○大野幸一君 先ほど来から
教育畑出身者の
委員から細かい御質疑がありましたが、私はその畑でない出身の
委員といたしまして、
質問をさして頂きたいと思うのであります。
講和条約が成立して、かねて
日本が苦しくなるということの覚悟はしておりましたが、その第一歩が頑是ない幼い子供の
給食に関することにな
つたことを非常に悲しむのであります。この報を受けたときに、
大蔵当局の池田蔵相の
方針であろうと思いまして、ただただ池田蔵相は冷酷な人だという感じを受けました。私は併しこの半面に又以前から池田蔵相が破産倒産止むを得ないとい
つたようなこと、貧乏人は麦を食
つて金持は米を食えばいいじやないかとい
つた言葉は膾炙されておりますけれ
ども、私は曾てはこの
大蔵大臣が、私のほうの副議長である三木治朗氏が労働争議の問題のときに、池田蔵相のまだ下級官であ
つた当時でございまして、労働組合の退職
手当に対して各税務署から課税をされた、併しながらこれは労働者にと
つてかわいそうであるということの陳情があ
つたときに、よく了解して、全国にこの税をとらないようにというような指令を発せられたという秘話を聞いております。私は蔵相が話せば必ずわかる人だという信頼をいたしております。
従つて今や蔵相の肚にかかるというとき、幸いに
閣議がまだ留保にな
つているこのときでありますから、どうかお帰りにな
つたならばお伝え下さ
つて、そうして成るほど
国家財政でお骨折の
大蔵当局に対しては深甚の謝意と敬意を表します。併しながら国家の
財政もやりようによ
つては五十億、百億というものはどうにか操作ができるのが、私は
大蔵大臣池田さんの手腕であろうと思います。ただそこに
一つの子供に対する情で私は今
質問をするというより、全国の幼い子供の心持を代表いたしまして、国会議員の名誉を捨てて歎願の
意味で
大蔵当局に申上げておるのであります。成るほど池田さんの
考えもそうでありましようが、同じ閣僚の文部大臣或いはここに御出席の氷谷政務
次官も共に自由党出身の人であります。御承知の
通り今は
大蔵大臣そのものもやはり自由党の出身であ
つて、政党政治の基礎に立
つておられるのでありまするから、
国民の
世論、七八%の
国民の
世論、これを無視されない賢明なおかただと思うのであります。そういう
意味におきまして、今に始
つたこの制度でなく、本日配付の
資料によりましても、各国五十年の歴史を持
つていることであります。これが
日本で最も盛んに行われたのも戦前からだということであ
つて、決して戦後に初めて開始されたものではない。戦後に成るほど連合国の好意によ
つて発展、助長されたのでありまするけれ
ども、その起源は戦前より行われた、こういうことで
講和後にこれが
廃止されるということはどうも納得が行かない。若しも子供の犠牲においていろいろ
経費がほかに廻されるというような印象を受けては私はいけないと思います。安全保障条約においてどんな内容が持ち来されるかわかりませんが、併し駐留費の五、六百億を
日本が
負担しなければならないやに承わ
つております。併しかかるときに我々がそれは即ち
学校給食をやめてこれに振り向けられたのではないか、こういう印象を受けることは、決して過法六カ年間の占領政策、アメリカの好意に対しても私は申訳ないことだと思う。そういう
意味におきまして、若しもこれが或る過激論者に利用されるならば、全国の
児童の署名を以て、或いは全国の教職員組合及び母、その他の者の署名を以て進駐
費用に代えてこの
学校給食に振向けよ、とこういうような請願をアメリカに対して請願したならば、どんな影響を受けるでありましようか。過去六カ年間の占領軍の好意をどうか無駄にしないように、お帰りになりましたならば、
大蔵大臣にこの心からなる国会議員の権威を捨てた私の歎願の意をお伝え下さることをお願いいたします。