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松永説明員 ただいま電源開発の問題は大体どういうふうな
方法にな
つておるか、また現状はどうであるか、その現状ということと同時に、OCIの
調査と外資導入とに何らか
相当な結びつきがあるものであるかないものであるか、もしないものであるとしても、他に外資導入に対して
相当な考えを持
つておるかどうか、それから外資以外に電源開発に対して国家の助成あるいは
金融ということについて何か考えておるのかどうであるか、ともかく現在から見れば非常な電力の不足であり、かつ開発資金というものを非常に多大に要する次第であるが、自分が見たところは、九電力会社の力では容易でないと思うが、公益
委員会はこれに対して何らかの
対策を持
つておるのであるかどうか、あるいは持たないのであるかどうかという御質問のようでありましたので、まずただいままで私ども
委員会で研究もし、こうもしたいという問題につきまして率直な
考え方を申し述べ、御批判を仰ぎ、また御指導も得なければならないと思いますから、時間をとらないように注意しまして簡單に成行きを申し上げたいと思います。
委員会ができましたのは昨年の冬でありまして、これが運用して行きます九つの会社ができたのは、御
承知の
通りついこのごろの五月であります。この
委員会及び九つの会社の行動をとります前の成行きを少し簡単に申し上げてみたいと思います。
大体二十四年からある意味においての外資が入
つておる。その外資のみでほとんど
日本発、電及び配電の電力の開発をや
つてお
つたのであります。御
承知の
通り二十四年に百億万円の見返り資金が参
つたので、ようやくその前うつちやらかされた仕事に手をつけたのであります。これでようやく芽を吹き返して電源開発ということができたのであります。大体これも
考え方によ
つては外資で、
日本政府がどうしろという意味には、解釈はできないのであります。二十五年は引続いて百億出るはずでありました。ところが電力再編成というのが非常に遅れ、たいへんごたつきました結果として、二十五年は遂に十二月の末にな
つてようやく百億出たのであります。言いかえますと、二十五年は一文も出なか
つた。これが継続して仕事を進める上について
日本発送電及び配電会社の人たちをして躊躇逡巡せしめたばかりでなく、またその後の物資の値上り等によ
つてすべての計画は変更せざるを得ないように
なつたのであります。そうして二十五年にはようやくわれわれの
委員会ができ、本年に入
つて、昨今になり、ようやく二十五年の資金がまわ
つて来て、継続工事として今や
つているような次第であります。それで本年はちようど見返り資金の末期であります。百五十億の見返り資金が大体きま
つて、昨今少しずつ各会社はそれをもら
つて工事の方に充てておりますけれども、なお大体の予定は二百五十億の見返り資金をもらいたい。それに対して三百五十億の自己資金を加えて六百億だけはせめてやらなければならぬというのが現況であります。その現況の中に百億の見返り資金はまだ未定であります。
従つて二百五十億というのは百五十億が現実である。それで自己資金の三百五十億というものも御
承知の
通り現在のところではほとんど見込みありません。ようやく、三、四十億円の社債募集を十一月ごろまではぼつぼつするだけでありまして、もうこれはほとんど焼け石に水であります。三百五十億の自己資金を調達するというごときは、今日のところ各社が非常に努力はいたしておりますけれども、見込み薄であります。しからばかりに百五十億の自己資金が聞違い、見返り資金が百億間違いが起るとすると、半額近い二百五十億というものはまた工事が遅れる。
従つて二十五年は何もしなか
つた。二十六年はわれわれの予算では約一千億の仕事をする予定で四月からその計算をも
つて出発しておりますが、事実はそういうことができないために、六百億だけでも、せめて金をつくりたい、自己資金もできないという断言はしませんけれども、
〔
委員長退席、
中村委員長代理着席〕
非常な見込薄になり、見返り資金も百五十億きま
つて百億未定であるという現状であります。つまり二十五年はまる遊び、二十六年は半分以下の仕事しかできないというのが現在の状態であります。かくのごとき電力の不足、電力の欠陥に対して穴埋めをして行くということは、とうてい考えられぬことでありまして種々の希望を申し述べ、またいろいろの
方法をとるよりほかにないのであります。お手元に差上げております大体公益
委員会で
調査しましたものは、この線の中でA線と言われるのが一割ずつ各地域において増加するに必要な電力でありますが、それをどうやりましても、最初の年は一年に七百四十何億、それに二百五十億の工事改善資金で約十七万キロぐらいの電力を浮かそうと考えております。やはりこれも拡張工事と見ていいわけであります。これがざつと千億円でありますが、今申し上げるように、千億円のうち約三百四、五十億調達しておるにすぎない状態であります。そこでなおかくのごときことはよほど空想だとしまして、適切なことをやろうというのが、公益
委員会の前に安本そのほか
経済関係でお立てに
なつたと思われるのが、いわゆる自立
経済でありますが、この自立
経済によりますと、各社でこしらえた案の約三分の一が自立
経済であります。私どもの六百億の金をも
つてやろうという線と、この自立
経済の線とはやや接近した線であります。要するに需用に対して約三割三分ばかり何とかして電力をつく
つて行かなければならぬ。水力をも火力をもそれに加えてつく
つて行かねばならぬというのが、自立
経済並びに金がないためにやむを得ずや
つております本年の六百億の計算であります。しかしかりにその金ができ、完全にや
つたとしましても、とうていそれでは電力は足りないのであります。差上げてある別表をごらんくださるとわかりますが、もしこの案で参りますと、全国相かわらず北海道そのほか
——ここに申しますと、北海道はかりに百万キロの電力が必要としても、それであると五十万キロしかできない計算であります。それから東北は
相当開発されても、なお三分の二しか需用を満たすことのできない状態になります。東京は二割八分の不足を訴え、中部は三割の不足を訴え、北陸は四割の不足を訴え、関西は二割四分八厘の不足を訴え、中国は三割の不足を訴え、四国は二割六分八厘の不足を訴え、九州は一割六分五厘の不足を訴えて、合計してなおかつ全国で、かりに二百万キロ発生するとすれば、三割すなわち六十万キロはなおかつ常に電力の不足に苦しまねばならぬという状態であります。この状態を克服して行くことは、先刻申し上げたように、現在の
事情ですらも困難でありまするが、さらにその困難に甘んずるというようなことでもありましたならば、もう三、四年後の
日本の各種の
産業の隘路となりネックとな
つて、他の
産業全体の障害となることは間違いのないことでありますから、ここに何とかして公益
委員会としては
相当の
方法を立てなければならぬことはむろん覚悟はいたしておりますが、大体の建前として私どもの監督している限りにおきましては、九つの会社がそれぞれ自分の需用を満たすために、その需用に応ずるだけの電力を発生し、あるいは渇水そのほかの事故のためには他の区域との間に連絡があるところは、できるだけ連絡して相互いに助け合う。それよりほかに
方法はない。そして自分の必要だけは自分でやらなければならぬ。もしもそれをやらなければ、独立した
産業形態をつくることはできないということは、はつきりした再編成の精神でもあり、また発電の
方法でもありますから、それを申しております。本日も明日も、このことについて各首脳者のお集まりを願
つて、そしていかにして資金をつく
つて行かれるか、いかにして見返り資金のついているものを
相当開発することができるか。ともかく自分の力でどこまで行けるかということの再検討をすることを第一に考えております。それから
政府の金だとか外資についての話は、とうてい今のような困難な状態では、ちよつととりつきにくいくらいに話が懸隔を来しております。ただできるだけ皆さんにも御
了解を得て、幾らか
日本の電力を九会社以外につくる
方法を考えることもまた公益
委員として考えなければならぬこととしておりますのは、自家用の発電をもしおやりになるところがあれば、これは今管轄は通産省にありまするが、通産省の方でもよく御監督くださ
つて、そうして電気の発生については私ども公益
委員会が片棒をかついでおりまするから、よく御相談申し上げて、これをできるだけ開発して九会社以外の開発をしたいと思うのであります。これもお手元に資料はあると思いまするが、通産省から通告を受けているものでは、ただいまややお取上げになりかか
つているのが十二箇地点、七万八千八百七十二キロワットであります。これだけでも早くさしつかえなくできれば、よほど
日本の
産業全体のための電力はふえるわけでありますから、この自家用発電は、大きな発電を開発するのにじやまにならず、将来適当に大発電所と連繋のできるという見通しをつけて、通産省と御相談して、なるべく開発を奨励してもらいたいと思う。それからいま
一つの電力の開発資金は建設省の御
関係のある公共事業でありまして、これは見返り資金からも出ておりましようし、あるいは県の御費用からも出ております。あるいは国直接のお金もあろうかと思いますが、これが
相当大きな数字であります。これが具体的に実際的に促進されることができますと、電力の飢饉をよほどカバーすることができるだろうと思います。これは建設省御
関係の地点は、ただいまほとんど着手をしておられるところが二十五箇地点であります。そしてその総キロワットは三十二万五千八百二十三キロワットに達しております。三十二万五千八百二十三キロワットは、戰後ただちに着手しておられるところもあります。もう五箇年にもな
つて、新潟県のや
つておられるのは、多分本年の末あたりは発電ができる程度にな
つているのじやないかと思いまするが、まあこれのみで、ほかは遅れております。たとえば四国の銅山川のごときもすいぶん前からや
つておられまして、トンネルなどはもう掘
つておられまするが、そろそろトンネルがこわれて来ておりますから、今度ほんとうにやる時分には、別にトンネルを掘
つた方が安くできるというような悪口を言うている者もあります。だからこういうものを整理なす
つて、建設省、県及び公益
委員会などで連絡をとりまして、できかか
つたものは早く発電する。中央
政府の方もこの方に全力を注いで金を出してやるというようなことに
お話が進むと、たいへん都合がよくはないかと思
つて、先日個人的に野田建設大臣にお目にかか
つたときに、それから大蔵大臣にお目にかか
つたときも、これは非常に大きな電源である。しかも国は現在金を出して工事をや
つておられる、しかも三十二万キロという雄大なるものにすでに着手しておられる、これを早くやられるということは、これまでの電力の欠陷を補うのに重大な力を持つものであろうということを申し上げた。もつともプライベートな話でありますが、御注意を促しておきました。私は今でも国がやはり力を合せるというなら、新たに金を補助してやるとか、電力会社に貸すとかいうことも
けつこうでありますけれども、まず国自身がすでに手をつけたものを有効適切に早くや
つて、この電力飢饉を幾らかでも救うというのが第一の道である。その上なお電力会社が金が足らぬ、だから外資も困難であるというなら、電力社債を何とか買い上げてやるとか、あるいはオペレーシヨンを
日本銀行にしてもらうとかいう
方法等はお考えにな
つてもよいであろうと思
つて、まだその点までは深く考えておりませんが、第一に自家発電というものをおやりになるならば、通産省あたりとどんどんこれを進めて行きたいものだと思
つております。かつ建設省は重点主義で、速成主義で、財政を統一して電力の発生を早くや
つてもらいたいという希望を申し述べておくものであります。
それからOCIのことを申しますと、電力の大きな開発に伴う問題であり、かつその資金も、そういう面から申しまして、どうしても外資ということが連想されるわけであります。また私がただいま申し上げたような意味におきまして、どうしてもやはり何とい
つても、頭を下げても外資によるよりほかないということも、あるいは御同感くださ
つたのではないかと思いますので、OCI
調査そのものも、これはただちに借金の
手段として
調査を願
つておくという、そんなことでもありませんけれども、御
承知の
通り只見川としましては、群馬、新潟、福島三県にわた
つており、栃木に一部分わた
つている。そうしてその電力は、尾瀬ケ原からこれを利根川に落しますことは、利根の国土計画及び動力の発電に大なる影響を与える。またこれを只見川に落します場合に、大きな電源となることは当然である。この両方をにらみ合
つて、利根川の国土開発というものがまだ十分きま
つていないのでありますけれども、ずいぶん前から詮議せられている問題でありますが、これを早急にやはりきめてもら
つて、只見川のみに落すか、あるいは利根に分流するかということは、やはり国の国土計画に伴う、治水に伴う電力以外の重要な問題であると思う。ことに尾瀬ケ原に至
つては、学問上の問題としても
相当めんどうな問題であります。これもOCIの方面の人によく
調査してもら
つた方が、
日本人の
考え方より少し広い考えを持
つていられると思
つております。それから只見川に落しますにしても、大体大きな貯水池をつくるということが眼目になるのであります。これは地質
調査といい、あるいは雪の量の
調査といい、落差を新潟にとるか、あるいは只見川にそのまま落して行く方が計算上有利であるか、ともかく原価が一キロでも安くできて、そうして多く出ることでないと、もうあのくらいの大きな発電所というものは、まず
日本で今のところ見当りません。熊野川も同様であります。熊野川も大体あの三分の一以内、あるいは四分の一くらいの力でありまして、この両方のおもな河川はやはりOCIに見てもらいたいというのであります。しからばOCIが見た結果、多分外国に行
つて只見川、熊野川の優秀なることを彼らは
説明してくれるだろうと思います。私ども見たところにおいても世界で優秀なものであ
つて、
アメリカで現在つくられるよりも、あるいはカナダのごときは、水力は非常に安いところでありますが、熊野、只見両川、あるいは天竜川のごとき、おそらくカナダ、
アメリカの半分近くの値段でできるじやないかと思
つております。つまり五割ないし六割の
コストであがるではないかと思
つております。これは十分なる
調査を願わなければならぬのですが、この電源地が優秀であるということがやはり金を借る一番もとでであります。外国が金を貸しても、
アメリカより高いものであり、あるいはインドよりも高い水力発電所であるというのなら、
経済を維持することができませんから、
アメリカの資本はとうてい入るものではないのであります。私ども公益
委員の一員としても、また電源開発
調査会の専門家が先般も六人そろ
つて只見川を視察して参りました。私も今回行
つて参りました。その結果、われわれやはり同一の、ただいま申し上げたような
結論に達しておりますが、OCIが大きな開発
調査をしてくれて有利なりと認めた場合には、外資の導入は困難ではないとも思われるのであります。しかし只見川にしましても、やはり初めは七百億円くらいの計算でありましたけれども、少し大きくすれば一千億円近くかかるはずであります。やり方としては五箇年一ぱいでやりたい、三年目くらいに多少出したいという計画であります。熊野川は上流だけをと
つて、下流の方は第二の計画になりますが、これも五、七万キロ出る程度であ
つて、かような所はほかにもある。東海道の天竜、大井のごときも
相当大きな電力が出る見込みがある。九州も出る見込みがある。四国もとれる見込みでありまして、来年はこの方面の
調査も願い、またわれわれも金をかけて
調査するつもりでおります。外資につきましては、先ほど申したように、これらの
調査がやはり基礎であります。この
調査がよく、それからこれを払う力、
日本国民の
産業力がなければ、金を貸しつぽなしで、利息も入らなければ、元金も五十年もまけておこうというような
契約はとうていこのせちがらい時節にはできないものと思
つております。その辺について今いろいろ探りを入れておる時期です。それから
講和会議も済まなければ、どうせほんとうの話になりますまい。
講和会議等も済めば、ぼつぼつOCIの
調査と相伴うて行きます。しかし何と申しても、もとはやはりこの九つの電力会社と、自家用発電をやるところと、
政府の国土計画でや
つておる仕事を電力に集中的にやるという、これらが一丸とな
つて総力を集中して行かないと、いわゆる協力協心で行くことであります。今の九つのこのごろ歩み出した会社だけの力では、先刻申し上げた
事情において自家資金をつくるということは、再評価しまして社債を多少増加発行するというのが見込みでありますが、そのほかは大した財源を持たぬのであります。どうぞその辺についてなお御審議を願いたい。