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1951-09-04 第11回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月四日(火曜日)    午後一時四十五分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電源強化に関する件)  (電気需給調整規則改正に関する  件)  (電気事業会計規則改正に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今より委員会を開会いたします。  本日は電気需給調整規則改正に関する件、及び電気事業会計規則改正に関する件について調査をいたします。昨日の委員会において石原委員から公益事業委員会に対して只見川電源開発の問題に関して質問がされております。石原委員から再度昨日のあなたの質問を繰返して頂きます。
  3. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 昨日の委員会におきまして電源開発の問題、特に只見川熊野川開発問題等につきまして平井技術長に質したのであります。大体の様子はわかつたのでありまするが、なお公益委員のほうから直接更に再確認してもらつておきたいのでありますが、問題の第一は只見川熊野川、殊に只見川の問題に関連してでありまするが、ああいう所の電源開発の具体的な施策計画はどこで樹立するのかということを先ず伺つておきたいのであります。
  4. 宮原清

    説明員宮原清君) 昨日私は余儀ないことで関西におりましたので欠席いたしましたが、只今の御質問はどこでやるかということの御質問のようでございます。これは御承知通り東北電力東京電力とが開発を引受け得る状態になつておりますので、恐らく次回にそれを進める場合には当事者としてはこの両者が一応やることになるだろうと思います。尤も御承知通り只見川我が国に残された一番大きな電源地帯であり、そうしてその関係範囲が専ら東北に所属しておりまするが、併しいろいろな関係上水利権を持つておる東京電力もその範囲を当然といたしますし、かたがた私ども承知しておる範囲において只今のところではこの両者においてこの事柄を適当に運営することだと思います。  併し只今の御質問事柄は少しその前に、ひとりそういう両者に移るまでの点についてどういうことになるのかというようにも感じましたので、私の見解だけを申上げますれば、御承知通りこの大きな川の全部の調査については、OGIに移植しまして、そして国が協賛をして頂いた開発に関する調査費を使いまして、そうしてそれに対する的確なる資料を得ようという施策をしたことがありますから、その調査報告に基いて如何にするかということはむしろ第二段に上るのでございましてそして結局のところが東北、東京両電力を促してそのことの実行に移るということが現在の段階において考えられておることであります。尤もこれは委員会の何ら関与したことではございませんけれども、別個の電力会社という形にして開発の大きな任務を預けるというような構想も一部ございます。けれどもこれらのことは要するにこれを開発する資金等伴つてのことでありますから、今日になつて如何ようにするかということを断定するのはいささか早計だと思います。従つて只今お答えしたように、両電力会社の所属の開発を引受けるべき前段のお取りきめが、今のところでは引受けてやらなければならないものとこう思つております。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私の伺いました最後の結論は、こういう電源開発具体的計画具体案を立てるのは、そこの電源地帯を管内に持つておるいわゆる今度の新らしい電力会社がまあその具体案を立てるのであるかどうかということを聞きたいのが中心点であります。
  6. 宮原清

    説明員宮原清君) その通りだと思います。具体案を立てるのが。
  7. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、この公益事業委員会とその電力会社との関係はどういうことになるわけでありますか。つまり電力会社が立てるいろいろの具体的計画について指導をしたり、或いはアドバイスを與えるとか、水利権問題等について協議を受けた場合にその相談にあずかると、まあこういうようなことであつて計画立案者はあくまで電力会社であるとかように了承していいわけですか。
  8. 宮原清

    説明員宮原清君) さようだと思います。
  9. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それで次に、これは只今即答を直ぐに求めるということは非常に無理だろうと思うのでありまするが、只見川電源開発ということはひとり日本の今の大きな問題になつたばかりでなく、日本経済再建或いは外資導入その他等から関連して、アメリカその他等も非常に注目しておる大きな問題になつておるわけでありまするが、このあれほど騒いでおる只見川具体的計画を立てる所がまだどこかはつきりわかつてないというようなことは、これは一般世人が聞けばちよつと唖然とするようなことではないかと思うのでありますが、こういう点について公益事業委員会として今日どういうふうな考え方を持つておられますものでありますか。若しお答えできればお答え願います。
  10. 宮原清

    説明員宮原清君) お答えを申上げましても少し根拠が薄いと思いますのて、或る程度御返事ができると思います。
  11. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 技術長からは大体昨日承わつたのでありまするが、これは重大問題でありまするので、技術長より公益委員、全責任を持つておられる公益委員より直接承わりたいと思つたのでありまするが、即答できないということでありますれば又後日公益委員会でお打合を願いまして大体どういうふうな指導方針考え方を持つておるものであるかということを適当な機会お答えを願いたいと思います。
  12. 宮原清

    説明員宮原清君) 只今の私が技術長云々と申上げましたのは、具体的と申しますれば計数を伴うべきことにもなりましようし、誰がどうするというような事柄のはつきりしたことがきまつていない以上はその程度御返事しかできないと思いますが、併しどういうふうにする云々ということの中で、例えばダムサイトをどこにするとか全体の流域における出量をどういうふうにするというようなことについては、すでに関係電力会社において相当の調査をいたしておるのでありますから、それらのことはただおのずから時を待つて発表することになるでありましようが、ただ漠然として何らの用意がないという御非難にはちよつと当らないように思いますのでそれだけお答え申上げます。
  13. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私のお伺いしたいのは、ダムサイトをどこにするとかどうかといつたその具体的問題以前に今お話のあつたように東北電力具体的計画を立てるのか、東京電力具体計画を立てるのか、或いは又特殊の開発会社作つてあそこをやらすのかどうか、そういうことについて公益事業委員会ではどういう考え方を持つておられるのかということが伺いたい。
  14. 宮原清

    説明員宮原清君) それにはお答えができるように思いますのは、つまりこれを両者開発に任せてあるので知りますから、ひとりどこの、東北なら東北が引受けて計画を全部立てるということにはならないと思います。必ず両者協議をする一つ委員会のようなものでも作りますかということになるだろうと思つておりまして、一社だけでそれを認可を受けるということにはならないと考えております。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと現在の段階においては東北電力東京電力両者にこの開発を任してある、こういうふうに現在の段階においては了承しておいてよろしいのでありますか。
  16. 宮原清

    説明員宮原清君) さようでございます。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから次の点も昨日の委員会でいろいろ伺つたのでありまするが、最近この電源開発調査会というものが社団法人として設けられましてこれはひとり只見川に関してばかりでなく、各地でいろいろの計画等発表が行われておるように思うのでありまするが、それで御案内のように、殊に只見川開発についてはその開発方式は福島県、新潟県、或いは関係電力会社おいていろいろ微妙の問題がそこにたくさんあるのでありまするが、先般電源開発調査会只見川の視察に来られた際に電源開発調査会の案であるという一つの案が発表されたのであります。これは新聞を通じての発表でありまするから果してどういう、正式な調査会の案であるかどうかわかりませんが、電源開発調査会において一つ只見川開発方式の案を発表されたことがあるのかないのか、御承知範囲お答えを願いたいと思います。
  18. 宮原清

    説明員宮原清君) 昨日そのことについて開発課長から一応御返事を申上げたということを今日聞きました。その話によりますと、なおよく調べてみましたが、さようなことはいわゆる調査会として発表したことは絶対にないということでありまして、私どももさよう承知しております。ただその会の中の委員が個人的の意見を言うたことがあるかないかということはちよつと明瞭でありませんが、恐らくそういう匂いがしたことは誰かが言うたという想像をいたしますればあつたのではないかというので、なおそういうことについて詳しく聞いてみましたようでありますが、何かそのかた自身がそれに類似した話をしたというけれども必ずしも確定意見ではなかつた。併しさような誤解があつてはいけないということで取消したというようなことも聞いております。その程度でございます。
  19. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この只見川開発方式については非常に関連するところが広いのでありまして、一言一句が非常な微妙な影響を東北地区全体、或いは関係電力会社に与えておりまするのの、若し調査会の正式な意見でないものを調査会案であるごとく新聞には報道されたのでありますが、これは一つお調べを願います。その調査会の誰でありますか存じませんが、現地に行つて軽々にそういうことのないようにこれは厳重に注意をして貰いたいと思うのであります。これはたまたま昨日の委員会結城委員から、大井川の電源開発等についてもやはりそういう問題があつたという同趣旨の発言がございましたので、これは適当な機会に御注意願いたいと思うのであります。
  20. 宮原清

    説明員宮原清君) 私からそのことは会のほうへ言い付けまして、とくといろいろ従来のことについての重ねてそういう種類のことが起きませんように、御注意のあることを私どもの方から会のほうへ申し伝えます。
  21. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから電源開発調査会の機構とか組織は昨日大体承わつたのでありまするが、電源調査会一つ意見をまとめるとかいうような場合にはどういう形でまとめられるのかということを昨日伺つたのでありまするが、それは理事会等を開いてきめるのだ、こういうお話でありましたが、電源調査会定款を見ましてもどうもそういうような規定もないようでありまするが、これはどういう形で一つ意見調査会としてはまとめ上げられるものであるかどうか。これは他の説明員のかたからでも結構でありまするが、重ねて承わつておきたいと思います。
  22. 市浦繁

    説明員市浦繁君) 先ほどの只見川開発方式の点についてちよつと補足させて頂きたいと思います。実は今朝調査会事務局高橋事務局長に会いまして、昨日の委員会の模様を話し、更にもう一度念を押してこの問題について聞いたのでございます。その結果確かにそういう事実はない、たまたまあの時に新聞に出たものでありますから、調査会としましてもこれは大変だというので、新潟県庁に集まりまして新聞記者を集めて正式にこれは事実でないということで否定したということを伺いました。更に昨日私が申上げたことは正しいということを確認いたしました。  それから調査会定款の問題でございますけれども、本日お配りいたしました定款がございます。第三十一条に「理事会理事の半数以上の出席にて成立し、出席理事過半数をもつて議事を決する」ということが書いてございますが、このことによつてきめられたことが調査会としての正式の意思表示であるというふうに私は解釈しております。
  23. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 理事会過半数で決定すると。
  24. 市浦繁

    説明員市浦繁君) はあ。
  25. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから次はこれも昨日一応わかつたことでありまするが、更に公益委員から再確認したいと思うのでありますが、只見川電源開発調査については、電源開発調査会にも開発方式その他について調査委嘱されている事実があるのでありましようかどうか。
  26. 宮原清

    説明員宮原清君) 無論委嘱していると思います。事項を挙げて確定的な指示事項になつているか、話合いになつているかは私は承知いたしませんが、委嘱をしたことは事実であります。
  27. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 昨日平井技術長からのお話では、電源開発調査会に、只見、熊野の開発について調査委嘱したことはない、委嘱したのはOCI委嘱したのであつて電源開発調査会OCIの下働きをするのであるという御答弁があつたのでありますが、その点如何がでございましようか。
  28. 宮原清

    説明員宮原清君) 私の只今申上げましたのは、大体の、いろいろの事柄があつた時分に委員会委嘱することがあるかというふうに解釈いたしました。只見川に関する限りは只今おつしやつた通りOCIにあれしまして、そのお手伝いを電源開発調査会がしたということは事実であります。先に申上げましたのは、一般のことを、ときがあつてそういうことを依頼する、いわゆるファンクションがあるかということに対する返事をいたしたわけであります。
  29. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、公益事業委員会只見川熊野川開発調査委嘱をしているのは、正式にはOCIだけに委嘱しているものであると承知しておいてよろしうございましようか。
  30. 宮原清

    説明員宮原清君) 少くともOCIの、今度来ました、前にどういうことがあつたか知りませんが、OCI委嘱したことが委嘱の全部であります。
  31. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 あとは昨日の平井技術長との応答で大体了承いたしましたので、これで質問を終ります。   …………………………………
  32. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは次に電気事業会計規則改正に関する調査につきまして、本規則は九月の十四日から失効となつております。そこで来たる九月十日に改正案聴聞会をするという予定になつておると思いますが、本改正案につきましてはその改正点についての御説明を願いまして特に第十五条の渇水準備金制度については、当委員会として日発含み資産問題調査以来、この制度につきましては強力に推進して来た事項でもありますから、本改正案に関する大蔵当局との交渉の経過について詳細に御説明を願います。
  33. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) お手許改正案改正要綱を記載いたしました印刷物がございますが、それについて御説明申上げます。  三枚刷りの別紙という印刷物がございます。公益事業委員会規則案をこれこれ訂正するという印刷物でございます。公益事業会計規則事業令四十九条によりまして、去る三月十四日に制定いたしましたが、その附則の十三号によりまして来たる九月十四日を以て失効いたしますのが、改めまして聴聞会を九月十日に開催いたしまして、新規則として制定いたす予定でございます。その制定に際しまして二、三の点を改正いたしたいと存じます。その改正案印刷物といたしましてお配りいたしたものでございます。公益事業委員会規則案は、昭和二十六年これこれと通牒によつて電気事業会計規則第四条の規定による財務諸表、並びに電気事業会計規則第四条による勘定科目を左記のように改正したものであるが、印刷物を省略し、これをもつて案に代える。こういう書き出しになつております。会計規則自身は、別途この青い本によりましてお手許に配つてございます、電気事業会計規則要覧という印刷物の一頁に電気事業会計規則現行のものが載つておりますが、これにつきまして改正いたします点は規則といたしまして三点ございます。  この印刷物について一として次のように改正する。第四条中「別に定める」を「別表に定める」と改める。これは第四条で財務諸表規定しておりますが、制定に際しまして手続関係財務諸表は別に定めるといたしまして、通牒で指示いたしておつたのでありますが、今回規則の中に織込みまして別表に定めるということにいたしまして制定いたしたい、かように存じます。財務諸表勘定科目をこの規則に入れることにいたすわけでございます。  第二点は第五条中「その使用開始の翌月を始期とし、」を「その使用開始の月を始期とし、」に改める。これは会計規則現行第五条におきまして、電気事業設備の価額の計上方法でございます。それから二項に「電気事業設備減価償却は、その使用開始の翌月を始期とし、定額法により行わなければならない。」こういう規定がございますが、この使用開始始期現行では翌月になつておりますが、税法扱いによりまして、使用開始の当月より減価償却引当を精算できました場合は認めておりますので、税法扱いに合せまして当月より始期として計上することに改めたいと存ずるわけでございます。  第三点は「第十五条を次のように改める。」といたしまして、渇水準備金制度現行任意規定を変えまして強制規定にいたしたい、かように存ずるわけであります。一応案文を朗読いたします。   電気事業者は、委員会電気事業者豊水により特に増加したその収益渇水により特に増加したその費用に充当させるためにその旨を指示したときは、渇水準備引当を行わなければならない。前項規定による引当金は、委員会許可を得た場合を除き、渇水により特に増加した費用以外の費用に充てることができない。第一項の規定による引当及び前項規定による取くずしの基準は、委員会の定めるところによる。  こういうことにいたすわけでございます。現行規定の第十五条におきましては、渇水準備引当を行うことができるということになりまして任意規定といたしております。第二項によりまして、一遍引当てました場合には渇水の増加した費用以外に充てることができない、こういうことにいたしまして取くずしの制限を設けておるわけでございまするが、前々より当委員会におきましてもいろいろ御意見のございましたように、現在の割当制度と関連いたしまして、豊渇水の場合に需用者利益のためにそれを強制的に積立てまして渇水の備えにさせるということが、現在の電気業経理状態並びに電気需給状態に照らしまして妥当であるというふうに考えまして、今回の改正をいたしたわけでございます。これの扱いにつきましては、この会計規則強制いたします関係上ある程度税の扱いにおきまして、豊水の場合の引当に課税されない、即ち経費として見て貰うことが必要でございまするので、その点大蔵省と現在まで折衝を重ねて参つております。現在までの段階におきましては一応本制度実施が現下の情勢上止むを得なかろうという大蔵省の大体了解を得ておりまするが、運用細目につきましてはなお細則の実施者につきまして、協議中でございます。まだ正式の回答案を得ておりません状況でございまするが、大体本制度実施するということにつきましては、おおむね了解を得ておるものと了解いたしております。従いまして九月の十日の聴聞会におきましては、この改正案によりまして案を提示いたしまして聴聞会を経て実施に移す考えでございまするが、実施細目即ち委員会におきまして実施いたします引当なり、並びに取くずしの基準によりましては附則制定後に指示することになろうかと存じます。一応実施の時期は現在の本年度の上期分につきましては、料金改訂等関係もございまして、十分期間中に引当てさせるだけの経理状況になつていない実情でございますので、下期よりこれを実施したい考えでおります。渇水準備金引当の大体の設定要領につきましては、これも別途只今お配りいたしました印刷物がございまするので、それの概要についてこの際重ねて説明を加えておきたいと思います。  渇水準備引当金設定要領という印刷物がございまするが、これにつきまして、目的といたしまして、   電気事業の高度の公共性我が国電源特殊性とに鑑み、豊水時と渇水時を通じて安定した供給力を確保するとともに、予定額を上廻る豊水増収額を別途に経理、することにより、電気使用者全般利益を保護することを目的とする。    二 要領   1 渇水準備引当金は、電気事業会計規則第十五条に基き引当又は取くずしするものとする。   2 引当金は、一カ月毎に引当又は取くずしを行い、毎決算期末に精算するものとする。   3 引当又は取くずしの方法別紙基準によるものとし、その基準による引当又は取くずしが特別の事由によつてできないとき又は取くずしが特別の事由によつてできないとき又は池の基準によるときは、公益事業委員会許可を受けなければならないものとする。     三 対象事業者    この要領における対象事業者は、電気事業編成令第三条第一号にいう九の新会社とするものとする。    四 措置   1 引当金   引当てた金額は、法人税法における所得の計算上、損金に算入し、取くずした金額は益金に算入するものとする。   2 前号の法人税法による取扱が確定したときは、会計規則第十五条第一項の任意規定強制規定に変更するものとする。   3 渇水により供給力の低下が著しく電力供給制限実施したとき又は供給する電力の質が著しく悪化したときは、委員会許可を受けて引当金を取くずして割引の源資とすることができるものとする。   4 渇水により供給力が著しく低下し、火力発受電電力量の増加について万全の措置を講じてもなお収入の減少が著しく、事業の円滑な遂行を妨げ延いては供給責任の達成に支障を生ずる虞れのあるときにおいては、委員会許可を受けて、その減収となつ金額限度として引当金を取くずすことができるものとする。  その措置の第四の末項は、非常事態に際しましての強制のための便宜に考えられたことでありまして先ほど説明いたしました会計規則の十五条の三の改正案によりまして、原則として取くずしの基準は、渇水のため石炭費の支出が増加いたしたときでございまするが、その他の場合におきましても万一電気事業経理上非常に支障が生じました場合には、一定の例外措置としてこの取くずすことを認める余地を開いて置きたい、こういうつもりでございます。  それから一枚めくつて頂きまして、別紙渇水準備引当金引当又は取くずしの基準という案が掲げてございまするが、これは朗読を略しまするが、準備金制度運用といたしましては、大体豊水の場合におきましては、実績の総発電電力量予定の総発電電力量とを比較いたしまして、この予定発電電力量を超えた実績発電電力量に、電気料金販売平均単価実績収入単価を掛けまして、それとロスを見たものでございまするが、ロスを見ました販売電力量実績収入単価を掛けまして、それの七〇%を基準といたしましてこれに火力発電電力量増減等がありましたものを差引調整いたしまして積立金予定いたしたい、かように存ずるわけでございますが、なお総発電電力量予定と同じ、或いは下つた場合におきましても、逆に火力発電電力量だけが予定よりも減りまして収益を生むという事態もございますので、その場合も加えまして、この場合におきましては、予定石炭費単位当り石炭費に減りました火力発電電力量を掛けまして、積立額を七〇%を超えて同じく引当金といたしたつもりでございます。それから取くずしの場合におきましては実績火力発電電力量予定を上廻つた場合におきまして実績単位石炭費にこの増加いたしました火力発電電力量を乗じましてそれだけを取くずしさせる、こういうことにいたしたわけでございます。原則としてこの計算は毎月いたしまして、期末におきまして精算して実際上の引当額を決定する、こういう基準にいたしたいと考えております。この運用細目を以ちまして現在大蔵省主税局折衝中でございます。  先ほどちよつと申上げましたように、制度設定原則につきましてはおおむね了解を得ておるつもりでございます。細目につきましてはなお双方に意見がございまして、現在まだまとまつておりません。大体におきまして大蔵省意見といたしまして、事務的に現在までのところ聞いております意見といたしましては、これは運用上一銭一厘とも引当額が出て税の計算が出るということは非常に手続上煩瑣であるから、或る程度限度を設けたらいいというような意見、又引当額を実際に支出いたします上におきまして特定預金として適用してはどうかという意見、更に又これの免税の取扱に一定の期間を設けたいという意見、かような点が現在まで聞いておりますところの意見でございます。まだ正規の意見として回答をもらつておりません。いろいろ案の実施上につきましては更に変更を見、修正になる点があろうかと存じます。さような状況でございます。  それから渇水準備金の御説明を終りまして次に先ほど落しましたが附則改正点が若干ございますが、これは新会計規則予定は公布の日から施行いたしますが、四条の勘定科目の点、財務諸表の点は、十月以降の事業に適用して、それ以前のものは従前の規定によるという規定でございます。それから次の数字の二の財務諸表並びに勘定科目等の字句の訂正が若干ございますが、これは格別に御説明申上げる点もないのでございます。現行案の字句の補正をいたしたのみでございます。ただ末項にございます様式第五号第九表の資本金明細表の改正は、商法の改正に伴いまして新らしい資本の組入、新らしい株式の交付に伴います様式の改正でございます。続きまして実態的な改正渇水準備金制度改正に尽きるわけでございます。その他のことについては、先般制定いたしました会計規定でございますのでそのまま新規則として上げたわけでございます。
  34. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の中川経理長の御説明に対して御質問がありましたら御発言願います。
  35. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この会計規則の中で渇水準備金制度でございますが、これは大蔵当局の大体承認を得ておられるようでありますけれども、法的な改正手続を要するような問題はないわけでございますか。
  36. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 税の取扱につきましては、法人税法の取扱細則によりまして規定される予定でございます。従つて法律の改正まで至らんでできると思います。
  37. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると大体大蔵省のほうと完全な了解ができて、実施のできる見通しはいつ頃になりますか。
  38. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 現在委員会から公文書を以ちまして大蔵省に対しまして会計規則改正をこういうふうにしたい、ついては渇水準備金制度につきまして税法上経費の扱いに認めて欲しいということを公文書を以て申入れております。その回答を近くもらえるつもりでおります。従いまして、会計規則聴聞会を開きまして、規則制定するときには、原則的な点については了解を得られる見通しでございます。実施は、先ほど申しましたように、下期から実施いたします。従つて十月からこれの実施に入るわけでございます。それまでに細目の取りきめに入りたい、こういうつもりでおります。
  39. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この要領を立案されるまでに関係各省と御相談になつたと思いますが、大体どのようなところを御相談になつたのですか。
  40. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 関係各省と申しましても、現在のところ大蔵省とは打合を進めて参つてたのでございますが、その他の省とは打合はしておりません。
  41. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから、引当金引当又は取くずし基準という第一項の二号ですかに、予定電力量というのは年の初めにきめたものに大体よるということが原則になつておりますが、但書がありまして、「年度の途中において委員会の承認を受けて年度当初に定めたものを変更したときは、その変更したものによる」ということになつておりますが、これは具体的にどういうことを指しておられるのでしようか。
  42. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) これは主として需給計画との関係でございますが、年度の計画といたしましては年度当初の計画によりまするが、その間に例えば融通電力量にちよつと変更があつた、或いは新設の設備の使用開始期日の変更かあつた。こういうような場合には委員会といたしましても先の予定を変更して計画を振替える、こういうふうにいたしたいと思つております。
  43. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 融通電力量の変更とそれから新たに発電設備の増減の異動があつたときは私は大体了解できるのでございますが、最近も問題になつておりますように、アロケーションを年の初めにきめたものによらないで年度の途中で相当増減の希望が出ておるように聞いておるのでありますが、そういうような意味での修正はこの条文の中に入つておるのですか。
  44. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 一応この実施の案といたしましては発電電力量を押えるということにいたしまして、アロケーシヨンの量自身を対象にいたさないつもりでおります。アロケーションの異動によつて平均単価等に若干異動があろうとも思いますが、アロケーションの量というものは対象に一応とらない、こういう意味でございます。
  45. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体わかりました。  それからもう一つは、只今要領の一番最初の紙の裏側の、措置というところの第三号ですかのおしまいの方に、「委員会許可を受けて引当金を取りくずして割引の源資とすることができるものとする。」というのでありますが、この割引の源資というのはどういう意味ですか。
  46. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) これは法的制限その他によりまして渇水の場合に電力制限をいたしまして、一定量業界に電気料金の割戻しをしなければならないというような場合があろうかと思います。その場合に割戻しの料金を割引するということもあり得るようにいたしたい、かように考えております。
  47. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 最近も制限を大分行なつておられるのですけれども、この額というものは相当多額に上るものですか、或いはそう大したものではないのですか、その見通しはどういうふうになつておりますか。
  48. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 現在の状態で自主的な制限その他によりましても収入は勿論落ちるわけでございまして、或る程度の自動的な電力収入の減退ということはあるわけでございます。ここで予定いたしました場合は、一般業界に対しまして全面的な電力制限或いは緊急制限等が行われまして、定額料金或いは従量の基本料金の割引を一定基準によつてしなければならんというようなことが、冬期の渇水期の異常事態に出ました場合に、特別の措置によつてこれを割引くというような事態に行く、それで会計源資引当てさせることの道を開いておくということでございまして額自身は非常に大きいものになろうとは実は思つておりませんが、それはそのときの事態の模様でございまして、一応こういう途をここに開いておくという意味合で、具体的の額の推算を試算いたしてこれを掲げたというわけではございません。どのくらいになりますか、一応場合を予想してこういうものを書いたというだけでございます。そのときどきの情勢によつて額がきまつて参るものと考えております。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その第四号にありますね、私ちよつと意味がわからない点があるわけでありますが、おしまいの方に、委員会許可を受けて、その減収となつ金額限度として引当金を取くずすことができるものとする、というのがありますが、この趣旨は火力発電電力量の増加について万全の措置を講ずると、それでもなお収入の減少が著しく、という意味になつておりますが、この渇水準備金の本当お意味は、火力発受電電力量の増加について万全の措置を講ずるために要する費用を、補填する、こういう原則じやありませんですか。
  50. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 勿論お話通りでございまして渇水上の火力発受電電力量で埋められるものは埋めるわけでございますが、その結果、それにおきましても渇水の度合と火力発受電電力量の度合の如何によりまして、全体の収入面に相当の影響を生ずる場合もあり得ると想像いたしまして、さような場合、収支の全体から見まして引当金の取くずしをやつて行つたらどうかと考えております。大部分の場合におきましては一応計算上埋められるとは存じますが、渇水の度合その他によりましては準備金の引当の取くずしだけでは、計算上に出ます取くずしだけではやつて行けないというふうに考えるのでありましてさような場合には収支の全体のバランス上から取くずし得るものだけを取くずしを認めるという、こういうわけであります。
  51. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 渇水準備金制度の……私が先ほど申上げました第一原則の方の措置規定はどこに書かれているのですか。
  52. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 引当又は取くずしの方法別紙基準によるというふうにいたしまして、ただそういう運用の実態の面におきましても、渇水引当準備金の基準といたしまして別紙の方に書いてございます。別紙の一、大きい数字の一、二、三とございますが、その四の項目でございますが、大きい数字の四に、次に掲げる場合においては、引当金を取くずすことを要するものという項目がございます。その場合の算式は次の五に掲げてございまして、四に掲げる場合に該当するときにおいては、次に掲げる算式によつて計算した金額を、取くずすべき金額とするものとする。その四と五にそういうふうになつております。
  53. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは第四号の事業会社の赤字補填をこの渇水準備金の取くずしで行うということは、渇水準備金制度の本当の目的を私は少し超えておるような気がいたしますが、その点如何でございますか。と申しますのは、一口に申しますならば水が出ないと、従つて炭を焚いて発電をした、だからその炭の分だけを豊水期に貯めた渇水準備金によつて取くずしするということで会社の収支計算は一応成立つわけですね。ところがその後、この間は料金の値上等でいろいろ問題になりましたように、ほかの原因によつて仮にその火力の正常な取くずしをやろうとしましても、石炭費が非常に高騰してしまうとか、或いは又思わない経費面の増加で多額の費用を要した、そういうことになつて赤字が積み重なることがないとは言えないですね。従つてそういうものにこの渇水準備金制度を流用するということは、私はこの制度の精神に反するように思うのでございますが、その点如何でございますか。
  54. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 初めにお話もございました実際の石炭費が、購入炭価等の値上りのために出ました場合は、それが渇水の伴つた場合において石炭費が騰貴いたしました場合は、正常の運用におきまして実績の石炭炭価によりまして引上準備金を取くずす額を計算いたすわけであります。石炭費の高騰は当然入つて来ると思いますが、この第四号に掲げました場合も、渇水が原因で非常に収入状況が悪くなる、それの中味は勿論渇水準備金の正常の取くずしで埋められる点が大部分でございますが、さような場合においてはいろいろな面におきまして、電力の供給それ自体に即しまして一番必要である場合に、全体の収入の点からこの供給力状況、予算に支障を生ずる面がほかにもございますれば、供給力全体を確保いたしまして、需用家の要望に応えなければならないという意味合からいたしまして経理上のその他の面にも補填に当てられる余地を与えておきたいという意味合でありまして、実際に即しまして単にほかの経費の状況、ほかの経費と直接関係を持たんものでございますので、当然そういうものは委員会として許可を与えないものでございますが、当時の情勢上、供給力を確保する上におきまして万遺憾のないという意味がございますれば、そういう面にも新規の措置をして、そういう事態に当つて全然途がなければ、そのために又供給力の確保に非常な支障を生じましても困るということで、万一を慮つての安全弁であると考えております。
  55. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 第三号の引当金を取くずして割引の源資とすることができるという意味はわかります。そこまで進めるのもいいかどうか、別に性格的には私はわからないことはないと思います。ところが第四号で渇水対策としての、まあ最も率直に申上げますれば、火力発電の不足の諸経費をこの準備金で行うというのならばわかりますが、収入の不足をそれで補填し、なお且つ赤字が出て来るものについてはそれで補うという、どうもその点わからないので重ねて伺いますが、この第四号の取くずしの基準というものがきめられているかどうか。それからもう一つは、今中川経理長がおつしやつたようなことで極めて抽象的におつしやつたのですが、具体的にどういうような事例を想定されるか、その点を一つ伺いたい。
  56. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) これは具体的な取くずしの基準、第四号の取くずしの基準というのはまだ設けてございません。又具体的な事態も特にかような場合というふうに想像いたしてはまだおらないわけでございますが、一応の万一の備えだけの規定だけでございましてどういう場合に一番適切かという点につきましてはまだ的確にお答えしかねるわけであります。まあ委員会といたしましては更に順次検討いたしまして、こういう場合是非しておきたいという場合もあるかないかということ等につきましてはまだ十分研究いたしたいと思います。
  57. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 宮原委員ちよつとお尋ねしたいのですが、実は私この問題は熱心に主張して来たので、ここまで具体化したことの御努力に対して敬意を表しますけれども、大体二十五年度の実績だけをお考えになつてもすでに十分御案内の通りに、二十五年度の正常電気事業経理からいえば非常な赤字が出た、ところが異常渇水があつたために三百十一億程度の……五百五十億円ばかりの予定収入に対して三百十一億円ばかりの異常収入があつたために非常に料金が安かつたと言われておるのですが、それでも何とかしてやつて来られた。あの二十五年度のときの例をとつて考えますならば、三百十一億円は私は全部渇水準備金制度に該当する別途積立金になるかどうかはわかりませんが、併し相当な部分がならなければならないと思います。そうした場合に二十五年度は渇水準備金制度、今度できたような制度によつて三百十一億円の金の殆んど大部分を渇水準備金として積立てられておつたとするならば、非常な赤字があつたと思うのであります。ところがそういう工合にして果して異常収入のものに対しては全部消費者に還元をする、電気事業本来の経理において赤字が出た場合にはこれは別途の、この間も非常に力説された料金の引上とか企業の合理化とかいろいろなことによつてこれを始末して行かなければならない、これを分けなければ水のような不安定な材料を基礎にしての電気事業経理というものは明朗を期せられないというのが私ども考え方であります。従つて二十五年度の例が非常によくそういうことを示しておるので、この第四号によつて渇水に直接関係した経費を準備金で支弁をする程度にとどめておかないで、ここまで間口を拡げると又電気経理の内容は非常に不明朗になる虞れがあると思います。従つて今中川経理長に取崩し基準の基礎的な構想をお聞かせ願いたいと言つたら、それはまだないとおつしやる、万一の場合を慮つてと申されますが、その万一の場合とはどういうものか具体的にお尋ねしたのでありますけれども、それはよく研究してみようということで、そういう万一の場合というのは二十五年度の例でも大体私想像がつくのであります。そういうようなものまでも渇水準備金制度で補填をして行くということは、私は理論的に間違いではないかと思いますが、御所見如何でございますか。
  58. 宮原清

    説明員宮原清君) 私から栗山さんの御満足になるような明快な御返事は今できないと思いますが、併し大体電気事業の再編成以来の最も中心的な考え方は、電気事業公益事業であつて、そうしてその料金を設定する基本となるべき会社はどうあるべきやということについては、損をしてもいけないし、又暴利をとつてもいけないというところにあるのですから、経理全体から申せばやはり会社の存立を危くするような場合には、非常準備の積立金の領域を超えてもやられるというような事柄が、この委員会の万一の場合の慮りという事柄ではないかと思います。但しこれはどうも私どもも論議の中心にして研究したことではありませんから、先刻中川経理長が申しましたように、追つて十分に討議をした上で適否を論断すると思うのでありますが、そういう場合には仮に渇水準備金が非常に残つてそうして而も会社自身は非常な赤字だというときには、丁度財産の全部についての投資事業をする場合には経過を見るのでありますから、これだけのものを持つてつてそれが使えないということでは困るというようなことで、例えば金融する側でもそういうのではないかと思います。さようなときににわかに法律を作つて云々ということもできないのでありますから、強いて申せば、そういうような予想においてするわけであります。三百何億が例えばあつても、二十五年の後の処置というものは恐らくそういうことについて別に考えなければならんようなことになるのではないかと思います。又それを置いておくということについての重さを強くするために全体が脆弱になることは、事業の経営から言えば考えなければならんのではないかと思います。殊に渇水準備金というものは、出方から申せば最初にやるときにはこれは豊水準備の積立金であるべきだと私は考えておるくらいです。豊水が今初めあつて、然る後に生ずるものであつて若し渇水が最初に来たときにはどうするか、つまり異常な渇水があるということは異常の豊水ということと見合いになつておるのであります。そういう場合に赤字が出るのも然るべしだというように私は申上げたくらいでありまして、私の考えではそのような規定があることが何も害するということはないと申したいのであります。殊に委員会の特別な了解によつてということがあるのでありますから、そういうことについては、委員会のジャジメントがその程度のことは思い及ばなければならない、さように信じております。従つて意見として承わつておきますが、必ずしもそれが悪法だとまでは私としては本日ここでの感じでは考えておりません。なおよく一つ御考慮頂き、我々も検討したいと思います。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私の質問申上げておることは、電気経理の非常に不安定なものを改善する方法といたしましては、やはりこういうような降雨量というようなものに左右され、私どもの人的努力で及ばないようなことで出たものは、これは仕方がないが、その他の原因で来たものは、これは事業本来の経営の力によつて私は改善して行く、かように完全に区別しなければならんというのが理論的の建前じやないかと私は思います。従つて例えば委員会のジヤジメントでやつて行くのであるから大過はなかろうとおつしやるのですけれども委員会がそういうお考えを割切つておられるかどうかということが問題になる。そこで私はお伺いしておるのであります。
  60. 宮原清

    説明員宮原清君) 先刻申上げました通り、御納得の行くような御答弁はできないことを恐れますが、今のお話のことについて重ねて意見を申上げますれば、これは或る種の事業経営に関する根本とも申すべきことであります。従つて若し我々が貯金をする場合に、異常収入があつたからこれを確定的な預金としておいて俄かに手を付けないというような事柄と同様かと思います。併しそういう場合に、どうしても全体の調子が取れない場合に思い出すものは特別に残しておいたものだという考え方であります。今のように経理の明朗を期するという御趣旨の事柄は日常のことでありまして、これは非常事態に対する事柄であるというふうにお考え頂きたいと思います。どうも少し話合に食い違があるようでありますが……。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう少し話合をしなければ足りない点があると思いますが、それはその程度にしておきます。もう一つは大体渇水準備金制度は下期から始めたのでは本来今あなたのおつしやつたように意味がないのでありまして、上期に積んでおいて下期に使つて行くのが建前であつて、結局下期にやるということは、極端に言えば来年の四月まで何もしないのと同じ意味だと考えます。その点について一つ質問申上げたいのは、昨日もここで大分問題になりましたが、今年の九月から来年の四月までの電力事情は非常に暗憺たるものである。そして石炭を焚くにしましても、恐らく電気経理というものは相当赤字が出て来るのではないかと考えますが、そういう場合に公益委員会としてはもう数カ月先に直面しておるこの電気経理の建直しをするために、どういうふうにお考えになりておるか、赤字というものは恐らくこれはどうなるかわかりませんが、今のような工合において前の電力計画から外れたような状態運用しなければならんということになれば相当な赤字が出て来る。勿論石炭が焚けないということになればこれは別問題です。六百五十万トンの石炭がずつと減つてしまつて四百万トンくらいしか焚けないということになれば、そう大した影響はなくて電気需用者が非常に電気が足りないということだけで話は済んでしまうわけでありますが、仮に相当石炭が今後の御努力によつて手に入つた。そうして渇水が相当来て困るというような問題が出たときには今後どういう工合になされるつもりでありますか。
  62. 宮原清

    説明員宮原清君) これは非常にむずかしい御質問でありまして且つ多くの予想を含んだことのようにも感ずるのでありますが、併し私の短見をあえて申上げますれば、元来この電気料金の策定というもの自身があらゆる意味において普通の経営と違つておるように、私の経験が浅いためであるかもわかりませんが感じております。従つて多くを予想において作つておるのでありますから、その結果において日本電気事情のように或るとき非常に豊水であるという、その豊水を今まで逃しておつたということもございましようが、その豊水を幸いに使つて一般豊水時に積立金というようなものにするということなしには、つまりただ儲けておるじやないかという御非難に対する申訳がないということが、むしろ渇水準備金の策定のように私は感じております。従つてそれの反対に水も減り、こうして石炭もかつかつしか得られないというときの損失は、受取るほうの受電者のほうは何にも顧慮しなくてもいいということは、結局会社がどうなつてもいいということと同じでありますから、片手落になると思います。若し電気情勢を診断するならばその間の処置を適当にするというほうに重点を置くべきだと思います。従つて若し渇水準備金が非常に余計出るというまあ今栗山さんの御見当であるようでありますが、それを積んで何千億にするようなときはなかなか来ない思いますから、この程度ではとてもそのほかの激しい渇水時の救済を得ることに困難を感ずるだろうと思いますし、要するにこれは他のものに求めなければ赤字克服はできないと思います。他のものに求める方法一つはより安い電源開発でもありましようが、併しこれはいわゆる鶏と卵と同じようなものでありますから、出たときの勝負でどうということはできませんが、そうして又一方における他の方法一つはやはり料金を余計もらわなければならない、こういうことだろうと思います。然るに料金というもののありどころが最初の経理を賄つて行けるに足るという見解について補修だとか開発だというようなことに間接に利するところの収入を得る途はその適度について多くの議論があるわけでありまして、殊にそれが一挙に理想的な安全性をもたらすための料金というものは、最近に値上りを皆さんの御承認を得た程度では済まないという事実も溶け合つて甚だ明瞭なのであります。これは即ち一種の営業体としての経営するものにとつてみますというと、実に困難な仕事だと思うのであります。従つてこの渇水準備金を制定したということは、要するに豊水時ただ儲けているじやないかという御非難に対する当面の処置だという意味にむしろ私は考えております。又それを他日非常に役に立たせるということにこれを考え得るや否や、先刻中川君が申しましたような工合に、それでもなお且つどうにもならないものをこれを捨てて使うという場面は御質問のように想像の範囲ではちよつと見当らないのであります。併し全体として若しそういうものが非常に余計あつて、そうして残つたということであれば、それを更に使う時期というものは非常に特別のときである。即ち非常時に処する処置であるから、委員会はこれについて適当な見解を加えることによつて処置できる程度に御看過願つてそう弊害はないと思います。経理の上の明朗性を一挙に事業努力によつて得るということもこれも限界点がある。併し問題はむしろ、これからにあるわけでありまして、どれほどの合理化をして如何なる料金を以て適正なる収支を図るかということは、これは実績が出るのでありますから、百論をして見てもそのときの原因は天災的な、天候的なことに帰するのでありますから、恐らくアメリカあたりはいろいろ電気料金について大した混雑はないと思いますが、それらは依然として水力によらずに火力によつてつて収支が成り立つのではないか、若しやはり炭価が非常に上つておればアメリカはますます電気料金を改訂しようということになつて来る、この間の事情は甚だ微妙でありますが、日本電気を御考慮になる皆様にも十分の御検討を頂いてそうして如何にすれば経理も成り立ち、如何にすればより多くのものを要求しないで立派な経営ができるかということの監督を絶えずしてもらうということに尽きておるじやないかと思います。  先刻申す通りちよつとピントが合いませんが、この質問はやはり相当重大なことと思いまして、我々も十分考えなければなりませんが、更に当面の経理の明朗と、非常事態に処する問題との区別をどこでつけるかということについてのお話があつたものと考えますと、これはなかなか急に御返事もできないと思いますので、この程度で御了承を願いたいと思います。
  63. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 渇水準備金制度お話のときにちよつと質問としては的を外れるかと思いますが、話がそこまで進んだので、ちよつと許しを得て質問したいと思います。  このままで進んだときに電気経理がどういうような状況の見通しになるかはちよつと予断を許さないのでございますけれども、大体水の状態は余り安心ができないということでありますから、火力依存になるわけでありますが、この前も松永委員長代理が重油を焚いても何とかするというお話でありましたが、そこまで意気込んで発電をするとすると、非常に経費が嵩んで来ると思うのです。そういつた場合に料金の再調整と申しますか、そういうようなことが再び禍いになる公算があるかどうか、或いは過日の八月十三日の総会だけで暫くやつて行かれるおつもりでありますか、その辺の見通しがどんなふうでありますか、お伺いいたします。
  64. 宮原清

    説明員宮原清君) これは一層の難問題でありますから、私から今御返事はできませんが、併し私どもこの素人がこのことに関連して考えておることは、要するに電気事業というものはお得意さんに対して行うことのできない約束をしておるかのような感じさえするのです。ということは需用に対するこちらの応諾がちつと度を過ぎておるじやないかと思う。先刻栗山さんがお話なつ通り、若し電気を出すことをやめて、そうして石炭を買うのをやめるならとにかくというお話でありますが、むしろ値を上げることがいけないなら、炭を買うのをやめるということになると思う。従つてこれは今公算如何という御質問に対しては私はやはりこれも国際価格でありまして、そういうところまで若しやるならば、現在の日本の生活程度に対する電気料金の高い安いの問題は無論アメリカと比較してでございましようけれども、とにかく或る程度はまさにアメリカより安いというように承知をしておる、従つてアメリカより安いものを無理に高くするという意味ではありませんが、必要量を出すためにあらゆることをするためには、相当の値上げを余儀なくするのではないかと思うのです。これはただ私のここでの心持だけであります。
  65. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあ大体わかりましたが、資料のないことでやつておるのでありますから、この辺で打切りますが、ただ中川経理長にもお願いしておきますが、第四号の問題は私はそういう考えを持つておりますので、どうか一つ取崩しの基準を設けられて、或る具体的な事態を想定せられるときにはそういうような心組で一つ私の意見として十分入れておいて頂きたい、お願いしておきます。  それから会計規則の改訂でありますが、そのほかにちよつと一つお願いしますのは、公共事業令の第三十四条に兼業というところがありますが、そこに「公益事業者は、委員会許可を受けなければ、公益事業以外の事業を営んではならない。但し、委員会規則で定める場合は、比の限りでない。」というのがございますが、これの委員会規則というものは今問題になつておりまする、電気事業会計規則の中には余り明確に謳われていないようでありますが、ここに入れられるべきものでないのか、或いは又別途にそういうものができておるのか、この点を伺いたいと思います。
  66. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 三十四条の「公益事業以外の事業を」云々は、この意味は附帯事業でございまして、「委員会規則で定める場合は、比の限りでない。」という点の委員会規則はまだ制定いたしておりません。一応附帯事業の幅の中で常時附帯事業として認められるものを予定いたしましてあるわけでございます。まだ規則はいたしておりません。
  67. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私の質問は、そういうものは会計規則の中に明記されるべきものではないかと考えるのですけれども、その辺のお考え如何でしようか。
  68. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 一応附帯事業として款目は設けてございますが、何が附帯事業として決定されるかという点についての規則がまだ決定されておらない、事実上……。
  69. 宮原清

    説明員宮原清君) これは私司令部との話にも列席しておりまして推移がわかつておりますが、要するに電気事業という公益性の仕事をするものがむやみに余計な附帯事業をすることは好ましくない、而もそれによつて利することもあると同時に損することもあるから、電気事業は一本で行くべきだということがアメリカ流の考え方である。それから又従来その当時委員会としてもそういう諸種のわずらわしい規定に没頭することは好ましくないという点から考えまして、むしろ禁止する精神でこういう規定作つてある。併しながら時世の変化によつてはどういうことが附帯事業として許されるかわからないということでありましてなお又或る期限を切つて附帯事業は処理すべしというような気持を伝えてありますために、項目のうちには附帯事業を掲げ、又特殊なものを許した場合は許すというのですが、逆に申せば今してはならないというものに対して今しておるものに対しては、委員会が一応その時分に速かに整理すべしという気持を伝えたときに、当分はいいと、こういう説明をされたようなことになつております。限定的に書かない理由来歴はそういうことでございます。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この附帯事業という意味が非常に解釈しにくいのですけれども電気事業者が第三事業に投資をするということはやはり附帯事業ということに解釈なさつておりますかどうですか。
  71. 宮原清

    説明員宮原清君) それは勿論そういうことでございまして所有の有価証券などを処分する上にアドバイスした事実もございます。
  72. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 会計について他に御質問ありませんか。  それでは次に移ります。現行電気需給調整規則は、公共事業令附則第十二号によつて本年三月十四日に聴聞会手続を行うことなく暫定的に制定せられたのでありますが、附則第十三号の規定によりますと、会計規則と同じように九月十四日でこの効力を失います。そこでその改正案を去る三十日に公益事業委員会では聴聞会にかけておられます。本規則は本来の需給調整以外に標準料金の電力量割当という性格を有するために、需要者にいろいろ異論が多いのでありますが、今回の改正原案が極めて小範囲改正しか企図されていない理由、並びに聴聞会における意見のどうこう、及び公益事業委員会として本規則をどのように御決定になるお考えであるか、この三点についての御説明を願います。
  73. 平井寛一郎

    説明員(平井寛一郎君) この電気需給調整規則は、只今委員長からお話がございましたように、この九月の十四日を以て失効するわけでありますが、大体この規則を続けるかどうかということにつきましては、委員会としてもいろいろ慎重に検討したのでございますが、何分にも現在の電力需給状態から見て、需給の調整をしないような、何か自由な取引を形に残しておいていいかどうかという点につきましては、何分この現状では供給力より需用が非常に上廻つているような傾向にございまして、一般に自由にやりますれば、恐らく今年の下半期におきましても、一割前後の不足を予想されるような想定になるのでございます。こういうふうな事情にございまするので、当分の間はどうしても何らかの形の需給を調整する方法をば持つていなければならないというふうに考えられたのでございます。元来今年の五月に新発足いたしました電力会社は、従来のプール計算制をやめ、独立採算制の建前で公共の福祉に貢献する責務を持つておるのでありまするからして電力の需給調整も本来から申しますねば、電力会社において自主的にこれは行い、公益事業委員会としましては、それが会社が公共の福祉に反して需用者に不当な取扱をすることのないように監督、監視をするというふうにして、電力会社と需用家との間の利害を調整するのを建前とするのではありますけれども、何分先ほど申しましたように、需給の状態は非常に窮屈な状態でありまするし、又石炭の見通しにおきましても、又渇水期における渇水の工合、雨の降り方の一つによりましても、直ちにその需給の秩序に非常に困難な場面を想定せねばならないというふうな事情にございまするので、公益委員会としましても、公共事業令によつて需給の調整を引続き当分は実施しなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。現在実施しておりまするところの現行の需給調整規則は、大きく申しまして三つになつておりまして、標準料金を適用しまする電力量の割当に関する事項と、それから受電電力五百キロワット以上の新増に対する認可制度、もう一つは緊急事態に開放するための使用水力、この三つを大きな根幹として成立つておるので、あります。先般本委員会で認可しました電気料金の改訂も、御承知のように現行のこの電気需給調整規則が存続されるものとして諸般の計算、算定がなされておるのでありまして、そういう事情等に鑑みまして今回の需給調整規則改正案を出しまするにつきましても、おおむね現行規則を変更することなく制定実施いたしたい。こういうふうな考えの下に先般お手許にも差上げましたような改正案を作りまして、これを制定に先だちまして規則に従つて聴聞会に先ずかけたのであります。  先ず只今のこの新規則の大体の大要について御説明申上げますると、先ず電力の割当の方法につきましては、これは先般も御説明申しましたように、大体現行割当制度を基礎にして取るような方法をとつております。そうして昭和二十四年の三月から昭和二十五年六月までの一年間に比べてみまして供給力のほうは余り大きな変化をいたしておりませんものですから、三千キロワット未満の小口、業務用電力及び大口電力等につきましては、割当を必要とする月に対応する過去の月の使用量及び割当量を基準といたしまして、これにその後の状況を勘案して決定いたしまして、極端に需用の変動がありますものについてだけ増加割当をするという手続を引続きとつたのでございます。又そうしまして供給力の変動のありました場合においては、主として三千キロワット以上の需用に対しては調節をするという意味で、三千キロワット以上の需用に対しては個別割当を引続きとるという手続をとつたのであります。  それから新増加受電につきましても、現状といたしましてはなかなか新規の増加を認可することを認めるということは非常に困難な実情ではありまするけれども、一面需用の面にも新陳代謝もございまするし、又他の需用を抑制しても供給を確保しなければならん需用もある事情に鑑みまして、受電電力の容量五百キロワット以上の新増加受電を認可するという手続をとつたのであります。又その手続としましては、やはり従来通り電力会社の供給についての意見書を添附して申請させるという方法をとつたのでございます。  それから第三の緊急事態に対する使用制限の問題でございまするが、この規則電力電力割当制によつて需給の均衡を保持するということを本来の建前といたしておりまするので、使用制限というふうな取扱は成るべくこれを避けて、そうして電力会社の自主的な電源増強と又需用者各位の協力というこの二つによつて全般の需給を保持したいと考えておるのでございますが、こうした方法だけによつてもなお供給秩序の保持が困難であるという場合が生じました場合には、禁止需要或いは休電時間、休電日、最大電力の指定、使用電力量の制限等をそのときの需給の程度に応じて適宜組合せをし、発動をするということにいたしました。  以上が聴聞会に対しまする当時の委員会として作りました需給調整規則改正案の骨子を成しておるのでございます。八月三十日に聴聞を実施いたしましたところ、聴聞に応ずる人も非常にたくさんありまして、官民合せまして七十を超すような陳述者を出したわけであります。この陳述の内容を委員会といたしましてもいろいろと詳細に検討いたし、又それを大きく仕分けをして見たのでありますが、大体において主に問題のありましたのは、新らしい改正案の第三条、第四条、第五条、六条、十三条、十五条、十六条の項目についての意見が出されたのであります。そこでこれらをば大体委員会といたしましても目下いろいろと検討しておるのでありますが、一応大よそその内容の整備及びそれに対する意見等もまとめましたならば、これをば元にいたしまして、関係各省とお打合せをする段取りになつておるのでありまして、委員会のほうも時日があと切迫いたしておりますので、最終の決定をいたしますまでには当然そうした話合いの順序を経た上でなければならないのでありますので、取りあえずこの辺のところを腰だめ的な考えとして各省と意見交換をし、その上に立つて委員会としての考え方を最終的に取りきめるいとう意見での極く中間的な下打合せをするための用意としての意見の取りまとめをし得たところまで来ておるのでありまして、その線に沿うて只今安定本部その他と事務的な連絡をとり、いろいろな打合せを進めておる次第であります。従いまして、まだこの需給調整規則聴聞会の結果に基く最終決定を見ますまでには、なお若干の日数を要するのでありますが、本日は折角御質問もありましたので、そのまま腰だめ的な打合せ用の規則、一応の考え方というのがどういうところまで行つておるかという意味で御報告を申上げたいと思うのであります。  第三条につきましては、これは冬季避尖頭時電力という言葉が入つておりますが、ここへ若干の字句の追加をすることにしようということになつております。お手許にございますガリ版刷の第三ページのところに第三条とございますが、その第三条の初めから四行目のところに電気使用料金云々という項が書いてございまして、その追加使用料金というところに括弧して「冬季避尖頭時電力の避尖頭時時間において」云々という言葉がございます。これは事務局としても厳密に申しますと手落であつたのであります。聴聞の際に陳述者のほうから、火力発電により冬季避尖頭時電力を供給するため発電した場合、こういう字句を狭むべきであるという陳述があつたのであります。これは誠に御尤もなことでございますので、この点はそういうふうに訂正をいたしたいと、さように考えております。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう一遍言つて下さい。
  75. 平井寛一郎

    説明員(平井寛一郎君) 第三条の追加使用料金のところに、冬季避尖頭時電力の避尖頭時時間においてと書いてあるそのあとに、火力発電により冬季避尖頭時電力を供給するため発電した場合と、こういう字句を入れるのであります。これは冬季の避尖頭時電力というものは火力で発電したために避尖頭時電力を送つた場合には避尖頭時の、火力料金という制度があるのであります。やはりそれにぴたつと合せるのにはこういう字句を入れないと、水で送つた場合も火力料金の避尖頭時の料金が適用されるという間違いになる元であるので、当然はつきり入れるべきであると思いますので、こういう点を直すことにしたいと思つております。  次に第四条でありますが、第四条は一般電気使用者に対する電力の割当の方法規定してありますが、この中でこれは御承知のように三千キロワット以上の需用家に対しての基準月の問題についていろいろと意見が出ておるのであります。基準月の取り方は委員会改正案の原案といたしましては、従来の昭和二十四年七月から昭和二十五年六月までの各月、これは四ページ第四条というめくつたところの真中辺でございますが、そういうふうに基準月をとる建前で出したのでございますが、これにつきましていろいろ意見が出ておるのでありまして一つは農林省ほか二十二のかたから基準月は前年同月ということに改正をすべきであるという意見であります。それからもう一つは、これは綿スフ機業会ほか三社から出ておりますが、基準月を最近の三カ月、最近三カ月というふうに直したらよかろうという意見が出ております。又基準月を改正する場合には、仮に時期をいろいろ新らしいものに変更することにした場合には、圧縮係数を変更しなければフリーズの原則に反するという意味において、圧縮係数の変更ということを基準月の変更には是非つけてもらいたいという意見東北電力ほか三社から出ております。このほかこの第四条につきましてはなお若干の意見も出ておりますが、大きいのはこの基準月の取扱方についてのことでありますが、この点につきましてはこれは非常にむずかしい問題でございまするので、委員会としましてはまだどうするという点の意向をきめずにおるのでありますが、若し以上いろいろの計数その他を当りまして、又各方面との打合せの結果によりまして、若しできるならば或いはこの前年同月というふうな程度改正できないものであろうかという点は考えながらも、なおそうし得るかどうかについては、いろいろ係数等をあたつて実情をまだ検討中であるという程度に今なつております。御承知のように基準月をば前年同月に変え、或いは最近三カ月というふうに変えますと、使用の最近の実態に即した標準電力量の割当の割合が期待できるという点において、非常に基準月を新たにしろという声が強く出ておるのでありますが、同時に電気料金の今回のこの八月初めの改正をいたしました時には、基準月の取扱方は従前の需給調整規則の線に沿うていわゆる昭和二十四年七月以降の一カ年間の各月を基準にして扱つておるのであります。これを変えるということは、一面において当然標準料金の適用範囲が相当大きく拡がるということも考えなければならないのであります。そういう面で反対側の意見として、その場合には圧縮率を変えてもらいたいという意見が出て来るわけなのであります。需給の不均衡を調整する意味においてこの調整規則運用するという意味からこの問題を取扱つております関係上、この取扱につきましては、いろいろとなおもう少し研究しないと、委員会としてもはつきりとした結論を出し得ない状況にあるわけなのでございます。  次は第五条でございますが、第五条はお手元の資料でこれは第七ページ以降に書いてありますが、特別大口電気の使用者に対する電力の割当のことを規定してあるのでございますが、これにつきましては、通産省ほか七カ所から割当計画をば安本と協議をするというふうにしてもらいたいという意見が出ております。それから西日本鉄道ほか七者から、個別割当とする際には主務官庁と協議をするというふうにしてもらいたいということが出ております。この二つの点につきましては、大体現在の特別大口電力の割当の場合には、その割当総額を委員会で大体きめまして、その産業部門別の割当につきましてはこの規則にも書いてありますように、第一ページの五行目に出ておりまするように、経済安定本部の策定する産業別割当計画に基き委員会が冬生産原局と連絡協議して工場別仮割当を各支局長に送付し云々というふうになつておりまして、この従来の規則運用面におきましてその産業部門別の割当については、経済安定本部に作つてもらいましたものを利用することにいたしております。又経済安定本部のほうはそれぞれの産業原局のほうに御連絡になつて、そうしてその策定についての御判断をなさつておるのでありまして我々も毎月その作業をいたしまするときには、事実上はよく連絡をとつて運用をいたしておりまするので、この点につきましては、特にこれ以上の明文化という形は必ずしもとらなくても、運用の面で十分やつて行けるであろうというふうに考えておりますので、事実上は御趣旨に副えるようになるであろう、こういうふうに只今でも考えております。  なお第五条に関連しましては、特別大口電力の割当方法をば実績主義によれという意見がございました。それからもう一つは相模鉄道ほか十社から出ておる意見でございますが、特別大口電力の割当方法は従来のような毎月の個別割当をやめて一般電気使用者と同様にしろ、いわゆるフリーズの法則だと思うのであります、一般電気使用者の場合と同様に扱つたらどうかという意見が出ておるのであります。委員会としましても、この特別大口電力の割当て方を従来のような個別割当の形をもう暫く続けるか、或いは三千キロワット以下の場合と同じように或る基準月をベースにして或いは適当の方法でフリーズするという行き方で、毎月の個々の割当という煩瑣な事務から免れるほうがいいかということにつきましては、相当これは慎重に検討を要する点でありまして、これらの点についてはなおよく特に安定本部とも打合せをいたしたいと思つておるのでありまするが、只今委員会の一応の中間的の気持といたしましては、もう暫くは産業原局面のいろいろな声、或いは大口の需用家等の声等も参酌いたしまして、もう暫くは大体現在の行き方を続けたらどうだろうかという気持を持つております。  それから第六条につきましては、お手元の資料の第八ページでございます。第六条でございますが、これは割当の増加基準及び不服の申立に関する項目であります。これにつきましては、割当を増加する基準というより調整をする基準といたしまして、現在は算定方式を別途に定めて通牒によつておるのでありますが、通牒によらないで規則に明文化してくれという意見が二社から出ております。この点につきましては、あの算定方式につきましては、最初実施しましてやつてみましていろいろと調査して直したほうがいいというふうな面もあつたりして、途中で更に改訂したような場合もありまするが、やはりこれは余りきちんときめて規則に書かずに、通牒運用するほうが運用の円滑を期し得るのではないかと只今のところ考えております。  それから飛びまして第十三条でございます。十三条につきましてはいろいろな支局長の公表の義務をば謳つてあるのでありますが、その中へ、これは八カ所のところから、第十一条の電気事業者供給力予想の報告、それから第二十五条に謳つてありまするところの電気事業者の供給実績の報告、この二つの点をやはり合せて公表するように追加してもらいたいという意見でございます。この点につきましては、只今のところではこの希望に副うように追加をいたしたらどうかと考えております。  第十五条でありまするが、これは需給調節のための緊急措置のことを書いてある項目でありまするが、これにつきましては、このうちの第十五条をちよつと読んでみますと、丁度三行目ぐらいのところに「一定期間における割当電力量を減少し」云々ということが書いてございます。それは電気事業の需給を調整するため緊急止むを得ないと認めたときに別に告示をすることによつて割当の量を減少し得るということが規定してあるのでございまするが、この割当電力量を減少するという規定事項を削除したほうがよろしいという意見が通産省のほうから出ております。この点につきましては、例えば制限をするような場合にやはり電気が足らないというような場合、渇水に会つた場合に割当の電力量を減す、こういう意味でありまして、従つて標準電力料金の割当の数量がそういう措置をとることによつて月の途中から減るということのなし得る途を開いてあるのがそれなんであります。この問題につきましては減すという面と、それから同時に豊水のときに殖やすという面というものが当然対応する問題と考えるのであり事。これらはいろいろ検討いたしましたが、只今のところでは通産省の御意向の通り減少するという事項は、これを削ろうと考えております。  それから緊急制限の権限をば支局長に任せよというふうな声が特に四国を中心としまして七カ所から出ております。これについてはただ権限を委任するというわけにも参りませんので、その点につきましては現地の実情に時間的に間に合うように大きな方針を立てて、そうしてその運用について適当な委任事項としては考えなくちやならないと思うのでありますが、運用の面でこれを善処いたしたいと考えております。  第十六条関係につきましては、これは受電認可に関する事項が謳つてあります。その受電の認可の申請をしまして、認可の処理を受けるのに非常に日数がかかつておるというのが特に問題とされまして、これは通産省ほか十一ヵ所から認可については処理期限を設けてもらいたいという声が出ております。又それに準じたものとしまして、電気事業者のほうが同意書を出す、それにも処理期限を設けてもらいたいという意見が三、四ヵ所出ておりました。この点につきましては、委員会としましてもいろいろ話合いをしおるのでありますが、只今のところでは委員会の認可の処理期限を三カ月というふうに原則的に考えて見て、関係方面との打合せを進めて見ようというふうになつております。この認可の項につきましては、そのほかに主務官庁と協議をして欲しい、或いは認可基準を作成して欲しいという声が出ておりますし、又全然逆に認可制をやめて届出制にしたらどうかというのが若干出ておりました。  それからこの改正案のほうには載つておらないのでありまするが、需給調整規則改正案に対しまして、豊水期の場合に電力の追加割当をして欲しい、そういうことをはつきり書いてもらいたいという意見が相当にたくさん出ているのであります。それから同時にこれに対して、豊水の場合には追加割当は行わないで、むしろ渇水準備金制度実施することによつてつてもらいたいということを主張しているところが出ておりました。この問題につきましては、委員会といたしましては、先ほどもこの渇水準備金制度につきまして御説明申上げましたが、そういうふうな進行状態でもありますので、大体そういうものとの見合いにおきまして、豊水があつたからといつて途中で追加割当をするというふうな扱いをすることの代りに、渇水準備金制度で以て豊渇水の調整を自然的に行なつて行くという方法によつたらどうかと、只今考えております。  委員会の席上で出ました意見の主だつたものをおおむね整理いたしますと、只今申上げましたようなことに要約されるのでございます。いずれにいたしましてもこの点につきましては、最初に申上げましたように、早急に関係各省とも、十分打合せをいたしまして、そうして最後案をきめて、現行の調整規則の期限の切れるまでに、おおむね十日過ぎぐらいまでにいよいよ実施するようなところまで持つて行きたいと考えております。
  76. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次に需給調整規則改正案についての、安定本部としての御意見の開陳を願います。
  77. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 確か七月の下旬のこの委員会思つたのでありますが、需給調整制度改正につきまして安定本部としまして、最後的なものではありませんが、一応中間的に考えておりますところを御報告したのでありますが、その後いろいろ各方面の意見も検討いたしました結果、一応或る程度の結論に達したわけであります。先月の三十日の聴聞会におきまして、実は安定本部としましてはむしろ公益事業委員会と共同して需給調整を図るべきではないか、我々が公益委員会に対していろいろ意見を言うのは、むしろ聴聞会後の意見を聴いて、需用家なり、或いは供給者たる電気事業者意見を取入れるように考えるべきではないかという結論で、別段安定本部としましては聴聞会において特段の発言はいたしませんでしたが、大体聴聞会におけるいろいろな需用家並びに供給者のほうの意見を整理して見ますと、前回七月下旬におきましてこの委員会で御報告申上げたことと余り大きな開きはなかつたように考えております。で要約いたしますと、その節申上げたことは、一つは大きな問題としましては、現在の需給調整規則は成るほど或る面では若干電力の需給調整をするという面もありますが、むしろ標準電力量の割当という面を通じて物的な量自身の調整よりも、電力を供給する者、或いは消費する者の経理上の何といいますか、差を調整する、いわば原価調整というふうな色彩が非常に強い、つまり或る程度の量までは標準料金で使用し得る、これが割当になつておる、それ以上のものは火力料金といいますか、追加料金を払えば、いわば幾らでも使い得る、逆に供給者のほうはそういう需用があれば火力料金の徴収の下に幾らでも供給しなければならんというふうな制度になつておるようであります。従つて実はアワー自身の総体的な調整という面には余り触れておらないのであります。ただ火力料金という制度を通じまして、供給者のほうは石炭の追加使用に応ずる原価を確保されますし、又消費者のほうは電気料金の高騰によつて経済的面から使用を抑制するという作用があるようであります。これがこの規則の一番狙いのようでありますが、それにつきましては、むしろ今後渇水期のみならず、場合によりましては豊水期においても相当電力不足が常時化しますれば、積極的に総使用量を抑えるという措置を何らかの形で考えるべきではないかというふうなことを申上げたのであります。その方法としましては、なかなかむずかしいわけであります。我々としましてもいろいろ研究しましたが、実はこの料金制度割当制度の峻別という問題は、安定本部としましては、料金の公聴会においても主張いたしましたが、これは公益事業委員会のほうで容れられるところとなりませんで、一応料金は現行制度のままとなつたのであります。従つて火力料金制度は残つておる、ところがこの両者を峻別してくれというようなことが実は電気事業者のほうからも相当意見があつたようであります。聴聞会においても若干そういう意見が供給者側から出たようであります。これは電気施設の保安という見地から、或る程度渇水期においてはむしろ常態化してそういうことを考えないといろいろな問題が起るんじやないかと思つております。現に関西方面で相当逼迫しておりまして、聞きますれば委員会のほうでも法的に制限しなければならんだろうというような情勢のようでありますが、そういうふうな臨機にばたばたするよりは、むしろ制度的に需給の均衡を保つように物的の面の調整を図る必要があるんじやないかと思つております。ただその方法におきましては非常にむずかしいのでありまして、例えば超過したやつをどうするか、昔やりましたような高額な罰金制度でやるか、或いは次期の割当から減すとか、或いは送電を停止するとかいろいろ問題は考えられます。又そういうやり方自身につきまして現在の再編成されました電気事業者がそういうふうないわば国のやる需給調整の代行機関になり得るかどうかという問題がありましてなかなかむずかしい問題がありますが、併し今後の需用が減退すればともかく、増加する一方でありますとやはりそういうふうなことが必要であろう。そこで一案としましては、やはり過去の使用実績とか最近の使用実績とか、或いは生産計画に合う使用量というふうな形で総使用量を抑えたらどうかというように考えております。ただこの問題は全体の供給力の睨み合せの問題が相当影響いたしますし、その他の季節的な関係もあります。なかなか簡単に取入れられないと思いますが、これは今後の問題としましては是非考えなければいかん問題だと思つております。そういう形で考えております。ところが片一方標準料金の割当という制度が、余り賛成はいたしませんが、現在の料金制度が残つておる。その関係の割当というものが実は残るわけであります。これはむしろ我々としましては一定の使用量を、個々の需用者の使用量のうちの一定の幅ということで火力で支払う率をきめたらどうかというふうに考えております。これを一割にしますか或いは二割にしますかというような問題もあると思います。又季節の関係でも違うと思います。そういうことで現在公益事業委員会で策定しておられます年間の百需給計画範囲の火力の幅を設けて行つたらどうか。これならば電気事業者経理には別段差支えないと思つておりますけれども、こういう形は取り得ないものかどうか。そうして最後につまり需給調整から言いますと二段に枠を設けまして、先ず料金の高いもの、需用の総使用量を超えたもの、現在は罰金という制度ちよつと急に考えられませんから、むしろそれ以上の送電は保証せん、従つてそれより超えれば或いは送電の停止とか緊急の制限とかいう問題に立ち至るんじやないか、必ずしもそれを超えたからすぐにやるということでなくて、そういうことをいたし得るというふうな弊害的な意味で設けたらどうかというふうに考えております。まあこれは実は公益事業委員会とは非公式に数回お話合いしておりますが、なかなか意見の一致点に達しないようであります。それから次に豊水の場合の措置、つまり途中で水が出たらどうするかという問題であります。これは先ほど来委員会のほうでは渇水準備金という制度措置するというお話でありますが、実は現在のような割当制度、つまり二段の料金制を持つておりますと、そういうような電気事業者経理に関することに直接響いて来ますが、これは経理上の留保金というふうなものでやるよりも、こういう点明瞭に割当量を増減すれば行くんじやないかと思つております。実は減のほうはあとから申上げますが、増のほうは、これはその月見込みました出水の率より殖えました場合は、その量だけ割当を殖やしたらどうだ、これは特定大口だけでなくて、一般の三千キロワット未満のほうに対しても、殖やす方法は率を調整すればできますからやつたらどうかと思つております。ただこれは理想を言いますれば、こういう二段の料金制であれば料金の事後精算制というものが一番いいだろうと思いますが、これはちよつと計算も非常に複雑になりますし、又相当電気事業者の現金収支の面にも響きますので、むしろ妥協点としましては月の半ば、つまり十五日までの月初からの出水の率を見まして、爾後は平永を続けるという規定の下に考えてもいいんじやないかと思つております。こういう線でいろいろ考えておりますが、逆に減つた場合はどうするかといういつも話がありますが、減つた場合はこれは若し石炭の入手が可能であれば追加して石炭を焚いて行けばよろしい、これは計画以上石炭を焚くから火力料金の収入でペイしております。別段特段の損失にはならないだろうと考えております。従つて損益の調整といいますか、実は我々から見ますと岡目八目かも知れませんが、電気事業者は儲かる場合はあるが、損する場合は少いように考えております。これは石炭だけの話であります。あとの面は別であります。従つて損のほうの調整は渇水期においても必要はないだろうと思つております。そういうことで行きたいと思つておりますが、これもなかなか公益事業委員会等のお考えもありますので、恐らくこの点は大口の需用者の挙げての要望だと思つております。先ほど技術長からお話がありましたが、非常にこういう要望が多いようです。非常に荒つぽい素朴な観念でありますが、渇水準備金というもので直接需用者に還元するというふうな現在の二重料金というもので動かし得る機能を利用しておりませんので、むしろ電気事業者自身経理を完全にするという見地が非常に強いようであります。これは実はどうかと思つております。幸い二段料金制が廃止できない参ものとしますれば、この二段の料金制を活用して割当量を殖やせばそれで事足りるというふうに考えております。  それから新増加受電の認可の問題であります。これは今平井技術長から御紹介がありましたように、これに一定の処理基準乃至処理規程を設けよという主張と逆に、これを届出の程度でよろしいという議論と両方あるようであります。これは安定本部としましては、実は両方の意見に共感を感ずるわけであります。と申しますのは、これは余り極端に行いますと、事業の認可というふうな面もありまして、現在事業認可は特別な公安上或いは衛生上有害と思われるようなものに対して行なつておりますが、一般の産業に対しては事業認可というものはないわけであります。この制度を余り強行しますと、実は委員会自身事業を認可することになつてもまずいと、さりとて片一方で電力量の割当等をやつておりますと、これを届出制度だけで放任するのもまずいのではないかと思つております。かたがた今後のいろいろな経済のあれを考えて見ますと、日米経済協力等でいろいろ新らしい用途の増加も考えられますし、或いは現在相当設備も十分ではないかと、これ以上殖やす必要もないではないかというふうな業態もあるようであります。そこでこれは我々としましては何か業種による基準を設けてやつたらどうかと、まあ極端にやりますと、まるで銀行の融資基準のようになつて、逆に弊害があつてまずいことが出て来るかと思いますが、大体の電力の需給と今後における需用の増加等の事情も考えまして、或る程度の大まかな基準作つて、勿論この基準については委員会だけでなくて、安定本部に必ず協議して頂きたいと思つておりますが、そういう形でバランスをとつて行つたらどうかと、こう考えております。  それから最後に、これは根本問題でありますが、実は安定本部はいろいろな経済政策の面につきましての総合企画立案とか、或いは調整となつておりますが、実は電力につきましては、特定大口、つまり三千キロワット以上の産業の中の業種別の配分しか権限を持つておらないわけであります。従つて電力の需給全体の総合調整ということは実は全然発言権がないわけであります。従つて電力が幾ら供給されるか、それに石炭が幾ら要るか、水を幾ら見るか、或いは需用端における特定大口産業とその他の産業との関係、或いは国民生活の中に必要な電燈需用とその他との関係につきましては、我々としては全然タッチできないし、又事実上相談を受けましても、それはただ一応委員会としては好意的にお話をする程度で、実はそのために、安定本部がありますからには、そういうふうな使命が達成できるかどうか非常に疑問に思つております。従いましてこの需給調整規則は、設定につきましても勿論安定本部長官に協議して頂くと共に、個個の需給調整方策、例えば今の年間その他の需給計画設定、或いは臨時緊急の使用制限、或いは新増加受電の認可というふうな点につきましては、基本はやはり安定本部長官に協議つて然るべきだろうと、或いはその長官の定められる方策によつて実際行くべきものだろうと思つております。ほかの統制されております、或いは統制していなくても一応権限内に入つております物資は、全部そういう方針になつておりますが、ひとり電気のみが逸脱しておる。これでは実は基本的な動力が抜けておりまして、産業政策の大きな根幹に一枚歯が欠けておるというようなことでありますから、これは是非そういう条項を入れて頂くのが当然ではないかと思つております。この点は現行の需給調整規則についても相当主張いたしましたが、まあ如何なる理由でありますか、公益事業委員会はその性格上品法制的には普通の行政各省よりも独立しておるというふうな法律論乃至は立法論があるようでありますが、その関係が実現いたしませんでしたが、これはこの際もその主張を安定本部としては棄てないつもりであります。以上のように、これは実は打ちあけて言いますと、明日午前公益事業委員会のほうと事務的に折衝することになつておりますが、前以て手の内を示すのも何でありますが、まあそういうことで大体我々の考えておりますところをお話したわけであります。要はこれは今申上げましたことは、何も安定本部の我々だけが考えておるわけではありませんで、いろいろ度合いは違いましても、広い需用家の各層、或いは供給の電力会社の方面、両方からある意見を折衷したようなものであります。むしろ我々としましては、割当制度はもう少し簡易化したほうがいいだろうと、電気事業会社には、この前電気料金の値上げのときに、割当制度をやめたほうがよかろうということもありましたが、今度はやめろという主張はないようでありますが、我々としましては、むしろ戸別発券による割当なんかはこの際やめたらどうかと、いろいろ行政機構簡素化その他の話もありますし、まあ大きく業種別、或いは需用別に使用の限度を率できめて行けばいいではないか、個々の切符切りはやめたらどうかと、殊に料金の問題であります。使用量を抑えるならよいが、安い料金で食わしてやるというようなことで、切符切りは余り感心したことではないのではないかというふうに思つております。この点につきましては、今後の経済協力等から或いは特定の工場を直さなければいかんというようなこともあると思います。なかなか需用官庁方面の賛成は得がたいと思いますが、併し大勢はそういう方向で事務の簡素化を図るべきであろうというふうに考えております。まあ一応主な要点だけ申上げたわけであります。
  78. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は通商産業省の松尾通商局次長に御発言願います。
  79. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) 御存じのように、通産省は需用官庁の代表的なものでございますから、従いまして需用者側の意見を代弁するという意味におきまして、通産省側の意見発表いたしまして、すでに文書を以ちまして公益事業委員会に申入れをいたしましたし、又先般の公聴会におきましても、同様趣旨のことを申上げましてできるだけ御配慮を願うように我々も申したのであります。実はその案を今お手許にお配りをしておりまするので、何ならばその主要な点だけでも御説明を申上げようかと思うのでありますが、如何でありましようか。
  80. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 要点を言つて下さい。
  81. 松尾泰一郎

    説明員(松尾泰一郎君) まあいろいろなことを書いておりますが、掻摘んで申しますと、最初の一頁の三行目の所でありますが、この需給調整規則の全体の建て方といたしましては、今安本からもいろいろ意見がありましたが、公益事業委員会と同じように、大体現行の行き方を踏襲した行き方で少くとも現在のところでは止むを得んのではないかということで、従いましてそういう建て方としては公益事業委員会と一応大した違いはないのでありますが、内容におきまして若干というか、かなりの差があるわけであります。特に今申しました産業面に特に強調しておりますように、今度の規則電気を使うものの電気の使い方を非常に抑制するという、こういう面に非常に強く置かれておる、これは或る程度止むを得んのでありますが、なおそれと併せて今度電気を供給するほうの電気会社のほうの供給責任という点を相当重視してお書きを願いたいということを先ず強調しておるわけであります。なおこの第一項のしまいの所に計画出水量よりも現実の出水量が上廻りました場合には、その月に入りましてからも追加割当をすることが必要であるとか、或いは又第二段目に書いておりますように、この電気の需給調整は産業政策その他と密接不可分の関係にございますので、常に産業所管官庁と密接に連絡協議して頂きたいというようなことを書いておるわけであります。  同じくこの記以下の内容の中にもそういうことを書いてありますので、取りあえず記以下の所を簡単に申上げますと、先ず第一に供給力及び需用部門別の枠の策定の方法でありますが、先ほど来いろいろお話がありましたように、何分不足する電気のことでありまするので、先ず第一段として供給力をできるだけ殖やすという感覚で以て、これはまあどういう表現を規則の中でいたすかは又別の問題でありますか、そういう供給力をできるだけ殖やすというような感覚で以て規則の中にそういう精神を現わして頂きたいということと、それから文章にも書いてございますように、供給力及び需用部門別の枠が現在は公益事業委員会だけで一応お立てになつておるのでありますが、ここに書いておりますように、経済安定本部と協議の上四半期ごとに、月別に策定して頂きたい。特に次のような点について注意を願いたい。先ず第一が水力発電量は、適正な水力可能発電量及び利用率に基いて算定すること、これは当然のことかと思いますが、適正な水力可能発電量ということにつきましても、いろいろ意見もあろうかと思いますが、現在の九カ年平均という観念がいいか、或いはもつと最近の時期をとつて頂くか議論の分れるところでありますが、できるだけ発電量を殖やすという意味で、一つ適当に基準年次をおとり願いたいという意味であります。又利用率につきましても、現在計画の率と利用率とにかなり開きもあるようでありまして、実績はかなり計画のこの率よりも上廻つておりまするので、そういうような点もできるだけ改良して頂をきたい。それから次にはこの送電のロス、それから擅用電力量、この減少ということは、これは大問題であることは異論のないところでありますが、なお現在の実績から行きますと、あらゆる手段を尽してこれが減少に努めてもらう必要があるのじやないかということで、その点を強調しておるのであります。三点は、各地帯間の融通に関してでありますが、この各地域別の需用に対する圧縮率が極力均衡のとれるように四半期ごとに定めて頂きたいということであります。それから算用数字の4については、割当算定というほうとも関連をいたしますのであとで申上げます。特にこの中には大口(甲)及び大口(乙)に対する割当の率の場合に、実際の率、割当の通告量に対する未達がかなり出ておるのでありますが、未達がありながら他方追加料金をかなり払つておるということで、その間現実問題としていろいろ割当上の困難も反映はしておるのでありますが、かなり未達があるということから、それを考慮に入れて割当の場合にやや追加減を見て大目の割当ができないだろうかということを主張しておるのであります。  それから二の割当の算定方法でありますが、1のこの定額電燈、それから従量電燈につきましては従来通りでよかろうと思います。2の大口電燈、業務用電力、小口電力につきましては、この2の点と3の大口電力(甲)及び(乙)は、先ほど委員会のほうからいろいろ御説明がありましたが、通産省の考えといたしましては、2の大口電燈、業務用電力、小口電力につきましては、契約電力一キロワット当り一定量までを割当量にしてもらう。尤も一定量というのは、業種別に差のある割当基準になることは止むを得んのでありますが、而して他方その半面追加料金のほうに一定の限度を設けまして、総使用電力量の一定限度(夏は一〇%、冬は一五%程度)以上は、追加料金は徴収しないというふうな建前でお願いできないだろうかというわけであります。3の大口電力の(甲)及び(乙)、これにつきましては先ほども委員会からお話がありましたが、通産省といたしましては、前年同期の月平均の実績と最近三ヵ月の月平均実績のいずれか大なるものに対し割当率を乗じたものを割当量として頂きたい。まあできるだけ最近の水勢実績をその割当量の中に入れるようにするという趣旨であります。この点につきましては公益事業委員会でも研究願つておるようでありますが、できるだけこういうふうに願いたい。ただこういう原則で行きますと、例えばストライキだとか或いは原材料の入手が丁度その月は工合が悪かつたというふうな関係で、非常に割当が少くなる場合も予想されますので、そういう場合に例外としては一定限度を下廻らないというふうな、又最低の限度一つ設けてもらう。又この豊渇水期の契約電力に差のある場合、昨年は例えばソーダ工業等につきましては、最近三カ月といいましても工合の悪い場合も起つて参りますので、そういう場合には当然別途に配慮して頂くということであります。4の大口電力の(丙)につきましては、これは現状とは実質はそう違いないのでありますが、殆んど形式化しておりますような従来の年間暫定割当はやめて頂きまして、公益事業委員会と安本とで御相談を願つて、四半期ごとに月別、地域別に枠を設けて頂く、その枠の中で産業別のこの割当は安本にきめて頂きまして、現実の工場別の割当は産業所管官庁の定める仮割当に基きまして、地方の産業所管官庁と公益委員会事務局支局との相談でやるというふうにして頂きたいと思うのであります。この点につきましては先ほど岩武次長からもこういう煩瑣なやり方はどうかというふうな意見もあつたようでありますが、現在のところは或る程度こういう方法で止むを得んのじやなかろうかというふうに考えております。それから5は、そういうふうにして割当をして来るわけでありますが、調整をやる必要も起るわけでありまして、この調整のやり方といたしまして、特別大口の場合と、それから大口の甲、乙との場合に分けておるのであります。現在も一定の二%とか三%とかいう保留の枠が設けられておりまして、その中で公益委員会の支局長がやつておられるようでありますが、まあ従来通り一定の枠を設けて頂きまして、これは産業所管官庁と協議の上で支局長にやつて頂きたいということで、協議というところに重点を置いているわけであります。なおこの大口の甲及び乙につきましては、第一段階として、電気事業者、要するに電気会社のほうで適当にやつて頂くのでありますが、若し異議があるとか、電気使用者側のほうから申請があるような場合は、産業所管官庁と協議して支局長が修正なり追加をやられるように権限を公益委員会の支局長に任せられるようにお願いしたいということであります。それからその次は割当量の増加の場合でありまして、これも渇水準備金と関連して先ほどもいろいろお話がありましたが、我我といたしましては出水率が著しく良好な場合には、その月に入つてからでも割当を増加し得るような明文をはつきりして置いて頂きたい、こういうわけであります。  三の需給調整という言葉は、少し文章が悪いのでありますが、先ほど来いろいろ御説明のありました需給調節のための緊急措置とでもお書き改め願いたいのでありますが、これにつきましては先ず第一段階として、そういう電気の使用制限をするというような場合には、先ず第一にやはり電気事業者におきまして、できるだけ供給義務を完遂するという見地から、いろいろ手を打つて頂いて、それがうまく行かぬという場合には、先ず第一段階として電気を使うほうの側と十分話合つて、自主的に調整を先ずやつて頂く。それでも需給の均衡がとれない場合に限りまして、規則によつて使用制限をやるというふうにしてもらいたいというわけであります。その次の、これも文章の書き方が非常にまずいのでありますが、この「規則による制限を行うこととする。」、その制限実施に当つてはあらかじめ産業所管官庁と協議してもらいたいという意味でありましてなおこの場合におきましては割当電力量の減少は行わないというふうにして頂きたいという一点でありますが、この点につきましては、先ほど公益事業委員会のほうで割当量の減少をやらぬという点につきましては言い切られるような御説明がありましたが、割当電力量の減少を行わないというふうにして頂きたい。なおこの地域別の需給状況が著しく不均衡の場合には、当初に定めました融通と別に融通を行うよう電気事業者指導して頂く、又場合によつては融通命令を出し得るような条文をはつきり書いて頂くというふうにも思うわけであります。  それから最後に受電の認可でありますが、新規及び増加の受電につきましては、先ず産業所管官庁と御協議を願いまして、一定の基準を設けてもらう、そして五百キロワット未満の場合には、電気会社だけでその基準に従つて適当に契約を結ぶように指導される。次に五百キロワット以上になる場合につきましては、産業所管官庁と協議をして認可をするようにして頂きたい、こういう趣旨であります。なお認可申請の書類が遅延して事業者に不満の声がある、これを一掃するために申請後できるだけ早く処理をしてもらいたいわけでありまして、一定期間内に処理されなかつた場合には、認可されたものとみなすような措置をとつてもらえんかというような一点でありますが、この点につきましても先ほど公益事業委員会のほうから、三カ月とかいう期限をおいてできるだけ申請書の処理を早くするというふうにしたいというようなお話がありましたが、一部取入れられておるかと思いますが、大体以上のような意見でありまして、只今伺うところによれば、まあ二、三受入れられておるようでありますが、なおできるだけ多くの点について受入れられるように公益事業委員会のほうへお願いしたいというふうに考えております。
  82. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 御質問がありましたら御発言を願います。
  83. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今安定本部、通産省からも意見が述べられましたし、この間の聴聞会でもいろいろな意見が述べられたと思いますが、結局そういう意見を今きめられようとしてこの規則で大幅に取入れられるのかどうか、この点が一番問題になると思いますが、その点は如何でありますか。今日お話なつ程度より今回の改正では取入れる余地はないのかどうか。そこが一番問題だと思うのですよ。
  84. 宮原清

    説明員宮原清君) その点先ほども中川君からお話がございましたが、これから安定本部なり通産省方面にもお打合せをすることになつておりますから、その結果でないと予断はできませんが、御希望のように大幅に入れるかどうか知りませんが、運用面におけることならすでに実行しているのでありますが、その程度、濃度にいろいろ御意見もあるようでありますが、十分に御意見をよく承わつて協議の結果についてお話合いができるようにお互いに尽力したいと思つております。
  85. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 運用面でできることできとないこととあるのですね。例えば私は安定本部の意見である物的調整に切換えるべきであるという説と全く同感なんです。例えば一昨年料金制度を公開して或る程度電力事情が好転したという理由で自由に統制を外した恰好になつたのですが、当時僕らはその点非常な過ちだということを随分やかましく叫んだのです。ところが今日の状態は又三、四年前のような電力事情に悪化しつつある。これは経理統制でなくて、物的統制にもう一遍戻らなければならない、そういう点から考えて私は不賛成なんです。それからアロケーションを全部やめる、火力料金、つまり石炭料金を負担するならば、全部の消費者が公平に負担する、そういう意味で火力料金というものは支払料金のうちの一定の率をきめて全使用者に負担させるということも非常に割当制度を簡便にし、そうしてすつきりした形になし得る、この二点が私は大賛成なんです。ところがそういうことは今度の調整規則では、運用面ではできない。従いましてその辺のことを私ども考えておるわけなんですが、この調整規則の基本に触れる問題になるわけで、今宮原委員からお答え頂いたのですが、私はまあもう一度伺つておきたいのは、時勢が相当変つて来ているわけだから、時間的に、この原案に示された調整規則が今度変えられない、余り大幅に変えられない、運用面で若干の操作をするより以外に変えられないということでありますならば、それを私ははつきり伺つておきたい。それから更に第二としましては、そういうことであるけれども、成るべく近い機会に情勢の変化に応ずるような抜本的な改正一つ努力をしよう、こういうお約束を願えればそれでまあ満足したいと思う次第でありますが、その点は如何ですか。
  86. 宮原清

    説明員宮原清君) 御希望通り御返事をするわけに行かんかと思いますが、併し只今の御質問御尤もでありますが、運用面で変えることのできない事柄を幾ら話して見ても仕方がないという部分はどうも残るように思いますが、何分この種の事柄は、只今の安定本部の次長からの御説明ども、それ自身に非常に余地の残つたお話であつて、一面においてはそういうことはできまいという御認識もあるようであります。又委員会のほうとしても、もつと抜本的なことをしたいという気持は、むしろ料金制度を改訂する時分にすでにありまして割当制を廃そうという意向もあつたのであります。従つてそういう気持が電力会社のほうへ反映しまして、一時そういう案も出て来たことがあるのであります。これは余り明瞭には申上げかねますけれども、非常な反対がございましてできないのであります。只今お話のように時勢の変化もあるということで、それに応じて抜本的なことをやるということは、ひとりこの電力の問題だけでなく、いろいろの面においてそういうことがあると思いますので、そういう時期において我々は虚心坦懐に一番いいところに行きたいという理想は、心には必ず持つておるのであります。なお今安本、通産の御両者からのお話は、一々そうしたらよかつたという事柄に属する部分が多いのでありますけれども、現実の事情を一面に御観察になりますれば、そういういわゆる只今のように物的方面に変えればいいというような事柄が、さてやるとなつたら相当な混雑を引起す、簡単に当面のことに応じ得ないという事実もございますので、これはやはり理想案に属することであり、そういうことについての御意向は次のときに映するということにしても、この場合に委員会がそれに対してすぐ御答弁申上げることは、かなり困難だと思いますので、運用上成るべくそういうふうにできることについての御相談をして頂くより仕方がないかと思つております。これは私一個の考えでありますが、事実いろいろ折衝して、そういうことができるのであれば、潔くすることはあえて辞するところではないと思います。
  87. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、大体抜本的なものの考え方については、公益事業委員会も前にそういうようなことを考えたこともあるということをおつしやつたのでありますが、そうするといろいろの折衝の先もあるわけでありますが、一応そういうところの了解に努めて、成るべく早く理想的な調整規則に導いて行く、こういうお考えがあるということは確認してよろしうございますか。
  88. 宮原清

    説明員宮原清君) あると言うて差支えないと思います。ただちよつと申上げておきますが、例えば公益委員会一つの案として先刻申上げた通り、前年同期、同月というようなことを入れて御相談したい、こういうことを言つておりますけれども、これはできるかどうかわからん、そういう内容的なことさえもございますので、まあこの場合において一歩前進という以上、非常に飛躍的なことはむつかしいのじやないかということを御了承頂きたいと思います。
  89. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはまあ私の希望ですけれども、この原案を対象にしての意見は、いろいろ改善意見があるわけでありますから、それは積極的にやつて打開して頂くのですが、抜本的な問題が一日も早く解決するように努力願いたいということを希望申上げておきます。  それから細かい問題ですけれども別表にあります使用基準の中で一つ原則的なことですが、伺つておきたいのは、こういう業種がたくさん挙げられておりますが、この中で技術上ですね、生産手段の中心に電気を置いておる企業が相当あるわけだと思います。例えば陶器の工業、窯業にいたしましても、重油を使つておるのと、石炭を使つておるのと、電気窯を使つておるのとある。それからガラス工業にいたしましても、電気炉を使つておるのと、普通の重油を使つておるのとあります。それから極端に申上げますれば、火葬場にしても薪の所もあれば、石炭の所も……石炭の所はどうか知りませんが、重油の所も、電気の所もある。学校にしても、昼間の学校と夜間の学校と全然違います。水道にしましても、ポンピング・アップをやつておる所と、やつていない所とある。ですからそういうような工合にもう生産の過程においてどうしても現実に電気を受電しなければならんような工場施設なり、或いは作業施設ができておる、そういうものに対してこの割当使用基準では、全部一律になつておるように思いますが、その操作はどういう工合にせられるのですか。
  90. 平井寛一郎

    説明員(平井寛一郎君) 需給課長から御説明申上げたいと思います。
  91. 武田達夫

    説明員(武田達夫君) 使用基準で示してございますのは、一般実績主義でございまして、新規に増加いたしまするのに対しまして、新増加に対しましてどういう処置をいたすかという際におきまして、契約の増加、或いは新規契約をいたしますと、それの実績がございませんので、どういう基準で割当てるかという際におきまして、拠るべき基準を使用基準で示してあるわけでございます。従いましてこれは大体におきまして、受電設備契約容量に基いておりますので、或いは操業度等によりまして非常に違つて来るという場合もあるわけでありまして、これは平均的な数字を一応取らざるを得なかつたので、取つてあるわけであります。従いましてこれによりましていろいろ問題がございますると、これは第六条によつて不服の手続をおとりになりますと、それに対しまして、更にその後の実情によりましてアジヤストをすることになつております。更に電気事業者のほうのアジヤストによりまして、不十分えあるというものにつきましては、一定の期間内に支局長のほうに申出ますと、支局長のほうにおきましてこれをアジヤストするということに相成つております。支局長のほうにおきまして、アジヤストいたします際には、これはなかなか方程式で一律にきめることは困難な事情がございますので、一応正常な使用をされました結果が、明らかに二〇%以上の火力料金になるというようなことのないような範囲におきまして、支局長の権限において処理することに通牒を以ていたしております。
  92. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ほかに御発言もないようでありますから、私から宮原委員一つお尋ねしたいことがあります。今日の日刊工業新聞に「直轄ダムの建設促進」という見出しで、こういう記事が載つております。「建設省では直轄ダムならびにこれの発電施設を強力に推進するため直轄ダムの建設費、発電施設の工事費及び運転資金を確保しようとする国営電気事業法を立案中である。」云々、この趣旨は、同法案では、一、建設省は水力ダムの建設のほか発電施設の建設管理を行う。一、建設省はこれら発電施設から特殊大口需要者、一般民間需要者への配電も行うことが出来る。一、直轄ダムの建設費、発電施設の工事費、運転資金をプールするための特別会計を設ける。というようなことがこの法案の骨子になつておる。こういうような記事が載つておりますが、この記事に対して公益事業委員会では、事前にこういうことを知つておられたのかどうか。又若しこういうことが実際に行われるとするならば、公益事業委員会としては、これに対してどういう御見解を持つておられるか。宮原委員に御答弁をお願いしたい。
  93. 宮原清

    説明員宮原清君) 私は旅先から帰りまして、この記事を委員会で見せてもらつたのであります。そのときのお話では、全然私ども事前に承知いたしておりません。そこでそれらについての事柄は、結局電力開発関係のある事項委員会でどれほどに取扱つて然るべきであるか、或いは委員会が当然取扱うというものに対して、どこからどういう御異議が出るだろうかということについて今後の問題を含むように思いますので、この際私どものほうとしては、発電に関しては当委員会で当然一応いたすこととして、その必ずしも適当でない部分をどういうふうにかするというような、結局はそういう問題についての範囲とか、権限とかいうことについては、或る意味においての行政改革の問題を取上げていらつしやるような部分であつての論議になるのじやなかろうかと想像しております。今のところ私どもは何もこれに対しての考えは持つておりません。
  94. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 安本の次長に尋ねますが、今の記事に対してこれは建設省だけで考えたものではないと思うのですが、総合的な国土開発なんとかいう意味合いから、こういうような構想が建設省あたりにあるということをお聞きになつたことがあるか、そうお感じになつたことがあるかお聞きしたいと思います。
  95. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 実は私も今朝その記事を見ましてちよつと変に思いましたが、実は公共事業費等で実施しております河川の総合開発にからんだ発電計画としては、実は資金関係が非常に困つておるようであります。恐らく今の記事もそういうような資金確保というふうな見地から何とかしたいというふうな建設省当局の意向が、若干発展しましてそこまで行つたのではないかと推量しておりますが、確かめておりません。ただいろいろそういうふうに国が直営、つまり建設はともかくとしまして、運営まで直営することはいろいろな問題があり得るだろうと想像しておりまして、もう少しその案の本体を突きとめましてからはつきりした御意見を申上げたいと思います。
  96. 西田隆男

    委員長西田隆男君) これは新聞記事で、本当か嘘かわからない程度のものだろうと思うのですが、こういう問題がこういうふうに新聞に載つておるとすれば、公益事業委員会としても、安本としても或る程度建設省のほうに連絡をとられて、そういうことがあるかないかという点をお確かめになつておく必要がありはしないかと思います。
  97. 宮原清

    説明員宮原清君) そういう話はございましたからよく調べます。
  98. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この機会に、今日の議事とはちよつと関係がないのでありますが、去る八月十三日に料金の更改もされたことでありますので、その後の電気事業の経営がどういう工合になつているかは、国民といたしましても非常な関心を持たれておることと存じますので、九月から先き毎月事業会社は確かに収支決算をしておられるはずでありますから、収支決算書の各社別の内容ですね、これと、それから更に発受電の実績等をまとめられまして、この委員会へ毎月分を暫らくの間提出を願うように私はお願いをしたいと思うのであります。この点について一つ公益委員会のほうから御意見を伺いたい。
  99. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 発受電実績のほうは毎月委員会に提出になつておりますが、月次決算のほうは正規には報告義務を持つておりませんが、御意向もございますならば、委員会としても或る程度その点についての報告を求めて御提出いたしたいと思つております。
  100. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 よろしゆうございますね。出して頂くようにしたいと思いますが……。
  101. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 毎月の決算書ですか。
  102. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 収支決算書ですね。これは各社作つているわけですから、それを一部コピーを、公益委員会も恐らくお取りになるだろうと思いますから、それのコピーでも一つつて頂いて……。
  103. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 承知いたしました。  他に御発言もないようですから、本日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            石原幹市郎君            古池 信三君            栗山 良夫君            結城 安次君            水橋 藤作君    委員            石坂 豊一君            岡田 信次君            小野 義夫君            島   清君            椿  繁夫君            奥 むめお君            溝口 三郎君            小川 久義君            境野 清雄君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君   説明員    公益事業委員会    委員      宮原  清君    公益事業委員会    委員      平井寛一郎君    公益事業委員会    委員      中川 哲郎君    公益事業委員会    開発課長    市浦  繁君    公益事業委員会    需給課長    武田 達夫君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    経済安定本部産    業局次長    岩武 照彦君