○門司委員 今
大橋さんの言われたことは非常に奇怪に存ずるのですが、そうなると国家
公安委員や、斎藤さんの地位というものは一体どうなるか。なるほど県内における
警察行政の面の運営管理については、都道府県の
公安委員が当
つておるということは、これは事実ですが、命令の系統というものは必ずしもそうではないと思う。国家
警察に対しましてはちやんと斎藤さんがおいでになるし、
自治体警察については何もそういう者はいないのであります。
田中さんは自治警の会長で、別に命令系統をお持ちにならない。
国警が今日あ
つて、さらに
国警の形というものは、御存じのように斎藤長官という長官をい
ただいてお
つて、そうしてそれが法律上の問題は別といたしまして、現実の問題としてやはり閣議の諮問をお受けにな
つておることは事実だと思う。そうすれば
日本の
警察行政というものは、一体だれに相談してやられるか。斎藤長官が閣議の諮問を受ける、あるいは閣議に出席されるかどうか知りませんが、少くとも次官
会議には出られるかもしれない。国家
公安委員が閣議に招請されて
意見を聞かれたということは、ほとんど今まで聞いていない。現実の問題として、
日本の
警察行政というものは、今の
大橋法務総裁の
答弁のように事実上な
つていないと思う。もし
大橋法務総裁がそういう御
意見なら、斎藤さんの地位というものはなくなる。
自治体警察と同じような
建前にすればよろしいということになる。国家
警察の持
つておりまする
一つのものは、そういう国家全体の関連の上において、あるいは騒擾
事件その他のことも
考えられますので、それらの面をやはりいろいろな観点から考慮されて、ここに斎藤長官の地位があり、あるいはまた国家
公安委員というものは、国全体の
治安を見ることのためにあるのであります。
従つて非常時の宣言が行われまする場合には、やはりその指揮権というものは、国家
警察の方に委譲されることが当然だと
考える。またそうな
つておる。それが現実の問題として、
組織の上において
国警にだんだん集中されて行くということは、これはやはり何とい
つても権力が中央に委譲されつつあるという
一つの大きな実例だと
考えておる。今日
警察の分権問題を唱えておりますが、これは自治
警察ができたから権力がわかれた。これがまた国家
警察に集中されれば、一本になるにきま
つておる。私はそういう
大橋法務総裁のお
考えでは、将来の
警察問題に対する
考え方を、少しかえて行かなければならぬ。その点はもう少しお
考えをかえてい
ただきたい。私どもはむちやに中央集権化することがけしからぬとい
つて、
組織の上でできないものを、どうしても分権して弱めるということを
考えておるのではない。できてわずか三年か四年しかたたない
日本の
警察行政が、単に経済上の問題で、これが再び中央集権化するということになれば、あまりに権威がなさ過ぎるように
考えられますし、同時に十分民主的訓練の届いていないと思われる現在の
警察行政の上では、再び昔のようなことが繰返されてはならぬと
考えておりますので、一応お聞きいたしたのです。国の
治安の
責任者が総理大臣であることは、これは間違いないのでありまして、私はそういうことを聞いておるのではありません。どうかひ
とつその点
大橋さんは、質問しておりまする趣旨を誤解のないように、
お答え願いたいと思います。