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1951-05-14 第10回国会 参議院 労働・地方行政連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十四日(月曜日)    午後二時二十三分開会   —————————————  委員氏名   労働委員    委員長     赤松 常子君    理事      一松 政二君    理事      原  虎一君    理事      波多野林一君    理事      大屋 晋三君            宮田 重文君            片岡 文重君            山花 秀雄君            中村 正雄君            田村 文吉君            早川 愼一君            栗栖 赳夫君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   —————————————   本日の会議に付した事件労働行政の実情に関する調査の件  (皇居広場事件)   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 只今から労働委員会並地方行政委員会連合委員会を開会いたします。  先般の憲法記念日における皇居広場事件並メーデー皇居広場を使用することの禁止の問題につきまして関係大臣政府委員出席いたしておられますから、どうぞ御発言のあるかたは、順次御発言願います。
  3. 山花秀雄

    山花秀雄君 この前この問題につき若干質問をいたしましたが、時間の制限がございまして十分に質問ができなかつたので、又お答え願う場合のほうにおいても意を盡したお答えがなかつた考えられるので、本委員会におきまして詳細に質問し、又詳細に御答弁を願いたいと思うのであります。  本日は労働大臣関係しました問題でございまして、出席を願つていたのでございますが、何か九州のほうに出張されたというので欠席されておるのでありますが、特にこの問題は労働省管轄に深い問題がたくさんございますのに、九州方面に出張されたということは、私ども委員といたしまして甚だ遺憾に考えておるものであります。どういう御要件で出張されましたかは別に問いませんが、勢頭遺憾の意を表して置きたいと思うのであります。  第一にお尋ねしたいことは、先だつての五月三日の憲法祝典式場における不祥事件は、政府挑撥行為から現れて来た不祥事件であると私ども考える。その理由一つ一つを附して本会議質問したのでございますが、大橋法務総裁は極めて簡單にそういう問題についてはそうして御答弁をしておるのであります。一点聞きたいことは、先だつて答弁に「或いは暴力行為があつたのではないか、こういう御質問でございました。この点は私只今承知いたしておりませんが、併し発言は極めて重大と考えまするので、直ちに調査をいたしまして、事実を明らかにいたしたいと考えるのであります。」、こういう答弁がございましたが、あれから相当日時が経過しておりますが、この問題について十分なる調査をされたかどうかという点について、大橋法務総裁から御回答を願いたいと思うのであります。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この問題は、先般本会議においても申上げました通り政府側、或いは警察側におきまして、挑撥的な行動があつたというようなことがありますると、極めて重大な問題であると、かように私考えまして、直ちに検察当局調査を命じた次第でございまして、只今まで調査をいたしておりまするところによるというと、さような事実はなかつたように聞いております。
  5. 山花秀雄

    山花秀雄君 私がお尋ねいたしましたときに、集つて来ました労働者の群の中に私服警官が、労働組合員のみに着用できる俗に言う組合バツジ私服警官諸君が多数これをつけていた。具体的に申上げますというと、全電通の労働組合のバツヂ、それから民擁同労働組合バツジを多数の私服警官が佩用しておつた。これらの私服警官事ごとに大声を発して挑撥行為をやつたということをお尋ねしたのでありますが、そういう点につきましては、当日丸の内警察署に連行されました石川君が、只今こちらへ当日の模様の書面を提出しておりますが、ちよつと読上げてみます。丸の内警察に連行されましたのは六名であります。六名が丸の内署取調室に行つたが、そこまでついて来た私服民主主義擁護同盟バツジをつけていたので、六名で質問したが、返答しなかつた。これは挑撥行為を具体的に示すものではないかと思うというような証言をこちらへ提出されておりますが、そういう点について法務総裁はお調べになつたかどうかという一点の御回答を願いたい。
  6. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今まで聞いておりまするところでは、さような事実を聞いておることはございません。
  7. 山花秀雄

    山花秀雄君 私は先だつての本会議でお尋いたしましたときに、如何に今度の問題が挑撥行為であるかというその一つの証拠といたしまして、私服の警察官が手錠をはめられて警視庁に連行され、警視庁行つてその点が明瞭になつてお互い同僚同士でございますから、笑つて手錠を解いたということを明らかにせられておるのでありまするが、そういう点の追究を法務総裁はなさつたかどうか、これについて御答弁願いたい。
  8. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) その点につきましては、私としてはまだ取調べをいたしておりません。
  9. 山花秀雄

    山花秀雄君 それが挑撥行為の一番重要な点になると思うのであります。只今法務総裁答弁によりますと、まだ取調べてない、このような答弁でございましたが、この問題につきましては十分なる調査をお願いするものであります。  それから私ども質問に対しまして法務総裁は、ざつくばらんな言葉で表現いたしますと、のらりくらりというような感じのする御答弁でありますが、問題は非常に重要な問題でございまして、單なる政治的答弁というような型を一つつて頂いて、私ども真剣に質問しておるのでございますから、その点は一つ政治的答弁でなくして、事実は事実としてはつきりした御答弁を要求するものであります。  次にお尋ねしたい点は、先だつての本会議における法務総裁答弁に、三十七名の諸君釈放したことは、新聞紙上に、これらの三十七名が責任を感じて問題の所在を十分認めたが故にこれらを釈放したと、こういうふうにどの新聞においても報道がなされたのであります。それで私は三十七名の人々にそういう点が事実かどうかと聞いて参りましたところが、誰一人それを承認した人はないのであります。検挙されましたいきさつについては、全部の人が否認をした、即ち責任を持たない、反対である、こういうふうに答えたと、それらの人々は言われておるのであります。或る新聞は、国民が読んで参りますと、三十七名の人々が今度の検挙の合理性を肯定したかの感を国民大衆に與えておるのであります。これは事実を曲げるものである。事実を曲げるような認識を国民大衆に與えるということは怪しからん問題である。これらの問題について御答弁を願つたときに、法務総裁は、これは決して関係者容疑の事実について認めておつたか認めないかという問題で釈放したのではない、全くそれらの人は拘留の必要がないということによつて釈放したのである、事実はなお捜査中に属しておる。こういうふうな回答があつたのでありますが、或る新聞報道は、單なる新聞記者の自己の考えによつて報道したとは私ども受取つていないのであります。当然釈放に当つて、どこかの責任のある立場にあるかたがああいう報道新聞記者に話したのではなかろうかと思いますが、それらの問題につきましてなお具体的詳細に法務総裁として調査をされたかどうか。この点で御回答を願いたいと思います。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この問題につきとしては、先般お答えを申上げました程度で、その後特に調査はいたしておりません。と申しますのは、事は警視庁部内におきまする捜査の問題でございますので、丁度本日警視総監も見えておりまするから、警視総監からお聞きを願つたほうがよろしいかと存ずるのであります。なおその上で私どもとして調査の必要があるということなら、勿論調査責任を回避するものではございません。  それから挑撥行為云々関係でございましたが、これにつきまして山花委員におかれまして十分なる資料がおあり下さいまするならば、それを拜見させて頂きまするならば、それに基きまして一々詳細に調査をいたしたいと思つております。
  11. 田中榮一

    説明員田中榮一君) それでは当日の取締りの責任者といたしまして私からお答えをいたします。三十七名の中で三十二名だけを釈放したのでありますが、これにつきましては当日会場現場におきまして都條例集団示威運動並びに政令三百二十五号違反容疑者といたしましてその場における現行犯として逮捕をいたしまして、三十二名につきましては直ちに取調べをいたしましたところ、その容疑が薄らぎましたので釈放いたしました。従いまして釈放いたしました理由といたしましては、今回の無許可示威行進に対しまして事実取調べの必要がございませんので、それを釈放したという簡單理由容疑者釈放いたしたのであります。それ以外に特に釈放理由その他につきましては目下のところございません。
  12. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今田中警視総監答弁によりますと、三十七名のうち三十二名は公安條例、若しくは政令違反容疑が薄らいだが故にこれを釈放したのである、こういうふうに私は只今聞えたのでありますが、そういうふうに聞き取つてよろしいのでございますかどうか。重ねて一言御答弁をお聞きいたしたいと思います。
  13. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 釈放理由は、都條例違反並びに政令三百二十五号の違反容疑は薄らぎ、若しくは全然ないことが決定いたしましたので釈放をいたしたような次第でございます。
  14. 山花秀雄

    山花秀雄君 三十二名以外の五名につきましては、この問題に関してどういう取扱いになつておりますか、重ねてお聞きしたいと思います。
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 三十七名中三十二名は警視庁におかれまして釈放せられました。ただ書類によりまして刑事事件に処せられましたが、残る五名につきましては身柄と共に検察庁書類受取つたわけでございます。検察庁におきましては、四日の午後送致を受けたのでございまするが、直ちに捜査を進めまして、午後九時半に一応の取調べを終了いたしましたので、処分未定のままその後引続き捜査中でございまして、身柄につきましてはそのまま特に検事勾留という必要がないと考えまして、帰宅せしめたという次第でございます。
  16. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今大橋法務総裁答弁によりますと、残る五名は容疑濃厚でこれを書類と共に送検したが、身柄を拘束する必要がないので、身柄だけは釈放し、目下これに関して取調べ中と、こういうふうに私には聞こえましたが、この点に関して問題は検事局の手に移つておりますので、法務総裁としてはお答えできるか否かはちよつと私もわかりませんが、この問題は單に送検されたる五名だけの問題でなくして、全国の国民大衆が非常に関心を持つておる問題であります。従つて容疑公安條例政令違反というこれだけの容疑で送られたのか、他に何かほかの項目の容疑があつて送られたのか、それをお聞きしたいことと、相当日時も経過しておりますので、この問題が正式起訴になるのか不起訴になるのかというような点が、若しお答えできるような段階に入つておれば一つお答えを願いたいということと、それからいつまでもぐずぐずどちらになるかわからんというような不明瞭なことのないように、てきぱきとこの問題の処置をして頂きたいと考えるのでありますが、これらの問題につきまして、大橋法務総裁見解を承わりたいのであります。
  17. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この事案につきまして徒らにぐずぐずせずにてきばき処置してほしい、こういう山花委員の御発言に対しましては、私全然同感でございます。只今残る五名につきましては、容疑の事実といたしましては、御指摘になりましたごとく、政令三百二十五号の違反並びに東京都公安條例違反、こういうことで検察庁においては事件を受理いたしたのでございますが、その後捜査の過程におきまして政令違反容疑は稀薄となりました。目下主として問題になつておりますのは、公安條例違反ということでございます。ただ五名中一名だけにつきましては、このほか公務執行妨害というものがあり、他の四名のかたは、公安條例違反だけの問題ということに、只今つているように聞いております。そしてこれの処理につきましては、目下急いでおりますからそう長くかかるようなことはぽいと、又できるだけ早く措置いたしたい、こういう一応私としても検察当局に対しては希望いたしております。恐らく山花委員の御趣旨に副うように急速に処理できるであろうと考えております。なお起訴起訴の見込みにつきましては、只今申上げる段階に至つておりません。
  18. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと皆様に申上げたいのでございますが、岡崎官房長官はほかに二つの委員会に御出席の御予定だそうでありますから、先に官房長官に御質問のおありになりますかたは御発言を願いたいと思います
  19. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それでは岡崎官房長官に御質問いたしたいことが一つありますから、お尋ねしたいと思います。私は憲法発布式典のときは遺憾ながら欠席をいたしましたので、当日の模様につきましては熟知いたしておりません。ただこの問題につきまして先般山花議員から本会議におきましし吉田内閣総理大臣、その他の閣僚に質問をせられましたときに、吉田首相は五月一日のメーデを禁止したということについての御答弁の中に、いういう意味のお言葉があつたと私は記憶いたしておるのであります。即ち宮城広場というものは、国民のきれいな公園という言葉がありましたが、広場という言葉がありましたか、とにかくきれいな所としておいて置きたい、そうしてあの所においては、労働者デモのようなことはやらしたくないというお話がありまして、議席の中から、それでは労働者が汚いのかというところの彌次が数カ所から起つてつたのでありますが、そういう御答弁に現われたところの吉田首相政治的な御意見、或いは政治感覚と申しますか、そういうもののうちに、私は実に現在の吉田内閣為政者であるところの日本政治的危機がひそんでおる、最大政治的危機が、ひそんでおるということを、私はあの本会議の御答弁を聞いて実は痛感いたしましので、直接首相に御答弁を聞くべきでありましようが、御出席ありませんから、その名代としての官房長官の御答弁を、その意味において伺いたいのであります。その吉田さんの御答弁のうちに最大政治的日本危機がひそんでおるという私の考えは、終戦後、日本はこういうよらな民主主義的な憲法を制定いたしたのでありまするが、憲法その他の憲法基本法といたしました諸種の法律の改廃において、成るほど制度及び法律というものは、憲法におけるがごとく、民主主義精神を表現したところのものがあるのでありますが、これに盛られるところの内容というものが殆んどその実に副うていない。而も為政者であるところの吉田内閣は、その実質においては、制度制度としてそのままに置いて、国民の動向をば、新憲法精神に如何にしたならば、背致する方向にリードすることができるかというような政治ばかりやつていらつしやるということを私は痛感いたすのであります。その具体的な例は幾つでも私は挙げることができると思うのであります。それで今のメーデー禁止の問題についても同様のことを感ずるのであります。民主主義憲法は、即ち人民主権憲法でありますが、憲法精神からいたしまするならば、終戦後連年引続いて行われて来ましたところのメーデーメーデーは即ちアルバイト・デーインストでありまして、労働祭であります。労働者自分労働の神聖を讃え、又生産者誇り喜びとを讃えるところの神聖なる私は民主主義的な祭典であると考えるのであります。ところが吉田さんのお言葉には、彌次の中に、労働者はそれでは汚いのかというような彌次が飛びましたような、労働者というものが、何か吉田さんが考えていらつしやる民主国家を構成するところの最も主要なる生産者であるというような、国民生産者的な根幹をなす階級であり、グループであるというような考えが少しも含まれておらん。そうしてその宮城広場において労働者が今言つたような意味においての祭典を行うということが、昔の官僚軍閥政治、或いは旧憲法プロシヤ憲法専制的憲法の焼き直しであつた憲法の時代と少しも変らないところの、極めて封建的な、保守的な見解においてそれに臨んでおられるということを私は感じたのであります。  で、社会党が知事及び市長を出しておりますところの京都におきましては、あの五月一日のメーデーにおいては知事市長もその祭典に参加して、そうしてこの労働者喜びを共にいたすところの挙に出ておるのであります。私は新憲法下におけるところの天皇は、むしろ進んでこの神聖な労働者の、生産者誇り喜びを讃えるところの国民的、民主的祭典天皇みずからが進んで参加せられるというところの意思を表示せられ、又そういう行動に出られることこそ私は新憲法精神を表示するところのものでなければならないというようにまで私は実は考えておるのでありますが、何かそれを汚らわしいものである、汚いものであるというような感覚吉田首相メーデーに臨んでいられるばかりでない、そのほかのこと全般についてそうでありますが、それについてどのように官房長官はお考えになつておるかということをまあお尋ねしたいのであります。先に申しましたように、これが吉田さんのように保守的な、封建的な旧憲法的な精神が少しも拂拭されないで、新憲法民主的制度に離れて実質的には、昔と同じような政治が行われておるということが、何故に政治的な日本危機であるかと申しますならば、御承知通り、第一次欧州大戦においてドイツは、日本の旧憲法プロシヤ憲法の焼き直しでありますが、ああいうものをば投げうちまして、御承知のように民主主義的、或いは社会民主主義的なワイコール憲法を制定しまして、そのワイコール憲法のなかには、日本の新憲法と同じように、国権は国民より発するものであるという人民主権を讃えておるのであります。ところが長年のドイツにおける、或いはプロシヤにおけるところの封建的な、専制的な政治というものは、ドイツプロシヤ国民をばそういうような民主主義を理解せしめることが非常に困難である。従つてドイツ国民の実生活はワイコール憲法民主主義的精神から全く遊離したところの生活が行われておつたと思うのであります。私も当時その時分一年ばかりドイツにおつたのでありますが、それが、そのことがヒツトラーの私は抬頭を促して来た法律的の立場からの最大の原因である。そこに共通するところのものは今日の日本政治にある。そうしてそれがメーデー禁止ということに現われておるということを私は感ずるのであります。又あの時の御答弁のうちに、吉田さんはデモはいけないということを言われましたが、岡崎官房長官は外務省の役人であつたんでありますから英語もよく御承知だろうと思いまするが、デモデモンストレーシヨンという言葉の略語でありますが、デモンストレーシヨンという意味は、商店等においてシヨーウインドーの中でマネキンガールがいろいろな宣伝をやることもデモンストレーシヨンと言われておるのであります。デモはなぜいけない。実際の祭典というものはこれはことごとくデモンストレーシヨンであります。デモである。憲法発布祝典というものは、憲法民主主義的な精神デモンストレーシヨンするためのこれはテストである。そういう意味におきましてデモはいけないというような言葉は甚だ私は理解することができないのでありますが、以上述べましたようなことにつきまして、吉田首相に代つて吉田内閣の大番頭である岡崎官房長官の御答弁をお願いします。
  20. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今いろいろ御意見がたくさん出ましたが、御意見は御意見として伺うだけにしまして、御質問の点だけを申します。  先ずメーデー禁止ということを言われましたが。我々はメーデー禁止した覚えは全然ありません。ただ宮城広場を使用せしめるかどうかという点だけが問題なのでありまして、我々のほうでは、宮城前は困る。併しメーデーは盛大にやつてもらうことには賛成であるから、例えば神宮外苑等を使用するつもりなら、進駐軍に話をして、進駐軍の専用として使用されておる運動場も開放してもらうように手はずがしてあるのです。再三申入れておりますので、メーデー禁止したという言葉は当らないと思います。  それから我々は、吉田総理のことをおつしやいましたが、吉田総理もそうでありましようが、我々も保守的だと言われることには何ら異存はないのでありまして、我々は保守的であります。併しながら保守的と封建的と一緒にされることは甚だ心外でありまして封建的ではないのでございます。そこで問題になりますが、吉田総理発言言葉尻を捉えていろいろ彌次が飛びましたが、吉田総理の言われることは、労働者が汚ないとか、そういう意味ではないのでありまして、あすこ、宮城広場というのは、いわば東京玄関であり、従つて日本玄関であります。又すぐ向う側には陛下もおられることでありますから、あの場所をきれいに、できるだけきれいに保存して置きたい、こういう意味であります。そして京都のこともおつしやいましたが、実は京都の、打明け話みたいになりますが、京都市長が、吉田首相京都に滞在中に面会を求めて、京都においては円山公園以外に適当にメーデーをやる場所がない。ところが円山公園はほかの組合に専有されてしまつておるので困るから、京都御所の構内をメーデーに使わしてもらいたいというお話があつたそうであります。そこで東京におきましては、他に換地といいますか、ほかにやり場所があるからして、宮城前は困るということを言いましたが、京都の場合はほかに、実際ほかに場所がないそうでありまして、これは厚生省等では、東京京都も同じように扱いたいという希望がかなり強かつたのでありますが、吉田総理発言によりまして、京都のほうは御所を使用せしむることに同意したほうがいい。然らずんば実際上メーデーは行えなくなつてしまう、こういうかなり強い総理自身発言によりまして、京都の場合は、特に例外を認めることにいたしたくらいでありまして、メーデー禁止するなどという意思は我々には毫もないのであります。
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私の言葉が少し足りなかつたかと思いますが、もとよりメーデー禁止と言いましたのは、宮城前におけるところのメーデーの実行をば、今年に限つて禁止せられたことについて私は御答弁を促しておるのであります。御答弁のうちで自分は封建的ではなくして保守的であるとおつしやいましたが、私たちは言うまでもなく、社会主義、或いは社会民主主義政治的信條としている政党者でありますから、社会主義、或いは社会民主主義立場において申すべきでありますが、私が今言つておることはそういう意味ではないのであります。即ち何といいますか、ブルジヨア・デモクラシイといいますか、即ち新憲法精神に反するところの政治的お考えであると申しておるのでありまして、只今の御答弁に現われたる岡崎官房長官及び吉田首相等の保守的とおつしやつておるのは、即ち私は民主主義、或いはブルジヨア・デモクラシイ精神に反するということを申上げておるのでありまして、私の見るところでは明らかにこれは新憲法の基本的、精神である民主主義に背反するところの考えであつて、取りも直さずそれは封建主義であります。フユーダリズムの精神でありますということを私は感ずるのであります。新憲法のむしろ精神的、いわばそれは單なるイギリスの労働党がコンサヴアティーブと言うているような意味でなくして、リアクテイヴ即ち反動であると考えるのであります。まさにそれは私ども見解を以てすれば封建主義であつて、それが封建主義ではないとお考えになつているのがむしろフユーダリズム、封建主義ということに対する、社会通有の言葉の解し方と反した解上方で、あなたはお考えになつているということを申上げ、又かような意味をお帰りになつたならば吉田総理にお伝え願いたいと思います。なお申上げておりましても、意見の相違になるでありましようから、今の言葉に対する、私たちはそれは明らかに反動であつて、イギリスの保守党というようなものが言つておるような意味においての保守主義ではない。封建主義であるということを申上げて置きます。
  22. 山花秀雄

    山花秀雄君 引続き大橋法務総裁にお聞きしたいのでありますが、岡崎官房長官は他に所用があるそうでありまするから、大橋法務総裁に対する質問はあと廻しにいたしまして、若干岡崎官房長官質問をしたいと思います。先だつての総理の答弁労働大臣答弁によりましても、皇居広場メーデー行事に貸さなかつたのは、その理由一つとして去年の五月三十日の不祥事件を挙げておるのであります。去年の五月三十日の不祥事件と、このたびメーデー責任を以て主催せんとする労働組合総評議会とどういう関連性があるかという点についてお答えを願いたいと思うのであります。
  23. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 労働大臣の御答弁の中にどうあつたか私もはつきり記憶しておりませんが、事実はこうだろうと思います。皇居広場を今までのように開放しないということになりました動機は、昨年の五月三十日の不祥事件に端を発したのでありまするが、メーデーとは直接に関係はない。つまりメーデー禁止するという意味ではなくして、何と申しますか政治的或いは宗教的の特別の行事にこれを開放することは今後やめようということになりましたので、その動機だけだと思います。そしてこういうことに決定いたしました一つ理由は、その当時我々の所に日本中の、大袈裟に言えば、各地からいろいろの意見が参りまして、その中には無論集会、当時問題になりました集会、デモ禁止するのはけしからんという意見もたくさんありましたが、同時に皇居広場というものは性質が、そしてできるだけ手入をよくして綺麗な場所にして国民みんなが楽しめる、又誇りに、こうい綺麗な所があるのだというような誇りにできるような立派なものにして置かなければならない。今までのように何にでもあそこを開放をして、あそこはまるで政治闘争の舞台になるようなやり方は、政府としてけしからんじやないかというような意見も、いろいろの意見で、それだけじやありませんが、そういう趣旨の意見も随分日本の各地から参りまして、我々はあそこを今のように特殊のものに使わせないで、国民一般に楽しめる場所にし、国民的の行事にこれを使うということにしたのは、いわば日本国内の各方面の輿論のバツツクもあつたものと考えておつた次第でありまして、その意味から申しますと、あの不祥事件が動機となりましていろいろの意見も我々の耳に直接入つて来たのでありますが、その当時も新聞にたしか申しましたことでありますが、発表したと思いますが、たしか警視総監の発表じやなかつたかと思いますが、メーデーというものは特殊のものであるからして、これは又一般には禁止しても、メーデーのことについては更によく考えるというような趣旨もたしかあつたと思います。そのくらい我々はメーデーというものについては重要視しておつたのであります。従つて今度そういう問題が提起されましたときには更にいろいろ検討いたしまして、又一般の規則はそうであるけれども、再考はして見るということも組合の代表者に考からも申したことがあるくらいでありまして、決して一片の規則でメーデー簡單に片付けたわけでもないのであります。
  24. 山花秀雄

    山花秀雄君 皇居広場国民全部が楽しむ美しい場所にして行きたいと、こういう政府見解につきましては、私どももあの広場を美しい場所にして行きたいという点では、何んら躊躇するものではございません。五月一日のメーデー行事は年に一回の行事であります。先だつて吉田総理大臣が答弁されたような政治的要素を含む集会では、只今メーデーでは断じてないのであります。戦争前の労働運動が非合法のような形で闘われておりました形のメーデーは、私は労働祭典という内容を整えていないというとを肯定するものであります。併しながら終戦後連続五回に亘つて皇居広場において行なわれたメーデーは、明らかに労働祭典であります。年に一回の労働祭典、而も終戦後連続五回に亘つた祭典には、五十万人以上の労働大衆があの広場につどつておるのであります。これを單なる労働集会、單なるあの広場の前において今日まで行われました賃金値上、弾圧反対、食糧獲得、こういうような労働者の、吉田総理大臣が考えておるいわゆるデモンストレーシヨンと申しましようか、そういう意味の大衆的集会と、五月一日行われるメーデー集会とは、全然本質的に違う性質を持つておる。こういう意味で私どもは、五月三十日の不祥事件にあたかも関連し得るような概念を国民大衆に與えながら、会場の使用禁止を行なつたということは明らかに日本労働運動弾圧の様相を会場使用禁止において行われておるというふうに考えておるのであります。先ほど換地を提供しておるからあながちメーデー行事の弾圧でない。然らば東京都内において地理的に見て、場所的に見て五十万人以上の労働大衆が参集できるような換地があるかどうか。私はないと思うのであります。例えば広々とした場所はございましても、交通の便、地理的に見てそれが適当であるかどうか。こう考えて参りますと、私はないと思うのでありますが、五十万人以上参集できる交通の便を考えた換地があると政府当局はお考えになつておるかどうか。若しなければ明らかにこれはメーデー禁圧の政府考えに違いないというふうに我々は断定しておるのであります。この点につきまして先だつて労働大臣答弁は、労働祭典と認めてこれを盛大に行わしめたいというような答弁がございましたが、総理大臣の答弁労働大臣答弁とは全く反対の趣旨の答弁をされておるのであります。私は官房長官に総理大臣の答弁政府当局の答弁であるか、労働行政に携わつておる労働大臣答弁政府当局の答弁であるかというような点についても一つお答え願いたいと思うのであります。
  25. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 先ず第一の点でありますが、過去五年間メーデーを行われましたことは、山花さんの言われるのと私どもちよつと考えが違つておりまして必ずしも非常に‥‥、労働祭典と申しますか、そういうことだけではなかつたと思います。そこで過去のようなメーデー皇居広場でやろうということであつたならば、我我は恐らく即座に反対したであろうと思います。併し今度は、主催者もまるで違いますし、又主催者のみならず、組合員の考えもまるで違いまして、健全なる労働運動をできるだけ大きく繰拡げて行こうという考えであることについては、我々も信じて疑わないのであります。そこで今度の場合は前と違うという考えからいろいろ再考をいたしたのでありまして、前と同じだとは私ども考えておりません。  そこで今度第二の問題になりますが、神宮外苑は換地というのはちよつとおかしいのですが、我々は皇居広場以外の場所ならどこでやつてくれても結構、差支えない。併しながら若し神宮外苑でやるという考えになるならば、特に進駐軍のほうにも話をして、専用の運動場もこれに開放してもらうように手はずはしますからというので、必ずしも神宮外苑を使えということを言つたわけではないのであります。そこで交通の点等を考えてみましたが、御承知のように皇居広場でありますると、普通の交通の便は市内電車だけで、それから少し離れては省線があります。神宮外苑の場合は、省線が大体皇居広場と同じくらいの距離にありまするし、市内電車もこれを取巻いてあります。そのほかに地下鉄がありまして、この点では普通の、例えばトラックに乗つて来るのに一番近いところという議論になれば別でありますが、普通の交通機関を使用することによつては、神宮外苑は皇居広場に比べて勝りこそすれ劣るとは考えておりません。又従来のメーデーに集つた人たちの数から見まして、神宮外苑はこれを收容するに十分であろうという結論に到達しておつたのであります。  それから吉田総理労働大臣意見の食い違いというようなことをおつしやいましたが、今速記録がありませんので、私は正確にはお答えできませんが、私ども聞いておりました範囲内では、特に食い違いと思われるところはなかつたような感じをいたしました。なおこういうことを言うと、組合側のかたに非常な御迷惑がかかると思いますが、念のために申しますと、メーデーの問題では、いろいろ組合側の人とも話をいたしました際に、これは一体政治的の集会であるかどうかという点にも言及をいたしましたが、我々の会いました人たちは、必ずしもこれは政治意味は全然ないというわけにはいかない。例えばプラカードその他においては、平和主義、平和三原則も謳うであろうし、その他いろいろの文句が入るであろうから、必ずしも政治的でないというわけにはいかんが、若しそういう政治的のものを一際取除いたらどうするかというような議論もあつた次第でありまして、労働大臣も総理大臣も全部を言い盡さなかつたかも知れませんが、その一部分、一部分になるかもしれませんが、いわば総合したものが政府意見であると御承知下さつてもいいのかも知れません。この点はよく研究して……、即座にお答えはできないと思います。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今官房長官は、従来のようなメーデー山花さんの言われるような労働祭として考えるだけのものではない。單に、まあ率直に言いますと、政治的な要素が強いということになるでありましようが、そういうようなものであつたならば、即座に今回はいろいろ考えることなしに禁止する考えであつた。こういうことを言つておられるのですが、それは皇居前の広場を使用するということを禁止する、一言にして拒絶するということでありましようか。それともどこの地域においてもそういう意図によつて行われる集会メーデー禁止するのか、こういうお考えであられたのか。この点簡單なことでありまするから、はつきり御答弁つて置きたいと思います。
  27. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 無論只今のは皇居前の広場の使用であります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 皇居前の広場のおいて政治的なものであるものは許可しないということは、それは何らかの公園使用の規定なり、或いはそういう考えからあることとは、どうもメーデーの問題に関しては私は違う考えをお持ちになつておるのじやないかと思うのです。率直に申しまして、集会についてのいろいろな合法的な手続を踏んでそうしてやられるデモが、政治的意図があろうがなかろうが、こういうことは何ら政府の知つたことでないだろう。而もそれを皇居前で行うということを、それ自体だけが官房長官からいえば問題である、こういうふうにまあ聞き取れるのですが、そんなら伺うのですが、どうも納得できない点がある。皇居広場東京の、日本玄関として綺麗なところとして置きたい。天皇のお近くにある場所として、清浄なものとして置きたい。これは何か裏側を我々が聞くというと、神聖にして侵すべからざる場所として置きたいというふうな気持が、官房長官の口を通して誠に物やわらかい民主的な言葉として解明されたように聞くのですが、その理由と、政治的宗教的なものには使わせないという理由とが、今回のメーデーに関してどつちが使用させないという意図のほうの理由になつておるのか、はつきり御答弁願いたい。
  29. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) ちよつと今のあなたのはつきりという点がわかりませんので、もう一遍ちよつと……。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 再三先ほどから皇居広場のあり方というものについて、きれいな場所として置きたいという考えと、それから政治的或いは宗教的行事には使用させないということと、この二つ、常にメーデー問題で理由をおつしやつておられる。メ—デーであろうが何であろうが、皇居広場を使つたあとに紙屑が散らけたりして、それを清掃すればこれは綺麗になるところなんで、労働者が集れば汚いというようなことは、これは長官といえども言えないことでしようから、いろいろ理由もあるのですが、政治的な集会であるからいけないというふうになるのじやないかと私はまあ結論付けておるのですが、どつちの理由によつてこれを禁止するというお考えであつたのか。率直に伺つて置きたいということであります。
  31. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはまあどつちの理由ということは私はないと思つております。綺麗というのは、ただ形の上で綺麗というだけのことではないのでありまして、要するに国民一般が楽しめるようなところとして、国民全般の行事のときだけに使いたい。そのほかは普通の遊ぶ場所、散歩の場所としてここに一般に取立ててどの団体がどういうふうに使うということなく行いたい、使用させたい。こういう意味でありまするから、自然一つ政治目的を持つた行事にこれを使いたい、或いは特殊の宗教的な目的に使つたりすることは避けたい、こういう意味であります。
  32. 原虎一

    ○原虎一君 官房長官にお伺いしますが、皇居広場を今政府が言つておりますような理由の下に、メーデーその他政治的集会に使用を禁止しようという決定をなされた時期と、それから明確にどういうようなものには使用を許さないという点を御説明願いたいと思います。
  33. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 正確に期日は覚えておりませんが、昨年の六月であつたと思います。それは五月三十日の問題が起つた直後にいろいろ研究しました結果でありまするから、たしか六月中だと思います。これは厚生省の管轄の場所でありまするから、厚生省のほうでそういう規則を作つておるのであります。それには今申しましたような政治的若しくは宗教的ということがあるはずであります。
  34. 原虎一

    ○原虎一君 政治的、宗教的な会合ということになりますと、どの範囲のものを以てされますか。これはどこで一定の標準をきめられておるのであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  35. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 普通の場合ですと、これは厚生省のほうで、管轄の省として厚生省だけできめるはずであります。ただ、メーデーのごときものになりますと、厚生省限りできめるわけにもいきませんから、我々のほうも相談にあずかり、或いは法務総裁にも御相談する、関係の方面にいろいろ各省と、全部の省でもありませんが、関係する省には労働省も無論そうでありますが、そういうようなことで愼重に取計らうことにいたしております。ですから我々のほうから言いますと、普通の集会とメーデーの集会とは区別して考えておるわけであります。
  36. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、大体今度の皇居広場メーデーに使用させないという御決定は、官房長官の権限、責任において行われたように思われまするが、そう解釈いたして差支えございませんでしようか。
  37. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは官房長官には別に権限はないのであります。政府の決定とお考えになつて結構だろうと思います。
  38. 原虎一

    ○原虎一君 一つお伺いしたいのは、この本年のメーデーに、皇居広場を使用したいという組合側から申出がありましてから相当期間折衝があつて、その折衝内容まで只今官房長官から御説明がありました。そういう折衝の衝に当られた政府側として、責任を持つた折衝は官房長官がおやりになつたのじやないか。この点をお伺いしたい。
  39. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私も責任の一部は、無論分担しておりますが、管轄である厚生省、及び労働問題を取扱つておる労働省等も無論政府の一部として交渉にも当つております。相談もいたしております。
  40. 原虎一

    ○原虎一君 或る新聞報道によりますと、本年のメーデー皇居広場を使用させないということについて労働組合側と相当に折衝が重ねられまして、講和の締結を前にいたしましてこういう問題が国際関係に影響いたすことも相当に考慮が拂われて、その結果当時京都におられた総理に対して某々の両名が本年に限り許可をしたらばどうかという意味の意向を持つて吉田総理に折衝に行かれた。ところが新聞記事によりますると、総理は、労働組合側が外国までの力を借りてという意味の表現でありますが、皇居前を使用しようというような運動をするならば、それこそ直ちに禁止すべきだということで、遂に本年の使用も禁止されたという記事が出ておる。これは我々は皇居広場の使用の禁止が單に労働組合に対する弾圧の一つの現われとして我我が質問をし、抗議をするばかりではなくして、こういう大きな問題を決定されるには、余りにも我々から申しますれば一方的であり、労働組合がそういう問題について、外国の力を借りてあえてこれを使用しようという運動をしたとは我々は考えていない。併しそれは直ちに今日報道機関によつて報道されるのであります。それが日本の民主化、日本に対する外国の認識の資料になるということは止むを得ん。従いまして私はお聞きしたい点は、新聞記事にあるごとく、当時京都におられた総理に伺いに行かれた事実があるかどうかということを一つお伺いしたいのであります。
  41. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは我々も重要な問題と考えておりましたから、総理にも京都へ連絡に人を出して相談いたしました。
  42. 原虎一

    ○原虎一君 その事実があるとしますれば、その新聞記事は私は信用のできるものだと思う。総理の御出席を願わなくても、総理の御見解が、伺いに行かれた人に與えられた御回答がその新聞にあつたと同様に承知してよろしいかどうか、その点をお伺いしたい。
  43. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 総理がどういう意見を述べられたかは私はここで言うべき立場にありませんが、新聞記事は必らずしも正鵠を得ておらないということだけは申上げられます。
  44. 原虎一

    ○原虎一君 そこで私は先ほど吉川委員が言われましたように、あえてドイツの例をとらなくても、この現実が吉田総理労働組合に対するお考えというものが、如何に保守といいますよりか、反動的であるということを言わざるを得ないのであります。(「わかつちやいないんだもの」と呼ぶ者あり)理解されていない、甚だ失礼ではありますけれども……。而もその新聞記事が正鵠を得ていないにいたしましても、外国の力を借りて皇居広場を使用することを、政府に圧力を加えるような労働組合に対しては、直ちに禁止すべきだ、皇居広場の使用を禁止すべしと言われたといたしますれば、又そういうふうに新聞報道されたのを、我我がまさかこの新聞記事は間違つていないと思うような今日の総理の言動というものが、いわゆる保守反動的なんであります。官房長官の御説明がありましたように、講和を前にして一考すべき重大問題であるということをお考えなつたことは、恐らく今の御説明によりますれば、官房長官並びに労働関係諸君考えられたと我々は思います。この点は我々にとつて今後労働組合運動に対する吉田政府考え方というものが問題なんであります。講和を前にして遺憾なことだと思います。御承知のごとく、政府はリツジウエイ総司令官の許可を得て、国際労働会議にこの七月にも出て参る。こういうことが国際間の連絡が絶えずとられているときに、問題にならずにはおらないのであります。我々は單に政府を攻撃するために申上げておるわけではなくして、いわゆる労働政策、それの基本的な考え方を我々は問題にするのであります。このことを申上げて、いずれ今日は総理の御出席がないと思いますから、総理の御出席なくして想像で質問し、議論することは時間的にも当を得たものでないと思いますから、この問題は今申上げたように、いずれ総理の御出席を願つて明確にいたしたいということを申し上げて、私のその部面の質問は終ります。
  45. 山花秀雄

    山花秀雄君 九日の本会議で私の質問に、労働大臣は次のような答弁をしておるのであります。最高司令官の見解発表について政府は何らかの関與をしておるものでないかと質問されたが、さようなことはない、こういう答弁をしております。私はこういう質問は全然しなかつたのであります。議事録もちやんとここにございますが、しないのに関與しておるものでないと答弁されました労働大臣のこの答弁について、若干私は疑義を持つのであります。何か逆に申上げますと関與しておるのでなかろうかという疑義を持つたのでありますが、それはそれといたしまして、この問題に関して政府労働組合が自主的に解決しなくてはならない問題に関して、リッジウエイ最高司令官の見解発表が御承知のように声明されたのであります。私はこの問題について最高司令官の見解発表を声明せしめるに至つた政府の不手際は大なるものがあると考え、その質問をいたしたのでありますが、労働大臣も総理大臣もこれについては何らの回答がなかつたのであります。これについて政府はどのように責任を感じておられるかどうか。この機会に官房長官を主体にして御回答を願いたいと思います。
  46. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今お話につきましては、労働大臣と同じく政府は何ら関與しておらないのであります。そこでちよつと事情をお話したいのでありますが、司令部に迷惑をかけるといけませんので、ちよつと速記をとめて下さい。
  47. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  48. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を始めて下さい。
  49. 山花秀雄

    山花秀雄君 今のに関連しておりましたならば、速記をとめてもらつても結構なんですが、労働組合のほうで法を守らないから、政府は断固たる処置をとつた、司令部の関與するところでない、こういう御答弁でありましたが、司令部の声明の一節にも次のようなことを明瞭に声明しておるのであります。「この問題につき最高司令官として声明を発したが、しかし、公衆の集会の権利を保護し、日本の自由な民主的な労働運動の健全な成長を奨励して行くことは最高司令官の心から切望するところである。」このように見解の一節には、日本の民主的労働組合の発展育成を願う意思が表示されておるのであります。私はこの声明は憲法第二十一條の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」この新らしい憲法に則つて、司令部のこの声明発表の、見解発表の一節になつたと思うのであります。いずれにいたしましても、この問題に関して司令部の見解発表に至らしめたる、その政府の不手際を我々は問題にしておるのであります。只今官房長官答弁によりますと、それについては政府責任ない、私は言語同断だと思うのであります。責任ないことはない。こういう心配を司令部にかけたこの不手際を、政府としては十分反省すべき、謙虚なる態度に出るべきが当然ではないかと私ども考えておるのであります。この問題に関しまして、今一応官房長官の明快なる御答弁を願いたいと思うのであります。
  50. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今山花さんの読上げられました司令官の声明の一節を確かにその通りでありますが、すでにそれに附加つておると思います。それは、日本政府のとつた処置はこの趣旨に反しておらない、こういう点が加つておると思います。我々は司令官の言われる通りでありまして、健全なる労働組合の発達を祈つておるのでありまして、今度とりました処置につきましても、先ほど申上げましたように、京都においては場所がないからそれを禁止すれば、労働メーデー禁止したと同じ結果になるから、特に例外として御所を使用することを認めようということになつたのも、その趣旨にほかならないのであります。我々としては、やるべきことは十分盡くしておると考えておりまして、若し司令官の声明発表に至つたことが特別の理由ありとすれば、政府のほうに不手際があるとお考えになる、これも我々も直接話をして解決できなかつたのだから、そういえば不手際かも知れませんが、これは相手のあることですから、我々としては盡すべきととを盡してできるだけのことをする以外に方法はないのであります。それで私は特に責任はない、こう申上げた次第であります。
  51. 山花秀雄

    山花秀雄君 只今官房長官回答は、何か非常に面子にとらわれておると思うのであります。これ以上いろいろ論議いたしましても、水掛け論のような形になりますから論議はいたしませんが、司令部の見解発表の、民主的労働組合の育成を願うという精神を、十分政府考えて頂いて、今後の労働行政一つつて頂きたいことを希望いたしまして私の官房長官に対する質問は終りたいと思うのであります。  なお、大橋法務総裁に対する質疑は、継続中でございますが、他に官房長官に対する質疑もあろうと思いますので、それが終りましてから私の法務総裁に対する質問を継続して行きたいと思います。
  52. 赤松常子

    委員長赤松常子君) この際官房長官も電力問題の特別委員会から出席を要請されていらつしやるそうでございますので、どうぞ簡単に……。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一般概論的な質問はいたしませんで、簡單なところをお聞きしますが、我々地方行政委員である立場から治安警察、そのほうの問題としてお聞きしますが、五月一日のメーデーに関して労働組合側から、先ほど言われたような指令を出したとか、或いは法を無視して決行するという意向のある時期において、政府は国警なり或いは都の公安委員会等に如何なる対策について要請せられておつたか。又そうした要請が組合側がメーデーを行わんということになつた場合に、又どういう措置をおとりになつたか、これが第一点であります。  第二点は、切離した五月三日の憲法式典の問題でありまするが、我々地方におつて新聞記事等によりますと、組合側において云々ということに対して、何らかの措置をとるような政府側の記事が載つてつたのでありまするが、事実五月三日には五千人に余る警察官が動員せられておるということでありまするが、これは政府として又関係者に対してどういう要請をせられたのであるか、この点お伺いして置きたいのであります。関連しまして法務総裁警視総監には答弁如何によつて質問いたします。
  54. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 御承知のように、政府は一般的には治安維持の責任を負つておりますが、例えば国警を指揮することもできなければ、いわんや自治体警察を指揮したり、要請したりすることはできないのであります。これは無論公安委員会と国警なり自治体警察なりの仕事でありまして、大橋法務総裁といえどもそれに対する連絡その他の事項、予算関係その他についての担当をいたす程度にとどまつておるのが実情であります。従つて政府としては、自分のほうの持つておる情報を警察方面に提供することはありまするけれども、要請するという程度にも行つておらない。従つてまあそう言うと或いは警視総監等に御迷惑かも知れませんが、皇居広場につきましては、五月一日も五月三日も都の公安委員会警視総監等の連絡によつていろいろの警戒等がなされたことと考えておりまして、政府は直接には知らないのであります。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 公式にはその通りのことなんでありまして、私のお聞きしていますのは、憲法式典はこれは国家的な式典であり、政府側がまあ主宰者の一人であるという形におきまして、式典が完全に遂行せらるるがために、一般人民が警察なり公安委員会にいろいろお願いをするということと同様な、式典をうまくやりたいということで何らかのそういう要請、連絡をとつたのかどうかということをお伺いしております。一切それらがないということでありますれば、これはもうはつきりしておるのでありますから、そういう意味合いについての話合いが関係者政府側からなされたのかなされないのか、こういうことを伺つておるのであります。官房長官に伺つておるのであります。なければ結構です。
  56. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そういうことは今までのところはないのであります。情報は提供しております。要請等はいたしておりません。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならば重ねて伺いますが、情報というのはどういう内容を指しておつしやられておるのですか。
  58. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 例えば、その前に総評の代表者と私は面会しております。そのときにこういう話をしております。総評側はこういう意見を持つておる、こういうような種類のことは情報の一つであります。総評の指令と称するものを渡された、渡されたというのはほかから入手したものを私がそれも警視総監には示しております。そういう種類のものであります。
  59. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 官房長官に、いろいろお忙しいらしいですから、私一言だけ今の御答弁に関して御質問したいのですが、やはり事は今リッジウエイ声明の出た内容ですから……、速記をおとめ願つたら……。
  60. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  61. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記始めて下さい。
  62. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 メーデーだからいけないのでしようか、メーデーのやり方によつて政府としては再考の余地があつたのかどうか。その点どうなんですか。いろいろ理由はあるでしようが、どうもさつきからお聞きしていると、規則に順応してやつても、メーデーだからいけないというお考えないでしようか。その点もう一度……。
  63. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは逆でありまして、普通の集会であつたならば、規則に従つていけないものはいけない、こういたすつもりであります。ただ確かあれは……、若し間違つたら訂正しますが、警視総官の談話ではなかつたかと思いますが、昨年禁止した当時の新聞に発表しましたのは、メーデーの場合は、その都度特に考慮するというふうに言つておりまして、メーデーというものは、特殊のものであつて、又趣旨から言うと、先ほど吉川さんからも言われましたように、労働祭という性質を持つものでありますから、これは例外的にもう一遍考慮しようということに昨年談話なんかの形式で発表しているのです。メーデーのほうは、普通のものは一般の規則でいけないとしても、メーデーのときは特に考える、こういうことであります。
  64. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうするとほかのものは規則からいつて、いいとか悪いとかという談話が出ておる。そうしてメーデーについては具体的にその場合の社会情勢やメーデー自体を施行する組合の主体性そのものを判断する、そういうふうに考えていいのですか。
  65. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そういう点もあろうと思いますが、その際に例えば極端な場合を考えてみると、神宮外苑は進駐軍が大部分使つていて使えない、そのほかに広い場所がない。そうするとメーデーは特に大勢の人が集まるのですから、皇居広場を認めなければどうすることもできないという場合も理窟から言えば無きにしもあらず、いろいろの点を考えまして、メーデーは実行できるようにいたしたい、その意味で特別に考えて行きたい、こういうことになろうと思います。
  66. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今のお話を承わりますと、明治神宮その他のところが使えるかどうかということが一つのポイントになつていると思うのですが、同時に皇居広場はこういうふうな状態において使われるならばいいということも確かなんだろうと思うのです。そのときにどこを使うかは、国民が希望するところを成るべく使わせるという建前をおとりになるのが本当じやないかと思うのです。政府のほうからお前はこつちを使えとおきめにならないで、主催者側の希望するところを使わせる。併しそれが使用の仕方が悪いから、その仕方について約束だけでは守れないだろうということから禁止されたのかどうか。こういうところが一つの問題だと思うのです。そういう点について一言……。
  67. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その点は、堀木さんの御意見でありますが、国民の希望するところを使わしたほうがいいとこうおつしやいますが、先ほどちよつと申しましたように、あの当時総理府にはいつも投書みたいなものがたくさん来るのですが、投書は、メーデーその他ああいうものに使わせるなという意見も随分来ている。それはどこからか別問題でありますが、両方の意見があるのです。従つて必ずしも国民全体の意見がどつちに向いておるかということは、必ずしも判断はできないと思うのです
  68. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今のおつしやられるのは、政府にはいろんな投書が行きますと、右からも左からも……、私はそう思うのですが、それを総合的に判断されるのが政府だと思うのです。私は政府の御責任だと思います。だからその公正に判断されるとすれば、最近の労働組合は、年と共にどういうふうな傾向になつておるか。現在の労働組合の状態はどうだ、それを実際に何と申しますか、組織として動いておる現実の情勢がどうか、それを判断なさるべきものだと思うのです。それを大きな面から御覧になつて要約されると、誰が考えても労働組合というものは、まあそう言つちや悪いのですが、場合によると、以前から見ると骨抜きみたいにもなつて来ておるが、あなたがたのほうから御覧になれば、健全化しておるということだけは、私は岡崎さん幾らお考えなつつて、この説だけは私同意なさるだろうと思います。そうすれば政治的に判断して、成るべくそれの助長発達をさせる、先ほどから言つておられたその社会党の諸君が言われたように反動的でないと言われたからには、全体的から見てなんというか、進歩的な政治でおやりになるということにおのずから帰着するところに、私はなるのじやないか。こういうふうな気がするのですが、その点について官房長官どうお考えになりますか。
  69. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) いやそれは堀木さんの言われる通り、又今までの各委員の言われた通りでありまして、総評が真面目に考え労働組合の発達を実現しようと努力しておることは我々もよく認めます。ですからして先ほども申しましたように、決してその規則があるからといつて、いかんと一遍に断つたわけではないのでありまして、随分我々のほうもいろいろ交渉をしておつたわけであります。今度はああいうことになりましたが、又来年も考慮します。まあそのとき我々はいるかどうかわかりませんが……。(笑声)
  70. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 最後に参ります。全体としてそうだということをお認めになれば、今度おとりになつた処置は、今まで許していないが、今度は許そうというような帰着になるのが私は御判断の正当なものではないかというふうに実は考えるのです。今回のことについては、又別にいろいろの時間のありますときに申上げたいと思いますが、そういう点ももう少し大局的に御覧になつて今後御善処なさることを私としては切にお願いいたして置きます。
  71. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ほかに岡崎官房長官に対する御質問者は、ございませんか。ございませんければ大橋法務総裁に……。
  72. 山花秀雄

    山花秀雄君 先ほど田中警視総官のほうから、三十二名は容疑がないからこれを釈放してしまつた大橋法務総裁のほうから、残る五名は、政令三百二十五号違反容疑は簿らいで、只今公安條例違反の問題に関して起訴になるか、不起訴になるか未だ未決定であるが、大体三十七名の被検束者の状態は、警視総監並びに大橋法務総裁からお答えなつ通りと私は了承するものでありますが、そこで一つお伺いしたいのは、我々は今度の問題は弾圧だと言つておるのであります。なぜ弾圧と言つておるかといいますと、我々が弾圧と言つておる事態が、日時が経過するに従つてだんだん明瞭になつてつたのであります。三十二名は、全然関係がない。あとの五名は政令三百二十五号には関係がない。あとは公安條例違反が成立するかどうかという点でありますが、そこで公安條例違反だけの問題と確定いたしましたときに、現場にいなかつた総評の高野事務局長を引張つたのは、一体どういう理由で引張つたかどうか。私は公安條例を詳わしく知りませんが、これは会場内におけるできごとによつて、この罪が事と場合によれば成立するというふうに考えておるのでありますが、会場に全然顔の見えなかつた高野事務局長に対して、どういう理由でこれを検挙、逮捕したかという点について、明解なる御答弁を願いたいと思います。
  73. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 高野事務局長が同日……、と申しますのは、三日の日の式典場におきまして起りました紛争事件につきまして、これが共同謀議に参画してお出でにならないかという理由で逮捕状が要請されたと、こう承知いたしております。
  74. 山花秀雄

    山花秀雄君 私はこの問題は挑撥挑撥と先ほどから口を酸つぽくするほど申しておるのであります。そうしてその挑撥は何が故に挑撥と断定できるかという点は、先ほど申上げましたように、私服警官労働組合のバッジをつけたとか、或いは私服警官労働組合員と同じような挑撥……。同じようなじやない、それを誘発するような挑撥行為をやつたために、手錠をはめられて警視庁に連行された。こういう事実を挙げられるのでありますが、大橋法務総裁は、共同謀議があるからこれを検挙、逮捕した、その共同謀議とは只今大橋法務総裁の御回答によりますと、その容疑はもう全然ない、こういう結論がここに生れて来たのであります。そういたしますと、これは見込み違いの不法逮捕、言い換えれば人権蹂躙に該当する政府の行為でなかつたかと我々は言わざるを得んのであります。この点に関しまして人権蹂躪でなかつたと果して言い得るかどうか。明解なる御答弁を願いたいと思います。
  75. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今私が共同謀議と簡單に申上げましたが、これは公安條例違反いたしまして、集団行進をやろう、こういう事案だつたのでありまして、これにつきまして事前に計画をいたした、こういう容疑は今なお考えておりません。又公安條例違反の事実というものは大体において確認せられております。従いましてその容疑によつて逮捕いたしたわけでございまして、これは何ら見込み違いというような事柄とは考えておりません。
  76. 山花秀雄

    山花秀雄君 公安條例違反容疑、そしてその謀議を行なつた。その容疑においてこれを検挙したのだから不法でも何でもない、こういう御答弁であけましたが、私は素人ではつきりわかりませんが、公安條例違反は、その主催者が負うというようなことをちよつと聞いているのでありますが、若し私の考えに過ちがございましたならば御訂正願いたいと思います。この主催者は吉田茂総理大臣であります。今度の憲法記念式典の主催者はそういうことになつていると思うのでありますが、これに関してどういう処置を願えるものであるかどうか、一つ答弁を願いたいと思います。
  77. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今公安條例違反事件に該当する主催者が吉田総理である、かように申しておられまするが、吉田総理の主催いたしました式典なるものはございません。これは政府と国会と最高裁判所と東京都が共同主催をいたしましたる式典でございまして、これは合法的に開催せられたものでございまして、何らこの事案には関係ないものでございまして、たまたまその式場の一部におきまして、公安條例違反した集団行進が総評の諸君によつて行われている。この事実が容疑の事案になつております。従いましてそれにつきまして主催者としての高野君の責任というものは、今なお解消いたしておらないというふうに考えております。
  78. 山花秀雄

    山花秀雄君 およそ集会を行うのには、明確なる責任をとる主催者が明記されて許可になる性質のものと私ども考えているのでありますが、只今大橋法務総裁の御答弁によりますと、主催者は政府と最高裁判所と国会と東京都である。どこに責任の所在があるか、幽霊のようなこの集会、私はこの問題はもつと法律的に専門的に知識のある人に究明して頂きたいと思いますが、責任をとる主催者がない、そういう集会を公安委員会がお許しになり得ることができるかどうかという点につきまして関係当局のほうから御答弁願いたいと思います。
  79. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 山花君はわかつておられるくせに、どうも妙なことを言われるので、私としても非常に迷惑をいたしますが、ここには二つの集会があつた考えられるのでありまして、その一つは適法に挙行されましたる憲法記念式典であります。この式典は刑事事件につきましては何ら関係のない事柄であります、それについてなるほど政府が主催したというようなことはあるかも知れません。併しそれはここで問題にしているのではないのでありまして、もう一つの集会というのは、この式典の会場の一部を利用いたしまして、参加するという名目の下に、この会場の一部を利用いたしまして、不法に行われたる集会が持たれたという容疑があるわけでありまして、その容疑のありまする集会についての主催者は、その容疑の内容によりまするというと総評であり、従つて総評の代表者であるところの事務局長その人である。従つてそういう事案によりまして、この逮捕が行われたものであるという趣旨を申上げました次第であります。誤解のないように一つ御了承願います。
  80. 山花秀雄

    山花秀雄君 大分問題がむずかしい問題になつて参りましたので、そういう問題はここで議論しておりましても時間がなくなりますので、問題の解決点は、今後それぞれ専門の立場法律家を煩わして解決をして行きたい、かように考えております。そこでこの問題に関連いたしまして、私は先ほど法務総裁にお尋ねいたしましたときに、それは追つて調査してみる、こういうふうに言われたのでありますが、これは田中警視総監も見えられておりますので、調査すると言つてそのままでこれを放置するのじやなくして、一日も早く調査して御回答願いたいと思う点は、丸の内警察に連行されました六名の者が、居合せた私服警察官が民主主義擁護同盟のバッジを全部付けていて、これに質問いたしましたところが返答しなかつたということをこの六名の留置された者どもが言つているのであります。この点について警視総監一つ至急調査して、誰が連行して行つたかという点をはつきりさせるために御回答願いたいと思います。  それから私服の一人が挑撥行為をやつて、同僚の顏見知りのない警察官に手錠をはめられ、警視庁に連行されたということを我々は聞いておるのでありますが、これも警視総監立場から調査願えればことは明白になると思うのでありますが、この点も至急調査して我々の納得の行く御答弁を願いたいと思うのであります。そういう調査を急速に行なつて回答願えるや否やという一つ答弁を願いたいと思います。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その答弁の前にちよつとこれから私たちも質問する都合がありますので、田中警視総監は本日どういうお資格でここに出席せられておるか、一応お伺いして置きたいと思います。参考人ですか、証人ですか。政府委員ですか。
  82. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 説明員としてです。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 説明員つて政府部内のものじやないでしよう。
  84. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 参考人の立場として説明を願う意味でお呼びいたしました。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いいです。
  86. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 只今の御質問の点につきましては、よく調査いたしまして成るべく早く御回答申上げます。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは先ほどの官房長官の説明に関連しまして田中さんにお伺いしますが、いわゆる各種の情報を得、又都の治安確保の立場から責任者として警視総監は公安委員会における各種の決定に基いて今回の取締りをやろうと思われるのでありますが、先ずメーデー問題に関するいろいろな論議があり、非合法的に決行されるやの情報等も得たろうと思うのですが、その場合警視総監は如何なる対策を考慮せられておつたか。又五月三日の憲法式典に際してはどういう取締り方針を以てあれだけの警察官を動員せられ、又これに対しては如何なる指示命令を與えておられたのが。又その後における、紛争が起つた後における措置について警視総監はどういう指揮をおとりになつたのかお伺します。
  88. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 只今の御質問につきまして私から御参考までに事件当時の概要を申上げてみたいと思います。  皇居広場においてメーデーを実施したいという事柄につきましては、先ほど官房長官からもお話がございましたごとくに、すでに一カ月以上前から警視庁側にも総評の幹部、中央メーデー実行委員会のほうからあそこを使用さしてもらいたいという御希望があつたのであります。警視片側といたしましては、現在あの場所が厚生省の国民公園管理規則の上からメーデーその他の政治運動等に使用できない建前になつておりまする関係上、あそこを使用することは恐らくできないだろうと思うから、できれば一つ他の場所を是非一つ使つてつてくれんか。他の場所といつてもほかにないけれども、上野公園であるとか、或いは芝公園であるとか、或いは又明治神宮外苑であるとか、まあそうしたようなところもあるのであるが、どうだろうかということをまあ相談的に申上げたのでありまするが、総評側といたしましては全然その意思なし。皇居広場以外ではメーデーは行わんという強い意思表示でありましたので、むしろメーデーというのは、華かにやつたほうがいいじやないか。ついてほ明治神宮外苑が若し狭ければ警視庁側において進駐軍とよく折衝してあの場所も使えるように一つ努力するからというので、私どもの係官を進駐軍側のほうへ出しまして、あの場所の使用方を承認を願つたのでありまするが、進駐軍といたしましてはあの場所に相当な施設をいたしております。従つてその施設を撤去せなければ使用できませんので、なお是非撤去して使用さしてくれということをお願いいたしましたところが、非常に理解を以て、メーデーに対して理解を以て協力して頂きまして、よろしい、それならばすべての施設を撤去して、又終つたならばそれを元に復旧してくれれば使つてよろしいというような承認を得ましたものでありますから、そのことも更に政府のほうへ連絡をいたしまして、外苑使用の場合においては進駐軍側の施設を撤去しても進駐軍は使うことを承認してくれたのであるから、若し皇居広場以外でやるとするならば、大衆を收容するにはここ以外にはなかろうと思うからして、是非外苑を使用するようにお願いしたいということもかねて政府にはお願いを申上げておつたのであります。そこで政府とされましても、皇居広場以外とすれば明治神宮外苑以外にはないのでありますので、あの場所は使つては困る、他の場所を使用することをということを政府並びに警視庁側から私自身もすでに二回に亘りまして総評側にそのことをはつきり前以て申入れてあるのであります。又政府側におきましても総評側に皇居広場は使えんからということをはつきり申入れしてあつたのでありまするが、遺憾ながら総評側とされましては皇居広場一本調子で進んで、他では絶対やらんというような御意思つたようであります。そこでなお曾つて警視庁のほうへ皇居広場を使用するという届出のようなものを総評側が御持参したことがあると思うのでありまするが、これも成規の手続でないからというので、これを一応お返ししたのであります。そうして一方飽くまで皇居広場メーデー会場として強行するというような話を聞いたのであります。若しそうなるといたしますと、非常に政府としましては厚生大臣があの掲所を使用してはいかんという不許可処分にされておりますので、若しそうだといたしますと、非常に皇居前広掲におきまして不詳事件が発生をいたしますので、警視庁といたしましては非常に憂慮いたしておつたのであります。  ところが四月二十七日メーデー会場問題に関する連合国の最高司令官の声明によりまして、総評側におかれては皇居広場における中央メーデー中止を正式に決定をされまして、更に二十八日の実行委員会に引続きまして、二十八日の午後一時半から東交会舘において開かれたる総評の席上におきまして、中央メーデー中止に代るべきものとして三日の憲法記念式典には一日の動員と同じ人員を動員することを決定されまして、具体案としてはメーデー実行委員会において決定することとしまして、直ちに総評速報第九号によりまして根こそぎ動員をしろという動員を下部に流されたのであります。更に又五月一日総評号外にも同紙の記事を掲載されまして、下部機関に流されたのであります。それから越えて五月一日の午後二時から総評本部は高野氏、柳本氏ほか十名内外の参集の上で、午前十時次のような問題を具体的に決定されたのであります。午前十時皇居広場に集まること、プラカード、小旗、組合旗を持参すること、吉田首相の祝辞の際喚声を上げて、更に式終了直前にメーデー歌を歌つて、そうして揃つて退場するという方針を決定されたのであります。それを直ちに総評速報第十一号を以て下部組合側に通達をされたのであります。  かような点を我々は聞き知りまして、警視庁側としまして、これをそのまま放任して置くということになりますると、いろいろの点につきましてトラブルを起す可能性が非常に多いのでありまして、警視庁側としましても十分政府と連絡をとりまして何らかの方法でこうしたことをできるだけ避けたいというような希望からいたしまして、警視庁側としまして最大の努力をいたしたのであります。  先ず、五月二日の午後二時に警視庁の警邏部長室に都下の主要新聞の記者及びラジオ放送記者の来集を求めまして、式典参列者に対しましては、プラカードを持参しないように、又集団示威行進、若しくは集団示威運動をしないように、その他銃器凶器等の危險物を持参しないように、静粛に式典に参列して欲しいというようなことを、都下の新聞紙を通じまして一般の協力を求めたのであります。それからそれによりまして、同日の夕刊紙及び三日朝の朝刊紙にはそれぞれ右の旨が掲載されたと考えております。又同日七時十五分及び九時五十分、NHKのラジオを通じまして、右と同様の趣旨の放送をしてもらつたのであります。それから総評責任者に対する警告といたしましては、五月二日午後二時三十分頃係員を総評本部に派遣をいたしまして、総評速報第十一号によるような行為に出た場合には、四月二十七日連合国最高司令官の声明に違反する虞もある。又都條例違反の虞れもあるについて、かかることのないように一つ十分に御注意を願いたいということをお願いいたしたのであります。そのときは右の警視庁側の意伺を受領したかたの姓名もここにはつきりわかつております。更に五月二日午後三時三十分頃総評事務局長高野氏に対しまして、正式に警告を発するために、係主任の青木葉警部をして、総評本部に電話を以て、高野氏に恐縮であるが警視庁に連絡したいことがあるからおいでを願えんだろうかと電話でお願いをしたのでありますが、出頭しないという回答があつたのであります。止むを得ませんので出頭しなければこちらから行つて連絡するほかないと、かように考えまして、午後五時二十分頃総評本部に北村警部、総監代理の岡村警部を派遣して、正式に右の警告書を通達いたしたのでありまするが、更に警告書通達と同時に、口頭を以て詳細御注意を申上げたのであります。それから更にどうしでも高野事務局長に連絡したいと考えまして、更に努力をいたしまして、同日の午後十時頃警邏部長名を以ちまして警告書を作成いたしまして、青木葉警部をして総評本部、北村警部をして世田ケ谷所在の高野事務局長に更に警告書をもう一本こしらえまして訪問させまして、その伝達をいたしたのでありまするが、残念ながら高野事務局長は、総評に関することなら会わないと断わられましたので、仕方がありませんので、北村警部は警告書を置いて行くと言つて郵便箱にそれを入れて午後十一時頃辞去いたしたのであります。非常に短時間でありますので、十分に総評側に警告書の到達、その決定が不十分であつてはいかんとこう考えまして、更に管下の各警察署長に指令通信を発しまして、総評系の単位労組にそれぞれ各署長を通じまして、右の警告を伝達いたしたのであります。そのほかに更に主要の單産に対しましては、電話を以て右の趣旨を徹底せしむる措置をとつたのであります。  それから当日式典に相成りましたが、幸いにいたしまして式典のほうは大体無事に終了いたしたと私は考えておりまするが、式典の始まる前にも主催者のほうにも連絡をいたしまして主催者のマイクを通じまして、以上のようなことを再三再四参列者各位に伝達を願つたのであります。なお当日この総評速報第十一号の趣旨によりまして、單産において、或いは小旗を、或いはプラカードの類を持参した労働者諸君もあつたようでありまするが、これは主催者側におきまして、篤と懇談の結果、これらのものは入口において預かるということにして、帰りにこれを取つて行くということにして、それぞれ入口におい、てこれらのプラカード、小旗等は主催者側においてこれを預かつたのであります。警視庁側といたしましては大体右のような情報等がございまして、私どももはつきりしたことはわかりませんけれども、先ず何か起るようなことがあつては、式典そのものを乱すということがあつては、国民的式典でもありまするし、又いろいろの点から支障を来たすと考えまして、警察官を若干名動員いたしまして警戒いたしたのであります。新聞紙に五千名と紙上に書いてありまするが五千名は出ていないのでありまして、これは毎年例といたしまして、制服の警察官で、学校に入つておるものがあります。これがやはりそれぞれその式典に任意に参列いたすことになつておりますので、学校でありますから、成るべくまとまつて式典に参列をしたほうがよかろうと考えまして、警察学校の生徒約千九百名が式典に参列いたしたのであります。これはあえて今年だけでありませんで、毎年これは参列いたしておりますので、あえて何ではないのであります。そのほかに制服警察官で、これは式場の内外並びに交通取締り、その他に従事いたしました警察官が約千三百名くらいでございます。そのほかにいろいろこうした会場における混乱に乗じまして、又いろいろな公安條例違反行為をなす虞れのあるようなことも聞きました。それらのものに対する警戒といたしまして、約六百名くらいの私服警察官を会場の中に入れまして、十分に警戒をいたしたのであります。  それから当日の状況でございまするが、大体式典も終りに近づいた頃に一部の労働者諸君の中で隊伍を組み、それからスクラムを組んで、労働歌を高唱しながら会場から退散をいたしましたので、これははつきり集団示威行進、いわゆる公安條例の規定いたしまする集団示威行進に該当する行為でございまするので、現場の警察官が直ちにこれを制止いたしました。その制止聞かざる者についてはそれぞれ逮捕をいたしまして、いわゆる現行犯として逮捕いたしたのであります。その後の措置につきましは、先ほど法務総裁並びに私から説明をいたしておるような次第でございまして、なお本件につきましては、一名だけ公務に対して公務執行を妨害した者があつて、それも合せて逮捕いたしまして、計三十七名を逮捕いたしました。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の田中警視総監の御説明は誠に詳細微細な点まで、特に警視庁側が今回のやり方は何ら不法でないという、結果としてはそれを合理化せしむるための事前行為であるかと思われるような措置は非常に微細にお聞きしたのですが、警察側のかたがやつたことについては、ちよつと私が質問したことの通りお答えがないのは誠に遺憾なので、その点のほうも微細に伺いたいのですが、六百名の私服警官なり、或いは千三百名の取締警官なり、参列の警官千九百名と言いますが、これは何をやつたか私知りませんから、まあそのことにして置いて結構だと思うのですが、この警官に対してどういう当日の取締に関する指示方針をお與えになつておられたか。それから警視総監は現場におられて指揮をせられたのか。そうでなければこれを指揮するようにどういう系統を以て現場の取締、指揮に任じておつたか、この点をお伺いするのが第一点であります。  それから第二点は、今あいまいでわからなかつたのですが、私服警官を参列者の中に六百名入れておいたということの、その理由がどうもはつきりしなかつたので、どういう理由で入れて置いたのか。そして又これには特にまあ軍隊で言う特別守則みたいなものを與えなくちやならんだろうと思うのですが、どういう指示を與えておられたのか、これが第二点の質問であります。  それから第三点としては、もとに戻りまして、政府側と各種の連絡をしたということでありまするが、その内容はお伺いしませんでしたが、警視総監立場上、自発的にいろいろな御連絡があつたことは、それは当然であろうかと考えるのでありまするが、どういう連絡をおとりになつたのか、以上三点お聞きしますが、たびたび起ちたくないので、第四点としましては、山花君の質問に対して調査すると言つておりますが、これは過般の本院の本会議においても事例として明示せられておつたことなので、警視総監はこれをお知りにならなかつたわけはないのですから、部内の監督統制上早速御調査がなされておるものと私は考えておるのに、今後調査するということは、これはどうもそういう点もあるかも知れませんけれども、ないならない、あるならあつたくらいのことは警視総監としてもう明らかになつておるのじやないかと思われますので、その点本会議質問になつておるので、非常に我々議員としまして奇異の感を抱いた点でありますので、この際でき得べくんば内容を明らかにせられたい、以上。
  90. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 現場における指揮系統でございますが、これは大体におきまして所轄の署長たる、いわゆる丸の内の警察署長が現場指揮官になることになつております。それから当日若干応援がございましたので、まあこれらの関係からいたしまして、現場における総指揮官といたしましては、第一方面本部長が総指揮官に当つております。それから私自身は、当日その祭典の事務局から正式に御招待を頂きましたので、警視総監として、いわゆる参列員として式典に参列をさして頂きました。それから取締り警察官に対しましては、勿論警戒、警備に任ずる警察官に対しましては、それぞれ示威行進並びに示威運動に対する制止方、或いは取締り方の指示を與えております。それから又同様に私服警察官に対しましても指示を與え、又特にこの政令第三百二十五号違反のような違反行為につきましては、特別に私服警察官に対しまして、指令を與えておるのであります。  それから政府と如何なる連絡をしたかという御質問でございますが、直接官房長官には連絡はいたしてございませんが、或いはこの宮城皇居広場の使用の許可処分に関しましてどうなつたかと、これは警視総監といたしましてその間の成り行きは当然知つて置く必要がございますので、厚生省に連絡をとつてございます。それから又総評側としてどういうような動きになるのか、この点につきましても当然これは労働省に連絡をつけているのであります。子のほか当日五月三日に祭典が執行せられますので、その祭典の主催者といたしましては、先ほど岡崎官房長官お話のごとくに政府、最高裁判所、国会、及び東京都知事、この四者が共同主催をされているのでございまして、この四者の連絡会議に式場の警備の任に当る警視庁といたしましても係官が出席をいたしまして、式典の進行状況並びにそれに関連して警視庁として如何なる措置をとつたらいいかといういろいろの点につきまして、政府と申しますか、要するにこの憲法発布記念式典の主催者側と緊密なる連絡をとつて来たのであります。それからこの調査につきましては、或いは私はちよつと、今初めて聞いたのでありまするが、或いは私どもの部下にそういつた何があつたかも存じませんので、若し連絡が、多分あつたとすればそれぞれ只今調査しているものと考えている次第であります。なお、この点につきましては、先ほど山花委員お答えのごとくに、即刻調査いたしまして御回答申上げたいと思います。
  91. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 参考人の、説明者としての田中総監にお尋ねしたいのですが、先ほど申しましたように、私は当日出席いたしておりませんでしたので事情を知りませんのでそのときの実情に関してお話一つ願いたいと思います。それは今の御説明にも多少触れてあつたと思いますが、当日の新聞記事等から見まするというと、まあ今の御説明でいろいろ逮捕及び検挙せられた理由はたくさん挙げられましたが、新聞記事等によりますと、その逮捕、検挙せられた一つの事由として、式典の参加者が式場において君が代を齊唱しているときに、君が代を齊唱しないで労働歌を歌つたというような記事が出ていたのを私記憶いたしておるのでありますが、その実情についてお話願いたいと思うのです。それで、というのは、そういうことをお尋ねするというのは、私個人として文部大臣をその問題についていろいろ話合つたこともあるのでありますが、君が代というものは憲法ではともかく君主制の存続を認めておるのでありますから、国民が何かの場合において皇室に対する親愛の情を披瀝するということのためにこれを歌う場合、体育大会とか何とかいうときに天皇陛下でも御臨席になつたときに国民が親愛の情を披瀝するためにそれを歌うということは私はいいと思うのであります。併し国歌というものは国民生活の理想を歌詞で現わしたものが国歌でなければならんのでありまして、新憲法下においては、そういう意味からするならば国民生活の理想を現わしているものとしては、新憲法の前文が私はそれであると思うのです。従つて憲法下においては国歌というものは新憲法の前文の精神を歌に現わしたものが国歌でなければならん。そういう点からすればあの君が代というものは新憲法法律違反にはならないと思いますが、明らかに新憲法の前文の精神に背反するところの思想の上に立つておるもので、それは岡崎官房長官の先ほど私に対する御答弁等からすれば自分たちは保守的であるが封建的ではないということを……、非常に今心外に思うというようなことを言われましたが、これは私見に亘りますが、私の論断からいたしますれば明らかにそういう岡崎長官の見解は新憲法精神を理解していらつしやらない。又自由党内閣は自由主義ということを看板にしているところの私は政党だと思うのですが自由主義というものを思想的に理解していない。だからああいう馬鹿気た答弁をせられるので、新憲法によつて封建的な旧憲法を廃棄して新らしい民主主義国民生活を樹立しようとするところのいわゆる無血民主革命の時期において過去がいいのだとか、現在そのままでいいのだというような、変革を否定するような、言葉の上においてもコンサヴアテイズムであるとか 保守であるとかというようなことを得々として言つているところの政治家が日本におるということを実におかしいと思うのですが、従つて憲法精神が歌に現わされたものが国歌でなければならんという建前からするならば、君が代は国歌としては絶対に廃棄さるべきものであつて、こういうものをなお荏苒として自由党内閣の思想的な指導者であるべき文部大臣が小学校に指令して一時自然発生的に廃棄されていたものを復活するようにせられたということは、私は実に国家のために非常に憂えるものなのでありますが、ところがそういう議論のことは私は今申さないのですが、このことは非常に私と同じような考えを持つている人は国民の間に非常に今たくなんできて来ておる。それはこの間もやはりその問題を読売新聞でありましたか、世間の批評意見を求めましたときに、殆んどその意見の半分ほどの人がやはり私が言つているのと同じようなことを述べておる。それから先般福島県へ参議院議員選挙の応援に参りましたときに、やはり地方新聞が候補者にその問題に対する答弁を求めておりますが、四人の候補者が出ておりまして、成るほど自由党の松平さんが最高点を取られたのであるけれども、君が代を国歌として飽くまでも保持すべきであるということを言つておられるのは松平さん一人なんで、あとの三人はやはり私と同じように君が代というものは新憲法精神に反するものであつて、そんなものは国歌としてはいけないというようなことを答えていられるようなわけです。これはひとり少数の人間のみならず非常に大きな輿論化したものに今日なつておると思う。そのことだけでももうすでに国民の非常に多数の人間がああいうものを国歌として歌うということは、恥しく思つておるということで、国歌としてのもうその生命というものはなくなつておるので、それでたまたま憲法発布の五月三日の祭典においてその憲法精神デモンストレーシヨンするところの祭典にそういう形で君が代が歌われた。そしてその君が代によつて労働歌か何か労働者諸君が歌うところの歌が消されたという記事が出ておつたと思いますが、若し労働者諸君、その他の諸君が今申しましたような意味において、天野文部大臣並びにみずから掲げる自由主義を理解しないところの自由党の諸君が反動的な、その言われるところの保守主義的な、その実封建的な、反民主主義的な精神に基いてそれを歌うということを、まあ音頭をとられたかどうか。その点はもう一つお話願いたいんですが、そういう新憲法精神を昂揚する祭典において、新憲法精神を否認するところの君が代が歌われたということに対する反対の意思表示としてその祭典に列席していたものの諸君からその反対の意思表示として、それを歌わないで違う歌を歌つて、そういうものを歌つているところの封建主義者に対するデモンストレーシヨンをしたということは、私は日本の民主化のために非常に喜ぶべきことであると、まあこう思うのですが、(笑声)当日の状況はどうであつたかということについて一つ御説明願いたい。
  92. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 私も当日この参列者の一員として式典の祭場の傍らに立つておりましたので、一般の大衆の内部のことにつきましては十分理解できないのでありますが、式典の順序といたしましては君が代の齊唱はなかつたはずでございます。ただ音楽で一部君が代が吹奏されたことは私記憶しておりまするが、式典の中に君が代の齊唱は多分なかつたと思つております。  それから更にこの君が代を歌わずに労働歌を歌つたから逮捕検挙されたという事実は全然ございませんので、この点は御了承を願います。
  93. 山花秀雄

    山花秀雄君 最後に一つだけ質問をして置きたいと思いますが、私はもうこの問題は挑撥行為挑撥行為と言つておりますが、その一つの事例にもなるだろうと思うのでありますが、山川国蔵君が丸の内警察に連行されましたときに取調べの斎藤主任も、あなたの場合何が容疑で連れて来られたか僕には見当がつかんと、こういうことを言つたということでありますが、留置場に入れる場合に、頼むから入つていて下さい、すぐ解決すると思いますからというような言葉が斎藤主任から発せられたのであります。又いま一人の化学労働組合の冨山定良吉の場合には、取調の検事をして、政府が総評に喧嘩を売つたのでかかる事態が発生したのであり、竹竿を持つたから法に触れるなんていうことは馬鹿らしい。政府ももつと考えるべきだ、こういうようなことを言つて、三分間ほどの間にお前は不起訴だと言われたというようなことを言われておるのであります。各人各様にこの程度のことが取調の衝に当つた人々によつて発言されておるということは、如何にこの問題が挑撥行為であるかという一つの事例になると思うのでありますが、私はこの事例を契機にして今後政府はかかる不祥事件の起きないように改めて頂きたいということを希望いたしまして大橋法務総裁に対する質問を終りたいと思いますが、幸い田中警視総監が来ておりますので、これは問題がちよつとそれますが対GHQとの関係にいろいろ問題がからまりますので、一応この機会を利用してお聞きしたいと思いますが、去る五月十二日に日本中国友好協会で主催せんとした神田の共立講堂における中国の音楽と劇の夕を一旦許可していながらこれを禁止したという事実があるのでありますが、このことは関しまして監督の立場に立つておられる田中警視総監は知つておられるかどうか。先ずこの点を最初にお伺いしたいと思います。
  94. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 只今お話のありました山川国蔵さん連行の際に刑事が何か言つたそうでありますが、この点は私まだ全然聞知しておりませんので一応調べてみたいと思います。  それから五月十二日の日本中国友好協会、この点については全然聞知しておりませんので、今ここでお答えすることはできないのであります。
  95. 山花秀雄

    山花秀雄君 まだ書類が廻らず報告がないから御存じないと思いますが、この問題に関しましては、当然の日本中国友好協会が中国の音楽と劇の夕を五月十二日午後五時半から神田の共立講堂で開催する準備をしておりまして、集会許可の申請を四月の六日に所轄官庁を通じて公安委員会のほうに提出したそうであります。五月八日に警備課のほうに参りまして北村警部に会つたところ、これを許可する方針である、こういう言明があつたそうであります。日本中国友好協会事務局主任の鹿島敏雄ほか一名が当日出頭したそうであります。許可をするについては條件を附せられたそうであります。その條件は、講演をやつてはいけない。ビラを流してはいけない。資金カンパをやつてはいけない。この條件を君たちが紳士的に守るという誓約をしてもらえばこの集会を許可する。こういうふうに北村警部から言われましたので、鹿島敏雄君ほか一名は、了承いたしました、お示しの三点は必ず嚴守いたしますと言つて、許可できるものと考えてそれを待つておりましたところが、そういうような状態になりましたから急速に準備をやつでおりましたところが、翌日の五月九日に鹿島敏雄、それからその会の組織部の副部長をしております碓井雄三、常任理事をしております宮崎世民等々に対して、誠に相済まんが警視府の事務的手続の手落ちでこれは許可できなくなつた。あなたたちから不当弾圧と言われても止むを得ない、これはもう甘んじて受ける。我我の手落ちであつたからというようなことで、一旦許可すると言つたのが許可しないという方針に変えられたそうであります。準備もいたしておるし、費用もかかつておりましたので、それらのことを申述べますと、これは本庁の意向ではない、ここの意向ではない……、
  96. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  97. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 速記を始めて下さい。
  98. 片岡文重

    ○片岡文重君 ちよつとお伺いしますが、今日の委員会首相の御出席を願うことを委員長は要求されたかどうか。それからされたとしたならば、出席をしない理由、されないとしたならばされない理由を先ず伺つて、それから私の質問をしたいと思います。
  99. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 委員長といたしましては、吉田首相出席は要請いたしておりませんでした。私どもの要請いたしましたかたで御出席のないかたは労働大臣、これも労働大臣は御旅行中でございますので御出席にならないという理由をおつしやつたのでございました。
  100. 片岡文重

    ○片岡文重君 わかりました。この問題は少し今の友好協会の問題の中に入つておるようですけれども、私のいうのはやはり労働問題に関してですが、そもそもこういう合同の委員会に対して、首相自から関心を示さないこと自体が、百万言に勝る政府労働政策無関心を表明しておるものだと私は考える。先ほど来いろいろと拝聽いたしておりましたが、不祥事件が予想されるということを禁止された理由として言つておられる。それから帝都の玄関としての美を守るために宮城広場は使わせることはできないということを言つておられました。更に三千六百名からの警察官を、かなり苦しい説明でなさつてつたようですが、式典に参列させておられる。こういう点から見ましても、而もこれらに対して何ら私たちの納得の行く説明がなされておらない。特に玄関前の美しさを守るということをしばくおつしやつておられたようですが、今頃から恐らくもう一時間もしてから、皆さんがたが、あの宮城前の広場をお歩きなる勇気が若しおありになつたらお目にかかりたいと思います。私は一人でお歩きになる勇気のあるかたでもお歩きになることはできないと思う。晝間行けば防具は至るところに飛散しておる。こういう状態に放置しておつて、なお且つ日本の経済再建を双肩に荷なつて、而も民主的にけなげに極左分子と闘つて起ち上つた総評の諸君の主宰するメーデー禁止しておる。この理由のこの説明をどうなされるかわからんのですが、私はここに吉田首相がおいでにならないので、今まで実は質問を控えておりました。田中さんや大橋さんを徒らに苦しめるだけであると考えてあえて言わなかつたのですが、併し先ほど田中警視総官が誠に温容虫も殺さないような態度を以て、極めて微細に亘つて警視総監としての職務を如何に忠実に履行されたかについて御説明を伺つたのですが、先ほどいみじくも小笠原君が指摘したこの労働者側の検束といいますか、不当圧迫を受けても止むを得なかろうと聞いておられる諸君考えられるような説明をなされましたが、警察官並びにこれに備えられた人たちについて、又それらのかたについては一言半句も触れておらない。私は総監の御説明を伺つておるときに、かつて私が幼少の頃にニコライエフスクに起されたあのトリヤビーチンの残虐行為を、はしなくも思い起した。虫も殺さぬあの美人であつたトリヤビーチンが邦人何百というものをニコライエフスクに残虐しておる。まさに今日の吉田政府労働政策は、極めて智能的な巧妙なまま母が、至つて善良正直なまま子をいじめておるような政策だろうと私は思うのです。先ほど述べられた田中さんの御説明は、まさにこの善良にして抵抗する術を持たないまま子を、如何にして功妙に虐待したか。具体的な例を申すならば、お祭に行きたいというまま子に仕事を與えて行かせなかつた。而も行きなさい、継母は行くなとは言わない、仕事はしなければなりませんよ。ただこれだけである、行くなとは一言も言つておらない。而しその仕事に対しては、女中や下男に手伝いなさいとは言つていない。そうしてまま子に対してはお祭に行くなとは一言も言つておらないという説明に私はひとしいと思います。こういう功妙なるまま子いじめをいつもしておるということであつたならば、たとえ総評の人たちも、仏の顏も三度という言葉が現実となつて現われて来るだろうと思う。さようであると思う。首相のいないのは承知吉田首相に向つて発言したのでありますが、是非この点は大橋総裁なり、或いは田中さんから不肖片岡の発言であるとして是非お伝え頂きたい。若し吉田首相が真に労働政策について関心を持たれるならば、どうかこの委員会出席をして心情を一つ訴えて欲しい。私は軽々に発言をする必要はないと認めて先ほどまで黙つてつたのですが、余りにも功妙なる御説明があるから、堪えられずして立上つたので、特に先ほど来の官房長官並びに総裁等の御説明を以てしたのでは、何ら私どもは納得する術を知らないのであります。是非繰返して申しますが、この申上げた点を一つ首相に伝えて頂きたい。私の相手とするのは、生意気のようですけれども、決してここに来ておられる諸君や皆様がたではないのであります。本当に日本の将来を憂うるならば、労働者の生活、起ち上る道を本当に考えておられるならば、どうか委員会出席をして自分の衷情を我々の前に披瀝して頂きたいということを、怠らずして間違いなくお伝え頂くことをお願いいたしまして私の発言を終ります。
  101. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 他に御発言ございませんでしようか。これで打切つてよろしうございますか。皆様大変遅くまで御苦労様でございました。ではこれで労働委員会並びに地方行政委員会連合委員会を打切つて散会いたすことにいたします。    午後五時十七分散会  出席者は左の通り   労働委員    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            片岡 文重君            山花 秀雄君            早川 愼一君            堀木 鎌三君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君    委員            石村 幸作君            安井  謙君           小笠原二三男君            中田 吉雄君            鈴木 直人君            石川 清一君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    労働省労政局長 賀来才二郎君   事務局側    常任委員会專門    員       磯部  巖君    常任委員会專門    員       高戸義太郎君    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    東京都警視総監 田中 榮一君