○佐竹(晴)委員 関連してただ一点お尋ねいたしておきたいと思いますのは、先ほど梨木君の発言の中に、日本は占領中は主権がなくな
つた。
従つて占領中の諸法規は占領軍の意思によ
つてつくられたものであるから、日本の法律ではない。主権を回復した後においては占領中の法律は一切無効である。こうい
つたような前提に立
つてものを解釈いたしますうことには、私は重大なる難点があるのじやないかと思われる。こういう議論が出て来るのは、おそらく日本は無条件に降伏したんだから、日本は主権がなくな
つて、向うさんの言う
通りしなければならぬ。
従つて向うさんの言う
通りつく
つたのであ
つて、今度主権が回復して日本が新しく法律をつくらぬ限りは、前のものは無効だ、こうい
つた見地に立つのではないか。しかし私が非常に疑問に
考えているのは、ポツダム宣言によれば、第十三項に「吾等ハ日本国
政府が直に全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同
政府ノ誠意ニ付適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同
政府ニ対シ要求ス。」無条件降伏したものは軍隊であ
つて、
政府でないことは明らかであります。しかして降伏文書の中にも「下名ハ茲ニ日本帝国大本営並ニ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ノ聯合国ニ対スル無条件降伏ヲ布告ス」、先へ参りましても、「軍隊が無条件ニ降伏スベキ旨ノ命令ヲ直ニ発スルコトヲ命ズ」とあ
つて、無条件降伏ということは軍隊に関する限り
使つております。軍隊でない、日本
政府というものについてはある程度の権限が与えられておる。
従つて日本にはやはり国会というものもあれば、
政府というものもあ
つて、政治をと
つておる。
従つて占領軍の最高司令官がどのようにこれをやろうとい
つても、国会がこれを否決すればやれません。国会がこれを可決せぬ限り司令官といえ
どもやれなか
つた。司令官がいかにやろうとい
つても、日本
政府が予算を組まなければやれなか
つた。だから、向うさんの言う
通りであるから、無条件に向うの言う
通りにな
つておるのであ
つて、日本の責任でないとかいう問題では私はあるまいと思う。
従つて私
どもの
考えることは、日本は主権がなくな
つておるけれ
ども、その主権がなくな
つたということは、根本がなくな
つておるのじやない。ただ条件を付せられておる。完全なる主権でないというだけのことであ
つて、主権が制限されて、制限された主権は、本来これは主権でないといえばそれはそうです。しかし何も国に主権がなくな
つたのだから、日本の国会においてかけた、あるいは日本
政府が発したすべてのものは一切無効であ
つて、
従つて主権が回復した以上は、これは別個に出さぬ限り無効だ、こうい
つたようなことになれば、たとえば治安維持法のごとき、これを
廃止されておる。それは占領中に
廃止されたのだから、占領がやま
つたら復活するかという議論も出て来なければならぬと思う。
従つてあなたの御答弁は先ほどぬらりくらりなさ
つておるから、
政府としても主権はどんな形にあるかぐらいのことは、これはもう御研究にな
つておる結果であろうと存じますので、確固たる信念で
政府としてもお示しを願
つておかなければならぬ。もしきよう答弁の限りでないといえば、この点は私は重大問題であると存じますので、御研究を願いたいと存じますが、さしあたり先ほどの御答弁を聞いてみますと、私
どもははなはだ不安を感ずる。私
どもはまたこれに関連いたしましてはいろいろ組織的に分類をいたしまして、私
どもも検討を加えておるものもありますけれ
ども、きようちようど持
つておりまんせので、ただその一点だけお伺いして、
政府の御方針を承
つておきたいと思います。