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1951-09-08 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年九月八日(土曜日) 午前十時二十分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
会社更生法案
(
内閣送付
) —————————————
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) ではこれより
会社更生法案等
に関する小
委員会
を開きます。 昨日に引続きまして、
政府委員
の御
説明
を伺います。本日は第
八章
から
最後
まで御
説明
をお願いいたします。
野木新一
2
○
説明員
(
野木新一
君) 先ず第
八章
の御
説明
をいたします。
本章
は
更生計画認可
の
要件
及びその
効果
、
更生計画
の
遂行
及びその
遂行
に関する他の
法令
の
規定
の
特例
、
更生手続
の
終結等
について
規定
したものであります。 第二百四十条、
更生計画
は、
関係人集会
で可決されると直ちに
効力
を発生するものではなく、
裁判所
があとでこれを
認可
することによ
つて
初めてその
効力
を生ずるものであります。本
条は計画案可決
後
裁判所
のなすべき
計画認否
の
裁判
につき
定め
たものでありまして、
和議法等
の例に倣
つた
ものであります。第二百四十一条、本
条は更生計画認可
の
要件
を
規定
しております。第一号から第三号まではいわば一般的の
要件
であり、第四号及び第五号は特別な場合の
要件
であります。
裁判所
は可決された
計画
がこれらの
要件
を具備しているかどうかを改めて
審査
し、
要件
を満たしていると認めた場合に
限つて認可
の
決定
をすることができるわけであります。ただ
手続
上些細な欠陥があるような場合で、諸般の
事情
から見て
計画
を
認可
しないことが不適当と認められるときは、
認可
の
決定
ができるようにすることが適正でありますので、第二項の
規定
を置いたわけであります。二百四十二条、本
条は更生計画案
につき
同意
を得られない組がある場合の
規定
であります。
更生計画案
はすべての組においてそれぞれ法定の多数を以て
同意
が得られた場合に
成立
するのが
原則
でありますが、特殊な場合といたしまして或る組において不
同意
を唱えたというような場合でも、その組の
権利者
の
権利
を
本条
第一項に掲げるような
方法
によ
つて
保護するといたしますれば、それらの不
同意
の
権利者
に事実的の不
利益
を与えるものではありませんので、
計画
の
認可
をすることができることにいたして、それまで進んで来た
手続
が無駄になることを防ぐことにいたしたものであります。第一項は
計画案
を
関係人集会
の
決議
に付して、不
同意
の組があ
つた
場合のことを
規定
しており、第二項及び第三項は
決議
前に
同意
を得られないことが明らかな組がある場合について
定め
たものであります。これらの組の
権利
を保護しながら
更生計画
の
成立
を容易ならしめようとするのが
本条
の
目的
であります。次に二百四十三条、
本条
第一項は
更生計画認否
の
決定
の言渡し及び
公告
について
定め
、第二項は
監督行政庁等
への
通知
について
定め
たものであります。二百四十四条、本
条は更生計画
の
効力
はその
認可
の
決定
のときに生じ、その
決定
の
確定
を待
つて
発生するものでないことを明らかにしたものであります。
確定
を待
つて
効力
を生ずることといたしましたのでは、
計画
の
遂行
につき時宜を失する虞れがあるからであります。尤もこの点につきましては
立案
の過程におきましても、いろいろ議論のあ
つた
ところでありますが、
会社更生手続
はしばしば申上げましたように、生きた
会社
を相手にし、その
更生
を図
つて
行こうとするのでありますから、時間というものは非常に大切になるわけであります。而も非常に複雑な
手続
で進んで来ておるものでありますので、一旦
認可
の
決定
があ
つた
ならば、
即時
に
効力
を生ぜしめるということにいたしたわけでありまして、例えば
認可
の
決定
に対して
即時抗告
があ
つた
ような場合でも、それにかかわらず
認可
の
決定
のときから
効力
を生じて、それの、
従つて更生計画
の実施がなされて行く、そういうような立場からいたしたわけであります。この二百四十四条の
認可
の
決定
のときから
効力
を生ずるというのは相当重要な
規定
でございます。次に二百四十五条、本
条は更生計画認否
の
決定
に対する
抗告
に関して
規定
をしたものであります。
届出
をしなか
つた
更生債権者等
には
抗告
を許さないことにいたしました。
即時抗告
があ
つて
も
執行停止
の
効力
を生ぜず
計画
の
遂行
に
影響
は与えませんが、特別の場合には
抗告裁判所
又は
更生債権者
は
計画
の
遂行
の
停止
、その他必要な
処分
をすることができることにいたしました。なおこれらの
事項
は
特別抗告
にも準用することにいたしてあります。このようにいたしまして
前条
におきまして
更生計画
が
認可
の
決定
のときから
効力
を生ずるということとの調整を図
つて
おるわけであります。次に二百四十六条、本
条は更生計画
不
認可
の
決定
が
確定
した場合における
更生手続
の
廃止
の場合の
共益債権
の
弁済
及び
更生債権者表等
の
記載
の
効力
についての
規定
を準用したものであります。次に二百四十七条、
更正計画認可
の
決定
があ
つた
ときは、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
権利
は
計画
の
定め
に
従つて
変更
され、
計画認可
の
決定
が
確定
すると、
更生債権者表等
の
記載
は
確定判決
と
同一
の
効力
が認められることにな
つて
いますので、本
条は裁判所書記官
が
認可決定確定
のときに、
計画
の条項を
更生債権者表等
に
記載
しなければならないことを
定め
たものであります。 次に二百四十八条、本
条は更生計画
の
効力
の及ぶ
範囲
について
規定
したものであります。
更生手続
に参加しない
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
に対しても
効力
が及ぶことになります。第二項は、
更生手続
は
会社
の
事業
の
更生
をその
目的
とするものでありまするから、
計画
は
会社
の
保証人
その他
会社
と共に
債務
を負担する者に対する
権利
及び
会社
以外の者が
更生債権者等
に供した
担保
には
影響
を及ぼさない旨を明らかにしたものであります。第二百四十九条、本
条は更生債権等
の
免責等
について
定め
たものであります。この
免責等
の
効力
を認めたのは、
更生
後の
会社
の
法律関係
を明確にし、
更生
を容易にするためであります。
届出
がなか
つた
債権
、
届出
があ
つて
も、
異議
があ
つた
にかかわらず
確定手続
のとられなか
つた
債権等
については、
会社
は
認可決定
によりその
責任
を免かれることになります。ただ
罰金等
の
請求権
及び
租税請求権
の一部につき、
例外
を
規定
いたしましたのは、
罰金等
はその
性質
がこれを許さないからであり、
租税等
の或るものは
免責
させることが適当でないからであります。次に二百五十条、本
条は更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
権利
の内容の
変更
について
規定
しております。例えば
計画
において
更生債権者
に対し、
従前
の
債権
に代え新
株式
を割当てることを
定め
たときは、その者は
従前
の
債権
を失い、新たに
株主
として
権利
を有することになります。第二項は、
株式
を
目的
とする
質権
の
効力
が
権利
の
変更
により受けるべき
金銭等
の上に及ぶことを
定め
たものであります。次に二百五十一条、本
条は届出
がなく、又
届出
があ
つて
も
確定手続
を経ない
更生債権者
、及び
更生担保権者
は
更生計画
によ
つて権利
が認められることがないことを
定め
たものであります。これらの
権利者
は
認可決定
があると第二百四十九条の
規定
によりその
権利
の全部について
免責
の
効力
を受けることになります。
認可決定
当時に未
確定
でものち
確定
すればよいわけであります。この無届の
更生債権
、
更生担保権
につきましては、このように或る場合に
質権
の
効果
を附しておるわけでありますが、この点も
立案
のときにいろいろ問題にした点でありますが、
更生計画
を
遂行
して行く上におきましては、この程度のことは止むを得ないものとしてこのような考え方をと
つた
わけであります。次に第二百五十二条、本
条は前条
の場合とは逆に
更生計画
によ
つて株主権利
が認められたときは、
届出
をしない
株主
でもその
利益
にあずかることを
定め
たものであります。
株式
についてはその
届出
の
有無
によ
つて
この点に関する
取扱
を異にするのは適当でないからであります。この点は
届出
しない
更生債権
が
失権
するのに対して、
株主
は有利な
取扱
を受けておるわけでありまするが、これは株の
性質
上、このような
取扱
をしたほうが妥当であると存じた次第であります。次に第二百五十三条、本
条は更生計画認可決定確定
後において
計画
によ
つて
認められた
権利
についての
更生債権者表
及び
更生担保権者表
の
記載
に、
更生計画
の
効力
の及ぶ
範囲
の者に対し、
確定判決
と
同一
の
効力
を認め、なお
手続終結
後はこれを
債務名義
として
強制執行
することができることにしたものであります。
管財人
又は
更生債権
及び
更生担保権
の
調査
を行う
審査
の人があ
つた
場合の
会社
の
異議
の
有無
は闘わないことにいたしております。
権利関係
を明確ならしめる
趣旨
からであります。次に第二百五十四条、本
条は更生手続開始
によ
つて
中止した
手続
の
事項
について
規定
したものであります。
更生計画認可決定
後はこれらの
手続
は存続させる必要がなく、
却つて
これを存続させると
計画
の
遂行
に
支障
を来たすからであります。第二項は失効した
破産手続
における
財団債権
の
取扱
について
定め
たものであります。 次に第二百五十五条、本
条は更生計画遂行
の
責任者
について
定め
たものであります。第二項は
管財人
がなく、
会社
による
遂行
が適当でない場合に
計画
の
遂行
に当らせるために
整理委員
を選任することができることにいたしたものであります。第三項は
計画遂行
の確実、迅速を期するために
管財人等
に発起人又は
設立委員
の職務を行わせることにいたしたのであり、第四項は
調査委員
及び
管財人
に関する
規定
を
整理委員
に準用したものであります。第二百五十六条、本
条は計画遂行
の確実を期するために
裁判所
に
計画遂行
の
責任者
及び
計画
の
効力
を受ける者に対し
計画
の
遂行
に必要な
命令
を発する権限を与えたものであります。この
命令
に違反した者には
過料
の制裁が
規定
されております。第二項及び第三項は更に
債務
の
弁済
を確実ならしめるために、
担保
の提供を命ずるととができることといたしたものであります。次に第二百五十七条でありますが、この第二百五十七条以下におきましては、
計画
の
遂行
を迅速簡易ならしめるために
商法
その他各
法律
に対する
特例
を
規定
しております。この二百五十七
条は
、
計画
の
遂行
を確実ならしめるため、
更生手続
に
株主
を参加せし
むると共
に、
計画
の
遂行
については一般的に
株主総会等
の
決議
を要しないものであります。次に第第二百五十八条、本
条は
第二百二十五条の
規定
に対応する
規定
でありまして、第一項は営業の
譲渡等
は
株主総会
の
決議等
を要せずしてできることを明らかにし、第二項は
反対株主
の
株式買取請求
を認めないことといたしまして、
計画
の
遂行
を容易ならしめることにしたものであります。第二百五十九条、本
条は
第二百二十七条に対応する
規定
でありまして、
更生計画
によ
つて会社
の定款を
変更
し得ることを明らかにしたものであります。第二百六十条、本
条は
第二百二十八条に対応する
規定
でありまして、
会社
の
取締役
、
監査役等
が
更生計画
の
定め
により、又は
計画
の
定め
る
方法
によ
つて選任
、選定又は解任され、その任期又は代表の
方法等
も
計画
の
定め
によ
つて
定まる旨を
規定
したものであります。第二百六十一条、本
条は
第二百二十九条に対応する
規定
で、資本の
減少
につき
商法
及び非
訟事件手続法
の
特例
を設け、
計画遂行
の迅速を図
つた
ものであります。次に第二百六十二条及び第二百六十三条、これは第二百三十条に対応する
規定
でありまして、新株の
発行
に関する
商法
及び非
訟事件手続法
の
特例
を認め、
計画
の円滑迅速な
遂行
を期したものであります。 次に二百六十四条及び第二百六十五条、これらは第二百三十一条に対応する
規定
でありまして、
社債
の
発行
に関する
商法
、非
訟事件手続法
及び
担保附社債信託法
の
特例
を
定め
たものであります。次に第二百六十六条、本
条は
第二百三十二条及び第二百三十三条に対応する
規定
でありまして、合併について
商法
及び非
訟事件手続法
の
特例
を
定め
たものであります。次に第二百六十七条、及び第二百六十八条、これは第二百三十四条に対応する
規定
であります。新
会社
の
設立
に関する
商法
及び非
訟事件手続法
の
特例
を
定め
、
計画
の円滑迅速な
遂行
を図
つた
ものであります。次に第二百六十九条、本
条は
第二百三十五条に対応する
規定
でありまして、
会社
の解散に関する
商法
及び非
訟事件手続法
の
特例
を
定め
たものであります。次に第二百七十条、本
条は更生計画
の
定め
により、新らしく
会社
又は新
会社
の
株主
又は
社債権者
とな
つた者
の
失権
について
定め
ております。即ち、
権利者
とな
つて
から三年間も
株券
又は
債券
の
交付
を請求しないような者はこれを
失権
させて、従来の
権利関係
を整理し、
会社
又は新
会社
の
更生
を容易ならしめようとするものであります。第二項は、
株主
又は
社債権者
であ
つた者
が、新
株券
又は新
債券
の
交付
を請求するには、
従前
の
株券
又は
債券
を提出しなければならないことを
定め
、第三項は、
従前
の
株券
又は
債券
につき
公示催告
の
手続
を許すことを明らかにし、第四項は
失権
の場合における
会社
の
自己株式取得
を認めたものであります。第二百七十一条、本
条は株主
又は
社債権者
が
前条
第一項の
期間
内に
従前
の
株券
又は
債券
を提出できず、而も
除権判決
もされてない場合における新
株券
又は新
債券交付
の便法を認めたものであります。 次に第二百七十二条、本
条は更生計画
の
定め
によ
つて
与えられる
株式
又は
社債
の
引受権
は、
会社
又は新
会社
に対する
関係
においても有効に譲渡し得ることを
規定
いたしたものであります。第二百七十三条、本
条は金融業
を営む
会社
について
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の確保に関する
法律
第十一条第二項の
規定
の
適用
の
特例
を認めたものでありまして、
更生計画
の
定め
による
会社
又は新
会社
の
株式取得
の場合には
独占禁止法
第十一条第二項の
規定
は
適用
せず、ただ一年を超えて
株式
を所有しようとする場合は
公正取引委員会
の
許可
を受けるべきものとしたものであります。同条第四項に
定め
る場合と同視すべきものだからであります。第二百七十四条、本
条は証券取引法
第四条第一項の
規定
の
適用
の
例外
を認めたものでありまして、
証券取引委員会
に対し改めて
有価証券
の募集又は売出に関する
届出
をしなくてもよいことにして
手続
の
簡易化
を図
つた
ものであります。第二百七十五条、本
条は更生計画
の
遂行
につき、
工場財団
その他の
財団
又は
財団
に属する
財産
の
処分
の制限に関する他の
法令
の
規定
の
特例
を
定め
、
更生計画
の
遂行
に
支障
なからしめたものであります。第二百七十六条、
更生手続
につきましては、前に述べた通り、
監督行政庁
の発言の
機会
が十分認められておるのであり、
許可認可等
を要する
事項
を
定め
た
計画
は、
行政庁
の
意見
と重要な点で反していないことを
計画認可
の
要件
としておりますので、本
条は
新
会社
が改めて
許可認可等
を得なくてもここに掲げる
会社
の
権利義務
を当然承継することといたしまして、新
会社
の
設立
を容易ならしめることにいたしたものであります。次に第二百七十七条、本
条は更生手続
に関する税法の
特例
を認めたものであります。第一には新
会社
の
租税債務
の承継について
定め
、第二項は
会社
の
事業年度
の
特例
を
定め
、第三項は
更生手続
による
会社財産
の
評価換又
は
債務
の消滅があ
つた
場合の
法人税
の軽減について
定め
、第四項は
法人税
の
中間申告等
に関する
規定
の
適用
の排除について
定め
、第五項及び第六項は
更生手続
に関する一定の登記及び
登録
についての
登録税
の減免につき
定め
たものであります。第二百七十八条、本
条は
第一項に掲げるものに対する
更生手続開始
後、新
会社
に就職するまでの
期間
の
退職手当
は
会社
の計算で支給を受けさせないことにした半面、右の
期間
を新
会社
の
在職期間
に通算して
退職手当
をきめることにいたしたもので、新
会社設立
の場合の
退職金
の
支払関係
を調整したものであります。なお
更生手続開始
前の
在職期間
についての
退職金請求権
は
更生債権
となるので、
更生計画
においてその
支払方法
をきめるべきものであります。次に第二百七十九条、
更生計画
は
認可決定
後はもとよりその
変更
を許さないのが
原則
でありますが、
経済事情
の
変動等
によりどうしても
変更
しなければならない場合もなしといたしません。本
条は
このような場合に
計画
の
変更
を許して、
計画
の失敗によ
つて
生ずる無駄を省くことができるようにいたしたものであります。第二項は
更生債権者等
に不利な
影響
を及ぼす場合の
手続
について
定め
、第三項は
認可決定
についての
効力発生
の時期及び
抗告
に関する
規定
を準用したものであります。第二百八十条、
更生計画
の確実な
遂行
を図るために
計画
の
遂行
が終
つた
か又は
遂行
の
見込
が確実についたときに初めて
更生手続終結
の
決定
をすべきものといたしました。
本条
第一項はその
趣旨
を明らかにしたものであり、第二項はその旨を
監督行政庁等
へ
通知
すべきことを
定め
たものであります。 次に第九章に移ります。
本章
は
更生手続
の
廃止
につき
規定
しております。
決議
に付するに足る
更生計画案
が提出されないか、又は
計画案
が可決されないとき、
会社
が
届出
をしたすべての
更生債権者
及び
更生担保権者
に対する
債務
を完済できることが明らかに
なつ
たとき、及び
計画認可決定
後
計画遂行
の
見込
がないことが明らかに
なつ
たときは
更生手続
を続行する必要がないので、
手続
を
廃止
すべきことにいたしたのであります第二百八十一条、本
条は更生計画認可決定
前
更生計画
が
成立
しなか
つた
場合につき
定め
たもので、このような場合には
職権
で
更生手続
と
廃止
しなければならないものとしました。第二百八十二条、本
条は更生計画認可決定
前に
会社
の
財産状態
が好転して、
更生手続
を進める必要がなく
なつ
た場合につき
定め
たものでありまして、
申立
により
更生手続
を
廃止
すべきものといたしました。第二百八十三条及び第二百八十四条、この二
条は
二百八十二条の
申立
があ
つた
場合の
手続
を
規定
したものであります。
会社
並びに
届出
をした
更生債権者
及び
更生担保権者
に対し
意見
を述べる
機会
を与えることにいたしました。第二百八十五条、本
条は更生計画認可
後、
計画遂行
の
見込
がなく
なつ
た場合について
定め
たものでありまして、
申立
又は
職権
により
手続
を
廃止
すべきものとしました。第二百八十六条、本
条は前条
の
規定
による
更生手続廃止
の
手続
について
定め
たもので、期日を開き
利害関係人
の
意見
を聞くべきものとして
手続
を慎重にいたしております。第二百八十七条、本
条は
第二百八十五条の
規定
による
手続廃止
の
効果
を
定め
たものであります。
廃止
の
効果
は
更生計画
に
遂行
及びこの
法律
の
規定
によ
つて
生じた
効力
に
影響
を及ぼさないことにいたしまして、
法律関係
の混乱を避けることにいたしております。第二百八十八条、
更生手続開始
の
決定
はこれは
利関係人
に周知せしめるため
公告
をするが、
更生手続廃止
の
決定
も又これを
公告
する必要があります。本
条は
その旨を明らかにしたものであります。第二百八十九条、本
条は更生計画認可
の
決定
に対する
抗告
の
規定
を、
更生手続廃止
の
決定
に対する
抗告
及び
抗告裁判所
の
決定
に対する
特別抗告
に準用したものであります。第二項は
監督行政庁等
への
通知
について
定め
たものであります。第二百九十条、本
条は更生手続廃止
の
決定
が
確定
したときの
共益債権
の
弁済
につき
定め
たものであります。第二百九十一条、
更生計画認可
前に
更生手続廃止
の
決定
が
確定
した場合の
更生債権者等表
の
記載
の
効力
について
定め
たものであります。
更生手続
において
確定
した、而も
会社
に
異議
のなか
つた
更生債権
又は
更生担保権
についての
更生債権者表
及び
更生担保権者表
の
記載
は、
会社
に対する
関係
で
確定判決
と
同一
の
効力
を認め、又これを
債務名義
として
会社
に対し
強制執行
ができることにいたしたものであります。第二百九十二条、本
条は更生計画認可
後に
更生手続廃止
の
決定
が
確定
した場合の
更生債権者表等
の
記載
の
効力
を
定め
たものであります。この
記載
はすでに
計画認可決定
の
確定
により
会社等
に対し
確定判決
と
同一
の
効力
を有していますが、更に
手続廃止決定確定
後における
更生債権者表等
に基く
強制執行
をも認めようとするものであります。 次に第十章に移ります。
本章
は
調査委員
、
管財人
、
審査人
、
整理委員
、
法律顧問
及び
管財人代理
に対する
報酬
、
更生債権者
、
更生担保権者
、
株主
、
代理委員員
及び代理人に対する
報償金等
について
規定
しております。 先ず二百九十三条、本
条は管財人等
が
費用
の前払及び
裁判所
の
定め
る
報酬
を受ける
権利
があること、及びその
報酬
の額が適当なものでなければならないことを
定め
たものであります。第二百九十四条、本
条は管財人
が
信頼関係
に基く地位にありながら、これに背くような
会社
の
株式売買等
の
行為
をする場合には、
裁判所
の
許可
がある場合を除き、これに対し
費用
及び
報酬
を支払う必要がないことにいたしたものであります。第二百九十五条、本
条は代理委員等
が
更生
の
成立
に特別に貢献したときは、その者に
費用
を償還し、又は
報償金
を与えることができることを
定め
たものでありまして、
更生手続
に対する協力を奨励することにいたしたものであります。第二百九十六条、本
条は前条
に
定め
るものが、
更生
に貢献はしたが、
会社
の
株式
を売買して
利益
を得た事実があるときは、
裁判所
はこれに対し
報償金等
を支払うことを
許可
せず、又は
報償金等
の金額の
決定
につきその事実を考慮すべきことを
定め
たものであります。第二百九十七条、本
条は管財人等
の
報酬
、
代理委員等
の
報償金
に関する
裁判
に対しては
即時抗告
ができることにいたしてあるのであります。 次に第十一章に移ります。
本章
は
更生手続
に関する罰則を
定め
たものであります。 二百九十八条、本
条は詐欺更生罪
につき
規定
されております。
会社
の
取締役等
が、悪意を以て
会社財産
の
減少
又は負債の増加を図り、その他
会社財産
の状況を不明確にすることを防止する
趣旨
で、
詐欺破産
の罪の例に倣
つた
ものであります。なお
刑法
の
詐欺罪等
に該当する場合は
本条
の
規定
は
適用
しないことにしました。第二百九十九条、
本条
の罪の
主体
は
詐欺更生
の罪の
主体
とは異なりますが、犯罪の態様が類似している場合
前条
同様の刑を科することにいたしたのでありまして、第三者の
詐欺破産罪
の例に倣
つた
ものであります。
本条
も
刑法
の
規定
の
適用
がある場合には
適用
されません。第三百条、本
条は調査委員
、
管財人
、
更生債権者
、
代理委員等
の
収賄罪
につき
規定
しております。
更生手続
の公正を維持するためのものであります。第二項は
管財人
が
法人
である場合の
特則
を
定め
ております。第三百一条、本
条は前条
に掲げるもに対する
贈賄罪
について
規定
しております。
趣旨
は全く
前条
と同様であります。次に第三百二条、本
条は会社
の
取締役等
が
法律
上の
義務
に反して
報告
若しくは検査を拒み、又は虚偽の
報告
をしたときはこれを処罰することにいたしたものであります。
最後
に三百三条、本
条は会社
の
取締役等
でここに掲げる
義務違反行為
をしたものは
過料
に処することを
定め
たものであります。 以上を以て概略の
説明
を終ります。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君) 以上によ
つて政府委員
の
逐条説明
を終りましたが、これより質疑に入ります。
山田佐一
4
○
山田佐一
君 欠席をしておりまして愚なことを質問するようでありますが、本案の
会社更生法
というのは、以前の旧
勘定
であることに限るものか、現在の
会社
でもいわゆる今まで窮境に陥
つた
ものは
破産法
が守られてこの
法律
で以て行けるという
趣旨
でありますか。
趣旨
を一応聞かして頂きたいと思います。
野木新一
5
○
説明員
(
野木新一
君)
只今議題
にな
つて
おりますこの
会社更生法案
は前の
企業再建整備法
と異なりまして、旧
勘定
だけを整備するというよりも、むしろ現在ある
会社
を生きたままこれに
手術
を施して
更生
さして行こうという考えでありまして、新
勘定
、旧
勘定
というような
勘定
を分離するというような
方法
は、あれと
同一
の
方法
は用いておりません。
山田佐一
6
○
山田佐一
君 そうしますと、
株式
会社
が現在において行詰
つた
ときに、以前のように
破産法
によらずして、
会社更生法
によ
つて更生
の
見込
のあるものとして、十分の一の
債権者
が
届出
ればいい、こういう
趣旨
でありますか。
野木新一
7
○
説明員
(
野木新一
君) 御
趣旨
のようでありまして、即ちこの
法案
は、放
つて
置けば
会社
の
事業
はうまく行かないために、或いは
破産
にな
つて
しまうというような場合に、
破産
にな
つて
しまうと、折角の
企業
が解体されて、ばらばらにな
つて
分配されてしまうというのが
破産
でありますが、これが
社会経済
上、成るべく既存の
企業
はそのまま解体させないで生かして行こうという精神に則りまして、そういうような危殆に瀕した
会社
に、この
手続
によ
つて
大
手術
を施して、その
企業
を
更生
さして行こうというのが、この
法案
の主眼でありまして、
従つて
第三十条に
規定
いたしてありますように、
債権者
の側から見れば、資本の十分の一に当る金額若しくは百万円以上の
債権
を有する
債権者
が
申立
てた場合には、この第三十八条に該当するような理由がない限りは、
更生手続
が開始される、そういうような仕組にな
つて
おります。
山田佐一
8
○
山田佐一
君 承わると、非常に窮境に陥る
会社
に非常に恩典があ
つて
、誠にいい
法案
のようにも思いますが、一方考えて見ると、
債権
債務
というものは誠にルーズにな
つて
しまう、
会社
は放漫に
計画
しておいて、一朝不況に陥
つた
ときに、直ちに
会社更生法
によ
つて
や
つて
行く。つまり今までの
破産
の
決定
を受けず、
会社
更生
で又継続して行く。
更生
法を設けて、十カ年なり何なりの案を立てれば、
会社
自体と、或いは
株主
の十分の一又は
債権者
の一割の人の
同意
を得れば、
裁判
の
確定
を得ずして行けるというようにとれますが、何か世道人心の上においてそういうふうのことはお考えにな
つて
おりま旧すか、どうか。
野木新一
9
○
説明員
(
野木新一
君) この
法案
が只今御質問のような形になりますと、誠に面白くない
法案
ということになりますが、この
法案
の
趣旨
はそういうことではございません。のみならず実際の建て方もそうな
つて
はおらないわけであります。即ちこの
法案
自体は
会社更生法
とな
つて
おりまするが、更に厳密に申しますれば、むしろ
会社
事業
更生
法と言
つた
ほうが一層適切かも知れませんが、簡単にする意味で
会社更生法
といたしたわけであります。これは只今お話にあ
つた
ような放漫な
事業
の経営をしていた理事者を救おうという
法案
ではありませんので、客観的な
事業
自体を何とか救
つて
生かしてやろうというのでありまして、従いましてこの
手続
におきまして一番発言力を有するのは、その
会社
に対して
株券
を持
つて
いる者が一番発言力を有し、次に
債権
を持
つて
いる者が発言力を有し、それから
株主
は
破産
の原因がまだないというような場合には、結局清算すれば多少残余
財産
の分配をあずかり得るわけでありますが、そういう限度では実際の発言力、発言力と申しますか、案を作
つた
ときにその
決定
権は、そういう限度で持つということになりまして、若し大口の
担保
権者とか、それから
会社
に金を貸していた
債権者
、そういうものが結局首を振
つて
案に賛成しなければ、この
会社
更生
というのはできませんので、
従つて
若し理事者が非常に放漫な経営をいたしました結果、
会社
が危殆に瀕したような場合には、恐らく
債権者
等はやはり自分の
債権
の保全を一方考えつつ、そういう場合にその
事業
を解体してしま
つた
ほうが得か、或いは
事業
を維持しつつ、多少時間がかか
つて
も
債権
をより確実に回収したほうが得か、そこらを勘案しつついろいろの案を立てることになるものと存じます。そういうような場合には、昔の理事者はもうその
会社
なり、或いは新らしい
会社
を作る場合には追い出されてしま
つて
、新らしい理事者に変るという事態も生じ得るわけでありまして、この
法案
の狙いといたしましたところは、放漫な経営をしていた理事者を救
つて
やるということではありませんで、
事業
自体を
社会経済
上の必要に基いて、
担保
権者、
債権者
等の利害を調整しつつ維持
更生
できるような途を開いてやろうというのが、この案の根本の
趣旨
でございます。
山田佐一
10
○
山田佐一
君 大分よくはつきりして来ましたが、一つの例をとりますというと、今日の経済状態において、元の復金が一千億からの
債権
がある、これに対して
債務
者は、相当の
会社
で相当の人がおるけれども、
弁済
するというと、
会社
が成り立たない。いわゆる
会社
自体の
更生
法を設けて、復金の
債務
というものはこれに準じて片付けるという御
趣旨
の下にできておりますかどうですか、その辺をちよつと聞かして頂きたい、余り具体的に入り過ぎるか知れませんが……。
野木新一
11
○
説明員
(
野木新一
君) 今復金の金融等、具体的の場合は暫らくおきまして、或る
事業
会社
が或る銀行から金を借りておる、その他にも借金があるという場合におきまして、その
会社
が
事業
会社
で工場を持
つて
おる、その借金を返すためには、その工場を手放さなければ返せないというような場合でありましてその重要な工場を手放すと、もう
会社
の
事業
は解体し、
企業
組織は離散してしまうというような場合でありますと、この第三十条の
規定
によりまして、「
事業
の継続に著しい
支障
をきたすことなく
弁済
期にある
債務
を
弁済
することができないときは、
会社
は、
裁判所
に対し、
更生手続開始
の
申立
をすることができる。」という
規定
によりまして
会社
側からもこの
手続
開始の
申立
をすることができるわけであります。併しながら先ほど申上げましたように、この
手続
におきましては、
債権者
の発言力というものは
株主
の発言力よりも大きいわけでありまして、
従つて
債権者
の発言力は理事者の発言力よりも又大きいことは当然でありますので、実際
会社
は
更生手続
を図
つて
行こうという上におきましては、有力な
債権者
とは十分連絡しつつ了承をと
つて
行かなければ、結局この
手続
は成功しない。そういう意味におきまして
債権者
の
権利
というものは
法律
的には
株主
乃至理事者の
権利
よりも、一層この
手続
におきまして
法律
的には尊重されておるという形にな
つて
おりますので、まあ
債権
を無視する、借金を棒引きするとかいうような批難は
法律
的には出て来ないと存じておる次第であります。
山田佐一
12
○
山田佐一
君 ちよつと速記をとめて……。
伊藤修
13
○
委員長
(
伊藤修
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
伊藤修
14
○
委員長
(
伊藤修
君) 速記を始めて。 百十三条に関連してお尋ねしますが、期限附利息
債権
の額の算定はどういうふうにするのですか。
位野木益雄
15
○
説明員
(位野木益雄君) 期限附の利息附
債権
ですか。
伊藤修
16
○
委員長
(
伊藤修
君) そうです。
位野木益雄
17
○
説明員
(位野木益雄君) 期限附の利息附
債権
につきましては、
更生手続開始
当時すでに期限の到来しているものにつきましては、この開始当時の元金と、その当時までの利息、これを合計したものであります。それから期限の到来していないもの、これは元金だけということになります。
伊藤修
18
○
委員長
(
伊藤修
君) 開始
決定
のときを標準にして、それ以後のやつは認めないわけですね。
位野木益雄
19
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。但し
更生手続開始
後の利息、これにつきましては百二十一条第一項第一号によりまして、劣後的な順位によりまして
更生債権
とすることができることにな
つて
おります
伊藤修
20
○
委員長
(
伊藤修
君) 百三十条でしたかね、
株式
のこの
届出
について名義の
変更
を認めないというのですが、実際の経済界の実情から言
つて
、名義の
変更
を認めないというのは非常に不自由じやないですかね。
位野木益雄
21
○
説明員
(位野木益雄君) この
手続
におきまする
株式
の
届出
の
効力
は、単に
手続
における議決権の行使等にとどまりまして、
株式
に対する
権利
の分け前には
関係
がないわけであります。それで
債権
の譲渡の場合よりも譲渡の重要性と申しますか、そういうものが少いわけであります。それが第一点でありますのと、更に今度は、
株式
は譲渡が
債権
に比しまして非常に頻繁である。それで一々譲渡を
届出
して更に
裁判所
における
手続
をとるということになりますと
却つて
煩わしく、
権利者
にと
つて
も煩わしい。又
裁判所
にと
つて
も非常に手数のかかることじやないかということ、それから
届出
をした
株式
と
届出
期間
内に
届出
をされなか
つた
株式
とに分かちまして、
届出
をした分について
届出
の
変更
を許すということになりますと、
株式
に二様のものができるということで、株価その他において非常な不当な
影響
を及ぼすのじやなかろうかというふうなことも考えられたのであります。それで実体権には
影響
しないのでもあるし、そういうふうないろいろな弊害も考えられましよう、むしろ
株式
の
届出
後の譲渡ということは認めないで、
裁判所
が
株主
の変動が
届出
期間
経過後甚だしか
つた
というふうに認められた場合には、もう一度
届出
をさせ直すということによ
つて
その間の調整を図るという建前にいたしたのであります。
伊藤修
22
○
委員長
(
伊藤修
君) それから本法の
株式
に対する建て方ですが、こういう動的状態の場合でいろいろな制約をするという考え方はせずに、むしろ開始
決定
のときに
株式
名義の書換の
停止
を同時に
報告
する。抜本的に解決したほうがいいのじやないですか。若しこういうような
株式
が市場の建株であるというような場合においては、時々刻々その
株式
は移動して、非常に不測の災害をこうむるということはあり得ると思います。これは必ずしも
株式
を扱う人が、
更生
会社
に
なつ
た、
更生手続
が開始されたということは知り得るものじやないですから、その場合においては或いは迷惑する人がたくさんできるのじやないかと思うのです。いま一つは、そういうふうにしてやはり
株主
台帳というものを基準にして、
株主
集会というものを、
株主
の集会がすべてそれによ
つて
行われる、
届出
なくてもいいことになる、そこへ
通知
してやればいいということになり、非常に便宜であり、且つ正確であり、不測に第三者の
権利
に
影響
を及ぼすということはあり得ないのじやないか、そういう考え方はどうですか。
位野木益雄
23
○
説明員
(位野木益雄君)
更生手続開始
当時の状態で
株式
名義の
変更
を以後は許さないという建前をとることにいたしますことは、この
手続
を進める上におきまして非常に便利でございます。併しながら
決議
がなされるのは
手続
開始後やはり相当の
期間
が要るわけであります。そういたしますと、その後の
株式
の変転という事実が考えられます以上、実態と即しないような
決議
がなされる、
決議
当時の現実の
株主
の意思を反映しないような
決議
がなされるというふうな虞れがあるのではないか。そこでそれではそれ以後、即ち
更生手続開始
後全然譲渡を許さないことにするといたしますと、これは又
株式
の
性質
上非常な不当な結果を招来するということになりますので、種々勘案いたしました結果、このような、現在考えておりますような建前が比較的無難じやなかろうかということで、このようにいたした次第であります。
伊藤修
24
○
委員長
(
伊藤修
君) それは、今の御
説明
の冒頭にあるような場合は、開始
決定
のときにいわゆる
届出
期日を目標にしてそれからのちは、例えば四ヵ月先の或る日を
定め
まして
届出
でる日を、その場合にその日を名義書換を
停止
する日とすれば、これは実態と合致することになるのです。本法の場合によ
つて
も
株式
の名義の
変更
を許さないとい
つて
お
つて
も、
届出
の上では、実際の上において放任されておるから、実際の
株主
と名義人とは相違されることは予見されることですが、むしろそのほうが整理しやすいのじやないでしようか。
野木新一
25
○
説明員
(
野木新一
君) 只今御指摘の点は重要な点でありまして実際に当りましても大いに議論されたところの一つであります。お説のように、
株主
名簿を用いればいいではないかという考え方、或いは一定の日を以て名義書換
禁止
をしたらどうかという考え方もあ
つた
わけでありますが、結局この案のような考え方を採用いたしましたのは、一つは
債権
との比較との
関係
もあるわけであります。
更生債権
につきましては、
届出
を要求しておるわけであります。これは一面
会社
にと
つて
、或いは
管財人
にと
つて
、又は
裁判所
にと
つて会社
の
債権者
が誰であるかということは、
株式
ほどはつきりしないわけでありますので、どうしても
届出
ということは必要になるわけでありまするが、而も
株式
、
債権
につきましてはのちに申しますように、
届出
をしないと
失権
の
効果
を附与して
債権
債務
の
更生
後の
会社
における明確を期しておるわけでありますが、
株式
につきましては若し
株主
名簿の
記載
によ
つて
見ますと、
株式
は
債権
と比較いたしますと、どちらかと言えば
債権
の次に立つ
関係
になりますもので、それがすベての場合に発言力を持
つて
いるということは少し保護が厚く過ぎはしないかということ、それからいま一つ実際的の理由といたしましては、この
更生手続
が問題となるような或る種の
会社
におきましては、現在の
株主
の住所など多少はつきりしない場合もあるのではないか。又
株主
のうちには非常に不熱心でありまして
株主総会
のようなものを招集いたしましても出て来ない者が多くて、実際の
更生手続
を進める上におきまして非常に
支障
を来たすこともありはしないか、むしろ
債権者
と同じように考えて、真に
会社
利害
関係
を感じる熱心な者を参加さして
計画案
の審議
立案
に当らせたほうが、
会社
更生計画
を
成立
せしめる上によいのではないか、而もこれに
質権
の
効果
を認めないわけでありますから、実体的にはこのようなことをとることによ
つて
実質的な無届の
株主
に実質的な
利益
を与えることにはならない、そういうようなことを一応考えたわけであります。それで名義書換禁示をすることは、
更生手続
のために全部一般的に名義書換が
禁止
されてしまうわけでありまして、而もそれは
株主
名簿を利用するとかいう場合と結び付いておるわけでありまして、本案のような
届出
主義をとると、それは採用できたなくなるわけであります。なお
届出
主義をと
つた
場合におきましても、お説のように
株式
は変転するわけでありまして、而も
更生手続
が相当の
期間
を有するものでありまするから、一番大事な
更生計画案
の審議
決定
の場合におきまして、
届出
た
株主
と実質的の
株主
との間に非常に開きが来ては面白くありませんので、百三十一条という追加
届出
の制度によ
つて
その間の調整を図
つた
わけでありまして、この考え方は
株主
に実質的な不
利益
を与えないで、
会社
の
更生手続
が
手続
面において円滑に行くようにというような配慮からいろいろ勘案してこのような建前をと
つた
わけであります。
伊藤修
26
○
委員長
(
伊藤修
君) この点については又あとでお尋ねいたしたいと思いますが、大体のお考え方は、
株主
は不熱心なものだという考え方が第一に立
つて
いらつしやるのですね。むしろ
株主
をして
会社
を
更生
せしめるように働きかけるという行き方のほうがいいと思いますが、勿論その待遇は一般
債権者
、若しくは
担保
債権者
より以上にしようという考え方は、それは
事業
経営上の投資家であるから同等に扱うことができる、これは当然ですが、むしろ
株主
に
会社
更生
に全力を尽させるような方向に組立てたほうがいいのじやないかと考えますが、これは後にもつとお聞きいたしたいと思います。 次に第百六十条ですね。この一定の
更生債権者
と、それから
株主
を
更生計画
から除外するとこういうのですが、これは余りきつ過ぎるのではないでしようか。
位野木益雄
27
○
説明員
(位野木益雄君) そういうふうな印象が或いは生ずるかというふうにも考えられますが、一面この
会社
が
更生手続
を開始する必要があるような状態にある場合におきましては、すべての
権利者
がこれは十分な満足を得るということは勿論できないわけであります。お互いに協力して相譲
つて更生
を図るというようなことになるわけでありますが、その場合にやはりおのずから
権利
の種類によりましてそれぞれの地位に適した保護が考えられなければならないわけであります。例えば
会社
の
財産
が大部分抵当に入
つた
、あとの
財産
としては極く僅少なものしかない、通常の
債権
、即ち
担保
の附いていない
債権
はその数倍もあるというような場合、この案を立てようというふうになりますと、これはやはり
担保
権者の
権利
をこれを第一に保護しなければならん。それから
債権者
の
権利
のほうも保護しなければならん。で、この
債権者
にはこれは数倍のその額を担
つて
おるわけでありますから、満足な
弁済
ができないことは当然であります。そういうような場合におきましても、
株主
に対しても必ず何らかの分け前を与えなければならないというような建前になりますと、これは
債権者
といえども、自分が
債権
額の数分の一の
弁済
しか受入れられないというふうな場合に、
株主
にも分け前を認めるかどうか、認めなければいけないというようなことはちよつと承諾しにくい、それは少し虫がよ過ぎるのではないかというような感じを
債権者
が必ず起す、勿論そういう場合に
株主
にも入
つて
もらわなければ
更生
ができないということで、
債権者
が大いに譲歩して、何らか
株主
に分け前を与えるというふうな案のできる場合はこれは別でありますが、常に必ず
株主
にも何らかの分け前を与えなければならないというのでありますと、
計画案
の作成が不能になる、従いまして、
会社
の
更生計画
は成り立たないというようなことになりまして、それほど
株主
の
権利
を拘束しては、
株主
はやはり
債権者
よりは
権利
の保護が薄くても仕方がないということは、当然覚悟すべきことでありますので、この程度の
権利
の制限と申しますか、これは止むを得ないものじやないかと、そういうふうに考えます。
伊藤修
28
○
委員長
(
伊藤修
君) 今の御
説明
のように、いわゆる分け前分け前と、分け前のときばかりを考えるからそうですが、ここには
更生計画
とあるのですから、
更生計画
とは分け前の場合ばかりではないのですから、そうでしよう、
更生
して行こうといういろいろな
計画
が立てられるのですから、それから除外するということは分け前ばかりの場合以外にも、
株主
の協力を得なくちやならんということがあり得るのですから、むしろ或いは
株主
に更に負担をかけるという
計画
も立つかもわかりませんから、そういう場合でも、そういうことをしようという場合でも、この百六十条の前段のごとき状態にあれば除外できるということは、ちよつとおかしいじやないでしようか。あなたのように分配ということのみに限るなら、そういう場合だけは除外すると、こうお書きになればいいでしよう。広くこういうのをお書きになるとどつちでもできることにな
つて
しまう。
位野木益雄
29
○
説明員
(位野木益雄君) この
更生計画
から除外するという言葉はやや明瞭を欠く嫌いがあると思いますが、
更生計画
において必ずその
権利
に対する分刷け前を与えるような必要はない、こういうことの
趣旨
に考えるわけであります。ただこの第三者に対してその新株を
発行
するというふうな場合に、その一般条件に
従つて
株主
にも応募してもらうというふうなことは勿論差支えないわけです。
株主
に特に有利な
取扱
を、
計画
において必ずしなければならないという必要はないという意味に考えておる次第であります。
伊藤修
30
○
委員長
(
伊藤修
君) こういう書き方だとちよつと常に除外するということが主に置かれて、多くはきつと実際運営において除外のほうをとられると思うのですが、そうでなくて、ただ
弁済
の場合において
弁済
金の分配において制約したいというならば、そういう
趣旨
にはつきりさせたほうがいいのじやないでしようか。その場合にのみは他の
債権者
より余分の
利益
を受けることができないとか、或いは除外するとかいうことにしたほうが穏当じやないかと思うのですがね。ただ百六十条の書き放しではどうも折角の
更生計画
は広く
取扱
おうという場合においては、これは障害になるのじやないでしようかね。
位野木益雄
31
○
説明員
(位野木益雄君) より適当な言葉が見当るようでございますれば是正したいと思います。
伊藤修
32
○
委員長
(
伊藤修
君) 百六十三条の第一項の「
債務
が期限附であるときも、また同様である。」こう言
つて
おるのですが、これは期限附の場合も第一項と同様として
取扱
つて
いいのですか。
位野木益雄
33
○
説明員
(位野木益雄君) これは
更生債権者
が
会社
に対して
債務
を負
つて
おる、その
債務
が期限附の場合であります。これは相殺適状にあるというわけには参りませんが、この期限の
利益
というものは主として
更生債権者
のほうにあると考えていいと思います。又
会社
のほうにあるといたしましても、この程度の期限の
利益
は特に主張する必要もなかろうと考えますので、この
更生債権者
の
債務
は期限附の場合も相殺をさせて差支えないと考えた次第であります。
伊藤修
34
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、期限附の場合が相殺適状ですね、適格を持
つて
おるという考え方ですか、それとも当事者に期限附のあれを放棄させるという意味ですか、本質的の問題として……。
位野木益雄
35
○
説明員
(位野木益雄君) 後者のほうです。この期限附の場合に相殺適状にあるというふうなことは勿論申せますが、でありますから、そういうふうな場合に
更生債権者
が期限の
利益
を放棄してやろうということでありますが、これは認めても差支えないじやないかという考え方であります。
伊藤修
36
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、当事者の意思表示を待
つて
初めてなされるということになるのですね。
位野木益雄
37
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
38
○
委員長
(
伊藤修
君) 当然ではないのですね。
位野木益雄
39
○
説明員
(位野木益雄君) はあ。
伊藤修
40
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは本日は土曜日でありまして、
関係
のかたの都合もありますから、この程度で散会いたします。明後日は午前十時から続行いたします。 午前十一時五十七分散会 出席者は左の通り。
委員長
伊藤 修君 委員 齋 武雄君 山田 佐一君 岡部 常君 一松 定吉君 事務局側 常任
委員会
専門 員 長谷川 宏君 常任
委員会
専門 員 西村 高兄君
説明員
法務府法制
意見
第四局長 野木 新一君 法務府法制
意見
第四局参事官 位野木益雄君