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1951-08-20 第11回国会 参議院 決算委員会公団等の経理に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月二十日(月曜日)    午後一時四十六分開会   ————————————— 昭和二十六年八月十七日決算委員長に おいて小委員を左の通り指名した。            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            棚橋 小虎君            高田  寛君            常岡 一郎君            溝口 三郎君            一松 定吉君            鬼丸 義齊君            森 八三一君 同日決算委員長は左の者を正副委員長 に指名した。    委員長     棚橋 小虎君    副委員長    溝口 三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十三年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十回国会継続) ○昭和二十三年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十回国会継続) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今から公団等の経理に関する小委員会を開会いたします。  昭和二十三年度決算検査報告批難事項の四百三十七号、未納木材実在のものとして経理したもの、これを議題に供します。これは検査院のほうの報告は一応済んでおりますから、その後決算専門員のほうで事件重点等について、お調べなつたことがありますから、その御報告を承わることにいたします。
  3. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 外務省及び会計検査院からいろいろと御説明を伺いました。そこでその御説明事件概要並びに問題となる点を一応ここへ集めましたから、ちよつと御参考に供そうかと思います。  この契約は二十二年の六月の末にできておりまして、その主管の役所は内務省調査局でありまして、契約支払終戦連絡事務局設営部でなされたのであります。二十三年の二月に従来の担当職員と共にその事務全部が外務省特殊助産局移管されました。外務省ではこの事件に関係しましては移管を受けた後における保管料などの支払、それから腐蝕した材木の払下げなどを主として扱つておられます。腐蝕材払下げは二十四年の三月でありまして、この間に一年余りを経過しているわけであります。なお昭和二十四年の六月からは賠償庁主管官庁となりまして昭和二十二年の六月三十日附で本件購入契約が結ばれております。併しこれは基本契約とも言うべきものでありまして、数量単価納期などに関する条項が入つておりません。これらの点についての契約書は見当らないのであります。七月二日附で秋田木材から四万五千五百石の納品書が出て、これに内務省調査局長の名前で十五日附で検収済奥書がなされて二十九日に終戦連絡事務局から代金支払われております。そうして現品納入は七月から十二月頃までに数回に分納された模様であります。政府のほうでは、納入された物品に対して、帳面もありませんし、物品会計官吏も任命されておりませんでした。二十三年の六月に外務省からの申出でによつて初めて大蔵省物品会計官吏を任命したのであります。二十三年の七月に会計検査院実地調査によりまして、在庫数量が無暗に多いこと、腐蝕材のたくさんあることが判明しました。そこで腐蝕材の処分に関して十一月の末に外務省調査しましたところ、納入数量不足があることが判明したのであります。そこで外務省においては、秋田木材会社及び外務省主管課長である大谷氏に事情を質したのでありまするが、数量不足の事実は明らかになつたのであります。そのわけは、契約当時木材闇価格が高くて、又集荷を急ぐなどの事情がありまして、納入数量にかかわらず契約通り金額支払いをした。そうして実際の納入数量は七五%くらいでよろしいという了解があつた模様であります。七五%納入してそれでよいということになつたものでありまするから、木材代金も最初支払われたままであり、なお二十二年の十二月には、木材値違い、値雇いと言いますのは、計算違いであつた部分に対して若干の追加払いがなされております。三十二年の七月十五日に木材公定価格が七割上りまして、更に九月の十日には一割一分上りましたので、つまりおよそ二倍くらいになつてしまつたのであります。保管料につきましては、初め納入不足分に対しても保管料支払われまして、なお精算までもされたのであります。ところが後に至つて外務省においてその後の分を支払うに当りましては、これらのものは全部きれいに差引をしまして、過払いなつておるということはないということであります。保管料を除きまして、運賃その他の諸掛につきましては、初めにはこの納入不足の分に対しても支払われまして、精算もされていたのでありまするがその後外務省においてこれを処理するに当りまして精算を行うことは困難であるというふうに見ておられるようであります。あとでそれぞれの書類について申上げまするが、これらの書類はすべて秋田木材会社からあとなつて提出したものでありまして表面を装うた数字ばかりが記されているものなのであります。  腐蝕材を売払うにつきまして、その評価は、東京へ集めた分につきましては安本、物価庁農林省商工省大蔵省会計検査院専門家にその評価を依頼し、福岡へ集めた分については福岡県庁農林省専門家に依頼し、それから大阪及び京都に集めた分については大阪府及び農林省専門家に依頼したのであります。そうしてその腐触材を秋田木材会社払下げることにしましてその際に納入不足という形になつておりまする数量をも含めてこれを腐蝕材としてこの専門家評価によつて払下げたものであります。かように腐蝕材払下げのほうは外務省行なつたのでありまするから、この点のことは外務省で詳細にわかりますが、契約当時及び納入当時の事情書類も不備でありまして、外務省では判明しない点が多いのであります。恐らく契約当時の内務省調査局の第二課長大谷喜一郎氏に尋ねたならばその当時の事情は明らかになるであろうと思われるのであります。なお必要の場合には、元の内務省調査局長の西村氏は検収責任者でもあり、それから外務省特殊財産局長の磯野氏は事務引継ぎを受けました後の責任者でもありまするし、更に賠償庁特殊財産部長下田氏は現在の責任者でありまするので、この辺のかたに事情を尋ねて見たならばよほど明らかになるのではあるまいかと思われます。なお契約当時の秋田木材会社深川支店長の地主というかたはすでに死亡しておられますのでその事情を明らかにすることができないのは遺憾でありまするが、現在の支店長にでも出席を願うよりほかにはあるまいかと思われます。なお会計検査院がこの問題につきまして批難事項に挙げておられますることは、実はこの二十三年度には未納木材実在のものとして経理したというその点を問題にしておられまするが、その前年二十二年度の決算報告におきましては同じ問題を取上げて木材をむやみやたらに過大に購入し、而も保管が悪くて非常に多くの腐蝕材をこしらえておるということを二十二年度の第一百十山号批難事項で掲げられておるのであります。この二十三年度に挙げられておりまする記事を見ますると納入事実のない木材について代金保管料などを支払い、更にこれを売渡すなど処置当を得なかつたという主として手続又はその方法についての批難でありまして恐らく過払いをしたとか或いは国損を生じたというような点については検査院は問題にされていないように見受けられるのであります。  以上簡単に述べましたところから推して見ますると、今後こういうような点をお調べを頂いたらば如何かと思うのでありますが、それは一枚刷りの紙にいたしまして只今差上げておきましたが、契約当時の事情としましてその数量単価納期に関する具体的な契約書をなぜ作らなかつたかということ。それから、秋田木材に対して納入数量不足について七割五分でよいと言つてその了解を与えたということは事実かどうか、又なぜそんなことをしたのであろうか。その次、物品納入及び代金支払関係につきまして現品検収を果してしたのかどうか、実際検収をしもしないで検収済奥書をしたのはどういうわけであつたか、なおその場合に金額支払をした事情はどうであるか。それから納入された物品に対する帳簿整理はどうなつていたか。なぜ物品会計官吏が任命されていなかつたのか。それから次に払下関係納入不足数量を含めて腐蝕材価格払下げたことは、秋田木材会社に対して不当な利益を与えたことになりはしないかどうか。この場合に払下げ数量は適当であつたか、払下げ価格は適当であつたかということを一応吟味する必要があるのでないかと思われます。  次に、保管料については外務省十分調査をして間違いのないように払つたということでありまするがそれ以外の運賃や諸掛についはて過払いなつていやしないかどうかということ。次に腐蝕材が発生したことについてはこの木材を預つて保管をしておりました秋田木材会社の側に責任はないかどうか、若し責任があれば弁償させる必要がありはしないかどうか。それから最後に本件は、単に事務処理が不当であつたというだけのことであるか、或いは国損を生じているというようなことはないかどうか。まあ大体これらの点が問題となるのではあるまいかと思われます。
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時七分速記中止    ——————————    午後二時二十二分速記開始
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて下さい。
  6. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) この事件に関しまして会計検査院から外務省へ二十四年十一月四日附で次のような推問書が行つております。  過般実施した貴庁会計実地検査の結果左記事項承知いたしたく十一月十日までに回答を願いたい。     記 一 二十四年三月十七日及び同年三月三十一日秋田木材株式会社深川支店売渡した略奪物件梱包用木材売渡代金七、三八三、〇一一円について  (1) 本件売渡木材は二十二年六月三十日終戦連絡中央事務局設営部において秋田木材株式会社深川支店契約略奪物件梱包用木材四五、五〇〇石の買取、輸送集積保管を請負わしめ購入した木材売渡で、当時同事務局終戦処理費の支出を担当していたため契約支払業務行なつたもので、実際の業務は元の内務省調査局において担当したものである。この頃の木材の市況は出廻り少く、一方略奪物件梱包の指令の時期等が不明であつたので取り急ぎ入手することが必要で、これがためには業者に対し木材集積資金の融通を必要としたので実際納入はされていなかつた納入したものとして内務省調査局長名による検収調書を作成し、取りあえず木材代金に相当する二〇、五五六、一〇六円を同年七月二十九日に支払つたものである。本木材単価契約当時の公定価格に基いているものであつて、作為した検収調書によつて支払つた代金も又この契約単価によつているものであるが、たまたま同年七月十五日公定価格改正があり、一律に七〇%値上となつたためこの支払額では全契約数量買付は到底不可能となつたので、これが輸送費仕訳椪積費輸送減耗補てん費集荷手数料及び保管費等一一、〇〇六、三八六円を二十二年八月十三日に九、五五五、〇〇〇円、同年二月二十七日に一、四五一三八六円(外に木材代金値違い分金二〇七、〇〇〇円も同時に支払)を支払い前記木材代金と合わせ三一、七六九、四九二円を以て二十二年七月十五日改正公定価格に相当する木材とし三四、一二五石九一五の買付行なつたものである。  而してこの実際集荷量は左の通り  二十二年  七月上旬        〇石  同    下旬  二、一一三・〇二九  同  八月上旬  三、七四六・八〇四  同    下旬  八、三七八・五〇四  同  九月上旬  五、四三九・〇〇五  同    下旬  三、六〇二・八三八  同  十月上旬  二、六〇四・〇六二  同    下旬  七、四七九・四五八  であるが、このうちには契約石数四五、五〇〇石に対する実際集荷数三四、一二五石九一五との差額一一、三七四石〇八五が含まれているもので、即ち非実在木材売渡されているものである。  架空納入に対して購入代金支払うことは勿論、保管料その他として支払つた二十二年七月以降同年十月までの分一一、〇〇六、四二一円のうちには実際納入していないものに対する料金が含まれているもので、これが支払についても適当の措置ではないところであるのに、これらの事情を承知していながら更に売渡に当り架空納入数量を合せて売渡した事由と、このような処理を適当として処理したことについての貴見承知いたしたい。  (2) 二十二年十一月分以降の保管料   計   三四、一二五・九一五     (内訳の集計と七六三石二二五相違する。  であり、その後一部を梱包用として使用し、現在完全材として保管している二、三二〇石(東京京集積分、原本一八、〇〇〇石、製材換算五、三〇〇石、そのうち既使用分を差引いたもの、この分はキテイ台風で流失されて他社所有のものと混同したので目下仕訳中に属する)を残し、全部売渡したもので、前記売渡契約石数は左の通り  集積地    石  数       金    額      石当り単価   摘要            石             円         円 東   京 一二、三九五・〇〇〇 三、九七一、〇八五・三一〇 三二〇・三七八 大阪京都 一四、五七九・四八四 二、九一三、一二六・六九〇 一九九・八一〇 福   岡  三、三八九・一一五   四九八、七九九・七八〇 一四七・一七七  計    三〇、三六四・五九九 七、三八三、〇一一・七八〇  については購入契約数量の四五、五〇〇石を基礎として使用した実石数を差し引いて左の通り。  自二十二年十一月分  至二十三年 三月分      三、〇四九、五五六円〇〇  自二十三年 四月分  至二十三年 九月分      三、四四〇、四一三円一〇  自二十三年 十月分  至二十四年 三月分      二、八八九、五八三円七〇  になるもので、これに対し二十二年十一月分から二十三年三月分までは金額を、二十三年四月分から同年九月分までは六割、即ち二、〇六四、二四七円八六をいずれも二十三年十一月に、又二十三年十月余から二十四年三月分までは四割相当額一、一五五、〇〇〇円を二十四年四月に内渡金として支払い、末支払に属する  残額は予算繰越手続をとつているものである。これについて(1)の場合と同様、架空納入数量基礎として支払つた事由。  (3) 略奪物件に対する業務は上述の通り当初内務省調査局で行い、その後終戦連絡中央事務局移管され同局の廃止と同時に貴省に引継がれたものであるが、この各庁間の業務移管の年月日を示し、木材についての引継状況説明されたい。  (4) 本件購入当初からの物品出納官吏管理期を示し、集積地別受払状況を詳細報告されたい。  (5)本件に関しては先般会計実地検査当時はまだ未処理状況にあつたが、その後の処理又は今後の方針詳述されたい。  (6)本件購入に関しては、終始異例の取扱をされたため、結果において相当国の損失を招いていると認められるについては、これが推算額調査の上内訳を示して詳細説明されたい。  なお、輸送費保管料等として第一回に支払つた一一、〇〇六、三八六円の内訳中に集荷手数料として三、〇  三四、四八五円あるが、購入又は保管契約に対し特に集荷手数料を認めた根拠を調査して報告されたい。  以上が検査院からの推問であります。これに対して外務省会計課長から二十四年の十一月十六日附で左の通り回答されております。
  7. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 朗読を省略して速記へ載せるような方法をとられたら如何ですか。
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 大体これは速記に載せるということにして朗読は省略いたします。  こういうふうにいろいろ専門員のほうで資料をお集めになつておりますが、なお調査事項は多岐に亘つておるようでありますからして、このほか収集すべき資料、それからなお証人喚問等もいたしたいと思いますがそれについて御意見はありませんか。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それまでに今専門員のほうでお述べになつた事柄について、会計検査院のほうではそれと相違する点があるかどうかということ、なおその上に外務省へ行くまでの間ですね、当初の事情が判然としないという専門員からの話でありますが、その点について会計検査院としておわかりであれば当初の事情を御説明願いたいと思います。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会計検査院のかたはおられますか。
  11. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 只今カニエさんの御質問でございますが、専門員から今詳細に御説明になりました点それは大体会計検査院書類にもございます事項であります。私どものほうでも一々一応検討した事項でございます。御質問がございましたら一つ一つそれぞれについて御説明できるものでございます。  それから外務省移管されるまでの経緯という点でございますが、契約当初から外務省に移るまでの間というのは実は人はおりませんし、先ほどのご説明ありました関係者がおりませんし、それから書類は当時二十二年、まだ現在ほどはいろいろな点で整理されていない次第でありまして、終戦処理関係事項と申しますと、書類が非常に不整備だつた時代一つの残物なのであります。あとで私どもが気が付きましてから、いろいろ調べましても、なかなか資料が満足なのが出て来ないというような実情にございます。只今照会をお読み下さいましたが、実は検査院といたしましては、ああいう細かい照会を出すのは余りないのでありまして、これは資料がございませんので、聞きましたようなことを全部書きまして、若しそれに対する反証を相手かたから挙げて頂けるのでしたら、その機会を得たい、こういう意味で詳細に縷々と知つていることを実は皆さんがたに御紹介をするというような方法をとつたのでありまして、一つ一つ資料というものは、当時の事情で実はわかりかねるものが多いのでありまして、外務省に至るまでの経緯というものもいろいろあと事項説明は聞いてはありますが資料に基いた正確な説明はいたしかねる点も多いというふうに承知しておる次第であります。
  12. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この際にそれでは大体検査院のほうでお調べになつた点だけでもお聞かせを願つておいたらどうかと思うのですが、おわかりになる範囲で一つ……。
  13. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 この中でおわかりになつている分でもいいですね。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の申上げておるのは、今報告を聞いた、或いは資料がここに出しおる分についてはわかつておるのです。ところが専門員から言われたように、一番当初の事情についてはなおはつきりせないところがある。そこで外務省移管されるまでの間の一番当初の実情についてお聞きであるとか、会計検査院のほうでお調べなつておわかりの事情があればその分だけ一つ承わつておきたい、こういうことであります。
  15. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今の御質問でございますが、鍵は先ほども申上げましたように当時の事情を申上げますと、まあ本当のことはわかりかねる、こう申上げるほかはないのでありまして、その後に私ども昭和二十二年度の検査報告に載せてございますように、非常に多量な木材が買放しで腐れておるというような実態を検査の際に見付けましたのが、実はこの案のヒントでありまして、その前のいきさつはそのときに遡つて資料を集めましたので、御希望に副い得るような調査は実はいたしかねたのであります。その後の分は外務省が引受けになりまして、現在いろいろ相当疑問という点が専門員の御調査でも出ておるのでありますが、この箇条書がお手許に行つていると思いますが、これにつきましての会計検査院の見解というのはこれは御質問があるかと思いますが、これは一応御説明できるのであります。わからないことはわからないと申上げるよりほかは実はないのであります。一通り説明して御参考に資したいと思います。  先ず(1)の契約当時の実情でありますが、これはどうして契約書を作らなかつたかというのは、実はこれはわかつておりません。政府契約契約書を作るのが当然でありますが、又契約書はつきりしておりますと、本件のように納入が延びマル公が途中で上つたというような場合は新マル公で行くのは当り前でありまして、値が上つたので安い値で納めさせるのは無理なのであります。新マル公でやるというのを契約上明記するのが、当然でありますが、本件のごときそれがはつきりしないところに問題の発端があるわけであります。それから(2)でありますが、七五%で了解を与えたという点でありますが、これは口頭では説明を伺つておりますが、私どもとしてはそれを裏付ける資料は全然持つてもおりませんし、見てもおらないのであります。それから検収をしたかどうか、これも書類はございます。御承知のように、ここに出ておりますが、どうもこれは検収者調査局長というような高級職員でありますし、自分でこれを一々当つてつたとは思えないのでありますが、ただその後補助者が丁寧に検収したかどうか、その上で責任者である調査局長が印を捺したかどうかという点は、ちよつと何とも申上げかねるのでありますが、推察では、これは恐らくしなかつたのだろうということが言えると思いますが、したともしないとも言うだけの資料はこれはございません。結果においてははつきり検収調書は作つております。従つてその次の事実検収をしたかどうかという事情、これもちよつとわかりかねます。それから(3)も同様であります。(4)はこれは帳簿ども物品監査さえなかつた事情でありまして、その間の経緯あと作つたと思うもの以外は実はこれについてはないかと思います。それから払い下げについては外務省がおやりになつたことで、比較的これ以降のことは資料もございますし、責任者はつきりしております。この席上にも来ておりますので、若し何でしたらそちらから御説明を伺つたらいいかと思いますが、納入不足数量を含めて腐蝕材価格払下げたことは秋田木材に不当な利益を与えたことにならないか、この点であります。この点かいわばこの案全体の骨子になるのじやないかとも思うのでありますが、結論から申しますと、マル公の安かつた時代契約をいたしまして、その後マル公が上りましても、なお且つ安い価格で納めよ、これが当然だ、こういう前提に立ちますと、これは国損があつた、こう言えると思うのでありますが、併し一般契約の実際ではそうではないのでありまして、マル公が上りますれば上つた。公で値段を払う、これが普通の取扱うべき、又常識にかなう取扱であると思うのであります。これを前提といたしますと、本件の場合は国損はなかつた、こう申上げざるを得ないのでありますが、私どもは現在では一般取扱従つてマル公上つたなら、その高い。公で買うのはこれも当然だという考えを前提として、現在では国損がなかつた、こういうふうに考えております。ただあと架空のものを基礎にして売払うというようなまずい整理をいたしましたので、いろいろな問題が出ましたが、実質的に考えると、国損がなかつたと見るのが妥当ではないだろうか、こういうふうに実は考えております。この照会を出します当時は、この点が実ははつきりいたしませんので、先ほど専門員のお読みになりました照会の中に、相手に不当に利益を与えたのじやないかということがございましたか、これはその前にいろいろ資料を集めまして調査いたしました結果、現在では不当な利益を与えたかどうかということよりも、国としては損がなかつたのじやないだろうか、こういうふうに考えております。それから払下げ数量は適当なりや、この点は実在しない木材が入つておりますから、これは少くとも形式的に見ますと、適当とは言えない、水ぶくれしたもので払下げております。この点については適当だとは決して申上げかねる次第であります。払下げ価格が適当なりや、この点も実は腐蝕の程度というものを一つ一つ当りませんと、なかなか幾らが適当ということは申上げかねるのでありますが、大体専門家にもその後大蔵省で相当細かく御調査させた上でおきめになつたものでありまして私どもといたしましては、この価格でいい、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。それから保管料以外の運賃諸掛、これも一応は納入されない一万数千石分を払つておりますから悪いのでありますが、これもあと外務省で細かく計算をし直されまして整理されておりますから、結果においては過払いにはなつていない、こう申上げられると思います。それから腐蝕材の発生、これは秋田木材側に責任があるかどうか、又あるとすれば弁償させる必要があるかどうか、この点でありますが、当時略奪物件梱包用木材に限りませず、終戦処理費の兵舎とか住宅とか、こういうものに使います官給材というものも実はたくさん残りまして二束三文であとで処分したような実情もあるのであります。当時多量の木材保管する上において、木材を長い間野積みにしたということが、一番腐蝕の原因なのでありますが、当時の事情といたしましては野積みにすることは止むを得なかつたのじやなかろうか、そういたしますと、野積みにした保管責任、そういうことになるわけでありままが、野積みが止むを得ないとしますと、保管者にどの程度の責任を負わすべきか、賠償させるべきかという点になりますと、国側で負うべき責任と、保管者に負わすべき責任との限界が、実は不明確になつてしまうわけであります。個々の問題につきまして、保管者側に責任を負わすということは、抽象的には或いは言えるかも知れませんか、実際の問題となりますと、どの程度に負わすのが妥当かということになりますと、これは誰がいたしましても、ちよつと責任の額ということはむずかしいのじやなかろうか、こういうふうに考えております。殊に本件は単に事務処理の不当にとどまるか、国損を来たしていることはないか、この点であります。第二段の国損を来たしていることはないかという点は、先ほど申上げましたように、まあ一般常識的な解釈からいたしますると、マル公が上れば、新マル公で買うのが当然だ、これを前提といたしますと、国損は来たしていない、こう考えております。従いまして単に事務処理の不当にとどまるか、この点でありますか、単なる事務処理としてはこれは余りに嘘の連続でありまして、面白くないのでありますが、国損を伴つていないという点から逆に申しますと、そういう結論が出るのでありまして、まあ事務処理、嘘の経理をやつたという点が批判の重点、こう申上げることになるわけであります。  以上専門員の御調査の結果御疑問がありました点、私どもが今考えている見解を申上げて御参考に供した次第であります。
  16. 森八三一

    ○森八三一君 只今の小峰局長の御説明ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、第四の保管料運賃、諸掛は過払いなつていないか、これは結果においてはそうであろうというように推定し得るというお話から、第五の保管に関しての責任はないかということは、当時の状況から止むを得なかつたのではないかというように考えられるという御説明がございましたが、この関係で野積みにしておつたものであれば、保管料の料率というものについて相当考慮しなければならんと思われますが、保管料の計算としましては、検査院検査の結果は、正規の屋根のある倉庫等に保管しておつたという計算になつておりましたが、野積みにしたということで、特別料率と申しますか、契約があつたのか、その辺の結果はどうなつておりましようか、お伺いいたしたい。
  17. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 只今の森さんの御質問にお答えいたします。実は保管料でありますが、これは御承知のごとくに物価庁マル公をきめるのであります。私どもも今御疑問がありましたように、立派な建物の中に保管する場合と、野積みの場合とは、当然違うのが当り前じやないだろうか、今でもこう思つておるのであります。物価庁マル公のきめ方は、全部プールいたしまして、野積みの場合も、屋内貯蔵の場合も、全部同じに見ておるのであります。木材のようなものは、原木で野積み貯蔵とか、或いは貯木場に入れておくのか本体でありまして、製材を長い間野積みに放置するということは、世の中で余り行われないのでありまして、本件では余り量が多いので野積みにしたのでありますが、当時の保管料マル公というものは、これは屋内に入れましても、屋外で野積み貯蔵いたしましても、料率が同じということになつております。
  18. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 只今の御説明の一の(2)の七五%の了解を与えたということは、口頭では聞いておるが、具体的の裏付の資料はないとおつしやいましたが、口頭というのは、当時の当事者から聞いた話なんですか。
  19. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今の御質問でありますが、当時の工事責任者なり取扱者と申しますか、この案件を発見いたしました当時は実はおりませんで、その後の取扱者から実地検査のときに単に口頭で話があつた、この程度であります。
  20. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今専門員の御報告の中で、最初の契約及び納入当時の事情については、契約当時の責任者である内務省調査局第二課長大谷喜一郎氏、この人に尋ねると明確になる、こう思われるという御報告がありました。なお相手かた秋田木材のほうの深川支店長地主慶吉という人はすでに死亡して事情を明らかにするわけにいかん。それからなお内務省調査局長西村直己氏は検収責任者である。こういう御報告があつたのでありますが、これらの人文即ち内務省調査局第二課長の大谷喜一郎氏及び内務省調査局長西村直己氏、これらの人を証人に喚問しては如何でしようか。
  21. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それは証人として喚問されることはいいと思います。それから今の深川支店長は亡くなつて、誰かそれに代るその間の事情がわかるような人を捜し当てて、その人を証人として喚んだらどうでしよう。
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今の長谷山君の発言のように、それも関係者でわかつておるものの証人喚問は、それで私はいいと思います。ただ今言われておる死んで来られないという人の代りですね、これを外務省、或は専門員のほうで適当にお調べなつておるかどうか。若しもお調べなつておつてわかつておれば、それを附加えて喚問して頂く、こういうことでどうかと思います。
  23. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 外務省関係のかたにお話を願つたほうがはつきりすると思いますから……。
  24. 櫻井秀男

    説明員(櫻井秀男君) 秋田木材の地主さんは死亡しておりますので、その支店長もおりますが、その当時契約に関与したと申しておる結城という重役がおるはずなんです。この人が今東京におるかどうかわかりませんが、地主さんの死亡後しばしば折衝したのは、結城何とかいいました重役がおられます。
  25. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 地主慶吉というのは死んだのじやないですか。
  26. 櫻井秀男

    説明員(櫻井秀男君) 地主さん久保田、茂呂は死んでおるのです……結城亀太郎です。
  27. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これは秋田木材の重役なんですね。
  28. 櫻井秀男

    説明員(櫻井秀男君) 当時の……。
  29. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 住所はわかつておりますか。現在おる所は……。
  30. 櫻井秀男

    説明員(櫻井秀男君) 住所は現在わかつていませんが、その支店に聞けば多分わかると思います。
  31. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは内務省調査局の第二課長の大谷喜一郎、それから只今秋田木材の重役結城亀太郎、それから内務省調査局長西村直己、この三人ぐらいを呼んだら如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ではそういうことにいたします。
  33. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから先ほど専門員から会計検査院から外務省官房課長宛にお出しになつ書類、それの回答文の朗読を省略いたされましたので、回答文だけをあとから速記に載せておいて頂きたいと、こう思いますので、速記のほうへ然るべくお取計らい願いたいと思います。
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ではそういうことにいたします。それでは証人喚問の日はいつ頃がよろしいでしようか。皆さんの御都合がよいときに……。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の証人喚問等の日時でありますが、これは各委員の休会中の都合もあると思うので、小委員長においてそれらの事情をお考え下さいまして御決定願つたらどうかと思うのですが……。
  36. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ではさようにいたします。本日はこれを以て閉会いたします。    午後三時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    副委員長    溝口 三郎君    委員            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君            森 八三一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    外務大臣官房厚    生課長     櫻井 秀男君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       小峰 保榮君