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1951-03-22 第10回国会 参議院 予算委員会地方財政平衡交付金に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十二日(木曜日)    午前十一時三分開会   ————————————— 昭和二十六年三月十七日予算委員長に おいて左の通り小委員を選定した。            一松 政二君            安井  謙君            佐多 忠隆君            永井純一郎君            波多野 鼎君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            菊田 七平君            矢嶋 三義君            木村禧八郎君            岩間 正男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長互選地方財政平衡交付金に関する件 ○文部委員会からの申入れに関する件   —————————————    〔波多野鼎君仮委員長となる〕
  2. 波多野鼎

    ○仮委員長波多野鼎君) それでは只今から予算委員会に設けられました地方財政平衡交付金に関する小委員会開きます。  先ず小委員長互選についてお諮りいたします。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 小委員長互選成規の手続を省略して、小委員長波多野鼎君を推薦いたしたいと思います。
  4. 波多野鼎

    ○仮委員長波多野鼎君) 只今岩間君の動議に御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 波多野鼎

    ○仮委員長波多野鼎君) それでは御異議ないものと認めまして、私が小委員長を勤めさせて頂きます。   —————————————
  6. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方財政平衡交付金に関する問題についての政府側との質疑応答は随分いたしました。ところでこれを地方財政委員会勧告案大蔵省査定案との比較を見ておりますと、一番大きく大蔵省が削減した項目は文部省関係のが多いのだろうというふうに思われます。特に教職員給与級別格付基準改訂による増、これは勿論文部省ですが、そのほか年末正当支給に要する経費給与ベース改訂による増、これも主として文部職員文教職員に関するものであろうと思います。それから小学校兒童人口等増加に伴う地方経費自然増、これは勿論文部省関係です。それから労働省関係のものも失業対策事業費、これも相当大きく削減されております。厚生省関係のものは厚生施設費補助、その他国の施設に伴う地方負担額の増、これも大きく削られております。大体三つの省に関係が特に深いのだろうということが考えられます。そこで先ほどから文部厚生労働などの主管大臣の出席を求めておりますが、他の委員会のほうに出ておりまして、こちらへまだ参りません。そこで今出席しておられますのは、地方財政委員青木得三君と地方財政財務部長の武岡君でありますが、この小委員会を進めるにつきまして、まあどういうふうに進めて行くかということについて、先ず皆さんがたの忌憚のない御意見を伺つて置きたいと思います。どうか御意見のあるかたは……。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今小委員長が提案されました御意見に私は賛成なんですが、大蔵地財委との数字差額は、今言われた通り労働厚生文部、そういうふうなものが重要なものでありますから、そういう各省のかたに出てもらいまして、各省別にこの数字を検討し、而してのち大蔵省並びに地財委意見を質すというふうなことが、数字は確実に出ておるのでございますから、こういう方法に賛成です。
  8. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかに御意見はどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは文部厚生労働は今出て来れない事情にあるのですが、どうですか。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 局長は来るのですか。国警のほうはどうですか。
  11. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 文部関係では、初等中等教育局長庶務課長が出ております。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 文部当局に伺いますが、先般の地方行政委員会における地方財政緊急対策の小委員会におきまして、この地方財政のうち、第二の年末手当支給に要する経費のにつきまして、文部当局意見伺つたのでありますが、この経費につきましては、大蔵省において大きく五十億八千万円を削減したのでありますが、その際文部当局意見として、実は地財委文部省が提案したところの五十八億百万円なければ困るのだ、自分のほうはその通りつておると思つてつたところが、今御質問を受けて初めて五十億八千万円が削減されておることを知つたということで、非常に狼狽されたが、その結果我々非常に驚いたのですが、この経費の大部分は先ほど小委員長が言われたように、地方文教職員のものが大部分を占めておるのです。而もその担当たる文部省がこういうふうな経費が落つこちておつたことを知らなかつた地財委としては政府並びに国会勧告をしておるのであつて文部当局がこの削減された五十億を知らなかつたというふうなことは、非常に大失態であつて、誠に意外に思つたのですが、この点について金曜日ですか、初めて気が付かれたのですが、これに対して文部当局としては大蔵省は五十億八千万円を削つているのに対してどういうふうにされる考えか、ここで承わりたい。
  13. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上げます。文部省といたしましては、年末手当支給に要する経費としまして、約三十億六千四百万円を要求したのでございますが、それに対しましては地財委の案といたしましては、二十七億五千七百万円を査定されているように承わつております。今回の政府案におきましては、これが三億七千四百万円というふうに査定を受けているのでございます。我々といたしましては、教員待遇改善の上において文部省要求を認識されるように希望するのでございますが、財政計画全体の上から、こういうふうになつて参るかと思うのでありますが、今後も実現については努力したいと思つている次第であります。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この間地方行政においては五十八億一百万円と言われたが、今伺うと、この中の教職員だけの数字を今言われたように思いますが、これについて今局長努力すると言われるが、今すでに予算を審議しているのに、一体如何たる努力をするのですか、具体的に言つてもらいたい。
  15. 辻田力

    政府委員辻田力君) この予算の範囲内において、これはできるだけほかとの関係を考慮して、この方面に多く廻るように努力したいと思つております。なお増額というふうな機会があれば、それを希望する予定でございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の局長答弁は全く何を言つているかはつきりしないので、こういう手当経費というものは人数がきまつていますから、その一部を削減し、一部を出したところが、これは地方財政影響を与えて非常に困るので、今の答弁のような、目下これを審議している際に、一局長努力されるということを言われるけれども、どういう努力をするかといううことを伺つたので、どういうふうにするといつても、予算を今審議している。この予算通つたあとで何の努力ができるか。これは今日に始まつたのではなく、金曜日に伺つたので、どういうことをされるか、大臣なんかと協議されたのですか。
  17. 辻田力

    政府委員辻田力君) お答え申上けます。それは私たちといたしましては、人件費関係はこの経費よりも優先的に扱つて頂けるように努力いたしたいと思つております。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 優先的にと言われますけれども平衡交付金は紐付きでないということは百も御承知だと思います。単に一局長が優先的にということや何かで解決できるものではないと思います。今まで気が付かなかつたというためにこういうことになるので、地財委任せでなく、文部当局文部当局として主張されないと、こういう大失態を来たすのです。この点に関連して、その次の教職員級別格付基準改訂による増、これも九億二千万円削られているのですが、これについても大蔵省の言い分を聞くと、これは岡山県の、文部省調査に基いて十三億というものを出しているから間違いない、文部当局も全く同感であるということであつたということであつたが、これも文部省意見を聞くと、そうでないようですが、この点をはつきり十三億でいいのか、二十二億円ないと困るのか、そういう点について差額の九億をどういうふうに考えておられるか、御説明を願いたい。
  19. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教職員給与級別格付改訂による増額費用でございますが、これは文部省といたしましては、二十二億六千七百万円を要求して来たのでございます。地方財政委員会におきましても、これは認められまして、二十二億六千二百万円ということになつておりますが、それが最後的に十三億四千三百万円ということになりましたのは甚だ遺憾でございますが、この経費給与べースの改訂による増と見合いまして、この実現を図つて行きたいと思つている次第でございます。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、もう一点、この小学校児童人口等増加に伴う地方経費自然増、これについてはこの間質問したところが、研究してないためにお答えできなかつたので、この際重ねて……。この点についても七億七千七百万円が削られていますが、それに対する考えかたを伺いたいのですが、今の御答弁だと努力したいというお話ですが、そうすると、文部当局は今この三点の約七千億ぐらいの数字国会一つ増額を動力してもらいたい、こういう御意向なんですね。この点を伺います。
  21. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の御質問にございました小学校兒童人口等増加に伴う地方経費自然増につきましては、文部省要求いたしましたものと、地方財政委員会の案と、今回の政府の案と全部同額でございまして、その点におきまして、文部省要求はそのまま認められたということになります。只今あとの御質問にございました努力するだけではしようがないということでございますが、私どもといたしましては、人件費については、これを優先的に扱つて頂くようにいたしたいということで、各関係方面に要望しておるわけでございますが、先般の岡野国務相もこの点については、人件費は優先的に扱うということのお話がございましたが、我々もそのお話を信じておる次第でございます。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の七億七千七百万円の差額については、政府地財委同額であつたというようなお話ですが、そうすると、この地財委は二十五億一千七百万円であり、大蔵は十七億四千万円ですが、その中の文部関係だけが一致したという話なんですか。この差額が七億七千七百万円あるのですが、その点がはつきりいたしません。
  23. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省に関する限りにおいては、文部省の案と地財委の案と政府の最後に出しました案とは同額でございます。金額文部省から要求いたしましたのは二億五千九百万円、地方財政委員会文部同額で二億五千九百万円で一致いたしておるわけであります。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地財委に伺いますが、青木委員がおられますが、今の小学校兒童人口等増加文部以外の金額はどういうことになりますか、御説明を願いたいと思います。
  25. 青木得三

    政府委員青木得三君) 只今西郷委員の御質問小学校兒童人口等増加に伴う経費地財委の案は二十五億でありまして、内閣決定額が十七億四千万円で七億七千七百万円の相違がございますが、この相違文部関係数字文部省の要請通り認められて、その他の点において七億七千七百万円の相違が出ておるということを文部省政府委員の御答弁でありますが、この点につきましてはどうか財務部長から代理して御答弁することをお許し願います。
  26. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 自然増についての地財委の見方とそれから大蔵省案との相違点についてのお尋ねでありましたが、総額地財委の二十五億一千七百万円に対し大蔵省が十七億四千万円、こういうことになつておりますが、相違点につきまして申上げますると、土木費関係で一億九千万円、それからその他の一般行政費というところから五億八千六百万円というものが地財案政府案との相違になつておるのでございます。そこで教育関係経費だけ、いわゆる兒童数の自然増に伴いまする教育関係経費というものを取出して計算いたしますれば、只今文部省のほうから御説明のありましたように、その点に関じます限りは政府案と我々のほうの案と一致いたしております。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 財務部長に伺いますが、先ほど文部当局質問しました年末手当支給に要する経費の五十億の削減は、このままで行くと地方のほうはどういうことになるかと思うのでありますが、その点に関してお伺いをいたしたいと思います。
  28. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 年末手当の額についての、どういうことでありましようか。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 削減されておる五十億、それに対して地財委はどういうふうに考えられておりますか。
  30. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 年末手当支給に要します経費として二十六年度の新規増地方財政委員会が五十八億一百万円要求いたしておるのに対して、大蔵案では七億二千一百万円ということで、結局五十億の開きがあるわけであります。この点につきましては二十六年度の平衡交付金総額算定する基礎といたしまして、二十六年度は四年度五年度それから又六年度において地方財政計画規模推計に関します立て方が地財委案大蔵案で違つておりまして、その点から出て来る相違点になつておるわけであります。即ち昭和二十四年度において各地方団体が年末手当支給したこということはその通りでありますが、それに対しまして地方財政委員会といたしましては、それはその年としては特にそれだけの財政需要に対する特別の財源措置が考慮されたことではなくて、節約等によつて行われたことでありまするから、これを二十六年度の平衡交付金算定基礎とする財政規模算定いたしまする場合には、二十六年度の新規のこの二十六年度において法定された年末手当支給いたしまする場合には、その分は新規財政需要と見なければならん、こういう考え方であります。これに対しまして大蔵省では二十四年度にそれを出したという実績があるから、二十六年度の推計の場合にそれを新規財政需要として見る必要はないのではないか、こういう考え方相違であります。併しながら先に申上げましたように、私どもといたしましては二十四年度に出したものはどこまでも経費節約等によつて出したものでございまするから、若しそういう意味で二十六年度も一般的な経費節約でこれを賄えということでございまするならば、一応それに要するところの経費の算出に対して一方節約というこういうことで財源措置考える。こういうふうに推計の立て方するのが正しいのではないか、かように考えておるわけであります。
  31. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと二十五年度の実はこれは切落されたのですが、二十五年度どういう措置で実際には支給されたのでしよか。
  32. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 二十五年度の補正予算の際にも新規財政需要ということで要求をいたしたのでございまするが、今御指摘通り全体として認められなかつたわけでございますが、現実には各団体ともこれは法定されておりまする関係支給をいたしておりまするが、実際の扱いといたしましては、結局既定経費をいろいろ節約をいたしまして、出した部面もございましようし、或いは他の事業繰延或いは圧縮というようなことによつて何とか財源を出している。こういうような状況にあるかとも見ております。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 只今の点を伺いまして、どうですかその実施状況については、調査はできておりますか。年末手当を支払わないというようなこと、払わなかつたというようなことが起つていないのですか。
  34. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 実際に各団体支給をいたしました状況につきましての詳細の報告はまだ全部集つておりません。ただいろいろ各地方からの報告等によつて聞いておりまするところでは、大体各団体とも基準のように出しておるように聞いております。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 これはなかなか出せなくて困つているところがある。又出したにしても非常に大骨を折つている。こういう状況だと思いますが、この実施状況が更に三カ月振込んで来年度これを決定するときに、非常に重要な問題ですが、まだ調査はできていないのは非常に我々は怠慢だと思うのであります。それでお聞きしたいのは文部省でありますが一体さつき……。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつとさつきの点に関連して、今のは府県分でもわかつておりませんか。
  37. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 特に年末手当支給状況ということでは報告をとつておりません。
  38. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 関連して、地財委に伺いますが、今の二十五年度どうしたかの結末は、地方行政で各府県調べますと、大体においてこれは非常な無理算段で出したためにその金額だけが二十五年度決算見込において、いずれも赤字を出しておつて、その赤字補填に現在苦しんでおるというふうな現状になつておるのが大部分だと私は思うのですが地財委としてどうですか。
  39. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今指摘の点は全くその通りでございまして、これも二十五年度の決算見込につきまして市町村分はなかなか手が廻らないのでございまするが、府県分につきましては一応の報告を各団体から徴しております。ただこれも只今のところ全府県の分が集つておりませんので、たしかまだ五県ほど残つてつたかと思いまするから、まだ現在では推定の程度を出ませんが、それによりまして大体私のほうでそれをもとにして推計いたしまたところによりましても、いろいろ事業の来年度への繰延或いは支払の延期というような算段をいたしまして、なお六十億程度府県分だけでも今の赤字決算と申しましようか、財源の辻褄の合わない点がでて参つておる、こういうふうな状況ではないかと思つております。
  40. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それに対して大蔵省のほうではそういう事実を御調査になつたのかどうか、それからそういう事実であるにかかわらずこれでやはりやるべきだという判断をされておるのはどういう理由に基くのか、大蔵省のほうの御所見を伺います。
  41. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今白石という主計官が来ておられます。これは主計局長のもとで地方財政に関する実務を扱つておられます。説明員として説明を聞きますか。
  42. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一応。
  43. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 二十五年度の年末手当支給状況でありますが、大蔵省といたしまして全体の調査はとつておりませんのでありますが、都道府県四十二団体について調べたところによりますと、半月分支給しておりますのが四十一団体、それから半月分を越えて一カ月分以下で支給しておりますのが一団体、それから都市につきましては二百四十五団体調べておりますが、そのうち半月分以下支給しておりますのが百五十二団体半月分を越えて一カ月以下を支給しておりますのが五十七団体、一月分を越えて一月半以下を支給しておりますのが五団体、それから町村は一万百八十八団体のうちに六千六百二十団体調べたのでありますが、そのうち半月分以下支給しておりますのが四千二百十四、半月分を越えて一ケ月分以下支給しておりますのが二千一、一月分を越えて一月半以下を支給しておりますのが百五十三団体、それから一カ月から二ケ月の間を支給しておりますのが五団体、二月分を越えて支給しておりますのが五団体というような状況になつております。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その資料を至急に文書にしてお出し願いたいのですが、そうしますと半月分或いは半月分以上に出しているところは問題はないのですが、そのお調べによつて半月分以下しか出してないところが相当あつて、そういう意味では年末手当が完全に支給されてないという実情であることが一つと、それからそのお調べに附帯して半月分は払つたが、或いは半月分以上払つたために、その他の方面においてどういう支障が来ておるとかという点はお調べになつておるかどうか。
  45. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 早々の間でございましたので、単に支給状況だけを調べたのでありましてその他の財政に及ぼす影響につきましては分析の調査ができておりません。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今支給状況調査の結果が発表されたわけですがそれだけでは意味がないと思います。大蔵省のほうでは新規需要でない、こう認めるといいますが、二十四年度のごとき例の七億二千万円の問題など先国会も問題になりましたが、新規需要でない証拠であります。七億二千万円を前の二、三年前の地方公共団体貸付金で差引く、そのような形になるわけです。その他に二十五年度では地方の殊に人件費教職員が一番占めるのでありますが、もう七月頃から地方では教員の補充を全部ストツプしています。そのために学校に行きますというと学級編成を切替えたようなところもあります、欠員ができればそのまま。従いまして例えば女の先生の産前産後の休養もできない。それから結核療養者も十分休めないで無理をして出動する。教師が講習に出たり或いは出張などあつた場合には生徒はそこでいわゆる自習なるものをやる。新制中学校あたりが自習の監督が不十分なために生徒が校外に出たりして不良化の温床になる、こういうような惨沮たる実情があるわけなのですが、そういう点を文部省調査されて認められておるかどうか、そういうことを大蔵当局に対してどういうふうにして実情を伝え、こういう平衡交付金決定に対して闘われたかということを局長にお伺いいたします。
  47. 辻田力

    政府委員辻田力君) 平衡交付金によりまする教育費基準財政需要額算定が、文部省の所期するほど十分でないために、いろいろ御迷惑をかけておるというような、甚だ残念なことと存じます。私どもといたしましては只今お話のありましたような事柄があつてはならないということでいろいろ関係方面に折衝を重ねたのでございますが、そういうような只今お話になりましたような事柄が一部分にしろ起つておるというようなことは残念なことだと思いますので、これは是非解消しなければならんと思つております。文部省といたしましては、この問題につきましては大蔵省或いは地方財政委員会地方自治庁方面種々説明をいたしまして、文部省要求の認められますことを交渉して参つたのでありますが、種々関係から今回の政府案のようになつたのでございます。この点は今後一層努力いたしまして(「今後じや駄目だよ」と呼ぶ者あり)そういうことのないようにしたいと思います。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長から努力されるということだけ承わつてもしようがない。もう一つお願いいたしますが、定員定額は今平衡交付金制度になつてから、なくなつているわけでありますが、小学校一・三五、中学校一・七という基準職員を配置した場合に、教育の遂行上支障があるというので、どうしても小学校学級に対して一、二学級に対して一・五、中学校に一・八なければ工合が悪いという角度から、平衡交付金支給に当つても考慮されたはずです。それは文部省もちやんと認められているわけですね  そこで庶務課長にここでお伺いいたしますが、果して地方自治団体小学校一・五、中学校一・八程度定員が確保されているかどうか、この点をお伺いいたします。
  49. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 平衡交付金算定に当りましては、一・五と、中学校一・八の財源を見込んで実施ができるようにいたしたのでございますが、平均単価地方の実際の単価と二、三百円の開きがございましたで、完全に一・五、一・八が実施されていないのは私どもも遺憾に思つているのでございます。そこで少くとも地方の実際単価に即応できるように、平衡交付金算定に当りましてそういう資料地方財政委員会に提出しておつたのでありますが、御承知通り平衡交付金算定が前のように国庫補助金の形で行きませんので、地方財政委員会教育費以外の財政需要と合せられて、一方において地方財政収入とのバランスをとられますので、私のほうといたしまては教育費だけは平にしろということを、今後の教育費基準財政需要単位費用算定する場合に、できるだけ御趣旨の線に副つて折衝するつもりでおります。この点御了承願います。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今それではあなたから単位費用という言葉が出たわけですが、これはやはり関連性を持つていると思うのです。今単位費用をどういうふうにして決定されておりますか。
  51. 白石正雄

    説明員白石正雄君) この単位費用国庫補助金が一・五と一・八と、平均給小学校の五千五百六十九円と、中学校が六千九十三円、この増額に旅費単位の四千円、こういうものを見まして、従来国庫補助金でしたら大体二百四十八億と計算おれております。その倍額を見まして大体五百億程度を小中学校教員給与費というふうにいたしまして、それを学校と学級生徒数に分けたのであります。学校当りの経費を、最低限の学校の維持経営に必要なだけの経費を見まして、あとは学級と学校を仮決定の場合には半々に見る、それから本決定になりまして、修正いたしまして学級を四割程度生徒当りを六割程度に見たのであります。ですから義務教育に関する限りは、単位費用としては従来の国庫補助金の制度と大差はないようにいたしたわけであります。ところがこの平衡交付金の仮決定が非常に遅れましたために、二十五年度の予算の編成に当つては、地方財政委員会が当分の間、二十四年度の方針をとるようにというような通牒が参りましたので、県では予算編成に当つては、大体二十四年度の予算編成方針を踏襲し、即ち一・三五と一・七の基準予算編成をいたしましたので、その後私ども調査の結果によりますと、大体小学校では三分の二の県が基準財政需要に満ちてなかつた中学校では約二分の一の県が基準財政需要に行かなかたというような実情が出ておるのであります。その後補正予算等の関係でこれが又変つておりますが、まだ補正予算後の県の教育費予算額、それから他面におきまして府県教育費基準財政需要という調査を今しておりますが、遺憾ながら数府県しか参つておりませんので、その詳細左結果を申上げる段階に入つておりませんのです。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 さつきの年末手当ですが、さつき調査した数はどのくらいですか、大体一万一千の、全国市町村ですね、そのものはどのくらいの数ですか。あの数だけ出したものだけ書いておりますけれども、出されないものについての数は全然わからないのです。ちよつと数をおつしやつて下さい。
  53. 白石正雄

    説明員白石正雄君) これは財務部を通じまして全国に照会してありますが、それについて報告の集つただけの数が前申したような数です。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 もう一遍言つて下さい、わからないのです。
  55. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) すぐプリントして渡しますから。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 いつですか。
  57. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今日中に。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 大体の数でいいですから。
  59. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 調査府県が四十二、都市が二百二十二、町村が六千六百二十、全部で六千六百四十四団体です。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 町村なんかで非常に問題が大きく出て来ると思うのです。六千六百といいますと、大体六割程度ですか、あとの四割の報告のない、調査が不十分なところに問題が大きく伏在しているのではないかと思うのです。それが半カ月以下というさつき報告の中にありますけれども、それよりもつともつと悪い條件のものが出て来るのではないか。これは具体的にそういう点についてはなんら資料はないのですか、そういう面が問題なんですから、これはありませんか。資料を出してもらうときにそういう点についての大体見当とかそういうものには付きませんか。
  61. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 手許に報告の来た限りにおきましては、なんら推定する材料がないのであります。
  62. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題は大蔵省ですでにそれだけのものを調査しておるのですか、地財委のほうでもそれに関連するお調べがあると思うのです。これも今できておるだけでいいのですが大至急御資料をお出し願えないでしようか、いつ頃出せるか。
  63. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その問題につきましては勿論重要な問題でございますので、只今調査にはかかつておりますが、手不足等のことでまだ結果がまとまつておりませんのでまだ出ておりませんが、でき得る限り一つ大至急にまとめたいと思います。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 資料をもらつてからなお検討したいと思いますが、実はどうも今の地財委のほうでは何を基礎にして一体今まで折衝されたのか、(「その通り」と呼ぶ者あり)一体何ですか、観念的な遊戯をやつておるのですか、こういう資料で闘うのがこれは一つの行政なんで、今までの思い付きな政治じやないはずです。科学的なそういう資料なしに一体何を根拠にしておるか、市町村ではこういうことだから問題が出て来る。大蔵省のほうでも僅か六〇%ぐらいの調査で以て、なお大きなこの問題はこれはすつかり暗箱の中に投げ込んで問題をやつておる、そこに問題がある。現実に合はない政治の姿が出て来ると思います。我々としてもそういう資料のないということはこういう重要な問題をやつて行く上に不満足です。  それから、これはとにかく資料をもらつてからやることといたしまして、その次に伺いたいのは、文部省文部大臣はどうして出られないのですか、これだけ重要な問題に。一昨日の分科会においては私は特に二回も念を押して今日は文部大臣が出られるように、病気で今まで出られなかつたので問題がたくさん残つておる、こういうことを申しました。辻田局長努力をするという、すでにあと一週間のちに予算の審議が迫つておるときに、辻田局長努力をせられますということは、私どもはどれたけの手形だと思つて審議を進めればいいのですか。お話にならない、不渡りです。その点お伺いしたい。大臣の出席を是非求めたい。それから委員長としてもその点押して頂きたいと思います。と同時に関係の責任ある政府委員並びに主管大臣が見えていないのですが、これは重要な本小委員会を遂行するのに非常な支障を来たすと思いますので、時間が非常に限定されておりますので特にこの点を出席の御篤励を願いたいと思います。
  65. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部大臣が出まして御説明をいたさなければならんのでございますが、健康上の都合でまだ十分でないので静養しておるような現状でございます。できるだけ重要な委員会でございますので出まして大臣から御答弁申上げるということにいたしたいと思いまして、私たちといたしましてはなおできるだけ早く出られるように取計らいたいと思つております。けれども……    〔「議会にいないのか」と呼ぶ者あり)
  66. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今の局長答弁は間違つておるので、文部大臣は衆議院の文部委員会答弁に立つております。すぐこちらへ来るようにいたしております。(「でたらめを言つちや困るよ」と呼ぶ者あり)
  67. 辻田力

    政府委員辻田力君) ちよつと申上げますが、私が役所の方から出て来ますときにまだ体の調子が悪いから今日あとから出るというふうなお話でございましたから、さよう申上げたわけでございますが、それは只今委員長からお話があつたように出ておられるのだと思います。私役所を出て来ますときはそういう話でございました。  それから先ほどただ努力するというだけではしようがないというお話でございますが、文部省といたしましては、先ほど申しましたように地方財政委員会大蔵省にそれぞれ要求をして参つたのでございますが、今回の政府原案のようになつた次第でございますが、我々としては今後予算増額というふうな場合におきましてはこれを是非盛込んで頂くように願つておる次第でございまして、現在の文部省案と申しますか、文部省要求をあらゆる努力をして実現したいと念願しておる次第でございます。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 何遍もそういうことを繰返されないほうが私はいいと思うのです。文部省努力というものは天下周知の事実なんです。やつて見ても何にもできやしない。そういうことを何遍もこの国会の記録に載せないほうがいい。やるならそういう態勢をとるべきであつて文部大臣病気だつたら政務次官以下どういうふうにしてこの問題を切抜けて行くか。そうしますと、さつき矢嶋君から出たような資料でも、例えば年末手当の問題一つつても、これによつて何が起るかというような現実の事実をすつかりつかんで、それを徹底的に大蔵省の折衝のときに使う、そういう態度がどうもとられていないで、ただこういう所に来て問題を糊塗する、こういう形では非常に問題だと思う。私も実は驚いたのです。年末手当予算が殆んど九〇%も切られていたのを文部省が知らなかつた、まさかよもやそれほどじやないと思つたのでありますが、それを西郷委員から承わつて実は愕然とした次第です。そういうことによつて年末手当の問題が大きく出て来る。そのほかに紋別推定表の問題があります。級別推定表によつて約九億の開きがあるのでありますけれども、これなんかはどうなんです、一体。こういうようなやり方で十三億四千三百万円ということになりますと、今の法令は、折角そういう措置をとつても全然実施されない、全く空虚なものになると思うのでありますが、それからどういうような欠陥が起るか、この点伺いたい。
  69. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今の御質問でありますが、どういう努力をするかというお話につきましては、私ども文部省といたしましては、年末手当につきまして大蔵省側の見解に必ずしも賛成していないのであります。そこでこれを具体的に申上げますと、二十六年度の各行政費の単位費用算定の問題になると思います。そこで教育費単位費用算定につきましては地方財政委員会と折衝いたしまして、二十五年度の補正予算の場合には全額年末手当の分は一応見込んだのであります。ですから二十六年度につきましても年末手当に要する所要財源教育費単位費用の中に織込むように話を進めております。  それからその他級別推定表の問題につきましては、これはベース改訂の問題と関連なしに査定することは私は非常に不適当だと思つております。そこでベース改訂に要する所要財源との見合いにおいてこの問題は処理しなければならない。ところがベース改訂のほうは大蔵省側は一律に千円ということでみてありますが、これは文部省といたしましては教員給与が高いのでございますので、このほうの実体を検討されないで一方的に級別推定表だけを査定されたのは、私は甚だ遺憾でありますが、大蔵省査定如何にかかわらず地方財政委員会と交渉いたしまして、教育費の二十六年度の基準財政需要額につきましては教員のベース改訂、級別推定表の改訂及び年末手当支給できるような財源措置を具体的に講ずる所存でおりますので、その点は御了承頂きたいと思います。大蔵省地方財政委員会の案によりましても、大体教育費の来年度の増加額が百五十億程度に見込まれておるのでございます。これでも私どもは非常に少いと思つておりますので、この点来年度の教育費基準財政需要算定の中で、私どもが一応今考えられている点は、来年度御承知通り只今平衡交付金法の改正が通りますならば、基準財政収入を七割を八割に上げますのでその約二百億程度の枠と、それから自然増収の百八十億の八割程度、それから新たに殖えました五十億の平衡交付金の増、合せて四百億が新しい基準財政需要額単位費用増加額に充てられると思います。その中で教育費については只今申しました給与ベースの改訂等が円滑に実施できるように地方財政委員会と打合せて、教育費単位費用をきめるという点に努力を申上げておるのであつて、この点は私どもも万全の努力を払いまして教育界に無用の混乱と不安の生じないようにいたしたいと考えております。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 非常に今の発言は私は重要だと思うのです。予算の正式なところで、これが項目が予定されないでいて、だから仕方がないから第二次的に具体的な措置をしたいというようなやり方、まるで何だかプライベートなところに追込んでいる。そういうやり方が問題を残して、それから実際今の地財委のほうで考えて四百億というふうな財政的な余裕が出るはずだと言うのですが、これについては細かく検討すれば全く問題にならない数字が出るのですから、それは単に答弁用ということになるのであつて、私のお聞きしたいのはそういうことではなくて、やはり予算の面できつとこういう問題が決定的に科学的に決定されるということが必要なんでありまして、それはなぜそういうことを私主張するかというと、プライベートなやり方によりますとそこにいろいろな操作の面から変なものが出て来るのです。権力の問題もそこにからまつて来ます。それでそのために教員の地位、公務員の地位というものは絶えず不安定なんです。こういうことではとても問題にならない。そういうような御説明では私は非常に不満足なんであります。私お聞きしたい要点は、級別推定表というものは非常に不完全で平衡交付金の裏付けがない。それでこの閣議決定線と地財委要求では九億も開いておる。その結果が今話されたような地方財政的な措置、そういうものにかかつて来るのですが、その結果何が起つておるかということ、そこがやはり重要な問題なんですが、こういう点についてどういうような事態が起つておるかということは文部省としてはそういう点つかんでおるか、どうですか、この点承わりたい。
  71. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今の御質問にお答えいたします。級別推定表の財源につきましては、これは先ほど申上げましたように、給与ベースの改訂との関連において考慮されなければならないと思います。そこで政府が見た千円のベースの中では教員のベース改訂が完全にできないのでありまして、私ども調査によりますと、大体非常にラフでありますが一人当り二千円程度があの法律を施行するならばかかるという見解をとつておるのであります。そこで給与ベースのほうに相当額が見込まれますならば級別推定表の改訂も円滑に実施ができたはずなんであります。ところが私どものほうと地方財政委員会と見ました本年度の補正予算におきまして、十分に、勿論千円ではございませんが、千数百円見込んでありますが、これだけでは財源が足りなかつたという点で級別推定表の改訂が二次的に取扱われているのが現状であります。併しながら二十六年度の単位費用決定に当りましては、級別推定表の改訂及びベースの改訂ができるような単位費用増加額をきめたい。そこで只今岩間委員からお話がございましたように、ここで予算がきますというこの大蔵省の案と地方財政委員会の案についてここで私どものほうでは、教育費単位費用がきますというふうには考えていないのであります。これは御承知通り平衡交付金算定一つ資料としておきめになつているのでありますが、具体的には地方財政委員会委員会法の規則によつて単位費用がきますということになつておりますので、その際に問題をできるだけ混乱をしないような解決の方途をとりたいと思います。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 これはひどいと思うのですよ、ここで総額枠を決定するので今細目を検討しているんですよ、ここで細目の問題がどんどん、これは根拠のないもので、それで大蔵省の案で締められて来たならば、さつきつた分配の問題を何ぼやつて見ても、そんなものは一つの形式論なんです。我々はそういうことを言つているのではなくて、ここでちやんと必要な額だけははつきり確立して、それが全体の枠になるのです。今のような大体答弁をされているということは非常にこれは事態の認識が浅いと、こう言わざるを得ないと思います。さつきの級別推定表の問題ですが、これによつてどういうことが起つて来るか。例えば岩手県では、第一にこれの実施をすることによつて、ほかの面に非常にしわ寄せができて来た、例えば定員を削減しなければならない事態が起つています。それから結核の療養費、こういう点を全廃しなければならない。第三には旅費の予算を大削減する。今まで一人当り四千円取つてつたのを三千円。それからその次には定時制高等学校の教員の旅費がありますが、これを大きく減額する。こういうような四つの面に級別推定表の不完全実施のことからだけでもそういう事態が起つている。これは尤も二十五年度のことでありますが、二十六年度において、こういう不完全なことをやりますというと、もつともつとこれは大きくしわ寄せされて来るという実態が見えている。だから逆にそういうような実態をつかんでその実態に基いてそういうことを繰返さないように、大きくこれは主張するということが私は必要だと思うのでありますけれども、どうもそういうことの認識が欠けているんじやないか、こういうふうに思うのです。これはどういうふうにしますか、そういうふうな事態が起つているんですが、これに対しては文部省はどういうふうにされますか伺いたい。
  73. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今岩手県の実例をお挙げになつたのですが、私どもも岩手県について近く調査して見たいと思つておりますが、一番大きな原因はむしろ二十六年度の予算を編成するに当りまして、平衡交付金がどの程度に来るか、言い換えますならば各行政費の基準財政需要をどう算定するかということと、もう一つ地方税収の見込をどう立てるか、こういう二つの問題が関連しております。殊に私は岩手県の場合は骨格予算としての問題じやないかと思う。本格的な予算編成、補正予算というものが必ず次に起る問題でありまして、それまでには地方財政委員会と協議いたしまして、教育費基準財政需要額決定できるのじやないか。その後補正予算として必要な額だけ計上されるようなふうにして頂きたい。私どももそういう必要な額が計上されるような教育費用の単位費用をきめて行きたいと考えておるのであります。
  74. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういう一般的な地方財政平衡交付金の額だとか、東京の一般的な問題を我々今聞いておるのではなくて、給与改善に必要なベースアツプの経費だとか、年末手当に必要な経費、それらについても問題はあるが、これはまあ大部分教職員であるが、同時に地方公務員一般の問題なんで、これは別途地財委なり何なり更にお聞きするが、第三の点だけは、紋別推定表ですか、これの増加財源問題だけは地財委報告によると、文部省当局の算出単価によつたということが出て、この問題だけは全部文部省の責任における算出方法その他になつておるわけなんです。そこでこの項目についてだけもつと突込んでお聞きしたいといつている。ということは例えば地財委増加額を示して、二百八十三円たといつておるが政府のほうでは百七十円だといつておる。中学校の場合は地財委は三百四円だといつておるが政府は百五十円だといつている。こういう食違いがある。だがこういう食違いをそのままに放置して置いていいのかどうか、これで査定されたらこのままでやつて行けるのか、やつて行けないとすればどういう支障があるのか。更には政府算定にどういう過ちがあつて、どういうことをもう少し政府に、文部省当局としては要求したいというお考えなのか。その辺を具体的に聞いているんで、何もその事務当局に地財委全般的な問題を聞いているんじやない。特に文部省庶務課長にはその問題に限つて具体的に話を聞いているんだからもう少しそういう具体的な問題として御説明を願いたい。
  75. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今の御質問につきまして、当初地方財政委員会文部省と話合いしました級別推定表の改訂に要する所要財源は二十二億六千七百万円、この数字は岡山県の実態をとりまして出した数字なんであります。そこでこれに対しまして大蔵省が十三億四千三百万円に査定されたわけでありますが、級別推定表の改訂というものがベース改訂と関連いたしますので、大蔵省側には査定されるときに同時に給与ベースの改訂による単価の方も査定して頂きたいということを申上げたのですが、それは地方財政委員会意見書の中にないからというお話であつてこれは千円一律に込めてあります。大蔵省の原案によりますと七十六億二千八百万円と、地方財政委員会が職階別に算定しました教員給与べースの改訂に要する経費が九十億五千四百万円、九十億でも非常に私共は不満なんであります。実際の単位をとりますと約百六十億程度要るわけなんであります。ですからそのべース改訂による問題と級別推定表の改訂と関連して査定されて行かなければ私どもとしては非常に不満であるということを表明しておるのであります。この十三億四千三百万円につきましては、やはり大蔵省側は岡山県の実例をとらられて文部省から出した資料によつて査定されたわけであります。この点については一応或る程度御尤もな意見もありますが、私どものほうといたしましては、ベース改訂の問題と切離してこれだけに査定されることは非常に困りますので、べース改訂に要する所要財源を見た上でこの数字をはつきりいたしたいというふうに申上げておりますので、完全に私どもの方としてこの十三億四千三百万円を承認したという意味ではございませんのでこの点を御了承頂きたいと思います。
  76. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点について大蔵省のほうではどういうふうに考えておられますか。
  77. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 教職員の格付級別係数の改訂でありますが、これは国の場合におきましては、予算の範囲内において実施をせよという人事院の通牒に基きまして、翌年度におきましては別にこのための特別な予算増加措置はとられていないのであります。地方公務員の場合におきましては岡山県の例によりまして、文部省とも協議の上小学校教員につきましては、例えば月百七十八円というような数字をそれぞれ検討して協議したわけでありまして、この範囲内において実施せられることが国の場合に比較いたしましても適当であろうかとかように存じておる次第であります。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今日中に私資料要求したいと思うのですが、それは教職員給与級別格付基準改訂、これが各都道府県でどういうように行われておるか。完全に行われた府県の数、それから行われていない所と、それを調査されていると思いますので、その現在持たれている資料を今日中に出して頂きたいと思います。ここでできる程度にお伺いいたしますが、一部はやつている県があると思います。併しそういう県がさつき岩間委員から言われましたように、どういう犠牲を払つてどういうしわ寄せをやられているかというところまでは調査されていないかと思うのでありますが、そういう点、今庶務課長のところで御記憶のある点だけでも承わりたいと思います。詳細は本日中に資料を頂きたいと思うのですが、如何ですか。
  79. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 級別推定表の改訂給与ベースの改定につきましては先般来から調査いたしておりますが、その調査の項目は大体どういうふうな方法でベース改訂を行い、級別推定表の改訂をしたかということを調査しておるのでありまして、そのほかにそれによる府県予算がどの程度にあるか、他方において基準財政需要額で計算した場合にどうなるか、それによる差額がどうなるかということを二十五年度の分についてやつておるのですが、未だに二十五年度の分の集計ができないのでありまして、僅かに数府県しか報告が集まつていないのであります。この点については一両日中に或る程度報告ができると私は思いますが、今日はちよつと困難であろうと考えるのであります。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今後の問題もありますが、こういう予算査定をするまでにできるだけの資料を集めておいて頂きたいと思うのです。各都道府県とも相当この問題では困つておりますし、一部の県では地方選挙とからみ合つて知事が立候補するような人は背に腹は代えられんということであとの地方財政はどうなるかということは棚上げにしてしまつて、選挙当選主義で無理してやつているような都道府県も私自身知つております。そういう実情をはつきり資料としてまとめて置いて頂かないと、我々が予算審議をするに当つて非常に資料不足で困ると思うのです。今後そういう点十分注意して頂きたいと思います。これに関連して私申上げますが、地方財政の確立と申しましても、この人件費給与べースの改訂、年末手当、級別、これだけの問題が解決すれば地方財政確立のための平衡交付金増額の問題は殆んど解決する。ここに集中されると思うのですがね。そういう意味であなた方の責任も大きいと思う次第です。先ほど局長からも人件費については優先的に扱うというような岡野国務相の言われておるところで努力するという言葉を申されましたが、よくこの文部省から都道府県教育委員会に流された指示、通達と、地財を通じて都道府県予算を握つている総務部に流された指示、通達が食い違つてつておるのですが、どういう所に原因があると考えられますか。簡単に言えば地方教育委員会に対しては文部省から非常に甘い通知が来てこれなら大丈夫だとそれでやつていると、県側から完全にやつけられてしまうわけなんですね。そこが非常に混乱しているわけなんですが、従いまして地方としては文部省と地財、こういうところの意見を完全に一致させたものを流して欲しい、そうでないと非常に困る。こういうことをよく聞くのでございますが、どういうところに原因があると課長考えておられますか。
  81. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 文部省といたしまして、地財の意見と食い違つたような通牒を出した覚えはないのであります。いつでも地方財政委員会教育費財政につきましては十分な連絡をとつた上で出しておるつもりであります。只今の御質問については私もよくその事情がわかりかねておるのですが、今は国庫補助金がない今日でございますので、問題は教育費基準財政需要算定の問題になりますので、結論は単位費用の問題と補整係数の問題と、こういう点になつて来ますので、それの内訳については十分に打合せを遂げた上で地方財政委員会府県の総務部長に指示する、文部省のほうは教育委員会庶務課長、或いは教育長のほうに指示しておりますので、そこに何か非常な齟齬があるというふうには私は考えていないのでありまして、ただ予算編成の場合に知事側が考えておる理窟と、教育委員会考えている線が具体的には食い違いがあると思います。これは予算折衝の私は技術的な問題が一つはあるのじやないか、なるべく知事側のほうでは少く予算を見積りたいし、教育委員会のほうでは多く見積りたいという気持の、そこに査定を受ける者と要求する者との感情のずれが一つはあるのではないかと考えるのであります。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例えば調整号俸の問題とか、級別推定の表の適用の問題とか、これとまあちよつとはずれますけれども、その他の教育費の中に入つている幼稚園の人件費の問題、そういう給与関係でつねづね食い違つてつておるわけなんですね。これは平衡交付金制度そのものの欠陥から来るかとも思うのでございますが、もう少しはつきりと指示を流して頂かないと地方は実際困ると思うので要望しておきたいと思うのです。  ここでもう一つお尋ねいたしますが、私もその五十億から削減されている年末給与の問題について、文部省は知らなかつたということを地方行政委員会答弁されたというのを聞いてびつくりしたのでございますが、この五十億は今地方財政を一番圧迫するであろうと予想されておる問題の金額ですが、この予算案がきまつたのは十二月の二十二日でございまして随分これは教育界では問題になつてつたのをいつ文部省はこれに気付かれたのか、場合によつては私は責任があると思うのです。これにも関連して又申上げますが、あの先般の臨時国会補正予算のときに、二十四年度の年末手当の七億二千万円削減されたときに、文部省は晴天の霹靂だつたとこう言われたのですね。昨晩までは大丈夫だと思つたが今朝になつてそれが削減されていることに気付いた、こういうことをそのときに承わつたのですが、それと予算編成に当つて文部省の意向というものは全く汲み入れられないので、大蔵省のワン・マンでやられているのであるか。その点も併せてこの際答弁して頂きたいと思います。
  83. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今の御質問でありますが、これは文部省が知らなかつたと申上げたのは、その意見書についての問題でありまして、私どもはこの削減に同意しておるわけではありません。で二十五年度の場合でありますが、この予算の七億の点につきましては、政府で一応総司令部に持つて行きましたときに閣議ではすでに七億が決定した、それが最後に内示されたときに落ちておつたということなんでありまして、これはその問題につきましては意見書が出たあとで私どもは気付いたわけでありますが、勿論具体的にこの政府案で、政府の削減に対しては非常に困りますので、これは平衡交付金算定のときの基準平衡交付金額を出す場合の算定基準だというふうに私ども考えておりまして、具体的に給与ベースの年末手当支給する場合の費用については勿論この額で承認しておるわけではございません。
  84. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとお伺いしておさます。給与ベース改訂による増加額の中で文教関係が幾ら、どんなふうになつておるのですか。これをちよつとお伺いしたい。文部省がどれだけ要求し、地財委がどのくらい査定し、大蔵省がどう査定し、文部省との要求の食違いがどのくらいであるかということですね。
  85. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今委員長から御質疑がありましたことにつきましてお答え申上げます。文部省関係費用について給与ベースの改訂による増といたしまして、文部省としましては百六十四億一千四百万円を要求いたしております。地方財政委員会の案としては九十億五千四百万円、政府の原案としましては七十六億二千八百万円、こういうふうになつております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今局長が申されましたように、所要単位費用にしても地財委大蔵文部と皆それぞれ食違つておるわけです。それで先般の分科会でも私地財委のほうに合同してはつきりした調査をされるよう要望したわけですが、文部省としてもそういう意図がありますか。
  87. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 地方財政委員会と協議いたしまして、近く合理的な教育費単位費用及び補正計数について調査しようということで話合いは進めておりますので、二十六年度予算におきましても、教育財政調査費用がございますので、その際に近くやりたいと考えております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在ですら教師は生活に困つておるのに、而も先般施行された法律により給与の切替えができないというのが現実でありますので、そういう調査は早急にして頂きたいことを要望いたしておきます。  それから次に先ほど課長は将来の解決策として非常に甘いことを申述べられたわけですが、その中に基準財政収入を二十六年度は七〇%から八〇%に上げたので、約二百億殖えるからこれを財源一つにする方法があるというようなことを申されました。併しこれは七〇%にしようが八〇%にしようが地方自治体の収入というものには変りないでしよう。ただ公共団体の不均衡を取除くという点においては若干の効果があるかも知れないが、各自治団体の収入のトータルというものには変りがない。この八〇%に上げたためにどういう支障が起つて来るかと申しますと、例えば高等学校の需要額を実積の六五%に抑えてあるので、あとの三五%は、基準財政収入を七〇%にみてあるからその余裕財源三〇%でやれ、こういうふうに指示されておつたわけです。これが八〇%になると余裕財源がいよいよなくなるからそういう面ができなくなる。従つてそれがどういうところに現れて来るかというと、全国的に高等学校の授業料というものを議会は増額しつつあります。こういう問題について庶務課長はどういうふうに考えられておるのか。やはり八〇%に上げて捻出されるところの二百億でこういう年末手当とか、或いは法律によるところの給与ベースの改訂というものを実施するところの一つ財源にするがよろしい、こういうふうにお考えになつて述べられているのか、御意見を承りたい。
  89. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これは地方財政委員会でおきめになることなのですが、文部省の希望といたしましては、平衡交付金査定基準基準財政収入を七割から八割に上げますので、その中には二百億、自然増収の百八十億の八割、平衡交付金増加五十億、勿論収入ではないと思うのですが、その中で人件費に関するものを優先的に単位費用の中に織込んで頂く、こういうふうに考えておりますから、ほかの面においての多少のしわ寄せがどうしても出て来ると思いますが、人件費の分だけはこれを優先的に扱つて頂く、こういうようか希望であります。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地方財政委員会がそういうようなことを言われるのなら話はわかるのですけれども、今平衡交付金の問題で地方教育が惨憺たるときに、その財政を預かつている文部省庶務課長がそういうことを言われるようでは、私は平衡交付金というものは確保できないと思う。そういう点について今後教育財政の責任的立場にあるところの庶務課長としてはよほど私は注意して頂きたいということを要望しておきます。
  91. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 課長に質問しますが、八〇%に上げて二百億を出した。それから地方税の自然増の百七十八億の八割を文部財政でやるのだ、こういうようなことを言われたが、そういうことでは地方公共団体地方自治の観念があなたは零だ。大蔵省と違つて地方財政は百七十八億の自然増なんていうものは、これは全国ですよ。それを何のあれがあつてあなたがたはそういうことができますか。大蔵省が国家財政を指示することと違うんですよ。全然わかつてないじやないか。地方の自治というものがそういうことだから、こういう馬鹿げたことになる。そんな勝手なことが何でできるか。
  92. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今の御質問でありますが、これは基準財政収入の見込額を地方財政委員会が立てますので、その収入の見込額と関連において教育費単位費用もきめて頂かなければならぬし、その他の行政費の単位費用もきめるのですから、つまり地方財政全体の基準財政需要額が約四百億程度余裕がある。それが新らしく単位費用に振替えられることは、これは平衡交付金法の改正が通れば確実であると私ども考えておるのであります。ですからこの中の全額を教育費にもらうという意味ではないのですが、その中から人件費に関するものは優先的に考慮して頂くように希望しておるのであります。
  93. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その財源地方財政増加百七十八億だとか、地方財政平衡交付金増加五十億とかいうようなものを上げられるけれども、これはすでに見込済みなんです。これらの今さつきつたような負担増加額があるので、それの財源措置として今お話せられたようなものはもう織込み済みなんで、それを更にあてにして不足分を出してもらうというようなことは、これは意味をなさないのですね。だからそういうことで言い逃れをされるのでなくて、別途もう少し外の具体的な措置で、こういう措置で是非要求をしたいとか何とかいうことをもう少し別途具体的にお考えにならんと、理由にならんと思うのですよ。どうですかね。地財委のほうから御覧になつて……。
  94. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今教育費基準財政需要額算定についてのお話でありますが、文部省のほうで基準財政需要額算定すべき教育費の額をまあ確保したいという御意向は誠に尤もだと思うのであります。ただ私たちの考え方といたしましては、仮に今問題になつております基準財政収入額の基準税率を七〇%から仮に八〇%に引上げることによりまして、基準財政需要額総額は殖えて来るわけでありますが、その殖えました全体の基準財政需要額を各行政費目にどういうふうに配分するか、単位費用をどういうふうにきめて行くかということにつきましては、更にこれは各費目の重要性、それの費目の内容、性質によりましてきめて参らなければならないのでありまして、勿論その場合には教育費のようなもの、義務的な非常に重要性の程度の高い費目につきましては、十分これは尊重して行かなければならんことは当然でありまするけれども、今その殖えて来たものの中でどれくらい教育費のほうに確保することができるかということはお答えがいたしかねるわけであります。  なお全体の財政のバランスから申上げますならば、勿論御指摘のように税収の総額、それから今度おきめを頂きまする平衡交付金総額の枠内において地方財政全体が運営されて行きまするから、ただ仮にそのうちの幕準財政需要額の算定のみが変りましても、地方財政全体の運営が楽になるということはあり得ないわけであります。その点は私たちはそういうふうに考えております。
  95. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは午後は大蔵大臣、それから文部大臣厚生大臣労働大臣が出席する予定になつております。自治庁の長官は、岡野国務大臣は渉外関係で少し遅れるといつておりますが、とにかく出席は要求しておきます。  では午後は一時半から再開することにいたしまして、暫く休憩いたしたいと思います。    午後零時三十三分休憩    —————・—————    午後二時二分開会
  96. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは地方財政平衡交付金に関する小委員会開きます。
  97. 堀越儀郎

    ○委員外議員(堀越儀郎君) 文部委員長であります。委員外の発言をお許し頂きたいと思います。
  98. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 堀越君。
  99. 堀越儀郎

    ○委員外議員(堀越儀郎君) 文部委員長であります。文部委員会の要望といたしまして、地方財政平衡交付金増額に対してお願いを申上げたいと思うのであります。  皆様におかれましては、地方財政平衡交付金の小委員会の委員のかたがたのように拜察いたしますので、特に御考慮を願つて予算の本委員会において特別の御配慮をお願いいたしたいと思うのであります。要望書を申上げまして御考慮をお願いいたしたいと思います。    地方財政平衡交付金増額に関する要望書   すでに昭和二十五年度において、地方財政平衡交付金の不足によつて地方財政は極度の窮乏に陥つている。   然るに、昭和二十六年度予算においても、地方財政委員会が、昭和二十五年度当初予算に比べ百六十億円の増額勧告をなしたにかかわらず、政府は僅かに五十億円の増額を計上しているに過ぎない。   現在地方財政において、教育費の占める割合は平均その四二%に達している。従つて若し、政府が飽くまで現在計上されている地方財政平衡交付金増額を行わないとすれば、地方財政の窮迫は必然的に教育予算に対するしわ寄せとなるべきことは火を見るよりも明らかである。   従つて、当面している教員給与ベースの敢訂、新級別推定表の実施等にも重大な影響を与え、新教育制度の運営に多大の支障を来すに至るであろう。   参議院文部委員会は、事態の重大性を深く憂慮するが故に、予算委員会において此の点を考慮せられ、適当な措置をとられたく強く要望する次第である。  右の要望書のように、文部委員会としては、予算委員会の各位に十分なる御検討の上適当なる措置を講じて頂くようお願いに上つた次第であります。
  100. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御発言についてちよつと御質問したいのですが、これは文部委員会全員の御要望というふうに聞いておいていいのですか。
  101. 堀越儀郎

    ○委員外議員(堀越儀郎君) 違います。文部委員会の要望であります。
  102. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これは決か何かをお採りになつたということはないのですね。
  103. 堀越儀郎

    ○委員外議員(堀越儀郎君) 大体決を採ると同じ態度をとつて参りました。
  104. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、これは大体要望としてはまあ予算を修正しろということになると思うのですが、そういう要望と理解してよろしいのでございますか。
  105. 堀越儀郎

    ○委員外議員(堀越儀郎君) 場合によつて予算修正もして頂きたく、修正ができなければ、更正予算においてでも今後十分なる適当な措置を講じて頂きたいという希望であります。
  106. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 只今政府側からは、地方財政委員会の委員の青木君とそれから国家地方警察本部長官の齋藤君とが出席せられております。大蔵大臣文部大臣等は間もなく出席することになつております。先ずこのお二人に御質疑のある方は願います。
  107. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は国警長官にお尋ねしますが、先般の予算分科会におきまして、政府が目下警察制度の改革を急いでおられる。その中には、現在の自治体警察を自治体の希望がある場合には国警に吸収するというふうな点もあるのでありますので、そういうふうな場合の経費と二十六年度予算との関係について伺つたところ、総務部長から、そういう際には二十六年度の平衡交付金よりそれに充当するものを流用するというふうな御答弁であつたのでありまするが、そうしますと、そういう点は一体どういうふうな根拠からそういうふうな意見が出て来るのか。本日は長官が御出席ですから、長官よりそれに関連するところの御所見を承わりたい。
  108. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) お答えをいたしたいと存じます。  只今お尋ねの通り、目下政府におきましては警察法の改正問題につきましていろいろ調査研究中であります。まだ成案を得て決定の段階には至つておりませんのでございますが、研究調査の段階におきましては、町村の自治体警察を只今お述べになりました通り、町村の自由意思によりまして廃止をすることができるということを考えていることは事実であります。この場合に、当該自治体が警察を廃止をすることになりますると、その区域を国家地方警察が分担をするということになるのでありますが、その場合の経費の問題でございます。これはこの切替えを四月の一日からやるということにいたしまするならば、その前に予算を提出をいたしまして、国会の御審議を経て実施をするという運びになるのが通常のやり方でございます。併し若し年度の進行中におきまして、町村警察を廃止をし、そうしてそこを国警が管轄をするということにいたしまするためには議会の閉会中でありますると、予算措置を講じることが困難でありまするので、そういう場合には町村が警察を持つておりまするが故に、平衡交付金算定基準といたしまして警察吏員の定数に応じてその平衡交付金算定基準にとられておりまするので、当該町村におきましては、自治体警察を廃止いたしましたならば、その警察に要する費用というものが平衡交付金算定基準から除外されることに当然相成りまするので、そういう場合においてはその不用になつた部分を国家地方警察の費用のほうに移し替えるということが可能ではないかどうかという点を目下研究いたしておるのであります。勿論この問題につきましては、地方財政委員会或いは大蔵当局その他とも十分検討をいたしまして、その上でなければ国会ね提案という運びにはならないと考えておるのであります。現在はそういう段階でありまして、そういう方法も可能であろうかどうかということを研究をしておる、こういう段階でありまするので、まだどういうようにきまつたというわけではないのであります。そういう方法もあろうかどうかという事柄を私どもの総務部長はお話を申上げたのだと思いますので、さよう御承知を願います。
  109. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて伺いますが、国警長官より、議会が閉会中のような場合にはその年度中間において発足したような場合、今平衡交付金に含まれておるこの費用を振替えるというようなお考えでございましたが、この平衡交付金は今までの経験によりますと、一なかなかその配付決定が遅くて、そのために地方財政にも影響するところが大でありまするが、政府としては国警吏員の増加と同時に、又今の自治警を国警に吸収するというふうなことも自治体の希望があればやると、そういう際に今申しましたように、交付金の配布はなかなか行かないので非常に遅くなるのですが、実際議会も閉会中であると、途中において警察制度の発足をするというふうな場合に、まだ交付金は交付されていないというふうな場合にはどうなさるのですか、その点を伺いたいのです。
  110. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 警察の人員増加を許されまするならば、我々当局といたしましては、一日も早いほうが望ましいと考えておるのであります。その場合には何らかの財政的な措置が講じられませんければ、事実上の増員ができないことは申上げるまでもないのであります。只今平衡交付金の問題はそういう増員の問題とは異なりまして、自治体警察を廃止したその部分を国家地方警察が受持つ、このために必要な費用の問題でありますが、財政平衡交付金の交付が遅れるという場合でありましても、例えば第三・四半期からそういう切替えをするということになりますると、第二・四半期までの分は現実に警察を置いていたわけでありまするから、それまでの分は財政平衡交付金から自治体のほうに入ります。第三・四半期からはその警察費に対する平衡交付金というものを見込まないものが当該自治体に交付をせられる。そうして国の予算といたしましては、第四・四半期から移し替えによつて進行すると、こういうふうになるであろうと思います。併し移し替えの可否につきましては、今検討中でございますので、何ら結論を得ておる次第ではないのでございます。
  111. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の自治警の吸収の場合でも、これは警察制度の改革の一端として、一方において国警国警定員増加を二万乃至三万になさるように承わつておりまするが、それもいろいろの情勢から非常に急いでおられるということを承わつておるので、そういうふうな国警の増員の予算等はどうなさるのか。この警察制度の法案がまだ出ておりませんが、四月選挙後の国会がまだありまするが、そういう際に法案と併せてお出しになるのか、国警だけの増員の必要は一体どういうふうに長官としては考えておられるか、伺いたいと思います。
  112. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは国の財政と非常に大きな関係を持ちまするので、私のほうといたしましては、法案と同時にそれに必要な予算を何らかの形で御審議を煩わすかどうか、その点はまだ全然未決定でございます。
  113. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地財委側に伺いますが、今お聞きのように、自治警を国警に吸収の場合の長官の御意見を承わつたのでありますが、それに対して地方財政委員会側の意向をお伺いしたいと思います。
  114. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 平衡交付金算定におきまして、現在の自治体警察の経費は御承知のように算定基礎として入れてあるわけであります。従いまして、若しこの点が年度の途中におきまして国警のほうに移管をせられ、地方公共団体としての支出の必要がない。それだけつまり財政需要額がなくなるということでございますれば、理論上その分の予算というものは、必要を生じまする国警のほうに委讓せらるべき性質のものであると考えるのであります。理論的にはその通りであると考えます。ただ総額の計算におきましては、平衡交付金が私ども算定をいたしました通りの額に決定になりませんといたしますれば、どういう基準でその委譲せられるべき額を決定するか、これは又その移管せられる時期等の関係もございまするので、それはまあ別に研究すべき問題であると思つておりますが、ただ理論的にはその分については平衡交付金から国家警察のほうにその分の予算を委譲する。これは止むを得ないことではないかと考えております。
  115. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地財委に重ねて伺いますが、年度の途中において、そういうふうな場合には予算でありまするから、自治体側もいろいろ考えてやりくりをやると思うので、途中で振替えをするような場合に、例えば物資の購入の場合なんか途中からその経費をとると言つても、すでに前以て予定して経費を支出して置いたというような場合には、それを無理に取上げると、自治体の財政に思わざる損害を来たすような場合も出て来ると思うのですが、そういうことはどう考えておられますか。
  116. 青木得三

    政府委員青木得三君) お答えをいたしますが、只今財務部長がお答えをいたしましたように、地方財政平衡交付金の算出の基礎となつておりますところの標準財政需要の中には勿論自治体警察の経費を含んでおるわけでありますが、これは西郷委員もよく御承知でありまするように、一方において標準財政需要を計算いたし、他方において標準財政収入を計算いたしました差額平衡交付金に相成るわけでございますので、これを個々の他方団体について考えてみまするというと、或る他方団体、市町村において自治体警察を廃止するということがございましても、その市町村の財政需要とそうして財政収入の関係におきまして、さような市町村においては何ら平衡交付金をもらわない、さような関係にある場合にも起り得るのでございます。或いは恐れておるのでありますが、今回この自治体警察を廃止し得るということに相成りました場合におきまして、これを廃止するところの市町村は財政状況の或いは豊かなるものがあつて平衡交付金などはもらわないような団体においてもさようなことが起ることがあり得ると思うのであります。従いまして只今財務部長答弁をいたしましたことは、これは理論上の問題でありまして、委員会といたしましては、自治体その警察を廃止したる結果、当然平衡交付金が減額されるというふうな結論には相成らんことと考えておりますので、御質問にありますような経費を払つてしまつてあとは困つてしまうというような事態が発生しないように、地方財政委員会としてはこれからその方策を立てなければならんと思つておるのであります。大体当然平衡交付金が減額になるということは、個々の市町村について考えまするというと、必ずしもさような結論には相成らんのではないかというふうに委員会としては考えるおる次第でございます。
  117. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今青木委員がお述べになりました御意見に対しては私も同感で、そういうふうなことがあり得ると考えておるのですが、まあそうでない場合もありまするが、どの地方公共団体も全部が差引かれるという場合にもならんことがあるということは私も同感なんですが、そういうふうなことがありますので、たとえ平衡交付金からもらえるというふうなものであつても、それでは今の青木委員のお説もその通りであるので、極く一部はあり得る場合もありまするが、大部分はそうでは経費が持てないということで、発足と同時にやはり新たなる措置を必要とするのであります。先ほど長官もそういうような点も言われたが、今の青木委員のお説もあるのですが、そういう点長官はどうお考えになるか。再び伺いたいと思います。
  118. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 只今青木さんからお答えになりましたように私どものほうでも考えております。具体的の場合には平衡交付金を全然もらつていない所だけが廃止になるという場合も考えられます。又極く一部しか現実にはもらつていないとい所もあり得るだろうと考えております。従つて廃止後の市町村を国警が引受けますために必要な予算はそれだけで足りるか、むしろ足りない場合もあると考えておるわけであります。併しながら只今考えといたしましては、自治体警察を廃止をいたしまして、国家地方警察が代つて行いまする際には、現在自治体警察が警察のために使つておりまする費用よりもよほど少くて済む、かように考えております。併しこれは現実に市町村が廃止の決定をいたしました場合に、現実の事実から算定をして参りませんと、どういう結論になるかわからないということになるのであります。
  119. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点長官に伺いますが、国警に吸収したような自治体側の例えば庁舎、その他は長官としてはそういう場合には買収なさるおつもりですか。どういうふうな処置をされるのでしようか。その点を伺いたい。
  120. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 只今考えといたしましては、現に自治体が警察のために使用をいたしておりまして、廃止をいたしました後、当該自治体がその建物を必らずしも必要としないという場合には、併し警察としては必要であるというときには無償で国庫に帰属するようにするような方法を考えておるわけであります。
  121. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 西郷君、労働政務次官も来ております。
  122. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ええ。長官に伺いますが、今の吸収した場合、国警として必要とあらば無償でもらうのだというお話でしたが、そうなると自治体側は不測の財政的な、経済上の損失を来たすと思うのですが、そういう際はやはり国は時価を以て買収なさるのが当然の措置じやないでしようか。その点は如何ですか。
  123. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 御承知のように自治体警察を創設いたしました除に、従前警察の用に供されておりました建物で、国警のほうに必要でないものは無償で自治体に交付をいたしたのであます。今度はその逆の場合でありまして、自治体警察のために用いるべく、又現に用いている施設であり、今後やはり目的は警察のために使われるのでありまするから、自治体警察はその当該自治体自身の建物を必要としない場合には、無償で提供をされても差支えないのじやないかと、かように考えております。非常に虫がいいようにお考えになるとも思いますけれども、所詮はその地方の警察のために使われるのでありまするから、その点で御理解が願えるのじやなかろうか、かように考えておる次第であります。
  124. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) どうですか。労働政務次官が来ておりますが、労働大臣はまだ出席しておりません。
  125. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 労働省に伺いますが、地方財政の中で失業対策の事業費でありまするが、これが地財委のほうにおきましては四十六億二千八百万円に、大蔵側では二十一億三千五百万円と、二十四億、約二十五億削減されておりまするが、この両者の大きな開きについて労働省としてはどういうふうなお考えでおられるか、一つ承わりたいと思います。
  126. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) お答え申上げます。地財委並びに政府案につきましての食い違いの問題につきましては、政府案の額は七十七億五千万円に対する地方の義務負担額分を計上いたしておる次第でございますけれども、実際は失業対策事業は最初のうちは或いは溝さらい、その他清掃的な、環境衛生的なものが行われておりましたが、最近は非常に建設的な、建設的と申しましようか、経済効果のある事業が行われておるような傾向になりましたるがために、地方がそのために資材費その他において、この単なる義務負担額よりも余計に額が増して来ておるだろうと、私ども労働省としては考えておる次第でございます。
  127. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のでどうも私はつきりしないのですが、今の説明では二十五億を削減したのですが、四十六億と二十一億の開きですね、これについては、このままで地方失業対策事業費というものは運営がうまく行くかどうか、こういう点についてこの削減した金額についての質問をしたわけなんですが、重ねてその点をはつきり御説明願いたい。
  128. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 恐れ入りますが、削減という問題につきましてはちよつとお答えできかねます。
  129. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて質問しますが、よくおわかりでないようですけれども地方財政委員会大蔵省側の地方失業対策事業費についての二十四億九千三百万円の開きがあるわけなんです。この開きについて、労働省としての失業対策事業費の面から御覧になつてどう考えておられるかということです。
  130. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 了承しました。地方財政委員会案と大蔵省案との食い違いの問題でございますが、この問題は実質のやはり失業対策事業というのは大体総経費の五五%ぐらいが政府からの補助額になつておる次第でございますので、一応地方財政委員会勧告案実現されますならば、この失業対策事業の運用がうまく参ると考えております。
  131. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 政務次官に重ねて伺いまするが、今の御説明であると、労働省としてはこの削減したところの二十五億のものを復活願えれば、非常に失業対策の事業も円満に運営できるのだ、そういうふうに承わつていいわけですな。
  132. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 先ほど申上げました数字は一応本年度の実績でございまして、従いまして今後失業対策事業がどういう面に行えるかということが問題になりまするが、大体最初に御説明申上げましたように、経済効果の挙がる面という点から見ますると、どうしても地方財政委員会の案にお願いしたいと考えておる次第であります。
  133. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと労働政務次官にお尋ねいたしますが、地方財政委員会の案で、失業対策事業費として計上しておる四十何億、これでは地方の失業者が何人救済ができ、又大蔵省案の二十一億ですか、これでは失業者が何人救済できるといつたような御説明を願いたいのですが。
  134. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 失業対策課長がおいでになりますから……。
  135. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 説明員として失業対策誤長が来ておりますから、発言を許します。
  136. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 来年度の七十七億五千万円によりまする失業者の吸収人員が、年間を通じて三百日働けるものといたしまして十六万七千七百四十八人、一人につき三百日分働けるものとして十六万七千七百四十八人を救済できる。これは大蔵省案、或いは地財委案の事務費の負担額にかかわらず同様でございます。
  137. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと、今金額がこう違つてつて事業内容を変えて行けばいいというわけなんですか。事業内容を変えて行けば、救済できる失業者の数は同じであり得るというわけですか。
  138. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) お話通り地方財政の、地方自治体におきます負担額の差違によりまして、事業内容に若干の差違が起つて参るということでございます。
  139. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それはおかしい。
  140. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと……、若干どころじやないじやないですか。大体これほど大きな金額の差があつて、若干というと、どんな程度ですか。これは少しわからない。
  141. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 総額七十七億五千万円の国庫補助金に対しまして、事業総額では、大蔵省案の負担額を合わせますと約百二十八億円ばかりの金額であります。で地財委案のほうによりますと、総額に約三十億円を加えた額になるわけでございますが……。
  142. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 四十六億ですよ地財委は……。
  143. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 加えた額になるわけでありますが、それによりまして資材を使う事業等が少くなることになるわけでございますが、施行します事業に相当の差違ができるということになると考えております。
  144. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうもその点がおかしいじやないか。
  145. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 結局吸収人員には変りはございませんが、仕事をやります性質には変化が生ずることに相成ると思います。
  146. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとですね、今度の予算の特色として、失業救済事業というものを従来の溝さらいみたいな資材の要らないような仕事をやらせないで、経済的な劾果のある仕事をやらせるという意味で、資材のための経費を計上したということが今度の予算の特色の一つになつているわけで、そういう特色がこれでは壊れて行くということになりますね。
  147. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 御承知通り本年度の予算案におきましては、資材費の補助が全然認められていないわけでございますが、来年度の予算案につきましては、総額で五億円余りの資材費の補助が認められることになりますので、従来よりも事業の面におきましては更に効果的な事業をやれるというつもりでおるわけでございます。
  148. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それがこれじやできなくなるということなんでしよう。効果的な事業をやろうと考えておつたのだが、こういう大蔵省査定案のようなことで行けばできなくなるということなんでしよう。
  149. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 資材費の額は五億円でございまして、従いまして本年度少なかつた点から考えますと、相当効果的な仕事ができると思います。併しこの地財委の案によりますならば、それより一層資材面においての活用ができることと考えておる次第でございます。
  150. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 労働省に伺いますが、この前の御説明ですと、この二十六年度の失業対策の国庫補助金の内訳は、労力費が八二%、事務費、資材費は九%ずつというふうに承わつたのですが、今の失業対策課長の話を聞くと、金額は違つても吸収人員だけは違わないと言われるけれども、そうするとこのパーセンテージは全然でたらめなことになりますね、どういうことなんです、八二%と九%ずつというふうにお話伺つたのだが……。
  151. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) お答え申上げます。労働省関係分といたしましては変りはございません。従つて吸収人員は何らそこに変化はないわけでございます。失業救済という面から言いますと変化はございません。ただその仕事が果して資材費をどれだけ使う仕事になるかということは、地方々々によつて事情が違つて参るかもわからない次第でございます。
  152. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それですよ、問題はこういうところなんですよ。資材費ははつきり五億円だと言われるが、これは国が補助する資材費が五億円だということであつて地方自治体が出す資材費というものは相当まだあると思う、ところがこういうような平衡交付金算定をやられると、地方自治体としては資材費は出せないということになる、資材費は出せない、で人間だけを吸収する、だから結局どぶ浚いのことをやらせる、今年と同じことを来年もやられるのだということになるのじやないかと聞いておるわけなんです。
  153. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 先ほども申上げましたように、前年度におきましては地方負担額といたしまして二十億円認められたわけでございますが、本年度におきましては更にそれに加えまして、資材費の補助が国から出ますししますから、それに応じまして来年は若しされるといたしました場合には、更に本年度よりも大蔵省案でも二十数億円の増額も見込んでおるようでございますので、事業面からいたしますれば、本年度分よりも、来年度におきましては効果的な事業が期待できるのではないかというふうに考えております。
  154. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと、それじや地方財政委員会に聞きますが、平衡交付金算定、積算をやられる場合の基礎としてこの失業対策事業地方自治体はどれほどの資材費を見込んでおるか、これを一つはつきりいたして頂きたいと思います。
  155. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方でこれまで失業対策事業をやつてつておりまする実績から見ますると、失業対策事業の総事業費の中の七割が労力費で、あと三割程度が事務費及び資材費ということになつておるのであります。そこで私のほうで計算をいたしました地方費の負担は、その実績によりまして計算を出しておるのであります。で只今労働省のほうからも御答弁がございましたように、二十六年度におきましては、今回国庫のほうからも資材費に対する補助金というものが新たに出ることになりまして、その分は大蔵省算定いたしておられまする地方費の負担の予算上の中に入つて来るわけでありまするが、つまり国のほうで補助いたしまする資料費は大体二分の一負担ということでございまするので、その国の基本額を元にいたしました残りの地方の負担分というものは大蔵省で出されましたこの負担額の中に入つておるわけであります。そういう意味合いにおきましては、勿論二十五年度に比べますれば、六年度においては資材費を特に見込んで頂いたということで相当前年よりは効果的な事業と申しまするか、行われますることは確かでありまするが、実際はそれ以上の負担をしておる、事業費の総体の比率から申しますならば、実額から申しまして今回特に国庫のほうで見て頂きました以上の資材費を地方で負担をしておるということでございまするので、私のほうはそれも含めまして、従来の実績通りの計算をして計上いたした、こういう事情でございます。
  156. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうすると何ですね。地財委の計算では相当の資材費を見込んでおるが、大蔵省査定ではその見込んでおる資材費というのは非常に少くなつて来ておるということになるのだから、十六万人の失業者を吸収するといつても、仕事の性質というものは今年のように余り建設的な意味を持たない仕事をやるより仕方がないということなんですな。
  157. 海老塚政治

    説明員(海老塚政治君) 実際の状況から申上げましても、先ほど政務次官からもお話がございましたように、失業対策事業事業内容も建設的な事業に向つておるということが言えると思うわけでございますが、繰返して申上げますように、来年度におきましては資材費の補助も見受けられまするしいたしますので、一層効果的な事業が行えるものと期待いたしております。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 議事進行について…。午前中要求しました大蔵大臣文部大臣見えられますか。これは今日はもうこつちとしては時間が切迫しておると思うのです。ほかの委員会のほうは都合が付くと思うので、何とか早急に手を打たれて審議の便宜を供してもらいたいと思います。
  159. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 文部大臣は今委員会へ出ておりますけれども、こちらに来るようになつております。それから大蔵大臣も同じく委員会に出ておりますが、こちらに来るということになつておりますから、もう十分もしたら来るのじやないかとさつきから思つておるのですが、どうでしようか。
  160. 岩間正男

    岩間正男君 その間地財委のかたにちよつと……。いろいろ今度の平衡交付金の内訳で、政府案とそれからこの地財委案、こういうものの食い違いについては今質されておるのでありますが、もう一つ新らしい事態の発生に伴う問題として、是非お伺いしておかなければならない問題があるのです。これは細かには問題を審議してから実はそれとの関連で伺いたいのでありますが、ほかの関係閣僚が見えておられませんので先に伺います。  第一、この物価の値上りの問題なんでずが、地方財政としてはこの物価の値上りを見ればそこに大きな財政需要の変動が起つて来ると思うのです。そういう事態に対してはどういうふうにこれは対処される気持でおられるのでありますか。それから大体これは昨年の七月から今年の一月まで二〇%くらい、これは日銀の小売物価指数なんかによりましても値上りが見られておるわけなんでありますが、そうしますと、地方財政全体においては相当多額のこれは財政需要が激増すると、こういうふうに思われるのでありますが、そういう点には今まで考慮をめぐらされて大体計算された事実がありますか。そういう点について私はお伺いしたい。
  161. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方財政委員会でこの平衡交付金算定をいたしますのにつきまして、財政計画を立てておりまするが、この二十六年度において更に物価に変動があつた場合のことを当然見越して、それを前提として計画を立てておるかというお尋ねかと思いますが、その点は特に二十六年においての物価の値上りを今から予想して計画をいたしておりません。その点は計算は入つておりません。
  162. 岩間正男

    岩間正男君 私のお伺いしているのは、そういう対策も今進めないと先に行つて非常に行き詰りが来るのじやないか。それと現在としましては、そういうような物価の変動による財政需要が本年度、もう現在すでに起つておる問題なんですが、これを大体検討されておくということが非常に重要なことだと思うのです。これを全然されておらないのですか。この点を伺いたいのです。それでどれぐらい一体需要増加になるか、こういう見込を付けておりますか。
  163. 青木得三

    政府委員青木得三君) お答えをいたします。只今御審議を願つております平衡交付金を算出いたしますに当りましては、只今財務部長からお答え申上げましたように、最近における物価の騰貴というものを計算に入れまして出しておる数字ではございません。併しながら只今質問にございましたように、昨年以来物価の騰貴が著しいのでありますから、御質問にございますように、地方団体財政需要は非常に増加を来たすことが予想されておるのであります。    〔委員長退席、佐多忠隆委員長席に着く〕 従いまして私どもが計算しております平衡交付金さえも内閣、政府大蔵省の容れるところになりませんので、地方財政はますます窮乏を告げるわけなのでありますから、どうしても平衡交付金増額を認めて頂かなければなりませんし、又若し将来年度が改りました後に臨時国会がございまして、そうして補正予算が提出せられるような場合におきましては、今回認めて頂くことのできない平衡交付金増額以上に、更に平衡交付金増額を要請いたしませんければ、地方財政の窮乏は非常なることに相成りまして、重大なる結果を生ずるのでないか。私どもといたしましては今回の平衡交付金増額を認めて頂き、更に将来の物価騰貴の場合に処する平衡交付金増額ということを考えて頂きたい。勿論私どもはでき得る限り地方団体がその経費節約して成るべく国家財政に依存する程度を少くすることに努力しなければならんとは思つておるのでありますけれども地方団体の独力でこの財政の難局を切抜けることは非常に困難であると存じます。
  164. 岩間正男

    岩間正男君 どうも私のお聞きしていることに対してお答えがないようなんですが、これは準備がないのですか。大体物価変動によつてどれくらい財政需要が激増するかについてはまだ検討されておらないという御返答のようでありますけれども、これはやはり当然起つて来る問題で、その検討をするということが同時に又今度の平衡交付金の問題を、地財委要求を貫徹する上からいつても非常に重要ではないか、こういうふうに思うのです。ところがそういう点で御返答がない。併し我々の見るところでは、大体本年度までの一月くらいまで見ましても、先ほどの二〇%、こういうことになりますと、六千六十四億の地方財政総額の約二〇%と見ますと、約一千三百億からの増額を見なければならない。更に昨年の七月から本年の三月ということになりますと、これは二〇%じやない、その倍ぐらいになる。そうすると、財政需要は二千二、三百億という厖大なことになると思うのです。そういうことが今後当然、さつきから問題になつております給与べースの改訂、これは政府あたりでは何かそういうことを補正予算でやりたいというようなことが昨今新聞なんかで報道されているのです。    〔委員長代理佐多忠隆君退席、一松政二君委員長席に着く〕  すでにそういうことを認めざるを得ないような情勢も出て来ている。年末手当の問題、それから先ほどからの失業対策の問題や公共事業費、あらゆる面でそういうような形が大きく出て来るので、こういう問題がやはり検討されておるということは非常に重要だと思うのです。なぜ私はこういうことを特に要求しておるかといいますと、地方財政の場合は国家財政よりも非常に複雑です。先に行つてそういうような補正をやつて行くということになりますと、今までも骨格予算とか、それから非常に見通しのない予算を組んでいるのでありますが、そこへ持つて来まして又一応平衡交付金決定して予算を組む、そこへ持つて来て又更にそういうような補正によつて変動が起るというと、これは国家財政の比ではないと思う。これが末端に与えるところの影響というものは実に煩瑣に堪えないものである。そういう点から考えてやはりあらかじめ一つの先の見通しというものを持たれることは非常に重要だと考えるのでございますけれども、全然そういう一つの、第二段の検討ということはされておらないのでありますか。そういうことになりますと、非常にもう予算が通つた瞬間から行詰が起つて来る、実行不可能に陥つてしまうというふうに見られるのですが、こういう点はどうされるのですか。
  165. 青木得三

    政府委員青木得三君) 誠に御尤もな御質問でございまして、各地方団体が特にその予算を編成するに当りまして、只今質問になりましたような、非常な困難な事情を生ずることは御質問通りであると思うのであります。申上げるまでもございませんが、地方財政委員会はこの全国一万有余の地方団体財政につきまして、でき得る限りの指導をいたしたいと思つておるのでありますが、平衡交付金のことにつきましては、その算出の経路は一部当局から詳しく申上げましたように、非常な綿密詳細な計数をとつて計算はいたしておりましたが、その中に今の物価騰貴の二割を見て、前年よりも物価騰貴による増があるということは計算はいたしておらんということを先ほど申上げました。併し誠に御質問の御趣旨は御尤もでありますので、若し将来更に平衡交付金増額を要請するというような場合には、その算出の根拠といたしまして、物価騰貴を見るか見ないかという重大な問題がそこに起ると思うのであります。只今までのところ、その点まで至つておりませんことは甚だ御要望に副いませんで誠に遺憾なことと存じます。
  166. 一松政二

    委員長代理(一松政二君) ちよつと申上げますが、三時から閣議が開かれるので天野文部大臣は御出席にならなければならんそうですが、大臣に御質問のおありのかたは成るべく急いで大臣に御質問願いたいと思います。
  167. 岩間正男

    岩間正男君 二分や三分で済む話じやないですよ。今の話をやつているのですから。
  168. 一松政二

    委員長代理(一松政二君) 閣議が一時間以内に済む予定だそうでございますが、閣議が済んでからにお願いして差支えございませんか。
  169. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは今朝から要望しているので、これは今日に始まつたのじやなく、もう一月も前から予定をうんと組んであるので、そういうふうな内部事情は我々の関知したことじやありませんから、大臣は出るという義務があるので、それで放ぽらかしておいたりするということでは、これは予算の審議ができないことになるので、そういうような責任は政府が一切負われるならばいざ知らず、又時間の制限もあるので、大臣がおらなければどうにもならんでしよう。
  170. 岩間正男

    岩間正男君 私も同感であります。一昨日も特に分科会の席上で、これは私的でありますが、お願いしておつたことです。それから問題が地方財政の大部分のウエイトが教育財政にかかつておることなのであります。それからこの小委員会は大体本日だけの時間的限定がある。而も一定の小委員会の結論が出されなくちやならない、こういう点から、これは大臣の出席を要求いたしておるのでありますけれども、ほかの委員会においでになつたという御都合なんでありますが、これはほかの委員会は他日でも繰返しができるのでありますが、そういう点から今日はどうしても大臣はこちらに実は早くおいで願いたい。ところが閣議前の三、四分に来られたのでは、これは問題にならない。どういう御意図ですか。こういうことでは予算審議を避けておられるとしか思えない。こういうことでは困るのですが、大臣の御意図を伺いたい。
  171. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私が病気のために休んでおつて出席できなかつたことは私は誠に相済まないと思つております。ただ出て来たのは一昨日ですけれども、一昨日からはここに絶えず出席しておつて、少しも本省にいたことはないのです。それは岩間さんも御承知だと思います。岩間さんからもたびたび質問をわきのほうで受けておつて、しよつちゆう出席していたのです。今日もここへ出るつもりで出て来たらば、堀越委員長がほんのちよつと来てくれ、向うも直ぐ済むのだ……、私もここへ出るつもりで晝から出て来たのですが、向うへ呼ばれたのです。そういうようなわけで故意にここを避けるとか、そういうようなことは全然思つておりません。事情止むを得ないということを御了承頂きたい。
  172. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく時間的な限定があるので、やはり事の順序をお考え頂きたいと思うのであります。小委員会はとにかく時間的限定を持つのでありまして、だから今日これを押問答をやつたつて駄目ですが、すぐにも閣議においでになつて、すぐ又お帰りになる、こういうわけですか。    〔委員長代理一松政二君退席、員長着席〕 それとも閣議は何とか御都合がつくならばここにおいで頂きたいと思いますが、如何ですか。
  173. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 質問を続けて下さい。……ちよつと文部大臣委員長として申上げますが、問題になつておる点はこういう点なんです。地方財政平衡交付金の問題につきまして、地方財政委員会国会及び政府に対する勧告案大蔵省の裁定案との食い違いが百億あるわけなんです。その食い違いの百億の中で一番大きな部分を占めているのは文教関係経費だと思う。文教関係経費が五十億以上になつていると思います。削減されたのが…。こういうふうになつておりますと、地方の文教に非常に大きな影響をもたらすに違いない。もう現にすでに現われておる。何とかこれはしなければなるまいということが議論の中心になつておるわけなんで、そこで例えば給与ベースの改訂による増額の問題とか、年末手当支給に要する経費とか、或いは人口増加、これはいいのですが、或いは教職員給与級別格付基準改訂による増とか、こういつたようなものが地財委勧告案よりも相当削られて出ているので、約五十億ですが、これでは地方の文教は非常に困難な立場に立つであろう。文部省としては一体これをどうするつもりかという点なんですね。そういう点が問題の中心点なんです。
  174. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今の点は私も非常に残念に思つております。あれは本当に困ると自分は思つておりますけれども、併し閣議でそうきまつたことを、それを今私がどうするということもできませんが、予算の範囲内では、できるだけ金を人件費のほうに廻してもらうようにする、そうして何か今後機会があるときにこの点を更に改めるように自分も努めるというよりほかに私は今自分に考える余地がありません。
  175. 岩間正男

    岩間正男君 閣議決定しては何ともしようかなかつたという御答弁ですが、先ほど午前中問題になつたのでありますが、年末手当の、これは地方公務員全部で五十八億、それが七億に切られた。それから教員だけに関しますというと、これは三十一億のものが三億七千四百万円に切られている。こういうことを一昨日ですか、その頃まで文部省は知らなかつた、こういう事態が起つていることを知らなかつた、これはどういう連絡の不十分か、実は我々として非常に驚いている。文部省が知らないでおつて、その対策はどうかと聞かれますと、先ほど辻田局長は、これは努力をする、こういうことなんでありまして、併し一局長努力するなどという言葉が、ここの段階まで来まして努力の効果があるかということです。只今こういう意味におきまして大臣の出席を求めまして、ここでこういろ問題について、今のような、きまつたものを前提としてその範囲内で、何ともならん、こういう建前でこれは答弁つたとしても、私は無益だと思う。殆んど意味をなさない。先ほどから文部省政府委員からいろいろ伺いますと、どうしてもそれが年末、それから給与ベース改訂、それから級別推定表、殊にこの三つのものが、それが解決されない場合には大きなこれは教育財政の破綻が来る、こういうことをいろいろの点についてお尋ねしたのであります。そうしますと、当然最低の地財委要求している線は、文部省要求している線だと思うのでありますが、こういうものに対してどういうふうにこれは御処置になるか、この点を文相の決意としてこの委員会にこれはお聞かせ頂かなければならないのであります。こういうふうに考えるのでありまして、先ほどのような御答弁では、これは全く問題にならない。こう思うのでございますけれども、この点改めてお答え願いたい。
  176. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 問題にならないと言われればどうも仕方がないのです。一旦閣議できまつてしまつてこういうふうになつて来ておるのを、私の力では今どうにもならない。だからして何かここに機会ができればこれを改めるように努力しようというよりほか私はどうもいたし方ございません。
  177. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど政府委員が、できるだけ努力するということを言つたのですが、もうそういうことは政府としては、文相としては認められないわけですか。さつき辻田局長ができるだけ努力するという言葉を各委員に使つておるわけなんです。何回も言われました。ちよつと速記録を御覧になれば、恐らく五、六回同じことを繰返しておられると思います。そういうことを政府委員として言つておるのですが、実際今大臣のように、何とも仕方がない、閣議で決定しておると、而もその閣議で決定しておるのを知らないでおつたわけですね。一月半ぐらいぼんやりしておつたのだと思うのですが、そういう形で、今の御答弁では誰もなかなか納得できないだろうと思うのです。これは一体どういう食い違いなのですか。そういう点は非常に省内の不統一としか我々考えられないのですが、これをもう少し態勢を建て直して、いろいろ問題が起るのでありますから、これに対してここでどういうふうな方法か対策をお考えになつていられないのでありますか、この点伺いたいと思います。
  178. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 辻田局長努力するというのは今後のことであつて、今後のことは私も先ほど申した通り、この予算を今更変えるというわけには行かないから、予算のうちにおいて人件費を優先でやつてもらうようにすると、又機会があつたならばその場合にこれを改めるようにすると、そういう努力をするということでございます。私はそれより今自分の力ではできないということを言うよりいたし方ございません。
  179. 岩間正男

    岩間正男君 それは非常におかしいと思うのです。そういうことを何も辻田局長が言つたわけではないのです。今後のことではなしに、西郷委員から御質問がありましたときに、これに対しましては矛盾を解決するように努力したいと、こういうふうに言われておるのでありまして、今後のことは何とも別に言つておられないと思います。併しこれは何も下僚の言われたことをあなたが責任をお持ちにならなくても止むを得ないと思うのでありますが、そうするとどうしてもこれはこのままで止むを得ないと、こういうことになるのでありますか。
  180. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この平衡交付金の配分の際にですね、そういう際に、何かそれを補正するように、改めるように努力しようと辻田局長は言われたのだろうと思うのでありますが、私どももそういう努力をしたいと思つております。
  181. 岩間正男

    岩間正男君 この点は、さつき殆んど結論が出たと思うのです。今枠を拡大することが重要なのであつて、そういう枠内操作をやつてもうまく行かないことは今までの例でたくさん出ているし、そういう希望的な観測でこういうことをごまかしていてはならんと思う。これがつまり文部行政がここまで落ちて来た原因なんだから、何と言いますか、外堀を埋めて内堀の戦いをやろうというようなことを前提としているから文部行政がこんなような状態になつたわけであります。これまでにそういうことを我々見ておりますから、それではしようがないと思うのです。まだ予算決定していないのですから、我々も無論努力します。併しこれに対して文教の最高責任者として、そういうような閣議で決定されたのだから何ともならないということでは、我々非常に心細いと感ずるのでございますが、この点如何でございましようか。さつき殆んど結論が出たのです。それはここの委員会で話合つたと思うのです。
  182. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) どうも誠に済みませんけれども、私は前の答えを繰返すよりほかございません。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 吉田内閣の閣僚の一人として大臣がそう言われることも一応はわかりますけれども、少し消極的ではないでしようか。参議院の文部委員会委員長堀越儀郎氏の名前で、文部委員会の決議として、地方財政平衡交付金増額に関する要望というものを、今日予算委員会に要望書として提出せられておりますが、こういうものを大臣はどうお考えになりますか。大臣のようなお考えで行けば、こういう要望書というものは無になるわけでありますが、私どもとしましては、吉田内閣の一閣僚としての天野文部大臣は、こういう意思表示もあることですから、私はもう少し積極的に努力されて然るべきだとこう考えるのでありますが、如何でございましようか、御所見を伺いたいと思います。
  184. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それを先ほど私は、何かの機会があるならば自分はそういう一つ努力をしたいという考えでございます。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は何かの機会があればというような言葉で将来心々と問題を流しておるようでありますが、この問題は私は現在火のついておる問題だと思うのです。大臣人件費にできるだけ廻してもらうようにするというような枠内操作を言われておりますが、そういうことができるかどうかですね。私大臣に是非承わりたいのは、大臣は天野文政の三本柱として、義務教育の振興ということを常々述べられておるわけでありまするが、現在この問題のために如何なる支障が各都道府県に起つておるかどうか、そういう点について大臣はどういうふうに把握をされておりますか、それを私承わりたいと思う。
  186. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 地方に問題がいろいろ起きていることは私どももよく存じておるのでありますが、この問題は単に教育だけの問題ではございませんので、二十六年度予算の全体の問題との関連において検討されております。特にその一番大きい原因は、来年度の平衡交付金査定がどういうふうになるかという点について地方では恐らく見込が立たない。地方財政委員会のほうでも大体四月乃至六月くらいまでには二十六年度の単位費用をきめたいという御希望なんでありますが、そういう点で来年度の補助金がどれだけ来るかというはつきりした見通しがつきかねておりますので、きめかねておるような次第でありまして、大体二十六年度の予算に当つては骨格予算で、暫定的な予算で組んでおるのが大部分の県のように私は聞いております。それからもう一つの原因は、知事選挙のために、新らしい知事の出現を待つて本格的な予算を編成するというような方針をとつておるところも大分あるように伺つておるのであります。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は非常にこの点遺憾に思います。庶務課長答弁はまあ失礼ですけれども平衡交付金制度の研究家或いは教育財政の研究家といつたようた感じがしまして、生きた教育行政家或いは政治家というような匂いがしないで非常に遺憾に思うのです。現在火のついたこの問題のために末端でどういう事態が起つておるかということを文部省としてはもし把握して、又大臣もまあ御多忙とは思いますけれども、そういうことを前以て予測し、又起つておる現実というものを把握されておらなければ私は予算獲得ということはできないと思うのです。そういう点非常に私は遺憾に感じます。まして文部大臣答弁できないくらいでございますから、大蔵大臣はなおのこと知らないわけなんです。知らないところにこういう問題が私は起つて来ると思うのであります。私はここでくどくど申上げませんが、教職員定員にしても、更に又定員から必然的に首切りというものが起つております。それから夫婦共稼ぎはやめてしまえとか、或いは女教員で高給のはやめろとか、高等学校の費用が義務教育を圧迫する関係上義務教育支障を来たし、一方高等学校は縮小する、その縮小が定時制の方面に現われて来るとか、ともかく惨憺たる状況を示しているわけです。で現在でさえ、PTAの負担というのは九十五億だとこう言われております。このPTAの負担している経費というものは市町村の教育費の六五%から七〇%を持つておる、こういうふうに言われております。その結果というものは、PTAの会費を納め得ないために約一割の生徒が休んでおる。更にそういうものが生徒の長欠兒童数に影響して来て、全国で六十万の長欠兒童がある。その中の約五九・六%というものは経済的理由による長欠である。それがまあ不良化へと伸びて行くわけでありますが、そういう非常に重大な影響を現在もたらしているし、今後更にこれが深刻化するであろうという、そういう事態を招来している。この問題をはつきり把握されて、そうしてこの地財委或いは大蔵当局とも交渉されるのでなければ、私は断じてこの問題は解決できないと思う。そういう意味において私は大臣にももう一段の御努力をお願いいたしたい。積極性が足りないのじやないか、こういうことを感ずるのであります。  次にやはりこれについてお伺いいたしますが、これはまあ大臣にお伺いするわけでありますが、この地方財政の問題の中で現在問題になつているこの平衡交付金の問題で一番大きいのは、年末手当支給に要する経費と、給与ベース改訂による経費と、それから新級別格付基準改訂による経費、これがまあ大部分を占めているわけでありますが、この地財委の案と大蔵省の案、この相違点について地財委は見解を発表されております。この見解に対して大臣はどういう御見解を持つておられるか承わりたい。
  188. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 地財委勧告が私どもには望ましいことなんです。ただ併し大蔵省が国家財政全般からこう査定したのであるということであれば、私どもはそれをいたし方ないと思つて承認したわけであります。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この差額ができたのは、結局算出のし方が違うためにこの差額が出たわけですが、それに対する地財委の見解というものを文部省としては支持されると、そういうように了承したわけですが、然らばですね、大臣大蔵大臣に対して如何たる協議折衝をされたか、そういう点について承わりたいと思います。
  190. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私の考えでは、地財委でさえすでにこの文部省予算よりも少くなつております。まして大蔵省のは一層少いのですから、自分たちはそれを望むわけはないのですけれども、併し大蔵省が一定の標準を立ててそれを査定されたのですから、そしてそれ以上どうしてもできないと言われるのですから、この際私はそれを承認したわけたんです。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは国家財政が逼迫して金があるとかないとかいう問題でなくて、給与の改正の法律を作つたと、その法律の通りの切替えができないというところに問題があるし、その切替えのし方が、大蔵省としてはこういうような切替えをすべきなのを地財委の切替えのし方が間違つているのだと、金があるないの問題ではなくて、その切替えのし方そのものが地財委考えは間違つておると大蔵省は言いますし、地財委はそれに対して見解ははつきりしている。その見解を文部省が支持するというのなら、財政状況で因るというからそれじやいたし方ないというのとは、私は話は違うと思うのです。結局この問題は、そこのところが乗るかそるかの問題でありますが、この問題についても文部省地財委から意見書が出るまで知らなかつたなんというのは私は言語道断だと思うのです。大臣はこれをどうお考えになるか。五十億というものを削減されて出ているのを、文部省地財委から意見書が出るまでは知らなかつた。そして私が根本的な質問をするたびに庶務課長が心配されて大臣に一々耳打ちされるのでは、私はこの問題が解決できないのは当然だと思うのです。この点はどうですか。
  192. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) いや、私は決して大蔵大臣査定に満足しておるのではないのでありまして、国家全体の財政から大蔵大臣はこれ以上できないと言うのですから、私は仕方がないと思うのです。
  193. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 私ちよつと申上げますが、どうもこの問題押問答していてもけりがつきそうにもないので、私は議論を展開する意味において申上げますが、先ほど文部大臣は、この際すでに閣議としてきまつたことであるからこれはまあいたし方ない、併しこれで地方文教が円満に行くとは考えていない、そういう言葉はなかつたかも知れんが、これは非常に不満だという御意向があり、そうしてこの不満を直すためには、何らかの機会があれば理想的な平衡交付金算定基礎を作りたいというお話であつたのですが、そこでこれは公然の秘密と言つてはおかしいが、大体きまつたことと思いますが、補正予算がどうせ出なければならんと思うのであります。物価関係から言いましても、又世界の物価関係から言つても、補正予算は必至の情勢ではないかと思うのですが、その補正予算が出る機会というものを文部大臣考えておられるのではないかと思うのですが、どうですか。
  194. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういう機会が出たときには、私はできるだけの努力をしたいと考えております。
  195. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そこでできるだけの努力ということの内容なんですが、もうすでに今から或る構想を持つて当つは頂かないと、又問題があとに残る虞れがあると思います。そこでどのような構想を持つておられるか。例えば今度の地財委勧告大蔵省査定との開きのうち、文教関係において最も多くの削減がなされ、最も多くの開きができておる。最も多くの削減がなされておる。五十億を越しておるだろうと私は思いますが、この二十六年度の基本予算編成の場合におけるこの五十億を越す削減、これは補正予算の場合に優先的に先ず一つ見てもらうといつたようなことをお考えになつておりますかどうですか。
  196. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そうしたいと思つております。
  197. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それならば次の問題ですが、補正予算の場合にはなおいろいろの問題が当然出て来ますが、従つてそれにからんで相当の増額平衡交付金において起ると思いますが、その増額分、この補正予算を組むという機会に起る増額分ですね、それと区別して今の五十何億というものは取扱つてもらうということでありますか、今の御答弁意味は……。
  198. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そう了承して頂いて結構であります。
  199. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) さように了承してよろしいですね。
  200. 岩間正男

    岩間正男君 今の場合ちよつと念を押しておきたいのですが、又池田蔵相に会つて国家財政の見地から仕方がないのだと言われますと、やはりそうなさいますか、それじや何にもならないので、この点決意のほどを伺つて置きたい。余り蔵相に同情されてはまずいと思うのですが、これはどうですか。
  201. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) いや、私はできるだけのことを考えております。
  202. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの前自治庁にも地財にも申上げたのでありますが、文部大臣も御承知と思いますけれども、この給与改訂に必要な経費のごときは、地財委文部省大蔵省とそれぞれ数字が違うわけです。結局違うというのは、大蔵省のほうは機械的に、画一的に行つておりますが、地財委のほうは職員構成という立場から行つておる、そういう立場で地財委のほうは確かに正しいと思うわけです。当然文部省にしろ、地財委にしろ、大蔵省にしろ実態というものを私は十分把握されて、そうして対策を立てられなければ、この根本的な改訂というものはなされないと思うのです。先ほども地財委青木委員も、地財委からここに平衡交付金百九億の増額意見書として出しておるけれども、将来の物価の、現在においても高騰しておりますが、将来の高騰というものを考えておらないので、将来十分やるためには、この百九億だけでも解決はできないという意味のことを失業対策事業のところで言われたわけでありますが、これは平衡交付金全般に亘つて論じられたと思うのです。現在は百九億という差額政府案でできているわけでありますが、これを現在の給与切替えの実態、そういうところからそろばんをはじきますというと、二百三十億ぐらいの平衡交付金増額をやらなければ、解決できないというような数字が出てくるわけであります。従いまして今後何かの機会があつた場合には、大臣努力されると、こういうふうに波多野委員長に対して答弁されておりますけれども、これから何カ月かずれたときに、そのときに現在の政府地財委の案の百九億の差額努力されても、更に事態が悪化して解決できない、そういう見通しを立てておるのでありますが、大臣努力されるというお考えはどういうところにあるのか、今の私の意見に対する大臣の所見を承わつておきたいと思います。
  203. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そのときの事情に即応して努力いたしたいと思います。
  204. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのときの事情に即応してというお言葉でありますが、現在の事情をどういうふうに把握されておるか承わりたいと思います。給与の切替え、級別推定の格付、こういうものについて、大蔵省案地財委案、そうして現実というものがあると思うのですが、そういうものに対してどういうふうにお考えですか。
  205. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 現在は地財委の出された線でやりたいと考えておりますが、事情が非常に変化して来れば、それでも足りなくなるものも考えられるから、それで事情に即応してと申しております。
  206. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地財委の案でということはおかしいではございませんか。文部省で案を出されて、先ほども地財委のは文部省より下廻つておる云々という言葉を承わつたわけですが、文部大臣としてはこの際少くとも文部省が把握しておるところの、不完全かも知れませんが、把握しているところの、文部省の案で解決したいと、こういうような答弁があつて然るべきだと考えるのですが、如何でございますか。
  207. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) もとより文部省から出した案が一番よいと思つております。今委員長もその地財委の額を言われたと私は承知しましたから、それに対して返事をしたんです。
  208. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかに御質問はありませんですか。
  209. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の矢嶋君からお話があつた結論になつて来ると思うのでありますが、いろいろ文部大臣が苦心をされておることはよくわかるのです。そこで私ども大蔵省地財委文部省という数字が非常に違つておるわけでありますから、その結果が今日のままで参りますと、矢嶋君その他の委員のかたが心配しますように、この結果のどどのつまりが人員整理をするか、府県のその他の事業を縮小するか、そうでなければ肝腎の目標としておるところの給与の改善ができないということに、どつちかになつて来るわけであります。そういうことがあつてはならないと思うのです。そこで文部大臣に最後にきつちり一つここでお約束を願つておかなければならないと思うのでありますが、細かいことはいいとしまして、特に給与改善等を実際に行おうとすれば、府県が現員現給で組んでおる単価というものがあるわけです。そこで前年度に組んだそういうような単価に、格付基準改訂によつて増す、それに加えて行く、そうして新らしい俸給表にそれを切替えて行くといつたふうに、具体的に実際に積重ねて行つたもので、その総額でやらなければ政府のような千篇一律でやつて行けば何とかなるだろうということでは、実際の待遇改善はできないということになります。そういう点を具体的に積重ねて行つた数字を、文部省なり、地財委なりその他が、きつちりつかんで、その上で必ず給与改善なりはできるように今後努力するという、そういつた具体的にやつて必ず給与改善ができるようにやるということを、文部大臣はここで大臣としてはつきりおつしやつておいて頂きたい。又当然大臣としては答弁しなければならんと思うのです。それを一つお伺いしておきたい、こう思うのです。
  210. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それができるように努力をすると、先ほどから申しておるわけです。
  211. 永井純一郎

    永井純一郎君 できるようにする、努力をする、それはわかるわけでありますが、今日すでに地財委政府それからあなたのほうの数字が非常に違うということは、私が今こまごまと申上げた單価の違い等があるわけです。そういうことは、これはもう合同で、それが大蔵省地財委地財委というふうにばらばらで調べないで、きつちりと一緒になつて調べれば、はつきりしたものはわかると思うのです。そうした場合にはできるだけやるということでなしに、そういう事態がわかつた場合には、必ずそれをせざるを得んだろうと私は思うのです。文部大臣としてはやりますと、ここで言われなければ私はいかんと思うのです。今のお話を聞いていると、ひよつとするとやれないかも知れんという感じを受けるのです。一つ文部省としてはそう余り弱気にならなくてもいいじやないかと思うのです。はつきりそれをやるということを一つここで決心を述べて頂きたいと、こう思うのです。
  212. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは文部省だけでやることでございませんから、わきと相談をしてやることでございますから、私のほうとしてはほかの費用は切つてでも人件費はそういうふうにしたいと考えるのでありますが、そういう線に向つてできるだけのことをするというより、私としては言いようがないと思います。
  213. 永井純一郎

    永井純一郎君 折角みんなで文部省の所管のこの重大な事項がうまく解決されるようにということでやつておるのに、どうも文部省には、大臣以下の答弁なり態度にはどうも我々は満足いたしかねる。誠に遺憾だと思うのですが、まあ一応、同じことを何遍も繰返して申上げても仕方がないのでございますから、そこで私は地財委にちよつとお伺いしておきたいのですが……。
  214. 岩間正男

    岩間正男君 ちよつとそれに関連して文部大臣一つだけお伺いしたいのですが……。
  215. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは文部大臣に対する質疑を続行いたします。
  216. 岩間正男

    岩間正男君 文部大臣に伺つておきたいのでありますが、今度の不完全なこの平衡交付金、これは閣議で承認されたわけなんですが、併し実際これを施行しまと非常にいろいろな点でこれがしわ寄せられて、教員の今後の身分上並びに職務上にいろいろの弊害が出て来る、こういうふうに思うのです。すでにそういう傾向が現われておる。午前中にもそういう事実を指摘したのですが、例えば級別推定表の実施のためにどういうことが起つておるかといいますと、これは岩手県の例でありますが、定員を削減する、結核療養所を廃止する、更に旅費を大幅にこれは削減する、それから定時制高等学校の旅費を削減する、こういうようなことが、これは岩手県の一例でありますが、出て来ておるのです。従いまして結局閣議で文相が承認されたということは、そういうような犠牲を結局伴うことになるのでありますが、文相も恐らくそれは最初からの意図ではないと思うのでありますが、そうしますとこういうふうな平衡交付金の削減によつて、これは地方の行政の面で責任を持つ問題ではありますけれども、併し大もとである文部省それ自身が、これに対するそういう犠牲は起さないというようなあらゆる努力をする、そういう一つの保障が私はここで必要だと思う。これは何といいましても、そのためにいろいろな面で教育面が破壊されて参るのであります。これに対して文相はどういうふうに決意されておるか、この点を伺つて置かないと実際教育に従事しておるところの五十万の教職員にとつては重大な影響を持つ問題だと思いますが、これに対する決意のほどをお知らせ願いたいと思うのであります。
  217. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういういろいろな事態ができて来るということは実は遺憾千万なことでありますから、今後機会があれば、そのときにできるだけの努力をしよう、こう考えるのでございます。
  218. 岩間正男

    岩間正男君 併し財政執行上どうしても地方では止むを得ずそういう犠牲を起さざるを得ない。こういう事態が起る場合には、これはどういうふうになさるのですか、現実にそういう問題は予算が通過すれば起つて来る、四月からもう起つて来る。これに対してはどういうふうに……、余り先の問題ではないのです。あと十日間くらい後の問題です。これに対する対策をお聞かせ願いたい。こういうふうに思います。
  219. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この地方の、府県予算をできるだけそういう点に即応できるようにしてもらうように自分は努力したいと思つております。
  220. 岩間正男

    岩間正男君 それは何でございますか、文部大臣としてそういうふうな希望でも通達されるのでありますか。それから文部大臣が仮に通達されても、地方のほうでそれを、これは今の地方の自主性からいいまして、何とも予算の裏付がないから止むを得ないというふうに追込まれると思うのですが、文相の只今の御答弁、どういうふうな裏付のある上にされるか、もう少し突込んでお伺いしたいと思います。
  221. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 裏付ということを言われると、私もそれは必ず裏付があるとは言えませんけれども、そういうような線に沿うて文部省ができるだけのことをしようというわけでございます。
  222. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いろいろ文部大臣の苦労しておられる点はわかるのですが、問題は具体的に決意をお聞きしなければ、この問題はもう何遍も同じことを繰返している問題でございますので、もつと具体的にお尋ねをしますが、地方費負担増加額の見積りについて、政府のほう、大蔵省地財委意見を異にしている面、その内容は特に教育費地方教職員経費の問題だと思いますが、それらの見解の相違はもうすでに二十五年度の補正予算のときにもあつた問題で、その見解の相違だけは少くとも技術的に解消をして置かなければならないはずである。あとはそういう技術的な見解の相違ではないのだけれども、国家財政の現況からして止むを得なく政策的に切つたのだということならば了承できるのですが、問題は少しも技術的な、何といいますか見込算定の方法が、依然として二十五年度と同じように意見相違が持込まれているのであります。この点においては閣僚の間に何らの努力がなされていないとしか思えないのですが、一体この予算をお組みになるときに、特に平衡交付金地方財政の問題に関連して大蔵大臣地方自治庁大臣、それから文部大臣、或いは地方財政委員会の人を交えての特別なその問題に関する御協議をなされたかどうか、意見の調整を大いに図られたかどうか、その点をお伺いしたい。
  223. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 事務当局のほうでは絶えずそういう連絡をとつております。又私も岡野国務大臣大蔵大臣ともよく話合いをしたのですけれども、いろいろな点で以て十分一致しなかつたこともあつて……、要するに究極的な点で一致したという現状であります。併しそういう努力が足らなかつたと言われれば、私もなお一層今後そういう三者関連した協議ということをなお一層続けたいと思つております。
  224. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 事務当局のほうは常時御折衝になつているのかも知れませんが、事務当局の間で話合いが食い違つたままである場合には必ず大臣の間でのお話合いがあるはずだと思うのですが、私が特に聞きたいのは、大蔵大臣地方自治庁大臣文部大臣三者の間に、特にこの問題に関して特別な御協議をなさつたかどうかという点……。
  225. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それは、私が記憶しているところでも二度ぐらいよいよ話合いをしたのですけれども、結局財政の都合で大蔵省で切られたということだと思うのです。どうしてもどこがはつきり一致しないという、原理的には何も違いないと私は思うのですけれども財政の都合上切られたということになつていると思います。
  226. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、財政の都合ではなくて、見積りの仕方の都合で非常に機械的な問題なんですねだから財政政策の問題じやないと思うのです。その見解の相違はむしろ財政政策の問題の前に調整をしておかれるべきものです。これは昭和二十五年度の補正予算のとき一遍だけならば、我々もそうですがと言つて引下るのですが、同じ問題を二十六年度にも何ら改善の跡なく持込まれておられるので、どういう努力をされたのかということを追及しなければならんことになる。それからそれはむしろ三者の間の問題ですが、特にハに挙げてあります地方教職員の級別格付基準改訂による経費増加の問題は、これはやつぱり文部大臣の見積りその他の費用の問題であり、この間の二十五年度補正予算の審議のときにも、少くともこの問題だけは、非常に金額も全体から比べれば小さい問題でありますし、今度でも九億幾らで済む問題でありますので、こういう問題は諸般の情勢上とか、財政の枠上できなかつたというようなことでは言い逃れのできん問題なんです。これらの点について、特にこの問題についてどういう努力をされたか、これを一つお伺いしたい。
  227. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは全般的にはたびたび大蔵大臣にお願いをし、いろいろしていることですけれども大蔵省では全般の財政上の都合から、どうしてもこれはできないというのです。小さいことのようですけれどもできない、その他の点も私どもは決してこの予算で満足しているわけじやなくて、そういう点についてもいろいろ折衝を重ねた、この点もありますが、その他の点でも自分らは満足できないというところに……、仕方がない、不満足だけれども、日本の財政上いたし方ないということで落ち着いている次第なんです。
  228. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 諸般の財政上の事情を理由にとられると、これは永久に解決できない問題だということにしかならないと思う。今のような状況は、そういう一般的な枠の問題であれば今後においても何ら改ますとは思えない、これはもう、半永久的に解決不可能な問題だ、意見相違のままで、毎年月々ただ意見が違うのだということで繰返して行つて大蔵省の一方的な査定に押し込められるに過ぎないような結果にしかならないのじやないかと思う。もう少しその点を……、従つて具体的にこれを変える方法を講じて頂かなければ何ら問題の解決に前進がないと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  229. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういう点については、なおよく研究してこれを前進させるようにしたいと思つております。
  230. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今佐多委員の質問に対して、大臣は事務当局で十分の協議をやつているが、結局国家財政の立場からそれを呑まざるを得なかつたのだというまあ紋切形の御答弁をなさつているわけですが、私は連絡協議が十分でないと思うのです。でもそもそも大蔵大臣なんというのは、教育実情なんかわかるわけじやないし、まあ比較的私は文化なんかということに関しては、大臣よりは大蔵大臣はよほど低いと思うのでするそういう点の教育実情を伝えまして、大蔵大臣に十分理解してもらうためには大臣も私はもう少し努力をしなけりやならない、こういうふうに考えるのです。私は年末手当支給に要する経費について、具体的に一つ例を取つてここでお尋ねしますが、事務当局はそれに対してどういう見解を持ち、どういう交渉をされたかということと、大臣の見解もお伺いいたします。と申しますのは、年末手当支給の所要経費というものは五十億の差がついておりますが、例えば計算の仕方で、この大蔵案というのは二十五年度の新規増職員に対するもの、それを全く入れてない、二十六年度の新規増職員に対する給与額というものを入れてない、そういうことは許されるかどうかということ、こういうものは国家に金があるとかないとかいう問題とは違うと思う。ちやんと新規何人増員されるということを見通して予算を組んで、そうしたらそれに対する所要費経というものは当然組まなければならない、それを組んでないのですよ。更に今後も既定経費節約でやれ、こういうように大蔵省は言つておりますが、昨年の年末手当既定経費節約でやれ、財政規模の縮小でやれ、こういうことで来たわけです。そうして二十六年度の平衡交付金の所要財源に対する充足方法として、ここに既定経費節約として八十億というものを大蔵案はちやんと組んである。今までも既定経費節約、それから財政規模の縮小々々というて来て、そうして更にここで又既定経費節約の八十億を見込んである。ちやんと積算に見込んである。そうしておいてなお新規需要を認めないで、既定経費節約で行けと、こういうような見解をとられては、財政規模の非常に小さい地方自治体が如何に窮迫するかということは、私は明白だと思うのです。この点とさつき新規定員に対する財政措置を全く考慮していないということは、国家財政が窮迫しているとか何とかということとは、私は問題は別だと思うのです。こういう点は事務当局で十分折衝をすれば、私は如何に大蔵の事務当局といえども納得せざるを得ないと思うのでありますが、そういう点についてどういうふうに庶務課長はお考えになつておるのでありますか、大臣のおられるところで御答弁願いたいと思います。
  231. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この年末手当の五十八億八百万円の中に教員のための年末手当が二十七億五千九百万円を一応見込まれておるのであります。これに対して大蔵省側が七億二千百万円だけを見て、つまり前年度のものは見ないで、新らしいベース改訂に伴う増加額だけを見たという案になつておりますが、これは御承知だと思いますが、私のほうといたしましては、決してこれで満足しておるわけではございませんで、ただ千百億ということが先にきまつてしまつたような実情もございましたので、こういうような査定をされたと私は思うのですが、この査定については、私のほうには連絡はなかつたことは甚だ遺憾に思つておるのであります。特にこれは文部大臣も二十五年度の補正予算教員の年末手当はどうしても数が多いし見てくれということで盛んに大蔵大臣に折衝された。二十六年度も当然に私ども只今少くとも或る程度の額だけは確保しなければ、年末手当支給に困るということは大蔵当局にも絶えず折衝し、努力しておつたのであります。一般的な方針としてこういうふうな削減を受けたことは甚だ遺憾に思つておるのであります。
  232. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実情に即さないように、こういうことの連絡もとらずに大蔵からやられて、それに対して黙つておるという手はないと思うのです。その後どういうような意思表示を文部当局はされ、交渉されたのか、その点も承わりたいと思うのです。
  233. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この点については大蔵省にこれでは非常に困るのだということは申上げてあります。なおべース改訂の分も大蔵省案は一律に千円を見ておりますので、この額についても非常に不満だ、それで級別推定表の改訂だけは、一応政府案ではこれだけは別個に出ておりますので、これだけを査定されたのですが、これは先ほども申上げましたように給与ベースの改訂との関連において見て頂きたいということは協議し、私ども努力にて参つたのですが、千百億の平衡交付金の額にきまつてしまつたので、遺憾ながらいたし方ないという実情でございます。
  234. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は結論としてこういう問題は、次の機会などということに満足して繰延べる問題ではなくして、予算審議をするときに即刻私は修正さるべきものだと思う。こういう意思表示をして大臣に対する質問を打切ります。
  235. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 文部大臣に伺いますが、文部大臣大蔵省財政上できないのだということをいつておるので、止むを得ぬということをいわれるけれども、そうでないのです。大蔵省地方財政の推定表を見ますと、二十六年度の大蔵省の見解でいうならば、先ほど話に出た、地方経費節約八十億、その他に予備費百億もあり、二十六年度は地方財政全般は、最終の結果において三百九十億の歳入超過ということを考えておる。大蔵省の見解でいうならば、大蔵省は何も大蔵省が提案しておるものをできないとは考えてはいやしない。予算委員会に提出された大蔵省地方財政数字でいうならば、ここに節約八十億、予備費百億、歳入超過三百八十九億九千四百万円、予備費を合せましてここに五百億の余裕財源地方財政にある。こういうふうに考えると、大蔵省のこの表からいえば、文部省の今までいわれたことができないと考えておるのでなく、一〇〇%できるのだ。二十五年度の地方財政には五百億の余裕財源があるのだ、こういう数字が出ておる。であるから文部大臣が今いわれることは、それは間違いであつて、できないと大蔵省考えていない。一〇〇%できる。ここに五百億の余裕財源があるように表に出ておる。そこに根本的の違いがあるわけです。そういう点を文部当局といえども大臣においては特にそういうふうに根本的に見方が違うのだということをもう少し研究なさらんと、ただ国家財政の枠の上からできないということでなく、そういうことをもう少し研究をしてもらわなければ困る。予算委員会の各委員に配られた数字ですから、大臣も改めて御研究願いたい。二十六年度において余裕財源が五百億もある。だからできないというわけではない。こういうことをもう少し考えて頂かないと、大臣ばかりじやありませんが、文部省の連中は辻田局長初めさつぱりわかつていない。こういうことではいつまでたつて文部省予算というものは取れないし、極めて認識不足だと思う。大臣はこういうことをもう少し、ただ文教といわれるけれども財政のことももう少し御研究にならんと文教のことは完全にできない。六・三制の問題でもそうです。そういう点をよく御研究にならんと、私はいつまでたつても文教費というものは貧弱なものになつて、実際の教育というものに重大なる支障を来たすと思う。ただ今勧告が出ておりますし、又地方財政上もつと平衡交付金を殖やしてくれという血の出るような数百に及ぶところの葉書を受取つておる。我々は無意味にこういうことをやつておるのでなく、勧告も出ておるから、如何にせば地方に満足を与えられるかということを真剣にやつておるのですから、文部大臣としてただできないとか、閣議決定だから止むを得ん。こういうようなことでは余りに能がなさ過ぎると思う。こういうことを、もう少し大蔵省はどういうふうに見ておるかを研究してもらいたい。
  236. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかに文部大臣に対する御質疑ございますか。
  237. 岩間正男

    岩間正男君 私も最後に申上げたいと思いますが、大体この問題については二千万人くらいの署名運動、恐らく未だ曾つてないよりな厖大な署名運動がなされておつて、そうして教育予算の大幅増額の問題が出てきておるのです。ここには非常に大きな私は関連を持つと思うのです。単にこれは影響するところは教職員の問題、これだけじやありません。そこが一番当面して犠牲になります。併しその結果は子供に大きく影響する、それから又非常に大きいところは、やはり重税と物価高で苦しんでいる国民の肩にこういうものが全部及んで行く。恐らくこういうふうな予算措置をとつた場合には、今度は今までの、これはPTAを通じての寄附なんかも非常に大きく問題になつて来ます。これが二倍される、三倍されるということは明らかなんです。単なる教育の問題をお考えにならないで、社会的大衆の生活問題となつて来ておる。こういう点を文相は果して直視されておるかどうか、果してそういう面に立つて、今の国家財政というような面を言われておりますけれども、国家財政の問題についても、もつと模を打込んでこれに対する意見を持たなければならないと思うのです。蔵相の決定されたものを信頼する、飽くまでも信頼すると言われるのは、一応これは閣僚間のことで我々の関知することではありません。併しながら文部行政を担当している責任ある、而も大きな国民との連絡のある、そういう関連のある問題について、もつとやはりこの問題に挺身されるということが我々は重要じやないかと思う。こういう基礎的な問題が何ら一つも解決されないという形では、むしろ大きな犠牲や破壊に直面するというような形で、而も一方においては今度は全く余りそれほど重要とは思えない、こういう問題から考えれば、我々の感じからすれば重要とは思えない、やはり日の丸とか国旗とか、こういうような問題或いは何かそういうようなことが十分にできないことの眼隠しみたいな教科書無償の問題、こういうふうな問題に非常に努力されている。これは本末顛倒じやないかと思う。土台から教育が崩されつつあるところに、まるでそれに対して表面だけ糊塗して、そうしてこういう問題の本質を巧みに隠してしまう。こういうやり方は私は文相に十分にこれは反省を願いたいところがあると思う。日本の教育行政は観念的だつた、それがあの戰争中の失敗でありますから、これを再び繰返さないために財政的な裏付け、これが一番重要な問題だと私は考える。この点の解決なしに何の一体文教改思、何の一体国民の思想善導、こういうものがありますか。我々はそういうことは全然これは問題にならんと思う。こういう点について文相は、もつともつと文部省本来の性格、これは何回も繰返したことでありますけれども、やはり予算を確立し、教育財政を確立するというところに重大な任務があるのだ、こう考えますので、こういう点について文相の御意見を最後に承わりたい、こういうふうに思います。
  238. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 先ほど西郷委員のお言葉は非常に御尤もなんで、私の研究の足らんところは確かにあろうと思います。それから又財政が非常に重要だ、教育予算が非常に重要だということは自分も強く考えておるのですけれども、微力にして文部省自体の要求を余りにも充たすことができないということについては誠に遺憾に思つております。今後自分もよく研究をし、省員をも督励して一層この点を進めたいと考えております。
  239. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 大蔵大臣厚生大臣が来ることになつておりますが、閣議が四時には済むからということになつておりますから、もう五分くらいで大蔵大臣がやつて参ります。
  240. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは地財委にお伺いいたします。今文部大臣に対して教育財政の問題をいろいろお伺いいたしたわけでありますが、青木委員にお伺いいたしたい点は、これは財政が苦しいということも考えられますが、根本的に教育、文化に地方公共団体のかたがたが比較的に無理解だという立場から、中央から行つたところのお金をほかの方面に、警察とか土木とか、産業方面に流用するというようなことに対して、地財委としてはどういうふうにお考えになつているか、例えばここに目に見える教育施設、家などを建てるというような問題についてはかなり熱心になりますけれども、本質的の教育、文化を振興させるという方面のような経費についてに非常に無理解である、具体的に一つ例を挙げますというと、戦後我が国の教育界において、更に青少年対策として重視されておるところの浮浪者の教育の問題とか、或いは新教育の理念を持つたところの幼児教育のための費用、こういうこと、これは一例でありますが、非常に無理解で、又いわば競輪、競馬、宝くじというような感覚で流れて行つたところの平衡交付金を、地方自治当局がこれを用途に使つておるというようなことについて、地財委当局として青木委員はどういうようにお考えになるか、見解並びに対策をお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、一松政二君委員長席に着く〕
  241. 青木得三

    政府委員青木得三君) お答えいたします。平衡交付金は御承知のごとく教育費或いは土木費等の区別によりまして、おのおのその単位費用或いは補正係数等を用いて計算をいたしましたその基準財政需要総額、そうして一方において基準財政収入を見ましたその総額との、両者の差額を交付いたしております関係上、その平衡交付金の幾ばくが如何なる経費に正確に該当するかということを計算いたしますることは、非常に困難ではないかと思うのでありますが、併しながら御質問にございますように、文教のために用いるべき経費を他の経費に一部流用しておるというようなことがありますれば、これは実に極めて遺憾なることでありまして、さようなる事柄のないように地方財政委員会といたしましては十分注意をしなければならないところであります。日本の地方自治を確立し、或いは地方財政を強固にするためには、地方団体職員の素質を向上するにあらざれば日本の地方自治の完成、或いは財政の確立は非常に困難なことであつて、どうしても地方団体職員の教化と申しますか、教養を高めなければならない、素質を向上しなければならないということは、私どもがかねがね考えておることでございますので、御質問にもございますので、若し地方団体職員の思想、或いは教養或いは素質等において遺憾の点がありますれば、十分これを矯正して向上発展させるということに向つて地方財政委員会として将来大いに努力しなければならないということは、実は御質問が出ません前から、平常から考えておることでございます。
  242. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 平衡交付金制度は、その構想というものは立派であると思いますけれども、この運用よろしきを得るということは随分私むずかしい問題があると思うのです。今も委員から承わつたわけでありますが、十分の監督と指導をお願いいたしたい。なお十分の監督指導をして、なお且つ運用がうまく現実的に行かないというような場合には、私は改めて御意見を伺うし、又私の意思表示をしたいと思います。その点よろしくお願いいたします。  それから次に伺います。問題は変りますが、青木委員にお伺いしたいことは、先ほど失業対策事業費について労働政務次官が答弁されておつたことは私はどうしても納得ができないのでありますが、改めて青木委員に伺いたいと思います。先ほど労働政務次官はこの失業対策事業費地財委要求した四十六億を大蔵省から二十一億に削減され、即ち半額以下に削減されて、なお且つ失業者十六万七千人は変りなく救済ができると同時に、本年度の予算の目標として立てておるところの事業の内容についても効率的の事業ができ、それには五億ばかりの資材費補助も含んでおる。こういうことを強引に申されて行かれたわけでありますが、先ほど青木委員がいわれたように物価の高騰ということもあるのに、半額以下に削減されたというようなことと合せて考えますときに、当初予定した六億七千万円というもので救済できるとしても、事業の内容というものは、私はどうしても非生産的な、消極的な事業にならざるを得ない。こう考えるのでありますが、今後の補正というような場合にも関連する問題でもありますから、地財委当局としてどういうふうにお考になつておるかということを、私は改めて承わつておきたい。
  243. 青木得三

    政府委員青木得三君) 私も実は先ほど労働政務次官の御答弁を伺つておりまして、十分了解しかねたのでありますが、実は私が十分調査研究が足りないために、了解できないのであるかも知れませんから、甚だ恐入りますが、もう一度事務当局から御当弁をいたさせた上で、私の考えを申上げさして頂きたいと思います。
  244. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 先ほどの労働省からのお話でございますが、私ども聞いておりまして、私の了解いたしますところでは、政府におきまして七十七億五千万円の今度の補助をおきめになりました際の基礎数字になつておりますものが、十六万余りの失業者を救済する。こういう基礎から算定されておるように伺つたのであります。そこで而もその事業の内容におきまして、二十五年度に比べて二十六年度におきましては、更に内容が建設的になると申しますか、資材費等もかかり増しがあるだろうというので、特に来年度におきましては五億円の資材費も計上しておられる。こういうことであろうと思います。従いまして大蔵省で御査定になりましたこの予算によりましても、十六万何がしの失業者が救済されることになつておる。こういうふうな御見解であろうと思います。ただ私どもは特に地方費の負担におきまして、大蔵省で出しておられます数字と違いますものを特に提出いたしましたのは、先にも申上げましたけれども実情はやはりこの数字で申しますならば総額五億程度で、実際事業をやつて行く場合の地方負担費として少いじやないか、実情から言えばもつと大きなものを負担しなければこの事業はやつて行けないじやないか、こういうふうな考え方から数字を出したわけであります。
  245. 青木得三

    政府委員青木得三君) 簡単にお答えいたしますが、地方財政委員会の要請いたしておりまする数字と、政府のほうで計上いたしておりまする数字とが同一でなくて、而も同一の結果を生ずるということは、やはり私は了解いたしかねるのであります。
  246. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 青木委員にもう一言お伺いいたします。それは二十五年度の地方財政の窮迫ということが必然的に二十六年度の地方財政を不如意にする、こういう大きな原因になるわけでありますが、そういう立場から私次の問題をお伺いいたします。それは地方財政法の第十三條第二項の規定によつて、埼玉県以下二十数都道府県意見書を参議院議長に出されております。それに対して内閣の意見も出ておりますが、それは抜きにいたしまして、昨年度の地方財政平衡交付金が確定した後に、法令の改廃施行のために地方財政の健全性を阻むような義務的支出を各県に負わした状況を詳しくこの意見書に書かれて、そうして財源措置を当然なさるべきである。そういう義務を履行してもらいたいという意見書が出てるわけです。若干数字を申上げますというと、石川県で、二十五年十月末日で石川県に義務的支出を強要したものが二億九千万円、それから福岡県のごときは二十五年十一月末日までに該当金額は六億五千万円、それから神奈川県が十月末現在で二億五千万円、こういうような詳しい数字を掲げて、意見書を出されておるわけでありますが、これが未解決のままに来年度へ持越される、而も平衡交付金が千百億に抑えられたということが地方財政の運営を不如意にしておる非常な大きな原因になつておると思うのでありますが、こういう意見書に対して地財委としてはどういうようにお考えになるか、地財委当局の御意見をこの際承わつて置きたいと思います。
  247. 青木得三

    政府委員青木得三君) その点につきましては、この各府県知事から参議院議長宛に意見書を出されますと同時に、内閣総理大臣に対しても同じ意見が提出されたものと見えまして、その都度内閣官房長官から地方財政委員会にどう思うかという書面の御照会がありました。ただ殆んど同文を以て各府県知事にお答えをしておるのでありますが、全然各府県知事の御意見と同感である、その通りであるという答弁を官房長官まで差出しておるような次第であります。
  248. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大蔵大臣がお見えになりましたから大蔵大臣にお伺いいたしますが、予算並びに地方行政委員会におきまして。本年の地方財政全般、特にそのうち平衡交付金の問題、起債の枠の問題につきまして、地財委大蔵の事務当局並びにこれに関連するところの各省意見を聞いておりまするが、今年の大蔵省査定では平衡交付金におきまして昨年の補正後の増加に対して、僅かに平衡交付金において十五億の増加であり、起債につきましても補正後のものに比較しますと、僅かに二十億の増加であります。地財委側と平衡交付金において百九億、地方起債の枠におきまして百八十五億の大きな差を出しておりまして、我々といたしましてはこれでは地方財政が二十六年度は乗切れないというふうなことを、今日まで審議の結果その感を深くしておりまするが、その細かいことについてはもう專門の大蔵大臣でありまするから申しませんけれども、これらに対しまして大蔵大臣において、この前の二十五年度の補正予算におきまして非常に努力をいたされ、起債の枠におきまして七十億を復活され、平衡交付金においても三十五億の増加を図つて頂いたわけでありますが、二十六年度につきましてどういうふうに考えておられるか、この辺のところにつきまして大臣の御意見を伺いたいと思います。
  249. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。先般来西郷委員を初め皆様がたより平衡交付金増額、又地方起債の枠の増額につきまして強い御意見があつたのであります。我々もその御意見につきましては十分尊重して今後は善処いたしたいと思います。何分にも国の財政もそう豊かではございません。又地方財政におきましても或る程度のでこぼこもあるやに聞いておるのであります。こういう問題は全体として考え、できるだけ平衡交付金増額について努力いたしたいと思います。この問題は積極的に殖やすという場合と、消極的に減らすのを余り減らさずに済ます、或るいは事務的な配合等がございますので、全般的に私は考える、なぜそうかと申しますと、とにかく地方の今の状況から考えまして、国の財政の許す限りは、十分とは勿論行きますまいが、前から私は先般の補正予算にいたしましても、今回の二十六年度の予算につきましても、できるだけのことはやつておるのであります。足らざるところは国家財政地方財政にも多々あるのでございますが、その間の事情を考えながら地方財政平衡交付金につきましては十分に重点を究いて考えたいと思います。なお起債の枠につきましても私は三百七十億円を、今年度少くとも四百二十億円という程度までには努力いたしたのでありまするが、遺憾ながら四百億に相成つておるのであります。併し本来平衡交付金とは違つてよほど弾力性がありますので、地方の事情によつて相当殖やし得るのではないか、又殖やさなければなかなかいかんと思います。その殖やす場合におきまして、今の俗に言われておる枠三百億から三百七十億、或いは四百億というその枠だけによるか、或いは短期融資の方法によるか、或いは又預金部資金以外の方面からの融資を一時やりますか、いろいろな方法があると思うのであります。併しいろいろな方法を考えましても、なお四百億円という枠は御話の通りに非常に十分でないと思います。今後の金融情勢、或いは預金部資金の状況、或いは地方財源等から考えまして実情に副うように努力いたにたいと考えております。
  250. 一松政二

    委員長代理(一松政二君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、文部大臣は一応皆さんの質問が御終了になつたことと考えて、一応政府委員室に引上げておりまして……、ほかに所用もございますので、質疑がこれ以上なければ、ほかに廻りたいということを申し出て参りましたが、お差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 一松政二

    委員長代理(一松政二君) それではさように取計らいまして、文部大臣がほかに参ることを御承認になつたことにいたします。
  252. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今大蔵大臣の御意見を承わりましたが、何らかの努力を重ねて行くということでありますが、又今の予算だけでは物価上昇その他のことから勘案いたしまして、近い機会に補正第一号というものが必至のように思われますので、平衡交付金をこの際直ちに修正とかいうようなことが困難であるならば、補正第一号の際には、不足分の百九億を考慮して頂くとか、そのほかに地方の起債につきましては、これは早急に一遍に要るものでもないので、この際大蔵大臣において何らか増額についてもう少しはつきりした見通しを伺えれば非常にこの平衡交付金の審議の上にうまく行くと考えまするが、その辺は如何でしようか。
  253. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 来たるべき議会において補正予算を組むか組まないかということは大きい問題でございます。補正予算を組む場合におきまして、年の途中においてそうした平衡交付金につきまして直ちに第一番に殖やす措置を講ずるかどうかということにつきましては、只今からお約束はできないと思います。財源の問題もありますし、情勢の見通しの問題もあります。而も財源も国の財源地方財源との問題を考えなければなりませんのみならず、又国と地方の仕事の分担の問題等もありますので、私は先ほど申上げましたように、努力はいたしまするが、幾ばくの金額ということはお答えできないと思うのであります。又この地方起債の問題につきましても当初三百億として出発いたしましたものが、途中から三百七十億になつたゆえんを考えましても、やはり年度経過の様子によりまして殖やすとすれば、幾らということはそのときにきめるべき問題であつて、今私が何ぼ何ぼ殖やすんだということは申上げかねると考えます。
  254. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、先ほど私から地財委青木委員にお伺いいたしましたあの都道府県からの意見書でございますね、あれに対してどういうふうにお考えになるか、次々に法令の制定をして多額の義務支出を地方自治体に強要して、なお且つ、それに対して財政措置をしない、これは非常に地方財政を困窮に陥れておると思うのでありますが、大蔵大臣としてあの意見書についてどういうふうにお考えになるか、承わつて置きたいと思います。
  255. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 地財委の青木がお答えになわましたように、内閣総理大臣宛に出ておるのも承知いたしております。而して我々大蔵当局といたしましては地方財政平衡交付金をきめます場合におきましても、又補正の場合におきましても、法令に基きまする場合の負担増額につきましては見ておると申上げていいように取計らつておるのであります。
  256. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣地方経費を見ておる、こういうふうに御答弁になりますが、地財委青木委員は都道府県から出されたところの意見書というものについて全く同感である、こういうふうに言われておるわけでありますが、これに対して青木委員如何でございますか。
  257. 青木得三

    政府委員青木得三君) これは先ほどお答えをいたしました通りでありまして、内閣総理大臣に対しまして、当委員会としては地方団体意見通り速かに財源措置する必要を認めるものであるという回答をいたしておりまして、これは私個人の意見ではございません。勿論地方財政委員会意見でございますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  258. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは大蔵大臣にお伺いいたしますが、なお且つ大蔵大臣は法令の制定によつて地方自治体の義務支出を、福岡のごときは六億五千万でございますから、それだけのものを強要して、これに対して財源措置をしてある。こういう御意見解をとられますか。なお昭和二十六年度においてもそういうお考えでやつて行かれるおつもりですか、その点伺いたいと思います。
  259. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答えした通りに、法令に基く義務支出につきましては、予算を作ります場合に見ておると考えております。細かい数字主計局長からお答えいたします。
  260. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 意見書が出ておりますことは存じております。平衡交付金算定いたします際におきまして、国の補助金及び法令に伴うものとしまして、二百億ほどあるであろうというのが地方財政委員会の御意見であり、私のほうの内閣の決定としては百八十一億というふうに算定いたしましてお手許に出してある次第であります。私どもの立場といたしましては見ておると考えておりますので、この点については国会において十分御結論を得たいと存じておるわけであります。
  261. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当面来年度の問題として問題になつておるこの平衡交付金にも、地財委大蔵相違がこうした点をもたらしておるのでありますが、今の問題はやはりそういうところにあるようであります。この点については今これ以上追及いたしませんで、私はでは来年度の平衡交付金について大蔵地財委意見相違しておる点について若干大蔵の見解を承わります。ここに平衡交付金に百九億の差を生じておるわけでありますが、この中で最も数字の大きいのは年末手当に要するところの経費並びにベース・アツプに要する経費、それを教職員の新細別格付に要する経費、これが非常に数字が大きいわけでございます。この中で先ず年末手当支給に要する経費でありますが、これを大蔵当局新規財政需要として認めない、こういう御見解で出されておるわけでございますけれども、    〔委員長代理一松政二君退席、委員長着席〕  昨年度地方に対して財政規模の縮小でやれ、それから既定経費の縮減で賄うようにと、こういうふうに指示をされて、そうして本年末この充足方法として既定経費というものを八十億組んで、なお且つ既定経費節約でやるように、新規財政需要として認めない。こういう御見解は財政規模の非常に小さい地方自治体に対して少し無理な私は御見解ではないか、飽くまでもこれは新たにここに年末手当給与法律というものができて発足するのであるから、ここに新規需要と認めて私は地財委の案で組まれるべきであると、こう考えるのでありますが、現在もなお且つ大蔵省としてはこの年末手当に要する経費というものは地財委の五十八億に対して僅かに七億二千万程度でよろしいと、こういうお考えなのでございますか、承わりたいと思います。
  262. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十四年末の年末手当既定経費で出したと私は承知いたしておるのであります。従いまして大体同じ程度のものは二十五年末において出せるものだと考えております。次に既定経費節約につきましては国民負担をできるだけ軽くする意味におきましても、国におきまして相当の節約をいたしておるので、地方財政におきましてもできるだけの節約をして頂きたいという気持を持つておるのであります。従いまして多分地方自治庁のほうの案では八十億円の節約の計画になつてつたと思います。大蔵省も大体それで了承いたしておるわけであります。
  263. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここで私申上げて置きたいのですが、本日参議院の文部委員会委員長堀越儀郎氏から、地方財政平衡交付金増額に関する要望というものが本委員会に提出されたわけであります。こういう問題を取扱うときに、よく会派によりますというと平衡交付金増額しようというのは、これは地方選挙対策で君らは言つておるのだろうということを言う人がありますけれども、我々は決してそういう立場でいつていないということ、現在昨年の平衡交付金が過少であつたことと、更に来年度の平衡交付金が千百億に抑えられたという点から、すでに地方自治体からはいろいろこれに対する悪い徴候というものが現われて来ている。今後非常にこれが懸念されるというところから全国から物凄いこれに対する陳情がありますので、我々は代表として取次いでいるわけでありまして、大臣答弁に当つてその点だけは確認しておいて頂きたいと思うのです。今大臣は二十四年も既定経費で支出したから云々ということを申されましたが、二十四年度の年末手当支給するときに教職員の場合を考えましても、例の七億二千万円というものは国庫から借りたわけです。この問題は先般の臨時国会でも問題になつたのでありますが、決して私は既定経費でやつているとは考えられないわけです。その金を無理に算出するためにあらゆる方面支障を来たしているということは、二十四年度についても同様であります。二十五年度から年末給与法というものができて、恒久的にこれを実施されるということになりました以上は、私は別な角度から考えて然るべきじやないかと思うのですが、如何でございますか。
  264. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は二十五年度におきましては大体既定経費で賄得るものと考えておるのであります。大きい財政でございますので、その程度のことは私はやり繰りがつくだろうという考えの下に特に出さなかつたのであります。
  265. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと今の問題ですが、二十四年末に既定経費節約で年末手当支給したというわけなんですが、先ほど大蔵省からの調査によりますと、半カ月分に満たない年末手当支給したのが調査の中の六七%を占めている。法令によると大体半カ月分になつておると思うのだが、それに満たないものしか支給できない地方財政では……、随分陳情が出ているのだが、これはどうですか。
  266. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この表でありますが、これは半カ月分以下となつておりますが、大体半カ月分でございます。調べました町村はここに六千八百八十四の公共団体があるのでありますが、その中、半カ月分以下となつていますのは中には半カ月分いかなかつたものもあつたものですから半カ月分以下といたしたのでありますが、大部分は殆んど半カ月分を出しております。
  267. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 数字はその点はつきりしてもらわないと非常に因るのですが、半カ月に満たないものばかりと思つたのですが……。
  268. 河野一之

    政府委員(河野一之君) それは違います、半カ月というふうに殆んどこれは数字がわかつておりますが、大体半カ月であります。
  269. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは正確に区別してどうなりますか、半カ月と半カ月以下と……。
  270. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 四千六百五十七ですか、そのうち二百五十ですか、支給のないのが。
  271. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) もう一遍…、半カ月以下というのは全然支給しないものも含まれておるのですか。
  272. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そういうことであります。私のほうで調べましたものは半カ月分以下と、それから半カ月分以下いとうのは大体半カ月は支給しておるのでありますが、調べ方としてはそういう区分でいたしましたので、半カ月分以下の分につきましては或いは支給のないものがあるかも知れませんので、もう一回照会したのですが、二百五十です。これは事実支給がないものです、六千八百のうち…。
  273. 岩間正男

    岩間正男君 而もこの資料を見ると、さつきも問題にしたのですが、六〇%についての調査、あとは四〇%についてはわからない。この四〇%を問題にすることはこれは恥かしくて報告ができない、こういうものが多いのじやないのですか。だからこの表だけでは問題にならない。
  274. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そういう御猜疑の念は勿論私どもとらないのでありまして、私どもとしましてはこれは全国に大部分何してとりました数字であります。ところが出て来ない数字が大分あります。その後において集まりつつあるのでありますが、何しろ一万数千の町村でありますから、まあ半分以上集つておるわけでありますが、全部は出て来ない、出て来たものについて集計いたしのがその通りであります。
  275. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この二十五年度は既定経費節約でできたと思う、こういうふうに大臣申されておられるわけでございますが、只今この状況調べが問題になつております。ここで私は大臣に是非申上げたい点は、大部分自治団体はまあ多少でありましようが年末手当支給した、併し支給したにいたしましても半年ぐらい前からそういう場合を考えられて、非常に欠員ができた場合にそれを補充しないで抑えて行つたわけです。本当に必要のない定員を抑えて行くならよろしいのでありますが、最も人件費をたくさん使つておる教育の面にこれがしわ寄せになつて来て欠員を補充しない。そのために定員が確保されないで教育に非常に重大な支障を来たしておるという点が、そういう点があるのだということをお考え下さらんと因ると思うのです。今の新教育実施するに当つこ、小学校学級当りは一・五、中学校は一・八なければ新教育実施ができないというのは、これは科学的に研究された教育界の定説なのであります。その一・五、一・八の確保された府県が何県あるかというと殆んどないのであります。そういうものを無理をして……、そういうのは一つの例でありますが、そういうところに無理をし、そうして半カ月以下の年末給与を出すような点をとられているわけでありまして、大臣が言われるように既定経費で行われたのだ、こういう考え方は私は非常に危険だと思うわけであります。まあ二十五年度はそれでありますが、この予算案で通されますというと来年度はどうなるか、こういうことになりますと、定員はいよいよ縮少されて行くわけであります。そうしていろいろな支障が起つて来る、更に授業料なんか取つているところの公立の大学、或いは公立の高等学校、こういうところは授業料、それから手数料というものを各府県つて値上げをしております。これは私は立派な一つ増の税だと思うのでありますが、そういう面に悪い徴候が現われているということを合せ考えるときには、私は飽くまでもこの年末手当支給に要する経費というものは新規需要と見てやらなければならない、又見るべきじやないか、こういうふうに考えるのでございますが、そういう面について大臣は若干御調査なされ、又お考えなされたかどうか、その所見を承わりたい。
  276. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 地方財政状況は皆さん同じようにお考えになると思うのでありまするが、なかなかつかみにくいのであります。今の表につきましても、猜疑という言葉が使われましたが、我々は昨年の六、七月頃からこの地方財政実情を知るべく非常な努力をいたしたのでありまするが、努力の結果をお出ししても、こんなつまらん表は意味をなさんじやないか、こういう非難を受けるような状態であるのであります。大蔵大臣として十分なる監督権がございません。資料を出さんと言つて、ぐずぐずすれば何としても取るわけにいかん、又自分としては昔から地方財政に携わつておりましたので、できるだけの資料を取り、大蔵大臣としても公正な判断のできるようにいたしたいという気持は十分持つておるのでありまするが、何分にも数も多いことでありますし、又非協力的な態度をとられるところもございますし、又協力するのだけれども、都合の悪いところは言わないというところもありますし、なかなか困難なのであります。そこで昔のように、昔の内務大臣大蔵大臣が強い監督権を持つておるような時代にこれは返すわけに行きませんが、とにかく国も地方も同じものだというふうな気持で、一つ協力を得て立派な政治のできるような材料が欲しいと思うのであります。而して今の年末手当の問題なんかも、国のほうでも、お聞き及びでございましようが、できるだけ給与をよくする、賞与も出したいというので昨年の四月、年度の始ますときから欠員不補充の原則とか、或いは物件費を五%節約しろとかいろいろな手を使つて、我々としては各省に呼びかけて節約をして頂いておるのであります。でこの表を御覧になりましてもおわかりのように、この都道府県幾ら幾ら、こうありましても、六大都市が相当の大部分を占めております。又東京都の支給状況なんかも多分御存知だろうと思いまするが、こういう統計ではなかなかわかりにくい、で私は皆さんと一緒にこれならば納得できるような統計が欲しいと思うのでありますが、できないのであります。そこで既定経費をどこの市町村がどういうところからどれだけやつてきめたか、或いは又今もありますように、半カ年分の給与も出せないというふうな市町村はどういうような財政状態かということがはつきりわかりません。誠に遺憾なことだと思うのでありますが、制度の改廃後日なお浅くて私はこういう結果になつておると思うのであります。できるだけ早い機会に十分資料を整え、国の財政を把握できるように、地方財政の皆さんが十分頭に入れられるような方向に持つて行きたいと努力いたしておるのであります。いずれにいたしましても、先ほど西郷委員に申上げましたように、数の多い中でありますからでこぼこの点もありましよう。例えば私は地方財政にいたしましても、市町村よりも府県のほうがお困りであろう、こういう考え、これに対して対策をどうするか、それから市町村の中におきましてもかなりの違いがあると思います。こんなことを申上げてはどうか知らんですが、昭和二十五年度におきましてもかなり有福な町村もあるのであります。併し非常に苦しい府県があることは認めざるを得ません。そういう問題を私が十分把握してでないと、ただすぐ平衡交付金を殖やそうということに行きますと、平衡交付金財源をどこから持つて来るか、こういう問題があります。外為特別会計の五百億円を減らしたらという話もありますが、貿易の状況によりましても、まだこれは足らんじやないかという議論もあります。なかなかその点が厄介なのでありますが、国のことに関しましては大体資料が集つておりますからはつきりお答えできるのであります。地方財政のほうにつきましては今申上げましたように、本当に折角努力して御覧に入れた表でもなかなかわかりにくい、これも私は数回主計局長名を以て、或いは大臣名を以てして府県の市町村に協力を求め、又大蔵省管下の財務局をどんどん督励して出したのがこういう資料であるのであります。で平衡交付金につきましてはできるだけの努力をいたしまするが、地方財政自体におきましも、地方間の問題その他について十分我々検討して行かなければならんし、又地方のほうといたしましても、こういう地方財政委員会或いは地方自治庁、或いは大蔵省のほうにも御協力を得て、はつきりした資料を出したいと思うのであります。従いまして御質問既定経費の賄いでやつて行かれていなというようなお話でございますが、全体として私はやつて行けると思います。又小学校教職員のかたにつきましても、多分二十四年度は小学校学級一・三五十したかと思いますが、二十五年度は一・五くらいに出したのではないかと思つております。徐々に私はやはり改善して行かなければならんという気持で進んでおるのであります。
  277. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつも大臣から承わることを重ねて承おつたのでありまするが、確かに国家とそれから地方とはそれぞれ協力してやらなくてはならない、地方地方のことばかり考えて、エゴイズムでやつてつてはならない、そういう点も私同感でございますけれども、それから更にいなかなか把握できないという点も全く同感であります。併し私は把握できる部分とそれから把握できない部分とあると思つております。やはり把握できる部分をしつかりつかんで、あとは私が申上げるまでもなく、推定されて行かれておると思うのですが、その点もう少し私は努力して頂きたい。私は今いろいろ御質問申上げておるわけでありますが、この平衡交付金地方への影響というものに対する大臣の把握されておるのと私の把握しておるところの相違というものが、私との意見相違が出て来ると思うのですが、一例を申上げますと、来年度は小学校一・五になると思うということを大臣申されておりますが、この平衡交付金では絶対に小学校学級一・五まで持つて行けないということを私ははつきり申上げられると思います。これなどは文部省ではつきり数字を持つておると思うのでありまして、やつて見ればわかりますが、絶対にやつて行かれるものでないということを私は申上げたいのであります。  それからこの年末手当について一つお伺いいたしますが、ちよつと技術的な事務的な面に入りますから、主計局長の御答弁で結構だと思います。お伺いいたしたいのは、この年末手当五十億の差が生じたのは地財委の見解と大蔵の見解の相違から来るわけでありますが、このうちに大蔵の案によりますというと、二十五年度並びに二十六年度の新規増職員、その職員に対する給与を全く見ていないというのは私はどうしても納得できないのでございますが、如何でございましようか。
  278. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 見てないと申されますが、私は見ておると思つておりますが、どういう点を……。
  279. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵の案というのは給与改訂及び職員給与級別格付基準改訂による給与増加した部分の二分の一をとられておるわけでございましよう。二十五年度及び二十六年度の人員というのは新規増加するわけですね、その分の二分の一というのは組まれていないのでしよう。
  280. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 教職員の分でございましようか。
  281. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、教職員に限りません。
  282. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 全体の職員は来年度一万九千人でありますか、そういう程度殖えるということで法令に伴う経費、或いは国庫補助金に伴う経費の中に只今職員経費というものが算定されて入つております。これは地方財政員委会の二百億であり、内閣の決定額では百八十一億である。こういうことで見てあるわけであります。
  283. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今主計局長答弁に対して地財委はどうお考えになりますか。
  284. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 明年度における新規に殖えまする職員数におきまして、大蔵省のほうで御査定になりましたのと、私のほうで各省から出て参りましたものを査定いたしましたものとの間に、新規増は八千八百人ほど違います。その結果が今年申上げたようなことで、その分を除きましたものについては大蔵省とは全然一致しておるわけでありますが、その部分だけが数字の違いとなつて出て来ておる、こういうことであります。
  285. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは一般職員新規増職員数の八千八百三十九人の相違に対する大蔵並びに地財委の見解を伺いたい。
  286. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これはこの委員会の当初におきまして、何において地財委側と内閣側と違うということを、この経費につきまして詳細に申上げてあると思うのでありますが、食糧管理法でありますとか、或いは兒童福祉法でありますとか、そういうところにおきまして相当差がある。個々の経費につきましてたしか申上げたと思いますが、或いは何でありましたら申上げます。
  287. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 前に御説明になつたと申されるたらば、改めて承わらないでよろしうございますが、それに対して地財委は、この八千八百三十九人の差に対して、どの分が何人、どの分が何人増したということは申さなして結構でございますから、見解を述べて頂きたいと思います。
  288. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方財政委員会といたしましては、各省から出て参つておりまする仕事の実態につきましていろいろ調査をいたしまして、この程度の人員はどうしても増加する必要があるということで要求をいたしたわけでありますが、大蔵省のほうで、いや、それだけのものは要らんのだということで御査定になつたわけでありまして、別にその点はもう見解が違うのでありまするから止むを得ないと思います。なお大まかに申上げますれば、今の八千八百三十九人違いまするものは、これは一般職員についての相違でございまして、教職員には関係ないわけでございます。
  289. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと大蔵大臣質問しますが、先ほどから年末手当の問題が出ておるのだが、どうもよくわからないのは、既定経費節約で二十五年の末にもかなり年末手当は出せたというふうに言つておられますが、先ほどから問題になつておる大蔵省調査、これは全体の約四〇%くらいしか調査になつていないのですが、その調査だけを見ても、半カ年以下のものが相当多いということは、六七・六%を占めておるということは明らかなんです。而も半カ月分以下というものの中には全然年末手当を出さなかつたものも含んでおるというようなわけで、既定経費節約によつて年末手当支給するということを、その方針を押して行きましても、地方自治体では財政困難でなかなかできないということがはつきりしておるのじやないかと思うが、どうですか。
  290. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今の表で半カ月分以下、町村で四千四百五十六というのでありますが、四千四百五十六のうちで、出せなかつたところが二百何ぼとかいう話であります。これは例外的に特殊の事情があるのではないかと思います。併しその他おおむね半カ月分以下のところで二百何ぼでございまするが、半カ月分を超え一カ月分以下のところが二千もありますし、又一カ月半分、これも百五十三もある、こういうふうな状況で、半カ月分以上出したところも二千二、三百、それから半カ月を出したところが大部分でございまするが、出さなかつたところが二百何ぼ、こういうところは地方状況もあつて、これは止むを得ないのじやないか、この表は回答の来たところ全部をこういうふうに調べたのでございまして、大体において賄いついたということじやないかと思います。一つも出し得なかつた二百何ぼの町村につきましては、今後も検討し、その理由を調べたいと考えております。
  291. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それで昨年度に比べましてまあ経済情勢が今年度は、今年度というか二十六年度は二十五年度に比べて相当激変が来ておると思います。これは予算委員会でもしよつちゆう問題になつたのだが、物価騰貴の問題やその他いろいろあつて、その他の既定経費が相当膨脹せざるを得ない情勢にある。これは国定財政地方財政と同じなんです。相当それを出しますと、二十五年度についてはまあ既定経費節約で何とかやれたということがあつたにしても、そういう経済情勢の変化が起つておる二十六年度について同じことがやれるという見通しを立てることはどうかと思うが、その点如何ですか。
  292. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは本委員会でも最も問題になつた点でございまして、今後の情勢を見通さないと何とも言えぬと思います。  一般労務者、即ち政府並びに地方公共団体職員以外の者につきましては或る程度の賃金の上昇等があるのでありまするが、政府職員等におきましてはそれがないので、今後の情勢によりまして適当の措置をとらなければならんと思うのであります。併し物価が或る程度落着いたりいろいろな点で、どの程度問題になるかということは申上げられませんが、やはり今後の情勢次第によりましては適当な措置をとる必要が起つて来るのではないかということは予想されるところであります。
  293. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にページ改訂所要経費に関しての両者の見解の相違でありますが、この前の予備審査のときでしたか、政府職員に対して一律に千円やつたのであるから、地方公務員もそれに倣つてつて欲しい、それから主計局長お話では、実際にあの給与法律の改訂を適用して見るというと、千円を僅かにオーバーするくらいでやれたのだと、こういう御発言があつたわけでございますが、地方公務員にあの給与法律の改正案を適用しようとしても現実に今適用できない、これは事実であります。その理由というものは、結局職員構成の内容は違うし、現在でも地方公務員という者は一律でなくして、職種ごとに予算単価というものをきめております。例を取れば、或る省を取りますというと、これは大臣から給仕までおりますが、例えば教育界を取りますと、上と下との差というものは非常につんでおる、これは一つの例だと思いますが、これを一律に一千円というような線を押付けられまするというと、現実的に改正法律はできたけれども、それに則つて給与の切替はできない。従いまして私は国家公務員があの法律の適用が一千円でできたから地方公務員もそれでよろしいのだということは、やはり私は地方公務員の構成内容、その実情というものを無視されておるのじやないか、その点において妥当でないのじやないか、こういう見解を持つておりますが、これに対して大蔵省当局ではどういう御見解を持つておられますか。
  294. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これもまあ申上げました通りに国のほうでありますならば、六千九百七十三円が七千九百八十一円になつた、これは調整号俸の切下げもやりましたし、勤務地手当も減らした、職員構成についても、いろいろ御判断はあると思いますが、そういうことで国全体としてはやつてつたのであるわけであります。地方団体職員につきましては、これは地方財政が国の財政の一体のものであるのでありますけれども地方財政全体としてやはり国の方針と同調して、全体を通じて一千円程度は上るように措置して頂きたい。これは従来平衡交付金のみならず、地方配付税の計算におきましても国の方針に同調して財政の面で見て行く場合においては、新たに国が財政措置をするとして、地方財政措置をやつて行くという場合においてはそういうふうな計算を常にしておつたのであります。ただ現実問題として或いは地方職員のほうは相当国家公務員よりは高いのでありまして、高い点がある結果、同じような割合で上げるものは上げねばならんという実情がありますけれども、従来からの考えかたとしては同調してやつて行く、こういう方針をとつておるわけであります。
  295. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは第二にお伺いいたしますが、給与改正法律ができたが、適用が実際にできない、こういう現実に対して大臣はどういうふうにお考えになりますか、できなければやらんでよいというふうにお考えですか。
  296. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国の公務員につきましては我々は人事院の意見を聞いてやつております。これは地方公共団体におきましては大蔵大臣がやれとか、やらないという問題ではないと思います。我々としては地方公務員、地方職員のほうにつきましても、政府職員と同様におやりになるように県当局に善処をしてもらいたい。こうお答えするよりほかにないと思います。
  297. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 仰せの通り人事院は国家公務員の給与を取扱つておるわけでありまして、その勧告の線に沿つて政府給与改正法律を提案されたわけであります。地方公務員は国家公務員に準じて待遇する、こういうことになつておりますので、あの法律が出た以上は、而もそれを国家公務員に適用するのでありますからして、必然的に地方公務員にあれを適用しなければならない、適用するということになりますと、その財源は結局平衡交付金の如何にかかわる、その平衡交付金が原案のようなものになつておるためにそれが実施できない、こういうことになつておるわけでありますので、私はやはりあの立法の趣旨からいつても、あの法律の適用ができるような積算の仕方をして頂かなければならない、そうあるべきである。そういう意味におきまして地財の案は私は妥当である、こういう見解を持つわけであります。地財の案というものは、政府案よりは上廻つておりますが、実際においてその切替えを実施して見ますというと、その地財の案よりは更に実情というものは上廻るような数字が出ておるわけであります。従いまして政府案平衡交付金のこの算出では絶対に切替えができない、こういう実情なのでございます。それでもやはり大臣の見解はお変りございませんか。
  298. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ほど来からその問題について論議しておるのでありますが、これは国のほうにおきましても号俸調整なんかで、何とかここをしないかというような意見があるのであります。或いは地方におきましてはそういうことが出て来ると思います。出て来るから政府ですぐその足らないのを賄えと言つても、それはできませんから、我々はこの程度でやつて行きたい、併しその点については地財の意見政府意見の違いということは、先ほどもつておる通りであります。そこで給与改訂とか何とかいう問題で、我々はこれでやつてつて頂きたい、こういうのでございますから、満足できるできんは、見解の相違だと思います。
  299. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとお諮りいたしますが、厚生大臣が見えておりますので、この提出資料案第七の厚生施設費補助ですね……。
  300. 岩間正男

    岩間正男君 その前にちよつと大蔵大臣にお伺いしたいことがあるのですが……。
  301. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 厚生大臣のこれだけはまだやつていないのだから、厚生施設費補助、その他国の施設に伴う地方負担額の増の……。
  302. 岩間正男

    岩間正男君 簡單にやります。
  303. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それじや岩間君。
  304. 岩間正男

    岩間正男君 第一点の物価変動による財政需要が非常にこの地方財政の場合にも大きくなると思うのです。それについてはまあ先に行つて、情勢によつて何とか考えるというようなお含みのあるさつき答弁があつたのですが、これと連関してこのベース・アツプの問題ですね、これは新聞情報の程度なんですが、これは補正第一号でべース・アツプをやるということ、こういうことが出ておつたのですが、その事実の有無ですね、千円程度のべース・アツプを臨時議会にかける、こういうような新聞情報がありましたが、これについてどういうような真相だか、お伺いしたい。
  305. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 情勢によつていろいろ問題が起つて来ると国においては考えます。地方においても地方の当局者はお考え願いたいと思います。併し一体をなすものでありますから、我々も地方のことにつきましては十分に注意を払つて行かなければならんと思います。  次に物価の変動によつて公務員のベースの引上げを、給与の引上げを補正第一号でやるという点ですが、そんなことを私は言つた覚えは全然ありません。補正第一号でやるなどということは考えたこともありません。
  306. 岩間正男

    岩間正男君 これは新聞情報の程度ですから、まあそう理解して置きます。  それからこの前は何か参議院の選挙のときは、これはまあ政府の政策としてベース・アツプが出されたわけです。それでその結果が昨年末に漸くその形が出て来たというので、それも併し随分下からの要望を満たされない程度でされたわけであります。そんなところに今日のような新聞情報が出ると、これはやはり、何だ、自由党の選挙対策じやないかというような問題が起つて来るのであります。これについてはさつきそういう事実はない、こういうようなこれは蔵相の御答弁でありますから、そう確認いたしたいと思つております。  その次に先ほど地方起債の増額のことは、地方の事情で相当殖やせる、こういうようなお話でありますけれども、相当という内容ですね、内容は地財委要求程度を満たす、そこまでできるというようなお考えなんでしようか。その点はどの程度なんですか。
  307. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 我が党の施策につきましては、そのときの情勢によつていろいろな点は考えなければなりません。私はななたの質問が、補正第一号で出すということでありますが、そんなことは考えていません。新しい施策については常に我々は考えておるのであります。  次に地方債の発行は、地財の言われる通りに百八十億、これだけ殖やすか、こんなことは考えておりません。情勢によつては或いはそれ以上に殖やさなければならないことが起り得るかも知れません。併し今の場合におきましてはそんなことは考えておりません。実情に副うようにいたしたいというふうに思つております。
  308. 岩間正男

    岩間正男君 現在の、或る程度のつまり何というか、物価の変動によつて無論そういうような條件が起るかも知れませんけれども、大体地財が要求しておる一つの割合はそういう程度で、額そのものは問題ではないのだが、その程度のものを満たす、そういう点を考えておるかどうかという点について私は質問しておるのです。  それからさつきの問題は、新聞の情報に出ておつたので、事実の有無を確めたので、その点は誤解のないように願いたい。
  309. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 地方債の問題は若干弾力性があるというお話ですが、地方債の問題については、シヤウプ勧告の場合に、一九五一年度、又はその後間もなく、すべての地方債の制限方法を改められるべきである。最も適切な制限方法は起債元本よりも起債利子に基準をとつて制限することがより望ましい。いわゆる総額制限でなくて利子額制限の方式をとれというような勧告つたと思う。更にその勧告の中には地方団体は利子支払金額が過去三カ年の平均実行予算の一定比率を越えない限り起債を許されるであろうというような勧告をしておると思うのですが、大蔵省としては起債発行の枠といいますか、それをおきめになるときにこういう方向にお変えになる意図はないのですか。
  310. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういう方向に全部変えてしまう意図はございません。ただシヤウプ勧告意見として見ておつたのでありますが、これは長い目で見た理論の問題で、現実の問題といろいろな問題がありますので、それは一つの参考にはなりましようが、今の全部の枠を捨てて、個々の地方団体財政状況によつて、枠に捉われずに出す、こういうような気持を持つております。
  311. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは長い遠い将来の理想の形における制限方式の問題ではなくて、ここでも明瞭に言つておるように千九百五十一年には若干殖えるかも知れないというふうに非常に具体的な問題として提示されておるのですが、それは少しも顧みないという御意見かどうか。
  312. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) その通りでございます。シヤウプ氏の御意見として承わつておりますが、その通りにはいたしません。
  313. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 大蔵大臣はしばしば資金がないからそういうものを考えることができないのだというようなお話でありますが、この予算にお示しになつておる資金運用部の計画からいたしますと、六百六十六億というような大きな棚上げされるような資金もあるし、その他今年度中に、二十五年度中に未使用に終る金額も相当あると思います。それらを引括めると相当の額が余つておると思うのですが、そういう余裕を持つておるにかかわらず、地財委のあの熾烈な要求をどうしても削減しなければならないのはなぜなのか。その点の御説明を願いたいと思います。
  314. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 財政金融政策の全体から来るところであるのであります。地方公共団体のみならず、一般の産業界におきましてもかなり金詰りで困つておる向きもあるのであります。ただ私は今の金融情勢から申しまして、この点で只今のところは我慢して頂くよりほかないという結論に到達したのであります。
  315. 岩間正男

    岩間正男君 私は続けてお伺いしますが、手数料、使用料の問題ですね。これが十倍近くも地財委大蔵省の間に相違があるのですが、この中で問題になるのは手数料、使用料、こういうふうな問題で、財政需要のほうで全然それが全部が収入ということになるのじやなくて、そこにそれをやるために使う財政需要の面も殖えておるのだと、こういう点はいろいろな公聽会におかれても申述べられておる点なんです。この点についての何ら算定がないようですけれども、こういう点はどうなんですか。
  316. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この点もたびたび申上げ、御議論は盡きていると私は思うのでありますが、大蔵省、内閣の意見というものは、二十四年度における収入と実績を見たのであり、そうして収入に伴う経費というものは、調査の結果全部網羅されておるところから来ているのでありまして、地財委のほうではその分は支出の不足であると、こういうふうに考えられておられる。そこに意見相違があるわけです。それはどちらが正しいかということは、岩間さんで御判断願いたいと思います。
  317. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 厚生大臣に対する質疑をこれより行いますが、最初にちよつと伺つて置きます。この地方財政平衡交付金の中で、厚生施設費補助その他国の施策に伴う地方負担額の増、この増加額を地方財政委員会では九十五億五千一百万円として国会勧告して来たのであります。ところが、同じ勧告を受けた政府側はこれを七十七億九千七百万円と査定地財委勧告案に比べて十七億五千四百万円の減であります。そういう減額をされたことによつて地方厚生施設その他の施策がどのような影響を受けるかという点について先ず厚生大臣から所見を承わりたいと思います。
  318. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 今の費用厚生省関係ばかりではないのであります。厚生省関係では十二億であります。
  319. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 十二億というのはどういう数字か詳しく……。
  320. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 社会福祉主事の設置費四億一千万円、それから食品衛生監視員の費用が二億二千万円、環境衛生監視員が九千万円、鼠族昆虫駆除実施費が九千万円、その他であります。
  321. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) その数字地財委勧告した数学なんですか、どういう数字なんですか。
  322. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 減らされた数字であります。
  323. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 減額された数字、十七億五千四百万円の中で、十二億が厚生省関係で減らされた数字、こういうことですか。
  324. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) そうです。
  325. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 十二億減らされてこういうふうに大きく開いておるのですが、地方財政の上にどういう影響を与えると厚生省として考えられておるか。今言われたようなことがどういうような影響を受けるか、そういう点をもう少し大臣からはつきり伺いたい。
  326. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 厚生省といたしましては勿論地財委の要望のほうが望ましいのでありますけれども、国家財政大蔵省予算決定に従つたのでありますが、結局社会福祉主事の設置費が減額になれば、残念ながらその数が減ることになりますし、食品衛生監視員並びに環境衛生監視員の数が減るような次第になりまして、遺憾の点は多いのでありますが、国家財政上から止むを得ないと考えております。
  327. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 厚生大臣は国家財政上止むを得んと言われるけれども、この金額の削減については財政委員会から政府並びに国会勧告が出ておるので、ただ止むを得んだけでは済まない。それを勧告というと、今の通りに国家財政上止むを得んと言えば、この勧告は無意味というふうにとれますが、どう考えられますか。
  328. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 勧告は十分尊重いたしまして検討いたしたいと思います。
  329. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 十分尊重すると言われるけれども、手を下さなければ尊重していないということになりますが、何か努力されたのですか。
  330. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) これは厚生大臣ばかりでなく、各大臣とも努力した次第であります。
  331. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ほかの大臣のことをあなたに聞いておるのではない。厚生省に関することをあなたに聞いておるのです。
  332. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 厚生大臣としても大いに努力しておるのであります。
  333. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 努力してないじやないか。
  334. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 十二億の、地財委勧告案よりも削減されて、社会福祉主事が減るとかいつたようなことなんでしようが、例えばこの頃のように紫斑性天然痘なんかというものが猛烈に入つて来て、今までわからないような病気が入つて来る。お医者さんもわからなくて、それで蔓延したというような事態が起きて来る。こういう場合そういうものが減らされていいのですか。
  335. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) それはこれとは関係がありませんで、補助金のほうに入つております。
  336. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それはというのはどういうことですか、社会衛生の費用ですか。
  337. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) そうです。
  338. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 併し衛生監視員というのはやるのでしよう、そういう仕事に携わるのでしよう。
  339. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 伝染病の予防につきましては補助費に計上してございますので、この問題とは違う別な関係であります。
  340. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この案のように減額されますというと、その影響というものは一番弱いところにやつぱり現われて来ると思うのです。例えば戦災孤児あたりを収容しているところの収容所に交付すべき教育保護費、こういうものは結局そういう問題に無理解なるが故に交付金が流れて行かない。そのためにそこで収容、教育さるべき生徒児童数というものが非常に少くなつて来て、大事なこういう社会政策というものが遂行されないということは、敗戦後特殊な社会状況下にある我が国としては私は非常に遺憾だと思うわけなんですが、従いましてそういう費用というものは、削減された、こういう平衡交付金の中に入れて置くよりは、生活保護法による教育扶助のごとき、別途直接国庫補助の方途を講ずべきである。でないというと、ここで十二億ばかり減らされていますが、早速目には見えないけれども、非常に重大な社会政策の一つとまあ考えられると思うのですが、そういう面に強く悪い影響が現われて来ると思うのでありますが、それに対する大臣の見解を承わつて置きたい。
  341. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今質問の点は、兒童保護の関係であると思います。只今問題の十二億とは別な問題になります。
  342. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではその面は平衡交付金のどこに入るわけですか。
  343. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) それは約二十億でございまして、平衡交付金のうちに入つております。
  344. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 平衡交付金のどこに入るのですか。厚生省所管ですよ
  345. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 九十五億の中に入つていると思います。地財委のほうの説明を求められたいと思います。(「自分のところに入つているのを知らんのか」と呼ぶ者あり)
  346. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと財務部長に聞きましよう、地財委のほうに。
  347. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 私から御説明申上げます。今ちよつと数字に行違いがあつたようでありますが、今委員長から九十五億の地財委要求に対して大蔵省で七十七億九千七百万円に削つておると、こういうことでおつしやつたのでございますが、その中味は、いわゆる国庫負担金を伴つておりましたA系統のものと、それから普通補助金を伴いますB系統のものと両方合せた数字でございます。そこで十七億削減されたという話がさつき出ておりますのは、そのうちのA系統、つまり国庫補助金を伴つておりました経費につきまして、地方財政委員会では三十四億五百万円の新規需要があるということで要求いたしましたものに対しまして、大蔵省では十六億五千一百万円、即ちその差額が十七億五千四百万円ということになつておるわけであります。従つて今問題になつております兒童保護費関係の諸経費はそのA系統、つまり私のほうで言いまする三十四億の中に入つております。
  348. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従つてここに十七億削減されるとなると、当然影響を受けるわけでございますね。
  349. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今の費目につきましては、地財委予算案の関係と差がございません。
  350. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 厚生大臣はそう言われるけれども地財委の三十四億五百万円に対しまして大蔵省が十六億五千一百万円に削つたでしよう、十六億ですよ、総額が。その十六億の中に二十億が入るわけがないじやないか。
  351. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 内訳で申上げますると、いわゆる兒童保護費、これは地財委で出しておりまする数字は六億四千百万円であります。それに対しまして大蔵省のほうでは六億四千四百万円ということで、このほうはむしろ大蔵省査定のほうが少し多くなつています。
  352. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それならその二十億というのはどうなんですか。
  353. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 今申上げました数字は、来年度増加する分の経費でございます。それで二十億というのは全額でございます。
  354. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私のお伺いしているポイントは、今問題になつている(六)の項の経費でありますが、こういうものは社会政策的な面に使われる性質の金で、非常に私は影響する範囲も広いし、重要な経費だと思うのであります。その経費がここに削減されますると、さつき一つ例として出した兒童保護費というような経費というものは、地方財政が窮迫している現状下無理解ということが原因となつて交付金が流れて行かない。流用される、これは現実なんです。而もぜひともやらなくちやならない一つの施政であります。従つてこういうような経費というものは、生活保護法の教育扶助というものは直接補助制度をとつているのだから、平衡交付金なんかに入れてないのだから、この次からはそういう経費平衡交付金の中に入れないほうが社会政策として今後十分に遂行できるから、そういうふうにして頂きたい、それに対する見解は如何でございますかというのが私の質問のポイントでございます。
  355. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 私も同感でありまして、実は二十五年度におきましては、誤つて兒童保護費が平衡交付金に入つたのでございます。二十六年度は何とかしてこれを一般会計から国の補助として出したい。約十九億になりますが、それをずつと努力して参りましたけれども平衡交付金に一旦入つて、そうしてその平衡交付金地方財政委員会要求するだけの額に達しませんのでそのままになつておりますが、お説の通りこれは地方平衡交付金の中に入れて置いてはその目的を十分に達することは困難であります。どうしてもおつしやる通り弱い面のほうが削減されやすいのでありますから、私はどうしてもこれは国庫補助にしなければいかんという考えでおります。二十七年度につきましては大蔵大臣も同感でありますし、それから岡野国務大臣も同意を表しております、野村地財委員長も同感でありますので何とかできると思つております。
  356. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ついでに伺つて置きますが、誤つて平衡交付金に入つたというのはどういうふうに誤つたのですか。
  357. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) それはあちらの関係で、ちよつと算定を誤つたのであります。
  358. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 厚生大臣にお伺いしますが、こういうふうに先ほどから平衡交付金の減額によつて特に文部省関係の仕事が大分窮屈になつており、それから労働省関係、それからも、う一つ厚生省関係、そこで文部省関係などの当局者のここでの説明は、できるだけ早い機会に、機会があればこれを増額する、少くとも地方財政委員会勧告案の線までは持つて行きたい、その機会を狙つておるといつたような意味答弁があつたわけなんです。で厚生大臣としては十二億削減されたことが、そう大した影響ないことばかり言われておりますが、それでいいのですか。
  359. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 十二億削減について決して簡単には考えておりませんが、止むを得ないと思つております。併しできるだけ早い機会にそれ以上の額を要求したいと思います。
  360. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そこでもう一つお伺いして置きますが、この地方財政平衡文付金の算定基礎として、厚生省関係のものとして提出された元の数字は幾らなんですか。地方財政委員会では九十五億となつておるのですが、もう一つの前の数字があると思うのです。大きな数字要求されるというのはそれだろうと思いますが、その数字はどんなものですか。
  361. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) それは私の希望であります。
  362. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 希望ですが、その数字をちよつと明らかにして置いて頂きたい。
  363. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 数字は今のところとよつと申上げられません。
  364. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) いや、最初にですよ、概算要求として出された数字のことを聞いているのです。
  365. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今書類がございませんので、調べましてあとで申上げます。
  366. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 厚生省は大体不真面目ですよ、その書類を持つて来なさい、何だか書類がないなんて答弁にならんですよ。
  367. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) あとで…。
  368. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 あとでと言われても時間に制限がある。
  369. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 概算要求数字ぐらいは覚えていなければ大蔵省にひねられますよ、当然ですよ。それくらいがわかつていないと困ると思います。  それではそのほかの問題に入りますが、厚生大臣はこの十二億の復活のためにどういう決心をとられるか。
  370. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 平衡文付金が一体少いということは皆認めております。それで成るべく平衡文付金を増してもらうように協力しておりますが、できますれば十二億も出してもらいたいと、こういう考えでおります。
  371. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それは答弁にならないのです。実はこういうことなんですね。どうせ補正予算を出さなければならん時期が迫つておることは、これはわかり切つているのですよ。国民もそう思つておるし、我々もそう思つておるし、政府つてそういうふうに思つておるに違いない。ただいろいろな……いろいろなというのは今の予算を通す関係上、補正予算を言わないだけであつて、もう準備をされておると思うのです。そこでその機会を逃したのでは十二億の復活……あなたはそれ以上のものを要求しておると言つておられるが、十二億の分だけでもこの機会に逃してはだめなので、十二億の、非常に重要な部分を削減されておるということを痛感されておられるというなら、相当の努力をされておられるはずだと思うのです。そのことを聞いておるのです。
  372. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 相当に努力いたしております。
  373. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それはどうも甚だ不真面目だな。これは十二億が削減はされても大したことはないという印象を受けますが、そういうふうに思いますが、厚生行政は非常にこれは困つたものだという感じはないのじやないですか。
  374. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) そういうふうに見えるのは、私としては非常に残念でございます。
  375. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そういうふうな印象を与えているのですが、どうですか。
  376. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 私としては決してそういうふうに思つておりません。
  377. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは十二億の復活についてどういう努力をされておりますか、それをお伺いしたい。
  378. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) どういう努力かとおつしやられますとちよつとお答えにくいのですが、結局平衡文付金の増額について協力しておるということしか申上げられません。
  379. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうするとほかの省のことの関係のものを引括めてあつて、あなたの所管の厚生省関係のことについて特段の努力はしておるわけじやないというわけですね。平衡交付金全体のことを言つているので、厚生関係のこの十二億円において特段の努力をされておるということではない、こういうふうに了解していいのですか。
  380. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) それについては十分努力しております。
  381. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 十二億の復活について十分の努力をしておるという意味なんですね。
  382. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 従来ともして参りました。
  383. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) どうも甚だ厚生大臣の態度は真面目さを欠いていると僕は思うのです。委員長として非常に不愉快です。警告を発して置きます。(「同感だと」呼ぶ者あり)委員会をもう少し尊重して頂かなければ困る。休憩しますか。
  384. 岩間正男

    岩間正男君 もう時間が迫つておるのですが、やはり休憩してその間に懇談するか何かやつて頂きたいと思う。今の資料を持つているだけでどうでしよう。
  385. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 速記をとめて。    午後五時四十九分速記中止    —————・—————    午後六時十四分速記開始
  386. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは速記を始めて。先ほど厚生大臣が留保しておりました厚生関係の概算要求数字をここで説明して頂きます。
  387. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 厚生省から二十六年度に平衡交付金に入りました費目について概算要求いたしました数字は六十八億五百六十万六千四百八十九円でございます。
  388. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうして地財委がそのうち認めたのは。
  389. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これにつきまして地財委が認めましたのが六十七億六千百九万六千円、原案は、大蔵省政府案は五十五億一千三百五十七万円でございます。
  390. 岩間正男

    岩間正男君 今話合つた懇談の内容について一応速記に残されんことを望みます。
  391. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこの小委員会予算委員会報告する報告書の内容について先ほど御相談申上げましたが、その報告書の内容としてはこういう点を取上げたらいいじやないかという御意見にまとまつたと思います。  即ち地方財政平衡交付金の問題について、地方財政委員会勧告案数字大蔵省案との食い違いが百何億かあります。これにつきまして小委員会としては、地方財政委員会勧告案を妥当と認める。勿論これは理想的な平衡交付金の額ではないが、差当りまあこれが妥当である。こういうふうに認める。なかんずく給与ベースの改訂に要する経費、それから年末手当支給に要する経費、それから教職員給与級別格付基準改訂に要する経費の問題については特に大蔵省査定は不当である。こういう趣旨の報告委員会にするということであつたと思いますが、この点御異議ございませんか。
  392. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大体先ほどの懇談会の趣旨を盡されておると思いますが、地方財方委員会の案は、最低という表現は必ずして置く必要があると思いますので、成文化し或いは報告される場合にはそういう言葉を入れて頂きたいと思います。
  393. 岩間正男

    岩間正男君 最低、嚴密に言えば最低取りあえずということになると思うのでありますが、その点御確認願いたい。それから大体成文化されましたことをやはり一応委員会にお諮り願いたい、こういうふうに思うのであります。
  394. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それから今の分に平衡文付金でなく、地方の起債の枠の問題もそれに表現をして究いて頂きたいと思います。
  395. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方の起債の枠の増大ですね。これも入れましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  396. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは明日の朝早くできると思いますので、明日十時から予算委員会をやる予定でありますが、九時五十分に皆さんにお集り願つて、この報告書の内容の御相談をいたします。どうぞその点含んで頂きたいと思います。それではこれにて本日は散会いたします。    午後六時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    委員            一松 政二君            安井  謙君            佐多 忠隆君            永井純一郎君            西郷吉之助君            菊田 七平君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   委員外議員    文部委員長   堀越 儀郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    地方財政委員会    委員      青木 得三君    地方財政委員会    事務局財務部長 武岡 憲一君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    文部事務官    (文部大臣官房    会計課長事務代    理)      相良 惟一君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省初等中等    教育庶務課長 内藤譽三郎君    厚生大臣官房会    計課長     太宰 博邦君    労働政務次官  山村新治郎君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    大蔵省主計局主    計官      白石 正雄君    労働省職業安定   局失業対策課長  海老塚政治君