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1951-09-11 第11回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月十一日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 野村專太郎君    理事 河原伊三郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       大泉 寛三君    尾関 義一君       角田 幸吉君    小玉 治行君       吉田吉太郎君    山手 滿男君       大矢 省三君    久保田鶴松君       立花 敏男君    中西伊之助君  委員外出席者         地方財政委員会         委員長     野村 秀雄君         地方財政委員会         事務局長    荻田  保君         地方自治政務次         官       小野  哲君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 八月十七日  委員山手滿男辞任につき、その補欠として佐  伯宗義君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員松本善壽君及び佐伯宗義辞任につき、そ  の補欠として川本末治君及び山手滿男君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 八月十八日  地方自治並びに財政に関する件  警察及び消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 野村專太郎

    野村委員長代理 これより会議を開きます。  前尾委員長財政研究のために外遊されましたので、その御指名によりまして私が委員長職務を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。  それではこれより地方自治及び地方財政に関しまする審査をすることにいたしたいと思います。御質疑があればお許しいたします。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 地方財政が非常に逼迫しておりますことは事実でありますが、それが知事会議、それから地方自治体の長の会議の要請によつて政府平衡交付金増額、それからさらに起債わくを拡充することの承認を與えたという話をその会議でしたということを聞いておるのでありますが、それが事実であるかどうかということを、もしそういう事実があるとするならば、大体どのくらいの起債わくとさらに平衡交付金をふやされたかということをお話願えれば、非常にけつこうだと思います。腹蔵なくひとつお願いしたいと思います。
  4. 野村秀雄

    野村説明員 地方財政が非常に困窮いたしておるために、地方の各自治団体の長または議会の議長会から平衡交付金増額並びに地方債わく拡張について、非常に熱烈な運動がありました。政府においてもこの情勢を看過することができないということから、平衡交付金約百億、地方起債わく拡張約百億というような見当において、この当面を処理したらどうかということの大体の方針は内定いたしておるように聞いております。しかしまだ正式に閣議決定にはなつておりませんために、これがはたして内定した方針通りに実現するものかどうかということについては、私ども懸念を持つております。聞くところによれば、大蔵大臣が帰国をいたされた上で正式の決定があるということであります。
  5. 門司亮

    門司委員 それに関連して小野さんにお聞きしたいと思うのですが、今の地財委員長お話では、まだ決定していない。内定した話はわかつておることですが、大体地方自治団体の側から言わせますと、実は非常に大きな、希望を持つているのであります。この額といつても、地方自治団体から要求した額の約半分——まだ完全な半分にはなつていませんが、それだけでも地方団体が非常に希望をいたしている状態であります。これについて大体自治庁としての見通しはどういうものであるか。それからさらに、これはむろん閣議決定すれば、次の補正予算のときに私は出されると思いますが、そういう時期等についての見通しがもしおわかりであつたら、お話を願いたいと思います。
  6. 小野哲

    小野(哲)説明員 お答えいたします。ただいま野村委員長からその間の事情につきましてお話がございましたから、私から蛇足をつけ加えることは差控えたいと存じますが、地方財政の現況にかんがみまして、地方自治庁においても、地方財政委員会と同じような心組みを持ちまして、補正予算平衡交付金増額を計上するようにということで、努力を継続いたしておるようなわけであります。ただ問題は、諸般の問題がその他にもございますために、遺憾ながら最終決定はいまだ行われておらない状態でありますので、いつごろになつてこれが決定するかということは、ここではつきりと申し上げられない状況にございます。できるだけ地方財政委員会と連絡をとりまして、平衡交付金増額並びに起債わくをふやすという方向に向つて努力をしておりますことを、この際申し上げておきたいと思います。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 先般来県知事がきわめて強固に、また一致して大蔵省平衡交付金増額運動をしておられるのでありますが、私どもから見ると、どうもやり方があまり感心しない。まつたく強引に、しかも何らかの脅迫的な態度をとつておられるように見える。これは特に府県関係財政上非常に苦しいから、そうした戰術をとつても、やはり住民のためにどうしても行わなければならない運動だと思つて了としておりますけれども、しかし当局としては必ずしも全部の府県が同じような條件ではないわけで、これを個々調査の上に取上げることはなかなか早急には参らなかつたでありましようが、とにかく県知事が一丸となつてああした態度をとるということはまことにふに落ちない。苦しい県もありましよう。あるいは苦しくない財政の県もありましよう。これに対して当局は、一つ一つ個々の県にわたつて、何らかの手を打つておられるかどうか、いわゆる納得の行くような調査が行き届いておるかどうかということを私は一言お聞きしたい。特に前々回の委員会でも話題になりました——これは府県じやありませんけれども、ある村では予想外平衡交付金が来たので使い切れないというところがある。こうした部面は例外でありますから論じられないにしても、とにかくそういうでこぼこがあるということだけは確かである。そのでこぼこに対する是正をして、どうにもならぬようなところに、それを均霑せしめるような方向でなければならぬ。平衡交付金の創設の目的がそこにある以上は、どうしても努力が必要であると思うのです。あまり事務的な立場にとらわれて、実態に触れていないということはこの際是正して、実態を把握すべきである。その是正努力をなおざりにして、ただ運動のなすがままにまかして、大蔵省を責めることはどうかと思う。この点について自治庁並びに地財の御意見は那辺にあるかを伺いたい。
  8. 野村秀雄

    野村説明員 地方財政委員会といたしましては、地方財政状態実態を把握することに努力いたしまして、それに応じて平衡交付金の配分、また起債の申請に対する査定をいたしております。神様、仏様でありませんから、これが嚴密であるか、はたして当を得ておるかどうかということについては、いろいろの御批判はあるかも存じませんけれども、私どもといたしましては、公正に忠実にその職務行つております。
  9. 小野哲

    小野(哲)説明員 先般来地方財政平衡交付金並び起債の問題につきまして、ただいま大泉さんから御指摘になりましたような強い要望全国知事会議から出て参つておりますことは御承知通りであります。ただその場合に、個々の県の実情を十分に把握した場合においては、何らかの操作ができるのじやないか、こういう御意見もごもつともに思うのでありますが、ただいま野村委員長からお話のように、実態の把握が最も必要であるという見地から、関係府県実情等をももちろん調査して参つておりますし、同時にまた全国知事会議としては、これを全体の知事会議としての問題として取扱うことが適当であるという考え方から、お互いが協力するような態勢をとつたのではなかろうか、かように考えるわけでございまして、今回のある程度増額を考えるに至りますにつきましては、その間においてやはり数字的な検討もできるだけ加えるという努力をして参つたということを御了承願つておきたいと思います。
  10. 大泉寛三

    大泉委員 増額運動はこれを裏返しにすれば、増税運動の結果を招くのだというように大蔵大臣言つておられるようでありますが、私どもも結局そのまま地方要望を認めるならば、まつたく増税を認めることにほかならないと思うのであります。この際増税はまつたく避けなければならない、あくまでも何らかの方法地方要望にこたえて行かなければならぬとするならば——ども地方行つてよく聞くことでありますが、本省から、あるいは地方民から言われることは、まず地方においてもできる限りの行政整理をしなければならない。たとえば地方事務所のようなものは、ある程度とにかくこれを縮減するか廃止するかしなければならぬ。また戰前から見ると、いわゆる組織における部課があまり多過ぎるというようなことを聞く。そうした方面地方自治体、いわゆる府県自体においても整理しなければならない面がたくさんある。また一方府県から言わせると、地方における作報事務所のような農林省関係事務は、どうも府県立場と輻湊しておるから、ああいうものを廃止しても、とにかく平衡交付金増額してもらいたいというようなことも聞いておる。こうした方面中央の施策と地方行政内容を、ともどもに再検討して、そうして何らかの方法において、これが打開の道を立てなければならぬのではないかと思うのです。自治庁といたしましては、具体的にどの程度まで御研究なされておりますか、これを大体伺えるものならば、この際御開陳を願いたいと思います。
  11. 小野哲

    小野(哲)説明員 お答えをいたします。目下調査の過程にございますので、いまだ具体的の結論的なお話を申し上げることは困難でございますが、御承知のように、行政制度改革につきまして、先般閣議決定を見たわけでございます。あるいは行政事務の縮減の問題であるとか、あるいは行政機構改革の問題であるとか、さらにまたそれに伴う諸般行政整理の問題であるとか、かような点についての内閣としての取扱い方針決定を見たわけでございます。現在は行政管理庁長官が主任となりまして、関係各省庁の係官が参加いたしまして、目下これが準備をいたしておるような次第でございます。もとより、中央におきまして諸般改革を行いますためには、これと併行して地方公共団体に対して、協力方を要請するに至るであろうということは想像にかたくないわけでございますので、地方自治庁といたしましては、幸いに附属機関として地方自治委員会議もございまして、各地方公共団体代表者も出ておるわけでございますので、これらにもできるだけ意見を聞かしていただきまして、中央行政改革と相まつて地方についてどの程度、いかなる方法によつてやることが妥当であるかということを、十分に研究して参りたい、かような心組みで、目下これが準備をいたしておるような次第でございます。
  12. 藤田義光

    藤田委員 この際、来月に予定されております臨時国会を前に、当面した問題を少しお尋ねしてみたいと思います。  まず第一は、先ほど門司君の質問に対する野村委員長答弁にありました点でございますが、起債増額が百億円、平衡交付金増額が百億円、と大体内定したということでございますが、これでは、地方財政委員会が当初本年の地方財政計画に見込まれました不足額に比較いたしまして相当の隔たりがございまして、もしこれ以上の増額が不可能な場合には、どういうふうにこの赤字を補填して行かれるか。公共事業等の打切りをやられるのか。何か名案がありましたらお伺いいたしたいと思います。  それからこの百億ずつの増額都道府県のみに集中しはしないか。市町村政治力が稀薄なるがために、運動せざるがために困つてはおるが、何分にも数も多いために、政治力の旺盛なる府県知事要望を全面的に取入れまして、せつかく増額されたものが全部都道府県に集中されはしないかという懸念もございます。百億円ずつの増額の使途に関しまして何か腹案でもありましたならば、お伺いしておきたい。
  13. 野村秀雄

    野村説明員 地方財政委員会といたしましては、地方財政状態から見て、この際補正予算として三百七十億の平衡交付金増額と、二百五十億の起債わく拡張を、政府の方へ申し出ておるのであります。従つてこの平衡交付金増額の百億、起債わく拡張の百億をもつてしては、とうてい地方財政というものはやつて行けないのではないかという心配を持つておりますがゆえに、せつかく政府の方で今のところ百億、百億の増額というものを内定しておるとは言つても、私どもは、なおこれ以上の増額を、できるだけ私どもの力を盡して実現に努めて行きたいと考えております。  なおこの平衡交付金増額の結果、これが府県だけに行くのか、あるいは市町村へ行くのか、これは今後の私ども要望がどの程度まで実現せられるかによつておのずから決するものではないか、かように考えておるのであります。
  14. 藤田義光

    藤田委員 今回の知事側運動経緯を見ておりますと、農業県が非常に困つておるようでございます。これはいろいろ原因もございましようが、新しい地方税法平衡交付金制度における欠陷が、農業県にしわ寄せされて来ておるということが言えるのではないかと思つております。地方税法の中で、実施成績にかんがみまして、改正点が多々出て参つたことは御存じの通りでございます。政府でも税制懇談会という一つ機関をつくりまして研究中でございますが、そのうちの府県税一つとしての附加価値税というものの実施時期が、明年一月に迫つております。従いましてどうしても臨時国会において地方税法改正実施いたしませんと、いろいろな問題が残つて来るのではないかというふうに考えております。平衡交付金に関しましても、これはどうしてもこの際何か根本的な改正を考えまして、大蔵当局地方財政側との摩擦を拂拭する必要があるのではなかろうか、そうしないと、せつかく熱心にやられております地方財政委員会努力が数字的には全然現われて来ない、むしろこういう邪道の問題で地方財政委員会が忙殺されることでは、地方財政の進展は望み得ないのではないか。具体的にはいろいろ方法がございましようが、平衡交付金わくをつくるというような問題もこの際考えなくてはならぬのではないかというふうに考えておりますが、来月から開会を予想されます臨時国会におきまして、自治庁として立法の準備がございますか。この点をお伺いしておきたいと思います。
  15. 小野哲

    小野(哲)説明員 私からお答え申し上げます。ただいま御質問になりました地方税法改正につきましては、目下税制懇談会においても種々論議があることは御承知通りであります。と同時にまた地方財政委員会におかれましても、地方税法の施行の実情にかんがみまして、いろいろ研究をされておることも私は存じておるわけであります。地方自治庁といたしましては、これら諸般意見を十分に参酌いたしまして、地方税法改正をどの程度、またいかなる時期において行うことが適当であるかということを研究いたしております。ただいまお話になりました附加価値税の問題につきましては、これまたいろいろの意見があるわけでございます。地方税法において明らかに附加価値税昭和二十七年一月一日から施行されるべきものとして規定されております限りにおきましては、政府としてはただいまのところはこれを実施いたさなければならないものであると考えておるわけでございますが、なお各方面の意向を十分に聞きました上で、これをどう扱つて行くかということは研究しなければならぬものと存じますけれども、ただいまのところは税法にある限りにおいては、これは実施すべきものであると考えております。  さらに平衡交付金の問題でございますが、総額決定にあたつて種々なる問題が起つて来たということは御指摘通りであります。従つて総額決定についてはでき得るだけ明確なる方法によつて、これを決定するようにいたしますることが政府といたしましても、また地方公共団体といたしましても望ましいことである、かように考えております。従つて何らか適当な構想のもとに、平衡交付金もこれを総額決定に関する点につきまして再検討をする必要があるのではないか、かような考えで研究をいたしておるわけであります。ただ御承知のように目下の情勢がきわめて複雑な状況にございますために、いまだ政府としてはこの臨時国会に必ず地方税法改正法律案を出すのであるということを、今日私の口からお答えをする時期に至つておらないということを御了承を願いたいと思います。
  16. 藤田義光

    藤田委員 政府委員のお立場としての御答弁、これは一応了承いたしますが、実は税制懇談会の試案というものが、再三報道されておりますために、全国自治体理事者等は非常に心配いたしております。たとえば固定資産税のうちの償却資産府県税に一部まわすというような問題等関連いたしまして、せつかく新しい税法が軌道に乘りつつある際でございますので、この点に関しまして、もし大体の案がまとまりましたならば、早くはつきりと発表していただいた方が、むしろ地方自治体のために親切ではないかというふうに私は考えております。  それからこの機会に事務局長にでもお伺いしたいのでございますが、二十五年度の地方税徴收成績はあまり芳ばしくございませんでしたが、本年度は法人関係を中心に徴税成績が非常に上昇しておるというようなことも拜聽しておりますが、大体最近の統計でもありましたならば、御記憶の範囲内でお伺いしておきたいと思います。
  17. 荻田保

    荻田説明員 二十五年度の地方税徴税成績は、おつしやいます通りあまりよくありませんでした。府県分で見まして、大体調定額に対しまして七〇%を少し越す程度でありまして、二十四年度に比べますと、ちよつと一割程度の率が下つております。しかし大体予想の七百億という線は確保できたように記憶しております。それから最近になりまして、二十六年度の成績でありますが、これは御指摘のように相当つておりまして、ことに法人関係收益が上りましたのと、もう一つは、先般事業税に関しまする法律改正によつていわゆる申告納付制度とつたというようなことからしまして、非常に額は上つておりまして、今のところ大体百億を越えるような数字が出ております。
  18. 藤田義光

    藤田委員 これはよけいなこととわれわれは思つておりましたが、先般来大蔵省主計局が、全国自治体の一部を調査したようでございます。地方財政委員会がこの調査に立ち会つたようでありますが、主計局調査というものが往々にして地方債平衡交付金わく決定に重大な影響を及ぼしているので、大体どのような要領で調査を継続いたしまして、どういうふうにこの調査の結果を利用しようとしておるのか、この点何かはつきりしたことをお伺いしておく必要があるのじやないかと思いますのでお尋ねいたしたい。
  19. 荻田保

    荻田説明員 大蔵省と申しますか、われわれの協力した部分もあるのでございますが、調査は二つございまして、一つは拔き検査的に現地に参りまして、立会いの上調査したもの、もう一つは全般的に照会を出して回答を得たもの、この二つあるわけでございます。このいずれをも使いまして、大蔵省査定基礎にしておるわけでございますが、ただいろいろございますけれども、今詳しい資料は持つておりません。考え方としまして、現場を調査するということは、一応照会なり現地に行けばできるわけでありますが、それに対しましていろいろと主観的な見解を持ちまして、これはこうなつておるけれども、こうあるべきである、これはよけいなものだとか、あるいはこれはこうなつておるけれどももつと歳入がふえるのだとか、あるいはここではこの団体は確かに少いけれども、ほかに余つておる団体があるからそこから持つて来ればいいのだ、結局こういうような主観が入つて来ますので、客観的な基礎そのものを調べましても、またその先においては結論におきまして、平衡交付金なり、起債を増すか増さないかという議論になりますと意見がわかれて来る、こういうような大体の傾向にあります。
  20. 藤田義光

    藤田委員 講和條約の調印が終りまして、二十七年度からいわゆる名実とも独立国らしい国家財政地方財政が打ち立てられるわけでございますが、講和後の新らしい事態関連いたしまして、地方財政との関係がどういう推移を示すか、非常に漠然とした質問でございますが、地方自治体でもこの点一番関心を持つておる問題であります。幸い專門家が集まつておられますから、この点を御答弁願えれば非常に好都合じやないかと思います。
  21. 野村秀雄

    野村説明員 講和成立後の地方自治そのものにつきまして、私はいろいろ考えさせられております。この地方自治がはたして今日の状態をさらに育成して、地方自治確立の域に達し得るかどうか、これが根本の問題ではないか。これに伴うて、地方財政がどういうふうに運営せられて行くのであろうかということを考えるのでありまして、私は講和成立後の地方自治というものに対して、思想的にもいろいろ考えさせられております。まだどういうようなことになるか、その見通しについては申し上げる段階に至つておりませんけれども、この点お互い研究して行かなければならぬ大きな問題だと思います。
  22. 藤田義光

    藤田委員 この講和後の地方自治にも直接間接関連がございますが、先ほど大泉委員の御質問に対する小野政務次官の御答弁にございましたように、地方自治に関する官庁の機構の問題、実は先般の知事の陳情をわれわれ新聞紙上で拜見しておりまして、非常に奇異に感じましたことは、地方自治関係担当国務大臣岡野さんの名前をほとんど見出すことが困難でございました。畑違いの建設大臣等計数の計算をしておられる。実に全国自治体関係者にとつては、さびしい気持がしたようでございます。官僚機構の拡充というようなことでなくて、しつかりした自治体を育成するための強力な、すつきりとした相談相手というものが非常に必要ではないか。新聞で拜見しただけでありますが、現在考えられておる機構の問題は、総理府の外局的な現在の制度よりも、むしろ退歩するようなかつこうになつておるように、われわれは拜聽しております。この点に関しましては、現在の責任者はよほど腹をすえてかかつていただきたい。ただいま野村委員長の、講和後の地方自治に関しましては、腹をすえて根本的に研究する問題であり、思想的にもいろいろ悩んでおられるということは、まつたく同感でございまして、この点に関連しまして、機構の問題も非常に重大ではないかというふうに私は考えておりますが、この点に関しまして、小野政務次官何かこの際、あの新聞に報道された原案のようなものであるかどうか、相当つつ込んだ対策を機構的に考えておられますかどうか、お伺いしておきたいと思います。  この際もう一つお伺いしたいのは、終戰以来自治体、なかんずく中間的な存在である府県制というものの性格も、市町村と同列の自治体ということで、はたしてやつて行けるかどうか、この点私たちは現実を見まして非常な疑問を持つていますが、これは今後とも市町村並み自治体で推進されるのかどうか、防衞問題等とも関連しまして、治安の問題にも関連がございますので、いろいろ研究すべき課題ではないかと思いますが、御所見がありましたら、お伺いしたいと思います。
  23. 小野哲

    小野(哲)説明員 まず先般の全国知事諸君会合等において、ただいま藤田さんが御指摘になりましたような、他の大臣がこの間のあつせんをいたしましたことは事実であります。しかしあくまでも自治庁長官たる国務大臣担当大臣として責任があることは、申すまでもないのでございますが何分問題が政府部内におきましても、いろいろと意見の異なつたものもございますために、適当な大臣の手元におきまして、その間の計数その他の点につきましても、あつせん調停をするようなやり方をして行くことが、事態の解決を促進して行く上に適当ではないか、かような意味合いから建設大臣等がその仲介あつせんの労をとつていただきましたことは事実でございます。この点については幾分弁解がましいようでございますが、一応実情お話申し上げまして、御了解を得ておきたいと思います。  なおまた地方公共団体の運営すなわち地方自治のあり方についての、特に講和條約成立後の問題についての御意見を拜聽いたしましたわけでございますが、この点につきましては、きわめて重要な問題があるのではないかと私も思つておるわけでございます。しかしながら、サンフランシスコの講和会議における吉田首席全権の演説中にもございましたように、日本の民主化をさらに促進して行くということにつきましては、われわれ国民といたしましても誠意を持つてこれに努力いたして行かなければならないかと存じております。従つてこれと密接不可分な、しかも基盤としての重要な要素をなしております地方自治の問題につきましても、一層検討を加えまして、その成果が、上るように努力いたすべきであると考えております。この場合に中央行政機構を整備して行くことが必要ではないか、この御意見についても決して異論をさしはさむものではないのでありまして、政令諮問委員会等においても、数次にわたつて論議があつたわけであります。ただいまのところ御指摘のような考え方を持つておるようでございますが、地方公共団体方面からも、できるだけ中央機構の整備を要望されておるような点もございますので、政府といたしましては、この問題についても関心を寄せ、閣僚懇談会等の機会を利用いたしまして、意見をとりまとめて行くように努力いたしたいと考えておるわけでございます。ただ具体的にしからばどういうふうな形で、いかなる内容を持つたものを中央に置くことが妥当であるかということについては、政令諮問委員会の答申が出て、まだ日が浅いわけでございますので、結論はまだ出ておりません。これに対する政府としての見解が固まつておるとは申し上げかねるわけでございます。ただ一般の御要望等をも考えまして、どういうように持つて行くことがいいかということについては、政令諮問委員会の答申を参考として、検討を加えて行くということに相なつておるわけでございます。私見としてはできるだけ御要望に沿うように中央機構も整備することが必要ではないか、かように考えておりますことをつけ加えて申し上げまして御了承願いたいと思います。
  24. 河原伊三郎

    ○河原委員 さいぜんからの質疑応答について、一点お伺いいたしたいと思います。全国都道府県並びに市町村財政面におきまして唯一の頼みとしておりますのは、地方財政委員会でございます。地方財政委員会におかれましては、錚々たる人材が寄られまして、国家財政の現状、政府方針、それらをよく認識しつつ、地方財政実情に合う運営をはかつておられることと考えます。ところでただいまの質疑応答によりますると、政府においては大体地方財政平衡交付金並び起債増額を二百億程度予定している。しかもそれも内定の程度であるということでありまするが、大体その程度とうかがえるのであります。一面地方財政委員会におかれましては、平衡交付金並びに起債増額を六百億以上要するものと認められているようであります。まあ人おのおの見るところ若干の相違はやむを得ないといたしましても、その開きはあまりに大きいと存じます。つきましては地方財政委員会におかれましては、かような大きい開きに甘んじられるというお考えであるか。これがごくわずかな差でありますれば別でありますが、自分のこれだけはいるという信念の三分の一にも足りないような額に押えられるといたしまするならば、その信念上、これは進退を賭しても争うべきものというふうにお考えですかどうですか、その点一つ御信念のほどを伺いたいと思います。
  25. 野村秀雄

    野村説明員 私ども地方財政の現状から見て、この数字が必要であるということを信じまして、政府の方へこれを提示したわけであります。しかし政府の見るところはここまで必要ない、しかし地方財政は確かに困つておるから、この程度でよかろうということで、二百億の平衡交付金並びに起債わく拡張であります。なおこのほかに聞くところによれば短期融資においても、地方財政の困窮を救済するために、政府の方で考慮するということであります。この短期融資というものがどの程度まで実現するか、あるいは百億くらいはあるのではないかというふうに見ておるのであります。そうするとかれこれ半分くらいの額をもつて、当面を処理して行く考えのようであります。しかし私どもはこれではなお足りない、ぜひこれ以上増額してもらいたいということについて、今後さらに努力を続けて行くつもりであります。進退を賭して云々というお話がありましたが、私どもの進退を賭することはきわめて易々たるものであります。しかし私どもは進退を賭するとか何とかいうことよりも、いかにして地方財政をこの際救つて行くかということに、最善を盡すことが私どもの任務と思います。従つて進退云々の問題は今考えておりません。
  26. 河原伊三郎

    ○河原委員 私の申しましたのは、通らなければやめなさるかどうかということをお尋ねしたのではないのであります。およそ信念的に行動する以上は、それがはなはだしく妨げられた場合は、おのずからの帰結としてそういうふうなことが起るのであります。従つてそれほどの信念的な考え、信念的な数字であるかどうか、あまりにも開きが大きいところよりその点を伺つたのであります。
  27. 野村秀雄

    野村説明員 今のところは開きは大きくありますが、私どもはこの開きをいかにして小さくするかということについて、努力を継続しておるのであります。
  28. 大泉寛三

    大泉委員 小野さんに一つお伺いしたいのですが、最近自治体警察の廃止状況について、まつたく全国的に友好的に非常に促進されております。これは各自治体が自主的にやつていられると思いますけれども、何らか中央一つ財政的な立場から指示していられるようなことがあるかどうか、これはないと思いますけれども、お伺いをしておきたい。それから、それは警察の問題だから、警察の方で何らかやつているだろうということがありましたら、それも御承知の範囲内において承りたいのです。また地方自治体自治体警察を廃止するに当つて平衡交付金に対する要望がいろいろ来ておられるかどうか。いわゆる警察を廃止するが、平衡交付金においてどういう変化があるかというようなことから、事前に何らかの了解、相談に来られているかどうかということ。それから、それに対して何らかの、また財政上楽になるような方法が示されているかどうかというようなことを承つておきたいと思います。
  29. 野村秀雄

    野村説明員 自治体警察の存廃について、地方財政委員会として地方に対してどうせい、こうせいというようなことを通達したようなことは今までありません。しかし自治体警察の廃止に伴う平衡交付金の問題については、地方財政委員会からそれぞれ具体的の通達を発しております。これは局長から詳しく御説明申し上げます。
  30. 小野哲

    小野(哲)説明員 ただいま野村委員長からお話がありましたように、地方自治庁も同様の立場でありますが、自治体警察の存廃については、何らの指示もいたしておりません。ただ個人的の立場でいろいろどうしたらいいだろうかということを、相談に見える向きもありますけれども、しかしながら地方自治庁としては何らこうしろ、ああしろというさしずをする立場にはわれわれはないのであるという御説明をいたしまして、納得を得ておるような次第であります。従つて何ら通達等もいたしておりませんが、ただ平衡交付金の問題につきましては、今お話のように手紙を出しておると私は考えております。この点はまた局長からお聞きとりを願いたいと思います。
  31. 荻田保

    荻田説明員 この自治体警察存廃問題につきましては、平衡交付金の問題が財政的に非常に重要であります。しかもそれにつきまして、これは正確な権威あるものではないと思いますが、いろいろうわさと申しますか、誤つたうわさが出ておるようでありましたので、二月ばかり前にその点について通牒を出しまして、なお機会あるごとに説明をしておるわけであります。一つはこの自治体警察を今年廃止いたしますと、その場合の基準財政需要というものを、どうするかという問題でありますが、これはやはり廃止すれば廃止しただけ、この額は落ちるということを通牒してあります。ただ具体的にどれだけ廃止するかということは、ただいま研究中でございます。第二に、少し事務的になりますが、警察費の基準財政需要を算定するのに、政令で定めました警察官の定員を使つておりますが、これは今後地方が自由になりますと用いられなくなります。しかしことしは過渡的にそれを用い、来年以降におきましては、人口等から割出したものを用いたいということであります。  それから第三に、これは警察費の測定だけではなくて、他のいろいろの基準財政需要を測定する場合に、都市的な所と農村的な所とは、ある程度差等をつけたものがあります。その区別に大都市と都市と町村とこの三段階にわけるだけではなくて、町村につきましても、いわゆる都市的な町村と、ほんとうの農村的な町村と、この二つをわけるために、いわゆる甲町村乙町村といつておりまするが、自治体警察のあるなしをもつて基準にしたい。それがもし自治体警察の廃止が自由になりますと、同じようなところで、あるいは廃止あるいは存置するということになりますると、自治体警察のあるなしをもつて、甲町村と乙町村を区別することは適当でないので、それは別の基準をもつてきめたいという点、この三点を誤解のないようにということで通達しております。
  32. 野村專太郎

    野村委員長代理 この際議題外でありますが、日本の地方自治体の健全なあり方に対しましては、喋々を要することはないのであります。御承知通り、今回富山県新湊市をめぐる住民の紛争に対しましては、皆さんとともにほんとうに不幸な、遺憾なことであり、特に私ら担当委員会に席を置く者といたしましては、当然関心を持たるべきと思うのでありますが、ここにこの地区に対する状況を申し上げまして、御参考にしたいと思うのであります。  先般来問題となつておりました富山県高岡市から分離独立した新湊市をめぐる境界変更の紛争につきましては、御相談の結果各党代表で現地調査を行うこととなつていたのでありますが、去る九月八日大泉委員山手委員、久保田委員と私との四人で現地に参りまして、八日には富山県当局及び高岡市当局から事の経過並びに意向を聞き、翌九日には新湊市に参りまして、市長、市議会議長以下多数から意見を聽取いたし、さらに同日午後は新湊市から再分離を要望している庄西地区の地理的環境等を視察した後、同地域の代表者の集会に出席して陳情を受けたのであります。  かねて陳情を聞き、また地方自治庁その他から情報を得て、大体の事情を承知して参つたのでありますが、現地実情予想以上に深刻なものがあるのでありまして、簡單に解決し得る問題でないことを強く印象されて来た次第であります。もともとわれわれとしましても結論を出す目的で参つたのではありませんので、将来予想される全国的な自治体の規模の適正化等の問題処理の参考とする意味であつたのでありますが、実地に視察調査しました結果は、この種の問題がいかに地方にとつて、重大な問題であるかを認識して参つたのであります。本調査の結果はいずれ資料等を整理した上で、詳細を御了承いただくことにいたしまして、今後この種事案の御審議の資料としていただきたいと思います。とりあえず実情をお聞きとりいただいたわけでございます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十五分散会