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1951-02-19 第10回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十九日(月曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それではこれから審議を開始いたします。  本日は日程表にございますように、労働社会に関する問題、特に雇傭状況失業対策生活保護社会保險結核対策等について労働省厚生省関係事項審議したいと思います。本日只今出席政府委員労働政務次官山村治郎君、労働省労政局長賀來才二郎君、職業安定局長齋藤邦吉君、労働基準局長中西貴君、官房会計課長亀井光君でございます。先ず労働政務次官山村治郎君に御報告願います。
  3. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) 労働関係の御審議の前に、今回の昭和二十六年度一般会計並び特別会計予算につきましてその御説明を申上げたいと思います。  今回提案されました昭和二十六年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管歳出予算につきまして大体御説明申上げます。労働省所管会計一般会計のほかに、労働省災害補償保險特別会計及び失業保險特別会計の二特別会計がございます。先ず一般会計歳出予算総額は百七十二億六千六百万円でありまして、ほかに建設省所管官庁営繕費六千三百万及び総理府所管地方財政平衡交付金に統合されたもの一億九千三百万が労働省関係分として計上されておりますので、その合計額は百七十五億二千四百万となり、昨年度に比べますと、約三十二億円の増額なつておりますが、その内訳失業対策事業に二十二億五千万円、失業保險特別会計の繰入れに四億五千万円、政府職員等失業者退職手当に一億八千万円、雑件に三億の増額が主なものであります。一般会計経費を大別いたしますと失業対策事業費七十七億五千万円、政府職員等失業者退職手当三億円、失業保險特別会計への繰入れ六十三億九百万円、雑件二十九億七百万円となります。  第二に労働者災害補償保險特別会計について御説明申上げます。本特別会計は御承知通り労働者災害補償保險法によつて労働者業務上の事由による負傷、疾病、癈疾又は死亡に対して災害補償を行い、併せて労働者福祉に必要な施設をなすことを目的とする保險事業会計でありまして、全額使用者負担特別会計でございます。本会計歳入歳出とも総額百九億九千九百万円でありまして、昨年度に比べますと、約六億五千万円の増額なつておりますが、その内訳保險金に一億三千万円、保險施設費に一億円、業務取扱費に八千万円、予備費に三億五千万円の増額が主なものでございます。  第三に失業保險特別会計について御説明申上げます。本特別会計は御承知通り失業保險法によつて労働者失業した場合に、失業保險金を支給してその生活の安定を図ることを目的とする保險事業会計であります。これが費用負担政府事業主労働者の三者持ち寄り特別会計でありまして、うち、政府保險給付に要する費用の三分の一顧と事務費のうち運用收入雑收入を以て支弁できない部面を負担し、使用者及び労働者失業保險法に定める失業保險料率によつておのおの同額負担する建前なつているのであります。本会計歳入歳出とも総額二百七億一千六百万円でありまして、昨年度に比べますと約十三億五千万円の増額なつておりますが、その内訳保險金に三億円、業務取扱費二億三千万円、予備費八億三千万円が増額の主なものであります。  以上を以て労働省所管関係歳出予算の大要を申上げました。本年度におきましては国家財政の見地から極力機構の整備並び物件費等の節約を図つて計上いたした次第でございまするが、労働省各局予算につきましては御質問に応じまして政府委員より御答弁させたいと思います。何分よろしくお願いいたします。
  4. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の御説明の中にこの刷物に出ておる二十六年度労働省所管一般会計予算要求額、この御説明があつたんですが、一頁に総理府所管と括弧してその下に平衡交付金一億九千ですか……これが出ておりますが、平衡交付金に統合されたものというふうに御説明になりましたこの平衡交付金というやつは、これは一本で各府県自治体に交付するものであるから、その内容が、その使途目的というものが交付する場合にきまるべきものじやないと思うのだけれども、その辺、どんな関係なんですか。
  5. 亀井光

    政府委員亀井光君) 御説明申上げます。各省所管関係平衡交付金につきましては、各省予算折衝によりまして、各省ごとに一応決定をいたしましたものを総理府におきまして取りまとめる。そうしてそこで平衡交付金一本に計上するというやり方をとつておるのでありまして、この資料の終の頁から五枚目に一括してその内容が書いてございます。地方労働行政に必要な経費労政事務所に必要な経費地方公営企業労働関係法施行に必要な経費職業補導地方職員に必要な経費地方労働委員会に必要な経費、この五つ事項労働省関係平衡交付金としまして、総理府の総体の平衡交付金の中に織込まれておるという形になるわけであります。
  6. 波多野鼎

    波多野鼎君 それはわかるのですが、そういうふうに平衡交付金というものを使途別に計上することが平衡交付金法の精神なんですか。
  7. 亀井光

    政府委員亀井光君) 平衡交付金は一括総括的に予算を計上するということになりまするが、その内訳としまして労働省関係では今申上げました五つ事項について、その平衡交付金のうちに含まれているということになるのでございまして、ただこれを地方平衡交付金として配分する場合におきましては、どういう額がどの県にどれだけ行つたというふうなことは非常に不明確になるわけでございまするが、一応労働省所管平衡交付金財源としてはこれだけあるということは、ここから基本が出て参る、こういう性格のものであります。
  8. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうしますと、この平衡交付金として計上されているものが各府県に分配された場合に、その府県労働省が考えているような方針においてこれを使用することがない場合もあるでしようね。
  9. 亀井光

    政府委員亀井光君) そういう場合も予想されるのでございまして、我々がこの平衡交付金地財のほうから地方に流す場合におきましては、この積算の基礎になりました趣旨則つて地方にそれぞれ配分されまするよう申入をいたしまして、地方における行政運営に支障のないように努力いたしたいと考える次第であります。
  10. 波多野鼎

    波多野鼎君 そういう趣旨はよくわかるのだが、それは平衡交付金を受けた地方団体がその趣旨を尊重すればいいのだけれども、尊重しない場合に何ら強制力はないわけですね。そうしますとこの予算項目の上で総理府所管平衡交付金に統合されたものとして、特別に出すことの意義は、ただ労働省所管予算総額を見積る上においてこういうような基礎でやつたのだという参考材料としてこれは出されたというだけの意味なんですか。
  11. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) お説のごとくに、平衡交付金につきまして本省からの強制権はございません。従いまして只今説明申上げました数字平衡交付金の算定のための基礎数字といたしまして、参考に申上げました次第であります。
  12. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは質疑を始めます前に、今御出席政府委員から逐次各局別に御説明を願いたいと思います。如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは労働省労政局長賀來才二郎君。
  14. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労政局所管をいたしております仕事の主な事項は、御承知と思いますが、大体健全な労働組合の発達を助長するということと、もう一つ労資関係調整を図りまして紛争議等を平和的に早期に解決して行く、これが主要な仕事なつているわけでございます。関係予算といたしましては、お手許に差出しております資料の二枚目の裏のほうにございまして、項目といたしましては労働組合法施行に必要な経費労働関係調整法施行等に必要な経費労働関係団体の指導に必要な経費労働教育に必要な経費労働組合福祉活動助長に必要な経費地方公営企業労働関係法施行に必要な経費地方労働行政に必要な経費、これはあとで御説明いたしますが、大体かようなことになつております。このうち地方労働行政に必要な経費は、来年度から平衡交付金によつて、従来地方労働行政に対しまして出しておりました補助額と殆んど同額平衡交付金の計算の基礎にしてもらうということであります。組合法労調法等施行に必要な経費につきましては大差ございません。又労働関係団体資料と申しますか、どういう状況なつているかということに関しましての状況を調べ、或いはその状況を知らせるというふうな経費につきましても大差ございません。ただ労働教育に必要な経費におきまして四百四十五万八千円の増額なつております。これは資料を配付いたしまする資料経費増額でございます。労働教育につきましては、原則として組合自体或いは組合員自体に対して直接教育をする方針はとつておりませんので、労働組合がみずから自主的に教育をするという建前に対しまして、その教育に必要な資料を提供する、こういうふうなインフオメイシヨンの立場をとつているのであります。この資料の配付だけの増額をいたしております。それから労働組合福祉活動助長に必要な経費と申しますのは、これも労働組合自体が自主的にやるべき仕事でありますが、これに関しまする資料労働組合みずからがやりまするにつきまして必要な参考資料を配付するという建前のものであります。地方公営企業労働関係法はまだ本国会に提案いたしておりませんが、地方公務員法の制定に伴いまして地方公益企業に関しまする労働関係につきましては、別途定めることになつておるのでありまして、これが大体今月末には国会のほうへ提案する運びになるものと考えております。これに伴いまする経費を計上いたした次第であります。甚だ簡單でありますが、所管事項を御説明申上げました。
  15. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは引続きまして、労働基準局長中西實君にお願いします。
  16. 中西實

    政府委員中西實君) 労働基準局所管行政は御承知労働基準法施行を中心にいたしまして、更に業務上の災害補償のための災害補償保險事務を併せてやつております。お配りいたしました資料の中で大体今年度予算と比べまして若干の増はございますが、基準行政は大体が、人とそれから旅費というのが主でございまして、事業費は殆んどございません。出先労働基準局並びにその更に出先労働基準監督署、これあたり予算の総合計のうちで人件費が七六%を占めておりまして、殆んどが人に伴う経費を以て占めておる事情でございます。本省の分につきまして、特に政府の力を入れて参りたいと思つておりますのが、6にあります労働基準監督官研修所に必要な経費、これが約倍額増額されております。基準法施行運営ということが最も我々といたしまして重要視いたしまして、つきましてはこれに従事する職員研修ということを来年度は十分にやつて行きたい、かようにお願いしてこの増額を見込んでおります。次に五枚目の労働保護官署というところにありますが、これが出先の都道府県基準局労働基準監督署費用を計上してございます。大体今年度大差ございません。人件費増あたりで若干の合計におきまして増になつておりますが、殆んど変りございません。ただこの5にあります労働保護官署庁舎等購入に必要な経費、これがやはり倍額以上に殖えたのでございますが、出先庁舎が、発足してまだ日が浅いものでありますので、非常に庁舎整備されておりません。増額をしまして若干でも出先庁舎整備をしたいというので増額なつております。それからしまいから三枚目のところに労働者災害補償保險特別会計、これにつきましては実は本年におきましても料率の不適正もございまして、二十四年度から二十五年度にかけまして約十三、四億の未拂の持越しをいたしまして、つまりそれだけの赤字持越して参つたのであります。従つてこの点につきまして我々としまして赤字解消に来年は特に力を入れたいと思つております。それにつきましては結局災害の減少を図る必要がございますので、若干本省費地方費安全教育費用増額いたしまして、それと保險関係業務の刷新と両々相待ちましてこの赤字解消を図つて行きたい、かように存じております。誠に簡單でございますが、以上一応基準局所管説明を申上げました。
  17. 佐多忠隆

  18. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私から職業安定所関係予算につきまして、主なる点を御説明申上げたいと思います。職業安定局明年度本省地方庁分並び失業対策事業といつたような事業費予算を含めまして、国の負担分明年度総計におきまして百六十億になつておりまして、昭和二十五年度補正予算を加えまして百三十億円でありましたので、差引二十九億七千八百三十九万円の増加なつておりますが、増加の主なる内容失業対策関係事業費予算がその大半を占めておるのであります。お手許にお配りしておりまする予算書の四枚目の表頁に本省分経費が計上されておりますが、この本省分経費の中に失業対策関係のものが計上されております。即ちこの四枚目の8という欄に失業対策の実施に必要な経費七十七億五千万円、これが最も大きな金額を占めておるのでありまして、明年度におきましては今年度労力費の三分の二、事務費の僅かな部分を補助いたしておつたのでありまするけれども、明年度のこの七十七億五千万円におきましては或る程度資材費補助をも明年度から新規に行うことといたしまして、七十七億五千万円によりまする吸收労務者の数を一年を通じまして毎日と計算いたしまして、二十五日稼働として約十七万人というものを吸收するという予算に相成つておるのであります。この七十七億五千万円でありまして、前年度五十三億に比較いたしますと二十四億五千万円の増と相成つておるのであります。次に事業費として大きいのは四番目にありまする失業保險特別会計の繰入でございます。明年度予算特別会計の繰入の経費六十三億九百四十一万円でありまして、本年度の五十八億六千五百十二万円に比較いたしますると四億四千四百二十九万円の増と相成つております。この繰入の内容は御承知失業保險金の給付の三分の一並び本務取扱経費、これが国庫の負担分と相成つているのであります。この際に失業保險特別会計を申上げますと、一番最後の紙に失業保險特別会計がありまするが、これによりますと明年度保險金一般失業保險並びに日雇失業保險引つくるめまして百七十五億二千五百二十万円と見ておりまして、これの三分の一、これが一般会計よりの受入なつているのであります。即ち保險金として繰入が五十九億六千六百四万円であります。更にそれと郵便事業特別会計からの受入、これは日雇失業保險関係でありますが、それが四億五千六百万円、これが保險金内容でありまして、一般会計よりの繰入は六十三億九百四十一万円ということに相成つておるのであります。なお失業保險特別会計におきましては、一般保險料收入といたしまして百六億を計上しているような次第でございます。この特別会計への一般会計よりの繰入が六十三億九百四十一万円、これが本省分経費に計上いたされている次第でございます。  次に事業費として大きいものは、その四枚目の九番目にあります失業退職政府職員等に対する退職手当に必要な経費三億でありまして、本年度に比較いたしますると一億七千七百五十万円の増と相成つているのであります。その他本省分経費として特に殖えておりまするのは、一般公共職業補導所に必要な経費二億一千五百八十一万八千円、前年度に比べまして四千二百二十六万円の増と相成つております。これは現在全国に大体三百個所の補導所府県が設置し、これに対して国が補助いたしているのでありますけれども、明年度におきましては最近における労働需要状況に鑑みまして約五十種の種目の増設をいたしたいと考えますので、その増加分四千二百二十六万円が含まれているのであります。  以上が本省分に組まれております事業費の主なる内容でございまして、そ  のほかの内容は前年度とほぼ同じでございます。従つて本省分人件費等或いは旅費等その他が見込まれているの  でありまして、これは前年度とほぼ同様でございます。  次に地方機関の分でございますが、六枚目にございます職業官署とありますこの職業官署の中に含まれて偽りまする予算は、府県庁にあります職業安定関係行政機関並び公共職業安定所運営に必要なる経費でございまして、前年度と比較いたしますると職業官署分総計十三億六千四百三十五万三千円でありまして、本年度に比べますると約八千八百七十四万円の増と相成つている次第でございます。増加の主なる内容は、最近安定所職員が非常に人手不足でありますので、最近の事務量に比較いたしまして人手不足でありますので、公共職業安定所新規に約九百人を増員いたしたいと考えておりまして、その九百人の増員分経費がその増加の主たる内容であります。そのほかの経費につきましては、旅費その他の点につきましては前年度とほぼ大差なく計上いたされておる次第でございます。  以上が職業安定所関係予算のうち特に重要な点を申上げた次第でございます。
  19. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 以上で大体労働省関係政府委員の御説明を終るわけでありますが、御質問ございませんか。
  20. 山田節男

    山田節男君 まだ婦人少年局説明がありますが……。
  21. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) これも御説明願いますか
  22. 亀井光

    政府委員亀井光君) 婦人少年局予算につきましては、大体前年度事業或いはその事務を踏襲をいたしておるのでございまして、特別新規事項はないのでございますが、ただ予算面におきまして昨年よりも多少減額にたつておりますのは、来年度二十六年度予算措置におきまして、予算査定の際に旅費につきましては査定を受けました額の五%を節約し、それから物件費につきましては一〇%を節約しまして、それで二十六年度給與ベースの引上げの財源に充てるという査定方針に則りまして、そういう関係で減りましたものが主な減り方でございまして、そのほかに特別に新規事項は計上されておりません。
  23. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 以上で大体御説明を終ることになります。質疑を願います。
  24. 波多野鼎

    波多野鼎君 平衡交付金の問題を少し聞きたいのですが、平衡交付金を一本の形で地方へ渡すということになつていろいろ問題があると思うので、その問題があるためにいろいろ聞きたいことがあるわけですが、こういうふうになりますと、今までの労働行政に必要な経費というものを平衡交付金の中へぶちこんでしまつて一括して渡す。そうしてそれを受取つた地方自治体本省が考えておるような目的に使わない場合もある。而も使わない場合に、如何ともしがたいといつたようなことで国全体の労働行政というものがうまく行くかどうかということに疑問を持つのですが、その点はどうなんですか。
  25. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) 先ほど御説明申上げました地方平衡交付金の問題でございますが、この点は確かに県によりましては、これが本省として希望しております労働行政の方面へ使われない虞れも多分にあるのではございますが、併し最近の労働行政に対する各自治団体の協力によつて恐らく本省の希望のようにその分配方を按配してくれると考えている次第であります。
  26. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の労働行政に関する経費なんですが、それが本省が考えている目的に副うように使われておるかどうかということを監査するといつたようなそういう機能はあるのですかないのですか。
  27. 亀井光

    政府委員亀井光君) この平衡交付金基礎なつております労働省所管事項につきまして、それが本省で考えております通り地方において予算に計上され、又それが運営されておるかどうかということの監査の問題につきましては、労働省自体としては権限はないのでございます。ただ我々としましては、総理府を通じましてこれが予算執行の上におきまする適正化をしているかという程度しか今ありません。
  28. 波多野鼎

    波多野鼎君 同じ問題で教育費に関する地方教育費補助を従来やつてつたやつもやはり平衡交付金の中へぶちこんでしまつたということから、教育公務員給與の問題などについて大分問題が起きている。あれだけを分離しようという話が前国会以来あるわけなんですが、労働行政のほうへの経費をやはり或る程度分離するというような気持はないのですか。平衡交付金で  一括してやつてしまえばそれで安心だ、地方のほうはまあ適当にやつてくれるだろうというふうにお考えになるおつもりなのですか、何かその辺一応考えておられるのでありますか。
  29. 山田節男

    山田節男君 今のに関連してですね。今波多野委員質問に対しての政務次官会計課長の御答弁ですが、例えばこの費目で地方平衡交付金のうち、例えば割当なつておる労政局関係ですね。職安関係も二百五万五千円あるけれども、大体労政関係並び地方労働委員会手当なり、従来各県によつて非常にまちまちになつておる。今のような工合にして地方交付金割当てると委員手当なんか大体労働省なり、労働省労政局で以て一つ標準を、基準を示して支出するように私は指令すべきじやないかと思うのです。ですから今のような工合になつて労政局関係が、一体地方にこれだけの労働関係に、各県に必要と言いますか、大体標準従つてABCぐらいに分けて費用割当てるということでなければ現場においては仕事ができない。ですから殊に労働関係はそういつたような平衡交付金割当を一体どうして出先で、或いは県でやつておる労働行政機関が動けるようにするのか。これはやはり何か指令がなくちやできないと思うのです。何か具体的なものができておるのですか、又するのですか、それを併せて説明をお聞きしたいと思います。
  30. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働行政、特に労政関係行政に関しましては、終戰後新らしい形で労政がやられるようになりまして、今日なお日が浅いのでございます。而も今御指摘労働委員会制度につきましても、現行の労働組合法によりまして終戰後にできた問題であります。労働関係が非常に紛糾を来たしておりますときには地方自治体相当注目をいたしましてそれぞれ考慮をされるのでありまするが、とかくこれが平常の、正常な状態にありますとさような注目もだんだん薄くなるという傾向が今日ございます。従いましてこの労政関係、特に地方労政機関に対しまする補助制度をとつて来たということについては理由があつたのでありますと共に、明年度からこれを平衡交付金に廻しますことにつきましては、我々当事者といたしましては相当危惧の念を持つておるわけであります。併しながら地方財政法立場、或いはシヤウプ勧告に基きまする地方財政委員会方針内容等からいたしますと、この大きな方針に対しまして特に労政だけ除外例を設けるということは非常に全体として至難な状況にあるようでございます。この予算編成までに相当地方財政委員会、或いは大蔵省等ともつて見ましたが、この大きな方針から見まして原則として止むを得ないであろうという立場からかような予算を組んでおるわけであります。御指摘のように労働委員会機能は十分に発揮されるということは、最も大きな原因といたしましては、やはり委員が立派な人であるということが必要であります。委員の立派なかたを選ぶというにはやはりそれだけの報酬を差上げるべきであるということは我々としても十分わかつておるのでありまするが、地方財政法その他の立場からいたしまして、これを幾ら幾らに出すべきであるということを定めることは非常に至難であります。目下は各地方條例によつてこの委員手当を定める、かようなことにいたしております。従来の補助予算の組み方といたしましては、大体ABCというふうな考え方で、大きな県はA級、小さい県がC級というふうな配分の仕方をいたしております。一応慣例はできておりますと共に中央の考え方としてはかようにしてもらいたいというような意向は伝えてありまして、ほぼそれに副つておるようでありますけれども、併しこれに対する強制力と申しますか、拘束する方法はないのでございます。つきましては御指摘の点は十分我々としても危惧の念を持つておるわけでありますけれども、原則がさような状態でございますので、この方法によりました結果は十分注意をいたして見たいと、かように考えておる次第でございます。
  31. 波多野鼎

    波多野鼎君 今賀來局長の説明よくわかるのですよ。シヤウプ勧告などが出て一般的な原則がきめられた、その枠内で予算的な操作をした。これはよくわかる。ただ問題はそういう一般原則そのものをもう一度再検討すべきじやないかというところに問題がかかつているわけなんです。そこで先ほど次官が言われたように、こういうふうに平衡交付金の中へぶち込んで渡したつて大したことはなかろう、うまくやつてくれるだろうといつたような、そういう考え方ではこれは再検討するという機運は向いて来ないのですよ。そうじやなくて労働行政立場から言えば平衡交付金の中へぶち込まれるのは困るのだ。そういう問題を討議すべき材料なり、そういう点に注意しながら御答弁が願いたいと思うのです。実は教育行政の問題も同じことが起きておるので、何でもかんでも平衡交付金の中へぶち込んでしまうのは、いろいろな問題がすでに出ておるのですからして、賀來氏が言われたような点もそれはよくわかるのだが、併しそれでも問題があるのだ。それでも問題があるのだという点をやはりはつきり労働行政のほうでも掴んで置いて頂きたい。掴まなければ困ると思うのです。その点を特に希望して置きます。  それからもう一つ、今の平衡交付金の問題に関連してですが、この第六枚目ですかに地方職業行政運営に必要な経費というのは本省では持つてつて地方労働行政に必要な経費というのは平衡交付金の中に入れておる。これは何ですか、どういう経費平衡交付金の中へぶち込めというのが指示されているわけなんですか。具体的に……。大体似たような職業行政に関する経費本省で持ち、地方労働行政に関する経費平衡交付金へぶち込む。どういうところに区別のあれがあるのですか。
  32. 亀井光

    政府委員亀井光君) 六枚目の職業官署におきまして地方職業行政運営に必要な経費として計上いたしておりますのは、公共職業安定所運営に必要な経費でございまして、御承知のように公共職業安定所は国の機関でございまする関係上これは当然国費において計上すべきものであるという原則からこういう計上になりまするし、又地方の各県の労政並び労政事務所府県知事がこの機関を監督するという形になつておりまする関係平衡交付金という問題がそこに現われて来るわけであります。
  33. 山田節男

    山田節男君 さつきの賀來さんのことに関連してですがね。最近各市町村の首長ですね。市町村長、それから議員、それから公安委員教育委員、こういうような手当が多いものは倍、或いは三倍ぐらいになつておる。ところが地方労働委員会委員長とか、委員というものの増額はさつぱりないのですね。これなんか見ても私はやはり今言つたような、果してその出した、割当てられた地方平交衡付金が労働行政にはつきり届かないということは一つの大きな原因があるのじやないかと思うのです。これは一つ労働省としてこういうような不均衡な点を是正するという何か手を打つているのでしようか。それを一つ聞きたいと思います。
  34. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働委員会委員手当は中央労働委員会にありましては、一般職の公務員給與法から出ておるわけでありまして、これは非常勤の委員といたしまして昨年の終りに給與法が改正せられるまでに一日に付き千円以内ということになつておりました。それを基礎にいたしまして予算を組んでおつたわけであります。ところが十二月に一般公務員の給與が改訂になりますと共に、これら非常勤の委員に対しまする手当も千円から千八百五十円までに枠が増加せられたわけでございます。従いましてこの枠に従つて中央労働委員会委員手当増額をするということで、目下大蔵省と打合せをいたしておる次第でございます。公共企業体労働関係法によりまする仲裁委員、調停委員につきましても同様な立場から増額の打合せをいたしておる現状でございます。で地方労働委員会に関しましても、これは中央におきまする改正の趣旨に従い、なお地方公務員の給與等の関連から見まして、適当なる増額をして頂くように地方に対しまして打合せをいたす予定にいたしております。
  35. 山田節男

    山田節男君 これは労政局長の質問から一応私先にいたしたいと思うのですが、労政事務所、各県にある労政事務所機能の問題ですがね。どうもその現場を見ると非常に不活撥だと、その原因はやはりこの全国的に産別的な組合を持つておる組合はこういつたような、このまあ労働教育と言いますか、或いは労働組合のほうの適正運営というようなことについても、そういう大きな組合はもう自力で相当程度つておるのですから、例えば大きな市のような工業都市なんかに行くと、労政事務所のフアンクシヨンが、機能が殆んど開店休業と、極端に言えば、その極端な言い方をすればそういうようなふうにも思われるような点が多々あるのですね。ですからこれは前に労政事務所の数を整理されたのだが、この労政事務所の現在の機能状況から見て、これは数が多過ぎるのじやないか。本年度予算でもこうした四百何十万円か労働行政に関する費用を計上されたわけです。これは非常にいいことですが、この労働組合が或る程度まで発達した以上は、むしろこの労働教育その他労政事務所機能の一部は、この労働組合に委託と言つては何だけれども、労働組合にやらしたほうが能率的であり、又経済的じやないかと思うのです。労政局長として現在の各県における労政事務所の配置、数、それから労働教育に関してただこの一般の数だけでは何もならないので、むしろ今日の労働組合というものは、やはりこの労働統計調査というようなもの、的確な資料が欲しいのですね、そういうようなところから見て今日の労政事務所機能もややもう時代の要求に合わないのではないか、この点に関してやはり依然として現在の労政事務所の数なり機能を現状のままで行く方針なのかどうか、これを一つお聞きしたいと思います。
  36. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) すでに御承知と思いまするが、労政事務所終戰後労働組合法施行いたしましたときに各市或いは警察署單位にありました戰争前の労働関係の官署との関係からいたしまして、四百三十数ヵ所が取りあえず設置されておつたのであります。ところが実際の状況は数は多かつたのでございますが、一ヵ所当りの経費も、又人員も非常に少い状況でありまして、施行当時におきましては組合の設立の届出或いは指導等でそれでもいろいろ仕事ができたのでありまするが、漸次組合が発達いたしましたに連れて非常に少い人間と少い経費では却つて効果が薄いというので一昨々年であつたと思いまするが、御指摘のような趣旨からいたしましてこれを二百七十ヵ所に減少いたしまして、一ヵ所平均の従業員は十名程度を目標とするという大体の方針をきめましたこれによつて個所の整理はいたしたのであります。ところが現在の実際の状況は一ヵ所当り七・何人という程度の人員の配置になつておるわけでございます。御指摘のように逐次労働組合に対しまする官公署の助長、指導という面は労組合の発達に反比例いたしまして退いて行くべきだという基本方針は持つておるわけでございますが、目下の労政の問題は中央の大きい組合は別といたしまして、まだ無組織の労働者が約四割、その数は推定いたしまして四百万人近いのであります。又問題はやはり大きい中央の組合には余りありませんが、地方の小さい企業單位の組合、例えば百人以下のような組合になりますると、まだまだ組合活動というものが十分に行つておりませんし、健全にもなつていない点がございますわけであります。目下やつておりますのは、これは特に労働教育のうち、労働協約の締結によつて労使関係を正常な状態、平和な状態に持つて行くようにという指導をいたしておるわけであります。従いまして地方庁に対しましては成るべくこれを数を少くするが、有能な人を以て充実をするようにという基本方針はとつておりますけれども、俄かにこれを現在の状況において全部県に集約するということにつきましてはまだ時期が早いのではないかと、かように考えておる次第であります。併し方針といたしましては、御指摘のようにこれを一応数は減りつ一ヵ所の力を有能なものにして行きたい、同時に労働組合が十分発達して参りますならば労働教育等はみずからの力においてなすようにやつて行きたい、かようには考えております。
  37. 山田節男

    山田節男君 最後に質問した、これは労政局、或いは統計調査ですか、問題だと思いますが、労働教育という面が單なる講習会で各界の権威者を持つてつて講義をすると、こういうようなことも実際的には余り効果が挙つていないのではないか、むしろ労働教育というものをもう少しこれを改革して、やはり労働統計というものを労働省としたらば的確なものを、正確なものをやはり分類においても労働組合に必要なような、労働組合を啓蒙するような、或いは従来の争議を見ても非常に不的確な数字基礎にして経労者も労働組合もやつておるのが多々あるのであります。労政事務所の重要な機能として労働教育、広い意味の労働教育、そういつた資料をどんどん出すということは考えておられないのか、又やる計画はあるのか、それをちよつとお聞きしたい。
  38. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 目下我々がやつております労働教育に関します資料の配付は主として労働組合運動のあり方についての資料が主要な資料なつておるわけでございます。併し御指摘のように各労働組合が一番やはり困つていることにつきましては、これは統計、労働関係の的確なる資料を得たいという希望があることは十分わかつておりますと共に、労働統計部におきましてもこの点について非常に御努力をされておる状態でありますが、やはり将来はどうしてもこの点につきまして十分な正確な的確な資料を非常に多く配付し、又的確な資料を出し得るような組織ができることが最も必要であるといろ点は御意見の通りに考えておる次第であります。
  39. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 我々がやつております仕事は統計調査でありますが、只今指摘のように殊に統計調査をするということだけでなしに、それを広く労使一般に供給する、特に労使に供給して的確な資料によつて労働関係の助長発達を図るというのを我々ももとより最も大事な仕事と考えております。従つて私どもの仕事といたしまして、統計の結果はもとより、その結果に基きましたいろいろな分析の結果というものを、現在予算を頂きまして無料で配付する部数があるのでございますが、その大部分は労働組合、経営者団体というところに主として配付しております。ただ予算関係でその部数に制限がありますので、いわゆる有力組合というものにしか配付できないのは遺憾でございます。そこで私どものほうで労働統計につきまして労使の代表の方に随時集まつて頂きまして労働統計に対するいろいろな懇談を行なつておりますが、この人たちと相談いたしまして何らかの方法によつて資料は我々のほうで提供いたしますが、その我々の提供しました資料関係の組合なり経営者のほうにうまく配付される、利用されるような組織なり機構を労働組合・経営者団体のほうとしても考えて頂くということについて今話をして研究はしております。どうぞその点御了承願います。
  40. 山田節男

    山田節男君 とれは前に局だつたものが労働省設置法で部になつたわけですが、これつばかりの予算で以て今言われることが果してできるかどうか。ですから私のさつき労政局長に関連して質問したかつた点は、ただパンフレツトを作つて配るというものでなくて、労働統計とか何とかいう月刊雑誌を出しておられるが、ああいつたものでなくて、もつと労働組合に便利な、部分的に分けて、例えば雇用と賃金の問題、或いは労働時間の問題、或いは婦人労働、少年労働、こういりたものに分けてその差別々々によつて出してもらうと非常にいいのですけれども、そういうことはこの予算じや到底できませんか。
  41. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 誠に御同感でありまして、従来の統計の結果は発表形式が非常に抽象的であるということ旧我々は随分日頃から反省しているところでありまして、我々の仕事といたしましては具体的な問題について直ちに利用できるような形式において研究なり発表いたして行きたいと存じております。目下我々のほうでは、例えば労働協約の統計的の分析を行なつております。そして詳しい労働協約の実情を統計的に分析して発表して行くということを考えておりますが、是非将来はそういう方向に向つて行きたいと考えております。
  42. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) 只今統計部をむしろ局にすべきであるというような御意見に拝承したのでありますが、この点につきましては同感でございまして、実は行政管理庁のほうと今連絡中でありまして、皆様の御協力により、この重要な統計部が局になることを念願して止みません。
  43. 山田節男

    山田節男君 これは次官なり労政局長から御回答を頂きたいのですが、例のレツド・パージの問題が、御承知のように昨年の夏以来このレツド・パーが刻々と行われ、最近もずつと引続いてレツド・パージの問題が行われております。最近の情勢を申しますと、もとより共産党員はこれは問題はないが、ところが同調者までどんどんやつておる。一例を挙げれば專売公社などそうであります。労政局長通牒、或いは次官通牒かで、レツド・パージについてはトラブル・メーカー以外は職場に残すように指令が出ておると記憶するのですが、それにもかかわらず可なり不必要な、経営者自体も困りはせんかというようなレツド・パージを行なつておる。これに対して労政局長は前のこういう達しの趣旨から何か手を打つておるのか、或いはそれをいよいよ馘首するというような場合に、労働省に対してこれこれのものはどうしても残してもらいたいと言うて来た場合、労働省としてこれに対して一つの何と申しますか、裁定というものができるのか、これを聞きたい。
  44. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 昨年の八月から十一月にかけて行われましたレツド・パージは使用者の責任と自覚によつてなされたものでございます。従いまして労働省といたしましては労働者の保護の立場からいたしまして便乗整理があつたり、不当労働行為があつたりしてはならない。特に同調者の整理に関連いたしましてはその虞れが多分にありますので、労政局長通牒を以ちまして直接使用者にではありませんが、各地方庁に対しまして十分これが行われるように注意を喚起いたしておつたのであります。その結果は全従業員の〇・四%という程度に止まるを得まして、大体におきまして不当なもの、或いは便乗整理はなかつたと考えておるのであります。もう一つは、さように注意はいたしましたが、併しやはりさような目に遭うような人があつたかも知れませんので、それらの人々は若し自分が不当に或いは便乗解雇をされたと思うならば、やはりそれについての救済の方法を十分に考えなければなりませんし、又救済の機関は当然利用されなければならない。かような立場からいたしましてそれらの救済機関によりまする措置は十分公平にやるように注意して参つたのであります。その結果労働委員会に救済の申出のあつた者、或いは裁判所に対しまして仮処分の申請をなした者等もございましたが、只今指摘の專売公社の問題につきましては、当時組合からそういうような事実があるということは聞いておりました。併しその問題は目下公共企業体労働関係法によりまして專売公社の苦情処理委員会においてこれが取扱われておるのでございます。まだ決定いたしましたものは三件しかないようであります。総体的に見ると三十九件の苦情処理が現在進行をいたしております。この進行の途中でございますので專売公社のとりました措置が不当である、或いは便乗解雇であるかどうかということについての意見は申上げるのを差控えるべきであると考えておるのでありまするが、併し労働省といたしましては、基本の線といたします、この際に便乗解雇或いは不当労働行為が行われるということはいけないという立場をとつておりますので、この苦情処理の進行については十分注意をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  45. 山田節男

    山田節男君 今私のお聞きしたのは便乗解雇の反対なんですね。経営者でも置いておきたいというような同調者程度ですね。それをもやはりどうも止むを得ない。併し何とかして置きたいというようなそういうケースがやはりあると思う。そういつた場合に前の労政局長のあれは達しですか、その趣旨から来れば、これは経営者の責任においてやるならば、経営者の自由裁量と言いますか、自由裁量でいいじやないか、責任においてやればいいじやないか。こういう苦情処理機関に持つて行くこともいいが、組合と話合いをつけて、トラブル・メーカーでないということになればあえて首を切る必要はないと思う。そういつたような圧力に対して、労働省としたら殊にそれを保護する立場から何かの手を打つべきではないか。そういう手を打つておるかどうかということを今お聞きしておるのです。
  46. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 先ほど申しましたように、今度のレツド・パージにつきましては何かの基準によつてどこからかの圧力でやつておるというのではないのでありまして、使用者の自覚と責任において実施をいたしたのでございます。従いまして使用者自身がその必要がないというものをどうして今日それをやつたか。復職できないということはあり得ないと考えておるのであります。先ほどは二つの態度をとつた。一つは通牒を出すことによりまして一般方針について注意を喚起した、一つはそれぞれの救済機関によつてこれを措置することにしておるということを申しましたが、同時に労働者自体といたしましては、この原則施行するについて、いろいろ使用者側に対しましても注意を喚起し、二三の例でありますが、労働委員会等を経ずして組合と使用者との話合いによつて復職をさせた事例もございます。従いまして專売公社の例につきましてさようなものの状態でありますならば、注意をいたしたいと、かように考えております。
  47. 山田節男

    山田節男君 これは労働基準局長にも関連するのですが、今レツド・パージに関する不当労働行為という点ですが、今、私の知つておる限りでは、公社或いは民間産業においてはそういう例はまだありませんが、或いはあるかも知れない、進駐軍の労務者の場合は、例えばまあ本人が党員であれば勿論これは首切る、そうでなくて兄貴か兄弟が共産党員だというのでこれは望ましからざる人物だということを言つて首を切られた例はたくさんある。こういう場合にやはり各県の労働基準局に不当労働行為として訴える、訴えようということがあつたのですが、そういう場合には首を切られるということは余りひどいのじやないかと思いますが、これは一応体職手続というか、そういうケースをそれらの人が受けられたという例があるかどうか。これを一つお聞きしたいと思います。
  48. 中西實

    政府委員中西實君) 進駐軍労務の解雇の際に、基準と絡みまして、特に即時解雇の問題でよく事案が上がつております。おつしやるような事例がときどきございます。それで実は私どもといたしましては労働関係をやつております向うのほうの言い分というか、理由がありますれば、これはもう、そういう際には個々に調査をいたしまして、そうして今まででも理由薄弱であるような場合には一応即時解雇を取消すというようなこともいたしております。個々の事例につきまして調査をしてやつております。
  49. 山田節男

    山田節男君 最後に今、例の公共契約法の、いわゆるパブリック・コントラクトの問題でありますが、これは実はすでに昨年だつたと思いますが……以来の問題になつておるのですが、関係方面もこれを早くして出すようにという……これは私みずからも聞いておるのですが、然るにもう今日まで公共契約法を出されない、それがためにこの二月一日ですか、プリベーリング・ウエイジ、一般職種別賃金、ああいう変な形をとつておる。一体この公共契約法を労働省としてはどうして出さないのか、今まで遅れた理由。それから将来出すのか出さんのか。今国会に出すのか出さないのか。これを一つ責任のある回答を政務次官にお聞きしたい。
  50. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) お答え申上げます。P・Wにつきましては、実は労働省といたしましては全力を挙げて検討いたしておるのでありますが、事務的に非常にむずかしい問題がございますために只今まだ成案を得ておらない次第でございます。従いまして只今目下鋭意研究中でございます。
  51. 山田節男

    山田節男君 今の政務次官のお答えは妙だと思うのです。すでに公共契約法について労働省としては一年有余に亘つて研究しておるはずで、従つてすでに成案はできておるのじやないかと思います。一方私らのほうに来ます土建労務者はこれを非常に嫌つておるのですが、これは私個人としての考えですが、今日まですでに、そういう原案、草案ができておるにかかわらず、もう第九国会に出すというのが出されない、第十国会なつて今日になつてもまだ出さないということは、今日の自由党の内閣がああいつた土建業者の猛烈な請願陳情に対してむしろそれをカバーするようなことになつて、こういう重大な法律を出さないのじやないかと思う。今の政務次官の言われたことは問題はありましよう、あるが、これを出さないことによつて非常に、例えば一般公共事業なんかに差し障りがある。それを今のような理由で以て研究中であるということは無責任だと思います。もう少し政務次官として責任のある、もうそういう一年以上たつておるのだから第十国会に出せないことはない。そこに失礼だけれども自由党としてチエツクしなければならない理由が背後にあるのじやないか。この点をもう一度はつきりお聞きしたい。今国会に出せるか出せないかを……。
  52. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) 只今の問題につきましては、或る関係者の圧力によつて出さないとか何んとかいう問題は絶対ありません。只今研究中でありまして、事務的な難点のためにその成案が得られない次第でございます。
  53. 山田節男

    山田節男君 この国会に、十国会に出せるのか出せないのか、この点を一つ説明願いたいと思います。
  54. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) お答え申します。成案ができましたらば提出いたしたいと存ずる次第であります。
  55. 波多野鼎

    波多野鼎君 事務的問題というのはどういう問題なのですか、一つ説明して欲しいのですが……。
  56. 中西實

    政府委員中西實君) 実はいわゆる公契約法案として考えておりますのが、国等を契約いたしまする際に、その相手方の業者が契約條項に法律——労働諸法規を遵守すること、更に一定の賃金の支拂を遵守すること、ということを規定いたしまして、若しそれに違反しますれば、或いは一定期間請負契約を停止するとか、或いは契約を解除するとか、更にはその不支拂の賃金を直接労働者に拂うというような民事的な制裁を科するということを大体の骨子といたしております。今申しましたうちで労働法規を遵守するということは、これは書きませんでも、実は今の法規を守るのは当然でございまして、余り意味がございません。でこの法案の骨子は結局前々から労働者側からも要求がございましたように、不支拂の給與といものを直接労働者が受取るように措置するということが、実はこの法案の骨子になつておるのであります。單に支拂わないということに対す罰則なら、これはもう基準法にございまして何ら新味がないのであります。そこで直接労働者に実益を受けさせるという方法について案がいろいろ考えられるのですが、現在の会計並びに財政法、それと現在の行政機構から考えまして、どうにも的確な案ができないのであります。一応いろいろなのを考えたのでありますが、我々内部で検討し、又関係方面と打合せをいたしましても満足が得られないのでありまして、この点各国の担当立法例がありますので、どうやつておりまするかこれを研究しようと思いましても資料はなく、実はほとほと弱つておるのでありまして、この点がきつちりいたしませんと、実はこの案の重要部分がきまらない。そういう関係で実は未だに成案が得られないという状態で、更に十分に各国の立法例などを研究いたしまして成案を得ますれば、出すことには現在労働大臣以下全然異論はないのであります。
  57. 山田節男

    山田節男君 これは今中西局長の御説明ですが、この公共契約は国際労働局からも相当詳しいものが出ているのですですから今のように手続上の問題とか、そういうことが、未だ自信ある結論が出ないということは理由にならんと思う。それはジユネーヴの国際労働局から出ている資料だけでも、数字を見なくても、あの條文を見ればはつきりして来ると思う。これは関係方面から当然早く出すべきものであるということが言われている。内容も或る程度まで労働省としてはきめてあるに違いない。それにGHQではOKしている……それを未だに国会へ出さないということは、やはり自由党の諸君がそういつたような土建業者のあんな猛烈な運動に牽制されて出さないのではないか。これは大きな問題である。これによつて或いは地方議会でも勝手なことをしている。一日も早くこの公共契約法を出すべきではないか。これは労働者だけの問題ではない。それを政務次官ができたら出すつもりであるということでは、ますます私は自由党の内閣が公正な労働政策を……そうしてそれがないために、例えばこれは進駐軍の労務者にもそういう被害、一般労務者にも多いのですが、失業保險の金さえ横取りしてしまつて、それを訴えることもできない、そういう実情にあるのですが、これは一つ是非労働省では一番早く国会に出すべきだと思うのです。ですから私はこれはお願いになりますが、そういうことを研究して結論が出たら出しますというのでになく、これはできておる、ですから必ずこの第十国会の開会中に出して頂くということをお願いして置きます。
  58. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) お答え申上げます。この法案が遅れております点は、絶対に土建業者その他の圧迫によるものではないということをはつきり申上げて置きます。なお再三で恐れ入りますが、成案は技術的な問題が解決いたしましたならば早急に提案いたしたい考えであります。
  59. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は労働組合福祉活動助長について最初にお尋ねしたいと思うのであります。  労働組合が行いますところの生活協同組合というようなものを積極的に育成助長して、労働者の福祉厚生を図ろうとしておられるのでありますが、具体的にどんなことをやつて福祉をやられるお考えであるか。
  60. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 先ほど申しましたように、労働省立場といたしましては労働組合が行いまする協同組合運動というようなものにつきましては、自主的にこれが行われるべきであつて内容についてかれこれ言うべき筋合ではないという立場をとつておりますが、併しながらこの協同組合運動と言いますものは世界各国の例を見ましても日本の現状、或いは過去の状況を見ましても非常にいろいろ問題を持つておるものでありますから、過ちのないように正常な組合活動というものはかくあるべきだというような資料を提供するという立場でやつておるわけであります。現在やつておりますものは、余り大きい活動をやつておるものはございません。大体二つに分けることができます。一つ生活必需物資等の購入その他について組合活動としてやる。宮城県の例をとりますと、例えば医薬等で並通の薬屋に販売いたしておりまするものにつきましてなかなか入手しにくいものがやはり地方ではございます。そういうものについては直接東京の本社から取るというような協同活動をやつておるものがあるようであります。もう一つの行き方といたしましては、協同組合が信用組合の形をとりまして、そうしてこれを通常労働金庫と称しておりますが、組合員同士で以て一つの金融機関を作る、こういう傾向が一つあります。これは現在岡山県と兵庫県に信用協合組合ができておりまして、この方角に行こうとする傾向、その二つがあるようであります。
  61. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 その次は失業保險ですが、市町村あたりで農業協同組合であるとか、或いは漁業協同組合であるとかいうようなものに奉職しておる者が失業した場合においては、自分の家が農業をやつておるとか或いは漁業をやつておるとかいうことで、失業保險の保險金をもらえないような事実があるのでありますが、そういうふうなことに取扱つて差支ないのであるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  62. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げます。失業保險金は御承知のように失業しておりまする際に、内職もせず、一切の收入がない場合に離職前の賃金の百分の六十というものを支給するということになつておるわけであります。従いましてその者が内職等によりまして多少の收入がありますればそれを差引きまして支給をする、内職のほうの金額が保險金額よりも大きいときには一切支給しない、少いときには差引いて支給する、こういう建前なつております。
  63. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それは自分の家が農業をやつておるのであつて失業したならばその人は仕事がないのであります。そういうふうな場合においてでも農業或いは漁業を自分の家がやつておるから失業手当は出さない、こういう例が往々にしてあるのでありますから、若しそういうふうなことがあるとしたならば、同じ失業保險にかかつておりながら自分の家が農業、或いは漁業をやつておるというようなものには片手落じやないかと思うものですから、お尋ねしたのでありますが、若しそういうふうなことであれば自分の家が農業をやつてつても、その人は農協或いは漁業協同組合に奉職しておるので全く仕事はないのであります。ないところのものにあつてでも自分の家がやつておるからやらないと、こういうふうな現在の状況のようであります。
  64. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答えいたしますが、先ほど申しましたように、内職と申しますのは自分の労働による内職だけを意味するのでありまして、この人の親なりその他の家族が農業をしておるという場合であつて、本人が何らかの労働によつて内職して金を得ていないという場合には、当然支給すべきものと私は考えております。若しそういうふうに自分の家が農業をしておる、そういうものには保險金を支給せんという具体的な例がありますならば、私どもは十分調査いたしまして善処したい、かように考えております。
  65. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 失業対策について只今話を聞いて見るというと、失業者に対したは二十五日間の労働ということで十七万人ぐらいの計画だ、こういうふうなことでありますが、現在の日雇労働者状況を考えて見ますというと、能率が上つていないじやなかろうかと、こう考えるので、それはなぜかというと、その日を暮したらいいのだというようなことの結果上つていないような気がするのでありますから、何とか日雇労働者が能率が上るような方法を考えて行かなくては、たくさんの金を出しても却つてどぶの中に金を捨てたというような結果になると思われますから、何か日雇労働者のようなものでも希望を以て労働をし、それが結果は国家の産業に貢献するというような方面に仕向けて行かなくちやできないと、こう考えるのでありますが、そういうふうな何か希望を以て仕事をさせるような政策はないのであるかどうか、又日雇労働者の福利施設として昨年度は二百万円の金が計上されておつたのが、二十六年度にこれが削除されたというのでありますが、その理由はどういうふうな理由で削除されたのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  66. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げます。只今お尋のような意見の形において非難が大分あちこちから出ておりますことを承わつております。私どもといたしましても何とか日雇特に失業対策事業に就労いたしております労働者が、一生懸命に働らいて能率を上げる、これは一番根本なことでありまして、そういう方面に力をいたしておるわけでございます。それがためには先ず第一に失業対策事業そのものがやはり経済効果のあるような仕事をやることが何といつても一番大事なことじやないかと思つております。世間で言われておりますどぶ浚えのような仕事をやつたのでは結局労働者の意識というものは向上しませんので、飽くまでも経済効果のあるような事業をやる、これが先ず第一だと考え、そういう事業種目の選定に努力をいたしておる次第でございます。それと同時に何と申しましても日雇失業者を一部煽動するものもいるということも又一つのそういうふうな風潮になりまする原因でありますので、私どもといたしましては飽くまでも職場の秩序を守る、職場の秩序を守つて一生懸命働く、喜んで働くというふうな気風を高めて行くということが一番大事だと考えております。なお更に三点といたしましては、失対事業に働いております労働者の賃金問題につきましても、或る程度の枠の制限はございますけれども、その枠の範囲内において重作業或いは軽作業、或いは本人の労働能率に応じた賃金というものを支給するということも又必要ではないか、かように考えておる次第でございます。大体今申上げましたような線に沿うて今日まで努力をいたしておりますものの、まだまだ完全なものとしては動いてないということは甚だ申訳ない次第でありまして、将来ともこの点につきましては十分努力をして参りたい、かように考えておる次第でございます。なお最後にお尋ねのありました日産労働者の福利施設の問題でございますが、これは本年度明年度予算の組み方におきまして多少違えておるのでございまして、福利施設と申しますのがいわゆる日雇労働者の集まりまする寄り場建設の補助費であつたのであります。それが本年度二百万円あつたのでありますが、どうも補助費で行きますと思うような十分な施設もできませんし、それから地方負担関係もなかなかむずかしいいろいろ問題がございますので、明年度からこれを正式に安定所のいわゆる分室と申しますか、そういつた、正式に営繕の形において造つて行くということにいたしまして、公共事業の営繕の関係にそれを移すということにいたしたのでございます。従いまして成るほど日雇労働者の福利施設の補助金二百万円は減になつておりますが、公共事業の営繕のほうでは、それよりも殖えております。五百万円程度じやないかと思いますが、殖やしておるという次第でありまして、そういう方面にも将来とも努力して参りたい、このように考えております。
  67. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これもさつきのお話で、保險金赤字が十三四億あるということでありますが、保險金赤字のほかに、保險金は業種別にすればどういうふうなものがどのくらいの滞納をしておるのであるか、又この赤字の十三四億円の金はどうやつて解消される考えであるか、又赤字があるとしたならば、滞納があるとしたならば、滞納はどうやつて取立てられる具体的な案があるか、お尋ねしたいと思います。
  68. 中西實

    政府委員中西實君) お答え申上げます。現在十三四億の赤字があるのでありますが、これは保險料を全部取立てましても一応出る赤字でありまして、結局は料率の割に災害が多いと申しますか、保險金支拂の部面が多いために、赤字が出たわけなんで、そこでこれの対策といたしまして、先ほどもちよつと申上げましたが、根本には災害を減らして行くということをやらなければいけない、だんだん産業が活発になりますると、どうしても災害が殖えて参りますし、日本の災害率は相当先進国から比べましても高いので、これをできるだけ下げようというところに基準行政としましても重点を置いてやつておるのであります。更に純経済的に收支のバランスをとるために全く不適正なと思われる料率はやはり改正する必要があるかと思います。これは今のところ更に検討を遂げております。なおできますれば災害の多いとこには、その産業にかけております料率より或る程度余計のものを課し、各事業によりまして災害が少くて成績のよいととろはそれだけ減額して取る、我他のほうではメリツト制と言つておりますが、これをやりますと相当業者におきまして災害を減らす熱意が出て参ります。こういうことを施行しますことによつて相当災害の減少が期待されるのではなかろうかということで、目下これも研究いたしております。それからなお保險業務に携わつております職員事務の取扱を更に適正にする余地もないとも思われないのであります。ほかの方面と比較しますのはどうかと思いますが、相当労災保險の事務はがつちりやつているつもりでございますけれども、なお改善の余地がございます。勿論徴收においては完全徴收すると同時に、支出におきましても不正要求はこれを発見しまして制限することというようなことで相当まだ改善余地がございます。以上申しましたようなことを実施いたしまして、一遍にはなかなか解消できないとしましても、何年間計画で、この解消を図るよう目下努力いたしておる次第であります。
  69. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それに関連してちよつと……、今の労働者災害の問題ですが、二十四年度災害件数と、それから二十五年度災害件数、前年同期の比較、それからこの予算において七十六億ですか保險金を計上しています。その件数はどのくらい予定しているのですか。只今のお話によりますと、産業が活撥になると災害が殖えるのは自然の趨勢であるようなお話がありましたが、我々聞くところによると、最近の災害増加高は著しくもう顕著である。非常に顯著で、單に産業が活撥になつたから殖えたというようなものでなく、相当これにて根本的な原因があるやに聞いておるのです。どうして災害が飛躍的に殖えたか、その原因ですね、それについて先ずお伺いしたいのです。それと関連しまして先ほどメリツト制のお話がございましたが、メリツト制になると危險率の多いところにおいては保險料が高くなると思うのですが、そういうことになるのですかどうか。この二点についてお伺いしたいのであります。
  70. 中西實

    政府委員中西實君) 災害の殖えました原因は、いろいろ私のほうでも探究しておるのでございますけれども、結局産業の復興に伴つてやはり災害が殖えたのじやないか。これがやはり一番原因として考えられる大きなものでございまして、大体殖え方といたしましては昨年度から見ますると、これは金額でしか私のほうでは実は出て参らないのでございますが、二十四年度におきしては毎月々々支拂が平均しましまて、五億五千万円ぐらいであつたのですが、本年におきましては約月々六億八千万円から九千万円という状況なつております。この割で災害が殖えたとも申せないのは医療費の増嵩、それから賃金の上昇というものがございまして、その割に殖えたとは申せませんけれども、昨年から比べますると殊に、死亡は余り違いはないのでありますけれども、傷害が約二、三割は殖えておるというふうに考えております。もう一点、メリツト制になると保險料が上るかどうかですが、メリツト制につきまして、これによつて保險には直接には関係いたしません。結局成績のいいところから、成績のいい事業主には返す、それから成績の惡いところは増徴すると、それで返すのと増徴するのとメリツト制だけから見まするととんとんにいたしまして、メリツト制によりまして、増徴を図るということは実は考えておらないのであります。
  71. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは只今の御説明では余りに漠然としているのでわかりませんから、資料として出して頂きたいのです。やはり件数がわからないということはないと思うのです。おかしいと思うのですね。災害件数……、それからどういう産業でどれだけの、どういう災害の件数になつているか、二十四年度、五年度、それから六年度についての推定、それの産業別、それから件数、それから原因です。今二、三割とおつしやいましたけれども、二、三割でもこれは大変な増加になるわけでして、産業が復興するに連れて災害増加する。そういうものを原因として我々に説明されるのは非常識極まると思うのですが、産業が発達しても、だんだん災害をなくすようにするのが労働行政です。それであるのに産業が活撥になるに従つて災害が殖える、そういうことを当然のことに予定しておるということは労働行政の最も不見識な考え方と思うのです。そんな説明予算委員会で我々そうですかなんというわけに行かないのですから、もつと真劍に説明して頂きたいのです。我々真劍に考えておるのです。災害を受ける人の身になつて御覧なさい。そんな簡單な問題じやないのです。ですからここで具体的にお答えになれなければ、もつと詳細に納得するような資料を提出して頂く。繰返しますけれども、件数による産業別、二十四年度、五年度、六年度について、それからその原因、やはりもつとはつきりわからなければ方々を調査されて、各地に……部分的には我々わかつておるのです。例えば静岡県あたりは或る新聞に出ておりました。件数で見れば激増しておるのです。そういうところをちやんと検討されて対策を講じなければ意味ないと思います。その点要求します。それからメリツト制については全体として保險料を引上げない、こういう意味か、特に危險がある産業について保險料を殖やすのでしようが、その産業についての保險料ですね。保險金が多くなつたその特定産業についはて保險料はこれは上げないのか上げるのかと、こういう質問であつたのです。
  72. 山村新治郎

    政府委員山村治郎君) 御指摘資料につきましてはこの次の委員会までにできるだけ詳細のものを持つて参ります。申上げて置きます。なお料率の問題でありますが、災害のありましたことにつきましてのメリツト制につきまして、私は上ると思います。
  73. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 上るのですね。
  74. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ちよつとお諮りいたしますが、労働省関係の御質疑はまだたくさんあるかと思いますが、後に厚生省のほうもお見えになつておるので、一応労働省は……。
  75. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと労働省にもう一言、一つだけ。
  76. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) では一つだけ。
  77. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 失業対策費について伺いたいのですが、二十六年度予算には百四十一億計上されておりますが、これまでは公共事業費分も一応広義の意味の失業対策の中に含めて考えられておると思うのです。ところで二十六年度は公共事業費は見返資金から来るのですね、百十億ですか減つておるわけです。そういうものを引つくるめて失業対策費というものは殖えているのか減つているのか、広義に……。これも一応御答弁を伺つて詳細のことは資料として出して頂きたいのですが、これも我々検討しますのに、成るほど公共事業としては二十八億円殖えております、失業対策としては……。併し公共事業費の中で百十億減つておるのですから、こういうものを含めますとこれも減つておるのじやないか。こういう感じもするのです。公共事業費自体についても見返資金からもこれを廻わすことを打切つたのを含めますと、公共事業費七十四億増加ですけれども、公共事業費は見返資金から来るものを入れますと却つて減るのじまないかと思います。そういうものを引つくるめたいわゆる広義の失業対策費として二十六年度はどのくらいであるか。二十五年度はどのくらいであるか。これをお伺いしたい。
  78. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げます。公共事業費総額といたしましては明年度は今年度より殖えるのでありますけれども、只今お尋ねの見返資金、本年度百十億の問題の肩替りの問題がありますので、公共事業費全部としては多分三十億以下は本年度より減つて来るんじやなかろうかと、かように考えております。これは勿論経済安定本部の所管でございますが、肩替りの百十億の関係がございますので、それを入れますと、三十億公共事業費として殖える、こういうふうに考えております。失業対策費につきましては、本年度補正を加えまして五十三億でありますので、それが七十三億というので、約二十億殖える、従いまして公共事業費失業対策的な意味において全部を引つくるめて考えるならば、総経費としては若干減少する、こういうことになろうかと存じております。
  79. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、今度は失業対象、これもまあ資料として出して頂きたいのです。引つくるめて二十五年度どのくらいの人員を救済の対象にするか、二十五年度公共事業費引つくるめて。二十六年度は引つくるめてどのくらい救済の対象にするか、一般会計から見ると、如何にも失業対策費が殖えた、こういう印象を受ける、併し一般会計におきまして二十八億殖えておるのですけれども、併し全体としての失業救済ということを考えた場合にむしろ予算も若干殖えるというお話ですし、今後の物価騰貴を考えればこの予算では足りつこないと考えますし、失業救済対象が減つて来ると思うのですけれども、この点救済対象の上から見たらどうなるかということと、それから労働省自体として物価関係をどう考えているか、この予算を作られた以後に生じた物価騰貴、それから今後予想される物価騰貴、これは労働省だけじやないのです。各省みんな関係あるんですが、労働省としてはどう考えておるか。この予算で既定事業をやつて行けるかどうか、そういう確信があるのかどうか、二十六年度において。この二点です。
  80. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) お答え申上げます。先ほど公共事業の分が減少すると申上げましたが、災害復旧の分を見込んでおりませんでしたので、その点は一つ訂正さして頂きたい、かように存じておる次第でございます。  なお明年度の公共事業費失業対策を引つくるめて、失業救済がどうなるだろうかという問題でございますが、御承知のように、失業対策事業は、失業対策の最後のしめくくりとしてやつて行くという考え方で運営をいたされております。公共事業は相当な部分地方農村等にありまするので、直接的な関係におきましては、失業対策事業と関連は出てない面が多分にあるわけでございます。直接最後の措置として考えられまする最後の失業者、特に都市に現われておりまする失業者という問題を考えて見ますと、大半の重荷がむしろ公共事業ではなくて、失業対策のほうに重荷がかかつて来る、こういうことになるのでありまして、失業者の分布、その他を睨み合せて申上げなければならんと思うのであります。従いまして全体として都市に現われておりまする失業者、それの重荷が失業対策事業にかかつておるのでありまするけれども、大体失業対策事業明年度七十七億五千万円というものを以ていたしまするならば、現在の日雇労働者の現況並びに最近の動向からいたしまして、七十七億五千万円で大体賄つて行けるものと私どもは考えておる次第でございます。それから最後のお尋ねの公共事業と物価の問題でございますが、多少勿論そういうことは影響を受けることは、避けがたいことかと私ども考えております。併しそれによつて事業の施工が完全に行くだろうかというお尋ねであつたと思いますが、その点につきましては、私詳細には承知いたしておりませんので、経済安定本部からお聞きとりを頂きたい、かように存じておる次第でございます。
  81. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 先ほど労働省のほうからお答えをいたしました公共事業増額の問題でありますが、これはこの前お話をいたしたかと思うのでありますが、予算説明の六頁のところを御覧願いますると、前年度と本年度との事業の比較がございまして、二十五年度の千五百六十七億に対しまして、千六百七十一億ということになる、その差は、先ほどちよつと労働省から申されましたように、災害の国庫負担関係があると思います。その点ちよつと附加えて置きます。なおこの計算は安定本部のほうの計算でございまするので、詳細は安定本部のほうからでも御説明申上げたらいいと思いまするが、それに伴います雇用労務者の数、同じく七頁の右側のほうの欄に、前年度の見込百十万六千人に対して、百十三万九千人、その点は申上げて置きます。
  82. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 災害復旧関係事業量が違うというのは、結局地方負担事業がやはり殖えるからと、こういう意味からですか。
  83. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) さようでございます。
  84. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじやお諮りいたしますが、労働省関係審議はこれで一応終りまして、次に移つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや次に厚生省関係審議に移ります。先ず厚生省所管の施設の概要につきまして、黒川厚生大臣の御説明を願います。
  86. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 昭和二十六年度厚生省所管一般会計予算の要求額は、四百四十二億七千二百四万七千円でありまして、これを昭和二十五年度予算額三百四十一億八千九十五万四千円に比較致しますと、百億九千百九万三千円の増加と相成ります。  このほかに厚生省には特別会計が三つありますが、先づ第一に、厚生保險特別会計は、健康勘定歳入歳出とも百二十八億二千五十七万六千円、年金勘定歳入百五十五億五百三十二万五千円、歳出二十億九百二十二万千円、業務勘定歳入歳出とも二十二億七千二百四十八万三千円と、相成つております。  次に、船員保險特別会計でありますが、歳入二十一億六千四百八十五万七千円、歳出十七億千八十四万七千円と相成つております。  第三は、国立病院特別会計でありまして、これは歳入歳出とも四十四億二千七百六十一万四千円と相成つております。  以下右昭和二十六年度予算の背景をなしますところの施政の概要についてその主なるもの二、三を申上げたいと存じます。先に内閣に設置せられました社会保障制度審議会は、昨年の十月に政府に対して勧告するに至つたのでありますが、政府といたしましては、内閣に社会保障制度閣僚懇談会を設けて、目下勧告について検討中でありますが、そのうち結核対策等緊急を要するものについては、昭和二十六年度よりこれを実施することに方針を定めた次第であります。申すまでもなく厚生行政は社会保障制度と極めて密接な関係にありまして、社会保險生活保護、医療、公衆衞生等、社会保障関係行政は厚生行政の中心を形成しているのであります。従いましてこの種の行政を中心に申上げることにいたします。  先ず第一に社会保險でありますが、これにつきましては、保險経済の改善を図るため事務費の全額を国が負担すると共に給付費についても国庫から一部を補助すべしとの要望が強いのでありますが、明年度におきましては、取りあえず事務費の国庫負担の割合を増加いたしまして、健康保險においては従来十分の五の国庫負担率を十分の八に、国民健康保險につきましては、従来十分の七の国庫負担率を全額に引上げた次第であります。これに要する国庫負担額は約九億八千九百余円を増加して二十三億九千三百余万円と相成つております。  第二に、生活保護でありますが、昭和二十五年度の百六十二億七千四百余万円と二百十三億六千三百余万円と約五十億の大幅の増額をいたしまして、最近における保護人員増加の趨勢に対処すると共に、その支給基準を引上げ保護内容の充実を図つた次第であります。なお社会福祉対策といたしまして身体障害者の保護、児童の保護、或いは庶民金融としての公益質屋の整備等を図つているのであります。第三に医療及び公衆衞生関係でありますが、政府といたしましては、結核対策の飛躍的な増進を図ると共に結核対策を中心として医療関係機関整備と公衆衞生の向上を図る方針でございまして、先ず結核対策につきましては、健康診断及び予防接種を大幅に拡張して、原則として全国民を対象として実施すると共に、すでに結核に罹つた人々に対しては、ストレプトマイシン、パス、胸廓整形手術、人工気胸等の特殊治療費及び強制入院患者の経費につき新たに国庫負担の制度を始め、また五ヵ年計画のもとに昭和二十六年度分として一万七千二百床を整備することといたしたのであります。なお結核の特効薬でありますところのストレプトマイシンの価格が輸入品の水準に下るまで引続き政府で買上げることとし、予算を計上しているのであります。  以上結核対策の経費予算で申上げますと、昭和二十五年度において結核対策費、五十三億一千百余万円が、二十六年度におきましては八十二億七千八百余万円で約二十九億六千七百万円の大幅の増を示している次第であります。更に結核対策の第一線機関である保健所につきましては、新たに二十個所の新設と八十一個所の拡充を行い、計七百二十四個所を運営すると共に、その内容整備いたすことといたしております。  右のほか癩、精神、脊髄等の国立療養所或いは国立病院の運営につきましても、引続きその整備拡充を図ると共に、地方公共団体の公的医療機関の漸進的整備、又精神衞生対策に関する経費等を計上いたした次第であります。  次に引揚援護対策に関しましては、昭和二十六年度中に、外地から内地に引揚げるものを約十五万人と予想いたしましてこれらの人々の援護の徹底を図ると共に、未復員者給與法、特別未帰還者給與法に基く各種の給與等に必要な経費をそれぞれ計上し、又既引揚者の再起更生を図るため引続き更生資金の貸付を実施することといたしこれに必要な経費三億円を計上いたした次第であります。  以上は昭和二十六年度における厚生行政のうち主なるものにつきまして申上げたのでありまして、詳細は関係の局長より補足いたさせることといたしまして、私の説明を終ります。
  87. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 本日厚生省で御出席政府委員は安田保險局長、木村社会局長、慶松薬務局長、山口環境衞生部長、曾田統計調査部長、森本国立公園部長、太宰会計課長でございますが、先ず今の大臣の説明を補足するものとして安田保險局長の御説明を願います。
  88. 安田嚴

    政府委員(安田嚴君) 厚生省で所管いたしております社会保險は、健康保險とそれから厚生年金保險、船員保險、国民保險でございます。前の三者につきましては大体国で直接経営いたしております。国民保險は御承知のように、市町村が経営の主体になつている次第であります。今問題になつておりますのは大体健康保險、つまり疾病保險におきまして医療費がどんどん上つて行くのに対しまして、收入であります保險料收入がこれに伴つて行かないという問題が、これが一つの大きな問題であります。  御承知のように健康保險におきましては大体本年度の終りにおきまして八億ばかりの赤字が出る見込でございます。この問題が一つの大きな問題になつております。国民保險におきましても同様に、保險者は五千ばかりの市町村でございますが、いずれも医療費が上つて行くことに対しまして、保險料收入が思わしくないというような点で同様に赤字を出しておりますところが相当あるようであります。この問題が今一番大きな問題として私ども苦慮いたしておるところであります。  それから厚生年金保險は、これはいわゆる労働者の恩給と言われるものでございますが、大体在職二十年で養老年金がもらえるようになつて参るので、一般の勤労者につきましては、昭和三十七年にこの養老年金の給付が発生いたすわけであります。併し坑内夫等につきましては十五年の在職期間で給付がございますので、これは大体昭和三十二年に発生いたすわけであります。なお又戰時加算等もございますので、理論的に申しますというと、厚生年金も二十八年くらいから或いは給付の請求があるのじやないかということを考えております。このとき問題になりますのは、御承知のように厚生年金の給付の基礎になりますのは、標準報酬、つまり自分が毎月々々俸給をもらいます、それに対して幾らか保險料を拂うわけでありますが、その報酬の四月分とか或いは二月分とかいうのが給付の額になります。そういたしますというと、昭和十七年頃から始まりまして、仮に二十年の期間をとりますというと、非常に貨幣価値が高かつた時代の俸給の額というものが少いものでございますので、それを平均いたしますというと、今の経済の情勢におきましては殆んどとるに足らない額を給付しなければならぬという問題が起きて来るわけであります。これは現在におきましてすでに発生をいたしておりますところの業務上の障害年金でありますとか、寡婦年金につきましては、それぞれそのときどきに若干ずつ手当をいたして参つております。それを今度の国会におきましても若干増額いたしますような措置をとつておりますので、問題がございませんけれども、養老年金等につきましては、ここ二三年のうちにこの問題を根本的に解決をいたさなければならぬという問題があるわけであります。  それから船員保險におきましては、これは御承知のように事故保險でございまして、船員に関する限りは、医療の問題、或いは業務上の災害でありますとか、或いは年金に相当するものが全部含まれておるわけであります。これにつきましても、医療給付、つまり疾病保險につきましては、同様に医療費の支拂に対しまして保險料收入が足りないという問題が起きております。同時に又年金につきましては、大きなインフレによりまして貨幣価値が変つて来た、それを将来の給付でどういうように調整するかという問題が残つているわけであります。ただ私どもが今考えておりますのは、先ほど大臣からも話がございましたけれども、社会保障制度審議会が、昨年の十月六日に政府に対して勧告をいたしております。それからの中にいろいろ今申しましたような疾病保險に対する国庫の負担の問題であるとか、或いは年金の問題につきまして、一つの解決の方法を示唆いたしております。これがそのまま我我がとりまして、起案ができるかどうかということが若干の問題がございますので、折角今研究をいたしておるわけであります。そういう問題が解決いたしましたならば、この二、三年のうちに何とか軌道に乗つて来やしないか、こういうふうに考えております。厚生省の所管いたしております社会保險関係の当面の問題につきまして御説明申上げた次第であります。御質問がありましたら……。
  89. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 次に木村社会局長から。
  90. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 社会局の所管いたしておりまする事項につきまして補足的な説明をいたします。  社会局におきましては、教育事業及び生活保護法の施行、身体障害者福祉法の施行、大体主たるものが、この三つでございます。このほかに消費生活協同組合並びに公益質屋といつたような福祉施設関係仕事をいたしております。社会局所管予算総額で二百二十億円余が今年度ございます、昨年度の百七十五億と比べまして約四十五億の増額なつております。この増額の大部分は、生活保護に要しまする経費増額と、身体障害者の福祉に要します経費増額が大部分であります。このほかに今度新たに公益質屋に対する補助金を立案いたしたようなことでございます。生活保護法はすでに御承知と思うのでございまするが、最低生活を確保するという目的でございまして、他の方法を以て最低生活の手段を得ることができないという者に対しまして、一定の線を引きまして、最低生活の線までの生活をするに必要なる金銭を給付するというのが生活保護でございます。この最低生活の線をどこに引くかということが、この保護の対象になりまする者の数をきめます一つの要素となりまするし、又これによりましてこれに必要な経費というものが増減いたして参るのであります。それから社会経済の情勢によりまして、この対象というものは増減いたして参ります。現在明年度予算といたしまして考えておりますものは、従来の生活保護の該当者の増加の傾向、この傾向によりまして今後の増額ということを一応推定いたしました。これに対しまして明年度におきましては生活保護の扶助いたしまする基準というものを若干の増額を図りまして、それと合わせまして必要な経費を見込んだのが第一点でございます。増加の傾向につきましては、昨年の四月が最低の百六十万という数字から逐次増加いたしまして、昨年の九月が約二百三万という数字なつております。その後逐次十月、十一月若干づつ減つてつております。今後の趨勢を以て減つて来るかどうかということにつきましては、また予断を許さないのでありまして、我我といたしましたは、一応従来の増加趨勢というものを基礎にいたしまして計算をいたしております。基準内容、改善という点につきましては、現在の基準のうちで、飲食物費を除きましたその他の経費につきまして約五割増額、住宅料につきまして十五割増額教育料につきまして五割の増額、大体以上の基準増加を考えまして、そのほかに増加人員に伴いますところの毎月平均二・四%という上昇率を生業扶助、住宅扶助、医療扶助等につき考え、なお教育扶助及び出産扶助、生産扶助、葬祭扶助というものにつきましては一・五%の上昇率を見込んでおる次第であります。なお明年度の新たな経費といたしましては、生活保護法の適正なる施行を確保する方法といたしまして、これが適正施行されておるかどうかという点を査察いたしまする経費並びに生産保護の施行に伴いまして必要なる事務費、この両者につきまして地方経費補助するものを新たに計上いたしたのであります。以上のようにいたしまして昭和二十五年度におきましては、当初予算五十二億、補正予算十一億ばかりでございますが、合計いたしまして百六十三億、これに対しまして明年度は二百十億ばかりの経費を組んでおるわけであります。  次に身体障害者の保護更正に必要な経費、つまり身体障害者扶助に必要な経費といたしましては、二十五年度の当初予算が五千四百万円、これに対して補正予算で以て五千百六十余万円、昭和二十五年度予算総額が一億円余ということになつておりますが、二十六年度におきましては一億五千三十三万円という予定をいたしておるのであります。この経費の主なるものは、身体障害者の更生援護及び巡回診療相談指導の経費、援護施設の整備補助、これらでありまして、更正の措置といたしましては、身体障害者に対する身体障害者福祉法等による補装具の支給のための経費であります。これにつきましては大体必要な者に対しまして、その費用負担することが困難である者に対する経費を見たのであります。交付いたしまするものとしましては、現在考えられておりますのは、盲人安全杖、補聴器、義肢、車椅子、尿收器、コルセツトといつたようなものを現在考えております。なおこれにつきましては今後十分検討をいたして参りたいと考えております。現在予算の上でこれだけのものを見込んでおるわけであります。その他身体障害者の施設といたしましては、中央に中央身体障害者更生指導所を国立で以て設けております。その他地方におきましては授産收容施設を逐次増加いたすというつもりでありまして、これに対しまする経費というものは新たに八ヵ所分を見込んでおります。これらの施設の運営費用につきましては、これは平衡交付金でこれを賄つてもろうということにいたしております。新たなものといたしましてそのほかに明年度見ておりますのは、先ほど申上げましたように公益質屋の増加というものに対する建設の補助金であります。これは昭和十五年頃から以降全然予算になかつたのでありまするが、最近の各種の情勢によりまして、庶民金融という、特に生活金融の必要が痛感せられまする情勢に鑑みまして、明年度からこれに対しまする設備費補助を含んでおります。
  91. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 山口環境衞生部長。
  92. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 主として結核関係につきまして補足して御説明申上げます。  我が国の戰後の結核の蔓延の状況は、結核の死亡者数から見てみますと、昭和二十二年が十四万六千二百人、昭和三十三年が十四万五千二百人、二十四年が十三万八千九百人になつておりまして、これを戰時中の昭和十五年の十五万四千人、或いは昭和十八年の十七万一千人に比べますと、相当減少しているのではございますが、なお依然として国民の死因の第一位を占めているのでございます。只今申上げましたのは死亡者の実数でございますが、これを人口一万に対する死亡率について見ますと、昭和二十四年におきましてもなお一六・九というような数字でございまして、これをデンマークの二・八、或いはアメリカの三・〇、英国の五・四などに比べますと、非常に大きな数字に相成つているのでございます。結核患者の総数をはつきりつかむことはなかなか困難なことではございますが、大体年間死亡者数の最低十倍を結核患者数として推定いたしております。そういたしますと、約百四十万人というふうに推定されるのでございます。潜在性の結核患者を考慮に入れますと、その数はもつと増加すると思うのでございます。結核患者の分布を年齢的に見てみますと、結核患者或いは死亡者の中で半数は十五歳乃至三十歳の青少年層で占めているのでございます。次いで三十歳乃至五十歳の壯年層がその次に来るのでございます。男女別に見ますと、女子に比べまして男子のほうが多いのでございます。又地域的には北海道、青森、京都、岩手、東京、福岡、大阪というような順序になつておりまして、大都市或いは東北地方が、そのほかの地方に比べて多いのでございます。統計の上から特に他に比べて少いのは栃木、茨城、静岡、山梨、長野などでございます。それで昭和二十六年度の結核予防対策の事業といたしまして、先ず先ほど大臣が申上げましたように、結核病床の増加を計画しているのでございます。昭和二十五年十月末現在の結核病床数は全国で約九万五千床、その中で国立が約五万六千床でございます。二五年度末、即ち昭和二十六年の三月末にはこれが十万二、三千になる予定なのでございます。今後は国立の施設の増設のほかに、都道府県等の地方公共団体或いは公益法人、或いは健康保險組合にも補助を出して増床計画を企てておるのでございまして、先ほど大臣も申上げましたように、昭和二十六年度の計画はこれらの施設全部を合わせて約一万七千増加を計画しているわけでございます。  次に結核予防の收容施設でなしに、いわゆるフイールドにおきます予防事業の徹底を期しますために、その第一線機関である保健所を整備するということを計画しているのでございまして、現在は保健所は全国で七百四十ヵ所ございます。保健所のうちには、その規模によりまして現在二通り区別しておりまして、AクラスとCクラスと二通り区別しておりまして、Aクラス百五十、Cクラス五百五十四ございます。これが昭和二十六年度には先ほど大臣が申上げましたように二十ヵ所新設いたしまして、合計七百二十四ヵ所にいたします。更に又CクラスのものをAクラスに格上げいたしますもの三十ヵ所、そのほかに二十六年度から新しくBクラスというものを考えまして、CクラスからBクラスに上げますものを五十一ヵ所、即ち二十ヵ所新設いたしましたほかに、拡充いたしますものを八十一ヵ所考えまして、この結核予防事業の第一線機関である保健所の整備を図りたいと思つているのでございます。  次に健康診断の普及でございますが、現在法律によつて結核の健康診断をやつておりますのは、結核予防法そのほか労働基準法、或いは学校教育法等に基いてやつているのでありますが、必らずしもこれらが十分に行われていないというふうな現状にございますので、これを新しく結核予防法を改正いたしまして、一元化いたしまして強力に実施したいというふうに考えているのでございます。昭和二十六年度におきましては次に申上げますような計画によりまして、健康診断の普及を図りたいと思つているのでございます。健康診断といたしまして、私どもは定期の健康診断と定期外の健康診断の二通りを考えております。定期の健康診断は学生生徒の全員、工場、事業場、事務所の勤労者全員、それから結核の比較的多く発生いたしました都会、都市の一般住民、これの年齢は六歳から三十歳を一応限つておりますが、そういう者に対しまして定期的に健康診断をいたします。そのほかに結核患者の家族とか、或いは都会から田舎に帰つて参ります帰郷者、或いは特別な業態者という者につきまして定期外の健康診断を実施したいと、そういうふうに考えております。これに要しまする経費は、定期の健康診断につきましては対象の凡そ三〇%に対して無料で実施して行きたいと思つております。その無料で実施いたします者に対しましては国が三分の一、都道府県が三分の一、実施者が三分の一という経費負担でやつて行きたいとり考えております。それから定期外の健康診断につきましては、対象者の約七〇%、七割に対して無料で実施して行きたい。その経費負担は国が二分の一、都道府県が二分の一というふうに考えております。  次は結核に対する予防接種の徹底でございますが、これは現在結核に対する予防接種は、予防接種法に基いて実施されているのでございまして、昭和二十五年度中に凡そ千五百万人ほど実施したのでございますが、二十六年度におきましては、先ほどの健康診断の場合と同様に定期予防接種と定期外の予防接種というものを考えまして、その二段構えでやつて行きたいというふうに考えております。定期の予防接種は、先ほど定期の健康診断の際に申上げました対象者のほかに、都会以外に住んでいる者に対しましても、零歳か三十歳に至る者に対しまして予防接種を実施して行きたいと思つております。定期外の予防接種の対象は先ほど定期外健康診断の際に申上げましたような対象を選んでやつて行くのでございます。申上げるまでもないことでございますが、この予防接種は健康診断によりましてツベルクリン反応を検査いたしまして、そのツベルクリン反応の陰性の者に対して実施して行くわけでございます。経費負担につきましては、先ほど健康診断の場合に申上げましたと同様に、定期のものにつきましては約三〇%、対象者の三〇%に対して無料で実施いたします。負担は国、都道府県、実施者おのおの三分の一ずつ負担するという建前でございます。定期外の予防接種も先ほどの健康診断の場合と同様で、対象者の約七〇%に対して無料で実施して、それを国と都道府県が半々に負担するという建前で行きたいと思つております。なおそのほかに先ほど大臣が申上げましたように、医療費の国庫負担ということを考えております。現在結核に対して特別的な治療方法として用いられておりますストレプトマイシンの沖射、パスの服用、或いは人工気胸、或いは胸廓整形術というような療法を、近代的な特殊療法を一定の人員に対しまして国が四分の一、都道府県が四の分一、患者が二分の一というような負担の割合で実施をして行きたいと、そういうふうに考えております。なお命令によりまして入院命令を出して入院をさせるというような者、或いは従業禁止を命令したというような者につきまして、医療費などの負担が困難な者につきましては国が二分の一を負担するというような建一前で行きたいと思つております。そのほか結核予防に関する技術の向上を図るという意味におきまして、結核予防会に結核研修所を設置さして結核関係技術者の專門教育を実施する。或いは都道府県ごと、或いは保健所單位に医師に対して結核予防に関する短期の講習会を実施いたしまして、技術の向上を図つて行くということを計画しているのでございます。そのほか在宅患者自宅におつて治療しております者に対しまして、その療養、或いは他への感染防止というような点につきまして指導を強化いたしますために、保健婦に家庭訪問をさせますとか、或いは療養指導書を配付するというようなことをいたしまして、自宅で療養している者の指導を強化して行きたいと、そういうふうに考えているのでございます。なお結核予防、これは單に結核だけではございませんが、疾病の予防これは一般民衆が疾病に対して深い理解を持つことが根本になりますので、衞生教育ということに重点を置きまして、弘報活動を活発にいたしまして、結核予防の知識の普及を図つて行くということを計画しているのでございます。  以上が結核予防につきましての大体の御説明を補足して申上げたわけでございます。
  93. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 以上で厚生省の施政の概要についての御説明は終るわけですが、なお御出席政府委員は先ほど申上げました以外に、更に東医務局長、高田児童局長、田辺引揚援護庁援護局長が見えておりますが、更に説明員として白井復員局経理部長も見えておりますから御答弁をお願いしたいと思います。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はその中で引揚問題或いは援護対策についてお伺いしたいのでありますが、大体外務省のほうで、殊にソ連地区のシベリア地区の未引揚者の数について、これは過般から問題になつたと思うのでありますが、外務省のほうでそれは調査されておると思うのでありますが、厚生省のほうにも非常に対策をやるには絶対に必要な数でありますから、相当細かな統計があると、こういうふうに思うのでありますが、この点から先ず伺います。
  95. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 未帰還者の数の調査は外務省の所管でございまして、詳細なことは関與しておらないのでございます。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 厚生省はいろいろな法案を出したり、それから予算を作成するのですが、そういうときどういう資料によつてそれでは引揚行政をやつておられるのですか。つまり外務省のほうではこの予算説明書を見ますというと、これは外務省計上分として、未引揚邦人調査に必要な経費というので、こつちのほうで主としておられるのかも知らんのでありますけれども、少くともその成果、結果が厚生省に詳しく同じような資料がなければ、この行政担当者としては厚生省なんでありますから、厚生省は進めることができない。この点はどうなつておりますか。
  97. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 厚生省で担当しておりまするのは、帰つて参ります引揚者の援護に要する経費でございます。従いまして何人帰つて来るかということが予算基礎になるわけでございます。目下のところ、未帰還者の中で相当多数の死亡者があり、又相当多数生きておるということは事実でありますが、関係国からの正確な通報がない関係上、全体の数字を正確に測定するわけにいかん。明年度におきましては先ほど大臣の御説明にありました通り、一応十五万人と予想いたしまして、これに要する経費を計上しておる次第でございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常に只今説明によりますと、これは厚生省に的確なそういう数字がない。それはまあ外務省のほうにある。こういうことになつて、大体来年度の対象にするのは十五万人だ、こういうことで話が進められておるのでありますが、非常にこれは大きな食い違いがあるのじやないかと思いますが、この点これは今まで資料をはつきりやはり厚生省のほうでも持つて、そうしてそれについていろいろなこれは行政を進めなくちやならない、こういうふうに思うのですが、外務省のほうに折衝されてそういうものをお取りにならないのですか。
  99. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 勿論外務省とは密接な連絡を取つております。併し残留予想者の中で何人生きており、何人死んでおるかという数字はできるだけ資料を集めております。併し全体として正確な数字が何ぼであるかということは先ほど申上げました通り、今のところ把握が困難であります。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、どこからいわゆる三十七万とかそういう数字が出て来たのか。これが非常にまあ今まで従来大きな問題になつて、そうして政治的な問題にさえなり、国際的な問題にさえなつておるのでありますが、どうも今のお話では十分な調査をしていられない。これは外務省のことですが、直接厚生省の問題でありませんが、併し無関係じやないので、予算をちやんと、これは二十六年度によりましては相当な予算がここで計上されて、そうして調査がなされることになつておる。今までも、従来もそうだつたろうと思う。そうすると、一番よい調査は向うのほうはどうか知らんけれども、実際日本の内地の中におきまして、今何人帰らない人があるかということを村々によつてこれを調査する。更にそれを県に集計する、全体を集計する。こういうことは可能なことであり、これをやらないというならば、非常に非科学的な調査と言わなくてはならない。ところが例えば三十七万という数字でありますが、これは非常に我我は今のお話では根拠のないものじやないか。第一私の計算によりますと、非常に概算でありますが、日本では一万一千ほど町村があると思います。ですから大体三十七万をこの数字で割つて見ますというと、人口大体七千人くらいの所に少くとも二十二人の未引揚者がなければならない、私はこれは一昨年からこういう点に非常に大きな疑問を持ちまして、それで北海道、東北あたり、我々が出かけました節には、その村で、あらゆる所で風潰し的にこれを調査して来たのです。そうなりますと殆んどそんな該当数はない、殆んど人口二、三万の所に行つて見ましても、どうなつたかわからないが、まだ帰らないというのが三人程度である。更にはつきり申しますと、宮城県の気仙沼、それから古川という村ですが、やはり人口が一万五、六千でありますが、北海道の日高の国々なんかも廻つたのでありますが、そういう所を聞いて見ますと、殆んどそういう数字が出ていない、少くとも人口が七万でありますというと三百二十人なくちやならない、七十二万の都市におきましては三千二百人の未引揚者がなければならない。横浜の人口からしますというと五千人のこれは未引揚者がなければならない。然るにそういう者が一人々々これは完全な調査が、少くとも科学的に、そういう集計の後に立つて、そうして而も国際的な大きな問題になつて来るのでありますから、これをやらなければ怠慢と言わざるを得ないのでありますが、なぜそういうような手段をお盡しにならないのであるか。そうして少くともこれは厚生省ではそういうことをされておるのであるかどうか。外務省にはまだ伺つておりませんけれども、厚生省としてもこれとの連関で、そういうような資料をこれは突き詰めれば非常に重要じやないかと思いますが、どうですか。
  101. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 先ほど申上げております通り、未帰還者の調査は外務省の所管であります。勿論外務省におきましては全力を挙げて未帰還者の調査をいたしております。厚生省といたしましてはその中で帰つて来る、生きて帰つて来るかたがたの援護に必要な経費を計上するわけであります。お話の通り今日のところソ連及び中共関係地域の未帰還者の推定数は三十七万と言われております。その中で果して何人生きて帰つて来るかという、こういう数字をつかむことが我々のほうの仕事でございます。これは先ほど申上げました通り、いろいろやつてはいますけれども、なかなか事柄の性質上正確な数をつかむことが困難な状況でございますので、一応十五万人と決定したわけであります。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 やつてはおりますが、正確な数字をつかむことができないと言われまするけれども、どういうところに難点があるのですか。村々を調べて、そうしてまだ引揚げない、例えばそれはソ連地区、並びにほかにですね。現在の政府説明によるというと、殆んど南方地域とかそういう所は引揚げているのだから、現在残つておる所は非常に限定されておるのです。そうしてまだ帰らない、こういう数字をつかむにどうして一体面倒があるのですか。
  103. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 先ほどから申上げておりますように、引揚げ予定人員は三十七万と一応推定いたしております。その中で生きておる人間を、生きて帰るであろうという人間を一応十五万人と予定したというのであります。その人間は死んでおるか、その者は生きておるか、こういう問題につきましては、我々としては正確に数字を把握することができないのです。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十七万というのはどういうふうにしてお調べになつたかというのです。これはどうですか。
  105. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 本件は先ほどから申上げておりますように外務省の御所管でございますので、外務当局に御答弁願います。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは外務省の、所管違いで、無論これは外務省に伺いますけれども、少くともそれに対して施策を……、同じような、而も具体的にそれに対する対策を、具体的にはいわゆる厚生省がそういう数字についてもう少し検討されるという努力はされないのですか、それじや外務省の調査だけ、全くその通りと信じて、その上に立つてすべてをやつておられるのですか。
  107. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) お話の通り外務省の調査を基礎にいたしましてすべて仕事を進めております。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 厚生省としても非常に重要な面が私は出て来ると思うのですが、例えば今申上げたのですが、私などが歩いた所は日本の非常に少い一部分であります。併し少くともそういう所には少なかつたのでありますから、そうしますと平均七千人の人口の所で三十二人は平均持たなければならんということになりますと、或る所では人口七千人で、これは百人ぐらいの所があるかも知れない、そういう所では非常に大きな問題になる。そうしますと当然これは外務省なり厚生省なりへそういう輿論が反映されて来ると思うのでありますが、少くともそういう、これは何と言いますか、密度から言いまして、割から行きまして、非常に大きく特徴的に地域心々に浮き出して来ておると思います。こういう点について多分厚生省でも大きくつかんでおられると思う。これはそうなくちやならないし、それだからそういう特徴的な点をどのようにつかんでおられるか伺いたい。
  109. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 先ほど申上げました通り、外務省において責任ある調査をいたしております。厚生省におきましては、その数字基礎といたしましていろいろの対策を講じておる次第であります。ですからこれ以上厚生省として申上げることはできません。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも無責任極まると私は思うのです。厚生省としてそういう問題を外務省委せに何でもする、併し対策をやつて見れば、私が挙げたような問題が起つて来ると思う。例えばこの予算に計上されておりますが、当然今度は未復員者、特別未帰還者、こういうような人たちに対する、同胞の引揚げに対する給與の法案が施行されておる。そこでこれが実際実施されている内容、そういうことを見ますと、今言つたように一つの村で例えば百人ある、そういう所に実際どのようにこれは実施されて行くか、実施をした額と、それからそこで調査した額と、こういうものが厚生省につかまれていないとしたら、実にこれはおかしなことになると私は考えるのですけれども……。
  111. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 未帰還者給與法及び特別未帰還者給與法によつて留守宅渡しということをやつております。その数は正確に調査しております。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは幾ら……。
  113. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 昨年十二月現在で留守宅渡しをした件数は三万二千余でございます。なお申上げて置きますが、未帰還者の中には、内地に留守家族を持つておられないかたも相当あります。又留守家族がございましても、留守宅渡し手当を受けるだけの資格のないかたもございます。御参考までに申上げます。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると今のお話の内地に家族がいないからとか、それから資格がない、こういう数を一応突き詰めておられるのですな。三万二千人というのと三十七万というのは厖大な開きです。実にものすごい開きだと私は考えるのです。適用を受けているのは三万二千、そうして世の中に発表されておる数字は三十七万、これは何であるか、我々は重大な関心を持たざるを得ないのでありますけれども、これはどういうふうに調べておられますか、海外に家族がいるという数はどれくらいあるか。それからその資格のない人、これはどのくらいあるか、こういうものについてこれはやはりはつきりした資料をお持ちにならなければ行政は進められない。少くとも科学的な行政は進められないと考えるのですが、どうですか。
  115. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 留守家族の数からだけでは未帰還者の数をつかむことはできないのであります。一昨年中共地域から帰つて参りました引揚者につきまして、内地での留守家族の届出の状況を調べて見ましたが、当時の状況といたしましては、帰つて来たうちで届けがあつたものが非常に少なかつたのであります。現地召集を受けましたかたがた等の中には、一家揃つて向うにおつたという人も相当あるように聞いております。外務省におきましては、留守宅関係からの届出、帰還者からの情報等を総合いたしまして、できるだけ数字の把握に御努力しておられる次第であります。この件につきましては外務省として一定の調査の結果をお待ちのはずでございます。詳細につきましてはどうか外務省のほうにお尋ねを願いたいと思います。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは無論外務省には非常に重大な問題ですから我々は聞くのでありますけれども、私は今、援護対策を直接担当されておる厚生省として、少くともそういう資料をこれはお持ちにならなければいかんじやないか、外務省だけ頼つたのでは、これは十分ではないのではないか、こういう点からお聞きしておるのです。やはり外務省の資料だけでやつて行けない面も出て来るだろうというふうに、私は一、二挙げたのでありますが、そういう点からこれはお考え頂くことと思うのでありますが、どうも非常に数が開くんですな。三万二千しか実際はやつていないで、三十七万と言われているところに、果してあなたの今説明されただけで、これは説明ができるかどうか、非常に私は非科学的だと思つている。ただこれは外務省の数を聞かれて、あなたたち数だけぽつと子供のように聞いて来られるのじやないと思うのです。どういうふうにして調べたのか、どういうような資料によるのだとか、こういう点もまあ少くともこの統計が信頼すべきものかどうかということをあなたたち確められることが必要だと思うのですが、そういうことをやつておるのでありますか、ただそれだけを鵜呑みにされてそれでやつておられるのですか。
  117. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) お尋ねの要点は三十七万という数字に関連するのでありますが、御承知通り本問題につきましては、たびたび国会において議論のあつた点でございます。事柄の性質上外務省の所管と相成つております関係上、我々のところではこの数字基礎につきまして、その所管の外務省から詳細お聞き願うことを希望する次第であります。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 何遍言つても同じことなんですが、私はやはり外務省の数のことはこれは別なんで、性格的に言つても、又これは違う点があるのですから、少くとも厚生省として施策をやつて行く上に、外務省、外務省では、これじや非常にこれは責任逃れになると思う。それから一つの官庁のセクシヨナリズムがそこにはつきり出ておると思う。而もそれが重大な関連を持つ問題なんで、一体統計の何はないのですか、統計調査部というものはあるのじやないのですか、厚生省はどうなんですか、お持ちになつてないのですか、これはどうです。そうしてどういう仕事をやつておるのです。これは重大な統計に属することなんですけれども、こういう点についてどういう資料を持つておるか。
  119. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 統計調査部はさような調査は実施しておらないのでございます。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 怠慢だ。これだけ重大な問題ですぞ。少くとも外務省は大ざつぱな調査をされておるが、実際問題で今言つたように、例えば村々、こういう所を調査するのは簡單なんですから。我々ならむずかしい。我々はそういう調査機構を持つていない。併し少くとも官庁がこういうような大きな調査機構を、こういうような相当厖大な予算を組んでやるなら、官庁の今の機構と能力を以てすればこれはやさしいことなんだ。少くとも三ヵ月あればできるでしよう。村々に対してそういう資料を出せ、何人実際あるのか、そうしてその中で帰れないのはどうだ、そういうような調査をやることは、非常にこれはもう当然やらなくちやならないし、現在それがやられないというのは、これは非常におかしいので、外務省のほうでそれがやられているかどうかわかりませんけれども、あなたのほうでもやはりどうしたつてそういう具体的な資料なしに対策をやろうなんていうのは、何によつてつているのですか、木によつて魚を求めるようなこと以上になつてしまうと思う。どうなんです。
  121. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 外務省も調査をいたし、厚生省も調査をいたすということは、経費の点から極めて不経済であります。外務省の調査いたしました基礎を元にいたしまして私ども調査をいたしております。なおお尋ねの未復員者給與法と特別未帰還者給與法につきましては、該当者につきましては極力届出を励行さしておきます。該当者からの申出によりましてすべて処置をいたしております。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 不経済だと言うけれども、あなたたちのところだけ不経済なんて言つたつて通らんです。例えば安本でも調査機構を持つておる。大蔵省でも調査機構を持つておる。ちやんと安本の統計、大蔵省の統計、或いは地財委の統計、そういうものがいろいろ絡まつて論議されておる。だから今のは非常に言い逃れ、都合のいいときにはそういうことを言うとしか我々は判定できない。なぜ厚生省が統計局を持つていながら、局ですか、部ですか、部長さんがここに見えておられるというのですから部でしような。こういうものを持つておりながら、なぜこういう問題だけ外務省委せにしておるのか、了解に苦しむ。どうですこれは。なぜこういうものに対して……。今、而もこれは非常に世論を起している重大問題なんだから、何ぼ綿密にやつたつて、科学的にやつたつて、やり過ぎということはないはずです。なぜこれをやらないかどうです。
  123. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 未帰還者の調査につきましては、それぞれの部において調べております。最終の責任者は外務省ということになつております。外務省において所要の経費を計上して、そうして地方の世話課を通じて調べております。厚生省におきましては、それは向うの数字を信頼いたしまして、その数字に基いて帰還対策を立てておるわけであります。未帰還者の数は先ほど申上げました通り、一応三十七万と推定されておられます。その中での未帰還者は一応十五万と推定いたしております。勿論今日まで死亡の確認いたしました者は約六万ございます。而もそのほかにも相当多数の死亡者が推定されるのでありますが、何分にも何人死んだか、誰々が死んだか、  これは関係国からの正確な通報がない以上科学的な根拠がつかめないのは当然であります。併しながら先ほど申上げましたように、相当の死亡者があるらしいということで、一応十五万と推  定したのであります。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは押問答しても、だんだん日が沈み始めておりますから、いつまでやつてもしようがない問題です。無論外務省のほうも確かめますが、少くともこんなことはわかるでしよう。先ほど申上げましたように七千の村で三十人帰らない者がなければ絶対合わない。小学校の一年生でもわかるような数字です。それがない村がたくさんあります。私の歩いた範囲だけれども、殆んどなかつた。問題にならない。従つて一方で七千人ぐらいの人口の所で百人ぐらいの村がなければ合わない。ぴつたり。そうしますとそういう所では非常に輿論が起つて来ると思いますが、それをあなたたちのほうで外務省委せにしたというのでは、厚生省の責任逃れにしか過ぎません。そういうような点については特徴的なところをおつかみになつておられるはずです。それを発表願いたい。例えばそういう何でしたら、新聞での問題になると思う、大きく。例えば七千人ぐらいの村で百人シベリヤ地域から帰らない村がある、こういう村がなければ合わない。何と言つたつて合わない。従いましてそういう村が大きく問題になつて来る。輿論として取上げられて来る。そうして今非常にこれを宣伝しておるときですから、待つていましたとばかりそういう問題は取上げられるはずですが、一体厚生省はそういう輿論をおつかみになつておられるか。少くともそういうものがなければ合わない。ところがそういうような、つまり日本人の数観念が非常に稀薄であるところに乗じて、殊更わけのわからない三十七万という数字を持つて来て、そうして国際情勢に影響を持つような問題に利用するというようなことは、これは非常に問題だと思うのでありますが、今の点お聞きします。これは非常に特徴的な村がありましよう。
  125. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 私どものほうではそういう調査をいたしておらないのでありますから、お答えするだけの資料を持つておりません。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 調査をしていないと言つたつて、随分無責任ですな、実際。そのほかに生活保護法とかいろいろありますが、そういう十分の一の適用を受けない、説明によりますと、届出とか資格のない、外地におるかたとか、資格のないというのはありますけれども、それもそんなに多いというようには考えられないわけでしよう。どうしたつてその数がそんなに厖大とは思われません。三十七万のうち三万二千を適用して、あと三十四万近く、三十三万八千というのは皆留守か、外地に家族がおるとか、それから資格がないのだとか、これは余りに荒唐無稽です。こういう数字を大体信用することができるかどうかということがわかると思う。従つてそういう適用をやるときに、適用をやるときに必ず俺のところはもらえないとかいう多くの輿論が出て来るはずです。そういうことは頬被りですか。そういうことは起らないのですか、今まで。実におかしい。どう考えても。
  127. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 外務省におきましていろいろ先ほど申上げましたような関係、及び岩間さんがお話しになりましたような方法によつて調査いたしておるはずであります。新聞等でも厚生省で具体的に氏名をつかんでいる未帰還者の数も発表されてあるのでございます。お話の通り未帰還者の数は留守宅の面からだけでは正確に把握下ることは困難でございます。いろいろの要素を、あれこれの関係から外務官においては折角これを進めておられるはずでございます。
  128. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ちよつと岩間君にお諮りしますが、この問題は更に政治的な問題でもあるかと思いますので、一応事務当局に対する質問はこの問題に関する限りは……。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料を、やはりそういう点で資料がないというのは、どうも私にはわからんのですけれども、例えば厚生省の未帰還者で生活保便法の適用を受けておる数とか、去年の未復員者及び特別未帰還者の法律の適用を受けておる数とか、そういうものが府県別にどういうふうに使われておるのであるか。それから予算についてはどうなんですか。今年度は相当厖大な予算が十五万人を対象としてとられておると思いますが、これと去年の実施状況との比較、こういう点で是非資料を頂きたいと思います。それからどうしても私は納得が行かないのですが、今の報告に非常に多い村があるはずなんですが、そういう村の幾つかを厚生省がつかんでいられないなどということは私は考えられない。例えば結核で七千人の村に百人の結核患者がいるとしたら、相当大きな問題なんです。これはそれよりももつと大きな問題を持つておると思うのです。そういうものを厚生省がどうしてつかんでいられないのか、事実そういうものはないのか、これはどうなんですか。これが若しそういう資料というものがないとすれば、我々は早く作つてもらうことを要求しなくちやなりませんけれども、先ほど申したような資料、そういうものはもらえますか。
  130. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 未復員者給與法と、特別未還者の給與法の適用を受けておる数につきましては、先ほど申上げた通りであります。なお中共地域内におきまする一般邦人であつて、特別未帰還者給與法に該当するであろうと思われる者の調査はいたしております。これは特別未帰還者と申しますのは、御承知通り一般邦人であつて、中共に抑留されておりまする復員者と同様の状況にあるかたを特別未帰還者と申しまして、これに対しましては未復員者給與法を全面的に準用しておるわけであります。こういうかたがたの留守家族に対しましては、留守宅手当を支給するという関係上、特別未帰還者が誰であるかということを把握するのに努力いたしております。大体現地からの通信というものを基礎にいたして調査をいたしております。その数もおおむね今日までつかんでおります。約一万一千余だと思います。各地方別の、どこに留守宅が何人おるとか何とかいうことにつきましては、私のほうでは今のところ詳細にわかつておらないのです。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは私は、外務省のほうはこれは別にもらいます。外務省のほうに話せばいいのですからもらいますけれども、そうでなくて、あなたのほうで適用する場合にどうやつておるとか、そういうことはもらえるはずだと思いますが、去年度資料でいいのですから……。今年度の、今言つた対策的に、どこにどうというようなことが出ておれば、これも欲しいのです。これがなければやはり問題にならないと思うのです、どうも。私はこれで時間がありませんからやめますけれども、やはりもつと明快にされることを欲します。私は共産党員ですが、無論ソ連方面の抑留者の帰還に対しては努力したいと思う。事実そういうことがあるならば我々共産党員もこれの帰還のために努力することは決してやぶさかではありません。併しながら本当に科学的な基礎の上に立つて根拠のあるものであるかどうかということ、こういうことを確かめないで、そうしてこれがいろいろな政治的な性格を持つたり、国際情勢の中に一つの何を負わすような使いかたに対しては、これは絶対に納得することができないのであります。この点を私は明らかにして、是非厚生省においてもそういう努力をされることを望んで置きます。
  132. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 今の御要求の資料はあるもの、できるものは一つ揃えて資料にして御提出願いたいと思います。  それからそれに関連してちよつとお聞きしますが、同胞引揚費は、去年の予算が三十六億九千六百万円であつたと思いますが、これは引揚者を幾らと予定してこれだけであつたのか。従つて実績は、大体推定実績二十五年度どれだけ引揚げて、従つて経費としてはどれくらい二十五年度にお使いになるつもりですか。
  133. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 二十五年度の引揚予算基礎人員は三十六万人であつたと思います。実績は今日までのところ三千七百名程度でございます。
  134. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 三十六億九千六百万円のうち二十五年度経費としてお使いになる予定は、三千七百人、今までに引揚げて来て、それからあと若干まだお見込みなのか、もう殆んどないとして、大体これだけの経費で今まで幾らお使いになつておるのですか。
  135. 田邊繁雄

    政府委員(田邊繁雄君) 引揚関係予算の中で今日まで幾ら使つたかという点につきましては、只今資料を持ち合わせておりませんのでお答えできません。なお今年度に入りまして、あと一応三千七百名を入れまして、一万人だけの経費を計上いたしております。  なおそのほかの引揚援護庁関係経費にいたしまして、支出負担行為からは除外されておりますが、なお引揚げ予定があれば二万人くらいの引揚げを受入れるだけの用意がございます。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 今外務省が来られてないので遺憾ですが、そのうち予算委員会でも厚生省と外務省双方出てもらつて、この問題を追及することを一つ日程に残して置いて頂きたいと思います。非常に重大な問題ですから特にお願いします。
  137. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) そういうふうに取計うことにいたします。
  138. 東隆

    ○東隆君 社会局長さんに伺いますが、先ほどの御説明で、実は消費生活協同組合は殆んど附足りのような御説明でありました。予算面から見ますと四百四十億に対して消費生活協同組合については三百六十二万円、一万分の一ですか、それでは問題にならんのだと、こう考えますが、併し私は厚生省の仕事は殆んど消極的な仕事が多いと思いますが、そのうちで積極的な仕事と申しますと、この消費生活協同組合の仕事が積極的な仕事だと、こう考えて、それから又これを提案されたときの理由を御想像下されば、これは非常に新生日本には大切な一般大衆の運動だろうと、こう考えるわけで、これを実際は厚生省は生み放しにしないでやらなければならんと、こう考えておりますが、厚生省のほうで恐らく戰後における消費生活協同組合の、申訳的なものなんか濫立をして、その後それが法人になつて行つて、そうして現在非常にそれが経済の波に傷めつけられておるような状態、そんなような状態が私は非常にたくさん見られるのでありますが、そういうようなものについてのお調べがあるだろうと、こう考えますので、それを概略お話し願つて、そうして詳しいととを一つ資料として頂ぎたいとこう思うわけであります。
  139. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) お答えいたします。消費生活協同組合が厚生省の、特に私のほうの所管のものといたしまして秘めて重要なものであるということは、私もそのつもりであります。このために一つの課を作りまして、その課の仕事をいたしまする経費只今予算に計上されておる経費でございます。協同組合の健全なる発達を図るというためには、これが健全に発達できるような環境を作るということが最も大事だろうと思います。そういうような面で以てこれに対する指導をいたしておるのであります。予算面におきましては、只今お話がございましたように事務経費だけではございませんけれども、それにつきましては我々といたしましては、関係の方面と連絡をいたしまして努力いたしておる次第でございます。組合の状況でございまするけれども、戰後に非常にたくさんの組合が濫立いたしまして、最近に至りまして逐次これが整理されて参つております。法律ができまして以来、この新らしい法律によりましてできましたもの、産業組合から代りましたもの、任意組合からこれらの適用するようになりましたものといつたような数字は、別に資料として差上げたいと思います。現在では逐次これが健全な方向に歩みつつあるものと私どもは信じております。  なおこれに対しまして各種の問題がございまするが、第一はこれに対する資金の問題、次がこれに対しまする取扱い物資の問題、こういう問題がございます。これに対しましてはいろいろと関係方面と折衝いたしまして、努力いたしておりまする次第でございます。
  140. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 簡單なんですが、参考のために二点ばかり伺つて置きたいのです。その一つは、生活保護費の問題ですが、御承知のように最低限度の生活を保障することが狙いですが、一応厚生省としては最低生活費というのはどのぐらいに押えているか、これはいろいろ疑問があるのですけれども、そういう理窟は別にして、厚生省として、この際ここに計上しているように、まあ物価の騰貴その他を勘案して、最低生活保護費の増加を図つておるのですが、一応ですね、最低生活費というのはどのくらいに押えておられるかということが一つと、これは又資料として頂ければ結構なんですが、それが一つ。  それから「生活保護行政方針の大要について」という我々に配られた資料のうちに、一般諸物価水準に即応して生活扶助費、住宅扶助費及び教育扶助費について現行基準の規定を見込んでおられると、こう言つておられるのですが、一般諸物価水準のこの上昇をどの程度に見込まれたのか、これが第二点です。  それからもう一つ、先ほど国民保險について、養老保險ですか、についてのお話で、インフレと保險金との調整の問題、これは非常に重要な点で、この点について考えられているということは、どういうような調整方法が考えられているか。  それからもう一つ、この被保護者の生活実態調査を実施する予定であるということが書かれておりますが、これは私これを拜見して非常に妙に思つたんですが、今まではこういう調査をやられておらなかつたのか。何に基いてやられておつたのか、その基礎です。これまでは何によつてつたか。今後この実態調査をやることは非常にいいことと思うのです。これは実際早くやつて頂きたいと思うのですが、いつ頃までにできるのか、これまでやつておられないということは、私は非常に不思議に思うのでして、その点について特にお伺いしたい。それから政府においては、政府全体の問題ですが、これまでC・P・Sとかそういう調査はあるのですが、このいわゆる生計費調査というのがないのですね。ですからこれは厚生省は今後生活保護をやつて行く上においてやはりこの国民の生計費調査というものをですね。これを調査されなければ駄目じやないかと思うのです。C・P・Sだけではわからないのです。又実質賃金というものだけじやわからないのです。生計費調査をやらなきやだめです、これがないのです。それでこの予算説明書にもありますように、憲法二十五條の理念に基いて、国民の最低限度の生活は保障する云々とありますが、これをやつて行く上に、やつぱり基礎として生計費調査がないというはずはないと思います。ですからこの点は厚生省だけの問題じやありませんが、厚生省が率先してですね、率先して内閣統計局あたりに働きかけて、C・P・Sだけじやなく生計費調査、これをおやりになる考えはないか。これはどうしてもやらなきやいけないと思うのですが、その点についてお伺いしたいのです。
  141. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) お答えいたします。現在の最低生活基準をどこに置いておるかという御質問でございますが、これはお手許資料にございますように現在では標準世帶で以て五千四百七十円ということに大都市のほうはなつております。標準世帶と申しますものは、普通言つておる標準世帯ではないのでありまして、これは生活保護のほうに該当する世帯の標準世帯でございます。これは五人世帶でありまして、老人が一人、女の世帯主が一人、子供が三人、こういう世帶を大体考えております。こういう世帶を以て五千四百七十円という大体の基準にいたしております。この費用が十分なものであるかどうかという問題については、現在食糧費の占めておる部分がそのうちの八二%という数字から見ましても、これが満足すべきものであるとは私は考えておりません。併しながらとにかく辛うじて生きで行けるということは、これで確保できると思うのであります。ただ今後我々としましては、その内容の充実ということに努力しなければならんものと存じます。勿論これにつきましては財政的な制約がございますので、それらの点と睨み合わせまして、できるだけ早目にしたいと考えておるのであります。一応明年度に見込んでおりますものは、基準内容の変更でございます。物価の問題は若干加味いたしております。併しこれを立てましたときに比べまして、それから一度物価が下がつて又物価が上つたというようなことになつておりますので、この間におきまして価格の変動というものは見込まれるだけ見込んでおりますが、たおここで物価騰貴によりまする内容増額を一応いたしたいと思います。勿論物価のほうがどんどん上つて参りますれば、物価のほうに従つて上るほうが先であります。それに引続きまして余裕があります場合には、これによつて内容の検討をいたしたいと考えておるのであります。それから被保護者の生活実態調査を実施するということでありますが、これは本年度初めてやることではないのでありまして、これについては前からたびたびいたしております。ただ実態調査は非常にむずかしいのでありまして、どういうような方法でやるか、そのやる場合におけるところの標準世帶の選びかたというような点がなかなか困難なんでありまして、従来やりましたような調査では余り信用の置けるものが出ないということになつて、今回更にこのやりかたを変えまして、新たにやるような形をとつたのであります。ここに出ておるのは従来の引続きではない、新らしいやりかたを以てもう少し正確なものをとりたいというように考えておるのであります。なお一般の生計費の調査につきましても、我我といたしましては、それを担当いたしまするところにおきまして、適当なる調査ができますることを希望いたしております。
  142. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 年金のお話でございますが、これは主として厚生年金が商業保險でありまするならば、インフレの影響を受けましても、保險料を出したものが積立金になつておるものでありますからして、それ以上のものは出せないわけであります。併しやはり社会保險でありますならば、それをそのまま放つて置くことは私はできんだろうと思います。それで一つの例といたしましては、養老年金はまだ出ておりませんけれども、すでに出ておりますところの寡婦年金でありますとか、或いは災害保障の障害年金でありますとか、こういうものにつきましては、実は昨年従来の額を五倍にいたしまして、今度の国会でそれを二倍にする措置をとつておりまして、これのやりかたにつきましては、勿論そういうふうに積立金がないものを更に額を上げるということになりますと、その財源をどうするかという問題になりまして、それの睨み合わせがございますけれども、一つのやりかたとしては、まあ古いほうの戰時中の低い標準報酬を切つて捨てて、その後の標準報酬だけを基準にして考えるというやりかたもあります。それからいま一つは、この社会保障制度審議会で勧告いたしておりまするように定額にいたしまして、大体一人二千円ということを言つているわけであります。その二千円に、妻子が一人ずつあるということで三千円ぐらいになる。そういうようなやりかたこれは二つのものがあると思います。その点は今折角研究いたしておりまして、その勧告とも睨み合わせまして一つの成案を得たいと思つております。いずれにいたしましても、今のままで置くということはいかん、こういうふうに思つております。社会保險の本来の目的を達する程度の額に是非いたしたい、こういうように思つております。
  143. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 生計調査のことが先ほど御質問になりましたので、一言だけ附加えさして頂きたいと思います。お話のように生計調査は、総理府の統計局でやつておりますC・P・S、或いは農林省で担当しております農家経済調査というものとかなり似てはおりますけれども、国民全体に亘つた生計費調査とは肌合いが違います。そういうような意味におきまして厚生省の行政を進めて行く上で、さような調査が特別のものを必要とするというふうに考えまして、実は昨年の九、十、十一の三ヵ月に亘りまして、この被保護世帯と申しますか、もつと言いますれば、必ずしも今日この生活保護法の対象と現実になつておりません、例えば母子家庭とか或いは肢体不自由者を持つております家庭とか、こういうような特殊世帶を一方とりまして、その対象として一般世帶も数千家族とりまして調査をいたしました。只今その資料が集つてつて、集計中でございますので、できるだけ急いでお目にかけたいものというふうに努力中でございます。九、十、十一の三ヵ月実施いたしましたので、今年度は今度時期を変えてもう一ぺんやつて見たいということで、又昭和二十六年度予算にもそれを計上して頂いておりますので、できるだけ早く結果を出しましてお目にかけたいと、こういうように思つております。
  144. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは非常に結構だと思うのです。生計費調査は今までありませんから、これは非常に今後我々ほかの資料と照し合わせて見ると、非堂に参考になる重要な資料になると思いますから、是非それを早く御提出願いたい。又こういう調査は相当金をかけて徹底的にやられることを希望します。それからこの生活実態調査を初めてでないとおつしやいましたが、今までやつた資料がありましたらその資料を御提出頂きたい。それから大体最低生活費を二十五年度五千四百七円、こういうように押えて、どうやら暮して行ける費用だと考える、こういうお話ですが、これは何の基礎によりましたか。その基礎資料を拜見したいです。それでその内訳です。どういう消費内容であるか。それで我々は議論はいたしません、判定しますから……。これが最低生活であるかどうか。五人世帶の場合です、五人世帶で五千四百七十円で最低どうやらやつて行けるかどうか、我々が判定いたしますから、その消費内容資料を提出されたいのです。何をその基礎にされたか、それを一つ御提出願いたい。
  145. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 只今御希望の資料につきましては提出いたすようにいたします。これはすでに世間には公けになつておりまして、これはどこでも求めることができることになつております。従いましていつでも差上げて差支えないと思います。
  146. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 先ほど公益質屋のことをちよつとお話があつたので承わりたいのでありますが、私は別途に公益質屋或いは私営質屋の資料を求めておるものでありますが、この際承わりたいことは、公益質屋に補助金をお出しになるというのでありますが、それは全般的にはどういう計画であるのかということを承わりたい。今年だけ出すのか、それとも一つの計画があつて年度計画でお出しになるのか、そういう点を承わりたいと思います。
  147. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 公益質屋の増設につきましては、全国各地におきまして希望があるのであります。その希望されております数字は、非常に厖大な数字に上つておりまして、これに対しまして明年度予算で組んでおりますものは一千万円でございますが、従いまして法律で以て、公益質屋法で以て補助することにいたしております額からいたしますれば、極めて貧弱でございますので、我々といたしましてはその中で特に急を要する場所について差当り明年度において補助いたしたい、こういうふうに考えております。明後年以降もできるだけ補助いたしたいと考えております。
  148. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 ちよつとその御方針について、これはまあ私の考えを前提にして置きたいのでありますが、誤解があるといけないので申上げたいのですが、それは公益質屋をどんどん拡充して行くということについては誰も異論はないのです。併しその公益質屋を拡充して行くについては相当な施設費が要る。これは今のような補助金を年々殖やして行くという方法もありましよう。又地方自治体において費用を捻出するという方法もありましよう。併しいずれにしても倉庫を持ち店舗を持つということになりますと、この施設費が非常に嵩まるということから考えますときに、私は例えば東京の例で行きますと、私の記憶ですが、たしか現在公益のほうは二十五軒だと思います。三十五軒の予定が二十五軒、然るに民間の私営質屋というものは千三百軒くらいあるのじやないかと思います。そうすると公益質屋を設けるという趣旨はいいのだが、併し現在質屋を利用しておる人たち、それから現在の私営の施設の数等から考えて行きますならば、公益質屋をよほど頑張つて拡充して行きましても、まあ平たい言葉で言えば、焼石に水のようなことになつていかんので、その程度のことであるならば、むしろ私営質屋に対して公益性を持たせるというようなお考えがないかどうか。これは非常に私は関心を持つておるのであります。私営質屋でも現在法によつて一割以内の利息を取る、私営質屋とは利息については格段の相違である、これはまあ十分わかつておることでありますが、併しこれに対しては低利の資金を融通してやるとか、或いは地方税を一部免除してやるとか、いろいろのことによつて低利に貸付けられると思うことが一つであります。それからもう一つは、戰後における質屋の利用状況というものを厚生省はどういうふうにお考えになつておるかこれをお聞きしたいのでありますが、私の見たところでは、質種というものが、大体公益質屋に持つて行く物も私営質屋へ持つて行く物も似たり寄つたりで、戰前のように箪笥の中にたくさん着物を持つてつたり、或いは洋服をたくさん持つてつて、これを咄嗟の場合に持つてつて必要資金に当てるというような場合でなくて、最近の場合は、すべてもう質屋に預ける場合は、生活資金のための傾向が多いんじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、一般的な質屋に対するお考え方、これを承わりたいと思います。
  149. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 公益質屋は、現在では市町村がやる建前なつておりまするが、市町村以外でも公益法人がこれを行うことができることになつております。私のほうといたしましては、今市町村がやりまするものも、公益法人がやりまするものもこの間に差別を設けておりません。従いまして民間の質屋が公益質屋と同じように公益法人ということになりまして、公益質屋の精神に従つてこれを運営するという場合に、別にこれを妨げるものではないのでありまして、現在までそういう希望は一遍も聞いたことはないわけでございます。なおこれに対しまする援助といたしましては、現在では新設の要求が各方面にあります。その大部分というものは、従来ありました所が戰災その他によりましてなくなりましたものが多数あるようであります。これに対する復旧というものが現在の大きな問題になつておるのでございまして、それらの点につきまして十分考慮いたしまして、従前の状況にできるだけ返したいというように考えております。
  150. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 もう一つ聞きたいのです。これは公益質屋も、この公益質屋法を改正する御意図があるのかどうか、これはお手許にないかと存じますが、第四條に、「貸付金額ハ一口ニ付十円、一世帶ニ付五十円ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ地方長官ノ認可ヲ受ケタル場合ニ於テハ此ノ限りニ在ラズ」この但書を活かして現在運営されておると思うのであります。ところがこの但書を活かすことによつて地方長官の認可の状況がまちまちではないか、或いはこの條文でもあるように「一口ニ付十円、一世帯ニ付五十円ヲ超ユルコトヲ得ズ」、これは昭和二年当時のことでありますが、要するに本当の生活困窮者のためにこれらの法ができておると思うのであります。然るに現在の実態というものは、これはちよつと記憶が薄らいでおるのですが、たしか一世帶八千円くらいまで貸しておるのじやないかと思うのでありますが、そうなつて行く一方に質屋営業法というものがあつて、市営を認めておるということと、ここに摩擦が起きやしないかと思うのでありますが、これは第四條というものをはつきりされることが望ましいのじやないか、かように思うのですが、この点如何ですか。
  151. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 御指摘通り公益質屋法は極めて古い法律でございますので、最近の情勢に応じたように改正する必要があると考えまして、目下研究をいたしております。従いましてできるだけ近い機会にその改正をいたしたいと思いまするが、差当りの問題といたしましては、現在では一定の基準を置きまして、その範囲内で地方の都道府県知事にその認可を伺うようにいたしております。余り厖大なものは現在でも認められておらないと思つております。
  152. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 これは後日でよろしうございますが、全国の公益質屋の状態、又現に計画されておる概要、或いは只今触れられましたところの、どういう標準を以て貸出しをしておるのか、又私営のほうの質屋の現況というようなものの資料をお作り願いたいと思うのであります。要するに私営質屋と公益質屋という両建を認めておるが、これの紛訂がないようにしてもらいたい。もう一つは、私営質屋も利用によつては公共性を帶びさせることができるのじやないか。こういう点にあるのでありますが、最後に伺いたいことは庶民金融の建前からいたしまして、もう少し公益質屋、私営質屋共に、そういう見地からこれを立法化して行くお考えはないか。いろいろと中小企業の金融問題が取上げられておるのでありますが、これは厚生省の管轄を離れるかと思うのでありますが、併し厚生省としてそういうお考えを持つていいのじやないか、例えば生活資金を貸出すための本当の零細庶民金融、こういうものは現在恐らく公益質屋と私営質屋を利用することによつて利便を得ておるのじやないかと思うのであります。ですから公益と私営とを問わずに、そういう庶民金融の立場からしての、いずれに対しても大きく公益性を付與して行くことが望しいのじやないかと思います。かように考えるのでありますが、厚生省の御意見はどうですか。
  153. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それと関連して私から一つ。国民金融公庫の金の貸出しは私営質屋にはできないということになつておるようですが、これも更に厚生省のほうでそういう制限を解くような努力をされないかどうか。
  154. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 厚生省におきましては、これは又お叱りをこうむるかも知れませんが、公益質屋だけを所管しております。一般私営質屋につきましては、私のほうには全然これに対する権限も何も持たされておりません。従いましてそのものにつきまして私のほうでどうこうすることはできないのでありまして、我々といたしましては、公益質屋と同じような條件のような質屋に全部なるということが、最も望ましいのではないかと考えております。従いまして公益質屋というものに転向して来るということには喜んで受入れたいと思つております。これにつきましては、やはり我々としては現在の公益質屋の標準というものに合うようにしなければならんと考えております。なお国民金融公庫の問題につきましては、私は現在までそういう努力をいたしたことがないのでありまして、これにつきましても、やはり我々としましては公益質屋優先でしたいと考えておる次第でございます。なお先ほどお話がございました資料は、できるだけ作りまして差上げたいと思います。
  155. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 先ほど東君から生協について言われましたが、私も昨年生活協同組合の御調査を厚生省に願つたところが、なかなかその調査によりますというと、相当生活協同組合があるということになつておる。併し実態は誠に最近の生活協同組合は殆んどまあなくなつておるようなのが多い。ところでいろいろ世界の情勢からして、又日本にはいろいろ食糧問題なんかの統制というものが行われて来やせんかという我々は考えを持つのでありますが、そうして総理大臣も、食糧の統制は新らしい方法を以て統制したい、過去の官僚統制でないやりかたでやりたいと言つておるが、そういう場合に、私はいろいろ食糧問題その他の一般消費物資の統制というものは、活協同組合を主体としてやる方法を行うのが、これは新しい方法ではないかと、かように思つております。そうして先ほどのお話の中に、生活協同組合を強くするためには、その環境を強くするのかどうするのかというお話がありましたが、いずれにいたしましても、そういう環境が或る意味においてできておる、できるであろうということが我々に想定されるが、この際特別に生活協同組合というものをもつと一生懸命でやる気構えがないのか。誠に消極的であるようですが、その気構えをお聞きいたしたいのです。
  156. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) お答えいたします。生活協同組合の健全な発達を図ります上におきまして、やはりこれが主食を取扱うことができるということが本体でなければならんかと思うのであります。従いまして現在におきましては、その内容のいい組合におきましては、これができるようになつておるのも若干あるようでありまするけれども、全般といたしましては、これが実現されておらないというような実情でございます。又その資金の問題につきましても、組合が信用事業を行うことができないという制限がありますると、又組合の連合体が事業を営むことができない、つまり連絡事業以外には経済事業を営むことができないというふうになつている。そういうような法律そのものに各種の制限が定められておるのであります。従いましてそういうような関係から、この組合の何と申しますか、発達が一方におきましては遅れているということも言われるんじやなかろうかと思うのでありまして、これらのことにつきましては、できるだけそういうような障害を排除するように持つて参りたいと思つております。ただ何を申しましても現在の組合の実情というものが、逐次整理はされて参つておりますけれども、なお十分健全なものになつておりません。例を挙げて申しますれば、組合員の出資の増額ということも、しなければならん非常に重要なことであると思うのでありますけれども、それすらできない。即ち組合員自身が組合を信用しないといつたような状況も中にはあるような状態でございまして、やはり組合自身が積極的に強化される、内部から強化されるということも一方において必要じやなかろうかと思います。これにはにわとりと卵とどちらが先かということと同じように、両々相待つてやることになるのでありますからして、我々としてはその実際の状況というものを見ながら、逐次この内容が強化されて行くようにその環境を作つて参りたいというふうに考えまして、努力いたしておるわけであります。何を申しましても現在各方面からいろいろ制約を受けているような状況でございますので、これを逐次打開して行くというので、我々としましては今組合と一緒にその茨の道を切り開いて行くというようなことで努力いたしておる次第であります。
  157. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 今のお話によりますと、やはり生活協同組合は自分でやつて見てくれということになると思いますが、先ほどの私の話のように、とにかく新しき統制ということを考える場合には、生活協同組合の重要性がどうしても我々の頭に浮んで来る。イギリスの生活統制、消費統制が生活協同組合に負うところが多かつたということを聞いても、さように考えるのであります。だから生活協同組合というものをただ骨を折つて面倒を見てやるというのではなくして、もつと資金的に、今度は農村協同組合助成法というのができて、幾らか資金を融通してやるような様子でありまするが、そういうように生活協同組合をもつと資金的に物資的に育成するという考えはないのかどうか。
  158. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) お答えいたします。私といたしましては育成するつもりでおるのであります。そのためにできるだけ全力を挙げたいというふうに考えております。ただ先ほど申上げましたように組合内部の状況及び外部の各種の状況というものが、必ずしもそのほうに有利でない。これを切り開いて行くには相当困難がある。この困難を打開するには強い力が必要じやないかと考えております。そのために我々としてはできるだけ努力いたしたいと思つております。
  159. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 その困難というところを一つ、どういうところが困難なのか、そこのところを……。
  160. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) この困難は現在の消費生活協同組合のあの形を作らせたその困難でございます。
  161. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それでは続いて質問したいのですが、大分肺結核のほうはいろいろ政府でもお骨折り願つて、今度は大幅に金を出しているようですが、国立療養所はいろいろな規則を設けてその入所を扱つているそうであります。それで国立療養所では、入所費等取扱細則というのがあるそうでありますが、その第三條に曰く「国立療養所の所長は入所者の中でその生計事情が生活保護法の保護対象たるべき状態にある者で、他の如何なる方法によるも療養費支出の途なき者については、入所費を免除することができる。」という、非常に困つた人に対しては入所費を免除することができるという細則が第三條にあるそうでありますが、最近そういう患者は成るべく入れないほうがいいというような声明をしておる療養所もあるそうであります。こういうことを御存じでありますか。
  162. 東龍太郎

    政府委員(東龍太郎君) 只今の御質問でございますが、国立病院療養所等の患者に対する入院料の減免規定というものがございまして、只今お読み頂きましたような、必要止むを得ざる者に対しては無料で入院をさせておるのでありますが、最近にその減免規定の適用がややルーズに過ぎたというふうな事柄もございまして、その実態をよく調査して、果してこれに減免、特に免の規定を適用するに十分であるかどうかという点を実態調査するというふうな形でいたしております。従つて現在といえども、或いは将来といえども、特に故意、意識を以て減免の患者を少くするというふうな、そういう作為のある方針は私どもは絶対にとらないつもりであります。必要な者には、減もいたしますれば免もいたすつもりでおります。
  163. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 そうすると、そういうことを若し仮に声明した療養所があれば、責任は厚生省でとりますか。
  164. 東龍太郎

    政府委員(東龍太郎君) 私のほうからさような指示等はいたしておりません。従つて療養所において独断を以てさような処置をいたしましたとすれば、それは行過ぎでありますので、実態調査をいたしまして、直ちにそれは改めさせます。
  165. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 いろいろ困つた人を厚生省ではお世話しておるようですが、今私どもが世間を見渡して一番気の毒だと思うのは、遺家族の人々ですが、遺家族でもぴんからきりまでありまして、必ずしも全部ではありませんけれども、遺家族の中には誠に、何らの政府からの世話もなく、一般からも割合に冷たく見られる人もあるので、この遺家族を何とかしたいと思つている人も相当あると思うのであります。何かこれも占領関係とか、いろんな問題で思うようにならんように承わつておりますけれども、併しながら、もはや講和会議も近付きつつあるし、よほど連合国のほうでもさような問題に対して寛大な気持を持つておられると思うのでありますが、この遺家族を救済するということにつきまして、何か厚生省でもお考えになることがございましようか。
  166. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 遺家族の問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございまして、現在厚生省として生活の保障といつた面では一般生活困窮者と同様に取扱いまして、何らその間に差別を設けず、生活に困窮いたします者がないように努力いたしております。ただ遺家族に対しまする国家保障といつたような意味の点でございますれば、これは現在のところでは、厚生省の所管とも必ずしも言いがたい状況なつております。これはどこで取扱いますか、どういうふうにやりますかということは、政府全体としてお考えになるだろうと思つております。
  167. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 簡單なことなんですが、先ほどの生活扶助の基準額の引上げの理由ですが、主として生活内容の点を変えたという点にあるので、物価の騰貴は若干考えられた、若干というのはどの程度ですか。
  168. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 生活保護費の扶助の基準内容を変えるという点につきましては、我々は内容を変えることは、内容を引上げることが一番大事であるというように考えております。明年度予算といたしましては、一応飲食物費を除きまして、生活費におきましては五割、それから教育費におきましてはやはり五割、住宅費につきましては十五割という増額をいたしたい。これは内容そのものを増したいという気持であります。ただ諸物価の関係もありますので、物価が上りました場合には、果してこの期待が実現できるかどうかという点につきましては、何とも現在ではわからない次第でございます。文生活保護を受けまする人の数が予想よりも遥かに多くなるといつた場合に、財政的見地からそれに対する制約が相当あるということも考えなければならないと思います。現在のところでは、我々といたしましてはできるだけ内容を上げたいというふうに考えまして、その方面につきまして各般の資料を準備して研究いたしておるような次第でございます。
  169. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私聞いておるのは、それは先ほど伺つたのですが、併し物価騰貴のことも若干考慮されておると言われたが、どの程度考慮されたか、それを何%考慮されたか。
  170. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 物価の騰貴の点につきましては、大体米価の改訂がこの前ございましたときに、一応その点を調整いたしました次第でございます。従いまして予算の面におきましては、それ以外の点について物価の点は余り考慮されておらないということを申上げるわけであります。
  171. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと最後に。余りということはどうなのですか、そこをはつきり聞きたいのです。全然考慮しなかつた、据置か、余りというのは若干考慮された、若干というのは何%考慮されたか。
  172. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 先ほど申しましたように、大体金額の比率で以て予算を組んであるのでありまするからして、それは物価のほうで上る場合もありまするでしようし、内容で上る場合もあると思います。これらにつきましては、今後の実際の状況というものを把握いたしまして、できるだけ内容も上げ、価格も合わせるようにして行きたいというふうに考えておるわけであります。
  173. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それだからおかしいのです。さつきは内容を変えて行く、文化的に編成替えするという意味にとれたのですが、それじや物価騰貴を考慮していないとすれば、それは内容を変えたのではなくて、物価騰貴のほうで皆それを食い込んで行く。若し物価騰貴を考慮するとすれば、変えた内容に物価騰貴が加わらなければならない。一般にそういう言葉の使いかたをすると、ちよつと政府が文化的にものを考えているように聞こえるのですが、併し私はそういう形容詞的なことを聞いているんでなくて、実際どうか。今のお話ですと、内容と物価と両方考えた、こういうことになるのですか。
  174. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) たびたび申上げまする通りに、一応五割の増額ということを考慮されたのであります。その五割というものが、物価が若し五割上つてしまいますれば、これは内容は全然上らないということにならざるを得ないのであります。ただ私どもといたしましては、物価が五割上つた、特に生活保護法の該当者の生活内容になるような点で五割上がるということは現在考えておりません。そういうことになろうとは思つておりません。併しこれは将来のことでございますので、私はそう思いましても、或いは上がるかも知れませんが、そこのところは今の予算では一応内容としては五割上げるつもりで予算を組んであるということを申上げた次第でございます。
  175. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) その点に関連しましてちよつと更に資料を御要求して置きたいと思うのですが、先ほど木村君の御報告の通りに、二十五年度は大都市で五千四百七十円、それが二十六年度は五千八百八十円に増額されている。五千四百七十円の資料をお出しになるときに更に今年度五千八百八十円に引上げた根拠も併せて説明のできるような資料にして頂きたい。  お諮りいたしますが、まだたくさん御質疑はあるかとも思いますが、時間も非常に遅くなつておりますので、本日は一応これで打切つたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それではこれで打切ることにいたします。  なおもう一つちよつとお諮りいたしたいと思うのですが、この間委員会で決定いたしました現地調査のために委員を派遣することは、雪のために期日を延期しておりましたが、本日の委員長、理事の打合会で二十四、二十五、二十六の三日間、先に決定いたしました二班に、更に一班を追加いたしまして計十五名を派遣することに話合つたのでありますが、このように決定することに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは御異議ないものと認めさよう決定いたします。本日はこれで散会いたします。    午後五時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            大島 定吉君            小野 義夫君            野田 卯一君            長谷山行毅君            一松 政二君            深水 六郎君            安井  謙君            岩崎正三郎君            山田 節男君            前田  穰君            菊田 七平君            鈴木 強平君            中井 光次君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   政府委員    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    厚生省大臣官房    会計課長    太宰 博邦君    厚生省大臣官房    統計調査部長  曾田 長宗君    厚生大臣官房国    立公園部長   森本  潔君    厚生省公衆衞生    局環境衞生部長 山口 正義君    厚生省医務局長 東 龍太郎君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    厚生省社会局長 木村忠二郎君    厚生省児童局長 高田 正巳君    厚生省保險局長 安田  巖君    引揚援護庁援護    局長      田邊 繁雄君    労働政務次官  山村治郎君    労働省大臣官房    会計課長    亀井  光君    労働省労政局長 賀來才二郎君    労働省労働基準    局長      中西  實君    労働省職業安定    局長      齋藤 邦吉君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    労働省大臣官房    労働統計調査部    長       金子 美雄君