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1951-03-10 第10回国会 参議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十日(土曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    ○委員長(波多野鼎君) それでは予算委員会をこれから開きます。どうも政府側の出席の時刻が非常に遅れまして甚だ残念であります。今後大いに注意して頂きたいと思います。今日は四十分遅れました。最初に櫻内君。
  3. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 私は先ず大蔵大臣にお尋ねしたいのでございます。大臣が言われますように、吉田内閣昭和二十四年二月成立以後、関係方面の示唆や勧告に基き、或いは多額の援助資金の下に諸般経済安定施策を遂行して参つて、その効果が上つておるということは認めるにやぶさかでないのでのあります。ところで最近の情勢を見まするに、朝鮮動乱後の一転機と申しますか、或いは世界軍需拡張の一環としての日本経済と言いますか、次第に物価上昇を来たしておるのでございます。この物価上昇に併いまして、現在ここに御提案になつておりますところの予算というものも、いろいろの角度から考えて行かなければならないと思うのであります。たしかこの予算案は昨年の十月当時の物価基準として立案せられておる。又その当時の情勢によりまして、諸般施策が立てられて参つておると思うのでございます。すでにその当時から考えますならば、六カ月の期間を経ておるのでございまして、これを現存審議しております際に、いろいろと考えさせられる点、或いは矛盾指摘しなければならん点があるのでございます。私はこういう予算審議に際しまして、成るほどいろいろの事情によりまして、その都度予算を変更して行くということは、これはできがたいことでございましようが、現在のような大きな変動がございます場合には、当然政府としても十分な御考慮があつて然るべきだと思うのでございます。最近の大臣の御答弁の模様からいたしますならば、近く補正予算が必至であうと考えませられるのでありますが、これは補正予算を出すということでなしに、当然このような大きな世界情勢変転が行われておるという際でございますから、政府みずからも、必要とするならば予算審議過程であつて相当な変更をしていいのじやないか。どうも敗戰後における我が国の予算というものは、関係方面との関係におきまして、非常な制肘、と言うと語弊がございましようが、いろいろな制限を受けておるということは認めるものであります。併しながらすでに講和を目睫に控えておる現在のこの段階におきましては、関係方面に対しても大臣がもつと熱意を持つて臨んでよろしいのじやないか、かように思うのでございます。例えば衆議院予算審議過程におきましても認められておる問題だと思うのでありますが、燃鉱石の補給金六十七億円でございましたか、こういうものは当然必要だ、或いはこの予算委員会審議に際しまして、藤野委員や私から総理に質問いたしました戰争犠牲者に対する援護というものを十分にしてもらいたいということについては、そういう情勢が次第にできつつあるというふうに受取れる御答弁もあるのであります。そういうことになりますと、こういうふうなことは当然施策の上に或いは予算の上に直ぐ反映して行つて然るべきものと思うのでございますが、若し不幸にして政府としては、これは絶対的なものである、こういう場合に幸いにして我々が一致してこういうふうな修正は可能じやないかという場合において、大臣は如何お考えになるか、こういう情勢変転に応じて政府はいろいろ考えられる余地がないのか、或いは又我々の総意によつて現在のいろいろな複雑な情勢がございましようけれども政府も納得して修正できる点があるのじやないかと、こういう点を先ずお聞きしたいのであります。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年の十月、十一月の状況によりまして編成いたしました予算が、その後世界情勢変化によりまして、編成当時よりも或る程度食違いが予想されることは御指摘通りでございます。併しその食違いが予想されるからといつて、直ちにその点を補正するということは、私は予算編成の技術上からいいましてもとるべき策ではないと思います。やはり当初の予算をやつて行きまして、年度に入つて旋行状況を見、その後の変動等考えてやるのが本当でございまして、昔のように暫定予算暫定予算言つて一月ごとの予算というものは、これは財政学上何も喜ばしい推奬すべきことではありません。私は只今予算でやつて行ける、而して年度中におきまして相当変化見通しがつき、そうして歳出方面でなしに、歳入財源方面とも睨み合せなければならん点が多々あるのでございまして、これはやはり見極めが付いてから適当な策をとるのが、予算編成上或いは予算実行上得策と考えておるのであります。
  5. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 大蔵大臣の御答弁によりますと、私ども考えが少し早や過ぎるかも知れません。併し私どもはすでにその必要の見通しがはつきり付いておると考えるものなんでございます。これは申上げるまでもなく、物価指数の上にも現われておりますし、又非常に大きな変化国際情勢の上に起きておると考えるのでございます。併しながらこれは論議でございますから別といたしまして、現在のこの予算審議しておる上におきまして、国民が一番大きな関心を持つておる問題は何であるかと申上げますならば、物価騰貴インフレーシヨン、そうして生活程度が実際上には切下げて行れるのではないか、こういう点ではないかと思うのでございます。併しながらこの予算そのものの上からいたしますならば、大臣が今度の予算の特徴といたしまして、大幅な減税が行われているということが正面に出ておるのでございます。今回の予算は、この予算の数字の上から見ますならば、確かに吉田内閣としては私は相当考えられた予算案であると思う。その施策の上におきましても十分納得できる面がございます。併しながらそれはただ單に画餅に等しいものになりつつあるのではないか、実際はそうではないのだ、減税々々と言われておるけれども国民生活物価騰貴に従いまして、実際上にも、又その前途においても相当暗雲が漂よつておるように考えられるのでございます。この場合におきまして、この一般的は賃金一つ基準ともなるべき政府職員給與ベース、この給與ベースについては、すでに人事院が当然政府に対して勧告を與えるべきである現在の物価状況にあると思うのでございますが、これらの諸点につきまして、大臣のお考えを承わりたいのであります。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 物価騰貴の問題につきましては、昨日もこの席上で議論のあつたところであります。而して又それに伴いまする政府職員賃金、俸給につまましても、人事院総裁堀木委員との間に意見が交されたのであります。私といたしましては、人事院給與ベースに関しまする勧告が出ましたならば、それを尊重し、相当考えなければならんことと思うのでございまするが、昨日も話がありましたように、只今のところまだ勧告も出ておりません。又物価上昇等も一応は上るように思われますけれども、必ずしも相当程度上るのだと言い切れないのでございまして、今暫らく情勢を見たいと考えております。
  7. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 只今給與の問題につきまして、一部の新聞にこういうことが書かれておるのでございます。緊急経済政策の大綱というような見出しでありますが、賃金の不当な上昇消費購買力増大を招き、引いてはインフレを助長することになるので、賃金上昇を極力抑制し、消費インフレに陷ることを避ける、こういう記事が出ておるのであります。勿論この記事は真偽のほどは私どもも疑つておるものでありますが、併しこの際におきまして、只今大臣の御答弁がありましたから、特にこの点について、政府はそういうことは絶対にないとお考えになるかどうかということを承わりたいのであります。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、賃金の急激なる上昇消費インフレを招く、こういう議論に対してのお考えですか。
  9. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 賃金上昇を極力抑制するというようなことが施策の中に、伝えられた施策に書かれておるわけであります。今の段階賃金を抑制するというとこを政府としてはお考えになるのかならんのか、そういう点でございます。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 公務員の賃金につきましては、先ほども申上げた通りであります。而して民間賃金につきまして、政府が抑制するというふうな緊急施策考えたことはございません。
  11. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 今の大臣の御答弁で、私も成るほど政府がそういうことは考えることはあるまいと思つてつたことが納得できまして、誠に結構だつたと思います。私は現在の民間企業状況から申しますならば、実際これはあとで御質問申上げたいのでありますが、法人税のごときは相当当初の計画以上に上廻つた税收がある。それは企業の利潤が非常に上つておる、かように考えるのであります。この場合におきまして、むしろ現在のような国際情勢下におきましては、進んで企業者も或いは政府においても、むしろ逆に国民生活の安定のために適正なる賃金にこれを直して行くという施策のほうが望ましいと考えておるものなんでございます。そういう意味合いからいたしまして、先ほど大臣が言われましたが、人事院のほうからまだ勧告が出てないということでございますが、今まで政府としては、人事院勧告をそのまま受けて立つたことはないのであります。むしろ逆に政府のほうが積極的にですね、この勤労大衆、その中の一つバロメーターとなるべき政府職員に対しての給與は是非考えて頂きたいと思うのでございますが、この点の御見解如何でありましようか。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 政府職員賃金民間賃金バロメーターになるとも私は考えておりません。両者は成るべく一緒に行くべきものと思います。賃金も、一般公共平均賃金も昨年におきましては相当上つて参つておるのであります。経済界状況によりまして、私はこの傾向は続くのではないかと考えております。然る場合におきましては、一方において或る程度物価上つているということから考えまして、若し人事院勧告があるならば、それを参考にし、又政府はいろいろな財政上の施策の上から検討して行かなければならんと考えております。
  13. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 更に物価の問題でありますが、大臣施政方針財政演説の中で、物価騰貴海外物価上昇率を上廻つておるということを御指摘になつてつたのでございます。そうしてこの特需や輸出インフレによる多くの脆弱な部面があることも御指摘せられておるのでございますが、この場合におきまして、国際物価国内物価の真の均衡を得るためには現在の施策では不十分ではないか、もつと根本的な施策考えるべきではないかを思わせられるのでありますが、為替制度についての御考慮であるとか、或いは金本位制度への復帰であるとかいうような根本施策については、現在政府はお考えになつておらないでありましようか。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何承積極的措置をとるようなことは考えておりません。それは大蔵大臣といたしましては、そういう為替問題とか、通貨制度につきましては、常に考慮はいたしておりますが、積極的措置をとろうというふうなつもりで考慮は一切いたしておりません。
  15. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次に物価上昇の問題につきましては、ドツジさんとのお話合いにもよりまして、たびたび論議になつておりますが、いわゆるインベントリー・ファイナンスが行われておるのでありますが、この特別会計への繰入れ、これにつきまして政府施策の中で、特に私は矛盾とまで行かなくても、御指摘してお伺いしたい点があるのでございます。それは補給金政策がいけないのだという建前をとつております。併し補給金政策というものは、申上げるまでもなく一面におきまして、これは物価上昇を抑制するところの施策であろうと思うのであります。そういたしますと、とのインベントリー・ファイナンスを行うという建前からいたしますならば、補給金政策というものをとられても、政府施策としては一貫しておるのではないかと考えるのでございます。大幅な補給金の削減をいたしまして、二十六年度予算においては食糧補給金のみになつたわけでございます。併し先ほども申上げましたように、燐鉱石補給金の問題もございますので、あえてお聞きするのでございますが、この辺の関係については大臣はどういうお考えかたを持つて、おられますか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 補給金制度は絶対にいけないというのではございません。情勢によりまして補給金を出す場合も考えられるのであります。然るところ昭和二十四年のような補給金は、これは適当でないのでございまして、除々に減らして行こうと思つておるのであります、而して又補給金につきましても、価格引上げを成るべく下げるという意味から、日本のようなやりかた補給金もありますし、又イギリスのように生産者価格のほうは高くして、消費者価格のほうに補給金や出す考えかたもあるのであります。それは経済状況物価或いは品目によつて考えなければならん問題だと思います。ただ原則といたしましては、補給金は望ましくない、こういうことであるのであります。補給金の問題は物価の問題でございます。インベントリー・ファイナンス通貨金融の問題でございまして、直接の撃がりはございません、勿論物価金融というものは関連性はありまするが、考えかた先ほど申上げましたように物価の調整という問題、片方はいわゆる金融の問題、これは違うのであります。
  17. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 只今補給金を絶対にやらないのではないというお話なんでありますが、そこでお尋ねしたいのは、最近新補給金政策というようなことが報道せられております。御承知であろうと思いますが、要点を申上げると、緊急政策生産力の増強に重点を置くので、消費購買力増大する割合に消費材供給が殖えず、インフレ的傾向の助長が予想されるので、物価安定のために印税品など特定消費物資供給増大を図る一方、建築制限などを行い、重要物資消費税を強化する。又基礎物質については、新補給制度を設け、価格安定を図るというような、こういう報道があるのであります。そうしてその新補給金対象物資として、肥料食糧、これは肥料は今論議されておる。食糧は付いておる。銃鉄など必要物資について考慮するというのでありますが、現在銃鉄につきましては補給金が付いております。そうして今度新らしく補給金政策というものを考えられるという場合に、この銃鉄についての補給金というものを考えられるのかどうか。或いはそのほかの物資について何かお考えになつておるのかどうか。その点は如何でありましようか。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 銑鉄補給金考えておりますが、これはやめることに考えておるのでございます。閣議決定は一応済ませまして、関係方面話合い中であります。三月一ぱい出す予定でおつたのでありまするが、成るべく早くこれはやめる、こういう考えであります。その他の問題につきましても、私は補給金先ほど申上げましたように、余り望ましい制度ではありませんので、できるだけやめたい、こういう考えでありまするから、新たに補給金特定品目に付けるということは考えておりません。ただ問題は燐鉱石の値上りによりまする補給金議論になつております。燐鉱石補給金を出すか、或いは過燐酸が或る程度上つても、即ち三百五十円が五百円程度上つても、その分は麦のパリテイにいたしましても、米のパリテイにいたしましても、一%程度でございますから、パリテイ引上げで賄うか、そうすれば相当米麦が上つて来るから、その消費者への影響は消費者への補給金にするか、いろいろ考えかたがあるのでありまするが、このうちどれをとるかということは今検討中でございまして、近日中にきまると思います。燐鉱石以外の品目につきましての補給金考えておりません。
  19. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 今銑鉄についての補給金をお考えにならない。又燐鉱石以外にもお考えになつておらんということでございますが。鉄鋼原料関係でございますね、鉄鉱石とか或いは石炭、こういうものについても全然お考えにならないのでございますか。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今のところ考えておりません。
  21. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次にお尋ねしたいことは、最近の経済状況からいたしまして、歳入の画の租税收入、これが相当つて来るのではないかと思いますが、その点について大蔵大臣はどういう御見解を持つておられるでありましようか、というのは、私ども見解からいたしますならば、先ほども触れました通り補正予算必然性を認めておるのであります。その場合の財源といたしましては、現在の租税自然増收と申しますか、そういうものが考えられるのじやないか、特に法人税のごときにつきましては、当然相当收入増がある、或いはなかなかの報道があるのでございますが、臨時利得税の問題でございます。これは相当な利益があれば臨特利得税考えられるのではないかと思うのでございますが、この法人税関係であるとか、或いは富裕税関係であるとか、或いは言われておりますとこるの再再評価でございますね、再評価税が更に殖えるのじやないかというような点、こういうような点についてのどの程度のお見通しを持つておられるのでございましようか。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体今年度租税收入四千四百五十億程度のものは大体確保できると思います。全体的に自然増收は余り望めません。個々の税金で申しますると、源泉課税のいわゆる勤労所得税を主たる收入とする源泉所得税は一千百八十億円、大体これは二、三十億円程度自然増收でございます。又法人税の五百七十億円は只今もう予定を超過いたしております。酒の税金は十二月の売行が非常に良かつたのでありまするが、昨年よりはまだ收入工合が悪うございます。問題は法人税源泉課税所得税相当増收はありまするが、農業或いは営業者を中心といたしました附価価値税予定額一千百七十億円は百数十億円の減收を見込んでおります。従いまして全体としては漸くとんとんだろうというふうに見ております。而して来年度租税收入につきましても、今から確たる予測はできませんが、お話になつておりまする法人税につきましても相当收入を見込んでおりまするが、耐用年数を短くいたしまして、償却をうんと認める等の関係から、余り多くを期待できないと思つております。
  23. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 そうすると、私ども心配している面が現われて来るのでありますが、大体自然増收、そういうものが望めない、こういうことになつて参りますと、補正予算は大体これはもうやむを得ない。そうすると、その場合増税をしなければならないのではないかと思うのであります。現在の減税というものが実質的におきましては大したことはないと、それに対して今度は補正予算増税をするのか、こういう心配が出て来るのでありますが、その点はどうでありましようか。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そこで先ほどお話になりましたように、補正予算を組んで歳出を早く殖やしたらどうかと、こうおつしやつて財源関係がありますので、なかなかむずかしいと言つておるのであります。従いまして昭和二十六年度経済の動きを見て、そうして徐ろ考えなければならん。私としては他の機会に言つておりますように、二十六年度、二十七年度増税をするというようなやりかたは一切とらんつもりでおるのであります。そこに予算編成のむずかしさがあり、補正予算を組んでも直ちにどうこうできない苦労があるのであります。
  25. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 そうなると、私ども心配はますます殖えて来るのであります。先ほども申上げましたように、確かにこの昭和二十六年度予算というものはきれいにできております。誠に我々としてもこの民生の安定や文教及び科学の振興に相当な費用をとつた、或いは公共事業相当行われるとか、政府みずからが特色として挙げられておる点を非常に結構だと思つておるのでありますが、補正予算は成るべくは好ましくない、増税もしない、物価上つて来ると、こうなりますと、実際は実質的には、この政府の実際の事業というものは非常に縮小されて行くのじやないか、物価上つただけは、それだけはどんどんと政府事業というものが減つて行くのじやないか、こういうふうに考えざるを得ないと思うのでありますが、折角こうやつて大蔵大臣としては自分の最も快心の予算であつたと言われておるこの予算であります。この予算編成というものについては我々は多くの了解する点があるのでございますが、そういう面からしてもやはり相当この予算編成の困難な御口吻でございましたが、依然として、できればそれは補正予算はしたくない、増税もしたくない、そういうお考えの上に立脚して行かれるのでございますか。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 増税もしたくないのであります。補正予算も成るべく組まないようにいたしたい、やむを得ない場合には組みます。そうしてそのときの財源をどうするかということは、財源見合つて補正予算の額をきめて行こう、こういうふうに考えております。
  27. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 そこで大体この本年度予算というものは了解が付いたのであります。えらい卑俗に申上げますれば、非常にこの予算はきれいな別嬪さんです。併し魅力がないのです。その魅力を持たして頂かないと、ちよつと国民も手が出にくいというところではないかと思うのでございます。さて次に二、三具体的な問題に触れて行きたいと思うのでありますが、昨年の十二月の十五日に、あの臨時国会において、中小企業金融対策として、年内に間に合わせるのだということで公布せられました中小信用保険法案でございますが、あれですね、あれはその掛声が非常に高かつたのでありますが、実際にはどういうふうになつておるのでありましようか。中小企業金融問題はいろいろと言われておるのでありますが、例えば見返資金のこれまでの融資の枠は毎月三億円かに上げまして、一四半期九億円とした。併しながらこれは相当に余つておる。又中小企業信用保険法の実際の運営は、二月十日現在までにおける実際の貸付は、一月一件二百万円、二月二件三百二十万円で、そのほか確定したもの十六件五千八十万円が成立したに過ぎない、こういうことが書かれておるのでありますが、この中小企業金融問題について、どうしてこのように見返資金が利用されないか、又この折角信用保険法が利用されないか、何かここに大きな施策の上に欠陥があるのじやないか、かように考えさせられるのでありますが、この点については大蔵大臣はどうお考えでございますか。
  28. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 中小金融保險制度は、昨年の暮御決定を頂きまして発足いたしたのでありまするが、まだ一般銀行の支店その他におきまして周知徹底が十分でなかつたという点もありましようし、又金融というものは将来のことを考えて、回收その他につきまして、銀行がかなり臆病になつておるのじやないか。これは七割五分を保險するのでありますから、銀行の責任は二割五分だけでいいのであります。その二割五分につきましても、なかなか金繰りがつかない、こういうようなことがあるやに聞いておるのであります。併し我々といたしましては、折角皆さんの要望によつてできたのでありますから、これをできるだけ活用するように指令いたしております。いずれ効能もだんだん出て来ると思います。なお見返資金の月二、三億の貸付におきましても、これは制度を始めました当時は非常に殺到いたしまして、月一億円に対しまして、三億円も四億円も要求があつたのであります。それが一億円でありますので、これを願い出てもなかなか困難だということになりまして、一時中だるみになつたのであります。折角月三億円を出すことになつておるのでありまするから、これをできるだけ活用しようと思いまして、最近銀行ばかりでなしに、無蓋会社、信用協同組合のほうにもこの制度に参加さすように制度を改めますし、又一件の貸付金額も三百万円だつたかと思いますが、これを五百万円までに引上げることにいたしました。併しそういたしましてもまだ金が残りますので、只今特定の産業につきましては、一千万円までこの金を使うようにしようというので、関係方面と話をいたしております 要するに銀行家は得てして、余り確実性を気にしたり、或いは手数のかかるよりも手数のかからんほうに走りやすい傾向が多いのであります。我々監督者の立場といたしましては、そういうことのないように強く指導いたしておるのであります。今後はこの両制度は私は相当効果を上げるものと考えております。
  29. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 それと、やはりこれも前国会におきまして審議をして、二月一日からたしか業務開始になつたと思うのでございまするが、輸出銀行でございますね。これはプラント輸出のために設けられた。ところがこの利用状況も誠に微々たるものがある。これはまだ先足して間がないのでございますので、今ここで論ずるのもどうかと思うのでございますが、私がなぜこういう点を指摘して行くかということは、今度の大蔵大臣の方針といたしまして、開発銀行の設立のことがあるのでございます。そういうことから考えまして、成るほどこういう特殊銀行を設けることは結構でありますけれども、一向に利用されない。そういうものをどんどん作つて見ましても、徒らに機構ができるばかりではないかと思うのであります。ですから、只今大臣から御指摘がありましたように、運営の画にまずい点があるならば、あらかじめそれを予測して、早速に活用してもらう方向に持つて行かなければならんと思うのであります。実際中小企業の実態としては、現在でも金融難にあえいでおる。又輸出銀行の利用もしたい貿易業者が多々ある。又開発銀行の必要も認めると、これは皆同じように考えるのでありますが、私どもこの立法府の一員といたしましては、御説明によつてこれは結構だということで、或いは我々みずからがこういうものが必要だと思つて作り上げて出して行つても、どうも行政画におきまして、実際の運営のほうがまずいのじやないか、かように考えるのでございますが、現在大臣としては開発銀行の設立を急がれておられますが、これに対しての見通し、又これの運営方法というような点を、只今ども心配しておるような面と睨み合せまして、一つ御回答を願いたいと思うのであります。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日本輸出銀行は二月一日から発足いたしまして、二月中に二、三十億の申出があつたと聞いております。これは今年度は五十億円でございまするから、そう五十億をみんな出すというわけには行きません。いま暫らくやはり経過を見なければならんと思います。こういう新らしい制度は、どうしてもその効果を現わすためには少くとも半年くらいはかかるものなんです。これができ上つたらすぐ動き出すというものではないのであります。これは長い目で見て頂かなければなりません。ただこういうものができたということによりまして、輸出を刺戟することは確かであるのであります。ただ輸出銀行におきましては、御承知の通りに先高を見越しまして、契約がプラントの輸出でございますから、二年先、三年先を見越して契約をするわけでございます。そこで今のような国際情勢では、これはちよつとエスカレーター・クローズにおきましては、物価がどうなつたから、契約もどういうふうに変えるのだ、こういうふうなことをやれば相当商談がまとまると思うのでありますが、まだそういうふうなところまで行つておりません。これは特殊関係で遅れるのじやないかと思います。開発銀行につきましては、今は長期資金、設備資金の要求が非常に多いときでございますから、成るべく早い機会に捕えて出したいと思つております。
  31. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 輸出銀行のほうにおきましては、これは相手あつてのことでございまして、非常に国際変動の激しいときでございますから、御指摘通りの問題があると思いますが、この中小企業金融についても、貿易上の金融機関にいたしましても、又この開発のための銀行にいたしましても、これは私は政府施策がもう一歩先を見ておつてもらえれば、実際の必要なときに役に立つて来るのじやないか、かように思うのであります。中小企業の信用保險法などが、たしかゼスチユアとしては中小企業金融のために、年内にこれを交付するのだから、急いでこれを成立せしめようというようなことであつたりであります。併しながら実際は只今指摘したようなことであります。それで開発銀行の問題は私は非常に結構だと思うのであります。外資の導入、外資の導入ということをいろいろ言われておりますが、こういうような金融機関ができまして、日本の産業設備が根本的に建直されて行くということが必要であります。ですから、この問題こそは速かに具体化して頂きたいと思うのでありますが、大蔵大臣は七日分日にマーカツト将軍とお会いになつておるようでございますが、これはただ急がれるというのでなくて、実際上にはどの程度にこの問題は進行しておるのか、大体の大まかな見当は、いつ頃これが設立されるのか、業務はいつ頃開始されるかというようなことは今おわかりにならないのでございますか
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まだ申上げる段階行つておりません。話合中でございます。資本金の点、業務の点等が折衝の重点に相成つております。
  33. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 政府は現在資本の蓄積を非常に強調せられておるのであります。これは今後の日本の産業の建直しと申しますか、或いは合理化と申しますか、或いは近代化と申しますかいろいろの面で当然考えられなければならん施策であろうと思うのでございますが、さてその場合におきまして、預貯金の優遇策でございますね。本委員会におきましても、預金利子に対する源泉選択課税の問題が挙つてつたのでございますが、私はあの問題を聞いておりまして、非常に預貯金の優遇策としてはどうも微温的ではないかと、かように思うのでございます。衆議院のほうではいろいろな論議が行われましたが、例の金融債が無記名預金の代りに行われたというようなことも言われたのでありますが、無記名預金はたしか前国会では大臣もそれは非常に結構だと、それはやつて見たいのだというようなことを言われておつたのでありますが、これはどうも脱税的な臭いがあるというようなことで政府が引つ込められたのか、或いは関係方面のほうから、そう指摘されたのか存じませんが、これはどうも立消えになつたようであります。この預貯金の優遇につきまして、何かもつと具体的なお考えがないのか。特に私が強調いたしたいことは、納税を対象とするところの日掛貯金であるとか、月掛預金のようなもの、こういうようなものについて極力優遇してもらいたいと思うのであります。この点について政府のお考えかたをお聞きしたいと思います。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 預貯金の増強につきましては、今考えられておる問題は、お話の無記名定期預金の問題或いは又郵便貯金の限度の引上げの問題、又銀行預金の三万円までの免税を八万円或いは少くとも五万円までに引上げる問題等が論議せられておるのであります。我々としては、いずれも或る程度結構なことだと思つておりまするが、併し片一方には租税收入とか、税の公平論とかというような議論がありまして、まだ結論に達しておりません。
  35. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次にお尋ねしたい点は、法人企業の資本充実について触れられておつたのでありますが、通常の積立金課税を廃止するとか、或いは再評価積立金の資本繰入れを今年中に実施するとか、又再々評価の問題であるとかいうようなことを取上げられておられるのでありますが、いずれもまだ具体化して……、再評価積立金の資本繰入れや再々評価の問題が、こういうようなものが具体化しておらないと思うのでありますが、この点如何でありましようか。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 閣議決定いたしまして、法案を作つて関係方面に出しております。いずれ一、二日のうちにOKが出ると思つております。積立金に対しまする課税の撤廃は、これは法律案として議会に出ております。
  37. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 この資本蓄積の問題にからみまして、金利の問題でございますね。この金利につきましては、前国会でもいろいろ論議がございました。借りるほうは低利がいいんであるが、貸すほうは高金利がいいというわかり切つた話でありますが、その間をどういうふうに持つて行くのか。日銀政策委員会は低金利政策のほう。これはまあいろいろ考えさせられる問題だと思いますが、金利政策についてどうも一貫したものがないような感を受けるのでありますが、大蔵大臣としては今後この金利政策についてどういう御方針を持つておられるか、これをちよつとお尋ねしたいと思います。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 金利政策は一貫したものがないというお話でございますが、これはなかなか一貫したものがあろうはずはないのであります。片一方は底金利のほうがいい人もあるのでございますし、又金融情勢によつて或る程度高金利にしなければならん場合もあるのであります。世界的に見ましても、アメリカを初め最近金利を上げて参りました。これはやはりインフレ気構えのときには、そういう措置をとるのが当然であるのであります。で、日本の場合を考えますと、金利は日本銀行の政策委員会で一応きめることになつておるのでありまするが、非常に変態的な状況でございまして、日本銀行の貸出歩合が一般市中金利よりも非常に下廻つておるというようなことは、これは金融論にも、銀行論にもならんのであります。日本敗戰後の状態がこういうふうにしたのであります。これは除々に是正して行かなければなりません。併し今直ちに高金利政策をとるということは如何なものかというような気持を持つておるのであります。ただいろいろ新聞にも出ておりまするが、日本銀行の高率適用の問題、即ち一定限定を越える貸出に対しては率を高くする。こういうことはやはり少しく強めて行くべきものであります。ただ一銭四厘の公定割引歩合をどろするかという問題は、市中銀行の貸出金利との睨み合わせもございますので、慎重に考えなければならん問題だと思つております。それから預け入れの金利につきましては、貯蓄増強の意味から、私は定期預金等につきましては、利子の引上げをするのが適当ではないかという考えを持つております。
  39. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 私の持ち時間が大分進んだので、一応安本長官のほうへ少しお尋ねいたしたいのであります。それは安本長官は経済の安定の進行につれて、今後の施策としては経済自立に重点を置いて行く。これはもう当然のことで、援助打切りの伝えられておる現在におきましては、遅きに失した感があるのであります。経済自立計画の根本としまして、輸入の確保、自給度の向上、資本の蓄積というものを柱としてお考えになつておられるようでありますが、そういうお考えをとられておるうちに、世界的な軍需の拡大、それに代う物価の高騰であるとか、或いは原料物資の不足であるとか、又国内的にはドツジプラン、超均衡予算がいわゆる中立予算となりつつある。而もそういう影響下にある上に、最近におきましては、日米経済協力の問題が大きく取上げられておるのでございまして、この問題については当初本委員会におきましては、安本長官は強く否定せられておつたように承わつたのであります。併しながらその後におきまして、総理大臣の御答弁の中からも次第にその必要性がやはり認められ、又現にそういう工作、作業が行われておるということが看取せられるのでございますが、かような場合に、アメリカのあのアツカーマン博士でしたかの説かれたところの日本の産業を新らしい事情に適応させるために、日本国民が真剣に創意を働かすべきであるというようなことを言われておつたと思うのであります。別にこだわつて論議をする必要はなく、この外人の言われた通りに、そういうような見地から考えて行きます場合に、この経済自立方策というものが相当大きく変化して行かなければならないと思うのでございます。この点につきまして、先ず日米経済協力との関係、これは極力アメリカとの間に戦時経済において提携して行くのじやないのだ、ただ單なる経済協力であるというようなふうに、いろいろ御苦心の表現を総理もされておられるようにとれるんでありますが、安本長官といたしましては、この新情勢についてはどういうふうにお考えであるか、先ず承わりたいと思います。
  40. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。お話のように、日本がこの狭い四つの島に押込められて後、今後の日本経済の自立を図つて行く上において、当然諸外国の援助と言います か、諸外国と提携して行かなければならんことは言うまでもないのでありまして、その意味におきまして、経済自立の手段としての一つの大きな支柱が貿易の振興にあるということは申すまでもないのであります。そういう意味合からいたしまして、我が国が将来の経済の計画を立てる上において、世界の各国と協力をして行かなければならんことは当然であります。そういう方向で勿論貿易の振興を考え経済自立の態勢を考えておるわけでありますが、今の国際情勢変化に伴つて一部伝えられるところによると、大きく軍事協力をするという意味においての経済協力ということを誤まつて伝えられる虞れがありますので、その点は私どもは今まで数字なり、新聞なりに出ておることははつきりと否定をいたしており、それは別に故意に否定せんがための否定ではなく、事実をありのまま申上げておる次第でございます。併しながら今のお尋ねのように、この嶮しい世相、嶮しい国際情勢の下にあつて、一応立てました自立経済計画というもののやりかたにつきましては、今後幾多の或いはいい面における修正、或いは悪い面においての修正ということは当然起り得るかと考えております。
  41. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 伝えられるととろによりますと、特にこういうアメリカの情勢でありますが、それに伴いまして、現在お立てになつておるところの自立計画を大体昭和二十七年、二年でこれを遂行して行くのだというように言われておるのでございますが、これは真実でありますか。若し真実であるとするならば、これらに伴うところの具体的な施策が現われて来なければならないと思うのでありますが、お尋ねしたいと思います。
  42. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点は一部そういう説が伝えられておりますが、まだ政府といたしましては、そういう二年に切上げるというような具体的なところまで実際において話は進んでおりません。
  43. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 これは予算の場合と違いまして、変動に応じていろいろと計画が変ることは、政府としても大きな変化に対しては一向差支えないことだと思うのでありますが、大体この経済自立審議会が立案せられたその当時と現在とは随分私は隔たりがあるのじやないかと、かように考えるのでございますが、そういうことが若し認められると、御納得が行かれるならば、必ずやこの自立経済というものは大きく変動しなければならない。新聞で言われるように、三年のものが二年になるのか、或いは三年のものが三年のものでその内容が変化して行きますか、そういう点が考えられると思うのでございますが、この点如何でございましようか。
  44. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) この点は私ども計画を立てました案を発表しましたときも、はつきり衆議院で申しておりますように、あらゆる諸條件というものが計画通り進むか進まんかということは、今後の国際情勢の如何にある。なかんずくそれは原材料等の輸入関係或いは輸出市場の確保というようないろいろの面が関連して来るのであつて、そのことが思い通りに行けばあの計画が遂行されるであろうし、それ以上に行けば三年と言わず二年になる場合がある。併し諸條件がうまく行かなければ、三年が五年になる場合もあろうということを初めから考えておるのでありまして、決してあれに私どもはこだわりもいたしませんが、又今お話のように、すぐに二年に短縮してやれるものともまだ考えておりません。
  45. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 長官は最近緊急経済政策というようなことを言われておるのでありまして、日米経済協力の一環として現われて来たと思うのでありますが、緊急経済政策を立案されておるということが新聞に報道せられておりますが、これは御否定になるのでありましようか、再三委員会におきましても、この経済協力の問題に関しまして、いろいろ質問があつたのでございますが、私どもとして昭和二十六年度予算審議しておる際に、大きな変化の伴う施策でございますので、一応お尋ねしたいのでありますが、如何でございましようか。
  46. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 私どもは特別に緊急何とかいうようなことでまだ立てておりませんが、併し絶えず動きつつある情勢の推移というものは愼重に見守りつつ、いろいろな変更を予想しつつこれに対応する場合のいろいろな施策を研究しておることは事実でありますが、まだ今のお話のようなものを具体的にまとめておるわけではございません。
  47. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 大臣の国会における演説の中におきまして、物資需給の調整をしなければならない、物価の安定に適当な方式を立てなければならんということをたしか言われておつたと思うのであります。インフレの再発を防止し、国民経済の健全な循環を確保する目的から、事態の推移に即応して物資需給の調整、物価の安定について適当な方式による調整措置を講ずる必要を生ずるものと考える、こういうことを言われておるのでありますが、これは誠に重要な問題であると思うのでございまして、この点についての具体的な御見解をお聞きしたいのであります。
  48. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) この点につきましては、例えば特別な重要物資等につきましては皆様御承知のように、或いは今後国際間における割当というようなことが起り得ると考えられます。そういうものについては、ものがものでありますために、これを自由な形にして置くことによつて思惑等が行われ、そうして、有効適切な用途に向けられんというような虞れもあるということも考えられます。そういう場合においては特殊な物資について必要があれば用途の指定とか、或いは割当の指定というようなことが起り得るということも指しております。当然重要な物資について割当が起りますれば、必ず必要な数量のものは割当で入ると思いますが、それだけにそれらがただ自由に任せることによつて必要なところに行かずに、思惑で価格が釣上げられるというようなことは嚴に戒しめなければならんと思います。そういうことをも予想しておるわけであります。これにつきましては、最近臨時物資需給調整法の期間の延長と、多少の改正を加えたものを国会に提出する運びになつております。
  49. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 只今の点につきまして、更に具体的に一、二お尋ねしたいのでありますが、物価の安定に適当な方式といたしまして、これは私たちがそういうふうに解釈するので、或いは間違いであれば間違いであると御指摘願いたいのでありますが、鉄鉱石など約六十品目のマル公の廃止を現在お考えになつておられると思うのであります。これは新聞にも再三出ておるところでありますので、事実だと私は思うのでありますが、同時にマル公制度が存続しているため生産が阻害される、国内価格が低いため輸入が阻害されるというような、物資の阻を撤廃するのだという御方針でこのマル公廃止を言われておるのでありますが、これは物価の安定に適当な方針の中に入るのかどうか、野放しにして安定させるのだというようなり御見解も伝わつておるのでありまして、このマル公撤廃は行うのでありますが、一面におきましては、これはすでに御発表になつた衣料、砂糖、味噌、醤油、食用油脂、石鹸、肥料、地下足袋、木材等の生活必需物資に対して、マル公違反や買溜め、暴利の行為を防止するというような方途に出ておられるのであります。一方においては野放しがあり、一方におきましては統制がある、こういうことであります。これらの点には矛盾なく何か一つ政府としての一貫した方針があられるのかどうか、又その方針とするところは何であるかということをお尋ねしたいのであります。
  50. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話の点でありますが、マル公の撤廃ということにつきましては、今日の事態からいたしまして、かなり矛盾、又は不合理な価格が付けられておるものが相当あるわけであります。私どもは今日の事態において何もかも外せというのではありません。今慎重に研究いたしております。物によりましては、すでに原料の関係においては撤廃されておつて、製品が価格が公定されておる、或いは製品について撤廃されておつて原料がしめられておるというようなことは事実にどうも合わない点が多々あります。のみならず又今日の世界情勢下において、櫻内さんも御承知のように、かなり重要な原材料が外国から輸入されておる。これにつきましては、国際情勢を反映して刻々と価格上昇傾向にまであつて、いずれはこれは頭打に至ると思いますが、そういう情勢下において、従来のような形において価格をきめて置いてもそれはナンセンスだ。これはむしろそういう点は外して行くということのほうが適当なものがかなりあるわけであります。こういう面については、むしろ現在の情勢に合わざる形にある価格の付けかたは外して行くのが一つ考えかたであります。併しながら国民生活に必要なもの或いは数量等の関係から、特殊なものについては情勢の推移を見てから必要があれば外しますが、今暫らくこれを置いておくというものもあるのであります。これは戰時中、戰時中という言葉は誤解を起すかも知れませんが、この太平洋戰争以前における孤立経済であつた日本経済界においての統制というものは、或いは価格の公定の状況というものと今日では非常に事態が変つておる。その線に沿つて適当でないものは外し、必要なものは付けて置く、ここに私は政治の実体があると考えております。
  51. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 更にお尋ねしたいと思いますが、マル公を廃止するということが、私どもにはその次の段階がちらつくのであります。それは野放しにして、実際ナンセンスのマル公を廃し、これはまあそれでいいのですが、併し何と言つても現在鉄鉱石のようなもののマル公を廃止して行つた場合に、これは次第に重要なり物資とならざるを得ないと思います。そうすると、マル公を廃止りしてナンセンスのマル公廃止が一応自由市場における価格に安定するということになつて来ると、その次に改めて再統制をするのではないかというふうに考えさせられるのであります。現在御指摘がございましたように、ニツケルや、錫や、銅、アンチモニー、亜鉛、そういうようなものの原料配分に関する国際割当ができて、これは割当制になつて名国が競つてこれを争つておる、割当に争つておるという状況であります。これはなかなか輸入が困難であるということになります。一方におきましては、蔵出のほうにおいては戦略物資と申しますか、そういうようなものについては中共関係について、すでにこれが輸出の禁止を見ておる。或いは国内におきまして、重要なものについては使用制限が行われるというような、そういういろいろな情勢から考えて行きますと、論議がございましたように、民間カルテルによる統制が行われるのじやないか。独占禁止法或いは事業者団体法についても、長官みずからもこれを廃止するのであるか、何かそういうような点について御考慮になつておるとも思われます。そういうことになつて行きますと、この物資需給の調整や物価の安定に対する適当な方式というものが、私どもから見ると、これは日本経済がやはり臨戰態勢に、好まないのだが追い込まれて行く形の現われであつて、そういうことをしつかり掴んで今後の施策をやつて行かなければ、私は非常に困難性が起きるのじやないか。こういうことを頭に置いて、経済自立についても根本的な検討が必要じやないかというように考えさせられるのでありますが、安本長官のこれらに対しての御見解を承わりたいのであります。
  52. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点は至く同感でございまして、現在の国際情勢の推移というものは絶えず頭に置きつ、日本経済の自立の達成の方式を検討いたしておるわけであります。一つの目標を定めつ、変化に応じてこれは修正し、而もその基本として流れる考えかたとしては、やはり今日の事態として、国民生活の安定維持ということは常に中心に置いて、すべての施策を立てて行きたいと考えております。
  53. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 見返資金がこれが中心になる。経済上打切るのだということと、今度の経済協力との関係考えて行きますと、日米経済協力というようなものが具体化されて行きますと、何か新らしい協力態勢というものがここに生れて来る。だから援助資金というものは打切られるけれども、次にもつと大きなそのアメリカとの関係というものが生れて来るのではないかというふうに考えさせるのであります。これについてのお見通しが何かあるのかないのか、それを承わりたい。
  54. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) まだそういうことについては今見通しを立てておりません。
  55. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 そういたしますと、一応援助資金がなくなるとやうことを一つの目標とする自立計画を、まあ一応それはそれとしてそうお聞きしたいのでありますが、大臣経済規模の拡大ということを言われておるのでございます。それから昨日の総理の御答弁の中には、遊休施設を日米の経済協力の上で活用するのだと言うております。これらのことを考えて行くときにお尋ねしたい点があるのでありますが、それは現在日本で、総理の言われるような遊休施設というものを考えますと、それは大体において太平洋戦争中の軍需物資を生産しておつたところの施設ではないかと思うのであります。又大臣の言われる経済規模の拡大という点については、成るほど今の紡績業なんかは大体フルに運転をしておりますが、これが拡大ということもございましよう。併しながらその拡大の方法というものは、どうやらこれ又やはり日本が好まなくても国防経済的なものになつて行くのではないか、かように考えさせられるのでありますが、この点は如何でございましようか。
  56. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 今お話の点でありますが、必ずしも私の経済規模の拡大ということが軍需工場の復活ということにのみ考える必要はないと思います。私ども日本経済の復興自立ということの裏と申しますか、裏には同時に日本の生産したものが市場を持たなければならんということがあると思います。何ぼ作つても売るところがなければ、これは仕方のないことは十分おわかりと思います。私ども考えかたとしては、やはり日本は原材料なり、機械というような大きなものはアメリカに大いに依存されるが、製品は或いはそちらへ行くよりは東南アジアというような方面が大きいのであります。従つてそういう面から考えたときには、我々はそちらのほうに向くべく、平和産業に関する生産規模ももつと拡大して置くということは将来大いに必要な問題であう、日本の工場というものが現在二割がた能力が余つておる。労力も余つておる。これを将来生産性を高めつ雇用の機会を與えさせるためにも動いて行くようにするということは、当然将来考えられなければならんことであると私は考える。今櫻内さんは軍需工場が復活すると言うのでありますが、かなり民需生産について必要な化学工業等が、戰争中に軍需工場に置き換えられやすいから置き換えられたということだけでありまして、そういうものは将来の問題を考えるときには、やはりでき得べくんば民需工場として復活させる必要があるかと思います。私どもは期待されることは日本が直接援助が打切られておつても、それに代るべき方策として、日本に援助されるものが外資導入等によつて協力されるものもありましようが、私どもはただ軍に日本に直接間接に入るよりも、東南市場に対する復興、購買力の増というものが考えられる方向に物事を考えてもらうことも、日本経済復興なり、自立経済の達成なり、日本の市場確保のためにやはり必要な問題じやないかと思うのでありましてそういうものが総合されて、将来日本に対するいろいろな協力態勢になるのであり、これは是非希望いたしたいものと私ども考えております。
  57. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 長官は只今、そういう答弁でございましたが、これはやはり施政方針の際の大臣の演説でございますが、「世界的な軍備拡充の趨勢に伴いまして、特殊需要はいよいよ増大し、」とありますが、先ずこの特殊な需要というものを具体的にお伺いしたい。「かかる情勢相当期間持続するものと予想されるのであります。このような国際情勢の下において、国内需要を確保しつ、国連に協力する態勢の下に、増加する輸出、特需等の需要を充足するためには、生産規模の拡大を急速に実現することが緊要」だと、こういうのであります。そこでですね、今のような疑問を私どもが持つておるのでございますが、このことは具体的に一つはつきりして頂かないと、大臣の今の御答弁であれば、これはちよつと理解が不幸にして私はしにくいのであります。
  58. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 御尤もな仰せでありますが、これは御覧の通り、朝鮮の動乱も一進一退の恰好であります。従つてども考えかたとしては朝鮮動乱関係で、いろいろ従来のように自動車の修理或いは車輌とか、或いはその他のものが必要な部面に行くことは、これは続くだろうと思いますが、同時に私は朝鮮動乱の例を挙げて見ましても、このまま動乱の形が治まつたとしても、私はきつと朝鮮のあとの始末ということのために、隣接しておる日本において生産したものが、朝鮮の動乱後の跡始末として相当にこれは輸出度が拡がつて来ると思う。むしろ私はそのほうの面なんか相当大きい問題になるのじやないかと考えておる。だから動乱即戦争状態におけることだけを考えるのでなくて、たとえそういうものが治つた後に、朝鮮における民族の平和的な回復という形においては、やはりかなり日本が近いところにあつていろいろ役割をしなければならんと私は思う。私はそういう意味においても、やはり平和態勢に協力する場面も出て来ようし、それはより早く起るか、それが多少時間がかかるかということは起り得ると私は思う。で、もう少し広く物事を考えて見たいと思う。
  59. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 どうも少し細かくなつて恐縮なんですが、更にこういうことを大臣は言われておるのであります。それは鉄鋼の生産設備の補修改善等、操業度の向上を図ることが必要だということを説かれておるのであります。現在の生産設備能力はすでに操業度が相当高度であつて、今後増産を期するためには生産設備の確保を図ることが必要であり、又その他の物資につきましても、今後の需要の増大に応えるためには、現有設備の補修改善等、操業度の向上を図ることが最も必要であると、かように言われておるのであります。そういたしますと、この鉄鋼の需給の関係を申しまして、これは国内の需給の上から不足やすると言いますか、それとも日本一つの鉄鋼政策として、或いは貿易政策として鉄鋼の輸出が好もしいと、單に打算的な点からのみ考えられておるか、私はどうもこの鉄鋼の関係で、一面中共には歳出は禁止しておる。併しながらこういうふうに大臣が国内的には設備の補修改善、操業度の向上をしたいと、こういうことを考えて行くときに、私どもの立場から言えば、もつと大臣に率直に大いにやつてもらつたほうがいいということなんです。例えば統制経済をするにしても、或いは経済自立計画を立てられて、その計画を遂行するために、多少その計画生産的なものが加わつて来ようとも、これは国民に対して、日本はこういうふうに行くんだということがはつきりしておるならば、何も遠慮する必要はないのであつて、この大臣の演説の上から見れば、私らには明らかにそれが看取できるのであります。併しそういうことは明らかにしないほうがいいんだということであれば、それは別です。併し今のこの国際情勢から見るならば、私は政府としてははつきりした方向をとつて国民の納得を得るほうがいいんじやないか、かような見解を持つのであえてお尋ねするのでありますが、誠に恐縮でありますが、御答弁をお願いいたします。
  60. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) この点は一部は私は賛成なんであります。決して私どもは消極的な態度をとつておらないのであります。併し先ほど申しましたように、ただ單に鉄鋼の規模の拡大とか、改善補修が常に戦時態勢と言いますか、そういうことに結び付けられてのみ考えられ勝ちということを遺憾だとするのであつて、我々はむしろ日本の将来の産業自立態勢ということは、先ほどつたような貿易にかかつており、而もそれは東亜の市場というものに対して、我々が面倒を見なくちやならんくらいの大きな考えかたを持たなければならない。そうすれば、さなきだに戰争中、この過去における十数年来、これは鉄鋼生産とあえて言う必要はない。すべての産業設備、機械というものは非常に遅れており、償却もできず、新設もできず、実にありのままの、十年来ありのままの姿で来ておる。このままで行つては非常に困るのであつて、これについては補修改善も大いに必要であるが、このことは余談でありますが、今の物価の問題で或る程度今のような傾向がいいと言いますか、とにかく高くても売れるということであるが、これは一時はいい。この問題は将来反動的に来たときに何を以て対抗するかと言えば、やはり生産設備の合理的新設、能力的設備に乗換えて置いて、下つても対抗し得るような設備に置換えて行くことが、その面からも私は必要だと考えております。單に準戰態勢に協力するためにのみ増加して置くということであつては私はならんと思うのであります。そういう意味合から、広くもつと積極的に確立して進んで行きたいという希望は同じでありますけれども、その理由付けるところに余り狭く、現在の状態にのみ捉われて行くと、私は間違いが起るのではないか、かように考えておる次第であります。
  61. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 更に進んでお尋ねしたいのであります。どうも余り戰争の臭いがする質問ばかりなんですが、例の緊急輸入特別会計の問題であります。これは当初は政府が備蓄をされるお考えであつたように、いろいろの記事から見られるものでありますが、最近は間に保管をさせるのだというような備蓄の問題でありますが、この緊急輸入特別会計というものの実体、これはどういう物を入れて備蓄されるのか、大体食糧を中心とすると思うのでありますが、そのほかに政府考えられておる物があるのか、又民間にそれを保管をさせるということは事実なのか、備蓄の範囲を先ず承わりたいのであります。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 緊急物資の輸入特別会計は二十五億円でございまして、これは食糧等は考えておりません。特殊の物資でございます。それを備蓄の意味ではございません。買入れまして、そうして民間に渡す。大体三回転乃至四回転ぐらい動くだろう、こういう考えかたでやつておるのであります。
  63. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 そうすると、お尋ねいたしますが、この緊急物資の輸入というものは安本のお持ちになつておるところの輸出入計画の外でありますか。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 内に考えてよろしうございます。内垣と考えてよろしうございます。
  65. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 更にお尋ねしたいのでありますが、この緊急物資の具体的な内容ですね。それから保管の点、これらはまだ御発表はできないのでしようか。
  66. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 最近アメリカにおきます割当とか、いういうな問題があるようでございまするが、特殊の必要物資でコンマーシャル・ベーシスではなかなか買いにくいとかいうものでございます。今から何というふうにきまつておりません。それから先ほど申上げましたように、政府が輸入いたしまして、民間に拂下げします。
  67. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 安本長官に承わりたいのでありますが、これは大臣の御答弁がしにくいかとも思うのでありますが、横尾通産大臣が車中談で、これは各新聞に出ましたが、プラント輸出を促進する方法として海外鉱産物の開発をしよう、是非行いたいということの御構想が語られておるのでありますが、例えばインド、フイリツピンのマンガン鉱石、クローム鉱石、インドの強粘結炭、インドシナの無煙炭、ニユーギニア、インドネシアの原油、インド、マレイ、インドネシヤのボーキサイト、いろいろ掲げておるのでありますが、これは何か政府としてお折合せがあつたことでありますか、それとも通産大臣だけのお考えなんでありますか。私は取上げかたとして、日本が東南アジアを開発するのだというような、そういう取扱いかたはどうかと思うのでありますが、プラント輸出の促進の方法として、これらの資源の開発に資するということでありますならば、誠に結構だと、かように考えるものであります。同時にこれは直ちに日本の自立計画への大きな影響のある問題であると思いますので、一応お尋ねしたいと思うのであります。
  68. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 私から代つて答弁いたします。御質問の東南アジアにおける地下資源の開発でありますが、御承知の通り現在日本の地下資源の獲得は非常に困難になつておしりまするし、又鉄鉱石その他は地理的に非常に遠隔の地から運搬しなければならんというような状態となつておりまするので、将来のことを考えました場合、どうしても東南アジアを開発することが最も適当でないかというふうな考えかたを以ちまして、実は大臣談にありまする通りな構想を持つているのでありまするが、目下のところまだ具体的にどうこうと申上げる段階には至つていないのでありまして、率直に申上げますれば、関係先との間に瀬蹈み的な交渉を始めているという程度に過ぎないのであります。
  69. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次官もお見えなんで、もう一つお尋ねしたいのでありますが、非鉄金属の増産問題でございますが、ニツケルやコバルトを特定鉱物として指定しまして、そうしてこれを助成するというようなお話があるのでありますが、これはどういうことになつておりますか。
  70. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) ニツケル、コバルトは御承知の通り非常に現在獲得に困難いたしておるのであります。従つてあらゆる方法を以ちまして輸入の促進をやつておりまするが、それも容易に見通しが付きかねまするので、何らか特殊の施策をやりたいということから、精錬所を開設いたしまして、改めて鉱石も輸入いたしてここで製造いたしたい。こういう考えかたでありまするが、この精錬所も今日まで日本にはないのであります。そこでこのいつまで続くかわからないところの非常な危険を負担しなければなりませんので、この危險に対しまして国家が補償すると同時に、又それまでには価格の点におきましても、市価で販売させよう、そうして会社の損失をなるべき軽減さす。更に又どうしても損失が残るという場合には国家が補償する。以て新らしい精錬を始めて、そうしてニツケルの確保の万全を期したいという実は考えかたを持つているのでありまして、これに対するところの法案は近く成案いたしたいと、かように考えておるのであります。
  71. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 こうやつていろいろと御質問申上げますと、これが最初にお尋ねしたいときと大部状況が違いまして、日本経済というものが、世界の準戰態勢の中の一環として動きつつあると思うのであります。私はむしろそういう方針を明らかにして、そうして混乱のない施策をしてやつてもらいたい。一番というのは、一番という点に大きく響いて行くかと申しますならば、これは当然国際物価との睨み合せによりまして、又原料の逼迫によりまして、どんどん物価騰貴して、そうしてインフレの波の中に国民が捲き込まれるということであります。この点については周東長官は本質的にインフレをしないという御見解を持つておられるようであります。それは生産をそれ以上に増大せしめて行くのだ。いわば一つの景気上昇的な考えかたをされていると思うのでありますが、私は必ずしもそういうふうに行かない。やはり一時的には国民の多くの今々に対して、このインフレの影響を與えるのではないか、施策よろしきを得れば、そういうことの打開はできても……現に私はそう考えます。この十月当時の予算編成物価が非常に変つて来ている。而もそれは消費財へ及んでいる。及んでいるという証拠には、先ほども御指摘申上げたのでありますが、醤油や味噌等に対するこの価格抑制策を講ぜられておるということが、一つの明らかなる証左であろうと思います。こういう場合におきまして、安本長官といたしまして、今後のインフレ対策についてどういう根本的なお考えを持つておられるか、これは最も国民の聞きたいところであろうと思うのであります。
  72. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) インフレをどうするかという問題は、非常にむずかしい問題でありますが、私は現在のところ、昨日も答弁いたしましたように、原則はやはり生産増強ということがインフレに対する一番根本な手段であると考えます。私どもは曾つていつか木村君からお尋ねがありましてお答えいたしましたが、石橋財政当時において、やはりインフレは生産増強によつて対処すべきだという議論が出ましたが、不幸にしてあのときは事志と違つて、生産増強のために必要資金を出しましたが、原材料その他の関係において意のごとく生産が進まなかつた。従つて金だけ出たが生産に進まず、而も戰後の特殊な状況によつて賃金闘争というようなことで刺戟されて、金だけはたくさん出たが物がそれに伴わないというところで、結果としてはインフレをむしろ逆に煽つたという恰好になつたことは事実であります。併し日本の当時の状況からいたしまして、それは結果的にやむを得なかつた。そこで我々は、大蔵大臣の努力によつて過去二カ年において、財政的にやはりこれを締めるということが必要であるとして、現任は悪性インフレは立派にとどまる形に進んで来た。その基盤の上に立つて今度は積極的に生産増強を進めるということが、一面においてインフレに対して防ぐ一つの指針であろうと思うのです。幸にして原材料その他については、いろいろな險しい状況の下にあるといえども、今日割当の問題が進んで参りましても、日本に或る程度のものは入つて来るし、殊に食糧なり、主要原料については優先的に輸入が確保されつあるわけであります。従つてどもは根本の方針としては生産増強を第一に掲げ、これに加うるに財政的な面からも、不必要なところへはむやみに金が流れんようにしますが、必要なところには金を出して行くという財政上の堅実な行きかたに対しては、これと並行して当然考えて行きたいと思つております。
  73. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 最後に私は国民生活の安定という点から二、三のことをお聞きしたいのであります。只今長官は、食糧の輸入については特別な措置を講じておるというようなお話でございました。ところで今度の予算を通じまして、この食糧ということから考えますときに、輸入補給金が現在計上されております。二百二十五億でありますか、これでは不足しておるということは、誰もがもう認めておる点であります。そうすると、そういうような不足しておる食糧補給金をここに計上しながら、食糧は大丈夫なんだと言つても、又補正予算はできれば避けたいのだという御方針を持つておられるとするならば、それではこれは食糧補給金が打切られて、うんと値が上るのじやないかというような気持を国民に抱かしめるのは当然であります。そういうようなことからいたしまして、現在供米が一部東北地方で頭打ちをして、而もその原因が横流れをしておるのだというようなことも伝えられておるのであります。安本長官が御指摘りように、この食糧について何の心配もないのだということでありますならば、国民が安心します。併し只今指摘申上げますような、一部の不安感があるのでございますが、これについて現在輸入食糧は計画通り、或いは計画を上廻るほど確保せられておるということは聞いております。併しながら昭和二十六年度において……、もうすぐ年度が変ります。年度中においてはどうなるのかということについては、重大な関心を持たざるを得ないのでございまして、この点について少し詳しくお答えを願いたいに思います。
  74. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 食糧についての御心配、誠に同感であります。この点は私どもも非常に心配いたしておりますが、併し二十五年度においてもかなり心配されておりましたものが、最近は三月一ぱいには今までの月別輸入数量を遥かに上廻つて、約四十五万トン日本に入つて来るという見通しも立ち、船積もできたようであります。恐らく来年度に至りましても、日本に対する輸入量というものは、いろいろ関係方面との折衝によつて確保できると考えております。三百二十万トンを今目標にいたしております。又供米の問題にお触れになりましたが、幸いに供米も今までに例なく、昨年以前は随分日本政府だけの力で及ばず、供米を促進するために関係方面の協力を求めなければできなかつたような状態でありまするにかかわらず、今年はすでに二千八百三十万円でしたか、はつきりした数量は忘れましたが、それの計画が九九%強完了いたしております。こういう関係で、今後今年の春麦、二十六年産米がどうなるかということが問題でありますが、輸入の面については今までも計画いたしておりまするし、その際御心配補給金がどうなるかという問題でありますが、この点は大蔵大臣もたびたび申しておりまするように、よくよく高くなつておるような場合においては研究もしなければならんと思うが、併しまだ手が残つておる。というのは、例えば小麦の協定へ参加するという問題が残つておる。これは是非とも私どもも参加して行きたいと思います。これは参加されれば、大体トン当り十ドル前後安くなりまするし、この点に見込みを付けておる。その手を打つことも必要でありましよう。そうなれば、価格も安くなるのみならず、約束された数量は必ず買わなければならんが、又売らなければならんということになつておりますから、そういう面の手を打つてなお且つ足らんということになれば、その点は財政のほうで補給金考えて行かなければならんが、まだ今すぐにどのくらい増加しなければならんかというところの見込みも立ちませんし、そういう事態をよく考えて行くということであります。常に必要な輸入食糧が高くなり過ぎて行くということだけで困らんようにすることだけは考えております。昨日総理も申しましたように、協定の問題は今まで非常にむずかしいように思つておりましたが、これは日本側で或る條件を承認すれば、別に入れてやらんということにはなつておらんようでありますから、この点はよく研究をして、入りたいというふうに私ども考えております。
  75. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 大体わかつたのでありますが、これは申上げるまでもないことでございますが米におきましては、ビルマ、タイ国が昨年の十一、十二月項で百二十五ドル、最近ではそれが百三十五ドルになつている。或いは小麦にいたしましても、カナダの昨年のやはり十一、十二月頃が八十五ドル、それが現在は百ドルになつておるというようなことで、これは一つの例でありますが、そういうわけでありますから、主食の問題も、量については最近の情勢上一部安心ができると、併しながら価格の点についての見通しが安心ができないということが、勤労大衆にとつては一番の不安ではないかと思うのであります。この点は一つ大蔵大臣におかれましても、速かに御善処を願いたいと思います。  更に申上げますと、最近輸入促進のことが非常に言われまして、そうしてこの委員会でも明らかになりましたように、効果が上つて参りました。ところが今度は外貨不足のために輸入が今後果して計画通りに行けるかどうかというようなことが現在問題になつておるのでございますが、この点については如何でありましようか。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 主食の価格の問題でございますが、これは先ほど安定本部長官も言われましたように、予定の三百二十万トンは本年度は入つて参りませんが、二日七、八十万トンは確保できる見通しは付いたのであります。で、補給金の問題も我々飽くまで三百二十万トンを確保したいと思います。昨年の今頃は政府の三百二十万トンにつきまして非常な非難があつた。そんなに入れてどうするのだ、余つてしようがないじやないかという非難がありましたが、我々は三百二十万トン入れたいというので予算を組みましたが、併し実際は二百七十万トン程度で終るようであります。而うして主食の関係は備蓄も相当できております。来年度予算上三百二十万トン組む、実績もそういうことを期待しておりますが、本年の麦或いは米のできようによりまして、備蓄が今年以上に殖えるということもありましようし、又国際情勢によりまして、三百二十万トンが三百万トンということになつた場合におきましては、これは補給金関係も違つて来るのであります。そこで先ほど補給金の問題がございますが、こういうことをはつきり見極めてでないと、軽々しく予算の組替補正はできないと、こういうことを言つておるのであります。主食は国民生活に大事な問題でありまするので、価格につきましても、本年内は勿論変えないつもりで進んでおります。  次に外貨の資金の問題でございますが、昨年の暮は大体ポンドをドルに換算いたしまして五億二千万ドル、そうしてオープン・アカウントで三千四百万ドルを含んでおります。これだけでありましても、一、二月に輸入が非常に殖えまして、この五億二千万ドルが四億五、六千万ドルに減つております。これは私は輸入が殖えて喜ばしいことと思います。併しまだ外貨が不足だと心配する必要は毛頭ございません。五億ドル近く持つておれば十分であるのであります。ただ問題はポンドがどうなるかという問題であります。ポンド地域からの輸入は東南アジアを主とするものでありますから、我々極力これを進めております。併しポンドとドルのコンヴアートがなかなか国際関係的に認められない。それで今季節的にポンドが不足しておりますので、一昨昨日か、ポンドユーザンスを一時停止するということになつておりますが、只今ポンドとドルのスワツプを交渉しております。その中に何か見通しが付くと思います。従いましてポンドとドルのコンヴアートの問題につきまして努力すれば、輸入資金の不足ということは我々考える必要は今のところないような状態であります。
  77. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 スターリング地域の輸入につきましては、現在季節的に非常な重要な時期であるということは、これは今大臣が言われた通りであります。然るにポンドが不足しておるということで非常に心配であるというのは、この綿花や羊毛の買付について影響があるからであります。安本長官はその演説の中で、綿花、羊毛等の原料輸入の増加により、国民の衣料事情も又相当改善されつあるということをここで述べられておるのであります。併しながら現在のこの加工貿易方式によつて相当輸出して参ります。そのために内需が圧迫されまして、現任輸入の見通しが不安である。私はこれも又この段階においては、量においては多少操作のしようによつては出廻るとは思うのでありますが、併し何としてもその価格が高いということによつて手が出ない。これらにつきましては労務者であるとか、或いは農業従事者であるとか、或いは国立病院や療養所におる者のためにであるとか、或いは生活困窮者については特段の施策と講じて行かなければ、国民生活の安定の上から見ての衣料施策は十分でないと思うのであります。一面におきまして、現在のポンド不足を速かに打開して買付けて頂くと共に、これらの施策を十分にして頂きたいと思うのでありますが、政府は現在どのような御方針を持つておられるかどうか。
  78. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 綿花、羊毛の関係でスターリング地域におけるポンド不足に対する措置は、只今大蔵大臣から申上げた通りであります。一時ちよつととめられておりますが、これは今お話のようにいろいろスターリング・コンマーシヤルのことが近く解決いたしまするし、又とめたと言いましても、特殊な必要なものについては、具体的にとめられた間においても解決をするという話合が付いておりますから、その点余り心配はいたしておりません。更に衣料原料について内需確保の問題にお触れになりましたこと、御尤もなお話であります。私どもが力を注いでやつておる点もこの点でありまして、従来一月一万七千梱くらいが内需向けにきわめられておりました。我々は今後における経済施策の遂行をいたす上におきまして、是非とも衣料原料である綿糸、綿布についての国内の需要の増加確保について今折衝をしておりまして、恐らく近くはつきりと申上げる機会が来ると思いますので、相当数量毎月の内需向けを確保することに見通しが付いております。然る上はこの加工された内需のものを、只今お話のような労働者、農民というような特殊な地域に横流れせずにうまく達成し得るように、私ども施策を今練りつつある次第であります。
  79. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次は住宅の問題であります。この住宅の問題については先ほども触れましたのですが、生活物資の統制令中に、木材について売惜み、買溜、暴利行為を防止しておる。それからこれは大蔵大臣が御指摘なつたかと思うのでありますが、建築制限などを行い、重要物資の消費規正を強化するというようなことが緊急経済政策の立案の中にあると思うのであります。そういうことから考えて行きますと、現圧倒承知の通りの住宅状況であります。百十一億円の住宅金融公庫の貸出がございましても、私は到底十分なる施策は望み得ないと思うのでありますが、この点につきまして安本長官はどういうお考えをお持ちであるか。
  80. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 住宅の問題は国民生活に最も大切なものの一つでありまするが、これは大蔵大臣から答弁があつたようでありますが、もつと実は予算が殖えれば結構でありますが、現在の状態からいたしまして、只今出ておるような予算で一応とどまるのでございますが、併しその予算面と住宅金融公庫を通じて出る金によりまして、たしか今年は四万戸ですか、そのくらいの住宅の建設が計画されておるようであります。私どもはできる限り早くそうしたいと思いますが、その点財政上思う通りになりませんことは遺憾ですが、この上ともなお考究をいたしたいと思います。ただ大蔵大臣が恐らく木材等についての消費制限というようなことをお話なつたについては、これは別の面からであります。私どもは将来の住宅政策としては、できれば不燃焼耐火建築というような形に持つて行くのが理想であつて、やはり今のセメントなんか高過ぎるのですけれども、本来はセメントが安かるべきである。セメント・ブロツク、アツシユ・ブロツクによつて変えて行かなければ、日本の山の現状からいたしますと、どうしても木材の伐り過ぎがあるのであります。これは建設用材、薪炭用材というものが大きな部分を占めておる。片一方パルプ資材としての紙、人絹、スフというものに対しても相当量の要求がありますが、この間を如何に調和するかということは、大きな私は政策上、政治上の問題だと思います。そういう点から私は建築に対する木材の使用等については、将来ともそういう立場からの研究をしなければならんということも今我々考えております。これは恐らく大蔵大臣もそういう大きな面からの御意見だつたと私は思います。
  81. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 私の大体持時間も残り少ないのでございまして、この程度で質疑を打切りたいと思うのでありますが、あと文部或いは厚生、労働、これらの各大臣には一般質疑に讓りたいと思います。私は本当にこの政府におかれても国民生活の安定については非常な御熱意を持つておられると思いますが、只今指摘申上げました諸点について非常な危惧を持つておりますので、一段の御努力をお願いいたしまして、私の質疑を終ります。
  82. 波多野鼎

    ○委員長(波多野鼎君) ちよつと私から安本長官にお願いをして置きますが、この予算審議過程を通じまして一番問題となつている点は、価格の問題と日米経済協力の問題だろうと思うのです。で、日米経済協力の問題につきましては、長官はアメリカ政府から日本政府に対して正式な申入れは何もないという御答弁であつたのでありますが、そういう御返事であつたのでありますが、だんだん話を聞いておりますと、昨日の吉田総理大臣のここで説明では、アメリカ政府側がこういうことを希望している。即ち日本経済をアメリカ経済の一環として考える、そういうことを希望している、そうして総理もこれを歓迎しておるということを昨日この席上で発表されたのであります。そういたしますと、当面の責任者である経済安定本部においては、この日米経済協力の問題について総理の意を受けてか、或いは意を受けないでも、何らかの操作をなすべきだと私は思うのです。又やつておいでになるのが当然だと思うのです。で、協力の問題について先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、それは日本は貿易関係に立たなければならんのだから、アメリカともイギリスとも、その地東南諸国とも協力をするのだというふうな御答弁で、この日米協力関係というものを一般的な通商関係の問題の中に吸收してしまつてお答えになつておりますが、そういう問題じやないと思います。で、これはもう何度もここの委員会の席上で問題になつた点でありまして、まあ部分的には、例えば日米経済協力関係は軍事的な生産の協力関係じやないというような点はまあはつきりしたと思いますが、これはほんの一端に過ぎない、そこで私から希望いたして置きますが、恐らく安定本部において構想をまとめておいでになるのだから、その構想をこの委員会において発表して頂きたい。これは国民が非常に心配しておる点でありますし、我々も国民代表としてこの問題について議会を通して国民に訴える、知らせるという責任を持つております。これをやらないと、民主政治に一つの汚点を残すことにさえなりかねんと私は思う。その意味におきまして、できるだけ早い機会に経済安定本部からこの問題を具体的に取上げて御報告願いたい。その上で論議を展開して行きたい、こういう希望を申上げて置きます。
  83. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 私は故意に隠蔽しておるのでも、隠しておるのでもありませんので、誤解を解いて置きたい。今いろいろ新聞等にこの間から出ておることを根拠として経済協力態勢において、こういう数字がある、こういうことをやるのだということに対する御質問でありますが、これは私ははつきりと誤解を解いて置かなければならないが、そういうことはありません。そういう数字の下に簡單にいろいろな計画が進められておる現状ではないのであります。併し若しお話のような点につきまして、具体的にまとまつたとどうことがありますれば、これは勿論ここで以て御説明もいたしますけれども、今日のところまだいろいろな点でああいうことが新聞に出ておりますが、その通りの内容でまだ政府において具体的にきまつておらないから、お答えしておらないのでありまして、故意に隠したり、国会の御審議に対して禍いをするということは毛頭考えておりません。併し、ないでもないので、そのようなものができますれば、当然私は国会にお話を申上げたいと思つております。
  84. 波多野鼎

    ○委員長(波多野鼎君) 重ねて申上げますが、そういう数字のことを問題にしておるわけではなくて、アメリカ側でも日米経済の特殊な協力関係を作りたいと希望しており、総理大臣もそれを歓迎しておる。ですから、あればその問題について何らかの構想が練られておるはずだという意味で、数字のことを聞いておるのではなくて、その構想を話して頂きたいと、こういうことであります。  それでは暫らく休憩いたします。午後は二時から再開いたすことにいたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後二時三十四分開会
  85. 波多野鼎

    ○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。  最初にお諮りいたします。午後の代表質問者は木村委員であります。木村委員が要求しております大臣のうちで、特に重要な質疑をしたいと考えられておりました農林大臣が病気のため出席できません。なお同じ問題について質疑をされるはずであつた労働大臣も病気のため出席いたしません。そこで予定を変更いたしまして、今日は散会したならば如何かと思いますが、御意見伺います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 波多野鼎

    ○委員長(波多野鼎君) 御異議ございませんようですかち、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆着            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            小野 義夫君            白波瀬米吉君            野田 卯一君            長谷山行毅君            一松 政二君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            岩崎正三郎君            内村 清次君            永井純一郎君            菊田 七平君            深川タマヱ君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   國務大臣    大 藏 大 臣 池田 勇人君    厚 生 大 臣 黒川 武雄君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 阿野 一之君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省社会局長 木村忠二郎君    農林政務次官  島村 軍次君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    労働政務次官  山村新治郎君    経済安定本部貿    易局長     湯川 盛夫君    物価政務次官  郡  祐一君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君