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1951-09-07 第11回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月七日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (日米経済協力に関する件)  (国際通貨基金等に関する件)  (講和後の通産行政に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から通産委員会を開きます。  本日は通商及び産業一般に関する調査といたしまして、その主なる議題は一、日米経済協力に関るす件、二、国際通貨基金加入などに関する件、三、講和後の通産行政に関する件の以上であります。  先ず、日米経済協力の問題に関しまして、政府側として小峯政務次官より説明して頂きますが、特に日米経済協力に関して自立経済方策との組合せについてお伺いいたしたいと存じます。そこで、この問題に関する話の順序といたしまして、先ず、当面の実際的な進行状況を伺い、次に講和後の見通し、それから今後の政府方針といつた工合にお願いいたしたいのです。なお説明の要点として触れて頂きたいのは、国際収支の推移、米国における東南アジア開発規模順序、速度などと、先に申上げましたように日本自立経済方策組合せかた、次に、以上に関連して、日本経済構造貿易体制をどう新らしく導くかの問題、それから、国際価格や対日援助打切りに伴う国際産業資金外貨導入の問題などであります。なお、貿易に関する具体的な新政策につきましては、あと板垣貿易局長より御説明をして頂きたいと思います。では小峯次官にお願いいたします。
  3. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 荒筋だけ申上げまして、足りませんところは事務当局から補わせるようにいたしたいと思いますし、又御質問で補わさして頂きます。日米経済協力の問題は、先にマーカット声明で示された輪郭以外、私どももあの線以外の新らしい事実を承知いたしておるのではありません。又あの声明の中で繰返し繰返し申しておりますように、この日米経済協力は、コンマーシャル・ベースによることが原則なんだというふうに言つておりますが、その後の日米経済協力の展開は、私ども経済コンマーシャル・ベースに乗りかたがまだ十分でないせいでありましよう、特に新らしい事態が実際の上で展開したとも見当つてはおりません。併し方向としましては、当然ああいう形にならなければならんものだと思いまして、日本経済を成るべく早くコンマーシャル・ベースに乗せ、そうして日米経済協力に積極的に推進して行きたいと考えておるような次第であります。なお自立経済との関係でありますが、これも先般皆さんにお聞き願つたと記憶しておりますが、昭和二十六年度、二十七年度、二十八年度の三カ年に亘り、自立経済計画というのを策定いたしまして、その実施過程にあるわけであります。繰返すようになりますが、二十八年度までで国際収支の均衡を図り、而も生活費昭和九年——十一年の数字に対して最低八割を確保したい、而も最低八割を考え、二十八年度は八十九までにこれを引上げたい、かように考えておつたわけであります。而も経済内容としまして、世界経済の予測しがたい面もありますので、成るべく食糧等自給度引上げたい、こういうことも考えまして、自立経済計画進行過程なんですが、その自立経済計画日米経済協力との関係は、或る人は、一部分では、この日米経済協力実施によつて自立経済計画というものはまるつきり御破算を要求されるほど大きい影響があるものだという見方をしておるようでありますし、又私ども自立経済計画を策定しました当事者といたしましては、自立経済計画促進がこれによつて行われるので自立経済計画を根本的に変えるようなものではないというふうに読んで参つたのであります。現に自立経済計画は、朝鮮特需影響もありまして、生産産業活動に関する限り、二十八年度に予定しましたものを、大体二十六年度で実現できるような筋合いになつておりますので、そういう意味合いから、計画促進は行われるのだが、このために特に内容が変るのじやないというふうに考えておる次第であります。このことと関連いたしまして、日米経済協力軍需品だけに片寄るのだろうというお話がありましたが、自立経済計画の中で産業構造バランスを考えておりますが、そのバランスを破るような形で日米経済協力というものは考えらるべきじやないというふうな立場をとつておる次第であります。  大筋は以上の通りでありますが、御質問等によつてつて参りたいと存じます。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では次に、只今政務次官説明にありましたような方針に基きまして、目下安本当局で立案中の新貿易計画に関しまして板垣貿易局長より説明を伺います。なおその後で特に最近の特需や新特需の動向に関しても買付機関とか、品目支払方法等についても御説明を願いたいと思います。
  5. 板垣修

    説明員板垣修君) 私より本年度貿易計画についてお話を申上げます。貿易計画と申しましても、御承知のように、実は一つ見通しに過ぎないのでございまして、現在の自由貿易建前とする時代におきましては、厳格な意味での計画ではないわけであります。尤も輸入につきましては外貨の面からいたしまして、一つ計画性を持たしてございまするが、これとてもやはりいろいろ情勢が変りまするとしよつちゆう変更を加えなければならんということになりますので、現在は最初に年度計画は立てますけれども、やはり外貨予算は四期に分けまして、情勢に応じて必要の改訂を行なつて行くというような状況になつておるわけでございます。  さて本年度貿易計画でありまするが、実は今年の三、四月の頃を目標といたしまして、当初の計画というものは一応作られたのでございまするが、その際のベースになつておりまするのは、本年三月の鉱工業生産指数が一二九であります。大体この一二九を基礎といたしまして、当初計画といたしまして一応の貿易計画を作つたものでございます。その数字輸出におきまして十三億七千五百万ドルというものを見積つております。これに対しましてプラス特需というものがございまするので、そのほかに特需といたしまして、二億六千一百万ドル、これだけを見まして合計特需輸出の一部でございまするので、合計十六億三千六百万ドルというものを見たのでございます。これに対しまして輸入のほうはどうかと申しますると、輸入援助輸入アメリカからの援助輸入も含めまして合計十九億七百万ドル、即ち輸出におきまして十六億三千六百万、輸入におきまして十九億七百万という一応の貿易計画を当初において作つたわけであります。ところが御承知のようにその後情勢が変つて参りまして、先ず六月にマーカツト声明がございまして、これに基いて日米経済協力という問題が新らしく登場して参つたのでありまして、これがどういうふうになるか、当時まだ予測はつきませんでしたけれども、これに応じて或る程度生産増強従つて輸出量増大ということも考えなくちやならんということが考慮に入つて参つたわけであります。それから一方生産指数というものが非常に三、四月から上つて参りました。これを指数で申上げますと、四月には一三四になりましたし、五月には一三九になりました。六月には実に一四一という大きな数字上つて参つたのでありまして、この生産指数上昇ということも考慮に入れて貿易計画を立て直さなければならんのじやないかという問題が起つて参つたわけであります。一方輸出のほうを見ましても、非常に好調を続けて参りまして、御承知のように三月頃から世界的に中たるみが起つて参つたのでありますが、これにもかかわらず数字の上では非常に上つて参りまして、認証統計で三月には一億七千九百万ドル、四月には一億二千二百万ドル、五月には一億三千五百万ドルという工合に、一億二、三千万ドルという数字をずつと継続して参つたわけであります。その後一億二千万ドル、一億三千万ドルという数字上昇を辿つて参つたのであります。これを一、二月の八千万ドル台と比べますと非常な躍進振りであります。それから第四には、値段が国際的に非常に変つて参りまして、或るものは大体において上りましたけれども、下つたものも多少ありますが、要するに輸入された物資値段関係から当初の貿易計画を多少改訂を加える必要があります。こういうふうないろいろな問題が起つたわけであります。従いまして本年六月の半ば頃におきまして鉱工業生産指数を今度は一四〇、日米経済協力要請にも応える意味で一四〇の生産指数で以て貿易計画を一応立て直したわけであります。これが第一次の改訂案であります。これによりますと輸出がずつと殖えまして十四億五千百万ドル、これに特需の三億二千二百万ドルを加えますと合計十七億七千三百万ドルという数字を見たのであります。それからそのことに対しまして輸入のほうもずつと殖えて参りまして、合計二十億一千七百万ドルという数字を見込んだのであります。結局輸出におきまして十七億、輸入におきまして二十億という工合に当初の計画より相当上廻る貿易計画を立てたのであります。ところが又その後一、二カ月して情勢が非常に変つて参りました。第一には、先ほどちよつと申しました中たるみというものがいよいよ本当に深刻化して参つたのでありまして、日本輸出が非常に伸び悩んで参りました。それから海外の物価がずつと下つて参りました。それから輸入物資が非常に国内において過剰状態を示して参つた、こういうような情勢になつて参りました。それから次いで一番大きな影響は、朝鮮休戦問題が起つたことでありまして、これに基きまして特需見通しがどうなるかという問題を考えて参つたのであります。併しながらこの情勢がその後八月に入りましてから、又朝鮮休戦がああいう工合に延びて参りましたし、又世界市況もやや持ち直したというふうに、感じが変つて参りまして、六月の当初に非常に輸出不振というような先行き不振を見たよりは、最近においては少し持ち直して参つたという情勢になつて参つたのでありますが、要するにこの両方の情勢の変化を考え入れまして、今度新らしく輸出入計画を一応立てたのであります。これが一応経済定安本部として新らしく現在持つておりまする一番新らしい貿易計画でございます。これにつきまして一応簡単に御説明申上げたいと思うのであります。  今度の新らしい計画数字を弾じき出すにつきましての前提となつたものは、第一には輸出状況でございますが、輸出が大体まあ六月におきまして、五月までずつと伸びて参りましたが、六月において少し落ちまして、今までの一億ドル以上のものが大分減りまして、遂に九千三百万ドルということになりました。認証統計であります。ところが七月で、六月にいたしますと、私ども非常にこの数字を見まして、先行きは非常に悪いのじやないかと思つておりましたところが、七月では認証統計では一億五千三百万ドルという大きな数字が出たのであります。併しながらこれは一時的な現象でございまして、御承知のように七月二十五日に輸出管理令を改正いたしまして、綿製品類許可制度に入れまして、従いましてこの許可制度が布かれる前に出してしまおうというわけで、この七月に一時に殺到したわけであります。それが非常に大きな数字なつたわけでありまして、八月以後はややこれより下廻るのじやないかと考えております。新らしい数字はまだございませんが、八月の上半期だけの認証統計を見ますと、僅かに三千五百万ドル程度でございまして、これを倍にいたしましても七、八千万ドルというわけです。相当数字は下廻つております。これを四、五、六あたりの輸出契約面から見ましても、やはり五、六、七はずつと数字は落ちて参りましたので、やはり輸出改訂第一次案で見ましたよりもどうしても少し下るのじやないかというふうに見ざるを得ないわけであります。その点で輸出を少しまあ低く見積つたわけであります。併しながらその後やや国際市況が安定し、上向き加減になつておりまするが、最近できました日英協定というようなものの関係で、東南アジア方面に秋頃からもう少しいろいろ出るのではないかというような予想がございますので、これに彼此按配いたしまして輸出を計算したわけでありまするが、十三億四千万ドルという数字に一応見積つたわけでございます。これは第一次改訂案よりは一億一千万ドルばかり少い。当初案よりは三千五百万ドルばかり減つております。それからその次の第二次案よりは一億一千万ドルばかり減つておるわけでありまするが、大体この程度ならば発注し得るのではないかというふうに考えておるわけであります。で、すでにまあ本年度実績が出ておるわけでありまして、四月から六月までの実績はわかつておりますが、これが三億七千四百万ドルという実績が出ておりますので、この数字を十三億、今の計画でありますところの十三億四千万ドルから差引きまして、大体残つた九カ月で割りますと月平均一億ドルちよつと、一億七百万ドルぐらい、若し毎月出れば大体この計画は達成し得るという見込になつているわけであります。で、商品別で申上げますると、やはり大きな品目として繊維製品、それから鉄鋼製品、それから機械類というようなものは第二次案よりは多少減らしてございます。ほかの品目としては大体従来の案の通り踏襲をしました十三億四千万ドルという数字が出ているわけでございます。特需幾ら見積つたかと申しますと、二億六千三百万ドル見積つております。これは実は前の数字と変らないのでありまして、先ほど申上げました数字は、物資のほかにサービス関係を含んでおりましたので、そのサービス関係のものを除きまして、純粋の物資関係だけの数字をとつたわけであります。それが二億六千三百万ドルであつて、これは従来の見通しとは変つておりません。従つて輸出特需と合せますると十六億三百万ドルという数字になるわけでございます。従つて年度輸出実績数字を比較して見まするというと、昨年度実績が九億六千四百万ドルということになつておりまするので、今度の新計画では四〇%の増大ということになつております。尤も値段が上つておりまするので、この関係考慮に入れまするというと、大体二〇%の規模増大ということになろうかと思うのであります。  次には輸入でございまするが、輸入につきましては、この基礎になりまするのは七月の鉱工業生産指数の一四三というものを大体ベースにいたしまして、輸入計画を組み直したのでございます。これにはストツクの現在の状況価格の点などを考慮いたしまして若干の調整をした程度でありまして、この輸入の量におきましては前の案とそう大きく変つていないのであります。参考までに現在の重要物資の通産省の調査によりまするところの九月末の在庫状況を主な品目だけ申上げますると、御承知のように今年の一月以降の輸入促進策大分効を奏しまして相当物資が豊富に入つておるわけでありまして、大豆のごときは九月末ですでに六カ月分入つております燐鉱石は三カ月分、鉄鉱石は二・九カ月分、粘結炭は二・五カ月分、原綿は三・八カ月分、原毛が四・二カ月分、塩が六・四カ月分、こういう工合に主な物資につきまして、大体多いのは五カ月から六カ月分くらいのストックがあるわけでありまして、原料の点は非常に安心すべき状態になつております。比較的少いのは石綿のような特需物資が殆んど在庫がなくなつているのは除きまして、レーヨン・パルプ・サルフアイト・パルプが一カ月くらいのストツクを持つておるに過ぎない状態でありまして、あと重要物資は非常に十分な原料を現在持合わしておるわけでありまして、こういうも点考慮に入れまして輸入の総額を十九億五千五百万ドルと策定いたしたのであります。当初計画は十九億七百万ドルでありましたので第二次案が二十億一千七百万ドル合計大体当初計画と第二次案との丁度中間くらいの数字になつておるわけであります。これを商品別に申しますると、食糧関係金額で申上げますると四億六千万ドル石油類が一億ドル繊維原料類が六億五千万ドル鉱石類が一億三千二百万ドルというような金額になつております。で、大体こういう工合に、本年度貿易計画といたしましては、輸出及び特需を含めますと合計十六億ドル輸入が十九億五千万ドルということになつておるわけでありまして、そうしまするとどうしてもバランスが、三億五千万ばかり輸入のほうが多いわけであります。これをどういうふうにして埋合わせるかといいますると、貿易外の純収入、受取から支払を引いた純収入が一億一千万ドルばかりございます。そのほかに対日援助関係、これはまだ本年度は半分残つておりますが、これが一億五千万ドルばかりございます。それから駐屯軍ドル払いが開始されておりますので、これが大体一億ドルくらいと見ますと、この合計が三億六千万ドルばかりになるわけであります。従いましてこれらの関係で丁度輸出輸入とんとんに見合う、少しプラスになる、全体の国際収支計画としては少しプラスになるということが言えると思います。又これをドルだけをとつて見ますると、多少ドルが不足という結果にはなりまするけれども国際収支の全体といたしましては大体とんとんで合うということになるわけであります。一応貿易計画につきましては以上の御説明を申上げました。  次に続きまして、特需関係を少し簡単に申上げまするが、特需といいましても、非常に概念があいまいなんでございまして、普通特需というと朝鮮関係特需ということになつておりまするが、実は朝鮮特需関係数字にはECA東南アジア向け買付をしている金額も実は入つておるわけでありまして、その点は、必ずしも純粋の特需と申している数字朝鮮だけのものではないわけであります。そのほかに沖縄建設工事関係数字、これは全然別でありまするが、これも一種の特需であります。又今度東南アジア方面、それから日英経済協定から直接来ますもの、こういうものを新特需とか、普通新特需と言われておりますが、そのほかに朝鮮復興関係復興特需と言われております。非常に特需という言葉、特需という概念があいまいになつておりまするが、今特需として申上げましたのは主として朝鮮関係数字でございます。で、この数字は大体御承知と思いまするが、一番私どもで持つておりまする新らしい数字は、八月十九日までの現在の数字でございまするが、これが物資関係で二億九千二百万ドル、それから役務関係サービス関係で一億四百万ドル合計三億九千六百万ドルという数字になつております。ただこのほかに実は特別調達庁を通じて発注するものがありまして、これらの関係、それから先ほど申しました沖縄建設工事関係特需に準ずるべき収入がございますので、これは新らしいのはございませんけれども、今年の六月で六千万ドルになつております。従いましてこれを合せますると合計四億五千六百万ドルばかりの特需収入があるということになるわけであります。然らばこの特需契約内容を別にちよつと見てみまするというと、この特需内容は、物資の中で比較的金額の大きいのはやはり繊維類、それから機械類、金属及び銅製品、それから木材、紙などでありまして、この合計で大体八四%を占めているのであります。で、最近の休戦問題が起つてからの発注の傾向といたしましては、物資別契約高は全体的に多少減少の傾向になつております。殊に直接作戦用資材、即ち野戦食糧であるとか、或いは鉄条網とかというようなものは勿論ゼロになつておりますので、直接戦闘資材などはずつと減つております。殆んどゼロであります。一方役務のほうは多少殖えておるという形になつておりますが、前とは多少減り気味でありますが、そう大きな減りかたはしておらないのであります。それからこの特需に対する支払状況はどうかと申しますると、円小切手による分が八千二百万ドル、五月末現在で。それからドル小切手による分が一億五千五百万ドルという支払になつておりまして、この分だけが大体六〇%、それ以外のはいわゆる特別調達庁を通じましてP・Dで支払われるものであります。  さて今後の特需契約見通しの問題でありますが、現在の朝鮮休戦問題がああいうような状況になつておりまするので、はつきりわからないのでありまするが、たとえ休戦なつたといたしましても、恐らく現在の情勢から判断いたしますれば、武装休戦という状態じやないか、そういたしますれば、余り特需金額としては減らないのではないかという見通しを私どもつておるわけであります。先ほど申しましたような直接戦闘用資材は或いは減るかも知れませんが、それ以外の準戦闘的資材は恐らく減りませんでしようし、被服であるとか、それから建設資材、そういうようなものは戦闘用に使はなくても、民生的に朝鮮復興のために廻わすということも考えられますので、全体の金額としてはそう減らないのではないかというふうに考えております。若しこの休戦がずつと政治的問題の解決も済みまして、本当休戦ができ上るという際には純粋の特需そのものは減りますけれども、これに代りまして、いわゆる復興特需というものが起るわけでありまするから、このほうで大体カバーができる、こういうわけで私どもは本年度の年間の貿易計画なり、国際収支計画というようなものを見まして、特需というものは少くとも二十六年度においては大体従来通り金額を見込むという考え方に立つておるわけであります。ただ例の新特需——復興特需のほうは今申しましたように朝鮮状態がああいう程度でありますので、現在の段階におきましては、まだ本格的な復興特需が出るという段階にはなつていないようであります。現在の段階では緊急救済というふうな段階であつて本当復興建設は今後朝鮮政治的統制ができてからやるというふうに、朝鮮復興特需というものは相当多量に日本に落ちて来るという状態になるのは、よほど先のことじやないか。要するに朝鮮情勢如何にかかるということが言えると思うのであります。その際に朝鮮再建局復興局はどのくらいの予算を以て行われるかと申しますと、当初の計画は二億五千万ドルばかりの予算を持つということに私ども承知をいたしておるのでありますが、そのうちのアメリカ負担分議会で削られまして、少くとも第一年度においては相当減額されております。即ち、アメリカではこの朝鮮再建予算といたしまして、当初案として一億一千二百五十万ドルというものを提案したのでありますが、議会におきましてこれはずつと落とされまして、僅かに千百二十五万ドルに削られております。尤も昨年度ECAの残が五千万ドルございまして、これが今年も使えるのでありますが、これを合せましても六千万ドル程度差当り朝鮮復興のための予算と言えると思います。尤も今後朝鮮復興がいよいよ本格的な段階に入りますれば、恐らくこの予算はずつと増額され、従つて日本廻わる分も相当殖えるということが想像できるわけであります。  次に簡単に特需買付機構支払方法はどうなつておるかと申しますと、買付は御承知通り朝鮮事変前はこういう買付のものは第八軍がやつておりましたが、これが前線に出て参りましたあとは、日本残つて買付をやつておる主な機関は御承知在日兵站司令部であります。これが大部分の買付をやつておるわけであります。それだけではない、そのほかに海軍関係空軍関係は別であります。米国の艦隊が横須賀と佐世保で買付をやつておりますし、空軍としては極東空軍資材部が立川に、又アメリカ海軍空軍基地が厚木にありまして、ここで買付をやつております。このほかに従来ECA買付をやつたわけであります。併しこのECA朝鮮のため買付をやつたのは六月で打切られたわけでありまして、現在はECA朝鮮のため買付をやつておりません。これは今後は朝鮮再建局復興局でやるわけであります。併し現在ECAがやつておるかどうかはわかりませんが、建前としては朝鮮向け物資買付はやつていないということは明らかであります。ここでちよつと触れますが、ECAの今までの買付けましたものの中には朝鮮だけでなくて、東南アジア向け物資買付けておつたのでありまして、その数字が先ほど申上げた特需数字に入つております。従つて純粋に朝鮮向け特需数字を出しますには、この東南アジア向け物資数字を引かなければならんわけであります。併しこれがどれくらいの金額になるかははつきりは私どもにはわかりませんが、大体千二百万ドルぐらいの買付をやつております。東南アジアのための買付をやつております。従つて先ほど申した特需全体の金額から千二百万ドル程度引けば残りが純粋の朝鮮特需ということが言えると思うのであります。それから支払方法は三つございまして、ド・ル小切手による支払円小切手による支払、それから終戦処理費による特別調達庁を通ずるところのP・Dによる支払、この支払方法については現在もこの通りでありまして、今後何らかの変更があるというようなことについては私どもは何ら承知をしていないのであります。   一応これを以て御説明を終ります。
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは現在おられますのが政務次官の小峯さん、貿易局長の板垣さん、官房長の平井さん、計画室長の佐々木さん、財政金融局次長の前野さんでございますから、このかたがたに御質問を願いたいと思います。
  7. 境野清雄

    ○境野清雄君 今小峯次官から最初にお話がありました日米経済協力ですが、大体前のマーカツト声明のときより先にはちつとも進んでおらないというようなお話で、或いはその程度ではわからないと思いますが、大体日本経済余力というようなものを謳つておるわけでありますが、日本経済余力というものにしても、例えば建物による経済余力か、或いは機械力によるものか、人間の数によるものか、そういうような点については一応何かもう少し突つこんだ点で御返事が頂けるかどうかお伺いいたします。
  8. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 私のほうは経済自立計画を立てて、今おつしつたような余力の点については勿論深い関心を持つております。今御指摘がございましたが、それは設備をフルに成るべく一ぱいにしたならばどれくらい仕事ができるかというようなことは考えておることでもあります。併し御説の通りにそれだけでは生産ができません。設備の関係、労力の関係等もございますのですから、そういう数字の検討はやるつもりでありますが、正式の検討はまだいたしておりません。
  9. 境野清雄

    ○境野清雄君 そういうような形態から言つて、とにかく日本経済余力というものが何のベースによつて割り出されるか、いずれにしても大企業については大体そういうような経済余力というようなものは数字の上に直ちに出て来ますが、中小企業というものは御承知のような情勢であるので、その中小企業の製造しておるものは特に大企業の下請けというようなものは別にして、中小企業自体で独立的にやつておるものに対しては政府はよほど援助するか、或いは政府としてそういうような経済余力とかいうものを出すということに格別な考えを持つて頂かないとなかなか中小企業はできないんじやないか、そうすると非常に又従来のように、大企業ばかりの偏重主義のような形態をとられて、中小企業は又この新らしい新特需にも乗れないというような状態になるかと思うのでありますけれども政府自体としては中小企業に対する新特需ということに対しては何かお考えになつておりますか。
  10. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 特に中小企業に対する新特需というよりも、私は戦争前ありましたような形で企業の系列というものはおのずから整備されなければならんというように考えておりますが、その大企業との繋がりにおいて、もとより中小企業としまして特別の部門で特別製品を作つておるものは別ですが、全体の考え方としましては、やはり国民経済的な、総合的な範囲の中に組織化された中小企業で生きるというように考えて行くべきではないかというふうに思つております。    〔委員長退席、理事栗山良夫君委員長席に着く〕
  11. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお説は御尤もですが、大体機械工業にしても同じような設備を持つておりながら地方におるような機械工業というようなものは特需にも殆んど、従来朝鮮のときにも乗り得なかつた。そうしてこれは政府が指導さえすれば同じような設備を持つておるので、これは乗り得るのですけれども、従来のところではやはり大企業との特殊な関連性のあるものだけが機械工業にしても特需の恩恵に浴しておつて、同じ、或いは以上の設備を持つておる地方の機械工業というものはそういう面の恩恵に浴し得なかつたので、今後としては特需なり新特需なりというものが日本経済を左右する大きなウエートになるので、こういう点に関しては通産省なり、或いは安本なりがもう少し一つ中小企業の面も考えてもらつて何らかの方法を講じてもらいたいと思うのですけれども、そういうものに対して次官のお考えはどうですか。
  12. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 私は特需とか新特需と申しましても、マーカツト声明にありますように、やはりベースがコンマーシヤル・ベースでなければならんと思いますので、今のお話はよく御趣旨はわかりますが、私は人為的に特需を持つて行くということでなしに、中小企業的な骨格といいますか、体質を改善するようなこと、例えば設備資金に対する考慮等中小企業の内容を変えて行くといふうなことで、そうしてコンマーシヤル・ベースに近付けるということがお説のような趣旨に向つて行くものだと考えて、その線で努力をいたしたいと考えております。
  13. 栗山良夫

    ○理事(栗山良夫君) 御質問ございませんか。
  14. 小野義夫

    ○小野義夫君 この自立経済、或いはマーカツト声明、或いは又今日新聞に出ておるドツジ氏と池田蔵相の米国におけるいろいろな相談等を通じて、非常に適切に我々が感じられるところは日本経済の方向は、分配とか消費とかいうような面に若しあるとすれば、規制する、消費を制限する、個人の消費たると、或いはその他の消費たることを問わずこれを制限するということが一つの方向であると共に、他面において    〔理事栗山良夫君退席、委員長着席〕  第一にも生産、第二にも生産生産以外に日本経済の向う方向はないというようなことを特別にここに文句、条項があるのではないけれども原料が貧弱な日本としての今後の自立経済の方向は一にも二にも生産をやらなければならんということが痛感せられるわけであります。この点に対しまして安本並びに通産省が生産経済に向つて如何なる手を新政策として立てておるかという根本の、いわゆる生産経済の方向についての一つの御意見を承わりたいのですが、反対に昨日も当委員会で論議されたことぐ百三十億というようなものは、いわゆる肥料の需給調整のごときは、これは極く贔屓目に考えてもいわゆゆる配給経済、或いは市場のオペレーシヨンというふうに考えられるのであつて一つのそこに生産それ自体の本質を包含しておらん。かくのごとくあらゆる自立経済乃至はマーカツト声明、或いはその他今一万田、池田両君が米国でいろいろやられてい相談の中にもあるような、そういう趣旨が受取れんのみならず、矛盾しているんじないか、甚だしく反対の方向へ行きつつあるんじやないかというような感じを持つんですが、この点について今肥料調節問題、それはどうであるか、又そのほかに対して生産経済に如何なる手を、例えば中小企業の生産もそうです、これも生産経済の大きなものである。ただ中小企融などというのじやなくて、機械設備の改善をやるとか、或いは原料供給についてこういう手を打つというように、生産経済の僕は投資方向が不明なんである。これで以て自立経済が行われるか、或いは徒らにドツジ氏と話をするということの事態は僕らには解釈がつか参ないのですが、どういうふうに御当局は……。先ず安本の御意見を承わりたい。
  15. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと待つて下さい。ちよつとお願いいたしますが、安本のかたがたはお急ぎになりますから、全体の政策を安本がやられるのでこれを先に、通産省はあとにして頂きます。
  16. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 私ども経済政策の目標は経済の自立を達成することにありますので、お説のように生産を盛んにいたしませんとその目的を達し得ない。御指摘のようですと生産をどこまでも第一主義でやれというお話だと考えます。私ども生産を伸ばしますために特に意を用いて参りました点は、少し手前味噌になりますが、経済の自由は成るべく確保するように梶を取つて参つた点であろうと思います。経済を縛つて行くやりかたと成るべく自由にして企業活動の自由を保障して行くやりかたにつきましてはいろいろ御意見はありますが、私は少くとも生産を伸ばす方法といたしまして企業の自由活動を最大限度に確保することがいいんだと考えます。そういう意味でその線はやつて来たつもりでありますが、併しそういう点を推し進めて参りましてやはり生産を維持するところの基本産業とその他の産業とのバランス関係等いろいろ勿論ございますが、工業生産と農業生産の調整の問題等もありまして、ただ一遂に自由にほどいてしまつて推し進めるだけでは却つてその目的に逆行するような場合がありますので、どこまでも生産を第一主義としながらそれから来る欠点、弊害等に対する調整手段を若干これを補なうような形でとつて参りたいと思つております。御指摘のように生産を伸ばしたい。どこまでも生産を上げるということに努力はいたしておりますが、それから来る弊害或いは不均衡等を是正する方法として多少調整手段をとるつもりでおります。
  17. 小野義夫

    ○小野義夫君 私の伺つているのは、今の次官の思想については非常に結構と思つて了解もできますし、同感ですが、これをそうでなくて、これを予算措置を何とか補正予算なり、或いは二十七年度予算なりに、こういうふうにして生産増強をして自立経済をやるのだ、これがその一環の政策であるこれが要であるというようなその片端でもいいからお示し願わなければ思想上のことは我々としてよく了解いたしているのでありますが……例えば肥料の調節というような数字生産経済その他とどういう関連を持ち、予算の編成についてどういう重点をなすかということについても御感想と同時に、つまりお考えをお聞きしたい、こう思うんです。
  18. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 生産を刺戟するための政策としまして政府資金等の投資の重点を基礎産業に向けて、先ほども触れましたように基礎産業とその他の産業との不均衡を是正するというようなこと、或いは又企業者の生産意欲を高揚させるためにこれは通産省等でお考え下さつておりますが、設備の近代化に対して特別な考慮措置をするというふうな線のこともやつているつもりであります。多分、併し小野委員の御質問の要点は、そういう趣旨の中で肥料の調整等少しおかしいじやないかということじやないかとお察しはいたしますが、これは恐らく農業の生産を上げるために或いはそういう点も必要じやないかというふうなことが伝えられてのことじやないかと思います。まだ詳細承知いたしておりませんので肥料の問題は私どもからは答弁いたしかねます。
  19. 小野義夫

    ○小野義夫君 只今そういう私はここに例を引いたから、或いはそういうふうな誤解があるかも知れませんが、私はむしろ例えば地下資源開発、石炭にしろ、非鉄金属にしろ、その他日本の鉄鉱でもそういうような第一に原料政策に関する見るべき金額若しくは施設というようなものが甚だどうもプアーではないか。例えば一方に百億とか五十億とか大変大きな金をどんどんと予算に組まるる半面において、一方においては如何にもけちくさく一億とか二億とか三億とかいう小金を以てそうして政策をしておるかのごとき思想上の宣伝をするということは我々に納得が行かん、こういうのであります。従いまして今御質問申上げておるのは、予算を切り盛りするならば、生産第一主義というのならば、これは一般に例えば地下資源、鉄鉱はどうする、何はどうするというように、それぞれに少い金を分配して適当に、もとより重点主義でありましても、その順位をおのずから研究をしてこそ新政策として、我々は受取れるのであつて、昨日も栗山委員から御質問があつたが、どうもただ単にものを取上げて、どうもいわゆるセクシヨナリズムでやるような弊が多分にあると思いますから、それは一つ安本あたりにおいて、今の生産第一主義なら第一主義だとして、どの面の生産をするために金をどう使うということを明確に一つされんことを希望するわけであります。今日中にすぐお答えができなければ一つこの次の会でもよいですけれども一つこれは予算編成前において、安本ははつきりと我々にその予算の先駆として、そういう或る概数を挙げて、そうして説明すべきじやないかと、こう思いますが、如何でしようか。
  20. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 御指摘のことがわかつて参りましたが、勿論個別に対する政治……重点の注入ということは必要でありましようが、どう考えましても、大きく見ましてやはり私どもが今生産を推進するために一番重点になりますのは電力であり、石炭であり、船であろうと思います。迂遠のようでありますが、先ほど来申上げますように、基礎産業が非常にひ弱い今日、鉱工業生産が非常に活溌な状態を呈してくれてはおるのでありますが、その基礎産業との関連を考えますと多少私どもは忸怩たるものがあるのであります。そういう意味で勿論鉄鋼はどうだというような具体的な資源開発等の問題もございますが、日本産業構造から言つて当面やはり電力なり、石炭なり、船なりに重点を置いて、あとのことは勿論ゆるがせにしていいわけではありませんが、これに重点を置くへきだと考えておるのであります。なお生産資金の問題は先ほどの境野委員の御質問にも関連するのでありますが、中小企業の生産力等も動員するために、中小企業の金融措置に関しましては、二十七年度予算で特段の考慮をするように準備いたしております。
  21. 小野義夫

    ○小野義夫君 これも一つの例でありますけれども輸出銀行というものを作つてプラント輸出計画したのでありますが、これは見事に失敗してプラント輸出が行詰つておる。又折角の銀行も開店休業に等しいような状態にある。併しながらこれを廃止すべきものであるかどうかということを考えるときにおいて、どうしてもそういうものをやらなければならんということになるとするならば、一体この輸出向きの鉄鋼と原料等はどういうふうに結び付けて行くのか、或いはそのプラントの製作者に対してどういうことをするのかというようなことをこれは一つ具体的にいろいろの手を打つてもらわなければ私は発達しないと思います。この辺はただ一例ですけれども、それも石炭、電力或いは船舶等は、これは馬鹿でもわかるような大筋で、甚だ失礼ながら安本その他を煩わす必要はないくらいな私は顕著な一つの方向だと思います。これはもう議論のほかである。それよりも細かい個々の産業別において、品物別においてこれはどうする、あれはどうするということにおいて具体的な一つ予算行為を伴つた施設を明示されんことを希望するのであります。
  22. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 今極めて明確なことをおつしやると御指摘頂きましたが、私は明白なことが案外政策を遂行して行くうちに見落されやすい。いつ如何なる場合でも確認して行きながら進むことが経済政策の根幹だと思います。又個別にどうというようなことを言われておりますが、自由経済の原則において個別企業に特に政府が補助をやるというような方針は私ども考えたくないのであります。併し今例として御提示になりましたように、輸出銀行等の問題は、これは開店休業になつておるという御指摘でありますが、これはよく御存じのように鉄鋼の価格は上つた、機械の輸出が非常に困難になつた、或いは又いわれる東南アジアの開発計画というものがまだ具体的な日程に上つていなかつたこと等がありますので、今後こそ期待のできる問題で、鉄鉱原料のごときはどうしても東南アジア市場というものを考えて、立地条件が非常に不利になつておりますから、これを是非解決するためにその輸出銀行等も活用したい。そうして私はその活用には大いに期待を持てるんだと、かように考えております。開店休業だといつてはつきり烙印を押して頂くのも少しかわいそうな気がするのであります。
  23. 小野義夫

    ○小野義夫君 それでは私は先ず一応ここでやめます。
  24. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は二つか三つお伺いしたいと思いますが、先ず最初に経済協力のマーカツト声明に二つの重要な点があると思います。一つはコンマーシヤル・ベースによる取引をいたそう、いま一つ日本人の生活水準を引上げるようにしようという二つの点がありまして、これをどう調整するかということは非常な問題だろうと思います。そこであなたにお聞きいたしたいことは、いわゆる新特需、もうすでに二、三その具体的な事例があるわけでありますが、その新特需というものは現在のところどういうような形に現われておるか、将来どういうような予想にあるかということを伺いたい。それから今日まですでに発せられた新特需を受けた会社の収支の状況はどういう計算になつておるか、例えば新特需を受けて仕事を永続的にやつたといたします場合におけるその事業体の負担をし得る賃金ベース、或いは収益率、そういつたようなものはどういう工合になつておるか、これを具体的に一つ数字でお示しを願いたい。
  25. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 具体的な実際の産業の面になりますので、後刻首藤政務次官からお答え願つたほうがいいかと思いますが、私ども承知しておる範囲では極めて微々たるもので、日立に関するものなどは或いはその例に入るかどうかという程度じやないかと思います。特需、新特需と言いましても、又日米経済協力の線と言いましても、これがそうだというふうなことではつきりエントリーが分れて来るものじやないと考えておりますので、今のところいろいろな声明がありましたにもかかわらず、実際問題としては非常に手控えじやないか、今要するにコンマーシヤル・ベース関係から言うと、日本の品物は値段も高いし品物もよくないということに帰著するんじやないかと考えております。併し私どもは今度の講和の性格等から考えましても、この日米経済協力というものは積極的な姿で漸次展開して行くんじやないか、日本自立経済との関連におきましても、私どもは時間はかかりましてもこの線を相当重く見て行かなければならんじやないかと考えております。
  26. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今小峯次官は具体的な事例については通産省のほうから数字を挙げられるであろう、こういうことをおつしやつたのでありますが、先ほど私が申上げました二つの重要な問題を調整しなければならないものでありまして、これは安定本部としても非常に熱心に関連を持つて研究をしておられるのではないかと思いましたが、そういう点については全然御研究になつていないわけでありましようか。
  27. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 御指摘の通りどもの関心を持たなければならない点でありますが、具体的な例がまだ検討するに足るほど集まつておりませんものですから、その点は詳細にわかつておりません。
  28. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほ貿易局長からも輸出入の金額的な数字を相当細かくお示しになつた。ところが私は輸出金額輸入金額の総額だけで成るほどそれは輸出入の取引の増というものはわかるでありましようけれども、先ほど言いました日本経済にどれだけ刺戟を与え、そうして力強うしてくれるかということは、そういう金額ばかりではなくしてその内容を分析して見なければよくわからないのじやないか、こういう工合に考えております。従つて通産省からお聞きするのもございますけれども経済安定本部としてそういう問題をどういう工合にお考えになつておるかということを政府委員でも結構でありますが、若しおわかりになればお示し願いたい。
  29. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 今お話のありましたように内容の点でありますが、今までに大ざつぱに見まして、最初の話は実は特需ども非常に条件のいい、むしろ好ましいぐらいの条件で話があつたと思います。又貿易全般についても世界的な軍備拡張に伴い、而も特需の場合も相当条件のいい貿易ができておりますが内容の点につきましては、私ども今までこういうことに甘かつたと思いますが、最近マーカツト声明につきましては特需等の内容につきまして相当聞くたびに実はかなりいろいろな条件で悪いものが来ておるのじやないかと思います。大ざつぱにそういう研究はしております。所管が一般的でございまして、個々の点につきましては余り詳細なことは知りません。
  30. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この問題はおきまして、第二点に、先ほど小野君の御指摘で造船或いは鉄鋼、電力のようなものに重点的に行わなければならん、こういうことを言われております。これは今まで終戦後から殆んど馬鹿でも言つておるほど言われておるんですが、ところが現実に言われておるけれどもなかなかはかばかしくちつとも実を結んでいない。鉄鋼、造船等は或いは若干効果が現われておるかも知れませんが、一番大事な電力のごときはさつぱり進まない。極く最近におきましても発電所の契約の準備までしても金の予定が立たたないためにいわゆる資金繰りが立たないために全然工事の着手ができないで足踏みしておるということが非常に多いことはあなたも御存じだと思います。従いましてペーパー・プランで如何に生産計画を立てましても、電力の開発というものが急速に行われなければこれは決して生産数字は上つて来ない。昨日も実は肥料問題で大分ここで長時間に亘つて論争しましたが、結局そういうようなことに落ちついておる。従つて経済安定本部としましては電力、造船、鉄鋼いずれでも結構であります、又私は一番電力を心配しておるのですが、そういうものについてもただ大いにやるんだやるんだという抽象的な掛声だけでは、今まではよかつたでしようが、今日の段階ではなかなか私ども理解いたしかねるわけであります。従つて具体的に電力が大事であるとすれば、これを一体どういう工合に仕事をして行くかという点について、最近お考えになつており、又実行せられようという点がありましたならば一つ細かく伺いたいと思います。
  31. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 御指摘のように実は電力の問題がはかばかしく進みません点は私ども実は当事者として焦りを感じるくらいであります。時間がなにしろかかります。仕事の上に、電力の再編成等の問題で資金の導入等も多少遅延したかのように見受けられるのであります。併し先ほど来、馬鹿でもわかるくらい大事な問題でありますので、できるだけの努力を傾注して参りまして近く目鼻がつくかと思います。事務当局から答弁させたいと思います。
  32. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 只今お話のございました船舶の件でございますが、初め自立計画で予定した際には、二十六年度の外航船舶の保有量でございますが、船舶保有量のほうを申上げたほうが適切かと思いますので保有量を申上げますと、二十六年度末百二十三万六千トン、二十七年度百五十八万六千トンという予定でございましたのですが、非常にその後順調にこの問題が進みまして、二十六年度の末には百七十三万六千トン、二十七年度には二百十三万六千トンというふうに上昇するのではなかろうかというふうな見通しを持つております。それから鉄鋼に関しまして、普通鋼鋼材は自立計画のほうで二十六年度三百六十万トン、二十七年度三百八十万トンというふうに固く抑えておつたのでありますが、現実は四百五十万トン台のベースに乗つております。今後も価格の問題もございますが、相当上昇するのではないかというふうに考えております。最後の電力の点でございますが、電力は只今三つの方向で開発を進めておるのでありまして、一つは事業用電力発送電会社が自分で開発するということと、それからもう一つは自家用発電がありまして、鉄道、或いは産業で自分で電気を起すという問題と、もう一つは公共事業費を以ちまして各府県等で農業用のため、或いは公共用のために造りましたダムに発電所を造りまして、一種の公共的な発電をやる面と三つに分れまして、一番初めの発送電の予定に対しましてはたしか百四十万キロぐらいの、二十八、九年の予定でございますが、それをとりまして、その目標で現在著手してございます。それから自家用発電に関しましては、二十九年度を目標にいたしまして、大体六十万キロワツトを目標にして増産いたしまして、公共事業費の最後の点は、大体三十万キロワツトをちよつと欠けましてそれに近い数字になつております。そのほうは若干工事等も予算関係もございまして遅れておりますけれども、かれこれ合せまして百八十万キロワツトぐらいにいたしまして、自立計画のときには逐年三十万キロワツトという予定でございましたが、とてもそれでは、先ほど次官のほうからお話がありましたように今の他産業の伸びにおつつきませんのでピツチを上げまして、年間約六十万キロワツト程度を増産して行きたい、こういうふうな計画でおります。
  33. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私がお聞きしておるのは、そういう計画にあることは私も承知しておるわけです。ただその計画が予定の通りに進まないからそれをどうして打開しておるかということについてお聞きしておるわけです。それでもう少し突つこんでお尋ねいたしますと、今日進まないのはやはり金の面で非常に困つておると思いますが、政府としては見返資金、或いは預金部の資金というような国家資金に類するもの、こういうものを積極的に電力開発に導入するような御計画をお持ちになつておるか、或いは又言われておる民間会社の導入一本で御計画になつて、これを第一に期待して御計画になつておるか、或いは電気事業会社の国内における自己資金の調達というようなことを中心にしてお考えになつておるか、そういうような資金調達の具体的な御計画ですね、電気事業者、或いはその他の開発の熱意を持つておる人々を政府として指導せられる、その基本的構想はどういう工合になつておるか、これを伺いたい。
  34. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 非常に大きな規模のものに関しましては、外資のこともときどきお話が出ますし、考えなければならんと思いますが、まだこれは当てになりませんものを当てにしますと、計画に齟齬を来たしますので、見返資金、政府資金を重点に考えて参りたいと思います。
  35. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうもその程度ではなかなか発電所の開発はできないように私は思うのですが、もう現に私の知つているだけでも、国内で計画せられた先ほど百四十万キロと言われましたが、水力百二十五万キロばかりですが、その中の主なる発電所等は、着工するために非常な努力をしまして、殆んど準備態勢はできておる。金の見通しだけつけば、明日にでも着工できるという状態になつてつて、全然着手ができない現況にあると私は承知しておる。従つて小峯次官がお述べにたつた程度では、余りにも時間的にそこにズレがあるように私は考えるのでありますが、そういう点で、先ほどお述べになつたこの貿易収支のバランスをとる安定本部の大構想というものは達成されるとお考えになるかどうか、お伺いしたい。
  36. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 当面の問題は今御指摘のよう形ではなかなか間に合いません。或いは火力で補うとか、或いは降水に期待するとか、或いはロス軽減の問題等は今やらしておりますが、なお今私が申上げただけではなかなかできにくいというお話でありますが、資本蓄積の少い現段階では、残念でありますが、なかなか骨が折れます。併し自家用の電力は、開発銀行の尻を叩くとか、或いは事業用のものは、預金部資金を使うというような形で、何かこれを少し力を入れませんと、御指摘のように動きがとれませんから、この点で折角努力して予算措置等も講じております。
  37. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 電源開発に対する学校で講義を聞いておるようでありますが、そういうことでなくして、もう少し具体的に進めて頂きたいと要望するのですが、更にもう一点伺いたいのは、今のようなお考えでやつてつたのでは、これはなかなか埒があかんと思うのであります。例えば水力ができなければ、石炭でやるとおつしやるのですが、現に石炭は詰つちやつて、明日焚く石炭にも関西では困つておる、そういう状態で、どうして電力が増産できるかどうか、伺いたい。更にもう一つマイナスの面、消極的な増産と申しますか、今のところでは電気が足りなくなると、すぐ電力制限をやり、ひどくなれば緊急停電をやる、こういうものを加えますと、産業の重要度、或いは緊急部面であるとか、不要部面であるということの制限なしに、殆んど一律に制限するわけでありますが、成るほどこの間の制限要網には若干ネオンとか指摘してありますけれども、大きく見れば、ネオンに使われる電力はほんの僅かですから、問題になりません。そこで本当生産を上げて行くためには、やはり不急不要の部面の電力というものは、年間を通じて或る程度の抑制政策を講じて、そうして重要度に応じて電力を流して行くという経済安定政策がとられなければ、今のようなことではうまく行かない。如何に自由経済主義に立脚した運営が行われておるといえども、とにかく足りないということがはつきりした電力、これを最重点に生産にマツチさせて行こうと思えば、これは足りなくなつたときだけ制限する、そうして全部の産業を麻痺させるということでなくて、やはり年間を通じて不急不要のところを抑えて行くという政策をとられなければ、なかなか効果が出ないと思いますが、電源の積極的な開発のほうは、今お話通りなかなか見通し立たんということになれば、消極的、只今申上げましたような使用制限のようなことについて、何か構想をお持ちになつておるか。
  38. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 経済を自由にするからということは、何もかもという意味でないことは、先ほど申上げた通りでありまして、御指摘のような点は、是非これからやつて参るのであります。今折角研究さしております。
  39. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどから電源開発の所要資金の問題が問題になつておるようでありますが、見返資金でそれがどう調達されるのか、どういう計画になつておるかということが、さつきから問題になつておる思うのでありますが、これをもう少し具体的に先ず御説明願いたいと思います。事務当局で結構ですから……。見返資金七百六十五億ですか、その中の私企業投資五百三十五億、それを一体計画としてはどういうふうに配分しようとしておられるのか。更にその計画に基いてどれくらい実際には出資されておるのかという問題、それから見返資金だけでなくて、そのほかの資金の調達をいろいろ考えておると次官はおつしやるが、それを具体的にどういうふうに考えておられるのか。それからそれでは必ず足りないという問題が出て来るから、それに関連して外資導入の問題等もあると思うのですが、それらの問題をどれだけ具体的に問題にしておられるのか。今度或いは全権が行かれるときに、それをどういう話合いにしようとして、資料として持つて行かれたか。その辺を一つ具体的にお述べを願いたいと思います。お座なりの答弁でなくお願いしたいと思います。
  40. 前野直定

    説明員(前野直定君) お答えいたします。最初見返資金の計画について概略お話したいと思いますが、大体二十六年度においては、最初電力関係で百五十億を予定いたしておりました次第でございますが、電力の関係計画から言いまして、大体六百億の資金が要るというような数字が出て参りました関係上、この百五十億の金額を百億追加いたしまして、二十六年度においては二百五十億の金を見返資金のほうから出そうというような計画を立てております。併し追加の百五十億につきましては、まだ正式に司令部のほうの了解は得ておりませんので、これは今後交渉しなければいけない問題として残されておるものであります。それからあとの見返資金の関係の使用方法でありますが、大体従来の財産関係の考え方といたしまして、収支均衡の原則が立てられておりまして、その年度において吸収された資金の限度においてしかその年度においては支出ができないというような考えがございます関係上、二十七年度におきましていわゆるガリオア関係物資が入つて来なくなりますと、それだけ見返資金といたしましては吸収する要素がなくなるわけであります。従つて若し収支均衡の原則が厳密にとられるといたしますれば、見返資金といたしましては、二十七年度において回収します回収金と、それから従来貸付けました利子の収入と、その限度においてしか見返資金は、単独に考えました場合には使う資金がないというような関係になります。併しながら先ほどから政務次官等からも縷々お話がありましたように、電力の関係等におきましては、特に重点的にやらなければいけないという関係から 従来の収支均衡の原則という原則を打破つても、見返資金からこの方面に金を出そうというような考え方をいたしております。具体的な数字といたしましては、端数がありますが、三百九十億程度を予定しております。二十八年度も同じく三百九十億程度の電力関係で予定しております。それで考え方といたしまして電力会社のいわゆる新規開発資金というものは、重点的に見返資金だけから出して行くと、そうして自家用の関係は開発銀行のほうで賄つて行くというような考え方で、この数字は組まれております。でこの数字に対しまして会社のほうの減価償却、或いは増資社債等の調達余力を加えまして、そうして先ほど計画室長からお話いたしました二十九年までの計画の所要電力量が賄い得るというような計算になつております。
  41. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この三百九十億というのは、二十七年見返資金から三百九十、二十八年引続いて三百九十ということですか。
  42. 前野直定

    説明員(前野直定君) はあ。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、今のお話……、さつきは小峯次官はいろいろな金融源を動員してというようなお話でしたが、そうでなくて、株式なり社債以外は全部一本で見返資金で調達をする。自家用だけを開発に若干待つというような方針で進まれるわけですね。その点をもう一回……。
  44. 前野直定

    説明員(前野直定君) はあ、そういう計画を立てております。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 若しそうだとすると、今の株式調達、或いは社債調達等々を入れて考えれば、今さつき佐々木室長が言われた程度の予定の計画はスムースに実行し得るということなんですか。それと資金的にもそれはマッチしているということですか。もう一つ、そうしますと今の計画に関する限りは外資導入の必要は、これ以上の外資導入の必要はないと、従つてその折衝はしていないということになつて来るのですか。
  46. 平井富三郎

    説明員(平井富三郎君) 只今申しました百八十万キロワツトの電力設備計画でございますが、これは現在の電力の消費及び増加の趨勢から見ますれば、やはり百八十万キロワツトのみでは、平常に伸びて参りますと申しますか、或いは現在伸びつつある傾向にある需用というものを賄うにはまだ不足するのではないか、かように考えておるわけであります。ただ国内的な資金措置からすればその辺が限度である。従つてそれで足らん分は外資というような問題が当然起るわけであります。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それならば資金から制約されて今の電源の開発力が出ているのですか……仮にそういう資金の制約を別にして、必要量から言えば、更にどれくらいの電力の開発を追加しなければならんとお考えになつておるのか。従つてそれに必要な所要の資金はどれくらいとお考えになり、その調達について何か積極的にいろいろ手を打つておられるのか、その点をお伺いいたします。
  48. 平井富三郎

    説明員(平井富三郎君) この点は外資の導入にいたしましても、どの程度の外資の導入が可能であるか、これは今後の日本経済全般の規模或いは国際収支、或いは今後借入れましたものの返済、その辺を勘案いたしませんと、どの程度の外資が受入れられるか、或いは例えばアメリカ側として外資を出してくれるかという点も不明確でございますので、今どの程度の外資を希望しておるかということを申上げる段階に立ち至つておりません。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点はもつと総合的な問題として、後ほどお聞きしたいと思つておるところなんですが、ただ問題は成るほど総合的の見通しなり何なりがつかなければそのことポ結論が出ないということはそれでわかるのですが、同時にその総合的な結論を出すためには個別に電力なら電力で幾ら要るのか、少くとも需用としては幾ら要るのだというようなことは、はつきりした数字が出ていなければならないと思うのですが、従つて、需用としてそれが可能かどうかは更に次の問題として、需用として一体どのくらいをお見込みになつておるか、どういう調達をしようとしておられるのか。
  50. 平井富三郎

    説明員(平井富三郎君) これはいろいろな計算がございまして二十九年度なり三十年度なりの適正な電力需用ということを需用面から弾じき出しますことは、なかなかむずかしいと思います。これは又先ほど申上げましたように生産の伸びがどのくらいになるか、或いは貿易規模がどの辺まで伸びるかという問題から変つて参ります。需用面からこの程度の電力が必要である、こういうやつを逆に計算いたしますことは、なかなか困難であろう、只今の需用の面から考えますと、年々一割程度殖えております。産業、私産業全部入れまして一割程度殖えるということを想定いたしますれば、二十九年度或いは三十年度等については少くとも二百五、六十万キロワツトの措置を必要とするというふうに考えます。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 若しそういうふうに電力として需用増があるとすれば、それに照応して資金としてはどれくらい、国内資金で賄うとしてどれくらいの更に追加を必要とされるのか、或はそれが国内的には不可能だとすればドルにどれくらい依存しようとしておるかどうか、その辺の……。
  52. 平井富三郎

    説明員(平井富三郎君) 一キロワツト当り建設費十二、三万円から十五万円くらいであろうと思います。従つて二百五十万キロワツトと百八十万キロワツトの差が七十万キロワツトで、約千億足らずの金が要るのであります。
  53. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとその千億程度のものだとすると、それは国内で調達されるのですか、それともそれに関連して外資問題が出て来るのか、その点はどうですか。
  54. 平井富三郎

    説明員(平井富三郎君) 電力の問題については、いろいろ政府と言わず或いは民間電力会社と言わず、外資の導入を希望しておるわけであります。機会あるごとにアメリカ側に対しても要請しておるのであります。電力について、大規模な開発につきましては外資によるのが適当ではないか、是非外資を入れたいと、かような方針でおります。
  55. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 機会あるごとにいろいろ折衝しておられるというお話ですが、もつと具体的に私はいたしましてこれは次官にお尋ねしたいのですが、今度の講和会議に全権が行かれた、而も経済全権と名を打つて大蔵大臣なり、或いは一万田さんが行かれた、それはそういう問題をどういうふうにお考えになり、どういう準備でいらつしやつたのか、その点を御説明願いたい。
  56. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 全権は講和条約の調印が目的で、大蔵大臣が、日銀の総裁がおいでになりましても特に経済全権という意味ではないと思います。いろいろな集まりなんかでそんな話が出れば或いは非公式に茶飲話くらい出るかも知れないという程度であります。
  57. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでは茶飲話程度でそういう問題は少くとも今度の機会には殆んど具体的な問題は出ないのだというふうに承知しておいていいですか。
  58. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 御質問通りであります。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからこの重要物資生産見通しという安定本部から御提出頂きました資料は御説明があるんですか。もうないんですか。なければちよつとこの中で非常にたくさん列記して頂いて結構でございますけれども、私が伺いたいのは、こういうような重要物資生産する場合には必ず副資材と申しますか、非常に数量が少いけれども、必要不可欠の物資が相当あろうかと思います。これは鉄にもありましようし、或いは硫安にも、カーバイドにもいろいろなものに入つておると思います。そういうような非常に副資材であつて、見込が非常に困難なようなものがこの物資面ごとにどんなものがあるのか。そしてそういうものの入手というものが確実に得られるのかどうか。その点を一つ伺いたいと思います。
  60. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) この見通しに関しましては一応各物資間のバランスをとつて見まして、今おつしやるような板ガラス、化繊にソーダがどれぐらい要つて、そのソーダのためには塩がどのくらい要るのだということを連関させまして一応めどをつけております。副資材で特に重要なものはやはり何と申しましてもアメリカの割当物資等が主だと思いますが、そういうものにつきましてはこちらの一応の主要物資は入手できるという建前でやつております。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは入手できるという一つのアサンプシヨンに立つて計画を立てておられるのか。確実に入手できるという根拠ある見通しの下にやつておられるのか、どちらですか。
  62. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 現在の状況から考えまして、大体可能だという見込でやつております。
  63. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の副資材のうちでアメリカ等から輸入を待たなければどうしても生産資材として入手が困難になり、従つてこの物資生産に渋滞を来たすという主なものはどういうようなものでございますか。
  64. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 主たるものは非鉄関係が一番多いかと思いますが、アルミ関係もあると思います。
  65. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今のその重要物資生産見通しに関連しての質問ですが、先ほど日米経済協力自立経済計画との関係がどうなつているんだというような質問があつたときに、お答えには、その後マーカツト声明以後、日米経済協力というような問題は一歩も進んでいないので、そういう面からの変更はないというお話つたと思う。その面からの変更はないかと思いますが、この重要物資生産見通しを拝見しますと、前の自立経済のこの三カ年計画数字とはかなり違つているんじやないかと思うんですが、一つ一つつておりませんのではつきりしませんが、相当変つておるのではないか。そうだとすれば、その変化はどういうのか。過去の実績見通しの誤りがあつたためにそういうふうな変更を余儀なくされたのか、それとも今後の見通しについて政策上方針に変更があつたため、それに関連してこういう違つた数字を立てなければならなかつたのか。その辺のことを総合的に、更には重要な産業数点についてもう少し御説明を願いたいと思います。
  66. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 自立経済計画の修正の問題ですが、これはあの書類にも謳つてありますように、基本的な計画を謳つてありますのが趣旨でありますから、今日のような政治的な要因が多くてすぐ経済の変動が次々に行われます場合には当然変更があろうかと考えます。そういう意味合いで特に方針を変えたというような問題でなしに、実際上の社会情勢の変化を織込んで多少変化があると考えますが、具体的な問題に関しては事務当局から……。
  67. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の物資生産見通しでございますが、それで大体了承しましたが、ニツケルとモリブデンはどういうことになりますか。
  68. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 先ほど一番入手が困難と思いましたものを申上げましたのですが、その中で一番問題になるのはニツケル、コバルトだと思いますが、これに関しましても一応現在調達しております範囲ぐらいには今後も入手は可能ではなかろうかという見通しでこの計画を立てておる次第であります。
  69. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ニツケルはこれは前国会で問題になつたと思いますが、国内生産状態もありますが、そういうものは当然この二十六年度、二十七年度計画の中に入つておらなければおかしいと思うのですが、その点は如何ですか。
  70. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) それは従来の生産指数をとるために品種がきまつておりまして、大体主要な品種のみを従来通りつておるのでありまして、ニツケル等につきましては別途詳しいものをお手許に配付いたしたいと思います。
  71. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの質問に対するお答えを一つ
  72. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 生産自立経済に関しまして非常に伸びました主たる原因は、海外並びに国内の売行きが昨年以来旺盛になつたという点が一点あると思います。もう一点は、初め自立経済計画を立てました際には、電力を非常に高目に押えておつたのでありますが、予想以上に豊水に恵まれまして電力が伸びました関係生産が伸びた。こういうようなことが主たる原因であります。
  73. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では、安本関係はこの程度にいたしてよろしうございますか。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 過去の実績において予想以上に非常に伸びたという点はるのですが、その実績の伸びをそのまま伸ばして行つたために、二十七年なり、何なりの目標も相当大きくなつたのだという変更ですか。
  75. 佐々木義武

    説明員(佐々木義武君) 特に電力を割合に消費しないで生産の増強が可能なもの、或いは国内原料を主とする産業が自立経済計画に比較いたしまして割合に伸びておるわけであります。
  76. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では、この程度で安本関係かたはよろしうございますか。
  77. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 貿易局長にお尋ねしたいのですが、初め簡単なことからお尋ねしますが、先ほどお話の第三次改訂特需二億六千三百万ドルですが、これには物資だけでサービスが入つていないというお話つたと思いますが、それでよいですか。
  78. 板垣修

    説明員板垣修君) ようございます。
  79. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、第一次改訂、第二次改訂、あれにはサービスは入れてありますか。
  80. 板垣修

    説明員板垣修君) 入れてあります。
  81. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこで同じあれにすると、第一次の改訂、第二次の改訂三億二千二百万ドルというのは、どういうことになりますか。
  82. 板垣修

    説明員板垣修君) 三億二千から……サービスを入れると同じことになります。
  83. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、前は輸入力を見られるときにサービスを入れて、例えば十七億とか、十六億三千六百万ドルというふうに計算しておられるようですが、第三次改訂のときにはそれを除いて十六億ドルと見られたのは、何か理由があるのですか。
  84. 板垣修

    説明員板垣修君) それは国際収支の振合いでサービス関係はインヴイジブルのほうに入れたほうがよいというので……。
  85. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 インヴイジブルの中にはそれは籠めるというように考えればよいのですか。
  86. 板垣修

    説明員板垣修君) そうです。
  87. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それで今のような計画で進めるとすると、国際収支関係は大体において二十六年度は収支は均衡します。この均衡は二十七年度、二十八年度と大体行くというように考えておりますか。
  88. 板垣修

    説明員板垣修君) 品種別にドル、ポンドを全体として見ますれば、大体今後もとんとんで行き得るという見込を立てております。
  89. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、もう一つお聞きしたいのは、昨日でしたか、ダレスが講和会議で話している演説の中で、日本は恐らく今後ドル不足が、二億ドルでしたか、継続するんじやないか、従つて賠償の支払能力がないというような問題を出していたと思うのですが、そのドル不足なるものは、もつと正確に算定をすると、二十六年度はどれくらいとお考えになつているか、更に今後数年の間にはそれがどういうふうになるとお考えになつておりますか。
  90. 板垣修

    説明員板垣修君) まあドル不足の算定のほうは、なかなか計算のやりかたによつてつて参るわけでありますが、一応一番手近かの資料がございます二十六年度だけの統計を見まするというと、大体一億四五千万ドル二十六年度において足りないんじやないかというふうに考えております。今後の見通しにつきましては、まだ二十七年度については、わかりませんが、或いはまあ来年度も今のままで行きますれば、同じ程度の不足になりはせんかと考えておりまするが、それにつきましては今後東南アジアとの結び付きの問題、そういうふうな点がございまして、それからできるだけ今後も貿易政策といたしまして、ドル地域からの買付をポンド地域へ転換する、こういう努力もいたしまするので、このやりかた如何によりましては、この不足を相当程度カバーし得るんじやないかというふうにも考えております。
  91. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一億四五千万程度というお話ですが、昨日ダレスがはつきりと二億と言つていたと思うのです。
  92. 板垣修

    説明員板垣修君) それはドツジ氏でございますか、ダレス氏ですか。
  93. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ダレス氏です。昨日のサンフランシスコの演説で。従つて、そこはもう世界的にそういうふうに言つているんだから、ダレスが言つたとすれば、必ずそれは訳のわからん資料をとつたのでなしに、日本からの資料を少くとも主要な基礎にして言つているんじやないか。そこで問題は、外国で我々がそれを知らされるのじやなくて、少くとも国会なり何なり、こういうところを通じて、もう少しそういう問題は一つ正確にお示しを願いたい、こう思うのですが……。
  94. 板垣修

    説明員板垣修君) まあダレス氏の二億ドルというのは、私ども全然わかりませんし、根拠も想像しにくいのでございますが、一応現在のところ一億四五千万ドルというところは、正式に申上げていい数字じやないかと思つております。
  95. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしたら政務次官にお尋ねしますが、日本はそういう資料は持つてつてないのですか。
  96. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) 資料を持つてつてないと思います。なお二億ドルというのはラウゾド・ナンバーでおつしやつたので、二億内外ということじやないかと思います。
  97. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それが将来のまあ賠償支払の問題等々の関連がありまして、政治的な配慮がなされておるのならばそれでもいいし、その辺の事情をもうう少しフランクにお話なつたらどうかという希望なんです。
  98. 小峯柳多

    説明員小峯柳多君) ダレス氏の心中付度する由もないのでありますが、今事務当局が答えた通り、私どもは努力の仕方、或いは経済の動き等によつて多少動くが、一応一億五千万ドルというものを考えているわけであります。
  99. 小野義夫

    ○小野義夫君 関連して……。あれはどうなつておるでしよう、外債の問題には外債の利子を払うとか、まあ全部を払うとか何とかいうことはなかなかでしようが……。
  100. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 小野さんに申上げますが、只今大蔵省事務次官並びに大蔵省の理財局総務課長が来ておられますから……。
  101. 板垣修

    説明員板垣修君) 今のことだけお答え申上げます。今の計算には外債支払とかそういうものは一切含んでおりません。二十六年度でございます。
  102. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この程度にお願いします。  では安本関係の御質問はこれで打切りまして次に大蔵関係の御質問に移りたいと思います。大蔵省は事務次官の舟山君、ほかに総務課長が来ております。  国際通貨基金と国際復興開発銀行に加入する問題につきまして、舟山大蔵次官より説明をお願いいたします。御承知通り、このブレトンウツズ協定に加入する問題は、久しき懸案でございますが、その実現も相当近いものと考えられますので、政府当局の見通し、並びに加入によつて生ずる貿易や国内産業との影響などに関し簡潔なる御説明を願いたいと思います。
  103. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 国際通貨基金に日本が入りたいという希望は、昨年大蔵大臣が渡米いたしました頃からアメリカ関係筋には表明しておつたわけでございますが、今年九月になりましてから、極く最近正式の加入申込を提案したような次第であります。なお国際通貨基金におきましては、この九月十日からこの年次総会を開くのでありますが、これには日本はまだ未加入ではありますけれども、将来の加入見込国として、オブザーバーを列席せしめてもよろしいということになりまして、関係官が列席する予定になつておるのであります。加入の許可承認につきましては、各国の例を見まするというと、申込から一年くらいかかつておるのもあるようでありますが、日本の場合には当方の希望もあり、又早くからこの希望も表明しでおりましたので、基金当局でも極力必要な調査その他を急いでくれるのではないかという期待を持つておるわけでございます。この申込といたしましては、基金の側におきまして、日本の為替レートの検討とか、或いは為替管理機構に関する調査とか、いろいろ必要な調査項目があるわけでございます。このうち極く普通の材料につきましては、すでに我が国から提出してあるような関係もございますので、苦しこの問題を本気に取上げてもらえるならば、加入の承認は比較的早いものと考えておる次第でございます。加入後の我が国貿易経済に及ぼします影響と申しますものは、具体的に計数的に見込を立てることは非常に困難でありますが、国際の通貨機構に加入したという気持で、我が国の国際経済関係における地位の向上という形の上の問題、それからなおこの基金の狙つておりますところの為替関係を正常の状態に置いて、多角決済を認めて行くという趣旨からいたしまして、我が国の貿易上にも裨益するところ少からざるものがあろうと考えておる次第でございます。
  104. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 何か只今申上げました国際通貨基金と国際復興開発銀行、その他の問題に対しまして大蔵当局に御質問願いたいと思います。
  105. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは日本が入つて行く場合には、どれくらい出すということになるのですか。
  106. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 通貨基金でございますが、これは各国に対して割当額というものがきまつております。そこで割当額のうち、幾らくらいを払込まなければならないかということにつきましては、詳細複雑な規定があるのでありますが、大体そのうち金で払込む分につきましては割当額の二五%か、又は我が国の持つております金及び米ドルの額の一〇%かのうちの低いほうを金で払込むということになつているのでございます。そこで我が国の場合に、どのくらい割当額があるのだろうかということにつきましては、まだ正式に示されたのではございませんが、いろいろの算式から推測いたしますと、三億ドル乃至三億五千万ドル辺ではなかろうかと思われるのでございます。そこで三億五千万ドルといたしますと、その二五%は八千七百五十万ドルでございます。併し我が国の場合では先ほど申しました金及び米ドル保有高でした計算方法をとるほうが低いのでございまして、本年六月三十日現在で金及び米ドルは四億六千四百万ドルつておりますから、その一〇%は四千六百四十万ドルとなりまして、この四千六百四十万ドルというものを円に換算いたしますと、約百六十七億ということに相成るのでございます。併し、これは一応きまつております算式によつて算出した場合でありまして、最近の各国の実例を見まするというと、新規に加入した場合には、委員会の決議で大体割当額の何%を金で払込むべしという決定のされる例が多いのであります。そこで最終的には幾らの金を払込むようになりますかは、はつきりした見通しがつかないような状況であります。なおこの金で払込むというのは、加入の署名前に払込まなければならないということになつておるのであります。それから割当額のうちの残余の分につきましては、自国通貨で払込むのでありますが、三億五千万ドルのうち只今申しました金で払込む額を控除したものを、邦貨で換算して邦貨で払込むといたしますと、約千億からの金額になるわけでございます。
  107. 境野清雄

    ○境野清雄君 この払込の基準はどういうものを基準にして払込の額をきめるのでございますか。
  108. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) これは各国の国民所得の数字とか、平均輸入額の数字とかいろいろな算式を用うるのでございますが、これは総務課長から御説明申し上げます。
  109. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今のは割当額の問題でございますか。
  110. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) そうでございます。
  111. 宮川新一郎

    説明員(宮川新一郎君) 基金の協定の規定によりますれば、現加盟国につきまして定められました割当額の計算方法といたしまして非常に複雑なんでございますが、一口に申上げますと、一九四〇年の国民所得並びに一九三四年から三十八年に至るまでの間の平均輸入額並びに同期間におきましての最高輸出年額、最低輸入年額との差額、並びに一九四〇年における金及びドルの保有額の数字基礎といたしまして、或るきまりました算定方法、それによつて定められた額が一応割当額の基準になるわけでございます。若し御質問があればなお詳細にその辺の算出方法を御説明申上げてもいいのですが、非常にややこしい計算方法になつておりますので一応省略さして頂きまして、それで日本の場合に当てはめまして計算いたしますと二億九千百万ドルということになると思います。ところが各国の実例を見て参りますと、例えばカナダの場合、今のような計算方法をいたしまして出ました結果が二億六千五百九十万ドルであつたのでありますが、割当額が三億ドルになつております。トルコの場合、三千九百八十万ドルと出ました結果、割当額が四千三百万ドルになり、又フランスのごときは四億九千三百万ドルという結果に対しまして実際の割当額は五億二千五百万ドルとなつておりまして出ました数字基礎としてその上下においてまるい数字で割当額がきめられているような現状であります。なお中華民国の割当が五億五千万ドル、フランスは五億二千五百万ドル、インドが四億ドル、オーストリーが二億ドル、こういうようなところから大体達観いたしまして、日本の場合におきまして計算表について計算した結果二億ドルとなるとすれば、恐らく三億ドルから三億五千万ドルになるのじやないかと規定いたしている次第であります。
  112. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 払込の問題でありますが、金及び米ドルの保有に関連するのでありますが、六月末の四億六千万ドルというのは、そのうち金は幾らですか。
  113. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 金は一億四千万ドルであります。ドルが三億二千四百万ドルであります。
  114. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、これは加入のときの保有になるわけですか。払込額をきめるときには……。
  115. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) そうでございます。
  116. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、今の予定は加入の時期はいつ頃とお考えになつているのか。それから加入の時期には保有額は若干変るお見通しなのか、そのままなのか、その辺はどうですか。
  117. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 加入の時期につきましては先ほど申上げましたように、まあ早くて二、三カ月、或いはそれ以上の調査期間が要り、その上で承認されると思つております。それでありまするから、金より米ドル保有高による払込額の算定も一応六月末で試算して見た程度と御了承願いたいと思います。
  118. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それまでに二、三カ月かかるとすると実際はいつ頃になるお見通しですか。
  119. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 加入が実際いつ頃認められるかということにつきましては、基金のほうの都合による点が多々あると思いまして現在からは予測困難であります。併し非常に遅れているというような例もありますが、日本の場合でも加入を認めていいという空気が相当熟していると認められるのでありますから、基金のほうでも極力手続は促進してくれるのではないかと思うのでございまして、この間二、三カ月と申しましたのもただこちらの憶測に過ぎない、正確なことはわからない次第であります。
  120. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから資料を若干提出したというお話ですが、それはさつきお話しになつた割当額を算定する基準になるような資料なんですか、それとももつと最近の緊切したいろいろな状態の、日本経済の過去の実績と将来の見通しというようなものに関する資料なんですか、その辺はどうですか。
  121. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) これは先ほども一言いたしましたごとく、基金が我が国の加入を認めるにつきましては、我が国の為替レートが永続し、或いは為替管理機構が妥当であるかどうか、その他これを判定いたします材料としては輸出入の状況はどうであるか、経済状況はどうであるかというような詳細な調査があるわけであります。そこでそれは大体十五項目ぐらいの項目に分けて提出資料がきまつているわけでありますが、その大部分につきまして我が国はすでに提出済であるということでございます。
  122. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その資料は配分願えますか。
  123. 宮川新一郎

    説明員(宮川新一郎君) 只今手許にございませんが、入りますれば配付いたします。
  124. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 余り尨大なものでなくてもいいですから、概要的なものをできれば配付願いたいと思います。
  125. 宮川新一郎

    説明員(宮川新一郎君) 相当尨大なものになりますので、抜萃いたしまして後刻配付いたします。
  126. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから加入してから後の日本経済に与える影響なんでありまするが、非常に簡単な御説明でよくわからんのですが、第一その加入した後において、通貨基金に加入したら短期のクレヂツト、短期の外資が借りられるのかどうか。借りられるとすればどれくらいが可能なのか。或いはどれくらいを必要とお考えになるか。更に開発銀行からはそういう問題がどういうふうになるのか。それに対してどれくらいの希望なり何なりをお持ちになつておるか、その辺を少し詳しくお話し願いたいと思います。
  127. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 国際通貨基金に加入いたしますと、その基金の中にあります外国の通貨を買却の形で或る他の国に利用を求めることになるのであります。これによつて貿易の幅というものが殖えて行く。この各国間の多角決済も従つて可能になるという仕組でございまして、差当つて基金に加入いたしましても、我が国として基金から外貨を借入れるかということにつきましては、只今のところまだ計数的に計画を立てておらないのであります。従つてそれに附随いたします影響ということは、只今ちよつと御説明ができないのであります。
  128. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは開発銀行に対してもそうですか。
  129. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 開発銀行の点につきましては、先ほどから御説明を省略いたしておるのでありますが、これは国際通貨基金に加入いたしますと同時に開発銀行にも、いわば株主となるのでございまして、これは開発銀行のほうはもう御承知通りでありますが、各国に対して投資をする関係になつております。これにつきましても我が国としてどれだけの要請をするかというようなことはまだ計画はできておりません。
  130. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに御質問ありませんか。
  131. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうするとちよつと伺いますけれども、今度国際通貨基金協定に入つて基金を払込むというと、今差当りのところでは日本の信用を高めるという……実際そうなると思いますが、そういうこと以外には具体的な利用価値というようなものはちよつと今はつきりしないわけですね。
  132. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 基金に加入いたしますと、我が国として必要な場合には外貨を借受け得る、それによつて貿易上の支障を除却し得る。勿論それには限度がございますが、そういうような安心感ができまして、貿易進展上、裨益するところが多々ある。この形とか信用の上だけにはとどまらないと考えます。
  133. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうすると借入の限度は、払込の限度とどういう関係の比率になるでしよう。
  134. 宮川新一郎

    説明員(宮川新一郎君) 通貨基金のほうは割当額の二倍を最高限度といたしております。なお先ほど次官から御説明いたしましたように、出資額の中には金による部分と自国通貨による部分がありますが、その自国通貨による部分が全体の割当額の七五%を超えた場合には、年々における基金の貸付額は割当額の二五%以内ということになつております。それでもう少し御理解をしやすくしますためにも例を引いて申しますと、仮に三億ということに割当がきまりますと、最高限六億ドルまで日本が通貨基金から自国貨を対価としてドルならドルを借りる。こういうことになるのですが、三億のうち七五%でありますところの二億四千万ドルに相当する分を自国通貨で払い込んでしまつた場合には、それ以上になつた場合には年々三億ドルの二十五%でございますから七千五百万ドルしか借りられない、こういうことになるわけであります。それで銀行のほうはそういう制限はございません。ただ銀行のほうは貸付財源が現在のところそう余力がございませんので、直ちに多額のものを借りられることができない銀行は、財源を補充いたしまして財源を作らねば貸付けする余力は現在乏しい、こういうような現状になつております。
  135. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 日本はオブザーバーを出すと、さつきお話でしたが、それには在外事務所長なり或いは財務官が出るのでしようが、日本から行つている全権は、大蔵大臣なり日銀総裁はこれには出ないのですか。
  136. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 単にオブザーバーとして会議の中に、限られたものに列席するだけでございますから、大臣等が出ることは考えておりません。
  137. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから加入がきまるのは、これはやはり年次総会でなければきまらないのですか。その他のあれで決定しますか。
  138. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 総会できめるのでありますが、年次総会でなく、臨時総会でも考えられるわけなのです。
  139. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 まあ年次総会、第六次ですか、この次の年次総会前に……今度の第七次の年次総会がそれをきめるのでしようか、その前の理事会とか何か臨時総会というようなものできめるのですか。その辺どうなんですか。
  140. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 急ぎませんと次の総会まで待たされる例もあるようでありますが、急ぎます場合には、例えば電信による表決というようなことも認められると了承しております。
  141. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの四億六千四百万ドルの中の金一億四千万ドルですね、これはどこで持つておりますか。
  142. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 金資金特別会計で持つております。
  143. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 国内で持つておりますか。
  144. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) そうであります。
  145. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとそれは賠償との関連において何か要求が出ておるとか、そういう問題はなしに、完全にこれはずつと保有しておれる性質のものなのですか。
  146. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 賠償の問題は将来起ると思いますが、これは何も金で支払わなければならんときまるわけではないと思いますので、この保有金とは一応関係なく考えてよろしいと思ます。
  147. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の問題とは別の問題でありますが、先ほど経済安定本部からいろいろ、電源開発の問題で計画方針を聞いておつたのでありますが、安定本部のお話によりますると、いわゆる電気事業用の電源開発資金としましては、見返資金を二十六年度には二百五十億、二十七年度、二十八年度年度ごとに三百九十億円を支出したい、こういうことをおつしやつたわけですが、そういう御連絡が大蔵省にありますか。或いは大蔵省としてこの問題をどういう工合にお考えになつておりますか。
  148. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) この関係事務担当者の間で連絡があつたかも存じませんが、大蔵省としてまだその問題は取扱つておりません。
  149. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 更に自家用の発電所をまあ二十九年度までに四十万キロばかり開発する計画があるわけで、これにつきましては開発銀行から資金供給をしたい、こういうやはりお話があつたのでありますが、開発銀行のほうからどの程度の資金供給をするような御許画でありましようか。
  150. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 来年度からは見返資金が回収金、繰越金を除きまして、新規繰入れということはなくなるのであります。今後は電源開発資金のごときは如何に調達したらよいか、実は重大な研究問題であるわけであります。それでまあ今後そういつた種類の金融を担当します者としましては開初銀行があるわけでありますが、幾ら開発銀行から出さすか、まあそのほかの方法をとるかというようなことについてはまだ研究の途上でございまして、申上げる段階に立至つておりません。
  151. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど実は安定本部としての輸出入のバランスをとつて行く、まあ日本経済力を高めて行くという観点から、相当計数的な説明を伺つたわけであります。で、我々はそれをやりまするのには、先ず真つ先に重点主義で以て鉄鋼、造船、電力でありまして、わけても電力をやらなくちやだめじやないかという、まあいろいろ意見を交しました結果、安定本部としては数字的にそういうことを申されたわけであります。従つてこれをもう年内にでも方針をきめて実行に移されなければ、開発計画はだんだん遅れてしまつて、結局政府計画はペーパー・プランになるというような虞れが多いと思うのでありますが、大蔵省はこれを緊急に解決して方針を決定される用意がありますかどうか。
  152. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 開発銀行かの融資といたしましても、例えば開発銀行に対する一般会計からの支出をどうするかといつたような問題に関連いたすのでありまして、この来年度予算とも関連してまだ研究中でございます。電力の問題につきましてその重要性を認めておることについては申すまでもないのであります。
  153. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、先ほど非常に重要な点に触れられたのでありますが、見返資金がまあ二十六年度で大体打切りになる。従つて二十七年度からは既往の貸付金の回収分とその利息ですね、その程度を資金供給源にするより途はない。併しそういうことでは電源開発というものは進まない。従つてこの原則を破つてでも二十七年度、二十八年度には三百九十億程度の融資をしなければいけない。そういうつもりでおるということをおつしやつておるのですが、そういう点について、そこまで積極的に電源開発が重要であることを認めておるとおつしやるのですが、その程度までやつても、やはり電源開発をしなければならないと、こういうふうにお考えになるのですか。
  154. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 来年度以降の資金計画につきましては、まだ関係各省の間で一致した結論を見ておりません。従つてどのくらい出すかというような問題は、まだ只今のところ大蔵省として申上げる段階に立至つておりません。
  155. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では大蔵省関係はこれを以ちまして……。
  156. 島清

    ○島清君 いや、ちよつと一点だけ、これは只今の大蔵省の当局の御出席に相成りました問題とは直接の関係ないのでございますが、講和条約の締結後、日本経済情勢の変化によりまして、当然に為替レートの改訂というものが日程に上つて来るのではないかという説を時々耳にするのでございますが、そういつたような問題に対する将来の見通しについて何か承われたら大変仕合せだと思います。
  157. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 為替レートにつきましては、現在の三百六十円のレートを変えることは全然考えておりません。現行のレートの下に国内物価を引下げまして、十分輸出に対抗し得るようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
  158. 島清

    ○島清君 全然予想もしてないと、こういうわけでございますか。
  159. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 全然予想もしておりません。
  160. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一点だけ伺います。さつきの見返資金の電源開発向けですが、これはさつき二百五十億のうちの百五十億はすでにきまつておるが、あとの百億はまだきまらない。大蔵省では、次官その他のところまで相談さえ来ていないというお話なんですが、電源開発ということは非常に資金を必要としているし、問題は殆んどないと思うのですが、すでに安本ではそういうふうにおきめになつているのに、それをまだお取上げになつていないのは何か特別な理由があるのでしようか。或いはそういうものに対してはどういうふうに対処しようとお考えになつているのですか。その点を一つお聞かせ願いたい。
  161. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 大蔵省の省議として決定するまでに至つておらんということを申上げたのでありまして或いは関係局課に御連絡があつたかどうか、私只今承知いたさない。
  162. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 非常に緊急を要する問題だし、問題の緊急性なり重要性をお考えになればですね、もう少し積極的にそういう問題を早く取上げて解決をし、決定さるべき問題だと思うのですが、なぜそんなにぐずぐずしておられるか。
  163. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 故意に遅らしておることは少しもございません。
  164. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では今の問題も大蔵事務次官によくお願いいたしまして積極的にお願いいたします。これを以ちまして大蔵関係のことは……。
  165. 古池信三

    ○古池信三君 丁度大蔵次官がお見えになつておるから一点だけお聞きしたいことがあるのですが、実は中小企業金融の問題に関しまして一点お伺いしたいのですが、大蔵省のお監督になつておりまする国民金融公庫ですね、あれの今後の資金をどういうふうに考えておられるか、増加しようというようなおつもりがあるのか、更に又貸出の方針について今後何か変つたことをお考えになつておるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  166. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 国民金融公庫につきましては補正予算を以て若干の増資をいたすことを計画いたしまして予算案に盛込んでございます。この補正予算案につきましては、まだ閣議の全面的な決定があつたわけでございませんが、そういう心組で進んで参つております。まあ国民金融公庫の貸付金額を増加するかというようなことにつきましては只今検討中でございます。
  167. 古池信三

    ○古池信三君 もり一度重ねてお伺いしますが、国民金融公庫のあり方といいますか、その使命につきまして、従来通りの行き方で行かれますのか、或いは今後又別のような、別途の方向を考えておられますのか、その点を一つお伺いしたいと思います。それから更に同じく極く小さな事業を対象としておりまする金融機関である商工中央金庫であるとか或いは農林中央金庫であるとか、こういう金庫との間の関係をどんなふうに考えておられますか、その点をお伺いいたします。
  168. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 御指摘になりました各種金庫との関係もございますので、国民金融公庫のあり方については只今研究中でございます。いずれ臨時国会のときまでには成案を得ることと考えております。
  169. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではこれを以ちまして大蔵関係のほうは終ります。
  170. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちよつと……。今お考えになつておる中小金融の問題は、先国会に参議院においては決議を以て政府のほうへ要請をしてありますが、あの精神は十分に具体化の場合には尊重される御用意がありますか。
  171. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 精神は勿論十分尊重します。   —————————————
  172. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではこれを以ちまして大蔵関係を閉じまして、通産関係に移りたいと思います。  講和後の通商産業政策に関しまして通産当局の御説明を伺います。丁度大臣が御出張でございますから、政務次官に全般的な御説明を願います。  申上げるまでもなく講和を迎えまして、逆産行政は具体的に新たな展開を示すわけでありますが、総体論として説明して頂くうちに、特に明年度予算、追加予算、行政機構改革の見通し、企業合理化運動も取上げてもらいたいと思います。それから貿易政策にも触れて頂きますが、特に八月末に締結を見ました日英支払協定に関する件もお話を願いたいと思います。
  173. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 待望の講和条約がいよいよ数日中に決定いたしまして、六年振りに我が国が国際社会の一員に復帰するということに相成りましたことは誠に慶祝に堪えないのでありまするが、併しながら仮に講和条約が成立いたしまして我が国が独立いたしましても、結局経済の充実がなければ真の独立国としては行き得ないと考えておるのであります。かような意味合いにおきまして通産省といたしましては講和条約成立を機会といたしまして、いよいよもろもろの施策を強力に推進いたしまして、以て経済の自立を一日も早く完成いたしたいと、かような熱意を持つておるのであります。  つきましてはこの経済の自立は、やはり何と言いましても輸出の振興でたければなりません。併し輸出の振興はその前提といたしまして、先ほど小野委員が御指摘なされたように生産第一主義である。更に又徹底した合理化の促進であると我々は考えております。然るに現在の日本経済の実相を見ました場合に、この生産第一主義が果して円滑に行くかどうか、その前提になりまするところの電力、この面を考えた場合に、極めて憂慮すべき状態にあるのであります。この生産第一主義を貫徹いたしまするためには、その前提として電力並びに石炭の確保が絶対的条件でありますることは申上げるまでもありません。石炭につきましては、昨年の生産量が大体三千九百五十万トン程度であつたのでありまするが、今年は大よそ昨年朝鮮事変勃発以来の経済の推移から考えまして、四千四百万トン程度で需要にマツチするであろうという構想の下に、それを必要とするところの施策を進めて参つたのであります。然るに最近になりまして御承知通り電力の値上に関連いたして、どうしても石炭の需要量が我々の推定数量よりも遙かに多量な量を必要とするということに相成りまして、大体六百三十万トンの石炭を確保しなければならん。而もこれは電力を確保いたしまするために絶対的条件でありますので、勢い当初の生産目標である四千四百万トンから百万トンを追加いたしまして四千五百万トンを本年度の石炭の生産目標に変更いたしたのであります。かように時に多量の生産を上げますることは、どうしても政府といたしましてその増産確保に対する施策を強力に進めなければ相成りませんので、先般閣議におきまして輸送の確保、資材特に坑木の確保並びに労力の確保、金融の斡旋、かような主なる対象を取上げまして閣議決定を見たのであります。その後の生産状態を眺めますると、おおむねこの計画にマツチするような生産を上げておりまするのと、特に今月以降は増産期に相成りまする関係上、大体明年三月までには所定の目標を達成するであろうというふうに考えております。然るに一方電力のほうは御承知のごとく只今豊水期でありまするにもかかわらず極めて窮迫した状態にある。このまま推移をいたし、而も二カ月後に迫つた渇水期の場合を考えますると、誠に憂慮しなければならん状態でありまするので、一昨日公益事業委員会の幹部と通産省の幹部と会合いたしまして、これが対策につきましていろいろ検討いたしたのであります。そこでこの電力確保の対策も緊急対策と恒久対策の二つに区別いたしまして、緊急対策といたしましては、各電力会社の電力確保の方法におおむね欠陥があるやに見受けまするので、これを急速に是正いたしますると共に、更に通産省といたしましても必要の石炭を飽くまでも確保いたしまするために強力な行政措置を講じ、更にそれにても確保できないというような状態に立ち至りました場合には、法的根拠によつて更に強度の確保を推進いたす、そこまでの実は決意を固めておるのであります。併しながら一方におきましてそれだけではまだ十分でありませんので、重油によるところの代替、これらも今日までの状態を眺めますると、ともすれば電力会社が熱意を持つていない。これは御承知のごとく経済的に余り希望せんかとも考えまするが、今日のこの非常事態を考えた場合、さような安易な考え方にあるものをむざむざ放任するわけには参りませんので、この際強力に重油の代替を推進するということも強く申出いたしたのであります。更に又できるならば各電力会社が、それぞれの適当な石炭の山に投資なり或いはこれを買収するなりして、そうして今後石炭確保に万遺憾なき方法を講じてもらいたい。更に又各自家発に対しましてそれぞれこれが増強を推進いたすような方法をとつて頂きますると共に、通産省といたしましては炭鉱の自家発に対しまして相当余裕があるかのように見受けておりまするので、この面をできる限り発電力を強化いたしまして、むしろその強化した分を他の方面の補充に充てる。そうしてそれによるところの損失に対しましてはできるならば補償までいたしたいというところまで考えて、現在それに対する施策を進めておるのであります。恒久策に対しましては先ほど来安本並びに大蔵省等々からいろいろ対策について内容の御説明がありましたから省略いたしまするが、併し生産官庁でありまする通産省といたしましては、どうしても経済自立を達成いたしまするためには電力の開発、電力の確保を国策の最優先すべきものである。従つて外資その他のことをいろいろ巷間伝えられておりまするけれども、現在のような世界政治情勢の緊迫から見まして、かような外資というものが急速に実現するかどうか、甚だ疑問を持つておるのでありまして、かようなはつきりしない外資に頼つて荏苒日を暮すというような愚策はやめて、この際如何なる方法を以ても電力の確保を前提に、最優先的政策として取上げたい、これを通産省の方針といたしまして、政府内部並びに党の本部にそれぞれ申入れいたしておるのであります。如何にもしてこの際対策を一日も急速に実現いたしまして、そうしてあらゆる生産態勢が電力のネツクによつて目的を達し得ないという、この遺憾な状態を脱却いたしたいという強い信念に燃えておるのであります。これがためには今後本委員会に対しましてもいろいろ御指導と御援助を仰がなければならんというふうに考えておる次第であります。  更に貿易促進でありまするが、先ほど申上げましたごとく、経済の自立は貿易促進以外にはありません。そうしてこの貿易促進に対しましては、先刻委員長からも御発言がありましたが、先般日英支払協定が新たに締結されまして、この面ではスターリング地域に対するところの輸出は今後相当促進するであろうという期待を持つておりまするが、一方におきましてこれがためにドルの不足を来すのではなかろうかというような危惧を持つておりまするので、それにはそれに対するところの対策も考えて行かなければできにくいから又きめる。講和条約ができますればこれを動機といたしまして各国との間に新しい貿易協定を締結いたさなければ相成らんことになつておるのでありますが、それぞれの新しい協定に対しましてはこの貿易促進日本貿易促進という点に重点を置きまして、できる限りこの目的を達成するような条約を締結いたしたい。かように考えてそれぞれ事務局におきましては準備いたしておりまするが、日英支払協定の内容等につきましては、担当の事務局から後刻詳細に御報告を申上げたいと存じております。  更に先ほど小野委員の言われましたごとく生産第一主義でありまするが、これも無論生産第一主義でなければなりませんけれども、併し生産は相手あつて生産でありまして、相手のないのに徒に何でもかんでも生産するということはこれまた無駄なことであります。そこで通産省といたしましては、成るべく需要の多いもの、これらを重点的に取上げまして、そうしてこの際これらのものを対象として増産をいたしたい。そしてそれは昨日の本委員会において問題になりました肥料の増産でありまして、これは農林省のほうでは肥料需給調整法案というものを御構想なさつておりまするけれども、併しながら現在の自由経済で人為操作をやることが適当であるかどうか。又やつた結果がうまく行くかどうかという点になりますると、我々は甚だしく疑問を持つておるのでありまして、結局生産を増強いたしますることが、何もかにも、いろいろの問題を解決する一番効果的な対策であり、同時に又これによつてできる限り輸出促進いたしまして外貨を獲得する。これが先決問題であるというような考え方から、この際肥料の増産を第一に取上げたい。もう一つはアルミニウムの増産であるけれども、これ又肥料と同様に取上げたい。これは御承知のごとく日米経済協力の線からも相当今後需要が増大するであろうことが想像されまするし、又現実にそういう気配もいたしておりまするので、今後アルミニウムの生産には格段の努力をいたしたいというふうに考えておるのであります。  更に又プラント輸出でありまするが、先ほどこれも小野委員からプラント輸出が行き詰つており、輸出銀行は開店休業の姿になつているという御意見でありまして、成るほど出発当初から考えますると、いささか現在は中だるみの状態になつておりますけれども、これは御承知通り鉄鋼資材が非常に昨年から暴騰したことと、これがこのプラント輸出を阻害している一番大きな原因であります。そこで先般来この鉄鋼資材価格に対しまして、特にプラント輸出に必要とする資材は格段の価格で提供してもらいたいということを主なる鉄鋼業者に折衝いたしているのであります。大体了解を得ておりまするから、今後は或る程度安い価格資材が入手できるであろう。もう一つはプラント輸出を阻害しておりました原因は、いわゆるこの長期の貸付でありまする関係上、果してこれの回収ができるかどうかという点にありましたので、今回輸出信用保険の内容を拡大いたしまして、このプラント輸出を、長期の回収が十分に保険できるような制度を作りたい。これは来るべき臨時国会にこの法案を提出いたしたいというふうに考えているのであります。更に又プラント輸出促進のためにはどうしても現地にそれぞれのミツシヨンその他を派遣いたしまして、そうして親しく現地の首脳部或いは業者と折衝いたしまして、又先方からミツシヨンを迎えて、日本国内の各工場を詳細に向うに観覧させまして、そうして日本の工業力の実態或いはその技術の実態等々を詳細向うに認識させることも又プラント輸出の大きな効果的対策であるというふうに考えまして、先般来東南アジアに必要とするところのミツシヨンを派遣いたしているのであります。同時に又先方からもできる限りミツシヨンを迎えたい、幸いに講和条約も成立いたしまするので、この機会にこれらの施策を強く推し進めて参りたいというふうに考えておるのであります。又先ほど申しましたごとく輸出の振興は生産第一主義であると同時に、又徹底した企業の合理化であるということを申上げたのでありまするが、この合理化のためには要するに設備の更新或いは技術の導入、或いは又金融面の斡旋等々、この企業の合理化に必要とするところの施策を推進することにいたしておりまするが、設備の更新は実は前国会にこれを御提案申上げまして、御協賛を得たいといろいろ準備いたしたのでありまするが、どうしてもいろいろの関係、特に一般財政的な関係から提案が不可能であつたのでありまするが、近い機会にこれをどうしても国会に提出いたしまして御協賛を得たいというふうに考えておる次第であります。そこで大体この講和後の新らしい対策でありまするが、概略を申し述べまして、詳細はそれぞれ事務局の担当官から御説明いたすことにいたしまして、次に補正予算の問題につきまして御説明いたしたいと存ずるのであります。  補正予算は先ほど大蔵省政務次官が申されたごとく、まだ最終的な決定をいたしておりません。併し現在折衝の過程にありまするが、その間通産省関係といたしまして折衝を続けておりまする主なものは、貿易特別会計の残務処理で四億九千六百三十三万七千円、これはビーコフ関係、或いは朝鮮向け食糧、及び輸入諸掛りの未払分に対する見合いの経費であります。その次は輸出の信用保険制度の拡充、先ほど申上げましたごとくプラント輸出に対する保険をやりたい。又その他今日までの信用保険では、輸出の振興上まだまだ非常に範囲が狭い気持がいたしまするので、今後はメーカーまでこれを拡大いたし、例えば不需要期にある場合に、生産者に対しましても需要期まではそれに対しては保険をつける、貸付をする、金融をするといういろいろの範囲を拡大した保険法を次の国会に提案いたしたい。そうしてこれがためにどうしても五十億の基金を必要といたしますので、いろいろ折衝いたしたのでございますが、取りあえず現在の段階では次の臨時国会で十億だけは話合いができておるのでありまして、あとは次の通常国会に持越すというところに現在行つております。併しながらこの臨時国会で十億の財源が獲得できますれば、現在の基金十億と合せまして二十億になりますので、明年度年度末までには十分に新らしい法案を実施いたしましても、遺憾のない対策ができるというふうに確信いたしておるのであります。  更に商工組合中央金庫への出資といたしまして、現在二十億を要求いたしております。先ほど古池委員から国民金融金庫に対する大蔵省の出資並びに考え方に対する御質問がありましたが、現在大蔵省と通産省との間に若干の意見の食い違いがあります。そこで大蔵省の主張する国民金融金庫は政府機関である。財政資金を支出するのは飽くまでもそれは政府機関でなければならんという建前を堅持いたしまして、その方面に二十億を支出いたす。更に又見返り資金等から三十億を支出いたしたいという実は御意向を持つておるかのように聞いておるのであります。そこで我々通産省といたしましては、国民金融金庫の性格は、いわゆる零細企業或いは又海外引揚者の生業資金等々を対象として、一種の社会的施策としての性格を持つておるのが国民金融金庫であるという、片方の商工中金は少くとも中小企業を対象とした專門的金融機関でございまして、その金融を必要とする度合から考えても、若し国民金融金庫のほうに二十億を出すならば、商工中金に対しましてはその倍或いはその何倍かを支出すべきが当然ではないか。更に又この国民金融金庫の現在の機構を、大蔵省の説明を聞きますと、新らしく中小企業の制度を作るということでありまするが、それならば一層国民金融金庫に偏することの不合理を痛感するのでありまして、どうしてもこの商工中金に国民金融金庫よりも遙かに多額の国家資金を導入してもらいたいということを現在折衝いたしておるのでありまして、若しこれがどうしても最終的に不可能であるといたしますならば、運用部資金から百億前後をこの商工中金のほうに融通してもらいたい、これを強く現在要望いたしておるのであります。  もう一つは自転車競技法の施行法を自転車産業の振興という面から、政府の競輪によつて生じた国庫納金の中からこの際一億円を限りまして商工中金、或いは自転車産業のメーカーが取引しておりまする主なる銀行にこれを十カ年間貸付けまして、そうしてそれによつてそれぞれの銀行から業者に貸付けるという制度をとることにいたしておるのでありまして、昨年の国会で二億五千万円の御協賛を得まして、本年春から七つの銀行に分けましてそれぞれ貸付けをいたしておるのであります。これが非常に有効に使用されておりますので、殊に現在この自転車業界は不況に直面いたし、深刻な金融難に苦しんでおりまするので、相当額を大蔵省に折衝いたしたのでありまするが、目下のところ一億円だけ大体話合いがついておるのであります。  更に又地下資源の開発でありまして、これはこの委員会におきましても、今日までしばらく地下資源のために今後国家資金をできるだけ惜しみなくこれを使つて、そうして地下資源の開発を促進するということを申上げておりまするので、今回の補正予算にいたしましても、一応そういう構想を持ち準備を進めたのでありまするが、性格上どうしても通常国会でなければならんという内閣の方針が決定いたしましたので、やむなくこれらの問題は次の通常国会に提案いたすということにいたしておりまするが、地下資源の開発は先ほど申上げました輸出第一主義並びに徹底した合理化と、これと併行いたしましてどうしても地下資源の開発に格段の施策をいたしまして、そうしてあらゆる地下資源の開発に邁進しなければならん。そうしてこれがためには惜しみなく国家資金を投ずる必要ありという考えを持つておるのであります。先ほど申上げましたごとく、次の通常国会に対しましてはこれに必要とするところの経費を計上いたしたいというふうに考えておる次第であります。  大体以上非常に大まかな何でありましたが、詳細は担当事務局から申上げることにいたし、更に又御質問に対しましてそれぞれお答えをいたしたいと存じます。
  174. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の次官の説明に対する質疑は、時間の都合上あとでお願いすることといたしまして、一応この前の委員会で要求された説明を他の係官から……あとで一括して質疑することにいたしたいと存ずるのであります。先ず只今ここにおられますのは始関説明員……。
  175. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 時間が余りありませんし、もう三日目ですから、この担当係官の御説明は成るべく簡単にして頂いて、質問を……。
  176. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 実は始関資源庁長官、牛場通商局長、葦沢通商鉄鋼局長、そのかたがたがおられますから、簡単にお願いいたしまして、それから御質問願いたいと思います。先ず始関資源庁長官から鉄、石炭、非鉄金属の需給計画を聞くことにいたしたいと思います。
  177. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) お手許に石炭の関係と非鉄金属の関係の資料が、需給の見通しに関する資料がございますが、これにつきまして簡単に御説明申上げます。なお地下次資源の対策といたしまして私どもが考えております点を極めて簡単に申上げたいと思います。  二十六——二十七年度需給状況という非鉄金属関係の一枚の表がございます。これで御覧頂きますように銅、鉛、亜鉛、金、銀、硫化鉱等の非鉄金属関係につきましては、只今の国内の生産だけではいずれも不足で、ございまして若干の輸入によりましてこの不足を補なつて参る必要があるという状況でございます。で幸い鉛にいたしましても、或いは錫、亜鉛等にいたしましても、鉱石なり或いは金属屑によりまして若干の輸入ができましたので、本年度におきましては需給のアンバランスがそうひどくなるということはないというふうに存じております。併しながら二十七年度におきましても、この表で御覧のように国内の地下資源、非鉄金属資源を開発して参らなければならないという必要は極めて大きいと考えられますので、只今政務次官も申されました通り補正予算にはこれに対する政府の助成対策を計上いたすわけには参りませんでしたのでございますが、    〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕  通常国会で審議せられます予算におきましては、地下資源の開発助成のために相当の経費を計上いたしまして、只今大蔵省と折衝中でございます。これは私どもが非鉄金属関係の対策といたしまして大体どんなことを考えているかというような意味で御覧を頂きたいのでございます。  お配りいたしました資料の中に重要鉱物増産対策に必要なる経費という資料がございます。で第一の対策といたしましては資源の探査の促進でございますが、これには二種ございまして、企業がやる探鉱に対しまして政府が助成する場合、それからもう一つ政府自体で或る特定の地域の開発についての調査をやつたらどうか、この二つがございまして企業の行います探鉱についての政府助成は従来からもいたしております。二十六年度におきましては約一億四千万円ございますが、今回はこれを三億五千万円程度にいたしたいというふうに考えている次第であります。政府が直接やつたらどうかと申しまするのは、或る有望な地域、これは北海道、東北方面或いは新潟地区等にあるのでございますが、そこにまだしつかりした企業体がおらない、従いまして政府が企業体に金をやるという形では探鉱が進みませんので、そういう特定の地区につきましては、政府が直営で開発のための基本的な調査をやつて参りたいということで、これも予算に計上いたしまして、折衝いたしている次第でございます。次は産金対策でございますが、金の重要性は、国際経済一の復帰に伴いましてだんだん大きくなつて参ると思うのでありますが、何を申しますにも、これは国際的な価格が決定いたしておりまして、価格政策上非常に不利な関係にございましてそれを補いまする意味合におきまして、コストを安くいたしますための意味合において、例えば製錬所の設置につきまして或る程度の助成をいたして参りたいというふうに考えております。  次に硫黄の問題がございます。これは御承知のように、只今日本の鉱産物といたしまして、国際的に協力し得る唯一のものでございまして増産の緊急性が非常に叫ばれているのでございます。これにつきましては、先ほど申上げました探鉱奨励のほかに蒸気製錬設備の助成、焼取製錬設備の助成ということを考えて参りたい。なおこれは御承知のように硫黄の鉱区は国立公園にございまして、しよつちゆうその方面との衝突がございますので、こういうところには亜硫酸ガスの発生しないような方法で硫黄の生産をやるということがその面からも必要になつて参るというふうに考えております。それからその次にマンガン、只今申上げました硫黄等につきましては非常に小さい山が多い関係で、探鉱等も十分に参りませんので、政府が試錐機を貸与いたしまして、或る期間その機械を特定の山に貸与いたしまして、その山の合理的な開発を図るというような制度も考えて参りたいと存じます。それから場所の関係からいたしまして、中小鉱山につきましては鉱山の專用道路の整備が必要でございまして、これは公共事業費としてやつて参ることのできないような場合が多いのでございます。これにつきましても八千万円程度の経費を計上して参りたいと存じております。なお最後に技術の関係でございますが、新らしい技術を鉱山に適用するという場合におきましては、原理的には確立いたしておりましても、山の状況が一々違いますので、特定の山に当てはまるという段になりますと、必ずしもうまく行くかどうかわからないというような場合も少なくございませんので、ここにございますように新らしい技術を指導する、こういうふうに使うということにつきまして助成をいたしまして、その面から鉱山の開発、合理化を考えて参りたいというように存じておる次第であります。  非鉄金属の対策につきましては甚だ簡単でございますが、一応この程度にいたしまして、石炭のほうでございますが、石炭につきましては、只今需給関係、或いは電力用炭の問題につきましては政務次官の詳細なお話がございましたので省略いたしまして、なお先ほどもお話がございましたように、閣議決定を以ちまして石炭の増産上必要な措置で、政府がやつてやらなければならない事項を決定いたしまして、只今その方式に基きまして、先ほどお話のございましたような輸送の問題、坑木の問題或いは税制の問題等につきまして各省との間にその具体化の措置を急いでおります。只今問題はすでに片付きましたし、又近いうちに片付きます問題もございます。新らしい車輌の製造の問題などは今度の臨時国会又は通常国会におきましてその予算が出て参るように運輸省とも話合つておる次第であります。なおこの石炭につきましても先ほど非鉄金属について申上げましたのと同様に、予算の上で石炭の増産合理化に必要な経費でありまして、必要なものを政府が助成するということを考えて参りたいと存じております。これも資料といたしましてお配りいたしてございますが、坑木等の使用合理化に必要な経費という見出しで始まつておる資料がこれでございまして、ここにございますように坑木の使用合理化、特に防腐装置の問題等につきまして、現在ではまだ実験の段階でございますので、これも助成をいたして参りたいと存じております。それからその次に採炭方式の改善に必要な経費でございますが、本年度カツペ採炭方式につきまして、政府は相当の助成をいたしまして非常な成功を収めたのでございますが、これに引続きまして特殊切羽採炭法或いは長孔発破採炭法、無水採火法というようないろいろ新しい採炭方式が進みますように政府におきまして適当の助成をいたして参りたいと存じております。只今石炭の増産が或る程度効果を挙げつつございますが、これは主として切羽面を中心といたしました機械化による能率の増進が非常に大きい原因になつておりますので、こういうような助成の策を講じまして、今後石炭の増産、合理化との効果を併せて狙つて参りたいと存じております。それからその次に炭坑の機械化の経費、これは採炭のみならず、掘進、運搬等を通じまして、例えば外国ではできております機械をどういうふうに作り直したならば日本の炭坑の実情に合うかというような場合等におきまして、その試作費の助成をするといつたような経費でございます。それからその次に選炭の問題でございますが、御承知のように石炭の品位を上げるということが非常に問題でございますので、ここにございますように、例えば重液選炭というような画期的な新らしい選炭技術を日本に普及さすためにも或る程度の助成をして参りたいというふうに存じておる次第でございます。その他時間の関係説明を省略いたしますが、大体只今申上げましたように、すでに技術として完成をしておりまして、技術的にも経済的にも問題のないというものまで助成をいたすつもりはございませんが、一応原理的にはできておりますけれども、山の条件或いは石炭の条件が場合々々によりまして全部違う、その関係で或る山でうまく行つたが、その次の山でうまく行くかどうかわからないというような場合におきましては、その危険をカバーするという意味において必要な経費を助成いたしまして、炭坑の機械化、合理化を促進いたしまして、併せて増産の効果を狙つて参りたいというふうに存じておる次第であります。   一応以上を以ちまして私の説明を終ります。
  178. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 先ほどの首藤政務次官の商工行政一般に関する御方針の概況、それから只今の御説明があつたのですが、これから続いて質問に入ろうと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 只今牛場通商局長、葦沢鉄鉱局長、松尾中小企業庁振興部長、小室官房総務課長がおいでになつておりますから、どうぞ順次御質問を願いたい。
  180. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私先ほど経済安定本部に質問をいたしました例の新特需の問題について政務次官から一つ具体的に御説明を頂きたいと思います。
  181. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 日米経済協力の線からいわゆる新特需と称する新たな発注が相当あるであろうという実は期待を持つております。併しながら現在までのところ先般日立製作所でありますが、あそこに十七、八億円くらいの発注があつたのと、更に又一部に自動車関係……、車両関係ですかの発注が若干あつたかのように聞いておりますが、詳細な数字の何はまだはつきりいたしておりません。が少くとも講和条約の成立を動機といたしまして、今後相当殖えるであろう。従つてそれに対するところの対策をどうするか、今日までしばしばそういう場合に中小企業の業者が下請だけで甘んずることよりも、独自の企業体として発注を受ける態勢をとるべきであるという御意見もありまするし、又我々もそれは全く同感でありまして、是非ともそういう方向に持つて行きたいというふうに考えておりまするが、それらのことも併せ考えまして、受注調整機関とでも申すような機関を作りたいというふうには考えておりますが、目下の段階では現実にまだ発注が少いので、そこまで到来していないという状態にあるわけであります。    〔理事結城安次君退席、委員長着席〕
  182. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が質問しましたのは新特需生産に関する施策の問題が中心ではなかつた。これは一つのエキザンプルでも、分析のできる問題を申上げたので、それはもう一遍繰返して申上げますと、マーカツト声明によつてコンマーシャル・ベースでなければ取引ができないという前提、もう一つは国民生活の水準を特需によつて引上げるように努力する。こういう二つの、現在の日本の産業或いは経済状態からいいますると相容れない要素を持つておる。それをどういう工合に調整されるべきかということを考えまする場合には、今二、三のところへ現に出ました新特需内容を分析して見ることが一番早わかりであるということから申上げたわけであります。そこで私は新特需を受けました今まで二、三の会社、どれでも結構でありますが、それを例にとられまして、その事業体の新特需による収支の大体予定がどうなつておるか。特にその注文を受けました場合にその事業体におけるところの収益率とか、或いはその収益率を見まするためには賃金ベースというものはどの程度になる、そういう点を具体的に御説明願いたい、そういうことを申上げたのであります。
  183. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 今日までの受注いたしました企業体の経費或いは労働賃金等がどうなつておるかという御質問でありまするが、併し少くともこの受注は自由でありまするので、又コンマーシヤル・ベースでありまする関係上、他から見た場合非常にそれは不利な条件のように見えましても、実際は赤字にはならんのじやないか、又同時にその契約は非常に安いと仮定いたしましても、現在の社会情勢或いは又もろもろの労働基準法を中核とした労働関係法令から考えましても、特にこれがために賃金を低くするということは許されないというふうに考えておるのでありまして、具体的な数字承知いたしておりませんが、少くとも我々の見る限りにおきましては只今栗山委員の御指摘のようなことはないのじやないか、同時に又マーカツト声明によりまして一方においてはインフレを抑制する、一方においては国民生活の水準引上げ、これは両立しないじやないかという御意見でありまするが、併し理想かも知れませんけれども、結局このインフレを抑えるということは、要するに日米経済協力の線に沿つた受注を殖やすことである。御承知通りコンマーシヤル・ベースであり、而も入札であります。従つてできる限り安い値段で取らなければならん、その代り安い値段で取りますれば、その数量は非常な厖大な量に達するのでありまして、この点からいわゆる企業の徹底した合理化並びに技術の導入が必要と相成つて参るのでありまして、そうしてこの企業の合理化が徹底いたしまして、いわゆるインフレもなし、適正価格で受注が容易に獲得できるということになりますれば、この量的生産は異常な厖大な数字に達しまするので、個個の利潤は減しましても、数的、量の増大によりましてそれをカバーする、むしろ更に上げる、そうしてその結果が国民生活の水準引上げということになつて参ると思うのでありまして、現下の差当つての解決策としては、容易ならん問題でありまするけれども、小くともこれを目標といたしましてもろもろの施策を進めることが政府の責任であるというふうな考え方を持つておるのであります。
  184. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 非常に名答弁を承わつたわけでありますが、そういうような結論が出るのには、私はやつぱり具体的な数字が必要であるということを申上げておるわけです。今政務次官がおつしやつたようなことであれば結構である。併しその陰には私どもとして非常に自主的に日本が努力をしなければならん部面がたくさんあるのじやないかということを心配しておるわけです。一概に合理化、合理化と言われますけれども、これは先国会においても首藤政務次官といろいろ議論を交換したところでありますが、政務次官も私の意見を或る程度お認めになつたことを記憶しておるわけであります。従つて主要材料は注文国から支給をせられて、そうして経費並びに労賃だけが支払われる場合があり、又材料全部も国内調達をいたしましてそうして納めるような場合もあるようでありますが、そういうようないろいろな例についてはつきりと具体的な内容を是非ともお示し願いたい。これは今日御用意がなくて、非常に数字的な細かいものをお聞きして無理であることも承知をいたしておりますので、成るべく早い機会に具体的な調査をせられて、是非ともこれは一つ御提出を願いたい。只今合理化をやつて行けば、僅かな利潤でも経済力を高めることになるとおつしやつたのですけれども、これはやはり輸入原料の問題もあるので、如何に国内で合理化を叫び、それを実行しましても、遠い所から船に乗つて来る割高た材料はこれは如何ともなし得ない。それを如何にして如何ともなすかといえ問題は、これはやはり国民の生活に関係する問題であつて、政務次官も言もれるように、合理化でやり抜くよう、はあそうですがとうわけにはちよつと参らん問題だと私は考える。従つて是非とも成るべく近い機会にそれを二、三カ所、私が名前を挙げるまでもなく通産省は御承知のはずでありますから、そこの内容をもう一度申上げますが、そういうような新特需を大巾に受けて、その企業体が経営に入つたという場合を想定せられて、そうしてその会社の収支の状況或いは収益率の状況、更にその収益率を確保するために支出し得る経費、労働賃金等を含めまして、そういうようなものを是非とも一つ資料として御提出を願う、こういう工合にお願いしたいと思います。
  185. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) できるだけ御趣旨に副いまして調査いたすことにいたしますが、ただあらかじめ御了承願つておきたいと思いますのは、これは新特需だけの単一作業をしておる工場でありましたならば、その調査が非常に簡単にできまするが、御承知通りこの新特需を受注した会社は、それぞれ他に相当数多い物を作つておりまするので、又その量も非常に多い関係上、特に新特需としてその会社の経営にどういうふうな影響を及ぼすかという判定が御満足の行くところまで調査できるかどうか、若干実は疑問に思つておりまするが、併しできる限り調査いたしまして、成るべく早めに御報告を申上げたいと思います。
  186. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは御説御尤もでございますけれども、大体只今出ているのは、相当厖大な数量がまとまつてつておるわけです。従つてどんな大きな工場でも、やはり工場ごとに一応独立採算的な経理をやつていると思う。ただ分けられないのは本社費だとか、そういうものが非常に困るわけであります。従つて私が今希望を申上げました資料を整えられる御誠意があるならば、ほぼ私の希望に副う資料は出得るものと私は確信をいたすのでありまして、どうかこの点そういうつもりでお作りを願いたいと思います。
  187. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今政務次官から電力の緊急な拡充が非常に必要である。恒久対策としては電力資金の問題を考えているが、外資とか不確定なものでなくて、国内でやつてしまうのだという非常に強い御決意を聞いて頼もしく思うのですが、ところが実際の措置は、さつき次官が実際にお聞きのように見返資金二百五十億の中の百億なんという問題は、これは緊急出すことが必要であることは余りにも明白である。にかかわらず、大蔵省ではまだ相談を受けていないというような実情なんです。こういうことに対してもつと具体的に、どういうふうにこの問題を運ぼうとしておられるのか、そこいらをもう少し聞きたいと思います。
  188. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 電力開発に対しましてはあらゆる政策に優先してこれを実行すべきだというふうに我々は考えておるのでありまして、而も現実の姿は、佐多委員が御指摘になつたように極めて緩慢な、而も確実な方法もないような状態にあることは非常に我々も遺憾としておるところでありましてどうしてもこの際主管庁でありまする通産省が、これの推進に当る必要があるというふうに考えまして、先般来党の政調なり総務会にこの問題を持込みまして、少くともこの際これを最優先的に取上げてもらいたい。そうしてこれがためには、率直に申上げまするが、私は公共事業費のごときも相当この際削減しても電力に廻すべきじやないか。又その他の面からもあらゆるパイプを通じて電力に集中する必要ありということを先般来総務会なり政調会に強力に進言しておるのでありまして、何とか近いうちにこれが具体的対策を成就いたさせたいというように考えておるのであります。
  189. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 公共事業費を削つてもなお且つこつちに廻すというようなことに対しては異見がありますが、そういうふうな別な問題を持込む必要なしに、今の百億の問題なんかはそういうことをすることなしに、私企業の中に割当てられた枠の中でそのままできる。それをなお且つやらないで、そうして抱負経論だけは公共事業費を削つてもやれということではちつとも進展しない。もう少し具体的に百億の問題がどう進展しようとしておるか、いつ頃それは実現可能として認めておられるか。それらをもつと具体的にお聞きしたい。
  190. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 御承知通り電力の確保は公共事業委員会の責任に相成つておるのでありまして、通産省といたしましては、直接これが確保につきまして一応関係ないのでありまするが、併し責任官庁でありまする関係上、そういう傍観的な態度をとれないという関係から、先ほど来申上げておりまする通りに公益事業委員会が消極的であるならば、先ず通産省が積極的にこれを推進しようという考え方の下に進んでおるのでありまして、従つて個々の内容的な問題まではまだ折衝いたしておりませんが、少くとも大綱的に、現在の段階では電力の開発に最重点を置いてもらいたい。置くことが日本経済上昇のために、又独立国としての経済内容を充実する上において最も優先すべきであるという点を強く現在主張しておる。その次の段階でありまする内容の問題につきましては、政調会なり或いは総務会のほうで個々に検討してくれるであろう。実はそういう大ざつぱな考えの下に現在進んでおるのであります。
  191. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 おかしな話なんですね。政調会、党あたりで大まかな一般的な、これが最重点だとか何とかいうことをきめるならばまだそれでもいいのだ。問題は実施官庁の特別な具体的な措置になつているのですね。そしてこれが最重点でなければならんというというようなことは、今更政府なり主管官庁がおきめになる問題でなくして、これは三、四年前からはつきりしおる。だんだんそれが具体的に行きまして、そしてどこに隘路があるかということが具体的になつて来た。むしろそういう実施の問題を、それはどうもいろいろ御努力になることは結構だと思うのですが、併しそういう具体的な実施の問題になつたときに、党に任してあるからと言うのじやおかしい。党の一般的なそういう意見なり何なりは我々も傾聴しておるのだが、党の方針としても、例えば具体的に資金の問題はどうするのだ、実施官庁としてどうするのだというふうな運びにならなければならないわけです。それに対して具体的な決意なり措置なり、又どれだけのことをやつているのだというようなお答えがちつともないので非常に不満なんです。その点更に強力に具体的に取上げて、速急に解決するように努力して頂きたいと思う。  それからもう一つ、緊急対策として石炭確保の問題を非常に強力な行政措置に訴えてでもやるというようなお話ですが、そうなると石炭の割当なり、優先的に出荷させるという等々の問題にまでなると思うのですが、そういう方向としては行政的な措置をとることも止むを得ないと僕は……、そういう方向に進むのだというふうなお考えなのかどうか。
  192. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 石炭確保のために強力な行政措置を講じたい、更にそれでも不十分でありまするならば法的根拠を有する出荷命令を出したい、そこまでは行かざるを得ないと実は決意いたしております。併しながらそれだからといつて統制の段階に入る必要はないのじやないかと、一応の見通しを持つておるのであります。それは今後各電力会社の必要といたしまする石炭の量は、大体一カ月に、今後でありまするが、七十万トン乃至七十五万トンを確保いたしますれば、渇水期に対するところの供給が確保できることに相成つております。然るに一方この生産は、先ほど申上げましたごとく四千五百万トンでありまして、一カ月平均が三百七、八十万トンかと存じます。従つてその山元から二割を電力用として出荷させますれば、十二分に確保できるのであります。而も現在各電力会社の貯炭の内容を見ますると、関東の四十日、或いは四国の三十日、その他電力会社によりましては相当の貯炭を確保いたしておるのであります。従つてそれらのものは今後の確保の量から差引いても一向差支えないということに相成りまするから、それらを総合的に計算いたしますると、大体六十五万トン乃至は七十五万トンぐらいのものを確保いたせば目的を達成すると思うのであります。こういたしますると、一割六、七分という程度の出荷がありますれば確保ができるのじやないか。殊に現在最も窮迫しておりまするのは関西でありまして、その他の電力会社はおおむねそれぞれ適正な契約の方法と、それから確保の途を講じておるのでありまして、我々が特に対策を講じなければならんと考えまするのは関西であります。更にもう一つは中国が若干影響するかとも思いまするが、これに主力を持つて確保の対策を講じますれば大体目的を達成する。そういうふうに考えますると、更に二割が一割六、七分になります。更に関西或いは中国という特定のところを指摘いたしますれば、その量は少いものになりまするので、先ほど申上げましたごとく出荷命令までは或いは行かざるを得ないかと思いまするが、併しそれ以上に行く必要はないのじやないかというふうに考えております。
  193. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それに関連して石炭の問題をお聞きしたいのですが、ここにお配り願つた「石炭生産確保対策について」昭和二十六年八月十四日、閣議了解というものを頂いたのですが、これは閣議の決定にならないで了解として済まされておるのはどういうわけなんですか。
  194. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) この中に実は税制の問題があります。これに対しまして大蔵省のほうもいろいろ御意見があるのでありまして、そこで一応協力をするという程度を出なかつたので、一応了解ということにいたしたのでありますが、その後それぞれ原局から先方の担当のほうに折衝を続けまして、大体この閣議決定の線に沿つた推進が現在までできておるのであります。なお又税制のみならず、輸送の確保という問題もあります。これも現在車両が非常に不足しておるのであります。十二分に車両が確保できるかどうか、これも閣議決定というのはいささか運輸省も不安がありまするので、それやこれやの了解ということになつたのであります。
  195. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それやこれやでそういういう隘路が不問のままと言うか、未解決のままでおかれるとすれば、殆んど対策ということになつていないのじやないかと思うのですが。
  196. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 只今も申上げましたごとく、税制の問題につきましては大蔵省と事務的折衝を続けております。又運輸省にもそれぞれ事務的折衝を続けておるのでありまして、大体今日までのところ税制問題は十分とは行かんかも知れませんが、その他のほうは大体この決定と同様の結果を生み出すのじやないかというふうに考えております。
  197. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしたらそういう留保された問題がはつきり決定すれば、更にもつと具体的なものとして、閣議の決定としておとりになるつもりなのかどうか。
  198. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 必要がありますればそういう方向に持つて行くかも知れませんが、併し仮に了解でありましても、決定と同様の効果がありますれば、形式的にそこまで運ばんでもいいかと考えております。
  199. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今お配り願つた資料の中の資金対策の問題ですが、日本開発銀行等による重点的な資金の投入を図るということが書いてあるのですが、その開銀の三十億というのはすでに決定しておるのですか。それからもう一つは特別措置を要するものとして十七億を予定されておるのだが、これはどういうふうな特別措置と考えておられるのか、それは閣議ではそういう問題はどういうことになつておるか。
  200. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 三十億のうち今日までに貸出しをしましたものは十数億でございます。残余につきましても大体審査が済んでおりますので、近い将来に全額出ることになつております。それから百万トンの増産に伴いまして十七億の新規貸付け問題につきましては、只今具体的な案によりまして安定本部、開発銀行と折衝中という段階でございます。
  201. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは更に十七億全部開銀のほうに期待するというお考えですか。
  202. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) ここで申しております十七億は、全部開発銀行に期待しておる、こういうわけであります。
  203. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 炭鉱に投資されておる総資本金は今どのくらいでありますか。
  204. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 炭鉱にはいろいろなルートなり或いは自己資金なりで、いわゆる企業として投資されておりますものは大体年間百三、四十億程度というふうに推定をいたしております。
  205. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 既往の、既開発炭鉱の総資本といいますか、それらはどのくらいになつておりますか。
  206. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) ちよつと今資料がありませんので取調べまして……。
  207. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど政務次官は電力用炭を確保するために電力事業者が炭鉱に投資するようなことを考えたいとおつしやつたのですが、これは私は概念的に非常に誤りがあると思うのでありますが、如何ですか。と申しますのは国内炭が四千五百万トン予定され、電力用炭が六百五十万トン、これは一割を超えているわけです。そうすると恐らく六百五十万トン出炭能力を持つておる山は、自家炭鉱に完全に支配ができるように買収しようと思えば、相当たくさんの投資資金が要るだろうと思います。それで年に今百三十億を投入するということですから、既往の炭鉱も合せればもつとたくさんになる。そういう工合にして若し投資する力を電気事業者が持つておるとするならば、その金は電源開発のほうに向けるべきで、そんな余計なことを電気事業者はやつてはいけない。  それからいま一つは、餅屋は餅屋に任せなければいけない。戦争前には電力業者が炭山を買つて失敗の歴史を繰返しておる。出ない山を買つてみてズクばかり出したというような歴史を持つておるわけです。従つて通産省がそういうような態度をとられることは私は誤りだと思うのですが、如何ですか。
  208. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 私の申上げ方が足らなかつたかも知れません。全部を確保するために山を経営したらどうかというのではなくして、仮に一割でも二割でも常に自己の意思によつて完全に確保できるような方法を講じておくことも、まさかの場合にそれは利益じやないかということを実は申上げたのでありまして、現に石炭の大口消費者であります八幡製鉄にいたしましても、或いはその他二、三の工場にいたしましても、やはりそれぞれの確保という点から山を持つておるのでありまして、年六百五十万トンというような厖大な消費一に、更に又これが国の経済の根幹産業であつて、一日も停電或いはその他不測の事故を起さないような態勢をとりますためには、この際そのくらいの決意を持つていることが必要ではないかということを実は申上げたのであります。勿論栗山委員の御指摘の通り、現在のところそれよりも水力の開発のほうが優先すべきであるという御意見も又傾聴すべきでありまして、或いは御指摘の通りかも知れませんが、少なくも現在の豊水期に石炭が足らなくて非常な電力の危機を来たしておる。そして生産に重大な圧迫を加えておるという現実の姿を見た場合に、我々としてはここに何らか確固たる対策をやはり根本的に立てておくことが必要ではないかというような見解からさような勧告をいたしたのであります。
  209. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうするとそれは決意ですね。電力用炭を何とかして確保したい、その決意の一つの現われであるという程度ですね。そう了解してよろしいですか。
  210. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) そうです。
  211. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは電力事業者が如何に炭山を買つて見たところで、国内の出炭量の総量は殖えるわけでないと思います。やはり四千五百万トンとか、二十七年は四千八百万トンと見込んでおりますが、それを超すわけはないですから、本当に若しこういうことを実行するとすれば無駄じやないか。又先ほど政務次官は現に製鉄業者が山を持つておるとおつしやつたが、今は恐らく持つていない。八幡製鉄が直接山を経営したということがあれば、それは昔のことであつて、今は恐らく持つていない。又一割ぐらいの炭で何とか操作ができるとは私は考えませんので、この点は一つこういう指導方針で、公共事業令によると、附帯事業はやつていけないことになつておるから、やるとすると公益事業委員会の承認を要することになつておりますから、そういう法的の問題もありますが、只今のところ通産政務次官としては、それほどの熱意を通産省は持つておるというふうな御発言と私は理解をして、この問題は打切つておきます。若し本気になつておやりになるということであれば、我々はもう少し質問を留保しておきます。
  212. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 二十六年度の石炭需給予想表を資源庁から頂いておりますが、輸入原料炭百八十万トンと出ておりますが、これは今の考えではどのくらいで、それからどれくらいの単価で、従つて輸入資金はどのくらいになるかというふうにお考えになつておりますか。
  213. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) お手許に差上げてあります鉄鋼の表の関係資料の中に出ております三枚目の別表三というのです。別表三というものの粘結炭という欄がありますが、そこに出ております。
  214. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、これは大部分はアメリカに依存してCIF三十ドル従つて外貨としては五千百万ドルということに出ておると思います。これはこの間から中国のほうからいろいろ引合がある思うのですが、それに対して通産省はどういう対処の仕方をされておるか。値段その他の関係においてどういうふうな差があるのか、それらについて説明を願いたい。最近中国関係の石炭としましては適道炭の話が出ておるわけであります。この問題については見返りとしてこちらから物資を送らなければなりませんから、向うの所望物資というものが送られるかどうかいろいろまだ問題がありまして、最後的な話に結着をしておりません。ただ距離が近くになりますし、アメリカ炭等に比べると灰分が悪いのでありますが、近くにありますので、入るならば入れたいというふうに考えておる状態であります。
  215. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 値段はどのくらいですか。それから見返物資の問題になると思いますが、この見返物資について向うから引合に出したもの、折衝過程において向うの所望がどういうふうに違つておるのか。それらの見返りを問題にしたときにどかいう障害があるのか、その辺をお伺いして置きたいと思います。
  216. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) 大体値段はCIF十八ドルというのでありますが、メリツトが六〇%に考えられますので、最後の効率計算をいたしますと、アメリカあたりとそう大差はないものになるのじやないかというふうな見方をしております。それからなお輸出の見合につきましては……。
  217. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 実はこの間の石炭の見返りとしては綿布をこちらから要求しておつたのでありますが、これは今輸出の承認にひつかかつております。従つてあらかじめ司令部の内意を聞いて見たのでありますが、現在のところ全然許可する意向はないということでありますが、更に又政治情勢でも変りますれば別でございますけれども、現在のところでは綿布を引当とした輸入というようなことはできないというような状態でございます。
  218. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 綿布が輸出できないというのはどういう意味ですか。戦略物資だとか或いは国連で中共輸出禁止に挙げている品目に該当するというような意味でそれができないのか。そうじやなくてもつと別な理由があるのか。
  219. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 現在は日本輸出貿易管理令の要許可品目になつており、要許可品目というのは全部総司令部の承認が要ることになつております。これは現在のところは共産地区に出るものは、中共に出るものは承認はおろさないという方針で……、併し絶対に禁止しておるということは法律で書いておるのではないのでありますが、そういう意向が通産省のほうに内示されております。
  220. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その要許可品目になつていて向うが許可しないということですが、水産物とか農産物とか雑貨とか、そういうものは出ているのじやないのですか。
  221. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 日本の法令で要許可品目になつておらない物は出ておるものもありますが。
  222. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、その許可を出さないというのはどういう理由なんです。
  223. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) これはもう現在のところこういう状況におきましては中共に日本物資が、つまり司令部の許可をした日本物資が入るということは好ましくないということであろうと想像せられます次第であります。
  224. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点がはつきりわからないのですが、雑貨だとか等々の物が行くとすれば、要許可物資はそういう意味で政治的な考慮を払つて要許可ということを必要とするか。そうでなくて、例えば値段の問題とか等々を考えるから禁止、許さないのか、その辺はどうなんですか。
  225. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 現在のところ日本側で要許可にしましたものは、自動的に司令部の承認にひつかかることになつておりますものですから、それで要許可になつていないものは、雑貨類とかそういう物は司令部の手を通らないで全然自由に輸出されるわけでありまして、これは行つても勿論いいのでありますけれども、司令部の手を通したものは、恐らく工合が悪いのであろうというふうに想像されます。
  226. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その要許可品目に繊維品その他が挙げられたのはいつ頃でございますか。
  227. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 七月二十五日でございます。
  228. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今年の……。
  229. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) はあ。
  230. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、それを要許可品目に挙げられたのは、今後値下りその他でダンピングその他の危険性があると思うので、そういう点を適正にしたいというつもりであれを要許可品目に挙げられたというふうに私たちは聞いておるのですが、その辺の事情はどうですか。
  231. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) それ以外にやはり市場調整といいますか、むしろその値段のチエツクという点は隠れた意図としてあつたわけでありまして、表面的な理由としてはやはり市場調整といいますか、そういう考えのほうが多かつたのであります。
  232. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それならば市場調整の問題ならば、むしろ我々の聞き及んでおるのは、今はたくさんのストツクなり何なり持つておる。これは市場調整はむしろ禁止をする意味はない。そういう政治的なものに使うためにあれを要許可品目にされたんじやないと思いますが、その辺はどういう……。
  233. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) その中共向けの問題は、実はそのときには私たちは決して中共のほうへ特に出さないで置きたいという気持でおつたのではないのでありますが、現在は法令の関係でそういうふうになつて、その点はまだ、まだと申しますが、現在のところはちよつと動きが取れない状況になつております。
  234. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうもお話を聞いておると、なぜその輸出を禁止しておるかというようなことが理由がわからないのです。この点は一つもう少し……、私もあの要許可品目の許可の問題をそういうふうに取扱われるのは、日本貿易政策その他から非常に困ると思いますので、その点は更に今御折衝になつておるならば、もつと強く折衝して、早くその途を打開して、少くとも繊維品くらいは出すと、その代りに今困つておるところの原料炭なり何なりを手近なところから持つて来るというようなことで、併せて製鉄業の確立の問題にも資して頂きたいと思います。これは希望として申上げて置きます。
  235. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) ちよつと申上げます。只今アメリカから綿花を買つておりますが、綿花はアメリカから来ておりますが、その際に製品は中共のほうへ出さないということを誓約しております。
  236. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 アメリカから買つていると言いますけれどもアメリカからは一体恩恵的に買つておるのですか、それともコンマーシヤルベースで、ちやんと値段を払つてつておるのですか。
  237. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) 割当が今までありまして割当をしてもらわないと買えません。
  238. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは非常に綿花が窮窟なときに割当等々の問題はあるのでしようが、今後の見通しその他から考えて、相当豊作とも聞いております。それらのものをそう割当が少くなるとか何とかいうことを御心配になる必要はないじやないですか。従つてもつとその点は強く一つ折衝をして頂きたいし、アメリカが綿花の割当あたりをそういうふうに使つてくれることは困るというようなことも強く主張して頂きたいと思います。  それからそれに関連しますが、昨日ですか、一昨日ですか、アメリカからの電報によりますと、講和条約を締結した後におきまして日本は中国と、蒋政権と、国府政権と政治的な単独講和を結び、それから経済的な協定は中共政権と結ぶんだというようなことを吉占違田総理が言われたということが電報で来ておりますが、それらの点に対して政府はどういうような態度なり方針をきめておられるのか、これは政務次官でよろしいですから一つお答えを願います。
  239. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 総理は只今御指摘のような発言をされたということはまだ承わつておりません。併しながら、純経済的立場から考えますれば、過去の中国と日本との経済状態並びに地理的関係、或いは人種的関係等々いずれの点から見ましても、中国と日本との経済は密接になるということが自然の姿だというふうに考えまして、こういう自然の姿が一日も早く到来することを我々といたしましては待望してやまないのであります。けれども現実の姿は要するにそれを超越して、中国の戦力増強というふうの面は特に考慮を必要とすると考えるのでありまして、而もこれは国連の一貫した方針でありますし、日本といたしましては国連の方針に協力しなければならん立場から考えまして、急速に中国との経済状態が正常の姿に復帰することはまだ考えていないのでありまして、従つて準備はいたしておりませんが、併し幸いに総理が発言されたことが明らかとなると、これは準備しなくてもその日から経済状態は復帰いたしますので、そのような時期の到来することを待望しておるのであります。
  240. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そんなうまいことができれば問題はないのですが、問題はそんなうまいことができるかできないかの問題なんですが、それを議論する前に一つお聞きして置きたいのは、一体今度の講和条約が結ばれた場合に、中国との間に講和条約が結ばれないで通商協定なり何なりというものができるのかどうか、その点はどういうふうな見通しですか。
  241. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 講和の対象となつておりませんので、形式的には如何かと考えます。殊に現在の政治情勢から考えた場合、一層中国との通商協定というものは困難だと考えておるのであります。併し幸いに政治情勢が緩和いたしまして、そうして国連の方針が変りまして、中国との通商が自由に可能な状態になりますれば、実際上の協定は又変るのではないかという見通しです。
  242. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点について国際法上はどうなんですか。通商局長にお聞きいたします。
  243. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) どうもこれは国際法といいましても、余り前例はない問題でありまして、恐らく正式の通商航海条約というものは非常に困難であると思います。ただ現在御承知通り台湾との貿易は司令部と国民政府との間の支払決済協定がございまして、オープンアカウントでやつておるわけであります。これが講和後どうなりますかということはちよつと私どもといたしましては何とも今は申上げかねると思います。
  244. 小野義夫

    ○小野義夫君 地下資源のことについて少し断片的な質問でありますけれどもつて見たいと思います。この石炭施策は、今苦しんでいるときに、現在稼行中の炭鉱に対しては一番いいことですが、開発に対して資金の便宜が得られるのでしようか。或いはこれは調査ができており、具体的のことを申しますと非常に計画も正確に出ておるし、調査もできているのに、数億の金が要るものですから、そういう立場に通産省の慫慂なり、資源庁がこれはやるべきだというふうな折紙でももらえば、それで金融ができるような情勢であるのですかどうですか。新鉱開発に関する資金関係状態はどうなんですか。これはないのですか。
  245. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 先ほど申上げましたごとく地下資源開発は講和後の自立経済達成のために最も重点的にやらなければならんというふうに考えております。それの一つの条件となる金融問題に対しましては、できるだけ円滑にいたしたいという気持を持つております。但しこの問題につきましては、やはり個々の対象を検討いたしまして、必要な対象に対しまして優先的に金融をするというような方法を講じて参りたいと思います。
  246. 小野義夫

    ○小野義夫君 それからこの安本が出されました二十六年度重要物資生産見込というのと、只今資源庁から受けましたこの表とは多少の食い違いがありますが、大体大きな食い違いはないと思うのですけれども、どちらをもといとして、例えばこの硫黄のごときものも少し違つておるようでありますし、それから鉄鉱の計算がさつぱりわからないのですが、資源庁は精鉱中の含有量で出しておりますし、こちらのほうは鉄鉱石というので出ておるのですが、そこに安本の資料はございますか。
  247. 牛場信彦

    説明員(牛場信彦君) ございません。
  248. 小野義夫

    ○小野義夫君 それでは一つ数字を御検討願いまして、どちらが正確であるか、一つお調べを願いたいと思います。  そこで次にこの鉄鉱石、安本によりますと二十六年度は五十万トン、それから二十七年度五十五万トンというのが出ているのですが、その中には焼鉱が入つているのでしようかどうでしようか、この案のほうで御説明を願つてもいいのですが……。
  249. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 今資料を持つておられないそうですが、安本の……。
  250. 小野義夫

    ○小野義夫君 それではあなたのほうの鉄鉱の中には入つておりますか、そうしてその量はどのくらいになつておりますか、二十六年度で、国内産出は。
  251. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) 通産省のほうの国内鉄鉱石生産は百万トンというふうに考えております。安本の資料は私見ておりませんが、恐らくその中に含まれておる鉄分の計算をしておるのではないかと思いますが、まだ見ておりませんから……。
  252. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは九月七日、今日の説明のうちの附属表でございますが、自立経済の修正という意味で出されたのには五十万トン、来年度は五十五万トンと出ておるのですがね、鉄鉱石が。その中に硫酸滓は入つておるかどうか。
  253. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) この安本の資料によりまする五十万トンは鉄鉱石の鉄分を五〇%と見まして、その成分の上から計算をしておる数字ではないかというふうに思います。
  254. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうすると、その百万トンのうちに硫酸滓が入つておるわけですか、何トン入つておりますか。
  255. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) 硫酸滓は別に五十万トンと計算しております。
  256. 小野義夫

    ○小野義夫君 そこでこの最近御承知通り大会社が製鉄会社とタイアップして、余りに硫酸滓を既設の製鉄所は安く買うので、新らしく硫酸滓だけの製錬を鉄の製錬でやつて、非常に安いすく鉄を作るという計画を立てられておるということでありますが、その辺の消息と具体的な進行を御存じであつたら御報告を願いたい。
  257. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) 今硫酸滓につきましては別に統制がございませんので、お互いに商談と申しますか、話合いで値段がきまるわけでありますので、業者の間で商談を重ねておつたように聞いておりますが、最近その値段もトン二千百円で妥結を見たというふうに聞いております。実際の確実なところは承知しておりません。
  258. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうすると、その硫酸滓による新らしき製錬所というのは、まだ本当意味において製錬開始という準備に行つておらないのですか。
  259. 葦沢大義

    説明員(葦沢大義君) 硫酸滓だけで製錬をいたすというものは未だありません。高炉のうちにほかの鉱石と混合いたしまして製錬をするという方法であります。
  260. 小野義夫

    ○小野義夫君 それから硫黄の問題でございますが、硫黄は聞くところによると、いずれも国際観光の設定地域内に殆んど八〇%ほど出るので、国際観光の地域を拡大すればするほど硫黄の生産に非常に支険を及ぼすというので、厚生省でありますか、国際観光の所管の官庁との間に交渉が非常に困難な状態に陥つておるということを聞くのでありますが、その辺は、どうなつておるのですか。
  261. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 只今お話の御指摘のような点がございます。一番問題になつておりますのは阿寒でございましてこれは大体年産二万五千トン、精錬量にいたしましてそのくらいの計画を持つておりますので、是非やらしたいというように思つております。ちよつと話がデリケートでございますが、厚生省自体は比較的物わかりがいいのでありますが、厚生省を取りまくいろいろな後援、その他の方面の民間或いは各種団体の権威者のような者がたくさんおりまして、厚生省が牽制されておるような実情ではないかと思いますが、近いうちに何とか解決をしたいというふうに今交渉を続けております。阿寒以外につきましては、大体原則的にはいろいろ条件はございましようけれども、絶対掘つてはいかんという問題は只今のところございません。もう一つ厚生省のほかに文部省でございますが、秋田県の赤川温泉の附近に北投石というようなものがありますが、この関係でも同様な問題がございまして、これは文部省との間に只今折衝しております。
  262. 小野義夫

    ○小野義夫君 私どもは通産省の次官からの具体的の説明を聞きまして、その内容の問題につきましてはそれぞれ相当の異論もあり、又希望もあるのですが、来しながら各般の問題に触れてそれぞれのお考えをまとめておられるということは非常に気強く思う次第でありますが、ただ遺憾なることは、予算措置が先ほどの硫黄の問題でもイタリアの硫黄開発に対する投資と申しますか、資金関係は邦貨に換算して三十五億にも到達するような開発その他に投資をしておるのにかかわらす、日本では地下資源、石炭は別といたしまして、全体に対していろいろな開発その他が先ほどのような三、四億これが二十七年度に提出されるという予定であるのでありまして、いつも本会におきましてどうも地下資源の開発に余りに低調ではありませんかということを申上げるのでありますが、これはほかのほうの振り合いから考えまして、もつと大きな構想を立てられるということはできないのでございましようか。その点一つ御意見を承わりたい。
  263. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 石炭は別といたしまして、鉱山局関係只今お話のありました政府助成の問題でございますが、先ほど御説明を落しましたですが、大体二億七千万円程度の石油関係の経費を一応予算として計上いたしております。それから天然ガスに大体五千万円見当、合計して大体九億前後の予算を考えておるわけであります。これを大蔵省との折衝におきましてこれを通しまして、是非成立させたいと只今苦心をしておる次第であります。予算の成立につきましていろいろ御勉強をお願いしたいと思つております。
  264. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは希望でありますが、先ほど安本政務次官にお尋ねしたところが、非常に淡々たる御答弁で、そんなことは一々これは通産の所管であるという言葉で大体答弁をされたようでありますが、それほど具体的な案を持つておられるのでありますから、どうしても安本などは全く通産省と一体となつてこういう問題は強く推進して行くようなことに一つ是非とも御連絡を願いたいと思うのであります。尤も先刻御承知でありながら、自分が言うては却つてまずいというような御遠慮から控えられたのか知れませんが、如何にも熱意がないように受取つたのでありますから、一つ安本におきましてもそういう生産の拡張に関しましては非常な熱意を持つて、通産省と一体となつてやられるように御連絡、御尽力を願いたい、かように希望いたします。
  265. 古池信三

    ○古池信三君 私は首藤政務次官にお尋ねをいたしたいのであります。先ほど首藤政務次官は、通産省としては電力の増強を第一に考えておる。何をおいても優先的に電源の拡充をやらなければならない。そのためには十分努力をしたい、こういうお話がありました。誠に私どもも同感でありまして今日の日本といたしましては、是非その線に持つてつて頂きたいという考えを持つておるのでありますが、併し電源の拡充という問題は、ひとり通産省だけが頑張つておられましても、通産省だけの力ではこれは容易にできない問題であり、又それと同時に通産省の協力なくしてはこの問題は到底遂行できないと私は考えるのであります。そこで政府部内におきまして特に総合計画を樹立して行く経済安定本部、或いは資金の面においては大蔵省であるとか、更に又もつと重大なる関係にある電気事業主管行政機関である公益事業委員会、これらとの間に密接な、それこそ一体となつたような関係を持つてこの問題に対処しておられるかどうか、この点について私はお伺いしたいのであります。
  266. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) お説のようにこの問題を推進いたしますためには安本なり大蔵省との協力が絶対必要であることは言うまでもございません。恐らく安本は同調すると思いますが、ただ問題は大蔵省が一般財政の均衡という建前から、容易に巨額な国庫資金を電力開発に簡単に出すとは考えられないのであります。従いまして先ほど申上げました、ごとく、この問題はやはり自由党内閣であります関係上、党の中心機関である政調会並びに総務会にこれを持ち込んで、そして強く推進するということが最も効果的であるというような考え方から、政調会並びに総務会にこれを持ち込んでおるのでありまして、そこで基本的な明年度の政策その他を決定しておりますので、その際に電力を強く取上げてもらう、そうしてこれを党の方針として決定いたしまするならば、大蔵省も通産省が直接交渉するよりも、基本、中心機関である党が推進いたしまするほうが効果的であるという考え方を持つておるのであります。
  267. 古池信三

    ○古池信三君 党の方針として、党が強力にこの問題を推進するということは、これは一つの方法として極めて大事なことであり、当然その方法をとられることはよく私も了解できるのでありますけれども、併し又党と別に政府機関があるのでありますから、政府部内において、例えば閣議の席において通商産業大臣が強力にこの問題を提案されて、安定本部長官なり或いは大蔵大臣なりを十分説得して頂くという熱意が私は必要じやないかと思うのであります。もう一つ心配なのは、閣議の席には公益事業委員会を代表する人は出ておらないと思います。ところが実際電気事業を監督して行き、これを推進する本来の役目を持つているのは公益事業委員会なのでありまして、公益事業委員会を引張つて行き、或いはこれと密接なる連絡を取つて行かれるのが、これが通産省としては大事なことじやないかと思うのでありますが、その点は如何でありましようか、一つお伺いいたします。
  268. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 先般来大臣にこの点を進言いたしまして、一つのはつきりした成案を作つて、そうして閣議にこれを持ち込んだらどうかというはつきりした成案を作つて、そうしてことを進言しておりまするし、大臣もあらかじめ了承いたしております。ただ併し何といつても主官庁は公益事業委員会であります。この公益事業委員会は内閣に属しておりまするので、この面からもやはり強く推進して頂くような折衝をいたさなければならんと考えております。ただ現実の問題といたしましては、今目前に電力が非常な飢饉に面しておりまするので、公益事業委員会はその遠大な計画よりも、目前の対策にいろいろ奔走しておるのではないかというふうにも考えられるのでありますが、併し一昨日の会合におきましても特にその点は強調しておいたのであります。当然公益事業委員会からも以上申上げた積極的に推進するであろうというふうに考えておりますので、又我々も今後極力公益事業委員会が積極的に動くように折衝を続けて参りたいというふうに考えております。
  269. 古池信三

    ○古池信三君 最後にお伺いしたいのですが、公益事業委員会が今応急対策に非常に專念しておるということは、これも止むを得ない状態かと思いますけれども、これにも増して恒久対策が非常に大事なのであつて、最近いろいろ公益事業委員会もOCIの人たちをよんだり、或いは又国内においても電源開発調査会というようなものを頻りに使つて計画も進めておられるやに聞いておるのでありますが、又更に最近な伊藤公益事業委員がアメリカに渡つて、聞くところによると外資の間問題について交渉を始めておられるというふうに承わつておるのでありますが、かような電源開発の計画なり基本的な計画なり、或いは外資導入の大きな方針については、勿論これは通産省と密接なる関連を以て連絡の上でやつておられると思うのでありますが、そうでなければこれは政府内部が不統一ということに私はなると思うのです。従つてこれらの問題について十分お打合せ済であるかどうか、もう一つお伺いしたいと思います。
  270. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 外資の導入その他について公益事業委員会からもまだ詳細な折衝は受けておりません。先ほど来申上げておりまするように、通産省から電力の緊急対策、或いは石炭の確保という問題を逆にこちらのほうから積極的に持込んでおるというふうな状態になつておるのであります。併し今後或いは緊密な連絡があるかとも思いますが、今までのところはむしろこちらからやつておるというような状態になつております。
  271. 古池信三

    ○古池信三君 どうも我々外部から見ておりますと、甚だピントが外れておるような気がするのでありますが、是非そういうことのないように、これはもう全く日本としては生死を賭けた大問題でありまするから、十分に党の力も利用され、又閣議等の席においても強力に発言されまして、飽くまでも公益事業委員会を引つ張つて、この大目的貫徹のために努力されんことを切に私は希望いたしまして質問を終ります。
  272. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ドル不足対策の問題についていろいろ考えておるとい政務次官のお話があつたのですが、この問題非常に重要で、一体どれくらいの不足と考えておられるのか。殊にその不足対策をどういうふうにとろうとしておられるのか、更にさつき問題になりました鉄鉱石なり粘結炭ドル地域に、アメリカに依存することからそうでない方向に換えることによつて、一億くらいのものの少くとも半分くらいは何とかなるのじやないかというような相当の重要な問題があると思うのですが、これらの問題、この次の機会にお尋ねしたいと思いますから、準備をお願いいたします。
  273. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかにありませんか。(「ありません」と呼ぶ者あり)
  274. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 先ほど栗山委員から御質問の件でありますが、昭和二十五年の下期で二百七億円であります。
  275. 結城安次

    ○結城安次君 大分通産委員も勉強いたしましたから、当分これで休会いたしまして、何か国際情勢の変化でもありましたらば、そのときに又更に会合するということにいたしたいと思いますが、如何でございましよう。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それでその時期は委員長に御一任したいと思います。
  276. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 今の御提案に対して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めてさよう取計らいます。  本日は誠に長時間御苦労様でございました。これを以ちまして閉会いたします。    午後五時五十六分散会  出席者は左の通り    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            片岡 文重君            佐多 忠隆君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    大蔵事務次官  舟山 正吉君    大蔵省理財局総    務課長     宮川新一郎君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君    通商産業省通商    鉄鋼局長    葦沢 大義君    資源庁長官   始関 伊平君    経済安定政務次    官       小峯 柳多君    経済安定本部総    裁官房長    平井富三郎君    経済安定本部総    裁官房経済計画    室長      佐々木義武君    経済安定本部財    政金融局次長  前野 直定君    経済安定本部貿    易局長     板垣  修君