運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-09-27 第11回国会 参議院 図書館運営委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月二十七日(木曜日)    午前十時十二分開会   —————————————   委員の異動 九月五日委員有馬英二君辞任につき、 その補欠として、櫻内義雄君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度国立国会図書館予算  概算書に関する件   —————————————
  2. 西田天香

    委員長(西田天香君) これより委員会を開会いたします。本日の議題は国会図書館運営に関する件になつております。特に明年度予算要求額について館長さんの御説明を願います。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今日お手許に差出しておきました昭和二十七年度国立国会図書館予算概算書というこの書類は実は事務上のものでありまして、大蔵当局といわば下打合せをいたしまする書類でありまして、この辺のところで大蔵省に一応持出しまして、大蔵省事務のほうと交渉をして、大体話がまとまりそうになつたときに正式に予算要求書を作りまして、そのときにはこの図書館運営委員会に差出しまして、そこで正式に御承認を願つて、それから議長のほうへ書類が行く、これが普通のやりかたでありまして、正式に出しますのは次の本当予算が締めくくりがついて行く頃になるものと思います。現在今日お手許に出しましたのはそこまで行かないで、もつと下相談として大蔵省のほうへ向けて、実は自分のほうではこういうような考えを持つておるがこれについて相談にのつてもらいたい、こういう気持書類でありまして、正式にいえばこの委員会では一応はこういうふうにものが動いておるという御了解を得まするだけであつて、それ自身について御決定を願うというまだ時機には到達しておりません。大蔵省のほうにこういう書類を出すといたしますれば、とにかくこの委員会で一応様子を事実上御了知を願いたい、こういう立場であります。露骨に申しますると、どこの官庁でもこの段階に出しまする予算は相当大掛りなものを出しまして、実際は大きなものを求めても小さなものしか得られない、まあ浮動的なものであります。そこで今日のこの書類にありまするように非常にたくさん項目に亘つておりまして、大体図書館一般的な経費、或いはそれから更に小分けにいたしまして各種の項目が掲げてあり、費目が掲げてあります。で、一々御説明を申上げましも、結局それだけでは御了解を願うには不適当でありまして、細かい数字に亘らなければなりません。大掴みに申しまして左側のほうの数字左側から二つ目項目にありまする数字が、その各項目についての要求概算額であります。ここに書いてあります一番上のほうには九千五百八十万円というのがございまするが、これは国会図書館一般的な経費であります。特別な仕事というわけではなくて、事務をやつて行きまするについてのいわば極く経常的な中心的な経費という趣旨のものであります。それからその次にありまする「国会に対する考査に要する経費」と申しますのは、国会からのいろいろな御要求に応じたり、或いはそれを予想したりいたしまして仕事をして行くというときに要る書物も買わなければならん、いろいろな書物というまでにならないような基本的な文献も手に入れなければならんというわけで、二千九百九十万という額をここに計上をしております。それから一枚あけまして「行政、司法各部門支部図書館統括指導等に要する経費」とありまするのは、御承知のように私ども最高裁判所図書館を含めまして、十幾つ支部図書館を持つております。これが今まではと申しましてもここ二、三年前までは各官庁図書館を持つてもよし、持たなくてもよし、又持つておりましても一つ一つが個別的であつたのでありますが、それがじつと見ておりますると非常に大切な施設でありまして、今日日本行政がいわば腰だめ主義と申しますか、いろいろと意見が変つて行く、しつかりした根底がないということは、結局内部の調査組織が十分でない、こういうふうに考えまして、各省でもそういうふうに考えられておるようであります。そこでそういう行政各部図書館をしつかり持上げてやるように、私のほうから援助をするということが必要になります。  それから又この前ここでもお話が出たと思つておりましたが、地方議会、つまり東京都の議会とか、神奈川県の議会とか、愛知県の議会とか、こういう議会にそれぞれいろいろなこの議会附属図書館を持つておるわけであります。国会について国会図書館があると同じように、各府県の議会につきましても、ささやかながら図書室があることになつておりまして、これは法律に根拠ができておりますけれども、実際はうつちやり放しでありまして、その組織というものはかなり貧弱であり、仕事連絡一般的にはよそとついていないようであります。これに対して何らかの連絡を図るということが国会図書館の任務ではなかろうか、これはここでも議論の出たことでありすすが、余り立入つてこれをするということは事実できませんけれども、何かこう友だち甲斐といいますか、友だち甲斐よりも少し深入りを、いたしまして、国家としての世話をし得る部面はよそでやるところがございません。でまあこの点我々の図書館でやろう、そういう予算が少し頭をここに出しております。それからその次の一般国民に対する考査奉仕に要する経費、これは普通の仕事といえば普通の仕事でありますが、金額がかなり高まつております。一億四千四百万円ということになつておりまするが、これは常識的に申します図書館仕事ということに当ります。これ以外の国会に対するサービス等は普通の図書館仕事ではございません。ここに掲げておりまするのは、一般に申しましての図書館事務ということに当るものでありまして、本を人に読ませるということとこれに附随する多くの事務に属しております。それからその次に丁度この紙の分れ目になつておりまするところに、国際図書交換に要する経費というものが出ております。これは普通の図書館ではやらないことでありまするが、私ども図書館は世界の諸国と対立する一種外交機関というほどでもございませんが、一種の外交的な意味を持つておりまして、日本書物外国に送つてやる、外国書物を我々のほうに送つて来るという関係におきまして、まあ世話係郵便局に類似するような仕事をしておりまするが、これが文化交流の上に非常に大切なことでありまして、現在はアメリカとは非常に密接にやつております。政府ばかりではなく、アメリカの多くの大学、その他研究機関と密接にやつております。ヨーロツパ大陸のほうはそんなに筋道が通つてつているわけではございませんけれども、併しユネスコとの関係においてもやつておりますし、ベルギーなどもつておりますし、イギリスども或る程度にやつておりまして、そんな関係で一昨年でありましたか、一万冊以上のイギリス出版物を我々のほうに只で寄贈をしてくれたということもございまして、こういう面において次第に経費が高まつて行くのであります。殊に郵便料運送料というものが、今まではいろいろ便法ございました、便法というのは日本が管理せられておるということに伴いまして、外国向け運送がいろいろ便法があつたわけであります。併し独立の色彩がはつきりして来るにつれまして、なかなかそういう便法はございませんので、結局運送費を我々のほうで按配しなければならないということになるのであります。その次の頁の中の大きいスペースを持つておりますところに、上野図書館管理運営に必要な経費というものが出ております。これは上野図書館如何にすべきかということが実は非常に大きな問題でありまして、赤坂図書館のほかに上野図書館、この二つ並んでいる、これがどういうふうに措置せらるべきものかということにつきまして、国会図書館法の中にも或る程度規定がございますけれども、なかなかこの実行をいたしますためにはむずかしい問題がございまして、このむずかしい問題というのは、国会図書館という大きな建物ができる、こういうことが先決問題でありまして、それができません限りは図書館書物の必要なものを中心の図書館に移して行くというようなことができませんので、結局今日見送りの状態にあるということであります。それにもかかわらず上野図書館を発達させなければなりません。そこで経費を六千九百万というふうに組んでいるわけであります。それからその同じ紙のもう少し下へ行つて細かい欄になつておりまするが、そこに営繕工事に必要な経費というのがございまして、そこに一億九千四百七十七万九千円というものがございます。この字数は非常に少い字で現わされておりますけれども、今日特に皆様がたの御支持を得たい、或いは御援助を得たいと考えておりまするのはこの一行であります。つまり一億九千四百七十七万九千円という額を計上いたしまして営繕工事に必要な経費として出しておりまするが、こういう簡単な書き方というものは趣旨を貫きません。まあこれはお役所風にできておりますけれども、正確に申しまするとこの中に一億一千七百万円という数字が含まれております。その一億一千七百万円というのは、将来の国立国会図書館の庁舎を造るに必要な経費であります。そのほかの八千万円ばかりはこれはいろいろ小さい建物、現にやつておりまするような小工事、小修繕ということに当てはめておる数字でありまして、それは極く日常のものでありますが、今申しました一億一千七百万円というものは、我々の中央図書館が今後如何にして建設せられて行くかという根本の問題であります。そこでこの中央図書館のことを一応申上げなければなりませんが、この我々の図書館法律できめられましたのは、昭和二十三年の二月でありまして、昭和二十三年の二月に国立国会図書館法という法律議会を通過いたしました。併し法律ができましても実質上の図書館ができるわけではございません。そこでこの二月に法律が生れましたときには、実は何にもなかつたのであります。建物もなければ書物もない、これに必要な職員もなければ、これに必要な経費もない、こういう建前で全く紙の上にこれに生れて来たわけであります。その生れて来たものをどうして充実して行くかという段階になりますると、ほかのことはいろいろ工夫がつきまするけれども建物がなければ何ともしかたがない。図書館のような活動体は、結局先ず第一に建物が必要であり、そこの中に書物と人を置くことによつて動き出すというものであろうと思いまするが、建物が得られる余地はなかつたのであります。それで何とかしてこの建物を得ようというためにいろいろ目算を立てまして、例えば今の特許局というものですか、あの辺の建物図書館に充てたらどうか、こういうような議論もあつて、若干の努力はされたのでありますけれども、結局よその建物がそう気軽に手放されるということはございません。で、とかくしておりますうちに今の赤坂建物、つまり旧赤坂離宮というものが、とにかく何かに使うべきものである、こういう空気が現われて来まして、そこにも幾つもの申込はあつたのでありまするが、併しその当時はいろいろの経緯があつて、あの当時は法務庁と言つておりましたが、法務庁があそこにできるということでありました。そこで法務庁との話合いになりまして、あの建物二つに区分して、半分は法務庁で使う、半分は国会図書館のほうに使う、こういういわば約束のようなものができまして、正式の建前といたしましては、半分は内閣で使う、半分は国会で使う、こういうふうに決定をされました。内閣で使うという部面法務庁が使うという実行の形となりまするし、それから国会で使うという部分が国会図書館が使うという実行上の形になつたわけであります。だけれどもそのほかにあとから弾劾裁判所ができるというようなことによりまして、幾分中にほかのものが加わりましたけれども、大体そんな形で来ておつたのであります。これはどつちかというと止むを得ざるに出でた無理な道行であります。そのうちでも法務庁のほうは一年間やつておつたら本当建物ができるからあと国会図書館で自由に使つたらよかろう、こういう、これは正式なものではございませんが、当時の鈴木法務庁総裁でございましたか、これとの間の私風の話合いでそういうことがきまつておりましたけれども、併しなかなかそういうふうにも行かないので、ずるずると現状になりました。現状になりまして三年半ばかりの経験の後にどういうことが現われて来たかと申しますと、もう何としてもこの図書館建物ができる運びにならなければ責任を以てこの図書館運営することは絶対に見込がない、こういうようないわば絶壁に身を押し付けられたような形になつて来たわけであります。もとより時間のゆとりはございますけれども趣旨から言つて行き道がなくなつた、こういうことになりまして、どうしてそんなふうになつたかと申しますると、理窟を数え挙げますれば五つでも六つでも出て来るのでありますが、極く簡単に筋を辿つて見ますると、第一はあの建物図書館に向かないのでありまして、あの建物の中でどんなに努力いたしましても、能率的に図書館運営することはできません。閲覧案を適当に整備する、書物の庫を作ると申しましても、何ともしようがないのであります。実はあそこは御覧下さいまするとわかりまするけれども書物を出すのに読もうと思う人が本棚に行つて自分書物を探して来る、いわゆる開架式、本箱を開くと書きました開架式、オーブン・アクセツスの式を採ると、こう言つて外に向つては宣伝をしておりますけれども、その実はこの方法以外にはあの設備ではやりようがないのであります。書物を入れる庫を無理にこしらえようとしても、それはとても不便でできることではございません。ですから、開架式を嫌つたわけではない、それに賛成はいたしましたけれども一つ理窟は止むを得ざるに出ずるという妙な要素も含まれているということも覚悟しております。でもう行き詰まりまして、結局書物を置くところも無理をして地下室を使う。よくないことはきまつております。それから廊下使つて少しでも空いておる廊下があればこれは全く事務室に区切つて当ててしまつております。私どもときどき心配をするのでありまするが、あそこにたくさんの閲覧者が来ておるというときに、何か天災地変というようなことがあり、これらの人が巧みに身を安全に外に持出すことができるか、それは常々注意をいたしまして、そういうことの必要な廊下は絶対に塞がないという注意はいたしておりますけれども、何しろ多数の人を受入れるようにできておりませんので、始終心配はいたしております。それが一つ。  それから第二の問題は、あの建物をいつまでも使用するということにつきましては、私は二つの欠点が起つて来ると思つております。というのは、中に従事しておる人々の心の持ち工合というものに或る程度影響を持つております。何といつて日本に他に類例のないような美しい建物の中に住んでおるということは、精神をよくするという意味もありますが、精神を一国の持つておる文化標準と違つたところに置くと、つまり住んでおるところに馴れまするというと、気持の上にも何か一般日本国民事務的に仕事をするに適する考え以外の考えが出て来るのではなかろうか。直截簡明に言えば、それは借り物自分たちの力量で住むというのでなく、借り物に住んでおるという、その文化の水準に馴れ過ぎておる。その一つの現われは、私ども如何に努力いたしましても、官僚的であるという非難を図書館利用者から受けております。そんなことはない、どこに官僚的なところがあるかと言つて聞きまするけれども、やはり言われまするところに、あの建物の持つておる何か精神的影響があるような気がしております。それに他のほうから考えまして、あの建物はいつまでも我々が持つておられるとはちよつと信じにくいのであります。それは何とかして止むを得ない間は使つておりたいのでありまするけれど、だんだん世の中がこう落ちついて来ますると、もつとよりよき使い途があるのではなかろうか。それは常識的に考えまして、あの暗い精巧な建物の中で泥靴で入つて書物を読むということは、破壊するわけではございませんが、自然的な破壊はどうしても起つて来るのであります。地方の人があそこを見に来て、人によつては立派な建物だとこう言つて感心はして帰りますけれども、或る人々は、ああいうところを使うのはけしからんと、こういう感想を持つておるようでありまして、これの善覆いろいろむずかしいと思いまするが、まあ常識的に、ああいうところにおつて生ぬるい気持を起しておるべきものではない。これは百弊あつて一利なしと、而も時代は転換すべきところに来ておると、こういう感じがするのであります。そこでまあこういうことを考えて行きますると、近代図書館をやる上に不適当であり、而も四囲の情勢から見てここは長く住むことができないと考えますると、如何にすべきかということになりまするが、これはもう何としてもその職能を完全に発揮いたしまするためには、この国会の脇へ持つて来て造るということを考えなければこの図書館に永久の生命は生れて来ないという気がいたします。国会附属する仕事をしながらこんなに離れておる。普通の方法で行きますると小一時間もかかるというようなところでやるべき理窟はございません。又一般国民サービスをするという見地から申しましても、これはいろいろ考えられまするが、併し非常に適当だとも言いかねるのであります。そこへ持つて来まして、最近私ども書物は非常に分量が殖えて来ております。のみならず貴重な文献を手に入れる機会もございまして、分量が殖えると倉庫を完備しなければならん。それから貴重な文献が殖えますると、何としても絶対に火事地震やそのほかの天然的な障害に安全であるような工夫をしなければなりません。今のあの建物は相当安全ではあろうと思いまするが、火災の危険がないかといえば、非常に完全であるとは言えないのでありまして、図書館の理想、殊に一つしかないというような文献を集積いたしまする上に、あれではとてもいけないのであります。こう考えて行きますると、もう時代は来ておる、発展のためにも存続のためにも新らしい建物ができなければならないということになりましよう。ところでもう一つ考えますることは、現在到底あれでは堪え切れません。そこで三宅坂の辺に小さいバラックをこしらえておりまして、毎年予算工夫をいたしまして、若干ずつ二年間やつております。それは従前残つておる倉庫を補修して書庫にする。これはもう火事或いはその前の地震によつて相当傷んでおります。それをまあ何とか手入れをして使つておる。或いは又木造のバラツクを造つて、これを事務室使つております。併しだんだん規則がやかましくなつて、あの辺は不燃性建物でなければできないということになりますると、昨年の途中から、又本年に亘りまして不燃質の簡易な鉄筋コンクリートの建物をこしらえておりまするが、これも年に今後の情勢からいえば四、五百坪ずつ造つて行かなければならんと思つております。これを仮に四、五百坪ずつ造るといたしますれば、如何に安く評価いたしましても相当の金額になるのでありまして、これを十年も続けておりますると、その金額は決して軽く見ることはできません。大体本建築を造りまするのも不燃質小家屋を造りまするのも、よほどこれは接近した値段のものであります。と考えますると、将来を慮つて大抵のところで暫定的の方法は打切りまして本質的な建物に持つて行くことが経済の釣合いから申しましても当然なことであるとも考えまするし、私ども従前アメリカ使節等から助言されておりました方法を尊重しつつ、本当のよい図書館建物が欲しいということになります。それでここ二年ばかりその方向にいろいろ努力しておりましたけれども、又皆様がたの一方ならぬ御援助を得ておりましたけれども、まだ日本では図書館というものが認識せられていないせいもありましよう、今まではどうしても大蔵当局の同意を得ることができなかつたのであります。これは一面から考えますると、多少は無理な点もあつた。というのは、アメリカ使節計画によりますると、大体四万五千坪乃至五万坪の建物を……、延であります。延ではありまするが、四万五千坪乃至五万坪の建物を希望せられておるし、これを造りますると、今の物価では大体百億の予算を要することになります。これを日本現状から考えまして、直ちに実行に移すということは甚だしく空想的であるような気がいたします。そこでこの希望というものは或る程度限定をして行かなければならんというときに、これはまあアメリカ使節も予想しておりましたが、一度に造らないで、済崩し造つて行く、こういう考えが生れて来るわけであります。それから図書館という一つ建物を果して済崩しに造ることができるか。一匹の鯛を皿に盛るのに、尻尾尻尾、腹は腹と分けて盛るという場合に、これが完全に一つの鯛になるということが可能なものかどうか、この困難なる問題にぶつかります。けれどもほかのいろいろな必要を考えて見ますると、分割して図書館を建設して、而も或る時期のうちにそれが総合的に一つの働きをするという工夫はできないことはないと思います。徒らに大きな建物一つ作りましても、結局実用の上においては手数ばかりかかつてうまく行かないといたしますると、比較的小さい建物をこしらえまして、それをあとで適当に組合せて行きまして、若しできるならば、各建物に特別な性質を與えまして、これは政治、法律図書館、これは経済、社会の図書館であるとか、これは科学の図書館であるとか、これは文芸の図書館というようなふうに、科目に従つて分けて行きまして、なお今日の大学がいろいろな分科があると同じようにやつていきますと、分業の利益と総合の利益が共に得られるのではなかろうか、いわゆる衛星的図書館とでもいうような構想で行きまするならば、分割建築もできるのではなかろうか、こういう気持を持ちまして、今回大蔵省に出しました一億一千万円の予算は、根本計画の大よそ三分の一の計画を前提として数字考えて見たのであります。一万五千坪の建築をするといたしますと、今日の目算では大体六千六百六十坪くらいの見込が立ちまするので、書物も三百万冊は入れられるということになろうと思います。閲覧室も大体千五百人を楽に容れることができる。それから議員のかたの研究室も大体見込みますると四百室くらいできるのでありまして、これはいろいろな御意見もありましようけれども議員のかたが図書館を御利用になるときにその部屋に入つてそこに書物を貸出して置くといたしますれば、そこでは図書館の中に書物が置いてあることになりまするから、そのまま継続して必要な期間利用することができる、ということになり、そして、若しその部屋の構造を鍵を掛けて出入りをすることにしますれば、何人もこの研究室に妨げを生ずることはできない、こういうことになりますると、議会図書館としての機能が或る程度まで、完全ではなくても、或る程度まで出るような気がいたします。その際いろいろな附属のものを考えて見ますると、又ひとわたりの計画は立つわけであります。それでまあ一万五千坪という数字を念頭におきまして、今回大蔵省要求いたしましたのは、それの基礎といたしまして先ず土地ドイツ大使館の跡に決定をするということ、それから必要なる設計をするということ、それから又あの土地民有地を以て取囲まれておりますので、或る程度民有地を買上げるということ、それから又あの土地が大きな建築に堪え得るや否やということにつきましては、物理的な調査をしなければなりません。そういうような経費考える、こういうような形で一億一千万円という金を計上したのでありまして、この中には具体的な建築費はまだ盛込まれておりません。つまりほんの準備的な経費を盛込んで、これでまあ大蔵省様子を当つておりますけれども、併し恐らくこれはわかりません、わかりませんけれども、非常に楽観的なというような要素は実は一つもないのでありまして、今後にも幾多の難局が現われて来るような気がしております。正直なところ私どもが今日どうしてもかくありたいと思いますのは大きさの問題ではございません。又非常に急ぐということも言い切れませんけれども、とにかく私ども図書館が、自分建物が実用に適する程度に持つ、何も輪奐の美を極める必要はございません。議会と国民に対して十分なサービスができる、こういうことに着眼点をおきまして、それがすぐでなくてもいい、三年とか四年とかの間にどうにか役に立つ建物ができればいい、これが重点でありまして、具体的な数字は必ずしも絶対のものとは考えておりません。でもこういうふうに若しそれが本当図書館ができるといたしますと、今まで懸案になつております面倒な問題も自然に解決すると思います。懸案になつておると申します一番大きい問題は、上野図書館をどうするかということでありまして、上野図書館法律の中であれは東京都に或る時機に渡すべきものであるということが書いてあり、まだよく規定の趣旨はわかりませんが、少くとも表面的にはそういうふうになつております。国家で国家的目的のために金をたくさんかけて百年間育成して来たところの上野図書館が、直ちに地方団体である東京都の所属になるということは、私どもどうしても考えられないのでありまして、多分その趣旨はあの書物の中の国家的な書物国会図書館に移せ、それからそのほかの部分、できるならば雅量を開いて東京都に移すべきものである、主たる狙いはあの建物に重点を置いたのではないかと思いますけれども、当時の起案者等にいろいろ伺つて見ましてもそんなにはつきりした答えは出て参りません。要するに法律が半殺しになつておりまして、もう四年もたつて法律の規定を実行しないということは甚だ心苦しいのでありまして、併しその根底におきまして上野図書館如何にするかという問題をきめまする前提といたしまして、あそこにあります書物の中の国家的な書物何十万冊かを直ちに中央図書館に移して、これを保存し整理するという問題があるわけであります。現在建物がございませんし、余力もございませんのでそこまで行けない、そうなりますと疑心暗鬼を生じまして、上野図書館中央図書館の間に何となく対立というわけではございませんが、他人行儀のような気持も出て来る。これは悪いことでありまして、或る時機に或いは法律を変えるという考え方も必要になつて来るかも知れん、或いは法律を変えないといたしますれば、技術的に今申しましたように実質的な貴重な書物は本館に移す、あとあとで適当な処理をする、こういう方向に進まなければなりませんが、何しろもう五万冊の書物も置く所がない、いわんや数十万の書物を置く所はございません。立ちすくんでおるようなわけであります。甚だ長く申上げましたが、我々の図書館といたしましては、何らかの合理的な建物を持つということが絶対の急務でありまして、而もすぐにできないことでありまするから、今年あたりからその第一の礎を置くということは私どもの責任から申しますと寝ても醒めても心の悩みのもとになると、まあ形容し得るくらいのことでありますが、どうもなかなか前途に見込があるがごとくにも思われません。一昨日衆議院の委員会を開いて頂きまして同じような希望を述べて御援助を願つたのであります。御援助をして下さるということであり、細かいことは別として新らしい建物を造るように方針を進めるということは委員会で議決していいのではないかということで、委員会で御決議を得ておりませんが、その程度であります。一両日前からラジオで東洋一の国会図書館ができる、或いは新聞紙にどこかの通信から出たものと思いますが、東京の新聞ばかりでなく、地方の新聞にも出ておりまして、昨日もCIEのドン・ブラウン氏に会い、カナダの代表のメーンジーさんに会いましたが、非常にいい図書館ができるそうでおめでとうと言われましたが、私何もあれしていないので、大蔵省予算金額一億一千万円……、それは大蔵省書類を出したことは事実であります。前から絵図面を出しまして、ああいう夢を描いておつたのは事実であります。ああいうふうに具体化されたようなものを見ますと、何だか殊更に作為をしたようで虫がいいような気持がいたしますが、心の中に希望することでありますけれども、今日のところあれは全く私ども仕事ではないのでありまして、ああいうふうになるように一つ御尽力が願えたら非常にいいが、そこまで考えていないわけですが、実情を述べまして、今日特にその点につきまして、御意見のあるところを伺うと同時に、又これの実行を促進する手段等がありますれば、私どもももとよりこれの仕事に当つて行きますけれども、ともかくこの委員会の御承認を得ておかない限り私どもとしては一歩も手出しをすることができませんから、そこで御意見等をお伺いしたい、これが私の今日のお願いであります。
  4. 西田天香

    委員長(西田天香君) 只今の館長さんの御説明に対する御意見がございましたら……
  5. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 伺いたいと思いますが、現在蔵書の総数はどのくらいございますか。その中で特に名書と称せられるものがどのくらいあるのですか。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 御承知のように三年半前にできたわけでありまして、そのとき引継いだ書物というものは、両院の図書室にあつたもの、特に新らしい図書館を念頭において、民間から買い集めたものというのは、比較的少数でありまして、今大体六十万見当であります。年々殖えますのが正規の方法、つまり新らしい本を買上げて行くという形から行きますのは、一年に五、六万しかないと思いますけれども、特別の方法によりまして、まとまつたものを買うというものは、相当にできておりまして、今までのところ合計して一年に、新らしいものと古いものとを合せまして、十五万ぐらい殖えておると思います。そこの中で貴重、非常にレアなというものは、これは図書館一つの守り言葉といたしまして、余り買わないことにしております。というのは予算関係あとで困るのです。と思いますけれども、必要なものは買わなければならんということで、そのうち一つ着眼して積極的に出ておりますのは、明治の初めから明治憲法ができます間、これに関係したかたがたが自分手許に持つておられるものがありまして、例えば伊藤博文さんのお家に伊藤さんの肉筆物がたくさんありまして、夜遅くまで頭をひねつて意見を書かれたものであります。伊藤家にありますものは全部これを譲り受けまして、二千点ぐらいです。そのうちの相当部分はこれはもうちよつと数え挙げられないのでありますが、あとはそういうようなふうに多くの家にありますもの、或いは譲り受けたり、或いは暫らくお預りをする、金のない間そういう形をとつておるが、これはどうも危いので、置くところに困りまして、議会建物の四階の一室を図書室に使うよう室を空けてもらいましてそこに移管をしておる。赤坂御所よりこちらのほうが安全性が強かろうという見地で、それから最近正岡子規の家に伝わつております子規みずから書かれた材料でありますが、これが子規没後五十年たつておりましても、なお所有権の争いがありまして、正岡家の子孫の財産であるか、それとも子規庵という財団法人の財産であるかどうか、これが相当な争いになりまして、いろいろまあ心配する人が出て来ましてこの書物が散逸しないようにするということから起りまして結局私どものほうで全部これを譲り受けるということになりまして、まあその冊数等はちよつとここで言つては工合が悪いのではつきり申上げませんが、スーツケースで三ばいか四はいの分量で、これはことごとく肉筆のものであります。これなんかは見方もありましようけれども、この間展覧会をやりまして、多くの人の意見を聞いたが、まあこれらのものは大切に扱えということで門外不出にして扱つております。あとはいろいろの手で小さく一冊々々と買つており、最近では従前の重要美術品として扱つておられたようなものも入れておりまして、勘定もできませんけれども、次第々々に集まつております。そこへ持つて来て近頃一つ契約で買つてくれないかというところまで……今まで地方の大きな図書館ができておつてそれが時代の勢いで投出すときに、ありふれたものは大学というところで買つてくれますけれども、少し特色のあるものは買わないことにしております。これは引取つてくれないかという話も聞いております。ただ財と場所があれば譲り受けたいが、集めておいて焼いたということになりますと、なんとも相済まんから、今幾らかずつ遠慮がちに話を進めておる、そんな実情であります。当初米国使節の希望によりますと、図書館は一千万冊を持つといいというのでありますが、一千万冊というのは一年に二十万冊といつても五十年かかる、これはとても実行不能でありまして、三百万冊ぐらいならば、三年間に四十五万冊ずつ殖えておりますので、一年に十五万冊と見て、それでも実はそれで以てやつて見ましても、希望するように本が集まりませんので、かたまつたものを少し……、例えば大倉山図書館が横浜にありまして、相当いい書物を持つておりますが、そこの蔵書が本箱に入つたまま十万冊、これは一粒選りの書物でありまして、それを結局買うのでもなく、自分のものとするのでもなく、それをそつくりそのまま私どもの手において運用する、この形で入つて来るものは相当ほうぼうで出て来るわけであります。これで妙なもので国立国会図書館がなかつたときにはそういう書物が町へ行つてばらばらに散逸する虞れがあつたのでございます。今お話のついでにもう一つ申しますと、二宮尊徳先生が自分の手によつて、又は自分手許にある人間によつて書かれた書物が一万数百冊あつて、これも大切に保存されておりますけれども、これがやはり散逸する虞れがあるというわけで、これは私のほうの図書館でそつくりお預りをしておるのであります。それから最近問題が起つております、この委員会でこの前ちよつと申上げましたけれども、まだ本当に具体化されておりませんが、幣原平和財団という計画ができておりまして幣原さんを記念して平和図書館国会図書館の中にこれを作つてくれ、こういう御希望がありまして、いろいろ御相談にのつております。その財団はまだ正式にはできておりません。財団法人になつておりませんけれども関係者が毎週一回ずつ集まつておりまして、今までひそかに聞きますると、寄附金の予約というものが相当あるわけでありまして、まだよくわかりませんが、何千万円、こういうものができますると、私どものほうでも容れるところを考えていないと体裁が悪い。まあそんなことをお願いしておるわけです。
  7. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 今お話の一年に約十五万ばかりの本が殖えて行くというお話ですが、その後どういう点に重点を置かれておるのですか。
  8. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この目的が非常に複雑でありまするのと、又図書館というものは万能的であるということといろいろ組合せて理想といたしましては一国の文化的な書物の全部を網羅したいと、こういう面から高遠なる理想としてはそう思つております。併し実際は予算の限度もありまするし、当面の目的もありまするので、それに純粋について行くわけには行きませんので、今私のほうでは集書の大体の見当というものは法律によりましてすべての書物日本で発行せられますれば一部はこの図書館に納めなければならんということになつておりまして、この点において集まつて来まする書物は受動的、受身的ではありまするけれども、あらゆる書物が入つて来る。日記帳や小遣帳までも入つて来る。こういう形になつております。それから私のほうで特にどうせ一冊では間に合いませんので、複本を揃えるという見地でやつておりまするのは差当り政治、法律、社会経済、こういう点に重点をまあ置こうとしておりまして、最近にできまするこの三宅坂に十万冊入る書庫を作つておりますが、そこに積める主たるものは政治、法律書物という考えを持つております。それから骨董本というものは実は欲しいけれども、四囲の情勢考えて遠慮しておるのですけれども、いろいろの事情でこれを逃がすというと永久に得られないというものになりますというと、これは極く僅かではありまするけれども、そういうものに手を少しずつ着けております。それから一つの形といたしまして、例えばこの姫路に近い所にある日本の国語の研究に関する書物を非常にたくさん持つておる人があつて、その人は死にましたけれども、その書物は百姓家の二階にぎつしり積めている。何万冊であるか必ずしもわからない。これは有名なコレクションになつておる。そういうのになりますと、例えば国立の或る研究機関でもそれが欲しくてしようがないのですけれども、相当高いものですから買えない。何とかならんかと、こういうような相談を受けます。印度中国あたりからのずつと伝統的な系統を引きつつ日本の国語に関するコレクションで専門雑誌に至るまでもまとまつておる。こういうものになりますると、何とか買おうという気を起しまして、こつちも金がないからして済崩しで一年にこれだけということで考えております。併し主眼点は積極的な、実用的なものというところに重点を置いております。
  9. 金子洋文

    ○金子洋文君 ドイツ大使館の跡の敷地ですね。これは今外務省ですか。
  10. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 私の聞いておりますところでは、あれは一時外務省の管理するところのものでありました。ところがだんだん形が変つて参りまして、今ではその財産をいわば政府の手に完全に収容して大蔵省の所管になつておりまして、それを国会の所管に移してもらいたいという希望は大蔵省のほうに書面で出しておりますけれども、まだそこまで行つていない。こういう状況であります。
  11. 西田天香

    委員長(西田天香君) ほかに御意見はございませんか。
  12. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 この項目の中に国際図書交換の欄がございますが、これは今現にヨーロッパではどこを一番多く扱われておりますか。
  13. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 国際交換のほうはヨーロッパに対する関係は非常にまだ微温的でありまして、私どものほうで幾らか系統的にやつておりますのはベルジユウムが主でございます。それからフランス、イギリス等はいずれも断片的にこういうものが欲しいと言えばくれるという形であります。ちよつとこれは余談になりますけれどもソ連からそういう希望が来ております。そういうところは希望だけです。いろいろこれから間口は拡つて行くだろうと思つておりますけれども、今のところの重点はアメリカとその多くの大学というものであります。それからあと少し毛色は変りますけれども、インドの図書館との間に、分量は少いけれども頻繁に交換しております、主に農業に関するものですが……濠州等も少しずつやつております、尤も分量は非常に僅かです。
  14. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 今ベルギーとおつしやいましたけれども、ベルギーはどこでどういうサブジエクトを……
  15. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今日はその所管の部局長が来ていないものですから詳しいことは申しかねますが、私の記憶では大体政治と社会に関するものだろうと思つております。これは極めて一般向きのものの交換をしております。
  16. 金子洋文

    ○金子洋文君 ドイツ大使館の敷地を大蔵省から只で、無償で譲り受けるわけですか、それとも譲り受けるとなると金を出すのですか。それから出すとなればこの一億幾らの予算に入つておるのか、どうですか。
  17. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 大蔵省に属しておりまするのは国の財産でありまするから、一文も金を払わないでただ保管を移し替えてもらう、こういうことになります。ここにある一億云々という中には土地の買収費が入つておりまするが、今のドイツ大使館のあの附近というものは三つの土地からできておるわけです。一つドイツ大使館の敷地で、これは六千坪しかございません。それからその廻りに官有地がありまして、これは恰好よくなく、いろいろ出たり、入つたり、妙な複雑な形をして官有地が相当たくさんございます。それからその間に挾つて今度は民有地がございます。ここの一億一千万円という予算の中には、あと民有地に大きなものを作られますと困るので、先ず民有地の買上げをしてもらいたいという予算を含めておりまするが、これは頗る困難なことでありまして、現に民有地不燃性の堅牢な建物を作りつつあるのであまりす。殊に最近あの附近を見ておりますると或る教会が建物考えておる。そういうことになりますと、ぐずぐずしておりまするとだんだん障害ができて来るということにもなります。併しものは考えよう、いろいろございまして絶体絶命の場合に縮むということになりますると、まあ延一万五千坪のものを作るのに不自由するようなことは絶対にないわけです。
  18. 岡田信次

    ○岡田信次君 少し見当違いかと思うのですが、政府の企図しておる行政整理と国会図書館との関係は何かございますか。
  19. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは別の問題になりまして、私どもの立場は非常に妙な立場になつておりまするが、私どものほうは政府ではない、もとより国会に属しておりまするから政府ではない、従つて政府のほうで行政整理をされましても直接に私のほうに響くことはないのであつて国会のほうで行政整理をやると言われれば、これは仕方がない、そう考えておりまするから、一応の建前としてはこれは別物であつて、あの影響はすぐには響いて来ないとこういうふうに考えつつ雲行きを窺つておる。こういう状態でございまして、それは一つの見方ですけれども、私のほうは丁度これで無理矢理に持上つて、あらゆる不合理を克服してせいぜい大きくなろう、赤ん坊が大きくなろうと思いまして何事も仕事が遅れて困つておるときに行政整理をされたら、それだけ働きがとまつてしまつて外国から書物が来てもこれを本箱に載せることもできない、今多少その傾向が出ているのですけれども、それが激しくなるということになりまして困ると思いつつ成るべくさわらんようにしているわけです。これで先ほど申上げましたように今日こういうことを申上げまして、私どもにとつてこれがどういう立場を作る役に立つかという、私どもの見当をちよつと申上げておきますが、国会図書館は結局運営委員会の御意見に従わなければ手出しをしてはいけない、常務は別でありますけれども、そこで今考えておりまするような方針について大体運営委員会のほうで事実上の責任をどうするということではございませんけれども、事実上何とかして行つたらいいのじやなかろうかというような、こういうような御了解が得られるといたしますならば、皆様がたにも一つできるだけ国会の多くのかたがたを動かして下さるように御尽力が願いたい。同時に私どもも大体こういう空気になつているから一つ骨折つてもらいたいと、できるだけの手を尽そうとこういう実は下心を持つて今日御説明申上げたわけです。
  20. 西田天香

    委員長(西田天香君) 余り御質問もないようでございますが、この辺で懇談会に移りましたら如何でございましようか……。御異議ございませんか……。まだ御質問があつたらば……。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  21. 西田天香

    委員長(西田天香君) 速記を始めて下さい。
  22. 金子洋文

    ○金子洋文君 この図書館建物を早く建てるということはアメリカ使節のかたがたの御意見でもあるし、又それを建てなければ今館長が言つたようにいろいろな支障を来たすわけです。この際館長の御希望は当然であると思いますので、私は委員の一人として極力これを支持して、同時に図書館のほうにおいても十分これに努力をして行つてもらいたいということを希望いたします。
  23. 徳川宗敬

    ○徳川宗敬君 今金子委員の御発言になつたように、この概算表を拝見しますと、これは図書館としては最小限度の要求と思いますし、それから又殊にこの本建築の問題についての予算要求されておるということは、これは誠に結構なことであります。図書館の当局がここに一歩踏出されたことは非常に私ども喜んでおる次第であります。是非ともこの予算が通過するように当局でも御努力下さると同時に、又委員会でも一つこの実現ができるような努力をしたいと、そういう意味で今の御説明の概算を極力支持したいということを申上げておきます。
  24. 岡田信次

    ○岡田信次君 昨年二十六年度の予算を審議いたします場合にも図書館の新らしい建築が相当問題になつたのですが、まあ一つ二十七年度は是非もう積極的に私どももいたしたい、又図書館におかれましても御努力を願いたい。かように考えますし、それから先ほど私がちよつと見当違いな行政整理のことを申上げたのですが、直接政府機関じやないから御関係ないということでございますけれども、何しろ一般的の予算を使うので、とかく行政整理なんていうことになるという方面に力を向けられる虞れもございますので、何と申しますか、使命の重大性に鑑みて十分あらかじめ防衛の心がまえを願いたいと、かように考えます。
  25. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 私も文化の最も根底をなすこの図書館事業の、又その根本をなすこの国立図書館の早くでき上ることを非常に希望しておりますので、そういう意味からも是非この実現を一日も早くされんことを希望しておりますので賛成いたします。
  26. 西田天香

    委員長(西田天香君) それではこれでこの委員会を終りまして、あと暫らく懇談会に移りたいと思います。    午前十一時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 天香君    委員            岡田 信次君            徳川 頼貞君            金子 洋文君            原  虎一君            徳川 宗敬君   図書館側    国立国会図書館    長       金森徳次郎