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1951-03-15 第10回国会 参議院 労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十五日(木曜日)    午後二時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労務用物資対策に関する請願(第七  二四号) ○労務者用物資対策に関する陳情(第  五八号) ○労務用物資対策に関する陳情(第七  六号) ○労務用物資に関する陳情(第一七七  号) ○進駐軍関係労働者失業保険法適用  の請願(第七四〇号) ○派遣議員の報告   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 只今から労働委員会を開会いたします。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時四十四分速記中止    ——————————    午後三時十九分速記開始
  3. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を始めて下さい。
  4. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 実はともかくも率直に申しますと、労働政策と結びつけて計画的にはつきりしたもので各種の物資についてお考えになつてそれだけは優先的に流す。無論国民一般実情と睨み合せて、その範囲なり、数量なりというものはきめなければならんと思うのでありますが、そういうきちつと品種別に、数量的に価格的にも睨み合せた姿でおやりになつてこそ安本がお役に立つ。安本でおやりになるのならばそこに問題の重点がある。こういうふうに考えるのですが、どうも最近の労働政策を見ておりますと、そういう点について一貫したものがないように思うのです。労働大臣は、いや労働者生活については、殊に一必需品については考えておる。一般国民の分も勿論考えておる。こう言うのだけれども、どうもそのときの事情によつて国民一般の状況と睨み合せばあるけれども、計画的にはつきりしたものでないと、どうも労務用物資についてはつきりしたつかみにくいところがある。現場行つてみましても非常にその点でつかみにくい。是非そういうふうに、あなたにお願いするのは無理かと思うのですけれども、併し事実上あなたがたがおやりになるのだから、きちつとしてもらいたいので、各省の間でその点は打ち立てて頂くような方向に年度計画的なものをお持ちになつたらどうかというふうに思うのですが。
  5. 田原大千

    説明員田原大千君) 只今お聞きしたところで、私ども十分安本部内におきまして協議いたしまして最近殊にいろいろ物質問題につきましては問題があるようでございますので、十分検討いたしまして、それらの点は何らかの改善を加えたいと思います。
  6. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それから第二段にお聞きしたいことは、この配給窓口一元化ですが、これは各省……それは確かに衣料の何といいますか、繊維製品なんか商工省の全体の計画から、この程度一般国民用として考えられる。その中で労務者にこの程度考えようかということがあるでしようし、それから石炭鉱業なら石炭鉱業鉄工業なら鉄工業商工省の所管しておる産業だからそこへ御尽力を願う。こういうようなお考えも出て来ると思うのですが、同時に労務者につきましては、御承知通りほかの労務者管理については労働省がずつと横の線で入つて来ておるわけです。だから石炭産業内容について知らない労働省だつたらどうかしている労働省なんですね。それから鉄工業つて通工場事業場についてはもう知つているわけです。無論所管省方針なりとは十分打合せなくては、労働省としても十分政策そのものの、個々の具体的のものは所管省ほど知らないでしようから、それは打合せるのが本当だと思うが、緊密な連繋において打合せるのが本当だと思うのですが、流れて来るルートは一本に各省からこう流れて来て現場に入る。そのルートの一点だけは窓口がきめるということが非常に合理的だと私は思うのです。殊に繊維製品商工省関係のものなり、農林省関係のものなり、その他のものがあるのですから、そういうものがやはり労働者の勤労意欲なり、作業なりと結びつけて行くという姿が総合的に初めて考えられる。こういうふうに私は思うのですが、私は官庁の繩張りには余り立ち入りたくない。なかなかこれは牢固として抜くべからざるものがあるように思うのだが、そういう一点だけは今後直して頂くような、つまり国家政策的に国家として見られて各省安本と一緒になつて計画する。それから今度は末端配給に対しても、労働省各省一つの企画の下にその実際の事務労働省の系統の機関がやる。現場機関が……こういうふうに考えられないものでしようか。
  7. 田原大千

    説明員田原大千君) お答えいたします。実は私ども労働室といたしましては、成るべく窓口一元化したいということで、あの訓令ができるときもいろいろ考えたわけでございます。ところが、いいろの業種生産関係なり、資材の割当関係なり、そういうものをやつておるのはそれぞれの省でございますし、かたがたその企業の、何といいますか、指導面とか、或いはそれに対する資材なり資金の斡旋とかいつたような産業助長という立場からそれぞれの省が自分の所の産業につきましていろいろ配慮しておるわけです。そこで現実に物を受けるのは労働者個人でございます。これは受ける側の立場からいたしますれば、すべての産業労働者が全部これは一つのものだと考えられるわけでございますが、只今申上げましたように、産業の面、生産の面といつたような観点から、経済復興なり、経済再建ということを考えますときには、おのずからそこに又政策的な意図が入つて参ります。これを調整いたしましてやるということが非常に実際問題としてむずかしかつたわけでございます。そこで一応現在の窓口というものは、できるだけ簡単に整理をしたわけでございます。各官庁地方機関にはそれぞれその地域的な配分とか、いろいろ事情もございまして、これらを全部一つのもので取りまとめるということが実際問題として非常にむずかしかつたので、一応できるだけ統一は図つたのでございますが、なおその間完全に一元化という域には達していないという現状でございます。
  8. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 済みませんけれども年度別にどのくらいのどういう種類のものが労働者配給されておるのか、それが計画的にどう配給されておるのか、この二つの資料を頂戴したいと思います。
  9. 一松政二

    一松政二君 労務者配給ですがね、統制撤廃をされているものを配給する理由もなかろうし、又そういうこともできなかろうと思うのですが、大体現在行われておる労務者用配給と称するものは、一体何が残つておるのか。どういうものをやつておるのか、その概略でいいから、ちよつとそこでわかりますか。私はそれを聞きたいと思う。それと、まだ何か特別に配給しなければ、手に入らんものが一体……今ないはずだと思うのですが……。基本的な原料統制が残つておるけれども日用品については特別に何か割引きをして渡すという制度があれば、これは別問題なのであります。どういうものを今配給されているか、別に私は今堀木さんの言われたように、年度別とか品種別とか言わないで、極く概略にどういうものを配給しておるのか、それからもう一つには、今大体重点産業とか、産業余り区別はしてはいないはずなんだと思うのですけれども、その点について何かちよつと政府委員に承わりたいと思います。
  10. 赤松常子

    委員長赤松常子君) お答え願えますか。
  11. 田原大千

    説明員田原大千君) 先ず第一に只今配給されているものでございますが、第一には主食でございます。
  12. 一松政二

    一松政二君 そんなものは誰でも受けておる。
  13. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 加配米……。
  14. 田原大千

    説明員田原大千君) それから酒でございます。それから特殊の臨時的な衣料、これは配給と申しますより一種の斡旋でございます。官庁統制は、末端は外れておりますので、官庁斡旋でございます。そういう形で、衣料と先ほど申した米と酒それだけでございます。
  15. 一松政二

    一松政二君 米に酒だけですか。
  16. 田原大千

    説明員田原大千君) 労務物資として全般的に配給されておるものはそれだけでございます。
  17. 一松政二

    一松政二君 その労務加配に、昔のように何か産業によつて区別がありますか。
  18. 田原大千

    説明員田原大千君) 加配基準でございますか。
  19. 一松政二

    一松政二君 ええ。
  20. 田原大千

    説明員田原大千君) 基準量には、従来ずつと差がついておるのでございます。これはだんだん需給関係も変つて参りまして幾らか前よりは差が少くなりましたけれども、やはり差はついております。例えば石炭のようなものだとか、非常に重筋労働であると、どうしても基準も高いおけです。それから比較的軽作業である、或いは文子が多いといつたような産業につきましては、基準もおのずから低いわけであります。そういう差はついております。
  21. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは如何でございましようか。ちよつと陳情の第五十八号、先ほど朗読いたします場合にちよつと落しましたので、内容は余り違いませんが、ちよつと朗読を附加えていたしたいと思つております。一覧表の十一番目でございます。    〔金丸調査員朗読〕   陳情文書表第五八号   労務用物資対策に関する陳情   陳情者 群馬県労務用物資協議会       橋本一太郎  要旨  諸統制の逐次撤廃に伴い労務者用生活必需品主食を除き逐次割当配給より除外されたため、労働者生活が脅かされるにいたつたから、左記の事項の実現を要請する。  1.特配生活必需物資種類を拡大しマル公価格を設定すること。(米、衣料品、酒、煙草、砂糖、食用油等)  2.業種及び職種を拡大し事務職員を含めること。  3.稼働日数計算方法を次の如く改めること。超過労働についても一月の合計を八時間で除したものを一稼働日として追加すること。  4.配給機構合理化——現在の一般、非一般特定業種の区分を廃止し又地方労務用物資協議会の機能を強化し、凡てこの機関により決すること。  5.公傷により休業中のものにも配給すること。
  22. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうもその点は、さつき一松さんの質問に対する御答弁でいよいよわからなくなつて来たのだが、統制がなくなつたらこれはやらないつもりなんですか、やるつもりなんですか。統制関係なしにやるつもりなんですか、やらないつもりなんですか。今どういう方針で進んでいるのですか、一応……。
  23. 田原大千

    説明員田原大千君) 統制でなくなりますと、おのずから我々としては統制がないのでございますから、これをどういうふうにして流すか、その途がおのずからないわけなんでございますが、統制がなくなりますと、やれなくなるという結果になると思います。
  24. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 統制がなくなると、各職場の消費組合的な活動に任せると、こういうことですね。
  25. 田原大千

    説明員田原大千君) 統制がなくなることは、結局前提といたしましては、一応物資需給等が緩和して、購買力さえあれば一応誰でも買えるという状態だろうと思います。そこで只今のところ統制がないものについて、まあ結局部分的統制といいますか、統制の外れたものを、更にもう一回部分的統制をやることは困難ではないかと考えております。
  26. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それでさつき聞いて、いたんですがね。統制のないものは、もう皆の購買力に委せるんだという考え方、そうしてそれが産業上必要であり、実際においてはなかなか労働者が獲得できないという実情があり、そうして金のあるものは勝手にお買いなさい、買えるんだというふうな考え方で行くんだつたら、それも一つの行き方だと私も思うんですよ、これは全く自由主義的な考え方です。併し先ほど言われたように、日本産業を再建するとか、労働のカロリーに応じて他の国民区別をつけて考えるというふうな点から、いろいろ考られるというのなら、統制がなくなつて一つの計画的な配給があつて然るべきじやないかと、こういうふうに私は考えるから聞いたんですが、まあ実情はよくわかりました。
  27. 田原大千

    説明員田原大千君) これは非常に基本的な問題で、御勘弁願います。
  28. 原虎一

    原虎一君 この陳情は現在行われておるものに対して、かくしてもらいたいという陳情なんですね。それに対して又政府当局のほうから実情に対する説明がありましたが、まあ基本的な問題は、それは安本長官でも呼んで聞かなければ、政治上の問題は……。生産増強とそれから労務加配というものは、十分に物資があればそういうことは心配しなくてもいいと思いますが、やはり現状においてはそう簡単に全廃して、果して労働者の必要とする物資を確保できるかできないか疑問なんです。この問題は別に一般労働問題調査のほうで十分に調べるということに願つて、この陳情それ自体に対して、陳情のそれぞれの条項が実施可能であるかどうか、又不可能ならばなぜ不可能であるかということを、もう少し検討するために、今日はこの程度で、この題目の陳情は一応留保されて、審議を後廻しにされたら如何ですか。
  29. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ではさよう取計らつてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは次にこの一覧表の十四番の請願第七百四十号、進駐軍関係労働者失業保険法適用請願議題にいたします。紹介議員原委員説明をお願いいたします。
  31. 原虎一

    原虎一君 紹介議員の一人として請願理由を一応紹介いたしたいと思います。その基本的な問題は、申すまでもなく進駐軍関係労務者失業保険法適用を速かにやつてもらいたいというのであります。ところが政府進駐軍労務者に対しては特調関係労務者でありますから、政府支払いを受ける賃金労働者ということになりまして失業保険一般公務員には適用いたしていない。進駐軍労務者政府支払いを受ける賃金労働者として公務員なみに見て行くから、従つて失業保険法適用外に置くと、こういうふうに関係法規によりましてきめておるのでありまするが、ところが一般公務員なみ進駐軍労務を、この失業保険に関する点においては、見ておりまするが、例えば一般公務員共済組合加入をいたして、それから利益を受けることになつておりますか、一般進駐軍関係労働者共済組合には加入していない。それで逆に一般民間労働者と同じに厚生年金或いは健康保険加入をいたしておるのであります。御承知通り、言うまでもなく一般公務員厚生年金或いは健康保険加入はいたしておりません。でありますから政府扱い方矛盾があるのであります。その矛盾を指摘するのが目的ではなくして進駐軍関係労務者は御承知のように、非常に厳格な規律の下に従事しておりまして、一般民間労働者或いは一般公務員においては正当な理由であるとして認められるような問題も、この進駐軍労務におきましては正当ならざるものとして解雇されるような場合が多い、そういう場合におきましては、退職手当をもらえるところの権利を失つてしまうのであります。従つてその意味においては非常につ不安であります。従つて進駐軍関係労務者失業の不安、殊に講和の問題等が非常に具体化されつ進展しつつある現状におきましては、一層不安なのであります。勿論法律によりまして或いは政令によりまして、正当な理由退職をする場合におきましては、退職手当、それが失業保険における額との差が多ければ、その差額だけを政府が補償するということになつておりますが、先ほど申しまするように、非常に規律が厳格であるばかりでなく、場合によりましては、極端に申しますれば、一係官の気持によつて左右されるというような事実がないではないのでありますから、そういう不安を除くためにも一般民間労働者と同じに失業保険加入できるような措置を講ぜられたいというのが請願の基本的なものであります。なお説明申上げますれば、労働省或ついは大蔵省特別調達庁等考え方等についても相当の相違があるようでありますが、この点はむしろ各委員より当局に質して頂くことがよいのではないかと思いますので、請願の基本的な精神を御紹介申上げまして私の説明を終る次第であります。
  32. 赤松常子

    委員長赤松常子君) なおこの請願に関しまする補助的説明委員外議員山田節男議員よりいたしたいとの発言を求められておりますが、山田議員の御発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議ないものと認めます。
  34. 山田節男

    委員外議員山田節男君) 只今議題になつておりまする請願に関しまして、紹介議員として原委員から極めて懇切丁寧な御説明があつたわけでありますが、なお私は請願人代表としまして、今原委員から御紹介して頂いた点に若干補足して各委員にお願いしたいと思うのであります。  実はここにも書いてありまするように、今日終りまするように、今日終戰処理費によつて、いわゆる進駐軍用員として働いておる者が約二十六万ぐらいあります。なお昨年の朝鮮事変勃発以来、いわゆるこれは、ドル払いの、いわゆる特需による進駐軍労務者が、これは的確な数字がまだわかりません、昨日予算委員会労働省政府委員に聞いたんでありますけれども、なかなか的確なる数字をまだ派把握していない。従つて概算と申しますか、一昨日の通産大臣説明によりますというと、昨年の七月から今年の二月まで、いわゆる特需というものによつて外貨を獲得したものが二億九千万ドル、その中でいわゆるサービス、役務によつて支払われたダラーが約八千五百万ドルと申しますので、これは約二百五億円ぐらいの賃金サービス代として払われておりまするから、こういう点から考えますと、少くとも特需といいますか、ダラー支払い進駐軍要員は少くともこれは季節的な変動はありましようけれども、二十万を超えるのじやないか、かように想像しておるのであります。かように考えまするというと、今日進駐軍関係要員は、いわゆる終戰処理費を以て政府から支払われておる従業員が二十六万、取りあえずこれを主体として請願をしたわけであります。御承知のように進駐軍労務者国家公務員法制定の際に、いわゆる普通労働、コンモン・レーバーと申しますか、特別職としてこれは一般公務員から除外してもらつたのであります。従つて例えば今出願しておりまする全国進駐軍労働組合同盟は、日本政府代表として特別調達庁労働協約を結んでおるのであります。従つて労法三法に保障された労働者の諸権利は、これは保障されておるわけであります。併レこの進駐軍労働関係というものは、一般産業労働者労働関係雇傭主との関係が非常に違うのであります。先ず第一に政府が金を払うということについては、成るほどこれは政府雇傭主であります。併し現地におきましては労働事務官、或いは軍関係の人がこれは労務管理をやつております。  これが事実上の、いわゆる雇傭主立場におつて労働条件を支配し、又労働者において致命的ないわゆる首を切ることに対しても絶対的な権利を持つておるのであります。それがためにこの進駐軍労務者には、一般産業労働者、或いは公務員とは違つた非常に不安な労働関係に置かれておる。戰後習慣の異なる上にそういつたような、極めて不安な雇傭関係にあるということは、これはもう他の公務員、或いは他の労働者の想像し得ないものである。かようなわけでこの失業保険適用問題については、たしか第六国会にもこれをお願いしたと思うのでありますが、ここに先ほど原委員から申されましたように、これにつきましては特別調達庁労働省、或い大蔵省おの見解は違うのでありますが、今回又改めて本委員会請願をした理由は先ほど申上げましたような、この労働者の地位不安、雇傭不安というのが非常に強い。それから並びにもう一つ重大なことは、先ほど申上げましたように、殊にこの退職、首を切る、失業をするということが、これは労働事務官の主観的な裁量によつてしばしば首を切られるのであります。その数も、これは確かな数字を申上げませんが、これも数百に及ぶと思うのであります。これは要するに軍関係において、いわゆる好ましからざる人物、或いは重大なる過失を犯したというので首を切る。そういうようなことになりますからして、労働基準法によれば、当然退職手当をもらわなくちやならんものがもらえない。これはここに中西事務局長がおられますが、労働省基準局長に持つて行つても、当然もらえるべきものだと言つても、これは今年の一月一日からはすべての退職金に対しては進駐軍労務官がサインしている、政府からは金は出せないということになつておる。そういうようなことで退職金ももらえないということが、不当な理由によつてもらえないというような非常なハンデキヤツプがあるのであります。かようなわけでありまして、私どもはこの二十六万、或いは特殊契約にすれば恐らく四十万を超える労働者が、今日依然としてそういう不安な状態に置かれておる。殊に失業保険制定趣旨におきまして、いろいろ日傭労務者も今日この被保険者に加えられておる。然るに進駐軍労務者はこれはなかなか得られない。そこが私どもはどうしても解せないのですが、これをここに見えておる特調関係のそういう関係者もよく知つておることでありますが、実際このいわゆる進駐軍の、連合国軍関係、使用人の解雇及び退職手当支給規定というのがあります。これがありまして失業保険と同じような大体金がもらえるという立場になつておりまするけれども、これは併し実際経理事情は非常にむずかしい。というのは労務事務官がサインを、個人的に感情で以てやらない。労働基準局では当然出すべきだと言つても出さない。これは私自身もそういう例を幾多見ておるのであります。かようなわけで、特調としても非常に困つておる。それから殊に昨年の十月に御承知のように社会政策審議会答申案が出まして、今政府では社会保障案と、いう保障法についてかなり具体的に真剣に研究をしておるのでありますから、第六国会当時に比べまするというと、少くとも社会政策的なものが、社会保障的な段階に、もう吉田政府がそういうことに乗出しておるというような見地から見まして、やはり憲法が保障しておる生活の安定は、これは国家の義務であるということで、重ねてこれは請願を出しまして各位の御審議をお願いしたいと思います。こういうようなわけでありまして、保険財政上これはどうも保険経理上、いつ首を切られるかも知れんから、或いは又極く短いものであるから保険経理が成り立たないというのが従来この保険に対する反対事由の大きなものであります。併しこれは進駐軍労務者の殆んど七割乃至八割というものは、少くとも一年又は終戦以来ずつと五年有余に亘つて就職しておる。これが而も日給月給であります。日傭労務者月給で支払われるあいの子のような日給月給によつて雇われておるというような実際から見ましても、是非一つ失業保険適用されるようにして頂きたいと思うのであります。なお先ほど原委員も言われましたが、進駐軍要員は将来が非常に短いのであります。だからこれはもうかけたつてしようがない。かければ保険財政上、大量に失業されて来て保険財政上成り立たないということを言われておるのでありまするけれども、併し例えば今保障されておる失業保険法経済を見ましても非常な健全な発達をしておる。それから健康保険経済において見るがごとく、これを失業保険に切替えた場合に、今国庫で……、先ほど申上げた連合国要員の、使用員解雇及び臨時手当支給規程から見まして、それによりまして政府が払うべき金として十五億円の予算を取つておる。これはいわゆる退職金並び退職金失業保険との差額労働者に与えるという制度のためにこういう尨大予算を計上しておるわけであります。これを失業保険制度にこれを入れますことになりますというと、国庫の負担が二億六千万円で済む、こういうような趣旨の理窟も立つおけであります。こういうことからいたしまして、是非一つこの失業保険というものに対しまして、慎重に御審議願いたいと思います。なお進駐軍労務者というものは、先ほどたびたび申上げましたように、地位が極めて不安定であります。又労働官庁が非常に一般公務員労働者とは違う立場、殊に終戦のためにそういうギヤツプがありますのみならず、一面から言えばやはり無条件降服下におきまして、やはり日本代表として、最も辛いけれども一生懸命にベスト・サービスを尽して来た。こういう意味においても是非一つ失業保険程度のものはこの労務者に対しては報いて頂きたい。かような願意を以ちまして本委員会請願を提出した次第であります。どうぞそういう見解の下に各位の同情ある御審議を頂きまして御採択を願い、且つ又本会議に付し、内閣に送付するという手順までにこれをとつて頂きますように心からお願い申上げまして、私は只今紹介議員の申しましたことに対しまして補足する点を若干申上げ、又請願人として本委員会の御同情ある御審議を仰ぐ次第であります。
  35. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 請願通り政府側の御意見を伺います。
  36. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 特別調達庁からの発言があると思いまするが、労働省といたしましてこの問題について考えていますことを簡単に申上げたいと思います。進駐軍の直傭の労働者のこの問題につきましては、労働省といたしましても進駐軍労務労働内容の特殊性からいたしまして、十分慎重に目下検討を加えているような次第でございます。ただ現在までの調査研究の結果によりますと、進駐軍関係労務者につきまして、今直ちに失業保険法を全面的に適用するという問題につきましては多少難点があるのであります。現在進駐軍労務は国に属しております国の雇傭、特別職国家公務員でありますが、よその国家公務員と比較いたしまして、非常に不利な点は先ほど御発言がありましたように、軍が懲戒的な意味において解雇をいたしましたものにつきましては、連合国軍関係職員の解雇及び退職手当支給規程第十三条の規定の適用がございませんので、懲戒解職の場合には、退職手当は一文ももらえない。一文ももらえない場合には後に失業しておりましても差額手当は支給しない。こういうことに相成つておりますことは御承知通りでございます。一般公務員でございますと、懲戒されましたその場合には、懲戒された場合は勿論退職手当はもらえません。もらえませんけれども失業、離職後一年以内に失業しております場合には、差額の支給をもらえるというのが一般公務員関係になつております。そこでこの点は何としてもまつ先に解決すべき重要な問題じやないだろうか。最近又承わりますと、自己の都合によつて退職したものについても差額支給をやるのを差控えたらどうだという意見すら現地軍から出ておるということも実は承わりまして、私どもといたしましては、先ず第一段階としては進駐軍関係労働の特殊性からいたしまして、懲戒解雇の場合はもとよりのこと自己退職の場合でも差額支給だけは差当り支給する。こういうことをいたしまして、一般公務員と同じような体制を以て行くことが先づ第一段階ではないだろうか。そういうことを考えておる次第でありまして、今直ちに全面的に失業保険適用するということは多少難点もありますので、先ず現段階においては一般公務員と同じレベルにおいて進駐軍労務失業保険の問題を解決して行くことが適当ではないだろうか、こういうふうに現在のところ考えまして、特別調達庁を中心としてGHQとも折衝をいたしておる次第でございます。併しながらこの問題は進駐軍労務の特殊性からいたしまして、極めて慎重に考えらるべき問題でありますので、将来といえどもこの問題につきましては十分慎重に考究を続けて参りたい、かように存じておる次第でございます。労働省として考えておりますことを申上げた次第でございます。
  37. 山田節男

    委員外議員山田節男君) 今の齋藤安定局長の御答弁でありますが、今のお話中にあつたこの進駐軍労務者に対する失業保険適用について多少難点があるという、その難点は具体的にどういうものであるか、御答弁願いたいと思います。
  38. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 結局保険経済の問題といたしまして二十五、六万の進駐軍要員が一斉に解雇された場合に、その失業保険経済が成り立つて行くであらうかどうかということが先ず一つであります。  それと、もう一つ進駐軍関係労務者特別職ではありますけれども国家公務員である。国家公務員でありながら一般公務員とは先ほども申上げましたこの差額支給の点について非常に不利な問題に置かれておる。結局先ず保険経済考えると同時に、先ず差当り一般国家公務員と同じ仕組のものにすることが先決ではないだろうか、そんなふうに私ども考えておる次第でございます。
  39. 山田節男

    委員外議員山田節男君) これは今まで労働省として不可能とか、可能とか明言されたわけではないのですが、今言われたように、二十六万人の進駐軍要員が一斉に失業した場合に保険経済が、失業保健経済が成り立たない。これは、成るほどそういえば成り立たないですね。併しこれはもうさつきも申上げたように過去五年間、六年間こういう労務者がおつてですね。そうしてこれは講和条約が近いと言われますけれども、講和条約が終れば直ちにこれは首になるというような見通しはこれは非常に危険だと思うのです。私そういう見通しを持つておりません。現にこの齋藤局長も聞いておられましたが、私が一昨日アメリカの横須賀の兵站部支部長といいますか、スコツト大佐に会つたときに、これは特需ダラー・コントラクト、ドル払いのものが殖えると同時に、日米共同防衛というものは、これはやはり今の特調は知つていないかも知れないけれども、これから労務の提供、一部施設の提供、これはもうすでに我々の関知しておる点は、ダレスとそれからこの吉田首相との話合ですね。これは十分そういう点があつたということを憶測憶測じやなくてこれはもう知つておる。そういうことを見通せば、講和条約が七月にできれば全部失業してしまうという見通しは正しいか、正しくないかということは、私は断言し得ないと思う。あなたも断言し得ないと思う。そういう仮定の下に失業保険経済は成り立たないという前提であるならば、これは私はこの点は慎重に考えてもらいたいということを附加えて置きます。それでなおこれは一般公務員の一種に違いないということを言われますが、先ほど原議員が言われたように、この進駐軍のものに対しては一般公務員に対しても設けられておるような共済組合というものがない。我々は、まだ多少この失業保険的のものも共済的のものができない、そういう立場から見ても、私は今労働省の言われる失業保険経済が成り立たないということで、非常に不安を持たれるということは、少し僕は余りに形式的な考え方だと思う。少くとも労働省はそうあるべきものでない。これは私は決して揚げ足をとるわけじやありませんが、私はそういう信念を持つてお願いしておる。それでこれはまあ中西局長が見えておるのですからお聞きするのですが、これは一昨日の予算委員会でも私は質問したのですが、これはやはり基準局としても今のように労働基準法が厳重に守られない、厳重に守られておりません。向うさんが破つておる。先ほど申上げた退職手当の問題、例えば懲戒解雇とか、或いは自己退職というけれども、現実にそこに行つて見ると、労務者あたりが相当いろいろの事情労務者の罪ででない理由でやる、これは各府県の渉外労務課を通じて、あなたのところにも来ておるものがあるに違いないと思います。こういうようなものを放つて置くということは、労務者に対して五年勤めて十何万円の退職金がもらえない。その理由を調べてみるというと、不注意な点のないような者が解雇されておる。そうして十数万円の退職金がもらえない。失業保険の恩典もないために非常な不当なことになつておる。だから基準局長としてはこういつたようなことは、私は割合に詳しく知つておられるだろうと思うが、基準局長からみれば、こういう失業保険進駐軍労務者の実態から見て望ましいか、望ましくないか、それだけでいいから一つ考えを伺いたい。
  40. 中西實

    政府委員(中西實君) 安定局長が先ほど答えられました通りで、私所管外でございますので、私からの意見は差控えたいと思いますが、今の退職金の問題は、これは又予算の問題になりまして、私のほうに来るのでありますが、個々のケースは具体的に一つ一つ解決しておりまして、若干日本人と向う様の風習の違いなり、感情の違いがあつてちよつと我々でもどうかと思うようなこともありますけれども、そういう場合にはやはり十分に調べて大体満足する結果を得ておる、非常に不当なものはこれは司令部に言いまして解決してもらつております。
  41. 山田節男

    委員外議員山田節男君) 大変長いのですが、もう一言、それは今の中西局長の言われたことは、実際解決したと言われても殆んど解決せん、それがために私どもは厳重に事実を聞かなければならんことになる。これは私は事実において解決してない。理論上は片付いたつもりであるけれども、処理はできたかも知れないけれども、現実に向うの軍の労務官がサインしない限りには、金はもらえない。これは特調のかたがおられるようだから、退職手当が、これが果して完全に実施ができておるかどうかということを、一応各委員に証言して頂いて、一つ皆さんの同情ある御審議を頂きたいと思います。
  42. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 特別調達庁労務企画課の木下課長が見えておりますからその点について……。
  43. 木下芳美

    説明員(木下芳美君) 特別調達庁労務企画課長の木下でございます。退職手当規程の実施につきまして特にこの失業者の退職手当の追加支給の完全実施につきましては、この規定を設けました当初におきましても失業保険の精神に基きまして懲戒免職になつたものについても、当然差額支給はあるべきであるということを軍のほうへ強く要請したのであります。ところがそのときの軍の意見は、退職手当というもので出すならば、自己の責めに帰すべき理由によつて解雇されたものが離職後失業しておるからといつて、あとからお礼を追加するというようなことは考えられない。日本政府もそういうことを当然と考えないかということでありましたが、これにつきましては、我々としては、通常の退職手当についは払う必要はないが、失業した場合の差額支給というものにつきましては、当然これは失業者の救済という意味におきまして払うべきであるということを強硬に主張いたしました。ところが遂にその問題は向うの了承を得るに至らなかつたのであります。で当時は失業保険の給付の額も割合に少なかつたんでありますが、数回の改正によりまして、失業保険の支給金額というものはだんだん上つて参りました。その結果我々の払う通常の退職手当だけでは、失業しておる場合に、失業保険金の百八十日分に満たなくなるものがだんだんと多くなつて参りました。昨年の初めごろと考えますが、もう一回その問題を軍のほうへ持出して協議しました。御承知のように軍も十分失業保険趣旨承知しているはずでありますので、例のレーバー・セクシヨンに参りまして、失業保険法趣旨を説きまして、それに肩代るところのものがこの退職手当の第十三条の規定であるのだから、たとえ自己の責めに帰すべき理由によつて解雇されておつて差額だけは当然あとから払つてもらいたいということを再三やつたのでありますが、その場合にとうとうとう了承を得るに至らなかつた。当時は軍のサインなしに払えたのであります。ところが昨年の暮にスキヤツピンの二千百三十九号が出まして、一切の終戦処理費につきましては軍の権限ある士官のサインなくして一銭も支出もしてはいけないというきついお達しを受けまして、それ以来この問題は非常な重大なる問題に立ち至つて来たおけであります。その後においても折々折衝はしてみたのでありますが、むしろその折衝が逆行いたしまして、最近におきましては自己退職したもの、即ち自分から退職したものに対しても、これは本人がやめて、行つたんだからそんなものに失業した日からの差額を支給する必要はない。もう一つ理由は本人がみずからやめたのだから、そういうものは失業しないでいるだろう。当然どこかに職があつてやめて行つているのだから、失業しないでどこかに就職しているに違いない。又日本政府失業の認定そのものが非常にあいまいじやないかというようなことで、この問題は再三の要請にかかわらず、だんだん悪いほうになつて来ております。いろいろな方面からがんじがらめになりまして、今日においては非常にこの実施が阻まれて来ておるので、日本政府部内においてもいろいろ協議を願つておりますが、我々としましては現在失業保険法適用がないので退職規程の完全実施ということに向いまして、なお一層軍のほうへ強く要請する方針でおります。ところが今まで二年以上に亘る折衝の経過から見まして、むしろ我々の期待がだんだんといいほうへ行くのでなく、却つて悪くなつて来ておることは、我々労務管理をする立場におりますものとしては、労務者に対して相済まないのであります。現状を打開するためには、何らかの大きな手を打ちまして、失業者の救済ができるような方法を考えたい、こう考えておるわけであります。以上現在の実情を御報告申上げます。
  44. 原虎一

    原虎一君 只今両局長と課長が実情について説明がありましたですが、労働省は大体保険経済という立場から進駐軍労務者失業保険の被保険者にすることは不可能だと言つておりますが、理由はそれだけですか、その他にありませんか。
  45. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) お答え申上げます。保険経済を中心に考えますると同時に、一般公務員と非常に不利益なる点を先ず是正することが先決ではないだろうか。こういう観点に立つて、調達庁と一緒になつて、この十三条の問題の解決ということを先にやるべきじやないだろうか。こういうふうに私ども考えておる次第であります。
  46. 原虎一

    原虎一君 今局長の御説明は二つになつております。保険経済から考えて困難だ。と同時に退職手当法を一般公務員と同様に受けられるようにすることが必要だ。それは私の質問に必要がない答弁です。この請願はいわゆる特調の労務企画課長が説明されておる。特調が如何に努力せられても、一般公務員適用退職手当のように進駐軍労務者適用ができない。もつと悪化しておるということを言つておるのです。にもかかおらず、齋藤局長はまだできるようなことを考えておる。これは私ども非常な労働者としては矛盾じやないか。むしろ被保険者にすることが保険経済の上から不可能というならば、その保険経済を可能ならしめることを考えることが労働省としては必要じやないか。  私はもう一度お伺いしますが、保険経済進駐軍労務者を被保険者にすることは不可能だ、これ以外に今まで説明がありませんが、そう了解してよろしいですか。もう一度お伺いします。
  47. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) この問題につきましては、先ほども申上げましたように、保険経済上非常に困難であるということを申上げておるのでありますが、それと関連して、そちらは別問題だというお言葉でございますけれども、国に使用されますそのほかの公団その他の職員との均衡から申しましても、そちらと同じにすることが先決ではないだろうか。これは別問題だという御意見だと承わりましたけれども、それを中心に先ずこの問題を解決すべきではないか、こういう観点で先ずりそちらの実現を図る、こういうふうに考えておる次第であります。なお特別調達庁が非常にますます、悪化しておるということは、これは又後言ほど調達庁からも御意見があると思いますが、私が調達庁のほうから承わつております内容は、成るほど最初は懲戒解雇の者は入れなかつた。ところが暮になりまして、自己退職までこの規定を適用しないようにしたらどうかという意見が出ておつたのであります。それでこの問題についてそれは進駐軍労務者に対して申訳けないことだ、何とかしなければならないというので折衝を始めておるのでありまして、向うも全然見込みがないと私ども言うてはついないと承知いたします。十分折衝しようと思つて、給与規程を詳細に書いて持つて来い、それによつて相談しようということを調達庁に言つていると私は承わつております。関係方面におきましても、この問題を何とか進駐軍労務者に有利に解決してもらいたいということを労働省立場としては実は申出をしておるのであります。
  48. 一松政二

    一松政二君 ちよつと関連した質問ですが、この労働立法は、占領後直ちに施行されたわけだが、いろいろ進駐軍労務者に対する、主にアメリカ軍の関係者考え方が、その日本にどちらかというと、まあ命令というか、言いようによつては押しつけたと言つても仕方がないような、今の労働基準法なり何なりを一方において施行しておるわけです。ところがその施行させたほうの考え方と、今の進駐軍関係労務者を使用しておるものとの考え方に、私はこれは重大な食い違いがあるから、こういう問題が起つて来ると思うのです。そこで私が労働基準局長に伺いたいことは、かなり日本の雇傭問題と、アメリカの雇傭問題との間には差はあるとは思いますけれども、アメリカは一体アメリカの法制なり労働基準法なりは、日本の今の基準法との取扱いにおいてかなりな違いがあるのではないか。そういう点についてその立法上なり或いは取扱上の差が御承知であるならば、承わりたい。
  49. 中西實

    政府委員(中西實君) アメリカの立法との話は後ほど述べますが、今の進駐軍の中で、やはりそれぞれ立場によつて、それぞれ一応或る程度考えが瀞うということは向うも認めております。併し大きな司令部のこの方針としましてやはり制定した基準法というものを、一応これは守つて行くのだということで、出先の軍あたりが相当これを無視してもいいというような言動のありますときには、その都度司令都のほうから注意して、これを遵守するようにということに仕向けておりまして、大きな方針はやはりそつちにあるようであります。
  50. 一松政二

    一松政二君 私の聞かんとするところはそうではない、つまりアメリカの国内において、失業保険なり労働基準法と、日本基準法的の考え方との間に、かなりなそこに差異があるのではないかということを聞いておるわけです。差があるかないかということです。
  51. 中西實

    政府委員(中西實君) その点は実は我々を指導してぐれております担当官が、向うでもその方面にこれを専門に二十何年か行つておりましてやつて来た人でありまして、一応考え方なりは、大体向うも日本基準法の施行が望ましいものだというような考えでやつておるようであります。ただアメリカにおきましてこれは御承知のように、連邦と州とありまして、これがそれぞれ相当な独立性を持つておりまして、それで連邦のいわゆる厚生労働基準法というものがございますが、これは日本のものよりも相当高度の問題、例えば割増金にしましても五割というようなことになつておりましてそれから労働時間にいたしましても、一日八時間制週四十時間というようなことで、相当高度なんです。各州におきます法制は、余り詳らかになつておりませんが、併しそれぞれの州におきまして、或いは最低賃金をやつておつたり、その他安全衛生その他につきましては、各州でそれぞれ法規を以ちまして、一応日本でやつておるようなことをやつておるように承知いたしております。
  52. 一松政二

    一松政二君 その程度で一応打切つて置きます。
  53. 原虎一

    原虎一君 先ほど齋藤局長が答弁された言葉の中に、労務企画課長からも説明があるように承わつておりますし、先ほど私が質問いたしましたことに関して企画課長の説明と齊藤局長の説明と食い違いがある。その点を御明確に願います。
  54. 木下芳美

    説明員(木下芳美君) ちよつと御説明申上げます。実は我々の今までの折衝が、さきほど答弁したようになかなか緒につかないで今日に参つておるわけでありますが、これでは我々としても労務管理の責を十分に全うすることができませんので、いろいろと最近資料を整備をいたしまして、強く向うに交渉して見たい、こういうことで今準備をしております。でこれをやつて果して向うがのんでくれればいいわけでありまして一応まだ折衝の余地があるという点は、労働省の見解と私どもと一致しておるわけであります。
  55. 原虎一

    原虎一君 やはり齋藤局長と労務企画課長との説明では、相当見通しが違うと思います。それはそれといたしましてですね、この請願の本旨からいえば、そういう退職手当法を一般公務員と同様に施行してもらいたいということではないのであつて、我々はこの請願の精神を、請願を聞入れることが、今日政府当局は困難であるかどうかという点を判断をしなければならない。その点から言えば第一労働省考え方は、保険経済上困難であるからできないのだということにつきましては、大体それを肯定されておる。なおそれに附加えて、一般公務員退職手当法の関連からも、この進駐軍労務者失業保険の被保険者とすることは考えものだということは、私のほうの聞き感じの上から言えば、従たることのようであります。そういたしますと、保険経済の問題のみから一応考えるということになれば、これは私は特別な労働者でありますから、やはり特別な保険経済に影響を与えないような方法はいくらでも考えられる、こう思うのであります。元来労働省保険、この失業保険の被保険者にしようという意思がない。保険経済上困難であるということならば、その困難であるという御説明が我々に納得できるだけのものがなければならない。私どもから考えれば、これはむしろ失業保険適用して行くことが労働者側も保険つ金を負担いたしますし、使用者側、即ち政府も負担して、而もそれが大量解雇をしなければならないという事態になつたときには、これは保険経済が成り立たんときには、保険経済を成り立たすような方法は如何ようにでもなるのであります。公団が非常な赤字を出す、これの解決は皆やつておるのであります。やり方のよしあしは別でありまして、やはりできるのであります。然るに労働省はただ保険経済上困難であるということを強調されるけれども、その保険経済上困難のものを打開する方法はないという御説明はないのでありまして、それでは我々は納得ができないのです。それから大蔵当局は今日見えているんでございますか。
  56. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 呼んでおりますが、まだ御出席いたしておりません。
  57. 原虎一

    原虎一君 それでは一応今私が申上げた点に労働省当局から御説明を願いたいと思います。
  58. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 保険経済上困難であるという問題は、講和が成立いたしましたときに、二十五、六万の進駐軍労務者がどういうふうな形になるだろうかということが一番大きな問題になると私ども存じております。もとより先きのことでありますので、私ども推測することは非常に困難で、どうなるか私どもも実際見当はつかないのでありますけれども、要するに相当莫大な大量解雇が出たときに、うまく行くだろうかということを考えての、私ども考えであるということを御了承願いたいとかように存じておるのであります。この問題といわゆる退職金手当の問題とは別だという御意見も拝聴いたしたのでありますけれども、私どもは先ず先に一般公務員との均衡を考えて、それと同じやり方で行くのがむしろ失業保険行政全般を見ての、今の段階ではそれがいい意見じやないだろうか、こういうよその公務員との均衡を合せ考え、将来大量解雇が出た場合に、今の保険料或いはその他の保険経済の下においては極めて困難であるということだけを申上げておるのでありまして、この進駐軍労務を全面的に、仮に行政適用にした場合、保険経済をどう改革して行くかということについては私は何もまだ申上げていないのでありまして、現在の段階でその場合に大量解雇が出たときには大変ではないのだろうかということと、よその公務員との均衡上先ずこの問題よりも先に退官退職手当の問題を解決して行くのが先じやないかということを申上げておるわけでありまして、そう申しまても私どもは将来のいろいろな社会情勢の変化等に応じまして考えて行かなければならないことはもとよりでありますので、最初に申上げましたように、この問題は将来とも十分考究は続けて行くということは最初から申上げておる次第でございます。
  59. 原虎一

    原虎一君 大体齋藤局長の御説明で、まあ進駐軍労務者失業保険の被保険者にすることは考えもんだというお考え程度だと承わるわけです。従つて問題は、今お言葉にありましたように、この問題は十分に検討して行かなければならんというお言葉でありますから、労働省自身も保険経済の問題と、その他の問題と合せて研究されることと思います。そう理解いたしましたので不可能でないと私はそう関知いたしましたので、今日は齋藤局長にお尋ねすることはこの程度にいたしまして、特調では大体請願者の文書によりますと、失業保険進駐軍使用人にも適用したほうが妥当だというお考えを持つておられるように書いておりまするが、この点についてのお考えを明確に願いたいと思います。
  60. 木下芳美

    説明員(木下芳美君) 我々のほうといたしましては、退職手当規程の十三条の規定の完全実施が可能であるならば、何も労働者のほうに保険料の一部を負担してもらわなくても、政府が一方的に負担するということで一層完全なる労働者の保護対策ができるわけであります。従つてできれは退職手当規程の完全実施をしたいと現在も考えております。又今後の折衝の結果、これが完全に最初に企図するように実施できた場合におきましては、あえて失業保険法適用する必要はないと考えておりますが、我々といたしましては日本政府自体で以て救済が完全に行なおれるほうに措置して行くほうが労働者のためになるのじやないかと考えているのであります。
  61. 原虎一

    原虎一君 もう一度お伺いいたしますが、いわゆる一般公務員適用されております退職手当法を一般公務員と同様に進駐軍労務者にも適用されるような結果を見るように今後努力して行かれる、その見通しについては、今の御説明では余りに期待が持てないのじやないかというふうに我々は感じているのであります。従つてその結果によつてはどういう方法をお考えになるか。又その結果によつて考え直すというのでしようか。その点を明らかにして置いて頂きたい。
  62. 木下芳美

    説明員(木下芳美君) 我々といたしましては、失業保険法の第七条によつて失業保険適用が除外されている理由は、退職手当がその保険法の給付以上に支給されるということによつているわけであります。従いまして我々の努力の結果失業保険法で行なわれるところの給付以上に退職金のほうで給付することができないということになつたときには、やはり労働省のほうにお願いいたしまして、労務者失業後の生活保障ということについて御協力を願うようにするよりほかに方法がないのじやないかと考えておるわけであります。
  63. 原虎一

    原虎一君 そういうふうになつた場合において、失業保険の被保険者にするということにするのですか。それはお考になりますか。
  64. 木下芳美

    説明員(木下芳美君) どうしても軍のほうで退職手当規程十三条の規定の完全実施を認めないという結論が出たときには、やはり失業保険法で救済する以外に現在の制度上方法がないと考えます。
  65. 原虎一

    原虎一君 私のお尋ねする点は大体終りましたですが、他に御質問者もあろうと思いますし、時間の関係もありますので、大体これで私は打切ります。
  66. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 他に御質疑もなければ、只今請願七百四十号は如何取計らうことにいたしますか。
  67. 原虎一

    原虎一君 只今労働省並びに特調当局の御説明によりましても、大体請願は採択して政府に送付すべきが妥当だと思います。
  68. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 採択することに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは本請願を採択することに決定いたしました。  なお採択された請願につきましては、参議院規則第百七十条により院議を経て内閣に送付することを要するか否かを議院に報告しなければなりませんが、本請願は院議を経て内閣に送付することを要するものと決定いたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議ないものと認めまして、さように取計らいます。   —————————————
  71. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは時間も経つておりますが、少し御勉強願うことといたしまして、先ず労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を議題といたしますが、質疑に入ります前に、過日労働者災害問題の実情を調査するため静岡県、神奈川県においでになりました宮田委員より現地の状況を伺つておきますことは、今後の審査の上に都合よろしいのではないかと思いますので、調査の結果を御報告願いたいと思います。
  72. 宮田重文

    ○宮田重文君 今般労働者災害補償保険法の一部改正案が労働委員会に付託されまして、これが審査に資するために神奈川、静岡両県の現地の調査に行つて参つたのであります。そうして代表的な工場、或いは港湾設備、鉱山等を視察いたしまして、事業主、或いは労働組合の代表のかた、或いは労災法の運営を実際に担当いたしておりまする労働基準局、或いは労働監督署の職員のかたにも合わせて頂き、御意見を聴取して参りました。  両県下における労働災害は、保険金の給付額、或いは労災件数、災害件数等を見ますと、一般的に漸次増しておる、こういうような状況にあるのでありますが、それは業務上の死傷、或いは病難報告等が以前より励行されて参りました災害保険の普及から、業務上の死傷、病難者が以前より増して参つており、労働者の稼動指数及び生産者指数の増加に比例して漸次増して参る、こういうふうなことが窺われるのでありまして、一部の大工場においては安全設備の強化とか、或いは労務者に対する教育の徹底等によつて漸次減少の傾向にはありますが、中小企業の面では、それらの設備或いは教育等についてもいささか足りない面があるので、成績が良好でないような面もあるようであります。なお災害の大部分は行動災害でありまするから、安全管理特定工場の設定、或いは労働安全規則に準拠した教育及び安全、衛生思想昂揚のための労使協力を啓蒙宣伝して、且つ施設の改善に極力努力いたしますれば、災害は一層減少するように考えられるのであります。  或る工場においては、昨年十月末安全管理特定工場として、労働基準局より指定をされまして、災害半減運動に努力した結果によつて、災害防止に顕著な効果を挙げているようであります。又災害の中には累災が相当数ありますから、将来特に危険作業に従事する労働者に対しては、適切な適性検査等も特に励行いたもまして、労働者の職場を考慮すれば、災害の防止に役立つようになるのじやないかと考えられるのであります。  次に保険料金の納入状態でありますが、これは健康保険失業保険等の状況に比較して考えますれば、非常に成績はいいようでありますが、一方保険給付の面は、給付申請後に、神奈川県あたりにおきましては二カ月乃至三カ月後に支払われる。静岡県は非常にそれより早くて一カ月後となつておる。こういうことでありますけれども、これがため事業主は、療養補償費については直ちに、休業補償費については毎月賃金支払日に立替支払いを行うのでありますから、工場によりましては、二月末現在で五百二十五万円もその立替をしておる、こういうようなところもあるのであります。これらの対策といたしまして、地方基準局の職員を増して、その事務の簡素化を図ると同時に能率も上げて、一層迅速に給付ができるようにすることが給付金の必要であると同時に、又給付金の概算を、政府が無担保で貸出しをするというような措置等も、将来講ずるように要望したいというような話も出ておるのでありまして、これらは相当考慮すべき問題であろうというふうに考えられるのであります。  保険金濫給の弊は多少ありますが、幾らかこの面については多いほうとは認めませんでした。  港湾人夫等、この筋肉労働者の打撲に基く神経性の傷害については、事実の判定に非常に苦しむ場合がありますので、将来こういう面のことに関しましては、基準局内に専門の医者を置いて、そうして適正な判断を下すようなことが望ましい。  それから災害保険の掛金は現在の労働者の無過失損害賠償責任の理由から事業主の全額負担でありますが、大部分の事業主は社会政策の一環として国家において掛金の一部を負担するか、少くとも事務程度は是非負担するようにというような要望をいたしております。特に基幹産業の方面ではこの要望が労使双方から強く主張されておつたのであります。  又一部事業主からは、災害防止に一層関心を持たせるために或いは給付の制限をするか、又は労働者負担の必要性もあるのではないか、こういうふうに考慮せられているという声もございました。  保険料率を定める場合に、災害の実績を考慮してメリツト制を採用するということは、労使双方殆んどすべてが負担の公平化の上から言つても、災害防止に一層関心を深めることになるという面から言いましてもこれに賛成しているようであります。併し伊豆方面の中小鉱山の一部におきましては従来比較的災害が多い。特に珪肺患者の発生を見ている鉱山では、この種職業病の発生は、坑内労働者が過去において他の鉱山で永年坑内労働に従事いたしまして、最近その鉱山に入社して、引続き坑内労働に従事中に厳重な身体検査をした結果発見されたという者であるので、この種の職業病に対する補償は鉱業全体の連帯責任でもあるから、直ちに各企業ごとにメリツト制を採用することは不適当であり、且つ中小鉱山においては保険料金の負担に耐え得ないので、百人程度の中小鉱山は従前通り保険料率の適用を要望するというような向きもあるようであります。  次にメリツト制を採用する場合は、給付金額のみによる実績を標準とせずして、災害頻度等を考慮のうちに入れて、又従来の業種区分による保険料率の決定もこの際に再検討して適正化を計ることを要望するという向きもあつたのであります。特に港湾荷役の浜仲仕とそれから陸上貨物取扱業との区分などは、将来研究を要する点もあろうかと思われるのであります。又メリツトの幅の上下を三〇%にするということにつきましては、従来保険料金の納入額より給付金額の上廻る所、つまりメリツト制を採用すれば、直ちに現在より保険料金の高くなる方面では二〇%の幅は広過ぎるというような意見があつたのでありますが、他の又大工場等では更にむしろ五〇%程度まで拡大することが一層メリツト制採用の趣旨にも副うのではないかというような意見も又極めて多かつた所もあるのでありまして、そういうような意見があつたということを承知願いたいと思います。又保険料金徴収の賃金の基礎は臨時給も含むすべての賃金でありますが、休業補償の給付金は臨時給を控除した前三カ月の平均賃金でありますから、臨時給の部分は給付の対象とならないので、この点は公正を失するから徴収の基礎と給付の基礎を同一にすることが望ましいというような意見もあつたのであります。メリツト制を採用すれば、一部事業主は業務上の災害を意識的、無意識的に業務外にせんとする虞れもありますから、労働者の自覚を待つと共に監督署の十分な活動によつて労働者の保護に万全を期することが必要であろうと切に考えられるわけであります。  大変雑駁な御報告でありますが、以上で大体御報告に代える次第であります。
  73. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 有難うございました。只今の御報告に対し又法案に関していろいろ御質疑もあろうかと存じますが、本日は時間も大分経過いたしておりますので、それらは次回に譲ることとし、これにて本日は散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議なければ、本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            宮田 重文君            片岡 文重君            山花 秀雄君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   委員外議員            山田 節男君   政府委員    労働省労働基準    局長      中西  實君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君    常任委員会調査    員       金丸 計三君   説明員    特別調達庁労務    企画課長    木下 芳美君    経済安定本部総    裁官房労働室副    室長      田原 大千君