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1951-09-07 第11回国会 参議院 文部委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月七日(金曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   委員の異動 八月二十二日委員櫻内辰郎君辞任につ き、その補欠として駒井藤平君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (学校給食に関する件)  (教職員の給与ベース改訂に関する  件)   —————————————
  2. 加納金助

    理事加納金助君) それでは只今より文部委員会を開会いたします。  人事院人事官の山下氏がお見えでありませんが、大蔵次官、同主計官文部政務次官、同じく管理局長、四人のかたがお見えになつておりますから、どうぞ一つ委員のほうから質疑をお願いします。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず私は文部省側水谷政務次官或いは久保田管理局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。この給食の問題が国民保健或いは国民食生活の改善、それ以上に教育立場から非常に給食問題が国民重大関心を払われており、最近この給食廃止になるんではないかというので、随分いろいろ陳情を受けておるわけでございますが、そこで私お伺いいたしたい点は、先般の文部委員会文部省側から今後の給食は見返資金三十四億七千万円を予定しておる。従つて補正予算には小麦粉或いはミルク購入費としては計上しないで、ただ施設の値上りに対する補填の一部として補正予算に計上した。こういう予算要求案の大綱について御説明を承わつたのでございますが、その後この交渉がどういうふうに進められておるかという点と、それから給食に対する文部省側基本的態度というものを大略承わりたい。
  4. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 給食問題については文部省といたしましてはこれを継続してやりたい、こういう考えの下にその予算大蔵省のほうに要求をしておるのでありますが、かねて御説明申上げましたときよりは事情が変つて参りましたので、この点について久保田管理局長から詳しく御説明を申上げます。
  5. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) この前の委員会の時分に、見返資金で始末がつくそうでありますから、補正予算を特に要求しなくてもよろしいのでございますと申上げてあるはずでございますが、その点は見返資金支出を願いますために司令部メモランダムが必要になつて来るのでありまして、そのメモランダムを出してもろうぎりぎりのところに参りましてから、丁度この補正予算を始末する時期に差かかりました関係から、司令部関係者からの御指示では、補正予算で国がこの先き給食費用をどれだけか持つという態度はつきりして、そのために補正予算を仮に組んだといたしましても、実際にこれが成立して使えるに至りますまでの間の繋ぎを何らかの方法で補つて置かないと事実上物が届かない。少くとも実際の場面における品物が子供ちたの前に届かないという実際上の必要がございますので、そのために見返資金を使うということであれば、その金額の大小の問題でなくてその緊急性を認めメモランダムを出そう、こういう話に変つて来ましたために、どうしても補正予算をどうするかという態度だけきめてもらわないことには見返資金の問題もきまらないという状態に相成つたわけであります。そこで一月から三月までの分を補正予算で国が見る。十一、十二月の分を見返資金で見る。こういう計画にいたしまして、十二月までの分を見返資金でみた金が約十四億、一月から三月までの分を約十五億、こういう形で大蔵省補正予算要求をいたしたわけであります。それが大蔵大臣丁度お出かけになるまでにはまだとりきめて頂く段階に来ておりませんで、大蔵大臣お帰りの後、十分研究して頂くというところで一応今保留になつているところでございます。この給食に対しまする態度といたしましては、私どもは現在まで来ましたこの給食効果から眺めて、幸いにも司令部のああいう援助がありましたために非常にいい物を安く渡すことができておつたためでもありましようが、非常に人気を博していると申しますか、成績を一方において十分挙げているという関係からも一般支持を強く受けておりますので、国からの援助が私ども期待よりも仮に小さくなつたとしても、この給食に対する一般支持は動かないものであるという自信の下に、栄養価から六百カロリー、蛋白二十五グラムという一つ拘束を十分に満しながら、父兄の直接の負担を、せいぜい割合に物の安い所で二百円、物の非常に高い所で二百五十円と押さえて、それに対してどれだけかの国の補助を加えることによつてこの支出意味合も強く認識してもろうという手当をいたしますれば、十分父兄なり又子供たちの満足を得て行ける給食が続行できるはずだというふうに確信しておりまして、そのやり方として設備の一応安心のできる程度に整備されているところを押さえて、そこで完全給食実施する、その本体ミルクに置く、そのミルクは従来継続しておりますように脱脂粉乳を中心とする、その脱脂粉乳本体となる限りこれに国の援助の形が見られるべきだ、又それを見られることによつて先ほど申すように栄養価からの拘束に対しても、金額的拘束に対しても一応手当ができるということになるはずだ、こんなふうに考えているわけであります。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 給食実施されてその効果が最近になつて非常にはつきり業績というものが現われて来た。従つて国民の要望も強いし、是非とも万難を排して続けて行きたいという文部当局方針に対しては私了として敬意を表するものでありますが、只今管理局長の御説明によりますというと、結局一月から三月までの国庫による所要経費、約十五億、これから十一月十二月に必要な見返資金によるところの約十四億、これを支出することを決定することは、取りもなおさず明年度以下必ずしも十分でなくとも少くとも給食は継続して行く。こういう前提に立たれなければこれは出せないという性質のものだと了承したわけでございますが、そうでございますか。
  7. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 文部省といたしましては、先はどうあるにかかわらず、先ず当面補正の問題がきまらないことにはこの見返資金の問題が解決しない。実際の必要のために、先ず先の問題はあとに残してでも取りあえず本年度態度をきめてもらいたいというのが差迫つた問題であるのでありますが、大蔵省財政的な見地から申せば、恐らく矢嶋先生のおつしやるように、明年からのかかりがどうなるかがはつきりしない限り、今年の分をきめるわけに行かないということは我々も御尤もだと思つておりますが、現在の緊急性は、来年度の問題よりも先ず当面この十一月頃、又十二月頃に品物が切れてしまう、その事実問題を解決して欲しいというところに私どもの常識の、補正予算としての緊急を要しております理由があるわけでございます。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 くどいようですが、その十一月十二月までと、一月三月までのさつき述べられた数字によれば、現在まで施行して参つた給食実施されるわけなんですね。
  9. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 現在実施しております通りに行います経費見積つた金でございます。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではさつき後半に申されたのは、明年度以降に対する半永久的に継続する場合の構想の一部を申されたということなんですね。
  11. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 先ほどの御質問がこれから先のということであります。本年度のこの残り分と将来とを併せて申したつもりでありますが、本年度は学年の半ばでもありますので、学童たちの上にできるだけそういう変異のないようにという態度を私どもつておりますために、本年度は何とかして今現在やつておりますと同じような状態が続けられるようにということを願つておるわけでございます。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この給食の問題についての国立世論調査所の最近における世論調査によると、実に七八%は賛成を表しているというように最近発表されておりますが、この国民の熱意というものが給食施設の充実にも積極的に今まで皆様方の御指導に協力して来たように私ども見ておるのでございますが、このPTA或いは地方自治体によつて給食施設に今まで投じたところの費用というものは、概算どのくらいに管理局としては踏んでいらつしやいますか、承りたいと思います。大体一校当ての経費実施している学校数がわかれば大体出ると思います。大体で結構です。
  13. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 数字は別にあるのはあるのですけれども今ちよつと……。
  14. 加納金助

    理事加納金助君) その質問あとにして下さい。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じやもう少しちよつと……。この国立世論調査所世論調査でもわかるように、七八%からのかたがたが賛意を表して非常に積極的な協力をなさつてつたわけでございますが、併し給食費を完納できない児童も若干いるやに承わつておるわけです。生活保護法教育扶助によるところの適用というものは極く僅かでもございますし、学校PTA関係でもそういう不払者に対しては補助して来ておるように私承わつているわけでございますが、どうしてもこの給食は続けなければならないと、必要なものだという前提に立つた場合に、先ほど局長二百円から二百五十円程度まあ数字を出されたのでございますが、国民の大多数が熱望している事柄と、父兄生徒一人の負担額というものは大方私はリミツトというものがあるのじやないか。で今までやつて来たことだし、而もその効果が着々現われている給食であるし、是非ともこれを続けなくちやなりませんが、おのずと被給食者負担と、それから国又は地方自治体との負担とには或る程度考慮が払われなくちやならんと思うのでございますが、その点管理局長としては生徒負担というものをどの程度に踏まれていらつしやるか。果して二百五十円程度実施できるものかどうか、その点の見解を承わりたいと思います。私の見解は、生徒負担どいうものは少くとも最高、マキシマム二百円、それを超えては計画することはこれは無理じやないか、こういうふうに私直観で考えておりますが、局長としては各地方教育委員会からいろいろな資料が集まつていらつしやると思うのでございますが、その資料に基いて得た見解を承わりたいと思います。
  16. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 私も矢嶋委員と全く同感の見解を持つておりまして、二百円の場合にもこれが二百円としてのマキシマムである。二百五十円の場合にも二百五十円が絶対にマキシマムであつて、それ以上は金として必要でない。その二百五十円の場合に仮にミルクを国が全額負担した場合、大体百九十円で六十円見当補助になるわけであります。二百円の場合にも六十円見当補助になるわけでありまして、この六百カロリー、二十五グラムの要求を金に換算して非常に安く物を仕入れられる場合に二百円、高い場合に二百五十円というのは絶対必要であつて、併しそれ以上は必要としないという一つ限界線があるわけであります。これに対して父兄生徒負担し得る能力限界が事実他の弁当を持たしてやるという実際の経費との睨み合せになるわけでありまして、その限界をおきました場合が只今申すように二百五十円の場合にも大体六十円、ミルクを仮に半額としました場合には三十円でございますが、そうした限界をおけば大体父兄負担力と実際の栄養必要量ということの関係がうまくバランスされるのじやあるまいかというふうに見ているわけでございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じやここで大蔵次官のほうにお伺いいたしたいと思います。給食の必要とかというようなことは、もうそういうことは申上げません。ただ管理局長のお言葉からわかりましたように、これは民主教育を推進するに非常に功績のあつた点とか、或いは食生活が改善されたとか、或いは体位が向上したというようなことは完全給食をやつた学校とやらない学校との統計差によつてはつきりとこれは現われて来ておるわけでございまして、従つて教育関係者並びに父兄、或いは一般かたがたが非常にこれを要望され、吉田内閣においても再三給食実施ということは閣議決定したように承わつておるわけでございますが、最近補正予算並びに本予算編成期に当つて講和条約学校給食廃止になるのじやないかという声が地方に伝わりまして、そうして今までこの給食施設完備のために積極的に協力をして来、今後の成果に多く期待しておる父兄国民の皆さんが大変危惧しておるわけでございますが、先ほどの管理局長説明によりましても、池田大蔵大臣が渡米される前に最終決定をせずに渡米されたというお話でございますけれども大蔵事務当局としてこの給食というものの現在並びに将来に対してどういうお考えを持つていらつしやるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  18. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) 給食の問題につきましては、大蔵省としまして給食それ自体価値を認めないということではないのでございます。児童のためになることあるからできれば続けたほうがいいかと考えるのでありますが、何分従来は見返資金でこれが賄われておつた。その見返資金が打切られましたので、これをこのままの形で継続いたしますといたしますと、来年度は九十億からの金を一般会計負担しなければならん。これは予想せられます財政事情から考えまして、到底財政負担し得ないところであろうと思うのであります。従つて年度非常に困難である。財政的に申しまして困難であるといたしますれば、これを今年度だけでも繋ぎをするかどうかという問題が残されるのでございます。それにつきましては先ほど管理局長からお話がございましたように、一—三の予算一般会計から見ればまあ見返資金のほうは二ヵ月だけ延長して年内一ぱいは見てやろう、こういうような関係方面意向にもなつておるわけでございます。そこで問題となりますのは、そういうふうに将来現状のままで続けることが殆んど不可能であるという見通しが付きました以上、これをむしろこの際打切つてしまつても結果は大同小異ではあるまいか、こういうような気持から大蔵当局といたしましては、先般閣議で御審議になりましたような予算案を編成したわけであります。その予算案閣議で問題になりまして、大蔵大臣渡米前には決定を見るに至りません。今なお懸案になつておることなのでございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現状のままで来年度へ継続すると一年間に九十億必要だから、講和後の国の財政支出から言つて非常にまあ困難だとこういうような御説明でございますが、講和後の経済状況国家財政が非常に窮迫するということは私もまあ予想し、覚悟もいたしておるところでございますけれども、現在完全給食を百万人に実施し、ミルク給食でも八百万人に実施して、その次代の日本を背負う青少年への影響というものは極めて大きいと思うのでございますが、大蔵省としては、皆様がた意向としては九十億要るからこれはもうそんなことはできんから零にしようとこういうお考えなのか。先ほど次官のお言葉では給食効果がある必要であるという前提には立つていらつしやるというこういうお言葉でありますが、そうだとすれば、この九十億を予算編成の可能な範囲で縮小しようというお考えなのか、その点をお伺いいたします。
  20. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) この率直に申しまして給食に関しまする費用給食に関しまして世間にいろいろの意見があると思うのであります。先般世論調査もございましたが、中にはこの給食に対して国庫負担をするくらいならば当面別途問題になつております六・三制の校舎完成といつたようなことに金を使つたらいいじやないかというような意見も、これは多数であるか少数であるかは私存じませんが、そういう意見もあるわけでございます。給食自体につきましては決してこれは無駄というのではなくて、見返資金の打切られました今後は相当金額に上ることでもありますので、国費でこれを出して行くということは財政上の見地からこれは無理である。こういう見解を持つておるわけでございます。そういうことでございますので、給食地方負担なり或いは父兄のかたの御負担によりまして継続されるということにつきましては、少しも大蔵省として反対するといつたような立場にはないのであります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次官は最近発表されている国立世論調査所世論調査を御覧になつていらつしやいますか。
  22. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) 拝見しております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 給食をやめて六・三建築の実施のほうへ廻せというような声もそれは一部にはありましようけれども、やはり私は国立世論調査所世論というものは相当信頼していい調査結果じやないかとこう思うのでございますがね、こういうものを足場にして考えた場合に、次官給食は必要だと、やりたいことなんだが財政的な立場からやれない。だから九十億出すか零にするか、一か八か、こういう考えは了承できないと思いますがね。九十億は元来予算案編成技術面からもどうしても国家財政立場から不可能だとすれば、私は可能な程度で次善の策が考えられて然るべきじやないか、給食というものの無価値を肯定をするならば別でございますけれども、これが価値あり必要だという前提に立つたならば可能な範囲で何とかして、そして文部省のほうでその枠内で最も能率的に実施して行くと、こういう私は途も残されているかと考えるのでありますが、次官財政的な立場から全くできない。九十億を零にするのだという考えは私誠に了承できないのですが、それに対する所見如何でしようか。
  24. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) 我々給食が意義がないというのではなくして、給食国庫負担でやることについては世間にいろいろ議論もあるのも聞いておるということを申上げたわけでございます。そこで国庫負担が長く続けられる見込がないといたしますれば、いつ打切るかということが問題であろうと考えて、先般閣議に出しましたような予算案事務当局として編成した次第であります。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つお聞きしたいと思いますが、義務教育は無償ということは憲法に謳われておりますし、この給食義務教育を受けている児童教育的な立場から実施するとならば国費でやることも私はそうも間違つていないかと思うのでございますが、次官給食国費でやることは賛成できないという論拠はどういうところにあるのでございますか、一応承わりたい。
  26. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) その点につきましては大蔵閣議でいろいろ発言しておるようでございます。まあ私どもといたしましては、それ以上に申上げることは差控えなければならんのでありますが、学校教育といたしまして給食の面にまで立入る、余裕があれば結構でありますし、又特に財政上の負担能力があります際には結構であろうと思いますが、それがないときはこれは程度の問題ということになるので、ほかの財政支出についてもそうでありますが、必要なものでも財政上の見地から止むを得ず予算には計上できないという例は多々あるわけでございまして、その一つの例かと存じます。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 次官にお伺いいたします。
  28. 加納金助

    理事加納金助君) どちらですか。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 大蔵次官です。只今のお説を伺つておりまして、私はこの点に非常に矛盾を感じるわけでありますが、この度の講和がこれは平和を目途とすると共に日本の自主権の回復、そうして日本国民生活の安定、こういうようなことが大きく打出されておる、こういうような目的に副うためにやはり政府は具体的な施策を講じて行くということはやはりこれは当面の私は責任でないかと思うのですが、特にこの学校行政の中で最も下部まで滲透し、而も非常な支持を受けて来たのはこの学童給食であつたのです。而もこの学童給食によつて児童体位というものが相当に向上したということは、或いは食生活についての児童の悪癖を一掃したというようなことはこれは世論調査の上からもしばしば見ておるところです。これは十分大蔵省としてもお認めになつて来たと思う、さればこそ文部省学童給食に対しては従来までも或る程度協力をされて、又閣議においてもその基本線というものは最近まではつきりとしておつたと思う。従つて地方施設というものに対してはまだ施設の不完備学校等においては相当父兄並びにPTAの莫大な費用を投じて施設を着々として完備しておつた、これはひとえに政府当局方針に基く国民最大協力であつたと私は思うのであります。それが突如として大蔵省の今度の原案の中から削除されておるということは、私は講和後における政府の基本的な方針というものに対して非常な疑義を持つのでありますけれども、この点をどういうふうにお考えになつておるのでありますか。
  30. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) 大蔵省といたしましても、今後の日本経済回復、更に今後の発展ということにつきましては、財政を通じまして是非実現しなければならないという考えでございまして、それを予算編成の上にどう現わすかについて非常に苦心しておるところでございます。何分日本国民経済の力が十分に回復しておりませんので、従つて各省から歳出として御要求になる金額並びにその項目はお話をだんだん伺つて参りますと、それ相当に理窟もあり又重要なものであるわけでございます。併し何と申しましても国民経済の基盤を先ず回復、培養しなければならないという意味におきまして、各省の重要と認められるような御要求につきましても、いわゆる査定をせざるを得ない立場にあるわけでございます。これを言換えますれば、歳出につきましても財政の規模をむやみに大きくして差支ないということでありますれば別でありますが、そうでない限り各歳出について按配いたしましてその間のバランスをとる、ここに私どもの苦しい立場があることを御了承願いたいと思います。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 財政均衡を図るというようなことについては、これはいずれもそういうことについては全く意見を同じくするものだと思いますが、今日政治の面においてややともすれば忘れがちなものは、本当にこの弱いものに対する最大愛情、こういうものがいささか欠けておるような点を私どもは遺憾に思うし、特にこの学童給食というものは実に全国民が非常な愛情期待を以てやつて来たのでありますから、如何に均衡財政であろうとはいいながら、その一端がこれに廻わせ得ないというようなことは、これは国民各位も恐らく了承し得ない点ではないかと思うし、文部当局もこの点については非常な考慮を払つておられるようでございますので、これは後で水谷政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの矢嶋委員の御質問に対して殆んど結論的なお話が出ておるようでありますが、これはまだ交渉の余地が多少残されておるのかどうか、この点だけお伺いしたい。
  32. 舟山正吉

    説明員舟山正吉君) 事務当局といたしましては、先般予算編成をしました気持ち或いはその経過等については只今まで申上げた通りでございます。この予算案閣議で問題になりまして、この他の二、三の点と共に学童給食の問題は只今決定が留保されておるわけであります。事務当局といたしましてはこれ以上申上げることは不可能かと考えます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 水谷政務次官にお伺いいたしますが、基本的な大よそのお考えはわかつたのでありますが、保留と、こういうようなお話であつて先ほど管理局長学童給食の基本的の態度に対しましてここで明確に申述べられておるわけでありますから、この問題については水谷政務次官相当の御決意を持つてこの保留の点ということについて今後もこの線に沿いご努力をなされるだろうと私は思うのでありますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  34. 水谷昇

    説明員水谷昇君) お説の通力でありまして、私どもはこの給食予算については只今閣議保留になつておりますので、大蔵大臣がアメリカから帰られるのを待つてどもの希望を実現すべく只今あらゆる手段を講じて努力を続けておる最中であります。この点につきましては、皆さまが十分御理解をしておられるようでありますけれども、なお文部省といたしましては、この給食必要性、又給食効果、又給食の歴史、すべての点を詳細に文書にいたしまして皆さまの所へもすでに配付したと思いますが、更にそれぞれの関係の所へ配付して御高覧願いまして、御協力願つて一つこれを実現したい、かように考えて毎日努力をしておるような次第であります。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 お気持のほどはよくわかりましたが、何さま講和後には日本の再軍備の経費というものはこれは相当莫大な数字に上ることが予想されるのであります。こういうときであればこそ、子供たちを守つていかなければならない、又こういうことを守ることによつて本当に世界の平和というものも築かれるのだ、こういつた大乗的の見地に立たれまして、極めて困難であろうと目される今の見通しを、これはもう文部省の肚如何に私はかかつておると思います。文部省のうしろにはこれは全国民、全児童が声を大きくしてついておるのだ、こういう大きな確信を持たれてこの学童給食というものを継続させるために最大努力をして頂く、これは取りも直さず吉田政府のいわゆる平和政策の一環である。こういう信念の下に御努力願うように私は期待するものでございますが、これについての御信念をもう一度お伺いしたい。
  36. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 御想像の通りでありまして、私どもは今日の日本財政のこともよく存じておるのでありますが、この給食は非常に重要なものでありますから、これを実現させるべくおつしやる通り努力を続けて行きたいと思います。一昨日も大蔵省の舟山次官の所へも或いは又西川政務次官の所にも私伺いまして、更にいろいろ説明を申上げ御了解を得るように、又御力頂くように交渉したような次第でありまして、更に努力を続けて行きたいと思います。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体わかりましたが、そこでそういう御覚悟の上に立つて管理局長から具体的にちよつと御質問したいのです。この補正予算獲得のための非常な御努力はわかるのですが、只今大蔵省見解並びに政務次官の非常な御努力のほどを伺つたのでありますけれども、私は最善の場合を伺う必要は毛頭ないので、これは非常に最悪の事態に追込まれた場合の文部省の指導的な役割というものは相当に私は重要なものであると思います。そこで私は、これは非常に最悪の場合を予想いたしまして、この混乱をどう防いで行くか、こういう見通しも持たなければならないと思います。この場合のことについてちよつとお伺いいたします。十一月、十二月見返資金十四億、一、二、三月が十五億とこういうふうに数字を挙げておられるのでありますが、これは今の現員現給、現負担のままで維持するためにこれだけの大体の予算文部省としては組まれておる、こういう御説明でありました。ところがいろいろお伺いしてみますと、この積算の対象となる児童でありますが、その児童の数というものが本当に現員のままで、現負担のままで三月まで行のかどうかということを先ず伺つてから御質問いたしたい。
  38. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 来年の四月からの経費が九十数億かかるということを大蔵省要求するということは私は無理だとわかつておりますので、それに対応させるために一月から三月までの間に多少経費負担児童のほうに少し余計にかけて行く計算の仕方がしてあるのであります。細かい数字で申しますと、例えば三月の末日に完全給食補助対象にいたします関係では、現在の四百万の児童を百万に切つてございます。これは現実にパンをもらう子供が四百万から百万に減るという意味ではなく、四百万人が百万人分のパン代を負担するという形になりますから、四分の三だけをそれで負担が増という恰好になるわけですが、そういう意味での経過的な始末をしながら四月一日からは非常にかたまつた、要するに五百五十万を対象にした厳正な数字で以て継続したい、こうふうに考えておるわけであります。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、三月になりますと相当に今度は児童負担ということよりも対象とする児童の数が減つて行くというふうに考えたほうがわかりいいと思いますから、児童の数が逐次減つて行く、こういうことになるわけですね。今四百万ありますね。四百万大体給食を受けておる、二十六おいて……。それをだんだん減して行くとなると、どのくらいまで子供の数を減らして行くか。これは減して行くということは児童負担をそれだけ高めて行くというようになるわけですね。対象の児童の数を減して行くということはそれだけ学童給食費用を増して行くということになると思うのですが、その減し方がどこで減して、どこで抑えるか。
  40. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 現在対象としております種類が二種類あるわけで、ミルクは八百万、パンのほうが四百万、四百万は八百万のうちの四百万でございます。パンと申しますのは完全給食でありますが、完全給食の人数は或る程度殖えこそすれ減るとは考えておりません。これは設備がだんだんよくなれば設備のいい所には是非やりたい、又やるのが至当であると考えております。ミルク場合はたまたまただでもらつておるミルクでありますから、設備の如何にかかわらずできるだけ多くのものに上げるべきだという考え方から八百万に飲ましたわけであります。この八百万の人をできるだけ完全給食に近寄らせることは、又指導面という意味からも或る程度むしろ減らしても完全給食を多くしたいという考え方は当然と思つております。この四百万を五百五十万まで上げて見て、五百五十万を一つのコンスタントな数においたら大体穏当な数字ではあるまいかというように考えておりまして、パンのほうの四百万はむしろ計算上の対象として考えるというだけで、この学童の殖えて来る分だけ負担のほうが増して行くのだという考え方に立つております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、今度は施設のよい所には廻す、要約すれば基本的にはこうなると思う、施設のよい所には廻す、施設の悪い所には廻さない、こういうことになると思う。そうしますと、今度地方でどういう混乱が起きて来るか、これはやはり文部当局としては相当重要な問題ではないか、施設のよい所には廻すが、施設の悪い所には廻さない。そうするとこれは対象の数が非常に少なくなつて来ておる。購入する場合の単価の値上りはその対象の数に比例して上つて来ると思う。でありますから、そういうことをやれば単価が値上りすることが一つ、それから教育の機会均等とか何とかというような、この学校では給食をやる、この学校ではやらない。こういうようなまちまちの姿が出て来たときの混乱というものは私は名状すべからざるものだと思う。これは文部省のほうではその対象とする基準をどういうような基準にきめられておるかこれはわからないが、その対象にするところの施設のよし悪しの基準をきめるというようなことは非常に困難な問題だと思う。併し学童給食の歴史から考えても、親は最大能力を払つて最大の犠牲を払つて給食施設をして来たのでありますから、単に文部省が或る基準によつてやるとかやらないとかいうようなことをきめられては、これは非常な混乱が起るということは目に見えてわかつておると思いますが、こういうような点については一体どれだけの認識をお持ちになつていらつしやるのでありますか。
  42. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 現在ありますものが大体三千七百校見当になつておりまして、三千七百校のところは先ず動かんものというふうに押えております。それに対して毎月或る程度改善が加えられて来ておりまして、只今どもの知つておりますところでは、今まで市制地域を中心に物が配ばられておつた関係から市制地域のほうが非常に躍進的になつておりますが、その大体の数字も今高田委員のおつしやつたように混乱というような形では出て来ないと思つております。むしろこの設備の出来上る時期と、その給食予算的な始末がきまるところのその関係のほうがむしろ問題でありまして、どの学校でも或る程度の設備をし、ミルクだけということを中心に考えれば、要するにミルクを温める設備、かき廻す設備だけということになりますから、その場合に例えばパンであればこれは容れ物と、そのパンの保管場所さえあれば、衛生的にできておれば済むことであります。それから副食の設備のことでございますが、これはミルクを温める設備とほぼ変らないものでありますから、その設備に或る程度の衛生的な条件が整えば大体設備があるものというふうに見ることもできますし、事実この予算的な始末によつてどの程度に設備をしたら大体廻るかという基準がおのずとそこに出て来ます。そのほうから問題を眺めたほうが安全だろうというふうに見ております。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 今確実な数字をおつしやつたのでありますが、全国で三千七百校の学校のみが完全給食をしてあとはそれぞれに施設の状況によつて給食をやられるというようなことでありますが、問題はやはりそこにあるのじやないか、学童給食を継続するということは取り立てた学校の三千七百校を完全給食にしてあとはできる限りほそぼそと、まあ給食をやめさせては文部省の面目にかかわるから継続するためにこうこうこうというようになつて来たのでは、これは余りに子供たちを愚弄させるようになつて来る、この文部省の苦しい立場はわかるのです。これはできない、できそうもないが、継続したい、だからまあ止むを得ないからこういうことにしなければならたいかというこの腰の弱さ、この腰の弱さが大蔵省態度を更に私は硬化させて行くのじやないかと思う。これは国家の均衡財政というようなことから言えば、これは刃向う筋合いはないにしても、こういうような腰の弱い文部省態度というものは今後も私非常な影響を持つて来ると思うのですが、そこはそれで伺いましたが、その次、今度は最悪の場合を第二段として私は考えてみたい。例えば今度の二十六年度補正予算並びに二十七年度において購入費として約三十六億、或いは三十四億というものが組まれているわけであります。これが削られて、先ほど御説明になられたいわゆる物資購入のため、或いは運営のための運転資金約七億、こういうようなものと分けられていると思うのでありますが、そこで非常にこれは最悪の場合を予想して、若し仮に運転資金だけ残す、これは運転資金というものは減るものじやないのですから、多分大蔵省あたりでも運転資金だけくらいならばまあなんということにならないとは限らない。一応私はこういう見通しも第二案として考えているわけです。若し運転資金七億だけになつた場合に、あとのもの全部がこれはもう児童負担になつて来ると思うのでありますが、そうなつた場合の児童の一人当りの負担というものは大体どのくらいになるかというようなことも研究されていると思うのでありますが、この点についてお聞きしたいと思うのでございます。
  44. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 大体一切の援助がない場合が三百五十七円になるのでありまして……
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 二百回ですね。
  46. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 二百二回でございます。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 三百幾らですか。
  48. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) 三百五十七円。それが運転資金だけで賄われた場合、これは三百三十八円四十銭ということになります。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、今の現在のままと、運転資金だけになつた場合と比較すると、どれほどの児童当りの負担になるでしよう。
  50. 久保田藤麿

    説明員久保田藤麿君) この三百五十七円なり三百三十八円なりは今後の物価の値上りなどが全部計算に入つておりますことと、それから今現在の先ほど来申しております百七十円見当のものが今現在の平均の値段でありますが、これはまだ値段が上つてない計算になつておりますから、そのまま直接比較するというわけには参りませんが、私ども取りたい計数として二百円、二百五十円というものをおいているわけでありますから、仮に二百五十円とおきました場合に約八十円見当の値上りということになるわけでございます。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 そこで問題のなにがはつきりしたと思うのでありますが、学童給食を継続するという文部省の主張に対しては私は心から賛意を表するものでありますが、現在のその主張を貫遂するためには文部省要求された最低の予算というものは、これはどうしても通して行かなければ、現在のままにはこれは継続しない。併し継続という形を今質問によつてはつきりしたことは、対象の児童数を減らして行く、それを減らす基準として設備のよい所にはやり、悪い所にはやらないで行く。このためには逐次対象の児童数を減らして縮小して行く、こういうようなことになると、これは先ほど私の申上げた混乱はこれは如何に管理局長が上手に御説明になりましようとも、現実の束縛、現実の児童の上にこれが私は良心的に起るということはあなたもお認めになつていると思うのです。こういうような混乱が起きるのをこれは防いで行かなければならないし、それを防ぐためにはこれはどうしても国家で予算を取つてもらわなければならない。取れない場合にはこれは実に今までの給食の倍額の値段を子供たちがして行かなければならない。盆困な児童学童給食によつて得るところのこの大きな価値というものはここで無残に切られて行くと共に、この高価な現在の児童負担というものは一般生活負担を如何に脅すか、こういうような課題が残つておるのであります。  それから第二の問題として運転資金だけが国家で組まれた場合、これは非常に私が聞いた最上のなにだと思つてここで聞いたのですが、そうすると三百三十円というと、現在の負担のこれは約六割ぐらいですか値上りになつて来ると思うのでありますが、これ又児童負担が耐え得るかどうか。そこで文部省のいわゆる学童給食を継続するというこの言明は、飽くまでも元に戻つて完全給食を現員のままで児童負担も最小限度の負担で続けて行くという、この基本的な態度はつきりとお持ちにならない限りは、むしろ学童給食を継続することによつて下部の貧困、下部の混乱、児童への悪影響というものはもう火を贈るごとくにわかつておりますので、どうかこういう逐次減らして行くという、そうすると幾ら要るという消極的な態度を捨てられて、飽くまで国民世論に応え、児童期待に、児童の体力増進、精神の発育のために断じてこれは引けないというようなくらいの一つ御覚悟を持たれて、今後一層の努力をされると共に、将来私の指摘した下部の混乱は絶対に起らない、起しては相成らん、こういうような下に立つての御指導と御協力方を切望いたしまして、学童給食に対する質問は終ります。
  52. 大野幸一

    ○大野幸一君 先ほど来から教育畑出身者の委員から細かい御質疑がありましたが、私はその畑でない出身の委員といたしまして、質問をさして頂きたいと思うのであります。  講和条約が成立して、かねて日本が苦しくなるということの覚悟はしておりましたが、その第一歩が頑是ない幼い子供の給食に関することになつたことを非常に悲しむのであります。この報を受けたときに、大蔵当局の池田蔵相の方針であろうと思いまして、ただただ池田蔵相は冷酷な人だという感じを受けました。私は併しこの半面に又以前から池田蔵相が破産倒産止むを得ないといつたようなこと、貧乏人は麦を食つて金持は米を食えばいいじやないかといつた言葉は膾炙されておりますけれども、私は曾てはこの大蔵大臣が、私のほうの副議長である三木治朗氏が労働争議の問題のときに、池田蔵相のまだ下級官であつた当時でございまして、労働組合の退職手当に対して各税務署から課税をされた、併しながらこれは労働者にとつてかわいそうであるということの陳情があつたときに、よく了解して、全国にこの税をとらないようにというような指令を発せられたという秘話を聞いております。私は蔵相が話せば必ずわかる人だという信頼をいたしております。従つて今や蔵相の肚にかかるというとき、幸いに閣議がまだ留保になつているこのときでありますから、どうかお帰りになつたならばお伝え下さつて、そうして成るほど国家財政でお骨折の大蔵当局に対しては深甚の謝意と敬意を表します。併しながら国家の財政もやりようによつては五十億、百億というものはどうにか操作ができるのが、私は大蔵大臣池田さんの手腕であろうと思います。ただそこに一つの子供に対する情で私は今質問をするというより、全国の幼い子供の心持を代表いたしまして、国会議員の名誉を捨てて歎願の意味大蔵当局に申上げておるのであります。成るほど池田さんの考えもそうでありましようが、同じ閣僚の文部大臣或いはここに御出席の氷谷政務次官も共に自由党出身の人であります。御承知の通り今は大蔵大臣そのものもやはり自由党の出身であつて、政党政治の基礎に立つておられるのでありまするから、国民世論、七八%の国民世論、これを無視されない賢明なおかただと思うのであります。そういう意味におきまして、今に始つたこの制度でなく、本日配付の資料によりましても、各国五十年の歴史を持つていることであります。これが日本で最も盛んに行われたのも戦前からだということであつて、決して戦後に初めて開始されたものではない。戦後に成るほど連合国の好意によつて発展、助長されたのでありまするけれども、その起源は戦前より行われた、こういうことで講和後にこれが廃止されるということはどうも納得が行かない。若しも子供の犠牲においていろいろ経費がほかに廻されるというような印象を受けては私はいけないと思います。安全保障条約においてどんな内容が持ち来されるかわかりませんが、併し駐留費の五、六百億を日本負担しなければならないやに承わつております。併しかかるときに我々がそれは即ち学校給食をやめてこれに振り向けられたのではないか、こういう印象を受けることは、決して過法六カ年間の占領政策、アメリカの好意に対しても私は申訳ないことだと思う。そういう意味におきまして、若しもこれが或る過激論者に利用されるならば、全国の児童の署名を以て、或いは全国の教職員組合及び母、その他の者の署名を以て進駐費用に代えてこの学校給食に振向けよ、とこういうような請願をアメリカに対して請願したならば、どんな影響を受けるでありましようか。過去六カ年間の占領軍の好意をどうか無駄にしないように、お帰りになりましたならば、大蔵大臣にこの心からなる国会議員の権威を捨てた私の歎願の意をお伝え下さることをお願いいたします。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私簡単に最後に大蔵次官に要望いたしたいと思います。結局この問題は池田大蔵大臣並びに舟山大蔵次官の基本的な考え方によつて左右すると思います。当面の問題といたしましては、文部省から要求していますところの一—三月の国庫支出十五億、これを是非とも確保するように、これを確保するということは十一月—十二月の見返り資金約十四億、これを確保することになるわけですが、これによつて来年三月まで給食実施できることになるわけですが、これに是非とも私は努力して頂きたい。と申しますのは、今大野委員からもお話がございましたが、和解と信頼の講和だということで日本は独立したのだ、喜べ喜べと子供に言つてつて講和を締結したら直ちに自分らの給食はとまる、何千万人に及ぶ生徒児童に対する影響というものは私は極めて深刻だと思うのです。又父兄立場から見れば、ともかく閣議決定した、これは私は文部省にも責任が出て来ることでありますが、幾ら日本の政治が管理下であつたにいたしましても、ともかく強力に指導して来て、それを又全面的に協力をして来た国民に対して一挙にしてこういうものを全廃するということになつた場合には、国の政治への信頼感というものがどうなるか。講和条約締結後の政治というものに対する信頼度というものはどうなるか。更に講和条約の義務遂行が八千余万の国民の総意によつて、団結によつてこれが履行できるかどうか。こういうことは何千万のいたいけな生徒児童父兄が結付いているだけに私は極めて重大な問題だ、とこういうふうに考えるわけでございます。で先ほどからも質問いたしましたが、九十億の予算という完全なる給食が若しも予算編成の繰作上不可能な場合には、私は次善の策というのがあると思う。ともかく給食という制度を設け、その教育効果というものが確認されている現在においては、まあ言葉は当つていないかも知れませんが、少くとも給食実施するという精神は飽くまでも遂行して行かなければならない、そうしてそれが一歩でも理想へ近づくように努力するところに私は我が国の前途がある、こう考えるわけなんです。繰返して私は大蔵政務次官に私の立場から特に要望いたしておきますが、先ほど大蔵政務次官は本年度予算を削減して中止するのも、来年の四月から中止するのも同じことだからというような言葉があつたが故に、私はあえて要望したわけでありますが、文部当局が要望しているような本年三月までの予算確保に十分の御努力を願いたい。来年以後の問題については、池田大蔵大臣がサンフランシスコから帰りますというと、来年度予算というものについても新らたな角度から考えられると思いますが、そのときに善処することにいたしまして、ともかく本年度の問題について全面的に文部省の要望というものを容れられて協力されるように強く私は要望申上げると共に、その趣旨をサンフランシスコからお帰りになつた池田大蔵大臣にもお伝え頂きたいということを要望いたしておきます。
  54. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 先刻来から給食の問題につきましては、非常に御熱心な、又文部省方針に対して御協力又御激励を頂きまして、私は非常に感謝感激をしている次第でありますが、最後に私どもの覚悟といいますか、考えを更に一言附加えまして、一層の又御協力を願いたいと思うのでありますが、先ほど来からだんだんお話のありましたように、この給食の問題というものが継続できて行くか行かないかということは、これはやはり給食に対する認識の程度の問題だと考えるのであります。でありますから、文部当局といたしましては、すべての人に対して給食の重要性を御理解を願うことが一番大事であると思います。これは繰返して申すまでもありませんが、この給食は身体的には児童の栄養、身体の発育の点に非常に重大なものであつて、その効果が着々現われておるということ、これは将来の国民に対して体育が向上いたしますならば、結核等の病気にはそうかからないでいい、そうすれば今日結核療養所だとか或いは結核療養のためにベツドを殖やすとかというようなそういう費用をかけなくても、そういうようなものを子供の給食のほうへつぎ込んでおけば将来そういうような金を使わなくていいというふうにも私ども考えておるのであります。それから只今大野委員からおつしやつたように信義の問題でありますが、この給食が無償の給与ができなくなると、その場合に日本政府はこれを続けるか続けないかということに対して、閣議では御承知の通りに二回もこれを続けて行く努力をするという確認をしているのでありますから、これを今やめるようなことがありますというと、アメリカに対して信義を疑われるわけである。又一方国の中で考えて見ましても、給食は継続するのであるというがために各学校において給食の設備をしているのである。この給食をやるから設備をしているのでありますから、これに対して若し給食をやめた場合には、これにも又信義を欠くことになり、信用を失墜することになる。これは高田委員のおつしやつたようなことになるのであります。この点から考えてもどうしても継続しなければならん。それから精神的に考えるというと、ただこれは欠食児童に対して食物を給与するというような点は通り越しているのでありまして、同じ環境において同じものを皆が一緒に食べるということによつて民主教育を徹底をさせようとするのであります。小さい時にこういう教育を、こういう訓練をするということが日本国民を養成するのに最も必要であるということも私ども考えているのであります。それから私は天野文部大臣と共にこういうことを考えている。子供の身体の発育のために国が給食の点まで心配をしているということは、結局愛国心の養成には最も大事な国民教育である、こう私ども考えている。こういうような点を十分私は認識して頂きますならば、給食費が多い少いにかかわらず必ず予算の獲得ができる、こういう私は確信を持つておるのであります。これは認識の程度の問題であるということを深く私は感じておりますので、今後におきましても、この点十分御理解を願おうと考えておる次第であります。各位におかせられましても一層御協力を頂きまして、これの継続できますよう御協力賜わらんことをお願いする次第であります。
  55. 加納金助

    理事加納金助君) 両次官に対する質問は終了することにいたしましよう。山下人事官がお見えでありまして、御質問を願うのですが、その前に東京都の教育次長から文部、大蔵両次官に陳情したいというお申出があります。五分間くらいの時間をかしてくれということでありますから、一つ御了承願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 加納金助

    理事加納金助君) それでは速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  57. 加納金助

    理事加納金助君) 速記を始めて下さい。それではこれより又続会いたします。
  58. 高田なほ子

    高田なほ子君 人事院はベース改訂に対する勧告案をお出しになられて、一応御安心になられておられると思うのでありますが、それに伴います教員に対する別表作成の問題でありますが、これはここに水谷政務次官見えておられますので、別表作成に対する文部省の基礎的な考え方というのは、これは文部省としてははつきりとしておられるのでありまして、飽くまでも別表作成の精神に盛られるところは教員の待遇に対する一つの優遇策とこれを考えるし、又そうあることが正しいと考える、そうして又今後もこの精神は継続して行くと、こういうような大臣のお考えでありますので、伺いますところによると、別表作成にこうした優遇というような精神が盛られるものか、又人事院としてそういつたものに対して異なつた考えを盛られるものか、この点について先ずお伺いしたいと思うのであります。
  59. 山下興家

    説明員(山下興家君) 只今高田さんの御質問でありますが、この別表云々の問題は私どもはこの次の臨時国会までに成るべく給与準則を出しまして、給与準則の中で俸給表を作りたいと思つております。そのときは教員ばかりでなく、いろいろの違つた性質の、即ち一般行政から違つた性質のものについては一々そういう別表を作つて行くつもりであります。併し別表というのは優遇とか何とかいう意味ではなくて、その給与の性質が違つておりますと、止むを得ずそこへ持つてつて別の給与表をこしらえなければならない。即ち給与の性質によつて別表というものができるのでありまして、別表即ち優遇という観念は我々は持つておらないのであります。その点を申上げます。
  60. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは人事官の仰せの通りであります。又文部大臣もあなたのお考えと全くこれは同じものだ、要は教育というものをどういうふうにまあ考えて行くかという問題になつて来ると思いますが、これは性質によつて給与の面が具体的にきまるということ、だから特に教員の優遇案というものはない。これを裏返せば教育とものをどういうふうに一体お考えになつておるかというところにこの問題の岐路が私はあるのだと思うのでありますが、現在のことはもう私は詳しく申上げるまでもなく如才のない山下さんは十分おわかりだと思うのでありますが、現在の教員の質が非常に落ちているということはこれは一般の非常な批判を受けている点でもあるし、又文部当局としてはそういう点については深い反省の下に立つてこれが対策に懸命な努力を払つておられる、これは私どもも認めるのでありますが、この教員の質をどういうふうに今後上げて行くか、これは日本教育をどういうふうに向上させて行くかというところの重大な鍵を私は握つていると思うのでありますが、教員の質を更に向上させて行くということについては、教員というものの待遇というものはこれは密接不可分に付いて来る問題だと私は考えておるものでありますが、今おつしやられた給与の性質と、又これに関連する教員の質の向上という問題について基本的にどういうふうなお考えを持つておられるのでしようか。
  61. 山下興家

    説明員(山下興家君) 教員が非常に将来の国民を育成する上に大切であるということにつきましては、私は決して人後に落ちないと思います。私もほかの公職をやめたら成るべく小学校の教師になりたいと自分で思つておるくらいでありますから、それは教育にいては十分考えておるのであります。併し今の状態は御承知のように非常に窮乏な状態なのでありますから、皆が困つておる、全部が困つておるとうことをお考え願いまして、そうして給与は一様に公務員全体が耐乏生活をするのだという線は外すわけに行かと思います。併し給与というものがうまくどういうふうな給与の組織にすれば現状に合致するかということについては、私どももできるだけの研究をして行きまして、無理のないようにして行く。優遇というものの意義については、特に教員をほかのものよりも特別優遇するということは困難であります。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体わかりました。私はまあ結局解釈の問題になつて来るので、私どもはこれは教員だけよくしろというようなそういうセクト的な考えを何ら持つておるものではなく、教育というものの重要性を認識する上においての私は正当な主張をしているので、正しい判断の上に立つこの別表の作成の態度というものを私は確めておるのでありますが、これについては山下人事官も相当の御認識は持つておられるようであります。ただここで指摘して見たいのは、例えば教員の優遇案ということになると、教員の俸給を上げることだとすぐこれは考えられることでありますが、現在の大学あたりの教授の生活というのは、私も親戚に大学の教授を持つておるのですが、まあ殊にこれはもうお話にならない。これを引上げたからと言つたつて私は決して優遇ではないと思う。又当然この学問というものの重きを日本の将来のために考えられるならば、それを二倍、三倍に仮に引上げて行つたとしても、これはあながち優遇では私はないと考えるのでありますが、こういう優遇ということと給与の性質というものは非常にデリケートなものでありますが、世界各国から見た日本教育者の生活水準の低さというものは、これはもう十分御研究になつておられると思いますので、いわゆる私の申す質問の優遇というのは、教育者としての使命を果すに足る一般公務員として特定の内容を持つものであるという意味の認識、或いはそれに対する御意見というものが先ず第一番に問題になると思うので、この点をもう一度お聞かせ願いたいと思うのであります。
  63. 山下興家

    説明員(山下興家君) 少し前頃までは私ども今高田さんのおつしやつたように、教員というものは、教員と裁判官は最も給与が低いものだということを信じておつたのでありますが、今は一般の公務員が非常に下りまして、比較すると、裁判官はもう御承知のように一番高いのであります。教育公務員のほうが一般の公務員より遙かに上でございますが、一例を申上げますと、この前もちよつと申上げましたが、十五級というと各省では次官でございました。ところが旧制大学の学長は十五級でありまして、その人間は十八人おります。そういうふうにもうすべてのものが皆高くなつておる、殊に初任級におきましても、学校を出て初任級でも四号もほかの一般職よりも高くなつておる、で例えば十三級といいますと局長でありますが、これに相当する者は教育公務員の中では二千人もある。今のところ一般公務員とは比較にならんほどまあいいわけでございます。併しそれで満足するということでは決してないので、ただ現状がそういうふうに如何に公務員全体がまずいかと、悪い待遇を受けておるかということを私は表明するに過ぎないのであります。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 御説はまあ御尤もだと思うんですが、教員の学歴並びに他の公務員に対する勤続年数の長さというようなものは、あなたのおつしやることを裏付けるこれは一つの要素になつておると思うのでありますが、このことは国家公務員の全国平均給与に比して地方公務員の給与の本俸がそれより下廻つているというような数字的な計数から見ても、特に教員だけが高いというような認識は一面の理窟はあるにしても、その裏に隠された各種の要素というものを忘れることはいけないということを私は強く思うのでありますが、そこでまあこういう抽象論からちよつと外れてお伺いしたいのでありますが、教員の初任級並びに最高号俸の問題になると思うのでありますが、現在の初任級並びにこの最高号俸というものについてはもはやこれで満足であると、別表作成に当つても現在のでもう十二分である、こういうふうなお考えを持たれているのでございますか。
  65. 山下興家

    説明員(山下興家君) 先刻申しましたように、初任級が一般行政職に比べまして四号も上でありますから、今更初任級は別表をこしらえましても、それをもう一段引上げるというような構想は今のところ持つておりません、で全体を上げたい。即ち給与ベースを上げたいということについてはもうしきりと考えておりますが、初任級それ自身は今のところ私どもの構想の中にはないのであります。
  66. 高田なほ子

    高田なほ子君 最高号俸のことは……。
  67. 山下興家

    説明員(山下興家君) 最高号俸は先先刻申しましたように、十五級が最高の号俸でございます。号俸としては今給与としましては御承知のように十五級というのが一番上でございまして、各省次官でございます。その各省次官相当するものが現在教育公務員では十八人あるのでございます。それがその人を増すかどうかということにつきましては、又これから考えまして、或いは増す必要があるだろうと思いますが、今のところどれくらいというようなことはちよつと申上げかねるのでございます。
  68. 高田なほ子

    高田なほ子君 最高号俸についてはいい悪いという批評じやないのですが、結構な御説明でございますが、どこまでもこれは最高号俸を伸して行つても、そういつまでも、棺箱に入るまで勤務しておるわけじやない、最高号俸の道を開いて行くということはこれは何といつて教育界の一つの明るい方向を示すものである。教員みずからの向上心というものを非常にこれは助けるものであり、最高号俸への途を十分により以上に考慮せられておるという点については、非常に私といたしましても敬意を表する次第でございますが、ただその昇給期間の問題が最低、最高をきめて行つて、その間の昇給問題ということが極めて問題になつて来ると思うのでありますが、これらについての具体的な作業はお進みになり、又基本的にそれはどんなふうにお立てになられるのか、そこらを少し具体的にと申しましてもあれですが、お聞きしたいと思います。
  69. 山下興家

    説明員(山下興家君) 一般行政につきましては、御承知のように局長があり、その次に課長があり、係長があるといつたように段階的になつておりますけれども、教員のほうはなかなかそういうふうに段階にできそうもないのでございます。これは職階制によつてつて見ましても今の段階を破るということは、まだ研究中でありますから、どんなものができるかわかりませんが、私自身の考えとしては格段なものができないのではないか、そうすると現在のような教授だとか、教諭だとか、助教授とかそういうものはやはり残るのではないかと思います。そこで教授といいましても、長年そこで務めるわけでございますから、段階的になかなかできない、それでやはりそれは在職年数、そうして又或いはそのうちの成績によつて多少差がどうせできると思いますが、大体年数によつてつて行くと思うのでございます。それで結果においては現在と余り違わんのじやないか、例えば一般職になりますと、今のところ課長補佐ぐらいになりますと、まだ七級ぐらいのところでございますが、教員だと暫く出ておりますと、十二級までは上れるのでございます。それで大学なんかになりますと、十四級までそのまま行けることになつております。それで外のものはだんだん上に行くに従つて絞られるのでありますが、教員のほうは年数によつて大体上つて行くのであります。ただ私どもが希望するところは、余り年数はかりによつてやりますと、人間というものはすべて腐るのでございます。宗教でも余りに保護されるというと腐る、進歩しないということは日本の歴史で示されておるのであります。それですから教員を我々としてはこれを甲乙を付ける能力がありませんけれども、何とかその途の人、或いはなんかの機関によつていい悪い、その人は努力をする人であるとか、努力をしない人だとかということによつて差別が付くようなものを考えて頂きたいと思う。それは私は日本教育に活を入れるゆえんだろうと思うのでございます。それを今ここでお願いする次第でございます。
  70. 高田なほ子

    高田なほ子君 長ければこれは黴が生えて腐つて行くということはこれは御尤でありますから、そこで昇給期間というものが問題になつて来るわけで、やはり昇給期間というものを、一年半とか、或いは二年というふうにどんどん長くばかり延しておいて、そこに彼らの昇給のチヤンスというものを与えない場合には、これはもう活が入る理窟がない、結局あなたの活を入れるという問題は、この別表作成に当つて、やはり昇給期間というものを相当にそういう点に考慮して、あなたの説に言われるいわゆる長く置けば黴が生えるという理窟はこれを一掃し、これを教員に活を入れるためには、この昇給期間というものをやはり科学的にこれを縮めて行くというこういうようなことは当然私は考えられなければならないと思うのです。先ほどのお答えでそれがちよつとはつきりしませんでしたので、私の意見を加えて重ねてちよつともう一度その点を聞かして頂きたい。
  71. 山下興家

    説明員(山下興家君) 成るほどお答えの中で昇給期間の問題はちよつと十分に述べなかつたような気持がいたしますが、先刻申しましたようにこの段階がありますときは、その一つの段階から上の段階に行くのには何かの試験とか何とかというものがあるわけでございます。ところが先刻申しましたように教員というものはどうもそこの中の段階を作りにくい。そうするとやはり年限によつてどんどん上まで上つて来る。段階があれば或る程度まで割合に早く行くが、それから御承知のように枠外昇給というものがありまして、年限が余ほど長く延びる。ところがそういう段階がないと枠外というものに入らないから、どこまでもどんどん上つてつてしまうということになるのは、それは教職員のほうから見れば誠に都合がいい、全体としては工合がいいかも知れませんが、我々の心配するところはそれでは腐りはしないかと、余りに上り過ぎちやつて、誰も彼もが区別なしに上り過ぎるということはよくないのじやないか。何とかそこに区別、区分をして、本当の力のある人はどんどん上つて行く。併し力のない人はそこに或る程度の足踏みをするということが、教育として教員の質をよくするという上から必要でないかと、そう思う次第でございます。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあそれは見解の相違でありますから、力のあるなしということは、これはもう誰しも当然に考えていることで、力のない者をどうこうというのではないが、要するにこの現在のような低い賃金、これは山下さんも認めておられるのでありますが、低い賃金の中にある場合に能力、或いは甲の段階、より以上のものはどうこうするというような、そこにだけ重点を置かれると、折角人事院の性格としてのいわゆる生活を守る、公務員の生活の安定のための機関という機能というものを十分に果たし得ないような、折衝の御意図と反したようなことになることは、今後の人事院存在のためにも秘は非常に惜しむものなんです。従つてこの昇給期間、或いは初任給などの問題にいたしましても、教育の特殊性というものに鑑み、過渡期にある教育のあなたの指摘される欠陥はお互いにこれを認めているところではありましようが、教育の重要性というもの、いわゆる教育の特殊性というもの、そういうものに主点を置かれると共に、教員のというよりは社会人としての教育者の生活を確保して行く、生きられる生活を確保させて行く、こういうような人事院本来の姿に戻られて、最も合理的なものを立てて頂きたいということをまあ希望するのであります。  第二点に私が御質問申上げたいことは、かねがねこれも文部大臣に質問をいたしまして、明白になつている点でありますが、同一学歴の者が勤務する学校の種類によつてこの俸給に差等ができるようなことになるということは、これは日本教育行政の上において誠に悲しむべきことである、こういうふうに思うのでありますが、同一学歴の者が勤務する学校の種別によつての扱い方というものをまあどんなふうに基本的にお考えになつておられるのか、それをお伺いいたします。
  73. 山下興家

    説明員(山下興家君) 私どもの給与の制度の改革というものは、今までの学歴というものが一生涯ついて廻る、こんな封建性のものはない、だからしてこれを打破して実際にその人がその仕事をやつておるものの価値によつて給与或いは位地をきめて行く、そういう立場にならなければ、封建制度をいつまでも守つて行くということはいけないのだし、新憲法の下ではそういうことは許されないのだということで私もが今一生懸命になつて職階制をやつておるわけであります。ところが実のところを申しますと、教職員になるとなかなかむずかしいのでございまして、この仕事というものを分析したからといつても同じ教授の中でどうするか、これは私ども自身の力ではどうにもならないのであります。そこでその私どもの職階という意味でなく、何んとか先刻お願いしたように、教職員としての組織の中で、そういう同じ目的を達成する行き方に行つてもらいたいということを希望したわけであります。ただ今の高田さんの御質問によりますと、どこでも職域に構わないで同じ大学を出たら同じ給与であるべきだということは、もう少しよく考えてみないとわからないのであります。職域それ自身も多少は考えるべきではないかと思うが、但し例えば大学に入る人と小学校へ入る人と同じ大学の卒業生だから同じ給与でもよろしいかというと、そうではないのじやないか、多少違うはずのものではないかと思うのであります。ただ私どもが今困難を感じておりますことは、白状いたしますと、小学校と中学校と高等学校の初任給はどうだろうかというような点は頭を悩ましておるところでございます。それでそれは教育効果の上、この前も私ここで申上げたことと思いますが、教育効果の上から言うとどうも小学校のほうが中学よりも上じやないか、中学は高等学校より上じやないか、なぜかというと教育効果は若い人に対して教育するほうが効果があるのだからその点から見ればそう思うのです。逆のように思う。併し又一方から考えると、どうもそこに入るのに非常に競争率が激しいところに入る人も、そうでない人も、どこでも簡単に入れる人も同じ初任給であつてよろしいのかという点は、これは本当に考えなければならないことだと思います。その点については一つお教えを願いたい。本当に日本の将来のために御研究になつてそうして教えて頂きたいのでございます。併し、ただ職域ということを考えてみますと、やはり違うのじやないか、多少は違いやしないかと思います。例えばただ学生を教えるというところの訓導といいますか、学芸大学なんかの附属の中学がございますが、ああいうふうなところの一体教育の仕方が同じものかどうかということになりますと、少し疑問が生じて来るのであります。それで職域を無視するということは一律的には行かないのじやないか、やはりその場合その場合を考えて、そうして常識的に背かないように、実際に背かないような考え方をすべきではないかということを考えておるのであます。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変このことは問題があると思うのです。それは考え方があると思うのですが、その人の価値を認めて行くということについて、私はもう山下さんの御意見は御立派な御意見だと思う。特に教育をする人の価値を認める、これは一応認めた上で、具体的にこういう問題もまあ起つて来るわけでありますが、仮にこれは私の仮想でありますが、同じ免許状を持つたかたでも中学校の校長さんになり、小学校の校長さんになり、高等学校の校長さんになられると、同じ免許状を持つていても持つていらつしやるかたが自由にどこの学校にでも同じような形で入られるということになると、これは誠に私は物事がスムースに行くと思うのですが、そうでなくつて、この高等学校の先生だけに特別待遇をよくして行くのと、それから小学校にお勤めになつていらつしやる先生は、同じ資格を持つていてもそれ上りもちよつと待遇が悪くなつて行くというようなことに若しなつたとすると、これは非常におかしいことになると思うのです。まあ仮に学芸大学を御卒業になつたかたの中でも、それじや同じ資格の卒業生なんだけれども、まあ待遇のいいほうに行こうじやないかというので、これはもう本当に全員皆そこに殺到するでありましよう。その殺到した中からセレクシヨンして行くと、優秀な人がそこに見付かつて来るというようなことは、それは山下さんのお説に合うことかも知れません。そうすると、その次に今度は悪いものは中学校へ行く、その次悪いものは小学校へ行く、これはあなたのいわゆる肯定されている常識論から考えると、結局そういうふうになつて行くと思うのであります。これは日本教育行政の上にとつて非常な盲点であろうと思う。一応そういう常識的なことが通用しましたときに起つて来るいわゆる小学校における基礎教育の軽視というものは、将来の日本国民のあらゆる基礎に私は大きな罅が入つて来ると思うのであります。小学校が一番大事である、中学校がその次だというようなそういうような考えは私は持つておらないのですけれども、いわゆる同じ資格の者が勤務する学校によつてそこに待遇上の差別をつけられた場合に起つて来るこの教育行政の基本的な考え方に対する罅というものは、これは蔽うべくもないと思う。又具体的に例をとれば、これは私の非常に立派な知人なのでありますけれども、このかたは立派な資格を持つておられる。そのかたは私は中学校は大事だ、新制中学は特に大事だから、私は新制中学の校長で頑張る、どうしても頑張ると言つて今頑張つております。そして教え子の弟子を、まあ高等学校のほうが批判力も進んでおるのだし、やはり僕よりも高等学校は君のほうがいいだろうということで高等学校へ行つているのですが、ところがこういう場合に同じような学歴を持つたかたでも高等学校へ勤めているお弟子さんのほうがやがて待遇はよくなり、優秀な指導的な立場にあつた人が勤務する学校によつて差等をつけられているというようなことになると、これは極めて不合理な珍現象を呈して来ると私は思うのであります。具体的の例はたくさんある。これは数えるに遑がない。教育行政の上における日本の真の教育というものを確立させるためには、同一資格の者を勤務する学校の如何によつて不当な差別をつけるということは、文部大臣並びに次官の常に示されておるところの教育の確立というものに非常な反した結果を起して来る。これは盲点であります。故に私は自分の意見をここに附け添えておきます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単にお伺いいたします。山下人事官がいらつしやいますので、総裁ではありませんが、あえてお伺いいたします。人事院は先般一万一千六百三十二円ベースを勧告されたのですが、その勧告に先だつて政府は千五百円平均のベース・アップというものをきめて予算措置まで講じつつある。こういう事態と人事院の存在とを山下人事官はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。それを先ずお伺いいたします。
  76. 山下興家

    説明員(山下興家君) 私どもは御存じのように内閣とそれから公務員との間に立ちまして、そうして正しい、これなら公務員も満足させ得る、それからそのお金を出す納税者即ち国民にも満足させ得るというものをここに出して勧告するというのが私ども立場であります。それで政府、即ち資本家であります政府が千五百円出すのだ、三千円出すのだと景気のいいことを言われるのは誠に結構で、まあ幾らでもおつしやつて下されば結構です。併しどちらにしても我々はただ政府や公務員のことばかり考えるのでなしに、国民全体が果してそういうことで納税者が満足するかどうかという点を考えておるのでありますから、我々の立場としては争議権のない公務員を守るという上から言つて民間給与に合せさえすればいいのだ、即ち民間と同じ生活水準に公務員を生かすということをその基準としておるのであります。なぜかというと、恐らく日本国民の中で、公務員は争議権がないから幾ら叩いてもいいのだ。自分らの平均の生活水準より下げてもいいという人は一人もないと思う。それならば国会でも全部が賛成してくれると私は思う。それだから全部が賛成してくれる道を取つて行くのが正しいと思つて細かく調べる、公務員と同じ仕事をしておる者は民間給与で幾ら給料を取つておるかということを調べた、大体七百事業所に対して調べて、そうしてそれを今年の七月末によつて切換えて行こうということにしておりますから、これは何も政府におもねるわけでもないし、零だと言われても千五百円だと言われても、三千円だと言われても、出すべきものは私どもの正しいと思うものを出す。それが私ども立場であります。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人事院の立場は前に伺つて、その通り私は了承しておるのです。私のお伺いするのは、国家の機関として人事院というものがあつて、それほどの決意を以て人事院が政府並びに国会に勧告すべく準備をされておる。勧告されるのにそれに先だつて如何なる資料に基くやはわからないが、政府が千五百円平均云々と、こういうような態度に出られることについて、人事院は如何なるお考えを持たれるか。もつと端的に申上げるならば、人事院は政府に対して遺憾の意を表するぐらいの考えがあられるのかどうか。人事院の存在という立場からそれを伺つておるわけです。
  78. 山下興家

    説明員(山下興家君) 千五百円でも上げるのだと言つて、先刻申上げましたように、資本家である政府が言つてくれるのは誠に有難いのであつて、我々の勧告いたしましたのは千五百円でなくて三千円であります。それだから今になつては千五百円は少な過ぎる。そんなことではいけないとこう思つておるのでありますが、当時何もないところに千五百円上げるのだと言われるのに何ら抗議を申すほどの理由がないのであります。これは資本家が言われるのだからますます景気のいいところを一つ出してもらいたいとこそ願え、その千五百円上げるとか、二千円とかいうことに対して何ら抗議を申出す理由は私どもは認められないのであります。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人事院は無視されたとはお考えになりませんか。
  80. 山下興家

    説明員(山下興家君) 決してないのです。なぜかというと我々は先刻申しましたように、政府とそれから公務員……政府じやない。私は政府とは言わないのですが、これは国民全体ですね。国民全体、及びそれを代表する国会、その国会で審議してもらうのでありますから、それでその国会とそれから公務員と両方満足させるように申出すのが我々の義務である。それを十分に調べないで三千円だ、千五百円だ、二千円だと言われるのは、言われてもちつとも構わん。私どもは無視されたとも何とも思わないのでありまして、ゼロだと言われても決して無視しているとは思わない。我々はやるべきことはやる。それを採択して審議するのは国会が審議する。そこで政府が仮にお前の言うように三千円出すなどとは大変だ。併し千五百円か二千円で満足しろと言つてそういう勧告と違つた案がここに出て来たときには国会として通されるのか、即ち公務員は国民全体の平均水準よりも下つてもよろしいのだというお気持ならそれは別でありましようが、併し何でも国会でおきめになるというのが国民決定するゆえんでありますから、これに対しても私は何ら不平を言う理由はないと思います。併し国会は国会として十分なすべきことはせられるだろう、国民の代表者として国会は十分審議されて、そして正しいと思うところを決定せられるだろうと信頼しているだけであります。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは水掛論になりますから申上げませんが、併し人事官はその理窟はそれで立ちますけれども政府決定してああいう態度をとるというのはやはり政府に与党というものがあつて、それにはやはり議員がおつてそのバツクには国民がある。人事院を差し置いてそうして具体的に言えば政府与党できめたようなもので、その結果がどうなるか。これで人事院の意向というものは全然無視されて、あなたが計数的にそれだけデータによつて決心を持つて勧告をされたものが無視されたような場合に、これは私は公務員としては相当に不信頼感を抱くだろうと思うのです。そういう点では私は少くとも人事官は、筋はそれで通るかも知れませんが、現実の政治の動きから言つて、その面から言つて私は今そういうように考えておりますが、もう水掛論になりますから、これでとどめます。  次にお伺いいたしたい点は、教職員の優遇の問題はさつき高田委員から質問があつたのですが、私お伺いいたしたい点は、これは人事官が触れられましたが、教育の内容とか責任についてはなかなか給与はきめられない。具体的に言えば小学校一年生を教えている先生は給与を皆同じにしなければならない、そういうことはできないわけであります。その見解はわかるのですが、ただ本来は新卒の人であろうが、何十年間教師をやつておる人であろうが、取扱つておるところの教育内容、それからその責任というものはそう大差がないわけなんですね。これは他の官庁へ参りまするというと、局長、課長、それから新卒の入つた人ではその仕事の内容、その責任の度合いにおいて非常に差がある。そういう教職員の特殊性から言つて私は最高と最低の幅というものはぐつと縮めるべきではないか。それの具体的な方法と言えば、昇給期間というものは短くあつて然るべきではないか。こういうふうに人事官のさつきの見解からも私は考えるのでありますが、それに対する御所見を承わりたい。
  82. 山下興家

    説明員(山下興家君) 御承知のように今までは一般職のものは大学を出て、殊に特権階級のものは割合に早く一昇進をする。併し或る年になると、もう五十にも近くなりまと、今はその職から去つて行く。こんな非能率なことはない。だから公務員というものは一生公務員として働くべきだ。私ども意味におきましてすべての考え方をきめて行く。そうして教職員だけは早くどんどん上つてつて、皆どこへ行くかというと、今は十五級が一番上でありますから、官界では十五級より上の給与はどこへ行つたつてないのでありますから、皆十五級にするかというと、そうは行かない。それでほかの公務員と同じように給与は上つて行く。但し先利用しましたように、枠外がな得でありますから、これを何とか考える必要があるだろうということを先刻から申上げておるのでありますから、それで進む上から言つては誠に便利といいますか、とてもよそに比べられないほど得なような状態であります。だから何とか一つ考えてもらいたい。そうしてできるだけ教職員は割合に長年勤めておられる。併しほかの公務員もできるだけ長く勤められる。即ち五十でも六十でも、或いは七十でもその人の能力がある間勤めるようにする、これは国家のためになるのだ。今までやつておる経験を忘れてそれで民間に出て働くということは決して国家のためにならないのだということを私ども考えておるから、それでこの在職の年数というものはこれから先には一般公務員も教職員も同じであるという立場に立つておるのであります。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 山下人事官は私のお尋ねしておる点だけ簡単にお答え頂ければよいので、私の質問は、全部十五級にしろというのでなくて最高と最低を縮めるべきではないか。それと上の十五級、十四級にたくさんのものがならないでも、PTAから金を貰わなくても自立ができて行ける程度の給与に行くまでは昇給期間を短くすべきではないか。その点をお伺いしておるのです。
  84. 山下興家

    説明員(山下興家君) 最低は前申上げましたように教育公務員はほかの公務員よりも四号上で入つております。ですから同じ大学を出て教職員になると四号上つておりますから、もうその以上はちよつと上げられないと思うのであります。それから最高は十五級になつております。即ち次官と同じことであります。これは下げてよければ下げますが、それはそうではなかろうと思うのであります。これは教職員は高い給与であつても私はよいと思うので、十五級を下げる気持は今のところはないのであります。それでありますから幅はほかの公務員と同じ、ただそれが四号上つてつたところからスタートしておるというだけであります。でありますから上のある間の下り方は非常に工合よく上るということになつて、枠外が非常に少ないから、その点から言うとほかの公務員よりも得になる。昇給時期の点から行くと全体として得になるということを申上げておるのであります。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうちよつと人事官にお伺いしますが、民間の勤労者でもよい、国家公務員、地方公務員で自己の職務を遂行するために公然と私の団体からお金をもらつたりですね、それに学者みたいに自分の研究を遂行するために自分の衣類とか、或いは書籍とか、そういうものを売つてまでやつておるような者が、公務員とか、或いは民間勤労者にそういう職種があるとお考えになりますかどうか。先ほどから盛んに教育者は一般に給与がいいと言われておりますが、それを伺いたいと思います。
  86. 山下興家

    説明員(山下興家君) 研究費は給与でないことは御承知の通りでありますが、自分の給与を割いてまで研究費に使う、それは熱心な人はありましようが、そういうことは常態でないのでありますから、研究費は研究費として国家としては出すべきであると思うのです。それから普通の公務員がいろいろな団体から金をもらうとかどうとかいうことは、これは一概には論ぜられないのでありまして、本当にその場合があつたらそれは罰則がありまして、牢にぶちこまれますから、御心配なく実例をどんどんと出して頂いて粛正の必要があると思うのです。
  87. 矢嶋三義

    ○夫嶋三義君 人事官は違う方向から答弁されておるようですが、ただ私が申上げておる点は、大学の教授が十五級教官が十八人という数字が出ておりますが、これは自分の研究図書を売つたりしている、給与が足らんために……。これはやはり人事院の努力すべき点だと思います。研究費が足らんがためにそういうことをして研究を続けておる。それから教職員の自主性を保たなければならないにかかわらず、殆んど全国的に教職員がPTAあたりから半ば公然に何らかの形で援助を受けて教職に、携わらざるを得ないという実態というものは私はやはり把握してお考えになつて、給与というものをお考え頂かなければならん、こういう立場で申上げておる。もう二点お伺いいたします。  次の点はこれは具体的にお伺いいたしますが、給与準則はいつ人事院としてはでき上るのでありますか、案は。
  88. 山下興家

    説明員(山下興家君) 只今研究しておりまして、すぐ次の臨時国会に出すつもりでやつております。そうして今度その中で教職員につきましてのものの別表その他についても皆研究しております。これを出します前には、我々のところではその人事主任官会議というものがありまして各省の人事主任官が来ていろいろ審議しおるのであります。こういうのに全部出します。こういう案だ、ああいう案だと言つて全部なまのまま皆きめないうちに出して審議してもらつておるのであります。現に文部省あたりからもどんどん来ております。何も隠さないで全部聞いておるのであります。これは人事官会議にかける前で、いろいろに変るわけですから、みんなの意見を聞いております。ですからその中に今のようないろいろの御要求があれば、或いは高等学校、それから中学との間の初任給はどうするかというような問題も皆審議ができることになつております。公然と各省内でできることになつております。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつ頃。
  90. 山下興家

    説明員(山下興家君) それはずつとやつております。毎週やつておりまして、給与については殆んど毎日ではないかと思われるほど給与の小委員会までできましてやつております。そうしてそれをこの次の国会に間に合わすように、十月の初めでありますか半ばでありますかわかりませんが、次の臨時国会に間に合うように出します。出すつもりであります。その中に教職員のもの全部含めるつもりでおります。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私簡単にお伺いしたい点は、従つて目標というものがあると思います。いつ頃までにそれの結論を人事院では出される予定で進めておられますか、目標を承わりたい。
  92. 山下興家

    説明員(山下興家君) 結局目標は今申しましたように十月半ばに臨時国会が仮に開かれるものとすれば、それよりも相当前に、何日かわかりませんが、前に国会と内閣にその法律案を勧告するのであります。その勧告の中にこの前出しました給与ベースを織込みまして出して、それを国会で審議してもらうのでありますから、何日とは申せませんが、大体……。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで私更にその点につてお伺いいたしたい点は、人事官は答えのところだけ簡単に言つて頂けばよろしうございます。お伺いいたしたい点は、さつき職域について非常に研究されておる、それから苦慮されておるという意味の御発言があつたわけですが、私ここに端的にお伺いいたしたい点は、新制中学校が発足する当時、もとの中等学校におつた先生がたで、中等学校に残つた先生がたとそれから新制中学に転出されたかたとがあるわけです。いずれも資格は中免、同じ免許状を持つてつたわけです。而もこれは義務教育重視という立場で、県によると相当半強制的に転出いたしておるわけです。そういう歴史的なことがあるわけです。従つて必ずしも優劣によつて一方は中等学校、現在の高等学校ですが、一方は新制中学、こういうふうに職域を異にしたわけではない。こういう過去の歴史的なものを持つておるわけなんです。こういうおかたを職域が違うから、こういう立場で、それは具体的に言うと高等学校であるから、中学校であるからというような立場で差等をつけられるお考えなのか、それとも同一扱いをされるというお考えであるか、これは私は当然同一扱いをしなければ私は彼らに対しては裏切り行為だとこう考える。その点に対して結論が出ておりますればそれを承わりたい。  結論が出ていなかつたなら山下人事官のお考えは如何か、承わりたいと思います。
  94. 山下興家

    説明員(山下興家君) 新制の高等学校ができるときにどうしたというその経過によつて考えるのではないのでありまして、これは将来の問題であつて、経過的なことを考えて実はおらないのであります。それで初任給をどうするかということだろうと思うのでありますが、それは先刻申しましたように、私ども非常に苦しんでいるところなんだ。初任給をどうしたらよろしいか、同じ資格を持ちながら行つた所によつて初任給を違えてよろしいか悪いかということは、これは私どもはつきりわからんとこの前申上げたのであつて、それで先刻申しました給與の委員会には文部省も始終来ておられますから、そういう専門家がこういう点を十分御研究になつて、そうしてどうすれば将来日本教育がうまく行くかという立場から御研究になるほうが、これは専門家が御研究になるほうが本当だろうと思うので、それでいつでも毎日でも発言ができるような機会がありますから、どうかそのほうへいろいろな知識を貸して頂くことを希望いたします。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうしても私のお聞きしたい点をお答えないのでございますが、将来の問題として初任給云々という問題は高田委員から質問になつて御答弁を頂いているわけです。私が具体的にはつきり聞きたい点は、経過的なものをお考えにならないと言われるのですが、新制中学校発足当時のそういう過去の人事行政の事実というものを私は否定できんと思う。それと資格と併せ考えて、今度作るであろうところの別表においては、市の中等学校におられて同じ資格で一方は高等学校に残り、一方は新制中学校に出ている、これを差等のつくような別表を作ろうとされているのか、そうでないのか。それについての山下人事官のその一点だけ私見解を繰返し承わりたい。
  96. 山下興家

    説明員(山下興家君) 私も答えているつもりなんですけれども、どうもわからんかも知れませんが、現在おる人間を高等学校だからちよつと上げるとか下げるとかいうことは当然ないわけでございます。なぜかというと、それの仕事の上とか下とかいうことは我々は理解できないからとこう考えたのであります。それじやなんできめるかというと、端的にきめるものは初任給だろうと思います。例えば学校を出まして、学芸大学を出て来た者をどちらへ、上にやるか下にやるかによつてきまるだろうと思います。それで私は先刻から初任給の問題を言つておるのでありまして、初任給を同じにするかしないかは文部省が十分研究されるべきものではないか、そういうことを私は申上げておるのであります。
  97. 加納金助

    理事加納金助君) どうですか……。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう終ります。人事官はどうお考えになつていらつしやいますか。
  99. 山下興家

    説明員(山下興家君) 私は先刻申しましたように、甚だはつきりしないことでありますが、教育効果は私は家庭教育が一番上だと思つております。それはもう幼稚園よりもまだ上だと思つております。幼稚園の上のどれよりも上だと思つておりますが、そういうことは考えないでおいて、それで今度高等学校に入るときと中学校に入るときとは一体先生に難易があるのだろうかないのだろうかと、そういうようないろいろな観点からこれは研究すべきものであつて、私は自身にそのはつきりしてこうすべきものだという観念は今持つておりませんから、そういうものは専門である文部省に教えてもらいたいとこう思うのであります。
  100. 加納金助

    理事加納金助君) 矢嶋委員に申上げますが、言葉が、いろいろ問題が余り細かくてなかなか互いに了解をしませんから、一つ懇談してはどうかと思うのですが。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 角度を変えてもう一点。もう一点私は人事官にお伺いしたいのは地域給の件です、あの地域給の指定について勿論CPSも考慮されておりますが、たしかあの勧告の中には人事行政が円滑に行くことが織込んであると思うのです。殊にあの国家公務員の人事異動というものを円滑に行くように考えられて指定している面がたくさんあると思います。具体的な名前は挙げませんが、非常に田舎で物価はそう高くないけれども、そこに国家公務員が国立病院があるとかなんとかあつても人事異動がうまく行かない、従つてそれに対して人事行政という立場から地域給を指定したというのは具体的にまだ申上げませんが、まだ確かにあります。ところが地方公務員の人事行政という立場からは殆んど考慮されていないと思うのです。この点私は将来実施した場合には支障を来す面があるのではないかと思うのですが、そういうことについてあの勧告について反省されていないかどうか、若し反省されていたならば修正する余地がないかどうか。
  102. 山下興家

    説明員(山下興家君) 私どもは国家公務員に対してのみ責任があるのでありますから、今のおつしやつたような点は確かにあります。あるということはどういうことかというと、例えば東京辺りから転任になつて行くのに、或る所に行くというとえらい虐待されるというので、結局要所みたいなところは本省と同じようにすべきだというようなことから、そういう考慮は払つてあります。併し地方公務員についてそれがどういう影響があるかということは考えておらないのであります。併しとにかくもあんな地域給みたいなものは一刻も早くやめるべきものであつて、あんな不合理なものはないのでありますから、これは人員の交流の上から言つてもみな悪いにきまつておる。だから私はできるだけ早く一人当り千円ぐらい予算ができればもう地域給なんていうものはとつぱらつちやつて、そうしてみんな給与にぶち込んでしまう。昔、四、五年前の本当の元の給与のあるべき姿に還る。今のああいう地域給なんていうものがあるのは生活給であるのであつて非常に不合理でありますから、それだから地方公務員については考えておりません。でそれは悪い点も確かにありましよう、そればかりじやなく国家公務員についても悪いのであります。これは止むを得ないと思います。
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつともう一つでやめます。文部省ということでありますから、水谷さんに伺いたいのでありますが、そこで一番問題になつている同一学歴、同じ資格を持つた者の職域の違いによつて差等をつける問題ですが、これは山下さんが繰返しておつしやるように、まだ人事院としては考えがまとまつていない、文部省としての考えを十分取入れるということを漏らされた。そこで先ほどの発言の中にもあるように極めてその問題については慎重な答弁をされておつたようでありますが、非常に大事な問題でありますので、不合理な職域による差等といいますか、それをどういうふうに考えておられるか、まあ簡単でいいですから……。
  104. 水谷昇

    説明員水谷昇君) この点につきましてはしよつちう研究しておるのですけれどもはつきりしたところが出ないのです。今山下人事官のおつしやつたように付けたがいいか、付けんがいいか、同時ならば勿論付けないでいいわけなんです。同時でない場合にはどういうふうにしたらいいかというようなことを今日まで研究して来たのですが、或いは又これは運営の面で多少の差を付けるべきであろうかとも考えて見たり、はつきりしたところは今きまつておりません、今研究中なのです。
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 研究中ですが、結局職域差で待遇差を付けて行くということは多分文部大臣もお考え通り余りうまいものじやないということはやはりお考えになつていらつしやるようですが、まあこういうことを言つていいか悪いかわかりませんが、これは文部省は正しい教育行政の上に立つてそういう体系ということを考えて行かなければならんことは勿論でありますけれども、仄聞するところによると、某方面からの猛烈な運動で文部省意向がぐらつくというようなことがあつたらば、これは私は文部省の将来に一大汚点を残すものだ、どうかそういう教員の全般的な待遇ということは、日本教育行政の鍵を握るものだ、こういう観点に立たれまして、是非とも政争の中にそういう問題が断じて解決されてはならない、どこの太陽の下に出しても、いつでもこれは百万人が双手を挙げて納得し得る体系でこそ初めて文部省としての主動性を発揮するものだ、学童給食の話ではありませんが、どうやら文部省は腰が弱い、もつと信念を持つて教育行政のために正しいことを堂々主張されるように、これを私はまあ御結論が出ないようでありますから、強く要望いたします。
  106. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 文部省が政争の渦中に入るというようなことは絶対ありません。併し教員の中でその意見が非常に違つておる、いろいろ陳情をなさるので、これは一つ教員自身も大いに反省をしてもらわなければならない。私はそう考えております。御陳情の点はどちらから見えましても承わりまして、公正な判断の下にこれを処理したいと思います。
  107. 加納金助

    理事加納金助君) それでは本日の委員会はこれを以て終りといたします。    午後一時十九分散会  出席者は左の通り。    理事            加納 金助君            高田なほ子君    委員            川村 松助君            大野 幸一君            高橋 道男君            矢嶋 三義君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    人事院人事官  山下 興家君    大蔵事務次官  舟山 正吉君    文部政務次官  水谷  昇君    文部省管理局長 久保田藤麿