運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-24 第10回国会 参議院 労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 五月十八日委員栗栖赳夫君辞任した。   —————————————   本日の会議に付した事件労働行政実情に関する調査の件  (労働関係法規改廃の問題に関する  件)   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 大変お待たせいたしましたが、只今から労働委員会を開会いたします。  本日は労働行政実情に関する調査といたしまして労働関係法規改廃の問題について関係当局の御意見なり、御説明をお願いいたしたいと存じます。  終戦後労組法労調法労働基準法等労働関係の諸立法が相次いで制定実施されまして、労使双方立場から種々なる問題もありましたが、ともかくも立遅れた労働運動の興隆、劣悪な労働条件改善等に多大な貢献をいたし、又日本民主的再建に絶大な寄与をいたしたのでございます。すでにこれらの労働関係法規が施行されてから相当の期間が経過いたしまして、その間社会情勢は急激に変化し、最近は講和条約の問題が国家的な急務として論議され漸次具体化されております。そして又それに必要な政治的、経済的な準備体制が急がれておるのでありますが、このような情勢と関連いたしまして、労働関係法規を改廃する必要があるのではないかということが大きな問題となつて参りました。これは従来も、産業合理化、輸出の振興、経済自立体制確立等、種々なるかけ声の下に、一部有識者のかたがたの間で取上げられて来たのでありますが、労働関係法規をどんな方向に持つて行くかということは、単に法の適用を受ける労働者のみの問題でなく、国際関係にも重大な影響を持つ問題でございますので、参議院労働委員会は非常に積極的な関心を持つておるのでございます。かようなわけで今回これを取上げて調査いたすことになつた次第でございます。本日お見えなつておりますかたは、保利労働大臣でございます。そのほか岡崎官房長官大橋法務総裁周東安本長官も御出席の快諾を得ておるのでございますが、今御出席なつていらつしやいます保利労働大臣にどうぞ御質問のございますかた御発言願いたいと存じます。
  3. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 只今委員長からいろいろ本日の会合趣旨を御説明になつたわけですが、先ず第一に労働大臣岡崎官房長官も来られたのですが、御両者から承わりたいと思いますことは例の過般五月初々憲法記念日リツジウエイ最高司令官声明を出して、従来の経験に鑑みて更に必要とすること、或いはその後の情勢の変化に応じて変えるようなことが、従来の何と申しますか、ポツダム宣言その他GHQの指導に基いてできた諸関係法規政令等について再検討をするということを日本政府に許した、こういうことから一番よく問題に取上げられるのは、労働関係のものもその一つだと思うのです。で政府又は労働省において労働者関係、労働問題に関連して労働関係の諸法規について改正を御考慮なつておりましようか。ならないでおられるのでございましようか。先ずその一点をお聞きいたしたいと思います。
  4. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど委員長御発言の通り労働法規の問題は、単に国内労働関係影響をもたらすのみならず、広く国際的に大きな影響も必ずこれに伴つて参ることからいたしまして、政府といたしましては、この労働法規の問題に対しては最も慎重な態度をとつているわけであります。無論この総司令官声明と直接関連をしてこの問題を考えるようなことは、直接的には考えておりませんわけであります。ただ飽くまで労働関係法の基本的な考えなつております自由にして民主的な労働組合発達を助長して参偽方針の上から、現行労働関係法規を各方面意見を徴しつつ検討を行なつて行くという段階にあるわけでございまして、それ以上の域には今日出ておらない、そういうふうに御了解を頂きたいと思います。なお、この非常に取沙汰をせられております労働基準法関係にいたしましても、この国際的影響非常に重大であると存じますので、もとより今日まで一貫して参つておりますところの労働条件のできるだけ国際的水準を確保して参るという、この基本方針は断じて動かすべきものではない。そういう上から併し日本の複雑な産業形態の上に立つて適法に又法律が十分守つて行かれるために、実情に余りにそぐわない点があるならば、これは改正をするのにやぶさかであつてはならんというように考えておりますけれども、これも只今申しますように、政府としては慎重に検討いたしている段階でございますから、改正をいたすともいたさないとも今日の段階ではさまつていない、考え方としてはそういう考え方をとつているわけであります。
  5. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大体御説明方向はわかつたわけでありますが、そういう点に関して一、二具体的に承わりたいと思うのでありますが、先ず第一には、いつでございましたか、日にちは正確に記憶はございませんが、自由党政務調査会でこういう点は大まかにしなければならんというので、労働組合法、及び労働関係調整法、同基準法等についての意見が出たことは、政府としては何ら御承知のないことであつて、そういうことは少しも考慮にないことかということが第一点でございます。  それから第二点につきましては、今労働大臣から、国際的な関係及び基本的には、飽くまでも民主的な、そして進歩的な線に沿うて、組合助長発達及び労働関係助長発達を図る等とこうおつしやつたのでありますが、その後段で大低御方針をおきめになつた、如何にも御尤もらしくおつしやつたあとでついて来た言葉が、大変くせものなのでありますが、実情に応じて……余り実情にそぐわないようなものは、これは改正しなくちやならない、こういうふうなことをおつしやるわけでありますが、それではその実情に合わんとお思いになる点はどういう点でございましようか。その点についてすでに民間等におきましては、具体的にこれらの問題が取上げられておるわけですが、それらについて御意見を伺いたいと思うのであります。
  6. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は自由党政調会云々ということは、実は自由党のほうから、公的にも私的にも労働関係法規について、何らの意見を実は伺つたことはございません。あつて然るべきだという感じはしますけれども、ございません。その点はそういうふうに御了承を願います。  第二に基準法の問題についてちよつと余計なことを申上げたかと思うわけです。成るほど各方面でこういう点は考えなければならん、或いは全面的に一切手を着けてはならんというようないろいろの意見が大分出て参つておるようです。それについて只今労働省としては検討をいたしておるところで、今実際の事情も調べておりますわけです。その段階といいますか、そういうふうに御了承を頂きたい。
  7. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと皆様に申上げたいのですが、大橋法務総裁は、衆議院の本会議警察法の問題で御出席の御予定だそうでございますので、時間もお急ぎでいらつしやいますから、大橋法務総裁に対する御質疑のおありのかたは、先にして頂きたいと存じます。
  8. 山花秀雄

    山花秀雄君 それではお急ぎのようですから、大橋法務総裁質問をしたいと思いますが、この前の地方行政との連合委員会でいろいろ質問いたしましたが、若干残つておる点を質問したいと思います。先だつて質問要項のうちに、本日ここにお見えなつておりませんが、田中警視総監に必らず調査して回答をするという確約をして、田中警視総監が帰られたのでありますが、そのうちの中国友好協会の件に対してのみ書類調査答弁書が参つておりますが、爾余の問題に関してはそのままになつておりますが、これは田中警視総監でなくても、大橋法務総裁のほうでもおわかりになると思いますが、例の挑発行為云々の問題に関して、警察官労働組合員のバツジを着けていた問題と、警察官同僚警察官によつて検束されたことがある事実の有無についての調査でございますが、上司のほうへ報告がございましたかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  9. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先般山花委員よりこの問題につきまして質疑がございました当時、私からもわかりました範囲についてお答えをしたのでありまして、爾余の点は調査の上申上げるはずでございましたが、丁度警視総監がお見えなつておられまして、調査を引受けて帰られましたので、法務府といたしましてはそのままにいたしてありまするが、御要求があれば至急取調べて御報告をいたしたいと思います。
  10. 山花秀雄

    山花秀雄君 あのときに田中警視総監中国友好協会の分と共に必らず調査して回答する、こう確約してお帰りになつたのでありますが、中国友好協会集会禁止の問題に関してのみ率直に申上げますと、通り一遍の調査事項書類回答がございましたが、残余の分についてはまだございませんので、これは大橋法務総裁のほうから一つ田中警視総監のほうへ伝言を願つて、どちらからでも結構でございますから、やはり委員会質疑応答の跡始末をきちんとつけるような習慣をつけて行きたいと思いますので、一つ書類でも何でも結構でございますから答弁をして頂きたいと思います。
  11. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御尤もな御要求でございますので、私のほうで一応警視庁のほうへ様子を聞合せまして、遅れておりますようでしたら、私どもの責任で提出をいたすようにいたしたいと思います。
  12. 山花秀雄

    山花秀雄君 先だつて憲法式典における三十七名の総評関係者検挙問題につきまして、私どもはこれは不当なる検挙であるということを本会議で申上げたのでありますが、そのとき大橋法務総裁は、当然の検挙であるというような見解の下に答弁をされたのでありますが、新聞紙に伝えられるところによりますと、これらの人々大半容疑の対象にならない、若干の人が何か起訴猶予処分というふうに報道されておりましたが、ここでこの問題をどうこう申すわけでございませんが、起訴猶予処分には、相当政治的の考慮が払われておると私は考えておるのでありますが、その政治的考慮というのは、政府の面子を検事局関係方面相当考慮しておるという意味政治的考慮が払われたのではなかろうかというふうに私ども考えておりますが、本会議大橋法務総裁答弁は、検挙は当然だという意味答弁をなさつたのでありますが、我々は不当検挙だとこう詰め寄つたのでありますが、事件の全貌が今日明らかになり、結末のついた問題でございますから、正しい批判ができると思いますが、政府といたしましてはこの問題についてやはり正当なる検挙とお考えなつておられるかどうか、その点を御答弁願いたいと思います。
  13. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この問題につきましては、昨日検察庁におきまして最終的な決定をいたしたのであります。その内容ば五名につきまして政令三百二十五号違反容疑についてはその嫌疑なし、又東京都条例違反につきましては容疑の事実を認められるのでありまするが、政治的考慮に基きまして起訴猶予にいたすということにいたしたのであります。他の者につきましては特に取調べをいたしておりませんので、証拠不十分として不起訴決定をいたしております。  問題になつておりまする起訴猶予の点でございまするが、これは容疑の事実は十分にあるのでございまするが、丁度この容疑者のうち一人は、御承知通り近く日本労働界代表者として行かれるかたもあるようでございまするので、これらの点を考慮いたしまして、今回は特に訴訟法の規定に基きまして起訴猶予にいたすということにいたしたわけでございまして、これにつきましては、むしろ山花委員の御指摘になりましたと反対の意味における政治的考慮拂つた次第でございます。  なお、この点について検挙の当否についての意見は変らないかということでございまするが、もとより当日の現場の実情等につきましては、証拠不十分でありまして、必ずしも諸般の情勢を明確に今日決定的な断定を下すことはできませんが、少くとも起訴すればできないことでもないという事実が一部の人については認められるのでございまするから、この検挙全体を不当検挙という批評は必ずしも当つておらないのではないか。こう考えるのでありまして、依然として当日あの場合の実情として検挙は或る程度まで止むを得ないであろう。もとより個々の人々三十数名おりまするから、これらにつきましては、いろいろ詳細に調査をいたしまするならば、或いは御批評のようなことも考え得るかも知れませんが、全体といたしましては、検挙止むを得なかつたものと考えております。
  14. 山花秀雄

    山花秀雄君 政治的考慮の問題に関しては、お互いに異つた見解をしておりますが、これをここで争つておりましても、時間の関係上仕方がないと思いますので、問題は、憲法祝典のような、ああいう祝祭式場というような所に、先だつて田中警視総監答弁によりましても、現在教練中の警官を含めて約四千人の警戒陣であつたということは、答弁によつて明らかになつておりますが、そういうようなことをしていいかどうかという点であります。今後の事例もございますので、この点を一つはつきりして頂きたいと思いまりす。
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ず先般の委員会の御審議におきまして明らかになりました点について申上げますると、約四千人の警察官警戒のために派遣せられたというのは、当日の警視総監の言明では違つておるのでありまして、約二千名は特に警戒のために派遣せられた人員である。そうして他の二千名はこれは、警察学校の生徒として訓練中の者が、毎年の恒例によりまして参列者としての一団として、当日の祝典参列者として参列をいたしておつた、こういうことでございます。そこでこの二千人に近い警察官を動員したことが果して適当かどうかという点でございまするが、これはその前日まで警視庁におきまして式典の静粛且つ無事に終了せられまするよう関係組合に対しましてあらゆる方法を講じまして勧告をし、さようなデモ行為に類するような行為に出ないということを確約せしめようとして努力をいたしておつたのでございまするが、遂にそれが不成功に終つたという事実、又労働組合側におきましては、当日相当多数の労働者をこの式典中におきまするデモに動員しようといたしておつたという事実、これらの事実等から考えまして、この国民的な式典を無事終了せしめるために或る程度警察官を動かした。これはいろいろ事前に警視庁が取つておりまする情報、又前日から大会までのいろいろ双方の折衝の経過等から見まして、必ずしもこれは初めから不必要に多数の警察官使つたということもいわれないのじやないか、こういうふうに私としては考えておる次第でございます。
  16. 山花秀雄

    山花秀雄君 先だつての本会議に、法務総裁警察官の警棒使用問題に関して、又被検束者のうちに、これは万世橋署だと思いますが、海員組合の一組合員が殴打のために内出血をしたというような問題を指摘して質問いたしましたときに、至急に調査して詳細を回答する、こういうように御答弁なさつたのでありまするが、それからもう十何日も二週間以上の日時が経過しておりますが、具体的に調査されたかどうか。調査されましたら、どういう結論が出たかどうか。その返の点を……
  17. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私といたしましては、本会議におきまして警察官が挑発的な行動に出たという御質問趣旨の大体に基きまして、これを基礎として調査させたのでございまして、これにつきましては検察庁といたしましては、特にさような事実はなかつたということを報告いたして参つております。そのときのどういう警察官がどうしたとか、そういう細かい事実につきましては、私はことごとく報告を聞いておりませんが、全体の結論といたしまして、特に警察側挑発的行為に出たというふうに認められるふしはないということを、検察庁からの報告として承知をいたしておるのであります。この点は先般の委員会におきましても簡単に御報告申上げました通りであります。
  18. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今大橋法務総裁に先だつて田中警視総監に対する回答の未着の分があるので、至急そのように取計つて頂きたい、こう質問いたしましたが、昨日来ていたそうであります。只今ここへ委員会のほうから持つて参りましたから、この点は回答受取つたということで只今の貸間はやめにして頂きたいと思います。私はほかに質問はございません。
  19. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私大橋法務総裁一つお聞きしたいと思うのですが、実はこの間のメーデー宮城前広場を使わせないように……使わせなかつたということについては、政治的ないろいろな観点からなすつたことは官房長官からお聞きしたのですが、その事実は一応私としては、事実は明らかになつたと思うのでありますが、大橋法務総裁法律的な見地からの御見解を承わりたい。  政府解釈によりますと、国民公園管理規則厚生省令第十九号に基きます管理規則で第四条に、お手許にないだろうと思いますから極く簡単な条文ですから読み上げますと、第四条に「国民公園内において、集会を催そうとする者は、厚生大臣許可を受けなければならない。」こういう規則があるわけです。これに基いて許可が下りなかつた、こういうふうな事柄であるようです。そうすると私お聞きしたいのは、この国民公園、こういう少くとも公園というものは無論集会を催そうとするものは、厚生大臣許可を申請して、その許可証をもらうという手続が必要だと思うのでありますが、公園本質公物としての本質から見ますると、その公園使用することについて条件さえ守れば、国民の基本的な権利は阻害されないという原則があるべきだと思うのです。これは公物使用ではそういう原則は当然ある。そうすると上野の公園がいいであろうとか、明治神宮の外苑がいいであろうとかいう非常に御親切な配慮から、成るべくそういうところを使つてくれないかというお話があつたようでありますが、そういうなら、総評とか、或る労働団体なら労働団体公園規則さえ守ることの条件ならば、法律上当然お許しになるべきではなかろうか。これが当然行政上の、こういう公物使用規則の当然の帰着ではなかろうか。こういうように考えるのですが、私見も入れて御参考に供して、そうして法務総裁の御答弁をお煩わししたいと思います。
  20. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 公園におきまする集会許可ということは、これを行政法理論から申しますと、公共的な施設についての特別な使用権設定ということに相成ると思うのでございまして、これは個人権利を制限するものではなくして、個人に対して特別の利益を与えるという趣旨行政行為でございまするから、一般の行政法上の理論から申しまするというと、かくのごとき行為原則として自由裁量行為であると、こういうふうに従来の行政法学においては取扱われておる。これが従来の定説であろうと存じます。問題は併しすこぶる政治的、具体的でありまして、メーデーの場合にそうした普通の学説的な基礎からだけで取扱うことができず、殊にこれが憲法上重大な集会権利ということに関連するという意味において、相当簡単な理論だけで行かないという点もありましようが、併し筋道としては今申した考えで行ける。そうしてただその裁量いたしまする場合において、事柄集会権利というような基本的権利関係することであるということも考慮に加えて裁量して行くべきものである。そうして又同時に場所柄或いはその集会目的、そうした事柄をも十分に考慮に加えた上で裁量がなされるであろう。こういうことでございまして、裁量についてのいろいろな考慮すべき事項は、考えておられると思いますが、自由裁量行為であるという趣旨は、これは争う余地のないことではないか。かように私見として考えるのでございます。
  21. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私と法務総裁が何の因縁か存じませんが、行政上の自由裁量について公労法仲裁裁定以来議論を繰返されることになるのですが、併し今のお話は私が公労法仲裁委員のときの自由裁量とは、自由裁量の問題で大橋総裁と論議をいたしましたときよりも大橋総裁は随分御進歩になつた公労法仲裁裁定のとき、大橋総裁はこれは自由裁量なんだという一本槍の自由裁量が、何でも勝手にやれるようなそういうような事柄で承認されるもされないも政府の勝手だ、と自由裁量をおつしやつたんですが、今は自由裁量だが、憲法上の基本的な人権に関するというこの問題、集会結社の自由というふうな点も考慮に入れて考えなければならんというふうなことをおつしやいますので、私と紙一重になつて参つたのでありますが、無論行政上この点は、仲裁裁定の場合と違いまして、私もその権利が主張し得るものとは思わない。組合側において権利を主張し得るかどうか。この点は少しく疑問の余地があつて、従来の行政法上の通説によると、権利として要求し得るというふうには考えないのでありますが、許可するほうにおきましてこういう公物使用許可につきましては条件を附されるということはわかります。と同時に公園でございますから公園としての使用目的を損傷すると申しますか、使用目的を害するというふうな場合においては、私は許可しなくともいいものだろう。こう考えるのでありますが、公園のそういうふうな設定趣旨を損傷しない限りにおいては許すということが、自由裁量といたしましても、これは行政上当然今おつしやつたようなことを考慮して考えなければならない。ただ規則があるのだと、平面的に四条を読むわけには参るまい、こういうふうに私は考えるのであります。そうすると基本的人権に関する問題であつて、而も従来の慣行におきましては許して参つた。そういう点から見ますると、これで許さないんだという解釈は私は成立たないように思う。先ず大橋総裁の今の仮に大橋総裁の説は私説、私としての御意見のようでありますが、私としての御意見にいたしましても、ともかくも自由裁量だ、だから許すも許さんも政府は勝手だ、だから権利はないんだ、併しこういうことは考えなければならん。そういうことをおつしやるような立場を仮にとるといたしましても、四条の点から見ますると、過般のメーデーに対しまして、この国民公園管理規則管理者としての権利を楯にして許さないということは、どうも私は成立たないのじやないか。こういうふうに考えますので、もう一度その点について御答弁を願えれば結構だ、とこう思うのであります。
  22. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 結局問題は、法律の問題といたしまして、実際上当日メーデー使用を拒んだということが、あま現在の日本実情から見て適切であるかどうか、ということの問題ではないかと解釈上いたすのでありますが、この点につきまして厚生大臣がその権限によりましていろいろな事情考慮せられまして従来この種の労働組合或いは労働組合を主体といたしましたそういう会合におきまして、如何なる事故が起つてつたかというような過去の実例、又この宮城前の場所柄なり、又国民的なこの場所についての考え方、そういういろいろな事情を総合せられまして、この場合にはお断りしたほうが適当であろうという結論を引出されたと、こう私は考えているのでございまして、その認定がよかつたか悪つたか、この問題に帰着すると思うのでありまするが、私といたしましては、やはりいろいろな事情を総合いたしまして、当然メーデーにどうしても宮城を使う以外には方法がないという、そういうものでもないのでありまして、他に適当なる場所も十分に準備でき得るという状態にあつたわけでありまして、これを他の方面において開催してもらうという意味におきまして、これを拒んだということも止むを得なかつたことであろうと、こう考えておるわけであります。
  23. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大橋総裁にだけ問題を集中するといいのですが、労働大臣にこの問題に関連して、労働大臣は、まだ一遍も議会に来て、この問題について見解を表明されておりませんので、私はその点について、労働大臣から先ずお聞きしたいと思いますことは、厚生大臣が第四条に基いて許可をしませんでした場合に、これは労働大臣に御相談がございましたでしようか、どうでしようか。先ずその一点をお聞きいたします。
  24. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 厚生大臣から私はお話を受けたことはありませんけれども政府機関としては、各機関十分な連絡、協議を遂げました上で、その処分をいたしたのであります。
  25. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういたしますと、労働大臣に重ねてお聞きをいたしたいのでありますが、今宮城前だということに非常に重点があるようですが、何と申しますか、労働祭というようなものは宮城前がふさわしいものではないでしようか。一般労働大衆が、勤労大衆が年に一回宮城前で以てそういうことをするというのは、見方によると却つて私は非常にいいのじやなかろうか。総理大臣のお話も、各大臣のお話も、何か宮城前で労働者がこういう集会を催すことが本旨に反するように言われるのでありますが、私は実際問題としては、これは片岡委員が言われたので、ここで申上げるのははばかりますが、何かそういうふうな点について考え方が違つた方向に行つている。而も片岡委員の言われましたように、現在の宮城前の使用方法は、国民が挙げて非難されているような状況です。政府は今後直して行くのだと、こう言われるが、その後大した変りはないようでありますが、そうした点から見ますると、却つて無論こういうものに使うものですから、一定の六条によるような制限というものを、これは誰しも受けることになる。そういう点は当然注意をなされなければならんことだし、これに違反することはいけないことである。それに伴つていろいろな行政措置がとられるということも当然でありますが、むしろ好ましいのではなかろうか。それから過去の問題についていろいろお取上げになつた。過去はこれまでやつて来た問題でありますが、従来禁止しておつても最近の労働組合メーデーならば、むしろ進んでお許しになる方向行政的な方向をお向けになることが労働大臣としては当然な責任じやないか。どうもそういう感じから行きますと、先ほど労働大臣が進歩的な、民主的な方向で労働問題を考えられるという、その進歩的、民主的そのもの自体にどの程度意味を持つたものかを私としては疑わざるを得ないような気がするのであります。そういう点について今度の問題は過ぎ去つたことではありますが、労働大臣としてはここに別な観点からお考えにならなければならないのではないか。実は非常にぽつんと御答弁なさつたのでよくわからなかつた点があるので、この前岡崎官房長官の御答弁のほうがどう亀非常に何と申しますか、この問題についても将来考える、考えて行かなければならん一つの問題だとお考えになる程度の御答弁があつたのですが、でありまするから、私は労働大臣からは、もつともつとそういう点について積極的な、過去とは違つた方向について問題を御解決になり、向けて行かれるというお考えかたがないかどうか。この点がお伺いしたいと思うのです。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 年一回の労働祭が盛大に行われるということはこれはもう申上げるまでもなく政府といたしましてもそれを期を待いたし、そうありたいということは念願している点においてはこれは堀木委員と変るところはございません。ただこの間問題になりました皇居前広場を使わなければ、何かメーデーメーデーらしくないというような御見解のようにも聞こえるわけでございますけれども、それならむしろ神宮外苑等すべての国民的祭典と申しますか、ああいつたような文化的な祭典がよく行われるわけでございますから、それはそつちでも同じじやないかというような考え、もとより健全な労働運動を助長して参りますという基本方針からいたしましても、年一回の労働祭が盛んに持たれるように、そのためには場所についてもできるだけ組合側の意向に副い得るようにしなければならんということは重々考えておるわけです。ただこの間の不許可処分の真因は、これは御承知通りです。昨年の五月三十日事件というものは非常に不幸なことでございましたけれども、あの事件が尾を引きまして、こういう今回の処分をした非常に大きな理由になつていることでありますから、今後メーデーがこの間総評幹部の諸君が考えられたように、できるだけ政治的色彩を抜いた、いわゆる文化的な労働祭として持たれて行くというような姿がここに出て参りますならば、私はそういう総評幹部のかたがたが意図せられておつたような労働祭が行われて行くようになるならば、こういう問題は大した問題なく片付いて行くのじやないかというように正直のところ考えております。
  27. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私もその宮城前だからといつて政府もとらわれるのがおかしい。宮城前だから許さないのだ、上野公園なら許す。或いは神宮外苑ならおれたちが心配までしてやろう。そこまでとらわれる必要がどこにあるか。実は宮城前だつて規則さえ守れば、組合側がそこを使いたいといえば、これこそ公園規則に則ればこれは一向差支えないので、実は何故にとらわれるか。そうすると労働組合のやはり本脚的なものに対する考えかたになつてしまう、こういう意味に私は考えるのです。それであなたが労働組合もそういうふうな昨年のようなことがないという見通しがつけば、何らとらわれることなしに行ける。こうおつしやることは私よくわかるのですが、そうすると現在の労働組合がロー・アバイデング、法律をよく守るところの組合だというお考えが、私はこれは労働問題を扱われないかたは昔の労働組合というふうな考えかたと申しますか、ときに法律を守らないような行為があつたということとは違つてつた認識は、労働大臣が一番多いと思います。そういう点から私はやはりとらわれずに、政府が取上げるならばとらわれずに、あなたのすなおな今の御答弁のようにとらわれずに行く方向にお考えになるべきものでなかろうか。その点については現在の総評自体については私は一番認識があり、先ほど問題になりましたいわゆる都条例違反容疑として非常な取扱いを受けられたかたがたというものに対する認識は一番労働大臣が多いとすれば、労働大臣がむしろ労働大臣としての立場からほかの大臣について指示を與えらるべきでなかろうか。そうすればこの前の問題についてはああいうふうなぎこちないことにならないで済んだのじやないか、こういうふうに考えるのです。非常に私見が多くなりましたが、そういう点で労働大臣は尊法的、民主的な、そうしてロー・アバイデングな組合ならば宮城前について今後考慮する、こういうお考えがありましようか、ないでございましようか。その点を重ねてお伺いいたします。
  28. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど御指摘の国民公園管理規則の取扱いによつて今回の処分が行われているわけであります。この国民公園管理規則只今改廃するという考え政府にはございませんでございますから、今日御質問に対してどうも真向うからお答えもできないのであります。
  29. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと皆さんに申上げます。岡崎官房長官は今衆議院の本会議が開かれておりますので、そのほうに是非御出席なさらなくてはならない御様子でございますから……。
  30. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それじやもう一言今の労働大臣の御答弁に関連してお聞きしたいのです。非常にくどいようでありますが、私は何も公園規則を変えろとは言つていないのであります。公園規則は現状のままで十分できるということを大橋総裁自身の御答弁の中でも私は法律的に解釈しても許可されるのが当然だと思うのでありますが、だからこの規定を変えろということは一つも言つていない。そういう必要は現行法でも一つも許すのに差支えない。むしろ実際的にこの法を運営する上において許すような立場労働大臣としてはおとりになるべきじやなかろうか。そういうことを申上げているのでありまして、そういう点についてお聞きしているのであつて答弁が私はちよつと非常に違つた方向へ行つている、こう考えざるを得ないのであります。
  31. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 管理規則のなかに、御承知通り取扱いの基準をきめてあります。そういうことには何ら懸念がないという見通しが立ちますならば、これはもうお説のようにあつて然るべきである、こういうふうに考えております。
  32. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 岡崎官房長官に対する御質疑のかた……。
  33. 原虎一

    ○原虎一君 官房長官がお帰りになるようでありますから、極く簡単なことをお聞きしたいと思います。今労働大臣メーデーの挙行のために皇居前を使用することを本年禁止したのは、昨年の五月三十日事件が何といつても原因だと、こういう御答弁であります。先般地方行政委員会との連合委員会の場合におきましても官房長官もそういう意味のことを申されたと思います。そういたしますと、お言葉の端を取つてひやかすというわけではありませんが、皇居前の広場でそれをやらなければ、メーデーの挙行をしなければ、ほかの場所メーデーの挙行をした場合においては、昨年の五月三十日事件のごときものが起らないという安心感を持たれたのかどうか、これは非常に私は疑問です。ちよつと矛盾を来たすのであります。でありますから労働大臣は民主的な尊法的な労働組合になれば、皇居前の使用を許すと言われますが、官房長官として同様のお考えであるかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  34. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 私がこの前御説明したのは、五月三十日の事件を契機としてああいう規則ができたのだということを申したのであつて、直接に五月三十日の事件があつたからという、それだけのことでああいう規則を作つたというわけではないのであります。それから労働大臣も同様な見解であろうと思いますが、何と申しますか、民主的尊法的組合ができれば許すとはつきり言われたように私は今聞いておりませんが、つまり我々の考えは、あの規則の中には政治的言々という文句があります。この間の総評の幹部と我々と会見したときも、政治的な意味はあるのだということを総評のかたも言つておられるのであります。そういう点で労働大臣は恐らく規則の範囲内であるならば考慮するということを言われたのじやないかと思います。
  35. 原虎一

    ○原虎一君 まあ労働大臣立場としてはいろいろ考慮される点があるから、今のような御答弁がなされると思いますが、大体皇居前の広場というものは、政治的、宗教的なものに対しての集会には使わせられないという方針をきめたという前提があつてですね、その上にそういう規定を作つたのは昨年の五月三十日事件に刺戟されたと、こうなるようにまあ考えるのでありますけれども、それを先ほどの御答弁では、ほかでやれば五月三十日事件のようなものは起きないのだから、ほかの場所を選んでやれと、こうなつたのでは、誠に答弁を了解するわけに行かない。まあこの程度にいたしますが、次の問題は、本日これだけの問題で総理の御出席を願つたわけではないのでありますが、いわゆる講和後におきますところの日本経済、産業と労働運動並びに労働関係法規の問題について総理の御意見を伺いたいと思つておりましたが、御出席がありませんので、従つて官房長官に本日突然お伺いいたしますのもどうかと思いますが、ただ一点は先般私がこのメーデーの挙行、皇居前使用禁止ということについてお伺いいたしました時に、政府部内においては何回か閣議が開かれて意見の一致を見られた。総理が京都に出張されておりました。その総理に意向を伺いに参られた。この点について総理が労働組合が国際勢力を借りて政府の意向を抑え、これを禁止しようという意向を、使用させようという方面に持つて行こうということはけしからんことである。従つて本年の使用を禁止すべしという命令を下したという意味の新聞記事がある。これらに対しては官房長官は、総理のどういうお考えを以つてそういう命令を事実されたかどうかは判明いたしていない。従つて総理から直接私はお伺いするということを申上げておつたのでありますが、本日御出席がありませんので、この点について官房長官お聞きになつたかどうか。又御存じであるかどうかお聞きしたいと思います。
  36. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 総理がどういう意向で、どういう理由で、どういうことを言われたかということは、こういう所で申上げる筋合でないと私は考えております。ただその政府決定となりましたときに、その決定及び決定に至つた理由を正式に御報告すればいいんであろうと考えています。併しながらそういう問題は別にいたしまして、ただ一般問題として総理が言つたとか言わないということでなく、意見を申上げれば、政府としては二つの点は若しそういうことがあればですが、考えております。  第一は、労働組合にせよ何にせよ、外国の力を借り国内の決定を曲げようとする努力を試みんとするならば、それは現在の状況において賛成すべきことでないという点であります。  第二はこの規則等があるにもかかわらず、数を頼んでこれを破ろうとすることを試みんとすれば、それも政府は全く反対である。これは政府としての考えとおとり下さつて差支えないと思います。
  37. 原虎一

    ○原虎一君 お考えはお考えとして、そういたしますと私は根拠のないことでお尋ねしているわけでもなし、本人の総理に御出席願つているわけでありますが、新聞記事が事実であるや否やという問題になつて来るわけであります。今官房長官政府見解としての御答弁答弁として伺いますが、あの新聞記事は今私が申しましたように、総理は外国の力を、国際勢力を借りて政府決定を左右せんとする労働組合に対して、断固たる決意を以てこれを禁止するというような意味でありますが、この労働組合が、然らば果してあなたの御見解が、政府の正しい見解として政府が一致している見解といたしますと、然らば日本労働組合総評がそういう行為に出たかどうか。又第二の問題の、多数の力を借りて法を一方的に有利な方面に曲げようとするような力を、許可を得るために出したかどうか。この問題が問題なんであります。政府見解が如何ようであるかということをお聞きするのでなくして、そうだとすれば総理のあの断固たる決意をされたところの原因が、国際勢力に頼つて労働組合がやつたという、その事実ありや否やそのことが問題でありますので、ますます総理から直接御答弁を聞かなければならん。ただ私は言葉の端を捉えて総理の御出席を殊更に要求するという考えでありませんが、非常に重要な問題でありまして、労働法の改正政府がなざんとするときに、我々労働者を代表する立場にある者、若しくは労働組合側はやはり国際勢力に訴えて法の改正を阻止しようという運動は当然あるわけです。でILOの加盟の促進を政府もいたし現にこの席に御出席の富樫君も近くILOに政府代表で出席される。これは私は総理が新聞の僅か隅にある記事を捉えて総理に対してとやかく質問しようそういう一種の意地悪というような考えで申上げるのではございません。非常に事実といたしますれば、重要な発言であります。今後たびたびあるわけでありますが、国際勢力に労働者が頼るのは当然なんであります。それが合法的な手段なりや否やということが問題なんです。国際勢力に頼つて俺の言うことを外務大臣であり、総理大臣である俺の言うことを聞かなければ、そんな労働組合メーデーに皇居前の使用を禁止してしまえ、こういう感情でやられては、たまつたものではない、そこを申上げておるのでありますこれはいずれ総理に御出席を何かの機会に求めまして総理みずからお聞きしようと思つております。官房長官からこれ以上お聞きすることは先般お答えしたことについてその後総理からでも何らかの機会にお聞きになつていればと思つて今日お尋ねしたのでありますが、お聞きになつていないようでありますので、いずれ又総理から直接伺うことにいたします。私の官房長官にお聞きする点は、この程度にいたしたいと思います。
  38. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 官房長官に対する質問は……。
  39. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 官房長官がいられるときがいいと思いますが、場合によれば労働大臣だけでいいかとも考えております。お聞きいたしますことは、労働追放いわゆるまあ世間で言われておる労働追放というような言葉に対して、政府又は労働省はどういうふうなお考えでおられましようか。これはもう両大臣とも、両大臣ではございませんが、ともかくも非常にあとがつかえておるようでありますから、今度は私のほうの趣旨はもう申上げませんから御答弁を親切に一つ……。
  40. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 政府は追放の問題につきましては、総理も申しておるように若し実情に副わないようなことがあるならば、成べるく速やかに大幅な解除をするとこう言つておられます。その趣旨労働組合についても同様であります。
  41. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 これは実は他のものと違いまして厚生運輸の省令で出ておる問題でございますが、それらについても他の部分と一括してお考えになるつもりですか、労働大臣重ねてお尋ねいたします。
  42. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この問題は、できれば事実上この労働追放をこのまま残して置く、残して置おかなければ健全な労働組合乃至組合運動の発展を妨げるというような今日は虞れはないと私ども考えておりますので、できれば一般公職追放の無論問題になりますわけでありますけれども労働関係については、御指摘の省令をできるだけ早く廃止するようにいたすことが実際の実情に副うゆえんではないかということであるのであります。
  43. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 非常に具体的になり出しましたので御答弁がはつきりして参りました。そうすると一般には六月中には他の公職追放の問題も、六月中には大体一応のめどがつくのじやないかと思いますが、その点に関してそうすると労働大臣としてはむしろそれに関せず早くと言われると非常に時期が早いと思いますが、その範囲、時期等についてなおお見通しがありましたら、承わりたいと思います。
  44. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この追放の根拠に誤解を生じますと非常に何ですけれども政府内部だけでもない問題であろうと思います。一般公職の関係と睨合せずして片つ方だけ突つ放すということは事実上できないわけでございましよう。できるだけ早い機会にそういうところに漕ぎつけるように我々としては努力をいたしたい。只今のところ研究いたしております。
  45. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 時間がありませんから私も岡崎官房長官にお聞きすることはございません。ほかのかたから……。
  46. 片岡文重

    ○片岡文重君 官房長官一つお急ぎのようですからその前に原さんと同じように、私も又吉田首相がお出にならないことは極めて強い不満の意を表明するものです。民主的な労働組合の育成を念願するというようなことをしばしばおつしやつておられるのですが、私どもはそういうお言葉を少しも聞きたいとは思わない、むしろ事実の上に行動の面において現わして頂きたい。で今までの、余談のようですけれども政治家というものは、やつておることと反対に、どうそれを美しくごまかして行くことができるか。そういうことのできる者が立派な政治家だとして受容れられておつたようでありますが、今日の日本のこの事態においては、そういう古い政治家のタイプではなくして、大臣も、議員も、労働者も、総理大臣も完全に肚と肚をぶちまけて、私は与党だろうと野党だろうがそんなことにはかまわずに、政治をやつて行くという態勢に盛りたてて行かなければならんのです。そういうことのできる政治家が本当の政治家であり、今日日本要求しておる政治家だと私は考える。労働問題について見ましても、いろいろなことが美しく言われておりますけれども、結局は特に先だつて官房長官は保守的という言葉には甘んじても、封建的という言葉には承知できないとおつしやつた。そのお考えについては全く私も敬意を表しますけれども、遺憾ながらおやりになつておる現政府のやり方というものは、封建的な一言に尽きるのではないかと私思う。殊に、皇居前であるから労働者に使わせることができないということは、どんなに言葉を立派にしてやつてもこれは覆うことができないと思うのです。そこでこういう点を言葉を以てごまかすのではなくして、ごまかすという言葉が若しお気に障るならば、まとめてまるめて行くということではなしに、真実肚と肚をぶちまけて一つ私たちを納得させ、労働者を納得させて行くということができるような行動をとつて頂くように、是非官房長官から首相にお伝えして頂きたいと思うのです。  その次に、先ほど労働大臣労働関係法規の改廃は現実に即してという言葉を使つて、これ又極めて巧妙に御答弁をされたのですが、この現実に即してという言葉の中に包含されている意味が又極めて微妙なものがあろうと私思うので、一つ官房長官からお聞きをして置きたいことは、少し事は古いようですが、この国際自由労連の第三回の執行委員会がブラツセルで開かれましたときに、日本労働代表から提案された各議題に対して、慎重審議の結果一つの決議がなされております。その決議のうちの一節に、労働関係の分野においてICFTUは日本政府労働組合の自由を尊重して、公務員の団体交渉権の上に加えられた現行の制限を撤廃することを要求する、ということが言われております。先ほど国際勢力を借りて云々というお言葉の中に、これも又含まれるというのであるならば、何をかいわんやですが、少くとも自由にして民主的な労働組合の世界的な組織であるこの国際自由労連の正式執行機関において、各国の六十何カ国の代表諸君が集つて討議をされ、且つ決定をされた。この決議に対して、今後改廃を試みる場合にどういう態度を以て臨まれるのであるか。これを一つ明確にお聞かせ頂きたいと思う。
  47. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) そういう決議事項については、むろんこれを尊重して十分研究はいたしますが、世界には自由労連だけじやありませんで、資本家のぼうの組合といつては悪いのですが、協会がありますので、いろいろのものがありまして、各方面から意見がいろいろ出ております。それが必ずしも常に一致しておらない。我々はその意見を尊重しつ、国情に適するように考慮する以外に方法はないのであります。
  48. 片岡文重

    ○片岡文重君 それでは重ねてお尋ねいたしますが、どうも釈迦に説法のような言葉で恐縮ですが、政治の要諦は、最大多数の人たちの幸福を実現するにあると思うのですが、世界の人たちを資本家階級と労働者と分けてみますと、これは比較にならないほど労働者階級のほうが数は多いと思うのです。今、日経連その他の団体からいろいろ基準法等について、又その他の労働関係法規についていろいろと改正をする、私どもはむしろこれは改悪であると考えておるんですが、これ又過去における経験から規実に副わないからという前提の上に立つておつしやつておられると思うのですが、資本家階級に属せられるかたがたの、現実に即しないという観点に立つてなされんとするいろいろな改正について、どちらを重しとされるのであるか。又これらの比較といいますか、検討をどういう方法を以てなされんとされるのであるか。この点を一つお尋ねしたいと思います。
  49. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 政府としては、労働階級とか資本家階級とかいう区別をせずに、その事態そのものについて研究をいたすのであります。そしてその結論を出ました場合には、国会の議決を要するのでありますから、国会の多数の承認を得るような結果になれば、それが国民の大多数の意見であると見て差支えないと考えております。従つて問題は国会の多数の決定に従うということになるのであります。
  50. 片岡文重

    ○片岡文重君 わかりました。討論を打切ります。
  51. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 他に岡崎官房長官に対する御質疑はございませんでしようか。どうも御苦労様でした。  では保利労働大臣に関する質問を続行いたします。
  52. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣も他の委員会から是非というお話もあるようですから、簡単にお聞きいたして置こうと思うのです。御承知通り、日米経済協力という言葉でよく呼ばれておるのですが、又最近マーケットの声明によつてほぼその方向がわかつてつた。併しまだ具体的にはいろいろと御相談やら準備中でありますが、この点について実は私不思議に思つておりますことは、日米経済協力の問題として、労働問題についての関心が薄いんじやないかと、この問題を思考して、この問題の方向日本経済が向けられるとしても、その問題のときに一番重要な問題は、やはり労働問題なり、国民の生活という問題との睨み合せという問題が考えられなければならん。併しまあ国民生活の安定との結び付き方というものにつきましては、今日は時間がないようでありますから他日に譲りたいと思いますが、直接に今日一つだけお聞きして置きます。と申しますのは、御承知通り、失業者が非常に多い。労働省としては失業対策について非常な努力をされておるし、されなければならんという状態でありますが、この失業者と、と同時に実はすでに雇用の機会を得ておる者も、日本の産業の現状から、その持つております技能、経験というものが生きないままで現在の雇用関係に入つておる者も多いと思うのです。そうすると、これらに対して労働大臣としてどういうふうな構想の下にこれに対処して行かれようとするのか、ただ単純に雇用関係が最近の現象から失業関係が減つてつたと、雇用の機会が多くなつて参つたというだけでは考えられない問題ではなかろうかと、こう考えるのでありますが、その点についてのお考え方をお聞きしたい。
  53. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その点は堀木さんと全く憂えを同じういたしておりまして、且つ又しばしば申上げておりますように、他の機会に申上げたと存じますけれども、私は一番大事なことは、無技能者の就職の機会が非常に恵まれないという上から考えましても、又有能な産業人を養成して参りまするためにも、どうしてもこの職業補導を労働省でやつておるまするだけでなく、労働省でやつております面につきましても、失業対策の最も地味な点ではありますけれども、職業補導に力をいたして参ることが最も実際に適合して、職業補導を受けた人たちの就職状況を見ましても殆んど百%に近いものが吸収されて行つておる実際から見ますと、これはいま少し国も地方も金をかけてでも力を入れてやらなければならんじやないかということを差当りとしては考えております。もとより公共職業安定所の機能を動員して職場の開拓、これに全力をいたしておることは、もうこれは認めて頂ける点であろうと存じますが、その安定所の機能をいやが上にも伸ばして参りまするためには、どうしても無技能者の技能者化ということが非常に必要と痛感いたしております。そういう方面には力を入れて参りたいと思つております。
  54. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 まあこの問題も、余り各方面に多岐に亘つて質問する時間がないようですから、今大臣の言われました職業補導の面、無技能者の有技能化というふうな面だけについて限定して伺つてもいいのですが、そういう点につきまして相当今回補正予算をされますようなときには御要求なさる御意思でございましようか。今の職業補導は、実際現場へ行つて拝見すると、どうも本当の国策的見地からきちつと方針ができて、そうして職業補導所ができておると申しますよりは、地方的にスモール・スケールで発生的にできておるというふうな点が窺われるわけですが、そういう点について労働大臣の御意見を伺いたい。
  55. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今後の予算措置については、只今申上げましたような趣旨に副いまして努力いたして参るつもりであります。この補導所のあり方は、やはり例えば今大きなテーマになつております日米経済協力、日本の産業のどうしても国際情勢によつていろいろ質的な影響を受けるということはけだし止むを得ない。その線に沿うて又需給関係を見て補導の技術を上げて行かなければならない。そういう面からいたしまして、補導所の技能補導と申しますか、そういうものについてはできるだけそのときの事情に即応して、今年度も相当内容は各地各種、私は細かくは今記憶いたしませんが、余り需要の盛んでないものは、これは、やめて他に転換するというような方法を以てやつておりますけれども、なお思考をこらして一つ努力をして参りたいと思つております。
  56. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私だけ労働大臣に余りお聞きいたして時間を取りますのもどうかと思いまするので、お聞きしたいことはたくさんありますが、いずれ他日に留保いたしまして、一応私の質問を打切りたいと思います
  57. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 実は保利労働大臣は、現在厚生大臣も兼務しておいでになつておりまして、今厚生委員会で医薬分業の問題が討議されていますので、そのほうに出席の御希望が強いのでありますが、如伺いたしましようか。
  58. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 三十三年度からの実施の法律だからゆつくりなすつてもいいかと思います。
  59. 山花秀雄

    山花秀雄君 ちよつと五、六分くらい伺おうと思いますのですが。
  60. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それではあと五分くらいで……。
  61. 山花秀雄

    山花秀雄君 リツジウエイ大将の新らしい講和を向えての権限委譲と申しましようか、このことについて労働関係法律改正というようなことが、論議されているのですが、この問題については、いずれあとの機会でいろいろ質問したいと思いますが、簡単にちよつと質問をしたい要点は、労働委員会労働省関係がどういう関係にあるかという点をちよつと聞かして頂きたいと思います。要点は単なる連絡というようなのか、幾らか監督というようなことが成り立つているのかどうかということであります。
  62. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今主管の局長がおりますから……。
  63. 賀来才二郎

    政府委員(賀来才二郎君) 労働省労働委員会関係につきましては、御承知のように労働委員会の機能については、全く独自の立場においてやつているという立場でありますので、判定或いは調停について全然監督的な立場をとつておりません。
  64. 山花秀雄

    山花秀雄君 全然別個の関係でございましても、何か連絡とか何とかいうような関係はどうなつておりましようか。
  65. 賀来才二郎

    政府委員(賀来才二郎君) 御質問の連絡というのは、どういうことになるか、まあ詳しくお聞きせねばわかりませんが、御承知のように労働委員会労働省の所管、即ち労働大臣の責任の下にあるわけであります。従いまして常時我々といたしましては、労使関係の安定を図り、且つ不当労働行為を防止し、組合発達を図つて行くという建前におきまして、密接な連絡を常時とつている次第でございます。
  66. 山花秀雄

    山花秀雄君 全然局外者という関係でなければ、この委員会ちよつと労働省見解をお尋ねしたいと思うのですが、実は労働委員会の、これは地方の労働委員会で最近発生した問題で、ちよつと気がついた点だけ申上げて労働省意見を聞きたいと思います。仲裁若くは斡旋というような事項に、労使の委員出席され、公益委員出席されて、いろいろ労使間の紛争議の円満解決のために努力されていることは御承知通りでありますが、最近大阪で大津ゴムという工場がストライキを行いまして、大阪地方労働委員会のそれぞれ二者の委員がこれの斡旋に乗り出したのでありますが、問題は使用者側に立つ委員と、労働者側に立つ委員が、偶然といいましようか、同じ業種から出て来ておるわけであります。ざつくばらんに申上げますと、使用者側から出ておる委員が、曾つて労働組合の指導者でありました。それが最近出世したと申しましようか、経営人に入つて只今では使用者側の委員として出ておられるのです。曾つて労働組合指導者の、その下に働らいておりました労働組合員が、今日では労働者側の労働委員として地労委におるわけなんですが、この同じ業種の使用者側、労働者側の委員が出て、而もその業種は目下賃金問題で中労委のほうに問題を持ち込んでおるという間柄でございまして、率直に申上げますと、この問題は斡旋のために乗り出したことが、却つて只今つたような関係労働者側のほうから疑惑の眼を以つ、この委員会が見られておるが故に、まとまる話がまとまらなかつたというような結果がございましたが、恐らく各地においてそういう事例があるのかどうか。若しございましたならば、こういう問題に関しては、違つた業種からの労使の委員を出して扱わせるほうが至当ではないかというふうに私ども考えておるのでありますが、労働者側はどういう見解でありましようか、お尋ねしたいと思います。
  67. 賀来才二郎

    政府委員(賀来才二郎君) 只今の御指摘の事案につきましては、まだ報告を受けておりませんので、そのこと自体についての考え方については申上げることは差し控えたいと存じます。ただ一般論といたしまして二つのことを申上げまして、御了解願いたい。  第一は先ほど労働委員会のあり方につきましては、行政官庁と申しますか、地方の労政局、労政課、或いは労働省労政局はその動かし方について干渉したり、或いは関与してはならないという基本方針を持つておるのであります。従いまして斡旋委員の選任に関しましても、全然労働委員会が協議をいたしまして、誰にするかということをきめるのでありまして、その点につきまして我々のほうからどうすべきであるということを申上ぐべき筋合ではないと考えております。もう一つは、一つ事件を解決いたします場合に、御承知のように、例えば私鉄の事業であります場合に、私鉄の関係者で非常に御経験の深い労使のかたが参加するほうが、より解決を早やからしめて合理的な解決に適当であるという場合と、然らざる場合とあるわけであります。その事案の性質によつてきめらるべき問題だと考えるのであります。ただ今の事案につきましての具体的な問題といたしまして、お聞きしておりまする程度におきましては、何らかそこに特別な事情があつたのではないか、こう私は考えるのであります。と申しましても、独自性を以てやるからといつて、その問題が、或いは全体の問題が片付かないような運営をその委員会自体がやつて行くということにつきましては、全体として労使関係の安定を図つて行くという責任を持つ我々といたしまして、独自性であるからといつて、如何なることをやつてもいいという考え方を持つておるわけではないのでありまして、その点につきましては、我々はよく連絡を緊密にいたしておりまして、さようなことのないように連絡をいたしておる次第であります。具体的な問題につきましてはいずれ調べましてから、又申上げたいと思つております。
  68. 山花秀雄

    山花秀雄君 もつとざつくばらんにその具体的な事例を申上げまして、それに関連して一つ回答を願えれば結構だと思います。話の順序は……、
  69. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 如何でございましようか。大臣に御出席頂いておりましようか。
  70. 山花秀雄

    山花秀雄君 もうすぐ終りますから……、こういう問題で只今政府委員のほうから御回答のありました、業種によつてはその業種の人が立たれたほうが却つていいのではなかろうかと、こういうふうに拝聴されましたが、私もそれはそれでいいのではなかろうかと考えております。大阪の事例を具体的に申上げますと、大津ゴムと申しまして、化学産業の紛争議であります。斡旋委員になられましたのは、私鉄の使用者代表と私鉄関係の労働委員であります。その私鉄同士で只今賃金の紛争問題がございまして、これは中労委のほうにかかつておる、そういう実情であります。同じ業種を専門的知識で、同じ業種から出ておる労使双方委員がやられる場合は別に何でもないと私は思いますが、化学産業のこの労働問題を、専門産業でない立場に立つておる私鉄関係の同じ労使の委員が出てやられることは、化学産業のこの当該の労働者諸君から見ると、一種の疑惑の眼を持つておる。これはいいか悪いかは別問題でありますが、そういうような場合には、違つた業種の委員でやられたほうがいいのではなかろうか。これは大阪に起きたちよつと一例でありますが、各地にこういう事例があるかどうかという意味であります。
  71. 賀来才二郎

    政府委員(賀来才二郎君) 言葉を重ねて恐縮でありまするが、一般論といたしましては、場合々々がございますので、いずれとも申上げかねます。この只今御指摘の事案につきましては、ただお聞きをしておりますところでは、或いは解決には不向きではないかという気はいたしまするが、いずれ実情調査いたしました上で、お答えを申し上げたいと思います。
  72. 山花秀雄

    山花秀雄君 これは個々の場合、或いは具体的な場合というよりも一つの概念論、総括論としてどうお考えなつておるかという点であります。
  73. 賀来才二郎

    政府委員(賀来才二郎君) 総括論といたしましても、又繰返して申上げて恐縮でございまするが、やはり労働争議の個々事情は、いろいろな事情がありまして、同一なものがございませんので、その事案につきまして、その土地の労働委員会がいろいろ協議されて御決定になるわけでございますので、かくのごとき方針であるべきであるというふうなものにまで、やはり実情に即して処置をして頂くのが一番いいのだと考えております。
  74. 原虎一

    ○原虎一君 厚生委員会にお出でになるという話でありますが、今日一回だけお伺いして明日の労働委員会に又重ねてお伺いしたいと思います。先ほどのメーデー問題にいたしても、又労働法規改正に対する考えについての質問に対しても、大臣は自由にして溌溂たる民主的労働組合の育成に労働省は当るという御答弁であります。その御言葉は尤もなんであります。然らば具体的に労働省は何をなしているか。その自由にして溌溂たる労働組合の発展、発達を来すために、何をなすべきかということが問題だと思うのであります。それは法の改正も、必要であれば、やらなければならんでありましよう。併し法の改正、或いは大した国の予算を伴わないものであつても、労働省一つのやり方によつて民主的な労働組合が而も自主的に発展して行くことがあり得るわけです。殊に民主的労働組合は私が申すまでもなくイデオロギーにおいて民主的であるというもので、それから労働大衆がその組合の拡大強化に全労働大衆が協力なし得るかどうかといえば、それはそういうわけではない。申すまでもなく日常生活に直結する利害の問題をその労働組合が処理して行く、労働者の利益を、簡単に申しますれば完全に守り抜かなければならない、その一つとしてお伺いしたいのでありますが、労働銀行に対する労働省考え方、一昨年の秋頃から労働銀行設置の声が上りまして、昨年から岡山その他兵庫、千葉、埼玉、北海道というふうに順次労働銀行が労働者の手によつて、而も全県的に行われて設置の運動が進展し、すでに営業にかかつたものもあります。ところがこれに対して大蔵省は依然としてその大蔵省的な考え、今日の法律で行きますれば、申すまでもなく信用協同組合によるほかないのであります。而もそれは大蔵省の特殊金融課でありますか、特殊金融課の監督、銀行局の監督をしておるわけで、それで新聞等の報道によりましても、大蔵省の考え方が大蔵省では「金庫の主力が労組にあることと、スト資金の貸出をやるのかどうかという点で首をひねつておるが……、」こういう誠に労働運動を解しない大蔵省らしい解釈に、労働省としてはこれに積極的な賛意を表しながらも、積極的な具体的な活動がどの程度なされておるか一向に新聞に載りませんし、報告も受けておりませんので、お考え方、この労働銀行に対するお考え方を、もう一歩進んでそれを指導し、同時に一つの保護を加えると同時に指導もする。これは申すまでもなく一般の市中銀行よりかその預金者の階層も違いますし、又その営業の失敗が万一起きますと、労働組合運動それ自体に対する批判が非常に起つて、金融機関の失敗が組合運動の失敗というふうになることも想像できるのでありますから、これに対する指導と保護、こういう保護を与えるために、具体的の法的措置というものを、ぼつぼつやらなければならないのではないかということが考えられますので、殊に民主的労働組合発達を希望する現政府が、こういうものに対して労働省が大蔵省の考え方に、簡単に言いますれば押されるというような態勢であつてはならない。こう考えますのでお聞きするわけであります。
  75. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お説に対して私は全く同感でございます。ただ何しろ多数のかたがたの大事な貯金を預るということで、万一それが十分にその目的を達しあたわざる場合に、お話のような組合運動それ自身にまでも影響を持つて来るという大事な問題でございます。併しながら組合においてそういう総合的な、いわゆる労働銀行を以て組合員の福祉の向上を図つて参るという、非常な熱意の結果が、すでに御存じのように二、三実を結んで、現に設立をせられておるところもある。これに対しましては労働省としては積極的にそのでき上ることに対して協力をいたし、そうして今後の運営についても、できるだけの協力を払つて行かなければならんと考えておる次第でございますが、いわゆる労働銀行と申しますか、労働金庫と申しますか、これに対して特別の立法措置を講じて、これの助長、育成を図つて行くということについても研究はいたしておりますけれども、まだ一、二でき上つただけでございますし、これの運営等を見ました上で、十分に今後力を入れて行かなければならんかように考えておりますから、只今すぐに立法措置を講ずるという考えにはまだ到達いたしておりません。ほかの点は全く同感であります。
  76. 原虎一

    ○原虎一君 明日労働委員会を開く予定になつておられますが、労働大臣及び安本長官が是非御出席願えるように手続をおとり願えませんか。
  77. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 承知いたしました。如何でございますか、明日厚生委員会がございまして、非常に法律案がございますので、そのほうと睨み合せて御出席頂けるようにお願いいたして置きます。安本長官のほうへも事務当局のほうで御出席願うように取計らうこことについたします。  ほかにございませんでございましたら、本日予定いたしておりました議題はこれで終了いたしたのでございますので、本日はこれで終つてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それじや明日に譲ることにいたします。どうも御苦労さまでございました。では本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            片岡 文重君            山花 秀雄君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君    労 働 大 臣    厚生大臣臨時代    理       保利  茂君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    労働省労政局長 賀来才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君