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1951-09-05 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年九月五日(水曜日) 午前十時四十一分開会
—————————————
昭和
二十六年八月十七日
法務委員長
に おいて小
委員
を左の通り指名した。 山田 佐一君
伊藤
修君 齋 武雄君
岡部
常君 鬼丸
義齊
君 一松 定吉君 須藤 五郎君 同日
法務委員長
は左の者を
委員長
に指 名した。
委員長
伊藤
修君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
会社更生法案
(
内閣送付
)
—————————————
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
会社更生法
及び
破産法
並びに
和議法
に関する小
委員会
を開きます。 本日は先に
提案理由
の
説明
がお伺いしてありますから、直ちに
逐條審議
に入ることにいたしまして、
逐條
に
亘つて
一章
ごと
に御
説明
をお願いいたしたいと思います。
野木新一
2
○
説明員
(
野木新一
君) それでは只今からお手許に差上げておきました「
会社更生法案逐條説明
」に大体基きまして
逐條
の御
説明
をいたしたいと存じます。 先ず第一章の総則でございますが、
本章
は、この
法律
の
目的
、
更生手続開始
の時、人及び地域に関する
効力
、
更生事件
の
管轄
、
更生事件
に関する
裁判所
の
裁判
その他の行為に関する
通則
、
破産
及び
和議手続
への
移行等
この
法律
の実体的及び
手続
的の
通則
を
規定
しておるのでございます。第
一條
は、この
法律
の
目的
を
規定
しまして、併せてこの
法律
の対象となる
会社
は
株式会社
に限ることを明らかにいたしております。第二條は、
更生手続
は、その
開始決定
の時から
効力
を生じ、
決定
の確定又は
公告
を待
つて
その
効力
を生ずるものではないことを明らかにいたしました。これは
和議手続
がその
開始決定
の時から
効力
を生ずることにしておるのと同様の
理由
に基いて、これにならつたわけであります。第三條は、
外国人
又は
外国法人
の
会社更生法
上の
地位
を定めたものでありまして、いわゆる無
條件平等主義
を採用しております。
外国人
及び
外国法人
について特に異
つた取扱い
をする必要はないだろうという
理由
からでございます。第四條は、
更生手続開始
の
国際的効力
について定めたものでありまして、いわゆる
属地主義
を採用しております。
和議法
の例にならつたものであります。第
五條
は、
更生手続参加
による
更生債権
又は
更生担保権
の時効の中断の
効力
を定めたものでございます。
更生手続
中は、その
手続
によらない
権利
の行使が
制限
されているからこのような
規定
を設ける必要があるわけであります。第六條は、
更生事件
の
管轄裁判所
について定めました。
和議事件
の
管轄裁判所
と大体同じであります。第七條は、特別の必要のある場合における
更生事件
の
移送
について定めたものであります。
民事訴訟法
第三十
一條
の
規定
と類似しておりますが、
専属管轄
の定めのある
事件
について特に
移送
を認めたものでありまして、この点は新機軸であります。 次に第
八條
から第十條までは、
更生手続
に適用すべき
手続
的な原則を定めたものでありまして、
和議手続
の例にならつたものであります。次に第十
一條
は、
更正手続
に関する
裁判
に対する
即時抗告
について定めました。
和議手続
に関する
裁判
の例にならつたものであります。第十二條、
本條
はこの
法律
の
規定
によ
つて
する
公告
の
方法
について定めました。
公告
を掲載すべき新聞紙は
裁判所
が指定することにいたしております。次に第十三條は、
会社
の
債務
が二千万円以下である場合の
略式
の
公告
の
方法
について定めました。その
方法
は、
破産手続
における
略式
の
公告
の
方法
と同様であります。
費用
の節減のためであります。次に第十四條は、この
法律
の
規定
によ
つて
する
会社
の
社債権者
、
株主
及び
登記
した
担保権
を有する
更生担保権者
に対する
略式
の
送達
の
方法
を定めました。一時に多数の者に
送達
すべき場合が多く、
株主名簿
、
社債原簿
又は
登記簿
に記載した住所は一応信頼すべきものでありますから、このようなことにいたしわけであります。次に第十
五條
は、この
法律
の
規定
によ
つて公告
と共に
送達
すべき場合の
送達
について定めました。
和議法
の例に準じたものであります。次に第十六條は、
送達
が困難な場合における
送達
に代わる
公告
の
方法
を認めたものであります。一時に多数の者に
送達
すべき場合が多いので、
通常
の
公示送達
と異
つた方法
を認めたものであります。次に第十七條と第十
八條
、
会社
又は
会社財産
に関する
更生手続開始
の
登記
について定めたものでございます。
管財人
の
地位
に鑑み、これに関する
事項
をも
登記
し、
更生手続終了
前に
会社
又は
会社財産
について
登記
すべき
事項
が生じた場合等にも
登記
を嘱託すべきものとしたほかは
和議法
及び
破産法
の例になら
つて
おります。次に第十九條は、
更生手続開始決定取消
の
決定
が確定した場合等における
登記
について定めました。
和議法
及び
破産法
の例と同様であります。 次に第二十條は、前三條による
登記
の嘱託を受けた場合における
登記所
の職務について定めました。第二項から第四項までは、
更生手続
と
和議手続
、
整理手続
、
特別清算手続
及び
破産手続
との
関係
を
登記簿
上明らかにするための
規定
であります。次第二十
一條
は、
否認権
が行使された場合の
登記
について定めました。
破産法
の例にならつたものであります。次に第二十二條は、
登記
に関する
規定
を登録に準用したものであります。次に第二十三條、第二十四條でありますが、
破産宣告
前の
会社
について
更生手続
が不
成功
に
終つた
場合における
破産手続
への
移行
について定めたものであります。
破産
の
原因
たる事実があ
つて
も、必ずしも
職権
で
破産
の
宣告
をする必要はないことといたしました。その他の点は
和議手続
及び
整理手続
の例に準じてあります。次に第二十
五條
、第二十六條、
破産宣告
後の
会社
について
更生手続
が不
成功
に
終つた
場合について定めました。
更生計画認可決定
前におきましては
破産手続
は
中止
されているから、
更生手続
が不
成功
に終ると当然
破産手続
が続行されますが、
計画認可決定
後に
更生手続
が不
成功
に
終つた
場合には、
破産手続
はすでに失効していますので、
職権
で
破産
の
宣告
をすべきものとしたのであります。次に第二十七條、第二十
八條
、
破産宣告
前の
会社
について
更生手続
が不
成功
に
終つた
場合における
和議手続
への
移行
について定めたものであります。
商法
の
会社
の
整理手続
の例に準じたものであります。第二十九條、
本條
は
清算人
が
会社
に対し
破産等
の
申立
をする
義務
がある場合に、
更生手続開始
の
申立
をしてもいい旨を定めたものであります。
和議開始
の
申立
の例に準じたものであります。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君) 以上、第一章の
説明
に対して御
質疑
がありますれば、この際御
質疑
をお願いいたします。…この
法案
の中の
財産権
の
制限規定
は
憲法
の第二十九條に違反するような疑いがあるのですが、どうですか。
野木新一
4
○
説明員
(
野木新一
君) この
法案
におきまして
財産権
の
制限
に関するもので一番大きな点は、例えば
債権者
や
担保権者
の
権利
が
会社更生手続
のために場合によ
つて
は縮減されることがあるという点であろうかと存じます。この点につきましては、例えば
担保権者
の例をとりますと、
担保権者
なり
債権者
なりの
権利
が
整理
の
目的
のために
制限
されるということは、
担保権者
の
グループ
、或いは
債権者
の
グループ
、後にそれに触れることになると思いますが、そういう
グループごと
に
一つ
の
決議
をして、それによ
つて
結局その
決議
にその
グループ
の
債権者
が従うということになりますので、別の言葉を用いて言いますれば、
多数決
の
原理
を採用しておるものでありまして、この
更生手続
のような
企業
の再建を図るというような場合におきましては、そういうような
多数決原理
によりまして
債権者
なり
担保権者
なり、その
グループ
の
権利
を
制限
するということは
憲法
二十九條には反しないものと
考え
ておる次第であります。
伊藤修
5
○
委員長
(
伊藤修
君) この
法案
中に
裁判所
の
権限
が非常に強力に且つ広汎に
規定
されておるように思うのですが、一体
裁判所
がかような
権限
を行使する
能力
があると
考え
られておるのですかどうか。いま少しく
当事者
の
権限
というものに任すべものではないでしようか。
野木新一
6
○
説明員
(
野木新一
君) この点の御質問は誠に問題の点であると存ずるわけであります。
我が国
におきましても
裁判所
が
破産
の
事件
とか或いは
和議
の
事件
のような、或いは
商法
の
会社
の
整理
のようなこれに類した
事件
を
取扱つて
おる例はありますが、この
会社更生事件
は、これらの場合に比しまして
手続
が複雑であり、且つ活きた
会社
を
取扱つて
おるという点におきまして非常に特異な性質を持つたものであります。従いまして
裁判所
のような
機関
でなくて、むしろ
行政機関
に扱わせたらいいではないかというような
考え方
も或いはでき、又仮に
裁判所
に取扱わせるといたしましても、
当事者
に成るべくその
権限
を任せるようにしてはどうかというような
意見
の出るのは一応予想されるところであります。併しながらこの
更生手続
は、この
手続自体
が示すように各
権利者
の非常に錯雑した
権利義務関係
を整備、形成して行く
手続
でございますので、やはり
裁判所
のような独立中正な
機関
が取扱うのが適当であると信じ、これは
外国
にもその例があるわけであります。 次に成るべく
当事者
に任してやつたらどうかという点についてでございますが、この
法案
におきましても或いは
管財人
の使用し、或いは
審査人
を使用し、或いは
担保権者
の
団体
、
債権者
の
団体
、それぞれの
団体
を使用いたしまして、その
団体
としてそれぞれの
権利
について折衝をし、或いは
管財人
が
相当
大きな
権限
を持ちまして実際の
事務
を進捗して行くというように、できるだけ
裁判所
は
法律的判断
に力を注いで、他のほうは成るべくそういう
外部
の
機関
、
外部
の者を使
つて
行きたいという
考え
で
立案
しておる次第でありまして、私
ども
といたしましては大体この程度で
相当当事者
その他の
権限
に任すべき点は任してあるのではないかと信じておる次第であります。
伊藤修
7
○
委員長
(
伊藤修
君) 一体この
会社更生法
の主眼とするものは、結局
会社
を
運営
しつつ
会社
を
更生
させようとするところに
破産法
との特異があるわけですね。それからいわゆる
法律
的な問題ばかりでなくして、
運営
というものに対しても
相当
の
能力
を必要とするのじやないのでしようかね。その場合においてただ
法律常識
のみを持つ
裁判所
にかような強い
権限
を与えるということで、果してこの
法律
の
目的
を達することができるでしようか。
野木新一
8
○
説明員
(
野木新一
君) この
会社更生手続
の特異な点は御説のように
会社
をつぶさない、活かしつつ
企業
を再建して行こうという点にありますので、これを取扱う
裁判所
乃至
裁判官そのもの
も、今までの普通の
訴訟事件
を取扱う
裁判官
と異なりまして、こういう
会社事件
とか
会社経営等
について
相当
の
知識
を普通の
法律知識
以外に持つべきものであるとは存ずる次第であります。 そこでこの
手続
ができましたならば、
裁判所
のほうにもよくお願いたしまして、こういう
事件
につきましてはこういう
事件
を担当する
裁判官
には特にこういうような
知識経験
を得られるような何か研修なり、又そういうものに特に興味を持
つて
いる人を以てこれに当てるなど、そういうものにいたしたいと存じておる次第でございます。
伊藤修
9
○
委員長
(
伊藤修
君) この点に対してはなお
あと
でお尋ねすることにいたしますが、次にその
株主
、
社債権者
、
会社
の
使用人
などはそれぞれ集団的に
更生手続
に
参加
するという
建前
をとるようにしたらどうかと思うのでが、どうなんですか。
野木新一
10
○
説明員
(
野木新一
君) この点も確かにこの
法案
を
立案
するに当りましては
一つ
の重要なる論点に
なつ
たところであります。併しながら私
ども
といたしましては、
会社
が非常に危急存亡のときに
迫つた
場合でありますので、
株主
とか
社債権者
などは、
一つ
の
団体
としてではなくて、やはり
個々
の裸にな
つて
その
会社
の
更生
に立向うと、そういうようにいたしたほうが、本当に
会社
の
更生
に
熱意
のある者が
参加
する。そういう
熱意
のある者の
参加
によ
つて
初めて
会社
が
更生
できることになるのだという
考え方
からいたしまして、
ばらばら
にばらしてやつたほうが
更生
のために一層よいと
考え
たわけであります。そういたしませんと、
株主総会
なり或いは
社債権者集会
なりの
決議
によ
つて株主
なり
社債権者
なりが一々行動することになりますので、余りに
関心
のない者までもその中に捲込まれることになり、又
決議
を一々することについて、例えば定足数を充たすとか、いろいろの点で迅速な活動ができなくなるのではないか。そういう点をも考慮して本案のような
建前
を
とつ
たわけであります。
伊藤修
11
○
委員長
(
伊藤修
君) こういうような活かして
更生手続
を進行させようというような場合においては、むしろ
株主
、
社債権者
とか、
会社使用人
とか、そういう者が各個別的な
グループ
の下にその
総合意思
を
決定
して、それを持込んで
更生手続
に然るべき
意見
を発表させる。こういうほうがむしろ
運営
のほうに非常にいいのじやないでしようかね。
野木新一
12
○
説明員
(
野木新一
君) 例えば
社債権者
につきましては
社債権者集会
というものが別に
法律
上あり、
株主
におきましては
株主総会
というものがありますので、それによつたらどうかというような点は確かに
一つ
の御
議論
とは存じます。併しながら例えば
株主
について
考え
ますと、
株主総会
を利用いたしますと、
株主総会
というものは
会社
の
意思決定機関
になりますので、そうすると
会社
がこの
当事者
になるという形で、普通の
和議法
の
和議
と同じような行動にな
つて
来るのであります。それか
一つ
と、それに
株主
におきましても
会社
が非常に
危急存立
に際したような場合におきましては、非常に無
関心
な
株主
も多い。そういう場合にはそういう無
関心
の
株主
はまあ
暫らく別
にしておいて、一番熱心な
株主
を集めて、そこで
手続
を進めて行つたほうが一層
会社
の
更生
というものが得られるのではないか。尤も
株主
の場合におきましては、
参加
しない
株主
も
権利
は失わないわけでありますが、併しながら熱心な
株主
のみに積極的に
参加
さして行つたほうが、
会社更生
の
手続
をうまく進捗させる、そして
会社更生
の
目的
を達成するのに一層適切でないか、そういうように
考え
たわけであります。
伊藤修
13
○
委員長
(
伊藤修
君) 併し実際の
整理
の場合の
取扱い
としては、
使用人
や何かは
会社
がそのまま存続し、
営業
を
継続
しつつ
整理
するのですから、
使用人
全体がこの
整理
に
参加
、参画して、常に
清算事務
を大きくして、
整理
のみに没頭するようなことがあ
つて
は、それ
自体
が
運営
の
中止
ということにな
つて
来るのじやないかと思うのですね。むしろ
使用人
は
使用人
の
意思
をまとめて
代表
を参画せしめて協議せしめるというような方向をとるようにしたらどうですか。
位野木益雄
14
○
説明員
(
位野木益雄
君)
会社
の
使用人
でございますが、この
使用人
の
手続
に
参加
という態様は、
会社
の
債権者
として
参加
する場合と、それから
会社
に使われている者としての
立場
で
参加
する場合と、二つを
考え
ておるわけです。そうして
会社
の
債権者
としての
立場
、これは例えば遅配の給料或いは
通常
の
立替債権
とか、そういうふうなものを持
つて
おる場合でありますが、この場合には
通常
の
債権者
と同じに扱う
建前
にな
つて
おります。併しながらこの
会社
の
使用人
としての
立場
のほうにつきましては、これは
使用人
の過半数で組織する
労働組合
がある場合にはこの
労働組合
の
意見
を聞くとか、若しそういう
労働組合
がなければ
使用人
の
代表者
の
意見
を聞くというふうにいたしまして、その
使用人
としての
立場
におきましては
団体
的に
取扱つて
おるという
建前
にな
つて
おります。
通常
の
債権者
としての
立場
の場合にも
団体
的に
取扱つて
はどうかというふうな点もございますが、これは先ほど
野本局長
からもおつしやられた通り、やはり
個々
の
債権者
或いは
株主
なんかと同様にこれを集団的に取扱うということになりますと、
手続
が円満に運ばない、円滑に運ばないという虞れが
相当
あるのじやないか。やはり各
権利者
が、各
会社
の
利害関係人
が
ばらばら
にな
つて
、裸にな
つて集つて
、そうして協力して
会社
を
更生
させるというためには、
ばらばら
に
参加
させるほうが適当じやなかろうかというふうに
考え
て、
債権者
の
立場
においては
個々
に
参加
させるという立て方をと
つて
おります。
伊藤修
15
○
委員長
(
伊藤修
君) この点は
あと
で
逐條審議
のときに又お尋ねすることにいたします。ではほかに第一章についてお尋ねすることございますか。
岡部常
16
○
岡部常
君 これは第
一條
において適用を受けるのは
株式会社
ということが明らかにな
つて
おりますが、これは
表題
をむしろ私は
株式会社更生活
とやつたほうがいいように思うのですが、ただ
会社
とや
つて
、わざわざここに
説明
をしなければならない何か特別の
理由
がありますか。
野木新一
17
○
説明員
(
野木新一
君) 実はこの
会社更生手続
を如何なる
会社
について及ぼすかという点につきましては、
立案
の当初から最後までいろいろ
議論
した点であります。実は
株式会社
以外の各
会社
、
有限会社
にまでも及ぼしてはどうか、又場合によ
つて
はこの
会社更生
というような、こういうような
法律的考え方
は個人にも及ぼし得るんじやないかという学者の
議論
もあつたわけでありまするが、私
ども立案
を担当いたした者といたしましては、
我が国
にとりましては新しい制度でありまするので、やはり漸進的に行つたらどうかということを先ず
考え
まして、而も漸進的に行くということにいたしますと、一番これを必要とし、又一番経済的にも重要である先ず
株式会社
について
考え
て見ようということになりまして、
株式会社
を中心としてずつと
規定
を
考え
て行つたわけであります。次に
株式会社
以外の各
会社
、
有限会社
はどうかという点も
考え
ましたが、これは先ずこの
法律
を制定して頂いて、その運用の状況を見て、
擴げ
るべきものは
擴げ
たらよかろうと、そういう
考え
をしたわけであります。ところでこの
表題
でありまするが、そういうような大体
考え
の下で出発いたしましたので、将来これに附け加え得るというようなまあ含みを残して、一応広く
会社更生法
というようなことにしたわけでありますが、大体それ以外には特別の
意味
があるわけじやございません。
伊藤修
18
○
委員長
(
伊藤修
君) 第一章の点については又
あと
で御質問することにいたします。第二章に移ります。
野木新一
19
○
説明員
(
野木新一
君) 次に第二章について
逐條
御
説明
いたします。
本章
は
更生手続開始
の
原因
、
申立権者
及び
申立
の
手続
、
申立
後の
手続
、
保全処分
、
調査委員
、
更生手続開始決定
及びその
効力
、他の
手続
との
関係
、取戻権、
株金拂込請求権等
の
査定手続
、
否認権等
について定めたものであります。 先ず第三十條ですが、
本條
は
更生手続開始
の
原因
及び
申立権者
について定めました。「
事業
の
継続
に著しい支障を来たすことなく
弁済期
にある
債務
を弁済することができないとき」というのは、
会社
に
流動資産
が乏しくて、
弁済期
の到来した
債務
を弁済するには、
会社
の
事業
の
継続
に欠くことのできない
営業用
の
固定財産
を処分しなければならないような場合を言い、「
会社
に
破産
の
原因
たる事実の生ずる虞がある」というのは、
会社整理
の
開始原因
として
商法
に定められておりまする「
支拂不能
又
ハ債務超過ニ陷ルノ虞アリ
」というのと同じ
意味
であります。窮境にある
会社
を成るべく早く
更生
させるために
会社
の
整理
の場合よりも
開始原因
を広く認めておるわけでありますが、この広く認められた場合には、
会社
以外の者にも
申立
を許すことは適当でございませんので、
会社
のみが
申立
をすることがでることといたしたわけであります。なお
会社
の
申立
は、本来の
業務執行
の場合と同様、
代表取締役
が
通常取締役会
の
決議
に基いていたします。
債権者
又は
株主
の
申立
に必要な
債権額
及び
株式数
は、数人のものを合計したものでもよい
趣旨
であります。次に第三十
一條
は、
解散
後の
会社
が
更生手続開始
の
申立
をするには、
特別決議
を要することといたしたものであります。
解散
後の
会社
の
継続
の場合の例に準じたものであります。次に第三十二條は、
更生手続開始
の
申立
の方式及び
申立書
の
記載事項
について定めました。
更生手続開始
の
申立
は、要件が複雑で、口頭でするには不適当でありますから
書面
ですべきものとし、
申立書
には、
申立
についての
裁判
をするについて必要な事実を記載すべきものといたしました。次に第三十三條は、
更生手続開始
の
申立
をする場合における
開始
の
原因
たる事実等の疎明について定めました。
破産法等
の例にならつたものであります。次に第三十四條は、
手続費用
の
予納
について定めました。第二項及び第三項は、
予納金額決定
の基準を定め、又
予納
に関する
裁判
に対して
即時抗告
ができることとして、
申立人
の
権利
の
保護
を図つたものであります。なお
費用
の
予納
がないと
申立
は棄却されます。次に第三十
五條
は、
会社
の
監督行政庁
及び
租税等
の
徴収権者
に対する
更生手続開始
の通知及びこれらの者の
更生手続
に関する
意見
の陳述について定めています。
更生手続
の進行については、これらの
機関
と
寄接
に連絡協力すべきものとしたものであります。次に第三十六條は、
会社
以外の者の
申立
があつた場合における
会社
の
代表者
の
審尋
について定めました。この場合には
会社
の
立場
をも聞くべきものとして、その
権利
の
保護
を図つたものであります。次に第三十七條は、
更生手続開始
の
申立
があつた場合における
裁判所
による他の
手続
の
中止命令
について定めています。
更生手続
は、
会社
の
更生
のために行われるものでありますから、
手続開始
の
申立
があつた場合において、必要があると認めるときは
裁判所
は
破産手続
、
和議手続
、
整理手続
、
強制執行等
のほか
競売手続
、
会社
の
財産関係
の
訴訟手続等
の
中止
を命じ、更に
租税滞納処分等
の
中止
をも命じ得ることといたしました。なお
租税滞納処分等
につきましては、
公益
上の
理由
からその
中止期間
を二月に限定する等必要な調整を図
つて
おります。次に第三十
八條
は、
更生手続開始
の
條件
について定めています。
申立
が適法であり、且つ
更生手続開始
の
原因
たる事実がある場合でも、ここに掲げるような一定の事由がある場合には、
申立
が誠実にされたものでないと認められますので、
裁判所
は
申立
を棄却しなければならないことといたしました。次に第三十九條は、
更生手続開始
前における
会社
の
業務
及び
財産
に関する
保全処分
について定めています。
和議手続
、
破産手続
、
整理手続等
において
保全処分
が認められているのと同
趣旨
に基くものであります。 次に第四十條は、
調査委員
の
選任
について定めました。
調査委員
の
任務
は、
和議開始
前における
整理委員
及び
整理開始
前における
検査役
の
任務
に類似しておりますが、
整理委員
のような必須の
機関
ではありません。第二項は、
調査
の公正を期するため、
調査委員
となるべき者の
資格
について定めたものであります。次に第四十
一條
は、
調査委員
の
調査
の
権限
について定めました。
整理
における
検査役
及び
和議
における
整理委員
の
権限
の例に準じたものであります。なお
本條
の
規定
による
報告
若しくは
検査
を拒み又は
虚僞
の
報告
をした場合には罰則が定められております。次に第四十二條、第四十三條及び第四十四條、これらの
規定
は
調査委員
の
資格証明書
、
監督
及び解任について定めたものでありますが、いずれも
和議
における
整理委員等
の例にならつたものであります。次に第四十
五條
は、
更生手続開始決定書
に
決定
の
年月日時
を記載すべきことを定めました。
更生手続
は、
開始決定
の時から
効力
を生ずるので、その
日時
を明らかにするためのものでありまして、
和議手続等
の例にならつたものであります。次に第四十六條は、
更生手続開始
と同時に
決定
すべき
事項
を
規定
しております。
破産法
及び
和議法
の例に準じて定めたものであります。
債務
が二千万円以下の
会社
について
管財人
の
選任
を必ずしも必要としないことといたしたのは、小規模の
更生事件
につき
費用
の節約を図つたものであります。次に第四十七條は、
更生手続開始決定
後その
決定
の
主文等
を直ちに
公告
し、且つ
公告事項等
を記載した
書面
を知れたる
関係人等
に
送達
すべきことを定めています。
破産法
及び
和議法
の例に準じて定めたものであります。次に第四十
八條
は、前條に掲げる
公告事項等
を
会社
の
業務
を
監督
する
行政庁
、
法務総裁
及び
証券取引委員会
に通知すべきことを定めています。
監督行政庁
は
監督者
として、
法務総裁
は
公益
の
代表者
として、又
証券取引委員会
は
証券
の発行その他経済的な見地からの
裁判所
の
協力者
として
手続
に関与する機会を与えるためであります。次に第四十九條は、
更生手続開始
に関する書類を
利害関係人
に閲覧させるための
規定
でありまして、
和議法
第三十條の
規定
にならつたものであります。 次に第五十條は、
更生手続開始
の
申立
についての
裁判
に対して
即時抗告
ができること及び
申立
棄却の
決定
に対し
即時抗告
があつた場合に、
裁判所
が他の
手続
の
中止
を命じ得ることを明らかにしたものであります。次に第五十
一條
は、
更生手続開始決定
に対する抗告の結果、
開始決定
の取消
決定
が確立した場合における取消
決定
の主文の
公告
等の
手続
について定めたもので、
破産法
の例に準じじたものであります。次に第五十二條は、
更生手続
中は、
更生手続
によらなければ
会社
の資本構成等を変更し、利益又は利息の配当をすることができないことを定めたものでありまして、
更生手続
が
開始
された以上当然のことであります。第二項で定款の変更を認めたのは、
会社
の
公告
方法
を変更する等の必要があることがあるからであります。次に第五十三條は、
更生手続開始
後も
会社
の
事業
の経営並びに
財産
の管理及び処分を
会社
に任せるときは、
債権者
等を不当に害する虞れがありますので、
管財人
にその
権限
を専属させることにいたしたのであります。
破産
管財人
の例に倣つたものであります。併し非常に小規模の
会社
で
管財人
が置かれないときは、
会社
はその
権限
を失わないが、
裁判所
の
監督
に服することになります。 次に第五十四條及び第五十
五條
でありますが、これらの
規定
は、
管財人
又は
会社財産
の処分その他
会社財産
に重要な
関係
のある行為をするにつき
裁判所
の許可を得なければならないこととしたものでありまして、
破産手続
の例に準じたものであります。 次に第五十六條から第六十條まで、これらの
規定
は、
更生手続開始
後の
会社
の行為の
効力
、
更生手続開始
後の
会社
又は
管財人
の行為によらない
会社財産
に関する
権利
の取得、
更生手続開始
後にされた
登記
、登録等の
効力
、
更生手続開始
後に
会社
に対してした弁済の
効力
等について
規定
したものでありまして、いずれも
破産法
の例に準じたものであります。 次に第六十
一條
は、
更生手続開始
後の共有権の分割について定めております。
破産法
第六十七條と同
趣旨
の
規定
でありますが、
管財人
又は
会社
のみから分割の請求をすることができることを明らかにした点が多少異な
つて
おります。 次に第六十二條から第六十六條まででありますが、これらの
規定
は、
更生手続開始
後に
会社財産
に属しない
財産
を
会社
から取戻す
権利
、即ち取戻権について
規定
しております。いずれも
破産法
の例に倣つたものであります。 次に第六十七條は、
更生手続開始決定
の
破産手続
、
和議手続
、
整理手続
、強制
手続
、
競売手続
、
租税滞納処分等
に及ぼす
効力
について
規定
しております。
更生手続
を円滑に進めて行くことができるようにするために強い
効力
が認められているわけであります。
和議手続
、
整理手続等
の競合的な
手続
は、
更生手続開始決定
によ
つて
その
効力
を失いますが、
破産手続
、強制執行、
競売手続
等は、
開始決定
によ
つて
中止
し、更に
更生計画認可決定
によ
つて
効力
を失うことといたしました。
租税滞納処分等
は、
公益
上の
理由
から余り長く
制限
することは適当でありませんので、
決定
の日から六月間
中止
し、必要があれば更に三月間だけその期間を伸長できることとし、その後は
徴収権者
が、その本来の
権限
に従
つて
処置することができることといたしました。なお
裁判所
は、場合により
中止
した
手続
又は処分の続行又は取消を命ずることができることといたしました。 次に第六十
八條
、
本條
は
更生手続開始
により
会社
の
財産関係
の訴訟
手続
が中断することを定めたものであります。
更生手続開始
により
会社
は、原則としてその
財産
の管理処分権を失うからであります。 次に第六十九條は、前條の
規定
によ
つて
中断した訴訟
手続
のうち、
更生債権
又は
更生担保権
に関しないものの受継について定めたものであります。
更生債権
又は
更生担保権
に関する訴訟
手続
は、
更生債権
及び
更生担保権
の確定
手続
においてその
権利
に争いがある場合に受継されるわけであります。 次に第七十條は、特許審判
事件
等
会社
の
財産関係
の
事件
で
行政庁
に係属するものにつき、前二條の訴訟の中断受継に関する
規定
を準用することを定めたものであります。訴訟
手続
と同様に取扱うべきものだからであります。 次に第七十
一條
は、
更生
裁判所
が他の
裁判所
に係属中の
会社財産
関係
の訴訟の
移送
を求めることができることを定めたものであります。
会社
の
財産関係
の訴訟を
更生
裁判所
に集中して
更生手続
を能率的に進めて行くことができるようにしたものであります。上級
裁判所
に係属する訴訟は、
移送
を求めるに適しないから除外することにいたしました。 次に第七十二條は、
裁判所
が
更生手続開始
後、
開始
前にすることのできる
保全処分
のほか発起人、取締役等に対する株金払込請求権又はその責任に基く損害賠償請求権の査定等の処分をすることを定めたものであります。
更生手続開始
の場合には、このような処分を認める必要が多いと思われますので、
商法
の
整理手続
の例に準じて認めたものであります。 次に第七十三條から第七十七條まで、これらの
規定
は、
商法
の
整理
の
査定手続
の例に倣つたものであります。 次に第七十
八條
は、いわゆる
否認権
について定めたものであります。
否認権
の性質、否認すべき行為の範囲等は、
破産法
の
否認権
と大体同様であります。第二項は罰金、
租税等
の請求権については
否認権
を認めることは不適当であるから認めないことといたしたものであります。 次に第七十九條から第八十
一條
までは、いずれも
破産法
の
否認権
の例に倣
つて
定めたものであります。 次に第八十二條は、
否認権
の行使の
方法
について定めました。
管財人
がないときには
更生債権
者又は
更生担保権者
にその
権利
の行使を認めたこと及び抗弁による行使の
方法
を認めず、
通常
の訴の
方法
のほかに否認の請求という簡易な
裁判
手続
を認めたことが
破産法
と異な
つて
おります。 第八十三條から第八十六條まで、これらの
規定
は、否認の請求及び異議の訴の
手続
について
規定
しております。これは株金払込請求権等の査定の
手続
に準じて定めたものであります。 次に第八十七條から第九十條まで、これは
破産法
の
否認権
の例に倣
つて
定めたものであります。 次に第九十
一條
は、
破産法
第八十四條の
規定
に準じて定めた
規定
でありますが、これよりも
制限
を狭くして否認できる場合を広く認めることにいたしました。 第九十二條は、
破産法
第八十
五條
の
規定
に準じて除斥期間を定めたものであります。 第九十三條は、
破産法
の第八十六條の
規定
に準じて定めた
規定
であります。訴訟
手続
を中断させず
中止
することといたしたのは、訴訟を受継させるよりも改めて否認の請求をさせるほうが簡便であると
考え
られるからであります。 以上で第二章の
説明
を終ります。 引続いて第三章の
説明
をいたします。
本章
は、
更生手続
にける最も重要な
機関
である
管財人
についてその
選任
、
会社
の
財産関係
の訴訟についての
当事者
適格、職務執行の
方法
、注意
義務
等、基本的な
事項
について
規定
しております。なお
管財人
の職務
権限
等は他の章において
規定
されておるものが多いことに御注意を願いたいと思います。 第九十四條は、
管財人
の
資格
要件その他
管財人
の
選任
について定めました。
管財人
は、
会社
の
業務
及び
財産
の管理をし、又
更生
計画案の作成及び遂行に当るものでありますから、そのような職務を行うに適した、而も原則として利害
関係
のない者のうちから
選任
いたします。
会社
の取締役、
債権者
等を
管財人
に
選任
する必要があるときもありますので、例外の場合を認めました。法人の中でも、信託
会社
や銀行には
管財人
として適当なものがありますので、これらも
管財人
に
選任
できることといたし、その
選任
があつた場合には、
事務
処理の責任を明らかにするため
管財人
の職務を行う者を指名して
裁判所
に届出でさせることといたしました。 第九十
五條
、第九十六條及び第九十七條、これらの
規定
は、
管財人
の
会社
の
財産関係
の訴訟についての
当事者
適格、数人の
管財人
がある場合の職務遂行の態様、
管財人
の職務執行上の注意
義務
等について定めたものでありますが、いずれも
破産
管財人
の例に倣つたものであります。 第九十
八條
は、
管財人
の常置的な代理人である
管財人
代理について定めました。
管財人
代理は、
費用
の前払及び報酬を受けることができます。
本條
は、
管財人
が法人である場合にも適用があります。 次に第九十九條及び第百條、これらの
規定
は、
管財人
の
任務
終了の場合における計算
報告
及び緊急処分の
義務
について定めたものでありまして、
破産
管財人
及び
和議
における
管財人
の例に準じたものであります。 次第百
一條
は、
調査委員
の
調査
の
権限
、
資格証明書
、
監督
及び解任に関する
規定
を
管財人
に準用したものであります。 以上で第三章の
説明
を終ります。
伊藤修
20
○
委員長
(
伊藤修
君) ではこの程度で
説明
を終ることにいたしまして、午後一時から
継続
することにいたしまして、これで休憩いたします。 午前十一時四十四分休憩 —————・————— 午後一時二十九分開会
伊藤修
21
○
委員長
(
伊藤修
君) では午前に引続きまして小
委員会
を開きます。 第一章から順次お伺いいたします。第二條として「
更生手続
は、その
開始決定
の時から
効力
を生ずる」こととな
つて
おりますが、
破産
の場合と本法の場合と、その性質が異なるものと思うのですが、それはその
決定
の告知の時から
効力
が生ずるものとするのが、妥当じやないかと思うのですが、その点はどうですか。
位野木益雄
22
○
説明員
(
位野木益雄
君)
破産
の場合は、やはりこの
決定
の時から直ちに
効力
を生ずるといたしました
理由
は、
決定
と同時に
財産
の管理権が
破産
管財人
に移る、そうして一刻も早く移すという必要がある。而して
財産
を保全する必要があるということから認められているのではないかと
考え
ますが、その必要はこの
更生手続
においても同様じやないかと
考え
ます。
更生手続
の
開始
によ
つて
、原則として
財産
の管理権は
管財人
に移ります。そうして一刻も早くその管理を
管財人
に移し、
財産
の保全を図るという必要がありますから、
更生手続
においても、
破産
の場合と同様に、
開始決定
の時から
効力
を生ずる、その確定とか或いは
公告
を待たずに生ぜしめる必要があるということを
考え
たものです。それから
和議手続
におきましても、これは
財産
の管理権は、
債務
者のほうで失わないわけでありますが、その場合におきましても、
開始決定
のときから
効力
を生ずるというふうにな
つて
おりまして、そういう点を考慮いたしましても、その場合には
開始決定
の時から
効力
を生ずるということにいたしたほうが妥当じやないないか、こういうふうに
考え
ます。
伊藤修
23
○
委員長
(
伊藤修
君) ただ
会社更生法
の本質から
考え
て、
破産
と
和議
の場合とは異
なつ
た本質があるのじやないかと思うのですがね。
和議
、
破産
にそういう
規定
があるから、更正法においてもそういう
規定
を置かなくちやならんというのはどうも納得できない。何となれば、
破産
、
和議
の場合においては、
財産
整理
ということが主眼であ
つて
、これは
財産
を
整理
すると共に、
会社
を
更生
させるというところにあるのですから、そこにいろいろな、
会社
が生きて存在する上において、
相当
な取引も想像されるし、それらが
あと
で以て不測の損害を受けるというようなこともあり得るじやないかと思うのですが、これは同様に扱うというのはどうでしようか。
位野木益雄
24
○
説明員
(
位野木益雄
君) 生きておる
会社
について
手続
を始め、そうして
手続開始
後も生きた状態を保持して行こうという
手続
でありますから、その点は
破産
と仰せのように違
つて
おるわけでありますが、
財産
保全の点から言えば同じじやないかと
考え
る。そうして
更生手続
の
開始
によ
つて
取引が影響を受けるということは、これは止むを得ないことでありまして、仮に
公告
の時までといたしましても、その点は或る程度止むを得ない。ただその間に
決定
から
公告
までの間に、何か予防的に注意してやれるかということがありますが、そういう点は、むしろそういう点を予防しようとして早くしようというわけでありますから、取引の相手方が或る程度不測の損害を受けるということは、これは止むを得ないじやないかというふうに
考え
ます。
伊藤修
25
○
委員長
(
伊藤修
君) なお、その点は
あと
で又一括してお伺いすることにいたします。 第三條の
外国法人
が
更生
会社
の場合、第三十條の認定というのは著しく事実上困難ではないかと思うのですが、この認定をどういうふうに
考え
るのですか。
位野木益雄
26
○
説明員
(
位野木益雄
君) この点は誠に御尤もな点があると思います。
外国法人
につきまして、
会社更生手続
を
開始
する
原因
があるかどうかということは、やはり本店の状態、それから各国に跨が
つて
おるような支店があるとしますれば、そういうふうな各支店の状態をも調べまして、そうして
決定
をするという必要がございます。
外国
会社
の
申立
てというような点には、そういう点も考慮するということにおきまして、
相当
な不便がある。これは
外国
会社
に対して
手続
を
開始
するということを、
外国
会社
を内国
会社
と同様にこの
手続
の通用を受けさせるということにいたしました以上は、止むを得ないことでありまして、困難ではありますが、不可能ではないかというふうに
考え
るのであります。これは運用に待つわけであります。ただ
外国
会社
に対して
手続
を
開始
するという場合は、実際上少いじやなかろうかというふうに
考え
ております。それで
開始
された場合にも、
財産
は内国の分だけを対象にして
手続
を進めるというふうにな
つて
おりますから、そういうところからも実益がある場合は比較的少い。ですから
申立
も割に少いじやなかろうかと
考え
ております。まあこの点は困難ではありますが、やむを得ないじやなかろうか、こういうふうに
考え
ております。
伊藤修
27
○
委員長
(
伊藤修
君) 比較的事実が少いし、止むを得ないというだけではちよつと不親切だと思うが、何かもつと納得行く
説明
はないでしようか。
野木新一
28
○
説明員
(
野木新一
君) この点につきましては、
外国法人
も内国法人も、大体
更生手続
について平等に取扱つた
建前
のほうが、法制の行き方としていいのではないかというふうな思想が強くて、立て方としては内外法人平等のような立て方にいたしたわけでありますが、実際問題を
考え
ますと、お説のように、
外国
にある本店の債権
債務
、各国にある支店の債権
債務
全部を
考え
なければなりませんので、その認定は非常に困難になりまして、従
つて
、仮に
申立
があつたとしても、
開始決定
になるという段取りに行くのは非常にむしろ或る特異な場合ではないかと存じております。
伊藤修
29
○
委員
員(
伊藤修
君) 第
八條
で民訴法を準用しているのですが、
更生手続
の本質から
考え
て、非訟
事件
手続
法を準用したほうがいいのじやないでしようか。
位野木益雄
30
○
説明員
(
位野木益雄
君) この点につきましては、仰せのように、この
更生事件
が非訟
事件
的の性質を持
つて
おるということから、非訟
事件
手続
法を準用したほうがいいではないかということは、十分
考え
られるわけでございます。併しながら、この
手続
と同様なものといたしましては
和議法
、それから又更にこの
手続
がうまく行かなかつた場合の
手続
といたしましては、
破産法
というのがあります。そういうふうな
手続
と非常に密接な
関係
がございまして、これらの
手続
はいずれも
民事訴訟法
を準用いたしております。特則のない場合には
民事訴訟法
を準用するということにな
つて
おります。
和議法
におきましても、性質は非訟
事件
であるという説が有力のようでございますが、これにつきましても
民事訴訟法
を準用しておる。その
理由
というものはやはり
和議法
、
破産法
との関連が非常に強いから、密接な
関係
がありますから、
法律
運用上の便宜のために
民事訴訟法
を準用するのだというふうな説がされております。本件につきましても同様な
理由
に基いて
民事訴訟法
を準用したほうが便宜ではないかというので、こういうふうにいたしたのであります。
伊藤修
31
○
委員長
(
伊藤修
君) 私が申すまでもなく、
破産法
が
民事訴訟法
を準用したということは、その沿革から言えば結局
破産手続
というものは包括的強制執行、こういうような思想から出ておることと思うのです。又、当時の立法形態から言
つて
も、非訟
事件
手続
法が不整備であ
つて
、
民事訴訟法
が整備されておるというので、民訴を準用するほうが便宜である。こういう便宜主義と、この二つの沿革から来て、
破産法
は
民事訴訟法
を準用しておるというふうに我々承知しておるのです。だからとい
つて
、今日
破産法
を準用しなくちやならんという
理由
にはならんと思うのです。むしろ今日、非訟
事件
手続
法が整備されておる今日においては、率直に非訟
事件
手続
法が
民事訴訟法
を準用しておるとういう、こういう結果において十分賄えると思うのです。本質において
考え
ても、
会社更生法
が包括的強制執行でないことは、これは当然のことである。むしろ私らが
考え
ますれば、
商法
の
整理手続
に準ずべきものである。
整理手続
の
一つ
の特異性を持つた
手続
方法
である。こういうふうに
考え
られます。して見ますれば、この点から
考え
ても、やはり非訟
事件
手続
法を準用すべきが順当ではないかと思われるのですが、どうですか。
野木新一
32
○
説明員
(
野木新一
君) 只今のお説は、非常に傾聽すべき点が多々あると存じますが、そしてこの
会社更生手続
も、仰せのように
破産
が大体民訴を準用するのとは多少異な
つて
、むしろ非訟
事件
的のものであるということはお説の通りであると存じます。ただ、
会社
の
整理
と違いまして、むしろこの立て方では、
和議法
の、
和議
の法理を大分借りて来ておつたりする
関係
上、而も
和議法
はやはり
民事訴訟法
の
規定
を準用するということにな
つて
おります。そして非訟
事件
に比べますと民訴の
規定
がやはり完備しておるのじやないかというような点も
考え
まして、この点では
和議法
に倣
つて
案を立てておる次第であります。
伊藤修
33
○
委員長
(
伊藤修
君) 民訴法を準用するということは、要するに争うということが土台にな
つて
来るのだし、根本においては争うということよりは、
更生
させるということが主たる
目的
である以上、私はそういうことに囚われずして、率直に非訴
事件
手続
法を準用したほうがいいのではないかと思うのですが、重ねて伺います。
野木新一
34
○
説明員
(
野木新一
君) その点は或いはなお研究の余地もあるかと存じますが、
立案
当時は
和議法
に倣つたほうが、すでに運用にも慣れておるし実際上安全だろうというような気持もあ
つて
、
和議法
の前例に倣つたという程度のところであります。
位野木益雄
35
○
説明員
(
位野木益雄
君) なお附加えるほどでもございませんが、非訟
事件
的な性質を持
つて
おりますので、この必要な限度におきましては、この
法律
において大体手当ができておる。
あと
補充する部分につきましては、これは非訟
事件
手続
法より
民事訴訟法
のほうが完備しておるから、より好ましいことじやないかというふうな
考え方
もその
理由
にな
つて
おります。
伊藤修
36
○
委員長
(
伊藤修
君) 第二十
五條
ですが、
破産
和議
、特別清算等の
手続
に入つた後の
会社
についてまで
更生手続開始
を認めておるのですが、一体そういうような
破産
、
和議
、特別清算等に入
つて
おる
会社
に対して、
更生手続
をする実益があるでしようか、どうか、どういう場合を想像するのですか。
位野木益雄
37
○
説明員
(
位野木益雄
君) 一旦
破産
になりましたような
事業
につきましても、
破産宣告
後において強制
和議
の
手続
が認められておりますような場合も
考え
ますと、十分、もう一度
事業
を建て直して生き返らせるという可能性のある場合があり得るのじやないかというふうに
考え
られるわけであります。
債権者
が或いは非常に
考え
直して、讓歩して、うんと債権を減額してやるというふうなことになりますれば、これは不可能なことじやないと
考え
られる。
会社
の
企業
の維持という量から
考え
ますれば、そういうふうな場合にもやはり
更生手続
を認めるのが適当じやなかろうかという
考え
で、こういうふうにいたしております。
伊藤修
38
○
委員長
(
伊藤修
君) 三十條の
規定
は、
破産
前の状態の
会社
について
更生手続開始
が認められるものと解せられますが、
破産
、
和議
に入つた場合も
更生手続開始
ができる他の
規定
から、この
規定
の表現がちよつと不正確なように思われるのですが、どうですか。
位野木益雄
39
○
説明員
(
位野木益雄
君) この点につきましては、この字句だけを読みますと、
破産
の
原因
たる事実がすでに存在しておる場合には、
手続
ができるということは必ずしも明瞭でないということは仰せの通りでございますが、現在の
商法
の
整理
の
規定
の字句におきましても「支払不能又ハ
債務
超過ニ陥ルノ虞アリ」というふうな
原因
を掲げられておりますが、支払不能又は
債務
超過に陥る虞れがあるのみならず、更に進んで支払不能又は
債務
超過の状態にあるというふうな場合におきましても、勿論
整理
の
開始
が許されるというふうな解釈がなされておるようであります。そういうふうな場合にも当然なされるのであるということを特に明示するまでもなく、そういう場合もできるという
会社
はできるのじやなかろうかという
考え方
で、こういうふうにいたしたわけであります。場合によりましてこれは
和議法
ではちやんと「
原因
タル事実アル場合」というふうなことも書いてあります。更に
原因
たる事実の生ずる虞れがあるという場合を、両方列挙しておると思いますが、まあそういう表現が足りないわけであります。ただこの
手続
は、やはり
破産
の
原因
があるような場合も、この
手続
で行けるのだというふうなことは余り正面に出さないで、むしろ
原因
たる事実が生ずる虞れがある、この段階においてできるのだというふうなことを、そういう
建前
であるというふうなことを示す
意味
で、そういうことは含ましてもいいのじやないかという
考え方
であるのであります。
伊藤修
40
○
委員長
(
伊藤修
君) この三十條の前段には「
事業
の
継続
に著しい支障をきたすことなく
弁済期
にある
債務
を弁済することができないとき」、これはどういう場合を指すのですか。お伺いしたいのは「
継続
に著しい支障をきたすことなく」とはどどういうことです。
位野木益雄
41
○
説明員
(
位野木益雄
君) まあ例えばその
会社
がたくさんの工場を持
つて
おる。そうして
一つ
の工場を、その
会社
としてはそれほど重要でない、本体をなしていないような工場、そういうものを売却すれば振向けられるであろうというふうな場合には、これはまだこの返す期限には至
つて
いないというふうな
趣旨
を示す
意味
で、「著しい支障をきたすことなく」というふうにいたしたわけであります。御疑問の点はそれでいいのですか。
伊藤修
42
○
委員長
(
伊藤修
君) 「
事業
の
継続
に著しい支障をきたすこなく
弁済期
にある
債務
を弁済することができないとき」というのはちよつとわかりにくいですが。
位野木益雄
43
○
説明員
(
位野木益雄
君) 結局
弁済期
にある
債務
を弁済するために、その
会社
の
財産
を売却してしまえばその
事業
は潰れてしまうというふうな状態に、その
弁済期
にある
債務
を弁済するためにはその
会社
の重要なる
財産
を売却してしまわなければ、何とももはや施すすべもないというふうな状態に立至つたような場合、更にそれを売却いたしますれば、もはやその
事業
としては存続が不可能であるというふうな場合のことを言つたのですが……。ちよつと見方が既定の事実として支障を来たしそうな場合であるということを
意味
するために、逆なようなことにな
つて
おりますので、ちよつとわかりにくいと思います。表現がちよつと裏から表現しておりますので……。
伊藤修
44
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、例えば金融梗塞のために従来銀行が融資しているのを融資しないという場合は、
相当
の保証人を何か立ててやればできるが、その保証人に立つ人もないという場合もできますか。
位野木益雄
45
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。これは
会社
の
破産
の
原因
たる事実を生ずる虞れのある場合ということよりも、どの程度広いかということに問題がありますが、
会社
の
財産
状態のみから申せば、未だ
債務
超過、或いは
支拂不能
と言えないような状態でも、こういうような固定資産が多くてその売却が容易でない。今すぐ売ればただ非常に安くて駄目だというような場合には、最即の三十條の第一項の前段のような場合が
考え
られる。そういう場合は
破産
の
原因
たる事実を生ずる場合よりも広いという余地があると
考え
ております。この概念はアメリカの
会社更生手続
の
開始原因
にイナビリテイ・ツー・ペイ・イツツ・デツツの観念がございましたが、やはり言葉はこの三十條の字句とは少し違
つて
おりますが、概念としては同様なものが認められております。
伊藤修
46
○
委員長
(
伊藤修
君) 一言にして要約すれば、どういうふうなこととなるのですか。
野木新一
47
○
説明員
(
野木新一
君) 例えばここに何か物を製造する
会社
がありまして、大きな工場を持
つて
おります。そうして原料の代金の借金がある。
財産
を評価して見ますと、まだ
財産
が多くて
債務
超過ということにな
つて
いない。併しながら手許に現金がなくて
弁済期
が来ても代金さえも拂うことができないという場合には、放
つて
置くと強制執行されて
事業
は
ばらばら
にな
つて
しまうという虞れがある。併しながらその工場は非常にいい工場で、
事業
としては非常に立派なもので、解体するのは惜しいので、そういうような
意味
でその
事業
は
継続
さして行きたいという場合には、その
企業
全体で維持し、
更生
させよう。即ちその
企業
の重要部分をなしておる工場を売却して、その代金で
債務
を弁済するというようなことをしないで、その
企業
を維持して行きたいというような場合も、この
更生手続
に乘るようにしたいのが、この三十條の第一項の前段の
趣旨
でございますが……。
破産
の
原因
たる事実が生ずる虞れがあるときだとすると、少し狹くて実際の
事業
要求に応ずることができないじやないかというような
考え方
から出ておるわけでございます。従
つて
そういう場合に銀行から金をどんどん貸してくれる。そうして代金さえも支拂
つて
一時息をつけるというような場合には、まあ三十條には該当しないわけでありますが、銀行でもその工場を担保にして金を貸してくれるというような場合には、その金を借りてそこで
債務
を弁済できますけれ
ども
、ここにはないが、金を銀行でも貸してくれないというような場合には、それを
債権者
に待
つて
もらつたりしなければならないわけでありますから、それが
債権者
と話合いがつけばいい。併し話合いがつかない場合には
債権者
はそれに強制執行して工場を売つ拂
つて
しまうというようなことにな
つて
潰れてしまう。そういうような場合にこの
更生手続
に乘せれば
債権者
と
企業
と両面が調整されて、その
事業
は非常にうまくできて行く。そういうところを狙つたわけでありますから、何分新らしい概念でありますから、著しいという実際の認定につきましては、
相当
むずかしい点があるじやないかと存ずる次第でございます。
伊藤修
48
○
委員長
(
伊藤修
君) 三十條は新らしい概念でありますから、本法の一番重要な点でありますから、これは明確にして置きたいと思うのですが或いは迂遠な質問かも知れませんが、いろいろな場合が想像されると思います。例えば銀行に借款を申込んで
会社
の資産状態からして借款に応じても差支ない。併し現理事者の手腕、信用、力量からしてはこれ以上貸すことはできない、理事者が代つたならば貸してもいいとかいうような含みのある場合、そういう場合において
株主総会
を招集しても十四日間の期間をおかなければならない。それから大
会社
の場合においては
相当
の
日時
を要しますから、その新重役の
選任
されるまでに
弁済期
はすでに来ておるというような場合も、できるのかどうか。いわゆる借款が実現するまでの一時の賄いとしてもできるかどうか。そういう場合もあるし、又未回収金、つまり売掛代金を経理担当の職員の枝術不熟練のために回収ができないが、
相当
の人若しくは熱心な者を派遣して、これを回收せしめれば容易に回収できるときに、理事者は経理担当者又
業務
関係
者或いは担当者等を代えて、そうして全国に
亘つて
集金する、或いは
外国
に集金の
手続
を取る。そうすれば九十日なら九十日たてば回収し得る見込が立つ、併し現在手形は来ておる、買掛金の
弁済期
が来ておるという場合において、それができるかどうか。
位野木益雄
49
○
説明員
(
位野木益雄
君) この「
事業
の
継続
に著しい支障をきたすことなく
弁済期
にある
債務
を弁済することができないとき」という、このできないという認定でございますが、これは或る瞬間におきまして、この状態におきましては、例えば、今仰せられましたのが、ほんの一時的な何かの障害によ
つて
弁済ができないという状態をも含むかという問題ではないかと思いますが、これはやはり場合によ
つて
はそういうこともあると思われますが、これは具体的に申しますれば、
相当
期間に
亘つて
不可能であるということが認められる場合と
考え
ております。單なるほんの一時的な一月もすれば可能になるというものは別で、それまでに
事業
が事実上潰れてしまうということでありますればこれは困りますが、大体
手続
はそう早く進むわけでもございません。大体新役員の
選任
ということには或る程度の
日時
を要するわけで、そういう場合までも
原因
があるということで
手続
を進めるということは無理でございますから、そういう場合は勿論含んでおらない。
相当
期間に
亘つて
不可能な場合ということに
考え
ております。
伊藤修
50
○
委員長
(
伊藤修
君) それは一時的とい
つて
も、いわゆる電信、電話の不通、交通
機関
の不通によ
つて
生ずるところの一時的の現象の場合だつたら勿論含まないことは、これは明らかですよ、併し
相当
期間と言つたところが、集金に行
つて
取れるか取れないかわからない、理事者はそれを見込んで、そうするならばできる、最善の努力を盡して見よう、併し今
弁済期
が来ておる、
債権者
はこれを弁済しない場合においては強制執行するやもわからない。そうした場合においては
会社
の信用は潰滅するし、生産機構は停止せざるを得ないというようなことが、目前に迫
つて
おるという場合において、自分の
考え
る最善の方策を実行する期間を求めるためには、まさにそれはこの
規定
によ
つて
申立
ができななくてはならんのではないでしようか。そういうふうに幅を広く前段を活用しようとするならば……。
位野木益雄
51
○
説明員
(
位野木益雄
君) 勿論そういうふうに、債権の回収がうまくやればできるかも知れませんが、うまくやれるかどうかわからない。少くとも当分の間何かの手段がなされなければ回収が不可能であるというふうな場合には、これはそのために
債務
弁済ができないのでありまするから、そういうような場合には、これは勿論入るというふうに
考え
ております。
伊藤修
52
○
委員長
(
伊藤修
君) だがら或いは銀行が例えば現在のような経済状態だというと、この八月一ぱいは金融を引締めている、九月以降は金融緩和の政府の方針があるという場合においては、どうしても十月か十一月に金融を求めなくちやならん、日銀の枠もその頃まで来ないのだ。この金はどうしても待たなくちやならん。そういう見通しのある場合もやはりこれはできるのですか。
位野木益雄
53
○
説明員
(
位野木益雄
君) これは理論的にはできるというふうに
考え
ます。ただ
手続
、事実上そういうその場になれば、少し、二、三カ月もすればこの金融がつくという見込みの有無如何によると思います。そういう見込みが不確実でない限りはできるというふうに
考え
ております。
伊藤修
54
○
委員長
(
伊藤修
君) そういうふうにできるというふうに広く解釈してもいいのですね。
位野木益雄
55
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
56
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、その場合に利害
関係
から見ると、いわゆる
会社
は強制執行若しくは取立てを延期するために……期限を延期するために、阻止するためにこれを
申立
てる。いわゆる
申立
を濫用するのだというような虞れはないですか。そういう認定を受けるようなことはありませんか。若しくはそういう解釈をされるようなことはありませんか。
位野木益雄
57
○
説明員
(
位野木益雄
君) この
手続開始
の
原因
の有無のほかに、今度三十
八條
に、そういう
原因
があ
つて
も一定の事由がある場合には
申立
を棄却しなければならないといことが掲げられております。で今申されたような場合に、若し本当のこの
更生
を図るという
趣旨
で
申立
をしたのではなくて、單に
債務
の延期を求めるためにやつたのであるということでありますれば、これは列挙の中の最後の、
申立
が誠実にされたものでないというふうな認定を受けまして、棄却されるということになりますが、併しそういうふうな事由でない、まじめに
更生
を図るということでございますれば、これはできる。
伊藤修
58
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、この前段の終りのほうにある
債務
の弁済をすることができない。この弁済することのできない
債務
が
弁済期
にあるというだけでよろしいのですか。それとも
弁済期
が到来して、それをどうしても弁済しなくてはならんという客観事実が存在しなくちやならんのですか、どうですか。ただ
弁済期
が来たという事実だけでいいのですか。
位野木益雄
59
○
説明員
(
位野木益雄
君) これは單に
弁済期
にある
債務
がたくさんあるというだけではなくて、その
弁済期
の来ている
債務
の全部について猶予を得ている場合には入りません。それを現実に弁済しなければならん状態にあ
つて
、而もそれを弁済できない、こういうような場合であります。
伊藤修
60
○
委員長
(
伊藤修
君)
弁済期
が到来したという靜的状態ではなくて、それが
弁済期
が到来して弁済しなくてはならない。而も弁済できないという動的状態を指すのですね。
弁済期
が来ても必ずしも取られるとは限らない、信用さえあれば黙
つて
待
つて
おりますから。
位野木益雄
61
○
説明員
(
位野木益雄
君) それを弁済することができないというところで、そういうふうにやれるのだというふうに解釈します。
伊藤修
62
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると、その間に証明なり、立証しなければならんですね。
申立
をする場合に……。
位野木益雄
63
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
64
○
委員長
(
伊藤修
君) その
弁済期
が来てお
つて
、それが取立が嚴しいとか、いわゆる動的状態をこつちは明らかにしなくちやならん、ただ
弁済期
が到来しただけではいけないのですね。
位野木益雄
65
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
66
○
委員長
(
伊藤修
君) この三十條の二項に「百万円」と基準を設けてありますが、これはどういう
理由
から来るのですか。
位野木益雄
67
○
説明員
(
位野木益雄
君) これは先ほど申しましたように確たるこの百万円でなければいけないという数字的な根拠があつたわけではございません。ただ一率に資本の十分の一以上に当る金額以上の債権を有する
債権者
でなければ
申立
ができないというふうにいたますと、資本の額の巨大なものにつきましては、
相当
の
債権者
でなければ
申立
はできないというふうなことになりますので、これを一定の限度で、この金額以上の
債権者
であれば
申立
ができるというふうにいたしまして、
債権者
の
申立
をし得る機会を多くするということを
考え
たわけであります。その標準といたしましては、大体一千万円程度の資本の額の
会社
までは十分の一で行くが、それ以上の資本の
会社
というふうになりますと十分の一ということは百万円以上という
相当
な金額になりますので、この程度で限定するのが適当じやないかという
考え方
でやつたわけであります。
伊藤修
68
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると今日の
会社
の形態として一千万円の資本金の
会社
が
一つ
の標準型に
なつ
おるわけですね。それを基礎にしたわけですか。そういう
意味
ですか。
位野木益雄
69
○
説明員
(
位野木益雄
君) お答えします。一千万円の
会社
が基準にな
つて
おるかというお話でありますが、ほかの点では、その次に
管財人
の
選任
とか、そういう点で見まして二千万円の
債務
というものを標準にいたしまして、一応の
会社
の大きい小さい、或いはその
更生事件
の大きい小さいということをきわめる標準にいたしておるのであります。
債務
と資本の額とはいささか趣きを異にいたしますが、大体類似のものと、こういう
考え方
からいたしますと債権と
債務
は近いというふうにいたしますと、
会社
の大小は二千万円の資本額できめておるというふうにも見えるわけであります。必ずしも一千万円の
会社
の資本を
会社
の大小の標準といたしたわけではございませんで、さつき申しましたようにこの程度でよくはないかという
考え方
でいたしたわけであります。
伊藤修
70
○
委員長
(
伊藤修
君) それは私のお伺いしたのは、その次の四十六條に「二千万円以下」という
一つ
の数字的標準が出て来るから、そういうものとの比較検討をいたしまして、ここに百万円という数字を現わしたことに対してちよつとバランスもとれないと思うし、何か一貫した筋もないように思いますが、ただ思いつきでこの程度というのか、それとも何か基礎があるかということです。
位野木益雄
71
○
説明員
(
位野木益雄
君) 二千万円のほうは、御承知のように臨時資金調整法、これは戰前のものでありますが、それが
会社
の大小をきめるのに、二千万円の資本で
決定
しておつたという時代があつたのであります。資本と
債務
とはさつきも申しましたように幾分違いますが、その百倍という見当から二千万円のほうは来ておるわけであります。ただこつちの百万円というほうはそれとは別な
考え方
でこの程度ということにいたしております。
伊藤修
72
○
委員長
(
伊藤修
君) 百倍というと、昔の一万円の
債権者
は
申立
てできる、こういうことになるわけですか。
位野木益雄
73
○
説明員
(
位野木益雄
君) まあそういうことになります。
伊藤修
74
○
委員長
(
伊藤修
君) 別に深い根拠はないのですか。
位野木益雄
75
○
説明員
(
位野木益雄
君) この百万円につきましては、別に深い根拠はありません。ただこの表を作りましてこの金額に
なつ
た、十分の一或いは五分の一にすれば、どの程度になるかというふうな表を作りまして検討はいたしました。そうして大体百万円が一番適当じやないかということで
決定
いたしたのであります。
伊藤修
76
○
委員長
(
伊藤修
君) この点に対して全国におけるところの
会社整理
事件
について、若しくは
会社
の
訴訟事件
について統計か何かお調べに
なつ
たことがありますか。
位野木益雄
77
○
説明員
(
位野木益雄
君)
申立
ての金額というものにつきまして
調査
をいたしたことはございません。
伊藤修
78
○
委員長
(
伊藤修
君) 何かそういう実態に基いて、いわゆる経済上この程度のものにおいて初めて必要があるんだというような経済的根拠はないのですか。
野木新一
79
○
説明員
(
野木新一
君) 実は
立案
に当りましてやはり実証的な根拠か何か欲しいものだと思いまして、当時新らしい資料を
調査
するということでなくて、手近な何かこれの標準になるものはないかと調べて見ましたが、
会社
にどのくらいの借金があるかどうかということは、なかなか適当な資料がございませんで、初めは資本の十分の一ということで
考え
ておりましたが、だんだん
議論
しておるうちに一億の
会社
では資本の十分の一とすれば、一千万円になる、一千万円の債権がなければ
申立
てができないのでは少し
債権者
に酷ではないか、従
つて
この
申立
ての標準は資本のほうを標準とすると同時に、今度は債権の額をも
考え
る、両建てに
考え
たらどうか、そういうことになりまして、そうして見ますと余り実証的根拠はございませんが、
関係
者で
議論
しておるうちに、百万円ぐらいが手頃であろうということで百万円とした。一応そんな程度でございまして、具体的に
調査
してそれと結び付けて出した結論というわけではこの百万円はございません。
伊藤修
80
○
委員長
(
伊藤修
君) これは
会社
の考課状を
証券取引委員会
からお取寄せにな
つて
、そうして
証券取引委員会
のほうからその負債の部として上
つて
おる借入金その他の負債の数というものは
報告
にな
つて
いるはずですがね。
野木新一
81
○
説明員
(
野木新一
君) それではこの点につきましてはなお
証券取引委員会
等について調べて資料を御参考に供することにいたします。
伊藤修
82
○
委員長
(
伊藤修
君) それから四十六條は序ですが、二千万円以下と以上によ
つて
管財人
を
選任
する、
選任
しないと区別したのは、どうも納得できないんですがね。どつちも置いておいたほうがいいんじやないですか。ただ
手続
において簡略するという
考え方
のほうがいいんじやないでしようか。
位野木益雄
83
○
説明員
(
位野木益雄
君) お答えいたします。
管財人
を一律に置くということは望ましいということは言えると思うのでございますが、比較的小規模の
会社
の
更生事件
というものにつきましては、
管財人
の
費用
というものは
相当
、嵩むんじやなかろうか。
管財人
というものは
会社
の
財産
の管理もやらなければならん、それから
営業
もやらなければならん、計画もやらなければならん、そのほか
調査
もしなければならん、
相当
たくさんの重要な職務を持
つて
おるわけであります。そのためには片手間でやるということは困難である。やはり専任にやらなければ恐らく不可能ではないか。専任になるといたしますれば、これは
相当
の報酬を出さなければいけない。そういたしますると、その報酬の額というものは
相当
の額に総計では上らざるを得ないのではないかと
考え
るのであります。小さな
会社
につきまして、その管財の
費用
のために
会社
の
債務
がますます嵩んで
手続
がうまく行かないという場合が想像されるのではないか。
管財人
がなければ常に
会社
の
更生手続
というものは公正に運ぶことができないかということを
考え
て見ますと、必ずしもそうとは限らないので、或る場合には
管財人
がなくても
会社
のやり方は非常に公正で信頼できるということであればや
つて
行けるのじやなかろうか。そういう場合にまで常に
管財人
を置く必要があるということに拘泥して、その
会社
の
更生
を困難にするというふうな虞れが若しあるといたしますれば、これは感心しないのだ、ですからそういうふうな場合にはむしろ
管財人
を置かなくても
手続
が進め得るのだというふうにしたほうがこの
会社
の
更生手続
を利用する機会が幾分でも殖えるのではなかろうかという
考え方
から、比較的小規模なものにつきましては、
管財人
を
選任
しなくてもいいというふうにいたしたのでございます。
伊藤修
84
○
委員長
(
伊藤修
君) この点は、なお
あと
に又お尋ねすることにいたしまして、次に五十
五條
に「無効とする。」とあるのですが、但書のは対抗できんという
規定
に照してちよつと矛盾があるように
考え
られるのですが、どうですか。これは民法の総則のいわゆる
意思
表示の場合におけるところの
規定
の仕方と異なるのか、或いはそれと同様に
考え
ているのか。同様に
考え
ているとすればむしろ同じようを表現を用いることがいいのではないでしようか。
位野木益雄
85
○
説明員
(
位野木益雄
君) お答えいたします。この民法の九十四條の表現と変
つて
いないというふうに
考え
ておるのでございますが、「無効トス」と、そうして善意の第三者に対抗することができないというふうないい方にな
つて
おりますけれ
ども
、同様な
趣旨
であるというふうに
考え
ております。この九十四條二項の「前項ノ
意思
表示ノ無効ハ」とございますが、これは常に
意思
表示の場合に限
つて
おりますからこういうふうにな
つて
おりますが、こちらのほうは、こういうふうに書き方はやや違
つて
おりますが、
趣旨
においては変りはないと思います。
伊藤修
86
○
委員長
(
伊藤修
君) 第五十六條と五十七條に……、例えば五十六條の場合を見ますと、「
会社
が
更生手続開始
後
会社財産
に関してした
法律
行為は、
管財人
がない場合を除き、
更生手続
の
関係
においては、その
効力
を主張することができない。」と、この「
更生手続
の
関係
においては、」ということは、恐らくその
会社
が
更生手続開始決定
になりますればすべてが
更生手続
の
関係
であるように
考え
れるのですが、「
関係
においては」というと、
関係
におかない場合があるのですか、どういう場合を想像するのですか。又それは事実上においてその認定処理が非常に困難ではないでしようか、こう
規定
の仕方は……。
位野木益雄
87
○
説明員
(
位野木益雄
君) 「
更生手続
の
関係
においては、」という言葉は、まあ余り明瞭でないというふうな憂えがないということはいえないと思いますが、
破産
の場合におきましては、
破産
債権者
に対抗できないというふうな字句にな
つて
おります。たたこの場合に
関係
人が
債権者
に限らず多うございますので、こういうふうな「
更生手続
の
関係
においてはその
効力
を主張することができない。」という言葉を、ほかに適当な言葉が見当らなかつたものでございますから使つたのでございまして、
趣旨
においては同様に
考え
ております。そうして
更生手続
る
関係
以外においては有効だという、その
更生手続
に
関係
しない部分というのはどういう場合かと申しますと、
更生手続
が
成功
せずに廃止に
なつ
た、或いは
会社
がうまく非常に好況になりまして
更生手続
の必要がなくな
つて
更生手続
を廃止することに
なつ
たというふうな場合に、
会社
が
管財人
があるにかかわらず第三者と或る取引をしたという場合に、
会社
としては十分そういうことを意識しつつ取引をしたのにかかわらず、
手続
が廃止に
なつ
た後におきましても依然としてそういう取引は知らぬ顔をして無視していいかということを
考え
ますと、これは不都合じやないか、
管財人
のない場合に
会社
の行為の
効力
を
制限
したのは、ほかの
関係
人の
関係
以外を考慮してそういうふうな
制限
を置いたのであ
つて
、そういうふうなほかの
利害関係人
に
関係
のない
関係
におきましては十分
会社
の責任を認めてもよいのではないか。余りにそういう場合にもやはり画一的に無効であるとすると、
会社
の得手勝手を許して第三者の
権利
を侵害することになるのではないか。ですから、そういうふうな場合には、廃止後におきましては、相手方はお前はあのときにこういう行為をしたではないかということを主張してその行為の責任を問うということができるというふうにしてあります。そういう場合が
関係
以外の場合になります。
伊藤修
88
○
委員長
(
伊藤修
君) 今の御
説明
は、
管財人
のない場合が主になされているのですが、
管財人
がある場合においてはどうですか。ある場合において「
更生手続
の
関係
においては、」というのは、すべてが
関係
においてということになるのではないでしようか。
位野木益雄
89
○
説明員
(
位野木益雄
君) 今申しましたのは、
管財人
がある場合です。
管財人
があるにもかかわらず
会社
が勝手な行為をした場合「
更生手続
の
関係
において」というのは、
更生手続
が廃止後にほかの
利害関係人
にもはや
関係
しない場合には、
会社
に対して責任を負い得る本来の行為があつたのであるが、その行為の責任を負い得るという場合は認める必要があるのじやないかということで、
更生手続
の
関係
においては主張できないがそれ以外の
関係
においてはすべて主張できるのであります。
伊藤修
90
○
委員長
(
伊藤修
君)
本條
の第一項の場合は、
更生手続
中においてはそういう問題が起らんが、
更生手続
が何らかの
理由
で終了した後においてはできると、こういうことを言おうとするのですね。
位野木益雄
91
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
92
○
委員長
(
伊藤修
君)
更生手続
中においてはすべて
関係
中においてということになるのですね。
位野木益雄
93
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうでございます。
伊藤修
94
○
委員長
(
伊藤修
君) 六十三條には買戻付のときも含むのですか。
位野木益雄
95
○
説明員
(
位野木益雄
君) この六十三條の
趣旨
は売渡担保の場合に内部的には所有権が移転していないというふうに認められ場合がございますが、そういう場合には
財産権
がどちらにあるのか、むしろ売渡したほうの
債務
者のほうにあるのじやないかというふうに
考え
られますので、取戻権がこの場合にも適用があるようでありますが、そういうふうにいたしますと不測の第三者の
権利
を侵害いたしますので、たとえ内部的には所有権が移転していなくても、取り戻しができないということを
規定
したのがこの
趣旨
であります。買戻付の場合には勿論内部的に移転した場合のことも
考え
られますので、そういう場合には勿論取り戻しができない。六十三條の中にはそこまで言わなくても併し当然そういう場合はできないというふうに
考え
ます。
伊藤修
96
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると解除
條件
附とか、信託
財産
の場合は……。
位野木益雄
97
○
説明員
(
位野木益雄
君) 解除
條件
附の場合には、すでに
條件
成就前は所有権が移
つて
いるわけでありますから、これは取り戻しができない。それから解除
條件
が成就すればできるということになります。信託
財産
の場合でありますが、これはやはり同様信託によりまして、
財産
の所有権は
会社
のほうに移
つて
いるということがいえると思うのでありますが、信託法十六條によりまして、そういう受託
財産
につきましては、強制執行ができない、原則として強制執行ができないということにな
つて
おりまして、そういうものは
会社
の
更生手続
に利用し得る
会社
の
財産
の中には、その信託
財産
を含まないと
考え
られますので、それは任意受託者を解任するというふうなことによ
つて
取り戻し得るというふうに
考え
ております。
伊藤修
98
○
委員長
(
伊藤修
君) 信託
財産
の場合については
更生
のために必要な場合においては信託契約を取消して取入れるこういう
意味
ですか。
位野木益雄
99
○
説明員
(
位野木益雄
君) いや信託をした
会社
のほうから取上げることができる。委託者のほうから取上げることができるわけです。
伊藤修
100
○
委員長
(
伊藤修
君) 契約を解除してですね。
位野木益雄
101
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
102
○
委員長
(
伊藤修
君) そういう場合においては信託契約解除ができるということを謳わなくてもいいのですか。
位野木益雄
103
○
説明員
(
位野木益雄
君) 信託法の
規定
から当然できると思います。
伊藤修
104
○
委員長
(
伊藤修
君) 信託法何條ですか。
位野木益雄
105
○
説明員
(
位野木益雄
君) 四十七條にありまして解任いたしまして……。
伊藤修
106
○
委員長
(
伊藤修
君) 解任の
理由
になるのですね。六十七條で「
効力
を失う」ということが末段のほうにありますね。「
和議手続
、
整理手続
及び
特別清算手続
は、その
効力
を失う。」これは前段の場合と同様に
中止
にするという取扱のほうがいいのじやないでしようか。若し
更生手続
が廃止に
なつ
た場合において、再び又
和議手続
をする、
整理手続
を繰返えさなければなりませんね。その間
中止
せしめておいて、
和議手続
が
成功
しなかつた場合には復活して又進行ができるようにして、前段の場合と同様に
中止
という措置を講ずるほうが適当じやないでしようか。これを区別して前段は
中止
し、後は
効力
を失うということにした
理由
を伺いたいのですが……。
位野木益雄
107
○
説明員
(
位野木益雄
君)
中止
ということも
考え
られるわけでございます、元来
和議手続
整理手続
及び
特別清算手続
というようなものは、大体この
更生手続
と競合的な性質を有する
手続
ではなかろうか。而もこれらの
手続
はその
効力
といいますか、におきまして
更生手続
よりもやはり幾分弱いと
考え
られるわけです。
更生手続
のほうがこれらの
手続
よりはより強力な制度じやなかろうか。いろいろな
手続
が認められておりまして、これよりも
相当
更生
のためには、これらの
手続
よりも便利に、強力にできているのではなかろうか。そういたしますと
和議手続
を
中止
して置きまして、今度
更生手続
が不
成功
に
終つた
場合に再びこのような
手続
を繰返してや
つて
見ても恐らくは無駄じやなかろうか。若し、そういう必要が絶対にないとは言えないが、そういう場合は又もう一度
開始
することを
考え
てもいいというのであるがそういう場合も殆んど少いのじやないか。むじろ恐らく
更生手続
で失敗すればこれらの
手続
はもはや取上げるに値いしないのじやないか。ですからすでに
開始
した以上は、これらの
手続
はもはや
効力
を失うことにして、そうしてこの
更生手続
一本で進めるというふうにしたほうがよくはないかということを
考え
ておるのであります。
伊藤修
108
○
委員長
(
伊藤修
君) それは併し立法者の独断じやないですか。人が代るというと又できることもあり得るのだから、甲の人が話た
つて
できないのが、乙の人が行くと容易にすらすらと話ができるということもありますから、まあ
更生手続
が強力な内容を持
つて
おるのですが、強力でない内容の
和議手続
によ
つて
できないとも限らない。何かそれを続けて置いて、
更生手続
のほうが強くて
和議
のほうが弱くても、副次的に、予備的に持たして置くということが当時者に対して、国民に対して親切ではないかと思います。あれば
更生手続
進行上差障りがあるというならこれは別問題ですが、そういう
理由
がなければ、ただ強力だから、それでやつたのだからそれより弱い
手続
では到底見込みがなかろうということは、あなた方の、立法者の独断じやないですか。
効力
を失わせたほうがいいという、何か特別の
理由
があるというならば、ともかくとして……。
野木新一
109
○
説明員
(
野木新一
君) この点は確かに仰せのような見解も有力に成り立つと思いますが、ここで
効力
を失うといたしましたのは、やはり今位野木参事官が
説明
いたしましたように、むしろ法理的の見解を基礎として、即ち
更生手続
のほうがより強力な
手続
でありますので、それが進行している以上は、片一方は
効力
を維持せしめる
法律
上の実益がないだろうというような見解に出たのでありますが、又別の見解から参りますれば或いはお説のような見解も研究の余地はないではないと
考え
ております。
伊藤修
110
○
委員長
(
伊藤修
君) 次に七十二條の
申立
の中に
株主
が加わる必要があるのじやないでしようか。
位野木益雄
111
○
説明員
(
位野木益雄
君) この七十二條の
申立
権利者
は、
個々
の
債権者
とか
株主
に許しますというと、非常に濫用される虞れがある。一々それを通すということでありますと非常に手数がかか
つて
手続
が遅れはしないか。それで
申立
権利者
を有力な、
管財人
、
審査人
及び
会社
に限定した。
個々
の
債権者
とか
株主
というようなものが、こういうことをしたいという場合には、
管財人
、
審査人
に
申立
てるとか、
裁判所
の
職権
を促すというふうな
方法
によ
つて
その
目的
を達し得るのじやなかろうかと
考え
て、
株主
は入れなかつたのであります。
伊藤修
112
○
委員長
(
伊藤修
君) これは新
商法
の改正の全
趣旨
から申しまして、小数
株主
権の行使ということに対して重要視しておるのであります。そういう点から
考え
ましても、
会社
に対して利害
関係
を持つところの
株主
というようなものに、この
申立
権を与えたほうがより以上効果的ではないかと思われるのですが、ただ
管財人
その他の独裁に帰するということはどうかと思いますね。
位野木益雄
113
○
説明員
(
位野木益雄
君) 仰せのように、
株主
の
保護
という点のみから申しますと、
株主
にも一々そういう
権利
を認めて置くということは好ましいことだと思いますが、この
手続
は非常にやはりたくさんの
利害関係人
が集りまして、いろいろな犠牲を忍んで強力な効果を以てほかの
手続
をも押えて
手続
をするということを
考え
ておるのでございまして、やはり
手続
を成るべく能率的に、円滑に運ぶという要請も
相当
大であろう。そうして実質的には終局的に
権利
を
保護
するというような
考え方
で行つたほうが適当ではないかということで、入れなかつたのであります。
伊藤修
114
○
委員長
(
伊藤修
君) この
審査人
若しくは
調査委員
ですか、これはどういうものか、又どこで
選任
するものか、どういう
資格
のものを予想されておるのですか。
位野木益雄
115
○
説明員
(
位野木益雄
君) 先ず
審査人
でございますが、これは百九十
一條
に
審査人
についての
規定
がございます。利害
関係
のない者を
審査人
に
選任
して、
管財人
がするような
調査
報告
、それから
更生
計画案の作成発起人、
清算人
などに対する責任追求の訴の遂行、或いは
会社
の
業務
及び
財産
に関する
監督
その他
裁判所
の命ずる
事項
を行う。但し
管財人
と違う点は、
会社
の
業務
及び
財産
の管理はしないということで、
管財人
がない場合に
会社
だけに
更生
事務
をさせて、計画案を作成させる、或いは
業務
を管理させるということでは
監督
が不十分で不安であるといううふうな場合には、この
審査人
を
選任
してそういう点の補充といいますか、そういう点の必要を充足するというふうなことを
考え
て
審査人
の制度を置いたのであります。これはやはり計画案の作成というふうな場合には、実業家といいますか、
法律
家よりもむしろ経済的な面に通じておる人がよいのであります。又責任追求の訴というような場合には、これは弁護士というようなふうに、
個々
の場合に適当な人を
選任
する。それから
調査委員
のほうは四十條に
規定
がございまして、これは
更生手続
の
開始決定
前に、
更生手続
を
開始
する
原因
、そのほか
開始決定
をすれば
管財人
を
選任
する必要があるかどうかというような、
更生手続開始
に必要な
事項
を
調査
させるために
裁判所
が
選任
するものである。これは、
資格
要件といたしましては、必要な学識経験のあるもので、利害
関係
のないものというふうなことにな
つて
おりますが、場合によ
つて
は
法律
家でもよろしいし、或いは公認会計士とかいうふうな経理状態に詳しいもの、或いは実業家の人にいたしましてもこういうところの方面に適した人があれば勿論それでも差支えないということで、いずれも
裁判所
の職務を補助するというふうな人であります。
伊藤修
116
○
委員長
(
伊藤修
君) 法務若しくは司法に
関係
があるのですが、これを
選任
するのに何か
手続
とか、範囲とか、
資格
というものは施行規則か何かで賄うのですか。それとも内規でおやりになるのですか。
裁判所
の
権限
に委すのですか。
位野木益雄
117
○
説明員
(
位野木益雄
君) この
選任
されるものの
資格
等につきましては、
裁判所
の運用に待つということを
考え
ております。特にそれ以上の細則をきめてもらう、
裁判所
の規則にきめてもらうというふうなことは現在のところ
考え
ておりません。
伊藤修
118
○
委員長
(
伊藤修
君) 併し最高
裁判所
では又作るでしよう。法務府のほうで
考え
ないというと最高
裁判所
で必ず作るでしよう。法務府のほうで
考え方
があればむしろ施行細則か何かで織込んだほうがいいのじやないですか。
位野木益雄
119
○
説明員
(
位野木益雄
君) 適当な標準がございますれば規則で定めてもら
つて
も勿論差支えないと思
つて
おりますが、
法律
としてはこの程度の
規定
でまあ差支えないのじやなかろうというふうに
考え
ております。
伊藤修
120
○
委員長
(
伊藤修
君) 七十
五條
、七十六條は査定及び異議の訴えの場合の判決ですが、既判力についてお伺いしたいのですが。
位野木益雄
121
○
説明員
(
位野木益雄
君) 七十
五條
の査定の
裁判
の既判力でございますが、これは査定の
申立
をしたもの、それから査定を受けた相手方の取締役とか、監査役等に既判力の及びますことは勿論でございますが、更に
管財人
等の
申立人
は職務上の
地位
に基きまして、
会社
のためにこれらの行為を遂行するものでございますから、民訴法二百
一條
の二項でございましたかによりまして、
会社
にも当然既判力が及ぶというふうに
考え
ております。それから七十六條についても同様と
考え
ます。
伊藤修
122
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると異議の
申立
は誰が相手方ですか。異議の訴えですね。
位野木益雄
123
○
説明員
(
位野木益雄
君) 異議の訴は査定の
裁判
に不服なものでございまして、査定を受けた取締役或いは
申立
をした
管財人
というものが出ると
考え
ます。
伊藤修
124
○
委員長
(
伊藤修
君)
裁判所
が
職権
で
査定手続
をすることがありましよう。そういう場合には誰を相手にして異議の訴をするのですか。
位野木益雄
125
○
説明員
(
位野木益雄
君) そういう場合には勿論この査定を受けましたほうが不服の
申立
をすることになりますが、査定を受けました取締役等が…。
伊藤修
126
○
委員長
(
伊藤修
君)
申立権者
はわか
つて
おりますが、相手方は誰ですか。
位野木益雄
127
○
説明員
(
位野木益雄
君) 相手方は
管財人
がある場合は
管財人
、
管財人
がない場合には
審査人
若しくは
会社
ということになります。
伊藤修
128
○
委員長
(
伊藤修
君)
管財人
審査人
若しくは
会社
を相手方として異議の
申立
をするのですか、
職権
の場合……。
位野木益雄
129
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
130
○
委員長
(
伊藤修
君) 株金拂込請求権というものは、全
株主
がまだ拂込をしていないという場合も想像されますが、そういう場合はどうなるのですか。
位野木益雄
131
○
説明員
(
位野木益雄
君) これは発起人、取締役、監査役等に対する株金拂込請求権のみを
考え
ておりまして、こういうものに対するまあ責任追及の
方法
を簡易化した。それ以外の
株主
に対する請求権の査定までは
考え
ておりません。
伊藤修
132
○
委員長
(
伊藤修
君) 要するに拂込んだ形にと
つて
、仮装の場合がありますね。そういう場合には
審査人
若しくは
管財人
が請求しなければなりませんね。
位野木益雄
133
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうでございます。それは普通の訴えで……。
伊藤修
134
○
委員長
(
伊藤修
君) 普通の訴えでやることについては、この場合には入らないのですね。
位野木益雄
135
○
説明員
(
位野木益雄
君) そうです。
伊藤修
136
○
委員長
(
伊藤修
君) 七十
八條
以下の
規定
は
破産法
の
否認権
と同様であるという御
説明
があつたのですが、本
法案
の
趣旨
から
考え
て
破産法
の場合と同一にするのは少し
考え
る余地があるのではないでしようか。
位野木益雄
137
○
説明員
(
位野木益雄
君) 仰せのように
破産手続
はその
破産
者の
財産
の最後策でございます。最後の総決算でございまして、又
更生手続
のほうは最後的の総決算ではございませんという点につきましては違いますので、
否認権
は後者の場合におきましては少し狹く認めてもいいではないかということも
考え
られないことはないと思いますが、ただこの
更生手続
もやはり或る段階におきまして
会社
の
財産
を清算すると申しますか、全部の
財産
を組合いたしまして、そうしてその組合したものを以て公平に
利害関係人
のほうへ割当てる。或いは
会社
に残すというふうにいたしまして
更生
を図る。全
財産
を動員して
更生
を図るというふうな
手続
でございまして、その
意味
におきましては一種の決算をやるというふうなことも申せるのであります。でありますからなるべくその
関係
者の間に公平を期する必要がある、ちよつと時期が早かつたから非常に得したということであれば、その
手続
としては非常に全体として見まして不公正だと言わざるを得ないような場合があるのであります。やはりなるべく公平を期する
意味
におきましては、なるべく広く
否認権
の行使を認めまして公平な
権利
の分配をやる必要があるのではないか、その点におきましては
破産法
とまあ変らないのじやないかという
考え方
をいたしております。
伊藤修
138
○
委員長
(
伊藤修
君) 八十六條の後段の訴えが却下されたときでも、期間内であれば再訴ができるというふうに
考え
られるのですが、いわゆる形式不備で却下されるわけでしようが、却下された場合もできないという場合おかしいのですが。
位野木益雄
139
○
説明員
(
位野木益雄
君) これは期間内であればもう一度何といいますか、異議の訴えはできるというふうに
考え
ております。ただ時期といたしましては
通常
の場合は訴え提起後に却下されるというふうな場合が予想されますのでその場合を想定した
規定
……、期間経過後却下するという事態がございますので、そういうふうな体裁にな
つて
おりますが、期間内であればできるというふうにな
つて
おります。
伊藤修
140
○
委員長
(
伊藤修
君) そうするとこの後段のは訴えが却下された場合でも期間内であればできるのですかね。
位野木益雄
141
○
説明員
(
位野木益雄
君) さようでございます。
伊藤修
142
○
委員長
(
伊藤修
君) 九十
一條
の
更生手続
の
開始
の
申立
ての日からとあるのは、
破産法
に照してやはり
更生手続開始
の
決定
の公示の日からにしたほうがいいのじやないのでしようかね。
位野木益雄
143
○
説明員
(
位野木益雄
君) この
趣旨
は支拂停止のあつたことを知りながら弁済を受けた、或いは支拂行為の相手方に
なつ
た場合には非常に事情が悪いのではなかろうか、
開始決定
前一年内であれば免れるということであれば、
手続
がやや長びいた場合にも免れるということにな
つて
非常な不当な場合も起りはしないか、ですからそういう事情の悪い場合には、或るべく取消が認め得るように
申立
の日から一年前までも擴張したという
考え方
からいたしたのであります。すでに
申立
のあつた日から問題が起つた、その問題の起つたときから一年前と、その後
裁判所
がこの問題が起つたについて審議する
日時
が不定であります。その審議した結果のときからということでは狹過ぎるのじやないかということからこういうふうにいたしたのであります。
伊藤修
144
○
委員長
(
伊藤修
君) 九十二條で除斥期間にした
理由
がちよつとわからんのですがね、
破産法
の八十
五條
によれば時効にしておるのですが、これはどういう
考え方
から来ているのですか。
位野木益雄
145
○
説明員
(
位野木益雄
君)
破産法
は仰せのように時効ということにな
つて
おります。この時効も行為のときから二十年ということにな
つて
おります。行為があ
つて
も
破産
の
宣告
があるまでは告認権は行使できないわけであります。にもかかわらず施行期間は先行しておるというふうらこともありまして、これは時効じやないのじやないか、性質は除斥期間じやないかという学説がございます。まあ学問上から言えば
相当
疑問があるだろう。で除斥期間といたしましても、この場合は
権利
行使の
方法
が
裁判所
に訴えをする。或いは否認の請求をするというふうな、
裁判所
に対する申出といいますか、そういうもののみが
否認権
行使の
方法
として認められておるのでございますから、除斥期間と認めてもちつとも差支えない、むしろそのほうが理論上すつきりするのじやなかろうかということから除斥期間といたしたのであります。
伊藤修
146
○
委員長
(
伊藤修
君) 何か御質問があるようですが、政府
委員
が何か御都合があるそうですから第三章は明日やることにいたしまして本日はこの程度にして明日は午前十時から御迷惑ですが御出席願いたいと存じます。 では本日はこれを以て散会いたします。 午後三時七分散会 出席者は左の通り。
委員長
伊藤
修君
委員
山田 佐一君 齋 武雄君
岡部
常君
事務
局側 常任
委員会
専門 員 長谷川 宏君 常任
委員会
専門 員 西村 高兄君
説明員
法務府法制
意見
第四局長 野木 新一君 法務府法制
意見
第四局参事官
位野木益雄
君