運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-10-06 第11回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月六日(土曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外同胞引揚問題に関する調査の件  (引揚者住宅問題に関する件)  (未復員者給与法の一部改正に関す  る件)   —————————————
  2. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは委員会を開会いたします。  今日は引揚者住宅問題に関する件が案件になつております。で本件は当委員会といたしましては従来深い関心を以ちましてこれが解決に努力して参つたのでございまして、委員皆様全国各地においでになりましても、引揚者の側から、或いは地方公共団体から悲痛な訴えを常に聞いておりまして、陳情、請願等もお手許にたくさん参つておると思います。一刻も私どもの頭から離れておつたことはないのでございます。殊にこの休会中におきまして委員全国各地調査に出たのでございますが、そしてつぶさに調査いたしました結果から考えまして、どうしてもこれは寸時も放置することができないということになりましたので、九月中本件につきまして二回委員会を開いて審議願つたわけでございます。そしてその後、時丁度補正予算編成期でもございまするので、差当つて集団住宅疎開という問題につきまして関係各省の間を委員会意向を体しまして私は往復いたしました。そしていろいろ御相談申上げましたところが、関係各省におきましても大変深い御理解を以て検討して頂きました結果、委員会としての意向相当反映し得たと信じておるのでございまして、本日はその後の結果につきまして、主としてその御報告を伺うというような意味援護庁からは田辺援護局長山本指導課長、それに大蔵省からは岩動主計官の御出席を願つたわけでございます。先ずその問題を今日は結論を出したいと思いますが、なお昨日結論が出ませんで、今日に持ち越しました未復員者給与法期間の問題が残つておりますので、この点も併せて結論を得て置きたいと存じます。昨日散会後、関係各省の間を歩きまして、委員会意向をお伝えしましてなお御再考を願つたのでございますが、幸い非常にその係官におきましては、これも深い御理解を以て相当程度これも委員会意向を反映し得ておると存じますので、先に今日の議題になつておりまする引揚者住宅の件につきまして、援護庁からその後の御説明なりお考え方なりを御説明願いたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは援護庁から一つ説明を願います。今日は実は委員人々がほかの委員会関係がございましてお昼までにしまいたいと思つておりますので、そういうおつもりで一つ説明願いたいと存じます。どうぞ。
  4. 田辺繁雄

    説明員田辺繁雄君) 簡単に御報告申上げます。  引揚者集団収容施設でございますが、これは終戦直後一時多数の引揚者を海外から迎えまして当時の住宅事情の払底から、取りあえず応急的に既存施設を利用して造られたのでございますので、設備その他極めて不十分でございます。今日になつて見まするというと、住宅としての的確性を欠くこと極めてひどいものでございます。援護庁といたしましては、今日まで随時所要経費を支出いたしまして最小限度補修は加えておりまする、もういくら補修しても補修し甲斐がないという住宅が今日たくさん残されておるのでございます。そこで昨年度から緊急に疎開しなくちやならんもの、つまりその建物を廃止して、新らしく住宅を建設して、そちらのほうに入所者を移し替える、こういう仕事を昨年から実施いたしたわけであります。併し昨年度はその極く一部分だけを実施しただけでありまして、大部分は今明年度に持ち越されたわけであります。そこで厚生省といたしましては終戦六年にもなり、講和条約も調印されておる今日でございますので、この際過去のそういつた集団収容施設で以て住宅としての適格性を欠いておるものは、今明年を以て疎開を完了したいと、こういう方針で従来大蔵省当局折衝を続けておりまして、大体その方針大蔵省において承認せられまして本年度補正予算の機会に一部援護庁経費をその方面に使うことを承認頂き、又明年度の当初予算に残りの住宅費を計上して頂くということに大体話合いがついた次第でございます。従来この問題につきましては、当委員会において格別の御関心を持たれまして、熱意を以て御推進頂きまして、お蔭様を以ちまして一応先ほど御報告申上げましたような結果に達した次第でございます。この点厚く御礼を申上げます。  なお、数字等細詳な点につきまして、山本指導課長から御報告申上げるようにいたしたいと思います。
  5. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) 只今田辺局長からお話のありました趣旨に副いまして、取りあえず大蔵省話合いが確定しました額は、総額五億円余りでありまして、戸数にいたしますと五千百七十八世帯分でございます。これは先般の当委員会にも申し述べましたように、援護庁といたしましては、今明年中にどうしても疎開したいという対象戸数を、一万百五十二世帯と予定しておりますので、大体この半分でございます。目下この戸数の各府県別割当につきましては、係官地方に出まして、地方実情を聞き、且つ施設現状も更に再確認をして、最終的に合理的な割当をするように、目下諸般準備をとり進めております。大体十一月頃には府県に公式の連絡ができるようになる見込みでございます。  なお、現在都道府県から参つておりまする要求は、相当私のほうでは地方財政の困難な実情もありまして、どのように本年の年度当初の工事としてやり得るかという点、若干の疑念も持つてつたのでありますが、各府県からの要求は非常に熾烈でございまして、五千百七十八世帯分では、各府県要求を満たし得ない現状でございますので、これは更に十一月或いは十二月頃引揚げ人員見込みとも関連いたしまして、若しでき得ればもう少し本年度疎開をなすべき分を増すように、更に大蔵当局折衝したいという心組で、なおその面の詳細な検討もいたしておるような次第でございます。  なお、集団住宅補修につきましても、各府県の要望は非常に強いものがありますので、これも十一月頃又は十二月頃大蔵当局折衝いたしまして、所要の流用を承認して頂くように折衝を進め、諸般準備を進めておるような次第でございます。  以上簡単に御報告申上げます。
  6. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 如何いたしましようか。これについての大蔵省の御見解を一緒に伺つて、それから御質疑を願つたほうがよろしいと思いますが……。それでは岩動主計官どうぞ。
  7. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 引揚者住宅疎開について、新らしく住宅を建直して行く件につきまして、昨年もその方針をとつて或る程度つたわけでありますが、本年度も当初予算にはこれを計上することができなかつたのでありますが、最近に至りまして引揚者の数も余り多くなくて、結局予算相当余裕財源が生れて参りましたので、その財源と睨み合せまして、差当り五千余り住宅を建てることにいたしたのであります。これは財源的にはもう少し余裕もあるようでありますので、できるだけ早くその問題を解決するという意味におきまして、今後なお地方におきましても新らしく建てる計画がありますれば、財源とも睨み合せて、更に戸数を或る程度増加することも可能ではないかというふうに、予算的には考えております。なお、本年度解決しなかつたものについては、来年度の当初予算において、できるだけ解消するような予算を計上いたしたい、かように考えております。
  8. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 御質疑がございましたらどうぞ。
  9. 内村清次

    内村清次君 大蔵省のほうにお尋ねいたしますが、二十六年度の当初予算は、引揚援護対策に対する費用としては、これは引揚関係援護のみでなくて、とにかくその対策全体の費用としては三十一億だつたかと私記憶しておるのでありますが、そうするとその後引揚者も御承知のごとく非常に僅少であるし、これはもう従来補正の時期から又決算の時期になつて参りますると、どうもこの費用というものがほかのほうに散らばつてしまうというような、二十五年度予算の経緯からいたしましても、そういう関係にあつたように記憶しておりますが、現在どれくらい余裕財源があるか、その点明確になつておりますか。
  10. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今手許資料もございませんので、正確な数字は申上げかねますが、大体八億ぐらいの金額が余るのではないかというふうに考えております。従いまして住宅のほうにも、只今のところ五億ばかりを認めておりますが、そのほかに補修経費も、今後の引揚者見込等も勘案しまして、約一億五千万ぐらいは補修費として認めたい、こういうふうに考えております。
  11. 内村清次

    内村清次君 一つこの次あたり内訳資料を出して頂きたいと思います。予算委員会でも勿論要求しますけれども、本委員会は直接関係委員会といたしまして重要でありますし、又本委員会といたしましても、ほかの費用の要る問題につきましても特に政府に要望する事項もたくさんありますから、それと睨み合せての各委員のお考え方もあろうと思いますから、資料一つ出して頂きたいと思います。それからこれは指導課のほうでも並行的に御説明願いたいのですが、今回の五億と、それから五千百七十八世帯といいますと十万円ですか、これはこの間私たち地方調査に参りましたときにおいて、県のほうにおいてどうしても単価が値上つて困難だというようなことを言つておりますが、これには県としてはどうですか、どれくらい補助をし、そうして又その坪数関係や或いは又単価値上り関係、こういう点はどういうふうになつておりますですか、これをお伺いいたしたい。
  12. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) 只今指摘のように、今回の集団住宅疎開新築単価は非常に窮屈でございます。いろいろ大蔵当局にも縷々お願いもし、御説明もいたしたのでありますが、必ずしも私のほうの全面的な希望通りには参らなかつたのでありますが、併し二十五年度疎開新築実行単価に二割増を見て頂きまして、このような額がきめられたのでございます。この内訳は各地方別新築単価相当違いますので、AクラスからDクラスまで四階段に建築単価をきめまして、最高の地域即ち北海道でありますとか或いは東京等地域におきましては坪当り二万一千円、一番安い所がまあ一万八千円というようなことにいたしたのであります。これは御指摘通り、非常に地方によりましては困難な向きがございます。例えば北海道におきましてはこれでは到底やれないという所もございますので、予算実行上でき得る限り地方実情に添い得るように今後なお研究し、各都道府県とも打合せをいたしまして、できるだけ無理のないような措置考えて行きたいというふうに考えております。
  13. 内村清次

    内村清次君 先年も朝鮮動乱から非常に物価が上つて地方自治体がそういうふうな建設予算単価割当が非常に少いために困難しておつたようでございますが、昨年度におきましてどれくらいの、あなたのほうでは大体何千戸分だといつて予算をやつておられるのがそれが足らなかつたのだという数字がありますか。又本年度の五千百七十八戸分をやつてどれくらい建つものであるか。そういうような見通しもありますか。
  14. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) 昨年、即ち二十五年度疎開新築におきましては、当初非常に熱望しておりました県でありながら、建築単価が非常に低いためにできなかつたという県が一部ございます。併しこれは余すのはいけないということで、ほかの相当地元負担もできまする県に廻しまして、実際に予定よりも少い戸数にとどまるということはございません。それから各地方におきましては背に腹はかえられないという疎開緊急事態に鑑みまして来年は何とかこのような無理を国のほうでしないだろうから、今年だけは何とか一年限りのものとして地方負担所定額よりも多く持とうというようなことで、いろいろやりくり算段をせられまして、相当地元側に御負担頂きましてやつたような次第でございまして、本年も戸数を減すという意図は今のところ持つておりません。成るべく補助率でありますとか、或いは北海道なら北海道につきましても、非常に高い函館とか札幌というような所と、相当木材生産地を控えておる田舎のほうの施設と、そういう同じ都道府県内の建築単価差の当然あるべきことを操作いたしまして、できるだけ所定戸数だけは作るようにいたしたいと考えておる次第でございまして、今のところ何戸減るということは直ちに予定いたしておらないような状況でございます。
  15. 内村清次

    内村清次君 希望いたして置きますことは、私たち府県財政状態を視察いたしました関係で、非常に平衡交付金の額が少いために、地方財政は非常に困難しておる。こういう実態におきまして、やはり県の例えば関係者熱意と申しますか、こういう人たち引揚者に対するところの熱意によつて住宅対策というものが非常に確立されておる所もあるし、又同じ財政状態であつても非常に私たちが見まして熱意が足りないなというような県も見受くるわけです。そういうようなほうから見てみますと、やはりこれは一様に国の予算関係で是非一つ住宅問題を解決してもらわないとどうしてもいかないとういようなことは、これはまあそういう濃度の如何にかかわらず、一様に考えておる問題だろうと思うのです。行きまして、この前も報告いたしましたように集団住宅かたがた住宅状態というものは、これは全くかわいそうな程度にまでなつておるのですよ。宮城県のほうなど私行つて見まして、そういうような所を一日も早く解消するには、やはりこの予算措置と、それから単価の問題、これをまあ指導課長さんよくお考え頂きまして十分一つこのほうに予算廻わしてやるというような考え方をして頂きたいと思います。で、地方が大体質抗すべきところの額はあなたのほうに報告しておるだろうと思いますが、どのくらいになつていますか。
  16. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) 地方負担といいますと……。
  17. 内村清次

    内村清次君 予算からですね。
  18. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) 大体私のほうでは地方負担を三割お願いするつもりでおります。ただ北海道につきましては非常に小さい町に非常に大きな集団住宅等があるようなところがございましてこれはとても七割の補助率ではできないということが顕著でございますので、こういうところにつきましては若干補助率実情にできるだけ副うように挙げてやりたいというように考えております。大体全国的には三割程度地元負担をお願いする建前で建築戸数との関係考えております。
  19. 内村清次

    内村清次君 これは、その三割は法律的にきまつておる問題で三割の出し方ですな、これが地方で非常に困つて、折角の戸数割当のやつを流用したり、そういうような点を見て、それから又別途、県のほうで金を工面して出して本省関係からの要請の戸数を建てるというようなやつが実は相当方々に見受けますが、問題は私はその点にあると思うのですよ。
  20. 杉山昌作

    杉山昌作君 ちよつと関連してですが、今の三割の補助といいますと、結局本年度国費が五億円ということになると、七億円で五千百七十八世帯分を作る、大体そういう計算になるわけですか。
  21. 山本浅太郎

    説明員山本太郎君) さようでございます。
  22. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 住宅問題につきましてはまだなかなか問題が残ると思うのでございます。御質疑のそれにつきましても、又それからこれからの当初予算につきましてもいろいろ委員会としても審議し、又関係各省お話合はしなければいけない点がたくさん残ると思うのでございますが、一時今回厚生省のほうからの申出につきましてはそれ以上に大蔵省のほうで配意されたというところで、この問題は、今日の審議はこれで打切りたいと存じますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それではそういたしまして、先ほど申上げました、昨日持越しておりまする未復員者給与法一部改正でございますが、期間の問題、療養期間の問題だけが持越されておつたわけでございまして、その点については申上げました通り昨日もお話合いたしましたので、大蔵省の御意向さえきまりますればそれで結論を得たことになるわけでございますので、この点岩動主計官から御説明を伺いたいと思います。御異議がなかつたら……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) では岩動さん。
  25. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 一昨日のこの委員会におきまして、療養期間の延長に関する法律改正案について御審議を頂いて、その際大蔵省から希望といたしまして、その期間を二年間遡つて頂きたいというふうなことを申上げたのであります。併し当日の委員会皆様の御意向もあり、又明日はわざわざ委員長大蔵省にお見えになりまして、いろいろ御懇談も申上げたのであります。その結果大蔵省といたしましては、二年という期間をもう一年延ばしまして、三年間を限つて療養をなお継続することができるというふうに改正して頂ければ仕合せであるという考えで本日ここに参つたわけであります。
  26. 森崎隆

    森崎隆君 この問題につきまして、なおちよつとお願いしたいのでございますが、その前に療養期間の問題につきまして、私は教育関係の出身なのでございますが、学校長という立場から教育公務員につきましていろいろ実際面を取扱つた経験も実はあるわけであります。多いのは結核療養欠休というものでございますが、実際上結核患者のような場合におきましては、本当に国家責任を持つて保障するということになりますれば、二年、三年では実際上安心して療養ができん。精神療養の面にまでは我々は責任が持てないというようなことを私は痛感した一人なんで、ただ公務員外におきましては、こういうことは実は法律を遵法する精神から言いましたならばよくないことだということはよくわかつておりますので、実際家族を抱えて働く本人病気をした場合を考えますと、現実の取扱いの現場におきましては、相当いろいろのまあ智慧を絞つて本人療養のことに対しては努力しなければならない実は立場に立つものであります。公務員の場合におきましては、病気初期等は三ヵ月の欠勤ということもございます。又それが三カ月後に一日なり二日出勤しましてまた欠勤と、こういうことであれば一年くらいのことは療養期間の正規の枠外に置きまして、一応又療養ができるわけであります。そういうことを考えて休養を彼らに取つて頂く努力は我々はして来たものでありますが、戦争犠牲者の最も中心になる傷病者かたがたにとりましては、病気の種類はいろいろあると思いますが、こういつたような……これはまあ、非合法といえば、それまででありますが、措置は全然ないのでありますか。法律で規定されました期間を忠実に守る以外に何の含みも、又弾力性も全然考えられないという面が一つあるわけです。同時に一般公務員の場合と違つた面は、同じく国家に奉仕したという点では一致しておりまするが、戦争犠牲者の場合には、これは明かに本人の意思に反した意味の非常に大きな犠牲という面もある。国家の保障というか、責任ウエイトからいいますと、これはまあ絶対的なウエイトをここに置かなければならないといつたような点も考えられなければならんと思います。そこで一昨日の委員会で私たちが特にお願いしたのも、こういうような観点に立つてからでございまして、二年というものを如何に考えましても、公務員すら三年ということになつておりますし、まあ三年以上の点も含むと考えられるようなふうに措置付けられて実はおるわけです。それが戦争犠牲者療養期間を要するところの人々にとつて二年、三年という枠をきめられただけでは、実際家族本人としましては割り切れないものがあるだろう。そういうことが国家のいわゆる思想的な安定という意味に、やはり自分の身を歎き、延いては国を恨むというような気持をやはりこういう人は持ちやすい。延いてそういう悲観的な考えにこういう人々を追い込む。これは非常に私たちはなげかわしいことであります。なんとかしてやはり安心して戦争犠牲を受けて残念ではあるけれども、その後の療養、或いはその他につきましては国家が本当に温かい気持自分たちのことを考えて行く。貧乏な苦しい国家財政の中でこれだけのことをしてくれれば、自分たちとしては本当にこれで満足しなければならないといつたような、こういつたよう気持患者が持ち得るような限度にまでこれは国家としてやはり責任を具体的に表明しなければならないと思う。まあ三年というようにお考え頂きましたことは非常に私たちも心強く感じまするし、その努力に対しましては大蔵当局かたがたにも感謝いたしておるのでございまするが、ただ一つたちは原則から考えますると、これは無期限ということを思つておるわけなんです。ただ法律上から申しますれば全然期限を切らないというのはそこに悪い面も出て来るということがございまするし、又法律というものの性格から考えまして、当然これは有期限ということはこれは私たちは納得しなければならない。それでできますならば四年なり五年なりにしたいのは出でございまするが、財政関係その他の予算関係のこともございますので、まあ三年ということもこれは私は不満でございまするが、予算関係でそういうようにおきめになることは結構でございまするが、現実の問題としましてこの三年でなお癒らない者、治療をその後においても継続しなければならない絶対絶命の家庭状況、あらゆる苦しい状況の中にある者、そういう戦争犠牲者というものにつきましては、この三年の期間の上に何か一つ含みといいますか、親心というものをなんとか持つて頂きたいと私たち熱意に燃えておるものでございますが、そういうものがあつた場合にこれに対して政府としまして何か今申しましたように期限プラスその上に或る程度含みというものが当然考えられるかどうか、そのあたり一つ伺いたいと思うわけです。
  27. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今大変いいお話を伺つたわけでありますが、なお三年続けることができるという点は、現在すでに三年の療養期間がございます。それにプラス三年になりまするので、病気発病の当時から計算いたしますと六年間という期間がすでにこの三年という案が承認されますと保障されることになるわけであります。従つてこの点については相当患者にとつて余裕のある期間になりはしまいかという気がいたしておるわけであります。ただその六年経つてもなお療養を必要とする者も全然なくなるというわけではなくて若干は残る場合も考慮されるわけであります。その点についての御質問であつたわけでありますが、これにつきましては三年、今後なお三年経つてそういう者が現実にある。而もその実情がなお続けたほうがいいというようなことの認められるという場合には政府といたしましては何らかの措置をとらなければならない。又とりたいというふうには考えております。ただこれを今直ちに法律で明らかにするということは期間を限つたこととも若干矛盾をいたす点もあると思いますので、その三年更に経つた後においてその場合において状況を判断して政府としては善処をいたしたいという気持は十分に持つておるわけであります。
  28. 森崎隆

    森崎隆君 非常にまあ力強い御答弁を頂きましたので私たちもこの点につきましては今後とも大きな期待を持つものでございまするが、今から三年間は一応安定されます。その後の問題もこれは遠い問題のようではございまするが、御存じのように療養期間中に療養しておる人々にとりましては、勿論家庭状態、あらゆる本人の環境、すべての条件から考えまして療養の最も中核をなすものは精神的な安定感というのが必要なわけであります。これがなくちや如何なる、特に結核患者は絶対に癒らない。例えば三年間ありましても三年後にはどうなるかという、こういうえてして人々は神経質にならざるを得ない立場にございまするが、そういう将来の期間を切られたということ自体が、本人に対しまして療養しながら実はマイナスの面、精神的の面で、メンタルの面におきましては非常なマイナスになる面があります。その安定感をとにかく思想的に与えたいというのが実は私たち期間を成るべく切りたくないというこの気持の中心になるわけであります。  もう一つはこれはおこがましい言い方でございまするが、公務員の場合は結核休職その他の場合は、これの届出は最近の行政整理、又今後における重大な問題になると思いますが、労働強化になりますと、現在のような低賃金、現在のような労働条件の中におきましては将来やはり殖えて行く。少くとも現在の療養者の数がこれは減る、減少するということは私はないと思います。だんだん殖えて行く。ところが戦争犠牲者の場合におきましては戦争がない限り過去の戦争できまつた人数の中で、その枠内で人数がすでに最大限になつておる。これは今後減る一方なんです。決して殖えるということは絶対ない。そういう意味から考えましても予算的に、インフレ問題は別にいたしまして予算の上で減りこそすれ予算はだんだん増大するということは毛頭ないわけであります。政府は本当にそういう意味のことを勘案されまして、予算の面もおおらかにお考え頂きまするならば、昨日までは一〇〇%の人に対して限つた予算を出して今日は八〇%を出してこれを使う。五〇%、四〇%とだんだん下つたものに対して現在出しておるところの予算を出すというようなことによつてもう一つ基本的な方針でもお立て下されば、これは或る程度の無期限ということは言い得ないことはない。この二つの面から特に私たちが今言いましたような希望を実は当局にいたしたわけであります。只今岩動さんからの御答弁を聞きまして三年後の問題でございまするが、その間にいろいろこの問題につきましても我々は具体的な協議をする機会もあるかと思いますので是非一つ三年は置いて頂きたい。その後の問題につきましては今の御答弁を私は十分確認いたし、同時にこの御答弁に対して大きな信頼を寄せるものでございますからよろしく今後お願いいたしたいと思います。
  29. 木村守江

    ○木村守江君 委員会の原案が無期限というような意味意味したのは、結局病気が癒るまでというような意味つたと思うのです。そういう点から三年を区切つてあとはそのときの相談で又三年に延ばしてもいい。又三年に延ばすどういう方法をとるか、そのときになつてからでもいい。今三年に延ばしたことと三年後のことについていろいろその条文を設けることは期間を延長したことと矛盾するというような岩動主計官の話があつたのですが、私は三年に延ばしたということと、二年を三年にしたことと、それと三年後の処置をどうするかということを考えることは、ちつとも矛盾でないと思うのですが、どういう点から矛盾しておるということになるのですか。
  30. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 言葉が少しきつかつたので、矛盾という言葉で申上げたので、若干誤解を頂いたように思うのでありますが、期間を区切つた趣旨は、やはりこの間から問題になつておりますように、若し期間を区切らないと、逆に悪い影響も強く出て来る面があるので、それを虞れてとにかく三年という一応の期間の中にこの問題をできるだけ解決して行こう。療養もその間に十分にやつて、そうして早く社会に出て頂きたい、こういうような気持でいるわけであります。そこで期間を区切つて置きながら一方においてなお工合悪かつたら先に延ばすというようなことを申しますと、悪い面の除去のために期間を区切つた趣旨が非常に弱くなつてしまう虞れが多分にありはしないかという気持からまあ申上げたようなわけでありまして、御了解頂きたいと思います。
  31. 木村守江

    ○木村守江君 その期間をきめることは、法律の建前から私も賛成で、この前無期間ということには反対したのです。やはり期限は二年でも三年でも区切るべきだ。併し二年の間に適当に処理するというようだが、処理しようと思つても事務と違うのですから、病気ですから、癒らないのですから、そう簡単に処理できないのです。そういう問題で、私はやはり三年なら三年と区切つたら、そのあとは公務傷害と同じように打切診療にするか、診療を継続するか。公務傷害と同じような条文を附記すべきだと思うのですが。そうしてこそ私は安らかな療養ができる、我々の初めから言つてつた趣旨が通ると思うのです。二年を三年にした。しただけでは私はちよつとも意味をなさないと思うのですがね。先ほどからいろいろ森崎君からもお話があつたのですが、私は三年で癒らないからというような意味じやないのですがね。私の考えかたはちよつと違うのですが、少なくとも患者は三年の療養期間だといつても、医者が三年かかると言つても、患者はそんなにかかるものか、一年か半年で癒るのだというような気持になるのです。それでなければ療養する気持になれないのです。初めから三年かかつても癒らないと言つたら恐らく療養する気持にならないのです。患者気持では三年あれば大分癒つてしまつたのだと思うのですけれども、やはり第三者である医者から考えると、三年でも癒らない、四年も五年もかかるというようなところから、こういう法律を作つて行くことになるのです。そういう点から三年と区切つたらそれでいいのだというのでなく、三年と区切つてもなお癒らない場合は、そのときにやはり公務傷害と同じような条文がなければならないのじやないかと私は考えているのですが、如何ですか。
  32. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 結局その場合については、三年経つたら打切り補償をするかどうかという点を明かにすればよろしいというふうな御質問でありますか。
  33. 木村守江

    ○木村守江君 そうです。
  34. 岩動道行

    説明員岩動道行君) その点については、私はちよつと記録を持つておりませんですが、一応打切り補償もやる建前をとらなければならないというふうに考えております。
  35. 木村守江

    ○木村守江君 もう一つちよつとお伺いしますがね、三年経つたら又三年経つたあとで相談して三年でも二年でも延ばすというようにしなくちやならたいというような考えがあるのでしたら又別ですがね…、
  36. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私は両方の建前を考えなくちやいけないと考えております。つまり療養を続けてやつたほうがいいか、或いはその場合に打切補償を与えたほうがいいか、その両方をとり得るような建前に制度を持つてつたらどうかと考えております。
  37. 木村守江

    ○木村守江君 只今主計官が言われたように、私はやはり両方の建前をとらなくちやならんと思うのです。どうぞそのお言葉を忘れないで、両方の建前をとつて、そうして本当に癒るまで面倒を見てやるというようにしてもらいたいと思います。
  38. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは御質問がございませんようでございますし、今日は先ほど申上げましたように各委員の時間の御都合もございまして、これで今日は散会をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは今日はこれで散会をいたします。    午前十一時二十六分散会  出席者は左の通り。    理事            紅露 みつ君            高良 とみ君            森崎  隆君    委員            木村 守江君            安井  謙君            内村 清次君            成瀬 幡治君            杉山 昌作君            鈴木 直人君            堀  眞琴君   説明員    大蔵省主計局主    計官      岩動 道行君    引揚援護庁援護    局長      田辺 繁雄君    引揚援護庁援護    局指導課長   山本太郎