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1951-09-19 第11回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月十九日(水曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電力使用緊急制限に関する件)  (電力割当に関する件)   —————————————
  2. 結城安次

    理事結城安次君) それでは只今から電力問題に関する特別委員会を開会いたします。  本日も西田委員長が不在のため、私が代理をいたしますから御了承願います。本日は前回調査を継続いたすわけでありますが、前回委員会における質疑において問題となつた事項は調査を繰延べました関西鉄鋼関係に関する電力使用制限影響及び電力割当に関する件と相互に関係するのでございますから、一応予定調査を終りましてから一昨日の懸案に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 結城安次

    理事結城安次君) 御異議ないと認めます。それではそのように議事を進めます。今回の電力使用制限に関する影響調査の一例といたしまして鉄鋼業に関する調査をいたします。前回委員会で配付いたしました公益事業委員会告示第二号の第四条を見ますと、その第三号におきまして、鉄道、港湾、通信、放送等は百分の百の使用を許し、石炭鉱山に対しましてはその保安電力については百分の百を許可しております。然るに鉄鋼業におきましては保安電力としての例外扱いがないために、告示通り三割の制限を受けることになつておりますが、その実態におきましては、平爐、高爐のごとく操業停止のできない電力需用を含み、その保安的電力使用した場合には圧延その他の一般作業用電力は、関西地区平均で一週間に二日分しかないという資料が委員長宛に提出されております。かような事態が長期に亘ります場合には、事業経営上或いは従業員関係におきまして重大な問題となるかと存じます。つきましては先ず制限を受けまする当事者側から実情及び改善意見がございまするならば改善意見を御説明願い、次に公益事業委員会側から御説明をお願いいたすことにいたします。参考人の陳述に入る前に委員諸君に御報告いたします。公報に載つておりまする参考人大原久之君は、都合によりまして八幡製鉄常務稲山嘉寛君に変更いたしましたから御了承願います。では神戸製鋼所社長町永君にお願いいたします。
  4. 町永三郎

    参考人町永三郎君) 神戸製鋼の町永でございます。今回の記録的な旱天続き並びにその火力用石炭入手不良というようなために、先般この公益事業委員会告示第二号を以ちまして、強制制限が実施されるようなことに至りました。これは私どもこれまで制限につきましては非常に協力的に犠牲を忍んでやつて参つたのであります。非常の最悪の場合に到達いたしまして、今度の制限が実施されたということは万止むを得ないものと了解いたしておりますけれども実情は誠に関西におきましてはひどくありまして、先ほど委員長の御説明の中にもありましたように、一週に二日ぐらいしか働けぬというような実情でありまして、その影響するところは非常に深刻なものがあるのであります。この機会において、例えば私ども神戸製鋼所の例をとつて見ましても、七月の常時の実績が六百八十九万三千キロワツト・アワーというようなことになつておりまして、これは週間の工場使用量が二百万キロ要るところへもつて行つて、今度の使用制限になりまするというと、百九万程度しかないのであります。そうしまするというと五二%程度しか頂戴できぬというような状況になりまするので、保安電力その他どうしても必要なとめることのできないというようなものが、私どもの所で十五万一日に要るのでありまして、それに対しまして今度の割当てで行くというと、十五万五千くらいしか頂戴できぬというようなことになりまして、実際は操業できない、殆んど操業は零というようなことになるのであります。第一週目においてはそれでも、丁度この指令を頂戴したときはすでに遅くありまして、作業をやつておりました関係で、到頭二日間作業をして、あと四日間休んだというような状況であるのでありまして、こういうことで行きますと事業経営というようなことが成立たないということになるのでありまして、その後第二週、第三週、こういうふうの制限が続けられることになりましたので、工場は半日ずつ休むというようなことにいたしておりまして、まあ労働者の収入も従つて非常な減収を来たす。組合のほうからも非常にやかましく言つて来るというような実情でありまして、何とかこういうふうのことが事前にわかりまするならば、もう少しやり方があると思うのでありますが、まあ会社によりましてはもう従業員を出しまして草取りをやらしておるというような工場もあるようでありますし、こういう状態では非常に今後寒心に堪えないものがあるのでありまして、何とかこの際こういうことのないように事前にもう少し計画的に一つつて頂きたいというふうに考える次第でございます。それに対する対策と申しまするか、今度の制電やり方大口に非常に犠牲が払われるようなことになつておりますので、これも一つ何とか全般的に平均にやつて頂くというようなことにお願いしたいのであります。なお又この七月の実績ということに問題があるのでありまして、従来この制電協力して参つた工場ほど割当が少くなるというような実情でありまして、例えば特殊の電力というようなものをこれに含めてないのでありますので、実際に割当量というものが非常に少くなつておるのでありまして、そういうものが影響いたしておるのであります。今後でき得ればそういうふうな特殊電力などを使いました分も含めまして実績一つ取上げて頂くというようなふうに是非お願いしたいのであります。なお非常用の電力、こういうような非産業用電力は、極力一つ産業用に振り向けるようにして頂く、或いは又これは根本的なあれになりまするが、盗電とか或いは漏電とか、こういうものに対するところの根本的の一つ対策を講じて頂きまして、そういうものをやはり実際に使う面に廻して頂く、こういうようなことも是非一つ考えを願いたい。なお又今回の制電につきましては、石炭入手が殆んど、努力いたされておるだろうと思いますが、実績が殆んど上つておらないというようなところに問題があるようでございますので、そういう面においても電力会社のほうも一段と御努力を願い、又公益事業委員会方面においても、そういうものの一つ、何と言いますか、御鞭撻、御指導を是非お願いしたいというようなふうに考えている次第であります。  大体そういうようなことをちよつと今考えておりますが、何分とも一つよろしくお願いいたします。
  5. 結城安次

    理事結城安次君) 何か只今町永神戸製鋼所社長の御説明に御質問があればお願いいたします。
  6. 須藤五郎

    須藤五郎君 小さいことでありますが、この渡されている文書によりますと、三番目の所に、場合によつて家庭用電力も非常に圧縮しろという御意見が出ているように思いますが、家庭用を如何にして圧縮するかということを、具体案があるならば一応お伺いしておきたいと思います。神戸製鋼所社長さんにお尋ねします。
  7. 結城安次

    理事結城安次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 結城安次

    理事結城安次君) 速記を始めて。
  9. 町永三郎

    参考人町永三郎君) 圧縮負担を全般的に一つ平等にやつて頂きたい、こういうようなふうに考えておりますので、家庭においてもできるだけの協力をして頂くというようなふうに考えるのでありますが、家庭電力制限するという方法につきましては、私名案はないのでありますけれども、できるだけそういうふうに気分を作つて頂く、こういうふうに一応考えております。
  10. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はその書類を拝見しましたときに、何だか非常に無責任な言葉が書かれているように思つたわけなんです。果してどんな方法があるのか。この間中の関西における電力制限におきまして、業者のかたも勿論被害を受けていらつしやるのはわかつておりますが、家庭、特に定額燈の人などは殆んどつかない。消えている間のほうが長いというので、ろうそくを買つたりして、いろいろ負担がかかつておる。而もなおそれをあなたのほうの書類で、被害平均しろというような言葉で書かれておるとすれば、これは何かあなたがたのほうに積極的な或る意見があるのかどうか、その点を私伺いたいと思つたので御質問申上げたのですが、何だか非常に責任のない言葉のように受取つたわけであります。それからもう一つお聞きしたいと思いますが、今のお話の中に肥料の問題がありましたと思いますが、その中にも肥料の問題もあるのです。要するに火力電気使つて、そうして肥料作つて、その値段で輸出したらどうだというようなことがその中に書いてあると思うのでありますが、果して火力電気使つて肥料作つて、その値段で外国に輸出することが可能であるかどうであるか、その点で何かあなたのほうに、そう言われるならば、何かお考えがあるならば、その点をちよつと伺つておきたいと思うのであります。
  11. 結城安次

    理事結城安次君) 須藤委員ちよつと申上げますが、今の問題は、これから先に出て参ります電力割当の所で、肥料のほうに行くやつのことについて御説明を願い、御質問をお願いしようと思うのでありますが、そのときにお譲り願つて……。
  12. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは延ばしてもいいですが、今の社長お話の中に肥料の問題が出たものですから、関連してお伺いしたのです。何か案をお持ちじやないかと思つて私は伺つて見たいと思つたのであります。
  13. 町永三郎

    参考人町永三郎君) 今肥料の問題は、私は只今までのところ発言しておりませんが、何かお聞き違いじやありませんか。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はそういうように伺つたものですから……。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の町永さんの御発言の中で、大口方面割当圧縮率が高いということを御指摘なつたのですが、これは数字を以ておつしやつたのかどうかわかりませんけれども公益事業委員会から、その観点は一応非常に重要なポイントでありますから、数学的にお示し願つておきたいと思います。
  16. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 今回の制限につきましては、一応一週間という目途で緊急の措置としてやつたのであります。その結果制限期間を更に延長せざるを得ないような現実の情勢に置かれて、止むを得ずやつておるような状態でありますが、只今の御質問大口と或いは一般小口との間に不均衡があるかどうかという御質問でございますが、大体の考え方といたしましては、御承知のように大口は三千キロワツト以上のものにつきましては、一応七月の常時供給分実績の三割を減してもらう、七割までを許すという、三割方を抑えることになつております。それからそうでない中小需用家に対しましては、これが一割となつております。この数字の三割という数字と一割という数字とが非常に違うような印象をお受けになつておつしやつたのではないかと思うのでありますが、大体委員会考え方といたしましては、これは他の要素もありまして、同じようなベース考えております。と申しますのは、中小工場に対する一割と申しますのは、一割のほかに週一回の休電日を、二十四時間の休電日を指定しております。この週一回というのは約七分の一でございますから、一四、五%響くのでありますけれども、それと一割の分と合せますと、約二五%を七月の実績に対して抑えるという形になつておるわけであります。それから一方特別大口につきましては、七月の実績の三割と申しましても、御承知のように特別大口電力割当は、毎月の供給力ベースとして、月によつて割当量を増減しております。従いまして八月から九月の数字は、七月の割当量よりは全体として少くなつておるわけであります。従いましてその標準分追加分との比率が、そのまま伸びるとも言いかねますけれども、大体の傾向といたしましては、特別大口需用電力量というものは、七月の実績よりは若干下廻ることは当然考えられておるわけであります。それを考慮に入れますると、大体同じような見当の制限をやつておる、こういうつもりでおるわけであります。ただこれをそれぞれの個々の産業等について見ますれば、若干それはそのままにもとれないような、いろいろなアロケーションその他の操作の面もありまして、そういう点ではでこぼこがあつたかと思いますが、大体そういうような標準扱つたのであります。それから御承知のように公共事業につきましては、そういつた制限段階を、これらの三割とか一割とかいうような制限をしないことにしております。これは別な扱い方であります。これは三千キロワツト以上又は以下を問わず、やはりそういう対策をとつております。それから一週間一回の休電日というのは、三千キロワツト以上の需用家についても付いておるわけでありますけれども、それは休んだ日の分を他の残つた六日の日にそれを振替えて使うことが許されておりますからして、それは加算する必要はないのであります。以上のようなわけで、大体の考え方を同じような基準で考えておつたわけであります。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体わかりました。それから第二に今町永さんのおつしやつている中で、もつと電力ロス合理化をやるべきであるということをたしか御指摘なつたと思いますが、その具体策の問題で、勿論町永さんにそういうことをお聞きするのは、専門外で御無理なのだと思いますから、公益委員会にこれをお伺いいたしたいと思います。実は一昨日の委員会ワツトアワー・メーターメーカ—のかたが団体の名前で以て当委員会へ来られて、ワツトアワー・メーター生産にも非常に障害になるほど、電力会社ワツトアワー・メーター取引をしてくれない、このままで行けば、ワツトアワー・メーター工場は潰れざるを得ないという陳情があつたわけであります。これはワツトアワー・メーター会社のほうの考え方でありますけれども、そういう工合にワツトアワー・メーター生産を促進するように努めて来たのは、電力会社ワツトアワー・メーターを早く買いまして、そうして盗電をこういうような正常な取引に直すことによつて防いで行こうという観点があつたわけであります。ところが事実上は生産能力がどんどんできておるにもかかわらず、電力事業会社ワツトアワー・メーターをなかなか買付けてくれない、こういう陳情があつたのでありまして、その間の事情をとくと御説明を願いたい。
  18. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 擅用の取締と申しますか、広い意味におきますいわゆるロス軽減対策の一環といたしまして、定額燈或いはメートルの需用家に対しまして、ワツトアワー・メーターを取付けることを慫慂いたして、その線に沿うて現在ここ二、三年の間順次各電気業者ワツトアワー・メーターを積極的に取付けるべく、いろいろな努力をいたしておりますことは御承知通りでありますが、ワツトアワー・メーターメーカーが最近若干のストツクを持つておるような状態になつております。この点につきましては私どもも目下いろいろと調書を要求して調べておるのであります。正確なことはまだ申上げかねるのでありますが、昨年度買付け計画をいろいろ立てたものの、現実資金というものが十分に調わないものですから、意図したものを十分に買付け得なかつた面が若干あつたのじやないかと考えております。今年度につきましては、是非ロス軽減対策を積極的にやらしたいと思いまして、いつか当委員会でも御説明申上げましたように、ロス軽減対策というものを強い打立てさせまして、そうしてその線で努力するように要請しておるのでありまするが、何分にも先立つことはやはり現実資金の制約がありますので、業者も熱意を持ちながらもそう十分に買付け得なかつた面が若干あるのではないかと考えられます。がこの点につきましては、政府といたしましても特に今年度計画においてはワツトアワー・メーター買付け所要金額相当の分に対しまして見返資金を付けようと、そういう方法によつてこれを積極的に買わせるような斡旋をいたしておるのであります。ただその見返資金が、丁度今年度新規工事分の百億を見返資金の枠の中に、只今申しましたワツトアワー・メーター買付け資金が、政府援助資金が入つておるのでありまして、政府斡旋でそういうふうに入つておるわけでありまして、百億の見返資金がまだきまりません関係上、電気事業者もその辺の見通しを持ちながら待機をしておるという面が相当あると思うのです。がそれでは全然買つておらないかと申しますと、私はこの点につきましては、ワツトアワー・メーターメーカーの話も聞いておりますので、機会あるごとにそうした面の明るい電気事業者担当者に会いますときは事情を聞いておりまして、二、三の所で相当にもうそれを待てなくて、とにかく買わなければ今年度計画が立たない、かなり買付けしておる実情であるようでございます。その数字年度計画の何割になつておるか不幸にして報告を得ておりませんので、つかんでおりませんが、資金現実事情から見て、年度計画予定通り行つていると言いかねるのではないか、若干遅れていると思うが、これは目下関係各省と打合せをいたしております。本年度新規着工分の百億の見返資金がまとまりますれば、急速にその遅れを取返すように前進するものと考えております。そこへ力瘤を一面入れております。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 この間の料金値上げのときにも、ワツトアワー・メーターを取付けてロスをセーブするというのは、これは国民的な公約でもあつたわけです。従つて本来ならばメーカーストツクが残つておる状態は、これは国民になかなか了解し得られない問題を残しておる、生産が非常に追付かないというとこうまでメーターを誠意を以て取付けて行くということでなければならんと思うのです。従つてそういう考えからしまして、百億のエイド・フアンドは、大体承認を得られる見込であるかないか、その辺を明らかにして頂くことと、若しこのことが近いうちにあるということならば、何とか資金的な措置は緊急につけて、そうしてメーカーが現在持つておるストツク会社需用者に取付けることを促進願いたいと思います。
  20. 松田太郎

    説明員松田太郎君) 只今の御趣旨は誠に御尤もと思います。見返資金新規分の百億につきましてはなお話合い中でございますので、何とも申しかねますが、近くその辺の見通しをつけるのではないかという感じも今しております。当然そうした面の見通しがつきますれば、金融方面措置も十分とり得ると思います。できるだけ御期待の線に沿うようにいたしたいと思います。
  21. 町永三郎

    参考人町永三郎君) ちよつと先ほど申し落しましたのでこの際附加えておきたいと思います。それは今回の告示によりまする強制制限におきましては、鉄鋼関係超過使用に対して、罰則を適用することになつておるのでありますが、これはまあその当時、告示が到達しました時期その他によりまして、当時すでに超過してしまつておるというような工場もあるわけでありまして、又一方的にこの需用者だけがこういうふうの罰則を受けるというのもちよつとどうかというような感じがいたしておるのでありまして、もう少し、まあ電力供給者側にも従来いろいろな落度がありましても、それの罰則というようなものは取上げておられんようでありますし、こういう点は一つ是非考慮を願いまして、これはどうしても多少の超過があるというような場合もあり得るのであります。この辺のことを一つ是非考慮を願つて適用せないように一つお願いしたいのであります。その点を一つ
  22. 松田太郎

    説明員松田太郎君) 只今お話の点につきましては、私どもといたしまして、何も罰則を適用することが目的でこういうことをいたしておるのじやないのでありまして、飽くまでも電力供給を殖やさなければならんことは当然のことであります。又そういう意味電力会社のほうといたしましても極力供給を殖やすように努力をして参つており、又正当の理由なくして供給を怠るようなことがあれば、勿論そういう場合には、公益事業委員会令の上におきましても、はつきり罰則を適用し得る途もできておるのでありまして、今の使用制限の問題につきましては、要するにこういうような需給状況になつて参つておりますときにおきましては、各産業界と言わず、又国民全体のかたがたと言わず、誠にお困りになり、又お気の毒である、又そういうお話のような場合については、営業にも相当の差支えを生ずるという事態の参りますことも、これは本当にあり得ることと思いまして、そういう点につきましては、この規則を発動いたしておりまする委員会といたしましては内心誠にお気の毒に思い、その点については同情に堪えないのでありますが、何分にも電力会社と、各需用者かたがたとの間におきまして、できるだけのお話合いで自粛的な措置を講じて頂いておつても、なお且つ電力供給力の点から申しまして、それでは追い付かないというので、止むを得ずこういつた法的な措置による電力制限を発動いたしましたわけでありまして、その点を一つ十分お酌み取り願いまして、この電力制限というものに御協力を、頂くことができるならば、我々としてもこれに越した幸いはないと、こう思つておるのであります。罰則の通用如何というような問題につきましては、勿論委員会が直接それを発動すると申しますか、委員会が直接これを適用をしないというような問題ではないのでありまして、従つて委員会としてもその辺の事情を十分調査いたしました上で、若し悪辣な、又極めて悪意を持つてこういう問題に対して法をくぐるというようなかたがあれば、告発をするというようなこともできるわけであります。併しそこは皆さんがたの常識を以て御善処頂くことを念願いたしておるという事情でございます。
  23. 結城安次

    理事結城安次君) 町永さん、只今の御答弁でよろしうございますか。何かもの足りないのじやないですか。
  24. 町永三郎

    参考人町永三郎君) 今のお気持は私どもも非常に納得できるわけなんでありますが、現実の問題として従来二月の制電の場合にもそういうことがありまして、そうしてその罰としてあと、割当を減らされたというような会社もあつたのであります。そういうこともまあ私どもといたしましては、この際事情はわかりますので、できるだけの協力をして来ておるのでありますし、今後もそのつもりでおるのでありますからして、まあそういうことのないように一つくれぐれもお願いをいたしたいのであります。割当の点も、一つ事情を御調査の上に止むを得ないというような場合には、そういうことのないように一つお願いしたいのです。
  25. 結城安次

    理事結城安次君) 町永神戸製鋼所社長お話に関連して何か御質問があれば……。それでは只今町永神戸製鋼所社長の御説明に対して公益事業委員会の側から、今後使用制限が長期間に亘ると懸念される状態に対しまして、この種の問題に対して如何なる緩和策をお考えになつておりますか。およその御説明をお願いいたします。
  26. 宮原清

    説明員宮原清君) 電力不足に関する産業上の影響の重大なることについては誠に御同情に堪えませんが、只今委員長からの何か具体策があるかという御質問に対しては、この機会においてはつきり具体的な御返事を申上げにくいのであります。ただ昨今の渇水がかなり例年事情を異にしておりまして、異常渇水だと考えておりますので、この様子がまだ続けば更に制限を続けなければならんということを心から心配しております。併しながらやつぱり恃むべからざることではあるようでありますが、天候の回復することを待つて、そうしてそれぞれ処置したいと思うのでありますが、ここではつきり皆さんの御疑問になるのは、いわゆる発電量不足石炭不足に原因するのだということに多少の重点があると思います。そこで石炭入手に対しましては、目下非常な努力をいたしておりますのと同時に、関係方面協力もかなり強く頂くことになつておりますので、現在は多少ずつは殖えております状態で、そうして相当量を焚いておるのであります。ただ御承知のように例年違つて、かなり火力の酷使をして参つて十分な補修ができないものですから、ときどきそういうものに故障を生ずるようなことがあるために、多少減るというような感覚が皆さんのほうへ強く響いておるという、それらのことについても折角督励いたしております程度が、只今のいわゆる多少の対策の点でございます。同時に天候に応じましては、渇水時における制限を繰返すことがありましても、水が少し増すようになれば、成るたけ早くその制限を解くというような処置をとりたいと思うのであります。甚だ不十分でありますが、只今御返事を申上げるようなしつかりした対策を現に申上げにくいと思います。まあさようにどうぞ……。
  27. 結城安次

    理事結城安次君) 委員長から申上げますが、つまり先ほど御説明いたしました鉄鋼業のほうは保安電力が中に入つている。炭鉱鉱山のほうは保安電力を三割の制限外でやつているというところから非常に鉄鋼のほうが割が悪くなつているという状態であるが、これが長く続くと只今神戸製鋼所社長お話の中に週一回しか操業ができないということですが、これに対して何か公益事業委員会としてお話があるかということであります。
  28. 宮原清

    説明員宮原清君) この点につきましては恐らく鉄鋼業のみならず、如何なる程度をそれぞれの保安電力とするかということにつきましては、一般的に言えないことでありますので、これらは今の御不満を承わつて、よくそれについて研究をいたして善処いたしたいということを考えております。
  29. 結城安次

    理事結城安次君) それでは次に電力割当に関する調査に入ります。増産に関する電力割当が問題になつております。このような問題がなくとも、電力需給は逼迫を告げているのでありますが、この問題が実現いたしますと、各種需用に対して大きな影響のあることは免れないことと存じます。つきましてはこの問題の経過、他の需用に対する影響及びかような需用を織込んだ後においてもなお且つ先般改訂されました標準料金割当制で需給調整が円滑に行き得る見込であるかどうかについて、公益事業委員会と安本と両方の御説明を願います。
  30. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) アルミニウムとか肥料とか、そうしたものの増産計画があるということは承わつております。委員会といたしましては、この下半期の需給予想を見ますのに、一昨日もこの議場でもお話申上げましたように、需用のほうは年初の想定より更に上廻つておるという状況にあります。水の予想からいたしますと、渇水期を迎えるのでありますからして、到底豊水ということは期待できない。殊に石炭事情見通しが非常に慎重を要する段階にありますので、下半期の需給計画といたしましては、供給総額より標準電力料金により割当量の総額を更に拡げる余地は只今のところはないということを申上げるよりほかないのであります。むしろそういつたいろいろな事情から見ますというと、相当時期的には若干の制限をなさざるを得ないということをあらかじめ計画的に考えて行かなければならないという事情にあるのであります。従いまして産業部門別のこの標準電力量の配分の問題につきましては、これは経済安定本部の産業政策上の御決定を基にして我々は作業をしておる次第でありますので、この問題につきましては経済安定本部のほうからお聞き願いたいと思います。
  31. 結城安次

    理事結城安次君) それでは岩武産業局次長の御説明を願います。
  32. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 今肥料とアルミニウムのお話が出ましたが、アルミニウムにつきましては、これを積極的に下半期において増産するということは、経済安定本部としましては考えておりません。いろいろ日米経済協力その他の方面でそういうような噂があることは承知しておりますが、何分渇水期において、相当電力を食いますアルミニウムを積極的に増産するということは時期を得たものではないだろうと思いますので、考えておりません。肥料のほうは実は御承知と思いますが、いろいろ海外各国からそれぞれ輸出の引合がありまして、概数を申しますと、窒素肥料が約九十三万トン、燐酸肥料におきましては十三万トン程度のものがあります。いろいろ普通のコーンマーシヤル・ベースの輸出の取引もありますが、同時に又、例えば朝鮮の農業生産の復興であるとか、或いは台湾の米バーターの問題であるとか、或いはフイリツピンにおきますいろいろな人心安定上の考慮等もありますので、これはこの際或る程度輸出を促進するという形をとることがいいじやないかというふうな議があります。いろいろ検討したわけでありますが、何分現在の電力状況殊に年度当初に見ました各産業別の電力割当計画におきましては、辛うじて国内の需要を満足し得る程度でありますので、この分から割いて輸出するということは到底できません。従つて増産した範囲のものを輸出したらどうかということになります。勿論九十三万トン程度のものが増産できるわけじやありません。いろいろ電力割当方面数字をいじつたわけでありますが、結局考えて見ますと、下半期はこの大口産業に対する割当の枠が相当つております。これは又いろんな事情もありまして、供給力関係もありまするし、又需要構成の内容の変化もあります。これを現在積極的に殖やすということは恐らく委員会に取上げて交渉しましたところで先ず見込もないことと存じますし、又そうしたことがいいか悪いかの問題もありますので、むしろ現在きまつております枠の中で、而もほかの産業に余り影響を及ぼさない方法でということで考えております。まあ幸いにしまして下半期の第三四半期と第四四半期におきましては、我々のほうで年度当初に若干の調整保留の量を持つております。この範囲内で操作いたしまして、ほかの産業の現在の暫定計画影響を及ぼさないということで措置したいと考えております。それからいろいろ年度当初の計画で現在そのまま持つて行けないもので、而も需給の極めて逼迫しておるもの、例えば石炭等の問題、これは年度当初四千四百万トンの出炭というふうに考えておりましたが、現在では四千五百万トンでも足りないのではないかというような状況であります。殊に電力用炭の問題もありますので、この方面にも若干割きまして、石炭生産を確保するという問題、まあそういうふうな問題もありますので結局保留の中から肥料に割き得る量をいろいろ計算いたしまして、而も地理的な問題もあります、又電力消費の面から電解法の硫安をやるか、ガス法の硫安をやるか、或いは石灰窒素に廻すかというような、増産の内部の構成の問題もありますが、とにかく電力を余り食わんでやるものに重点を置いて行こう、結局ガス法の硫安に重点をおきまして、なお若干の余分があれば、ほかの電解法硫安等にも若干廻す、或いは石灰窒素にも廻すということで計算して見まして、一応第三、第四を通じまして約八万五千トン程度可能じやないだろうかということの結論に達しました。なお来年の、これはまあ現在計画を持つておりませんが、四月以降におきまして、肥料年度内の生産可能の量の増加が或る程度期待できるというふうな結論に達しまして、まあ最大限として約十五万トン程度は窒素肥料の増産が考え得られる、ところがこういうふうな出水状況等によりましては、下半期におきまして電力制限等も或る程度考えられますので、約十万トン程度の輸出は可能だろうということで、ほかの産業には或る程度犠牲を忍んで頂いてもこの増産を達成するということで一応閣議の決定を見ております。関係方面にも十万トンの輸出可能であるというふうな回答で進んでおります。従いましてほかのほうの産業は、現在暫定計画としてきまつております以上の割当の削減ということはいたさないという考えであります。なお石炭等については若干の手直しをしたいという考えで進んでおります。従つて今後の供給力見通しとしまして、この年間の公益事業委員会計画供給力が一応確保できますれば、大口産業に対する割当の枠も変更しないで、まあ肥料の問題も今申上げました程度までは一応行けるのじやないかと考えております。なお肥料工業につきましては海外からの引合の値段等も内地の価格よりも若干上廻つておりますから、従つて割当量による標準料金の分の電力量だけでこれを確保するということは、ほかの産業との振合もありますので到底いたせませんから、ガス法等におきましては或る程度火力料金を食つて頂く、従つてその範囲の数字も一応見込みましてまあ十五万トン程度というふうに考えております。大体そういうことで下半期における電力事情の逼迫の際ではありますが、まあ何とかして海外の引合の様子が普通の取引ベースではありませんので、日本としましてはこういうふうな需要に可能な範囲で応じ得ることが、この際国際関係から言つても望ましいことだろうと考えて以上の結論に達したわけであります。
  33. 結城安次

    理事結城安次君) ちよつとお伺いしますが、只今のあなたの御説明では硫安、アルミに増配しても他産業には影響しない、させないという御説明に伺つたが、そういうことですか。
  34. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) アルミニウムには増配するとは申上げておりません。アルミは現状維持でございます。
  35. 結城安次

    理事結城安次君) アルミは取消します。肥料のほうで増産しても他産業影響ない……。
  36. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 肥料のほうで増産したために他産業を減らすということは考えておりません。
  37. 結城安次

    理事結城安次君) しないというのですね。
  38. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) さようでございます。
  39. 結城安次

    理事結城安次君) そうすると鉄鋼業から来てもらつているのだが、要らんということになりますね。そうするとここですぐ質問に入りましようか。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 まだ問題があるのです。これは只今産業局の説明は、産業局としての需給方針としてそういうことが述べられたのです。ところがこれは後ほど御説明があるだろうと思いますが、今年の下半期は相当厳しい電力不足状態に陥ることは、これは誰も否定できないと思うのです。そういう工合に電力不足状態が出たときにどういう制限を全産業に亘つて行うかということによつて肥料なり鉄鋼なりその他に均一制限をやれば別でありますけれども、国の政策を入れての制限を行うということになると論議の余地を残すと、こういうことに私はなると思うのです。従つて方針だけでOKと言うわけに行かないので、只今の問題はあとで今年の冬の需給バランスの説明を聞きますときに、この点はやはり併せて論議をしたほうがいいと考えております。
  41. 結城安次

    理事結城安次君) 御質問がありましたら。
  42. 小野義夫

    ○小野義夫君 今のお話ですと、何か電力割当に多少、つまり予備金的な保有電力を別に持つておるからそれを出すことによつて肥料の増産ができるように承わつたのでありますが、常時そういうふうにして、緊急状態に応ずるために何がしか安本では一般に割当たほかになお予備となる電力を保有せられておるのでありますか。若しありとすれば大体何%ぐらいなものを保有されておるのですか。
  43. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 保有の問題でありますが、これは実はそういうふうな緊急の事態に処すると申しますよりも、地方におきます工場別の割当が現場の末端におきまして、必ずしも実情に適しない場合もあり得るかというふうな考慮をいたしまして、通常は毎月の割当のうちにおきまして約二%乃至一%のものを保留いたしまして、これを現場の割当官庁である公益事業委員会の支局長が現場の事情に応じて調整し得るというようになつております。大体現在でも第一四半期から第二四半期を通じまして二%乃至一%のものを現場の処理に任しております。今申上げましたような下半期の問題は、これは、年度当初におきましていろいろな事情の変化のあることも考えまして約五%前後のものを持つておりましたので、そのうちの一部を割きまして石炭に廻したということであります。なおそのほかにも若干の調整保留は現場に流しませんと、現場における最終の割当が適正に行われませんから、今回以後もそのことは持続すると思います。
  44. 岡村武

    参考人(岡村武君) 鉄鋼業全体の立場から今の問題について意見を申述べたいと思いますが、如何ですか。
  45. 結城安次

    理事結城安次君) 実はあなたは今日は参考人になつていないのです。それで皆さんにこれからお諮りいたすのですが、鉄鋼連盟から見えておりまするので御説明を願つてよろしうございますか。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 説明と申しますか、結局鉄鋼関係に対して操業に差支を来たすような電力状態であるということを中心としての御意見だろうと私は想像するわけでありますが、そういうことは今年の下期の全電力需給バランスの中で議論しないとなかなか工合は悪いと思うのです。ただそれだけを承わつておきましてもぴんと来ませんので、一応只今の岡村さんの御発言は、このRBのほうから今年の下期のバランスにつきまして前回要求しましたことにつきまして細かく御報告願つて、それから肥料は一応安本の計画通りに危機が来ても絶対量を確保するというのか、そのしわは鉄鋼へ向けるとか、或いはその他の産業に向けるとかいう話が出たときにどうする、こういう工合にやつて頂きたい。
  47. 結城安次

    理事結城安次君) さよう取計らつてよろしうございますか。あとでこの前栗山委員の御発言で、下期の需給状況数字で御説明願うことになつておりますので、そのときに若し何でしたら鉄鋼業のかたからお話を承わることにいたします。それでよろしうございますか……。そうすると、もう一遍確めておきますが、産業局次長は、他の産業には影響するということはない、若し非常な異常な渇水で更に足りなくなつた場合には、その肥料のほうを制限しても他産業影響させないんだということに了解してよろしうございますか。
  48. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 他の産業影響がないということは申上げたくないのでありまして、他の産業を削つてまで廻したくないと申しますか、従つて年間暫定計画におきましては、今年の鉄鋼業は、今すでに制限がなくても影響があるわけです。併し肥料を増産するためにこれ以上の制限はいかんだろうということで、年間の暫定計画できまつておる割当量を減らす、それまで減らそうということは考えておりません。
  49. 結城安次

    理事結城安次君) それは当然で、現在削つてまでも……あとの影響ということを承わつたのです。それで、それならその数字をこの次までに産業別の配給表を早くこしらえて頂きたい。
  50. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 産業別の問題は目下作成中でありますから、この次の委員会に間に合いますかどうか知りませんが、毎四半期、期始まる前後におきまして確定しております。確定いたしましたら委員会に申出たいと思います。
  51. 結城安次

    理事結城安次君) 産業局次長に申上げますが、第三四半期のいつ頃できますか。
  52. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 目下のところ大体第三四半期の開始前にはできると思います。
  53. 結城安次

    理事結城安次君) できたらすぐもらうことにしましよう。  それでは以上を以ちまして予定調査は大体終りましたので、この間小川君から要求がありました石炭生産及び業種別需要状況について中島炭政局長から簡単に御説明をお伺いします。
  54. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 石炭の調整に つきまして本日資料を配付いたしましたが、これは今年度の七月までの実績と八月以降の計画と、これを各炭種別、地区別に対照しております。これは四千五百万トンの計画に則つたものでありましてこの内容につきましての一々の御説明は省略いたしておきますが、現在までの実績を見ますというと、今日すでに八月まで全体の数字実績になつてわかつておりますが、八月までの実行率が大体九九%前後になるようであります。それから九月以降の見込といたしましても、必ずしも四千五百万トンの目標を引上げたためにその達成が困難だと、こういう事情はないようでありますが、年度当初の四千四百万トン計画そのものが、当時といたしましてはかなり高いというふうな気分がありましたし、それを更に百万トン引上げたわけでありまして、これを実行しますためには相当の援助も必要だということで先般発表になりました。これも配付いたしてございますが、閣議了解の趣旨によりまして、それぞれの関係のほうでできるだけの協力を願うように只今実施中でございます。で先ず特別の事情のない限り各方面協力によつて四千五百万トンの目標達成ということは一応いたしたいと、こういうふうに考えております。そこで全般のこういう供給状況見通しの下に、特に第三四半期の電力用炭の確保はどういうことになるか、この点につきまして御説明を申上げます。第三四半期の発電用炭の確保ということにつきまして、先般来公益事業委員会から数字を持つて来られまして打合せをいたしておりますが、これによりますというと、第三四半期の所要量は二百五十万トンになつております。その内訳といたしまして、消費が百八十九万トン、十二月末までの貯炭が八十一万九千トン、こういうふうな数字を基礎にいたしまして二百五十万一千トンという第三四半期の要請数字が出ておりますが、この二百五十万トンをそのまま維持するということは、只今申しましたような四千五百万トン計画と第三四半期の供給計画と睨み合せまして非常に困難な点があります。これは発電用炭が御承知のように粉炭でありまして、これを競合するのが鉄道でありますとか、進駐軍用の炭であります。それからセメント用炭、こういつた大口の所が競合いたしますので、粉炭関係だけの需給から申しますと、現在の粉炭が大体月百七十万トン見当であります。従つてそのうちから二百五十万トンということになりますと、丁度毎月その半分が電力用炭に持つて行かれるということになりまして、この辺で各産業とのバランスの問題が出て来ます。これをそのまま取りますというと、非常に大きな影響を鉄道、進駐軍その他の大口の所は勿論、それ以外の一般産業にも大きな影響を及ぼしますので、できるだけこれは切詰めてやつて行きたいと、こういうふうな希望を我々持つておるわけであります。ただ発電用炭そのものを抑えるということは、これは電力供給に直ちに影響いたしますので、我々の希望といたしましては十二月末の貯炭八十万トン、これは丁度三十二日分になるわけでありまするが、これを若干切詰めて頂いて、そこで貯炭面で多少の余裕を出して頂く、こういうふうなことにしてもらいたいというような希望を申しておるわけであります。私どものほうの数字といたしましては、これを仮に十二月末に発電用の貯炭を六十万トン、約二十三日分と抑えますといたしますと、地区別に数字が違うわけでありますが、特に問題の関西方面は大体三十日ぐらいあるということになるわけであります。その程度の貯炭で十二月を越して頂くということにすれば、只今の二百五十万トンの受入れ所要数量が二百二十八万トンまで下るわけであります。この二百二十八万トンという数字を第三四半期に仮に電力用炭に確保するということにいたしますというと、ほかの産業に対する影響はどうなるかというわけでありますが、これは一応の想定数字でありますけれども、先ず先ほど申しました大口の中で、電力に次いで確保を要するところの鉄道用炭、それから進駐軍用炭、こういうものをほかの産業を抑えて仮に確保するという措置をとりますというと、他産業に及ぼす影響が二割八分余りになります。従つてこの措置によつてほかの産業が三割近くの初めの予定に対しまして配炭減になると、こういうことになるわけでありますが、これを緩和する一つの要素といたしましては、比較的に電力以外のほかの産業は現在のところ貯炭を持つておりますから、工場貯炭を持つておりますので、一期この程度仮に圧縮されましても、三割近い数字がそのまま生産の減となつて現われるということはなかろうということの一応の想定ができるわけであります。併しいずれにいたしましても相当大幅の影響でありますので、この点に関しましては各担当部局に十分検討して頂く必要がございますので、これは研究いたしております。なおこのほかに各産業で自由経済の原則に基きまして、それぞれ従来からの拡充計画がございまして、十月以降新らしく設備が稼動する、石炭を要するところの設備が稼動するものがかなりございます。これは正確な数字はわかりませんけれども、大体私ども調査によりますというと、大ざつぱにいつて十月から三月までに五十万トン近くのものが新規稼動の設備によつて新たな需要として出て来るということになると思います。そこでこれに対しまして私どものほうの希望としては、一番炭の需給の逼迫を予想をされますこの下期について新らしい設備の稼動ということが急速に起らないように、できればこれを先に延ばして頂くということをやつてもらいたいという趣旨で以て、これも各関係部局のほうにお願いしておるわけであります。全体の見通しから申しますというと、最近の石炭の市況から申しまして、大体出炭の能力と申しますか、或いは実績と申しますか、これは尻上りに上りつつありますので、あと半年、つまり来年度に入ります前後におきましては、更に現在より以上の出炭能力が出るということはこれは期待できるわけでありますので、現在の拡充設備を放棄する必要は全然ないのでありますが、暫らく延ばすことによつて、この冬の時期に際しまして電力用炭の逼迫ということを多少でも緩和できるというような趣旨で今相談中でございます。それから二百二十八万トンというふうに想定いたしました電力用炭をどういうふうにして確保するかということでありますが、御承知のように現在石炭の配給統制が行われておりませんので、これを政府のほうで配炭を確保するということを確信を持つて申上げられるような筋途はないのであります。ただ先般二月から三月にかけての炭鉱のストライキの際に当りまして、丁度その当時も電力用炭が逼迫いたしましたので同様の措置をとつたのでありますが、やはりこれは事実上の斡旋措置といたしまして、公益事業委員会のほうと協力いたしまして、大体各地区別乃至時期別の工場別に所要の数量を出しまして、これをやはり石炭のほうの各社にそれだけのものを優先的に出荷して頂くように懇請するという以外の手は差当りないわけであります。これにつきましては、逐次そういうふうな方向に持つて行くように準備を進めておりますが、各炭鉱業者のほうも電力の問題につきまして、実情につきましては相当認識は持つておりますし、電力用炭をとめてほかのほうからの契約の方面だけ確保するということがどういうふうな影響を来たすかということは、これは承知されておりますので、趣旨につきましては恐らく異存はなかろうかと思います。ただ最後的にこれを引受けるかということにつきましては、勿論簡単に行くという問題ではないということは私ども承知しておりますが、こういうことは十分御相談しまして、強制措置をする前に電力用炭の方面で支障のないように持つて行きたい、こういうふうに考えております。なお強制措置といたしましては、段階的には出荷の手続でありますとか、更には一般的な割当統制ということがあるわけでありますので、これを行おうとすれば、現在まだ物資割当規則が生きておりますから、これに追加することによつて行い得るわけでありますけれども只今統制を撤廃いたしまして自由経済の原則でいろいろな経済関係が成立いたしておりますので、これを急激にそういう方向に持つて行くということにつきましては、事実上の準備の点から申しましても、又実際面から見ましても非常にむずかしい問題が出て来ますので、そういうことはできるだけ避ける方向において実際の斡旋措置で解決して行きたいというので、我々の努力は先ずそちらの方向に持つて行きつつあります。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 十七日の委員会に鉄鋼連盟からお二人出て来て何か御説明するというお話つたのですが、それがたまたま時間が遅くなつたので、今日向うの御都合がいいというのでお出掛け願つた。今日の委員会で取りあえずお二人から御説明つたらどうですか。
  56. 結城安次

    理事結城安次君) これは先ほど申上げました通り、この次に割当とかいろいろな問題が関連して来るときに御説明願おうと、こういうつもりでおります。只今の炭政局長のお話では、この間の公益事業委員会の御説明の二百五十万トンと相当食い違いがあるのですが、これに対して公益事業委員会のほうから平井技術長。
  57. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) これは新規の需給も全部この際一緒にいたしますか。
  58. 結城安次

    理事結城安次君) 一緒にして下さい。それから質問に入ります。
  59. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 一昨日の御要望もございましたので、お手許に四枚ばかりの一枚刷りの資料を差上げてございますが、一応この資料を御覧頂きながらお聞き取り願いたいと存じます。  先ず本年の下半期の需給の予想なのでありまするが、これにつきましては昭和二十六年度下期電力需給対照表(全国)と書いたもので一枚刷りのものがございます。それを御覧願いたい。先ずこの計画はおおむね年初の需給計画の線に沿うたものでありまするから、供給力の点につきましては年初計画のものを使つております。ただその後いろいろと供給量の変更等のありましたものにつきましては考慮しておりますが、水力は設備の許す限り当然これは深夜に対する若干の無効放流とか、或いは計画的に停止電源をいたしまするための停止電力等は見込んであるわけでありますが、水力発電所の能力をそういうふうに考慮して一ぱいに出した数字が、下半期を通じまして右に掲げた百四十五億キロワツト時となつております。火力発電量は、これは石炭の量の関係があるのでありますが、年初の計画の線によつても、いわゆる年間六百五十万トンと称せられておりまする数字の下半期分が、丁度四百二十万トンの計画になつておりますが、それに基きました火力発電量がここに出ております。勿論住友、共電その他の火力等も入れまして、或いはその他の火力の発電分も入れてあるわけであります。そうしたものを合わせました供給力が、下半期を通じまして百九十五億六千九百万キロワツト時となつておるのであります。これに対しまして需用のほうでありまするが、年初の計画では大体この供給力に合わし得るように割当電力量等をもきめまして、そうして需給のバランスをとつて出発したのでありまするが、その後の実際の需用は大口、小口それぞれの分においていずれも伸びておるのであります。で、上半期のそうした実態を把握いたしまして、その上に立つて下半期の需用量をば再調整して予想を立てましたものが、この表にある数字でありまして、内訳の説明を省略いたしますが、需用という欄の合計の右端に百五十五億四千万キロワツト時となつております。この予想は相当からい目に見て堅く査定したのでありまするが、どうしてもこの程度の需用は避け得られないように思うのであります。これは需用端でありまするので、それに総合損失をば考慮いたしますると、発電端の需用電力量(B)ということが出ております。下から三つ目の欄、二百九億千七百万キロワツト時の需用になつております。差引きますと十三億四千七百五十万キロワツト不足ということになつております。下足率が期を通じまして約六・九%、毎月の下足の状態は、一番下の不足率という欄で御覧頂きますれば、若干月によつて出入りがありますが、二月を最高といたしまして大体七%前後の数字を示しておるのであります。これがいわゆる年初の需給計画から離れて現実の、今の需用の実態の上に立つて見た見通しであります。特別大口需用につきましては、年毎の製産量は殖やさないそのままの建前ではじいて 実際にはこれくらいの需用はどうしてもかかるであろうと思われるのであります。それはいろいろ超過使用量が相当に多いのであります。従いまして、この不足分を賄うといたしますると、これでもう水力は一ぱい計上してございまするし、石炭をこれ以上に廻すという方法をとる以外に目下のところ当面の補充方法はないのであります。従いまして石炭だけの面で申しますると、下半期は四百一工万トンは更に百万トン以上の追加を、増量を予想しない限りにおいては、これだけの需用は賄い得ないという状態にあるのであります。そこで大きく問題になりまするのは、下半期に現実にいろんな産業面との関連を見ましてどれだけの数字を確保し得るか。これが委員会としてこの際もうどうしてもはつきり見当をつけざるを得ない一番大事な点でありまするが、先ほど資源庁のほうからもいろいろ御説明がありましたようないろいろの事情にありまするので、この不足分を全部石炭で賄うという点は、石炭供給面の均衡という点からも非常に困難であるようで、到底お話のように進み得ないような事情にありまするので、私どもは最少限度の目標をば、年初の計画程度のものは確保する、そういう意味で、下半期は四百二十万トンはどうしても平年豊水であつた場合においては、どうしても確保しなければならないと見た、これが最少限度の枠と考えておるわけであります。なおこの計画は、氷が八カ年の平均出水を毎月続けると予想した場合のいわゆる大体の標準と申しますか、平均値と申しますか、そういうものの上に立つての予想でありまするので、豊水でありますれば、その豊水分だけは供給量は殖えまするからして、一応不足と申上げました数字は、その限りにおいてはカバーし得るのであります。併し渇水でありました場合には、この渇水分は当然石炭の増買といいますか、増加買付によつてこれを凌ぐより方法はないのでありまして、その面にどれだけの増加買付が期待できるかということが一つの大きな問題になるわけであります。  それからもう一つは、この表には載せてございませんが、貯水池の実情でありまするが、おおむねこの秋口の台風を越しますると、従来は電気需用量のそれぞれの冬場に備えるべき貯水池というものは石炭に匹敵するものでありますからして、満水させる目標でいろいろと年初から計画的にこれを調節しているのでありまするが今年の前半は非常に需要が伸びましたので、予想以上に貯水を使わざるを得なかつたのであります。併しながらそういうものを何とか秋口の台風で以て取戻すという一つの期待を持つてつたのでありまするが、御承知のように八月以来今日までに殆どまとまつた雨量というものはございませんので、特に貯水池と申しまするのは大雨を期待しなければこの場合においてはなかなか水位が回復しないのであります。そういう状態で、現状ではまだ満水量の半分程度しか全国的には平均して貯水ができておらないという状態でありまして、ただ雨がなんとか早く来ることを特に祈ると申しまするような、大雨の来ることを念願しつつこの不安を持つているというのが実状なのであります。  そこで次にはもう一枚の紙で、昭和二十六年度下期出水率及び火力用炭減少による想定不足電力量という表がございます。上のほうに第三・四半期、第四・四半期、下期計というふうに書いてあります。非常にごてごてとした表でおわかりにくいかと思いますが、この表で御説明いたしたい点は、只今一応口頭で申上げましたように、危険な時期への予想としては渇水ということがある。それから石炭の量の確保が、只今申しました下半期四百二十万トンの線よりも更に下廻るという不足の面がある。それが量的にどういうふうに響くかということを御覧頂くために作つた概算の表なんでございます。一番上に渇水段階と書いてございます。一〇〇%、九〇%、八〇%、七〇%とパーセンテージが出ておりますが、一〇〇%と申しまするのは八カ月平均の出水の場合を申しております。それから九〇%、八〇%、七〇%と申しますのは、それぞれ八ヶ月平均の出水量の九割、八割、七割の出水しかなかつた、そういうふうな程度渇水した場合の予想であります。ただここで例えば七十という数字になりますると相当ひどい制限が予想されるのでありまするが、下半期を通じて七十というふうなことは、過去の記録ではそういうふうにはならないのでありまするが、ただ一ヵ月とか短時日を見ますと、全国平均して七十程度渇水になることは長くあるのであります。その期間の長さ如何によつて若干違うのでありまするが、ここにありまする数字は、期を通じての平均数字として御覧を願いたいと思います。この数字は又或る短期間の数字をそのままで見る場合にも、圧縮して考えることができるのであります。  それから第二段のところに需用増加による不足量(A)と書いてございます。これが先ほどの第一の表として御説明申上げました不足電力量六・九%の毎期の数字でありますが、これは同じ数字が第三、第四、下期とあります。  それから渇水による不足、最初の段の、例えば一〇〇%の場合には渇水はないのでありまするから、不足はないのであります。九〇%の場合には第三四半期において七億二千五百万キロワツトアワーの不足を生ずる。以下ずつとそういうふうな数字でございます。  それからCの説明がその下にございます。これは石炭がこの計画における数量より百万トン減少した場合、それがキロワツトアワーでどれだけ響くかというのがここに載せてあるのであります。で、不安な要素としましては、渇水と需用の増加による圧迫六・九%一というのは、これはもうずつとべたに考えなくちやならんのであります。その下に、渇水による不足が重なる場合がある。これをA十Bと書いてあります。それから又、渇水はしないけれども石炭が思うように入らなかつた場合、仮に百万トンの石炭不足した場合、A十Cと書いてあります。渇水石炭不足とが同時に重なりました場合をA十B十Cと書いてあります。実際こうしたものはいろいろな複雑な組合せをここに予想して書いておるわけでございますが、これらのいろいろな、予想される場合に対しての計画供給力の需用に対する不足の割合がその不足率という欄にいろいろ出ておるわけであります。例えば一割渇水をした場合、例えばA十BDと書いた欄のところで、渇水がなければ六・九%、一番右の端の下期通算で見ますれば、一〇〇%のところでは、渇水がなければ六・九%程度不足であるけれども、一割渇水すれば一躍一三・八%の不足になる。二割渇水すれば二割不足になるというような、こういうふうな見方であります。渇水等がなくて、石炭だけが不足した場合の数字は五・三、六・五、五・九%の不足ということになるわけであります。で、このいろいろと予想されまする要素をできるだけ克服したいのでありまして、渇水による不足分は一応平水の場合に四百二十万トンという数字に対しまして、更にその渇水状態の出ました場合には、それだけの分を何とか増加してもらうように、これは又骨折らなくちやならないと思つておるわけであります。それから石炭不足のないようにあらゆる努力を今続けておるわけでありますが、これがここ暫くの最善の努力……、いろいろと通産省方面でも御協力を頂きました結果が大よそ見通しが立ちますならば、それによつて具体的なめどを付けなくちやならんと思うのであります。こういうふうでありますので、下半期全体を通じては月によつて豊水のときもありますし渇水のときもありますので、なかなかその辺を上手にならして行かなければならんのであります。おおむね豊水でありますならばその点は相当緩和できると思うのでありますが、八カ年平均の出水しかないという想定であれば、石炭事情がよくても貯水量が一応一ぱいになるといたしましても、なかなか窮屈であるということがはつきりわかるのであります。そうしてその窮屈の程度は、石炭入手見通し、或いは渇水の倍加することによりまして更に加わるのであります。これらはできるだけ供給力回復の面に最大の努力をいたしますが、同時にこういうふうな具体的な数字に立つて見ました見通しとしては、下半期といたしましてはどうしてもできるだけ大きな見当を付けて、そうして計画的に需給を調節して行かなければ、非常に混乱を来すことが避けられなくなるであろう。石炭の需要があるだけどんどん焚いて行くとすれば、一月の最渇水期になつたら、その石炭は非常に大きなものになり、あらゆる産業が窒息状態になるということにも相成るのであります。どうしてもこうしたことを計画的に切抜けるようにうまくやつて行きたいと考えております。  その下半期の電力の需給調整の方策は然らばどう考えておるかという点になるのでありますが、この点につきましては、実は先月来いろいろと各方面と連絡をとりながらいろいろな作業をやり、又打合せをやりながら今進めておるのでありますが、本日までのところではこれについてはまだその結論を得てこうだと申上げる段階に至つておらないのを遺憾とするのでありますが、もう少し時日を要せさせて頂きますならば、およそ具体的な決定をし得るのじやないかと思つております。これらは当然いろいろの産業政策上の考慮を十分に事前にしてかからなければならんのでありますので、特にそういう意味合から経済安定本部とは密接に連絡をとつて進めておる次第であります。実はこの下期の対策につきましては、その筋からもいろいろとアドバイスを受けておるのであります。当委員会といたしましては、そうした意味で先般来一面そういうふうな官庁方面と連絡をとると同時に、当該電力会社供給側の意向等も聴取するということにいたしまして、大体の考え方を或る程度集約し得るところまで来ておるのでありますが、まだ委員会の決定に至つておりませんので、どう変る、その通りになるとは申上げかねるのでありますが、大体どんなふうな考え方をしておるかという程度を中間的な御報告として申上げまするならば、先ず何を置いてもあらゆる方途を講じて供給力を増加する面において各段の努力電気事業者にさせる、一々の項目を上げることは省略いたしますが、幾つかのアイテムを捕えまして、更に各般の努力を続けて、そうして供給力のできるだけの増加を図らせるというふうに骨折らすのであります。そうして足らない分につきましては、一応法的措置考えまして、その法的措置も幾つかの段階を設けまして、そうして計画的にこれをやつて行く、そうしていろいろな国民経済への影響ができるだけこう長い間に薄められて調節されるような方向に調整して行きたい、こういう考えでおるのであります。そうして渇水だとか、或いは石炭不足だとかというようなものが、それに思わず倍加したような、不測な事態に対応するようにその段階を一応高いところまで予想はして、如何なる場合でも大体事前にその制限段階というものが、大体どの範囲であるということを国民に周知させるようにして行く。そうしてこの段階を適用するという考え方で行きたいと思つておるのであります。当然キロワツト・アワーの使用制限などの形もとらざるを得ないと思うのでありますが、同時にキロワツトにおけるその限界を指定せざるを得ない段階に至るであろうと思うのであります。又需用によりましては、こういう需用には使つてはいけません、という種類の需用をも指定をすることにしたいと思います。又使用時間について使用を限定する方法をもとりたいと思うのであります。現在の制限でも電燈等につきましては昼間の使用を禁止しております。こういうのが一つ使用の時間の制限であります。又似たような意味休電日制をやはり布いて行かなければならんと思うのであります。休電日制も成るべく一週間の休電の回数を少くすることが狙いなのでありますが、最も高い段階では、若干その日数を重ねなければならんという場合も一応想定しておるのであります。それから公共事業とかそうしたものに対する扱い方と、その他の産業に対する扱い方とは当然若干これは扱い方に区別をしなければならんのじやないかと思うのでありますが、そうしたことも合わせまして、産業種別の扱い方につきましては、経済安定本部と目下協議中でありまして、どういうふうな方法でやるかは目下きまつておりませんが、いずれにしましても今のような構想でありますが、もうどうにもならなくなつて、非常に混乱を来たすことにならないように時間的に成るべく長く薄めて、そうして生産面或いは民生安定上の影響も最小限度にとどめるような方途を講じたいと考えておる次第であります。下半期の需給対策につきまして、大体以上御説明いたしました通りであります。
  60. 結城安次

    理事結城安次君) 次に平井技術長から、この抑制状況と増加率表等との御説明を願います。
  61. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) これは一昨日栗山委員のほうから、確か御要求がございましたものを急遽刷りましたものですから、昭和二十六年度の七月以降の制限状況制限地域における状態をここに書いてございます。  これは先ず七月の……七月は、大むね豊水でございまして、需用は非常に抑制を受けることなく、大体ずつと供給ができておるのであります。その月を一応標準日として見たのでありますが、一番上の欄の七月の平均日量一カ月の電力量の一日平均の量を出しておるわけであります。その右の欄に御参考までに出水率が出ております。これを百としまして、七月の平均日量を百としまして、八月の上旬、中旬、下旬及び九月五日まで、それから九月の六日から十四日までの大体平均日量がどういうふうな推移を辿つているのかというのがこの欄として書いてあるわけであります。でこの七月の平均日量に対する。パーセンテージで出ておりまするので、大むね七月の平均日量に対してこの八月の渇水はだんだん中旬、下旬と拡がつて来たのでありますが、その影響が地域的に時間的なズレはあるのでありますが、どういうふうにズレて来ておるかというのはパーセンテージで比較が願えるかと思うのでありますが、ただこの数字だけを以て言いかねる面がいろいろあるのでありまして、例えば、七月の平均日量と九月の平均日量、或いは八月の平均日量が地方によつて増減の割合が一律でないのであります。それは産業構成、又アロケーションの操作等によつて当然そういうふうな形が出て来るのであります。そういう点をもう一つ見て比較する必要があるのでありまするが、そこまでの調査ちよつと間に合いませんのでございますので、そのまま資料を差上げてございます。  それからもう一枚の表は需用の会社別の最近の増加率はどういうふうになつておるかというのも御要求がございましたので、四、五、六、七、八月の各月につきましての実績が対前年度の増加率をどういうふうに辿つているかをここにパーセンテージを出しております。御参考のためにもう一年前の昭和二十四年度に対する二十五年度の増加率、これを併せて出しております。大体二十五年に対する本年度の増加率は、A対Bと書いたパーセンテージで大体おわかりであると思います。これらも、やはり月によつて非常に出入り、があるのであります。
  62. 結城安次

    理事結城安次君) 只今までで本日の調査事項に関する説明は一応終りましたが、日本鉄鋼連盟岡村専務理事から割当制限量鉄鋼鉱業全般に関することを申上げたいという要求がありますが、これを許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 結城安次

    理事結城安次君) 岡村専務理事の、参考人の発言を許します。
  64. 岡村武

    参考人(岡村武君) 私、日本鉄鋼連盟の専務理事の岡村でございます。  本日この席において日本鉄鋼全体の立場から電力と将来の鉄鋼の生産との関連について意見を申上げる機会を与えられましたことを厚くお礼申上げる次第でございます。  只今下期の電力需給の見通しについては平井技術長、又、今年春の非常な大きな問題になつております窒素肥料の増産による他産業に及ぼす影響についての御説明につきましては、十分な御趣意を了承いたしたのでございます。  併しながら鉄鋼業といたしましては、この下期以降に我が業界に負託せられております鉄鋼生産の維持乃至は増産につきまして、この電力需給の立場から果してその御期待に副い得るや否やということは只今の御説明だけによりましては、なお確たる自信を持ち得ないのでございます。そのことにつきまして一つお聞き取りを頂きたいと存ずるのでございますが、鉄鋼業は御承知通り終戦後非常な急カーブを以ちまして、その壊滅状態から立上りまして、本年度におきましては大体普通鋼鋼材四百万トン、特殊鋼鋼材十二万トンの生産目標で出発をいたし、目下順調なる生産の経過を辿つておる次第でございます。のみならずこの四月以降におきましては月間生産は極めて安定した状態でございまして、普通鋼鋼材においては大体四十万トン、六月のごときは四十二万トンにも達している次第でございます。又銑鉄は年間三百二十万トンの予定でございますが、只今実績は大体月間二十七万トン程度実績を挙げている次第でございます。又特需につきましては当初十二万トンを予定してございましたが、最近の特需等の傾向を反映いたしまして月間一万七千トン程度生産をこれ又継続し、なお将来増産が約束されておるのであります。然るに現在の鉄鋼業に対するところの割当は、当初の計画でございまする鋼材、普通鋼材四百万トン、銑鉄三百二十万トンのラインに沿いまして、その生産を維持し得る最低限度の割当が基準に相成つておるのでございます。  然るところ只今の御説明に申上げましたように、現在の生産は遥かにこれを上廻つておるのでございまして、仮に現在の生産のテンポがいささかの上昇もいたしませんで、並行的に維持されたといたしましても、今年度における普通鋼鋼材の生産は四百八十万トン、特殊鋼は二十万トンに逃することが極めて明瞭でございます。なお且つこれに対する電力は一廻りも三廻りも小さい目標数に対するものしか割当られないということになりますると、今後における、今日まではどうなりこうなり続けられておりますが、今後における鉄鋼増産が果してこの電力割当を以て遂行できるかどうかということにつきましては、極めて危惧の念に堪えないのでございます。鉄鋼業はその性質上、従来火力も使つて参りましたが、余剰電力の吸収、消化につきましては、最も大きな貢献をいたしておると思うのでございます。従いまして今度の割当につきましては、そもそも生産目標が小さいところにもつて来て、かような特殊事情を反映いたしまして、今の生産段階におきましても、又将来の生産の予想におきましても、割当を頂きました電力量は過少であることは極めて明瞭なのでございます。でこの傾向を以ていたしますると、恐らく今月についてもやはりはつきり申せるかと思うのでございますが、先ほどお話の窒素肥料の増産によりまする多少の影響等も考慮いたしまして、今月の生産は普通鋼鋼材におきましては四十万トンを割るだろうということが心配をいたされるのであります。もともとかような四百八十万トンというふうな生産予想が、日本の経済にとりまして果して必要であるかどうかということは、これは別の考えもございましようけれども、私どもはそれが業界に課せられた国家的な負託である、かように信じまして少くとも生産維持につきましては万全の努力をいたしておる次第でございます。かような次第でございまするので、その点を十分にお汲み取りを願いまして、少くとも現在の生産のテンポを維持できる程度電力につきましては、万般の配意を頂きたい、かように存ずるのであります。  なお且つ申し加えたいのは、かようなお願いはしばしば国会に対しましても、或いは関係官庁に対しましても、公益事業委員会に対しましてもお願いをいたしておるのでありますが、その際に御指摘を受けまする点は、鉄鋼業の内部における電力の消費が必ずしも合理化されておらないという点なのでございます。これを具体的に申上げまするならば、熔鉱炉を使つてできる銑鉄或いは平炉を以て生産できる鋼塊を電気炉で作るということは、これはおかしいではないか。電気炉でなければできない特殊鋼その他のものを生産するなら止むを得ないけれども、普通鋼鋼材について、或いは普通銑についてかような生産をいたすということは内部の合理化ができておらないではないか。先ずその点を改めて出直せということをしばしば御指摘を頂くのでありますが、これは一面において誠に御尤もとは存じますけれども、従来かような特殊の製鉄業が先ほど申上げました余剰電力を吸収し、この電力量維持に大きな貢献をいたして参つた。又これが補足的な生産に相成りまして、全体として全き生産を遂行しているという点等をも御覧頂きまして、これらについて余りに過大な削減を御期待頂かないほうがよろしいのではないか、こう思うのでございます。現在以上の若し電力の制約をいたすとするならば、この電力割当に名をかりて、企業整備というふうな強力な国家の意図が盛られるということにならんとも限りません。さような次第でございまするので、勿論業界といたしましては電力の消費についてできるだけこれを節し、又合理的にこれを使うということにつきましては、あらゆる努力をいたしておるのでございまして、これは業界自体のためでもございまするので、原単位に切下げでございまするとか、歩留りの向上等は現在まであらゆる努力を傾注して相当の成果を挙げておるのでございます。決して無駄に電力使つておるのではないのでございます。なにとぞかような状況を御賢察頂きまして、今後の生産が少くとも維持できる程度電力割当につきましては、万般の御配慮を頂きたい。  又先ほど窒素肥料の増産によりまして、その影響は他産業には及ぼさん御方針のように承わりましたが、当初二十万トンと承わつた増産量が、拝見いたしました点は誠に結構かとは存じますが、なお且つ今肥料年度内においてかような厖大な増産を遂行して、それが保留分によつて十分に賄い得られ、他の産業には全然影響を及ぼさんで済むのだということにつきましては、これは具体的な数字を拝見いたしませんと、何とも申上げられないと思うのでございまするが、それについては確たる御返事を頂ければ仕合せかと存ずるのであります。鉄鋼業といたしましては大体全般的にさような状況であり、又さような希望を電力割当について持つておるということをこの際申上げて終りたいと思います。
  65. 結城安次

    理事結城安次君) それではこれから質疑に入りますが、どうぞ相手方を明示してから御質疑を願います。
  66. 栗山良夫

    栗山良夫君 私簡単に三、四点伺いますから、関係のところから……、先ず最初に公益委員会にお尋ねします。この資料を頂きますと、一番重要な点は、需給対照表に掲げられておる総合損失率が問題だと思います。これはこの前料金改定のときにいろいろ言われたのですけれども、二五・八%という全国総合損失率ですね、これが実際にこの程度で治まるかどうか、この点を一つはつきりして置いて頂きたい。簡単に聞きますから、ただそれで自信があるかどうかということだけで結構です。
  67. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 先ほどこの数は概算的のものであるということを申上げましたが、その辺の点については若干食い違いがあるのでございます。ロス率は決してそこまで達しておりません。まだ悪いのでございます。併しながら昨年のロス状態から見ますと、相当に改善された跡はあるのであります。又今後ともロスの軽減については努力をすることであろうと思うのであります。それから他の面におきましては水力の設備の利用率の向上だとか、そのほかの面で若干年初のこの計画数字に織込んであります利用率よりは上廻つておる点等がありますので、それらの点をいろいろ総合いたしまして、第三四半期についてはまあこの辺ではないか、第四四半期については少しからいのではないか、こう申上げられると思います。
  68. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは私は率直に申上げて、二五・八%の総合損失率では、見込みがから過ぎるということを申上げたい。それはこの前も申上げたように、今年の冬の危機をどう乗切つて行くかということを、政府に出して頂きたいということを言つたわけですから、損失率もから過ぎるのではなくて、実際に自信のあるところを計算に入れて、損失率の軽減が期待の通りできなかつたことに対するキロワツト・アワーがどれだけというくらいのところまでは計算されないとうまく行かないのではないか。これはまあ私の意見ですけれども、その点はわかりましたからやめます。  それから第二点を伺いますが、需用増加による不足量というのがありますが、これは今後需用が伸びて、今まで野放しのような恰好で伸ばされて来たわけでありますが、今後は、産業局次長あたりが言われたように、新設備の稼動を抑制する、そういうようなことを言つておられますが、この不足量の中に若干入つておるかどうか。結局この不足量を超すというようなことは絶対にないか。この点を明らかにして置きたい。
  69. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) その辺の、例えばロスの実際の数字とか、それから今の不足率のもう少し細かい数字は、実は月別、地区別に各電気事業者の腰だめ的な数字を使いました上で電気事業者をして詳細な数字を提出させて、そうして更に検討するつもりでありまして、只今のところ資料がございませんので、これを腰だめ的な数字として扱つております。大体不足率がそういうふうに出て来ましたのは、先ほど鉄鋼の面からお話がありましたように、恐らく程度が違うと思いますが、日本の生産活動全体が伸びておるのでありまして、年初の計画よりは生産がそれぞれ程度違つても上つていると思うのであります。そうした実態が向上した数字になつて現在現れて来ておるのであります。年初計画通りにやつてもその程度生産もやはり供給力一ぱいであつたのでありますので、どうしても豊水その他の期待が十分ないとすれば、若干の不足というものは恐らく避けられない。そうした場合にこれらのロスをどういうふうに調節するかというのが、やはり産業政策的な民生安定等のいろいろな見地から、それぞれの関係官庁の所管に従つて打合わせて行かなければならんと思います。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 その今の需要増加による不足量というのは、年初計画に対して、下期に計画を上廻つて需要が伸びるだろうというものに対する差額なんでしよう。
  71. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 大体そうです。
  72. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると今の鉄鋼に電力不足であるとかどうかということではなくて、これは需要増加をどの程度見込めるかということによつて格付けられないと……、それは又あとにいたします。  それから第三点で伺いたい点は、石炭の四百二十万トンについて百万トン減による不足量というのがありますが、これは百万トン取れば三百二十万トンになるわけですね。これだけは絶対間違いありませんか。どんなに間違つてもそれだけの三百二十万トンは確保されますか。それは一つ資源庁のほうからも御答弁を願いたい。
  73. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) その前にちよつと一言……。これは石炭のトン数の不足の割合がどういうふうに響くかということを一応仮に百万という数字で弾いたのでありまして、その辺をちよつとお含み置きを願いたいと思います。
  74. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 只今の想定によりますと、結局三百万トン余り残るわけでありますが、そうしますと、月平均にいたしまして五十万トンということになると思います。先ほど申しました全体の供給量、本年の供給量百七十万トンの中で、五十万トンを電力用に確保するということは只今出ております八十万トン程度数字に比較いたしまして、かなり緩和されますので、この点につきましては十分そういう数字であれば確保できるということを申しても差支えないと思います。
  75. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう一つ需要増加の点で伺いたいのは、全国平均率で今難儀をしておるわけですが、今問題になつておるのは関西であるわけです。それで関西のほうの需要の伸び方を表にして出して頂いたのでありますが、これを見ておりますと、東北から中国まで六ブロツクの平均増加率B分のAというのを格付に並べて見ますと、平均率よりも上廻つて需要の伸びを、つまり実績対想定でありますが、東北は四、五、六の三月は平均値以上です。東京電力のほうは、平均値よりも上廻つたのは一カ月もありません。中部が四月と七月と八月と平均で上廻つております。北陸は四月、七月、八月、関西は四月から八月まで毎月全部上廻つております。それから中国は四月、七月、八月、従いまして一番電力で困つておる関西が需要の伸びも一番多いということになるわけでありまして、この点は先ほど需要増加による不足量は間違いありませんかと念を押しましたのは、ブロツクに対しましても需要の伸びというものは若干やはり操作をしなければならんのじやないかという結論を申したかつたのであります。その点に対するお考えを……。
  76. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 需給計画におきましては、その地域、その地域の需要の伸びをここに想定をして、立てております。従つて実績と想定は若干出入りはあると思いますが、大体この傾向を辿つております。ですから関西の場合には増加率が多いということになつております。
  77. 栗山良夫

    栗山良夫君 ですから従つて下期の需要バランスをとる上において、ここに想定された全国平均不足量、これをやはり各ブロツクにおいて一応平均を出さなければならん。そういう点で一地域だけはどんどん需要が伸びるということになれば困るのですが、そういう場合に対する対策はどうするかということを聞いておるわけです。
  78. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) これはいろいろ産業政策上の考慮もありまして、圧縮する場合にはそうした需用の伸びも又業種別の圧縮も見ておりますから、そういう意味において……。
  79. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはわかりますけれども、今ブロツクごとに問題になつておるときに、全国的な見地に立つて問題を考えようという場合に、そういうことでは計画は全然立たないのではないか。
  80. 宮原清

    説明員宮原清君) 栗山さんに伺いますが、そうすると全国的な平均にすべきだという前提を無論おつしやつて今のお尋ねが出ておるわけですか。
  81. 栗山良夫

    栗山良夫君 いやいや……。
  82. 宮原清

    説明員宮原清君) 伸びの限度が、それぞれに或る一部だけがひどく伸びることは好ましくないという一応の考え方もあろうと思いますが、そういう意味ではありませんか。
  83. 栗山良夫

    栗山良夫君 関西が伸びてもかまいませんが、それは全国的なバランスを大きく阻害しない程度で行けるならばよろしい。よろしいけれども、大体石炭の四百二十万トンなら四百二十万トンというものを確保して行かなければならない。而もそのうちの主たる消費地が関西である。而も関西にもなかなか需用の伸びが多くて持ち切れない。こういうことになればやはり全国的なバランスをとるためにはまず局部的なバランスをとつて、それから行かなければ物事は成り立たないのじやないかということを私は申上げておる。
  84. 宮原清

    説明員宮原清君) お答えが当るかどうかわかりませんが、私の考えとしてお聞きを願いたい。この問題は大体発電量の或る程度に対してどれだけのものをいわゆる需要者に売るかという政策の根本について今まで可なり放漫にしてあつたと思います。これは計画をちやんと上ないで結果についてかれこれ言うことはよほど滑稽だと私はそういうふうに感じております。併し全国の電力が伸びることは産業自体の回復を待つということ、国全体の伸長に対しては、あえて阻害すべきでないという考え方も一面にあるわけであります。そこで殊に資材関係がこういうふうに変つて参りまして、特需とかいろいろなことがあるならば、そういうことの使い方についても、そうしてそれを使用する業種についての変革というものを大きく想像しなければならない。今後はこの地域における差等はかなり激しくなるのではなかろうかという気持がするのでありますが、併し今の御説の通り関西方面が伸びて調節を要する。かようなことでは思わしくないというようなことは一つの御見解だと思います。併し結局会社が賄えないものを売るということは間違つておると思います。従つてその会社自身が自分のところを調節して行く上についての原則を早晩きめなければならん時期が来るのではないか。勿論一面においては天候によつて非常に左右されるものでありますから、この操作は相当むずかしいでありましようが、今の御趣意については両様にも考えられるのでありますが、前段の消費数量に対する需用量を睨み合せて行く義務をそれぞれ電力会社は持つておるものだと考えております。
  85. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはこの前の委員会にあなたがおいでにならないためにこの間の繋ぎがおわかりにならないからそういうことをおつしやるのだろうと思いますが、結局電力会社が自分の供給力の範囲内で需用を伸ばして行くことは差支えないのじやないか、その通りだと思います。而もそういうことを調整するのは電力会社の責任だとおつしやいますが、そういうことをやつた結果今年の再編成以後においては需用の伸びが非常に伸びて、そうして予定以上の石炭を焚いて、その結果いろいろなしわが天候の問題もありましよう、ありましようけれども、漸次移行して今日の状態になり、而もそれが下期に入ろうとしておる。そういうことではただ電力会社の責任だけではなくて、これはやはり公益委員会なり政府なりのほうがとにかく電力については、今日相当強い主張をしておられるのだから、従つて全国的な観点に立つて、物事をもう少しスムースに行くように想定せらるべきではないか、そういうことを私は申上げておるわけであります。
  86. 宮原清

    説明員宮原清君) いや私の申上げておるのは、公益委員会等がそういうことの調整をする義務がないということを申上げておるのではないのでありまして、ただ今までのしきたりがそういうことになつておる。従つて委員会自体も最初から需用を受付けることについては非常にやかましい制限をしておらなかつたという事実を申上げたわけであります。併し今後どうするかということがいささか考えられておるのみならず、会社自身もその抑制を個々にやつておるようであります。それは差図をしたのではありませんが、自然的にそういう自分でその事実に当つて見れば、当然なさなければならんことになるのであります。その程度を、殊に関西においてそういうことが周囲に迷惑をかけておるというお話がありましたが、関西の伸びと不足程度については、必ずしも今のただ放つて置いて云々ということではなくて、関西固有の事情がある。例えば水力が雨がなくて不自由をしておるということもあるでありましようが、現実に今までの実績論のみを以ては言えないことでありますが、全体的に総合的な考え方をすべきではないかという御趣意は一応傾聴いたしまして、今後そういう種類の事柄が必然的に皆の論議になる機会があると思いますから、委員会としても善処したいと思います。
  87. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこで結論を私は伺いたいと思うのでありますが、この想定不足電力量につきまして第三四半期、第四四半期に分けて細かい不足率の計算書を出して頂いたわけでありますが、私はこの不足率は四段に分れておりますけれども、一番下の欄、AプラスBプラスC割るDという大体この欄が今年の下期のどれかが適用される、実際出て来る、こういう場合が考えられる。そこで問題は出水率の問題でありますが、公益委員会としては下期間を通じて七〇%ということはあり得ないと、こうおつしやつたわけであります。私どももそうだろうと思いますが、然らばこの四つのケースの中で一体下期の見通しとしてはどの辺のところを危機の最低線とするという工合にお考えになつておられるか、この点伺いたい。
  88. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 石炭が湯水に応ずるだけ十分に確保できてですね、又それを焚くだけの設備がその都度ちやんと準備してあれば、そういう不安はないのです。それがそういう複雑の要素の上に立つものがあるから、どうもここまでは行くということはちよつと申上げかねるのでありますが、ただ現実的に御判断、例えば三割渇水が一月続いた、他の二月は平水であるとしますと、第三四半期通算では一割の渇水になる。三月にあらかじめ平均すればその程度に緩和できるのですが、そううまくはなかなか行きませんから、私ども一番ひどい数字にまではならんと思いますけれども、一応段階別にこの程度までは考えて行かなければならんと思います。現在の水源が実際の需用に対しておおむね二割くらい制限をやつておるようなことになつておるのであります。
  89. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると大体八〇%くらいを危機の最低線と私どもは了承してよろしうございますか。
  90. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) それはどうも私としては保証いたし兼ねるのでございます。成るべくそれはそういう高い率の出ないように事前に判断をしてやりますけれども、何かここまでは行かんとか行くとか、そういうことは申上げかねます。
  91. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体想像はつきますが、八〇%とすると、二六・六くらいになるわけですが、そうしますと需要の圧縮をされるとき、六・九%の不足率で今出されておるわけでありますが、これが二六・六%になつた場合、結局鉄鋼だとかいろいろなもの全部ありますけれども、その業種別に均一のほうはこう圧縮が大体なされる方針、先ほど伺いましたらそういう方針でやつておるというお話でありますから、出て来る。その場合に大口産業の中で、例えば先ほどの肥料のほうだけは十万トン確保しなければなりませんから、これは是非ともそのままアワーでは保持する、こういうことになりますと、その余計取られた分だけはどこかの産業へしわ寄せをするか、或いはその他の業態へしわ寄せをしなければならんということに実際上なる。方針としては均一調整をやる、こういうことでありますが、不足率が六・九%から二六・六%までも行けば、結局そういうようなアンバランスの制限をせざるを得ない、こういうことになると思いますが、この点如何ですか。
  92. 宮原清

    説明員宮原清君) それは先刻から申上げたのですが、結局いわゆるアンノウン・フアクターが相当ございますから、断定的には申上げかねますけれども、要するに或る一律と申しましても、これはやはり国の産業についてのその国の施政と一致するために安本と密接に連絡しなければならんということは先刻申上げたようなことでございますから、成るべく公平といいますか、余り均一を欠かないようにしたいという、つまり委員会一つ考え方の心がまえの問題を申上げておるのでありますけれども、事実は国の産業政策自身の方針によつては、いつでも多少の変化はあるものだということが前提だと思いますから、その点についてはそういう意味で変化があるのかないのかというお尋ねもさることながら、変化があつても止むを得ないものだというふうに御了承頂ければ結構であります。
  93. 栗山良夫

    栗山良夫君 まだ次に質問のかたが大変残つておられますので、私だけ独占しては失礼でありますから、ここでやめますが、まだ今年の危機を打開するのには問題が残つておるだろうと思いますから、これは委員長において随時一つ御処理願いたいと思います。
  94. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 下期の対策についていろいろ御説明を伺いましたが、私はこの当面可能な緊急対策について今日は大分役所のほうもお揃いでありますから、一つ関西地方のために今日は結論を出して頂きたいとお願いを先ずいたします。今平井技術長の御説明を伺いますと、平年の通りに水が出なくて渇水で、而も石炭がその上に計画通りに入らなくて一番雨量の少いとき、その上に重つて石炭が入らないときに三三・九%の制限をしなければならん事態が起る。めつたにそういうことはないのだけれどもという御説明がございましたが、先ほども神戸製鋼の社長が御証言になりました通り関西大口需用家である鉄鋼業界におきましては五二%しか今日電力使用ができない、半日は遊ばせて熟練工に草むしりをさせておるという御証言がございましたが、関西地方は平井技術長がめつたにこういう事態にはならんのだけれどもといわれておる以上に、今日電力の危機に当面しておるのであります。これについて私は一昨日も関西電力の炭の入荷に対する努力、その見通し等を伺いましたけれども安心ができない、今日は炭政局長もおいででありますから一体この計画によりますると、公益事業委員会のこれは計画でありますが、四十三万三千トン今月は貯炭をしていなければならんのに、十三日現在で二万一千トンの貯炭しかない。関西電力火力能力を相当つておりまして、修理その他のために取り外し等もございますけれども、毎日四十五万キロの出力は今日持つておるのであります。それが炭不足のために二十五万キロくらいしか今日出ていないのであります。そういう状態であつて先ほど神戸製鋼の御説明のように半分くらいしか仕事ができない。中小企業は週に三日休んでおります、こういう当面しております事態を一体どういうふうに一つこれは解決をして頂けるか。昨日も大分通産省のほうでも御協議があつたようでありますが、十月以降の計画は今朝も新聞で見ましたけれども、差し当つて対策についてどういう協議をして頂きましたか。鉄鋼局長及び炭政局長のお二人から一つ昨日の御相談のおもむき等詳細に承わりたいと思います。
  95. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 当面の対策につきましては先ほど説明いたしました範囲を出ないのでありますが、要するに現在電力会社向けに送られます石炭が、計画通り入るようにするということが最小限度の手段だと思います。これにつきましては出荷統制を今いたしておりませんので、結局差当りはやはり各事業会社に対しましての出炭を確保するように懇請する以外には手はないのでありまして、一般的にはすでに石炭協会のほうへそういうふうな趣旨のことは申しておりますが、多少地区別乃至工場別に細かい数字を出しました上で、至急に又具体的に各社にそういつたお願いをしたい、こう思うのであります。我々といたしましてはやはり発電用に消費を予定されております炭が必ず行くようにという線で、その数字を確保するということをやるわけでありますが、この数字が先ほど申しました第三四半期で消費量といたしまして百八十九万トンになるわけであります。で、これだけでありますというと、結局貯炭の増加ということを見ませんというと、毎期の受入数量というものは六十万トン余りで、消費だけであれはカバーできるということになりますから、毎月或いは毎日の発電用炭の運転所要量といたしまして、それだけ確保するということは必ずしも困難ではないのであります。更に十二月末の貯炭を相当現在のものから殖やして持つという点に、これをどの程度持つかということにいろいろ問題があると思います。そういう意味から申しますというと、現在の計画通りの数量を入れるということは、それ自体としては或る程度我々としては期待できると思つておりますが、十二月末のことを考えた場合に、余ほどこれは各炭鉱会社のほうで協力して頂かんとむずかしい問題がある、こういうふうに考えております。
  96. 葦澤大義

    説明員(葦澤大義君) 関西地方の電力不足についての鉄鋼からの観点でありますが、電力用炭は一般炭でありまして、原料用の発生用炭ということにおいて処理がつくということであれば、鉄鋼局において更にいろいろ検討するあれもあるのでありますが、炭の種類が異なりますので、我々といたしましては、先ほど炭政局長からも御説明のありましたように、電力用炭の確保が期せられることを切に期待しているという状況であります。
  97. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今炭政局長の御答弁のようなことでは、これは得心ができません。先ほども余ほど逼迫して来れば法的な措置を講じなければならんということをあなたはおつしやいました。平井技術長も同様のことを言つておられます。関西電力逼迫の現状は第三四半期以降最悪の事態として想定されております以上に逼迫をいたしておるのであります。先ほど申されたような法的措置を講ずる時期、どの程度つて来たら法的な措置を取るとお考えになるでしようか、平井技術長から一つ伺います。
  98. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 石炭行政につきましては私どもからちよつと答弁いたしかねるのでありますが、ただ私どもといたしましてはできるだけ結果的に電力の面に最小限度必要とする石炭、而もそれは他の産業政策とのバランスの合う限りにおいて、それだけのものは確保してもらえるようにという意味でそれぞれの官庁にお願いしておるのであります。なおこの機会に一言附言いたしたいと思いますが、下半期の制限段階の予想なり、いろいろ数字を例示的に挙げましておきましたのですが、これはそういう供給電力量の減る割合の数字でございます。個々の産業に対する制限段階数字とは違うのであります。例えば関西は、今本州全体といたしまして一般の大口は三割の規制を願つております、併し実績の面を御覧願いますとおおむね二割、これは例えば公共事業とか、制限をし得ないものがあるわけであります。そういう点を御了解願います。個々の産業に対する制限率は、これよりも高いものも低いものもできたのであります。それからもう一つ関西鉄鋼全体としては五二%というお話がございましたが、委員会はこれは七月に常時供給電力量の七割の規制を願つておるのであります。深夜電力量というより深夜の電気として扱うことになつておるものまでも常時しか送れない、而も常時すらも送れない場合に、数字の中に加えるような扱いをいたしておりません。
  99. 結城安次

    理事結城安次君) 鉄鋼関係につきまして先ほど岡村専務理事からお話がありましたが、更に森山さんからも意見があるということであります。
  100. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私の質問関係がある御発言ならばよろしうございます。
  101. 結城安次

    理事結城安次君) 鉄鋼と電力関係であります。
  102. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 宮原委員は関西の逼迫の事情をよく御存じのはずでありますが、只今の平井技術長の答弁なり炭政局長の御答弁の程度しか……、雨が降るのを待つ以外にないというふうに、あなたはお考えになりますか。
  103. 宮原清

    説明員宮原清君) 一応そのように考えざるを得ない状況であります。併し結局これは地方々々に、特に御不便のあるその程度が、水が不足のために、まああちこちの不足が雨の有無で廻つて歩くような状況があると思うのであります。なお関西のほうについて遺憾に感じておりますることは、要するに炭の問題でありまして、これがもう少し、先刻も私から申上げたのでありますが、十分の用意を持つておる、そうすればもつと制限を少くし得るということがありますが、我々として想像し得ることはもつと水が、程度のことをここで論議しても始りませんが、十分でなければ、結局雨が来なければ解決できないような状態になつてしまつたのであります。先刻お尋ねの、非常措置をいつ講ずるかということが問題になつているのでありますが、併しながらこのことは、平井君がお答えしましたように、私どものほうからそれを要求する立場であつても、その指示や実行は私のほうではないのであります。又そういうことを個々の小さな扱いにおいて論議せずに、全体として相談をするという建前から考えて見ましても、この措置はいわゆる伝家の宝刀だと思います。ですから当事者においてこれを抜くべき十分な理由を持たないかのごとき感がありますれば、関西鉄鋼業からの御進言だけでは、すぐにそういう措置ができないと一応お考え頂きたいと思います。政府も残念なことで、何とも遺憾の至りだと思いますけれども、これこそ雨を待つより仕方がないと思つております。
  104. 結城安次

    理事結城安次君) それじや森山参考人から……。
  105. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちよつと関連して……、お話を聞いていると石炭の出炭計画、今までずつと話されたのは皆計画でありまして、私たち計画数字を伺つても安心ならない。そこでこの前十七日に佐々木君がお尋ねした質問の中にも、要するに今年関西石炭場に石炭山ができても、結局ボタだけたくさん山ができて、良い石炭が来ないだろうという話があつた。そういういろいろの点に関しまして、石炭問題のオーソリテイの山川委員から、実際に今政府当局で計画しているほど石炭が出るのか出ないのか……それを私はしつかり伺つて置きたいと思うのです。大体こういう問題が起つている根本原因は私はやはり関係筋からのいろいろな要望に無批判に応えるために、皆さんが非常な無理な計画をなすつたところにこの原因があるのじやないか。私は常にそういうふうに考えるのですが、こういう計画を立てていらつしやるが、果してすべての生産が十分にこの計画通り行く自信があるのかないのか、それを政府関係のかたに伺いたいと思うし、それから又鉄鋼連盟のかたたちは鉄鋼が去年四百万トン、それから特殊鋼が十二万トン、今年は四百三十万トン、二十万トンというふうな数字になるというような計画を立てていらつしやいますが、皆さん計画をそのまま達成さすためには、ほかの面で非常な犠牲が出て来るというふうに私たちは考えるわけですが、そのために中小企業が犠牲者として先ず下積にされてしまう虞れがあるのではないかと私は思うのですが、そういうことをなしにして、鉄鋼連盟の御計画が達成てきるのかどうか、その点も伺つて置きたいと思います。
  106. 結城安次

    理事結城安次君) 先ほど岡村さんから大体の御説明がありましたので、森山さんから簡単に一つ……。
  107. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 宮原さんに対する関連事項です。
  108. 結城安次

    理事結城安次君) 関連ならどうぞ。
  109. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今椿委員から最悪の事態以上の現状に対する非常措置が当然取られなくてはならんはずだといつたような質問に対して、技術長及び宮原委員の御返事は、どうも止むを得ないという意見が一点と、もう一つはひとり鉄鋼関係のみのこうした実情の話だけでは非常措置は取り難い、もつと各層各階のおのおのの産業部面からの実情、要請に基いて非常措置が初めて発動される、その発動については自分たちには何ら能動的な権限はないというような意味合いの話をしておりましたが、それではどこにも取り着く島がないわけで、当然公益事業委員会鉄鋼関係だけなら、重要基礎産業その他の一般産業等から電力の現在の最悪以下の事態に処する非常措置を取るべき要望があつてから、非常措置の発動をしようと考えておるのか。公益事業委員会は現在の事態は最悪の事態以下になつておるということを認識しておりながらそういう陳情なり要望なりがないと発動しないというのか、実情がこうであるからみずから能動的に、自動的に公益事業委員会から非常措置が出るべきはずだと、我々はかように解釈いたしておるのでありますが、その辺を明らかにしてもらいたい。
  110. 宮原清

    説明員宮原清君) 私の説明がややもすればそういうふうに間違つて聞えたかも知れませんが、私ども自身が能動的にやらないことはないように思いますが、容れられるかどうかわかりませんけれども、併しそういうことについてもこれは簡単に今の状態では公益委員会だけ、若しくは通産省とかそういう所だけではできないのでありまして、その限度に対する一つの見解を一応了解を得なければならない所在が依然としてあるのであります。そういうことの考慮も私の頭の中にあつたので、少しあいまいなことを申上げたのであります。併しそういうことを自分で感じても、人が許さなければしないのだということは、いわゆる能吏ではないということになると思います。そういうことをやることもあります。併し現在において今の鉄鋼のお話だけを聞いて見ても、例えば深夜電力というものを使つてもそれだけの増産をしていらつしやらないのでありますから、深夜電力を使える余地があれば、パーセンテージから言つてもまだ余地のあるお仕事のうちかも知れませんが、強いて言えば最も価値の薄い電気を常に高く買つておるからという商売道的な意味においては、尽さなければならない電力会社の立場もありますけれども、これはやはり限度があつて、先刻お話のようなほかのものにしわが寄らないかということと同様でありますから、そのことの程度において、例えば休んでおるために閉業しなければならん人もひよつとしたらあるかも知れないということを思いますと、必ずしもそういうことだけではないというのが私の感じで申上げたので、併しできるだけ最も近い機会にそういうことができたら一日も早く幾らでも苦しいかたが助かるのだということは痛切に感じております。しかく慮かり、よく考えて善処したいと思つております。
  111. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一つ、了解を得なければならないということは要するに司令部であろうと思います。現在の事態が最悪乃至は最悪の事態以下の現状であつて、而も炭政局長の言われるように、私は現在の石炭市場その他の状態から見て、火力その他の実情から見ても、あとは天の救いを求める以外に方法はないという、これはまあ最悪以下の事態である。この最悪事態乃至はそれ以下の現状であるかという判断、この判断というものをあなたのほうはどこに置いておるか。先ほどの技術長及び炭政局長などの話から見ますと、或いはその他の意見から総合いたしますれば、もう非常事態の発動の限界を超えておる、それ以上の事態に陥つておると、こういうふうに我々は判断しておるのですが、公益事業委員会はそう判断しないのかどうか。今のお話によりますと判断するかのごとき御見解にも解釈されまするが、然らば当然公益事業委員会が非常事態に対する措置、発動の手続、或いは方法を具体化せなければいかん。これが親切な公益事業委員会の役目であると、私はかように思いますが、その点はもう一つ積極的に明らかに方針をして置いてもらわんと、最悪以上の事態になつて来た場合に責任の所在がどこにあるか、こういう問題等から甚だものが面倒になると思いますから、明らかにして置いてもらいたい。
  112. 宮原清

    説明員宮原清君) 私自身に対する御批評なら甘んじて受けますが、併しものごとをきめるのはいつだということを若し御指摘が頂けるなら、そうして天下万民がそれを認めるならむしろ進んでおつしやつて頂くということを私のほうから申さなければならないようなことになります。この判断は余ほど皆さんでお考えになつてもむずかしいと思います。私ども一、二の者が真に知慧があるかのごとく考えても、これは決して適切でないことを恐れるのであります。同時にこの種類の事柄が、つまり一日も緩うすることができないというた途端に大雨が降ればそれで解消するということもあるわけでありますから、これらについても要するに私自身の判断だけではいけない。なお私は法規によく通じませんからよくわかりませんが、恐らく発動するという権能は公益事業委員会にはないと思います。これは所管の所在において今の物調法にかけることは閣議を経なければなりますまいし、そうしてそれを発案するところは通産省であるだろうと思つております。
  113. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 どうもそういうことじや公益事業委員会の存在価値もなければ、社会一般の期待も私は甚だ危険を感ずると思いますが、そういつた事態を収拾する機関こそ公益事業委員会であつて、法律がわかるとかわからんということを私はお聞きしておるんじやない。そういう判断というものは、いやしくも現在鉄鋼ばかりじやない、重要基礎産業はもとより、あらゆる産業が重要な電力不足の問題に対して各地に非常に意見が展開されておる。ただたまたま鉄鋼関係説明が本日行われたから鉄鋼連盟のみがこれらの窮状を訴えるかのごとき実情に看取されるということは途方もない話である。それは有能錬達の士が網羅されておる公益事業委員会の面々のかたには情ないと思います。そんな存在なら公益事業委員会をやめてしまつたらいい、解散してしまつたらいい、当然私はあなたのほうから通産省なり或いは物価庁とかその他のほうに働きかけ、輿論というものを耳が遠いばかりが芸ではない、やはり眼もあれば、世間に映る姿というものから判断すれば、当然公益事業委員会が非常措置に積極的な態度を現わして、その措置を取るということによつてその存在価値が十分調われるゆえんである。然るにこれに対して首脳部が言を左右にし、或いは石炭事情で止むを得ないとか、天の救いを求めるとかいうような存在ではなかなかものは解決しないから、当然これはあなたのほうから積極的にこれらの非常措置の発動の手続を関係方面に相談をして働きかけるものだと私は思います。明確な御答弁を願いたい。
  114. 宮原清

    説明員宮原清君) どうも議論する恰好になつて相済みませんが、私の申したことは、私がわからんと言うたので、公益委員会が法律に通暁しないのではない。併しこの席に出て私が漫然たることを委員会の決議も何もなしに御返事ができないことはあらかじめ御了承願つて御返事をしたのであります。その辺に誤解のないように公益事業委員会の名誉のために申上げます。同時に潰すとか潰さんとかいうことは全体の問題でありまして、私がそれに対して御答弁をする限りではないと思います。ただ今お話のうちで、何故やらないかという御質問でありますが、私はやつて頂けば結構だと思つております。併しそう簡単にできないということを自分で判断しておるのでありますから、さような返事をしたのであります。これは一日も早くそうして解決すれば万人が喜びましよう。但しこれによつて石炭のしわ寄せが一時に、急激に来たためにいろいろ支障を生じないとも言えません。国全体のことでありますから、眇たる私がかれこれ決定し得ないという説明を申上げたつもりであります。併しそれはただ議論をするようなものでありまして、現実にそれではその議論は幾らしてもどうなるというところまで行かないと思いますので、私からの御答弁はこの程度で御了承を願いたいと思います。
  115. 山川良一

    ○山川良一君 それではいろいろな話が結局石炭が足らないから、雨が降らないからということで一向進展せんようでありますから、私の石炭の需給に関する見通しと申しますか、考え方を申上げて、これは或いは予算、あなたがたの御質問の資料にもなるかと思いますので、そうして無論困難ではありますが、この石炭のあるとかないとかいうことではなしに、とにかく日本国民のために打開せねばならんという強い決意で当局も民間も立ち向つたならば、そう打開に困難ではないのではないかと、私はこう思つております。一つの、今石炭が足りないという声は実際あるわけでありますが、関西電力さんが石炭入手にまごついたので、特に石炭が足らないように世間で見ているのではないかということもありますが、もう一つどものほうの会社自体で申しますと、この大手のほうに石炭供給を切望する傾向がありますので、実際の現在の私ども会社に対する要求は生産高の倍の量が来ているのです。併しこれは各社に同じような要求が行つておるから、その倍の数字が本当の需用量ではないのであります。それからその中からいろいろ止むを得ない方面を差引きますというと、実際の一般の消費者には要求の三分の一ぐらいしか差上げられないという事態であります。それをどう切抜けるかということが問題であります。その点についてはあとから申します。ところが今、なぜ石炭が足りないという声が電力を中心に起るかと申しますと、これは私どもがどういうふうにして石炭供給しておるかということを申上げれば大体おわかりになるし、従つて打開の途もそこにあると思います。私どもは一応この石炭を消費者に渡すことによつて、日本の産業と申しますか、国民生活を、統制しているという言葉を使うと悪いのでありますけれども、そういうふうな恰好になつておるというので、十分責任を感じておるものであります。そこでただ高いから石炭を出すという考えは殆んど全部の者が持つておりません。昨日関西電力から何か三百五十円ばかり出すから大体集まるかも知れないというお話がありましたが、今は値段は幾らでもいいからよこせという声が多いのであります。ですから金の問題ではなかなか片付かんということを申上げたいのであります。そこで私どもは一応安本あたりで立てられた産業の構造その他民間の需要等を基礎にいたしまして、これは必ず各方面に当りまして一応チエツクはいたします。それから私ども自体に先ほど申上げましたいろいろ要求が参りますので、そういうので更に修正して、そうして最後的に要求の大小にかかわらず、今の情勢だと、例えばセメントならセメントには一割くらいはやはり余計差上げなければならんだろうという私どもだけの考えを付けまして、そうしてこの石炭をお渡ししているわけであります。それでこれを別の言葉で申上げますと、私どもはあらかじめ国家の計画経済の線に乗せて石炭を差上げるということにしております。従つてその国家の計画経済に乗り遅れたもの、バスに乗り遅れたところは結局石炭入手に困るということになると思います。それが今の、甚だ悪口を申すようでありますけれども電力であります。電力はどうなつているかと申しますと、私自身がいろいろの方面から月に六十万トンくらい何とかなるようにしないかという話を受けたのは三月頃だつたと思います。それで公益事業委員会からも電力業者からも何らそういう御要求のないときに、私ども石炭業者だけ事業者団体法に触れない範囲内においてどのくらいの供給ができるだろうかということを考えたのであります。その決定をしたのはこれは御承知と思いますが、表には七月の始めに出しましたけれども、五月の終り頃から六月頃にかけて相当長い期間に検討して、やはり今の生産状況というものは、当時は四千四百万トンが一応目標で、それを突破することは容易ではないだろうという、官民共にそういう見通しのときでありました。その四千四百万トンを基礎にして五百五十万トンくらいだろうということで、たまたまこの電力料金の値の糧において、そのことも含めて発言したことがあると思いますが、そういうことで、我々は具体的に電力用炭の供給を我々石炭業者のほうからは持ち出したのであります。それは私どものほうが逆に熱心であつたようでありますが、それについてどうだという話は私は不幸にして記憶しておりません。ただ一度いろいろの方面から石炭業者はこれだけの石炭供給を約束して、いるではないか、それに対してなぜ渡さないかという話がありましたが、それは契約でも何でもなしに、これくらい要るかも知れないということを、いつかの機会にどこかで言われたという数字つたということがわかつたので、有力方面もああそうかということになつてしまつたのでありますが、それにもかかわらず有力方面は契約のあるなしにかかわらず、六十万トン何とかせい、現在もそういう話があります。現在は七十万トンくらいの一話があるのであります。私ども政府の要求があるからとか、或いは公益委員から何とか要求があるからという、そういう要求があるからどうこうするということよりも、もつと大きい立場でこの石炭供給考えております。で、先ほど昨日から石炭入手についていろいろお話がありましたが、私どもは昨日から今日にかけてお話なつ程度ではなかなか関西かたがたが非常に心配なさつたように、私はむずかしいのだろうと思うのであります。それでそれについては鉄鋼のかたもおいでになりますが、鉄の需要も実は私ども計画に、私ども計画といいますか、政府計画といつたほうがいいかと思いますが、供給計画に織込まずに実は非常な増量を要求されましたので、要するに鉄からの要求と電力からの要求が、これを充足するかしないかということが今の石炭の需給を混乱させる根幹になつております。それで今年の春でありました、鉄の会社の有力な人たちに私事情を聞きまして、そうして私はこの今の計画通り火を入れることは恐らくむずかしいだろう、早く言つてもらえば、又いろいろ考慮の余地があつたかも知れんが、恐らくむずかしいだろうということを申しました。その結果どうなつたか知りませんが、そういうことを申して、なぜそういうむずかしいということを、我々のほうで、これは言い方によつては何かの法に触れるかと思いますが、まあ考慮して頂きたいということを申したわけであります。なぜかと申しますと、私はこう思つております。例えば鉄の場合には鉄の用炭と競合するものはガスであります。それでまあ鉄の石炭供給するならば、ガスを切らなければならん。尤も生産がうんと行けば問題はないのでありますけれども生産は一応先ほど申しました四千四百万トンを、今ではみんなが及ばずながら努力して四千五百万トンは確実だろう、これが下期に二千三百五十万トンぐらいになりますという見通しを持つておりますが、その程度の増産では今の需要は満たされないので、仮に鉄のほうに石炭を余計お廻しするならば、結局ガスが困るだろう。そうすると、ガスそのものはどういう状態になるかと申しますと、これは例を申すわけでありますが、ガスは冬分には熱効率の関係からどうしても二割五分やそこいらは殖えるのであります。これは我々は一応何とか生活程度影響を及ぼさない範囲内においては、この増量は何とかせねばならないという或る程度の責任を感じておるのであります。そういう際に逆に今度は鉄に余計廻しますというと、一般ガスを使つておる市民には結局ガスの規制ということになると思います。それでガスの規制になりました場合に、その規制された市民が、これは鉄に石炭を廻すためにガスが規制されたのだという結論になりますと、今度は一般市民からは鉄のほうの生産関係は、我々がガスの節約を忍んでもなお且つ石炭を鉄に廻すのが当然だという考えに市民がならない限り、これは現在の場合には私むずかしいと思います。そこで先ほど申しました鉄関係会社の有力なかたにも、実は我々はそういうことを心配しておるのだ、だから鉄にできるだけ差上げるけれども、一般も石炭を勝手に使おうじやないかということにならないように、鉄の需給について考えて頂きたい。そのときはもう少し具体的に言つたのでありますが、一応抽象的にそういうことも申しました。これは電力の場合も同じでありまして、私ども電力に余計に石炭を今のように百万トン近いものを、昨年の実績に比べても百万トンぐらいのものは差上げなければならんことになりますが、差上げるとすれば、これはどこにしわが寄るかというと、一つは鉄道であります。この鉄道の輸送力に影響を及ぼすと、電力使用状態が鉄の使用力に影響してまで、より以上の石炭を電気に供給しなければならないという状態になつているかどうかという問題が一つ起ります。それですから電力の規制と輸送の規制というものが同じ程度にならなければならないような気もするのであります。若し鉄にしわを寄せないとすれば、これはほかの、僅かばかりしか使わないと先ほども話が出ましたが、中小産業等に下手をすると、五割前後の規制をしなければならんというようなことも考えられるのであります。今の五割というのは有力方面その他にどうしてもこれをやらねばならんというやつを差引きますと、そういう結論も出るのであります。でありますので、私はこの消費されるかたも、我々も先ほど申しましたように、石炭供給を通じて非常な責任を持つておるのだという気持でやつておりますので、消費されるかたのほうも、そういうふうな立場で、一つ御要求があれば私どもは、有力方面からの要求があろうが、私どもは確信を持つて例えばガスの消費者のかたにこうこういう事情で我々は石炭を鉄に廻すから一つ御勘弁願いたいということを、我々が確信を持つて言えるような段階になりますれば、私どもは喜んで鉄のほうにも石炭をやります。或いはこの電力石炭を廻すことによつて、ほかの消費者の炭を削らねばならない段階に来ましたならば、私どもが進んでそのほかの方面を切ると申しますか、供給を減らす方面産業かたがた、或いはその産業が縮小されることによつて影響を受ける方面に対して、我々が自信を持つてこういうわけで減らすのだということが言えるようになれば、私どもは喜んでとは申しかねますけれども協力できるし、今もそういうふうにやつているつもりであります。ただ私どもは、その点は先ほど法的の措置とかいうことでありましたけれども、実際は私ども産業人として一応過去のその産業実績、それから今後の見通し等を付けまして、例えば私なら私の所から石炭供給している産業は、一応契約は或る月で以て限つておりますけれども、その契約の切れるあともやはり続いてその程度石炭はもらえるものという目標で、いろいろ計画を立てられて、それによつてそこに働いている従業員の諸君も、そういうつもりで働いておられるでしようから、ただ単にどこが困つているからということで、そういうその産業自身、或いはそこに働いている者に迷惑を及ぼすについては、我々は迷惑を我慢して頂きたいというだけの確信のある資料がなければ、なかなかそう簡単に事が片付き得ないと思うのであります。ですから法的措置を講ずると言うたところで、そういうことを強制されれば、従つてそういう所と我々との契約通りに行かんことによる損害の補償とか何とかいう問題も起ると思います。或いは電力のほうに何かの話合いで、電力会社のほうがそういうものを補償されるかどうか、そういう問題も起ると思います。そこらを恐らく公益委員も心配しておるのじやないかと思いますが、そういう問題が片付かねばいけないと思います。従つてなかなか私ども申上げることを総合しますと、ちよつと片付かんようには考えられますけれども、私が先ほど申しますように、それぞれ関係当局のかたがたが責任のあるなしにかかわらず、日本の国民のためにという考え方でこの解決に当られるということを申上げるのは、実は事業者団体法がありますので、我々仲間だけで消費者にいろいろなことを働きかけたり或いは石炭業者だけでこの需給のことを相談するということはできない立場になつております。そこでやはりこれに関係を持たれる当局のかた等が中に入られると、その点はスムーズに行くと思います。そうしておのおのの石炭消費者も、又それに関連のあるかたも、一緒になつて打開に当れば、関西電力或いは中国あたりも少し困つておりますけれども、それくらいの石炭は何とかなると思います。それで具体的に申しますと、政府関係当局、これは今はそういうことをやる責任のある当局はないのじやないかと思いますけれども、一応仕事の立場上安水あたりで中心になつて頂いて、それぞれ鉄とか、電力とか、或いは石炭も参加いたしますが、その他影響が大きい業者に集つてもらい、そうして本当に心を打割つて相談なさつたならば、今問題になつているくらいの石炭はどうにかなるのじやないかと私そう思うのであります。  実際は出炭から申しますと、下期二千三百五十万トンくらいとしまして、上期が二千百五十万トン、大体一割増しであります。一割増しくらいの下期の増加は熱効率からも、産業のすべての状態或いは民間の需要等をそのまま置いても熱効率上当然上期と同じ状態においてそれくらいがいいと思います。けれどもまだ私はこれを話合いで或る程度の規制をしましても、国の産業活動が非常に歪められたり或いは国民生活が非常に逼迫の状態になるとは思いません。四千五百万トンは特別の事情……、四千五百万トンの中の今では下期の二千三百五十万トンでありまするが、これは特別な事情が起らぬ限り私は生産しうると、こう思つております。それでは何とか政府で普通の意味斡旋をするとか、或いは出荷命令をするというようなことでは、もつと詳しく申上げるとなおわかるのでありますけれども只今極めて抽象的ではありましたが申上げたように、石炭業者の立場から又気持を持つてつておりますので、そう簡単には片付かない。片付きそうにないからなかなか石炭入手見通しも困難だからどうもというようなお話が出ておると思いますけれども、私はこれは誠心誠意やれば大体行くのじやないか。従つて関西かたがたに御安心なさいとは行きませんけれども、やはりこの電力の規制によつて或いは石炭の需要の減るようなものはそこから出すとか何とか、そういうことは良心的にやつて頂かなければならんと思いますけれども、日本の国情からはそういうようなことは困難なことではあるけれども政府当局から熱意を持つてやられたら行くのじやないかというふうな気がしておりますが、ただ出荷命令とか或いは法的措置を講ずるとかいつたところで、強力な法的措置を講ずるにはいろいろな義も要りますので、急場に間に合わないと思います。私は責任のあるとかないとかいうことを問わずに一つ是非……、この強力という言葉ではしかんと思いますが、やつて頂きたい。我々も石炭業者の立場からできるだけの力はいたしたいと思うのであります。なお次に笑話ではありますが、非常にボタの多い石炭が……、ボタと申しますと石でありますが、あるというし、これは事実いろいろな業者がありますので、業者というのは石炭の直接生産業者ではないが、そういうことがあると思いますが、そういう点については我々業者で大いに自粛してやつておるつもりであります。少くとも七割くらいの生産をしておるものはそういうことはないと思います。中小もそうないと思いますが、たまたまいろいろなブローカーがありまして、まあ私言い逃れではありませんが、いろいろなこともありますので、一つその点はよく真相を究めてからこの石炭に対する悪口を言つて頂きたい。曾つてこういうことがありました。これこそ笑話でありますが、私のほうの会社から送つている石炭の中に黒い石が入つておるという話がありましたので、私石を取寄せて見ましたところが、それは炭鉱の坑内から出ない石であります。黒いのは黒いのであります。これは炭鉱の坑内から出る石ではないということを申しましたら、販売業者の中でなかなかよく調べまして、結局長野県のどこやらに黒い石を掘出す業者があつて、それを石炭業者に送りまして、それを石炭業者が買つて混ぜて送つてつたという事実もありました。今はそういうことはないと思いますが、ですから私は石炭業者のために弁明をするわけではありませんが、そういう笑話が実際にあつたわけであります。最後に弁明になつて相済みませんけれども、我々もできるだけの協力はいたすと、実は昨日も石炭業者だけではまあ何とかせねばならんという話はいたしておるのであります。非常に抽象的でありましたので問題にならなかつたと思いますけれども、一言私の気持を申上げました。
  116. 結城安次

    理事結城安次君) 只今宮原委員はよんどころない御用がありますので退席されますから、よろしくお願いいたします。宮原委員の退席はよろしうございますね。
  117. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちよつとその前に……。
  118. 結城安次

    理事結城安次君) それではどうぞ簡単に願います。
  119. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今山川委員の御説明を伺いまして、何か一縷の望みが持てるように拝聴いたしました。殊に安本が中心になつてそれぞれ関係者をどこかへお集めを願つて、そうして懇切に手を尽して行政指導というのですか、今朝新聞で覚えたのですけれども、行政指導を行われますると、関西で差当り要求しておる程度のものは何とかできるのじやないか、こういうことでございました。岩武さんのほうで早速それをやつて頂くことになりますか、ちよつとお答えを願いたいと思います。
  120. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 今山川委員のお話がありました、業者を集めて出荷を督励し勧告するというようなことは、一カ月二カ月くらい前から通産省でやつておりまして、着々効果は挙つておるようであります。なお先ほど炭政局長から具体的なお話がありましたが、これは実は我々のほうも御相談にあずかつておりまして、目下のところでは恐らくその方法が最善だろうと思つております。なおこれに加えまして安本長官等から又中に立つて斡旋するということは結構だと思いますが、ただ現在すでにやつておると、而も現在の情勢で許されておる範囲のことは、資源庁で万全を尽されておるようであります。ただこれは御承知のようにいろいろ長い契約のものがありますから、急速によそに廻すやつをひつたつて廻すということはできませんからだんだんに効果を挙げて行かなければなりませんので、暫らくはそういう方法で行くのが一番効果があると思つております。
  121. 山川良一

    ○山川良一君 ちよつと私の言葉がわかりにくいので誤解をなすつたようでありますが、私は石炭業者のほうは、先ほども申しましたように、政府から何らお話がないときに電力用炭の供給にいろいろ努力もしておつたし、研究もしておつた、併しそれだけではいけないから、我々自体でほうぼうの消費を切るわけに行かないから、その辺も産業活動の歪まないように、安本あたりで考えて頂いて事業の全部というわけには行きますまいが、関連の深い鉄とか電力とか或いはガスとか、そういう関係者を集めてやられねば駄目だろうというのです。
  122. 小野義夫

    ○小野義夫君 宮原委員にお伺いいたしたいのですが、電力の非常に欠乏しておることは、関西、中国等非常に問題になつておるのでございますが、東北のほうは非常に直接に皆様に訴えてないから、その間の事情について一般的に問題になつておらないように思うのですが、実は公団のほうの各社の寄合いにおきまして、最近は四割程度制限を受けておるのであり事して、各金属鉱山は大体東北に偏在しておるのでありますが、この面が非常に困つておるのであります。これはまあいろいろ研究して見るというと、東北はのんきに火力電力というようなことに殆んど無関心でおつたというようなことが一つの原因のようであります。併し今頂いた表を見るというと、東京電力におきましては出水量におきましても大体九〇%内外であるのに、東北は七〇%若しくはそれ以下にもなつておるようなのでありますから、当面の問題として、この各社分断の結果が東京と東北電力との間の電力の需給の問題がうまく行つていないように考えられるのであります。と申しますのは、東京方面では強いてやろうとすれば相当に炭は入るはずであります。常磐その他においての自家発電をフルに動かすとか、その他そういう手段が東京近郊ではできるわけであります。そこでこれをやつて水力を東北に廻すということになれば、東北の鉱山の今日のような窮状は救われると思うのでありますが、二つの御質問を申上げたい。一つは、早急に火力発電所を東北電力の地域内において造るの準備用意がありますか。第二は、東京電力と東北電力会社の間の、需給の調節を厳重にやられておるかどうかということにつきまして、宮原委員の御説明をお願いいたします。
  123. 宮原清

    説明員宮原清君) そのことは私は余り詳しくはないのでありますが、私どもとしても始終聞いておるのでありますが、東北は水にのみ頼つて一つ火力発電を持たないと、実は今までの融通について特別な処置が勝手に行われた時代と今度は違つておるためかというような御質問を曾つて受けたことがありますが、その点は独立会社であるということのために、需給調整等についての契約によつて量を限定しておるとか、やはり多少制約を受けておるということは事実だと思います。併し全然雨の降らない東北の電力がすべて困つたかといえば、まるでなかつたのではなくて、幾らかあつたのであります。それはやはり東京から約束によつてどんどん送つておるようであります。先般関西のほうから、東京は一日の電燈制限であるのに、関西では二日も、どうかすると三日にも及ぶじやないか、而もなお東京へ電気を送つているのは不都合じやないかというような御質問を受けたことがあります。そこでそのときには、私の知つている範囲ではそうでなくて、それぞれ融通をして危機に対しては骨を折つておる。ところが先般安蔵東京電力社長お話のときに、東京電力が実に多量の約束以外の炭を焚いて、そうしてその採算的な意味でなしに真に同調して一生懸命向うにやつてつて漸く危機を脱しておる。こちらもより多くになつておるという場面になつておる程度にとどめたが、併しその間焚いたものは予定した炭の三倍若しくは四倍になつておるというようなことをおつしやつておるように、融通は都合よく極力やつておると思います。今の根本的な問題であそこに火力発電をする用意ありや否やという御質問に対しては、少くとも今すぐあるとは御返事できないのであります。併し火力でなければいけないということは我々は信じております。従つてこれは一面においては御承知通り今の式でやるというと、ダムを持たないためにいわゆる流量だけを当てにしておつて、そうして一度使えば流れてしまうのですが、今後は現に東北ではいろいろ夏瀬、宮下の発電所とか沼沢沼、片門、柳津というようなものがダム式……ちよつと完成までには時期がかかりますけれども、着手されておりますから、さようなものについての多少の分量的なものはあると思います。併し従来東北が相当な発電地帯でありながら、送電線の不足のために相当不十分であつたという事実も承わつて承知いたしております。従つて只今お話一つの問題たる火力発電する用意ありやということは、火力発電をしなければならんかのように少くとも私は感じております。これはむしろ平井技術長のほうから御返事したほうがいいかと思います。私にお尋ねでしたから申上げたのであります。あとの融通のほうのことをできるだけよくしておるということは、私が東京電力から承わつて承知しております。今後といえどもそういう精神は、いわゆる全体の電力の融通が行われなければ、いわゆる九分割したことによつての欠陥であるかのごときことになりますのですから、十分にそういうようにしたいという電力会社自身の相互のお話合いがあるので、今後この種類の事柄が幾多の経験から強化され、目下平行線に行く場面もあり得るでありましようが、併し独立採算制をとつたという一つの事実に対する多少のギヤツプが、多く発電源ができた暁でなければすつかり解消できないというのは誠に遺憾と思います。この程度で御返事になりますかどうか。
  124. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは実例でございますが、東北と申しましても福島県地方におきましては、それぞれの大企業がそれぞれの火力発電所を持つていることは事実であります。これらの大企業の発電所はその採算圏内に入らないために炭は常磐に接近しておるのであります。福島地方であれば炭がある、その自家発電を休んで、なお安い電力をもらうことに努めておるということは、これは事実であります。業者が悪いのではなく、東北における電気の配分に関して自家発電をやれば、それだけロスがたつのだから赤字になるということは、これは全体経済の面から見まして、そういう福島地方に存在する大企業の自家発電は、この際炭も電力もあるのだから、私はフルに動かして行く、そうしてその電力のもつと北のほうの青森、岩手或いは山形地方の、そういう便を持たないところの、いわゆる大企業と申しますか、鉱山その他の企業を以てやるということについて、電力委員がもう少し目を光らして一つ監査して頂きたい、こう思うのです。その点……。
  125. 宮原清

    説明員宮原清君) そのいわゆる自家発電のものの、何と申しますか、活動させることについては平井君から御返事をさして頂きますが、私今申し落したことは、鉱山に対して電気の規制について相当苦情があつたし、又現にその結果について非常に支障を国全体のほかの産業に手痛く影響を受けておるということは承知いたしておりますのは、例えば肥料を増産すると言いますけれども、その原料である硫酸を得る途においてもすでに非常に不足を、少くとも西のほうにおいては生じておるのであります。それはやはり電力についての割当割合を、鉱山というものはそういうものに対してもう少し影響を深く考えなければいけないという忠告を受けたのです。これらは只今お話の東北が非常に困つておるというお話の中に、恐らく鉱山が重要であるかと気が付きましたのですが、そういうことを私は切実に感じておることを申上げておきます。なお平井技術長から御説明を申上げます。
  126. 平井寛一郎

    説明員平井寛一郎君) 東北でもこの渇水状態にありますので、こういう火力発電を自家用として持つておるところに対しては、現場ではいろいろ折衝しておりまして、現に相当動いております。絶えずその後の状態等を報告を取りまして、できるだけそうしたものを織込んで供給するように進めております。例えば古河好間、小野田セメント、大船戸、常磐炭鉱等も動いておるものもあります。日水の小名浜等についても話を進めております。相当動くことは動いております。それから火力発電所の計画があるかないかという点でございますが、現在のところは佐渡を除きまして東北電力会社としてはまだ実施計画としては持つておりません。と申しますのは大体従来は十和田、田沢、猪苗代湖の自電とか、そういう貯水池を持つてつたのでありますが、又今後の計画としては例えば今年の暮にできまする沼沢沼発電所は冬場の火力代用に匹敵する発電所であります。そういうものは計画として持つております。今後の只見川の計画の中の貯水池式のもの、そういうものはやはり冬によく出る電気なのであります。併し最近ではやはり東北も火力発電所を持つていないと、こういう天候に左右される。水だけを頼りにすることは不安だということを強く感じておるようで、別途に考えております。例えば常磐炭鉱の近くにあります小名浜等は従来とも電気業者としては電気の適地と考えておりますし、そうしたものが現に調査中であるということを聞いております。
  127. 結城安次

    理事結城安次君) ちよつと岩武次長にお伺いいたします。先ほど山川委員から詳しく石炭需要に対するお話がございましたが、椿委員が関連して御質問がありましたが、あなたのほうの御答弁が食違つております。電力不足のために他産業でいろいろ石炭の不要になるものもありましようし、或いは又山川委員の言う通りよく消費者のほうから話合えば何とかなるのじやないかというお話がありましたが、それらに対してあなたのほうで何か御承知なさつておりましようか、ちよつと……。
  128. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 現在までは直接はやつておりません。ただ先月、今月の初めでありますが、資源庁のほうで大阪地方の緊急事態のために特に係りが参りまして、よその工場から或いは入荷すべきものの繰替等を行なつております。なお今後といたしましてお話もありますので、よその産業で不必要になるかどうか私もちよつとよくわかりませんが、比較的工場貯炭のほうが鉄道関係、或いは電力関係よりも貯炭が多いように見受けられておりますので、今後入るべきものの繰替等につきましても十分いたしたいと思つております。
  129. 栗山良夫

    栗山良夫君 一昨日と今日と二日に亘りまして話を聞いておると、雨が降らんからどうにもならんという話だつたところが先ほど山川委員の誠意ある話を聞いてみますと、そうばかりでないと思う。で産業局次長が万全の策を尽しておるのだからということを言つておられる。宮原委員が先ほどから言われておるのは、雨が降らなければどうにもならん。先ほどの山川委員のお話を聞いてみると努力が足らんという結論が出ると思う。なぜもつと努力をしないのか、かような事態が起つて国会がこの問題を取上げざるを得なくなつたこの急場を一つ努力しないでおいてやつておるように窺われる。公益事業委員会においても雨が足りないから仕方がない、役所関係では手を打つておるが、これ以上どうにもしようがない。こういう形で半ば放任されているように思われる。これは今日までのことであつて、明日からは本気になつて関係官庁が連絡をとり公益事業委員会が主体になつて、この電力不足の不安を除去するように一段と努力してもらいたいと思う。我々は毎日ここにおつてつたところが、只今のような考え方が直らぬ限りは石炭も出て来ないし、電力も起きないと思う。最高の採炭量は五千七百万トンと言われたが、それが四千四百万を出るとか出ぬとか……。二百万トンとか三百万トンあればかような電力危機はないと思う。かような点に一丸となつてこの悪条件を打開するように努力を願いたいことを強く要望いたします。
  130. 宮原清

    説明員宮原清君) 只今の点お説の通りであります。但し私は雨が降らなければ駄目だということを一本に申したようにお取り下さつてはいささか迷惑であります。先刻皆様から雨が降らなければ駄目ですかというお尋ねに対して、私はそれより仕方がないと申上げたのでありまして、私は雨に任して努力しないという意味で申したわけではございません。殊に関西においてはこのような事態に大いに善処するということに気が付いて、人事における相当な異動もなさつたのでありますから、つまりそのときになつてはもう事が遅れているわけですから、これは発送電の時代における方針の継続であつて、新規の引継ぎについてはいささか移り変りにおける事情が変つており困難と思いますが、結局そこまで来たわけでありますが、これは関西についてだけでなく全体として雨は御承知通り非常に例年より低かつたということを御了承頂いたのでありまして、内心には雨が降ればよいがと思つておりますが、雨が降れば解決がつくかとのお尋ねに対して、まあそうだということを申上げたのであります。天を待つて手を空しうして、のんきにしているのだとは我々は当然考えていないということを御了承願いたい。山川委員に特に御挨拶申上げて置きますが、お話通りでありまして、乗り遅れたものが大急ぎでやつておる。それに対してそれぞれいわゆる人事を尽して皆さんに対する御了解を得るところまで、それぞれの電力会社がやつて行くかどうかは絶えず懸念して、そういうことを督励はしておりますけれども委員会自身も、本体は電力会社自身が最も切実に努力する、それを私どもが督励する。万事不慣れでありますからいろいろと御不満な点もあるかと思いますが、そういうことについてただ雨に待つたというような意味でないことを一言釈明いたして置きたいと思います。
  131. 小川久義

    ○小川久義君 先ほど要望のしつ放しのようなことを申上げましたが、これに対して各官庁の局長、次長の所信を披瀝して頂きたい。
  132. 結城安次

    理事結城安次君) これはちよつとあとにして、栗山さんに……。
  133. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、一昨日と今日の委員会の大体結論的なものが出たと思うのであります。それは石炭さえ予定通りに確保できれば電力危機は一応解消するものではないかという印象がこの委員会に若干見られるのでありますが、それは根本的に間違いであると思うのであります。従つてその点を明らかにいたしまして、是非ともこれだけは責任を持つて公益委員会が実行してもらいたい点を一応要望したいと思います。それは例えば一昨日来論争して参りました電力の相互融通を円滑にするとか、或いは石炭確保に努力するとか、或いは発電力の繰上げ操業を図るとか、或いは電力使用合理化を行うとかいうようなことは、程度の差こそあれとにかく一生懸命やるということをおつしやつたのでありまして、我々は大いにやつてもらわなければならない思う。併しそれではなかなかこの危機を乗り切るわけには行かないのでありまして、その例は今日頂いた表にもはつきりいたしております。只今石炭が完全に計画通りに入りましても、下期においては出水率が活溌なときでも六・九%電力では不足する。一%に下がれば一三・八%不足する、八〇%に下がれば二〇・七%不足する。七〇%に下がれば二七・六%に不足するということであります。而もこの水の問題は例年通りに秋に貯水池が満水するということが前提条件になつて計画が立てられている。その水が秋に満水しないということもはつきりしておるわけであります。従つて水力の電力量というものは非常に下廻る。八〇%と先ほど笑い話にしましたが、或いはそれ以下になるかも知れません。そういう点から考えるならば、私はここにどうしても公益委員会はあらゆる措置と英断とを以て電力の消費規制を断行しなければならんと思う。今日すでに消費規制的な公益事業委員会令によるところの制限段階に入つておりますが、ここで少し雨が降つたならば直ちにこれを解くというような気持があるように思いまするけれども、私は根本的に間違いと思います。今年の冬から来年の春にかけての電力危機を避けて、そうして産業界に決定的な打撃を与えないようにするためには、どうしても思い切つた電力使用制限を十月から早速実行に取掛らなければならない。それだけの計画的な特別措置が講じられないならば相当激しい或いは電力危機の状態に見舞われるのではないか。特にこの表に現われている数字よりはうまく行かないということは、先ほど申上げました通りであります。そういう点から考えまして公共事業令の権限を以て十分になし得る仕事でありますから、関係官庁ともよく打合せをせられ、電気使用の量的制限、量的調整を明日と言わずに直ちに計画に入られ、そうして只今つている制限が一応解かれますならば、それと相次いで新らしい調整が行われて行く。こういうように是非ともやつて頂きたいという希望を申上げておきます。
  134. 宮原清

    説明員宮原清君) 私はちよつと御挨拶申上げておきたいのでございますが、大変御理解のあるお話であつて、さすがに電気に通暁のかたと思います。委員会としては是非とも技術面におけるいろいろの操作をしている方面の要望はまさにその通りであります。成るべく支障なからしめるための努力をし尽して、今やその原因についてはいろいろございますが、恐らく今の公益事業委員会自身がそれを全部担うようなことは必らずしも当らないかと思いますが、併し今日においての実情としてはおつしやる通りであつて、これをどういうふうにするかということについて苦心していることは、先刻来いろいろ申上げましたことに対する手を幾段階にも作る用意をしているのであります。この席においても諸兄の御発言のある通り非常に不満があつて、それについていささか遅疑しておる。栗山さんのような有力なかたにおいて、私どもの行手についてそういうことをあえてすべしといういわゆる声援、鞭撻をして下さいましたことは、私たちにとつては本当に有難いことだと思います。併しこれは絶対にとにかく御迷惑を掛けないことが本意でありますから、今後においてもできるだけ処置するつもりでございます。そういう意味において私から御挨拶申上げます。
  135. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は宮原さんがえらく私の言葉に賛成されたので、或いはちよつと考えていることが違うかも知れません。私はあらゆる努力をとにかく優先的にせられるということが前提条件でありますから、そういう制限規則を発動することによつて石炭不足を若干逃れようとか、或いは電力使用合理化について少しサボつて見ようとか、そういうことがあつては断じてならんのでありますから、あらん限りの努力を傾倒して、それでもなお且つ電力状態が悪いから、これを今年の下半期を平均して、各産業に或いは業種別に、或いはブロツク別に、或いは又時間的に影響を与えることのないような、下半期を通じての電力調整計画を立てるためには、今申上げたことを是非ともやつて頂かなければならんと思う、こういうことを申上げたのでありますから誤解のないように……。
  136. 宮原清

    説明員宮原清君) 誤解いたしておりません。そうたやすく規制をするような考え方は、私ども一つもございません。併しこれは要するに今後の産業政策に関する安本その他のどの仕事を最も重点的にするかということと関連すると考えておりますから、そういう点でしわが寄つて御不満のかたがあつても仕方がないというような意味に私は了解しております。
  137. 結城安次

    理事結城安次君) それじや宮原さんはお帰りになりますから……。それじや先ほどの小川委員の御質問に……。で中島炭政局長。
  138. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 先ほど小川委員のおつしやいましたことは、趣旨は私ども実は全く同感でございまして、先ほど私の説明の中には強いて申しませんでしたが、こちらで例えば電力用炭の出荷の斡旋をするということをいたします場合に、如何なる手段を講じましても、実際結果においては従来の契約だけを或る程度削るということをせざるを得ないわけでありますが、その際において我々のほうの立場といたしましては、やはり削られるところの産業が、全般的に見て結果において止むを得ないという、そういうふうな裏付がありますというと非常に我々としても話がしやすい、こういう見地から昨日省内で電力用炭の話をいたしましたときにも、そういう希望を私はむしろ申しております。通産省の部内にも全般を見る担当のところがございますが、少くとも通産省としても各担当部門の最後のバランスがどうなるか、これは石炭の面と電力の面と両方ありますから、両方睨み合せてどうなるかということを付けてもらいたい。その上で私のほうで自信のある措置ができるということを申しております。従つて斡旋ということは我々の仕事としてはやりますが、やはりその裏付となるものができるように、これを特に安本のほうにお願いするというつもりであります。
  139. 結城安次

    理事結城安次君) それでは森山参考人から鉄鋼と電力に関する関係の御説明をお願いいたします。
  140. 森山達郎

    参考人(森山達郎君) 今日は発言させて頂きまして誠に恐れ入ります。実は先ほど鉄鋼が中小企業の犠牲において電力をもらつているというようなお話がございまして、それにつきまして御答弁させて頂きます。鉄鋼は現在電力割当が非常に過小な状況でございまして、そして緊急制電影響が非常に深刻になつておりますのでございまして、決してこれは肥料とか、アルミニウムとか、そういうような増産があるから決してこういう状態になつておるのではございませんのでして、鉄鋼の大口割当から見ますと、実際に使用するのは二億キロワツトくらい毎月使用いたしますが、そのうち割当といたしましては、一億二千から一億三千万くらいしかもらつておりませんので、火力を二割乃至三割使つております。ということは、十分に使用するだけの電力をもらつておらないという状況でございまして、なおほかの産業には火力を殆んど使つておらない産業もございますが、そういう産業が結局犠牲、そういう中小産業犠牲において電力をもらつているということになると私は考えております。むしろ鉄鋼におきましては、電力関係は、電気炉の面は普通鋼の電気炉を削減しようというようなことで、これは主として電気炉をやつておりますのは中小企業でありまして、中小企業は今死活の問題になつておりまして、この企業整備がどうなるかというような状況になつております。これにつきまして、この前委員のかたがたにお配りいたしました手前どもの新聞にいたしましても、実際に電力使つて、そうして電気炉で操業いたしましても、一千キロワツトアワー当り硫安はドルといたしまして、電解法では大体十八ドルから十九ドルぐらいでございます。アルミニウムは三十五ドルぐらいでございますが、鋼材といたしましては百ドルの外貨を稼いでおります。これが輸出といたしましても、電気炉を使つて輸出する面も相当ございますので、結局こういう先ほど専務理事から申上げました電解電炉というものが、企業整備の対象になるということになると、これは取りも直さず又中小企業が整備の対象になるということの一つの実例でございまして、これは鉄鋼として相当大きな問題でございます。鉄鋼といたしましても、相当現在輸出をいたしておりまして、そうして現在の生産状態は如何にもそれは安本の計画を上廻つておりますが、決して今の見込生産をしておりませんで、実際に註文生産をしております状態でございますので、現在でもぎりぎりでございます。従つて電力割当が現在のところ過小であり、そうしてなお過小であるために、今の緊急制電が死活の問題になつておるという状況でございます。今日は関西の地区の代表として皆さんが申上げましたが、決して関西地区だけではございませんで、先ほど東北の委員からお話がありましたが、関東、東北、北陸、中部、全部に通じて相当深刻な問題になつております次第でございます。それでございますので、少くとも鉄鋼の現在の生産実情に即した割当をお願いしたいということでございます。先ほどのお話は、如何にも肥料の増産が今の保留分から確保されることによつて、鉄鋼のほうはもうこれでよろしいのだというような印象がございましたが、もともとの全体の枠が先ほど申上げました通り、六割から七割の状態になつておりますので、電力関係は非常に鉄鋼は高い電力使つておるという状況になつておりまして、肥料なんかにいたしましても、一円内外の電力使つておる。ところが関西といたしましては、鉄鋼の電力割当によりましては、これが五円乃至六円の電力使つておるという現状になつておりまして、これは相当産業の政策から見ても、いろいろ問題があるのじやないかというふうに考えられる次第でございます。それで鉄鋼といたしまして、このような少い割当によつて、なおこれが緊急制電によつて週に二回しか動かないという状況でございます。輸出や特需も生産が非常に差支えておるという状況でございますが、このたびの電力使用制限につきましては、極力できるだけ早くこれを解除して頂くことをお願いすると同時に、制電罰則はこれの適用を是非とも適用しないようにお願いしたいことと、それからそのほか、割当削減によつて罰則をするということも、是非ともこの際この御措置を頂かないようにお願い申上げたいと思う次第でございます。それからなお今後の電力の需給のことにつきましての、これは私見でございますが、先ほどから栗山委員からお話がありましたが、結局第三四半期の電力の需給を十分にやるとすれば、これは本当にもう発送電から、送電から配電から需用端の末端に至るまで、電力使用合理化を徹底するということをしない以上は、徒らに使用を削減するにとどまる、一方では如何に電力を開発をしても、急には到底実現しがたいというようなことがございますので、これを先ず徹底することが非常に必要なことではないかと、私考えております。それからいま一つは、これは差当りできることではないかと思うのでございますが、自家発電の補償でございます。自家発電は只今自家発電をすればするほど高い電力を使うというような矛盾になつております。これは極力自家発電の補償をやることによつてそうして火力を増強して、そうしてこの急場に間に合うように電力の増強を図るということは、これは政府部内でもお考えになつていらつしやるようでございますが、これにつきまして極力これを促進することが必要でないかと考えております。以上二つの点を、私電力の需給の立場から、需給の観点から私見として申上げます次第でございます。終ります。
  141. 小川久義

    ○小川久義君 実は時間がないので今日は保留したいと思いますが、農業用電力割当、農業用電力の料金その他に対して、農林省その他を次回の委員会に出席を求めて調査をしたいと思いますから、さようお取計らいを願いたいと思います。
  142. 結城安次

    理事結城安次君) 本日はこの辺でよろしうございますか。まだございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 結城安次

    理事結城安次君) なければ本日はこれで散会いたします。    午後五時二十二分散会  出席者は左の通り。    理事            栗山 良夫君            結城 安次君            水橋 藤作君    委員            秋山俊一郎君            岡田 信次君            小野 義夫君            島   清君            椿  繁夫君            奥 むめお君            加賀  操君            山川 良一君            岩木 哲夫君            小川 久義君            境野 清雄君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君   説明員    公益事業委員会    委員      宮原  清君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君    通商産業省通商    鉄鋼局長    葦澤 大義君    資源庁炭政局長 中島 征帆君    経済安定本部産    業局次長    岩武 照彦君   参考人    神戸製鋼所社長 町永 三郎君    日本鉄鋼連盟専    務理事     岡村  武君    日本鉄鋼連盟調    査局長     森山 達郎君