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1951-09-28 第11回国会 衆議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月二十八日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君    理事 福田 昌子君       大石 武一君    高橋  等君       寺島隆太郎君    中川 俊思君       松井 豊吉君    山村新治郎君       岡  良一君  委員外出席者         厚生事務次官  宮崎 太一君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   森本  潔君         厚生事務官         (医務局次長) 久下 勝次君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      熊崎 正夫君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (保険局長)  安田  巖君         厚生事務官         (引揚援護庁長         官官房総務課         長)      畠中 順一君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  阿部 敏夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 九月二十七日  委員砂間一良君は退職者なつた。     ――――――――――――― 八月十八日  ハイアライ競技法案土倉宗明君外一名提出、  第十回国会衆法第七〇号)医薬制度に関する件  公衆衛生社会保障、婦人、児童保護遺家族等  の援護に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  厚生省関係予算に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  まず昭和二十七年度厚生省所管予算について、太宰官房会計課長より説明を聴取いたしたいと存じます。太宰官房会計課長
  3. 太宰博邦

    太宰説明員 二十七年度厚生省関係歳出概算につきましては、現在大蔵省説明を終つたところでございまして、ただいま補正予算とか行政整理というような問題がからんでおりますために、まだ向うと折衝する段階にまで入つていないという状態でございます。従いまして、政府といたしまして、内容がまつたく文字通り固まつておらないものでございまして、お手元に差上げましたのは、厚生省としてはこういう気持で来年度予算要求したいというようなところを、御参考までに書いた、かように御了承願いたいと思います。  お手元に差上げました中で、二部あると存じますが、最初の二十七年度歳出概算事項別要求額、そこに各項目ごとに前年度と比較した数字が出てございます。ここでは、ただ厚生省全体として、どのくらい要求したかという程度を、ちよつとお目通し願えばけつこうかと存じます。下の右の方にページ数が書いてございますが、十ページの一番下に厚生省所管合計というところがございます、二十七年度要求額は一千七億一千二百四十四万七千円でございます。前年の要求は一千八十億であつたと考えておりますが、今年は諸般の情勢から、さらにしぼりまして一千七億にしました。そこのまん中の欄は二十六年度予算決定額でございますので、それと差引いたしましても、これは何にも価値もないということでございますが、一応一千七億ほどのものを一般予算要求しておるということだけお目通し願えれば、ここはけつこうでございます。  それから引続きまして公共事業費関係、それから特別会計三つございます。厚生保険特別会計船員保険特別会計、それから最後国立病院特別会計三つございますが、一応御質問がございますれば、またお答えいたすことにいたしまして、もう一つの方の社会保障経費内訳、これを通じまして大体要求いたしております内容をさらにこまかく御説明申し上げた方がよろしかろうと思います。大体厚生省予算でございますので、社会保障経費のうちおも立つたものはほとんど全部入つてございます。この社会保障経費内訳でおもなものを概略説明申し上げたいと思うのであります。  社会保障経費の方に入りまして、まず第一に社会保険費というのが出てございます。社会保険につきましては、まずこの保険事務費をどう取扱うか、これにつきましては十分の十、全部を国が見るという建前で組んでございます。従来、国民健康保険は十分の十でございますが、健康保険は十分の八であつたと思います。これを十分の十にします。  それから第二に、医療給付費につきましては、その給付費の二割を国が負担する、こういう建前要求いたしております。やはりこれは社会保障制度審議会の勧告の線に沿つたものでございます。  次に国民健康保険につきましては、次のページを繰つていただきまして、上から五行目再建整備奨励費というのがございます。十三億一千三百五十四万円はど新規要求をいたしたいと存じておりますが、これは現在社会保険収支状況が非常に悪化しておつて、このまま放置して行くならば、遠からずして危機を招来するものと考えておるわけでございます。特に国民健康保険につきましては、現在及び今後について、相かわらずそういう危機があると同時に、過去において、長年赤字を重ねておりまして、どうにも動きがとれなくなつている面が非常に強いのであります。この際過去の赤字を解消して、国民健康保険を伸ばして行くという考えからいたしまして、まず過去の国民健康保険赤字を出しておりますものの中で、その事業がきわめてまじめで、しかもその赤字解消への努力を重ねておると認められますものを限定いたしまして、それに対して再建整備長期資金を貸し付けようという考えでございます。私どもが一応考えておりますことは、五箇年間すえ置いて、二十年くらいに償還をさせよう、こういうような考えで進めております。奨励費でございますが、これは長期貸付資金と御了承願いたいのであります。なお現在及び将来につきまして、給付費を十分の二負担することは、やはり同様でございます。社会保険につきましては、大体そういうような点が目新しいところでございます。  その次に、国家扶助及び社会福祉費のうちの生活保護費は、例年何十億というほど大げさにこれが加わつて膨脹して参るのであります。それで明年度におきましても、その根本をなしまする保護補助金が二百八十四億、前年度の二百五億に比べまして非常に大幅にふえております。これはやはり内容は今一々申し上げるのも差控えたいと思いますが、大体物価が騰貴するであろうというのと、それから内容も若干改善したい。たとえて申しますれば、生活補助費あたりにおきましては、飲食物以外の経費について内容を五割ほど改善したい。これは昨年もそういう線で予算をいただいたのでありますが、結局物価騰貴に追われまして、内容を改善する方は全部ゼロになりましたので、明年度におきましても、同じように内容を少し改善したい。これは飲食物以外の経費でございます。さような意味合いでこれを計上しております。さようなわけで、物価騰貴とか、それから実績が非常に上つたというようなことからして、経費が膨脹して参つておるわけでございます。  それと並べまして、その次の社会福祉事務所職員費、これは八億三千五百十四万一千円であります。前年度平衡交付金に入つて六億四千八百九十五万二千円。これはかように申し上げましたように、生活保護費が年々何十億となく膨脹いたしておりますので、これをチエツクする方法といたしまして、どうしてもこれを科学的に取扱つて行くということでやらなければいけない。そのためには平衡交付金というようなところにこれを置いていたのではその辺十分に責任ある行政を果すことができないというようなところから、明年度はこれを補助金に振りかえてもらつてやる。一応ここでは一万一千八百四十人の社会福祉事務所職員を置くというような建前考えてございます。  それからその次の身体障害者経費、これは特に目新しいというところもございません。ただここでひとつお目通し願いたいのは、それの終りの方に、結核回復者保護施設整備費結核回復者保護施設事務費というのがございます。これは例のアフター・ケアの施設でございまして、前年度はそこまで手がまわらなかつたのでございまするが、これを明年度はぜひとも手をつけたい。大体全国ブロックごとに一箇所ずつ合計八箇所を試みに整備して運営して行きたいという経費がここに入つておるということを、御承知いただきたいと思います。  それから次の児童保護費につきましては、項目は例によりましてずつとございまするが、一枚めくつていただきましたまん中辺に、保護補助金三十三億二千六百九十四万円というのがございます。これは前年度が二十六億六千七百四十万円平衡交付金に入つておつたのでありますが、これは前々から御説明をし、また御協力をいただいておりますように、明年度はぜひ補助金にこれをもとして、責任ある行政体制を確立したいということで、補助金としてこれを要求しておるようなわけでございます。  それから、一枚めくつていただきまして、相かわらず更生資金とか、公益質屋というような経費を前年に引続いて来年度要求したいと思つております。  それから次に、三番目に医療及び公衆衛生の方で、結核対策でございます。結核対策は昨年約百億ほど伸びたのでございますが、来年も引続き従来の線に沿つてこれを充実拡充して行きたい考えでございます。それでまず大きなところで申し上げますと、(ハ)の地方事業費補助、これの中に健康診断費補助を四億三千四百九十四万四千円とございますが、これは大体対象人員を、定期健康診断とそれから定期外のものとにわけまして、定期健康診断は三千四十万人、それから定期外健康診断は千三百八十一万人を対象として実施して行きたい。それからその次の予防接種費補助一億七千七十七万二千円、これは同じく対象人員を、定期定期外とにわかちまして、定期の方は五千三百八十六万人、それから定期外の方は一千三百八十一万人を対象として実施して行きたい、かように考えてございます。  それから下の方へ参りまして、もう一つ大きな支柱一でございます医療費でございますが、これはやはり前年に引続きましてストレプトマイシンパスというような特殊な薬、それから人工気胸、外科の手術というようなものに対しまして、公の費用でその半額を負担する、政府はその半額の負担の中のさらに半額、全体の四分の一を負担するという経費をそこに計上してございますが、明年は従来につけ加えまして、臓器結核と申しますか、肺以外の臓器結核の分もこれに加えて行きたいという気持でこれを組んでおります。  それからあとこまかいところを抜きまして、次のページをごらん願いまして、(ニ)の結核療養所経費、大体ここに出ておりますのは、国立療養所とそれから府県の公立療養所、それから法人の分でございます。このほか社会保険でやりまする分は、保険経費の方に入つておりますのでここには計上しておりません。ここに載つておりますのは、全部経常費でございまして、国立の分の既設が五万七千五百床分でございまして、七十四億四千五百六十四万円、それから新設の分は九千床分でございます。公立の方は、既設の分が一万三千四百床、新設の方が四千床を考えております。それから公益法人の方は、既設の方が一万三千八百床、新設の方は千五百床を計上してございます。  以上は経常費でございますが、その次の(ホ)は、それの建設整備費の方でございまして、国立の分は、先ほど申し上げましたように、来年度は九千床、それから公立の分が四千床、それから法人が千五百床、それから社会保険関係は三千床、合計いたしまして一万七千五百床、これは前年度同様五箇年をもちまして、大体十九万床を目途として、それの第二年に当るわけでございます。  その次のストレプトマイシン買上げが、昨年九億あつたものがゼロになつておりますのは、ちよつと御不審かと思いますが、これは例のストレプトマイシンを、国産のものを買い上げまして、輸入のストレプトマイシンと合せてプールにいたしまして、マル公の三百三十円でこれを処理しておるのでございますが、大体国産出まわりが軌道に乗つて参りまして、明年度においてはさような国が買上げをして、プール計算をする必要がなくなつて参りましたので、そういう意味買上げということをやめまして、そのかわり各療養所経常費の方に所要の分を計算してございます。その意味で、ここは一応ゼロとしてあるのでございます。  それから次の保健所費でございますが、これは大体問題は箇所数で、私どもの今後の行き方といたしましては、いたずらに箇所数をふやすということよりも、内容を逐次整備充実して行くという方向へ進みたいと思つております。それで現在はABCと三つクラスがございまして、Aが百八十箇所、それからBが六十箇所、Cが四百八十四箇所、合せまして七百二十四箇所あるのでございますが、明年新しくつくりますものは、Cクラス二十箇所にいたしまして、あとCクラスの中からABの方へそれぞれ内容を格上げして行きたい、かような考えで一応明年の計画になりますると、Aクラスの百八十箇所が三十箇所ふえまして、二百十箇所になります。Bクラスの六十箇所を大幅に二百四箇所にふやしたい。Cクラスはそれだけのものが減りまして、それから新しいのがぎりぎり二十固所ほど増設しますので、合せまして三百三十箇所、合計しまして七百四十四箇所にこれをしたい。さようなわけで、要求そのものからしまして、新設をなるべく控えまして、内容の充実に力を尽して行きたい、かように組んでございます。  それからめくつていただきまして、三番目に伝染病予防その他がございますが、このうちで公的医療機関整備費用、これはやはり前年初めて五千円入りましたのに引続きまして、将来五箇年で必要と認められまするのが約二万床ほどございまするので、これを五固年で整備して行きたいというので、その大体四千床前後というものを頭において、七億二千二百五十一万六千円を計上してございます。それから次に国立療養所結核以外のものが出ておりますが、ここでは癩につきましては、先般貞明皇后の御遺志で御遺金を頂戴いたしましたのを機会にいたしまして、この際癩を根絶いたしたいと、かように考えておりますが、まず政府の方といたしましては、癩の療養所ベット数を二千床ふやしまして、一万三千床にこれをしたい。それからそのほかに癩予防協会というものと手をとりまして、国民の喜捨も仰ぎまして、一両年のうちに癩を根絶いたしたい、こういう考えを持つております。癩の予防費というのが次の紙に出て参りますので、そのときちよつとまた申し上げます。  それから次のページまん中あたりに、新規要求として、医療資金金融特別会計四十八億というものを要求してございます。これは新規要求でございまして、現在開業医の方々が、戦時中の医術の進歩の遅れをとりもどすというために、病院を建てたり、あるいは施設整備したいという気持を持つておられるのでありますが、金融の面で思うようにそういう長期資金が得られないというような状況にありますので、政府として、そういう人々に対してその資金を貸し出すために、特別会計という形で四十八億を要求しておるわけでございます。  次の伝染病予防費は、これは従来からございますものがおもでございますが、ただ明年度として私ども考えておりますのは、例の、赤痢中心といたしました消化器系伝染病が、食糧事情がよくなつて来るとともに、逐次蔓延いたしまして非常に猖獗をきわめておる。それの対策といたしまして、この際少し抜本的な対策を逐次進めて行くようにしようじやないかという考えがそこに現われて、たとえばこのページ最後赤痢対策費二億六千四十六万九千円、これは新規要求なつておりますが、都市水洗便所を普及して行きたい、そのために補助をしたいという経費がそれでございます。それからその次は、次のページ汚物処理施設整備二億一千九百二十八万九千円、これは大体屎尿処理という面につきまして、現在非常に悩んでおりまして、きたない話でございますが、このままで行きますと、汚物で洪水になつてしまうというようなのつぴきならぬ段階に追い込まれておりますので、大体大都市中心考えておりますが、屎尿処理槽、これを処理するわけを設置する費用、それから塵芥焼却場がない、あるいはあつても修理されていないために腐朽して役に立たないというような所は、塵芥焼却場を新しく設けるというような経費がそこに計上してございます。それからなお上下水道整備は、やはりこの赤痢対策の根本的な方面といたしまして、水道を一層強化して行きたいというような面から、公共事業費といたしまして、水道建設上下水道の設置には、特段に力をいたして行きたい。従来は人口一万人以下でございますか、簡易水道というものは公共事業費として認められなかつたのでありますが、この簡易水道をさらに普及して行きたい。そこでちよつと御訂正願いたいのは、今の上下水道整備費四十億の中で右側に公共事業費と書いてございますが、これは今申しましたうちの公共事業費に入ります方でございます。これは三十八億五千二百万円、このほかに今の簡易水道の分が一億五千百万円ほど入つてございますので、ちよつと御訂正を願いたいと思います。  それから省略いたしまして、そのページの下の癩予防費、これは先ほどの癩の国の施設と相まちまして、地方事業を促進して行きたいという経費がここにあるということだけを、御留意願います。  それからその一番下は、これは寄生虫予防費でございますが、この研究費四百十六万円と申しますのは、大体農村におきまする一つテストといたしまして、一県から百戸ぐらいの村を一つ、それを全国三つほど選びまして、そこに屎尿分離施設を設けて、そしてこれを発酵させて、そこの寄生虫の卵を全部撲滅するというテストをやつてみようというので、研究費として四百十六万円組んでございます。  その下の地方病対策費は大体日本住血吸虫病対策費であります。一般予防並びに治療の薬を塗布する、配るというほかに、前から引続きまして日本住血吸虫病の媒介をいたします宮入貝を退治するためにコンクリートのみぞを設けるというので、大体件数にいたしまして五万件ほどの経費を計上しております。  それからあとは大体書いてありますようなことで、格別取上げて申すようなこともございません。大体以上のようなことで、来年度予算要求しておりますうちの概略おもなものを申し上げた次第であります。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 次に、ただいまの説明中、公衆衛生局関係予算につき、特に重要な事項を取上げての御説明をお聞きしたいと存じます。山口公衆衛生局長
  5. 山口正義

    山口説明員 ただいま会計課長から御説明申し上げました公衆衛生局関係のうちで、結核関係保健所関係、それから伝染病関係寄生虫病地方病関係の問題でございますが、結核関係につきましては、大体の方針は先般第十国会で御可決いただきました結核予防法に基きまして、結核予防対策実施して参ります。二十六年度予算につきましても御可決いただきまして、その線で現在進めて参つているのでございますが、ただいままで本年度の各県の予算消化状況は、先般の委員会におきましても御報告申し上げましたように、健康診断予防接種につきましては各県ともに順調に進めております。  また療養所建設状況につきましても、公立のものは大体六千九百床を予定いたしておりましたが、すでに承認済みのものがその約半数の三千五百床、あとのものも漸次計画しておりまして、大体九月、十月の県議会にかけて予算を計上して実施に移すというふうな方向に進んでおります。法人のものは初め大体千八百床を予定いたしておりましたが、これは申込みが非常に多うございまして、補助率が二分の一以内ということになつておりますから、現在では二千数百床を大体建設できるというふうな予定でございます。  医療費補助の問題、これは十月一日から実施することになつておりまして、ほとんど全部の県においてすでに予算を計上いたしております。また整備費におきましても大部分予算の計上が済んでおりますが、残つておりますものは、私ども事務当局が、ただいま折衝して実施に支障のないようにやつてもらうように努力をいたしております。  来年度予算編成方針は、大体本年度予算編成方針を踏襲するというふうな行き方で進んでおりますので、健康診断予防接種対象人員は、ただいま会計課長から御報告申し上げたようなことで一応編成して、大蔵省に提出いたしているのでございますが、二十六年度とかわつておりますところは、健康診断予防接種ともに、患者の家族を定期外に二回やる。また結核蔓延地区におきまして、臨時に健康診断予防接種をやるという予算要求しております。  それから医療費の問題につきましても、これは本年度は六箇月分をお願いして予算をいただいたわけでありますが、二十七年度は、当然一年分でありますので、対象人員が相当ふえます。大体ストレプトマイシンパスともに三十五万人分を要求いたしております。人工気胸人工気腹は十五万人分、側部手術が三万二千人分というふうに非常に人数がふえております。そのほかに先ほど会計課長から申し上げましたように、胸部手術のほかに、いわゆる腎臓の摘出手術、あるいは脊椎手術、関節の手術その他の臓器手術というような、肺以外の臓器治療、あるいはギプス、あるいは脊椎整復手術というようなものについても、予算要求いたしているのでございます。本年度方針とかわりましたおもな点は、そういう点でございます。  そのほかに本省といたしまして、結核関係衛生技術官養成訓練というようなこと、あるいは地方職員の講習というようなことは、大体二十六年度方針を踏襲して実施いたしているのでございます。  保健所につきましては、箇所数の増加はただいま会計課長から御報告申し上げた通りでございます。なおそれに伴いまして職員が大体四千名ばかり増加することになります。職員充足状況でありますが、しばしば御指摘の通り、特に技術関係充足状況がなかなか思わしくございませんが、これは二十六年度においても計上していただきましたように、研究費というものを認めていただきまして、それによつて技術官研究意欲をそそり、また質の向上をはかり、そして充足を間接的にはかつて行くということで実施いたしておりまして、漸次入りつつございます。来年度はその研究費も二十六年度の倍額を要求して、さらにその方針を推し進めて行きたいというふうに考えております。また保健所の内部の施設整備――数をふやすことよりも内容整備して行くことに重点を置くというふうに会計課長も申し上げましたが施設整備費につきましても三億八百万円ばかり計上いたしまして、それを要求いたしているのでございます。  それから伝染病院は、先ほど会計課長から申し上げましたように、本年は約三千床足らず、一億数千万円の予算をもらいまして、従来の山の中にあつた隔離病舎のあの方式を改め、総合病院に付設するという方針で進んでおります。それは五箇年計画でやつておりまして、来年度は四千床ばかり要求してその方針を続けて行きたい。それは先ほど会計課長から御説明申し上げた通りであります。なお赤痢先ほど会計課長の申し上げましたように、最近いろいろな原因によりまして、残念ながら、ほかの伝染病が減つておりますにもかかわらず、赤痢だけがふえて来ております。ただいままでの状況では、患者数におきましては昨年の約一・七倍、死者の数におきましては一・一倍というような数字になつております。それで実数はごく最近の数字が約六万人程度であります。当初私ども各年ごとの増加の状況から見て参りますと、今年は十万を突破するのではないかというふうに非常に心配をいたして、いろいろ手を尽しまして、特に個人衛生ということ、食べものの取扱いということについて重点を置いて衛生教育によつていろいろ手を打つて参りました。幸いにいたしまして最初予想いたしましたほど増加せずに、現在のところ大体八万ぐらいで押え得るのではないかというふうに考えております。これは今後もできるだけ努力して参りますが、その対策の一環としまして、先ほど会計課長から申し上げましたように――もちろん一般衛生教育、あるいは食品の取扱いということについて重点を置いて参りますが、予算上といたしましては、根本的に水洗便所の普及あるいは上下水道整備、あるいは大都市、たとえば東京、横浜、川崎、大阪、尼崎というような大きな都市屎尿処理施設建設に対して助成をして行きたい、そういうふうに予算を計上しておるのであります。  それから、寄生虫対策では、あるいは地方病といいますか、日本住血吸虫につきましては、山梨県その他で実際にテストをやつてみましたところ、非常にいい成績を得ておりますので、そういう農耕地区の灌漑水の通りますところをコンクリート化して行くということを、少し大きく取上げて、予算を計上して、それによつて、効果をあげて行きたい、そういうふうに考えております。会計課長説明と重複した点もございまして恐縮でりますが、一応私の方から申し上げました。
  6. 松永佛骨

    松永委員長 次に、医務局関係予算について、特に重要な事項を取上げていただいて、説明を聞きたいと存じます。久下医務局次長
  7. 久下勝次

    ○久下説明員 会計課長の御説明から落ちております問題について、概略私より御説明思し上げたいと思います。  まず第一に申し上げたいと思いますことは、医療行政に関しますもののうち、医師法、歯科医師法、あるいは医療法の施行等に関係のあります予算で、これは先ほど会計課長から申し上げましたほかは、従来やつておりますようなことを、そのまま続けてやつて参りたいと思つておるのであります。たとえば、医師、歯科医師の国家試験でございますとか、あるいは予備試験でございますとか、そういうものにつきましては、従来の通り受験者の数も予想いたしまして、それに応じた経費の計上をするようにお願いをしておるのであります。また病院管理研修所でございますとか、あるいは死因調査でございますとか、あんま、はり、きゆうの問題でありますとか、いずれも昨年来やつておりますことを、そのまま踏襲したいと思つておるのであります。  ただ特異な点は、こまかい問題ではありますが、病院管理研修所の問題につきましては、短期、長期の講習会を、予算に基きまして本年も実施いたしておりますが、来年度は、これは非常に希望者が多くて好評を博しておりますので、付設してございます国立東京第一病院の敷地内に焼けビルがありますので、それを改修いたして教室宿舎等に充てたいと思いまして、そういうような予算を若干増額して要求をいたしたのであります。  それからあんま、はり、きゆうにつきましては、かねて国会関係の方々からの要望もございましたので、それらの既得権者につきましての再教育の費用を、要求いたしております。これは昨年も要求いたしましたけれども、財政の都合上削減をせられたのでありますが、本年も重ねて要求をいたしておるのであります。それから国会の御提案で可決せられました診療エックス線技師法につきましては、さしあたり来年度必要になるものは、既得権者の特別試験だけでございます。これの実施に支障のないように予算要求をいたしてございます。  次に、歯科衛生についてでございますが、歯科衛生士の養成その他は大体昨年のものを引継ぎますとともに、歯科衛生士の養成の問題につきましては、さらに若干の場所をふやしまして、漸次この仕事を進めて参りたいという要求をいたしております。そのほか歯科衛生につきましては、少し大きく予算といたしましては二千七百万円の新規要求をいたしておりますが、これは学齢期に入ります前の乳幼児につきまして、歯牙の検診をいたしまして、主として虫歯の早期発見をする。そうして早期治療をして、大きくなつてから、成人の歯にかわります場合に、健全な歯が生れ出ますようにいたしたい。このことは歯科衛生の点から申しますと、非常に根本的な対策でありますので、この仕事をやりまして、検診をいたしましたあと、それぞれ保護者に注意をするような印刷物でも配つて治療の必要なものは治療をさせるようにしたいというような措置をとりましたので、検診の費用として二千七百万円の新規要求をいたしておるのであります。  次は保健婦、助産婦看護婦の関係でございますが、これの再教育につきましては、従前の通りに続けて参りたいと思つております。保健婦、助産婦及び看護婦の数の上から、需給関係が非常に見通しが悪うございますので、すでに本年度、保健婦につきましては、六箇所であつたと思います。正確な数字を記憶いたしませんが、各都道府県に新設補助金を出しまして、養成所の設置を奨励いたしておるのでございます。来年度はこれをさらにもう十箇所ふやしますとともに、助産婦、看護婦につきましても、各都道府県に補助金を出しまして、養成施設をつくるように奨励をして行きたいと思つております。その所要経費要求いたしております。助産婦につきまして五箇所看護婦につきましては十箇所の養成所の奨励補助金を出したいというふうに要求をいたしておる次第でございます。  その次は、国立病院療養所に関する問題でありますが、まず一般会計に属します国立療養所につきまして、おもな点を御説明申し上げておきたいと思います。結核の増床及び癩の増床につきましては、ただいま会計課長から御説明申し上げましたが、その他の点につきまして御説明申し上げたいと思います。  金額の上から相当大きな部分を占めますものは、看護婦の養成費でございます。来年度は、現在国立結核、癩療養所に二箇所の甲種看護婦の養我所がございます。これを続けて参り、また乙種看護婦養成所が二十箇所ございますが、これも従前通りあと一箇年続けたいと思つております。そのほかに新しく法律の改正によつて生れました準看護婦の養成所を、国立結核療養所に五十箇所設置いたしたいと思いまして、相当金額の大きい――五十箇所に一千名を収容いたしまして、準看護婦を養成いたしたいと思います。これの新設関係費用並びに計上費を要求いたしておる次第であります。  それから療養所の経営で、大きく予算に響いて参りますものは、いわゆる食糧、薪炭費の諸単価の問題でございます。これを申し上げたいと思います。結核、癩、精神、脊髄、それぞれの療養所につきまして、まず薪炭費であります。石炭や電燈代や、そういうふうなものでございます。これは患者一人当り一日二十五円でありましたのを、来年度は四十円の要求をいたしておる次第であります。それからもう一つは、日々の患者のまかない費でございますが、今年度の当初予算では結核が七十七円、癩が七十五円、精神療養所が七十五円、脊髄療養所が七十三円でありました。これは御承知の通り最近の米価の値上りもございましたので、それに関連をして本年度補正予算要求をいたしたのでございますが、私ども承知しておりますところでは、大体補正予算には、結核で例を申し上げますならば、七十七円を八十二円余に査定をされ、認められるようでございます。来年度はさらに諸物価の値上り等もございまして、これに若干加えて八十七円くらいはしていただきたいということを要求しております。その他の療養所につきましては、いずれも一日患者一人当りのまかない材料費を八十五円に値上げをするように要求をしております。同じく予算総額に大きく響きますものは医療費でございます。薬品や消耗的な医療資材を買います費用でありますが、本年度結核は入院患者につきましては三十七円、外来患者は三十五円でございます。これを来年度は入院患者四十八円、外来患者四十四円に値上げを行いたいということを要求いたしております。癩、精神、脊髄、それぞれそれに準じました医療費の値上げを要求いたしておる次第でございます。  それから常々問題になつておりまする癩療養所関係では、患者の慰安謝金と称するもの、あるいはまた作業をいたしますために作業賞与金を出しておるのでありますが、これが単価が低いために入所患者から陳情が絶えないのでございます。来年度は慰安謝金につきましては、今年度は患者一人当り一箇月四百円でありますが、これを生活保護法の通り四百五十円まで上げる予定にいたしております。それから作業賞与金につきましては、作業の種類に、応じまして甲乙丙とわけて本年度予算単価は最高が十二円三十二銭、最低が七円三十三銭ということになつておりますが、これを来年度は一人当り最高は三十円、乙が二十五円、丙が十五円、この程度までは増額をしてもらいたいということを要求いたしております。新しいこととしては癩患者の文化費を若干出していただきたいという要求をいたしております。  もう一つ結核関係で申しておきたいと思いますことは、先ほど九千床の国立結核療養所の増床の御説明を申し上げましたが、私ども今腹案となつておりますのは、九千床のうち四箇所くらいは新設で参りたいと思つております。これはいろいろ従来の関係もありますし、全国的に見ますと、結核療養所の非常に稀薄な地域がございます。これの典型的なひどいところにつきまして、四箇所だけはぜひ新設して百四十床くらいのものをとつて参りたいと思つております。その他の八千四百床は既存の国立結核療養所にそれぞれの規模に応じまして増床して参りたいという計画でございます。そのほか申し上げまするとこまごまして参りますので、また御質問でもございましたらお答え申し上げることにいたしたいと思います。  最後に、国立病院特別会計につきまして御説明を申し上げておきたいと思います。国立病院特別会計は、本年度は歳入歳出ともに四十四億二千七百六十一万四千円でございます。来年度結核療養所で申しましたと同様に、患者医療費、患者のまかない費あるいは燃料費等の単価の値上りがあり、また入院患者、外来患者は逐次増加しておりますので、来年度は、入院外来、ともに二万六千人になるであろうという計画のもとに、ただいま申しました単価の値上りと合せまして、予算要求いたしておるのでございます。さらにそのほか大きな部分を占めますものは、国立病院の建物の整備をいたさなければならぬという費用でございます。これは私から申し上げるまでもなく、戦時中の、バラツク建てのものが、依然としてそのまま使用されておるようなものが相当ございますので、それらに手を加えて、患者の医療に支障のないよういたさなければなりません。それらを加えて増額をして参りますと、来年度国立病院特別会計の総額は、私どもの計算では歳入歳出六十億八千万円となる予定でございます。すなわち本年度の総予算に比較いたしますると、約十六億の増額でございます。もつとも、これは療養所の場合に申しましたと同様に、また先般御説明申し上げましたと同様に、国立病院につきましては、本年度補正予算を五億近く要求いたしております。これを加えますると、二十六年度予算額は四十四億でありますから、四十九億になると存じます。従つて総額におきましては、来年度は十億少しの増額ということに相なるわけでございます。  内訳についておもな点を申し上げますと、先ほど患者の総数は二万六千ということを申と上げましたが、これに伴つてやはり大きく響きます問題は、医療費、燃料費及びまかない費の単価の値上りでございます。まず医療費につきましては、今年度は入院患者五十円、外来患者が三十五円でございますが、本年度はこれを六十五円と五十円ぐらいに増額してもらいたいというふうに要求しておる次第であります。それから薪炭、衣類これはこの中には燃料費と光熱、水料を含んでおりますが、本年度は二十五円の単価でございます。これを来年度は三十五円にしてもらいたいという要求をいたしております。患者のまかない費は一人一日当り本年度は七十二円でございます。これを八十円程度まで増額してもらいたいという要求をいたしておる次第であります。これらのものが重なりまして、職員のベース・アップ等を考慮いたしますと、歳入歳出総額におきまして、先ほど申し上げた約十六億余の予算増になる次第であります。  はなはだ簡単でございましたけれども、おもな点だけを御説明申し上げた次第であります。
  8. 松永佛骨

    松永委員長 次に薬務局関係予算について、特に今年度と違つた点につきまして説明をお聞きしたいと存じます。
  9. 慶松一郎

    ○慶松説明員 一つだけ申し上げます。それはストレプトマイシン買上げ費が、来年度におきましてはなくなつておる点でありまして、それを御説明いたしますには、ストレプトマイシンの生産状況がどうであるかということを申し上げれば済むと存じます。ストレプトマイシンは昨年の七月から国産が出るようになつたのでございますが、当初におきましては、一箇月四百人分ぐらいしか出ておりませんでした。ところが今日におきましては、大体一箇月に五千人分すなわち二百キロというものが出ておるのでございますが、これは設備の拡充その他によりまして、この十倍になる予定であります。すなわち設備の拡充に対しまして、見返り資金あるいは開発銀行から約二億の融資を厚生省においてあつせんいたしまして、近い将来におきまして大体設備が完成することと、なおこの技術につきましては、各製薬会社がアメリカの会社と契約をいたしまして、技術者をこの夏アメリカに派遣いたしました。そしてその人々がすでに二、三週間前に帰つて参りまして、この技術によりまして、大量のストレプトマイシンをわが国において生産するということの見通しがついた次第でございます。その意味におきまして、ただいまは二百キロ、すなわち約五千人分ぐらいしか月に出ておりませんが、来年度におきましては、おそらく月に二千キロ、すなわち五万人分ぐらいのものが供給されると思います。そういたしますと、わが国におきますストレプトマイシンを必要といたします患者の数は、的確にはわかりませんが、少く見積れば三十万人、これは少し少な過ぎると思いますが、多く見ましても、おそらく五十万あるいは六十万と存じます。その意味におきまして、大体国産ストレプトマイシンによりまして、必要とするだけのものは供給できると存じます。と同時に、一方この値段につきましても、最初は国産品が千円以上についたのでありますが、今日ではまず四百円でペイできるというところまで行つております。四百円でも、市販品がメーカー価格が二百七十円、最終において三百二十円か三十円でございますから、その間にいささか高い点がございますので、四百円で国家は買つておるのでございますが、これはおそらく今年中すなわちこの歴年中に大体舶来品と同じだけの値段になるという見通しでございますので、その意味におきまして、来年度におきましては、ストレプトマイシン買上げ費用、すなわち今年九億なるものを落した次第でございます。従いまして薬務局の予算といたしましては、本年度よりは来年度におきまして、要求額は減じておる次第でございます。但し、これはあまり大きな問題ではございませんが、防疫対策上あるいは予防接種上、コレラのワクチン、あるいはインフルエンザ、あるいは発疹チプスのワクチンを買上げいたしております。これは臨時にそういうような病気がはやります際に備えて、備蓄いたしておる次第でございますが、今年の経験にかんがみまして、痘苗もその中に入れた方がよかろうと存じますので、私どもといたしましては、痘苗の買上げ費も要求いたしておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、ごくおもな点だけ御説明いたした次第でございます。
  10. 松永佛骨

    松永委員長 なお宮崎次官が、午後は会議がございまして、出席ができないそうでございます。特に来年度予算要求その他について御発言がありましたら承りたいと思います。     〔速記中止〕
  11. 松永佛骨

    松永委員長 速記を始めてください。  午前中はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十五分開議
  12. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続きこれより会議を再開いたします。  まず小委員会設置の件等について、御了承願いたいことがございます。今閉会中におきましての小委員会設置等の手続に関しましては、すべて委員長に御一任願つておる次第でございますが、今回委員諸君からの御要望もございますので、前国会と同様小委員十名よりなる遺家族傷痍者等の援護に関する小委員会を設置し、小委員には    青柳 一郎君  高橋  等君    堀川 恭平君  丸山 直友君    亘  四郎君  金子與重郎君    岡  良一君  松本六太郎君    松谷天光光君の諸君になつていただき、小委員長には高橋等君を指名いたしますから以上御了承願います。     ―――――――――――――
  13. 松永佛骨

    松永委員長 次に午前中に引続きまして、昭和二十七年度厚生省予算内容等につきまして、社会局関係について、特に重要な事項を取上げて説明を聴取したいと存じます。熊崎社会局施設課長。
  14. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 社会局長出張御不在中でございますので、かわりまして施設課長より説明させていただきます。  社会局関係の来年度予算につきまして、重要事項三、四につきましての簡単な説明を申し上げたいと存じます。  第一は、社会福祉事務所等の職員設置及び運営に必要な経費でございますが、これは午前中会計課長よりも説明がありました通り、現在の都道府県の財政状態その他も勘案いたしまして、現在のところ、本年度平衡交付金に入つておりまする職員を、来年度補助職員でやりたい、こういうことであります。人員につきましては、今年度の人員と全然差はございません。  次は生活保護法の施行に必要な経費のうちの生活保護費の問題でありますが、これは来年度は本年度よりも七、八十億の増額の要求を出しております。その内容につきましては、生活扶助につきまして基準の改訂を実施いたしたい。こういう生活扶助以外に各種の基準の改訂をいたしまして、現在のところ非常に低額になつております基準額を引上げたいということを盛り込んだ上で、要求を出しておるわけであります。  その内容につきまして、簡単な説明を申し上げますと、生活扶助費につきましては、現在のところ六大都市におきまして六千二百三十二円になつておりますのを、来年度七千六百九十三円に引上げたい。これは五人世帯になつております、いわゆる標準世帯で計算をいたした額であります。それから住宅扶助につきましては、三百円のところを四百五十円にいたしたい。教育扶助につきましては、二百九十七円になつておりますが、それを四百二十五円六十銭、大体二割増に考えております。それで全部合せまして標準世帯におきまして、総計六千八百二十八円九十一銭というのが現行基準でありますが、これが八千五百六十九円四十三銭になります。この程度に引上げたいという案でございます。そういうことになりますと、現在のところエンゲル係数におきまして七六・八六%、これが来年度におきましては六八・二一%ということになりまして、現在のところ表ができましたころに比べますと、エンゲル係数が相当引下げられてはおるのでありますが、六八%ぐらいになるとすれば、相当程度困窮者の生活水準がよくなるのじやないかと考えておる、わけであります。そういうものが含まれまして大体八十億ぐらいの増になつておるわけであります。  次は、先ほど会計課長から説明がありましたアフター・ケア、つまり結核の治癒者の後保護の問題でありますが、これにつきましては、前年度及び今年度あたりも、各県から、非常に多方面からの要望がありまして、社会局としても、来年度はぜひこれを取上げたいと思いまして、大体八千万円から九千万円くらいの予算をもつて全国の各ブロックについて、大体一箇所百名程度を収容するというふうに考えております。現在われわれの方で推定いたしておりますのは、三万六千人くらいは、こういう施設に入れなければならないのじやないかと思いますけれども、この中のわずかに八百人でありますが、一応テスト、ケースとして考えて行きたいと思つております。内容は、大体都市におきましては、ラジオだとか時計だとか、冶金、一般林産、農産におきましては、花弁、園芸あるいは畜産、そういうことを考えております。  その他のことにつきましては、大体これまで通り要求を来年度もやりたいということでございます。  簡単ながら社会局関係説明を終ります。
  15. 松永佛骨

    松永委員長 次に児童局関係予算について、特に重要な事項を取上げて説明をお聞きしたいと存じます。高田児童局長
  16. 高田正巳

    ○高田説明員 私どもの方の関係予算で一番重要なことは、いつも当委員会で非常に御心配をいただき、なお御尽力を仰いでおります児童保護費平衡交付金から補助金へのとりもどしの問題でございます。金額は三十三億二千六百万円ということで、昨年よりは十三億ほどふえておりますが、これは施設がどんどん本年中にもできますことと、その他によります人員の増加、それから単価の引上げ並びに内容の改善ということでございます。先般来松永委員長には、特に御尽力をいただきまして、いろいろお骨折りをいただいているわけでありますが、ただいまの情勢を申し上げますれば、大体この事柄としては、関係筋も了解はいたしてくれるのでありますけれども、ただ心配な点は、平衡交付金制度全般の問題、なお広くは地方財政全般の問題というような大きな問題に巻き込まれて、目的を達する機会を逸するというふうな心配を、今でも持つております。なお事務的にもいろいろと折衝いたしておりますが、もはや事務的な段階を過ぎまして、もう少し大きな方針の決定をいたしていただく段階かと存ずるのであります。なおこの上とも御援助をお願い申し上げたと思います。  他に新規の要求をいたしているものも大分ございますけれども、二、三おもなものを申し上げてみますれば、児童福祉施設整備費補助金を、本年度は五億六千万円ほど計上いたしてございますが、来年度は十六億一千三百万円ほど要求しております。中身はいろいろ種類の施設があるわけでございますが、金額といたしまして一番大きいのは、保育所、母子寮、未亡人対策というようなものを含めまして、保育所、母子寮、これが両方で八億五千万円ばかりの中身になつております。なお先般法律の改正をお願い申し上げまして、プライべートな施設にもある限定された場合には補助金が出せるというふうにしていただきましたので、その経費も若干見込んで要求しております。  それから相談所、一時保護所、これはわれわれの行政中心の問題でありますので、これにつきましては、昨年通り若干拡充の要求をいたしております。なお新規のものといたしましては、社会福祉事務所に対する事務費の補助といたしまして約一億円のものを計上いたしております。なお不良化防止とか、家出児童の対策とか、身売り防止とかいうような意味合いの経費児童補導費という名前をつけておりますが、これで中央で使います金と地方に対する補助金とで約四千六百万円ほどの要求をいたしております。これも大部分は新規であります。  それから簡易保育所並びに季節保育所と申しますか、ごく簡単な保育所に対する補助金といたしまして八千五百万円ほど、これも新規の要求をいたしております。  それから先般来御承知の保育所給食は、学校給食と同じく、従来米国の援助でミルクをもらつておりましたが、これが切れるということになりまして、ミルクの購入費、三億八千八百万円を新規に要求しております。そのほか新規のものではございませんけれども、肢体不自由児を中心といたします身体障害児童に対する援護措置費といたしまして、本年度は数百万円の経費でございましたが、約一億ぐらいのものを要求しております。  大体さようなところがおもな問題でございますが、一番重要な問題は、いろいろ御心配をいただいております保護費の切りかえの問題であります。これを何とか実現をいたしたいと、事務的にも全力を尽してやつている次第であります。大体以上であります。
  17. 松永佛骨

    松永委員長 次に保険関係予算について、安田保険局長より説明を伺いたいと存じます。安田保険局長
  18. 安田巖

    ○安田説明員 保険関係予算で一番重要な問題は、御承知のように国庫負担の問題でございます。健康保険関係の方を先に申し上げますと、健康保険組合の補助金といたしまして、事務費を昨年は八割でございましたが、本年は十割要求いたしております。これは政府管掌の方も同様でございますけれども、八割を十割に増して要求をいたします。ほかに単価といたしまして、一人当り昨年は九十九円七十銭でございましたのを、本年は二百二円十六銭という要求をしたいと思います。それから保険給付費でございますがこれは毎年問題になりまして、実は実現いたさなくてたいへん残念に思つておりますが、本年も医療給付費の二割を要求いたしたいと思つております。  それからもう一つは、昨年から始まりました結核対策の一環といたしまして、健康保険の分野でも受持つておるのでございますが、結核病床を府県の方でも建てるということでございました。昨年は七千ベットで、ございましたが、本年はいろいろ事情を勘案いたしまして、組合関係が二千床、政府管掌が一千床、これだけのものを要求しております。この国庫負担の割合は三分の一が国庫負担で、あとの三分の二を府県経済でまかなうごとになります。  次に、国民健康保険関係補助について申し上げます。国民健康保険関係も、事務費は昨年一応私どもの要望いたしたものが通つておりますけれども、単価と人数におきまして、単価については昨年四十二円四十五銭ばかりでございましたのを、本年は五十一円九十三銭ばかりのものを要求いたしております。人数が、昨年は三千五百二十一万人でございましたのが、本年は三千七百八万人の被保険者を見込みまして、それをかけたもの、つまり昨年十四億四千七百万円の予算でありましたのを、本年の要求額は十九億二千五百万円、差引四億七千八百万円の増になつております。  そのほかこまかいものがございますが、省略いたします。それから直営診療所でございますが、これは国民健康保険を運営して行く上に非常に大切なことでもあり、各市町村の保険所の方方から要望されておるのでございますが、いつもわれわれが残念に思いますのは、要求の額が予算額をはるかに上つまわておるということでございます。昨年は四億円の直診の補助金が計上されたと思います。今年は九億九千八百万円の補助金要求いたした次第でございます内訳を申しますと、大体診療所六百四十五ばかり、それから歯科の増設を二百ばかり、既存施設整備を百ばかりを一応見込んで予算要求をいたしております。  次に保険給付費補助金でございます。これも実は毎年問題になりながら実現いたしませんで、現在の国民健康保険状況等から考えまして、今年はぜひひとつ実現を見たいものだと思います。これは大体給付費の二割を押えまして、五十一億五千万円ばかりのものが大蔵省に対して要求として出されておるわけでございます。  それから先ほど会計課長からお話申し上げましたが、国民健康保険再建整備奨励費といたしまして、十三億一千三百五十四万四千円を要求しております。これは大体全国国民健康保険のいろいろ経理状況を調べまして、過去三箇年の赤字が積り積つて二十六年度末に大体二十六億何がしの金になるような計算になつて参りましたので、その半額を貝込んだ次第でございます。先ほどもお話がありましたけれども、いろいろ将来にわたりまして、この組合は過去の赤字さえ何とかすればうまく行くというようなものを見込みまして、五箇年間のすえ置きで二十年のうちに償還するというふうな計画でございます。なおこれは予算折衝が進みますならば、さらに具体的なことがお話できるのではないかと思いますが、現在のところでは、その段階に至つておりません。
  19. 松永佛骨

    松永委員長 次に引揚援護庁関係予算について、引揚援護庁畠中総務課長より説明をお聞きしたいと思います。畠中総務課長
  20. 畠中順一

    ○畠中説明員 引揚援護庁関係の二十七年度予算の大体を御説明申し上げます。  引揚援護庁の経費は、御承知のように引揚者が、たとえばナホトカを出ましてから舞鶴の援護局に参り、それぞれ郷里におちつくまでの応急援護の経費、それから郷里におちつきましてから、いわゆる定着援護―帰りましてからの援護の二つにわかれております応急援護の分といたしましては、本年度は引揚げの予定人員が約十五万人を見込んでおりましたが、二十七年度におきましては、引揚者の量込数は八万一千九十三名を見込んでおります。それから定着援護の分といたしまして昨年度と異なります点は、まず引揚者の住宅建設費でございます。これは二十六年度におきましては、当初予算にはゼロになつておりましたが、この分を二十七年度では五億五千八百万円を要求いたしております。その内容は五千七十六戸分の新設でございまして、これは御承知のように引揚者――帰つて来た者の住宅のない人に対して、当初、軍その他の持つておりました集団施設を利用して、応急的に収容しておりましたが、その破損がはなはだしくて、どうしても疎開して新しくつくらなければならないという事情にありますもの五千七十六戸分を要求いたしておるものでございます。  それから次に更生資金貸付金といたしまして、二十六年度は三億円の予算でございましたが、二十七年度要求といたしましては十五億九千万円でございます。しかしながら、これは引揚者に使う分といたしましては、十五億九千万のうち八億七千万円ぐらいでありまして、あとは身体障害者、あるいは未亡人に対する更生資金の貸付金の分であります。
  21. 高橋等

    ○高橋(等)委員 特別未帰還者給与法施行に必要な経費、この分を説明して下さい。
  22. 畠中順一

    ○畠中説明員 特別未帰還者の給与しいたしましては八億二千三百八十七万円でありますが、これは特別未帰還者二万三千六百九十三人分に対しまする俸給、それから扶養手当、帰郷旅費、埋葬経費、引取り経費等でございます。それから俸給の留守宅渡しをいたしますものの八月末現在数が三千六百八十八件になつております。俸給は御承知のように千円でございまして扶養手当が妻、第一子が六百円、その他が四百円という計算の基礎になつてもります。
  23. 高橋等

    ○高橋(等)委員 給与留守宅渡しの単価千円は、去年もことしも一切かえませんね。
  24. 畠中順一

    ○畠中説明員 今年の一月にかわりまして、それ以上現在まで引上げをしたことはございません。
  25. 松永佛骨

    松永委員長 大体今朝来昭和二十七年度予算の審議状況、その内容等の説明を聴取いたして参りましたが、本件に関しまして御発言があれば許可いたします。
  26. 高橋等

    ○高橋(等)委員 特別未帰還者給与法の施行状況につきまして、ただいま御説明を承つたのであります。八月末の件数三千六百八十八件という御説明でありましたが、この給与法の施行につきましては、この給与を渡す人を限定するというか、条件をむずかしくされておるような状況があるのじやないかという声を、地方を歩いてみますと、聞くのであります、実際の運用にあたつてどういう指導をなさつておられるか、その点を一応承つておきたいと思います。
  27. 畠中順一

    ○畠中説明員 特別未帰還者給与法の施行状況でございますが、御承知のように特別未帰還者給与法は、未復員者給与法に準じて行うことになつております。未復員者につきましては、ソ連に抑留されている人で、どこにいるということが調査の結果わかつておらなくても、帰つて来ない人は元来軍人でございますので、給与法の該当者として、それぞれ俸給の前渡しとか、扶養手当を出しているのでございますが、特別未帰還者につきましては、これはもともと一般邦人でございまして、ソ連あるいは中共で、その地域にある軍人、軍属と同じ状況にある者ということに法律でなつておりますので、向うに抑留せられていることが何らかの方法で、たとえば留守宅通信とか、あるいは引揚げて来た人の証明とかいうようなことで確認いたされませんと、特別未帰還として認定を受けることができないわけであります。そういう法律の建前から片方は軍人で帰つて来てさえいなければ、とにかく死んでいるか、帰つて来るかはつきりするまで、そのまま適用されますけれども一般邦人の特別未帰還者につきましては、ただいま申しましたような確認の行為を要するために、しかも中共、ソ連というようなところで連絡がとりにくいために、ほんとうは向うに抑留されている人でありましても、それの実施ができておらないという状況があるかと思います。
  28. 高橋等

    ○高橋(等)委員 一般の未復員者については、八月現在で幾らぐらい給与を出しておりますか、その件数を承りたい。
  29. 畠中順一

    ○畠中説明員 未復員者給与法の留守宅件数の該当者は、元の陸軍、海軍を一緒にいたしまして三万七千五百六十三世帯ということになつております。
  30. 高橋等

    ○高橋(等)委員 これは軍属を含みますかどうですか。及びこの三万七千五百六十三世帯に、俸給の立てかえ払いをいたしておる数字と、もう一つ、未復員者家庭数の推定はどのくらいありますか。
  31. 畠中順一

    ○畠中説明員 俸給あるいは扶養手当の支給をいたしております件数が三万七千五百六十三世帯ございます。それから、これはそれぞれ未帰還者につきましては、軍人の未帰還者が、生存されておりますものと思われます者が四万三千人以上あるように考えられますが、この留守宅渡しをしておりますものは留守宅から届けのあるものだけでございますので、その間に数の開きがあるわけでございます。
  32. 高橋等

    ○高橋(等)委員 軍属はどうですか。
  33. 畠中順一

    ○畠中説明員 軍属も入つております。
  34. 高橋等

    ○高橋(等)委員 軍人といわれておりますのは、軍属も入れて四万三千ですか。
  35. 畠中順一

    ○畠中説明員 そうです。
  36. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そういたしますと、大体未復員者給与法関係では、要求があれば、その家庭の状況その他にかかわらず、全部俸給の支払いをなさつておられる、こう受取つてよろしゆうございますか。
  37. 畠中順一

    ○畠中説明員 軍人、軍属につきましては、留守宅のある者に対しましては、未復員者給与法の俸給手当を出しております。
  38. 高橋等

    ○高橋(等)委員 制限はありませんね、そういう手かげんをしておることはありませんね。
  39. 畠中順一

    ○畠中説明員 ございません。
  40. 高橋等

    ○高橋(等)委員 それから先般政府の発表によりますと、相当のものが死亡をいたしております。これは当初から引続きまして、たいへんな数になつておるのでありますが、この死亡者については、従来それぞれの留守宅の方へ死亡通知を出されておるかどうか。  それからいま一つ、実はこの死亡時期が大分さかのぼつて死亡しておりますような場合に、この俸給を支払つておりましたものの返還をさせておられると考えるのでありますが、それは返還をさせておられるかどうか。また返還をさせておられるとすれば、そうした件数、金額はどれくらいになつておるか。少しこまかくてごめんどうでしようが、わかればお知らせ願いたい。
  41. 畠中順一

    ○畠中説明員 死亡を確認された者に対しては、すでに支給しておりました留守宅渡しの金額は、その時以後のものにつきましては、返還をさすことになつております。それからその数、その金額につきましては、今資料を持ち合せておりません。
  42. 高橋等

    ○高橋(等)委員 また別の機会でもけつこうですから、お調べ願いたい。留守宅の方で、いろいろ生活の困窮の方も見受けるのでありますが、大分前にさかのぼつて死亡されたような場合の返還金の徴収方法等については、現在もまだ徴収されておるのではないだろうと思う、することになつておるのだろうと考えます。徴収されるような場合は、もちろんいろいろ徴収の規定もありますが、できるだけ寛大な方法でこれを考えてやることがぜひ必要だと思います。十分この辺は御留意をお願いいたしておきます。
  43. 松永佛骨

    松永委員長 他に御発言はございませんか。  この際畠中総務課長にお尋ねいたしますが、例の未復員者給与法ですが、この適用を受けておる戦傷病者のその八〇%くらいが、今年一ぱいで給与法を打切られる時期に達するそうですが、これの延長についてはお考えでしようか、どうですか。
  44. 畠中順一

    ○畠中説明員 未復員者給与法の適用を受けて療養をしております者は、先ほどお話ございましたように、本年の十二月で一応法律上は療養を打切ることになつておりますので、これに対しましては、臨時国会におきまして、未復員者給与法の改正を行いまして、この療養を延長したいということで、準備を進めております。なお対象人員は大体五千九百人くらいになつておりまして、経費といたしましては、四千二百万円ぐらいのものを要すると思います。二十六年度の療養費は、三箇月間九千二百八万円ということになつております。
  45. 松永佛骨

    松永委員長 大体未復員者給与法につきましては、相当陳情もあるわけですが、私どもの見解は、これを打切るとしましても、どうせ一時金を交付しなければならないし、一時金を交付しましても、何か事業の失敗とか、借金の相殺とか引張られると、生活保護法の対象とならなければなりませんので、援護庁の方でもこれをひとつお考え願い、われわれ国会も次の国会でこの延長法案を出したいというふうに考えておりますから、ひとつあわせて御承知を願います。  他に御発言はありませんか。
  46. 青柳一郎

    ○青柳委員 畠中さんに、ついでにお尋ねしておきたいと思います。  遺族問題の予算でありますが、戦争が済んでから今まで、遺族問題として予算に計上されたものは、一文もないのであります。ところが、最近本年度予算で、未復員者の関係と言いますか、引揚者関係予算の残をもつて、遺族の援護に必要な調査をやつておられるというふうなことを聞くのであります。これは非常にうれしいことだ。本年度から公式に遺族援護のために予算が使われ始めるということになるのでありまして、その額は僅少であろうとも、われわれ遺族援護のために一生懸命に働いて来た者にとつては、非常にうれしいことである。その金額はどの程度のものであるか、あるいは本年度補正予算に、初めて遺族援護のために必要な経費として計上せられるものであるか、その点について承りたいと思います。
  47. 畠中順一

    ○畠中説明員 遺族の援護の問題につきましては、早晩これが実現されることと考えまして、一応その調査をしようということで、これは援護庁の復員局関係の仕事とも非常に関連をいたしますので、言いかえますと、復員事務の一つにも相当関係もありますので、その予算を流用いたしまして、大体二百万円くらいの予算で、僅かでございますが、それで戦歿者の十分の一の調査をいたして、大体の倍数を調査したような次第であります。それからそのほかに補正予算としては現在計画にしておりませんが、ただ予算上流用いたしまして―これは復員事務と言つた方がいいと思いますが、戦歿者のカードを整理しておくという状況にございます。
  48. 青柳一郎

    ○青柳委員 二百万円を国費から公に遺族援護のために使われるということは、戦争に負けてから初めてのことですが、この経費は今回国会に上程せらるる補正予算の上において、遺族援護の経費として明らかに名前をあげて計上せられて、国会の協賛を経られようとしておるものかどうか、その点について承りたいと思います。
  49. 畠中順一

    ○畠中説明員 これは先ほども申し上げましたように、援護庁、特に復員局関係の仕事の一部であるというようにも考えられますし、引揚げの予算が、当初踏んでおりました引揚げ予定数が帰つて来ないために、現在では相当余裕がございますので、それを流用して行くという形をとつております。従つて補正予算として国会に提出するということになつております。
  50. 青柳一郎

    ○青柳委員 額は小さいのでありますが、私はその形式といいますか、遺族に与える精神的な影響について、大きなものがあると考えるのであります。二百万円であろうとも補正予算にはつきりと遺族援護についての予算であるということを明示せらるるように、ひとつ厚生省御当局において御努力をお願いしたい。
  51. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ちよつと関連して、畠中さんに伺います。戦歿者の軍人の方は、大体全部わかつておりますか、どうですか、それを伺います。
  52. 畠中順一

    ○畠中説明員 戦歿者の軍人軍属のうちで、軍人につきましては、軍属よりもはるかによくわかつております。ただ軍属の一部につきましては、なお調査をして行かなければならぬと思つておる次第であります。
  53. 高橋等

    ○高橋(等)委員 軍属で、内地から軍属として行つた者は、大体おわかりになるかと思うのですが、外地徴用の軍属というものが実はある。これが実際私はわからないのではないかと思つて、非常に心配いたしております。その辺はどうでございましようか。
  54. 畠中順一

    ○畠中説明員 外地で軍属になりましたものにつきましては、ただいまもお言葉がありましたように、内地のものよりは、きわめて調査が困難でございますが、幸い復員局には、今までソ連その他関係の未帰還者についての調査をやつておりますので、そういう機関を利用して、十分調査をして参りたいと考えております。
  55. 高橋等

    ○高橋(等)委員 終戦直前に軍属として外地で徴用された方が、実は大部あるのです。これはおそらくおわかりにならないのじやないかと思う。私もそれを非常に心配しておるのです。そこで、今後遺家族の援護をやります場合に、これが証明方法等について、相当私は問題が起り得るだろうと思う。それらにつきまして、どういう方法でこれを証明するか、だれが証明するかというようなことについては、十分今から考えておいていただきませんと、漏れた非常に気の毒な人が出ろ。これは非常にわかりにくい問題じやないかと、私は心配しております。それらについても、ひとつ御研究おきを願いたい。
  56. 岡良一

    ○岡(良)委員 公衆衛生局長にお伺いしたいのですが、優生保護法の実施について、予算が、四千万円ばかり計上されております。これは何をやられるのです。
  57. 山口正義

    山口説明員 これは優生手術費用昭和二十六年度は約七百名分を計上してもらつたのでありますが、二十七年度におきましては、約四千四百名分、一応計上してもらつております。それの費用でございます。それが三千九百万円ございます。そのほかにあと協議会その他の費用がございます。
  58. 岡良一

    ○岡(良)委員 最近の統計で、人工妊娠中絶をやつた届出の母親は、一体どれくらいありますか。
  59. 山口正義

    山口説明員 昭和二十五年度で約五十万、これは人工妊娠中絶の方でございます。
  60. 岡良一

    ○岡(良)委員 任意は幾らと推定されているのですか。
  61. 山口正義

    山口説明員 その届出以外の中絶の数字というお尋ねと存じますが、それはその五十万より少し下まるわ程度に考えております。
  62. 岡良一

    ○岡(良)委員 人口問題はいろいろ重要な問題になつておるようですが、そうしますと大体五十万人は現在でも人上妊娠中絶をしておる、任意を加えれば大体百万に近い。その中で七千人分たけは国が国の費用でやる。こういう筋になるのでございますね。
  63. 山口正義

    山口説明員 七千人分と申しますのは、優生学的に見まして、断種をやつた方がいいというものが七千人分で、いわゆる人工妊娠中絶というのではございません。
  64. 岡良一

    ○岡(良)委員 それはよくわかりました。そこで優生保護法にもちやんと明文化されて、保健所には優生結婚相談町を置かねばならないと書いてあるはずです。それで一体全国保健所で、あるいは各府県別に優生結婚相談所を置いて、人口制限の問題について、おかみさんたちに親切に相談に乗つているところがどれくらいありますか。
  65. 山口正義

    山口説明員 優生結婚相談所の活動状況につきましては、ただいまここに的確な数字を持ち合せておりません。ただいま御指摘のように、保健所には優生結婚相談所を併設して、指導あるいは相談に応ずることになつているのでございますが、実際のところ、その拍動状況はまだ十分とはいえないというところでございます。私どもの方といたしましても、その点につきましては、公衆衛生院におきまして優生結婚相談に関する特別なコースを過去二回ばかり持ちまして、それによつてそれが各府県に帰つていろいろ指導するということをやらしております。またそのほかに公衆衛生院における医師あるいは保健婦等の正規のコースにおきましても、受胎調節ということについて特に注意を払つて指導するようにというふうに教育をやつております。しかし実際のところは、まだほんとうに一般の――特に農村などにおきまして、実際に実施し得る的確な方法を浸透させるようにするというところまでは行つておりません。その点につきましては、今後十分努力して行きたい。来年度におきましても、その方面の予算を計上してもらつております。それによつて実施して行きたい、そういうふうに考えております。
  66. 岡良一

    ○岡(良)委員 どこの費目に入つておるのでございますか。
  67. 山口正義

    山口説明員 保健所において母親たちに対して受胎調節の講習会をするという費用保健所費用の中に入れてございます。一箇所当り九万一千八百円、それを五十五箇所分計上してございます。
  68. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうするとそれは公衆衛生院で特別なコースで受胎調節等について、いわば一定の学識を得た保健婦さんが、保健所へ帰つておかみさんたちを集めて講習会というか、啓蒙宣伝の会を設けるための費用なんですね。
  69. 山口正義

    山口説明員 さようでございます。
  70. 岡良一

    ○岡(良)委員 これはいつもわれわれ申し上げておるのですが、あの当時はいろいろな抵抗もあつて、人工制限の問題も大きく取上げられなかつた厚生省の立場もよくわかる。しかし、御存じのように、現在日本の人口問題は、国際的注目を浴びておる重大問題でありますし、政府の経済白書を見ても、日本の生産水準が百パーセント戦前に回復しても、非常な人口の重圧のために、われわれの生活水準は八割余しか上り得ないだろうということを、はつきり書いております。従つて、厚生行政の今後における重要なる問題は、やはり人口問題の解決であろうと思います。それには移民の問題だとか、工業化の問題だとか、いろいろに言われておるのでありますが、しかしなかなかこれは言うべくして、そう簡単に行われ得ない。とりあえずやはり受胎調節に重点をおいて、人口制限ということは、厚生行政の非常に重要な問題、国民生活全体の水準にも影響する問題だと思います。そうして輿論もそういう問題の解決については、やはり政府の相当の勇断を求めておることは、各種の新聞が論説に書き、輿論調査においてもいろいろのデータをあげておりますが、今度の予算においてはきわめて手ぬるい、いわば啓蒙宣伝をする――人口問題の解決は啓蒙宣伝の段階ではない、むしろ積極的に実行の段階に入つておると思うのですが、それに対して、今お聞きすれば、九万円の五十五箇所分、それも講習会を開く、そういうことで一体この問題の解決がつくと思つておられるのかどうか。ひとつ公衆衛生局長の忌憚のない御意見を聞きたいと思います。
  71. 山口正義

    山口説明員 率直に申し上げまして、私どもの方で人口問題ということになりますと、省の全体の大きな問題になつて参ります。私どもの方で現在予算を計上して実施して行きたいと思つておりますことは、優生保護という立場から、先ほど、数字を申し上げましたように、人口妊娠中絶が現在非常にたくさん行われつある。それに従つて母体にいろいろ悪い影響を及ぼすおそれがある、母性の保護というような面、また優生保護という面から考えまして、受胎調節の正しい方法を教えて行きたい。そういうことで私どもの方では所管の関係上こういう予算を計上しておるのであります。私どもの受胎調節は直接人口問題に結びつけての予算というよりも、優生保護、母性保護という点からの予算、そういうふうに御了承願います。
  72. 岡良一

    ○岡(良)委員 それはどつちでもよいのでありますが、それでは次官がおられるので次官にお伺いしたいのですが、おつしやる通り最近のアメリカの家族設計協会の機関誌を見ても、十二箇月以内にできた子供は、それ以上の間隔で生れた子供に比べて、死亡率が大体一割五分高い。あるいは三人、四人以上の子供を持つた母親は、それ以下の子供を持つた母親と比べてやはり死亡率において二割以上高いということが報告されておる。そういう点からいえば、単に子供の頭数を少くするというのではなく、やはり母性の保護という観点から、この問題は重要だと思います。しかしそれに一つの指針を与えるという仕事は、これは公衆衛生局も大きくタッチしなければならぬ問題だと思いますが、厚生省はこのくらいの予算で講習会をすれば、それで所期の目的を達せられるというふうに思つておられるのかどうか、宮崎さん、どうでしようか。
  73. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 人口問題につきましては、お説の通りきわめて重要な問題でありまして、民族の将来の問題であり、また国家の将来の問題になるわけでありまして、お説の通り移民等による問題もありますけれども、これは簡単に解決できない問題であります。産業の発展によりまして、この厖大なる人口を吸収するという方法もあろうかと思いますが、これらの問題につきましては、御承知のようにきわめて論議の多い問題でございまして、国としてその明らかな方針は、私は立つておらぬと思います。厚生省といたしましては、人口問題の研究所を持ち、また公衆衛生の立場から、人口問題を取扱つておるわけでございますが、今公衆衛生局長が言いましたように、公衆衛生の見地から、妊娠調節等によつて人口問題に寄与したい、こういう考えをもちましてやつておるわけでございますが、お説の通り予算はきわめて少額であります。しかしながら、この妊娠調節の問題につきまして、あるいは家族設計というような問題になつて参りますると、これはやはり啓蒙宣伝によるよりほかに方法がないのでありまして、法律を改正して、あるいは家族の多いものに税金をよけいにするとか、あるいは堕胎指導をどうするとか、いろいろな問題があると思うのでありますけれども、私どもといたしましては、この問題は啓蒙宣伝によつて、皆さんが納得して、しかも衛生上弊害の少い方法によつて調節をしなければならない、こういう意味で、啓蒙宣伝の経費を計上したわけでございます。
  74. 岡良一

    ○岡(良)委員 啓蒙宣伝はわかるのですがしかしそうなると、宮崎さんも専門家ですが、結局逆淘汰というような危険性も起りがちなので、やはりこれは単に啓蒙宣伝じやなく、実際に手をとつて受胎調節なり、人工妊娠中絶の道を開いてやるというところまで、政府としてもおりていただかなければ、問題は解決しないと思います。これは保険局長にお伺いしたいのだが、国の物入りも多いので、健康保険は、被保険者の任意による届出をもつて人工妊娠中絶をする場合は、自己負担になるのですか。
  75. 安田巖

    ○安田説明員 仰せの通りでございます。
  76. 岡良一

    ○岡(良)委員 こういうのはどうでしようか。これはひとつ健康保険の中でやつてほしいですな、何とかならぬものですか。それからさつきもお話のあつた保健所のようなものも、級というふうなレベルのものは、ちやんと受胎調節について従来やつておるのでありますが、かなり臨床的に指導しなければこれはできない仕事なんです。やはりそういうクリニクをもつて保健所というものはA級のところにはちやんと規格つくつてつていただかないと、これなかなか解決されぬと思うがどうでしよう。あなた方の率直なお考えは。
  77. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 岡先生のお話でありますが、保険の問題は、御承知のように、疾病の治療ということが保険の本質でありますので、その点につきまして、先般の優生保護法の改正におきましても、どうも保険ではむずかしいだろうというようなことを決定したわけであります。それから保険所のA級のところには必ず設けるというような点は、私どもよく検討いたしたいと思つております。大臣も実は人口問題につきましては何か考えたいということでありまして、先般来民間の方にもいろいろの意見がございまするし、またお説のように、外国の方にもいろいろな意見がございますので、この点をよく参酌して、人口問題については何か考えてみたい、こういう考えでおりまするので、先生の御意見等をよく承りまして、考えてみたいと思います。
  78. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかし第一段の答弁はどうも詭弁だな。第一健康保険保険勘定――現行法を見たつて、やはり被保険者の健康増進をはつきりうたつておる。しかも妊娠中絶の届出にも、必ず母体に危険があるということを書いておる。してみれば裏返しをすれば、これは健康増進のためなんです。健康保険はやはり健康を増進する意味において、妊娠調節を適当とする場合には、そのくらいの金を出すことがほんとうで、やはり宮崎さんのお話は詭弁だと思う。  それからもう一つ保険局長にお伺いしたいのだが、国庫負担の実現こういうものが実現するかどうかということをお聞きするのは、少し無理な話ですし、またその意味がわからぬようですから、去年御努力なつたが、しかし今度の見通しを聞くのは無理だと思う。大分がんばつておられますが、空気はどうですか。
  79. 安田巖

    ○安田説明員 ちようどこういう要求を始めましてから、岡委員御承知の通り三年目でございますので、今年はぜひそういうふうに持つて行きたいと思つて、せつかく努力はいたしておりますが、しかしなにせ国会でいろいろ御協賛を願うことでありますから、こちらの方といたしましても十分お力を願いたいと思います。
  80. 岡良一

    ○岡(良)委員 石の上にも三年というから、今度はぜひやつていただきたいと思います。そこでこの場合……に見積られておる予算で、これはやはり一点単価は現行のままで計算しておりますか。
  81. 安田巖

    ○安田説明員 一点単価は現行のままでございます。
  82. 岡良一

    ○岡(良)委員 これも申し上げるまでもなく、保険局長も御存じでしようが、現在一点単価については、かなり無理で、これは保険局長としては何とか適当に是正する、また是正するということになれば、多少予算を追加してでもやるべきだというお考えでしようか。
  83. 安田巖

    ○安田説明員 来年度予算は、やはり現在きまつております単価を基礎にいたして計算いたしませんと、まだきまらない先に、一点単価が何円だということで予算要求をいたしますことは、いろいろ問題があろうかと思います。なお単価の問題につきましては、すでに御承知かと思いますけれども、現在社会保険医療協議会で議題になつでおりまして小委員会がすでに二回開かれまして、来月の三日に三回目がある。そういうところで、なるべく早く適正な単価を出したいと思つております。
  84. 岡良一

    ○岡(良)委員 この機会にお尋ねしたいのですが、健康保険の、たとえば政府管掌の保険は、その内訳を傷病手当金、療養の給付、事務費とパーセンテージをとると、どういうパーセンテージに出ますか。
  85. 安田巖

    ○安田説明員 今ちよつと私手元にその資料を持つておりませんけれども、大きく申しますと、事務費は全部で大体一%ちよつとかと思つております。それから一番大きなのは、やはり疾病給付と傷病手当金でありますが、これは全部を十にいたしまして、七対三くらいの割合だと思つております。そこで現在健康保険の方の政府管掌だけを申しますと、月々の医療費の支払いが七月分が十一億を越えました。大体十一億少し切れるくらいが平均でございまして、七月はもう十一億五千万円ばかりになつております。大体そんなところであります。
  86. 岡良一

    ○岡(良)委員 厚生年金の積立金は、二十七年度でざつとどれくらいになりますか。
  87. 安田巖

    ○安田説明員 きようも実は報告を出したのでございますが、八月三十一日現在で三百八十何億でございます。
  88. 岡良一

    ○岡(良)委員 全部運用部へ入つておるのですね。
  89. 安田巖

    ○安田説明員 さようでございます。
  90. 岡良一

    ○岡(良)委員 これももちろんこの委員会で問題になるのですが、相当な金でもあるし、零細な被保険者の積立でもあるし、保険法によれば、やはり被保険者の福祉に還元し得る道も開かれているようだが、実際はそうなつておらぬ。そこでいろいろ国の物入りも多いということで、どちらかというと、われわれ取越苦労かもしれませんが、厚生省関係予算はかなり補助金とかいうものが多いようですから、そういうものが縮減されたら、何かそういうところに抜け道があれば、これをほかへまわすとか、そういうふうな形にならぬものですか。
  91. 安田巖

    ○安田説明員 岡委員のおつしやるのは、その積立金をほかへまわすというこかとですか。
  92. 岡良一

    ○岡(良)委員 厚生行政の方へ……。
  93. 安田巖

    ○安田説明員 今の厚生年金の数字計算は、大体もう長期の計算になつておりまして、これだけの給付をするのには、年々同じような率でとつて行く。そしてそれがたまつてつて、将来給付を生ずる時には、そのたまつた金でもつて自然に払われて行くというようなことを考えております。これは短期計算と申しまして、いるだけとつて、つまり初めは少くとりまして、だんだん給付が盛んになつて来た時には、またたくさんとるという方法もあるわけでございます。しかしそういたしますと、初めに入つておりました人と、あとに入つて来た人の負担の差が出て来まして、負担の均衡がとれないわけであります。そこで一番オーソドックスの方法は長期計算でございます。結局今三百八十億と申しますけれども、これは実は三百八十億でも、将来の給付に足りないのでございます。と申しますのは、戦前及び戦後のインフレによりまして、非常に安い報酬に対して、千分の幾らという料率でもつて保険料を集めておつたわけでございますが、そういう積立てをした額というものは、今の金の価値に直してみますと非常に少いものでございます。ところが将来給付をいたしますときに、そういつた安い報酬を基礎にいたしまして、それの何箇月分というふうに払いますと、実は厚生年金としての働きをなさないようなことになります。そこでどうしても将来これは国庫負担の問題が起つて来ると思います。従いまして、今の三百八十億でございましても、これは実は将来の財源としてはあるいは足りないのじやないかというふうに考えておりますから、それをほかに使つてしまいますと、先々払えなくなるということなんです。そこでこれの運用の方法といたしましては、最も有利な、もう一つは確実ということが一番大事なことでありまして、有利だからというので、変な方に融資をいたしまして焦げついたりいたしますと、六百五十万の被保険者のためには、一大事なるわけでございます。そういうよりな見地から、従来はこれを預金部に入れておつた、こういうことでございます。
  94. 岡良一

    ○岡(良)委員 赤字の穴埋めに使かつたのでは、これはもちろん意味がない。しかし公益質屋であるとか、あるいは住宅とか、やはりまたそれが国へ還元して来るようなものにおいて、拡八再生産的に活用するということになれば、それだけの金があれば、相当厚生行政の面でもプラスになると思う。それはただごく機械的な考えなんです。それからさつき青柳さんもおつしやいましたので、関連してなおお伺いしたいのですが、この前の委員会で戦争犠牲者遺家族や傷痍軍人に対する援護費は、二十七年度予算では、宮崎さんは必ず出すとおつしやつたはずですが、これが何も載つていないが、いつ出されるおつもりですか。
  95. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 戦争犠牲者、遺家族、傷痍者の問題でありますが、この前の委員会にも申し上げました通り、これを早く実現したいということにつきましては、私ども何らかわつておりません。ただ国際上のいろいろな問題等がございまして、この問題につきまして、内々の検討はいたしておりますけれども、決定を見ていない、こういう状態でございまして、二十七年度にどうするかというような点につきましては、まだ言明申し上げる段階に至つておらないのでございますが、事務当局といたしましてはいろいろな準備研究をいたしております。
  96. 岡良一

    ○岡(良)委員 少し気がねをなさり過ぎるのではないかと思うのです。変なことを言うようですが、われわれがヨーロツパの方に行つたつて、日本の政治情勢なんというものは、新聞のかけらにも実は出ておりません。朝鮮動乱なら出ておりますが、それをそう気がねなさらぬで――さつきも聞けば、二百万円の調査費ぐらいでお茶を濁されては、傷痍軍人は承知しませんよ。何とか勇断をもつてつてもらわぬと困るのです。どうですか、やつてください。
  97. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 私ども気持も岡委員気持と何らかわりはございません。できるだけ早い機会に、しかも確実なものができ上るように私どもも希望いたしております。
  98. 青柳一郎

    ○青柳委員 私が先ほどお尋ねしたのは、妙な小さい問題のようにお聞き取りだと思いますが、実はこの委員会で大臣が、二十六年度補正予算から遺族の援護費を計上すると、確かにおつしやつたのであります。ところで二十六年度はどうもぐあいが悪そうだ、いろいろ調べてみたが、本年度の遺族の問題に金を使つておる。これで一応大臣の言明は済むのかなというふうに考えたのでありまして、それがまた遺族に与える精神的な影響は非常に大きいのであります。金額の問題でなく、やはり遺族の援護を始めるのだという心構えも遺族にわかるし、それでぜひ二十六年度補正予算に遺族の調査でも始めるんだということがはつきりいたしますれば、遺族は相当喜ぶ、こう考えるのであります。ただいま岡委員も触れられましたが、遺族援護のために金を出すということは、現在連合軍司令部の指令が厳として存在するのであります。ただしかしこの問題の解決のために調査立案するのはよろしいというGHQの言明も得ておるのであります。そういう意味から本年度補正予算には少くとも公に日本の国費を遺族援護の調査のために使つたということを載せていただきたいという願望であつたのであります。来年度予算につきましては、もちろん政府の言明を信頼いたします、必ず予算に掲げられるものと思います。ただしかしそれは講和がほんとうに成立したその後においてであるということを、私は考えておるのであります。重ねて申し上げますが、政府の言明もあります。本年度予算に必ず遺族援護の経費を計上するという大臣の言明を待つているのであります。先ほど申し上げましたことは、小さいことではありますが、この問題を裏づけるものであろうと存ずるのであります。その点につきまして、十分厚生省当局におきましても御善処をお願いいたしたい、こう存じます。
  99. 高橋等

    ○高橋(等)委員 若干の質問を宮崎次官にいたしたいと思います。戦争に負けましてから、よくなつたものを考えてみますと、いろいろあるのでありますが、その中で特に公衆衛生という方面において、非常な革新的な努力が払われ、いろいろな制度が実現をして参つております。このことはどうしても今後いろいろ国の経済その他の面で非常にやりにくくはなつて参り、一般的にいろいろな施設がやりにくくなるであろうと考えますが、少くとも、たとえば伝染病が非常に減つた、死亡率が非常に低くなつたというような効果がすでに現われております。こうした公衆衛生方面の施設につきましては、これをますます強化して行くという方面に、ぜひとも御留意がお願いいたしたい。と申しますのは、われわれが国政調査で地方に出かけますと、地方公衆衛生の担当官が、実は今後公衆衛生方面が後退するのじやないかというような不安を持つておる人がたくさんあるのを見受けるのであります。私たちは、そんなことを考えるだけおかしいじやないかと言つて来ているのでありますが、特にそれらの点については、厚生省としましては、十分力を入れていただきたい。ことに食品衛生の方面につきまして、どうしても各保健所その他を実際に調べてみますと、ほんとうにやるべきことが山ほどありまして、実際は行われておらない。たとえば監視員がこれを監視のために各業態をまわつて歩くというようなことは、ほとんど実行不可能といつてもいいくらい実は困つておるのであります。それらにつきまして、行政整理その他のいろいろな人員を減少する時世にもなつて、それはぜひ必要だと思います。人をふやすということは、やりにくいことだと考えますが、何か重点的にでも方法を考えられまして、これを推進されるようにしていただきたい。  それから行政整理、機構の改革という問題が、実は起つておるのでありますが、これは今後の決定にまたなければなりませんが、少くともこの医療三局、ことに薬務局と医療方面の局がわかれておることは、私は絶対に必要なことであると考えております。この前の機構改革のときは、薬務局をつぶすというような非常に非常識な議論が起りまして、これは打明け話ですが、葛西局長のところへ行つても、実はそれはもうきまつておるのでどうにもならない、司令部からそういうような話があつたのだというようなことまであつたのでありますが、今後もそういうようなことのないように、あらかじめそうしたことについてはあなた方でしつかりしたお考えおきを願いたい。  それから今厚生大臣は行政管理庁長官を兼ねておられる、こういうような建前から、これがよいか悪いかということは検討の余地がありますが、厚生大臣としての立場と、管理庁長官としての立場の使いわけが、実際問題としては非常にむずかしいことになつておる。むしろ厚生省方面の機構改革が遠慮深くなつて、不利というような言葉は適当でありませんが、少くとも事務当局方面の主張が通る可能性が少くなるのじやないかと思えるようなことも私はおそれます。これは委員長にもお願いしておきたいのですが、われわれ厚生委員会としても、十分この問題は関心を持つて取扱つていただかなければならないと考えております。それらの点につきまして、一応希望を申し述べておきます。  次に医務局関係の問題でありますが、国立病院その他の国立医療機関の運営方針について、次官と次長にお伺いいたしたいと考えます。現在はこの国立医療機関において一般の病気全部についての診療をなさつておられますが、こういうことをなさる必要があるかどうか。むしろ国立でやるものは、一般の開業医が実際に手をつけるのに適当でないものというか、または非常に設備その他でむずかしいものというふうにして、その他の病気につきましては、むしろ開業医にまかせたらどうか、わざわざ国がそんなことまでやらなくともよいのじやないかということを実は考えておるのであります。結核あるいは花柳病に限つて国立病院を動かして行くのだという行き方になさるお考えがあるかないか。私はそう行くべきだと考えますが、そうした意味国立医療機関で結核、花柳病以外の病気等を扱われておる厚生省医療に関する根本的な考え方というものを、一応お伺いしておきたいと思います。
  100. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 高橋委員から、厚生行政にきわめて理解のある御発言がございまして、私どもまことに感謝にたえないのでありますが、厚生省の機構改正等につきましては、所管大臣である厚生大臣が、行政管理庁の長官を兼ねておられますので、私は細大となく行政管理庁の長官である橋本龍伍氏にいろいろ申し存おるのでりまして、機構の改正につきましては、御説の薬務局の問題、あるいは衛生三局の問題につきましてまだ何らの話を聞いておりません。人員整理の問題につきましては、橋本大臣が厚生大臣を兼ねておるがゆえに、厚生省が損をしておるというようなことのないように、大臣は公平な立場でやつておられることをここでお答えをいたしておきます。  次に、国立病院の運営方針につきましては、いささか私ども高橋委員と所見を異にするのであります。国立病院は、私ども本体といたしましてはモデル病院といたしまして、国があらゆる病院行政をやろ上において必要とするモデル病院を経営すべきであろという見地から、国立病院につきましては、あらゆる科目につきまして施設をいたしたいと考えております。ただ現在の国立病院につきましては、旧陸海軍の病院を受取りました関係上、その分布状況等につきまして区々でございます。これらにつきましては再検討の余地があろうかと思いますが、もう一つはやはり病院と申しますものは、患者の便宜に備えなければならぬと思いますので、なるべく総合的な科目を持つてやるのが、国民のためになるのではないか、こういう気がいたしますのと、また必ずしも病院の多いところに国立病院があるわけでもございませんので、その地方民にとりましては大事な診療機関でもございますので、現在のところ高橋さんの言われたような結核、性病等に限るという考えは持つておりません。ただ実際問題といたしまして、病院にもおのおの特徴がございまして、ある病院のごときは整形外科の方が得意になつているとか、あるものは精神病の方が得意になつているとか、あるものは外科が中心なつているとかいうような特色は備えなければならぬと思つております。将来もそういう特色を備えた病院及びモデル・ホスピタル的な病院、こういうものにわけて進んで行きたいと考えております。
  101. 高橋等

    ○高橋(等)委員 私はその点では全然次官と考え方が異なります。現在の利用状況は、大体結核が入院患者の大半を占めておると言えるのであります。モデル病院というものは、これは必要でありましよう。しかし一体全国で何箇所くらいそれをおつくりになればいいと次官はお考えなつておるか、また今のようなモデル病院といえば、設備というものももちろん大切でありますし、これを運営する医師が大切であります。しかるに医師の面等におきましては、非常に給料が安いというような関係から、実際は医師の補充にも困つている。あなた方は理想は掲げられろでしようが、それが必ずしもその通りには行き得ない状況なつていると思います。むしろ、それが必要ならばセンター、センターにつくつてつてもよろしゆうございますし、今の国立療養所という機関は、国がこれを扱う以上は指導的な意味を持たす病院をつくることも一つの行き方ではありますが、現在のような国立病院は、少くとも結核、花柳病専門にして、それと別におつくりに、なればいいのではないかという考え方を持つております。よく御研究を願いたいと思います。
  102. 岡良一

    ○岡(良)委員 関連して宮崎次官にお伺いいたしたいのですが、新聞で見ますと、療養所、特に結核療養所は、これを地方公共団体に移管するかのごとき報道も伝えられておりますが、厚生省としてはそういう御意思があるかどうか。またあるとすれば、どういう理由でそういう処置をとられるか、責任ある御答弁を願いたいと思います。
  103. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 国立病院及び国立療養所につきまして、地方に移管した方がよろしいという意見が出ております。これに対しまして、厚生省の意見といたしましては、結核療養所、癩療養所、精神療養所のごときは、国がやるべきであるという考えを持つておりまして、これを移管する意向はございません。ただ国立病院につきましては、現在九十九の国立病院があるのでありますが、これにつきましては、昭和二十二年医療制度審議会の答申がございまして、あの軍の病院を引受けた厚生省といたしましては、将来はこれを地方に移管すべきであるという答申が出ておるのであります。また社会保障制度審議会等の意向にも、そういうことが現われております。それから私ども一つの指針を与えられておるのでありますが、なお厚生省といたしましても、現在九十九の国立病院を永久に持つておる、こういう考えではないのでございますので、国立病院の移管につきまして政府方針をきめていただきまして、大蔵省等と相談ができて、その受入れ態勢ができ上り、またこれに対する財的措置が、でき上りました機会におきましては、国立病院の若干を残しまして地方に委譲をしたい、こういう考えを持つております。
  104. 岡良一

    ○岡(良)委員 結核療養所の点については、頼もしい御答弁であつたのでありますが、それについて、ちよつと小さいことですが、実は今寒冷地の結核療養所で、燃料費が足らない。保温設備の費用――光熱費というか燃料費というか、結局北海道の療養所も鹿児島県の療養所も、一人当りの燃料費はみな一律になつている。その結果、結局寒いところでは燃料費が足らないということで、何よりも室内の保温等に気をつけなければならない結核患者が、寒い思いをするか、寒い思いをさせないでおこうとすれば、給食費に食い込むか、医療費に食い込むか、あるいは治療費に食い込むということに実際なつているという実情を、久下さん御存じですか。
  105. 久下勝次

    ○久下説明員 ただいまの私への御質問でありますが、おつしやる通り、今までの予算の編成は一律になつております。しかし今度の補正予算要求の際に、北海道等の寒冷地におきましては、特別に燃料がいるということを主張いたしました。これは補正予算で認められまして、予算上特別な配当ができるようになつております。なお従来もその点につきましては、私どもの操作の許します限りにおきまして、温暖な地方と寒い地方とには、相当な区別をつけて予算の配賦をいたしております。
  106. 高橋等

    ○高橋(等)委員 それから国立病院等が独立採算制の形をとつております。そういうような特別会計の形をとつておりまする関係上、これに従事する者が、収入という面に非常に敏感になつているのじやないかと私は考える。これはもちろん施療機関のようなかつこうには行かぬでありましようが、われわれが病院へ行つてみましても、最初に収入が幾らですと、こういう説明を聞かされるのです。それくらい敏感になつておる。それで厚生省の方での御指導は、たとえば収入が多くなければ定員を減すとかなんとか、いろいろなことを言われておりますが、それらは事実かどうか。また少くとも国立医療機関でありますから、そういう点は常識にかなつたやり方をさせるように御指導願つておると思いますが、一応その点の御説明を願いたいと思います。
  107. 久下勝次

    ○久下説明員 その点私からお答えをいたします。  私どもは、これは特別会計法を御審議いただきます際にも、御説明申し上げたのでありますが、そのときの方針を、そのまま今日でも実行いたしておるのであります。具体的に申し上げますと、国立病院におきましては、あくまでも営利的な経営をなすべきでない。すなわち言葉をかえて申しますれば、特定の患者に行いました治療に必要な経費につきましては、その必要な経費だけを料金として徴収をするという建前をとつておるのでございます。従いまして、生活保護法の扶助も受けないし、また社会保険の支払いもないという患者で、治療費の支払えないものはなお全体の一割ほどございます。これらのものにつきましては、入院規定の定めるところによりまして、減免の措置をとることにいたしております。従つて、そのことは国立病院特別会計のわくから申しますと赤字なつて現われて来るわけでありまして、この分はそういう計算におきまして一般会計からの受入れをしてまかなうという経理をいたしておるのであります。なお徴収が多少ずれますので、またずれました結果によりまして不納欠損になるおそれもあります。それらを見越しまして、一般会計の受入れをしてまかなつておるのであります。従つて経営的に見ますれば、営利的な面は少しもないと考えておりますし、また現状やつておることも、その通りだと思います。そこでお尋ねの収入の上らないところに、予算の配賦を手かげんするというようなことがないかどうかということでありますが、私ども国立病院予算を配賦いたします場合には、あくまでも入院及び外来の患者数によりまして人員を配賦し、それからまた食糧費、医療費その他の配賦をいたしております。従いまして、収入が上らないがゆえに、一定の患者があるにもかかわらず予算を削減するということは、一切いたしておらないのでございます。ただ一面におきまして、特別会計でもありますので、収入が予定のように上りませんと歳出ができません。しかも実情を見ますと、案は過去の、国立病院として厚生省が引受けました当初は、私から申すまでもなく全員無料の扱いをいたしておりました。それから二、三年はさような傾向が続いて参りました。当然生活保護法を適用していいもの、あるいは実家が富裕で十分支払い能力のありますものも、出発当初は無料の扱いをしておつたのであります。これを漸次指導によつて改めまして、私どもとしては正当に支払いをし得る人からは支払いを受けるように、あるいはまた社会保険の請求をいたします場合にも、事務上のうかつのために請求を落すことのないようにという指導はいたしております。これは決して苛斂誅求をするという気持ではなくて、正当にとり得る人からはとる手続をするようにという指導はいたしております。その程度のことは、当然これは特別会計であろうと一般会計であろうと、なすべきことだというふうに考えてやつておるのでございます。
  108. 高橋等

    ○高橋(等)委員 次に、医薬制度の問題が先般の国会を通過いたしておりますが、これに関する法律によりますと、審議会をつくるようになつておりますが、この審議会はもうできておりますか、それともどういう調子で運んでおりますか、ちよつと次官から御説明願いたい。
  109. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 医薬制度の審議会につきましては、まだできておりません。昭和三十年のことでもございますので、よく行政的に検討いたしましてからやりたいと思つております。
  110. 高橋等

    ○高橋(等)委員 いつごろおつくりになるのですか。
  111. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 まだ時期はきまつておりませんが、できるだけ早くと考えております。
  112. 高橋等

    ○高橋(等)委員 なるべく早く審議会をおつくりになつた方がいいと私たちは考えております。  それから蛔虫に関する政策は、これは私は非常に大切なことだと、考えております。これについて公衆衛生局長はどういう方針をおとりになつておるか、具体的な計画を承りたい。
  113. 山口正義

    山口説明員 寄生虫予防、特に蛔虫、十二指腸虫、そういうものの駆除あるいは予防に関しましての予算は、これは平衡交付金の中に計上されまして、予算はそちらの方でまかなつております。実際の指導といたしましては、蛔虫の予防並びに駆除に関しまして、駆除につきましては、通牒によりまして、どういうふうに、年何回検査をする。その検査の結果に基いて、薬剤としはどういうものが望ましい、対症によつてヘキシール・レゾルチンを使うか、あるいはサントニンを使うかというようなことを指示いたしまして、指導を実施いたしております。  なおその根本問題になります屎尿処理につきましては、腐熟した屎尿を使用するように、あるいは改良便所をできるだけ使用するようにというような指導を実施いたしおります。来年度予算には、先ほど会計課長から御説明申し上げましたように、赤痢対策とも関連いたしまして、特別な地区に屎尿の分離式を実施して、それをモデルにして、もしよければ今後も漸次拡げるようにしたいと思つております。
  114. 高橋等

    ○高橋(等)委員 蛔虫の駆除対策には、学童その他の蛔虫検査をするとか、何か集団的な検査をやるのが、一番手取り早いのじやないかと考えておやりになつておるだろうと思いますが、これを徹底させていただきまして、もう少し強力にこれを実行するようにお運びを願いたいと考えております。  それから住血吸虫に関しまする地方病対策費が計上になつております。これは山梨県、広島県及び九州の一部分における特殊な地方病でございます。これは田へ入りまして、農耕をやる場合に入つて来て、遂に人命にまで及ぼす恐るべき病気でございます。どうぞこの点は、予算もせつかく計上になつておることでありますから、こうした地方病くらいは、ぜひ撲滅させるということに御協力をお願いいたしたいと思います。  最後に、先ほどから遺族傷痍者に関しまする問題について、次官にいろいろとお尋ねをいたし、希望を述べられておるのであります。これは次官にお話することも、あるいは現下の情勢では無理かと考えますが、遺族傷痍者は、御存じのように六年以上の間、ほんとうに波、一つ立てない静かな海のような調子で今日まで来ております。これはどう言いますか、非常に国家を愛する至情から、この人々は過激な行動にも出ずに来ておるのですが、事実つえとも柱とも頼む子供をなくした老人、あるいは夫をなくした婦人というものは、いまだに朝晩思い出して嘆いておられるのであります。また相当生活に困窮な方も、実は出て参つております。どうしてもこの際一般の年金者及びことに生活困窮者、あるいは困窮に近い人々を、特別の法律をもつて保障するということについては、どうしても急いでやらなければならないということであります。全国の遺族傷痍着たちは日本が独立する日を待つております。独立すれば何とかなるだろうという希望を持つておりますし、われわれも何とかこれはしなければならない問題であります。しかし独立してやられるようになつてから、しかも国際問題がどうの、賠償問題がどうのというようないろいろな問題のために、この問題が遷延するということは、許すことのできない問題だと考えております。どうぞ非常な意気込みで、いろいろ予算編成等においても苦しい点があるでしようが、どうしてもやらねばならない問題としてこの予算を優先的に取扱われるようにお願いをいたしておきたいと思います。なお指令がまだあるのでありますが、予算はどうせ十二月の国会には出さねばなりません。それに間に合わないでも三月までには必ずこれを成立さすという方面へ、これは司令部その他の了解も必要でありますが、ぜひそうした努力を払つていただきたいと思う。先ほども実は厚生大臣に私はお目にかかりましたときに、これは必ず実行するという御意思に相違ないことを確認いたしております。来年度からはできると思いますが、遺族や傷痍軍人が満足しきれる解決は、今の国情としてできないと思います。しかし苦しい中にもよくこれくらいまでやつてもらえたものだと言われるような解決、ことに困窮者に対しまして生活保護法以上の、保護が与えられるという方法、また教育等につきましても、確固たる方針を樹立しまして、遺児になつたがために教育の機会均等に浴せられないということのないように、ひとつこれは不退転の決意でお運びくださらなければ、なかなか問題はむずかしいのであります。事務当局としましても、今いろいろと準備をなさつておられるそうでありますが、その点を特にお願いいたしておきます。  なおこの問題をやります場合に、特にお願いしておきたいことは、事務手続のために非常にものが遅れるとか、煩瑣になるとかいうことは絶対に避けて、簡単明瞭な、しかも迅速にものを運び得るように、ひとつごくふうをお願いいたしたいと思います。  以上で私の質問を終ります。
  115. 青柳一郎

    ○青柳委員 本日予算説明の冒頭に、会計課長は、厚生省予算説明するには、社会保障に関する予算説明すれば、大体それで尽きるというようなお話から、厚生省の来年度予算要求について御説明があつたのでありますが、私どもまことにしかりと思うのであります。社会保障制度こそは、厚生省当局がその本家である。従つて断じて社会保障制度の促進充実をこの際こそはかつていただかなければならぬと思うのであります。あるいは講和が成立して各種の経費が次第に増すこの際に、社会保障がその陰に隠れて弱いことであつたならば、日本の国家の自立も自衛もないと思うのであります。日本が独立し、自由になつたこの際こそ、厚生省当局はほんとうに真劍になつて、社会保障の実現のために邁進せられる固い御決意を持たれなければならないと私は存ずるのでございます。本日は私大臣に質問しようと思つたのでありますが、大臣所用のため次官にひとつ御質問したいと思うのであります。私がそういうふうに申し上げて来たのは、社会保障の制度を打立てるためには、それに必要な各種の制度が、現在日本に存しておるのであります。そのうちでも国民健康保険考えてみます際に、この国民健康保険の恩恵に浴すべき人々は、職場を持たない人であります。職場を持つている勤労者に対しては、健康保険ばかりでなく、年金制度もある、また失業保険の制度もあるのでありますが、自営業者につきましては、国民健康保険たつた一つであります。これこそ社会保障制度の一本の大きい足である社会保険の中において、どうしてもまず第一に国民健康保険を強いものにして行かなければ、いつの日にか社会保障制度ができ上るかということを、非常に憂えるものであるのであります。この国民健康保険につきましては、その発足は、農村恐慌の対策としてできたものであることも私どもつておるのでありますが、戦争が済んで、国民健康保険はすつかりへたばつてしまつたのであります。これに力を加えて、これを育成、発達させるということに、今相なりますが、それはちようど国民健康保険ができ上つた当時の状態と同じであります。農村の好況も、しばらくの間でありまして、現在農村は非常な苦境に悩んでおるのであります。国民健康保険発足当時と同じようなお考えを持つてあの当時国庫から相当な補助金を出していただきました。この補助金は事務費の全額をまかなつてなお余りがあつて医療給付費の三割程度をカバーしていただいたのであります。これが現実の事実でございます。そういうことがあつたのであります。しかもそのときと同じように、農村を中心とした自営業者は苦しみにあえいでおるのであります。しかも国民健康保険は、やはり一つ社会保険であります。社会保険は、やはり一つ社会保険であります。社会保険の最近の趨勢を見ますのに、一番最近にできた社会保険すなわち失業保険につきましては、国庫の助成がすでに三分の一もあるのであります。その前にできた厚生年金をとつて考えてみましても、実に給付費について、国庫の助成は十分の一あるのであります。社会保険の新しいものになればなるほど、国庫の助成を得ておるのが現実の事実であります。こういう点から考えましても、社会保険一つであるところの、しかも一番弱い国民健康保険の給付に、国庫の助成ができないということは、断じてないと思うのであります。ことに最近各府県を調査いたしましたところによりますと、生活保護法の医療扶助におきまして、国民健康保険をやつておるところは、その費用が、やつておらないところに比べて、半分で足りるというようなこともはつきりと出ております。国民健康保険をやつておるために、大した病気にならないうちにお医者さんにかかり得て、国民健康保険をやつておらない町村に比べて、低額の医療扶助をやつて行き得るということも、現実の数字に現われておるのでございます。こういう従前の例から考えまして、給付費についての国庫の補助金はあり得るはずであります。しかも理論的に考えてみましても、あの社会保障制度審議会の勧告にもございますように、国民の健康を保持するのは、国家の義務であります。そういう理論から考えましても、断じてこの国民健康保険についての給付に、国庫の助成を仰ぎたいのでございます。現在の国民健康保険は、御存じのように、非常な苦難の道を歩いておる。しかもこういう要求を二回、三回にわたつていたしましても、国庫から何らかのこれに対する答えがなかつたという際には、これは私は断じて申せるのでありますが、一朝にしてほとんど全部の健康保険は画餅に帰してしまうと思うのであります。十三年間にわたる労苦は何も残らない、かえつて逆にあだをなすということをおそれるのであります。あのイギリスでもつてビヴアリツジの案ができて、その後社会保障制度がすぐにできなかつたために、しばらくの間社会保障制度の確立が非常に鈍つたというようなことから考えましても、今年こそは断じて給付費についての国庫の助成を仰ぐべきである、また断じて仰がなければ相ならぬと信ずるものでございます。政府の御当局におきましては、先ほど委員から保険局長に対しお尋ねがあり、これに対してお答えがあつたのでありますが、私はまず第一に厚生省当局が社会保障制度をこの際断じて確立するという熱意に燃えられまして、大蔵省当局に当つていただいて、必ずこの問題についての突破口をつくつていただくべきときが目の前に来ておると思うのであります。もちろん、われわれといたしましても、国会において予算はきめるのであります。われわれとしても大いに努力を傾注するものでございますが、まず第一に、事務的に大蔵省に対して熱意をもつて、断じてこれを通すという信念に燃えてもらわれなければ相ならぬと存ずるのでございます。もちろん医療給付の問題ばかりではありません、倒れんとしておる国民健康保険を立て直すための再建整備、あるいは促進の補助金問題、すべて一環をなして同じ程度の要求であると思うのであります。どうしても今年こそは通したい、通すべきである。通さなければ社会保障制度はできないのじやないか。イギリスの例もあります。再建はできないのじやないか、そうまで思うのであります。この際こそ厚生省当局の勇断がなければならないのであります。もちろんわれわれも十分なる協力をいたしたいと思うのであります。この際厚生省当局の責任ある覚悟のほどを私どもに知らせていただきたい、これが私の質問であります。
  116. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 御承知のように、厚生省当局といたしましては、数年にわたりまして医療費の国庫負担を要求いたしておるわけでございます。不幸にして今日まで通つておりません。ただいま青柳委員の仰せになりましたように、社会保険といたしましては、医療保険につきまして国庫からは事務費をもらつておるだけでありまして、給付費に対する国庫負担はないのであります。数年にわたりまして努力いたしましたが、いまだ実現を見ておらないのでございます。ただいまるる御鞭撻を受けましたごとく、私ども国民健康保険の現状につきましては、非常な心配をいたしておるのでございまして、大蔵省当局への要求にあたりましては、一層の努力を傾けまして、その実現を期したいという所存でございます。
  117. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいま御所存のほどをお示しいただいたのであります。厚生省当局が必ずこれを案現するように努力していただき、なおわれわれといたしましても全力を傾けて、この際社会保障制度の基礎を築くために、一生懸命に働らくことを、皆さんとともにお誓いをいたしたいと存じます。
  118. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 前の方から御質問が、あつたかと存じますが、今青柳委員の御質問にもございましたように、私ども終戦以来の国民生活の窮乏の度合いを加えまするその現状をつぶさに見て参りまして、社会保障制度の一日も早く確立を望んでおるのでございます。社会保障制度と申しますと、何と申しましても、厚生省所管の事務が多いのでございますが、そういつた厚生省予算内容というものは、社会保障制度としての一つの熱意というものが感ぜられると思つて、今日の予算説明を期待して待つておつたのでございますが、全般的に見ましても、本年度のその要求額そのものが、すでに昨年度要求額よりも少いということでございます。もちろんこの中にはいろいろと二十七年度におきまして、削減し得る項目も入つていることは了解できるのでございますが、一体この程度の、昨年度よりも少い要求額を提出いたしまして、しかもどの程度を厚生省としては獲得できる自信があるかということを、まず承つてみたいと思います。
  119. 太宰博邦

    太宰説明員 予算要求する額が、昨年度よりも少いということは、ただちに熱意が足らぬとか、あるいは今後政府の部内できまります額が、昨年度よりも少くきめられるとか、さようなことにはもちろんならぬと思うのであります。私どももいろいろそのときの国の財政状況、それから私どもの方で必要といたします額、そういうものと比較いたしまして、でき得ますならば、最小の経費をもつて最大の効率をあげるように努力すべきではないか、かような観点でやつておるのであります。減りました内容もいろいろございまして、格別今年が昨年度より総額が少いからといいまして、重要項目において私どもが後退した要求をしている、そういう面はございません。その辺はなお今後政府部内の折衝によりまして、政府の意思がきまりましたところで御批判をいただきたいと思います。
  120. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 たいへん御自信のある御答弁をいただきまして、御答弁そのものにはまつたく満足するものでありますが、はたしてその答弁通りに参るかどうかということを、私は期待して待つていたいと思います。  逐条的に簡単に聞かしていただきたいのですが、一ページの十番目のところに、世界保険機関その他国際機関、国際会議等事務処理に必要な経費というのがございます。国際保健機関には今年正式に加入になつたと存ずるのでありますが、昨年度のこの予算額はどういう方向にお使いになつたのであり、二十七年度の分はどういうことに必要なのか、ちよつと御説明願いたいと思います。
  121. 太宰博邦

    太宰説明員 この経費は、昨年度までは渉外課の人件費、事務費そういうものが主であつたのであります。本年の六月でございましたか、世界保健機関に正式に加盟いたすようになりましてから、それに対しまして、加盟国といたしまして、分担金をしなければならない、それからいろいろな情報を提供して連絡しなければならない。かような各種の義務と申しますか、つき合いと申しますか、そういうものを当然持たなければならないようになつております。大体ここの六千二百万円の経費のうちで、五千六百万円と申しますものが、WHOの分担金でございます。その他は大体前年と同じようなことであります。
  122. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 次に優生保護法の関係費用のことでございます。これは岡委員からも御質問があつたように存じますが、この優生保護法の中におきまして、今日強制新種をする必要があると推定される人員が、八千三百数十万の日本人口のうちで、どれくらいと厚生省は御推定になつておりますか。
  123. 山口正義

    山口説明員 的確な数字をただいま持ち合せてはおりませんが、大体七、八千人というふうに考えております。一応来年度予算で四千四百人というふうに要求いたしております。
  124. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私どもは、とうてい強制断種に該当いたしまする人員を七、八千人程度には見ないのであります。そういうように非常に僅少な数ではあり得ないと考えておるのでございまして、私どもは少くとも二十万を越す数字が、この該当者ではなかろうかということを考えております。それはさておきまして、厚生省のきわめて寛大な御推定によります八千名にいたしましても、これは厚生省の御判断によりますと、ぜひ強制断種が必要な該当者だということでございますが、そうでございまするならば、せめて八千人分の強制断種手術経費というものを、なぜ御計上いただかなかつたかということを、きわめて残念に思うのでございます。そういつた関係から、この優生保護法施行に必要な経費内訳を、少し詳しくもう一回御説明願いたいと思います。
  125. 山口正義

    山口説明員 優生保護法施行に必要な経費要求額は、全体で西千七百四十四万八千円でございます。少しこまかく申し上げますと、そのうちで印刷製本費として八十三万五千九百円、それから中央優生保護審査会の費用といたしまして三十一万五千円、それから優生保護の地区別事務打合会といたしまして二十六万七千円、それから優生手術の委託費といたしまして三千九百四十四万円、それから府県の優生手術審査会に対する補助として六百五十八万八千円、大体そういうふうな内訳をつくつております。
  126. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 先ほど御質問があつたので、重ねてお尋ね申し上げてくどいようでありますが、強制手術の各地方の委託費というのは、何名分でございましようか。
  127. 山口正義

    山口説明員 概数四千四百と申し上げましたが、正確に申し上げますと、四千三百九十八名でございます。そのうち男子が千四百六十六名、女子が二千九百三十二名であります。
  128. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 推定人員八千名と仰せでございましたが、それに比べまして約半数の四千四百名と御決定になつたのは、どういうお考えでございましようか。
  129. 山口正義

    山口説明員 これは地方の審査能力等から勘案いたしまして、緊急やむを得ないものだけ、一応そういうものを推定して計上いたしたのであります。
  130. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 今日ただいまの審査能力から申しますと、あるいはそういうような推定が出るかと存じますが、私ども地方にあります県の優生保護審査会こそ、もう少し活発に審査としての働きをなすべきだと考えるものでありまして、この機構を強化いたしますれば私はもつとたくさんな強制断種手術の該当者の審査ができると考えるのでございます。そういう観点からいたしまして、ただそれだけの基準にいたしまして、こういうような数字をお出しいただいたということは、きわめて残念に思うのでございます。日本の今日の人口問題の方向がまだきまつていないという次官の先ほどの御答弁でございましたが、私どもといたしましては、そのこと自体が非常に残念に存ずるのでございます。ともかくもこのような日本の民族の優生学的見地に立ちまして、少くともその素質を低下させるような人たちに対しましての強制断種くらいは、私はもう少し政府は英断をもちまして、大幅な予算をとつてつていただきたい、こう考えるのであります。この点に対しましても、非常に厚生当局は遠慮しがちな態度をおとりになつておられるということは、日本民族の将来のためにとりまして、私は非常に残念至極に思うのでございます。簡単に申し上げますと、この優生保護法におとりいただきました予算というものは、特にあげて私は非常に不満だということを申し上げたいのでございます。  それからもう一つお尋ね申し上げたいのでございますが、断種手術の委託費は、大体男子にはどれくらい、女子にはどれくらいになつておりますか。
  131. 山口正義

    山口説明員 男子は単価が三千二百五十四円、女子は六千九百七十三円。
  132. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 三十九番目の公衆衛生関係施設(住血吸虫)整備に必要な経費でございますが、これはどういう計算で二十七年度要求額をお出しいただいたのでございましようか。
  133. 山口正義

    山口説明員 山梨県、それから広島県、佐賀県等に住血吸虫の蔓延している所がございます。その地区の農耕地における灌漑水路の総計が、今ちよつと確かな数字を覚えておりませんが、五十万間になるのでございます。そのうちまず五万間だけを第一年度にコンクリート化したい、そういう予算でございます。
  134. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 農耕地の水路の問題は、これを改良するということになり出すと、たださえ農地問題では、農民が自分のたんぼを愛します熱意におきまして、問題を起しがちでありますが、こういう水路に関しますことに対しまして、従来あぜ道であつたものにコンクリートの水路をつけるということになりますと、いろいろな問題が起つて来はしないかと思うのでありますが、そういつた将来起り得る問題に備えて農林当局とのいろいろな御相談は、しておられるのでございましようか。
  135. 山口正義

    山口説明員 ただいまお尋ねの点は、地元からの要請でございまして、現在コンクリート化せずにそのままにしておきますと、草がはえまして水際にたれ下る、それに宮入貝が棲息しますために、中間宿主としての宮入貝が繁殖するというので、実際に山梨県その他でやつてみたところ、非常によい成績が出たから、地元からぜひやつてほしいという要望が出て参つておりますので、こういう予算を計上しておるのでございます。その点は御心配はないと思います。
  136. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 よくわかりました。せつかく住血吸虫の撲滅のために御努力願いたいと思います。  それから人口問題に関係しておることでございますが、人口問題研究所に必要な経費というものが出ております。人口問題研究所というのは、詳しい統計を御研究いただくということはよくわかりますが、それ以外のことはどういうことをしておられますか。どの費用で来年度は増額になりますか御説明願いたい。
  137. 太宰博邦

    太宰説明員 人口問題研究所に必要な経費は、本年が千二百八万円、これは予算決定額でございまして、要求はさらに多かつたのです。来年度要求は三千三百万円で、大体これは人口問題研究所の中におります職員の人件費、それから事務費、そういうようなものと、それから調査研究費、これが約二千万円でございます。これは人口問題研究所といたしまして、いろいろ調査題目をきめてございます。たとえば出産力に関する調査であるとか、人口の収容力に関する調査であるとか、産児制限の実態がどうなつておるか調査をしたいとかいうような経費が、これに入つております。
  138. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 人口問題の一部になると思いますけれども先ほど保健所に優生保護法の宣伝、啓蒙の費用というような項目で、五十箇所ばかり費用を割愛するようなお話が出ておりましたが、この保健所に向ける費用は、啓蒙、宣伝ばかりに使われるのでございましようか、それともバース・コントロールなどに対します普及指導、あるいは薬品の配布というようなことにも考えられておるのですか。
  139. 太宰博邦

    太宰説明員 保健所の方に組んでおります経費は、先ほど答弁申し上げましたように大体啓蒙的な方面がおもでありまして、特にそれも模型などを利用いたしまして、いなかの人によくわかるように、そういう面で行きたいという面で行きたいという経費がおもであります。器具その他薬品をあつせんするとか、補助して安く配給するというような費用は含んでございません。
  140. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私どもは、啓蒙宣伝もさることながら、結局その啓蒙宣伝よりもなお必要なものは、当面の実地において、どうしてあすからの避妊を実行するかというその方法、直接の避妊器具とか、避妊薬というものを、政府からの出費によりまして貧困階級に補助を与えるということが、一番大切な問題ではないかと思います。そういう予算が来年度の厚生予算において全然考えられていないということは、返すがえすも残念に存ずる次第でございます。どうか厚生当局におきましても、人口問題はそうのんびりしたところに置かれていないのだ、受胎調節は啓蒙宣伝の域に今日なおとどまつていないのだ、非常に切迫した問題であるということをお考えいただきまして、もう少し積極的な予算的措置をおとりいただきますようお願い申し上げたいのであります。  次にお尋ね申し上げたいのは、六十四番目に医療資金金融特別会計繰入れに必要な経費というものがございますが、この内訳を御説明願いたいと思います。
  141. 太宰博邦

    太宰説明員 まずこの制度を実施いたしますには、どうしてもこれを扱う人間が必要であります。それに必要な職員若干名の人件費、事務費、そういうものがございますが、この四十九億の中で四十八億までが事業費貸付金でございます。それの内容は、病院の改修築、これは医療法の実施に伴いまして、今まで規格に沿いませんにもかかわらず患者を収容しておつた小さなものを、規格に合せますために、これを貸し付けるということが第一。それから第二は通常の病院でありまするが、病院が腐朽しており、これをさらに近代的なものにしたいという病院の改築方面にもこれを貸し付けたい。それから新しく病院を建てたいというのにももちろん貸し付けたい。それから病院ばかりでございませんで、診療所が内容を改善いたしまして、国民医療に寄与したい、そういう方面の内容整備するという面と、それから新設するというような面にもこれを貸し付けたい。こういうように幾つかの種類にわけまして、なお大体この四十八億が妥当であるかどうかは別といたしまして、一応私どもの方の資料から、地方の要望なども入れて考えて拾つたところが、大体その線に出ておると御承知いただきます。
  142. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 病院と申しましても、私立の病院もございますし、官公立病院もございますが、その貸付の順位は、どういうことになりますでしようか。
  143. 久下勝次

    ○久下説明員 まだ的確に貸付の順位というところまできめておらないのでございますが、大体私どもが想定いたしておりますのは、まず第一に病院の増築あるいは新築の場合で、診療所につきましても、新築及び増築のものにつきましては、私どもで、全国的な病院、診療所の医療機関の配置の状況を一応調べてありまして、さらに一般的に病院なり診療所がどういうふうなぐあいに必要であるかというような基本的な資料も、条件も、医療機関整備審議会の答申として一応きまつておるものがございます。私どもとしては、大体その面につきまして必要度の高いところ、言いかえますれば現在の医療機関の整備の程度の少いものを優先的に取扱いたいと思つております。内部の改修その他につきましては、医療法の規定等とにらみ合いをいたしまして、その程度のはなはだしいものを優先にするのが当然だと思つておりますが、これらの問題を決定いたしますにつきましては、この金融制度がどういうふうなかつこうで行われるかということもまだ確定しておらないのでありまして、おそらくは特定の金融機関を通じて実際の貸出しが行われるようになると思いますが、その事務的な運びといたしましては、各都道府県がそれぞれ医療機関整備審議会を医療法に基いで持つておりますので、それらの意見を参酌した都道府県知事の意見をとりまして、厚生省におきましても、病院の貸付の階級順位につきましてはそれらの意見を考慮に入れつきめて参るのが至当であろうと思つております。しかしながら、何分にも金融のことでありますので、貸付を受けますものの信用の程度というものを、金融機関としては当然見ることになろうと思います。従つて最後の決定になります場合には、以上申し上げたような医療機関の階級順位に基いた優先順位をつけました考え方と同時に、貸付を受けます相手方の金融上の信用の程度というようなことが、金融の専門家から判断をされまして、その双方の合致したところで貸付が行われるようになるのが、最も合理的な行き方ではないかというふうに考えておる次第であります。
  144. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 最後の決定権はどにあるのですか。
  145. 久下勝次

    ○久下説明員 最後の決定権をどうするかということですが、緩急順序の決定につきましては、私どもとしては、都道府県知事の意見をもとにした厚生省の意見に基いてやつてもらいたいと思つております。但し、厚生省がそういう点はやるにいたしましても、先ほどもつけ加えて申し上げた信用の程度につきましては、金融機関の判定になりますが、結局その両方が一致すれば問題はありませんけれども食い違いがありま場合には、金融機関と私どもの方との話合いできまつて行くということになるであろうと思いまま。
  146. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 この四十八億の貸付のわくでございますが、たとえば私的医療機関にはこれだけ、公的医療機関にはこれだけ、社会保険に関する面はこれだけというようなこまかなわくを、中でおつくりになるお考えでございますか、それとも漠然とした形において、それぞれ整備内容を審査した上で、必要だと思うところに貸し出すお考えでございましようか。
  147. 久下勝次

    ○久下説明員 それらの点につきましても、四十八億が出るか出ないかもまだきまつておりませんので、的確に申し上げにくいのでありますが、私どもの希望といたしましては、この貸付の金がもし出るようになりましたならば、その対象としては、一般金融機関から低利長期の資金を借り出すことの困難なものに対して、この制度を運用したいと思つております。言葉をかえて申しますれば、地方公共団体の方に起債の道があるものにつきましては、当然この制度からは除外して考えたいと思つております。しかしながら、私どもは同じく公的医療機関の扱いをしておりますが、日本赤十字社でありますとか、あるいは済生会でありますとかいうものは、今日の状態では、一般の公的機関と同様に低利長期の資金を借り出す道はございませんので、これを一般私的医療機関と同じように考えて、わくの中に入れて考えて参りたいと思つております。これらの優先順位につきましては、結局は先ほど申し上げたような一般的な考え方で考えることが必要だと思つておりますが、私的医療機関にどれだけとか、今申し上げたような意味の公的医療機関にどれだけというようなことを最初からきめてかかることは、ただいまのところとしては別に考えておりません。
  148. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 御答弁が実に巧妙な御答弁で、私どもは了解に苦しむところがあるのでございますが、そういうようなこまかい内訳がなくて、この四十八億をお考えいただいたということになりますと、きわめてずさんなきめ方であつたといわなければならないのでございます。ただいまの御答弁によりますと、お金を借りる何らかの方法がある医療機関には貸さないというお話でございますが、これは当然なことでございます。では金融の面において一番困つておる機関からお貸しいただけるものかと思つておりますが、金融の面で一番困つておる機関は、医務局においては一体どの機関であるかということを、抽象的な御答弁でなくて、はつきり聞かせていただきたいと思います。
  149. 久下勝次

    ○久下説明員 最初にこの四十八億という数字をはじき出しましたことは、私的医療機関に何ぼ、公的医療機関に何ぼということから出発したのではないのでありまして、こまかくなりますけれども、御説明申し上げますると、病院の改修築につきましては、二年間医療法に基きます医療監視を行いまして、その成果が私どもの方に参つております。これは御承知の通り病院の構造、設備につきましてA、B、C、Dという四段階の格付をいたすことになつております。このC、Dという程度の低いものを拾いまして、あとは若干想像も入りますけれども、一施設当りのベッド数を五十ベッドと見まして、一ベッド当りの修築を要する坪数で計算いたしまして、一・五坪というようなことから計算をして、単価をかけまして、これを大体二年間の医療法の猶予機関がありますので、この二年間に完成をしたいというので、その数字を出したのであります。従つてその分が十四億九千九百万円になつております。それから病院の改築というのは、大体普通の病院から見まして一つ病院の命数を約三十年と見まして、三十年たちますれば根本的な改築すなわち新築をしなければならぬであろうというので、現在ある該当病院を三十分の一出しまして、平均のベッド数をかけて建築単価を出し、それをかけて、計算をいたしたものであります。これが千億ほどになつております。そのほかにこの種の私的医療機関並びに日赤、済生会等におきまして、病院の新築も今後行われるであろう。これは私どもも全体の基本計画を持つておりますが、その必要病院数の約二割ぐらいはやつていただけるであろうというようなことから、八億三千二百万円という数字を出しております。それからもう一つ大事なことは診療所でありまするが、現在の医療法によりまし二十未満のベツドを持つておりますものは、診療所の扱いになつております。これは病院への格上げを実際問題として指導をしておりまするし、またそういうことを希望する向きもございます。これらの実際の数を拾いまして、それに必要な資金を四億一千一百万円というふうにはじいております。その他の診療所につきましては、先ほど申し上げた改築あるいは新設をそれぞれ六億一千五百万円、四億九千九百万円というふうにはじいているのでありまして、その結果が四十八億という、数字になつておるのであります。従つてそういう意味におきましては、多少机上プランに過ぎるところはあろうと思いますけれども、多少実績に基く数字を基礎にしてはじいたものと思つておるのであります。  そこで資金の融通に困つておるのはどこどこかというお尋ねが本題でありましたけれども、私どもとしていろいろ状況を聞いておりますのに、先ほどすでに申し上げました日赤、済生会と一般医療機関とは、どちらも資金の融通には同じ程度に困つておられるというふうに考えておるのであります。
  150. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、この貸付金の順位というものは、どれもこれも対等であると厚生当局ではお考えなつていらつしやる、そのように解釈してよろしゆうございますか。
  151. 久下勝次

    ○久下説明員 どれもこれも簡単に対等であると申し上げたつもりはないのでございまして、私ども病院なり、診療所なりが改築をします場合には、その改築を必要とする程度の高いものに優先順位を高くつけ、また病院を新築いたしますものにつきましては、もうすでに病院が相当数あり、十分にあるようなところと、非常に病院がなくて困つているところと比較しました場合には、病院の少いところを優先順位を高くするというふうに考えたいと思います。そういう意味合いにおきましては、優先順位は対等でなくて、あると思つているのであります。それと同時に、一方これは私どもの判断外でありますが、先ほど申しました金融上の信用の程度ということも、金融機関としては当然考えるようでありますから、それらのことによる優先順位も、実際問題としてつけざるを得ないのであります。そのほかにつきましては、今申したような条件が同じでありますれば、対等な扱いをするのは当然だと考えます。
  152. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 重ねてお伺いいたします。病院の監視にA、B、C、Dの等級をつけたということでございますが、C級、D級というのは私的医療機関と公的医療機関ではどういうふうな配分になつておりますか。
  153. 久下勝次

    ○久下説明員 内訳は出ておるのでありますが、ただいま手元に持つておりませんから、後ほどお目にかけることにいたします。
  154. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ぜひそのC級、D級の病院内訳を私的医療機関と公的医療機関にわけてお知らせ願いたいと思うのであります。  先ほど太宰官房会計課長の御説明を聞いておりましたところが、この特別会計なるものは、私的医療機関の病院及び診療所の非常な金融難に備えるたのにつくつたというような御説明でございました。そうなりますと、今の医務局次長の御答弁が、少し違うように思うのでありますが、どちらがほんとうなんですか。
  155. 太宰博邦

    太宰説明員 先ほど私は大体内容を早くおわかり願うような意味で申し上げたと思うのであります。但し、今久下次長のお話を聞いておりましても、いわゆる公的医療機関――公的と申しますと、国立とか地方団体の設立、そういうようなものについてはお考えなつておらないようでございます。その点から申しますと、日赤とか済生会というようなものは、これは考えようでありますが、やはり国の予算あるいは地方団体の予算でできておるものではありませんので、一応私的機関と見ていいのではないかと思うので、食い違いはないと思つております。
  156. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、私ども日赤とか済生会というものは、私的医療機関と今日まで解釈していなかつたのでございますが、課長さんのお話でございますと、そういうものも私的医療機関として解釈することになつたのでございましようか。
  157. 太宰博邦

    太宰説明員 私の申し上げ方が悪かつたかもわかりませんが、この金融融資資のこの程度の関係におきましては、私もああいうものは一般の民間の病院、診療所と大体同じレベルに考えていいのではないか、かような意味で申したのであります。さように御了承願います。
  158. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういうような、課長さんの御都合によりまして私的医療機関に入れたり入れなかつたりされますと、非常に迷惑であります。その点、はつきりしていただきたいと思います。厚生当局のいつもこういう美名のもとにおきまして、私的医療機関は顧みられない状態に置かれておるのでありますが、今回もまた私的医療機関の整備拡充、金融面の援護というような美名のもとに隠れて、どれだけ私的医療機関が保護されるかということを考えますと、ただいまの医務局次長の御答弁及び官房会計課長の御答弁からいたしますと、実際のところ心細い感じがするのでございます。厚生当局には、医務局なるものがありますが、医務局なるものは、一体どういうお仕事をしておられるのでありましようか、根本的なお仕事の内容を聞かせていただきたいと思います。
  159. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 医務局の仕事は何であるかということでありますが、これは二つに考えられると私は思つております。一つは、医務局は医療行政中心でありまして、医師、歯科医師、看護婦等の医療に従事する人々の身分に関する問題及びその業務に関する問題を取扱つておるわけでございます。それから第二の問題といたしまして、国立病院及び国立療養所というような治癒の営造物である国営機関の経営管理の問題を取扱つております。それから先ほど申し落しましたが、身分だけでなしに、その業務については、病院、診療所あるいは産院等の、その業務を行う場所の取締りをいたしております。
  160. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 日本の医療機関をどうしたらいいか、私的医療機関はどうあるべきか、公的医療機関はかくあるべきだ。従つて日本の国民の健康保全のためには、こういうような医療機関が必要だということは、一体厚生省ではどこでお考えなつていただいておりますか。
  161. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 ただいま福田委員の仰せになりました点については、医務局において考えることになつております。
  162. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 医務局の所管でおありになると私ども考えておつたのでございますが、今までついぞそういうようなことに対しまする御熱心な御答弁を承つたこともございませんし、私どもが見ておるところによりますと、はなはだ失礼でございますが、医務局は、こういつた身分とか業務に対します取締り機関、免許の取扱い機関、それとまた国立病院及び療養所といつた方面の管理の、機関であるとしか考えられないのでございまして、今日の医務局というものの運営に対して、きわめて残念なものを感じております。宮崎次官の御答弁によりますと、日本の医療のあり方というものも、医務局でお考えいただくそうでございますが、そうでありますならば、どうぞそういつた日本の国民の健康保全に役立つ医療のあり方を、積極的にお考えいただきたいと思うのでございます。御承知のように今日医療を受ける国民も、医療のあり方についてきわめて不満を持つております。これを担当しております医者も、十分に自分の職責に満足して、奉仕的な気持で働き得ない状態にあるのでございます。こういつたところに対しまして、医務局自体が、一体どれほど熱意を持つて考えておられるかどうかということを考えますと、きわめて私どもは疑問にたえないものがあるのでございます。まあ、そういう私の希望はさておきまして、どうか医務局におきまして、もつと積極的に日本の国民の健康――この疾病の治療を受ける側と、する側とが、ほんとうにどちらも喜んで十分な治療ができるような方向に、日本の医療というものをお考えいただきたいと思うのでございます。  それから一つお尋ね申し上げたいことは、社会保険に関します相かわらずの問題でございますが、一体社会保険のいろいろなものを読んでおりますと、最低治療とかいうような問題がよく出ておるのでございますが、私どもは学校で、最低治療というものはどういうものかということを、一向に習つていないのでございます。こういう社会保険における最低治療なるものをおきめいただくのは、一体どこでおきめいただくのか、それと学問との関係はどこにあるのかということを、まず御説明願いたいと思うのでございます。
  163. 宮崎太一

    ○宮崎説明員 社会保険で最低治療というのは、これは悪評を言う方の側の意見でありまして、社会保険におきましては、適正治療ということは言つておりますけれども、最低治療をもつて社会保険は満足するということはございません。御承知のように、社会保険が創立当初におきましては、これを顧みられざる部面が多かつた。それが長い間続きまして、戦争中継続され、そして戦争のあとにおきまして社会保険が大いに利用されるに至りまして、まことにいろいろな最新のアメリカの医学等が入りまして、いろいろな高度の医療を行つておるわけでございますが、その反面御承知のように保険の経済が非常に逼迫いたしておりますので、なるべく適正なる治療であつて、しかしてぜいたくな治療はやめたいという考えで、保険経済とにらみ合せながら、現在の価格の許す適正なる治療でこれを給付して行きたいという考え方で行つておるのであります。世間説をなす方々によつて十分なる治療ができないのであるから最低治療であるというような考え方が出て来たのであろうと思いますけれども社会保険はどこまでも適正なる治療で行きたいという考えでおります。何が適正なる治療であるかというようなことにつきましては、保険局だけでなしに医務局も加わつて、この点につきましてはいろいろ検討をいたしておるわけでございます。
  164. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 医療のあり方が適正であるというのは論をまたないところでありますが、社会保険におきまして特に適正診療なるお言葉をお使いになることが、そもそも私どもには解せないところでございます。一体これは今日の医学の教育機関と御相談なさいまして、この適正治療なるものをお考えなつていらつしやるのであるか、それとも、保険の基金のわくがこの程度であるから、やむなく逆算いたしまして、この程度の範囲内でまかなおうという意味で出しておられるのか、どちらがほんとうであるかということを、はつきり御説明願いたいと思います。
  165. 安田巖

    ○安田説明員 先ほど次官からお話がありましたように、社会保険におきましては、必要にして十分なる治療をすることをモツトーにいたしておるわけでありまして、少しでもむだがありますと、せつかく零細な金を保険料として集めておりますので、もつたいないことになりますから、なるべくそういうことのないように心がけております。それでそういう適正な治療方針を立てますにつきましては、私どもだけで独断でやりましても、いろいろ御非難もあるかと思いますので、厚生省内部で相談いたしますと同時に、たとえて申しますと、結核治療指針というようなものを出します場合には、結核学会に諮問をいたしまして、現在の医学におきましてこれが適正であるというようなものを得まして、それに基いてやつております。あるいはまたクロロマイセチンとかテラマイシンとかオーレオマイシンとかいうものを使うことになりましても、それぞれの専門の機関に諮問をいたしまして、そして適正なものを入れるという態度でやつておる次第でございます。
  166. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ただ一点だけお尋ねしておきたいのは、今度の社会保険予算の編成も、単価の問題も点数の問題も、相かわらず現行のままでお考えいただいたということでございますが、こういうような現行のままの社会保険単価と点数で、今後も危急を告げております社会保険が続けられるとお考えなつて、厚生省でこういう予算をお立ていただいたのでございましようかどうか、その点を聞かせていただきたいと思います。
  167. 安田巖

    ○安田説明員 予算を組みます場合には、これは明年度の必要な経費の見積りでございますから、それを実際に実施いたします場合には、また事情がかわることもあるかと思います。そこで現在単価の問題がいろいろ議論になつておるようであります。先ほど青柳委員からもお話があつたのでありますが、これはこうだというように予測して予算を組むということも穏当じやないと私ども実は思つておるのであります。むしろそういうことをいたしますと、かえつてそれにとらわれる結果にもなり、せつかく今中央社会保険医療協議会でいろいろ研究いたしておりますので、それがきまつた上でひとつそういう点で直すべきものがあれば直す、こういうふうに考えております。
  168. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 社会保険の今日の行き詰まりの問題は、局長は何ら耳新しいこととお考えにならないと思いますが、そういう社会保険の円滑な運営ということを、当事者、被保険者両方が叫んでおるにもかかわらず、相かわらず厚生省保険局当局におきまして、そういうようなお考えのもとにこの予算を編成されたということに対しては、私どもは非常に残念なことと感ずるのであります。どうか少くとも給付金の二割の国庫補助の点だけは獲得できますように、今後せつかくのお骨折りをお願い申し上げたいと思います。  それからあと二点だけお尋ねしたいのです。百五番の生活保護に関するところでございますが、この生活保護に関しましては、被保護者が大分増加したための予算も入つておるのでございましようか。保護費の増額と同時に、被保護者の該当数も増加しておるのでございましようか。
  169. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 増加の分は、先ほどから申し上げましたように、基準額の改訂をすることを一応見越しまして、主としてその分を考えまして算定いたしましたのが金額の増になつて現われておるのでございます。むしろ被保護者の方は、これは片一方におきまして福祉事務所ができて、それの活動によりまして被保護世帯の適正な保護の実施という面から、現状程度で済むのじやないかという見込みでやつております。
  170. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 被保護者は二十六年度と同じ人数と解釈してよろしいですね。
  171. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 大体同じ程度というふうに考えていただいてけつこうでございます。
  172. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 先ほど遺家族や母子家庭の問題が出ておりましたが、直接の保護政策というものは国際関係から今ただちに行えないというお話でございました。しからばこういうような遺家族及び母子家庭に対しましては、特別に優先的に相当の援助を生活保護法でするお考えはどうですか。
  173. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 その点につきまして現在のところ特別に考えるということは、社会局の生活保護法の実施面では考えておりせん。
  174. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、講和会議を迎えまするこの機会まで、隠忍自重して遺家族及び母子家庭に何らかの保護があるだろうとほんとうにおとなしく待つておりました遺家族に対しましては、まつたく済まない感じがいたすのであります。一日千秋の思いで遺家族及び母子家庭は、政府の直接の保護を鶴首いたしておりましたが、それが国際関係できようあすにはできがたいということであれば、少くとも生活保護の面におきまして、もつと英断をもつてこういつた人たちを保護していただきたいと思うのでございます。そういう面に対しまして、私は厚生省からも特別の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  次に九十四番目の麻薬取締りに必要な経費のところでございます。昨年度決定額と比べて今年はより要求額が増加されておりますが、この麻薬取締り経費というのは、どういう方向にお使いいただくのでございましようか。
  175. 太宰博邦

    太宰説明員 ここにあげております経費は、大体麻薬関係の直接取締りに当りまする職員――捜査官みたいなものでありますが、それが全国に三百三十二人ほどおります。それの人件費、それから事務費、それから麻薬中毒者がありますと、そういうものにいろいろな手当をいたします。――中毒者であるかどうかというような判定をいたしましたり、それからこの中に麻薬があるかどうかというような判定を専門家に依頼しましたそういう謝金、その他捜査のための旅費、そういうようなものがこの中に含まれております。
  176. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 これに対しますることは、講和後と前とは、全然差異がないわけでありますか。
  177. 太宰博邦

    太宰説明員 これは一九二五年かに国際的な条約がございまして、日本といたしましても、講和後におきましても、当然その条約に沿いましたところでこの取締りをやつて行かねばならないのであります。その点はかわりはないと思つております。
  178. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 けつこうです。
  179. 松永佛骨

    松永委員長 他に御発言もないようでありますから、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十九分散会