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説明員(
小峰保榮君) 今の御
質問でございますが、鍵は先ほ
ども申上げましたように当時の
事情を申上げますと、まあ本当のことはわかりかねる、こう申上げるほかはないのでありまして、その後に私
どもが
昭和二十二年度の
検査報告に載せてございますように、非常に多量な
木材が買放しで腐れておるというような実態を
検査の際に見付けましたのが、実はこの案のヒントでありまして、その前のいきさつはそのときに遡
つて資料を集めましたので、御希望に副い得るような
調査は実はいたしかねたのであります。その後の分は
外務省が引受けになりまして、現在いろいろ相当疑問という点が
専門員の御
調査でも出ておるのでありますが、この箇条書がお手許に行
つていると思いますが、これにつきましての
会計検査院の見解というのはこれは御
質問があるかと思いますが、これは一応御
説明できるのであります。わからないことはわからないと申上げるよりほかは実はないのであります。一
通り御
説明して御
参考に資したいと思います。
先ず(1)の
契約当時の
実情でありますが、これはどうして
契約書を作らなか
つたかというのは、実はこれはわか
つておりません。
政府の
契約で
契約書を作るのが当然でありますが、又
契約書を
はつきりしておりますと、
本件のように
納入が延び
マル公が途中で
上つたというような場合は新
マル公で行くのは当り前でありまして、値が
上つたので安い値で納めさせるのは無理なのであります。新
マル公でやるというのを
契約上明記するのが、当然でありますが、
本件のごときそれが
はつきりしないところに問題の発端があるわけであります。それから(2)でありますが、七五%で
了解を与えたという点でありますが、これは口頭では
説明を伺
つておりますが、私
どもとしてはそれを裏付ける
資料は全然持
つてもおりませんし、見てもおらないのであります。それから
検収をしたかどうか、これも
書類はございます。御承知のように、ここに出ておりますが、どうもこれは
検収者が
調査局長というような
高級職員でありますし、自分でこれを一々当
つてや
つたとは思えないのでありますが、ただその後
補助者が丁寧に
検収したかどうか、その上で
責任者である
調査局長が印を捺したかどうかという点は、
ちよつと何とも申上げかねるのでありますが、推察では、これは恐らくしなか
つたのだろうということが言えると思いますが、したともしないとも言うだけの
資料はこれはございません。結果においては
はつきり検収調書は作
つております。
従つてその次の事実
検収をしたかどうかという
事情、これも
ちよつとわかりかねます。それから(3)も同様であります。(4)はこれは
帳簿な
ども、
物品監査さえなか
つた事情でありまして、その間の
経緯が
あとで
作つたと思うもの以外は実はこれについてはないかと思います。それから払い下げについては
外務省がおやりに
なつたことで、比較的これ以降のことは
資料もございますし、
責任者も
はつきりしております。この席上にも来ておりますので、若し何でしたらそちらから御
説明を伺
つたらいいかと思いますが、
納入不足数量を含めて
腐蝕材の
価格で
払下げたことは
秋田木材に不当な
利益を与えたことにならないか、この点であります。この点かいわばこの案全体の骨子になるのじやないかとも思うのでありますが、結論から申しますと、
マル公の安か
つた時代に
契約をいたしまして、その後
マル公が上りましても、なお且つ安い
価格で納めよ、これが当然だ、こういう
前提に立ちますと、これは
国損があ
つた、こう言えると思うのでありますが、併し
一般の
契約の実際ではそうではないのでありまして、
マル公が上りますれば
上つた。公で値段を払う、これが普通の
取扱うべき、又常識にかなう
取扱であると思うのであります。これを
前提といたしますと、
本件の場合は
国損はなか
つた、こう申上げざるを得ないのでありますが、私
どもは現在では
一般の
取扱に
従つてマル公が
上つたなら、その高い。公で買うのはこれも当然だという考えを
前提として、現在では
国損がなか
つた、こういうふうに考えております。ただ
あとで
架空のものを
基礎にして売払うというようなまずい
整理をいたしましたので、いろいろな問題が出ましたが、実質的に考えると、
国損がなか
つたと見るのが妥当ではないだろうか、こういうふうに実は考えております。この
照会を出します当時は、この点が実は
はつきりいたしませんので、先ほど
専門員のお読みになりました
照会の中に、
相手に不当に
利益を与えたのじやないかということがございましたか、これはその前にいろいろ
資料を集めまして
調査いたしました結果、現在では不当な
利益を与えたかどうかということよりも、国としては損がなか
つたのじやないだろうか、こういうふうに考えております。それから
払下げ数量は適当なりや、この点は
実在しない
木材が入
つておりますから、これは少くとも形式的に見ますと、適当とは言えない、水ぶくれしたもので
払下げております。この点については適当だとは決して申上げかねる次第であります。
払下げ価格が適当なりや、この点も実は腐蝕の程度というものを
一つ一つ当りませんと、なかなか幾らが適当ということは申上げかねるのでありますが、大体
専門家にもその後
大蔵省で相当細かく御
調査させた上でおきめに
なつたものでありまして私
どもといたしましては、この
価格でいい、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。それから
保管料以外の
運賃諸掛、これも一応は
納入されない一万数千石分を払
つておりますから悪いのでありますが、これも
あとで
外務省で細かく計算をし直されまして
整理されておりますから、結果においては
過払いには
なつていない、こう申上げられると思います。それから
腐蝕材の発生、これは
秋田木材側に
責任があるかどうか、又あるとすれば弁償させる必要があるかどうか、この点でありますが、当時
略奪物件の
梱包用木材に限りませず、
終戦処理費の兵舎とか住宅とか、こういうものに使います官給材というものも実はたくさん残りまして二束三文で
あとで処分したような
実情もあるのであります。当時多量の
木材を
保管する上において、
木材を長い間野積みにしたということが、一番腐蝕の原因なのでありますが、当時の
事情といたしましては野積みにすることは止むを得なか
つたのじやなかろうか、そういたしますと、野積みにした
保管責任、そういうことになるわけでありままが、野積みが止むを得ないとしますと、
保管者にどの程度の
責任を負わすべきか、賠償させるべきかという点になりますと、国側で負うべき
責任と、
保管者に負わすべき
責任との限界が、実は不明確に
なつてしまうわけであります。個々の問題につきまして、
保管者側に
責任を負わすということは、抽象的には或いは言えるかも知れませんか、実際の問題となりますと、どの程度に負わすのが妥当かということになりますと、これは誰がいたしましても、
ちよつと
責任の額ということはむずかしいのじやなかろうか、こういうふうに考えております。殊に
本件は単に
事務処理の不当にとどまるか、
国損を来たしていることはないか、この点であります。第二段の
国損を来たしていることはないかという点は、先ほど申上げましたように、まあ
一般常識的な解釈からいたしますると、
マル公が上れば、新
マル公で買うのが当然だ、これを
前提といたしますと、
国損は来たしていない、こう考えております。従いまして単に
事務処理の不当にとどまるか、この点でありますか、単なる
事務処理としてはこれは
余りに嘘の連続でありまして、面白くないのでありますが、
国損を伴
つていないという点から逆に申しますと、そういう結論が出るのでありまして、まあ
事務処理、嘘の経理をや
つたという点が批判の重点、こう申上げることになるわけであります。
以上
専門員の御
調査の結果御疑問がありました点、私
どもが今考えている見解を申上げて御
参考に供した次第であります。