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1951-05-09 第10回国会 参議院 予算委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月九日(水曜日)    午後三時八分開会   —————————————   委員の異動 四月十四日委員堀木鎌三君及び岩間正 男君辞任につき、その補欠として佐々 木良作君及び兼岩傳一君を議長におい て指名した。 四月十六日委員佐々木良作辞任につ き、その補欠として堀木鎌三君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件調査承認要求の件 ○桜木町駅における国電事故に関する  件   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会開会いたします。  先ず最初にお諮りいたしますが、それは調査承認要求の件なんであります。お手許に配付してありますと思いますが、昭和二十六年度予算執行状況に関する調査承認要求書であります。読上げて見ますと、事件の名称、昭和二十六年度予算執行状況に関する調査調査目的昭和二十六年度予算について歳出、歳入、国家財政地方財政との関連及び財政金融事情等の諸項目に亘つて調査する。利益昭和二十六年度予算執行状況調査することによつて今後における予算審議に資する利益がある。方法関係者より説明を聴取し、且つ資料の提出を求め、必要に応じて現地に実情調査のため議員を派遣する。期間今期国会開会中で、これは委員会の決議を経まして、参議院規則第三十四條第二項によつて参議院議長に要求することになつております。期間今期国会開会中といたしておりますが、閉会中になりますれば、更に継続の調査承認要求を出したいと今考えておるわけなんであります。このような要求書を出すことに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 御異議ないも  のと認めまして、これを決定いたし、早速議長に手続をとることにいたします。  運輸大臣が出席されるまでそのままで、すぐ来るはずですからそのままで暫らく休憩いたします。    午後三時十一分休憩、    ——————————    午後三時十五分開会
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは休憩前に引続いて再開いたします。  山崎運輸大臣は今閣議中なんでありまして、先ほどはもうすぐ済むからという話でありましたのでちよつと待つておりましたが、多少時間がかかるようであります。そこで今国鉄総裁も来ておりますし、そちらの側から一応説明を聞きまして、それから山崎運輸大臣が来ましたら、運輸大臣から又という順序で運びたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり〕 この前の桜木町におきます国電焼失事件というのは、これは誠に悲惨この上もない事件でありまして、当時の事情を報道しました新聞記事、これを精読するに堪えないような程度のものでありました、又写真に至りましては、二度と見るに忍びないほどの悲惨な写真も出ております。遭難者並びにその遺族に対しましては国民を挙げて哀悼の意を表したことであろうと思います。同時に又国鉄に対する信用が地に墜ちまして、車中にありましても、常に戰々兢々いつも脱出の用意をしなければならんというようなことになつております。そういう不安の念が非常に高まつております。文明国としましては誠に恥ずべき事態になつておると思うのであります。この委員会では、国鉄予算執行の面からこの問題を究明いたしまして、再びかような悲惨事が起らないように、又国鉄に対する信用が回復できるように努力いたしたいと考えております。山崎運輸大臣は過日の参議院会議におきまして、この問題につきまして簡単な報告をされておりますが、更に一層立入つた報告を聞き、我々の質疑を展開いたしまして、先ほど申しましたような目的を達したいものだと考えております。運輸大臣閣議で出席が遅れますから、先ず国鉄総裁から説明を聴取することにいたします。
  5. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 只今御指名されました国鉄加賀山であります。去月二十四日に国電桜木町構内におきまして、国鉄電車といたしましては初めての大きな惨事を惹起いたしまして、との運営の全責任を負つておりまする私といたしまして、又全国鉄といたしまして、今度の遭難されたかたがた並びに家族は勿論、国民皆様方に対しまして誠にお詫び申上げようもない次第でございます。大変恐縮でございますが、当時の事情、我々が只今までに手に入れました資料によりまして取調べた結果について、御貴重な時間を拝借いたしまして御報告申上げて、なお我々が今日までに取り来たり、又取らんとしておりまするところ  の方策につきましてお耳に入れて頂きたいと、かように存ずる次第であります。で、私その事件の当初に新聞紙上等におきまして申上げておりますごとく、今回の事件は勿論不可抗力ではございませんで、あとから考えますると誠にああもすれば、こうもしとけばというふうに愚痴をこぼしたいことがたくさんございますが、我々は徒らにここで智慧のない、能力の足りなかつたということを悔いてばかりいてもいけないのでございまして、只今の段階は何と申しましても今回の惨事によつて遭難されたかたがた弔慰或いはお見舞、これに全力を注ぎまして、又かたわら、この只今委員長からお話が、ございましたように、これらの事故が人の力で防ぎ得るということは確実でございますので、こうした事故を二度と再び繰返さないために各般の措置を、取りあえず直ちにとる措置、更にこれは一定時日予算を注ぎ込みませんとできないこともございます。これを二段に分ちまして、早速これに着手をいたしておる次第でございます。さて人為的に起きたと申しますゆえんは、もともとの起りがこの工事を、架線工事をしておつたということから始まるわけでございまして、その結果電車工事をしておつた架線につつかかつて第二の事故を起したという形に相成つております。当時午前中から、我々のほうでメツセンヂヤー・ワイヤーと申しておるのでございますが、いわゆるトロリー線つておる線でございますが、これの碍子の取替工事をやつておりまして、午前中は無事に済ましたわけでございますが、午後引続いて桜木町駅寄りの個所を修理しておつたそのときに誤まちまして、スパーナーが触れましてシヨートをいたしまして、メツセンヂヤー・ワイヤーが切れた。そのときに工事をしておつた工手も上から飛び降りたか、或いは落ちたか、この点は明らかにされておりませんが、地上に落ちておるわけでございます。で、これを下において監視中の電力工手長が直ちにこれはいけないと思いまして、直ちに電車運転を取扱う信号扱所、これはもう極めて短距離でございましたので、そこへ赴いてこの連絡をし、実は上り線のほうを直しておつた、その上り線のほうには電車を出さないようにというような連絡をいたしたのでございます。で今回難に遭いました電車は下り電車でございまして、横浜を十分ぐらい延発いたしましてその場所にかかつた。勿論電車はスピードを落しておつたわけでございますが、この上り線のメツセンヂヤー・ワイヤの切断から今度はそのトロリー線に影響いたしまして、これが弛んで、丁度桜木町駅の構内は、プラツト・ホームは、下り線から入つて上り線渡つて、ホームへ入るというかつこうになつておりますために、この渡り線場所においてトロリー線に上下の差が幾らか生じた、それにパンタグラフがつつかかつたというかつこうに相成るように推定されるわけであります。この間の事情につきましては只今運転手も、電力工手工手長等すべて関係方面で取調を受けておりますので、まだ極めて微細な、大事な点につきましては、我々まだ直接聞き出さなければ正確でない点がございますので、推定が入ることは誠に遺憾でございまして、お許しを願いたいと思うのでございますが、そういう状態トロリー線を切りまして、こういうときにはやはり事故電流が急激に流れるために、近くからき電しておるいわゆる変電所高速度遮断器というものが作用いたしまして切れるわけであります。自動的に切れるわけでありますが、国電の場合はいわゆる両方の二カ所の変電所から電流を送るということをやつておるのでありまして、この場所につきましては横浜鶴見から、両側変電所から電流が流れておつた。近くの変電所はいわゆる高速度遮断器が働きましたが、遠くの鶴見の分は働かない、そのまままだ電流事故後流れたということが推定されるのであります。この時間が或いは三分乃至五分の間、事故電流が流れてこの切断されたトロリー線或いはメツセンヂヤー線からデツド・アースをいたしまして、電車パンタグラフの上部から先ず非常なスパークを起し、非常な熱気、火力で以て、折から海側から……海側進行方向から吹いておりました十メートルくらいの風に吹かれまして、一瞬、殆んど一瞬にして電車を燒いてしまつた。かような状態が推定せらるるわけであります。当時乗務員並びに電力工手等がとつた措置につきましては更に嚴密に検討を要するわけでございますが、そういつた事情によりまして、而もこの電車が、後にあります貫通ドアーは内開きのために中が抑えられて動きませんし、又両側四つずつありますドアー操作ができませんで、そのまま動かず、結局窓ガラスを蹴破つて車外に出られたお客様が漸く難を逃れた。このお客様も大体負傷、火傷を負つておられる。で、重傷後死亡されたかたもあるのでございまして、合計いたしまして占領軍の兵隊を加えまして百六名のかたがこの惨事によつてお亡くなりになつたわけであります。只今入院中のかたは二十名ございますが、病院等におきましてあらゆる手当をお願いをいたしまして、このかたがたは幸いにして生命を取りとめて頂けるというように考えております。そのほかに負傷されて、入院されて退院されたかた、或いは自宅で療養をして頂いたかたが七十名ぐらいでございまして、負傷されたかたは合計で九十名余に相成つております。以上のような状態でございまして、この惨禍が非常に大きくなりました原因は、何とじても火が非常に早かつたということに起因するようでありますが、この点につきましては、先ほど申上げましたように、風に煽られた点、或いは非常に高圧の電流が切れないで流れておつた点、或いは普通の場合にはいいはずのヴエンチレーターがこの風を単一ぱいに吹込んで、火焔を煽るに非常に役立つた、むしろ作用して、悪く作用したという点、又車内は、これは焼失した電車だけでございませんで、国鉄が用いておりまする汽車客車も他の電車もすべてそうでございますが、多くの木造部分内部に使つておりますので、外部は終戦後全部木製を取替えまして、鋼体化をいたしましたが、内部は依然として木造部分を多く持つております。これは全く火には弱いのでございまして、これらの点が総合されて非常に早く火が廻つた、そのためにこの災害を極めて大きなものにして、先ほど委員長の言われましたように稀有の事故にいたしましたことは、何と申上げましても申訳ない次第でございまして、国鉄といたしましても誠に残念に存じておるところでございます。問題はこの対策を立てるに当りまして、これらの諸般の事情が更に判明されませんとはつきりいたさないところもあるのでございますが、私ども考え方といたしましては、何としてもこの今回の事故に限らず、重大事故を起さないためには列車を安全サイドに止めるということが第一の要件になるように考えます。これは是非とも今後において尊い教訓として、従来は信号が青であるならば、少しでも電車を先に進めるということにむしろ重点を置いて、運転時刻の正確を期して参つたのでございますが、安全サイドに止めるということは、少しでも危険を感じたならば止めるということを是非ともやらなければならない。今回の事件のごときも安全サイド電車を止めておれば起きなくて済んだということのように私ども考えるわけであります。万一起きた場合の心構えにつきましては、勿論車体自体ももう少し金属部分天井に鉄板を張りまして、丈夫にして火に抵抗力を持つということも重要なことと考えるのであります。今回の事故に鑑みまして、なおお客様生命を安全にするということが非常に重要なことでございますので、従事員に対しましての訓練は勿論のこと、実は非常にこれも危險性を伴うのでございますが、コツク扱い方も公示をいたしまして、いざという場合には御協力を得ることに実は決心いたしたのでございます。なお車体改造につきましては、本年度の予算予定されておると否とを顧みませんで、早速着手をいたしまして、今年の秋頃までには、我々が応急的にやろうと決定いたしましたことについて全部完成をいたしたい。なおその後において時日をかけ、予算をかけて、なお完成をいたす方策を立てておりますけれども、取りあえず応急の措置としては、車を貫通式にいたしますとか、コツクをもう少し扱いやすい位置に置くとか、或いは車掌と運転手との連絡のブザーをつけますとか、パンダグラフの下の部分を二重絶縁にいたしますとか、そういつた改造をいたして参る所存でございます。  以上のような状況でございまして大変あらましで恐縮でございますが、御報告を申上げ、この委員会を通じまして、謹んでお詫びを申上げたいと存ずる次第でございます。
  6. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは御質疑のあるかたはどうか運輸大臣が出席するまで……。
  7. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ちよつと今のお話の中の専門的な御説明でわからないところを御説明して頂きたいのですが、メツセンヂヤー・ワイヤーとか、トロリー線とか、パンタグラフとか、どんなものだかよくわかるように説明して頂きたい。
  8. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) お答え申します。大変恐縮いたしました。電車線は一本ではございませんで、先ずパンタグラフから申上げたいと存じますが、パンタグラフと申しますのは、電車屋根の上にこういう形をしたものがございまして、その上に摺り板と申しまして、電流を受けるものがついておるわけであります。これがトロリー線という張つた線を伝わりまして、ずつと入つて行くというわけでございますが、それがトロリー線で、そのトロリー線を釣つておる線がメツセンヂヤー・ワイヤし、あすこは一本でございませんので、電車架線を御覧頂きますと、一本あつて、釣り下げまして、もう一本線が通つておる。上の線がメツセンヂヤー・ワイヤし、下にありますのが、釣られておりますのがトロリー線でございます。パンタグラフはこのトロリー線に摺り板をつけてずつと電気を受けながら走るということになつております。まだどうも私も本当の専門家でございませんので、説明が下手かと思いますが……。
  9. 竹中七郎

    竹中七郎君 ちよつと伺いますが、窓の問題ですね。窓の開けたてとか、窓から外へ出れない、これが非常な欠階であるように新聞紙上その他で承わつておりますが、その問題はどういうふうでございましようか。
  10. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) お答えいたします。この窓につきましては、実はいわゆる三段窓というようになつておりまして、中が開かないで、動かないで上の部分三分の一、それから下の三分の一が下から上へ開くようになつておる窓でございますが、これはまあ六三型と言われる電車特徴になつておるわけでございます。実は六三型以外にもこの窓の形式を持つているのもあるわけでございますが、確かにこれは開けて開かつた部分だけは非常に幅が狭うございまして、ここから出る場合にはちよつと体の大きいかたならば、開けただけでは無理でありまして、これは窓を蹴破りて頂かないといけないというようになつております。今度の事故について、怪我をなすつてお逃れ下すつたお客様お話をいろいろ伺つておるのでございますが、この窓が破れておつて、この窓から出て行かれたお客様もかなりございます。私どもとしましてはただこの窓から……プラツト・ホームでもあればまだよろしうございますが、地面へ窓から、頭のほうからなり、足のほうからなり出て頂くということは、平常の場合は勿論これはなかなか困難でございます。非常の場合も大勢さんでございますと、これはちよつとあまり用をなさないのじやないかということで、私どもやはりああいつた非常の場合には、お客様として理性をなくされることがむしろ普通なんですが、そういう場合には無我夢中のうちに押出されたという形になるためには、やはりドアーが開くことが本旨であるというように考えるのでございまして、そのために実は貫通式にいたしますのも、前後に貫通……どちらからでも次の車え押込まれるようなかつこうになります。うしろから押せば自然に安全なほうえ押出す。それから六三型でございますと、両側四つずつ八つドアーがございます。これが開くようになりますれば、ここから、つまりうしろのほうからの押された勢いで、否応なしに地面のほうえ降りられるというかつこうにこれがなるというように考えておりますので、窓の改造も実は研究をいたしております。いたしておりますが、先ずこの考えのほうがいいのではないかというふうに私ども考えておるのであります。ただ、このドアーを開けるということが一番問題でございまして、これが今のところ、中からは腰掛の下のコツク操作して頂けば開く状態になる。これが外にもコツクがございますので、従事員訓練をいたしまして、外側にいる従事員がすぐそのコツク操作することによつて八つドアーが全部開く状態になるということも、訓練を徹底して行くつもりであります。それから腰掛下はちよつとかがんで、姿勢として非常にまずい姿勢になつて、ああいう混乱のときにうまく行くかという考えもございまして、平常の場合、もつと手の届きやすい所、併しいつでもこれをいじられてはたまりませんので、ガラスか何か覆いまして、ガラスでもポンと割ればすぐ操作できるというふうに改造するというふうにいたしまして、すぐ改造着手した次第でございます。
  11. 竹中七郎

    竹中七郎君 今の腰掛の下から手をやるのは、電流は通じていなくても開くのですか。
  12. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) これは手動で開くのです。つまりあれでドアーを押えておる圧搾空気を抜いてしまうとそれでドアーがいつでも開くのです。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 六三型の電車というのが問題になつておりるようでありますが、六三型の電車はどういうようなものか、それがどのくらいの数であつて、この事件を動機に六三型の電車は全部廃止せられるかどうか、そういうような点を伺いたいと思います。
  14. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) なお技術的に非常に細かい明細な点につきましては、資料なりで申上げたほうがよろしいと思うのでありますが、この六三型の特徴は、これは戰時中に資材の非常に少いときに作りましたので、まあどちらかというと非常に簡略にできておる。車体を軽くいたしましたことや、それから外貌から申しますと、そんなに変りませんが、非常に違う点は、お客様がたくさん乗られるのに堪えるようにドアーの数も殖やし、又窓も、混んだときには上から風が入るほうがいいという考え方と、窓が頻繁に壊されました時代でございますので、三段にいたしました。これが外形的な違いでございます。六二型について特に三鷹事件当時言われましたことは、このいわゆる電動機部分、モーターの部分について力を抜いておりましたので、例えば裸線を用いる、そういつたことまで資材簡素化をしたわけであります。これは資材が乏しかつた、或いは予算が乏しかつたということも勿論原因になつておるわけでございます。できるだけ軽くて、大勢お客様が乗れて、資材は多く使わないという建前でできたわけでございますが、その点は特にこの電動機部分については問題でございまして、いわゆる裸線なんかを張つておりますために、電気操作にまずい点が出て来る、非常にシヨートをする、或いは他に接触するというような場合が起きたりする。これが三鷹電車区の事件の当時、いわゆる自然に走るのだというようなことが宣伝されて非難をされた点でございますが、これらの点につきましては、終戦後手を入れまして、全部標準と異ならないように改進をいたしました。従つてこの電動機に関する点につきましては、他の一般の電車と殆んど変るところがないというようになつております。従つて違いは今のところといたしましては、窓が三段窓であるということ、それから車体が軽くできておるということ、その中には一部分天井張つてございますが、一部分天井を張らないで屋根の肋骨をそのまま出しておるという電車もございます。今回遭難しました電車は、天井張つてございましたけれども、中にはまだ天井張つてない電車もあるという状態でございます。輌数は七百輌、この六三と六三にまあ殆んど似た親戚のような車も加えまして七百輌ちよつと、七百二輌くらい、これを実は廃止ということは私ども従来も考えませんでしたし、特にこの六三型は殆んど電動車でございますために、これをやめてしまいますと、とつさの輸送力に非常に困るわけであります。これを今回の事故というものを中心にして考えますと、六三型に限らず、先ほど申上げましたように、木造部分が多い点とかということを考えると、全部の電車についてこれを改造を加えて行かなければならんということに相成りますので、先ほど申しました改造計画につきましては、六三型に限らず、この東京附近だけでも千八百輌近くの電車がございますが、各電車につきまして先ほど申しましたような改造を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから弔慰金関係でありますが、私の手許にある資料では香典として一人当り五万円、及び供物、負傷者に対しては、入院しているものには一人当り一万円、その他のかたには五千円というようなことを書いてありますが、こういうふうな資料を持つておりますが、将来においてこういうふうな弔慰見舞というものはどのくらいの程度まで増加される見込であるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  16. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 只今言われましたことは取りあえずの御香典、或いはお見舞としてのものでございまして、我々が弔慰のために支払するということは全然別でございます。実はこの弔慰金の決定の仕方につきましては、一定の従来の算式があるわけでございまして、我々のほうではホフマン式と言つております。最近は特に労働基準法標準できめられた基準というようなものもあるわけでございます。我々はこのやり方標準によつて計算はいたしますが、併しなかなか各御家庭の事情について一々伺いますと、こういう何と申しますか、算出だけでは出て来ない点があるのでありまして、これらの点につきましては我々の気持をこめて、勿論金で済むことではございませんが、できるだけの弔慰方法を講ずる、具体的に御遺族に合うようなやり方をして参りたい、かように存じておる次第であります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと只今の御説明を聞きまして、一つ原因としてですね、電車車体ですね、これの不備ということを一つ原因として認められておる。今後の問題として電車の改良ですが、そういうことが非常に重要であるということでありましたが、二十六年度におきましては、この車輌をどのくらい新らしく作る計画でございますか、伺つて置きたい。
  18. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 実は二十六年度予算として御審議を頂きました予算は、実は今日の鋼材の値上りというものに対しまして、見込み方が非常に少い、その後も非常に急激な値上りを見ておりますので、実は当時の予算、我々が予定いたしましたことは、このままの姿では、私は当初に予期したことはとてもできない、かように存じておるのでございますが、今から補正予算をお願いするということも、すぐにお願いできるわけでもございません。とにかく公布されました予算につきまして、実行計画を取りあえず定めておるかつこうでございますが、そのうちで車輌といたしましては、当時公布予算面におきましては、電車八十七輌作る予定にいたしておりましたが、これが五十七輌取りあえず作るということにいたし、又デイーゼルカ—、これも三等でございますが、百輌の予定を五十輌、それから三等客車は百輌、これは汽車のほう、それからそのほかの木製客車鋼製、いわゆるデイーゼルに改造いたしまするのが六百四十五輌、三等客車が七百四十五輌でございます。二十六年度といたしましては、只今のところ、そのほかに貨車でございますが、この際貨車の問題は省略させて頂いて、客車電車といたしましてはそういうふうに……。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 電車は最初の計画がですね、どのくらいに減つたわけですか、電車については……。
  20. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 電車につきましては、最初八十七輌の予定でございましたが、取りあえず三等が八十七輌で、電車に二等がございます。二等電車十三輌。
  21. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとお伺いしますがね。我々の手許に配付された資料、新製輌数と書いてありますが、それは違うのですか。いわゆる国会において審議を受けて公布をされました予算の数字でございますが、先ほど申しました値上り等の事情を勘案いたしまして、例えばその中で一等車の三輌でございますとか、そういうものについて、そういうものを除いてそれで我々が手許にもらつた資料がどう修正されたかを順序に説明して下さるとよくわかる。
  22. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) そういたしますと、電気機関車は今まで十二輌でございます。蒸気機関車零、電気機関車十二輌、一等客車は今のところ零、二等車が四十六のうち三十輌、三等車は百そのまま、三等客車が……間違いました、ここで百になつておりますが、百四十五に大体。そういたしますと、改造、鋼体改造がそのほかに六百、この予算には載つておりませんが、木製客車鋼製改造するわけであります。それからその他はデイーゼルがございますが、五十輌、それから電車百輌になつておりますね、八十七と十三で百輌になるところを、七十、貨車はいろいろございますが、二千九百五十二、四千六百七十三に対しまして。以上でございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国鉄車輌を作る場合に、いわゆる十五カ年計画というものがあつたわけですね、前に……。
  24. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 十五カ年計画……。長期計画というものを持つておりましたですが……。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それによりますというと、二十六年度においては近く電車二百五十台くらい作る計画であつたと言われているのですが、それが又計画で百に減つた。それが更に七十に減つた、こういうふうになつておるようでありますが、そうでございますか。
  26. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 先ほど言われました長期計画は、何と申しますか非常に理想的にということを考えて立てているものでございます。実行計画といたしましては実はなかなかそういうふうに参りませんで、いわゆる車輌新製は国鉄といたしましては常に借入資本に待たなければならんかつこうでございまして、この借入資本の金額に制約をされて参つておるというような実情でございますが、この長期計画の……只今電車が全部で二千五百輌から三千六百輌ほどございますが、年々これを三百何十輌ずつやつて行けばこれは勿論非常にいいわけでありますが、只今の現状では先ほど言われました長期計画をそのまま実施することも、現在の経済状況を見て困難があるようでございまして、二十六年度としては大体電車は百輌ぐらいは最小限度として作りたい、こういう気持で予算をお願いいたした次第でありますが、これがまあ今の点で七十輌に減る。併し是非とも我々の気持といたしましては、予算の補正を頂きまして、当初の予定だけは何とか実現をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 電車の改良とか或いは新車ですね、これが非常に今度の事故から考えて見ましても重要なんですけれども、それが計画通り行かない。これは予算関係その他もあるのでしようが、これが貨車のほうの新造に食い込まれているということはないのですか。
  28. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 食い込まれていると言えば貨車は非常に多数新製いたしますのでその通りとも言えるのでございますが、最近の貨物輸送状況を見まして、実はこの貨車も放つて置けないという実情でございまして、この戰争中は、殆んど客車なんかの電車は作らずに、貨車ばかり作つてつたというような情勢でございましたが、最近といたしましては貨車の不足はわかつておりますが、貨車だけにこれをとるというわけには行かない。従つて最小限度の必要な客車電車是非とも作つて行きたいということで、貨車と客車予算の分付をいたしておるわけであります。実は貨車も今申しましたように二千九百輌で、来年の公布されました予算が一億三千二百万トンを輸送するという建前でお願いしたのでありますが、最近の実情によりますと一億四千七百万トンから一億五千万トンを最低運ばなければ生産に追付かないのではないかということが言われておりまして、そういうことを勘案いたしますと、とても二千九百輌では実は輸送し切れないことに相成るのであります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで私お伺いしたいのですが、貨車の建造が勿論非常に重要であることはわかつておるわけです。それで我々のところに鉄道貨物協会大阪支部から貨車建造について陳情書が来ておる。これを見ましても、貨車が足りないで非常に困つておる。併しながら貨車のうちで一番欲しがつておるのは、例えば無蓋貨車の十五トン車、十七トン車、こういうものが要求の七二%を占めておる。ところが聞くところによりますと、最近は貨車の建造計画はトキとかワキとかという三十トン積の大型貨車を建造しておる。それで又業者といたしましても、適合車不足のために大型車による場合の減トン扱を附加されたいという陳情が来ておる。なぜ三十トン積の大型貨車を作らなければならないのか。業界は十五トン、十七トン貨車を要求しておるのに、その貨車を作らないで、そういう貨車協会の要求に適合しないような貨車をたくさん作るために、電車のほうの建造の予算が食われるということになると、非常にそこに不合理なものがあるように思われるのですが、その関係を御説明願いたい。
  30. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 実はこのワキという車にも特製がございまして、例えば小口貨物を急送いたします場合に、急行便として扱う場合に使いますとか、又一時的に出荷がかたまつたとき等には口が三つありまして大量に運べまするので、輸送経済から申しますと捨てたものでもないわけでございますが、併し実際貨車が余るときと違いまして、足りない情勢下におきましては、むしろ細くて運用がとれたほうが便利なことが多いのでございまして、そういう点を勘案いたしまして実は公布予算面ではワキ二千輌となつておりますが、実際面にはワムのほうを殖やしておりますが、ワムというのは十五トン車、これを二千二百輌、ほかにワムフを百二十五輌というふうに、ワムに集中をいたしております。従つてこの公布予算面でワキと書いてありますのを実行面では十五トン車に直しておるということを御承知願いたい。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この限られた予算の中で、それを効率的にいろいろ配分することは非常に困難だと思うのですが、今回の事件を契機といたしまして、その予算の使い方についてはいろいろ我々も再検討されなければならんということは痛感されておるわけですが、今の電車のことにつきましても只今お話で、例えば現在としては十五トン級のものが一番需要されておるにかかわらず、やはり三十トン級をなぜそんなに造らなければならないかということについては我々もまだ十分納得が行かないのですが、それが今後の電車改造にも影響を及ぼして来るように考えられるのです。最後にお伺いしたいのは施設の荒廃であります。これも又今度の事故の問題と関連して将来おろそかにできないと思うのです。大型貨車を造れば線路なんかの磨滅もひどいし、これもやはり今後問題になりますが、電車についても一頃非常に又問題になつたのです。国鉄の争議が起つた頃、本当に合法的に電車を動かせば危険で動かせない個所も相当あるということも一時指摘されたわけですね。山手線その他についても、一時非常に改良されたということを聞きましたが、今度の国電事件に鑑みてそういうような施設の荒廃については今どうなつておるでしようか。それが、今後我々非常に電車に乗つてもしよつちゆう危険を感ずるのですが、一時非常に憂慮されておつたようですが、この点について最近の実情或いは今後の御計画があつたらそれについてお聞きして置きたいのです。
  32. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) これは非常に広汎に亘りまして、トンネル、橋梁、線路、建物といつたような工合で一々御説明申上げなければならないと思うのでございますが、私ども終戦後やつて参りましたことは戰時中の実は酷使と、それによる荒廃とを如何に復旧するかということに専念して参つたわけでございまして、勿論資材予算の乏しい中ではございましたが、いわゆる列車運転の安全を期するということを本旨といたしまして、車体で申しますならば、よく腰掛が直つていない、窓がガラスが割れたままであるということをよく非難を受けたのでございますが、私はそういうことも勿論大事ではある、大事ではあるがもつと大切なところはいわゆる足廻り、車輪とか、運転に直接関係のある部分なのであるから、この復旧改善が第一である。それから先ほどの六三型の電動機部分でございますとか、それからレールの磨耗を取換えるとか、或いはこれを重軌條に取換えるとか、こういつたことに乏しい予算を注ぎ込んで参つたわけでございます。今日の状態は一般的に申上げるならば終戦後着々として回復いたしまして、この終戦後の五カ年によりまして大体戦災の主な復旧と戦後の荒廃による衰耗というものは全部が全部きれいになつて完全無欠とは参りませんが、そう心配をして頂くということのない状態に持つて来たというふうに私どもは信じでおる次第でございます。なお併しこれは今後の更に新らしい五カ年において更にこれを完全なものに持つて行くことは是非ともやらなければならん仕事でございますが、大変申上げますことが抽象的でございますが、この一々の資料につきまして詳しく申上げますと大変時間もかかりますし、若しお時間がございましたならば専門家等について資料によつてお聞きただし頂けば大変有難いと思います。
  33. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 監督官庁の立場から運輸省ではどういうふうにこの事件に対して御覧になつているか。大臣については後刻お聞けすると思うのですが、事務当局のほうも若しお見えになつていればどういうふうにお考えになつているか、一応それを聞いて置きたいと思います。
  34. 足羽則之

    ○政府委員(足羽則之君) 今回の事故につきまして監督官庁といたしましても只今国鉄総裁からいろいろ陳述がありましたように私たちといたしましても非常に遺憾な次第と考えておるわけでございます。我々の立場といたしましては今回の事故について国鉄として遭難者各位に十分な弔慰方法を講じられると共に同時に今後の対策、こういう事故が今後起らないようにするという点に周到な対策を立てて、これをできるだけ早く実行に移すという点、今後の事故の防止ということを一番主眼点に考えなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。で、これはひとりこの国鉄のみに限る問題ではございませんので、国鉄、私鉄を通じてそういう点について今後十分注意をいたして参りたい、こう考えておるわけでございまして、只今運輸省といたしましてはこの事故に対して、技術的な点からこれが調査検討をいたしております。実はその結論がまだ全部はつきり出る段階になつておらないのでございますが、これの技術的な事故の真因を確かめるための調査をいたしておる。なおこの調査と同時に或いは運転規程の、取扱の規程の面と、或いは監督規程の面と、或いは従事員訓練、或いは車輌構造等、そうした面からの検討も併せていたしたいと、こういうふうに考えております。それによりまして今後のこの対策の樹立と、そうして事故を防止するということに万全の努力をいたしたい。なお必要によりましてはそれによつて必要な措置を講じたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。(「予算面は」と呼ぶ者あり)なお只今予算の問題がありましたのですが、この予算の点につきましてもなお内容を検討いたしまして、今後必要な措置を講ずる必要があればその方面について検討をいたし、努力いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  35. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほど総裁のお話によりますと、当局として電車、或いはその他の客車、貨車の改装の問題、或いは新製の問題等々について若干遺憾の点がなかつたでもないというようなふうに拝聴したんですが、私たちが配付を受けました新製車両数の資料によりますと、二十四年度、二十五年度について急カーブをとつて新製輌数が減になつておる。例えば電気機関車についてもそういうことが言えますし、或いは客車についても、電車についても、貨車についてもそういうことが言える。この問題は昭和二十四年度からドツジ・ラインが強行されました際に我々はこういうふうなこの急転回、無理な政策転換をやることが、あらゆる面において非常な支障を来たす、特に国鉄の建造、或いは改装等の計画に対しては非常に大きな齟齬を来たすし、問題はインフレを止めるか止めないかの問題にかかつていたんですが、当時、物との関連において特に鉄道車輌その他の建造能力、建造資材料等の関連においてそういう無理をやる必要は毛頭ないということを強調したにもかかわらず、ああいう無理な急転回をなされたと思うのですが、その結果が今ここで新製輌数として非常に明瞭に現われているんではないか。それらの点を国鉄当局はどういうふうに御説明になるか。それらの問題と、今度の事故、或いはその後の建造の不十分というようなものは関連していない耗かどうか、その辺についてもう少し突つ込んだ御説明を願いたい。
  36. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 只今の御質問に対しましては確かに御説の通りの一面もあるわけでございますが、又この輌数が減りましたことにつきましては、特に終戰直後におきましては傷み方が激しく、又衰耗が激しかつたために当時としては特に多量に急いで整備をしなければならんという事情もございまして、それが曲りなりにも大体まあ形があり、使えるということになつて参りますと、それ以上は勿論我々望めるならば望みたいところでございますけれども、何を申しますにも借入による金額に制限を受けるということと、それから例えば本年度で申しますと、車輌新製等はいわゆる工事勘定において賄うわけでございますが、これがやはり損益勘定のほうから百九十二億を注ぎまして、その借入を百億、更に政府からの繰入三十億ということで、合計三百十二億を以て車輌以下各般の建設改良をいたして行くというように相成つておるわけで、その三百十二億のうち車輌には百三十五億を予定しまして、なお先ほど申しましたような事情から、これでは輌数がとても所期の輌数が入りませんので、更に増収を見込んだ金額を加えまして、この金額が二十八億程度になつていたと思いますが、これを車輌新製に入れて、実はこれは予算には予定しなかつたところでございますが、車輌二十八億でございます、これは二十五年度の利益金を引当にしておるわけでございますが、これで以て車輌新造計画に充てる。従つて百三十五億プラス二十八億、百六十三億というようなかつこうになりまして、先ほどの三百十二億の約半数は車輌に充てておるということに相成るわけでございますが、この総体の金額につきましては、勿論私どもはこれで満足をいたすわけではございませんので、先ほどの鋼材以下の値上り事情考えますと、どうしても本年の途中において予算の補正をして頂きまして、客車電車等につきましても、更に貨車につきましても新造をいたして殖やして行つて頂きたい。そして輌面におきましてこの新造をすれば、いわゆる無理をして非常に悪い客車、貨車を使うということも必要でなくなりますので、その分を廃車して参る。この新造が足りませんと勢いその場をふさぎますため、輸送の要請に合せますために勢い悪い車も無理に使わなければならんという事情にあることは当然でございますので、是非ともそういうことをお願いしなければならないということを考えでおる次第でございます。
  37. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 先月二十四日、桜木町構内における国鉄電車事故につきましては、先日参議院会議場において御報告申上げましたけれども、主管大臣といたしましては、一刻も早く緊急御報告を申上げたいということを考えております。丁度議会が休会中でありましたために、その機会を得ず今日に至つた次第であります。申上げることも重ねて申上げるようでありますが、そのために百六名の死者を出し、九十二名の負傷者を出したと申すことは近来稀な悲惨な出来事であり、遭難者は勿論、負傷者、その関係遺族かたがた、これに対しては、如何なる言葉を以て表現してよろしいかに苦しむほどの、全く痛恨極まりない事柄であります。のみならず、そのために一般の、国鉄電車を利用される大衆に対して、非常な不安感を抱かしめるというようなことになりまして、影響は非常に大きかつたということを考えております場合には、実に返す返すも遺憾至極であり、申訳ない出来事であつたと痛感、恐縮いたしておるような次第であります。これにつきまして、その直後に私どもは、国鉄総裁と会見いたしまして、その応急の処置について相談をいたしたのでありますが、第一に遭難者及び負傷者に対して、十分の慰露、慰藉の方法を講ずる。第二段には時を移さず、事故の起りました真相を確実に把握して、そうして直ちに応急の対策を講ずること。第三には、同時に一般国鉄電車等を利用する乗客に対して、不安感を拭い去るように努力する、と同時にそれぞれの電車の中において、非常の場合に応ずる方法を指示するというようなことを考えました。第四番目には、同時にこれはひとり国鉄電車と申さず、国鉄の運営しているすべての交通機関に対して、将来に亘り、全面に亘つて安全度を確保し、同時にこれを引上げるということについての、至急調査の手配をする。これはひとり国有鉄道ばかりでなしに、運輸省は又鉄道監督局をして別個の角度、監督官庁の立場から技術的に調査並びにその対策を立案するというようなことを取進めることにいたしたのであります。ただ事件の起りました真相を最も早く把握するということにつきましては、その現場における機械的設備に対する推断は技術者として専門家がなし得るのでありますけれども、これを操作し、運転した当事者が数名身柄を検察庁の取調べのため拘束されておる関係上、機械的のあり方と人間の動きとを結び併せて本当の真相を掴み出すということが未だにできずにおるような次第であります。この点は勿論検察庁における拘束の日限はおのずから限度があることであり、検察庁のほうでも非常に努力してやつておられるようでありますから、早く我々の真因調査の一番大切な当事者について当時の状況をつぶさに取調べるという機会が與えられることと考えておる次第であります。更にこれは私運輸大臣として今後の対策について考えたその一つでありますが、まだこれは具体的にその方向には進んでおりませんけれども、運輸省のその機関をしてこの調査立案の任に当らせるつもりでありますが、それは海難の場合におきましては海難審判所がありまして、船長なり、機関長なり、事務長なり、それぞれ実際の船に乗つた体験を持つた者及び学識経験ある者、同時に海上法規に通じた関係者等によりて、起つた事件を専門的の立場から判断して、審判して行くということになつておりますので、丁度これと同じように今日以後汽車電車、バス、自動車、陸上のこれらの交通機関が電車だけでなし、汽車だけでなし、クロス・アクシデントとでも申しますか、電車とバス、トラツク或いは自動車との踏切における衝突というような複雑な事件も起りやすいのでありますから、これは單なる検察庁における、或いは裁判所における過失致死というような刑法からばかり論じないで、実際に即した審判を下して行くにあらざれば、当該事故を起した責任者の判断においても誤まられたる判断に服さなければならん場合もなきにしもあらずと考えるのみならず、将来の事故を防止する上からもそのようなものによつて審判をして行くということが必要ではないか。丁度今日の場合のように急速に善後措置を講じようと考えても、その危険に当面した当事者たちが身体を他より拘束されて、直接これを拘束して当時の状態を確かめるというような機会が與えられないようなことは善後措置の上において非常に急速に処理しなければならないというような場合の不便もあるというようなことを考えまして、一つこれは具体案を急速に作りまして、陸上運送における審判の方法を具体的に取進めたいという案を具して国会の審議に付し、御審議を願いたいと、こう考えておるような次第でございますが、どうかこういうことによりましてできるだけ最善を盡して、希くば百六柱の霊魂をして、お気の毒ではあるけれども、無駄にいたさないように善用して、一般大衆の利益の上にこれを及ぼして行くように、禍を転じて福となすような方向に進める、これが幾分なりとも霊魂を慰め得る手段ではないかと考えております。誠心誠意今後に努力したい、こう考えておるような次第であります。  更に又いろいろ電車そのものの構造、車輌の構造、或いは路線或いは電線、これらにつきましても、勿論当該技術者は、安全なればこそその運転を自信を持つてつておるのでありますけれども、神ならん人間の集まりでありますから、再三再四それに再検討に再検討を加え安全度を高めて行く。勿論これには莫大な経費を伴うことであることは勿論であります。併し如何に経費がかかつても公共の機関としては完全なる安全度まで引上げるということがなければその責任はとれないのでありますから、従来安全ならばこそ安心して運転をして参つたという確信の下に立つてはおるのであります。更に反省して一層そういう任に、運輸省は監督の立場から、国有鉄道は実際運営の立場から謙虚な気持で御批評を受入れて行くというような気持で、さように堅く信じておる最中でございます。勿論私が今ここで申上げただけで詳細を盡さないのであります。併し大体の方向は今申上げたような考えであります。重ねて申上げますが、今回の事件は全く申訳のなかつたことであり、陳謝の言葉を呈するに苦しむような状況であることを申上げる次第であります。
  38. 原虎一

    ○原虎一君 御家族に対する弔慰方法、こういう問題についてどういう程度まで進展しておりますのか。先般新聞記者に国鉄総裁が語られたという記事が載つておりましたのを見ますと、金額にいたしましてもいろいろ差があります。最低二十万から四十万というような数字の出ておる新聞も拝見しました。今度の場合それが直ちにそれにはまるというわけではないでしよう。こういう今運輸大臣からの御説明あることは先ほどから総裁からも承わつておりますし、先般の本会議における報告においても大要承わつております。差当り遭難者に対する慰霊、慰藉という問題が事務的にどう運んでおりますか。国鉄総裁にしましても、又運輸大臣にしましても、それを例えば本国会開会中にすべて出し得るのであるかどうか。予算措置等もどういうふうにお考えになつておるか。この点を御説明願いたいと思います。
  39. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お尋ねの遭難者並びに負傷者等に対する慰霊、慰藉の問題でありますが、これは取りあえず若干の香典を差上げてあるわけであります。ということは、とにかく善後措置ということは、原因を究明したり探求したり確実にしたりするということ、及び一般大衆に対する安全装置を急げというような方向に全力を挙げておりますのが一つと、それから又原因の点におきましても、今申上げたような状態で、丁度関係者がまだ戻つて来ないというようなことになつておりますので、そういう方面をとにかく急速に運ぶということで進んで参つておりまして、或いは新聞にありました二十万とか、三十万というような点は私の全く関知しないところでありますが、それは国鉄の総裁よりお答えするほうが結構かと思います。予算措置等の関係もありますから……。
  40. 原虎一

    ○原虎一君 国鉄総裁からお聴きしたほうがいい点もあるとおつしやいましたが、今運輸大臣からの御説明で私少し懸念を持つことは、国鉄職員が事件の責任者として検挙されておる、その問題が明白にならなければ慰藉料であるとかというようなものも算定するのに困難であるのかどうか。そういう点に関係なくして慰藉料を数字的に事務的に算定ができるのであるか、どうであるか。この点が明瞭でないのであります。この点を明瞭に願いたい。
  41. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 私の言葉が足りなかつたように思いますが、それらが今検察庁で取調を受けておる人々が戻つて来なければ事件の真相がわからないから算定ができないという意味ではないのであります。すべてそういう調査等は並行的に全部進めて参りますから、ただ昨今漸く一昨日混雑の間にともかくも慰霊祭を済ますまでに参つたところでありますが、あれだけの事件でありますから、非常な取込んだ事態でありますので、それらも遅れておりますけれども、できるだけ早く最大限度の慰霊の途を講ずべきだということを私は大臣としても考えておるのみならず、国鉄総裁にもこの心持は伝えてある次第であります。国鉄総裁も最大限度の慰藉の方法を講ずるということに全力を挙げておる、こういう次第であります。
  42. 原虎一

    ○原虎一君 関連いたしておりますから大臣から御答弁を……、国鉄総裁にはこの慰藉弔慰の問題に対して大よその見通しはどのくらいの期間においてなされるか。と申しますのは、あまり長引くということになりますと、逆に損害賠償の訴えなんかが起きて来るようなことはないとは思いますけれども、起らないとも考え得ないのです。不祥事の上に又そういうことが起つて来てはならん。申すまでもなくそういう点をお考えであろうと思いますけれども、問題は新聞等の報道によりますと、女御説明を伺いましても、今回の事件については一切国鉄の責任であり、過失であるというような状態にあるのであります。何と申しましても百六名の遺家族の中には、金銭では補い得ないものではありますけれども、一方遺家族のかたの生活という問題を考えますれば、こういう問題は感傷的にのみ考えておられない、具体的に経済的に問題を処理されるということも又重大なる責任ではないかと考えますので、我々予算委員としては予算との関係がどうなるのであるかという問題も責任があるわけです。具体的に申しますれば、慰藉料、弔慰金に対して事務的処理がいつまでにできて、およそいつ頃にはそれが渡し得るのであるか、渡し得るようになるのであるかどうか、予算措置はどういうふうになるか、こういう点について国鉄総裁かち御説明願いたいと思います。
  43. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) その前にちよつと……今お尋ねの御趣意は全然私の考えておつた通りをお尋ねるように考えます。私からは運輸大臣としては最大限度のもの、できるだけ早く現金を渡せばそれで用が済んだというような考え方でなしに、十分そこに意義のあるように遺族なり或いは負傷者のかたに有効適切に渡つて行くようにというような点は、監督者としては指示するという形で運輸大臣として国鉄総裁との間に話をいたしております。
  44. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) お答えいたします。只今大臣が言われました通り、私どももそのつもりで毎日努力いたしておりますが、只今の段階といたしましては、手分けをいたしまして担当の職員が御家庭を御訪問申上げ、御事情をいろいろ伺つておるという段階でございます。で非常に場所的にも全国に広がつております。又御家庭の御事情も非常に千差万別でございまして、この事務は極めてむずかしい事務でございますが、この弔慰方法として、金額としての考え方といたしましては、我々でき得る限りの方法で以て算定をいたしまして参りたいと、かように考えております。なお金額のみで済まされない場合もございます。例えば遠見だけが残されたというような場合を考えますと、これは更に今後の養育を本当に親身を以て養育をして行くという問題も考えなければならんといつたようなことでございまして、先ほど心をこめて弔慰方法を講ずると申上げたのも実はこの意味で申上げた次第でございます。予算の問題といたしましては、まだ年初でございますし、勿論こうした惨事をあらかじめ予想した通りではございませんが、年間におきまして見てございました補償賠償金額の予算はございます。で、これを目当てにして我々はその中から支出をいたすという所存であります。
  45. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 関連してちよつと聞きたいのですが、弔慰金なり出される場合、これはよほど国鉄のほうでもそれを受取つた人が浪費しないようにとか、或いは代理人に取られないようにというようなことも考慮されると思いますが、そのほかに税金の問題はどんなふうに考えておられますか。大蔵省と話合でもあつたんですか。
  46. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) これは是非とも税金の免除を受けるようにして頂かなければならんというふうに考えておるのであります。なお伺いますといろいろの御事情がございまして、本当に受領権者と申しておりますが、どなたにしたらいいかというような非常に複雑な場合も出て参り、これらの考慮や税金の問題につきまして、特に関係のいたしまする職員におきまして十分考慮してやるつもりでおります。
  47. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) 国務大臣に、時間もございませんので二、三点お伺いしたいと思うのでありますが、今度の不祥事件といえば、まあいろいろ今までこれに対しまして述べられたのでありまするけれども、何と申しましても今後こういうことを繰返さないために大きな戒めとしてこれを検討される、この点が一番重要だと思うのであります。先ず第一にお伺いしたいのでありますが、現在とられております国鉄の経営そのものが最近におきまして非常に宣伝主義になり、それから営利的なサービス主義、こういうものが非常に目について来ておるんじやないかと思います。高級車というようなもの、こういうものは殆んど戦前の水準まで復活して美々しくこれは装われておる。こういう点は目についておりますけれども、併し問題は大衆に対する待遇改善の面、こういう面については、これは田舎あたりに行きまして、三等車に乗つて見ればわかる問題だと思うのでありますが、こういう点でこの不祥事件を契機としまして根本的に今までの国鉄の経営の、何と申しますか宣伝第一主義と申しますか、それとも営利的なサービス主義といいますか、これは一つは独立採算制の立場から一応そういうような点に陥つた点もあるかと思うのでありますけれども、併しこれについて大検討を加えられ意思を持つておられるか。これは飽くまで大衆的な立場からこれの利益増進とそれから危険防止、この点が第一にどうしても考えられないと何か従来の経営の中には浮わついたものが非常にあつて、大きな意味ではそういうものが今度の事件原因になつているのじやないかと、こう考えられるのでありますが、この点は如何でございますか。
  48. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。宣伝主義或いは高級車の建造というような面にのみ力が注がれているように感ずるというお話でありますが、それは御承知のように、大体大衆向の三等車、或いは貨車というようなものに対する終戰後のあの惨憺たる状態からガラスの代りに板を張り、腰掛は剥ぎ取られて板で以て、或いは針金が出ているというような姿のものを大量に著々改善し、更に又新らしい車も補充するというようなのが或る段階に達しましたので、最近に収入の増加を図らなければならないという建前から修繕をして旅客を多く吸収するというような段階に漸く最近に入つて来たの  であります。それから又高級車とおつしやるのは或いは特別二等車とか、展望車とかというところをお指しになるだろうと思いますが、これも日本全体  の大衆の利用する客車の上から言えば極めて狭い、少い範囲のものであることはこれは数字を比較して見れば明ら かにわかることなのであります。それですから大体大衆に向い、或いは貨物の面において、或る段階まで進んだので次の段階にそろそろ入つて来たのであるということを御了解願つて置かなければならないと考えるのであります。それから又この戦争中資材不足その他のいろいろの不足の面で間に合わせでやつた状態もあるのでありますけれども、それらも戦後豊かな経済ではないのでありますから急に元に戻すことはできませんけれども、除々にそれらも、除々とは言いながら相当急速な経過で安全率の向上ということに力を入れて来ているはずであります。いわゆる六三型というような電車にしましても六三型が造られた当時の姿ではなくして、これに対して安全な形に改造されているような事実も枚挙にいとまないのであります。ですから独立採算制という建前があり、公共の利益のために供しなければならんというこの二つの建前から申しますれば、先ず歩いて来た姿は順当であつた考えまするし、殊に数十万の従業員が、独立採算制と公共企業体としてのあり方について、相当当初我々が考えたよりも短かい時間の間にその線に徹底して参つておるのでありますから、その持場々々の現業員が、やはり公共性ということを強く念頭に置いて自動的に動くというような段階に、戰後僅かの間ではあ  るけれども進んで来ているというような点は、今度のような事件があるなしにかかわらず、一面において十分に認めなければならない、買わなければならないというふうに私は見ております。勿論事故という事実があつたのでありますから、欠点なしには事故は起らないのでありまして、決してこの事故を弁解するわけではありませんけれども、この両面から一つ御観察を願つて御批判を願えれば国鉄数十万の従業員は、鞭撻を加えられるから、安んずるところではなかろうか、こういうふうに私ども考えております。その見地に立つて監督官庁としては強く引締めて行きたい、こういう建前でおるわけであります。
  49. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) 私ども只今の御論には異論のあるところであります。いずれ又機会を、時間を見まして、これは細密に論及したいと思うのでありますが、大ざつぱに言いまして、例えば二等車、一等車の経営が三等車の乗客運賃によつて賄われておる、こういう形がある。大体今の御説明の点を納得することのできない一つの具体的な現われになつておる。殊にローカル線なんかでは、今日これが一体戦後五カ年後の日本の汽車かと思うようなのがあるわけです。而もそういうようなのに対しまして、実は局長なんかが視察に出るというと、局長専用車というようなものが繋がれる。そういうことでわざわざ地方の発車の時間も遅れておる。こういうことも私聞いたのでございますけれども、こういう形では本当にそういう車に乗つて見なければわからない、こういうふうに思うのです。そういう点から言いまして、これはやはりどこに主眼を置くか、現在のやり方が、これはもう程度問題でありますけれども、非常にやはり開きがある、三等車と、それから一等車、二等車、こういうもののいろいろな設備や内容だけじやなくて、待遇なんかについても非常に開きがあると思う。それから上野駅でも行つて見ればわかることでありますけれども、三等乗客に対する扱いと二等乗客に対する扱いというものについて、果してそこに職員なんかのこれに対する扱いそのものの上にも開きがないか、こういう点から私は申しておるのでありまして、これをこういう機会に私は慰霊祭、それからそれについてのいろいろの弔慰の道を講ぜられることは是非必要でありますが、それでは本当にあれだけの大きな犠牲をなすつた人たちの霊魂を本当に安めることには私はならん。むしろこういうものに大検討を今日加えて、そうして再びこういうことを起さないという大きな楔を打込むことこそが、この不祥な事件の我々に與えている教訓だ。こういうふうに思う点からお伺いしておるのでありますが、今の点についてもつと徹底した検討を加えられる御意向であるかどうか。先ほどの御説明では十分にわからなかつたのでありますが、この点簡單にお伺いしたいと思います。
  50. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 先刻お答えしたので十分おわかりだと思います。言葉を盡して申上げたと考えます。
  51. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) これは私の聞き方が悪いのかどうか、いずれほかの同僚諸君に伺つて見て、実は時間がございませんので細かいことを私を挙げないのであります。もつともつとお互いにこの問題は検討したいと思うのであります。  次にお伺いしたいのは今度の問題で、高架線の高圧電線の架替作業ですか、こういうようなものを晝間やられている。危険な作業なんです。こういうことをしなければならないような労働條件ですね、こういうものは今まで深夜作業じやなかつたかと思うのであります。大衆にも危険があり、当人たちも電車の頻繁に通る間にこれをしているのでありますから、十分な仕事はできない。ここに人員の問題並びに待遇の問題、それからそれに伴つて来る超過勤務手当の問題、結局は従業員の待遇の問題なんであります。こういうところから、やはりいろいろな問題が発生している原因を作つていると思うのでありますが、こういう点について検討される用意があるかどうか。この点を伺つて置きたいと思うのであります。
  52. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) そういうことはもう絶えず調査研究を進めておるのでありまして、この際改めて、従来は放擲して置いて、びつくりして調査にかかるというようなことは、運輸省並びに国鉄においてはありません。同時に深夜作業が原則かも知れませんけれども、晝修繕せざるを得ないような事態が突発的に起れば、街の中でもやらざるを得ないこともあろうかとも考えます。これらはそのときの状態が私にはわかりませんからお答えのしようがありませんが、大体さように考えております。それから又人員、給與等の点につきましては遺憾なくできているはずだと、かように考えております。
  53. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) この点もいろいろ細かな実情を知つている点もあるのでありますが、これは今日述べません。細かい問題は事務当局と折衝し、大臣の出席も頂いてこの問題を検討するつもりでありますが、なかなか現在、今お話のようなものが満たされていない面が相当あるのじやないかと、こういうふうに思われるのであります。こういう点で、これは資料として、できましたらお願いしたいのでありますが、これは事務当局から出してもらえばいいと思うのであります。関連現場、例えば蒲田電車区、それから東神奈川車掌区、桜木町駅、こういうところの職名別従業員数並びに当局査定の定員との開き、これが昭和二十年三月頃から現在までの分が地区別にどういうふうになつているか、こういう実情を具体的に申上げなければならないのでありますから、資料を頂戴しましてこれについて我々は検討しまして、なお今の問題を明らかにしたいと思うのであります。何と言いますか、やはり従業員の人たちの待遇改善の問題、安んじて職務をやつて行くということが非常に重要だと思うのであります。この問題を抜きにして今度の問題を考えることはできない。こういうふうに思うのであります。  それと関連して第三にお聞きしたいのですが、何か国鉄職員から義捐金を募集していると聞いておるのでありますけれども、そういう事実はございますか。
  54. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 従事員のほうから自発的に、今度の遭難されたかたがたに少しでも差上げたいという気持を持ちましたので、東京鉄道監理局管内の職員が募金をいたしまして、先日の慰霊祭に各遺族に送つたということは聞いております。
  55. 岩間正男

    委員外議員(岩間正男君) これは東京の管内だけですね。そういうことを奨励されたと、そういうようなことは無論ないわけですね。これはやはりこれも又相当問題になるのじやないかと思います。やはりこういう一つの問題の本質のほうを徹底的に我々はやはり苛烈にこの問題を解決するために努力するほうが本体なのでありまして、これをお涙頂戴式なものに持つて行くことは問題の本質をくらますというふうに考えられるのでありまして、無論これに対する職員の人たちが義捐金を出してその償いを幾分でもしたいという気持はわかるのでありますけれども、むしろこれはやはり経営者であり、この責任者である当局のほうがやはり十分にそういうことをされるのが本体でないかというふうに思うのです。この問題はあまり奨励されたり、拡がつたりすることは望ましくない状態じやないか。こういう形で解決されるのは古い形でありまして、これはいかんのじやないかというふうに考えられるのであります。このことよりも、このことの、持つている性格、それと繋がつている性格について私は申しているつもりであります。  最後にもう一つお聞きしたいのでありますが、国務大臣として今度の責任問題です。国務大臣並びに加賀山総裁の辞職の問題が新聞に報じられて、これが関係方面から辞職についてはする必要はないだろう、こういうようなお話があつて、その後新聞報道には接していないのでありますけれども、これは国務大臣としてはこの問題をどのように考えておられるか。並びにこれは総裁その人を前に置いて気の毒な問題でありますけれども、総裁としましてはこういうような慰留に対しましてどのような態度をとられるのでありますか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  56. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 責任論であります。大よそ一つの職があれば上下大小にかかわらずそこに責任のあることは当然であります。併しこの場合におきましてその責任をどう論じて行くかということは、法制上の権限の所在の筋道を明らかにして行くことが基本的の要件でもありましようし、更に又事件の真相をも十分に明らかにして、その大小軽重の如何を考えるということも考えなければならんことであります。今日はとにかく善後の処置、広い善後の処置ということに万事を放擲して、毀誉褒貶を超越してこの問題に沒頭して一応の段階に進むようにということを、運輸大臣といたしましては国鉄に向つて内面指示をいたしておるような次第であります。でありますから、仮に国鉄総裁が胸中どういうふうな意見を持つておられようとも、私はその一応の処置の済むまではさような一身上のことについては考えずに、脇目もふらず善後処置に最善を盡して欲しいことを申しておるようなわけであります。それらの適当の時期に達したときに運輸大臣としては又法規に基いて考慮したい、こういうふうに考えております。
  57. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 私当初から国鉄に全責任があるということをはつきり申しておるのでありまして、全責任を痛感しておるということを申上げたいと思います。ただ辞職云々に言及されましたが、責任を感じ、その責任をとるということは、飽くまでも自分の義務は立派に果すということにあると考えておるのでありまして、私の進退につきましては、懲戒等があればこれは格別でございますが、私個人といたしましては、勿論この責任を十分果した上で、輿論に従い、自分の考え、去就をはつきりいたすつもりであります。
  58. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君    委員           池田宇右衞門君            野田 卯一君            一松 政二君            安井  謙君            岩崎正三郎君            下條 恭兵君            山田 節男君            吉川末次郎君            原  虎一君            西郷吉之助君            前田  穰君            菊田 七平君            竹中 七郎君            矢嶋 三義君   委員外議員            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    日本国有鉄道総    裁       加賀山之雄君