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1951-09-07 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年九月七日(金曜日) 午前十時二十三分開会 ————————————— 本日の会議に付した
事件
○
会社更生法案
(
内閣送付
) —————————————
伊藤修
1
○委員長(
伊藤修
君) それではこれより
会社更生法案等
に関する小
委員会
を開きます。 昨日に引続きまして、第五章の御
説明
をお願いいたします。併せて第六章のほうも
一つ
お願いします。
野木新一
2
○
説明員
(
野木新一
君) 先ず第五章について御
説明
いたします。第五章は
関係人集会
のことを定めた章であります。
関係人集会
は、
債権者
、
株主等
その他の
関係人
の
集会
でありまして、
更正手続開始
後の
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
並びに
更生計画案
について
審理
し又は
更生計画案
について
決議
する等の
権限
を有するものであります。本章は、この
関係人集会
の
招集手続
、
期日
及び
議決権
に関する
事項等
、
関係人集会
の通則的な
事項
を定めておるものであります。 第百六十
五條
は、
関係人集会
の
期日
に
一定
の者を呼び出すべきこと及び呼び出すべき者の範囲を明らかにしたものであります。
議決権
を
行使
することができない者及び第一回の
関係人集会
について、
開始決定
に関する
書面
の
送達
を受けた者は、特に
呼出し
をする必要もないので、呼び出さなくてもいいことにいたしております。これは第二項であります。この第二項の前段の
議決権
を
行使
することができない
更生債権者
という点は、これは別の個所に、如何なる場合に
議決権
を
行使
することができないかが出て参るのでありますが、こうい
更生債権者等
は、別に
関係人集会
に出て参りましても、一番本質的な
議決権
を
行使
することができませんので、別に呼び出さなくてもいいということにいたしたわけであります。なお第二項の後段のほうは、第四十
七條
第二項によりましてすでに
一定
の
書面
を
送達
しておりますので、この
書面
によ
つて
第一回の
関係人集会
の
期日等
が了知されておりますので、改めて特にそのために
呼出し
をしなくてもいいと、そういうことにいたしておるわけであります。 次に第百六十六條ですが、
会社
の
業務
を
監督
する
行政庁
、
法務総裁
及び
証券取引委員会
には、先日も申上げましたように、
更生手続
に關與する
機会
を與える必要がありますので、
本條
は、これらの
行政庁等
に対し
関係人集会
の
期日
を通知すべきことを定めたものであります。第百六十
七條
は、
関係人集会
は、
裁判所
が指揮することを定めたものでありまして、これは
和議法
及び
破産法
の例にならつたものであります。第百六十
八條
は、
関係人集会
の
期日
及び
目的
の公告を定めたものでありますが、
関係人集会
の
期日
は、その
期日
において議すべき
事項
と共に、
債権者
その他の
利害関係人
に周知させる必要がありますので、これも
破産法
第百七十
七條
の
規定
になら
つて本條
の
規定
を設けたものであります。 第百六十九條は、
手続
の
簡易化
のために
関係人集会
並びに
更生債権
及び
更生担保権調査
の各
期日
を併合して行う
便宜
を與えたものであります。なおここで一言いたしておきたいと思いますのは、この案の立て方といたしまして、別に
関係人集会
というようなものを設けないでも、事実上
関係人
が集
つて
相談して、その結果がまとまればそれでもいいではないかというような
考え方
もあり得ると思います。
アメリカ法
はどちらかというと、そういうような
考え方
に従
つて
おるようでありまするが、我が国の
法律
といたしましては、すでに長年用い慣れた
和議法
の
手続
もありますので、むしろ
和議法
の
手続
に準じて、そのやり方を借りてやつたほうが円滑に
進行
するのではないかという
考え方
の下に、こういうような
関係人集会
の
期日
を設けて、
更生手続
を
進行
させることにしたわけであります。 次に第百七十條と第百七十
一條
でありますが、これらの
規定
は、
更生計画案
の
決議
についての
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
議決権
につき、これに対する
関係人
の
異議
並びに
議決権行使
の額及び数について定めたものでありまして、この種の
考え方
は
破産法
及び
和議法
にすでにあるものでありまして、その例に準じて定めたものであります。即ち第百七十條の、
管財人並び
に
届出
をした
更生債権者等
は、他の
更生債権者等
の
議決権
について
異議
を述べ得るということに対しまして、第百七十
一條
におきましては、別に
異議
がなかつたところの
議決権
を有する
更生債権者等
は、その確定した額又は届け出た額、若しくは株式ならばその数に応じて
議決権
を
行使
することができるということになりまして、この第百七十
一條
の
規定
は、
一つ
の基本的の
規定
に
なつ
ておるわけであります。
異議
のある
権利
につきましては、第百七十
一條
第二項で
裁判所
が
議決権
を
行使
させるかどうか、及び如何なる額又は数につき
議決権
を
行使
させるかを定めることに
なつ
ております。これは
手続
を迅速に運んで行くためには、
裁判所
にこの
程度
の
決定権
を與える必要があるから、このようにしたわけであります。 次に第百七十
二條
は、収賄その他不当な
利益
を得る
目的
で、
手続
に参加する者を
議決
から除外して、公正な
議決
の
成立
を図るためのものであります。
更正手続
を不当な
利益追求
のために利用する行為は、
会社
の
更正そのもの
を危うくするだけでなく、他の
利害関係人
の
権利
に重大な
影響
を及ぼしますので、
裁判所
の裁量によりまして、
議決権
を
行使
させないことができることにしたものであります。なお第二項は、
当該議決権者
に釈明の
機会
を與えたものであります。これはいわゆる悪質な三百的な者のような、真に
会社
の
更正
を図るということでなくて、全くその
機会
を利用して、私腹を肥やそうとして策動する者を防ごうというための
規定
であります。 第百七十三條は、
一定
の者に
議決権
の
行使
を許さないことにした
規定
であります。一号の「
更生計画
によ
つて
その
権利
に
影響
を受けない者」というもの典型的なものは、例えばまるまる弁済を受けることになるというような者がその適例であります。二号の「第百六十條の
規定
により
計画
から除外することのできる者」と申しますのは、例えば
株主
について申しますと、
会社
を仮に
清算
したといたしましても何ら
残余財産
の分配を受け得る
見込み
がない、そういうような者は現実に
財産的利害関係
を持つ者でありませんので、
議決権
を
行使
することができないことにいたしたわけであります。第三号の「第二百四十二号第二項の
規定
によりその保護が定められている者」については、又後ほど
説明
することになると存じますが、簡単に申しますと、或る
一つ
の
更正計画案
につきまして不
同意
の組のある場合には、その不
同意
の組の者の
権利
を保護するために
一定
の
法律
に定めた保障をいたしますと、そういう不
同意
の組は何ら
更生計画
によ
つて
実質的の不
利益
を受けないことになりますので、そうなるといたしますれば、別にその
更正計画案
について発言を許す必要もありませんので、そのような場合には
議決権
を
行使
することができない、そういうことにいたしたわけであります。 第百七十四條は、
議決権行使
の
便宜
のために
代理人
による
行使
を認めたものであります。この
規定
は何分
更生債権者
とか
株主等
は、多数に上る場合もありますし、本人がどうしても出て来なければならないといたしますと、こういうような
手段
、
手続
におきましては、
手続
の円滑な
進行
を図るのに不適切でありますので、
代理人
を認めることにいたしたわけであります。 次に第六章に入りますが、第六章は、
更正手続開始
後の
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
、
管財人等
の
一定
の
事項
についての
調査
及び
報告
の
義務
、
審査人
の
選任
、
更生計画案
の
作成
から可決に至るまでの
手続
、及び
共益債権等
について
規定
いたしております。 第百七十
五條
は、
管財人
の
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
に着手することに関する
規定
でありますが、
管財人
は第五十三條の
規定
によりまして
会社
の
業務
及び
財産
の
管理権
を有することになりますので、
就職
の後直ちにこれらの
管理
に着手しなければならないといたしたものでありまして、
破産法
第百八十
五條
にも同
趣旨
の
規定
がございます。 第百七十六條及び第百七十
八條
は、すでに
破産法
第百九十條及び第百九十
一條
に同
趣旨
の
規定
がありまして、特に
説明
すべきほどのこともございません。 第百七十
八條
は、
会社
の
財産
の状況を知るのは、爾後の
更生手続
の
進行
上必要でありますので、
破産法
第百八十
八條
の例に倣
つて
定めた
規定
であります。即ち
管財人等
は
更生手続開始
後
遅滞
なく、
裁判所書記官等
の立会の下に、
会社
に属する一切の
財産
の価額を評定しなければならないことにいたしておるわけであります。 第百七十九條も、前條と同様の
趣旨
から
破産法
第百八十九條の例に倣
つて
規定
いたしたものであります。 第百八十條と第百八十
一條
でありますが、第百八十條の各号に掲げる
事情
は、
更生手続
の
主宰者
である
裁判所
がどうしても了知しておく必要がありますので、
管財人
は
就職
後直ちに、これらの
事項
を
遅滞
なく
調査
して
裁判所
に
報告
すべきことを定めたものであります。なお、これらの
事項
は第百九十
五條
の
規定
によりまして、第一回の
関係人集会
に
報告
されることに
なつ
ております。 第百八十
二條
の
規定
は、
更生債権者等
の
調査
に関するものでありまして、前
二條
と同様の
趣旨
から、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
権利
につきまして
管財人等
に
調査
報告
させることにいたしたものであります。この
調査
の結果も、第百九十
五條
の
規定
によりまして第一回の
関係人集会
に
報告
され、その
集会
の資料とされるわけであります。 次に第百八十三條でありますが、前
五條
は、
手続開始
後最初の
段階
にしなければならない
事項
を定めたものでありますが、第百八十三條は、その後におきましても
管財人等
は、
裁判所
の定めるところに従いましてその命ずる
事項
を
報告
する等の
義務
があることを
規定
いたしたものであります。
更生計画認可
の時における
財産目録等
を特に要求いたしましたのは、その時の
財産状態
が
更生計画遂行
の基礎となるからであります。第百八十四條は、
営業用
の
固定財産
の
評価
に関する
規定
でありますが、ここに掲げる
財産目録
に記載する
営業用
の
固定財産
の
評価
並びに
更生手続
による
営業用
の
固定財産
の
評価換
に当りましては、事実ありのままの
評価
をしなければなりませんので、商法の
営業用
の
固定財産
の
評価
に関する
特則
を適用しないことにいたしたものであります。 第百八十
五條
は、
書類
の備付けに関する
規定
でありまして、
管財人等
によ
つて
今まで述べました
規定
によ
つて裁判所
に
提出
された
書類
を
利害関係人
の閲覧に供することにするため、これらの
書類
は
裁判所
に備えて置かなければならないことにしたものであります。 次に百八十六條は、
会社
の
更生事務
の
処理
に関する
規定
でありまして、
管財人
がない場合の
更生事務
につきましては、
会社
は、
裁判所
の
監督
の下に、これを
処理
することにいたしまして、なおその際
会社
は、
更生事務
の
処理
につきましては、
管財人
と
同一
の
注意義務
を負うということにしたものであります。この場合には
会社
は、本来
管財人
が
処理
すべき
事務
である
更生事務
を
処理
することになりますので、
裁判所
の
監督
に服することとし、その
注意義務
も
管財人
と同様とすることにいたしたわけでありますが、
注意義務違反
の
責任
は、
会社自身
のほか、
任務
を怠つた取締役も負うものといたしました。こういう
規定
を置きまして、
管財人
がなくて、
会社
が
更生事務
を
処理
する場合の
責任関係
を明らかにいたしたわけであります。 次に第百八十
七條
は、比較的小規模な
会社
の
更生事件
につきましては、
事情
に応じて適当な
業務
及び
財産
の
管理方法
を取ることができるようにいたしたものであります。即ち或る場合には
管財人
を置いたのをやめ、又置かなかつたのに後に置くことができるというようにいたしまして、
実情
に適する処置が取り得るような途を開いたわけであります。 第百八十
八條
は、第百八十
七條
に関連する
規定
でありまして、
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
の
方法
が第百八十
七條
の
規定
によ
つて
変更
された場合における
訴訟手続
の
中断
及び
受継
について
規定
したものであります。 第百八十九條は、
営業
の
休止
の
規定
を定めたものであります。元来
会社
の
更生手続
は、
会社
の
事業
の
維持更生
を図るものでありますが、その
狙い
といたしますところは、
会社
の
事業
を成るべく休ませないでおいて、何とかそのままに動かしながら
更生
させて行こうというところに
狙い
があるわけでありますが、
会社
の
営業
を継続することによ
つて損失
を生ずるような場合等に、それ以上
会社
の
財産状態
を悪化させないために
営業
を
休止
させる必要がある場合があります。それで
本條
は、このような理由で
営業
を
休止
しようとするときは、
会社
が勝手にするわけには行かず、
裁判所
の
許可
を得なければならんということにいたしたわけであります。尤も
営業
の
休止
につきまして
監督官庁
の
許可
を要する場合は、その
許可
をも得なければなりません。 第百九十條は、
会社
の
財産
の
保管方法等
に関する
規定
でありまして、
会社
の
財産
の
保管
及び金銭の収支に過誤なからしめるために
裁判所
が必要な定めをすることができることにいたしたのでありまして、
破産法
にもその例がございます。 第百九十
一條
は、
審査人
に関する
規定
であります。
本條
は、
会社
が
更生事務
を
処理
する場合、
管財人
を置くほどでもないが、
会社
に
更生事務
の
処理
を任せることも適当でない場合に、
審査人
を
選任
して
裁判所
の命ずる
事項
を行わせることができることといたしたのであります。ただ
審査人
は
管財人
と違いまして、
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
を行わせることはできないことに
なつ
ております。 第百九十
二條
は、
審査人
に関しまして、
調査
の
権限
、
資格証明書
、
裁判所
の
監督権
、解任、数人の
審査人
の
職務執行
の
方法
、
注意義務
、計算の
報告義務
及び
任務終了
の場合の
緊急処分
につき
調査委員
及び
管財人
に関する
規定
を準用し、なお、
発起人等
に対する
責任追及
に関する訴についての
当事者適格
について定めたものであります。 第百九十三條は、前條第二項の
規定
により
審査人
があるときは、
発起人等
に対する
責任追及
に関する訴につきましては、
審査人
が原告又は被告となることに
なつ
ておりますので、
本條
は、
審査人
が置かれた場合等におけるこの一種の
訴訟
の
中断
及び
受継
について定めたものであります。 第百九十四條、
本條もち
よつと特色のある
規定
でありますが、
本條
は、
更生事務
の
処理
につきましては、
法律知識
を必要とすることが多いので、常設の注
律顧問
を置くことができることにいたしたのであります。
法律顧問
は、費用の前払及び報酬を受けることができることに
なつ
ております。これは現在の
破産
の場合等におきましては、
破産管財人
は多く
弁護士
のかたにお願いするのが
実情
に
なつ
ておるようでありまするが、この
会社更生手続
はしばしば申して参りましたように、
会社
を生かしつつ
更生
させる
手続
でありますので、
管財人
としては相当
経済的知識経験
、
手腕等
を要することになりますので、
法律家
たる
弁護士
よりも、むしろ
経済人
のほうが
管財人
になる場合が多く予想されるわけでありますが、併しながらこの
手続自体
が非常に複雑なものであり、又いろいろの
利害関係
が錯綜いたしまして、むつかしい
法律
問題も生じますので、
法律家
である
弁護士
を常設的に
法律顧問
ということにいたしまして、
法律
問題の
処理
に誤りなからしめようというのが、この
考え方
であります。 次に第百九十
五條
及び第百九十六條は、第一回の
関係人集会
のことを定めたものであります。
関係人集会
は主なものは大体三つあるわけでありまして、その第一回の
関係人集会
がここに
規定
してありますが、そのほかに
関係人集会
は、
プラン
について
意見
を徴し、これを
審理
するための
関係人集会
がその次の
関係人集会
でありまして、
最後
に
プラン
を可決する
関係人集会
と、大体必要なものは三回に
なつ
ております。この第一回の
関係人集会
はその
目的
といたしまするところは、
会社
今後の
管理
の方針を検討するのが
目的
でありまして、
管財人等
から
会社
の
業務
及び
財産
に関する経過及び現状、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の氏名及び
権利
の
内容等
を
報告
させました後に、
管財人
の
設置
又は
選任等
について
関係人
の
意見
を聞くべきものといたしておるわけであります。この第一回の
関係人集会
は、昨日も問題になりましたように、
更生債権届出
の期間がまだ満了しない前に開き得ることに
なつ
ておりますので、
更生手続
に非常に
利害関係
を持ち熱心なものは
債権届出
を成るべく早くいたして、この
関係人集会
に出ることになるものと存じますが、
届出
の遅れているようなものは、これに出席する
機会
を失うことになるわけであります。併しながらここでは單に
会社
の
業務等
の
報告等
を聞いて、
管財人
の
設置等
についての
意見
を徴するという
程度
のことでありますので、それ以上
権利
の得喪の実体に触れるような
決議
をするわけじやありませんので、私どもの取つた立て方は必ずしも不当ではないと存ずる次第であります。 次に第百九十
七條
と第百九十
八條
でありまするが、これらの
規定
は、
更生計画案
の
作成
及び
提出
について定めたものでありまして、第百九十
七條
に定める者に対しましては、
更生計画案
の
作成
及び
提出
の
義務
を認め、第百九十
八條
に定める者に対しましては、
義務
ではなくてその
権利
を認めたものであります。即ち
管財人
は先ず
更生計画案
を立案し
裁判所
に
提出
する
義務者
になるわけでありまするが、
会社
とか、
届出
をした
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
は、この
計画案
を
作成
する
義務
はなく、單に自分で特別の
意見
がある場合には、
更生計画案
を
作成
して
裁判所
に
提出
することができるということに
なつ
ておるわけであります。これは成るべく広く良案を求める
趣旨
で百九十
八條
の
規定
を立案したわけでございます。 第百九十九條、これは
清算
を
内容
とする
計画案
について定めたものであります。
更生計画案
は、本来
会社
の
事業
の
維持更生
を
目的
とするものでなければなりません。そのような案の
成立
の困難なことが明らかな
会社
は、
更生
の
見込み
がないものとして、これに対しては
手続
を
開始
すべきものでないのでありまするが、実際問題といたしましては、当初は可能と認められても
開始
後いろいろの
事情
で、
更生
が困難となり、單に
清算
を
目的
とする案ならば
成立
可能というような場合の生ずることが予想されるのでありますが、今まで折角進めた
手続
をやめてしま
つて
、新たに別の
手段
を進めることは無駄でありますので、
本條
は、
債権者
の
一般
の
利益
を害しない限り、
裁判所
が
清算
を
内容
とする
計画案
の
作成
を
許可
することができることといたしたものであります。一見この百九十九條の
規定
は、
会社更生手続
と矛盾するような感かありますが、只今
説明
いたしましたように、
手続
の
経済
を考えて、例外的に認めた
措置
であります。 次に第二百條、第二百
一條
でありまするが、これは
更生計画案審理
のための
関係人集会
でありまして、いわば第二回目の
関係人集会
とも称すべきものであります。即ち
更生計画案
の
提出
があつたときは、
裁判所
は、その
計画案
を
審理
するため、
期日
を定めて
関係人集会
を
招集
し、この
関係人集会
におきましては、
更生計画案
の
提出者
から、
計画案
について
説明
を聞き、
裁判所
は、
管財人
、
審査人
、
会社
並びに
届出
をした
更生債権者
、
更生担保者
及び
株主
から
計画案
に対する
意見
を聞かなければならないことに
なつ
ております。なお、この
機会
に一言いたしておきたいことは、
更生計画案
ができ上りまするには、いろいろの
利害関係
が輻湊いたしておりますので、なかなか簡単にはまとまりにくいものでありまするが、実際の場合におきましては、この
更生債権者
とか、
更生担保権者
とか、
株主
とか、こういう
利害関係
を同じくする者同士が集まり
合つて一つ
のグループのようなものを作りまして、お互いに
折衝
をいたし、
利害
を調整して、それで大体各方面の意向を探
つて
、これならば大体可決され得るのではないかというような
見込み
をつけなければなりません。この表面に現われた
手続
以外に、この裏面で事実上の
折衝
というようなことが相当行われ、又
手続
の円滑な運行のためには、その実際上の
折衝
が合理的に行われることが必要なわけでございます。 次に第二百
二條
は、
会社
の
業務
を
監督
する
行政庁等
に対して
更生計画案
について
意見
を述べる
機会
を與えたものであります。
許可
、
認可等
を要する
事項
を定めた
計画案
は、
本條
第二項の
規定
による
行政庁
の
意見
と重要な点で反しておるときは、認可されないことに
なつ
ております。この
規定
は第二百四十
一條
第一項五号におきまして、
行政庁
の
許可等
を要する
事項
を定めた
計画
につきましては、
行政庁
の
意見
と重要な点において反しておる場合吉には、
裁判所
において
更生計画案
が認可されないことに
なつ
ておりまして、こういう仕方で
監督行政庁
の
監督権限
と
更生手続
との調整を図
つて
おるわけであります。 次に第二百三條でありますが、
本條
は、
更生計画案
が、
会社
の使用人に重大な
関係
を持つものである点を考えまして、その組織する
労働組合等
の
意見
を聞かなければならないことといたしたわけであります。 次に第二百四條は、
更生計画案
の
修正
に関する
規定
でありまして、
更生計画案
の
提出者
が、
提出
後みずから
更生計画案
を
修正
することを許したものであります。実際の
便宜
を
図つた規定
であります。 次に第二百
五條
は、
更生計画案
の
修正命令
に関するものであります。即ち
提出
された
更正計画案
が不適法なものであるような場合に、
裁判所
がその
修正
を命ずることができることといたしたものであります。これもこの
規定
がないと、不適法な
更生計画案
が何かの
関係
で出て来た場合に、折角ちよつと直せばそれで認可できるものを、こういう
規定
がないと、今までの
手続
も全部無駄になるという結果が生ずる場合も考えられますので、この
規定
を置きまして、
手続
の無駄を省くことにいたしたわけであります。 第二百六條は、
関係人集会
の再開の
規定
であります。
計画案審理
のための
関係人集会
の
期日
後に前條の
規定
による案の
修正
があつた場合に、更に
関係人
の
意見
を聞く等の必要があるときは、
関係人集会
を再開することができることといたしたものであります。 第二百
七條
は、
更生計画案
の排除に関する
規定
であります。即ち
提出
された
更生計画案
が、結局において認可できないようなものであれば、これについて爾後の
手続
を進めて見ても無駄でありますので、
関係人集会
の
審理
又は
決議
に付さないことができることにいたしたものであります。 次に第二百
八條
は、いよい
ろ最後
の
段階
であります。
更生計画案決議
のための
関係人集会
に関する
規定
であります。
本條
は、
更生計画案決議
のための
関係人集会
の
招集
及び
関係人
に対する
更生計画案
の
写し等
の
送達
について定めたものであります。案の
写し等
を
送達
するのは、事前に
関係人
に案の
内容
を知らせて
決議
に便ならしめようとする
趣旨
であります。第三項は、
簡易送達
の
方法
を認めたものであります。 第二百九條は、
更生
のために債務を負担し又は
担保
を供する者は、
更生計画案
が認可されますと、その
効力
を受け、
認可決定
が確定すると
更生債権者等
の記載が
確定判決
と
同一
の
効力
を有するものとされ、
更生手続終結
後は、それに基いて
強制執行
を受けることに
なつ
ておりますので、
計画案決議
のための
関係人集会
の
期日
に出頭して、その旨の陳述をすべきものといたしたわけであります。 第二百十條は、
更生計画案
の
変更
に関する
規定
であります。
更生計画案
は、すでにその
審理
を終えて、
決議
のために
関係人
に
送達
された後は、その
変更
を許すべきものではありませんが、
更生債権者等
に不利な
影響
を與えない場合は、例外的にその
変更
を許してもよいので、
本條
は、そのような異例な場合の
計画
の
変更
を認めることにいたした
例外的措置
であります。 次に第二百十
一條
は、
決議
の時期に関する
規定
であります。
一般
の
更生債権
又は
更生担保権調査
の
終了
前には、これらの
権利
の
内容
、
権利者
の
議決権等
が判明しないので、
決議
をすることができないことにいたしているわけであります。 次に第二百十
二條
の
規定
でありますが、
本條
は
決議
の
方法
を定めたものでありまして、
更生計画案決議
のための
関係人集会
におきましては、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
が各組に分れて
決議
すべきことを
規定
いたしております。これらの者は、それぞれ異
なつ
た
権利
と
利害
を持
つて
おりますので、これを無差別に取扱うときは、不都合を生ずるからであります。昨日申上げました第百五十九條の
規定
と関連いたしまして、
更生手続
における
一つ
の中心的なアイデイアの現われであります。 次に第二百十三條は可決の要件に関する
規定
であります。
本條
におきましては、
権利者
の頭数は考慮しないことにいたしました。各組におきまして法定の額又は数以上の
議決権
のある者の
同意
を得られなければ可決されませんが、和議の場合等に比して要件が緩和されておるものと言えます。
清算
を
内容
とする
計画案
について
更生担保権者
全員の
同意
を要することにいたしておりますのは、
破産
手続
及び特別
清算
手続
との均衡を考慮したものであります。なおこの條文に表われておりますように、例えば
更生債権者
につきましては、その
議決権
の総額の三分の二以上に当る
議決権
を有する者の
同意
を得られればいいわけでありますが、
更生担保権者
につきましてはその四分の三以上に当る
議決権
を有する者の
同意
を得なければならないということに
なつ
ておりまして、
更生
担保
権のほうが
更生債権
に比してより有力な、或る意味において発言力を有することにさせまして、
更生
担保
権を尊重するという思想をここに表わしておるわけであります。 次に二百十四條でありますが、これは続行
期日
の指定に関する
規定
であります。前條の
規定
によ
つて
決議
が
成立
しなかつたときでも、直ちに
決議
を不
成立
に終らせてしまうのは、折角今まで続けて来た
手続
が全部無駄に
なつ
てしま
つて
、
手続
の不
経済
を来たしますので、
本條
に定める者の
同意
があれば続行
期日
を定めて、更に再考の上愼重に
決議
する
機会
を與えるべきものといたしたものでありまして、これも破算法等の例に倣つたものであります。 次に二百十
五條
は可決の時期について定めたものでありまして、
本條
第一項は、
和議法
の例に倣つたものであり、第二項は、止むを得ない場合の期間の伸長を認めて融通性を持たせたものであります。若しこの二百十
五條
に定める期間内に
更生計画案
が可決にならないときは、
更生手続
は後の
規定
によ
つて
廃止されることになります。 第二百十六條、第二百十
七條
及び第二百十
八條
は、共益損権に関連した
規定
であります。共益債権は大つかみに申しますと、
破産
の場合の財団債権に準じて認めたものであります。共益債権相互の間では、別に順位を認めないことに
なつ
ております。なお、ここに定めるもののほか、各條におきまして共益債権とするものが別に
規定
されておるものがあるのに注意いたしたいと思います。 以上で第六章の一応の
趣旨
の
説明
を終ります。
伊藤修
3
○委員長(
伊藤修
君) 続いて第七章をお願いいたします。
野木新一
4
○
説明員
(
野木新一
君) それでは引続きまして、第七章につきまして概略の御
説明
をいたします。 第七章は、
更生計画
の必要的及び任意的條項並びに
計画
の條件に関する原則等について
規定
いたしております。この章の立案をいたすにつきましては、成るべく当事者にわかりがいいように、いろいろの具体的の場合をも考慮に入れて
規定
を作
つて
行こうということになりまして、
規定
が比較的詳細に
なつ
たものでありまして、これを
和議法
の和議條件のととろの
規定
等に比べますと、非常に細かく、又別の言葉を以て言いますれば、まあ親切に
規定
しておるつもりでおります。 第二百十九條でございますが、
本條
は、
更生計画
に関する総括的な
規定
でありまして、第一項は
更生計画
の必要的條項を定め、第二項は、任意的條項を定めたものであります。即ち第一項におきまして、
更生計画
には必ず
更生債権者
、
更生担保権者
又は
株主
の
権利
を
変更
する條項が入らなければならないことに
なつ
ております。これはこういう者の
権利
の
変更
を来たさなくても、
会社
が
更生
できるというような場合には、何も必ずしもこの
更生手続
をやるまでのことはないではないかという考えから、少くもこういう場合でなければいけないという
趣旨
から
規定
いたしたものであります。勿論この二百十九條におきましては、
会社
の
更生
に必要ないろいろな
事項
が
更生計画案
に書かれることは予想しておるわけでありますが、
規定
といたしましては、必要的記載
事項
としては、法理上の文言におきましては最小限度の表現をと
つて
おるわけであります。第二項の任意的條項を定める場合におきましても、重要な
事項
につきましては、
一定
の要件を具備すべきものとして、
計画
の
内容
を明確ならしめ、併せて
計画
遂行の場合における他の法令の適用を排除いたしまして、
手続
が簡単にでき得るような
措置
を考えておるわけであります。 第二百二十條以下は、第二百十九條のところを更に詳細に順次
規定
して行つたものでありまするが、第二百二十條は、
更生計画
の必要的條項に関するものでありまするが、
計画
による
更生債権者等
の
権利
の
変更
について疑義が生じないように
規定
を置いたわけであります。即ち
更生債権者等
の
権利
を
変更
するときは、
変更
されるべき
権利
を明示し、且つ、
変更
後の
権利
の
内容
を定めなければならないといたしました。なお、この
更生計画
によ
つて
権利
に
影響
を受けないもの、或いは先ほど申しました第百六十條の
規定
に基き
計画
から除外されるものがあるときは、その者の
権利
を明示しなければならないといたして、
計画案
がはつきりしないために、後にいろいろの
権利
の紛争が生ずることがないように、このような
規定
を設けて
更生計画案
の
内容
を明確にさせたわけであります。 次に第二百二十
一條
でありますが、
更生計画
によ
つて
債務が負担され又は債務の期限が猶予されることが多いことが予想されるわけでありまするが、
本條
は、その期限が比較的長期に亘るときは、弁済資金の調達
方法
を明示し、
担保
が供されるときは、期限の長期を限定すべきものといたしまして、債務の弁済を確実ならしめる
趣旨
において設けた
規定
であります。これも
更生計画案
が実現可能な、しつかりしたものにしたい、そういう点からこういう
規定
をはつきり置いたわけであります。 次に第二百二十
二條
でありまするが、
本條
は、
会社
若しくは
会社
以外のものが
更生
のために
担保
を供し、又は
会社
以外の者が
更生
のために債務を負担する場合の
規定
で、
権利
関係
を明確ならしめるためのものであります。 次に第二百二十三條でありますが、
更生計画案
は、
更生債権
及び
更生
担保
権の確定
手続
が大体
終了
してから
作成
するのを本則といたしますが、
異議
のあるものにつきましては、確定していないものもあり得るので、
本條
は、このような
権利
がその後確定しても
計画
の遂行に支障を来たさないように、
更生計画
において適確な
措置
を講じておくべきことを定めたものであります。若しこの未確定の
更生債権
等が非常に大口なものであ
つて
、それがきまらなければ
更生計画
の立案ができないというような場合には、その確定を待たなければならないわけでありますが、さればとい
つて
比較的小さいものであ
つて
、それについては何かの
措置
を講じておけば全体としての
更生計画
の立案、遂行に支障を来たさないというような場合におきましても、その
更生債権
等が確定しなければ
更生計画
を立案、決定できないということでは、
手続
の円滑な
進行
が得られませんので、このような
規定
をおきまして、その間の調整を図つたわけであります。 次に第二百二十四條でありますが、
本條
も必要的條項に関するものでありまするが、共益債権は、前述したように
更生債権
及び
更生
担保
権に先立
つて
弁済されるべきものでありまするから、共益債権に関する
事項
を明らかにしなければ堅実な
更生計画
を立てることができません。
本條
は、この意味で共益債権の弁済に関する
事項
を明らかにすべき旨を定めたものであります。 次に第二百二十
五條
は、
営業
又は
財産
の讓渡等に関する
規定
であります。
本條
は、
更生計画
において
会社
の
営業
又は
財産
の譲渡等を定める場合の要件について
規定
しております。このような條項を定めた
計画
が認可された場合の効果につきましては、第二百五十
八條
にその
規定
がございます。 次に第二百二十六條は、
計画案
作成
当時
会社
に属する
権利
で争いの落着していないものの
処理
について定めたものでありまして、その
処理
の
方法
を明確にすべきことといたしたものであります。第二百二十三條と似たような
規定
でございます。 次に第二百二十
七條
は、
更生計画
において
会社
の定款の
変更
について定める場合の
規定
であります。第二項は、定款の
変更
により
会社
が発行する株式の総数を増加する場合には、新株の引受権についても
規定
すべきことを定めたものであります。定款の
変更
について定めた
計画
が認可された場合の効果は、第二百五十九條に
規定
いたしてありまして、商法の
規定
の特別に
なつ
ており、
手続
が相当簡單になる仕組に
なつ
ております。 次に第二百二十
八條
は、取締役等の
変更
に関する
規定
であります。即ち
会社
の取締役、監査役の
選任
、又はその
方法
等のことを
更生計画
において定める場合の
規定
であります。この第四項におきまして任期を一年といたしましたのは、
会社
の取締役、監査役等の役員はそれぞれ本来ならば
株主
総会等によ
つて
選任
せらるべきものでありますが、これはそういう
会社
の正規の機関ではなく、
更生計画
という非常事態において
選任
せられたものでありますので、成るべく常態に早く復帰せしめ、商法の
規定
に乗るようにしたほうがいいという
趣旨
の下におきまして、こういう
方法
によ
つて
異例的に
選任
せられた役員の任期を余りに長くするのは好ましくないので、一年といたしたわけであります。この点につきましては、或いはそういう非常事態を切拔けるためには或る特殊の人を信頼する必要があるので、
更生計画
においてこの人ならば大丈夫として、その人を取締役として
会社
の経営を委ねることにしたならば、むしろ任期は長くするほうがいいではないかという
考え方
も予想されるわけでありまするが、本案におきましてはその考えは採用いたしておりません。なお第二百二十
八條
の條項を定めた場合の効果につきましては第二百六十條において商法の
規定
の特例を設けて
手続
の簡素化を図
つて
おります。 次は第二百二十九條でありますが、
本條
は、
会社
の資本の減少のことを
更生計画
において定めようとするときの要件について定めております。この場合の効果は、やはり後に出て来ます第二百六十
一條
に
規定
いたしております。 次に第二百一十條は、新株の発行に関する
規定
であります。
本條
は、
会社
の新株発行のことを
更生計画
において定めるときの要件について
規定
いたしました。第一項は、
更生債権者
、
更生担保権者
又は
株主
に対して、元の債権、株式等の代りに新株を割当てる場合であります。第二項は、これらのものに従前の
権利
に追加して新たに払込又は現物出資をさせて、新株の割当をする場合であります。第三項は、それ以外の場合、即ち普通の第三者から新株を募集するというような場合について定めたものであります。而してこれらの場合の効果につきましては、後に出る第二百六十
二條
、第二百六十三條におきまして、商法の
規定
の特例を定め、
手続
の簡素化を図
つて
おるわけであります。 第二百三十
一條
は、
会社
の社債発行のことを
更生計画
において定めるときの要件について
規定
したものであります。前條と同様
更生債権者等
に新たに払込みをさせ、又はさせないで社債を発行する場合を含んでおります。社債発行について定めた場合の効果は、第二百六十四條及び第二百六十
五條
において商法等の
規定
の特例を定めております。 次に第二百三十
二條
は、
更生計画
において、吸収合併について定める場合の要件を
規定
しております。吸収合併について定めた場合の効果は、第二百六十六條に
規定
しております。 次に第二百三十三條は、
更生計画
において新設合併について定める場合の要件を
規定
しております。
計画
において、新設合併について定めた場合の効果は、第二百六十六條に定めております。 次に第二百三十四條は、
更生計画
において新
会社
の設立について定めをするときの要件を定めております。第一項は、
更生債権者
、
更生担保権者
又は
株主
に対し、もとの債権、株式等の代りに新らしい株式を與え、これらの
株主
のみで新
会社
を設立する場合の要件であり、第二項は、それ以外の
方法
によ
つて
新
会社
を設立する場合の要件であります。あとの場合には、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
に対し、新たに払込若しくは現物出資をさせ、又はさせないで、その株式の一部を引受けさせる場合を含んでおります。なお、
更生計画
においては新
会社
の取締役及び監査役の
選任
についても定めるべきものとし、又社債の発行等についても併せて定めることができることにいたしております。
計画
において新
会社
設立について定めた場合の効果は、第二百六十
七條
及び第二百六十
八條
に特例が定められておりまして、
手続
が非常に簡素化されております。 第二百三十
五條
は、
更生計画
において
会社
の解散の定めをしようとするときの要件を定めております。
計画
によ
つて
新
会社
を設立する場合でも、
会社
即ち旧
会社
は解散せず、新
会社
と共に存続するものとすることができます。旧
会社
の解散について定めた場合の効果は、第二百六十九條に定めております。以上が
更生計画
において予想せられるところのいろいろの場合を挙げて、その
規定
すべきことを明確にいたしたわけでありますが、一見非常に複雑に
なつ
ておるように見えますが、この案を立てるところの
狙い
は、むしろいろいろの場合につきまして、このように具体的にその
措置
を
規定
しておけば当事者にと
つて
はこのどれとどれとを結び付けて
更生計画
を立てるというようなことを考える場合に、大体の目安が立
つて
よいのではないかということが
一つ
と、更にいま
一つ
は、こういうようにはつきりと要件を
規定
して置きますれば、あとの
手続
の簡素化、即ち商法等の
規定
の特例を設ける、即ち或る場合に商法の
規定
を排除して、
段階
を飛ばして
手続
を進め得るというような
手続
の簡素化を図る前提要件となりますので、このように一々詳細に
規定
を設けてみたのであります。勿論
更生計画
においてこのすべてを用いなければならないというわけではありませんので、具体的場合に応じましてその適切なものを選んで行けばよいわけであります。 次に第二百三十六條、これは條件に
一定
の差等を設けなければならないということを
規定
したものでありまして、非常に思想的には重要な
規定
でございます。
更生手続
に参加する
権利者
の
権利
にはその性質に差異があり、この差異を無視するときは不当な
権利
の侵害を生ずることになります。
本條
は、
権利
の性質に応じて必ず
計画
の件に公正衡平な差等を設けなければならない旨を
規定
いたしまして、実質的な平等を考えたわけであります。この順位を無視した
計画
、例えば
株主
の
権利
を
債権者
の
権利
よりも有利に取扱うような
計画
は不適法でありまして、たとえ
関係人集会
におきまして、可決されても
裁判所
はこれを認可することができないわけであります。第二項は、罰金、科料等の請求権及び租税等の請求権は、別の性質を有するものでありますので、第一項の
規定
の適用がないことにいたして、これは又別個の見地から取扱うということを明らかにいたしたものであります。 次に第二百三十
七條
は、平等の原則を定めたものでありまして、
更生手続
は、各
権利者
が公正衡平に満足を得ることを本旨とすることに鑑みまして、
本條
は、同じ性質の
権利者
に対する條件は原則として平等でなければならない旨を定めたものであります。併し形式的な平等は必ずしも実質的な衡平をもたらすものではありませんので、但書におきまして少額債権等について或る
程度
の例外を認めることにいたし、
実情
に即し得るようにいたしたわけであります。 次に第二百三十
八條
は、取締役等の
選任等
に関する
規定
であります。即ち取締役及び監査役の
選任等
に関する
計画
の定めが衡平で、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
一般
の
利益
に合致するものでなければならない旨を定めたものであります。それは取締役、監査役等の人選は、
更生債権者等
の
利害
に関するところが大でありますので、一部の策謀家の画策があつたりすることがないように、こういう
規定
を設けているわけであります。 次に第二百三十九條は、特定の
更生債権者等
に対する、厚生
計画
の定めによらない特別の
利益
の供與の
効力
について定めたものでありまりまして、和議の以上で第七章の
説明
を終ります。
伊藤修
5
○委員長(
伊藤修
君) ではこの
程度
に一時から再開したいと思います。 午前十一時五十一分休憩 —————・————— 午後一時二十七分開会
伊藤修
6
○委員長(
伊藤修
君) 午前に引続いて
委員会
を開会いたします。 これより午前に引続きまして質疑に入ります。六十
二條
と六十三條の
関係
ですが、仮にここに
更生手続開始
以前に
担保
を
会社
に提供しておつた者があつた。そうして
会社
が
債権者
としてある場合にその債務は完済された。それで
会社
はただ
手続
きを怠つお
つて
、その所有権が
会社
に残
つて
おるというような合は六十三條によ
つて
取戻すことができないことになるのですか。六十
二條
によるというと取戻す
権利
に
影響
を及ぼさないと、こう言
つて
おるし、六十三條によると、「
担保
の
目的
でしたことを理由としてその
財産
を取り戻すことができない。」というのですが、今のような場合はどうなるのですか。
位野木益雄
7
○
説明員
(位野木益雄君) 取戻せません。
伊藤修
8
○委員長(
伊藤修
君) その
担保
を
会社
に提供しておる者が、すでに債務をもう完済されてお
つて
、たまたま
手続
のなされていなかつたというだけで六十
二條
の適用はないのですか。いわゆる実質的な
会社
の
財産
に属していないことは明らかなんですね、
説明
によれば……。
野木新一
9
○
説明員
(
野木新一
君) この六十三條の
規定
は、
破産法
から借りて来たものでありますが、このような
規定
があります
趣旨
は、いわゆる売渡
担保
という場合におきましては、当事者の内部の間におきましては、或いは所有権がどつちにあるかというような問題もありますが、外部の
関係
におきましては、即ち第三者の側から見た場合におきましては、
財産
が
会社
に譲渡されておつたという形に
なつ
ておりますので、第三者を保護するという
趣旨
におきまして、外部的
関係
に着眼して、内部的所有権のことには力を置きませんで、この取戻権を認めないことにいたしたわけであります。従いまして仮に
担保
をされおる債務が弁済されるといたしましても、その
関係
から見まして、なお
会社
に占有があり、或いは登記もしておるというような場合には、やはり六十三條の
規定
の適用を受けるものと存ずる次第であります。
伊藤修
10
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、六十
二條
の場合はどういう場合を想像するのですか。
野木新一
11
○
説明員
(
野木新一
君) 六十
二條
の場合は、例えば一番極端な場合は、何かの間違いに基きまして、偶然
会社
の
財産
みたいな恰好に
なつ
ていたというようなもの、或いは使用貸借等によ
つて
会社
が借りたというようなもの、即ち所有権ははつきり
会社
以外の者に、内外共にはつきりしておるような場合が考えられるわけであります。
伊藤修
12
○委員長(
伊藤修
君)
会社
に占有が移
つて
お
つて
、現に
会社
がそれを使用しておる場合は、不動産の場合は別として、動産の場合は第三者の面から考えれば、これは
会社
のものであるというように見ることが当然でありますが、そういう場合においては六十三條において、立法
措置
から言えば、その現実を以て第三者の保護のために六十三條の適用がやはりあるんじやないですか。
野木新一
13
○
説明員
(
野木新一
君) 例えば使用貸借の場合は、使用貸借
関係
がはつきりしておりますれば外部からわかるわけでありますが、ただ六十三條に
規定
しておるいわゆる売渡
担保
の場合におきましては、当事者の内部
関係
においては所有権を留保するというような場合、或いは
担保
の
目的
だけで所有権を相手に移すというようなことにあらかじめなりますが、外部との
関係
におきましては飽くまで
財産
を譲渡した、所有権が
会社
に移
つて
おるという
関係
になりますので、單なる使用貸借というような場合と全く外面も異
なつ
ておると考えるわけであります。
伊藤修
14
○委員長(
伊藤修
君) 不動産の場合は問題はないと思いますけれども、動産の場合についてはいわゆる委託の品物もありましようし、使用貸借もありましようし、一時貸借の場合もありましようし、現に
会社
が占有しておるというものに対しては、六十
二條
の適用があるように御
説明
があつたのでありますが、それと六十三條の区別は困難ではないのでありますか。
野木新一
15
○
説明員
(
野木新一
君) 多少言葉が足りなかつたかとも存ぜられますが、現に
会社
の占有しておる物すべてについて六十三條の適用があるのではありませんでして、
担保
の
目的
で
会社
に
財産
を譲渡した、そういう場合だけでありまして、而もその金は返したけれども、まだ
担保
の
目的
で譲渡したというような外部
関係
がなお残
つて
おるというような場合には、六十
二條
の適用はなくて六十三條で行くのであるという
趣旨
でありまして、その場合におきましては全く
法律
関係
が変
つて
しまいまして、借金は返してしまつた、
担保
も一旦返した。併し以後は借りておくのだというような
関係
になりますれば、これは六十
二條
のほうに行くものと考えておる次第であります。
伊藤修
16
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、動産を現実に占有してお
つて
も、その
法律
関係
が
担保
によ
つて
それを占有するに至るという場合だけであ
つて
、その他の場合は六十
二條
によ
つて
賄えると、こういうわけでございますね。
野木新一
17
○
説明員
(
野木新一
君) さようでございます。
伊藤修
18
○委員長(
伊藤修
君) 六十四條の場合において、売主が損害をこうむることがあり得るのでありますが、その損害をこうむつた場合については百三條の適用があるものと考えられますが、そうですか。
位野木益雄
19
○
説明員
(位野木益雄君) この売主が六十四條によ
つて
物品を取戻す
権利
を持
つて
おりますので、大体において損害をこうむることは少いと考えるのでありますが、なお百三條の
規定
の適用を妨げませんので、こちらの要件に該当するような場合には、
管財人
のほうから契約の解除、そうして百四條によりまして相手方は損害があれば賠償を請求する、こういう
趣旨
であります。
伊藤修
20
○委員長(
伊藤修
君) この契約解除取戻しによ
つて
生じたところの、例えば保険であるとか移送料であるとか、手数料だとかによ
つて
生じたところの損害というものは百三條の適用であり、そうして百四條の適用によ
つて
これが
権利
を保護される、こういうように解釈してよろしいのですね。
位野木益雄
21
○
説明員
(位野木益雄君) 百三條は
管財人
のほうに対しまして特に解除権を認めたもの、その解除によ
つて
売主のほうに損害がありますれば、百四條によ
つて
只今申されたような損害も請求できるという
趣旨
であります。
伊藤修
22
○委員長(
伊藤修
君) 六十六條は物品の取戻権者が返還請求権喪失の場合に限るのでしようか。どうでしようか。
野木新一
23
○
説明員
(
野木新一
君) 例えば
会社
が売渡
担保
として取得しておつた
財産
を……売渡
担保
では工合惡いわけですが、他の者から借りて持
つて
いた
財産
を第三者に売
つて
しまつたというような場合におきまして、
会社
はその代金の支払を請求する
権利
を取得するわけでありますが、本来の取戻権者は
会社
に対してその代金の支払請求権を自分のほうに寄越す、そういうことにいたしまして、実際に物を取戻す代りに、
会社
がほしいままに売払つた代金の請求権を取得することができる、そういつた
趣旨
の
規定
であります。
伊藤修
24
○委員長(
伊藤修
君) 本来取得権があるというような場合ですが、そうするとその品物に対して所有権が第三者に移
つて
行かないのじやないでしようか。
野木新一
25
○
説明員
(
野木新一
君) 御説のように移る場合と移らない場合があると思いますが、例えば倒産等のような場合には移る場合もありまして、一番典型的の場合はそのような場合を考えているわけであります。
伊藤修
26
○委員長(
伊藤修
君) そうすると本質的に
法律
上その所有権が移る場合も、移らぬ場合も含むのですか。或いは喪失した場合だけが予想されておるのでしようか、どちらでしようか。
野木新一
27
○
説明員
(
野木新一
君) 六十六條といたしましては、その両方を含む
趣旨
に考えております。
伊藤修
28
○委員長(
伊藤修
君) 両方含む……、つまり法理的にそれがここに解釈が出て来るのでしようかね。そうすると反対給付の請求権というものは本質は何ですか。給付の請求権ですか、或いは求償権になるのですか。單独行為によ
つて
債務を生ぜしむるということになるのですか。
野木新一
29
○
説明員
(
野木新一
君) これは一番典型的な場合といたしましては、
会社
が物を売つた場合に代金請求権を
会社
が取得するわけでありますが、その代金請求権の移転を請求することができるというような場合が一番はつきりしておるものと思います。
伊藤修
30
○委員長(
伊藤修
君) その場合はよろしいとしても、本来
権利
が第三者に移転しないという場合も含むとおつしやるのですか。そういう場合に、この反対給付の請求権というものは、いわゆる給付の請求権ということが言えるかどうか。或いはそれによ
つて
、單独行為によ
つて
権利
関係
が初めて創設される……或いは求償権ということが言えるのですかね。
位野木益雄
31
○
説明員
(位野木益雄君) 所有権は、
会社
が第三者に移転いたしません場合には、取戻権者が直接第三者から物件返還の請求をする。物件の返還の請求をするということができます場合には、そういうことも勿論その
手段
を取
つて
おるわけでありますが、そういうふうな
手段
を取りませんでも、所有権としては第三者にはまだ移
つて
ない、併しながら
会社
と第三者の間には売買契約が現実にできておるわけであります。無効でも何でもないわけでありますから、その契約を援用いたしまして、その契約を認め、売買代金請求権だけをこちらにもらうというふうなことで、事足りるという場合には、その第六十六條でも行けるというふうに考えて差支えないと思います。
伊藤修
32
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、本来の
権利
が喪失しない場合においては
便宜
規定
になるのですか。或いは
法律
的にそういうふうに出るという解釈ですか。
位野木益雄
33
○
説明員
(位野木益雄君)
法律
的に
便宜
認めたものであると考えております。
伊藤修
34
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、現在
債権者
としては第三者に直接この取戻請求権を
行使
することもできるが、又先の
会社
と第三者との間になされた取引行為を認めて、その反対給付をすることもできる。いずれかの一方を選択し得るのですね。
位野木益雄
35
○
説明員
(位野木益雄君) そういうふうに考えております。
伊藤修
36
○委員長(
伊藤修
君) 六十九條では
更生債権
又は
更生
担保
権に関するもので
異議
のないものについてはどうなるのでしようか。
位野木益雄
37
○
説明員
(位野木益雄君)
更生債権
又は
更生
担保
権に関する
訴訟
で
異議
のないもの、こういう
趣旨
なんですか。
伊藤修
38
○委員長(
伊藤修
君) そうです。
位野木益雄
39
○
説明員
(位野木益雄君) それは事実上この
更生
担保
権として任期の
期日
におきまして争いがなくて確定した場合のことでありますので、実体上その
訴訟
の
目的
は達せられたわけでありますから、これは事実上
受継
ぎをしなくてもすでに
目的
を達して
訴訟
が
終了
するというふうに考えております。
伊藤修
40
○委員長(
伊藤修
君)
訴訟
を
終了
しておれば問題はありませんが、現に
訴訟
中であるという場合においては、
中断
とか中止とかにならないということになるのですか。
位野木益雄
41
○
説明員
(位野木益雄君) これは
中断
、形式的には
中断
中のものはずつと続くわけでありますが、当事者が
目的
を達した以上は、これは取下げとかいうことで
訴訟
が
終了
するというふうに考えております。
伊藤修
42
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、将来当事者においてそれは適当に
処理
されるというふうなお考えの下にこちらにも、百四十九條と照合してどちらにも入らんことになるわけですか。
位野木益雄
43
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。委員長(
伊藤修
君)七十
一條
ですね、専属管轄がある場合もこれは含むのでしようかね。
位野木益雄
44
○
説明員
(位野木益雄君) 第四項の
規定
に該当しない限り専属管轄のものも含むわけであります。
伊藤修
45
○委員長(
伊藤修
君)
訴訟
法の特例になるのですね。
位野木益雄
46
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。これは
更生手続
を円満に遂行するために、各
裁判所
でばらばらに
訴訟
を遂行しておつたのでは非常に不便ではないかということで、特に認めた
規定
であります。
伊藤修
47
○委員長(
伊藤修
君) 七十
二條
ですが、これは商法の
規定
を大体入れておるようでありますが、商法三百八十六條の第五号、第六号というものはここで入れなくてもいいという理由があるのですか。
位野木益雄
48
○
説明員
(位野木益雄君) 三百八十六條第五号は「取締役又ハ監査役ノ解任」の処分でございますが、
更生手続
が
開始
いたしますと
財産
関係
の
管理権
は
管財人
に移ります。併しながら
会社
の人格そのものについては、
更生手続
が
開始
されても
影響
を受けないという建前を取
つて
おりまして、取締役、監査役等の
選任
、解任等につきましても、これは外部的な力によりまして
更生手続
が
開始
したからという理由で、解任するということは適当でないという考えから認めないことにいたしたのであります。
伊藤修
49
○委員長(
伊藤修
君) 商法三百八十六條の第六号の場合「発起人、取締役又ハ監査役ノ
責任
ノ免除ノ禁止」これは……。
位野木益雄
50
○
説明員
(位野木益雄君) この「発起人、取締役又ハ監査役ノ
責任
ノ免除ノ禁止」、これは第五十四條の
規定
によりまして第七号の
権利
の放棄ということに該当すると考えますので、これは
裁判所
の
許可
がなければできないことに
なつ
ておりますから、そういう面からコントロールされるものと思います。
伊藤修
51
○委員長(
伊藤修
君) 取締役の
責任追及
に関する
訴訟
が提起されておる場合に、査定との
関係
はどうなるのですか。査定は既判力を持
つて
来るのですか。現に取締役の
責任追及
訴訟
が起されておる場合において、査定ということがある場合においてそれとの
関係
ですね。
位野木益雄
52
○
説明員
(位野木益雄君)
会社
が取締役に対して賛任追及の訴を提起しておる際に、
更生手続
を
開始
したという場合には、その訴は
会社
財産
関係
の
訴訟
として
中断
される。そうしてこれによりまして略式
手続
による査定の
手続
、これを取りまして
責任
の追及をいたしてもよろしい、こちらのほうは好ましいと思いますが、併し非常に
訴訟
が
進行
しておるという場合には、これは
受継
の
規定
でそれを
受継
いたして、それを遂行してもよろしいという……。
伊藤修
53
○委員長(
伊藤修
君) 査定というものは一体どういう形式でされるのですか。或いは数字だけを羅列するという形式を取るということが予想されますが、その効果は既判力を持つのですから、判決処分のごとく書かれるのですか、査定の形式です……。どういうことが予想されるのですか。
位野木益雄
54
○
説明員
(位野木益雄君) この査定の裁判の制度は、商法の制度に倣つたことは、先ほど御指摘の通りであります。そしてこの査定の現実の裁判というものはまだ例がないのじやないかと想像いたしておるわけでございます。ここの
規定
の
趣旨
として考えて頂きたいのは損害賠償請求権の存在を確定するということがわかればいい。給付の
義務
を認める形式でなくて、損害賠償請求権があるということを確定する形式でいいというように考えております。
伊藤修
55
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、実質的には損害賠償の給付が確定し得るような形式を取ればいいと、こうおつしやるのですか。
位野木益雄
56
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
57
○委員長(
伊藤修
君) 第七十
一條
及び第七十
五條
ですね。
更生
裁判所
という文字が出ておるが、一体
裁判所
法に言うところの
裁判所
のほかにこういう
更生
裁判所
というものができるのですか。それともこれは現に係属しておるという
裁判所
を指すものですか。そういうものですか。
位野木益雄
58
○
説明員
(位野木益雄君) これは
破産法
におきましても
破産
裁判所
という言葉を使
つて
おります。その意味は
破産
事件
の管轄
裁判所
という意味だろうと考えております。この
法律
もその先例に従つたわけで、
更生事件
の管轄
裁判所
という
趣旨
であります。
伊藤修
59
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、この読み方はこの
更生事件
の管轄
裁判所
と、こういうふうに読むのですね。
位野木益雄
60
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
61
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、この
更生事件
の管轄
裁判所
はみずからなした査定、いわゆる判決に類似するような効果を持つところの査定に対して
異議
がある場合において、それをその
異議
の訴を受けて又これを
審理
、判決するということは裁判制度の上において、ちよつと不合理のように考えられるのですが、この点はどうですか。
位野木益雄
62
○
説明員
(位野木益雄君) この査定の裁判は略式の
手続
でありまして、
異議
のない場合に初めて確定判定としての執行力を持つというのでございますので、いわゆる前審の裁判というふうなものではございません。従いまして査定の裁判をした
裁判所
と、その
異議
の訴の
裁判所
とは
同一
の
裁判所
であ
つて
一も差支えがないじやないかというふう一に考える次第であります。
伊藤修
63
○委員長(
伊藤修
君) 覆審とか続審とか、こういう観念は出て来なとのですか。
位野木益雄
64
○
説明員
(位野木益雄君) 正式の審級とは認めないという考えに立
つて
おりますので、覆審とか続審とかという観念が普通言われますが、これは正式の審級の場合のことを指すのが普通であると思いますが、そういう観念にはぴつたりと当てはまらない。これはそこまでに至らない。略式の、正式の審級じやない裁判の
段階
であるというふうに考えております。
伊藤修
65
○委員長(
伊藤修
君) 次に七十
二條
の申立人でありますが、この申立人の範囲は三十九條との権衡上
利害関係人
とするほうがいいように考えられるのですが、この点はどうでしようか。
位野木益雄
66
○
説明員
(位野木益雄君) 七十
二條
の場合は、
更生手続開始
後、従前の
会社
の理事者に対する
責任
の追及をするという処分でございまして、これにつきまして申立人を非常に広くいたしますと、相当場合によ
つて
濫用するものがございますといたしますれば
手続
が遅延する。こちらの査定の
手続
後更に
異議
の訴を起すというふうなことになりますと、相当厄介なことになるということが考えられるのでございますので、成るべく申立人の範囲を狭めよう、そうして
手続
の迅速を図ろうという
趣旨
で、こういうふうに定めたものでございます。三十九條のほうは、これはまだ
手続開始
前のことでございまして、その保全処分の必要の有無、こういうことにつきましての
審理
、これはまあ比較的簡単な
手続
であるというふうにも考えられますので、これは相当広く認めてもそれほどの弊害はないんじやないかという
考え方
から、こういうふうにいたしたものでございます。
伊藤修
67
○委員長(
伊藤修
君)
更生手続
促進を重点にされて申立人の範囲を縮小されたというのですが、たまたまそういう人はないでしようけれども、
管財人
なり或いは
審査人
なりが頑迷であ
つて
、
債権者
が幾らい
つて
もや
つて
くれないというような場合におきましては、みずからやり得る途を開いたほうが却
つて
適当じやないかと思われるのですが、往々にして
管財人
がなかなかや
つて
くれぬことがあるのですね。
位野木益雄
68
○
説明員
(位野木益雄君) そういうふうな場合には
管財人
の
責任
を問う、或いは解任の
手続
をとるというふうな処置もございましようが、更に直接的には
裁判所
の職権を促すということにして、
目的
を達し得るのではないかというふうに考えます。
伊藤修
69
○委員長(
伊藤修
君) これは先ほどの問題と関連しますが、七十
五條
によ
つて
「査定の裁判に不服がある者は、決定の
送達
を受けた日から一月の不変期間内に、
異議
の訴を提起することができる。」と、こうあるのですが、これは上級審に持
つて
行くほうが適当じやないでしようか。先ほどの御
説明
もありましたが、結局みずからなした査定とはいえ、
一つ
の簡易な略式
手続
ではありましようが、
一つ
の裁判でありますから、その裁判に対して不服のある者は、やはり民訴の本則に従
つて
上級審に持
つて
行き、適正な判決を求めるというほうが妥当じやないでしようか。
位野木益雄
70
○
説明員
(位野木益雄君) 御
意見
のような立て方もできないことはないと存ずるのでありますが、そういうふうにいたしますと、査定の裁判は略式の
手続
でありまして、通常の裁判
手続
とは、大分当事者の
権利
の立場から考えるとやはりお粗末といえる
手続
でありますので、当事者の審級の
利益
というものは奪われてしまう、
一つ
審級が少くなるというふうなことにもなると考えるのであります。この査定の請求と申しますものは、これは
更生
裁判所
が
会社
の
事情
に精通しておるということから、そういう
裁判所
のした略式の裁判に当事者が服する場合が多いのではなかろうか。そういうような場合にには通常の
手続
によらなくても片付く場合が多くはないかということから設けた制度でありまして、これの裁判に対して更に不服の申立をする場合に、上級
裁判所
へ持
つて
行くということにいたしますれば、これはやはり略式の
手続
ではいけないという、要求といいますか、反対の
考え方
ができるであろう。そういうところからやはり原審の、原審といいますか、
更生
裁判所
にその訴をされるというふうにいたしたのであります。
伊藤修
71
○委員長(
伊藤修
君) この
異議
の訴の
内容
はいろいろありましようが、それによ
つて
この査定、現に査定された
内容
を減らすことも、或いは殖やすこともあり得ると思いますが、減らすことの場合は多く問題はないと思いますが、殖やすというようなこともできるのですか。
位野木益雄
72
○
説明員
(位野木益雄君) これは不服の申立をする者が
管財人
であるというふうな場合に、
管財人
が原審の査定が、原審と申しますか、査定の裁判における裁判された金額が少いというふうなことで、不服の申立をして、
異議
の訴がなされたという場合には、これは増額することができると考えております。
伊藤修
73
○委員長(
伊藤修
君) 八十
二條
に「否認権は、訴又は否認の請求によ
つて
、」と、こうあるのですが、二つを取
つて
おるのですが、これは否認だけの一本に立てることは何か不都合があるのですか。
位野木益雄
74
○
説明員
(位野木益雄君) この訴の
方法
と、否認の請求の
方法
と、二つを認めました
趣旨
は、先ほどの査定の裁判を認めました
趣旨
と同様でありまして、通常の訴のほかに否認の請求という略式な否認の
方法
、否認権
行使
の
手続
を認めたものでございます。
伊藤修
75
○委員長(
伊藤修
君) それはわかりますが、訴ということを特段に入れなくてもいいんじやないでしようか。
位野木益雄
76
○
説明員
(位野木益雄君) 否認の請求ということだけをここに書いておきますと、通常の訴では否認権の
行使
はできないのではないかという疑を生じますので、明記したわけでございます。
伊藤修
77
○委員長(
伊藤修
君) 若し
管財人
が否認権を有しないようなときに、
管財人
がその場合
債権者
に否認権を
行使
させるという
考え方
はどうですか。
位野木益雄
78
○
説明員
(位野木益雄君)
管財人
のない場合には、
更生債権者
又は東生
担保
権者が否認権の
行使
をするというふうな建前に
なつ
ております。
伊藤修
79
○委員長(
伊藤修
君) それはわか
つて
おりますが、
管財人
である場合においても、
管財人
が
行使
しないというようなときに、
債権者
をして否認権を
行使
させるという
考え方
はどうですか。
位野木益雄
80
○
説明員
(位野木益雄君) そういう場合に
管財人
のほかに
更生債権者等
にも、殊に否認権の
行使
を許すということになりますと、これを濫用と申しますか、大した理由がなくて否認の訴を出すということで、
手続
が遅延されるということを恐れるわけであります。この
手続
におきまして、遅延の理由として考えられるものの最も大きなものの
一つ
は否認権の
行使
ではないかと恐れているわけです。
破産
手続
におきましても、否認権の
行使
のために
手続
が数年も遅延しておるという事例が非常に少くないと聞いておりますが、そういう弊害を矯める意味からも、これは
管財人
がある場合には
管財人
に限りその
行使
を認めるというのが適当じやないかと考える次第であります。
伊藤修
81
○委員長(
伊藤修
君) 次に九十三條と六十
八條
との
関係
ですが、九十三條は六十
八條
を排除するという意味ですか。
位野木益雄
82
○
説明員
(位野木益雄君) そういう
趣旨
でございます。ただ
更生債権者
の提起した
訴訟
というふうな場合、これは形式的には、少くとも
会社
が当事者には
なつ
ていないと思います。で、これをどういうふうに解釈いたしますか、
考え方
によ
つて
は
会社
の
財産
関係
の
訴訟
じやないという見方もできるかと思いますが、併しながら又これは広い意味で、
会社
の
財産
関係
の
訴訟
であるという
考え方
も
成立
つと思います。有力なる学説は、そういう場合も
会社
の
財産
関係
の
訴訟
に含むというふうに
なつ
ていると承知しております。そういう建前をとりますと、九十三條は六十
八條
の例外だということになります。
伊藤修
83
○委員長(
伊藤修
君) 特に詐害行為取消請求権に関する訴だけをここで取上げるということは、これは必要があるのですか、どういう理由から来ているのですか。
位野木益雄
84
○
説明員
(位野木益雄君) これは詐害行為及び
破産
の否認の訴、これは
更生手続
における否認の請求乃至否認の訴と、本質上同質のものであります。それでこの
更生手続
が始つた場合には、むしろ従前の詐害行為等の
訴訟
はそのまま中止せしめ、否認の請求の
手続
によ
つて
その
目的
を達するほうが適当ではないかということから、ここに中止をいたしたのであります。
伊藤修
85
○委員長(
伊藤修
君) 九十
八條
の
管財人
の
代理人
でありますが、これは公務員ですか。
位野木益雄
86
○
説明員
(位野木益雄君) 公務員ではないと解しております。
伊藤修
87
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、公務員でないというと、
管財人
は公務員でしよう。
位野木益雄
88
○
説明員
(位野木益雄君)
管財人
も、刑法の第
七條
に言われる公務員ではないというふうに考えております。
伊藤修
89
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、
管財人
が犯罪を犯した場合においては、刑法の公務員としての涜職罪は
成立
しないわけでございますね。
位野木益雄
90
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。別にこの
法律
において涜職の
規定
をいたしております。
伊藤修
91
○委員長(
伊藤修
君) 九十九條に「
管財人
の
任務
が
終了
した場合」というふうにありますが、「
終了
」ということはいつを指すのですか。
位野木益雄
92
○
説明員
(位野木益雄君) これは
管財人
が解任された場合、そのときとそれから
手続
の
終了
、即ち
更生手続
の終結廃止等の場合、その決定のあつた場合というふうに考えます。
伊藤修
93
○委員長(
伊藤修
君) 百三十條の第四項の労働協約というのはどういう範囲を指すのですか。
位野木益雄
94
○
説明員
(位野木益雄君) これは労働組合法の第三章の労働協約と同じ工合に考えております。
伊藤修
95
○委員長(
伊藤修
君) 労働組合法の何章ですか。
位野木益雄
96
○
説明員
(位野木益雄君) 第三章です。
伊藤修
97
○委員長(
伊藤修
君) 大体今日はないと思いますけれども、よくまだ地方のほうへ参りますと、地方組合の場合において、労働組合の理事者が労働組合法、労働基準法の
規定
を理解してないために、こういう形式を整えぬ場合もあるでしよう。併しその
内容
は即労働協約と見らるるものを作
つて
いるのですね。話合いなり何なりで……。そういう場合をも含むのですか、含まないのですか。いわゆる労働組合法に言うこれだけの形式を整えないものは労働協約とはみなされない、こういう
考え方
ですか。広く労使間においてなされたところの労働協約はすべてこれを取り入れるという
考え方
ですか。
位野木益雄
98
○
説明員
(位野木益雄君) 先ほどの
説明
は或いは少し言葉が不足だつたかも知れませんですが、厳密には労働組合法に定めるような形式的な要件を備えなくても、実体上労働協約の性質を持
つて
いるものは
本條
にいわゆる労働協約に該当するというふうに考えます。
伊藤修
99
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、広く解釈して頂けるのですね。
位野木益雄
100
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
101
○委員長(
伊藤修
君)
更生計画
で労働協約を排除するとか、或いは
変更
するということはできるのでしようか。
位野木益雄
102
○
説明員
(位野木益雄君) 労働協約はその
更生計画
によりまして実質的に
変更
な受けることはございます。これは労働協約といえどもそれに、
計画
に従わざるを得ない。労働協約に反するような
更生計画
、労働協約の條項に反するような
更生計画
も有効である。そうして
計画
のほうは優先するということを考えておるわけでありますが、労働協約そのものは
計画
によ
つて
そのまま破棄されるというふうなことはできない、こういうことに
なつ
ております。
伊藤修
103
○委員長(
伊藤修
君) そうすると労働協約というものは、こういうような
更生手続
の
開始
の場合においては一方的にその
内容
が
変更
できるということになると、労働組合法の持つところの精神というものは、この
法律
によ
つて
蹂躙されるという結果を生ずるのですが、その点は果して妥当でしようか。
位野木益雄
104
○
説明員
(位野木益雄君) これは無條件に労働協約に違反できるという
趣旨
ではございませんので、例えば
会社
が
清算
手続
に入つた場合には、労働協約の或る條項はこれは自然働かないということになる。で、その協約に反する、形式的に反することもなし得るということが認められると思いますが、それと同じように、
会社
が
更生手続
に入
つて
、事態が非常に
変更
した。そうして
会社
の状態としてはもはや労働協約の或る條項はおのずから
効力
がなく
なつ
ておるというふうに考えられる部分が生ずるというふうに考えられます。そうしてそういう條項を飽くまでも固守するというのは、むしろ
権利
の濫用に属するというふうなことが考えられる場合もあると思いますが、そういうふうな限度でこれを
変更
し得というふうに考えております。
伊藤修
105
○委員長(
伊藤修
君) 私のお尋ねしたいことは、一方的にそれができるかということです。いわゆる
会社
を代表するところの
管財人
、若しくは
審査人
において労務者側の代表者と労働協約の
変更
を協議する。その結果
変更
するということならいいのですけれども、そうじやなくてただ
更生計画
という資本家側の一方的行為によ
つて
、これが破棄され、或いは
内容
の
変更
もされる。これは事実上労働協約が実行されない面が経理上からもあり得ることもあるでしよう、又それが運用し得ないという面もありましようが、それは自然現象であ
つて
、それをなお且つやれということは、それは或いは
権利
の濫用ということも起るでしようが、そうじやなくて、
会社
の
更生計画
というものにこれを取入れて、そうして
更生計画遂行
の上において従来の労働協約というものを改訂する必要に迫られた。こういう場合においてそれを一方的になし得るかどうか、こういう点ですよ。
位野木益雄
106
○
説明員
(位野木益雄君) そういう場合には勿論一方的になし得るということは考えておりません。
効力
を失つたというふうに見られる部分については、これは場合によ
つて
それに反する定めもなし得るが、併しそれ以外の部分、及びそういう部分にいたしましても労使双方の協議によ
つて
労働協約を改訂するという建前で進むのが、常道であるというふうに考えております。
伊藤修
107
○委員長(
伊藤修
君) 常道はいいのですよ。常道を取
つて
くれればいいけれども、要するに
管財人
が
法律知識
がなく、若しくは
法律知識
の誤解によ
つて
、それは一方的にできるのだという考えの下になされるかどうかということがあるのです。常道を辿
つて
下さる、常識から考えればそれは結構ですが、そうでない場合を想像して……。
位野木益雄
108
○
説明員
(位野木益雄君) そういう
効力
が
変更
されるという以外の部分については、飽くまでも拘束されまして、
変更
については労働組合の
同意
が要るということに考えております。
伊藤修
109
○委員長(
伊藤修
君)
更生計画
によ
つて
労働協約を
変更
しようとする場合においては、飽くまで協議によ
つて
これを決定せられる、
同意
のない場合においてはそれを
更生計画
に織込むことはできない。こういうふうに解釈してよろしいのですか。
位野木益雄
110
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
111
○委員長(
伊藤修
君) ただあなたの御答弁はそうだけれども、実際問題としてこれは大きな問題ですが、これは手当せんでいいでしようかな。
野木新一
112
○
説明員
(
野木新一
君) これは大分議論したところですが、なおいま一度はつきりあとで申述べます。
伊藤修
113
○委員長(
伊藤修
君) それから基本法を、こういう特別法によ
つて
どんどんあいまい模糊に陥れるということは、ちよつと我々としても考えなくちやならんところですがね……。百六條に関連してですが、この契約解除によ
つて
質権はどうなるのですか。債権となるのでしよか、どうでしようか。
位野木益雄
114
○
説明員
(位野木益雄君) 質権変還請求権、これは
更生債権
に
なつ
ております。
伊藤修
115
○委員長(
伊藤修
君) 雇用契約などに基ずくものは
本條
の適用があるのですか。要するに
本條
は継続的契約、例えば賃貸借に基ずく雇用契約の場合も適用があるかどうか。若し雇用契約も入るとするならば、労働基準法との
関係
はどうなるのかということをお伺いしたいのですが。
位野木益雄
116
○
説明員
(位野木益雄君) 百六條には雇用契約は含まない、字句上からも含まないと思います。
伊藤修
117
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、継続的の契約、例えば賃貸借のような場合は含むのですね。
位野木益雄
118
○
説明員
(位野木益雄君) 継続的の賃貸借の場合は含んでおります。
伊藤修
119
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、雇用契約なんかはどこで賄うのですか。
位野木益雄
120
○
説明員
(位野木益雄君) 雇用契約は、将来の部分につきまして百三條の適用があると思います。
伊藤修
121
○委員長(
伊藤修
君) そうすると、百三條で雇用契約に関するあれは
処理
されるとすれば、労働基準法との
関係
は、これは原則的に労働基準法を基本にして
処理
されるのですか。
位野木益雄
122
○
説明員
(位野木益雄君) さようでございます。
伊藤修
123
○委員長(
伊藤修
君) 百
八條
に「数人が各自全部の履行をする
義務
を負う場合において、その全員又はそのうちの数人について
更生手続
が
開始
されたときは、
債権者
は、
更生手続開始
当時有する債権の金額につき各
更生手続
において
更生債権者
としてその
権利
を行うことができる。」、こうありますが、この数人といううちには一人の場合も含むのですか、必ず数人を要するという
考え方
ですか。
位野木益雄
124
○
説明員
(位野木益雄君) これは数人以内という意味と考えます。
伊藤修
125
○委員長(
伊藤修
君) 一人の場合は含まないのですか。
位野木益雄
126
○
説明員
(位野木益雄君) 含みません。
伊藤修
127
○委員長(
伊藤修
君) 百十條に「数人若しくは一人」と書いてあるのですが、これとの区別は。やはりこういう必要があるのですか。
位野木益雄
128
○
説明員
(位野木益雄君) 百
八條
の場合には、これは数カ所にといいますか、数人に
更生手続
が
開始
された場合、各
手続
に対する債権の
届出
の金額、これが全額でもよろしいという意味でございます。百十條のほうは、これは求償権の
関係
でありまして、数人について
更生手続
が
開始
された、その数人同士の間の求償権の
関係
で後ざいますので、これは一人の場合も意味があると考えております。
伊藤修
129
○委員長(
伊藤修
君) ちよつと戻りますが、九十四條の
管財人
について、人材選択の点から範囲が本法では狭いように感ずるのですが、これをぐつと広くする考えはないのですか。
位野木益雄
130
○
説明員
(位野木益雄君) これを広くすると申しますと、
利害関係
のない者という制限を撤去する御
趣旨
でございますが、その点でございますと、これはやはり
管財人
はその職責上公正な立場になければならない。一方の
利益
を図り、一部の人の
利益
を図
つて
、全体の
利益
を害するということがあ
つて
はいけないという要請が非常に大であると考えますので、これは
利害関係
のない者という要件は非常に重要な要件ではないかと考えております。これはアメリカの前例におきましても、
更生手続
の前身に、衡平法上の
管理
の制度がありまして、この制度では
利害関係
のある者、例えば大口
債権者
などが
管理
に当るというふうな制度に
なつ
ておつたようであります。そのほかアメリカの
実情
と申しますか、今までの
更生手続
の実績におきましては、
利害関係
のある者が
管理
に当
つて
いたという例があつたそうでありますが、これらの例はいずれも弊害が多くて、どうしてもいけないということで、最近の立法におきまして特に
利害関係
のない者という要件を挿入して、現在ではそういう
法律
の下に運営をしている、そのことが非常にうまく行
つて
いるというように聞いております。
業務
の運営という点から見れば、
利害関係
のある人のほうが便利であるという場合が多いかと思いますが、その要請と、
利害関係
の有無の要請と、どつちが重いかという考慮から決定さるべき問題であると思いますが、やはり
利害関係
のない者という要件は必要ではないかと考えております。
伊藤修
131
○委員長(
伊藤修
君) 今の御
説明
の
趣旨
から伺いますと、結局はやはり整理ということが主眼に置かれて、
会社
を運営して行くということが第二義的に考えられているというところから来ていると思いますが、アメリカあたりの国民水準から行けばそういう人がうじやうじやいると思いますが、併し日本では国民の知識水準というものがそこまで行
つて
いない。だから特殊の
事業
、或いは
一般
事業
でも、これを経営しようというのには、やはりそこに何らかの特殊な知識を要するのではないでしようか。そうすると多くの場合は結局
利害関係
を持
つて
いるということになるのですね。取引
関係
にあるとか、或いは鋼材を仮に製造する
会社
である場合には、鋼材に関する取引のあるところの人がやはりふさわしい適格者ということになのではないでしようか。そういう者を選ぼうとすると、取引
関係
があるとか、何らかの
利害関係
がある。又日本の
実情
からい
つて
も、親
会社
が子
会社
を救済するとか、或いは子
会社
同志でこれを救済し合うとか、いわゆる
利害関係
ある者においてのみ
更生
させるという熱意が強いのではないでしようか。
更生
するということを第二義に置いて整理の公平というところに主眼を置くことは
破産法
と同じ結果を招来するということになるのではないでしようか。必ずしも
利害関係
ある者が不公平を来たすということはない。若し不公平があれば法によ
つて
適当にこれを制約できると思いますが……。
野木新一
132
○
説明員
(
野木新一
君) 実は
管財人
を如何なる人から選ぶかということは、この
更生手続
の成否について非常に勘どころとなるものでありまして、実際に当りましては最も議論されたところの一点であります。ただ私どもは実際に当りまして考えましたのは、只今位野木参事官から申されましたが、アメリカにおけるいわゆる
更生手続
の発達の歴史を概略調べてみますと、初めは大口
債権者
といつたような最も
利害関係
を持つた者が、いわゆる
更生手続
を支配しておつたようでありますが、それは一面非常に都合がよいところがあるとともに、他面又非常に不公正な点か生じて非常に弊害が多かつたようでありまして、それで新らしい立法におきましては、
管財人
はやはり
利害関係
のない者から選ぶという点が法制改革の
一つ
の大きな目安に
なつ
てお
つて
、それが最近において実現せられたような
事情
であることがわかつたわけであります。それで一方はそういうような立法のアメリカの発達における経過を参照いたしました。勿論アメリカと我が国におきましては、
経済
規模その他いろいろな点で異なりますので、直ちにこれを参考にすることはできないという点もありますが、併し理念的の点はやはりそれを貫いたほうがよいのじやないかという
考え方
から、原則はそういたしました。併しながら今仰せになりましたような実際の見地も又大いに考えなければなりませんので、特に我が国におきましてはこの種
会社更生手続
を担当するような
管財人
が必ずしもまだ多くないだろう、そうして見ると多少
利害関係
ある者を使わなければうまく行かない場合もあるのではないかということが十分考えられますので、この但書を置きましてどうしてもそういう場合が必要な場合には数人の
管財人
を
選任
することにして、その一人の人にそういうことを選ぶことができるというふうにいたしまして、
実情
との調整を図つたわけであります。
伊藤修
133
○委員長(
伊藤修
君) 御
趣旨
はよくわかりましたが、一体日本の今日の現状から考えまして、この
管財人
というものが従来の
破産管財人
とか、和議による
管財人
というものとは非常に性質を異にする。他面において
事業
的能力を持
つて
いる人でなければ到底できない。そういうことに至りますと、結局現状から考えますれば、
弁護士
であるとか、或いは経理士、或いは公認会計士とか、信託
会社
とかいうようなものが想像されますが、もつと考えればいわゆる従来財閥にあ
つて
追放解除されたいわゆる非職の人、この
程度
しか考えられないのであります。現に大
会社
を経営している人は、こういうボロ
会社
の経理を担当して、
裁判所
からああだ、こうだと言われるようなものに日にちを費す馬鹿はいない。ですからこれは辞退するにきま
つて
います。これは普通の
会社
を経営するより倍、三倍の苦難の途を歩かなくちやならない。茨の道を拓いて、その
会社
と生死を共にするだけの思いがなかつたら
更生手続
の
目的
は達しませんですよ。そういう
事業
的熱意を持つ人を求めようとするならば、結局今日の財界から考えれば、追放解除の非職にあるというような人を考えるよりほかない。これとても蓼々たるものです。そう無暗やたらに従来の大物がこういう
管財人
を引受けようとは考えられないのです。すると結局は、公認会計士とか、
弁護士
とか、いわゆる一方的に偏した、いわゆる
法律
上には明るいし、経理には明るい人であ
つて
も、
事業
経営能力はえてしてこういう者は不得手であります。そういうものから、結局は制約された範囲内において選ばなくちやならないということに
なつ
て来ると、如何に法文が立派に組立てられても、このポイントは
管財人
の能力如何です。この
法律
を活かす、活かさんは結局
管財人
の人物如何によるのです。その
管財人
においてかように制約されるということになりますれば、それは
法律
が余りに神経質にですよ、それは角を矯めて牛を殺すというような結果になりはしないかと思います。
利害関係
があればそれを
裁判所
が適当と認めれば、これを許すということのほうが、まあ私は今日の日本の情勢下においてふさわしいのじやないかと思うのですね。その人の行動によ
つて
いろいろ弊害を仮に生ずるというようなことがありといたしますれば、それは他の適当の法規の制定によ
つて
これは賄えると思います。アメリカは過去の沿革から、今お話のように、伺
つて
もアメリカにおいてすら過去においてそういうことをやつた。日本も今日アメリカの過去のその時代……、アメリカと日本とは御承知の通り二十年も三十年もズレがあるのです。アメリカの過去の時代が日本の今日なんですから、それを完備したアメリカの時代に直ちに不完備な日本の
経済
状態を当てはめて行こうというところに無理があるのじやないかと思うのですね。いわゆる理想主義に
なつ
て、実態に副わない。今日日本の国内法規がいろいろ改正されてお
つて
も、アメリカでは適当かも知れんが、日本では不適当な
法律
が随分ある。恐らく独立後においてこれは改廃されることと思いますが、その現実の悩みに日本人は苦しんでおるのにかかわらず、なお今日やはりアメリカの模範を取
つて
、その現想の下に今日日本の
法律
を立てるということはどうでしようか。だからただここに但書で以てそのギヤツプを調節しようという親心は結構ですが、これだけでは私は完全じやないと思うのです。むしろもつと広くこれを取
つて
、それで
裁判所
にその選択を委ねるほうが、この
法律
を活かす根本になるのじやないかと思うのですが、余り神経質になり過ぎていやしないか。あなたたちのお
考え方
がいわゆる整理ということが主眼であ
つて
、
事業
経営ということが第二義に置かれたということがここに今現われているのじやないか。そうするとこの
法律
が死物に
なつ
てしまうのですよ。
野木新一
134
○
説明員
(
野木新一
君) この
会社
整理等のことに非常に御練達の委員長が、実際の我が国における経験に基いた御
意見
のほどは、非常に傾聴いたした次第であります。誠に仰せのように
管財人
がこの
更生手続
の成否を決するものとも見受けるものでありますので、
管財人
にできるだけその人を得るようにするのが、まあ
法律
の努むべきところとは存ずる次第であります。私どもといたしましても、立案に際しましては、一体日本では果してどういう人が
管財人
になるだろうかということを立案の途中、雑談的に話合つたことがありますが、この案をしている当時は、いわゆる財界の世話人というような人は全部追放に
なつ
ておりまして、そういう人は解除に
なつ
たならばともかく、当時は解除にならないときでありましたので、ちよつと当てにするわけにはいかん。そうなるとこれに当るような人はなかなか少いようではないかというような心配が非常にあつたわけでありました。併しいろいろ話した中にも、先ほど委員長が仰せられたと同じような範囲の人が話題に出たわけであります。それでやはり場合によ
つて
は元の
会社
の重役を使
つて
もいいんじやないか、又それは駄目だとしても取引に
関係
のある同業者のような者も使えるようにしたらどうか、そうしなければとてもうまく行かないのではないかというような議論も立案の過程におきましてはいろいろな人から主張されたこともありまして、その議論は正に委員長が指摘せられたと同じ方向の議論だと回想いたすわけであります。併しながら結局私どもの取りました態度は、先ほど申上げましたようにやはり
手続
が全般的に公正に行われることが必要であるという点を重視いたしまして、今言つたような点は但書の運用によ
つて
調整して行きたい。そうしてこの
手続
が日本に漸次植え付いて行くに従いまして、この
管財人
という仕事に適した人もだんだん出て来るだろう。そういうことを期待いたしまして、而もこの
管財人
につきましては、
破産管財人
の場合などと異なりまして、十分報酬等も與えるようにいたしまして、その報酬の
規定
等も整備いたし、相当立派な人が安んじてこの職務に当り得るように、立案におきましても配慮いたしたつもりであります。併しいずれにせよ御指摘の点はいろいろ議論もあり得るところでありますから、慎重御審議のほどをお願い申上げます。
伊藤修
135
○委員長(
伊藤修
君) まあ現在日本の警察法の上においても、いろいろな
関係
からして公安委員というものを選定する範囲が非常に狭ま
つて
来ておる。従
つて
日本全国の公安委員長が無力化しておるという現状に照しましても、余り心配して範囲を狭くするというと、結局人材を得られない。公安委員のごときは坊主か教員か、そういうようなふうに何ら
関係
のない人が選ばれざるを得ない。このようなことに
なつ
て来るというと、法の
目的
が結局その点において失われてしまうという虜れがあると思いますが、この場合もやはりそういう点は我々としてもつと考えなければならんと思われるのです。これはまあ後日に譲りしますが、現在の日本の財界から考えても、相当パニツクが来るようにも考えられるし、日本の企業界においてもこの
法律
の恩惠を受ける
会社
が相当数出ると考えられます。そういう場合において我々はもう
一つ
この点は考えて見たいと思います。この
管財人
が数人置かれるということは予想されておるのですが、この
管財人
が数人ある場合において、やはり代表取締役というような意味においても、
管財人
の数人の中の一人が代表権を持つという行き方のほうが、実際
会社
を運営する上においてやはりこれも便利じやないかと思うのです。数人が常に協同して
事業
をなさなければならんということになると、それだけ
会社
の行動に敏活を欠くのじやないかと思うのですが、この点も
実情
に即していないと思われるのですが、代表をおくという
考え方
はないのですか。
位野木益雄
136
○
説明員
(位野木益雄君) この点につきましては、御指摘のような
考え方
も十分できるわけでありますが、この法案におきまして採りました立場は、
管財人
の
職務執行
というものは、多数決できめて執行すべきような種類のものではない。若し数人の
管財人
があれば、その全
管財人
の
同意
、一致を以てやるべきものである。お互いに信頼して、初めはその中に反対
意見
の者があ
つて
も、結局においては一致した行動を取るべきものであるというふうに考えて、多数決のやり方を採らなかつたのであります。それから
管財人
は数人ということに
なつ
ておりますが、これは商法の取締役会というような場合と違いまして、数人といえども極力少数ということを考えております。二人というような場合には、勿論これは多数決ということは意味をなさない。少数で協同してやるという場合は、これは多数決というやり方は、特に
管財人
のような職務の場合には適当でないのであるというような考えでやつたのであります。これは
破産法
の
破産管財人
の場合と同様でございます。
伊藤修
137
○委員長(
伊藤修
君) 代表を置く意思はないわけですね。
位野木益雄
138
○
説明員
(位野木益雄君) この
規定
で十分賄い得るものというふうに考えております。
伊藤修
139
○委員長(
伊藤修
君) 実際
事業
運営の上においては、やはり数人が会議してやるということは、その
事業
の運営ということが捗らないのです。これは日々相当煩雑な仕事であるから、やはり代表制度を取
つて
やることが……、勿論他の
管財人
をオミツトする意味じやない。そういう行き方のほうが
事業
運営という面が大部分の仕事である以上は、代表制度を置いたほうが便利ではないかと思います。その
目的
を達する上においてもそのほうが有効ではないかと思います。この
規定
で、私の見落しかも知れませんが、
破産管財人
の場合のように辞任の
規定
がないのですが、これは辞任を許さないのですか、
管財人
は。
位野木益雄
140
○
説明員
(位野木益雄君) 辞任の
規定
はございませんが、
選任
ということがあります以上、当然辞任ということもできるという
考え方
で、特に
規定
は置かなかつたのであります。
破産法
においては、正当の事由がなければ辞任することができないというような制限的の
規定
を置いてあります。そういうふうな必要があります場合には特に置いてもいいが、そういう必要がなければ置く必要はないのじやないかと考えまして、置かなかつた次第であります。
伊藤修
141
○委員長(
伊藤修
君) 他に何か……。では本日はこの
程度
にいたしまして、明日午前十時から開会いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後三時十五分散会 出席者は左の通り。 委員長 伊藤 修君 委員 山田 佐一君 齋 武雄君 岡部 常君
事務
局側 常任
委員会
專門 員 長谷川 宏君 常任
委員会
專門 員 西村 高兄君
説明員
法務府法制
意見
第四局長 野木 新一君 法務府法制
意見
第四局参事官 位野木益雄君