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1951-02-09 第10回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(金曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 東隆

    理事東隆君) それではこれから開会いたします。今日は農林水産関係でありますが、次官が見えておりますから最初に御説明を承わつて、それから進めたい、こう思います。
  3. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 政府が今回提案いたしました予算のうち、農林省関係一般会計並びに特別会計及び公共事業関係の二十六年度分につきましてその概要説明申上げます。  先ず一般会計におきましては二十六年度は二百六十七億九千六百万円であります。二十五年度補正予算に比べて、二百三十一億三千九百万円に比して約三十六億五千万円の増加となつております。全体的に申しまして国の歳出合計が七十一億五千万余円を減じているのに比しまして、農林省関係予算増額をいたしていることを先ず第一に申上げたいと思います。  そこで政府が今回予算の編成に当りまして重点をどこに置いたかという問題について簡單説明を申上げたいと思います。その主なものは食糧増産並びに農業振興に関する問題であります。で増産対策としては、第一に種苗対策といたしまして、今回従来の原種圃のほかに採種圃設置に必要な補助として二億九千五百円を計上したことであります。單作地帯におきましては、従来の温床苗代施設拡充いたしましたほか、紫雲英採種圃採種共同育苗圃について五億七千七百万円を、計上いたしております。  次に病虫害対策といたしまして従来の常習被害面積稻作三十万町歩、麦作二十万町歩病害虫防除のために薬剤費及び種子消毒費補助として二億六千九百万円、二十五年度におけるジエーン、キジアの災害及び稻熱病の異常発生に伴う異常予算でありましたために、前年度よりは多少減額になつておりますが、実質的には増額をいたしておるのであります。  次は植物防疫法施行に伴い特殊病虫害防除のために馬鈴薯の輪腐病、アメリカヒロヒトリの防除動力噴霧機購入に必要な費用として一億五千百万円を計上しております。  北海道関係につきましては、第一に心士耕及び混層耕による地方の回復に必要なトラクターの購入等経費を七千二百万円計上いたしました。酸性の強い低位生産地帯に対する炭酸石灰施用による土地改良、これが三千五百万円であります。  次に共済保險制度拡充のために従来の一組合当り一名の人件費を二名に増加したこと、それから更に突発災害に即応するための再保險金特別会計に対して二十五億五百万円、これを新たに計上いたしたことであります。なお共済掛金のうち消費者負担分国庫負担とするために必要な四十一億六千二百万円を食糧管理特別会計計上いたしております。  農業委員会につきましては従来の三つの委員会を合せて町村における自主的意思に基いて農業振興計画を立てしめるという点から、この設置法律案として出しておりますが、その補助費十八億六千八百万円であります。  次に農業振興と密接な関係のあります農業改良普及事業につきましても、特に一市町村当り一名を設置する目途といたしまして補助職員の増員を計画いたし、農業改良関係事業のその他の試験研究機関拡充を併せまして十八億七千八百万円の計上であります。  畜産の問題につきましては、種畜の購買、貸付事業種畜の職人に必要な経費のほか、人工受精施設に対する補助の一億二千七百万円、有畜農業奨励対策に対する経費自給飼料増産確保牧野荒廃防止に関する経費等、合せまして二千四百万円の計上であります。  次に家畜衞生対策につきましても又力を注ぎまして、特に前年度に比しては相当増額計上いたしております。  次に優良種畜改良増殖につきましても、種畜牧場経費として相当増額計上いたしております。蚕業関係におきましては、目下の情勢に鑑みまして、養蚕振興のために従来五カ年計画を立つておるのでありまするが、更に技術改良のために、前年の経費よりは相当大幅な増額をいたしまして、蚕糸技術改良に必要な経費計上をいたしております。  林業関係におきましては、森林資源の培養、国土の保全を目途といたしまする林業改良普及森林協同組合等設立指導及び育成、造林促進等でありまして、前年度に比しまして、薪炭特別会計の整理に伴う減少がありまするが、実質的には増額計上されております。  水産関係におきましては、増殖のため四千九百万円、漁業制度改革実施水産業協同組合強化目途とする九億二千九百万円等であります。  以上が各種別概要でありまするが、農林省関係を通じまして先ほど申上げました通りに、従前ありました自作農特別措置法或いは臨時物資需給調整法関係のための費用、或いは又薪炭需給調節特別会計経費等の実質的に経費の削減をいたしたものを引きますと、たびたび申上げまする通りに、相当増額と相成るわけであります。  特別会計のうち、食糧管理特別会計が一番大きな問題でありまするが、これはたびたび本委員会においても問題になりました米麦管理方式改訂に伴う予算措置といたしまして設けておるのでありまして、歳入歳出とも五千五百大十三億四千五百万円に相成つております。  国有林野事業関係におきましては、大体前年の方針を踏襲いたしておるのでありまするが、伐採量四千二百八十八万六千石の伐採を行なつてこの事業施行すると共に、種苗養成林道の投資にも相当計上いたし、昨年対日援助資金特別会計から受入れた三十億については、預金部から受入れることにいたしまして、歳入歳出共に百四十四億三千百万円であります。  農業共済保險特別会計につきましては、先ほど申上げました以外に、家畜勘定におきまして多少の増額計上いたし、なお掛金増加を考慮いたしまして、歳入歳出共に十億三千六百万円であります。  自作農創設特別措置特別会計につきましては、二十五年七月三十日までに完了しない既墾地五町歩未墾地六万八千四百四十二町歩政府による買收を行なつて既墾地五町歩未墾地二十一万九千三百町歩牧野十四万四千九百六十五町歩売渡しを行うことといたしております。  自作農創設維持特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地譲渡に関する政令第二條の規定によりまして強制譲渡の対象となるもののうち、国の買收が予定される三千町歩及び競売を申出た者が政府に買取ることを申出ると予想される一千町歩政府において買取ることといたしております。  創設されました自作農自作をやめる場合に、政令施行による農地価格改訂の結果、自作をやめる差金收入を九千百万円予定いたしたほか、同様に牧野についても差金收入計上をいたしております。さようにいたしまして、本年度の二十六年度を以て特別措置法による農地政府買入れ及び売渡しはり打切られることになるのでありますので、農地等売渡し收から買收対価を控除した歳入超過等一般会計に繰入れることにいたしております。  第五に、開拓者資金融通特別会計でありますが、二十一年、二十二年度入植者でまだ融通を受けていないものに対する家畜導入資金貸付を行うことといたし、そのほか二十一年より二十三年に至る貸付財源調達のため発行せられました国債の利子支払のために必要な財源一億五千万円を一般会計から繰入れることといたしております。右ような方針歳入歳出とも十六億六千六百万円であります。  森林火災保險特別会計については、説明を省略いたしまして、歳入歳出とも七千九百万円であります。  漁船再保險特別会計についても、説明を省略いたし、歳入歳出とも三億一千万円であります。  国営競馬特別会計につきましては、人の減少を見込んでおりまするが、これは競輪等関係でありまして、投票券勘定で四十九億、業務勘定で十三億二千七百万円を計上いたしております。  次に農林金融につきまして多年問題になつておりました低利な長期金融を行うことといたしまして、一般会計及び対日援助見返資金から繰入金をいたしまして、特別会計を設定し、取りあえず一般会計から二十億、見返資金から四十億を支出して、六十億を以つて土地改良、小水力発電造林林道漁港北海道漁田開発等に重点的に融資する計画を立てております。このために大体事業費にいたしまして三百六億円程度事業が完遂できるものと認められるのであります。  公共事業費につきましては、二十五年度総額九百七十億円に対しまして、農林関係総額において百十億円が増額されまして千八十億円になつておりますが、農林関係のものについて申上げますと、災害復旧費を除いた公共事業費のうち、農業部門は前年度に比して三十六億九千三百万円の増額である百二十一億九千三百万円、林業部門においては十三億九千二百万円増の五十九億四千二百万円、水産部門については五億七千四百万円増の十三億二千四百万円がそれぞれ計上されております。  右によりまして昭和二十六年度中に実施を期しております事業の主なるものは、大要次通りであります。即ち開墾に四十三億三千二百万円を投じ、新たに六千五百戸を入植せしめ、既入植者を合せて約三万六千町歩開墾を行なつて、そうして又建設工事は前年同様、六地区の大規模国営開墾継続地区である十八地区国営開墾、二千二百十七地区代行開墾、及び前年同様の二千町歩の小団地補助工事のほかに、新規事業として二万八百町歩新規開墾地酸性土壌開墾を行うことを計画いたし、食糧増産を確保することといたしております。干拓に十七億七千四百万円を投じて、二十四地区国営干拓と五十七地区に及ぶ代行干拓及び補助干拓計画いたしておるのでありますが、農業生産力増強を行うために寄与することが大と思うのであります。  灌漑排水につきましては四十九億四百万円でありまして、その内訳は省略いたしたいと存じます。  土地改良については三億四千五百万円を投じまして従来の施設拡充計画いたしております。  このほかに災害施設として二億四千二百万円の計上があります。林業につきましては、先ほど申上げました数字で民有林造林及び公有林野官行造林林道等施設を行なつて、特に奧地林開発に重きを置いて計画をいたしております。  水産におきましては、先ほど申上げましたような漁港及び漁田開発であります。  災害復旧関係総額において前年度よりは多少の減になつておりますが、このうち農林省関係の配分については、農業は前年度に比して十二億五百万円増の八十三億七千二百万円、林業は前年に比して十六億五千九百万円増の二十億五千八百万円、水産は前年に比して一億七千三百万円減の四億三千四百万円となつております。  概要以上の通りでありますが、政策的の観点からこれを要約いたしますと、冒頭に申上げました通り農業振興、及びその生産力増強のためにする補助施設拡充をいたし、米価対策と相待ちまして、興農増産施策強化を予定いたしておるところであります。而して農業振興につきましては畜産振興のほかに、蚕糸水産農地食糧林野を含めた、いわゆる日本経済の自立のための財政政策の下においてそれぞれ予算計上があるのであります。勿論全般を通じまして国家財政の窮迫した際でありますので、十分とは申上げられませんが、以上の点を御了察願いまして、特に長期金融等につきましても、この際画期的な政策一つとして坂上げた次第であります。  以上をもつて説明を終ることにいたします。
  4. 東隆

    理事東隆君) 只今の次官説明に対して御質問の方はどうぞ。その前にちよつと申上げますが、今政府委員でお見えになつておるのは、農林省蚕糸局長最上章吉君、林野庁長官横川信夫君、水産庁次長山本豐君官房会計課長伊東正義君、これだけ見えておりますから、ちよつと申上げます。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 食糧問題から取上げて……、食糧問題について更に説明をして頂いたら如何ですか。
  6. 東隆

    理事東隆君) 食糧庁のほうからまだ見えておりませんので……。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それなら蚕糸局長からか、あの順序でずつとやつて頂きたいと思います。
  8. 東隆

    理事東隆君) それでは藤野さんの御発議がありますが、最初蚕糸局長最上さんから一つ説明を願います。
  9. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 蚕糸局長でございますが、蚕糸局所管の二十六年度予算につきまして簡單に御説明申上げます。  お手許に配りましたこの薄い紙について御説明申上げたいと思います。  まず第一に蚕糸局一般行政に必要な経費でございますが、本年度は三百六十万六千円の要求でございまして、昨年度に比較いたしまして五十四万九千円の増額になつておるのであります。これは主として人件費におきまして、いわゆるベース引上げによる増額が主たるものであります。次に蚕糸業指導調査に必要な経費といたしまして二千六百六十五万一千円を要求いたしまして、昨年度に比べまして四百九十七万五千円の増額になつております。この人件費増額はべースの引上げによる増額であります。それから市況調査宣伝委託費といたしまして百万円、これは海外におきまする各種絹製品の見本を買う費用でありますとか、或いは海外におきまする絹業に関する諸般の資料の蒐集、或いは又これを国内に周知せしめるための印刷物等費用であります。それから蚕糸経済調査事務費補助金、これは昨年度同額でございまして、各種の報告を地方から取るための費用であります。それから繭検定所補助金の千四万五千円でありまするが、これは各府県に所在しまする繭検定所に対する補助金であります。それから養蚕振興対策に必要な経費といたしまして千三百二十六万一千円を要求いたしておりまするが、昨年度に比べまして二百八十七万六千円の増額になつているのであります。これは人件費におきましてはベース引上げによる増額であります。それから養蚕対策費補助金といたしまして、優良桑品種普及費補助金五十七万円でありまして、本年度同額でありまするが、これは優良の桑の品種普及を図るために各府県試験場に対する補助金であります。次は優良蚕品種普及費補助金でありまして、本年度同額の百五十万円でありまするが、これは原蚕飼育用の桑の植付に対する補助金であります。それから蚕病予防費補助金二百九十二万五千六百円でございまして、これは蚕業取締所の吏員の俸給等に対する補助金であります。それから養蚕対策指導旅費補助金が昨年度はありましたが、これは平衡交付金のほうへ組替になつておるので落ちておるのであります。それから蚕桑病虫害防除施設費補助金三百万円でございまするが、これは各種病虫害が発生して蚕糸業相当被害を与えておりますので、本年度新たに三百万円を計上いたしまして府県へ交付する補助金であります。次に蚕糸技術改良に必要な経費九千九百五十八万七千円でございまして、昨年度に比較いたしまして二千九百二十九万七千円の増額になつておるのであります。  人件費増額は、これはベースの引上による増額でありまするが、その他特にこの項目について申上げたいことは、蚕業技術員教育委託費といたしまして百万円を計上いたしておりまするが、昨年より多少の減になつておりまするが、これは單価の減によるものであります。  次に蚕桑改良指定試験費補助金四百三万九千円でございまするが、この内訳は次の紙に書いてございまするが、桑園改良指定試験費補助金といたしまして二百五十九万一千円、これは主として寒冷積層地方におきまする胴枯病その他の試験研究に対しまする補助金であります。それから蚕品種改良指定試驗費補助金百四十四万八千円でございまするが、これは昨年度同額でありまして、各府県蚕糸試験場でやつておりまする蚕品種改良に対する助成金であります。それから桑バイラス病共通試験費補助金でありますが、これは大体昨年度試験研究完成を見ましたので打切つたのであります。それから製糸技術研究費補助金といたしまして新たに八百万円を要求いたしておるのでありまするが、これは従来工業技術庁或いは文部省等から多少のこの種の試験研究補助金が出ておつたのでありまするが、それを今回ここにまとめまして八百万円を要求いたしたのであります。先ず第一の生糸完成糸化研究費補助金でございまするが、これはいわゆるコーン巻きによる輸出研究費に対する補助金でございまして、従来生糸は峠にいたしまして俵に詰めて出しておつたのでありまするが、これをコーンに巻いて向うですぐ織機にかかるようにして輸出することが双方のために非常に利益でありまするので、この問題の研究のための補助金であります。それから自動繰糸機研究費補助金といたしまして四百万円を計上いたしておりまするが、これはいわゆる製糸加工工程におきまする合理化を図るための自動繰糸機に関する各種研究に対する補助金であります。それから絹合成樹脂加工研究費補助金百万円でありまするが、これは絹の最も大きな一つの欠点でありまする変色、つまり洗濯をいたしますると黄色く変色をいたしまするので、いわゆる黄褐変防止と申しておりまするが、この黄褐変防止中心とした研究に対する補助金であります。  それから蚕業技術改良普及費補助金七千六十七万六千円でありまして、昨年度に比較いたしまして千九百二十二万二千円の増額になつておるのであります。これはいわゆる蚕業技術改良普及のための補助金でありまして、蚕業技術指導所設置費補助金といたしまして、四千六百六十七万六千円の要求をいたしておりまするが、これは全国二百八十カ所にあります蚕業技術指導所に対する事業費補助でありまして、昨年度に比べまして事業費を一カ所当り約八千円程度増加をいたしておりますので、その増額の分であります。それから蚕業技術指導強化費補助金は二千四百万円でありまして、昨年度に比べまして、千八百万円の増額になつておるのでありまするが、これはいわゆる技術普及強化費といたしまして、国若しくは県におきまする各種試験研究を、末端養蚕農家に滲透させるためには、どうしてもこの蚕業技術指導所中心といたしまして、技術普及強化を図ることが最も必要であると考えましたので、本年度相当増額をいたしたのであります。昨年度は大体千人分、一人当り六千円の補助金計画をいたしておるのでありまするが、本年度はそれを一人当り一万二千円とし、二千人分の経費として要求したのであります。将来もこの普及強化のためには更に今後養蚕改良発達になるように、又当然繭の増産をしなければなりませんので、この種の経費増額をいたしまして、技術末端補助に資したい、かように考えておる次第であります。それから蚕業技術員養成所設置費補助金の二百五十万円でありまするが、これは昨年度と大した差はないのであります。それから蚕業試験場設備費補助金、これは本年度は落ちておりますが、これは本年度は熊本の試験場設備完成いたしましたので落ちたのであります。次に蚕糸試験場に必要な経費として二億三百六十六万四千円の要求をいたしまして、昨年度に比べまして四千三百九十四万二千円の増額になつておりまするが、これは主として給与ベース引上げと、試験研究に要する事業費拡張等による増額であります。それから生糸検査所に必要な経費といたしまして、一億一千八百九十一万七千円要求をいたしまして、昨年度に比べまして一千八百三十一万一千円の増額になつておるのでありまするが、これも主として給与ベース引上げ、或いは事業費増額、或いは施設費等におきまして、建物、その他の修理費のようなものを計上いたしたための増額であります。  以上を総計いたしますと、昨年度は三億六千五百七十三百六千円に対しまして、昭和二十六年度におきましては四億六千五百六十八万六千円を要求いたしまして、九千九百九十五万円の増額になつておるのであります。なお平衡交付金の分を入れますならば、二十六年度要求総額は、四億七千七百八十五万七千円となりまして、昨年度に比べまして約一億の増額になつておるのであります。甚だ簡單でございますが、以上御説明申上げた次第であります。
  10. 東隆

    理事東隆君) 質疑はありませんか。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 最近生糸の値段が非常に上つて来たのでありまするが、将来における生糸見通しをお伺いしたいと思います。又アメリカ価格に対する制限を与えるような新聞記事がありますが、この点についても併せて御説明をお願いします。
  12. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 最近生糸は非常に御承知のように値上りをいたしておるのでありまするが、これはまあいろいろの原因があるのでありまするが、一番大きな原因は、最近非常に内外におきまする需要増加をいたしまして、昨年は機械生糸としてできましたものが十四万八千百二十俵、約十五万俵足らずでございまして、これにいわゆる座繰り生糸を入れましても、生産高が約十六万俵であります。これに対しまして、輸出は昨年は九万四千六百二十一俵でありまして、一昨年の四万八千俵に比べますると、約二倍近くになつておるのであります。又生糸国内消費、これは輸出絹織物の原料たる生糸も加えまして、約十万三千五百七十八俵でございまして、結局約十六万俵作つて、二十万俵使つたのであります。こういうことに昨年の需給関係はなるのでありまして、その不足の約四、五万俵というものは、従来内外にありました滞貨を当てたのでありまするが、これが殆んどなくなりましたので、昨今需給が非常に窮屈になつておるのであります。従つて需要が非常に激増したのにかかわらず、供給がこれに伴わないということから、価格も急に上つておるのでありまして、現在の状態を以ていたしまするならば、非常なそこに需給のアンバランスということがございますので、本年は更に生糸増産する。そのためには繭を飛躍的に増産するということで計画を進めておるのでありまするが、大体本年度見通しといたしましては、本年度は約生糸生産を二十万俵から二十一万俵程度にいたしまして、輸出が十万俵から十一万俵、輸出絹織物用といたしまして、約三万俵、内需といたしまして七万俵程度を予定しておるのでありまするが、これは今後の内外需給関係等から相等の変化があるかとも考えますが、現在のところにおきましては、大体さような需給見通しを立てておるのであります。なおアメリカの物価の凍結の問題でございますが、これは新聞紙上等にいろいろまちまちな報道が出ておる程度でございまするが、私どももはつきりした確報をまだ得ていないので、生糸は或いは除外される、或いは又輸入価格だけ凍結されるといつたような、いろいろの報道があるのでありまするが、まだはつきりした確報がございませんので、この点はアメリカ情勢及び今後の確報を得た上で、とるべき処置を考えたいと思うのでありまするが、いずれにいたしましても、アメリカ生糸の最大の使用国でございまして、アメリカ価格がはつきりいたしまするならば、漸次それに内需のほうも落ちついて来るのではないか、かように考えておる次第であります。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 急激な増産をやるということであつたならば、如何なる方法によつて増産をされる計画であるか、増産計画大要を承わりたいと思います。
  14. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 結局生糸増産の問題は繭を増産するということになるのでありまするが、これは一面におきましては関係団体養蚕団体等とも連繋をいたしまして、必要な繭の増産運動を起す、と同時に技術的な面から産業技術指導中心病蚕防止でありますとか、或いは桑園肥培管理、或いは優良蚕品種普及というようなことによつて技術上の面から増産指導をしたいとかように考えるのでありまするが、と同時に関係の民間の団体等とも連繋をいたしまして、或いは講習会の開催、必要なパンフレツト等の配付、或いはその他の弘報関係機関を動員をいたしまして増産をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 技術を奨励するということになれば、いい生糸生産しなければいけないということになるのでありまするが、今配付せられた予算書を拝見して見ますというと、繭の検定所の補助金というものが現在出ておりますが、これは補助金を減じておる検定所が完全に検定ができるというお考えのために減ぜられたのであるか、その点お伺いしたいと思います。
  16. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 繭の検定所の補助金が少し、十五万円ばかり減りましたのは、実は本年度は検定の期間を五カ月程度というべースでやつたのでありまするが、今度は検定の期間を三カ月というようなことで計上したために多少の減額を見ておるのでありまするけれども、又現在の繭の生産状況等から見ますならば、大体三カ月程度で十分検定ができるという見通しを立ててやつたのでございまするが、その他の経費等につきましては、検定所の経費等については相当増加をいたしておりますので、差引き十五万円の減額になつておりまするが、来年度はこの経費で以て十分検定ができるものと確信を、いたしておるのであります。なお将来繭が増産をされまするならば、これに応じてこの予算も適当に増額をして行きたいと、かように考えておる次第であります。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 繭を急激に増産しようとしたならば、桑園肥培管理をよくして行かなければならない。桑園肥培管理はいろいろありましようけれども、先ず第一に必要なものは肥料である。この肥培管理に必要なところの桑園の肥料は十分に入手できる見込であるかどうか、この点をお伺いしたい。
  18. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 只今藤野委員が言われましたように、桑園の能率を増進するためには、肥培管理をよくして十分肥料をよくやらなければならないということは勿論でございまして、蚕糸局におきましても、肥料の供給等につきましては農業の手形に準じて金融的の便宜を特別に図つておりまするので、桑園の肥料の入手については十分行渡るものと考えておるのであります。
  19. 東隆

    理事東隆君) ほかに御質疑ありませんか。
  20. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の輸出計画の二十五年度九万俵、二十六年度十万俵として、価格ではどれくらいになるのかドルでも結構であります。日本でどのくらいになるかということと、それから生産は十万俵から二十万俵に相当増加を来しておるにかかわらず、輸出は九万俵から十万俵にそれほど殖えていない。それは絹の消費に廻してその絹で輸出を更に殖やすつもりなのか、それとも内需が殖えて増産の殆んど大部分は内需に向けられるのか、その辺の事情を御説明願いたい。
  21. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 本年度輸出計画がまあ十万俵から十一万俵という計画でありまするが、価格は今後の市況の如何によるわけでありまするけれども、大体一俵当り六百五十ドルから七百ドルぐらいは現在の状況からいつて言えるのではないかとかように考えておるのであります。従いまして生糸といたしまして七千数百万ドルの輸出ができるのではないかとかように考えておるのであります。なお昨年度生糸が九万四千六百俵で三千八百七十八万ドル程度になつておりまするが、そのほかに絹織物或いは絹製品といたしまして、二千六百万ドルくらいになつておりまするので、合計六千五百万ドルくらいの純手取りの外貨穫得をしたわけでありまするが、本年度は大体生糸とり絹織物と両方合せまして一億ドル近くに行くのではないかとかように考えておるのであります。なお増産した分が輸出に向けるか内需に向けるかという話でありまするが、昨年度は持ち越しがありましたので、つまり繰越しがありましたので、約二十万俵程度の供給力があつたわけでありまするが、本年度はその繰越しがない分を増産によつてカバーして行くということでありまして、これは増産したものを特に輸出に向ける。できるだけ輸出振興を図らなければならんのは勿論でありまするが、それが生糸の形で出るか、或いは絹織物の形で出るかということにつきしては、今後の海外の物価の情勢等によつてきまる問題でありまするが、昨年度は供給力として二十万俵程度あつたものを、本年度増産によつて二十万俵から二十一万俵くらいに増加をいたしまして、できるだけ輸出振興を図りたいとかように考えておるのであります。
  22. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから製糸業の合理化の問題ですが、コーン巻の問題だとかそういうものに対する研究費補助費あたりをいろいろ出しておられるようですが、こういう問題は、もういわば研究とか何とかの段階を過ぎて実際に実施しなければならない段階になつているんじやないかと思うのですが、それにもかかわらず、まだ研究費的なものを必要とするのかどうかという点と、こういう研究費は特定の一、二の業者に補助をするのか、或いはそれとももつと別な形の補助金になるのかどうか。更に意見を附加えてみますと、一、二の業者への補助金であれば、この程度のものは勿論もう国家から補助しなくても業者として十分にやつて行ける性質のものじやないだろうかどうか、その辺の事情を承りたい。
  23. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 只今の御質問でありまするが、生糸完成原糸化研究、或いは自動繰糸機研究は成る程度実行の緒に着いたものもありまするけれども、なおまだまだ大いに研究しなければならない点がありまするので、こういう研究に対する補助金は必要だと考えます。それからこの交付の点でありまするが、これは実は会社に行くものもございますが、同時に大学でありまするとか、或いは民間の研究所でありまするとか、そういうところにやるものも相当あるのでありまして、決してこの補助金が一、二の会社に行くものとは考えておりません。
  24. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 植林の問題についてちよつと次官に聞きたいのだがいいですか、それとも説明を先にされますか。
  25. 東隆

    理事東隆君) これが済みましたらすぐ入ることにいたしまして、ほかに御質疑がなければ次に畜産になつておりまするけれども見えておりませんから、林野関係の……、それでは見えておるそうでありますから畜産局長に説明をしてもらいます。
  26. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 私から畜産局所管の二十六年度予算概要について御説明を申上げます。  縦綴にいたしました資料がお手許に差上げてありまするのでそれに基いて御説明をいたしたいと思います。  最初は総括表でありまして、その次に事項ごとに簡單説明を加えておきました。総括表について申上げますと、明年度予算は一番左の欄に書いてあります事項に整理いたしまして合計八億八千九百七十四万円を要求いたしております。前年度予算が七億七千三百四万七千円でありまして約一億円余りの増額になつております。一番右の欄は前年度事項名を御参考までに書いて置いたのでありますが、前年度予算の編成当時はこうじた事項に分類いたしまして編成をした関係を明らかにしたものであります。事項ごとについて簡單説明を次に申上げます。最初畜産局一般行政に必要な経費といたしまして明年度は四百三十四万四千円、これは特にここに書いてあります以外に御説明することもございません。 次の家畜改良増殖に必要な経費一億一千七百二十万二千円、前年度は七千六百十五万二千円でありましたが、これについて若干内容を分析して御説明を申上げます。下に事項を四つに分けまして説明をいたしておりますのでそれに従つて説明を申上げますと、最初種畜の国による購入とその貸付、この事業は以前から引続いてやつております事業でありまして、国が民間で生産いたしました種畜購入いたしましてこれを無償で民間に貸付する、それによつて種畜の能力の向上を期するという計画であります。計画頭数がそれぞれの家畜によつてここに書いてあるのでありますが、この計画畜産増殖五ヵ年計画に即応いたしまして特に最近人工受精の研究が進み、その実施も或る程度普及いたして参りましたので、それらを基調といたしましてこうした実畜別の頭数計画実施いたしておるのであります。この経費はここに書いてございませんので申上げますと、四千五百十八万円になります。昨年は二千八百七十七万五千円でありましたので、その差額だけは増額になつております。 次に人工受精施設を二百四十ヵ所増設、既設二百六十ヵ所でありますが、合せまして五百ヵ所として、人工受精を普及し、傷良種畜の効率的利用を期するということであります。実は既設二百六十ヵ所は本年まで過去三カ年に亘りまして人工受精施設を全国に補助いたしまして設置いたしておるのでありまして、これの運営は実は私どもから見ましても、所期の目的を十分果しておると考えております。同時に地方からもこの施設の要望が非常に強いのでありまして、当初六ヵ年の計画でこれを完成する予定であつたのでありますが、早急に繰り上げて完成したいというようなことで、計画の残り三ヵ年分を明年度一年に繰り上げることにいたしまして、二百六十ヵ所を増設したいと考えております。この経費は四千二百十二万円に相成ります。人工受精施設に対する備品費なり、或いは技術員の設置補助並びに畜舎等の施設に対する半額の補助金計上いたしておるのでありまして、都道府県設置する施設補助することになつております。  次に優良種畜資源の更新造成のため種緬羊牝二十頭、牡五頭、これは濠洲から輸入する計画であります。次に種鶏を雌を四十羽、雄を十羽、これはアメリカから輸入する予定でありますが、これを輸入いたしまして国の牧場で飼育いたしまして、これに原原種の役割を果させたいと考えておる次第であります。国が終戰以来種畜を輸入いたしますのは明年度が初めてでありまして、本年度若干、これは予算関係はございません。司令部側の好意によりまして乳牛の精液を輸入いたしたことはございます。同時に民間側では成る程度種畜の輸入がすでに行われていたのでありますが、国といたしましてはこうした計画によつて優良種畜を輸入することによつて血液の更新を図つて行きたいと考えております。  それから最後のその他家畜改良増殖法による種畜の検査、これもすでに古くからやつておりますいわゆる種畜の検査の仕事でありまして、日本のこの法律によりまして、種家畜は国の検査に合格したものでなければ種畜として種付に供用してはならないという法律がこの法律であります。これに基いて国が直接種畜の検査をやる経費、及び府県に若干の場合委託しておりますけれども、この委託の経費を合せまして、この経費が千二百万円くらいになります。三の経費を申落しましたが、二百五十八万円程度であります。次に有畜営農の奨励に必要な経費として二千四百十八万八千円、昨年度千四百三十八万円、これは二項に亘つて説明いたしてありますが、これを更に若干細かく内訳を御説明申上げますと、この中の大きな経費牧野改良費であります。これがこのうち牧野改良費が一千万円余り計上いたしておりますが、このうち八百万円は牧野改良の県の経費、或いは牧野の管理者が牧野の管理規程を設定いたしましたり、或いはそのための測量の経費でありますとかというような、主として調査費に対する補助金になつております。これは昨年牧野法が成立いたしまして、数年間ブランクになつておりました牧野行政を、今後私どもとしましては重要視しまして、活撥に推進して参りたいと思つておるわけでありますが、その第一年度経費となるわけであります。  そのほかに有畜営農の指導指定地、全国に五十ヵ所の有畜営農指定地を設置いたしまするための経費が百三十六万円であります。それから全国百部落について有畜営農の実体調査を実施して行きたいという経費が百三十五万円でございます。このほかに自給飼料増産確保経費といたしまして百八十八万円計上いたしております。更に酪農振興経費がこの中に二百九十万円含んでおります。これは酪農技術養成者の講習といいますか、酪農技術指導者の養成経費が主要な内容になつております。それから今一つ、この項目の中で考えておりますのは、自給飼料でなしに、従来統制飼料と申しておりまして、濃厚飼料について飼料の配給統制を実施しておつたのでありますが、これは本年度の初めに飼料の統制をやめたのでありますが、併しながら家畜飼育の飼料の問題は極めて重要な問題でありますので、統制をやめましたけれども今後におきましては飼料の消費の実体調査その他私どもとしましては、飼料行政を根本的にやはり盛上げて行く必要がありますので、その経費を本年度は三百三十七万二千円この中に含ませたのでございます。  その次の北海道畜産振興に必要な経費、九百四十八万九千円、これは説明書きしてありますように、北海道の畜産の維持振興を図り、国内畜産資源の培養に資すると共に、寒冷農業経営の確立を期するために必要な人件費、事務費および種畜場の復旧費を補助する経費でありまして、前年度に引続いて計上いたしたわけであります。  次に家畜衞生に必要な経費、明年度は三億七千五百三十万円、前年度に比べまして若干殖えております。これは経費といたしましては、畜産局所管の非常に大きな部分を占めるのでありまして、家畜衞生の問題は、私どもの行政の面から見ましても非常に重点を置いておる点でありまして、経費の内容を細かく申上げますと、獣医師、装蹄師の試験経費が僅か入つております。そのほかに本省でやります仕事といたしましては、地方技術員に対して特殊な問題、或いは基本的な問題について毎年講習会を開催いたしておりまして、そのための経費が含まれております。大部分は地方に対する補助金でございますが、これは説明の二項を御覧願うとわかりますが、家畜保健衞生所法を運営するための経費というのがございます。これは八千百万円ございます。これは御承知かと思いますが、過去三ヵ年前から家畜保健衞生所というものを全国に、これは最初先ほど申しましたように人工受精施設と原則としては並置させて運営して行きた いという方針の下に、全国五百ヵ所を目標にいたしまして保健衞生所の設置計画を持つておるのでありますが、すでに二百六十カ所は既設になつておりますが、向う三カ年計画で、人工受精施設と歩調を合せまして明年度一挙に完成いたしたいということで二百四十カ所分を計上いたしております。それから、その次の家畜伝染病予防法に基き云々とありますのは、府県に対する旅費の補助、消毒薬品の、補助等であります。ほかの大部分の大きな経費は斃殺棄却手当、これは家畜が伝染病に罹りました場合に、強制的に殺命令を出し、殺処分をするわけであります。これに対する補助の意味で時価の何分の一かを手当として出しておる経費でありまして、この経費が本年は一億二千五百三十四万四千円であります。このうち特に申上げて置きたいのは、実は多年国会でも問題になつております馬の伝貧の問題であります。これに対してはなんらか根本的な手を打つ必要があるという国会側の強い要望もありましたので、私どもとしましては今後大体五カ年くらいを目標にいたしまして伝貧馬については徹底的に検診を行なつて、そうして殺処分に付して行きたいというようなことで、そうした計画の下に頭数を予定いたしまして経費計上いたしております。  次に家畜衞生試験場に必要な経費でありますが、これは私どもの所管試験場一つ家畜衞生試験場がございまして、ここでは家畜疾病の調査、試験研究をやつておりますと同時に、家畜に応用する血清、ワクチン類の製造、配付をやつております。このための経費でありまして、一億五千三百万円に相成つております。ここでやはり今一つ説明を附加えて置きたい点は、先ほど殺処分のところで申上げました伝貧の研究施設でありますが、これも従来極めて少額なる経費でこの研究をして来ておつたのでありまして、十分な成果が期待できなかつた実情であつたのでありますが、明年度は或る程度経費増額計上いたしております。試験動物の購入費、或いは非常に緻密な、優秀な機械の購入費等を計上いたしまして、まだ十分だとは考えられませんけれども、或る程度突き進んだ研究をやつて行けるのではないかというふうに期待しております。  次の家畜衞生試験場北陸支場設置に必要な経費、これは新潟県の柏崎市の隣接地にたまたま古い施設がありましたので、これを改造いたしまして、ここにありますように主として臨床といいますか、家畜の臨床的な面をここで研究いたしますために、明年度から新しい施設をここに設けたいというための経費であります。  最後に種畜牧場に必要な経費二億四千五百万円でありますが、これは古くから国が直接牧場を経営いたしておりまして、そこで種になります家畜を繋養いたしまして生産し、それを民間に配付いたす事業実施して来ておるのでありますが、今日全国に十四カ所ございます。これに必要な人件費なり事業費なりでありまして、私どもとしましてはここに要求定員の欄にありますように人を千四百六十六人来年度要求いたしておりますが、昨年度は千五百人おつたのであります。百人ばかり人は減らしたのでありますが、これはいろいろな面からの批判もありまして、経営をもつぱら合理化するという点に重点を置きまして、人は減らしましたけれども、事業費の面におきましては成る程度充実したいということで、総額においては若干の増額を見ております。  以上簡單でありますが、畜産局所管の一般会計説明を終ります。
  27. 東隆

    理事東隆君) 御質疑はありませんか。
  28. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 国営競馬の問題について一つつて置きたいのですが、競馬の国営方針がきまつてから、三年くらいになると思いますが、その後のいろいろな事情があつて、例えば競輪の問題とかいろいろありましようが、国営競馬の運営ということに非常ないろいろの問題が起きておると思います。そこで第一に聞きたいのは、一回と申しますか、七日か十日でしようが、一回の国営競馬をやる場合に、農林省あたりから多くの人が出張するようでありますが、平均どれくらい出て行くのですか。
  29. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 競馬はお話のように只今国営でやつておりますので、開催時に競馬場で競馬開催の仕事に当ります人は全部国の職員なり用員が当るということになるわけでありますが、現在東京に競馬部の本部がありますほかに、地方には北海道と東京都と京都に競馬事務所がございます。北海道で競馬を行います場合には北海道の競馬事務所の人たちがこれの中心になつて当るわけでありますし、関西で競馬を行います場合には京都事務所の職員が出かけて行つてこれが仕事に当るわけであります。併し本省といたしましても特に競馬の開催は御承知のようにああした非常に何といいますか、混雑した零囲気の下に行われるわけでありまして、これの運営に万全を期して行かなければならないような点も去りますし、又それぞれの事務所に配置しております人員は平素は極めて少いのでありますので、本省からこれが応援に出かけて行くことも御指摘の通りでありますが、正確にそれぞれの開催日に何人くらい出て行くかという御質問に対しましては、実は私どものほうでそうした調べはできてはおると思いますが、手許に持合せておりませんので、後刻調べました上で御回答申上げたいと思います。
  30. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この国営競馬が非常に経費がかかる、経費の濫費があるという声が非常に強いのであります。而もその経費の濫費の一番大きな元は役人の出張が多過ぎる。そうして一人当りの役人に費す費用というものは莫大なものであるという声を各方面から聞くわけであります。一回の開催をやる場合には、その経費なり、それから売上金、それから国庫の收入金、いろいろの比率が出ると思いますが、一体本当に黒字になつておるんですか。
  31. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 競馬は国営競馬特別会計予算に基いてやつておるわけでありますが、黒字か赤字かというお話でありますが、もとより黒字になつております。昨年はたしか二十億前後の黒字を見込んだのでありますが、これは主として売上が予定以上になかつたという点でそれだけの実績は示すことができませんでしたけれども、全体としては十億以上の黒字を示しております。
  32. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 こういう調査はないですか。国営競馬の場合の経費ですが、一回の開催の経費、それとも民営で今まで従来やつておつた場合の経費を現在繰延べて計算して見て、現存の物価に繰延べてどれくらいの開きがあるみという調査はないですか。
  33. 山根東明

    政府委員(山根東明君) お答えいたします。競馬を開催いたしますために畜産局の競馬部で使います経費予算計上いたされておるわけでありますが、これは実は民営当時大体売上予定の一割前後の経費が競馬の運営のために必要であつたというような資料に基きまして、国営予算もそういうようなことで運営施行経費計上いたしておるわけでありまして、従いまして大体従来民営でありましたときと、国営になりましてからの経費の使い方は大体同じような基準で考えられておるわけであります。
  34. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それは私もそうだと思うのだけれども、実際のお話を聞いて見ると、べら棒な浪費だというわけです。どこに原因があるか私もよくわからんが、併しどこで聞いてもその声が強いのですからね。私は根拠があると思うのです。そういう点についてのいろいろな資料を出してもらつて、そうして改善すべき点はここにあるというふうに考えて行きたいと思います。それからもう一つ、昨年来国営競馬の方針について、これを持続するかどうかという方針について農林省で大分研究されたようで、国営の方式を改めるという方針なつたというような噂も一時伝つたこともありましたが、その点はどうなんですか、どういう方針なんですか。
  35. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 競馬の民営の問題についての御質問でありますがこの問題は非常にむずかしい問題でありまして、私どもといたしましても現在の国営方式を恒久的なものだというふうな考え方はいたしておりません。そういう意味で民営に切替える方式なり、時期なりについて特に昨年来愼重な研究を続けて参つておるのでありますが、これにつきましては実は輿論と申しますか、更に国会の御意見等もそうであるのでありますが、全く賛否の御意見が区々であるのでありますので、重要な問題でありますだけに、私どもまだ農林省として確定的な結論を見出していないという実情であります。ただ研究は特に上司からもそういう御命令がありまして、私どものもとで引続いて続けております。
  36. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 畜産局長は大体民営に移すようなことを、説明しておつたんじやないですか。事務当局の意見はそういうふうにきまつたんじやないですか、一度…。
  37. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 経過を或る程度まで申上げまして御了解を得たいと思います。民営に移す一つの案を以ちまして関係筋と協議を進めましたところ、その意見の一致を見ていないのであります。従いまして一番問題になるのは全くフリーなやり方を考えられておるようであります。民営に移す場合の経営主体等については、必ずしも農林省内の意見と一致を見ていない、こういうところから中絶をいたしております。そこで根本的の考え方としては、お話の通りに民営説も相当あると思うし、又民営に移した場合の措置として事務的に研究を進めてみたのですが、畜産局長が説明申上げましたように、まだ結論に到達していないというのが現状でありまして、今直ちに民営に移すという考えは持つておりません。
  38. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 もう少しその点聞きたいのですがね。司令都側と一応折衝されたと思うので、司令部側との折衝において農林省の案が司令部側に了承されなかつたということから民営問題を一時棚上げしている、棚上げしているかどうかよく知りませんけれども、そういうようような事情にあるのじやないかと思う。即ち別な言葉で言えば、農林省としてはまあ民営の方向において一応方針を決定した。ただそれが司令部との関係において実行できなかつたから一応棚上げになつた、こういう事情じやないのですか。
  39. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) そうでないのでありまして、民営にする場合としての方法、内容等について一応事務折衝を進めた段階において意見の一致を見ない。そこでまだ省議でも決定した問題でありませんので、一応民営に移す場合における方法として研究を進めたので、方針として決定したわけではない段階であります。
  40. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それならもう一つお聞きして置きたいのだが、今の国営競馬のやり方を変えて民営に移そうという、移さなければならん、或いは移したほうがいいということがあつてそういうことを考えられて、そういう問題も研究されたと思うので、このままでいいというならそういうことを研究する必要はないのだが、そうだとすれば今の国営競馬のやり方でどういうところが欠点なんですか。なぜ変えなければいけない、なぜ恒久的なものとしていけないのか、それを一つ伺いたい。
  41. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) これは私の私見かも知れませんが、元来概括的に申上げれば、競馬のごときものは民営にでき得るなら民営にしたほうがいいのじやないかと私は考えております。併し民営の場合においても全く手放しの民営と、それから経営主体を或る程度まで相当條件をつけるというか、経営主体が公共福祉のためにする意味の経営主体になる、こういうことが只今分れの根本になつて来るのではないかと思います。従いまして根本的に先に、民営か国営かというこりとをきめる前に、その民営にする場合の方法、経営主体、内容についておのずから意見が変つて来るのじやないかとさように私自身は考えております。従つて農林省として研究を進めた場合の利害得失を相比較して、民営にする場合における一つの案を作つて相談をしたわけでありまして、方針として決定を見た上の事務折衝でなかつた。かようなことを申上げまして御了解を得たいと思います。
  42. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 まあこれはどうも余りあれなんですが、実際はこういうような流説が伝わつておるのですよ。競馬の国営というものはもう近く廃止されるのだ、近く廃止されるのだという流説が相当強く伝わつておりまして、その前提に基いていろいろの策動があるのです。非常にいろんな策動があるのですよ。それを私は心配しておるので、そこで農林当局において民営に移す方式において御研究をなさるというようなことは、まさにそういう動きに油を注ぐことになるので、この国営問題が起つた当時からこれはわかつたことなので、それは完全な民間の自由に任かせるか。それとも国がやるか、両方どちらが一つ、自由に民間にやらしておいて国家が干渉するというような方式は、これは駄目だということはこれは初めから分つていることなので、而もそれを蒸し返して又持ち出ざれるというところは、つまり今次官が私見として言われたものの中に現われておる気持、即ち本来民営であるべきものだという気持が強く働いておるからそういうことになるので、そのことから又いろんな策動が起きて来ておるということでありまして、これはよほど愼重にやつて頂かんといけないと思う。昨年の暮あたりはもうはつきり言つていたのですよ。農林省はもう民営に移すことにきまつているのだということがはつきりしておつたのですよ。そういう噂がはつきりと伝つて来た、根拠のない噂じやない。ですから民営に移すか移さんかということが一番大きな問題で、民営に移した場合の形式はどうかという問題は、次の問題だと私は思う。根本方針において動揺されるということがいろんな問題を起す原因になりますから、よほど注意して頂きたいと思う。
  43. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 過去の経過から考えますと、お話しの通りだろうと思います。そこで現在農林省としては極めて愼重に取扱つておるつもりでありまして、現在のところ国営が民営に変わるということで積極的に動いてもおりませんし、又現在のところでは提案するというような考えは持つておりません。
  44. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 畜産局長の御説明の中に、有畜営農に関する御説明の中に、何か五十カ所の場所を指定して何とかというような御意見があつたのですが、ちよつともう一度それを聞かして頂いて、その御指定なさる地域が若しおわかりでございましたら聞かして頂きたい
  45. 山根東明

    政府委員(山根東明君) これは有畜営農指導指定地という名目でありまして、全国に五十カ所、これはたしか部落だと思いますが、これを指定いたしまして、有畜営農の模範的な経営を県なり、或いは本省の特別の指導によつて、ここを模範的な有畜営農部落に仕立てて行くということ、それがモデルになりまして、その近隣にそうした方式を及んで行くという理想でやつて行くわけです。地域は正確にどこの県に何カ所ということはまだ決定いたしておりませんが、そういう趣旨から最も効果的な地帯の部落を選ぶということになると思います。府県の意見等を徴しまして、そうした指定地を決定して行くという段取りにいたしたいと思います。
  46. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 それから酪農技術指導養成費用をお取りになつていらつしやるようでございますが、二三年前に関係筋のほうでは日本のような国土の狭いところでは、酪農というような問題は余り有望視されないというような御意見だつたように私は聞いておりましたのですが、今日は酪農はやはりだんだんだん奨励なさるよう方向に向つていらつしやるのでございますか。それとも現在のあるものをただ消極的に指導なさるというようなことになつておりますか。それからなお合せて濃厚飼料の需給状態、どのくらい輸入するか。その将来の見通しとか、そういうようなことについてちよつと聞かして頂きたい。
  47. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 酪農につきましては、実は常識的にはどつちかといえば非常に勇敢な意見が多いのでありまして、大いに酪農をやるべしというのが、そういう意見が多いだろうと思います。これに対しまして、製品の販路といいますか、捌け口を考えないであの高価な乳牛を経営させることによつて、農家が却つて破滅するという、そういうような見地から、よほどこれは愼重に考えなければならぬというような意見は、私ども今日でも持つております。そうした意見が、或いはある程度変わりまして、日本では酪農は奨励すべきでないというような、或いは声としてお耳に入つておるのじやないかと私推察いたすのでありますが、私どもとしましては、酪農の振興には今後ともそうした先ほど申しましたような点を、十分考慮しつつ進めて行きたい。計画といたしましても現在大体乳牛は二十万頭前後おりますが三十万頭近くに、これをここ三、四年の間に殖やして行きたいという計画を持つております。むしろ経費が非常に少いという点が御批判を受けるのではないかと思つておつたような次第でございます。  それから濃厚飼料の計画についてのお話でありましたが、実はこれは特に家畜は大部分農家が一頭、二頭と飼つておるわけでありまして、農家の副産物等で養つておりますものが多い関係で、全体の需給計画というようなものが主食ほど実は正確なものが従来ともつかんでおりません。特に一方食糧事情がよくなつて、例えばいもの統制が外れるというようなことになれば、まあいつとはなしに家畜がどんどん肥つてくる。そうして「とうもろこし」の配給が都会の人たちにあれば、都市輓馬の壽命が伸びて行くというような実情にあるのでありますが、最近の事情は実は価格の面からこれを見まして非常に濃厚飼料が値上りをいたしております。このことはいろんな事情から飼料の需給のバランスが非常に窮屈になつ一つの現われであろうと思つております。これに対しまして、輸入の計画を私どもも立てておるわけでございますが、大体私どもの計画としましては、年間に「とうもろこし」、これは主として養鶏飼料になるわけでありますが、「とうもろこし」、たしか九百トン、大豆粕を六万トン、合せて十五万トンの輸入が確保できれば、今日の飼料事情は混乱を見ずに済むであろうという計画を立てております。これに対しまして飼料の輸入が、貿易商の手を通じまして逐次契約も運ばれておるようでありますが、今日私どもが情報として得ておりますところによりますと、大豆粕も「とうもろこし」も、商社の手ですでにそれぞれ五万トン程度の輸入契約が進行中のようであります。実はこの数字は非常に何と申しますか、喜ばしい数字であるのでありますが、ただ「とうもろこし」は別といたしまして、大豆粕は御承知のように、同時に味噌、醤油にも使えるわけでありまして、そのほうの需要が非常に強いようでありますので、飼料として仮に五万トンの契約ができまして輸入になりましても、そのものが価格関係で全部家畜の口に入るか、或いは味噌、醤油、アミノ酸等にそのものが取られるかどうかという点が非常な心配の点でありますが、一応の今日の計画なり或いは実際の状況としましては、輸入についてはそういうような状況になつております。
  48. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 今酪農はむしろ積極的に奨励する御方針のように承わりましたのでございますが、一部の酪農農家は非常に高価な乳牛を飼育しておる。そうして乳価の安いために非常に困難を極めている状態があるのでございますけれども、こういう面は将来どんなふうに指導して行つたらいいとお考えになつていらつしやいますか。
  49. 山根東明

    政府委員(山根東明君) やはり乳牛の飼育に当つて一番重要な点は、生産費の引下げといいますか、安い飼料を食わせて、そうして十分な乳を出して行く、経営を合理化することが必要であろうと思います。現状におきましては御承知のように、我々が飲んでおります生乳にしましても、バターにしましても、チーズにしましても、実は場合によつてはなかなか簡單に手の出ないような値段であるのでありますが、そうした飼料の面を私どもできるだけ安価に供給する、濃厚飼料然りでありますが、特に立派な牧草等を今後そうした自給飼料の面で手を打つてつて、そうして乳価なり或いは酪農製品の消費者価格ももつと我々がとりつきやすいところまで引下げて行く。そうすることによつて国民全体が国内で或る程度消費をして行くということによつて、一方において酪農も、又乳牛も殖えて行く。こういうような、これはちつとも目新らしい点でも何でもないのでありますが、そういう何といいますか、一つの常識的ではありますが、そういう線でこれを進めて行く必要を考えておるわけであります。
  50. 山田節男

    ○山田節男君 今の加藤委員の質問に関連してでありますが、例えば私、廣島県ですが、広島で酪農を非常に奨励している。或る郡で乳牛七百頭以上に達した。ところがこの牛乳が生産過剩になつて、一合について三円五十銭から三円になつて来た、こういうことになつて、もう二進も三進も行かない。そこで協同組合がチーズでも作ろうか、チーズを作つても、すでに製品で例えば森永とか、明治とか、雪印というので、競争できない。ところで練乳にすれば、多少値段がよく売れるというので、砂糖を食糧庁のほうへ要求したわけなんです。ところがそういう生産過剩になつておる牛乳を練乳に処理するだけの砂糖の割当がなかなかむずかしいのです。要求の三分の一くらいもくれない。こういうことになつて、一方にはそういう酪農を奨励して置きながら、現実には牛乳とすれば、生産コストも割つて損をしておる。今あなたのおつしやるように、生産コストの問題がありますけれども、廣島は問題になるべき飼料は、コストが非常に安い、殊に芋がたくさんあるということで……。けれども三円ではとてもやつて行けない。ですから酪農一本に奨励すると同時に、今みたいな加工というのは、殊に協同組合でやつておる場合には、何らかの形において政府技術的に、或いは資材的に、或いは原料的に補助して行かなければならん。ですからそういう意味で先ほど説明がありましたが、これは私は廣島県の或る地方のみでなく、全国的にそういうことがあり得ると思うのであります。ですから政府として酪農を奨励しながら、而もそれが農家の加工によつて何といいますか、收入を高めるという対策が当然考えられなければいけない。来年度にはこの予算項目において、そういうことも何かの方法において講じられておるかどうかということを一つお聞きしたい。
  51. 山根東明

    政府委員(山根東明君) お答えいたします。これは加藤委員の御質問のときに私触れた問題でありますが、製品の処理を十分見通しをつけないで酪農をどんどん進めて行くということが、一番酪農の問題で問題になる点であります。そこで来年度予算で製品の処理について計上いたしてあるかというお話でありますが、私が先ほど説明いたしました予算の中には、そういう面の経費計上してございません。ただ今の資材の面、例えば砂糖の配給というようなそういう面で、これは折角そこまで進んだ酪農を私ども途中で中絶なり、或いはあと戻りさせたくありませんので、そういう面につきましては、これはそうした実情に対しては考えて行かなければならんと思つております。なお製品の点になりますと、或いは予算関係食糧庁の予算に移るわけでございますので、食糧庁の予算でそうした製品の何といいますか、御希望の御趣旨に副うような予算がありますかどうか。私の聞いておる範囲では、そういう予算食糧庁のほうにもないのじやないかと思つております。
  52. 山田節男

    ○山田節男君 今申上げたように、折角畜産局では酪農を奨励しておる。併しそういつたような、例えば砂糖であるとか、或いはチーズを作るようなことになれば、これは食糧庁がやるのだ。やはり農家から言えば、そこに二元にも三元にもなつておるというところが非常に因るのですね。ですから畜産局は酪農を奨励するという以上は、やはり農林省の外局といいますか、一元になつておる食糧庁がとかく有機的にやつてもらわんと、畜産局はこうだ、あとは食糧庁へ行つて交渉しろ、これじや困る。ですから少くとも全国的に今のような牛乳の過剩生産というものはほうぼうにあるだろうと思うが、少くとも昨年の九月なら九月を押えて、来年度の安本における砂糖の配分をどうするかというようなことは、私は当然私はあつて然るべきだと思う。それを食糧庁でなくてあなたのところでやられるとか、或は来年度において安本でそういつた酪農方面に対しての砂糖とか、或いはその他の資材はもうやはり畜産局或いは食糧庁、安本と相談の結果きめられているのかどうか、それを一つお聞きしたい。
  53. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 私どももお話のように全く有機的に食糧庁と連絡を取つてつておるつもりであります。むしろ私どもは最後まで私どもの仕事だという考え方で実はやつておるわけでありまして、そういう意味では、そういう点まで私ども責任を感じておるわけであります。明年度の砂糖の配分につきましては、今日まだ最後的な配分計画は、これはできていないというふうに承知いたしております。
  54. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 今のに関連してもう一つ。今畜産局長はこの酪農の奨励の問題が、乳牛の過剩生産とその消費との関係で、酪農の問題にいろいろ困難な問題が起るというふうな御見解のようにちよつと伺つたのでございますが、私はそうじやなくて、今のように乳価が、例えば東京では牛乳が一合十三円、十三円という値段が、若しその半分の七円とか六円とかで以て牛乳が家庭に配給されるということになれば、一合飲むところを二合、三合というふうに飲めば、決して過剩生産ということにはならないわけなんです。又そういうふうにして、もつともつとこの動物性蛋白質をたくさん我々が消費するということが、非常に大切な問題だと思うのでございます。その問題では現に千葉県なんかに起つております問題でも、現に千葉県の酪農家はその生産する牛乳を非常に安く叩かれておりまして、そうして逆にその叩いている会社は、東京から一合二円五十銭の牛乳を安く近県から買取つて、逆に千葉県へそれを送り込んでそうしてそこで以て牛乳はこういうふうに安いのだから、お前たちの牛乳はもつと安くしなくちやならないと、こういうような操作が行われておるのであります。そういうような問題についてのこの酪農という問題は、もつと広くくるめて指導なさるということを考えて頂かなくちやならないと思います。
  55. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 只今極めて適切な御指摘があつた通りに私どもも問題を考えております。特に農家の、特に乳価の問題は、ときどきの需給の事情できまるわけでありますけれども、農家がどうしても生まの物を持つておるという一つの弱みがありますので、叩かれるに非常にまあ都合のいい立場であるのであります。これは農家側からも、同時に生産者の、生産者といいますか工場側からも、その乳価の公正な決定の一つ何か方法はないだろうかと、そのときどきの事情で上つたり下つたりということで、そういうことで乳価の適正な決定ということは、昔でありますと酪農調整とかそういう方法で或る程度できたわけでありますが、そういう法的な根拠もありませんが、何らかそうした措置はとつて行きたいと、かように考えておるわけであります。
  56. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 畜産の五ケ年計画を進めておられますが、この問題は先ほどから皆さんから言われるように、日本の食糧問題、大きな意味の食糧問題と関連して考えて行かなくちやならんと思うので、小麦を輸入するのだとか、米を輸入するとか、食糧の一割増産だとかというようなことをまあやつておりますけれども、そういうことは結局澱粉をたくさん食べるだけの話なので、これよりもむしろ酪農を奨励して例えばハムの一片でも、安い値段で皆の口に入つて行くというようになれば、米や麦の消費量はずつと減つて行くにきまつておる。又そのほうが栄養がいい、そういう意味でこれは始めておる。ところが今皆さんから指摘されたような事情になつちやつて、非常に片跛になつておる。一方だけ進んでおるけれども、ほかのほうはついて来てないものですからね、そこでまあいろいろその間には問題があると思うんだけれども、まあ一番大きな問題は、農業協同組合が弱体過ぎるということと、その弱体の農業協同組合の間へつけ込んで、商業資本がうんと進出してしまつた。牛乳の問題にしましても、その他ハムやソーセージの問題にしましても、生産価格と販売価格との開きが大きいですよ。これはもうべらぼうなものですよ。福島県あたりの農業協同組合で作つておるハムが、三越では三倍ぐらいに売られておる。生産価格の三倍ぐらいの値段で三越で売つておる。そうして腐つたやつは返して來よる。そういつたような、べらぼうに農業協同組合の弱さのために、もう農民は参つちまつておるんです。このままに放つて置けば、畜産五カ年計画だ何だといつたつてできませんね。農民の犠牲が大きいだけなんです。そうして商業資本が儲けるだけなんです。そうして又国民全体に安い肉や乳を供給するという目的は全然達せられない。商業資本の利潤が大きくなるだけの話なんです。そこでどうしても例えば牛乳が余つておるところはそれを練乳にするというようなことで、農家の生産コストを維持してやるというようなことも考えなければなるまいし、それから更に生産価格と販売価格とが余り開いておるところは、それを縮めるような政策を講じなければならんと思うのです。これは日本の食糧需給の非常に重要な一環をなしておる畜産政策なんですからね。その意味でどうか十分検討して、十分な政策を立ててもらいたい。これがうまく行きさえすれば、六千万石の米があれば十分なんですよ。ほかからそうやかましく輸入する必要はないと思う。だからそのつもりで一つつて頂きたいと思う。
  57. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 日本の食糧問題を解決するためには、今波多野委員からのお話のように、畜産の奨励のほかないと思うのであります。畜産の奨励が非常に重要だと考えるのであります。そうして畜産を奨励したらば、例えば豚のようなものでも、余り多くなつたらば、これが販路に困つて来ると、こういうふうなことで値段が下るようになつて来るのでありますが、私はこの際すべての者がこういうふうな豚であるとか肉であるとかというようなものを食べるような方法を講ずればいいんだ。その食べるような方法を講ずるためには、屠場の整備をして行かなくちやできない。現在におけるところの屠場というものが、非常に都会地にあつて、各町村まで今は持つていない。であるから殺すについては、屠場までもつて行かなくちやできない。遠いところの屠場までもつて行かなくちやできないために、豚であるとか、牛であるとかというようなものを食糧に供しようと思うけれども、供することができないと、こういうふうになつて来るのであります。私はこういうふうな意味から、数年前からの農林委員会で、屠場の奨励をやつておるのであります。幸いにして私の村の実例を申上げて見まするというと、既存の農協で屠場を造つて、その屠場で取れたところの豚を直ちに供給する。例えてみますというと、本年の一月四日の日に屠場を見に行つてみると、豚がおる。豚がおるからそれを一時間ばかり経つて見るというと、農協の売店にそれが売られている。そういうようなことですから非常に安く買うことができる。従つてその豚というものが農家の手からは成る程度有利に売られる、消費者の手には、中間利益がないということから非常に安く売られておる。又長崎県の成る例を申上げてみますと、成る農協が自分らの持つている豚を殺して、そうしてそれを長崎市に供給するようにしたところが百何十円の豚の値段が直ちに六、七十円に下つた、こういうふうなことになつて来るのであります。要しまするのに私などは畜産の奨励をやると同時に、奨励によつてできたところの肉及び乳というものを余計に飲むような或いはそれを食べるように講じなければいけない。それを食べることができるようにして行かなければいけない。牛乳についてはいろいろお話があつたのでありますが、私は肉について、そういうふうな屠場の奨励をやつて、農家の至るところでも、或いは漁村の至るところでも直ちに簡單な方法で安い肉が食べられるようにする。これが日本の食糧の問題を解決するところの方法であろうと思うのでありますが、屠場奨励に対して農林省はどういうふうなお考えを持つておられるか。簡單に屠殺ができるような施策を講じなければ食糧問題の解決はできない。こう固く信じているのでありますが、この点に対する御意見を拝聽いたしたい。
  58. 山根東明

    政府委員(山根東明君) お話の点につきましては、私どもも全く同じような意見を持つておるわけであります。全国に屠殺場といいますか、それを津津浦々に設置して簡單家畜を引受ける、そうして農家自身も、国民全体が従来以上にこれを口にするという方向にもつていつたらどうか。これに対しましては、屠場の設置を成る程度奨励する意味で、金融の方面で本年度は何らかの実績を上げたいというつもりで今考えております。
  59. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきちよつと畜産増産五カ年計画の話が出たのですが、この五カ年計画なるものは、安本の自立経済三カ年計画と完全に調整がとれているのかどうかという問題を一つ聞きたいのです。と申上げますのは、安本の報告によりますと、二十五年度家畜單位で四百三十三万頭のものを二十八年度には四百九十万頭に、即ち一三%増加するという計画になつていると報告しております。この計画と、さつきの五カ年計画とが調整をされているかどうかという問題、特にこの問題をお聞きしたいのは、三カ年に一三%の増加というような増加では、今おつしやつたような御報告の予算の面からみた計画に比べると非常に消極過ぎはしないか。もつとこの増産は大幅にできるのではないかという疑問があるわけです。同時に併しこの問題は、それに関連して飼料がどういうふうに手に入るかという問題だろうと思いますが、これについては安本の計画では、今程度の三カ年計画の一三%増加程度増産をやるにしても、例えば大豆粕について十万トンの輸入、とうもろこしについて十五トンの輸入を必要とするというような報告をしていたと思うのですが、今の御報告によると二十五年度は大豆粕が六万トン、「とうもろこし」が九万トンの計画だというようなお話なんで、一体その程度のもので、今計画されている五カ年計画なり、三カ年計画が達成できるのかどうか。もつと積極的な輸入計画をお考えになる必要はないのかどうか。従つて又例えば大豆粕等々の問題になりますと、恐らく中国貿易との問題になると思うのですが、そういう面からももう少し中国貿易をもう一遍再開する方針を積極的に推進するというような方策もとられなければならないのじやないか。それらの点に関してどういうふうにお考えになつておるか。
  60. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 畜算五カ年計画と自立経済計画との関係でありますが、これは私が先ほど畜産五カ年計画という言葉を使つたのでありますが、予算の編成当時は実は従来立ててありました五カ年計画に基いてあの種牡畜の計画を立てたような関係で、先ほど説明申上げたのでありますが、今日はあの自立計画ができますとき、従来の畜産五カ年計画が二十四年度から始まりまして丁度二十八年度に終るわけでありまして、年度も自立経済計画の最終年次と合致するわけであります。かたがた五カ年計画が三ケ年の実績計画に鑑みて検討を追られている時期でありましたので、乗移りまして現在では自立経済計画の一環として畜産計画が盛られております。それが只今お示しの数字で二十八年度には四百九十万頭に持つて行こうという計画でございます。そういう意味で齟齬はございません。それからこれに伴う飼料の輸入の計画も最終年次に只今お話のありました数量を輸入するという計画を立てているわけでありまして、実は計画を立てます当時から、果して特に大豆粕が中国との関係で輸入が実現できるかどうかということは非常に問題になつたわけでありまして、中間的には飼料の輸入減少という前提で計画を立てる必要があるのではないかというところまで話が行つたのでありますが、結論としては大豆粕の輸入計画計上いたしました。主として中国からを期待するのが一番便利でございますけれども、今日では先ほど申しました五万トンの契約進行中のものなども、これはたしかアメリカ物が入るという状況でありまして、そういうような実状でございまして、まあ飼料の計画も考えましてあの自立経済計画を樹立をいたしております。
  61. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとさつきの飼料の大豆粕十万トン、或いは「とうもろこし」十五万トンを最終年次の二十八年度需要量が経過的には特に二十六年度あたりは、さつきおつしやつた六万トン或いは九万トン程度計画が達成できるというふうにお考えになつているのかどうか。  それからもう一つは、今中国向が殆ど絶望の状況であるので、アメリカに振替えるのだというようなお話だつたと思うのですが、若しそうなつた場合に飼料の価格が特に運賃込みにして中国から入れる場合とアメリカから入れる場合とどれくらいの相違があるのか、きつと相当高いのじやないかと思いますが、そうなつた場合には先ほど畜産合理化、乳牛にしましても肉にしましてももつと安くして、消費を増加せしめなければならないという、非常に重要な問題に当面しているときに、簡單にただアメリカに移せば、ものとして入るというような点から、それらの面を無視していいのかどうか、その点をお尋ねしたい。
  62. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 輸入の計画は二十六年度は先ほど申しましたように、六万トン、九万トン、二十七年に八万トンと十二万トン、二十八年度にお話の十万トン、十五万トン、まあこういう一応ペーパー・プランを持つております。さて国内産の濃厚飼料と合せまして、家畜需要量と対比しまして、二十六、七、八が、需要量の実は遺憾ながら一〇〇%の供給を確保するという状態には至りません。けれども大体九五%、紙上の計算によりますと、二十八年度には需要量の九五%程度の濃厚飼料の供給ができるという計画を立てております。アメリカものと、中国ものの価格の差は、実は正確な、ときを同じくして比較したものがございませんけれども、お話しのように運賃その他の関係で勿論アメリカから入れるということになりますと、相当高いものを入れなければならんということになろうかと思います。果してそれで家畜が食い得るかどうか、先ほどもちよつと申しましたように、今日アメリカものと成る程度契約が進んでおりますものの、価格で見まして、家畜に手が出るかどうかということが非常に心配でありまして、これを先行き外国の価格が引下がるか、更に上つて行くかということも、はつきりわかりませんけれども、相当家畜の手にはなかなか負えないものであるという懸念は私ども持つております。それと先ほどの、私が申しました生産費の引下りと早速にも牴触するじやないかというお話、全くその通りでありますが、実は私どもの基本的な考え方としましては、やはり濃厚飼料に依存する面を極力少くする、立派な牧草を食わせまして、結構大豆を食つたと同じこと乳が出るような効用の牧草の改良といいますか、復旧といいますか、牧野改良なり、或いは需給飼料の増産の施策によりまして、そういう方向でこの問題は根本的に解決して行かなければ、やはり濃厚飼料に、穀類に大部分依存しておるという現情を打破して行くというところに問題を持つて行く必要があるというふうに、まあ考えておるわけであります。
  63. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これは長い将来においては、そういう方向で解決して頂いていいと思うのですが、急場の間に合うかどうかということで、非常に懸念されますので、やはり中国からの大豆粕を入れる努力をしなければならないのぢやないかと思うのですが、中国から入れることにどういう支障があるのか。その点をもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  64. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 中共から大豆粕を入れたい気持は私どもやまやま持つておるわけでありますが、中共貿易が私どもの願うことく行われないという前提で、輸入計画を、特に大豆粕をアメリカに振向けておる実情でございます。
  65. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その問題が、コストその他の問題で簡單アメリカに振り替えられればそれでよいという、解決される問題であるのならばここでそんなにこの問題をきつくは申しませんが、恐らくコストその他の面からみて非常な不利な問題になるのじやないか。そうだとすればただ軍に微妙なる事情から中国から入れることができないから止むを得ない。アメリカに漫然と振替えるということでなしにもう少しその点は正確な計算での下に、どうしてもやつて行けないならば、改めてその微妙の問題の根源をついてもう少し変えなければ日本の畜産計画がされるには、先ほどからいろいろ問題になつておつた日本の総合的食糧の解決の問題、或いは延いては日本の国民の生活水準の確保の問題、或いは引揚問題に関連してどうしてもこの隘路は打開しなければならないものと見て、相当強く関係方面なりその他にむしろ要請すべき問題だと思うのですが、それらの点について農林当局ではどういうふうにお考えになつておりますか。
  66. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 御指摘の点は御尤もであろうと思います。なお更に研究することだと思いますが、大体のアウトラインは御承知のように中国からの輸入は現在では期待できません。併し大豆そのものの生産から申しますると、又食糧の全体から考えまして、日本の現在要する大豆の消費総量は約四十六万トン、そのうち内地産が十五万トン、あと三十万トンが従来輸入されておつたものであります。ところがその三十万トンのうち本年の実績から見ますると、はつきりした数字は覚えておりませんが、中共から今日まで入つた数字は二万六千トンじやないかと思います。多少ガリオアで入つたもののうち中共から回送したものもあるようでありますが、あとはアメリカであります。従来我々のですね、大豆の生産についてはアメリカ生産が普通の常識は三百万程度増産をせられて、三百万程度も考えておつたのでありますが、本年度情勢から見ますると、五百万トン程度増産が確保できるようであります、又アメリカ生産は七百万トンとも称せられております。そこでこれは戰時体制になればいろいろ情勢も変わることでありましようが、努力次第によつてアメリカ生産の非常に増加したという点から考えまして、数量的には相当確保できるのじやないか、そういう点から考えまして、価格の点は勿論更に検討も要し、且つお話のような点は、今後直ちに考究を進めて早く手を打つべき問題であると、かように考えておるのであります。従いまして飼料の点及び農林省としては全体のいわゆる農業生産資材の輸入確保については、各品目ごとに詳細なる計画を立てまして、今通産省なり安本と協議を進めております。それはやがて価格の問題と関連することでありまして、なお一層努力いたしまして御期待に副うようにいたしたいと存じます。
  67. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ただその中国からの輸入は期待できないのでということを前提にしないで、もう少しそこは計画的にはつきりと計算をとつて、特に今お話のようにそれは成る程アメリカ生産の絶対量は非常に多いでしようが、二十玉年度輸入実績十九万トンの大豆の中でアメリカから幾ら入つたか、相当なものが入つているのでしようが。それにしても今お話のように値段も高いし、更には船の船積みの問題も、これも非常な隘路になつておるので、非常に純粋に経済的に見ればアメリカに依存するということは日本にとつて不利な方法だと思いますので、ただ一律に政治的に向うから期待ができないからということで、そういう経済法則を簡單に曲げるというようなことをしないで、総理自身も言つておられるように、経済法則そのものは如何なる操作をしても最後に貫徹されるだろうというようなことをフオーリン・アブエアーズにも言つて、中国貿易は赤だろうと白だろうと必要なんだということを総理自身も言つておられるのだから、その線に沿つてもう少しそつちえの打開すべき道を一つ積極的に考えて頂きたい、かような希望を申述べて置きたいと思います。
  68. 東隆

    理事東隆君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  69. 東隆

    理事東隆君) それでは速記を始めて。
  70. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 先ほどから問題になつております畜産の問題ですが、畜産局長は簡易屠場の問題を言われておりましたのですが、簡易屠場を奨励するために、多少の金融的な措置を講ずるという話なんだと思いますが、屠場の問題はこれは、生産農家から言えばマーケツトの問題なんだから、マーケットの屠場として発達してないと、生産者は非常な価格の変動に苦しめられることになるので、是非屠場はこれは作らなければならんと思います。ただ簡易屠場というような考え方に多少の問題があると思うのは、大体アメリカの肉の価格なんか見ておりますと、牛にしても、豚にしてもその価格の六〇%から七〇%ぐらいが肉の価格とされておる。ほかの三〇%見当のものは、例えば骨だとか血液だとか、皮革だとか蹄だとか、そういうものから回收されるわけであります。従つて肉が安く供給されることになつている。従つて生産者から言えばそういうふうになつておれば、割合に生産者が高く売つても消費者は割合に安い肉が食えるということになるものですから、屠場を奨励をされる場合には必ず皮革或いは血液、或いは骨だとか棄てるものは一つもないですから、そういうものを完全に処理できるような、小型の屠場を奨励されるモデルを一つ作つてこれを奨励してやるということは是非して頂きたいと思いますが、何かそういうモデル的な小規模の屡場の計画はあるのですか。
  71. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 只今の御意見は私どももかねて一つの理想として考えておつたのでありまして、屠場を奨励いたします場合に、そういう方法で考えたいと思います。今日お前の手許にそういうモデル・プランがあるかというお話でありますが、実は具体的に設計いたしましたものは持つておりませんけれども、そういう御趣旨には十分副つて実現を図つて行きたいと考えております。
  72. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 畜産奨励の根本は今まで各委員からお話があつたように飼料問題であります。飼料問題を解決するのには、当面の問題と将来の問題を解決しなければいけないのであります。当面の問題としては、現在養鶏業者であるとか、乳牛業者という者が濃厚飼料に困つているのであります。然るに政府のほうでは「とうもろこし」に手持ちがある。又食糧として買上げたものでありながら、そのものが食糧に供することができないところのものがある。こういうふうなものは直ちに食糧庁から飼料として払下げて当面の問題を解決すべきじやないか、こういうふうに考えるのであります。併し昨年の十一月に二万トンくらいの「とうもろこし」を払下げられたときには、そのうちの三分の一を農民団体に払下げられて、一匹の家畜も持つていないところの二百数十の業者に払下げられたのであります。そういうようなことで結果はどうなつたかというと、その二百数十の業者は七十五円で払下げたところの「とうもろこし」を百円乃至百三十円というような高い値で売つているのであります。こういうようなことがあるから、政府の持つているところのものを払下げた値段は安くても消費者が困つているのであります。ですから政府としてはできるだけ政府の持つているところの「とうもろこし」、食糧に供することができないというようなものは実際に家畜を持つている団体に払下げて、できるだげ安いところの飼料を供給しようとしなくちやできないのでありますが、政府が持つているところのもので、飼料として払下げることができる「とうもろこし」及び食糧に不適のものがどのくらいあるか。又或る程度のものがあるとしたならば、如何なる方法によつて、いつ払下げられるという考えがあるか。この点をお伺いしたいのであります。
  73. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 食糧庁が手持ちを持つておるものを従来業者に払下げたことは事実であります。そこで飼料に使うものを団体に払下げてもらいたいという希望があるということは私も承知しておりますが、ところが払下げの場合に従来公入札という方法をとつてつたのであります。公入札をとらんにしても随意契約でやつた場合がありますが、実際多くの場合はさような方法をとつておつたために、今までの払下げがお話のようなことになつておつたことも事実であります。食糧庁の考え方が必らずしも畜産局との考え方と多少そこに齟齬ではありませんけれども、考え方の軽重があつたようでありますので、これは近く改めて成るべく畜産団体に払下げるような方法を今考究中であります
  74. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は飼料作物を奨励せられるということであるのでありますが、麦、米というようなものも事後割当になるというようなことであれば、食糧作物のほかに飼料作物は載る程度栽培できるとこう考えるのであります。そうして見ると飼料作物はどのくらいの牛馬一頭当り裁培させる予定であるか。又その飼料のそれによつて得るところの收量はどれだけあるか。それによつて今度は輸入飼料は減ずることができるのでありますが、主食と飼料との栽培の関係、こういうふうなことについてお尋ねしたいと思うのであります。
  75. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 私どもとしましては現在のところ米麦の作付地の中から特定いたしまして飼料作物の面積を一律に一頭当りいくら確保するという計画を出しておりません。ただ私どもとしましては、御承知と思いますが、国の牧場で原種圃を経営いたしております。この面積を明年度相当広めましてそこで牧草の種子の確保を図つて行く。これを農家に配布いたしまして、成るものは場合によりましては畑に作るものもあるかと思いますが、牧野なり採草地なりにこの種子を播きまして、そうして牧草の改良を図つて行きたい。こういう計画でありまして、そのことによつて家畜全体の濃厚飼料が或る程度緩和されるという計画は持つておりますが、何分にもこうした原種圃の経営計画は事新らしい計画でありまして、ここ一両年初めて実施した計画でありまして、まだ十分の計画でありません。全国の草地をそれで以て改良を徹底的にやつて行くという効果は期待できんと思いますが、逐次計画拡充いたして参りたいとかように考えております。
  76. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 飼料はできるだけ安くしなくちやできないのでありますが、私の今調査したところによるというと、米の一貫目の値段が百四十一円五十銭「とうもろこし」の一貫目の値段が百三十円、これにアメリカから輸入するところの「とうもろこし」がいろいろの関係で値段が上るといろのであつたならば、「とうもろこし」の値段が米の値段よりも高い、こういうふうな結果になつて来るのであります。そうしたならば家畜を飼養しておるところの者は或いは自分の手許から米を家畜に食べさせるというような間違つた考えを起さないとも限らないのであります。これが生産物を安く処分するというようなことになつて来るからであります。それでありますから将来において米というようなものは絶対的に確保していかなくちやできない。こういうふうなことであつたならば、輸入するところの「とうもろこし」というようなものは、或いは大豆粕というようなものはどうしたつて米の価格よりも安い価格で飼料として配給するということをとらなくちやできないのであります。こういうふうなことにするためにはどうしたつて価格に対する補給金を出さなくちやできない。そうせなくては日本の主食が減じて来る。又飼料を家畜を通じてやつたならばそれは非常に効果が挙つて来るというようなことであるのでありますから、成る程度の補給金は出しても差支えないと、こういうふうなことに考えられるのでありますが、米の値段よりも「とうもろこし」の輸入価格が安い値段で輸入される見込があるかどうか。若し見込がないとしたならば、これに対する対策はどう考えておられるかお尋ねしたいのであります。
  77. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 安い飼料を食わせんならんことはお話の通りでありますが、仮に米の値段より高い値段でなければ入らない場合に、これに対して補給金を考える必要があるだろうというような御意見であつたと思うでありますが、只今のところ輸入食糧に対する補給金を出すという考え方はいたしておりません。それから現在正確な外国の相場は私今ここに持合わしておりませんが、例えば大豆粕あたりになりますとトン当り百二十ドルぐらいという話を聞いております。「とうもろこし」も百ドルを或いは越しておるのではないかと思われます。そういたしますと、割高ではございますけれども一貫匁当りが、計算して見ませんとわかりませんが、今お話の百五十円というような米のところにまでは今のところ行かんのじやないかと思います。
  78. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次にはこの畜産の奨励をやつたならば、できたところのものを如何にして有利に処分するかということであるのであります。従来は家畜市場を使つてこれを取引されておつたのでありますが、家畜市場法の廃止の結果、家畜取引が区々になつて来て生産農家が非常に困つておるような現状であるのであります。かくいたしますというと農家は家畜増産してでも有利に処分することができないから、従つて生産意欲が減じて来るというようなことになつて来るのでありますが、家畜の取引について何か改善の方法を考えておられるかどうか。この点お伺いしたいのであります。
  79. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 畜産が取引の面で何といいますか、極めて封建的と言いますか、従つてその間に非常な不合理があり、弊害があるということは他の農業生産物と恐らく比較にならないほどの問題であろうと私も思つております。これを改善することがお話の通り急務でありまして、私どももその点には全く同じ気持でおるわけでありますが、そのために家畜市場法を復活するかどうかという御趣旨だろうと思うのでありますが、この点はつねづね私からもお答えしたこともあつたと思いますが、実はまあ市場法はなくなりましたけれども、それぞれ家畜市場そのものは禁ぜられておるわけではないのでありまして、市場そのものはいろいろな方法で運営されておりますことは御承知の通りでありますが、これに一つの規正を加えるために法律を作つたがいいか、或いはこのままでいいかということにつきましては、実は県の係官等を集めました際にも、いろいろ意見を聞いておるわけでありますが、はつきりした一方的な結論が実は出ないのであります。そういう意味で今日までそのままにいたしておる実情でありますが、ただ家畜の取引を正常化するという面の必要につきましては私ども全く同感でございます。
  80. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 家畜を奨励する場合においては、どうしたつて家畜が病気に罹らないようにする、又病気に罹つたらばこれを簡易な方法で治すようにする。これについていろいろと五ヵ年計画のを三ヵ年計画で達成されるということは喜びに堪えないのでありますが、最近の家畜の異常災害を見てみまするというと、より以上に何らかの対策を講じなくちやいけない、こういうふうに考えられるのでありますが、家畜の異常災害防止する、従つて家畜保險の今日問題になつている損害金の填補というようなこともなりますが、何か考えるかどうか。この点お伺いいたしたいのであります。
  81. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 御質問の御趣旨と或いははずれるかも知れませんが、家畜の今日異常の災害といいますか、疾病として私どもが問題にいたしておりますのは、昨年、一昨年流行いたしました牛の流感と、それから朝鮮、満洲がああいう事情になりましたために恐れられます問題は、牛疫の問題であります。それと私が先ほど申しました馬の伝貧、牛の結核、こういうものが、まあ異常と申しますか、非常に恐るべき災害として考えられるわけでありますが、これについて私どもの今考えておることを申上げますと、流感につきましては、実は二年連続して大流行を見ました。本年は第三年目になるわけでありまして、十分にその危險性が考えられるわけであります。昨年勃発いたしまして、直ちに百方手を盡しまして、大学の教授なり、或いは私どものほうの技術官を動員いたしまして、現地について病原体の発見なり、治療予防の方法の研究に着手いたしたのであります。そのために実は成る程度の結論が出ましたようであります。これの予防液も恐らくでき上るだろうというところまで行つておるようでありますので、今年は流行期に入ります前に完成いたしまして、できるだけ災害を未前に防止したいという計画をいたしております。牛疫につきましては、まだ幸いに内地へ入つて来ておりませんが、非常に危險であるということは、朝鮮動乱等を考えますと、專門家は全く夜もおちおち眠れないというような気持でおるようであります。  これに対しましてはこれの血清の製造も今日までで成る程度完備いたしております。仮に万が一入つて来た際には、どういう手を打つて、どういうところで喰いとめるかという計画も私どものほうで持つております。それから伝貧については、先ほどちよつと申上げましたように、やはりこの際徹底的に検診、殺処分をして行きたい。大体できますれば五カ年くらいの間にまあ根絶はできないにしても、一応きれいにして行きたいという計画を持つております。
  82. 山田節男

    ○山田節男君 最後に一つ。私などは濠洲から羊毛がたくさん入つて来て純毛の洋服を着ることができるという新聞の記事を読んで喜んでおつたのでありますが、事実はこれに反しておる現在の状況であります。一方我が国の緬羊の状態を尋ねてみまするというと、大分緬羊が多くなつて、これで自己生産によつておる向も、着物その他の自己生産をやつておるものも相当多いようであるのでありますが、自己生産の将来の奨励によつて輸入羊毛をどのくらいの程度まで防止することができるかどうか、そういうふうな計画を立てられたことがあれば承わりたいと思うのであります。
  83. 山根東明

    政府委員(山根東明君) お答えいたします。私どもといたしましては、緬羊についても増殖計画を持つております。品質をよくするために、先ほどもちよつとお話を申しましたように、濠洲から成る程度の種を今年は入れたいという考えを持つております。ただこれによつて国内需要、勿論需要に貢献したいという計画ではありますけれども、これは私ども只今のところでは、主として農家の自給と申しますか、農家の学童服なり、或いは大人の作業衣といいますか、そういうものの資源ということを第一の実は目標にいたしておるわけであります。ただ数字的には自立計画が最終年に到達いたしまして、緬羊の計画が到達された場合に、国内の総需要に関してどのくらいのパーセントを占めるかという数字は勿論持つておるわけでありますが、正確な資料が手許にございませんので、あとでその点はお届けすることにいたします。
  84. 山田節男

    ○山田節男君 一つ最後にお聞きしたいことなんですが、これは家畜衞生に関することですが、御承知のように、昨年獣医師法ができましで、将来の獣医師は大学を出て実地の経験のある者でなければいけない、こういうことになつたわけでありますが、昨年何といいますか、獣医師の得業士のような試験が最後に行われたということを聞いた。これは私のほうにもいろいろ陳情が来ておることから考えますと、獣医師法によつて新らしい獣医師ができるまでの間、殊に農林において昨年来のように、家畜の流行病が流行つて、とても獣医師の補充がつかないということで、非常に困つておるから、一つこの獣医師法による獣医師ができるまで今の無医村といいますか、獣医師のいない村が非常にあるので、過渡的に一つ昨年最後だと言つて行われた獣医師の試験をもう一回、或いはもう二回ぐらいやつてもらえんかという陳情がたくさんあるのですが、農林省としてこういうふうなことの事情を勘案して、そういう必要を認められるか。又そういうことはもう絶対にできないのか。或いは獣医師法のできたときには、これは関係当局の厳重な勧告があつたというようにも聞いておるのですが、農村に実際獣医師がいない。従来獣医手としてやつておつた者が昨年の試験で通らなかつた者もあるし、又もう受けられなくなつた者もある。非常に困つたという陳情をほうぼうから受けておるのですが、この点に対する畜産局の方針ですね、これを一つ承わりたいと思うのですが。
  85. 山根東明

    政府委員(山根東明君) 獣医師を試験によつて獣医師に昇格させるといいますか、そういうことにつきましては、特に参議院農林委員会の強い御要望がありまして、できるだけ全部の人を拾い上げたいという目標でしばしば試験をやりました。そうしてちよつと数字を持つておりませんが、殆んどの人をといつていいほど一応獣医師として昇格させた結果になつたわけであります。そのうちで大変お気の毒なかたが成る程度出まして、遂に獣医師に昇格する途が塞がれたかたも若干はございます。これに対して今一度試験をやるかどうかということにつきましては、実はそういう計画を持つておりません。ただ特に試験でありまして、成る程度の運不運もあるわけでありまするけれども、非常にお気の毒な事情であるということで、私どもの手許にも地元からいろいろ陳情は参つております。これに対しましては私どもとしましては獣医師の資格はそういうことで塞がれたわけでありまして、そのことのためにその人が折角持つておる技術を将来使えないことにならないように、例えていいますれば、先ほど申しました人工受精施設であるとか、家畜保健衞生所であるとか、そうした衞生関係施設にこのかたを何といいますか、職場のお世話をするというような方法で、まあ若干のお気の毒なかたにそういうことを考えて行くというようなことで参つておるわけであります。
  86. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、これは全国でどのくらい昨年の試験に失敗したものがあるか知りません。又そういうものがあれば試験を受けてなり得る希望者もあるかという数も知りませんが、要するにそういつたような、昨年行われたような、何といいますか、検定試験というのですか、資格試験というのですか、こういうものはもう将来絶対に行われない、こう了解してよろしうございますか。
  87. 山根東明

    政府委員(山根東明君) さように御了承願います。
  88. 東隆

    理事東隆君) ほかに御質疑ございませんか。なければ今日はこの程度で終りますが、残りました日程はあとで組入れたいと、こう考えております。  それでは本日は散会にいたします。    午後四時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            野田 卯一君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君    委員           池田宇右衞門君            小野 義夫君            一松 政二君            安井  謙君            山本 米治君            岩崎正三郎君            加藤シヅエ君            下條 恭兵君            永井純一郎君            山田 節男君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            前田  穰君            菊田 七平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    農林政務次官  島村 軍次君    農林省大臣官房    会計課長    伊東 正義君    農林省農政局長 藤田  巖君    農林畜産局長 山根 東明君    農林省蚕糸局長 最上 章吉君    林野庁長官   横川 信夫君    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君