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山下(興)
説明員 ただいま
委員長から
お話がありました
勧告につきまして
—報告は省略してもいいと思いますが、
勧告につきまして少しく補足しながら御
説明したいと思います。
俸給につきましては、われわれの
根本観念といたしまして
公務員は
罷業権がない、
団体交渉権もないわけでありますから、この
公務員の待遇については十分にわれわれは考慮しなければならぬというので、
争議の必要がないように、
交渉の必要がないように
人事院としては正しい
行き方を
考えなければならぬというのが
根本の精神であります。そうしてこれは旧憲法のように、天皇陛下からいただくお金ではなくて
納税者から
公務員に
国民に対する奉仕の代償として
支給せられるのでありますから、私
どもの
とつた策は、
公務員も満足さすと同時に、
納税者も十分に満足さす
数字でなければならないという
立場をと
つておるのであります。それではどうすればいいかと申しますと、
公務員の
平均の
生活水準を
国民の
生活水準に合すということであるなら、これは異議をとなえる
国民もないだろうし、それからまた
国会はその
代表者であるから、みんなに賛成していただけるものだ、こういうふうに思いまして、それで
民間給与を詳しく調べたわけであります。
〔
委員長退席、
田中(重)
委員長代理着席〕
それで実は、今度は今までの
調べ方よりは相当進歩したつもりでありまして、この前は十四級の六号という一番上の点をとり、下は十八歳くらいなところで、給仕や何かの者の
摂取カロリーを
国民平均の
水準に持
つて来て、その二点を通過した
等比級数の線を書きまして、これに合すという
行き方であ
つたのであります。ところが今度はそれよりも少し精密にやる必要があると思いまして、六級、七級、八級、九級、十級とい
つたように、
一つずつの級の
職務を分析いたしまして、それが
民間で同じような
職務に従事している
企業体の、五十人以上の事務所などに勤めている人間の毎月きま
つて受ける報酬をきれいに調べ上げまして、大体七百箇所くらいの所について調べたのでありますが、今度それを結びつける線をきれいに引いて行きました。ですから今度はもう一点上とか下とかでなくて、全部にわた
つて民間の
給与にぴたつと合うように
考えた次第でございます。そうしましたのがいつであるかと申しますと、三月の現在であ
つたのであります。これは
勧告する時期は、これを
予算に組み込んでもらうのに十分な
予備知識を持
つてもらう必要がありますから、それの
補正予算に組み込まれる時期に十分に間に合うようにということと、それからできるだけ最近の
数字によるということのために、実はこれを五月に補正したわけであります。何で補正したかと申しますと、毎月
労働省で
勤労統計が
発表になりますから、それによりまして三月と五月の
一般の
給与の
上りぐあいを三月の
実績にかけましたから、結局われわれが見つけたものは何であるかと申しますと、五月末の
実績を
調査したということにお
考えくださ
つてよかろうと思うのであります。それによ
つてそれに合せて行こうということでありまして、それで五月末に、それでは
公務員の
給与をかりに切りかえたとしたらどうなるかということをまず出しまして、それから
あとの七月末までの昇給時期その他がありますから、結局それが考慮されまして、七月末現在でここへつけ加えてありますような切りかえ表を使いましてでき
上つたものは、
俸給だけで八千八百八十四円となるのであります。それが
俸給でございます。
それから
扶養手当の方は、御
承知のように今六百円、六百円、
あと四百円、四百円というふうについておりますが、これは
民間の
給与を調べてみましても大体そんな線でありまして、少しずつ減りぐあいではありますが、顕著でありません。それで今まで
通り六百円、六百円、四百円、四百円というふうにいたしますと、一人
当り八百八十円ということに相なるのであります。
それから
勤務地手当の問題でありますが、これはまだ採択にな
つておりませんけれ
ども、二割五分、二割、一割五分、一割、五分というような五
段階にな
つておりまして、それの
勤務地はどこであるかと申しますと、今年の五月十七日に
勧告いたしましたあの地域をそのまま使
つていただきたいということできめましたところが、それが一人
当り千二百四十九円と相なるのであります。
それから
特殊勤務手当は、実は去年は二百八円でありましたのを二百五十円ということにしておるのでありますが、これはもう少し詳しく
研究いたしまして、この
特殊勤務手当というものの
性質によ
つてもう少し分析いたしまして、整理して行きたいと思
つております。
それでそういうことにいたしましてこれを全部
平均いたしますと、今申しましたように七月末の
実績で八月一日からこれを実行するものといたしますと、一万一千二百六十三円ということになるのであります。これは
俸給と
扶養手当と
勤務地手当、
特殊勤務手当というものが含まれておるのでありますから、そのほかの
超過勤務手当だとか
寒冷地手当だとか
石炭手当だとか、こういうものはこの中には含まれておらないのでございます。
それから
特別手当というのがあります。これはこの前は年末給ということで一箇月分を
支給されることを
勧告したのでありますが、その後、今まで申し上げましたようにきま
つて支給される金額以外に、
ボーナス式のもので年間を通じてどれだけ
支給されておるかということを調べてみますと、大体一・四箇月分とな
つております。これは私
どもの
調査もそうな
つておりますし、それから毎月
勤労統計でもやはり同じように一・四箇月と出ておるのであります。これは実は
日本の慣例といたしまして、年末だけでいいかどうか、六月末とい
つたようなものも多少はいるのではないかということも
考えまして、六月末と年末とをひつくるめまして一箇月分としたのであります。それが一・四箇月をなぜ一箇月にしたかといわれますと、これはきま
つて支給するような給料に比べて非常に不安定なものでありますので、やはり一箇月分というくらいな
程度が適当であろうというふうに
考えたわけでございます。
それから
奨励手当というのがありますが、この
奨励手当と申しますと、これは大体
現業でありまして
生産高がすつかりわかるもの、すなわち数量的にはつきりしたものに対しましては、
奨励給とい
つたようなものをこしらえますと
能率増進に非常になる次第でありますから、今度はこういう
制度を
一般行政の者でなくて、大体
現業の方に従事する人にひ
とつきめたい。それの
範囲なんかはこまかく
研究いたしますし、それからまたどういうふうな
支給をするかといえば、これは
予算の
範囲内でなくてはならぬと私
どもは思
つておるのであります。
能率給でありますから個々に出るはずのものではない、そう思いますから、これについてどういうふうな
支給方法になるかというようなことは、こまかく現場の
一つずつできめていいものだと思いますが、それについては
人事院が関与して、どういう組織であるか、どういう
配分方法であるかということをよく見て、適当であればこれを承認したいと思
つておるわけであります。
もう
一つけ加えたいと思いますことは、郵政、電通、それから通産省の
アルコール工場だとか、
印刷庁、
造幣庁、そうい
つたいわゆる
現業は、どうも中に勤めている人の
種類が違う。どう違うかというと、もともと
民間の
企業であ
つてもよさそうなもので、
生産に直接従事する。
行政の方でありますと、そういうものを指導監督するというのがおもでありますけれ
ども、そうでなく直接
生産に従事しておるという
種類のものが相当ございます。これについては、人数の多いことでもありますし、何も係長とか課長とか、そういう位地につかなくとも、一生涯ずつとその業務に従事するという人が相当ありますから、これは
一般行政とはどうも
性質が違う、それで
特別俸給表によ
つて、これを
ちようどぐあいよいようにして行こう。という
意味は、
熟練度によるわけです。
熟練度というものは、職業がかわ
つて上
つて行くのと
性質が違う。初めのうちは
熟練が早く行きますが、年月が長くなりますと、そんなに上らない、しかしその人はやはり
生計を立てておりますから、そういう
特殊性を十分
考えまして、これを新たに
特別俸給表の中に入れたわけでございます。
とにかくこういうことをいたしまして、まず
予算の中に編成していただきたいという希望で今出したのでありまして第十二
国会には
法律案として出て行きますから、それは
法律案としてはいろいろ訂正すべきところがあると思いますが、もしも間に合うならば
給与準則をこれに持
つて来ましてそれによ
つて国会において審議していただきたい。そういうふうに
考えておる次第であります。一応の
説明はこれで終りたいと思います。