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1951-09-08 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月八日(土曜日)    午前十時二十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○会社更生法案内閣送付)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれより会社更生法案等に関する小委員会を開きます。  昨日に引続きまして、政府委員の御説明を伺います。本日は第八章から最後まで御説明をお願いいたします。
  3. 野木新一

    説明員野木新一君) 先ず第八章の御説明をいたします。本章更生計画認可要件及びその効果更生計画遂行及びその遂行に関する他の法令規定特例更生手続終結等について規定したものであります。  第二百四十条、更生計画は、関係人集会で可決されると直ちに効力を発生するものではなく、裁判所があとでこれを認可することによつて初めてその効力を生ずるものであります。本条は計画案可決裁判所のなすべき計画認否裁判につき定めたものでありまして、和議法等の例に倣つたものであります。第二百四十一条、本条は更生計画認可要件規定しております。第一号から第三号まではいわば一般的の要件であり、第四号及び第五号は特別な場合の要件であります。裁判所は可決された計画がこれらの要件を具備しているかどうかを改めて審査し、要件を満たしていると認めた場合に限つて認可決定をすることができるわけであります。ただ手続上些細な欠陥があるような場合で、諸般の事情から見て計画認可しないことが不適当と認められるときは、認可決定ができるようにすることが適正でありますので、第二項の規定を置いたわけであります。二百四十二条、本条は更生計画案につき同意を得られない組がある場合の規定であります。更生計画案はすべての組においてそれぞれ法定の多数を以て同意が得られた場合に成立するのが原則でありますが、特殊な場合といたしまして或る組において不同意を唱えたというような場合でも、その組の権利者権利本条第一項に掲げるような方法によつて保護するといたしますれば、それらの不同意権利者に事実的の不利益を与えるものではありませんので、計画認可をすることができることにいたして、それまで進んで来た手続が無駄になることを防ぐことにいたしたものであります。第一項は計画案関係人集会決議に付して、不同意の組があつた場合のことを規定しており、第二項及び第三項は決議前に同意を得られないことが明らかな組がある場合について定めたものであります。これらの組の権利を保護しながら更生計画成立を容易ならしめようとするのが本条目的であります。次に二百四十三条、本条第一項は更生計画認否決定の言渡し及び公告について定め、第二項は監督行政庁等への通知について定めたものであります。二百四十四条、本条は更生計画効力はその認可決定のときに生じ、その決定確定を待つて発生するものでないことを明らかにしたものであります。確定を待つて効力を生ずることといたしましたのでは、計画遂行につき時宜を失する虞れがあるからであります。尤もこの点につきましては立案の過程におきましても、いろいろ議論のあつたところでありますが、会社更生手続はしばしば申上げましたように、生きた会社を相手にし、その更生を図つて行こうとするのでありますから、時間というものは非常に大切になるわけであります。而も非常に複雑な手続で進んで来ておるものでありますので、一旦認可決定があつたならば、即時効力を生ぜしめるということにいたしたわけでありまして、例えば認可決定に対して即時抗告があつたような場合でも、それにかかわらず認可決定のときから効力を生じて、それの、従つて更生計画の実施がなされて行く、そういうような立場からいたしたわけであります。この二百四十四条の認可決定のときから効力を生ずるというのは相当重要な規定でございます。次に二百四十五条、本条は更生計画認否決定に対する抗告に関して規定をしたものであります。届出をしなかつた更生債権者等には抗告を許さないことにいたしました。即時抗告があつて執行停止効力を生ぜず計画遂行影響は与えませんが、特別の場合には抗告裁判所又は更生債権者計画遂行停止、その他必要な処分をすることができることにいたしました。なおこれらの事項特別抗告にも準用することにいたしてあります。このようにいたしまして前条におきまして更生計画認可決定のときから効力を生ずるということとの調整を図つておるわけであります。次に二百四十六条、本条は更生計画認可決定確定した場合における更生手続廃止の場合の共益債権弁済及び更生債権者表等記載効力についての規定を準用したものであります。次に二百四十七条、更正計画認可決定があつたときは、更生債権者更生担保権者及び株主権利計画定め従つて変更され、計画認可決定確定すると、更生債権者表等記載確定判決同一効力が認められることになつていますので、本条は裁判所書記官認可決定確定のときに、計画の条項を更生債権者表等記載しなければならないことを定めたものであります。  次に二百四十八条、本条は更生計画効力の及ぶ範囲について規定したものであります。更生手続に参加しない更生債権者更生担保権者及び株主に対しても効力が及ぶことになります。第二項は、更生手続会社事業更生をその目的とするものでありまするから、計画会社保証人その他会社と共に債務を負担する者に対する権利及び会社以外の者が更生債権者等に供した担保には影響を及ぼさない旨を明らかにしたものであります。第二百四十九条、本条は更生債権等免責等について定めたものであります。この免責等効力を認めたのは、更生後の会社法律関係を明確にし、更生を容易にするためであります。届出がなかつた債権届出があつても、異議があつたにかかわらず確定手続のとられなかつた債権等については、会社認可決定によりその責任を免かれることになります。ただ罰金等請求権及び租税請求権の一部につき、例外規定いたしましたのは、罰金等はその性質がこれを許さないからであり、租税等の或るものは免責させることが適当でないからであります。次に二百五十条、本条は更生債権者更生担保権者及び株主権利の内容の変更について規定しております。例えば計画において更生債権者に対し、従前債権に代え新株式を割当てることを定めたときは、その者は従前債権を失い、新たに株主として権利を有することになります。第二項は、株式目的とする質権効力権利変更により受けるべき金銭等の上に及ぶことを定めたものであります。次に二百五十一条、本条は届出がなく、又届出があつて確定手続を経ない更生債権者、及び更生担保権者更生計画によつて権利が認められることがないことを定めたものであります。これらの権利者認可決定があると第二百四十九条の規定によりその権利の全部について免責効力を受けることになります。認可決定当時に未確定でものち確定すればよいわけであります。この無届の更生債権更生担保権につきましては、このように或る場合に質権効果を附しておるわけでありますが、この点も立案のときにいろいろ問題にした点でありますが、更生計画遂行して行く上におきましては、この程度のことは止むを得ないものとしてこのような考え方をとつたわけであります。次に第二百五十二条、本条は前条の場合とは逆に更生計画によつて株主権利が認められたときは、届出をしない株主でもその利益にあずかることを定めたものであります。株式についてはその届出有無によつてこの点に関する取扱を異にするのは適当でないからであります。この点は届出しない更生債権失権するのに対して、株主は有利な取扱を受けておるわけでありまするが、これは株の性質上、このような取扱をしたほうが妥当であると存じた次第であります。次に第二百五十三条、本条は更生計画認可決定確定後において計画によつて認められた権利についての更生債権者表及び更生担保権者表記載に、更生計画効力の及ぶ範囲の者に対し、確定判決同一効力を認め、なお手続終結後はこれを債務名義として強制執行することができることにしたものであります。管財人又は更生債権及び更生担保権調査を行う審査の人があつた場合の会社異議有無は闘わないことにいたしております。権利関係を明確ならしめる趣旨からであります。次に第二百五十四条、本条は更生手続開始によつて中止した手続事項について規定したものであります。更生計画認可決定後はこれらの手続は存続させる必要がなく、却つてこれを存続させると計画遂行支障を来たすからであります。第二項は失効した破産手続における財団債権取扱について定めたものであります。  次に第二百五十五条、本条は更生計画遂行責任者について定めたものであります。第二項は管財人がなく、会社による遂行が適当でない場合に計画遂行に当らせるために整理委員を選任することができることにいたしたものであります。第三項は計画遂行の確実、迅速を期するために管財人等に発起人又は設立委員の職務を行わせることにいたしたのであり、第四項は調査委員及び管財人に関する規定整理委員に準用したものであります。第二百五十六条、本条は計画遂行の確実を期するために裁判所計画遂行責任者及び計画効力を受ける者に対し計画遂行に必要な命令を発する権限を与えたものであります。この命令に違反した者には過料の制裁が規定されております。第二項及び第三項は更に債務弁済を確実ならしめるために、担保の提供を命ずるととができることといたしたものであります。次に第二百五十七条でありますが、この第二百五十七条以下におきましては、計画遂行を迅速簡易ならしめるために商法その他各法律に対する特例規定しております。この二百五十七条は計画遂行を確実ならしめるため、更生手続株主を参加せしむると共に、計画遂行については一般的に株主総会等決議を要しないものであります。次に第第二百五十八条、本条は第二百二十五条の規定に対応する規定でありまして、第一項は営業の譲渡等株主総会決議等を要せずしてできることを明らかにし、第二項は反対株主株式買取請求を認めないことといたしまして、計画遂行を容易ならしめることにしたものであります。第二百五十九条、本条は第二百二十七条に対応する規定でありまして、更生計画によつて会社の定款を変更し得ることを明らかにしたものであります。第二百六十条、本条は第二百二十八条に対応する規定でありまして、会社取締役監査役等更生計画定めにより、又は計画定め方法によつて選任、選定又は解任され、その任期又は代表の方法等計画定めによつて定まる旨を規定したものであります。第二百六十一条、本条は第二百二十九条に対応する規定で、資本の減少につき商法及び非訟事件手続法特例を設け、計画遂行の迅速を図つたものであります。次に第二百六十二条及び第二百六十三条、これは第二百三十条に対応する規定でありまして、新株の発行に関する商法及び非訟事件手続法特例を認め、計画の円滑迅速な遂行を期したものであります。  次に二百六十四条及び第二百六十五条、これらは第二百三十一条に対応する規定でありまして、社債発行に関する商法、非訟事件手続法及び担保附社債信託法特例定めたものであります。次に第二百六十六条、本条は第二百三十二条及び第二百三十三条に対応する規定でありまして、合併について商法及び非訟事件手続法特例定めたものであります。次に第二百六十七条、及び第二百六十八条、これは第二百三十四条に対応する規定であります。新会社設立に関する商法及び非訟事件手続法特例定め計画の円滑迅速な遂行を図つたものであります。次に第二百六十九条、本条は第二百三十五条に対応する規定でありまして、会社の解散に関する商法及び非訟事件手続法特例定めたものであります。次に第二百七十条、本条は更生計画定めにより、新らしく会社又は新会社株主又は社債権者となつた者失権について定めております。即ち、権利者となつてから三年間も株券又は債券交付を請求しないような者はこれを失権させて、従来の権利関係を整理し、会社又は新会社更生を容易ならしめようとするものであります。第二項は、株主又は社債権者であつた者が、新株券又は新債券交付を請求するには、従前株券又は債券を提出しなければならないことを定め、第三項は、従前株券又は債券につき公示催告手続を許すことを明らかにし、第四項は失権の場合における会社自己株式取得を認めたものであります。第二百七十一条、本条は株主又は社債権者前条第一項の期間内に従前株券又は債券を提出できず、而も除権判決もされてない場合における新株券又は新債券交付の便法を認めたものであります。  次に第二百七十二条、本条は更生計画定めによつて与えられる株式又は社債引受権は、会社又は新会社に対する関係においても有効に譲渡し得ることを規定いたしたものであります。第二百七十三条、本条は金融業を営む会社について私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律第十一条第二項の規定適用特例を認めたものでありまして、更生計画定めによる会社又は新会社株式取得の場合には独占禁止法第十一条第二項の規定適用せず、ただ一年を超えて株式を所有しようとする場合は公正取引委員会許可を受けるべきものとしたものであります。同条第四項に定める場合と同視すべきものだからであります。第二百七十四条、本条は証券取引法第四条第一項の規定適用例外を認めたものでありまして、証券取引委員会に対し改めて有価証券の募集又は売出に関する届出をしなくてもよいことにして手続簡易化を図つたものであります。第二百七十五条、本条は更生計画遂行につき、工場財団その他の財団又は財団に属する財産処分の制限に関する他の法令規定特例定め更生計画遂行支障なからしめたものであります。第二百七十六条、更生手続につきましては、前に述べた通り、監督行政庁の発言の機会が十分認められておるのであり、許可認可等を要する事項定め計画は、行政庁意見と重要な点で反していないことを計画認可要件としておりますので、本条は会社が改めて許可認可等を得なくてもここに掲げる会社権利義務を当然承継することといたしまして、新会社設立を容易ならしめることにいたしたものであります。次に第二百七十七条、本条は更生手続に関する税法の特例を認めたものであります。第一には新会社租税債務の承継について定め、第二項は会社事業年度特例定め、第三項は更生手続による会社財産評価換又債務の消滅があつた場合の法人税の軽減について定め、第四項は法人税中間申告等に関する規定適用の排除について定め、第五項及び第六項は更生手続に関する一定の登記及び登録についての登録税の減免につき定めたものであります。第二百七十八条、本条は第一項に掲げるものに対する更生手続開始後、新会社に就職するまでの期間退職手当会社の計算で支給を受けさせないことにした半面、右の期間を新会社在職期間に通算して退職手当をきめることにいたしたもので、新会社設立の場合の退職金支払関係を調整したものであります。なお更生手続開始前の在職期間についての退職金請求権更生債権となるので、更生計画においてその支払方法をきめるべきものであります。次に第二百七十九条、更生計画認可決定後はもとよりその変更を許さないのが原則でありますが、経済事情変動等によりどうしても変更しなければならない場合もなしといたしません。本条はこのような場合に計画変更を許して、計画の失敗によつて生ずる無駄を省くことができるようにいたしたものであります。第二項は更生債権者等に不利な影響を及ぼす場合の手続について定め、第三項は認可決定についての効力発生の時期及び抗告に関する規定を準用したものであります。第二百八十条、更生計画の確実な遂行を図るために計画遂行が終つたか又は遂行見込が確実についたときに初めて更生手続終結決定をすべきものといたしました。本条第一項はその趣旨を明らかにしたものであり、第二項はその旨を監督行政庁等通知すべきことを定めたものであります。  次に第九章に移ります。本章更生手続廃止につき規定しております。決議に付するに足る更生計画案が提出されないか、又は計画案が可決されないとき、会社届出をしたすべての更生債権者及び更生担保権者に対する債務を完済できることが明らかになつたとき、及び計画認可決定計画遂行見込がないことが明らかになつたときは更生手続を続行する必要がないので、手続廃止すべきことにいたしたのであります第二百八十一条、本条は更生計画認可決定更生計画成立しなかつた場合につき定めたもので、このような場合には職権更生手続廃止しなければならないものとしました。第二百八十二条、本条は更生計画認可決定前に会社財産状態が好転して、更生手続を進める必要がなくなつた場合につき定めたものでありまして、申立により更生手続廃止すべきものといたしました。第二百八十三条及び第二百八十四条、この二条は二百八十二条の申立があつた場合の手続規定したものであります。会社並びに届出をした更生債権者及び更生担保権者に対し意見を述べる機会を与えることにいたしました。第二百八十五条、本条は更生計画認可後、計画遂行見込がなくなつた場合について定めたものでありまして、申立又は職権により手続廃止すべきものとしました。第二百八十六条、本条は前条規定による更生手続廃止手続について定めたもので、期日を開き利害関係人意見を聞くべきものとして手続を慎重にいたしております。第二百八十七条、本条は第二百八十五条の規定による手続廃止効果定めたものであります。廃止効果更生計画遂行及びこの法律規定によつて生じた効力影響を及ぼさないことにいたしまして、法律関係の混乱を避けることにいたしております。第二百八十八条、更生手続開始決定はこれは利関係人に周知せしめるため公告をするが、更生手続廃止決定も又これを公告する必要があります。本条はその旨を明らかにしたものであります。第二百八十九条、本条は更生計画認可決定に対する抗告規定を、更生手続廃止決定に対する抗告及び抗告裁判所決定に対する特別抗告に準用したものであります。第二項は監督行政庁等への通知について定めたものであります。第二百九十条、本条は更生手続廃止決定確定したときの共益債権弁済につき定めたものであります。第二百九十一条、更生計画認可前に更生手続廃止決定確定した場合の更生債権者等表記載効力について定めたものであります。更生手続において確定した、而も会社異議のなかつた更生債権又は更生担保権についての更生債権者表及び更生担保権者表記載は、会社に対する関係確定判決同一効力を認め、又これを債務名義として会社に対し強制執行ができることにいたしたものであります。第二百九十二条、本条は更生計画認可後に更生手続廃止決定確定した場合の更生債権者表等記載効力定めたものであります。この記載はすでに計画認可決定確定により会社等に対し確定判決同一効力を有していますが、更に手続廃止決定確定後における更生債権者表等に基く強制執行をも認めようとするものであります。  次に第十章に移ります。本章調査委員管財人審査人整理委員法律顧問及び管財人代理に対する報酬更生債権者更生担保権者株主代理委員員及び代理人に対する報償金等について規定しております。  先ず二百九十三条、本条は管財人等費用の前払及び裁判所定め報酬を受ける権利があること、及びその報酬の額が適当なものでなければならないことを定めたものであります。第二百九十四条、本条は管財人信頼関係に基く地位にありながら、これに背くような会社株式売買等行為をする場合には、裁判所許可がある場合を除き、これに対し費用及び報酬を支払う必要がないことにいたしたものであります。第二百九十五条、本条は代理委員等更生成立に特別に貢献したときは、その者に費用を償還し、又は報償金を与えることができることを定めたものでありまして、更生手続に対する協力を奨励することにいたしたものであります。第二百九十六条、本条は前条定めるものが、更生に貢献はしたが、会社株式を売買して利益を得た事実があるときは、裁判所はこれに対し報償金等を支払うことを許可せず、又は報償金等の金額の決定につきその事実を考慮すべきことを定めたものであります。第二百九十七条、本条は管財人等報酬代理委員等報償金に関する裁判に対しては即時抗告ができることにいたしてあるのであります。  次に第十一章に移ります。本章更生手続に関する罰則を定めたものであります。  二百九十八条、本条は詐欺更生罪につき規定されております。会社取締役等が、悪意を以て会社財産減少又は負債の増加を図り、その他会社財産の状況を不明確にすることを防止する趣旨で、詐欺破産の罪の例に倣つたものであります。なお刑法詐欺罪等に該当する場合は本条規定適用しないことにしました。第二百九十九条、本条の罪の主体詐欺更生の罪の主体とは異なりますが、犯罪の態様が類似している場合前条同様の刑を科することにいたしたのでありまして、第三者の詐欺破産罪の例に倣つたものであります。本条刑法規定適用がある場合には適用されません。第三百条、本条は調査委員管財人更生債権者代理委員等収賄罪につき規定しております。更生手続の公正を維持するためのものであります。第二項は管財人法人である場合の特則定めております。第三百一条、本条は前条に掲げるもに対する贈賄罪について規定しております。趣旨は全く前条と同様であります。次に第三百二条、本条は会社取締役等法律上の義務に反して報告若しくは検査を拒み、又は虚偽の報告をしたときはこれを処罰することにいたしたものであります。最後に三百三条、本条は会社取締役等でここに掲げる義務違反行為をしたものは過料に処することを定めたものであります。  以上を以て概略の説明を終ります。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以上によつて政府委員逐条説明を終りましたが、これより質疑に入ります。
  5. 山田佐一

    山田佐一君 欠席をしておりまして愚なことを質問するようでありますが、本案の会社更生法というのは、以前の旧勘定であることに限るものか、現在の会社でもいわゆる今まで窮境に陥つたものは破産法が守られてこの法律で以て行けるという趣旨でありますか。趣旨を一応聞かして頂きたいと思います。
  6. 野木新一

    説明員野木新一君) 只今議題になつておりますこの会社更生法案は前の企業再建整備法と異なりまして、旧勘定だけを整備するというよりも、むしろ現在ある会社を生きたままこれに手術を施して更生さして行こうという考えでありまして、新勘定、旧勘定というような勘定を分離するというような方法は、あれと同一方法は用いておりません。
  7. 山田佐一

    山田佐一君 そうしますと、株式会社が現在において行詰つたときに、以前のように破産法によらずして、会社更生法によつて更生見込のあるものとして、十分の一の債権者届出ればいい、こういう趣旨でありますか。
  8. 野木新一

    説明員野木新一君) 御趣旨のようでありまして、即ちこの法案は、放つて置けば会社事業はうまく行かないために、或いは破産になつてしまうというような場合に、破産になつてしまうと、折角の企業が解体されて、ばらばらになつて分配されてしまうというのが破産でありますが、これが社会経済上、成るべく既存の企業はそのまま解体させないで生かして行こうという精神に則りまして、そういうような危殆に瀕した会社に、この手続によつて手術を施して、その企業更生さして行こうというのが、この法案の主眼でありまして、従つて第三十条に規定いたしてありますように、債権者の側から見れば、資本の十分の一に当る金額若しくは百万円以上の債権を有する債権者申立てた場合には、この第三十八条に該当するような理由がない限りは、更生手続が開始される、そういうような仕組になつております。
  9. 山田佐一

    山田佐一君 承わると、非常に窮境に陥る会社に非常に恩典があつて、誠にいい法案のようにも思いますが、一方考えて見ると、債権債務というものは誠にルーズになつてしまう、会社は放漫に計画しておいて、一朝不況に陥つたときに、直ちに会社更生法によつてつて行く。つまり今までの破産決定を受けず、会社更生で又継続して行く。更生法を設けて、十カ年なり何なりの案を立てれば、会社自体と、或いは株主の十分の一又は債権者の一割の人の同意を得れば、裁判確定を得ずして行けるというようにとれますが、何か世道人心の上においてそういうふうのことはお考えになつておりま旧すか、どうか。
  10. 野木新一

    説明員野木新一君) この法案が只今御質問のような形になりますと、誠に面白くない法案ということになりますが、この法案趣旨はそういうことではございません。のみならず実際の建て方もそうなつてはおらないわけであります。即ちこの法案自体は会社更生法となつておりまするが、更に厳密に申しますれば、むしろ会社事業更生法と言つたほうが一層適切かも知れませんが、簡単にする意味で会社更生法といたしたわけであります。これは只今お話にあつたような放漫な事業の経営をしていた理事者を救おうという法案ではありませんので、客観的な事業自体を何とか救つて生かしてやろうというのでありまして、従いましてこの手続におきまして一番発言力を有するのは、その会社に対して株券を持つている者が一番発言力を有し、次に債権を持つている者が発言力を有し、それから株主破産の原因がまだないというような場合には、結局清算すれば多少残余財産の分配をあずかり得るわけでありますが、そういう限度では実際の発言力、発言力と申しますか、案を作つたときにその決定権は、そういう限度で持つということになりまして、若し大口の担保権者とか、それから会社に金を貸していた債権者、そういうものが結局首を振つて案に賛成しなければ、この会社更生というのはできませんので、従つて若し理事者が非常に放漫な経営をいたしました結果、会社が危殆に瀕したような場合には、恐らく債権者等はやはり自分の債権の保全を一方考えつつ、そういう場合にその事業を解体してしまつたほうが得か、或いは事業を維持しつつ、多少時間がかかつて債権をより確実に回収したほうが得か、そこらを勘案しつついろいろの案を立てることになるものと存じます。そういうような場合には、昔の理事者はもうその会社なり、或いは新らしい会社を作る場合には追い出されてしまつて、新らしい理事者に変るという事態も生じ得るわけでありまして、この法案の狙いといたしましたところは、放漫な経営をしていた理事者を救つてやるということではありませんで、事業自体を社会経済上の必要に基いて、担保権者、債権者等の利害を調整しつつ維持更生できるような途を開いてやろうというのが、この案の根本の趣旨でございます。
  11. 山田佐一

    山田佐一君 大分よくはつきりして来ましたが、一つの例をとりますというと、今日の経済状態において、元の復金が一千億からの債権がある、これに対して債務者は、相当の会社で相当の人がおるけれども、弁済するというと、会社が成り立たない。いわゆる会社自体の更生法を設けて、復金の債務というものはこれに準じて片付けるという御趣旨の下にできておりますかどうですか、その辺をちよつと聞かして頂きたい、余り具体的に入り過ぎるか知れませんが……。
  12. 野木新一

    説明員野木新一君) 今復金の金融等、具体的の場合は暫らくおきまして、或る事業会社が或る銀行から金を借りておる、その他にも借金があるという場合におきまして、その会社事業会社で工場を持つておる、その借金を返すためには、その工場を手放さなければ返せないというような場合でありましてその重要な工場を手放すと、もう会社事業は解体し、企業組織は離散してしまうというような場合でありますと、この第三十条の規定によりまして、「事業の継続に著しい支障をきたすことなく弁済期にある債務弁済することができないときは、会社は、裁判所に対し、更生手続開始申立をすることができる。」という規定によりまして会社側からもこの手続開始の申立をすることができるわけであります。併しながら先ほど申上げましたように、この手続におきましては、債権者の発言力というものは株主の発言力よりも大きいわけでありまして、従つて債権者の発言力は理事者の発言力よりも又大きいことは当然でありますので、実際会社更生手続を図つて行こうという上におきましては、有力な債権者とは十分連絡しつつ了承をとつて行かなければ、結局この手続は成功しない。そういう意味におきまして債権者権利というものは法律的には株主乃至理事者の権利よりも、一層この手続におきまして法律的には尊重されておるという形になつておりますので、まあ債権を無視する、借金を棒引きするとかいうような批難は法律的には出て来ないと存じておる次第であります。
  13. 山田佐一

    山田佐一君 ちよつと速記をとめて……。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  15. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて。  百十三条に関連してお尋ねしますが、期限附利息債権の額の算定はどういうふうにするのですか。
  16. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) 期限附の利息附債権ですか。
  17. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  18. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) 期限附の利息附債権につきましては、更生手続開始当時すでに期限の到来しているものにつきましては、この開始当時の元金と、その当時までの利息、これを合計したものであります。それから期限の到来していないもの、これは元金だけということになります。
  19. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 開始決定のときを標準にして、それ以後のやつは認めないわけですね。
  20. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) さようでございます。但し更生手続開始後の利息、これにつきましては百二十一条第一項第一号によりまして、劣後的な順位によりまして更生債権とすることができることになつております
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百三十条でしたかね、株式のこの届出について名義の変更を認めないというのですが、実際の経済界の実情から言つて、名義の変更を認めないというのは非常に不自由じやないですかね。
  22. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) この手続におきまする株式届出効力は、単に手続における議決権の行使等にとどまりまして、株式に対する権利の分け前には関係がないわけであります。それで債権の譲渡の場合よりも譲渡の重要性と申しますか、そういうものが少いわけであります。それが第一点でありますのと、更に今度は、株式は譲渡が債権に比しまして非常に頻繁である。それで一々譲渡を届出して更に裁判所における手続をとるということになりますと却つて煩わしく、権利者にとつても煩わしい。又裁判所にとつても非常に手数のかかることじやないかということ、それから届出をした株式届出期間内に届出をされなかつた株式とに分かちまして、届出をした分について届出変更を許すということになりますと、株式に二様のものができるということで、株価その他において非常な不当な影響を及ぼすのじやなかろうかというふうなことも考えられたのであります。それで実体権には影響しないのでもあるし、そういうふうないろいろな弊害も考えられましよう、むしろ株式届出後の譲渡ということは認めないで、裁判所株主の変動が届出期間経過後甚だしかつたというふうに認められた場合には、もう一度届出をさせ直すということによつてその間の調整を図るという建前にいたしたのであります。
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから本法の株式に対する建て方ですが、こういう動的状態の場合でいろいろな制約をするという考え方はせずに、むしろ開始決定のときに株式名義の書換の停止を同時に報告する。抜本的に解決したほうがいいのじやないですか。若しこういうような株式が市場の建株であるというような場合においては、時々刻々その株式は移動して、非常に不測の災害をこうむるということはあり得ると思います。これは必ずしも株式を扱う人が、更生会社なつた、更生手続が開始されたということは知り得るものじやないですから、その場合においては或いは迷惑する人がたくさんできるのじやないかと思うのです。いま一つは、そういうふうにしてやはり株主台帳というものを基準にして、株主集会というものを、株主の集会がすべてそれによつて行われる、届出なくてもいいことになる、そこへ通知してやればいいということになり、非常に便宜であり、且つ正確であり、不測に第三者の権利影響を及ぼすということはあり得ないのじやないか、そういう考え方はどうですか。
  24. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) 更生手続開始当時の状態で株式名義の変更を以後は許さないという建前をとることにいたしますことは、この手続を進める上におきまして非常に便利でございます。併しながら決議がなされるのは手続開始後やはり相当の期間が要るわけであります。そういたしますと、その後の株式の変転という事実が考えられます以上、実態と即しないような決議がなされる、決議当時の現実の株主の意思を反映しないような決議がなされるというふうな虞れがあるのではないか。そこでそれではそれ以後、即ち更生手続開始後全然譲渡を許さないことにするといたしますと、これは又株式性質上非常な不当な結果を招来するということになりますので、種々勘案いたしました結果、このような、現在考えておりますような建前が比較的無難じやなかろうかということで、このようにいたした次第であります。
  25. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、今の御説明の冒頭にあるような場合は、開始決定のときにいわゆる届出期日を目標にしてそれからのちは、例えば四ヵ月先の或る日を定めまして届出でる日を、その場合にその日を名義書換を停止する日とすれば、これは実態と合致することになるのです。本法の場合によつて株式の名義の変更を許さないといつてつても、届出の上では、実際の上において放任されておるから、実際の株主と名義人とは相違されることは予見されることですが、むしろそのほうが整理しやすいのじやないでしようか。
  26. 野木新一

    説明員野木新一君) 只今御指摘の点は重要な点でありまして実際に当りましても大いに議論されたところの一つであります。お説のように、株主名簿を用いればいいではないかという考え方、或いは一定の日を以て名義書換禁止をしたらどうかという考え方もあつたわけでありますが、結局この案のような考え方を採用いたしましたのは、一つは債権との比較との関係もあるわけであります。更生債権につきましては、届出を要求しておるわけであります。これは一面会社にとつて、或いは管財人にとつて、又は裁判所にとつて会社債権者が誰であるかということは、株式ほどはつきりしないわけでありますので、どうしても届出ということは必要になるわけでありまするが、而も株式債権につきましてはのちに申しますように、届出をしないと失権効果を附与して債権債務更生後の会社における明確を期しておるわけでありますが、株式につきましては若し株主名簿の記載によつて見ますと、株式債権と比較いたしますと、どちらかと言えば債権の次に立つ関係になりますもので、それがすベての場合に発言力を持つているということは少し保護が厚く過ぎはしないかということ、それからいま一つ実際的の理由といたしましては、この更生手続が問題となるような或る種の会社におきましては、現在の株主の住所など多少はつきりしない場合もあるのではないか。又株主のうちには非常に不熱心でありまして株主総会のようなものを招集いたしましても出て来ない者が多くて、実際の更生手続を進める上におきまして非常に支障を来たすこともありはしないか、むしろ債権者と同じように考えて、真に会社 利害関係を感じる熱心な者を参加さして計画案の審議立案に当らせたほうが、会社更生計画成立せしめる上によいのではないか、而もこれに質権効果を認めないわけでありますから、実体的にはこのようなことをとることによつて実質的な無届の株主に実質的な利益を与えることにはならない、そういうようなことを一応考えたわけであります。それで名義書換禁示をすることは、更生手続のために全部一般的に名義書換が禁止されてしまうわけでありまして、而もそれは株主名簿を利用するとかいう場合と結び付いておるわけでありまして、本案のような届出主義をとると、それは採用できたなくなるわけであります。なお届出主義をとつた場合におきましても、お説のように株式は変転するわけでありまして、而も更生手続が相当の期間を有するものでありまするから、一番大事な更生計画案の審議決定の場合におきまして、届出株主と実質的の株主との間に非常に開きが来ては面白くありませんので、百三十一条という追加届出の制度によつてその間の調整を図つたわけでありまして、この考え方は株主に実質的な不利益を与えないで、会社更生手続手続面において円滑に行くようにというような配慮からいろいろ勘案してこのような建前をとつたわけであります。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この点については又あとでお尋ねいたしたいと思いますが、大体のお考え方は、株主は不熱心なものだという考え方が第一に立つていらつしやるのですね。むしろ株主をして会社更生せしめるように働きかけるという行き方のほうがいいと思いますが、勿論その待遇は一般債権者、若しくは担保債権者より以上にしようという考え方は、それは事業経営上の投資家であるから同等に扱うことができる、これは当然ですが、むしろ株主会社更生に全力を尽させるような方向に組立てたほうがいいのじやないかと考えますが、これは後にもつとお聞きいたしたいと思います。  次に第百六十条ですね。この一定の更生債権者と、それから株主更生計画から除外するとこういうのですが、これは余りきつ過ぎるのではないでしようか。
  28. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) そういうふうな印象が或いは生ずるかというふうにも考えられますが、一面この会社更生手続を開始する必要があるような状態にある場合におきましては、すべての権利者がこれは十分な満足を得るということは勿論できないわけであります。お互いに協力して相譲つて更生を図るというようなことになるわけでありますが、その場合にやはりおのずから権利の種類によりましてそれぞれの地位に適した保護が考えられなければならないわけであります。例えば会社財産が大部分抵当に入つた、あとの財産としては極く僅少なものしかない、通常の債権、即ち担保の附いていない債権はその数倍もあるというような場合、この案を立てようというふうになりますと、これはやはり担保権者の権利をこれを第一に保護しなければならん。それから債権者権利のほうも保護しなければならん。で、この債権者にはこれは数倍のその額を担つておるわけでありますから、満足な弁済ができないことは当然であります。そういうような場合におきましても、株主に対しても必ず何らかの分け前を与えなければならないというような建前になりますと、これは債権者といえども、自分が債権額の数分の一の弁済しか受入れられないというふうな場合に、株主にも分け前を認めるかどうか、認めなければいけないというようなことはちよつと承諾しにくい、それは少し虫がよ過ぎるのではないかというような感じを債権者が必ず起す、勿論そういう場合に株主にも入つてもらわなければ更生ができないということで、債権者が大いに譲歩して、何らか株主に分け前を与えるというふうな案のできる場合はこれは別でありますが、常に必ず株主にも何らかの分け前を与えなければならないというのでありますと、計画案の作成が不能になる、従いまして、会社更生計画は成り立たないというようなことになりまして、それほど株主権利を拘束しては、株主はやはり債権者よりは権利の保護が薄くても仕方がないということは、当然覚悟すべきことでありますので、この程度の権利の制限と申しますか、これは止むを得ないものじやないかと、そういうふうに考えます。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の御説明のように、いわゆる分け前分け前と、分け前のときばかりを考えるからそうですが、ここには更生計画とあるのですから、更生計画とは分け前の場合ばかりではないのですから、そうでしよう、更生して行こうといういろいろな計画が立てられるのですから、それから除外するということは分け前ばかりの場合以外にも、株主の協力を得なくちやならんということがあり得るのですから、むしろ或いは株主に更に負担をかけるという計画も立つかもわかりませんから、そういう場合でも、そういうことをしようという場合でも、この百六十条の前段のごとき状態にあれば除外できるということは、ちよつとおかしいじやないでしようか。あなたのように分配ということのみに限るなら、そういう場合だけは除外すると、こうお書きになればいいでしよう。広くこういうのをお書きになるとどつちでもできることになつてしまう。
  30. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) この更生計画から除外するという言葉はやや明瞭を欠く嫌いがあると思いますが、更生計画において必ずその権利に対する分刷け前を与えるような必要はない、こういうことの趣旨に考えるわけであります。ただこの第三者に対してその新株を発行するというふうな場合に、その一般条件に従つて株主にも応募してもらうというふうなことは勿論差支えないわけです。株主に特に有利な取扱を、計画において必ずしなければならないという必要はないという意味に考えておる次第であります。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういう書き方だとちよつと常に除外するということが主に置かれて、多くはきつと実際運営において除外のほうをとられると思うのですが、そうでなくて、ただ弁済の場合において弁済金の分配において制約したいというならば、そういう趣旨にはつきりさせたほうがいいのじやないでしようか。その場合にのみは他の債権者より余分の利益を受けることができないとか、或いは除外するとかいうことにしたほうが穏当じやないかと思うのですがね。ただ百六十条の書き放しではどうも折角の更生計画は広く取扱おうという場合においては、これは障害になるのじやないでしようかね。
  32. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) より適当な言葉が見当るようでございますれば是正したいと思います。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百六十三条の第一項の「債務が期限附であるときも、また同様である。」こう言つておるのですが、これは期限附の場合も第一項と同様として取扱つていいのですか。
  34. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) これは更生債権者会社に対して債務を負つておる、その債務が期限附の場合であります。これは相殺適状にあるというわけには参りませんが、この期限の利益というものは主として更生債権者のほうにあると考えていいと思います。又会社のほうにあるといたしましても、この程度の期限の利益は特に主張する必要もなかろうと考えますので、この更生債権者債務は期限附の場合も相殺をさせて差支えないと考えた次第であります。
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、期限附の場合が相殺適状ですね、適格を持つておるという考え方ですか、それとも当事者に期限附のあれを放棄させるという意味ですか、本質的の問題として……。
  36. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) 後者のほうです。この期限附の場合に相殺適状にあるというふうなことは勿論申せますが、でありますから、そういうふうな場合に更生債権者が期限の利益を放棄してやろうということでありますが、これは認めても差支えないじやないかという考え方であります。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、当事者の意思表示を待つて初めてなされるということになるのですね。
  38. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) さようでございます。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当然ではないのですね。
  40. 位野木益雄

    説明員(位野木益雄君) はあ。
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは本日は土曜日でありまして、関係のかたの都合もありますから、この程度で散会いたします。明後日は午前十時から続行いたします。    午前十一時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            齋  武雄君            山田 佐一君            岡部  常君            一松 定吉君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務府法制意見    第四局長    野木 新一君    法務府法制意見    第四局参事官  位野木益雄君