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1951-03-01 第10回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月一日(木曜日)    午後二時十一分開会   —————————————   委員の異動 二月二十三日委員中井光次君辞任につ き、その補欠として、深川タマヱ君を 議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) これより予算委員会開きます。  本日の日程は地方財政並び文教に関する予算であります。只今岡野国務大臣が出席しておられますから、先ず最初地方財政に関する政府側の今年度施策の大要を説明して頂きます。
  3. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私から申上げます。  今年度地方財政税收を少したくさん取れるように、自然増もございますしそれから徴收の強化をいたしまて、本年度、即ち二十五年度におきまして十九百八億取れる税收を来年度は二千八十七億取れるように見込んでおります。それから国家財政から支出いたしますところの平衡交付金は千百億出すことになつております。それから起債でございますがこれは四百億ということにいたしております。二十五年度最初起債は三百億でございましたがその途中におきましていろいろ必要のことがございまして、そして七十億の増額をいたしたわけでございます。でございますから二十五年度は三百七十億の起債の枠でございますが、来年度は三億増加という形になつております。ただ問題といたしましては、地方は国からのいろいろな施策地方公共団体に廻つて参りますので、そうして又昨年年末手当とか給與ースというものの増加がございましたので、昨年皆様方の御審議をこうむりまして地方税法を制定いたされまして、それによつて約四百億の増税をいたしまして参りました。地方財政事情はその後やはり余り十分とは申せない非常に苦しい立場にあるということだけは財政委員会でも認めておりますし、政府としても認めておる。その点においていろいろ御議論もございましようが、私といたしましては、只今申上げましたような地方財政のスケールで来年度はやつて行くように考えておる次第でございます。
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方財政の問題についての御質疑のあるかたはどうぞ。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 議事進行について、地方財政委員会委員長からの報告はないのですか。
  6. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方財政委員木村さんが来ておりますから報告させますか。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一応報告願つたほうがいいと思います。
  8. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方財政委員木村君から財政委員会の方針についての御報告をお願いいたします。
  9. 木村清司

    政府委員木村清司君) 政府で御決定に相成りましたことにつきましては、只今岡野国務大臣の申された通りでありますが、地方財政委員会といたしましては、平衡交付金の額において約百九億不足する。それから起債の枠につきましては百八十億程度不足でありますが、この起債の枠につきましてはなお目下政府において検討中の災害に対する国庫補助率の問題が解決いたしますれば、或る程度減額するということに相成りまするが、いずれにいたしましても、皆様のお手許に差上げました資料によつて御覧通りで、私ども計算いたしましたところによりますと、平衡交付金並び起債の双方において地方財政を賄うにおいて不足しておるという見解であることは予算書に附記しておる通りでございます。なお詳細につきましては御質問によつてお答えをします。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 議事進行について、それじや御両所の御説明では、非常に漠然としていてはつきりわからないのですが、幸いに資料を頂いておりますので地方財政委員会数字それから内閣のほうの数字、おのおの食い違いのよつて来たるところ、それをもう少し一応説明願つてそれからにしたら如何でしよう。
  11. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 地方財政委員会財政部長が出席されておりますから、先ず地方財政委員会提出した資料について政府側との食い違いの点を説明して頂きます。武岡君。
  12. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それでは私から昭和二十六年度地方財政平衡交付金に関しまして、地方財政委員会から内閣に対しまして勧告をいたしました案といわゆる政府案との食い違つておりまする点、これを中心にいたしまして御説明申上げたいと存じます。  先ず地方財政委員会におきまして、二十六年度平衡交付金増額算定するに当りましては、大体明年度におきましてどれくらい地方財政需要が殖えるかということを算定いたしまして、それに対しましてどういうふうな地方財源措置を講じたらよいかという点を検討いたしました結果、平衡交付金といたしまして結論を申上げますれば、千二百九億七千五百万円必要である、こういう数字が出て参つたのでございます。その内容につきまして、算定根拠を詳細に御説明申上げたいと存じます。これにつきましては先に地財委からお手許資料を提供してございますので、この資料に基きまして以下御説明申上げたいと存じます。  先ず昭和二十六年度におきまして、地方財政需要増加いたしまするものの第一は給與ース改訂によりまする増額であります。これは本年の一月から実施いたされておりまするいわゆるベースアップによつて、それに作つて地方職員給與改訂を要しまするわけでありまするが、その分が来年度において増加しますのを計算いたしたのでございます。なおここに掲げておりまする増加分と申しまするのは、昭和三十五年度の当初の財政計画に対しての増減を申上げるのでございますからさように御了承願いたいと思います。その額は百七十六億八千二百万円でございます。その算定基礎地方既定職員が大体百三十一万四千人従前つたのでございまするが、更に二十六年度におきましてこれに二万三千人殖える。従いまして、大体百三十三万七千人というのが員数の元になつております。それからいわゆるベースアップによつて上りまする分の計算は、先の臨時国会におきまして補正予算要求をいたしました際に用いましたのと同じ計算方法でございまして、六千三百七円の基本べースに対しまして大体千円上る比率にいたしまして、約一割五分ほど上るという推定をいたしまして、これを職員の現給の給與單価にかけましてこれを集計いたしたものでございます。これが百七十六億八千二百万円でございます。その次は年末手当支給に要する経費でございまするが、これが先の国会におきまして年末給與支給のことが法制比いたされましたので、それに要しまする経費でございまするが、これは先に申上げました職員数並び改訂されました給與單価から出て参りまする給與月額総額の二分の一を計上したものでございます。その次は教職員給與級別格付基準改訂による増でございます。これも先の補正予算要求の際に同じ数字を出しておりまするので大体御了承かと存じまするが、いわゆる各教職員待遇改善の一つといたしまして級別推定表格付基準が変つて参りまして、それによる増加分を計上いたしたものであります。それは二十二億六千七百万円でございます。それからその次は給與改訂に伴いまして共済組合費が殖えて参りまする分でございますが、これを計算いたしまして十三億九千七百万円、それから更に恩給費が同じような理由で殖えて参りまするが、その分が十億三千一百万円、かように算定をいたしたのでございます。  その次は厚生施設費補助、その他国の施策に伴いまして、予算に盛られておりまする各施策に伴いまして地方負担額が殖えて参りまする分でございまするが、これを二つに分けまして、従来いわゆる国庫補助金を伴つておりました行政系統、いわゆるA系統行政経費でございまするが、これを各省からの要求をいたして参つておりまする経費を元にいたしまして、その行政を施行して参りまするのに必要最少限度経費ということで査定をいたしまして、三十四億五百万円と見たのであります。その次は補助金に伴いまする行政系統のいわゆるB系統に属しまする経費でございまして、これは政府の来年度予算でお組みになつておられまする各補助金に集いまして地方負担をいたしまする分、この分を各費目ごと計算をいたしまして、六十一億四千六百万円と算定をいたしたのであります。    〔委員長退席理事東隆委員長席に着く〕  次はいわゆる自然増でございまするが、小学校の兒童数でありまするとか、或いは人口その他平衡交付金算定基礎なつておりまする測定單位の数値の増加に伴いまして、自然に経費増加して参りまする分、これを各費目ごと計算をいたしまして二十五億一千七百万円と算定をいたしたのでございます。  それから次は公債費の問題でございまするが、公債費につきましては、明年度におきましては、御承知のように預金部資金融資條件が緩和せられましたことその他の事由によりまして、二十五年度の当初計画に比較いたしますると公債費は減少して来るのでございます。その分を三十二億六千八百万円と算定をいたしたのであります。大体は預金部融資の利子が七分五厘から六分五厘に下りましたし、又償還期限が延長されましたりいたしました関係でかような減少を見るに至つたのであります。  次は地方選挙に要しまする経費でございます。これは本年施行を予定されておりまする地方選挙の諸経費でございまして、公職選挙法の定むるところに従いまして計算をいたしまして、二十億七百万円、かように計上したのでございます。  以上が大体経常的な経費増加分でございまして、その計が三百八十九億八千五百万円となつております。  そのほか臨時的な経費といたしまして、公共事業費に伴う地方負担増加分がございます。先ず公共事業のうち一般公共事業、これには文教関係も含んでおりまするが、この分は地方負担が九十六億三千七百万円であります。災害復旧に伴います地方負担分、これを百四十九億一千六百万円と算定をいたしたのでございます。なお災害復旧につきましては、昭和二十五年度におきましては、災害復旧国庫負担特例法が施行されまして国庫全額負担しておつたのでございますが、二十六年度におきましてはこの法律が廃止になりまするので一応この手続をいたしました。この計画におきましては、いわゆる原案に帰る、大体三分の二を国が負担するという建前計算をいたしてあります。なおこの関係につきましては、先にもちよつと触れましたように、災害復旧費負担に関しまする新らしい法的の措置が行われるといたしますれば、この計算もおのずから変つて参りまするから、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  その次は失業対策事業費でございまするが、これも政府予算が約七十七億五千万円組んでありまするが、これに対しまして地方負担をいたしまする分、即ち労務費の三分の一、それから事務費の三分の一並び資材費の二分の一ということに、これは地方負担するということになつておりまするが、更に私どもの行いました計算におきましては、大体従来行なつておりまする失業対策事業実績に鑑みまして、総事業費の七割が労務費、三割が事務費並び資材費こういう実績計算によりまして負担額計算したのでございましてその額が四十六億二千八百万円となつておるのでございます。  次は單独施行公共事業費の増三十億でございまするが、これは公共事業に対しまするところの国庫補助関係で、国が取上げまする災害復旧事業は一件十五万円以上とされておりまするが、これが従前におきましては御承知通り七万五千円だつたわけでございます。その査定額の引上げに伴いまして、地方負担分増加いたしまするものを大体推計いたしまして、三十億程度計上いたしたのでございます。これが臨時的な経費増額でございます。  以上経営並び臨時関係地方負担の増を総計いたしますると、七百十一億六千六百万円程度負担が殖えるという計算に相成るのでございます。  それに対する財源措置といたしまして、先ず第一は地方経費節約でございます。これは政府におきましても、一般的に所要経費につきましては、大体物件費投入節約のできまするものはできるだけ節約するという建前でおられるのでございます。地方予算といたしましても、なるべく既定経費節約を加えて行くという建前から、物件費節約の対象となり得る諸物件費を抽出いたしますると大体八百億ぐらいに相成りまするので、その一割を節約する、こういうで八十億一千四百万円を節約額に掲げてあるのであります。  次は地方税増收でございまするが、これは昭和二十六年度におきまして地方税收入を二千八十七億算定をいたしまして、前年度の千九百八億からの増額分百七十八億七千三百万円というものを地方税増收分として計上いたしたのでございます。  次は地方債増額でございまするが、これは先に申上げました公共事業費、臨時的な経費増加分につきましては、その経費の性質上一般財源でなくてこれを起債を以てその財源に充てたい、かような意味合から計上いたしてございまして、そこに二百七十五億の起債増額分見込んでございまするが、これは先に申上げました公共事業費増額分のうち一般並び災害関係公共事業費地方負担増額分の全部と、それから失業対策事業費並び公共事業費のうち失業対策事業費のうちの資材費を三十億見込んでおりまするが、その三十億と單独事業の三十億を合せたもの半分を起債で賄い、あとの半分を一般財源に持つて行く。こういう大体考え方でございまして、計算いたしましたのが二百七十五億という数字でございます。  それから次は税外收入増收下ございまするが、これは使用料手数料、或いは財産收入等の一般税外收入の来年度における増收分でございまするから、自然増等見込みまして大体十八億四百万円、これだけの増收見込むことにいたしたのであります。  従いまして以上を差引きまして、その残りの分を平衡交付金増額を以て措置すべきものと考えましてその額を算定いたしますると、百五十九億七千五百万円の増ということに相成るわけでございます。これを前年度当初の千五十億に加えますると、明年度におきましては千二百九億七千五百万円の平衡交付金を要する、こういう計算を出したわけでございます。以上が大体地方財政委員会算定をいたしました平衡交付金の額の算定計数根拠でございまするが、政府原案との間に開きが出ておりまする数字につきましては、お手許対照表を差上げてございまするから大体御覧を願いたいと思うのでございますが、極くこの計算根拠の異なつておりまする点の大体を申上げてみますると、先ず給與ベース改訂におきまして十七億三千三百方円くらい食い違つておりまするが、これは計算根拠なつておりまする職員数のうち昭和二十六年度において殖えまする新規増加職員数において若干の開きがありまするのと、それから増額分單価計算におきまして、地方財政委員会計算をいたしました根拠は先ほど申上げた通りでございまするが、内閣原案におきましては一律に千円づつ上ると、こういような見込計算をせられておりまするので、それから出ておりまする差額でございます。  それから年末手当支給につきまして約五十億ほどの開きがございまするが、これは内閣見解におきましては昭和二十四年度地方におきまして、すでに年末手当支給しておりまするので、この分は三十六年度新規財政需要増加というふうに考える必要はないのではないかということで、その分を計算にお入れになつておらないようでございます。その点から生じておる相違点でございます。  それからその次の教職員給與級別格付基準改訂によりまする増額分につきまして、九億ほどの開きがございまするが、これは計数上の若干の査定その他によりまする單価相違でございます。根本的な違いというわけではございません。  それから共済組合費の増につきましては意見は一致しております。それから国の施策に伴う地方負担額の増につきましては、いわゆるB系統のほうの補助金に伴います地方負担の増はこれも意見は一致しておりますが、いわゆるA系統経費算定におきまして十七億ほどの食い違いがございます。この詳細も別途お手許資料の中に差上げてございますが、これは各費目につきましての査定が、大蔵省でやりました否定と地方財政委員会査定をいたしましたものと、員数或いは單価等におきまして開きが出ておるのでございます。  それから自然増についての開きが約七億ございますか、この分は自然増のうちの一致部分は、その他の増額要求を出しております項目金額重複する部分があるであろうというのが大蔵省の御見解のようでございますし、その点につきましては私どものほうの計算根拠意見は、その資料にも書いてございますように、單価等におきましても既定財政需要を基とした單位費用をかけて計算いたしておりますし、又例えば公共事業費において重覆しはしないかというような御見解につきましては、この公共事業費のうち單独分の増加見込んでおります理由は、別途にございますので重複はないというのが地財委見解でございます。  それから公債費の減が若干違つておりますのは、これは明年度負担見込額が異なつておりますのでそういうことによります計算上の相違でございます。  地方選挙に要します経費食い違いはございません。  それから公共事業費に伴います地方負担増額分計算におきましては、失業対策事業費計算におきまして二十四億ほどの開きが出ておりますが、これも先ほどちよつと御説明の際申上げましたように、地方財政委員会におきましては、地方負担計算をいたします際に従来のまあ実績、実際に行われております失業対策事業の実情に鑑みまして、総経費の七割を労務費それから三割を事務費資材費、こういう計算で出しておりますのに対しまして、大蔵省の案におきましては政府補助金額を基として負担額計算しておられますので、それから生じております相違点でございます。歳出関係につきましては大体以上述べた通りでございます。  それに対する充足方法におきましては、既定経費節約並び地方財政増額分はいずれも意見は一致いたしておるのであります。地方債増額につきましては、大蔵省原案におきましては明年度起債を四百億ということに一応前提を置かれましてそれを基として計算をいたしておりますし、地方財政委員会といたしましては一応そういう枠にとらわれないで実際必要といたします経費見込んでおりますので、それから来る開きでございます。  それから税外收入増收分につきまして百六十億ほどの開きがございます。これは問題になるかと思われますが、地方財政委員会におきましてはこの財政計画を樹立いたします際に、いわゆる一般財源として考えられないような特定な目的を持つた特定收入につきましては、一応この平衡交付金の額を算定するための財政計画からは度外視するという見解でございますし、従いまして同じような意味合繰越金等につきましても計算外にいたしております。その点につきまして大蔵省のほうのお考えでは、とにかく一応決算等に出て参りまするところの一切の例外收入は、これは計画の中に入れて算定をしておられるようでございましてその点から生じて参る相違でございます。この点につきましては地方財政計画というものの立て方について、或いは地方財政の規模の増大に対する推計方法等につきまして見解相違がございまして、これはやはり前の臨時国会におきまする補正予算要求の際にも同様な見解相違が現われておつたのでございまするが、それと同じような考え方がなおここに現われて参つておるのでございます。以上のような考え方措置相違から平均の総額におきまして大体百九億七千五百万円という相違を出しておるのでございます。  以上が大体資料につきましての御説明でございますが、なお御質問によりましてお答え申上げます。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のこの数字部長から説明を聞きましたが、今日でなくても結構ですが、政府決定額に対する大蔵省地財委との数字の違いを大蔵省から説明を求めます。なおこれについて本年と二十五年度との税收入項目説明を出してもらいたいと思います。
  14. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 地方財政委員会勧告額内閣決定額相違につきましては、只今財政部長からの御説明で盡きておると存じますが、なおお手許に配付いたしまして御覧を願つておりまするところの昭和二十四年度決算見込額基礎にいたしました場合に、二十五年度並びに二十六年度地方財政の全体の計数は如何相成るであろうかという推計をお手許御覧願つておりまするので、私からは便宜この表を基礎にいたしまして御説明申上げましたほうが申上げ方の重複も避けまするし、或いは御理解に資し得るがとかように存じますので、この表につきまして簡單に御説明を申させて頂きたいと存じます。  これは一番左の欄に昭和二十四年度決算見込額、これは地財委のほうの調べでございまするがそれを掲げまして、それに対しましてこの決算見込額基礎にいたしまして、それと対照いたしまして昭和二十五年度はどういうふうに推計いたされるか、或いは昭和二十六年度は如何推計されるかということを一応御参考の意味におきまして作成いたしましたものでございます。便宜歳入のほうから申上げてみますると、地財委におきましては昭和二十四年度決算見込額千四百十億が、昭和二十六年度におきましては、先ほど御説明がございましたように二千八十七億と考えておるわけでございます。配付税は二十四年度決算見込額におきましては六百六十億でございましたものが、今回予算書に計上いたされておりますように、地方平衡交付金といたしまして一千百億円を計上いたしておるわけでございます。  それから国庫支出金におきましては千九十七億を、総額におきましては括弧の欄にございますように一千百七十八億、それからそのうち全額補助金はこの表の綴りかた便宜全額控除は一応落したほうが対照便宜であるという意味におきまして三十三億を控除いたしまして、国からの支出金といたしましては千百四十五億を計上いたしております。地財委におきましては、これは先ほど御説明がございましたごとく、起債の全体の数字は四百億でございまするが、いわゆる一般財源といたしましては三百億というものを計上いたしておけば、まあ誤りなかろうということで三百億計上いたしております。昭和二十四年度におきましてはこれは二百六十八億でございます。使用料手数料におきましては、昭和二十五年度決算見込額は百二十億でございますので、一応そのまま百二十億といたしております。それから雑收入におきましては昭和二十四年産の決算見込額三百五十六億が三百六十億、それから繰越金につきましては、これは昭和二十四年度決算見込額は、これはもう決算に上つておる数字でありますが、昭和二十五年度昭和二十六年度おのおのの繰越金は前年度歳入超過額を挙げておるのでありまして、例えば昭和二十五年度の当初推計の百八十九億円は、昭和二十四年度決算見込額の百八十九億円を計上いたしてございまするし、昭和二十六年度推計におきまして三百七十一億円は、昭和二十五年度補正後の推計歳入超過額の百七十七億をそのまま計上いたしておるのであります。それを小計、合計ということで合せましたものがここに昭和二十四年度決算見込額としましては三千九百七十億、それから昭和二十六年度推計におきましては五千四百八十四億というものを挙げた次第であります。  なおここで附言して申上げておきたいと存じますることは、この繰越金は先ほど地方財政委員会のほうから御説明がございましたるように、本年度地方負担が幾らくらい増すであろうか、又それに対する財源的措置といたしましては如何なる財源的措置を講じなければならないかという点から見ますると、そのお手許の第一表ですね、今御覧頂きますように繰越金金額財源といたしましては計上いたしておりませんのでございますが、まあ地方財政收入全体の姿を推計いたします場合に、繰越金数字はどの程度と考えられるかということは一つの要素であろう。又昭和二十四年度決算見込額におきましては、繰越金が百九十七億であるというのが計上されておりますので、それにも対照するという意味で挙げました次第であります。  なお歳出に入ります前に備考の1と2とをちよつと御覧頂きたいのでありますが、昭和二十五年度昭和二十六年度推計昭和二十四年度決算見込額基礎にいたしまして、それに昭和二十五年度はどうなるか、或いは昭和二十六年度はどうなるかという推計の順序を経たわけでありまして、昭和二十五年度の当初計画におきましては四千三百十九億五千万であるというのが大体地方財政委員会推計なつている考え方でありまして、その歳入の内談は上に掲げました税收入国庫支出金、或いは起債等につきましては同じでありますが、使用料手数料のところは百七十四億円ということで、この昭和二十五年度の当初の推計におきまして差がある。この点は先ほど財政部長からも実は地方財政に関する考え方の違いの問題であるという御説明があつたのでありますが、私どもといたしましては昭和二十四年度決算見込額基礎といたしまして、歳入歳出の数字を全部ここに計上いたしまして、昭和三十四年、昭和二十五年、昭和二十六年というふうに推計をいたしておりまする関係上、使用料手数料、雑收におきましては決算見込額をそのまま挙げております。なおその意味が備考の2に書いてあるのでありまして、昭和二十六年度予算の附記事項に計上いたしました使用料手数料その他の收入増加の百八十一億円、これは内閣の案におきましては昭和二十六年度地方財政負担の殖えまするものの財源といたしまして百八十一億円という増加見込んでいるのでありまするが、これは本当の意味において別途に負担が殖える、或いは收入が殖えるという意味ではなく、昭和二十五年度の百七十四億円に対するものでありましてその合計は三百六十一億円である、従つて若し四百八十億円というものが正しければ、なお百八十一億円というものの余裕があるわけであるという趣旨のことを備考の1と2のところに挙げてある次第であります。  次に歳出の欄に移つて説明申上げまするが、これは先ほど来の説明で殆んど盡きておるのでございますが、昭和二十四年度決算見込額に対しまして、昭和二十五年度の欄は、先般補正予算のときに御審議頂きました内容を、内閣といたしましての推計をここに掲げております。それから昭和二十六年度は、先ほど来御説明のございましたように、給與改訂につきましては、昭和一十六年度増加所要人員にも若干の見込相違がございまするが、單側におきまして内閣といたしましては一人あたり月千円ということで考えておりまするということは、先ほど来御説明のありました通りであります。国家公務員につきましては、御承知通りに、六千九百七十三円という平均單価に対しまして、まあ千円ということで予算全体が編成いたされておる関係もありまして、地方財政の苦しい折からではありまするが、給與財源も国家公務員並の千円ということで挙げてある趣旨であります。年末手当につきましても先ほど御説明のありました通りに、新たな負担増加額というものを見る必要はあるまいというわけであります。  以下ずつと先ほど御説明のありました通りでありまして、特に私から詳しく申上げる必要はないかと思いまするが、ただ歳出のほうの欄で御覧を頂きたいと思いまするのは、まあ予備費という言葉がいいか惡いかわかりませんが、これを昭和二十六年度推計をいたします場合におきましては、いろいろここに地方財政委員会意見の御提出もあり、内閣で考慮いたしました項目で十分かどうかという点もございまして、予備費におきましてまあ百億円程度のここに余裕を見ておるということにいたしておる次第であります。そういうことで歳出の欄をずつと御覧頂きますれば、五千九十四億、差引きまして歳入超過額は三百八十九億ということにいたしておる次第であります。  又内閣大蔵省見解につきまして御質疑の点がございますれば、後刻お答えをさせて頂きたいと思います。なお税收の内訳の点につきましては、別のほうから御説明申上げます。
  15. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方税につきまして、昭和二十五年度昭和二十六年度との税目別の收入の比較につきましては、別途資料として文書を以て提出いたしたいと思いまするが、そのうちの大体大きなものだけを拾つて申上げますると、総額におきまして先ほど申上げましたように明年度におきましては大体百七十八億ほど殖えるわけでございまするが、そのうち大きなものは事業税におきまして百十三億、入場税におきまして約十四億、それから遊興飲食税におきまして二十四億、なお市町村民税におきまして三十三億、人体大きいものは以上の通りであります。なお詳細につきましては文書を以て提出いたします。
  16. 東隆

    ○理事(東隆君) 西郷委員よろしうございますか。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今主計局次長から卒衡交付金を説明された、その結果して金額が違うわけでございますが、その平衡交付金金額の違いについて更に御説明願いたいと思います。
  18. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 平衡交付金の違いは、結局只今まで申上げましたように、地方財政委員会のほうとせられましては地方財政負担額はこういうふうに殖える、それから財源がこうだということをいわば絞つた結果が現われておりますし、それから内閣の結果といたしましては、附記事項或いはお手許に第一表として御覧を頂いておると思いますが、地方負担がこういうふうに殖える、それに対して財源がこういうことになるということの結論といたしまして、そこに当初予算から見ますると百五十九億或いは五十億というような違いが出て来ておると、こういうのでございます。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の大蔵省のほうの説明の、二十六年度に予備費が百億ありますが、左のほうにはその百億がないので、これは平衡交付金をこれだけ殖やすことができるというような性質のものか、その点を伺いたい。
  20. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 第三表で御覧頂きまするように、歳出におきまして百億円程度の予備費を見込みまして五千九十四億円の地方財政の歳出になります。その五千九十四億円の歳出を賄うのに一千百億円の平衡交付金があればよいということに相成る次第でございまして、若しその予備費がなくてもよいではないかという考え方に仮に立ちまして、そうしてその額だけ平衡交付金を落すんだという考え方を取りますならば、むしろそれだけ平衡交付金が減つてもよいという理窟が成り立つと、こういうような趣旨でございますからその点御了承願います。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 昭和二十五年度地方税徴收状況は、我々が地方を廻つていろいろ話を聞くところによると、非常によくないというのが各地方公共団体のお話であるように思うのですが、今の御説明によりますと当初推計千九百八億、補正後の推計同じく千九百八億、そうして大体実績としてもこれを確保する自信があるのかどうかという点を一つお聞きしたいと思います。  同時に今地方税徴收状況は書類を以て提出するというお話でありましたが、都道府県、或いは市町村分は毎月御発表になるのかどうか。それから毎月実績を発表されるとすれば最近のものは何月ぐらいがわかるのかという点を伺いたい。
  22. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方税徴收実績につきましては、地方財政委員会におきまして月々実績を取つておりまするが、只今までのところ大体十二月頃までのものは判明いたしております。府県分について言いますると、調定に比べまして徴收額が大体四五%くらいであります。
  23. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、十二月までで四五%くらい取れていて年度末までに大体補正額の推計まで行けるというお見通しかどうか。
  24. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 各地方でそれぞれ徴收につきましてはいろいろ工夫もこらしておられるわけでございまして、徴收の例年の実績に鑑みましても一月、二月、三月或いは四月頃に非常に成績が挙つておるように聞いておりますので、殊に本年度におきましては税法の成立が遅れまして大体において非常にずれておるわけでございます。従いまして現在までのところ先ほど申上げましたような程度の成績でございまするが、更に今後年度末殊に地方の出納閉鎖期でございまする五月頃までになりますれば相当数の成績を挙げ得ると、かように考えております。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 更に説明を求めますが、すでに地方税の一部改正案を出しておられまするが、この改正案によると昨日の新聞にも数字が出ておつて、主たる税目について増收するんだというような考えのようですが、この地方税の改革によつて地方財政收入に及ぼす影響その他について伺いたい。
  26. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。地方税は御承知通り、税法改正を今日参議院のほうへ提出しまして提案の理由を御説明申上げたのですが、あれは二千八十七億というものにつきまして、改正案といたしましてはやはり負担の均衡化とそれから徴收の強化というようなことを目的として税法改正を出しておるわけであります。只今もお話ございましたように、本年度は千九百八億の税收が、先ほども御答弁申上げましたように五月末までに大体徴收ができる見込みでおります。それを基礎にいたしまして二千七十八億の明年度税收を確保するのにどういうふうな割振りになつておるかということを極く大綱だけを申上げますると、事業税は自然増收が我々としましては約三十億くらいあると見込んでおります。それから申告納税にいたしまして、そうして今まで徴收が遅れがちでございますのをこれを早く取るということにいたしますれば、我々の見込としましては約五十八億くらい取れる見込なつております。でございますから事業税におきまして三十億の増收見込み、申告納税にいたしまして五十八億取れるといたしますると、事業税におきまして約八億取れるつもりでございます。でございますから今年の二十五年度におきます事業税の徴收見込額は四百三十四億と見込んでおります。四百三十四億に対して五百二十二億くらい取れるように我々は考えております。  それからその次に市町村民税でございますが、これは御承知通りに所得割が、個人にはございますが、その所得割は所得税が減税になりました結果幾分減ることになります。と申しますことは所得割に対して百分の十八をかけることになりますから、税率を動かすわけに行きませんものでありますから大体それが八億くらい減るような見込でございます。でございますが一方におきまして提案理由にも申上げました通りに、今までこの前の税法を御審議願いましたときに皆様がたの御意見もございましたし、又一般の輿論もこういうことでございましたが、法人に対する市町村民税が非常に軽くなつておるということ、それからもう一つは配当所得というものに対して、実は市町村民税で何らの影響を及ぼしておりませんので、主として配当所得に対する或る程度の市町村民税を考慮に入れるという意味におきまして、法人に対して法人税の一〇%くらいを一つ市町村民税に出して、そうすれば結局法人に対して非常に市町村民税が軽かつたという非難もなくなりますし、又公平の観念でよかろうと思います。法人税の一〇%取りますると約四十一億くらい取れる見込でおります。そういたしますると個人の市町村民税で八億くらい減額いたしまして、法人割について約四十一億の増收見込まれますから、市町村民税では三十三億くらいの増加になるつもりでございます。でございますから市町村民税といたしましては今年二十五年度には五百三十八億くらいの増收見込でございますが、それに対しまして約五百七十二億くらいな徴收ができると我々は見込んでおります。  入場税も先ほど財政委員会政府委員からお話がございましたように、約十四億くらいな増收見込んでおります。又遊興飲食税も、二十五億くらい増收見込んでおり、それだけの大きな項目からいたしますと百六十億くらいになりまして、あとの十九億くらいは電気ガス税で消費が多くなつておるということで四億くらいでございます。あとは鉱産税、自転車税、自動車税とか、そういつたもので二億足らずずつ殖えまして、大体百七十九億というふうな状態で来年度増收になる、こう私は見ております。
  27. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のお話を聞きますと、これは後ほど資料として文書で御提出を願いたいと思いますが、その話によりますと、二十六年度百七十八億の増收になる、それは自然増收もあれば、税率改正の結果増税になつて、その分の増收増加も括めて百七十八億になるというような御答弁だつたと思うのですが、二十六年度予算大綱が昨年の暮にきまつた閣議決定の直後において岡野国務大臣は、地方税は増税はしないのだ、むしろ自然増收で賄えると思うから増税はやらないのだということを声明しておられたと思うのですが、あのときの考え方と現在の考え方とは変つて自然増收だけでは間に合わんから増税もあえてやるのだというふうに意見を変えられたのかどうか。
  28. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。大体において只今申上げましたように、増税ということは私はしないつもりでおります。ただ只今申上げました通りに法人割につきましては一つの形の上においては増税になります。と申しますことは、今までそれはこの前の地方税においてちよつと逋脱しておつたわけであります。でございますからそれを完備するという意味においてあの税法改正を出したわけでございますから、実を申せば我々も失念しておりました配当所得というものに対して、どこからも個人の点においても法人の立場においてもこれを取ることができなかつたということを発見いたしましたし、同時に国会の御意向としまして、法人の市町村民税が非常に軽かつたというような御議論も非常に深く印象付けられまして、そうしてそれに対して一〇%ぐらい、極く僅かな増税でございますが取つたほうが公平の観念からよかろう、こう考えてああいう税法の改正案を仕組んだわけでございます。
  29. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはどういうふうに説明されようと、あの年末に声明になつた増税はやらないのだという声明とは非常に違つておるので、我々はやはりこの際大臣が方針を変えて、若干の増税は負担の均衡のために止むを得ないとして増税をあえてされたのだというふうに私たちは解釈したいと思うのですが、もう一つ問題を展開いたしまして、それならば前の臨時国会において、住民税について特に法人が非常に軽くなつておるので、これは負担の均衡から考えて最も惡い点であるから、普通の市町村民税を軽減する代りにもう少し法人に対して重く税を課すべきだということは、我々が極力主張した点であつたことは大臣もよく御記憶の通りだと思うのですが、そのときの御説明ではいやこの体系で大体いいのだと思う、特に法人にはほかの形での課税があるので決して負担の均衡を失していないというのが、当時の御答弁だつたと思うのです。ところが今になつてそうでなくてやはり負担の均衡上おかしいからあそこは直すのだというふうにお変えになつたとすれば、その点も意見をお変えになつたのがどうか。
  30. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この前の臨時国会地方税法を出しまするときに、皆さまがたの御意見はよく了承しまして、そうしてその当時そのお説の通りにいたそうと思つて実はいろいろ努力したのでございます。けれども関係方面でどうしても或る程度の了解を得られません。そうしてそのままに当時はなつたのであります。今回それが通りましたものですからそれでお論を入れてこういうふうになつたのでございます。
  31. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは当時の我々の主張が通つてこういうふうな修正をされたのだという意味において、我々はそういう意味においては満足をするわけでありますが、ただ問題は、併し我々があのときに法人のほうに住民税を増徴すべきだということを主張したゆえんのものは、今おつしやつたような形において若干の増税をやる結果になるようなことを目標にして主張したのではなくつて、普通の個人の市町村民税が重きに失するから、それを軽減するために法人の方に増徴しなければならんということを主張したのである。そういう結果が達成されているならば今の増徴を我々は賛成するのですが、そうでなくつて、結果においては更に増徴するというような形になつておるので、これは單に増税のための増徴に過ぎないのだ。ちつともこのために個人の負担の軽減はできてないのじやないか。そうだとすれば我々の主張、我々の立場からは誠に意に満たないものであるし、この点をもう少し御考慮願わなければいけないと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  32. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。市町村民税は、御承知通りに毎年中央の国税の方で所得税を減税をいたしておりますので、あのまま放つて置けば、実は殆んどだんだんと漸減して来まして、地方の財政の基礎が不安定になるわけであります。でございますから、今回の私が増税はしないというようなことを申上げた当時は、あの市町村民税の税率を上げろというような意見が非常に強くございました。そうして所得税は減つて地方税の財政を確保するためには税率を上げてその市町村民税をとれ、こういうような強い意見があつたのでございます。併しながらこの前御審議を願いましたときに皆様方から仰せの通りに、市町村民税は少し高過ぎるというようなお説があつたものですから、個人に対して税率を上げて元の通りにして行くという方針はこれはよくないと、こう考えまして、税率の増加ということを絶対に阻止したわけでございます。
  33. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 税率の増加を阻止された努力は我々も多とするのですが、我我はあの当時のあの税率で、すでに高いからそれをむしろ引下げることが問題なのだ。今おつしやつたようにこれを引上げるべしというような意見があつたとすればそれは誠に以ての外なんで、それに対して据置いたからそれで我慢しろという意味と思いますけれども、そうでなくて、あのときでの我々の議論は、むしろあの議論は現在の率の市町民税ですから高過ぎるのだ、だからこれを引下げるべし、その下げる代り財源として法人に重課しろということであつたのですが、なぜここまで努力をされなかつたのか、この点伺いたい。
  34. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。言葉が足りませんで恐縮ですが、住民税の所得制を現状維持で阻止しておつたということはこれは減税をしたことになるのであります。と申しますことは国税の所得税額がだんだん減つて参りますものですから。でございますからこれを自然に同じ一八%かけましても昨年と今年とは基礎が違いますから減つて行くということになつておるわけでございます。
  35. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは何にも弁解にならないので、若しその問題をお出しになるのならば、あの補正予算の審議のときに、市町村民税の課税基準を前年度におとりになるのは、前年度非常に高い所得税であつてそれが不合理だから国税としても軽減すべしとして、二十五年度には若干の軽減をきれた。だからしてその不合理なものを基礎にしてとられることは、とてつもなく大きな増税になるのだからそのことは許さるべきでない。当然にこの二十五年度の課税標準からやられるべきたということを主張したにかかわらず、これも御採用にならなかつたために現在のような制度ができていると思うので、あのこと自体が非常に不合理に高かつた。その高かつたのが若干是正されたから引下げになつたのだということは、これは引下げの理由にならないと思うのです、どういうふうにお考えになつておりますか。
  36. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御承知通り地方自治のためには成る一定の財源を與えてやらなければ、地方が財政的に確立して行かない、こういうような原則からこの前地方税の四百億の増税に対する税法を御審議願つたわけでございます。でございますが、併し地方税といたしましても、まだまだ皆様方の御承知通りに、いろいろ地方の何か仕事がございまして、そうしてそれに対して税源、財政が豊かでございませんから要るのでございますが、併しながら先ほど仰せの通りにただ上げなかつたから減税したということは、これは少し廻りくどい話だということでございます、我々といたしましてはこの前に申上げましたように、一般の国民のふところ工合というものは、国税と地方税と合せてお考え下さることが妥当かと思います。そういたしますというと、国税で減税いたしますればそれに比例しまして、そうして税率が一定しておりますればやはり地方税も減税になる。こういうふうな理論になりはせんかとこう考えて私は申上げた次第でございます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の住民税につきまして重ねて御質問したいのですが、御承知通り住民税のとりかたは三つあるわけですが、これまでは主として税額に対して一八%になつておつたのです。ところがシヤウプ第二次勧告によりまして、あれは二十六年度において所得税が減るからそれを調整する意味において所得額に対して課税する、こういうような勧告があつたと思うのです。それでこの前の国会で御質問したと思うのですが、そういう場合には地方税、住民税のとりかたは三つあるのだからその中どれを選んでもよいのだ、ですから減收になれば今までのやりかたで減收になるならば所得額を基礎にしてやつてもいいということになるわけです。そこでお伺いしたいのは、二十六年度においてはやはり二十五年度のように、税額を基礎として住民税をとる原則になつて行くのかどうか、或いは所得額に振替わるのかどうかその点お伺いしたいのです。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御承知通りにオープシヨン等もございますから、従つて大体地方財政委員会のほうでいろいろ地方の財政の予算をとつております。そうしてそれで行けばオープシヨンをしなければならんところも或いは出て来るかも知れません。併しながらいずれにいたしましても所得金額というものを基礎にいたしますものですから、大した増税のような形の結果は出て来んと思います。併しながら今までも一八%となつておりますけれども、やはり一〇%までは地方の財政の事情によりましてはとり得ることになつております。でございますから各地方団体のふところ工合によりましていずれをとりますか、これは地方の自由に任せておるわけでございますけれども只今財政委員会として考えておりますところによりますれば、大体現在の方法でいいんじやないかとこう考えております。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は非常に重要じやないでしようか。先ほど岡野国務大臣は、国税が減税になるのだからそれにつれて地方税も減税になるというお話だつたのですけれども、それは地方団体に任せるのであつて岡野国務大臣が如何にここでそう言明されてもそのオープシヨンがあるのですからオープシヨンを採用した場合にはむしろ減税にならない。ですから従つてオープシヨンした場合、それからオープシヨンしない場合、二十五年度通りにやつた場合と、或いはオープシヨンした場合どれだけ違うか、この点何か資料がありましたら御提出願いたいのです。そうでないと表面上は二十五年度の所得を基礎にしてやるから減税になるように一般に国民に言つておきながら、地方々々の財政事情の如何によつてオープシヨンが可能であるということになれば、私はちつとも減税になるのじやないと思うのです。そこがシヤウプ第二次勧告がありましたから非常に違つて来ると思うのです。シヤウプ勧告は聞きおく程度で問題にしないので、それで原則としてはやはり地方に対して二十五年度と同じように税額を基礎にしてやるのだ、そういう方針をはつきり支持されるのかどうか。
  40. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 主として……財政委員会の專門家でないのですから財政委員会委員長にお答えいたさせます。
  41. 木村清司

    政府委員木村清司君) 成るほどオープシヨン・ツーをとるように相成る町村もあると思います。但し私ども地方財政平衡交付金算定の必要上について、地方財政基準財政收入額の算定につきましては所得税の一八%を基準といたしまして、その町村の基準財政收入額を定めますから、若しオープシヨン・ツーをとつて財政收入を多くいたしたいという町村がありますならば、あたかも現在において制限外課税をやるとか、或いは法定外特別税をやるとかいうことと結果においては同じなのでありまして、私どもの普通貧弱なる町村において、必要なる財源の調達につきまして、つまり財政平衡交付金の運用につきましてはそれを、必ずオープシヨン・ツーをとらねばならんといような破目にする、しないでオープシヨン・ワンの一八%を基準といたしまして、但しそれだけでは或いは公平でないとかいろいろな事情によつてオープシヨン・ツーをとりましても、オープシヨン・ツーをとることが基準財政收入を確保する上において必要なものであるというような措置には入れないつもりであります。つまりオープンヨン・ツーというのは地方の自治に彈力性を持たすという意味において御了解願えることと思つております。
  42. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 先ほど岡野国務大臣説明によりますと、入場税とか住民税、遊興飲食税などを増税するのだ、その合計額か百七十八億になつておりますが、私は今朝も地方の視察から帰つて来たのですが地方はいずれもその逆なんです。住民税のごときは最も本年度における徴税の成績が惡いのであります。住民税を筆頭としていずれも入場税にしても遊興飲食税のごときも今年度増額は到底とり得る見込はないのであります。地方団体は調査しますと頗る成績は惡いのです。最も成績の惡い地方税を上げて、この五種類ほど増税するのだと言われることは、全く地方の財政状況と逆な意見を持つておられるので、岡野国務大臣は果して今日でもあと数ヵ月の段階なのに非常に成績の惡い税目を上げて、それの増收を図るのだということは甚だわからんのであつて、如何なる確信を持つてそう言われるのか。その点を詳細に承わりたい。
  43. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は財政委員会からいろいろ報告を受けましてそういうような信念になつておるのであります。財政委員会から詳しく御説明申上げます。
  44. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今岡野さんはこの責任を財政委員会のほうに転嫁しましたが、私が岡野さんを指して聞くのは、自治庁は今日地方行政委員会において提案理由説明された。地方税の改革案を出され、さつき御自身自体もそれの改正に伴つて結果的に、こういうふうな増收になるのだということを言われたから、地方の改革の提案者は自治庁ですから、その長官たる岡野国務大臣を名指して言つておるのです。もう少しはつきりした答弁をしなさい。    〔理事東隆君退席、委員長着席〕
  45. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は地方税法の改正案を今日提案いたしましたことは事実でございます。私が出しますのは、職責上法案を御審議願う役目でございます。併しその実質は財政委員会が持つておりまして、その財政委員会が十分調査した結果、並びに審議した結果によつて私が法案を作るという立場でございますから財政委員会から申上げます。
  46. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今岡野国務大臣はそう言われるけれども、そういうふうな考え方というものは甚だ地方公共団体に対して無責任だと思う。ただ自分はそういう役目柄ここにおるのだから提案したのだ、そういうふうな一国の国務大臣たるものの答弁としては甚だ無責任だと思うのです。そういうふうな漠然たる考え方を持つておられるから地方の財政に非常な過重なる税をかけることになると思う。今の御答弁では問題になりませんけれども、今私が質問しました増税のでき得るんだというその確信について更に財政委員長代理の答弁を求めます。
  47. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは見込に亘るかと思いますが、明年度における国民所得の増加を考えますと、その徴收の不足を成績の向上によりましてこの程度増收を計りたい、又相当その程度計り得るのじやなかろうかという見解を持つて算出したわけでありまして、或いはその分布につきましては都市等の方面に偏在いたしておることであつて、農村地帶においては非常に少いということは申上げますけれども、国民全体といたしましては相当その程度まで、まあ只今申上げた程度増收が可能ではなかろうかという見解を持つて提出したわけであります。
  48. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今木村財政委員長代理はそう言われるけれども委員長代理自身が地方数字を一番よく知つておられると思うのだが、その財政委員会委員長代理でそういうふうな考えであるということは非常に遺憾です。あなたはそう言われるけれども、さつき財務部長はあとから文書で税收の成績を出すと言つたが、それを数字で出されるか、必ず今の財政委員長代理の言と逆な結果が出て来ると思う。どこを見ても住民税を初め非常に成績が惡い五割くらい減つておる。そういうことをよく承知しておるはずの木村委員長代理の今の言としてはどうも受け取れない。それで直く数字を言えないかも知れないけれども、大体十二月末までの数字は持つておられると思うので、わかつている範囲で一つ挙げてみて頂きたい。増收をもくろんでおると言われる大きな税目について大体の数字を伺いたい。
  49. 木村清司

    政府委員木村清司君) 市町村分については、実は統計はまだ集つておりませんが、府県分につきますというと大体十二月末現在で四五%程度、三百億程度徴收しておると思われます。いずれ資料は差上げたいと思います。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今のに関連して岡野国務相にお伺いいたしますが、地方財政委員会の意向によつて増收を予想して、そうして地方税法の改正を岡野国務相の責任において提案されたと言われますが、裏を返せば地方財政委員会が来年度平衡交付金として千二百九億を要望しておるのに対して、その意見書を出されたのに対して、政府は千百億を組んでおられるわけですが、その差額の百九億の平衡交付金増額について岡野国務相は如何なる努力をされたか、又今後如何なる努力をされるつもりであるか、それを先ず伺います。
  51. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。千二百九億の平衡交付金が要るということは財政委員会から意見書も出まして私もよく了承しております。財政委員会の内容識見といたしますと如何にもその通りであると私は考えるのであります。いろいろ大蔵省を初めとして閣議で検討いたしましたけれども、国家の財政上千百億以上出ないからどうしても我慢しなければならないということになりまして、そうして千百億になつたわけでございまして、甚だ私は遺憾と存じております。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地方税法の改正で課税対象、財源というものを市町村に與えることは與えたが、市町村民の担税能力のないということも一つの理由であるが又徴税能力もない。こういう点がからみ合つて実際は税金は入つて来ない。県としても非常に財源を市町村に流した関係財源がなくて、来年度予算を組むに当つては全くやけつぱちになつてしまつて、もう赤字を出してもいたしかたがないという。こういう現段階に各都道府県はあるように大体私はキヤツチしておるのでありますが、ここに来て千二百九億の平衡交付金は国家の財政上出せない、地方財政委員会の税金が余計に入るということには賛成をして、そうして地方財政委員会としましてどうしてもこれは千二百九億なければ地方財政が成立たないということについては、中共の国家財政の立場からこれをそのままに、ほおるという形になれば、各都道府県が現在予算の編成期に当つてもう赤字でもしようがない、どうにも組めないといつておるこの事態を岡野国務相はどういうふうにお考えになりますか。
  53. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。各地方公共団体が来年度予算を組みますについて、特に府県において非常に苦しい立場にあるということは私もよりより陳情を受けまして聞いておる次第であります。併しながらいずれにいたしましても非常にむずかしい財政、中央、地方を通じてむずかしい時期でございまするから、大体においてこの方針の下に何とか予算を組んで頂きたい、こう私は考えて、その点におきましてはいろいろ財政委員会のほうでも指導並びに調整の相談を受けておる次第であります。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ほかにも質問があるからあまり続けませんが、私はもう少し質問させて頂きたいと思うのです。と申しますのは、この二十五年度基準財政需要額の二千二百三十九億円の中で、実に教育関係基準財政需要額というものは九百三十四億円と、こういうふうに算出されておるわけであります。これから見てもわかりますように地方財政で最もウエイトの高いものは教育であります。経常的なものもさることながら、それより別に終戰以来布かれた新学制なんかによる六三制の建築あたりの財政需要というものに圧迫されて、地方財政は非常に苦しいわけであります。先ほどから申上げましたような状況から、結局地方公共団体予算の四〇%から五〇%を占めるところの教育費がその弱いところに全部がしわ寄せになつて来る。それで現在起つておる状況でもベース改訂も不可能である、級別推定表の改正もできない。のみならず教員の定員を切下げてそうして首切りもやらなくちやならない。こういう事態も起つておるわけであります。現内閣文教政策に重きをおかれておりますし、岡野国務相はその一人てあるわけでありますが、ここで私はまあ国務大臣としての岡野大臣に承わりたい点は、この地方財政でやはり教育の予算というものは非常にウエイトが大きいだけに非常に大きな問題でありますが、この問題の根本的な解決策として教育刷新審議会の南原委員長のほうから、教育財政審議会、これは勿論国立、それから公立、私立を通しての文教財政の審議会を意味しておるわけでありますが、こういう教育財政審議会を設けて具体的に研究してはどうかということを吉田総理に対して具申しておるのでありますが、こういう問題に対してどういうふうに考えられておるか、これが一つ。  それからもう一つお伺いいたしたい点は、教育費を、これはいつも問題になるわけでありますが、平衡交付金の中にぶち込んでしまつておる。どれもこれもぶち込んでおる。臨時的な費用も全部ぶち込んである。こういう形になつておるわけでありますが、具体的にこの二十四年度の追加財政需要額百九億の中に教育関係の五十七億というものを基準財政需要で認めたけれども地方財政が苦しい、苦しいというのは税金がちつとも人つて来ない。そのためにそこにしわ寄せして行つてそうして基準財政需要額を地方公共団体は支出しない、これを下廻つておる。こういうことに対して、これは地方財政委員会のほうだと思いますが、どういうふうにお考えになるか、こういう下廻らないような何か法的なことを考える考えはないかどうか。これをもうちよつと具体的に申しますと、先般シヤウプの附録書に教育平衡交付金みたいにしたらどうかというようなことをシヤウプさんが附録書で出されたと思いますが、これらに関してどういうふうにお考えになつておるか、岡野国務相並び地方財政委員会のほうの見解を承わりたい。
  55. 木村清司

    政府委員木村清司君) 基準財政支出の問題、今の教育費の基準財政支出を認めて、矛の基準財政支出を地方が支出しなかつたらどうかという問題でありますが、私はこの基準財政の支出につきまして実は仮決定のものと本決定のものと違いますが、恐らく本決定によつてお考えになりますならばその杞憂はなくなるのじやなかろうかと思つております。それともう一つこの際お考え願いたいのは、道府県におきまして明年度予算の編成に困つておるということの重大な原因が、只今まで申上げました理由のほかに追加してあるのでありまして、それはつまり私ども計算によりますというと、大体地方の公務員は一般は千百円か千百円ちよつと超えた程度増加をみればよろしいという考えかたであります。それから教職員は大体千三百円程度という考えでありますが、実際いずれの府県の話を聞いてみましても、それぞれいずれにつきましてもベースアップいたしますと五百円程度の差があります。つまり私ども計算いたしましたところでは、大蔵省の千円では勿論のこと、私ども自身が計算いたしましたところによりましてもその差が五百円、少くとも五百円程度の差がある、ベースアップいたしますというと、そこに明年度予算が完全に組めないという理由があるのであります。これは私どもがよく実際によつて研究いたさねばならんと思いまして、これが例えば東京とか大阪とか、或いは六大府県のような富裕な府県でありますならば元来その格付が高過ぎるということも言えますけれども、貧弱な県におきましてもそうであるといたしますれば、これはもう少しよく研究せねばならんじやないか。そこに大きな道府県の明年度予算の編成につきまして困難を感じておる点がそこにあるのであります。なお平衡交付金の分配、配分方法につきましては、仮決定の際においては極めて素朴なものでありましたが、その後研究いたしました結果、現段階においてはやや合理的な基準と思われるものによつて算出いたしまして、殊にA系統の教員の俸給の支拂等の額の算定につきましてはできる限り十分に見るというようなことにいたしました結果、殊に今御質問のような基準財政……、何か平衡交付金の……、教育費の支出だけについて平衡交付金の支出を縛る、地方の歳出を縛る必要があるのではないかということは、恐らく杞憂に終るのじやないかと私は考えておりますが、それからなおこれは実際論といたしまして必要ないと思うのであります。又本質論から申上げましても、これは地方自治の建前から申しまして、そういうことは法律でもつて制限することは好ましくないということは、本質的には申されることは申すまでもないというように考えております。
  56. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。金が足りませんとよく給與の問題で地方でも問題になりますが、殊にお説の通りに教育関係職員地方には大多数でございまして、そうして財政收入が足りませんというとすぐ問題が起きるのでございますが、併し平衡交付金といたしましては只今のところこれに紐付きで教員関係に出すというわけには行きません。併し教員関係ということは基礎にして算定はいたしております。算定いたして出してはおりますけれども、紐がついておりません。併しながら私自身の考えといたしましてはまだ過渡期でございますから、若し国会あたりで教育に対する支出の内容が具体的になれば、それに対して又特別の財源措置を考える、こういうふうにして行たらこれは改善されて行くのではないかと思います。
  57. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今の地方財政委員会のかたの御答弁ですがね。基準財政需要額は必ず支出できるだろう。下廻ることは杞憂だろうと申されるのですが、杞憂ならいいが杞憂でない県ができているように私は聞いているのでお尋ねしているわけなんです。
  58. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは或る程度そういう例外的なものは全然なきにしもあらずと思います。それは第一に私ども計算いたしました基準財政收入ですね。收入の確保が第一今できておらんというので言う場合もありますし、先ほど申上げましたように、財源平衡交付金が私どもの言つておる通り入れられない結果、非常に地方としては財源不足ということになりますから、その二つの原因から例外的にはそういう場合もあり得るかと思いますが、原則的には私はそういうことはあり得ない、こう考えております。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題はあとで私はいろいろ天野文部大臣も見えておりますからお伺いしたいと思います。その前にさつきの西郷委員質問と関連するのでありますが、大体前年度地方税は五月にこれは全部徴收見込額だけ徴收できると、こういうような予定なんですが、その大体基礎があるだろうと思うのですね。この根拠、こういうことを資料的に出して頂きたいと我々は思うのです。というのはどうも三月と比較して金詰りが一層ひどくなつて、さつきのお話によりますと大体十二月末で四五%しか徴收されておらない、こういうことですが、二月末においては大体どのくらいの見込なつておるのか、五月になつてどうなるか。二月になつてつまり金融逼迫というようなことが出て来ます。そうして五月においてあとの一月から後のやつを五五%徴收する。これは実に困難だと思う。そこに新らしい税の措置も出て来るのでありまして、そういうものとダブつて来る。そうしますとこの根拠をここで確めるというのは非常に重要な今後の地方税の増強の問題と関連して重要な基礎になるのでありますから、是非この点はできるだけ具体的な資料を出して頂きたいと思います。  なお、これと関連いたしまして、この前の還付金の問題であります。一体この還付金の実施状況はどうなつておるか。どれだけ一体還付されておりますか。つまり暫定支拂、最近の還付金の問題でありますが、これと連関といたしましてなお特別平衡交付金の問題があつたわけであります。これは特別平衡交付金の操作によつてこの還付金なんかを賄いたいということが、たしか財務部長から話があつたわけでありますが、これは昨年八月だつたと思うのでありますが、こういう記憶もありますので、こういう状態がどうなつておるか。この問題が只今のあれと非常に連関して来る。この実態が総合的に我々によつてここでつかまれない限りは、今度の百七十八億というような相当厖大な額に対するその根拠をはつきり認識することができないと思いますから、これは是非やつて頂きたい、この点からお伺いいたします。
  60. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは地方税自体が大体後半期に多く取られるということはたしか年々の例でも多少そういう傾向がありますから、今年は特にそういうことになりますが、五月末日までには何とかほぼ予定通り税收入が上りたいものというように私ども考えておるのであります。  それから還付金の問題でありますが、これは府県等におきましては、私ども要求によりまして大体一部返還されております。それから大都市におきましても一部返還しておる所があります。なおこの問題は本決定によりまして終局的に返還額は決定するのでありますから、本決定いたしましたならば速かにその措置について善処いたしたい、こう考えておるのでありまして、府県及び大都市等において一部返しておるということを申上げて置きます。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は資料について出して頂けるかどうかということをお伺いしておるのでありまして、例えば五月はそういう見込だということでは、これは我々何回も例があるのでそういう見込だということでは困る。その見込には根拠がありましよう。これは国家財政との連関でいろいろな金融政策その他の政策面においてこうだから、そういう根拠において五月末日において完了する、しつかり取ることができる、そういう根拠があるだろうと思います。そういう証拠をできるだけ出してもらいたい。一部と言われましたが、還付金の一部ということはどういうことなのか。パーセンテージではどうなるか、それから特別平衡交付金のものを一部というのですけれども、一部というような数字は成るべく予算委員会ではお使いにならないほうがおためではないかと思うのであります。これは若し具体的に今お話ができるのでしたら今、又若しできないのでしたら資料としてこれは御提出願いたいと思います。如何でございますか。
  62. 木村清司

    政府委員木村清司君) 正確な数字資料として出したいと思います。私どもは半分を本決定前に返してくれるようにという方針を最初定めましたけれども、半分返した所と、その半分まで行かないで、その半分という所と、二通りに大体分れております。いずれ資料は差上げたいと思います。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく還付金の問題は随分夏からの問題で、とてもこれはかなわん、何とか棒引きにしてくれというような要求が非常に多く地方のほうから起つていると思うのでありまして、こういう実態について是非今の点をお伺いしたいと思うのであります。  次にお伺いしたいのは、先ほど岡野国務相は、やはり税の問題は国税と地方税と総合的に見なくちやならない、こういうお話がありましたけれども、これは誠に尤もだと思うのでありますが、そういう観点から申上げるのですが、よく政府は減税を呼号している、七百二十何億の減税、税法上の減税というような言葉が、これは昨年の国会あたりから使われている。併し我々はこれについてなかなか承服することはできない、絶対額はどうなつているかということが問題であります。国民所得が成るほどこれは安本あたりの調査によりまして殖えたということになつておりますけれども、ここに非常にむらがある、朝鮮事変後の影響も非常にむらがある、このブームの状態が均霑されておらない、こういう観点からいたしますと、国民所得の面だけから吊り上げるが、そういうところからこういう問題が決定されて、そうして税法上の減税というものはどんな性格を持つて来るかということは大きな問題だと思うのであります。そこでこれはお伺いするのですが、国税のほうでの七百四十三億ですか、この減税は実際上はこれは五億円の減税である、こういうことを言われておりますが、税金の上では私はこれは微細に計算して見ると、逆に二億の増税になつている、というのはこれは昨年の税收入と印紙、こういうものを入れて昨年は四千四百五十億だと思いますが、今年度は四千四百四十五億、而も印紙の收入を見ますると、七億これは昨年より殖える、そういう意味におきましては税金は二億実はこれは増税になる、この問題は暫く置きます。暫く置くとしまして、地方税において百七十八億の増税、そういうことになりますと、今の一億の増税を加えて約百八十億の絶対額においては増税が非常に課されて来るのでありますけれども、こういう点、池田蔵相は地方税においてもこれは相当の減税を見るとしばしばこれは言われておつたと思うのでありますが、こういう点から鑑みまして、総合的に見るときに百八十億以上のこれは増税というようなことが当然起るのでありまして、こういう点について岡野国務相は池田蔵相なんかの見解と並べてどういうふうにこれは考えておられますか、この点を承わつて置きたいと思います。
  64. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは後刻資料として皆さまがたに御配付申上げようと存じておりますので、それで御覧下さればおわかりになるかと存じますが、国税、地方税を総合いたしまして、二十四年度は八千億と私は記憶しております。二十五年度は七千四百何十億、二十六年度は約七千五百億になつております。でありますからいわゆる増收という意味で我々は考えておりますけれども、これを俗に申しますれば国家へ入るものはそれだけ余計に入るということでございますから、それを増税とお認めになるか、或いは又増收とお認めになるか、その点にはいろいろ議論があろうと思います。併し私自身といたしましては、個々別々の納税者のふところ工合から、十万円の人がどのくらいの減税になり、二十万円の人はどのくらいの減税になるというようなことは詳しい表で後刻お届け申上げます。それをよく御覧下さることをお願い申上げます。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御説明でははつきりわからないのですが、今岩間委員から質問がありましたように、地方税においては現実において百七十八億の増税をやられる、国税においてはいろいろ減税になつておるとか何とか、いろいろな数字のトリツクを使つておられるので、これはこれ自体として問題になりますが、少くとも地方税に関する限りは百七十八億という紛れもない増税をやつておられる、ところが自由党内閣は一千億の減税をやるんだ、そのうち七百億は国税だが、三百億は地方税でやるんだということを高らかに掲げておられます。自由党本部にも大きな立札としてちやんと一千億と書いてある、ところが臨時国会においてそうでなくて、むしろ四百億でしたかの増税をやられた。併しあれは地方税改革の過渡期においてだから或いは止むを得ないという理窟も自由党のほうからは成り立つたかも知れませんが、国民は今度こそはこの高い地方税を何とか軽減してもらえるものだと自由党に非常に期待をしていたと思うのであります。ところが今度減税どころか、むしろ百七十八億の増税をはつきり出しておる。そうだとすれば曾つての一千億減税の公約は自由党の嘘つぱちだつたのか、今はそれが余りに嘘であることが明白になつたので、それは頬被りにして、とにかく百七十八億の増税は止むを得ないというふうにお考え直しになつたのかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  66. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は先ほどから申上げましたる通りに、地方税増收と考えておりまして、又増收の形が資料御覧下さればおわかりになると存じます。ただ一点先ほどお話のございましたように、法人税に対する一割のいわゆる市町村民税、これは若し強いて増税とおつしやれば増税でないと、こう申上げませんが、併しその以外のことは皆徴收方法を変えまして、できるだけ滯つておるところの税金を滯らずに納められるというようなふうにするために申告納税をいたしましたり、源泉徴收をいたしましたり、そうして取ることにいたしております。私はそういう考えで増收と認めております。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 増收という言葉でごまかそうとしておられますが、増收というのは成るほど收入増加したんだから増收であることには違いございませんが、併し国民所得の收入増加しても増收と申します。ところが税收入増加した場合には、これは嚴密に言えば増税であります。増收なんという言葉ではごまかせない問題であります。税の收入増加したのですから、これは増税であることは紛れもない事実なんであります。そういう言葉のごまかしはおやめになつたほうがいいんじやないか(「異議なし」と呼び者あり)
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの資料を御提出になるときにお願いしたいのですが、先ほど住民税は八億の減收になる、こういうようなお話がありましたが、その計数的な根拠ですね、それを若しか資料としてできましたら御提出願いたいと思います。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 まださつきのことについては御答弁になつておらないのですが、自由党公約との関連においての御答弁をお願いいたします。
  70. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私は地方税を三百億減税するという公約をいたしたことはちつとも覚えておりません。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は蔵相がそういうことを公約して、自由党本部の前をしばしばバスで通つたわけだが、あそこに一千億減税という大看板を掲げておつた、この頃こつそり下されております。あれが第一どうもおかしい、このことについてもお聞きしたいのですが、それはそれとして、大体三百億減税ということは、池田蔵相が言われたときに、少くとも岡野国務相が考えていなければこれは閣議において反対するとか、少くとも大蔵大臣がああいうことを正式に言えばこれを我々は承認できない。そのとき岡野国務相はなぜそれを閣議に問題にされなかつたか、された事実があるかどうか。そうして今になつて初めから考えていなかつた。私は違つておる。この前の国会でもあつたのですが、しばしば大蔵省と自治庁との間に意見の食違いがあるのですけれども、そういうふうにこれは把握していいのですか。余りにこれは無責任じやないですか、その点御答弁願いたい。どうなんです。
  72. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は六月二十八日に就任いたしまして、四百億であつた地方税増税の法案を担当いたしまして、これに対して没頭いたしまして今日に至つておる次第でございます。若しそういうことでございますれば、閣議で四百億増税はけしからんというような御論が出るはずでございますが、そういうことも出ませんです。又三百億減税ということも私自身はそういうことは聞いておりませんから、そういうことはなかつたのだろうと考えます。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあそれはもう責任逃れで、向うさんは向うさん、おれは知らないのだ、こういうような御答弁であるというと、つまり閣内の不統一というふうに我々はつかまざるを得ない。あとで就任したから先のことは知らん、そういうようなことは責任が継続しないなどというそういうのはすでにおかしいのであります。この問題はなんぼやつておつたつて、まあ平行論になりましようから……、我々は併し絶対こういうものに対して承服することはできない。実に欺瞞的なものだと思います。  もう一つの財政規模の問題は、よく今年は緊縮されておると言う、昨年より七十二億ぐらい国家財政の上で緊縮されておる、こういうふうに言われておりますが、どうですか、今日では地方財政国家財政を総合的に見るということは非常に重要になつております。今までの国家財政地方財政関係というものは、まあ大体量から言つても二対一ぐらいの割合だつたと思います。性格においても地方財政国家財政が左右するというような性格があつたと思いますが、非常にこれは昨年から性格が変つて来ておる。こういう点からお伺いするのでありますが、これは総合的に見なくちやならない。そうしますと、例えば政府出資金のダブつている分を引いて、これは資料があると思うのでありますけれども、昨年度の比較において大体こういうことにこれはつかんでおられますか。今年の財政は收縮しておりますか、財政規模の問題についてこれをお伺いします。これは岡野国務相如何ですか、ダブつている分は差引いて構いませんか。
  74. 木村清司

    政府委員木村清司君) 資料を御検討になれば或いはおわかりかと思いますが、節約といたしましては八十億の節約を立てております。但し給與ベース改訂等国家的事務の増大によりまして、地方財政としては減らないのじやないか、こう考えておりますが、それは要するに御存じのように国家財政と違いまして、警察、消防とか、或いは教育というような、特に節約し得る項目が、項目自体を削除できるような項目がないということは、これは地方財政を御存じならばおわかりのことと存じます。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお伺いしていることに対する御答弁としてはちよつと妙なようなものに思うのです。私はそうではなく、国家財政地方財政を合せて、その中で政府出資金なんかには当然ダブッているのはもうこれは抜かなければならないと思う。そうしますと、昨年度と今年度のこの財政の規模がわかるわけですが、総額で言うとこれはどうなつて、どうつかんでおられるかとお伺いしているので、只今のようなことをお伺いしているのではありません。
  76. 木村清司

    政府委員木村清司君) それは二十四年度、二十五年度明年度につきまして、御希望のような資料を作りまして、提出いたします。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 数字もさることながら、大体これはどういうふうに……非常に重要なことだと思うのですけれども地方財政といつて地方財政の枠内だけでこれを考えているが、地方財政は今日の性格から考えてこれはとても遂行できないと思います。これはおつかみになつていないのですか、大蔵省ではおつかみになつているようですが、これはどうですか、主計局はどうですか。
  78. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 誠に御尤もな計数の御要求でありますが、只今そういう資料を用意しておりませんので、地方財政委員会のほうとも連絡をいたしまして、御希望に副うような資料提出いたしたいと思つております。
  79. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は地方財政委員会委員長にお伺いいたします。平衡交付金財政委員会のほうにこれは千二百九億、それから政府は千百億、その差百九億、これはまあいろいろ算定基礎によつて違いがあると思いますけれども、それは別にいたしまして、この地財委のほうで千二百九億を決定している場合において、その大きな一つの財源措置上考えられる項目は、給與改訂に必要な経費であるとか、年末手当支給に必要な経費であるとか、或いは地方教職員級別格付基準改訂による経費増加、それから公共事業等に伴うところの地方負担増加、こういうふうなことが大きな一つの項目になると思われますが、それらの中で私は千二百九億を決定しているというような点において、どういう基礎に立つてやつたかということについての疑問の点を質問したいと思うのでありますが、先ず第一には、給與改善に必要な経費についてこれを地財委では更に百七十六億と、大体こういう数字になりますが、決定しておる。この基本について伺いたいと思うのであります。  先ずこれをきめるに当つて給與予算單価を小学校についてはどういうふうな数字を以て基本にされたか、その点を一つ伺いたいと思います。
  80. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 小学校の教員の單価といたしましては。大体千三百円くらいでございます。
  81. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その千三百円というのは何を基本にして見られましたか。
  82. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今單価の御説明が多少不正確でござましたから改めて申上げます。小学校の教員の單価でございまするが、これは一定の單価を私のほうで調べましたものが六千七百六十五円になつております。それに対しまして給與格付基準改訂による増額分二百八十三円、それからベース改訂によりまして千百十七円、従いまして上りまする分は大体千三百九十円ほど今度の改訂によつて上る、こういうふうな計算をいたしておるのであります。
  83. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、こういう増加が千三百なんぼということになるわけですか、そういうことになりますか。
  84. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 單価につきまして申上げますると、大体一人について千三百九十円ほど上がる、こういう計算になる。
  85. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の調査によりますと、大体小学校の教員のほうにおきましては、六三べースにおけるところの給與が七千七十九円ぐらいになるので、それにこの級別推計表の分、二百八十三円を加えてそうして六三ベースを七千九百八十円ベースに切替えていきますと、九千二百十四円になる。そうするとべース改訂によるところの増加負担は千八百五十二円ということになる、これが実態であります。そうすると千三百円と相当の開きがある、実態と地財委決定とにおいてはそういう開きがある。こういうふうなことが考えられるのでありますが、そうしますというと、地財委で考えられたのが実態から相当な開きを持つておる。それを基本にして今度は中学校の教員の場合、或いは高等学校或いは一般公務員というふうな方面へ押して行きますというと、この地財委で総体として見られたところの給與に要するところの経費、百七十六億というふうなものは非常に不足を生じて来る。私のほうの調査によるというとこれは二百七十五億を要する。実態に合せて行つたものになりますというとそういう開きが来る。そこで地財委のほうといたしましては、この基本を実態に合せて一体やられたか、或いは推計によつてやられたか、その点を伺います。
  86. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今説明を申上げました給與單価でございまするが、これはつまり既定單価として、六千七百六十五円というものはこれまで地方財政委員会におきまして財政計画を立てまする際に従来使つて参つた單価でございます。で勿論この基礎自身につきましても、大体千八百円ベースの切替えがございました当時の職員構成を押えまして、それを基にその後のベース改訂のスライド等を見まして、大体推定いたしております單価でございます。大体最近の実態等を調べました上で相当開きがあるのではないかというようなお言葉でございまするが、これは先ほど木村委員からも申上げましたように、実際今度各団体におきまして予算をこれによつて組んでみました結果から見ますと、私ども推定をいたしておりまするこの單価が、或いは実態から多少離れておるのではないかというような虞れもないわけではございません。で更に詳細な調査をいたしました上で適正な單価を求めたいと考えておるわけであります。
  87. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、今の御答弁で以て更に実態についての調査をこれからやられるわけでありますか。或いは又現に地方団体のほうから調査をしてその資料を提供さしておるのでありましようか、その点……。
  88. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今各団体のほうにお願いいたしまして、資料を收集いたしております。
  89. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういたしますと、実態はますます私は現在の地財委で考えられておるところの百七十六億ですか、これから開きを持つて来るだろうということが予想されるのであります。そうすると、もはやこの地財委で考えられておるこのことは、千二百九億の平衡交付金では到底給與改訂はできないという結論に私は達すると思うのでありますが、この点如何ようにお考えでございましようか。
  90. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私どもが各都道府県の当局者から聞いております実情から申しますと、確かに普通の県におきましては完全な給與ベース改訂はできないのじやないか、こう思うのでありまして、これが本当に国家公務員自身が千円でよろしい、併しながら地方公務員だけがこの程度上らなければならんということにつきましては、なおよく大蔵当局を納得せしむる資料、客観的に妥当な資料が必要たと思う。例えばこの格付が元来国家公務員に比して高過ぎるのだということに相成りますと、従来のこの一番困つた問題は、従来のべース改訂は大体比例して給與は上つておるのでありますけれども、今度のべース改訂は比例ではないのでありまして、非常に上の方が高くなつて、下の方は上り方が低い、従つて元来格付の多数が下のものでありますならば、これは現在の格付でできるのでありますけれども、中間程度のものが多数を占めている。或いは例えば年齢構成が高いとか、或いは職務構成、例えば教員のようなものが一般国家公務員の例のような場合におけるよりも、職務構成から見て当然中間程度のものが多いのだということにいたしますと、国家の確定した千円單価ではこれは不可能のことは明らかだと思うのでありますから、この職員構成、そういうものの客観的に出された資料提出するということが……、やはり私ども要求すら容れられないのですが、私ども地方公務員について千百円、それから教職員について千三百円程度要求しておりますけれども、これすらお認めにならんという現状でありますから、これを更にそれぞれ五百円程度上げなきやならん、地方庁の職員も恐らく五百円ぐらい足りないのではないか、それぞれについて五百円ぐらい足らんじやないかということが想定されるのでありますけれども、これがやはり客観的に妥当な標準において足らんかどうか、地方の実情に基いて足らんのかどうかということを更に検討いたしまして、何びとも納得できる資料を作るということが先決問題だろうと思いまして、私どもこの点においてはなおよく調査いたしたいと思つております。
  91. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は調査されても、すでに結論は出ていると思うのであります。先ほどの御答弁のように、これでは給與の画だけ考えても千二百九億のこの交付金では到底地方の財政は賄い切れないということは明らかであると思うのであります。今いろいろな調査によつて偉観的な資料に基いて云々というようなお話がありましたけれども、そういう場合が結論として出る、こういう見通しから聞きたいのであります。若しそうなつた場合に、地財としてはどういう措置をとられるか、この点をお聞きしたい。
  92. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私ども提出いたしましたこの本予算に対する勧告に附けました資料につきましては、あれが最低限度であるということについては私の確信を持つている次第であります。更にその上にお説のように一人頭五百円程度増さなければならないかということにつきましては、これは更に確実な資料を得ました上で、機会がありましたならば、私どもそれを政府提出いたしたいと考えております。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長くかかりませんから一つだけ聞かして下さい。小さいことは分科委員会でお伺いいたしますが、先ほど税收の問題が出たから、これもやや小さいことだが、一つだけ聞かして頂きたいそれは地方税收を七〇%と本年度は見て、昨日の新聞でしたか今度は八〇%に見よう、こういう記事が出ておりますが、それに関して、私は高等学校の教育についてこの際簡單にお伺いいたしたいと思うのです。我が国の教育界において現在大学は国立でやつて、それから中小学校は義務教育という立場でやつて、この間に入る高等学校教育というのはへこんでいるわけなんです。これの一番大きな原因は結局財政にあるわけです。基準財政需要額で六五%しか認めていないわけなんで、六五%ではとしてもできない。そこで要望して行くというと、地方税を七〇%に抑えてあるからあとの余裕財源でやれ、こういうわけです。ところが七〇%、あと三〇%の余裕なんが絶対ない、来年度これを八〇%に抑えたらなおのことできなくなる、そこで端的に最もその欠点の現れて来るところは職業教育に現れておるのです。戰災によつて職業教育の各施設は皆つぶれてしまつておる、ところがそれらに対しての奬励的な一時的補助金というものは出さない。全部平衡交付金にぶち込む。而もそれが全部六五%に抑えられておるというところに職業教育は興つて来ない。自立経済を目途としてもそういうものが興つて来ないというところに職業教育の振興ということがともかく問題に浮んで来た。シヤウプさんの勧告では高等学校の教育というものは準義務教育に取扱えということを勧告して帰つたんですが、地方財政委員会としてこの基準財政需要額を六五%に抑えておる。ことを至当と考えるか、これを変えるところの意思はないかどうか、ということを私はこの際地方税收と関連いたしてお伺いいたしておきたいと思うのです。
  94. 木村清司

    政府委員木村清司君) お答えいたします。基準財政收入算定について、つまり平衡交付金算定について、基準財政收入税收入総額の七〇%現在見ておるのを八〇%にしてはどうかという案で現在進んでおりますが、そういたしますというと、基準財政需要総額が殖えて来ますから、従いましてその場合においては現在よりも減らされておるものがそれだけ増し得る、パーセンテージを減らしたものが増し得るという結果に相成りますので、それのどの部分をどういう工合に増すかということにつきましてはよく御意見等も愼重に研究いたしまして決定いたしないと考えております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは委員のお話は税收が確実に上るといということの前提としてのお話であつて、現在七〇すら入つて来ないで困つているのに、そこに六五で抑えられておるから困る。この入る入らんは見方によつて違うのですから、これは時間の関係もありますから申上げませんが、六五%そのものをどういうふうにお考えになるかということです。
  96. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは私は全部一〇〇%に見るわけであります、あらゆるものにつきまして……。ところが平衡交付金が理想通りに組めましても、これは或る程度二割程度はつまり平衡交付金へ廻す部門とか、或いは税收入全額を見ないという関係上、当然全額見られないという部面があることはこれれは御了承できること思います。従いましてその点はこの項目についてどれを尊重してどの項目を削らなければならんかという点につきましては、これは大いに考慮する必要かあるかと思いますけれども、全体としてはわくが低くなればなるほど、当然あるべき姿よりも低くあるということはこれは当然止むを得ない現象じやないかとこう考えておる次第でございます。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあこれに関連してもう少しお伺いしたいこともございますけれども、今日はこれで打切ります。
  98. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 まだたくさん……実は地方財政の問題に入つていないので、平衡交付金の問題、地財の問題、相当……本論には入つていないのですが、それらの点は又の機会を設けて頂けるのかどうか。又の機会があるとすればそつちへ讓ります。  ただ一点たけお尋ねしたいのは、地方財政委員会勧告を出しておられる。それは内閣決定額とは今我々が聞きましたように非常に食違いがあつたのでありますか。地方公共団体を所管される自治庁の大臣として、この地方財政委員長の勧告をどういうふうにお最上げになつたか、どの程度こういう要求に沿うべく努力をされたのか、その点を一つお伺いしたい。と申しますのは、今大臣は国家財政の諸般の事情上これで止むを得ないのだということをおつしやつたが、それは前の補正予算の場合も同じことであつて、我々が聞きたいのは、一つ一つのこういう要求に対してどういう努力をしたけれども駄目だつたのだというような熱意のある態度をばお聞きしたい。特に地方自治団体の所管大臣としてはそういう熱意、努力があつて然るべきだと思うのに、そういう片鱗が少しも認められないという感じしか持たないのであります。と申しまするのは、例えば給與改善に必要な経費の算出の問題にいたしましても、年末手当支給に必要な経費にしましても、或いは公共事業費等に伴う地方負担増加の問題にしましても、この間からこの問題と同じ問題が繰返されているだけで、それに対して少しでもの改善が全くなされていないとしか言えないのではないか。少しくらいは、何らかの程度において改善をしようと努力をされ、成果を上げられたのがどうか、ただ單に地方財政委員会勧告をされて、されつ放しになつてしまつて、そうして諸般の事情上仕方ないのだということでは余りに無責任に過ぎはしないか。その点についての大臣の御所見を承わりたい。
  99. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私の地方財政委員会意見書に対しまして努力したということは、閣議の内容に亘りまするので、これは申上げるわけに参りません。又それが関係方面において相当に努力をもしましたけれども、これも又関係方面との話合いの内容を申上げるわけに行きません。結局いたすところ、やるだけのことは私いたしましたけれども、こういう結果しか見られなかつたという結果だけが表に現れたということになります。これだけ申上げて内容を私は申上げられませんということを御承知願います。
  100. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その内容の経過等々について私は詳しくお聞きしようとは思いません。それはおつしやる通りで伏せて置かれて結構だと思いますが、併しここに現れたところは問題を少しも進展さしておられないのではないか。この間と同じことを繰返して、問題は算定の方法にしても或いは何にしてもちつとも進めておられない。それをどこういうふうに進めようとか、地方自治同体の自治庁の大臣としてはどういう意見を持つておられるのか、その辺の所見は所管大臣としてお述べになつて然るべきじやないか。閣議でどうおつしやつたとか、それから関係当局とどう折衝されたとか、そんな経過的な、手続的なことをお聞きしようとは思つておりません。
  101. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。努力いたしましたけれども、この結果しか得られなかつたというとで、これは私の、若しお責めになれば微力のいたすところかも知れませんが、結果がここに至つた。それまでにはいろいろの紆余曲折があつたわけであります。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡單に二つ私お尋ねしたいのですが、画定資産税につきまして、固定資産税の評価、これは最初二十五年度においてはすぐに評価することは困難であるから、一応ああいう暫定措置を講じられたのですが、二十六年度においては評価委員というものができて、実際評価することになつていると思うのです。二十六年度の固定資産税をとる場合には、実際の評価をやつて、それに基いてとるのかどうか、その点先ずお尋ねしたい。
  103. 木村清司

    政府委員木村清司君) 只今のところ法律に基いて、評価に基いてとる予定であります。お説の通りであります。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、本年度と違うわけですね。それはそれとしましてもう一つお尋ねしたいのは、公共事業の問題ですがね、これは国の公共事業費が殖えることによつて地方公共事業費担当が殖える部面もあると思います。それとこれは事業量が殖えることによつて殖えるのではないと思うのですが、地方で事業量が殖えることによつて、実際に事業量が殖えることによつてどの程度公共事業費が殖えるのか、その点お伺いしたいのです。これまで国庫全額負担しておつたけれども全額負担がなくなつたので、どの程度殖え、そうして地方自体の事業量が殖えることによつてどのくらい公共事業費が殖えるか、その点をお伺いしたいのです。
  105. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 只今のお尋ねは数点に跨つておりまするが、便宜最後の全額国庫負担制度の改正によつて地方負担がどうなるのかというところから申上げて参りたいと思うのでございまするが、二十五年度限りで全額国庫負担の制度を改めまして、二十六年度からどういう制度をとるかという点につきましては、実は政府部内にもいろいろ検討すべき点が争うございました関係上、新制度を基礎にいたしましての的確な計算は、只今のところまだ申上げるまでに至つておりませんが、一応の推算を申上げますると、私のほうの計算では、昭和二十五年度災害復旧全額国庫負担制度を前提にいたしまして、そうして昭和二十五年度公共事業費の規模を前提といたしました場合の地方負担額は約四十五億四千万円程度であると、かような推定を下しておるのでございます。昭和二十六年度のそれでは制度が変つた結果どの程度地方負担額になるのか、それも又公共事業費の内訳につきましては、先般この委員会にもお話がございましたように、いろいろ内訳その他につきましても未確定なところがございますので、ラフな算定になりまするが、昭和二十六年度公共事業を前提にいたしまして、地方災害復旧費負担額は百六十一億見当の負担になる。従いましてその差額はまあ百十五億乃至は百十六億という見当がこの災害国庫負担の制度に伴いまして負担が変つて来るのではなかろうか、かように実は考えております。その一部は数字の入り繰りはございまするが、お手許に先ほど来参考資料として御側付いたしまして、御覧願つておりまするところの公共事業関係等に伴う地方負担増加額というところがございまして、地方財政委員会のほうの勧告で参りますると三百二十一億、それから内閣決定額で参りますと二百九十六億という数字の一部をそれがたしておるわけでございます。やや細かくなりますが、この二百九十六億のうち内閣決定額におきましては、地方負担増加額は百四十九億程度ではなかろうか、これは先ほど地方財政委員会の財務部長から申上げましたが、一応制度が改正になりましたので、三分の二の負担になるという実は計算をいたしております関係上、実はこの内訳におきましては百五十億見当と考えておりましたけれども、それが結局私の推算では百六十億見当に相成つて参るというのが災害復旧国庫負担に伴い地方負担はどうなるかという数字でございます。  それから前段にお尋ねのございました中央の公共事業費金額作つて地方負担がどうなるだろうが、別して單価の値上り関係というよりは事業量の関係でどうなるのだという御質問でありましたが、これは木村委員承知のように、公共事業費金額單価関係と事業量の関係と双方織込みましたものが公共事業費総額に相成つておる次第であります。それでそのほかに御指摘の、御質問の点がここかと思いまするが、国の公共事業に伴わない地方單独事業というものがあるわけでありまして、これにつきましては、地方財政委員会のほうでも單独事業関係地方負担増加額は三十億見当だというふうにまあ見込んでおるわけであります。併しこれも三十億円とても事業量の関係と物価の関係と両方が出て参るわけでありまして、多少御質問の点と外れますけれども公共事業の全貌を御覧頂きます場合におきましては、この單独事業の三十億円の負担増加関係と、それから国の公共事業におきます負担関係と、双方をお考え合せ願いたいという意味で御参考までに申上げる次第であります。
  106. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 文部大臣が来ておりますが、文部大臣に入りますか。なおこの質問を続けますか。
  107. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地方財政は明日になつてもやるのですか。
  108. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それは又あとで諮りますが……。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御説明でややわかつたのですが、要するに私のお聞きしたがつた点は、政府公共事業費として計上されましたが、事業量について見返資金のほうから公共事業のほうに廻せなくなりましたから、それを差引くと結局事業量については殖えるのか殖えないのか。こういう点なんです。結論として。
  110. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 御指摘のように公共事業量を算定いたしますときには、いつの物価を基準にするのかというのが重点になつて来るわけでありますが、私どもの推算では、仮に四月から十一月ぐらいまでに実際工事が施工せられました單価というものを取調べまして、これで計算をいたしました場合には、事業費総額におきましては昨年よりも上廻る、若干上廻るという……実は今日は公共事業の詳細な資料を持つて参りませんで非常に恐縮でございますが、そういう結論になつております。と申しますのは、百五十億の見返資金がその裏付となるべき地方のこの負担はないわけであります。その関係におきまして、本年は一般公共事業のほうに吸收され、それが地方に残りまして、今申しましたように地方負担も若干殖えるという関係で、公共事業費総額としては殖えて参るという要素が一つと、今一つは只今触れました全額国庫負担災害の問題でございます。昨年の災害におきましては、全額国庫負担という関係地方負担が伴わなかつた関係上、災害復旧費につきましてはほぼその総額公共事業総額になるわけでありますが、昭和二十六年度におきましては、その裏付となりますところの、まあ二四・五%になると思いますが、そういうものが国の公共事業費のほかに地方の事業として附加わつて参る。かれこれ勘案してみますと、今言つたことは物価水準というものが基礎になりますが、公共事業総額におきましては、事業量を現わすという意味におきましての公共事業費総額におきましては、昨年より下らないということであります。あとは物価関係をどう見るかという、これは物価関係でございますから、資料によつて御覧を願います。
  111. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは地方財政関係につきましてはまだ相当たくさん質疑が残つております。これはあとで理事会で御相談いたしますが、大体明日の午前中にやつたらどうかと考えております。   —————————————
  112. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは文部大臣が来ておられますので、文部関係についての施政の方針の御説明を願つて質疑に入りたいと思います。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 その前に一つ、文部省の教育予算は非常に地方関係があるのですが、この地方財政関係のかたも帰られますか。できるなら残つて頂いて……。
  114. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 帰らないでおります。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは一緒にお伺いしないとわからないから、是非そういうふうにやつて頂きたいと思ます。
  116. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 昭和二十六年度における文教施策の実施は、次の五項目を中心として行なつて行きたいと考えております。  第一の項目は義務教育の充実でありますが、これは三つの面から強く推し進めたいと考えております。先ず第一は教育内容の充実でありまして、道徳教育を振興して国民道義の向上を図り、或いは各教科に関する学習指導要領を改訂し、特に体育並びに保健教育の振興には格段の努力をいたしたいと思います。その第二は、学校その他の教育施設並びに教育環境の整備でありまして、六三制の完全実施のための経費として四十三億円を計上し、又義務教育無償の原則を確保するため、義務教育の兒童、生徒に対する教科書を無償給與する方針の下に、昭和二十六年度におきましては、取りあえず小学校、盲学校及び聾学校兒童のうち、第一学年に対して教科書を無償給與するに必要な経費一億三千九百余万円を計上しています。なおこの教科書無償給與につきましてでは、これに関する法案が近く国会提出されることとなつております。なお義務教育の充実を期するためには、地方教育財政制度について根本的検討を加え、教育費を確保する方途を講ずる必要を痛感いたしております。その第三は、教職員の質の向上でありますが、文部省主催で全国各地に研究集会を開催し、或いは教職員が教育職員免許法施行法による上級免許状取得のための認定講習を容易に受けられるよう、講習会出席のための旅費の補助をする等、各種の措置を講じております。なお教職員の待遇の改善につきましても、現在よりも更にその改善を図るために、教職員を対象とする級別推定表改訂をいたしましたが、更に俸給別表を作成すべく研究中であります。  第二の項目は、第一は義務教育の充実でございますが、第二の項目は、育英事業その他の奬学施設の拡充でありますが、日本育英会を通じての育英資金を昭和二十六年度には前年度より八億八千余万円を増加し、二十四億二千六百余万円計上しています。なお以上のほか学徒の厚生援護、就職斡旋、補導などにつきましても、十二分な措置をするよう努力いたしております。  第三の項目は、学術研究の振興でありますが、先ず科学研究の振興奬励のために、科学研究費等として五億円計上いたしましたほか、国立の大学、学校、附置研究所等における研究の拡充向上のために、十億円余の予算増額計上する等、最善の努力を拂つております。  第四の項目は、私立学校の振興でありますが、私立学校教育の振興を図るため、戰災等によつて損害を受けました私立学校に対しての復旧に必要な資金の貸付等のために十億六百余万円を計上し、私立学校振興に資することを期しております。  第五の項目は、社会教育の振興と文化財の保護でありますが、社会教育につきましては、公民館、図書館、博物館その他の社会教育施設における活動を盛んにし、又各種の方法によつて芸術、文化の向上を図りたいと考えております。又文化財の保護につきましては、国宝その他の重要文化財を保護するため三億五百余万円を計上しております。  以上は、昭和二十六年度主要文教施策の大要でありますが、このほか文教施設一般災害復旧、職業教育の振興、教育文化に関する統計調査の重視、学校給食の普及徹底、ユネスコ精神の普及等を通じての外国との教育、学術、文化の交流など、緊急欠くべからざる諸般の施策を強力に実施したいと考えております。
  117. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 文部大臣に伺いますが、今日は地方財政委員会のかたも見えておりますから、それに関連する点をお伺いいたします。  今の項目にお挙げになつた教科書の無償配布の件でありまするが、この件につきましては、先般地方行政委員会においてもかなり論議を交わされた問題であります。あの場合にも閣議の意見がそうであつたように、趣旨においては誠に結構でありまするが、今度の文部省の案は半額国庫負担であり、地方が半額負担して行かなければならん、而もその金額は余り多額でなく、一億何千万というのであるけれども、その單価は最低価格を以て見積られておるということであるが、紙その他の物価が上昇の今日でありまするが、果してそれが可能であるのか、いつ頃の單価を取られるか、そういう点を伺いたいのと、先般文部大臣も御承知通り、その金額平衡交付金を通して流れて行くべきものであるけれども、御承知のごとく平衡交付金は百九億も削られておる。であるから既定経費さえもそれほど削られておるのだから、新規負担するところのものは創られたところの百九億の中に入つているのではないか。であるからその点を確かめましたが、文部省の意向としては飽くまでも百九億削られておるが、なお残存平衡交付金の中に入つておる。だから財源は見ておるのだというお話であつたが、その点依然として文部大臣はそれを固執されるのかどうか。又固執されないとするならば、その金額だけは平衡交付金増額を要すると思うのですが、その点所見を伺いたい。
  118. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) この点につきましては、先般申上げましたのと同じことでございまして、これは大蔵大臣と岡野国務大臣とそれから地方財政委員会、すべてが一致して一億四千万円というものは現在の平衡交付金の中に入つているという御説明でございますから、私もその通り依然として考えております。
  119. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 依然として頑迷な意見を言われるけれども、然らば平衡交付金というものは、あの法案に書いてであるように、紐付では決してできんということになつておりまするが、如何なる方法によつてそれを確認なさるのですか。絶対削られていない、百九億の創られた分に入つていない、それはどこをどう見たらわかるのか、紐付はできんということになつておる。
  120. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は平衡交付金というものを全然形式的に考えれば、今西郷さんのおつしやつた通りだと思います。けれども大蔵大臣も岡野国務大臣も、地方財政のほうでも、地財委のほうでもすべてこれは入れるということなんですから、それを信じておつて私は文部省としては差支えないのではないかと思つております。
  121. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連いたしますが、地方平衡交付金を千百億円と算出した以上は、その基礎があるだろうと思うのです。ぽつかりと千百億というのが出て来たのではなくて、ちやんと基礎的なものが集まつて千百億になつておると思う。でありますと、予算に組まれた一億三千九百万円のほかに、一億四千万というものが平衡交付金になるとなれば、の資料のどこにも出ていないですれ、百九億以外に入つていると答弁ざれることはおかしいと思う。それは丁度この前の、一年前の年末手当七億二千万円を地方公共団体に拂うときに、池田大蔵大臣、岡野国務相、確かにあの平衡交付金三十五億の中に七億二千万円は入つている。天野文相をして言わしむれば、道義的に出さないわけにはいかんと言つておりますけれども、後に天野文相、岡野国務相の発言はまちまちになつてしまつて、結局三十五億の中には七億二千万が入つていないということを前の臨時国会に言明するに至つた轍があるのです。丁度そのこの舞をやつているように思うのですが、これは地方財政委員会のほうでも発言してもらいたい。
  122. 木村清司

    政府委員木村清司君) この今のつまり千二百九億、地方財政委員会といたしましては、要求額千二百九億の中にも入つております。それから千百億を算定された政府決定の中には一億四千万円か入つておるわけでありまして、一億四千万円が政府決定の案の千百億の算定基礎の中に人づておるということは事実であります。積算の基礎の中に人つております。(「それだけじや答弁にならないよ」と呼ぶ者あり)ただ私どもといたしましては、そのそういう算定の千百億は無理があるということにつきましては、大蔵当局と私ども見解相違があることは先ほど縷々申述べた次第であります。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体教科書の問題について伺いたいのでありますが、どういうふうに見られておるのですか。最初單価は七十二円というふうに見ておられるのです、一年生の。ところがその後実際を見ますというと、二十五年度あたりは実際の価格が二百一円くらい、こうい数字が出ておるのですが、そうすると先ず第一に内容が非常に貧弱になつて来る。それから更にその後の紙代やその他の値上りを見ますというと、二百一円でも間に合わない、としても二百四十円程度のものを持たなければ不可能だという数字が我々にはつかめているのでありますが、そうしますと、七十二円というと必要額の三分の一程度にしか当らない、こういうふうに思うのですが、こういう点についてその後の物価の値上り、こういうものによつて破綻が来ていると思うのですが、それらをどういうふうにお考えですか。
  124. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 今までのところではこの二億八千万円というのでやれると考えております。併し今後どういう値上りが起るかも知れませんが、その際には大蔵大臣が、又改めて相談をするということを私に申しておられて、私は値上りがあつた場合には改めてその値上りの分だけは大蔵大臣と話合う気持でおります。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではお伺いしますが、いつの單価基礎にしてこれはお組みになつたのですか。
  126. 辻田力

    政府委員(辻田力君) お答え申上げます。予算を積算いたしまする場合におきましては、その当時におきまする(「何用ですか」と呼ぶ者あり)昨年の四、五月ですが、(「四、五月頃じやこれは問題にならない」と呼ぶ者あり)ちよつとお待ち下さい。その予算要求いたしますときの出ておりました現実の教科書を一々調べまして、それによりまして最低單価をとつたのでございます。(「何年何月だ」と述ぶ者あり)二十五年の四月であります。それからそのうちお話のようにいろいろな事情がございまして紙の値上り等もございますので、その点を考慮いたしまして、又最初は小学校一年生に国語と算数と理科の三つの科目について教科書を提供するはずでございましたが、この関係を実行いたしますれば、地方財政にも相当影響を持つて行きまするので、その点を考慮いたしまして種々研究の結果、今回は国語と算数の二科目に対しまして出しますし、又教科書の單価にいたしましても値上りいたしました部分を考慮に入れまして、積算しておるような次第であります。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初單価を聞かしてもらつて、その値上りの積算のあれを簡單でいいのですからそこだけです、そこを聞かして頂きたい。非常に微細のようだけれども……。
  128. 辻田力

    政府委員(辻田力君) お答え申上げます。最初計算いたしましたときは、小学校の算数については單価四十円、国語は六十七円三十銭、理科は四十四円八十銭ということになつております。それで尤も盲学校或いは聾学校の義務教育の一年生にあたるものはそれぞれ單価は違いまするが、大体普通の小学校におきましてはそういう單価なつております。今回におきましては、現実にそのうち教科書の需要の部数もはつきりいたしましたので、又一年生の教科書を出しておる会社もはつきりいたしましたので、それらを一々調べまして、この需要部数と現実の單価とを睨合せまして、そうして国語、算数、理科併せて百五十二円十銭ということにいたしましたのでございます。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、最初計画がその点から縮小されておるのですね。それからあとの負担になりますから、この負担をどういうふうに考えておりますか。大体二分の一という最初計画から言うと、三册だつたのが一册になり、その二分の一と、こういうふうに縮小されて来たわけなのですが、あとの二分の一はどういうふうに負担させようとしておられますか、文相に……。
  130. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 計画が縮小したことは誠に遺憾であります。併し今の国家事情においては、私は思うだけのことを必ずやるというわけに行かないから、できるだけのことをしようといつて減らしたわけでございます。それは勿論非常に残念なことですが、減らしたわけでございます。  それから財政のほうは、私はそれで足ると考えております。二億八千万円で足ると考えております。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 誰が負担するかとお聞きしておるのです、あとの分は。
  132. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) あとの分は先ほどから申しておりますように……。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方財政ですか。
  134. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 半分は地方財政です。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方財政ですか。その点が又非常にこれは大きな問題になつて来ると思うのであります。それからやるだけやればいいということはありますけれども、相当な準備なしにこういうことをやつていいのかどうか。無論我々は無償ということだけに対しましては非常に要求を持つておるわけであります。もとから主張して来た、四、五年前から……併し無償というようなものをこういう恰好でつまみ食い程度でやられることは非常に迷惑を感ずる。名前は無償で……併し七十二円のことは一体どうなるのです。例えばPTAの会費その他の東京都におきまするところの今から半年前の負担を見ますと、大体四百九十七円となつております。これは毎月納める。従つてこれと一年の大体PTAの会費その他の会費を学校に納めるのは、一人の小学校の生徒が、ここに例がございますが、これは最近の新入学の兒童ですね、こういうものの準備にどれくらいかかるか。全くこの最低のやりかたで以て、これは毎日新聞だか朝日新聞かに出ておつたのであります、二日前に。これを見ますと、大体小学一年生で九千円ということになつております。これは洋服とか雨傘とかその他の鞄とか、そういうものです。そうしますと政府のやつておる政策は、義務教育無償などという大きな題目を掲げております。併しながら実際父兄が負担しておる額の、大体私はPTAの会費と新人学の費用だけ計算したのでありますけれども、大体〇・五%にも足らないのであります。〇・五%にも……文相はこくいう実態を一体調査されておるのかどうか。七十二円ということで以てそうして義務教育を無償でやる、その実態を調べておるかどうか。そういうことを何らの計画なしに、むしろ一つのこれは吉田内閣の大きな政策だということを謳う上において、宣伝面においてはいいかも知れませんが、実態においては〇・五%にも達しないところの国庫補助をやつておる。而もそれによつて地方財政がやはり相当な負担を持たなければならないということになつて来ますと、これは何のために教科書を無償にするのかということが疑しくなる。そのほか育英資金並びに科学研究費の点についても今文相が説明されました予算の面について、なおいろいろお伺いしたいのでありますけれども、池田蔵相が画期的な予算の一つの例としまして、この義務教育無償負担ということを言われておるのですが、こういう実態で文相は、これで一体果して今言われましたところの要求額で或る程度満足されるとお考えになるのですか、その点伺います。
  136. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 只今の岩間さんのお考えはやはり一つのお考えでございましよう。そういう点において私と考えが違うわけで、私は今おつしやるように、父兄の負担が多いから少しでもそれを国家で補うということはよいことではないか、そうして趣意がよい以上、どんなに少しでもできるだけのことをするということはよいというのが私の考え方でございます。なお教科書というのは、これは要らないものを買わせるわけじやなくて必ず買うものなんですから、そういうものをたとえ一册でも二册でも私は国家或いは公共からして子供にやるということは、子供が学校へあがる際に、私の感覚ではどんなに子供は喜ぶだろうかと思つております。そういう意味から私はこれはよいことだと思つておるので、又私は今日社会に欠けているものは、国家とか公共とかという考えが非常に欠けておりますから、たとえ一册でもそれを父兄の手に渡して、子供はただ父兄の私有物ではなくして、国家公共がこの子供の前途に対して大きな期待を持つているんだと、正しく働いて正しく生きる立派な人間になつてもらいたんだと、そういう国家公共の精神をお伝えするということは、私は意味のあることではないか。併し国家財政上十分なことができないというのは私は遺憾千万でありますが、私は少しでもするということが意味があるという考えでございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 少しと言つて程度問題だと思うんです。大体今言いましたように、〇・五%というものは、名前だけは、看板だけはとるというのは、それは文相は恐らくそう考えていらつしやらないだろうと信じます。純粋ですから……。併し純粋を利用するものがないとは言えない、そういう形で以て盛んに羊頭を掲げて狗肉を売つておるという形をこれは来しておる。そうしてこれは国家がやつておると、そういうふうに思いやりがあると言われますけれども、併しここから起る弊害の面についてもお考えになつておるかどうかということであります。それは例えば、私は次に質問を進めたいのでありますが、例えばそうなりますと、これは教科書会社あたりの意見でありますが、我々はどうせ法案が来たら、工場や会社に行つて聞いて来ようと思うのでありますが、一体政府支拂というのは、いつでも遅れておるんです。そうしますと、こういう業者の立場から言いますと、相当のこれは資金がなければ運用できない。金融逼迫の時代におきまして、政府支拂が非常に遅れるというような形では、恐らくこの面がこれは非常に業者も喜ばないという者が出て来るんじやないか。もう一つはこういうような形で以て国家が教科書を與える、こういう精神はこれはどういうことになりますか、恐らく今の業者との関連におきましては、私は中小企業というような立場の人はだんだん整理されて来るんじやないか。そうして独占的な形体の方に動くんじやたいか。そういう形の中で、やはり一極の思想統制というものがこの教科書を通じて行われておるんじやないか。そういう関連から見ますとぎに、実は一億四千万円というようなものを投げまして、そういう面において大きな一つの昔の統制に、つまり文部行政が統制面を持つて来る、いわばもつとこれを突込んで見るならば、こういう時代との関連におきまして、時代の兆候の流れにおいて当然これは思想統制的な一つの機関としての性格を持つて来るんじやないか、文相自身はまあどう考えておられるかどうかということは、これは別問題であります。むしろ吉田内閣の性格並びに現在置かれておる日本の立場、こういうものから文相の主観なんかということは問題じやなくして、事実は、客観的な現実はぐんぐんそういうふうに動いて行くんじやないか、こういう面について大きな関心を持つものでありますが、文相はこの点についてどういう御見解を持つておられるかお尋ねいたします。
  138. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は昨日は衆議院の文部委員会では、文部省は教科書会社に利益のようなことを考えるのではないかと言われ、今日は岩間さんから教科書会社が非常に迷惑しておるということを言われるというように、いろんな議論がそこにあり得る、併しおよそ私はこの教科書を無償配布したから、それが思想の統制だというようなことは、私にはどうも呑み込めません、岩間さんのお説ですけれども……。教科書をただ子供にやつて、子供が喜んでそれを持つて行くということが思想の統制になるということは、私にはどうも了解いたしかねるのでございます。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府支拂の点はどうなつておるのですか、この点お伺いいたします。これは重要だと思う。
  140. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 只今岩間委員のお尋ねのようなことがないように、政府支拂につきましては、関係各庁と連絡いたしまして、年度初めに概算佛をして迷惑をかけないようにしたいと思つております。なおその間におきまして、金融上の措置でありますが、これにつきましては、やはり関係各庁と連絡いたしまして、特別の措置をいたすことに大体内定いたしておりまして、目下この手続につきまして話合中でございます。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、教科書を選ぶときにどういう手段を……これは法案を詳しく見ないとわからないのでありますけれども、どういうふうにしてきめて行きますか。例えば教科書会社がいろいろありますけれども、これはどういうふうな手段でこれをやりますか。つまり統制に陷らない、独占的な形体をとらないということに対して、どういう考えを持つておられるか。
  142. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) その点私は只今申落しました。一つ教科書を文部省が作つて、何かのイデオロギーを以て教科書を作つて、そうしてそれを全部に使えと言つたならば、岩間さんの御不安が当つて来るのですけれども、教科書会社の作る勝手な教科書を、勝手に選択して使えるのですから、そこにどうして思想の統制とかいうことが起り得るか、岩間さんは教科書のこともよく御承知ですけれども、一つのイデオロギーで作つておるわけでなくて、さまざまな資料からできておる教科書を、而も使う人が任意に選んで使つて、どうしてそこに思想の統制が起るかということについて私は了解できないのであります。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 文相は事情はそういう点御承知ないと思うのであります。成ほどそういうことになつております、建前は。併し実際この教科書のその後の作成の状況などから見て、第一検定の問題ですがね、認定の問題、これはどういうふうな統制が行われているか、むしろお伺いしたいところであります。何でも自由にすべてのものが認められて行つておるかどうか、日本の教科書を見て御覧なさい。はつきりと如何なる形で……更にそういう形で行つて、これは文部省のほうで、これは国庫から半額出すと、こういう形になつて来るというと、そこのやり方が非常に独占的なものに落ちて行く、こういう傾向を非常にとつて来るのであります。第一小さい金融面が、今でも中小企業の立場から非常に困る、苦しい、民主的なこれは教科書出版会社というのはどんどん潰れて行つておると思うんです。こういう点からますますそういう方向を助成すると、こういう形が出ると思うのでありますが、こういう点は文相は認識を持つておられないのですか。
  144. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) その点については、今まで三分の保証金が要つたのを一分にするとかいうことによつて、出版がし易くできると、こういう考を持つたわけであります。併しその点について却つて岩間さんとは逆に、こういう人たちを保護するんだということを、昨日は私は指摘されたわけなんでございます。だからこれはいろんな観点がら見られる。私自身の主観などは問うところでないとおつしやいますけれども、私も文教の府におる者として、できるだけまじめに考えて、できるだけよい教科書を出したいという考えで、何も一律に教科書を統制するなどということは私はないということを確信いたしております。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく私はやるならもう少し周到な準備をして、そうして本当にこれは義務教育無償だなどということに言えるような、少くともそれだけの財政的な負担の上においてやつてもらいたい。こういうことはつまみ食いに等しい。従つてこれは危い、こういう点を先ず教科書については考えるのであります。  その次に育英資金の……。
  146. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教科書のことで聞きたいんだが。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうぞお先に。
  148. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教科書のことが出ましたから、ここで少しお伺いしたいと思うのです。それは確かに義務教育を少しでも無償に推進しようという気持からこういうことをお考えになつた文部大臣の私は努力を多とする者です。併しただ問題は、朝鮮事変の将来に対する影響ということを考えなかつたということはこれは落度であつた。まあこれは許すとしても、非常にけちけちして、市町村に儲けさしちやいかんというので、当時の一番安い教科書を標準にとつたというのは、どうも大臣の下僚のかたが当を得なかつたと思うのです。一番安いのをとつたら、もうこれから市町村は一番安い本を先生に取らせる。それから教科書会社は安い本安い本と作るようになつて、質が下つて行くわけですから、やはり中等ぐらいを取つて置けばこのようなことがなかつたのですが、こういう事態が起きたのはそういうところに私は落度があつたと、併しむしろ義務教育無償を一歩でも進めるということでこういうことをお考えになつた大臣の努力を多とするものであります。併し私はここでお尋ねしたい点は、非常に私は結構なことだと思うのですが、それにはちやんとここに「国語、算数、理科等の教科書を無償で配布する」と四百九十頁に印刷してあるわけですから、これを二冊にするということは事業量の縮小になりますし、私は大臣にこれをこのままにして、そして日銀からでも金を借りてそうして補正予算で拂うというような方法も私はありはせんかと思うが、飽くまでも所期の目的の通りこの三册を小学校並びに盲ろう学校の一年生諸君に支給できるように私は努力してもらいたいと思うのですが、それに対する大臣の御見解如何でございましようか。
  149. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 今おつしやるように三種やりたいのはやまやまなんですけれども、併し私は国家財政の今日の事情を考えれば、今俄かにそういうこと改つめてやるというようなことは無理だという考えがありますから、この通りやりたいと考えております。
  150. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは大臣この方針は、去年は二年、三年と逐次学年を進めて行くお考えでありますか。それとも本年に限つて支給する、一年生に限つて支給するという、こういうお考えでございますか。義務教育無償推進の立場からちよつとお伺いいたしたいと思います。
  151. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) それはできれば来年は二年をやるとか、その次には三年というように行きたいのですけれども、私は今の日本の実情を見れば、今日直ちにそういうことをきめてしまうというのは無理ではないか。地方財政委員会などのいろいろのお考えを承わるとそれは無理ではないかという考えがありますから、来年は来年になつて改めて検討をして行きたい。併し私は是非ともだんだん進めて行きたいという考えでおります。
  152. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 義務教育無償なんというのはこれは憲法から打出されて来たことで、そういう基本的な教育のことが、そのときどきのささやかな経済状態でくるくる変るようでは私は文教政策として非常に重さがないと思うのです。少くともこれを出す以上は、今後一カ年ずつ進めて逐次九カ年の後には完成するのだというぐらいな決意を以て達成しなければ、これは大山鳴動鼠一匹という部類で、その点では岩間君が言われるところの羊頭を掲げて狗肉を売るというような批評を受けることになりはせんかと私は考えるのであります。  もう一つ教科書のことについてお伺いいたしますが、義務教育無償という立場から教科書をただで渡してやりたいという気持はよくわかります。併しこの教科書の問題について、それよりもう一つ私はやはり政府として考えてやらなければならん問題があるのではないか。それは私は何も教科書会社を被うというわけではないのですが、実際義務教育の学齡兒を持つておる父兄は教科書の問題で困つておる。というのは学年初めにどの府県でも一年分の教科書代を全部取つてしまう。殊に庶民階級で一度に何百円と取られるから非常に困るので、どうしてそういうことになるかというと、結局教科書を製本するに当つての資本がないというので、そういうようなことをやるわけですが、別に教科書会社を被うのでないのですけれども、実際子供の買う教科書でも至急に困るとあれば、何か国家で金をそういう方面に貸してやる。そうして庶民階級の父兄が教科書を買うのに困らないように、而も学期初めに教科書が渡るというような金融措置を、私は一、二册の本を與えるのも結構ですが、それにもましてそういうことをする必要があるのではないかと、こう考えるのでありますが、それについて大臣はお考えになつたことがございますか。それともどういうようにお考えになりますか。
  153. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教科書が滯りなく生徒の手に渡るということはこれは是非とも必要なことでございまして、それにつきましては教科書が間違いなくできるようにという考えから、先ほど申しましたように、今まで三分であつた保証金を一分にするとかよう措置を講じたわけでございますが、併しそれだけではやはり不十分で、矢嶋委員がおつしやつたような点も考慮をしなければならないかとも思つておりますが、それに対するまだはつきり考えが出ておりませんから、それは確かに一理あるお考えだと思いますので、私のほうでもよく研究してみたいと思つております。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう時間がありませんから、教科書問題だけになると思うのですが、どうも一生懸命で天野文相が説明される点には敬意を表するのですが、ひど過ぎると思う。これは四大政策の中で今度の予算に関して池田蔵相が述べておる参議院本会議の記録によりますと、ここに記録がありますが、「義務教育費につきましては憲法の精神から考えまして、今年の四月からは、四月にお入りになる生徒には教科書を無料で上げることにいたしまして」と堂々とこういうように述べておる。併しこの実態が、私が今申しましたように最低父兄にかかる負担が一千分の五に至つては実にこれは問題だと思う。これは政治ではないと思う。こういう点について單なる一つの目隠し、或いは選挙運動だという気がする。文相自身がどういうふうに純粋にお考えになつておるかということは問題ではありません。こういう点についてこういうような形で我々が多年主張したものかつまみ食いで果たされるということに非常に憤りを感ずる。私はこの点をはつきりここでお伝えして置きたいと思います。
  155. 波多野鼎

    委員表(波多野鼎君) 答弁はよいですか。どうですか。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 答弁はもう結構です。
  157. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) では本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            平岡 市三君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            泉山 三六君            長谷山行毅君            一松 政二君            深水 六郎君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            内村 清次君            永井純一郎君            山田 節男君            吉川末次郎君            原  虎一君            若木 勝藏君            高良 とみ君            西郷吉之助君            前田  穰君            菊田 七平君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会   事務局財務部長  武岡 憲一君    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省大臣官房    会計課長事務代    理       相良 惟一君    農林政務次官  島村 軍次君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君