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1951-08-17 第11回国会 参議院 議院運営・人事・法務・外務連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十七日(金曜日)    午後三時十八分開会   —————————————  委員氏名   議院運営委員    委員長     山田 佐一君    理事      木村 守江君    理事      鈴木 恭一君    理事     小笠原二三男君    理事      鈴木 直人君    理事      大隈 信幸君            上原 正吉君            加藤 武徳君            川村 松助君            中川 幸平君            大野 幸一君            菊川 孝夫君            椿  繁夫君            三輪 貞治君            森崎  隆君            赤木 正雄君            片柳 眞吉君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋 道男君            境野 清雄君            油井賢太郎君            三浦 辰雄君            鈴木 清一君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     吉田 法晴君    理事      加藤 武徳君    理事      伊藤 保平君    理事      千葉  信君           大野木秀次郎君            草葉 隆圓君            西川甚五郎君            森田 豊壽君            木下 源吾君            森崎  隆君            小野  哲君            西田 天香君            紅露 みつ君   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事      伊藤  修君    理事      宮城タマヨ君    理事      鬼丸 義齊君            北村 一男君            左藤 義詮君            長谷山行毅君            山田 佐一君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            岡部  常君            中山 福藏君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   外務委員    委員長     大隈 信幸君    理事      團  伊能君    理事      曾祢  益君            愛知 揆一君            杉原 荒太君            岡田 宗司君            金子 洋文君            伊達源一郎君            野田 俊作君            西園寺公一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○講和全権委員任命につき国会の議  決を求めるの件    〔山田佐一委員長席に着く〕   —————————————
  2. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは只今から議院運営委員会法務委員会外務委員会人事委員会、右四委員会合同審査をいたします。  先ず、講和全権委員任命につき国会議決を求めるの件を議題に供します。
  3. 木下源吾

    木下源吾君 政府委員は誰々が来ることになつておりますか。
  4. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 要求してありまするのは、外務大臣は御出席の御都合只今のところ悪いそうですから、外務政務次官人事院総裁法制意見長官外務次官、それから官房長官
  5. 木下源吾

    木下源吾君 総理大臣おいでを願うところの必要があるという場合にはおいで願えますか。
  6. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 御都合ですから私はお引受けはできませんけれども、御要求があれば総理大臣のほうへさよう申上げて見まするけれども、御出席のあるかないかということはお引受けできません。
  7. 木下源吾

    木下源吾君 今国会における委員会は恐らくこの委員会だけだと思うのでありまするが、そこで私は講和全体の問題にやはり関係するから総理大臣出席を求めたいと思うのです。一つそういう手続をおとり願いたいと思います。
  8. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 木下君にお答えをいたします。前に議運にもそういうお話がありましたから、総理大臣出席当該主管大臣たる外務大臣出席をば要求いたしました。外務大臣はほかの所用の件がありまして、本日は出席ができないということでありました。よつて外務政務次官出席をして頂くことにしております。なお、できれば事務次官等思つたのでありまするが、それは政府委員になつておらんので出席ができないということでしたが、今呼んでおりまするからその辺でどうです。
  9. 木下源吾

    木下源吾君 全権は勿論内閣がこれを任命するのです。であるから外務大臣としてよりも総理大臣として出席を求めたいというのは当然だと思います。
  10. 山田佐一

    委員長山田佐一君) どちらも御都合が悪いそうですから 総理大臣といたしましても、外務大臣としても同じことだと思います。(「了解」と呼ぶ者あり)
  11. 木下源吾

    木下源吾君 了解はできないです。今までと違つて連合委員会を初めて開くのであつて、正式に連合委員会開会によつて出席要求しておるのだから、当然あなたの職務として手続をとられるのが当然じやないか。
  12. 山田佐一

    委員長山田佐一君) とつたのですが、もう一度御要求があつたということを向うへ申し伝えます。
  13. 木下源吾

    木下源吾君 御要求があつたということでなくて、委員長としては当然出席さるべく努力されることが慣例としても正しいのではないか。
  14. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 努力しても出んやつは仕方がないじやないですか。
  15. 鈴木清一

    鈴木清一君 大分やりとりしているようですが、委員長、努力して見るという程度お話しでなくしてこれは向うに伝えて頂くことと、それから向うの返答はただ委員長を通じて聞くのみでなくしてその理由はつきり大臣に代る人がはつきりするなり、長官が来てはつきりするなりということにしなければ議題が進まない。御承知のように本来ならば総理大臣出席願わない限りにおいては、出席されない限りにおいては委員会は開かない、そのくらいに自分は問題だと思うので、そこは委員長どうかただ委員長が、向う要求しました、こう言つていました程度では、我々は審議が進まないということです。はつきりその辺御答弁願いたい。
  16. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 了承いたしました。最善を盡して出席要求をいたして見ます。
  17. 木下源吾

    木下源吾君 それまで休憩です。
  18. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは官房長官出席まで暫く休憩をいたします。    午後三時二十四分休憩    ——————————    午後三時四十三分開会
  19. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは休憩前に引続きまして連合委員会を開催いたします。木下君の御要求に対しまして総理大臣出席を求めたのでありまするが、御出席できがたいようでありまするが、その理由官房長官から御説明申上げます。
  20. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 総理大臣は丁度フイリピンから外務次官が見えておりまして、種々打合せ、協議等が本日行われることになつております。そのほうの要務で只今出席をいたしかねるような状況でありますので御了承願います。
  21. 木下源吾

    木下源吾君 今度の国会は御承知通り、主なる目的全権委員決定だろうと思うのです。勿論講和に対する経過、そういう点の御報告もありますが、かかる主たる目的を今委員会審議するに当つて総理大臣おいでにならんことは誠に遺憾に思うのです。そこで今は来られないとしても、いつ頃来られるのか。その点は一つお確かめになつたのかならんのか。若し確かめられているならばお聞きしたいと思います。確かめておらないとするならば、改めて確かめて頂きたい。これはこちらの審議の必要上お願いするわけであります。
  22. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私の伺つておりますのは、この只今連合委員会出席の御要求でありまして、その地のことについてはまだ伺つておりません。
  23. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、只今総理大臣に対しての質問の必要のあることについてはどういうふうに委員長は取計らわれるのか。或いは官房長官でこれは責任を以て代理をするということになるのか。その点を一つ確かめて置きたいと思います。
  24. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 総理大臣に対する質問がありますれば、官房長責任を以てお答えをいたします。
  25. 木下源吾

    木下源吾君 それは単に今責任を以てだけではなく、若しも官房長官だけで一般には総理大臣答弁として納得が行かないというような面があつた場合には、改めて総理大臣から答弁をされるという意向でありますか。
  26. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私のほうでは総理大臣に対する質問がありましても、私で十分責任を以てお答えができると思つておりますが、御満足が行かない場合にはそのとき考えるよりいたし方がない。
  27. 木下源吾

    木下源吾君 了承いたしました。
  28. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは講和全権委員任命につき国会議決を求めるの件を議題に供します。先ず官房長官より提案理由説明をお願いいたします。
  29. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今般政府講和全権委員の選任を行なつておりますが、そのうち衆議院議員星島二郎君、参議院議員徳川宗敬君の両君をも政府において講和全権委員として任命いたしたく考えておりますので、国会法第三十九条によりまして国会議決を求めるために本件を提出いたしました。両君履歴等はすでに諸君のよく御承知のところと考えますので、御要求がない限りは省略いたしたいと考えております。  以上何とぞ御審議の上議決せられるようお願いする次第であります。
  30. 木下源吾

    木下源吾君 両君履歴、そういうものについてはこれは私は別にお尋ねしようとは思いませんが、ただ全権委員である以上、向うへ参りましてどういうことをやるのであるかということについては、一応お尋ねして置かなければならんとこう思うのであります。  先ず第一に、今回の講和全権は、向う会議において少くも降服文書調印をいたしましたる各国が調印しなくても、その全権諸君調印して来るのであるかどうか。こういう点を一つお尋ねいたします。
  31. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今お尋ねちよつとわかりません。もう一遍おつしやつて下さい。
  32. 木下源吾

    木下源吾君 具体的に言えば、ソヴイエト或いは中国がこの講和に対して調印しなくても、こちらは調印して来るのであるかどうか。こういう意味です。
  33. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは昨日の総理大臣説明にもあります通り講和条約につきましては、日本戦争状態にあつた国々と日本との間に調印することを建前といたしております。但し若し今般調印しない国があれば、今後において同様の二国間の条約調印することを予想しておるのでありまして、従つて今回の講和条約については調印しない国があるであろうということも無論予想しておりますが、日本側としては調印いたしたい、こう考えております。
  34. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、将来調印するであろうことを予想せられて調印するというのでありますが、勿論予想でありますから判断によつては違うのでありますが、少くもいわゆる防衞協定のようなものを結んだ場合には、恐らくソ連とは調印する機会が少くなるであろうということを考えられるのでありますが、そういう点についてはどういう見解を持つておられますか。
  35. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 防衛協定と言われるのは恐らく日米安全保障条約のことであろうと想象いたしますが、こういう条約調印したら、ソ連との調印機会が少くなりはしないかという御質問のように思います。そうかも知れません。そうでないかも知れません。これは予想ですからわかりませんが、日本といたしましては安全保障条約にも調印することが必要であると考えておりまするから、将来のことは別としてこのほうの条約にも調印いたしたいとこう考えております。
  36. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、政府はこの機会ソヴイエト中国が少くも調印しないでも、これを講和と考えておらるるかどうか。
  37. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは無論政府としては講和と考えております。
  38. 木下源吾

    木下源吾君 講和である以上は、いわゆる曽つて交戦国との全面的交戦状態が消滅しなければ、講和にならないのではないか。こういう点についてはどういう所見を持つておられるか。
  39. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは非常に多数の国と戦争状態にあつた場合には、その国の間にいろいろ、利害の錯綜がありますので、全部の国と一度に講和条約調印することができない場合もあるのでありまして、例えば過去においては第一次世界大戦あとヴエルサイユ平和条約というのができました。このヴエルサイユ平和条約ドイツ等連合国との門の平和条約でありますが、理由は今回とは無論違いまするが、当時アメリカ中華民国はこの講和に参加いたさなかつたのであります。従つてアメリカ中国を除いたほかの国とドイツオーストリー等調印したのでありますが、而もこれはヴエルサイユ平和条約として厳然として当時成立したのであります。なおアメリカ及び中華民国は約二年半ばかりあとなつてこ条約に参加いたしたような次第でありまして、多数の国との間の講和となりますると、必ずしも全部の国と一度に条約が成立する例のみではないということは従来の慣例から見ても自然のことであろうと考えております。
  40. 木下源吾

    木下源吾君 只今の引例とは今回の日本の場合は非常に違つておるという点を考えなければならんと思うのであります。例えば今回の日本の敗戦の結果新らしい憲法が作られておる。その憲法は少くも降伏文書に署名をした連合国意向によつて作られておると我々は考えておる。従つてこれらの憲法とは不可分のものである。一つ一つこれをどの国と講和をしたからこの憲法を変えるというものではないと思うのであります。従来の問題とは違うので、ここで私は政府の考えておる講和というものは、いわゆる従来のような多数の講和方式とか、或いは単独講和方式というものを考えておるようでありますが、すでに実質的には政府の考えておる只今説明講和は少くも片面講和である。我々は全面講和という言葉を使つておるのでありますが、それと対立する意味ではないが、片面講和である。審法の制定せられた事情からお考えになつてもわかるように、不可分なものである。このような講和は私どもは今政府の考えておるようなわけには行かないであろうと思うのでありますが、併し政府がそれをしも講和と考えておられるとするならば、将来必ずこれは問題になるだろうと思うのであります。併しそのことはよろしいといたしましても、今回の講和に臨むに当りまして、これらの諸君全権として今政府任命するわけでありますが、この全権委員として任命する場合において国会議決を要するものが今出て来たわけである。ところが、この三十九条の規定によつてこれを国会議決を求めておるのでありますが、御案内の通り三十九条は単なる行政の面における参与役とか、委員であるとか、そういうものを書いてあるのでありましてその以外のものはやはり法令によつて定めるということが正しいのではないか。こういうふうにも考えられるのであります。これはそういうことは要らないのだというふうに政府は或いは強弁せられるのであろうけれども、国会法を見ればよくわかる通り、決して単なる行政部門参与とか、或いは委員ではない。こういうように考えるのでありますが、政府はこの点について確信を持つておられるかどうか。この点をお尋ねいたします。
  41. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府はこの点につきましては、法律的の解釈をかなり詳しく研究いたしまして、専門家意見も十分参酌して結論を出したのでありまして、その結論は必要とあらば申上げますが、十分に確信を持つております。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 只今問題になりました国会法三十九条の問題、それから国家公務員法の問題、人事院規則1の八という今度の全権委員等職務特殊性に関します規則に関連して質問をいたしたいと思うのでありますが、その前に只今説明になりました全権委員氏名としましては議員の星島、徳川両氏の二名のみでありますが、その他の全権委員、或いは全権委員代理、その随員等構成或いは数、これらのものについて概略でいいから、一つ承わつて置きたいと思います。
  43. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 全権につきましては、首席全権として吉田総理大臣、他の全権としては池田大蔵大臣、一万田日銀総裁、これを予定しております。全権委員代理としましては只今のところ三名予定しておりましてそのほかに一、二名が加わるであろうという期待の下にまだ最後的決定を見ておりませんので、決定次第国会に提出して同意を求めようと考えております。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 全権につきましてはお話は承わりましたが、代理の点について氏名をお挙げになりませんでした。それからお尋ねをいたしました随員を含みまして何人であるか。それにどういう人が、例えば国家公務員一般職に入ります随員等が何名かというような点は御答弁がございませんですが、重ねてその点をお伺いして置きたいと思います。
  45. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 随員についてはまだ人数と人選はきまつておりません。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 それに関連して……。只今お答えですとまだきまつておらんというのでありますが、いろいろ国会のほうからも多くのかたがたが行くように新聞等には伝えられておる。国会のほうから行くかたがたが問題なんでありまして、国会のほうから政府が出てもらおうというような人々については、全権全権代理、そのほかにどういうような形で派遣されようとするのか。その構成について岡崎官房長官の御構想を発表願いたいと思います。
  47. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 全権全権代理及び随員のほかに、政府としては全権団仕事に必要な関係の人を国会議員からも委嘱したいと考えておりますが、まだそのほうは決定しておりません。なお、そのほかに国会から派遣される、これは金権団とは直接関係なく、国会から派遣される議員団もあることと予想しておりますが、これは国会決定することであつて政府は直接には関与しておらないのであります。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 全権全権代理随員のほかに国会から政府が委嘱して派遣されるかたがたはやはり国会承認を必要とするであろう。従いまして国会会期が明日で尽きるわけでありますが、それはこの国会中にその構想なり或いは人名なりは政府のほうにおきましてはつきりさしてこれを案件として提出される御用意があるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  49. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは只今政府研究しておりまする法律的の解釈では、国会承認を求める必要がない種類人々と考えております。初めによくオブザーバアーという言葉を使われたのでありますが、オブザーバアーというのは非常に性格はつきりはいたしておりませんが、一般的にはやはり国会議員でもオブザーバアーとして出席する場合、国会承認は要らないのであるという法律解釈のようであります。只今考えておりますのは、まだ決定はいたしておりませんが、国会承認を必要としない種類国会議員派遣ということになるであろうと思つておりますが、これはまだ正確にきまつておりませんので、何とも申上げられませんが、若し国会承認がなければ、そういう議員派遣できないということになれば、これは派遣できないだけの話で、法律上できるということになれば、派遣する場合がある、こう考えております。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはどういう種類のものであるか、どういうような役割を演ずるものであるか明らかにして頂かなければ、やはり国会議員の中から出るのでありますから、ただ政府が今研究中で、あとで以てその性格が明らかになるというのでは我々は納得できない。若しそういうものが派遣されるといたしますならば、政府がかくかくの理由によつてこれは国会承認を得ないで派遣できるということでなければならんと思います。その点について只今すでに差迫つておる問題であります。どうか官房長官におきましてははつきりした御構想を述べて頂きたいと思います。
  51. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今申上げました通り只今研究中でありますが、法律的に国会承認を求めなければならないということになれば、我々のほうではその派遣は諦めるわけであります。国会承認なくしてできる場合には派遣したい、こう考えております。というのは、会期は明日一ぱいということになつておりまして、我々の研究は明日まででは済まないと思つております。従つて法律的に厳重に見まして国会承認を要するということになれば、これは諦めるより仕方がない、こう考えております。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 御研究中だそうであります。御研究中であれば幾つかの考え方がすでにおありになるだろうと思う。どういう形で幾つかの考え方をお持ちになつているか。そして政府は御研究中であるというそのことに基いてすでに幾つかの構想をお持ちになつたはずです。それを明らかにして頂きたい。
  53. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは只今言つた通り研究中でありますので、まだここで申上げる段階になつておらないのであります。
  54. 鈴木清一

    鈴木清一君 ちよつと関連して……。これは誠に愚問ですが、例えばここに全権として承認はすでに求めて来ているのでありますが、いろいろ新聞や……、構想を発表になりませんからわかりませんが、全権代理としてやはり国会議員がというようなことも仄聞している。そういうことに若し研究の結果なつたといたしますると、私は全権代理というものの職責は全権とどれだけ違うのか。例えば全権に任された任期中の期間に障害が起きた場合には、これを全権代理となす。代理なつたときには、全権としての資格を持つて調印なりまあ交渉なりをするだろうと思う。そうしますと僅かの期間であるとはいえども、その間は全権資格を持つ。従つて全権代理といつても、これはいわゆるここに委嘱を求めて来ているところの全権と同様の資格を持つのではなかろうかと、愚問として私がこう考えた場合には、すでにその構想にあられる人があつたならこれと同時に承認を求めるという形式をとるべきではないかとこう思いましたのでお尋ねしたわけです。従つて結論といたしまして全権全権代理との比較ということについて愚問ではありますが一応政府見解お尋ねしたい。
  55. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 全権委員代理全権が事故あるときにこれを代理するものでありまして、政府只今までの見解では、これはやはり一種の公務員である、こう考えております。従つて全権代理任命するに当つて国会承認を求めるべきものと考えます。政府としては只今のところ三名は予定がありまするけれども、或る会派からもう一名出されることに話が進んでおりまして、それが明朝きまるということでありますので、明朝までお待ちしてそして国会に提出したい。こう考えてまだ提出の運びに至つておらないのであります。
  56. 鈴木清一

    鈴木清一君 そうしますると、実は大体明朝頃にきまるのだとすれば、一応この三十九による承認を求めたこのお二かたに加えて三人五人を一括してまあ承認を求めるようにすべきであろうと思いまするので、私はただ二人についてのみここで一段するということはおかしいと思います。むしろ三人をすでに内閣決定して、大体想定しておられるというなら、その人もついでに出されたときにこれを議案として扱うべきだと思います。そういう気持を持つているということだけを会派として出して置きます。
  57. 曾禰益

    ○曾祢益君 先ほど同僚の岡田君からの質問に対しまして、岡崎官房長官からお答えがあつたのですが、この問題になつているこの種類国会議員のほうは、岡崎官房長官お話によると、国会議員であつていわゆるオブザーアバーとして、全権団とは金然別に行く人たちのことではないようでありまして、何らかの全権団仕事を委嘱する、こういうような言葉を使つておられたと思うのであります。それでそういたしますると、金権団仕事はやはりこれは政府仕事に、内閣仕事に違いないと思うのです。そういたしますると、そのようなどういう種類仕事をそのグループに属する国会議員に委嘱するのであるか、又そういうような仕事を委嘱するというのならば、やはりそれが金権若しくは全権代理とはグループを変えたといたしましても、やはり広い意味における只今の御説明による公務員仕事ではないか。果して公務員仕事であるとすれば、如何に御研究になつているかは知りませんが、国会中はまだ研究中々々と言つて国会が済んでからこれは国会議決を要する必要ないというような恰好で、極めて非民主的なやり方で、この派遣を、そのグループについての国会議員派遣をやつてしまうというような結果になつては甚だ面白くない。従つてどういう種類国会議員であつて、又どういう全権団仕事を委嘱するお考えであるか。先ずその点を伺いまして、更に全権委員それ自体の権限や何かについて引続き御質問申上げたいと思います。
  58. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 我々は法律従つて先ほども申しましたように、法律に違反するようなことはしないつもうで研究をしておるのであつて法律に従うことは決して非民主的とは思つておりません。最も民主的にやろうと考えております。そこで先ほども申しましたように、法律的に駄目ならば諦めるというつもりで考えておるのであります。なお、政府はこの臨時国会限りで潰れてしまうとは思いませんので、この次の国会、その次の国会にも責任を負うものでありまするから、たとえこの国会を今おつしやつたように、ごまかしてと言つちや語弊があるかも知れませんが、閉会中任命したところで、この次の国会に追究されるのは当然でありまするから、無理なことをしようとは考えておりません。なお、過去の例によりますると議員政府仕事をお願いしていたこともありまして、併し仕事の性質によつて公務員とは認めておられない例があるのであります。そこで我々は国会には同に合わないし、又国会承認を求めてまでするほどのことも考えておりませんから、仕事の性質のそれによつて按配して法律的に差支えなく、又従来の例にもそむかない程度で、而も有効な仕事をしてもらえる場合にはそういうものも考えよう、こういう趣旨で研究しておるのであります。
  59. 曾禰益

    ○曾祢益君 次に全権委員のことについてお伺いしたいのでありまするが、今度の全権委員は、対日平和条約だけの締結のための全権委員であるかどうか。或いは日米安全保障協定の締結のためであるかどうか、これも含むものであるかどうか。その点といま一つ全権委員といたしますればいろいろ国際会議に出まして政府の訓令を受けて交渉する場合もあると思いまするが、この度の全権というものはさような交渉の場面が事実上ない。例えば平和条約についてはないと言つては語弊があるかも知れませんけれども、政府の考えるところによれば、今度の平和条約についてこれを署名するとさような性格であるかに承わつておるのでありまするが、それは果してさようであるかどうか。即ち署名するための全権、交渉する全権ではない、かような建前に立つておるかどうか。更に又日米安全保障協定につきましては同様にただ単に署名するだけであるかどうか。それともこれに関する交渉はこれはことの性質上連合国と無条件降服した日本との間の事実上の不対等関係とは違う。飽くまで対等な関係、二国間の条約だと存じまするからさような条約についての交渉をするのであるか。それともこの日米安全保障条約についてはすでに実際上きまつておる、少くとも全権団向うに行きます前には案文が確定しておる。交渉するものではなく同様にただ署名捺印するだけであるかどうか。かような点についてのお考えを伺いたいと思います。
  60. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは私からもはつきりは申し上げられないと思いますが、講和条約草案については新聞の伝えるところによりますと、もはや変更を許さないということにダレスさんが言つておると伝えられております。つまり賛成するか賛成しないかということだけだというふうに伝えられておりますが、特に日本の場合は実際上はいろいろ意見も徴され、希望も入れて呉れましたが、形式的にはやはり無条件降伏という形が残つておりまするから恐らく講和条約については判を押すだけであろうと思つております。併しながらその間に各国の全権とも会合をいたしましようし、又いろいろ意見を交換する場面もありましようから、そういう意味では決して單に判をつくだけということではないとも言えましよう。なお、日米安全保障条約につきましてはこの趣旨は総理が昨日御説明した通りであります。併しながらこれにつきましては只今漸く条約草案が起草が終りましたから、日本政府アメリカ政府と共にこの条約案の作成に急いでおります。でこれは只今日本法律的な状態からいえば、或いはむつかしいことかも知れませんが、実際上は批准して独立国になりたという想定のもとに条約案を双方で協議して作つておりまして、これはいずれ講和条約調印の前には無払論確定いたしまして公表もできると考えております、そこで金権として行かれるかたがたには、今のところはこれは嘘偽りなくできておりませんから、まだ十分にお話するところはないのでありますが、極旨は昨日総理が言つた通りで、これを条約案にするだけであります。そこでその趣旨に賛成せられると共に、いよいよ確定した案文を見てこれに調印されるものと期待はいたしておりまするが、この点は何せまだできておりませんからはつきりここでそうであるというわけにはまだまだ参らない、こういう状況でございます。
  61. 曾禰益

    ○曾祢益君 只今お話でありますると、安全保障条約だけに話を限りまするとまだ案分ができておらない、これは事実であるというお話でありますし、それから、但しそれはもう大体最後的な段階に近付いておる、恐らく政府の腹ずもりとしてはこの案文が確定され、そうして全権がこれを調印する前にこれは公表される、従つて全権になることを受諾し、国会議決を経られんとするかたがたは、現在においては吉田総理の含みある言葉を大体今信用して内容を暗中模索しているけれども、いざ全権として現実に現地において任務を果するときには例えば案文が確定しておる、そうして従つてもはや全権としては現地における樽俎折衝をやるのではなく、事実上なやはり平和条約と同様にこれを署名するために行く、大体そういうふうな運びになるのであるか。もう一遍確認して頂きたいと思います。
  62. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 大体のお話はその通りでありますが、もう少し詳しく言いますと、昨日総理が申された、繰返して言いませんが、初めに日本には自衛権はあるけれども兵力はないから、これを有効に使うことができない。そして最後に日本の希望によつてアメリカ日本に駐兵する、日本及びその周辺に駐兵する。あの間の文句を如何にして条約の中に入れるか、条約に作り上げるかということと、最後こての批准條項が入るこれだけのものであります。従つてあの趣旨に賛同をされれば、あと条約文をどうやつて技術的に作り上げるかということでありまして、なお総理の言われたように、実はいろいろの問題はそのあとに来る細目で決定される部分もかなりあると思います。そういうわけでありまするから、今後全権となられるかたがたが、この安全保障条約についてこういうことにしたらよかろう、ああいうことにしたらよかろうという意見がありますれば、無論とり入れてあとに話すことになると思いますが、今のところは政府責任においてこれを条文化すべく努力しておるわけであります。そこで繰返して申しますが、条文は恐らく総理の言われたあの言葉がそのまま入る形になるのみでありまするから、あの趣旨に賛同されるかたは、調印にも賛成されるだろうと我々は期待しております。
  63. 曾禰益

    ○曾祢益君 その点について私どももう一つ調印前に、署名前に公表される、近く公表されるという、その予定であると、かように承わりましたが、その点は如何ですか。
  64. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その点は落しましたが、近くという言葉は、まあどの程度が近くかわかりませんが、我々の予想は遅くとも会議が開かれる前、でき得れば今月中にと、このくらいに考えております。
  65. 曾禰益

    ○曾祢益君 このたびの全権委員資格只今公務員であるというふうに言われたのでありまするが、全権委員というものは少くとも一般委員とか嘱託とか参與とかさようなものとは非常に性質が違うのではないか。その性質の違う点はいろいろあると思いまするが少くとも全権委員というものは、一つの国際会議の際の金権委員であつて、長い間さような職務におるものではないのではないか。国際慣例からいいましても、一つの重要国際会議全権委員となられたかたが、その次の会議までまだ全権委員であるということは考えられない。さような意味から考えまするならば、事の性質は極めて重大でありまするが、その金権委員性格からいたしまして、これを果して公務員とみなすのが正しいのであるか、正しいといたしました場合に、これがいわゆる公務員一般職というようなものに考えられるのであるかどうか。その点についての人事院総裁並びに岡崎官房長官の御答弁を願います。
  66. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 御尤もの御質疑と存じまするが、お示しのごとく、この全権委員と申しまするのは恒久的な官職ではございません。恐らくは会議ごとに任命され、免ぜられまするところの官職であろうかと存じます。従いまして国家公務員法の特別職の中には、比較的恒久の官職ばかり書き並べてございまするために、これは特別職に入つておりません。国家公務員は特別職か一般職か、二つのいずれかであるといたしますれば、これは一般職に入るのであろうかと存じます。
  67. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は法律に関しましては、人事院総裁みたいな知識はないのでありまするが、恒久といいまするか、恒久というお言葉をお使いになつたかどうか知りませんが、特別職というのは、少くともここに挙げておりまするところの特別職というものは、相当重要な職責を含んでおると思います。で全権委員というものが非常に重要な職責であり、全権大使或いは公使、かような特別職に或いは匹敵するような、或いはそれ以上であるかも知れないような重要な職である。而もその性質たるや、その任務たるや、決して継続的、恒久的でない。かような性質だろうと思うのです。果してさようであるとすれば、国家公務員法の建前から行きまして、かような全権委員というものが、公務員法の特別職の中に、当時法ができた関係から言つて落ちておつた。かような疑義を持つてされたかどうか知りませんが、むしろ特別職にこれを当てるという考えで、必要なる法律改正の手続をとられるのが妥当ではないか。そうでなくして実は特別職的であるということがわかつてつても、今国家公務員法を、或いは国会法等を変えて行くことが、非常に困難とお考えになつたかどうか知りませんが、さような途をとらずに、正道をとらずに、そうして非常に無理な一般職のほうに追込んだような感じが深いのであります。私は人事院総裁並びに法制意見長官の御意見を伺いたい。果して全権委員というようなものを、これを国家公務員法一般職として規定することが真に正しいとお考えであるかどうか、それとも便宜的な取扱いであるかどうか。この点を伺いたいと思います。
  68. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 公務員法上の一般職と特別職と申しまするものは決して上下尊卑とかいうところから出ておるのではございません。只今のお考えを承わりますると、何か特別職のほうに入れるのが正しいように承わつたのでございまするが、特別職は国務大臣もございますれば、失業対策事業のために受入れた失業者も特別職でございまするし、進駐軍労務者も又特別職でございまするから、そのようなことは決して考えておりません。
  69. 曾禰益

    ○曾祢益君 どうも只今の御答弁では納得しかねるのでありまするが、一般職公務員というようなものは、然らば国会法三十九条の精神から見まして、これは委員とか参與とか、さようなような意味のものとは、私は非常に違うのではないかと思う。若し一般職公務員であるとするならば、三十九条の精神、或は役員の場合には三十一条に非常に厳格なる、「官吏と兼ねることができない。」という役員については規定がございます。三十九条もやはり私は精神は同じであると思う。併し国会役員でないから、三十九条においては極めて軽い……といつては語弊があるかも知れませんが、極めて特別職的なる、特殊の任務に就くことを許したのが三十九条の精神ではないか。一般職だという建前をとつて、かような一般職公務員国会議院がなつてもいいということは、国会法三十九条の精神から見ればおかしいのではないか。この点に関する政府並に人事院総裁の御意見を伺いたい。
  70. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 官房長官はほかに重要な要件で、三十分乃至一時間中座なされるそうですが、よろしうございますね。    〔「それは困る」と呼ぶ者あり〕
  71. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 三十分ほど経つて又すぐ見えるそうです。
  72. 曾禰益

    ○曾祢益君 今の質問に関して御答弁頂いたら、あと休憩して……。    〔「総理に来てもらいたい」、「総理でなくてもいいよ、「総理がおいで下されば結構です。」と呼ぶ者あり〕
  73. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 今のは官房長官だけです。一時ほかへ行きまして、三十分経つたら帰つて見えます。
  74. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私から先ほど人事院総裁の答えましたあとを受けて、一通り私の考えを申上げたいと思います。御承知通り一般の役人につきましては、昔は官吏というものとそうでないものと二色に分けてありまして、例えば臨時的な仕事に従事しておる者というようなもの、例を具体的に挙げますれば、審議会の委員というようなものは、昔の制度では官吏扱いをしていなかつたわけであります。又同様に只今問題になつております全権委員というものも、昔の制度では官吏扱いをしておりませんでした。ところが国家公務員法ができまして、およそ公務員という観念を広くかぶせましたために、これらの全権委員といい、或いは又各種の審議会の委員といい、これは任期の短いものもたくさんございますが、それらのものも一緒に公務員法の中に取入れてしまつて今日に及んだということになるわけでございます。只今国会法の三十九条の但書をお挙げになりました中の委員、顧問というものも実は昔は官吏扱いをしていなかつたものであります。いなかつたから但書で国会議決さえあればそれになつてもよろしいということに恐らく立法せられておるのだろうと思います。そういたしまして、さてこの但書にある委員、顧問というものも今の公務員法に照らして見ると、これが一般職か或いは特別職かと申しますと、実はそれは一般職になつておる。従いまして、その関係から申しますと、全権委員も、普通の審議会の委員も、同様にこれを同じレベルに並べて説明申しますのは常識的には行きませんが、法律的には同じでありますから、これは同様の性格を以て一般職に扱う。そうして審議会の委員人事院規則によつて普通の一般職と同じように試験で任用するなどということは非常識でありますから、人事院規則でやや特別職に近い特例を設けておるわけであります。このたび金権委員か現実の問題になりましたので、それに歩調を合せて更に普通の審議会の委員などよりも一層特別職に近いという特例を作られたわけであります。そこで先ほど曾祢さんのおつしやいました三十九条の但書の問題は、その点で結局委員、顧問その他これに準ずる職務でございます。その中に結局この金権委員というものもぴつたりはまるということに私ども考えておる次第であります。
  75. 曾禰益

    ○曾祢益君 そういたしますると、只今の御説明によりますると、三十九条の委員、顧問、参与等は一般職である、従つて前は実際の官吏になつてはいけないということになつていたけれども、その当時と違つてこれらのものは一般職公務員なつた。そこで全権委員も或いは全権委員代理もこの委員等と同様に一般職の官吏であつて差支えない。そうして三十九条の規定から見てこれはやはり議決さえすれば国会議員であつてもさような公務員になれる、かような御解釈ですか。
  76. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) ちよつと正確を期するために一言申添えますが、結論は全くおつしやる通りだと思いますが、ただ官吏という言葉を今お使いになりましたが現在の国会法三十九条では国の公務員となつておりますそうしてその公務員の中から委員、顧問というふうになつております。
  77. 山田佐一

    委員長山田佐一君) もう曾祢さんよろしうございますね。それではお急ぎですからほかのかたに。
  78. 吉田法晴

    吉田法晴君 公務員問題につきましてはあとでゆつくり論議をいたしますが、只今までの曾祢委員官房長官説明に関連して一点伺いたいと思うのでありますが、それはこの提出されております全権委員任命につきましては講和全権委員として任命するということであります。官房長官の御説明によりますと、講和会議の後に行われる日米安全保障条約、その内容は今のところ昨日の首相の説明以上には具体的にきまつておらん。これは講和会議の後に、その直前において公表せられる、近い将来という言葉もございましたが、その近い将来がどういう工合になるか、公表せられるだろう、その日米安全保障条約につきましても、そのとき説明があるならば恐らく調印せられることを期待するという言葉がございました。そういたしますというと、この全権或いは全権委員は、講和条約と、なお合せてこの際日米安全保障条約調印全権としての承認を求められるのかどうか、この点をお伺いしたいのであります。そうして只今の御説明のように、なお安全保障条約の具体的な内容というものが今日明らかになつておらんとするならば、これは当然公表されました後において条約案の具体的な内容が或る程度まで確定いたしました場合に、更にこれは国会で国民に明らかにして講和条約に対しますと同様にこれは経緯の説明も或いは全権委員承認についても求めるべきだと考えるのであります。安全保障条約の内容が或いは再軍備に、或いは憲法の改正に、或いはその後の集団安全保障条約の第一歩となる危険性を考えますときに、極めてこれは重大な問題でありますだけに、そうした措置がとられるのが当然だと思うのでありますけれども、ここで明かにならないままに両者について全権委員任命を求められることは不当だと考えますけれども、そういう意図でありますのかどうか。この際承わつておきたいと思います。
  79. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 講和全権委員と特に書きましたのは、例えば普通ならば講和会議出席する委員全権委員、こういうふうに書くべきところを、講和全権委員と書きましたのは、講和会議だけの問題でないという予想の下にいたしておるのであります。講和条約と不可分の事実上は関係にある日米安全保障条約についても調印を期待しておりまするが、このほうはまだできておりませんが趣旨においては再三繰返した通り、あの総理の説明以上には出ないものと我々は予想しておりまするから、全権政府仕事をされるかたでありまするが、これに同意されれば調印されるであろうと期待しております。その意味では講和全権委員というのは講和条約だけと政府は特に考えていないのであります。
  80. 大野幸一

    ○大野幸一君 時間的の関係がありますから聞きますが、全権代理というのは全権が事故ある場合に全権の権利を行使する、こういうことになるのですね。さようですか。
  81. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) さようでございます。
  82. 大野幸一

    ○大野幸一君 そうすると、事故がなかつた場合にはまあ予備員としてついて行つておるだけですね。
  83. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そういうわけであります。
  84. 大野幸一

    ○大野幸一君 或る政党にあなた方が今交渉されておる全権代理というのは、そういう意味ですか。
  85. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) さようでございます。
  86. 大野幸一

    ○大野幸一君 余りに一党の権威者にかかわるように思うのですが、そういうことについて全権として任命される意思にないのですか。
  87. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その点は党と我々の相談でありますから、どうぞ我々の自由にいたして頂きたいと思います。
  88. 大野幸一

    ○大野幸一君 私は余りに政党の威厳に関すると思う。これは三日や四日で、まあ一週間かかるか、十日かかるか一月かかるか知りませんが、殊更に事故あるとは考えられないから、出すなら政党を重んじて全権として出したほうがいいだろうと思います。若し全権代理なれば、余りに気の毒だと思う。そういうことを今ここで明かにして置きます。    〔須藤五郎君「官房長官質問」と述ぶ〕
  89. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 三十分お待ち下さい。ほかの方どうぞ御質問を……。(「休憩」と呼ぶ者あり)どなたか人事院総裁なり皆見えますから、(「休憩」と呼ぶ者あり)質問のある方は御質問を……。
  90. 岡田宗司

    岡田宗司君 岡崎官房長官が退席されました。今人事院総裁だけについての質問はございませんようなので、岡崎官房長官が御出席まで休憩することを動議として提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  91. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 只今お話によると、人事院総裁には別に御質問はないのでございますか。(「あるある」と呼ぶ者あり)おいでになるならば御質問なつたらいいと思います。
  92. 岡田宗司

    岡田宗司君 人事院総裁にはないと私は申上げたのであります。
  93. 木村守江

    ○木村守江君 岡崎官房長官が不在だから休憩しようというような動議がありましたが、ここに人事院総裁が来ておりますから、議事の進行上やはり人事院関係のことは御質疑なさつたほうがいいと思うのであります。御承知のように会期は明日一日でありましてかような点から(「大丈夫だよ」と呼ぶ者あり)こういう無駄なことをしないで議事の進行を図つてもらいたいと思います。若しも委員長において一同にお諮りを願いまして人事院関係の質疑はないというような際は、人事院総裁の退場をお願いしたいと思います。
  94. 吉田法晴

    吉田法晴君 お話公務員法、或いは公務員関係につきましては人事院総裁質問を持つております。それは人事院総裁だけに聞いたのでは、或いは政府の代表であります官房長官がおられないところで人事院総裁だけに聞きますと、それは人事院の片口になります。私どもも人事委員会において今まで質疑をやつて参りました。それは総裁の意見ではなかつたけれども、人事院の或る程度意見は聞いて参りましたけれども、それでは、官房長官と並べないで片方だけ聞くということはこれは事態を明らかにします上においては無意味だと考えます。その出席の上で明らかにしたいと思いますから出席せられるまで休憩せられたいと思います。(「詭弁だ」「その通り」と呼ぶ者あり)
  95. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 吉田さんの御意見はよくわかりましたが、どなたでも官房長官が見えなくても人事院総裁なり、法制意見長官なり、政務局区長が見えまするからこのかたがた質問のかたはどうぞ御質問を願います。(「木村君君やれ」「休憩」と呼ぶ者あり)
  96. 木村守江

    ○木村守江君 只今吉田君から、人事院総裁だけに聞く質問はない、これは質問政府と関連しているのだというような御意見で、官房長官のいないときには質問をしても無意味だというようなお話をしておりましたが、これは私は人事院総裁という一つの立派な職権がある関係上、これはやはり若しも人事院関係の問題があつた人事院総裁が来ているのですから質問するのが本当だ。若しも人事院総裁について聞いてもわからない、官房長官に聞くというような御意見であつたら、もう人事院総裁はこの連合委員会には不必要だと認めますから御退場をなされますようにお取計らいを願います。(「それは木村個人の意見だ」「又出て頂きたい」と呼ぶ者あり)
  97. 木村守江

    ○木村守江君 全然やる気がなくて延ばすだけなんだから、誠意がないのだから。
  98. 曾禰益

    ○曾祢益君 これは繰返し、木村さんにもわかつているのじやないかと思うのでありますが、決して人事院総裁の御列席が要らないと言つているのじやないのです。問題が国家公務員法人事院規則等と国会法関係、さような全権委員任命、外交問題、そのようないろいろ関係があればこそ、我我はここに連合委員会をお願いしてやつているわけなんでして、又私自身といたしましても若し機会が与えられるならば、岡崎官房長官が御列席のときに更に御質問申上げたい。岡田君が言われたこと、更に吉田君の言われたこともそういう意味なんでありまして人事院総裁にお気の毒であるし、我々も多くの人が人事院総裁だけに御質問申上げるよりも、より有効適切な運営をしたいという希望から休憩して岡崎君が帰つて来られるまで待とうじやないか。極めて合理的且つ妥当な方針だと思うので何とぞ満場一致御賛成願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  99. 木村守江

    ○木村守江君 曾祢さんから大変に有益な御意見があり示したが、私はこれは勿論政府のすべての人をここにお呼びして全部雛壇に並べて質問をすることが最も適切だと思われますが、実際問題にして、そういうふうにこの非常に切迫した会期の間に、而も非常にお忙しいなかに全部集つて聞きたいというようなことを考えておつた際には、或いは最も開きたいと思うような社会党のかたがたの名意見も述べ得るの機会も失うということを心配いたしまして、かように人事院総裁おいでになる際に人事院関係のことを聞き、若しもそれが内閣官房長官に聞かなければならないことであつたならば、その際官房長官に聞いても何ら差支えないと、そういうふうに考えますが故に、この際は若しも人事院関係質問がありましたならば、人事院総裁お尋ねして、若しも人事院総裁に聞いてもつわからないというような考えであつたならば、人事院総裁の御退場をお取計らい願いたいと考えます。
  100. 森崎隆

    森崎隆君 余りしつこいから一言申上げますが、私たちは一時間の時間を引き延ばしてどうこうというようなけちな考えは持つておりません。逆に三十分四十分を引き延ばされることによつて会期中にこの問題が解決しないとはらはらしているというような神経質なお考えは、如何に会期決定が非民主的であり不合理であるということを証明している。このことを考えて岡崎官房長官が来られるまで三十分ばかり休憩をやろうということで、これ以外には何ら他意はないのであります。そうして一緒に重責を願うかたがたに並んで頂きまして、ここで一遍話して又もう一回人事院総裁に話したことを官房長官に言わなければならないというような時間的な不要を省くことになりますので、重ねて社会党の立場をはつきり申上げます。大らかに全会一致で休憩せられんことを希望いたします。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 休憩するかしないかということですね。お互いに論議を重ねるなんということはまあ相当暑いせいもあるかとも考えますので、やはりちよつとお休みになるように、委員長においてすぐお諮り願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  102. 山田佐一

    委員長山田佐一君) そうしましたら五時半まで休憩いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)    午後四時四十八分休憩    ——————————    午後五時四十五分閉会
  103. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。
  104. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 官房長官お尋ねいたしますが、我々はポツダム宣言によつて無条件降伏したと思うのでありますが、我々日本が無条件降伏したのはアメリカだけでありましようか、どうでしようか。どういうふうに理解しているのでしようか。
  105. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 連合国であると思います。
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではその中にはソヴイエト及び中国も入つておることだと思うのでありますが、先ほど来我々は無条件降伏したからアメリカが作つた条約に無条件で証印をしなければならんというお言葉つたと思うのでありますが、それならば若しも将来ソヴイエトから日本に対して講和条約提案した場合そのソヴイエトから出した講和条約に対しましても無条件に調印をするのでしようか、どうでしようか。
  107. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今作られておる草案と実質的に同様ならば調印いたします。(「二十六条に書いてある」と呼ぶ者あり)
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうことはおかしいと思うのであります。アメリカと無条件降伏したからアメリカの作つた草案に対しては無条件に調印するというならば、それならばポツダム宣言に含まれておる国々と無条件降伏したならば、アメリカ以外の国が作つた講和条約に対しても無条件で調印するというのが筋道でないかと思うのでありますが、アメリカと同じでなければ調印しないというその根拠はどこから出たのでしようか。
  109. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) アメリカの作つたというのは語弊があろうと思います。アメリカは原案を作つたかも知れませんが、イギリスとも協議し、フイリピン、インドその他各国と協議をして連合国の大部分がそれに承諾を与えたという見当がつきましたのでサンフランシスコ会議を開催することになつたと了解しておるのであります。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の聞くところによりますと、まだフイリピンは承諾していないと思います。そしてアメリカの作つた草案に承諾した国と承諾しない国と相半ばしているというように聞いておりますが、アメリカの作つたそのまだ確定してない講和条約に対しては無条件で調印をするということをもう今日きめて出かけようとしていらつしやる。而もアメリカ県外の連合国であつたソヴイエト中国が作つた条約に対しては調印しないというその態度は僕は非常に一方的でおかしいと思いますが、どこからそういうのが出るか、もう一度お伺いしたい。
  111. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私のほうは別におかしくないと思います。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではもう見解の相違で如何ともし難いと思います。(意見の相違だと呼ぶ者あり)  それじやもう一点伺いたいと思いますが、アメリカ、英国の意見では日本が台湾の蒋介石政権を選ぶか、中国の中共政権を選ぶかは日本の自由意思に、裁定に任すということをダレス氏が言つておりますが、そういう場合が生じた場合、日本政府はどちらを選ぶお考えか伺つて置きたい。
  113. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そういう場合になるかどうかまだきまつておらないと私は了解しております。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 若しもそういう場合が生じた場合はどういうお考えですか。
  115. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その場合にはそのときの状況で考えます。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点、安全保障協定の精神が日本憲法の第九条と相抵触しないかどうか。いわゆる形において抵触しないというような意見を述べられておるようでありますが、併し私は形においても、又精神においても憲法第九条と抵触するように思うのでありますが、その見解を伺つて置きたいと思います。
  117. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府は無論抵触しないと考えておりますから、今成案を急いでおるのであります。
  118. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 須藤さんよろしうございますね。
  119. 曾禰益

    ○曾祢益君 先ほど法制意見長官から国会法の三十九条に関しまして、但書は初めの国家公務員法ができる前は、いわゆる公務員でなかつた。或いは官吏でなかつたと言われましたが、こういう各種の委員、顧問、参与、その他これに準ずる職務につく。これらの職務は、公務員法ができる前は公務員、或いは官吏ではなかつた。が、その後公務員法ができて、今はこれらの職が大体一般職になつておる。従つて今度も金権委員も同様な職務であつて一般職に取扱う、更に従つて三十九条において議決さえあれば全権委員になれるのだと、こういうふうに伺つたと思うのですが、もう一遍前には、これらの委員、顧問、参与等は公務員法ができる前は官吏ではなかつた。かような御見解であつたかどうか伺いたいと思います。
  120. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今のお尋ねの点は、国会法の三十九条そのものの沿革を申上げれば算術的に直ちに出る、おわかり頂けると思います。と申しますのは、この国会法の三十九条は現在は御承知通り、「その任期中国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない。」というのでございまして、その下に「但し、国会議決に基き、その任期中」「各種の委員、顧問、参与その他」兼ねることは「この限りでない。」と、これが現在のであります。これが公務員法ができて、こちらでお直しになつたので、公務員法ができます前は、この条文はこの議員は、任期中官吏と兼ねてはならない、現在は今申しましたように、国又は地方公共団体の公務員と兼ねてはならないと書いてありますが、前の国会法は官吏と兼ねてはならないとありまして、そして現在は「但し、」となつておりますけれども、但しじやなくて、そのときは別項目を起しましてそして顧問、それから嘱託、参与、その他これに準ずる職務につくには、国会議決を要するというような形になつておる。それが示しますように、官吏と、元国会法で使つておりました官吏という文字は委員顧問等は除外した意味で使つてつたから、但書にしないで二項で別立てにしておつた。ところが今申しましたように、公務員法ができましたために、これを官吏とあるのを公務員と兼ねることはできないと直してしまつた。そして公務員のほうに先ほど申しました委員、顧問等が入つて来たものですから、「但し、」とおやりになつたのであります。
  121. 曾禰益

    ○曾祢益君 大体わかつたのですが、併し少くとも前の三十九条は、官吏になつてはいけない。これが大精神です。只今国会法三十九条の公務員にならないのが原則である、かようなふうに考えるのであります。そういたしますると、但書は非常に例外規定であつて、例外規定というものはその本質上非常にそれを制限的に解釈すべきではないか。余りこの点を拡張解釈、これに準ずるというものの中に官吏が各種委員、顧問、参与と本質的に違う。私をして言わしめれば、あえて当然に公務員としても当然に特別職であるべきこの金権委員のようなものを、この委員、顧問、参与、その他これに準ずるというにうにやることは、認めることは法の解釈から行きまして、非常に私は無理があるのではないか。この点について今一応あなたの御意見を伺いたいと思います。
  122. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 数学的の御説明は、先ほどので十分御了解を得たと思いますが、今の御指摘の点につきましては結局それに尽きると思いますけれども、例えば明確にこの役員と議員と兼ねてはならんという意味からはつきり除外されるものとしては、ここで国務大臣内閣官房長官、政務次官というふうに、法律で直接謳つております。これは国会議決も何も要せずして当然なつてよろしいものばかりの部分、但書のほうは国会の御承認によつてという意味で、国会議決という意味で入れてあるのでしようから、そこに国会の御判断が入ると法律的には考えております。
  123. 曾禰益

    ○曾祢益君 私はいろいろ伺いましたけれども、どうも納得できないのであります。全権委員という重要な職責でありまするから、当然にさような無理な解釈をして委員、顧問、参与等に準ずるというような職をして一般職であるというようなことをせず、政府としては、なぜ全権委員に又国会議員たり得る、国会議決を経ればなり得るというようなことを特別にお作りにならなかつたのですか。或いは今後さようなお考えはあるのかないのか、私はこの点を岡崎官房長官に伺いたいのであります。決して私は全権委員国会議員がなつてはならないという議論をしているのではないし、そういうことは今の実は占領下の日本としては或いは予想してなかつた事態だろう。国家公務員法も、占領下の日本としてはさような全権委員のごときものを国家公務員法で考えておらなかつた。これは止むを得ない当然のことです。併しこれからの日本のことを考えますと、全権委員、……全権委員というのは非常に重要な職責であります。国家公務員法の見地からも当然に新たに検討して行かなければならないでありましようし、又国会内閣との関係、これらの関係から、今後とも全権委員国会議員がなるというようなことが或いは望ましいかも知れない、かような問題が包蔵されていると思うのです。それを本当に正面から取つ組んで、この際単行法を作つて国会議員から全権委員になり得る、議決を経てなり得るというような正々堂々たる取扱い方をおやりになるお気持ちはないか、この点を伺いたいと思います。
  124. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは別に忘れたわけではないのでありまして、例えば特別職の中に大使とか公使とかいうのが入つておりますが、なんといいますか、占領下においては必要ないと思われる大使や公使というようなものも、制度上は作つております。従つて全権委員というようなものもあり得ることは当然考えておつたわけであります。ただいろいろ研究の結果、私どもが今考えておりますのは、例えば特別職となつているものは、先ほど人事院総裁の御説明通り、特別職がえらくつて一般職がえらくないのだという考えではないので、それが第一。  それから特別職となつておりますものは、いろいろの関係からなんと申しますか、イギリスでやつているようなしきたり、つまり国会議員が原則としては総理大臣及び閣僚の大部分を占めるという考えから、国会議員が当然各閣僚とか官房長官とか政府次官にはなるべきが、制度上重要である。片一ぽうの全権委員というのは国会議員でなければならんとか、成るべく国会議員のがいいのだと考えるのではないのであつて国会議員の場合もあり得るかも知れないけれども、そうでない場合もある。そこでこれについては今の制度で今の規定でよろしい。国会議員国会承認を得れば、全権委員になるということでよろしいと考えているわけであります。
  125. 曾禰益

    ○曾祢益君 先ほど人事院総裁お答えもありましたが、私は特別職のがえらいとかえらくないとか、そういうことを言つているのではないのでありまして、特別職……全権委員のごときものを一般職と認めることは、非常に私は実際問題として、常識から見ておかしいのではないという考えは首肯できないのであります。それはそれといたしまして、然らばもう一つ伺いたいのは、三十一条の役員は官吏を兼ねることができない、この解釈からいたしますと、国会の役員はあなたがたが公務員と認められた全権委員にはなれない、この点はさように心得て間違いありませんか、この点を伺いたいと思います。
  126. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私の立場から一応お答え申上げますが、この文字は、官吏という文字が残つておりますために、御指摘のような議論があるわけでありまして、恐らく私は議論をさせるならば両説あつて、この官吏は狭い意味の官吏だから、昔の官吏に相当するから今回の金権のごときものはこの中に入らないという議論も勿論あろうと思います。と同時にこれは公務員という意味に変つたのだというような一口に申せば考え方もあろうと思います。従いまして結局国会法の条文の問題になりますと、これは政府というよりも、むしろ国会御自身が最高の御解釈をお持ちになつていると思いますので、私の実は立場としてこれは大丈夫という助言を官房長官にするだけの自信はないということだけのことです。
  127. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど来曾祢さんから全権公務員問題についてお話がございましたが、御説明を聞いておつても、これは私どもだけでなく、一般に納得が行かないと思うのであります。法律というものは、或いは法令と申しましようか、広義の法令は、これは実態を反映するものであります。そういう意味において、常識とそうかけ離れるものではないと思うのでありますが、今回のこの全権派遣について人事院規則——の八だけで処理されようという態度はどうしてもこれは議員にいたしましても、或いは国民にしても納得することができないものだと考えるのであります。講和会議出席する全権、或いは全権委員がどういうものであるかということは、これは私が申上げるまでもなく、一国を代表して講和会議出席をして、そして調印をする任務を持つている。或いは先ほど来公務員という言葉が出ておりましたけれども、公務員であることにも間違いがないと思うのであります。政府を代表して、政府のやるべき講和調印仕事をやるわけであります。仕事の点からいいますならば、先ほど来お話がありましたような、或いは大使、公使と同じような、国を代表して対外的に使いする仕事をやるわけでありますし、又その仕事の質と申しますか、或いは格と申しますか、そういうものにいたしましても、或いは国務大臣、大使と同様、その行為が国を当然代表する行為になるわけであります。特別職の国家公務員とするのが普通の常識では受取れないということは、これは当然のことであると考えるのであります。又国会議員の中からもその人を取るということを適当としますならば、これは国会法第三十九条の改正によつて、首相その他国務大臣と同様に兼職禁止の除外をするか、或いは別に全権委員に関する独立の立法をやつて国家公務員との兼職が可能になるような立法措置をとることが正当であり、当然の措置と考えるのが、これが常識であります、ところが全権委員一般職公務員という解釈から、人事院規則の1の八だけを判定して、議員の兼職に関しては、金権委員内閣行政各部における各種の委員、顧問、参与その他これに準ずる職務と同様のものであるという取扱いをし、国会法第三十九条但書の規定による国会議決を以て足れりとするのが政府及び人事院の態度でありますが、これは誠に了解されないところであります。法の規定が常識と異なるには相当の理由がなければなりませんが、その具体的な点について以下御質問を申上げたいと思うのであります。  これは政府も人事院も同じ態度でありますけれども、金権委員一般職公務員として、人事院規則の1の八の第一条に規定されましたのは、第一にその職務の内容そのものから、一般職とするのが適当だと考えられたのかどうか。国を代表して条約調印するというその仕事が、一般職仕事だと考えられたのかどうか。或いは国家公務員法第二条第三項の特別職として列記されておらんから、止むを得ず形式的に規則一般職として規定したのか。そのいずれであるか、先ず承わりたいと思います。
  128. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今言われました御意見は御意見としては承わつて置きますが、我々も政党内閣でありまするから、今おつしやつたような点も念を入れて、例えば別の立法にすべきであるかどうかということを、私の属する自由党にも相談をいたして見ました。そこで衆議院の多数を占める自由党の人々意見は、只今つたような方法が一番適当である、こういう意見でありまして、常識上そうなるであろうとおつしやいますが、自由党のほうの常識はそうでないのであります。そうして自由党は少なくとも衆議院においては一番多くの人を占めておりますから、私は常識的に見てもやはりこれでよろしいのだと考えておるわけであります。
  129. 吉田法晴

    吉田法晴君 自由党の常識は普通の常識と違うのだという御説明で、それが通りますならばそれで結構なんでありますが、この点について浅井人事院総裁一つお伺いをしたいのであります。なお、これは人事院総裁法学博士浅井清氏の著書「改正国家公務員法」によりますというと、一般職それから特別職の差異につきまして説明がなされておるのでありますが、特別職は、これは前に政務次官或いは各省次官等の問題に触れた後に、各省次官が政治を担当するようになれば、これは特別職となすべきであろうという文句もございますが、あとのほうに現業庁関係のものも挙げて、これらの職員は、その勤労関係が普通の政府職員と在り方を異にしておると考えたからであります云々と書いてあるのでありますが、人事院総裁、これは公けの資格であるか、個人の資格であるかはわかりませんけれども、職務の内容からして、或いはその仕事の内容からして特別職と一般職とを分けられておるのでありますが、そういう仕事の性質から一般職と特別職を分けた点等から考えまして今の自由党の一般常識と異なる常識では割切れんかと考えるのでありますが、人事院総裁如何に考えられますか承わりたいと思います。
  130. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お答えを申上げます。自由党の御意見は人事院としては知らないのでございまするけれども、ただ国家公務員法の立場から考えまして全権委員一般職といたし運用いたして置きますることは少しも差支えないと人事院といたしましても考えておる次第でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)殊に全権委員と申しまするものは、何も只今に始まつたものではございませんで、明治憲法以来あつたものであるように存じておるのでありますが、未だ曽つてこれに対して特別の立法をしたり、法的根拠を与えたりしたような例はむしろなかつたように考えております。
  131. 吉田法晴

    吉田法晴君 全権の問題について未だ曽つて特別の立法がなかつたということであります。これは沿革でありますが、それはそのときの法体系の中においてそういう措置が必要であるかないかということで取扱つたのだと思うのです。先ほど来全権公務員であるということについては政府といえども、人事院といえどもこれは御否定にならないと思います。一応公務員であるということは認められております。その公務員の中で一般職として取扱うか、或いは特別職として取扱うかという問題であります。これは人事委員会において人事院の岡部法制局長に承わるところによりますれば、公務員法の二条三項に、全権が特別職として規定をされておらんからこれは一般職だ、こういういわゆる形式論から説明がなされたのであります。併し問題はその職務の内容から特別職として取扱うことが妥当であるか、或いは一般職として取扱うことが妥当であるかという問題をここに提起しておるわけであります。人事院総裁なり或いは政府においてその仕事一般職とすることが妥当である、特別職ではないとこういう工合に御説明になるかどうかこれを伺つておるのであります。仕事の内容からいいますならば或いは国を代表する点において国務大臣と匹敵いたしましよう。これはその仕事の重要性であります。或いは対外的に仕事をいたしますこの職務執行の対外的な要素からいたし辞すならば、大使、公使と同様だと思います。国務大臣も或いは大使もいずれも特別職として取扱われておることは、これはいうまでもございません。そこで問題はそういう実質から考えて、職務の内容から考えて見ても形式的ではなくて、屁理窟ではなくて、仕事の実態からそれは特別職とするには不適当である、こういう御議論であるならば、その理由はどういうところにあるかということを承わりたいのであります。
  132. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 特別職か一般職かという点について重ねてのお尋ねがございましたが、これは成るほど両様に議論も立つと存じます。併しながら人事院といたしましては国会が御制定になりました国家公務員法の下におきまして、適切なる運用を考えまするならばこれは一般職でもある、こういうことでございます。
  133. 吉田法晴

    吉田法晴君 どうも質問に対して答えは適当でなかつたと思いますが「(適当適当」と呼ぶ者あり)内容がないのであります。形式的な御答弁はございましたけれども、実質内容については御説明がないのでありますが、これは人事院として人事院規則を制定されたのでありますけれども、人事院としてはその職務の内容からして、どういう法制的な措置をとるべきであるかということをお考えになつておやりになるべきだろうと思うのであります。私どもが想像するところでは、時間の余裕がない、或いは国会公務員法の改正その他を提案いたしまするならば、相当これは時日を喰い、或いは多少の混乱と申しますか、が起るから人事院規則の制定という便法、権道をとられたとしか考えられんのでありますが、国家公務員法の二十三条によつて、法令の改正に関して意見国会及び内閣に申出る義務のある人事院としては政府からのこれは話でなくつて人事院からとして如何に法規上の手続をとるべきかということを提出せらるべきだと思うのでありますが、実態について御説明もございませんから、その人事院規則——の八によられた理由が明らかでございませんけれども、法規改廃と申しますか、法令制定改廃について意見を出すべき人事院としてその点について如何ように考えられたのか、はつきり一つ承わりたいと思います。
  134. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 若しも人事院が吉田さんと同じ見解でございまするならば、さような道もとりましたであろうと思いまするが、人事院はこの点につきましては内閣と所見を同じういたしておりまするからして、現行公務員法の運用といたしまして、この人事院規則を制定いたした次第でございます。(「進行々々」と呼ぶ者あり)
  135. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 委員長にお願いして置きたいのですが、実は時間も大分遅くなりましたのですが、いろいろ伺いたいことがあり、特に重大な本案件でありますので、願わくは明日でもこの案件の提出者であります内閣総理大臣に御出席を願つてそうして質問を許されたいと思うのであります。そうしてそれにつきまして、明日まで官房長官から十分御相談を願つてお答えを願いたい意味において、本日次の三点についての質問を許されたいと思う。  第一は、政府は今締結されようとしております講和条約なるものを、現在の日本憲法の中に明記せられております条約というもの、それに含まれるものという御見解にお立ちになつておいでになるかどうかという点であります。この点については御承知のように、学界に異論がございます。それで或いは只今日本憲法に明記せられておる条約というものは、この旧憲法時代の日本と新憲法の時代の日本との過渡期の講和条約というものを含まないのだという有力な意見が発表されております。従いまして我々としてはこの点について政府はどういう所見をおとりになつておるのか。そうしてそれについても将来に対する責任をおとりになろうというふうにお考えになつておるかということについて、本日でなくても結構でありますから、十分御研究の上御答弁を願いたいと思うのであります。そうしてその結果につきましては更にお伺いをいたしたいと思うのであります。  それから第二に伺いたいのは、この本条約と並べて予想せられております日米安定保障協定、これは政府只今までの御説明では憲法に抵触しないというお考えでありましたが、この憲法に抵触しないというのはどういう意味において抵触しないというふうにお考になつておるか。これは具体的に申せば、この日米安全保障協定の内容の中で或いは抵触するのではないかと考えられておる条項について、これは抵触しないという御説明を頂きたいのであります。更に具体的に申せば、日米安全保障協定は決して日本の再軍備ということを予想しているものではないということであれば、これは憲法に抵触しない。従つてそういうお考えであるかどうか。  それならば最後に、万一日米安全保障協定に日本の再軍備が予想せられているということがわかつた場合には、政府はこれに対しては調印せられるのであるかどうか。調印を辞退せられるのであるかどうか。若しそうでないとするならば、その場合に臨まれたこの講和全権に対して、国会国会から選定されますこのお二人のかたに対して、これを今日承認する案件について我々が重大なる決意を持たなければならない。以上申上げました点についてどうか十分御研究の上、はつきりした我々のみならず国民が納得するようなお答を頂きたい。  それから第三には、この日米安全保障協定というものは、只今我々の知つておりますいわゆる対日講和条約の第六条の後段に直接に含まれるものなのでありますか。それともそれとは別個のものなのでありますか。この点についてどうか明確にされないと、この承認の案件を審議するのに我々の知識が不十分であるというそしりを免れないと思うのであります。それで、若しこれが別個のものであるとするならば、これに対するその批准の条項というものが必要になつて来る。そして、これは総理も昨日演説の中にも批准条項は入るものと考えているというような御説明があつたと思うのでありますが、この点につきましては、只今政府は批准条項は入るものとお考えになつているという程度では、国会が本案件を審議することができないのじやないか。どうかその点につきまして、これは時日をも若干要することかとも思いますので、明日御答弁を願いますまでの間に、この批准条項が必らず入るというお見通しをお立てになりますか。それとも、この点についてはそういう見通しについては答えられない。ただ入るものと希望しておる。つまり、これは希望的観測であるか。それとも政府の現在の責任において批准条項は入るのだということを責任を持つて答弁になりますかどうか。それを明日までの間にお答えを願いたい。  それで、この第三点の質問につきましては、特にこれに批准条項が入るものと考えていたけれども、あちらへ行つて見たらば批准条項が入らなかつたという場合には政府はどうなさいますか。これは国会からこれについて全権の委任を今日お求めになるのか。これは、その点については、国会の問題でありますから、その場合には、これは批准条項が入るつもりでやつて来たのだが、入らないということであつては、これは調印することができないというような立場をおとりになりますか。これらの点について、どうか只今の状態では恐らくは明確な答弁は頂けないのじやないかと思いますので、明日、明確な答弁を頂きたいというふうに考えているのであります。  それで、以上の問題を特にこの際本日から明日までの間に十分の御連絡をお遂げになつてお答えを頂きたいと思います。実は、この条約全権任命について、国会がどの程度までの責任を負うことができるか。若し負えないのならば、それは全責任は現在の政府がおとりになるおつもりであるかという点について、我々が本件を審議いたします上に、以上の点についてはどうしてもはつきりしたお答えを頂きたいと思いますので、只今直ちに御答弁を頂きませんで結構でありますから、明日成るべく親切なお答えを頂戴して置きたいと思うのであります。
  136. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今の御質問に対しては、私は政府としては無論そういう点は十分に考究しての上でありまするから、明日を待たなくて、只今お答えができると思つております。第一の点につきましては、これは議論があることは知つております。知つておりまするが、私どもは普通の条約と同様であるという解釈をとつております。又手続等も普通の条約と同様にいたすと考えております。  第二の点につきましては、恐らく憲法第九条に関連しての御質問だと思いまするが、これには総理しばしば言明しておりますように、この日米安全保障条約に伴つて再軍備ということはありません。従いまして、我々は憲法第九条に違反するとは考えておりません。それから……(羽仁五郎君「向うへ行つて御覧になつて、あつた場合には……」と述ぶ)それから批准条項ですね、これは何と申しますか、只今協定条約案ができておりませんから、そこで批准条項が入るはずであるこういう未来の形をとつておるのでありまするが、総理大臣国会で以て言明したのでありまして、この点は間違いないとお考えになつて差支えないじやないか。ただ未来のことでありまするから、そこで、入るはずであると、こう申上げておる。今できておれば入つておると、こう申上げるところを、入るはずである、こういうふうに申上げたというふうに御了解願いたい。
  137. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 大変率直な御答弁を頂いて有難いですが、そうしますと、今の三点につきまして、今のお答えに基いてこの点だけ伺つて置きたいのですが、第一の場合普通の条約と同じ御解釈にお立ちになるのでしたならば、国会議員をお入れにならないほうがいいじやないか、そうして、今ここに案件として承認要求されておるのは、たまたま国会議員であるのですが、それも国会議員の入るのは望ましいというお考えの上に立つておいでになるのか。若し入ることが必要だというお考えならば、今の御答弁了解しかねます。政府だけでおやりになつたほうがよろしいじやないかというふうに思う。どつちのお考えの上に立つておられるか。  第二の点と第三の点でありますが、再軍備は含まないという今おつもりである。併し、これも今おつしやるように、形ができていないのですから、将来の問題ですから、入るやら入らないやらわからない。入らないものというふうにお考えになつて、若し入つてつたならどうなさる。批准条項についても同様で、批准条項が入るものというお考えでおいでになることについて、その良心的な立場には敬意を表するのです。併し万一これが入らなかつたならば、殊に講和金権首席は非常に苦境に陥いられるのではないかと思う。従つて国会がこの審議する過程において、願えるならば、御努力をなされて、そうして、只今の二つの点について、もう少しでき上るものの中に批准条項が必ず入るというお見通しをお立てになつて、この案件の審議国会に願われるほうがよろしいじやないかというように思うのであります。
  138. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今いろいろお話しでありますが、今の羽仁さんのお話ですと、何か我々の知らない条約案をアメリカで作つて押し付ける、そうして見ると、批准条項が入つていない。再軍備の条項が入つておる、こういうふうにちよつと聞き取るのですが、この安全保障条約というものは、日本条約の効力の発生したあとで、独立国となつたときを仮定しまして、そのときに発効する条約を今草案を作つて置こうというわけであります。従つてこれは何と申しますか、講和条約とはいささか趣きを異にしまして、アメリカ日本で話合いをして、両方の意見が一致したものができる、こういうものであります。従いまして、今私の御説明のようになると当然期待しておりますが、重ねて言いますれば、我々の知らないものを押付けられるのではない、こういうことであります。なおこれに関連して、先ほど私はたしかサンフランシスコ会議の前、できれば八月の終り頃までに、この案文が確定して発表になるであろう。こう申しましたが、これはちよつと言葉が足らないから附加えますが、それはサンフフンシスコ会議あとで、直後にでも調印する場合のことを予想したのであります。若し話がなかなかできなくて、期間が延びるならば、又この発表も延びるということはあり得るわけであります。いずれにしましても、これは講和後の措置であります。今これを相談して作つて置こうというのですから、講和条約でも前以て屡々案の修正等も常に遅滞なく知らされて、我々の意見を開陳する機会をずつと持つて来たのでありますが、この問題は特にそういう点は何と申しますか、いわば全く平等の立場で話合を進めて来ておる、こういうわけであります。
  139. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは簡単にもう一度伺つて置きますが、今の政府を代表して、そうしてそういう意味官房長官として、日米安全保障協定の中には、再軍備に関する規定は絶対にないというように了解していいか。それから批准条項は必ず入つておるものというふうに了解しておる、そういうふうに政府は今日お考えになつておる、そういうように御了解になつておる。従つてそういう了解と違つた事態が発生した場合には、改めて国会の意思を聞かれるというように了解してよろしいのでしようか。  それから、なお細かい点ですが、日米要全保障協定は、いわゆる只今条約案第六条の末段との関係はさつき御説明を頂かなかつたので、頂いて置きたいというふうに思うのですが。
  140. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今おつしやつた二つの点は、我々はそのつもりでおりますが、まだとにかく両方でこういうものは相談した上で、話のきまつたところで発表するのであります。この前に例えば必ずそうなるとしましても、こちら側だけでそうなるのだということを公の席で言うことは憚かられまするし、又国際的の慣例からいつても、何といいますか、クオーテイシーに背くと思いますので、今は私の説明で御了承願いたい。つまり、向う側の意見も考えずに、こちら側でどんどんいろいろなことをきまつた、きまつたと言つて発表する問題でないと、こう思いますが気持はそういうことであります。  それから第六条との関連は、第六条は、あれによつて必ず何かの条約を作らなければならんというのじやありませんで、あの六条というのは、日本が将来二国間又は多数国間に、あの種類条約を作つても差支えないのだということが書いてある。無論そういう条項があつてもなくても、これは独立国になればできるものかも知れませんが、特にそういう点が戦争のあと講和条約であるから書いてあるのだと存じます。従つてあれによりましても、日本はそういう条約を作り得るのでありまするが、あれによつて必ず作らなければならんというものではないわけであります。
  141. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 大体別個のものだというお考え……。
  142. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 別個のものといいますか、とにかくあれでも認められているものですから、その認められている範囲で作ることは日本の自由であるけれども、作らなくたつていい、作つても作らなくてもいい、作りた、ときにはあそこにちやんと作つてもいいということが書いてある、こういう意味におとり願いたい。
  143. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もう一つ……。それで只今官房長官の御説明によつて、国際的なクオーテイシーという点もあるのですが、併し日本の将来の運命を決定する、講和条約のことでありますし、そういう外交上の御苦心というものを十分考えまして、そして日本の将来のために最も幸福を願われるのが私は講和全権の御使命だと思いますので、今言つたような意味において、逆の効果を発生するようなことを言つて頂きたいというのじやないのです。むしろ或る意味において、日本国会に対して、国会はそういう点において非常に強い要望を持つているということは、私はクオーテイシーに反せずして、而も又日本の将来にとつて幸福を確保するという、切な願いというものが現われるのじやないか。だからクオーテイシーに関係するけれども、そういう問題について十分、殊に講和全権として明日御出席を願います場合に、総理大臣がその点につきまして、再軍備、或いは批准条項というものについて、私は結果において決してその逆の効果を発生するのじやない、むしろポジティブな効果を発生するような意味において、この国会に対しての御発言が願わしいというふうに考えておりますので、そのように御了解を願いたいと思うのであります。私の質問は終ります。
  144. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 御意見はよくわかりました。併し私がここで申上げることは、無論政府を代表して申しておるのでありまして、総理大臣が見えましても、今以上のことは申上げられないだろうと思つております。さよう一つ御了承を願います。
  145. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 併し今申上げるように、講和会議に臨まれる全権はその場において現場において御苦心になるわけなんですけれども、あなたは金権としてお出でになるわけじやないのですから、そういう意味で首席金権としていらつしやる総理大臣が、国会に対してその講和条約を少しでも日本の将来に幸福なものにするための御努力として国会に対しても十分の御発言が願わしいと思うわけなんです。
  146. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は一点だけ官房長官に伺つて置きたいのですが、先ほど来いろいろの人から、日米安全保障のことについての問題が出ておるのです。併し官房長官お話によりますというと、何か金権は、日米安全保障については、講和全権として当然調印して来なければならないかのような工合に聞こえるし、又更に或いはこの日米安全保障がいつできるかもわからない、二月先になるかもわからないというようなお話があつて、全責任政府において負うというようなことも話しされておるのであります。そこでこれは区分けして、ほかの全権吉田全権代表と別に調印の際に当つて考えることができるかどうか。即ち講和全権として講和草案に対しての調印はやつて、日米安全保障の調印というものは場合によつて調印をしないでもよいかどうか、この点を明確にして置いて頂いたほうが将来のためによろしくはないかと思うのですが、官房長官の御回答を願いたいのです。
  147. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは先ほど申しましたように、まだ案文がきまつておりませんからして、果して間に合うかどうかはわからないわけであります。間に合わない場合には又別の方法を考えるより仕方がなく、間に合つた場合にはかりに金権が何人か行かれるとすれば、これも私どもの考えから言えば、講和条約成立後の真空状態を避けるための措置でありまするから、形は無論講和条約とは別のものでありますが、我々の頭から言えば、講和条約と同時に、なくてはならないものと考えております。従つて講和条約と同様に国民の大多数のなんといいますか、支持を得たいと考えておりますから、そういう意味では全権が全部調印されることが最も望ましい、こう考えております。
  148. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 重ねてお伺いするようですが、そこの点が一番問題でして、まあ我々といたしましても、国民の代表として納得の行くような今の日米安全保障協定が示されるならばこれは問題ないのです。ところがどうも先方に参りましてこの点が不審である、どうしてもこの一点だけは何とかならないものかというようなことになつた場合に、一応保留したいというようなことがあり得ると思うのです。そういうこともいわゆる現政府として織込んで全権を御指定になるという御意思があるかどうか。或いは絶対的に首席全権と同時に調印してもらいたいかという、もう絶対的なものであるか。その点は成る程度明確にされたほうがよろしくはないかと思うのです。重ねて御質問いたします。
  149. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは全権といえども人の意思を持つておるかたでありますから、絶対にしなければならないとかいうようなことは申上げるわけにはいかない。我々のほうから言えば、そういうことを期待いたすだけであります。どうもそれ以上にはちよつと申上げかねるのであります。
  150. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 了承しました。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 相当時間も経過しておりますので、本日はこの程度にして連合委員会を散会し、明日は本会議後午後二時頃から連合委員会を再開して頂くというふうにお倣いしたいので動議を出しますが、而も明日の連合委員会中には或いは時間の制約がありましようとも、大かたの委員かたがた総理大臣出席の要望が強いので、総理大臣出席要求して頂きたい。而も実際上の問題としては、政府与党並びに官房長官委員長等において、これらの点については特段な御努力を願いたい。而も或る会派において、全権参加問題等につきましては、明日二時頃からいろいろ会派の御相談があるやに承わつておりますので、それらによつて意思決定ができます頃あいまでには、この連合委員会が終結を見るようなふうにやつて頂くということについても、我が党としても了解を与えてこの動議を出す次第でありますから、お取り上げ願いたいと思います。(「総理大臣出席如何」「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  152. 鈴木直人

    鈴木直人君 明日午後二時からやるというようなことを今きめて置かないで、明日どうなるかわからんから、明日のことを明日いつやるか大体はつきりしないので、二時ということになりますと、もつと早く民主党あたりの態度がきまつたとすると、そういうことを含みを以てやるということにしたほうがいいじやないか、こういうふうに私は議事進行上考える。それからもう一つはそういう意味で本日質問の残つておられるかたはできるだけ本日出席のかたで質問の残つておられるかた、勿論総理大臣に対する質問は別ですけれども、それ以外のものは全部終了されてしまうということがいいじやないか、こういうことを参考のために申上げます。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは政府、与党さんのほうでも御賛成の向きがありますので、なんとか鈴木さんのほうでも一つ御同情願うたようにお願い申上げます。委員長においてお取計い願います。
  154. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 本会議もあることですから一応一時ということでどうですか。
  155. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先ほど鈴木さんの申された通り、まだ総理以外に御質問のあるかたはまだ時間も早いですから、今日質問されたらどうですか。
  156. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点は議事進行上この連合委員会が、採決とかなんとかということでないから、話合いを進めましておきめ願いたいと思うのです。少くとも自由党のほうでも御賛成の向きもあるようですから……(「自由党と僕等は関係ない」と呼ぶ者あり)それで皆様のほうで御同調を願いたい。而もこのことは議事を妨害するとか会期の問題にからんで申上げておることでなくて、この点についても我が社会党としましても責任を以て申上げておることですから御了解願いたい。
  157. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと今日出席のかたでまだ質問があるという了解ですか。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あるんだ。
  159. 鈴木直人

    鈴木直人君 それならば今日やつて頂きたい。
  160. 山田佐一

    委員長山田佐一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  161. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 速記を始めて下さい。  本日は、これにとどめておきまして明日午後一時から開会いたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後六時四十六分散会  出席者は左の通り。   議院運営委員    委員長     山田 佐一君    理事            木村 守江君            鈴木 恭一君           小笠原二三男君            鈴木 直人君    委員            上原 正吉君            川村 松助君            中川 幸平君            大野 幸一君            菊川 孝夫君            森崎  隆君            赤木 正雄君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋 道男君            油井賢太郎君            三浦 辰雄君            鈴木 清一君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     吉田 法晴君    理事            加藤 武徳君            伊藤 保平君            千葉  信君    委員            木下 源吾君            小野  哲君            紅露 みつ君   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事            伊藤  修君            鬼丸 義齊君    委員            長谷山行毅君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   外務委員    委員長     大隈 信幸君    理事            團  伊能君            曾祢  益君    委員            愛知 揆一君            岡田 宗司君            金子 洋文君            伊達源一郎君   —————————————    議長      佐藤 尚武君    副議長     三木 治朗君   —————————————   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    内閣官房副長官 菅野 義丸君    人事院総裁   浅井  清君    法制意見長官  佐藤 達夫君    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    外務省連絡局長 木村四郎七君   事務局側    事 務 総 長 近藤 英明君    参     事    (事務次長)  芥川  治君    参     事    (記録部長)  小野寺五一君    参     事    (議事部長)  河野 義克君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第二部長)  岸田  実君