運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-08 第10回国会 参議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月八日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働行政実情に関する調査の件  (昭和二十六年度労働省関係予算に  関する件)  (レッドパージに伴う労働行政の  件)  (炭鉱ストライキに関する件)  (労働省行政機構改革問題に関する  件)   ———————————    午前十時四十三分開会
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 大変お待たせいたしました。只今から労働委員会を開会いたします。前回の労働委員会におきましては今後の委員会の運営に関し御協議をお願いいたしまして、その方針をきめて頂いたのでございまして、その際の計画につきましては予定表を各委員かたがたに配付いたしてございます。それをどうぞ御覧下さいませ。念のために申上げて置きますが、この予定表は一応のプランでございまして、法案の付託その他事情によつては別の期日に委員会を開会いたすこともございますし、議題もこれに記載されておるものに限つておりませんから、特に御要望があれば前以て御連絡願いたいと存じます。何か予定表について皆様の御意見があれば一応伺つて置きたいと存じます。  別に御発言もございませんならばこれで一応進めることにいたしまして、今日は今国会における政府提出予定法案に関しまして大臣の御説明をお伺いいたしたいと存じます。保利労働大臣からどうぞお願いいたします。
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) まだ提出法案につきましては、事務当局で成案を急いでおりますけれども、まだまとまりませんから只今申上げるところに至つておりません。この場合来年度の予算概況を……。
  4. 赤松常子

    委員長赤松常子君) どうぞ。それでは二十六年度の予算概況を御説明頂くことにいたしましよう。
  5. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 来年度の労働省所管一般会計特別会計歳出予算の概要について御説明を申上げたいと存じます。御承知のように労働省所管会計一般会計のほかに労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計二つ特別会計がございますが、先ず一般会計歳出予算総額は百七十二億六千六百万円でございまして、このほかに建設省所管として官庁営繕費に六千三百万円及び総理府所管地方財政平衡交付金に統合せられておりますものが一億九千三百万円が労働省関係分として計上されておりますので、その合計額は百七十五億二千四百万円となつております。昨年度に、これを比べて見ますと、約三十二億円の増額になつておりますが、その内訳の主なるものは失業対策事業に二十二億五千万円、失業保険特別会計べの繰入に四億五千万円、政府職員等失業者退職手当に一億八千万円、雑件に三億円の増額が主なものでございます。一般会計関係経費を大別いたしますと、失業対策事業費七十七億五千万円、政府職員等失業者退職手当三億円、失業保険特別会計べの繰入六十三億九百万円、雑件二十九億七百万円と相成る次第でございます。  第二に労働省災害補償保険特別会計について御説明申上げますと、本特別会計は御承知のように労働者災害補償保険法によつて労働者業務上の事由による負傷疾病、癈疾又は死亡に対しましてそういう補償を行い、併せて労働者福祉に必要な施設をなすことを目的とする保険事業会計でございまして、全額使用者負担特別会計でございます。本会計歳入歳出共総額百九億九千九百万円でございまして、昨年度に比べますと約六億五千万円の増額となつております。その増額内訳保険金に一億三千万円、保険施設費に一億円、業務取扱費に八千万円、予備費に二億五千万円の増額を見込んでおるものが主なるものでございます。  第三に失業保険特別会計につきまして御説明申上げます。この特別会計は御承知のように失業保険法によつて労働者失業をいたしました場合に失業保険金を支給してその生活の安定を図ることを目的といたす保険事業会計であります。これが費用負担政府事業主労働者の三者が持寄りの特別会計でございましてこのうち政府保険給付に要する費用の三分の一額と、事務費のうち運用収入、雑収入を以て支弁できない部分を負担いたし、使用者及び労働者失業保険法に定める保険料率によつておのおの同額負担する建前となつておるのでございます。本会計歳入歳出共総額二百七億一千六百万円でございまして、昨年度に比べますと約十三億五千万円の増額になつておりますが、その内訳保険金に三億円、業務取扱費に二億三千万円、予備費に八億三千万円の増額が主なものでございます。  以上が労働省所管関係歳出予算の大要でございまして、本年度におきましては国家財政の見地から極力機構の整備並びに物件費等の節約を図りまして計上いたしたのでございます。なお、各局の予算につきましては後刻御質問に応じてお答えいたしたいと存じます。
  6. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 二十六年度の労働省所管予算参考資料でございますね。それをお願いいたしたのでございますけれども、できておりますか。
  7. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) ございます。
  8. 赤松常子

    委員長赤松常子君) じやどうぞ先生方に御配付下さいませ。  只今政府の御説明に関しまして御質疑の方はどうぞ御発言願います。
  9. 中村正雄

    中村正雄君 今参考資料をもらつたところでありますし、又聞いただけでわからないので、質問はこの次に廻したらどうです。とつても今直ちに御質問とおつしやつて資料を今もらつたところで検討は終つておりません。
  10. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣はいつまでいられるのですか。
  11. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 今日はいつまでお時間ございましようか。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 午前中はおるつもりでおります。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 だからこの次の委員会にしたらどうだ、質問を……。
  14. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでよしうございますか。今資料が配付されたばかりでございますし、御研究の時間もございませんから、これに関する質問は次回の委員会でいたすことにいたしてよろしうございましようか。
  15. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 予算に関すること何といいますか、今御説明承わつたばかりで資料も今お渡しになつたばかりで検討して見なければならないと思います。併し労働大臣も午前中事情が許すようなんですから、一般的な質問というふうなことになればここで御質問するようなこともないでもない、そういうふうな気がいたすのであります。
  16. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では予算に関しましてはこの次の委員会に廻すことにいたしますが、その他一般的な労働問題に関する御質疑及び皆様がたのお手許に計画表がお渡しして、ございまして、今日の大体の問題の議題も出ておりますので、そういう問題に対する御質疑をお願いすることにいたしましよう。それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ではさよう運ぶことにいたします。
  18. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私、予算のほうをもう少し調べて見なければわからないのですが、とにかく労働省所管関係失業保険の問題なり、失業対策事業なり、或いは労災関係なんかについて、労働大臣が努力なすつたあとは見えると思うのです。これが果して全体から見てどうなるか、ほかの一般財政の振合いから見てどう考えるか、或いは時局緊迫性重要性から見てどう考えるかというふうな問題が残つておりますが、とにかくも、我々とかく政府のやつたことはけなし勝ちなのですが、これからだんだん批判しなければならんと思いますから、先ず最初にその点は保利労働大臣の非常に労を多とするということは申上げなければならんと思うのです。と同時に私よく申上げることなのですが、労働大臣として今度の予算の全体の性格を通じて私ども予算を、全体の国の予算を見ておりますと、一方においては予算面では非常な均衡予算をお作りになつておる、併しながら国際物価或いは政府輸入措置が時期的に見ても適切でなかつたために、物価は非常に高騰して来ておる。そうして兌換券の発行は政府の予想より上廻つた状態で来ておる、こういうような趨勢が続いて行くというと予算面金融血との両方から違つた方向に行くと思うのでございますが、この際にそういう点から見まして、労働大臣としては今後に対してどういうふうなお考えがあるか。ほかの委員会等労働大臣はやや時局手放し楽観的にお考えになつておるんじやないか。輸出は振興するんだ雇傭関係は減らないのだ、否殖えて行くんだ、失業者は減少するだろう、こういうふうなお考え、或いは実質賃金のほうは余り低下しないで行くんだ、労働者に対しては比較的……そういう御感覚だと、場合によると労働者権利というふうなものが時局の波によつて擁護されないという姿、すべての大きな姿のために押流されて行く、こういうことを私は先ず第一に心配するのですが、それらに対して労働大臣のお考えがありましたら、先ず第一に今日は初日ですから大きな点からお考えを付いたいのです。
  19. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大きい予算の編成と今後の国際情勢中心として経済情勢に対応し得る見通しを持つて編成されているかどうかということであろうと存じますが、これはもう、大蔵大臣財政演説で申上げている通りで、それによつて御了解を頂くほかないと思いますが、私のほうの所管としております一番大きい問題は、失業対策事業等、例を取つて申上げますと、そういう点を十分織込んで、なお雇傭失業等労務情勢全般見通しまして特に失業情勢のごとき、私は日本失業問題が可なり複雑な背景を持つておりますが故に、楽観……いわんや手放し楽観どころでなしに、この問題の深刻性というものは十分承知いたしておるつもりでございますが、併しこの予算面におきまして、私ども考えております失業対策遂行の上におきましては、少くとも今日以上に改善せられる見通しを実はつけておるような次第でございます。大体の趨勢は昨年の八月頃から日雇関係も相当の改善を……無論二回におきましては、特需或いは民間需要の増勢、それと失業対策事業の拡大によりまして、日雇労務者毒吸収率を高めて参つておりまして、大体昨今の状態では全国を平均いたしまして、就労日数においても二十日前後のところを確保しているという状態になつておりますし、この状態を更に改善して参りますために、今回の予算は必ずしも私は十分とは申しませんけれども、先ず辛抱できる程度になつておるのじやないかとかように考えております。なお労働者全体の問題であります賃金趨勢実質賃金趨勢等につきましては、これも私どもの最も深い関心を払つているところでございまして朝鮮動乱低下傾向を生じました実質家計費或いは実質賃金趨勢ニカ月ぐらいの、八九月においてそういう傾向を、低下傾向を生じておりましたけれども、十月以降再び著増しまして、事変動乱勃発前の状態を上廻る方向におります。もとより今後の国際物価影響国際情勢の進展が我が国経済に大きな影響を及ぼしますことはもうもとよりのことでございますが、この実質賃金を維持して参ります、或いは維持向上して参ります上に、何を申しましてもこの食糧その他消費資材の確保ということがもう最大でなければならん、そういう点については政府の全体の総合施策において十分期待し得るのではないかというように思つておりまして、まあそう申しますと極めて楽観論にとられますわけでありますけれども、事態は楽観はいたしておりませんけれども、万全の処置を講じて参りたいと思います。
  20. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういう点から、私まあ一例を取つて申上げますと、大体今の政府感覚は皆十一月までなんです。これは予算委員で……統計をおつけになつておるのは皆十一月までなんです。ところが十一、十二、一、二で以て非常に変つて来ておるのです。この時局が非常に急転するときにこの三カ月、四カ月というものは非常に大切なときで、日本輸入処置を誤つたということも先ず極言すれば三月か四月の問題なんです。その点世界が買手市場に廻つておるときに日本売手市場にいた。これはまあ僅か半年足らずの間に非常に日本の国に損失をかけておる、こういうふうにまあ考えるのです。そうすると労働省統計というものも私はもつとセンシブル考えて頂かなければならん。ところが政府統計は十一月まであるのですが、労働省統計は十月までしかないのですよ。で今大臣の言われたように、やはり最近の情勢大臣は見ておられるようだという気がするのですがね、でこういうふうな、殊にその間にまあ労働統計消費水準かいろいろなものについてはお変えになるとのことで少しもたもたしたということも想像できるのですが、こういうものについては、特にこういう時局の急転するときはセンシブルにして頂きたい。まあ率直に言うと性格的に言つて労働省性格はこの頃どうも労働者の実際の実情について、私はこの一例だけで批判するつもりはございませんが、こういう際ですから、幾らセンシブルにレーテイスト・データを以て御対処になつてもなり過ぎるということはないのだから、是非そういうふうにして頂かなければならない。まあこういうふうに考えておるのです。まあ卒直に言いますと悪口を曾つて会議言つた人が、労働省は大蔵省の労働省だというふうなことを言うのですから、これはまあ言い過ぎだと思いますが、私どもとしては労働問題、労働者権利を擁護しようという立場にある者から見ますると、是非その点につきましては、決して私先ほど予算についてもざつと申上げましたように是非今後とも十分御努力願わなければならんと思いますが、今日最初労働委員会でもございますので、余り細目に入りませんが、二つだけお聞きしたいと思います。これは一つあと政府委員から最近のことを聞いていいのかと思いますが、労働大臣のおやりになつたこととして非常に大きくクローズ・アップされておることは、世の中が余り認識不足だから失対事業等についての御努力は余り認識していないでみんなに頭に入つて来るのはレッドパージをなすつた労働大臣だというふうなことが主に入つておるのですが、失対事業につきましては私は別に詳しく政府委員から、殊に今度は労働大臣が努力なすつて材料費、単に労務費でなしに資材費もお見込みになつて予算化されたという点について私従来ともその点を労働大臣に申上げておりましたので、非常に今度できましたことは喜んでおりますが、と同時にこれがどういうふうに使われるかという問題はこの委員会を通じてもう少し判明さしたい、こう思つておるのですが、レッドパージにつきましては過般の前の議会及び前前の議会におきましてもお尋ね申上げましたのですが、爾後、その後の情勢というものについてはこれは法律論は今日はやめますが、労働大臣として非常に御責任を感じておられることだろうと思いますが、その点について御調査があり、お考えがありましたら、一つこの際におつしやつて頂きたい。或いは御用意が足りませんようでしたら、この次にして頂いても結構だと思います。まあこういうふうに考えております。  それから第二段の問題は、政府委員から御説明でも結構ですが、最近全炭労がストに入つた、こういうふうなその経緯につきましてここで事情を明らかにして頂ければ結構であります。この二点だけ先ずお聞きいたしたいと思います。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いわゆるレツド・パージとして整理を受けられたかたがたの何は大よそ総員において一万一千人くらいになつておるのではないかと、ただ政府といたしまして特高的な調査をいたしておりませんから個々かたがたがどういうふうにその後いたされておるかということはもとよりつまびらかにできない。ただ併しながら今日の生活環境の著しく困難な場合に職を離れたかたがたはこれは多数の、現に存在する多数の失業者と同様この前途に対しては政府として、もとより全般失業問題として重要視をいたしておるわけです。一万一千人くらいの中で現に労働者の機関を以て明らかにせられます、例えば職業安定所において取扱います失業保険の支給、そういうもので見ますと七千人弱ぐらいのかた失業保険給付を受けておられる。或いは自営をやつておられるかたもあるでしようし、或いは新たに職をきめられているかたもあると思います。全体の問題としては多大の責任関心を持つておりますけれども個々の問題として政府としては特別の取扱をいたすということは、もとよりこれは差控えるべきが当然であります。全体の問題として責任関心を持つて対処しておる次第であります。  なお、炭労のスト問題につきましては、労政局長から御説明を申上げます。
  22. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 炭労中心といたしまする全体の石炭賃金につきましては、昨年の四月の終り頃、大体一応四月から十二月までの賃金妥結をいたしまして参つたのでありますが、十二月の初めから一月以降、本年の十二月に至りまする賃金の題について、折衝が開始をせられたのであります。昨年の妥結いたしました賃金坑外夫かた当り二百十六円でありまして、全部が統一交渉で決定をいたしましたので、一応基準といたしまして全炭鉱亘つてこの基準が適用されておつたのであります。ところが今次の交渉の特徴といたしましては石炭経営自由販売になりましたような関係もありまして、統一交渉をせずに各企業別交渉組合側におきましては、炭労の集約の下に企業別交渉をやり、経営者側石炭連盟の連絡の下に企業別交渉という形で十二月から交渉が開始されたりであります。で、先ず主な炭鉱中心になりまして、昨年の十二月に大手筋三井三菱井華北海道炭礦この四社が先に交渉に入りました。これは三井におきましては、一かた坑外三百三十円、三菱坑外三百十上円、井華、住友が坑外二百八十円、北海道炭礦坑外三百二十三円という要求が出たのであります。これに対しまして会社側は第一次の回答といたしまして、三井坑外二百四十三円、三菱が二百二十七円、井華が二百四十円、北海道炭礦が二百三十七円という回答をいたしましたが、これに対して組合側不満の意を表しましたので、更に第二次回答といたしまして三井が二百四十八円、三菱が二百四十四、井華が二百四十円、北海道炭礦が二百三十七円という回答をいたしたのであります。これはいずれも先ほど申しましたように、現行賃金、即ち坑内一かた三百六十三円、坑外二百十六円よりも一〇%前後の基準内べースを上げておるのであります。ところが現行ベースは、これは御承知の二百十六円を換算いたしますと、五千四百円ベースでありますが、この五千四百円ベースを決定いたしましたときの基準生産量と、今日現在の基準生産量との、標準生産量との差が約二〇%ばかり現在上つておるのでありますが、この会社側回答ベースの二〇%上つた現行作業量基準といたしまして、只今申しました二百四十円前後のベースアップをする、即ち作業量が二〇%上つておりまして、これに関連してベースを引上げるというふうな形になつておりますのと、もう一つは従来ベースを上げるよりも、従来と申しますか、この前の解決のときに、ベースを上げるよりも精勤手当を出すというふうな形で実際上のかたをつけました。この精勤手当はこの際べース・アツプに伴いましてこれを廃止するというふうな結果になつておるのであります。従いまして現在の炭価の事情等もございますが、全体としての支払総額というものは余り変らないという程度になつておるわけであります。そこで組合といたしましては、最後的に一月三十一日に更に交渉をいたしました結果、第三次案の、これは最後案という形になりましたが、三井鉱山といたしましては坑外二百五十二円、それから三菱坑外二百四十六円、井華が二百四十五円、北炭が二百四十五円という回答を出しまして、基準生産量は先ほど申しました二〇%上りというものを一五%上りということにいたしまして、これで最後折衝が行われたのでありますが、組合側はこれを不満といたしまして、その後折衝が行われない。そこで昨日からこの四社が先ずストライキに入るということを決定いたしまして、昨日からストライキに入つたのであります。ストライキに入りましたものは、昨日現在で申しますと、三井鉱員職員が入つております、この総数が五万六千九百八十九名、三菱職員は入つておりません、鉱員が入りまして四万一千六百七十三名、北海道炭臓職員鉱員共に入りまして三万一千五百三十二名、井華鉱員だけが入りまして一万三千七百四十一名、大体の炭労方針はこのようでありましたが、これに明治鉱業一つ炭鉱が入りまして、これが七百七十七名入つておりまして、総合計十四万四千七百十二名というものが昨日ストライキに入つたのであります。  現在の貯炭状況はまだはつきりいたしませんが、十二月末現在で二百九十万トン、うち市場にありますものが百二十万トン、港頭にありますのが七十七万二千トン、坑所にありますのが九十九万九千トン、これは内訳であります。一月末の貯炭の推定は大体二百五十万トンということになつておりまして、一カ月の消費量は大体現在三百七十万トンと踏んでおるわけであります。この四社が一カ月に大体百万トン程度出しておるわけであります。これが何日続きますかわかりませんが、大体のところ現在貯炭に直ちに響くという状況ではない、こういう現状にございます。さてその他の炭鉱状況でございますが、これは九州、それから常磐、山口、その他の炭鉱がおのおの同闘争委員会を作つております。古河だけが一つ離れて会社と別途の交渉をやつておる。この炭労のほかに、日本鉱山労働組合というのがありまするが、これは主として九州中小企業中心としております。これは炭労と並行前に交渉をいたしておりまして、現在は差当り昨年の標準基準として一月から支払つて行くが、炭労のほうがきまればそれによつて処置をするという能度をとつておるわけであります。で、今朝の九州情報によりますると、九州では九州の全体の業者が一団となりまして即ち先ほど申しましたように今日までは各企業別でやるという態度でありましたものが、全部一団となつて統一交渉をやるということを、昨日九州経営者連盟から組合に対して申込んだという情報があります。それに組合が応じたかどうかはまだよくわかつておりませんが、そういう形勢の変化があつたように情報を持つておるのであります。  今後の通しでありまするが、実は我々といたしましては一月三十一日の最後的な決裂後に、七日間の余裕がございましたので、この問に再度交渉が開かれるものと見ておつたのであります。で、これに対しまして関係筋では交渉に入るようにということをたびたび勧告をいたしたようであります。又中央労働委員会等仲介斡旋に入れるようにという勧告もいたしたようでありますが、両者とも、労資双方とも仲介者を入れる、斡旋者を入れるということに対しては絶対に賛意を表さないという状況でございましたので、いずれ団体交渉に入るものと見ておりましたが、遂に昨日まで団体交渉に入らずして、昨日からストライキに入つたという状況になつておるのであります。併しながら組合実情も、或いは経営者実情も見ておりますと、やはり双方とも交渉に入りたいという意向は持つておるようであります。労働省といたしましてはこの状態に対しまして、特に貯炭状況等も睨み合しておりまして一日も早く両者団体交渉に入つて妥結に向つて進むように常時この状況にトレースいたしまして深甚の注意を拭つておるというのが只今現在の状況でございます。
  23. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私こういう二つの問題をお聞きいたしましたのも、無論レッドパージの問題は何と言いますか、特高的な性格というものが否定されておる現在として非常に実態がお調べにくいという問題は私は重々わかるのです。併し大体その数字で一万一千人ぐらいあつたことも私了承しておるのですが、今お聞きすると約七千人くらいが失業保険をもらつている、並びにその退職手当をもらい、失業保険をもらう、その両方で或る程度の取敢えずの措置は講ぜられておるのだろうということは考えるのでありますが、もう失業保険によつての保護を受ける期間もなくなつて来るというふうな状態から見ますというと、余ほど注意して、全体としての、これらの生活権というものをどう考えておるかということは、過般も私この委員会でお聞きして、要するに日雇労務者に追い込むだけが能じやないだろうということを言つたのですが、十分それらにつきまして今後とも御注意を願いたい。  それから第二段の問題につきましては、今賀来労政局長から詳しく御報告があつたのですが、この種の大きなストライキが無論強制調停にかからないにしても、中央労働委員会なり、地方の労働委員会、つまり労資双方からああいう調停機関というものが無視されるというふうな情勢労働行政としては十分お考えにならなきやならん点じやなかろうかと思います。これだけ大きな争議が労資双方だけ、まあどの程度ネゴーシエーシヨンを一生懸命やりましたか、団体交渉をやりましたか、その点もまだ明らかでないのですが、いずれにしましてもああいう折角の公の機関が利用されないということについては、今後私は労働行政においては非常に注意しなければならない点じやあなかろうか、こういうふうに考えるのであります。それらの点につきまして十分な御配慮が要ることである、こう考えますので、特に最近の事態について労政局長に御質問したわけであります。何らか御意見がありますればこの際伺いたいと思います。
  24. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御意見は御尤もでございます。十分の注意をいたして参ります。
  25. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは只今の問題、もうよろしうございますか…では今日の予定の…この問題について各委員からは別に御質疑、ございませんでしようか。
  26. 片岡文重

    ○片岡文重君 質疑ではないのですが、こういう大きな事件について今堀木委員から御意見もあつたようですが、どうでしよう、早急な場合ですから無理かとも思いますけれども、今御説明になつたような問題については謄写刷りで結構ですから、これを委員会に直ぐに出して頂いてそれを拝見しながら御説明を伺うというふうに、もう私新まいでよくわかりません、今までそうだつたかも知れませんが、これだけ特になかつたのかも知れませんが、その点を特にお願いして置きたいというのが一つ。  それから今の労政局長の御説明を伺つていると、労働省としてどの程度ごの問題に努力されておつたかということは御謙遜の意味でお話がなかつたのかどうかわかりませんが、その点どうなんです。
  27. 賀来才二郎

    政府委員賀来才二郎君) 労働省の基本的な現在の態度といたしましては、成るべく労働争議というものにつきましては、それが純然たる経済的な要求に基いて相互の間に行われております際においては、積極的にこの中に出かけて行きまして斡旋するとかいうふうな態度はとらずして、一分貸双方の自主的な解決に待つという態度をとつております。若し必要がありますればできるだけ調整機関、即ち中央労働委員会等の御活動に期待するという態度で、基本的な方針でやつてつております。併しながら一日も早く争議が片付き、或いは平和的にセツトルするということは、これはその面に向いまして協力し努力するということそれ自体は労働省の使命と心得おりますので、今度の炭鉱の争議に関連いたしましても専任の係が常時両者情報を収集いたしておりまして、それで注意をいたしておるわけでありまして大体の情報は持つておりまするが、先ほど申しましたような基本的な考え方もございますので、表面に出まして積極的に出て行くということはまだ今日現在においてはやつておりません。こういう状況でございます。
  28. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと労働省に……今の片岡委員の御発言の中でお願いいたしたいことは、これは今申されましたように、突発いたしました喧嘩な問題につきましては即時即報をお作り下さいまして各委員に御配付願いたいと存じます。  ではレッドパージの問題は次回の議題に予定をいたしておりますので、一応この辺で打切りまして、今日の予定の議題でございます第三の議題に入りたいと存じますが婦人少年局や労働統制調査部が廃止されるというような噂が昨年度から頻りに流れておりますので、その後の経過なり、或いは今日の状態なりにつきまして一応関係当局から御説明頂くことにいたしたいと存じますが、幸い行政管理庁の中川管理部長も御出席願つておりますので御説明頂くことにいたします。
  29. 中川融

    説明員(中川融君) 政府の行政機構改革に対する考え方でありますが、政府といたしましては行政簡素化、経費の節減という見地から行政機構の縮減をしたいという考えを持つておるのであります。その趣旨によりまして昨年四月行政制度審議会の答申等もありまして、只今委員長からお話のありました労働省の機構改革についてのいろいろの噂というのもその行政制度審議会の答申を契機といたしまして出て来らと思われるのでありますが、その後政府におきましては行政管理庁を中心といたしましてその行政制度審議会の答申を如何に具体化するかというような方針考えを一応検討しておつたのであります。併しながらその内容は未だ検討中という域を出ないのでありまして、今日におきまして行政機構全般而いは労働省の機構につきまして政府としての案がまとまつたという域にはまだ達しておりません。
  30. 赤松常子

    委員長赤松常子君) これに対しまして何か御質疑はございませんでしようか。
  31. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣から、おいでになるなら御所見を伺いたいのですが……。
  32. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今の問題ですか。
  33. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 ええ。
  34. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 全体といたしましては只今中川説明から申上げました通りであります。  労働省関係におきまして噂に上つております婦人少年局、統計調査部の問題につきましては、これは今後の日本の労働問題が合理的に解決せられて行きますためには労働統計重要性は、特殊な意味を持つた重要性を持つていると、従いまして労働統計の整備充実ということは今後の日本の産業労働界の安定を図つて行きます上において最も大事な問題であろうと存じまして、私は労働統計が更に充実整備せられるような機構を持たなければならない、画一的な考えを持つて対処すべきものではないという考えを持つております。なお婦人少年局の問題につきましては先議会の本会議でも申上げましたように何を申しましても婦人労働者及び年少労働者の問題、特に年少労働者の問題は次の時代の中堅産業人の問題でございますから、この行政機構は機構としても更に充実して参らなければならないとそういうふうに考えております。
  35. 一松政二

    ○一松政二君 政府の行政機構の改革に対する従前の考え方、殊に私は過去一年間これに携わつてつたので、議会の議員が口には行政整理を唱え、税金を軽減することを唱える。一度行政制度の改革に手を触れようとすると各省の長官は又みんな自分の所管にかじりついて、そうして又それをやらなければ人気がない。或いはその政府職員にいろいろな陳情を受ける。そうしてそこから犠牲者の出ることは好まないに違いない。誰も自分のところから減らしていいということを考える人は一人もないと思う。思うけれども日本の今日の現状がこのままでいいと思つている人は一人もない。役人の数が多過ぎる。これはこの前の本会議において結城委員政府への質問に述べられたようにです、自分の所管が離れれば、或いは自分がその関係の省から離れれば役人の数は半分でも或いは三分の一でもいいとは言いながら、自分がその職責にあると、一人でも減らしては困る、或いは大部分の人を減らしては困るという皆さんの御意見で、同僚議員諸君も私は品にはやつぱり税金が重い、人が多過ぎると、こう唱えております。併しながら各委員会に出ると、今度は委員所管について自分の省の一局を廃止する、或いは局が部になる、或いは課を整理するというと、又当該省から陳情もあり、或いは委員も利益代表というようなかつこうに堕して、私はこれを論議するということを非常に遺憾に考えておる。かくのごとき考え方では如何に行政機構を簡素化し、人員を減らし、それから起る国の経費を節減しようと思つても、これは余ほど勇気があり、場合によつては古い言葉かも知れませんが、暴虎馮河という言葉を使うんでない限り私は不可能であると思う。今日のように私は今政府委員から話があつたように相当衆議院では圧倒的多数を持つておりますが、まあ参議院で政府はいろいろなことについて心配される関係から或いは思い切つたこともできないのかも知れませんが、今日衆議院はあれほど多数の与党の数を持ちながら殆んど思い切つたことはできないということも恐らく私は各議員なり或いは各省の長官なり、或いは各委員の我々がやはりそのセクシヨナリズムに堕して、そうして自分のところを少くとも犠牲をミニマイズしようという考え方から私はそういう問題が起ると思うのです。で本委員会労働行政に対しての委員会ではありますが、この機構のことについて余りに委員会がですね、これに神経を尖らせてそうしていろいろとやかく論議されることを私は前の関係者として非常にこれを遺憾に思う一人であります。私の意見だけを申上げて置きます。
  36. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 一松さんのは御意見でございますからお答えするわけではございませんけれども、私は日本の行政機構全般の上から見まして、労働統計の問題、婦人少年の問題は更に充実いたすべきものであろう、こういうふうに、問題の重要性考えておるわけでございまして、決してセクシヨナリズムで行政簡素化なり、或いは機構の刷新に反対であるとか、人員の整理に反対であるとかいうような気持は毛頭持ちません。その点は御了解を頂きまして、ただ二つの問題は全体の日本の行政機構を見まして更に充実を要すべきものではないかという考えを持つておるものであります。
  37. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今の問題についてですね、一松委員からまあ非常にいい御意見もあつたわけですが、と同時に私心配いたしますのはですね、過般地方の労働事情を拝見したんです。そうすると一昨年の行政整理ですね、一昨年の行政整理でつまり官庁職員を一律に整理したわけです。そうしてそれに伴つて民間の諸会社も相当整理をして、そのときにですね、労働省は何をされたか、そうすると労働省は一律に人間をお減らしになつた。やはりよその省並みにお減らしになつているんですよ。そうすると一方において失業者ができて来れば、一方において失業対策というものはもつとウェイトが高くならなければならない。そのためにですね、労災保険を扱つている、例えば例を挙げて見ますると失業保険の件数にしたつて労災保険の件数にしたつて殖えておる。数はどんどん殖えるにかかわらず、人間はほかの省と同じに減らされている。労働基準局に行つて見ると労働行政をしていないんですよ。そうしてその給与体系も新らしいだけに実際は非常に低いんです。で、私はこれは労働者権利を擁護することに一生懸命な内閣だつたら余り心配しないのですよ。どうもそう言つては悪いけれども保利さん、今の内閣の性格は我々が見るとそう考えられない。そうするととかく反動的に一律に、実態を見ないでおやりになる。今の例を一例を挙げるとそうなんです。それで労働行政をやるとおつしやつたつてできやしないんですよ、事実。併し日本の民主化の程度から見ましてどんどんして行かなればならない。今後そういうことを十分考えたウェイトでものをお考え願いたい。そういう広い立場から、今労働大臣が一律にしないで全体から見ておやりになるというから、その時分と大臣も変つておりますから、保利労働大臣の行政手腕は大いに期待はしますけれども、併しとかく全体の流れというものは保利さんが幾らやつても……実は非常に心配しているのです。ですからその点について私は十分今度は国務大臣としての見地からお考えになつて、過般の過ちを繰返さないということだけを切にここで御忠告申上げます。大変失礼なことを言つて申訳ないけれども、これは私も労働問題を扱つている人間の一人として切に御忠告申上げます。
  38. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 只今の問題は別に御質問ございませんですね。では、本日実は労働省の各局長も出席していらつしやいましてそれぞれ所管予算に関して御説明願いたいと思うのでございますけれども、時間が如何でございましようか。次回に譲ることにいたしましようか、今日続行いたしましようか。皆様どういたしましようか。
  39. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今日は大臣に集中したほうがいいのじやないか。
  40. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それではほかに大臣に対する質問がありましたらどうぞ。……本日はこの辺で打切つてよろしうございますか。
  41. 一松政二

    ○一松政二君 この次は、何かレッドパージの問題を議するようになつておりますね。
  42. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 予定に一応いたしております。
  43. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 だから今日は余り追求しなかつたのです。
  44. 赤松常子

    委員長赤松常子君) では本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            波多野林一君    委員      片岡 文重君            中村 正雄君            山花 秀雄君            早川 愼一君            堀木 鎌三君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君   政府委員    労働政務次官  山村新治郎君    労働省労政局長 賀来才二郎君    労働省労働基準    局長      中西  実君    労働省婦人青年    局長      山川 菊栄君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  厳君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    行政管理庁管理    部長      中川  融君