○
説明員(岩武照彦君) 確か七月の下旬のこの
委員会と
思つたのでありますが、需給調整
制度の
改正につきまして安定本部としまして、最後的なものではありませんが、一応中間的に
考えておりますところを御報告したのでありますが、その後いろいろ各方面の
意見も検討いたしました結果、一応或る
程度の結論に達したわけであります。先月の三十日の
聴聞会におきまして、実は安定本部としましてはむしろ
公益事業委員会と共同して需給調整を図るべきではないか、我々が
公益委員会に対していろいろ
意見を言うのは、むしろ
聴聞会後の
意見を聴いて、需用家なり、或いは供給者たる
電気事業者の
意見を取入れるように
考えるべきではないかという結論で、別段安定本部としましては
聴聞会において特段の発言はいたしませんでしたが、大体
聴聞会におけるいろいろな需用家並びに供給者のほうの
意見を整理して見ますと、前回七月下旬におきましてこの
委員会で御報告申上げたことと余り大きな開きはなかつたように
考えております。で要約いたしますと、その節申上げたことは、
一つは大きな問題としましては、現在の需給調整
規則は成るほど或る面では若干
電力の需給調整をするという面もありますが、むしろ標準
電力量の割当という面を通じて物的な量
自身の調整よりも、
電力を供給する者、或いは消費する者の
経理上の何といいますか、差を調整する、いわば原価調整というふうな色彩が非常に強い、つまり或る
程度の量までは標準料金で使用し得る、これが割当にな
つておる、それ以上のものは火力料金といいますか、追加料金を払えば、いわば幾らでも使い得る、逆に供給者のほうはそういう需用があれば火力料金の徴収の下に幾らでも供給しなければならんというふうな
制度にな
つておるようであります。従
つて実はアワー
自身の総体的な調整という面には余り触れておらないのであります。ただ火力料金という
制度を通じまして、供給者のほうは石炭の追加使用に応ずる原価を確保されますし、又消費者のほうは
電気料金の高騰によ
つて経済的面から使用を抑制するという作用があるようであります。これがこの
規則の一番狙いのようでありますが、それにつきましては、むしろ今後
渇水期のみならず、場合によりましては
豊水期においても相当
電力不足が常時化しますれば、積極的に総使用量を抑えるという
措置を何らかの形で
考えるべきではないかというふうなことを申上げたのであります。その
方法としましては、なかなかむずかしいわけであります。我々としましてもいろいろ研究しましたが、実はこの料金
制度と
割当制度の峻別という問題は、安定本部としましては、料金の公聴会においても主張いたしましたが、これは
公益事業委員会のほうで容れられるところとなりませんで、一応料金は
現行制度のままとな
つたのであります。従
つて火力料金
制度は残
つておる、ところがこの
両者を峻別してくれというようなことが実は
電気事業者のほうからも相当
意見があつたようであります。
聴聞会においても若干そういう
意見が供給者側から出たようであります。これは
電気施設の保安という見地から、或る
程度渇水期においてはむしろ常態化してそういうことを
考えないといろいろな問題が起るんじやないかと思
つております。現に関西方面で相当逼迫しておりまして、聞きますれば
委員会のほうでも法的に
制限しなければならんだろうというような情勢のようでありますが、そういうふうな臨機にばたばたするよりは、むしろ
制度的に需給の均衡を保つように物的の面の調整を図る必要があるんじやないかと思
つております。ただその
方法におきましては非常にむずかしいのでありまして、例えば超過したやつをどうするか、昔やりましたような高額な罰金
制度でやるか、或いは次期の割当から減すとか、或いは送電を停止するとかいろいろ問題は
考えられます。又そういうやり方
自身につきまして現在の再編成されました
電気事業者がそういうふうないわば国のやる需給調整の代行機関になり得るかどうかという問題がありましてなかなかむずかしい問題がありますが、併し今後の需用が減退すればともかく、増加する一方でありますとやはりそういうふうなことが必要であろう。そこで一案としましては、やはり過去の使用
実績とか最近の使用
実績とか、或いは生産
計画に合う使用量というふうな形で総使用量を抑えたらどうかというように
考えております。ただこの問題は全体の
供給力の睨み合せの問題が相当影響いたしますし、その他の季節的な
関係もあります。なかなか簡単に取入れられないと思いますが、これは今後の問題としましては是非
考えなければいかん問題だと思
つております。そういう形で
考えております。ところが片一方標準料金の割当という
制度が、余り賛成はいたしませんが、現在の料金
制度が残
つておる。その
関係の割当というものが実は残るわけであります。これはむしろ我々としましては一定の使用量を、個々の
需用者の使用量のうちの一定の幅ということで火力で支払う率をきめたらどうかというふうに
考えております。これを一割にしますか或いは二割にしますかというような問題もあると思います。又季節の
関係でも違うと思います。そういうことで現在
公益事業委員会で策定しておられます年間の百需給
計画の
範囲の火力の幅を設けて行つたらどうか。これならば
電気事業者の
経理には別段差支えないと思
つておりますけれ
ども、こういう形は取り得ないものかどうか。そうして最後につまり需給調整から言いますと二段に枠を設けまして、先ず料金の高いもの、需用の総使用量を超えたもの、現在は罰金という
制度は
ちよつと急に
考えられませんから、むしろそれ以上の送電は保証せん、従
つてそれより超えれば或いは送電の停止とか緊急の
制限とかいう問題に立ち至るんじやないか、必ずしもそれを超えたからすぐにやるということでなくて、そういうことをいたし得るというふうな弊害的な意味で設けたらどうかというふうに
考えております。まあこれは実は
公益事業委員会とは非公式に数回
お話合いしておりますが、なかなか
意見の一致点に達しないようであります。それから次に
豊水の場合の
措置、つまり途中で水が出たらどうするかという問題であります。これは先ほど来
委員会のほうでは
渇水準備金という
制度で
措置するという
お話でありますが、実は現在のような
割当制度、つまり二段の料金制を持
つておりますと、そういうような
電気事業者の
経理に関することに直接響いて来ますが、これは
経理上の留保金というふうなものでやるよりも、こういう点明瞭に割当量を増減すれば行くんじやないかと思
つております。実は減のほうはあとから申上げますが、増のほうは、これはその月見込みました出水の率より殖えました場合は、その量だけ割当を殖やしたらどうだ、これは特定大口だけでなくて、
一般の三千キロワット未満のほうに対しても、殖やす
方法は率を調整すればできますからやつたらどうかと思
つております。ただこれは理想を言いますれば、こういう二段の料金制であれば料金の事後精算制というものが一番いいだろうと思いますが、これは
ちよつと
計算も非常に複雑になりますし、又相当
電気事業者の現金収支の面にも響きますので、むしろ妥協点としましては月の半ば、つまり十五日までの月初からの出水の率を見まして、爾後は平永を続けるという
規定の下に
考えてもいいんじやないかと思
つております。こういう線でいろいろ
考えておりますが、逆に減つた場合はどうするかといういつも話がありますが、減つた場合はこれは若し石炭の入手が可能であれば追加して石炭を焚いて行けばよろしい、これは
計画以上石炭を焚くから火力料金の
収入でペイしております。別段特段の損失にはならないだろうと
考えております。従
つて損益の調整といいますか、実は我々から見ますと岡目八目かも知れませんが、
電気事業者は儲かる場合はあるが、損する場合は少いように
考えております。これは石炭だけの話であります。あとの面は別であります。従
つて損のほうの調整は
渇水期においても必要はないだろうと思
つております。そういうことで行きたいと思
つておりますが、これもなかなか
公益事業委員会等のお
考えもありますので、恐らくこの点は大口の
需用者の挙げての要望だと思
つております。先ほど
技術長から
お話がありましたが、非常にこういう要望が多いようです。非常に荒つぽい素朴な観念でありますが、
渇水準備金というもので直接
需用者に還元するというふうな現在の二重料金というもので動かし得る機能を利用しておりませんので、むしろ
電気事業者自身の
経理を完全にするという見地が非常に強いようであります。これは実はどうかと思
つております。幸い二段料金制が廃止できない参ものとしますれば、この二段の料金制を活用して割当量を殖やせばそれで事足りるというふうに
考えております。
それから新増加受電の認可の問題であります。これは今
平井技術長から御紹介がありましたように、これに一定の処理
基準乃至処理規程を設けよという主張と逆に、これを届出の
程度でよろしいという議論と両方あるようであります。これは安定本部としましては、実は両方の
意見に共感を感ずるわけであります。と申しますのは、これは余り極端に行いますと、
事業の認可というふうな面もありまして、現在
事業認可は特別な公安上或いは衛生上有害と思われるようなものに対して行な
つておりますが、
一般の産業に対しては
事業認可というものはないわけであります。この
制度を余り強行しますと、実は
委員会自身が
事業を認可することにな
つてもまずいと、さりとて片一方で
電力量の割当等をや
つておりますと、これを届出
制度だけで放任するのもまずいのではないかと思
つております。かたがた今後のいろいろな経済のあれを
考えて見ますと、日米経済協力等でいろいろ新らしい用途の増加も
考えられますし、或いは現在相当設備も十分ではないかと、これ以上殖やす必要もないではないかというふうな業態もあるようであります。そこでこれは我々としましては何か業種による
基準を設けてやつたらどうかと、まあ極端にやりますと、まるで銀行の融資
基準のようにな
つて、逆に弊害があ
つてまずいことが出て来るかと思いますが、大体の
電力の需給と今後における需用の増加等の事情も
考えまして、或る
程度の大まかな
基準を
作つて、勿論この
基準については
委員会だけでなくて、安定本部に必ず
協議して頂きたいと思
つておりますが、そういう形でバランスをと
つて行つたらどうかと、こう
考えております。
それから最後に、これは根本問題でありますが、実は安定本部はいろいろな経済政策の面につきましての総合企画立案とか、或いは調整とな
つておりますが、実は
電力につきましては、特定大口、つまり三千キロワット以上の産業の中の業種別の配分しか権限を持
つておらないわけであります。従
つて電力の需給全体の総合調整ということは実は全然発言権がないわけであります。従
つて電力が幾ら供給されるか、それに石炭が幾ら要るか、水を幾ら見るか、或いは需用端における特定大口産業とその他の産業との
関係、或いは国民生活の中に必要な電燈需用とその他との
関係につきましては、我々としては全然タッチできないし、又事実上相談を受けましても、それはただ一応
委員会としては好意的に
お話をする
程度で、実はそのために、安定本部がありますからには、そういうふうな使命が達成できるかどうか非常に疑問に思
つております。従いましてこの需給調整
規則は、
設定につきましても勿論安定本部長官に
協議して頂くと共に、個個の需給調整方策、例えば今の年間その他の需給
計画の
設定、或いは臨時緊急の使用
制限、或いは新増加受電の認可というふうな点につきましては、基本はやはり安定本部長官に
協議あ
つて然るべきだろうと、或いはその長官の定められる方策によ
つて実際行くべきものだろうと思
つております。ほかの統制されております、或いは統制していなくても一応権限内に入
つております物資は、全部そういう方針にな
つておりますが、ひとり
電気のみが逸脱しておる。これでは実は基本的な動力が抜けておりまして、産業政策の大きな根幹に一枚歯が欠けておるというようなことでありますから、これは是非そういう条項を入れて頂くのが当然ではないかと思
つております。この点は
現行の需給調整
規則についても相当主張いたしましたが、まあ
如何なる理由でありますか、
公益事業委員会はその性格上品法制的には普通の行政各省よりも独立しておるというふうな法律論乃至は立法論があるようでありますが、その
関係が実現いたしませんでしたが、これはこの際もその主張を安定本部としては棄てないつもりであります。以上のように、これは実は打ちあけて言いますと、明日午前
公益事業委員会のほうと事務的に
折衝することにな
つておりますが、前以て手の内を示すのも何でありますが、まあそういうことで大体我々の
考えておりますところを
お話したわけであります。要はこれは今申上げましたことは、何も安定本部の我々だけが
考えておるわけではありませんで、いろいろ度合いは違いましても、広い需用家の各層、或いは供給の
電力会社の方面、両方からある
意見を折衷したようなものであります。むしろ我々としましては、
割当制度はもう少し簡易化したほうがいいだろうと、
電気事業会社には、この前
電気料金の値上げのときに、
割当制度をやめたほうがよかろうということもありましたが、今度はやめろという主張はないようでありますが、我々としましては、むしろ戸別発券による割当なんかはこの際やめたらどうかと、いろいろ行政機構簡素化その他の話もありますし、まあ大きく業種別、或いは需用別に使用の
限度を率できめて行けばいいではないか、個々の切符切りはやめたらどうかと、殊に料金の問題であります。使用量を抑えるならよいが、安い料金で食わしてやるというようなことで、切符切りは余り感心したことではないのではないかというふうに思
つております。この点につきましては、今後の経済協力等から或いは特定の工場を直さなければいかんというようなこともあると思います。なかなか需用官庁方面の賛成は得がたいと思いますが、併し大勢はそういう方向で事務の簡素化を図るべきであろうというふうに
考えております。まあ一応主な要点だけ申上げたわけであります。