運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-30 第10回国会 参議院 予算委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 三月二十八日委員菊川孝夫君辞任につ き、その補欠として岩崎正三郎君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣提出・衆議院  送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会を開きます。  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第一号)というものが提出されましたので、先ず大蔵大臣から提案理由説明を聽取いたします。
  3. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回提出いたしました昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第一号)について御説明申上げます。この補正予算は、今回設立することと相成りました日本開発銀行に関するものであります。日本開発銀行長期資金供給を行い、又は一般金融機関が行う長期資金供給を容易ならしめることにより経済再建及び産業開発を促進するため、一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的として設けられるものでありまして、その資本金は、設立当初におきましては百億円とし、政府昭和二十六年度において米国対日援助見返資金特別会計からその全額を出資することといたしております。なお、必要があるときは大蔵大臣認可を受けて予算範囲内でその資本金を増加することができることとなつておるのであります。  日本開発銀行の收入支出予算は、日本輸出銀行の例にならい、事業損益のみを計上いたしておりまして、資金貸付余裕金運用等は收入支出予算外に経理いたすことと相成つております。  日本開発銀行昭和二十六年度の收入予算は、貸付金利息余裕金運用利息及び雑收入を合せまして、事業益金として五億二千六百余万円を予定いたしております。又支出予算は、役職員給與、その他の事務費及び税金を事業損金として八千五百余万円、予備費として四千万円、合計一億二千五百余万円を計上いたしております。  日本開発銀行設立に伴いまして復興金融金庫昭和二十六年度末までに政令の定める日をもつて解散いたすこととなつておりまして、その権利義務解散のときに日本開発銀行が承継することとし、復興金融金庫解散のときにおける政府の同金庫に対する出資金は、日本開発銀行に対する貸付金なつたものとみなすことにいたしております。  以上を以ちまして日本開発銀行に関する予算の御説明を申し上げました。何とぞ御審議をお願いいたします。
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 質疑がありましたらばどうか。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 補正予算としてこれが出て参つたのですが、我々が予算審議するときには、前の予算審議するときには、すぐに近い機会に補正予算を出す必要はないと思うというような大蔵大臣お話つたと思うのですが、それが急に我々が予算を上げると同時ぐらいにすぐ出て来たという事情について、我々納得の行きかねるものがあるのですが、この開発銀行の問題はすでに今年の初めから、或いは問題としては去年からあつただろうし、少くとも今年の初めに大蔵大臣がこういう問題を持つているのだということを早くから声明をしておられたし、再開劈頭の本会議においても、政府の重要な政策として調つておられたわけでありますが、それが何故非常に会期の押し迫つたときに出て来たのか、その辺の事情も少し詳しく御説明願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 補正予算の問題につきましては、先般の本委員会で申上げましたように、全般的の補正予算は組む考えはないけれども、個々の問題につきましては組むことがある、開発銀行をそのうちお出しいたしますということをお答えいたしておつたのであります。次に昨年の暮頃から私も開発銀行の必要を認め、今年の一月に新聞に発表し、又財政演設でも開発銀行創設のことを申述べておつたのでありますが、それが今日に至つてようやく出ることになつたのであります。その原因につきましての御質問でございます。大体この提出が残りましたのは、出資金をどうする、どれだけにするか、こういう問題で、関係方面との折衝が長くかかつたのであります。もつと詳しく申しますと、私は出資金は四十億ではなく、四十億円で若し行くならば、債券発行をやらなければ余りに小さ過ぎるのではないかというので折衝を重ねておつたのでありまするが、債券発行は今直ちに認めるということはどうか、それならば出資金を百億円にしようというところにまとまつたのが極く最近であるのであります。そういう事情提案が遅れたわけでございます。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしましたら、その百億円という出資はどこからどういうふうにしてお出しになるつもりか。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見返資金特別会計経済再建費から出すことになつております。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、経済再建費のほうから出るというお話ですが、我々にお示し願つた総合資金需給計画收支二十二億の揚げ超ですか、程度で済ますというお話の場合は、あの経済再建費というのは計算のうちに入つていたのかどうか、若し入つていないとすれば、それだけ百億余計に出るものの辻棲をどういうように合せようとしておられるのか、その間の何を……。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一応の資金計画と申しますか、見込………、私は見込ぐらいのほうが本当だと思います。その中に経済再建費の七百四十三億は一応予備費として出ない計算でいる、従いまして今度百億円を開発銀行へり出すということになりますと、差しむき御審議願いました私企業投資の四十五億円は不用額に立てる考えでおります。而してその差額の五十五億円はどうするかという問題につきましてはまだ結論至つておりません。或いは情勢によりましては預金部金融債引受のほうを、これはどうせ民間産業資金でございますから、これを減らすか、或いは五十五億円を別途に殖やすどいう問題はまだ解決いたしておりません。情勢によつてきめたいと思います。
  11. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、その百億出資したものを差当りの今一番重要に運用される、重点的に運用される業種といいますか、業態、そういうものはどういうふうにお考えになつておるのか。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう質問がよくあるのでありまするが、私はこの産業開発ということを主としまして、又今御説明を申上げましたように、一般金融がなかなかむずかしいときに、貸出奨励という意味も加わりますし、又法案を御覧頂けばわかると思いますが、既存の貸付の肩代りということもやり得るように相成つて来る、従いまして、これはその金融経済状況によりまして、日本開発銀行においてきめるべきことであるのでありまするから、大体の目標といたしましては、今まで見返資金から私企業に出ておりたああいう財源で行くのではないかと思つております。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点がはつきりしないと、今お話のように、経済再建費から出して、その代りに私企業投資が四十五億減つたり、預金部金融債引受が減つたりということになると、さなきだに傾斜金融的に非常にいびつになつている金融的なその傾向を更に増すというような問題になつて、総合的な、計画的な運営に対しては非常な支障を来たして来るのじやないかと、そういうことが考えられますので、特にその百億をどういうふうに運用されるつもりか、それらの問題が非常に問題になるのでありますが、それは今大蔵大臣も、法案に更に詳しく規定したというお話でございますので、そつちのほうの審議の場合に讓りまして、もう一つお聞きしたいのは、この日本開発銀行のこの政府機関予算を單に損益経費予算だけに限られてその他の資金の総合的な需給の予測等々を予算の中にお入れにならないのはなぜなのでありますか。例えば対日援助見返資金にしましても、或いは資金運用部資金にしましても、一応の計画予算審議するようになつておると思うのですが、この日本開発銀行のそういう方面計画は非常に重要な意味を持つと思うにかかわらず、それらが予算から外されている理由がよくわからない、その点の御説明を願いたい。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算で一々枠をきめるよりも日本開発銀行に任せてやつたほうがいいと思うのであります。ただ日本開発銀行におきましては、本銀行設立の趣旨に鑑み、他の政府資金放出状況参考経済界実情に合うようにやつて行くのが適当だと思うのであります。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういう一般的なことでなくて、もう少しそれを予算の中にきめておくのではこういう支障があるのだというような具体的な支障考えられるかどうか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私企業投資の場合におきましても、予算でなかなかそういうものまできめられるものじやございません。そういうことを縛るほうがいいか悪いかという問題につきましては、私は開発銀行に任せて行くのが適当であると考えているのであります。
  17. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 勿論その一つ一つの個個の企業に対して、どうしろとかこうしろとかいうような問題で縛ることは不穏当かと思いますが、併し大きな枠として、どれぐらいのものを年間に出し、而もそれをどういう業別に出すというようなことは、予算運営資金運営、特に見返資金或いは資金運用部資金運営等にも関連する問題であり、而もこれが純粋な政府機関である以上は、而も非常に長期資金考えているので、單に個々市中銀行日常経営としてやつておるような貸出とはおのずから意味も、緊要性といいますか緊急性といいますかも違うことなんで、そういう点についてはむしろ政府機関らしく予算の一応の枠をきめて置くということのほうがより合理的じやないかという感じがするのですが、その点を……。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 合理的のよう次感じがするだけで、実際は私は効果がないと思います。例えて申しますると、例えば今まで出ております、見返資金から出ております私企業につきましても、鉄鋼とか或いは石炭、或いは化学染料、肥料或いは農水産物加工事業、こういうふうなこともいたしますが、これも枠をきめてやつておるわけじやございません。特にこの予算鉄鋼幾ら石炭幾らといつてもなかなかきめられるものじやない。やはりこれだけの金は長期設備資金として内閣総理大臣の任命する総裁に任せてやることが適当であると考えるのであります。早い話が若し石炭にこのうち例えば二十億、鉄鋼に二十億こうきめておる。併しそれで枠をきめますと、鉄鋼にうんと金が要るようになれば石炭の方に取れない、こうなつて来ますと、その点はやはりそのときの状況によつてやるのが至当だと思います。而も造船なんかの問題になつて来ますと、急速に船が要るというので、今見返資金で百億円の造船資金が出ております。ほかの産業は大体賄つて行けるが、船のほうにこれだけを出したいというのが、これは予算がないから船のほうは絶対できない。これは僕は絶対できないと思う。これは二千億も三千億もばつと出させてやらすというのではございません。いろいろ金融界状況を見ながら産業実情に副つて行くのがいいのであつて予算で何を幾ら、何を幾らということをやるということは合理的な感じがするかも知れませんが、実際には金が活きて来ないこう私は考えるのであります。
  19. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 十億ぐらいの差繰りはいろいろな運営方法でできると思うのですが、問題はそういうことでなくて、それができないとおつしやるけれども、政府はすでに経済自立三ヵ年計画をお立てになつておるのだし、それに基いて産業資金計画も立てられるだろうし、殊にその産業資金計画の中でも設備資金についてはそうぐらぐら変るような計画であつてはならないだろうし、相当はつきり確定できるのじやないか。而もこの開発銀行運営役員当局に任せれば任せるほど、そういう計画はきちんと一応立てておいてそれに照応した運営の仕方をやらなければ、政府考えている産業計画なり資金計画なりと離れてしまう危險性が相当あるのじやないか、そういう点でその政府計画と、開発銀行資金運営計画実施とが十分に政府の意を体してやられるようなふうに運営させるためには、どうしてもやはりそういう一応の大きな計画は作つて與えてその計画範囲内で銀行当局に自由な手腕を振わせるということのほうがむしろ必要であり、大事なんじやないか、こういうふうな感じがするのですが、その点は……。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あなたとは考え方が違つております。私はそういう案には反対でございます。勿論開発銀行総裁政府考えておることを十分体して、従いまして、内閣総理大臣が任命し、大蔵大臣一般的の監督権を持つておりますから、政府政策に反するようなことはない。私は佐多君の考えられるように縛り付けて、その範囲内で動かすというよりも、大きく監督をして行く、そうして実情に副うようにやらしたほうがいいという、これは考え方の相違でございます。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 何か我々が新聞によつて承知するところによると、そういう点において他の産業大臣産業関係その他との意見の違いがあつて、そして何かある了解事項を作られて、今後の運営支障のないようにするという取りきめになつたということを聞いているのですが、その辺の実相を御説明願いたい。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何かそんな各省から委員会を拵えて、その委員会の指示によつてやるというような案があつたようでございます。私はこれにはもう絶対反対だというので、そういう規定は置かない、ただ政府のいろいろな産業金融計画に沿つてやるように指導するという申合せはいたしましたが、これは我々の中でも申合せをしておるのですか、閣議決定なつたかならんか、結論をまだ聞いておりません。
  23. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その我々の間で申合せているという、我々の間というのはどういうことですか。閣議決定がわからんというのは。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 閣僚の間です。
  25. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 閣僚の間での申合せ程度のものだという御説明ですか。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 速記をちよつと中止して。
  27. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  28. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 速記を始めて。
  29. 山田節男

    山田節男君 これは非常に素人のような質問になると思うのですが、大蔵大臣にお尋ねいたしたい。  日本開発銀行が今度立てられて復興金融金庫が今度廃止されるわけでありますが、経済再建産業復興ということになれば、すでに日本興業銀行あり、勧業銀行がある。それから復興金融金庫も現在あるのですが、それを何を以て日本開発銀行というものを見返資金百億円を出して作る必要があるのか。勿論必要があるからできるのだと思いますが、これができた後に復興金融金庫はなくなりますが、勧業銀行興業銀行というものはあるのです。日本開発銀行としてのそういう長期金融の何か特殊の性格といいますか、特徴はどういつたような業務が本当に必要であると見たらいいか、これを一つ説明願いたい。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはいろいろな仕事がございまして、大事な預金を預つている銀行家としては、よほど石橋を叩いて渡るような傾向が多いのでございます。それならば渡ろうとするその橋が石橋であつて絶対に大丈夫だ、誰が見ても大丈夫だというところばかり金が出ると何といいますか、危險性があるような場合に、この事業見通しは十分ではないけれども、まあ大丈夫だというときに金が出んようなことがあるのでありまして、これを例をとつて申上げるとどうかと思いまするが、相当の資本があつて、例えばこれはまあ單なる例でございますが、ビニロンをやるというときに、これは五万トンばかりの單位ではなかなか毛や人絹に対抗できませんが、十万トン、二十万トンの設備でやるということになりますと、相当採算がよくなつて来る。併しこれは銀行でやろうというと、ビニロンの将来ということを考えると危惧の念を起すという場合に、よく研究してこれならば当座はあれだけれども、四、五年先、七、八年先は繊維関係に非常に好影響を及ぼすというふうなこともあるのであります。そこで只今説明申上げましたように、一般銀行がこれは危ないというときに、開発銀行が調査して、よし一緒にやろうということになれば開発になるわけなんです。それでそういうものは他の銀行の融資を奨励するということになります。それからこれは資金の性質でございますが、今度は資金の量から申しまして、一つ銀行がそんなにたくさん出ない、ほかの銀行とシンジケートで出そうかというと、それもむずかしい。こういうときに開発銀行が、俺のところの金を少しそつちへ廻そうというようないろいろな方法、單なるコンマーシヤル・ベースだけでなしに、大きい国策という意味からいつて是非必要があるという事業があるわけであります。そういうときにはこの開発銀行を……、こう申しますと危險なところでも出すかというと、危險なところへ出すというわけではありません。有効なところに大担に出そうというのがこの考え方であります。
  31. 山田節男

    山田節男君 今のあなたのお話によると、私はこれは大体アメリカFRC、ファイナンス・リコンストラクシヨン・コンフエデレーシヨン、このアメリカFRC事業を見ますと、今大臣のおつしやつたように、産業開発であるからして多少のリスクは、これはコンマーシヤル・べースでないということは、国策からみれば多少のリスクは止むを得ない、スペキユレーシヨンに近い方針になるということは本来の性格であるというふうに私は了解するのであります。ところがアメリカFRCで一番困つておることは、やはりこれが政治的に利用される。例えば或る種の方面片寄つた金融がざれるということで、相当政治上のスキヤンダルを起しておる。ですから開発銀行をお作りになれば、開発銀行そのものが勿論これは大蔵大臣認可を得るというようなことになるだろうと思いますが、実際の金融、例えばこういう方面投資すべきだというようなことは、これは開発銀行自体役員できめるのか、或いは更に大蔵大臣又は総理大臣等審議が要るのか、この日本開発銀行投資の場合の決定権といいますか、これは結局どこが持つておるのですか。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは開発銀行総裁でございます。大蔵大臣総理大臣個々貸付の如何については一切関與いたしません。
  33. 山田節男

    山田節男君 それからこれは御存じのようにたしかワシントンだと思いますが、いわゆる後進国、バツク・ワード・カントリイをデイペロツプするためのインター・ナシヨナル・バンクがあります。この副総裁のミスター・シユレーダーという人に一昨年会いましたが、日本平和條約ができさえすれば最も有望といいますか、日本は最も関心を以て後進国開発投資をすべき国であるということを申しております。そうすると平和條講和條約が締結されたのちは、恐らくそういつた後進国開発金融といいますか、投資が行われるだろうと思います。若しそういつたようなアメリカにある国際開発後進国開発銀行投資日本に行われるというような場合には、これはその銀行のエージエントが日本にあつて、そうして日本開発をやろうということで、若しこれが何といいますか、重複、そういうようになつた場合に、日本開発銀行は百億円の資本金でやられるわけでありまして、そういつたような後進国開発のための金融が例えば五千万ドルとか一億ドルといつたような場合に、日本開発銀行としてそういう後進国開発国際銀行政策、それから日本開発銀行の持つておる存在の理由とする政策と、これはどういうような工合に調節されるのか、これは仮定的な問題になりますけれども、一応大体その見通しがあるとすれば、開発銀行との機能上の差といいますか、そういうようなものはどういうふうに考えたらいいのか、大蔵大臣の見解を伺いたと思います。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行設立に当りましては、今お話のような、未開発国開発問題等につきましてのことは頭に入れておりません。ポイント・フオアの問題等が将来起つて来ることを期待いたしておりますが、それはそのときに考えればいいのだ。今これらの具体的の問題はわかつておりませんので、開発銀行設立に当りましては、そういうことは一応除外して考えておる次第であります。
  35. 山田節男

    山田節男君 重ねてさつきの質問に返りまして、もう一点質問申上げますが、日本開発産業復興といいますか、経済再建のために多少スペキユレーテイヴなものに対して投資する、そういつたような場合に、例えば日本自立経済、まあ三年計画或は五年計画といいますか、とにかくそういう計画経済というものに対して、勿論この開発銀行投資というものは不即不離の関係でなくてはいかん、そういつた場合に、電源開発のこととが、或いは只今大臣のおつしやつたビニロン増産であるとか、或いはカーバイド増産であるとかいつた場合に、一つ順位というものがある、プライオリテイというものがなければならん。そういつた場合に、これは電源開発も必要だが、今のカーバイド、これは電源開発関係しますが、ビニロンカーバイドをどうしても国策としてやらなければならんという場合に、一つ順位と申しますか、プライオリテイというものは、これは今おつしやつたように総裁だけの権限できめ得るのかどうか、これは日本経済再建産業復興というものについて非常に大きな政策であつて、一開発銀行総裁が、或いは役員会重役会においてきめるということになると、余りに問題が大き過ぎると思うのですが、こういつたときには、そのときの大蔵大臣或いは通産大臣、或いは安本ですかが、こういつた開発銀行投資に対して、言い換えれば政府日本開発銀行に対してその一つ政策プライオリテイの発言が全然ないという意味にとつていいのかどうか、この点をはつきり承わりたい。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 法制上はございません。法制上は開発銀行総裁重役会においてきめてやるのであります。これは日本輸出銀行の場合とは違いまして、お話のような点がございますので、開発銀行につきましては参與制度を認めまして、参與四名か五名が、とにかく各会社の、役人は入りませんが、民間の人の意見を聞く参與会というものを置くことにいたしております。そこで開発銀行自体においてこれを決定する建前になつでおります。而して今佐多君の御質問があつて答えましたように、政府考えておる産業計画金融政策或いは交通その他のいろいろの政策がございますが、これは我々の間で相談して、こういうことが望ましいということになれば、これは総理大臣から参考として話をしたり、大蔵大臣から参考として話をしますが、命令をするわけじやないのであります。
  37. 山田節男

    山田節男君 今参與というものを設けるお考だというのでありますが、これはすでに前例として日本銀行法が改正されて、政策委員会というものがございます、この政策委員会メムバーはやはり国会の承認を経なければならんというように、かなり人選には嚴重になつておる。ところがこの開発銀行も先ほど申上げましたような非常な危險もあり、又国策的見地から見た普通の商業銀行でできないことをやるのでありますから、やはりもう日本銀行政策委員会程度のものはこれは私は置くべきじやないかと思う、今参與で用を弁ずるということをおつしやいますが、これは私はまあ意見になりますが、むしろそういつたポリシーなり、プライオリテイをきめる重要なことは一参與でなくて、やはり政府意向なり或は国会意向なりが反映するような一つ委員会なりをお持ちになつたほうがいいんじやないかと思うんですが、今の大臣の御説明だと、参與というもので十分だとおつしやいますが、この点は一つもう一遍御検討願えませんでしようか。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはそういう議論があるのでありまするが、我我考えておる経済政策というものにおいて、政府は、或いは国会はそこまでタツチしないほうがいいという根本理念であります。日本銀行とは違います。従つて輸出銀行につきましてもそういう制度は置いておりません。これは銀行運営につきましては、一般銀行と大体同じように、一般的の監督権大蔵大臣は持つておりますので、それでいいのではないかと思います。個々貸付或いは全般の方針につきまして、国会でどうこうということは私はとらないのであります。
  39. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今の問題に関連しまして、百億という資本は、これは全部見返資金から出るのですか。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) さようでございます。
  41. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうしますと、見返資金の予定されておる私企業支出資金には食い込まないのですか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 食い込む食い込まないじやなく、これは不用額の建前であります。
  43. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) もう一つお伺いしますが、見返資金からの私企業支出というものは、電力、海運、中小企業等に一応予定されておるものがあるわけなんだが、こういう企業に対して今度できる開発銀行が融資するということはないわけか、重複して融資することもあるんですか。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 水力、それから造船、それから中小企業、これは今まで通り行きます。四十五億円の一般私企業というものがこれに代つて来るのであります。それなら百億円から造船には出さんか、水力には出さんか、否定的かというと、そう考える必要はないんじやないかと思います。この分が出ましたからといつて、百億の水力、百十五億の造船は出ることになつております。中小企業へもやる、こういう考でおります。
  45. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうしますと、例えば海運など百十五億というものは見返資金から予定があるのだが、そのほかに開発銀行が自主的な判断で、海運のほうにもう五十億出そうというようなことになれば、総額百六十五億になるというようなことも考えられるわけなんですね。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそういうこともとめる必要はないのじやないか、こういう考え方であります。
  47. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のお話ですと、百億を経済再建費から出すと、その代りに四十五億私企業投資不用額に立てるというお話ですが、すでに年度の当初から不用額に立てるようなことがはつきりしている金額であるならば、むしろその面において予算の修正をさるべきなんじやないか。それを予算の修正という手続をとらないで、單に不用額に立てると、そういうようなことが可能なのかどうか。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 可能でございます。不用額に立てるということは、私は一応の計画を言つておるのでございます。で予算審議を願いましたときに、一応これはこういうふうに使うと、そうして新たなる問題としてこういうことが起きたと、百四十五億使うかということであれば、私はこれは一応不用額に立てたと、こういう考えであるのであります。
  49. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点おかしいのですが、当初から不用ということがきまつているものであれば、計画として不用なことがはつきりしている。だとすれば、当然にそれは予算計画変更として国会に諮つてきめるべき問題で、若しこれを運営して行く間において四十五億が結果として不用に立つというのならば問題は了承できるのですが、只今の御説明のように初めから不用ということが、計画としてすでに不用ということがはつきりし、或いは不用でなければならんというふうにお考えになつているのならば、予算をその面においても修正する必要があるのじやないですか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は不用額に立てる見込みでありまするが、予算の修正は必要としないと思います。
  51. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならば、若し必要であれば百億を経済再建費から出しておいて四十五億を、何も不用にする必要はないので、予算通りに大体出すことのほうが普通で、若し出さなかつたとすれば特別な実施の経過において、結果的に不用になつたということに過ぎないというような運用の仕方をされるというように了解してよろしいのですか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体不用額に立てる見込みが多いのでそう申上げたのであります。従いまして不用額になる見込みのときは、すぐそれじや予算を変更して落すかということは、技術的な問題でありまして、必ずしも落す必要はないと思います。
  53. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 今山田委員佐多委員質問大蔵大臣の答弁を伺つておりますと、何か大蔵大臣は、政府政策は総合計画経済に移行しつつあるということを特に避けておられるかのように聞えたのでありまするが、私はここで実際の面からこの開発銀行の融資を、投資を全く開発銀行の首脳部に政府は任せつきりでおやりになるということでありますから、実際の面を一つお尋ねしたいと思うのでありますが、戰時金融金庫は御承知のように当時軍の証明というものが付いて、それから借入の申込みをしておつたと思いますし、又復金の場合はそれぞれの所管の役所の証明を付けて借入申込みをしたと思います。今の大蔵大臣の御説明を聞いておりますと、今度の開発銀行はいきなり市中銀行の借入れの場合みたいに、借入れの希望者がいきなり書類を持つて開発銀行の窓口へ行つて、すぐ話が進むかのごとく聞えたのでございますが、こういう点のやり方が、今私が申しましたように全く政府関係では全然タツチすることなしにやられるのか、或いは又復金でやつたような形式をおとりになるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三番目のやり方、全然タツチせずに開発銀行独自の考えて行うのであります。
  55. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 そういたしますると、私はそこで前の二人の質問に又関連して来るのでありますけれども、政府のやつておる経済再建計画と、果してそれでマツチしたことができるかどうかという点に大いに疑問を持つわけであります。而も山田委員からはいろいろな問題が起きる慮れがあるということを言われたのでありまするが、三人や四人の参與を置きまして、これも而も民間人であるということでありますが、それで果して政府考えるようなビニロンでも構いませんカーバイドでも構いませんが、こういうものを将来のために、現在の採算がどうあろうともやらせなければならんというような場合の、本当の国家として望む方向にこれが実際に運用できるかどうかという点に私は相当疑問があると思うのですが、大蔵大臣はこの点果してそれでうまく行くかどうか。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はビニロンとかカーバイドとか、政府考えておるから、例えばビニロンをやれ或いはカーバイドをやれということ自体がいいか悪いかということを検討してもらいたいと思います。今でも預金部金融債四百億を出します、これをお前どこにその金を使うのだ、それを調べなければ金融債の引受はしないというふうなことは、原則としてやらない、やるべきことではないと思います。やはり産業資金ならば餅屋は餅屋で、銀行に任すのが本当であると思うのであります。これが国策で例の細付というもの、船舶改造にこれは必要であるというときには、こういうものならば優先的に認めたいというくらいのことはやります。四百億円を出すのに、一々この事業に出すのならいいが、どうこうということは私は行過ぎじやないかと思います。従いまして、開発銀行総裁は全般のことを見ながら、又或いは大規模のものにつきましては、法制的にではございませんが、安本長官なり通産大臣意見を聞くことはありましよう。これは法制的ではない。こういうことをやられるのは何ら反対するものではございませんが、責任の所在はやはり開発銀行総裁重役会において決定すべきものであつて、これが一番うまく動くという考え方であるのであります。
  57. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 今の大蔵大臣のお考えのようであれば、必ずしも開発銀行を作らなくても市中銀行に対する融資の途を考えて行けば十分事足りると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それでも事足りると思うのでございまするが、先ほど申上げましたように、これはコムマーシヤル・ベースに乗つて行きますると、なかなかそこが危険性のある事業というのではございませんが、極く採算の立て方が石橋を叩いて渡るようなやり方では、心残りするようなことが起りますので、銀行貸付は困難であるというふうな場合に、これから出すという体制をとつておるのであります。
  59. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 だんだん私はわからなくなつて来るのでありますが、どうもコムマーシヤル・ベースに乗らないものに出すということを目的とする、而も一方には政府のほうは全然……まあ相談があれば何か意見を述べるが、黙つて開発銀行がやるなら、もうそのままで任せつきりだということでありますけれども、なかなかそれでは実際問題からうまく行きそうもないと私は考えるのですが、というのは、どうせ開発銀行に何するのは、回収に長期を要するか、或いは非常にもうはつきりした先がわからんというような事業の申込が非常に多いと思うのであります。又そういうものに投資してこそ、日本開発銀行の新設される意義も生じて来ると思うのでありますけれども、それを今大蔵大臣の言われたように、市中銀行に場合によつて出してもいいのだけれども、それではなんだからして開発銀行を作るのだという考え方は、これはどうも得心が行かんのでありますが、そうなると私は開発銀行総裁或いは首脳部というのは、非常に産業界にも通暁し、そうして日本産業の将来も見逸して、そうして政府の方針もちやんと頭に入れてやつてくれるような有能な士でなければならんと思うのでありますけれども、大蔵大臣はこういう開発銀行の首脳部の人選に対してどういうような基準でお考えになつておられるか、ちよつと伺つておきたいと思います。
  60. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今あなたのお話なつたような人をやりたいと思つております。総裁総裁内閣総理大臣が任命することになつております。
  61. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとさつきのことでもう少し聞きたいのですが、見返資金からの融資は條件、手続等非常に面倒なことがたくさんあるようですが、それに、そういうような見返資金からの融通をして、例えば海運部門には百十五億組んでおる、併し開発銀行のほうは市中銀行並みの少々大胆な貸付をやるということになつて来ると、例えば海運業者のほうは見返資金から借りることを忌避して、開発銀行から借りるというようなことになるのじやないかと思うのですが、その点の調整はどうなんですか。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは水力それから造船にかかつておりますから、それが余つておるのに、余裕があるのにこつちから出るというようなことは考えられません。それから金利の点も七分五厘で出しておりますが、これもそういうふうになりますと動きます。ほかのほうから貸出があるのにこれのほうから行く、そういうことは私は全然あつちやいかんと思つております。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一遍その点に関連するんですが、見返資金予算を検討した場合には、私企業支出のその他というのは電力とか海運等々以外のものだと、そういうものに四十五億確保されたものとしてこの内訳で審議したわけなのですが、それが今度百億外されて百億は経済再建費から出すけれども、その他を外してしまうということになると、初めその他として確保したものが圧迫されて来る結果になるんじやないか。そこで先ほどから百億がどういうふうに運用されるのか、殊に産業計画なり資金計画との関連においてそれをはつきりお示し願いたいと言つておるのですが、それは銀行当局に任してあるからというようなお話で、経済再建費から百億出る。そのためにその他を実際に不用額に立てるのだ。それはもうすでに今からわかつておるのだということになると、我々はその他として確保したと思つておる四十五億が駄目になるのであると、飽くまでも予算の変更であり、そうだとすれば修正を立てなければここへ確保した意味がなくなる。そういうふうに思うのですが……。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行を説立いたしまして、そうして私企業投資を活溌にやつて行こうとするのであります。従いましてそういうそれが具体化する前に作りました予算の内訳につきましては、これは変更があることは予想しなければなりません。そこで計画的に一応審議したらこれは出さなければならんというものでもないわけで、見返資金の運用につきましては、予算審議後におきまして変えた場合は相当今まであるのであります。そういう意味におきまして、私の計画としては私企業に対しては大体百億円ぐらいで賄つて行きたい、こう言うのです。であなたの御質問になりましたそれじや百億円使うということになると、二十億は引揚超過の問題でどうなるかという、こういうお話でございますが、大体の予算としては四十五億円は御審議願いましたが、不用額に立てる見込でおります。そういう見込はすぐ直せばいいじやないか、いや直さなくともよろしい、これは今までに例のあることであります。それはそれで結構だと思うのであります。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは実際予算を執行して行つた結果として不用に立たなければならん。而もそれが四十五億予算立てていたのだけれども、四十億で済んだ。だから五億は不用に立つたのだというのならばわかるのですが、四十五億まるまるが不用に立たなければらないような資金計画を立てておられて、そしてそういうふうに実際運用して行こうというふうにお考えになつておるのならば、予算としてはそれはきめなければならないはずのものなだから、予算の修正として補正としてお出しになるのが然るべきではないか。そうでなければそれじやもう対日援助見返資金の特別会計の資金計画その他を予算できめるということが何らに意味をなさなくなるのではないかという点については……。
  66. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは法制上も実際上も差支えない、例のあることでございます。それで一応予算を御審議御決定願つて、そのあとから来た場合においては、これは不用額に立てる場合もあるから、これは何も差支えない。予算の枠を御審議つておるのであつて、全体として殖えるということならば、早急に御審議願わなければならない。單にそういう別なものが補正として出た場合には不用額に立てる見込みだということは何ら差支ないと思います。
  67. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかに御質問は。
  68. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならば、この対日援助見返資金予算できめることは、ただ單に総額千百九十四億というものがきまつておればいいので、あと公企業支出幾ら私企業支出幾ら、而も私企業支出の中の電力なり何なりに幾らというようなことは予算できめる必要はないのだという御意向なんですか。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算説明上款項に分けてやつておるのであります。これがその通り行く場合もありますし、行かん場合もあります。予算というものは総体の枠をきめ、内容額をきめ、それが予算執行上その点は大蔵大臣として変えられるのでございます。今年度におきましても、債務償還五百億円ということを見返資金で御審議つたのですが、債務償還はしません。又佐多君が、しないということについて、なぜそんなものをかけなかつたかという御質問は、予算の実行に関することで、これは今までは例があるのであります。
  70. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは債務償還はそうでしようが、併し少くともあの予算審議するときには、文字通りにあれの債務償還は立てることをお考えになつていたはずなんだと思うのです。併しその後のいろいろな情勢の変化によつて、実際上はそれを債務償還にお立てにならなかつたのだろうし、我々新聞で聞くところによると、まだこれを債務償還は立てないでそのまま繰越してもいいかどうかというような問題については、若干問題が残つておるのじやないかとも思いますが、それはどつちにしても、とにかく予算をきめて、而もそれに関連して補正予算が出ている、当初から不用に立つことをはつきり見通して、而もそれが四十五億の中の一部分の五億とか十五億は恐らく不用に立つのか知れないというのなら問題はわかるのですが、四十五億まるまるが不用に立つはずだし、又立たなければ政府のおつしやる資金計画がその通りに行かんというようなことが余りにはつきり今からしているのであれば、それをしも予算として変更する必要はないのだということは言えないのではないか。これは非常な強弁だと思うのです。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算論になりまするが、一応御審議つたもので、それで四月の一日にそういう事柄が起らなくなつたときには国会を開いてあれでございますが、予算の修正の何を承認を得なければならんという議論になる、そうではないので、大体の枠を、総体の枠をきめられまして、その中の項については大蔵大臣は職権を以て如何ようにもできるのでありまして、そういう前提の下に予算審議を願う、そうして別に補正予算を出して、この中のこれからこれをどうします。それでは今までの予算はどうする、大体使わんつもりだ、それじや減額しろ、これは減額しなくてもいい、予算というものはそういうものです。殖やしたり新たに款項目を設けることはあなたがたの御承認は要りますが、或る項を使わなくてもいいような途が立つたときにはそれをすぐ訂正しなければならない上ものではない。
  72. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかに御質問ありませんか。
  73. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今開発銀行は非常に大きな意味を持つておるものだと存じますし、特に設備資金についてこういう特別な政府機関を作つて出すというようなお考えですが、この点は昭和二十四年の四月に復金が機能を停止するというときに、我々もむしろ復金の個々運営については若干の過ちがあつたかも知れませんけれども、制度的にはああいう特殊な政府銀行が絶対に必要なんだということを私たち主張し続けて来たと思うのですが、それが遅いとは言え今改めて開発銀行という形で出て来たという点においては我々原則的に賛成だし、更にはこれを推進しなければならない問題だと確かに思うのですが、そうだとすると、これは或る意味でドツジ・ラインの修正だというふうに考えていいかどうかという点と、それから復金の機能を停止したととについて、その後の運営からどういう反省かなされて、或いは復金の功罪、その他日本金融機構全般の問題等々に関してどういう反省なりどういう顧慮がなされて、こういう新らしいものを作らなければならんというふうなお考えに到達されたか、その辺の経緯をもう少し詳しく御説明願います。
  74. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ドツジ・ラインの修正かという御質問でありますけれども、ドツジ・ラインというものの御説明を願わないとお答えできないと思うのです。それから次に復金についてのいろんな議論はあつたが、どういうふうなことについて反省してやつたかという御質問復興金融金庫に対しましてのいろんな議論は実は運営の問題と、何と申しますか、金融政策の問題、二通りがあると思います。    〔委員長退席、理事石坂豊一君委員長席に着く〕  金融政策の問題といたしましては、或いは民間資金を吸収せずに日銀の信用造出によつてつた、このような増産が必要だというので設備をしなければならん、併しその設備をするに使うために金を拵えたのがその金が増産までに行かずにインフレになつたそのことで今回の日本開発銀行につきましては日銀の信用の造出によつて資金供給はしない、こういう建前にしたのであります。次の点は復金の運営につきましていろんなことが起りましたか、政治的にはどうこうということはない、あなたがたのように計画経済が必要だというかも知れませんが、役人かどこへ貸せ、ここへ貸せというようなことはいけない、やはり立派な総裁を置いてそうしてその人の責任においてやるということが必要である、こういう考え方で行つておるのであります。この二点が大きい違いだと思うのであります。
  75. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 このドツジ・ラインの修正かどうかという問題は、ドツジ氏の考え方によると、あのときの強調されたことは、金融というような問題は専門家に、銀行に任せればいい、而もそれは民間市中銀行がやればいいのだということが大体あのときの考え方であり、骨子であつたと思うのです。従つてそういう見地からまあこれはその前ですか、興銀、勧銀を市中銀行に直すと同時に、復金その他の機能も停止してしまつて、そういう問題は全都市中銀行にやらせろというのがあのときの考え方つたのじやないかと思う、それが改めて市中銀行だけでは、そういう融資が、特に長期資金の融資が殆んど不可能だということが過去二年くらいの間にはつきりして来たので、そういう意味で新たに政府銀行をお立てになつて、先ほどから御説明一般市中銀行のベースに乗らないようなものをここで拾い上げて、積極的に推進して行くのだというお考えだと思いますが、そういう意味では日本銀行制度というものにもう一遍大きな再転換か来たというふうに考えて然るべきじやないか、その点をどういうふうにお考えになるか。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 金融業務は民間の人にやらせ、政府が余り介入するものではないというこの思想につきましては今も昔も変りません。従いまして、今の日本開発銀行につきましても、あなたがたのお考えになつておるように政府でどうこう言わぬ建前をとつておるので、別に修正とは考えておりません。それから日本銀行が普通の商業銀行になるというのはこの前からあるのです。ただ債券発行ということによりまして、勧業銀行を停止したりする政策としては前からそういう方向で行つておりまして、ドツジ氏が来られて特に変つたということはないと思います。ただ今後の金融問題として今までの長期金融機関と短期金融機関とを分けずにやつている今の制度は、これは改めなければならんということは、ドツジ氏も私らも意見が一致いたしました。そうしてその一端として昨年の十一月頃ドツジ氏との話合できまつてつたわけであります。ただ最後的な案が出なかつたのは、資本金出資の問題でごたついた。これと債券発行との兼ね合いであります。ドツジ・ラインがどうこうということはない、私はドツジ・ラインというのは健全財政、これがドツジ・ラインである。デイス・インフレ、デフレもしないが、インフレもできるだけ抑えるということが主眼で、金融面においてどうこうということをドツジ・ラインとは考えていなかつたのです。
  77. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 併しドツジ氏の考え方によれば、やはりあの当時資金の調達の問題は、例えば長期資金その他は自己資金と調達株式、或いは少くとも社債等で賄つて然るべきであつて銀行がそういうことをやる必要はないし、銀行の必要な部分は何も政府銀行なり、特殊な銀行が必要じやないので、一般市中銀行がやればよいというふうな考え方つたのじやないかと思うのですが、それが過去二年間ぐらいの間おやりになつて見た結果、株式による調達ということは殆んど実績を挙げ得ない、或いは更に一昨年は大体株式に重点を置かれたと思いますが、去年は更に進んで社債で調達しようというようなお考えつたと思うのですが、これも或る一定の限界に頭打ちの状態になつた。そこで今一ぺんやはりそういう長期資金でも金融機関自体から出さなければならぬし、而もその金融機関は、政府機関でなければそういうことは不可能なんだというふうな考え方に変つて来て来られたのじやないか、そういう意味ではドツジ氏の考え方なり、今までの日本金融政策、特に産業資金政策に対する非常に大きな転換だ、こういうふうな感じを持つのですが。
  78. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 会社の自己資本の増加ということは我々も前から一つも変えておりません。ただ実際問題として株価の関係で増資がむずかしかつたり、資金関係で社債の発行が思うように行かなかつた、或いは増資がうまく行かんから出資金額によつて頭打ちをしておる、こういう関係はありまするが、自己資本を先ず第一に増加しなければならんということは変りありません。最近におきましては株価は相当上昇して来ております。又資産再評価によつて自己資本も再評価益を繰入れることになりました。これは併し何分にもこれだけではいかんというので、補強策としてこういうことをやる。政策の転換ということでございますが、不備の点を補う、こういうことでございます。
  79. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、まあ今後の日本金融制度の問題ですが、今おつしやつたように、長期設備資金、特に重点的な産業については日本開発銀行というような政府銀行によつてやらなければならんというふうなお考えだと思う。そうだとすると、今後はそういう銀行制度金融制度というようなものに、そういう長期資金を調達する銀行と、それから今の一般民間銀行商業銀行という方向にだんだん推し進めて行くというふうなお考えかと思いますが、そうなつた場合に、更に問題になるのは興業銀行勧業銀行、そういう銀行を今後どういうふうな位置に置こうとしておられるか、それら全部もひつくるめて今後の日本金融制度銀行体制というようなものをどういうふうに編成して行こうとしておられるか、というその点の御説明を願いたい。
  80. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その問題については、只今折角検討中でございます。
  81. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それについて個々的に、具体的にどうということは必要ないと思いますが、大きな構想ははつきりとお示しを願わないと、そういう構想ができ上つて来てからこそ、その国として日本開発銀行の設置の必要が理由付けられるのだろうと思うのですが、その点はどうですか。
  82. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今検討中でございまして、どんなふうにやるということは、ここではつきり申上げられません。
  83. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはいつ頃までにそういう構想なり、具体的な方策をお示し願えるのですか。
  84. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は成るべく早い機会に日本金融制度がこうあるべきだという結論を得たいと思います。大体の肚はできておりますが、こういうようなことでやるというようになりますと、関係することが多いのでございますので、ちよつと今は差控えたいと思います。今年度内、今年度内というと昭和二十六年度中には成るべく結論を出したいというふうに考えております。
  85. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の提案理由説明の中で出資百億円と、それからその後のほうでなお必要があるときは、大蔵大臣認可を受けて予算範囲内でその資本金を増資することができることとなつているというお話でしたが、この点もう少し詳しく御説明願いたい。
  86. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) この開発銀行資本金でございますが、第四條にございますように、当初は見返資金出資金百億でスタートいたしまするが、その後は四十七條にございますように、二つの種類の法定出資がございまして、この復金の資金によつて出て参りますところの法定出資が加わつて参るわけでございます。ところがそのほかに開発銀行が必要があるときには大蔵大臣認可を受けてその資本金を増加することができる、その増加いたします場合には、予算範囲内で開発銀行出資をいたすということになつておるわけでございます。従いまして、差当りは見返りの出資、それから法定出資だけでございますが、将来必要によりましては、或いは見返資金から出る場合もございましようし、或いは一般会計から出る場合もございましよう。そういう場合を想定いたしまして、これは予算範囲内で増資いたして参る、こういう趣旨で仕組ができておるわけでございます。
  87. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、差当り二十六年度にはその問題は起つて来ないのですか。
  88. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) 只今のところは考えておらないのでございまするが、将来又必要が起りますれば、予算範囲内で増資が起るかも知れません。
  89. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからさつきの提案理由の御説明復興金融金庫昭和二十六年度末までに政令の定める日を以て解散するということになつておりますが、これは大体いつ頃解散するというお見込なんでしよう。
  90. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二十六年度中適当な時期でございまするが、開発銀行出資を終りまして、直ちに出発するにいたしましても、四月下旬くらいになると思います。そうしてだんだん体制を整えて来ますと同時に、片一ぽうの債権債務の條件その他を見ておりますので、両当事者が適当な時期と考えるときに、大蔵大臣はそれがいいだろうということになれば、そのようにいたしたいと思うのであります。何といたしましても、八百数十億円の債権を持つております。職員も六百人近い状況でありますので、やはり幾日と日を限らしないほうがいいのじやないかと思います。併しいつまでも延すわけにも行かないので、二十六年度中にという考えを持つております。夏頃になりますか、それとも早く……或いは秋頃になりますか、開発銀行総裁がきまりましてからやつて行きたいと思つております。
  91. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、解散されると実質的には復金が開発銀行のほうに吸収されるような結果になるのじやないかと思いますが、その場合に復興金融金庫の職員その他はどういうふうに処理されるのか、それから復金の役員と、今度の新らしい日本開発銀行役員との関係はどういうふうになるのか、その点を伺いたいと思います。
  92. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは法律にありますように、債権債務は昭和二十六年度中に処理することに相成ります。日の問題は法律できめておりません。役員につきましては、これは日本開発銀行総裁、副総裁総理大臣が任命するわけでございます。これは総裁、副総裁適当におやりになると思います。法律上大蔵大臣なり総理大臣からどうこうという建前ではないと思います。
  93. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 百億の出資ですが、大体いろいろこの電力の話だとか、海運その他の話を聞きましただけでも、百億くらいの数字ではなかなか不十分なような感じがするのですが、それらの点においてそういう不足は生じないのかどうか、もう少しむしろ出資を多くするなり、或いはその出資を多くすることができないとすれば、さつきちよつとお話のあつた債券発行その他の方法で少くともこれらの二倍なり、三倍くらいの資金を運用するに非ずんば、今ここでお考えになつているようなことが実現しないのじやないかと思いますが、その点はどうですか。
  94. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今ここで考えていることは実現しないとおつしやいますが、私は今ここでどれだけのことを考えておるということを申上げたことはないのであります。水力とか、或いは造船は今の予算でやる。併し私企業投資の四十五億……百億は少くとも要る。自分の本心としてはもつと当初から出したかつたのでありますが、いろいろな点から一応まあ百億でやろうということになつたのであります。従いまして、予算範囲内におきまして、大蔵大臣出資を殖やすことができるという規定を特に入れておるのは、今後の情勢に応じて殖やすほうが日本再建のためにいいということになれば、予算範囲内で殖やす考えであります。
  95. 野田卯一

    ○野田卯一君 今手許に配られたのは、業種別、資金別月末残高表というのですが、これは復金の貸付金の残高と思いますが、そうですか。
  96. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) そうです。
  97. 野田卯一

    ○野田卯一君 そうしますと、総額が八百八十六億五千六百万円ですが、これの回収計画一つ
  98. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) 復興金融金庫の二月末の残高は只今お手許にお配りいたしました通り八百八十六億でございます。これは昭和二十六年度におきまする回収計画は五十五億となつております。そのほかに昭和二十三年度でございますが、農林中金が農林漁業に特別融資をいたしまするために農林債券発行いたしまして、これを復興金融金庫が引受けまして、これが昭和二十四、二十五年度に回収されておりまして、現在二十億九千万円でございます。これは先般御審議頂きましたところの復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、これによりまして、昭和二十六年度末までに国庫へ納付すればよろしいことになつております。そういたしますと、二十億九千万円と五十五億円を合せましで、七十六億円が明年度国庫に納まるところの残金でございます。そのほかに融資の利息及び手数料収入といたしまして四十五億が明年度国庫に納まるもので、総額で百二十一億円ということになつております。御参考のために昭和二十五年度における復金の回収状況を申上げますと、本年度は国に百八十七億五千万円の国庫納付金が予定されておりまして、その予算上の予定額のうち百二十六億九千万円が残金の分でございます。これはすでに一月に全部国に納めまして、恐らく三月末までには二十八、九億乃至三十億ぐらいが超過の回収金となるようでございます。私どもの予想よりは相当回収が好成績になつておるわけでございます。それで復金の貸付債券は御承知の通り五年とか、七年とか、十年とか、場合によりましては十五年という長いものもございますので、今度の八百八十六億の回収が完了いたしますのには、やはり十数年かかるというふうに考えております。
  99. 石坂豊一

    ○理事(石坂豊一君) 野田君よろしうございますか。
  100. 野田卯一

    ○野田卯一君 又あとでやりますから。
  101. 石坂豊一

    ○理事(石坂豊一君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            岩間 正男君    委員            石原幹市郎君            岡崎 真一君            野田 卯一君            一松 政二君            安井  謙君            山本 米治君            内村 清次君            下條 恭兵君            永井純一郎君            森崎  隆君            山田 節男君            吉川末次郎君            飯島連次郎君            高良 とみ君            新谷寅三郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            深川タマヱ君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     杉山知五郎君