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1951-09-10 第11回国会 衆議院 農林委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月十日(月曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 河野 謙三君 理事 野原 正勝君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       小淵 光平君    中垣 國男君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       大森 玉木君    吉川 久衛君       竹村奈良一君    横田甚太郎君  委員外出席者         農林政務次官  島村 軍次君         農林技官    清水 義雄君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         農林事務官(食         糧庁業務第二部         油脂課長)   檜垣 好文君         通商産業事務官         (通商局輸出課         長)      高木 広一君         経済安定技官  建部 仁彦君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     —————————————  九月十日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として竹  村奈良一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 八月十八日  食糧及び肥料に関する件  畜産に関する件  蚕糸に関する件  林業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理方式に関する件  米価に関する件  油糧に関する件  農林災害対策に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    ○千賀委員長 ただいまより農林委員会を開会いたします。  まず油糧に関する件を議題といたしまして質疑をいたします。通告がございますのでこれを許します。井上良二
  3. 井上良二

    井上(良)委員 通産省輸出課におきましては、油糧輸出を五月以来許可をいたしておりますが、これは国事の油糧が相当需給を上まわるという目地で許可されておりますか、それをまず伺いたい。
  4. 高木広一

    高木説明員 さようでございます。五月まで、国内需給関係を考慮いたしまして、禁止いたしておりましたが、最近の情勢にかんがみて、ある程度輸出をする余裕がある、こういうふうに考慮いたしまして、農林省並び安本協議の結果、一部許すことにいたした次第です。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 最近その需給を上まわるようになつた、だから輸出を許すことになつたと言うが、輸出を許可した品目は、落花生油菜種油綿実油大豆油であります。これらはいずれも国内食糧あるいは工業用品として絶対必要な品物であり、菜種油以外は、いずれも輸入原料によつて再製されたものであります。今国民はなんぼ油の配給を受けておるか、御存じですか。そうして今の油の配給であなたよいとお考えになつておりますか、伺いたい。
  6. 高木広一

    高木説明員 国民厚生上、できるだけ多くの油を国内に留保するということは、きわめて必要なことでございます。輸出課といたしましても、輸出だけを考えているのではなくて、国民生活向上を常に念頭に入れて考えている次第であります。従つて、従来までそういう見地から輸出を禁止して来たのであります。しかしながら御承知通り、昨年の暮から今年の春にかけまして、油脂原料輸入につきましても非常に大幅なわくが与えられ、これに基く輸入も非常に活発になつた次第でございます。他方、国内経済状態金融状態上と、それから国民購買力と申しますか、国内購買力との関係——われわれとしてはできるだけ多く国民油糧を与えたいわけでありますが、購買力関係飽和点に達したと申しますか、これがために、従来輸入計画していたものまで見合せるという事態になり、日本搾油業者も、購買力がないために、せつかく油にいたしましても手持ちで持つている。従つて輸入がとまつている、こういうような事態になりました。われわれとしては、できるだけ金融の点で、業者十分手持ちができるような策を講じてほしいとは思つておるのでございますが、それもなかなか十分にできない状況であります。このままに放置しておきますと、いたずらに輸入をとめて回転がとまるというような事態になりますので、輸出課といたしましては、できるだけ多く入れて、国内に必要なものを残し、そしてできるだけ多く出す。こいうふうに輸入輸出回転ができるというところに、日本経済の発展と向上があるのであつて輸出をいたずらにとめるということは、結局輸入もとまつて来て、全部縮小再生産という形になつて来ます。こういう見地から、安本農林省とも十分協議の上で、五月から、大豆油、菜種油綿実油落花生油、ごま油合せまして一万トンのわくを設けまして、この範囲ならば、国内消費にも悪影響を及ぼさないだろうと考えまして、輸出をすることになつた次第であります。  なお八月末までの輸出を承認いたしました数量は、合計で約六千五百トンでございます。その内訳を申しますと、落花生油が四千三百五十トン、これは仕向国はフランス、イギリスでございます。菜種油が四百六十二トン、主として琉球で、濠州に百トンでございます。綿実油が千六百八十六トン、全部イギリスに行つております。  なお右のほかに、大豆のままで九千トンの輸出が行われております。これは実は輸出と申しますか、輸入の契約をいたしまして、持つて来るはずで、インポーターはキャンセルの手続をいたしておつたのでありますが、それが国内状況で間に合わないうちに向うから来たということで、業者が非常に困りまして、政府に連絡なしにPCAに台湾向けにドルで売りました。輸出課といたしましては、輸入課計画をも聞き、安本にも御了解を得まして、九千トンの輸出を許しました。この大豆の方の九千トンは、油に換算いたしまして千六百トンでございます。従つてもちろんこれも一万トンのわくの中に考慮するということを、安本の方では言つてつたのであります。  なお現在話がございますのは、ドイツ向け大豆油を二千トンほどほしいという話がございますが、これはまだはつきりした形になつておりません。
  7. 井上良二

    井上(良)委員 油を輸出しなければ原料輸入ができない、だから貿易回転を高めて行くための輸出を認めておる、こういうあなたの方のお立場でございますが、われわれも、わが国貿易によつて生きて行かなければならぬということは存じておりますが、貿易の帳じりをあなたは御存じでありましようか。昨二十五年度の輸入実績はたしか九億七千万ドル、輸出が八億二千万ドルでないかと覚えております。差引一億五千万ドルの赤字になつておる。しかも九億七千万ドルの輸入の中に占めておりますものは、その三六%は食糧であります。その上に砂糖や油や塩等を加えますと、さらにその率はふえやせぬかと私は思つておる。しかも国内産の物を輸出するということでございますならば、われわれも大いにけつこうであろうと思います。なおまた国内に油が相当だぶついておる——だぶついておるというのは一体何ゆえにだぶついておるか。今あなたが御指摘のように、政府としては、昨年末に中共から入ります約八万トンの大豆を、経済封鎖によつて入れることができなくなつたために、国内の油が非常な危機になる、そういうことから国内保有をする必要から、ぜひ大量の輸入をしなければならないというので、アメリカの方から油脂原料輸入を大々的に計画をされて、しかもその計画が予定を上まわる計画になつている、そういうことに対してあなたの方は何ら手を打たない。国内国民生活水準、また生産水準から見て、総体何ぼ輸入したら妥当であるかという数字は、あなたの方ではわかつているはずである。それをはるかに上まわつて日本へ揚げれば、日本相場は下るし、日本自身が困るということから、せつかく日本に来たものまで台湾に向けて船を出さなければならぬというようなぶざまな輸入をやらしておつて、何らあなたの方はそういう点について手を打つていない。しかも輸入資金についても、たびたび業者が何とかめんどうを見てもらわなければ困るという火のつくような要求をされているのに、それに対しては何らの手を打たれていない。しかも無計画輸入の結果、国内相場をますます圧迫するということから、大豆その他の油脂原料暴落、また油脂暴落、こういうことから売り急ぎをやつて、一層暴落へ追い込む。この責任はみなあなた方にある。責任重大ですよ。あなたはそう思いませんか。それを伺いたいと思います。
  8. 高木広一

    高木説明員 今井上さんが御指摘になられたことは、まことにごもつともなことだと思います。輸入につきましては、もちろん計画輸入をやつておるのでございます。昨年の暮から、従来の数量の割当のような輸入ばかりではなしに、油脂原料については、大部分はいわゆる自動承認制ということになりまして、了解のできる範囲内において自由に全体のわくが一ぱいになるまでは許す、こういうシステムで輸入を許した次第であります。もちろんこの自動承認制わくについても、全商品の一応の目途をつけて予算をつくつておるのでございます。ただ個々の商品ごとにはつくつていなかつた次第であります。なお通産省としては、輸入にあたつて実需ということを輸入業者にやかましく言つてつた次第であります。しかし輸入をすれば非にもうかるという空気が、つい業者をして必要以上に輸入をせしめたという結果が起つたのだと思います。  なお政府としては、輸入輸出と違つて非常に不確実なものでありまして、業界が必要だと思う分だけ十分入れなければいかぬという考えから、かなり多い目に輸入を許した結果今日の事態を起したので、確かにこの責任の一半は政府にもあると思います。しかしながら昨年輸入自動承認制をやりますときに、すでに輸入金融資金の問題はわれわれも考えておりました。その後も執拗にやつておりました。ちようど今年の六、七月ごろには一番危機が来るだろうということもやかましく言つていたのですが、われわれの力が及ばないで、十分輸入引取資金の手が打たれなかつたということは遺憾なことだと思います。  なおもう一つ、これは私だけの考えですが、輸入外貨予算が許されて、これに伴う円貨資金関連がなかつたことは、制度の根本的な欠陥だ、こういうふうに思います。井上さんの言われたことはまつたく同感で、実は私輸出課長だから気楽に言う、こういう考えではなしに、昨年の夏まで、実は私食糧輸入の方はやつておりませんでしたが、輸入の方までやつておりました。通産省としては、この輸入引取資金については全力をあげて、できるだけ善処することに努力したわけでありますが、輸入につきましては、もつと広い見地からいろいろの制限がありまして、うまく行かなかつたことはまことに遺憾なことでございます。私は輸出課長でございますが、輸出するばかりを考えているわけではございません。同時に輸出を制限することも考えております。輸出をする場合に国民厚生ということももちろん頭に入れておりますしかしながらこれは理想論を申しましても、実際上は実行できない。いくらでもただで油を国民配給することができるならばよいでしようが、現在の自由経済の基盤においては、やはり経済原則というものがあつて、あまりに任意的な制度ではいけない、徐々に時間をもつてつて行かなければいかぬ、そういう意味において、決して輸出だけを考えての輸出言つているのではございません。全体の立場から、現在の状況において、国内需給の許す範囲においては、経済活動を活発にせしめるという意味において輸出を許さなければいかぬ、こういうふうに思つております。
  9. 井上良二

    井上(良)委員 国民経済的な条件がございますから、私は決して理想をただちに具体化しようということを無理に言つているのではない。ただ政府として考えてもらいたいのは、これは食糧長官も見えておりますが、日本国内食糧構成が、澱粉を中心にした食糧構成を今やつているわけであります。わが国の将来の国民の保健の上から、また農家経済その他全体の上からどうしても蛋白と脂肪を取入れた総合栄養に持つて行かなければならないということも、われわれは多年主張しおります。総合栄養見地かち行きますならば、油だけで一日十グラムどうしても摂取しなければならない基礎構成になつているわけであります。それが今三グラムしか実際は摂取されていない。そういう面から、三グラムしか何ゆえに摂取されないかという理由は、これはいろいろな条件がございましよう。しかし何と申しましても油が高いということが相当響いていることは事実であります。暴落をいたした以前をお考え願いたい。昨年の八月から九月の油が何ぼしておつて、そして一月、二月の価格が何ぼになつた。それから本年の四、五月の油が何ぼになつたか、この経過をあなた御存じならばよくおわかりになるだろう。大体まず私どもの想定するところによれば、かりにドラム一本の油は三万円見当が普通でないかというところです。わが国の今の物価指数から言つて大体のところ二万五、六千円から三万円だろうと思う。それならば国際価格から考え業者も損をしないという価格ではないか。ところがそれから上まわるということになりますと、やはり国民生活を圧迫することになりますし、そしてまた政府が意図しております油をできるだけよけい取つてもらおうという油糧政策にも響いて来る。そういうような意味から、なるほどこの四月、五月に油が非常に下つて業者が非常に迷惑をしている。それで至るところ金融難とともにたいへんなことになつているということを、私らもよく知つております。知つておりますが、しかしそれは法外な安値になつたわけではない。それは一月の相場に比べれば半値になつたかもしれませんが、一月の相場がそもそもべらぼうな価格であつた。そんなものは通常な価格ではありません。この一月、二月の大幅な値上りということを見越して、そこで今お話のような大量の油脂原料輸入された。その油脂原料輸入した結果が、結局この油の価格を下げたことになつている。私に言わせれば自業自得ではありませんか。みずから国の需要がどのくらいで、国際価格がどのくらいで、国民消費がどのくらいという一つの見通しを立てて、計画的に輸入すれば、こんな大きな損はしないはずだ。ところがわれだけよけいもうけてやれという利己的な考え方から、必要以上のものが輸入された結果が、資金見当もつけないでやつた結果が、こういう事態を招いている。今あなたのお話通り、五月以来ずつと約一万トンの輸出を許す、こういう計画のもとに輸出を進めて来た。この結果として、最近の油糧関係はどういうことになつておりますか。再び油は三万円を突破する価格になつて来ている。だからあなたとしては、もうこれ以上は輸出を許さないつもりであるか、なおかつ輸出を許して行くつもりであるか、現在の油の価格値上り状況からいつてどういうように考えておりますか、それを伺いたい。
  10. 檜垣好文

    檜垣説明員 現在のわれわれの考えは、実は輸出農林省だけでなく、安本ともよく相談の上で、われわれの方はそれの方式従つてつておるだけであります。しかしながらさきに申しました通り、一万トンの分が若干残つております。これにつきましても安本農林省の方でもうとめなければいけないということになればわれわれの方はそれをとめてもさしつかえないのであります。現在のところはそういう意思表示もございませんので、一応今のままでこのわくは使つてしまう、こういうつもりでおります。
  11. 井上良二

    井上(良)委員 それでは農林省の方に質問します。農林省はこの油の輸出を盛んに奨励しているわけでもないだろうが、今お話し申し上げました通り、最近の油糧事情は次第に好況を呈して参つて大豆油その他においても、ドラム一本で三万円を突破する価格になつて来ております。現在の国民生活関係から、油脂課長として油は何ぼくらいの価格が妥当であるとお思いになるか、一体どのくらいの油を国民供給したらよいとお考えになつておるか、これを伺いたい。
  12. 檜垣好文

    檜垣説明員 ただいま御質問になりました油の関係でありますが、御承知通り戦前におきましては、大量の満州大豆輸入されておりました関係上、割合に安い価格において油が供給されておつたのでありますが、それにいたしましても、欧米等食糧構成から考えてみますと、せいぞれ二割程度というふうな非常に低い状況になつておるのであります。先ほども質問あるいは御意見がございましたように、今後の日本食糧政策から考えますと、単位当りのカロリーにしましても、あるいはその他の栄養含有量にしましても、油が非常に有効でございますので、今後油の消費量というものはできるだけふやして行きたいというふうに考えておるのであります。ところがいかんせん、戦後における大豆供給状況は、大体中共大豆というものが目下のところ期待し得ないという状況でありますので、やむを得ずアメリカから高い運賃をかけて、しかも油の含有量等から申しますと、必ずしも満州大豆に比べていいというわけには行かないのでありますが、こういう情勢からアメリカ大豆輸入しておるというような関係から、どうしても自然戦前における物価指数等から比較してみましても、御指摘通り、油、主として大豆関係でございますが、割高になつているという状況であります。しかしながら一面、もう一つの大きな食用油供給資源である菜種が、農家生産意欲の非常に旺盛である関係上、特に本年は相当な生産数量の増大がございまして、昨年に比し、約五割程度増産というふうになつております。従いましてこれらの国内資源増産による油の供給ということは、非常に私どもの意を強くしているところでございまして実はあまり本年は増産せられておりますので、一面輸入大豆の一時的な過剰との関係から、本年は相当菜種価格が下落するのではないかと心配せられたのでありますが、ふたをあけてみますと、それほどではなくして、だんだんよくなつて、現在では一俵当り五千円近くまでなつているのであります。ところが需給関係から考えてみると、少くとも昨年よりは五割程度増産でございますので、相当これが市場を圧迫するのではないかと考えておつたのでありますが、各般の調査等によると、特に農家における自家消費が非常にふえておりまして、これは一面農家における米麦供出等とも関連しまして、あるいは今後における体位の向上その他から考えましても、非常に喜ぶべき現象ではないかと考える次第でございます。価格の点は、少くとも戦前における価格構成程度には持つて行くべきではないかと考えております。詳しい数字は持つておりませんが、大まかなところで申し述べますと、大体一般物価指数が二百倍のときに、油は二百五十倍という位置にございましたので、この関連と申しますか、数字は大体現在妥当なものと考えておりますが、これを少くとも戦前程度にだけは早く持つて行かねばならぬと考えております。
  13. 井上良二

    井上(良)委員 ここで輸出課長さんにも油脂課長さんにも聞いてみたいのは、国内菜種並びに落花生大豆等増産はぜひやつてもらわなければなりませんが、同時に国内菜種価格を引合う価格に維持するためには、無謀な輸入によつて圧迫されることが必至でありますので、——菜種国内増産して、それが輸出に振りかえられて行くということは外貨を獲得することになりますから、われわれも大いに賛成いたしますが、同時に、外国油脂輸入は、できるだけ国内油脂と切りかえて行くということにやつてもらわなければなりませんし、特に輸出の面につきまして、私が一番遺憾に思いますのは、これら輸入原料がまた輸出に向けられて行くということであります。油が足らぬので輸入している。これは輸出する目的輸入しているのではないと思うが、それをまず油脂課長に伺いたい。輸出した方がもうかるということで輸入したのですか、それとも、国民に安い油を食わさぬでもいい、輸出した方がいいというのですか。
  14. 檜垣好文

    檜垣説明員 ただいまの御質問でございますが、御指摘通り、大体国内消費目的としまして輸入いたしたのでございます。ただ戦前におきましては、御承知通り油脂産業は、相当輸出産業としまして各方面に輸出をいたしておつたのでございますが、私どもの今後における油糧産業に対する政策といたしましては、これはもちろんまあ一番大きな供給源である中共大豆関係等もございまして、必ずしもどの程度に実現できるか疑問でございますが、やはり戦前におけるように、ある程度においては、輸出産業としての性格をできるだけ持たして行きたいというふうに考えておる次第でございます。ただ御指摘の本年一——三月における輸入におきましては、これは大体業者意向等から見ましても、あるいはその当時における政府政策といたしましても、国内における消費を主たる目的として輸入をしたものであるのに間違いはないと思います。
  15. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると、輸出をするという理由は、ただ油があまり下つたというそのことだけで輸出を許可したということになるのですね。国民経済の上から考え輸出しておつたのではないのです。いわば製造業界の切なる要望に応じて、油がこう下つたのでは会社が持たぬということで輸出をしたと考えてさしつかえないのですか。
  16. 檜垣好文

    檜垣説明員 経済が円滑に運行されます事態考えますと、大体私どもの現在持つている需給数字によりますと、年間大豆が三十万ないし三十五万トン程度輸入されるのが適当というふうに考えているのでございますが、その場合農産物であります関係上、海外におきましての出まわり期においては安いのでありまして、そういう意味におきましては、常識的な輸入やり方といたしましては、これは国内において統制機関等がございませんので、いわゆる金利、倉敷料の負担等業者においてやらざるを得ないのでありまして、そういう関連等から見まして、また一面外貨有効活用という点から考えまして常識的に申し上げますと、十——十二月期に約十万、一——三に十万、それ残り分を適当数量つて行くというのが、いろいろな情報から考えまして一番妥当な輸入やり方ではないかというふうに考えているのでございます。ただ本年におきましては、御承知のように、一面において国際情勢関連もございましたので、緊急に大量輸入するというふうな関係から、国際的に相場も非常に上りましで、一番高いところの価格において大量の輸入をしたというふうなかつこうになつているのでございます。そこで国内における需給の問題がありますが、お手元に配付申し上げております資料等で御検討いただくとおわかりのことと思いますが、大体年間にいたしますと、需要は油にしまして約二十八万トンでありまして、月二、三万程度使つているのであります。ランニング・ストックとしては常識的に約二箇月ないし三箇月分の数量を持つておるのが一番経済の運行の円滑に行つている状況になつておるのであります。ところが今一——三の緊急過剰輸入のために、この消費状況とにらみ合せましての数字というものは、相当過剰になつておると見ておるのであります。これは二曲業者に対する負担の重圧であると同時に、またその後一——三の輸入時期を去つて後、海外価格もだんだん落しつつあるのでありますが、海外における油脂需要というものは必ずしもそれほど下つてもいませんので、そこらにおきまして、日本における国内価格海外価格とにらみ合せまして、ある程度輸出できるものは業者——これはもちろん形において輸出するのでありますが、一面その輸出して得ました外貨によりまして、安くなつたところの原料を買い入れて、これを需給数字からいたしまして、最後のだんだんなくなつて行きます時期に輸入しているいずれにしましても、全体として外貨につきましては運用がまずかつたので、非常に有効に活用すべき外貨を、必ずしもその期待通わできなかつたということはまことに残念なことでございますが、そういうような意味合いにおきまして、一万トン程度輸出を認めて行こうというような情勢になつたのでございます。
  17. 井上良二

    井上(良)委員 だからそれは国民油脂に対する需要見地から、油は相当だぶついて来ておるから、もうこれ以上油はいらぬ、そのことが業界を圧迫する、そういう意味輸出を許可されておるのですね。
  18. 檜垣好文

    檜垣説明員 有効需要との関係におきまして、それはなかなかむずかしい問題でありますが、むしろ過剰輸入を平均輸入の方に形をだんだんならして行くというような考え方が主としてあるというふうにお考えを願いたいと思うのでございます。
  19. 井上良二

    井上(良)委員 過剰分と申しますけれどもわが国需要供給のバランスから考えました場合、年間を通してそれほど大きな負担にならぬと私は思います。あなたがさきに御説明をされたように、まあ二月分三月分をストックするというのが普通だ、こういう考えから行きますならば、一万トンくらいの油を輸出するかしないかということが、それほど大きく国の経済に影響すると私は考えないのです。このことが実際はまた再び、あなた方が五月以来輸出を許可したということから国内の油相場が上つて来ている。だから相場を上げるために輸出されたという実績がはつきり出て来たわけですね。そうすると、農林省国民の主要食糧に伴う油脂原料供給を、油糧行政をおやりになつているがさきにあなたが御説明されたように、最近の食糧構成から、つまり米麦が次第に少くなつて粉食に移行しつつある。粉食する場合はどうしても油糧関係がふえて参ります。特に大消費地においては、米として配給するのは十五日分である。あとの十五日分は粉食または麦で配給しているわけですね。だから油糧需要がどんどんふえて来る。その面から行くと、油糧が少くと場も主食として転化しているわけです。そういう場合に、それを上げて行くという政策にあなたが協力されるというのは一体どういうわけですか。こういうことをあなたお考えになりませんか、油脂行政をやつてつて油糧は今日主食になつているのですよ。粉食をする場合は主食になつている。米の値を上げる上げぬという問題は、三月もかかつて三大臣が血のりをあげて政治的に大きな問題になつたんです。十五日も粉食をさせておけば、これにどうしても油がいるのです。そうなつて来ますと、油は一つの主食化されておる。その主食をつり上げする政策にあなた方が協力するとは、一体どういうわけですか。そういうことにあなた方に高い月給を出して政治をやらしていない。あなた方の責任ですよ。どうお考えになりますか、この点を明らかにしていただきたい。
  20. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 私からお答え申し上げます。実は輸出の問題がございましたときに、輸出をするかしないかということで、私どもとしても慎重検討いたしました。消費者の立場から申しますれば、できるだけ安い方がけつこうなんであります。その意味において、輸出は差控えるべきであるという考えも相当検討しておつたのでありますが、いかんせん、日本油脂事情は海外の材料に左右されるところが多いのでありまして、非常に値段が下つた場合に、そのあとは必ず反対に非常に暴騰をするという動きをすることが相当考えられるのでありまして、この点は、どうしても国民生活の安定という点からいいますれば、一定の水準で、価格の大きな変動がなく推移するという措置を講ずることが、この際最も望ましいものではなかろうかという考えをいたしたのであります。もちろん当時といたしましては、国内産の油脂原料の値下りというものも非常にやかましい問題でございました。菜種等はおそらく二千円を台割れするのではないかということも言われ、この方面の救済措置等につきましても、各方面から強い要望があつたのであります。その辺の事情もあわせまして、若干の輸出は、この際価格の平均化をはかる意味において、やむを得ないのでなかろうかという考えで、輸出をいたすことにいたしたのであります。もちろん年間需給状況を見ますれば、それだけのものを持つておれば、必ず年間に必要とするものでありますから、輸出する必要はなかろうかと思うのであります。その点において私ども今後検討しなければならぬのは、そうした場合に、それを持つて行ける機構を国として考えるということでありまして、その点の裏づけがありますれば、あえて輸出というようなことを考えないで、合理的にものを持つて行けるのであろうと思うのであります。この点に今の輸入に関する一つの欠陥があろうと思います。この点を今後至急検討して参りたい、かように思つております。
  21. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点、輸出する内容でございますが、御存じ通り、非常にこれは安い原料と高い原料があろうと思います。しかし、たとえば公団の物を払下げて輸出に振向けておる。その払下げ価格というものは、一体今日妥当な価格であると考えて払下げをやつて輸出をされておりますか、これを伺いたい。
  22. 檜垣好文

    檜垣説明員 公団の在庫物資でありますが、御承知通り公団は本年四月解散いたしまして目下清算中でございまして、一面油の需給状況、あるいは価格の動向等を考え合せながら清算の進行をはかつているというような状況にございますので、在庫の払下げにつきましては、国内市場における圧迫の関係、あるいは一面、輸出をすれば、それによつて外貨を獲得するというような関係等から、国内状況等も見合せながら払下げを行つて来たのであります。最近における価格と、輸出向けの払下げの当時とは、価格構成がかわつておりますので、当時としてはああいう価格でやむを得なかつたのではなかろうかというふうに考えております。
  23. 井上良二

    井上(良)委員 最近大豆油の精製されたものを二千トンですか、ドイツへ輸出するということで——今まで大耳油は一切民間に払下げなかつた業者側、特に大メーカーの要望によつて政府は清算中の大豆油の払下げを中止して来ておつた。ところが最近その一部をドイツへ輸出するということで、二千トンか二千五百トンか知りませんが、払下げをした。その価格は妥当な価格とお考えになりますか。  いま一つは、一万トンだけは、台湾向け大豆も合せまして大体認める、こういうことだそうですが、それ以上輸出をするつもりですか。八丁の具有のお話のように、大体妥当な価格のところへ接近をして来たから、これ以上輸出をして、高い原料を入れて国内相場を変動さすというようなことのないようにやつて行くつもりであるか、どつちですか。
  24. 檜垣好文

    檜垣説明員 ただいま御質問いただきました西独向けの輸出の問題でありますが、数量は二千二十トンでございます。ただこれにつきましては、一応公団と輸出業者との間に払下げ数量は内定いたしておりますが、こちらの公団から業者に払い下げる価格、それに基く輸出業者輸出価格と、西独の引合い価格とが相当な開きになつておるのでありまして、その払下げ価格をきめました当時は、国内市場に比べましては相当高値であつたのでありますが、現在は大した違いはないように存じております。西独関係の方では入札等の引延ばしをやつておりますので、どういうふうになりますか、まだ見当がつきませんが、今の価格関係から見ますと、おそらく輸出は不可能ではないかというふうに考えられております。不可能になりました場合は、輸出業者からとつております保証金をいただきまして売買の予約は解除というふうになる予定でございます。  それから今後における輸出の問題でございますが、大体一万トン程度、これは今後における需給情勢、あるいは輸入外貨予算等の関係から見ましても、大体今後は輸出は制限して行くというふうな考え方で進むべきではないかというふうに考えております。
  25. 井上良二

    井上(良)委員 そこは大事なところです。制限するというのはどういうことですか。実際はこの油脂原料輸入になつてないものならば、国内産の菜種が非常に増産され出しまして需要を上まわる状態になつて来たということになりますなら、それは大いに外貨獲得で輸出をしたらよいことになる。ところが大豆落花生と血の出るような外貨輸入したものを、これは絶対必要なものとして、国内で絶対足らぬというところから輸入しておるのでしよう。それを金もうけの操作で輸出されたのでは、国金体の経済の上からも、また国民生活の上からも非常に重大な問題になつて来ると思う。そこの関係がもつと明らかにされませんといかぬじやないかと私は思いますが、その点どうお考えになりますか。
  26. 檜垣好文

    檜垣説明員 ただいま申し上げました意味は、今後国内における消費の増進をはかつて行くと同時に、国産の原料生産をはかつて行くという意味におきまして、輸入原料は大体国内消費目的といたしておるのでありますから、現在すでに一部実施せられておりますがいわゆる加工貿易方式によりまして、海外原料輸入して、それを加工して加工賃かせぎの意味において輸出をするというふうなものが今後現われて来ると思うのでありまして、特に東南アジア地区にあります資源等から考えまする場合に、そういう加工貿易方式は、今後ある程度進展して行くのではないかというふうに考えております。それらの点につきましては、積極的に輸出を奨励して行くが、一般的に貴重な外貨を使いまして輸入するもの等の輸出ということは、これは国内消費の方をむしろ重点に考えるべきであつて輸出ということは大体まだ採算的に見ましても不可能であろうと思いますし、事実政策としても歓迎すべきものではないというふうに考えております。
  27. 竹村奈良一

    ○竹村委員 輸出課長にひとつお伺いいたしておきたいのですが、大体アメリカから輸入されておりますところの大豆価格は、一体どのくらいで輸入されておるのですか。
  28. 檜垣好文

    檜垣説明員 大体本年一月——三月の時期に輸入いたしましたものが、平均いたしまして約百十六ドルになつております。ところが現在におけるアメリカ相場は、大体百三十五ドルないし百三十九ドルぐらいであります。
  29. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうして今度、たとえば井上君の質問によりますと、西独へ二千トンというふうな大豆油を輸出されるということでございますが、この輸出価格は一体どれくらいでありますか。
  30. 檜垣好文

    檜垣説明員 大体公団から払い下げる価格は、二万六千六百円程度になつておりますが、輸出いたしますと、輸出価格としましては、四百四十五ドルないし四百六十ドルぐらいの見当になります。ところがドイツの方で引合いをやつております価格は、大体四百二十ドルからせいぜい三十ドルというふうなところで、目下折衝中でございます。
  31. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、さつきどなたかの説明で聞いたのですが、たとえば戦前中国からの大豆輸入いたしまして、これで油を製造すると相当含油量が高いし、アメリカから現在の状態で輸入しているやつは含油量が非常に少いということでございますが、それでは先ほど申されました大豆一トン当り百六十六ドルないし百三十五ドル、まあ百六十六ドルで輸入されておるのでありますが、これで油になりますと、一体どれくらい油が出て、そうして今輸出される価格の差はどれくらいなんですか。
  32. 檜垣好文

    檜垣説明員 現在の価格表にございます点から見ますと、大体輸入したものですと一万円くらいのマイナスになります。
  33. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一万円くらいのマイナスで輸出される、結局そういたしますと、先ほどからの井上君の質問に対してそういうことになりますと、私はどうも満足しないのですが、高い豆を入れて、そうしてわざわざ国内で製造して、しかも国内で製造したやつを輸出してマイナス一万円になる。こういうような貿易をなぜやらなくちやならぬか、この点が私は納得行かないのでございますが、これは何か、どうしても輸出しなくちやならぬというような事情があつたのでございましようか。しかも国内においては非常に油の高騰を来して困つておる、こういうことでございますが、この点ひとつ政府の方で納得行くように説明していただきたい。
  34. 檜垣好文

    檜垣説明員 ただいま御説明申し上げた百六十六ドルといいますのは、御承知のように民間輸入が開かれまして、民間の業者輸入した価格が百六十六ドルでございます。公団の持つておりますのは御承知のようにその前にいわゆるガリオア資金政府輸入いたしましたものからできた油なんでございまして、この公団の払い下げ価格につきましては、これはむしろ公団の大豆油に関する原価計算から見ますと、少し黒字になるというふうな状態になつております。
  35. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうなつて来ると問題なんです。ガリオア資金輸入したからそのときで見ますと黒字になるとおつしやいますけれども、ガリオア資金でもこれは八月十八日の予算委員会で、大蔵大臣がこれは借金だとはつきり言つております。返さなくちやならぬ。返す金なんですから、別にどんな資金輸入され、どういうふうにやつてつても、結局これは現在の価格とその当時と一応建つておるからというわけでございますが、しかし実際においては民間で輸入する価格との差が出なければ、その計算の上に立つて輸出でなければ、日本の黒字にはならないわけでございます。しかもガリオア資金というものは、これははつきり借金で、返さなくちやならぬ。講和条約を締結したならば返すと考えてよろしいと大蔵大臣ははつきり言つておりますから、そういうことではぐらかされちや困る。そこで問題は、もう一つつておきたいのでございますが、中国のいわゆる満州大豆とそれからアメリカから輸入する大豆との含油量は、一体どれくらい違うのですか。これをちよつと聞き漏らしたのでお陶かせ願いたい。
  36. 檜垣好文

    檜垣説明員 詳しいことは私もはつきりお答えできませんが、大体二%ぐらいは違うと思います。
  37. 千賀康治

    ○千賀委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  38. 千賀康治

    ○千賀委員長 次に食糧の管理方式に関する件を議題に供します。御質疑はありますか。
  39. 井上良二

    井上(良)委員 農林大臣が見えておりませんが、最近新聞の報道によりますと、政府は近く麦の統制を撤廃する。特に本年は供出後の麦の自由販売を認める。二十七年度産米から米も統制を撤廃する、その準備を目下進めておる、こういう報道がされておりますが、この報道を信頼して——信頼というのではなしに、こういう報道に基く作業が政府の方で行われておりますか、島村政務次官にお聞きしたい。
  40. 島村軍次

    ○島村説明員 米麦の統制問題につきまして、新聞紙上、あるいはまたその他いろいろ報道されておるようでありますが、政府考えは麦につきましては、この前の国会に提案いたしました通りに、既定方針でやりたい。ただ時期の問題は国会で両院協議会になつた問題でありますし、さらに今度の臨時国会に法律案を提案する予定で準備を進めておるのであります。それから米の統制の問題については、これはまだいろいろ論議はありまして、いろいろな基礎資料の調査はいたしておりますけれども、いつどういうふうにして、どうやるというような問題については、何ら結論に到達しておりません。
  41. 井上良二

    井上(良)委員 たしか先般根本農林大臣が記者団と会見をされて、二十七年度産米から統制をはずすという方針のもとに、たとえばそのはずした後の機構をどうするか、特に販売価における取引諸機構をどうするかというようなことについて調査を命じておる、こういうことが新聞に出ておると思いますが、そうすると今の島村政務次官のお話とは大分事実は違うのでございますが、さようでございますか。
  42. 島村軍次

    ○島村説明員 少し言葉が足りなかつたかもしれませんが、調査を進める材料として、統制を解除する前提で、あるいは金融問題、倉庫の問題、その他どういうふうにして、いかにこれを処置するかということに関する調査は進めておることは事実でございます。さように御承知おきを願います。
  43. 井上良二

    井上(良)委員 その統制を撤廃するという前提に立ちまして、政府は本年の二十六年度産米をいかなる方法によつて割当て、これを買い入れしようとするのですか、それを伺いたい。
  44. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 米の統制撤廃の問題がいろいろございます。今年の米につきましては、現行食糧管理法に基いて、行政的には実施せざるを得ないと思います。大体事前割当制度がなくなりましたので、作報の予想収穫高というものを基礎にいたしまして、それから保有量を引きまして割当をするという従来の方式でもつて、今年の米の割当をいたしておるわけであります。  ちよつと筋道がそれますけれども、今年の米につきましては、都会の米食率の維持が相当むずかしい実情にあります。と申しますのは、昨年の米が比隣的補正が多かつたために、政府買上げ数量が前年に比較いたしまして落ちております。従つて都会におきまする米食率の維持のためには、早場米を相当大量に集荷をしなければならぬ実情にあります。概算いたしまして、九、十月で百五十万石程度のものは、産地から消費地に運ばねばならぬかとも思います。戦後最大の早食いをいたしました年が、百三場十万石でありましたから、二十万石程度、今までにない大きな数字消費に充当しなければならぬという実情にあります。従つて本年の割当は、一方麦の統制解除でありますとか、あるいは米の統制撤廃というもののもありますし、なかなか供出につきましては、むずかしい問題もあろうかと思います。また事前割当をいたしておりません関係もありますから、大体麦と同じように、全国を二回にわけまして、早場地帯とそれからしからざる地帯と二分をいたしまして、割当数量を決定いたしたいというような、ただいまのところ腹案を持つております。御参考までに申し上げます。
  45. 井上良二

    井上(良)委員 事前割当をしてないので、作報の収穫査定に基いて、保有を差引いて割当てるというが、いかなる法律によつて割当てるのですか。食糧管理法では政府に売らなければならぬという規定はありますけれども、幾ら売らなければならぬという規定はないのです。従つて割当の具体的な法的基礎は今なくなつているのです。いかなる法規によつて割当てますか。
  46. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 言い落したのでありますが、麦と同様に食管法第三条による政令を出したいと思つております。この点につきましては、当初私ども法律をもつて、買上げ手続に関する法律を御審議願いたいと思つてつたのでありますけれども、その運びに至りませんので、政令をもつていたしたいと考えております。
  47. 井上良二

    井上(良)委員 これは非常に大事な問題でありまして、考え方の上からも政府にひとつ反省を促したいのです。と言いますのは、食管法第三条に基く政令を出す、その政令はポツダム宣言に基く政令であります。ポツダム宣言に基く政令というのは、これは占領下における一つの命令であつて、まさに調印がされて、批准国会が開かれることになつて日本としてはすでに独立態勢になつて来ている。そのときに依然として占頑下に振りまわしたその政令を持つて歩くということは、これは何としてもどうにも納得できません。そういう考え方は最も非民主的な考え方であつて、そこで政府はおそまきでもかまわぬから、十月の国会を目ざしてひとつ法律的処置によつてやるという態度に改めてもらわなければならぬと思いますが、どう思いますか。
  48. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ポ勅とは関係ないと私は考えます。政令の定めるところによつて買上げをするということになつておりますので、それを政令でもつてきめるということでありますから、麦の場合と同じでございます。買入れ手続に関することは法律でなく政令でもつてやるのでありますから、ポ勅とは私は関係ないと思います。
  49. 井上良二

    井上(良)委員 大体さつきの島村さんの御説明は、麦の統制は近く法的な手続によつてはずす。来年は米もはずす準備を進めておる、こういう御説明であります。米麦生産に必要な基礎資材、また農家経済を営むに必要ないろいろな物資の統制が全面的にはずされておつて農家生産します主要食糧だけ統制するという片ちんばな統制は、われわれも廃止したがいいと思うのであります。ただここで考えなければなりませんのは、廃止するにあたつて、自由競争になつた場合に、都会の金融資本を背景にする商業資本と農村の持つ資本力の競争になつて来ます。問題は私はそこになろうと思うのであります。そうなつた場合、農民は都市の金融資本に対抗できる実力を持つておると政府はお考えですか、これを伺いたいのであります。
  50. 島村軍次

    ○島村説明員 これは議論の存するところであろうと思うのでありますが、そういう問題についての調査を今進めておるのであります。私の率直な意見は——これは一致した意見ではありませんが——金融措置については、政府が食管会計において買上げを進める場合に、協同組合が相当強化して参つた今日におきましては、協同組合に金融の措置を講ずる道も考え得ると思います。そういたしますれば農民自身の力でなくて、協同組合の力によつて政府の買上げの場合、協同組合を通じて金融措置が講ぜられるということになりますれば、ただいまの御心配はい品ないものと考えております。これらについては目下いろいろ検討を加えておるということを前段に申し上げたのでありますが、前段のことだけで誤解があつてはいけませんから、よくその点を御了承願いたいと思います。
  51. 井上良二

    井上(良)委員 麦の統制を撤廃するというのは、あと一月で政府は法案蘭処置を国会に提出して来るのです。ところが政府は本年農事協同組合の再建整備法という法律を出しておる。農業協同組合が今一体どういう状況にあるかということは、政府みずからよく御存じである。再建整備さえまだ十分にその緒に着かず、事実上協同組合の運営が非常に困難な事情にあるのであります。その困難な実情にあつて、再建整備をしなければならぬという一つの指導を政府がやつておるところへ、内容はどうあつてもかまわぬ、金をやれ、融通してやれ、そういうむちやくちやなことが一体できますか、島村さんあなたも協同組合においでになりますが、事実上、そういうことが一応整備をされてこれなら大体運営できるという見通しのあるものに対して、政府責任を持つて今後指導よろしきを得て、金融のめんどうを見て行くというなら話はわかりますけれども、整備の年間政府は一体何年と押えておりますか。それは長い年月がかからなければ整備でき得ない現状であります。だから私は統制をはずすことは一向さしつかえない、今のような一方的な統制なら、農民だけをなわで縛る結果になりますから、われわれは統制をはずした方がいい、統制をやるなら総合的な統制をやるべきであつて、部分的統制をやるべきでないという考えを持つておりますが、ただその場合、都会の金融資本を背景にして、しかも年間三箇月ないし四箇月の食糧が不足し、都市においては十五日分の米しか配給されていないという、この現実の事実を前にして、相当大きな資本で買い占めればもうかつて行くという、一つのここにそろばんが出て来ます。そうなつた場合、大資本の前に一体農村の資本が対抗できるかどうか、これに対抗するような裏づけをあなたがしてやらなければ、農村はまつたく都会の資本の隷属下に置かれて、たいへんなことになつてしまいますよ。その点に対するあなたの今の御説明では農民は納得しませんよ。もつと納得するように御説明を願いたい。
  52. 島村軍次

    ○島村説明員 協同組合に対して御心配になる点はごもつともであります。しかしそのための再建整備であり、現に再建整備をやるためにこれは政府はいわゆる再建のさそい水と言いますか、やつておるのであつて、資本の増強をし、しこうして現在までの焦げつき資産を、五年なら五年の間になしくずしてやる。それに対する再建整備の方策であります。従つてこの方策が計画的にうまく参りますれば、あなたの御心配になるような点は、これは抽象的にはそういうことが考えられますが、現実問題としてはこのごろはごらんになればわかると思うのでありますが、協同組合も相当再建整備の道をたどつて来ておるのです。しこうして今後の態勢としては、協同組合自身が自力によつて販売、購買の仕事を農民のためにやるという気力が相当ほしいと思うと同時に、またさようなふうに再建整備の方策も導いておるのであります。従つて協同組合が現在非常に弱いのだという考え方は、それは私も一部分は肯定いたしまするが、しかし現在の段階では、相当再建の緒につきつつあるわけであります。これを育成強化することは、井上さん自身も当然お考えになつておられるであろうと同時に、政府自身も、協同組合の育成強化には全力を注いで、協同組合の力の養成とともに、この問題を取上げますならば、ただいまお話のような点は、協同組合をしてみずから機関を備えて、そうして都市との間の直接な販売機構網をつくる、それに対しては、政府は買上げに対する金融措置を講じて、従前農業倉庫の濫傷時代のような平均売りの点までも進む理想を持つて、かつそれの理想だけではなくして、さような態勢に今後はあるべきだと思うし、またさような考え方で、現在協同組合というものがそれぞれの再建の道に精進をしておるのでありまして、御心配が少し過ぎるような私は感じを持つております。
  53. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつとここで数字的なことを食料長官局に伺つておきたいのですが、大体本年の麦の買入れに要します政府資金、食管特別会計の買入れ資金、それから二十六年度産米の約三千万石近いものを買い入れることになりましようが、それの買入れ資金はおよそどのくらいの予算になつておりますか、予算書を持つておりませんので一応説明していただきたい。そしてその金額がわかりましたら、そのうちでどのくらい政府は農業協同組合に買入れ資金を融通する方針を研究されておるか、このよを明らかにされたい。
  54. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 予算書を持つておりませんので、詳しい数字は後刻申し上げたいと思いますが、大体米、麦合せまして買入れ代金が三千数百億だと思います。そのうち麦がやはり千億くらいじやなかつたかと思つております。これはあとで詳しい数字を申し上げます。それからそのうちどれだけを協同組合に融通する考えかというお尋ねでありますが、これはどういう意味でございますか、従来この買上げ資金というものは中金に前渡しをいたしまして、中金が末端に流しまして買入れ資金に充当しておるものであります。これは買上げの進捗状況と見合いながら、月に三回ないし四回にわけて交付をいたしておるわけであります。特にこの点についてかわつた措置を講じようという考えは持つておりません。
  55. 井上良二

    井上(良)委員 私がさきに質問しておりますのは、この農民がつくりました米麦をだれが買うかという問題が大きな問題になつて来るのです。そこで農業協同組合が資金を持つておりましてこれを農民から買い上げまして、そうしてこれを精白するなり何なりして、市場状況に応じて売るという処置を講じましたときに、初めて都会資本と対抗でき得る一つの力が順次できて来はせぬか、そういう見地から、およそ三千億円の買上げ資金を必要とするならば、その八割なら八割は政府金融をつけて行くというような手が打たれなければ、逆に都市資本に農村の搾取をやらすことになつて来ますから、その場合における政府資金的な処置はどうするか、こういう見地で私は質問をしております。この点は、島村さんからお答えを願いたい。
  56. 島村軍次

    ○島村説明員 食糧長官が申し上げた通りでありまして、これは過渡的な考え方でありますが、しかし政府の方の食管会計は、大蔵省との折衝の結果でなければわかりませんが、買上げ制度は、今度麦にとろうとしたように、無制限の買上げをやろうという建前を大体とつて来たわけであります。そこでそのことを米の場合にも考え得るとすれば、別にかわりはないので、中金を通じて協同組合に買上げをやらすその場合の資金は、政府が食管会計の範囲において買上げをできるだけやつて行くということになつて参ると思うのでありまして、井上さんの御心配の点は、当分の間はその点の御心配はいらぬと思う。
  57. 井上良二

    井上(良)委員 私の質問しておる点に誤解があつたようです。私は統制が撤廃された後を言うておるのであります。統制が撤廃された後において自由買取りになりますからそうすると金をよけい持つておるものが結局買上げを強くすることは事実なのです。その場合あなたが農業協同組合を育成し、これに資金を流して都市資本と対抗さすという方向をとりたいという話だから、そうなれば非常にけつこうで、そこで具体的に統制撤廃後において政府が今まで買い上げました食管特別会計によると、農業協同組合に年間大体三千億の資金を要するというのですから、その三千億の資金について政府の方から協同組合に八割なら八割を融通するという新しい一つの手が打たれませんと、農民のつくつた米は都市の資本に買い取られてしまう。どうせ売るのですが、売る場合は、農業協同組合がこの値なら引合うから売るということになるのです。ところが部分的に的に買わしたのでは、結局資本力の弱い農民はたたかれ、足元を見られるということになりますから、どうしても協同組合が一手に買い上げることが必要で、買い上げるためには協同組合の資金をそれだけ政府が補償するという手を打つてやらなければならぬ。そういう面で、一体どのくらい協同組合に融通する計画をお立てになつておるか。これはもうあと一月、二月の問題です。麦の統制撤廃をする法案をあなたが準備されておるというので、それは非常に大事ですから、それをあなたがんばつてもらわぬと困る。
  58. 島村軍次

    ○島村説明員 一般に統制を廃止するという考え方については、井上さんのような考え方の人もあるようであります。そこを今研究しておるわけでありまして、政府が供出なりあるいは配給制度をやめましても、食管会計というものは、あるいは需給調整とか、あるいは価格調整とかいうような意味において残す。そうして現在の食管会計をそのまま持つてつて政府はできるだけ無制限の買上げをするという場合における措置には、前段申し上げたように、金融上の心配はさようにいらない。しかしそれから後に来る問題としては、私が申し上げたようなこと及び井上さんの御心配になつたような点までも、将来は考え得る問題だということを申し上げたので、いわゆる方式の問題について、いつどういうふうな方法をとるかということで段階があるということを御承知願いたいと思います。
  59. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点だけ、これは食糧長官に伺いたいのですが、もし麦の統制をはずす、あるいは供出後のものを自由販売にするということになつて参りますと、消費者面における配給の上に大きな変動を来すとはお考えになりませんか。そういう心配はないということになりますか。その点を伺つておきたい。
  60. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 現状につきましては、麦の流通過程の制限を排除いたしましても、消費者に対して非常に不安を与えるということはないと考えておりますがゆえに、今はずしてもいいのじやないかというふうに考えております。逆に申しますと、フリー・クーポン制を実施いたしましてから、消費者の麦並びに麦製品に対する自由選択の余地が出て参りましたために、よほど緩和して参つたと思いますけれども、その面の選択あるいは品質の良化という点から申しますれば、むしろ消費者には利便を与えるのじやないかというふうに思つております。結局そう暴騰しないでそうした選択買いができるかどうかという点が、一番検討として重要なことじやないか。現状をもつていたしますれば、はずしましてもその点さようなことはなかろう、また経過措置といたしましては、若干の期間自由麦とクーポン制というものと二月なり三月併行した方がいいのじやないかという考えもいたしております。これは一面食糧需給関係からいたしまして、日本が二割ないし三割の輸入をしておるときに、さような甘い操作をいたしますことはいかがなものであろうかという批判も実は受けておりますけれども、しかし二月、三月の間さような措置を講じますることが、消費者の心理の安定をはかります上にむしろ有効ではなかろうかということも実は考えておるので、その点は大体そういうふうに考えております。
  61. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 おそく参りましたので、質問が重複するかもわかりませんが、重複しましたら、その点は省いてもけつこうです。  ただいま井上さんからもちよつと話が出ましたが、来る臨時国会に麦の統制撤廃の法案を出すということは、もう政府の動かざる方針であり、これがまた議会の承認を得るということも、私はもう大体予想がつくと思います。そこで統制撤廃後において、この法案が通つたあとにおいて、どういう順序を経て、どういう経過措置をとつて行かれる方針か。たとえば配給面においては、いつまで麦の配給を続けて、米のみの配給にするのはいつか。また加工業者との関係においての制度の切りかえは一体どうなるのか。また補給金の問題は一体どうなるのか。聞くところによりますと、補給金は統制を撤廃しましてもつけるのだというようなことも聞いております。私はこういうようなことはないと思うのですが、統制撤廃後における経過措置、並びに最終段階においては、いつどのような方法で切りかえるかということについての大要を御説明願いたい。特に補給金の問題についての御見解を伺いたい。
  62. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 切りかえ措置その他について実は内部でまだ最後的に話を進めておりませんので、大体私どもだけの腹案であるというふうに御承知を願いたいと思います。大臣がお帰りになりましたならばまたお打合せをした上で若干変更する部面が出て来るだろうということは、ひとつ御承知おき願いたいのであります。  私どもだけの腹案から申しますれば、法律をもつて麦の統制方式に関する変更の御審議を願つて、これが通過をいたしまするのは、おそらく十一月前後ではなかろうかという見当を一応持つております。その際に、通過と同時にこれを切り離しますことは、年末金融非常に多端の折でもありますし、若干余裕期間を置いた方がよかろうということも考えておりますがゆえに、年を明けて一月から流通制限の撤廃をした方が、諸事円滑に行くのではなかろうかという腹案を持つております。しかしこれは最終的にきめたものでございませんので、そういう意味で御承知おき願いたいと思います。  それから補給金の問題は、麦はやはり漸次国際価格にさや寄せばしておりますけれども、若干この間に差もありますので、統制を撤廃いたしましても、補給金はつけて参りたいということで、ただいま話を進めております。
  63. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今検討中とおつしやいますから、私はこの際はつきり申し上げておきます。配給統制をやめ、価格統制もやめて、そうして補給金をつけるという。補給金は私が申すまでもなく消費者補給金であります。ところが一方において配給統制もやめるのだ、価格統制もやめるのだ、そうしておいて消費者補給金の名のもとに補給金を計上して、一体その補給金がどこへ消えて行くかということにつきましては、過去においても他の商品でこういう事例がたくさんある。補給金をつける以上は、一方において価格統制、配給統制を持たない限り、この補給金というものはとかく消費者の補給金にあらずして、加工業者の補給金であるとか、その他資本家方面の補給金になるというふうに、補給金の性格がかわるということは、議論じやない。過去においてすべての場合にそうなつておる。これにつきましては少しく御検討願わぬといかぬと思う。  それからもう一つ私が心配するのは、政府が一方においては相当の麦の手持ちをしておつて、一方においては自由にする。先ほどのお話ですと、ある段階においては、経過措置として一方に政府配給品があり、一方において自由販売がある。こういう場合に、良質にしてしかも廉価なものが自由販売であり、悪質にして高価なものが政府のものであるということに必ず私はなると思う。そういう場合に食管の方では、その特別会計に相当の赤字の負担を覚悟の上でやらなければいかぬと思うが、これらについて——これは将来の価格の予想でございますが、どういうふうにお考えになつておるか、これもひとつつけ加えてお話願いたいと思います。
  64. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 補給金の問題については、さような御議論も私ども十分過去の事例から見まして、また検討を加えるべき問題だと思つております。  それから今の経過措置の二重建の件でありますが、これが食管特別会計に非常に大きな穴をあけるかどうかという点につきましては、若干の別の考えを持つております。委託加工方式をどうせやめますから、そういたしますと、製品が政府手持ちになるということはないと思います。従つて原料の売り方が非常に少くなるという形において、端的に申しますと、卸の危険というものがそこに出て来る形になります。これは自由品の価格並びに品質と政府放出のものの製品との関係になつて参る。従つて要点だけ申し上げますと、委託加工方式というものはその際にはやめますので、政府の赤字という形が場合によりますと、政府原料の手持増という形において現われて来るというふうに考えております。
  65. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 委託加工はやめるのですが、その時期において政府原料といいますか、粉なり押麦の原料にあらず、第二次加工といいますか、この手持ちというものは相当あるのでしよう。この政府の二次加工と申しますか、三次加工と申しますか、この手持品が全部政府が手ばたきになるまで要するに配給を続ける、こういうことですか。その時期に初めて次の制度に切りかえる、こういうことですか。私はそうでなくて、委託加工はやめるけれども、一方においては政府手持ちは相当ある。たとえば十一月にこの法律が通つてやる。そのときに、おそらく私は粉にしても押麦にしても、今の政府手持ちは二箇月も三箇月もあると思う。一方において、今度は自由販売の良質廉価なものが出て来る。こういう場合に、この両方のものはどうしても並行して来ると思うのですが、これは私の考え違いかどうか、ひとつ御説明を願いたい。
  66. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 二次加工品については、委託加工方式をすでにやめておりますので、これは問題はなかろう。結局一次加工品の製粉、精麦であります。これは予算面からいたしますと、大体十月をもつて打切りになる予定であります。しかし全般の情勢からいたしまして、若干延ばして行くかとは思つております。しかしこれを切りかえますときには、やはり一次加工品の手持ち状況それからその後における売れ行きの状況等を考慮いたしまして、できるだけ一次加工品が政府手持ちにならないような形において処置を講じて参りたい。非常に抽象的でありまして、御納得が行かぬかと思いますが、その辺は月々の加工計画の面において考慮をして参りたいというふうに考えております。
  67. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 その点は私老婆心ながら非常に心配しております。どうぞ具体的にもう少し案を立てられて、そして公団がやめになつたときにはいつも政府が赤字を生じておるというような過去の例に徴して、十分慎重に御処置願いたいと思います。  それからもう一度私は補給金の問題にもどりますが、どうしても補給金というものは、私の結論から行けば、統制をやめた以上はつけるべきでない。補給金をつければ、その補給金をつけたことによつて、必ずその補給金が加工業者とかその他の資本家方面の道具になる。その方面に補給金を吸収されるということは、これはまつたく疑う余地がない。何のために補給金をつけたが、消費者のために補給金をつけたのでないという結論になるので、これはぜひ真剣に御討議願いたい。補給金をつける以上は、絶対に消費者の補給金として、消費者の手に必ず補給金相当額が行くという見通しがあるならば、別ですけれども、そういう見通しはいかに頭のいいあなたが研究されてもないと思う。この点については、慎重に補給金に対しては政務次官も御考慮願いたいと思います。  それから最後のお尋ねとして、私は実はえさのことを非常に心配しておる。御存じのように、八月、九月、今の時期が一番えさの安いときである。しかるに今年はこの安い時期にえさが非常に高い。ことにふすまとか、ぬかというものが非常に高い。なぜ高いかというと、あなたの方の御関係の加工の問題と関係して来ておる。今後加工数量との関連において、えさを下げて行く見通しがあるかどうか。同時に冬に入つて、えさが非常に不足して高くなる時期に、価格を安定するためには、今からあなたの方で相当の準備がなければならぬ。見通しがなければならぬと思いますが、これについて自由販売とももちろんからみますが、ひとつあなたの御見解を伺いたいと思います。
  68. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 えさの価格が非常に高いということで、この点はもちろんえさにつきましては、自由になりましたものも相当ありますけれども、大部分が政府の操作によつて発生いたしまするものに依存しておることが多いのでありまして、この点も私どもとしては考慮して、加工計画等も一面立てておるわけであります。今後この加工数量が相当ふえるかという点を申し上げますと、ただいま申し上げましたように、政府の委託加工方式を切りかえます際に、相当政府手持ちをするということを避けたいという意味からいたしますと、加工数量を若干減して行かなければならぬことになろうと思います。そうしますと発生をいたします副産物が少くなりまして、えさの方面には悪い影響を与えるということが一つの筋道だろうと思います。その辺は今後のえさの状況価格の変動等を見ながら、その点を調整して参りたいというだけのことであります。ただちに合えさに対する根本的な考え方から、加工数量を非常にふやして行くという考え方は、この際としてはなかなかとりにくいというふうに考えております。
  69. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今のえさに対する長官の御答弁は、きようは記者クラブの方もおいでになつておりますが、このあなたの御答弁を天下に発表した場合には、えさは明日から暴騰です。たいへんなことになる。ですから今現に六百五十円、七百円のふすまを農家が買つているこの姿をよく頭に置いて、そうしてそういうのんきなことでなしに、それはあなたの方で加工量をふやせば、粉がストックがふえる。従つて食管特別会計にどういう影響があるかということもよくわかりますが、さればといつて、今のような御答弁では、私自身がこういう質問をしたことによつて、明日からえさの価格が上るということになつては、私はとんでもない罪人になる。でありますからこれはひとつこの場合話が出た以上は、少くとも明日から暴落しなくてもいいが、えさについて少くとも盆国の有畜農家が安心のできるように、ひとつ政務次官と三人でよく御相談の上、何とか御答弁を願いたいと思います。
  70. 島村軍次

    ○島村説明員 河野さんのお店は非常に影響の多いもだのと思います。畜産局ともよく相談いたしまして、至急に具体案を研究を進めてお答えをいたすことにいたします。
  71. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは至急に御答弁いただきたいのですが、きようの午後とは申しませんから、遅くもあすの委員会の終るまでに具体的に畜産局と御相談の上今後の飼料対策についての御答弁を伺いたいと思います。飼料市価の安定のために、ひとつ具体案を立てて御答弁いただきたいということで私は質問を終ります。
  72. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一点だけお伺いしておきたいと思います。麦の統制を撤廃されるという大体既定の方針であると思いますが、そのことについて、大体麦だけを統制撤廃された場合に、輸入食糧の面で麦に関しては輸入されないのかどうか、この点を聞きたい。米だけ輸入されるか、あるいはその他のものも輸入されるのかどうか。
  73. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 麦も従来通り輸入いたします。情勢から申しますと、むしろ米の輸入はなかなか困難であるけれども、麦の方は比較的楽に行くのではないか、もちろん外貨事情もございますけれども、大体従来とかわりなしとお考えつておいていいと思います。
  74. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういうことだろうと思います。そういうことになりますと農村は心配になつて来る、というのは現在、先ほど食糧庁長官井上君に対する答えに、麦はクーポン券にしてからもあまり買手がない、心配じやない。こういうお吾であつたのであります。その上に麦の統制を撤廃する、輸入については麦をどんどん入れる、そうして自由販売になつて来る、そうなると、もし実際自由販売になつて価格が暴騰して来ると、輸入した麦をどんどん出していつて価格を押えて行く、今度は一応大きな国家資本を背景にして、そうして価格を押えて行くということになりますと、先ほど島村政務次官が言われたように、統制撤廃しても協同組合に金を貸して何とか操作するこおつしやいますけれども、しかし政府の政治的な大きな力で食糧価格というものを押えて行く政策には一つもかわりない、こういうふうに考えるのであります。そういうことになつて来るこ思いますが、この点はどうされますか。
  75. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 もちろん農産物の価格については、生産者の立場消費者の立場とあるわけであります。麦の統制撤廃と申しますが、実は統制撤廃でありませんので、統制の方式を変更するというふうに私は理解していいのでではないかと思います。と申しますのは、外麦——外国から入ります食糧は正部政府が握る。内地の麦につきまてしも、一定価格でもつて政府は申込みかあれば買うというわくがあるわけであります。その間に消費者にも非常に迷惑をかけずに、また生産者もがまんのできる価格で維持して行こうというやり方でやつて行きたいという意味合いでありますので、ただいま竹村さんのお話のように、価格が暴騰すれば暴騰しただけ生産者が有利になるのであるから、そうした外麦を政府が握つて国家資本を背景にして価格操作をすることはどんなものであろうというような御質問であつたと思いますが、実際はそれは逆ではないかというふうに考えておおります。
  76. 千賀康治

    ○千賀委員長 午後は二時から再開ることにして、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩     ————◇—————     午後二時四十一分開議
  77. 千賀康治

    ○千賀委員長 これより農林委員会を再開いたします。  米価に関する件を議題として審議を進めます。井上君。
  78. 井上良二

    井上(良)委員 先般九月末のパリテイ指数が二五〇という想定のもとに、本年の麦価を決定したのですが、その後政府の方で物価指数等を調査した結果、九月末のパリテイ指数はこの二五〇から相当下まわるという想定のもとに、二十六年度産米の買入れ価格をきめるまでに、すでに供出といいますか、政府は買上げる必要があるので、暫定的に内渡金をきめているはずです。それはたしか石六千円くらいの程度で押えているようです。つまりパリテイが相当下るという前提に立つて、二五〇の指数で行くならば、昨年通りの計算と特別加算額五%で七千三十円、大体従来七割か八割のところで内払金をきめておつたのを、非常に低目に押えている。こういうことから政府の方では、九月末のパリテイ指数が、およそ現在の指数から考えてどのくらいになるか、もしこの七千三十円を非常に下まわる場合には、当然ここに政府としては特別の措置を講じなければならぬ必要が起つて来はしないか。と言いますのは、従来毎年麦の買入れをいたします場合に、本年の米価は何ぼになるかということを想定いたしまして、それで麦を買い入れて来ております。そうしてその想定価格を大体産米の買入れ価格として実行して来ておるわけであります。そう大きい変動なしにやつて来ておるのであります。だから農民といたしますれば、本年もまた七千三十円で買うてもらえるだろう、こういう一つの安心の上に立つて供出がされるだろう。それでそのことが明らかにされませんと、たとえば供出後の自由販売であるとか、あるいはまた統制を緩和するとかいういろいろな報道がたびたび政府筋からされますので、このことから供出というものに相当重夫な影響を来します。そういう見地から、もし非常にパリテイ指数が下つた場合の措置、あるいはいや下りはせぬという見通しに立つておりますか、まだそういうことについて何ら具体的の検討を加えてないというのでありますか、検討を加えてないということはちよつと今のところ言えぬのじやないかという気がするのであります。というのは、暫定買入れ価格を指示いたしておりますから、その暫定買入れ価格を指示するについては、大体九月末のパリティがどのくらいになるかという想定に立つて暫定価格をきめられておる。従つて九月末のパリティ指数について、買入れの当局者は一体何ぼとお考えになつておりますか、それをひとつ伺いたい。それが今申しますように非常に下まわります場合は、その間に政府はどういう処置をとろうとするか、下つたら下つたでしようがない、こういうことになりますか、それは下げずに、特別加算額が五%しか基本価格に加算してありませんので、そこでその特別加算額をもう少しふやすようにするというか、それとも依然として、下つたら下つたままで計算して、逆に消費価格をこの際引下げるということにいたしますか、その間をひとつお聞かせ願いたいのと、それからここでそういうことになつて、パリテイ指数が非常に下る、また政府は実際上指数が下つたまま、特別加算額によつて算定するというようなことで調節をとりました場合の消費価格を、一体どう調整しようとするか、これらの問題は非常にやつかいな問題であろうと思いますので、一応その点についての買入れの、当局者である長官から御説明を願いたい。
  79. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 第一点の暫定政府買入れ価格の問題、これはちよつと誤解があると思います。また私ども報道関係者に十分な連絡をとらなかつたために、記事といたしましては、今井上さんが申されました意味においての記事が普遍的に行われましたので、この際私ども考えておるところを申し上げてみたいと思います。  暫定価格は、従来前年の価格をそのままとつてつたわけです。ことしでありますれば、昨年の四等の価格をとつて、それを暫定価格といたしております。しかしことしのようにパリティ指数が非常に上昇しておる状況において、前年の価格をそのまま持つて参りますことは、内払いにしろできるだけ高く私どもとしてはやりたいという意図からいたしまして、そのやり方を捨てまして、結論を申し上げますと、予算米価をとつたのであります。つまりパリテイ指数一九五プラス一五%というのが予算米価であります。その予算米価をもつて算定買入れ価格にいたしております。実はもつと高くいたしたかつたのでありますけれども、そういたしますと、パリティの推移というようなものについて、やはり議論がどうしても発展して参ります。一四〇になるか三〇になるかというようなことで非常に議論が出て参りまして、これも本年の米価をきめます際に、算定価格について向うと非常に問題を起したのでありまして、またこれで非常に問題を起して価格のきめ方がおそくなつてもまずいと思いまして、それには議論のほとんどない予算米価というものをもつてやるということで向うと折衝いたしまして、予算米価できめたのであります。従つてこれを今まで通りの、前年度の四等価格という基準でやりました上りも、石当り大体三百円程度高くなつております。従つてこれはパリティ論から離れまして、そのほかの方法でできるだけ高い算定価格を出したいというような意味で、予算米価を使つたというふうに御了承願いたいと思います。従つて九月末パリティが相当下るであろうというようなことを全然意図しておりません。  それから、この九月末の指数によつて算定米価を本ぎまりの米価にしなくちやならないのでありますが、従来の状況からいたしますと、あの当時想定いたしましたようなパリティ指数にはならないのじやないかと思います。そういたしますと、七千三十円というものが切れるという結果になります。しかし実際問題といたしまして、パリティ指数が幾つであつて、特別加算が幾らであつて、その前提の上に七千三十円ができたというものの、大体生産者といたしましては、今年の米は七千三千円だという結論によつて生産に励んでおると思うのであります。この期待を裏切るわけには参らぬと思います。パリティ指数がどう変更しようと、絶対価格はそうは動かせぬだろうと思います。もちろんその点は理論的根拠といたしまして、パリティ指数の方が下れば当然下るという出し方にはなりますけれども、それには特別加算の問題が、当初日本政府案としては一〇・二%でありましたものを五%に切りましたいきさつもございますし、またただいま米価審議会の小委員会で、米価の算定方式に関する専門的な結論を急いで出しておりますので、この辺のやり方も今7年の米価について私どもは具体的にはじいてみる必要があるだろうと思います。その辺の根拠というようなものの裏づけといたしまして七千円を割るというような米価は出さないように努力して参りたいという考えでおる次第であります。
  80. 井上良二

    井上(良)委員 そうすると食管ではまだ米価小委員会の今年産米に対する算定の結論が出るまでは、別に特別な意見を持つといいますか、調査をするといいますか、そういうことはしてない。それで七千三十円を下らないところにおいてきめたい、こういう御方針でございますか。
  81. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 二五〇を下ることは確実だと思いますが、どの程度に九月末のペリテイ指数がなりますかはつきりいたしませんので、おおむね今月末その辺の見当をつけた上で、七千円を確保するのにどういう方法でやつたらいいかということを、至急結論を出したいと思つておるのでありまして、ここ二、二週間はしばらく推移を見て、その上で作業を始めたいと考えております。
  82. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 今のお話ですと、今米価審議会の小委員会で米価算定方式について検討中である、その結論が出た上で、その結論に従つて米価の算定をやり直すというようなふうに承知していいでしようか。
  83. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 小委員会でいろいろな方式がございますが、一つ方式といたしましては、二十五年度の物価水準を基準にしたパリティ指数というようなものではじくのが、やはり昔の経済バランスということでなく、戦後における経済バランスというものを基礎に置いて考えるべきだという点から見ますと、そういう議論も一つあると思います。これも一応はとるべき道ではないかと思います。しかしそれが現実に、それでは幾らになるかということをはじいてみなければならぬわけであります。これは一両日中に大体米価審議会におきます方式もきまりますので、それの結論が出ましたならば、それによつて具体的な数字をはじいてみまして、その上で今年の七千三十円という米価とのにらみ合いをいたしまして処置をいたしたいというふうに考えております。
  84. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 私の伺つているのは、新しく生れて来ます米価審議会の算定方式をとつてやり直すということか、それとも今までのパリティ方式によつて出た七千三十円を基礎にして今後どこまでも行くのか、その双方のどちらをとつて行くのか、これを伺いたい。
  85. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 今のところでは、今後司令部との関係がどうなりますかまだはつきりいたしませんが、おそらく米価の問題につきましては、従来の経過がございまするので、若干まだ問題が残つておると存じます。その点を考えまずと、やはり従来のパリテイ方式というものが主になりまするけれども、それを補強する意味におきまして、新米価算定方式というものを確立して、それによつてはじきました結論を出して、それを一つの理論的根拠といたしまして七千円台のものを維持したい、こういうふうに考えております。
  86. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、米価算定の方式についての米価審議会の答申を勘案するという程度にしかお考えになつていないのですね。これを算定基礎として、今後は米価なり麦価なりを一切はじき出すというのじやなくて、従来のパリティ方式による算定方式に新しく答申された米価審議会の算定方式を勘案する。そうしてその勘案の程度はどういうふうな指数が出て来ましても、今までの七千三十円を維持するように勘案する、こういうこですか。そこをひとつ……。
  87. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 できれば米価算定方式によつて得ました方式を原則といたしたいのであります。今の段階においては、それをただちに原則にすると申し上げるわけにも参りませんので、従来の方式を今年の米価についてはとりますが、今のお話のような言葉であれば、今年の新しい算定方式を勘案するという結果になります。しかし状況の推移によりましては、今年のこの新しい算定方式を原則とするということになるかもしれません。さしあたりはそれを勘案するという形で参りたい。それで大体七千円というものは維持をしたいというふうに考えておる次第であります。
  88. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 これは長官に言つても無理ですけれども、今まで米価審議会の中に小委員会をつくつて、算定方式の検討を依頼した。この小委員会ができるまでの経過からいつて、勘案するということでは、私は少し納まらないんじやないかと思いますので、食管のみならず、政府全体が、従来のパハリティ方式による米価の決定は非常に不徹底であるということは、一致した結論として、その結果生まれたものが算定方式の小委員会であり、また小委員会を通じて米価審議会が政府に答申する、これは日ならずして答申の段階に来ておるのであります。この答申によつて新しい米価の決定をする。その結論が七千三十円になろうとも、私は極端にいえば六千円になろうとも、また逆に八千円になろうとも、一切の従来のパリティ方式の行き方から、新しい算定方式による新米価というもので切りかえて行くべきじやないかと思うのです。しかしこれは意見になりますからこの程度にとどめます。  もう一つ、この前の農林委員会で、新大臣就任早々のことでしたが、麦のバツク・ペイの問題です。供出以外の、農家の希望によつて政府に買い取つてもらつた麦に、供出の麦と同様な取扱いによるバツク・ぺイをするかどうかという質問を私がしたところが、農林大臣はそのときに、それとこれとは少しく性格が違うから自分はバツク・ペイずべきでないと思うというようなことを言われた。ところがその後長官が、それとこれとは同じに扱うべきだと思うというようなことも言つておられる。これはその後大分時日も経過しておりますし、政府としても統一した一つ考え方がまとまつておると思います。供出以外の麦も、供出の麦と同じような取扱いにおいて、バツク・ペイすべき場合には同様にパック・ペイするということに私は結論が出ていると思いますが、一応念のためにその点を伺つておきます。
  89. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 バツク・ぺイのことはまだ大臣ともはつきりその点お話はいたしておりませんけれども、供出以上に出ましたものの政府に売却されたものについては、当然バツク・ペイをすべきだと私は思つております。そういうことで内部をとりまとめて行きたいと思います。
  90. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつとこの際麦の追加支払いの問題ですが、先般本委員会でもこの追加支払い問題が非常にやかましく論議をされて政府の方では、旧盆前までに完全に農家に支払うようにする、こういうことで了承をいたしたのであります。ところがその後実際各農家に聞いてみますと、まだ今日に至るも支払われていない地方がたくさんございます。一体どこでそんなに手間取つているのですか。実は御存じ通り追加支払いでございますから、各農家の供出数量に応じて計算をしなければならぬので、相当ひまがいると思います。しかし当初にもすでにどこがなんぼ供出したということは支払い伝票なり買入れ伝票によつてわかつておるはずであります。従つて一軒当りなんぼ払わなければならぬかという計算が残るだけで、そんなに大きなひまがいるはずもないのですが、聞くところによると食糧事務所の方でその計算に非常なひまがいつている。食糧事務所の方の計算が済むと、今度は農協の販連の方ですか、その方へそれがまわつて、そこでまたしばらくあつためてそれからでなければ農民の手に渡らぬ、こういうことで政府の方ではとうに支払い命令が出ているのにかかわらず、農家に渡らぬ、途中でその金が昼寝している。相当大きな金額ですから、そういうものが途中で昼寝をする必要もなければ、故意に昼寝をさして金利をかせいでいる者が途中にあるかもしれない。そういうことについてあなたの方では一体どういう処置をとられておるか、すでに全部支払つたという報告が来ておりますか、どうなつておりますか、それを一応承つておきます。
  91. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 私どもの方には全部支払つたという報告が参つております。お話の点は具体的に調べてみる必要があると思いますけれども、こういう事例はしばしば聞きます。組合の方にその金が参りまして、その組合員個人に渡すのが渡されないで、増資に充当された、その際にもちろん組合員の同意を得ているだろうと思いますけれども、そのために現金としては生産者には行かなかつたという事例は、私どもしばしば聞いております。しかし国としてはその処置をいたしておりますが、具体的にどこでありますか、お知らせ願えれば私どもも調べてみます。
  92. 横田甚太郎

    ○横田委員 今度の農林委員会は、米価と肥料の問題で招集されたと思うのですが、来て見ますと、かんじんの安孫子長官が米価のことは一、二週間せぬとわからぬと言つておりますから、聞いてもしかたがないのですが、大体総まとめにして本筋のことを聞けば、こういうものは一、二週間たたないと事実がわからぬと言われるのですから、一、二週間後にしましよう。米の値段、これは大体昨年の米価算定法式の約束によりますと、七千四百八十四円支払つてもらえばいいんだ、それを七千三十円しか出さない。そうすると農民は一石について四百五十四円損だ。供出米は三千万石出るとすれば、農家のふところに入る金が百三十五億少なくしか入らない、これがわれわれの不平なんです。しかもパリティ計算によるところの米価のきめ方は、本来は安いというんです。安いということを前提にしておいて去年の約束通りといつてもこれだけの損になる。こういうような条件のもとに米価が安いと言われておりおつたにもかかわらず、最近はまた七千三十円の米価も払えない。六千五百円くらいになるのではないかという話があるのですが、その点はどうなんですか、これも一、二週間せぬとわからぬですか。
  93. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 六千五百円しか払わないということは、政府としては一つも言つたことはございません。
  94. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは大曲において根本農相が、米は自由販売にすると言われました。これに対しましてあなたが車中で非常に元気よく、そんなことは相談受けたことはない、できない相談だと言われました。そうすると食糧庁の役人は、さすが長官はえらいと喜んだといい、反面安孫子長官の首を飛ばしてしまえといううわさが飛んだ、すると長官は、その後米を自由販売にするというようなことは一つも言わなくなつた、こういう話があるのです。そこで私が聞きたいのは、食糧行政にあずかつておられるところのあなたの立場として、いわゆる日本の主食を扱うところの行政面から見て、自由販売というものがいいのですか、悪いのですか、その点をここではつきり承りたい。
  95. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 自由販売ということはいろいろ問題があろうかと思います。私どもがいろいろ考えておりますのは、麦についても同様でありますが、手放しにこれを自由にしようという考えはいたしておりません。やはり大きなわくを示しまして、而給の安定をはかり、また価格の安定をはかるという方策はあわせて講ずべきであるというふうに存じておりますし、またさような方向で参りたいと思つております。米については実効価格等から見まして必ずしも麦程度事態にあるとは私は考えておりません。従つて米についてはこれを間接統制にいたしますにしても、なお十分検討をしてみる必要があるというふうに考えて、おります。
  96. 横田甚太郎

    ○横田委員 検討してみる必要があるというのはどう云うことですか。自由党の代議士ときよう車中で話をしたのですが、指示価格をきめた形における自由販売は可能であろう、こういうふうな意味合いにおいてやるのだという話であつたのですが、そういうふうに検討の方向が進んでいるという話ですか。
  97. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 私どもは米の統制方式を変更するについて、最も重点であろうと考えられますることは、消費者の価格が一体どうなるかという点が第一点。第二点は生産資金、なおかつ現在農村金融の上において最も重要な役割を占めておりまする農業手形制度というものが、はたしてどういう形において成立して行くであろうかという点、そうした二点を最も重要視して検討すべき必要があろうと思います。
  98. 横田甚太郎

    ○横田委員 その消費者の価格を云々されますと、実にしやくにさわつて来るのです。米を配給しておられるのでしよう。その約束はいつも同じことですが、大体において一箇月のうちに十日分は内地米、五日分は外米、この規則にかわりはないのですね。私はその方針をそのまま聞いて演説会に参ります。そうしてそういうふうに配給されているのだろうと言いますと、大阪の守口では実際には日本の米は五日分しかもらつておらない、こういうような事実がある。これを一体どうするのか。だから私が言いたいことは、米の価格はきめられて、一つわくがあつて、一箇月に十日分が内地米、五日分が外米、あとはわけのわからぬところのアメリカの高い小麦、こうなつて参ります。これを総合して一箇月の家計費というものが出て来るはずなんですね。ところがそれを内地米五日にせられると非常に困るのです。これは大内力さんなんかが非常によく研究しておられますが、米は小麦より安く食える、だから所得の多い者は小麦を食う。少い者は米を食う。さらに生活程度の低い者は雑穀を食う、こう言われているのです。安く食える米を少くして高くつく小麦の方を多くやるというのは、非常な人民生活に対する圧迫だと思うのです。食糧配給、供出の実権を食糧庁が握つておる、国家権力をもつて計画的にこういう高くつく配給形式でやつているということは、非常に大きな人民への収奪になりやしないかと思うのです。その一つの生きた現われとして、食糧庁の職員は——あなたの給事だけは一般会計から出ているがあなた以外は消費者が米を買うところの金、これの頭をはねて集まつたところの食管特別会計の中から給料が出ている、こういうふうに私たちは聞いておるのです。十日分の約束で五日分しかもらつていないというのだが、これはどつちが正しいのか、それから内地米五日分のもらえる米がもらえない損害、これはどういう形で、配給を受けている人たちが政府に対して要求できるのか、このことについて聞きたい。
  99. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 大阪府の守口の配給については調べてみますが、大体東京を基準にして十日分内地米、五日分外米、大阪につきましては、若干内地米の率が悪いかと思います。しかし五日と十日というような、逆のようなことはないはずであります。これは具体的に調べましてお知らせをいたします。
  100. 横田甚太郎

    ○横田委員 具体的に調べてもらつた結果、事実が五日と十日が逆になつてつた場合は、結果はどうしてもらえるんですか、そうしないと何がために配給というわくをきめておるのかわからない。
  101. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 そういう場合の損害賠償が成り立つかどうか、私は疑問だと思います。
  102. 横田甚太郎

    ○横田委員 それならそれを受けなかつた人はどうするかということが問題になつて来る。これは後にもからまつて来るので聞きたいのですが、大体食管特別会計ほど恐しい人民収奪のからくりはないと思うのです。その一つとして、砂糖の値段を二割上げると言いましたね。これは農林省関係がありますが、この二割上げられたことについて、私は非常にふしぎに思うのです。二十六年八月八日の朝日新聞の記事によりますと、二十五年の七月に百ポンドの砂糖、十二貫百匁、これが八ドル五セントで入つてつた日本の金に直して二千八百九十円八十銭。これが二十六年に百ポンド、十二貫百匁が六ドル七十五セント、二千四百三十円で入つておる。つまり四百六十円安ぐ輸入されておる。にもかかわらず二割高く人民に売付けている。こういう事実があるのですが、これはほんとうなんですか。
  103. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 今のお話は買付価格ですか、買付価格は去年はずいぶん上りました。
  104. 横田甚太郎

    ○横田委員 今年は上つたのですか。
  105. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 今は若干持合いかと思います。戦争気構えが一時ありまして、その時分に相当価格が上りまして、その割合で持合いを続けておる、こういうふうに聞いております。
  106. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなことを聞いておるのではない。具体的に、プレスコ—ドというものに縛られて全面講和を主張できないところの新聞に出たその記事を正確なものとして聞いておるのです。具体的に言いますと、二十五年の七月に百ボンドの砂糖が二千八百九十円八十銭しております。それが一年たつた今年の七月において二千四百三十円、これは事実なんですか。こういう事実があつても二割上げたのですか上げないのですか、これだけを聞いておるのです。あとのごちやごちやしたことは、得意のからくりであつて、その搾取のからくりを糾明するのには、われわれはわれわれの強い組織をもつてそれから後にすることでありまして、まずこれだけを聞きたいり
  107. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 その数字は調べて御返事いたします。
  108. 横田甚太郎

    ○横田委員 調べて調べて、その調子だからあつちこつちに質問が飛び飛びになるのですが、それからもう一つ聞きますと、米の検査、これも委員長に特に断つておきますが、これが米価を構成する一つのからくりなんですからまたいつものように米価に関係ないなんて打切らずにお覚悟願いたい。供米検査の結果を見ますと、これも信ずべき新聞報道によりますと、四等米が四九%を突破しておる。そういうことが報ぜられておるのです。ところが政府は基準米価をきめる場合に、三等米できめておられる。この四九%の四等米がありながら、しかも三等米を基準にして消費価格をきめるということは、非常に妙な結果になりはしないか、片一方で農民からいい米を安く買つてつて、売るときには高い値で売りつけておる。これはどういう関係になるのですか、これも調査するというようなへまなことを言わずに——あなたは食糧庁に毎日すわつておるのですから、四等米が四九%になつたかならないかということを返答してもらいたい。
  109. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 昨年の産米については、四等米が四〇%台であつたかと思います。
  110. 横田甚太郎

    ○横田委員 それから農産物検査ですが、これはたしか配給を受ける人たちに、生産者が良心的なよいものを食わすということが主旨になつてつたと思う。そういう骨子はずつと流れておつたと思う。そういたしますと、その検査法によりまして検査した結果が、あなたの今の言葉をかりても、四等米が四〇%を越えておる。私に言わすと四九%を越えておる。これほど日本の米の品質が低下して米価が下げられておるにもかかわらず、外国から依然として悪い品質の米が高い値段で入つておる、こういうのです。だから農産物検査法がここで審議されたときに、これは内地の米だけをやるのですか、外国のものもやるのですかと言えば、外国のものはやらないということは言われなかつた。だから外国のものを検査しておるのか、おらないのか。検査しておるならば内地でやつておるのか。内地でやつておるなら、買つてしまつて俵をあけてみたら悪かつた、それを承知で人間に食わして、配給を受けた人に損をさせておるのですか、あるいはこれをほかの飼料にまわしておるのか、その関係を承りたい。
  111. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 外米につきましては、産地においてインポーターが一応検査して参りますが、これは主として数量検査になります。品質につきましては、サンプルがございまして、そのサンプルによつてつておりますので、こつちに着きましたものがそれに著しく違うという場合には、これはクレームの問題でありまして、そういう関係で処理をいたしております。
  112. 横田甚太郎

    ○横田委員 クレームで処理したものは一体どうなつておるのですか。
  113. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 クレームで処理いたしたものは損害賠償をとるなり、あるいは入りましたものがサンプルより相当悪い場合には、それを再調製をいたしまして配給にまわしております。
  114. 横田甚太郎

    ○横田委員 それらの損害賠償をとつたことがあるのですか。
  115. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ございます。
  116. 横田甚太郎

    ○横田委員 あるのだつたらございますという言葉でなしに、具体的に知らしていただきたい。たとえば日本がカナダの小麦を買つたといつて、この春の議会であなたは喜んでおられた。しかし私たちが世界のいろいろなニユースを聞いてみますと、あのカナダから日本の買つた小麦、あれをインドが飢餓だから入れようとしたときに、あれは牛の小麦じやないか、馬の小麦じやないか、いかにインドが飢餓でも、あんな飼料のようなものは受とれるかといつて、インドは断つた。こういうことを聞いておるのですが、その悪い小麦をお買いになつたのでしよう。だからそういうような意味で、もし損害賠償を受けられたとすれば、カナダとの関係においてそんな事実があつたかなかつたか、あつたとすれば何ぼおもらいになつたのですか。そうでなかつたら、日本に入つて来た牛や馬の食う小麦を、いかに戦敗国でありながら、人民の台所へ押し込んで、そうして一体どういうふうに処理されたか。こんなことをやつてつてあなたの良心は一体どうなのか、このことを聞きたい。
  117. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 カナダ小麦についてはクレームをとつた覚えはございませんが、おそらく今の話はカナダの五等麦の問題とこんがらがつてお話があつたのじやないかと思います。これは配給には適当じやないけれども、えさの事情が非常に国内において悪いから、えさとして使うというような意味においてでも、五等麦を買つた方がいいのじやないかということで買つたことはございます。
  118. 横田甚太郎

    ○横田委員 えさとしてお買いになつたのつたら、えさとして配給されたのですか、どういうふうに配給されたのですか。それをなぜ聞くかと言えば、この春の議会において、河野君とかあるいは小笠原さんとかが中心になつて配給辞退になつたところのとうもろこしを配給したのです。それが食糧庁から出て大阪にも来たのです。ところが農民のふところには入つておらないし、しかも金を納めたにもかかわらず、いまだにとうもろこしの現物はもらつておらないと不平を聞くのです。だからもしカナダから飼料として買つて、飼料として日本に量りないから配つたと言われるのならば、言葉は合うのですが、実際上はそうじやないのですから、ほんとうに具体的な事実をあげて、それを説明してもらいたいのです。
  119. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 具体的に調べましてお答えいたします。
  120. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたはいつも具体的に調べると言つて、答えたことがない。予算委員会のときでもそうだつた。具体的に調べて答えるということは、きようを過して次のときに答えるという意味ですか。それともやがてときもたてば忘れるだろう、すると答えないでいいという意味ですか。あなたのところには資料はないのですか。
  121. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 これは決して忘れるということじやなく、この次にお答えをいたします。
  122. 横田甚太郎

    ○横田委員 この次じやいやですから、今度は文書で回答してもらいたい。  もう一つお尋ねしておきますが、これはこの前根本農林大臣に聞きまして非常に反動的な答弁を得て、結局何もわからなかつたのです。それで聞くのですが、米飯店が町にあります。これはたしか許可される場合に、米の配給は認めない、こういう形において許可されていると思う。それが最近町で米を加工して飾つたところの店がたくさんできている。私はそれがいいとか悪いとか、やぼなことを言うのではない、これが時勢であつて、米を食わすのがいかぬと言つていたら、はやらぬのが日本の現状になつておりますから、これはもちろんいいです。いいのですけれども、これで聞きたいことは、東京都におきましても非常に多くのやみ食券が横行している。これも新聞の調査によりますと、一箇月に三百万枚のやみ食券が出ている。一人が九勺ずつ食うものとしたら二千七百石の米を食つているのです。米にして六千俵余りの米だ。こういう米が東京の町に出ているということは、食糧庁から米を出しているのか、食糧庁からおそらく出しているとは言わないと思いますが、そうであるならば一体こんな米はどこから出ているのか。一方秋田県におきましては、米が七十五円で配給されるのを百姓は六十五円で売つている。こういうことも聞くのです。これも新聞記事としてはつきりあるのです。だから私は、東京都内におけるところの三百万枚の米を食わせるゆとりのあるところの主食行政のやり方、これに対してあなたはどういうふうなお考えを持つておられるか聞きたい。
  123. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 結局やみの米がどの程度流れて来るかという問題に尽きると思います。これは供出制度とうらはらになりまして、非常にきつい供出をやりますれば、やみのものは割に減つて来ると思います。昨年の米につきましては、私ども端的に申しますと、一昨々年当時に比べますと、供出量は若干甘かつたという感じであります。そのためにやみへ流れまする米が比較的多かつたのであろう、そういうものが流れておるだろうということは推察できます。
  124. 横田甚太郎

    ○横田委員 こういうことについてはどうお考えですか。秋田県におきましては、七十五円の米を六十五円で売つて百姓がやりくりをやつている。その結果として、自由党がたいごたたいてやつたところの民営米屋が米を配ろうとしたら、五月は七割の配給辞退があつた。一方においては、配給の面からそういう破綻が場来ているにかかわらす、東京においてはやみの米がある。大阪の守口におきましては、十日の内地米、五日の外米の政府配給約束のやつが、五日分の米だけしか来ない、こういうことになつておる、自由党の統制撤廃による人民の食生活の確保ということは、実際においては、金のある者は銀飯で、金のない者は配給わくによるところの外国の高くつくような品物を食わす、こういうふうになるのじやないか、その点についてどういうふうにお考えになるか。どう処理したら寺口のような結果がなくなるか、あるいは秋田県のような結果がなくなるか、東京における銀飯の問題がなくなるか、この点どうお考えになりますか。
  125. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 やはり政府で集めまする米を非常に多くするということだろうと思います。
  126. 横田甚太郎

    ○横田委員 多くするということを言われるのだつたら、あなたの言つておられる答弁には一つも誠意がない。やみの米だつた政府が集めなくてもかつてに集まつて来る。役人を置いて、巡査がピストルやこん棒でおどかしても米は集まらぬ。米というものはやはり経済の法則によつてつくられるものですから、価値さえ合えば出すのです。やみの米というものはかつてに農民がきめるものじやない。たくさん米をつくつて、そして余らして、腐らして喜ぶ百姓はどこにもない。わらは腐らしても米は腐らせない。政府が七千三十円の米——いわゆる七千四百八十四円になるべき米価を出さすに、それで合理的に集まる自信があるか、それについてあなたのお考えはどうですか。
  127. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 配給食糧をよけいにしようと思えばどうしても集荷を充実しなければならぬ。それにはやはり価格の問題が非常に重要であります。従つて先ほどから申し上げておりますように、ことしの米価については七千円を下らぬように努力いたしたいと思います。
  128. 横田甚太郎

    ○横田委員 七千円を下らないようにすると言つておられますが、これからきたいことは、あなたは避けるかもしれませんが、講和会議が調印されて、米軍司令部は東京から立川まで引くそうです。そういたしますと、七千円を割ろうが、七千円に三十円ちよつと出しておいて、四百五十円くらいの損でがまんさそうが、こういうような形におけるきわどい経済上の日本搾取のためのやりくり、これは一体どういう点まで自信を持つて排除できるのですか、これに対する見通しはどうか。講和会議が調印されて日本も一人前の国になつたと言つて、サンフランシスコで吉田さんが喜んでおる。一方日本の農村でつくつて、農民が損をしない再生産費を償うくらいの米の値段がきめられないのか、日農の農民たちは、米価が一万円であれば出すと言つておる。一万円ならば出すが一万円以下に切れる場合だつたら出さない。今までだつた日本は負けた国で、アメリカが番をしに来ていたから無理にとられたが、今度は日本人による自主的政治と言われるのですから、農民が一万円でなかつたら出さぬと言つた場合、一体あなたはどういうふうになさるか。
  129. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 一万円という米価は川考えておりません。
  130. 竹村奈良一

    ○竹村委員 先ほど井上委員質問で、大体麦の追加払いというのは末端まで全部行つておるはずだというお話があつたのですが、これを全部支払えという命令を出されたのはいつですか。
  131. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 あれは旧盆の十日くらい前、八月の初めだと思つております。米価問題が確定をいたしましてただちに支払いを開始しましたから、八月十日前後だと思つております。
  132. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、さつきの井上君の議論を聞いておりますと、あたかも、末端まで政府はもう金を払つて来ておるのだけれども、末端が受取らないのだ、しかも横流ししているのだというような印象が強い。ところが今聞いておりますと、八月十日に払えという指令をした。現在の支払い方法を政府がとつておる限り、どんなことをしても八月十日に支払えぬという現実がある。というのは御承知だと思いますが、一村について大体五百か六百戸ですが、追加払いについては、供出農家の普通供出量、超過供出量について別々に追加払いの個人個人の請求書を協同組合がこしらえて食糧事務所に出さなければならぬ、食糧事務所ではこれに対して、ああだこうだとこまかいことを言つて、計算をやりなおして食糧事務所に行つて食糧事務所で計算をやりなおして、そのやりなおしたやつに対して食糧事務所がオーケーといつて判を押して、それが末端の食糧事務所に来て初めて支払いが開始される。すると十日ごろに命令を出して、十五日までと言つたつてできるはずがない。未だに支払われていないということで非常に迷惑しておる。ああいう機構——たとえば村でどれだけ供出したか、すぐ金着渡すから計算せよというなら別ですけれども食糧事務所で十銭以下の切すてが足る足らぬということまでやつてつたのでは、盆までに間に合わせるということは、実際問題としてできません。協同組合が出資金に振当ておるというようなことはけしからぬ話です。そういう話はずいぶん聞きますけれども、実際問題、として政府が農民に現金を支払うのに、ああいう機構では、少くとも私の考えでは、末端の協同組合がいくら精を出して請求書をこしらえても、少くとも一箇月は全部払うまでにかかる。それをのんきに十五日までに払う、五日間で払うと言つても、ああいう事務をやらせておつては、とても問題は解決しない。この点は、たとえば今度の支払い方法でも、もつと簡便に、出したものにはすぐ払えるように、たとえば現金をその場で引きかえられるように、出荷業者に預託されるというような方法ならできますけれども、あれだけの事務的の手続を強要されておつては、支払いまでには少くとも十五日ないしは一箇月かかる、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  133. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 実は誤解があつたかと思いますが、井上さんのお話は、今でもまだ払われていない所もあるというようなお尋ねであつたかと思いますので、そんなことはなかろうということを申し上げたのであります。また旧盆にあの当時二週間くらいの期間しかなかつたかと思います。間に合つたところと間に合わないところがあります。これは協同組合がバツク・ペーがすぐ来るということで、手まわしよく事務処理をした所は間に合つております。しからざる所は間に合つていない所があります。現に私の国であります庄内販連あたりでは、確実に盆に間に合わしております。そのためには前から準備しておつたということはございます。地方によつて若干の違いはあります。
  134. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 横田君の輸入の問題に関連してちよつと伺つておきたいのです。将来自由販売になつたとき、また現在の段階でもそうですが、輸入の米なり麦の管理、これをどの程度まで後退されるか。輸入米、輸入麦に対する管理について、政府は全然管理の外に立つのか、それとも管理をするにしても、どの線までもどるのであるか。こういう点についてのお考えを承りたい。と同時に一つつておきたいのですが、現在政府が、たとえばここに三十万トンの輸入をするということをきめますと、大勢の輸入業者が、あちらからも三十万トン、こちらからも三十万トンということで、外国に向つてはこれが百万トンになり、百五十万トンの数量になり、外国の市場を刺激するということで、政府が決定した輸入計画によつて、外国の市場をいたずらに刺激して、外国市場価格さえも、日本のわずかの輸入数量によつて高騰させるという事例が今まであつたように聞いておるのでありますが、私もまたそういうことはあり得ると思う。ついてはこれらの弊害を除去するために、何らか今の管理方式についても、また今のインポータ治の取扱い方法についても、政府はもう少し考えるべきではないか、こう思うのですが、これにつきまして御意見があつたら伺いたいと思います。
  135. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 たとえば、かりに統制の今のやり方をかえた場合に、輸入食糧をどの程度まで政府が押えるかということは、これはやはり国内に入りますものは全部特別会計において買いとりまして、国内操作は一手に政府がやるということにいたしたいと思つております。それから輸入方式につきましては、お話の点が前々からあるのであります。十万トンの買付が三十万トン、五十万トンになつて、産地を刺激して値段の高騰を招いておるということは、産地からもそういう情報が入つております。日本が買い付けることについて、各国からいろいろ非難をこうむるのもその辺にあるようであります。従つて今のやり方をどうしてもかえなければならぬような段階に私は来ておると思います。この際に考えられますことは、昔やつておりましたような一つのエージェント式にやるということもありましようが、しかし現在の状況下におきまして、どれをどう選ぶかということが非常に困難な状況にありますので、この点は何とか打開しなければならぬと考えながら、まだ結論を得ないで、いろいろ検討しておる最中でございます。
  136. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この際再び答弁を求めようとは思いませんけれども、今後段に御答弁のあつた、いたずらに外国の市場を刺戟して、安く買えるものを高く買うような弊害が起つておるということ、これは現に過去において、また現在においてそういう弊害は出ておるのですから、これは長官ひとつ大いに勇気を出して、いかにわれわれが自由経済と言いましても、何でもかんでも、損が行つて自由経済とは言わないのだから、これはひとつ躊躇することなく、現実にそういう弊害が起つたら次の段階には、この弊害を除去する方法があれば、これはエージェントでもけつこうですが、なぜこれを躊躇六れておるか、どこにあなたを躊躇させる力があるのか、これは及ばずながらわれわれも大いにあなたの力になつて、そうして最も経済的な輸入方法、経済的な管理方法をやりたいと思つておりますが、参考までに、どういう直があなたを躊躇させておるか、これをひとつ伺えればたいへんけつこうだと思います。
  137. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 躊躇しておるわけではありませんので、どういう方法が一番いいかを検討しておるということであります。経過を申し上げますと、一昨年の暮れあたりに、大体指定制によりまして入れようかという話もあつたわけであります。しかしながら、貿易の開放性と申しますか、だれでもできるという建前を貫くべきだという一つ貿易上のプリンシプルがありまして、それと全面的に衝突をいたしまして、食糧庁としては敗退をいたしまして、今のようなやり方で来ておるわけであります。こうした貿易上の原則というものも、順次こういう情勢になればかえるべきだろうと思います。それと一致させまして、食糧買付けの方式考えたいと思つております     —————————————
  138. 千賀康治

    ○千賀委員長 次に農林災害の件につきまして審議をいたします。  今日は農林省の農地局建設部災害復旧課の清水義雄君と安本建設交通局公共事業課建部仁彦君の御両君が御出席でありますが、この審議を全部完了するのには、ややこれだけでは人が足りない感じがいたしますけれどもせつかく両君もおいででありますし、前会にも、今年七月ごろの災害に対して予備金から五十億とりあえず流用するようにという決議も委員会でいたして、これを進言いたしておりますので、まず両君からこの災害につきまして、その後復旧の面についてどういう措置がとられておるか、この説明をあらかじめ聞くと同時に、大体今年の災害も、もう二百二十日を経過せんとしておりますので、あとの災害はないと断定していいと思います。すみやかにもう措置にかからなければ悔を残すと思いますので、この点を御審議を願いたいと思います。
  139. 清水義雄

    ○清水説明員 お手元に差上げておる資料をごらんに願いたいと思います。  昭和二十六年度発生災害による復旧費予備金支出要求書ということになつております。その三枚目を見ていただきたいと思います。本年度の農地関係の災害復旧額は、この欄の復旧額の合計の下になつておりますが、二百四十九億、大体二百五十億という数字になつております。それに対しまして、ただいま本年度所要額として要求いたしておりまする額は、右の端の下の欄にありますが、七十五億七千二百万、それに事務費その他のものを加えまして八十億という数字になつております。ここで特に三日お断り申し上げておかなければならないことは、本年度発生災害の中で、地盤沈下というのが出ておりますが、これは農林省といたしましては、昨年度一応とりまとめまして予算要求をしたのであります。たまたま全般的な査定調査が遅れておりましたために、二十五年度の災害として取扱うことはどうもおかしいということで、二十六年度の新規災害——たまたま査定調査の終りましたのが二十六年度に入りましたので、二十五年の新規災害ということで、新規災害の方に含めて要求いたしておるのでございますが、その後、地盤沈下の問題は、もともと昭和二十年、二十一年の東海、南海震災に基くそれの影響でありますので、原因は去年発生したものではなくして、その後続いた地盤沈下の累計が被害を与えておるということになりますので、二十六年度の新規災害として考えることがおかしいじやないかという意見が出て参りました。そこでこの地盤沈下の問題につきましては、目下安定本部並びに大蔵省と折衝中でありますが、新規災害として取扱うのではなくして、改良三業としての扱いをすべきが適当である、こういうふうな話合いを進めておるのであります。従つて全額約二百五十億になつておりますが、実際の本年度は発生しました災害は、それから八十億をとりました百七十億という数字になるのであります。それに対しましては、一応明年度の植付期までにはぜひとも八十億円程度の復旧費を緊急必要であると認めまして、今予算要求中であります。
  140. 建部仁彦

    ○建部説明員 私の方は大体今年の七月までに発生いたしました——一部は八月の初に発生したものもございますが、七月までに発生しましたものを八月一ぱいを締切りといたしまして、査定を完了して、要求書を私の方に頂戴するように、各省に連絡いたしたのでありますが、七月の低気圧にある豪雨の災害が非常に大きかつたせいだと思いますが、査定に日数をとりまして、現在私の方に集まつておりますのは、農業関係、河川関係、都市関係で一部住宅の災害がございますが、その程度が集まつておるだけでありまして、ほかの山林関係、港湾関係、漁港関係、こういうものの査定がまだ集まつておりませんので、第一次として出します災害の査定や集計がまだできない次第でございます。幸い今年は二百十日も無事に、過ぎまして、二百二十日もどうやら無事に過ぎるのではないかと思いますので、その点今後全然災害がなければ、割合によい率をもつてこれに対して予算をつけることができるのではないかと思いますが、昨年のキジア台風は九月末にありましたし、その他年々十月ごろにも参る例もございますし、また十二月には冬季の冷害というものもございますので、今思い切つて八十億の金を全部使つてしまうというわけには参らないのであります。集計を見まして八十億の中から幾ら出すべきかということを検討いたしまして進めたいと思つてお参ります。ただいま要求書が次々に集まつておりますので、近々には全部出そろいまして、集計をいたしまして、今年の第一次に出しまする災害復旧費を早急に検討いたしたいと考えております。
  141. 千賀康治

    ○千賀委員長 御質疑ございませんか。
  142. 井上良二

    井上(良)委員 政府の方では、先般八月以前に起りました災害について、特にケイト台風並びに水害等に関する復旧につきまして、この予備金を見返りにつなぎ資金を出されております。このつなぎ資金を出します場合、これは暫定的に応急措置としてつなぎ資金を出すが、遅くとも八月末または九月上旬までに、予備金から補助金を出すようにする、こういうことをここで農林大臣も言明をし、安本の方も言明をされておりますが、ただいまの御説明によりますと、農業、河川等の関係はその所管省の査定が終つて安本の方に提出済みだそうですが、他の関係のものがまだ集まつて来ないので、全体を見るまでは何ともできぬ、こういうわけでこの結論がつけられずにおるわけです。これは安本の人に聞いてもわからぬかもしれませんが、およそまだ未提出の各災害の復旧額の要求について、どのくらい日時があれば集まる予定でおりますか。  それから今度は八十億の予備金中の支出の問題でございますが、今のお話によると、まだこれから先災害がないとは言えぬから、全部は出せぬ、こういうお話でごもつともと思います。ところがもし来年の春まで待つて予備金全部使う必要がなかつたということで残額が出ました場合は、これはいらなかつた金だからということで、繰越すということになりますね。御存じ通り災害復旧はすでに事業がそれぞれみな遅れておりまして、実際必要からすでに事業を完成せなければならぬはめになつて金融その他非常に困難なやりくりをやりまして、補助金の出るのをそれぞれ災害地の方々は待つておるのであります。そういう関係から、少くとも九月末までに大幅な災害がございません場合は、予備金八十億を全部出す。なおその後において起りますものについては、特に補正予算考えられておりますから、補正予算で新しく予備金を三十億なり、五十億なり持つというような方法がとれぬものか、それらの点についてまず伺つておきたいと思います。
  143. 建部仁彦

    ○建部説明員 二十六年度発生災害と申しますのは、予算の会計年度ではございませんので十二月をもつて締め切ります。従いまして三月末になつて災害がないので残額を残すということはございません。十二月の末でないかあるかわかりますので、一月中には既往の災害に配分して出します。これは二十五年度においても同様にいたしました。  次に九月ごろに切つて出すとおつしやいますけれども、これは一応二十六年発生災害ということになつておりますので、特に昨年みたいにジェーン、キジア等相次いで非常に大きな災害が来たような場合を除きましては、一応は八十億でまかないたいという考えでございますが、特に大きな災害でも参りますれば、とうてい八十億ではまかない切れませんので、これに対しましては、ぜひとも補正予算をとりまして、その大きな災害に対しまして、ある程度の復旧はやつて行きたい、こういうふうに思つております。
  144. 井上良二

    井上(良)委員 私が前提として質問しましたものは、あなたの方へ各省の災害復旧の要求額がいつごろ集まるかというのです。これはのんべんだらりと待たれておつたのでは、まじめに早く提出した、早く補助金を下げてもらおうと思う県はえらい迷惑である。農地関係の方におきましては、それぞれ八月の十五日までに出せということで、昼夜兼行で設計査定をやつてもらつて出しておるわけです。それというのが、非常に復旧を急ぎまして、特に冬の間に復旧しなければならぬということから、非常に補助金の下るのを待つております。しかるに他の関係が一向進まぬというので、のんべんだらりと待たされたのでは、下の工事をやつておる者は非常に迷惑です。もちろんこのつなぎ資金を出してあるというものの、それはわずかの金額であります。そういうことからいたしまして、ここに安本としては、たとえば九月十五日なら十五日まで待つて出さないものは、もう次の査定にまわすというくらいの、ひとつ期間を切つて、あなたの方に早く出さすようにやるわけには参りませんか。そうしなければ早く出したものはえらい迷惑です。そんなぐずぐずして出さぬものはあとまわしということにして、早く査定をきめてあげて、大体被害総額が、ケイト豪雨等によつて五百億見当でありますから、あとに残るものはどのくらいかということは、およそあなたの方でも見当がついていると思いますから、せめて出て来たものでも早く処置をして、して補助金を早く出してやるということにしてもらわぬと、みんなそろわなければどうもならぬ、しかもそれが何らの期間も切つてないということであるなら、これは非常に迷惑しますが、そういう処置をとるお考えはありませんか伺いたい。
  145. 建部仁彦

    ○建部説明員 私の方といたしましては、八月一ぱいをもつて期限として集めたわけであります。お手元に農林省の方から提出されましたものが、私の方に参りました予算要求書でありまして、これに日附が入つております。これには二十六年八月三十一日とありますので、その以後において私の方では受取つたのであります。先週末に受取つたのであります。河川におきましても、実は本日受取りました。河川と農業が大体八割以上を占めますので、さつそく小さい方は本日をもつて全部督促中であります。従いまして、どうしても間に合わないものは、当然次の機会にまわしまして、河川と農業が大体災害の大宗をなしておりますので、ほかの方の小さいものが間に合わないからといつて、それに引きずられて遷延するということは、いたさないつもりであります。ただ一応私の方といたしましては、本日全部に対して督促を出しました。
  146. 井上良二

    井上(良)委員 いま一点、先般出しましたあのつなぎ資金の問題でございますが、これを各県に、それぞれ被害の事実に基いて按分をいたして割当てておりますが、これは大体補助金を見当てにした割当になつておりますか。大体被害額に応じて、補助金は五〇%としてこのくらい出る、そこでつなぎ資金はこの仕度でと、こういうあんばいで出されておるのではないかと思いますが、さようでございますが、それを一点伺いたい。  それからいま一つは、これを公共事業の対象になる以外の面に使つている地方がありますが、それをどうお考えでございますか。それからこれをかりに公共事業に使うことになつた場合、当然その補助金が下つたらさつぴかれて清算がされることになろうと思います。県に補助金が参りました場合、県はそれを各担当市町村に割当てておりますが、この金は一応金融として貸付になつております。そこで補助金が来ました場合は、当然差引き勘定にされると思います。ところがここで問題になりますのは、たとえば一つの工事が三箇年計画、五箇年計画というふうに、被害の大きさに応じて、施行が年度計画になるものが多いだろうと思います。そうなりますと、一工事に対する補助金が三年に分割されて下つて来る形になります。しかし一方金融は、かりに三月三十一日まで年度があるとして、その間に払わなんだ場合には、補助金が三月三十一日までに、本年度分の補助金としてそれを下まわつてつて来ました場合には、地元は金を県庁に返さなければならぬ。ところがその金はすでに工事に使つてしまつて、ない。新しくまた別の金融をつけなければならぬが、しかし次年度を待てば、その工事に対する補助金がおりて来る、こういうことになりまして、そこにたいへんな金融上の困難な問題が起つております。従つてその場合、特にまた返せとかいわずに、それを工事の完成まで長期に貸しつけておく、こういう措置はとれるものですか、とれぬものですか。なぜならば、補助金は三年なら三年に分割して下つて来ますから、補助金を目当にした金融をしております。従つて補助金が下る以上は、その金融は補助金の下るまで貸しておく。こういう措置をとつてやりませんと、下の方では非常に迷惑する、その点どうお考えになりますか、その二点をお伺いいたします。
  147. 清水義雄

    ○清水説明員 第一の御質問についてでありますが、緊急融資につきましては、御説の通りこれは補助金を目当として考えておりますので、補助金が交付になりますれば、それで緊急融資の方は措置するというふうに考えて、配分をいたしたいと思つております。  第二の問題につきましては、繰越し事業に対して、補助金が事業の進展に伴わない、補助金が余るということについて、それは貸付という形で残せないのかどうかということでありますが、最近は非常に補助金が乏しいのでありまして、これが中途においてだぶつくというようなことは絶対に避けなければなりません。経済効果を百パーセントに発揮しなければならぬという観点からも、そういうことは許されない実情にあると思うのであります。従つてもとより次年度に貸し付けるというような形で残すことは絶対にできません。また個々の地区について補助金を交付する場合にも、事業の性質なり進展状況をかみ合せまして交付することにいたしておりますので、そういうことは絶対に避けるように、農林省としては万全の措置を講ずる方針をとつております。
  148. 井上良二

    井上(良)委員 私の聞いておりますのは、たとえばここに五十万円なら五十万円の事業をやらなければならぬことになつた、それに対して政府の補助が、五〇%ですか、二十五万円の補助金があるわけでしよう。五十万円の工事に対して、その二十五万円の補助金を対象としていわゆるつなぎ資金を借りているわけです。その五十万円の工事がこの年度に完了します場合は、それで問題はないのであります。ところが工事によつては、二箇年計画、三箇年計画で復旧しなければならぬものが起つて来るわけです。工事の質によつては、今年の補助金が来年にまたがつて行く工事があります。今年の被害額は、全部補助金をくれるということなら問題はない。ところがそうではなしに、三箇年に分割して渡すのでしよう。そうすると、かりに今年の分は、五十万円の工事に対して二十五万円ということがあつても、その三年にまたがつたものはその三分の一しか補助金をくれない。ところが資金はかりに二十五万円を見込んで借りたとします—— 三分の一しか貸してないということなら問題はないが、それ以上借り受けた分があつた場合——補助金額よりも借入金が多い場合、当然三月三十一日に返さなければならぬことになつてしまいます。ところが次年度まで待てばまたその上に補助金が来ますから、従つて地元では、その場合はつなぎ資金は全部使つてしまつております。返せといつても返す金がない。そこで次年度には当然補助金が下つて来ますから、待つてつてはどうか、待てぬのかというのが、私の質問の重点です。  それからつなぎ資金を三分の一しか渡してない、こういうのならいいのです。三年継続になる分ですから、従つて三分の一の計算で渡してあるというのならいいけれども、そうではない場合があるわけですね。査定の結果、これは三年継続事業として、本年度分の補助金はこれこれ、こう来る。しかしつなぎ資金は、災害被害額に応じて金融わくは割当ててありますから、実際あなたの方が計算した最後の結論と、あのつなぎ資金の割当の結論とは違つて来るわけであります。現地においては、事実はその金は工事に使つてしまうわけですね。ところが借金になつておりますから、三月三十一日になつたら政府に払わなければならぬ。しかし拭えといつても、現実には使つてしまつております。それを来年まで待てば、工事に対する補助金が来るのですから、その借りかえをあなたの方でやつてくれればいいが、借りかえをやらなければ、それを待つてやるほかしようがないではないか、そういう意味であります。
  149. 清水義雄

    ○清水説明員 まずお答えする前に、つなぎ資金と補助金との性格が少し違う点をお話申上げたいと思います。資金運用部資金から出る緊急融資は、これは県に貸すのであります。従つて今度は県が市町村に貸し与えるということになつております。一般の国で取扱う補助金は、これは国が直接地元に貸付けるのでありまして、県は通らない建前になつております。従つてこのつなぎ資金の使途につきましては、これは知事の権限で貸し与えられるのでございますから、市町村の末端に行きましたときに、これが、先程お話にありましたように、公共事業外の仕事にも使われる而も出て来るかと思います。しかしながらこれはあくまで県に貸してあるので、知事が責任を持つてもらわなければならぬ。国としては、災生復旧に対する緊急融資でありますから、これはいずれ補助金でもつて裏づけをしなければならぬという強い気持を持つておりますから、県に対してそれだけの多づけをぜひやりたい、こういう考えであります。従つてこの補助金と融資との食い違いの点につきましては、場合によつては、どうしてもその埋合せができない補助金につきましては、仕事の出来高に応じて交付せられるのでありますから、その行き違いについては、当然地元がこの支払いをして行かなければならぬということになります。
  150. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一言お聞きしておきたいのは、たとえば政府が災害復旧の工事をやるのはもちろん、復旧資金を出して工事をやる場合の監督は、農林省は一体どういうふうにされておるのか、たとえば工事が進行しておるなら地元にまかせきりであるのか、あるいは完成された後において、農林省はいわゆる国の工事、たとえば全額国庫負担の工事はどういうふうに監督されるか、これは地元にまかせきりでほうつておかれるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  151. 清水義雄

    ○清水説明員 監督の件につきましては、第一次監督は知事になつております。その次は当然農林大臣が監督しなければならぬ。ただ第一次的な監督は知事にやつてもらわなければならぬというふうに法律で定められておりますので、国としては努めて工事の末端を監督するように努めております。
  152. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは先般七月十一日に起りました京都における平安池決壊、これは御承知のように、農林省が全国的模範的な工事だとして二千万円投じてやられた。ところが七月十一日、不幸にしてあの災害によつて決壊して、しかもそれが工事の点については、地元民においていろいろな非難があるわけですが、ともかくそれで人命が大体百三人なくなつておる。あるいはそのために田畑の流失が三百十八町もあるというような厖大なものである。そのほか家屋の倒壊等も非常に多いわけでありますが、これの二千万円が、農林省の模範工事ということで亀岡町に下付されて、亀岡町の鹿島組に七百万円で請負わされて、残りの金がどこに行つたかわからない。結局決壊の原因はこういうところにあつたのではないか。それからそれに水を引くところの谷を——御室川の決壊した所の工事を毎年やつておるがそのあと決壊した所を見ると、あき樽のセメント樽がコンクリートの中からどんどん出て来た。こういうことで百三人の人間が死んだ。物の方は、国がどんどん税金をとつておるのだから、またどんどん補充もされるでしようが、国民は迷惑する。しかし百三人の死んだ人間は何億万円、何千万円使つても解決できません。こうしたことはどつちがどういう責任をおとりになるのか、少くとも全額国庫負担ということになれば国の方がおとりになると思いますが、これはどちらがおとりになるか聞いておきたい。
  153. 清水義雄

    ○清水説明員 平安池の不祥事につきましてはまことに遺憾に存じておる次第であります。これが原因その他につきましては、その後農林省としましても調査を実施いたしておりまするが、聞きますと、五十年来の最大の雨量を標準にして設計はしてあるのでありまするが、今回それのほとんど倍に近い降雨量があつた。それにつけ加えまして上流に二百箇所以上の地すべりその他の崩壊が伴つて来たために、溜池内に三万立米以上の大きな土砂が流入して来た。従つて従来の余水吐きの計画がとうていのみきれないような結果になつて来たので、堤防をオーバーしてあの不祥事を起したというように聞いております。これがあとの処置につきましては、それぞれの部面において十分対策を講じ、検討を加えておりますが、ただいまこの席上でどうという御返答ができない状態であります。
  154. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はこの問題は、もつと詳細にいろいろ聞きたいのでありますが、その点は今ではどうかと思いますので、ともかくこの問題については、農林省としても十分責任のある答弁ができるように、よく農林大臣と相談していただきたい。私はこの問題については、次の機会につぶさに聞きたいと思う。その専門的な人、それにかかつた人、それから農林大臣から善後処置についてどうするかという答弁を、ぜひこの農林委員会の席上でいただきたい。それだけをお願いしておきます。
  155. 小淵光平

    ○小淵委員 昭和二十六年度発生災害農地復旧事業費補助金本年度所要額、この表の中に地すべりが二千四百六十七万円と合計額のところで出ておつて、これがこの二、三枚あとの表で見ると、佐賀県の地すべりの一点だけしかここに載つてないようになつておりますが、地すべりはこの程度しか農林省の方へ出ておらないのでしようか、この点をちよつとお伺いしたいと思います。
  156. 清水義雄

    ○清水説明員 本年度発生しました地すべりは佐賀県だけでありまして、従来地すべりと申しますと、北陸、特に新潟、富山、石川というふうに考えられたのです。それは昨二十五年度の災害として、実は過年度災害として農林省としては取上げておるのであります。従つてここでは本年度残りました佐賀だけを取上げております。
  157. 小淵光平

    ○小淵委員 私七月の下旬に国政調査で東北、北陸方面をまわつてつたわけです。多分新潟県の中頚城郡だと思いますが、あすこに相当の地すべりがあつたのを君地で見て参つたのですが、これに載つておらないので、私ちよつとお伺いしたわけでありますが、そちらの方からは出ておらないで、本年は佐賀県のこれだけしかないということになつて、これだけ出ておるのでしようか、それをちよつとお伺いいたしたいと思います。
  158. 清水義雄

    ○清水説明員 実はただいま申し上げましたように、二十五年の災害として一応農林省としては取上げたのでありますが、その後安定本部との話合いで、先ほど建部君からもお話がありましたように、その年の十二月末日までに査定を得たものでないとその年の間に合わないということから、翌年度に調査を実施するものにつきましては、その翌年の災害として取扱うということになつておるわけであります。そういう関係から新潟、石川、富山の三県に対する地すべりは、実は査定が去年の暮れまでに終らなかつた。二十六年度になりましてようやく査定を実施した点が多かつたというような事情のために、これは一応二十五年度からはずしまして、二十六年度の新規災害として扱わねばならぬということになつているわけであります。しかしながらこの地すべりに対する査定調書が出ておりますが、これの計画につきまして詳細な点がまだ地元から出ておりませんので、一応これに検討を加えた上で新規災害としての扱いをし、予算を計上して要求するという建前で考えておりますので、今のところはずしております。
  159. 小淵光平

    ○小淵委員 そうしますと二十六年八月三十一日までに査定が完了しておらないから、この表には出ておらないけれども、たとえば今年の十二月三十一日までの間に間に合つたとすれば、あとから出て来て、その額が交付される対象になる、こう考えてよろしゆうございますか。
  160. 清水義雄

    ○清水説明員 今後出て参りますものにつきましては、一括とりまとめて第二次の予備金で要求するという方針になつております。
  161. 井上良二

    井上(良)委員 最後に伺つておきたいのは、これは建部さんにも聞きたいのですが、そもそも災害が起つて、補助事業として政府の補助を得たいという場合には、何か法規の上で、発生以来何日までに申請をしなければ、補助事業の対象として扱わないという法規がありますか、これをひとつ伺いたい。  それからもう一つは、前々からこの委員会でもやかましく言つておりましたが、補助事業は、御承知通り、一工事十五万円単位、但し五十メートル以内にあります場合には、それ以下であつたにしても、合計十五万円以上ならいいということです。そこでその問題は今度の災害、特に七月水害の被害地はいずれも山間地帯であります。山間地帯は段々畑、段々たんぼで、ねこの額みたいな寡小の農地を経営せざるを得ない。財政的にもまつたく貧困な農家が多数あることは御承知通りであります。そこで十五万円以上ということに限定をされますと、それ以下のものは事実上非常に困つているわけであります。そういうものは府県なり地元でやればいい、こういうことで片づけられては困ります。御存じ通り、これを対象にする府県の財源になります税は、何も新しくございませんし、さりとて平衝交付金はそんなにたくさんいただけるものでもございません。ここで特に災害の深刻な実情を考慮されて、特別の場合には、たとえば十万円以上は見るとかいうような政治的含みを多少そこに持つということはできぬものでしようか。そんなことはできぬということになりますならば、それ以下の工事については、政府の方で農林金融その他の長期資金を低利で貸す道を開いてやらなければ困ると思います。そういうことを私はこの前もこの委員会政府に要求してあるのでありますが、それらについてどういうことに安本及び農林省はなつておりますか。この点をあわせてお伺いしたい。もしあなた方でお答えができぬ場合は、お帰りになりまして、農地局長なりあるいは建設交通局長に相談をされて、明日も委員会を開きますから、はつきりその点も御返事いただきたい。
  162. 清水義雄

    ○清水説明員 まず災害が発生して、これを何日間以内に報告しなければ取上げぬかという御質問でありまするが、一応災害が発生してから計画書をつくつて、補助申請を出す期間が六十日以内ということに政令で定めてあります。従つて一応その限られた期限内に提出されなければ、その後のみだりな追加は許されないということになつておりますが、その後六十日間に出された書類に基きまして、農林省では農地局が査定に参ります。それで査定官が現地の査定を実施するその折に追加申請をし、そうして査定を受けたものにつきましては一応考慮するということになつております。その後は受けつけないということです。  それから十五万円以下の非補助に対する扱いでありますが、法律で一箇所十五万円以上ということに定められておりますので、変更はできないのであります。但しこれは暫定措置法ということになつておりますので、近く改正する機会も来るかと思います。その折は山間部の希望も取入れて幾分緩和し得るような措置を講じなければならぬのではないかというふうにわれわれも考えております。委員会の方におきましても、この点はぜひ御協力していただきたいと考える次第であります。  なおそれでは十五万円以下のものは絶対に取上げられないかということになりまするが、原形復旧が十五万円以下の場合でも立地条件から判断しまして、また技術的な常識から考えましても、ある程度の改良を加えなければ、どうしても再災害を免れないというような事情にあるものは、それがそういう改良の面をプラスして十五万円以上になるというものは、災害復旧事業として現行法で取扱つてよろしいということになつておりますから、御了承願います。
  163. 千賀康治

    ○千賀委員長 ほかに御発言はございませんか。——この際特に安本当局に御注意申し上げたいと思いますが、どの委員会でもその通りでありまするけれども、この農林委員会も議会から重大な議案を付託されまして、その問題を審査しつつあるのであります。責任ある当局の出席を見ないのは非常に遺憾でありまするが、どうか建部技官は、お帰りになつて局長にお伝え願いたいのであります。次回から委員会の要求があつた場合には、万障繰合せて出席をされることが国会全体の負託に沿うことだと思いますので、どうかお忘れなく御伝言願いたいと思います。  明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれでもつて散会をいたします。     午後四時二十九分散会