運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-09 第10回国会 参議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月九日(金曜日)    午前十時五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会を開きます。  昨日の午前と同じように、各党の持時間は質疑応答を含めまして四十分ずつであります。最初に堀木君。
  3. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私総理大臣に、特に今日は外交問題を別にいたしまして、経済問題を主にいたしまして、お尋ねいたしたいと思います。何と申しますか、外交問題につきましては、すでに応答相当盡くされております。又あれ以上総理大臣がお言いになる傾向もないようであります。なおそれにも増して非常に国内におきまして重要な問題、それが国際的な関連において考えられますので、それらの点についてお聞きいたしたいと思います。  先ず第一に、この前の臨時議会におきまして、私は総理大臣に非常に輸入原材料獲得に各般の施策を挙げて集中動員なさるように切に要求いたしたのでありますが、その点につきまして、内閣のほうの非常なお骨折りによりまして、いろいろと御努力をなすつておる。そうして一月の、細かい数字総理大臣ですから申上げません。ともかくも一月におきましては、コンマーシヤルのほうにおきましては、ともかくも輸入がより輸出より多かつた、併しサービスその他特需関係を入れますと、やはり外貨は受取超加になつておりますが、ともかくそういう実績を見つつある。なお今後の模様といたしましても、すではユーザンスの額から見ますると、相当輸入原材料が入つて参るであろうということが予想されるのでありますが、昨日の総理の御答弁にもありましたにもかかわりませず、輸入原材料確保ということは非常に困難の度を更に増して参つているように思うのであります。無論これは私が申上げるまでもなく、総理自身がよく御承知だと思うのでありますが、又昨日もその点に触れておられるのでありますが、いわゆる世界の軍拡に伴いまして、各国とも厖大予算を組んでいるわけであります。昨日新聞紙の伝うるところによりましても、ソヴイエト国防費に実に厖大なるところの予算を組んでおります。そのソヴイエト国防費が大体予算総額の一八・五%に当るところの七百九十四億ルーブルを組んでおるのであります。これは昨年に比しまして、更に増大いたしておるわけであります。そのほか国民経済費といたしまして、ソヴイエト経済五カ年計画によりまして、支出いたしまするところのものも相当厖大であるということが予想されまして、それらを集めると、軍事費及び準軍事費的な予算というものは予算総額に対して約六割を占むると、こういうふうなことが言われておるのであります。又アメリカも御承知通りに、実に厖大なるところの軍事費予算を組んでおる。やはり予算総額に対して六、七割に直接、間接当ると言われるのであります。イギリスも、イタリアも、フランスも、すべて最近の情勢はそういう情勢になつて参りますと、ここに私ども世界のこの態勢の中に立つて、そうして本当に日本原材料が今までの形で確保できるかどうかという問題について十分考えなければならんと思うのであります。更にもう一つ日本には昨年の暮の中共貿易転換に伴いまして、物資を近廻りにおいて獲得することが困難になつておる。中共貿易は実は数量的に見ますと、全貿易額に対しましては、以前は二〇%近く占めておりましたものが、現在では四・五%と推定いたされまするが、併しながらやはり原料炭でありますとか、或いは鉄鉱石でありますとか、塩ですとか、大豆などが、日本産業に彼の地から持つて参ります割合というものは非常に大きいと同時に、これらをアメリカその他の地域転換いたしますために輸送距離は非常に殖えて参つた。たださえ世界船舶不足に関連いたしまして、遠距離になつて参りましたので、運賃が非常に物資占むる割合が殖えて参つたのであります。こういうふうな二つの問題を考えて参りますると、日本経済が今後自立経済を達成します上において、大きな当面した二つの問題にぶつかつて参つたわけであります。即ち日本がその自立経済達成に必要な原材料を本当に確保いたすというためには、今すでに発足しておりますところの物資国際的割当機構に対して、やはり協力を求めなければならんと思うのであります。その協力と援助なくしては本当にこの問題は解決しない。率直に申しますれば、日本日本の今持つております力だけでこの問題を解決することは相当困難じやなかろうか、こういうふうに考えるのであります。同時に現在船舶保有量というものは非常に数量的に少くなつておる。又その性能は非常に劣つておる。中共貿易転換に伴いましても、約百万トン以上の船腹が不足する、而もその船腹が完成いたしましても、なお日本自立経済達成に必要な輸入原材料は五割程度しか運べない、こういうふうな情勢なのでありますが、これらの点につきまして、総理大臣のお見通しを先ず承わりますれば、非常に結構だと、こう考えるのであります。
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。輸入態勢については、まさにお話通りであると思います。態勢については……。併し同時に日本経済を育成する、或いは日本経済を援助いたして、そうして極東における日本工業力等を利用したいという考えかたもあるために、成るべく日本に対する対日輸入については、米国イギリスもそうであるようでありますが、成るべく援助したいという考えを持つておることは、私の承知いたしておるところでは甚だ明瞭であります。同時はアメリカ生産力戰後増強はされておりますが、同時にアメリカ原料を求むる国が相当多くあつて、昨日も申したように、ワシントンにおける各国割当競争相当に激烈であるそうであります。そういうように競争は激甚でありますが、同時にアメリカの好意は相当以て日本に対する割当を増加して、日本の利益になるようにということを米国政府も、又連合国司令部もわざわざ人を派してまで努力いたしてくれておるそうであります。又イギリスその他においても、日本に対する輸入については、これは貿易上の関係でありますが、或いは外貨獲得関係からでもありまするが、対日輸入については相当考えておるようであります。それでありますから、相当輸入確保はできるものと私は確信いたしております。又確保をいたさなければならん状態にあると思います。又同時にお話の船の問題でおりますが、船の問題にいたしても、成るべく日本に対する便宜は図ろうという気持は米国方面においても相当あるのであります。ただそれを実現させるためには、お話のような船価が上るとか、運賃が上るとかいうようなところから、買船をするとか、或いはチヤーターをするといつて相当困難がある、相当困難がありますが、政府としても、又民間においても成るべく船を獲得する、船の輸送力確保するという運動は、まあ将来において効果が上りはしないか、これは希望でありますが、なおその点については政府努力するつもりでおります。
  5. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今お話を承わつたわけでありますが、率直に申して、動向としてそうだというお考えは私と同じように思いますが、私はこの際やはり日本経済というものがどうして自立達成できるかということを、もう一遍深刻に考えて見なくちやならんと思うのであります。実は一月の輸入につきましても、非常に振いましたのは、やはりドル地域からの貿易額が圧倒的に多かつたということに基因していると思うのであります。数字の細かいことは所管大臣質疑をいたしたいと思いますが、併しいずれにいたしましても、朝鮮事変以来、特需が大体二億五百万ドルに上つておりますが、これはサービス関係を入れてでありますが、約七カ月の間に二億ドルのものによつて日本経済が一変するようになつて参るほど、私は日本経済脆弱性を持つておる。つまり自力で立つ力が、未だ戰争による創痍が癒えません。これは相当長期にかかるものと思われるのであります。それから先ほど挙げました中共貿易の杜絶によりまして、もうこれだけの変転を受けておるのであります。こういう際に今申上げましたような情勢から言いまするならば、むしろ積極的に日本経済を拡大再生産して参るという方途に向いますならば、こういう点につきまして、日本が積極的に国際機構と緊密な連携をとつて、そうして一日も早くこういう方向に向うという機会をつかまえるべきでなかろうか、こういうふうに考えるのでありますが、その点についてのお考え、この点につきましては、昨日極く一端をお洩らしになつた分がありますが、この点につきまして、更に詳しく御説明を願いたいと思うのであります。
  6. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 日本自立経済と言われますけれども日本は従来といえども国際貿易によつて国を立てておつたのでありまして、将来といえども、ますます外国貿易を盛んにして、輸入を盛んにし、若しくは輸出を盛んにして、貿易によつて国收支バランスを作つて行くより仕方がないと思います。又中共の問題でありますが、中共は御承知通り中共国民としては、貿易或いは商売戰争戰争でありますが、商売商売という別に考えをすると言いますか、戰争があつて商売は別というような建前で行く国民でありますから、中共に対するやりかたによつては、輸入貿易にしましても、輸出貿易にしましても、相当の増加はできるものと私は考えます。現に香港を通じて相当貿易ができつつあり、又できようといたしておるように承知をいたしております。米国については先ほど申した通りでありますが、いわゆるポンド地域にしてもだんだん安定をいたすと共に、生産力相当各地とも多少なりとも増強されつつありますから、いわゆる日本に対する供給も、今後の状態によりますけれども国際関係の安定と共に、日本貿易確保することに更に一層の力を用いたならば、相当成績が挙りはしないか、又在外事務所印度その他にも近く増加する見込であり、又増加するように努力いたしておりまするから、これらの在外機関を通じて輸入の促進、輸入原料確保ということについては相当成績を挙げたいものと考えております。又海外に参る在外事務所員に対しても、その点は嚴重に申付けております。在外事務所の所員としては、外交を考えるよりは貿易考え、又通商を考えて、この点に全力を注ぐようにと申付けております。併し講和條約ができない日本としては、国際活動については相当の制約を受けておるのであります。真に日本が国際的に活動いたすためには、どうしても講和を促進しなければならず、たとえそれが一国であろうが、二国であろうが、成るべく多数の国と講和関係に入つて、同時に日本の役人ばかりでなく、官民と言いますか、貿易業者活動も成るべく活発にできるようにいたしたい。又最近になりまして、米国支店設置を許しております。でありますから、外国貿易を業としておる商社等においては、速かに成るべく多数の支店米国開設するというようなことにいたしたいと思つております。又米国その他においても漸次支店開設ということについては話ができようと思います。殊に印度方面においては支店開設見込相当あると思いますから、若し日本貿易業者支店開設せられ、又貿易業者自身活動ができるようになれば、日本貿易相当に今年において伸張しやしないかと、こういう見込でおります。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 やや詳細に承わつたのでありますが、私はこの際に講和條約が非常に早く伝えられておるのでありますが、と同時に、一日も早くこの貿易についてだけ相当広汎な日本に権利を認められるよう、特に御努力を願いたい。こういうことを先ず第一点としてお願い申上げたいのであります。  それから第二点といたしましては、こういう国際情勢を受けておりますると、私考えまするに、何と申しましても、この経済的必然性の前に輸出は振つて参る、そうして輸入原材料はやはりそれに伴わずになかなか窮屈になつて参る。朝鮮事変後に起りました日本経済状況というものは、ここで振り返つて再検討する必要があるのではなかろうか、朝鮮事変におきまして、その前まで非常にストツクを持ち、金融的に行悩んでおりました国内としては、その滯貨がはけること、そのことに非常に何と申しまするか、気を奪われた、そうして日本経済をどういうふうに持つて行くかという点からいたしましては、幾分遺憾な点がなかつたではない。やはりそれが輸入原材料が入つて参りません。工場ストツクは減つて参りまして、成るほど生産はその後もやや順調に上向きを続けて参りましたのですが、一月にはすでにやや反落の兆を示しておるのであります。尤も一カ月程度状況で即断するわけには参りませんが、そういう状況が出て参つております。と同時に、物価上りまして、国民生活水準はやはり低下を免がれない。つまり一言にして言えば、飢餓輸出の形になつて参つたように思われるのであります。この際にやはり日本としては、私はよほど、朝鮮事変以後の特需ですらこうでありますとすれば、現在我々が当面しておる世界経済情勢から見まするならば、ここによほど考えなければならん点があるのでなかろうか、こういうふうに考えるのであります。やはりここに全体の世界経済との結び付きに立つて、自主的な方向をよほどしつかりおきめになつておりませんと、今朝鮮事変以後に繰返したような状況は避け得られなくなつて来る、にもかかわりませず、実は内閣全体の今の動きといたしましては、どうも成るべく今までの御方針自由主義経済方向に行こう、マル公は外す、或いは統制されている物資の配給も離して行こうという方向に相成るように窺われて心配でならないのであります。国際物資割当協定に入ります場合には、我々としても当然或る程度協力が要請されることは当然だと思うのであります。そういう点から見ますると、重要物資使用制限でありますとか、或いは優先割当でありますとか、そういうものが結び付いて参ると思うでありますが、まさに私は今日本経済はこの面からも一つ修正を要するような事態に入つて参つた、こういうふうに考えるのでありますが、御意見は如何でございましようか。
  8. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 統制によるか、自由主義によると言いますか、統制経済を眼目とすべきかどうかということについては、いろいろな議論の立てかたもありますが、政府として今日考えていることは、成るべく統制は外して、そうして自由に自主経済というまででなくとも、いわゆる個人の企業意欲をますます発達させるために統制は成るべく外したい、それが我々の希望しているところであります。その根本方針は変りませんが、併しお話のように、国際事情が変つて来る。従つて原料確保従つてそれが輸入された物資が有効に使わるるようにするためには、多少の統制も必要とする場合もありましようが、併し私としては、又政府としては、成るべく統制によらずに行きたい、自由な形において参りたいと考えております。但しそれが必要に応じて統制を必要とする、又現実の事態に即してなさなければならない統制は無論いたしますが、方針としては成るべく自由に、従来の統制経済国民はよほど疲れておりますから、自由な経済に持つて行きたいという希望を以て処理いたしたいと思つております。
  9. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 お説はよくわかるのでありますが、実は今申上げました国は実は相当統制に入つておるのであります。これはもう御承知通りであります。私案は最近の何と申しますか、ニユーヨーク・タイムスでありましたと思いますが、アメリカ朝鮮事変以来僅か七カ月の間に何をしたかということで、二月の十一日のニユーヨーク・タイムスでありますが、朝鮮事変が始まつてから七カ月経つた、そうして統制経済に入つてから五カ月になる、そうしてトルーマンがこの統制経済に関する最高権を持ちましてから二カ月経つ、そうしてアメリカ経済価格と賃金の統制下に置いてから二週間経つ、ところがそれが非常にテンポが早いのであります。アメリカ経済を一例に挙げたのでありますが、その他の国々のイギリスイタリアフランス等相当それらの点について入つてつておる。昔の官僚統制というものの弊害というものに非常にこりた国民感情も私はわかるのであります。と同時に、統制というものは、なかなか一部でも統制いたしますることは相当準備というものが必要だと思うのであります。そういたしますると、世界経済テンポと合せまして、日本ではそういうことについて準備がお要り用になる。なかなかこの点につきまして、口で言うのはやすくいたしまして、統制のむずかしいことはよくわかるのでありますが、併しながらそれだけに時期に間に合わせて御準備をなさらないと、結局朝鮮事変後の問題を繰返すという心配をいたし、却つて民需を圧迫する、或いは国民生活水準を低下するという結果に相成らないかということを心配いたしているのであります。
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御意見は承わつて置きますが、今申しました通り政府統制に対する考えは成るべく自由にやつて参りたい、統制は外して参りたい。併しながら必要な場合においては無論統制をいたすことに躊躇はいたしません。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それでは時間がございませんから、制約されておりまするから、物価の問題に移りたいと思います。これも細かいことは所管大臣と応酬いたすつもりでございますが、極く大ざつぱな問題につきまして申上げたいと思うのであります。二十六年度の予算を審議いたしておりまして、私どもが一番痛感いたしますことは、先ほどお聞きいたしました世界経済との結び付きにおける日本経済が、あの自立経済審議会に対して相当修正を要するようになつて参るだろうということが一つであります。と同時に、第二は、これから申上げますところの物価の問題であります。二十六年度の予算は御承知通りに大体生産材は一〇%、消費材は五%程度見込んで編成されたのであります。予備審査におきまして、この点からいろいろと質疑があつたのでありまするし、昨今、昨日も頂戴いたしました資料でありますが、公共事業費等におきましては、十二月の物価をすでに織り込み済みであると言われるのでありますが、併し実は物価は十一月、十二月、一月、二月と非常に高騰して参つたのであります。余りに高騰いたしまして、昨今幾分横這いの傾向があるにもかかわりませず、物資によりましては、相当まだ高くなつてつておるのであります。一月の東京生産材自由物価朝鮮事変の直前の六月に比しまして、実に四五%上廻つております。四割五分、無論物資によりましては倍以上に上つているのがあることは御承知通りであります。消費材におきましても非常に上廻つて参る、もう二割を上廻つておるのであります。又昨日の東京都の調べによりますると、一月に比して二月は更に五%以上騰貴いたしております。こういうふうに物価が騰貴して参つておる。どうしても本年度の予算とこれは非常に間隔が離れて参つておる。それが食糧管理特別会計におきまする補給金の問題でありますとか、或いは公共事業費でありますとか、或いは国有鉄道でありますとか、林野特別会計予算でありますとかいうものを計画通り遂行するには非常に支障になつてつておるのであります。この点につきまして、日本が先ほど申上げましたように、国際価格の高騰を受けて上つた程度であるかということになりますると、実は国際物価の上廻りより上廻つておるのであります。これも御承知だと思いますから数字は略しますが上廻つておるのであります。朝鮮事変前を基準にいたしましても、又為替レートの三百六十円を設定されました当時に比較いたしましても、国際物価のほうが下廻つてつて国内物価のほうの上り工合が殖えておる。この原因はここでくだくだ申上げませんでも、又その原因につきましてはいろいろ申上げたい、他の大臣と応酬するつもりでありますが、ともかくも物資面為替面から来るところの二つ方向によつて、折角均衡予算をお組みになつても、事実こういうふうになつて参つたのであります。ここら辺で何らか物価につきまして手をお打ちになりませんと非常に変つた経済になる。折角二年間安定経済と称せられまして国民も犠牲を忍んで参つてそうして達成した安定経済が、この面から崩れて参るということを心配いたすのでありますが、それらについて何かお考えがございましたら御意見を拜聽いたしたいと思います。
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 答弁の正確を期するために大蔵大臣からお答えいたします。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 代つてお答え申上げます。お話のように、予算編成当時よりは今はかなり物価上昇を見ておるのであります。従いましてこの予算で一年間通せるかどうかということにききましては、その情勢によりまして判断いたしたいと考えております。  なお国際物価日本物価上昇でありまするが、卸売物価小売物価ともに、米国或いは英国よりも相当上廻つておるのでありまするが、英国米国物価だけでは考えられません。その他の国の物価上昇も見なければならない。輸出状況から考えますると英米以外におきましても相当物価高があるのであります。而して我々といたしましては、一般国際物価よりもできるだけ上らないように努力はいたしておるのであります。一般国際物価より上らないようにするのにはどういう手を打つかという御質問でございまするが、これはできるだけやはり輸入を促進いたしまして、生産を増加するよりほかに手がないと考えておるのであります。
  14. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 堀木君時間が……。
  15. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 始まりましたのが遅かつたから。
  16. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 六分から始まつておりますから。
  17. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それじや一言だけ総理大臣に。大蔵大臣とは午後お話の時間がございますから、又重ねて今のお話について総理大臣に伺いたいと思いますが、総理大臣は、ただ物価のことを大蔵大臣にお任せにならないで、この点につきまして、物価が余り上ることは御希望にならない、こう思うのでありますが、その一点だけお答えを願いたいと思います。
  18. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは私ならずとも国民一般としては、物価が上ることは希望いたしますまいが、併し政府としてはできるだけのことをいたしますと共に、諸君からもこういうふうにしたらば、ああいうふうにしたらばよかろうというお考えがありましたら、どうぞ御遠慮なく御提案を願いたいと思います。
  19. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 櫻内君。
  20. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 私はこの機会に、講和受入態勢と申しますか、目捷に控えました講和に備えての受入施策について、例えば日本国民の心がまえであるとか、或いは只今堀木委員がいろいろ質問されておりましたが、経済自立の問題であるとか、又本国会でいろいろ論議された安全保障の問題、又我々が一つの理想としておりますところの文化国家としてのその目標、こういうような点について、総理大臣に御忌憚のない意見を承わりたいと思うのであります。その前提といたしまして、先般ダレス特使が見えられまして、その後太平洋諸地域を歴訪されてアメリカ本土に帰られたその間の私どもの感じからいたしますならば、講和は本年のうちに開かれる、非常に近いのでないか、こういう期待を持つてつたのでございます。併しながら最近の情報によりますと、ソ連代表のマリク氏とダレス氏との会談は、ソ連代表側から、この講和の問題については今後論議を継続しないというような報道が伝わつておるのでございます。この真相については、もとより我々の知られざるところでありますが、この報道によりまして、果して講和が私どもの期待するように今年中にでも行われる見通しがあるのか、それともこういう情報が入ることによつて講和が先に延びたのか、一面におきましては、ソ連との関係関係として、いわゆる多数講和と申しますか、そういうものがこのことによつて促進されるようなふうにも言われるのでございますが、この辺についての総理の、できればお見通しなり感じを承わりたい。  同時にこの際、誠に單純な質問ではありますが、特に御見解をお聞きしたいのであります。それは今国民は確かに全面講和を、総理が再三言われるように、希望し、又できればそれがいいというその総理のお気持は、十分わかつております。又国民も同じであります。ところが現在の趨勢は、多数講和になりつつある。この場合に率直に承わりたいことは、日本政府として、これはアメリカを通じてでありましようか、或いはその他の国を通じてそれを打診されておられると思うのでありますが、どこにどういう点でソ連との間の講和がむつかしいのであるかということ。これは誠に不幸なことでありまして、非常に抽象的に今單独講和か全面講和か、或いは多数講和が全面講和かというような国内の論議で終つておりまして、本当に国民の中に、どういうわけでソ連との講和がむつかしいのかということを把握しておる者が少いのであります。そういう意味におきまして、お差支えない範囲で、こういうわけでどうも今のところ困難があるのだという点、この二点につきまして先ず承わりたいと思います。
  21. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。講和の問題は、これはしばしば申すことでありますが、客観情勢次第によることであつて、この客観情勢は始終動くものでありますから、今日講和が早いだろうと考えられたその講和が遅くなることもあれば、意外に又早くなることもあるということは、これは従来の例に徹して明らかであります。例えば一九四七年でありますが、第一次吉田内閣が総辞職をいたした当時には、その年の秋には講和條約に入ることができるであろうという見通しを司令部等においては持つておつた。従つて又我々もそうであることを希望いたしておつたのでありますが、その年も過ぎ、その翌年も過ぎて今日に至つて、なお講和ができないというような状態で、国際関係はいわば水物であつて見通しはなかなか付きがたい、又付きかねることが本体であろうと思います。  然らば只今の見通しは如何かと言えば、これは米国等の気がまえから判断をいたして今年中にもできる、できることを希望もし、できはしないかと考えられますが、その米国政府が今お話のようなマリク大使との話が中絶いたしたとするならば、或いは円満に行かなかつたとするならば、かくのごとき障害も起つて来る、米国政府としてはソヴイエトも加えての全面講和でと、そのためにマリク大使との交渉も、或いは話合もされたのでありましようが、どういう状態で、どういう関係で、その話が希望通りに進行しなかつたということは我々知らないのでありますが、かくのごとく思わざる障害が国際関係においては始終起るものでありますから、それで講和見通しは今日は米国関係だけから申せば、或いは米国政府希望としては成るべく早くと考えておる。その講和も或いは延びるかも知れん。或いは早くなるかも知れん。甚だ頼りない話でありますが、頼りないのが国際情勢であるのでありますから、この点は御了承願いたいと思います。  然らばどこに障害があるか。これはここに障害があると、私がここで確認する或る事実をつかまえて申すだけの資料はありませんけれども、共産主義国と自由主義国との間の対立があることは世界周知の事実であります。この対立、この衝突はいろいろな方面において、有形無形に現われておることも御承知通りであります。即ち主義上の問題であるか、政策上の問題であるか、或いは特にその他の原因があるかも存じませんが、両主義国の対立しておる現状においてその間に現状を打破して参る。殊に日本に対する全面講和の場合において、連合国の一部であるソヴイエトアメリカといいますか、連合国の間に対立がある。その対立の難関を打破して、そうして全面講和に参ります場合までには、相当難関があるのでありましよう。思わざる難関が偶然の事実によつても起り得るものでありますから、全面講和になるといたしましても、その間に相当の日月が経過するでありましようし、又自由主義国内関係におきましても、国により日本に対する関係相当複雑なものがあると思います。通商関係においても、或いは産業上の関係においても、或いは船舶関係においても、英国のごときは船舶関係においては相当利害関係を持つております。又その他紡績、製鉄その他の関係においても、いろいろな複雑な関係があることは御承知通りであります。殊に従来日本船舶或いは紡績では、当のイギリスとしては過去において相当苦しい経験を経ておりますから、講和條約において自国の利益を十分に保護しようとすれば、そこに又むずかしい難問題が生ずると思いますが、各種の難問題、各国おのおの持つところの難問題を越えて、そうして対日講和作成というところに到達するのには決してやさしい仕事ではないと思います。又米国政府として、如何に対日講和を早くこしらえ上げたいといたしても、いわゆる各個撃破とでもいうような関係から申して、英国だけでも相当の交渉の時日を要するでありましようし、決してやさしい仕事ではないので希望と作成、でき上り工合とはよほどの差があるもので、それは利害国においてその経済利害の保護或いは経済利益の伸長という点を、殊に戰後において深刻に各国とお考えておりましようから、政治的の問題は仮に妥結に到達し得るとしても、将来の経済関係から自国の利益を保護する。これはどの国もそう考えるのは当然でありますが、そうなつて参ると、相当の難関があることは、想像し得るのでありますから、時期は延びても早くならんという結論に到達すると思います。それでありますから、何か無為楽観は許しませんが、同時に又いつまでも対日講和をそのままにしておくことによつて貿易においても、或いは平和状態の回復ということにおいても、世界全体の利益からいつてみて、日本をこのままにしておくことはよくないということは、英米その他の国において考えるところでありますから、希望としてはなるべく早く締結したい。併しながら個々の問題になつて来ると、その国の利益ということを考えなければならんとしますと、この具体問題に入つて来ると相当時間がとれる、これは普通でございます。それでありますから、仕合せにしてそういう問題が円満なる、満足なる結果に到達するといたしても、相当の時間がかかるものと考えていいものであると思います。これは希望とその成り上りとは、成績とはよほどその間に時間の差は、ズレはあると我々は考えなければならんと思います。
  22. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 総理の只今の御答弁で、もとより私ども講和の困難性というものは常日頃考えておるものであります。只今のいろいろお話を承わるにつけましても、こういうことを私ども考えるのであります。それは一時伝えられましたような戰争終結宣言というようなものが、これが現在の我が国と連合国との間の一応のまあ最大公約数といいますか、そういうその一つのとりきめになれるのではないかと、かように我々は思うのであります。こういうようなとりきめをして置いて、そうしてそれぞれの国との間に別個に講和を結ぶ。こういうことの方法或いは考え方というものは、現在はないものでありましようか。
  23. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) いろいろなそういう考え方も曾つてはあつたろうと思います。併しながら今日においては少くとも米国政府に関する限りはそういう考えはなし、又イギリス政府も直ちに單一講和條約に入ろうという考えではないと私は想像いたします。想像いたすよりほか仕方がないのでありますが、私の感じたところでは戰争終了宣言でなくして、直ちに講和條約に入ろうというのが、これが英米方針であると私は想像いたします。
  24. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 総理大臣は施政方針の演説、それは今までの各国会ごとに、例えば道義の高揚を説かれ、或いは文致の振興を施策の中に強調せられ、又本国会の冒頭におきましては、愛国精神の高揚を説かれて参つたのであります。敗戰後における我が国の国内情勢の上から見まして、総理のこの一貫した御信念のほどは非常に敬服をいたしておるものでございますが、ところでこの愛国精神の高揚と申しますか、総理が先般施政方針の中ではかように申されております。「頼むべきは国民の独立自由に対する熱情であります。独立自由、愛国的精神の正しき認識とその観念であります。この熱情及び正しき観念に欠くる軍備は」云々とこの愛国精神を説かれると共に、総理の軍備に対するお考え方の片鱗がここに現われておるのであります。従来本会議におきまして又委員会におきまして、総理は将来の日本の軍備は財力が現在は伴わない、だから今は再軍備ということは考えられない。それから一つにはこういう愛国心というものができておらない、こういうような精神に欠けておるところの軍備というものは、曾つてはこの軍国主義的なものに持つて行つたというように説かれておるのであります。又非常に戰争犠牲者のことに関心を寄せられまして、国内におけるこの戰争によつて被害をこうむつた多数の人々がおられるそういうときに、直ちに軍備ということを強調することはできないというように、こういうふうな三つの具体的問題から総理としてはあくまでも自衞という線でとどまつて、軍備までは行かれていないのだと思うのでありますが、この軍備の問題と自衞の問題については恐らく紙一重のところであつて、これは本日論議するのではないのでございますが、私はこの独立自由、愛国的精神の高揚ということについて総理に具体的にお伺いしたいのでありますが、これをどういうふうにして高揚せられて行くのか、非常に形式的であり抽象的であるかも知れませんが、我々が曾つて愛誦いたしましたその国歌というものであるとか、或いは紀元節を迎える気持であるとかいうようなものは現在の国民の中には非常に欠けておるのであります。幸いにいたしまして敗戰後一時日の丸、この国旗に対する観念も非常に欠けておつたのでございますが、最近はこれが復活いたしまして特に日米水泳大会であるとか、今度のアジア競技大会などは恐らくあの翩翻とひるがえつておる日の丸の旗は多くの人が感激を以て眺めておると思うのであります。併しながら国歌についてはどうであるか。現在君が代を本当に日本国民であるというその自覚の上に立つてつておるものがあるかどうか。この国歌については総理はどういうお考えを持つておられるか。又紀元節でありますが、世界の如何なる国といえども建国祭といいますか紀元節というものを持つておるのであります。又只今申上げた国歌にしてもそうであります。総理が折角愛国精神の高揚を説かれておるのでありますが、こういうその古い考え方といえば古い考え方かも知れませんが、国歌とか紀元節であるとか、我々が愛国的な気持を高揚させるため必要であると思われるこういうことについて、はつきりしたものがないのじやないかとかように考えるのでありますが、総理はどういうお考えを持つておられましようか。
  25. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の施政方針演説その他において申した気持は、愛国心若しくは独立心がなくなつたとまでは極言いたしておりませんが、併しながら従来愛国、独立ということを学校教育その他において学び来たり、又国民教育の基本といたしておつたところが戰争になり、敗戰になり、一時国民が虚脱の状態になり、国としては独立を失つて占領下に置かれた、各種の国家としての活動が停止せられたというこういう状態においては、自然に愛国心、独立心が衰退すると申すか、曾つてのごとき熱情を持つて愛国、独立を説くということができなくなつたということは当然の結果であります。この愛国心、独立心がなければ一国として国を成すわけにはいかない。国民の燃えるがごときこの愛国心、独立心によつて国の独立が保たれ、国の繁栄が生ずるのでありますが、併し独立を失つて占領下におる国家としては、自然に国民の愛国心又独立心がそこなわれるということは当然のことであります。愛国心、独立心を高揚せしむる第一の條件は、国が独立を回復することであり、従つて講和條約が一日も早く結ばれることを希望せざるを得ないのであります。先ず国が独立を回復して一国としてその体をなし、その国家活動が自由になつてから初めて国民の愛国心、独立心が自然に高揚するという結果になると考えますから、講和は一日も早からんことを希望せざるを得ないのであります。例えば日本船舶にしても、日本の国旗を掲揚することを許されなかつた。或いは国旗を曾つては掲揚することに対して制限を受けておつた。この制限は今日だんだんなくなりましたが、船舶については今なお日本の国旗を掲ぐることを許されておらない状態におります。かくのごとき状態において愛国心独立心を高揚せしめようとしてもこれはできないところでありますから、独立と共に、講和條約と共に自然愛国心、独立心は回復もし、又高揚もするに至るであろうということを私は信じて疑わないのであります。さて独立したのちにおいては、愛国心独立心はますます政府としても国民としても高揚せしめることを考えなければならない。これは教育その他によつて愛国心の高揚を努めるべきであろうと思いますが、根本は何にしても国の独立を回復することが必要であろうとこう考えます。  そこで独立したのちにおいて、紀元節その他をどうするか、これはお話通りいずれの国においても建国祭、建国記念日を祝することは当然のことでありまして、日本としても絶えず講和條約ののちにおいては紀元節は回復いたしたいものと私は考えます。これも国民の総意によつて国民の燃ゆるがごとき熱意によつて自然に紀元節が回復せられ、或いはその他の祝日が回復せられるということは、国民の総意によつて、自然に盛り上る力によつて回復することに至れば結構なことだと思います。又そういうふうに国民を導いて行くことも政治であると考えます。  それから国歌でありますが、国歌はこれも又国民が自然に国歌と考えられるものが国歌になつて行くのが最も力強い。又国民の尊敬の的といいますか、国民の精神の集中された国歌が自然に起るのが当然であり、いずれの国においても国歌と名付けられるものは、国が制定するのでなくて、その国の国民が精神的に自然に或る歌を以て国歌とするというのが自然の成行きでありまして、日本においても政府が国歌を制定して、これを以て歌えというよりも、自然に国民がこれを以て国歌として何か機会があるごとに、或いは国民が期せずしてこれを歌い出すということになつてこそ国歌の性質を発揮するものだと思います。過日私が陛下のお立ちを東京駅においてお見送りいたしたときに、我々のうしろにあるプラツトホームにおる汽車の乘客が、陛下のお姿を見て自然に君が代を歌つた。私はこれを聞いて甚だ感激いたしたのであります。国歌はまさにかくのごとくあるべきものであつて、誰が命令するということなくして国民が知らず知らずの間に陛下のお姿を見て国歌を歌い出す、君が代を歌い出すというようなふうにありたいものだと考えるのであります。私はこういう事態が、将来において国民が自然に国歌を歌い出す或いは作り出すと申すか、歌い出すということになつてこそ初めて国歌の性質が生ずるのであつて、或る者がこれを提唱するとか、或いは政府がこれをこしらえるということは、国歌の性質に反するものであろうと、こう私は考えておるのであります。
  26. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 確かに総理の御指摘の通り、民主主義を基盤とした新らしい愛国精神が自然に高揚することを私共も期待するものであります。昨日藤野委員の質問にあつたと思うのでありますが、こういうふうに自然に愛国心が高揚して行くというためには、藤野委員の質問された戰争犠牲者の援護ということは我々ともに重大な関心を持たなければならないと思います。総理は懇切に昨日御答弁をなされました。その中で私が感じました点は、この問題は対内的の問題でないのだ、対外と申しますか、連合国の関係との問題が一番大きい問題なんだということを痛感したのであります。たしか総理の御答弁の中に、こういう戰争によつていろいろ被害や損害を受けた者が特別の取扱を受けてはいけないのだということが司令部の方針であつたというお話でございました。こうなりますと、この戰争犠牲者の援護に対しまする責任は、かかつて外務大臣としての総理の双肩にあるとかように考えるのであります。もとより申上げるまでもなく、両手或いは両眼失明の者の年金が僅かに二千四、五百円であるとか、或いは未復員者の留守宅における給與が妻が千円で、子供が一人六百円、それから一人殖えるごとに四百円というような、そういうような僅かな給與しか受けておらない。こういうことを考えますときに、幸いにして昨日の総理の御答弁によりますならば、何かそこに明るい光が見られるように思われるのでございますが、現在これらの戰争犠牲者援護につきまして何か具体的なお話合いがありますなれば承わりたいと思うのでございます。
  27. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 具体的な話が仮にあるといたしましても、これは今日は申すことを憚りますが、終戰当時においては日本国を以て軍国主義国である、そして世界の平和を脅す国であると、こう誤解せられたことは、これは事実であります。この事実から軍国主義を破壞するために、又日本の将来から考えてみて、世界の将来から考えてみても、真に平和を愛好すべきものであるという精神を植えつけるためからいつても、特に軍人であるが故に優遇するような形はしてもらいたくないというのが当時の司令部の空気であります。この空気から出たことでありますが、今日はダレス特使の声明にもある通り日本国に対しては敵国とか或いは戰敗国とかという気持ではなくして、真に友邦という気持でもつて講和條約す結びたいということをはつきり言われておりますが、ダレス特使みずからかく言われるごとく、空気は変つて来たのであります。終戰当時においては日本を以て敵国となすのみならず、軍国主義国であり又平和を破壞する国である、こういう考を持つて臨んだ連合国が、今日は友邦を以て相対したいという気持の変化は非常な変化であります。この変化から考えて見て、特に軍人であるが故に虐待する、と申すのは言葉が過ぎるかも知れませんけれども、特に軍人の家族であるが故に優遇するということはよろしくないんじやないかというような結論であつたが、併し空気は違つておりますから、現に軍人の遺家族が非常に困つておる、窮迫した生活に立つておる、これは人道問題であるし、又戰争のときにたまたま軍人になつたがためにこの窮迫を受けたとするならば、これは国として考うべきであり、又考えることに対して当然連合国は理解すると私は信じます。故にいつかの機会、成るべく早い機会に適当な処置を講じたいと考えております。
  28. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 次にお尋ねしたいことは安主保障の問題でございます。それは再三論議になつたのでございますが、ダレス特使日本側の希望によつて直接の侵略に対して集団防衞に参加し得るというお話があつて総理はたしか本会議の席上におきまして、日本国民の大部分は講和後におけるアメリカの駐兵を希望するんじやないかというような御見解があつたのでございます。講和後における安全保障の問題は、これは非常な関心事であります。大体の空気といたしましては、国連にその安全保障を求めようとする国民の空気のように見受けられますが、併しながら国連にいつ加入さしてもらうのかどうかわからない。そういう場合におきまして、その間の安全保障というものを一応アメリカに頼るということは、総理の御見解の通りだと思うのでございますが、併しながら安全保障を一応そういう形で求めるという場合に、国民の中では恐らくこういうことを考えると思うのであります。アメリカ軍隊が駐屯することによつて、その場合治外法権を認めるのかどうかというような問題であるとか、日本の真の主権というものが維持できるのかどうかというような問題とか、こういうような問題、こういうことが国民感情の上から取上げられて来ると思うのでございます。これについてはたしかやはり委員会か本会議の御答弁でございましたか、イギリスにおける或いはフイリツピンにおけるアメリカ軍隊の駐屯の点に総理が触れられておつたと思うのでございます。私どもといたしまして日本安全保障考えますときに、アメリカ兵の駐屯という問題についての只今の諸点、これらについて非常な関心があるのでございますが、お差支えなければ御見解を承わりたいと思うのであります。
  29. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えするに先立つて、先ほど申した御答弁に附加えて附言いたしたいことがありますが、遺家族の保護或いは年金復活等については、只今申したように米国側の気持としては変つておりますが、併しながら連合国のうちには、今なお日本の再軍備を恐れ、若しくは日本の軍国主義の打倒ができたのか、民主主義が果し打立てられたのかどうかという疑問を持つておる国が相当ありますからそれで今直ちにどうということはできがたいのであります。又こういうようなことにいたしたいということをここで言うことは憚かりたいのでありますが、連合国のうちには日本に対して未だ誤解を持つている点が相当あることを御承知置き願いたいと思います。  それから只今の安全保障の問題でありますが、アメリカが駐兵せられた場合に、これに対して治外法権を許すとか許さんとかいうような具体的な話をいたしたわけではないのであります。ダレス氏の考え日本が軍備を持たない、この軍備を持たない国に朝鮮におけるがごとく、突然共産主義国が侵入して来た場合に、日本としては防禦のないままにその侵入に任すこどはできないであろうから、そういう場合にはアメリカが駐兵してこれに対して日本の安全を保障する用意があるということの気持を話されたのであります。私としてはそれは結構な話である、国民としても一応の安全感を生ずるであろうから勧迎するであろうという気持を申しただけで、駐兵條約をいたしたわけではないのであります。又駐兵の問題でありますが、私の申したイギリスの例その他は、今日国内の安全は自国で無論保護するのは当然であるが、併しながら今日の現状において攻撃が集団的に来る、集団的攻撃に対しては英米といえども集団的に防禦することを考えておるのである、故に我々も外国から仮に朝鮮のごとき事態が起つた場合には、集団防禦の方法を考え、集団的に国の安全を保護するということを考えても差支えないのではないかという趣意を申したものと御承知を願いたいものと思います。繰返して申しますが、駐兵條約をいたしたものでもなければ、従つてこの駐兵に対して如何なる地位を與えるかということについては何らの話合をいたしておらないのみならず、約束もいたしておりません。これは将来に属することであります。
  30. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 最後に二つお伺いしたいのであります。それは私どもは敗戰後文化国家一つの理想といたしまして邁進をいたしております。今回のダレス特使の離日に際しての声明におきまして、特にダレス氏は、我々は日米間の文化的提携の発展について検討したということを言われておるのでございます。又いうまでもなくロツクフエラー氏が随行せられておりまして、そうしてロツクフエラー氏は具体的に両国の人事交流、文化センターの設置、日本研究のための研究所の設置、各種美術品の交換、書籍その他の資料の交換等を言われて参つたのでございますが、総理はこの日米文化交流について衆議院の委員会の御答弁において、グルー基金或いはクリスチヤン・ユニヴアシテイのことについて触れられておりましたが、私どもといたしまして新らしく日本文化国家として成長して行きます場合に、丁度曾つて奈良朝時代において大陸文化を消化いたしまして、天平以後のあの円熟した技術を持つたということ、これは世界に誇つてよいことだと思うのであります。又明治維新に際して泰西文明の消化と高揚をいたしまして、世界はその比を見なかつたのでございます。敗戰した我が国とは申しながら、この文化の交流、文化の交流によるところの向上ということにつきましては、総理も大きな御関心があると思うのでございますが、これについての御見解を承わりたい。特にアメリカは対日援助資金の中に、日本の指導者層の洋行のために三千万ドルも計上しておるという場合に、日本国内における予算的措置は誠に貧弱であるということを私は憂るものなのでございます。  それから次に経済自立については、堀木委員から非常に詳細に御質問がございまして、又先般私は日米経済協力の問題について触れたのでございます。大体総理の御答弁から受取れますことは、日本経済アメリカ経済が互いに助け合うことが経済復興のために必要と考えるが、軍事協力という立場で日米経済協力が進められておらないということを明かにせられておるのでございます。この場合におきまして、只今大体これは民間における話合であろうと思うのでございますが、日米経済合同委員会であるとか、或いは日本産業開発会社であるとか、というようなことによつて具体的に日米の経済協力が進められておる、そういうことによつて国際環境と非常に密接な関係にあるところの日本経済自立というものが進められておると考えるのでございますが、この文化の交流の問題、或いは日米経済協力についての民間における具体的な話合といいますか、こういう点について総理の御見解を承わりたいと思います。
  31. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御指摘の文化の交流とか、或いはロツクフエラー氏が参られて、そうして日米文化交換を考えて参られたというお話はこれは私は直接には聞きませんが、ロツクフエラー氏が見えられたのは無論その趣旨であろうと思います。その趣旨の裏には日米の親善を図るためには文化においても締結する、文化においても握手したい、そのためにロツクフエラー氏としては何か自分が貢献ができることがあれば、といつて見えたものと想像いたします。直接にこの点についてロツクフエラー氏と話合つてはおりませんけれども、大体その趣旨と御了解いたします。その趣旨は、即ち日米が真に締結し、或いは親善という関係に入るためには精神的にも締結する、精神的にもその間に連絡するものがなければ、日米親善を確立することができないという信念からして、何かないかという考えで見えたものと想像します。その結果については如何なることを考えて帰られたか、これは私は存じません。が御承知通りロツクフエラー財団はすでに東京帝国大学に図書館を寄附せらるるとか、或いは築地の今日何といいますか、昔聖路加と言つておつた病院もこれは大部分はロツクフエラー財団の寄附に待つたものであります。というような従来においても相当関係を持つておりましたが、将来においてもその関係を一層進めたいとかうのがロツクフエラー氏の日本に来られた趣意と私は了解いたしますし、又ロツクフエラー氏も京都、奈良まで行かれて、そうして日本の文化についてはたびたび短い期間でありましたが、相当研究しておられたようであります。又日本の文化人といいますか、それぞれ專門家についていろいろのことを聞きただすとか、資料を集められて帰られたそうでありますから、やがてその日本の訪問については何か具体的な問題ができ上るであろうと期待いたします。  それから第二の点は……。
  32. 櫻内義雄

    櫻内義雄君 経済協力の問題であります。
  33. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 経済協力について御指摘の協議会とか相談会とかいうことが民間にあるとは存じますが、詳細については承知いたしておりません。併し米国政府考え方としては、日本が真に日米提携といいますか、親善をなすためには経済的にもこれは裏付けなければ日米の関係に確立ができない。で、できるならば日本経済に対して援助をしたいし、又アメリカ経済の一環として日本経済を進めて行きたいという考えであることはこれは明白なことであると思います。又ダレス氏がそういう考えを私に述べておられたこともあります。又将来日本が復興いたすためには、この米国経済の一環としてそうして世界の繁栄に寄與する。今日日本が各種の産業或いは工場等を持つてつて、これが遊んでおる。いわゆる遊休施設なるものが相当ありますから、これを生かすためにも米国経済の一環を成して、そうして互いに助け合つて行くということになれば、日本の復興にも役立つものと考えます。日米の関係を更に一層確立するためにも非常な役割をなすと考えますから、私は日米経済提携ができれば結構な話であると考えております。
  34. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は專ら三つの問題についてお伺いいたしたいと思います。  その第一は、総理が施政方針演説においてお述べになりましたところでありますが、即ち総理は施政方針演説の中で第三次大戰の勃発必至なるものを思わしめるがごとき神経戰は今後ますます世界到る所に激化することを覚悟せざるを得ないのであります。この間に処して我が国民に最も要望されるものは一時的な戰局の推移に一喜一憂することなく、冷靜毅然たる態度を持することであります。こういうふうに述べられておるのでありますが、これに関連して総理は国会におきまして、第三次戰争は起らないと考えられるということをお述べになつておる。そこで勿論国民は第三次戰争なぞの起ることはもうまつぴらであると思うのですが国民としてはそれにもかかわらず総理の言われますように、そういう第三次戰争勃発必至を思わせるような神経戰がますます至るところに激化する情勢にあります。毎日の新聞を見ましてもそうなつております。そこで合理的にです、どういうわけで第三次戰争は起らないかということにつきましてです、総理の御見解をここですね、お伺いいたしたいのでございます。
  35. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 第三次戰争が起らないでおろうという考えについての説明は、私はしばしば申しておるのでありますが、今日どの国も戰争をするために例えばこれがいわゆるプリヴエンテイヴ・パワーに附いても行きたくないという考えを持つておるのは、これは通例世界の常識であります。併しながら今日ソヴイエトの態度と或いは朝鮮事変等に鑑みてみて、いつ如何なる事態が起るかわからないために、これに備えるためとか或いは又若し万一第三次戰争が起つた場合に、或いはこれを阻止するためには相当の軍備を各国が持つべきものであり、又大西洋協約等において軍備を盛んにして第三次戰争の起ることを防止するというような考え方で各国の軍備拡張ということができたが、共に第三次戰争を防ぎたい、したくないという考えから起つておるのでありますから、ソ連といえども第三次戰争を起すとは申しておらないのである。故に戰争を起さないということ、殊に二度の大戰後において戰争を嫌うという気持は世界の通念でありますから、この通念によつて起らないと私は想像するのであります。こういう事実があるから、ああいう事実があるからと申しまして、試験室においてからに試験管を以て立証するというようなことができないのは当然である。又アメリカにおいては非常に第三次戰争が起ると言つて騒いでおるが、併しながら英国等においては第三次戰争が必ず起るという考えを持つておるものは必ずしも多いとは言えないそうであります。これは人の話でありまするからして、私は確言はいたさないが、第三次戰争が起るか起らないかということは今日においては一つ見通しであり、各自の考えからして各様に申すものであつて、これは各自の信念において常識において考えるべきものだと思います。
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は成るほど総理の言われまするように、第三次戰争が起るか起らないかということは各自の判断で行うべきものであると言われましたが、私が総理にお尋ねしたのは、総理は外務大臣として、又多年外交に非常に総験のあるかたであり、そういう総理が第三次戰争は起らないであろうと言われた言葉は私は非常に重大に取つたわけです。これは相当のいろいろな資料に基き、過去の経験に基き、相当のいろいろな推論からそういう推定をされたと思いまして私は御質問したのでありますが、そういうお答えでありますので、私はそういうふうに了承いたしますが、そこでお伺いいたしたいのでありますが、この間総理は社会党の山田節男氏の質問に対しまして、再軍備の問題に触れまして、総理は実は再軍備は今でもやりたいと思う、外国の侵略等に備えて……。併しながら日本の憲法が第一に許さない、第二には日本経済力が許さない、従いまして再軍備の問題は実際できない、更に又それが国際関係に及ぼす影響、又日本の民心に及ぼす影響等々を挙げられましたが、私は非常にこの点について奇異を感じましたのは、我々は今日本国の憲法はいい憲法だと思つておる。この憲法を何とかして守らなければならんと思つておるのでありますが、総理日本国憲法と反する考えを持つておるやに聞えたのであります。再軍備がしたいのだ、併しながら憲法が許さない、こういうように我々受け取れたのでありますが、総理は今の再軍備の問題は日本国憲法に触れるのであるし、これと反するものだそういうようなお考えで、今の日本国憲法を総理はこれは正しいものであるというふうにお考えなされておるのか、或いはこれはそういう点について不備である。こういうふうにお考えになつておりますか、その点をお伺いしたいのであります。
  37. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私は曾つて軍備はしたいけれども、憲法が許さないなどということは申したことはありません。日本の憲法が軍備を放棄したということは結構な話であり、この憲法の精神は守りたいということは申したが、憲法が不備なりとは考えておらない。
  38. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それで、私は総理が山田節男氏の質問に対してお答えになりました速記録を見て私は申しておるのであります。総理はそうお述べになつたことがないと言われておりますが、速記録を御覽になつて頂きたいと思います。この問題は時間がございませんから、更に御質問しても無駄と思いますから触れませんが、要は、私は総理が今後世界戰争が起りそうもない、そういう場合にその日本国憲法が許すならば再軍備したいと、こういう問題です。私は世界が飽くまでも、成るほど再軍備競争はやつておりますけれども、今度戰争が起つたら世界の破滅になるから、恐らくそういうことはないであろう、こういう信念に基いて日本は再軍備をやらない、戰争が起らないというなら再軍備する必要はないと思うのです。何のために再軍備するか、戰争の危險がある、侵略の危險があると思うからこそ再軍備の問題が起ると思うのです。戰時の危險がないという規定の下に立てば再軍備のことは私は考える必要はないと思う、むしろ再軍備しないほうが戰争を挑発しない、こういうふうに思われるのでありますが、前の対日理事会の英連邦代表のマクマホン・ボール氏はこういうことを述べているのです。これは総理は御承知かとも思いますが、フアー・イースタン・サーヴエイという雑誌に出ておりましたが、「万事が将来の米ソ関係如何にかかつている、日本に起る事態は米ソ関係の一部分を決定する。来るべき数十年間に連合国が如何にして日本を動かし、又支配しようとするかを考えるとき、我々は堪えずこのことを念頭に置かねばならない。若し日本の小数軍隊設置の希望米国や西欧諸国の承認をかち得るとすれば、ソヴイエツト同盟がこれを自国の安全に対する新たなる脅威とみなすだろうことはほぼ確実である。更に若し連合国が條約成立後に日本内部に或る種の社会経済政策を実施する権利を残そうとするならば、これによつてその政策を廻る米ソ衝突の危險は増大するであろう、それゆえ太平洋における講和の成立は單にそれが日本に何をなし得るかという観点からばかりでなく、むしろ米ソ間の東アジアにおける不信と敵対を弱めるために何をし得るかという観点からより多く評価されることになろう。」こういうふうに述べておられるのであります。我々には何とかしてこの戰争の勃発を防がなければならないというそういう考えから、講和の問題を考えるにつきましても、米ソの対立を激化させないように、これを弱めるように、これを強めないように我々は行動しなければならないと思うのでありますが、そういう観点から私は御質問申上げているんです。絶対平和の立場から御質問申上げているのでありまして、そういう立場から総理が山田節男氏に御答弁なつたあの言葉は速記録をあとで御覽になりまして、若し不当であつたならばこれは私は御訂正になるなり何なりされませんと、相当これは誤解を生むと思うのであります。やはり総理はああいうことをお述べにならなかつたと、そういうふうにおつしやられるのでございますか。
  39. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) しばしば申しますが、私は只今再軍備という考えは持つておりません。若し速記録にお話のような点があれば訂正いたします。
  40. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 率直に総理がそういう御答弁を願いましたことに対しまして、私は非常にこれは御率直な正しい態度と思いまして、敬意を表します。この際これに関連しましてお伺いいたしたいのですが、私は日本イギリスとの経済的な調整の問題についてお伺いしたいのですが、昨日藤野委員の御質問に対して総理は小麦協定の問題に触れまして、小麦協定は一度あの理事会で否決されたけれども、今後又加入の可能性があるだろう、加入の可能性があれば勿論安く小麦が入りますから、補給金などはそう殖やさなくともよろしいので、非常に喜ばしいと思うのでおりますが、併し我々小麦協定においてあれが否決されたことは、総理も昨日の御答弁にありましたように、イギリスが反対したということであるようでおります。私は仮にアメリカとの経済提携において百点をとりましても、イギリスとの、経済協定において六十点のマイナスをとつていたならば、差引き四十点であります。これは落第でありまして、そういう意味において私はそのイギリスどの経済的な協調、只今日米経済協調ということを盛んに総理は言われました。それは結構であると思います。併し他面それがイギリスとの経済協調にいろいろ支障を生じますと、私は決して日本のためにならない。片方百点とつても片方六十点では差引四十点で落第でありますので、この点については総理はどういうふうにお考えになつておりますか。
  41. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 小麦協定においては或る條件を日本政府が承諾ができないために否決されたのでありますが、その條件は必ずしも日本政府が永久に容れるとこのできないような條件ではないのでありますから、やがて円満なる加入を許すことになると思います。無論アメリカとのみ経済協力といいますか、経済的提携をなして、そうしてイギリスを疎外する、こういうことはできないことであります。英米経済的にも政治的にも一環をなしておる国でありますから、アメリカにのみ頼つて、そうしてイギリスを疎外するということはアメリカ自身も許さないことでありますし、アメリカとの協定はやがてイギリスが認めるところの、満足するところの協定にして初めて成立するのであつて英米は一環をなした経済関係にある国と考えて見れば、この点は説明を加えなくても明らかであると思います。
  42. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 時間がありませんので、第二の問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。  講和の前提といたしまして、又その講和準備といたしまして、日本の平和化、非軍事化及び日本民主化ということが、これが大前提になるということは総理も御承知通りでありますが、日本の非軍事化、平和化についてはすでに軍備がありませんので、この問題は解決されておると思います。将来又は再軍備が起れば別問題でありますが、現在は問題は解決しておる。又総理も再軍備の意思がないというのでありますから、この問題は解決されておると思いますが、もう一つ日本の民主化の問題です。日本の民主化はすでに達成されておる、特に私は経済民主化の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、これはもう十分である、こういうふうにお考えでありますかどうか。更にまだ日本経済民主化は不十分である、推進する必要がある、こういうふうに考えられますかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  43. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 日本は民主国家として民主的憲法を制定し、又各種の改革を行い来たつたのである。併しながら終戰後僅か五年でありますから、未だ完成したとは考えられないのであります。仮に完成いたしてあるとしたところが、国情は日々変化しておるのでありますからして、民主化ができたとして、その民主化を完成するためには国民挙げて長い時間をかけて初めてここに完成するものである。今日完成し切つたと考えるのは間違いであると思いますから、将来もこの民主主義の確立については政府としては無論努力するつもりであります。
  44. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 国民心配しておりますことは、又我々の感ずるところでは、まだ日本経済的民主化は非常に不十分である、総理もまだ完成されていないとおつしやるが、私もその通りだと思う、民主化の達成の仕方が不十分である、その状態の下に持つて来まして、若し講和ができました場合、連合国軍が日本から撤退したような場合に、日本の民主化は逆転するのではないか、こういう心配を抱いている向きが相当あると思う。私もそういう危險があるのではないかということを憂うるのでありますが、従いまして、講和前において日本の民主化が逆転しないようなそういう対策を講じなけりやなりませんし、又講和後において折角占領下で、不幸にして占領下でありましたが、占領軍の推進についてとにかく日本の民主化は昔と違つて相当推進されたと思う。それが又逆転するというこういう危險があるようにいろいろな点から思われるのでありますが、総理はそういう危險があるとお考えでありますか。或いは又その達成された民主化についてこれを保障する、これを保障する何かの対策を御用意になつているかどうか。講和を前に控えまして、この点についてお伺いいたしたいのであります。
  45. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 逆転しないように政府は善処します。
  46. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 是非その点は善処をお願いいたしたいのであります。先ほど引用いたしました前の対日理事会の英連邦代表のマクマホン・ボール氏はこれは私はイギリス側の見解を代表していると思うのであります。日本の民主化はまだ達成されていない、不十分な点が非常にあるということを指摘されております。日本の民主化の一番大きな支柱は農地改革と財閥解体であつたはずであります。これが現実の問題として実際にこの民主化が徹底されたかどうか、まだこれは足りないのではないか、政府は農地改革は不徹底のままやめてしまう。或いは又財閥解体においてはマクマホン・ボール氏は、財閥は解体され、そうして持株会社整理委員会で集めた株式が日本の大衆に公平にこれが持たれるようになつたならば経済民主化は推進されたと言えるかも知れませんけれども、一体誰がこの株式を持つたであろうか。一部の富裕者がこれを持つたんではこれは経済民主化にならない。そういうふうに論じまして、こういう重大なことを申しております。日本の民主化が逆転する、或いは社会的、経済的改革が逆転する危險があると思われるから、講和條約の場合に日本はこれまで達成された民主化を逆転させないように、特に基本的人権に関する條項は日本講和後においてもこれを考えてはいけないという條項を講和條約に一項入れる必要があるのではないかと言われるほどまで、日本の民主化の確保については私は非常に憂慮しておると思うのです。そういうように日本が本当にまだ民主化されない、又講和後において日本の民主化が逆転する危險があるというならば、私はいわゆる多数講和というものも非常に困難になつて、多数講和も困難になつて、全面講和も無論困難になつて来ると思われますので、只今総理は、政府努力するのだと非常に簡に過ぎた御答弁でございましたが、私はこの点非常に重要に考えておるのです。政府は、総理はそういうふうに言われましたが、最近それに反するような事態が実際において起りつつあるということを総理は御存じであるかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  47. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 濠州の代表者であつた人の議論に対しては批評はいたしません。
  48. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私はこれは一つの問題を明らかにするために引例したのでありまして、それで世界がどういうふうに、国際人が日本の民主化を見ておるか、こういうことについて、述べたのでありまして、私は單なるマクマホン・ボール氏の個人の意見、それを引用してここで言つておるわけじやないのであります。そういう御認識がやはり必要であると思う。国際的にまだ日本の民主化は本当に達成されたとは認められていない。而も又これが講和後において逆転する危險があるというふうに見られておる点を我々は深刻に反省しなければならないとこう思うのであります。特に具体的に私は申上げたいのですが、講和ができた場合に、独占禁止法とか或いは事業者団体法とか、そういう独占的なものを助長するような傾向になるのではないかどうか、すでにそういう要望が現われております。昨日安本長官は藤野委員の御質問に対しまして、事業者団体法を緩和することを検討中であるというふうに述べられておる。これなど極東委員会できめられた一番大きな日本の民主化を達成する、保障するための法律であります。独占禁止法、事業者団体法、これを緩和することを検討中であるということを周東安本長官は言われておるのであります。もうすでにそういうふうに具体的に日本の民主化に逆行するようなそういう政策が行われ、そういう方向に向つておるのですが、これでも日本経済の民主化は逆転する危惧はない、こういうように総理はお考えでありますかどうか。
  49. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 日本の民主化は完成せられたとマツカーサー元帥は言つておられるのであります。又政府としては各種の法律、法制などについては絶えず研究いたすのは当然なことであります。
  50. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 どうも総理は、無駄に時間を使いまして、お疲れになつたようでございますし、御答弁が簡に過ぎるようになつて参りましたので、それでは私は次に質問を移したいと思います。  ダレス氏が日本に参りましたときに声明を発表されましたが、その声明によりますと、ダレス氏の日本において相談し、或いはデイスカツシヨンし、討議するその中心の題目は、日本が管理の第三段階に入つたので、日本管理の第三段階のことについて討議するのであるということを言われておるのであります。新聞紙の伝うるところによれば、日本国民は全体主義戰争の恐ろしい惡夢にさらされた、降伏期間がそれに続いたが、連合国最高司令官に日本管理の多くの権限が與えられた。今や第二段階は終りに近ずきつつあり、第三段階が始まらうとしておる。この第三段階を迎えて日本国民は自己の問題に対して責任をとることを要求されるであろう。この推移は危局と共に来たり、従つて重大な決断の必要をもたらすであらう。  以上の問題は皆私が日本の指導者と会談して討議したいと考えておる課題である。こういうふうに述べられておる。ところで我々は日本管理の第三段階の問題です。管理の第三段階については我々不敏にしてその内容がよくわからない、これがダレス氏が来られた討議の一番重要な題目である。こういうふうにダレス氏が言われておるのでありますので、総理ダレス氏と御会談になつたわけでありますから、具体的にこの日本管理の第三段階ということはどういうことを具体的に意味しておるのでありますか。この点についてお伺いいたしたいのであります。
  51. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これはダレス氏にお聞きになるより方法がない、私から答弁できない。
  52. 永井純一郎

    ○永井純一郎君 議事進行……。総理の木村君に対する御答弁を伺つておりまして、私は非常に遺憾に存じます。参議院におきまずる予算委員会におきまして、不審査の際にも誠に不十分でありまして、我々が相談いたしまして、その点総理に反省を求めますために、各党代表質問をいたしまする一番初めの日に反省を求めた結果、林副総理が身代りになつておいでになつたと思うのであります。只今木村君が質問しておられまする経済民主化の問題は、私も昨日この趣旨の質問を安定本部長官にしたのでありまするが、国民が最も重大な関心を持つておる問題であるし、講和の以後の問題としては国民大衆にとつては一番大切な問題であります。而も身近な問題であります。こういう問題につきまして、簡に過ぎる答弁を繰返されるお考えであるならば、私たちは一応休憩いたしまして、この予算委員会の進め方を相談したいと思うのであります。若し総理が、私たちはこの会議を紛糾さしたくないのでありまするから、而も二院制度における参議院の性格に鑑みまして、重大な問題を真劍に、愼重に冷靜にやつて行くのが、参議院の責務であることを、党派を超えて私どもは先ず考えておつて、この大切な予算委員会を遂行したい、円満に行きたい、こう思つておるのであります。只今のような重大な問題について依然として要領のわからない不親切な答弁をされるのであるならば、而も多くの傍聽者の人たちもおいでになつている。こういうところを私見せたくないとむしろ思うのであります。こういう意味におきまして、私は一応ここで休憩して頂きまして、相談をもう一遍するように委員長にお願いする次第であります。
  53. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私はこの間も申したのでありますが、質問に対してお答えのできないような国際的の問題は、質問においてもお控えを願いたいと思います。例えばダレス特使の言われたこととか、或いは濠洲の使節団の言われたことに対して主張せよというような要求は、自然質問に対してはお答えできないと言うよりいたし方がないのであります。
  54. 永井純一郎

    ○永井純一郎君 そういうお答えを、国際情勢等から考えてできないことをしてくれということを我々は要求はいたしません。但し経済民主化の問題等は私はそういう問題でないと思います。そこで私が一歩讓つて申上げておりまするように、若し総理にしてその答弁が十分におできにならないならば、所管大臣をして懇切丁寧にわかるように考えておるところを答弁させるなりされるべきである。私は国民の代表としてこのことをはつきり申上げたいのであります。そういう意味のことを申しておるのであります。委員長に諮ります。休憩してもらいたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  55. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩の動機が出ておりますが。    〔「反対」「進行」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  56. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは決を採ります。休憩の動議に賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者少数〕
  57. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩の動議に賛成のかたは少数であります。総員二十四名中、賛成のかたは十名であります。続行いたします。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 続行ときまりましたから、続行することは当然でありますが、私はここに要望を申上げたい。確かに総理の申される面も一理あると申いますが、先ほどの経済民主化、次いでは日本の民主化が逆転するのではないかということは、私は極めて重大問題だと思う。(「重大問題だ」と呼ぶ者あり)防共の波に乘つて滔々として流れるところの反民主主義的な、軍国調べの復古調というものは、私はよほどこの講和の前に釘を刺して置かなければならんと思う。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)我々は経済自立と文教政策の振興ということを以て日本の再建を願つておる。首相もそう言われておりますが、到達したところのものは平和愛好の民主主義文化国家ではなかつたというような結果になれば、私は文教を振作しようが、或いは経済自立再建ができようか、これは話にならないと思う。我々の到達するところは飽くまで平和を愛好するところの民主主義国家でなくちやならん。けれども今の動向から行けば、或いはやや反民主主義的な、或いは軍国主義的な、或いは警察国家の再現ということが到来するかも知れないという風潮は滔々として流れておる。これは経済の民主化のみならず、あらゆる面においてそういうことが我々は看取できると思うのであります。こういう問題については私は外交とそう関係はないので、総理におかれてはもう少し私は御丁寧に答弁して頂きたいということを要望する。又予算委員会としても、若し漫画記者がおつたならば、この予算委員会存漫画化するとすれば、うやうやしく低頭的にお伺い申上げ奉ると言つて敬礼をして、総理は高いところに坐つて、そうしてやつておるように揶揄されるのではないかと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々がお聞きすることは、総理としてはお疲れもあるでしようし、外交問題もおりましようが、少し痛いことを突かれて不満なことがあつても、やはり私は御丁寧に答弁なさることを要望し、又本予算委員会としても、その線に沿つて私は会議を進行することを要望して私の発言を終る次第であります。
  59. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 木村君、あと十分残つております。
  60. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは重ねて総理に御質問申上げたいのでございますが、先ほど総理日本管理の第三段階の意味についてはダレス氏に聞けと、こういうお話でございますが、ダレス氏は日本に参りまして声明を発表されたのであります。どこの新聞にも皆これは載つておるのであります。而も日本管理の第三段階の問題について討議したい、こういうふうに言われておる。それがダレス氏の使命であるということを言われておるのです。ところが我々には第三段階の意味がわからない。正直なところわからない。この文字しかわからない。第一段階、第二段階はわかります。併し第三段階ということはどういうことであるか、或いは先ほど櫻内氏から御質問ありましたが、戰争終了宣言ということであるのか、或いは又各国の條約にだんだん参加して行けるような状態を指すのであるか、或いは講和ということを述べておられないのでありますから、ダレス氏が。それですから私は第三段階というのはどういうことであるのかということをお伺いしておるのです。総理はこれを我々にパラフレーズしてくれればよろしいのです。この意味はこういう意味なんだ、こういうふうに、專門家でありますから、又ダレス氏と会談されて内容を御存じでありますから、こういうことがダレス氏が日本に来られて会談され、各界の指導者と話されたことなんだ、こういうふうに御答弁して下さればいいのでありまして、我々はその内容を聞いておるのではないのであります。ダレス氏が講和という言葉をお使いにならないで、日本管理の第三段階ということを言われておるから、我々は講和のこと、講和々々で非常に新聞も国民も騒いでおりましたが、冷靜に考えてみますと、講和という言葉をこの際使われておらない。そこでこれは講和の問題と違うのではないか、何かそこに違う問題があるのではないかというので総理にお伺いしておるのであります。この意味をパラフレーズして頂きたい、こういうことなんであります。
  61. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私は懇切丁寧にパラフレーズいたしたいのでありますが、存じませんから、存じないと申すよりほかありません。
  62. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 総理は渉外関係で十二時半には向うへ行かなければならん用事を控えておりますから、木村君の質問の時間がまだ六分残つておりますが、暫く休憩いたします。    午後零時十分休憩    —————・—————    午後一時五十六分開会
  63. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 午前に引続き予算委員会を開会いたします。  只今の出席は池田大蔵大臣、岡野国務大臣、地方財政委員会委員の青木さん、地方財政委員会財務部長の武岡さん、大蔵省主計局長の河野さんが見えております。西郷さん。
  64. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 私は池田大蔵大臣に対しまして、二十六年度の予算中、地方財政に関する部分について所見を質したいと思います。  御承知のごとく二十五年度の補正予算におきまして、地方財政の面におきまして、平衡交付金並びに起債の枠の増額の問題について大蔵大臣に対しても、本委員会においても、地方行政委員会においても、国会におきまして非常に愼重な論議が交されたことは御承知のごとくであります。補正予算におきましては、池田大蔵大臣におきましても、非常に努力をされまして、不十分とは言え、平衡交付金におきまして三十五億、起債の枠におきまして七十億が増額されましたので、この点は大蔵大臣努力を多とするのでありまするが、この増額でも不十分であつたことは大蔵大臣の御承知通りであります。然るに二十六年度の予算に当りましては、この両者につきまして、誠に我々は遺憾と考えるのであります。平衡交付金におきまして、僅かに十五億、起債においてこれ又二十億の増額に過ぎないのでありまして、これでは二十六年度の地方の財政におきましては、非常に困難を来たすわけであります。先般我々も地方に親しく出まして、二十五年度の決算並びに二十六年度の地方の予算の編成時期でありますので、いろいろ実地調査いたしますると、いずれも非常に財政難に陷つておる現状であります。然るに二十六年度の地方財政におきましては、そういうような僅かの増額に過ぎないので、一方において地方財政委員会より内閣を通して、国会並びに政府に勧告が出ておりますが、第一に伺いたい点は、大蔵大臣は地方財政委員会から出ておりますところの平衡交付金を増額される等に関するところの勧告案に対しまして、どう対処されるのか、補正予算でも考えておられるのか、又はこの二十六年度の予算において何らか処置されるか、そういう点につきまして、先ず第一に伺いたいのであります。
  65. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申上げます。地方財政委員会から政府並びに国会に対してなされました勧告につきましても検討いたしました。併し今の国の財政状況から申しますると、千百億円で我慢願うよりほかいたしかたがないという結論に相成つたのであります。而うして地方財政の非常な窮乏から考えて、来年度中において補正予算を組むか、補正予算を組んで増額するか否かという問題につきましては、只今何とも申上げられません。非常に変化がない限りはこのままでやつて行きたいと考えております。
  66. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 この地方財政におきまして、池田大蔵大臣御存じの通り、先般の補正予算もそうでありましたが、今回も大蔵省と地方財政委員会との数字が殆んど全部異なつておりまして、補正予算の際にも両方事務当局がこれを審議しましたが、最後に相当の食い違いも出たのであります。今回も又すでに大蔵大臣承知のごとく、両者が非常に食い違つておりますので、その際大蔵大臣は、この大蔵省のほうの数字も地方財政委員会の資料と詞一の資料に基いてやつておるのだというふうなお答えがあつたのでありまするが、先般本予算委員会におきまして、この両者の二十六年度におけるところの数字の食い違いについて、地方財政委員会からも、大蔵省からも説明を聞いたわけであります。然るところ大蔵省のほうの説明の資料というものは、二十四年度の決算見込額を基礎にしたところの推計表によつて二十五年度を出し、なお且つ二十六年度の地方財政の数字を出しておられる、それの表によりまして説明を我々は承わつたのでありまするが、その内容とするところは甚だ我々は妙に考えるのであつて、この推計表というものは、先般地方行政委員会において岡野国務大臣に、大蔵省の主計局はかかる推計表によつてつておるので、こういうことでは地方財政委員会のほうの数字と合うわけがないのだ、こういう内容の推計表を御存じかということを聞いておるのでありますが、岡野さんは全然御存じがなかつた。池田大蔵大臣におきましても、今申上げましたように、地方財政委員会と同一の資料に基いて地方の財政を考えておられるという補正予算におけるお話もあつたのでありまするが、実際は主計局はこの推計表に基いてやつておるのであつて、この内容について甚だ遺憾な点が多いので順次伺つて参りたいと思うのであります。即ちこの大蔵省の推計表によりますと、二十四年度の決算見込額が基礎になつておるのであります。併しながらこれは御承知のごとく、この二十四年度の地方の財政におきましては、地方配付税におきまして、法定率で行くならば、千百億くらいのところを配付税が行くべきのところを、池田さんが大蔵大臣でありましたから、よく御承知なんですが、これを削減しまして半額にいたしたのであります。であるから、二十四年度のこの決算の見込を根底とすることは、こういう配付税が非常に歪曲された年であつて、こういうふうな例外的な数字が出ておる場合に、こういうものを土台にするということは甚だ穏当でないと私は思うのであります。平常の場合ならばいざ知らず、こういうふうに配付税を半額も削減して置いて、その数字を元として、その後これが変つて地方財政平衡交付金になりましたが、平衡交付金の数字を算定するがごときは以てのほかであると私は思うのであります。なお且つ二十四年度の以後を見ますと、地方債のほかに繰越金とか雑收入、使用料、手数料というものがありまするが、この繰越金というものはどういうふうな意味を持つておるのか、その点を大蔵大臣からも伺いたいと思うのであります。なお且つその繰越金の金額も二十四年度、二十五年度と余り差もなく、非常にこの数字に疑問を私は持つのです。而も繰越金の点につきましては、二十六年度においては、三百七十億円というようなものが計上してありまするが、こういうことはどういう意味を以てこういうふうな計算になるのか甚だ私は了解に苦しみます。繰越金でありまするから、私が考えるところによれば年度末を境といたしまして、多少の時間的なズレ等があることは、これは国家財政においても、地方財政においても同じことであつて、そういう意味に解しましても、これはあとで申上げますが、歳出の面において歳入超過を挙げておる以上は、こういう繰越金というものは誠に妙な性格なものであり、なお且つこの繰越金に挙げておる数字が一体どういうことを根拠として挙げたか甚だ私は疑問に思うのであります。なおそのほかに雑收入におきましても、これは二十四年度、二十五年度、二十六年度殆んど変らざる同一の数字をここに掲げてあるが、今日のように非常に経済上の変化の多いときに、如何に大ざつぱな推計表とは言うものの、こういうふうな殆んど変らない数字を三年間も並べて置くというふうなことは非常識じやないかと私は思う。然るに使用料、手数料におきましても、二十四年度から二十五、二十六年度を通じて、これ又殆んど同一の金額が並べてある。これ又今申しました前者と同様の意味において甚だ私は妙な数字だと思うのであります。大蔵省の主計局とも言うべきところにおいて、かかる数字を元としておられることは甚だ私は遺憾に思いますが、そういう点について大蔵大臣はどう考えておりますか、その点をお伺いしたいのであります。なお且つ二十四年度を基調とするということは、二十五年度と二十四年度とは非常に差があるのでありますから、二十五年度におきまして、御承知通り、シヤウプ勧告によつて地方の財政に根本的な改革を加えた年であり、又二十四年度とはもう全然地方の財政上において性格が違うと思う。先ず二十五年度以降のことについては別といたしまして、この推計表によつて二十四年度を基礎として出された、そういう意味においてどういうふうにお考えであるか、一つ伺いたいと思います。なお且つ使用料、手数料、雑收入、繰越金に対してどういうふうなお考えであるか承わりたいと思います。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十六年度の地方財政の枠と申しまするか、ありかたを見ます場合におきまして、二十四年度の決算見込のみにとらわれたのではないのであります。二十五年度を元にいたしまして、二十四年度を参考にして二十六年度を推計いたしたのであります。而して雑收入とか或いは使用料、手数料を前年度と大体大差のないように見たのは、こういうものはえてして殖えやすいものであるのであります。併しどれだけ殖えるともきまつておりませんので、大体達観して、余り変りのない数字を計上して一応推算したと私は考えておるのであります。なお細かい点につきましては、主計局長よりお答えさせることにいたします。
  68. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 事物当局の説明はいつでも聞けますから、一つ今日は大臣の御所見だけを続けて行きたいと思う。今大蔵大臣から簡單なお答えがありましたが、恐らく大蔵大臣におきましては、こういうふうな推計表で主計局が出しておるということは御承知ないのじやないかと、私は思うのですが、その点はどうだつたか、今お答えがありませんでしたが、あとで質問いたしますが、今大臣の御説明がございましたが、私は二十四年度については地方配付税も半額にされたし、いろいろの意味においてこの二十四年度を基調とすることは私は誤まりである、少くともシヤウプ勧告によりまして、地方の税制の上に根本的に改革を加え、且つ都道府県市町村が独立財源でやるようになつたのでありますから、更に配付税が廃止されて、地方財政平衡交付金が二十五年度から始まつたのでありますから、今後は二十四年度はのけて、二十五年度よりそれに基礎を置いて考えるならば、私はもつと妥当な数字が出ると思うので、今後こういう点を考えられる場合に、主計局においては、二十四年度のこういうふうな歪曲された数字を基礎とされることは、私は非常に不適当だと、さように考えるのであります。    〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
  69. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 更に大蔵大臣に伺いますが、この大蔵省の推計表の歳出の面におきまして、二十五年度の場合に、徴税費というものが二十四億も上げてありますが、こういう数字はやはり総額が相当の金額である場合には、適当の数字とは考えられんのでありますが、その点についてはどう考えるのでありまするか。それを先ず第一点に伺いますが、更に二十五年度におきましては行政整理とか、行政整理の費用として七十二億余円、調整額二十億というふうな金額が上つておりまするが、一体これはどういう内容を持つていることなのか甚だ了解に苦しみますので伺いたいのであります。更に二十四年度、二十五年度以下六年度も歳出の最後にはいずれも歳入超過というふうな項目の下に数百億が計上されているのでありまするが、実際地方財政を見るときに、今日何人といえどもあの困窮せる財政のほうに大蔵省の元締において、その表において二十四年度から何百億のここに歳入超過を掲げるがごときは、これは全くナンセンスじやないかと私は思うのであつて、実際にこういう数字を計上されるということは誠に私は奇怪千万だと思うのでありまするが、大蔵大臣においては、それをどういうふうにお考えになつておりますか伺いたいのであります。なお二十五年度におきましては、当初の推計と補正後の推計という二本建になつており、二十五年度の補正推計表のほうには更に節約の費用として四十億あまり、そのほかに予備費が百億も計上されているのでありますが、今日一体ここにおいて予備費を計上するがごときは、如何なる意味を持つているのか誠に私は了解に苦しみます。と申しますのはその欄において節約を上げているくらいなんですから、節約に四十億も上げておきながら予備費百億を計上するということは、こういう問題を考えるときの論理的にも甚だ矛盾撞着していると私は思うので、大蔵省の主計局の明敏なかたがたがおられるのにかような論理的にも甚だ矛盾した数字をここに掲げ、更に二十五年度の補正後の推計におきましては歳入超過三百九十億というふうなものが出ているんですが、こういうふうなことは実際にも即しませんし、如何なる意味においてこういうふうな数字を掲げられたか、この点についてできるだけ詳細に大臣より御説明を伺いたいと思うのであります。
  70. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十四年から二十五年に変つて来、二十六年に入ります場合におきまして、シヤウプ勧告案の大体の線に沿つてつているのであります。而して今四千数百億円のところの分で、地方自治庁との差は平衡交付金につきまして、千二百九億円と我々の千百億円との差であります。即ち百九億円の差に相成つているのであります。そうしてこの百九億円の差につきましても、災害復旧の地方負担分を今回御審議願いますような方法で行きますれば、あの百九億円が多分三十億ばかり減るのではないか。そういたしますと七十億程度の差に相成つているのであります。  なお細かい数字の点につきましては主計局長よりお答えさせることにいたしますが、節約額を計上しながら予備費を又計上するということはナンセンスと申しますか、矛盾するというお話でございますが、私は必ずしも節約額を出しているからといつて予算の執行上予測すべからざる場合の予備費を計上するということは矛盾しているとは考えておりません。
  71. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この数字の内容につきましては、先般詳しく申上げたのでありますが、そういう事務的な細かい計数の問題は別にいたしまして、この推計に当りましてとりました態度でありますが、私どもは今年度及び明年度の地方財政の総体を出します場合において何かの寄りかかりが必要であると考えまして、当時大蔵省としても調査したのでありますが、最近におきまして二十四年度の決算の大体の確定的の数字が出ましたので、それを基礎とし、又今までの推計を基礎として両方の面から歩み寄つて考えたわけであります。ここに今年度の当初の地方財政の総体として出しました四千三百二十億という数字、これは地財委のほうでお調べになつている数字でありまして、二十四年度の決算からそのような調整をいたしておつても大体同じような数字になるのであります。ただその点におきまして地方財政委員会のほうと、大蔵省のほうとの数字において多少の異同がございまするので、その点の調整額として二十億と掲げてあるだけに過ぎないのでありまして、ここに書きました項目は国の予算と違いまして、全般的にはどういうふうな基準的な経費に対して、それがどういうふうに殖えて行つたのであるかということを出すことの参考だけに過ぎないのでありまして、従いまして節約のほかに予備費があると申しましても、この予備費は予備費としての姿においてあるとは必ずしもならないので、その他の経費の不足分、或いは給與改訂を行なつても必ずしも国の予算のように正確な、一文一厘も違わない正確なものというふうには参りませんので、そういつたような多少の調整的な意味合で書かれておることを御了承願いたいのであります。勿論この中には純予備費というようなものもあるであろうと思います。調整費その他いろいろお話がございましたが、ここに掲げましたのは二十五年度当初予算、或いは補正予算において、従来の基準的経費について、法令その他の事情で必ずこれだけは殖えているだろうというものを新規に出したに過ぎない、こういうふうに御了承願いたいのであります。
  72. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 更に二十六年度につきまして、大蔵省の集計について又伺いますが、先ほど大蔵大臣が言われましたように、本年度は平衡交付金におきまして、両者の差額が百九億円、地方債の差額が百八十五億であります。地方税の増收につきましてはこれは差額でありますが、そのほかに税外收入の増收という面におきまして地方財政委員会の十八億に対しまして大蔵省の百八十一億、結局その差百六十三億、こういうふうな厖大数字になつておるわけであります。そういうふうな税外收入の点、そういうふうなものとか平衡交付金の百億によりまして、二十六年度の予算がこの推計表を見ましても地財委と甚だしく違うわけでありますが、大蔵省の二十六年度の推計表によりまして節約なんかは地方財政においてもやるのは当然でありますから、これは大蔵省と合致しておりますが、二十六年度におきましても予備費が百億計上されておるわけであります。只今主計局長より御説明もありましたが、この予備費というものは私は了解に苦しむのであつて、これも二十六年度の節約を挙げ、更に予備費百億を計上しておられる。而もその歳入超過に至つては二十六年度は大蔵省では約三百九十億も見積つておられる。これは誠に私は今までの二十四年度、五年度は過ぎてしまいましたからこれは別として、今審議中の予算において、審議中の地方の財政におきまして、これは全国から私のところに多数平衡交付金の増額をやつてもらいたい、そうでないと、自分の市の收入でやつておるのに非常に困難を来たすとか、いろいろ教員関係からもいろいろな血の出るような葉書を多数もらつておりまして、私もそういう点は非常に真劍に考えざるを得ないのでありまするが、今申しましたように推計表に、二十六年度においてこれはみずから節約八十億、そのほかに予備費が百億計上され、結局最後に歳入超過三百九十億というふうなものが出ておりますが、この地方財政において地方税法の一部改正の法案が出ておりますが、これによりますと地財委側のお話では増税ではなく増收である、百七十八億の増收であるというわけで百七十八億七千三万円出ておりますが、その増收の金額については大蔵省と全く一致するが、ほかのものは非常に違つており、なお大蔵省のはじき出すところの基礎が、推計表によつて今申しましたように歳入超過を三百九十億も見積り、節約のほかに予備費も出している、然るに増收分については全く一致した数字が出ている、これが甚しく一致していることはほかのことと兼ね合せて考えますと、妙に考えられるので、ほかの数字が合つているならばいざ知らず、この増收分について地方行政において目下検討しておりますが、岡野国務大臣初め地財委の委員長代理の意見、その他につきましても基礎が全く薄弱であつて、我々も非常に了解に苦しんでいる現況でありますが、こういうような地方財政委員会における百七十八億も追及して見ると、誠にあいまい模糊たる基礎に立つている。更にそれを考える上に増收については二十五年度の地方税全般に亘る実績というものはどの程度になつているかということが最も肝要でありますので、この資料の提出を盛んに督促しましたのですが、昨日あたりようやく出て、予算委員会に今日廻つて来たわけでありまするが、この成績表によりますと、まだ多数の件がこれに含まれておりません。極く一部のものでありますが、成績は甚だ惡いのであります。これは大蔵大臣は特に税の專門家でありまするから、この実績を御覽になつたら、かように税が成績が惡いからというようなことを強調されると思うけれども、その点は我々は多少考えを異にしておるということは、地方税がその税率その他において我々妥当でないというので徹底的に反対したわけでありまするが、最後に通つたので、そういうような税率が妥当でない、又は方法が妥当でない、そういうふうなこともあるので、ただ單にこのパーセンテージが惡いということは私は言えないと思いまするが、何しろ実績は惡いのであります。然るに最も成績の惡い法人税だとか、事業税であるとか、遊興飲食税とか、又市町村税では最も成績の惡い固定資産税その他について地財委のお説を聞きますと、数十億くらいの増收を見積つている。その増收額の百七十八億というものは今申しましたように非常に基礎が薄弱なんです。然るに大蔵省のほうではその増收の金額については全く同感の意を表して数字が合つている、こういう点は私は非常にむしろ逆じやないか、推計表から見ましてもこういうふうなことであるのですから、この金額は同一であるということはむしろ非常におかしい。なお且つ大蔵省の推計では歳入超過を三百九十億もここに計上しておられる、予備費も百億も計上しておられるのに、一面他方において地方税の増收に同感の意を表されるということは、これは論理的にも甚だ矛盾しているのじやないか、そういう感じがするのでありますが、そういう点につきまして池田大蔵大臣意見を伺いたい。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 地方財政におきましては、一万余りの予算の集計でございますので、国の予算のように一定の組織のもとに一人が作る予算と、各府県、各市町村において作ります予算を一応集めて推定を下す予算とは、おのずからそこに違つて来るのであります。従いまして、收入の問題等につきましても、又一万余の各独立した団体でありますので、推定を加えた場合におきましての予算に予備費的のものを置くことは、これは止むを得ないのじやないかと考えます。出しました資料というものがそういうところでできているのであります。  次に歳入の税收入の問題でございまするが、これは御承知通りに国のほうでは減税をいたしましても前年度近くの税金が取れる、地方のほうは減税は大体しておりません。どちらかと言いますと、増税している場合もあるのであります。従いまして千九百何億円から二千百億円程度に相成りましたこの地方税收入は私は確保できると思うのであります。これは地方税の全体の收入は、国税の收入にマツチするように、国税の收入というものの見込と大体同じ標準で全体を見込みますので地方財政委員会或いは地方自治庁と一つに観方が合うのであります。大蔵省のほうの資料を盾にとつて根拠としておられますから合うのであります。又合うのが至当だと思います。而して地方税のほうは或る程度の調整は加えておりまするが、来年度におきましては殊に法人関係におきまして、申告納税の制度をとりましたし、又地方税におきましては、住民税におきまして法人に対しまして法人税の一割をとることに相成りました関係上、百八十億円ばかりの増收が出て来るのであります。私はこの分につきましては財政委員会と大蔵省との見解が一致した、一致すべきものであり、当然收入し得る金額と考えております。
  74. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今大臣から御説明を伺いましたが、念のためにこれを伺いたいのであります。前補正予算の際に、大蔵省においても大臣は地方財政委員会と同一の資料に基いてやるのであるというようなお話でありましたが、この推計表は全くこれと違いますが、これは今後も改めないので、この推計表でおやりになるお考えですか、今後は地方財政委員会と同一の資料に基いて地方の財政を勘案されるか、その点は如何でありましようか。
  75. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今後は地方財政委員会におきましても、十分各市町村、各府県の財政の状況を、研究、調査を願いますと同時に、我々といたしましても、できるだけ各団体の財政事情を別個に考え、そうして、両者相談の上で立派な基本を作つて行きたいと考えております。
  76. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 更に先ほどちよつと触れましたが、税外收入におきまして、大蔵省側は百六十三億円も地方財政委員会の数字より上廻つて考えておられますが、かかる百六十億の差をとるということは、同じく財政を考える上におきまして余り違うのも甚だし過ぎはせんかと思うのでありますが、先ほど来推計表のことを特に申上げましたが、こういう推計表の数字が禍いしまして、税外收入が百六十三億も両者の相違点をなしたというようなことになつておりますが、その税外收入につきましては、大蔵大臣は特に税の專門家でありまするが、どういうわけで、百六十三億も違つて大蔵省は見られたのか、その点どういうわけですか、説明して頂きたい。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 税以外のことで、各地方団体の收入は過去の実績から見まして相当つておると私は記憶いたしておるのでありますが、何年度に幾らあつたかということにつきましては記憶はございませんので、主計局長からお答えすることにいたします。
  78. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これもこの前申上げたのでありまするが、二十四年度におきましては、決算上四百八十億の雑收入があるのでございます。これに対しまして、百七十億程度しか二十五年度の当初予算において見込まれておらないのでありまして、二十五年度におきまして、二十四年度より更に減るべき事情はちよつと想像されないのであります。そういたしまして、歳入超過といたしまして大体決算の確定したところによりますと、二十四年度約百九十億あつたのでありまして、これが翌年度に繰越金として廻つて参る、その結果二十五年度の見込としては三百七十億程度の歳入超過が出て、これが二十六年度に繰越金として充当せられる。そういう関係におきまして只今西郷さんからお述べになりましたような百六十億を税收入全体として殖える、こういう計算になるのであります。元は二十四年度の決算の数字等から出て来たものでございます。
  79. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 そういう点につきまして、もう少し細かくちよつと伺いたいと思いますが、時間がないそうでございますから、もう一点大蔵大臣に伺いますが、地方の財政はかくのごとくでありまして、我々も本年度の現在のままでは誠に遺憾に思いまするので、昨日地方行政委員会において小委員会を設けで、本日から特に平衡交付金の金額、地方起債の金額につきまして分析し、妥当な数字を出した上は、この予算委員会にもその案を持込みたい。少くとも分科会までには間に合わせたい、かように考えてやつておりまするので、今日から入りましたので、そういう金額がはつきりしました上において、予算委員会において大蔵大臣に別の機会において御質問したいと思いますが、もう一点伺いたいのは各府県を廻つて見ますると、御承知のごとくシヤウプの勧告によりまして県税のほうにおきましては、事業税とか、入場税とか、遊興飲食税というようなものが最も大きな税目であつて、併しこれらのものはときの経済情勢に影響されるところが極めて多い浮動性の強いものでありますので、なお且つシヤウプの勧告によりまして、県税のほうは多少收入のほうが減るようなので、現在何か一つ別な地方税をもらえないものだろうかというような声も強く、所によりましてはその財源といたしまして、前に一度やつたと思いますが、更に酒、煙草に対しまして、附加税的なものを極く僅かな税率でもかければ相当の金額が出て来る。そういうものはどうであろうかというようなことを考えておる地方も多いのでありまするが、酒、煙草の附加税というようなものを将来地方に設けるというようなことにつきまして、大蔵大臣は如何にお考えであるか、最後に伺つて置きたいと思います。
  80. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 地方歳入におきまして、府県の歳入と市町村の歳入につきまして、その彈力性或いは永続性の面におきまして議論があることは承知いたしております。今のお話通り遊興飲食税、入場税、或いは事業税のみを以て府県の財政は安心できるかという問題につきましては、今後私は検討しなければならない問題だと思います。而して別にたばことか或いは酒に対します各府県の附加税を設けるとかいう問題になりますと、私は今までと同じように今後も反対して行きたいと考えております。
  81. 前田穰

    ○前田穰君 私は国有鉄道並びに運輸省関係の問題を若干御質問申上げたいと思います。本日は運輸大臣が御欠席のようでありますが、主として経理方面と申しますか、財政方面と申しますか、主として大蔵大臣の御答弁を煩わしたいと思います。  我が国の国有鉄道が、戰争中のすり減らし並びに戰後の赤字の累積の結果、今日の国有鉄道の実情は、根本的に戰災復興その他の建直しをやらなければならん時期に到達しておると思うのであります。これはすべての政治力、経済力、労働力を結集いたしまして事に当らなければならないことだと存ずるのであります。その一つの方法としてでありましよう、一昨年直接の国営を公共企業体に改組されて、今日大体二カ年を経過いたして参つておるのでありますが、その公共企業体としての将来の見通しはどうかということが私の中心の問題であります。具体的の細かいことは分科会に讓らなければ時間が足りないと思いますので、只今は政府根本方針だけについてお伺いしたいと思うのであります。公共企業体を作られるときに、しばしば独立採算制ということが論議に上つておるようであります。独立採算制を、今日もやはり一つの公共企業体を作つた目的としておられるかどうか。将来独立採算制というものに期待を持つておられるかどうか。無論今日は異常な経済状態でもありまするし、又前に申しましたように、欠損の累積の最中でもありまするから、直ちに今日に独立採算制が、仮に收支の均衡を得るという意味でありましても、実行できないことは無論でありますが、将来にそういうことを期待しておられるかどうかという点が一つの私のお伺いしたい点なんであります。  それから独立採算制はともかくも、公共企業体とするということは、民間企業の長所を取入れて能率的に運営をするということでありますから、どの程度に民間企業体の運営の長所を国有鉄道の運営に取入れられるかという、こういう問題であります。今日の実情を見ますると、形式的にはいろいろ民間企業の長所が取入れられておるようにも思うのでありますが、小さいことは別といたしまして、大体において経理会計方面におきまして、実質的には直接の国営の時代と大した変りはないのじやないか、さように感ぜられるわけであります。甚だ妙な言葉でありますが、公共企業体に国有鉄道を直したのは、労働問題の処理に都合のいいために直したのだといつてもいいのじやないかという感じもするのであります。この点につきまして、将来国有鉄道の運営にもつともつと民間企業体の運営の方法を取入れるつもりがあるか。若しくは公共企業体としては、今日の程度の自主的の運営と申しますか、それが適当であると、大体公共企業体というものはその程度のものなのだ、こういうふうにお考えになつておるか、その点お伺いいたしたいのであります。
  82. 關谷勝利

    政府委員(關谷勝利君) お尋ねに相成りましたことについてお答えを申上げます。独立採算制を現在もこれを尊重しておるか、なお又将来もこれを保持して行く考えか、こういうお尋ねに対しましては、現在もこれは独立採算制ということを強調いたしておりますし、なお又、将来も独立採算制をとつて行きたいと、このように考えております。  なお民間の長所を取入れて能率を挙げるべきではないかということにつきましては、お説の通りでありまして、なおこの会計などで、現在とつておりまするところの事柄が、国営当時と同じではないかと、こういうようなお説でありますが、それは会計などにつきましては、これは昨年会計法の第三十六條でございましたか、これを改正いたしまして、自主的にやつて行くと、こういうふうなことに改正をいたしております。なお自主性というようなものと公共性というようなもの、この自主性を強化するというような考えはないか、こういうお話でありまするが、これは非常に公共企業体としましては、むずかしい問題でありまして、公共性と自主性、こういうものはよく調和をとつて行かなければならないのであります。公共企業体でありますから、勿論公共性を第一と考えまして、そうしてこの独立採算制と言いまする事柄は、これは努力目標と、こういうふうに止むを得ざる場合には操作をとつて行きたい、このように考えております。
  83. 前田穰

    ○前田穰君 関連しまして、非常に小さい問題かも知れませんが、予算総則の国有鉄道の部を見ますと、国有鉄道の役職員には年末賞與を支給しないという條項があります。これは昨年の補正予算の際のいきさつの結果かと思うのでありまするが、何が故にこの條項を特に挿入になつたか。別段かような條項はなくつても、給與の最高額が五百数十億にきまつておりますから、支給しようと思つてもそれを修正しなければできないことであるし、又これを入れて置きましても、是非支給しなければならんということであれば、修正してこの條項を削ればいいわけなのでありますが、特にこの條項をお入れになりました趣旨はどういうことなんでございましようか。必ずしも国家公務員と国有鉄道の従業員とは給與の体裁、水準等を同じくしなくてもいいのだということをお認めになつたような意味なのか、或いはそれが逆に国家公務員との水準は保つて行くのだ、成るべく同じような形式で行くのだ、がこの際は特に止むを得なかつたのだ、こういうことになつたのだということを話しておられるおつもりなのか。特にあの條項をお入れになつた理由について伺いたい。
  84. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 只今の御質問にお答えしたいと思うのでございますが、御質問の中で、その間の消息については御了解を頂いておると思うのでありまするが、昨年の暮の裁定実施の際に、年末給與を支給するかしないかという問題であります。具体的にいろいろ論議をされまして、そして年末給與は支給しないことになつたのでありますが、その際の経緯によりまして、来年度の予算の総則にも、国有鉄道の職員は公務員と給與体系が違うという点から、そうした経過から鑑みてああいう規定を挿入した次第でございます。
  85. 前田穰

    ○前田穰君 独立採算制ということをやはり将来持つて行くということでありますが、この独立採算制というものの中に、公益的の要素と、それから自主的の要素とが非常に矛盾するということは無論でありますが、要はその間の調節をどこで図つて行くか、どの程度まで自主を認め、どの程度まで公益性を尊重して行くかという、その点が問題なのであろうと思うのであります。本日その議論を一々しておる余裕も無論ないわけでありますし、又お考えを突込んで聞く時間の余裕もないと思いますから、その点は打ち切りたいと思いまするが、もう一つそれに関連しまして、国有鉄道一つの企業であるにかかわらず、非常な大きな公益事業である、そのために国家要請のために、普通独立採算制を念とするならばやらないようなことをたくさんやらなければならん。例えば新線の敷設或いは線路の改修、それから場合によつて運賃割引制度というような点に、民間の企業ではやらないようなことを国家要請上やらなければならん。そのために要するいろいろな費用を、この公共企業体である国有鉄道の会計に如何に調和して取入れるか、具体的に伺えば、例えば新線を敷設する、その新線敷設というものは、今日民間の企業で言えば、当然これは自己資本でやるべきものだと思うのであります。即ち国有鉄道の場合でも第五條に増資ということをお認めになつておるようなことでありまするので、かような場合には国家が資本を投ずる、投資の意味において敷設をやられるというのが本来でないか、今日は借入金というようなことで賄われておるようにも考えられるのでありますが、昨年の場合には、見返資金を投資だということでやつておられる。仮にこの投資を新線の場合においていたしましても、その投資によつて敷設しました鉄道が必ずしも黒字になるとは限らない。赤字でもやらなきやならんような場合が非常にたくさんあるわけでありまするが、それらによりまして受ける損失、そういうものがこの公共企業体の会計上響いて来る点を如何に調節すればいいのか、こういう点について何らかのお考えを持つておられるのかどうかということを伺いたいと思います。
  86. 關谷勝利

    政府委員(關谷勝利君) 先ほどお答え申上げました通りでありまして、この公益性と独立採算のことにつきましては、公益を第一と考えておりまして、独立採算制は努力目標でありまして、止むを得ない場合には公益のほうを先にするということは、先ほど申上げました通りであります。新線建設等におきましては、将来建設をいたしまするものは、お説の通り不採算線が大部分であろう、このように考えております。これを自己資金で賄えというようなことに相成りますると、その金利等非常に大きい負担になつて参りまするので、できる限り国の財政資金、本年度も皆さん方に御審議を頂いておりまするが、一般会計からの繰入金というふうなものもありまするので、こういう場合にはでき得る限りこの利息の付かない資金というふうなものでやつて行きたい。長期資金でやつて行きたい。なお仮に、何と申しまするか、自己資金等でやりまする場合がありましても、これは借入金等でやる場合がありましても、これに対しましては利子補給等は、これは一般会計のほうから補給をして頂きたい、こういうふうな希望を持つておるような次第であります。
  87. 前田穰

    ○前田穰君 いろいろお伺いしたいこともありますが、一応国有鉄道の問題はこの辺で打切りまして、運輸省所管の気象台の予算について少しくお伺いしたいのであります。  この気象台の予算につきましては、終戰後或いは五年計画、或いは十年計画を気象台で立てられて、そうして予算をそれぞれ大蔵省に要請しておられたらしいのでありますが、その査定の結果は甚だ遺憾な点が多い。で我が国の気象台の最も大きな欠陷は、予報の仕事、丈観測の仕事、共にこの機械化が非常に遅れておるということが最も大きな欠陷であろうと思われるのでありまするが、加うるにこのいろいろな災害を受けまして、その復旧がなかなか捗つていない。で、かれこれ相待ちまして、目下の気象台の実情というものは非常に憂慮すべき状態になつておるのじやないか、かように考えるのであります。で二十六年度の予算として新規……、必ずしも新規ではございません。二カ年目、或いはそういつたような継続的のこともあるかも知れませんが、新らしい施設として三億円ばかり要求した結果が一千万円くらいしか認められなかつた、かような時期に昨年おりまして、台風が参りまして、各方面でこれが対策を講じましたときに、運輸委員会としても、気象台の問題を取上げまして、いろいろ研究いたしたのであります。その結果九千何百万円でありましたか、是非復活してもらいたい、二十五年度の補正予算でいけなければ、二十六年度の予算の中に是非組入れてもらいたいということを、運輸委員会の名におきまして、委員長から大蔵省へ種々交渉をいたしたのであります。然るにまあ今日に至りましてもその要求は容れられていないのであります。でその内容は、当時の運輸委員長からの交渉によりまして、大蔵省ではよくおわかりになつておるはずだと思うのでありまするが、累年参ります台風の結果、洪水渦に見舞われることが頻々である。その洪水の予報を迅速に行いまして、少しでも被害を少くしたいという五ケ年計画、又観測をいたしますのにはいろいろな過去の材料を整頓して持つていなきやならん。その整理のまだできていない部分を成るべく早く整理して観測の材料に供したい、こういつたような非常に重要なことが要求されておるわけであります。如何に有能な学者を配置しても、これらの機械化が整つて、そうして観測もでき、又予報のできるような施設にして置かなければ、学者が役に立たないということはもう申すまでもないことであります。殊に我が国のような災害の非常に大きな国におきまして、災害の復旧のために非常な金を毎年かけておられるが、その災害の被害を少くするところに使う気象の観測ということに、金を出し惜しみをせらるるということは甚だおかしなことじやなかろうかと思うのであります。この点につきまして、大蔵大臣お帰りになつたようで甚だ遺憾でありますが、大蔵当局から御答弁を願いたいと思うのであります。
  88. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 大蔵大臣は衆議院の大蔵、農林合同委員会にちよつと顏を出して来るからと言つて行きましたから、又後刻すぐ来てくれると思います。
  89. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 災害の対策といたしましては、財政面におきましていろいろな施策を講じておるわけであります。つまり各種の工作物その他の施設の維持につきまして格段の経費を投ずるとか、そういつたようなことが現在の予算では主として主体をなしておるようなことでありますが、そのほかに御趣旨のような災害を未然に予知するというような点も、非常に大切であることは当然でありまして、その点につきまして、気象台その他につきまして相当経費の増額をいたしておるのでありますが、なお御趣旨のような点もあろうかと存ずるのでありますが、災害の予知の点につきましては、そのほかにおきまして、建設省所管等におきまして、洪水が来る場合においてこれを関係の町村にいち早く知らせるというような経費につきましても、多少の予算を計上しておるような次第でございます。
  90. 前田穰

    ○前田穰君 昨年運輸委員長から要求しましたのは、一応九千七百万円くらいだつたと思いますが、只今国事多端のことでありまするから、少しでも節約すべきものは節約しなければならんという趣旨で、運輸委員会でも更にこれを検討いたしまして、只今のところでは八千五百万円ぐらいは是非増額してもらわなければ困る、そうでなければ到底、的確なる観測を迅速にいたして、農産物その他の被害を少くすることに資するわけに行かん、そういうことに運輸委員会で一致して考えておるようなわけであります。大蔵当局は、この運輸委員会の趣旨を尊重されまして、若し仮にこの二十六年度の予算でいかんとすれば、或いは補正等の際にお考えになつて頂けるかどうかということを伺いたいのであります。
  91. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在の観測施設についてなお不十分な点があるのは、御指摘の通りであろうと思うのであります。この問題については、御趣旨の点をよく尊重いたしまして研究いたしたいと思います。
  92. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 前田君いいですか。
  93. 前田穰

    ○前田穰君 ええ。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は第一に食糧問題について、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。  政府昭和二十五年度より食糧増産興農運動を絶叫いたしまして、食糧の増産に邁進しておられることは認めるのであります。又昨日私の質問に対して総理大臣から、現内閣の食糧政策に関する基本方針を説明して頂いたことも了承したのであります。なお昭和二十六年度の予算におきまして、廣川農林大臣が非常な努力をされ、これに周東安本長官、池田大蔵大臣協力されて、或る程度予算を増加せられたということは喜びに堪えないのでありますが、なお金融措置その他について遺憾の点があるのでありますから、以下数項に亘つてお尋ねしたいと思うのであります。  土地改良を施行いたしまして、水田の排水、灌漑を改善いたしますれば、干害地は干害を免れることができるのであります。濕田は乾田となり、又畑地に必要に応じて灌漑をするといたしますならば、天候に左右されておるところの畑作物は災害を免れて増收が確実にできるのであります。それにもかかわらず一方のほうに食糧増産を叫びながら、これに必要なるところの予算の計上なく、又金融措置をとられなかつたところの理由はどこにあるか。  次は、田畑が災害を受けたならば、直ちにその年度内に復旧いたしまして、減收を防止せなくちやできないのにもかかわらず、災害をこうむつたところの土地を数年間そのまま放置されて、増産に手をつけられないところの理由はどこにあるか。又干拓や開墾を始めて見ても、その資金が不足のために計画通りに仕事ができない、こういうようなことではいつ計画が完了するかわからないのであります。従つて食糧増産もできないのでありますが、現在予定しておるような開墾、干拓というようなものは、速かに完了しなくちやできないのであるが、これに対する予算的、金融的措置をいつどのくらいやろうとお考えであるのか、これらの点について先ずお尋ねしたいと思うのであります。
  95. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 只今藤野委員よりお尋ねの第一点、畑地灌漑につきましては、お話のように今日の食糧増産の上から極めて重要な事項でありまするので、政府といたしましても、すでに一部分は現在の公共事業費中より畑地灌漑を取上げて参つておるのでありまするが、お話通りに、例えば現在陸稻の反当收量七、八斗のものが、畑地灌漑によつて一石五、六斗に増加した例もたくさんあるのでありまして、今回の一割増産の中には、これらの問題を技術的にも相当取上げて参つておるのであります。公共事業費全体が非常に少いという関係もありまするので、来年度予算中には、この問題を大きく取上げることができなかつたことは誠に遺憾に存じます。併し今回の特別会計六十億の中には、この畑地灌漑に関する経費も予定をいたしまして、補助政策はないにいたしましても、有効な事業に対しましては取上げたいという考えを持つて、土地改良、非補助事業約三十億のうち、畑地灌漑直接の経費を約二億ばかり計上いたしておるような次第であります。  なお災害復旧に関しましては、連年に亘り災害が多い関係もありまするので、二十三年以降漸次繰越して参つておることは誠に遺憾であります。特に農林関係の仕事は、直接食糧増産に関係がありまするので、財政当局ともよく協議を進めておるのでありまするが、災害個所の非常に多いということ、及び昨年、一昨年のごときは数回に亘る災害のために十分な工事の施行ができなかつたのであります。併し現在残つておりまする災害工事につきましては、できるだけ予算の増額をいたしまして、なお今回の特別会計におきましても防災施設、或いは非補助事業として、つまり災害復旧で団体等で補助の対象にならない災害工事に対しても、農林漁業の資金を融通いたしまして一日も早く完成するようにいたしたいと考えておる次第であります。  なおお話の干拓事業については、これ又現在の個所が、国営及び補助工事として取上げられておる工事は相当多額に上つておるのでありまして、全体を通じての工費額が、全国的に亘りますと数十億を要するのであります。本年度の公共事業費におきましては、前年の約十三億に対して十九億の計画を持つて成るべく広く且つ効果的にその実績を挙げると共に、先ほど来申上げましたやはり農林漁業資金のほうにおきましても、干拓非補助事業として干拓工事を取上げ、補助干拓に対しては資金の融通を行なつて、成るべく速かに完成をいたしたいという予定を以て進行いたしておるような次第であります。
  96. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 日本の土壤には酸性土壤が多いのであります。この際石灰を積極的に使用いたしまして酸性土壤を自然に解消するようにいたしましたならば、相当の増收ができるのであります。又これが最も早く且つ金がかからないところの増收方法であるのであります。私が調査したどころの文献によりますというと、生石灰を使用いたしましたならば、米については反当二斗から九斗、麦については反当一斗から五斗ぐらいの増收ができることは明らかであるのであります。これを見積つて見れば、全国で七、八百万石の増收が直ちにできるのであります。昭和二十六年度の予算を見ますと、酸性土壤解消の費用として二千百三十万円、見返資金の融資といたしまして一億四千万円が計上されているようであります。これだけでは右申上げましたような効果がある酸性土壤を急速に矯正することができないのであつて、現在酸性土壤と言われているのは全国で百五十四万町歩もあるのでありますから、何年かかるかわからないような状態であるのであります。酸性土壤の矯正には、農地局でも力を入れておられるし、農業改良局や農政局でもやかましく言われているのであります。酸性土壤の矯正に関して、以上各局でやつておられるのを一局にまとめまして思い切つた施策を講じたならば、即時に食糧の増産ができるのであります。幸い我が国には石灰石は相当の数量あるのでありますから、やる覚悟があつたならば、非常にやりやすい施用であるのでありますが、これに政府が十分の力を入れておられないところの理由はどこにあるか、これらの点についてお伺いしたいと思うのであります。
  97. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 酸性土壤が増産に効果のあることは御指摘の通りでありまして、政府関係各局でそれぞれその部門に応じて取上げていることも御指摘の通りでありまして、ただこの酸性土壤の改良につきましては、ひとり国家の力のみならず民間側においてもこれは有効適切な事業であり、且つ簡單になし得る石灰施用のごときは、これは民間或いは協同組合等において十分取上げて頂きたいことも希望いたし、且又現にさような施設を、石灰の工場を持ち、或いは炭カルの工場を持つてつておる地方もあるのでありまして、むしろ酸性土壤の改良については、国民的な大きな啓蒙運動が食糧増産と共に必要でありまして、今回の一割増産政策の上にこれらの問題を大きく取上げて、各都道府県及び市町村等において啓蒙運動に携わり、且つ又今回行わんといたしておりまする農業委員会の町村計画等においても十分取上げて頂きますことを希望いたすところでございます。なお酸性土壤の牧野の改良、つまり畜産方面の牧野の改良が、やがて我が国の畜産、乳牛等の飼料の増産に非常に役立つというような点から、畜産局におきましても多少の経費を計上いたして頂き、先ほど来申上げる融通資金の配分につきましても非補助事業のうちにこれらの問題を取上げて、有効に推進するような予定にいたしておるところであります。全体を通じてこれを一つの局に取上げるということは、現在では考えていないのでありまして、各部門部門にそれぞれの施策を行うことが却つて適切であるというふうに考えておる次第であります。
  98. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 食糧の増産は積極的の施策をなすことと同時に、病虫害の防除をして折角でき上つたところの農作物の被害を免れしめるようにすることが適当のことであるのであります。このためには、現在の植物防疫法の不備であるのでありますから、これを根本的に改むべく、参議院の農林関係者で超党派的に今立案中であるのであります。昭和二十六年度の予算には植物防疫に要する費用として五億四千万円が計上されておるのでありますが、これくらいでは病虫害が異常発生した場合には如何ともすることができないような状態であるのであります。若し病虫害が異常発生いたしましたならば、それよりもよりたくさんの農業災害補償金の支拂をせなくちやならないのであります。それは昭和二十五年度及び昭和二十六年度の予算が明らかに証明しているのであります。そこでいつどこに病虫害が異常発生いたしましても、直ちに防除ができるようなふうに薬品及び器具を備え付け且つ防除員を待機せしむることが最も必要であると考えるのであります。而してこれに要する費用は少くとも更に六億八千万円くらいを要するのであります。政府においてこの財源を何とか考慮してもらいたいと思うのでありますが、政府考えはどうであるか。若しこの財源を政府において心配してくれたならば、前にも申上げましたように、農業災害補償金を支出する必要はないのでありますから、却つてこれだけの金を出したほうが政府の利益になる。国家財政上利益になるというようなことになるのでありますが、この点お伺いしたいのであります。
  99. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 今回の予算中に病虫害対策の経費としては相当計上いたしたのでありますが、なお或いは稻熱病或いは又めい虫、「うんか」等の経費に対しまして、事前にこれを防ぐことはこれは当然やらなければならんことであると思うのでありまして、現在までの植物防疫法では外国関係のものが主体になつてつて国内態勢が不十分であることはお話通りであります。そこで政府におきましては本年度の、つまり二十六年度の予算におきましても一割増産の対象としてこれらの問題も相当考えたのでありますが、遺憾ながら十分な経費の計上ができなかつたことは、今後の法律化と共に、将来相当考究し研究を進めまして、成るべく御期待に副うようにいたしたいと存じておる次第であります。
  100. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に、病虫害の防除には現在BHCが使用されておるのであります。BHCでは害虫である「つまぐろよこばい」は殺すことができないのであります。又桑園の附近でBHCを使用いたしましたならば、その桑園の桑で蚕を飼えば蚕は死んでしまうのであります。そこで少くとも「つまぐろよこばい」の駆除と桑園附近の害虫駆除にはBHC以外の駆除剤を必要とするのであります。それにはBHCが使用せられる以前に使用しておつたところの石油が最も適当であるのであります。殊に石油に豊年油を加油いたしましたならば、石油を單用するよりも一層その効果が多く、経費が安くなつて、農家の利するところは多大であるのであります。こういうふうな実情に鑑みまして、政府は以上申しましたような病虫害の駆除に石油を使用せしめる計画があるかどうか、お伺いしたいのであります。
  101. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 專門的な立場からの御質疑でありまして誠に御尤もであります。これは我が国の従来の「うんか」の駆除に、特に「つまぐろよこばい」に対する防除に対しては慣習的に、又有効的に石油を相当使つてつたのでありますが、お話のようにBHCが最近製造が相当多くなつたために、その方面の了解が十分得られないので、むしろ石油よりはBHCを使つたらどうかと、こういうふうな御意見のために国内全体に少い石油、特に外国から多分に入れておる石油が農薬として配給できないという状態に現在までなつてつたのであります。供しこの桑園の附近とか、或いは又BHCでは不十分であるというような地方、又はさようなBHCの使用のできないというような方面に対しては、これはお話通りに、石油を相当使つて、そしてこれに配給をして、「うんか」の発生を未然に防ぐということは確かにあるのでありまして、目下農林省において関係方面と折衝を続けておりまして、第一四半期においても、多少の配給を受け、第一四半期以後においては相当量の配給を受けるべく了解を得ておるような次第で、本年度においては、或る程度の目的が達成されることと了承いたしております。
  102. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、農業共済組合連合会の事業不足金の処理についてでありますが、この問題については、二月の三日に、大蔵大臣に対して本予算委員会で緊急質問をやつたのであります。その際大蔵大臣は、各方面と打合せ中ということであつたのであります。昭和二十五年度の再保險金中支拂いを要するものについては、速かに予算化して、直ち準第十国会に提出するようにというようなことを、第九国会の本委員会で農林大臣に要求して置いたのであります。そこで、農業共済組合連合会の事業資金の不足、事業不足金の処理についてはその後どういうふうなことになつておるか、又昭和二十六年度の再保險金中支拂を要するものは、昭和二十六年度の予算にどのくらい計上したのであるか、或いは計上してないのであるかどうか、この二つの点についてお尋ねするのであります。次には、農業共済再保險特別会計の赤字の原因が、一面において麦の共済掛金率が安いからということで、一・五〇八のものを、本年の四月から四・三九二に引上げる予定であるということであるのであります。そこでこれを現行の率で計算いたしましたならば、農家の負担は二億四千五百余万円であるのであります。改正率で計算いたしましたならば、七億二千五百万円くらいになつて、約三倍の引上げとなるのであります。このように掛金率も三倍に引上げられるということであつたらば、対米価比率は一方のほうにおいて引下げられ、保險金は引上げられるというようなことであつたならば、農家経済は立ち行かないような状態になるのであります。即ち、政府は、一方のほうにおいては、一割増産を獎励しておられるが、一方のほうにおいては、増産を阻むような、こういうふうな制度をとられるということになれば、麦が自然に減收にならんとも限らないのであります。若し麦が減收するということであつたらば、高いところの外国の麦を入れなくちやできない。こういうふうなことになるのでありますから、農家の負担するところの掛金率を現行法律通りに改められるというような特別の措置は考えておられないかどうか。この三点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  103. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 最近異常災害が非常に多くて、而も連年継続して参りますために、保險金の支拂が不足いたし、連合会を通じて約二十億になりますので、これらの善後措置を如何にするかという問題に対しましては、相当政府においても重要に取上げまして、いろいろ検討を進めました結果、先ず最近におきまして、本年度のその不足金の措置については大蔵省と折衝の結果、金融機関からの融資によるという方針を以ちまして、農林中央金庫からの貸付を促進をいたしたい、ただその場合におきましても、預金部等において、できるだけ中金の引受をやつて頂くということで交渉を進めておるのでありますが、ここ数日の間には事務当局の間の解決がついて、何らか今申上げたような措置で解決がつくものと予定をいたしておるところであります。なお今後の不足金の問題については、制度全体に通じて考えなければならない事柄でありまするので、併せて将来の根本改善に対しての措置について検討を加えておるところであります。  麦の保險金の掛金の問題でありますが、共済制度の根本から行きますと、どうしてもやはり農家自身が相当の負担をするということは、これは止むを得ざることであり、又当然であるとも考えるのでありまして、従来の麦の掛金が非常に安かつたという点から、他との権衡もありますので、今回引上げたいというのでありまして、幾分はお話通りに、農家の負担を増すことになりまするが、現在のところ止むを得ざる措置ではないかと考えておるような次第であります。
  104. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 時間がありませんから、次は林業問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。昨日も話があつたように、人絹、スフ、紙というようなものも不足しておるのでありますが、こういうようなものを緩和するために、各会社は一斉に設備の拡充、新工場の建設というようなことで、パルプの増産を図つておるのであります。従つて、パルプ会社であるとか、或いは製紙会社であるとかいうものは、原木の買付に焦つておるのであります。一方炭鉱業者も、坑木用材の獲得に焦つておるのであります。その他木材は材木として、或いは薪炭として相当の需要があるのであります。こういうふうな状態であるのでありますから、このまま放任しておいたならば、日本全国の山は禿山にならなくちやできないという、こういう状態が現在の森林状況であるのであります。であるからこれについては対策を講じなければできないのでありますが、一方においては大切なこれらの用材を食い潰すところの松食虫がおつて、その被害甚大であるのであります。これについては政府はその重大性に鑑みまして、法的及び予算的措置を講じて、十分努力しておられるのでありますが、現在ぐらいのことではそれを駆除することができないのであります。若しこの松食虫を駆除することができなかつたならば、観光に必要なるところの風致林も、防風林も、用材林も、松というものはすべて松食虫からやられてしまう、こういう状態になるのであります。而してこの被害は局部的にあつて、自然増加しつつあるのでありますから、一大英断を以て駆除の方法を図つたならば、そこから以外には蔓延せないような方法も講じられるのであります。政府はこの松食虫の駆除に対して英断的の措置をとられる覚悟があるかどうか。又、準備があるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
  105. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 松食虫の防除は、現在農林省関係予算の中では、相当他の項目に比しては思い切つて支出しておると思うのであります。併しこの松食虫の害の激甚なるために、なかなか予算の措置だけでは不十分であります。根本的な対策を立てて、相当思い切つた施策を行わなければ、現在の蔓延を防ぐことは困難であることもお話通りでありますが、政府の金をこれを有効に国家財政の窮迫しておる今日、注ぎ込んでやるという場合におきましては、現在の程度では不十分であることはお話通りでありますが、なかなか有効適切な方法としては、方法が現在以上には見付からないのではないかと思うのであります。これはむしろ民間側のこれに対する啓蒙及び被害地方における関係団体の協力を得まして、駆除方法の徹底を期することが極めて必要であると、かような意味において啓蒙宣伝等の方法をこの上に講じたい、かように考えておる次第であります。
  106. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 昨日以来の予算委員会の質問は代表質問であり、なお且つ各会派の持時間も制限してあるのでありますが、本日の政府状況を見ますと、最初に私が質問した場合に大蔵大臣が答えたのみで、他はいずれも大臣以外の答弁であるけれども、さようなことでは持時間を制限し、なお且つ代表質問とした意味が全然ない。それは予算審議を促進する上からも、又多忙な国務大臣のことも考えてのことであるけれども政府のこの態度では代表質問でもなければ、持時間を切つた意味が全然ない、委員長において考慮をお願いいたします。
  107. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 運輸大臣は病気のため欠席いたしております。これは申出がありました。大蔵大臣は先ほど衆議院の大蔵、農林合同委員会から呼ばれておりまして、ちよつと顏を出して来るからというので行かれました。今こちらへ来ることになつております。それから法務総裁でありますが、法務総裁は地方行政委員会に出席中でありまして、法務総裁に対しましても、こちらへの出席要求をいたしてありますから、間もなく参ると思います。どうかその点御了承をお願いいたします。
  108. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 午前中も私申上げましたが、予算委員会としては少し私は腰が弱過ぎるのじやないかと思う。衆議院はすでに予算案は通つているが、この参議院の予算委員会の審議というものは優先権があるし、国会の運営の中心に置かなくちやならん、特に代表質問ではあるし、私も、この通告順の質問以外のときには、我が会派へ時間を割いて頂いて、基本的な問題について首相にお伺いしたいと思つたが、時間がない。副総理を要望しても来られない。官房長官を要求しても官房長官も来られない。それから、先ほどからおいでになつているところを見ると、今西郷委員から言われた通りに、大臣の出席が惡い。通告順の質疑になつてから、該当大臣だけおいでになつて、ほかの大臣はおいでにならん。二日か三日の各党代表の総括質問のときに国務があるとは言え、本当に私は誠意を持つたならばもう少し、私は大臣はおいで願えるだろうと思う。單独の質問をするときならば一人の大臣でいいかも知れないが、少くとも予算の総括的な質問を各党代表がやるときには、でき得べくんば私は全員の閣僚が揃つていなければ本当の質問ができないのじやないか、それらに対する要望の、本委員会としての腰が私は弱過ぎると思う。午前中私はちよつと申上げましたが、全く吉田総理に対する各委員の態度は、恐る恐る逆鱗に触れたらおおごとだというような空気が見えるのは非常に私は遺憾に感ずる。御善処を願いたい。
  109. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の問題につきまして、委員長においては各理事と協議の上、正式に、正規に政府の態度について申入れをして頂きたいと思う。
  110. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 委員会としましては、すでに御承知のように審議の日程をずつと以前から組んでおりまして、それから各代表質問の中にはどういう大臣がこの日の答弁に当ることを要求されるかということも調べて、その点は政府側にも嚴重に通告してあります。これ以上出て来ないからと言つて、さてどうするか、これはまあ理事会を開いてそれは相談いたしますが、要は政府の誠意の問題であろうと思います。我々のほうでは何ら手落はない、盡すべきことは盡しております。若し皆さんの御要求があれば一応休憩いたしまして、理事会で相談いたします。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは暫らく休憩いたします。    午後三時三十八分休憩    —————・—————    午後四時二分開会
  112. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。  先ほど議事進行についてお話がありましたので、理事会を開いて相談いたしました結果を簡單に御報告申上げますが、今日の質疑に対しまして農林大臣答弁に立ち得なかつたということが一つ遺憾であつたということを認めまして、そして今後といたしましては、すでに我々のほうで日程をはつきり組んで政府側に通告してあるし、又昨日からの代表質問ということの趣旨もはつきり政府側に通告してありますので、重ねて政府側にできるだけ出席するようにという申入れをするということになりまして、官房長官を探しましたが、官房長官は院内におりませんでしたので、まあ予算関係ですから大蔵大臣に申入れをいたしまして、各閣僚に嚴重に伝えてもらうという手続をとりました。このことを御報告申上げます。
  113. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 私は主として海運の問題につきまして大蔵大臣及び運輸大臣にお尋ねしたいと思うのであります。先般衆参両院とも外航船腹の緊急増強に関する決議をいたしまして、政府の善処を要望いたしましたことは御承知通りであります。これは申すまでもなく輸入原材料の輸送を確保する点からいたしましても、又年額二億ドルに達するところの外貨運賃を節約する意味かもいたしましても当然のことでありまして、我が国の自立経済の確立にはこれは基本的な要件であると考えるのであります。政府におかれましても昨年末外航船腹の増強対策について閣議の決定をせられたということを仄聞しておるのでありますが、これも全く同様の趣旨から出ておるものと考えるのであります。こういつた事実からいたしまして、今日我が国におきまして船腹特に外航に適する船腹を増強いたしますことは、現在最も重要な国策であると言つても過言ではないと思うのであります。然るに現在政府のとられておりまするいろいろの措置を見まして、果してこの要望に応え得るかどうか、非常に疑わしいのであります。勿論いろいろの事情があるということは了承するのでありますけれども、実に将来に対しまして寒心に堪えない点がございますので、ここにこれに関連して二、三の重要な問題につきまして政府の御決意を伺いたいと考えるのであります。  第一には、海事金融の問題について大蔵大臣にお伺いしたいのであります。一体我が国の海運業は、これは他の産業でも或る程度同様であると思うのでありますけれども、戰前六百万トンを超える船腹を持つておりまして、世界の各地に進出しておつたのでありまして、相当にいわゆる資本の蓄積もあつたことは事実であると思うのであります。ところが戰争の結果船舶の大部分を喪失いたしまして、これに対する補償金もいわゆる別段預金という特殊の預金の形で支拂われたのでありますが、終戰後この預金も殆んど棚上げされまして、いわば海運業者は全く裸の姿になつてしまつたのでありまして、資本の蓄積ということは到底望み得ないという状態に相成つたのであります。而も今日船舶の建造に当りましては少くともトン当り十万円、大型船一隻でも十億円程度の建造資金を必要とするのであります。これに対しまして政府のとられておりまする政策を見てみまするに、見返資金の融資によりまして大体半額程度、その他は自己資金で賄えということであります。    〔委員長退席、理事平岡市三君委員長席に着く〕  資本の大半を喪失いたしました海運業者が自己資金を得られるはずはないのであります。勢いこれは市中銀行等を駈け廻りまして、金融業者を漁つていろいろの手蔓を求めて、多くの労力と経費を使つて、競つて融資を懇請しておるというのが僞らない現状であります。その結果はどうなつておるかと申しますと、自己資金の調達のできた海運業者の中から建造の許可を與えるという運輸省の方針と相待ちまして、現在の状況を率直に申上げますならば、あたかも船舶の建造、いわゆる外航船腹の増強という重大な海運政策が、殆んど金融機関に任せられているというような奇妙な現象を呈しておるのであります。先ほど申上げましたように国の政策として強力に推進すべき船腹の増強が、こういうような状況では私は甚だ寒心に堪えないのであります。なぜ政府が更に積極的に建造資金の確保を図らないのかをお聞きしたいのであります。而も現在すでにこの市中銀行の船舶に対する融資さえもすでにその限度に来ておるということを言われておるのであります。一方農林漁業等に対しましては融資の特別の方策を講ぜられておるということも聞いております。私はこれらの事業以上に先ほども申上げましたような理由からしまして、船舶に対する融資の措置を政府の責任において確立すべきであると思うのでありますが、この点に関しまして政府考えておられる根本的な方針について先ずお伺いしたいと思います。
  114. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 船舶に対しまする政府の奨励ということは、お話通り戰争以前におきましては相当強力にやつてつたのであります。又我が国のみならず外国におきましても船舶の増強につきましてはいろいろな手を打つておるのであります。我が国の歴史から申しましても、又将来の発展から申しましても、これに力を入れなければならんことは、お説の通りであります。従いまして一昨年来の見返資金の使い方にいたしましても、重要五大産業の中でも、水力と造船には最も力を入れておるのであります。従いまして最近におきましては、相当新造船もできることになりまして、又計画以上に六次造船もやりましたが、今年秋に計画する予定でありました第七次造船につきましても、御承知通り繰上げてやろうというふうにいたしておるのであります。幸いに見返資金を出します場合に、三、四カ月前は見返資金を七割、市中銀行三割というので強い要望があつたのでありますが、それが今では見返資金四割五分、市中銀行資金を五割五分でいいというふうに、政府のみならず一般の金融機関も非常に力を入れるように相成つております。殊に第七次造船につきましては、二十万トンの計画につきまして金融を予定して、運輸省に申込んだ分は三十五万トンと聞いておるのであります。政府並びに民間の金融、並びに船舶業者の意気込みは非常なものであるのであります。ただ問題は、金があるからと言つて、船台のことも考えず、又職員のことも考えず、工事のことも考えず、又船に載つける機械、機関のことも考えずにやたらに造つても、これは何と申しますか、船価を上げるのみならず、他の産業にも影響をいたしますので、新造船のみならず、改造につきましても手を打つというので、一時スクラツプにする予定でありました戰時標準型の船を改造して、外航に向けるように今計画しております。又外国船で、買えるものはできるだけ買おうという方針で、とにかく新造、改造、買船、こういう三段がまえで船舶の増強に力を入れておる次第であります。
  115. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 私も大蔵大臣お答えのように、政府がこの問題について、全然放置されておるとは考えないのであります。できるだけの御努力をされておるとは思いますけれども、今お話になりましたような方法では、私は足りないということを申上げているのであります。大蔵大臣も御承知かと思いますが、アメリカの例をとりましても、アメリカの一九三六年の商船法を御覽になりますと、これは外国船に比べまして割高な造船費、或いは運航費の補助を與えるということを規定しておるのであります。この中で建造の差額補助という制度は御承知のように、海事委員会におきまして、先ず船価の全額を負担いたしまして、造船所に支拂つておるのであります。買手、即ち船主は、外国造船所における建造費相当額でこれを引取るのであります。これに対しまして船主は、造船費の二五%を委員会に安拂いまして、残りの七五%は政府の造船貸付として、この返済は二十年の等額償還、而も金利は三分五厘という低率であると聞いておるのであります。そのほか、フランスにいたしましても、オランダにいたしましても、或いはベルギー、スカンジナビア等のヨーロツパの諸国は勿論のこと、戰争で非常な痛手を受けましたイタリアやドイツにおきましてさえも、相当の建造に対する補助、或いは融資の措置を法律を以て規定しておるのであります。私は日本の海運が殆んど壞滅状態になりまして、再建途上で非常に困難な問題が多いことはよく承知いたしております。併しこういうふうな外国の海運に対する戰後の対策につきまして、十分に御検討になりまして、少しも御遠慮は要らないと思うのであります、必要とするような措置をどんどんとおとりになつて然るべきであります。而もこの海運の問題は、我が国の自立経済達成のために欠くべからざる要素であるという点からいたしますと、これはもつと積極的な措置をおとりになる必要があるということを申上げておるのであります。具体的に申上げますと、大蔵大臣は、只今申上げましたような点から、船舶金融のような長期の且つ特殊の金融を取扱うところの特別の金融機関を設置することについてお考えはないか。更に第二には、この融資の條件を諸外国の例に鑑みられまして、利率とか或いは償還期限等、もつと改善する必要があるのでありますが、これにつきましてお考えはないかどうか。現在我が国におきましては、大蔵大臣からお話のありましたように、見返資金は大体償還期限が十四年、一般市中銀行から借入れておりますととろの融資は、償還期限は僅かに平均三年程度であります。利率も見返資金において七分五厘、市中銀行でありますと、一割一分から二分程度であると聞いております。こういつた不利な融資條件では、何と申しましても船舶は、国際市場におきましては、外国船との競争に曝されるのであります。運賃の安い、そしてサービスのよい船に貨物が集中するのは、自然の勢いであります。こういつた非常に不利な條件で造られました船が、果して国際市場に出まして、外国船と競争して勝てるかどうか、極めて経済的には疑問とする点が多いのであります。私はその意味におきまして、こういう特殊の金融機関を至急に御考慮になる必要があると考えまするし、これに伴いまして、船舶に対する融資の條件につきましては、この日本の海運の実態より御覽になつて、外国の海運政策もよく御研究になりまして、適当な條件をとつて、どんどん融資をしてやれるというような制度の確立を要望してやまないのであります。これに関する大蔵大臣の御所見を重ねてお伺いしたいのであります。
  116. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 船舶金融金庫とか、或いは船舶金融公庫を設ける考えはないかという御質問でございますが、私は率直に申上げまして、そういう機関、銀行を設ける考えはございません。戰後、船舶公団というものをやつておりましたが、必ずしも成功ではない、そこでやめたような次第であります。今後も特殊の金融機関を作るという考えはございません。  次に、船舶に対する融資につきましても、今直ちに見返資金七分五厘を引下げる、或いは市中の一割一分程度の利子を引下げるという考えは、今のところ持つておりません。今の状態で船を造りましても、大体やつて行けるのじやないかと思います。御承知通り戰前におきましては、日本船舶相当活躍いたしました。これは日本の船員諸君の努力によつてできたのであります。船価が或る程度高くても、私は外国に日本の実力を現わしまして太刀打ちできると、かように考えておるのであります。
  117. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 大蔵大臣の御答弁は、私の申上げているところを十分御理解ないので、そういう御答弁なつたかと思うのであります。第一に、先般外航船腹の増強に関する決議を参議院において上程いたしました際に、多分本会議のときであつたかと思いますが、大蔵大臣は、開発銀行等の機関もできるであろうから、そういつたものについて船舶の融資を考慮し得るというような印象を與える御答弁をなさつたように記憶しておるのであります。この点どういうことになつておりますか、差支えなければ、この席で伺いたいと思います。  次に今お話のように、日本の船がただ船員の給料が安いとか、つまり船員費が安いので競争力があるというような簡單な御答弁でありましたが、これは今ここで数字的に大蔵大臣と議論をしてもしようがないと思うのであります。併し一例を私申上げましよう。現在の建造されつある船、仮に大型船、一万トン程度の、速力が十六ノツト程度の船を予想いたしまして、只今の船価で参りますと、建造価格が大体十億円程度であります。トン当りにいたしまして十三万円くらいになるかと考えます。これで仮に北米から阪神方面に小麦を運んだと仮定いたしまして、只今の運賃で申しますと、ほぼトン当り十六ドル程度になると思います。一航海で大体四十五日ぐらいかかるといたしまして計算いたしますと、その收得運賃というものが、一航海について大体五十百八十万円程度、運航費が千五百五十万円程度、これに対しまして船費がどのくらいかかるかと申しますと、実に五千二百万円程度要するのであります。相当の損失を蒙むるということに相成るのであります。これは正常な海運業というものを御覽になるとわかるのでありますが、船費が高過ぎる、船価も高い、金利も高いということが、こういつた数字によつて私は裏書されておると考えるのであります。今後におきましても、單に船員費の安いことに依存されまして、日本の船がどんどん外国に進出して、外国との競争に勝てるというような甘い考えでは、私はこの日本の海運は少しも伸びて行かないと考えるのであります。数字的に更に詳しく申上げることは、分科会に讓つてよろしうございますが、以上のような、私はこれは目分量の計算をして見たのでありますが、こういつた数字になるのであります。この点につきまして、大蔵大臣のお考えが非常に私の考えと違つておる。私の考えで申上げますると、そういうお考えでは、海運政策を遂行して行かれます上に、非常に困つたことが起るのではないかということを痛感するのでありますが、大蔵大臣のこれに対するお考えをもう一遍お伺いいたします。
  118. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 船舶金融の問題につきまして、船舶金融銀行というものを御質問なさいましたから、そういう特殊の銀行を設ける考えはないとお答えいたしたのであります。而して先ほど申上げましたように、日本の市中銀行も船舶増強の必要性を認めまして、相当の金が流れておるのであります。私は只今のところこれで行くのがいいのではないか、今後の金融機構の問題につきましては、只今の検討を加えておるのでありまするが、特に船舶だけの銀行を設けるということは、策を得たるものではないと考えております。  次に船舶の建造費でございますが、私は專門家ではございません。第五次造船は八万円程度でできたと聞いております。第六次は十万円程度と聞いております。第七次は十一万六千円ぐらいで計算しておるのじやないかと思います。十三万円かかるかどうかわかりませんが、併しその建造費でやつてつて船会社は立ち行くという考えで申込は多いのであります。これは十一万円かかつた船をどういうふうな年数で償却して行くか、專門家は專門家として計算をとつておられると思います。船を造ろうということは、やはり採算を見通しておられると思うのであります。今のバンクーバーから阪神までの小麦が十六ドル、これが船を造る人は二十ドルに見ておるか、或いは十ドルに下ると見ておるか、とにかく船舶業者は十一万六千円で造つて採算がつくという見通しでやり、銀行もそれでつくという判断の下にやつておるのであります。而して今いろいろな助長政策をとりたいことは山々でありますけれども、敗戰後の日本として、特にこの産業補助金を出すということよりも、できるだけ金融の途でやつて行くほうがいい、こういう考えでおるのであります。船の第一の問題は、償却の問題が第一で、船員の給料が第二であるということは聞いておりますが、余り細かい計算は私は存じません。
  119. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 いずれこの問題についての細かいことは、分科会で又申上げたいと思うのです。大蔵大臣も今お話になりましたように、只今目先の運賃市況は相当最近になつてよろしいのであります。従いまして只今の十六ドルとか、或いはニユーヨークからの雑貨運賃が三十四ドルというような金になつておりますので、ちよつと海運界に景気が出たような印象を呈しておるのでありまするが、併しこれは勿論いつまで続くか、恐らくこれは見当のつく人はいないだろうと思います。又一面におきまして、現在の船価で以て往復航路、行きも帰りも荷物を満載いたしました場合には、これは今の船価でも十分に引合うことは、これは事実であろうと私も考えます。併し一方において、殆んど御承知のように日本船は行きは荷物が積めないのであります。従つてそこに非常な海運経営上の弱味があると私は考えております。そういう点からいたしまして、この金融問題についても私はできるだけ船価を安くし、又価費を安くするという措置は、補助金をやらなくてもとれるわけでありますから、こういう間接助成の方法をできるだけ強く推進して行かなければ、将来非常に高い船価の、いわゆる困つた船がたくさん残りまして、日本海運は一遍に参つてしまうというような時期が、いつ来るかもわかりませんから、今からそういう政策を外国の政策と併せて考えられて置かれる必要があるということを強調しておるわけであります。  そこでお触れになりました減価償却の問題について伺いたい。これも十分御承知のことと思いますが、戰後の各国の海運政策が非常に変つて参りました。アメリカにおきましては、只今の船価が高いものでありますから、初年度におきましては二〇%の償却を認めておるのであります。あとは二十年の均等償却であります。イギリスにおきましても、これはもつと徹底しておるのでありまして、初年度において船価の四〇%までの償却を認めております。あとは大体十三年間くらいの等額償却を認めております。こういう状況でありますから、税法上の問題になるのでありますけれども、私は日本の今の船価からいたしまして、これは勿論今造る新らしい船も、又今改造いたしますところの改造船も、外国から買つて参りますところの購入船も、或る程度同様であると思うのでありますけれども、非常に高い今の船価を、現在の運賃市況のいい間に、できるだけ償却さして、そうして船価を低めて置かないと、日本の海運の力がつかないということを考えるのであります。政府のほうでもこれに関しまして、この国会に減価償却に関する若干の特例を法律で以て規定されておりまして、その案を出しておられると聞いておりますが、私はまだこれでは、この案では足りないということを感ずるのであります。殊に現在これから造るという新造船のみならず、戰後できました相当船価の高い、又今現に外国から買おうとしている船、又現に改良しようとしている船、これらに対しましても同様の措置が講ぜられる必要があると思うのであります。この点につきまして大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
  120. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 船会社の運営の問題は先ほど申上げましたように、而も又新谷さんの言われているように、償却の問題が相当大きい問題であります。従来船舶の償却は二十年、それを十八年まで短縮いたしました。戰争中戰標船につきましては十二年の償却であつたと記憶いたしております。然るところ実際問題といたしましては耐用年数というものは、なかなか厄介な問題でありまして、船なんかは二年に一回の定期検査のときに修繕をいたします。この修繕費を経費で落してしまうというのが今までのやり方であつた。従いまして十八年しかもたんという船が二十年経つてもどんどん外国へ行つておる。今の状態では三十五年の船も日本では買おうか、こういうことでございまして、船舶の耐用年数につきましては今原則として十八年、これをまだ縮めるつもりでありますが、私は今の船舶耐用年数というものはよほどあまくして行つております。又今後も状況を見まして或る程度あまくしようとしておるのであります。なお定額法によるか定率法によるか、これは会社の任意に任しておりますので、こういう際であつたならば、定額法で行けば相当の償却ができると思うのであります。経済全般の問題でございますので、殊に又船舶は特殊事情がありますので、耐用年数につきましては十分考えて行きたいと思うのであります。
  121. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 余り時間もなくなりましたので、運輸省にも、運輸大臣がおられないようでありますから、運輸省の政府委員に一、二これに関連いたしまして御尋ねしたいのであります。  私から申上げるまでもなく、外航船ということになりますと、御承知のように大低の定期航路では航路同盟が各国の船会社の間にできておるのであります。又印綿にいたしましても、濠洲の羊毛にいたしましても、主にバルキイ・カーゴについては大体積取りの同盟ができておるのでありまして、今日我が国の海運業者がこれらの同盟にどんどん入つて行けるとは私も考えていないのでありますけれども、やがて外航にこれらの荷物を取りに出るような、日本の船が大きくなればなるほどどうしてもこの同盟との関係が生じて参るのであります。同盟の内容はいろいろの種類がございますけれども、この同盟にやはり参加して、世界各国の船会社と共存共栄で行くのが本筋であろうと私も考えております。こういう点からいたしまして、私は先ず第一に運輸省が現在おとりになつておりまする船舶の建造につきましての割当制度、これについて若干考慮しなければならん点があるかと思うのであります。先ほども惡口を言つたのでありますが、船舶の建造問題があたかも市中銀行の手に委ねられておるような恰好になつておる。殊に政策として見るべきものがないじやないかということを申上げたのでありますが、そういうふうに金融措置ができるかできんかということも一つの考慮の要素には違いありませんけれども、将来の外航ということを考えますると、例えばインドの綿をとりに行く船を考慮いたしますと、それに適したような船型、或いは速力を持つた船でなければなりませんし、又それを定期航路でやろうとするには、どうしても二はい或いは三ぱいの船が姉妹船として要るのであります。その外国の航路同盟というものは誰でも入つてもいいというものではないはずであります。おのずからその航路同盟に入りますのには、適当な信用のある船会社であることが要件であると考えられますので、割当に当りましても、船型及びその割当てる船積というものにつきましては、そういう将来を考えて、十分な考慮を拂われなければならんと思うのであります。只今のところではこれが余りに惡平等に失しておりまして、こういう状態で果して将来日本の船が外国に本当に伸びて行けるかということを考えますると、実に私は心細い感じがするのであります。この点について運輸省のかたからどういう方針でこの外国航路への進出を考えておられますか、お伺いしたいと考えるのであります。
  122. 關谷勝利

    政府委員(關谷勝利君) 現在バンコツク航路、南米航路について定期航路の開設が認められておりまして、それぞれ航路同盟に入つておりまするし、今後インド並びに欧米航路の定期航路が認められようとしておるのであります。定期航路の開設が認められますると同時に、運賃同盟の加入が認められることに相成つておるのでありまして、これらの定期航路の開設の申請会社につきましては、特に信用のあるものが、適当な船を持つておるもののみが許されると、こういうふうなことに相成つておるのであります。  なお又造船につきましてもお説の通りでありまして、将来国際競争に堪え得まするように、船型、船種等もよく吟味をいたしまして作りたいと存じております。
  123. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 なおこれに関連して造船の船価の問題でありまするとか、或いはそれに附随するエンジンの製造能力の問題でありますとか、いろいろお聞きしたいことがありますが、私割当てられました時間がありませんので、これだけにいたして置こうと思うのでありまするが、最後に大蔵大臣一つつて置きたいことがございます。それは先般も参議院の本会議では決議をして要望したのでありますが、私は電気通信委員をいたしておりますが、電気通信事業の現在の状況を見ますというと、どこでもここでも電話が通じない。或いは市外電話の待合せ時間が非常に長くて用をなさないというようなことになりまして、どこへ参りましても非常に弱つておるのであります。その原因を委員会としまして各地に参りまして究明して見ましたところが、結局電気通信事業の基礎的な設備が足りないということに帰着するのであります。末端の加入電話だけ殖やしても、何にも用をなさないというところまで来ておるように考えるのであります。大蔵大臣には先般もこの点について非公式にも申上げたのでありますけれども、参議院においてああいう決議をいたしましたのも、何とかして基礎設備を拡充強化いたしまして、少くとも鉄道とかその他の鉄、石炭というような事業が、終戰後或る程度戰前に近い状態になつておるにかかわらず、電話だけが取残されたような恰好になつておるのを、何とかして直そうというので研究を進めて参つておるのであります。参議院のほうで要望いたしました以後、この電気通信事業の建設資金を確保するということについて、大蔵大臣がどういうふうな御措置をおとりになつておるでしようか。又それについてどういうふうな結果が生れて来つあるのでありましようか。その点を簡單で結構でございますから一言だけ伺つておきたいと思います。
  124. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 船も造らなければなりませんし、電話も整備しなければなりません。いろいろ仕事が多いのでございまするが、大体電話につきましては、お話通りに基礎設備の改良よりも電話の増設のほうが少し進み過ぎたのじやないかと私は考えておるのであります。これがよかつたか惡かつたか批評はいたしませんが、私は増設よりもやはり設備のほうをよくして行かないかん。こういうので来年度におきましても二百三十億円の金を注込もうといたしておるのであります。従いまして来年度におきましては、お話のような方針で行きたい。併し民間の増設要望も相当ありますので、何かいい方法を考えられたらどうかというので、今田村郵政大臣が各方面と御折衝なさつておられるようであります。十分ではございませんが、或る程度の増設につきましての処置が最近講ぜられるのではないかと思つております。
  125. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は今朝ほど総理大臣に最近の国際情勢日本経済との相関についてざつとした質問をいたしたのでありますが、安本長官、及び大蔵大臣がおられますので、このお二人に先ずその点についてなお詳しくお尋ねいたしたいと、こう考えるのであります。何と申しますか、二十六年度の予算を審議いたしておつて、事前審議をいたしましてからもうすでに二カ月ぐらい経過したんであります。どうもその間に非常に世界経済テンポが早く動いておるような気がするのであります。全体を通じまして二十六年度の予産につきまして、どうも時局とかけ離れておるというふうな気がしてならない。これは私だけでなしに恐らく編成されました大蔵大臣もそうでなかろうか、こういうような気がするのでありますが、今朝ほどお聞きしましたように、先ず第一にお聞きいたしたいことは、主として安本長官でありますが、日本経済を今後どうもつて行くかという意味から、いわゆる自立経済、三カ年計画ができたわけでありますが、どうも安本長官にうすうす察知されて逃げ道をお作りになつているのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、最近の情勢からこの自立経済を策定される前提が、相当つて来たんじやないか。こういうふうにお考えになる点がないでしようか、どうでしようか。
  126. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話のように自立経済計画を立てましたことは、日本経済復興に関する総合的な目標を定めたのでありますが、この計画の冒頭にもありますように、今日激変する、激動する国際情勢の下におつて、こういう計画を立てますと、いろいろの條件が変ることによつて、この計画がそのまま遂行し得る場合と、或いは又これを縮少せざるを得ない場合があり、又或いはいろんな條件が出れば、もつと早く目的を達成するということになるかも知れません。いずれにしてもあらゆる條件の変化によつて変更せられるにしても、ともかくも総合的な、跛にならない、産業界における均勢のとれた計画が立てられることが必要だということが出て来ておる。従つて今日の状況は、立てられたときの計画とは、あなたのお話のようにかなり国際間の情勢が変つて来ておるのであります。大よその目途はつけておりましたけれども物価等に現われた状況はかなり違つて来ておりますので、更に今後の情勢によつて内容を具体的には今後変えなければならん点もあると思います。併し輸入等に期待したところの物資等については、まだ大きく変化を必要とするかどうかというところには至つておらないのであります。
  127. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 無論私は、自立経済計画を御策定になつて日本経済が均整のとれておる状態というものが、大体の目安はどこにあるかということをおきめなつたその委員会の努力、又政府がそれに副うておやりになろうとするところの努力を認めないわけじやない。併し安本長官は今朝ほど私が総理大臣に質問をいたしておりましたときにおいでになつたはずだと思うのでありますが、でありますから重ねてその問題について繰返すことは避けたいと思いますが、少くとも最近の国際情勢から見て、どういうところが違つて参つたかというところについての御認識があるかということを、今朝ほどの私の総理に対する質問と合わせて御答弁願いたい。あなたはときどき抽象的なうまい答弁をなさるのですが、大体この経済自立計画よりは、国際情勢のいろいろな情勢を眺めると、もう少し拡大したものになり得るものにしなくてはならないというふうにお考えになりませんでしようか。どうでありましようか。
  128. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、只今申しましたように、物価等に現われた面がかなり変つておりますので、恐らくこれらの計画をそのまま具体的に現わして行くといたしましても、今後の情勢はまだどういうふうになるかわかりませんが、資金計画等につきましては、やはり或る種の計画は変らざるを得ないだろうと思います。もう一つ大きな点は、思い通り期待の物資等が完全に輸入できるかどうかということについては、私どもも惡條件の中に入れておるわけでありますが、この面については一時輸入関係において減少しておつたような恰好もありますが、物資別に相違はありますけれども、いろいろ変化をしておりますが、最近十一月以降における状況は、期待しておる二十五年度の物資等が入つて来ておる。このことは二十六年度に入つてそのまま引続くものかどうかということにかかつて来ると思います。又そのことにつきましては期待を薄めるまでに至つておりません。もう少し物資輸入に関しては情勢を見たいと思つております。
  129. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 なかなか思う壺の御答弁を下さいません。あなたのほうから積極的にお話願えるかと思うておりましたが、なかなか入口で廻り廻りしておるような感じがいたします。では端的にお聞きいたしますが、物価の点は最初から予防を張られますからこれはあとにいたします。  先ず第一に物資輸入につきまして、今朝ほど総理大臣も言われましたように、確かに皆さんの御努力によつてやや好転して来た、一月は事実コンマーシヤル・アカウントのうちでは少なくとも輸入のほうが上廻つておる。併しそれでもサービス関係その他のものを考えると、まだ外貨受取りのほうが多いのであります。併しいずれにしましても従来の傾向よりよくなつて来たことは事実です。それから私はユーザンスで二千億以上溜つておること自体についても、実際の実施状況は別でありますが、ともかくも好転の兆は見られる。併し一方におきまして、アメリカはあれだけの大きな軍事的予算を計上し、又ソヴイエトも、今朝ほど申上げましたような、昨日の新聞によりますと、相当厖大国防費を組んでおられる。イギリスイタリアフランスもそうだというふうな情勢に入りまして、日本経済がこの間に処して所要原材料獲得をいたして参るということは、相当この面だけで、従来の方式だけで行かないのじやないかというお見通しはあつて然るべきものじやないか、こういうふうに私は考えるのであります。もう少し端的に言えば、今朝ほど総理にも言つておりましたように、やはり国際的な物資割当及びその協力を必要とする、そうしてその確保はその面から困難だということは、私は考えざるを得ないだろう。もう少しそれじや御答弁が楽なように私の狙つておるところを言いますから、端的に率直におつしやつて頂きたいのですが、これは木村委員も曾つて本委員会で話されたことでありますが、その一部に触られておりましたが、ともかくもこの一月二十六日に、フアイン博士が工業クラブでこの点を指摘しておるのであります。今のように国際物資割当機構外で買い漁つて行けば、所要の原材料も不足するだろう、現に在庫が減つて来ているじやないか。そうして又そのために非常に高いものを買わざるを得なくなつているじやないか、こういうふうな点を指摘しているのです。こうなれば日本の産業の拡大再生産というものは期し得られない、こういうことを言つておるのでありますが、その点について私は周東安本長官は昨年あたりこの議会でおつしやつたような認識と同じ認識でお考えになつておりましようか、どうでありましようか。最近又ちよつと一時やや好転し、而もそれは決して楽観を許さない。むしろやはり輸出の増大のほうが今後多くなるだろう、ならざるを得ない国際的必至の情勢にある。そういう点から見ましても昨年と同じような認識でここで御答弁なさるでしようか、どうでありましようか。その点について重ねてお伺いします。
  130. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話のように今日の国際情勢の中において、各国が必要物資について買付けの競争が激甚になるだろうということは、よく私も想像し得るところであります。従つて又これらに関連して国際的に必要な重要な物資等についても、割当等の形が起るかも知れんということは想像いたすのであります。従つてそういう状態の下に決して従来のように楽々と思う通りに入ろうとも考えませんが、併し当然私ども考えることは、国際的な割当というようなものが起りました場合においても、恐らく或る程度の必要物資については、日本へも直接日本がその割当に参加するかどうか、これは又別といたしまして、何らかの形で必要な物資割当がなされ得るものと確信しておりますので、それらの物資の量等を見まして、私どもは或る程度今後の状態の下においても、そう悲観的には考えておらないのです。それ相当努力と手は打たなければならんことはわかつておりますが、さように考えております。殊に私はお尋ねの真髄に触れておるかどうか知りませんが、私どもといたしましては飽くまでもいろいろな情勢の変化に対応しつつも、国内における生活水準の維持ということに目安を置きつつすべての計画を進めて行きたいと考えておりますので、お互いに先のことを余り楽観はできませんが、そう悲観的に考えないでも国際的な割当が起つても、それ相当のものが確保し得ると私ども考えておるのであります。
  131. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 丁度私も或る一点についてこういう質問をして、一番心配をしております点は一つは、こういうふうな状態になつて参りますと、世界的な物資の需要は非常に多くなつて来る。それに対して実際の供給力は減つて来る。そういう面から見ますると、どう考えても一番心配するのは民需がその犠牲になる。こういうことに相成ることはこれは先ほど安本長官が言われた通りであります。私は安本長官はこの点について非常に深い理解と経験を持つておられる、こう思うのでありますが、ただここで昨年あたりのお考えと同じような考え方で、ただまあ輸入物資獲得にできるだけのことはする、こういうふうなお話になつても、その面から自立経済の均勢のとれた自立経済が壞わされて来るのじやないか、しつかりしたお考えがないと、ただそのときに委かせておやりになると、いつの間にか自立経済は非常にいびつになつて来る、そうして民需は圧迫されて来る。こういうことになる傾向があることは十分承知だと思います。であなたが言う自由主義経済、全き自由主義経済を維持して行きたいというお考えの下にやつておられることは十分承知しでおる。ただ今申上げましたような情勢を前にして、この頃政府のおやりになることは、まだ成るべく自由主義経済に入つて行きたい、統制も外ずして行きたい、マル公も外ずして行きたいというふうにお考えになつておやりになつておる。無論そのうちの一部は理由のあるものもありましようが、新しい観点から見直してです、早急に手を打たないと、こういうふうな急テンポで、今朝ほども総理大臣に申上げましたように、世界はどんどん変つて行く、朝鮮事変が起つて以来七カ月の間にアメリカがどうしたかということだけをお考えになりましても、急テンポに変つておるが、そういう点についてもつと見通しをしつかり立てて、準備がなされなければいけないと私は思う。殊にあなたは官僚統制がお嫌いである、又官僚統刷の弊害も身を以て十分よく御承知であります。それならばいよいよ以てあなたの経験を活かしてどういうふうな方向においてこの統制を実施して行くかということは今から御準備なされないと実際のところ間に合わないのじやないか。こういうふうに考えるのです。実は余りここでお言いになりたくないのでありましようが、ともかくもそういうことは或る程度はお考えになつておるのじやないかと思いますが、そういう点についてのお考えをお漏らしになつたら非常に結構だとこう思うのです。
  132. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お答えいたしますが、先ず現在の状況の下において飽くまでも価格統制マル公を外して行くつもりかと、これは余りに現在の事態の認識に欠けるのじやないかというお尋ねでありますが、政府におきましてもその点は十分心得ておるつもりでありまして、ただ無意味にマル公を外しておるのではないのであります。現在の状態の下において公定価格制度を検討して見ましても、只今掘木君がお話しになりましたように、国際的な価格において非常な変動を受けつつあるという現在、刻々に変動する立場において、その外国の原材料を入れて日本で製造しておるものについて公定するということは、公定するということ自体が不可能であります。困難であります。価格を公定することのみが、私は価格を安定せしめるゆえんでないと思うのであります。現在のごとく外からどんどん原材料を入れて、どんどん原材料が上つて行くときにおいて公定して行くということは、私は無理であり、不可能であると思う。むしろ又他の面から見まして、原料の点が統制されておつて製品が外れておる。製品が統制されて原料統制されていないというようなことは、過去における遺物であります。そういう点は現在の事態に即応して、如何なる形において存置するにしても、マル公制度を一体とるべきかどうかということが考えられて然るべきであると、かような観点に立つて再検討し、不合理なものについては外して行つておるのであります。又合理的なものといたしましても、今申しましたような事態でありますので、価格統制して行くということが、物価を安定せしめるゆえんでは実はなくして、私は現在のような形において、国際経済の下において国際価格に非常な影響を受けるというときには、むしろそれに関連する原材料をしつかり輸入するということが第一主義でなければならんと思います。而してそれらの物が入れられて来ることによつて日本生産されるものの生産コストが上つたとしても、ものによつて区別する、日本生産されて外国に出るというものの価格の動きに対しては、内地に余り影響のないものはあのままおいても、私は影響がないと思う。而もそれによつて生産水準が上つて行くということになれば、工業水準というものは自然にいい面に置かれて行く。こういう面を考えるときに、価格の上つたことそれ自体を以て、何とか統制して抑えて行くという形式的な行きかたについては、今の時代において私は不適当だと思う。従つて、且つあなたの御心配の放置して置くことによつて、少い物資が思惑に向けられたり、有効需要の方面に流れずして、余り好ましくない方面に流されておるために、有効需要がオフ・リードされて高くなるという形のものは、今後の統制において当然考えられ、又国際的の枠を通つてつて来る貴重な物資については、やはり、統制という方面に考えて行く必要があると私は思うのであります。こういう面において統制という形が一つ出て来るならば、これは当然考えられて然るべきであるのでありまして、そういうことによつて、放置することによつて思惑的な価格がどんどん上つて、不当に国民が迷惑されるというようなことは、考えて行きたいと思います。
  133. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 安本長官は非常に価格のほうに先走つて、その点困りますが、併し価格のほうをおつしやるならば、価格のほうから申上げます。価格のほうで今朝ほども申上げましたように、日本物価は、朝鮮事変以来非常に上つている。これはもう数字は言わなくても御承知通り生産財で四五%以上、一月ですでに上つておる。二月に又上りました分も相当あります。それから消費財で二〇%以上、これも一月、二月には又五%七上つております。非常に上つて参りまして、つまり生産財で約五〇%上つて来る。先ほどちよつとお触れになりましたような、国際的に不足している物資は実は倍ぐらい上つている。消費財は大丈夫だ、大丈夫だと言われるのだが、いつの間にか二〇%以上上つている。生計費は実際のところ落ちて来ているのであります。これも皆、まさか故意じやないと思いますが、安本の統計、その他政府の統計は十一月で主にとまつております。又最近の出ております統計を見ておりますたびに、刻々この頃は変つて参る。これは実際、私はあなたがたが無関心でいられる時かどうかと言わざるを得ないのであります。と同時にこの物価上りかた国際物価を上廻つておる。これは大蔵大臣も……国際物価国内物価は上廻つておる。私はつまり朝鮮事変以来の約七ヵ月ばかりの経済の動向というもので、キヤンセルしたくないのであります。いや、その轍を二度と踏みたくないのであります。折角あなたがたも丁度お二人お揃いになつておりますが、安本長官も大蔵大臣も、口を開けば過去二年間、自分たちの安定への努力ということを高らかにおつしやる。その点は或る程度認めざるを得ない。その過渡的な状態についていろいろな非難はありましたが、ともかくやりかたについての非難はいろいろありましたし、私どもも申して参りました。併しこの朝鮮事変以来の七カ月の情勢を見ておりますと、いろいろ数字の統計を挙げれば限りがないのですが、ともかくも或る程度国民も堪え忍んで来た状況であるというものが、キャンセルされて来るのではないかというふうな情勢になつてつておるのであります。而も国際物価に円内物価を鞘寄せ鞘寄せとおつしやいますが、国際物価よりも実は騰貴率は上廻つておる。こういうことになります。ここにやはり物価政策についても或いは又その他の配給統制についても十分お考えにならなければならないものがある。こういうふうに私ども考えるのでありまして、決してあなたがたのおやりになつていることを小さく取上げて批判するのではないのであります。共に国を憂え、国民の生活を何とか維持して行こうということを考えるからこういう質問をするのです。殊に今後は国際情勢から見ますと、いよいよその煽りを余計受けるだろう。日本経済というものはこれはもう実に脆弱なもので、特需二億というくらいでも大きな影響を受ける。中共貿易転換によつても大きな影響を受ける。こういうような情勢でありますから、特に十分にお考えになつて、どうもお前は悲観し過ぎるというのが、安本長官の癖でありますが、やはりその位置においでになるのだから、我々よりも御心配になつて準備にならないと、実際のところそのときになつてうまく行くものでない。そのときには手を打つのだとおつしやつてもうまく行かない。そういう点について重ねて御答弁を願います。
  134. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) いろいろ結構な御意見を拝聴しましたが、私もあなたのお考えについて必らずしも反対じやないのです。併し私ども日本経済が小さければ小さいだけに、それを無統制の殻に入れて価格を釘付けにするということが問題であり、その点が一番心配なのであります。併し私どもは今後の情勢がどうなるかということは、絶えずいろいろの推理も加え、又資料も集めて研究いたしておりますが、只今のところ先ほど申上げましたように、行きかたとしては、私はお答えしておるつもりでありますが、原則としてはやはりどこまでも生産第一主義、物の輸入促進が第一主義であつて、その国際的な価格に影響される、国際物資輸入からの値上り等については或る程度是正して行かなければならない。而して国民生活必需物資に大きな関係のある食糧或いは衣料、原材料については、その数量の確保を図ると共に、価格問題については余りに極端なことに行く虞れがあるならば、それに対し愼重に今考慮する必要はあります。併しまだ今日どうするということには至つておりませんが、それは相当に研究はいたしております。私どもは飽くまでも国民生活必需物資というものの数量の確保なりその他の方策によつて、できるだけ価格を安定せしめる方法をとりたいと思います。又その他の鉱工品生産品については、間接には国民生活に影響するものがありましようが、或る程度輸出のものについては、現在の値上りから来る影響は緩和されると考える。又そういう方面において国内における、賃金等における好影響になつて行く。従つてお話のように決して我々は放置はいたしておりませんが、併しその行きかたについては、繰返して申しますが、数量の確保の方策、而して又価格については生活必需物資と然らざるものとの間における区別を考えて善処をいたして行きたいと、かように考えております。
  135. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は安本長官に申上げるのですが、経済を対象にしておられるのですから、その一つ方針を立てたからといつて、その方針に拘わられる必要はない。又そのときによつて変化され得る。それは要するに時局を見る眼があるかないか。一遍きめるとなかなか時局に日を覆うて、いろいろの現実に捉われて、今あなたのおつしやつたことも、つまり方向としては賛成だと言われるのですが、実際おやりになることはどうもそうでないような気がする。而もこの物価の上つたスケールを決して無視されるわけに行かないのです。これは率を見て、ああそうかと思つておるわけに打かないのです。だから申上げるのですが、併しその点について私が数字を挙げても、どうも安本長官は、御方針だけをおつしやる傾向が強いので、違つた角度から御質問申上げますが、今度物調法を一年お延ばしになりました。今日の新聞にはそれが出ておるのですが、統制方式につきましても或る程度民意を容れて、統制をやろうというふうなお考えである。これもやはり今の情勢に鑑みておやりになるのではなかろうか。それでなければ一年延期されるわけがないのです。今までのお考えだつたらこういう法律の延長ということもおやりになるはずはないと思う。これらの点について更にお考えを拝聴いたしたい。
  136. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点は先ほどもお答えしているので、今までの通りにすべて放置する意思でないということは、先ほどから申上げております。全面的に統制というようなことだけが問題にならんということを申上げましたが、その中で国際関係における割当というような制度ができて、非常に重要な商品が有効需要の方面に的確に廻るようにする。或いは又価格等に関係する立場も考えつ、思惑に乗せられないためには割当配給、或いは用途指定ということは当然起らなければならんものだ。それはやると先ほども申上げたわけであります。併しそれもどの商品にどういう工合にやるということは、具体的にきめられることでありますが、そういう必要性を考えておりますが故に、臨時物資需給調整法の一年延期を考えているわけであります。先ほどからその点にはたびたび触れているつもりであります。
  137. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 たびたび触れておられるはずで、私は頭が惡いものですから、よく呑み込めないのかも知れません。併しそれならそれではつきりこういう計画を持つているのだとおつしやつてもよさそうなものですが、我々は新聞からものを聞いて、そうして新聞以下のことをあなたがおつしやるのでは困るのです。私頭が惡いものですから、具体的に成るべく詳しくお知らせ願いたい。  それから物価の問題に入ります前に、運輸省のかたは来ておられますか。……じや安本長官で、お詳しいから結構でございますが、これも具体的な話でございますから具体的にお答えを願います。中共貿易転換に伴なつて船腹の距離が非常に遠距離になつたことはお認めになると思う。そうしてたださえ世界の海運貨が上つて来た。無論月によつてちよつと中だるみもいたしましたが、横這いの傾向に入りましたが、とにかく非常に価格が騰貴したというふうな情勢にあるのですが、中共貿易転換に伴なつて、百万トンぐらいの新らしい船腹を必要として来るというふうな事態が起つている。そのほかあなたのほうで策定されました造船計画による輸送力でも、所要の物資を運ぶにはなお不足しているというふうな点は、書いてあるのだからお知りだろうと思います。そうするといろいろ紙の上で計画はできている。又事実事前審査で以て何回か問題になると、この分は契約ができました。或いは配船の計画もできました。外国船によつて運ぶことになりました。或いは日本船によつて運ぶことになつた。こう言われるのですが、一つ一つ物資はそうですが、この物資国内に来なくては意味がない。こういう輸送の計画というものと、主要原材料の計画というものを見ますと、ギヤツプのあることはあなた自身もお認めになつている。それ故に造船について両大臣も非常に御努力をなすつておられると思うのですが、とかくこういうものが実施面において、輸送機関の不足からできて来ないというふうなことは非常にありがちであります。況んや世界軍拡々々といつて、それによつて主要原材料の需要が殖えて来るだろうという点については、余りお触れになりませんが、その点も確かに考慮に入れますと、やはり非常に輸送需要が大きくなつて輸送力は不足して参る。こういう点が考えられるのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  138. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話の点はその通りであります。私、本院でありましたか、他の機会に申上げましたが、結局今後の輸入確保の問題が船舶にかかるということを申上げました。それによつて船舶の増強ということは、只今政府が総力を挙げて努力している点であります。お話のように中共貿易が閉ざされている恰好で、特殊な物資アメリカその他の国に置き換えられたということで航路の長さが長くなる。それで船腹もそれに比例して余計要るという点も私は認めます。従つて只今も特に船について力を入れておりますが、幸いに最近民間における買用船の計画も緒についたわけです。数字は或いは間違つておれば訂正いたしますが、私の記憶いたしておりますところでは、最近運輸省でやられました具体的の関係で、買船関係は、たしか十一隻が契約はでき上つておるようであります。用船の計画も五、六隻できたようでありますが、更に大蔵当局の努力で金の世話ができて、第六次の造船計画といたしましては、本来なれば来年度の計画の金額では十一万トンくらいしか、着工から竣工までしかできない金額であつたものを殖やして、二十二万トンくらい第六次の計画を進める。而もそれだけのものを三月一ぱいに着工するという運びまで進んでおります。目下第七次造船というものについても今検討中であります。併し、恐らくこう言えば堀木君はもつと、本年のしまい頃にできたんじや困ると言われると思います。どうもそれはその通りでありますが、そういうふうに買用船のほうが手取り早い。これについて先ほども申しましたように、数字が、早く契約ができたことを喜んでおりますが、今朝も総理がちよつと触れたと思いますが、もう少しこういうような面で何とかなりそうだということで努力しております。まだ確定的なことに至つておりませんから御容赦願います。
  139. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうも鰻の臭いだけかがされて、御容赦願いますじやつらいんでありますが、その点について実は池田大蔵大臣一言お聞きしたいんであります。本年度の見返資金の資金割当を見ますると、造船について百十五億をお充てになつておる。で無論資金割当のうちでは、電力に次ぐところの大きな額であります。私はその御努力を認めないわけじやございませんが、ともかくもさつき安本長官から、それでは完成までの間どうするか聞くだろうと言われましたから、もう聞きませんが、それは運輸大臣がおいでになつてから具体的にお聞きするつもりでおりますが、ともかくも第一次造船百十五億というものは、第七次造船の前期の二十万トンに当つておることも御承知通り、そうすると後期の二十万トン、大体四十万トン目標で、後期の二十万トンについては、本年度予算において財政的な手当がないように思うのであります。先ほど安本長官の言われましたように、六次造船につきまして特段の御心配をなすつた。物価の値上りについて特段の御心配をなすつた点もやや了承しておるんでありますが、事後の物価の値上りも、單価が上つて参りますることも、さつき新谷君の質問に対してお答えになつておられますが、そういたしますると、後期の二十万トンと、その後の物価高に対してのお見込はどうなんでありましようか。この点をお聞きしたいと思います。
  140. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十五年度の造船資金は多分百十億だつたかと思います。そして第五次造船の残りと第六次造船の着工分でございます。而して昭和二十六年度の造船資金は百十五億円でございます。で六次遁舶の完成の資金と七次造船の着工分でございます。然るところ七次造船を早急に計画いたしまして、早期にやるといたしますれば、昭和二十六年度におきまして七次造船の完成分が足りなくなつて来るのであります。これは大体五十五、六億円か六十億円程度であります。この点につきましては預金部の四百億円を便うか、或いは金融情勢によりましては、見返資金の経済再建費を充てるか、これはそのときの情勢考えて行きたいと思いまするが、或いは四百億円の金融債の引受によつて賄うことに一応了解を得ておるのであります。
  141. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 非常にはつきりしたお答えを頂いて有難うございました。更に私は実は安本長官に主としてお開きしたいのですが、大体国際的な関係から見ますると、この自立経済の目標を達成するのに、船舶が非常にネツクになつているということは今お認めになつたようでありますが、国内的に見ますと、非常に自立経済の内容的に見てネツクになつて参りますのは電力問題であります。私は電力については、実は朝野が注目をして非常に御努力をなすつておる。もうすでに相当長いこと御努力をなすつておるということも知つておりますので、それに対する対策がおありになるだろうという気がしておるのでありますが、この自立経済審議会におきまする基礎になりました所要電力量というものは、実は豊水期の電力量を基礎にとつておられるので、決して平水の時をとつておられるわけではない。その点につきましては、私も余り專門家でございませんので、詳しく立入つたお聞きかたをすることはできないのであります。と申しますのは、終戰以来、実は発電につきましては計算上は足りなくなる時に実は足りるようなことになる。そのときはお天気のせいになるというようなこともたびたびありりましたので、それを突詰めて参るというほどの私は專門的な点はないのであります。併し非常に電力の発電量をお殖しになる発電所の建設計画その他についてはお考えになつておるようでありますが、私差当りの問題として、大きな計画は別といたしまして、実はこの電力について、これは通産大臣がおられましたら通産大臣にお聞きしようと思つたのでありますが、おいでになりませんので、安本長官にお答えを願いたいと思うのであります。電力のロスというものは、二十六年度は、この安本の計画で行きますると、二八・五でしておられるのであります。だんだんはよくなつて二七になり、二五・五になつておるというふうな情勢なのであります。こういう点が豊水期のときと又計算が違つて参るのであります。少し殖えるのでありますが、平水になりますと、これは又ロスが殖えるというような形が出て参るのでありますが、私はこのロスをなくなすことに、発電計画もよいが、このロスをなくなすということに私は全力を挙げられるべきではなかろうか。鉄道の発電から使用までの間をとりましても、送電線、配電線という間を通つて参りましてこれだけのロスはないのであります。ここから一割、これが二〇%以下になりましたら、二〇%を切れましたら、如何に多くの発電量が浮いて来るか。殊に発電計画の完成が造船よりも長くかかる。供給力がかかるというような点から見ますると、かたがた一時相当ストツプされておるということから見ますと、相当この点については十分な御努力を民間発送電会社でするように是非御指導なり御監督になるべきではなかろうか。こういうふうに考えるのでありますが、この点について御所見を伺いたいと思います。
  142. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 電気についてはお話通りでありまして、発電についての計画は進めるといたしましても、これは多少時間がかかります。その間において最も手つ取り早いものとしてロスを少くするということについて、委員会にお話をして全力を挙げさしております。この点を御了承願います。
  143. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今発電についてそういう問題を申上げたのですが、日本の戰後におけるところの設備というものは、多かれ少なかれこういうような状態になつて来ておる。先ほど新谷君から通信の問題もありましたが、多かれ少なかれこういう向きが生じて来ておる。それから技術的に非常に遅れておるというふうな点が十分考えられるのであります。前の臨時議会のときには、実は通産省のほうから非常に設備の更新とか近代化につきまして七十億ぐらいの予算考えて、これを政府施策としておやりになるというふうな情勢にほの見えたのでありますが、その後この問題は如何になりましたか。
  144. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 一応この点については最も重要な点でありますので考慮いたしたのですが、いろいろ財政の都合で予定通り行かなかつたのです。併しこの点は将来とも財政の許す限り、これを中心として考えて行きたい。財政の面から、金融の面から非常に考えて行かなければならん問題だと思います。
  145. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大蔵大臣のお答を願いたいと思います。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話通り相当厖大な計画が通産省にあつたようでございます。予算の問題で私のところに参りましたときは、その一割程度が参つておりましたが、これも財政の都合土遺憾ながら取りやめることにいたしたのであります。根本的にそれでは七十億円の金をどういう会社に、どういう機械についてやるかという点につきまして、なお検討を要するのであります。而してこういう問題は会社自体が金融的措置によつてできないかという問題もありますので、私は今後の大きい問題として考えて行きたと思います。  財政資金で賄うか、一般金融資金で賄うかということは、設備の近代化の問題のみならず、一般産業、殊に農林、水産等にもある問題でありまして、先ず農林水産のほうにつきましては御審議願つておるような恰好で行つておりまするが、一般産業についての問題はいま少しく検討したいと思います。
  147. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 次に二十六年度の予算物価との関係について大蔵大臣に少しくお聞きいたして参りたいと、こう思つております。なお細かいことは今後の審議に譲りたいと思つておるのでありますが、確かに私は池田大蔵大臣が、本年度の予算は、従来自分が組んだ予算の中で均斉のとれた、自分として手際が……、自分で自分を手際がいいとおつしやつたのだから間違いないと思いますが、ともかく私ども見ても、実際のところ資本蓄積の面も考慮する。それから国民生活の面も考慮する。それから全体の公共事業費その他についても或る程度のできるだけのことは考える。いろいろお述べになりました点は、或る程度認め得ると思うのであります。事務的に見ますと非常に御苦心のあとがあつて、私どももその点は確かにそうだろうと、こういうふうに考えるのでありますが、ところがこれは先ほどから安本長官とのやりとりからもお考えになりましたように、物価の面から非常に違つて参つたということは言わざるを得ないのであります。今朝ほど総理大臣に対する御質問のときに、総理大臣は実はおわかりに、お知りにならないだろうと思いましたから数字を挙げましたのですが、池田大蔵大臣は、もう数字は御承知でありまするから挙げませんけれども、ともかくも非常に物価が上つて参つた。そうなつて参りますると、折角バランスをおとりになり、相当施策をおやりになろうという面が、相当崩れて来ると考えざるを得ないのであります。予備審査の際に実際ここで物価問題を中心にして各省の担当者にいろいろお聞きいたしておりますると、いろいろな説が出て来る。実は各省からお出しになりました、これは物価関係の皆單価その他の問題がここに集まつておるのでありますが、ともかくも非常に変つて来ておる。併し成るべく予算を変えまいという、これは事務当局としても御尤もだと思いますが、変えたくないのですが、情勢はだんだん変つて来るのです。率直に申上げますと、八月頃の物価というものを大体基準にされておる。そして或る程度のものはその後の物価高を幾分見込んでおる。併しながら事実そう見込んでない点もある。こういうふうな情勢なんであります。これはもう私が申上げるよりも大蔵大臣のほうがよく御承知だと思うのでございます。そういうところから各方面に折角おやりになろうと思つた問題が、何と思しますか、予定計画通りできない。これはよく問題になりましたのが、いわゆる食管特別会計の小麦の価格の問題、その他主要食糧の問題、海運賃及び海外の物価等から睨み合わした問題、延いてはそれが統制問題にまで参る。なお燐鉱石の問題等も入つて来るというような情勢になつてつておるのであります。これは一々挙げますれば切りがないのであります。預金部資金特別会計でいろいろおやりになつている分、或いは住宅、国有林野、まあ何でも入つて参るのですが、殊に大きな物資を使いますところの公共事業でありますとか、電気通信特別会計でありますとか、日本国有鉄道でありますとかというものを一つ一つ細かく拾い上げて参りますると、非常に單価が変つてつておるのであります。私はこの物価について、やはり予算施行の上からも、物価を或る程度に抑えて行かれるということが必要なんじやないか、こういうふうに考えるのであります。先ほど申上げたような、殊に国際物価を上廻つているという、大蔵大臣の言われる国際物価に鞘寄せした、そういうものだけに考えましても上廻つておる点から見まして、物価政策については大蔵大臣としても十分御関心かあるわけであります。そういう点について大蔵大臣の御意見を承わりたいと思います。
  148. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話通りに、昨年の十一月頃から只今までにかけまして、予想以上物価が上つておる部面があるのであります。従いまして十月、十一月の当時の單価によりまして組みました予算が、今後上昇を続けて行つたならば、或る程度補正しなきやならん場合も起り得ると私は考えておるのであります。かかる場合に事業分量を絶対確保するという建前で予算を補正いたしますか、或いは予算の使用を効率化して、できるだけやりくりで、予算を動かさずに或る程度事業分量の減ることは止むを得ない、こういう方針で行きますか。    〔理事平岡市三君退席、委員長着席〕 これは大蔵大臣として重要な問題だと思うのでありますが、ただ事柄によりましてどうしても殖やさなければならない場合と、又或る程度物価を抑える意味からして政府の主要消費物件を少くするということも物価抑制の一つの方法でありますので、そういう点は物価政策の一環として予算問題を考えて行かなければならない重大問題と考えております。
  149. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 無論いろいろお考えはあると思うのでありますが、現在のことは却つて大蔵大臣のほうが事務当局よりも素直に最近の物価の値上りをお認めになつておるのでありますが、又そのほうが私は正しいと思うのであります。そういう点から見まするといろいろなことが考えられるのでありますが、折角お組みになつたこの全体の予算から見ますると、事業を成るべく縮小したくないというお考えも十分出て来る。そういう点から見ますと、この予算については相当御修正になる必要があるのじやなかろうか。どうも今の情勢からこれを見ますと、御修正になる必要が出て参るのじやなかろうか。こういうふうに私は考えられるのでありますが、その点のお見通しは如何でございますか。
  150. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど御答弁申上げたことで盡きると思います。例えば国鉄の予算にいたしましても、総額を殖やさなくともやりくりで賄える場合もありましよう。又一つの部面につきましてはやりくりでも足りないという場合もあります。又御指摘の輸入補給金の問題につきましても、小麦協定参加の問題、運賃の問題、又国内生産価格の問題、消費者価格の問題、こういうところを見極めてやらなければいけない。今の状態で行きますと二百二十五億円では足りないようでありますが、然らばどれだけにしたらいいかということは堀木さんにもおわかりにならないと思います。従いまして私はこの予算で行つて、そうして情勢をもう少し見極めた上で、補正する必要があれば補正をするのにやぶさかではありません。又補正せずに行ければこれに越したことはありません。
  151. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 ちよつと質問の都合もありますし、何ですが、六時までにさつき大体私の今日の質疑を終つたらどうかというお話があつたのでありますが、そうなりますと実は廣川農林大臣と保利労働大臣にお待ち願つておるのですが、ここには入れない、こういう気がするのです。それから淺井人事院総裁はこれは誠に申訳ないのですが、お残りを願いたいのです。それからもう一つ委員長に申上げて置きますが、私運輸大臣とそれから通産大臣の御出席を求めておつたのですが、今日所用のためお出でになつておりませんので、この質疑は後に私留保いたしますが、その機会を是非お與え願いたい、こう思つております。
  152. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 堀木委員に申上げますが、時間を留保されてもいいのですが、時間は多少残して置いて下さい、留保された分に対する時間を今の三時間の中からちよつと残して置いて下さい。
  153. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 まだあと一時間、そうすると六時に打切れば一時間あと私頂戴できますね。
  154. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうです。
  155. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 承知しました。では折角おいでになつておりますが、これこそ能率的な意味から、廣川、保利両大臣はお帰り願いまして、(国務大臣廣川弘禪君「異議なし」と呼ぶ)(笑声)池田大蔵大臣にもう少しおいでを願つて……。池田大蔵大臣が反間されますように、実際私ども練達堪能の大蔵大臣がおわかりにならないくらいですから、いわんやこの衝におりませんであなたより……、先ほど周東君が幾ら言われてもわからないような頭でございますから判定はできない。併し如何に頭の惡い者であつても、今後の国際情勢から見ますると、私は同際物価がやはり相当上る。これはあれだけの統制アメリカがやつておりますので、統制段階は違いますが、方々で統制に入つていることも事実でありますが、ともかくも国際物価というものについては考えなければならん。殊に日本のごとく国際物資割当機構に入つて、本当の適正な値段でおやりになつて獲得できるという情勢とはもう一つ日本には違つた様相が現われている。それから中共貿易について、無論中共貿易が香港を通じて或る程度のものがあることは存じておりますが、この転換によるところの非常な遠距離から物資獲得するという特殊な原因から見ましてもこれは非常に違つた現象であります。そういう点を端的にお考え願うと、今後とも或る程度のよほど強力なる物価政策が行われなければ、やはり物価は上るとお見込みになるほうが普通じやないか、頭の惡い私でも、その程度考えられるのじやなかろうかというものをいろいろ数字的に検討すると考えられるのでありますが、如何でありますか。
  156. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 上るという考え方と成るべく上げないとしようという考え方とございます。又上るという考え方につきましても、どの程度上るかという問題がありますし、上げないとする考え方でも或る程度上ると認めざるを得ないという状況であるのであります。それは世界情勢の動きに対処しつつ、我々としては成るべく上らない、上げるとしてもそれは最小限度にとどめて行くようにいたしたいと考えております。
  157. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 池田大蔵大臣と同じように、成るべく物価は上げたくないとこういうふうに考えているのですが、すでに二月で相当つているわけです。これは決して軽視を許されない、私は騰貴だと思う。それからもう一つは、日本経済の限界をいうものは、これはもう朝鮮事変中共貿易両方で以てじりじりと感じさせられたわけでありますが、そういう点から見まして、池田大蔵大臣が如何にお力をお振いになつても、よほど何か全体がドラステイツクな考え方で、物価に対する抑制政策をお考えにならない限りは上ると思わざるを得ないのでありますが、それに対する考えをお聞きしたい。
  158. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済政策にドラステイツクな措置というものは、これは私は禁物だと思います。成るべくそういう手段をとらずに、好むと好まざるにかかわらず物価は上るとすれば、それを前提としてあらゆる施策を講ずると同時に、先ほど申上げましたように、上ることを成るべく少くするようにやつて行けば賄い切れると思つております。
  159. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は実は数字を離れてあなたと議論しているのじやなくて、実はどういうふうになるかということを客観的に見極めたい、こういうふうな考え方で言つておるのでありますが、上げたくないというお気持はわかる。併しすでにいろいろな統計が示しますように、折角池田大蔵大臣経済が安定されたと言われる途端に、だんだん違つた方向に参つております。それが数学的にいろいろな方面に現われております。これから人事院総裁にお聞きしようということも、その点からの面で言つておるのでありますが、先ほど各省予算についてざつと触れただけでありますが、ともかくも上つて来ておる。又従来のおやりになり方から言えば恐らくそうだろう。最近におきましても四月から以降については三割値上げを鉄鋼についてはする、又過般の三月一日からは大豆その他の物品についての価格も野放しになる、当時大豆は米よりも価格が上る、上つておるとすら言われたわけであります。そういう傾向から見ますると、私は相当上らざるを得ない、否現にもうすでに予算の面から見ると非常にかけ離れた観がする程度に上つておるというふうに考えられるのであります。時間がございませんので、私はこの点についてもう一度違つたサイドから、人事院の総裁はなかなかここへ現われる機会が非常に少いのでありますが、たまたまお現われになりましたので、(笑声)私から人事院総裁の来られました機会一つ申上げたいと思います。尤もこの前においでになりまして、同僚の委員からいろいろ国家公務員の給與について御質問申上げたのであります。不幸にして私はほかのほうに行つておりましたので、併しどうおつしやるかということを実は聞いておりましたところが、大体十一月のいろいろな指表を以てまだ国家公務員については、二十八條でございましたか、人事院としてはその給與べースの改訂について時期ではない、そうしてつまり生計指数が五%以下だというふうな、そのときの記録もとつてあるのでありますが、ともかくも五%以下である、三・八%である、その程度の御認識だつたと思うのでありますが、実はこの程度の御認識では最近の物価について非常に私は遺憾だと思うのであります。昨日の東京都の生計費調査によりましても、一月はすでに前月に比して、五・七%と思いますが、たつた一月でもそれだけ上つておる。この消費関係の消費指数につきましてはどうしても十一月以降の数字というものにセンシブルにならざるを得ない。あなたの御勧告になつた八千五十八円のベースというものは五月が基準になつておつたと思うのであります。そういう点から考えますと、どうしても人事院の総裁といたしましては国家公務員法の命ずるところによつてすでに官公吏について特別な処置をしろということを、私はおやりになるべきでなかろうか、こう考えるのでありますが、その点についての御意見を伺いたい。
  160. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申上げます。結論を申上げますれば、人事院といたしましては、昨年の十一月までのデータと申上げましたが、その後十二月のデータについてまでやりましたのでございまするが、その結果といたしましては、まだ勧告をすべき意思は決定いたしておりません。ただ、物価が上るとか、先行はどうなるであろうかというような御議論もあると存じまするが、人事院は、物価政策とかさような経済政策の見通しをいたすべき役所でもなければ、そのような能力もございません。ただ正確に利用し得べきデータによつてやるわけでございます。さようなことを人事院がやつてつたのではあとあとと相成つて国家公務員の給與はとてもいかんじやないかというような御論議もありましようけれども、これはスライド制を国家公務員の給與に適用できません以上は私は止むなきことかと考えます。
  161. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私何も人事院総裁に経済の動向をお聞きするつもりはないのであります。人事院総裁がそれに又適当なお方であるとも思わない。(笑声)でありまするから、決して先のことを言つておるのじやない。併しともかくも握れがちになることはお認めにならなければならん。そうして十二月までの諸資料というもので御判断なさいますよりは、やはり最近のセンサスについて十分御検討になつておるべき、これは如何に先の見込でなくても、こういう物価の騰貴しているときには、その刻々上つて来る模様についての諸資料を十分手許におとりになつて考えになつておるべきことは私は当然だと思います。又そうしておられるだろう。そうなるといろいろな指表から見まして、これ又詳しく申上げますと切りがございませんし、今日六時に切上げるのですと、又おいでを願つてもう一度いろいろな指表をあげて私はあなたと討議をしたいと思うのでありますが、ともかくも最近の情勢から見ますると、その点についてどうもおれは知らんとかとおつしやることにはならないのじやなかろうか、こういうふうに考えるのでありますが、如何でございますか。
  162. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お言葉を返すようで甚だ恐縮でございまするけれども、最近の物価というお話でございまするが、人事院といたしましては正確に利用し得べき資料によつて正確に判断をいたさなければならない問題と思つております。でございまするから、昨年の十二月までの資料しかまだ操作はできません。最近にCPS等が一月分が手に入りますが、これについてはなお研究中でございます。前回にも申上げましたように、国家公務員のほうは勿論忘れはいたさんのでございまするけれども、同時にこれは国民全体即ち納税者全体に大きな犠牲を拂わせることとなりますので、杜撰なる勧告はできないと存じます。
  163. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 無論御責任のある位置ですからそう軽率に言うわけには行かないというお話もよくわかる。私は物価だけから言つておるのではない。一月の分は大分できておるわけであります。それによれば相当もう数字傾向的な線は出ておる。例えば生計費の安本の調査の一月を見ましても、消費水準が六二%に下つておるという点は明らかであります。それから昨日だと思いますが、余り私が数字を無視しているように言われまするから、たしか昨日の新聞だと思うのでありますが、ともかくも東京都の生計費調査によれば、たつた一月で五・七%上つているという統計もこれはセンサスで出て来ておる。そういう点から見ますると、十分御関心を願わなければならんと思います。又一般の賃金も下つてはいないのであります。一般の鉱工業平均賃金も上つておるのであります。そういう点でもこれはたしか安本の調査でも全産業で一四%上つているとか、いろんなものが十一月だけでもできておる。十二月はこれはどう考えつて異常の月なのでありまして、これについてはいろんな議論ができると思いますが、ともかくもこういう傾向については十分お認めにならなければならないと思うのでありますが、更にそれではもう一点お尋ねいたしますが、昨年御勧告になりました八千五十八円というものが、大蔵大臣が実は千円アツプで財政との情勢を睨み合せてというお言葉の下に、又あなたもそういうお言葉を御解釈になつて一応お認めになつた。併しこれは不満足だ、それは給與の体系から見て一つ、それから号俸調整の分が十分でないことから一つ二つの点から非常に反対だ、こういうふうに意見はあるんだということはおつしやつたことは事実であります。そうするとどんなに低目にお考えになつても本年度予算の編成に当つて、全体のバランスからはいろんな問題が考えられる。そのときにこの問題だけが置き忘れられているじやなかろうか。千円アツプを本年一月から実施するということだけにされておる。二十六年度予算に当つてはその問題からお考えになるべきじやなかろうか。その点につきまして人事院総裁はどの程度の御努力をなすつて、現在の予算をどの程度で我慢なすつたのかという点をお聞きしたいのであります。
  164. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 幸いここに大蔵大臣もおいででございまするが、大蔵大臣が千円しか給與を上げないと仰せられたのは、決して六千三百七円から千円しか上げないという意味ではございません。新たに給與予算に振向けるところの予算が千円しかないのだということでございまするから、ペースが幾らになつておるかということは、これは別問題でございます。人事院は八千五十八円のペースを勧告しましたが、大蔵省つまり内閣の案もほぼ同額でございます。だからべースの金額といたしりましては、人事院の勧告案も、国会を通りました給與法の改正正案も、ほぼ同額と思つておりまするし、人事院の目下進行しておりまする調査でもそのようになつております。ただ人事院が強く反対をいたしましたのは、号俸調整の問題、それから給與表のカーブの問題でございまする。この号俸調整の問題に至りましては、国会の御要望もあり、人事院が有する権限によつてほぼ全部解決をいたしております。その解決につきましては、本日はここで詳細に申上げかねまするが、ほぼ解決をいたしております。カーブの問題はこれはなお今後に残つておると思います。
  165. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私も人事院総裁のおつしやることがわからないでお聞きしているのじやないのであります。千円アツプというものは当時の平均給與に対してのお話である、六千三百円についてどうだ、甚だ失礼ですが、私は中央労働委員を三年もやつて参つたので、(笑声)人事院の委員会の委員はいたしておりませんが、そういう性質の問題については私十分知つておるわけであります。そこで先ほど人事院総裁から号俸調整につきましては解決しておる、こういうふうな点がお話がありましたのですが、その号俸調整につきましては、大蔵大臣は前に問題になりましたときに、予算的措置、予算的の運用で成るべく善処しよう、こういうお話があつたんでありますが、人事院総裁の最初の原案通りのあの号俸調整による所要額をお認めになつたんでありましようか、どうでありましようか、それが一点。  それから本年度予算につきまして各方面の御考慮があるが、国家公務員の給與財源についてはどういうふうにお考えになつておるか。特に先ほど人事院総裁からお話になりました号俸調整のほかに、もう一つ單純に、大蔵大臣としては人事院総裁の勧告に従えば約八千四百円になるとおつしやつたことも私知つておるのであります。そういう点につきまして本年度予算実施に当りまして国家公務員の給與についてどの程度の御考慮をお拂いになつて予算的にどの程度ありますか、その点についての御説明を願いたいと思います。
  166. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 号俸調整の問題につきましては先般お答えした通りでございまして、予算の範囲内におきましてできるだけ善処いたしたいと思つております。このことは事務当局にも申し伝えておるのでございまするが、その後結果はまだ聞いておりませりん。  次に昭和二十六年度におきまして公務員の給與についてどう考えるかというお話でございまするが、これは予算で御審議願つておる通りであります。今後非常な変化があり、人事院の勧告が出まするならば、私は勧告を尊重する今までの方針で行きたいと思います。
  167. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 事務当局からちよつと号俸調整について御答弁を願います。
  168. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 号俸調整の問題につきましては、従来の偶数号俸の差がありました者につきましては、これは法律によりまして二分の一で丁度半分になるわけでございますが、奇数号俸の者につきましては、例えば三号俸の者でありますと、これを一号俸ということになりますと多少不公平になりますので、これは人事院の指令に基きまして、そういう中間的な調整号俸を臨時に作ることにいたしまして、そういうことで実質上解決はついておるわけでございます。
  169. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私最後に一点、もう時間も過ぎて参りましたから、大蔵大臣に申上げたいのでありますが、長くお引留めする気はありません。大蔵大臣は本年度予算に当つて減税はする、国民負担は軽減するのだ、それから資本の蓄積を図つて日本の産業発達に資する、いろいろここに項目が上つておりまして、無論私ども先ほど申上げたように御苦心のほどはよくわかる。ただそういう点につきまして率直に申しまして、二十六年度予算に当りまして、昨年の五月を基準にして、そうして国家公務員の給與について、十五ヵ月予算の建前ということから、十五ヵ月の予算の建前というような考え方で、他の物件費につきましては少し物価の値上りを考慮する、併し国家公務員についてはこの点についてお考えになられたのかどうか、どうしてお考えになりませんでしたかという点がお聞きしたいのであります。
  170. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国家公務員の給與も考慮いたしまして、一月から千円アツプにいたしたのであります。
  171. 堀木鎌三

    堀木鎌三君  一月からという……、だから私はそうおつしやるだろうと思つたから、十五カ月予算を建前としてお組みになつたときと、こう言いましたのであります。これらの点についてはなお細目に亘りまして爾後の分科或いは一般質疑の際にいたしたいと思いますが、今日は残りの時間を保留いたしまして、この程度で私の質問はやめます。
  172. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 明日の日程は午前十時から始めまして、民主党、労農党の順序で代表質問を行いまして第一クラブの持時間残り五十分をそのあとでいたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            泉山 三六君            小野 義夫君            白波瀬米吉君            野田 卯一君            長谷山行毅君            一松 政二君            深水 六郎君            安井  謙者            山本 米治君            山縣 勝見君            岩崎正三郎君            永井純一郎君            山田 節男君            吉川末次郎君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            鈴木 強平君            深川タマヱ君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 吉田  茂君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 廣川 弘禪君    郵 政 大 臣    電気通信大臣  田村 文吉君    労 働 大 臣 保利  茂君    建 設 大 臣 増田甲子七君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    地方財政委員会    委員      青木 得三君    地方財政委員会    事務局財務部長 武岡 憲一君    法務総裁官房経    理部長     岡原 昌男君    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    大蔵省主計局長 河野 一之君    農林政務次官  島村 軍次君    農林省農政局長 藤田  巖君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    運輸政務次官  關谷 勝利君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    電気通信省施設    局長      林  一郎君    電気通信省経理    局長      肥爪 龜三君    労働政務次官  山村新治郎君    労働省労政局長 賀來才二郎君    労働省労働基準    局長      中西  實君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君