存じておる次第であります。
  147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百五条そのものからいつても、利害関係人申立によるというので、利害関係人異議があれば利害関係人集会申立てられるのですから、而してその修正は又再び集会に諮つて関係人意見を公正にそこで述べることが許されるのですから、その場合は問題ないと思うのですが、又は職権でというのが御趣旨のようであるとするならば、不適法の場合だけに限つてもいいのではないか、こう考えられますね。
  148. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 今の職権の場合には、不適法の事由のある場合に限るというような点でございますが、この不適法という内容を考えますと、すでにその内容の中に相当純粋の法律問題以外に、その計画が遂行できるかどうかというふうな、やや妥当性の問題等も見えるような部分を包含いたしております。これと妥当性との境界、限界如何ということになりますと、これ又非常に困難な問題が起るかと思いますが、そういうふうな疑いを避ける、又争いも避けるというふうな意味から特にそういうふうな限定を設けなかつたのでありますが、まあ元来この手続自体は裁判所の自由裁量という余地を非常に広く認めておるわけでありますので、この部分だけをしぼるということも少し不均衡ではないかというふうな感じもいたしまして、特に限定しなかつたような次第であります。
  149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 只今の補足的御説明によつても、いわゆる不適法の場合の解釈が、いわゆる本来の更生計画が遂行できるかどうかという、いわゆる事業の本質論に入つて来るのですね。いわゆる不適法の場合というのはそこまで入るということになると、結局法案について、法案というか本来の更生計画というものに対するやはり修正ということも可能だ、裁判上可能だということになるのですが、そうすると多数の利害関係人が衆智を集めて、而も実践に当つている人がこれは遂行できると考えたことをも、事業界に通ぜられない一判事が、それが机上で以てできるかどうか。判事の頭では一千万円、一億円という事業計画ちよつと考えられない場合が往々あり得ると思いますが、そうするとその人の考え方によつてこれはどんどん修正されて行く。これは又再び集会にかかるからいいようなものですけれども、徒らに折角当事者が理解してそれでやろうという熱意があつても、一判事の依怙地によつてそれが難航するというようなこともあり得るのですよ。これは東京あたりの錚々たる人は別として、田舎に行くとそういい人ばかりいませんからね。だから私はそれを憂えるのです。だから御説明のような御趣旨は、法律的不適法の場合はこれを職権修正するというならそれはいいですよ。それならそれはやはり明確にして置かんと、今御説明の範囲も拡張して来るのですから、局長さんのお言葉と位野木参事官の御言葉では少し膨脹して来るわけですね。
  150. 野木新一

    説明員野木新一君) 二百五条の規定は、第二百四十一条の更生計画認可の要件と睨み合して考えるべき規定になりまして、今位野木参事官説明も二百四十一条の認可要件と睨み合せたほうの面からの説明が強調されましたので、ちよつと矛盾するかのような概観を呈しましたが、大体趣旨とするところはやはり裁判所には非常に大きな裁量権を与えられておりますが、やはり何と言つて関係人集会或いはその前にいろいろのグループが集つて案を練つて来るのでありますから、計画自体は大体そういうことを尊重して行く。ただそれが後になつて認可の要件に合致しないようなことが起りましては困りますので、結局二百五条といたしましては、主としてそちらのほうからの観点から見て行くことになるものと思います。ただ計画案が具体的に甲案よりも更に乙案のほうがベターではないかというような妥当性の問題から裁判所が自分のほうはこつちのほうがいいと思うというような点からこれを修正するというようなことは、二百五条の条文から殆んど予想しておらない次第であります。
  151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 只今の御説明のごとくならばいいと思いますが、そうでなくて更生計画の事業上の問題にも職権修正ができるということになると、余り幅が広くて却つて弊害が多いのではないか。つまり逐条説明の場合の御説明のごとくならばいいと思いますが、そうでないと非常問題が起ると思いますが……。  次に二百十九条の第一項中の更生計画に関する条項を更生に必要な条項とすべきではないかと思いますが、これはどうでしようか。
  152. 野木新一

    説明員野木新一君) 二百十九条の一項は最小限度の法律的要件としてこういうことを定めたものでありまして、第二項はそのほかに相対的事項とでも申しましようか、当事者がわかりやすいようにこの点もある、この点もあるというように大体索引的に述べたものであります。而してここに更生に必要な事項ということを謳つたらどうかという御質問でありますが、更生に必要な事項という抽象的文言によりましては、必ずしもやはりはつきりいたしませんので、むしろ二百十九条のように法律面から捉えて最少限度のことを書いて置けば、ここにおのずから更生計画でありますから更生に必要な事項は盛られて来るという考えの下に立案しておる次第であります。
  153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは二百十九条は更生計画書だから、それにはやはり更生計画というものをある点まで必要的記載事項ということにしないと、簡略にされる虞れが相当あると思いますね。折角の目的がここで以て外される。実際は書くことは常識でしよう。併し法律がそれを要件としていない以上は、書かんでもよいということになります。ともすると日本の法律家というものは要件じやないから書かん。それに対して裁判所がなぜ書かないかと言うと、法律は要求してないじやないかと理窟を言うのが往々にしてあり得るのであります。若し書かれることが立案者のほうで予想されておるならば、むしろ法律のほうにもそれを明らかにして置いたほうがよいのじやないでしようか。
  154. 野木新一

    説明員野木新一君) 御趣旨は了解できるように思いますが、なお二百十九条第一項の趣旨は、更生債権者だとか更生担保権者若しくは株主権利変更に関する条項を含まないような場合には更生計画はできない。即ち何らかの意味で最小限度これらの権利変更を来たす場合でなければ、このような強力な手続を用いることはできないという趣旨も一方には含んでおるわけでありまして、むしろ一項の必要な記載事項というのは、只今申上げた趣旨をも含んだという意味で重要性があるのじやないかと考えておる次第であります。
  155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御説明は納得いたしますが、私は更生計画というものは、本法の一番の中心をなすものだと思いますから、更生計画において将来この会社がどういうふうに行くのかということが一番知りたいことだと思う。債権を百万円のものを五十万円に削つたということは、目前の問題です。講和条約においても目前のことでなく、我々は将来のことを心配する国民ひとしくそう考える。それと同じように会社を更生させるかどうかということ、将来の見通しがどうなつて来るかということの目標というものを定めずして、目前の債権の切捨だとか、或いはそれを延期するとか、担保権の剥脱とかということは、これは目前の手段に過ぎない。手段を明らかにすることは、これは条文つてわかるが、目的をはつきりさせるということが、それはむしろすべての人が希望するところだと思う。その目的を例えば死文的にでも、簡単にでもどう行くのかということを、この会社目的を定めることが必要じやないか。だからそれは必要な記載事項として定めて置かないと、この更生計画というものは中心を失うのじやないかと思います。当然書かれるでしよう。書かれるでしようけれども、法律が要求してなければ書いても書かないでもよいのだ、ましてさような重大なことは成るべく書きたくないから、責任を負わなければならんから、だからそこまでの将来の見通しを責任を持つて書き得るだけの信念を持つて更生してもらなければ何にもならない。小手先の整理だけをやつて、もう俺は知らないぞということは、それは仏を作つて魂を入れないのと同じじやないか。主眼は更生の目的にある。そこでその目的をどうでもいいのだというようなお考え方では折角ここまで作つたということが水泡に帰するのじやないか。
  156. 野木新一

    説明員野木新一君) 御指摘の点につきましては、更生計画が出来上るにつきましては、或る会社の事業が将来どういうふうに変つて行くものであり、或いは会社の資金は、計画はどうである。そういうようないろいろなことが予想され、或いは準備されなければ更生計画はできないわけでありまするが、そういう実体的な面、或いは経済的な面は裏にしていると申しましようか、法律問題には浮び上らせないでこの第七条の計画自体にしても、法律的な面からのみ捉えて、必要最小限度のことを書き、而もその書く目的は、あとの手続を簡略にするという面からも睨み合せて、これに書かせる。そういたしませんと、更生計画で何でもかでも書くとなりますと、非常に複雑になつて、或いは或る部分は変更なつたりいたした場合の、その変更手続とか、いろいろな点で計画自体が非常に複雑になりはせんかということが心配せられましたので、実際問題としてはそういう事項が、計画が出来上るまでは附属書と申しましようか、これらの書面、或いは申合せ等で見通しをつけられて、その骨格としてこういう更生計画ができ、それが法律の面からは最初の認可を得るというふうにしたほうが、法律手続から見た場合にはむしろ妥当じやないかというような考えでこういうような書き方にいたしたわけでありますが、或いは別の面から見れば委員長のおつしやるような点も確かに問題でありまして、その点はなお十分御議論して頂く価値があるものと存ずる次第であります。
  157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは私は二百十九条の記載事項は必要じやないというのではないのです。これは最も必要なんです。当面の問題としては正に当然書かなければならないものであつて、これは差支えありませんが、この二百十九条に定められたことを書く上においても、目標はあるはずなんですから……。例えば従来東京なら東京地区だけの範囲において営業をなされておるものを、更生計画によつては日本全国、或いは外国地域をも含めてしなかつたならば、この事業会社というものは将来更生して行けないのだというような、その見通しの下に、そういう見通しがあつてこそ初めてこれは更生するのかしないのかということが一般債権者、若しくはその他の利害関係人において納得されるべきものである。その目標なくして、一体これは縮小されるのか、拡張されるのか、或いは従来持つていたものを放棄するのかしないのかというようなことが基本になつて来てこそ、初めてこの二百十九条で書かれたことの内容が可能性あるかないかということが判断ができて来ると思うのです。その目標なくして、ただ当面の事案だけを処理して行くだけでは、お先真暗では、関係人は不安だと思うのです。だからこの更生計画というものを将来において遂行して行く理事者、或いは一年間なら一年間管財人が遂行する、若しくは管財人の選定した理事者において遂行される場合においても、その目標の下に遂行されなければならない、又その後においてこれを承け継いだ人も、その目標の下に遂行されてこそ、更生計画は五年なり十年なりの更生計画を立てられるとすれば、その目標の下に更生計画が遂行されるということになるのだから、やはりその目標というものは、この手続においては一番眼目であると私は考える。それを裏に置き、若しくは第二義的に考えて、当面の整理のみに主眼を置かれることは、私はこの法律目的を外しておるのではないかと思うのです。
  158. 野木新一

    説明員野木新一君) 委員長の御指摘の点も有力な御議論とは存じますが、立案者の立場といたしましては、更生計画ができ上る実際の場面におきましては、当然おつしやつたような事業計画とか、資金計画とかいうものの見通しがつけられて、初めて各組のものの賛成を得、各組の多数を得られて決議せられることになると思いますので、ただそういうことをこの法律の要求する更生計画書自体に法律条件として表示するかどうかという問題でありますが、その点につきまして更生計画はなるべく簡単にして置いたほうがよいのではないかということが一つと、それからそれにしてもこの法案におきましては、相当複雑になつておりますが、これは主として後に述べますいろいろの手続を省略する部面から見て、こういうことを更生計画自体にはつきりして置けば、手続を省略できて手続全体が簡単に行くという見地からこういうことを盛つたのでありまして、そういう法律的必要以外の点はなるべく要件としては省いて簡明を期そうというような立場から、こういうような立案になつたわけでありますが、御趣旨の点もなお十分研究する余地はあると存ずる次第であります。
  159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お答え願わなくてもよろしいのですけれども、立案者のお考えは当面の事務処理ということにのみ汲々として、本法の持つところの眼目を二義的に考えられたことは遺憾であると私は思うのです。  二百二十一条で期限を五年以上にこの法律が区切つたということは、私は五年以上ばかりではなくして、五年以内のものでも、二年、三年、いつでも返す、来月返す、半年先に返す、一年先に返すというものもやはり資金計画というものを書かせる必要があるのではないか、それでなければやはり債権者は納得しないと思うのです。五年以内のものは調達方法というものを明示しない、それは払つてやるというだけではやはり私は納得しないと思うのです。五年と限らずやはり更生計画によつて定められたところの債務についての弁済方法というものは、あらかじめ調達方法というものを定める必要があると思うのです。五年以上のものだけを調達方法を定めて、それ以内のものは調達方法を定めないというやり方はどうかと思うのです。
  160. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 五年以下の債務につきましても、債務の弁済資金の調達方法を明示するということは非常に好ましいことでありまして、できればそういうことを要件といたしたいのでありますが、これは一面計画が遂行可能であるか、どうかというところから、そういう調達方法の監督といいますか、そういうこともできる仕組になつておりますので、特に五年以上のような長いものにつきましては、厳格にこのような要件を要求したわけでありまして、期限の短いものはそれほど特に取出して要件とするほどのことをしなくてもよくはないか。余りに細かい条件を附加えるということは、やはり計画の瑕疵ということを来しまして、思わぬ小さいことから計画が取消されるとか不適法になるとかいうようなことになりますので、できるだけ要件を簡略にするという意味で、五年以下の債務については、特にこれを要件としなかつたのであります。
  161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは今日の日本の裁判所の考え方は五年、十年、百年ということを簡単に考えられていられるのですが、五年というと長いのです。今日この生き馬の眼を抜くような企業界において、五年なんという資金調達は考えていません。もう六十日以後のものは長期といつておる。九十日という手形は通用しないのです。いわゆるそれを長期と称しているのです。だからそれは二年先とか一年先なんといつつたら殆んどその受けるほうのいわゆる債権者側から見れば、そういう金を資金繰にあてにしていないのです。私のいうのは何も来月払うとか再来月払うとかいうものまできめろとはいいませんけれども、少くとも一年とか半年先のものから資金調達の方法を明示するということは、債権者に対して納得させるゆえんですね。五年も先のことなんて……五年も先では金銭価値も違つて来るし、市場価格も違つて参りますから、そんな金は拾てたも同様です。あなたがたは破産のような場合をお考えになつておるならそれはそれでいいでしようけれども、それは破産じやない。その会社を見守つて行かなきやならん、育成してやらなきやならん、又協力も求めなくちやならん、債権者に……。従つてお前の債権は五年先だから、それ以前のやつは明示しない、こういう扱い方は、これは更生させるゆえんにおいてよくないと思う。又実際問題としてそれは納得しませんですよ。五年先のやつをこれを明示させるというならば、勿論一年だんだんらいから明示させる必要があると思うのです。又私理想的に言えば、全体的に資金計画というものは明示する必要があるですね。又それくらいの確信がなかつたら、こんな管財人は必要ないですよ。又そんな人になつてもらつても何もならないと思うのです。裏付にならないような計画なんというものは、およそ無意味なんですよ。問題はこの裏付ですよ。資金調達の裏付を考えないような管財人に管財を委託しても、ただ当事者に迷惑をかけるだけのことです。これはお考えにならなくちやいかんと思うのですよ。
  162. 野木新一

    説明員野木新一君) その点は誠に御尤もな御議論と思いますので、私どもといたしましても単にこの七章の更生計画の条項、ここにあるこれだけのことでは、各担保権者集会とか更生債権者集会、或いは株主集会に出してもなかなかパスすることはむずかしいではいなかと存ずる次第であります。管財人更生計画作つて、或いは担保権者集会更生債権者集会株主集会等をうまく乗切つて行こうというためには、各組において或る程度譲歩するというふうないろいろの折衝をすると共に、みずから作つた計画の裏付となるべきいろいろの事業の目論見とか、資金の計画とか、そういうようないろいろな裏付を以てこういうことにするから、どうか賛成してくれというような、いろいろの折衝を重ねて初めて各組の多数決を得られまして更生計画が成立ち、可決に行くものと信じておるわけであります。従いまして更生計画が成立する実際の場合を見ますと、委員長が御指摘しておる場合と私どもが想定した場合と同じになるのではないかと存ずる次第であります。ただ法律的に批判される更生計画それ自体といたしましては、私どもは法律から見ました最小要件を盛つて置けば足りるのではないかという立場をとつておるわけでありまして委員長の御指摘の面からいいますと、そういう法律面のみならず、実際において各組の人がそういう事業計画なり、資金計画なりを前提として更生計画に賛成いたしたならば、その資金計画なり、更生計画なり、事業計画なんといつたそういう経済的なものとも法自体の上に表わして置いたらどうかという御議論になるのではないかと思いますが、果していずれの立て方をとつたほうが手続として簡易迅速に行くか、或いは更生計画の後の遂行の段階において円滑に行くかという点でございますが、私どもといたしましては、遂行の段階におきまする裁判所の監督、或いは管財人、整理委員等、機関による監督等によりまして可決、若しくは認可の法律的対象となる更生計画自体といたしましてはむしろ簡素な仕組みにして置いておいたほうがよろしいのではないかというような考え方に従つたわけでありまして、実際のことの運びにつきましては、委員長のお考えになつているところと大体同じようなことを想定しておつたわけであります。ただ、この二百二十一条の債務の期限につきましては、五年というのは甚だしく今の経済界に照して非現実的ではないかという点でございますが、この点につきましては、或いは現在におきましては五年というのは非常に長いという感もいたしますのも無理はないと存じますが、まあ一年、二年のような場合におきましては、先ほども申上げましたように、遂行の段階における裁判所の監督権、或いは管財人計画の遂行に対する努力、或いは整理委員等の役割によつて計画の遂行が計画通りに行くことが期待されるわけでありますが、それより長い五年というようなことになりますと、そこまで果して管財人もいるかどうか非常に疑問でありますが、そういう長いほうは何かはつきりした方法を明示して置かなければ、いろいろな弊害を生ずるのではないかというような考えで、まあ五年に切つたわけでありますが、一応立案のときの態度を申上げて置きます。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 立案者のお考えはよくわかりましたが、管財人が五年も会社にいるようなことがあつたら、その会社は更生は到底それはできませんよ。破産してしまう。管財人の費用だけでも会社は償われない。だから私の予想するのは、恐らくこの更生手続のごとき、長くて一年くらいにして置いて解決さるべきもんだと思います。してみれば管財人においては半年一年で離れる。そしてその後理事者はその更生計画に基いて遂行されるわけですから、やはりその手当はそこに更生計画に盛込まれなければならない。その手当も考えて行きたい。管財人がそんなことは俺はちつとも知らないというようなことになると……、資金調達の方法は一応指針は与えて置く必要があると思うんです。してみればやはり更生手続開始後と……、明らかに始期を定めるとか、或いは一年行つて一律に定める、どつちかにして置かんと、あなたのような考え方がそのまま実業界に通じないと思うんです。大体考え方として、私はこの面ばかりじやないんですが、観念的遊戯を試みて、どうしても実際の経済界と国民の実際生活というものにマツチとない法律が往々にあるんですよ。やはり私は法律理論ばかりじやなくして、生活と経済というものが常にマツチして行かなくちやならんと思うんですよ。そこが私はやはり英米法のいいところじやないかと思うんです。だからドイツ、大陸法系的に理念の遊戯ばかり試みて実際生活というものを度外視した感が我々の今日までの法律生活だと思うんです。今後英米法系を取つて行く以上は、やはり法律の面においても常に実際経済と実際生活というものを織込んで行かなくちやならんと思うんですよ。御説明の御趣旨はよくわかりますが、我々はやはりそういう態度で行かなくちやならん。又簡素化ということをしばしば先ほどから御説明があるけれども、立案に際して立案者の態度は成るべくよくわかるように法律を書くという態度である以上は、半条や一条を節約される必要はないと思うんです。法律全体ですべてがわかるようにお書きになるほうがいいと思います。  それから二百二十八条ですが、管財人の選任した取締役、監査役というものは、任期内にその取締役、監査役は辞任できるのですか。
  164. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百二十八条によりまして選任せられました取締役は、これは辞任いたしたい場合は辞任ができるというふうに考えております。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ法律においてはよくそいういう場合においては、止むを得ない事由がある場合に辞任することができるというふうに明らかにするのですが、明らかにせんでも、辞任ができるという根拠はどこから発見できるのですか。
  166. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは一般の商法規定原則に任しております。ここではただ商法原則によらないでも、こういう手続をとることができる、こういう特例を設けたのでございます。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百二十八条の特例は選任に関する特例であつてその就任後は一般商法によつていい、こういう趣旨ですね。
  168. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百三十四条の新会社と旧会社との間の契約の内容というものを定むべきじやないでしようね。
  170. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この点につきましては、この法案の建前は新旧会社権利関係というものを、単に両会社の間の契約というものとは考えていないのでありまして更生計画全体といたしまして新会社を設立するかどうか、新会社を設立する場合には、旧会社からどういう財産を移転するかというようなことを定めまして、それが可決されれば、当然計画効力が新旧会社に及んで、一定の効力を生ずるというような建前をとつております。新旧会社の間の権利関係、これは重要なものは二百三十四条の要件に包含されておりまして、特に別に契約を定めるという必要はないと考えております。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まだ質問事項は相当ありますが、これはいずれ機会を得てお尋ねすることにいたしまして、一応一通りの質問を、本日の程度で終つて置きたいと思います。   —————————————
  172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に何か……。それではお諮りいたしますが、この法律は御承知の通り、実際経済界において重要な問題を投げかけて来ると思いますし、殊に金融機関におけるところの、こういう法律ができた場合における措置というものは、相当重大な影響を及すものと考えられますから、関西財界專門のかたがたの御意見を伺うために出張いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで出張の日取、その人員及び意見を聞く人の範囲、それから質問事項等を、委員長に御一任願えませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは委員長において然るべく取計らいます。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            齋  武雄君            岡部  常君            一松 定吉君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務府法制意見    第四局長    野木 新一君    法務府法制意見    第四局参事官  位野木益雄