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1951-10-08 第11回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月八日(月曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○金融政策並びに制度に関する調査の  件  (日米金融問題に関する件)   —————————————
  2. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) それでは第三回の大蔵委員会を開会いたします。  御通知いたしました通り金融政策並びに制度に関する継続調査でありますが、本日は只今帰朝中の前財務官であつた渡辺武君をお願いいたしまして、日米金融問題についての意見を伺いたいと思うのですが、皆さんも御承知通りに、渡辺君は財務官として四カ月余りワシントンに滞在せられまして、その間平和会議国際通貨基金年次会議等に出席されたほかに、ドツジ氏その他の名士ともたびたびお会いになつておられたそうであります。で本月一日附で外務省の勤務となられ、月末にはワシントンに行かれます。従りて今日は大蔵省の公述者という意味ではなく、ざつくばらんなお話を十分拝聴したいと思います。必要があれば速記なしでもよいかと思います。以上御紹介を申上げます。それでは渡辺さん、お願いいたします。
  3. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 只今御紹介にあずかりました渡辺でございます。この六月一日に日本を出まして、約四カ月ばかり向うへ参りまして、そのうち初めの三カ月は主としてワシントンにおりまして、その間ニューヨークに二度ほど旅行に参りました。九月になりましてからサンフランシスコの会議に参りまして、それが済むなり、ワシントンのほうで開かれました国際通貨基金会合に出席いたしたのであります。これは日本が初めて国際通貨基金オブザーバーを出すことを認められまして、その機会オブザーバーとしてその会合に出席する機会を得たわけであります。それが済みまして間もなく、こちらへ帰つて参つたわけであります。非常にあわただしい旅行でございますし、又いろいろ今後向うに落着く関係がありますので、家を探しますとかその他雑用も相当ありまして、まとまつた調査その他をいたしておりませんので、組織立つたアメリカ経済事情の御報告を申上げるような準備もございませんので、経済問題に関連した雑談としてお聞き願いたいと思うのであります。私が向うで見聞きしましたことを取りまとめまして、最初に極く一般的な経済状況というようなことに申上げまして、そのあと私が出席いたしました国際通貨基金会議及び日本国際通貨基金への加入の問題、或いは今後アメリカとの交渉を要する各種の問題、これは外債の問題でありますか、その他いろいろたくさんあるのでありますが、そういう問題に触れて申上げたいと思います。  一般的にアメリカ経済の状況は申すまでもなく、国防中心経済でありまして、国防費支出というようなものが、非常に殖えて来ておることは御承知通りでありまして、今年の六月には大体一日一億ドルの国防費支出をしておりまして、即ち一週間にいたしますると、七億ドルの金を出しておる。これが今年の暮になりますと、大体一週間で以て十億ドル、来年の七月には十二億ドルくらいの割合で以て国防費支出するという計画になつておりまして、非常に大きな国防費支出をするわけです。これがアメリカ経済の一番大きな要素でありまして、この問題を中心にいろいろの経済問題が発展しております。今の国防生産というようなものがどのくらいの割合になつておるかということを申上げますと、全体のアメリカ生産額の中で、国防生産が占める割合というものが、朝鮮事変の前に大体六%であつたのであります。これが今年の六月頃の数字でありますが、一一%くらいになり、これが今年の末にはたしか一五%くらいになると思います。来年の七月頃にこれは二〇%くらいにまで上るということを政府説明でいたしております。従いまして全体の生産の中の約二割というものが、今度の国防生産ピークにおいて使われるということになるわけでありまして、これは一見非常に大きいようでもありますが、併しながら第二次世界大戦の一番のピークでありました一九四四年の数字を見ますと、約四二%に達しておつたんでありまして、即ち一番のピークで四二%にまで達した国防生産というものが、今度の計画で一番のピークが二〇%であるということは、アメリカ経済に全体としてはまだ非常に余力があるということをここで示しておると思うのであります。こういうふうに私どもが日本の国内のいろいろの経済問題を見ておりましてアメリカ経済を見ますと、そこに非常に大きな相違があると思いますが、その一番大きい相違はこの経済の底の深さと申しますか、非常に民間の経済というものの大きなものがあつて、そこに国防生産をやつておるので、それが影響はなかなかありますけれども、併しな日本の戦争中の経済というようなものから見ますと、ゆとりの多い経済のように思われます。日本の場合には、戦後におきましてもちよつとした経済現象が非常に大きく響きまして忽ち物が不足すると物が暴騰いたしまして又輸入をたくさんしたと急に下落すると、又上がるとか、非常に上がり下がりの大きい波瀾の多い経済でありまして、周期の短い波長において非常に経済が動揺するように思われるのでありますが、向うにはもう少し長い周期の、いろいろの経済の動向というものが常に非常に大きな問題になつておりますが、この小さな波瀾というものが日本ほど深刻ではないのでありまして、これは余談でありますが、私はアメリカ人日本経済を判断する際に、この小さな波瀾というものが日本のような底の浅い経済において非常に大きな重点を持つておるという、これはアメリカのような場合にはそれほどでない場合にも、日本ではそれが死活の問題にもなるし、非常に深刻な影響を与えるということに対してアメリカ人は十分の理解がしにくいのであるというふうに思われるのであります。これに反して逆に申せば、我我としてはとかく目前の小さい波長周期に対して非常に敏感であり、又それに没頭しておるために、長い波長経済の運行というものに対して、ややもすれば目を蔽いがちであるというようなことも言えるかと思います。  多少余談になりましたが、今のようなアメリカの非常に大きな経済の中でこの国防生産をやつておるのでありますが、国防生産にやはりいろいろの隘路がありまして、その一つ隘路工作機械、この工作機械がここ一、二年の間は相当不足を告げる、殊にジェット、エンジンでありますとか、或いは何と申しますか、無人の飛行機のようなものを作つておりますが、そういうような種類のものがあるために、非常に大きな分量の工作機械、これがここ一、二年不足するということが言われております。又もう一つ隘路は、これは労力でありまして、この労働力が、現在の失業者というものは、この夏の数字で約二百万、この二百万と申しますのは、夏休みの間多少学生のアルバイト等がありまして、必要以上に大きいわけでありますが、普通の場合でありますれば百数十万というような数字であります。従いましてこの労働力ゆとりというものはその辺のところであるのでありますが、今度の国防生産のために追加労働力としてどのくらい要るかというような計画をいたしておりますが、これがやはり百五十万から二百万ぐらいの追加労働力が要るということが言われておるのであります。そういたしますと、例えば失業者を殆んど全部駆り出すというような勘定になるわけでありまして、或いは相当普通の場合なら使わないような労働力も駆り出して使わなければならんというような情勢に追込まれる可能性があります。従つてこの労働力というものがやはり一つの大きな問題になつている、こういうように隘路がありまして、これがためにはいろいろの方策をとつております。まあ労働力の対策としては、一方でいわゆる労働者生産性の向上というようなことで、一人当り生産力増加、これはまあアメリカ日本に比べて非常に大きいが、それにしてもこれをもつと殖やして行こう、これは現実にも労働省の統計なんか見ましたが、最近の調査によつて、一人当り生産量は大分殖えて来ております。こういうようにやつてはおりますが、なお労働力は依然として問題として残つております。こういうようにやつて行きまして、大体これは政府の発表した数字でありますが、再来年、一九五三年の二月には、今年の六月に比較いたしまして飛行機が三倍、タンクが四倍くらい生産できるというような計算を立てております。相当大きな規模のものができるわけでありましよう。  こういうような大きな国防生産をやつてつたら、一体このアメリカ経済が非常に大きなインフレになるのではないかということは次の問題であります。このインフレになるか、或いはインフレにならないかというような議論アメリカ議会においてもしばしば論議されておるところであります。このような大きな国防費を一方で支出して、急速に生産を上げるわけでありますが、その間にやはり民需生産というものが或る程度抑制される、その程度は勿論戦時中の日本の場合とは比較にならないほど軽微なものでありますが、それにしてもあちこちの生産が少くなつて行きます。従つて政府説明としては、ここ一、二年の間はどうしても物資及び労働力供給力のほうが需要に追付かない、従つてインフレになる危険があるから、もつと強い統制方策をとらなければいかんということを主張しております。その説明といたしましては、大体、例えば今年の例をとりますと、暦年の、本年の数字として、大体可処分所得、つまり所得の中から税金等を取りまして処分し得る所得が、これが大体二千八十億ドルある、この二千八十億ドルの可処分所得に対しまして、一方で物資及び労働力の提供し得るもの、これが千九百十億ドルしかない。百七十億ドルくらいのものが不足するというような計算をしております。この百七十億ドルというものの全部が貯蓄に若し廻るならばインフレにはなりませんけれども、百七十億ドルの貯蓄というものはちよつと期待できないような次第で、従つてこれだけの余剰の購買力と言いますか、需要というものがある以上は、物価が上つて行く、これをどうかして抑えて行かなければならん。現にいろいろ断片的には物の値段が上つております。例えば郵便料を今議会で審議しておりましたが、はがきを一セントのものを二セントに上げます。封書はそのまま据置きでありますが、定期刊行物相当大幅に引上げるというような案が出ておりました。又労働賃金につきましても、これが昨年の一月に比べてたしか一〇%まで上げていいという基準を設けたのが、更にそれをゆとりを設けるというような処置がとられた。それから鉄道運賃が二回に亘つて今年引上げられた。自動車消費者価格が、たしか今年あたりは八%先般上げることを物価安定局のほうで認めまして、すでに上つたのであります。こういうふうにあつちこつち物価引上げているものがありますけれども、併し全般的に見ますと、昨年の朝鮮事変以来の、つまり昨年下半期の非常に急速な物価の上昇というものを追つかけてあとで修正しておるという感じでありまして、今年になりましてからはむしろ落着いたと言いますか、物によつては少し下つて来ております。卸売物価なども最近下落の傾向にありまして、目前のところはむしろ下つて来ている傾向にあります。政府がそういうようなインフレの危険を特に強調しまして、野党その他の方面から、これは政府統制を欲するが故に必要以上に大袈裟に言うのだ、実際はそれほどでないというような議論もなされております。それでそういうほうの議論一つの大きな根拠は、非常に手持ち商品が多いのでありまして、例えば百貨店手持ち商品というものは、この六月で去年に比べまして約三割殖えております。これは値段にして三割上つておりますが、この間の消費者物価の値上りは九%くらいでありますから、これを差引きましても、相当手持品増加でありまして、これが今年の初め頃、夏の前に例のメイシー百貨店と、隣にありますギンベルスという百貨店ニューヨークで以て非常に値上げの競争をやつたというような事態を起したわけであります。街を歩いておりましても、その街の至る所に電気冷蔵庫とか、掃除機とか、或いはテレヴィジョンとかというようなものが山のように置いてあります。方々で大売出しをやつている、従つてちよつと見たところ何も物資不足という感じはとてもありませんで、まあ途方もなく商品がたくさん街にあるという感じを受けるのであります。現に数字から見ても、消費物資供給量というものは非常に大きなものであります。その上に最近は農産物の大豊作でありまして、これが綿花を初め、その他のものが非常に大きな予想以上の生産を上げたわけでありまして、農産物一般としては歴史始まつて二番目とか言つております。綿花も三番目とかということを言つております。千七百万俵、非常な大きなものでありまして、綿花相当大きなものを海外に輸出しなければならないというようなことが一般に言われておりまして、御承知のように綿花値段もずつと下つて参りました。殆んど例の支持価格に近いところまで落ちて来た。やはりこの三月頃がそういうもののピークであつて、それが六月頃までは日本と大体同じでありますが、急速に下つて来たのであります。こういうふうに極く最近のところを見ますと物価がどんどん下落しております。どんどんというほどでもありませんが、相当下落しております。従つて政府の言うようなインフレが来るというのは、目前の問題としてそれほど激しいものが来るようには思われない。長い目で見て、この生産全体の計画を遂行する上で大きな金が出ることは確かでありますから、これが影響を与えずにはおかないということは思われますけれども、併し一般的に相当インフレ対策というようなことは行われておりますから、少くとも目前において非常に激しいことにはならんと思います。今後これがどういうふうに発展するだろうか、これはいろんな問題に勿論関連しておりますから一概に申せませんけれども、例えば世界情勢、これがどうなつて来るか、朝鮮事変、或いはイランの紛争その他の発展如何によつて、このために厖大な追加予算が出るかどうかというようなことが勿論言うまでもなく影響をするわけでありますし、それから又更に一方で、来年の選挙を控えまして相当政治的に金が使われる。例えば農産物の価格の維持その他のために大きな金が若し使われるようなことがありますと、これがやはり相当インフレ的な作用を持つということがあろうかと思います。それから一方で今のような大きな歳出のために増税案政府は提案していることは御承知通りであります。総額で百億ドルの増税案を出している。これは或いはもうきまつているかと思いますが、私の出ます頃には上院と下院とでまだ意見がきまりません。これを相当削減するような提案が両院からそれぞれ出まして、両院協議会の審議というような形になつておりました。このように予算の上で大きな歳出があつて、而も増税案をできるだけ減らすということになりますと、どこかで歳出を削らない限りインフレ的な影響が出て来る。そこでどこを削ろうかということで議論をします。やはり国防費はなかなか大きくこれを削減することも困難でありますし、その他、政治的な意味歳出相当多いわけであります。例の在郷軍人に関する経費でありますとか、或いは農産物に関する経費というようなものは切りにくいので、やはり対外援助というようなものがとかく問題になるわけであります。この対外援助政府の八十五億ドルの予算は、やはり相当問題で、十億ドルくらいは切られそうな形勢であります。幾らぐらいに最後にきまりますか、これも私の出るときまではきまつておりませんで、これも両院協議会の問題になつておりました。これが更に機構をどういうふうにして使うかというような機構問題とからんでもめておりましたが、その後十分最近の電報をフォローしておりません。極く最近のところは存じませんが、私の出発のときはそういう状態であります。こういうような状態で、政府説明によりますると、予算はやはり赤字がここ一両年はどうしても続く、来年度は百億、来年度と申しますと、来年の七月から再来年の六月に至る会計年度、これが百億乃至は百五十億がどうしても赤字になる、その次の年度がやはり五十億ドルぐらいがどうしても赤字になる、その次の年になつて、一九五四、五五会計年度ぐらいに行つて漸くバランスがとれるというようなことを政府委員も答弁しておるわけです。そういう状態予算のほうが赤字になつておりますが、ただ日本の場合の予算赤字ということとちよつと違いまして、さつき申上げましたように、経済全体が非常に大きいのでありますから、それが日本ほどに敏感に一般には響かない。又信用の方面でのこの信用抑制政策は、これも皆様御承知通りでありますが連邦準備当局その他が相当厳しい政策をとつておりまして、いろいろ準備率引上げでありますとか、或いは取引所におけるマージン、リクアイアメントの引上げでありますとか、いろいろな政策をとつております。従つて金融のほうも相当引締め政策が行われておつて、まあ将来のインフレというものが進展するという見方と、或いは進展しないでそれほどひどいことにはならんという見方と両方があります。私は一応長い目で見てやはり相当インフレ的な要素を持つていることは確実でありますし、又アメリカのこういうような大きな軍需生産というものが海外相当依存する結果、海外諸国相当大きな注文が出れば海外諸国物価騰貴を招く。この海外諸国物価騰貴が又はね返つてアメリカに来ることも考えられますし、長い目で見れば相当インフレ的な要素予想し得ると思いますが、ただ目前状態においてアメリカがそれほど急速に物価が騰貴するとは考えにくいのであります。例えば、ちよつと数字だけを見ますと、表面だけで見ますと、アメリカ自動車生産を制限したとか、自動車に割当てる金属類を減らしたというようなことで、何か非常に激しいことが行われているように思われますが、事実は非常にストックが多くて、困つている頃に、丁度生産制限をしたことになつておりまして、従つてその表面にちよつと出たところを見るよりは、安定しているように見られるのでありまして、短期の予想としてはれほど急速に上らないように思います。  経済の問題はこの程度にいたしまして、あと私の出席いたしました国際通貨基金及び世界銀行の問題を申上げます。この間開かれましたのは、国際通貨基金及び世界銀行、これは正確に申しますと国際復興開発銀行と申すのでありますが、俗称世界銀行と言つております。この銀行と基金、この二つのものは国際連合の一機関でありますけれども、実は国際連合よりも歴史が古いわけで、あとから国際連合に吸収されたような形になつておりますが、この機関二つの別の機関でありますが、まあいわば双生児のようなもので、大きな会合などは一緒に開いております。建物も同じ建物であります。いわば二身一体のものであります。この間開かれました会合に私が出席いたしましたのは、これはオブザーバーとして年次大会に出たわけでありましてこの国際通貨基金には二つ機関がございまして、その一つ最高機関でありますボード・オブ・ガヴアナーズというのでありまして、何と申しますか、最高重役会でありましてこのメンバーになつておりますのは参加国、これは現在五十カ国参加しておりますが、その国の大蔵大臣その他中央銀行の総裁というようなものが、その国の事情によつていろいろありますが、大体ガヴァナーになつておりまして、それぞれの国のワシントン駐在財務官というものがその代理者というようなことになつております。これが最高機関を形作つておりまして、それが年に一回だけ会合するわけであります。その下にいわば理事会というようなものがございまして、これがエクセキュテイヴ・デイレクタースといつておりますが、執行委員と申しますか、理事会と申しますか、そういう執行機関であります。その執行機関の一番の頭になつておりますのは、先般まではベルギー出身のカミュギュットという元のベルギー大蔵大臣で、通貨の切下げをしまして非常に名声を博した人でありますが、この人がやめまして、最近の中央銀行の総裁でありますイバールルースという人でございますが、この人が代りにそこの理事長と申しますか、マネージング・ディレクターといいますか、それになつたのであります。その下に各国から常任理事というものが出ております。この常任理事参加国の中から選ばれるわけであります。この中に又二つありまして、いわば大株主の五ヵ国は当然に常任理事を出すことができるわけでありまして、そのほかにちよつと今数を覚えておりませんが、九カ国ぐらいでありましたが、これは何ヵ国かのものが互選によつて選ばれて出ておる。昔の貴族院で申せば公侯爵のような伯、子、男のようなものがあるわけでありまして、その公侯爵当りますのは、現在では英、米とそれからフランス、インド、中華民国であります。それだけが現在当然常任理事になつております。そのほかに互選で数人のものが出ておるわけであります。この常任理事というのが実体をなしておりまして、常務をやつておるわけであります。そうして年に一回大会を開いて、今度はその上の最高機関会合を開く、現在日本参加の問題があるのでありますが、今度の大会にはこの参加はただ日本からそういう申入れがあつたということが報告をされましたけれども、何分にも参加申込日本からいたしましたのが八月のたしか九日附の申入れをしたわけでありまして、通常なかなかいろいろ手続がありまして、その大会までに加入という段取りまでにならなかつた。最近入りましたスエーデンの例を見ましても、これはスエーデンが申込をいたしましてから、これにボード・オブ・ガヴアナーズ通貨基金最高機関が承認をいたしますまでに九ヵ月かかつております。更にその後にスエーデンが金の払込をして調印をいたしますまでその後更に三カ月、合せて一年かかつております。これが最後の段取りのときが、若し丁度年次大会に近いときには、年次大会で議題として決議がされることもありますが、若し年次大会から離れた時期であれば、これは電報で以て各国の意見を問合せて、それによつてやる場合もあるわけであります。従つて日本の場合は恐らくこの後者の場合になるだろうと思います。来年の年次大会までにきまらんということは恐らくないだろうと思います。と申しますのは、日本の場合には相当前以て向うのほうで研究をいたして詰りましていろいろ占領下にある日本参加するということについては、法律上の問題もあつたわけでありますが、その辺の研究もいたしておりますし、又その後日本が入りますとこれは相当の大株主であります。それはどのくらいになるかということについてはまだ見通しがはつきり立ちませんが、いずれにしても公侯爵とまで行かなぐとも、その次の相当上のほうに行くという見当でありまして、従つて日本参加ということについていろいろ内部の勢力関係にも影響するところでありますが、いろいろな意見も出るかと思います。この辺のところの審議というのがまだ今後に残された問題であります。ただ或る程度その準備的な調査というものは今までもなされております。従つてスエーデンの例ほどに時間は恐らくかかるまいと思つております。そこで私が今度こちらに参ります前、向うのほうからいろいろ資料の要求がありまして、日本国際収支の見込がどうなるかということを判断する資料というようなものをいろいろ検討しておるのでありますが、まあこれは勿論日本国際収支というようなものはわからない。何年の輸出入の統計はどうなつておるかということをいろいろ集めておりますが、こういうような数字を集めていろいろ計算をするわけであります。然らばその場合の割当額日本の場合にはどうなるかということについて、これは当初に加入をした諸国、これについては一定の算式があつたわけであります。ところがこれは当初加入諸国に対して適用する算式であつて必ずしも途中から加入する国に適用するとは限らない。普通途中から加入する国は、そういう元の算式で計算をして見た上でいろろ考えるというような例になつております。例を申上げますと、最近インドが二つの国に分かれまして、インドの割当額がさつき申上げましたように多くてこれが、四億ドルであつたのであります。この四億ドルを両方の国に分けたらどうかという話が出たら、インドのほうはそれは真平御免だ、おれのほうはどこまでも四億ドルだという主張をしたわけであります。そうしたところがパキスタンはインドが四億ドルなら、おれのほうももう少し四億ドルに近いものをよこしたらどうかという話があつていろいろ折衝があつた末、今の算式の数字がより大きいところにパキスタンがきまつてインドが四億ドル据置きということにきまつた例があります。この計算というものは、必ずしも非常に正確に算術で出るものではないのであります。又国々によつてはいろいろな場合がありまして、中華民国の場合には五億五千万ドルという非常に大きなボーダーを持つております、割当額を持つております。この五億五千万ドルでありますが、実際上それに基く金の払込は殆んどありません。たしか六万ドルぐらいのほんの僅かなものを払込んでおります。これは特殊の条項がありまして、その国が敵国に占領されておるという状態において通貨の統一ができない場合に、その金の払込を延ばすことができるというような条項があつて、金のほうは殆んど払込んでいない。併し割当額が非常に大きいという例があるのであります。従つてこの割当額を幾らにするかということが先ず第一の問題、その次に問題になりますのは、今度はそのうちどのくらい金を払込むかという問題でありまして、これはこれも加入の当初からの参加国の場合には、この全体の割当額の二五%か、或いはその国の持つております外貨金又は米ドルでありますが、その一〇%か、いずれか少いほうの金額ということになつてつたのであります。それだけを金で払込むということになつてつたのでありますが、併しこれも途中から参加する国は必ずしもその原則によりません。実際のところでも最近入りましたパキスタンの場合には、たしか三・五%くらいしか金を払込んでおりません。これは要するに最高割当額の二五%ということになつておりまして、二五%以下で然るべく決定するということになつております。その場合勿論保有金が幾らあるかということが参考に供せられるのでありまして、それによつて幾らの金を払込むかということはいろいろ折衝の問題になるわけでありますが、これは国々の事情によつて非常に違いますが、インドネシアの場合には二五%のものを初めに払うようにということを要求されておりますし、又イラクの場合は、金は払わなくてもいいのであります。そういうようなことが言われたという例があります。まあいろいろの例がありますが、ただこういう規定がありまして二五%以下の払込をしておりました場合には、若しその国の将来の貿易が非常に順調でありまして、外貨が年々殖えて行くという場合には、その殖えた額の半額の金の払込をしなければなりません。払込をして行つて今の金の払込が割当額の二五%に達するまで払込をして行かなければならんという趣旨の規定がありますが、初めに非常に少い払込をしておきますと、あとから毎年少しずつ払込をしなければならん、これは複雑ないろいろのケースがありますから、いろいろ研究をしなければならん問題だと思います。こういような加入に関するいろいろな、手続は、今後私が向うに、ワシントンに赴任をいたしましてから問題がだんだんと、向うと交渉するような段取りになると思います。で、今のような国際通貨基金会議自身の場所では、この間開かれました会議自身は、何と申しますか、その場で以て意見のやり取りをして結論を、議論をまとめて行くと申しますよりも、むしろ一年間において各国で議論したようなところを、その場で立場を闡明するというような場面が多いのでありまして、イギリスのゲィツケル蔵相が来まして、イギリスの立場としては通貨基金の言つておるような非常な自由な国際間の交易というようなことは、今の状態では直ちには実行できない。現実の問題として相当統制をむしろ強化して行く方向に行かなければならんというような、イギリスの立場を主張しまして、これに対して基金、及びアメリカがその立場をとつて、どこまでも方向としては国際間のいろいろの通商の障害を除去するという方向に持つて行かなければならないというようなことを述べたというような、一つの典型的のものでありますが、各国の事情に応じまして各国の大蔵大臣、或いは中央銀行の総裁というものが、その場でいろいろ意見を述べたわけであります。開会式にトルーマン大統領が出ました。それから開会式の直後、サンフランシスコでやりましたと同じように、チエツコスロバキアの代表が国民政府を追い出せというような一幕がありまして、これが否決されるというような場面もあつたのでありますが、大体において会議のほうは儀式的のものが多かつたのであります。五日間の会議であつて、ただその間に会議外にいろいろ社交的な集りが非常に多いのであります。これを目指して全米から、主な銀行の首脳者がみんな集つて来ました。その場で以ていろいろ世界中の財界の首脳部の人がお互いに話をする、非公式な話をする機会ができるということがこの会合のむしろ実体的な大きな意味でありまして、その場で私も非常に多くのいろいろの世界中の人に紹介され、知合いを作ることができました。そういう意味で非常に役に立つたと思います。  国際通貨基金のことはその程度にいたしまして、次に今後の日本の平和条約に続く問題としていろいろの障害、債権債務の問題があります。これはなかなか微妙な問題でありますが、これが今後私が向うへ参りまして、外債の問題とか、その他ついていろいろ話が出て来ると思いますが、これについて概要申上げたいと思います。さつき私にざつくばらんにというお話がございましたので、私は身柄としては大蔵省の役人でもございませんから、ただ思つていることをそのまま申上げますが、平和条約で従来相当程度まで経済問題がはつきりきまるというふうに予想しておつたのでありますが、実際のところでは政治的に日本の戦争関係を終結するというその目的のために、経済問題の多くのものが後に延ばされた形になつておりまして、従いまして当初に私どもが考えておりましたよりもいろいろの問題が後に延ばされておる。例えば賠償の問題にいたしましても、平和条約そのものが具体的にきまりませんで、更に今後交渉をいろいろしなきやならんという状態にあるわけでありますし、又それ以外の、例えばガリオア対日援助資金をその後にどうするかというような問題も、従来私ども聞いておりましたことは、この金がどうなるかということは平和条約で大体きめるというふうに聞かされておつたのでありまして、又私どももそう期待しておつたのでありますが、これもきまつておりません。従つてこの問題も未だに未決であるわけであります。それから又国防分担の問題も、これも講和条約そのものではまだ何もきまつておりません。これはむしろ日本とすれば或る程度の外貨の取得になるわけでありますが、これもきまつておりません。このように日本の将来の国際収支に関連する非常に大きな問題が幾多未解決のまま平和条約において残されておるということでありまして、従つて日本の外債の問題について、これは日本が戦前一回も外債の支払を怠つたことがないという非常に輝かしい歴史を持つておりまして、ニューヨーク方面でも日本の外債に対する信頼というものが非常に今でも高いのでありまして、然るが故にこれで日本としてもできるだけ早く手を打ちたい、何らかの満足な解決案を計りたいということをまあ私どもも感じますし、誰でもそういうふうな気持を持つておるわけでありますが、ただ今のようにほかの問題が大きく未解決のまま残されておりますので、外債の問題を大体切り離して、これを別途にきめてしまうということが非常に困難な状態になつておるのでありまして、この点は私どもニューヨークで銀行家に会います場合の感じと、又ワシントンにおいて政府方面の人と話をしますときの感じとは多少違うのでありまして、政府方面の人はそのような事態を非常によく知つておりますが故に、なかなか外債の問題を今すぐにどうするというわけには行くまいという気持を持つておるのでありまして、むしろそれ以外の問題の解決を先ず考えて、これに対していろいろ交渉しなきやならんというようなことを言うわけでありますが、ニューヨークのほうではその間の細かい事情を十分知らないこともありますし、又日本の外債が過去において非常に信用を持つてつたのでありますから、是非自分のほうの銀行においてこれは扱いたいという希望が、アメリカの各銀行にあるわけでありまして、殆んど非常な大きな競争状態になつておりまして、私ども参りますと自分のほうで一つ是非やらしてもらいたい、或いは自分のほうではこういう弁護士があるからその人に相談したらどうか、或いは自分のほうで解決案を……、一つこういう案があるがどうだというようなことで、いろいろと向う側から接近して参るわけでありますが、こちらとしてはそういういろいろの忠告に対してはこれ有難く聞いてはおるのですが、なかなか現在のところではこれに対して何らの約束を与えることができない状態にあるわけであります。でニューヨークではそういう問題が非常に向う側かち積極的に乗り出して来ておりますから、まあ私どもとしてそちらに対してできるだけ早く何らかの返事のできるような状態を作り出したいというふうに思うのでありますが、今のような事情で目前これをすぐ取上げて、私が例えば今度帰りましてすぐにニューヨークとそういうような交渉をするという段階にはなるまいと思います。従つて私はここ暫らくはやはり本拠としてはワシントンにおりまして、政府関係の交渉のほうが主になりまして、それが或る程度の段階に達して適当な時期にニユーヨークといろいろ話をするということになろうと思います。ここでニューヨークと申しますのは、各債券の所有者との交渉ということになるわけでありますが、その代表的な一つの団体としまして外債所持人保護委員会と申しますか、フォーリンボンド・ホルダース・プロテクテイヴ・カウンシルという名前の委員会ができておりまして、この委員会、これは私のものでありますが、ここが非常に信用を得ておりまして、前に国務次官補をした人がそこの一番の頭になつておりまして、そこと結局交渉をする段取りになるわけであります。先般もそこを訪ねましていろいろ事情を話し、又向うとの段取りの打合せ、その他をいたしましたが、まだすぐにはそこと交渉してどうというわけに行かんのでありますが、これが向うの債権者側の立場を実質的に代表する機関であります。形式的に申しますと、外債の所持人一人々々が相手でありまして、どういう提案をいたしましても、一人々々の債権を持つている人がおれは嫌だと言えば、これはそれを強制する途はないのでありまして、皆の大勢の人がこれに対してそれならば持つて行こうということになれば、それで話が解決して来るのであります。今のところただ委員会はそこが裏書きをすれば大勢の人たちがくつついて来るという実質的な力を持つておるのであります。形式的にはそこが強制することができかい。同様の機関が又イギリスにもあります。フランスにもありまして、この問題はなかなか複雑であります。現在戦争の始まります直前の状態におきまして、米貨債が七千六百万ドルありまして英貨債が六千百万ポンド、それから仏貨債が三億八千万フランありました。これを米貨に直しまして、約二億九千万ドルくらいのものがあるわけであります。その後は十年間利息を払つておりませんから、この利息を払うものまで入れますと、全体として、従来の利息通りで払いますと、全体として四億四千万ドルくらいのものが総体の負債、日本の債務になるわけであります。これをどうするかという問題でありまして、従つて今申上げた数字でもおわかりのように相当ポンド債があるわけであります。ただこのポンド債のうちで相当の部分は一定換算率がありまして、ドルで払うことが認められておりますから、実質的にはドル貨債になるものが相当ありますが、いずれにしてもイギリスの債券所持者の煮見というものも相当尊重しなければならん。それから又フランスの立場も嵐ります。まあこういう国際間のあちらこちらの意見をやはり参酌をするということが一つありますし、又政府的に、さつき申上げましたような民間の立場以外に、政府との交渉の問題がありますし、まだ相当複雑な経緯を辿らなければ結論まで到達しないと思います。併し同時に、できるだけ早い機会にこれについての満足すべき解決案を出す必要があるということを感じておるわけであります。従来これと同じようなことをやりました先例としましては、イタリアの外債がありますが、このイタリアの外債は非常にイタリアの政府にとつて有利であつて、債権者にとつてやや不利な条件で解決されたわけでありまして、このイタリアの外債の先例通り行なつてもらつたのじや困るという意見相当あります。このイタリアの外債の例は、これは途中からイタリアが連合国のほうに加盟したというような特殊な事態の下にあつたこともあります。従来の債券所有者に対しまして非常に低利な新らしい債券を提供して、これと交換することをまあ申出たわけでありまして、債券の所有者としては従来のままでいつ解決されるかわからない債券を持つている代りに、まあこういう条件ならどうかという、そういう提案をされたわけでありますから、まあそれに乗替えたというものが多く、結局九〇%以上の債券所有者は新規の利息の低いものに乗替えたわけであります。ただここで考えなければなりませんことは、勿論政府にとつて非常に有利な条件ということは望ましいことでありますけれども、長きに亘つて将来又更にニューヨークの市場その他において若し借入れをするというような場合がありますと、将来に亘つて日本の信用というものをやはり確保しておきませんと、日本の外債を買つて見ても、又将来非常な債券所有者にとつて不利な条件で借り替えられてしまうのじやないかというような心配を持つたのではやはりいけない。そういう点でまあ債権者の信用というものを得る必要もありますし、そういう範囲内において日本が、できるだけ日本政府にとつて有利なことの解決案を出さなければならんということだと思うのであります。殊に日本は従来から非常にそういう点については几帳面な国であつて、その点が日本の非常に大きなプラスになつておる。このことは私どもニューヨークに参りまして我々の先輩が曾つてこういうふうに日本の外債について一回も怠つたことがないという輝かしい歴史を作つておいて頂いたということが、どのくらい今仕事をやりやすくしているかわからないということを非常に痛感するのでありまして、こういう過去においてそれだけやつたということが非常に長い間に亘つて日本の国際信用を高めておるのでありまして、まあこういう点を害することのないように、再びこの信用を世界に確立するということが必要だろうと思います。その点も又十分に考える必要があると思います。ただ現在のところさつき申上げましたように未解決の問題が相当ありますために、今すぐに結論が出せない。併しその出せない中で、勿論だんだんと準備をいたして行きまして、適当な機会にこの問題が解決されるように私として向うでできますことは、東京の指示を得た上で万全を尽したいと思つております。  いろいろ取りとめなく申上げましたが、或いは全体として日本の今後の経済がどうだろうというようなことの一般論として、向うの人といろいろ話をした際の感じを最後に一言申上げたいと思います。まあ日本経済問題について向うの人の関心というものが非常に大きくなつて来ております。日本に対して投資しようかとか、或いはいろいろの気持もぼつぼつ動いてはいる。そういう点で最近海外投資というようなことが、つまり日本側から言えば外資導入というようなことがよく言われておりまして、又具体的に技術の提携とかその他の形で現実にそれが現われております。こういう点がどうなつて行くだろうかということでありますが、これは今申上げましたように、民間の投資というものが非常に大きく出ますためには、外債の問題が未解決である以上は非常に大規模の長期の投資というものがなかなか困難であり、それで民間の資金というむのは、これを引つぱり出すためには先ず従来の借金のほうの話を付けておかないと……新らしい借金をするのに先ずこれが大切なことだということが言えると思いますし、又、もう一つ向うで似て相当いい利廻りで以て現在の金が廻せるのであります。廻せるのでありましてアメリカの国内の株を買いましても利廻りが六分以上に廻ります。上手に廻せばもつと高い利廻りで廻わるわけであります。海外に危険を冒してまで金を出そうというのには、相当思い切りが必要なのでありまして殊にアメリカでは、日本の場合にはさつき申上げましたように、幸いにして非常に従来、戦争の始まるまではいい条件であつたのでありますが、ほかの国で随分ひどい目に会つた従つてもう海外投資は懲りごりだという気持が相当強いのでありまして、民間の人は海外へ危険を冒かして出すよりはむしろ国内へ廻せば十分安全に金を廻せるという気持は相当強いのであります。従つて民間の人が自分のリスクで以て大きな金を長期に亘つて貸すということは、やはりもうちよつと地ならしをしないと、なかなか出て来ないような気がいたします。勿論中には特殊な関係で金を出す人がありましようし、又技術の提携とか或いは株を買うとかというような、いろいろな形でいろいろあるだろうと思いますが、今のような外債、従来の外債のような大規模なものはなかなかそうすぐには出て来ない。そこで現在考えられますことは、政府機関の金を借りることでありまして政府機関として日本に金を出す可能性のありますのは、ワシントンにあります輸出入銀行であります。この輸出入銀行は、これは政府が全額出資をした政府の銀行でありますが、この銀行は日本に対して相当の興味を持つております。現に、従来も綿花の回転基金の中に参加しておりましてもう日本の短期の金でありますが、貸してあります。長期の金でもここが興味を持つたことは事実であります。ただ長期の金をここから借りますことについて一つ問題になりますことは、輸出入銀行という名前が示しております通りアメリカの輸出を増進する、或いは輸入の場合は殆んど問題になつておらないのでありますが、主としてアメリカの輸出を増進するための機関でありまして、従つて海外に金を貸して、その金でアメリカから物を買う、つまりアメリカ側としての輸出を増進するために、海外に金を貸すのが目的でできた銀行でありまして定款にそういうことがきめられております。従つてその頭取とも、総裁とも何回か会いましたが、原則としてはとにかくアメリカから物を買うことを中心とした案でなければ持つて行けないというのであります。例外的にまあ或る一部のものをその地方の通貨……つまり日本に金を貸した場合に、一部のものを労賃のために日本の国内に落すという金があつてもいい。或いは第三国から一部の物を買うということがあつてもいいけれども、原則としてはどこまでもアメリカから物を買つてもらわなければならない。従つて現在今後の案がどういうものがあるかわかりませんが、過去の電力債のようなものは、あれは日本で円が必要であつたのでありまして、あの場合にはドルは必ずしも、国全体としては必要でありますが、会社がそのドルで以てアメリカから機械を買つたわけでもなかつたのであります。そういうような性質のものであれば輸出入銀行にはちよつと乗りにくい恰好になつております。その点が今後もちよつと問題があると思います。つまりアメリカから物を買うのではなくして、外債を出してその見返り円で以て国内で物資を調達して、それで事の済むような種類の金は輸出入銀行の借金としては乗りにくい。このほうはむしろ世界銀行、これは今申上げますが、さつきの国際通貨基金と一心同体であります。世界銀行のほうは、これは電力などは相当各国に出しております。こちらのほうにはそういう制約はありませんが、今の輸出入銀行のほうはいずれにしましても、アメリカの物を買うことを中心とした案でなければ困るということが一つの大きな制約になつておりまして、日本はいろいろの産業が、相当機械産業その他が発達しておりますから、いろいろなプロジエクトにおいてアメリカから必ずしも物を買わなくともいいというものがあるのであります。そういうものはちよつと輸出入銀行には乗りにくい。併しアメリカから若し物を買うことを含めたものでありますれば、これは相当関心を持つておりま。殊にもう一つ注意を要しますと思いますことは、極く最近の輸出入銀行の貸出しを見ますと、殆んど大部分がいわゆる緊要物資の開発の資金でありまして、ウラニウムでありますとか、マンガンでありますとか、亜鉛でありますとか、硫黄でありますとか、アメリカの必要とするそういう緊要物資のための開発、そのために金を出してできた物をアメリカが買う、それでその代金で借金を返す。そのための開発機械をアメリカから買う。そのための資金を出すというような種類が非常に多いのでありまして、殆んど九割以上がそういう種類のものであります。そういう点も又考慮に入れる必要があろうか思います。こういういろいろの制約がありますけれども、輸出入銀行では日本の問題をいろいろ研究しております。或いは平和条約の発効するまでに金を貸すということはできないかも知れないけれども、その前でも話を十分聞いておいて、いい案があれば貸す準備はあるように思われます。今までのことを率直に申しますと、どうもいろいろのかたが見えまして話をするけれども、何かふわふわした話が多く、具体的なきちんとした話を以て、この案ならいつまでには幾ら返る、それからどれだけ生産が殖える、どれだけ機械を買うというきちんとした計画を以て、而もその銀行の方針に乗り易いものを持つて来る人が余りなくて、まあ非常にお客が多く、日本人が非常に多く来て、どうでしようかね、金を借してくれませんかという話を漠然とする人が多い。どうも時間ばかり取られて一向進歩しないということを申しております。これは露骨に申上げますが、ほかのところもそうでありまして、国際通貨基金あたりでもどうも非常に日本人のお客が多い。世界中のお客の中で一番日本人が多くてそれで会つて見ると、天気がいいとか何とか言つてなかなか本論に入らない。而も何しに来たのかはつきりわからない。どうしてああたくさん人が来るだろうと言つておりました。日本には国際通貨基金が非常に多くて関心が深いから多く行くのだと言つてごまかしておきましたが、そういうこともあるようであります。  それから余談になりましたが、もう一つ世界銀行でありますが、このほうは国際的な機関でありますから、一つ欠点を申上げれば、動きが鈍いのでありまして、輸出入銀行のほうはアメリカだけの機関でありまして、そのほうが動きは早い。ただ国際銀行のほうは今のように、輸出に限るというような制約がありません。基礎産業的のものに多く出しておるのです。そういう意味で、日本の場合にも相当可能性が将来あろうと思う。ただ、入つたからといつて、右から左に金を貸してくれるわけでありません。やはり調査団を派遣するとか、なかなか手数がかかつて、一年ぐらいかかる場合があるのであります。なかなか右から左にすぐ動くものではありません。ただ、ここでも非常に日本に対して好意を持つております。この首脳部の人も、日本の問題をいろいろ研究しております。従つて将来加盟してからいろいろと問題は出て来ると思いますが、国際通貨基金、或いは世界銀行加入をしたという場合は、何かすぐにいいことがあるかというような期待をしておるかたが若しありますれば、それほどすぐにいいことはないかも知れない。これはやはり国際的な経済の仲間入りをするという、一つのクラブに入つたようなもので、その入会金を出してクラブに入つて、それからだんだんと発展があるということと思われます。そこでまあ日本経済が将来どういうふうになるか、向うでも非常に同情を持つてつて日本に対していろいろ金を出そう、これは民間の金がさつき申上げましたように、すぐには出ませんので、政府的に何かやろうという気持があり、又、従来援助ということもやつてつたわけでありますから、又、更にいろいろの日本の、いわゆる日米経済協力、これが具体的にどういうことを指して日本で言つておるのか私よくわかりませんが、いずれにいたしましても、いろいろな形において経済の協力をして行くという気分が一般にあるのであります。そのためには、例えば先般の動員局の総裁のチャールズ・ウイルソンが日本の問題に言及いたしまして、いろいろと関心を示しております。従つてここ暫らくの間、日本に対する関心というものはアメリカは非常に大きいと思いますから、私は日本国際収支の将来を見通しましても、ここ近い将来は僅かに有利な状態があり得ると思います。殊に朝鮮関係、これは仮に戦争が終りまして、復興という段取りになりましても、或る程度の金がありましようし、これは先般国務次官補の証言では、二億五千万ドルという政府の案があるようであります。復興のために、いずれにしましても相当の金がそういうことからも期待できますし、又日本に軍隊がおります間、その落す金もありましようし、近い将来における国際収支は比較的いいのでありますが、長い目で以て一体どうなるか、これは又別問題でありまして、普通の、通常の日本の輸出によつて輸入を賄い得るか、これが今後の一番大きな問題だと思うのであります。臨時的な収入をここ暫らくの間期待できますから、近い将来はそれほど困らないにしましても、長い目に亘つて日本の国際経済における競争力というものが十分維持されて、その輸出力によつて日本の必要とする原料なり食糧なりを入れることができるかどうか。これが非常に大きな問題だろうかと思うのでありまして、私は日本の、さつき申上げました日本経済の問題でいろいろ小さい波瀾がある。それと同時に大きな波があるということを申上げたのでありますが、大きな波の問題としては、この将来に亘つて日本の国際経済における生活力を維持するという問題が一番大きな問題で、これがための対策ということは、又これまでの安定計画というような国内におけるやり方だけでは解決しない。私はドツジ氏に会いました際に、ドツジ氏が第一回に来たときと、現在の状態とは非常に違いがあることを認めるが、この前のときには国内の財政的に金が放出された、又復金を通じて財政資金が出たと、この二つによつてインフレが起つたということで、これの対策を講ずれば問題が解決したのです。併し現在の日本物価朝鮮事変以来上つたということは、これは国内の原因じやなくて、むしろ国際的な原因であつて海外からの原料の値が上つた、殊に運賃が上つたために非常に不利になつた、又朝鮮、中共と交易するのでなくて、遠いところから物を運ばなけりやならん。原材料の値上り、又この狭いマーケットに対していろいろ特需その他の注文が一度に出たというようなことによつて引上げられた。まあつまり外的の原因によるものであつて、この解決を図らずして国内の安定政策だけで今度の経済状態を解決できないと思うが、その点は一等初めにお前さんが来たときとは根本的に違うだろうというようなことを申しました。それに対してはその通りだと彼はそれを認めております。ただそれなるが故に別に国内の安定計画をこわしていいと彼は決して言いませんけれども、併し同時にそれだけで解決しない大きな面があるということを証明しておるわけであります。そういう点につきまして私はニューヨークでこういうことを申したんであります。これは銀行側その他からよく日本経済の将来のことを言われましたが、そういうときのまあ座興に申したのでありますが、ダレス特使が日本に来たときに非常に面白いことを言つた。ダレス氏は、日本が八千万も人間が狭いところに住んで、非常に人口過剰で困るということを言つておるけれども、自分も非常に小さな島から来た。その島には何百万の人が住んでおる。而もそれは非常に繁栄した島である。その島の名はマンハッタンという島で、これはニューヨークのことでありますが、ニューヨークの島というものは非常に人口がたくさんあつて、而も世界一繁栄しているじやないかということをダレス氏が言つた。私はそれは非常に面白いことで、世界の中で侵略に訴えずして、而も非常に大勢の人間が狭い地域で以て繁栄し得るということに非常に我々として勇気付けられたことも事実である。併し同時に私はそれに附加えて言いたいことは、マンハッタンの島の周りに何十とあるあの橋を日本にもらいたい。あの橋を全部日本に提供してもらいたい、あの橋は何であるかというと船である。日本海外から物を入れ、或いは物を出すその橋或いはトンネルを日本に与えて、これによつて日本海外と自由に交易することができるようになり、そういう機会が与えられれば日本の八千万の人間が平和裡に狭い島の中でも繁栄し得るのだ、それがなければ別な解決方法に走らざるを得なくなる。そこで日本にマンハッタンの周りの橋をもらいたいのだと、こういう話をほうぼうでいたしたのであります。これに対してまあ非常にみんな共鳴してくれまして、例えばニュース・ウイークの論説委員など非常に喜んで、すぐにそれを雑誌にそういう趣旨で船をどうしてもやらなけりやならんということを書いておりました。まあそういうふうなことで、私はそういうような解決策、つまり世界的規模における日本経済をどうして行くかという解決策がこの際必要であつて日本の国内の安定計画ということは勿論必要でありますけれども、まあそれだけで解決し得る世の中ではなくなつたということを痛感しておるわけであります。大体お約束の時間も近付きましたのでこれくらいにいたします。
  4. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) どうも有難うございました。何かお聞きになることはありませんか。
  5. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 時間もありませんから簡単に項目別にちよつと御質問したいのですが、対日援助ですね、対日援助は池田大蔵大臣機会あるごとにこれは債務であるということを覚悟していなければならんということを言われたのですが、今大蔵省で一応弁済すべきものとして作業しておられるのですか。
  6. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 大蔵省の中の作業はどうなつているか、私は帰つて来て、今大蔵省の人間でもございませんし、よくわからないのですが、まあその通りだと思うのであります。つまり昔あれは債務であるか、或いはもらつたものにするか将来きめるということになつてつたのですが、それが平和条約できまらず、現在の状態としてそれは債務として返すという計画を事務的に立てなければならんと思います。
  7. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 聞くところによると、これは確実にそうかどうか知りませんが、防衛負担金を半分払う、アメリカが半分払う、そのときにアメリカが払う分に対して対日援助費が再軍備に振り当てられる。こういうような可能性はあるのですか。
  8. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 私の知る限りではその間に関係はないと思います。
  9. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それから外債の問題ですが、これはいろいろむずかしいお話があつたのですが、大きな見通しとしてはイタリーの場合は借替えをやつたのですが、日本の場合イタリーのような条件でないかも知れませんが、大きな見通しとしては借替えという問題は可能性があるのですか。
  10. 渡辺武

    説明員渡辺武君) これはいろいろな案がありますが、どれがいいかということは申上げられませんが、又私もわかりません。まだ結論を出しておりませんが、二つに大きく分ければ、一つの方法は新らしい外債を出して、それで借替えるという方法であります。もう一つの方法は、従来の約束した利率で以て今後ずつと払つて行く。いわば十カ年間そこに空白があつたものを、ないものと見て続けてやつて行くというような解決の方法もあろうかと思います。つまり従来の条件をそのまま活かして行くという一つの行き方と、或いは全く新らしいものを出して行くという行き方、それぞれ利害得失がありますが……。
  11. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこで後者のほうでは、要するに金利をきちんと払えばいいという問題になるのですね。
  12. 渡辺武

    説明員渡辺武君) その場合にも十年間の溜つた利息をどうして行くかという問題は、これはやはり考えなければならん問題だと思います。
  13. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 外債の期間の問題は……。
  14. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 外債の期間の問題は、それほど問題にならんと思います。
  15. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 外債の取引きは相当あるのですか。
  16. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 相当活發でございますね。それで値が少し投機的に上下しまして余り健全でないと私は思つておりますが、一番最高のときには百四ドル四分の三でしたか、六分ばかり国債が上りました。額面以上になつたのであります。これは未払利子その他も払われるということで、非常にいい条件になるということは日本信用が上つたことでもありますが、同時に非常に債券所有者に対して有利な解決案を予想しているということにもなりますから、余り上つたり下つたり最近しますのは、どうも余り有難いことでもないと思います。
  17. 松永義雄

    ○松永義雄君 内地の銀行向うへ出向いて買入れるということはできますか。
  18. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 日本側でそれをやりますことは、非常に向うに敵意を抱かせるというか不信を買うことになりますから。
  19. 松永義雄

    ○松永義雄君 外債というは民間の債務ですか。
  20. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 従来民間の債務であつたものを、戦時中の措置で政府が皆買い取つたものですから、今は全部政府の債務であります。
  21. 木内四郎

    ○木内四郎君 さつき渡辺さんの、国際通貨基金加入するのは、日本が非常に大株主になるというのですが、入れば大株主になるのですか。
  22. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 相当に大株主であります。
  23. 木内四郎

    ○木内四郎君 標準はきまつているのですか。
  24. 渡辺武

    説明員渡辺武君) きまつてはおりませんが、当初に参加した国の方針がありますから、それは貿易額であるとか、或いは国際収支の過去の実績でありますとか、いろいろな非常に複雑な算式があつたわけであります。それは発表されておりませんが……。
  25. 木内四郎

    ○木内四郎君 日本が加わる場合に、そういうことを考慮に入れても相当株主ですか。
  26. 渡辺武

    説明員渡辺武君) かなりの大株主です。
  27. 木内四郎

    ○木内四郎君 金額は見込がありますか。
  28. 渡辺武

    説明員渡辺武君) これはわかりませんが、カナダが今三億ドル。
  29. 木内四郎

    ○木内四郎君 中国のほうは多いですか。
  30. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 中国は五億五千万ドルで、その次がインドの四億ドル、その次がカナダです。
  31. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 レートの問題ですね。これはデリケートな問題ですけれども、これはいろいろヨーロツパあたりで問題になつておるのですが、一応これは何か最後加入するときに決定されるわけですか。
  32. 渡辺武

    説明員渡辺武君) これはレートを加入するからどうしなければならんということは私はないと思います。ただ加入する際にはそのレートがどういう、ほかのいろいろな指標との関係においてどうなつておるだろうという研究は勿論いたすと思いますけれども、併し通貨基金加入するからレートを変えなければならんというその因果関係はないと思います。
  33. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうすると、こちらでこれはそのレ—トで加入したいと言えば大体向うで承認されるわけですか。それともいろいろ検討して……。
  34. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 加入の際にレートをそこで変えられたという例は余りないと思います。
  35. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 併しこちらのいろいろ検討されるわけでしよう。
  36. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 一応いろいろその説明はするわけですね。
  37. 木内四郎

    ○木内四郎君 今の外債借替えのときはどうですか。昔と違つてアメリカの金利の水準というものは上つておるのですか。さつきあなたの言われたように……。
  38. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 上つておりますね。
  39. 木内四郎

    ○木内四郎君 従来のような利廻りで借りておられればいいほうだということになるのですか。
  40. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 割合に最近は、上つておりまして……。
  41. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちよつと今あなたが言われるのは工合が悪いか知らんが、上つておることは上つておるのですね。
  42. 渡辺武

    説明員渡辺武君) ちよつと上つておりますね。株の投資と同じわけには行きませんけれども、株の投資は平均利廻りが昨年中は確か六分何厘ですか、利廻りは株から計算しますとかなり国内で有利に廻わせるのです。
  43. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それから国際収支のバランスが短期に見れば心配ないというお話ですが、ドル・バランスについてはどうなるのですか。
  44. 渡辺武

    説明員渡辺武君) その問題は勿論あるのでございますが、つまり短期で予想される今申上げたような特殊のものは大体ドルでございますから、そういう意味で短期でドル・バランスのほうは比較的心配が少い、やや楽だ。併し長期に見れば全般的に苦しいし、殊にドルのバランスが苦しいということなのでございます。
  45. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 池田さんがあちらに行つたときに、これは新聞の報道ですから確かかどうかわかりませんが、大体二つの、短期のクレジットの問題、長期の電源開発に約二億八千万ドルと言われておりますが、それの借入の問題ですね。これが今後の日本経済安定の問題で一番焦点だと思うのですが、それについては何かサウンドされたのですか。
  46. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 大蔵大臣はサンフランシスコから帰られまして……。
  47. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 全然話はなかつた
  48. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 向う行つて交渉するというような場面がありませんでした。
  49. 木内四郎

    ○木内四郎君 さつきあなたから伺つたところによるとアメリカ国防生産の全生産に占める割合というのは、一〇%から二〇%だ。非常に余力がある。日本生産の一年分をアメリカでは一日でやると言われておる際に、この日米協力とかその他いろいろなことを言われているけれども、アメリカがそれだけ余裕があるとすると、日本に期待するところは一体どういうところを期待するか。日本が日米経済協力とか何とか言つてもどういうところでアメリカの再軍備と言いますか軍拡に協力し得るか。又日本にどういうところで期待し得るか。非常に余裕があればこつちへよこさないでも済みそうなものだと思うのですね。
  50. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 私は日本で、アメリカ日本に期待しているだろうと考える程度よりも、向う側で日本に期待している程度は少いと思いますけれども、併し日本が地理的にやはり非常に重要な場所にあるということが非常に大きな問題、それから日米間の関係が非常に円滑に行つているというようないろいろ原因で、日本に対して相当有利な作用をしているということも言えると思います。
  51. 木内四郎

    ○木内四郎君 併しこつちは鉄も高いし、いろいろな機械も老朽であり、アメリカの設備その他に比べて非常に貧弱である。それでどこまで役立ち得るか。これはアメリカのためにも日本のためにも……。
  52. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 本年のアメリカ軍事予算は大体六百億と言われておりますが、最終的には……。
  53. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 私の出るときにはきまつておりませんでしたが、何か昨日か一昨日かラジオで言つてつたようですが……。
  54. 木内四郎

    ○木内四郎君 こつちのほうは小さいのですから、ちよつとこぼれが来ても相当……。
  55. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 菊川君、ちよつと簡単に……。
  56. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ええ簡単に……。アメリカの軍備拡張計画というのは大体三年間ぐらいのところまでずつと上つて行つて、それからだんだんと平和産業のほうへ切り換える。こういう計画だというようなことを聞いておるのですが、やはりそういう方式ですか。
  57. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 一九五三年の初め頃が大体完了の時期だというような計算でございます。
  58. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それから未開発地の援助計画というようなのが盛んに言われたのですけれども、その方面にこれはどこから、輸出入銀行あたりから出すつもりですか。そういうふうな別に政府予算に盛つてあるのですか。
  59. 渡辺武

    説明員渡辺武君) これは二つあると思います。輸出入銀行からも未開発地に出た金はございます。例えばインドネシアに一億ドルくらいの金を去年約束しております。その中からぽつぽつ貸しております。それだけの枠を出しております。それからその他にE・C・Aでございますね。経済協力局の関係で以て相当の金が出ることになつておりますが、最後的に対外援助の金の内訳はどういうふうにきまつたか私存じませんけれども……。
  60. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次にやはり外債の四億四千万ドルぐらいの金も含めて、これは一体債務は全部政府の債務になつておるのですか、民間の……。
  61. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 全部政府の債務です。
  62. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 民間債のほうはどのくらい……
  63. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 民間債は、戦時中の措置で以て政府が引継ぎましたから、全部今では……、民間債というものは復興の東京市の分が一つございます。それを除きまして紛争中のものがつございますが、それ以外は全部政府が引継いでおりますから……。それで而も平和条約の中でそれは全部政府の承認した、政府が債務を負うというようなところの条文がありまして、今はこれは政府債務であります。
  64. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次にもう一つ、この輸出入銀行は、これは日本政府に対してですか。日本の民間業者に対して投資はないわけですか。
  65. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 民間業者でも政府が保証すれば出します。政府又は中央銀行が保証すれば出します。そういう例がございます。
  66. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今の前例は主として政府相手に出しておるのですか、今行なつておる投資は……。
  67. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 大体において政府が保証しておるように聞いております。
  68. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 政府が保証して民間の業者に出しておる……。
  69. 渡辺武

    説明員渡辺武君) はあ、政府の保証で民間の何と言いますか、半官半民のようなものに出しておるのも相当あります。特殊会社みたいなものを作りまして、そこで出しておるものもあります。これは国々で非常に事情が違うものですから、非常にいろいろな場合がありまして一概には申せません。
  70. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと速記をとめて懇談したい。
  71. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) さつき小林君から発言を求められておりますから、その後にして下さい。
  72. 小林政夫

    ○小林政夫君 世界銀行国際通貨基金が一体だ、二つの頭で本当は一心同体だというお話がありましたが、これを具体的に説明願いたい。
  73. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 例えば参加をいたします際には、一方に入れば殆んど同じ手続、同時の手続で両方に参加することになります。それから割当額というものが一つきまりますと、その同じ割当額の二%だけ払込むということで、例の世界銀行のほうの払込が済みますし、それから建物も同じところにありますし、それから会合をします際にもしばしば共同の会合というものをやつております。この間の大会も共同でやつております。その中には二つに分かれて分科会的にそれぞれでやりまして、又閉会式も開会式もみんな共同でやつております。同じ国際連合機関で、もともとできました際に通貨基金のほうはどつちかと申せば、非常に小さな短期の国際的な為替の変動をアジャストするということが目的で、片方はもう少し長期の金を貸して国際間のでこぼこを調節しようという目的で、両々相待つて目的を達しようというのがそもそもの建前であります。そういう意味であります。
  74. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 日米経済協力の面で、東南アジアの開発という問題が非常に今現政府で強く取上げられたわけですが、向うのほうではどんなところまで行つておるのですか。
  75. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 東南アジアの開発の場合に、日本相当の役割を果すべきであるということはみんな認めておるのですが、たださつき申上げましたように、輸出入銀行が例えばインドネシヤに金を貸す場合に、その金で以て日本から物を買つてくれればいいのでありますけれども、それがアメリカの輸出を促進するための金ですから、インドネシアがアメリカから物を買わないことにはその金は使えないわけです。第三国からの調弁をするということを認めてくれなければ、東南アジアに幾ら輸出入銀行の金を出しましても、それが日本に廻つて来ない、これは非常におかしいじやないかと言つて随分私も向うで話をしたのでございますが、輸出入銀行の金である場合にはその建前で日本に廻つて来ませんから、併しそれがE・C・Aの金であればオフショア・パーチエズと申しまして、第三国からの調弁を認めておりますから、その場合相当の金が日本に落ちることがあり得ると思います。
  76. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 その金が廻つて来るというような空気が相当出ておるのですか。
  77. 渡辺武

    説明員渡辺武君) これは具体的に数字的にはまだ固まつておりませんけれども、東南アジアの開発をする際には、日本相当期待するということは皆言つております。まあこの程度がどの程度になりますか、これは予算がE・C・Aの予算が幾らになるか、東南アジアに幾ら行くかということはまだわかつておりませんから、ちよつと数字的には申上げかねるのでございます。
  78. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  79. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 速記を始めて。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            菊川 孝夫君            成瀬 幡治君            松永 義雄君            小林 政夫君            櫻内 辰郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    外務事務官   渡辺  武君