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1951-10-09 第11回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月九日(火曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告一般運輸事情に関する調査の件  (最近の航空事情に関する件)  (講和条約締結後の海運事情に関す  る件)  (バス運賃改訂に関する件)  (国鉄運賃改訂に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 岡田信次

    理事岡田信次君) 只今から運輸委員会を開会いたします。  先ず派遣議員報告を議題にいたしまして、三班派遣議員があつたのでございますが、本日は小酒井委員のみの報告をいたすことにいたしたいと思います。
  3. 小酒井義男

    小酒井義男君 山陰北陸班派遣議員報告を申上げます。  今回山陰北陸地方に派遣されました議員一行は、小酒井、松浦の両委員でありまして、九月九日に上野を出発して新潟に赴き、長岡金沢芦原を経由して京福電鉄福井電鉄にて北陸本線に入りまして、敦賀、西舞鶴を経由して鳥取に参り、九月十五日に所定の視察日程を終了した次第であります。今回の視察目的は、山陰北陸における陸上輸送力、特に滞貨現状等主眼を置きますと共に、新潟港港湾状況海上保安業務並びに観光地と目される地方におきましては、その施設視察することにいたしたのであります。以下各事項につきまして大略の御報告を申上げます。  先ず北陸の要津であります新潟港について申上げますと、新潟港戦争末期機雷投下のために、航路筋並びに港域が非常に荒されておりまして、一時は休港に近い状態であつたのでありますが、漸次掃海浚渫が進められまして、昭和二十三年には荷扱量月間十万トン余の取扱でありましたが、その後の一般的な出貨不振と、昨年初頭以来の漂流機雷のために出入船腹が非常に減少しまして、荷扱の量は月間六万余トンに減少し、管内海運業者は極めて憂慮すべき段階にあるのであります。これの対策といたしまして、関係当局からも機雷掃海並びにこの地域安全等を強く要望いたしておるのであります。本港戦争末期における機雷投下に伴う浚渫工事の停頓により、信濃川の上流より流下しますところの年間六十万立方メートルの土砂によりまして水深は減少をし、千トン級の船舶の入港も困難な状態でありまして、一時は港勢が甚だ衰えて参りました。併し一方又冬期の激浪によりまして外廓施設が多大な被害を受けまして、東西両海岸は逐次浸蝕されつつある状態であります。併し幸い関係官民各位の努力によつて徐々に回復を見せておりますが、これらの障害に対する対策は、本港使命がますます重大となつておる今日、急務の問題であると思うのであります。つきましては更に本港背後には、只見川地域資源開発並びに無尽蔵と言われております天然ガス工業化計画が進められておりますので、水力、石油、天然ガス等利用した工場誘致計画を織り込んだ特定地域候補地として本港附近の地区を定めているので、今後の本港港勢には刮目すべきものがあります。港湾施設復旧建設は急速に実施する必要があると考えられる次第でございます。  次に浮遊漂着機雷に対する問題でありますが、第九管区海上保安部では、巡視船艇七隻と外海で活動し得るPM或いはPS級四隻の船舶を以て新潟、富山、石川の三県の厖大な沿岸を警備しておりますが、当管区は他管区に比較しまして漂着機雷が多く、特に冬期は全日本沿岸の約半数を占ておりまして、昨年の朝鮮事変以来更に増加しておるような状況で、その処置に当りましてはMS船巡視船にも航路啓開部処分班を乗船せしめて捜索処分当り、又漂着機雷に対しては、陸上処分班が直ちにその処分に当つておりまして、特に冬期には機雷捜索隊を編成して、沿岸住民と緊密なる連絡をとつて捜索処分に遺憾なきを期すべく、十全の努力を払うとのことでありました。  次に陸運関係について申上げます。新潟管理局金沢管理局並びにその他関係当局より現地において説明を聴取いたしましたので、主として最近の出貨状態滞貨状態及びそれに伴う諸関係について概略申上げます。先ず新潟鉄道管理局特殊事情としましては、大きな要員問題が残されておるのであります。冬期における対策要員、或いは米の輸送時期におけるところの要員についてでありますが、九月から翌年の三月までの一日当り必要人員が百六十七名となつておりまして、これに対する二十六年度定員でもそれだけの要員数見込んでおりませんし、而も将来の定員はますます削減されようとしておるのであります。その上に現在員まで処分されようとしておる状態で、これに対しては国鉄自体としての解決できない問題がありますので、当委員会の善処が必要な問題があると思います。  次に当管内出貨状態並びに滞貨状態でありますが、総体的に見て出貨はやや順調で、滞貨横這い状態であります。前年度に比較しますと、約一九〇%に当つており、これは全国的に輸送量が増加しておる現状からは当然でありますが、全国増加率約三〇〇%に比較いたしますと、少いように思われました。その主なる原因としましては、裏日本の諸港に出入物資が少くなつたために、中継輸送戦前のように活溌でなくなつたこと、又青函航送力の影響により北海道行の物資が抑制されていることなどが挙げられます。管内における最近の沿線在貨は二方七千トンで、一日の発送トン数は一万トンでありますので、三七%の回転率物資ははけておる現状であります。  次に金沢管理局内貨物輸送事情について申上げますと、駅頭在貨は昨年の平均一万四千トンに対して、本年八月末には四万六千トンを超え、背後在貨は二十七万六千トンを上回つておる現状でありまして、出貨要請が非常に強く貨物列車の増発、荷役設備改善をいたしましても、依然として貨車不足でして、所要車に対する使用車は、春季から最も高率を示す八月でも僅か四一%に過ぎない状態であります。殊に全国的に出貨の強まる秋季繁忙期に当面しており、当管内発の九月中旬以降の早場米の大量輸送を目前に控えているために、一般物資は或る程度の出貨の制約を受ける結果になるようであります。米輸送の臨貨を初め管内通過北海道——西日本の馬鈴薯及び東北——西日本りんご等の随時に輸送を要する臨貨運転等の設定は手配済みのようでありますが、単線で勾配の多いこれら関係管内輸送力は一応限界点に達しているようにも考えられます。  次に鳥取県下の輸送状況についてでありますが、本県生産物需要先京阪神地域でありまして、地理的にも海上輸送は困難で、鉄道輸送によるほか方法がないために、やはり貨車不足から滞貨は激増しておりまして、本年八月末における駅頭滞貨は約三万七千トンに達し、このうち木材、薪、木炭等の林産物が七八%になつておりますので、秋季から当地方の天候不良のため雨が多くなつて参りまして、下積滞貨の腐朽を憂慮される状態にあります。一体に山陰地方は他の交通機関が少ない上に、全面的に鉄道に頼るほかないのであります。県下の業者にしましても、山陽方面への出貨使命としておりますので、特に山陰山陽間の輸送力増強を強く要望しておるようであります。又この他当地方には隧道、或いは勾配が多いという地理的条件輸送力を制約しておる条件でありまして、貨車の増結も一応限度がありますので、やはり根本的な立場からこれらの条件の排除をして行くような必要があろうことが考えられます。以上鉄道貨物輸送について申上げましたが、次に現地における個々の問題について申上げます。  先ず長岡新潟間の電化問題でありますが、上越線長岡新潟間は線路延長六十五・一キロで、地形は即ち平坦であります。このうち三十二・八キロ(長岡、帯織間。加茂新津間)は複線になつており、沿線の三条、加茂新津、沼垂、新潟等の一連の工業地帯が形成されている関係上、輸送量は逐年累増し、又観光客が多く、その利用度は極めで高いようであります。すでに長岡、高崎間は電化されておりますが、信濃川発電所第三期工事も完成に近づき、十一月よりは五万キロワツトの出力を以て電力自営化が行われるようであります。工事につきましても平坦で、隧道工事がなく、沿線に併行して自発の送電線があり、変電所までの送電線は近距離で済むような状況でありまして、地元でも強く電化実現要望しており、特にこの区間は、東京と新潟を結ぶ唯一重要線路であるだけに電化の必要があると考えられます。  次に三国線問題について申上げます。北陸本線金津駅から芦原、三国、三国港に至る三国支線復旧でありますが、三国線は資材を戦時目的のために金津、三国間が撤収せられまして、三国——三国港の間は分離残存し、京福電鉄株式会社で以て国鉄から借り受けて乗入れ運転をして現在に至つておりまして、撤収された金津芦原、三国間の金津芦原間を昭和二十一年五月に名古屋鉄道局限りにおいて復活し、芦原、三国間四キロの路盤及び橋台が残存したままになつて敷設されず、地元ではその復活と三国支線全線国鉄で以て経営すべく熱望しておりました。  次に越美北線建設についてでありますが、福井北濃間三十三・八キロメートルは、中京と福井との短絡線でありまして、九頭龍川地域総合開発促進を図る意味からも越美北線建設要望しております。当地方地下資源山林資源観光資源電源等が多いようで、その開発に当つて北濃、大野間を主眼としておりまして、越美北線開設或いは主要輸送路改修等交通施設整備を図られたいという要望がありました。  次に山陰線煤煙防止についてでありますが、山陰地方交通の根幹をなします本線はトンネルの数が極めて多く、その上勾配個所も多く、旅客乗務員煤煙による苦痛と、急勾配による輸送障害などで、兵庫、島根の両県では山陰線電化促進同盟を結成して、電化実現を図つているようでして、過渡的措置としてデイゼル・エンジン機関車を使用することを切望しております。  次に私鉄関係について申上げます。新潟管内私鉄会社は三社ありまして、殆んどが旅客自動車運輸事業と併せて経営しております。現地におきまして視察した二、三の私鉄について申上げますと、新潟交通栃尾鉄道はすでに電化され、長岡鉄道蒸気機関を主体として内燃動車を補助として運転しておりまして、いずれも重要物資輸送を担い、観光地遊園地を控えて、季節的に観光客需要に応じ、地方唯一交通機関としてその任に当つておるようであります。新潟県下の特殊事情として、冬期には雪の関係から交通機関鉄道利用者が多いが、夏期にはバス乗客が多いために、私鉄乗客を奪われてしまい、バス経営してない私鉄では採算の取れない結果になるので、冬期における私鉄鉄道運賃の値上げについての要望があります。地方中小私鉄に併行するバス営業認可には、これらの事情を考慮する必要があると思います。長岡鉄道では燃料節約による経営合理化輸送力増強のために、西長岡——寺泊間三一・六キロを電化工事実施中でありまして、将来佐渡島航路開設などが計画されているようであります。  次に新潟交通株式会社及び鳥取市の日の丸自動車株式会社民営バス現状を見て参りましたが、全国的に見ま託しても、いずれも優秀なバスが動いておりまして、相当の地域亘つて営業をいたしております。殊に新潟交通バス事業は、自営天然ガス利用と相待つて全国にも比類なき大規模に合理的な経営を行なつているようであります。現地におきましては、ガスの原価がガソリンより安く、新潟県下の自動車は殆んどガス利用しているようでした。当社は附帯事業として自動車整備及びガス圧縮装置設備も完備し、スピーデイな近代的運営には注目されるものがありました。因みに新潟県内天然ガス生産量利用状況を申上げますと、本年六月における乾性ガスが四〇六、七四一立方メートル、湿性ガスが九九〇、六〇五立方メートル、合計五、〇五一、三四六立方メートルでありまして、本年七月中におけるガス利用状況は、全体の五三%が生産工業用、二〇%が自動車用燃料、二二%が医療家庭用、その他五%になつております。自動車燃料として天然ガスを圧縮開始されたのが昭和十六年三月で、県外移出開始昭和二十四年五月でありますが、本年九月のガス一立方メートル当り税込価格が二十五円八十銭で、ガス自体は廉価でありますが、輸送に費用がかかるためにこれを利用する地域は非常に限られておりまして、例えば本年七月におきましては、圧縮ガス県外移出は僅か一五%に過ぎない状態であります。  次に鳥取県におきましては、日の丸自動車株式会社鳥取県一円を占めておりまして、更に兵庫、岡山県に亘つており、県内では山間僻地までも運行正していまして、最も長距離バスとして鳥取市から姫路市に至る陰陽連絡バスの便宜があるようです。会社附帯事業として車両修理ボデー製作工場を持つて整備に当つており、本県燃料の薪、木炭生産県で、燃料費は低廉で以て木炭車を動かしているようです。本県は天候に恵まれない上に道路が狭く、中国山脈の流れを受けて急勾配或いは屈曲が多くて、自動車のこうむる損害が大きいようであります。県内交通運輸業者は、道路修理協合を組織し、年間約六百万円の予算を以て道路修理に専念しており、運輸業者からも道路修理のためにガソリン税目的税にしてもらいたいという要望の声が高いようでして軌道交通の極めて少い本県特異性からしまして自動車道路の完備は急務の問題であると痛感いたしました次第であります。  次に観光関係でありますが、北陸山陰を通じまして、観光資源には恵まれておる個所も多々あると思われますが、道路改善ホテル施設及びサービスの改善がなくては、外客誘致はおぼつかないと思われます。  最後に以上述べましたことに関連した陳情現地におきまして受けましたが、請願又は陳情の形で書類として提出することにいたしまして、小委員会において審議して頂くことにいたしたいと思います。以上を以て私の報告を終ります。   —————————————
  4. 岡田信次

    理事岡田信次君) 只今小酒井委員の御報告に御質疑がございましたら御発言を願います。御質疑がないようでございますから、では次に最近の航空事情に関する件につきまして政府の御説明を承わります。
  5. 大庭哲夫

    説明員大庭哲夫君) 最近の国内民間航空事情につきまして御報告いたしたいと思います。  去る五月の二十二日に日本航空株式会社日本国内航空事業認可をいたしたのでありますが、その後同会社といたしましては、七月の末日に総会を経まして、八月一日から正式に発足をいたして漸次整備をして参つたのであります。一方運航担当会社であります外国航空会社、いわゆるJ・D・A・C、この会社責任者をラストンに選びまして日本航空株式会社とそのJ・D・A・Cとの間に運航契約について漸次交渉を進めて来たのでありますが、その運航契約の中の大部分を占めるチヤーター・レージについて両者意見担当間隔がありましたのでありますが、大体八月の七日に及びまして両者意見が大体一致するところまで参りました。両会社の間に仮契約を取交わすまでに至つたのであります。従いまして八月の末日に大体試験飛行を、慣熟飛行をやりまして、九月一日或いは九月の上旬に事業が開始できるという見込に立至つたのでありますが、試験飛行をやります一週間前になりまして、外国会社の間にいわゆる部内的の意見の相違を生じたのであります。例えば飛行機を提供する責任会社飛行機を提供できなくなつたとか、或いはチヤーター・レージが安過ぎる、或いは本国の政府の承認をまだ得ていないというような会社が一部ありまして、いろいろそこに複雑な問題が生じて来たためにJ・D・A・Cとしまして発足見込がつかなくなつたというような段階に来ましたので、日本航空株式会社としましては最後の土壇場に追込まれたわけであります。強硬にJ・D・A・Cに対しましていつから事業が開始できるかの確答を求めたわけですが、J・D・A・Cとしましては、そのときには十月中頃でなければ事業は開始できないだろうというような回答に接しまして、止むを得ず飛行機の提供がありましたフイリピン航空会社との間に単独契約を認めてもいいというような申出によりまして、フイリピン航空会社との間に契約を開始したのでありますが、チヤーター・レージの問題で両会社との間の話がまとまらない。従いまして一部慣熟飛行はやりましたが、その後の慣熟飛行を一応打切りまして、J・D・A・Cとの間にもう一度交渉を再開したわけであります。併しながらJ・D・A・C側としましては、意見をまとめることがどうやら不可能のような状態に見受られて来ましたので、政府としましては九月の十一日付で司令部のほうへ対しましてJ・D・A・Cの設立はどうやら見通しがないのではないかと思われる。従つて七つ会社のどれかと単独契約することを認めるように善処して頂きたいというような正式文書GHQに出した結果、九月の二十四日付でGHQから回答に接しましたところによりますと、司令部としては、日本航空株式会社及び有資格航空会社のいずれか一つとの間、又は日本航空株式会社及び有資格航空会社、これは外国会社ですが、外国会社のいずれかの航空業者によつて組織される一航空会社との間の契約認可を考慮してもいいだろうというような広範囲な解釈の許可が出たわけであります。従いまして政府としましては、国内航空運送事業会の一部の改正をいたす必要が生じまして、十月の四日に閣議にかけまして事業会のうち第二条の三の一項を次のように改めたのであります。「国内航空運送事業実施のため必要な航空機の運航は、昭和二十年九月二日から昭和二十五年一月一日までの間において、本邦以外の地と本邦内の各地との間において航空運送事業を営んでいた者のうちのいずれかの一又はこれらの者の全部若しくは一部によつて設立される一の法人に限り、運輸大臣許可を受けて行うことができる。」というように政令を一部改正いたしまして、日本航空株式会社七つ外国航空株式会社単独一つ会社契約ができる途を開いたのであります。その後日本航空株式会社外国会社七つと同じ同一の条件を提示いたしましてその回答を求めたのであります。現在具体的な回答に接していますのは大体フイリピン・エア・ラインノースウエストであります。フイリピン・エア・ラインにつきましては前にも申上げました通り、現在回答範囲内ではチヤーター・レージが折合わない。大体今の回答に接しておる範囲内ではノースウエスト株式会社申出具体的案が大体適当でないかというので、日本航空株式会社ノースウエストとの間に運航契約について取きめの交渉を行なつておる現状であります。その他パンアメリカン或いはC・A・Tから具体的な申出がありましたから、それらについて十分協議をしてその中から最適なものを一つ選んで交渉を続けて行くという現段階に至つておるのであります。従いまして若しこの申出によりまして例えばノースウエストというものと契約が成立いたしましたとすれば、それ以後大体二週間ぐらいの予定におきまして事業が開始できるのでないかと存ぜられるのであります。大体現状に至つています国内航空事業状況というものを御報告申上げたわけであります。
  6. 岡田信次

    理事岡田信次君) 只今大庭次長説明に御質疑がございましたら御発言を願います。
  7. 村上義一

    村上義一君 ちよつと私関連して次長にお伺いしたいのですが、当委員会でもこの航空事業運営につきまして、とにかく世界各国とも航空事業アンテナブル・ビジネスということになつておりまして、それぞれ皆直接間接の援助政府はしておるということは御承知通りであります。最も発達をし、又地理的条件に恵まれておる米国においてすらも税において、又郵便逓送料名義において多額援助をしておる。元戦前にありました大日本航空会社に対して我が国は、これはまあ相当思い切つた援助をしておつたのでありますることは御承知通りであります。例えば多額政府出資があつた。而もこの出資に対しては配当制限かあつた。又税につきましても所得税なり或いは又収益税地方税、すべて免除なつておりました。その他なお且つ多額の直接補助金が交付されておつた。今回はそういうことは全然ないのであります。当委員会においても曽つてこの点に論議がありまして、何らかの名義で助成する必要があるのじやないかということで、ガソリン、少くともガソリン輸入税消費税免除と、又通行税免除とかいつたような問題について論議があつた次第であります。会社のほうからもこの点について政府請願をしておるということに承知しておるのであります。この経過はどんな工合になつておりますか。御承知でしたら伺いたいと思います。
  8. 大庭哲夫

    説明員大庭哲夫君) 今村上委員からの御質問でございますが、交通税については、いろいろ折衝を重ねましたが、九月一日まで延ばして頂いておつたのをそれがどうしてもだめだということで交通税がかかるということになつたし、或いはもう一つガソリン消費税の問題でありますが、これも現段階では、大蔵省としてはどうにもならん、実は大蔵省としましては、何も飛行機が飛ばないのに、飛ばない先から損をするとか得をするということは話にならんのではないか、一応飛行機を飛ばして、その状況によつて、若し会社が赤字になるようであれば考慮の余地もあるのではないかと思われる、一応飛行機を飛ばしてみたらということが現状のようでありまして、事務的折衝では現段階ではだめであります。
  9. 岡田信次

    理事岡田信次君) ほかに御質疑がございませんか。御質疑がないようでありまするから、次に講和条約締結後の海運事情に関する件につきまして政府説明を聞きます。
  10. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 私海運局岡田でございます。講和条約締結後の海運事情という、今委員長からの御指示でございますが、一般的に現在の海運事情、今後の見通し、それから平和条約に関連して問題になるであろうという事柄を説明さして頂きたいと思います。  一般的な世界海運事情について簡単に触れますると、御承知のように昨年の暮以降、本年の初頭にかけまして、世界海運市場は急激なる上昇を示し、船舶は非常なる逼迫を示したのでございます。併し丁度六月に入りまして、朝鮮の戦乱の休戦問題が起つて、同時にアメリカにおける石炭の、まあ夏枯期に入つたというような事情からいたしまして、七月、八月には相当運賃も下つて来ておるのでございます。例えば日本関係運賃について見ますると、バンクーバー、日本のグレインの運賃が二月から五月にかけまして十七ドルから十六ドルいたしておりましたのが、六月には十五ドルになりました。七月にはそれが十四ドル七十五、八月にはそれが十三ドル七十五というふうに下つて来ておるのであります。ところで九月以降更にそれが反撥気味なつております。これは大西洋における欧洲への石炭の荷動きが、夏枯期を経過いたしますと共に非常に増加して、これが今後相当大量に増加して継続するであろうという見越があるわけでございます。それからインドヘの穀物援助が出て来たというふうなことから、非常に市場が強くなつて来ました。一般的に言つてまあ海運界はこの冬は相当運賃が高騰するのじやないかという観測を持つておるわけでございます。油の、タンカーの運賃にいたしましても同様でございまして、一時六月頃非常なる低下を見ましたが、その後漸次つて参りまして、この冬場の需要期に入れば一層これまでにない高いレートを示すのじやないかということが見られておるのでございます。併しこれに対しまして一方運賃の急激なる上昇を抑制する作用がアメリカ政府のほうで行われておるのでございす。それは御承知と思いまするが、本年の三月の末にアメリカ海事当局、マイタム・アドミニストレイシヨンの外局といたしましてナシヨナル・シツピング・オーソリテイ、何と訳しましようか、国家船舶局とでも訳しましようか、丁度戦争中にアメリカ政府が持つておりました戦時船舶局と同様の組織を以ちまして、従来アメリカ政府が繋船いたしましたリバテイ、ビクトリー型の船を漸次就船させて、船腹の供給を図ることによつて運賃を抑制しようという手段に出ておるのでございます。当初その運航船舶が五月頃には六十隻余りでございましたが、現在はそれがまあ二百五十隻くらいになつておる。近く三百隻くらいになろうとしておる。こういう政府が自分の所有船を自分で動かしてそうして政府欧洲或いはインド方面への援助物資輸送をやるということによつて運賃の急激なる上昇といいまするか、……むしろ運賃の低下を企図しておるような次第でございます。従いまして一般貨物運賃につきましては非常なる強気でございまするが、そう大きな暴騰はしないのではないかということが考えられるのでございます。そのような状況下にありまして、日本の海運業といたしましても四月五月頃のような好況を満喫するようなわけには参つていないのであります。六月以降の運賃のやや軟調を示した結果一時ほどよくございませんが、それでもなお相当よい状態が続いておると見ておるのであります。更に今申しましたように、今後この市場が強くなりまする場合にはなおよくなるのではないか、かように見ておる次第でございます。  この外航に就航いたします船腹でございますが、本年初頭以来買船、新造等に鋭意努力いたしました結果、更に戦標船の改造による外国船級取得等に努力いたしました結果、本年三月末におきましてはこのクラス・ボートが貨物船、タンカーを含めまして七十四万総トンございましたが、これがこの九月末には百二十万総トンになつております。これが来年の三月末日になりますると約百八十万総トンになる予定でございます。買船も当初約二十隻を予定しておりましたが、現在までに計画では二十万総トンかちよつとはつきりいたしませんが、現在までに許可いたしました隻数は四十六隻、二十五万総トンに相成ります。そのうち九月末で引渡しを受けましたものが二十六隻、十四万総トンに相成つております。あとの二十隻はあと三、四カ月或いは半年内に引取ることに相成つておるのでございます。  これによりまして日本船の運びまする外航貨物、いわゆる輸出入の貨物を見ますると、輸出入合計の日本船で運びましたものが四月には約五十万トン、五月には五十四万、六月には五十七万、それが七月も大体同じでございますが、八月は六十万トン近くに上つております。これを前年度に対比いたしますると、前年度は大体二十五万トン平均、前年度の四月初めには僅かに二十一、二万トンという状況でございました。本年三月にはそれが四十三万トンくらいまで上つております。平均いたしまして二十五万トン程度の増額になつておりますが、先ほど申しました船腹の増加に伴つて日本船の運ぶ貨物の量も倍以上になるということが言えるわけであります。  なお船腹増強といたしましては、本年度第七次造船計画として、四十万トン建造する計画を年度当初に立てまして、そのうち二十万トンは本年度の初めに着手する運びに至つたのであります。あとの二十万トンは目下これに要する見返資金の放出によつて政府部内で打合中でございましてまだ結論までは至つておりません。私どもの推定では来年度における荷動き、それに定期航路への配船状況等を睨み合せまする場合、相当大量の船腹不足が出て来る。タンカーを除きまして一般貨物船においても明年度平均百万重量トン以上の不足が出て来る、これを補いまするためには、どうしても新造を既定計画より進めなければならない、かように考えておるのであります。而もその百万重量トンの不足は殆んどが遠洋方面の就航船の不足によるものであります。この近海方面の配船については、戦標船の改造型、それから買船いたしましたものがおおむね型が小さく、或いは石炭焚き、或いは速力が遅いということで、近海方面に配船されておりまして、近海方面は相当日本船腹が出廻つておるのであります。併し今申しました百万重量トンの不足は主として遠洋方面にかかつておる。従つてこの遠洋方面の百万重量トンの不足を補いまするためにはどうしても新造による以外に方法がない、かように考えておるのであります。  今日の買船市場を見ましても現在ではもういい船は余り出廻つておりません。相当年令も古く速力の遅い船が多いのであります。遠洋方面に配船可能のよい船をつかまえようといたしますとそれは極めて寥々である。今申しましたような大量の船腹不足を補う対象としては考えられない。かように考えておるのであります。なお新買船につきましても新造と併行して質のよいもの、少くとも船令二十五年以内の船につきましてはこれを許可して行くようにいたしたい。かように考えておる次第でありますが、そう多くを期待できないのではないか、かように考えております。  外航につきましてはそのほか定期航路状況でございますが、今まで関係方面から許可なつてすでに開始いたしておりますのが日本・琉球、日本・南米、日本・バンコツク、日本・インド・パキスタン、それからフイリピン、インドネシア、それに北米、それから朝鮮、北米西岸・ラングーン、カルカツタ、こういうものが許可に相成つております。尤も朝鮮の定期航路と申しましてもこれは週に一回ずつ日本船を入れるということでございまして、純粋の定期航路とはやや趣きの違う定期配船を週一回ずつ計画的に行うという性質のものであります。その外日本側としては今後フイリピンとか香港とか或いは台湾、濠洲、こういう方面の定期航路の希望があるのでありますが、未だ許可段階に至つていないのであります。  なお日本船の入港に対する各国の許可状況でございますが、殆んど主要な所はブランケツト、クリアランスを出しておるのでございます。ただ英領関係におきましては特別の貨物の荷揚だけをその都度認めるというふうな制限的な許可に相成つております。英領関係、それとインドネシア共和国も同様の状況でございます。併し大多数の世界の各国が日本船に対して自由なる入港を認める段階まで至つておるのでございます。この点誠に喜ばしい次第と考えております。大体外航につきましては以上の状況でございます。  内航につきましてはMS、TSの傭船が減りました等によりまして、やや船腹が余裕ある状況でございます。従いまして運賃等も余り変動なく横這い状況を呈しております。大体毎月百六十万トンぐらいが汽船で動いております。これは昨年の四月頃に内航の輸送量が百万トンを割る状況に対比いたしまして相当の増加を示しておるのであります。併し一般的に船腹がなお余裕を示して、大体八十万重量トンぐらいの汽船が内航に動いておる、かように行つておるのであります。それに対して百六十万トンのもの。これは夏場回転率が非常にいいということにも起因しておるのであります。これが冬場になりまして、回転率が落ちました場合にやや窮屈になつて来るんじやないか、かように考えられます。  それから機帆船につきましては御承知通り、この四月以降重油のほうも相当潤沢に出廻つて参りまして、大体現在一四半期に四万五千キロぐらいの油を割当てております。それによつて約三百二、三十万の貨物の輸送量を毎月確保しておる次第でございます。機帆船につきましては戦争中相当船を酷使したこと、それから戦後におきましてごく最近の事実でございますが、油の配給が非常に少かつた。その結果相当の機帆船を繋いでおつたために非常に船をいためてしまつたというふうなこと、それから機帆船の経営状態が、これはいつもながらのことですが、非常によくないということで、機帆船業自体が相当悲惨な状況に陥りつつある次第であります。これに対しまして何らか保護助長の施策を講ずる必要があるというふうに痛感するのでございまして、これにつきしては近い将来何らか具体案を持ちまして議会の御援助を仰ぎたい、かように考えて、目下鋭意検討中でございます。平和条約が締結になりまして、いろいろ海運関係につきましても問題があるわけでございます。例えば今度の講和条約で、この条約に加盟しない国があるわけであります。そういう非調印国と、この日本船舶との関係がどういうふうになるかというなかなか厄介な問題があるわけであります。私どもとしましては、この講和条約が効力を発生いたしました場合、この非調印国との間においても何ら紛争が起らないで、日本船が自由に世界の各港を航行できるようにしなければならぬと、まあ鋭意日本国内並びに関係方面とも折衝している次第でございます。或いはその他外地置籍船の処理をどうするか、或いは日本船で略奪されて朝鮮、その他に持つて行かれた船をどうするか、或いはこれは講和条約で請求権を放棄することになつておりますが、フイリピン或いは南方地域で戦後接収された船について関係業者におきましてはなおこれを諦め切れないでいろいろ政府に要請をしているのでございます。これについてどういうふうにそれらの業者に対して措置をとるかという問題、これは国際的においては或いは問題にし得ないかも知れません。なお一層研究を要することと考えている次第でございます。  それからもう一つ、なおその他技術関係におきましては海運関係では非常にたくさんな国際条約があるのでございます。これの復帰の問題がまあ事務的、技術的問題として相当多く起つて来るわけであります。なおこの講和条約締結に伴つて海運協定ということが非常に心配して取上げられているのでございます。この海運協定につきまして事実私ども一体どういう海運協定を結ぼうという意図があるのか、そのアメリカ側の意図がはつきりしないわけでございます。これは山県委員から御説明もあるかと思いまするが、私アメリカのほうに行つておりまして、先方の政府筋といろいろ意見を交換し、向うの考え方を徴しましたところ、当地におきましては政府筋は海運協定について何らの構想も考え方もなかつたように認められるのでございます。ただ先般日本に来朝されましたマグナソン上院議員がこの海運協定の必要性をいろいろな機械に協調しておつたようでございます。まあ関係アメリカ業者がどの程度この海運協定を希望し、又この締結のために動いているかということはちよつとはつきりいたしかねる次第であります。この海運の性質からいたしまして相当この協定の内容というものがむずかしいのじやないか、質的に技術的に考えて相当むずかしいものであるというふうに考えるのでございます。政府筋のそういう考え、その海運協定を本当に考えてみた場合に起る困難性ということからいたしまして、それほど気にする必要はないのじやないか。仮に海運協定というものが問題になるにしても何ら日本側としては心配を要することはないであろう。かように考えているのでございます。この点につきましては山県委員が特に御検討に相成つたようでございまするので更に山県委員から詳しく御説明があるかと思います。簡単でございまするが、以上で説明を了えさして頂きまして御質問によりましてお答えをいたします。
  11. 高田寛

    ○高田寛君 今外航船による貨物船輸送の方面について主として御説明があつたのですが、この日本の船による国際的の船客輸送見通しがどうかということを一つお尋ねしたいと思うのですが、大体今日本人が国外に行くのにも非常に高い船賃、飛行機賃を外国会社に払つて、又外国から観光客そのほかの所用の客が日本に入つて来るについても、皆その運賃外国会社に払つているのですが、日本の船というものが或いは太平洋横断、或いは欧洲航路などで船客を相当運べるようになれば、この点が国際収支の改善の上に相当役に立つであろうと、この意味で我我は深い関心を持つているのですが、貨客船が国際的にいつ、どの方面に動き出し得るかというような見通しについて一つ説明を願いたいと思います。
  12. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 貨客船につきましては、私どもといたしましても是非とも将来日本船を配船し得るような状態に持つて行きたいと、かように考えておるのでございますが、御承知通り現在日本船で遠洋に配船し得る貨客船というものは氷川丸一ぱいしかないわけでございます。従いましてこれだけを以てして早く定期航路開設するということは非常な困難、というか不可能と言つていいかと思います。然らばといつて又貨客船を造るといたしますと相当多額の金を要する、一隻について少くとも三十億程度の金額を要するかと思います。そういう多額の金額をかけて新造いたしましてこれを配船いたしましたとしても、果してそれが採算がとれるかどうかということは今非常に疑問があるわけでございます。残念ながら今の日本の海運会社の財政状態並びに日本の国の財政状態からいたしまして、ここ当分望み得ないのではないかと、かように考えておる次第でございます。ただ御承知のように今北米には相当多数の貨物船が参つております。貨物船には、殆んどの貨物船が五つ或いは六つ、規定では十二名以下のお客を乗せてもいいということになつております。それだけの人間は乗せて行つていいわけでございます。現在においてはその貨物船をできる限り利用して頂けば、それでも助かるのじやないかと、かように考えます。実は私どもワシントンにおりましたときに、ワシントンの国務省筋、或いは陸軍省の人たちも相当日本船がアメリカにやつて来るが、君たちはなぜ日本船を利用して来ないのだ、それに乗つて来れば、それだけ外貨の節約になるじやないかという質問を二度ならず三度も四度も受けたことがあるのでございます。向うのほうもアメリカへの渡米者の日本利用ということを相当真剣に考えておるのでございます。かように考えております。併し今申上げましたように、日本船の外航船を配船するということにつきましては、今の実情からいたしまして、いつそれが実現するかという、実現する計画を持つておるのかということについては、まだお答えいたしかねるような次第でございます。
  13. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 航路ですね、相当希望の航路があるけれども、現在の段階では許可が得ないと、こういうお話に伺つたのですが、それは講和条約の批准が済めば、日本独自でそういう希望があれば、許可されることになるのか、その点に関してお見通しを伺つておきたい。
  14. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 講和条約が発効いたしました場合、それで直ちに相手国が日本船を自由に受け入れるかどうかということにかかつているだろうと思います。私どもとしては講和条約発効と同時に、調印国はすべて日本船を自由に受け入れるものと、かように考えておる次第でございます。若しそうなりました場合には、この定期航路につきましては、日本政府としては別に許可制をとつているわけではございません。ただ業者の届出を待つてそれを開始するという制度でございますので、業者はこれを自由に開始することができるわけでございます。
  15. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうすると今の段階では日本政府許可の権能もあるし、又抑える気もないが、そういうように抑えられているのは講和以前であるから、司令部のほうで何かの理由で希望を達成することができないと、こういうように了解していいのですか。
  16. 岡田修一

    説明員岡田修一君) これは司令部は非常に日本の定期航路許可につきましては好意的で、積極的に相手国と折衝してくれておるのですが、まだ相手国のほうで日本船を自由に受け入れるというところまでの了解に立至つていない結果、許可し得ないというところが相当あるわけでございます。
  17. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 もう一つ伺いたいのですが、この前も新聞に出ておつたし、二、三日前もスエーデンですか、相当多量の鉄を日本から輸入、買付というようなことが新聞に載つておりましたが、新聞の報道でしようけれども、本当だとすると、非常に日本の鉄が高いということが問題になつておるが、そういう高い鉄を或いはイギリス、スエーデンに輸出するには、価格のほうは折合いがつくのでしようか、船賃のことで。
  18. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 私もそういう記事をちよつと見ましたが、深く検討しないで、なぜそういうことになるか今私たちはお答えしかねる次第でございます。あとで船舶局長から、よくその間の事情を調べまして小泉先生のほうにお答えしたいと思います。
  19. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 もう一つ、今お話はなかつたようですが、朝鮮の船を相当多数に朝鮮に返えせというような司令部の指令があつたということに対する、その後の動きはどういうふうになつておりますか。
  20. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 講和条約の調印がありました翌日の九日、十一日附でスキヤツピンが出まして、朝鮮置籍船で日本に動いている船はすべて朝鮮に返えせ、こういう指令が出たわけでございます。私ども実は事の意外にびつくりいたしたような次第でございます。すでに朝鮮置籍船で内地におりました船の中にはスキヤツプの承認を得て他に転売したとか、或いはスキヤツプの承認を得て新らしい会社の設立を終了したとか、すでに経済関係の幾変転の上落着したものばかりでございまして、これが引渡しにつきましては、相当日本側として複雑なる問題があるわけでございます。で目下これを如何にすべきか、GHQのほうの真意を質しますと共に、日本側としてもそれが処理についての調査をいたしておるのでございます。本日ここで具体的にどの段階まで進んでおるかということは答えかねるような次第でございます。
  21. 村上義一

    村上義一君 今小泉委員から尋ねられた点に関連してですが、先ほど御説明の際に、来年の三月までに百八十万トンはできると、併しながら二十七年度においては恐らく百万重量トン不足するだろうというお話でありましたが、この不足するだろうという百万トンの船腹、これは現在日本船が運航しております航路を充実するというためであるのですか。つまり外国船にとつて代ろうという需要がそれだけあるというお見込なのですか。或いは又更に新航路の開拓ということもお考えにたつておるのか。若しそうだとしますれば、その割合なり或いは新航路、大体今までインドより西は余り行つていないようであります。何かそれについて具体的のお考えがあればお伺いして置きたいと思います。
  22. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 私ども今まで船腹需給を推算いたしまする場合に、すべて日本に輸入する物資をとりまして、その輸入する物資の半分を日本船で積取る、こういう建前にいたしておるのです。従いまして二十七年度におきましては輸入物資が、輸出入物資でそれが大体千九百万トンあるといつております。それの半分、但しこの香港とか台湾とか、いや、香港以東の近廻りは一〇〇%近く取るという一応の考えであります。これは事実現在でも大体それに近い。他は五〇%積取るというふうにいたしまして、その五〇%積取るにしても、なお百万トンぐらい足りない、かようなわけでございます。但しこの中には定期航路として配船するという考えも織込まれておるわけでございます。
  23. 村上義一

    村上義一君 なお、そうすると新航路についてはここでは別に計画には載つていないのですか。
  24. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 新航路と申しまするか、先ほど御披露いたしましたような地域への定期航路ということも一応考えの中に入れてやつておるわけでございます。北米方面或いはインドネシア方面、インド方面への定期航路を充実するというふうな考えを入れております。但し欧洲方面は定期航路とかそういうことはまだ考えておりません。
  25. 村上義一

    村上義一君 なお、問題は違いますが、本年度の第七次計画と申しますか、残りの二十万トン、これについては見返資金の関係もまだはつきりしないし、というような先刻御説明でありましたが、三月末に保有し得る百八十万トンという中には、第七次造船は全然含まれてないのでありますか。
  26. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 只今申上げました三月末の数字の中には、この年度初頭に計画いたしました第七次の前半の二十万トンは入つております。これから計画いたしまする二十万トンは入つておりません。
  27. 岡田信次

    理事岡田信次君) ほかに御質疑はございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  28. 岡田信次

    理事岡田信次君) 速記を始めて。
  29. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今のお話ですと、新造船というか、優秀船を成るたけ助長したいという御意見は私は非常に結構だと思うのですが、従つて古船といいますか、余り面白くない、立派でない船を入れることはお好みにならないというと、そういう船を買つて入れようということに対しては、政府自身としては不許可をするとか、或いはそういうものを入れんように適当な何か方法を講ずるとかいうようなお考えははつきりしているのですか。
  30. 岡田修一

    説明員岡田修一君) この年度当初における船腹不足に対処いたしますために、買船につきましても政府としては非常に積極的に努力いたしまして、相当船齢の古い船につきましても金融の斡旋をするというような、大いに積極的なる助長策をとつて来たのであります。年度当初計画されました船を除きまして、その後におきましては全く業者責任と危険の下においてやつてもらう。従つて政府としては何も積極的な手を加えないで、業者自身の考えに待つという方針に切換えた次第でございます。更に最近又、先ほど御報告申上げましたように、四十六隻もの大量に相成りましたがために、今後におきましてはこの船の船齢、質、そういう面を更に一層吟味いたしまして、今後の運航上如何かと思われるような性能の船は、これを許可しないということにいたしたいと、かように考えております。
  31. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 法律の関係から言うと、許可するかしないかということは、法律は運送法でやつているのですか、どういうふうになつていますか。
  32. 岡田修一

    説明員岡田修一君) 海上運送法に外国船の購入は許可制に相成つております。
  33. 岡田信次

    理事岡田信次君) それでは次にバス運賃改訂に関する件、牛島自動車局長から。
  34. 牛島辰彌

    説明員(牛島辰彌君) バス運賃の改訂につきまして御説明申上げたいと思います。現行のバス運賃は、昭和二十三年の七月に改訂せられたものでございまして、その後約三カ年、現在に至るまでいろいろと経済事情が変化いたしまして、原価要素に変動がございましたが、バス事業の公共性の点からいたしまして、極力事業経営の合理化に依存いたしまして、基本賃率の改訂を行わなかつたのでございます。御承知のように現在の自動車運送事業運賃は、物価統制令によりまして統制されて、統制額となつております。トラツク事業につきましてはすでに御報告申上げました通り、本年の一月に改訂を行い、通運事業並びに大型貸切事業運賃につきましては、本年三月に改訂を行なつたのであります。バス運賃につきましては、その事業の公共性が非常に高い点からいたしまして、私どもこれが取扱いにつきましては十分慎重な態度をとつてつたのでございまするが、本年度に入りましての諸物価の関係、非常に高騰して参つておりまする点等から考えまして、事業の健全性を維持いたしまする上からいたしまして、又この改訂は止むを得ないものではないかと考えるに至つたのであります。今年四月以降種々検討を加えて参りまして、最近におきましてほぼこの結論に到達した次第でございます。  現在のバス運賃はどういうふうにたつておるかという点を、念のために最初に申上げたいと思います。現在のバス運賃は、只今申上げましたように、昭和二十三年七月に物価庁の長官からの指令によりまして、普通賃率は一キロ当り二円二十五銭となつております。山間路線或いは雪国地帯の割増率は、山間路線の割増率として路線単位ごとに三割以内の割増を認めておりすす。雪国地帯の割増は事業者単位に、北海道におきましては二割以内、その他の地区においては一割以内を認められております。これらの山間路線及び雪国地帯の割増は、基本賃率に認可された割増率を加算することになつております。なお、その後昭和二十四年九月に運賃の点につきまして更に一部取扱い方につきまして変更の認可がございました。片道の旅客運賃の最低額を五円といたすことにいたしました。又運賃計算上五円、十円を単位といたしまするが、その中間の端数は二捨三入することにいたしまして、その直近の上位或いは下位に付けることにいたしております。又運賃算出上のキロ程でございまするが、キロ未満は一キロに切上げることにいたしております。更に昨年の三月におきまして、通行税の廃止に伴いまして、現在の二円二十五銭の運賃そのままを認めるということにいたしまして、今日に及んでおる次第でございます。  今回運賃を改訂いたしました要領を簡単に申上げます。現在までの二円二十五銭の運賃統制額は、全国事業者に対しましてただ一本の統制額でございまして、一本の統制額によりまして全国運賃を規制して参つたのでございます。併しながらバス事業の実態を見ますると、賃金或いは物価の差というものが十分にございまするし、又路線の状況等からいたしまして、必然的に運賃の原価の相違ということは考えなければならないと思います。又輸送効率によりましても、非常に乗車密度の多い線或いは事業所というものもございまするので、輸送効率の高低によりまして、それに伴つて事業所の経営状況を更に詳しく審査してみる必要もあるかと思われるのでございます。従いまして経営環境に非常に恵まれておるところの事業者は、現在の一本の統制額以下のものであつて経営にさしての差障りがない。併しながら道路状況が悪く、又乗車効率も低いものにありましては、ただ一本の統制額によりましては、経営が非常に困難と認められるので、そういう経営条件の非常に悪いものに対しましては、若干上廻つたところの統制額を認める必要があろう、こういうふうに考えたわけであります。従いまして今回行いまする運賃の改訂におきましては、従来のようにただ一つの統制額によりまして規制をいたしませんで、全国を大本三段階の統制額によつて規制して参りたい、こういうふうに考えておるのであります。更に雪国の地区の事業者につきましては、雪害によりまするところの総合キロの減少率を勘案いたしまして、雪国地帯の、雪国の割増を加算することにいたしたいと思つております。次に従来ございました山間割増のことでございますが、これは従来の通り存置いたしたいと思いますけれども、従来とこの適用方において変えて参りたいと思つております。即ち一つの路線におきまして適用さるべきところの坂道、坂道がございますと、その路線の全部に対して従来は割増を認めておつたのでありまするが、今回からは山間の区間のみについて山間割増を認めて参りたいと思つております。更に今回の値上げにおきまして、社会政策的と申しますか、運賃の割引を認可条件にいたしたいと考えております。即ち従来通牒で行なつておりましたところの身体障害者福祉法、児童福祉法によりますところの要保護者に対するところの割引、或いは学生に対するところの定期券の発行、又常時バス利用さるかたの便のために回数券等を設定いたしまして、これを運賃認可いたしますときの条件にいたしたいと考えております。  次に端数処理の点でございますが、端数処理は従来の通りにいたしたいと考えております。最低運賃は現行は五円でございますが、これを十円にいたしたいと考えております。それで今回の賃率はお手許に差上げてございます資料にもございますように全国、昨年の十二月におきましてバス事業者は三百五事業者ございましたが、そのうちから二百八十二の業者からの原価計算に基きまして、算出いたしたわけでございます。お手許にございます第一の表が今回二百八十二業者によりまして提出されましたところの人件費、燃料油脂費、車両修理費、タイヤ・チユーブ費、車両償却費、諸税その他の項目に従いまして一キロ当りの経費の算出をなしたわけでございます。更にそれらの経費に対しまして今回は資本金に対しまして一割配当可能額を計上し、更に外形標準税をも加味いたしまして一キロ当り五十八円五十四銭三厘という査定額を出したのであります。これに基きましてその次の紙にございますが、乗車密度十七人六分九厘によりまして計算をいたしますと、一キロ当り三円三十銭六厘という標準的な賃率が算定せられたわけであります。更に先ほど申上げましたように、全国を三段階にいたして考えて参りまするので、同様なる原価計算を全国会社の標準的なものを上位三十社、下位三十社を選びまして計算をいたしました結果、上位の賃率は三円七十銭一厘、下位の賃率は二円九十二銭一厘というふうに算出せられましたのであります。併しながらこれらの算出せられました賃率につきましては、現在の二円二十五銭に比べて余りに高率の値上げとなつて、好ましくないと考えられる点もございまするし、更にバス事業者に経営の合理化を重ねて努力して頂きます観点も考慮いたしまして、他の公共事業の値上げ率等も勘案いたしまして、標準の賃率は一キロ当り三円、上位の賃率は三円三十銭、下位の賃率は二円六十銭と、こういう程度のものが妥当な値上げの賃率ではなかろうかと考えたのであります。そういたしまして更に運賃実施いたします場合におきましては、全国の各事業者から申請のありました原価計算を詳細に検討をいたしまして、これらの賃率に格付けいたして参りたいと考えるのであります。ただこれをやります場合に機械的にやりますと却つて事業者の経営合理化の努力をも阻害する虞れがあり、又不当競争をも起すような結果ともなりますので、その地帯におけるところの特殊性であるとか、或いは路線の競合関係等をも考慮いたしまして真に当該事業経営状況に対応した賃率に格付けいたしたい。私どもは慎重な注意を以ちまして目下これが検討をいたしておるところであります。実際にいろいろと申請を審査して参りますと、お手許に差上げてございますように四枚目の表でございますが、等級別事業数というのがございますが、現在までにいろいろ審査いたしまして一応格付け、まだきまつたわけじやございませんが、格付けいたしましたところ、先ほど申上げました上位の事業者、即ち三円三十銭の賃率になりますものが約一三%、四十三社、標準賃率、即ち三円の賃率を受けるものが六六%、二百二社、二円六十銭の下位の賃率を受けるものが二一%、六十四社と一応の数字が出ておるわけでございます。  更にその次の頁でございますが、これは各地の地帯別平均賃率を求めたものでございますが、全国平均をやつて参りますと、いろいろ審査した結果二円七十九銭八厘という、こういう数字になりまして、二円二十五銭に対しまして二割四分四厘の値上率になつております。これを札幌、仙台その他陸運局別に見ますと、札幌のごときは非常に経営条件の悪い、又雪国の雪害の多い地帯におきましては四割六分七厘の値上げになるわけであります。尤も札幌の管内事業者に対しましては非常に値上げの必要が痛感されましたので、本年の六月に物価庁といたしましては経過的に割増率を以て或る程度の調整を行なつて参つております。ほぼ現在運賃程度でありまして平均賃率は三円三十銭、この表によりましてもおわかりのことと思いますが、比較的乗車効率のいい、乗車密度の高い所におきましては平均賃率は低くなりまして値上率は低くなる。下から二行目にございますように、東京都区内のごときは平均賃率は二円六十二銭一厘、値上率は一六%五、京阪神地区におきましては二円六十七銭六厘、値上率は一八%九、こうなつているわけでございます。札幌、或いは和歌山等の山間の路線で非常に乗車密度の低い地帯におきましては三円三十銭の上位の賃率を適用する業者が殖えて参りまして、大都会のごとき乗車密度の高い、経営状況に比較的恵まれております所におきましては、比較的低い賃率が適用されるというような結果となつております。現在どの程度までこの改訂が進んでいるかということでございますが、すでに政府としましては、物価庁の審査も終り、運輸大臣に対するところの意見の聴取、或いは運輸審議会におけるところの審査、諮問、その答申等も終つて関係筋に対しましての承認を求めている段階でございます。従いまして承認あり次第、これの実施が可能となるわけでございます。現在私どもといたしましては各事業者につきまして提出されましたところの原価の計算をやり、各交通機関との関連をも考慮いたしまして、慎重に審査を進めている次第でございます。甚だ簡単でございますが、一応御説明申上げます。
  35. 岡田信次

    理事岡田信次君) 只今説明に御質疑がございましたら御発言を願います。……御質疑もないようでございますから、次に日本国有鉄道運賃改訂に関する件、石井国有鉄道部長。
  36. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 国鉄運賃の改訂問題につきましては、かねてより当委員会にも国鉄の財政状況を御説明申上げまして、運賃の値上げにつきまして検討中である旨お答え申上げておつたのでございまするが、日本国有鉄道のほうから昭和二十六年、本年の八月の二十一日付を以ちまして、旅客並びに貨物運賃、共に三割五分値上げをいたしたいという申請が出て参つたわけでございます。で、この申請に基きまして、運輸省といたしましては法律の定めるところによりまして、運輸審議会に諮問をいたしました。運輸審議会は九月の十二日から四日間に亘りまして、公聴会を開催いたしまして、四十数名、或いは関係交通事業者、或いは旅客、荷主の代表者、或いは一般学識経験者、その他みずから希望をして意見を開陳する人たち等、総勢四十数名の意見を聴取いたしたのでございます。なお、運輸審議会としては、その上に海陸運賃状況、或いは近く予定せられておりますところの航空事業等の関係等も勘案いたしまして、且つ運賃のレベルを勘案いたしますと共に、又国鉄申請の経営内容につきましてはいろいろと検討を加えまして、その結果九月の二十九日に至りまして運輸大臣に対しまして旅客運賃におきましてはほぼ二割五分、貨物運賃につきましてはほぼ三割程度の値上げをすることは、妥当であるという旨の申請をいたしたわけでございます。で、この申請案はお手許に只今御配付申上げました通りでございまするが、この結論に到達いたしました理由は、物価騰貴が今回の運賃値上げの主な原因でございまするが、その物価騰貴につきましては、最近におきましては石炭等依然値上りの傾向が持続しておりますものもございまするが、なお国鉄の申請案の基礎となつておりまする六月当時の物価状況に比較いたしますれば、或いは横這い状態のものもあるし、或いは多少値下りの傾向にあるものもある等の情勢を勘案いたしまして申請案よりも若干の減額をし得るのではないかということに見込みを立てているわけでございます。更に給与改訂につきましては、国有鉄道中央調停委員会の調停案の一万八百二十四円のベースをそのままフルに実施することは、これは当然であるという考え方で検討いたしたのでございます。で、その結果といたしまして、国鉄の申請の当時におきましては、なお本年度におきまして現行運賃ベースで約百三十七億程度の運賃増収が見込まれたのでございまするが、その後更に七、八月の状況をも勘案いたしますると、その増収額は更に四十三億を加え得るものと考えられまするので、この増収額によります分がおよそ百八十一億程度に相成るかと思うのでありまするが、大体人件費の増加、給与ベースの増加によりまする百六十三億はこれに見合うものといたしましても、なお経費の増、その他の物品費の増加等に基くところの経費の増加は、これは運賃値上げによらざるを得ないであろう。併しながら運賃値上げによるといたしましても、なお一層の経営の合理化を行い、国鉄の申請におきましては約十八億円程度の節減を考えておるのでありまするが、更にその上になお一層の経費の節減をするということを期待いたしまして、旅客二割五分、貨物三割という大体の線におきましての答申があつたわけでございます。その答申の内容は、お手許に御配付申上げました運輸審議会の運輸大臣に対する回答について申上げますると、第一に旅客運賃でございまするが、旅客運賃は、これは三等の普通旅客運賃につきましては、最初の百五十キロまでは一キロメートルごとに一円八十五銭といたしております。これは現行は一円四十五銭でございます。次に百五十キロから五百キロまでの地帯はこれは一キロ当り一円三十銭、現在は一円五銭でございます。それから五百キロ以上千キロまでが現在の六十銭が七十銭、それから一千キロを越える部分につきましては四十銭で現在ございますが、四十五銭というふうにいたしてございます。これは遠距離に行くほど値上げ率を少くいたしまして、結局運賃値上げの影響を具体的に痛切に感ずるのは遠距離に行く旅客ほど多い。従いましてその負担をできるだけ軽減いたしたいということで、かような賃率を妥当と認めた答申があつたわけでございまするが、これは最初の地帯におきましては一円四十五銭が一円八十五銭でありますから、約二割七分と相成りまするが、それより以下になりますると二割四分、一割六分、更に千キロを越えるところは一割二分という低率になりまして、総計いたしますとほぼ二割五分の線に近い数字となるわけでございます。  次に最低運賃でございまするが、これは最近の貨幣の流通事情、更に原価等を参酌いたしまして十円という国鉄の申請通りを妥当と認めたわけでございます。航路運賃は別表にございまするが、これは連絡航路におきます原価事情を認めて、大体別表の通りと御決定になつたわけでございます。定期運賃につきましては、これは現在の定期旅客運賃が割引率というものが非常に多い。換言すれば非常に安過ぎるという議論も、相当強い御議論もございました。一面又定期運賃のごとき通勤、通学という社会政策的な運賃については成るべく低くとめておくようにというような要望も熾烈でございました。併しながら現在以上に割引率を増すことは、もはや普通運賃とのバランスの上から考えまして運賃体系を乱すものであるということに相成りまするので、今回普通旅客運賃引上率と正比例して引上げる。つまり割引の率は現在と同じであるということで答申になつたわけでございます。定期運賃の最低運賃も、これも現在若干引上げまして通勤百五十円、通学百円といたしております。次に今回は二等の定期旅客運賃というものの制度を設定いたしたい、こういう趣旨の申請もございましたので、それに対しましてはこれは三等と同じ割引率を適用するわけにはもとより参りません。ほぼ利用率その他を勘案いたしまして、一カ月については三割、三カ月については三割五分引を妥当とするという答申でございました。航路の定期旅客運賃は、これは航路普通旅客運賃と見合つて値上げする。急行旅客運賃につきましてはこれは大体別表の通り、まあ別表二にございます通りでございまするが、これはいろいろ取扱いの便宜上ラウンド・ナンバーをとつておるのでありまするので、値上げ率は大体二割六分程度に相成ると御了承願いたいと思います。寝台料金につきましては、現行の寝台料金が極めて寝台車の連結数の少いいわば需要供給の、関係が極めてアンバランスだつた時代に、多少制限的な意味で以て設定いたしました料金を基礎に修正して参りましたので、今日寝台がほぼ普及いたして参りました状況から見まして、今回の値上げには一等についてはこれを据え置き、二等につきましてはほぼ現行の三割の値上げをするという程度の答申があつたわけでございます。  次に特別二等車の料金でございまするが、現在は座席指定料という趣旨で以て百円ということを主にしておりまするが、これは普通二等とのサービスの相違等を考えまして、極めて安きに失するという御意見が強いようでありまして、国会におかれましてもそういう御意見をこれは座談的ではございまするが、拝聴いたす機会がしばしばあつたわけでございます。ただこの特別二等車が新設されました当時は、ほかに運賃改正の機会もございませんでしたので、いわば運賃に類似する料金といたしまして法律上の疑義がございましたので、座席を指定するという趣旨のものだけにしたのでありますが、今回はその趣旨を改めまして特別の設備を使用する料金という考え方にいたしまして三百キロまでの場合には二百円、六百キロまで三百円、以下四百円、五百円までの料金を設定いたしたわけでございます。小荷物運賃につきましてはこれは別表にございまするが、これはほぼ三割値上げ、貨物とバランスをとりまして三割値上げでございます。新聞及び雑誌につきましては、新聞につきましては五割、雑誌については三割三分となるわけでございますが、併しながらこれは従来とも新聞紙が特に物価統制令の適用によりまして、新聞の値上げが抑えられておりました関係運賃値上げに際して常に問題がありまして、多少値上げ率を緩和いたしておりました。今回新聞料金は統制を解除されまして相当の料金値上げとなつたのでございます。鉄道運賃におきましても実費その他、ほかの運賃との関係から見まして、これでも非常に安きに失するのでございまするが、余り大幅な値上げも如何かと考えまして五割というような答申があつたわけでございます。貨物運賃につきましては、これは車扱、小口扱とも三割値上げといたしますが、ただ最低運賃につきましては、三割値上げでは余りにこの最低運賃に入るキロの地帯が長くなつて来る虞れもございまするので、これは大体車種によつて違いまするが、普通使われておりますところの車種につきましては三割を、中型、小型の車種につきましては三割を切つておるのでございまして、普通運賃の賃率の値上げ率ほどは値上げをいたしておらないという状況でございます。こういうふうな運賃の改正に関する答申案がございましたので、運輸省といたしましては、これに基きまして、この答申案の答申の内容、或いは答申を決定しました経緯等を一応検討いたしまして、誠に妥当であると存じまするので、これを以て実施いたしたいと考えまして、関係各省、大蔵省、物価庁方面とも折衝いたしまして、大体了解を得まして、又且つ関係方面とも折衝いたしまして、その了解を得ましたので、本日閣議決定を願いまして、この答申の線に沿つて国鉄運賃の改訂を実施いたしたく、法律案の形を以て今臨時国会に御審議をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。法律案もお手許に差上げてございまするが、法律案につきましては、これは只今申上げました答申の趣旨を法律に当てはめて書きましたのでございまして、三等の賃率、或いは急行料金、或いは航路運賃等の数字をかけたという点と、それから二等の定期旅客運賃につきましては、三等のような割引率の制限を外して頂くということと、それから特別二等車の料金を収受し得る根拠を明文を以てはつきりさして頂くということが主たる内容でございます。かような実情でございまするので、今回の運賃改訂は来たる十一月一日を以て出発いたしたい、かように考えて御審議をお願いいたすつもりでございまするが、同時に今臨時国会に御審議をお願いします補正予算案につきましても、この賃率による運賃増収が十一月一日からあるものと期待いたしまして、経営費その他の改訂を行なつておるわけでございまするので、何とぞ慎重御審議を頂きまして、十一月一日の実施に間に合うように御承認を頂きたい、かように考えておる次第でございます。甚だ蕪雑でございまして大変申訳がございません。
  37. 岡田信次

    理事岡田信次君) ちよつと速記をとめて    〔速記中止〕
  38. 岡田信次

    理事岡田信次君) 速記を始めて。  それでは次にもう一つお諮りいたしますが、本委員会は閉会中も一般運輸事情に関する継続調査を進めて参りましたが、本件は広汎多岐な諸問題に亘つておりますので、未だ調査を完了するに至つておりませんが、参議院規則第五十五条によりまして、閉会中の調査未了報告書を提出することになつておりますから、これを提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 岡田信次

    理事岡田信次君) それでは御異議ないと認め、さよう決定いたします。  未了報告書の内容につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 岡田信次

    理事岡田信次君) 御異議ないと認めます。  なお、委員長の提出する報告書にはあらかじめ多数意見者の署名を附することになつておりますので、例により御署名を願います。   多数意見者署名     小泉 秀吉  高田  寛     内村 清次  カニエ邦彦     小酒井義男  前田  穰     村上 義一
  41. 岡田信次

    理事岡田信次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会  出席者は左の通り。    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            内村 清次君            カニエ邦彦君            小酒井義男君            前田  穰君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省海運局長 岡田 修一君    航空庁長官   大庭 哲夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君    運輸省鉄道監督    局自動車局長  牛島 辰彌君