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1951-09-06 第11回国会 参議院 文部・水産連合委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月六日(木曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件教育及び文化に関する一般調査の件  (東京水産大学校舎及び敷地問題に  関する件)   —————————————
  2. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 慣例によりまして、不肖私が委員長に当りたいと存じます。只今より第二回の連合委員会を開会いたしますが、過日の連合委員会におきましては、各方面から証人をお呼びいたしまして、水産大学の敷地及び校舎に関する問題の経緯並びに実情について種々聴取をいたしたのであります。大体問題の全貌が明らかになつた次第であります。更に又去る九月の三日、文部大臣法務総裁大蔵省関係者かたがた水産大学を実地に調査いたされまして、問題の重要性及びこれが緊急に対策必要等を痛惑いたされたそうであります。そこで本日の連合委員会におきましては、これらのかたがたの御出席をお願いいたしまして、本問題につきまして、大体の結論を明白にいたしたいと存ずるのであります。
  3. 大野幸一

    大野幸一君 国会も休会中のことでありますので、この連合委員会の当初に幸い法務総裁の御臨席も願つておるようなわけで、近頃問題になつておりまする日本共産党逮捕事件、又は追放云々という噂もございますが、これに関連いたしまして、今法務総裁調査範囲内における日本共産党活動状況を御説明頂きたいと思うのであります。国民も又日本共産党のその動きに対して関心を持つておることと思うので、一つ法務総裁からその点をお伺いしたいという動議を提出いたします。
  4. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 大野委員に申上げますが、今日の問題は、只今申上げましたように水産大学の件についてお尋ねし、この結果を如何にするかということを急がれたいのでありますので、只今の問題は、これは或いはお取りやめか、然らざれば最後一つお願いしたいと思います。最後に若し皆さんの御同意がありますれば……。
  5. 大野幸一

    大野幸一君 それは異なことで、今までたびたびこういう委員会が持たれた機会に、出席大臣の関連されることに対して緊急質問をした例はいつもあるのであります。委員長はそういう経験がないかも知れませんが、我々は常にそういうことを緊急動議として提出しておるのであります。これを委員に諮り、そうして又これは単に便宜上の問題でなく、こういう機会にこういうことを述べられることは何ら差支えないのであります。先ほど委員たちの仲間におきましても、極く簡単に御答弁になり、又簡単に質問を終ろう、それで質問に差支えないということまで打合せておるわけです。その点をお取計らい願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 平岡市三

    平岡市三君 異議あり。この委員会の前に打合せということをやつたような大野さんのお話でありますけれども、とにかく公報にも発表されておりますし、主題はやはり水産大学の問題でありますから、これを先にお話を承わりまして、質疑は若しも時間でもあり、或いは委員皆さんが賛成するならば、あとでお伺いすることが本筋じやないかと思います。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは緊急動議として提出されたのでありますから、委員長はこの緊急動議を取上げられて、ここでお諮りになるということが、私は適当なことで、方向を左右するような御発言を冒頭から委員長がなさるということについては私は解しかねております。ですから、この緊急動議を取上げるかどうかということをお諮り頂く、先ずそれが第一だと思います。
  8. 加納金助

    委員長代理加納金助君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  9. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 速記を始めて下さい。
  10. 大野幸一

    大野幸一君 只今懇談中に、法務総裁もこのことに対しては、いずれ国会答弁をしてもいいと思つていた。ところが今直ちにここに資料がないから、資料が準備できるまで時間的に猶予して頂きたいという意味の御発言があつたので、私もそれを了解いたしまして、適当な機会に本委員会が解散に至るまでの間において、一つすることに皆さんの御同意を得たいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 加納金助

    委員長代理加納金助君) では、主題につきまして、委員皆さんの御質疑をお願いいたします。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 質疑の前でありますが、今日は一番文部大臣法務総裁、それから大蔵次官、このお三人は、これは不可欠の要件として御出席を願つておるわけでありますが、なぜ大蔵次官はお見えにならないのですか。
  13. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 高田委員のお申出でありますが、大蔵次官は止むを得ざる用事のために本日出席がなれんというので、主計官岩動氏がお出でになつておりますから、そういうふうに一つ質疑を同君にやつたら如何ですか。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 この連合委員会は、やはり相当の重大な結論を得るために開催されたのであつて、而も大蔵次官に御出席になつてほしいという希望は、これは強く要請されて、而も相当前から要請されておるにもかかわらず、今日になつてから岩動さんをよこされておる、それで間に合しておるなんということは、甚だ以て私は怪しからない態度だと思つておる。これは今に限つたことでなく、文部委員会においても、たびたび大蔵大臣或いは次官出席をこちらのほうから鄭重に要請しておるにもかかわらず、用があるとか何とか、そういうような理由出席されないのが常例のようになつておると思う。こういうようなことをたびたび繰返されるということは誠に私は怪しからないと思いますけれども、その止むを得ない御用というのはどういう御用ですか。
  15. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 昨日大蔵次官から私の所へお話がありまして、今日委員会があるけれども、明日は止むを得ない約束があつて、そちらのほうに出席しなければいけないし、そしてその問題については、私ども十分に次官打合せをいたしまして、次官の御意向を承わりまして、こちらへ来ました。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 あなたのお立場を私は責めるのではなくて、若しそういう事情であれば、ちやんと連合委員長の所にそれをお断わりに上がるというのが当り前で、ここへ来て質問をされてから、ぬけぬけと釈明するという、この態度がいけない、少くとも連合委員会というものの権威というものを十分に政府がお考えになるならば、そういうくらいな礼を十分に尽さるべきだと思う、又委員長さんは、こういうことに対してどういうふうにお考えになつておられますか。
  17. 加納金助

    委員長代理加納金助君) これはしばしばの要請でありまして、万障繰合して出してもらうということを希望したのでありますが、併し只今主計官よりこの弁明があつたことくに、どうしても今日抜けることができない、甚だ遺憾である。併し自分に代つて自分意思を十分伝えてくれというので、今日は岩動主計官次官の旨を受けて来ておる、かようでありますから、まあ一つできるだけ主計官と折衝して頂いたら如何かと思います。
  18. 高田なほ子

    高田なほ子君 よくわかりました。併しこの水産大学の問題は、やはり財源措置というようなことが非常に大きな原因を持つておるということは、一応この前の会で私どもはつきりそれを把握しておるわけであります。こういう重大な会に止むを得ざるという事情岩動さんをおよこしになつ事情については一応了承はできるのでありますが、今後こういうことがないように、十分委員長のほうからも大蔵次官にこのことを明確に、こういう意思のあつたということをお伝え願うと共に、どうぞ大蔵省のほうでも、こういう非礼のないように前以て委員長のほうに鄭重にその理由をお断わり頂けるような措置を講じて頂くことを希望いたしまして、了承いたしました。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 会議は進行されますね。
  20. 加納金助

    委員長代理加納金助君) どうぞ。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 早速私から申上げたいのでありますが、今日の議題を拝見するに、最も手短かな方法としまして、この前文部委員会から、文部委員会の申合によりまして、天野文相大橋法務総裁が直接久里浜の水産大学現地を視察されたいということを要請したのでありますが、お聞きしますと、これが過日果されたそうです。従いまして、この内容又は向うに行かれましてどういうようなこれは見解をおとりになつて、その結果この問題の解決に対してどのような御対策をお持ちになつておるのでありますか。この点を先にお伺いしたいと思うのであります。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は前々から一度水産大学を見たいと思つたのですが、この間大橋法務総裁と御一緒に見ることができて非常によかつたと思うのであります。水産大学に行つて見て、そうして非常に内容が充実しているのに反して、設備が非常に悪い。又それだけでなく、この前の委員会でも申したように、今の事情というのはただ設備が悪いという以上に、非常に学生に対して悪い感じを持たせるような形になつておることが非常に遺憾である。だからして、一日も早くこれを解決しなければならんと今までも思つてつたのですが、見た上においては一層そういう感を深くしたわけでございます。それで大橋法務総裁が非常な御理解を持つておられますので、よく大橋法務総裁に御相談をして、この問題を処理して行きたいと思います。又大蔵省からも岩動主計官一緒に行つて下すつて実情をよく見られましたから、大蔵省のほうともよく折衝して、そして適当な解決をしたいと思つております。ただ併し今すぐどうするということは、まだそこの結論まで私は到達いたしておりませんことをお伝えいたします。
  23. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私も三日の日に文部大臣と御一緒水産大学調査に参りました。おおむね委員会におきまして、各委員よりお述べになりました事柄が事実である。これは教育のために何とかしなければならん。而もそれが焦眉の急務であるという感じを持つております。この点につきましては、今後急速にこれを改善する方途をいたしたいと考えております。従いまして只今文部大臣お答えになりましたごとく、文部省におきましても急速に方針を立てて御検討のところである、かように存じております。この文部省計画というものがきまりましたならば、これを実現いたしまするために、私の分担さして頂く事柄でありまするならば、是非ともさして頂きたい、かような考え只今つております。
  24. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 大蔵省考えを申上げておきたいと思います。先日私も文部大臣法務総裁のお供をいたしまして参つて実情をよく見て参りました。只今文部大臣法務総裁からお話がありましたように、この問題は放つておけない問題であるということも私どもよく認識をいたしたのであります。そこで先ずいろいろ校舎の問題につきましては、将来講和条約でいろいろな条件が変ることも考えられますので、そういうものとにらみ合せて、できるだけいい方法予算的な措置もとつて解決して行きたいと考えております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 只今説明をお聞きしたのでありますが、そうすると、文部省の案というものが一番まあ先になるようなお話なんでありますが、この問題の解決の今までの実態を見ますというと、文部省の進める案、それが非常に予備隊の今後のそういう計画関係が非常に深いと思うのです。具体的にこの前から問題になつておりましたところの、結局越中島の現在の予備隊本部の問題、この問題をどうするか、こういうような方向について文部省としては今後案を進められるつもりでありますか、それとも新らしい方法によつて水産大学移転考える、こういうふうに大体お考えになつていると思われますが、この点明らかにして頂かないと、我々本問題を推進するのに、この点が明瞭にならないと思います。
  26. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 越中島をあけて頂いて、あすこに帰るということが、これが第一案であります。けれどもあそこをあけただけでも足りないという欠点もあり、又あそこを直ちにあけるということも容易でないというようになつて来ておりますので、あれを第一案としておりますけれども、併し他にもつと適当な場所でもあれば、そういうところでも考えるというようなふうにして、直ちに必ずあそこでなければならんと、こう今は考えておりません、けれども、併しあそこを第一案として考えております。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 大蔵省にお伺いいたしますが、非常に大さつぱでありますが、講和後における情勢に善処するというお話でありますが、講和後におけるこの警察予備隊施設というもの、教育施設というもの、これは今から見通しというものははつきりはつかめないにしても、どちらに優先的に考えられるか非常に大ざつぱな質問でありますが、お答え下さい。
  28. 岩動道行

    説明員岩動道行君) どちらに優先するということでなしに、いずれも大事だとして取扱うべきだと考えております。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは法務総裁ちよつとお伺いいたしますが、それに関していずれも大事だというわけでありますが、第十国会予算委員会においても、この水産大学の問題が質問に出ましたときに、成るたけこの問題は緊急に処理したいということを政府側としてお答えになつているわけでありますが、この問題を解決するに当つては、予備隊地方配置についての大体の姿というものがわからないと、越中島の問題も相当むずかしくなつて行くのじやないかと思いますが、現在の配置場所は今後更に変更して行くのでありますか、どうですか。
  30. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊は現在一応配置をいたしておりまするが、この配置は主として急速に収容施設を求めて、そうしてそこに配置して置くという次第でございまして、今後の国内の状況に応じまして、真に必要なるところに部隊配置するという必要はあるわけでありまして、その見地から見ますると、今日の配置は一応応急的な配置であるということが言い得ると存じます。勿論どこに置くことが一番適当であるかという問題は必ずしも絶対的なものではございませんので、相互の総体的な或る部隊がここにあれば、この部隊はここでいいと、相互的な関係もありますので、全面的に改めるという必要はありませんので、併し全体の配置の上から見まして、なお二、三配置替えの必要のあるものもあるというふうに今感じております。従いましてこれにつきましては、今年度並びに明年度におきまして施設を整備いたしまして、配置を恒久的なものにいたしたい、こういう考えを以て準備を進めつつあるわけであります。そこで具体的には越中島の問題でございまするが、越中島につきましては、ここに現在ありますものは、警察予備隊七万五千の総司令部に該当いたしまする総隊総監部並びにその直轄部隊一箇大隊、これがあの建物の中に入つておるわけであります。このほかになお警察予備隊本部というものがありまする、これは総員百名ばかりでございまして、大して大きな施設を必要とするものではございません。併しこの場所は必ずしもあそこでなければならないというものでもないのでありまして、むしろ適当な場所がありまするならば移転をするほうが利用上は便利ではないかというふうに考えておるような状況でございます。ただこの点は国の建物全体の利用計画と関連を持つわけでございまするが、先ず今考えられまするところは、講和条約効力発生に伴いまして、今日占領軍において接収いたしておりまする東京都内相当大きな建物もあるわけであります。その中には従来から政府の所有になつておるものもございます。これらの建物あき工合から見まして、適当なものがあれば、そちらへ移転することによつて、現在の建物をあけるということも十分に考え得ると思うのでございます。私どもといたしましては、その際の実情に応じまして、それが適当であるという場合には、決して現在おるからそこにいたいという気持で頑張るというつもりはございません。十分に水産大学のために完全なる施設を得させるという、そのことのために御協力の気持を以て善処をいたしたい、かような方針でございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 この予備隊配置は一応暫定的なものである。そうして越中島の問題についても今後考えて行きたい、こういうのでありますが、一番お伺いしたいことは、予算委員会増原隊長の御答弁じやなかつたかと思いますが、年内配置すべきものの移動は終るという考えを持つているというような御答弁がこの記録に見られるのでありますが、今のこの配置を変更するということは、水産大学解決に非常に不可欠の問題だと思いますが、移動が終了するというのは、この年内に終了されるようになるのか、そうだとすれば大体越中島のこの見通しというものは、年内にこれが付くのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  32. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 増原長官からお答え申上げました事柄は、これは部隊全体の移動の問題であると思いますが、それはでき得れば年内に少くとも計画だけは完了いたしたい。こう考えております。併し新規にそういう大規模な建物を建築しなければならないものもございまするので、年内に完了するということは不可能である、こう思います。恐らく来年度へ跨がるものと思います。それで越中島の問題につきましては、部隊全体の配置ということは切り離して考えております。と申しますのは、総隊総監部部隊配置如何にかかわりませず、実際上東京都内にありますことが必要である。こういうふうに存じております。これは東京都内になければならない。そして東京都内におきまして、最も予備隊のために適当な場所にあるかというと、必らずしもそうでないのでありまして、予備隊といたしましては、予算が許しまするならば、もつと適当なところに移転をいたしたいという希望は、かねてから持つておるわけでございます。従いまして、予算が認められる、或いは又講和後の建物接収解除状況によりまして、より適当な場所予備隊に与えられ得るという場合におきましては、進んでそちらへ移転をいたすというふうにいたしたいと存じておるのであります。勿論その場合におきまして、多少現在の場所と比べて大した違いはない。或いは多少は不便になるかも知れんという場合におきましても、国といたしましては、水産大学施設の整備という見地から、或る程度まで予備隊としては不便を忍びましても、適当な建物があれば、そちらに移転することもやぶさかでないという気持を持つております。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、全権帰つてから、具体的に予算と睨み合せて、予備隊移動ということも考えるということになりますと、講和後に全権が帰られてから、大よその見通しが付く、大ざつぱに大体今年中には一応の見通しが付きそうだというようなお考えですか。
  34. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 今申上げましたるごとく、講和後におきまする政府建物占領軍接収解除状況ということが今まだ非常に大きな未知の計数として残つております。この計数に対する具体的な回答、具体的な数字というものを待つて初めて全体の建物見通しが付く、そういうふうに考えております。即ち予算の問題ばかりでなく、予算のほかに、将来日本政府建物講和後において如何解除されるか、その解除状況とも見合わす必要がある、こう考えております。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 警察予備隊施設というものと、教育施設というものの観念が大体ここでわかつて参りましたが、どうやら警察予備隊施設のほうにすべて重点が置かれておるのを、大橋さんの御人格として、それを非常にカバーしておるようでございまするが、そこで文部大臣にお伺いいたしたいのは、新設をされる御希望を持たれておるのか、或いはその時期までお待ちになつたほうがよいというような大ざつぱな考えをお持ちになつていらつしやるのか、どちらでございますか。
  36. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今のところでは、先ほども申しましたように、警察予備隊本部が側に移転されて、そうして越中島におられればそれがよい。そういうのも一案として考えておるわけであります。けれどもそれをすぐというわけに行かないので、他に適当な場所があつて、そうしてそこに水産大学が移れるということならば、それでもいい、現に昨年の十一月と思いますが、そういう候補地があつて、無理をしてでもその候補地を手に入れようとしたところが、他にそれをとられてしまつたというような例がありますので、私ども越中島を第一の候補地としておりますけれども、他の候補地も考慮に入れてやつておるという状態でございます。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体お考えがわかりましたが、それにはまだ相当の時日が要るものと考えます。そこで大臣総裁大蔵省かたがたも御覧になつたごとくに、冬を迎えるに当りましても、余りにもあの設備では残酷だと思います。殊に学生諸君の寄宿舎のごときは、あれでも冬を越せるかというくらいに痛ましい気持を持つております。又交代のとき、とても冬になつた場合に相当に御苦労だと思いますが、暫定的でも応急の、本当の応急措置をなされるようなおつもりがおありでしようか、どうでしようか、大臣に伺います。
  38. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点は私ももつと研究いたして見ます。で、そういうやはり金の要るものでありますからして、よく研究して、又あすこにいつまでもおるならば、いつまでも手を入れますけれども、併しできるだけ早くあそこをのこうとするとき、どれだけの範囲においてあれを修繕したらよいのか、そういうふうなこともよく研究して見たいと思い、そのように事務のほうに言つておるわけであります。
  39. 木村守江

    木村守江君 文部大臣法務総裁、次に大蔵事務官現地を見られましたことで、恐らく学校生徒は勿論、生徒諸君水産関係諸君は非常に嬉しく感謝いたしておる次第だと考えます。私も文部委員の一員といたしまして、かようなことをいたされまして非常に嬉しいと考えております。この三人がお出でになりました結論といたしまして、どうしても水産大学の現状は、緊急にこれを何とかしなくちやいけないというような結論に達したというような御意見を拝聴いたしました。ところが大体第一のその案件といたしましては、越中島移転というようなことでありますが、果して講和条約効力を発生いたしまして、越中島が使えるようになりまする時期は大体においていつでありますか、お伺いいたします、法務総裁に……。
  40. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 来年の早くて半ば頃じやないかと思いますけれども、確たる見通しがあるわけじやありません。
  41. 木村守江

    木村守江君 三人の御意見がいずれも緊急を要すると、もう本当に一刻もあの状態では水産大学としての学校教育ができないというようなお見通しでありますのに、大体来年の早くも夏頃というようなお見通しでありますが、これも文部大臣水産大学教育に差支えないとお考えであられますかどうか。
  42. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 水産大学教育は今すでに差支えておると思うのです。だからして長く延びることが差支えると、当然そう考えておりますけれども、併しそれならもう今でも差支えると思うのですが、それならばすぐどうするということができないというのが現実だと思うのです。だからその来年の半ばまで待たないでも何か適当な所があれば、そこを買収する、何とか方法を講じようとか、いろいろなものを同時に考え合せて考えたいという建前で行つております。
  43. 木村守江

    木村守江君 それから先ほど文部大臣お話の中には越中島が第一候補地である、併し越中島がいつあくかわからないということと同時に、越中島が狭隘を感じて、果して水産大学としては将来適当なものかどうかを考えざるを得ないというようなお話があつたと思うのでありますが、そうすると、私は越中島を第一条件としての条件が完備していないのじやないかと思われるのでありまして、そういう点を考えますと、何か別に早急に候補地を見付けるというようなことをなさるべきではないかと思いますが、如何ですか。
  44. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は越中島が幾ら狭隘であつても、歴史上的な感情から言つても、これは越中島を第一候補地にするに足ると思つております。若し越中島に移れるならば、あとの足りない分は方法を講ずることもそうむつかしいことではない。だからして余り遠くない将来において越中島に移れるならば、これに越したことはないという考えでございます。併しですね、越中島に移るということもすぐというわけに行きませんから、若しここに新らしくよい候補地が出て来るならば、どちらをとつても差支えない、こういう考えでございます。越中島が第一候補地として足ると考えております。
  45. 木村守江

    木村守江君 文部大臣の御答弁大橋法務総裁の御答弁によりまして、大体了承いたしましたが、この問題は水産大学としては致命的な大きな問題だと考えます。さような点から只今述べましたような考えも閣議においてこれを述べられまして、閣議の決定事項として、将来この問題を徹底的に解決するというような御決意がありますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  46. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 法務総裁はどうお考えになりますか、私はこれは要するに今の方法論なんですから、どういう方法がよろしいか、そういう閣議の決定事項とするのがよろしいかどうか、こういうことはよく相談をして見たいと思います。私はどういう、一つ方法としてそれが適当であるかどうかということを今はつきりいたしませんから、併しこれは法務総裁のほうがそういうことはおわかりだと思いますから、法務総裁の御意見をお聞きしたいと思います。
  47. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はできるだけ速かに水産大学施設の改善整備を図るということが急務である、こう考えております。その方針、そういう考えの下に私の職務上の立場からできるだけの御協力をいたしたい、こう考えております。その方法といたしまして、閣議においてさような方針を決定するかどうかという問題もあるが、これは御所管の文部大臣において考えて頂くことがいいと思います。文部大臣から御相談がありましたならば、よく御相談を申上げまして、できるだけ先ほど申上げました方針というものがうまく実現できるような方法をとることに努力をいたしたいと思います。
  48. 木村守江

    木村守江君 非常に心細い御答弁考えましたのですが、文部大臣文部大臣考えとして、どうしても水産大学をあのままにしておいてはいけないという固い決意のあることはよくわかりますが、この際こういう大きな問題を文部大臣一人の腹の中にしまつておかないで、一人で心配していないで、これは閣議全体の連帯責任というような恰好に閣議にこれを諮りまして、大橋法務総裁もこれに対しては絶対に協力するというお話でありますので、閣議決定事項として、これを成るべく早く推進して実行して頂きたいと考えております。大臣の決意のほどをお伺いいたします。
  49. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今申しましたように、私どもはこの問題は焦眉の急務であると考えておつて大橋法務総裁も最善の努力をしてくれるということであるし、それを実現するのに閣議の決定事項とすることがよいかどうかというその方法論は、私は今はつきりしないから、よく他の人とも相談して、それが適切であるということならば即刻そうしたいと思つております。
  50. 木村守江

    木村守江君 この際大蔵省岩動事務官にお尋ねしますが、岩動事務官は大蔵次官の代理として、大蔵次官のすべての意向を代表してここに参つたというような話でありますので、只今のような問題は、これは急務の問題でありますので、これを実行するためには、大蔵省としては全幅の協力をするということに了承しておいて差支えありませんか。
  51. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 文部省、それから警察予備隊の具体的な計画を伺いまして、それによつてできるだけ問題をよく解決するということに努力をいたすつもりでおります。
  52. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 只今大臣から水産学校の問題については十分な熱意を持つて解決したい、こういう御意見をお聞きいたしまして、その誠意に対しまして十分了承するわけでございます。ただこの問題は相当久しい以前から問題になつておりまして、その際から、すでにその当初から早急に何とか解決したい、こういうまあ御答弁があつて、而も今日に至つておるわけでございますが、従つてこの際この解決のためにはなお具体的に積極的な御努力をされることを切望するわけでございます。それに当つて私はやはり文部大臣の見解を妥当だと考えておるものでありますが、というのは、この警察予備隊のために学校接収されているということ自体が、これはやはり国民に相当悪い印象を与えておると私は思つておるのであります。で、教育よりも予備隊のほうが重大であると、こういうふうな印象をかなり強く与えておるのではないかと思うのであります。そういう意味から言つて、どうしてもこの問題の解決に当つては、そういう点が考慮されなければならないと、そういう意味から申しましても、とにかく学校に返す、学校のものを学校に返すと、こういう建前で進めて頂くことがいいのじやないかというふうに考えておるわけであります。で、この問題についてはこれ以上申上げることはないのですが、要は解決するということにあるわけですから、問題は依然として今後に残つておるわけであります。私は両大臣の熱意に十分の信頼を置きまして、この問題を解決されんことを切望する次第であります。ただここで大橋総裁にお伺いしておきたいと思いますことは、この間の予算委員会大蔵大臣質問に答えまして、将来警察予備隊の増強を図る考えである、こういうお話がございました。その内容につきましては別に触れておられませんけれども、これは警察予備隊の装備を充実することもあるでしようが、費用の問題もあると思います。そうしますと、将来又再びかような問題が起りはしないかという懸念がいたすわけでございますが、現在におきましても、相当数の教育施設予備隊接収されておりますが、将来、又警察予備隊の増強問題が起つて、こういう問題が起るかも知れない。こういう危惧を持つておるわけでございます。そこでそういう問題につきまして、やはりこの際重要なことは、将来におきまして教育施設接収しないという方針が立てられるということが私は非常に必要ではないかと思つております。そういう点につきまして、大橋総裁はどういうように考えておられるか承わりたいと思います。
  53. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊のために教育上の施設接収しないということは、これは誠に同感でございまして、警察予備隊といたしましても、今日まで勿論さような方針を守り、又実行して参つたつもりでございます。併しながら現実の問題といたしまして、ここに問題となつております水産大学の問題があるのでございますが、これにつきましても、私ども警察予備隊考え方が決して予備隊のために水産大学教育施設を犠牲にするというふうなことを考えておつたのではないということだけを御了承を願いたいのでございます。と申しますのは、実は現在の先ず越中島の問題でございますが、越中島はすでに終戦直後のことであつたろうと存ずるのでございますが、越中島の高等商船学校並びに水産大学占領軍接収されておつた。そうしてその接収されておりましたものが、漸次朝鮮事変その他情勢の変化によりまして、占領軍といたしましても現実に使用をいたしておりません部分が殖えて参りました。そこで接収してはおりますけれども、大分現実にあいておりました。そのときに警察予備隊が創設されることになりまして、この警察予備隊の創設につきましては、軍司令部におきましても非常な関心を持つておりまして、あらゆる援助を惜しまなかつたわけでありますが、丁度その際に接収をいたしておりながら、而も現実にあいておる建物が全国に相当数ございました。それはもともと日本軍の兵舎を接収いたしまして、そうして、兵営として使つておつたものがあいておつたものもあります。併し只今申上げましたるごとく、教育施設接収し、兵舎として使つておつたものであいたものもあるわけであります。これらの現実にあいておつた接収建物を、司令部といたしましては、日本政府警察予備隊創設に関するものを援助するという気持を以てその使用を許されたわけであります。こういう状況でありまして、接収中の建物警察予備隊が収容されるようになつたわけでございます。その後にいよいよ司令部側といたされましても、現実に当分使用の見込みのない建物接収解除するという措置をとられるものも出て参つたのでありますが、その際におきまして、現在警察予備隊の使つておる建物警察予備隊に引続き使用させるという条件の下に接収解除されるのであります。こういう趣旨の解除なつたわけでございます。これでまあ現在警察予備隊が引続き越中島におるというようになつたいきさつがあります。それから水産大学にとりましては誠に不運ばかりで、御同情を申上げておりますが、水産大学越中島接収された際には久里浜に移転をされたのでありますが、この久里浜も又警察予備隊が入つて参りまして、この実情はどうであるかと申しますと、水産大学は久里浜の元通信学校建物のうちの一部分を使用しておつたのでありまして、大部分、即ち今日警察予備隊が使用いたしております部分は移転当時におきましては水産大学へ貸されていなかつたのであります。勿論狭隘であることは当時から狭隘であつたのでありますが、貸されていなかつたのであります。そのうちだんだん他の部分を使用いたしておる日本側のいろいろな官庁或いは司令部側の機関がこれを他へ移転する。或いは解消するというようなことで、事実上相当現在の久里浜の警察予備隊の使用いたしておる建物があいて参りましたので、そこで日本側の大蔵省文部省との相談によりまして、大蔵省の内諾を得まして、現在警察予備隊が使用いたしております相当の部分を事実上使用するということになりました。ただこの事実上の使用関係は日本の政府内の申合せによつて行われたことでありまして、建物全体を管理いたしております司令部のOKをとつて行われたことではなかつたのでありまして、従いまして恐らく司令部といたされましては、現在警察予備隊の使用いたしておりまする建物は、これは司令部接収をいたしておる、そうしてそれが事実上あいておる、こういうふうにお考えになつたのではないか。そこであいておる建物警察予備隊が入るようにという措置がとられ、そうして引続き入つておるということになつておるのじやないかと思います。勿論警察予備隊といたしましては、当時創立早々の際でございまして、手が十分にございませんので、実は警察予備隊自体の力で適当な建物を探し歩くことも不可能であつたのでありまして、司令部の御好意で、幸いにこれらの建物の使用をいたしたということは事実でございます。それが今日まで引続いておるわけであります。併し先ほど来申上げましたごとく、建物はその建物利用するに最も適切な国家機関が利用するということが国の全体の建物利用の上から言つて必要であると考えますので、警察予備隊利用する以上に、その場所、その建物利用することが必要だ、そういう施設がありました場合におきましては、他に代りを求めて移転するということは警察予備隊としても当然考えなければならんことであると、こう存じておるのでございます。従いまして警察予備隊は過去におきましても、将来におきましても、結果的には只今申上げましたような経過を辿りまして、教育施設の犠牲において予備隊の庁舎を得ておるというような結果になつておることは、これは否定いたすものではございません。併し当初からさような意図を持つておつたわけではないということをよく御了解を願いたいと思います。従いまして、今後におきましても勿論さような考えは毛頭持つていない。ただむしろ多少の不便は忍びましても、国家の重要なる教育施設のために他に移転をするということは考えるべきであると、こういう考えなのであります。それからこれに関連いたしまして、只今質問のうちに警察予備隊の増強ということを仰せられましたが、これは数的の問題は全然只今問題になつておりません。従いまして訓練並びに装備の強化という問題でありまして、強化に関連いたしまして、差当り新らしい建物を必要とするという状態には警察予備隊はないわけでありまして、但し現在の建物が適当でない場合におきまして、他に新らしく求めるということはあり得るわけであります。これは他の犠牲において求めるというのでなく、現実にあいておるものを使う、或いは新たに建てる、まあ他に迷惑をかけないという方向に進んで参りたいと思つております。
  54. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 今の御答弁で、将来教育施設警察予備隊のために接収して使う、こういうことは全然考えていない、こういうことでありますので、その点は十分了解いたしました。なおやはり水産大学越中島校舎利用する経過から考てましても、いずれこの施設講和条約が成立すれば接収解除される。そうすれば当然これは学校に返還さるべきものであると、自分はそういうふうに考えておりますが、そういう建前に立つて、幾ら遅くても接収解除されるときにはこの問題は完全に解決されていなければならんというように考えておりますが、そう了承して差支えありませんか。
  55. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは考え方の問題でなく、現実の問題でありまして、現実に引越の場所がなければ、水産大学予備隊を立退かしてそこに戻るということは事実上不可能であります。併しながら水産大学場所として、どうしても越中島でなければならないというふうになり、又警察予備隊としましても。他に移転すべき場所がありますならば、それはもう移転すべき場所があり次第移転するということは十分お答えができることであります。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ず法務総裁のさつきの久里浜校舎水産大学に使用するに至つた経過が若干私は齟齬しておるのではないかと思つて重ねてお尋ねいたしますが、総裁のお言葉では、あの水産大学が使用したところの校舎というものは、日本政府部内の相談によつて使用するようになつたのだ、こういうような御発言があつたようでございますが、私の承わつておるところでは、昭和二十四年の十一月に、米海軍の横須賀基地が使用しておつたところの鉄筋コンクリート建ての二棟、あの建物の一番いいところでありますが、それと、鉄骨及び木造各一棟、合せて五千坪、これを米海軍基地は爾後大学として使用することを適当と認める。そうして更に米海軍横須賀基地司令官デツカー少将が第八軍宛に、あの建物水産大学に使用させることが適当と認められることの添書まで出されて、そうして大蔵と、それから文部関係、米海軍基地の関係官は勿論立会いの上で、結局あの建物の一番主な部分、鉄筋二棟以下を使用するに至つた。そうして昭和二十五年の八月十九日になつて、即ち警察予備隊の問題が浮び上つて来て、そうしてあの分の立退きを命ぜられた。こういう経過と私は承わつておるわけでありまして、警察予備隊が発足する前は、海軍通信学校であつたところのあの建物の大部分を水産大学に使用させるという点においては、私は国内だけではなくて、占領軍も含めて了承し、又水産大学もそのつもりで進んでおつたと思うのでありまして、その点さつきの総裁の言葉と私は非常に食違いがあるように思うのであります。重ねてその点はつきりお伺いしたい。
  57. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私も正確には実は知らないのでございまして、只今そういう文書に基いて仰せられたのでありますが、恐らく私の申したことが誤まりで、只今矢嶋委員お話になりましたことが真相かも知れません。併し当時いずれにいたしましても、警察予備隊といたしましては、そこに隊員を収容すべき宿舎の建物を自己の機関によつて求めるだけの能力がなかつた。これに対しまして、司令部当局におかれましては、警察予備隊創設の日本政府事務を援助するという考えの下に全国のいろいろな建物調査されました。そうしてここに収容したらどうだというようなお話も出て、又それがために司令部のお見込みによりまして接収の手続をとられたものもございます。恐らく水産大学はその際に接収されたものと思うのでありまして、併しそれは警察予備隊といたしまして、教育施設予備隊強化のためには犠牲にしても止むを得ないという考えでやつたことではないということを申上げたのであります。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点はそこでいいとしまして、文部大臣にお伺いいたしたいのですが、先般の本問題に関する委員会のときに、私は文部大臣に、昭和二十六年度の国立学校の文教施設費の予算の中に、水産大学校舎に関する予算が入つているかという質問に対して、入つていないという御答弁があつた。更に昭和二十七年度の本予算文部省要求に、この国立学校施設費の予算の中に入つているかという御質問に対しましても、大臣は入つていないという御答弁であつたのでございますが、私ここで念のために伺つておきたい点は、本年度の補正予算についても、明年度の本予算にも、水産大学施設に関する予算を組まなかつた理由ですね。どういうお考えで要求されなかつたか、それを念のために承わつておきます。
  59. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは局長にお答えさして頂きます。
  60. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 補正予算にこの問題を計上いたしません理由といたしましては、先ほど御説明申上げたように、目下これにつきまして、元の建物返還という問題もございまするし、又いろいろ候補地等を探すというような事情が継続して参つて今日に至りましたので、まだ補正予算に計上するという時期に至らなかつたわけでございます。それから明年度予算につきましては、これはまだ大蔵省と公的にお打合せいたしておりませんけれども、管理局の方面におきまして、国立学校全般に対しまする相当計画の下に予算を作成いたしつつあるわけでございます。従いまして、これらのうちの一部を若しこういう目的に使うということがだんだん明らかになつたといたしますれば、そのうちに包含せられるべきだと考えております。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 昭和二十六年度の補正予算のほうははつきりしたようでございますが、昭和二十七年度の本予算の要求ですね。私は金額をまだ見ておりませんが、その数字の積算の中には入れてないということを言明されたですね。私はその数字なるものは管理局のほうで出され、会計課長と、省議決定まで行かなくても、とにかくそういう予算要求の金額というものを算出されて本委員会にも内示されたが、そのうちに入つていない、入れていない理由というものを伺いたい。
  62. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 今入つていないとお聞取られたかと思いますが、それは私そう申したわけじやございません。恐らくこういう事項は問題として中に入つていることと考えております。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、私先般の委員会大臣に御質問申上げたときに、大臣は列席されたところの管理局長と打合せられた上で入つていない。それでは将来五カ年計画を立てられているが、その中には入つているかという質問に対して、それは入つているが、二十六年、二十七年には入つていないという答弁がありましたので、その理由を承わりたい。
  64. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) それだけの建物を仮に建築いたしますといたしますれば、およそ七億くらいの費用が計上せられるだろうと考えておるわけでございます。現在国立学校だけ建物関係において、明年度予算においてどのくらいの金額を総体に要求するか、又それが成立をするかというような点につきましては、まだ御承知のように予算全般がそこまで進展を見ておりませんので、全体にその七億なるものが明年度予算において積算され得るだろうということはまだはつきり申上げられない時期でございます。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 併しそういう要求も大蔵当局にできないようでしたら、主管庁である文部省から要求されないくらいならば、水産大学教育なんかは十分だ、そういうふうにあとで受取れるのでございますが、主管庁である文部省から要求されないくらいならば、大蔵省としてはそういうことを知る由もなく、水産大学教育なんかは十分に行つているというようにおとりになると思うのでございますがね。
  66. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それはどういうふうにしてこの問題を解決するか、越中島を返してもらうか、或いは新らしく作るかというようなことがまだはつきりしないのでございます。そのために私はまだ予算措置というのを、今まだ来年度の予算がしつかりきまつていないのですから、方針がきまればそこはやれるのですから、そういう意味で入つていないと申したのであります。この間管理局長が入つていないということは、そういう意味に解釈したから、それで入つていないと言つたのであります。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の質問はそれに関連して進むのでありますが、それでは若しここに適当な候補地が見付かつた、それに基いて本問題を解決しよう、こういうことになつた場合にはどういうふうにされるお考えでありますか。
  68. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 現に去年の十一月も新らしく一つありましたというような場所が出て来たのであります。そういうときには私は大蔵省と相談して、どういう方法でも立つと思つて、現にそのときも私に事務当局が非常に金の上で困難だといつたけれども、私はそういうときには、大蔵省と相談してどうでもできるじやないかという考えでやつておるのであります。だからものがはつきりしないから、それではつきりと予算の上に上せて来ないのだと、こう了解して、この間管理局長と御相談して、そういう御返事をしたのであります。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうしますと、大臣のお考えとしては、候補地でも見付かつて、そうしてそのうちに建築でもして解決することになれば、そのときに大蔵省と協議して、その後に持たれるであろうところの国会に提出され、補正予算にでも計上しよう。こういうお考えでございますね、仮にそういう場合には、然るべきという程度のことは大蔵当局には通じていらつしやるのでございますか、如何でございましよう。
  70. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは一々大蔵当局にそれを相談しなくても、大蔵省諸君にそういうことは、私は幾らでも理解してもらえると思つております。警察予備隊のために、水産大学が殆んど成立たんような状態にあるのですから、そういう国民に与える思想上の影響から見ても何から見ても、これを大蔵省は知らない、そんな無謀なことを大蔵省諸君が言うとは私は思つていないのであります。だからして、ここにははつきりしたことが出てくればいつでも御相談をしてやろう、そういう考えで、まして来年度の予算というものは今すべてきまつているわけじやないのですから、ここに方法さへ立てばすぐそれをやつてもいい、そういう考えを持つているわけであります。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 現在水産大学教育に非常に支障を来たしている、これを解決しようという大臣の強い信念ははつきり私つかめるのでございますが、恐らく大臣はやはり越中島を、先般も答弁されたように期待しているであろう、それは結構だと思いますが、そこで私大橋法務総裁にお伺いするのでありますが、法務総裁講和条約が発効して、そうして接収されておるところの建物解除された場合或いはそれによつて解決する機会があるかも知れない、その時期は早くて八月と予想される、こういうような御答弁でございましたが、私今現在予算を組んで建築にかかつたところで、来年の八月まではかかると思うのであります。そこで私はさつきの法務総裁の意向、それから文部大臣意見、それから水産大学の要望から言つても、やはり越中島を一応水産大学校舎に返すという立場で進むのがいいかと思うのでございますが、ここで八月という問題がございますが、これは法務総裁にあえてお伺いいたします点は、私は恐らく講和条約の発効というのは三月か四月頃になるのじやないか、この発効と同時にできる問題じやないか、と申しますのは、ともかくこの講和条約効力を発生すれば、日米安全保障協定も同時に発生することになりましよう、そうしますと、現在のアメリカから日本にお出でになつているところの軍隊というものは日本駐在軍であります。そうなりますと、結局どこの建物をどういうふうに使うかということは、日本政府当局と日米合同委員会というものでやることかも知れませんが、要するに日本側とアメリカ側との話合いによつて進められて行くと思うのです。更に私は日米安全保障協定の内容を熟知しないわけなのでございますが、いやしくも法務総裁としては、私大体のことは見当が立つているのではないかと思います。それと又あなた様の所管されているところの警察予備隊の拡充をする場合でも、どの程度という構想は一応持たれていると思う。更にこの久里浜の水産大学接収するに至つた経過、それからアメリカ側の教育尊重と、教育施設はみだりにこれを使わないという日本に進駐した当時からの基本的なアメリカ側の態度、こういう点から法務総裁が私は積極的にこれに努力したならば、私はその努力の中には日米防衛協定によつて駐在するところの軍の数、量、それからその建物見通しあたりから、更に警察予備隊の拡充という立場あたりから必要であつたならば、警察予備隊予算を組んで、或るところに建物も建てるような構想も立ちましようし、そういう一連の総裁の構想の下に努力されたならば、私は越中島を四月頃から水産大学に使わせるということは可能だというふうに考えるのですが、今までの総裁の言明程度ではどの程度解除されるかわからない。解除された場合に解決しようということになつたならば、八月頃からできないかも知れない。さてできないからといつて予算を組んで、それから新らしく土地を求めて建てるということになると、更に私は一年くらい要する。即ち時期がズレて行くと思う。そうすると非常に心配になるわけですが、私はここにあえて総裁にお伺いいたしたい点は、今私が申上げましたような理由で、総裁が積極的にこれに努力されるならば、来年の四、五月頃を目途として解決できるのではないか、こういう私は見解を持つておりますが故にお伺いするのですが、これに対して所見を承わりたいと思います。
  72. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は只今の御見解を否定する意味におきまして、来年の半ばということを申上げたのではなく、この接収解除によりまして、予備隊を収容できるような建物が明確になつたならば、一刻も早く準備して明け渡すべきである。そうしてそれは一番遅くてもそのくらいのところにはそうなるであろうという見込みを申上げましたのでありまして、早くできるだろうということ、それよりも早くでき得る場合もあり得るのであろうということは考え得ますけれども、併しかような席におきましてお約束いたしましたことは実行いたしたいと思います。多少ゆとりを持たして頂いた次第でございます。只今お述べになりました御見解につきましては、私も大体においてそういうことは可能であろう、こう考えられまするので、御趣旨に従いまして講和条約の成立後一日も早く実現できるようにいたさなければならない、こう考えております。それからなお講和条約成立後いつ接収解除になるかということは必ずしも明らかでないのでございまして、講和条約効力を生じたならば、その日から解除になるということは必ずしも言い得ないと存じますのは、講和条約の条項の中に、講和条約効力を生じましたならば、遅くも九十日以内に占領軍は撤退すると、こうなつておりますので、その九十日間は最大限度の場合におきましては猶余を見て計算をしなければならない。それらを計算いたしましても、先ず七、八月頃には、引移るべき建物があいたとすれば一切の移転が完了できるだろうという点を申上げた次第であります。御見解のように努力をすべきであるし、又努力をすれば或る程度まで御見解のように急速に処理が可能であろうということは十分考えております。それを否定する意味で申上げたわけではございません。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して御質問しますが、問題は私は大蔵省にあると思う。この教育施設を他に転用する場合の大蔵省態度というものは極めて私は重要な態度ではないかと思うのであります。御承知のように学校施設確保に関する政令というものによつて学校施設を確保するということは、これは十分に承知されておると思うのでありますが、今度の久里浜の場合にいたしましても、予備隊大蔵省の間においては御了解が得たようでありますけれども学校施設を確保する場合の大蔵省態度というものは、今後も又極めて重要な問題だと思うので、その態度についてお話を頂きたいと思う。
  74. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 久里浜の水産大学校舎警察予備隊が使用するということについて、このような問題になつたことについては大蔵省としても非常に遺憾に思つているところであります。今後学校施設がこのようなほかの目的のために犠牲になるということにならんように、大蔵省は十分に戒心をして参りたいと思つております。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変御答弁だけは結構でありますが、第九国会でこの水産大学の陳情は正式に取上げられておると思うのです。そのあとで長々とこういう問題が続いて来たということは、これはやはり大蔵省教育に対する誠意が非常に足りなかつたと思われますので、政府水産大学の陳情を取上げた後において、大蔵省はどれだけ取上げてこういう問題に対して努力をして来られたか、文部省からの多分折衝があつたと思うのですが、それについて具体的にどういうような誠意を示して来られたか、それを具体的にお知らせ願いたい。
  76. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 先ほど文部大臣からもお話がありましたように、水産大学の新らしい校舎建物敷地を求めるために相当予算の使用についてもお話があり、非常に無理をしてほかの大学に予定した経費も更に削つてまでそれに差向けようというので、いろいろ折衝をすることを私どもも了解いたしたのでありますが、不幸にしてその建物の敷地はほかの競争者のためにとられるというので、問題が遺憾ながら今日まで延びているということになつております。只今申したように私どもといたしましても、できるだけこの問題の解決のために予算を活用するということに努力をいたしております。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部大臣大蔵省教育を理解されるであろうという態度を非常に期待されているのでありますが、学童給食にいたしましても、文部大臣はあれだけ誠意を持つて当たられたのに、突如としてこれがいつの間にか大蔵省で消えて行つてしまう。閣議で決定したものが大蔵省の原案の中に消えて行つてしまう、こういうようなことになつて参りますと、甚だこの問題についても不安を覚えるのであります。特に本委員会では水産大学に関する予算は優先的に確保する、こういう意思ありやなしや、これを伺いたい。
  78. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 水産大学予算につきましては、できるだけ問題の解決に努力するようにいたしたいと思います。
  79. 高良とみ

    ○高良とみ君 この問題は大分皆様の御意見が出たのでありますが、文部大臣にお伺いしたいのは、現地において同じ国庫予算から出ておりますもので、警察予備隊の職員の住宅等がどんどん建築されているように伺うのであります。それに対しまして、学生の寄宿舎を建てる予算が出ておらないことは、コンクリートでなければ実験室は使えないとか、機械、標本がが入れられないということは了承するのでありますが、遠方から来ておりまする学生が入る木造の寄宿舎を建てることができないで、職員の……、新らしくほうぼうから転任したでありましようけれども、その職員の個人の住宅を建てる予算は国庫から出るということについて、私ども了承し得ないのであります。で先ほどからお話によりますと、越中島が返されるであろうとか、いずれは予備隊がよそに行くだろうというようなお話を伺うのでありますが、もう二十五年、六年、七年とこういうふうになりますると、三年間も国立大学の教育が差支えておるということは、小学校でさえも焼ければ村は借金をしてまでもどんどん校舎を建てて行くのでありまして、三年間の大学教育ができないということは、その青年たちの四年の課程の中の重要な部分が傷められて行くと思うのです。先ほどの思想上の問題という御指摘がございましたけれども、その点をどう考えておられるのか、平たく私どもは了承したいと思いますので、大臣の御答弁を頂きたいのであります。
  80. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今おつしやいました寄宿舎というのは、久里浜の寄宿舎のことでございますか。
  81. 高良とみ

    ○高良とみ君 水産大学の……。
  82. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 水産大学があそこにいつまでもおるというわけのものではないと、当然脇に行かなければならないと、こういう前提にあるために、あそこに金をかけるということができないわけであります。それは私は御了承頂けると思うのです。若しあそこにいつまでもおるものなら、それは幾らでも大蔵当局にお話をしてあそこをすべきでありますが、それがないからあそこに特別の設備をしないのであります。それから又六年たつてもこちらに返されないと、それは私も非常に遺憾に存じております。でありますから、いつまでもあれでは困るから、よい所があれば一刻も早く脇を買収してそこに移れるようにしようと思つて只今岩動主計官もおつしやつたように、そういう場合には大蔵省も非常な誠意を示して頂いて、無理なことをしてでも買取ろうとしたような事実もあるのであります。ただ漫然手を拱して事の推移を見ているわけでもないのですが、併し事情がなかなかそう簡単に解決できない。けれども越中島を返して頂くということがいろいろな点からいいという、感情上、思想上、歴史上非常にいい、そういう考えを抱いて、大橋法務総裁もよく御了解頂いて、何とか都合さえつけばあそこから移つて帰れるようにしようという段階にあるのであります。前から急を要するということは十分に知つておりながら今日まで解決しないというのは、それは押し詰めれば私が微力だと言つて謝まるよりいたし方ないのでございますが、ただその間決して手を拱して傍観しておつたわけではないということを御了解頂きたいと思います。
  83. 高良とみ

    ○高良とみ君 只今文部省はそこに置く意思がないと言われますが、大橋法務総裁の御説明によりますと、予備隊もそこに長くとどまる意思はないと言われる。而も片つ方に宿舎等はどんどんできて来るということにおいて、やはり教育をないがしろにしておる姿が国庫の支出において明らかに見えると思うのです。同じく両方とも長くとどまる意思がないのであるならば、弱小にして多くの困難に直面しておる家族持ちでないところの昔年の寄宿舎こそ先ず建てるべきであつて、その後に至つてからほかのものに転換することも可能なのでありますが、予備隊のほうはあたかもそこに長くおるかのようにすべて設備ができ、鉄条網を張りめぐらして、学生の運動場も取上げられておるということに対して、大橋法務総裁教育を弱い者の手をひねるように行われつつあるということをお認めになるかどうか、その点を伺いたい。
  84. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はさようなことは認めておりません。と申しますのは、御質問内容を拝聴いたしまして、多少の誤解があるのではないかと存じますが、私どもは長くおる場所と必ずしも思つておらないと申上げましたのは、これは越中島の問題を申上げたわけでございます。只今のところ久里浜につきましては、これを他に移転するという計画は持つておりません。
  85. 高良とみ

    ○高良とみ君 法務総裁に伺つておきたいのは、その他の予備隊実情を拝見いたしまして、この緊急な昨年の朝鮮事変を契機としてできたものでございまするけれども内容の装備等には金を入れるとおつしやいましたが、直接これは水産大学と連関しないことで恐縮でありまするけれども、内部におりまする者が、自分たちは軍隊に入つて来たのではないという覚悟で入つて来たので、そのためにやめた人の数を先ず私は伺いたいのでありますが、実際の状況におきまして、重装備をされたという点で、中におりまする者が警察予備隊の目的をはつきりつかんでおらない。職員の一部に聞きますると、確かに軍隊にはならないのだという確信を持つておりながら、内部の予備隊の隊員の中には、各地において百五十人或いはそれ以上もはつきりと軍隊化されることに対して抗議を申込んで出つつあるということは、私どももその点を一言法務総裁からどちらが本当であるか伺つておきたいのでありまして、これは国際情勢等できまらないとおつしやるかもわかりませんけれども、重装備を持つた予備隊というものは軍隊の実務を行いつつあると了承してよろしいのですか。
  86. 木村守江

    木村守江君 議事進行について。先ほどこの委員会の始まる前に、本日の連合委員会水産大学の問題について討議するのだというような申合せでありまして、それ以外のことはこの問題の解決後というような申合せをしたと思うのであります。只今の高良さんの質問水産大学の問題とは関連性がないと思いますので、それは後廻しにして議事進行をお願いいたしたいと思います。
  87. 高良とみ

    ○高良とみ君 併しこの問題はやはり水産大学がそれほど圧迫をされておるということの根本に関係のあることだと思いまするので、大橋法務総裁から一言御弁明を頂ければ私ども今後の対処の仕方があると思いまするので、これはやはり関連のあることと存じまするので質問したわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  88. 木村守江

    木村守江君 私の動議をお諮り下さい。
  89. 加納金助

    委員長代理加納金助君) どうですか、高良さんの質問に対してのお答えは、最初の申合せによつて、この主なる水産大学質問が終つてから、皆さんの御同意があればその場合においてお聞き願いたいと、かように木村委員のほうからの申出でありますが、さような取計らいで如何でありますか。あとにして下すつたら如何ですか。
  90. 高良とみ

    ○高良とみ君 一言ちよつと答えて頂けばよいと思うのでありますが……。
  91. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 私水産常任委員といたしまして、本問題について文部大臣並びに法務総裁に御質問申上げたいと思うのでありますが……。
  92. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 今の問題を諮つているわけです。木村委員意見皆さんに諮つているわけであります。
  93. 木村守江

    木村守江君 この問題は改めて諮る必要がないと思うのです。この委員会の当初においてそういう申合せの下にこの委員会を続行しておるのだと思うのです。そういう点から、これは議事の整理上委員長の権限において決定されて差支えない問題だと私は考えます。
  94. 松浦清一

    ○松浦清一君 先ほど大野君が質問しようとしたのは全然別個の問題なんです。今の高良さんの質問というのは基本的にはやはり関連があるので簡単に総裁お答え願つたほうがいいのじやないかと思います。
  95. 木村守江

    木村守江君 この問題は今のこの問題と関連性があると言いますが、大野さんの先ほどの問題もそういう点から言うと関連性があると私は思うのです。その点はやはり水産大学の問題を先に決定して、然る後にその問題に移つて頂きたいと思います。
  96. 加納金助

    委員長代理加納金助君) どうでしよう。極めて簡単にお答えできるし、又それで結構だという御質問者の希望ですから、簡単にしてもらつたら如何でしよう……。どうぞ。
  97. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) それではお許しを得ましてお答え申上げます。警察予備隊の創設に際しましては、これは国内治安のためにできましたところの新らしい組織でありまして、曾つての軍隊にもあらず又単なる警察にもあらずという立場で、これを創設いたして参つたのであります。併しながらさような新らしい機構というものにつきましては、国民の間に馴れておりません関係上、或る者はこれは普通の警察と大差ないという考えで入つて参りました者もあり、或る者はこれは昔の軍隊のごときものであるという考えを持つて入つた者もあつたのでございまして、これらの人が暫時隊務に従事いたしております間に、当初自己の予想をいたしておつたものとは大分これは様子が違うというふうに考えまして、そうしてそれがために退職をいたしたという者も多少あるわけでございます。数から申しますと、今日までに五千乃至六千ぐらい総じて退職いたしておると思います。約一割弱というものが退職いたしておりますが、これらの者の中で約半数ぐらいは自発的の退職者でございますから、この自発的の退職者の中には今申上げましたような動機に基く者も多少あるのじやないかと思います。併し自発的退職者の全部がそういうふうなことから退職したのではないのでございまして、初め自分は入つて幹部になるつもりでおりました、併し試験の結果幹部になる見込がなくなつた、或いは給与が予想のようでなかつたというような他の事情から退職した者がむしろ多いのでございます。併しながら要するに千人乃至二千人ぐらいが今仰せられましたような当初の見込と違う、こういうので退職いたしております。これはひとり警察だと思つたら軍隊的な傾向があるという理由で退職したばかりでなく、軍隊的なものだと思つたら警察的な傾向がある、逆の動機もあり得ると思うのでありますが、要するにこの趣旨が当初の自分考えとは違つておるということによりまして退職いたした者があることは事実であります。政府といたしましてはこの警察予備隊は将来においてもやはり国内治安のための自衛の組織である、又そういうふうに運営すべきものであるという考えを今日においても変えておりません。従いましていわゆる再軍備の一翼とこれを考えるというふうな考え方はいたしておらないわけであります。但し何分にも七万五千という限られた数を以て将来の国内治安という非常に重大な職責を担当しなければならん機構でございまするから、その治安のための必要な実力を行使する場合がありますが、その行使し得る実力はできるだけ大きなものとして置くということが必要である。こういう考えを持ちまして、装備といたしましても十分に将来の必要という見地からできるだけこれを強化いたすというふうな方針でおります。併しこのことは単なる装備の強化というその実力をできるだけ大きくするというだけのものでありまして、根本的な性格を変えるものではないと考えております。
  98. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 水産委員といたしまして一点お伺いをしたいのでございます。この水産大学の問題が今日閉会中にかかわらずしばしば取上げられまして、皆さんの御配慮を頂くことになりましたというのも、いよいよ行詰つて来たにほかならないからであります。先日両大臣に実地を御覧頂きましてよく御認識頂いたと存じますが、御覧の通り極めて惨憺たる状態でありまして、曾つてあそこに移つた当時はあの施設が殆んど大部分使用されるということによつてこの五年間を辛抱して参つたのに、遂に今日のような、追い追われて行詰つてしまつた。殊に明年の四月からは一学級増加するような状態にありますこれらの学生を、どこに収容するかというような緊急迫つた問題にもぶつかつておるのであります。我我水産委員といたしましてもこのままにはどうしても放つて置けない。かように考えて合同委員会をお願いしておるような次第でございます。先ほど来いろいろ質疑応答によりまして大体の御様子はわかりましたが、なおどうもはつきりせん点があるのであります。両大臣共に非常な熱意は示されておりますが、現在の進駐軍の使用しております庁舎がどつか空けばという前提条件でありました。これがまあ来年の夏頃には空くだろうという想定の下に進んでおられるのでありますが、我々といたしましては一面には忽ち増加する学級の生徒をどこに置くべきかということについて如何ようなお考えを持つておられるかということが一点文部大臣にお伺いしたい。それから大体来年の夏までには先ず越中島に移れるものだとこう我々は考えてよろしいのであるかどうか、その点を法務総裁にお伺いしたいと思います。そうなります場合に文部当局とせられましては、この元の越中島に移るにいたしましても、移るとすれば相当あそこに手を入れなければならないと思います。いろいろ機械の装置をするとか、実験室その他も基礎から始めて据付け等にいたしましても、又学生を収容する宿舎のごときにつきましても相当に手を入れなければそのままではなかなか使えないと思いますが、さようなものにつきましても現在予算措置が講ぜられつつあるかどうか。即ち増加する学級を四月から収容するためには如何なる措置が講ぜられておるかということと、そうして大体越中島を返して頂くということについて進むためにはその予算措置が講ぜられておるかどうか。私どもといたしましては漸く空いたけれども予算がないから入つたもののどうにもならないという状態では何にもならない。先般いよいよ困つたので或る地点を物色いたしまして先ほど来お話のありましたようにそこを買収すべく、買収して移転すべく努力をなさつたそうでございますけれども予算が貧弱なために遂に売主との協定がつかないで他に取られたというようなことも聞いておるのであります。役所の予算は勿論いきなり民間の会社等のようなわけには参りませんので、あらかじめそれだけの余地をとつておかなければ、たとえ適当な土地がありましても、建物がありましても、又今日年賦払いとか、何とかということでは手に入らない場合もあるのであります。さようなものに対して果して次に増加するところの学級を収容するための予算及び移転するときの予算措置ということが今日考えられておりますかどうか。この二点を両大臣にお伺いしたいと思います。
  99. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 先ほど来申上げておりますように、越中島を第一の条件とはいたしておりますけれども、併し他にもつと適当な所があれば、待たないですぐ行ける所があれば、又そつちをやるというようなことも一案ではないか。そういう考えであつて、どうもものが固定していないのです。そのためにはつきりした予算の請求というようなものもできないような状態、こういう状態にございます。併しそれならばまるで予算方針はつかないかというと、先ほど来申しているように、大蔵省のほうでも非常にこの点には同情を持つておられますから、この前の場合も、予算措置をしてもらえるという見当がついたように、今後も適当な所が見つかれば私はその場合になつて何とか都合がつくのだと、こういう考えを持つております。ただ難を言うならばものがはつきりして来ないものですから、はつきりした予算の請求ということができないというのが現状でございます。
  100. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今の御質問の御趣旨は、来年の適当な時期には必ず予備隊が明渡しができると了解してよろしいかどうかという、越中島につきまして……。この点につきましては、只今警察予備隊といたしましては特に越中島を明渡しをいたしまするために代りの建物を新築するという具体的な計画は持つておりません。ただできますれば講和条約の結果といたしまして、東京都内におきまして越中島に代るべき適当な建物解除になるのではあるまいか、こういうことを予想いたしておりまして、それができましたならば、多少不便でありましても、水産大学の完全なる整備ということのために協力する意味におきまして、できるだけ明渡しいたすように努力をいたす、こういう考えでいるのであります。要は建物解除になるかどうかという問題でございまして、これは只今具体的な見通しというものは現在持つておりません。併し追い追い講和条約も調印になり、又これに対する米国側のその後の計画というものも漸次具体的になると存じまするから、できるだけ早くそうした状況についての先方の意向をも確かめて、そうして成るべく早く見通しをつけて文部大臣にも御相談をいたしたいと、かように考えております。
  101. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 只今まあ見通しということにつきましては幾ら申しても先様のあることでありますから確定的なことは伺えないと思いますが、大体了承いたしました。ただ水産大学施設は御承知のようにどこでもいいというわけには参りません。どうしても立地的条件が伴つて参りますので、海岸地帯ということが第一条件になつて参りまして、我々水産関係者といたしましては、先日来証人を喚問いたしまして、いろいろと大学の設備等について伺いましても、敷地は少くとも四万坪乃至五万坪を必要とするといつたような証言もありました。我々もさように思います。さような完全した設備をするためには土地はないのではないと思います。都内に適地があると思います。若しそこを手に入れまして建築をするとなれば、少くとも七、八億乃至十億の金はかかると思います。そうして更にその間相当の日子を要する。さようなことになりますというと、今日まで五年間、或いは五年有余の間、空白の教育状態、空白ということはないかも知れませんが、水産教育としてこのまま不満足な教育を又何年か続けるということは、我々として忍びないので、この際最善の策といたしまして越中島の元の庁舎を使用することができますならば、狭隘ながらも非常に僅少な予算額で以て移ることができるのではないか。このほうが近道である。後日又建築の増加をするとか、他の土地を物色して、緊要な土地を物色して出ることも不可能じやないと思いますので、先ほど来文部大臣の第一案とされております越中島の返還ということが私は一番手取早く、又可能性がある問題じやないかと思います。どうかそういう意味におきましてくどいようでありますけれども法務総裁におかれましても、できるだけ早い機会に移管するようにしてその筋とも今後一つ御折衝頂きまして、御覧になりました水産教育実情を訴えられて、これが目的達成にいま一段の御配慮を頂きたい、かように希望いたしまして私の質問を終ります。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんので、簡単に伺いますが、私はやはり年度の切替えのときが非常に問題だと思います。どうしても三月までに文部省はもつと、この事態は、今学級殖えるという問題もありますので、これに対して指導性をとる必要があるのじやないか。どうも条件がいろいろあることは今まで述べられた通りでありますが、この条件に動かされていただけではこの問題がはつきりしない。従つてあと仮に三月に移るにしましても、殊に八月だと一年近くです。この間の教育が問題になるのですから、私は少くとも年度内くらいでこの問題を解決するのだというようなはつきりした一つの案を立てられて、そうしてそれによつて現在の対策と根本的にそれを解決する方向へ指導的に推し進められるということが非常に重要だと思いますが、この点文相としてどうお考えでありますか。やはりそういう条件を待たなければならない……そうでなくて、もつとこちらから指導して行くことによつて問題をできるだけ早く解決するというような案を立てることが必要だと思いますが、この点どうお考えになりますか。
  103. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私も実はもうこれは越中島の一本槍で……、それでちよつと法務総裁にお願いして何とかこちらに移つてもらう、そういうように一つつてしまつたほうがよいのかと思つたこともあります。併し若しここによい所がありさえすれば大蔵省お話合いをしよう、そういうようなことを考えて来たわけです。併し今はこうなつて来たから越中島というところに一本槍で邁進したほうがよいのかということをひそかに考えているようなわけであります。岩間さんのおつしやることは御尤だと思い、私もよく考えておきます。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 やはりこの問題を決定する一つの大きな鍵は、学校当局の立場になつてもらいたいと思うのです。やはりこれがこれから先いつ移されるのかわからない。それがわからないために非常にこの間の空白というものが損失だと思うのです。だから少くとも三月までには解決するのだ、こういうようなことにすれば、それに対する対策は出ると思うのです。大橋法務総裁のさつきの答弁ではこれが実際上どうなるかわからないから、これに対しては八月というのは最大の条件として申しておるのだ……、それより早いことは、無論努力もするし、希望もしておるのだという話でありますが、やはり文部省のそういうようなはつきりした態度が強く出たならば、こういうことに対してできるだけ、例えば先ほども、現在より不便な所に移転してもかまわない、或いは又今年度の補正予算において訓練装備費というようなものが考えられておる、こういう問題とも連関して、これは解決の緒はある、こういうふうに思うのであります。事態は非常に迫つておるのでありますから、やはりこういう点について文部省がもつと指導的に立たれて、そうしてこの点について総裁もできるだけこれについて協力され、又大蔵省もこれに対して……大蔵省としましてこれについて万全の措置をとられるのであるか。このお二人の決意を伺つて私の質問を打切ります。
  105. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 水産大学の問題につきまして、文部省におきまして確たる御方針が確立せられ、それを実現いたしますために、私の立場といたしまして御協力をでき得ることがありましたら、これは極力御協力申上げ、そうしてその方針を実現できるように努力をしたい、こういう固い考えを持つております。
  106. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 学校警察予備隊との具体的な計画がきまつたならば、私のほうも一つできるだけこの解決に努力したいと思つております。
  107. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 文部大臣は緊急な用事ができたそうでありますから、大体両大臣とも誠意を尽されて、熱意を示されて、そうしてお答えの限りを尽されたと大体存じますが、この辺で御質疑如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 加納金助

    委員長代理加納金助君) それでは先の大野委員の御質問一つ総裁の御答弁をお願い申上げます。
  109. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほどの御質問の御趣旨は、最近におきまする共産党の活動状況について説明を求められた、こういう趣旨に了解いたします。法務府といたしまして承知いたしておりまするところによりましてお答えをいたしたいと存じます。  先ず申上げたいのは、今日の日本共産党の実勢力でございますが、私どもは今日届出によりまして本日現在におきまして約五万六千人ということに承知いたしております。併しこれには若干の届出漏れもあり得ることでありますので、実質上は七万乃至八万くらいの党員がいるのではなかろうか、こう考えております。この七万乃至八万の党員というものが、その党員としての意識並びに決心におきましては、これは相当なものである、こういうふうに見ております。御承知のように戦前の共産党には、いわゆる転両者というものが続出をいたしたのでありまするが、今日の共産党には、国際共産主義勢力を妄信いたしましたり、或いは日本革命の到来近いというような考えを持ちまして、曾つての転両者のごときは殆んど実際には出ておらないというのが、最近の特徴であります。目下かの平事件の公判が開廷せられておるのでございまするが、法廷におきまする共産党員の革命近しとの妄信に基きまする態度というものは、誠に常軌を逸しておりまして、言語に絶するものもある次第でございます。この約八万の日本の党員の外側には、約二十五万程度のシンパがあるのではなかろうか、そうして更にその外側には約六十五万程度の同調者と目すべき人たちがある。以上を合計いたしますると、約百万が共産主義者或いは同調者ということになるのではなかろうかと思つております。勿論これらのシンパ或いは同調者におきましては、その意識或いは決心の度合というものについては、極めて稀薄な人々も多数入つておると存じます。今日これらの意識的な共産分子の実数というものは、曾つてのごとき著しい増加の趨勢は示しつつない、むしろ増加の勢いは、一時より見ますと非常に衰えてはおりまするが、併しながら共産党といたしましては、依然として増加の傾向にあるということを申しております。終戦直後におきまする我が国の共産主義者の実数を御参考に申上げますると約千人と推定せられておりまするが、これが今日においてはかような多数に上つておるということは、これは注目すべき事柄であろうと存じます。  次に御説明いたしたい点は、かような人的な結合を持つておりまする共産党が、如何なる組織によつて活動をいたしておるかという点であります。本来共産党の組織と、活動には公然の面と非公然の面とがあるのでありますが、これは又合法面又は非合法面と言うこともできると思います。要するに随時随所、臨機応変に合法、非合法の組織と活動を巧みに織込みまして、その目的実現に狂奔するというのが、今日の活動状況であります。この共産党の非合法の組織と活動は、昨年六月六日連合軍司令官の書簡によりまして、徳田球一ほか二十三名の幹部が追放処分になりましたときから、本格的に計画されたのでありまするが、今日まで約一年の歳月を経まして、一応非合法組織も完成されたもののように推定をいたしております。この非合法組織と申しますのは、要するに取締官憲や一般公衆に祕匿いたしまして、すべてを密行して行くという組織でございます。彼の徳田球一ほか潜行八幹部を今日に至るもなお検挙し得ないごときことは、特別審査局といたしまして、又法務府といたしまして、その責任を痛感いたしておるところでありまするが、これもやはり非合法組織が如何に深く且つ広いかということを示しておる一つの事例とも考えております。今日におきまして、この非合法の組織と活動に関与いたしておりまする者は、およそ二万乃至三万という推定をいたしております。主要分子におきましては、数個の祕密アジトを持ち、多数のレポ及び護衛を使用いたしまして相互に連絡し、秘密文書は特別の祕密アジトに蔵匿いたし、相互に偽名、暗号を用い、変装をいたすなど、文字通り暗躍をいたしておるのであります。そうしてこの合法、非合法の全体組織は、潜行八幹部その他で構成いたしております最高指導部の下に、従来の中央地方県区の委員会細胞、これを基盤としたる、又はこれと別個の祕密組織より成つておるのでありまして、この組織網において近時最も危険性を露呈いたしておりまするのは、行動隊というものでございます。この行動隊は、朝鮮人及び日本人でありまして独身の実行力ある共産主義妄信者を以て構成いたしておりまするが、半年ほど前からその編成に着手し、今日におきましては、すでに相当数の組織を終つたものと推定をいたしております。この行動隊の使命は、日常闘争において突破口の打開、各種闘争への参加協力をなすことにありますると共に、終局的には、人民政府樹立の際の最前線の実行行動部隊たる役割を果すことにあるのでございまして、すべて軍隊組織を持ち、各地に分駐いたし、最近におきましては、従前の各地分立方針を一擲いたしまして、強固なる中央集権の統制態勢を確立し、日夜不逞な訓練を画策実施いたしておる模様があるのでございます。なお日本共産党の態勢の確立の上から注意いたすべきことは、この八月に入りましてコミンフオルムの批判を受けまして、いわゆる主流派と国際派の分派抗争が反省せられ、その統一は全く時日の問題であり、而も極めて急速に行われると推定されることであります。講和条約の締結、その効力の発生に伴いまして、日本共産党も今や一段と態勢を確立整備し、恐るべき破壊活動を展開せんと企図しておる、かような推定をいたしておるのであります。なおここで日本共産党の態勢の確立に関連いたしまして御説明いたしたい点は、最近におきまする共産党の平和闘争というものでございますが、これは主として合法面に現われて来る闘争でございまするが、共産党みずからは表面に立たずに、平和擁護日本委員会、又は全面講和愛国運動協議会等を表面に出しまして、共産党員自身は背後にあつてこれを操縦し、或いは五大国平和条約締結、全面講和、再軍備反対等の標語を掲げまして、一千万の署名を獲得しよう、或いは一万の委員会を結成しようというようなことを目標といたしまして、現に日夜執拗、果敢な新運動を展開いたしておるのであります。この運動は要するに平和と申しまするところの何人にも受入れられる言語の持つ魔術を利用いたしまして、一般大衆を共産主義の陣営に引入れようとするものでございます。かような平和運動のほかに、革命の拠点の設置を営々として推し進めておるのであります。革命の拠点には、先ず多数の近代的プロレタリアを擁しまする大工場を、ロシア革命の発火点でありましたところの工場の名を借りまして、プチロフ工場という指定をいたしまして、殊更に細胞の設置とその構成員の指導訓練とに努めますると共に、今や山岳地帯にまで革命拠点の設営を企てておるという情報も得ておる次第でございます。  今日共産党の党員の行動につきましてはいろいろの事柄を指摘し得ると存じまするが、最近の共産党の勢力、並びに活動といたしまして簡単に申上げておく次第であります。
  110. 大野幸一

    大野幸一君 私は時事問題としてお尋ねしようと思つて先ずその前提として聞いたのですが、今度共産党幹部十八名の逮捕がありましたのは、これはどういう理由であるか。新聞の伝えるところによると破壊行動云々ということもありましたし、占領政策違反という事実に基いたということもありますが、逮捕状の理由なつた被疑事実というのは、どういうものでありますか。
  111. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 一昨日共産党幹部を検挙いたしておりまするが、この容疑事実といたしましては政令三百二十五号、いわゆる占領目的阻害行為処罰令に違反いたしまする事実があるという疑いが濃厚と相成りましたので、かような措置をとつた次第であります。
  112. 大野幸一

    大野幸一君 逮捕状に記載されてある事実はどういうものであるか、そういう理由では逮捕状は発せられないはずであると思う。抽象的の誰々は窃盗をなした、それでは逮捕状は発せられる、占領政策違反だという疑いがあるなら、逮捕状には書いてないはずである、それでそういう事実というものはどういうものであるか。
  113. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 逮捕状の請求事由は只今の政令違反容疑ということに相成つております。併しながらこの点につきましてはすでに検察庁におきまして現に捜査中でございまするので、具体的な事柄はこの席において申上げることを御容赦願いたいと存じます。
  114. 大野幸一

    大野幸一君 じや政令違反容疑と書いてあるのではなくて、具体的事実があるというのですか。具体的事実が書いてあるけれども捜査上言われない、こういうのなら了解しますが、政令違反容疑だけでは逮捕状は発せられていないと思いますが、そこはどうでございますか。
  115. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) もとよりこれは私どものほうでは、或る各人につきまして一定の行為を掴えまして、その行為を法規に照しまして違反容疑ありとこう断定いたしたのでございます。ただ告発等におきましては具体的に行為を指示いたして告発をいたしたものであります。
  116. 大野幸一

    大野幸一君 伝えられるところによると、追放の処置をとるという意思を伝えられておるのですが、そういう法務庁には考えがあるのですか。
  117. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは内閣総理大臣の権限でございまして、法務総裁の権限とは相成つておりませんが、本日十一時に次の諸君に対しまして公職追放の措置が決定になつております。それは椎野、河田、鈴木、杉本、輪田、岩田、保坂、山邊、福本、堀江、砂間、西澤、細川、木村、西館、岡田、川上、上村、岩本、この十九氏でございます。
  118. 大野幸一

    大野幸一君 どうも講和が一方において、サンフランシスコにおいて開催されているときに何とか日本政府が殊更にこの時期を狙つて追放するというような印象を受ける。そこで日本は曾つての特高国家になつたのではないかと、こういう印象を国民一般に受けるし、そういう又心配をしているわけですが、この点について政府はこの時期を選ばれたということについては、総裁の新聞談話としては、政治的何らの意思はないというけれども、併しながら国民は政治に何らかの関係あるというように考えるのがこれが常識であるのです。こういう時期を考慮されなかつたのはなぜであつたか、こういうところでありますが、どうでしようか。
  119. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どもはこれは単なる通常の犯罪の検挙であると、かように考えておりまして、特にこれについて政治上の意見を、考えを認めておりません。
  120. 大野幸一

    大野幸一君 追放後今後講和条約が……、このマ書簡というのは何ですか、占領中に講和条約効力を生ずればこれは消滅するものですね。どうでしよう。
  121. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 追放処分というものが本日発表せられておりまするが、これは公職追放令に基く追放でございまして、その法律上の根拠は、昨年六月六日のマツカーサー元帥の日本政府に対する書簡に根拠を置いております。従いましてこれは占領軍の占領中の措置であることは明瞭であります。
  122. 大野幸一

    大野幸一君 先般岡崎官房長官は国会委員会で、今度の講和条約は安全保障条約との関係において講和条約ができた、そこでこの講和効力を生じたと仮定して、安全保障条約を作るのだ、こういうのです。実に便利な解釈で、講和条約が日本において批准され、或いは又相手国において批准されて初めて効力を生ずるというのであるにもかかわらず、又そうであつて初めて独立国としての主権を回復すると思うのに、それに安保条約に直ちに調印するのはどういうわけかということの質問に対しては、それは、講和効力を生じたと仮定して、そして安保条約に調印して帰るのだと、こうおつしやる。そこで講和条約ができれば政府のやる行動に対しては非常にこれを合理化しようとするし、講和条約ができても、更にその講和条約が完全に効力を発生するまでは、この追放令を適用するというようなことはどうも矛盾するように思う。勝手なときには勝手な議論をするというように思われるのだが、講和条約ができたならば、こういうことに対して政府は慎まれる意思があるのかないのかということをお伺いいたします。
  123. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 公職追放は最高司令官の権限によりまして行われる事柄でございまして、これは日本政府が慎むとか慎まないとかいうことの問題ではないわけでございます。
  124. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると今度の追放も最高司令官としての追放に基くと、こういうのですか。
  125. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 最高司令官の権限に基きました勅令でやつておるわけでありまして、これは占領期間中でありまするから、日本政府といたしましては、現実に講和が成立いたしますまで、この最高司令官の指令の趣旨に基いて運用して行かなければならん、こう考えます。
  126. 大野幸一

    大野幸一君 現実に講和が成立するという意味は、これは講和が完全に効力を生ずる。各国によつて批准を完了して、或る一定の条件を具備するまでという意味か、どういう意味ですか。
  127. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは最高司令官の指令が根拠になつておりまするので、最高司令官の権限が法律的に消滅するまでという意味です。従いまして、効力を生じるまでという意味でございます。
  128. 大野幸一

    大野幸一君 先ほどの共産党の動きに対する中で、平和運動に藉口し、或いは全面講和に名を藉りてと、こういうような意味の何があつたが、この点については、甚だそういう……、その言葉、平和若しくは全面講和という、それを殊更にあなたのほうとしては運用して、そしてすべてそれを主張する者はこの共産党の第五列であるがごとく言い触らすことは危険ではないか、こう思うのです。それが即ち日本を再び又反動化されるのじやないかといような危険を感ずるのですが、この点は、その全面講和を主張するうち、或いは本当に平和運動をする者のうちにも正しい者のあることは、共産党にあらざる正しい者のあることはお認めになるのでしようか、どうでしよう。
  129. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御趣旨の通りでございます。
  130. 岩間正男

    岩間正男君 時間ですから簡単に二、三関連して質問させて頂きます。第一は、今の、この発表された共産党の現在の活動、こういうものにつきましては、いろいろな点で我々意見がありますが、これにつきましては、今日ここで申述べることはやめます。併し私のここで特にお聞きしたいのは、第一に検挙した理由というのは、容疑で挙げられておる、そうしてその容疑というのは明らかになつたわけですか。
  131. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) すべて捜査は容疑に基いてやるのでございまして、この容疑の事実が明らかになるのは判決によつて明らかになるのでございます。
  132. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、私は追放との関連について聞きたいのでありますが、検挙されて、容疑で挙げられて、それでその事態が明らかにならないうちにもうすぐに追放する。ここには法的にはいろいろ解釈がつくであろうと思いますが、事態の明らかにならないうちにそれに追い討ち的に今度は追放する。こういうところで、これは国民感情としてはこういうところに非常に了解しにくいところがあると思います。この二つの関連は一体どういうところにあるのであるか。それから、一体そういうような非常に何だか不明瞭な感じがする。とにかく容疑者として挙げておいて、すぐに次に追放にする。こういうような点は果して国民がこういう点について非常に暗い感じを持たないのかどうか、この点について政治的な考慮をしたのであるかどうか、この点を伺いたい。
  133. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど申上げましたる通り、犯罪は司法の事柄でございまして、司法的な問題といたしましては、事実は判決によつてのみ確定をいたすものであります。一方におきまして、公職追放という問題は、行政上の措置でございまして、行政上の措置はその手続によりましてやるのでございまして、この間双方はどちらも違法なく進行いたしつつあるわけであります。
  134. 岩間正男

    岩間正男君 私は第一点についてはそういうような法的な措置については、恐らくそういうような答弁だと思うのでありますが、これに対して第二点は、それは法的にはそういう説明は一応成立たせれば成立たせることができるかも知れない。併し容疑が明らかにならないうちに更にそういうものを追い討ち的にやつて来る、そういうことについて非常に何か暗い感じを持つておる。そういう点について政治的な考慮をされたかどうか、この点を伺いたい。
  135. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この追放と、それから刑事的な手続とはこれはどちらも関係のない別個のものでございまして、追い討ちをするとかいうのではなく、このかたがたに対しまして刑事の側といたしましては、捜査を進めることが必要である、こういう確信を以て捜査を命じたわけであります。又追放の点におきましては、すでに現在までの実情から見まして、追放の理由ありと、こういう意味において追放の措置をとつたわけであります。
  136. 岩間正男

    岩間正男君 かねがね別個にやつておつたわけですね。そういうふうに考えられます。偶然にそういう時期にこれは暗号的に時期が前後して来た、こういうようなわけですね。そういう解釈ですか。
  137. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは法律的にはどちらも相互に無関係事柄であります。
  138. 岩間正男

    岩間正男君 その点についてはそれはまあ解釈はいろいろつくだろうと思いますが、私の伺つているのは、これが殆んど前後して行われたことによる関連性、これについて恐らく考えない国民というものはない。従つてこれに対する国民感情、民主主義に対する国民感情というものは非常に重要だと考えます。その次にお伺いしたいのは、追放の理由としてはどういうことが挙げられておりますか。
  139. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 昨年六月六日のマツカーサー元帥の書簡の趣旨に鑑みまして、これら十九氏の言動というものは追放の必要ありと、かように認定をいたしたわけであります。
  140. 岩間正男

    岩間正男君 それだけですか。理由はその一点ですか……つまり反占領軍的行動をやつたというのが理由の全部ですか。
  141. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ちよつと追放の理由につきまして更に具体的に特審局次長から御説明をいたさせます。
  142. 吉橋敏雄

    説明員(吉橋敏雄君) 只今の御質問の点につきまして、追放理由について御説明申上げます。追放理由につきましては次のような理由に基いております。  日本共産党臨時中央指導部全員は昭和二十五年六月六日、同党中央委員らが連合国軍最高司令官より内閣総理大臣宛書簡により公職追放指定を受けた後同党の最高指導機関を構成し、現実に党活動の最高指導をなしつつ今日に至つているが、彼らの行動は、右中央委員らが追放指定された事由等をいささがも反省することなく、却つて法令に基く権威に反抗し、しばしば占領軍に反抗反対し、及び虚偽煽動的又は暴力主義的傾向を助長、正当化する言動に出でたものと認められる。政府日本共産党の臨時中央指導部全員十九名に対し、覚書第五百四十八号、第五百五十号及び一九五〇年六月六日付書簡の趣旨を実施するため、右覚書第五百五十号に基く昭和二十二年勅令第一号により、本日公職より追放指定の措置をとつたものである。人名は先ほど大橋法務総裁から御説明願つております。
  143. 岩間正男

    岩間正男君 今の法的ないろいろな専門語がありましたので、その点は私まだ質していないのですけれども、大体覚書によつて占領軍的な行動があつたということが一つ、第二点としては十九名が臨時中央指導部であると、こうみなした。この二点と考えていいのですか。
  144. 吉橋敏雄

    説明員(吉橋敏雄君) 只今説明した文言の通りであります。
  145. 岩間正男

    岩間正男君 この認定そのものについては、ここで論議しても時間も無論ないのですけれども、(「簡単に、簡単に」と呼ぶ者あり)大体これはいずれまあ詳しくなる問題だと思うのですが、非常にこれは問題ではないかと思うのであります。従来もそういう点があるのですけれども、一方的にそういうふうなことが決定されて、そしてどんどんこれが進められて行く。併しやはり日本の今の占領下のものとして、占領軍の政策これについても当然これはポツダム宣言に違反するかどうかということが、非常にこれは大きな私たちは問題だと思う。ポツダム宣言を本当に守るか守らないか、こういう点が非常に大きいと思います。殊に我々の党としては、平和の問題、この平和についてこういうような戦争の危機に対する飽くまで平和を守るということを、党の第一の主眼の綱領として掲げておる、こういうような問題をさつきの説明のような形でなされるという点については、私たちは非常にこれは問題のあるところだと思います。第二点の、十九名を臨時中央指導部とみなしたというのでありますが、これはどういう根拠によつてみなされたか、この点について。
  146. 吉橋敏雄

    説明員(吉橋敏雄君) 資料内容については申上げかねますが、各般の資料を十二分に慎重に検討した結果、さような判定をしたのであります。
  147. 岩間正男

    岩間正男君 これはいずれ明細にされますか。各般の情勢というのですが、何かそういう問題ですね……。
  148. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私からお答えいたしますが、如何なる資料によつてかような認定が行われたかということは、行政処分については明瞭にする機会がないと思います。併しながら一方におきまして、これらの処分に対する刑事上の手続が今後進行いたしますと、これは刑事訴訟法の規定によりまして、適当な時期に証拠として法廷に提出いたすものであります。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 この十九名を臨時中央指導部とみなしたというのは、事実とこれは非常に私たちは違反していると思う。はつきりそういうような事情を知つている者にとつてはこういう点は非常に違う。そういうことを申上げて私の質問を終ります。(「観点の相違だ」と呼ぶ者あり)
  150. 加納金助

    委員長代理加納金助君) もうどうですか、相当時間がかかつておりますが……
  151. 高良とみ

    ○高良とみ君 一言だけ……。人権問題でございますが、只今のサンフランシスコにおいて調印されつつある条約におきましても、日本は国連の人権宣言を守り、人権を守るということを基本としておる民主的な国家であるということを世界に公言し、又それを基本にしておるのでありまして、この際日本が非常に警察国家的な、或いは非常に右傾しておるような印象を与えることは、講和の調印にも支障を来たし、又アメリカの意図するミドルウエイの中正な行き方に対して少しく極端に右傾しつつあるのではないかということを憂えるものでありますが、その点について法務総裁は日本が国連の主義に従い、又世界の中正な人権を尊重する政治をやるおつもりでおられるかどうか、その点を一言御証言願いたいと思います。
  152. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 政府といたしましては条約の中にもあります通り、国連憲章、或いは人権宣言に則りまして、そうして国際的にも、又国内的にも民主的にいたしまして、宣言にかなつた人権尊重の方針で進みたいと思います。これは当然の事柄でございまして、新憲法の精神から言いましても、今後の行政、司法あらゆる国の活動は人権尊重という太い線でさしぬかれなければならないと、こう存じておるのでございまして、又現実の行政面におきましてもさような精神を持ちまして、関係当局を指導いたしておるのであります。ただ個々の問題につきまして、或いは政府の意図ともそぐわないような事実が仮にあるといたしますならば、事実を御指摘頂きまするならば、是正の途を講じて、我々の趣旨の根本であります人権尊重の線を太く押し出すということに努力をして行きたいと思います。
  153. 高良とみ

    ○高良とみ君 先ほど御指摘の国民の平和運動につきましても、これが暴力を否定し、又憲法に副つた国連の平和主義を裏付ける意味での国民の平和の発言に対して、人民を保護する、或いはそういう発言を保護するという立場に警察或いは司法当局がお立ちになつておられるか、或いはこの中に悪い者が、悪いことが起りはしないかという猜疑の目を以て常に見ておられるか、そこに人権擁護の差があると思いますが、この点如何でいらつしやいますか。
  154. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 平和運動についての取締というのは、今日非常にむずかしい問題でございます。これを無差別にするということになりますると、正しい国民の平和に対する主張というものも圧迫するという虞れがございます。これは新憲法の趣旨にももとりますばかりでなく、今後の平和国家としての我が国の将来を考えておりまする私どもといたしまして、由々しい問題だとかように考えます。併しながら一部のものがこの正しかるべき平和運動というものの蔭に隠れる不逞な人もないではありません。これを放置いたしますということは、又日本の真の平和主義的の発展、民主主義的の発展に対する有害な作用を看過するということになると思うのでありまして、この間害のあるものは防圧する措置を講じ、無害にして発展せしめるべきものは要するに自由に発展できるような措置を講じて行くということを狙つておるのであります。現実の問題といたしましては、集会或いは言論等の取締におきましては、平和運動は原則的にはこれを許すのでありまするが、ただこれが特定な人に悪用されるという現実の危険がありまする場合には、止むを得ずこれを取締るという精神を以てこれらのことを遂行いたしております。
  155. 加納金助

    委員長代理加納金助君) では本日の……。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 委員長一点だけ……。不逞な企図という中に、例えば講和条約に反対するということを含んでいるのですか。(「そんなことは含んでいない」と呼ぶ者あり)
  157. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いろいろな要素を総合いたしまして、これは民主主義、平和主義の日本憲法を守ります趣旨から言つて望ましくないというものを考えておるのでありまして、これは抽象的に考えられる問題でなく、具体的にそのときどきによりまして、適切な運用をいたして参りたいと、こう考えております。
  158. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問じやありませんが、水産と文部の連合委員会は、これは閉会することに異議はございませんが、そのあとで今度文部委員会の運営について懇談会を開くように宣言して頂きたい。
  159. 加納金助

    委員長代理加納金助君) 待つて下さい。それでは本連合委員会は今日の会を以て終了いたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 加納金助

    委員長代理加納金助君) それでは今日を以てこの連合委員会は終了いたします。    午後一時三十二分散会  出席者は左の通り。   文部委員    理事            加納 金助君            木内キヤウ君            高田なほ子君    委員            川村 松助君            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            大野 幸一君            高良 とみ君            高橋 道男君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   水産委員    理事      松浦 清一君    委員            秋山俊一郎君            青山 正一君            佐藤 尚武君            玉柳  實君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君    文 部 大 臣 天野 貞祐君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    文部省主計局主    計官      岩動 道行君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    法務府特別審査    局次長     吉橋 敏雄君