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1951-03-26 第10回国会 参議院 予算委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)    午後二時五十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員工藤鐵男君、谷口弥三郎君及 び岩崎正三郎君辞任につき、その補欠 として石原幹市郎君、菊田七平君及び 菊川孝夫君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長(波多野鼎君) これより本日の予算委員会を開きます。労働大臣が出席しておられます。
  3. 内村清次

    内村清次君 政府予算提出と同時に自立経済の三カ年計画構想を発表されておりますが、この三カ年計画構想のうちにおきまして、国民生活向上戰前生活水準の約八割七分、九割程度引上げる、勿論これは三カ年後でありますが、この自立三カ年計画構想のそのうちに、七項目基本的な計画内容が出ております一項目が今の問題でありまするが、問題はこの七項目のうちにおきまして、労働雇用の問題につきましては、これは一つも触れていないようであります。勿論これは国民全般生活水準を、只今申しました戰前の九割にお引上げになるとすれば、当然生産増強をする上につきましては、労働雇用量というものはやはり向上しなくてはならん。而も又この雇用量増大から来る生産増強によつて生活水準向上する、こういうような関連性が派生いたしますことは当然でありましようが、これは今の政府政策自体からいたしましても、すでに内閣経過の年月からしまして、この雇用量の問題につきましては、確たるところの基本的な政策が打出されておらない。而も又特に昨年の二十五年度の予算の骨格からいたしましても、即ちデフレ政策の中におきましても、むしろその雇用量というものは激減の傾向になつておる。これはただに生産規模というものが縮小したという問題ではなくして、いわゆる生産部門におけるところの労働強化の面や或いは又雇用量を減らして行くというような一連の資本主義欠陥が、欠陥と申しまするか、本質と申しまするか、そういう問題が起つて参りまして、失業者増大して行くという傾向にあつた、そういうような自由経済方式基本といたしておりまするところの現内閣で、例えば完全雇用というような問題がいつ解決できるかということは、私たちといたしましては甚だ危惧いたしておるわけでありまするが、こういうような問題につきましてさえも、この三カ年計画の中に織込んでないわけでありまするが、これは一体労働大臣といたしまして、閣僚の一人といたしまして、この計画構想のうちに、又これを設定せられましたうちに参画せられておるといたしましたならば、こういう労働者雇用問題をどのような方式を以て解決しようとせられているのであるか、この点につきましてお伺いいたします。
  4. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お答え申上げます。成るほど経済安定の方策が推進せられました三十四年、二十五年の、特に二十五年は上半期でございますが、企業の充実、企業合理化ということで相当雇用量減少を見ましたことはお説の通りであります。ところが漸次その産業合理化が推進せられ、産業基礎が強固になつて参りますと同時に、丁度朝鮮動乱勃発ということも併せた一つの要素となりまして、昨年の後半期におきましては、その堅実化せられた産業のその発展の度合と足並を揃えまして、極めて微弱ではございまするけれども、昨年の後半期より今日に至ります間におきましては、紡績工業、金属工業相当見るべき雇用量増大を示しているようなことでございまして、雇用関係が、労務状況改善せられつつあるといういろいろの統計指標も出ておるわけでございますが、昨年の六、七月頃に比べますと、私どもで最も関心を払つております常傭求職者関係におきましても、日雇の関係におきましても、可なり改善あとを見ておるようなことでございまして、今日におきましては、無論完全雇用ということは理想の到達点でなければならんことは申上げるまでもございませんが、今日地道にこの問題を解決して参りますには、すでに技術を習得している技能者相当部面々々にもよりますけれども、むしろ困難を感ずるというまでになつており、全体の失業者の問題を解決して参ります上におきまして、何と申しましても、無技能者に対して技能を習得せしめることが私は実は大変大事なことである。なおこの三カ年計画に対して雇用問題は細かく出ていないのじやないか、これはお説の通りでありますが、結局しばしば申上げますように、問題の根本は多数の労働者吸收し得る日本産業規模が充実し、拡大せられるのみならず、言うところの完全就業者に加えまして、相当広範な不完全就業者がありまして、労働状態を不安ならしめておる、従いまして不完全就業者就業安全ということが、何においてもこの完全雇用への前提の遂になつておるわけでございまして、私どもといたしましては、少くともこの自立達成計画進行過程において、この不完全就業者就業安定を図り、そうして更に全体的にも完全失業者減少を図つて行くということを狙う以外にないのではないか、かように考えておる次第であります。
  5. 内村清次

    内村清次君 労働大臣のお答えでは、基本計画の中におきまして、ただこれらの部門拡充によつて産業基礎確立をして、そうしてその確立した上において労働者收用をなし、いわゆる失業者收用し、完全雇用に行くまで一つつて行きたいと、こういうような御答弁の要旨だと存ずるのでありますが、問題はこの基本計画のうちにおきましては、繊維増産鉄鋼増産食糧増産、船舶の拡充と、まあこういうような問題があるのでありまして、勿論これは基礎的な産業部門であるということは、これは私が申すまでもないのでありまするが、問題の重点平和産業基礎でありまするところのいわゆる軽工業部門、こういうような平和産業基礎確立が勿論民主国家といたしまして、当然必要でありまするが、そういう部門の、即ちこの拡充というものが何らなされない。而も又こういう部門に今失業者の発生いたしておりますることは、これは申すまでもないことだと存じまするが、いわゆるこの拡充というものが、例えば計画の上につきましては、重点にならなくてはならない問題を、これを逃しておられる。聞いて見ましても、この推進の上に立つてただ失業者吸收するという漠たる御答弁であるとすれば、これは労働者乃至勤労大衆が失望するのは当然なことでありまして、これは労働大臣のお考えと実際の経営者関係のお考えとはまるきり、何と申しまするか、逆な方向に向いておりはしないか。で、ここで質問いたしますることは、一体すでにこれはもう自立計画の一年度に入つておるのでありまするが、今臨時工制度というものが非常に増大して来たはずであります。で、この臨時工の、即ち数は現在どういうふうな状態になされておるか、この点につきまして承わりたい。
  6. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 前段の御意見は、日本産業発展の正常な姿は、どこまでもこの輸出貿易に置かなければならんと、併しこの輸出貿易の、輸出産業趨勢というものは、結局国際情勢によつて左右されて来るということも、けだしやむを得ないことでありましようから、従つて国際情勢に対応しつ日本産業のあらゆる面を固め、発展せしめて行くという方法をとらざるを得ない。これは勿論であります。なおこの臨時工の問題は、先般もお尋ねがございましたが、臨時工として一応使用せられましても、臨時工にはおのずから期間がありまして、これは当然常傭に転化せられて行くわけでございます。一時の極めて短い期間使用期間を設けるということは私は妥当なことじやないか、これは併し細かい統計はどうなつておるか、政府委員から……。
  7. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げますが、臨時工統計のほうは、安定所窓口におきましては、一応常傭労働者のほうに入つておる者もあり、臨時日傭いのほうに入つておる者もありまして、正確な実数を掴むということは非常に困難な情勢であるわけでございます。
  8. 内村清次

    内村清次君 そういたしますと、この臨時工就労関係に対する基準法の問題につきましての労働省の御態度一つ承わりたい。
  9. 中西實

    政府委員中西實君) お答えいたします。臨時工に対します基準法の適用でありまするが、常傭と差のありますところは、解雇予告の場合、臨時に日々雇入れられております者は、大体一月を超えますと、常傭とみなして常傭並みにする。で、一月以内の者につきまして、一応雇入れということで解雇予告の必要があります。それから二月以内の期間を定めて雇われる、これも解雇予告の必要がないという、その点がまあ大きな違いでありまして、ほかは常傭と全く取扱いについて、又保護の点につきましても変りはございません。それで現在相当臨時工がございまして、各方面で一応退職の前あたりときどき問題がございます。最近では臨時工につきまして、特別の收用規則を作りまして、そうして事前にその内容をよく知らしめて、解雇のときにいざこざの起らないように措置するというふうにして、それで大分その間の争いも少くなりつつあるようでございます。
  10. 内村清次

    内村清次君 先ほどの安定局長の御答弁の中に、安定所窓口からの実数においてはまだ把握できないような御答弁でありましたが、私はここに大きな問題がありはしないかと思う。で、これは私たち予算委員会の公式な調査をやりましたときにおきましても、そうであつたのですが、特に又今回運輸委員会で公式に調査に行きましたときにも、すでに名古屋の自動車、即ち特需註文を受けましたところのこういう会社におきましては、これは又特殊な事情もあつた。勿論争議直後の状態というようなこともありまして、人員の整理をやつた直後に特需を受けたと、こういうような点がありまして、いわゆる組合に対しましても直ちにそれを復職をさすんだ、或いは又他から就労さするというようなことができなかつたという関係にもあるのでありますが、事業計画に対しまするところの約三割以上の大きな仕事量がありながら、労働強化労働強化というと語弊がありますが、時間延長をやつてやる。これで特需を解消しておると、こういうような会社もありますし、又一般こういう傾向というものが、相当日本平和産業部面におきましては、よく発生しておる問題であろうと思う。特に又この状態というものは、やはり今後におきましても、相当醸成される問題であろうと思いまするが、即ち各会社、工場の臨時工及び常傭工、こういうものは当然労働省におきまして統計をとつて、その趨勢を見る、而も又先ほど言われましたように、即ち退職時におけるところの、こういう何と申しまするか、非常に不利な状態、而も又これは勤めておりましても、いつ首を切られるかわからない、又仕事の量によつてはどんどん首を切られる性質のものであるし、又次にそこに就労をするというようなことも保証ができないというような立場におるところの労働者の心境を考えますと、ここにやはりに不安を醸成することは当然のことでありますが、そういう点を、これはこういう形態におきましては是正せられるか、経過を、即ちこれを厳密に統計上現わすべきであると私は考えておるわけであります。今回の第四分科会におきまして、丁度労働大臣出席がなかつたわけでありまするが、ここで質問をいたしてみますると本年度組んでありまする緊急対策費といたしましても七十七億五千万円です。これはたしか第九国会におきましては労働委員会の答申を参議院は全会一致これを決議いたしまして、九十六億の予算を早くこれに支給しないと、ここに社会不安が醸成するんだからというような決議もしたはずでありますが、それから比べますと今回の総体的予算におきましても少い。この点につきまして労働大臣はどれくらいの失業者吸收して行かるる気持であるか、この点を明確にして頂きたいと、この決議の面につきましては労働大臣答弁されたようでありましたが、どういう即ち予算確定の間におきまして御努力をなされたのであるか。こういう点につきまして御質問をいたします。
  11. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 来年度の失業対策事業費が七十七億五千万円、今年度がまあ補正を合わせまして実際は五十三億になつておるわけでございます。  昨年の五、六、七月あたり非常な、この日傭就労日数全国平均にいたしまして十五、六日というような非常に憂慮すべき事態にあつた。本院の御決議を頂きましたのも登録日傭者はどんどん殖えて来る、それに就労日数はそういうふうに非常に悪い、そこでまあ御懸念を頂きまして、先般の御決議と相成つたと私は思つております。従いましてこれの改善打開のために政府といたしましてもあらゆる努力を払いまして、予算補正措置も講ずる、これも又朝鮮動乱勃発による民需増大等もありまして、逐月昨年後半期から就労日数も目に見えて改善をせられで参りました。十一月、十二月、一月以降ほぼ全国平均としましては二十日前後の就労日数を確保し得ておるわけであります。併しこの日傭労務者就労日数全国平均二十日前後を確保しておると申しましても、やはりこの失業対策事業費による吸收相当率になつておるわけでございまして、恐らく今日的確なことは私は申上げませんけれども、六〇%近いのが、この失業対策事業による吸收に役立つておるのではないか、私どもの念願としましては、この就労日数改善民需増大によつて改善せられて行くことを望んでおるわけでございます。    〔委員退席理事石坂豊一委員長席に着く〕  併しながら希望と実際とは一致いたしませんので、最大限失業対策事業によつて吸收して行く用意は整えなければならない。そういう上から参りまして、来年度はこの予算を実施いたして参りますならば十六、七万のかたがたはこの事業によつて吸收し得ることになつておりますから、大体今日の状態は持続し得るのではないかと、かように期待いたしておる次第でございます。
  12. 内村清次

    内村清次君 この政府提出されました予算案によりますと、大体十六万五、六千の吸收ができるような計算的な数字になつてつておるのでありまするが、又これも分科会統計をとりました現在の完全失業者の数におきましても、大体三十五万と政府は現わしておられるようであります。私たちの見るところはそれ以上だとこう考えておるわけでありまするが、そういたしまするとこの六〇%の吸收ができてあとの四〇%は或いは公共事業費その他によつて吸收ができるのだと政府考えておられましようが、この四〇%の数字というものはいわゆる完全失業者全体を、政府統計の全体を吸收するだけの数字形態には参らないようである。そうすると今の職業安定所のほうでの自由労働者に対しましての職業斡旋によりまして、大体平均十九日までくらいは向上させてある。勿論少いところは一五・三というようなところもありますが、これは九州関係におきましても、特に又熊本あたりでは十四日乃至十五日と、月に半分しかその就業ができないという状態で、この労働者かたがたが盛んに市及び又我々に対しましても相当の陳情があつておるわけでありまするが、このように政府計画にいたしましても月に十九日而も給與関係におきましては一日百五十円か、まあこの東京地方におきましては二百円程度でありましようが、百五十円くらいの日当を持ちまして、月の半分というようなことではおのずからそこに生活の不安が醸成されておることはこれはもう私たちが申すまでもないことでありまするが、これでは予算全体を見ましても、労働大臣といたしましてはこれでは十分じやないという点につきましてお気付きではなかろうかと思いまするが、この二十六年度におきまして一体労働大臣といたしましては、又あのような即ち職安を通じての労働不安、こういう問題が醸成しないという御断言ができるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  13. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お説のように失業対策事業はそれぞれの生活安定の上に何らの不安のない形で行われておるとは私も考えていない、又失業対策の本筋から申しましても、国としてさような措置をとることがよいかどうかということにも多くの意見があろうと存じます。併し今日の実際から申しますと、或いは府県によつていろいろ財政上の都合もあつて、やりたくてもやれないという所もあるのじやないか。従つてみんな一律に二十日前後の就労日数を維持して行くということもなかなか容易でないかと思います。国としてはできるだけ地方でそういう事業がやり易くなるようにお手伝いをしなければならないと思うわけであります。そのためにこのような努力をして参るし、私はまあこの失業対策事業に関しまする限りは、これはもう関係者の完全な御満足を得るということは事実不可能であろう。又建前からいたしましても、賃金の問題にいたしましても、その地方一般賃金よりも一割、二割低目にこれはきめなければならないということに相成つておりますから、当然そこの生活上の困難、不安というものが少くないことは、けだし止むを得ないと思つております。併しこの各地の実際の賃金にいたしましても、その地方の実情に著しく沿つていないというようなところに対しましては、これは調整いたして参るのにやぶさかではございません。事務当局はさように検討いたしておりますから、そこは手落ちのないようにいたして参るつもりでおります。なお熊本のお話もございましたけれども、御指摘のような事情に相成つてつたようでございまして、二月の途中ではございましたけれども二月からその割当を殖やしまして、相当改善せられている、こういうふうに考えております。
  14. 内村清次

    内村清次君 労働大臣は、現在の失業者吸收職業安定所を通じまして職業紹介をする、指導させるという御計画の中におきまして、今の特需的な即ち生産部面が旺盛になつて来ておりまして、又新らしい特需も最近において相当あるんだというふうな風潮もあるわけでありますが、そういうふうな関係で、この各全国的に普遍的にこの特需が廻つておるということだけは私たち考えられない。そうして見まして特に又或いは農村生産県でありまするようなところでは、やはりこの農村過剰労力と申しますか、相当の数が今農村に入り込んでおる。そういうところが、いわゆる兼業をやつて行かなくては、農村経済からいたしまして、農村自体も困るというような県がありまするが、そういうところには、大体工業部門というものが非常に県單位といたしましては少い。やはりこの特需の景気というものは、或る特異なところに集中して来ておるように思います。併しながら人口の分配、又過剰労働の、分配というものは、これはやはり全国的に普遍的であります。こういうような関係も、労働省のこの職安窓口から見ましても、それがわかるといたしましたならば、この面に対するところの、この緊急対策費分布状態においては、相当御考慮あつて然るべきだと存ずるのでありまするが、こういう点に対しまする御計画はどういうものであるか、お聞きしたいと思います。
  15. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 特需によるこのでこぼこは私もそうだと申上げたいのであります。併しながら、この失業対策事業は、国が計画いたすのではございませんので、地方の自治体において計画をせられ、実施せられて行くわけでございますから、労働省といたしましては地方計画を拜見いたしまして、それを安本関係当局に御相談をして、補助、助成をして参るという、こういう行き方をいたしておるわけでございます。併しながら今御指摘のようなことは十分考えて行かなければなりませんので、その計画が立てられてできるだけ、全国普遍的に行われるようにしなければならない。従つて当初は市或いは町というようなことで実施せられておつたわけでありますが、近来は相当農村にも実施せられているところのものがかなり出て来ております。今後ともできるだけ全国普遍的に同様の取扱をしなければならない、こういうふうに考えております。
  16. 内村清次

    内村清次君 それではあと二つばかり、今川中等学校を卒業されました児童のかたがた就職したいというような、この数が約三十八万、勿論二十六年三月の卒業見込が百八十六万のうち二十八万のようであります。そういたしましてこの求人見込数が十六万というような数字労働省は発表いたしておりますが、いわゆる求人見込数に対しまして就職希望者の数が五九%である、こういう統計になつております。私はこの見込数統計というものを信用いたしましても、問題は百六十八万の卒業者があつて、この兒童は一方におきましては、これは上級学校へ行きたいというその人たちも確かにおありになりましようが、併しその門というものは完全に開けておらないという現実におきまして、漸く学窓を出て社会に大きな希望を持つて出て来た人あたりもあつて仕事をしようとしても五九%、これくらいの状態では私たちは有為な即ちこういう少年男女に対しまして全く現在の機構そのものにつきまして同情に堪えないのでありますが、ただ労働省はこれだけの数字を出されたばかりであつて、外にこれを何とかしてお世話をするというような、又これを解消するというような御施策があるかどうか、その点につきましてお伺いをいたします。
  17. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この学年に卒業される中学校生徒数は百六十八万、そのうち約八、九十万が上級学校希望せられておる。私はこの問題を非常に心配しまして、この上級学校に進まれるかたが一体上級学校定員数がどうなつておるかというところを調べて見ますと、ほぼ大体この上級学校に進みたいというかたと上級学校收容人員というものは見合つておる。そのほうはそれでいいとして、残り安定所を通じての就職をいたしたいという希望のかたが二十八、九万ぐらいある。御指摘のように一月の集計を以てしますと、これに対する見合い求人数が十六、七万、五九%というような工合になつております。全く御意見通り、新たに世の中に巣立つて行かれるかたでございますから、何をおいてもこの諸君ができるだけ適職について頂くようにしなければ、国として大変であますから、職業安定所の総力を挙げてこの求人打解に今非常な努力を願つているわけなんであります。昨年は求職希望者に対する就職者の割合が大体六〇%に満たなかつたというような状態でございますから、今年は先ず一般職業斡旋も大事であるけれども、ともかくもこの新たに世の中に巣立つ人たちに対して全力を挙げて頂くように督励をいたしておりまして、少くとも八〇%、八五%くらいまでは職業安定所努力によつて一つ就職ができるようにいたしたい、こういうことを目標として、これは五月まで連続して御協力願うように手配をいたしております。なお、このうちの約一万人くらいのかたがた労働省で助成いたしてやつております職業補導所に入所せしめたい、そうして就職の機会を容易ならしめたいという考えで只今努力いたしております。
  18. 内村清次

    内村清次君 今日のニユースに、電気産業労働組合が、中央労働委員会調停案を拒否して、そうして闘争宣言を発したということが出ておつたわけでありまするが、これはただ單なるこの賃金向上の要求の問題であるかどうか、又只今どういうような経過に相成つておりますかどうか。その点について政府態度を……。
  19. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨年の夏以来、電産の賃金問題その他に関して調停にかかつておりまして、紛争が続いておつたわけでありますが、三月九日に調停案が提示せられ、この調停案に対して会社側のほうは一応條件付きで受諾をする、併し労組側はこれをたしか拒否せられたというような情報が私のほうにも入つているわけであります。併しその拒否せられた理由は、賃金の問題にも或いは間接的に関連して参るかもしれませんが、直接賃金の問題ではございませんで、この賃金実施に伴う企業経営のあり方、合理化と申しますか、これに対する意見が異つて労組側の拒否ということに相成つておるようでございます。中労委の中山会長調停をせられている、心配をせられているわけでございまして、或いは再斡旋というお考えもあるようでございまして、私といたしましては今暫くこの推移を眺めました上で、政府として対処して参りたいと、こういうふうに考えております。
  20. 内村清次

    内村清次君 大蔵大臣と運輸大臣に、実は御答弁をお願いしたいのですが、今回の国鉄の予算の工事費関係におきましては、総体的には二百九十一億五千百万円組んであります。ところがこの中に新線の建設といたしまして三億二千六百万円、これだけしか上つておらない、而もその工事予定は津軽線、それから赤穂線、窪川線、この三線しかありません。終戰前にこの鉄道の未完成で、路盤はでき、橋梁はでき、あとは枕木、レールを敷けば立派に完成するというような線路、特に又隧道関係においても、隧道も途中で掘り放しであと放置してあるというような線路、こういう線路を併せまして約数十線そのまま放置されてあるようであります。この未完成の線路に対しまするところの要望というものは、これは第一国会以来請願といたしましても、相当地元においては熾烈な要望があつて出たことはすでに両大臣も御承知でありましよう。勿論これは国家の財政の都合上というような御答弁で今まで、放置せられて来ておつたわけでありますが、第九国会におきましては、いわゆる国民の要望熾烈な観点と、同時にもうすでに終戰後今日の状態になりました関係において、いわゆるこの公共の即ち問題を普遍的に地方にも滲透さして行かなければならない、こういうような考えからいたしまして、第九国会におきましては、全回一致を以てこの新線建設の問題は決議となつて現われておることも両大臣は御承知の通りであります。而もそのときにおきましては、大体今回の予算面におきまして、四十億くらいの予算を組んで、そうしてその国民の希望を達成して行こう、勿論これも全般的な完成にはならないのでありますが、そこに持つて行こうというようなお話もあつた、これは提出をいたしました議員そのものもよく委員会におきましては発言しておる問題であります。それが今回三億くらいの予算だけしか認めていない、こういうような状態におきましては、一体この新線建設というものがいつになつたならば解決するかということは、なお且つ熱望しておるところの、国民の待望しておる問題のようであります。そこで大蔵大臣におきましては、今回の国鉄法の改正によりまして、当然いわゆる鉄道公債、このようなものを発行するというようなことが今回の改正でできるようになつて来た。これは大蔵大臣の承認さえあつたならば、調査ができるというような状態になつて来た。又一方問題をこの企業体自体の性格から考え、又国有という性質から考えて見ますると、こういうような新線建設というようなものは国民全般の要望であるし、国といたしましても、是非ともこれは国有国営でやるべき性質のものでありましようが、この性格からいたしましても、一般予算を以ちましてこういう建設線というものは解決して行かないと、今国鉄の公共企業体に対しまして、独立採算のみでやつて行けというようなきつい枠をはめておられるといたしましたならば、これはいつ一体解決するか、とてもできない、むしろこれは運賃値上をして、そうして剰余金を作つて收益高を高くして、そうしてその中から建設をして行かなくちやならんというようなことになりましたならば、到底これはいつ完成するかわからない問題でありまするが、大蔵大臣といたしまして、この点公債発行或いは又一般予算からこういう建設問題は解決して行くというようなお考えがあるかどうか。又運輸大臣につきましては、こういう点に対しまして、どういうお考えを持つておられるのであるか。これは是非私は総理大臣にもお伺いいたしたいわけでありますが、重大な問題でありますので……。
  21. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 予算或いは公債発行というようなことにつきましては、大蔵大臣より答弁申上げることになりますが、新線という面から運輸大臣としてお答えをしておきたい、こう思います。御指摘通りに国民の新線に対する要望と、即ち政府の尊重してその線に沿うて施策を進めたいとする点は、全く一致いたしておりますので、前議会等において、両院において新線の建設について熱烈なる御決議がありましたことに対しましては、政府当局としては全然無條件で御決議に対しては賛意を表しておるような次第であります。併し新線を建設すると申しましても、御承知の通りに今日なお今から二十年も前に制定せられたと考えられる鉄道敷設法が現存いたしておるのであります。実は政治家としても、長い戰争の間に今なお敷設法が生きておるかというようなことを自分みずから疑うような、古い経済状態、国情の下に制定せられた敷設法が生きておるのであります。而も戰後における日本自立経済復興の情勢から考えて行きまするというと、二十年も前の敷設法に最善なりと信ぜられて数え挙げられたところの路線を、ことごとくその通りに今日の現下の情勢に適切なものなりとは考えられないのであります。更に又御指摘になりましたように、或いは路面ができておる、或いは一旦敷設したるレールを引剥がした、停車場の敷地もできておるというようなものもあるのでありますけれども、    〔理事石坂豊一君退席、委員長着席〕  これらも敷設法に掲げられた線路と同様に、今日の国情或いは今日の経済情勢等に照し合せて、再検討をする必要が十分にあるのであります。更に又その再検討と共に国家の予算の面からも考えて行かなければならないのであります。只今内村委員から国有鉄道が独立採算制で押切つてつて、金がなければ、余らなければ新らしい線ができないじやないか、百年河清を待つというようなものじやないかという意味のお尋ねがあつたのでありますが、私も全く同感に考えるのであります。即ち路線の再検討という点、併せて国家財政が応じ得るや否や、又国有鉄道の経営状態はこれに応じ得るや否やというようなことは、再建日本の途上において根本的に一つ衆智を集めて検討をして、新日本に応ずるだけの鉄道状態に持つて行かなければなるまいかと、かように考えておるのであります。丁度国会におきましても、只今新線建設審議会の提案の準備が着々進められつあるような次第でありまして、只今申上げたようなこの国情に応ずる新らしい線の選択、或いはこれに対する国有鉄道の財政状態、或いは国庫の財政状態等も十分その審議会において審議をして、そうして最も正しい妥当なるもの、適当なるものを選び上げて進めるということでなければなるまいかと考えるのであります。  なお又、このたびの予算には津軽線、赤穂線、窪川線というような僅かな線だけしか計上されておらなかつたというお尋ねでありまするが、あれらを計上するような当時においては、丁度予算編成の時期等の関係もありまして、あれ以上にその他のものにまで検討を加えて計上して行くという時期的にもその段階に進んでおらなかつたのであります。而もあの三線は極めて短い距離の新線でありまして、あの短い距離の新線を敷設することによつて他のそれに繋がるところの長い投資を活かして来ることになるのでありますので、これらは大きく言えば、新らしい日本の鉄道建設に当つてはどうしてもやらなければならない、而も経費は多く要しないで、効果においては非常に効率的であるというような点から、できるだけ多少なりとも新線を敷設するという方向に向いたいという狙いから、予算にも計上したような次第なのであります。以上であります。
  22. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 鉄道の新線建設につきましては、運輸大臣から申された通りであります。我々も従来熱望しておつたところであります。然るところ、漸く二十六年度よりその実現を見るように相成つたことは誠に喜ばしいことだと思います。今後におきましても、私はできるだけ利用価値の多い所に早くやりたいという気持を持つております。従いましてそういう考え方から言つたら独立採算制とぶつかりはしないか、こういうお話でございますが、これは今年の今御審議を願つておりまする昭和二十六年度の国鉄予算におきましても、一般会計から二十億円を出しておるというようなことから考えましても、私は新線建設、経済復興という意味から言いますと、必ずしもこの新線建設は独立採算制の下でないと行われんということではないのであります。これは我々の考え方は、御審議中の予算を御覧になつてもおわかり下さると思うのであります。併しそれだと言つて重い税負担を忍んでまでどしどしやつて行くかという問題、或いは建設公債をどんどん出して新線をやる、物資不足はかまわん、こういうようなことも又とるべき策でない。できるだけ新線建設という方向に向つて努力すべく、いろいろな点を調整して行きたいという考えでおります。
  23. 内村清次

    内村清次君 大体におきまして、今大蔵大臣の考え方につきましては満足するのでありますが、是非一つ建設問題につきましては今後とも御努力願いたい。今一点お尋ねいたしますことは、この予算総則の問題であります。今回の国鉄職員に対しまする給與の部面におきまして、はつきりと異なつておりますることは、同じ公共企業体にありまする専売公社の職員に対しましては、年末給與の問題がこれに明記されてあります。年末手当を出すという問題も明記されてあります。ところが十三條におきまして、日本国有鉄道の役員及び職員に対しては年末手当は支給しないとここで又明確に規定してある。これがどういう即ち見地からこういうふうなはつきりしたことが謳われてあるのか。すでにこの両企業におきましては、この公共企業労働関係法という問題の中に二つとも総合せられておりまして、その性格におきまして同一な問題であううと思うのでありまするが、これが支給部面におきましては、はつきりと違つておる。而も今回の一般予算の中におきましても、公務員の給與につきましても、年末手当の問題の予算も含まれておるやに見受けるわけでありまするが、このように過去の状態考えて見ましても、当時の当事者であられましたところの大蔵大臣及び運輸大臣におきましても、国鉄の裁定問題につきましても、殆んどこの国会の大きな重要な解決をせなくてはならないという項目一つのような過去の実績を考えて見ますると、そういうような裁定をするまでに持つて来るようなことを特に謳つて来るということは、私は政府といたしましては本当に不手際ではなかろうか、これはひとしく五十万の国鉄職員の人たちが関心を持つておる問題でありまするからして、この点につきましての両大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  24. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは内村さんよく御存じだと思うのでありまするが、国鉄の裁定を履行いたしますときの経緯にこれは胚胎しておるわけでありまして、昨年の暮におきまして各政府職員とも半月分を出す、従つて国鉄職員についても半月分を出すという問題があつたのでありまするが、その際におきまして予算上、資金上なお可能な面があるのではないかというようなことに相成りまして、御承知のように、たしか四十五億の金を出したわけであります。従つて年末手当はその際においては出さない、つまり国鉄職員につきましては裁定を履行いたしまして、年末手当というものは出さないということに方針が確立されたわけであります。従つて国鉄裁定の履行の結果といたしまして、そういうことになつておるのでありまして、これは専売公社と或いは建前が違うとおつしやるかも知れませんが、それはおのおの公社公社の特質によるものでありまして、必ずしも全部がそうでなければならんというようなことはないと考えております。
  25. 内村清次

    内村清次君 その問題につきましてちよつと……、これは又あとで大蔵大臣から総括的に一つ答弁をお聞きしたいのですけれども、私は今の考え方というのは、やはり私が最初質問いたしましたように、非常に不均衡じやないか、昨年の即ち裁定の実施に当りまして四十九億、四十五億とおつしやつたが四十九億、それだけは頂きました。非常なる努力で、両大臣も、大蔵大臣は最後に御努力願われた。ところがこの四十九億というのは御承知のごとく、第二次裁定の全額から考えて見ますると、これは当然金額に見積りまして百十億くらいの金額というものは支払われなければならない。これは第一項、第二項を見て頂きますると、よくおわかりでありましようが、こういうような即ち金額から四十九億、約四六%だけ支給をする、勿論当時は年末でありました。年末のために、これはよく大蔵大臣も御承知でありましようが、そのために更に国残が年末手当を要求したならばちよつと困るのだ、又他との振り合い上も困るのだというような経緯があつたことは十分存じております。併しながら裁定といたしましては、四六%で非常に不満ではありました。勿論残額は、これは組合といたしましても、あとにおいてこの不履行の点につきましては、何か一つ要求をしたいという心がまえになつたことは、私が申すまでもないことでありますが、国会におきましても、参議院においては不満ながらこの四十九億の裁定承認に対しまして、承認したわけであります。こういうような経緯を持つておりまして、その裁定によつて、即ち年末手当を今後自分たちは受けない、今後受はないというような考え方を出しておつたのじやない。又政府が、年末手当は、裁定によつてこれは解決する問題であるからして、もう年末手当は国鉄は要求をする問題ではないというようなことに断定したところの問題でも、国会といたしましてもなかつたはずであります。そういたしますると、先ほどから言いましたように、同じ企業体の職員に対しましては年末手当を出す、国鉄だけは出さないというようなここに偏頗な問題を明記されておるということは、どうも経緯におきまして、大蔵省のあなたがたが考え方が違うのじやないか、又認識が御不足じやないか、国会の裁定というものを、本当に公平な見地からその経緯を見ていらつしやらないのではないかと、私たちはこう考えるわけでありまするが、問題はもうここに予算総則の中に提起されてありますが、即ち同じ性格のものを、なぜこれを違わせておられるのか、この点につきまして一つ大蔵大臣から……。一
  26. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のように専売公社或いは一般政府の職員に対しましては、半カ月分の年末賞與を計上いたしました。併し国鉄関係の職員につきましては、計上いたしておりません。それは先ほど主計局長の答えた通り、去年の裁定に基くものであります。もう一つ見方を変えて行きますと、専売公社のほうは、この一月から千円のベース・アツプをいたしていない。今度裁定がありまして政府は呑んでおる、一月から千円のべース・アツプの裁定を呑むことにいたしておるのであります。こういうように片一方は、千円のベース・アツプを国鉄は一月からやつておる。併し専売公社のほうは一月からいたしておりませんので、今度の裁定によつてやる、こうなつておるのであります。これはやはり公共企業労働関係法によりまして来るのでございます。我々といたしましては、初めあなたのような考えで、国鉄も半カ月分、そうして来年も半カ月分ということに、裁定に準拠し、而も予算上、資金上、可能なりと断定してそうやつてつたのであります。そこで私はおのおの国鉄公社、専売公社別個の立場で行つておりますので、大体の見方といたしましては、合せたいという気持はありますが、やはりその特殊の関係になつておりますので、皆右へ習えというわけにも行かないのであります。専売公社の千円ベース・アツプを大蔵省はなぜやらなかつたか、こういうお叱りを受けるかも知れませんが、実は裁定の関係でやつていなかつた。最近裁定が出まして、その裁定に従つて一月から裁定によるベース・アツプをやる、こういうような以前からの関係があることでございますから、そうなつておるのであります。何も国鉄ばかりやつたのじやございません。大蔵省においても、専売公社の一月からのベース・アツプはいたしておらなかつた。この点で御了承願いたいと思います。
  27. 内村清次

    内村清次君 今の大蔵大臣の言葉では、ちよつと了承できません。これは大蔵大臣も答弁されますうちに、少し矛盾をお感じになつただろうと思いますが、これは経緯の状態においてはよく御承知でありましようが、国鉄は第一次、第二次と、次々と……、僅か第一次のときに三億だけもらつた。これも三億というものも何も裁定の何ですか、極く一部の内金とも言われないような性格のものであつた。ところがその当時は、御承知のごとく専売は、全部裁定は大蔵大臣も御承認になつてもらわれた。そこで今回一月からの裁定の専売の問題は、又閣議で御了承になつた。すると裁定問題につきましては、どちらのほうも先ほど言つたように、国鉄は僅か四六%で、一応裁定という問題はこれで解決したようであります。国鉄のほうは非常に少い額で解決したようでありまするが、ただ問題の生きておりまするのは、ここに総則において、国鉄職員には年末の手当はやらない、專売のほうには出す、こういうふうなことは、やはり論理の中におきまして残つた問題になつておる。そうしますと、大蔵大臣はすべて両企業においては、裁定によつてこういう年末及び給與の問題は解決して行くのだというお含みがあるようでありますが、その通りでありましようか。
  28. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 全部裁定によつてやるというわけのものではございません。裁定は出るか出ないかはわからないのであります。裁定が出たときのことによらないといけませんが、専売公社においては半カ月の計上をし、国鉄におきましては計上していないということは、只今お答えしたようなことに基くのであります。
  29. 内村清次

    内村清次君 私は政府のお気持というものが、御承知のごとく、裁定まで持つて参りますることは、いわゆる公共企業労働関係法規におきまして相当の月数がたつわけであります。いわゆるこれは一つの争議形態に移行しなくてはならない。そこで私たちといたしましては、この国民に至大の影響を及ぼしまするところの国鉄の企業というものが、いわゆる従業員のほうにおきまして、争議形態に持つて来てその中から生ずるところの紛争のための影響を国民に及ぼしたくないというのが、私たちといたしましての考え方であります。それは又大蔵大臣も、政府の当路者といたしまして、特にそういうお考え方だろうと思うのでありまするが、そういうようなことを考えて見ますると、やはりその額の如何は問わず、これは又額は要求するものがありますれば、額の増大ということにもなつて参るのでありましようが、一応はやはり他の国家公務員又は専売公社の職員のかたがたと同じような待遇状態、まあ特に私たちが主張いたしますることは、そういう企業に、重要な企業関係しておりまするところの職員の、その職責の点を考えましたならば、私はなお且つ、この面だけは政府のほうでは留意さるべきが至当であろうと思うのでありまするが、今の御答弁だけではどうしても満足が行かないのでありまするが、この予算総則の問題を是非解決をするというようなお気持ちがあるかどうか。まあこの点は一つあとで運輸大臣も是非一つ答弁を願いたいと思いますが、大蔵大臣に先ず伺います。
  30. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 公共企業体のあれから申しまして、必ずしも右へ習えという気持ちは持つておりません。それでは裁定が出るのを予定しておるかというと、予定もいたしておりません。事情々々によつて裁定が出ましたときには、又いろいろな点から考えるというだけであります。
  31. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 運輸大臣といたしましては、昨年度第三次裁定の実施によりまして、一般公務員とはおのずから違つた給與体形の形がここに出ているわけでありますが、二十六年度においては、御指摘のように年末手当というようなものの計上はありません。併しこれは実際に即して、国鉄の今後の予算実行の経過、或いはその模様を十分見まして研究を加え、国鉄職員をして窮境に陥らしめないように手配をいたして行きたいと、こういうふうに考えております。
  32. 内村清次

    内村清次君 もう一つ、大蔵大臣に実は私も要望いたしておきますですが、私たちも今までこういう経緯の問題というものは、恐らくこの吉田内閣の何と申しますか、存続期間中においてもう起したくないという気持です。そういうような、即ち相当深刻であつた。起したくない、成るべく起したくないという私たちも気持で、もう裁定問題につきましては、何回もこの国会では、四国会に亘りましての問題であつたのでありまするからして、もうこういうような裁定問題に対するところのお互いの、何と申しまするか、激しい気分というものは起したくない、こういうのが私たちの念願するところでありまするが、併し只今の大蔵大臣のお言葉によりますると、やはり年末におきまして、或いは又もうすでに国鉄の労組におきましては、現在の賃金ベースに対しまするところの要求を出して、それぞれ手続をとつておるようでありまするので、どうか一つこの第一條にありまするような公共企業体の各関係者はやはり最大の努力を払つてこの問題を解決するようなほうに一つ向けて頂きまするように、私は特に国民のために要望いたしておきます。今の御答弁ではどうも私はまだ不満な点があります。
  33. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 昨年の暮にこういう問題が起るかと思いまして私も国鉄のほうも半月分で右へ習えいたしたかつたのであります。然るところ、これはどうも一カ月近く出さなければいかんと、こういうので、ほかの職員は専売公社を初め、半月分であつたのに、国鉄は一カ月であつたのであります。かるが故に今いろんなこともございまして、総則に書いてある通りなつたのであります。今内村君のお話によりますと、昨年暮は、一カ月は公共企業体の関係で、よそは半月分なのに自分の所は一カ月、今度はそれをほか並に半カ月というのは、これはなかなか鉄道の経理がうまく行けばよろしうございますが、いいときはたんまり、じやございませんが、公共企業体のあれで、予算が出たと、それがいいか悪いかわからないが、どうもよそと同じように均霑しようというのは、今の状態では少し早過ぎるんじやないかと、これは忌憚なく申上げますと、経過がそうなんであります。だから過去のことを一つ考え頂き、あの一カ月近くかかつた事情をお考え頂き、二十六年度はどうなるかということをお考え願いたいと思います。
  34. 波多野鼎

    委員長(波多野鼎君) 内村君にちよつと申上げますが、大蔵大臣は司令部関係に用があるので……。
  35. 内村清次

    内村清次君 わかりました。そう言われますと、大蔵大臣は年末に一カ月やつたんだと、国鉄に予算の余裕があつたからやつたんだと、こういう頭で一ぱいのようですが、私が言いますように、大体百十億くらいの裁定の額に対して、四十六億裁定を履行した、私たちは一部履行であつた考えておるのですが、衆議院の関係におきましてはこれで打切るのだ、これでもう十分だと、国会の判定まで持ち込まれました。これは十六條の政府の見解でありまして、こういうように一カ月やつたんだと、だからこのたびの半カ月分は予算総則において明記しないというようなお考え方は一つ捨てて頂きたい。あれでも国鉄の職員は不満であるけれども、それで一応、何と申しまするか、納得いたしておるわけでありましてこれは新たなるところの予算総則の問題で、やはり慣行といたしまして基礎的に認めて頂きまして、やはり年末等には日本事情としてはどうしても余剩剩な支出があるからして、これを何とか一つ支給してやろうという政府の或る程度状態がここに盛り込まれるといたしましたならば、それを均霑してやつて、而も同じ企業体でありまする以上は均霑してやつて頂いてはどうかということに、問題を一つ考えになつて頂きたい。そうしてまあ国鉄の、企業体の国民に及ぼす問題をお考えになつてつて頂きたい、これさえして頂きましたならば、今国鉄の職員たちがこの予算総則を何とか改正してもらいたいというような、大きな運動形態というものは生まれて来ないと私は存ずる次第であります。以上どうかその点だけは一つ考えから除いて置いて頂きたいと思います。
  36. 波多野鼎

    委員長(波多野鼎君) 大蔵大臣はちよつと司令部関係に用事があるそうですが……。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 一点でいいのですがね、それでは大蔵大臣が退席されますから、大蔵大臣に関係した問題と労働大臣に一点。先ず大蔵大臣にお伺いいたします。実はこの進駐軍の要員に対する失業保險を支給してもらいたいという請願が参議院に出されまして、労働委員会で採択され、今日本会議で委員長報告が終えたわけでありますが、この第四分科会でも申上げましたのですが、大臣いらつしやらなかつたのですが、進駐車の労務者を失業保險にかけるということは、これはもう講和條約が締結された場合には全員失業するからして、まあ二十数万という者が一時に失業したような場合には、全部失業保險分を支給しなくちやならんということになると、これはもう大変な金が要る、従つて保險経理の点から言つてもこれも不可能であるということであつたのであります。更に今回この失業保險の問題について請願を出しまして、参議院ではこれが通過いたしたのでありますが、私は過日ダレス氏がこちらに見えまして、今日の新聞なんかを見ましても、やはり将来日本に対してアメリカ軍が駐在すると、それから日米協同防衞の立場から言つても、たとえ現在のように終戰処理費による労務の提供はないにしても、やはり将来この日米協同防衞の立場から、施設並びに労務の提供ということは、これは今後も私は行われるだろうと思うのであります。そういうようなところから考えますると、現在の進駐軍の要員がそういつた方面にトランスフアーされるということになれば、私は二十数万の者が講和條約によつて一時に失業するようなことはないと思うのです。従来これは労働省も保險経理の立場からこれに対して余り賛成のような気持はなかつたのでありますが、又一面大蔵省においては、やはりこの僅か二十六万としましても三億円足らずの金が要るわけでありますが、今日の情勢から見て、私は進駐軍の二十六万に近い労務者に対して失業保險を適用するということに是非お願いしたいと思うのでありますが、大蔵大臣としてこの問題に対してどういうお考えをお持ちになつているか、労働大臣より先に大蔵大臣に一つお伺いいたしたいと思います。
  38. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 進駐軍労務者に対しましては、当初から退職金を出さぬことでお雇いしておるんじやないかと私は記憶いたしております。主計局長より細かいことはお話いたします。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 進駐軍の要員に対しまして失業保險に加入せしめるようにという請願御採択の御趣旨は尊重しなければならないと存じますけれども、失業保險に加入する、加入せしめないということは、私どもは保險経営の実際からその問題を考えていないのでございまして、要しまするのに、一般公務員と同様に、退職時において公務員の受けておらるる同様の待遇がスムースに受けられるようにすることが一番大切じやないかということで、その面に向つて努力をいたしておるわけでございまして、只今失業保險のほうに加入せしめるというふうには実は考えていないのであります。やはり一般公務員との関係から申しましても、只今申しますほうに努力をいたし、円満に退職時の待遇を考えることが、正しい扱い方ではないかと、かように考えておるわけであります。
  40. 山田節男

    ○山田節男君 大蔵大臣はよろしうございます。併し退職金はこれはもらうことになつておるのだから、これはお間違いだろうと思います。今の労働大臣の御答弁だと、公務員に準じてやると、然るに、まあ成るほど健康保險、それから厚生年金の適用はあるわけでありますが、労働者災害補償保險法も適用されておらん。それから共済組合というものも公務員にあるが、その共済組合というものもない、そういうものに対して、而も実際はこれは日給であつて、公務員とは全然違う。日給者です。そういう者に対して失業保險をかける必要はない、今保險経理の関係でないとおつしやつていますが、これは今までの労働省の解釈と非常に違うと思うんですが、そういうような保險経理の点においては反対じやないと、そういうことが反対の理由じやないとおつしやいますが、これは従来の労働省の見解とは違うと思うのですが、どうしてそういうことになつたのか、それをお聞きしたい。
  41. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げます。この前の予算分科会でも種々質問があつたのでありますが、その時お答え申上げましたように財政の都合もありますが、それと同時に一般の特別職の公務員との調整を図ることが先決ではないだろうか、これは山田委員の御承知のように、懲戒免官等になりますと、失業手当をもらえない、こういつたふうな問題がありますので、先ずその問題を解決して、一般の特別職の公務員との調整を図る、これが先決ではないだろうかということを考えておりまして、目下特別調達庁と連絡の上、関係方面と協議をいたしておるような次第でございます。
  42. 山田節男

    ○山田節男君 まあこの問題は参議院で請願が採択された以上は、今後の問題として労働省に十分折衝になるから、これで打切りますが、先ほど内村委員質問のありました例の緊急失業対策に関しての問題でありますが、この来年度の予算に計上されておる七十七億五千万円、これは四期分になつておるわけでありますが、まあ四期分とすれば三期だけは十九億五千万円、あと十九億円使えるわけでありますが、この七十七億五千万円というものを、一年四期等分でお使いになるつもりであるかどうか、それからなお第一期分、例えば十九億五千万円として、それに幾らの予備金を予定されておりますか、この点お伺いしたい。
  43. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お答え申上げます。七十七億五千万円を機械的に四等分をして、そうしてこれを使つて行くというやり方はいたさないつもりでおります。実際この日雇労務者の就労の状況も見なければならず、且つ又地方自治体における実施計画にも待たなければなりませんから……、併しながらできるだけこの予算を節約して、而も緊急の措置を誤らないように、使つて参りたい。従いまして労務状況によりまして或る期においては四等分よりも少く、或る期においては四等分よりもずつと脹れるという場合も考えて参りたいと、こういうふうに考えております。
  44. 山田節男

    ○山田節男君 先ほどの内村委員質問のときにも労働大臣の御答弁があつた中に、給料はこの失業救済のために払うべき賃金は、これは一般労働賃金よりも一割かた低いのは当り前だ、これは私もそう思うのでありますが、併し就業日数の問題にしても先ほど内村委員指摘されましたように、全国的に見ると非常に不公平な点があるのであります。そういうふうなことからすれば、これは私は多分、今大臣のおつしやるようにその季節において労働の需給に応じて伸縮性を持たすという御意見で、これはできれば結構なことだと思いますが、これは併しやはり私は一期、二期、三期、四期と大体ぴつた計画を立てられて、そうして昨年もすでに二十五年度の第一期のときに初め四十億で、十億、十億としておられたものが、第一期、四月から六月までにもうすでに三億も四億も足りないというのが、これが実情だつたのです。私そのときにもすでに労働省へ行つて再三、労働大臣がそこにおられたかどうかよく記憶していませんが……、こういう問題が私は必ず起きて来ると思うのです。ですから今大臣のおつしやることは非常に伸縮性を持つておられるような御答弁でありますけれども、これは私は非常に危險じやないかと思う。これは後ほどちよつと又質問しますが、どうも私は自由党の吉田内閣労働政策に対する認識が非常に誤つているのじやないか、かように私は思うのでありますから、大臣がさような御計画であることをおつしやるのでありますが、この点私は更に再検討して頂きたいと思うのです。それからもう一つこれはやはり進駐軍の労務者の問題でありますが、前の予算委員会で私はこのドル建予算、いわゆる特需と申しますか、アメリカが日本のほうへ、請負者にダラーを払つていろいろなサービス或いは生産的なことをやつておる。この問題より更にもう一つ特殊な問題をやつている。と申しますのは、例えば進駐軍、アメリカの軍が直接例えば港湾の荷役であるとか、或いは家事労働をしている例えば女中だとかコツクだとか、こういう者を軍が直接雇うのであります。ダラー、コントラクトでもないのであります。そういう場合には雇用者、軍乃至個人が契約を個人方々に結ぶのであります。これを軍のほうではいわゆるカテゴリー・スリーの労働者、第三カテゴリーの労働者と申しております。これは労働條件を見まするというと、いわゆる雇用者、軍乃至アメリカの軍当局の個人対日本人との労働契約になる。それを見ますというと非常に一方的な契約であつて労働基準法に違反するようなことがある。例えば賃金問題にしてもいわゆる一般職種別賃金と申しますか、プリヴエイリング・ウエイジの告示があるにもかかわらずこれに準拠しない。或いはその他の労働條件にしましても退職手当も、解雇手当も出さない。こういつたよう労働基準法に全く違反した、こういつたようなこの労働者のいわゆる雇用関係というものは、果して日本の法律で規正し得るものかどうか、これは労政或いは労働基準に関する問題でありますが、この点で労働省の見解を一つお示し願いたいと思います。
  45. 中西實

    政府委員中西實君) 只今の軍並びにその附属の職員が直接雇つております者についてのことでありますが、これはポツ勅によりまして結局そういう人たち、軍並びにその附属職員には日本の法律の適用はございませんので、従つて基準法の適用もないということになるわけであります。併し同じく日本の中で雇用関係にありますので、でき得れば基準法の保護は受けさせたいというような気持から、関係筋には、そういつた法律的には適用のないものでありますけれども、成るべく基準法の趣旨に準じた扱いをしてくれるようにということは申入れてございますが、法律的に申しますと、只今申しましたような関係になつております。
  46. 山田節男

    ○山田節男君 これはむしろ質問と言うより意見になると思いますが、今大蔵大臣もおられませんから、労働大臣だけの質問になりますが、労働省の二十六年度の予算を見ても私は非常に失望したのです。成るほど職安関係の緊急失業対策費は昨年よりは二十億円殖えているということは、これは予算的に見れば一つの進歩でありますけれども労働省のいわゆる労働行政全体から見れば私は労働省一つのマンネリズムに陥つておるような気がするのであります。労働省の公務員諸君は多年熟練されて相当優秀なかたがおられるのでありますが、どうも労働行政というものが科学的でない。依然として陥落的な労働行政、何らイニシアチブをとつておらない。殊に経済自立計画ということになればこれにマツチする、これにミートする労働行政というものは当然政府として立てなければならない。然るにこういう方面から見ましても、また予算的の面から見ましてもどうも労働行政というものは積極的でない。非常に科学性を欠いておるというふうに私は痛感するのであります。こういう点から見まして私は吉田自由党内閣がどうも労働行政に対してまじめなと言つては語弊があるかも知れませんが、もう少し真剣になつて考えるべきじやないかと、かように思うのでありますが、まあ労働大臣として現在の労働省の実情と、各行政部門の現状について決して満足しておられんだろうと私は思う。併し若し労働大臣にしてこの経済自立計画から申して、それから来るべき講和條約の後における日本が独立してからやはり独自の労働政策というものを、組合対策にしても或いは労働基準法にしても私は独立の日本としてのいろいろな労働政策考えるべきであると思います。若し労働大臣が現在の労働行政をこれを以て最上なりと見ておるか、又最上でなくてこれに対してこうこうこうというような一つ改善策を持つて有能な公務員をこういうように一つ働かせて行く、もつと科学的に労働行政をするためにはこういうことをやるという何か具体的な案があれば一つお示しを願いたいと思います。
  47. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 労働行政がマンネリズムに陥つてしまつて活気がないじやないかということですが、活気があるかどうかわかりませんが、労働省設立後まだ日が浅うございまして労働行政確立のためには労働省の方々には書夜分かたず努力いたしておる、講和後における日本労働政策のありかたについても、事務当局においてそれぞれ検討をされておる。私は来年度の予算に、今日の労働行政を推進して参りまする上に非常に支障があるというようには考えておらんのであります。無論日本労働行政を強く推進して参りますためには、労働省、事務職員の非常な努力を待たなければならんことは、これはもう申すまでもないのでありますが、どうか一つ十分の御注意を頂きまして、誤りのないように努力をして行きたいと考えております。    〔委員長退席、理事佐多忠隆君委員長席に着く〕
  48. 山田節男

    ○山田節男君 今の大臣の御所信でありますが、これは失礼だが、いわゆる近代的な民主国家労働行政というものを国際的な面から見れば、日本労働省はあえてレベルは高くはない。人がないんではない。予算関係にしても、或いは今後そういう労働行政官の訓練問題にしても、或いは労働経済統計なんかの調査にいたしましても、これは各文化国家では、相当権威のあるものを出しておる。そこを私は申上げるのです。そこに私は一つのマンネリズムがあると思う。甚だ失礼であるが、労働省の資料を以ては、国際的な問題として日本労働問題を論じようとする場合に、残念ながら資料がない。そこであなたは労働大臣として十分御認識になつておるだろうけれども、大蔵大臣のそういう点に対する認識不足が禍いしておるのではないか、私は労働省の諸君に対して非常に同情するのであります。或いはそこに自由党内閣の性格が、余りこれをシーリヤスに考えないというところに、認識が足りないところに、一つのマンネリズムがあるのではないか。これは甚だあなたに対しても不信的な言葉かも知れないけれども、併し国際的に見れば、今の労働省でやつておることは科学的であるというふうには、遺憾ながら推量することができない。この点を私は申上げておるのであつて、而も労働省には多年こういう方面に従事しておる優秀な人がおるのであります。なぜ大臣は……、先ず予算関係、それから企画であります。これは依然として今までの関係の局部課で以ていいと、これは行政設置法の問題にはなりますけれども、そこにやはり大臣として、一つ今の経済的な民主化のためには非常に大きなものを持つておるということを御認識願つて、そうして今後ますます完璧にして頂きたい、こういう希望から申上げたわけです。さよう御了承願いたいと思います。  最後に運輸大臣に御質問を申上げますが、これは他の分科会等で質問があつたかとも思われますが、重複したらば御答弁願わなくともいいわけでありますが、近く民間の航空事業が再開されるということになつて、新聞等で見まするというと、国内航空輸郵送が始まつた場合の飛行機の発着場所が示されておる。例えば一例を申上げますると、広島でありますが、広島の近辺には飛行場がございません。ありますけれども、これは戦闘機の発着する埋立地であります。そこで岩国がこの国内航空の飛行場になるということが新聞等に出ているのであります。岩国に飛行機が発着するようになりますと、岩国から広島までは自動車で早くて一時間半ぐらいかかる。そうしまする、東京の羽田から広島まで飛行機で二時間ぐらいで行ける、ところがそこに着いてから今度は一時間牛もかかるということは、国内航空の立場から行きまして非常に矛盾していると思うのであります。これは広島だけでなしに、この飛行機の発着する他の都市においても同じような困難が私はあるのではないかと思うのです。そこでこの飛行場建設であります。岩国は今日英軍の管下にあります。而も朝鮮の戦乱勃発以来最も多忙な飛行場の一つになつておる。で、そういうことから考えまして、将来の航空事業の普及ということから考えまして、或いは航空輸送の本質を活かすという、いわゆるスピード・アップということか ら見ても、飛行機の発着する場合には、その近辺に飛行場がなくては意味をなさないと思うのであります。例えば今のように、広島に着くべき飛行機が岩国に来て、一時間半以上時間を取る、こういつたところは広島なら広島の地方自治体が飛行場を建設するというようなことが許されるのかどうか。又現行法で許されなければ、将来それを許すように努力される御意図であるかどうか、この点を一つお伺いしたいのであります。
  49. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 只今山田委員のお尋ねの点は、運輸当局としては、最も推進しておる重要な点であります。ひとり広島、岩国の関係のみならず、或いは北の果の北海道の例をとりましても、札幌は千歳飛行場を利用せざるを得ないのでありますが、現在の道路状態において多少の改善を加えましても、やつぱり冬もあり夏もあり、悪いときには一時間以上を要しなければならないことも考えられます。やはり夏のいいときであつても五十分ぐらいは安全率を取つて連絡をとらなければならないと思われるような状態であります。これが一つの現状のありのままとすれば、東京の場合においてもやはりこの不便を感ずるのであります。仙台の場合も同様であります。そういうわけでありまして、御説の通りに、どうしても飛行場とその附近の重要な都市との間は近いものでなければならないことは当然のことと考えられるのでありますが、現在のこの狭い日本のうちの極く僅かな場所、今新聞に出ておりますような札幌、青森、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡という程度の、この僅かな場所だけを計画しましても、航空保安庁の技術的な調査によれば、大雑把な数字で、少くとも百六、七十億円という現金を必要とするような現状にあるのであります。それ故に一方においては民間航空を一日も早く実施されることを望む声は、国民の待望であるのであります。これもやつて行かなければならない、取りあえず利用し得る飛行機の不便を忍んで、先ほど言われたように、これに補修を加えて先ず実施に入るというようなことを、財政面と睨み合せてやりたいと、こういうふうに考えておるような次第でありますから、利用し得る現在の飛行場の地方の設備、或いは電波関係機械を設備するというような最小限度の設備費を計上いたした程度におきましても、なお且つ二億数千万円、三億近い予算を要するような状態にあるのであります。今日の予算に計上されておるのは、二十五年度の分として僅か五千万円ばかりのものが計上されておるのでありますが、是非これは御協賛を得て、事務当局としても努力するつもりでおります。二十六年度に何らかの予算措置を行なつて、その三億近い最低限度の地上設備の分だけでも間に合せて、そして待望のいわゆる民間航空事業をできるだげ早く推進したい、こういうふうに考えておるのであります。
  50. 山田節男

    ○山田節男君 今の私の質問の中に挾まつておりました、国家でやるということになると、百数十億の金が要るということでありますが、これは飛行機が発着する、国内航空の飛行場を施設させれば……、例えば市がこれは行う。できるだけのことをして、少くともラジオ・ビーコンとかその他のそういう施設は国家からやつてもらうにしても、基本的な措置であるとか、或いは地ならし工事、着陸に必要な程度のものは施設できると思うのです。又それをしたいという希望があるわけです。アメリカの例を見ましても、例えばニユーヨークのごときは、ラガルデイや及びアイドルワイルドという大きな飛行場を市営でやつておる。だからやはり今のような国家の予算上むずかしいということを今大臣もおつしやるのでありますが、それならば、やはりそういう飛行機の発着を予定されている都市がそういうことを建設することは、許されるのかどうかということをお聞きしたい。
  51. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 民間飛行場の設置の問題でございますが、山田委員からおつしやいました通りに、アメリカではワシントンのナシヨナル・エア・ポート以外は、全部が各都市の委員会、或いは市、州、そういうところで経営をやつております。日本は戦前は全部国有、国営でありまして、市、或いは県あたりで経営をやつた飛行場は、ございませんでした。併しこれからは我が国といたしましても、地方の飛行場はできるだけそういう方向に持つてつたほうがよくはなかろうかと考えております。現在すぐ岩国、広島でございますか、広島にそういう飛行場を地方で建設してもいいかどうかという問題でありますが、この問題はまだ法規的にも我々のところでは何も取りきめをいたしておりません。従いまして若しそういう意向がございましたならば、関係方面のアプルーヴを得ますれば、或いはそういうことができるのじやないかと一応考えている次第であります。
  52. 山田節男

    ○山田節男君 それから国内航空、即ちローカルと申しますと語弊がありますが、国内航空だけの飛行場に使う飛行機は、国際航空の場合は、これは外国の飛行機が来るのですから、或いは四発の飛行機が発着できる十分な施設が要るだろうと思うのですが、国内航空の輸送の場合には、これはやはりヨーロツパ、アメリカのいわゆるローカル線を見ましても、全部これはダグラスの、発動機二つの、双発の飛行機を使つておるのであります。例えばベルジウムのサビーナというローカル線など、ヨーロツパの中の航空輸送はかなり広い範囲でやつておりますが、皆双発の飛行機を、ダグラスだと思いますが、使つております。ですから日本の今度開かれる国内航空も、そういう見地から双発の飛行機だけお使いになる、或いは四発の飛行機をも使う予定でおられるか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  53. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 国内線には御承知の通り双発の飛行機が最も適当であると考えております。同じ双発にいたしましても、日本はせいぜい北海道から福岡まで千マイル程度の航空路でありますので、而も三百マイル程度で大体着陸する。こういう短距離の飛行機にはそれに最も適した経済的な飛行機があるわけでありまして、そうい経済的ないわゆる双発の飛行機で、大体三十名か四十名くらいの収容力がある飛行機が最もいいのじやないかと考えております。
  54. 山田節男

    ○山田節男君 最後にもう一つお聞きして置きますが、今国内航空輸送のために会社が設立される準備をしておられるということでありますが、これは一つ会社が独占的なと申しますか、ただ一箇の輸送会社だけが開かれるのか、或いは二つ以上の航空会社ができるのかということをお伺いしたい。  それからその航空輸送が開始された場合に、パイロツト、操縦士、その他所要の人員、機関士、無線士、機械を操縦する者、そういつた者、それから飛行機自体は全部チヤーターの形式でやるのか、或いは日本の国有のものとしておやりになる計画が、この点一つお伺いしたい。
  55. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 飛行機は日本は所有はまだ許されておりませんので、外国のいわゆる七社が出資して作りました一つ会社の飛行機を契約してやるということになつております。いわゆるチヤーター式のことになると思います。なお定期航空を許される会社一つでございます。  それからパイロツト等は、やはり日本はまだ許可をされておりませんので、それは外国人がやることになります。
  56. 東隆

    ○東隆君 私は運輸大臣に二点伺いたいと思います。一つは戦争中に撤去された線でまだ回復していないものに対してどういうふうに考えられておるかということと、もう一つは、先ほどお話がありました民間航空の問題、この二つをお伺いしようと思いますが、一昨日私は総理大臣に、北海道は植民地的な待遇を受けておつて、そうしてウイーク・ポイントがあるのだ。それでそのウイーク・ポイントに対して政策を早期に施せば、立派な政治ができるのだ。こいう観点から治安の問題或いは公企業が独立採算制をとる場合には、非常に辺鄙な所には不都合なことが起るから、そこでそれの調節をどういうようなふうにするのか、こういうようなことを中心にしてお伺いをしたわけであります。  それに大体この二つの問題と関連をするのですが、比較的社会科学方面その他に関心のある札幌の大学の法文学部の教授が、待遇が悪いかも知れませんけれども、さつさと北海道から去つてしまうわけであります。それから又札幌の大学に勉強に来ておる学生が、親の話を聞いて、学校をやめるわけであります。これはいろいろな問題がそこに伏在しておると思いますが、私は北海道に非常に弱い点があつて、そうしてそれが露骨に急速に常に現われて来る。このことについて私は運輸大臣に最初に一つ考えを願いたいと思います。それで運輸大臣は、今年のお正月でありましたか、北海道の札幌までおいでになつたとしても、あれは北海道の入口でありまして、そうして北海道の入口に来たばかりでお帰りになつたのですが、恐らくそれがもとになつて病気をされたのじやないか、先ほど北の果てと、こういうことを言われましたが、その北の果てに起きておる問題で、札沼線という三十九キロぐらいのところがあるのですが、これは戦争中に撤去をされて、その資材は樺太のほうに持つて行かれた。そうして樺太はあのようになりましたから、復線しないわけであります。この前の質問の際に運輸政務次官は、これは新線として扱うと、そうしてそれは審議会にかけて優先的に考えるのだと、こういう御答弁があつたのであります。私はそれで喜んだのでありますけれども、併し中身はそうではなくて、大分考えよは違つておるようであります。これはこの機会にもう一度一つはつきりと優先的に考えるのだと、こいうことをお述べ願うといいと思うのですが、これについてお伺いをいたしたいのであります。  それからついででありますから申しますが、今の国内航空の問題でありますが、これは実は札幌にできるようにお話があつたのであります。それが何だか沙汰やみになつたようなことを聞かされまして、北海道は非常に心配をしておるわけで、これも私は国内航空の問題が起きたときに、一番先に北海道に発着点を作るべきであると、これは常識的に考えればそう考うべきだと、こう考えておるのでありますが、これがどうもなかなか問題がうまく回転しておらないようであります。太平洋戦争のときにも、たびたび交通が杜絶したこともありますし、日露戦争のときには、あの津軽海峡に一隻の軍艦が通つたばかりに、七日以上も交通が杜絶しております。流言飛語はこれは当然起きて来るのでありますが、そういうような問題が非常にたくさんあるのであります。こういう問題を考えるときに、公共的な国の企業、そういうようなものが独立採算制を、とつてこれをやるときには、としても採算のとれんところにはなかなか延びて行かないと、こういう問題が非常にたくさんありますので、そういうようなものをどうやつて調節をするかと、こういうことが非常に心配になつておるわけであります。北海道では、余りむちやなことをされるならば北海道帝国をこしらえるぞと、或いは北海道自治州をこしらえるぞと、こういうことを言う人もいるわけであります。その背後には、これは勿論冗談に言つておる部面もありますけれども、併し英国のようなところでもアイルランド自治州というものがあるのです。そういうようなことを考えて来ると、北海道の自然的な資源、そういうものは勝手に持つて行くけれども、併し北海道に対して施設をしない。而も、戦争中に撤去したその線を復線しない。北海道では、夏の間は勿論バスだのトラツクだのが通りますけれども、半年以上の冬はこれはもう全然交通が杜絶をするのです。そのときに鉄道が唯一の交通機関であります。そういうものがそのままに放置されておるわけであります。交通関係はそういう工合であります。  それから又飛行機の場合についても、私はこれが唯一のものだろうと思うのです。非常に問題が起きたときには、こよりほかにはないと思う。そういうものが速か施設をされて、そうして北海道における流言飛語もこれをなくして、そうして生産にいそしむと、こういうことをやみのがこれが本当の政治だと、こいうように考えます。いろいろなことが伝わつて、そうして大分騒がれておりまするので、これに対してどういう処置をされるか、お伺いをいたしたいのであります。
  57. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答え申上げます。だんだん御質問の要点を述べられるまでにいろいろお話がありましたけれども、それは御感想であり、或いは或る場合には文学的のお言葉が多分に含まれておられるようでありまして、要するに結論は、民間飛行機が運航が始まつたら札幌に着けないのか、もう一つは、札沼線と言いますか、これはレールを剥がしてしまつたのだがやつてくれるのかどうかと、この二点をお尋ねになるためのいろいろな御意見、御感想であつたよう考えるのであります。  運輸省といたしましては、この小さな日本にハイスピードの飛行機を運転させるのに、札幌から福岡くらいの小さなところを何も刻まんでも一気に飛ばすようにしたいと、こいう心持でおるのであります。アメリカの一州にも大きさがどうかというような小さい日本の四つの島を刻んでおるだけの隙はなかろうかと考えます。ただ国家財政の関係がありますので、先刻山田委員にお答えしたような多額の費用も要する状態でありますから、一期にできるか、二期、三期として事業を遂行して行くかは、将来できる民間航空会社のいろいろ経営上の方針にもよることであると考えますが、運輸大臣としては、あんなところは一飛びに飛んで行きたいと、こう考えておるような実情でございます。  それから札沼線を復活するかどうかという点でありますが、これも先刻内村委員よりの新線に関するお尋ねの場合に答えて置きましたが、鉄道敷設法による路線にしても、戦争中にそのような目にあつた路線にしましても、今日の日本の国情、経済状態地方の民情、いろいろな角度から観察をして最も適当なりと考える線を衆智を集めて選択すべきであると、そのためには、丁度国会のほうにおいて新線建設審議会の構想があつて、今関係方面と折衝中のようであります。それらの審議を経まして、国家の財政、国有鉄道の経済状態、そうして再建日本の鉄道としてのあり方というような面から大局的に考えて決せらるべき問題であると思うのであります。ただ一地方の問題として考えるべき問題ではなくして、今度の敗戦後の日本を浮び上らせる見地から言えば、国家全局面から判断をして行かなければならないのではないかと考えるのであります。  それから附加えて御感想の中にあつたようでありますから申上げますが、我々は政治家としても、一国民としても、北海道である、九州である、四国である、本土であるといつて差別的に考える気持は毛頭持つておりません。    〔理事佐多忠隆君退席、委員長着席〕 仮に北海道において植民地扱いをされるがごとき考える持たれるならば、そういう考えを持たれておるのが間違つております。今日では北海道は日本の四つの島の重要なる一つの島であるのであります。八千万の人口を四つの島に織込んで行かなければならないという見地から言つても、北海道の使命は非常に大きいと思うのであり、地下資源の開発の面から言つても大きな役割を果さなければならない北海道であると考えるのであります。敗戦後僅かに五年、漸く講和会議も眼前に見えるようになつて来たのであります。財政状態等もだんだん立ち直つて来たのでありますが、北海道のごときは国家が全力を挙げて一日も早く開発をするということが、北海道のために言うのではなくして、日本全体のためにそうあらなければならないということを、政治家としてさように確信いたしておるものであります。どうか一つ北海道関係のかたにおかれてはそういう心持で、北海道に対する叫びを、地方問題として叫ばずに、再建日本のための重要なる位置を占める北海道であるという見地から叫ばれんことを望んで止まないのであります。  更に又、別段全国的の線路の復活という意味ではなくして、地方的の札沼線のことについて特にお尋ねがありましたからお答えをいたした次第でありますが、又御必要があれば全国的のお答えを事務当局をしていたさせたいつもりでおります。
  58. 東隆

    ○東隆君 私は北海道を中心にしてお話を申上げましたが、これは北海道に非常に弱い点があつて、そうして大局的な見地から見ても、その弱い点が丁度風船玉のあの弱い点が大きく膨れるように、ちよつとした影響でも非常に大きな影響を受けておる。こういうことから考えて、その弱点を早く強化して行かなければならんだろうと、こういう見地からいろいろ申上げたわけで、決して大局を忘れて私は質問をしておるのではないのであります。その点は何か私の言い方が悪かつたと見えまして、些々たる一地方の問題を取上げて、そうしてお前は大局を知らんのだと、こういうようなお話でありますが、私はそういう考え方ではないのであります。今の問題は、私はそういう意味で、常に弱い点を強化して行くとこういうことが必要だと思います。又北海道の問題は、これは非常に早くいろいろな問題が鋭角的に現われて来るのですから、その問題を重視してもらいたいし、そうしてその問題に対して早く手を打つて解決をすることが、これが日本全体を再建させるところのことだと、こういう考えなんですから、その点は一つ誤解をされては私は困るのであります。札沼線は些々たる問題でありますけれども、これはどういう問題かと言えば、これは取られてしまつたのです。撤去されてしまつたのです。先ほど内村君が言つたところの、レールを敷いて、又枕木を敷いたりなんかやつておるようなところにもまだつかないのだと、これは非常に意味があるようでありますが、こちらのほうは一度ついておつたところがなくなつたのであります。そうして本州のほう、こちらのほうでありますと、どういう問題があるかと言えば、道路をトラックを走らせてもバスを走らしても、これは十分にやれるのであります。併し北海道に関する限りはこれはそういうことができないのだと、こういう点から非常に不便を感じておるのであると、こういうことを申上げておるわけであります。重点的に考える場合にはそういうところを重点的に考えなければならんだろうと、こういう意味なんですから、そういう点を十分お考え下すつて、民間航空の問題も、それから鉄道敷設の問題もお考えを願いたいと、こう申上げたのであります。
  59. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 船腹拡充の問題でありまするが、我々が安定本部から示された三カ年計画によると、二十六年度から三十五万トン新造計画をやるとかいうことなんですが、問題はこれに対する資金の調達の問題であろうと思います。その資金の調達の問題として我々に示されておるのは、見返資金から百十五億取るということだけが示されておるのですが、これは御承知の通り、昨年に比べれば二十億近くの減になつておる。ところが建造のほうは相当殖えておるのですが、一体見返りのこの金はもつと殖やせないかどうか、殖やすお話がどの程度に固まつておるのかという問題が一つ、それらを更にはつきりさせるために、一体二十六年度の造船の資金計画をどういうふうにお考えになつておるか、見返りは今百十五億という数字がわかつておるのですが、それ以外に市中銀行からどれくらいの貸出を得られるというふうにお考えになつておるか、或いは社債とか株式等々でどの程度の調達をされるか、更には償却その他或いは内部保留等々の自己資金としてどれくらい調達可能なのか、そういうあらゆる調達の面から見て、資金計画全体として一カ年どういうふうにお考えになつておるのか、その点を先ず第一にお聞きしたいと思います。
  60. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。佐多君のお尋ねは、数字についての専門的の立入つた確実な数字の答えを得たいというお尋ねのようでありますから、これは事務当局より数字のことについてお答えをいたしたいと思います。御了承をお願いいたします。御承知のように、昨年の十二月より支那海方面における貿易或いは運航というようなことが封じられて止むを得ず日本の存立の上から太平洋を越えて、或いはパナマ運河を通つて大西洋方面まで重要なる基本的の資材を運ばなければならないというような苦しい立場に追い込まれましたので、政府としましては、年末押し詰つて、正月休みを廃止して、応急の海運対策を立てたような次第であります。丁度それが正月から三月まで二十五年度の第四四半期の結末期に今到達いたしておりまするので、その間における海運政策の上における浮かばしめ得たる船及びこれに要した資金等について、海運局長からお答え申上げることにいたします。
  61. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 船舶増強対策につきましての資金の計画を御説明申上げます。増強計画といたしまして一番最初に挙げておりまするのは、第六次新造船の追加計画、これが当初五万総トンの予定でありましたのを、七万トンに殖やしました。この金額が六十四億で、半額は見返資金で見ることになつております。これは二十五年度の見返資金の残を充てたわけでございます。それから二十六年度の計画といたしまして、運輸省としては一応四十万総トン計画しておりますが、そのうち二十万総トンを前期分として計画を進めておるのであります。これにつきましては、すでに先般船主募集をいたしまして、建造船主を決定いたしました。これに要する金額が見返資金として約百十五億でございます。市中はこれに対して百三十億程度要するわけでございますが、これにつきましては、すでに市中のほうから融資確約が出ておる次第であります。見返資金は、当初きまりました百十五億を以ていたしましては、この新造分に対して六十四億、それから後ほど申上げまする改造分に対しまして約十億の見返資金を出すわけでございますが、これと合せまして約七十億が不足するわけでございますが、これは先般日本政府として、この七十億を海運に対する見返資金として増額する、他の部面からこれに振向けるということを決定し、関係方面の了解を得ておる次第でございます。それから後期分の二十万総トンにつきましては、これは前期分が一段落した上で国内的に資金の目途をつけるようにいたしたい。目下のところ後期分、これを実行いたしまするために約七十億程度の見返資金が必要かと存じまするが、もう少し先になつてから手当をいたしたい、かように考えております。  それから買船につきましては、現在当初の計画は約二十万重量トンを輸入する予定でありましたが、すでに許可いたしましたものが二十三万重量トンになつております。この金が五十六億、これはすべて市中融資によることになつておるのでございますが、目下その市中からの融資を斡旋しつつあるわけでございます。これにつきましては、興銀、勧銀の金融債を預金部資金で引受けまする場合に、一定額を買船、それから後ほど申しまする改造に融資するようにということを政府側から勧告いたしますると共に、市中銀行が買船並びに改造に金を貸した場合には、その銀行の持つておる金融債を預金部資金で引受けてやるという措置を講じて、金融の円滑化を図つておる次第であります。  それからもう一つの船舶改造につきましては、A型戦標船の二十隻、それから戦時中に造りましたタンカー十一隻、これを外航に適する船に改造するようにいたしておるのであります。この金額が約四十二億、そのうち十億を見返資金から融資するということにいたしております。この十億の融資をいたすことによつて、残額を市中銀行から十分融資を得られるということを確信いたしておるような次第であります。
  62. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、見返資金の百十五億、今我々が予算で示されておる見返りの百十五億は、前期分ですでに使つてしまつている、あと七十億不足の分を他の方面からというお話でしたが、これは他の方面ということはどのようなことをお考えになつているのか、特に開発銀行あたりができた場合にそれとの関係はどうなるのかという点と、それから後期分の七十億、或いは改造分の十億を更に見返りに期待しているというようなお話だとすると、更に八十億見返りの融資増加をしなければならんと思うのですが、これは単なる御希望なのか、或いはすでに三カ年計画の初年度として、一応の了解がついているのかどうか、その二点をお伺いいたしたい。
  63. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 海運に対する見返資金の追加七十億は、経済再建費の見返資金を七十億充てるということでございます。この七十億の中に、新造前期分に対する見返資金の不足分と、それから改造に廻しまする十億分が含まれておる。それから後期分につきましては、目下のところまだどういう費目からその金を差繰るか、全然折合せをしていないわけであります。これは前期分の建造許可の手続が了しましたその上で、その措置にとりかかりたい、かように考えております
  64. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、その問題は年間計画の変更になるので、予算の問題については大蔵省当局にお聞きすることにして、もう一つ、外国貿易港の整備強化を謳つておられるのですが、その場合に港湾施設、荷役倉庫等の総合的近代化と老朽ブイの整備というような問題を挙げておられるのですが、これは二十六年度、初年度としてすでに予算にどの程度盛られているのかどうかという問題を一つ
  65. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 外国貿易の振興のための港湾の整備につきましては、本年度の公共事業による港湾の予算が二十九億四千でございますが、そのうち重要港湾に対します港湾改良費は、およそ十七億を見積つております。それから荷役力増強につきましては、現在の東京、横浜、それから清水、名古屋、四日市、大阪、神戸、関門、博多等九大港の港におきまして、接岸施設のおよそ七、八割が占領軍の接収になつておりますし、又沖荷役をやりますための艀船が、戦前の平均しまして三分の一程度に激減しておりますので、全体の荷役能力といたしましては、これらの九大港につきまして、戦前の約三分の一程度になつておりますので、これが増強対策といたしましては、目下艀の新造改良に対しまして見返資金を導入するように、関係方面と折衝中でございますし、なお且つ倉庫、上屋、荷役機械等に対しましても、見返資金を導入してもらうように目下折衝中でございます。それから東京、大阪、神戸、関門、博多、この港につきましては、接収されている接岸施設が非常に多いものですから、この港に対しましては、公共事業の接岸施設の整備というものを考えまして、先般来閣議で決定頂きまして、これ又見返資金を何らかの形で導入いたすよう折衝いたしておる次第でございます。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そういたしますと、先ず港湾施設の問題ですが、二十九億のうち、重要港湾十七億というのは、大体外国貿易港と考えていいのですね。それからもう一つ、との十七億程度のものを三カ年継続して行けば、ここに謳つておるような程度の近代化なり、合理化がせられるんですか、どうか。
  67. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 十七億は重要港湾三十六港に対します整備費でございまして、外国貿易を主といたしておりまする九大港につきましては、そのうちの約半額程度、十億程度と心得ております。それからこれは来年度の港湾に対する予算でございまして、三カ年の計画ではございませんです。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私の聞きたいのは、初年度は十億程度御覧になつておるんだか、この程度のものを三カ年間継続して行けば、次の年も、その次の年も更に十億ずつ継続して行けば、それで大体所期の目的を達せられるのか、それもここで謳つておるように三カ年計画を完成さすためには、もつと大きな金額を必要とするので、初年度は財政事情から十億程度に我慢しておるが、二年度、三年度以降は二十億なり、三十億程度のものをもらうのでなければここで謳つてあるのができないのかどうか、その辺はどうなつておるか。
  69. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 大体の感じを申上げますと、九大港につきまして目下考えておりますのは、年間二十九億程度でございまして、これが三カ年続けば現在の接収されております施設の返還と合せまして、戦前の能力に達成する予定でございます。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 あとのその荷役、倉庫等の問題は、すべて見返りに期待するということになつておるんですが、見返りのほうで我々今示されておる金額は何らそれを具体的に考えていないので、そういう意味では資金的に裏付はできていないというふうに考えていいのか、或いは今折衝しておられる過程において、経済再建費なり、何なりから出る見込が相当確実なのかどうか、その辺の模様をお伺いしたい。
  71. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 艀の整備につきましては、金額はまだ決定いたしておりませんが、要求額の三分の一程度、それから上屋、倉庫につきましても目下折衝中でございますが、数億の見返資金は大体よさそうであるというところの段階まで来ております。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの海運局長の御説明になつた資料、若し差支えなかつたら後刻でよろしうございますが、資料にしてお配り願いたいと思います。
  73. 波多野鼎

    委員長(波多野鼎君) それでは本日はこの程度で打切りまして、明日の午前中なお一般質疑を続行いたすことに理事会で申合せましたから御了承願います。明日は午前十時から開会いたします。なお明日午後委員会の討論、採決に入る予定であります。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            岡崎 真一君            石原幹市郎君            古池 信三君            野田 卯一君            山本 米治君            山縣 勝見君            内村 清次君            山田 節男君            森崎  隆君            竹下 豐次君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            菊田 七平君            駒井 藤平君            竹中 七郎君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 廣川 弘禪君    運 輸 大 臣 山崎  猛君    労 働 大 臣 保利  茂君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    農林政務次官  島村 軍次君    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸大臣官房会    計課長     國安 誠一君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省自動車局    長       牛島 辰彌君    海上保安庁長官 大久保武雄君    海上保安庁総務    部長      寺田 新六君    航空保安庁長官 松尾 靜磨君    労働省労政局長 賀來才二郎君    労働省労働基準    局長      中西  實君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君